ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~


 

序章

 
前書き
初投稿です。よろしくお願いします 

 
「っ!!」
赤い光を纏った右手の剣がジェットエンジンのような音を響かせながら、敵<ゴールデン・ウルフ>を貫いた。単発重攻撃技<<ヴォーパル・ストライク>>を食らった<ゴールデン・ウルフ>は、ガラスが砕けちるような音をたてて<ゴールデン・ウルフ>は霧散した

「はぁ…疲れた…」
と言いつつも、二年間で染み付いた癖で周囲の索敵をすると、知り合いの名前とモンスターの反応があったので援護に向かうことにした

「……必要ないかもしれないけど……」
とぼやきつつもその方向に歩いていく












「よう、キリト」と軽く手を振りながら見てみるが返事がない。絶賛死合い中のキリトに答える余裕はない

「……」
もしもの時に備え、右手を剣にかける。しかし、モンスター<リザードマンロード>が放った単発重攻撃技<<フェル・クレセント>>をギリギリで避けたキリトは、反撃のソードスキル:水平四連撃ソードスキル<<ホリゾンタル・スクエア>>で<リザードマンロード>のHPを0にした
【改ページ】
「おーい、キリト」
死合いが終わったので、安堵の息を吐くキリトに話しかけた

「よう、リン。奇遇だな」
キリトはリンの呼び掛けに答え、手をあげながら言った

「それは同感だ。帰るとこか?帰るとこなら飯でも、おごってくれ」

「帰るとこだけど、おごらねぇよ」

「ま、どうせそうだと思ったがな。キリトはケチだから」

「…その手には乗らないぞ?」

「ちっ…まぁいい。帰ろうぜ」

「ああ」
そう言って二人は第74層の主住区に向かって歩きだした 
 

 
後書き
どうでしたか?何分初めてなので…

意見等いただけると嬉しいです 

 

キャラ設定

 
前書き
オリ主のデータです。無駄にチートにした気がしますw
 

 
本名:鈴木 燐

性別:男

武器:双剣(普段は片手剣)

装備:黒で統一。盾無しの片手剣と色から、黒の剣士(キリト)に間違えられることもしばしば

性格:初対面はかなり固いが、慣れてくれば軽くなる。かなり頭がキレる、そして毒舌。クラインが大好物(いじりやすいから。BLか?と思った人は…変態ですねw俺もですけど)

システム外スキル等:基本的なのは全て可能。<<スキルコネクト>>はできる。ただし、成功率は八割。キリトは、アーリー&レイト前に燐から教えてもらうという設定。なお<<アームズブレイク>>は不可能

現状報告:キリト、クライン、アスナ等の主要キャラとはすでに顔見知り力はキリトと同じくらい。

備考:両親はもうすでに他界…してるわけではなく、海外を飛び回っておりかなり多忙。両親の性格はかなり厳格で、結城家とは深い関係がある。(明日奈とは面識がない)ちなみに兄弟姉妹はいない。



 
 

 
後書き
次から長くなると思います 

 

始まり

 
前書き
剣技の名前とかオリキャラの名前とかを募集してます。剣技は、片手剣、ダガー、双剣、戦斧の技名を募集しています。何連続攻撃、また、重攻撃か否かも書いてくれると嬉しいです 

 
「……」

「どうした、キリト?」

「いや…二年前、全てが終わって全てが始まった、あの瞬間を思い出してたのさ」
とキリトは自嘲気味に笑った

「あの時ね…」















二年前、βテスターに選ばれた俺は、運がいいと思っていた。完全ダイブという新世代のゲーム環境下でのVRMMOである<ソードアート・オンライン>を他の人よりも一足早く体験できたのだから…いや、今、デスゲームと化したのをみると運が悪かったのだろう
親によって束縛され、素直に従っていたあの頃の俺は<ソードアート・オンライン>によってもたらされる解放感に酔っていた。正式サービス開始の2022年11月6日、日曜日。一秒も遅れずログインした。そして、武器や防具をそろえレベル上げをしていたところで、五時半すぎ世界はその有りようを、永久に変えた

突然、鐘のような音が鳴り響き俺の体を、鮮やかなブルーの光の柱が包んだ。そして、気が付くとゲームのスタート地点である<<はじまりの街>>の中央広場にいた。そして、同じようにテレポートしてきたのであろう一万人程のプレイヤーの群れがいた。

「…どうなっているんだ?」と俺は考えていた。メニューを開くと驚くことにログアウトの文字が消えていた

「なるほど…この事の説明か、何かか…」
と一人合点し運営アナウンスを待った。そして、「あっ……上を見ろ!!」という声が聞こえたので視線を上に上げると100メートル上空、第ニ層の底を、真紅の文字[Warning]と[System Announcement]が浮かび上がり、その後身長二十メートルはあろうかという、真紅のフード付きローブを纏った巨大な人の姿が現れた

不意に巨大なローブの右袖が動いた。続いて左袖もゆるゆると掲げられた。直後、低く落ち着いた、よく通る男の声が、遥かな高みから降り注いだ

「プレイヤーの諸君、私の世界へよるこそ。私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ。プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気付いていると思う。しかしゲームの不具合ではない。繰り返す。これは不具合ではなく<<ソードアート・オンライン>>本来の仕様である」

「なっ……」
予想の斜め上をいく言葉に流石の凜も絶句した

「諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトすることはできない。……また、外部の人間の手による、ナーヴィギアの停止あるいは解除もあり得ない。もしそれが試みられた場合……ナーヴィギアの信号粒子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる。より具体的には、十分間の外部電源切断、二時間のネットワーク回線切断、ナーヴィギア本体のロック解除または分解または破壊の試み…以上のいずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行される。この条件は、すでに外部世界では当局およびマスコミを通して告知されている。ちなみに現時点で、プレイヤーの家族友人等が警告を無視してナーヴィギアの強制除装を試みあ例が少なからずあり、その結果……残念ながら、すでに二百十三名のプレイヤーが、アインクラッド及び現実世界からも永久退場している」
親が海外にいて良かったと思った。もし親がいたのなら間違いなく外そうとしていたからな、と場違いにも安堵してしまった

「諸君が、向こう側に置いてきた肉体の心配をする必要はない。現在、あらゆるテレビ、ラジオ、ネットメディアはこの状況を、多数の死者が出ていることも含め、繰り返し報道している。諸君のナーヴィギアが強引に除装される危険はすでに低くなっていると言ってよかろう。今後、諸君の現実の体は、ナーヴィギアを装着したまま二時間の回線切断猶予時間のうちに病院その他の施設へと搬送され、厳重な介護態勢のもとに置かれるはずだ。諸君には、安心して……ゲーム攻略に励んでほしい。しかし、充分に留意してもらいたい。諸君にとって、<<ソードアート・オンライン>>は、すでにただのゲームではない。もう一つの現実と言うべき存在だ。……今後、ゲームにおいて、あらゆる蘇生手段は機能しない。ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君のアバターは永久に消滅し、同時に…諸君らの脳は、ナーヴィギアによって破壊される。諸君らがこのゲームから解放される条件は、だった一つ。先に述べたとおり、アインクラッド最上部、第百層まで辿り着き、そこに待つ最終ボスを倒してゲームをクリアすればよい。その瞬間、生き残ったプレイヤー全員が安全にログアウトされることを保証しよう。それでは、最後に、諸君にとってこの世界が唯一の現実であるという証拠を見せよう。諸君のアイテムストレージに、私からのプレゼントが用意してある。確認してくれ給え」それを聞き俺を含む全てのプレイヤーはメニューを開いていた。そして入っていたアイテムは<<手鏡>>…頭の上にハテナマークを浮かべていると、突然全てのプレイヤーを白い光が包み込みそして……


















「あの時は本当に驚いたよな」

「あの時っていつだよ」

「<<手鏡>>を見た瞬間だよ。鏡をみたら現実の顔だぜ?」

「あー…あの時か…いきなり隣にいたクラインの顔が不細工になってびっくりしたよ」

「確かにいきなりあの顔はな」

「ひでーな」

「事実じゃねーかっ!?」
何気なく周囲を索敵するとモンスターがひっかかったので警戒をした

「あそこだ…」

「<ラグー・ラビット>だ……」

「<ラグー・ラビットの肉>…」
最高級の<ラグー・ラビット>から取れる最高級の美味に設定されている<ラグー・ラビットの肉>の味を想像しヨダレがでているキリト

「キリト……ヨダレたれてるぞ?」

「おっと……さて、どうやって倒そうか?」
ヨダレを拭いながら言った

「飛び道具は使えるか、キリト?」
<ラグー・ラビット>は逃げ足がとても速いため飛び道具による不意討ちを考えたが自分は飛び道具のスキルをスロットに入れてないため倒せないと判断し、キリトに希望をかける

「ああ…投剣スキルがある…だがスキル練度が低いけどな」
といいつつも腰のベルトから投てき用の細いピックを抜き出した。そして投剣スキルの基本技<<シングルシュート>>のモーションをおこし、投げた。ピックの行く末を見守っているとポリゴンの砕ける音が響き、キリトは思わず左手をぐっと握る。そして、キリトはメニューを開き、アイテム欄をみるとキリトの目に<<ラグー・ラビットの肉>>の文字が飛び込んできた

「ドロップしたか?」
期待を込めた目でキリトを見ると

「あった……」
満面の笑みでグーサインしつつキリトが答えた

「どうする?俺らで食べるか?それとも、売って装備にするか?」
と表面上は冷静に(手が震えていて、満面の笑みだが)キリトに尋ねた

「そうだなぁ……リンはどうしたい?」

「食いたい…が、俺は料理スキルの練度が足りないし、今の時間から頼みにいくのもな…だから、売るか?」

「そうだな。よし、エギルんとこ行こうぜ」
とキリトは転移クリスタルを手に取った

「よし、じゃあ転移!アルゲート!」
体が青い光の包まれ周囲の景色が消滅していく
















「この街、猥雑で好かないんだよな……」
と顔をしかめてリンは言う

「そうか?俺はこんなかんじ結構好きだぜ?」
かつてよく遊びに行っていた電気街に似ているからだろうなと呟くキリト

「じゃあ、行こうぜ。ついでに冷やかしかな……」

「おーい、心の声が出てるぞ?」
苦笑まじりにキリトが突っ込む
















「毎度!!また頼むよ兄ちゃん!」
と商談が終わったみたいなのでエギルの店に入って行った

「うっす。相変わらず阿漕な商売してるな」

「よお、ぼったくりやろう……いつか壁に埋め込まれちまえ」
相変わらず毒をはくリン

「よぉ、キリトとリンか。安く仕入れて安く提供するのがウチのモットーなんでね。それとリン…毎度のことだか酷くねぇか?」
悪びれる様子もなくうそぶく

「それが俺だ」

「安く提供するって部分が疑わしいけどなぁ……まぁいいや、俺たちのも買取を頼む」

「キリトとリンはお得意様だしな、あくどい真似はしませんよっ、と……」
言いながらエギルは猪首をのばし、俺の提示したトレードウインドウを覗き込んだ

「おいおい、S級のレアアイテムじゃねえか。<<ラグー・ラビットの肉>>か、俺も現物を見るのは初めてだぜ……。キリト、リン、おめえら別に金には困ってねえんだろ?自分で食おうとはおもわんのか?」

「思ったが、練度が足りないんでな」

「同じく思ったが……こんなアイテムを扱えるほど料理スキルを上げてる奴なんてそうそう……」

「キリト君、リン君」
とそこで後ろからキリトは女の声で話しかけられた。キリトは左肩に触れたままの相手の手を素早く掴むと、振り向きざまに「シェフ捕獲」と言った

「よお、アスナ久しぶりだな」
と軽く手を上げて挨拶をする「貴様!!」とかいう言葉が後ろから聞こえるが気にしないでおこう

「久しぶりね、リン君」

「珍しいな、アスナ。こんなゴミ溜めに顔を出すなんて」

「だな、スキンヘッドのいかついオッサン一人の店によくきたな」
二人がかりで毒を吐かれエギルの顔がピクピクと引きつる。がエギルはアスナに声をかけられると顔をだらしなく緩ませる……現金なやつである

「えっとシェフがどうこうって何?」

「あ、そうだった。お前いま、料理スキルの熟練度どのへん?」

「聞いて驚きなさい、先週に<<完全習得>>したわ」

「「なぬっ!」」
俺とキリトが同時に驚く。……顔から察するにキリトは(アホか?)とでも思ってるんだろな……

「ふふっ、リン君が驚くところ初めてみたな」

…しまった。俺のポーカーフェイスが崩れていたみたいだ

「……その腕を見込んで頼みがある」
キリトがアスナを手招きしている。アスナが覗き込んでしばらくすると目を丸くして
「うわっ!!こ……これ、S級食材!?」

「取引だ。こいつを料理してくれたら一口食わせてやる」
言い終わらないうちにアスナはキリトの胸ぐらを掴み、そのまま顔を数センチの距離までぐいと寄せると(羨ましい… by作者)

「は・ん・ぶ・ん」

「……俺も食うからなアスナ」
存在を消されていたようなので言うと

「じゃあ三分の一ね……いい?」
アスナの方が身長が低いため自然と上目遣いになる。上目遣いをアスナのような美少女がやると……

「わ……わかった」

「あ……ああ」
破壊力満点ですね。OKするいがいの選択肢がない

「悪いな、そんな訳で取引は中止だ」
と振り向き、エギルに言った

「いや、それはいいけどよ……。なあ、俺達ダチだよな?な?俺にも味見くらい……」

「感想文を八百字以内で書いてきてやるよ」
とキリト

「壁に食わせる高級料理があると思うか?いや、ない」
と俺

「そ、そりゃあないだろ!!」

この世の終わりか、といった情けない声を出すエギル……どうでもいい

そのエギルを一瞥しアスナが
「でも、料理はいいけど、どこでするつもりなのよ?」

「うっ……」

「俺の部屋でもいいが、ちょっと汚いかな」
自分の部屋を思い浮かべる

「今回だけ、食材に免じてわたしの部屋を提供してあげなくもないけど」
…とんでもないことをさらりと言ったな

「今日はここから直接<<セルムブルグ>>まで転移するから、護衛はもういいです。お疲れ様」

「ア……アスナ様!こんなスラムに足をお運びになるだけに留まらず、素性の知れぬ奴らをご自宅に伴うなどと、と、とんでもない事です!」

(うっわー…<様>付けかよ…)と思いキリトを見ると案の定俺と同じ事を思ったらしく顔をしかめている。この場はアスナが収めたが後々大変なことになるのだが、今は知るよしもなかった
 

 

料理とチーム結成と

セルムブルグは、六十一層にある美しい城塞都市だ。そんな都市の転移門に到着した時にはすっかり陽もくれかかっていた

「うーん、広いし人は少ないし、開放感あるなぁ」

「同感だ。なんか気分が落ち着く」

「なら君たちも引っ越せば?」

「「金が足りません」」
とまたしてもはもる俺達

「仲いいね」

「「まあね、一応親友だからな」」

その完璧にシンクロした答えにふふっと笑うアスナ

「……そりゃそうと、本当に大丈夫なのか?さっきの……」

「……わたし一人の時に何度か嫌な出来事があったのは確かだけど、護衛なんて行き過ぎだわ。要らないって言ったんだけど……ギルドの方針だから、って参謀職たちに押し切られちゃって……」

「まあ、アスナは可愛いからな。そういうこともあるだろう」

「ふふっ、ありがとうリン君」

「まぁ、何だ。悩みとか困ったことがあった何でも言ってくれよ?必ず力になるから」
と真剣な表情でアスナにいう

「うん……リン君は優しいね」

「惚れたか?」
さっきとは一転意地悪な顔になる

「な……なわけないでしょ!」
顔を赤らめてあわてて言う

「まあ、そうだろうな。アスナはキリトのことが好きなんだし」
とアスナにしか聞こえないように言う

「な……何で知ってるの!?」
もう、湯気が出そうなほど顔を赤らめてアスナはささやき返した

「俺はそういうのを見破るのが得意なのさ。まあ、さっきも言ったように何でも相談にのるからさ。応援してるよ?」

「ぁ…ありがと」

「おい、アスナ、リン、何をこそこそ話してるんだ?」

「なっ、何でもない!ほら、早く行かないと日が暮れちゃうわ」
キリトが首を傾げている……この鈍感野郎め…アスナが可哀想だ

















「「お……お邪魔します」」

「どうぞ」

女子の部屋に入るのは、初めてではないが、緊張するものは緊張する。初めて入ったのは朝田さんの部屋だったか……大丈夫かな、朝田さん。対人恐怖症で俺以外とはあまり話そうとしなかったし

「着替えてくるからそのへん適当に座ってて」
とアスナは着替えに行った

考え事をしてるとキリトが話しかけてきた
「なあ……これ、いくらぐらいかかってると思う?」

「四千kは下らないをじゃない?」
というとキリトは苦笑した

「どうした?」

「いや、俺もそんくらいは稼いでると思うんだが、無駄遣いをついしちゃってな。それを自省してたのさ」

「ふうん……」
そんな会話をしていると簡素な白いチュニックと膝上丈のスカートに着替えたアスナが奥の部屋から現れた。そしてアスナは俺達に視線を投げ掛け
「君たちはいつまでそんな格好をしてるのよ」

……忘れてた

















アスナはわずか5分で豪華な食卓を整え俺、アスナ、キリトで食卓を囲んだ。ちなみに<<ラグー・ラビットの肉>>は文字どおり煮込み(ラグー)料理のシチューになった
そして俺達は食の誘惑に勝てず、いただきますを言うのももどかしくスプーンを使ってそれを頬張った
俺はうまいものは人を無口にするという言葉を完全に理解した気がする。俺達三人は一言もしゃべらずシチューを完食した

「ああ……いままでがんばって生き残っててよかった……」
俺も同感だった。キリトも満足したって顔をしている

「不思議ね……。なんだか、この世界で生まれて今までずっとくらしてきたみたいな、そんな気がする」

「……俺も最近、あっちの世界のことをまるで思い出さない日がある。俺だけじゃないな……この頃は、クリアだ脱出だって血眼になる奴が少なくなった」

「攻略のペース自体おちてるわ。今最前線で戦ってるプレイヤーなんて、五百人もいないでしょう。危険度のせいだけじゃない……みんな、馴染んできてる。この世界に……」

「俺は元から帰りたいとは思ってない。、俺は現実世界よりもこのバーチャルの世界の方が居心地がいいんだ。現実世界とバーチャルの違いなんて多少の誤差しかないだろう?現にこうやって食事したり、匂いをかいだり、足で外を歩いたり……現実逃避って言われるかもしれない。でも、俺は総合的に考えてこっちの、バーチャルの世界の方で生活していきたいと思っている」

「俺もほとんどリンと同じ考えだ。バーチャルとリアルの違いは、情報量の多寡だけ……」

「わたしは帰りたい」
アスナは俺達に微笑みを見せると続けて言った

「だって、あっちでやり残したこと、いっぱいあるから」
その言葉に俺たちは素直に頷いていた。

「詩乃救ってやりたいからな……」
その言葉は空に消えていった

















「そういえば、君たちはギルドに入る気はないの?」

「「え……」」

「ベータ出身者が集団に馴染まないのは解ってる。でもね、七十層を越えたあたりから、モンスターのアルゴリズムにイレギュラー性が増してきてるような気がするんだ」
それは、俺も感じていたがしかし……

「ソロだと、想定外の事態に対処できないことがあるわ。いつでも緊急脱出できるわけじゃないのよ。パーティーを組んでいれば安全性がずいぶん違う」

「安全マージンは十分取ってるよ。忠告は有り難く頂いておけけど……ギルドはちょっとな」

「同感だ。ギルドみたいに上からわーわー言われたり阿呆らしい命令を絶対に聞かないといけないなんて性に合わん」

「…なら、しばらくわたしと組みなさい。ボス攻略パーティーの編集責任者として、君たちが噂ほど強い人なのか確かめたいと思ってたとこだし。今週のラッキーカラー黒だし」

「な、なんだそりゃ!」

「断る!」

「お前…ギルドはどうするんだよ」

「うちは別にレベル上げノルマとかないし」

「じゃ、じゃああの護衛の二人は」

「置いてくるし」

「なるほど……キリトとの仲をっ!?」

「それ以上は言わないで」
そこには目のハイライトが消えた阿修羅がいた

「……はい」
俺はそう答えるしかなかった

「じゃあ、明日朝9時、七十四層のゲートの前で待ってるわ」

「「了解……」」

一人暮らしの女性の部屋にいつまでも居座るといろいろ(主に倫理的な問題で)まずいので食事を終えるとすぐに暇を告げた

「……今のこの状態、この世界が、本当に茅場晶彦の作りたかったものなのかな……」

俺達三人はそれに答えることはできなかった

 
 

 
後書き
はい、見ての通りヒロインはシノンこと朝田詩乃です
明日奈についでニ番目に好きなキャラでもあります
まだ出てくるのは当分先になると思いますけどね
現実世界の話を入れるか、過去の話を入れるか悩んでます。サチとかとはさすがに絡めない……リズとシリカは出します
次回、初めてのちゃんとした戦闘描写になります。上手く書けるか分かりませんが、よろしくお願いします
 

 

憎悪のデュエルと冒険の始まり

次の日の朝9時、俺達は七十四層のゲート前にいた

「よお、キリトいい朝だな」※ちなみに天気は薄曇り

「どこがだよ。嫌な天気じゃねえか」
とキリトが不機嫌そうに言った

「どうした?眠いのか?」

「その通りだよ!ったく眠いっていうのにアスナはすぐこないし……」

「確かにな……」
と時計を見ると9時10分になっていた。10分遅刻している。とその時何度目かの青いテレポート光が発生し……

「きゃああああ!よ、避けてっ!」

「うわああああ!?」
とキリトが押し倒された。押し倒した人をよくみるとアスナだった。なんてギャルゲ?って思ったがとりあえずアスナを起こそうと手を伸ばしたが……

「や、やーー!!」
といきなり悲鳴が上がったので手を引っ込める
そしてアスナはキリトを殴り後ろにペタリと座り込んだ。顔は最大級の感情エフェクトで耳まで真っ赤に染まり、両腕は胸の前でかたく交差され……
ここまで考えて俺は状況を把握した

「……キリト」
と冷ややかな目でキリトを見る

「ごっ、誤解だ!事故だ、事故!」
あたふたしながら弁解する。……ギャルゲはエロゲにランクアップしたみたいだ

「や……やあ、おはようアスナ」
右手を閉じたり開いたりしながら…って変態か、キリト?

とそう思ったその時、再びゲートが青く光、アスナがはっとしたようにキリトの後ろに隠れた

光が消えると見覚えのある顔の男がいた。彼の名前は……たしか、クラディールだったか?

ゲートから出たクラディールは、俺、キリト、アスナをみたあと、神経質そうに口を開いた

「ア……アスナ様、勝手なことをされては困ります……!」
ヒステリック気味に甲高い声を上げた。キリトを見ると諦めの表情をしている

「さあ、アスナ様、ギルド本部まで戻りましょう」

「嫌よ、今日は活動日じゃないわよ!……だいたい、アンタなんで朝から家の前に張り込んでるのよ!?」

「ふふ、どうせかんなこともあろうかと思いまして、私1ヶ月前からずっとセルムブルグで早朝より監視の任務についておりました」

「ストーカーだな。そして、変態だな。しかも粘着質でしつこく、もっとも質の悪いタイプだな……そうか、クラディール。君はアスナの事が好きなのか。だが残念だな。アスナはキリ…「言わないで!」…ごほん。好きな人がいるみたいだから早々に諦めた方がいいぞ?諦めが悪いのは流行らないからな」
アスナが途中で顔を真っ赤にして遮った

「貴様ァ……言わせて置けば!」
こちらもアスナに負けず劣らず顔が真っ赤である。理由は正反対だが


「はいはい。悪いな、お前さんのトコの副団長は、今日は貸切りなんだ。アスナの安全は俺らが責任を持つよ。別に今日ボス戦をやろうって訳じゃない。本部にはあんた一人で行ってくれ」

「ふ……ふざけるな!!貴様らのような雑魚プレイヤーにアスナ様の護衛が務まるかぁ!!わ……私は栄光ある…「御託はいい。雑魚ほどよく吠えるって言うしな」」

「そうだな。それに、あんたよりはマトモに務まるよ」

「ガキィ……そ、そこまででかい口を叩くからには、それを証明する覚悟があるんだろうな……」
クラディールは、震える右手でウインドウを呼び出し素早く操作した。そして、キリトが俺とアスナに目配せをしてきた…おそらくデュエルを申し込まれたな

「……いいのか?ギルドで問題にならないか……?」
とキリトはアスナに尋ねると
「大丈夫。団長にはわたしから報告する」
と許可がでる

「短気だねぇ……」

「う……うるさい!!このガキを倒したら次はお前だ!!覚悟をしておけよ……」

「人を切る覚悟か?そんなもん、このゲームが始まったときから覚悟してるよ」

「ガキィ……」
顔面蒼白なり睨んできた……挑発にのるとは……こいつ、かなり弱いな

「早く始めないのか?」
デュエルを受諾したらしいキリトがクラディールに言った

「くっ、先ずは貴様から後悔させてやる」
俺に口喧嘩で勝てないとさとったのかキリトの方に意識を集中させるクラディール

「ご覧くださいアスナ様!私以外に護衛が務まる者など居ないことを証明しますぞ!」
叫びつつ腰から華麗な装飾が施してある両手剣を引き抜く。対してキリトも背から片手剣を抜く。そしてデュエルは始まった














まず動いたのはキリト。下段の受身気配を見せていたが予想に反し上段の片手剣突進技<<ソニックリープ>>で仕掛けた。対してクラディールはキリトとは一瞬遅く両手用大剣の上段ダッシュ技、<<アバランシュ>>を放とうとした。だか放たれる一瞬前にキリトの剣がクラディールの大剣に衝突した。そして……

クラディールの大剣は折れ、半分が空中ですれ違い着地したキリトとクラディールの中間の石畳につきたった。そして、ポリゴンとなって砕け散った
すげえ、いまの狙ったのか、などの声が聞こえる。これがキリトの得意とするシステム外スキル<<アームズブレイク>>だ。まさに神技である

「武器を替えて仕切りなおすなら付き合うけど……もういいんじゃないかな」
とキリトが言うとクラディールは「アイ・リザイン」と言った。なんで日本語で言わなかったのだろうか?負けたってのに相変わらずプライドの高いやつだ。そしてギャラリーに向かって

「見世物じゃねえぞ!散れ!散れ!」

「貴様……殺す……絶対に殺すぞ……」
その言葉に俺はキレた

「殺すって言葉を簡単に使うんじゃねえ……人を殺すってのはな……例えゲームの中だとしてもな、軽いもんじゃねえんだぞ。あいつだってなぁ、罪悪感で押しつぶされそうになってんだよ!!殺すっていうのはなぁ。相手の残りの人生を全て背負うぐらいの覚悟を持って言えよ!!」

「リン……」

「……」
クラディールは何も言わず憎悪の目で俺とキリトを睨んだ

「クラディール、血盟騎士団副団長として命じます。本日を以て護衛役を解任。別命あるまでギルド本部にて待機。以上」

「………なん……なんだと……この……」
かろうじてそれだけが聞こえた。そしてマントの内側から転移結晶を掴み出し、それを掲げ「転移……グランサム」と言った消えて言った

「……ごめんなさい、嫌なことに巻き込んじゃって」

「いや……俺はいいけど……」

「俺もかまわない。それより攻略に行くんじゃないのか?」

「そうなんだけど……リン…さっきの言葉って……」

「気にするな。一人の知り合いのことだよ」

「……いつか話してもらうよ」

「了解」
と苦笑する

「じゃあ、行こうか。前衛よろしく」

「「いや、ちょっと、前衛は普通交代だろう!」」

「二人いるんだから交代でできるじゃない」

「「アスナもやれよ」」
文句を言いながらも、アスナを追いかけた 
 

 
後書き
え?主人公が目立ってないって?すみません。まだ、キリトくんがメインキャラになると思います……とりあえずオリジナルパートにならないと目立ちません


感想や、レビューをよろしくお願いします。技名も募集中です

あとこの小説をお気に入り登録してくれた方々。感謝感激です。これからもよろしくお願いします
 

 

輝く目の悪魔とニ対の双剣

 
前書き
最長です……二つにわけるべきだった……

途中なのはネタあり…タグ付けないといけないのか? 

 
「それにしても君たち、いっつも同じ格好だねえ」

「い、いいんだよ。服にかける金があったら、少しでも旨い物をだなぁ……」

「俺は単純に黒が好きだしそれに隠蔽能力も高いしなっ!?」
索敵を使うとプレイヤーの反応があった

「どうしたの?」

「アスナ……」
キリトがマップを出し、可視モードにしてアスナに見せる

「多い……」
十二個のプレイヤーを示す緑の光を見てアスナは呟いた

「それにこの並び方……おそらく<<軍>>だな」

「一応確認しよう。そのへんに隠れてやり過ごそう」

「あ……」
うん、その服装はいかにも隠密行動に向かないな

「どうしよ、わたし着替え持ってないよ」

「ちょっと失敬」
キリトが自分のレザーコートの前を開くと、右隣にうずくまるアスナの体を包み込んだ。というか

「仲いいなおまえら……」

「「っ!?」」
顔を真っ赤にする二人

「そっ、それより来るよ!」とアスナはささやいて指を唇の前に立てた。顔を赤らめながら

姿を現したのは予想通り<<軍>>のメンバーだった。前衛に片手剣持ちが六人。後衛に巨大な斧槍持ちが六人

「……あの噂、本当だったんだ……」

「噂?」

「うん、ギルドの例会で聞いたんだけど、<<軍>>が方針変更して上層エリアに出てくるらしいって。もともとはあそこもクリアを目指す集団だったのよね。でもニ十五層攻略の時大きな被害が出てから、クリアよりも組織強化って感じになって、前線に来なくなったじゃない。それで、最近内部に不満が出てるらしいの。……で、前みたいに大人数で迷宮に入って混乱するよりも、少数精鋭部隊を送って、その戦果でクリアの意志を示すっていう方針になったみたい。その第一陣がそろそろ現れるだろうって報告だった」
成る程。それで最近見なかった<<軍>>がな……だが

「実質プロバガンダなのか。でも、だからっていきなり未踏破層に来て大丈夫なのか……?レベルはそこそこありそうだったけどな」

「俺は大丈夫じゃないと思う。最前線ってのは、数値的パラメーターの他に経験とそれなりの度胸がいる。<<軍>>みたいに大人数で安全な狩場にしか行かないような奴らが、いきなり最前線で安全も何もかもが不透明な場所で満足に戦えるとは思えない」

「そうだな……まあ、連中も危なくなったら脱出するだろ。俺たちも急ごうぜ。中でかち合わなきゃいいけど」
キリトは立ち上がり言った

「もうすぐ冬だねえ……。わたしも上着買おっかな。」
その時にはもう<<軍>>の連中の姿は見えなかった。俺は背中の剣にそっと触れ、その存在を確かめた




















はい、今絶賛戦闘中の俺たちです。正直俺はいらないと思います。敵は<<デモニッシュ・サーバント>>。骸骨である。アスナは放たれた<<バーチカル・スクエア>>を全て避けると八連続攻撃<<スター・スプラッシュ>>で反撃した。そして、アスナがブレイクポイントを作るとキリトが斬り掛かった。キリトが放ったのは先程<<デモニッシュ・サーバント>>も使っていた<<バーチカル・スクエア>>だ。敵の反撃を剣で弾いたキリトは<<メテオブレイク>>を放った。その七連撃を終えると骸骨は乾いた音を立てて崩れ落ちた。…俺?何もしてないよ。主人公なのに






















四回モンスターと遭遇したのだが……俺が戦ったのは一回だけだった。何故ならアスナとキリトのバトルマニア組が近くにいるからだ。敵が出てくると二人で突っ込んでいき、あっという間に倒してしたうからだ。閑話休題

しばらく歩いていくと徐々にだがオブジェクトが重くなってきている。それにマップデータの空白もあとわずか。そろそろボスのお出ましまろう。とうとうついた回廊のつきあたりには、灰青色の巨大な二枚扉が待ち受けていた

「……これって、やっぱり……」

「多分そうだろうな……ボスの部屋だ」
アスナがギュッとキリトのコートの袖を掴んだ。……胸焼けがする

「どうする……?覗くだけ覗いてみる?」

「……ボスモンスターはその守護する部屋からは絶対にでない。ドアを開けるだけなら多分……だ、大丈夫……じゃないかな……」

「言い切れよ……まあ転移アイテムを使えば大丈夫だろうがな」

「了解。アスナも」

「うん」

「いいな……開けるぞ……」
かなりのスピードで扉は開いた。中に目を向けると完全な暗闇。そこにいるものに死をイメージさせるような冷たく濃密な闇がそこにはあった

次の瞬間、二つの炎が灯りそれは部屋の中央まで真っ直ぐ向かい最後に大きな火柱が吹き上がった。アスナがキリトの右腕にしがみついているが、それをネタに弄る余裕は俺にはない。なぜなら火柱の後ろから筋骨隆々で体色は青くねじれた太い角、それに山羊の顔。数々のRPGでお馴染みの姿。すなわち悪魔である。実際この目で見ると心の底から恐怖が沸き起こってくる。<<The Gleameyes>>、輝く目それがそいつの名前だった。そいつは右手に持った巨大な剣をかざして、こっちに向かって地響きを立てつつ猛烈なスピードで突進してきた

















「やー、逃げた逃げた」

ここは安全エリアに指定されている広い部屋。向かってきた悪魔を見て俺たちはここまで逃げてきたのだ

「こんなに一生懸命走ったのすっごい久しぶりだよ。まあ、わたしよりキリト君の方が凄かったけどね!」

「……リ、リンの方が」

「索敵してたの俺だけだったろ?」

「ぐう……」
キリトは何も言えなくなりアスナはそんなキリトを見てくすくす笑っている。そして急に真顔になり

「……あれは苦労しそうだね……」

「そうだな。パッと見、武装は大型剣ひとつだけど特殊攻撃アリだろうな」

「あの姿から察するに、物理攻撃力が高そうだな。特殊攻撃っていっても動きを少し止めるとか、補助的なもの。一応人形だから死角からの攻撃に弱いはずだ。だから……」

「前衛に堅い人を集めてどんどんスイッチして行くしかないね」
俺の言葉を引き継ぐアスナ

「盾装備の奴が十人は欲しいな……。まあ当面は少しずつちょっかい出して傾向と対策って奴を練るしかなさそうだ」
馬鹿……盾ってフレーズなんて出したりしたら

「盾装備、ねえ」
ほら、言わんこっちゃない

「な、なんだよ」

「君たち、なんか隠してるでしょ」

「いきなり何を……」

「だっておかしいもの。普通、片手剣の最大のメリットって盾持てることじゃない。でも、キリト君とリン君が盾持ってるとこみたことない。わたしの場合は細剣のスピードが落ちるからだし、スタイル優先で持たないって人もいるけど、君たちの場合はどっちでもないよね。……あやしいなぁ」
キリトが冷や汗をかいている。俺?なるべく秘密にしておきたいけど、アスナにならかまわないから普通です。まぁここは助け船を出してやりますか

「アスナ、そのへんにしておけ。それにスキルの詮索はマナー違反だ。誰にでも秘密はあるものだ」

「秘密の塊のような人が……まあ、いいわ」

秘密の塊とはなんだ。ミステリアスと言ってくれ

「わ、もう三時だ。遅くなっちゃったけど、お昼にしましょうか」

「なにっ。て、手作りですか」
キリト、やかましい

「愛妻弁当ねぇ……よかったなキリト。俺は向こうに行ってるから二人で仲良く食べてるといい」

「あっ、愛妻!?まだ、結婚してないよ」
とアスナ……自爆したな

「まだって?」

「……」
あっ、顔を真っ赤にしてしゃべらなくなった。ついでにキリトも真っ赤になりながらフリーズしてるし

「そっ、それより早く食わせてくれ、アスナ」
……逃げたな

アスナはバスケットから大きな紙包みを三つ取出し、一つを俺にくれた。大口を開けてかぶりつくとなんとも懐かしいってまてまて、これはマク○ナルドのハンバーガー!?

「おまえ、この味、どうやって……」

「俺も知りたいな」

「一年の修行と研鑽の成果よ。アインクラッドで手に入る約百種類の調味料が味覚再生エンジンに与えるパラメーターをぜ〜〜んぶ解析して、これを作ったの」

「アスナ……少しでいい。分けてくれないか?」

「うん、いいよ」
ありがたい。料理のレパートリーが広がる
















そんな食事も終わり……デザート(キリトの肩にアスナが自分の肩を触れさせ、寄り添っている光景)をいただいていると不意にプレイヤーの一団がやってきた。あ……デザートタイムが終了した

「おお、キリト、リン!しばらくだな」
話しかけてきたのはクライン。弄りやすく、面白いやつだ。命の恩人でもあるが俺が助けたことも多々あるから立場は五分五分である。そして、アスナを見て固まり、自己紹介を始めた。しかも二十四歳独身とか言いだしやがった。クラインに向けて笑顔を見せてやると、ビクッとした。……失礼な。弄るネタができたから笑ってやったのに……

等という心温まる?コミュニケーションをとっていると

「キリト君、<<軍>>よ!」

<<軍>>は俺たちとは反対側の端で座りこむと唯一座り込まなかったリーダーらしき人物がこっちに近づいてきた

「私はアインクラッド解放軍所属、コーバッツ中佐だ」

…中佐とかない

「キリト、ソロだ」
俺たちを代表してキリトが答える

「君らはもうこの先も攻略しているのか?」

「……ああ。ボス部屋の手前まではマッピングしてある」

「うむ、ではそのマップデータを提供して貰いたい」

……こいつはよほどめでたいやつかゴミだな

「な……て……提供しろだと!?てめえェ、マッピングする苦労が解って言ってんのか!?」
クラインの言葉はここにいる全員の言葉を代弁したものだった

「我々は君ら一般プレイヤーの解放の為に戦っている!諸君が協力するのは当然の義務である!」

……斬るか?と剣を抜きかけていた俺をキリトが止めた

「どうせ街に戻ったら公開しようと思っていたデータだ、構わないさ」

「おいおい、そりゃあ人が好すぎるぜキリト」

「そうだぞ、キリト。こんなゴミ野郎に渡すデータなんてない」
ゴミ野郎の部分で片方の眉がぴくりと動くが、襲い掛かって来なかった。もし、襲い掛かってきたのなら正当な理由で戦闘不能にできたのだが

コーバッツはキリトの送信を受けると部下を連れて迷宮に入っていった

「……大丈夫なのかよあの連中……」

「いくらなんでもぶっつけ本番でボスに挑んだりしないと思うけど……」

「……一応様子だけでも見に行くか……?」

その時、俺は嫌な予感を感じていた。だからキリトの問いにすぐ首肯していた


















安全エリアを出て三十分。俺たちはボス部屋に続く長い回廊を進んでいた

「ひょっとしてもうアイテムで帰っちまったんじゃねえ?」

「あり得ない。あのゴミがそんなすぐに帰るとは思えないし……だとすると……」

その不安は現実となった。微かに聞こえるそれはまさに悲鳴だった。それを聞いた次の瞬間俺たちは全力で走りだしていた。


















「おい!大丈夫か!」
キリトが半身を扉の中にいれ叫ぶ

俺は中にいる人数を数える……二人足りない

「二人いない!」

「なにっ」

とその時一人が斬馬刀の横腹で薙ぎ払われ、HPを赤い危険域に落としつつ床に激しく転がった

「何をしている!早く転移アイテムを使え!!」
とキリトが叫ぶが男は絶望したような顔で

「だめだ……!く……クリスタルが使えない!!」

「なっ……」

離脱ができない今、姿が見えないということは

「何を言うか……ッ!!我々解放軍に撤退のニ文字は有り得ない!!戦え!!戦うんだ!!」

「「馬鹿野郎……!!」」
人が二人も死んでるというのにあの野郎はっ!

「おい、どうなってるんだ!!」
追い付いたクラインたちに簡単に事態を伝える

「な……何とかできないのかよ……」

「無理だ……離脱ができないこの空間でこの人数で飛び込むのは自殺行為だ……」
俺は強く手を握りしめる。現実ならば血がでてるだろう。俺は……無力だ……

そうしているうちに体制を立て直したらしいコーバッツ達が

「全員……突撃……」

二人はHPを限界まで減らして床に倒れている。残る八人を横列に並べコーバッツが剣をかざして突進を始めた

「やめろ……っ!!」

八人同時攻撃なんて常識はずれにも程がある行為。そうこうしてるうちに白い息を吹きかけられ動きが鈍ったところを悪魔の巨大な剣にコーバッツがすくい上げられ、HPが全損し、アバターを四散させた

「だめ……だめよ……もう……」
キリトはアスナの腕に手を伸ばすが、アスナは掴まれるより早く飛び出した

「だめーーッ!!」

「アスナッ!」
キリトも飛び出し、俺も続こうとしたがクラインに止められた

「なぜ、止める!」

「このままだと、全滅しちまう。おまえだけでも生きろ!」

「……親友を見捨てるぐらいなら死んだ方がマシだ。それに……」
そこで俺は言葉を切り、メニューを操作する

「俺たちは死なない。生き残るために行くんだ!」

新たな重みが腰に加わったのを感じ、駆け出す

「全く、どいつもお人好しだな……」
俺に追随しつつクラインが言う

「何だかんだ言いながらお前もついてきてるじゃねぇか」

「まあな。親友を見捨てるほど俺は腐っちゃいないってことさ」

「じゃあ、行こうぜ。生き残るためにな」























「キリトっ!スイッチ!」
一撃を受け黄色域に落ちていたキリトに叫び。キリトの前に滑りこみ俺は二本の剣を腰から抜いた

「はぁぁぁぁ!」
俺は気合いをあげ悪魔の剣を右手の剣で弾き左手の剣で切った

「グォォォォ!」
悪魔が反撃の一撃を放ってきたが俺は剣をクロスし受けとめる……が、俺はスピード重視の剣士だ。筋力はあまり高くない。結果

「くそっ、重すぎる!!」
受け止めきれず徐々に剣が下がってくる。コースは直撃つまりクリティカル。このまま食らえばHPが0になるのは必至だ。だがあきらめない。降りてきた剣があと数ミリになったところでクラインの刀が悪魔の剣を弾きかえした

「次はこの俺様だ!!」
クラインはそう叫んで悪魔と対峙する

俺は回復ポーションを飲みながら後ろを振り向く。そこには二本の剣を背中に背負ったキリトがいた。アイコンタクトをとる。キリトが頷いた

「行くぞっ!」
クラインをはじめとする<<風林火山>>の面々とアスナが必死に支えているフィールドに俺とキリトは飛び込んだ




















「キリト!弱点は脇腹だ!キリトは右、俺は左だ!」

「わかった!!」

「「スイッチ!!」」
俺たちは悪魔の前に飛びだし、そして懐に潜りこんだ。悪魔の剣の縦振りをキリトが剣をクロスし弾き返し、バランスを崩させた

「「うおおおおあああ!!」」
俺たちの隠し玉。エクストラスキル<<二刀流>>だ。その上位剣技<<スターバースト・ストリーム>>全十六回攻撃をキリトが放った。俺は、左手の剣で四連続剣技<<バーチカル・スクエア>>を放った。最後の四つ目の斬撃が放たれる瞬間意識から左手の剣を外し、右手の剣に意識を集中させる。そして右手で五連続剣技<<クレセント・スラッシュ>>さらに最後の切り上げをまた意識を外し、左手に集中。七連続剣技の大技<<イービル・ソウル>>悪魔の魂の名をもつ技を悪魔に打ち込む。皮肉な物だと口の端をあげつつ右手に意識を集中させる。ここまでの攻防でHPは俺、キリト、悪魔共に、赤い危険域に落ちていた。悪魔は剣を横に振り薙払おうとしている。キリトも<<スターバースト・ストリーム>>の最後の攻撃を放とうとしている。最後の攻撃単発重攻撃<<ヴォーパル・ストライク>>を放った

「「はああああぁぁぁぁ!」」

















悪魔は硬直し次の瞬間砕けちった。俺もキリトもそれを喜ぶ気力もなかった。HPは僅か数ドットを残しそこで止まった。俺もキリトもどちらともなく崩れ落ち座り込んだ。俺は残った力を使い<<ハイ・ポーション>>を飲んだ

「キリト君!キリト君ってば!!」
アスナがキリトに呼び掛けているが返事がない。屍のよ(ry。あっ、起きた。そしてアスナに抱きつかれた

「バカッ……!二人とも無茶して……!」
……返す言葉もございません

「まあ、生きてたんだからよしとしたら?」
と言ったら睨まれた……さっきのボスより怖い……管理局の白い悪魔のごとく

「生き残った軍の連中の回復は済ませたが、コーバッツとあと二人死んだ……」

「……そうか。ボス攻略で犠牲者が出たのは、六十七層以来だな……」

「こんなの攻略なんて言わない。ただの自殺だ。一人でならまだ許せるがこんだけの人数を巻き込みやがって……」
と吐き捨てる

「そりゃあそうと、オメエラ何だったんだよさっきのは!?」

「「エクストラスキルだよ<<二刀流>>」」
キリトは多少躊躇したようだが俺が目で合図すると観念したように俺と同時に言った。おお……というざわめきが聞こえた

「俺のは邪道だがな」

「あれは何だったんだ?」
とキリト

「システム外スキル<<スキルコネクト>>だよ」

「方法は?」

「すまん……また今度。とりあえず俺は休みたい」

「まあ、そうだろうな。だが水臭ぇなキリト、リン。そんなすげえウラワザ黙ってるなんてよう」

「スキルの出し方がわかってれば隠したりしないさ。でもさっぱり心当たりがないんだ」

クラインは俺の方を見てくるが俺も同じと頷く

「……こんなレアスキル持ってるなんて知られたら、しつこく聞かれたり……いろいろあるだろう、その……」

クラインは頷く

「ネットゲーマーは嫉妬深いからな。オレは人間ができてるからともかく、妬み嫉みはそりゃああるだろうな」
いろいろ突っ込みたいが今日はもう疲れた

「それに……」
とキリトとアスナが抱き合っているのをみて続ける

「……まあ、苦労も修行のうちと思って頑張りたまえ、若者よ」

「勝手なことを……」

クラインが軍の方へ行っている間俺はキリトたちに話しかけた
「キリト……俺は抜ける。ピンチになったら駆け付けるからな」

「リン君、これからどうするの?」

「前線を離れてのんびりするさ。<<二刀流>>のこともばれたし、前線にいるとうるさそうだ。七十五層のボス攻略のときは行くからその時かピンチのときにまた」

「うん、わかった。死なないでね」

「前線でもないのに死ぬかっつうの。……じゃあな」
クラインにも一言かけ俺はその場を立ち去った
 
 

 
後書き
はい。ようやくオリジナルパートです

早くGGOに行ってシノンが書きたいです

感想ください……駄文ですけど
 

 

素材集めと二人の少女

七十四層での死闘のあと迷宮区を抜けるとき、運悪く<<ゴブリンロード>>と鉢合わせしてしまった。こいつの持っている武器は毎回違うので対処の方法も変わってくるのだが、今回の<<ゴブリンロード>>が持っているのはダガー。一発の威力はそう大したことはないが連続で素早く連撃に適した武器だ。俺はここでミスをおかした。ボス戦のあとで頭がうまく働いていなかったため相手の武器の情報を一つ見逃していたのだ。ダガーの背にギザギザがついていてそのダガーは<<ブレイク・ダガー>>と呼ばれていることに

先制攻撃は俺、六連撃<<クレセント・スラッシュ>>を放った。が三発目、左上からの切り下げを<<ゴブリンロード>>はダガーの背で受け止め、そのままひねった。すると甲高い金属音をたて俺の剣が砕けちった

「なっ!?」
驚きつつも下がり、メニューを呼び出し新たな剣を装備。そして、<<ヴォーパル・ストライク>>を放ち<<ゴブリンロード>>を葬った

「ちっ……」
<<ブレイク・ダガー>>の特殊能力を忘れていた自分に舌打ちをした。<<ブレイク・ダガー>>は一定値まで耐久値が下がった武器を一割の確率で破壊する能力がある。先程のボス戦で耐久値が減っていたようだ

「はぁ……転移クリスタルをケチったのがまずかったか……」
今さら後悔しても遅い。新しい武器を調達しなくては

「アスナが言ってた武器屋に行くか……」
そういってリンは転移をした









アスナから以前聞いていた四十八層主住区<<リンダース>>にある鍛冶屋、<<リズベット武具店>>。その扉をくぐると「いらっしゃいませ!」という元気な声が聞こえた。本当に武器屋か?と思えるほど童顔。ピンクの髪にダークブルーの大きめな瞳、小作りな鼻と口……もう一度思う。本当に武器屋か?

「あの……」

「ん?」

「キリトですか?」

「そんなに似てますか?キリトの奴と」

「何となく……顔が見えなかったので……ごめんなさいっ」

「いや……いいよ。よく間違われるんだ」
黒い装備に盾無しの片手剣……よく<<黒の剣士>>キリトと間違えて決闘を挑まれるんだが……

「えっと、武器をお探しですか?」

「あっ、はい。片手剣を」

「片手剣はこちらの棚ですね」

既成武器の見本が陳列されているケースを示された

「オーダーメイドをお願いしたいんだけど」

「オーダーメイドになりますと多少お高くなってしまうんですけど……」

「予算とかは気にしなくていいから今作れる最高の剣を作って欲しいんだ」
仮にも攻略組だからな

「……ぷっ……あははは」
とリズベットはいきなり笑い出した

「え、えっと?」

「ごめんなさい。あまりにもセリフがキリトと全く同じで」

「キリトとって……それより武器をお願いしますリズベットさん」

「あたしはリズでいいよ」

「わかりましたリズさん」

「……固いなあ」

「癖なんですよ。慣れてくれば軽くなるんで」

苦笑混じりに言う

「わかりました。あたしは軽くいきますんで。友達の友達は友達ってね」

「これからもよろしくお願いします、リズさん」









「で、どんなのがいいの?」

「スピードタイプの片手剣です」

「ふーん……あんたぐらいのレベルのはないわ……素材取りしないと」

「えっと、言われれば取りにいきますよ?」
俺の剣だ。妥協はしたくない

「……よし、じゃあ行きましょうか」

「へ?リズさん。どこへ?」
予想外の答えに唖然とする俺。一緒に行くって言ってるみたいだけど……

「素材取りよ。素材取り。一緒に行くわよ」……やっぱり









五十ニ層、ここは、洞窟が多い階層。トラップが多少多いが、サブダンジョンが多く中層プレイヤーに人気の場所である

「リズさん、レベルはどれくらいですか?」

「五十五ってところかな」

「……大丈夫なんですか?」
階の数字が適正レベルであるが、デスゲームと化したアインクラッドでは、安全マージンは階の数字+10が常識である。つまりこの場合の適正レベルは六十二。五十五では足りないのだ

「リンが守ってくれるんでしょ」
ウインクをしながら言った……悪女か

「今、失礼なこと考えたでしょ」

「イイエ、ソンナコトハゴザイマセン」

「片言になってるよ……」俺は笑って誤魔化す









五十二層のゲートを通った俺たちは、とりあえず金属素材採集のクエストフラグを立てに行った

「ここに来るのも久しぶりだな……」

「来たことあるんだ」

「一応攻略組だからね」

「へー。キリトとアスナは元気ですか?」

「元気だよ。二人ともうぶだから……ふふっ」
おっとにやけが止まらない

「むっ……」
リズが少しむっとした顔をしている

「もしかして、リズもキリトのことが好きなのか?」

「うん……」
顔を真っ赤にしてうつむいたよ。素直に認めちゃったし

「アスナとキリトはもうすぐゴールインすると思うけど頑張りなよ」

「当たり前。略奪愛なんてのもそそるし」

……完璧悪女だ。ふふふとか笑ってるし

「ごほん。日が暮れる前に行こうか。フラグ立てに」









「んで、何でここにいるんだ。シリカ?」
俺の前には肩に小さな(ピナ)をのせたダガー使いのシリカがいる

「それはこっちのセリフですよ、リンさん」

「俺は金属素材目当てだ。剣が折れたんでな」

「それは大変でしたね……隣にいるのは誰ですか?もしかして……コレですか?」
小指を立てるシリカ

「違って。シリカのライバルだよ」

「ちょ、ちょっとリン!」
何も聞こえませんっと

「ふーん……まあ、よろしくね。私はダガー使いでビーストテイマーのシリカ。でこの子はピナ」
きゅーとピナが鳴く

「えっと、鍛冶屋でメイス使いのリズベットです。はじめまして」

「じゃあ、シリカ俺たちは行くから」
その場を去ろうとするとシリカに腕を掴まれた

「私も行きます」

「……わかった」
両手に花ではない。キリトに惚れている女子二人を引き連れ俺は迷宮区に向けて歩みを進めた 
 

 
後書き
キャラが変わってませんでしたかね?

技名、モンスター名など募集中です。あとリンの新しい剣の名前とかも

リン「よろしくな」

リズ「武器の名前は勝手に決めるなんてできないんだけど……」

蕾姫「この小説の神たる私に不可能はないっ((キリッ」

リン「……」

リズ「……」

蕾姫「なんだその痛い子を見るような目は……見るなぁ、そんな目で俺を見るなぁ!」

リン「古い……そのネタわかる人あまりいないと思うが?」

蕾姫「大丈夫だ。問題ない」

リン「馬鹿はほっといてこんな駄文を読んでくれてありがとうございます」

蕾姫「これからも<<ソードアート・オンライン〜二人目の双剣使い〜>>をよろしくお願いします」
 

 

迷宮と新たな剣と

 
前書き
剣の名前を出してくださった<<00フリーダム>>様ありがとうございます。使わせてもらいました。ではどうぞ 

 
迷宮区に入るといきなりモンスターたちの熱烈な歓迎を受けた。大きなコウモリは<<キラーバット>>。素早さ以外の能力は低いが群れる上に吸血によるHP回復とかなりやっかいなモンスターだ。飛行タイプのためリズベットのメイスはあまり効果を発揮しないため自然と俺とシリカが頑張ることになる

「はぁっ!」

「やあっ!」

俺とシリカの気合いが洞窟に響き渡る。俺のレベルや、武器の威力によりソードスキルに頼らずとも俺は倒せる。シリカは発動スピードが速く剣のスピードも速いダガー系三連続剣技<<ソニック・ティアー>>を連発し、一匹ずつしとめている。時折ピナが泡をはき噛み付こうとした<<キラーバット>>をひるませる。そこにリズベットがメイスを振り下ろし、しとめている

程なくして<<キラーバット>>の群れは全滅した。軽くハイタッチを交わす。その後もモンスターと出会うが何の問題もなく倒す

「えっと、この先みたいですよ」

「……簡単すぎないか?このレベルなら金属素材は山ほど手に入るだろ」

「何でもクイズ形式みたいですよ。レベルが高すぎて誰も答えられなかったみたいです」

「ふうん……まあ、行くか」

























中に入るとかなり広かった。そしてその部屋の奥には人間の頭、獅子の体。ギリシア神話に登場し、古代エジプトでは支配者の象徴とされた伝説上の生き物、その名は……

「スフィンクス……」

「汝、我がなぞ掛けに挑戦するのか?」

「当たり前だ。そのために来たんだからな」

「では、第一問だ」

「あるものは恐怖し、あるものは自ら得ようとする。だが皆に平等にすぐに訪れる。さてこれはなんだ?」

「……"死"かな?」
とシリカは顔色を青くしてつぶやいた

「すぐ来たら嫌だよ」
とリズベット

「答えは"未来"だ」

「……ふむ、正解だ」

「そっか、確かに"未来"ならすぐ来るもんね」

「では、次の問いだ」

「最も欲深い生物はなんだと思う?」

「「「人間」」」

だってね、人は下らないことで争ったり奪いあったりする。だが……

「では、次の問いだ」

「汝にとって正義とはなんだ?」

「決まってる。自分が正しいと信じることを貫くことだ」

「それが例え犯罪だとしてもか?」

「悪いことだが事情があったとしたら、百パーセント悪だと言えるのか?逆に百パーセント善だという行動があるのか?自分が正しいと信じればそれは自分にとっての正義になる。正義ってのは個人の考えによって簡単に作れる曖昧なものだ」

「ふむ、合格だ。先に進むといい」
スフィンクスは脇に退くとそこに座り込んだ

「じゃあ、行くか。シリカ、リズ」

「うん」

「よし」














スフィンクスの部屋の奥には階段があり、それを登りきると、祭壇がありその上に真っ黒な金属素材があった
「これが……」

「スピード系最高級のインゴット……」

そのインゴットは全体に鈍い光沢があり重量感を示している

「じゃあ、帰ろう」
と俺たちは踵を返しその場を後にした






















「じゃあ、作るね」
そのインゴットを炉で熱し何度も叩く。規定の回数叩くだけだがその表情は真剣だ。しばらくするとそのインゴットは光を放ち姿を剣へと変えた

刃の色は漆黒。全てを吸い込んでしまいそうなほど深い黒。とても美しい剣だった

リズはその剣を両手で持ち、指を伸ばしてクリックした

「えーと、名前は<<フリーダム・ブレイド>>ね。あたしが初耳ってことは、今のところ情報屋名鑑に載ってない剣だと思うわ……どうぞ試してみて」

「ふむ……」
二三振ってみる

「振りやすくて、ほどよい軽さ……いい剣だな」
自由を名に含む剣だった。この世界に来て両親からの束縛から解放され、自由を手に入れたその自由を象徴しているような気がした

「リンさん」
その時、シリカが話しかけてきた

「リンさんがさっき使っていた剣もこの剣も同じぐらいの性能だと思うんですけど、何で二本もいるんですか?」

「それは俺が<<双剣使い>>だからだよ」

「そ、それって!?」

「ああ、ユニークスキルだよ」
あ、目が点になってる

「キリトと同じね」
ほう、キリトのことも知ってたか

「キ、キリトさんもですか!?」
シリカ……弄るネタをありがとう

「っと」
なんて考えていると視界の端が点滅しているのに気が付いた。どうやらメールが来たようだ

「すまん……ちょっと用事ができた」
なんだか嫌な予感がする

「何かあったんですか?」
硬直から解放されたシリカが聞いてきた

「すまん……一刻の猶予もないんだ」
俺は転移クリスタルを取り出しながら言った

「じゃあ、また……転移<<ラフ・タウン>>!」
と俺は五十五層の主住区に転移した。嫌な予感を肌で感じながら

ちなみにさっきのメールはアスナからで「キリト君が隊の訓練で五十五層に行くみたいなの。チームメンバーにクラディールがいるの。私は副隊長だから行けないし……何か嫌な予感がするから急いで来てくれないかな」
と書いてあった 
 

 
後書き
蕾姫「クラディールめェ……あいつ嫌いだ」

リン「それは俺も同感だ」

蕾姫「どうやって惨殺してくれよう……ふふふふ」

リン「……壊れたか」

蕾姫「試験のストレス、全てぶつけてくれようぞ」

リン「あ、試験だったんだ。この小説を書いてたじゃん。いいのか?試験勉強そっちのけで。もう高2だろ?」

蕾姫「……多少はやってるから見逃して……」

リン「まあ、俺はいいけどな」

蕾姫「……とりあえず感想&技名を出して欲しいです。お願いします」
 

 

愛と狂気と

 
前書き
1日空いてしまってすみませんっ!忙しいです。最近……

ソードアート・オンラインの世界に入れたらとよく思います

ちなみにようやくアクセルワールドを読み始めました←遅い 

 
五十五層の主住区<<ラフ・タウン>>に転移した俺はそこにはアスナが座っていた

「リン君……お願い。嫌な予感がするの」

「俺もだ。じゃあ行ってくる。アスナも一応準備しとけ」
といいつつ索敵スキルの上位派生追跡スキルを使いキリトたちを追って全力で走りだした

植物の少ない乾いた荒野を俺は全力で走る。すると<<ファイア・リザード>>が現れた。名前の通り炎を使うトカゲのようなモンスターで、攻撃を受けると火傷のペナルティを負うやっかいなモンスターだ。それが三匹

「くっ……邪魔だっ!!」
かわすのは不可能と判断し、すぐに右手の剣で<<ヴォーパル・ストライク>>を放ち一匹倒す。ソードスキルなしでも倒せるが時間がない。ニ匹目の突進攻撃を硬直がとけた右手の剣で、その勢いのまま突き刺す。続く三匹目の爪による切り裂きは、右手の剣でニ匹目を突いていた関係で腕を伸ばし切っており弾くことができない。やむおえず、体をひねってかわそうとするがかわし切れず左手を引っ掻かれた。火傷によって与えられる鈍い痛みを堪えつつ引き戻した右手の剣で再び<<ヴォーパル・ストライク>>を放ち倒す。火傷はしばらくすれば治るが今は待ってられない。そのまま走りだす

その後も、運が悪いのか数多くのモンスターとエンカウントしてしまった

「時間をかなり食ったな……」

その時後ろからアスナが凄い勢いで走ってきた

「リン君!!」

「アスナ、どうして……」
アスナに並走しつつ俺は尋ねる

「ゴドフリーさんが……キリト君と一緒のパーティーだった人の反応が消えたの!だから……」
なるほど。聞けばアスナはずっとマップをモニターしていたらしい。反応が消失したということは

「クラディールか……」
野生のモンスターか、犯罪者の仕業かもと思うかもしれないがこんな最前線でもないようなところでキリトや血盟騎士団員三人が遅れをとるとは思えない。クラディールはキリトに恨みを持ってるし、一番可能性が高いだろう

























俺とアスナが到着したときはキリトの体に鈍い色の剣が振り下ろされたところだった。キリトはその剣の刃を握り必死であらがっているが、その刃は無情にもしっかりと着実にキリトの体に迫っている。このままでは間に合わない。アスナは既に全力であろう。ならば……アスナより速い俺が何とかする。何とかしてみせる!

「う、うおおおおおお!」
俺は次の一歩のときおもいっきり地面を蹴った。その結果……ソードアート・オンラインでおそらく最速の俺の全力の走り。音すらも振り切った気がした。そして、剣を出す暇がなかった俺はそのまま、クラディールの剣とキリトの体の間に左手を滑り込ませることに成功した

「なっ、なんだぁ」
クラディールは驚きの声を上げるが、俺は左手に刺さった剣ごとクラディールの体を吹き飛ばした。そして、少し遅れて到着したアスナがさらに空高くクラディールを吹き飛ばした

「……間に合った……間に合ったよ……神様……間に合った……」
そう言ってアスナは崩れおちるようにひざまずいてキリトに尋ねた

「生きてる……生きてるよねキリト君……」

「……ああ……生きてるよ……」

「ギリギリだな……危ない」
と俺はキリトの口にハイポーションを突っ込む

「……リン君……ここは……私にやらせて……」

「すまんができない。親友が殺されかけたんだ。我慢できるわけないだろ」

「……わかった……。キリト君、待っててね。すぐ終わらせるから」
アスナはすっくと立ち上がると、腰から細剣を抜きクラディールの方へ歩き出す。俺もアスナの横に並び歩きだす。もちろん刺された左手ではなく右手に剣をしっかり握って

「あ、アスナ様……ど、どうしてここに……。い、いや、これは、訓練、そう、訓練でちょっと事故が……」

言い切れなかった。いや、最後まで言わせなかった。もはや言い訳もできない状況にまだ、言い訳を言う見苦しさに我慢できなかった。剣閃は二本。俺と全く同じタイミングでアスナも剣を振ったのだ

「ぶぁっ!!」
クラディールが当たった場所、口を片手で押さえて仰け反る。奇跡的に当たった場所も一緒だ

「このガキどもぉ……調子に乗りやがって……。ケッ、ちょうどいいや、どうせオメエラもすぐに殺ってやろうと……」
そのクラディールの台詞も中断を余儀なくされた。アスナと俺が剣を構えるや攻撃を開始したからだ。クラディールも必死に応戦するが、アインクラッド最強クラス二人による連携攻撃だ。敵に対して一人づつ攻撃するのがセオリーではあるが、アスナと俺の剣は一人がニ本の剣を扱ってるかのようにクラディールを切り裂いた

「わ、解った!!わかったよ!!俺が悪かった!!」
とHPが黄色から赤い危険域に突入するとクラディールは剣を投げ出しこう喚いた

「も、もうギルドは辞める!あんたらの前にも二度と現われねぇよ!!だから……」

「それで済むと思っているのか?二人の命を奪い俺の親友に殺すと言ったお前を俺は許すことができないんだが?」
アスナも同じことを思ったようで右腕の剣が振り上げられクラディールを殺そうとした

「ひぃぃぃっ!死に、死にたくねえーーーっ!!」
アスナの剣の切っ先が停まった。アスナの体がぶるぶると激しく震えている。おそらくアスナはこの世界でプレイヤーを殺していない。それは幸せなことだが、反面致命的な弱点でもある。まずいと思ったときは遅かった。怒りのあまり停止していた思考を取り戻した時にはすでに全てが終わっていた。はっ、と気付くとアスナの手からレイピアが弾かれ、キリトが右手でアスナを庇っていた。そしてクラディールの第三撃が放たれようとした

「いい加減にしろぉぉ!!」

動いたのは俺。クラディールが放った大剣を左手で受け、痛みがはしるのにも構わず、右手の剣を突き出した。その一撃はクラディールのHPの残り全てをくらい尽くした

「この……人殺し野郎が」
くくっ、とわらい。クラディールは無数のポリゴンとなって砕け散った

人殺しでも構わない。殺したものは背負わないといけない……だが、大切な人を守れるなら……俺は……

「……ごめんね……わたしの……わたしのせいだね……」
悲痛な表情で、震える声をアスナは絞りだしていた。そうか……似てるんだ……詩乃とアスナは……何でも自分一人で抱え込んだりする性格とかが。気がつくと俺はアスナの頬をたたいていた

「馬鹿野郎……」
アスナは頬に手をやりながらビクッてなった。キリトは成り行きを見守ってくれている

「おまえのせいじゃねぇ。誰のせいでもねえよ。アスナ、おまえのために、俺らは動いたんじゃねえよ。自惚れんな。俺らはな……自分のために戦ってるんだよ。理由はいろいろある。キリトは知らないが俺は親友を守るためっていう理由がな。だからそう自分を責めんな。アスナ」

俺はアスナの頬を撫でると「殴って悪かったな」

「ううん、ありがとう……」

「さて……俺は消えるな。後は二人で……」
ニヤリと笑う俺。いろいろ台無しである。赤くなるキリトとアスナ……相変わらずうぶなこって















ちなみに立ち去ろうと歩いていたが、しばらくしてから振り返るとキリトとアスナがキスをしていたな。いきなりで俺は驚いて剣を落としてしまって、落ちた剣が音をたて、弾かれるようにキリトとアスナが離れて、その二人の顔が真っ赤だったのはいい思い出だ

さて……とりあえずあの二人に報告かな?ついでに剣も研いでもらおう。そんなことを考えながら二人のもとから本当に去って行くのだった。 
 

 
後書き
アンケート

リン「↑何じゃこれは?」

蕾姫「いや、アンケート取ろうかなって思って」

リン「どんなの?」

蕾姫「このあとがき。会話式がいいのか、俺だけがしゃべるのがいいのかって感じ」

リン「その心は?」

蕾姫「感想書いてって、グワッ!?」

シノン「うるさい……」

蕾姫「いや、だからってライフル・ウルティマラティオ・ヘカートIIを向けないでっ。対物だから。条約で禁止されてるから」

リン「かすっただけで騒ぐな駄作者」

蕾姫「普通騒ぐでしょ!!」
ジャキッ←ヘカートの弾を装填する音

蕾姫「……」

リン「駄作者が黙ったところで」

シノン「この小説をこれからもよろしく」

蕾姫「俺の立場低い……ちなみに技名とか常に募集してるからよろしくお願いします」
 

 

報告と漫談

 
前書き
今回は短いですけど…… 

 
キリト、アスナとわかれた俺はシリカとリズベットのもとに行った。あらかじめ、メッセージを送っておいたので二人は四十八層主住区<<リンダース>>にある鍛冶屋、<<リズベット武具店>>で待っていた

「んで?何があったの?」

俺は今回の事件について簡単に説明した

「なるほど……クラディールとかいうやつ、いやな奴ね」

「大変だったんですね」

「感想は何でもいいがな。リズ、研いでくれないか?」

「了解。百コルね」

俺が百コル銀貨を指で弾いて渡すと仕事場にリズベットは引っ込んだ

「リンさん」

「ん?」

「キリトさんとアスナさんって……」

「今頃結婚してんじゃね?」

「ぶっ」
乙女にあるまじき音をたて吹き出すシリカ

「ま、あいつらはお似合いだったからな。シリカとリズには悪いが応援してたからな」

「うう〜……」
涙目。小動物みたいで何か癒される。こういう人を見ていると俺はよく自己嫌悪にかられる。俺みたいな殺人者が普通の生活を送っていてもいいのかと。殺したことは後悔していない。殺さなければ自分ないしは大切な人が殺されていた。罪深いことだけどな

「リンさん……顔が怖いです……」

おっと顔に出ていたか

「終わったよ」
タイミングよくリズが出てくる

「何を話してたの?」

「キリトさんとアスナさんが結婚するって」
爆弾発言をどうもありがとう。たぶんが抜けてるし

「ななななななななななな」

リズ……壊れたか?なしか言えなくなって……あとシリカをブンブン前後に振るなよ……何か口から出そうになってるし

その後、また説明するはめになり自分のプレイヤーホームに帰ったのは明け方だった




















次の日、キリトからメールが届いた。リズの鍛冶屋に来て欲しいんだと……本当に結婚したみたいだな。たぶん

そこに着くとアスナとリズは談笑しており、キリトはその横で苦笑いをしている。俺の姿を見るとキリトが駆け寄ってきた

「よう、リン。こんな朝早くすまないな」

「どうせ結婚報告だろ?行かないわけにはいかないじゃないか」

「はっ……」
凄く驚いている……図星だな

「な、何で知ってるんだ」

「勘」

「……やられた」
かまかけたら素直に吐いたな……。そういう会話をしているとアスナがこっちに来た

「リン君、こんにちは」

「よう、アスナ。結婚おめでとう」

「えっ……」
顔を真っ赤にして固まるアスナ。デジャブを感じる

「アスナ……もうばれてる」

「あはは……やっぱりリン君は出し抜けないな。えっと写真とろ?みんなで」































場面変わってリズベット鍛冶屋の中。写真を撮ったあと、話をしている

「アスナ……」

「ん、何?」

「実はな……」
俺はアスナにしか聞こえないようにシリカとリズのことを耳打ちした

「……というわけでライバル多いな」

「大丈夫だよ……たぶん」

「何が大丈夫だって?」
いつの間にかキリトが後ろに回っていた

「むう……」
アスナがキリトにじと目をしている

「なっ、何だよ」
焦るキリト……鈍感野郎には一生わからないだろうな

「そういえばキリトとリンの出会いってどういうのだったんですか?」

「一層の最初の森だったか?」

「そうだな。俺がMPKにひっかかって死にかけたところでこいつが来てな。助けてもらったんだよ」

「あの時から、こいつとの腐れ縁が始まったんだ」

「「ふーん……MPKね」」

……二人とも顔が怖い

「「そのプレイヤーの名前は?」」

……今は死せるコペルさん。ご冥福を祈ります。魔王二人に追いかけられても頑張ってください

「もう死んでるから」

「そう……残念」

殺る気でしたよね?

「違う。十分の九殺し」

「心を読まないでください。あと十分の九殺しってほぼ死んでるじゃん!?」

「まあ、いいや……で、新居に二十ニ層のログハウスを買ったんだけど……今から行かない?」

「俺はパス。また今度な。じゃあな」

俺はそう言って店を出た
 

 

森と謎の少女と

それより何日か後……ん?何やってたかって?レベル上げだよ。描写は書いてもつまらないと思うよ?しいて言うなら、<<デス・ピエロ>>に囲まれてました。攻撃と敏捷は高いけど防御とHPが低いモンスターをずっとほふってました

というわけで今は二十ニ層のキリトとアスナの家に向かってます
















到着するとちょうどキリトがアスナを肩車したところだった

「……お邪魔しました」

「ち、ちょっと」
言葉をかけてきたがしらん。あいつらといると砂糖を口からはきかねん

「リ、リン君」
キリトから降りたらしいアスナが肩を掴んできた

「ナニ?」

「何で片言なのかな?それより今から一緒に森に行かない?」

「俺は馬に蹴られる趣味はないんだが……」

「いやー。今から行くところでな、幽霊を見たって話があってさ。確かめに行くんだよ。リンも行かないか?」

「ほう……興味深いな」
この世界はプログラムでできている。よって幽霊なんて非科学的なものは出る余地はないんだが……まあ見間違いってこともあるが

「よし、行こうか」

「じゃあ、出発!」
アスナはまたキリトの上に乗っていた。キリトは苦笑している

「やめろ。こっちは恥ずかしいし、砂糖を吐きそうになる」
と言うといかにもしぶしぶといったかんじでアスナは降りてきた















十数分歩いたあとアスナがこんなことを言い出した
「大きい木だねえー。ねえ、この木、のぼれるのかなあ?」

「うーん……」

「システム的には不可能じゃない気がするけどなぁ……。試してみる?」

「ううん、それはまた今度の遊びテーマにしよう。……登ると言えばさあ」

「外周にあちこち、支柱みたいになって上層まで続いてるとこがあるじゃない。あれ……登ったらどうなるんだろうね」

「あ、俺やったことあるよ」

「ええー!?」
体を傾けキリトの顔を覗きこむっていうか、ピンク色の空気が厚くて会話に参加できない……

「なんで誘ってくれなかったのよ」

「まだそんなに仲良くなってなかった頃だってば」

「なによ、キリト君が避けてたんじゃない」

「ストップ!これ以上ピンク色の空気を出すな!息苦しくてかなわん!」
あ、顔真っ赤

「そういえばキリト。あの時は、俺、見てたぞ?」

「えっ?」

「手足をバタバタさせながら落ちていくのは傑作だったが……命は大切にしやがれ……」

「はい……」

そんな会話を交わしていると森はどんどん深くなっていった

「ね、その……うわさの場所って」

「ええと……そろそろだよ。もうあと何分かで着く」

「さっきの話。具体的には?」

「ええと、一週間くらい前、木工職人プレイヤーがこのへんに丸太を拾いに来たんだそうだ。この森で採取できる木材はけっこう質がいいらしくて、夢中で集めているうちに暗くなっちゃって……慌てて帰ろうと歩き始めたところで、ちょっと離れた木の陰に……ちらりと、白いものが」

アスナの顔色が……でも俺はキリトに先を促した

「モンスターかと思って慌てたけど、どうやらそうじゃない。人間、小さい女の子に見えたって言うんだな。長い、黒い髪に、白い服。ゆっくり、木立の向こうを歩いていく。モンスターでなきゃプレイヤーだ、そう思って視線を合わせたら……カーソルが、出ない」

「ひっ……」

「ほう……」
面白いじゃねえか

「そんな訳はない。そう思いながら、よしゃあいいのに近づいた。そのうえ声をかけた。そしたら女の子がぴたりと立ち止まって……こっちをゆっくり振り向こうと……」

「も、も、もう、や、やふっ……」
最後のは俺がアスナの口を押さえたから出た音だ。続きが聞きたいからね

「そこでその男は気がついた。女の子の、白い服が月明かりに照らされて、その向こう側の木が透けて見える」

「ーー!!」
叫ぼうとしたが俺の押さえられてて声が出せない……何か犯罪っぽいな。言っとくが同意の上だぞ。キリトと

「女の子が完全に振り向いたら終わりだ、そう思って男はそりゃあ走ったそうだ。ようやく遠くに村の明かりが見えてきて、ここまでくれば大丈夫、と立ち止まって……ひょいっと後ろを振り返ったら……」

「ーーーっ!?」

「誰もいなかったとさ。めでたしめでたし」
ここでアスナを解放してやる。すると今まで叫べなかった分とばかりに拳を振り上げ……そこで静止した

「き……キリト君、り……リン君、あそこ」
俺とキリトの視線がアスナの見ているものを捉える

「う、嘘だろおい……」

「ほう……」
さっきからこれしか言ってない気がするが……とりあえず女の子をじっとみるがカーソルがでない。というわけで近づこうとしたその時、ふらりと少女の体が地面に崩れ落ちた。どさり、という音が耳に届いてくる。おう……質量もあるんだ、と感心したがそれどころではないと気付いた

「あれは……」
目を細めるキリト

「幽霊なんかじゃないぞ!!」
と叫んで走り出したので俺もあとに続く

「ちょ、ちょっとキリト君、リン君!」
幽霊が嫌いなアスナは出遅れたが「もう!!」と言って着いてきた

倒れている少女をキリトが抱き起こしたので俺は少女を観察し始めた

「だ、大丈夫そうなの?」

「「うーん……」」
俺とキリトは首を傾げる。SAO内では人間の生理的活動はほとんど省略されているため呼吸を感じたり、バイタルをみたりはできない

「でもまあ、消滅してない……ってことは生きてる、ってことだよな。しかしこれは……相当妙だぞ……」

「妙って?」

アスナは気付いてないみたいなので俺から言った
「カーソルがでないんだ」

「あ……」

……まず確認しようぜ

「何かの、バグ、かな?」

「さもなくば、本当に幽霊とか?」

「ひっ……」
かなり少女に顔を近付けていたアスナは俺の言葉を受けて後ろに飛び退いた。そして尻餅をついた

「冗談だ。そんなのあり得ないから安心しろ」

「うう〜……」
涙目のアスナ……癒されるわ

「とりあえず、放ってはおけないわ。目を覚ませばいろいろ判ると思う。うちまで連れて帰ろう。……もちろん、リン君もね」

立ち上がってアスナは建設的なことを言った。そして、俺まで巻き込みやがった……。さて明日までに何回砂糖を吐くことになるのやら


















アスナのベッドに少女を横にし、毛布をかけておいてキリトとアスナは向かいのベッドに。俺は椅子を持ってきてそこに座った

「まず一つだけ確かなのは、こうしてウチまで移動させられたからにはNPCじゃないよな」

「そう……だね」

NPCは存在座標を一定範囲内に固定されているためプレイヤーの意志で移動させることはできないのだ

「それに、何らかのクエストの開始イベントでもない。それなら、接触した時点でクエストログ窓が更新されるはずだしな。……てことは、この子はプレイヤーで、あそこで道に迷っていた……というのが一番あり得ると思う」

「まだ幽霊って可能性も……おう……わかったからその剣を下ろしてくれアスナ」
幽霊説を唱えた瞬間アスナが剣を出し首もとにあててきた。……正直剣が見えなかった……

「続けるぞ?クリスタルを持っていない、あるいは転移の方法を知らないとしたら、ログインしてから今までずっとフィールドに出ないで、<<はじまりの街>>にいたと思うんだ。なんでこんな所まで来たのかは判らないけど、はじまりの街にならこの子のことを知ってるプレイヤーが……ひょっとしたら親とか、保護者がいるんじゃないかな」

「うん。わたしもそう思う。こんな小さい子が一人でログインするなんて考えられないもん。家族が誰か一緒に来てるはず……無事だと、いいけど」

俺は、そうは思わない。一番可能性があるのはこの子の親がモンスターと相討ちになり死んでしまった場合。二十ニ層は比較的安全とはいえ森にはモンスターがでる。二つ目は親とここまで来てはぐれた場合。この二つ目はまずない。最初に目撃されたのはかなり前だ。それなのに探しに来ているプレイヤーと出会わなかったのは不自然だ。とここまで考えて不思議に思った。今は確証が持てないが少女がプログラムという可能性だ。それならば全て説明がつくがそれはあまりにも突拍子もない考えだろう

「ね、意識、戻るよね」

「ああ。まだ消えてないってことは、ナーヴギアとの間に信号のやり取りはあるんだ。睡眠状態に近いと思う。だから、きっとそのうち、目を覚ます……はずだよ」
キリトの言葉には願望の色があった

「十歳はいってないよな……。八歳くらいかな」

「そのくらいだね……。わたしが見た中ではダントツで最年少プレイヤーだよ」

「そうだな。前にビーストテイマーの女の子と知り合ったけど、それでも十三歳くらいだったからなぁ」

「ふうん、そんな可愛いお友達がいたんだ」

「小動物みたいで可愛いぞ?アスナ、聞いてくれよキリトのやつ……」

「勘違いされるから言うな!たまにメールのやり取りを……それだけで、何もないぞ!」

「どうだか。キリト君鈍いから」
顔を逸らすアスナ。苦笑いの俺

そうして時間は過ぎていく
















あれから何種類かの新聞?っぽいものに目を通したが、少女を探している人は見つからなかった

「んじゃ、俺は帰るな」
といい立ち上がろうとしたが

「泊まっていけよ」

「泊まっていってね」

……アスナとキリトに呼び止められた

「いや……寝るところないし」
ベッドは二つ。一つは少女が寝ているアスナのベッド。もう一つはキリトのベッド。どこに寝ろと?

「俺のベッドで寝ればいいだろが」

「俺……そんな趣味はねえぞ」

「ええっ!?キリト君、実は……」

「なわけないだろ!!俺は椅子で寝るから俺のベッドを使えってことだよ」

「冗談だ。いいよ、俺が椅子で寝るから。幸いこの世界じゃ、椅子で寝ても体が痛くならないからね」

「わかった……じゃあ寝ようか」
居間の明かりを消しキリトとアスナは同じベッドに入っていった……えっとブラックコーヒーないかな?目をつむってしばらくして人が動く気配がして目をあけるとアスナが少女を抱きしめ「おやすみ。明日は、目が覚めるといいね……」と言っていた。俺は微笑むと本格的に眠りに落ちた
 

 

少女と家族

 
前書き
ギャグ半分、真面目半分です

アスナが暴走します。ご注意ください 

 
次の日目が覚めると何やらハミングが聞こえた。不思議に思って目をあけると、少女が目を閉じたまま歌っていた
とりあえず少女に抱きついているアスナを起こそうとしたがどうやらもう起きているようだ。アスナはその顔に驚きの表情を張りつけキリトをたたき起こした

「……おはよう。どうかした?」

「早く、こっち来て!」

「歌ってる……!?」

アスナは軽く少女を揺すりながら呼び掛けた

「ね、起きて……。目を覚まして」

すると少女のまぶたが持ち上がり「あ……う……」と声を出した

「……よかった、目が覚めたのね。自分がどうなったか、解る?」
少女は少し考え、首を横に振った

「そう……。お名前は?言える?」

「……な……まえ……。わた……しの……なまえ……」

少女は首を傾げながら

「ゆ……い。ゆい。それが……なまえ……」
と名乗った

「ユイか。いい名だな……なんだよ」
俺がユイに微笑みながら言うとキリトとアスナが驚いたような顔をした……

「リン君……意外と子供好き?」

好きで悪いか。小さい子は純粋で可愛いからな……画面の前の人たちの中で、ロリコンとか思ったやつ……一歩前にでて歯ぁ食い縛れぇ!!

「まあ、いいや。わたしはアスナ。この人はキリト。で、あの人はリンよ」

「あ……うな。き……と。り……う」

……りう?……ニ文字なのに言えないの!?

「ね、ユイちゃん。どうして二十ニ層にいたの?どこかに、お父さんかお母さんはいないの?」
ユイはしばらく黙り込んだあと、首を左右に振った

「わかん……ない……。なん……にも、わかんない……」














ユイにミルクを与えると俺たちは部屋の隅に移動すると意見交換を始めた

「ね、キリト君。どう思う……?」

「記憶は……ないようだな。でも、それより……あの様子だと、精神に、ダメージが……」

……あり得ない。症状的には言語障害だろう。言語障害とは言語にかかわる機能の運動性または感覚性の障害により、言語による意思の疎通が妨げられた状態をさす。確かにストレスからの感覚麻痺ってことはあり得るが、ここはバーチャル世界。そんなことがあり得るわけがない。おそらく、データの欠損。それに対し何の訴えもしてこなかったことから考えるに、やはりユイは……

「どうしたの?リン君?」

「いや、何でもない」
今は言わない方がいいな。害を与えるようなことも無さそうだし、しばらく様子見ってとこか……っとさっきまで抱き合っていたキリトとアスナがユイの方に移動し始めたから俺も行くか。この時俺は知らなかった。あんなことになるなんて。今はユイの側によらなければよかったと……(笑















「やあ、ユイちゃん。……ユイって、呼んでいい?」

カップから顔を上げて頷く

「そうか。じゃあ、ユイも俺のこと、キリトって呼んでくれ」

「き……と」

「キリト、だよ。き、り、と」

「……」

「……きいと」
生糸……

「ちょっと難しかったかな。何でも、言いやすい呼び方でいいよ」
再びユイは考え始めた。やがてユイは顔をゆっくりあげると

「……パパ」

次いでアスナを見上げて、言う

「あうなは……ママ」

アスナは微笑みとともに頷く

「ママ!」

アスナはユイを抱いたまま涙をながし始めた。俺は微笑みながらそれを見ていたが次のユイの言葉で凍り付くことになった

「りうは……にい!」
…何ですと。にいって兄さんのことだよね?すると何かい?俺はアスナとキリトの……は?同年代の親なんかまっぴらごめんだ。……いや、現実世界の両親よりはずっとマシだな……だあ!何考えてるんだ俺は!?……


ちなみに5分くらい固まっていると、ユイの止めの一撃が

「ダメ……なの……?」

……想像して欲しい。純粋な十歳児それも美少女の部類に入る少女の涙目プラス上目遣い。……あなたは断れますか?

「いいよ。ユイ」

無理でしょう
















ホットミルクを飲み、小さな丸パンを食べると、ユイは再び眠り始めた

「わたし……わたし……」

「ごめんね、わたし、どうしていいのか判んないよ」

「……この子が記憶を取り戻すまで、ずっとここで面倒みたいに思ってるんだろ?気持ちは……解るよ。俺もそうしたい。でもな……ジレンマだよな……。そうしたら当分攻略には戻れないし、そのぶんこの子が解放されるのも遅れる……」

「うん……それは、そうだね……」

「とりあえず、できることはしよう」

……無駄だな。もう俺はユイの正体について確信している

「まず、はじまりの街にこの子の親とか兄弟とかがいないか探しにいくんだ。これだけ目立つプレイヤーなら、少なくとも知ってる人間がいると思うし……」

「……」

「……?どうしたの?」

「な、なんでもないよ!!」

「どうせ、ユイと別れたくないとか思ってるんだろ?自分とキリトの子供のように思ってるんだろ。もう既に」

アスナは吹き出した

「……そうだけど……」
耳まで赤くなって言った

「そういえばリンはユイの兄貴だったよな?ってことは……」

こんどは俺が吹き出す番だった

「同年代の親なんか認めない!現実世界の両親よりはずっとマシだけど……」
ゴニョゴニョ言う俺は不意にアスナに引き寄せられ抱きしめられた

「何か……急にリン君が可愛く見えるようになってきた……」

アインクラッドで五本の指に入るほどの美人に抱きつかれてるとは嬉しいが……何か嫌だ!キリトに目で助けを求めると苦笑いして目を逸らされた。「パパ助けて」というとキリトは頭を抱えてゴロゴロし始めた。曰く鳥肌が立ったらしい。まあ当たり前か……




ついでに言うとアスナはママと呼ぶまで放してくれませんでした。たまに呼んでねとか言ってました……嬉しいのか、甚だ疑問である。精神的にキツい1日だった
 

 

はじまりの街と軍

 
前書き
遅くなりました……orz 

 
次の日の昼食ごろ、目を覚ましたユイ。辛いもの好きだということを発見した日の午後。俺たちははじまりの街に行くことにした

なおユイのメニューの仕様は俺の推測を裏付けるものになったとだけ言っておこう

「わあー

ユイが顔を輝かせ、両手を広げて自分の体……より正確に言えば、淡いピンクのセーターを見ていた。すっかり装いを変えたユイは満面の笑みでセーターの生地に頬をこすりつけたりスカートのすそを引っ張ったりしている……うん、可愛いな

「さ、じゃあお出かけしようね」

「うん。パパ、だっこ」

「うん。パパ、おんぶ……冗談だから、頭を壁に打ち付けるのはやめろキリト……」

上はユイ、下は俺だ。キリトをパパと呼ぶとキリトが悶えるから面白い。キリトはユイの体を横だきに抱えあげた

「後で、にいも」
……勘弁してくれ……

「アスナ、リン、一応、すぐ武装できるように準備しといてくれ。街からは出ないつもりだけど……あそこは<<軍>>のテリトリーだからな……」

「ん……。気を抜かないほうがいいね」

「当たり前だ」
アスナも俺も気を引き締める

















第一層<<はじまりの街>>はアインクラッド最大の都市だ。冒険に必要な機能は他のどの街よりも充実しているが、ここにはハイレベルプレイヤーは知りうる限りいない。理由としては<<軍>>の専横や、あの日のことを思い出すからだろう。全てが終わり、そして始まったあの日を……正直俺はその状況を喜んでいた。これで解放された。俺は自由だ、と。確かに自由にはなれた。でも、気付いた。気づいてしまったんだ。それでは逃げているだけだと。向き合わなければ本当には解放されないんだと。教えてくれたのは隣にいる男なのだが……しばらく男、キリトを見ていると首を傾げられた。何でもないといいながら誤魔化すために答えのわかっている質問をユイにした

「ユイ、見覚えのある建物とか、あるか?」

「うー……」
とユイは難しい顔でしばらく街並みを眺めていたが、やがて首を振った

「わかんない……」

「まあ、はじまりの街はおそろしく広いからな」

キリトはユイの頭を撫でながら言った。……こうしてみると本当の親子みたいだな

「あちこち歩いてればそのうち何か思い出すかもしれないさ。とりあえず、中央広場に行ってみようぜ」

「そうだね」
と俺たちは歩きだした

「ねえ、キリト君とリン君」

広場を歩いていると唐突にアスナが話しかけてきた

「「ん?」」

「ここって今何人くらいいるんだっけ?」

「ヒッキープラス<<軍>>合わせるとニ千ぐらいじゃないか?」

「ヒッキーって……」
苦笑いのアスナ

「人影があまりないことが気になってるのか?」

「うん」

「そう言われると……。マーケットのほうに集まってるのかな?」

「じゃあ、行ってみるか」

















しかし、広場から大通りに入って市場エリアにさしかかっても木の下に座り込んだ男とNPC商人しか見えなかった。その唯一のプレイヤーにアスナが話し掛けた

「あの、すみません」

「なんだよ」

「あの……この近くで、訊ね人の窓口になってるような場所、ありません?」

むっ……アスナを見る目がいやらしい……

「なんだ、あんたよそ者か」

「え、ええ。あの……この子の保護者を探してるんですけど……」

今は俺の腕の中に移ってまどろんでいるユイを指し示すアスナ。すると銀さんに似た死んだ魚のような目をした男は多少目を丸くした

「……迷子かよ。珍しいな。……東七区の川辺リの教会に、ガキのプレイヤーがいっぱい集まって住んでるから、行ってみな」

「あ、ありがとう」

というわけでとりあえず教会に行ってみることにしたがキリトが街路樹になっている黄色い果実を狙っていたが、俺は首根っこをつかんで引きずった「あ、ああ……うまそうなのに……」……知るか!










東七区について川沿いに歩くと道の右手に広がる一際高い尖塔を見つけた。だからそこに向かって歩きだそうとするのだが

「ち、ちょっと待って」

「ん?どうしたの?」

「あ、ううん……。その……もし、あそこでユイちゃんの保護者が見つかったら、ユイちゃんを……置いてくるんだよね……?」

「……」

ためらうのも無理はない。アスナは本当の子供のように考えていたのだろう

「別れたくないのは俺らも一緒さ」
なっ?とばかりにこっちを見てくるので俺は頷く。例え俺の予想通りだとしても、本当の家族のように思っているから……

「会えなくなるわけじゃない。ユイが記憶を取り戻したら、きっとまた訪ねてきてくれるさ」

「ん……。そうだね」
アスナは小さくうなずくと、ユイに頬をすりよせ歩きだした。俺らもそれに続き歩きだした










「あのー、どなたかいらっしゃいませんかー?」
アスナの声が誰もいない教会の一室に響きわたるが、誰も出てくる様子はない

「誰もいないのかな……?」

「いや、人がいるよ。右の部屋に三人、左に四人……」

「二階にも何人かな」

「……索敵スキルって、壁の向こうの人数まで解るの?」

「熟練度九百八十からだけどな。便利だからアスナも上げろよ」

「いやよ、修行が地味すぎて発狂しちゃうわよ」

「不意討ちを防ぐためにすごく役立つんだがな……」

「それはわかってるんだけどね。……それはそうと、何で隠れてるのかな……」

とアスナは入り口で止めていた足を内部にまで進めた

「あの、すみません、人を探してるんですが!」

「……<<軍>>の人じゃ、ないんですか?」
右手のドアがわずかに開き、おそるおそるといった感じで言った

「違いますよ。上の層から来たんです」

やがてドアが開くと黒縁の大きな眼鏡をかけ簡素な濃紺のプレーンドレスを身にまとい小さな短剣を持った女性プレイヤーが姿を現した

「ほんとに……軍の徴税隊じゃないんですね……?」

アスナは微笑むとうなずいて

「ええ、私たちは人を探していて、今日上から来たばかりなんです。軍とは何の関係もないですよ」

「上から!?ってことは本物の剣士なのかよ!?」

甲高い声とともにわらわらと数人の少年少女たちがでてきた

「こら、あんたたち、部屋に隠れてなさいって言ったじゃない」

しかし、誰も従わない

「なんだよ、剣の一本も持ってないじゃん。ねえあんた、上から来たんだろ?武器くらい持ってないのかよ?」

「い、いや、ないことはないけど」

キリトはいきなりの言葉で焦っている。その隙に俺は本題に入るとしよう

「あの……」
……何て呼べばいいのかわからない……。その考えを読み取ったのか女性は口を開いた

「あっ、すみません、名前も言わずに。私はサーシャです」

「俺はリン。こっちのやつがキリト。彼女はアスナだ」

「で、この子が、ユイです」
とアスナが割り込んできた














結果としてユイの親はわからなかった。俺としては当然だと思っていた。アスナはどこかほっとしたような表情をしていた。話題は、サーシャのことに移り、軍のことに移ろうとした。そしてタイミングよくといったら変になるが数人の子供たちが勢いよく入ってきた

「先生!サーシャ先生!大変だ!!」

「こら、お客様に失礼じゃないの!」

「それどころじゃないよ!!ギン兄ィたちが、軍のやつらに捕まっちゃったよ!!」

「場所は!?」

「東五区の道具屋裏の空き地。軍が十人くらいで通路をブロックしてる。コッタだけが逃げられたんだ」

「わかった、すぐ行くわ。……すみませんが……」
俺らのほうに向き直り軽く頭を下げようとした。が俺はそれを止めると

「俺も行く」

「ですが……」

俺はキリトたちに目配せをするとキリトとアスナは大きくうなずいた

「私たちにもお手伝いさせてください。少しでも人数が多いほうがいいはずです」

「ありがとう、お気持ちに甘えさせていただきます。それじゃ、すみませんけど走ります!」













しばらく走ると細い路地を塞ぐ灰緑と黒鉄色のプレイヤーの一団がいた。躊躇せずに走り込んだサーシャをみてにやりと笑った

「おっ、保母さんの登場だぜ」

「……子供たちを反してください」

「人聞きの悪いこと言うなって。すぐに返してやるよ、ちょっと社会常識ってもんを教えてやったらな」

「そうそう。市民には納税の義務があるからな」
わははは、と男たちが甲高い笑い声をあげる。

「ギン!ケイン!ミナ!!そこにいるの!?」

「先生!先生……助けて!」

「納税の義務……とか言ったか?」
今まで見守っていたが我慢できなくなったので俺は口を出した

「ん?おうそうだよ。市民の義務だよなぁ」

「じゃあ、その金はちゃんと俺たち市民のために使われてるんだよな?」

「も、もちろん。当たり前だろ?ちゃんと攻略のために使ってるに決まってんだろ」

「ふーん……じゃあ、市民の権利を使わせてもらおうかな……知る権利に基づいてその使用明細の開示をお願いしよう」

相手は対応を考えている。その隙に俺はキリトとアスナに口をあまり動かさず言った

「合図したら跳べ」

「「了解」」

「そ、そうだなぁ……そういうことは本部に……」

「今!」
俺が合図をするとキリトとアスナが地面を蹴って跳躍した。トップクラスの筋力と敏捷力により軽々軍を飛び越えた。軍の連中は俺に意識を集中していたため反応ができなかった

「て……てめぇ……何だお前は!!<<軍>>の任務を妨害すんのか!!」

「弱いやつから搾取するのが<<軍>>の任務か?落ちたものだな」

「てめえ……許さねえ……」
と俺に近い軍のメンバー五人ほどが剣を抜いた。全く使われていない剣の全く重みのない輝き

「お前たちは全く戦闘を経験してないだろ」

「……そんなわけないだろ」

間があったな……

「剣に全く重みがない。足が甘い。……しょうがない。少し稽古をつけてやる」

といいつつ俺は腰から剣を二本抜き出す

「サーシャさん、ちょっと下がっててもらえますか?」

「はっ、はい」

二振りの剣を見て呆然としていたサーシャさんを下がらせる。そして同じく固まっていた軍のメンバーの方に向き直り

「ついてこいよ?」

剣を突き出した。双剣突撃技<<ダブルサーキュラー>>だ。もちろんここは街の中であり犯罪防止コード圏内なのでプレイヤー自身にダメージはない。だがソードスキルによるノックバックとコード発動時のシステムカラーの発光と衝撃は発生する。つまり……

「ぐあっ……やめっ」
二つの剣閃が煌めき一番近くにいた男性プレイヤーに直撃した瞬間、男はしりもちをつき恐怖に顔を引きつらせることになった

「双剣……ユニークスキル……ひっ」
後ろに控えていたプレイヤーからも悲鳴じみた声が漏れる……ってか有名になったもんだ……

「なっ、何ビビってんだ!相手は一人。こっちは五人だぞ!数で押せばユニークスキル使いだって……」

「そっ、そうだ!何ビビってんだか……よ、よし行くぞお前ら」

……面倒くさい……

「せっかく人がチャンスを上げたというのに……教訓一、引き際を考えないと……」

俺は一番最初に声を上げたプレイヤーの前に移動し

「痛い目を見ますよ?」

剣を振り下ろし、攻撃を開始した。初撃は四連続ソードスキル<<バーチカル・スクエア>>。四つとも見事に直撃した。倒れ戦闘不能になったので次のプレイヤーに向かった

「教訓ニ、一対多の場合は隣の人を常に視界にいれ、カバーし合うこと。あなたたちはバラバラになりすぎ。全くフォーメーションが組めていません」

次のプレイヤーを単発重攻撃<<ヴォーパル・ストライク>>を当てる。近くにいた別のプレイヤーを巻き込み吹き飛ぶ。最後のプレイヤーはガタガタ震えて命乞いをしていたがかまわず剣をつきだした

「教訓三、どんなに弱くても、どんなに自分が優位であっても……」

最後の一撃、片手剣で最も早い技<<ムーン・ソルト>>

「決して油断するな」

下から上に走る剣閃が最後のプレイヤーを吹き飛ばした 
 

 
後書き
蕾姫「二週間でPV一万突破!!」

リン「それって多いのか?」

蕾姫「わからん……でも初心者の小説では多いんじゃない?」

リン「読者の皆さん。読んでくれてありがとう。そしてこれからもよろしくな」

蕾姫「最近忙しいから次、いつになるかわからないけど……目指せ一週間以内!!ではーノシ」
 

 

食事と新たに事件

数分後。軍の連中が逃げ去ったあと、俺はあたりを見回した。すると子供たちに抱きつかれているアスナとにやにや笑っているキリトがいた。その時

「みんなの……みんなの、こころが……」

みんなの……こころ?

「みんなのこころ……が……」

虚空に視線を向け、右手を伸ばしていた。明らかに普段とは様子がおかしい

「ユイ!どうしたんだ、ユイ!!」
キリトが叫ぶがユイはきょとんとしている

「ユイちゃん……何か、思い出したの!?」
アスナもあわてて駆け寄る

「……あたし……あたし……あたし、ここには……いなかった……。ずっと、ひとりで、くらいとこにいた……」

ユイが顔をしかめた次の瞬間

「うあ……あ……あああ!!」
ユイの体が激しく揺れる

「にい……ママ……!!」
こっちに向かって手を伸ばしてくるが俺はその手をつかもうとした。がつかめなかった。所詮システム。そう頭をよぎったからだ。その直後、アスナがユイを抱き上げ胸に抱き締めた

「なぜつかんであげなかったの?」

アスナは視線をこちらに向けて言ってきたが秘密にしていること……しかもユイについてのことなので答えることも視線を受けとめることができず、目を反らすことしかできなかった……しばらくするとその現象も収まりユイの体から力が抜けた

「何だよ……今の……」

キリトの呟きは、おそらく正しいであろう答えをもつ俺は言ってしまって、ユイとキリト、アスナの関係がギクシャクしたものにならないか心配で答えることができなかった
次の日キリトはサーシャに尋ねた

「サーシャさん……」

「はい?」

「……軍のことなんですが。俺が知ってる限りじゃ、あの連中は専横が過ぎることはあっても治安維持には熱心だった。でも昨日見た奴等はまるで犯罪者だった……。いつから、ああなんです?」

「方針が変更された感じがしだしたのは、半年くらい前ですね……。徴税と称して恐喝まがいの行為を始めた人と、それを逆に取り締まる人たちもいて。軍のメンバー同士で対立してる場面も何度も見ました。噂じゃ、上のほうで権利争いか何かあったみたいで……」

「内部分裂を起こした……まあ、あの人数ならしょうがないかもしれないな」

「でも昨日みたいなことが日常的に行われてるんだったら、放置はできないよな……」
キリトは俺の台詞を引き継いで言った。とその時、キリトは不意に顔をあげ入り口に目を向けた。俺は反射的に索敵スキルで扉の外をサーチする。すると

「誰か来るぞ。一人……」

「え……。またお客様かしら……」
次の瞬間、館内にノックの音が響いた















腰に短剣を吊したサーシャと付いていったキリトが連れてきたのは、<<軍>>のユニフォームに身を包んだ長身の女性プレイヤーだった。一瞬、剣に手をかけるが、キリトが隣にいるということで、俺は剣から手を離した。子供たちとアスナは一斉に黙るが「みんな、この方は大丈夫よ。食事を続けなさい」という鶴の一声でまた騒がしくなった

「ええと、この人はユリエールさん。どうやら俺たちに話があるらしい」
ユリエールは俺とアスナに視線を向け頭を下げて挨拶をした

「はじめまして、ユリエールです。ギルドALFに所属してます」

……ALF?いつの間に軍は名前を変えたんだ?と思ったが<<軍>>は俗称であったと思い出す

「はじめまして。わたしはギルド血盟騎士団の……あ、いえ、今は一時脱退中なんですが、アスナと言います。この人はソロのリン。この子はユイ」
紹介されたので立って一礼。ユイは顔を上げるとユリエールを見つめる。首をかしげるが、ニコリと笑い再びフルーツジュースに視線を戻す

「KoB……。なるほど、道理で連中が軽くあしらわれるわけだ」

「……つまり、昨日の件で抗議に来た、ってことですか?」

「いやいや、とんでもない。その逆です、よくやってくれたとお礼を言いたいくらい」

「……」

事情が読めないアスナとキリトは沈黙するが、俺は口を開く

「ユリエールさんは恐喝連中とは別の派閥に所属していると考えていいよな?最近、恐喝が多くなっていることからおそらく勢力が弱くなってきた派閥に」

ユリエールは空色の瞳を大きく開き口を開いた

「……ご明察の通りです。実はそのことであなた方にお願いがあって来たのです」

「お、お願い……?」
頷くとユリエールは続けた

「はい。最初から、説明します。軍というのは、昔からそんな名前だったわけじゃないんです……。軍ことALFが今の名前になったのは、かつてのサブリーダーで現在の実質的支配者、キバオウという男が実権を握ってからのことです。最初はギルドMTDという名前で……、聞いたこと、ありませんか?」

「<<MMOトゥデイ>>の略だろう。SAO開始当時の、日本最大のネットゲーム総合情報サイトだ。ギルドを結成したのは、そこの管理者だったはずだ。たしか、名前は……」

「シンカー」
ユリエールが割り込みキリトの言葉を受け継いだ

「彼は……決して今のような、独善的な組織を作ろうとしたわけじゃないんです。ただ、情報とか、食料とかの資源をなるべく多くのプレイヤーで均等に分かち合おうとしただけで……」

MMORPGの本質はプレイヤー同士競いあうものだ。ましてや、このSAOにとらわれた人の大半は熱狂的なプレイヤーだろう。それなのに分かち合おうなんて無理だろう

「そこに台頭してきたのがキバオウという男です。彼は、シンカーが放任主義なのをいいことに、同調する幹部プレイヤーたちと体制の強化を打ち出して、ギルドの名前をアインクラッド解放軍に変更させました。更に公認の方針として犯罪者狩りと効率のいいフィールドの独占を推進したのです。それまで、一応は他のギルドとの友好も考え狩場のマナーは守ってきたのですが、数の力で長時間の独占を続けることでギルドの収入は激増し、キバオウ一派の権力はどんどん強力になっていきました。最近ではシンカーはほとんど飾り物状態で……。キバオウ派のプレイヤーたちは調子に乗って、街区圏内でも<<徴税>>と称して恐喝まがいの行為すら始めたのです。昨日、あなた方が痛い目に遭わせたのはそんな連中の急先鋒だった奴等です。でも、キバオウ派にも弱みはありました。それは、資材の蓄積だけにうつつを抜かして、ゲーム攻略をないがしろにし続けたことです。本末転倒だろう、という声が末端のプレイヤーの間で大きくなって……。その不満を抑えるため、最近キバオウは無茶な博打に出ました。配下の中で、最もハイレベルのプレイヤー十数人による攻略パーティーを組んで、最前線のボス攻略に送り出したんです」

コーバッツたちかな?

「いかにハイレベルと言っても、もともと我々は攻略組の皆さんに比べれば力不足は否めません。……結果、パーティーは敗退、隊長は死亡という最悪な結果になり、キバオウはその無謀さを強く糾弾されたのです。もう少しで彼を追放できるところまで行ったのですが……」

ユリエールはそこで一旦きると唇を噛んだ

「三日前、追い詰められたキバオウは、シンカーを罠に掛けるという強硬策にでました。出口をダンジョンの奥深くに設定してある回廊結晶を使って、逆にシンカーを放逐してしまったのです。その時シンカーは、キバオウの「丸腰で話し合おう」という言葉を信じたせいで非武装で、とても一人っダンジョン再奥部のモンスター郡を突破して戻るのは不可能な状態でした。転移結晶も持っていなかったようで……」

「お人好しだな。そんな男だとわかっていたはずなのに口車に乗せられてノコノコと……」

「……お人好しがすぎたんですシンカーは……」

「要するに、軍で強い俺たちがいるという噂を聞きつけ助けて欲しいと言いにきたってわけか」

ユリエールは唇を噛んでから言った

「お会いしたばかりで厚顔きわまるとお思いでしょうが、どうか、私と一緒にシンカーを救出に行ってくださいませんか」

ユリエール深々と頭を下げた

「心証としては力を貸してあげたいのは山々だが……」

「無理なお願いだってことは、私にも解っています……。でも、黒鉄宮<<生命の碑>>のシンカーの名前に、いつ横線が刻まれるかと思うとおかしくなりそうで……」

……これはPKの手段としてはメジャーな方法に酷似している。一人が街でプレイヤーを誘い、圏外で囲み殺す。よくある手だ。これに乗るのはよほどのお人好ししか……

「大丈夫だよ、ママ。その人、うそついてないよ」

「ユ……ユイちゃん、そをなこと、判るの……?」

「うん。うまく……言えないけど、わかる……」

キリトはユイの頭を撫でたそしてニヤリとわらい俺たちに言う

「疑って後悔するよりは信じて後悔しようぜ。行こう、きっと何とかなるさ」

「相変わらずのんきな人ねえ」
アスナもユイの髪に手を伸ばした

「ごめんね、ユイちゃん。お友達探し、1日遅れちゃうけど許してね」

俺は呆れていう

「おまえらはなんてお人好しだよ……」

「と言いつつもリンもくるんだろ?」

「……まあな……」

「ありがとう……ありがとうございます……」

「それは、シンカーさんを救出してからにしましょう」

アスナはユリエールに笑いかける。俺は軽く苦笑いしながら心の痛みを隠そうとする。システムと人間の違いについて考えながら
 
 

 
後書き
最近忙しいです……

台風直撃のため学校休み。よって書けました。話があまり進まない……
 

 

死神と炎の大剣

 
前書き
遅れました…… 

 
目的のダンジョンはなんとここ一層にあるという。行くメンバーは俺、アスナ、ユリエール、ユイ、ユイを背負ったキリトの計五人。ユイは行くといって聞かなかったので転移結晶を握らせてある。……目的の洞窟にシステム的なものがなにかあるのだろうか?ダンジョンにはもうすでにキバオウを始めとする軍のメンバーが入ったらしいが、散々追い回されて命からがら転移脱出するためになったそうだ……ざまあみろ。その話を聞いて、キリトが笑いだす。俺はもちろんポーカーフェイス

「リン君。顔がにやけてるよ」

なぬ……

ユリエールはすぐに表情を暗くして行った

「今は、そのことがシンカーの救出を難しくしています。キバオウが使った回廊結晶はモンスターから逃げ回りながら相当奥まで入り込んだところでマークしたものらしくて……シンカーがいるのはそのマーク地点の先なのです。レベル的には、一対一なら私でもどうにか倒せなくもないモンスターなんですが、連戦はとても無理です。……失礼ですが、お三方は……」

聞けば六十層ぐらいの強さらしい。俺のレベルは95。キリトもアスナも90前後だろう。安全マージンは階層プラス十なのでレベル70ほど……つまり

「問題ない」

「ああ、まあ、六十層くらいなら……」

「何とかなると思います」

「……それと、もう一つだけ気がかりなことがあるんです。先遣隊に参加していたプレイヤーから聞き出したんですが、ダンジョンの奥で……巨大なモンスター、ボス級の奴を見たと……」

「……ボスも六十層くらいのやつなのかしら……。あそこのボスってどんなのだったっけ?」

「えーと、確か……石でできた鎧武者みたいな奴だろう」

「……弱すぎて記憶にない」

「あー、アレかぁ。……あんまり苦労はしなかったよね……」

「まあ、それも、なんとかなるでしょう」

「そうですか、良かった!」

「そうかぁ……。お三方は、ずっとボス戦を経験してらしてるんですね……。すみません、貴重な時間を割いていただいて……」

「いえ、今は休暇中ですから」

「ソロだから関係ない」

そんな話をしながら地下水道を歩く
















「ぬぉぉぉぉぉ!りゃぁぁぁぁ!」

などと叫びながらキリトは敵集団に突っ込み叩き潰すというバーサクモードになっているため俺たちは暇である。アスナと俺は「やれやれ」といった表情でユリエールは目と口を丸くしてキリトを眺めているそしてユイは「パパーがんばれー」と気の抜けた声援を送っているため緊張感は皆無である。

「な……なんだか、すみません、任せっぱなしで……」

「いえ、あれはもう病気ですから……。やらせときゃいいんですよ」

「猪突猛進馬鹿ですから」

「なんだよ、ひどいなぁ」

「なんだよ、ひどいなあ」

蹴散らして帰ってきたキリトが文句を言うが

「じゃあ、わたしと代わる?」

「そろそろ肩慣らしがしたいから変わるか?」

「……も、もうちょっと」

その場が笑いに包まれたのは言うまでもない















ダンジョンに入ってしばらくすると水中生物型だったモンスターたちはオバケ系統に変化した。アスナがオバケが苦手なことを知っている俺はアスナをからかいながらキリトがモンスターを蹴散らしたあとの通路を進んだ。しばらくすると暖かな光の洩れる通路が目に入った

「あっ、安全地帯よ!」

「奥にプレイヤーが一人いる。グリーンだ」

「シンカー!」
ユリエールは一声叫び走りだした。俺はユリエールに続きつつも索敵スキルで辺りを走査していた。すると安全地帯の少し前にある十字路。その左端に不気味にオレンジに光る点を見つけた。その点は少しの間静止していたが、ユリエールが十字路に近づくにしたがって右に動き始めた。このままではユリエールと衝突する。この時俺はちょっと前にユリエールから聞いたことを思い出していた。そう、ボス級のモンスターを見たという軍の話を……

「ユリエーーール!!」

男が大声で叫んだ

「シンカーーー!!」

ユリエールもそれに応えて叫ぶがそれにかぶせるようにシンカーが叫んだ

「来ちゃだめだーーーっ!!その通路は……っ!!」

シンカーの絶叫。つまりこれが意味するのは……

「止まれ!ユリエール!!」

俺は叫ぶが、ユリエールはシンカーしか見えていない。このままでは……

「チッ」

俺は舌打ちをして足に力を込めた。キリトも同じ動作をしており、キリトのほうが早く弾丸のように飛び出した。俺もそれにつづく。背後から右手をユリエール体の前にまわし、左手の剣を壁に突き刺すキリト。俺は左手をキリトの体の前にまわし、右手の剣を突き刺す。こうして十字路ギリギリのところで止まった俺たちの目と鼻の先を死の弾丸が通り過ぎた。黄色いカーソルは十メートルほどいって止まった。またこちらに突進しようとしたので俺たちはその車線から退避して、そいつの姿を見た。死神としか言い様のない姿だった。武器は巨大な鎌。鎌というのは中距離の武器で、相手の盾に先を引っかけ、体制を崩す事ができる。ただし懐に潜り込まれたら終わりだし((今回の死神のように生身でも高い攻撃力を誇るものは体当たりで突き飛ばせばいいのだが))遠距離攻撃にも鎌の重さでかわせないし、ガードもできないので弱い。常に相手との間合いを考える必要がある。……何現実逃避しているんだ俺は……。識別スキルでデータが見えなかった。つまりこいつは間違いなく今まで会ったモンスターの中で最強!!

「アスナ、リン、今すぐ安全エリアの三人を連れて、クリスタルで脱出しろ」
キリトも識別スキルで確認したらしく擦れた声で言った

「え……?」

「こいつ、やばい。俺の識別スキルでもデータが見えない。強さ的には多分九十層クラスだ……」

「それですめばいいがな……裏ボス的なやつだろう……」
俺も声が擦れるのを抑えることができない。体は強ばり原始的な恐怖が俺の体を貫いている。濃厚な死の気配。まさに死神。そいつの名前は<<The Fatal-scythe>>意味は運命の鎌。その運命は果たして死か、生か……

「……!?」
アスナも息を呑んで体を強ばらせる。そうしたやりとりの間にも死神が少しずつ近づいてきた。まさに死が忍び寄るかのように

「俺が時間を稼ぐから、早く逃げろ!!」

キリトは叫ぶ。だが、その体は震えている

「アスナ……さっさと逃げろ」
キリトの隣に並び、俺は言う。震えて、今にも剣を捨て、座り込みたかったが俺には守りたい人、親友がいる。だから、座り込むわけにはいかない

「リン……」

「キリト……たまには俺にもかっこつけさせろよ」

「ははっ……わかったよ。だが、死ぬなよ。約束だぜ」

「お前こそな」

憎まれ口の応酬。やがて死神は急にスピードを上げてキリトの方に突進してきた。俺はいつでもサポートできるようにキリトの後ろに立つ。キリトは二本の剣をクロスし迎撃体制に。するといきなり横から白い閃光、アスナが走り込み剣を合わせた。そこに死神の鎌が振り下ろされた。サポートをする暇もなかった。二人は吹き飛ばされ俺のちょっと横に叩き付けられた。これによりキリトとアスナのHPが半分を割り込んだ。さらに死神の追撃。狙いはキリトとアスナ!!俺はキリト&アスナと死神の間に割り込む。両手の剣を合わせ死神ね鎌の軌道にほぼ平行になるように合わせた。ちょっとでも軌道がずれると三人とも仲良くあの世いきだった。賭けには成功し、鎌の軌道をずらすことに成功。俺たちのわずか右の地面に突き刺さった。余波で俺たちは飛ばされた。HPを確認するとアスナとキリトはレッドゾーン。俺はまだ残っている。俺は前にでる。思惑は成功し、死神の狙いはおれ一人にしぼられた。再び高威力の鎌が横なぎに振られた。俺は懐に潜り込みかわす。そして単発重攻撃<<ヴォーパル・ストライク>>を放った。だが、まるで石でもたたいたような衝撃を受けて俺の体は硬直し剣を落としてしまった。死神が少し下がり、俺に向かって鎌を振り上げた。俺は硬直。キリトとアスナは動けない。これは死んだな……

「すまない……アスナ、キリト、約束は守れない」

俺は鎌を見つめた。後ろでキリトとアスナが叫んでるのが聞こえる。だが聞こえない。全てがスローモーションに見える













そのスローモーションは視界一杯に広がった黒いものが登場して突然終わった。その直後、大音響とともに音がよみがえった。同時に目の前に【Immortal Object】の文字が浮かび上がった。復活した頭で考える。そして、すぐに一つの答えを導きだす

「ユイ……お前……やっぱり……」

ユイは俺の言葉には答えず悲しそうに眉をひそめた。その直後突然、ユイの掌に炎が生まれ、凝縮し、一振りの大剣となった。服が焼け落ち最初に見たときに着ていたワンピース姿になる。そして、その大剣を死神に向かって振り下ろした。死神は鎌で受けるが、熱により鎌が徐々に溶け、最後には死神ごと叩き斬られた。その一撃により死神は爆散。その後に残ったのは痛いぐらいの沈黙だった

「ユイ……ちゃん……」

沈黙を破ったのはアスナ。細剣を支えにアスナはゆっくり立ち上がり、キリトとともにこちらに向かって数歩歩み寄った。ユイは微笑んではいたが、その瞳は涙で一杯だった

「パパ……ママ……にい……。ぜんぶ、思い出したよ……」

「ユイ……辛かったら俺が……」

俺の言葉にユイは左右に首を振る

「私が言わないと……いけないから……」

俺に微笑むユイはとても痛々しかった
 

 

説明とシステム

 
前書き
これでユイ編は終わりです
 

 
安全エリアには黒い石机が設置してあった。そこにユイは座り俺、キリト、アスナがそれを囲んでいる状態だった。なお、ユリエールとシンカーは先に脱出してもらったのでもうここにはいない

ユイはしばらくためらっていたがアスナが訊ねたことによって重い口を開いた

「はい……。全部、説明します……キリトさん、アスナさん、リンさん。もっともリンさんはある程度推測できているとは思いますが……」
リンさんとよばれたことで何だか喪失感を感じる。何でだろうな……システムだっていうのに……知っていたのに……心が痛いんだが

「<<ソードアート・オンライン>>という名のこの世界は、ひとつの巨大なシステムによって制御されています。システムの名前は<<カーディナル>>、それが、この世界のバランスを自らの判断に基づいて制御しているのです。カーディナルはもともと、人間のメンテナンスを必要としない存在として設計されました。二つのコアプログラムが相互にエラー訂正を行い、更に無数の下位プログラム群によって世界の全てを調整する……。モンスターやNPCのAI、アイテムや通貨の出現バランス、何もかもがカーディナル指揮下のプログラム群に操作されています。……しかし、ひとつだけ人間の手に委ねなければならないものがありました。プレイヤーの精神性に由来するトラブル、それだけは同じ人間でないと解決できない……そのために、数十人規模のスタッフが用意される、はずでした」

「GM……ユイ、つまり君はゲームマスターなのか……?アーガスのスタッフ……?」

「馬鹿か。ユイは"はずでした"と言ってるじゃないか。それにこんな歳のアーガスのスタッフが存在しているわけがない。残った選択肢はただひとつ」

ユイはひとつ頷くとまた口を開いた

「カーディナルの開発者たちは、プレイヤーのケアすらもシステムに委ねようと、あるプログラムを試作したのです。ナーヴギアの特性を利用してプレイヤーの感情を詳細にモニタリングし、問題を抱えたプレイヤーのもとを訪れて話を聞く……。<<メンタルヘルス・カウンセリングプログラム>>、MHCP試作一号、コードネーム<<Yui>>。それがわたしです」

「プログラム……?AIだっていうの……?」

ユイは悲しそう笑顔のまま頷いた

「プレイヤーに違和感を与えないように、わたしには感情模倣機能が与えられています。……偽物なんです、全部……この涙も……。ごめんなさい、アスナさん……」

アスナはユイを抱きしめようとしたが、ユイはそれを拒否するように一歩下がった。アスナは、抱きしめるのをやめ、さらに言葉を重ねる

「でも……でも、記憶がなかったのは……?AIにそんなこと起きるの……?」

「……二年前……。正式サービスが始まった日……何が起きたのかはわたしにも詳しくは解らないのですが、カーディナルが予定にない命令をわたしに下したのです。プレイヤーに対する一切の干渉禁止……。具体的な接触が許されない状況で、わたしはやむなくプレイヤーのメンタル状態のモニタリングだけを続けました。状態は……最悪と言っていいものでした……。ほとんど全てのプレイヤーは恐怖、絶望、怒りといった負の感情に常時支配され、時として狂気に陥る人すらいました。わたしはそんな人たちの心をずっと見続けてきました。本来であればすぐにでもそのプレイヤーのもとに赴き、話を聞き、問題を解決しなくてはならない……しかしプレイヤーにこちらから接触することはできない……。義務だけがあり権利のない矛盾した状況のなか、わたしは徐々にエラーを蓄積させ、崩壊していきました……」

俺たちは何も言えない中ユイの独白が続く

「ある日、いつものようにモニターしていると、他のプレイヤーとは大きく異なるメンタルパラメーターを持つ三人のプレイヤーに気付きました。喜び……安らぎ……でもそれだけじゃない……。この感情はなんだろう、そう思ってわたしはその三人のモニターを続けました。会話や行動に触れるたび、わたしの中に不思議な欲求が生まれました。そんなルーチンはなかったはずなのですが……。あの三人のそばに行きたい……直接、わたしと話をしてほしい……。すこしでも近くにいたくて、わたしは毎日、三人のうち二人の暮らすプレイヤーホームから一番近いシステムコンソールで実体化し、彷徨いました。その頃にはもうわたしはかなり壊れてしまっていたのだと思います」

「それが、あの二十ニ層の森なの……?」

「はい。キリトさん、アスナさん、リンさん……わたし、ずっと、お三方に……会いたかった……。森の中で、お三方の姿を見た時……すごく、嬉しかった……。おかしいですよね、そんなこと、思えるはずないのに……。わたし、ただの、プログラムなのに……」

「システムだ、人間だなんて関係ない……」
俺は口を開く、過去の後悔と反省を考えながら

「そうやって自分で考えて、行動できるならシステムだろうが関係ない。ユイは俺の立派な妹だ」

「そうだよ。ユイちゃん。ユイちゃんは……わたしたちは家族でしょ?」

「そうだぞ、ユイ」

俺たち三人の言葉でユイは目を丸くしていたが、しばらくすると嬉しそうに微笑んだが、それにはどこか寂しさが混じっていた

「リンさん……キリトさん……アスナさん……ありがとうございます……家族なんて言ってもらって……すごく嬉しいです」

俺たちはユイにつられて微笑むが次の言葉で困惑したような顔に変わる

「でも……もう……遅いんです」

「なんでだよ……遅いって……」

「わたしが記憶を取り戻したのは……あの石に接触したせいなんです」

ユイは部屋の中央にある黒い立方体を指差した

「さっきアスナさんがわたしをこの安全地帯に退避させてくれた時、わたしは偶然あの石に触れ、そして知りました。あれは、ただの装飾的オブジェクトじゃないんです……GMがシステムに緊急アクセスするために設置されたコンソールなんです」

ユイが言ったとたん黒い石の表面に青白いホロキーボードが浮かび上がった

「さっきのボスモンスターは、ここにプレイヤーを近付けないようにカーディナルの手によって配置されたものだと思います。わたしはこのコンソールからシステムにアクセスし、<<オブジェクトイレイサー>>を呼び出してモンスターを消去しました。その時にカーディナルのエラー訂正能力によって、破損した言語機能を復元できたのですが……それは同時に、今まで放置されていたわたしにプログラムが走査しています。すぐに異物という結論が出され、わたしは消去されてしまうでしょう。もう……あまり時間がありません……」

「そんな……そんなの……」

「ユイ……一つ聞きたい。ユイはどうしたい?可能性とかはどうでもいい……ユイはユイ自身はどう思っている?」

「わ……わたしは……」

「ユイちゃん!?」

消えそうに薄くなっていくユイに近づこうとするアスナを止めながらユイに先を促す

「わたしは……にいやパパやママと……一緒にいたい!!」

「わかった……助けるさ……いつだって……それが兄としての努めだ!!」

ユイは光に包まれ完全に消える。次の瞬間俺はキリトを抱えシステムコンソールに飛び付いた

「なっ、なんだ!?」

「今ならまだこのコンソールは使える。ユイのシステムをカーディナルから切り離すことができれば!!手伝えキリト!!」

あまり俺はコンピュータが使えない。だからキリトに協力を仰ぐ。俺の意図を汲み取ったキリトは凄まじい勢いでキーボードを叩きだした。そして……

破裂するような効果音とともに俺とキリトはコンソールから弾き飛ばされる

そしてキリトの手と俺の手にはしっかりと握られたクリスタルがあった。驚いて駆け寄ってきたアスナに向かって俺たちは笑みを浮かべてクリスタルを差し出した

「こ、これは……?」

「……ユイが起動した管理者権限が切れる前に、ユイのプログラム本体をどうにかシステムから切り離して、オブジェクト化したんだ……。ユイの心だよ、その中にある……全く、リンが気付いてくれてよかったよ……」

「ユイちゃん……そこに、いるんだね……。わたしの……ユイちゃん……」

アスナはそれだけ言うと泣き出した

















「ね、キリト君とリン君」

「「ん?」」

「もしゲームがクリアされて、この世界がなくなったら、ユイちゃんはどうなるの?」

「ああ……。容量的にはギリギリだけどな。クライアントプログラムの環境データの一部として、俺のナーヴギアのローカルメモリに保存されるようになっている。向こうで、ユイとして展開させるのはちょっと大変だろうけど……きっとなんとかなるさ」

「そっか」

アスナはキリトに抱きつく

「じゃあ、向こうでまたユイちゃんに会えるんだね。わたしたちの、初めての子供に」

「ああ。きっと……まあ、少しでか過ぎるが子供が今いるけどな」

「そうだね」

アスナは俺を抱きしめてくる。俺は抵抗しようとしたがやめた。アスナの目に光るものがあったからだ。しばらくして泣き止んだアスナは顔をあげると

「リンちゃん……」

「リンちゃんはやめてくれ」

キリトの爆笑とアスナの涙と俺の苦笑いがとてもカオスだった 
 

 
後書き
蕾姫「……」

なのは「何でわたしのセリフがあるのかな?」

蕾姫「最後まで言ってないからいいじゃ……」

魔王「おはなしする?」

蕾姫「すみませんでした!!」

リン「おいおい、限定された人にしかわからないネタを使うなよ……」

蕾姫「いや、いいセリフじゃん?使いたかったんだよ魔王様のセリフ」

魔王「魔王じゃないよ!……スターライト……」

蕾姫「……へっ?」

魔王「ブレイカー!!」

リン「この後書きは作者のノリと気分とパクリによって制作されています、これからもこの小説をよろしくお願いします!」
 

 

レッドとグリーン

あの後、キリトとアスナの家に招かれ夜遅くまでユイの話をした

実は俺がキリトとアスナの家に行ったのはついでである。予想外の事件に時間を取られたが本来の目的は最前線で出会ったある人の依頼である。ここにプレイヤーホームがある木工職人プレイヤーなのだが、ある日、木を採っていると複数のオレンジプレイヤーが一人のプレイヤーを囲んでいたという。そうして見ているとそのプレイヤーは殺されてしまった。さらに震えながら見ていると近くに洞穴の中に入って行ったという。このままでは安心して木を拾いに行けない。助けて欲しいという。俺がその依頼を受けたのは単純にキリトとアスナの生活を守りたいと思ったからだ……うん、親孝行者だと思ったやつ、君とはどうやら拳で語り合わないとダメみたいだ。そんなわけで俺はキリトとアスナに別れをつげ森の中に分け入った


















しばらく歩くと例の木工職人プレイヤーの言っていた洞窟が見えた。とりあえず近くの草むらに隠れる。ちなみに俺の隠密スキルはコンプリートしているのでよほどのことがなければばれることは無いだろう。と隠れ、索敵スキルで走査すると二つ向こうの草むらに五人組のパーティーが隠れているのがわかった。色は全員グリーン。男三人で女二人。十中八九俺と同じ依頼を受けた連中だ。ちなみに俺があの男を見かけたのは五十層だった。装備のグレードから察するに実力は中の中ってところだろう。中層プレイヤーのボリュームゾーンのプレイヤーだな。考えていると洞窟の前に、オレンジプレイヤーが五人ほど集まってきた。だが索敵スキルによると洞窟のすぐ中に五人。あっち側の左の草むらに三人、右の草むらに二人、計十五人。どうやら俺の近くにいるパーティーはばれてるらしくそっちに向けてちらちらとオレンジプレイヤーが視線を向けている














少し間を置いてあのパーティーは作戦を決めたらしく……全員で突っ込んだ……おいおい、作戦はないんかい……まあ、不意討ちの時点で作戦なんだが。先頭は男、武器は大剣。そのうしろ二人も男。片手剣と曲刀。そのうしろに女二人が続く。武器は二人とも両手槍。バランスがいい。がレベル差と戦略の差があったらしく囲まれて徐々にHPを減らしていく。必死に守っているがやはりピンチだろう。俺は囲まれた時点で救うべく片手剣を一本出して走りだした

「さて……双方武器を止めてもらえますか?」

突然の乱入者に驚いたのように動きを止めた

「誰だ?」

どうやら首領格のようで防具のグレードが俺のついで高い。なおグレードは、俺>>>>>>>>>>首領>部下>パーティーです。俺のは真っ黒なだけなんだけど

「まあ、通りすがりの冒険者です」

「馬鹿言え、ここは通るようなところじゃねぇ」

「こいつは俺が釣ってきた獲物っすよ」

洞窟から出てきた見覚えのあるグリーンが一人

「え?何でここにいるんですか?」

パーティーのうちの女の一人が疑問の声を上げる

「馬鹿か、獲物を釣る餌役だよ。こいつは」

「なっ……」

驚いて目を丸くする女性

「で、お前何者だ?俺の索敵スキルで隠密を破れなかったんだが」

「獲物を選ぶときはしっかり戦力を見定めてからした方がいいですよ?」

俺はパーティーのメンバー全員を放り投げ、俺はジャンプで囲みを脱出する。するとメンバーのうち男は全員一目散に逃げ出した。女は俺を心配してか、残っていた

「ねぇ……さっさと逃げようよ」

「それが……得策」

「俺は心配いらない。お二人さんはさっさと逃げな。正直、邪魔だ」

「足手まといって……」

「済まないな、君らのレベルは見たところあいつらよりも低い。だから逃げろって言ってるんだよ」

「低いって……あなたの装備、金属のない黒い布製じゃない!片手剣なのに盾持ってないし……」

「おいおい、こっちを無視してんじゃねぇよ!」

「あ〜、ごめん忘れてた」

「てっ、てめえ……」

「まあ、気にするな。それよりおまえら全員牢獄に飛んでくれませんか?それとも放り込まれたいですか?」

「ふざけんじゃねぇ!!」

一人の犯罪者プレイヤーが剣を振りかぶって向かってくる。得物は大剣。もちろん勢いのついた大剣は片手剣では受けとめることはできない。現実ならば……


「なっ、なにい!?」

その声は俺が片手剣で大剣を受けとめたことによる驚きの声だ

「筋力補正に差がありすぎたな。さて実力の差がわかってもらえたところで牢獄に飛んでくれませんか?」

「だが……全員でかかれば……」

「戦闘時回復の回復をうわまることができればな。ちなみに俺のレベルは90を越えてるぞ?」

「なっ……」

「えっ……」

「こっ、攻略組だと!?」

「黒い服に盾無しの片手剣……双剣使い<<黒の剣士>>だと!?」

また間違えられた

「双剣使いはあってるが、俺はキリトじゃないから<<黒の剣士>>ではないな」

「くっ……」

「まあ、飛んでもらおうかな…コリドーオープン!」

手に持っていたクリスタルは砕けちり光の渦が現れる

「この世界で犯罪を犯して何が悪い!所詮ゲームだろ?VRMMOだろ?だったら権利の奪い合いじゃねぇか!その過程で殺しても別にいいじゃねぇか!」

「お前はこの世界をバーチャルワールドだと思ってるのか?いいや、そんなわけわない。バーチャルワールドだと思ってるならここまで生き残ってないからな……それでも殺す。それはただの殺人だ」

「それの何が悪い。お前らグリーンと俺たちレッドは何が違うんだよ!お前らは生き残るためにモンスターを狩る、殺す。俺たちはプレイヤーを狩る、殺す。対象が違うだけじゃねぇか!!」

「確かにそうだな……だがお前らは殺人を楽しんでいる。ただの遊びとして人を殺している。そんなことが許されると思っているのか?」

「ぐっ……」

「わかったなら……さっさと行け」

「ち……ちくしょう。何で攻略組が俺の依頼を受けたんだ……」

「この近くに親友の家があるんでな。そいつらも攻略組だが、安心して生活させてやりたくてな」

「運が悪かったわけだ……」

犯罪者たちは観念したかのように光の渦に入っていく。そして全員がいなくなり光の渦は消えた

「さて……何でまだ残ってるのかな?逃げろって言ったよね」

「心配で……まあ、する必要はなかったんですけどね」

「えっと、ありがとう……」

「どういたしまして。それじゃ、俺はこれで」

俺は踵を返す

「あの……お名前は?」

「リンだ」

「リンさんですね?わたしは……」

「いや……言わなくていい」

「え?」

「現実で会えたら聞くよ。だから、生き残れよ?」

「「はい」」

こんどこそ俺はその場を去る









……自分の吐いた台詞の臭さに悶えながら 
 

 
後書き
蕾姫「最後ので台無しだよリン!」

リン「いやいや、恥ずかしすぎるから!ってか何で名前出さなかったんだ?」

蕾姫「出オチ&モブだから?」

リン「あれ、絶対フラグたったよね!?」

蕾姫「回収する気ナッシング」

リン「新しいヒロインっぽかったじゃん……」

蕾姫「オリキャラは一人。これは曲げたくない!!」

リン「可哀相に……」

蕾姫「出してやろうか?盾役として」

リン「あんた、黒いな……」

蕾姫「まあ、出ない予定だけどね。暗すぎるの嫌いだし」

リン「……そうか……」

蕾姫「この小説を読んでくれてありがとう。これからもよろしくお願いします」
 

 

魚釣りと最後の休暇

二人と別れ俺は来た道を戻っていた。途中にあった湖で三十人ほどがわいわい騒いでいたので行ってみることにした

「こんにちは」

「おう、こんにちは」

わ、は、は、はと豪快に笑う爺さん……元気だな

「えっと、ここでは何をやっているんですか?」

「見ての通り釣りじゃよ。それで大会を開いておったんじゃ」

「へえ……おもしろそうですね……おっと、申し遅れました。俺はリンです」

「こりゃ、丁寧にどうも。ニシダというもんですわ」

わ、は、は、はとまた豪快に笑う……とその時、向こうからキリトと……生活に疲れたような人が来た。まあ、アスナだろう……人気者はつらいんだな。キリトたちは俺がいることに驚いたようだった

「なっ、何でいるんだ!?」

「たまたま、通りかかっただけだ。昨日ぶり、キリトとその奥さん?」

まあ、気をつかってアスナの名前は出さなかった

「助かる」

キリトが囁いてくる

「ねぇ……何でわかったの?」

アスナも囁いてくる

「キリトのそばにいる可能性のある女性でその身長はアスナだけさ……あとはもっと小さいし」

囁き返す俺……アスナがキリトに詰問してる

「おや、お知り合いですかな?」

「ええ……まあ」

言葉を濁すアスナ

「まあ、腐れ縁というやつです」

お茶を濁す俺

「まあ、いいです。それより晴れてよかったですなぁ!」

「こんにちはニシダさん」

その後、全員に挨拶する。幸いというか、アスナの正体はばれなかった

「え〜、それではいよいよ本日のメイン・イベントを決行します!」

周囲の連中が大いに沸いた。……何をするんだ?ニシダの手には長い竿と、太い糸それにぶらさがっている巨大なトカゲを見ながら思った

「何をするんだ?」

小声でキリトに尋ねる

「ヌシを釣るために竿のスイッチをするんだと。俺とニシダさんが」

「そうか……」

キリトの筋力パラメーターで釣れないわけがないが……オーバーすぎじゃね?口には出さないがそんなことを思っていると、釣りを見たこともやったこともない俺にでもわかるような見事なフォームで竿を振ると巨大なトカゲは飛んでいき、湖に沈んだ。しばらくするとピクピクと動く

「き、来ましたよニシダさん!!」

「何の、まだまだ!!」

ニシダがいつもよりもさらに爛々と輝かせ、竿の先をにらんでいる。その竿の先がいっそう深く沈み込んだ瞬間

「いまだっ」

ニシダが体を反らせ竿を引く。次の瞬間、キリトに手渡す

「掛かりました!!あとはお任せしますよ!!」

「うわっ!こ、これ、力一杯引いても大丈夫ですか?」

「最高級品です!思い切ってやってください!」

その言葉を聞いたキリトは全力をだした。竿が中程から逆Uの字に大きくしなっている。こんなときになんだが、俺、アスナ、キリトの力関係を説明するとレベルは俺>キリト>アスナで筋力はキリト>俺=アスナ。敏捷力は俺>アスナ>キリトである。技の好みはキリトは力での押しを得意とするが俺はどちらかというと絡め手の技を得意とする。アスナは技術で勝負するタイプ。俺はアスナに近いがキリトとも似たところがある。つまり中間なんだ。二人の。そんなことを考えているとアスナが身を乗り出し、水中を指差した

「あっ!見えたよ!!」

俺は無駄な思考を停止し、湖面を注視する。キリトが一際強く竿をあげると、何やら巨大な魚のようなものが湖から外に飛び出した

「……ふむ……」

シーラカンスに似た六本足のやつが立っている。キリトの前に。俺は剣を出す。次の瞬間キリトの姿が後ろに消えた。そして、後ろでキリトが何やら抗議をしているが、その間に巨大魚?はこちらに走ってくる。俺は知的好奇心を掻き立てられながら後ろ向きに後退した

「主婦さん」

「何〜?」

「倒してもいいのか?」

一応確認をとる

「いいけどわたしも行く」

すぐにいつもの姿に戻ったアスナが来た。手にはいつもの細剣

「もう、いいのか?ばらして」

「あっ……」

天然すぎるだろアスナ!!

「まあ、いいか……先制よろしく」

俺の方が大技を繰り出すためアスナが先に行った方がいいのだ。後ろでニシダさんとかニシダさんとかキリトとかが騒いでるが全く気にしない。その間にもアスナが確実に巨大魚のHPを減らす。まるで舞でも舞っているかのように剣を叩きこんでいく

「スイッチ!」

アスナが叫んだとたん俺はニ刀流重突進技、<<ダブル・サーキュラー>>を放った。この一撃でHPが0になったらしく魚?はポリゴンとなって砕け散った

「スイッチいらなかったよな?」

「まあ……ね。あのタイミングでスイッチするつもりだったんだけど、予想外にHPが減ってたから」

アスナは苦笑いで応じる。そして、二人でキリトのもとに戻る

「よ、お疲れ」

「わたしたちだけにやらせるなんてずるいよー。今度何かおごってもらうからね」

「もう財布も共通データじゃないか」

「残念。俺は違うぞ」

「げ。そうだった」

「それってわたしのところから出ることと同じだよね」

「あはは……」

フリーズしていた釣りメンバーのうちニシダがいち早く復活し口を開いた

「……いや、これは驚いた……。奥さん、リンさん、ず、ずいぶんお強いんですな。失礼ですがレベルはいかほど……?」

キリトとアスナは顔を見合わせた。君らが考えていることは予想がつくがもう手遅れだと思うぞ

「そ、そんなことよりホラ、今のお魚さんからアイテム出ましたよ」

アスナが白銀に輝く一本の釣り竿が出現した

「お、おお、これは!?」

ニシダは誤魔化せると思うが……

「あ……あなた、血盟騎士団のアスナさん……?」

一人の若いプレイヤーが前に出てくる。ほーらばれた

「そうだよ、やっぱりそうだ、俺写真持ってるもん!!」

「う……」

「か、感激だなあ!アスナさんの戦闘をこんな間近で見られるなんて……。そうだ、サ、サインお願いしていいで……」

キリトとアスナの間で視線を往復させて数秒

「け……結婚、したんすか……」

しょうがないから助けをしてやる

「はいはい、この二人は夫婦だからアスナを狙ってた人は、諦めてねー。もし二人の中を引き裂くような真似をしたら……」

そこで、言葉を切りいい笑顔で(目は笑っていないが)

「その身を引き裂くよ?」

「「「「「ひいっ!?」」」」」

そこにいたニシダ、キリト、アスナ以外が悲鳴を上げる。笑顔に恐怖するとは失礼な。俺はただお願いしてるだけなのに

「それじゃ、ニシダさんはこれで」

「ああ……わかった」

キリトとアスナの腕を引いてキリトとアスナの家に戻る












「リン君の顔、凄く恐かったよ」

「74層のボスより恐かった……」

……失礼な……

「でも、ありがとう。助かったよ」

「おう、じゃあ俺はこれで帰るわ」

「泊まっていけばいいのに……」

「新婚の夫婦の間に入るつもりはないんでね」

「ああ、じゃあおやすみ」

俺は無言で手を振る。この時は知らなかったが、数時間後、また会うことになる
 

 

情報と会議と

次の日、前線のヒースクリフからメールが届いた。75層のボス戦をするから参加しろと。もちろんキリトとアスナにも来ていた。キリトはぶつぶつしていたがアスナがなだめていた。まあ、すでに死者が出ているって言われたらな……

二十ニ層の転移門広場ではニシダが俺たちを待っていた。昨日ニシダだけに出発時間を知らせたからだ

「ちょっとお話よろしいですか?」

そのニシダの言葉に頷いて、広場のベンチに腰掛ける

「……正直、今までは、上の階層でクリアを目指して戦っておられるプレイヤーの皆さんもいるということがどこか別世界の話のように思えておりました。……内心ではもうここからの脱出を諦めていたのかもしれませんなぁ」

俺たちは無言でニシダの言葉を聞く

「ご存知でしょうが電気屋の世界も日進月歩でしてね、私も若い頃から相当いじってきたクチですから今まで何とか技術の進歩に食らいついて来ましたが、二年も現場から離れちゃもう無理ですわ。どうせ帰っても会社に戻れるか判らない、厄介払いされて惨めな思いをするくらいなら、ここでのんびり竿を振ってたほうがマシだ、と……」

「俺も、同じことを考えていました。ここには、抑圧してくる親も、絶対にやらなければならないものはないですから……でも、俺は戻らないといけない。現実世界にやり残したことがあるし、何より会いたい人がいる」

……まあ、キリトのやつに気付かされたんですけどねとつぶやいてさらに言う

「この世界に来たことは後悔していません。キリトにもアスナにも……その他大勢のプレイヤーにも……もちろんニシダにも出会えた。こうやって、会話もできる。この世界で生きている。データが作り上げた、仮初めのものだとしても、この世界で経験したり感じたことは本物だと思うんです。だから、ニシダさんもこの世界で経験したり感じたりしたことは決して無駄ではないと思います」

俺の勝手な自己解決ですけどと苦笑まじりにつぶやいて口をつぐむ

「……そうですなぁ、本当にそうだ……」

ニシダの眼鏡の奥で光るものがあった。キリトは涙目。アスナは盛んにうなずいている

「今のリンさんのお話を聞けたことだって貴重な経験です。五メートルの超大物を釣ったことも、ですな。……人生、捨てたもんじゃない。捨てたもんじゃないです」

ニシダは立ち上がった

「や、すっかり時間を取らせてしまいましたな。……私は確信しましたよ。あなたたちのような人が上で戦っている限り、そう遠くないうちにもとの世界に戻れるだろうとね。私にできることは何もありませんが、……がんばってください。がんばってください」

最後にニシダと握手をしてわかれる

「また、戻ってきますよ。その時は付き合ってください」

「では、また」

そして俺たちは転移門の中に入り

「「「転移……グランザム!」」」

ボス戦の舞台へと転移した














「偵察隊が、全滅!?」

場所は血盟騎士団のギルド本部の会議室。ヒースクリフからの報告を一言聞いたとたんキリトは叫んだ。キリトがそう叫ぶが無理もない。あくまで偵察なのだ。しかも偵察したのは、一握りのハイレベルプレイヤー。かく言う俺も驚きを隠せないのだ

「昨日のことだ。七十五層迷宮区のマッピング自体は、時間は掛かったがなんとか犠牲者を出さずに終了した。だがボス戦はかなりの苦戦が予想された」

今までのボスでもクォーターポイントごとに一つ飛び抜けた強さを誇っていたからだ

「……そこで、我々は五ギルド合同のパーティー二十人を偵察隊として送り込んだ」

二十人……破格の多さだな

「偵察は慎重を期して行われた。十人が後衛としてボス部屋入り口で待機し……最初の十人が部屋の中央に到達して、ボスが出現した瞬間、入り口の扉が閉じてしまったのだ。ここからさきは後衛の十人の報告になる。扉は五分以上開かなかった。鍵開けスキルや直接の打撃等何をしても無駄だったらしい。ようやく扉が開いた時……」

一瞬ヒースクリフは口と目を閉じて、言葉を続ける

「部屋の中には、何も無かったそうだ。十人の姿も、ボスも消えていた。転移脱出した形跡も無かった。彼らは帰ってこなかった……。念の為、基部フロアの黒鉄宮までモニュメントの名簿を確認しに行かせたが……」

無言で首を振るヒースクリフ

「十……人も……。なんでそんなことに……」

「結晶無効化空間……それに開かない扉……か」

ヒースクリフは無言で首肯すると先を続けた

「そうとしか考えられない。アスナ君の報告では七十四層もそうだったということだから、おそらく今後全てのボス部屋が無効化空間と思っていいだろう」

「バカな……」

「たまたまだと信じたいけどな」

悲観論で考え楽観論で行動しろってな……どこで聞いたっけ?

「いよいよ本格的なデスゲームになってきたわけだ」

「だからと言って攻略を諦めることはできない」

ヒースクリフは目を閉じて、きっぱりとした口調で言った

「結晶による脱出が不可な上に、今回はボス出現と同時に背後の退路も絶たれてしまう構造らしい。ならば統制の取れる範囲で可能な限り大部隊をもって当たるしかない。新婚の君たちを召喚するのは本意ではなかったが、了解してくれ給え」

「俺の任せて新婚生活をエンジョイしてくれっていいたいけど、絶対断るだろ」

「当たり前だろ?親友が死と隣合わせのところにいるのに楽しんでられるかよ」

「まあ、楽しんでいたけどな」

「うぐっ……」

ちょっとだけ空気が和む。ヒースクリフの纏う空気以外だが。キリトは気を取り直して言う

「協力はさせて貰いますよ。だが、俺にとってはアスナとリンの安全が最優先です。もし危険な状況になったら、パーティー全体よりも彼女を守ります」

ヒースクリフはかすかな笑みを浮かべた

「何かを守ろうとする人間は強いものだ。君の勇戦を期待するよ。攻略開始は三時間後。予定人数は君たちを入れて三十ニ人。七十五層コリニア市ゲートに午後一時集合だ。では解散」

ヒースクリフ以下配下の男たちは一斉に立ち上がり出ていった

「なあ、キリトとアスナ」

「「うん?」」

「やつの、ヒースクリフについて何か変わったことはないか?」

「変わったことって……ねぇ?」

「うーん……」

「いや、システム的にあり得ないとか、おかしなセリフとかあったら知りたいんだ」

先ほどのヒースクリフの目が気になったのだ。十人が死んだと告げたとき、目を閉じる寸前に目に浮かんだ冷ややかな光が

「そういえば、この間のあいつとのデュエルで最後にあり得ない動きをしてたな……今まで見た誰よりもあの一瞬、速かった……で、これがどうかしたのか?」

「いや……それだけ聞ければ十分だ」

証拠はないが……

「そうか……」

「何か気になるの?」

ユイのときのようなことを想像しているのだろう。がやつに今戦線を抜けてもらっては困るので黙っておく

「何でもない。じゃあ、俺も行くわ。新婚のお二人さんは仲良く、装備の確認でもしておけよ?」

「なっ……」

おーおー真っ赤だねぇアスナさん。その言葉を最後に俺はその場を離れた 
 

 
後書き
蕾姫「アリアだね」

黒雪姫「アリアだな」

リン「アリアかよ」

キリト「……うるさい……って言うか誰なんだ!?真っ黒で両手両足が剣の人?は!?」

蕾姫「特別ゲストの黒雪姫さんです。原作の作者の書いているもう一つの小説、アクセルワールドのメインヒロインです」

黒雪姫「ふむ、よろしく頼むぞ」

リン、キリト「よろしくお願いします」

蕾姫「いやー、ついにアニメ化&ゲーム化するな、ソードアート・オンラインとアクセルワールド」

リン「俺の活躍はあるかな?」

蕾姫「あるわけないだろ……オリキャラなんだし……つか、ここにいる全員好きな人いるんだよな……リア?充爆発しろ!!!」

キリト、リン、黒雪姫「「「ほう?」」」

蕾姫「そっ、その右手を大きく後ろにひねるその構えは……奪命撃<<ヴォーパル・ストライク>>じゃ……」

キリト、リン、黒雪姫「「「はぁっ!!」」」

蕾姫「ぎゃぁぁぁぁ!?」

リン「悪は滅びた……というわけでこれからもこの小説をよろしくお願いします!」
 

 

ボス戦と……

 
前書き
遅くなりました 

 
七十五層のコリニア市のゲート広場には、多数のプレイヤーがいた。その中にハゲた斧使いと刀を担いだ悪趣味なバンダナやろうを発見したので……バンダナの方だけ足払いをかました

「ぬぉぁ!?」

期待通りに転んでくれたので俺はハゲた斧使い、エギルに話しかけた

「よう、おまえも参加するのか」

「おう、リン。久しぶりだな」

その時下からバンダナが起き上がってきた

「てめぇ、リン!何しやがる!」

「足払い」

「……まあ、そうか……ってそういうことじゃねぇよ!」

その時、再び門が光見知った顔が現れたのでバンダナの刀使い、クラインを無視してそっちに行った。クラインも諦めたらしく、俺の後ろをエギルとともに着いてきた

「よう、キリト」

「よう、リン。あれ?クラインやエギルも参加するのか」

「今回はえらい苦戦しそうだって言うから、商売を投げ出して加勢にきたんじゃねえか。この無私無欲の精神を理解できないたぁ……」

「無私の精神はよーく解った。じゃあお前は戦利品の分配からは除外していいのな」

「いや、そ、それはだなぁ……」

笑いが起こる。ピンと張り詰めていた空気が少し和らいだ気がしたが、次の瞬間、ヒースクリフを筆頭とする血盟騎士団の精鋭が姿を現すと再び空気が張り詰めた。そして俺たちの前に歩みを進めると口を開いた

「欠員はないようだな。よく集まってくれた。状況はすでに知っていると思う。厳しい戦いになるだろうが、諸君の力なら切り抜けられると信じている。……解放の日のために!」

おおーという声が上がる

「キリト君、それにリン君、今日は頼りにしているよ。<<二刀流>>、存分にふるってくれたまえ」

その声には気負いも恐怖も感じられない。かなり不自然だと俺は思うが……

「では、出発しよう。目標のボスモンスタールーム直前の場所までコリドーを開く」

周囲のプレイヤーたちから驚きの声が上がる。ヒースクリフが「コリドー・オープン」と呟くと転移門によくある揺らめく光の渦が出現した

「では皆、ついてきてくれたまえ」

ヒースクリフのあとに続き転移をした。転移するとそこはもうすでにボス部屋の前だった。重厚感溢れる門がそこに鎮座している。門の隙間からは重い冷気を含んだ風が吹いてくるような感じがして思わず身震いしてしまった

「……なんか……やな感じだね……」

「ああ……」

後ろでキリトとアスナが話しているが、それには俺も同感だ……っと、装備の確認でもしておこうかな

「死ぬなよ」

「当たり前だろ」

キリトが肩を叩きそんなことを言ってきたので不敵に笑い返す。そういうやり取りをしている間に、二人のプレイヤーが扉を開けた

「戦闘、開始!」

そう高々と言ったヒースクリフを先頭に全員が中へ走りだす









全員が中央につくと後ろの扉が音高くしまった。しかし、数秒間痛いほどの沈黙が続く。それに耐えられないといった感じで一人のプレイヤーが「おい……」と声を上げた次の瞬間

「上よ!」

アスナが鋭く叫ぶ。それに反応して素早く顔を上げると、骸骨の顔、巨大な一対の鎌、そして長い無数の足がある胴、名前は<<The Skullreaper>>……骸骨の刈り手が天井近くに張り付いていた。が、そうこうしているうちに全ての足を広げ、俺たちの方へ落ちてきた。大半はさすがの反応速度を見せ、落下地点からすぐに離れたが、落下地点の中央にいた三人のプレイヤーの反応が遅れた

「こっちだ!!」

キリトが叫び、その言葉に我に返った三人は走りだしたが、落ちてきた骸骨百足から発生した衝撃でたたらを踏んだ三人の背中に右腕が横薙ぎに振り下ろされた。三人はぶっ飛ばしたされ、空中で無数のポリゴンとなって霧散した

「……あり得ない……」

思わずつぶやいた。レベルが上がれば、HPの総量は増える。つまり、死ににくくなる。にもかかわらず、三人は一撃死した。そうこうしているうちに新たなターゲットを決めたらしく骸骨百足が一つのプレイヤーの集団。俺から見れば右手のプレイヤー群に向かっていった

「わぁぁぁぁ!!」

狙われたプレイヤーたちが恐怖の叫びを上げる。そして、そのプレイヤーたちに必殺の鎌が振り下ろされ……なかった。ヒースクリフが鎌を迎撃。弾き返した。もう一つの鎌はキリトとアスナが完全にシンクロした動きで対処している。ならば、俺たちのやるべきことは……

「皆、側面から攻撃だ!」

俺が声を張り上げると皆が「おうっ」と応えて骸骨百足の側面にそれぞれの武器を叩きつける。俺も一対の双剣を叩きつける。まず、右手の剣で水平四連撃<<ホリゾンタル・スクエア>>を放つ。右腕を意識から外し、左腕に意識を集中させる感覚、俺の編み出したシステム外スキル<<スキルコネクト>>。左腕で放つ三連撃<<バーチカル・スクエア>>。ここで意識をさらに左腕から外し、右腕に移す。その時、骸骨百足の足がこちらに突きを放ってきたので、右腕で<<ヴォーパル・ストライク>>を放ち迎撃。反動で後ろに下がり、カウンター気味の双剣重突撃技<<ダブル・サーキュラー>>を放つ









それからは、あまり記憶になかった。無数に繰り出される足技をパリィで弾き、隙を見ては<<スキルコネクト>>で多段ソードスキルでHPを削る。他の場所からは悲鳴、気合い、怒号、そして、アバターの破裂音。それらが響き渡る戦場でひたすら剣を振るい、骸骨百足が爆散したとき、腰を下ろしてしまった。そして、お互いに背中を預け座り込んでいる、キリトとアスナが目に留まったので、ひとまず安堵し、そちらに這っていった

「……よかった……生きてたか」

「当たり前だろ……?死なないって行っただろ……?」

まさにいき絶え絶えといった感じでキリトがこたえる

「三人……生き残れたね……」

キリトの後ろでアスナが言った。俺も二人にもたれかかる。しばらくその状態で茫然としていた。すると、そばにいたクラインが訊ねてきた

「何人……やられた……?」

クラインの向こうで仰向けに寝ているエギルもこちらに目を向けてきた。キリトは手を振りマップを呼び出すとプレイヤーの光点を数えた

「……十四人、死んだ」

「……うそだろ……」

トッププレイヤー、三十人中十四人も死んだのだ。ダンジョンはあとニ十五層。この上はこの七十五層ほど強いとは思えないが、かなりの強さだろう。そんなんでクリアできるのだろうか?
今、このフィールドで立っているのはヒースクリフただ一人だ。その視線は血盟騎士団のメンバーに向けられている。その視線は暖かいがまるで




実験動物を見ているような視線だった。この時、疑念は確信し変わった。ヒースクリフのHPはギリギリグリーン。その時、キリトが動いた。目から読み取れた言葉は"ごめん"だった。キリトは身をひねりながらヒースクリフに向かって駆け出した。片手剣の基本突進技<<レイジスパイク>>を発動していた。ヒースクリフが驚きに目を見開いて盾を使いガードしようとするがキリトの剣は途中で鋭角に動きを変え、ヒースクリフに直撃した。ヒースクリフとキリトの間に【Immortal Object】つまり不死存在の文字が浮かんだ

「キリト君、何を……」

その文字を見て声を上げたアスナを含む全員が言葉を失った。キリトは軽く後ろに跳んでヒースクリフとの間をとった。俺とアスナは立ち上がり、キリトの横に並ぶ

「システム的不死……?……って……どういうことですか……団長……?」

「見てわかるだろ、アスナ……システム的不死を持つことができるのはユイみたいなシステム……これはあり得ない。システムがボス戦に出続けるなんてな、もしくはGMを含むスタッフだけだ。けどスタッフはいない……ただ一人を除いて」

俺の言葉を引き継ぎキリトが言い放った

「<<他人のやってるRPGを傍から眺めるほど詰まらないことはない>>。……そうだろう、茅場晶彦」

「団長……本当……なんですか……?」

アスナが呆然と訊ねるがヒースクリフはそれをスルーし、俺たちに向かって言葉を発した

「……なぜ気付いたのか参考までに教えてもらえるかな……?」

「……最初におかしいと思ったのは例のデュエルの時だ。最後の一瞬だけ、あんた余りにも早過ぎたよ」

「やはりそうか。あれは私にとっても痛恨事だった。君の動きに圧倒されてついシステムのオーバーアシストを使ってしまった」

苦笑の色を滲ませながら、君は?とこちらに目配せをする

「俺が疑いを持ったのは、あんたの目を見たときだ」

「目?」

「そう、目は口ほど物を言う。目を見た瞬間怪しいと思ったよ。まあ、ただの直感なんだが、キリトの例のデュエルの話を聞いて怪しいは疑惑に変わった。そして、今のあんたの目。明らかに見下ろしているような目だったよ」

「君はなかなか鋭い目をしているね。まさか目で疑われるとは思わなかった」

そうしてヒースクリフはゆっくりとプレイヤーたちを見渡し堂々と宣言した

「確かに私は茅場晶彦だ。付け加えれば、最上層で君たちを待つはずだったこのゲームの最終ボスでもある」

アスナがよろめくがキリトが右手で支えた

「……趣味がいいとは言えないぜ。最強のプレイヤーが一転最悪のラスボスか」

「なかなかいいシナリオだろう?盛り上がったと思うが、まさかたかが四分の三地点で看破されてしまうとはな。……君たちはこの世界で最大の不確定因子だと思ってはいたが、ここまでとは」

不適な笑みを浮かべるヒースクリフ

「……最終的に私の前に立つのは君らだと予想していた。全十種存在するユニークスキルのうち、<<二刀流>>スキルは全てのプレイヤーの中で最大の反応速度を持つ者に与えられ、その者が魔王に対する勇者の役割を担うはずだった。……なぜ二人<<二刀流>>が現れたのかはわからないがね」

「一回俺は死んでるからな。あんたのクリスマスプレゼントが役に立ったよ」

それを聞いたヒースクリフは苦笑いを浮かべた

「まさか、ちょっとしたサービスのつもりが<<二刀流>>を二人生み出していたとは……まあ……想定外の展開もネットワークRPGの醍醐味と言うべきかな……」

「貴様……貴様が……。俺たちの忠誠……希望を……よくも……よくも……よくもーーーッ!!」

血盟騎士団の幹部プレイヤーが巨大な斧槍を握りしめ絶叫しながら地を蹴りヒースクリフ、茅場に振りかぶる。が、ヒースクリフは左手を振りウインドウを操作する。その途端男は空中で停止、そして地に落ちた。HPバーにグリーンの枠。つまり麻痺状態だ。茅場はそのまま、ウインドウを操作し、俺てキリト以外の全てのプレイヤーを麻痺状態にした

「……どうするつもりだ。この場で全員殺して隠蔽する気か……?」

「まさか。そんな理不尽な真似はしないさ」

首を左右に振ると続ける

「こうなってしまっては致し方ない。予定を早めて、私は最上層の<<紅玉宮>>にて君たちの訪れを待つことにするよ。九十層以上の強力なモンスター群に対抗しえる力として育ててきた血盟騎士団、そして攻略組プレイヤーの諸君を途中で放り出すのは不本意だが、何、君たちならきっと辿り着けるさ。だが……その前に……」

ヒースクリフは右手の剣を床に突き立てる

「キリト君とリン君、君たちには私の正体を看破した報奨を与えなくてはな。チャンスをあげよう。今この場で私とニ対ニ……」

茅場が言い掛けたとき茅場の影がヒースクリフそっくりな形をとる

「……で戦うチャンスを。無論不死属性は解除する。私たちに勝てばゲームはクリアされ全プレイヤーがこの世界からログアウトできる。……ちなみに、この影の名前は<<ドッペルマン>>。本来九十九層にしかいないモンスターなのだが、他のモンスターに化け同じステータスで動くことが可能だ。私はモンスター扱いなので、今のこのモンスターは私と同じだ。私と<<ドッペルマン>>が組み、キリト君とリン君が組む……どうかな?」

その言葉を聞いた途端、キリトの腕の中にいたアスナが首を振った

「だめよキリト君、リン君……!あなたたちを排除する気だわ……。今は……今は引きましょう……!」

確かにそれがベストだろう。だが……

「「ふざけるな……」」

こいつだけは許せない。育ててきただと?俺たちの命を何だと思っていやがる。俺たちが命をかけて戦ってきたのを嘲笑うかのような発言を俺は到底許すことなどできない

「いいだろう……」

「決着をつけよう……」

「キリト君っ、リン君っ……!」

「ごめんな。ここで逃げるわけには……いかないんだ……」

「ああ……こいつだけは許せない」

アスナは涙を流していた

「死ぬつもりじゃ……ないんだよね……?」

「ああ……。必ず勝つ。勝ってこの世界を終わらせる」

「言っただろ?俺は死なないと」

「解った。信じてる」

キリトはアスナの体を床に横たえさせて立ち上がる。そして、俺の横に並ぶと両手で二本の剣を抜き放つ。俺もそれにならい、腰から二本の剣を抜く

「キリト!やめろ……っ!」

「リンーッ!」

声を出したのはエギルとクライン

「エギル。今まで剣士クラスのサポート、サンキューな。知ってたぜ、お前が儲けのほとんど全部、中層ゾーンのプレイヤーの育成につぎこんでたこと」

キリトがエギルに話しかけている間に俺はクラインに話しかける

「クライン。あの時は、世話になった。おまえがあの時俺を復活させてくれなかったら、俺はこの場に立っていることができなかった。……感謝してる」

クラインは両目からかなりの量の涙を出しながら叫んだ

「て……てめえ!リン!詫びいれてんじゃねえ!今詫びいれんじゃねえよ!!許さねえぞ!ちゃんと向こうで、メシのひとつもおごってからじゃねえと、絶対ゆるさねえからな!!」

現金なやつだと微笑み呟きながら俺は茅場に向き直る

「……悪いが、一つだけ頼みがある」

「何かな?」

「簡単に負けるつもりはないが、もし俺たちが死んだら……しばらくでいい、アスナが自殺できやいように計らってほしい」

「ついでに、アスナが快適に生活できるようにもして欲しい」

「良かろう。彼女はセルムブルグから出られないように設定し、定期的にコルを支給しよう」

「キリト君、リン君、だめだよーっ!!そんなの、そんなのないよーーっ!!」

アスナの絶叫が響くが俺もキリトも、もう振り返らなかった。茅場がウインドウを操作すると、俺、キリト、茅場、モンスターのHPがレッド直前、強攻撃のクリーンヒット一発分のHPに調整された。ついでに、茅場の頭上に【changed into mortal object】…不死属性を解除したというシステムメッセージが表示される。茅場は操作を終えると長剣を抜き、十字盾の後ろに構えた。同時に<<ドッペルマン>>も茅場と同じ構えを見せた。キリトは茅場に俺は<<ドッペルマン>>。口には出していないが、目でその事を決め、それぞれ向かいあった。そして……

「殺す……っ!!」

そのキリトの言葉とともに両者は動き始めた 
 

 
後書き
蕾姫「リンは忙しいので一人でお送りいたします。次でSAO編はラストになります。でリンの現実世界の話となって、ALOという流れになります。つきましてはリンのALO内のキャラは次のどれがいいですか?」

・シルフ
・ウンディーネ
・ケットシー
・インプ
・スプリガン

蕾姫「投票お願いします」
 

 

最終決戦と未来へ……

 
前書き
SAO編の最後です
 

 
短い呼気とともに飛び出した俺は、挨拶代わりの右手からの突きを放った。<<ドッペルマン>>は左手の盾でガードすると、右手の剣で袈裟斬りを仕掛けてくる。俺はそれを左手の剣で弾くと右手の剣を叩きつけようとした。それに反応した<<ドッペルマン>>は盾で弾こうとするが、当たる直前、右手の剣を引き二本の剣で斬りつけた。<<ドッペルマン>>は完全にはかわせなかったようで、ダメージが入ったが本当に少しだ。お返しとばかりに<<ドッペルマン>>は猛然とラッシュを仕掛けてきた。二本の剣で弾く。そして隙をみて反撃するが、全て弾かれる。どうやらユイのようなAIを持っているようで、先ほどのフェイントはもう効かない。それならば茅場の記憶も持っているだろう。全てのソードスキルは読まれると見ていい……たからこそ、勝機はある!

俺は右手の剣で水平四連撃<<バーチカル・スクエア>>を放った。<<ドッペルマン>>がにやりと笑った気がした。しかし、にやりと笑い返してやった。すると<<ドッペルマン>>は戸惑ったような表情を見せた。もちろん、この間も手は止まっていない。そして、<<バーチカル・スクエア>>の最後の一撃。それから意識を外し、左手に意識を集中させる。相手も動きだす。<<バーチカル・スクエア>>後の硬直時間を狙った完璧な一撃。普通のプレイヤーならば不可避だろう。普通ならば。必殺だった一撃は俺の右手の剣にあたり、右手の剣を砕いた。だが俺は止まらない。左手の剣で単発重攻撃<<ヴォーパル・ストライク>>をソードスキルを放って硬直中だった<<ドッペルマン>>に叩きこんだ。<<ドッペルマン>>は無数のポリゴンになり爆散したときには俺はもう駆け出していた。キリトはその時二刀流最上位剣技<<ジ・イクリプス>>を放っていた。連続二十七回攻撃だが……

「それはダメだ!」

剣技をデザインしたのは全てやつだ。ならばどこに来るのかも全て読める。読めるということは、防げるということだ。俺の言葉にキリトは、はっ、としたような表情をした。茅場は勝利の笑みを浮かべていた

「さらばだ……キリト君」

やつが放ったソードスキルは盾と剣のニ連撃、神聖剣上位剣技<<ホーリー・ティアー>>。その時キリトと茅場の間に割り込む影……アスナか……全く、俺もアスナも損な役割だよな

「アスナ、リン……何で……」

簡単に言うと茅場の放ったソードスキルを俺とアスナが体で受けた。もちろん、HPは吹っ飛び、倒れこむ

「約束……守れなかった……すまない」

それを言って、俺の意識は暗転した













.















.











再び、周囲が色づいて行く……あれ?俺は死んだはずじゃ?足元には分厚い水晶の板があった

「……リン」

「……リン君」

呼ばれたのでそちらを向くとキリトとアスナがいた

「ここはどこだ?死後の世界か?SSSに勧誘しに来たのか?」

滅多にしないボケをかましている時点でかなり混乱しているのはわかるだろう

「アインクラッド……」

キリトとアスナの視線の先にあったのは巨大浮遊城だった。それを見ているとアスナが抱きついてきた。キリトに目を向けると苦笑いだった

「あ……」

城が崩れ始めていた。赤い雲海に城の全てが崩れ、落ちてい。懐かしい場所や、死にかけた場所など、といった場所も差別なく崩れ落ちていく。アスナは、俺から離れキリトと俺の腕を脇に抱え無言で崩壊する様子を見始めた

「なかなかに絶景だな」

傍らから声がしたので俺らは視線をそちらに向けると白衣姿の茅場晶彦がいた。怒りや憎しみは不思議と感じなかった。それはキリトとアスナも同じだったようで、茅場から視線を外すと再び巨城に目を向けた。やがてキリトが口を開いた

「あれは、どうなってるんだ?」

「比喩的表現……と言うべきかな。現在、アーガス本社地下五階に設置されたSAOメインフレームの全記憶装置でデータの完全消去作業を行っている。あと十分ほどでこの世界の何もかもが消滅するだろう」

「あそこにいた人たちは……どうなったの?」

「心配には及ばない。先程……」

茅場はウインドウを開き眺めて言った

「生き残った全プレイヤー、6147人のログアウトが完了した」

キリトは一度強く目をつむると、口を開いた。目には光るものがあった

「……死んだ連中は?一度死んだ俺たちがここにこうしているからには、今までに死んだ四千人だって元の世界に戻してやることができるんじゃないのか?」

「命は、そんなに軽々しく扱うべきものではないよ。彼らの意識は帰ってこない。死者が消え去るのはどこの世界でも一緒さ。君たちとは、最後に少しだけ話をしたくて、この時間を作らせてもらった」

それが四千人を殺した人間の台詞か?と思ったが、俺は別の質問をした

「なんで、こんなことをしたんだ?」

茅場は苦笑を洩らすとしばらく考えて言った

「なぜ……、か。私も長い間忘れていたよ。なぜだろうな。フルダイブ環境システムの開発を知った時……いやその遥か以前から、私はあの城を、現実世界のあらゆる枠や法則を超越した世界を創りだすことだけを欲して生きてきた。そして私は……私の世界の法則をも越えるものを見ることができた……」

某全身剣さんが聞いたら、それは心意だと言いそうだ……某全身剣さんって誰だろう?

「子供は次から次へといろいろな夢想をするだろう。空に浮かぶ鉄の城の空想に私が取りつかれたのは何歳の頃だったかな……。その情景だけは、いつまで経っても私の中から去ろうとしなかった。年を経るごとにどんどんリアルに、大きく広がっていった。この地上から飛び立って、あの城に行きたい……長い、長い間、それが私の唯一の欲求だった。私はね、キリト君、リン君。まだ信じているのだよ……どこか別の世界には、本当にあの城が存在するのだと……」

「ああ……そうだといいな」

アスナに続いて、俺もうなずく。あの城は俺にとっての自由の象徴。あの城は俺を変えてくれた……

「……言い忘れていたな。ゲームクリアおめでとう、キリト君、アスナ君、リン君」

茅場は穏やかな表情で俺たちを見下ろす

「……さて、私はそろそろ行くよ」

その言葉を残し、茅場は消えていった












「……お別れだな」

そう言ったキリトの頭をはたく。キリトは、え?って顔をしている。アスナは小さく首を振った

「ううん、お別れじゃないよ。私たちは一つになって消えていく。だから、いつまでも一緒」

「さて……俺は一人寂しく……」

キリトとアスナに頭をはたかれた

「何言ってんだ。リンも一緒だろ?」

「新婚気分の夫婦の間に入る勇気はねぇよ……まあ、それも悪くない」

俺たちはほほえみあう

「ね、最後に名前を教えて。キリト君とリン君の、本当の名前」

キリトが思い出そうとしているので、それに苦笑しつつ口を開いた

「鈴木燐。それが俺の本当の名前だ。多分今は十七歳」

「桐ケ谷……桐ケ谷和人。多分先月で十六歳」

「すずき……りん君ときりがや……かずと君……」

口調がゆっくりになった。まるで魂にでも刻み付けているように

「キリト君、年下だったのかー。……わたしはね、結城……明日奈。十七歳です」

……結城?聞いたことあるがどこだったか……。そんな思考をしていると明日奈が俺とキリトに抱きついてきた

「わたし、幸せだった。和人君と会えて、燐君と会えて……ありがとう……和人君……愛してます……。燐君……大好きだよ……」

俺には明日奈に返す言葉が見つけられなかった

俺たちは抱き合ったまま光の粒子となり消えていく……









.














.












目が覚めるとそこは病院だった。俺は死んだはずじゃ……と思ったが、次の時には、そうか、茅場は生かしてくれたか……に変わった。俺が生きているということは、キリトもアスナも生きているということだ。長い間寝たきりだった影響か、体に全く力が入らなかった。それでも、一歩を踏み出そう。新たに始める人生。全てを取り戻し、夢に向かって歩きだすために。その時、病室の扉が開き、黒髪の眼鏡の女の子が目に涙をためながら飛び込んできた 
 

 
後書き
蕾姫「完結!!とは行きません。次は日常編です」

リン「生き残れたんだな……」

蕾姫「番外編をやろうかな?」

リン「えっ……」

蕾姫「一つ前のあとがきのアンケートに答えてねー。よろしくお願いします!」
 

 

現実と看護

 
前書き
父親うぜーとか思いながらお読みください。シノンのキャラが崩壊しております 

 
現実世界に戻って最初に見た顔、それは黒髪に眼鏡、そして目に涙を溜めた少女、朝田 詩乃だった。今は抱きつかれているが、正直寝たきりだった俺にはつらい

「……生きてて……よかった……」

「詩乃……ただいま」

「おかえりなさい……」

詩乃はそう言って放してくれた。久しぶりに見る詩乃の笑顔は可愛かった。そんなことを思っていると、突然背筋が凍ったような気がした。懐かしい感覚。アインクラッドで何度も感じた冷たい感覚……そう、殺気を

「……どうしたの?」

俺の様子を不審に思ったのか詩乃が訊ねてきた

「……いや、何でもない」

詩乃を心配させないように俺は笑顔を作りながら周囲をうかがった









「……そうか」

詩乃の話を聞くと、俺の両親は今は日本にいるらしい……そろそろ来るころかなと思ったところで扉が開き、二人の人間が入ってきた……しまった、フラグだったか。とにかく、俺の両親が入ってきた

「……よくもぬけぬけと生きて帰ってきたものだな」

「そんな言い方はっ!!」

「いや、良いんだ詩乃」

「でも!!」

俺が首を振ると詩乃は黙り込んだ。俺の父親は、詩乃を見ると呟いた

「ふん。殺人者が……」

「貴様……その台詞を撤回しろ」

「なぜ撤回しなければならない?事実を述べただけだろう?」

「貴様は、詩乃の気持ちを考えたことがあるのか!!」

「そんなこと……どうでもいい。とにかく、お前はすぐにその殺人者との関係を断て。わかったな」

「……断る……」

「何?」

「断るって言ったんだ。詩乃は俺の支えになってくれた。貴様が奪ったもの……安らぎをくれた。だから、何と言われようとも詩乃は放さない!」

……後から考えると、これって告白じゃね?

俺のことはいいが詩乃のことを悪く言うのは、許さない。うつむく詩乃。俺の服の袖を強くつかんでいる。そしてやつは再び俺の方を向き口を開いた

「口のきき方に気をつけろ。……どうやら、教育が足りなかったようだな……いや、ゲームの中で忘れてしまったのか?まあいい。退院したら、自由はないと思え。私の後継者となるにふさわしい人物にしてやる」

そう言って父親は出て行った。そして、残ったのは母親だった

「生きてて、よかった……」

「は?」

……おかしい。俺の母親は俺に厳しく、縛り付けてきていたはずだ。そんな人から心配の言葉が出るなんて……

「あなたがゲームから出てこれなくなったとき、私はあなたにつらくあたってしまったことをとても後悔したわ……」

……分からない……何で今さら親の顔をしてるんだよ

「出ていけ……出ていけよ!」

「すぐにはわかってもらえないかもしれないけど……」

そう言って母親は出ていった。正直、どうしていいのかわからなかった。だから、剣呑に追い出してしまった

「燐……」

詩乃が心配そうにつぶやく

「大丈夫だ。とりあえず、体を動かせるようにしないとな」

「うん……そうだね。とりあえず、体を拭かないと」

「あの……それは看護師さんにまかせればいいのでは……?」

「……嫌なの?」

「嫌ではない、むしろ嬉しいけど……」

「じゃあ、いいよね」
そういって詩乃は俺の体を拭き始める。まわりの目が生暖かいんだが……。その後も詩乃は俺の世話をやりたがり……看護師たちの間で、俺と詩乃は有名になった。母親が持って来てくれたパソコンを使い、極めて不本意だが父親の会社の権限を利用し、キリトたちのリアルの住所、携帯番号などを調べあげた。まだ、連絡とかはしてないが、まあ落ち着いたらしようと思う。今は詩乃についてもらってリハビリ中である。多少は歩けるようになったが、体力の低下はどうしようもないな……。詩乃は甲斐甲斐しく世話をしてくれるが……これがまた恥ずかしい……あーん、とかやってくるんだぜ?……今、リア充とか言ったやつ。今度剣で語り合う必要があるみたいだ

「朝田さん。今日の面会時間は終わりですよ」

詩乃は面会時間ギリギリまで俺の病室にいる。看護師たちともすっかり顔馴染みになり、看護師たちもこちらを見て微笑んでいる。今日は婦長さんが、若いっていいわねって言ってました。……羞恥プレイか?

「はい、わかりました。じゃあ、また明日ね、燐」

「ああ、また明日」

明日は月曜日。学校に行くらしい。……虐められてなければいいがな









さらに、一週間後。すっかり、体は元に戻り(多少筋力は落ちたが)俺は、かなりの羞恥に対する耐性を得て退院した。母親が父親を説得し、数週間の猶予をもらったらしい。退院したとき、病院の入り口で詩乃は待ってくれていた

「退院おめでとう」

「ありがとう……詩乃のおかげだよ」

「どういたしまして……ねぇ」

顔を真っ赤にして何かを言おうとする詩乃

「明日さ、暇だったら遊園地に行かない?」

俺は鈍感ではないので、顔を真っ赤にした女の子がどこかに誘おうとする意味はわかる。つまり……詩乃は俺のことが好き?……ってことかな。そんな思考をしつつ、とりあえず聞いてみる

「それって、デートのお誘い?」

「……っ!!」

ボンと音が聞こえてきそうなほど顔を真っ赤にする詩乃……やっぱりそうなんだな……すげぇ嬉しいんだが

「私のこと嫌い?」
「嫌いなやつの側になんかいないよ。明日だな?何時にどこ集合だ?」

頭をぽんぽんとたたく。以前は何かあるたびに、殺人者だから……って言ってたのでそのたびに一時間ほど説教してやったものだ……懐かしい

「じゃあ、明日の朝10時。近くの駅前で……どう?」

「じゃあ、それで。今日はどうする?」

「えっと……今日は……って体はいいの?」

「おかげさまで」

「じゃあ、買い物に付き合ってくれる?」

上目遣いでチラチラ見てくる詩乃

「了解。じゃあ、一旦家に帰ってからな。場所は、駅前でいいな?」

「うん!」

楽しそうに歩く詩乃とわかれ一人家路についた。粘つくような殺気を感じながら…… 
 

 
後書き
蕾姫「恋愛とか……無理」

リン「恋愛したことないからな、お前」

蕾姫「ほっとけよ」

リン「デート編とか、書けるのか?」

蕾姫「他の小説を参考に書いてみるよ……それよりも!」

リン「うわっ……何?」

蕾姫「検定作ってみました。http://kantei.am/385858/」

リン「宣伝かい……」

蕾姫「こんな作者が書く小説ですが、これからもよろしくお願いします!」
 

 

買い物と壁男

あの後、一旦家に帰り(両親はいなかった)俺は駅前に行った。すると、詩乃はすでに来ていた。というわけで観察することにする。詩乃は持っている文庫本を読みつつ、しきりに時計に目をやる。服装は……作者が服のことは全く分からないので勘弁してくれ……まあ、行くか

「やあ、詩乃。待ったか?」

後ろから近づき肩を叩くと、驚いた様子で文庫本を閉じ、ついで嬉しそうに笑顔を見せ、最後に恥ずかしそうに顔を赤らめた

「ううん。私も今来たとこ。じゃあ、行こ」

詩乃は顔を見られたくないのか、俺の手を握ってずんずん歩いていく












「……」

「……」

電車内では、話題がないのでどちらも沈黙していた。これではいけないと思って、とりあえず話しかけようとすると

「「ねぇ」」

……ギャルゲのイベントだろうか?見事に重なった

「詩乃からでいいよ」

「うん……」

気合いを入れるためか、一度うなずくと詩乃は口を開いた

「あの時……燐の言葉って……どういう意味?」

あの時……父に向かって言った言葉だよな……

「それについては、明日まで待ってくれ」

すると詩乃は期待と不安の入り交じった顔をした

「もう一つ聞きたいんだけど……」

詩乃は何かを言い掛けるがためらうような素振りを見せた

「SAOについてならいいぞ。でも、何で?」

図星だったらしく、顔を俯ける

「あの世界で何をしてたか、燐のことをもっと知りたいから……」

「……わかった。まず、閉じ込められたときに思ったのは、解放感だったよ。これで、親の重圧から逃れられるってね」

「あんな人だからね……」

詩乃は苦笑まじりに言った

「しばらくは、そんな気持ちのまま戦ってたんだが、ある日あったプレイヤーと話しててな。まあ、その時初めて現実に帰りたいと思ったな」

……詩乃のことが心残りだったからな、と続けると顔を真っ赤にした


そんなことを話しているとどうやら目的の駅についたようだ









詩乃の希望で服屋へ。選んで欲しいらしいが、俺は服についてはわからんからな……

「これはどう?」

というわけで詩乃が選んで俺が評価するという形をとった

「いいんじゃないかな」

どんな服かって?……まあ、似合ってたよ

服の説明なんて俺には無理!by作者

「じゃあ、これを買おうかな……」

レジに持っていこうとした詩乃からその服を取り上げ、俺が持っていく。俺が財布を取り出すと

「私のだから、お金は私が……」

「詩乃は家計がヤバイんじゃないのか?」

少なくとも最後に会ったときはそうだった

「そうだけど……」

「看護のお礼だと思って、今日、明日は俺に奢らせてくれ。そうでなくても、女性に払わせるようなことはできないしな」

「……ありがとう」

赤面……可愛いな……軽く変態になってないか、俺?

「次はどこに行きたい?どこでもいいぞ?」

しばらく、考え込む詩乃。やがてニヤニヤしながら口を開いた

「じゃあ、ラン……」

「却下」

「……どこでもいいって言ったじゃん」

ニ文字目で内容を察し、却下する。わかるだろ?男子諸君。ラブコメで有りがちなあそこだよ

「あそこは男は入れない場所だ」

「……じゃあ、喫茶店でも」

「了解。ならいい場所がある」

ちょっとむくれている詩乃を馴染みの喫茶店に連れて行った










以前小さい時、両親に反抗して家を飛び出したとき偶然見つけた喫茶店に入る。もちろん、その家出のときは入らなかった。中学生になってから、改めて行ってそれから常連になっただけである。カランカランと扉に付けられた鐘が鳴る

「いらっしゃい」

……あれ?マスターが変わってるし、見間違いかな……エギルがいるように見えるんだが……というわけで一旦外に出る

「どうしたの?」

「知り合いがいたような気がしたんだが……」

「常連ならマスターとは知り合いなんじゃないの?」

「いや……マスターが変わってた。のにも関わらず……」

言い掛けたその時、扉が開いた

「よう、リン。久しぶりだなぁ」

ハゲの頭。巨大な体躯。SAO内となんら変わらないその顔は間違いなくエギルだった

「よう、エギル。久しぶりだな」

……笑顔でこたえる俺

「笑顔、引きつってるぞ」

「当たり前だろ?いきなり会いたくないやつに会ったんだから」

「……相変わらずだな、リン……」

ちょっと肩を落とすエギル

「えっと、この人は?燐」

詩乃が訊ねてくるが……顔が引きつってるぞ詩乃

「……The 壁」

「おいおい、俺は壁かよ!?俺にはアンドリュー・ギルバート・ミルズって言うママにもらった名前が……」

「それは、俺に言うなよ……」

「おっと、そうだった。アンドリュー・ギルバート・ミルズです。以後お見知りおきを」

「そういえば、俺も名乗ってなかったな……鈴木 燐だ。はじめまして、エギル。んで、こっちは朝田 詩乃だ」

「朝田 詩乃です。よろしくお願いします」

はじめましてって何か変だな……リアルで会うのは初めてだからあながち間違いではないが

「燐よ……彼女はコレか?」

エギルは俺の肩に腕を回すと反対側の手の小指を上げて聞いてきた

「友達以上、彼女未満ってところかな……」

「お前にも春が来たか……いや、めでたい。今日は客として来たのか?」

「ああ……」

「じゃあ、ゆっくりしていってくれや」

エギルはカウンターに戻る。俺らはカウンターのスツールに並んで座る

「エギル、俺はブラックで。詩乃はどうする?」

「私もブラックで」

「あいよ」

エギルがコーヒーを淹れてくれる

「そういや、燐。おまえの連絡先を教えてくれんか?」

「了解」

携帯の番号を交換する。コーヒーを飲みおわり

「ご馳走さま。いくらだ?」

「ここは、俺の奢りにしといてやるよ」

詩乃を見てニヤリと笑うエギル

「サンキュー……じゃあな」

「おう」

手を振ると詩乃を連れて店を出る

「何か……顔と言葉のギャップが……」

「それはわかる……」

外に出ると空が赤く染まっていた

「じゃあ、また明日な」

「うん、楽しみにしてる」

今日はもうそろそろ帰らないと行けないので、帰ることに。……明日が楽しみだ
 

 

デートと遊園地

次の日の午前10時五分前に駅前についたが詩乃はまだ来ていなかったので、ネットに接続しVRMMOについて調べていた。今、人気なのはALOなのか……。と考えつつ各キャラの特徴等を見ていると肩をたたかれた。顔をあげるとそこには詩乃がいた

「お待たせ……何してたの?」

「いや、何でも」

「ふーん……」

この話題を引っ張られるとまずいと思ったので話題を変えるとした

「その服、似合ってるね」

昨日俺が買ったやつだった

「ありがとう……」

恥ずかしそうに目をそらす詩乃

「じゃ、行こうか」

「うん……」

顔を赤らめながらも腕に抱きついてくる。さすがに突然だったので、あせる。それに……当たるんだが……。まあ、言うってほど野暮ではないが









電車の中は割愛するとして俺たちは遊園地の中に入った。VRMMOが流行っており遊園地の人気は多少衰えたもののなおも根強い人気を誇っている

「まずは、どこに行くの?」

詩乃の言葉で現実に引き戻された。最近、思考の泥沼に入り込むことが多いなと苦笑しつつ口を開く

「まずは、ジェットコースターでもどうだ?」

どうでもいいことだが、俺は絶叫系が大好きだ。スピードホリックとまでは行かないが風を感じられるから絶叫系にはよく乗っていた。過去系なのは、両親に束縛されていたのであって……

「……ん君……燐君!」

「……ん、何?」

また思考の泥沼に……

「また、ぼーっとしてる……つまらないの?」

「いや……また現実で詩乃と一緒に歩けるのが嬉しくて感慨に浸ってただけだよ」

嘘も方便って言うだろ?そう思っていたのは本当だが

「なっ……そ、そう……」

不意打ち気味に言ったから、詩乃は真っ赤になってうつむいた

「では、どうぞ」

ジェットコースターの順番が来たので俺らも乗り込む坂を登っていくにつれて、怖くなってきたのか詩乃は、俺の服の袖を掴んできた……そして

「きゃぁぁぁ!!」

「…………」

詩乃が盛大な悲鳴を上げる。俺?終始無言でした。この程度のスピードではまだまだだなと考えながら

「怖かったね」

「そうだな」

詩乃がそう話しかけてきたから話を合わせる。時間が大体昼過ぎになったので、飯にするか……

「昼ご飯、どうする?」

「ねえ……」

手を組んでもじもじとしている詩乃

「どうしたんだ?」

「弁当作ってきたんだけど……」

……遊園地は飲食物持ち込み禁止なのを詩乃は知らなかったのだろうか?……さて困ったぞ

「じゃあ、とりあえず場所を探そうか」

……言えるわけないだろ?期待と不安の入り交じった顔をしていた詩乃に









何というか、最近の遊園地は飲食物持ち込みいいんだな……持ち込み可って書いてある看板がたっていたレストランがあったのでそこに入って飯を食べる……正直言うと恥ずかしかった。だって、人前にも関わらず、あーんとかしてくるんだぜ?何?描写が無いって?そんなん作者に言ってくれ

俺には書けません by作者

その後も、いろいろなところを回った。お化け屋敷とかジェットコースターとかジェットコースターとかな。お化け屋敷では、詩乃は元々怖くないみたいで、全く怖がらなかった。俺はソードアート・オンライン内で化け物をなぎ倒してきたから当然怖くなかった。ともあれ、時間はもうすぐ閉園。昔はパレードとかあったみたいだが、最近では無くなった

「詩乃、最後はどこに乗りたい?」

「じゃあ、観覧車かな?」

……テンプレだな

「わかった。じゃあ行こうか」






観覧車に乗り込んだ俺たちはしばらく無言だった。しばらくして詩乃が口を開いた

「今日は楽しかった?」

「ああ……もちろんだ」

「私ね。燐が<<ソードアート・オンライン>>に閉じ込められたときにね。とても後悔したんだ……」

「後悔?」

「そう。私が殺人を犯したと知っていて、話しかけてくれたり、一緒にいてくれたのは燐が初めてなんだ……。燐と話すと心が暖かかった。一人でいるとき、ふと気が付くと燐のことを考えているんだ。で、気付いた。私は燐が好きなんだって」

「詩乃……」

俺が話しかけようとすると詩乃は手で制して先を続ける

「燐は……ほら、望んでいなくても大企業の一人息子。<<ソードアート・オンライン>>で多少つまずいたかもしれないけど、将来の幸せは約束されている。なのに私みたいな殺人者が好きになっちゃいけないってずっと思っていて、気持ちを打ち明けられなかった。ずっと側で見ていられるだけで幸せだったから……でも、いなくなるかもしれない状況になったとき、この気持ちを抑えられなくなった」

詩乃苦笑混じりにそう言うと一旦言葉を切り、目を閉じた。そして、また目を開けると続けて言った

「ずっと、好きでした。付き合ってください」

「俺は……」

答えは決まっていた。もちろんYES。それを伝えようと口を開くが、止められた

「今は、答えを言わないで。YESでもNOでも泣いちゃいそうだから……でも……」

その時、俺たちの乗っているのが丁度観覧車の頂点についた。唇に感じた柔らかい感触。それが詩乃の唇だとすぐには気づけなかった













観覧車の残り半分の間、俺たちは無言だった。俺は、唇の感触に浸っていて……柔らかかったな……って何考えてんだ!?詩乃は恥ずかしそうに下を向いていた

「じゃあ……またね。答えは……いつまででも待つから……」

門を出ると詩乃はそう言った走って行った




俺は帰り始めたがその時、携帯が鳴った。ディスプレイにはエギルと表示されていた。それは新たな世界の始まりを告げる電話だった 
 

 
後書き
蕾姫「俺には恋愛は無理だ……」

燐「……」

詩乃「……」

蕾姫「……見つめあったまま真っ赤になってるし……主人公のアバターが決まっていません。一票で三つが並んでいます。まだ投票してない人は、シルフ、スプリガン、インプ、ウンディーネ、ケットシーの中から投票してください。お願いします」
 

 

番外編①:時を越えた邂逅

 
前書き
一応五万PV突破記念です

アクセル・ワールド10巻でアクセル・ワールド×ソードアート・オンラインのコラボやるみたいですね!楽しみです 

 
蕾姫「というわけで、バトってもらいま〜す」

リン「どういう繋がりからというわけ、なんだ?」

烏「あははは……」

蓮「ふむ……面白いじゃないか」

キリト「……いいのか?」

アスナ「どうせ、やらないって言っても……ねぇ」

蕾姫「もちろん。当たり前!」

シノン「……はぁ……」

杭「まあ、いいんじゃないかな?」

鈴「気になってるんだけどさ。何であたしたち<<ネガ・ビュラス>>のメンバーの名前は漢字一文字なのかな?」

蕾姫「おまえら……名前長いからな。わからない人のために、説明!アクセル・ワールドより、①ブラック・ロータス、以後蓮。手足が剣。近接型だが、遠距離型としても優秀。オールラウンダーだが、今回はフロントアタッカー②シルバー・クロウ、以後烏。極近接型。羽があり飛べる。空中からの攻撃を得意とする。フロントアタッカー③シアン・パイル、以後杭。アバターは近接型ながら遠距離の武器を持つ。オールラウンダーだがセンターガード④ライム・ベル、以後鈴。時を戻す能力持ち。ポジションはフルバック。次に、ソードアート・オンライン側。①リン。武器は双剣。超近接型。フロントアタッカー。②キリト。武器は双剣。超近接型。フロントアタッカー。③アスナ。武器は杖時々細剣。オールラウンダー。杖の時はフルバック。細剣の時はセンターガード。④シノン。武器は狙撃銃または弓。超遠距離型。武器がどちらの時でもガードウイング……まあ、こんな感じ。ポジションの名称はなのはから持ってきました」

黒雪姫「ルールは何だ?」

蕾姫「時系列はどちらも最新巻。場所はALO内。SAO陣は飛行禁止。スタート地点は、SAO陣がシルフ領の<<風の塔>>。アクセル・ワールド陣がサラマンダー領のシルフ領に一番近い端。時間は無制限。どちらも助っ人はありなので……誰が来るかはお楽しみで。では、行ってらっしゃい」

回廊結晶を二つ発動させ、チームを飛ばす

〜アクセル・ワールドSide〜

蓮「ふむ……」

烏「どうしました?先輩」

目の前の森を見て腕を組むロータスにクロウは話しかけた

蓮「この世界も興味深いと思ってな……とりあえず作戦を決めよう」

鈴「作戦なしで突っ込んじゃえば?」

その時、空間が光りだす

蓮「敵かっ!!」

光の中から現われたのは……

蕾姫「俺っ、参上!!」

ただのアホ(作者)だった

蓮「……作戦を決めるぞ」

蕾姫「ちょっ、ウェイ、ウェイ、ウェイ!無視するなよ」

蓮「……チッ。何しに来た」
蕾姫「今、舌打ちしたよね!?……まあ、いいや。わからないことがないか、聞きにきたのと、ルールの追加について」

蓮「聞きたいことは特にないが……」

釘「ルールの追加とは?」

蕾姫「俺も戦いたいんだ!!だから、鬼役として俺も出る!!」

鈴「うわー……子供っぽい……」

蕾姫「ほっとけ……俺は、いろいろなアニメの技を使うぜ!助っ人は、一人呼べるし」

釘「いわゆる、チートというやつですね」

蓮「……正々堂々やらないか!!」

蕾姫「俺を倒せば、無条件で勝利になるぞ?威力は、下げるし」

ドラゴンボールとかチートすぎんだろ

蓮「まあ……」

烏「それなら……」

蕾姫「じゃあ、決まり。SAO陣にも伝えてくるから……ノシ」


〜ソードアート・オンライン陣〜

アスナ「キリト君、リン君。作戦は?」


キリト「リン……」

リン「ああ……」

キリト・リン「「真っ正面から行ってたたき斬る!」」

シノン「あなたたちバカでしょ」

シノンに冷静なツッコミを受けて撃沈する二人

アスナ「あははは……」

笑っていたアスナだがとりあえずフォローしないと話が進まないので間に入る

アスナ「とりあえず、シノンさんは後方支援でいいんだよね?」

シノン「そう……っ!?」

その時、目の前に光の渦が現れる。彼女らには見慣れた光景。つまり転移だ。出てくるのはもちろん……

蕾姫「俺っ!!参ぶるぁぁぁ!?」

途中で止められた。誰かを見極めた瞬間シノンが放った銃弾によって

神は言っているここで死ぬ(ry

蕾姫「なぜ、撃った!?」

シノン「そこに蕾姫がいるから」

蕾姫「どこの登山家!?理不尽にも程があるから!?」

リン「まあ……作者だし……」

キリト「……確かに……」

蕾姫「泣いていい!?泣くよ俺!?」

アスナ「えーと……大丈夫?その……」

蕾姫「アスナ……君だけだよ……俺を心配してくれるのは」

アスナ「……頭」

蕾姫「……もういいや……」

リン「で、何か用か?」

蕾姫「ルールの追加で、俺がバトルに参加することになりました……」

キリト「そうか……わかったから、帰りな?」

蕾姫「…………はぁ………」









〜森上空〜

そこには作者が拡声器を手にうかんでいた。ちなみにゼロ魔のレビテーションで浮いているのである

蕾姫「では始めます!スタート!!」

そう言って戦いは始まった 
 

 
後書き
蕾姫「俺の扱い酷い……」

シリカ「……ドンマイ……」

蕾姫「はあ……気を取り直して、助っ人は誰がいいですか?俺が知らないキャラは使えませんが……基本的にどんなアニメのキャラでもかまいません。あと、主人公の親、須郷、恭二、の処遇はあなたならどうしますか?募集しますので、コメントお願いします!」
 

 

番外編②:時を越えた邂逅

蕾姫「では始めます!」

その声はシルフ、サラマンダー領中に響き渡った。といっても、プレイヤーは蕾姫も含めて9人しかいないのだが

〜ソードアート・オンラインSide〜

キリト「よし、行こうか」

リン「そうだな。地の利はこちらにあるし、索敵をしながら注意して行こう」

アスナ「私は二人の後ろ。シノンさんは、後方から姿を隠しながらね」

シノン「了解……。リン、ちなみにどっちを狙うの?」

つまりシノンが言いたいのは蕾姫を狙うのか、アクセル・ワールド陣を狙うのかということだ

リン「決まってる。蕾姫だ。あの腐れ作者は潰さないと気が済まない」

だよな、とキリトも同意する

アスナ「でも……絶対強いよね?」

リン「まあ……勝てるだろ……」

何とも楽観的なセリフである。説得力の欠片もなかった

〜アクセル・ワールドSide〜

烏「ここ凄い自然ですね」

当たり前だ。クロウことハルユキは東京在住。しかも科学がさらに発展した東京。自然なんて、鉢かコンクリートで囲われた木や花しか見たことがないのだろう。彼らが戦う加速世界は、リアルと同じ形状なので空想の世界でも見ることがない

蓮「確かにすごいな……」

釘「……マスター。とりあえず目の前の戦いに集中しないと……」

蓮「そうだな。私とクロウが前に出る。パイルは援護。ベルは後ろから補助だ。ダメージを受けたらすぐに後退。回復しろ」

鈴「で、どっちを攻めるの?」

蓮「無論、蕾姫だ」

どうやら作者は嫌われもののようです。この時SAO陣も同じ選択をしたことに全く気づいていない

烏「でも、なんでですか、先輩?」

蓮「漢字一文字で表現したこと。なにより、名前がかぶってるのが気に入らない!」

完全なる私怨である。黒雪姫は本名ではないはずだが?9巻にもなって、本名が出てきていないメインヒロイン。憐れである

烏「あははは……」

釘「あははは……」

鈴「あははは……」

三人は渇いた笑い声をあげる。そして、作者に心の中で合掌する

蓮「では、行くぞ」

そう言ったロータスを先頭に森の中へ歩き出した

……数時間後

〜ソードアート・オンラインSide〜

リン「あそこにいるのは……」

リンが見たのはロータスとクロウ。そして、その後ろのパイルである。まだこちらに気づいていない

リン「キリト……」

キリトはわかってるというようにうなずいた

リン・キリト「はぁ!!」

リンとキリトは二刀流突撃技<<ダブル・サーキュラー>>で不意討ちの攻撃をした。ロータスは流石の反応力で、両手の剣で受け止めるが吹き飛ばされる。それをリンは追撃していく。クロウは、反応仕切れず腕を斬り付けられるがメタルカラーなので切り落とされはしなかった。パイルがクロウを助けにいこうと前にでるが、足元にシノンの銃弾が着弾した。そして、その隙に細剣を手にしたアスナが間に割り込む。自然とリンVSロータス、キリトVSクロウ、アスナVSパイルの状況になる

〜アスナVSパイル〜

アスナ「いやぁ!!」

アスナの鋭い気合いとともに、細剣がパイルの体を貫く。その速さに剣道部の部員であるパイルは感心せざるを得なかった

杭「(強い。速くて正確。でも……)負けるわけにはいかない!」

パイルはそう叫んで、杭を振り回す。アスナはそれにより後退せざるを得なかった。その隙に

杭「<<シアン・ブレード>>!」

心意技を発動した。杭は砕け散り、中から青い刃を持つ刀が現れる

杭「まだまだ、これからです」

パイルは不敵に笑う。アスナは微笑むと細剣を構える。対してパイルは大上段に構える。アスナは己の真骨頂である、スピードのある剣舞を。パイルは、ごまかしなしの一撃を狙う

アスナ「やあっ!!」

まず動いたのはアスナ。敏捷補正全快でパイルに突っ込む。パイルは完璧なタイミングで振り下ろした。当たる……はずだった

杭「なっ!?」

なぜなら、アスナが細剣でパイルの刀を弾き軌道を変えたからだ

アスナ「えいっ!」
アスナの真骨頂である高速の連撃。それがまとめてパイルにたたきこまれる。パイルは下がり、体制を立て直そうとするがアスナはそれを許さない。パイルにピタリと張りつき追撃する。パイルはダメージを無視し刀を振り下ろした。とっさにアスナは反転。下がるが、完全には交わしきれず切っ先がアスナにとっては不運なことに右腕を切り裂いた

アスナ「くっ……」

苦悶の表情を見せるアスナ。右腕は部位欠損により、数分間は無いままだ。必然的に左手で剣を持たなければならず、利き腕でないため力がでない

杭「僕の……勝ちです!」
パイルの剣閃はアスナを斬った。アスナのHPは吹き飛び、青い光がそこに残る。ふうと息を吐いたパイルは下がってベルの回復を受けようとして背を向けたその時、一発の銃弾がパイルをつらぬいた。それによりパイルのHPは0に、最後に振り向いたパイルの目には自分を狙う銃口とシノンの鋭い目だった

〜シノン&ベルSide〜

シノンはベルに銃口を向けている。サポートを潰せば、ほぼ勝ちだからだ。だから不用意に出てきたベルを一発、撃った。それはたまたま持っていた巨大な鈴に当たり全損は免れた

鈴「……危な!?」

そう叫んでベルは飛んできた銃弾の方向からは死角となる木の後ろに隠れる。自分に<<シトロン・コール>>を使うと一息つく

鈴「……どうしよう……」

仲間を回復に行きたいが木の陰から出れば銃弾につらぬかれ、全損するのは目に見えているのでベルはその場で待機するしかなかった

シノン「……惜しい……」

ベルのいる場所から約五百メートルの崖の上にシノンはいた

シノン「どうしようかな」

シノンは動かないで考える。スナイパーは場所を知られたらアウトなのだが、他のメンバーが足止めをしてくれているからこそ落ち着いて狙撃できる。ベルは、木の陰から動かない。こちらから回り込めばいいという意見もあるが、ここは森。障害物がありすぎて狙撃には向いていない。たまたまここに絶好の狙撃ポイントがあるが、他にいい場所があるのかを知らないシノンも動くことができない。シノンのいるところから見えるプレイヤーは五人。ベル、パイル、アスナ、リン、ロータスだ。パイルとアスナは高速戦の真っ最中。撃てば、アスナに当たる確率が高い。一方、リンとロータスはにらみ合いをしている。簡単に撃てるのだが、自身の恋人の性格を考えるとそれもできない

「(俺だけにやらせてくれってね)」

クスッと笑うシノン。もちろん、視線はベルから離していない。アスナとパイルの戦いは佳境をむかえていた。アスナが右腕を斬られ行動不能に。ふう……とシノンはいきをつくとベルを目の端にとらえながらパイルに照準を定める。そして、アスナを倒し気を抜いたパイルに必殺の銃弾を放った。こちらを見たパイルの目に驚きと称賛が込められている気がした。一度否定された、優しい世界が戻って来たような気がしてシノンの口角は知らず知らずのうちに上がっていた 
 

 
後書き
追加設定:倒された場合、その場に光が残る。そこで観戦。その戦いが終わったら復活します


……リンの種族についてのアンケート、答えていただけるとありがたいです。現在、インプがニ票で一位。スプリガン、シルフ、ケットシーが一票で同立四位、無票がウィンデーネです。同立多いなw
 

 

番外編③:時を越えた邂逅

〜キリトVSクロウSide〜

キリト「一応自己紹介かな?俺はキリトだ」

クロウ「シルバー・クロウです。よろしくお願いします」

呑気に挨拶をする二人

キリト「じゃあ……始めますか」

そう言ってキリトは右手の剣の先を地面すれすれまで下げ、構える。対してクロウは、翼を広げファイティングポーズをとる。……できていないが

キリト・烏「「ッ!!」」

動いたのは同時。お互いにトップクラスの反応速度を持つ二人。剣と拳が交錯する寸前、クロウは反転後ろに下がる。キリトの剣は空を斬る。それによりキリトの体制が少し崩れるがクロウは飛び込めない。なぜなら、キリトは二刀流。一本目は躱せてもまだ二本目がある

烏「(……一撃が遠い……)」

再び、にらみ合いになる。クロウは力ではなく策略で勝つ参謀タイプだ。空が飛べるというアドバンテージはあるが、キリトには通用しない。キリトの世界、ALOでは全員が飛べるのだ。当然、地上においての対空中戦の方法は心得ている

烏「(なら……遠距離技で!)」

キリト「(下がるタイミング、判断力、それを実現する技術……凄いな。武器は拳。なら……押し切るまで!)」

二人の方針は決まった。二人の間に風が吹いた……気がした。次の瞬間、キリトはクロウに向かって走りだす。同時に、クロウは右手をひねって後ろに引き絞る

「ッ!?」

キリトは背中に寒いものが走った。SAOで培った勘。それがキリトを横に飛ばせた。それと同時に……

烏「<<光線槍>>!!」

真っ直ぐ突き出されたクロウの手から光線が飛び出す。それは、キリトの服をかすり後方の木々をつらぬいた

烏「なっ……!?」

自身の大技を躱されたからか、驚いて動きを一瞬止めてしまう。その隙にキリトはクロウに肉薄していた

キリト「はっ!!」

キリトの気合いと共に放たれる威力とスピードのある連撃。それをクロウは羽を震わせ、空中で小刻みに複雑に移動して躱していく。が、完全に躱しきれないで小さなダメージが蓄積されていく

烏「(このままじゃ、ジリ貧だ。だったら……一撃でも!!)」

烏「はっ!!」

キリト「なっ……」

クロウはキリトの剣を掴んでキリトごと投げた。クロウが斬撃に強いメタルカラーだったからできた芸当だ

烏「はあ!!」

今度はクロウの連続攻撃がキリトに襲い掛かる。さっきまでとは立場が逆転。クロウがキリトを追い詰める。だが、ダメージを受けているのはクロウだ。クロウの拳と足をキリトは剣で弾いているため、仕方ないのだが

キリト「はっ!!」

烏「<<光線剣>>!!」

キリトは、<<ヴォーパル・ストライク>>を強引に放つ。烏も同時にレーザー・ソードを放った。似通ったモーションを経て放たれた、必殺の一撃が交錯する……ということにはならないで直接ぶつかり合う。反動で二人の間に数メートル空いた

キリト「次で……」

烏「勝負です」

パァンという音((シノンがパイルを撃った音))を合図に二人は駆け出した。キリトは体をひねり、右手の剣でクロウを切り裂こうと振る。クロウがそれを許すわけもなく、拳で剣の平らな部分をたたき軌道を変える。その一撃は、キリトの後ろに流れていった

キリト「てえ!!」

一撃目を躱しても双剣のキリトにはニ撃目が残っている。それがクロウにたたき込まれる。その直前、全力でクロウは羽を震わせ後ろに飛ぶ。その結果、キリトの斬撃はクロウの胸に一筋の傷をつけるにとどまった。クロウはすぐに反転。キリトに向かっていく。体制を崩したキリトに反撃の一撃を打ち込む。キリトにかわすすべはなく、キリトのクリティカルポイントに直撃する

キリト「ぐっ……」

キリトのHPはイエローゾーンに突入する。そして……

キリト・烏「……へっ?」

キリトと烏は、さっきの攻防で場所を移動していた。崖の上に……つまり

烏「くっ……!!」

落ちるわけだが、クロウには羽がある。それを使い、飛ぼうとするが

キリト「一人だけずるいだろ?」

振り返ったクロウが見たのは、笑顔を浮かべながら羽をつかむキリトと迫ってくる地面だった

烏「うわっ、放してください!」

キリト「断る!!」

そして、二人は漫画のように地面に人型のあとを作るのだった。もちろん二人とも高所落下ダメージで、死亡したが

〜リンVSロータス〜

リン「あのバカ((蕾姫))をぶっ飛ばさなきゃならないが……」

蓮「それについては、こちらも同じ気持ちだ」

二人は苦笑いを漏らす

蓮「会ってしまったからには仕方ない……手合せ願おうか」

リン「了解した」

ロータスは両手を広げ、自然体に。リンは、左手の剣を担ぐように構え、右手の剣は自分の前に突き出す

蓮「……はっ!!」

ロータスが動きだす。地面を滑るように移動する。そして、ロータスはリンをクロスに斬り付ける。それに対して、リンは右手の剣ですくい上げるようにし、ロータスの右手を迎撃。左手の剣は、逆に上から斜めに振り下ろし、ロータスの左手の軌道を強引に変える。体制を崩したロータスに追撃をする余裕はなかった。予想外に重い斬撃を受けとめたことで、動きが鈍る。ロータスは体制を立て直し、後ろに下がった

蓮「……上手いな。今の攻撃には自信があったんだが……」
リン「それは光栄だ。しかし、あんたの斬撃も重いな」

好敵手を見つけた二人の顔はほころんでいた

リン「じゃあ、行くぞ!」

リンは二刀流突撃技<<ダブル・サーキュラー>>で突っ込む。対してロータスは迎撃の体制に。時間差で放たれる二つの斬撃をからめとるようにしてかわす。リンは、ロータスの腕を強引に弾き後ろにさがる

リン「(絡め手……力だけで打ち込めば終わりだな)」

その時、銃声が響き渡った。言うまでもなくシノンの銃弾である

蓮「(……銃はやっかいだな。まず、潰さなければ)」

リン「ふっ!!」

リンは再び斬り込む。今度は、絡みこまれないように軽い斬撃を多く繰り出す。ロータスは手を振り回しガードするが、躱しきれない

蓮「はっ!!」

リン「何!?」

蓮はバック転をしながら右腕で蹴りを放つ。リンは慌て胸をそらすが軽く当たってしまう。そして追撃に備え足に力を入れる

蓮「<<奪命撃>>!!」

ロータスはヴォーパル・ストライクを放った。狙いはリンではなくシノン。いきなりのことでシノンが躱せるわけがなく、シノンのHPは吹き飛んだ

リン「……人の彼女に手を出すとはいい度胸だな……」

そのことを確認したリンから黒いオーラが発生する

蓮「(……過度光?もしかして私は開けてはいけない箱を開けてしまったのか?)」

冷や汗を流すロータス。そんなロータスに突っ込むリン。リンは基本突撃技<<レイジ・スパイク>>を左手の剣で発動。ロータスは左手で弾く。さらにリンは、意識を右手に切り替え右手で水平四連撃技<<ホリゾンタル・スクエア>>を放つ

蓮「くっ……」

ソード・スキルを使っているため、威力が先程とは桁違いだ。絡めとろうとしてもその動きはシステムによって固定されているためそれはできない

リン「でやぁ!!」

さらにリンは八連撃<<ハウリング・オクターブ>>に繋げる五連突き、斬り上げ、さらに上段斬りがロータスの体に吸い込まれる。さらに三連撃重攻撃<<サベージ・フルクラム>>を右手で発動、ロータスの両手を砕く。さらに防ぐことができないロータスに向けて左手で四連撃<<バーチカル・スクエア>>を放つ。ここまでの合計十七連撃で、ロータスのHPは一割を切っていた

リン「止め!!」

<<バーチカル・スクエア>>を放った手から意識を切り替え、単発重攻撃<<ヴォーパル・ストライク>>を放った。それは、ロータスの体の中心に突き刺さりロータスのHPを吹き飛ばした



〜ベルSide〜

時間は巻き戻る。ベルはリンとロータスの戦いを見ていた

ベル「(うわ……凄いハイレベルな戦い……)」

リンが撃てばロータスが絡めとりカウンターを撃つ。しかし、リンはそれをかわし、また五分に戻す。ロータスが撃てばリンは迎撃。そして反撃をする。トリッキーな手やフェイントを織り交ぜたレベルの高い攻防を繰り広げる二人を呆然と見つめた

ベル「(えっ!?)」

戦いの途中、ロータスから放たれた<<奪命撃>>がシノンに直撃したのだ。シノンのHPが0になったのを確認したベルはロータスを回復しに行くことにした

〜リンSide〜

リン「(強かった……負けるかと思った。他のメンバーは大丈夫か?)」

ロータスを倒し、とりあえず一息つく。マップを呼び出すと、灰色に沈んでいる点が6。明るい色の点が自分を含めて2。そしてその点はこちらに向かってきている。そちらの方向を見ていると、その方向にある草むらががさがさと揺れた

リン「……はー……そこにいるやつ、出てこい

〜ベル&リン〜

ベル「(……やばっ。先輩負けるじゃん。咄嗟に草むらに飛び込んだけど、ばれてないよね?)」

そう思っていたベル

リン「……はー……そこにいるやつ、出てこい」

ベル「……ばれてるし」

おとなしく出てくるベル

リン「確か……ライム・ベルだったか?回復役だったな……戦う?」

回復役は基本戦えないが、アスナの例があるため一応警戒するリン

ベル「無理ね……先輩と対等に戦えるような人と戦ったらぷちっと潰されちゃうのが落ち。降参するわよ」

ベルが降参したので、リンをはじめとするSAO陣の目の前に"You are win"の文字、ロータスをはじめとするアクセル・ワールド陣の目の前には"You are lose"の文字が出ると思われたが出てきたのは"WORNING"の文字だった 
 

 
後書き
リンのALOでの種族アンケートに答えてください。ご協力お願いします!

・スプリガン

・シルフ

・ケットシー

・ウンディーネ

・インプ

から一つ選んでください!
 

 

番外編FINAL:時を越えた邂逅

 
前書き
バトルはありません

無理矢理感バリバリですがやってみたかったんです。すみません 

 
番外編FINAL:時を越えた邂逅

リン「WORNING?何だこれ?」

キリト「大丈夫か、リン!?」

向こうから戦っていた復活したメンバーが集まってくる

烏「昔、カプコンから出てたゲームでこんな文字が出てきたな……たしか、乱入の合図だっけ?」

ちなみに作者は双剣使いです

蓮「乱入……何が乱入してきたというのだ?」

そこにいたメンバーが全員首を傾げる

次の瞬間目の前に青い光が現れた

キリト「何か来るぞ!!」

全員が一歩下がり戦闘体制をとる。現れたのは…………蕾姫だった

蕾姫「やっほー。待たせたな!」

段ボールを片手に抱えた蕾姫が現れた

リン「ここに来たということは、潰されに来たのか?」

蕾姫「何で君らはもっと……もういいや」

蓮「で、何をしにきた?」

蕾姫「いや……勝利チームを表彰しに来たんだが……」

手に持った段ボールから表彰状を六枚出しヒラヒラと揺らす

リン「戦う前、俺もやるとか言ってなかったか?」

蕾姫「それをやるといろんなところから苦情が来そうだから……」

リン「まあ、パクり魔だからな」

蕾姫「うぐっ……」

蕾姫の精神に1000のダメージ

蓮「更新も遅い」

蕾姫「それ……メタ発言だから……」

キリト「……まあ、頑張れ」

蕾姫「……逆に今のが一番痛い……」

リン「というか早く本編を執筆しろ」

蕾姫「次からALO編です。何か、ここ後書きみたいになってしまったけど……」

キリト「雑談みたいにできるならいいじゃねぇか」

鈴「あたしたちは当分出れないね……」

蕾姫「読者からの意見があったらまた出すかも?あと王様ゲームをしてみたい」

キリト「面白そうだな」

蓮「何だその王様ゲームというのは?」

アクセル・ワールド陣は知らないようだ

蕾姫「王様ゲームっていうのは、くじ引きで王様と数字を決めて、王様が数字を指定してその数字に命令できる。そして、王様の命令はぁ〜〜」

SAO陣+蕾姫「「「「「絶対!!」」」」」

蓮「面白い……やってみようではないか」

蕾姫「では、始めよう」

蕾姫は手を広げた。するとそこには1〜8と書かれた札と王様と書かれた札があった

蕾姫「せーの」

全員「王様だ〜れだ!!」

シノン「私か……」

蕾姫「最初はシノンか……」

リン「で、命令は?」

シノン「一番が三番に踵落とし」

蕾姫「……一番って誰?」←三番

リン「俺だ。三番は?」

蕾姫「……俺です……暴力はダメだよな?」

リン「王様の命令は絶対なんだ。……すまない」

蕾姫「とか言いながら顔がにやついている……ぐはっ!?」

リンは蕾姫に全力で踵落としをした。蕾姫は痛みで悶えている

リン「じゃあ、次行くぞ」

妙に元気になったリンが声を上げる

リン「せーの」

全員「王様だ〜れだ!!」

烏「僕?」

蓮「ふむ……命令を出したまえ」

烏「じゃあ、五番は二番に告白してください」

鈴「何言ってんのよ!?」

蕾姫「五番は俺なんだけど二番って誰?」

シノン「私」

シノンは嫌そうな顔をしながら答える

蕾姫「ずっと好きでした。付き合ってください!!」

シノン「無理、あり得ない」

即刻断るシノン。orzになる蕾姫

蕾姫「わかってたけど、心が痛い……」

肩を叩かれたので蕾姫が顔を上げるととてもいい笑顔をしたリンがいた

リン「人の彼女を何口説いてるのかな?かな?」

蕾姫「こっ、これはゲームだから、仕方ないことだったんだよ……?」

リン「問答無用!」

リンは、二刀流最上位技<<ジ・イクリプス>>を放つ

蕾姫「ぎゃぁぁぁ!!」

リン「悪は滅びた。じゃあ、次行くぞ!せーの」

全員「王様だ〜れだ!!」

蕾姫「きた!俺が王様だ!じゃあ、1〜8番はこれから俺の意見に絶対服従な?王様の命令は絶対何だろう?」

そこに居た全員が武器をとる

蕾姫「えっと……何で武器を構えるのかな?」

蕾姫以外「「「「「「当たり前だろ!!」」」」」」

蕾姫は逃げ出した

リン「……次回から本編に移ります。あんな作者ですがこの小説をよろしくお願いします」
 

 

手がかりと新たな始まり

 
前書き
ALO編開始です 

 
手がかりと新たな始まり

エギルにメールで彼のやっている喫茶店兼バー<<Dicey Cafe>>に向かう

「待たせたな」

表札にはCLOSEと書いてあったが、かまわず入る。するとそこにはハゲで巨漢のバーテンダー、エギルともう一人、キリトがいた

「リン……なのか!?」

どうやらエギルにもう一人くるとだけ聞かされていたようだ

「久しぶり……か?はじめましてって言った方がいいのか?」

「まあ……現実でははじめまして、だな」

苦笑するキリト

「で、話って何だ?」

「これについてだ」

エギルは一枚の写真を差し出してくる。そこには、鳥かごの中にいる一人の女性が写っていた

「……キリト」

俺が声をかけるとわかってるというようにうなずいて口を開く

「ああ、アスナに似てる。実はアスナをはじめとする数百人のプレイヤーがまだ目覚めてないんだ」

「なっ……」

あり得ない。茅場は全てのプレイヤーを現実に戻すと言った。彼の性格からするとそれを破ることはまずない

「見たところ、ゲーム内のスクリーンショットのようだが……タイトルは?」

するとエギルはカウンターの下からゲームソフトを二つ取り出すと俺とキリトに手渡してきた。タイトルは<<ALfheim Online>>

「聞いたことないハードだな……」

キリトがそう言ったので右上に印刷された文字をみる。そこには<<AmuSphere>>と書かれている

「<<アミュスフィア>>。オレたちが向こう側にいる間に発売されたんだ。ナーヴギアの後継機だよ、そいつは」

「よく出せたな……SAOで危険性がわかったというのに……」

「市場のニーズを止めることができなかったんだろうよ」

皮肉にもなとエギルはつぶやく

「じゃあ、これもVRMMOなのか」

「アルヴヘイム、妖精の国っていう意味だとさ」

「妖精……。なんかほのぼのしてるな。まったり系のMMOなのか」

「それが、そうでもなさそつだぜ。ある意味えらいハードだ」

そうキリトが言うとエギルはニヤリと笑う

「ハードって、どんなふうにだ?」

「どスキル制。プレイヤースキル重視。PK推奨」

「ど……」

絶句するキリトを尻目にエギルは続ける

「いわゆる<<レベル>>は存在しないらしいな。各種スキルが反復使用で上昇するだけで、育ってもヒットポイントは大して上がらないそうだ。戦闘もプレイヤーの運動能力依存で、剣技なし、魔法ありのSAOってとこだな。グラフィックや動きの精度もSAOに迫るスペックらしいぜ」

「へえ……そりゃ凄いな」

「プレイヤースキル重視か。俺たちにとっては好都合だ」

「え、何で?」

わからないといったかんじで首を傾げるキリト

「アスナの可能性が少しでもあるならば行くだろ?やらないで後悔するより、やって後悔しようぜ。それに俺たちが、死の無い世界で育ったようなもやしプレイヤーなんかに負けるかよ」

「ああ!!」

俺はキリトの返事を聞き満足してうなずいた

「ところで、PK推奨ってのは?」

「プレイヤーはキャラメイクでいろんな妖精の種族を選ぶわけだが、違う種族間ならキル有りなんだとさ」

「そりゃ確かにハードだ。でも、いくらハイスペックでも人気出ないだろ、そんなマニア向けな仕様じゃ」

するとエギルは再び笑う

「そう思ったんだけどな、今大人気なんだと。理由は<<飛べる>>からだそうだ」

「飛べる……?」

「妖精だから羽根がある。フライト・エンジンとやらを搭載してて、慣れるとコントローラなしで自由に飛び回れる」

キリトがへえっと声を上げる。飛行か……それがこのゲームのミソってとこか

「飛べるってのは凄いな。羽根はどう制御するんだ?」

「さあな。だが相当難しいらしい。初心者は、スティック型のコントローラを片手で操るんだとさ」

「片手をとられるのはきついな……でも、行かないとな。そのスクリーンショットを見せて、さらにアルヴヘイム・オンラインを見せてきたってことは、その中のスクリーンショットなんだろ?」

エギルはパッケージを取ると裏返す。そこに描かれている巨大な樹を指差すと言った

「世界樹と言うんだとさ。プレイヤーの当面の目標は、この樹の上の方にある城に他の種族に先駆けて到着することなんだそうだ」

「到着って、飛んでいけばいいじゃないか」

「そんなに簡単にできたらクエストにならんだろうが」

呆れた声を出す俺

「なんでも滞空時間ってのがあって、無限には飛べないらしい。この樹の一番下の枝にたどり着けない。でもどこにも馬鹿なことを考えるやつがいるもんで、体格順に五人が肩車して、多弾ロケット方式で樹の枝を目指した」

「ははは、なるほどね。馬鹿だけど頭いいな」

「それ矛盾してないか?」

「うむ。目論見は成功して、枝にかなり肉薄した。ギリギリで到着はできなかったそうだが、五人目が到達高度の証拠にしようと写真を何枚も撮った。その一枚に、奇妙なものが写り込んでたらしい。枝からぶら下がる、巨大な鳥かごがな」

「鳥かご……」

「そいつをギリギリまで引き伸ばしたのが、その写真ってわけだ」

「よし……場所も目的地もわかったところで……な」

「ああ……エギル、このソフト、もらっていいか」

一瞬気遣わしげな顔をしたが、次の瞬間それは和らいだ

「おまえらのことだ。とめても無駄だろ?」

「ああ、この眼で確かめる」

「死んでもいいゲームなんてヌルい。死地から何度も抜け出してきた力を見せてやるよ。そうと決まればゲーム機を買いにいこうぜ」

「ナーヴギアで動くぞ。アミュスフィアは、単なるアレのセキュリティ強化版でしかないからな」

「そりゃ助かる」

エギルはにやりと笑うと言った

「ま、もう一度アレを被る度胸があるなら、だけどな」

「もう何度もかぶってるさ」

「ふっ……」

キリトが目配せしてくるので俺はうなずいた

「じゃあ、俺は帰るよ。ご馳走様、また情報があったら頼む」

「情報代はつけといてやる。アスナを助けだせよ。そうしなきゃ俺たちのあの事件はおわらねえ」

「もちろん助けるさ。アスナにはいろんなことを教えてもらったしな」

「親孝行な息子さんだこと」

くっくとキリトが笑いながらちゃかす

「うるせぇよ。旦那さま?」

「そういえば燐のやつ。うちに女の子を連れてきやがったぜ?」

俺たちの軽口の応酬に笑っていたエギルがニヤニヤしながら言った

「ほう……おまえも隅に置けないな」

キリトもニヤニヤしながら追い討ちをかける

「詩乃とはそういう関係じゃ……」

「そうか、詩乃っていうのか。名前で呼びあってるし……どうなんでしょうね、キリトさん」

「いやー、恋人ないしは、かなり親密な関係にあると見ていいと思いますよ」

「……」

燐は顔を真っ赤にしている。これでは、好きだと語っているも同然である

「……とりあえず、アスナを助けだしてから紹介する」

「わかった。楽しみにしてるぜ」

「ああ。いつかここでオフをやろう。その時にでも、な」

三人で拳を合わせ、俺たちは外に出た


「さて、今から行くか?」

「いや、明日にしよう。実は明日から親が一週間ぐらいいないんだ」

「禁止されてんのか……そういえば、束縛されてたって言ってたな。大丈夫なのか?」

「ああ……まあ、何とかなるさ。明日、お前の家に行くから、一緒に行こうぜ。グローバルIPが一緒になるからいけるはず」

「おし……じゃあ、また明日な」

「ちょっとまで。アスナの現実の体を見舞いに行ってからALOにダイブしたいんだが」

「わかった。じゃあ明日八時に駅前でな」

「了解。また明日な」

「おう」

そう言って俺たちは別れた。これが新たな冒険の始まりだった 
 

 
後書き
蕾姫「始まりました!ALO編」

リン「わかったから落ち着け」

蕾姫「……はい……」

リン「で、俺の種族は何なんだ?」

蕾姫「アンケートの結果、闇妖精インプが三票、風妖精シルフがニ票、猫妖精ケットシーが一票です。よってインプに決定します!投票してくれた人たち、ありがとうございました!」

リン「闇妖精か……暗闇で飛べるんだっけ?」

蕾姫「そう、絶剣がこの種族だね」

リン「……絶剣?」

蕾姫「それはスルーして。では次回もよろしくお願いします!」
 

 

ALOと少女との邂逅

 
前書き
短いです。まだゲームに入れませんでしたorz 

 
俺は次の日、両親が出ていくのを確認した俺は、隠しておいた<<ナーヴギア>>を手に取った。所々色が落ちているのがわかる。あの世界で俺と一緒に戦った戦友……といったら変だが、枷ではあったがあの世界に飛ばしてくれそれを維持してくれていたのだから、あながち間違いではないだろう。俺はその<<ナーヴギア>>を鞄に入れ玄関から外に出た。軽く気分が高揚している。アスナのこともあるが、新たな世界で親友とまた戦えるのだ。気分の高揚を抑えることは無理な相談だろう。そんなことを思っていると駅前に着いた。現在時刻七時五十分。昨日同じ場所で、詩乃と待ち合わせしたんだよな……キスのことを思い出して顔を赤くする燐。そんな燐に一人の男が声をかけた

「よう、燐。待たせたか?……何顔を赤くしてんだよ」

「何でもない。よう、キリ……和人」

キリトと言い掛けるとキリトは苦笑いを漏らした

「よし行こうぜ」

キリトはバイクのヘルメットを投げ渡してくる。今どき珍しいバイクだった。俺はヘルメットをキャッチすると言った

「珍しいな。もうすぐ使えなくなるが……」

キリトは苦笑いで応える

「エギルのやろうに騙されたんだよ。それより乗れよ」

「了解」

バイクの後ろに乗る。ニケツってアウトじゃなかったっけ?









俺たちはかなり大きい病院に到着する。通行パスを発行してもらい、エレベータに入る

「何階?」

「最上階。その突き当たりだ」

最上階で降り突き当たりまで進む。突き当たりの部屋の札に結城 明日奈と書かれているのを確認し、中に入る

「アスナ……」

中にあったカーテンを開けるとそこにはSAO時代と何らかわりない……と言うと変だが……アスナがいた

「アスナ。お前は俺たちが助けだす。だから待っていてくれ」

聞こえないとはわかっていてもそう声をかけざるを得なかった。しばらく二人でアスナを見つめた

「……そろそろ行こうか」

三十分ぐらいそうしていただろうか。俺はそう声をかけた

「ああ……行こう。助けにな」

拳を軽くキリトの拳と合わせキリトの家に向かう








キリトの家に着くと一人の少女がマフィンを頬張っていた。そしてこちらに気付くと

「ふぐっ!?」

喉にマフィンをつまらせたようだ。キリトが慌てて駆け寄りジュースをその少女の口に突っ込んでことなきをえた

「ぷはっ!し……死ぬかと思った……」

「そそっかしい奴だなぁ。もっと落ち着いて食え」

「うう〜」

肩を落とす少女。そのやりとりを俺は微笑みながら見守っていた

「えっと、どなたですか?」

「鈴木 燐といいます。今後ともよろしくお願いします」

「堅いなぁ、燐。こっちは俺の妹の直葉だ」

少女の名前は直葉だそうだ

「和人の妹の直葉です。先程は見苦しいところをお見せして……」

その言葉を手で制して、俺は口を開いた

「まあ、失敗は誰にでもあるから。とりあえずお邪魔します」

そういって俺とキリトはキリトの部屋に向かった









「じゃあ、行くか」

「そうだな」

ナーヴギアをかぶって準備完了

「「リンク・スタート!」」

そう叫んだとたんに光が消える。重力が消え、音が消える。この感覚も久しぶりだなと思いながら待っていると初期設定をする場所へと入った。名前はもちろん<<Rin>>。性別は男。容姿はランダムらしい。まあどうでもいいが。選べるキャラクターは九種類。火妖精サラマンダー、風妖精シルフ、土妖精ノーム、水妖精ウンディーネ、猫妖精ケットシー、影妖精スプリガン、闇妖精インプ、鍛冶妖精レプラコーンらしい。初期装備の色からインプかスプリガンで悩んだが前情報をある程度持っていたので、俺はインプを選ぶ。全ての設定が終了し、ゲームが始まるのを待つ。しかし、突如としてノイズが走り、落下が始まる。俺は恐怖の変わりに感じていたのは、心配だった

「(いきなりバグかよ……)」

そう思いつつ落ちていった
 

 

説明とキリトいじり

「ふむぐ」

そう言う声が下から聞こえた。俺はちょうどその場所に着地。ダメージは0だった

「ごがっ」

そんな声が着地したときに聞こえたが気にしない。そのまま、辺りをキョロキョロしていると下の人、キリトが声を出した

「……退いてくれ」

「了解……」

俺がキリトの上から退くとキリトは立ち上がってのびをした

「また……来ちゃったなぁ……」

キリトがそうつぶやいた

「……」

俺は感傷に浸っていた。約二年間、潜りつづけた架空の世界。自由の象徴。そんなことを考えていたらキリトが突然身動ぎをして、メニューを呼び出すと安堵の息を吐いた

「……何のコントだ?」

ため息をつきながらキリトに聞くとキリトはバツの悪そうな顔で頭を掻いた。そしていきなりメニューを食い入るように見つめ声を上げた

「……だから何のコントだ?」

キリトはメニューを可視モードにして見せてくる。何だ?と顔を寄せて見るとその異変に気付いた

「(スキルがあり、ほとんどが完全拾得しかけだと?キリトもなら俺もなのか?)」

俺もメニューを開き自分のスキル欄を見てみる。するとそこには、<<片手剣>>、<<武器防御>>、<<索敵>>などのスキルがほとんどが完全拾得の状態であった

「SAO……」

俺がそうつぶやくとキリトははっとしたように声を上げた

「SAOならば、ユイはどうなってる?」

「そうだ!ってうわ……」

アイテム欄を見て絶句するキリト。俺もアイテム欄を開ける。そこには文字化けしたアイテムの名前の数々が

「ふむ……おそらく共通するデータだけ引き継がれたのだろう。アイテムは全くの新規であるからこんなバグが発生した。現に<<片手剣>>はあるけど<<二刀流>>はないだろ?」

「なるほど……っとこれだ」

キリトは指で<<MHCP001>>と書かれたアイテムを選択、ついでアイテム取り出しボタンを押す。そのアイテムは実体化さろ無色透明のクリスタルが現れる

「神様、お願いします」

キリトはそうつぶやくとクリスタルを二度叩く。するとクリスタルが純白の光を発生させた

「あっ……!?」

キリトが驚きの声を上げるが無視し、クリスタルを凝視する。クリスタルは光りながら徐々に形を変える。クリスタルから、かつて出会った少女へと

「「俺だよ……ユイ。解るか……?」」

キリトと完全に一致したその言葉を微笑を浮かべる少女にかけた

「また、会えましたね、パパ、にい……」

ユイはその言葉を言ったとたんキリトの胸に飛び込んだ。キリトは嗚咽を漏らし、ユイはそんなキリトに頬をすり寄せる。ひとしきり、その行為をするとユイとキリトはこちらを見てきた。二人の眼は語っている。なぜ来なかったのか、と

「男に抱きつく趣味はない……ユイ」

俺が手を広げるとユイはキリトの首に回していた手をとき、俺に抱きついてきた

「久しぶりだな……ユイ」

ユイは俺の胸に頬をすり寄せる。俺はそんなユイの頭を撫でる

「そういえば、どういうことなの……」

キリトが言葉に詰まったのは俺がにらんだからだ

「空気が読めんのか、お前は……」

「……すまん」

申し訳なさそうな顔をしているキリト

「まあ、いいから先は?」

「いや、SAO内じゃないのに、何でユイを展開できたのかなー、と思って」

「ちょっと待ってくださいね」

俺の胸に顔を預けたままユイは眼をつぶる。そしてしばらくして眼を開けると言った

「ここは、この世界は、<<ソードアート・オンライン>>のサーバーのコピーだと思われます」

「コピー……?」

「はい。基幹プログラム群やグラフィック形式は完全に同一です。わたしがこの姿を再現できていることからも、それは明らかです。ただカーディナル・システムのバージョンが少し古いですね。その上に乗っているゲームコンポーネントはまったく別個のものですが……」

「何でデータが同じなんだ?」

片手でユイを抱えたまま、俺はメニューを呼び出し可視状態にしてユイに見せる。ユイは眼を閉じると言った

「……間違いないですね。これはSAOでにいが使用していたキャラクター・データそのものです。セーブデータそのものです。セーブデータのフォーマットがほぼ同じなので、二つのゲームに共通するスキルの熟練度を上書きしたのでしょう。ヒットポイントとマナポイントは別形式なので引き継がれなかったようです。所持アイテムは……破損してしまっているようですね。このままではエラー検出プログラムにひっかかると思います。アイテムは全て破棄したほうがいいです」

キリトに目配せをし、俺もアイテムを全て捨てた「このスキル熟練度はどうしたもんだろう」

「システム的には問題ありません。プレイ時間と比較すれば不自然ではありますが、人間のGMが直接確認しない限り大丈夫でしょう」

「そ、そうか。ううむ……こりゃもうビーターというよりチーターだよな……」

「まあ、都合がいいんだが……」

「どういうことですか?」

俺の呟きに反応したユイ

「アスナがまだ現実世界に戻って来ていない。で、ここにいるかもしれないっていう情報を手に入れてここに来たってわけだ。……そういえばユイは管理者権限はあるのか?あるんだったらアスナがいるかどうかわかるだろう」

「ごめんなさい……できるのは、リファレンスと広域マップデータへのアクセスくらいです。接触したプレイヤーのステータスなら確認できますが、主データベースには入れないようです……」

しゅんとしてうつむくユイ。とりあえず話題を変えることにする

「ゆ、ユイはこの世界だとどんな位置付けなんだ?」

「えーと、このアルヴヘイム・オンラインにもプレイヤーサポート用の疑似人格プログラムが用意されているようですね。<<ナビゲーション・ピクシー>>という名称ですが……わたしはそこに分類されています」

ユイは一瞬難しい顔をして発光しそして消えた……ように見えた。膝に何かが触っている感触がするのでそちらをみると顔はそのままにサイズが縮み、翅が生えた姿のユイがいた

「お、おい!?」

キリトが焦ったような声を上げたのでユイを指差してみる

「これがピクシーとしての姿です」

「おお……」

キリトは指先でユイの頬をつつく

「くすぐったいですー」

笑いながらユイは空中に浮かび上がり俺の後ろに隠れた。キリトがorzな格好になったが、ユイの気分を変えることに成功した

「……ユイ、世界樹とかいう場所はわかるか?」

orz状態から立ち直ったキリトがユイに聞いた

「あ、はい。ええと、ここからは大体北東の方向ですね。でも相当に遠いです。リアル距離置換で五十キロメートルはあります」

「うわ、それは凄いな。アインクラッド基部の直径の五倍か……。そういえば、俺はなんでこんな何もない森にログインしたんだ」

「さあ……位置情報も破損したのか、あるいは近傍の経路からダイブしているプレイヤーと混信したのか、何とも言えません」

「どうせなら、世界樹の近くに落ちてくれればよかったのにな」

「全くだ」

俺たちはアスナを助けに来たのだ遊びなど不要だ

「そういえばここでは飛べるって聞いたなぁ……」

キリトは立ち上がると俺の背中にある紫色の翅にさわると

「おお……翅がある。でもどうやって飛ぶんだろ」

「補助コントローラがあるみたいです。左手を立てて、握るような形を作ってみてください」

ユイの言う通りにするとスティック状のオブジェクトが出現する

「えと、手前に引くと上昇、押し倒すと下降、左右で旋回、ボタン押し込みで加速、離すと減速となっていますね」

「ふむふむ」

とりあえずゆっくり押し倒してみる。すると背中の翅が反応し燐光を放ちながら俺の浮力を与える。下降、上昇、加速、旋回、減速、着地とひとしきり練習しちゃんと飲み込んでから地面に降り立つ

「なるほど、大体わかった。とりあえず基本的な情報が欲しいよな……。一番近くの街ってどこかな?」

「西のほうに<<スイルベーン>>という街がありますね。そこが一番……、あっ……」

突然ユイが顔を上げて声を出す

「どうした?」

「プレイヤーが近づいてきます。三人が一人を追っているようですが……」

「おお、戦闘中かな。見に行こうぜ」

「相変わらずパパはのんきですねぇ」

「まあ、キリトだからな……」

キリトはユイ、俺に立て続けに言われちょっと傷ついた顔をしたがウインドウを操作して初期アイテムの片手直剣を背中に装備した。俺もウインドウを操作して腰に装備する

「うわあ、なんかちゃっちい剣だなぁ。軽いし……まあいっか……」

「ちゃっちいのは全面的に同意するが軽さは問題ないぞ?お前の常識がおかしいだけだ。お前の常識は世間一般では両手剣というんだ」

キリトは再びorzの状態になる

「ほらほら、行くんじゃないのか?」

「……ユイ、先導頼む……」

「……了解です」

ユイは苦笑いを浮かべながら飛び立つ。ユイ、キリト、俺の順番で戦闘をしているという場所へ向かった 
 

 
後書き
蕾姫「遅くなりました……」

リン「遅い……零式をやり込みやがって……ちゃんと更新しろ!」

蕾姫「ふぁい……」

リン「といいつつPSPの電源を入れるな!!ってか何だよそのレベルは……まだ五章なのにレムのレベルが52って……エースが40……必要ないだろそんなに……」

蕾姫「目標55!!」

リン「やかましい……とりあえず今日はとことん書けよな」

蕾姫「次もよろしくお願いします……遊戯王の方のアイデアが浮かばない……」
 

 

風と火

ユイは木が少し少ない広場のような場所の手前で停止した。その先には赤い翅の男のサラマンダー三人が一人の女のシルフにランスを構えている光景があった

「あれ?あれ?」

キリトはそんなことを言いながらとまりきれずそのシルフとサラマンダーの間に突っ込んだ

「うう、いてて……。着陸がミソだなこれは……」

見物するだけのつもりだったがキリトが出てしまったので俺も姿を見せる

「馬鹿だろキリト……着陸ぐらい練習しておけ」

「何してるの!早く逃げて!!」

シルフの女の子が叫んだ。……なぜ?と思ったが自分の姿を思い出した。そういえば初期装備だったな。キリトは右手をポケットに突っ込むとそこにいる全員を見渡し、口を開いた

「重戦士三人で女の子一人を襲うのはちょっとカッコよくないなぁ」

「何だとテメエ!!」

俺はとりあえずキリトを一発殴る

「何をする」

「馬鹿かおまえは……ストレートに喧嘩売ってどうするんだ。少しずつ、追い詰めるのが楽しいんだろ。俺の楽しみを奪うな」

「ああ……すまん」

やられた経験を持つキリトは顔色を青くする

「そっち!?」

シルフの女の子が突っ込んでくる。……いいタイミングだ。グッジョブと親指を立てているとサラマンダーの一人が苛立ったように声を発する

「初期装備でノコノコ出てきやがって馬鹿じゃねぇのか。望みどおりついでに狩ってやるよ!」

サラマンダー達はシルフの女の子の牽制に一人残し、二人がこちらにランスを向けて突進してくる

「相手の力量も読めないような奴に負けるとでも?」

キリトがランスの先を掴む。ガードエフェクトの光と音が響く。俺は剣を抜き、ランスの先を無造作に払う。重量はあちらの方が上だがスピードが桁違いにこちらの方が上だ。ランスを弾かれ、無防備な体に右手の拳を放つ

「ぐわっ」

吹っ飛ばされ木に叩きつけられるサラマンダー。そのまさに同じ場所にキリトはもう一人のサラマンダーを投げ飛ばした

「「ぐえっ」」

「ナイスピッチング」

いえーいとキリトとハイタッチ。その後キリトは剣を抜くと戸惑ったような表情で止まった

「ええと……あの人たち、斬ってもいいのかな?」

「……そりゃいいんじゃないかしら……。少なくとも先方はそのつもりだと思うけど……」

「それもそうか。じゃあ失礼して……」

俺もため息をつきながら構える。キリトはだらりと地面に垂らすあの独特の構え。俺は前に肩に担ぐように構える。そして、斬った。それしかいいようがない。俺たちにとってはそれが普通の速度だからだ。だが女の子の方を見ると唖然とした表情になっていた。二人のサラマンダーは赤い炎に包まれ直後に四散。その後には小さな残り火があった。女の子は状況を理解したのか驚きの表情をしていた。空中のサラマンダーは……唖然としていた

「効果音がうるさすぎるな」

「風の音と地を蹴る音な。……たしかに」

「どうする?あんたも戦う」

キリトが緊張感のない言葉でサラマンダーは我に返ると苦笑した

「いや、勝てないな、やめておくよ。アイテムを置いていけというなら従う。もうちょっとで魔法スキルが九百なんだ、死亡罰則が惜しい」

「正直な人だな」

「君はいいの?」

シルフの女の子に話しかける俺。すると女の子は笑うと口を開いた

「あたしもいいわ。今度はきっちり勝つわよ、サラマンダーさん」

「正直君ともタイマンで勝てる気はしないけどな」

そう言い残すとサラマンダーは翅わ広げ飛び去って行った

「……で、あたしはどうすればいいのかしら。お礼を言えばいいの?逃げればいいの?それとも戦う?」

キリトは剣を納めると言った

「うーん、俺的には正義の騎士が悪漢からお姫様を助けた、っていう場面なんだけどな」

にやりと笑うとキリトは続けた

「感激したお姫様が涙ながらに抱き……のわっ!?」

後半を言えなかったのは文脈から予想し、言おうとしていた言葉を察した俺がキリトを全力で蹴飛ばしたからだ。ちなみにキリトの胸ポケットにいたユイは回収済みだ。キリトは木を二本ぶち抜いた後、木に張りつけられ倒れた

「あの……」

シルフの少女は唖然としながらも心配そうな声をあげる

「あの馬鹿はほっといていいから」

「そ、そうですか……」

苦笑いの少女

「で、話は戻すけど俺たちには君を襲う気はさらさらないから心配ない」

「そう……よかった」

少女は息を吐くと俺の手の中にいるユイに気が付いた

「ねぇ、それってプライベート・ピクシーってやつ?」

「えっと?」

「あれでしょ、プレオープンの販促キャンペーンで抽選配布されたっていう……。へえー、初めて見るなぁ」

「あ、わたしは……むぐ!」

SAO関連をしゃべりそうになったユイの口をふさぎどう言おうか悩んでいると、復活したキリトが口を挟んだ

「そ、そう、それだ。俺クジ運いいんだ」

「まあ……たしかに」

ちなみにキリト、墓穴を掘ったぞ、今。まあ、しかしSAOのβテスターになれたのはある意味幸運だったな

「ふうーん……」

少女は俺とキリトを交互に見た

「な、なんだよ」

「や、変な人たちだなあと思って。プレオープンから参加してるわりにはバリバリの初期装備だし。かと思うとやたら強いし」

「ええーと、あれだ、昔アカウントだけは作ったんだけど始めたのはつい最近なんだよ。ずっと他のVRMMOをやってたんだ」

半分真実で半分嘘を言うキリト。きな臭さ抜群である

「へえー」

見事な棒読みだ

「それはいいけど、なんでスプリガンがこんなところをうろうろしてるのよ。領地はずうっと東じゃない。インプも同じようなものか……」

「み、道に迷って……」

キリトのその言葉に俺はずっこけた。そして、ユイとひそひそ話を開始する

「なあ、道に迷ってってのはいくら何でもむちゃくちゃな気がするんだが……」

「はい……世界樹を挟んで反対側ですし、言い訳にしては……」

そんなことを話しているとシルフの少女は案の定吹き出した

「ほ、方向音痴にも程があるよー。きみ変すぎ!!」

……訂正。案の定ではなかった

「……彼女は天然なのか?それとも馬鹿なのか?」

「あれで疑わないなんて……」

「まあ、とにかくお礼を言うわ。助けてくれてありがとう。あたしはリーファっていうの」

少女、もといリーファは己の武器である長刀を鞘に納めるとお礼と自己紹介をしてきた

「……俺はキリトだ。んで、こいつがリン。この子はユイだ」

紹介されたので握手を求める

「俺はリン、よろしく」

「リーファです。よろしく」

ユイは軽く会釈すると飛び立ちキリトの肩に座った

「ねえ、君たちこのあとどうするの?」

「や、とくに予定はないんだけど……」

「嘘つけ……世界樹に行かなきゃならんだろ」

「え……世界樹に?」

「まあ、こっちの話。そんなに切羽詰まってないから暇はあるよ?」

俺はリーファに微笑む。ちょっと赤くなったリーファは口を開いた

「そう。じゃあ、その……お礼に一杯おごるわ。どう?」

「じゃあ、お言葉に甘えてお願いしようかな」

「じゃあ、ちょっと遠いけど北のほうに中立の村があるから、そこまで飛びましょう」

「あれ?スイルベーンって街のほいが近いんじゃあ?」

キリトがそう口を挟む。するとリーファは呆れ顔でキリトを見る

「そりゃそうだけど……ほんとに何も知らないのねぇ。あそこはシルフ領だよ」

「シルフ以外は立ち入り禁止とかなのか?」

「街の圏内だと別の種族はシルフを攻撃できないけど逆はアリなんだよ」

「へえ、なるほどね……。でも、別にみんなが即襲ってくるわけじゃないんだろう?リーファさんもいるしさ。シルフの国って綺麗そうだから見てみたいなぁ」

「……リーファでいいわよ、リンさんもね。本当に変な人。まあそう言うならあたしは構わないけど……命の保証まではできないわよ」

「俺もリンでいいよ、リーファ。大丈夫。いざとなったらキリトを生け贄に逃げるから」

「ひでぇ……」

「何てな、冗談だよ。ぬるま湯に浸かってるやつらが何人こようとも一発あてられるか疑問だしね」

「……ぬるま湯?」

おっと口が滑った

「気にしないでくれ。とりあえず俺たちはスイルベーンでもいいから連れて行ってくれ」

釈然としないといった表情をしていたがリーファは口を開いた

「じゃあ、スイルベーンまで飛ぶよ。そろそろ賑やかになってくる時間だわ」

リーファは左手を動かすことなく翅を広げたのでキリトは首を傾げた

「あれ、リーファは補助コントローラなしで飛べるの?」

「あ、まあね。君たちは?」

「ちょっと前にこいつの使い方を知ったところだからなぁ」

「そっか。随意飛行はコツがあるからね、できる人はすぐできるんだけど……試してみよう。コントローラ出さずに、後ろ向いてみて」

「あ、ああ」

「わかった」

俺とキリトは体を半回転させる

「今触ってるの、わかる?」

「「うん」」

「あのね、随意飛行って呼ばれてはいるけど、ほんとにイメージ力だけで飛ぶわけじゃないの。ここんとこから、仮想の骨と筋肉が伸びてると想定して、それを動かすの」

新しく想像すること、これは会社をやっていく上で最も必要なものの一つだ。よって幼いころから鍛えられてきたのでそれは容易だった

「(まあ、こんなところで役に立つとはな)」

「リンは大丈夫そうね……ほんとに初めて?」

「そうだけど?」

そういって俺は地面を蹴る。上空で多少ふらついたがすぐに慣れる。旋回、加速、減速、降下、上昇などを練習する。そうしていると下からキリトが弾丸のように飛び出してきた

「ああああぁぁ」

俺はそれを見送ると俺の少し上のあたりで左右に運動し始めた

「わあああああぁぁぁぁぁぁ……止めてくれぇぇぇぇぇぇ」

情けない悲鳴が響き渡る

「「「……ぷっ」」」

キリトを追いかけてきたらしいリーファとユイと顔を見合せ、同時に吹き出す

「あははははは」

「ご、ごめんなさいパパ、面白いです〜」

「お前は俺の腹筋を崩壊させる気か?」

しばらく三人で笑い転げていたがさすがに不味いと思ったのかリーファがキリトの首根っこを捕まえてコツを伝授していた。俺は、ユイと空中戦闘の真似事を。ユイがえいっ、とかやあっ、とか言うのが非常に可愛らしかったとだけ言っておこう。もちろん俺は攻撃してないが

「おお……これは……いいな!」

コツを手に入れたらしくキリトは感嘆の声を上げた……大音量で

「うるさい!」

とりあえず蹴ってみる。リアルライダーキックじゃんと地味に感動してしまった。吹っ飛ばされたキリトはどうにか体制を立て直したらしく戻ってくる

「……そんなに叫ばなくても聞こえるだろうが」

「ごめんなさい……」

空中にキリトを正座させて説教を始めようとする俺

「まあまあ……」

とリーファが俺を止める

「慣れてきたら、背筋と肩甲骨の動きを極力小さくできるように練習するといいよ。さっきのリンの飛び蹴りのときみたいに大きく動かしてると、空中戦闘のときちゃんと剣を振れないから。……それじゃあ、このままスイルベーンまで飛ぼっか。ついてきて!」

そう言ったリーファを俺たちは追う。スイルベーンに向かって 
 

 
後書き
リン「飛ぶって楽しいな」

蕾姫「俺も飛んでみたいよ……」

リン「まあ、VRMMOなんて今現在の技術じゃ夢のまた夢だしね」

蕾姫「……茅場的な人、出てこないかな……」

リン「それは多分SAOを読んだ人全員に共通する願望だよな」

蕾姫「はぁ……まあ、いいや。小説内の話に行こう!」

リン「蕾姫が……真面目……だと!?」

蕾姫「俺だって真面目になるときもある!話を戻すけどいつぞや質問されたことだが、主人公の容姿について!リアルは、<<緋弾のアリア>>の遠山 金次を意識しています。中身は……<<魔法少女リリカルなのは>>の八神 はやてかな?ALO内の容姿は……まあ、特徴ない感じですかね?このキャラじゃない?って思ったらそういう意見をもらえると嬉しいです。では次回、よろしくお願いします!」
 

 

風の塔と魔法

 
前書き
遅くなりました…… 

 
スイルベーンの方向へ向かって進み始めた。するとキリトは飛行に慣れたのか言った

「もっとスピード出してもいいぜ」

「ほほう」

リーファはにやりと笑うとスピードを上げる。SAOで鍛えた精神力をフル使用すれば最高速度でも可能だろう。案の定、キリトもついてきている

「はうー、わたしもうだめです〜」

ギブアップしたのはユイ。キリトの胸ポケットに潜り込む……やっぱりダメだったか



しばらく編隊飛行を続けていると森が切れ、街が見えてくる

「お、見えてきたな!」

キリトがそう叫ぶとリーファも叫び返した

「真中の塔の根元に着地するわよ!」

「了解!」

「……」

俺は了解と叫ぶがキリトは何も言わなかった。それを疑問に思ったのかリーファはキリトに訊ねる

「キリトくん、君、ライディングのやりかた解る……?」

「解りません……」

「えーと……」

キリトは手遅れ確実だな

「大丈夫……骨は拾ってやるよ」

リーファと同じく翅を一杯広げ制動をかけ、足を出し着地姿勢をとる

「だいじょうぶじゃねぇぇぇぇぇぇ!?」

キリトはそのまま塔にマンガよろしく大の字で張りついた。俺はリーファと顔を見合せ、笑う

「大丈夫かな?」

多少心配そうな表情を見せるリーファだがいろいろピクピク動いていて、爆笑を押さえるので精一杯のようだ

「やつは殺しても死なん。心配しろという方が無理な話だ」

そう言って俺はキリトの方へ歩きだすのであった








「うっうっ、ひどいよリーファとリン……飛行恐怖症になるよ……」

風の塔の根元にキリトは座り込みこちらを恨みがましい眼でこちらを見てきた

「眼がまわりました〜」

ユイもフラフラになっている

「減速して着地する練習しないでスピードを出したお前が悪い」

「それはリンだって同じだろ?何でリンは着地できたんだ……」

「リーファの真似をしてみたらできたからな。まあ、リーファの隣にいたお前は見る余裕がなかったと思うが」

「まあまあ、回復してあげるから」

間に割り込むようにリーファが声を出した。そして、回復スペルを唱えた

「お、すごい。これが魔法か」

「魔法ねぇ……」

「高位の治癒魔法はウンディーネじゃないとなかなか使えないんだけどね。必須スペルだから君たちも覚えたほうがいいよ」

「へえ、種族によって魔法の得手不得手があるのか。スプリガンてのは何が得意なの?」

「トレジャーハント関連と幻惑魔法かな。どっちも戦闘には不向きなんで不人気種族ナンバーワンなんだよね」

「うへ、やっぱり下調べは大事だな」

「……情報は大事だろ。あの世界で散々学んだはずじゃないのか?」

俺が呆れたような声を出すとキリトは真剣な顔でうなずいた

「確かに……な。気が緩んでるのかも。……それはそうと、インプってのはどんな種族なんだ?」

「暗中飛行と暗視に長けているらしい。どこでもこいつが使えるようにってな」

俺は自分の腰にある剣を叩いて言った

「俺もインプにすればよかったかな……」

キリトは立ち上がると口を開いた

「ここがシルフの街かぁ。綺麗な所だなぁ」

「でしょ!」

「何でリーファが胸を張るんだよ……まあ、確かに綺麗な街だけどな」

街並みは緑色に輝いている。しばらく街並みに見入っていると横から声が聞こえた

「リーファちゃん!無事だったの!」

声が聞こえた方に顔を向けると黄緑色の髪のシルフが手をぶんぶん振っていた

「あ、レコン。うん、どうにかねー」

「すごいや、アレだけの人数から逃げ延びるなんてさすがリーファちゃん……って……」

目をキラキラさせてリーファを見ていたが俺とキリトを見た瞬間、凍り付く

「な……スプリガン……それにインプじゃないか!?なんで……!?」

飛び退き、腰のダガーに手を掛けようとするので俺も腰の片手剣に手をかける。抜刀はしないが

「あ、いいのよレコン。この人たちが助けてくれたの」

「へっ……」

レコンと呼ばれた少年は再び凍り付く

「こいつはレコン。あたしの仲間なんだけど、君たちと出会うちょっと前にサラマンダーにやられちゃったんだ」

「そりゃすまなかったな。よろしく、俺はキリトだ」

「俺はリンだ。よろしく頼む」

「あっ、どもども」

キリト、俺の順番で握手をし、ペコリと頭を下げてからまた飛び退る

「……何のコントだ?」

「コントじゃないって!それよりもだいしょうぶなのリーファちゃん!?スパイとかじゃないの!?」

「あたしも最初は疑ったんだけどね。リン君はともかくキリト君はスパイにしてはちょっと天然ボケ入りすぎてるしね」

「確かに……キリトはスパイに向いてないな。一瞬でばれる」

「あっ、二人ともひでえ!」

俺たちのやりとりをしばらく見ていたがやがて咳払いをして言った

「リーファちゃん、シグルドたちは先に<<水仙館>>で席取ってるから、分配はそこでやろうって」

「あ、そっか。うーん……」

しばらく考えたあと口を開いた

「あたし、今日の分配はいいわ。スキルに合ったアイテムもなかったしね。あんたに預けるから四人で分けて」

「へ……リーファちゃんは来ないの?」

「うん。お礼にリン君とキリト君に一杯おごる約束をしてるんだ」

「……」

先ほどとは多少異なる警戒心を滲ませるレコン。だからちょっとからかってみることにした

「まあ、そういうことだから」

そう言って、リーファの肩を抱く。リーファは顔を真っ赤にして「あっ、ちょっ」とか言っているが無視する。するとレコンからの視線が死線へと変化した

「冗談だ」

そう言ってリーファの肩から手を離す。それでも死線は消えない

「ちょ、ちょっと、妙な勘繰りはしないでよね」

顔を真っ赤にしてどもどりながら言っても信じてもらえないと思うが……

「次の狩りの時間とか決まったらメールしといて。行けそうだったら参加するからさ、じゃあ、おつかれ!」

「あ、リーファちゃん……」

アイテムを送信し、俺とキリトの手を引いて強引に引いてレコンから逃げるようにリーファは歩きだした 
 

 
後書き
詩乃「……」

蕾姫「あの……詩乃さん。何でそんなに不機嫌なんですか?」

詩乃「……この小説のヒロインは私じゃなかったの?」

蕾姫「その通りです……」

詩乃「なのに何で……」

蕾姫「……どっちにしようか悩んでます。シノンOnlyにするか、リーファも入れるか……次回もよろしくお願いします!」
 

 

移動とデュエル

 
前書き
短い…… 

 
「さっきの子は、リーファの彼氏?」

「恋人さんなんですか?」

「ハァ!?」

キリトとユイはレコンがいなくなると同時にそんな言葉をリーファにかけた

「ち、違うわよ!パーティーメンバーよ、単なる」

「それにしちゃずいぶん仲良さそうだったよ」

「リアルでも知り合いって言うか、学校の同級生なの。でもそれだけよ」

それを聞いて俺はキリト目を向ける。同じことを考えたのか、キリトも俺に目を向けてくる

「俺たちもリアルでも知り合いだよな」

「何いってるんだ、親友だろ」

わはははと笑いあう俺たちを見てリーファは呆れたような顔をしている

「はぁ……とりあえず行くわよ」

再び歩きだす俺たち。すれ違うシルフのプレイヤーはギョッとした表情を浮かべるがリーファがいるからかそれだけである。しばらく歩くとリーファのお気に入りらしい<<すずらん亭>>という店が見えてくる。が俺たちの行く手を一人のシルフの男性プレイヤーが遮った

「おい、何でスプリガンとインプがここにいやがる」

「すぐ近くにこの街があったからな。よらせてもらっただけだ」

「リーファさんも何でこんなやつらを連れ込んでるんですか!」

「助けてもらったからね」

「本当にそれだけですか?」

「(こいつ、リーファに惚れてるな)」

俺はいつもの悪癖を出してしまい、そのプレイヤーをからかう

「ご想像におまかせします」

レコンの時と同じくリーファの肩を抱いて返答する。するとリーファは顔を真っ赤にした。それを見たシルフのプレイヤーは歯ぎしりをし、剣を抜いた。そのシルフの得物は両手剣。使い込まれた感じがする。かなりの使い手だろう。その剣をこちらに向け、言い放つ

「そのまま斬りたいが、無抵抗の相手を斬るのは心証が悪いからな。デュエルを申し込んでやる。リーファさんの隣にふさわしいのはこの俺だ!」

言い終わると同時に俺の前にデュエルの申し込み画面がオプションは全損モード。SAOではあり得ない表示だ。もちろん承諾

「ちょっと、相手が誰だかわかってるの!?スイルベーンである武闘大会イベントで必ず上位に食い込む実力者よ。キリト君も何か言ってあげて」

「大丈夫じゃないか?実力でいうならリンの方が遥かに上だし」

そんなことを言い合っているのをよそに俺は集中する。剣と一体になる感覚

「俺の名前は、ランカー。自分を負かしたやつの名前ぐらいは知っておきたいだろ」

勝利を確信したような顔。名前なんてデュエルを承諾したときに見てるし、わざわざ言う必要なんてない。俺は言葉少なく「リンだ」とだけ言った。

カウントが0になった瞬間、俺は地面を蹴り一瞬でランカーとの距離をつめる。SAOの世界ならば、片手剣基本突撃技<<レイジ・スパイク>>と呼ばれた技を放つ。基本技とはいえ、SAOトップレベルの速さを持つ俺が使う<<レイジ・スパイク>>を油断していて反応できるわけがなく、ランカーの体を吹き飛ばした。ランカーのHPを確認すると六割ほどが消えていた。ダメージは技の速度、当たった場所、武器の攻撃力に左右される。だから<<レイジ・スパイク>>でも六割削れたんだと思う。ランカーは起き上がると自分のHPを確認して驚愕し、こちらを睨んでくる

「てめえ……何で追撃をしなかった……追撃されてたら俺のHPは0だったはず」

「お前が俺をあなどってたからだ。そんなやつ、相手にする価値がない」

「……その言葉、後悔させてやる」

ランカーが纏う空気が変わる

今度はランカーが先に地面を蹴った。現実で剣道でもやっているのだろう。流れるような動き剣を振り上げる。対して俺は前に突き出した剣を後ろに引き、体ごとひねる。SAOでは一撃必殺のあの技の初動モーションをとる。そこに、ランカーは斬り込んだ。面を狙う一撃。俺はその一撃をランカーの剣の腹を左手で殴った。この技はSAOでの名前で単体体術技<<ショック・ヘッド>>。本来は敵の頭を横凪ぎに殴り、敵を気絶させる技なのだが今回、殴ったのは相手の剣だ。ランカーの顔が驚愕に歪むのを見ながら、そのまま右手の剣で<<ヴォーパル・ストライク>>を放った。<<ヴォーパル・ストライク>>はランカーのHPを全て刈り取った。ランカーのアバターは砕け散り、緑色の炎が後に残った

「お疲れ。というか本気出してなかっただろ。お前の本気にしては遅すぎる」

「えっ、あれで本気出してないの!?」

「まあ、ギリギリで負けた方が悔しいだろ?」

ニヤリと笑ってそう言うと、二人は呆れたようにため息をついた。性格悪い?突っ掛かってきた方が悪いだろ

「とりあえず中に入ろうよ。視線が痛いし」

「はいはい」

そう言って俺たちは店の中に入る。外では、ざわざわとした喧騒が戻っていた
 

 

すずらん亭と世界樹

スイングドアを押し開けてリーファが贔屓にしているという<<すずらん亭>>に入った。時間が時間なのか店内にはプレイヤーは一人もいなかった。奥まった窓際の席にリーファの向かいに腰掛ける。ちなみにキリトは隣だ

「さ、ここはあたしが持つから何でも自由に頼んでね」

「じゃあお言葉に甘えて……」

「あ、でも今あんまり食べるとログアウトしてから辛いわよ」

「キリトは食い意地が張ってるからなぁ」

「張ってないって!」

「どうだか」

SAOではないので、ここで食べ過ぎると現実に戻ってから食べれなくなる。まあ、一食ぐらい抜いてもいいと思うが

結局リーファはフルーツババロア、キリトは木の実のタルト、俺は木苺のケーキ、ユイはチーズクッキー。飲み物に香草ワインのボトルを注文した。ちなみにユイがチーズクッキーにすると言ったときリーファが目を丸くしていた

「それじゃあ、改めて、助けてくれてありがと」

緑色のワイン(見た目があれだが)を注いだグラスを持ち乾杯すると一気に飲み込んだ

「いやまあ、成り行きだったし……」

「キリトが飛行に失敗しただけだがな」

「……こほん。それにしても、えらい好戦的な連中だったな。ああいう集団PKってよくあるの?」

こほんって言葉でいうやつ初めてみた……

「うーん、もともとサラマンダーとシルフは仲悪いのは確かなんだけどね。領地が隣り合ってるから中立域の狩場じゃよく出くわすし、勢力も長い間拮抗してたし。でもああいう組織的なPKが出るようになったのは最近だよ。きっと……近いうちに世界樹攻略を狙ってるんじゃないかな……」

「それだ、その世界樹について教えて欲しいんだ」

「世界樹の上に行きたいんだよ」

キリトがそう言うとリーファは呆れながらも答えた

「……それは、多分全プレイヤーがそう思ってるよきっと。っていうか、それがこのALOっていうゲームのグランド・クエストなのよ」

「と言うと?」

「滞空制限があるのは知ってるでしょ?どんな種族でも、連続して飛べるのはせいぜい十分が限界なの。でも、世界樹の上にある空中都市に最初に到達して、<<妖精王オベイロン>>に謁見した種族は全員、<<アルフ>>っていう高位種族に生まれ変われる。そうなれば、滞空制限はなくなって、いつまでも自由に空を飛ぶことができるようになる……」

「オベイロン……オベロンの変化系か?」

「何だそりゃ?」

「シェークスピアの<<夏の夜の夢>>に登場する妖精の王です、パパ」

「まあ、それはおいておくとして、世界樹の上に行く方法っていうのは判ってるのか?」

「世界樹の内側、根元のところは大きなドームになってるの。その頂上に入り口があって、そこから内部を登るんだけど、そのドームを守ってるNPCのガーディアン軍団が凄い強さなのよ。今まで色んな種族が何度も挑んでるんだけどみんなあっけなく全滅。サラマンダーは今最大勢力だからね、なりふり構わずお金貯めて、装備とアイテム整えて、次こそはって思ってるんじゃないかな」

「軍団と言ったか?」

聞き逃せない単語があったので質問をするとリーファは怪訝そうな顔をして答えた

「そう言ったけど……」

「なら、一体ごとの強さはどれくらいなんだ?」

「三体までならなんとかなるらしいわ」

「そうか……」

「今では無理っていう意見が一般的ね。まあ、クエストは他にもいっぱいあるし、生産スキルを上げるとかの楽しみ方も色々あるけど……でも、諦めきれないよね、いったん飛ぶことの楽しさを知っちゃうとね……。たとえ何年かかっても、きっと……」

「それじゃ遅すぎるんだ!」

不意にキリトは押し殺した声で叫ぶ。眉間には深い谷。口元が震えるほど歯を食い縛っている

「キリト……わかってるから、少し……」

「どうしてそんなことが言えるんだよ!」

「いい加減にしろ!そうやって叫んで戻って来るんだったら、喉が枯れるまで叫んでるさ。今は落ち着け」

俺はキリトの肩に手をやってそう諭す。するとキリトは少し落ち着いたように見えた

「……驚かせてごめん」

キリトは謝罪をする

「でも俺……」

「俺たちは……だろ?」

俺の割り込みにありがとうとキリトは言って続けた

「どうしても世界樹の上に行かなきゃいけないんだ」

「何で、そこまで……?」

「人を……探してるんだ」

「詳しくは説明できないが、俺たちがこの世界に来たのもそれが理由だ」

俺はリーファに微笑む。リーファの瞳には疑問が浮かんでいた

「……ありがとうリーファ、色々教えてもらって助かったよ。ご馳走様、ここで君に会えてよかった」

「邪魔したな、リーファ」

俺とキリトは各自そう言って立ち上がろうとした

「ちょ、ちょっと待ってよ。世界樹に……行く気なの?」

だが、リーファは俺とキリトの腕を掴んできた

「ああ。この眼で確かめないと」

キリトは言葉で、俺はうなずくことで。リーファの問いかけを肯定した

「無茶だよ、そんな……。ものすごく遠いし、途中で強いモンスターもいっぱい出るし、そりゃ君も強いけど……」

そう言ってリーファは言葉を切る。そのあと、俺を驚愕させるような言葉を放ってきた

「じゃあ、あたしが連れていってあげる」

「「え……」」

俺とキリトの戸惑いの言葉が見事にはもる

「いや、でも、会ったばかりの人にそこまで世話になる訳には……」

「いいの、もう決めたの!!」

断固とした口調で言い放ったリーファは顔を背けた。その頬は赤く染まっていた

「あの、明日も入れる?」

「あ、う、うん」

「俺は問題ないが……」

「じゃあ午後三時にここでね。あたし、もう落ちなきゃいけないから、あの、ログアウトには上の宿屋を使ってね。じゃあ、また明日ね!」

混乱からまだ復活していない俺たちに向かって畳み掛けるようにリーファは言って右手を振った

「リーファ……」

メニュー画面を見ていたのであろうリーファは俺の呼び掛けに顔を上げた

「ありがとう……な」

そういうとリーファは笑みを浮かべうなずくと光りに包まれ、そして消えた

「どうしたんだろう彼女」

リーファが消えてしばらく、リーファが座っていた椅子を呆然と見ていたキリトがそうつぶやいた

「さあ……。今のわたしにはメンタルモニター機能はありませんから……」

「ううむ。まあ、道案内してくれるってのは有り難いな」

「マップならわたしにもわかりますけど、確かに戦力は多いほうがいいですね。それにしても……」

そう言うとキリトの肩からユイは飛び立ち俺の肩に座るとユイは言った

「にぃはリーファさんといい雰囲気でしたね」

ユイがそういうとキリトはニヤニヤし始めた

「おや〜リン。現実に彼女がいるってのにバーチャルで彼女を作ってもいいのかぁ?」

「えぇっ!?にぃには彼女がいたんですか?」

いつもより間延びした声でキリトが言うとユイが反応し、驚きの声を上げた

「リーファはからかっただけだ」

「それは……」

「リーファさんが可哀想です……」

「……何のことだよ。とりあえず、俺らも落ちるぞ」

「にぃ。彼女のことはどうなったんですか?」

「……ノーコメント」

顔が赤くなってるのを感じつつ俺は立ち上がりそっぽを向いた

「ほら、行くぞ」

未だニヤニヤしているキリトとユイを急かし二階へ上がる。そして、装備を解除し横になった

ユイは俺のベッドとキリトのベッドの間にある机に降り立つと僅かに俯きながら言った

「……明日まで、お別れですね、パパ、にぃ」

「……そうか、ごめんな。せっかく会えたのにな……。またすぐ戻ってくるよ、ユイに会いに」

「……あの……」

ユイは僅かに頬を赤く染めて言った

「パパとにぃがログアウトするまで、一緒に寝てもいいですか?」

ユイは俺たちを交互に見ながら言った

「どちらか一人にしろ、ユイ。俺は男と一緒に寝る趣味はない」

「……そうですか……」

しゅんとしてしまったユイを見てキリトは俺に言った

「俺は構わないぜ」

「俺は構う。まさかお前……こっちなのか?」

首に手首を当てる。某天使の鼓動で音が無いやつがやったように

「違うよ!?」

しばらくそこが笑いに包まれたのは言うまでもない

「じゃあ、な」

「おやすみなさい、にぃ」

そうして俺は眠りに就いた 
 

 
後書き
蕾姫「ふぅ……」

リン「ようやく書き終わったな」

蕾姫「いやぁ、最近やることが多くてさ」

リン「シークレットゲームをやってたもんな。十六歳のくせに」

蕾姫「……まあ、それは置いといて、ALOはさらっと流すつもりだったのになかなか進まない……」

リン「……はぁ。こんな作者でよかったらこの作品に付き合ってやってくれ」

蕾姫「リン……初めて俺に優しくなった……」


蕾姫「改めまして感想を待ってます。感想が作者の原動力です。これからもよろしくお願いします!」
 

 

次の日と武具店

次の日、目を覚ますと見覚えのない部屋だった。椅子で寝ていたためか、多少体が痛い。一、ニ度大きく伸びをして、ベッドで寝ているキリトに拳を叩きこんでから(ベッドと椅子の格差についてムカついたから。キリトはグフッと言った)部屋を出た。リビングに行くとキリトの妹が朝早くから活動していた

「おはようございます」

そう挨拶するとビクッとなって咥えていたパンを落としそうになってあわてて手でキャッチした

「おっ、おはようございます。お帰りになってなかったんですか?」

「あぁ、昨日は泊まらせてもらった。それと敬語は抜きでいいから」

「はい。えっと兄は……」

多少落ち着いたのは、パンを手に持って話しかけてくる

「まだ、寝てるかも」

「かも?」

「一応客である俺を椅子で寝かして一人だけベッドで寝てやがったから、ちょっと制裁を加えた。だから起きてるかもしれん」

「あはは……兄が迷惑を掛けました……」

苦笑いの直葉

「あいつはいつも起きるのが遅いのか?」

「いつもはそろそろ起きてくるころですよ」

ちなみに今の時刻は午前八時。そう直葉が言った直後、キリトが起きだしてくる

「……おはよう、リン、スグ」

「おはよう、お兄ちゃん」

「よう、キリ……和人。調子はどうだ」

「腹の辺りが痛い以外は何とも……何で腹が痛いんだろ?……何で二人とも笑ってんだ?」

俺は直葉と顔を見合せ、爆笑する。それを見てキリトは不思議そうな顔をしている

「じゃ、じゃあ、私は行くから」

目に涙を浮かべながら竹刀と思わしきものを持って直葉は出ていった

「さて、俺はジムに行ってくるがお前はどうする?」

「暇だし、付き合うよ」

「よし、じゃあ飯にしよう」







-







ジムから帰って俺らは昨日と同じようにキリトの部屋に入った

「家のことはいいのか?」

「今はアスナを助けることに集中しろ」

「……ありがとう」

「何をいまさら……俺は自分のためにアスナを助けに行くんだよ。礼を言われる義理はねぇ。ほら、行くぞ」

「「リンク・スタート」」

少しキリトと話した後、ALOの世界に飛び込むための言葉を口にする。全てはアスナを助けるために

「やぁ、早いね」

「ううん、さっき来たとこ。ちょっと買い物してたの」

「あ、そうか。俺も色々準備しないとな」

「確かに……負ける気はないが、初期装備だと心許ないからな」

「心許ないってレベルじゃないと思うけど……」

リーファは苦笑いとともにそう言った

「それよりも、二人ともお金、持ってる?なければ貸しておくけど」

「えーと……」

俺とキリトは同時に右手を振ってウインドウを出し、眺める。そこには初心者ではあり得ないような桁の額があった

「(これもSAOのデータなんだろうな)」

そう考えて納得した。キリトの方を見ると顔を引きつらせていた

「やっぱり、ない?」

「い、いや、ある。結構ある」

「同じく」

「なら、早速武器屋行こっか」

「う、うん」

挙動不審なキリト。俺は知らず知らずのうちにため息をついた

「……おい、行くぞ、ユイ」

するとキリトのポケットからピクシーが顔を出して、大きなあくびをした

リーファの行き付けだという武具店に入る。まだ、時間が悪いのか人はNPC以外誰もいなかった

「防具は……どうするの?二人とも」

「黒で動きやすいのかな」

「俺もそれで」

NPCが俺らの注文の通りのものを出してきた。特に問題なかったのでそれを購入した

「次は武器ね。二人とも片手剣だっけ?」

「こいつは大剣でもいいと思う。それを片手で振り回す化け物だから」

「……大剣並みの重さだったけど、一応分類は片手剣だったからな」

俺のは簡単に決まった。とはいえ平均よりは重いらしいが。キリトはやはりというか身長に迫る大剣を選んだ。やっぱりなと苦笑いをリーファに向けると引きつった笑いを返してくれた

「そんな装備で大丈夫か?」

「大丈夫だ。問題ない」

これはお約束

キリトは代金を払うと背中に吊る。俺は腰に引っ掛け、準備完了

「ま、そういうことなら準備完了だね!これからしばらく、ヨロシク!」

「こちらこそ」

「よろしくな」

三人でハイタッチをかわす。ユイがギリギリ届かなくて膨れていたが 
 

 
後書き
蕾姫「シークレットゲームに感動しました」

リン「まあ、人は死にまくるけどな」

蕾姫「さて、シークレットゲームをやり終わったので、ペースを上げていきます!」

リン「まあ、頑張れ……」

蕾姫「感想お待ちしています。次回もよろしくお願いします!」
 

 

揉め事と出発

武具店を出て数分歩くと翡翠に輝く塔があらわれた。何度見ても綺麗だが、キリトだけは嫌そうな顔で自分が叩きつけられた壁を見ていた

「出発する前に少しブレーキングの練習しとく?」

「……いいよ。今後は安全運転することにしたから」

「なら、置いていくぞ?キリト」

「えっ……」

「冗談だ」

「それはそうと、なんで塔に?用事でもあるのか?」

「ああ……長距離を飛ぶときは塔の天辺から出発するのよ。高度が稼げるから」

「ははあ、なるほどね」

「さ、行こ!夜までに森は抜けておきたいね」

「俺たちは道がわからないから道案内、頼む」

「任せなさい!」

頬を少し赤く染めたリーファが胸を張って言った

風の塔の正面扉をくぐると色々なショップのあるロビーだった。一番奥にあるのはニ基のエレベータで、それで上に行くようだ

キョロキョロと風の塔の中を見ているとリーファに腕をひっぱられた。どうやら右側のエレベータに駆け込もうとした。だが行く手を数人のプレイヤーが立ちふさがった

リーファは反射的に文句を言ったがそのプレイヤーの顔を見て固まった。リーファの顔には引きつった笑顔が浮かんでおり内面の感情がにじみ出ているようだった

「こんにちは、シグルド」

シグルドはそのリーファの挨拶には答えず不機嫌さを隠さずにうなり声とともにしゃべりだした

「パーティーから抜ける気なのか、リーファ」

シグルドのその問いにリーファはこくりとうなずいていた

「うん……まあね。貯金もだいぶできたし、しばらくのんびりしようと思って」

「勝手だな。残りのメンバーが迷惑するとは思わないのか」

「ちょっ……勝手……!?」

この場合リーファのわがままで脱退なので勝手だ、と言われるのは仕方のないことなのかもしれない。だが、もちろんリーファの自由をシグルドには奪うことはできないので、止めることは不可能だが

「お前はオレのパーティーの一員として既に名が通っている。そのお前が理由もなく抜けて他のパーティーに入ったりすれば、こちらの顔に泥を塗られることになる」

「……」

リーファは言葉を失ってしまって、動かないので俺はリーファをかばうように前に出た

「確かにリーファの行為はほめられたものじゃない。あなたの言い分にもある程度納得はできる」

「そうだろう」

シグルドの顔がわずかに緩む。キリトはその言葉を聞くと前に出ようとするが、俺はそれを目で制して続けて言った

「だが、リーファの自由を奪う権利はお前にはない。パーティーメンバーの事を考えず、自分の都合だけを考えるなんてパーティーのリーダーとして、失格だな。わかったらさっさと退いてくれませんか?シグルドさん?」

俺の言葉にシグルドは顔を硬直させた。ついで真っ赤になる

「きッ……貴様ッ……!!」

「おや、無抵抗の相手を攻撃するんですか?口で勝てないからって単純な暴力に頼るとか……脳筋ですか?」

「今はヤバイっすよ、シグさん。こんな人目があるとこで無抵抗の相手をキルしたら……」

暴力に頼ってきてもいいように剣に手を添えるが、あっちにも一応プライドがあるからかシグルドの仲間が仲裁に入りバトルにはならなかった

「せいぜい外では逃げ隠れることだな。……リーファ」

歯噛みをしながらシグルドは俺にそう言った

「……今俺を裏切れば、近いうちに必ず後悔することになるぞ」

「留まって後悔するよりはずっとマシだわ」

「戻りたくなったときのために、泣いて土下座する練習をしておくんだな」

それだけ言うとシグルドとその仲間たちは去って行った

「弱いな、あいつ」

「へ!?彼はあれでもシルフのトップクラスのプレイヤーよ?」

俺がぼそりとつぶやいた言葉にキリトは同意の意識としてうなずいたが、リーファは驚きの声を上げた

「あんな安い挑発に乗って攻撃しようとしてくるやつなんか怖くない。それに歩き方が隙だらけだ。こういうところでの歩き方は戦闘フィールドでも癖として出る」

「安いって……結構ひどいこと言ってたよ?……それよりごめんね、妙なことに巻きこんじゃって」

「気にするな。俺はやりたいことをやっただけだ」

「それでも、あたしの問題に巻き込んじゃったわけだから……」

「気にするなって言っただろ?守りたいって思ったから守っただけだ」

「……」

「リン……」

無言で顔が赤くなるリーファ。ジト目で見てくるキリト

「じゃ、じゃあ行くぞ」

そう言って話を打ち切ると俺たちはエレベータの中に乗りこんで上に上がった





「……いい凄い眺めだな……」

「空が近いな……。手が届きそうだ……」

キリトがしみじみと言うとリーファは右手を空にかざすと言った

「でしょ。この空を見てると、ちっちゃく思えるよね、いろんなことが」

俺とキリトは目を見合せ、リーファをみる。すると、少し寂しそうな笑顔を見せるとリーファは言った

「……いいきっかけだったよ。いつかはここを出ていこうと思ってたの。一人じゃ怖くて、なかなか決心がつかなかったんだけど……。なんで、ああやって、縛ったり縛られたりしたがるのかな……。せっかく、翅があるのにね……」

「それは人間だから。人間は縛って、他の人間より上に立ってるという意識で優越感を得ようとする。また、逆に縛られて自分で考えるのを放棄して楽をしようとも思う。翅があっても人間である限りそれは変わらない」

SAOでたびたび出会った人はそうだった。優越感に浸りたいがため、レベル上げに邁進し結果、攻略組と呼ばれた自分を含むグループ。楽をしたいと<<軍>>に入ったメンバー……

「複雑ですね、人間は」

ユイはキリトの肩に着地すると腕を組んで首を傾げた

「ヒトを求める心を、あんなふうにややこしく表現する心理は理解できません」

「求める……?」

「他人の心を求める衝動が人間の基本的な行動原理だとわたしは理解しています。ゆえにそれはわたしのベースメントでもあるのですが、わたしなら……」

ユイはキリトの頬にキスをした

「こうします。とてもシンプルで明確です」

リーファは呆然している。キリトは苦笑い

「人間がみんなそんな単純だったら何の争いも起きないさ」

俺も苦笑いをしながらユイに言う

「手順と様式ってやつですね」

「……どこからそんなことを吸収してるんだ?まさか……」

そう言ってキリトの顔を見るがキリトは首を全力で振って否定した

「……人を求める心、かぁ……」

リーファはそう言って顔を赤らめながらこちらを見てくる。……まさか、な

「……さ、そろそろ出発しよっか」

自分なりの答えを見つけたらしくリーファは立ち上がった。キリトはその言葉にうなずくとユイを胸のポケットにしまった

風の塔の展望台の中央にある石碑(ロケーターストーンというらしい)で戻り位置をセーブする。そして

「準備はいい?」

「ああ」

「もちろん」

そう言って離陸しようと翅を広げ、少し浮かんだときにKYな声が後ろから聞こえてきた

「リーファちゃん!」

そう叫んだKYにリーファは浮かせていた足を再び着地した

「あ……レコン」

「ひ、ひどいよ、一言声かけてから出発してもいいじゃない」

「ごめーん、忘れてた」

レコンは肩を落とすがすぐに持ち直し真剣な顔で言った

「リーファちゃん、パーティー抜けたんだって?」

「ん……。その場の勢い半分だけどね。あんたはどうするの?」

「決まってるじゃない、この剣はリーファちゃんだけに捧げてるんだから……」

「……痛い台詞だな」

「ああ……」

「えー、別にいらない」

リーファの言葉によろけるがメゲずに言った

「ま、まあそういうわけだから当然僕もついてくよ……と言いたいとこだけど、ちょっと気になることがあるんだよね……」

「……なに?」

「まだ確証はないんだけど……少し調べたいから、僕はもうしばらくシグルドのパーティーに残るよ。……キリトさん、リンさん。彼女、トラブルに飛び込んでくくせがあるんで、気をつけてくださいね」

「あ、ああ。わかった」

「キリトも同じタイプだから……慣れてるさ」

ひでぇとキリトは苦笑い

「リンさん……負けませんから」

俺はレコンのその言葉に本心からの笑みを浮かべると口を開いた

「期待してるぞ」

こういうやつは嫌いではない

俺たちはそのままレコンに別れをつげ飛び立った

「さ、急ごう!一回の飛行であの湖まで行くよ!」

リーファを追いかけ、それまでのおちゃらけた気を引き締める。アスナを助けるために! 
 

 
後書き
蕾姫「……オリジナルに行けない……」

リン「まあ、我慢しろ」

蕾姫「……感想待ってます!」

リン「図々しいぞ、蕾姫……」
 

 

ルグルー回廊と誰かが見ている

しばらくシルフ領の北東。リーファによると<<古森>>というらしいが。を抜ける当たりまでモンスターに出会わなかった。その数少ないエンカウントもキリトがバーサクぶりを発揮して、即座に四散していった。そしてまた五匹。<<イビルグランサー>>という名前の一つ目のトカゲである。キリトは例に漏れず、突っ込んでいき早速一匹をほふると二匹目にさらに突っ込む。<<イビルグランサー>>から放たれる魔法。リーファによるとステータスダウンのカース系魔法らしい。が、それをキリトは全く気にする様子もなく、次々ほふって行く。リーファはキリトにカース系魔法が直撃するたびに解呪魔法をかけているが、正直意味ないような気がする。俺はというと空を見ている。俺には遠距離を攻撃する方法などほとんどないし、近接はキリトがやっているため出番がないのだ。とうとう最後の一匹が消え戦闘が終わった

すると、リーファは手を上げて労いの言葉をかける

「おつかれー」

「援護サンキュー」

キリトも同じく手を上げてリーファとハイタッチをかわす

「しっかしまあ……何ていうか、ムチャクチャな戦い方ねぇ」

「キリトは単純というか、バカというか……」

「単純なのは認めるけどな……そういうストレートな言い方は」

「何だ。ネチネチと言って欲しかったのか?なら最初から言えよ。そっちの方が俺は得意だ」

「……ごめんなさい」

一通りのコントを終えると俺たちは再び移動を開始した。リーファも最初はこのコントが始まると唖然としていたのだが、今では苦笑するだけになっていた

飛行時間が限界に来たので俺たちは山の裾野にある草原の端に着陸する。キリトはふらつきながらもきちんと着地した

「さて、ここからは空の旅はしばらくお預けよ」

「ありゃ、何で?」

「見えるでしょう、あの山」

「あれが飛行限界高度よりも高いせいで、山越えには洞窟を抜けないといけないの。シルフ領からアルンへ向かう一番の難所、らしいわ。あたしもここからは初めてなのよ」

「なるほどね……。洞窟か、長いの?」

「かなり。途中に中立の鉱山都市があって、そこで休めるらしいけど……。キリト君、リン君、今日はまだ時間大丈夫?」

「俺はいつまででも。まあ、死なないように」

「俺も当分平気だよ」


「そう、じゃもうちょっと頑張ろう。ここで一回ロートアウトしよっか」

「ろ、ろーて?」

リーファの言葉にまさにひらがなで打たれるような声を出すキリト

「ああ、交代でログアウト休憩することだよ。中立地帯だから、即落ちできないの。だからかわりばんこに落ちて、残った人が空っぽのアバターを守るのよ」

「なるほど、了解」

「俺たちは後でいい。同じ部屋にいるからな。リーファからどうぞ」

「じゃあ、お言葉に甘えて。二十分ほどよろしく!」

そう言うとリーファはログアウトした。残ったアバターは自動的に待機状態となる

「しかし、驚いたな」

「何が?」

「SAOと全く同じだ。ときおりあの世界と重なってしまう。そんなレベルにまで、な」

「確かに。このあたりなんか、三十九層の森林エリアと似てるよな」

「あそこは飛行虫型モンスターに悩まされたよな」

「そうだったな」

俺たちは微笑む。純粋な笑いではなく、寂しさ、後悔などが混じった笑顔である

「……何か辛気臭くなったな。っとそうだ」

そう言うとキリトはメニューを開くと緑色のストロー状のものを二つ実体化させた

「何だ、それは?」

「スイルベーン特産だってさ。ほら」

一つを自分の口に咥え、もう一つを俺に手渡してくる。俺はそれをしばらく観察をした。そしてそれをキリトと同じように口に咥える。それで息を吸い込むとハッカの香りがした

「お待たせ!モンスター出なかった?」

ハッカの香りを吸い込みながら無言で約二十分ほどぼーっとしているとリーファが待機状態から立ち上がった

「おかえり」

「おかえり。静かなもんだったよ」

「……それ、ナニ?」

「キリトが雑貨屋で買ったらしい。……吸う?」

うなずいたので口に咥えていたストロー状のものをリーファに投げ渡す。リーファはそれを口に咥える

「……間接キスだな」

俺がそうボソッとつぶやくとストローをブハッと吐き出して、それをあわててキャッチした

「な、な、え……」

顔を真っ赤にして噛みまくるリーファ。別に嫌じゃないけど……とか言い始めた

「まあ、現実じゃないからいいけどな。じゃあ、俺たちは落ちるな」

「あっ、うん。行ってらっしゃい……」

俺とキリトはログアウトボタンを押して現実へと帰還した













「何か、誰かに見られた気が……。ユイ、近くにプレイヤーはいるか?」

そうキリトが言ったのはローテアウトしてから少し歩いてからだった

「いいえ、反応はありません」

俺の肩に座っているユイは頭を左右に振った

「見られた気が、って……。この世界にそんな第六感みたいなもの、あるの?」

「……これが中々バカにできないをだよな……。例えば誰かがこっちを見ている場合、そいつに渡すデータを得るためにシステムが俺たちを<<参照>>するわけだけど、その流れを脳が感じるんじゃないか……という説もある」

「俺も見られた気がした。一応警戒はしておいた方がいい。して無駄ってわけではないからな」

「「うん」」

またしばらく歩く。見られているとしたらいつかアプローチをかけてくるだろう。不意討ちだろうが俺とキリトがいれば対処できる……といいな

「願望!?」

「キリト君。いきなりどうしたの?」

「いや……何か言わないといけないような気がして」

……心の中の声に反応するなよ

 
 

 
後書き
蕾姫「遅くなりました……」

リン「……確かにな。とりあえず突っ込ませてくれ。タイトルに」

蕾姫「<<誰かが見ている>>のこと?」

リン「どこの超電磁砲だよ……」

蕾姫「OVAの」

リン「……」←剣を抜いた

蕾姫「……」

リン「言い残すことは?」

蕾姫「感想よろしく……ぎゃぁぁぁ!?」
 

 

奇跡も魔法もあるんだよ

「そう言えばキリト君とリン君は魔法スキル上げてるの?」

「あー、まあ、種族の初期設定のやつだけなら……。使ったことはあんまりないけど……」

「一応<<魔法耐性>>なら。……魔法って言えるのかわからんが。あとは<<回復>>をスロットに入れたぐらいか」

俺はSAOをしていた時に獲得したが、ALOで破損してしまったスキルを消し、新たに<<魔法耐性>>と<<回復魔法>>のスキルを入れたのだ。どちらも、剣を主に戦う俺には必要不可欠だと感じたからだ。SAOと違って遠距離魔法が多数あるALOでは被ダメージを緩和するために<<魔法耐性>>は必要だし、少しとはいえダメージを受けるのだから<<回復魔法>>は必須だろう。まあ、<<戦闘時回復>>のスキルがあればこと足りると思うが

「……すごいね。リン君。いきなりでスキル構成を考えられるとか、初心者とは思えないんだけど……」

リーファは疑いの目を向けてくるが俺はどこ吹く風と受け流す。それを見てリーファはため息をつく

「まあ、いいわ。それはいつか聞かせてもらうとして……洞窟とかはスプリガンの得意分野だから、灯りの術も風魔法よりはいいのがあるはずなのよ。だから聞いてみたの」

「えーと、ユイ、分かる?」

「もう、パパ、マニュアルくらい見ておいたほうがいいですよ。灯りの魔法はですね……」

ユイが一音ずつ発音したスペルワードをキリトは繰り返す。すると、視界が明るくなった

「わあ、これは便利ね。スプリガンも捨てたもんじゃないわね」

「あ、その言われかたなんか傷つく」

「うふふ。いやでも実際、使える魔法くらい暗記しておいたほうがいいわよ。いくらスプリガンのしょぼい魔法でも、それが生死を分ける状況だってひょっとするとないとも限らないし」

「うわ、さらに傷つく」

「傷ついてないで練習しろよ」

「うぇぇーと……アール・デナ・レ……レイ……」

「……へたくそ」

「う……うるさいよ」

そんなことを言い合いながら洞窟内を進んでいく俺たち。ユイがモンスターの接近を感知し、キリトがそれを凪ぎ払うので俺とリーファは全くすることがない。先程からリーファは考え事をしているのか、何もしゃべらなくなったので俺は暇だった







「あ、メッセージ入った。ごめん、ちょっと待って」

リーファはうつむいていた顔を上げるとメニューを操作し始めた

「なんだこりゃ」

目の前にメッセージが出たのだろう。それに目を走らせるとリーファは疑問の声を上げた

「どうした?」

「パパ、にぃ。接近する反応があります」

「モンスターか?」

キリトは背中の剣に手をかけるが、ユイは左右に首を振って言った

「いえ……プレイヤーです。多いです……十二人」

「じゅうに……!?」

リーファは目を見開いて驚く

「ちょっとヤな予感がするの。隠れてやり過ごそう」

「でも……どこに?」

「ま、そこはおまかせよん」

そう言うとリーファは俺とキリトの腕を掴んで手近な窪みに引っ張りこんだ。キリトが一番奥。それで俺が一番外側。引っ張り込まれたので向きは中を向いている。リーファは俺とキリトの間。向きは外向き。……つまりだ。俺とリーファは向かい合っていてしかも隠れているわけだからとても顔が近い。しかも、リーファの顔がほんのりと赤い……

「喋るときは最低のボリュームでね。あんまり大きい声を出すと魔法が解けちゃうから」

「……リーファ、近いんだが……」

「……しょうがないじゃない……」

「あと二分ほどで視界に入ります」

その瞬間俺とリーファが出していたピンク色?の空気を霧散し反対に真剣な空気が発生する

「あれは……何だ?」

「何?まだ見えないでしょ?」

「……」

反対向きで見れない……

「プレイヤーは見えないけど……。モンスターかな?赤い、ちっちゃいコウモリが……」

「……くそっ……きゃっ」

リーファはキリトが見ていたものを発見し、罵り声を上げる。そして、立ち上がろうとするが、俺がいるためバランスを崩して俺に抱きつく形となった

「ッ……り、リン君。ちょっと外に……」

「……わかった」

「イル、デナ……」

俺は振り返りながら外に出る。もちろん、剣に手を添えて。リーファは顔を真っ赤にしながらもスペル詠唱を開始。キリトは戸惑い顔だが外に出てくる

「お、おい、どうしたんだよ」

「……ウインデ、スピア!」

キリトが問いかけると同時にリーファの魔法が完成。掲げた手から無数の針が発射され、赤いコウモリに直撃した。コウモリはHPが無くなったらしく、赤い炎に包まれて消えた

「街まで走るよ、リン君、キリト君!!」

「え……また隠れるのはダメなのか?」

「さっき潰したのは高位魔法のトレーシング・サーチャーよ。トレーサーを潰したのは敵にももうばれてる。この辺に来たら山ほどサーチャーを出すだろうから、とても隠れきれないよ。それに……さっきのは火属性の使い魔なの。ってことは、今接近しているパーティーは……」

「サラマンダーか!」

「行こう」

俺は無言でうなずき走り出した。しばらく走ると道は開け地底湖が目の前に広がった。俺たちはその地底湖にかかる橋を渡り始める。渡り終わればすぐに中立都市ルグルーに飛び込むことができる

……フラグを立ててしまったかな?











「どうやら逃げ切れそうだな」

「油断して落っこちないでよ。水中に大型モンスターがいるから」

橋の中央にさしかかったとき背後から二つの光が頭上を通過した。それは目の前の地面に着弾し……巨大な岩壁となって道を塞いだ

「やばっ……」

「な……」

俺は翅を使って急制動をかける。キリトは勢いそのままに壁に剣を突き入れるがあっさり弾かれる

「……ムダよ」

「もっと早く言ってくれ……」

「言ってもそのままいっただろうが」

「これは土魔法の障壁だから物理攻撃じゃ破れないわ。攻撃魔法をいっぱい撃ち込めば破壊できるけど……」

「その余裕はなさそうだな……」

「リン君。まだ飛べる?」

「無理……だな。さっきの急制動をかけた時で時間切れのようだ」

俺の種族はインプ。暗闇の中で少しなら飛べるのだが、急制動に使ったため今は飛べない

「飛んで回り込む……は無理。湖に飛び込むのはアリ?」

「ナシ。さっきも言ったけど、ここには超高レベルの水竜型モンスターが棲んでるらしいわ。ウンディーネの援護なしに水中戦するのは自殺行為よ」

「じゃあ戦うしかないわけか」

そう言ってキリトは自身の剣を構える

「それしかない……んだけど、ちょっとヤバいかもよ……サラマンダーがこんな高位の土魔法を使えるってことは、よっぽど手練のメイジが混ざってるんだわ」

「キリト。前衛頼めるか?」

「もちろん」

「じゃあ、リーファ。下がるぞ」

「え?」

「ここは道幅が狭い。キリトがおもいっきり戦うには一人のほうがいい」

リーファはキリトの武器に目をやりうなずいた。そして俺とリーファは壁に背中が触れるぐらいまで下がった

そして、サラマンダーの前衛三人がキリトのレンジ内にはいる。キリトは体をひねり剣を横に一薙ぎした

「セイッ!!」

「えっ……!?」

「なるほどな」

サラマンダーの前衛三人は武器を振りかぶりもせず、持っていた盾を前方に押し出しその陰に身を隠したのだ。対攻撃力の高い敵モンスター用の布陣。タンク型プレイヤーを抜くのはいくらキリトでも難しいだろう

次の瞬間、盾の後ろからスペル詠唱音が響き前衛三人を包む。その三人のHPバーが全快する。さらに多数の火球が現れキリトに直撃し爆発を引き起こした

「キリト君!!」

リーファの回復魔法でキリトのHPは回復する。そして、キリトは再び突貫する。だが、盾の前には無意味だが無駄と知りつつも向かっていくキリトの姿を耐えられないといった風にリーファは叫んだ

「もういいよ、キリト君!またスイルベーンから何時間か飛べば済むことじゃない!奪られたアイテムだってまた買えばいいよ、もう諦めようよ……!」

「諦める?生きるのをか?たかがゲーム……。だがな、俺がいる限りパーティーメンバーは……絶対に死なせない!これは譲れない。……キリト!」

俺はキリトに向かって走りだす。振り返ったキリトと視線が交錯する。アイコンタクトでキリトに合図を送る。キリトは事前に打ち合わせもしていないのにも関わらず俺の意図通り軽く上に飛ぶ

「やっぱりお前は……」

キリトと地面の間に剣を突き入れる。そして、キリトが上に乗った瞬間

「最高のパートナーだ」

剣をおもいっきり振る。キリトの体は宙を舞い相手パーティーの後ろに着地した。どんなパーティーでも同じことだが、後ろには防御力の低いメイジ、ヒーラーがいる。このパーティーも例に漏れずそうだった。その防御力の低いところに高攻撃力のダメージディーラーを送りこむとどうなるか。結果は火を見るより明らかだろう

「うおぉぉぉ!」

相手のパーティーのせいで見えないが、キリトの気合いと相手の断末魔、そしてポリゴンの爆散音が断続的に響く。相手の前衛は驚きのあまり固まっているし……まあ、俺もいらいらがたまっていることだし、全力全壊で行きましょうか 
 

 
後書き
蕾姫「タイトルふざけました(笑)」

リン「……観てないだろお前」

ユイ「……観てないんですか?」

蕾姫「ほっとけよ。それよりさ、ユイ。"あたしの友達に手ぇ出すなぁ!!"って言ってみて……これ持って」←金属バット

ユイ「えっと……あたしの友達に手ぇ出すにゃあ!!……うぅ……噛みました」

蕾姫「涙目!佐天!最高!」

リン「死ね、ロリコン」

蕾姫「そういえばリンの声優どうしよう?俺的には諏訪部順一さんがいいと思う」

リン「……誰?」

蕾姫「ググれかす」

リン「ガキか貴様」

蕾姫「……リンの声優について意見をください……これだ!っていうのを是非」

リン「結局他人任せなんだな……次回もよろしくお願いします」
 

 

交渉と交渉

「さあ、誰の命令とかあれこれ吐いてもらうわよ!!」

「こ、殺すなら殺しやがれ!」

「この……」

一人残したこの男から情報を引き出そうとしてリーファは男を問い詰めるが男はしゃべろうとしない。だがキリトが介入し、男を懐柔。おもいっきり裏切りだした

「マンダーの上のほうでなんか動いてるっぽいんだよね。俺みたいな下っぱには教えてくれないんだけどさ、相当でかいこと狙ってるみたいだぜ。今日入ったとき、すげえ人数の軍隊が北に飛んでくのを見たよ」

とのことだ

俺たちはその話を聞いたあと、ルグルーに入った。リーファはあの時来たメッセージが気になるみたいで一旦落ちた

「よく、俺の言いたいことがわかったな」

「当たり前だろ。一心同体ってやつ?」

「……これなのか、キリト?」

首の横に手をつける

「違えよ!!」

「まあ、冗談はさておき」

「冗談かよ!?」

「えっ、マジなのか?」

「違うって!」

恒例の漫才を繰り広げているとリーファがあわてた様子で再びログインしてきた

「お帰り、リーファ」

「おかえりなさい」

「お帰り」

「リン君、キリト君、ごめんなさい」

いきなり謝ってくるリーファ。主語なしだから全く意味がわからない

「あたし、急いで行かなきゃいけない用事ができちゃった、説明してる時間もなさそうなの。たぶん、ここにも帰ってこられないかもしれない」

「そうか。じゃあ、移動しながら……」

「目的地は?」

キリトの言葉に被せて俺は言った

「ルグルー回廊を抜けた<<蝶の谷>>なんだけど……」

「なら、走りながらでいいから説明してくれ。どうせその方向に行かなきゃならないんだ。ここまでリーファにとても世話になったし。力になれるならなりたいんだ」

「う、うん。ありがと。じゃあ行くよ!」

この天然ジゴロが!!by作者

「俺の言おうとしたこと……」

「ほら、さっさと走る、キリト君」

「わかった」

リーファの話によるとサラマンダーがシルクとケットシーが会談を行っている場所を襲撃し、同盟の邪魔及び資金の調達という魂胆らしい

「これは、シルフ族の問題だから……これ以上君たちが付き合ってくれる理由はないよ……。この洞窟を出ればアルンまではもうすぐだし、多分会談場に行ったら生きて帰れないから、またスイルベーンから出直しで、何時間も無駄になるだろうしね。……ううん、もっと言えば……」

「ストップ。理由ならたぶんあるぞ?」

「え?」

「リーファがどうしたいかによるけどな。リーファはどうしたいんだ?サラマンダーの計略を阻止したいのか?」

「そりゃ……あたしもシルフ族なんだし……」

「違う違う。俺が言ってるのは種族とか関係なしにリーファの気持ちを聞いてるんだよ」

「あたしは……助けたい。うちの領主とも友達だし」

「じゃあ、俺たちはリーファの手助けをする。な、キリト」

「もちろん」

キリトは大きくうなずいて肯定した

「ありがとう……でも、二人は世界樹の上に行きたいんでしょ?だったら……」

「サラマンダーにつけってか?例え仮想空間内の友達だったとしても……いや、仮想空間内の友達だからこそ裏切ったらダメだと思う。現実よりも犯罪に関する敷居が低い。だからこそゲームだからという理由に逃げて裏切る。でも、その敷居が低い状態だからこそ、その人の本質が出る。まあ、俺はその事をキリトから教わったんだが……」

「俺は大切な人に教わった。たとえどんな理由があっても、自分の利益のためにそういう相手を斬るようなことは、俺は、俺たちは絶対しない」

するとリーファは目に涙をためながら再び「ありがとう」と言った

「ユイ、走るからナビよろしく」

「りょーかいです!」

キリトの肩に乗って空気になっていたユイが存在をアピールするかのように元気に返事をした

「じゃあ、リン。リーファをよろしく」

「……わかった」

俺はリーファの手を握る。リーファが「え?え?」と戸惑いつつ顔を赤くした

「え、あの……」

「口を開けると舌を噛むぞ」

走りだしたキリトに続き、俺は走りだした。目的地まで一直線。途中モンスターのカーソルが見えたが全てを振り切り俺たちは走り続ける。リーファの悲鳴なんて気にしない

「ぶはっ!!」

洞窟を抜け、翅を広げ滑空体制にはいるとリーファは息を吐き出した

「寿命が縮んだわよ!」

「まあ、人間ジェットコースターだと思えば」

「……だったらもっと安全性を確保して……」

その後落ち着いてから辺りを見渡すと向こうのほうに巨大な樹が鎮座していた

「あれが……世界樹か……」

「あそこに……」

「あ、こうしちゃいられない。リーファ、領主会談の場所ってのはどの辺りなんだ?」

「あっ、そうね。ええと、今抜けてきた山脈は、輪っかになって世界中央を囲んでるんだけど、そのうち三ヶ所に大きな切れ目があるの。サラマンダー領に向かう<<竜の谷>>、ウンディーネ領に向かう<<虹の谷>>、あとケットシー領につながる<<蝶の谷>>……。会談はその蝶の谷の、内陸側の出口で行われるらしいから……」

リーファは山脈の様子を見渡すとやがて北西の方角を指した

「あっちにしばらく飛んだとこだと思う」

「了解。残り時間は?」

「二十分」

「ギリギリ……リーファ、もしものときはキリトをおとりにして逃げるぞ」

「そういうのは普通自分をおとりにするんじゃないのか?」

「わかったわ」

「え、え……俺の意見は無視?」

「じゃあ、行くぞ。ユイ、サーチよろしくな」

「はい!」

「もういいよ……」







「……間に合わなかったね」

俺たちに出せる最高の速度で会場に向かったが、すでにサラマンダー軍は到着していた。今から警告したのでは絶対に間にあわない

「ありがとう、リン君、キリト君。ここまででいいよ。キミたちは世界樹に行って……短い間だったけど、楽しかった」

リーファは笑顔でそう言ったがキリトが止める。不敵に笑いながら

「ここで逃げ出すのは性分じゃないんでね」

そういうとキリトはサラマンダーとシルフとケットシーの間に向かって飛び出して行った

「ちょ……ちょっとぉ!!なによそれ!!」

どうやら感傷的になりながら言ったセリフらしく、それを台無しにされたためかるく涙目だった

「あきらめろ。キリトはああいうやつだ」

がくっと肩を落とすリーファ。あちらではキリトが間に入ることに成功し、大きく息を吸い込んで叫んだ

「双方、剣を引け!!」

「やかましい!!」

鋭角ダイブに入っていた俺はキリトに蹴りを決めた。キリトは、十メートルぐらい吹っ飛び、地面を転がった

「……なかなか刺激的な登場の仕方だな」

「あいつが叫んだのが悪い」

ふっと笑ったサラマンダーはまわりのサラマンダーとは装備のグレードがかなり上だろう。得物は大剣。それを背中に吊っている。何より他のサラマンダーと違うのは圧倒的なプレッシャー。久しくなかった強敵との対峙。俺は自分でも無意識のうちに唇を舐めた

「インプ……それにスプリガンか。こんなところで何をしている。どちらにせよ殺すには変わりないが、その度胸に免じて話だけは聞いてやろう」

「俺はリン。そっちに転がってるのはキリト。友達にお願いされたんだ。サラマンダーを止めて欲しいってな。それ以上でもそれ以下でもない」

「ふっ、そうか……ならば剣で示して見せろ。俺の名前はユージーンだ。俺にデュエルで勝てたならそちらの要求を認めよう」

ユージーンはそう言って背中の剣を抜く

「リン君!無理だよ……サラマンダーのユージーンっていったらALO最強のプレイヤーって言われてるんだよ!」

「心配するな。俺は負けないよ。約束があるからな」

俺も腰から剣を音高く抜く

「さて、久しぶりに本気で行くかな……」

「リン!まさかお前……」

「そのまさかさ。キリト!お前の剣を貸せ!」

「ふう……わかったよ」

キリトは自身の剣を背から抜くとこっちに投げる。回転しながら飛んでくる剣の柄をつかみ自分の前に……ユージーンに剣先を向ける。自分の剣は肩に担ぐように構える

「二刀流というわけか」

「そゆこと」

ユージーンから申し込まれたデュエル。現れた承諾画面はもちろんYESを選ぶ。オプションは全損モード。やがてカウントダウンが始まり、俺は意識をユージーン一人に集中させる。PVPによる久しぶりの高揚感。それが心地よく感じる。進んで行くカウント。それもだんだん遅くなり、意識が加速していく

やがてそれは0になった 
 

 
後書き
蕾姫「シグルド戦まで行けませんでした(笑)ちなみにリン君は忙しいのでここにはいないので。さっさとGGO行きたいんだけどねぇ」

シノン「それよりも誰?」

蕾姫「誰って?」

シノン「あのシルフの少女」

蕾姫「リーファのこと?まあ、簡単に言うと恋敵?」

シノン「……」ジャキッ

蕾姫「ヘカートに弾を込めないで!?リーファを殺す気!?」

シノン「……わかったわ」

蕾姫「凄く残念そうな……」

キリト「シノン!やっちまえ!」

蕾姫「キリト、性格変わってる!?そんなブラコンだったっけ?」

リーファ「お兄ちゃん……おはなしする?」

蕾姫「リーファ……声優が違うって!?田村さんじゃないだろ!?だったら魔王はやめろーー!!」

※なおこの後書きは本編とは関係ありません
 

 

デュエルとハニートラップ?

カウントが0になった時、まず飛び出したのはスピードに勝るリン。踏み込み後即座にトップスピードにもっていく。突き出していた右手の剣を少し引き、そのまま突き出す。リンの今出せるトップスピード。それに加え、使っている得物はキリトの巨大な剣。これを真っ正面からうけとめるなど、愚の骨頂。ユージーンもそれがわかっているのか回避行動に入る。正中線を狙ったリンの一撃をかわすためにユージーンは体を左に傾ける。右にかわすとリンの左手の剣に斬られる危険性があったからだ。だがリンはそれをよんでいた。突き出した右手を基点に三百六十度回転する。そして、突進の勢いを回転の勢いに変換し左手の剣をユージーンに叩きつける

「ぐおッッ!!」

ユージーンはそのトリッキーな一撃を剣でギリギリ防ぐことに成功する。だがリンの攻撃はそこで終わらなかった

「はぁぁ!!」

「ぐわッッッ!!」

踏み込んだ左足をさらに基点にし右足でユージーンの剣の下を蹴った。なぜ剣で斬らなかったかというと、この連携攻撃。剣の高さをコントロールできないのだ。加えて言えば剣の高さは右手も左手も同じ。つまり今右手の剣を振ってもユージーンの剣に阻まれカウンターを食らう可能性があるのだ。だからリンは蹴りを選択した。ユージーンは十メートルほど吹っ飛び、翅を使って倒れないように耐えた

「凄まじい連携だな。今のは危なかった」

「そっちこそ。防がれるとは思わなかった」

あの攻撃。ニ撃目が当たれば三撃目も当たる攻撃なのだ。被ダメージは、当たった時のスピード、攻撃する側の剣自体の攻撃力、受ける側ね防具自体の防御力によって決定する。武器のグレードに差はあるが、おそらくあの二太刀でHPは全て吹き飛んでいただろう

「面白い」

いかつい顔をわずかにゆるませるユージーン

「次はこちらから行こう!」

そう言って翅を広げ飛び上がるユージーン。大剣の真骨頂。その重量を載せた振り下ろし。それに落下のエネルギーを込めた一撃はまさに必殺と言っていいだろう。躱した場合、反撃はできない。つまり、逸らすべきだと考えた。ここで、ふとした疑問が頭をよぎる。ユージーンほどの剣士が、スピードタイプである自分に対しそんな力任せの一撃を放つだろうか?だが、動き始めた体は止まらない。ユージーンの剣を逸らすため、右手の剣で逸らそうとした

その瞬間。背中に悪寒が走った。とっさに右手の剣で逸らした時たたき込むつもりだった左手の剣を引き戻し、翅を使って自分の体の勢いを止めようとする。ユージーンの剣は左手の剣をそこに何もなかったかのようにすり抜け右手の剣に当たった。先程も言ったようにこの一撃は必殺の一撃。片手の剣……いや、どんな武器だろうと完全には受けきれないだろう。リンの体はそのまま吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。そして土煙が立ち込める

「……今のは痛かったぞ」

「初見で防がれるとは思っていなかった」

土煙が消えると片膝をついているリンの姿があった

「今の攻撃……組み合ったときに衝撃を……いや、任意に透過かな。そして、連続での透過はできないみたいだが」

「ほう、よくわかったな。今のはこの魔剣グラムのエクストラ効果<<エセリアルシフト>>というものがあってな。剣や盾を透過できるというものだ。お前の言った通り連続での透過はできないがな」

「剣や盾か……だったら」

「確かに二本の剣を使えば防げるだろう。だが、防戦一方になる。このデュエル。お前は俺に勝つことはできない」

「はははっ」

俺は大きな声で笑う。それを聞いてユージーンは眉を上げる

「何がおかしい」

「いやなに。その<<エセリアルシフト>>を破る方法を考えついたからな」

「面白い冗談だ」

「なら……かかってこい!」

「いいだろう」

そう言ってユージーンは大剣を構え、こちらに向かって走ってきた。そして、大剣を振りかぶり袈裟斬りに斬ってきた。俺はそれをおもいっきり後ろに回避する。するとユージーンは流れるような手さばきで剣の方向を変換。そのまま斬り上げてくる。俺はそれを二段構えの剣で防ぐと距離をとる

「逃げてばかりでは勝てないぞ?」

「待ってるんだよ。千載一遇の時をな」

「そうか……。だが、その時は……永遠に来ない!!」

ユージーンはそう言い切ると大剣を上段に構え突進してくる。狙いは俺の正中線。スピードもあり、距離が近かったこともあり、かわすのは不可能。防ぐとしたら二本の剣で防ぐしかなく、しかも下手をすれば防ぐことに失敗する可能性がある。

だが、俺はこれを待っていた!!

俺は自分の剣を二本。真上に投げる

「あきらめたか?」

だが、ユージーンの体は止まらない。その一撃は俺の体を分断するだろう

「いや……今が千載一遇の時だ」

俺はニヤッと笑ってそう言った。二本の手を前に。そして、うなりを上げて振り下ろされた大剣を……

その手で挟み込んだ

「なっ!?」

「真剣白羽取りってな!!」

驚きに一瞬動きを止めるユージーン。その一瞬が命取りだった。リンは、ユージーンの手を足で蹴る。ユージーンは剣を掴んでいることができず、ユージーンの剣は明後日の方向に飛んでいく。あわてて下がろうとするユージーン。だが、上から落ちてきた二本の剣をリンが取ったのを見て動きを止めた

「チェックメイト。丸腰の相手を斬るのは目覚めが悪いんで、降参してもらえますか?」

「……俺の負けだ」

そして、ユージーンはいさぎよく負けを認めた



「見事、見事!!」

「すごーい!ナイスファイトだヨ!」

しばらく沈黙のあと、シルフ領主のサクヤ、ならびにケットシー領主のアリシャ・ルーの賛辞を皮切りにシルフ、ケットシー族だけでなく敵であるはずのサラマンダー族までもが歓声が上がった

「強いな。まさか、負けるとは思わなかった。いいだろう、ここは引こう」

「ああ、そうしてくれると助かる。まあ、たとえ襲ってきたとしても返り討ちにできるがな」

そう言うとユージーンは俺をみ、ついでキリトを見ると僅かに口角を上げた

「そういうことにしておこう」

「……あんたとはもう一度戦いたいな」

これを言ったときの俺の顔は笑っていたと思う

「楽しみにしておく」

そう言ってユージーンは部下のサラマンダーを連れて去って行った

「……蹴ることはないだろ。しかしなぁ、俺も戦いたかった……」

「今度やってもらえ」

「おう、そうするよ」

「すまんが……状況を説明してもらえると助かる」

俺とキリトの緊張感のない会話にシルフ領主サクヤが入ってきた



静かになった会場でリーファはこれまでの経緯を話した。それを聞いた結果、サクヤはシグルドを追放。それで決着した

「キミ強かったネ?さっきのユージーン将軍はALO最強って言われてるんだヨ。それに正面から勝っちゃうなんて……インプの秘密兵器、だったりするのかな?」

「それはないな。俺はただの通行人Aさ」

「ぷっ、にゃはははは」

ケットシー領主アリシャは俺の腕を取ると……というか腕に抱きついた。そして誘惑するかのように流し目で見つつ、

「フリーなら、キミ……ケットシー領で傭兵やらない?三食おやつに昼寝つきだヨ」

「なっ……」

正面にいたリーファの顔が引きつる。俺はというと腕に胸が当たってるんだが……アリシャの目の好意の色が薄いため別に変な気持ちにはなったりしない

「おいおいルー、抜け駆けはよくないぞ」

また、アリシャと同じようにサクヤも腕を絡めてくる。……ブルータス、おまえもか。まあ、ALO最強と言われたユージーン将軍を倒した俺だ。一応、俺がALO最強の名を手に入れたと言っても過言ではない。しかもフリー。ならば勧誘し、自身の領土に引き込もうとするのは領主として当然だろう

「彼はもともとシルフの救援に来たんだから優先交渉権はこっちにあると思うな。リン君と言ったかな……どうかな、個人的興味もあるので礼も兼ねてこの後スイルベーンで酒でも……」

その言葉でリーファの顔がさらに引きつる

「あーっ、ずるいヨ、サクヤちゃん。色仕掛けはんたーい」

「人のこと言えた義理か!密着しすぎだお前は!」

どっちもどっちだろと思う俺がいる。……そろそろ行かないといけないので放してもらえるように言おうとした時、リーファが俺の服を引っ張って言った

「だめです!リン君はあたしの……」

「あたしの……何だ?」

リーファは顔を赤くしながら焦っている。キリトはニヤニヤと。あの野郎……後でしばく

「お言葉はありがたいが、今ちょっと優先すべきことがあって……すみません」

「そうか……引き止めて悪かった。優先すべきこととは何だ?」

「ちょっと世界樹の上に行って、ある人を叩き起こしてくるだけさ」

「世界樹の?なんだかミステリアスな話だネ」

どうやら好奇心を刺激されたらしくアリシャが眼をきらきらさせるが、すぐに落ち込んだようにうなだれた

「でも……攻略メンバー全員の装備を整えるのに、しばらくかかると思うんだヨ……。とても一日や二日じゃあ……」

「とりあえず、樹の根元まで行くのが目的だから……あとは何とかするよ」

「……何の違和感も無く入ってきたな、キリト」

キリトが会話に割り込んできて最後のセリフを奪っていく。キリトはしてやったりという感じの表情をしていたが、俺が口パクで後で覚えておけよと言ったら顔が真っ青になった

ちなみにその後、俺はリーファと話していたため気付かなかったが、キリトがサクヤとアリシャに自分の出せる全額を出していたそうだ。後々泣き付いてくることになるのだが、今はまだ知らない 
 

 
後書き
蕾姫「実は……もうすぐ十七歳になります。イェー!!」

リン「だから?」

蕾姫「記念に何か……」

リン「いらん。ただでさえ遅いのに、さらに進行が遅れるだろ」

蕾姫「……orz」

リン「まあ、それは置いといて、俺の声優についてだ。それについて二人の方から意見が……」

蕾姫「まずはWA・WA・WAさんから鈴村健一だそうです」

リン「銀魂の沖田とかが有名だな。作者はこのキャラの声しか聞いたことないが……」

蕾姫「セリフは?」

リン「土方さん。危ないですぜぇ……うろ覚え乙」

蕾姫「二人目は鯛焼きさんで……えっと……」

リン「どうした?」

蕾姫「リンのCVはこの人がいいって」

その人の名前が書いてあるカンペをリンに見せる。リン絶句

蕾姫「ではセリフをどうぞ!」

リン「今日ぉの俺は紳士的だ。運が良かったな」

蕾姫「くっくっく。というわけで若本規夫さんでしたwww」

リン「……今死ね!すぐ死ね!骨まで砕けろぉ!」

蕾姫「ちょっ!?チャクラが具現化するだとぉ!?」

リン「ジェノサイド・ブレェェイバァァァァァァ!!!」

蕾姫「俺を倒しても第二第三の作者がこの小説をぉぉぉ!」

最後に言おう、何このカオスwwww
感想その他もろもろ。よろしくお願いします!
 

 

地獄の長虫と新たな仲間

地獄の長虫と新たな仲間

サクヤたちと別れた俺たちは、再びアルンを目指すために街道をさらに北へ。そして、しばらく歩くと目の前に村があった。そろそろリアルの時間も遅いし落ちるかという話になり、その村に入った

「……おかしい」

「どうしたの?」

「この村に人がいない」

「時間も時間だし、全員家の中に入ってるんじゃないか?まあ、宿屋には誰かいるだろ」

嫌な予感がする。目の前で罠を張って待ち受けているモンスターがいるような

「じゃあ、宿屋に行こうか」

リーファの言葉にキリトは一つうなずくと並んで歩いていく。二人は安全圏に入ったからか、完全に安心しているが、俺は周囲を警戒しながら二人の後をついていく

「宿屋っと。ここだな」

「今日は疲れた〜」

キリトが扉に手を伸ばしたとたん、状況が一気に変化した。扉が消え、家が消え、村が消えた。そして、新たに姿を現したのはモンスター

「ッ!!下がれ!!」

いきなりのことで呆然としていたキリトとリーファだったが、俺の言葉で我に返り後ろに飛ぼうとした。だが蹴るための足場は既に無かった。キリトとリーファの足元にはおそらくそのモンスターの口であろう空洞が空いていたのだ。キリトとリーファはなすすべもなくそこに落ちて行った。俺は手を伸ばすが、待ちあわなかった。あとに残ったのは俺と巨大なモンスターのみ

「くそーーー!!」

俺は地面を殴りつける。どうやらダメージが入ったようでモンスターが叫び声を上げる。それと同時に開こうとしていた俺の足元が再び沈黙する。改めてそのモンスターを見る。カーソルが現れた。そこに書かれていた名前は<<ヨルムンガルド>>。北欧神話で神々と戦った巨大な蛇の名前を冠していた

「ギャァァァァァ!」

<<ヨルムンガルド>>は自身の上にいる俺が鬱陶しかったらしくしっぽを叩きつけてくるが俺はそれをかわして翅を広げ、普通の地面に降り立つ

「俺の友に手を出したんだ」

腰に吊ってある剣を抜く

「覚悟はできているんだろうな」

俺はいつものように構える

「ギャァァァァァ!」

それに応えるかのように吠える<<ヨルムンガルド>>。それが開始の合図だった

「はぁぁぁぁぁ!」

<<ヨルムンガルド>>は図体がでかい分動きがのろい。先制を取ったのは俺だった。俺は<<ヨルムンガルド>>に向かって駆けた。そして右手を引きおもいっきり体をひねる。SAO内ではかなりお世話になったあの技。一撃必殺の<<ヴォーパル・ストライク>>を放つ。狙いは一番近い蛇の体。<<ヴォーパル・ストライク>>は狙い違わず当たった。だが、あっさり弾かれる

「なぁ!?ッ!!」

弾かれたことによる反動で一瞬動きが止まってしまう。それを好機とみたらしく<<ヨルムンガルド>>はしっぽを横凪ぎに一閃した。間一髪反応でき、衝撃を弱めるためおもいっきり後ろに下がりながら、剣でガードする。だがその一撃は重すぎたのか、おもいっきり吹き飛ばされ、木を数本叩き折りそして壁に叩きつけられた

「ゲホッ……っ」

もちろんペインアブソーバで痛みは無いが衝撃は感じる。その衝撃により肺の中の空気が吐き出され咳き込んでしまう。HPを確認すると約三割がきれいに消えていた。ついで剣の耐久度を見ると受ける前と後ではかなり減っていてあと三合しかもたないことがわかった

「こんなに分の悪い戦いは久しぶりだな」

俺の背中に冷たい汗が流れる。その緊張感が俺を冷静にした。そして、改めて<<ヨルムンガルド>>を倒すための算段を考え始めた。だが、<<ヨルムンガルド>>は待ってはくれない。いつの間にかそばに寄って来たらしく、上からしっぽを叩きつけてくるが俺はそれを体を横にしてかわす。だが、俺には<<ヨルムンガルド>>の顔が笑ったような気がした。俺は本能のままに横に全力で跳ぶ。すると俺が直前までいた場所に何かが着弾した。それはさっきまで俺が立っていた地面を溶かし、穴を開ける。<<ヨルムンガルド>>の顔を見ると大きく口を開けたままの格好だった。あそこから発射されたのは決定だろう

「冗談キツいって!」

体制を立て直すと再び構える

「ギャァァァァァ!」

当たらなかったことに怒ったのか俺を狙ってむちゃくちゃにしっぽを地面に叩きつける。ほとんどかわすが、足場がだんだん悪化してきて当たりそうになってくる。そしてとうとう足を取られたたらを踏んでしまう。そこに振り下ろされるしっぽ。俺はそれを剣で軌道を変えどうにかしてかわす

「あと二回……か」

そう。剣の耐久はあと二回の攻撃、もしくは二回の防御に使用すると0になってしまうのだ

「しょうがない……分の悪い賭けは好きじゃないが……」

「ギャァァァァァ!」

再び横凪ぎにしっぽを払う。それを俺は下にしゃがんでかわす

「やらなきゃならんからな」

と啖呵を切ったものの不確定要素(<<ヨルムンガルド>>の攻撃パターン等)が多すぎて負けるだろうとは思う。でも、どこかの武偵は言った。楽観論で考え悲観論で行動せよ、と。……変な電波を受信したんだが……

「よっと」

俺は再び<<ヨルムンガルド>>の上に上がる。そこにしっぽを振り下ろしてくるわけだが、それを全てかわす。そしてかわすたびに<<ヨルムンガルド>>のHPは削られていく。距離が近くなったからか、新たに噛み付きをするようになった。だが当たらない。巨体になるとそれに比例して死角も増える。俺はそこにうまく逃げ込み、<<ヨルムンガルド>>の攻撃をかわしていた

「ギャァァァァァ!」

当たらない上に自身にダメージがくるためかなり怒っている。まあ、HPが減ってきたからなんだが……

<<ヨルムンガルド>>のHPが三割を切った瞬間、俺は動いた。全力で地面を蹴り翅をはためかせ加速。そのまま、俺に噛み付こうとした<<ヨルムンガルド>>の額に全力で叩きつける。今度は弾かれず額を貫通。<<ヨルムンガルド>>は悲鳴を上げ、HPを0にし体をわずかにくねらせた後、砕け散ろうとした。その時俺は見た。上空から多数の火矢が降ってくるのを

「くっ……」

俺はそれが当たらない位置へと退避する。もちろんHPが0になっていた<<ヨルムンガルド>>は火矢に関係なく爆散する。すると俺の後ろから歓声が上がった。俺が後ろを見るとサラマンダーの五人組がこちらに走ってくるところだった

「いやー、さすがリーダー。<<ヨルムンガルド>>を火矢でとどめ!お手柄でしたね」

「そうだろ?さて、そこのインプ。倒したのは俺なんだからドロップ品はもちろん全部もらっていいよな?あんたは自分の命を俺たちに守ってもらったっていう恩があるんだからよ」

……驚き呆れて言葉も出ない。頭に蛆が湧いてるんじゃないだろうか

「……彼は一人で<<ヨルムンガルド>>を倒してた……」

「黙ってなさいよ!あなたの借金、取り立てるわよ!」

「……」

その少女は"ごめんなさい"といった感じで頭を下げた。それ以外の男三人と女一人は<<ヨルムンガルド>>のドロップ品であるレアアイテムが欲しいようだ。俺は<<ヨルムンガルド>>のドロップ品を一瞥する。その中には片手剣である<<フルンティング>>という名の剣があった。おそらく古代級武器だろう

「ほら、早く渡しなさいよ!盗もうとは思わないことね。この人数から逃げられるわけないんだから!」

ちなみに今しゃべっている女の武器は両手槍。男三人はそれぞれ片手剣、両手槌、杖だ。リーダーと呼ばれていたのは杖持ち。まあ、メイジだろうな。最後の少女も杖。彼女もメイジだろうな

「あなたたちが攻撃する前に終わっていましたが……」

とりあえず、丁寧に言ってみる。キレかけだが

「つべこべ言わずに渡しなさい!」

ブチッと人間には必ずある切れてはいけないものが切れたような音がした。俗に言う堪忍袋の尾だ

「いいだろう……」

俺は<<ヨルムンガルド>>のドロップアイテムである<<フルンティング>>を実体化させ腰に吊る。そして、剣を抜いた

「その薄汚い根性に裁きをくれてやる」

今回は手加減を一切しない。二本の剣を装備し、膨大な殺気を放つ俺。もちろん、ゲームなので伝わるわけはないが

「やるというのか?バカだな。俺たちはサラマンダーでは結構上の方のパーティーだ。しかも俺たちは五人、お前は一人。負けるわけがねぇ」

「御託はいい。さっさとかかってこい」

目の前の四人を斬ることができれば、それでいい。体にたたき込んでやる。実力差というやつを

「はぁぁぁぁぁぁ!」

俺の挑発にしびれを切らしたのか両手槌を持った男と片手剣を持った男が突っ込んでくる。その後ろを追随するのは両手槍の女。さらにうしろから、メイジの男と少女が詠唱に入る。一応俺は自分の現在のステータスを確認する。HPは残り五割、MPはMAX、左手の片手剣の耐久度は残り一割、<<フルンティング>>はMAXだ

距離は多少あるし、一応回復魔法を発動する。一番低位だけど。するとHPが一割回復した

「まあ、十分だな」

そう言って、俺は右手の中の<<フルンティング>>を軽く一振り。重さはちょうどいい。思わず微笑んでしまった

「ニヤニヤしてんじゃねぇよ!!」

片手剣による上方からの叩きつけ。……トリッキーな戦いとすばやそが特徴なのに上からしたにただ振り下ろすだけの攻撃はナンセンスだ。とりあえず、並んで走ってきた両手槌のやつとは逆に潜り込む。後ろから走り込んできた両手槍のやつは斜め後ろに下がって回避する。的が小さい相手には一人ずつ攻撃した方がいいってのを知らないのか?

「はっ!!」

バランスを崩した両手槍の女を先ずは<<フルンティング>>で斬る。ついで、両手槌のやつも左手の剣で斬る。二人のHPは瞬時に0に。残った片手剣のやつは驚愕したような表情にシフト。向こうにいたリーダーも驚きのあまり魔法の詠唱を失敗。少女は驚愕しながらも魔法を完成させ、火矢を放ってくる。おそらく単体誘導型であろう火矢は当然俺を狙ったものだ。俺は残った片手剣の男を蹴り上げ、火矢と俺の間に配置する。片手剣の男は当然襲われた火矢に振り向こうとするが、当然無視すらわけもなく<<フルンティング>>で容赦なくたたき斬る

俺はそのまま、メイジ組の元に歩いていく。二人とも戦意が喪失したのか、呪文を詠唱する様子がない

「さて……」

俺がそう呟くと男はビクッとし少女は目を閉じる

「な、何でもやる!何でもやるから、見逃してくれ!」

何をするかと思えば命乞いだった。ちょうどいい

「なら、彼女を解放してやれ」

「えっ……」

少女は驚いて閉じていた目を見開く

「どうして……?」

「まあ、勝者の気まぐれってやつかな」

「わ、わかった!わかったから見逃してくれ!」

「ちなみに、彼女をちゃんと解放しないと現実からもバーチャルからも追い詰めるからな」

そう俺が言うと男はいきなり顔を嫌悪感に満ちたように変えた

「ちなみに、言質は取ったから」

俺は<<ヨルムンガルド>>のドロップ品の一つである録音テープを取り出した

「……くそっ」

「ほら、さっさと行け」

そう俺が手でそいつを追い払う。すると男はサラマンダー領の方に消えた。残っていた赤い炎はしばらくすると消えた

「何で……助けてくれたの?」

「あいつらの物言いが気に入らなかっただけだ。別にお前のためじゃない」

何だか少女を見ていることができなくなり、横を向く。すると少女はクスッと笑った

「本当だぞ?」

「……ありがとう……」

そういって笑顔を見せてくれた

「あなた……名前は?」

「そういえば名乗ってなかったな。俺はリンだ」

「リン……私は、ミユ。よろしく」

「ああ、よろしくな」

もちろん友達登録をする。新たな仲間が加わった 
 

 
後書き
蕾姫「ヒロイン……にしようか考え中。無口な少女、ミユです!」

ミユ「よろしく……」

蕾姫「気が付いたら書いていましたwイメージはタバサ的な。元々作者はクーデレが好きなのです」

リン「おいおい……」

蕾姫「今回の用語。ヨルムンガルドは北欧神話に出てくるミズガルズ蛇の別称です。ラグナレクではロキに従い神々と戦いました。ちなみにトールと相討ちになったようです。フルンティング(Hrunting) は古代イングランドの叙事詩『ベオウルフ』に登場する剣で、古より伝来する名剣で、長い柄を持ち、刀身は血をすするごとに堅固となるという。その剣は強い力を宿しており、それを使って失敗する事がなかったという伝承をもつ剣です」(一部Wikiから抜粋)

リン「危ない剣だな……」

蕾姫「次回はミユを初めとする名前が出て来なかったキャラと剣の解説かな?」

リン「次回もよろしくな」
 

 

説明、説明

 
前書き
飛ばしてもらって構いません。ミユ、モブ四人、ヨルムンガルド、フルンティングの説明です 

 
名前:ミユ

本名:水崎 優衣

外見:長門みたいな外見(ALO内はタバサの赤髪バージョン)

年齢:十五

武器:杖(火魔法中心のダメージディーラー)

種族:サラマンダー

身長:152センチ

体重:無言で杖を突き付けられたため書くのを断念

備考:無口なキャラクター。学校では無口なので暗い子という評価だが、顔がいいので結構もてる。両親は借金を作り蒸発。その額、約一千万円。借金があるとわかった瞬間友達が全員離れていった経験があり、軽い対人恐怖症になっている。現在は、自称友達が借金を肩代わり。返済を迫る。借金のことをネタにALOで道具扱いを受けていた。が主人公に救われ普通にゲームをプレイできるようになった。今は、主人公の役に立ちたいと思っているようである








モブ一:武器は両手槌。力は強いが頭が悪く脳筋。ただのバカ。魔法は使えない。なぜならバカだから

モブニ:武器は片手剣。割と偉そうだが、実は臆病者。多少の頭はあるが剣の技術はからっきし。正直足手まといである

モブ三:モブ集団のリーダー。武器は杖(火魔法を中心に微妙……な熟練度。魔法はミユに頼っていたため)なかなかに狡猾。負けたときのリンとの交渉で、現実の物ならば権力で握り潰し、ゲーム内の物ならあげるふりをしつつ不意討ちで殺すつもりだった。結構完璧な計画だったが、相手がリンだったため失敗した。ちなみに、彼の家はリンの家の分家にあたる

モブ四:武器は両手槍。モブ三の妹に当たる。完璧なお嬢様タイプ。自分以外の人物を見下しているというゴミ









<<ヨルムンガルド>>

神話上の名前はヨルムンガンドで、北欧神話に登場する蛇の怪物。ロキが巨人アングルボザとの間にもうけた。またはその心臓を食べて産んだ3匹の魔物(フェンリル・ヨルムンガンド・ヘル)のうちの1匹。日本語訳では、ユルムンガンド、イオルムンガンドルなどがみられる。他の呼称としては、ミドガルズオルム(。綴りは他にMidgardsormrも)、ミズガルズの大蛇、ミッドガルド大蛇、ミッドガルド蛇、世界蛇などがある。

Wiki抜粋

防御面に置いては顔以外の全ての場所がかなり堅い。普通は魔法で攻撃する。攻撃パターンとしては、基本的にしっぽ攻撃(縦振り横振りあり)。威力は高い。ALOの平均的なタンクタイプのプレイヤーHPを五割ほど一気に削るほどである

遠距離の場合、毒吐き"ダメージはしっぽ攻撃よりも劣るが射程が長く、状態異常及び武器の消耗を著しく促進させるのがやっかい"が追加される

近距離の場合、噛み付き"威力は一撃必殺。当たるだけでアウト。それだけである。タンクタイプのプレイヤーの天敵"と飲み込み"強制的にヨツンヘイムへご招待"が追加される







フルンティング

フルンティング (Hrunting) は古代イングランドの叙事詩『ベオウルフ』に登場する剣。
巨人グレンデルを仕留め、次いでその仇をとりにきたグレンデルの母親との戦いに挑む主人公のベオウルフに、フロースガール王の廷臣ウンフェルスが貸与した。
古より伝来する名剣で、長い柄を持ち、刀身は血をすするごとに堅固となるという。その剣は強い力を宿しており、それを使って失敗する事がなかったという。しかし、グレンデルの母親が住む湖底の洞窟にベオウルフがたどり着いたとき、その剣は力を失った。ベオウルフはグレンデルの母親に斬りかかったが、一切通用しなかったのである。
ベオウルフは、グレンデルの母親との組み討ちの中で、洞窟内で見つけたヨートゥンの剣を使ってグレンデルの母親を倒し、首を切り落とす。巨人の剣はその血液で溶けてしまい柄だけとなった為、ベオウルフは勝利の証として倒したグレンデルの母親の頭と剣の柄を持って湖面へと帰還したという。フルンティングは謝辞と賞賛とともにウンフェルスのもとに返された。
結局、フルンティングは怪物退治には役に立たなかったものの、『ベオウルフ』作中では数多の合戦を経、大勢の敵を葬ってきた伝説的な名剣として語られている。

Wiki抜粋

古代級武器の中でも上位に位置する片手剣でその威力は折り紙つき。エクストラアタックは、ブラッド・ファング。その剣で斬った相手の数だけ威力が上がっていく。一度使えばリセットされてしまうのでここぞというときにしか使えない。その範囲は前方六十度、一メートルである 
 

 
後書き
蕾姫「ふっふっふ……」

リン「何笑ってんだよ……気持ち悪いぞ」

蕾姫「実は誕生祝いにBLEACHのザエルアポロ・グランツの能力人形芝居((テアトロ・デ・ティテレ))で作った人形((対象を羽根で包み込み、対象を模した小さな人形((対象者の五感を支配するコントローラー))を作り出す。人形を傷付ければ対象者も同じ箇所に傷が付く。人形の中には内臓や腱等のパーツがあり、それを破壊すると、その内臓や神経も破壊される((胃に相当するパーツを破壊すると、その相手の胃が潰される等))。Wikipediaより))をもらったのだ!ちなみに、キリト50個、ヒースクリフ30個、エギルを10個、クラインを5個、ユージーンを3個
須郷伸之20個、新川恭二30個、クラディール80個、リンの親父99×13個をリンにだって。ちなみにキリト、ヒースクリフ、エギル、クライン、ユージーンはお気に入りのキャラだからだって。まあ、残りのキャラはこれを使って完膚なきまでに潰せってことかな?」

リン「……すごい物騒だな。一個で充分じゃないか?」

蕾姫「ちなみに、俺には蕾姫さんには、リン、鈴木燐の人形を55個ずつが!来た!これで勝つる!」

リン「くっ……」

ミユ「リンを攻撃しないで……」

蕾姫「くっ……ミユも呪文を詠唱するなよ。したら砕……」手を銃弾で撃たれ全て落とす。それをリーファに回収され冷や汗

シノン「……」

リン「何か言い残すことは?」

蕾姫「誕生日プレゼントを下さったWA・WA・WAさん。ありがとうございます!次回もよろ……」←フルボッコw
 

 

願いと現実

願いと現実

「さて……行くか」

「……どこに?」

「アルン。世界樹にさ」

「観光?」

「いや……殴り込みかな?」

そう言うとミユはいつもの無表情な顔を崩し眼を丸くした

「……一人で?」

「いや、さっきまで仲間がいたんだが、<<ヨルムンガルド>>に食われてまってな。今ごろ<<スイルベーン>>にいるかなぁ」

「<<ヨルムンガルド>>の捕食攻撃にダメージ判定はない。たぶん今は<<ヨツンヘイム>>」

「氷の国……ね。まあ、あいつならさらっとクリアしてアルンに湧いてきそうだな」

「湧いて……液体?」

「……なわけないだろ」

ミユはちょっと天然だな。そう思ったリンだった

「とりあえず、アルンに行って置けば間違いないだろ」

「私はあなたに従う」

俺は一つため息をつくと口を開く

「少しは自分で考えろ。ミユは人形やロボットじゃない。人間なんだから。自分のために生きろよ」

「……わかった。考えておく」

「……まあ、とりあえずはいいか。アルンへの行き方は知ってるか?」

「知ってる。こっち」

ミユはそう言って北の方角へ俺の腕を引いていく。俺はそれについていくことにした



「なあ。リアルの話をするのはルール違反だと思うが、借金はいくらぐらいあの女にしてるんだ?」

「一千万円……」

「一千万円!?何をやったらそんな額に……」

「親が事業に失敗して……蒸発した」

相変わらずの無表情で淡々と言うがミユの口元が強張っていた

「……すまなかった」

今のは聞くべきではなかったのだろう。だから素直に謝る

「別にいい」

空気が気まずくなりしばらく無言で歩く。その沈黙を破ったのはミユだった

「なんで世界樹に殴り込みに行くの?」

「友達を叩き起こしにな」

「……よくわからない」

「まあ、わからないだろうな。でも、誰にも理解されなくても、俺はそいつを助けることができる可能性が一パーセントでもあるなら突き進む。それが友達ってやつだろ」

「……そう……」

俺は最大限の笑顔でミユを見て言った

「お前ももう友達だぞ?困ったことがあったらどんな方法を使ってでも助けてやるからな」

そうするとミユはそっぽを向く。微妙に見える頬は赤く染まっていた

「……それは反則……」

「何か言ったか?」

「……何でもない」

主人公はニコポのスキルを手に入れた(笑)

アルンまでの道のりは比較的楽だった。モンスターはでるが、ほとんど俺が<<フルンティング>>で瞬殺。複数出た場合は、ミユの魔法で牽制し、その隙に俺が突っ込むという戦術をとりすぐに全滅する

というわけであっという間にアルンに到着した

「ここがアルンか……」

俺は周りを見回す。そこには時間が時間だからか人数は少ないが、様々な種族がいて思い思いのことをして楽しんでいた

「まあ、時間が時間だからそろそろ落ちるか」

「……落ちたくない。まだここにいたい」

「大丈夫だ。言っただろ、俺が助けるって」

「……わかった。信じてる」

俺たちはそれぞれ部屋を取り落ちることにした次の日の午後三時に待ち合わせをすると約束。そして、連絡先、住所を交換して(マナー違反はわかっているが、ミユが教えてきて。しょうがないから俺も教えた)して

時間変わって次の日。俺は誰かが俺の体を揺すられたため目が覚めた

「燐!!」

「……いきなり耳元で叫ぶな。キリ……和人」

「今どこにいるんだ?」

「桐ケ谷和人の部屋」

「……お前わざとだろ」

「……アルンの宿屋」

「おっ、アルンに着いたんだな。よかった」

「その様子だとお前たちも無事アルンに着いたんだな」

「トンキーに乗せてもらってな!」

「……トンキー?あのゴリラっぽいキャラの……」

「それはドンキー」

「数字のキーの……」

「それはテンキー」

「お……」

「ゲンキー!って違うわ!!トンキーだ。ト・ン・キー」

「何度も言わなくてもわかるって」

「……俺が悪いのか?」

「冗談はさておき……」

「冗談かよ!?」

恒例となったキリトとの漫才を打ち切り本題に入る

「とりあえずはアルンに着いたんだな」

「おう」

「よし。ちなみにこっちはメンバーが増えた。それは今度説明するとして……」

「とりあえず、一回挑戦してみないことにはわからないな」

俺はキリトの言葉にニヤリと笑うと先を続ける

「その通り。まあ、今日のところはちょっと用事があるから……午後ニ時ぐらいにまた来るな」

「わかった。いろいろありがとな」

「礼はアスナを助けだした後に、だ」

俺はキリトに背を向けて手を振りキリトの家を出た。出る途中で直葉に会い挨拶をすると、かなり驚いていたが気にしない

出た後、教えてもらった住所に向かって走りだした

「ここか……詩乃と同じじゃん」

教えてもらった住所の場所にあったのはかなり古いアパートがあった

「なんかテンプレだな」

メタ発言をしながらギシギシ揺れる階段を上って行ってミユの部屋だと思われる部屋のインターホンを押す、が返事がない。扉に耳を当てると微かに泣き声と怒鳴り声が聞こえる。こういうときは……。俺は一歩下がるとおもいっきり扉を蹴飛ばした。扉は一撃で大破し部屋の中が見える。中には頭から血を流す少女と男が三人。女が一人いた

「なっ!?」

とりあえず、インターホンに答え出ようとしていたらしい男のみぞうちに肘を打ち込む。それで男は倒れる

「誰だ!?」

「リ……ン……?」

息も絶え絶えといった様子の少女……おそらくミユを見てさらに怒りのボルテージが上がる

「俺は誰だっていいだろ。貴様ら、恥ずかしいとは思わないのか?一人の女の子を複数人で襲って!」

「原因を作ったのは、こいつさ!裏切りやがったんだよ、こいつは。だからその罰を与えてやったまでさ」

「罰を与えられるような立場なのか、おまえらは」

「こいつはあたし達から金を借りてるだよ。だからいいに決まってる」

「借りてるからって暴力を振るっていいって理由にはならない!おまえらがやったのは人間として最悪の行為だ」

「たから、なんだってんだ?あんたの理論だと、あたし達に罰を与えられるような立場にはあんたはいないだろ?」

「確かに俺にはあんたたちに罰を与える権利はない。だがな、目の前で苦しんでる女の子を見逃せるほど人間はできてないんでね」

俺は拳を強く固める

「……やっちまいな」

「「「おう」」」

俺と女の会話を黙って聞いていた三人の男がそれぞれ武器を取り出し、俺に襲いかかってきた

ここは家の廊下。よって二人がやった通れるぐらい狭い。こっちの行動も制限されるが相手は一人ずつしか攻撃できない。一人目はナイフを握っていた

「死ねぇぇ!!」

物騒なセリフとともに突き出されたナイフを冷静に交わし腕を脇に挟み込む。そのまま襟を掴み投げ飛ばす。発生する反動を殺さず俺も男と共に後ろへ。そして床にたたきつけた男の上に着地する

「うぉぉぉ!」

二人の男の武器は金属バット。それを横に振る。が俺はしゃがんでそれをかわす。そのバットは壁を破壊し隣の部屋に貫通した。そして、反動に耐えかねたのかバットを取り落とす。その隙におもいっきり股間を蹴りあげる。俺の足に嫌な感触が発生するが、その男は奇声を上げて倒れる。最後の男は……股間を押さえて後退りしている。俺が一歩踏み出すと一歩下がる。また一歩踏み出すとまた一歩下がる

「何をやってるの!早く行きなさい!」

その女の言葉の行くという文字が脳内変換で逝くという言葉に変換できたのは俺だけだろうか

「う、うわーー!!」

やけくそになったらしくただ向かってくるだけだったので、顎を打ち抜いて終わりにする。倒れた男をわざと踏むようにして女のもとに向かう。もちろん、後ろの気配を探りつつだが

「さて……」

「け、警察呼ぶわよ!」

「十中八九おまえらが悪いって言われるぞ?」

「あたしは、鈴木家の分家の……」

「自己紹介がまだだったな。家の権力を使うのは好きじゃないんだがな……鈴木燐。鈴木家の長男だ」

「なっ……」

「ちなみに警察は呼んであるから。挫折を味わえよ、お嬢様?」

そう言うとその女は崩れ落ち、あたしは悪くないとつぶやいていた。俺はそれをスルーし、ミユの様子を見る。頭から血は出ているがそれ以外には外傷は見られない。最悪の事態は免れたようだ

「すまない。遅れた」

「いい……来てくれて嬉しかった」

「えっと……ちょっといい?」

ミユの頭に包帯を巻いていると後ろから声がしたため振り向くと詩乃がいた

「詩乃?」

「え……燐!?」

「燐……どういう状況なの?」

「話せば長くなるんだが……」

俺は長い話をかなり簡単に説明する。話し終わると丁度警察が来たので俺も事情聴取のため警察に同行。まあ、一時間ほどで終了。そして、キリトの家に向かった

詩乃がミユの様子を見ていてくれるようだ。……ミユが変なことを話さないといいんだが 
 

 
後書き
今回はノリと勢いだけで書いたため、意味不明なことになってますが、愛想を尽かさないでください(泣)

主人公がニコポを手に入れました(笑)

これにより修羅場の可能性が五十パーセント上昇!

ヒロインが……増加するのか?ミユ、どうしよ……一応フラグは建てました

次回もよろしくお願いします!
 

 

アルンと一枚のカード

あの後、キリトの家からキリトと一緒にダイブした。ミユは頭の怪我によりダイブできなくなった(無理に来ようとしたので、医者と一緒に説得した)

「よう、リーファ」

「こんにちは、リン君、キリト君」

「じゃあ、行くか」

俺たちは拳を合わせアルンの外周部を歩く。現在ユイは俺の頭の上をふわふわと浮かんでいる。……悪霊か?おのれは

「とりあえず、根元まで行ってみたいな」

「ん。りょーかい」

俺たちはアルン中央。世界樹の根元へと向かった




「ママ……ママがいます」

そうユイがつぶやいたのはアルン中央へ向かうゲートの前だった。その言葉にキリトは周りも気にせず叫んだ

「本当か!?」

「間違いありません!このプレイヤーIDは、ママのものです……座標はまっすぐこの上空です!」

それを聞いたキリトの行動は早かった。視線を空に向け歯を食い縛ると、背中の翅を広げ上空に弾丸のように飛び出した

「あのバカが!!」

俺もキリトの後を追って地面を蹴る。キリトとの差約0.1秒。所持している物の重量。この世界には筋力、敏捷といった数値はないので速さは俺の方に軍配が上がる。それでも執念とでもいうべきか。何とか俺がキリトを止めることができたのは高度限界の障壁スレスレの所だった

「何で、止めるんだよ!」

「やかましい!もっと冷静になれ。それでは助けられるものも助けられなくなるぞ」

「それでも、行かなきゃ……行かなきゃいけないんだ!!」

俺はキリトをおもいっきり殴る。パァンと乾いた音が周りに響き渡る

「あいつを助けだしたとき、おまえがボロボロだったらあいつは喜ぶのか!?おまえもあいつも皆が全員笑顔で終われるような、そんなハッピーエンドを望んでいるんじゃないのか!?おまえはなりふり構わず行き過ぎだ!そんなんじゃ、あいつは喜ばないだろ!」

「……」

「……キリト君……」

「ハッピーエンドにするために、俺もいるし、リーファも、ユイだっている。だから今は冷静になれ」

「……すまなかったな」

罰の悪そうな顔でキリトが謝ってきたので、俺はニヤッと笑う

「それでいい。それに、キリトを殴れたので満足だ」

「それが目的かよ!?俺の感動を返せ!そして一発殴らせろ!」

キリトが俺を殴ろうとしてくるので、軽くいなしながらユイに言う

「ユイ、管理者権限で入れないか?」

ユイは一つうなずくと上へ上がって行くがそれも障壁に阻まれる。だがユイは諦めず

「警告モード音声なら届くかもしれません……!ママ!!わたしです!!ママー!!」

するとユイの言葉に反応してか上空からキラキラと一枚のカードが落ちてきた

「……カード……?」

リーファが小さな長方形のカードを見ながら呟く

「リン、リーファ、これ、何だかわかる……?」

「何か意味を持っているのか……何にせよ、確実にこの世界にいるということだけはわかった」

「これ……これは、システム管理用のアクセス・コードです!!」

「……じゃあ、これがあればGM権限が行使できるのか?」

「いえ……ゲーム内からシステムにアクセスするには、対応するコンソールが必要です。わたしでもシステムメニューは呼び出せないんです……」

「そうか……。でも、そんなものが理由もなく落ちてくるわけがないよな。これは、多分……」

「はい。ママが私達に気づいて落としたんだと思います」

キリトはそのカードを黙ってじっと見た

「目的地は決まった。だったら後はそこまで突き進むだけだ。そうだよな?」

「ああ……。リーファ、教えてくれ。世界樹の中に通じてるっていうゲートはどこにあるんだ?」

「え……あれは、樹の根元にあるドームの中だけど……。で、でも無理だよ。あそこはガーディアンに守られてて、今までどんな大軍団でも突破できなかったんだよ」

「それでも、行かなきゃいけないんだ」

キリトはカードを胸ポケットに収め、そう言い切る。リーファは俺を見てくるが、俺は首を左右に振る。そして、言った

「ここまで、ありがとな。旅は楽しかったよ。でも、俺たちのゴールはすぐそこだ。……俺たちはもう行くよ」

俺はキリトの腕をつつくと落下していく。キリトもあとに続く

「……リン君……」

俺は振り返らない。涙交じりのその声を背に俺たちは最後の関門へと向かった








「さて行くか」

アルンの中央。世界樹の根元には石造りの扉がある。俺たちはその扉の前に並んで立つ

「ああ、これで最後だ。助けだしたら、エギルの店で祝杯だな」

「おう!」

俺たちが一歩進むと、扉の両側にあった妖精の像がしゃべりはじめた

『未だ天の高みを知らぬ者よ、王の城へ致らんと欲するか』

同時に俺たちの目の前にイエスとノーのボタンが現れる

「まあ、姫様を助けに行くだけだけどな。ついでに王様を殴りに。な、王子様?」

俺はボタンを押す。もちろんイエスの方を

「俺は王子様じゃねぇ」

キリトは否定しながらもイエスのボタンを押す

「虐げられているお姫様を助けに行く王子様……どこの童話だよ。ま、俺はさしずめ白馬ってとこかな。かならずお前を送り届けてやるよ、姫様の元にな!」


『さればそなたが背の双翼の、天翔に足ることを示すがよい』

扉の中央が割れ、ゆっくりと左右に開く

「行くぞ、ユイ。しっかり頭引っ込めてろよ」

「パパ、にぃ……、頑張って」

俺たちはお互いを見てうなずきあうと剣を抜いて扉の中へ飛び出した。扉の中は真っ暗だったが、突然光が現れその内部の全貌がはっきりとわかるようになった。ドーム状で一番上に円形の扉がある。そこを目指すのだろう

「キリト!まずは様子見で……」

「行けっ!!」

そう言うと剣を構えて突撃して行った

「聞いてないよ、あの野郎……」

俺はため息を一つついてキリトの後を追って飛び上がった

目を上に向けると全身に白銀の鎧をまとった騎士がいた。顔は見えない。得物は巨大な大剣。数は三。一番近いものはキリトの目の前

「そこをどけぇぇぇぇっ!!」

キリトの前にいた騎士と絶叫したキリトの剣がぶつかりあいお互いに弾かれる。騎士は剣を上に振りかぶるが、キリトはそれが振り下ろされるより早く懐に潜りこみ首もとをつかんで

「ラアッ!!」

気合いを込めて剣で貫いた

「ゴガアアアアア!!」

という絶叫とともに騎士は消滅する

「一体一体は弱い……だがこれは何の冗談だ?」

最初に出現した騎士は三だったが、今や天井全てが白い騎士で多いつくされようとしていた

「ユイ……あの騎士の現在のポップ率は?」

俺は懐にいるユイに話しかけた

「秒間二十……二十五……パパが天蓋に近づくたびに増えています!これでは……」

「殲滅でのクリアは不可能……か。なら一瞬の突貫力にかけるしかないな」

「さて……俺も少し戦ってみるか」

俺はキリトの後ろにいた騎士に向かって投げナイフを投げるするとそれに反応したのか、騎士たちがこちらに向かってくる。数は五

「セイッ!!」

気合い一閃。俺は剣を先頭の一匹にぶつける。先頭のやつは吹き飛ばされ後続の騎士の剣に貫かれ消える

「……バカだろ」

今度は、二匹同時に斬りかかって来た。まず左から来たやつの斬撃を交わし、その腕を掴む。それを右から来た騎士に投げつける。そして二匹が抱き合ったところで、剣で貫く。これで三匹。一匹と交戦する。相手はブンブンと大剣を振り回すが、俺は<<フルンティング>>でそれを全て反らす。ここ一番の大振りをした騎士はそれをいなされバランスを崩す。俺はその隙に懐に潜りこみ、剣を突きこもうとしたが、俺の耳が耳障りな雑音を捉えた。俺は見えないもう一匹の騎士がそれを出していると判断。突きこむのを中断。おもいっきり体当たりをかます。もろに食らった騎士は吹き飛んでいき、後ろから来た光る矢に貫かれた。その後ろを見ると案の定、もう一匹の騎士が魔法を放った後のモーションをとっていた

「騎士の動きが止まったところを見るとディレイ効果が強そうだな」

「ッ!!にぃ!!パパが……」

「キリトが!?」

俺は二匹の騎士の向こうに目を向けるとうんざりするほど多くの騎士とその中にポツンと佇む紫色の炎だった

「チッ……行くぞ、ユイ。援護を頼む」

「わかりました!」

そういう会話をした次の瞬間扉が開き、緑色の何かが飛び出してきた

「リン君!」

「リーファ。キリトの回収が目的。制限時間は三十秒程度。じゃあ、背中は任せた」

「わかったわ!」

俺はまず、目の前の騎士二匹をほふる。俺は剣を振る。そのたびに騎士が崩壊していく。まだ、この高度なら騎士の密度はそう高くない。だんだん増していく騎士の密度に顔をしかめながら俺は上へ上へと上がっていく。そして、とうとうキリトのリメインライトに手が届いた。だがその瞬間、俺は複数の光る矢に貫かれる。一瞬の硬直。そして数本の剣に貫かれた

「リン君!!」

「キリトを持っていけ!後、剣を貸してくれ!後は……後ろを振りかえるな!!」

「でも!」

「行け!!」

俺は貫かれたまま、キリトのリメインライトを放り投げる。返す刃で、飛んできたリーファの刀を掴むと絶叫しながら回転をする。刺さっていた剣が抜け、周囲にいた騎士が全滅する

俺は構える。キリトとリーファを逃がすために。飛行速度はあまり変わらないが、あの光の矢にやられたはまた捕まってしまう。だから先に行かせた。数秒だが俺は騎士たちと斬りあう。後ろに気を配り、退路をたたれないように。キリトとリーファが充分距離をとったのを確認すると、俺は急降下に入った。後ろから光の矢の詠唱が聞こえる。俺は蛇行し、それをかわして蛇行したことによるタイムラグで近づいてきた騎士を剣でほふる。そうやって、俺が外に転がり出た時には俺は精神も体力も限界だった。俺は出た後、そこに座り込んだ。すると、復活していたキリトがこっちに寄ってきたので、一発殴る……ことは体力的にできなかったので

「後で覚えておけよ」

と言った。俺は続けて

「で、何か言うことは?」

「すまなかった。あの時、頭に血が登って……」

「当たり前だ。まずは様子見って言ったのに……」

「そうだよな。これじゃあ、アスナに顔向けできないよな……」

「アスナって……え?だってあの人は……」 
 

 
後書き
蕾姫「今日で一年が終わりますね〜締めくくりといえば、除夜の鐘でしょうか」

リン「おまえの場合、108回ついても消えないんじゃないか?煩悩」

蕾姫「俺の煩悩は108以上あるというのか!?」

ミユ「あると思う……」

蕾姫「ひど……」

ミユ「大丈夫……来年は必ずくるから」

蕾姫「大丈夫なのか?それ」

今回は長くなりそうだったので二つに分けました。そのためかなり中途半端なことになってます。感想その他よろしくお願いします!
 

 

シリアスとシリアル

 
前書き
最初に言っておく。今回はか〜な〜り短い 

 
「……お兄ちゃん……なの?」

「え……?」

キリトが口にした言葉にリーファは反応した。キリトはしばらくリーファを見て言った

「……スグ……直葉……?」

「何で……何でまたVRの世界に……」

「それは……アスナがこの世界に閉じ込められたって聞いて……いてもたってもいられなくって……」

「あたしが……母さんが……どんなに心配したか……どんなに不安だったか、わかってるの!!そうやっていつもいつも自分から危険なことに突っ込んで行って……残された人がどんなに心配してるのか、少しは考えてよ!!」

「そ、それは……」

「もう……いいよ。お兄ちゃんとあたしは血が繋がってない。だから!どうでもいいんでしょ!!」

リーファは目に一杯涙をためながら叫んだ

「ち、違う!俺は……」

「言い訳なんていらない!!もう……ほっといて」

そう言うとリーファはログアウトして消えた。するとキリトは力が抜けたように崩れ落ちた

「……なぁ、リン」

ポツリとキリトは俺にたずねてきた

「……何だ?」

「……俺はどうすればいいと思う?」

「それはお前次第だ。俺からは何も言うことはない。だが、俺はお前がそんな腑抜けた姿を見たくない、とだけ言っておこう」

この問題はキリトの、桐ケ谷家の問題だ。部外者の俺がどうこう言える問題じゃない。背を押してやるぐらいはするけどな

「わかった……。俺はリーファと……直葉と話しあってくる」

そう言ったキリトの目にはさっきまで消えていた光が戻っていた。だから

「おう、行ってこい」

俺はそう言って笑顔でキリトを送り出した

「ったく世話の焼けるやつだ」

キリトが去った後、俺は世界樹の上の方を見てそうつぶやいた。アスナを助けるために、全てがハッピーエンドで終われるように。俺は柄にも無く天に祈った







「……バトルジャンキーめ……」

俺はそうつぶやかずにはいられなかった。俺の前にはキリト&レコン。さあ、シリアスをぶち壊したときの回想行ってみようか

キリトがVRの世界に帰還して、すぐにカフェテラスのような場所に飛んでいった。俺は何も言わずキリトを見送る。そうすると、今度は向こうからリーファがやってきてキリトと一言二言話すと二人で空中でバトルを始めた。肉体言語でお話……言葉を使えって思ったが、最後の最後お互いに剣を投げ捨てそのまま激突。二人は抱き合ったまま地面に着陸した。そのまま、剣を探しに行って、数分後見つけたらしくこっちに帰ってきて、リーファの一言で冒頭部に戻るわけだ。その言葉とは

「えっと……リン君。キ、キリトは兄妹だから、勘違いしないでね」

そう涙目+上目遣いで言って来たのだ。それをこっちに走ってきたレコンとキリトが聞き、それぞれ

「妹が欲しければ……俺を倒してからにしろ!」

「リーファちゃんは……渡さない!」

と言ってきた

「はぁ……いいぜ、たまには暴れるか」

「はぅ!?」

剣を抜く俺と俺が否定をしなかったことにトリップするリーファ。……何このカオス 
 

 
後書き
蕾姫「シリアスブレイカーとは俺のことよ」

リン「あほか。今回は真面目会じゃなかったのか?」

蕾姫「いや、それは……」

ミユ「……無能……稚拙……駄文……遅筆……」

蕾姫「ぐふっ……」

蕾姫:LP4000→2500→1000→−500

ミユ「……優柔不断……ぐ……」

シノン「もうやめて、ミユ(棒)」

ミユ「放せ(棒)」

シノン「もうとっくに蕾姫のライフは0よ。もう勝負はついたのよ((笑))」

蕾姫「ちょっとまて。セリフに魂を込めろよ!」

リン「付き合っただけありがたいと思え」

蕾姫「orz」

次回もよろしくお願いします!そろそろALO編も終わります

感想もよろしくお願いします!
 

 

決戦

「ここは……どこだ?」

「……日本みたいだけど、銃がたくさん……」



いきなり消えた日常



「あんたもあたしの奴隷になりなさい!」

「何か、すまん……」



ツンデレ武偵との邂逅



「時空管理局の者ですが」



世界を纏める組織との出会い



「ふはははは!面白い!君たちの剣と能力は本当に興味をそそられるよ!」

「ったく、戦うのは俺なんだぞ?」

「うるさい……」



かつてない巨大組織との対決



「この一弾に全てを込める。ヘカート……お願い」

「俺は未来を切り開く。おまえらにそれを否定する権利などない!」

「武偵憲章第一条。仲間を信じ仲間を助けよ。当たり前じゃない。助けるのなんて」

「全く……少しは武偵を頼れ」

「全力……全開。スターライトォ……」

「私は……私。それ以外の何者でもない」



元の世界に帰るため。未来を切り開くため。そして、自らの信念を貫くため。今、剣と銃と魔法が織り成す史上最大の戦いが始まる



「俺は何を言われようと、この信念を貫き通す。例えこの命が消えようとも」



劇場版 緋弾のアリア 二対の剣、二対の銃、そして魔法(仮)

公開決定!(嘘)



リン「何だこれ?」

蕾姫「SAO、緋弾のアリア、リリなののクロス映画の予告。何となく頭をよぎったから書いてみた(笑)」

リン「……アホか」

蕾姫「ノリと勢いだけで書いてみた。反省はしている。後悔はしていない」
********************************************
決戦

突っ込んできたキリトとレコンを相手どり俺は剣を振るった。キリトの強さは、何度も見て知っていたから強いのはわかっていたが、意外だったのはレコンだ。短剣を巧みに使い引くべきときはちゃんと引く。……まあ、シリカに比べたら子供の遊びみたいなものだが

結局、リーファがキリトとレコンの頭をぶっ飛ばして終了した。ちなみに俺は終始受け流していた。

「わかった?」

「はい……」

「わかりました」

今ちょうどリーファのオハナシが終了した。某管理局の白い魔王様かと思ったぜ。道端に仲良くキリトとレコンは正座させられ、リーファからのオハナシを聞かされていた。ちなみにここは街の街道。実に目立つのだが、オーラが出ているように見えるリーファを見た瞬間、逃げるように去っていく。またはUターンをするのだった

「そろそろ、行かないか?」

オハナシを初めて三十分。一段落ついた時を見計らって俺はリーファに話しかけた

「そうね……」

「足が……」

そう言ってスくっとキリトが立ち上がったので、回し蹴りを打ち込む

「痺……ぐおっ!?」

「VRの世界で足が痺れるわけないだろ」

「いや……気分的に」

結構本気で打ち込んだんだが……だんだん回復が早くなってきた

「はぁ……。まあ、いい。作戦会議でも始めるか」

「そんなもの練ってる暇はないって!」

「バカか、キリト。むやみやたらと突進したとしても全滅するだけだ。……ユイ」

立ち上がり歩きだそうとしたキリトに足を引っ掛けながら俺は言った

「まずは、敵の攻撃パターンですけど基本は大剣による斬撃ですね。後はディレイ交換のついた魔法。これは威力はあまりないですけど……」

「問題はどうやって光の矢をいなすかだ。かわす……のは無理だな。ならば、その後の大剣の攻撃も合わせたダメージの回復が必須となる。……一人は無理か?ちなみに、俺とキリトは回復魔法が使えないから自動的に前衛だ」

「一人は、ちょっと厳しいかな。回復はあたしとレコンが担当するわ」

「わかった。耐久はキリトで一発、俺で一、二発ってとこ。後は、敵の数だ」

「先頭がゲートに近づくにつれて湧出スピードが増え、最接近時では秒間十二匹に達していました」

明らかに異常だ。あまりにも数が多すぎる

「というわけで、殲滅しつつ全員で進むのは不可。だから、面じゃなくて点で攻める。キリトが先頭で、敵をなぎはらって俺がキリトの後ろに貼りついて討ちもらしを潰す。リーファとレコンは遠くから俺らの回復。ただし、不測の事態の時は俺の合図で反転。リーファとレコンの牽制を使い逃げる……何か質問は?」

「「「……」」」

俺の言葉に三人は顔を見合わせるが、何も言わなかった

「じゃあ……行くか」

俺とキリトとリーファは二回目。レコンは初めてとなる挑戦

そして、俺たちは開いた扉の中に飛び込んだ






すぐさま湧きだすように天井付近から騎士のような、けれども少しも気品を感じない。異形の者が現れる。数は前回と同じく三

「行くぞ。作戦開始だ」

「おう!」

まず地面を蹴ったのはキリト。追随するように俺も飛び上がる。リーファとレコンは地面付近で浮かび、待機

「うぉぉぉぉぉぉ!」

キリトが雄叫びを上げ減速しつつ、手に持つ大剣を横に振る。剣を振り上げていたため直撃した者が二。剣でガードしたが吹き飛ばされたのが一

「キリト!突っ込め!」

俺は腰のポーチから一つのナイフを取り出し微妙にHPが残っていた者目がけて投げる。所詮投剣とはいえSAOで鍛えた精密な操作とスピード。それにほぼマスターしている投剣スキルにブーストされているナイフはその者のHPをナイフが風を切る音とともに奪い取った。タイムロスはほぼない。キリトとの距離が一センチほど開いたぐらいだ。ナイフを投げるため横を向いた顔を前に戻すとキリトの背とその向こうにいる五人の騎士。そして湧出しようとしている多数の騎士だった

「はぁぁぁぁぁ!」

キリトは大剣を縦横無尽に振り回す。それに触れた騎士は吹き飛ばされるか崩壊する。キリトが剛の剣とするならば俺は柔の剣。剛の剣によって崩壊を免れた騎士は容赦なく柔の剣で止めをさしていく。俺たちは少しずつ少しずつ天井に近づいていく。近づいていくにつれて騎士の密度が上がってくるが、その分騎士たちの動きが制限され、むしろ捌きやすくなる

「あれさえなければ簡単なんだがな……ッ!来たか……」

数匹の騎士がノイズの走った不快な声で呪文を詠唱を始める。俺はその数匹の顔面にナイフをぶちこむ。それによって騎士は怯み呪文が失敗した

「ナイス!」

キリトの賛辞を耳にしながら剣を振る。このころになると、キリトのいる方向と下以外の全方位が騎士で埋めつくされていた

「ちっ……」

「伏せろ!」

舌打ちをしながらまわりの敵を間引こうとしたが、キリトの掛け声に体を縮める(空中で身を縮めるのは現実ではできないだろうが)
すると俺の頭のすぐ上を黒い物体が通り過ぎた。キリトの剣だ。キリトは体を回転させ大剣を一回転。まわりの騎士を全員潰した

「キリト、下!」

俺は縮めていた体を伸ばしキリトに下にずれるように指示。その開いた空間にナイフを投げる。それは正面にいた魔法を完成させかけていた騎士の顔面に突き刺さり呪文を強制的に中断させた

「よし!」

キリトはすぐさまその騎士に肉迫し一刀のもとに切り捨てる

「このままなら行けるんじゃね?」

「気を抜くな」

気を抜いたときが一番危ないのである

その時敵の行動パターンが変わった。全面に騎士が剣を振りかぶりもせずにただ防御の姿勢をとる。そして、その後ろで数匹、数十匹の騎士が呪文の詠唱に入る。俺はすぐさまナイフを投げるが射線に別の騎士が体を張って割り込む。数匹は中断させたが、まだ呪文の詠唱は止まらない

「くそっ!」

俺は思わず毒づいた。その瞬間、光の矢が飛来した。仲間ごと俺たちを狙った。もちろんかわすことなど出来ずキリトと俺は光の矢に貫かれる。そして、できた隙に残っていた騎士が攻勢に転じた。俺たちは運が良かった。光の矢によってまわりの騎士が減っていたからである。もし減っていなかったら俺かキリトのHPが消えていただろう

「っ!リーファ!レコン!」

硬直が解けた瞬間近くにいた騎士を全員斬り倒す。そして、俺たちにリーファとレコンが唱えた回復魔法が発動する。HPがほぼ全快する。だが、それによる代償は重かった

「嘘だろ?」

リーファとレコンが回復魔法を唱えた瞬間、騎士たちの一団ががリーファとレコンの方向へ向かった。俺がリーファから聞いた話によると増悪値は距離とダメージによって決まると言っていたので、回復役に徹していれば狙われることはないと。だからこそこの作戦を立てた。その根幹が崩されてしまった今、俺たちにできることは……

「撤退だ、キリト!」

「何で……こんなところまで来たっていうのに!」

「計画は失敗だ。これ以上は進めない……」

「すまん、リン。俺はそれに従えそうにない」

キリトは撤退する気はないようだ。戦いの前に俺の指令には従うって決めたのに。ったく、アスナのことになるとまわりが見えなくなるな。そう思っている俺は苦笑していた。それと同時に微笑んでいた。たまには猪突猛進で行くのも悪くない、と思考時間約一秒

「どうした、キリト。進んでないぞ?」

「リン!?」

「何を驚いてるんだ、キリト?」

「いや……だって、撤退したのかと思って……」

「たまには、お前の猪突猛進に付き合ってやってもいいかな、と思っただけだ。それにお前一人じゃ荷が重いだろ」

「リン……ありがとな」

「お礼にエギルの店で奢ってもらうぞ。アスナと一緒にな」

「了解だ!」

この会話の間、押し寄せてくる騎士を難なくさばいていたのだが、割愛する。俺たちは会話を打ち切り再び戦闘に意識を集中させる。散発的に飛んでくる光の矢は騎士の体でガードし、剣はそらして別の騎士に当て蹴りで隙を作らないようにする

「このままじゃ、じり貧だな」

「くっ、そうだな」

そういう会話をしていると下から何か叫び声が聞こえる。さすがに視線を向けるほどの余裕はないため確認はできない。そのまま戦うこと数秒。下から炎の奔流が飛んできて俺たちのまわりの騎士が消し炭になる

「な、何が……」

さらに続けて後ろから緑の閃光が走る。俺たちが後ろを振り返ると見知った顔が二つと知らないシルフのプレイヤー達。それに、巨大な竜に乗ったケットシーのプレイヤー達だった 
 

 
後書き
蕾姫「あと一話でALOは終わりだぁ!」

リン「ようやくここまで来たな」

ミユ「……私の出番は……?」

蕾姫「すまん……あまり無い」

ミユ「……」

蕾姫「わかった……出すから。出すからその杖を下ろしてくれ。それ知ってる?容姿が君に似ている人が持ってる杖と同じ形状なんだよ?人懐っこい風韻竜は丈夫かもしれないけど俺は人間だからな?」

リン「今はダメだよ、ミユ。スイカ割りは夏に海でやろうな?」

ミユ「わかった……」

蕾姫「俺の頭はスイカじゃないぞ?確かに強度は同じって言われてるけどな」

次回でALOラスト、になるはず。次は、オリジナル編の予定。だってALOからGGOまで一年もあるんだもの……さっさと主人公の元に詩乃を合流させたい
ちなみに、ミユはヒロイン化はやめました。感じている感情は親愛。そばで見守っているだけで幸せ……みたいなキャラにします。略奪愛?詩乃と直葉がリンを振ったら有り得ますがそんなことはありませんので
 

 

導く者、羽ばたく者

「行ける……。行くぞキリト!」

「言われ無くても!」

俺たちは後ろにシルフ、ケットシーのプレイヤーを従え小さな弾丸のように飛翔する。光の矢は風の壁に阻まれ、返す刃で放たれる巨大な火炎に何匹か纏めて燃やし尽くされる。俺とキリトはやることがあまり変わっていない。キリトが騎士の壁を壊し、その瓦礫を俺が粉々にする。まわりは、シルフやケットシーのプレイヤーが固めていてくれるため、意識を向けるのが一方向だけでよくなった

「うぉぉぉぉぉ!」

キリトの気合いとともに振られる剣によって、騎士が数匹纏めて砕け散っていく。俺は、キリトが剣を振った後の隙を埋めるように騎士を斬る。キリトみたいに一撃とはいかないが、キリトよりも速い剣閃で、斬っていく

「後、少し!!」

「使え、キリト!」

騎士の壁が一瞬途切れ天井の扉が見えた。そこで、俺はキリトに向かって自分の剣を投げた。キリトはそれを掴む。二刀流。あの世界で鍛えられた高速の剣技が最後の騎士の壁を切り裂く

「全軍反転!」

サクヤはそう叫ぶ。キリトが到着したのを見計らっての指示だった。俺は最後に持っていた残り全てのナイフをキリトのまわりの騎士に投げて急降下に入った

「おまえは真っ直ぐ目的まで突っ走れ。俺がお膳立てと後始末をしてやるから、な。……全く、損な役回りだよな」

その俺の呟きは風に消えて言った

外に出た俺たちはシルフとケットシーのプレイヤー達にお礼を言い、ログアウトした。現実世界に復帰し、外に出る身支度をしているとあわただしい足音が聞こえ、だんだんこちらに向かってくるのが聞こえた。そして、その足音は俺のいる部屋の前で止まり、中に入ってきた

「燐君……」

中に入って来たのは予想通り、キリトの妹直葉だった

「ああ、俺はSAO生還者。キリトと同じ二刀流使い。リンとは俺のことだな」

「やっぱり……」

「じゃあ、キリトの様子を見ててくれるか?」

「燐君は?」

「俺は、やることがある。キリトのやつの走る道を作るのが俺の役目だ」

「……わかった。気をつけてね」

「ああ……」

俺は外に出た。そして、俺は自分の家に向かった





俺は走りながら、俺は電話をかけている。向かっている先はアスナの眠る病院。かけている先はレクト。ALOの責任者は誰か、聞くつもりだった。もちろん一般人にはそれを聞き出すことは不可能だが、俺には、正確には鈴木家の次代当主ならば、と思ったのだ。極めて不本意だが、使えるものは使う。レクトの有数の出資社である鈴木財閥の力を

「須郷……伸之……か」

そいつがおそらくアスナを監禁している犯人。何故ならALOで起こっていることをGMが知らないわけないのだから

「で、須郷さんは今どこに?」

俺の手は震え、手に持った携帯はミシミシと音を立てているが、須郷さんと敬語で言った努力を褒めて欲しい

相手は今、会社を退社しました、と言った。ただ、片方の目がおかしかったと追加情報をもらった

「(キリト……ちゃんと助け出せたんだな。後は、俺に任せろ)」

VR世界で破れた須郷が向かう先はただ一つ。俺は、須郷に止めをさすためより一層足に力を込めた






場面変わってアスナの病院の前。須郷はおそらくアスナに会いに来るキリトを待ち伏せするつもりだろう

「……来た……」

向こうから一台の車が入ってくる。そこから降りた男の目は、不自然に歪んでいた

「こんばんは。いい夜ですね」

俺が声をかけるとビクッと体を強ばらせた

「こ、こんばんは。こんな時間に君はいったい何をしているんだい?早く家に帰りたまえ」

「人を待っていたんですよ」

「人?」

「ええ……あなたを」

「僕を?」

「ALO。キリトとアスナの親友とでもいえばわかりますか?須郷伸之」

そう言った瞬間笑顔を貼りつけていた須郷の顔が凍り付く。次いでそれは怒りと狂気に染まった表情に変化する

「またか、また僕の邪魔をするのか……」

何事か口の中でグチグチ言ってから顔を上げて

「殺す」

そう言って服の内側からサバイバルナイフを取り出した

俺はポケットに入れていた手を外に出し、自然体に構える

「死ねぇぇぇぇぇ!」

そう叫んでナイフをこちらに振り下ろしてくる。俺はそれを右に避け返す刃で蹴りを放つ。体重移動も考えない、そんな一撃を放った後の須郷にそれは躱せるわけがなく直撃し、向こうにあった車に叩きつけられる

「いつも、そうだ。僕の欲しい物は他の人が奪っていく。才能に溢れた人が全て。そして、僕を見下してるんだ!全てを奪われた僕を!!」

それは俗にいう一般人の言葉だった。一般人の妬み。それはまわりが非凡であるほど増大する。須郷の場合は茅場だろう

「確かに、才能がなければできないこともある。努力だけじゃどうにもならないことがある」

でも、それでも

「一般人だから、凡人だからこそできることがある。何人かが協力すれば天才に勝てるかもしれない」

綺麗事かもしれない

「お前は才能を言い訳にして自分のやっていることを肯定しようとしている。自分自身を一番見下してるのはお前自身だ」

俺も凡人だ。茅場のように発明の才能があるわけでもなく、キリトのように主人公になれるわけでもない。だからこそ、言える

「凡人を侮辱するな」








俺はとりあえず、須郷を引きずり車と車の間に入る。数分後、キリトが慌てた様子で走ってくる。俺はそれを見送ると警察に連絡し、病院に入った

「どうしても面会したいんです!」

「だから、今日の面会時間は終了しています。また明日お越しください」

「お願いします!」

「だからダメですって!」

中に入るとキリトと看護士の人が揉めていた

「ちょっと、いいですか?」

「燐!?」

俺が顔を出すとキリトは驚いたように声を上げた。看護士は不快そうに眉を潜めた

「実は、ナイフを持った男を一人縛ってきたんですが、警備員を呼んでくれますか?一応、警察は呼びましたが寒さで死なないとも限らないので」

一応証人なので須郷には生きてもらわなければならない

看護士は終始疑わしそうにこちらを見ていたが、やがて警備員を一人呼ぶと外に行ってしまった。……職務放棄かよ。誰も残らないって……。まあ、都合がいいが

「キリト、行ってこい。アスナのところへ」

キリトは無言で大丈夫か?といった視線を向けてきた。だから俺は一つうなずいてやるとキリトはカードキーを取ると脇目も振らず走って行った

「俺も行くか……」

俺もカードキーを取るとアスナの病室へ向かう。足取りはゆっくりだが











アスナの病室は扉は少し開いていた。俺がそっと中を覗き込むとキリトがアスナに抱きつき泣いていた。アスナを閉じ込めていたナーヴィギアの檻は脇に置かれ、その目は愛しみに満ちていた。キリトに向けられていた視線がふと上げられ俺の視線と交差した。俺が微笑むとアスナも微笑み、声には出てないが口の形でありがとうと言った。俺は頷くと扉をそっと閉めた 
 

 
後書き
蕾姫「ALO終了ー!!」

リン「長かったな」

蕾姫「今回はリンは脇役のつもりだったのに……どうしてこうなった?」

リン「……文才。その一言に限るな」

蕾姫「ちくしょぉぉぉぉぉ!!」

ミユ「……あ、逃げた……」

次回からは現実編……ではなく後日編かな?伏線?回収しないといけないし……終わったら、GGO!ようやく本編が始まりますw

感想よろしくお願いします。感想が俺の原動力ですので
 

 

小と大

 
前書き
短いです 

 
「我が社も大損害を受けた。どうしてくれるのか?」

今、俺は両親の前に座っている。俺とキリトが須郷の罪を暴いたためレクトが大打撃を受け、株が暴落。それによりレクトの株を大量に保持していたうちの会社まで打撃を受けたということだ

「ならば、囚われていた人たちはどうなってもいいと?」

俺は怒りを表情に出さないようにするのに必死だった。こいつが言っているのは、アスナやその他大勢のいわば戦友を見捨てろと言っているのだ

「そうとは言っていない。だが、方法を考えろと言っているんだ。お前のやった方法は、短絡的に見れば救ったかもしれない。だが、長期的に見れば会社への影響により、結果的に犠牲者が多くなっただろう」

「……」

「お前にそんなこともわからんバカではないだろう。わかったら、さっさと後を継ぐために……」

「そんなことが賢いっていうなら俺はバカでもいい。そんな後のことを考えて、目の前の助けを求めている人を見捨てるようなやつに俺はなりたくない」

「小を捨て大を救う。上に立つ以上必要なことだ」

「なら俺は上になんて立ちたくない。俺は自分の周りの大切な人たちを守ればそれでいい」

「どうやら、話し合っても無駄なようだな」

「ああ……」

「……とは言っても無理強いしてもやる気が出ないだろう。ならば一つゲームをしよう」

「……何?」

ゲームという言葉が最も似合わないはずの親父がなぜ……

「私の会社でもVRMMOを出すのでな。そのモニタリングを兼ねてということだ」

こんな時でも人を利用しようとするんだな

「ルールの説明は?」

親父は一つ鼻を鳴らすと紙を出し話し始めた

「期間は一ヶ月。世界は東洋の神話に基づいた世界だ。仲間は何人でも誘っても良い。ただし、仮に失敗した場合はお前を含む参加したメンバー全てのVRMMOに置けるアカウントを抹消する」

「なっ……」

迂闊に友人を誘って失敗した場合、そいつまで被害を受けてしまうのだ

「レベルはもちろん1からだ。そこで一つのクエストをクリアすればよい」
そう言って親父は俺の前にゲームのパッケージを置く。タイトルは"AMO"。アビリティマジックオンライン。……禁書か?

「開始は一週間後の午後一時だ。せいぜい仲間を集めることだな。その守りたい仲間とやらを」

そう言うと親父は部屋を出て行った

「燐……」

残っていた母親が心配げな声を出すが俺にはそれに応える余裕はなかった







約束までの一週間、俺は家の外に出なかった。何かの拍子にキリトらに会ってしまうと助けを求めてしまいそうで、そうでなくても感付かれてしまいそうだからだ

「準備はできたか?」

「ああ……」

結局一人も仲間を集めることができなかった

「中の様子は確認しないから安心しろ」

俺が一人も仲間を集めることができなかったのをこの男は知っている。だから、機嫌がいいのだろう。計画通りにいったのだから

俺は一つ舌打ちすると自分の部屋に戻り、ベッドに横たわる

「俺は、諦めない」

SAOからの相棒であるナーヴィギアにスイッチを入れ、新たなVRMMOの世界に飛び込んで行った 
 

 
後書き
新章入りました!燐は忙しいので俺が一人で後書きを

新たな世界の設定

・まずプレイヤーはスタート時に十数種類ある超能力か魔法を選択します。超能力は、電気使い、発火能力、水流操作、風力使い等!やべえ、禁書か?って思ってくれれば結構です。魔法と超能力の差別要素は魔法は様々な物を使えるのに対し超能力は一種類しか使えません。威力は超能力の方が高いですけど

汎用性に優れた魔法、威力の超能力。どちらを選ぶかはプレイヤー次第というわけです

次に世界です。まあ、よくあるファンタジーものを思い浮かべてもらえは……

では、感想をお待ちしています!早くGGOに入りたいな……
 

 

AMOと仲間

「超能力、魔法……か」

汎用性の魔法、威力の超能力か……

「魔法だな」

俺は剣で戦うつもりだし、超能力だの魔法だのは本当にサブとしか思わなかった。そうは思ったのだが、超能力の欄を見ていると一つの能力を見つけた

「……やっぱりこれだな」

俺は新たに見つけた超能力を選択した。容姿の設定も終え、周囲が光に塗り潰され次の瞬間俺は巨大な街に立っていた

「ふむ……」

一から作った割りには中々クオリティが高いだろう。まあ、SAOと比べるとちょっと物足りないが

「とりあえず、クエストの確認といこうか」

親父によるとクエストはすでに受けた状態になっているとのこと。俺はメニューを開くと受注済クエストの欄を確認しようとした。その時だった

突然後ろから光が発生した。SAOで体に染み付いた動きに逆らわず前に飛びながら体の向きを180度反転させる。そこには、数人の人影が見えた

このゲームはまだ発売されてないものでシステム的にはクローズド。入ってこれるのは、俺のようにゲームを持っている者。または親父の関係者。俺はなにがあっても動けるように構える

「……誰だ?」

「……リンのアバター、何かかっこいいな」

「は?」

予想の斜め上どころか、月とスッポンレベルで予想外なセリフを言って来たので思わず聞き返してしまった

「……こんにちは……」

「あっ、どうも……」

続いて一人の少女が呑気に挨拶をしてきたので、呆然としながらも反射的に挨拶を返す

「俺、参上!」

「うぜぇぞ、クライン」

「げぇっ!?なんで俺だけわかるんだ?」

「そんなにうざくて、アホで、バカっぽくて、いじられたいオーラを出しているやつなんてクライン以外知らん」

「ひ……ひでぇ……」

地面に倒れorz状態に移行するクライ……もといアホ面。まあ、おかげで冷静さを取り戻したし、ちょっとは感謝する。数秒で忘れるが

「相変わらずだな、リン」

次に苦笑してきたのはスキンヘッドの巨漢

「その容姿は変わらないのか、エギル」

「なぜか知らんがこうなった」

そう言ってまた苦笑するエギル。さりげにクラインを踏んでいるのはご愛嬌といったところか

「んで、お前はキリト、と」

「ああ……」

「ちなみに最後の一人は?」

「俺たちも知らないんだ。ついでにこの少女も知らないけどな」

二番目に挨拶した少女を指差すキリト。……ミユだろうな。あのしゃべり方は

「ミユだよな?」

俺の問いかけにこくりとうなずくミユ

「じゃあ、君は誰?」

「詩乃。……ユーザー名はシオンだけどね」

「えっ……しっ、詩乃?」

「なんで……」

「へ?」

「なんでこんな……こんな世界にまた来てるの!?あなたにとって辛い記憶のはずなのに……」

俺がまた危険なことをしていることを感じ取ったのか激昂する詩乃。その目尻には涙が浮かんでいる

「なんで……か。自分の生き方を貫くためだよ」

俺は詩乃を抱きしめると言う。少しでも詩乃の心が軽くなるように

「俺には貫きたいものがある。守りたいものがある。そのためならば、例えどんなに辛い過去だって、どんなに過酷な未来だって、乗り越えてみせる」

「強いね、燐は」

「強くないよ。詩乃やキリトやミユやリーファたちがいなかったら潰されてたよ」

「……」

燐がそう言うと無言で見つめあう二人

「……ごほんごほん。お二方、そろそろいいかな?時間がないんだろ?」

「あっ、ああ」

「そうだね……」

見られていると気付くと弾かれたように離れ顔を赤くする二人。初々しいことこの上ない

「これだとリーファが可哀想だな。捨てられるのは確実」

ニヤニヤしながらキリトがそういうと詩乃の目のハイライトが消えた

「……誰?」

「旅の仲間です!」

背中に大量の冷や汗が流れる。今までに感じたどの威圧感よりも詩乃の威圧は上だった。そのためセリフが敬語でしかもいつもと言い方が変わってしまっていた

「……そう……」

怖っ!

「じゃあ、彼女は?」

詩乃はミユを見て言った

「彼女は友だ……」

「私は燐の物……」

「ちょっとミユさん!?」

俺のセリフにミユが被せてきた。しかも最大限の勘違いを誘うようなセリフを

「へぇ……」

詩乃の纏う黒い瘴気が強くなる。……今の詩乃だったらヒースクリフも裸足で逃げ出しそうな気がする。周りのメンバーは、キリト、クライン、エギルといったメンバーは近くにある家の影に逃げ込んでいる。ちなみにミユは天然なのか、瘴気に気付いていない

「詩乃、絶対勘違いしてるって!!」

「知らない……」

そう言ってそっぽを向く詩乃。拗ねた詩乃もなかなかかわい(ry

「あの時の返事、今するよ。俺も詩乃のことが好きだ。俺でよければ付き合ってくれないか?」

そっぽを向いたままの詩乃を抱きしめながらそういうと顔を真っ赤にしてうつむく

「……ズルいよ、燐は」

「そういうのも引っ括めて俺だからな。で、答えは?」

詩乃は少し悩んでいたがやがて口を開いた





「ごめんなさい」

「そっか……」

悲しい、寂しい。様々な負の感情が胸の中に溢れる

「ち、違うよ。そうじゃなくて……」

俺の辛い顔を見てか、詩乃はあわてて言った

「今は、まだ自分のことしか考えられない。だから、過去を乗り越えられるまで待ってて」

「じゃあ……」

「うん、乗り越えられたとき、まだ私のことを好きでいてくれるなら、その時はよろしくお願いします」

顔が一転して綻ぶのを感じる。だから、俺は詩乃を力一杯抱き締めた

「くっ、苦しいって、燐」

「嫌いになるわけないだろ?未来のことはわからないけど、これは絶対だ」

「うん……」

しばらくそうして抱きあっていた



〜キリトSide〜

「うわ……こっちのことなんて完全に忘れてるな」

「ああ……何か甘すぎて胸焼けがする」

「俺も彼女が欲しいぜ……」

「……お似合い……」

ちなみに今のは上からキリト、エギル、クライン、ミユのセリフです

「そういえば、ミユっていったか?」

「……何?」

キリトは振り返るとミユに話しかけた

「ミユはいいのか?このままリンとシオンが仲良くなって」

「いい……私は燐に助けられた。だから、燐が幸せであれば……それでいい……。私は……側で支えるだけで……いい」

「それって好きってことだよな……。まあ、ミユがそれでいいならそれでいいが……」

そのミユの言葉を聞いたクラインは僻みを隠さず本音を漏らした

「ったく、リンの野郎……。こんなに健気な女の子そばに侍らせて……。俺も欲しいぜ……」

「クラインには一生来ないと思うがな」

このメンバーで唯一(というかできない)結婚しているエギルがクラインを弄り始めた

「なにおぅ!!何でお前が綺麗な奥さんもらえて、俺がもらえねぇんだろ……」

最初こそエギルに突っ掛かったクラインだったが、それにより逆に自分を改めて認識したらしく、地面に両手を付きいわゆるorzの体勢になる。アニメならばクラインの上に平行線が大量に入っているだろう。ちなみに、アニメだとするならば、エギルの上には矢印で既婚者、キリトの上には彼女持ち、そしてリンとシオンの上にはバカップル、最後にクラインの上には、華の独身とか年齢イコール彼女いない暦とか表示されているだろう

「っていうかよぉ。いつまでああやってるんだ?」

「クラインには目に毒だったか」

クラインがおい、と言っているがクライン以外のメンバーはそれを無視してリンとシオンの方へ歩きだした 
 

 
後書き
蕾姫「はい、新たに始まりましたAMO編です」

リン「おい……」

蕾姫「何?」

リン「何で詩乃が来てるんだ?」

蕾姫「メインヒロインのはずなのに出番が少なすぎたから。シノン成分が欲しかったから」

リン「つか、シオンって何だ。シオンって……」

蕾姫「この時点でキリトにばれるのは不味いかと……」

リン「キリトがばれてたらダメじゃん……」

蕾姫「……おお!」

リン「気付いてなかったんか!」

蕾姫「まあ、成るようになるさ」

リン「……はぁ……」


ミユの健気さ、詩乃の愛情、クラインの弄られ、今回はこれですねw
リーファとシノンの絡みを期待してた方、GGOが終わるまでお待ちください

では次回も読んでいただけることを祈って。感想よろしくお願いします!←
 

 

シリアスブレイカー

「さて……」

しばらくしてキリトたちがこちらに来たので、抱き合うのを中止し疑問に思っていたことを言う

「何でお前たちがここに来てるんだ?」

俺は誰にもこの世界に行くことを告げていない。巻き込むことを恐れたからだ

「お前の母さんに頼まれて、な。助けてやって欲しいって。クラインとエギルはちょうど一緒にいてついてきた」

「私も一緒。ミユは部屋を出たときにバッタリ。それでついてきた」

「おまえら……ペナルティのことは知ってるのか?」

「知ってる。お前の母さんから聞いた」

キリトがそう言うと全員がうなずく

「だったら何で来たんだよ。これは俺だけの問題だ。おまえらがリスクを背負ってまでやることじゃない」

「お前だって助けてくれたじゃないか!アスナのときだって!」

「俺はお前たちにリスクを背負って欲しくないんだよ」

「私たちはあなたに守ってもらうほど弱くない。私たちはあなたの背中の後ろじゃなくて隣に立ちたい。それとも私たちでは力不足?」

ミユがいつものような途切れ途切れの言葉ではなくはっきりとした口調で言った。長文だったので疲れたのか口で息をしている。俺が全員を見渡すと全員がうなずいた

「ったくどいつもこいつも自分のことを顧みないやつばっかだな……」

「その最たるやつが何を言う」

「……違いないな。……ありがとな」

俺は多少恥ずかしくなったのでそっぽを向く

「ツンデレか?」

「お前だけは死ね、クライン」

地面に横たわっていたクラインの言った言葉によって多少シリアスだった空気と俺の感動が消えた。KYなクラインにはもれなく全員の白い目と踏みつけが授与された

「じゃあ、絶対にクリアするぞ」

「ああ」

俺とキリトは拳を突き合わせる。決意を胸に抱きながら








「そういえばどんなクエストなんだ?」

「ん?えっと……」

俺はメニューを開き受注しているクエストを確認する

「八岐大蛇の討伐かな?まだ正式に受けてないからちゃんとクエストフラグを立てないといけないが」

そういえば東洋の世界って言ってたか?

「ふーん……。八岐大蛇ね……。なんだそれ?」

「お前本当に大学を出たのか?」

クラインが頭の上にクエスチョンマークを浮かべながら聞いてきた。八岐大蛇って常識だよね?

簡単に言うと須佐之男命が生け贄に捧げられる娘を好きになる→八岐大蛇が邪魔→酔わせて不意討ちって話だよね?ざっくりすぎて神聖さの欠けらも無いが

「なるほど……。とりあえず……」

「クエストフラグを立てるのわ賛成だが、ぶつかってみるってのは反対だぞ。俺らはまだレベル1。様子を見るまでも無く瞬殺だ」

「何でわかった……」

「読みやすい、単純、猪突猛進」

「……そうか……」

とりあえず関連クエストをやりながらレベル上げをするのが適当だろう。伝承通りなら十拳剣がいるかもしれないからな

「よし……。じゃあ行こうか」

「……どこに……?」

ミユが倒れているクラインを棒でつついている手を止めて聞いてくる

「ここはマップ上日本の東京都だ」

この世界、実は日本と同じ形をしているのだ。まあ縮尺はされているが

「八岐大蛇の伝承は出雲の国の物語。つまり現在の島根県東部だ」

物語は動き始める







.









〜おまけ〜

「そういえばクラインを見て嬉しそうだったのいたな」

「えっ、まっ、マジか!?」

クラインはそう言ったとたんに俺に噛み付かんばかりに近づいてきた。つか、近い

「あのクラインに……だと!?」

「……あり得ない……」

「見間違いじゃないのか?」

上からキリト、ミユ、エギルだ。ミユはクラインの扱いがわかっているためそう言って、シオンはクラインの扱いはわかっているが肩をすくめてやれやれと首を振っただけだった。ちなみにクラインは俺に全意識を集中させているため皆の様子に気付いていない

「俺の家の隣に住んでいるのだ。しかも複数だ」

「可愛いのか?」

「可愛いぞ」

「いよっしゃぁ!!姉妹で惚れられるとは俺にも春が来たぁ!!!」

いきなりアクロバットな動きで踊り始めるクライン。そんなクラインを尻目に俺はクライン以外の皆を手招きする

「どういうことだ?イマイチ信じられないんだが」

「いや事実だ










……犬だが」

「い!?……わかった。黙るから首元に剣を当てるのはやめてくれ」

大声を出してクラインに聞こえたらどうするんだ。いじれないだろ

「……笑顔が……黒い……」

「しかしクライン……あんなに喜んで……」

キリトの視線の先には動きを止めまだ見ぬ彼女(実際は犬)に思いを馳せるクラインがいた。ニヤニヤしているクラインは気持ち悪いとしか言いようがない

「嘘は言ってないよな?人とは一言も言ってないし」

疑うならこの章を最初から読み直してくれ

「まあ、人も一人はいるけどな」

「嘘だ!!」

「それは男がやっても意味ないぞ?ついでに季節も違う。それはさておき本当だぞ?」

「……どんなやつだ?」

「隣の家の毛井さん♂だ!」

「やっぱそういう落ちか!って言うか、なんて読むんだそれ?」

「?何を言ってるんだ?今言っただろ」

「それはほら、あれだ。画面の向こうの人とかに。まあ、大体想像はついていると思うが……」

「メタ発言やめい。まあ、いいか。毛井はゲイって読むんだよ」

「いかにもって感じだよな」

「クラインがその事実に気付いたときが楽しみだ」

「黒い……」

「……悪趣味……」

俺にはその言葉は耳に入らなかった。なぜならクラインにどのタイミングでばらすかを考えていたから 
 

 
後書き
蕾姫「シリアスだったはずなのに……どうしてこうなったw」

リン「クラインのせいだな」

ミユ「クラインのせい……」

クライン「〜〜♪」←踊っている

蕾姫「何人かからクラインを絶望させてくれって感想が来てなぁ……」

リン「読者も黒いねぇ……」

蕾姫「お前もな」






おまけが半分を占める結果になったwクライン……強く生きろよ!
次回からようやく本格的にAMOに入ります。感想、敵のアイデア、お気に入り登録、クラインの弄り方等お待ちしていますw
 

 

クエストと魔法

 
前書き
2/10 矛盾点を発見したため修正 

 
「とりあえず、武器の調達だな」

「でも金が……」

「……とりあえず何か簡単なクエストでも受けるか……」

金はバリバリの初期金額で装備を揃えるには心許ない。だからとりあえずクエストを受けることにした

「そんな都合よくクエストがあるわけ……」

そう言い掛けたクラインの目にはミユが話しかけているNPCの上に浮かぶクエスチョンマークをとらえた

「おいおい……」

「……クエスト受けた……」

「どんなクエストなんだ?」

「魔術結社を潰せ……だって……」

「……初っぱなからえらいハードだな……」

いきなり討伐。それも人の、か

「大丈夫……。倒してもいいらしいから……」

「そっち!?」

「突っ込みはいいから、行くよ。時間は無限じゃないんだし」

「ああ……」

シオンの言葉によりそれぞれが動き始める。初期装備を出しての感触の確認。俺とキリトは片手剣、クラインは曲刀、エギルは槌、ミユは杖、そして、シオンは……

「弓?」

「遠距離の武器がこれしかなかったから……」

「珍しいな。割と気難しい武器だが大丈夫なのか?」

「はじめてだけど、なんとかなるでしょ」

まあ、シオンがそう言うならいいか。とりあえず、AMOに来て最初のクエストだ。気を引き締めて行こう









.








「ここ?」

「……うん……」

最初の街を出て十数分、クエストに指定された洞窟に到着した。途中、俺たちのAMOでのはじめての戦闘が開始されたのだが……瞬殺、秒殺なんてものではなく武器が触れた瞬間敵が崩壊した。初期武器なのに。余談だがダメージはALOと同じシステムをとっている。その記念すべき初戦闘の後も敵は現れるが全てが瞬殺。唯一ミユの魔法とシオンの弓のみが数発の攻撃を要しただけだ

「さて……ここからが本番だ」

情報を征すものは戦いを征すとはよく言ったものだ。ミユの魔法、影見。あまり勝手の効くではないが、暗闇ならば続いている限りそこにいる人や道がわかるという。戦闘用ではないが、かなり役に立つ。それを使い入り口付近に二人、その奥のエントランスのようなところに五人、さらにその奥に三人ということだ。依頼は全員の殺害

「じゃあ、入り口にミユ。その護衛にエギル。切り込みは俺とキリトとクライン。サポートはシオン。これで行く。何か異論は?」

俺が尋ねると全員が首を横に振る。……よし

「じゃあ、行くぞ!」

俺が洞窟についた扉を蹴り開ける。街内ではできないがこういう依頼のときはその限りではない。蹴りあけると中にいた二人がこちらを振り向き、一人はこちらへ、もう一人は中へと走って行く

「うぉぉぉぉぉ!」

クラインは雄叫びとともに曲刀を抜く。それを居合いの要領で斬り掛かる。相手は受けようとするが、勢い0の剣ではクラインの勢いのある一撃を防ぐことはできない。相手の得物が短刀だったこともあり見事に剣ごと弾かれ倒れこむ。それを見たクラインは追撃を加えるべく振りかぶる

さて、ここで思い出して欲しいのはここという場所だ。洞窟。しかもちゃんとした洞穴ではなくクエストのために用意されたような洞穴だ。つまりなにが言いたいのかというと……天井が低くてクエストの曲刀がひっかかった。それを見た相手はニヤリと笑い後ろに転がりながら体勢を立て直そうとする

「どけっ!!」

「おわっ!?」

クラインがミスることすら予想していたキリトがクラインを蹴り飛ばし敵にぶつける

「はぁっ!!」

「おわっ!?危ねぇ!!」

同じく予想していた俺は敵に向かって片手剣を振り下ろす。クラインの乗った敵に向かって。クラインは転がり回避する。クラインが消え無防備になった敵に俺の剣が突き刺さった。それにより敵のHPは0になり粉々に砕け散った

「危ねぇだろ!!」

起き上がったクラインが俺に突っ掛かってくる

「クラインなら避けてくれると信じてた。なぁ、キリト」

「ああ。クラインは強いからな」

「そ、そうか?」

あはははと笑いあう俺たち。クライン……単純な性格でよかった

「笑ってないで……。一人、奥に行ったからもうばれてるね」

「マジかよ……」

「笑ってる場合じゃないじゃん!」

俺たちの緊張感の無さに呆れているシオン。その言葉を聞いてあわてるキリトとクライン

「いや、あわてる必要はない。なぜならここには来ないだろうからな」

「どうして?」

「一人が報告に走ったから、俺たちの人数が四人ということがわかっている。だったらわざわざ大人数が戦いにくいここで戦うより、少し行った先のエントランスで数で押しつぶした方が効果的だ」

まあ、その裏をかくって手もあるんだろうが俺、キリト、クラインはSAOの経験により突発的な出来事への対応に長けている。ラフコフの時よりは厳しい状態になるとは到底思えない

「じゃあ、どうするの?後あっちには九人も残ってるのよ?」

俺、キリト、クラインは顔を見合せ言った

「「「正面突破」」」

するとシオンはやれやれと首を振る。こういうときは正面から当たるのが一番だ。絡め手としては壁に穴を掘るというのがあるんだがな

「今度はキリトが蹴って一旦下がれ。一応魔術結社らしいから魔法を放つ準備をしているだろう」

俺が見回すと全員がうなずく

「行くぞ……3、2、1、今!」

キリトが扉を蹴り破壊する。キリトはすぐに壁の裏に潜りこむと、扉の向こうから火の球や、雷の槍、風の刃等が飛んでくる。身構えていた俺たちにダメージは0。弾膜が途切れたときを見計らい俺たちは飛び出す

「行くぞ!」

中には魔法を放ったであろう八人がいた。俺、キリト、クラインで突撃。クラインが先ほどの鬱憤を晴らすかのように(完全に八つ当たり)曲刀を振り回す。キリトはいつも通りのバーサクっぷりを発揮している。後ろからはシオンの援護射撃

……銃じゃなければトラウマは発動しないみたいだな

俺も負けてはいけないと二人斬り、戦闘は終了した

「あとはこの部屋だけだな」

「ここはリーダーがいる。十中八九待ち伏せでもしてるんだろう」

「なら、どうする」

「クライン(盾)を突っ込むってのはどうだ?」

「はぁっ!?俺をなんだと思ってやがる」

「「……」」

「なんだよ、その目は……」

キリトと俺で物を見るような目で見たら落ち込むクライン。シオンは案の定やれやれと首を振っていた

「クライン防壁作戦(仮)が使えないとなるとどうするかな……」

「なんだ……その物騒な作戦は……」

「なあ……普通に行かねぇ?」

「猪突猛進バカめ……」

「だって戦術とかいってもなぁ……」

「そこまで言うならお前が先頭な」

「わかった」

そう言ってニヤリと笑うキリト








「はい、行くぞ」

そう言ってキリトが扉を蹴りあける。案の定向こうから炎の球が飛んでくる。キリトは蹴った足がまだ浮いていて回避は不可能

「う、うぉぉぉぉぉ!」

キリトは浮いている足をおもいっきり地面に叩きつけその勢いそのままに剣を振る。それは炎の球にあたり、それによって炎の球は消滅した。あまりの剣速に真空状態になり炎が消えたのだろう。言うのは簡単だが、やるのは難しい。振りの速さならキリトに負けない自信があるがあそこまで正確に炎の球を捕らえられたかは疑問だ。さすが勇者なだけはあるな

そんなことを考えているとキリトが敵のボスを斬ってクエストは終了した 
 

 
後書き
蕾姫「……」

詩乃「……」

優衣「……」

蕾姫「燐がリリなのの世界に行ってしまったので、ここにはいません」

魔法少女リリカルなのはGOD〜異世界の双剣使い〜よろしくねw


この作品をこれからもよろしくお願いします!リリなのの方もね!感想お待ちしています

次回!クラインがSLBにのまれる。クラインが雷光一閃にのまれる。クラインがラグナロクにのまれる。の三本と見せかけてまとめてトリプルブレイカーにのまれる、です!








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嘘ですw

次回もよろしくお願いします!
 

 

新たな刺客

 
前書き
タイトルに反しギャグ入りますw 

 
新たな刺客

「ふいー……」

「まあ、運が良かったのか?」

AMOでの初クエストを終え報酬を手に入れてから、ようやく一息ついた。後から気付いたのだが、このクエストの理想レベルは20(俺たちは開始直後で全員1)。攻撃を一発でももらっていたらと思うとぞっとする。ちなみにクリアしたとき、全員のレベルがそろって8になった

「報酬で杖がもらえるとはな」

「……うん……」

報酬はかなり性能のいい杖。それを手に入れてミユはいつもの無表情も心なしか嬉しそうだ

「装備はクエストで揃えた方がいいかもな」

「そうだな。そうなると情報が足りないのが痛いな」

SAOやALOならば情報屋があるのだが、それはNPCではない。この世界はクローズドなのでそれがあるわけがない

「とりあえず、今日のところはこれで。リアルだと午後11時だし……」

ダイブしたのが夜遅かったので一つクエストをこなしただけで結構な時間になってしまった

「俺はまだ大丈夫だぞ?」

「私も……」

キリトとシオンがそう言うと同意するようにクライン、エギル、ミユがうなずいた

「この先まだ一ヶ月あるんだ。調子を崩したらどうする?」

全員しぶしぶとした様子でうなずく

そして俺たちは現実に復帰した。……そういえばあいつら俺の家に来てるんだっけ?









クラインとエギルは帰って行った。そして、泊まる組(キリト、ミユ、シオン)は俺の部屋に集合した(ちなみに両親は海外。だから俺たち以外誰もいない)そうなると思っていたが、シオンに俺とキリトは外に叩きだされた

「なあ……。ここって俺の部屋だよな?」

「……そうだな」

「何で俺たち、叩きだされたんだ?」

「さぁ……?」

完全に鈍いキリトも微妙に鈍いリンもその問いに応えることはできなかった。女心のわからない連中である

……まあ、作者もわかりませんがwえ?シオン側の話が聞きたいって?男にガールズトークは書けないよ。まぁ、次の日リンと顔を合わせた二人の顔が赤かった、とだけ言っておこうか









次の日は各自の家からダイブした。集合時間と場所は決めていたので、俺はその時間までレベル上げをしていた

「……はぁ〜……」

街道を歩く俺。依頼を受けてきた帰りだ。依頼は化け狐を狩るだけの簡単な依頼。さっさと狩って集合場所に向かってるというわけだ

「今から戻ると……余裕だな」

一狩り行けそうなかんじの時間だ。まあ、余裕があるのに越したことはないのでそのまま戻るが

「……平和。だな」

あの依頼がなければのんびりと寝転がっていたいぐらいのいい天気だ。だが、これはフラグというものだった

「ッ!?」

後ろから気配と殺気。VRワールドではあり得ないものを本能が感じた瞬間、反射的に抜刀。後ろに回す。その剣を握った右手にワンテンポおいて重い衝撃が走った。俺はその衝撃に逆らわず後ろに逃げる。そして、攻撃が来た方を見て唖然とした

「プレイヤー……だと」

プレイヤー名、ライア。見たところ男。武器は大剣

「ちっ、不意討ちは失敗か」

「お前……何者だ?」

前にも言ったがここはクローズドな世界。一般プレイヤーが入れるわけがない

「俺か?俺はライア。見ての通り大剣使いだ」

「そんなことはわかっている。なぜお前みたいな一般プレイヤーがこの世界にいる?」

「まあ、こづかい稼ぎかな?」

「こづかい……?」

「ネットの掲示板に書き込みがあってよ。AMOに入って、リンってキャラクターを殺せば万単位で金をくれるんだと。というわけで……」

理解した。こいつは父親の回し者……か

「恨みはないが死んでくれや!」

大剣を上段に構えこちらに向かってくる。俺はこういうやつが嫌いだ。俺はVRMMOでは法律という枷が外れるためそいつの本性が出ると思っている。つまりこいつの本性は最低ってことだ

「はっ!」

「がふっ!?」

装備のグレードはあちらの方が遥かに上だが、技術や実力がついていけてない。剣閃もブレていた。足運びも覚束なかったし、ただ一直線に隙を全面に押し出したまま突っ込んできただけだったからカウンターを入れるのも簡単だった。具体的には左にズレながらすれ違い際に斬りつけただけだ

「なんで……。なんで、当たらねぇんだ!」

むしろそれは必然だろう。剣の腕が絶望的だ
「ちっ、ちくしょう。だったら……」

ん?何か有るみたいだが……。そして次の瞬間

目の前からライアが消えた

「はっ?」

後ろから気配。それを感じて飛び下がりながら振り向いた俺は思わず気の抜けた声を出してしまった

……だって……

…………

……地面に埋まってたんだぜ?

「えっと……?」

「笑いたきゃ笑えよ」

下半身が完全に埋まり動けなくなったライア。超能力はテレポートらしい。つまり……

「失敗したのか」

「やかましい!決まってればおまえは今ごろ死体だぞ!」

「たら、れば、の話をしても埒があかないだろうが……」

バタバタもがいてるが抜け出せる気配が全くない。……もう一度能力を使えば抜け出せると思うんだが……。まあ、さらに埋まる可能性はあるが。やがて、諦めたのかもがくのをやめて

「殺せよ」

物騒なことを言いだした

「今回は俺の負けにしといてやる。だからさっさと殺れ。負けたんだ。それくらいは覚悟してるさ」

……かっこいいことを言っているようだが、副声音がバッチリ聞こえてるぞ?つなわち

「死に戻りしてもう一回来るつもりだろ?」

そういうこと。ここで死ねば俺たちの拠点に自動的に転送される。自力で出て再び俺たちを狙うよりはるかに早い。事実、そう言った途端、地面に埋まったライアの上半身がビクリと動いた。ちなみに俺たちの今の拠点は始まりの街、な。わかってると思うけど

「な、な、な、何のことだ」

「……お前、正直者なんだな」

分かりやすいにも程がある。動揺しすぎだろう

「よし……」

俺は剣を腰に戻し

「行くか……」

ライアを放置したまま始まりの街へ向かった。ライアが何か喚いていたが気にしない

今回の相手は一人だった上に腕があまり良くなかった。だから一人ででも対処できたが、ある程度腕の立つやつで複数人来られるとキリトでも対処できないだろう。固まっていくべき、か……。そう考えながら、待ち合わせ場所へ向かった 
 

 
後書き
蕾姫「はい!敵が増えました〜!」

リン「ふざけるなよ、テメェ……」

蕾姫「それは置いといて」

リン「おい!……はぁ……もういいや。じゃあ、なぜ投稿が遅れたのか説明してもらおうかな?」

蕾姫「小説のネタ探し。リリなのの方で最終決戦の時に必殺技を撃つときのセリフを調べてた。……ヴィヴィオとアインハルトの必殺技が聞き取れなかった」

アインハルト:○○○を断ち切る力を。覇王断空拳!

ヴィヴィオ:一人で泣かないで。○○○を待ってる人がいるんだから。セイクリッドブレイザー!

○○○のところに入るセリフを誰か教えて……

では次回もよろしくお願いします!諦めない先にだけ未来がある!こいつで全部、ゼロにする!
 

 

最強と最速

「よう」

集合場所に到着するとちょうど時間がよかったようで、俺以外の全員が集まっていた

「遅かったな。おまえのことだから一番早く来てそうだったが」

「ちょっとな。俺が遅れた理由について話がある」

声色を真剣なものに変えるとキリトたちも真剣な顔になる

「実はな。さっきプレイヤーと戦った」

「はぁ!?このゲームはクローズドじゃ無かったのかよ!?」

驚きの声を上げるクライン。それは他の三人の心情を代弁するものだった

「そうなんだが……」

「リンの親父さん、か……」

「その通り」

シオンの呟きを肯定する。ここに人を送り込める人物で俺たちに敵対しそうな人物で最も可能性が高いのは俺の親父だからな

「「「「「「……」」」」」」

全員が黙り込む。何人のプレイヤーがここに入りこんでいるのか、わからない。正体がわからない敵ほど恐ろしいものは無いからな

しばらく沈黙した後、やはりというか沈黙を破ったのはクラインだった

「へっ、誰が来ようとこの俺がぶっ飛ばしてやらぁ」

「無」

「理」

「だ」

上から俺、キリト、エギル。このメンバーは最高だ。乗りが良すぎる

「……はぁ……。俺って何なんだろうな……」

黄昏始めたクライン。そんなことをしているとあちらから近寄る影があった

「久しぶりだな。元気そうで何よりだ」

「「「「誰?」」」」

「それよりも剣を構えろ!」

キリト、ミユ、シオン、エギルは完全に気が抜けてしまっている。俺の親父のことだから俺たちだけここでもダメージを受ける。とかやっていそうだ。クライン?地面に這いつくばっているけど?

「それは賢明な判断だな。あと俺はユージーン、と言えばわかるか?」

自分がALOの時とは違う容姿をしているのに気付いたのか、顔を微妙にしかめるユージーン。っていうか……

「「女!?」」

叫んだのは俺、キリト

「……!?」

無言で驚いているミユ

「「「……?」」」

わけのわかってないシオン、エギル、クライン

今日もこいつらはカオスだった









「落ち着いたか?」

「ああ……何とかな。しかし……」

ユージーンの顔を見る。完全に女っぽい。胸の膨らみは無いが。だがALOでいかつい顔だったユージーンとのギャップが凄まじく笑いが込み上げてくるが、今はそれは置いておいて

「なんでこの世界に来た?」

「おまえの親の依頼だ。ALO最強と言われた俺におまえを倒して欲しいとな」

やはりそういうことか……

「金……か?」

「いや、違う」

きっぱりと否定し、その後好戦的な笑みを浮かべてユージーンは言った

「おまえと戦いたかっただけだ」

へえ……

「もう一度だけでいい。おまえと死力を最後まで絞り尽くすような戦いをしたかった。おまえの名が討伐対象だったのを見た瞬間二つ返事で受けてしまったよ」

自嘲気味に笑うユージーン

「おまえの立場も置かれている状況も知っている。だが……」

ユージーンは背中にあった大剣を抜く

「俺はおまえと戦いたい。そして必ず、俺とこのグラムが打ち砕く!」

そこまで言われたら断れないよな?俺は口角が上がるのを押さえられなかった

「わかった……。相手になる。キリト!剣を貸せ!」

「まったく……」

ため息をついてこちらに自分の剣を投げてくる。俺はそれをキャッチするといつものように構える。対してユージーンは大剣を上段に

「行くぞ、リン!」

「来い、ユージーン!」

ユージーンは一度大きく足を曲げ、それを伸ばすことによって発生した推進力を使い、一気にトップスピードにもっていきそれを維持しつつ大剣を振りかぶる

対する俺は前に突き出していた剣を少し引き迎撃体勢に

そして、俺とユージーンの距離は0になった。まずユージーンの上からの振り下ろし。それを肩に担いでいた剣で軌道をずらすことで対処する。この技術は力の足りない俺はよく使う。言うのは簡単だが、実行するのはすごく難しい。相手の剣のスピード、軌道を完全に読みきり、その上でその剣に同速であわせながら少しずつ力をかけてずらすのである。この技術は科学と魔術が交錯する世界の警備員が使っている自分よりも質量を持った車両を止めるための技術の応用なのだが……

閑話休題

「シッ……!」

反撃の右手の剣での突き攻撃。体勢の崩れているユージーンにかわすことは不可能

だがそれはかわされる。反らした剣の勢いそのままにユージーンが転がったからだ

「やっぱり決まらない……か」

「俺は嬉しいぞ。相変わらずおまえは高い壁となって俺の前に立ちはだかってくれている!」

体勢を立て直したユージーンを見据え俺は今ので決められなかったことに驚いていた

「行くぞ、リン!今からが本番だ!」

再び同じように剣を振りかぶって向かってくるユージーン

「何度やっても同じだ!」

向かってくる剣を同じように反らそうとした。だが、頬に微かな風と背中に走る悪寒を感じた瞬間、ユージーンの剣のスピードがいきなり上がった

「がはっ!!」

悪寒を感じたとに少しでも下がっていたことが幸いし、一撃死は免れた。だがHPは半分を下回りイエローになっている

「くっ……」

「おまえの力をそんなものではないだろう?」

俺の方を見据えユージーンが言う

俺はそれには答えず、二刀を振るう。だが、ユージーンはそれに対処し逆に攻めてくる。そして、また頬に風を感じたとたん動きが変わりとっさに重ねた二本の剣を叩いた。そして、俺は剣ごと弾き飛ばされ地面に叩きつけられた

たが、ユージーンの能力がわかった

「おまえの能力は風力操作。それも自身の周りに付与するタイプか……」

超能力には大きく分けて二つある。自身の肉体、武器に付与するタイプ。または自身以外を操る能力。例えば風力操作ならば風を使って相手のバランスを崩させることも可能

「……正解だ。よくわかったな」

「剣を受けた時、わずかだが風を感じた。あとは……かまをかけただけだ」

「そうか……。俺はおまえの策略にはまってしまった、というわけか……」

ユージーンは苦笑いをする

「だが、知られたところで何も変わらない。おまえを倒すだけだ!」

三度こちらに向かってくるユージーン。もちろん大剣を振りかぶっている。先程のように反らそうとしてもやられるのが落ちだ。だったら、真っ正面から受けとめるのみ

「諦めたのか?」

剣をクロスしたままの俺を見てユージーンが言った。いかに二本あるとはいえ大剣を受けとめるのは不可能だしな。ユージーンは一瞬戸惑ったがそれでも剣の動きは止められない

「はぁ!」

俺は触れた瞬間、ユージーンの剣を弾き飛ばした

「なっ!?」

そしてあり得ない現実を前にして現れる致命的な隙。それは上級者だけあって一秒に満たなかった。だが、リンという高速アタッカーの前に一秒は長すぎた

ユージーンが斬られたと思った瞬間にはもうすでに勝負はついていた。ユージーンの体は砕け、消えた 
 

 
後書き
蕾姫「というわけでユージーン再登場と能力初使用。ユージーンは最初から出す予定でした」

リン「ユージーンはいつから戦闘狂になったんだ?」

蕾姫「俺の手にかかればすべてのキャラが戦闘狂とかす!(キリッ」

リン「……被害を受けるのは俺だけどな……」

蕾姫「早くGGO編に行きたい俺がいる」

リン「ならさっさと書け」

蕾姫「了ー解ー」

この小説を生暖かい目で読んでいただいてありがとうございます。コラボがしたくなってきた作者ですw蕾姫?あれはバカです、ゴミです、アホなんです。決して作者自身ではありませんw

コラボなんですけど、俺が知ってるのだったら何でも構いません。キャラを貸してくれる、俺の拙い腕で書かれても我慢できるって人は感想にて名乗り出てください。お願いします!

では、次回もよろしくお願いします!
 

 

クラインな回

「お疲れ」

「おう」

ユージーンを倒し、キリトとハイタッチをかわす

「また、勝てなかった、か……」

「「「「「!?」」」」」

その後出た言葉に驚いて全員で振り返る。そこには倒したはずのユージーンが腕組みして立っていた

「実は俺たち襲撃者は死亡した場合規定の復活ポータブルに戻るか、その場で復活するか選べる。俺は使うつもりはなかったんだが、話すべきことがあるんでな。俺を倒した報酬だ」

「……」

無言で先を催促する俺たち

「俺たちにはあるアイテムが配布されている。リン、おまえの現在地を追跡するマップが、な。だから俺もすぐ追えた」

「なるほど……」

一日で二回。この広い世界でこんなにエンカウントするのはあちらがサーチしてたからか……

「復活は……もう説明したな。そして、街中では俺たちとの戦闘に限り攻撃したり、倒したりできる。あとは装備についてだ。俺は知ってのとおりALOでの装備と同じにしてもらった。装備はモニタリングのためという名目で最高位の装備が配布されている」

「あくまでモニタリングと言っているんだな?」

「そうだ。あくまで調査。つまりおまえはNPCという風に扱われ、お試しのクエストとして討伐、もしくは捕獲を狙われている」

あちらのプレイヤーからすれば、ただの討伐対象というわけか……

「俺はある筋から事実を知っているが、ほとんどが本当はおまえの邪魔をするという目的を知らない。……俺が言えるのはこれだけだ」

「ありがとう、助かったよ」

「礼は剣で。一ヶ月後、ALOで俺たちが初めて剣を交わした場所で待っている。それとこれは餞別だ」

そうユージーンは言うと剣二本ストレージから実体化させ地面に突き刺し、離れて行った







「その剣って何だろうな?」

「えーと……」

剣を持ち表面を二回叩く。するとその剣の名前が現れた

"鬼切""蜘蛛切"

……元ネタがわかった人、いるか?まあ現実にもあるんだが……。今のうちに言っておくがうちの作者はアニメの方しか観てないぞ?エロゲなんてやってないからな!

……シリアスだったのに変な電波を受信してすまなかった

閑話休題

「おまえが使えよ、リン。ユージーンがそこらのなまくらをおまえに渡すわけねぇよ」

「かっこつけやがって……。わかったよ。俺はその二本の剣を腰にさす」

「……凄かった……」

「リンって強いんだね……」

今まで沈黙を守っていたミユとシオンが俺に向かって言った

「こいつはソードあ……」

「言うんじゃねぇよ」

割と秘密のことを言おうとしたキリトをおもいっきり蹴り飛ばす。飛んだキリトがクラインにあたろうが知ったことではない

「ソード……何?」

「何でもない。他のVRMMOで速さならトップクラスだったって話だよ、ミユ」

ここにいるメンバーの中で俺が唯一SAO生還者だって知らないミユ。無駄な心配をかけなくないために俺は口を閉ざす

「リン……」

今、手を握ってくれているシオン…詩乃のように心配をかけないために

「とりあえず……以後は個人で行動しないこと。わかったか?」

「俺は一人でも……」

「なんか言ったか?」

「いえ……何でもありません」

クラインがふざけたことを抜かしだすからにらんでみると、冷や汗を流しながら納得してくれた

「よし、今日もクエスト行くぞ」

「「「「おー!」」」」

「……おー……」

狙われているからってやることは変わらない。このゲームをクリアして皆で楽しくゲームをやるだけだ











「そうそう、リンの能力って何なんだ?ユージーンの攻撃を受けとめたりしてたけど……」

「俺か?俺は重力だ」

「じゅ、重力!?」

「ああ。あの時は自分にかける重力を一気に逆に反転させ、増幅しただけだ。言ってみれば超高高度からの振り下ろしみたいなものだな」

「強すぎじゃないか?」

「もちろん制限もある。一つのバトル中一回しか併用して使えないし、自分、もしくは自分の持っているものにしか使えない」

「いや……十分だって……」

「そういうおまえはどういう能力だよ」

「俺の能力は、分断だ」

ちなみにディバイドと読む。わかる人はわかる

「魔力の切断らしい」

「対魔法能力か……」

「まあ、リアクトはできないけどな」

「……?」

「いや……、俺は何も言ってないぞ?」

仕様です。リリィ可愛いよリリィ

「……先を進めよう。どうせだから皆、教えてくれ。まずはエギル」

「俺の能力は硬化。すべての攻撃を弾きかえせるが、有効期間は十秒。その後の硬直時間が三秒。デメリットはその十三秒間動けないってことだな。あとは……途中で発動を止められないってとこか……」

すごい……盾です。まあ、SAOでのエギルの役職は壁戦士だったが……

「ミユは……もう、知っているから、次はクライン。……まあ、期待してないけど」

「期待してないってどういうことだよ!」

「だってくだらない能力なんだろ、どうせ」

また変な能力を言って俺らと画面の向こうの人たちを笑わせてくれるをだろ?……変な電波が今日は多いな……

「くだらないって言うな!聞いて驚けよ!俺の能力は肉体強化だ!」

「……」

「……」

……

「……つまらん」

読者もがっかりだよ!

「えっ、おまえらの中での俺の立場って何!?」

また、ダメージを増加させるような真似を……

「弄られ役」

「お調子者」

「バカ」

「……盾?」

「……あはは……」

俺、キリト、エギル、ミユ、シオンの順番。言うたびにだんだんクラインの表情が虚ろになっていき、最後に残ったシオンにすがるような視線を向けたが笑って誤魔化され、口から血を吐いて(そういう幻影が見えた)倒れた
「どうせ俺はそういう役割だよ……」

……よし

「そろそろ行こう。ユージーンからの情報が確かなら街中にいても意味がない。だったら先に進むしかない」

「そうだな」

「ねぇ、無視!?無視なの!?」

「「やかましい!!」」

俺とキリトの拳がクラインに突き刺さる。するとクラインは静かになった

「よし、行こうか」

「……これ……どうするの?」

ミユにも人扱いされなくなった。クラインが哀れだな

「置いておくといろいろ面倒だから持って行く」

俺はクラインの後ろの襟を掴むと背中に担いだ。持ち上げたとき、グェッという声が聞こえたが無視する方向で

「それで、次はどこに……って決まってるか」

「ああ……。出雲を目指しつつ武器集めをする」

俺たちは出雲を目指し歩き始めた。……クラインを除いて

「持ちにくいから暴れるんじゃねぇ!」

訂正。俺はクラインを地面に叩きつけ、俺たち(クラインを除く)は出雲を目指し歩き始めた 
 

 
後書き
クライン「なんで俺あんなに苛められてんだ!?」

蕾姫「あとがきへようこそ、クライン」

クライン「おまえのせいか!?おまえのせいなのか、蕾姫!?」

蕾姫「いや……。俺は作者が生み出した分身みたいなものだから……」

本編はクライン。あとがきは蕾姫をいじりますw

クライン「どこだ!出てこい!!」

作者「なんか用か?」

クライン「おまえが作者か!!」

神「もしくはこの小説の神とも言う」

クライン「なんで俺はあんな不当な扱いを受けてるんだよ!!」

蕾姫「そうだそうだ!」

クライン「俺だって普通に話したいんだよ!」

蕾姫「そうだそうだ!」

クライン「いい加減にしろよ!この作者が!」

蕾姫「そうだそう……だ?」

クライン「どうした!?蕾姫」

作者「さっきから聞いてりゃ言いたい放題だなぁ、おい!」

クライン「作者!蕾姫に何をした!」

作者「何。やかましいから倒したんだよ」

クライン「よくも!よくもー!!」

次回!クラインは作者に挑む!その立場を変えるために!

最後に……何だこのカオスw

蕾姫「というわけで」

リン「何だよ。あの前振り……」

蕾姫「気にするな。今、ソードアート・オンラインの新刊を買ってな。テンションが最高にハイだったんだ。反省はしている。後悔はしてないがw」

リン「はぁ……。じゃあ、まともなあとがきを始めるぞ」

蕾姫「はいよ。じゃあまず最初にキャラの案を出していただいたlw朱雀wl様、空牙刹那様。この場を借りてお礼を申し上げます。使わせてもらいますね。ただ……lw朱雀wl様の方は残念キャラになりそうに……」

リン「いいのか……おい」

蕾姫「恨むならそれを思いついてしまったこの頭脳を恨めっ!次っ!」

リン「もう特にねぇよ」

蕾姫「へっ?いやだって今回はラジオ形式にしようって……」

リン「前回募集してなかったから便りが0だw」

蕾姫「まあ……いいや」

では感想、質問、訂正、その他諸々お待ちしています!ではまた次回!よろしくお願いします!
 

 

AMO設定①

 
前書き
名前の通りAMOの設定や出てきた超能力、魔法、剣、人の設定を纏めてみました。飛ばしてもらってもかまいませんよ? 

 
Ability Magic Online(AMO)について

この世界は日本の形をしている。クエスト、武器も和風の物となっている(なお、昔の日本に存在しないものはそれに類似する物の名前を流用している。例:蜘蛛斬(日本刀→片手剣))

この世界で使用できる異能力は大きく分けて二つ

魔法:汎用性に優れ様々なの力を扱うことができる。だが、詠唱が必要なため、発動に若干のラグがある。高速戦闘には向かないが索敵など補助的な役割に優れている。もちろん戦闘で、状況に応じた技を使用できる点は評価できる。魔法はさらにいくつかに分けることができる

単体ホーミング:単体を狙いさらにホーミングする。速度は普通。せい誘導弾である

複数ホーミング:複数を狙い、さらにホーミングをする。単体よりもホーミング性能、速度が落ちている

直射型:ホーミングはしないが、速度が速い。追撃として使える

範囲型:一定範囲内に絨毯爆撃を行う。場所を設定してから長い詠唱に入るため、一対一の戦闘に向いていない

回復型:名前の通り体力の回復が行える。MPの消費が激しいが

強化型:攻撃力、防御力、魔法威力、など様々なものを強化するものがある

サポート型:索敵とか灯りを灯す魔法はここに入る



使った魔法

潜影:影があるところの物音や匂いを感じることができる。弱点は範囲を広げすぎると脳の処理が追い付かなくなる。分類はサポート型

魔法使用キャラ:ミユ、シオン






超能力:詠唱が必要ないため不意をつくことができる。威力は魔法よりも高い。ただ一人に一つしか持てず柔軟性に欠けるのが難点。超能力もその性質に応じていくつかに分けることができる。焦ったりすると発動ができなかったりする(禁書仕様)

顕現型:無から有を作り出すことができる能力。炎を作り出したり、氷を作り出したりするのはこれに当たる。技から技へのラグが短いのも特徴(例えるならメラとかヒャド)

使用キャラ:まだ無し



付加型:自身や持っているものに新たな性質を付加できる能力(例えるなら、オーラ系)制限時間がある。それに技と技のラグが大きい

風付与:ユージーンの使った能力。剣に付与して速度を加減、軌道を変更したり、自身に付与して攻撃を弾き返したりできる。剣なら剣。自身なら自身とどちらかしか付与できない。ただ、付与中ならいくらでも変更はできる

重力付与:リンの使った能力。剣に重力を付与できる。向きが上下にしか無理なので横振りでは軌道変更が精一杯。縦振りの威力は抜群。あと逆に反重力を発動することができる。自身に付与すると動きずらくなるが、吹き飛ばされなくなる

地付与:エギルの能力。自身と武器に同時に付与する((強制))どんな攻撃でも弾きかえせるが、発動してる間は動けない。完全にVSモンスター用である

分断付与:キリトの能力。魔法戦記Forceリリカルなのは、のトーマの能力を思い浮かべてもらえば……。わからない人のために説明すると魔力を分断する。この作品では超能力も分断する。まあ禁書の方のトーマさんですね。剣にしか付与できないが、常時展開している。魔法、超能力はキリトの剣で斬られた瞬間解ける

無付与:クラインの能力。肉体を全体的に強化するもの。本当にそれだけ。ちなみに選択するとき透過とすごい悩んだ(服は透けないと説明にあったので断念した)



干渉型:周りの空間に干渉して何らかの現象を与える能力。ただ、自身の想像力にかなり影響されるため、曖昧なイメージで発動すると思いもよらぬことが起きたりする(地面に埋まったり)ちなみに、テレポートはこれに当たる

テレポート:ライアの能力。十一次元上で(ry 空間に干渉してそこに自分がいるという情報を与えそこに移動する













ライア:武器は大剣。能力はテレポート。金が欲しくてこのゲームにやってきたがリンとの対戦?((少なくともライアはそう思っている))をしてから、いろいろ考えるように。バカだから答えはでる気配は無いが











武器

蜘蛛切・鬼切:元ネタは11eyes。実際の伝承でも存在し、源氏を勝利に導いたという名刀 
 

 
後書き
ここに書いてないことでわからないことがありましたら、気軽に言ってください
 

 

歪みと……

「なかなかいい武器が見つからないな……」

あれから一週間。あれからいろいろなクエストを受けているが全て外れ。武器がもらえるようなものではなかった。プレイヤーによる襲撃は何度もあったが、あちらは遊び、こちらは本気で、しかも練度が天と地ほどの差があるため、寄せ付けもしなかった。だが、量が量だけにさすがにうんざりしていた

そんな時だった。奴が現れたのは

一目見たときから肌にぞわりとしたような感覚を感じた。懐かしい狂気の気配。SAOでレッドプレイヤーが纏っていた空気をその男は持っていた。手に持った死神のような鎌もその雰囲気を助長していた

「待ってましたよぉ?」
どこか人をバカにしたような笑いを浮かべるその男

「お前……何者だ?」

キリトとエギル、それにクラインも男の持っている雰囲気を感じて身構えている。そして、隣にいるシオンは小刻みに震えていた。俺がシオンの手を握ってやってもそれが止まることはなかった

「こいつは失礼。自己紹介がまだでしたねぇ……。私はレオン。以後覚えておいてくださいねぇ?」

独特のイントネーション。ユーモラスささえ感じるが、隠しきれない狂気が滲みでている

「それで?そのレオンさんが何の用だ?」

「ご自分でもわかってるでしょう?アルバイト。まあ、こんなに人数がいるとは計算外だったけどねぇ……」

俺たちを見回してニヤリと笑う

「だったらここは引いてくれないか?」

「なぜ?こんなに切り刻むことができる体がそろっているというのに引くぅ?バカ言わないでくださいよ」

「……狂ってる!」

シオンが震えながらも強気に言い返す。するとレオンはシオンを見据えて

「えぇ、狂ってますよ?それが何か?あの世界で法に触れることなく人を切り刻んだ日々。あの恐怖に歪む顔を切り刻み、最後に存在を吹き飛ばした、あの強烈な刺激!あぁ……何て心地いい感触だっただろう!あれを感じてからというもの現実がすっかり色褪せてねぇ。もう普通の感覚になんて戻れるわけないってもんですよ!」

こいつ、SAO生還者か……。そしてSAOによって魂を歪められた

「だから、あなたたちも感じさせろぅ。私に!刺激をぉぉぉぉ!!」

そう言うとレオンは手に持った鎌を振りかぶりこちらに走ってくる

「うおおおお!!」

エギルが一番前に出て能力を使い鎌を受けとめる。金属と金属がぶつかったような音があたりに響き渡る

俺とキリトはすぐさまエギルの両隣から飛び出す。そこには弾かれた鎌を手元に引き戻したレオンが

「はぁぁぁぁ!」

キリトは手に持った剣を横に一閃。レオンは鎌の刃の部分で受け流しカウンターの柄の部分での一撃を放つ

「グハッ……」
キリトはとっさに後ろに下がるがかわし切れず吹き飛ばされる。幸い、受け流した後の攻撃であまり速度が無かった

「っ……!!」

その攻撃の隙を俺が見逃すわけがない。これは二本の剣で斬りかかる。二刀流突撃技"ダブルサーキュラー"

「その技はっ!?」

一撃目が当たると思った瞬間、何か固くて脆いものに一瞬阻まれ軽くレオンの服を斬るにとどまる。二撃目は引き戻された鎌で弾き返された。俺が地面を蹴って後ろに引くとミユの属性炎の範囲魔法が放たれた

「……どう?」

着弾したところから大量の白い煙が発生し、相手の様子が窺い知れなくなった

「タイミングは……完璧だったが……」

あとはフラグの問題

「はははっ、いいぞ!もっと踊れ踊れぃ!」

やっぱり生きてたか……

「この能力が無ければやられていた!面白い!私を追い詰めるほどの強者が!どんな風に恐怖を叫ぶのか!実に興味があるよぅ!」

狂ったように笑い声をあげるレオン

「だが、今、君たちには勝てないねぇ。ここは引こうかな。また会おう、生き残った勇者たち」

そう言うとレオンは自らの鎌で自分の首を跳ねとばすと消えていった

「……最後まで狂った野郎だな」

自分の首を跳ねとばすとはな……。そう考えていると後ろから誰かが倒れる音がした

「シオン!!」
俺は急いで剣をしまい倒れたシオンの元に向かうと震えているシオンを抱き締める。レオンの狂気を感じて記憶がフラッシュバックしたのだろう

「り……リン……」

「大丈夫だ」

そのまま抱き合っているとだんだんシオンは落ち着いてきたようで震えがおさまった

震えが完全に消えたのを確認すると俺はシオンを放そうとした。だが、シオンは俺に強く抱きつき

「もう少し……このままで居させて」

「ああ……」

俺は力を抜きかけた体にもう一度力をいれ、シオンを抱き締める。いつもはやかましいクラインもさすがに空気を読んだのか黙っていた。しばらく、あたりを沈黙が支配する

「はっはっは!俺は再びこの場に戻ってきた!!」

クラインを越えるバカが現れた。その名前をライアと言う

しばらく俺たちは硬直したが、何事も無かったかのように無視し、俺はシオンの頭を撫でるのを続行。残りは思い思いの格好で俺たちを暖かい目で見始めた

「おいおい、最大最強のライバルである俺を無視していちゃついてんじゃねぇよ、リン!」

無視無視っと

「さっさと剣を構え……」

その言葉は爆発音にさえぎられ最後まで聞こえなかった

爆発したのは先ほどまでライアがいたところ。俺が恐る恐る自分の腕の中を見ると



修羅がいた

というかその体勢から弓って撃てたんですね……。説明しておくとシオンは今矢に爆発の付与をして射ち放ったのだ

「リン……」

「はい!」

ビクッてしてしまったのはしょうがないだろう

「もう落ち着いた。ありがとう」

「うん……どういたしまして」

俺は腕を開きシオンを解き放った(誤字にあらず)

「いきなり不意討ちとはひ…きょ…う?」

ライアは目の前にいる黒いオーラを持ったシオンに威圧され最後が疑問文になってしまった。そして動けないライアに向かって無表情で弓を引き絞るシオン

「いや……あの……」

「……邪魔……」

そしてシオンのSLBに匹敵するかのような(そういう幻が見えた)矢を立て続けに放った。そして、矢筒に入った矢が無くなるとシオンは射ち終わり、ライアは空気中に消えていた

「全く……」

あれが空気が読めないやつの末路か……。同じく空気が読めないやつの筆頭であるクラインを見るとガタガタ震えていた

「シオン」

「……何?」

「俺はお前を後ろから支えてやる。だからお前は過去にどんなに辛いことがあっても前を向いて歩いていけよ。大丈夫。後ろは俺が守るから」

なっ?とシオンに言うとシオンは真っ赤になって

「なんか……告白みたいだよ?」

「何を言ってるんだ。もう告白してるだろ?」

そう言うとシオンはコクリとうなずいた

「よし、じゃあさっさとこのゲームをクリアして皆でワイワイ、ゲームをしような」

「当然!」

「当たり前だろ?」

「おうよ!」

「……うん……」

「よし、じゃあ行こうか」

そして、俺たちはまた歩き出すのだった 
 

 
後書き
蕾姫「ウガァァァァァァ!!」

ゴロゴロゴロゴロ

リン「どうした、蕾姫!?」

蕾姫「臭い!臭すぎる!そしてまたやってしまったぁ!!」

恋愛パートをやると必要以上に甘くなるのと、シリアスがいきなりギャグになるのは仕様ですw

リン「まあ……それについてはすまなかった」

蕾姫「こんな作者ですけど、見捨てないでください(泣)」

〜しばらくお待ちください〜

リン「それよりも言うことがあるだろ?」

蕾姫「えっと、レオンのキャラの案を出していただいた空牙刹那さん。ありがとうございました。あんな感じですか?狂ったキャラというのは初めてなので、もしかしたらイメージと違ってしまったかもしれませんがそこはご容赦ください。あとレオンはちょくちょく出てきます。ちょっ!石投げないで!」

リン「では次回、バカ四人衆。読んでやってください」

感想、意見、クラインのいじり方等、募集してます。ではでは〜
 

 

バカ四人衆(前編)

「まだ武器がそろってないよなぁ……」

今いるのは愛知県のあたり。もうそろそろ初期装備では周辺の敵を一撃死させることはあまりできなくなっていた

「もうそろそろ新しい剣が欲しいよな……。俺はもっと重い剣がいい」

「普通の店で売っているのはちょっと性能が悪いしな」

この世界での店の剣は剣が当然使えなくなったときの保険でしかない

「バカな敵からもらえればいいが……」

襲ってくるプレイヤーは一様に高位の武器を装備している。それらをうば……げふんげふん。入手できれば武器不足も解消できるだろう

「でも、それはプレゼントしてもらわなきゃいけないでしょ?」

シオンの言う通りである。HPを吹き飛ばしても装備はドロップしない。せいぜいアイテムが出るだけだ

「ネットゲームをやってるやつはやたらと執着心が強いからなぁ……」

自分の武器を手放すわけない、とエギルが続けて言おうとしたが行く手から聞こえて来た物音に中断させられた

「誰だ!?」

慣れというのは恐ろしいもので、俺たちは物音が聞こえるとすぐに武器を抜いていた

「やはり、俺たちには奇襲は似合わないな」

赤、青、黒、白のアロハシャツみたいな物を着たバカっぽい四人が木の影から現れた。……すごい……シュールです

「俺は青龍!」

青いやつ……青龍さんが叫ぶ。つかグ○コみたいなポーズをとるな

「俺は白虎!」

続けて白いやつ……白虎さんが叫ぶ。だからなんでグリ○のポーズをとるんだよ

「俺は玄武!」

黒いやつ……玄武さんが叫ぶ。もう……ポーズに関しては突っ込まないぞ

「そして、最後はこの俺!……」

「……朱雀……」

「「「「なんでそれを!?」」」」

ミユが赤いやつ……朱雀さんの言葉に被せる。登場時の決め台詞を言えなくて朱雀さ……もう朱雀でいいや。朱雀は半泣きだ

「とにかく、俺たちはお前を倒す!」

ビシッと指を突き付けてくる朱雀。……ふむ、試してみるか

「俺を倒すのもいいが、それでは不公平じゃないか?」

「むっ……そうか?」

「そちらは俺を倒せば多額の金が手に入る。だが、俺が勝っても何もないじゃないか」

「確かに……不公平だな」

アロハシャツズがウンウンとうなずく。やっぱりバカだ、こいつら

「しかも、こっちの人数は七人。そちらは四人。これではそのままやったらそちらが辛いだろう?」

「そうだな。俺たちがいくら強いとはいえ二倍に近い人数を相手取るのは辛いな」

再びうなずくアロハシャツズ

「ならば、一対一でやろうじゃないか。何かをかけて」

「いいだろう!まず無いが俺たちに勝てたらなんでも好きな物をやろう!」

逆に計画通りになりすぎて怖い










「よし、誰から来るんだ?」

キリトたちを後ろに下がらせて俺は腰から二本の剣を抜く

「まずは俺からだ」

玄武……か。武器は巨大な鎚。エギルと同じスタンスか……

「なら……」

(かね)を実体化させ指に乗せる。ちなみに金はどう扱っても壊れない

「弾いたらスタートな」

「わかった」

俺は親指でコインを上に弾く。玄武はその弾かれたコインに注視している

そして……

落ちてきたコインを指で弾くと……

音速の三倍(当社比)でコインが撃ちだされた

「超電磁砲」

御坂○琴はジャスティス

「いやいや!?」

ミユ、シオン以外の全員の台詞がはもる。ちなみにミユとシオンは目をキラキラさせている

「どっちかと言うと超重力砲か?」

説明しよう。超重力砲とはコインが指に触れた瞬間、能力により上下から最大出力で重力をかける。その拮抗状態を指で弾いて指向性を与えるとどうなるか。答えは凄まじい速さで飛んでいく、だ

「そういう意味じゃねぇよ!」

また、はもる。仲いいなおまえら。ちなみに玄武は直撃を受けて消滅。……あ、蘇った

「てめえ!ズルいじゃねぇか!!」

「なにが?」

「フライングしただろ!」

……人の話はちゃんと聞いとけよ

「俺は弾いたたらスタートって言ったぞ?」

気付かなかった読者様。玄武と一緒に読み直しなさい

「やめろ、玄武。お前の負けだ」

「だが、朱雀!」

「お前の仇は俺たちが絶対とるから……」

「朱雀……」

いいシーンのところで悪いが一つ言わせてもらおう。ただの凡ミスだと

「次は誰が来るんだ?」

「俺だ。最初に言っておくが、俺はか〜な〜り……」

「やかましい」

白虎の台詞が長かったためブッチしたけどいいよね?

「ぐっ……。この屈辱、許しはせん。俺の能力、風力使いがお前を倒し、はらす」

なんでこの白虎はネタまみれなんだ。あと自分の能力をバラしたらいかんだろ

「さあ、カードの剣を抜け!」

もう意味わかんねぇよ

「とにかく……行くぞ!」

「お前の最大の失敗は、俺という最強のデュエリストをて……」

「はいはい」

瞬殺。その言葉が似合う戦いだった。やったことは地面を蹴る瞬間、自分にかかる重力を0にすること、だ。それにより俺は弾丸のように白虎に突っ込み、そのまま斬り裂いた。問題は……

「いててて……もう使わないようにしよう」

着地に失敗したことか。現実なら重さ0がどんなに鋭利な物を使ったとしてもダメージは0だ。だが、ここは仮想世界。ダメージは当たった時の速度と武器の威力によって決定される。まあ、そういうことだ

「ギィヤァァァァー!?」

俺には社長が王様にやられた時、こう聞こえました
by作者

そんな叫び声を上げ、爆発した。おそらく最後に能力を使って土煙を上げたのだろう。無駄な技術だな……。向こうから、おおっ、これは生還フラグ!とか聞こえてくるが無視

そして土煙が晴れるとそこには誰もいなかった

当たりに沈黙が走る。そして、少し時間が経ってようやく白虎は復活した

「粉砕!玉砕!大喝采!」

全力でやかましいわ!あと玉砕って負けてるよね、社長?

「俺を倒しても第二、第三の敵が……」

「わかったから引っ込んでろ」

「なん……だと……」

もう……やだ
 
 

 
後書き
蕾姫「ネタまみれw」

リン「あいつらと相対した時の精神的疲労がすごいんだが……」

蕾姫「ギャグを書けて満足。やっぱりギャグがないとね」

リン「まあ……それはおいておいて、朱雀の意見を出してくださった朱雀様。俺を出して、と絶叫されたので……w」

蕾姫「見た瞬間爆笑した俺を許していただきたいw」

リン「では、今日はこのへんで」

蕾姫「次回もよろしく!感想よろしく?」

リン「なんで疑問系なんだ?」

蕾姫「深夜テンション」

リン「……感想もお待ちしています」
 

 

バカ四人衆(中編)

「それで……次は誰だ?」

正直バカ過ぎて呆れてきた……

「次は俺だにゃー」

前に出てきたのは青龍。ものすごく特徴的な口調だ

「じゃあ……行くぜい?」

武器は手甲と……

「杖?」

「そうだにゃー。俺は魔法も使うんだぜい」

極々短い杖を服のベルトに差している青龍。今までで一番まともだ。しゃべり方があれだけど

「じゃあ、始めるぞ」

と思ったが開始宣言をすると顔が引き締まる。それと同時に、さっきのへらへらした口調も真剣なものになる

「……あぁ」

俺はいつものように構える

そして、戦いの火蓋は切られた

「はっ!」

先手をとったのは青龍。手甲ならではのフットワークで懐に潜り込んでくる

「ふっ!!」

だが、俺は右手の剣で軽い突きを放って阻止する。レンジはこちらの方が長い。逆に言えば超近接状態ではあちらに分があるということだ

「チッ……。地鳴り!」

青龍は舌打ちした後、打ち下ろした足の衝撃を増幅する魔法が放たれ、その効果により地面が揺れた。それにより軽くバランスを崩され俺は追撃を断念する

地鳴り、強化系魔法であり足もしくは手で地面をたたくことにより一定範囲に揺れを起こすことができる。ただし、起こした衝撃により自分も少しの間動けなくなる。消費魔力は多い。だが詠唱は短い。とは言っても……

「詠唱が……無かった?」

至近距離にいたはずなのに詠唱が聞こえなかったのだ

「この杖の効果だ。消費魔力を1.5倍にする代わりに詠唱を省略できる。まあ、撃ったことの結果を明確にイメージしなきゃいけないがな」

「そんなこと、伝えてもいいのか?」

「嘘を言ったかもしれないだろ?」

ニヤリと笑うとそう言った

「……そうか……」

つまり、相手は動揺を誘っている。情報が少ない以上、とりあえず信じるしかないが

「俺は負けない……負けられないんだ!」

その言葉はもはや小遣い稼ぎとかそういう浮ついたことの一切含まれない感じのものだった

「それは金のためか?」

「そうだが……。……無駄話はここまでにしよう」

何かを話そうとする青龍。だが、口に出す前に首を振って話を打ち切る

「俺が勝ったら話してもらうぞ」

「いいだろう。負けないが、なっ!」

再びこちらに走ってくる青龍。俺は再び突きの構え

「治癒!」

「なっ!?」

そのまま突っ込んできて突きが青龍の体に突き刺さる。その感覚に顔をしかめながら治癒魔法を唱える青龍

「肉を斬らせて……」

とっさに俺は剣の重さを0に。そのまま飛び退こうとする

「骨を断つ!」

が、動きの速い拳をかわせるわけがなく、おもいっきりアッパー気味に入る。後ろにとんだ分ダメージは軽減されたが、青龍の手甲と俺の防具のグレードの差がすごいのでHPが六割ほどもっていかれる

「くっ……」

目の端で青龍が地面を蹴って追撃をしようとしているのをとらえる。視線から判断すると狙ってるのは被ダメージの最も多い頭。俺は空中に飛んでいる状態で、普通ならばかわせない。普通ならば

俺は意識を総動員して自身にかかる重力を強くする。それにより青龍の拳は俺の頭の上をかするにとどまる。青龍の顔が今度は驚愕に歪む。当然だろう。必殺の一撃をかわされたのだから。必殺の一撃とは言いかえせば本気の一撃。本気の一撃を放つのにあとのことを考える余裕などない。当然の帰結として青龍はバランスを崩す

「はぁぁぁぁ!!」

重力増加状態からの重力をほぼ0に変換する。するとどうなるか。まるで鞠になったかの様に地面を跳ねる。そして片足が少し浮き上がったところで能力を解除。その浮き上がった片足で強く踏み込みカウンターの"ダブル・サーキュラー"!

「ッ!!空せ……」

「遅い!!」

魔法を発動しようとした青龍を二本の剣閃が斬り裂いた









「最後に発動しようとしてた魔法は何なんだ?」

空蝉(うつせみ)。まあ、身代わりの術みたいなものだにゃー」

空蝉:強化型に属する魔法で消費魔力、詠唱の長さ、ともにトップクラスの魔法。その分効果は絶大で、一秒ほどその身を無敵にできる((攻撃はすりぬける。こちらの攻撃は当たる))。ただ、詠唱を唱え終わったらすぐ発動するため詠唱の長さと相まって異常にタイミングを計りにくく、使いづらい

「そうか……。とりあえず話してもらうぞ」

今、俺と青龍がいるのは少し離れた岩の上。他の面々には離れててもらった。((朱雀が勝負、勝負とうるさかったが、シオンのOHNASIにより静かになった))

シオン……。付き合ったら尻に敷かれるよな、俺

閑話休題

「俺の親は両方とも死んでいてな……。俺と妹の二人暮らしなんだ。最近妹が重い病気にかかってしまった。親のいない俺にその治療費が出せるわけがない。だから……浅ましいとは思っていても、このクエストに飛び付いたんだ」

「ならなんで正々堂々と来たんだ?」

「妹に言われた。私のことはいいから、お兄ちゃんは上を向いて歩いてってな。……妹を裏切れるわけない」

「そうか……。良い奴だな、お前」

「そんなこと言われる権利なんて無い。理由はどうあれ、お前に襲い掛かったのは事実だ」

「俺がそう思ったんだ、拒否権なんてない」

そう言うと青龍は目を丸くした。そんな理由を聞いて俺が怒る様なやつだとでも思ってたのか?

「強引だな」

「お前が素直じゃないから、これぐらいがちょうどいいだろ」

どちらからとなく笑い始める俺たち

「さて……。朱雀のやつがそろそろ待ってるから戦ってやってくれ」

「そういえばなんであいつらと組んでいるんだ?」

「それはな……あいつらといると楽しいんだよ。妹が病気になってから感じなくなっていた感情をあいつらは思い出させてくれた。……だから、俺はあいつらと組んでいる」

青龍は微笑を浮かべて言った

「この方法も間違っていたかもな……。今となっては逆に負けたことがせいせいするよ。……妹に怒られるな」

青龍は吹っ切れたような爽やかな笑顔を。目には光るものを

「最後の希望だったんだがな……」

「青龍……」

「気にするなよ、リン。勝者から敗者への言葉は憐れみになるだけだ」

そう言われると何も言えなくなる

「おまえにも守りたいものがあるんだろ?……早く行け。次は最後の朱雀と、だ」

俺はうなずくと朱雀たちのいる方へ歩いていった
 
 

 
後書き
蕾姫「真面目な回でした。それは置いておいて、そろそろ……AMO、ゴールしてもいいよね?」

リン「早いって……」

蕾姫「だったGGOが書きたいんだもん」

リン「だもん、じゃねぇよ」

蕾姫「はぁ……」

リン「はいはい、元気だせ。こんな駄文でも待っていてくれてる人がいればいいな?」

蕾姫「なんで疑問系!?」

ではまた次回。とりあえず、恒例の言葉を。感想、意見その((ry
 

 

バカ四人衆(後編)

「ようやく、来たか」

戻ると朱雀が仁王立ちしていた

「おまえは青龍の身の上を知ってるのか?」

そう聞くと朱雀は首を横に振った

「知らん。つらいことなんて誰にでもある。それをわざわざ聞こうとは思わん」

「おまえ……」

その時俺は本当に驚いた……

「ただのバカじゃなかったんだな……」

……そこに

「そんなわけないだろ!……それに俺はぁ、今楽しければそれでいいしなぁ」

「俺の感動を返せ……」

やっぱりこいつはバカだ

「よくぞ、我が三人の刺客を倒したな」

悪役か、お前は?……こっちからしたら悪役か

「四神獣最強のこの俺、朱雀がお前を倒してくれる!」

いろいろと突っ込み所があるが……

「朱雀、白虎、玄武、青龍は四神獣じゃなくて、四聖獣だぞ?」

なに一つ上の存在になってるんだ?

「……細かいことはどうでもいい!さあ、戦おう!」

一つのことしか目に入らないバカだな。おい

負けるわけにはいかないので構えをとる。言い忘れていたが朱雀の武器は槍だ

「はっ!!」

かなりの速さで突進してくる。が途中でほぼ地面とは水平にジャンプ。そのまま地面に落ちて土を削った

「は?」

俺の前10メートルでピクピクしている朱雀。思わずほうけたような声を出してしまった

「あれ?なんで発動しねぇんだ?」

「……なにが?」

「いや……このモーションをとればソードスキルを発動できるはずなんだが……」

朱雀が何気なく発した言葉。その言葉は俺とキリト、エギル、クラインを硬直させた

今は無き死のゲーム。その最大の特徴であったソードスキル。それを発動しようとしたのだから

ニュース等は内容までは踏み込んだものではなかったはずだ。事実、ミユとシオンは首を傾げている。それを知ってるということは

「SAO生還者……なのか?」

その俺の呟きにさっきまで首を傾げていたミユとシオンも硬直する。四神……もとい四聖獣の面々は知っていたのか腕組みをしたまま黙っている

「まあ、そうとも言うな」

「そうなのか……」

「だが、そんなことは関係ねぇ!俺は今が楽しければそれでいい!」

「あの世界で……後悔したことはあるのか?」

俺自身、なぜその質問をしたのかわからなかった。事実、その質問に朱雀は一瞬キョトンとした後、軽く笑うと言った

「いっぱい後悔したさ。でも後悔したって失ったものは戻ってこねぇんだ。だったら、これからのことを精一杯がんばればいい。そう俺は思ったんだよ」

バカのようだが朱雀にはしっかりとした芯のようなものが感じられた。俺は……少しだけ((ほんの少しだけ))その性格がうらやましいと思った

……不本意だが

「行くぞ!中層プレイヤー、朱雀!参る!!」

……名乗るのか。……あれぐらいならのってやってもいいかな

「……攻略組、二刀流、リン。受けて立つ」

攻略組、そう言った瞬間こちらに向かっていた朱雀は転んだ

……せっかくのってやったのに

「こっ、攻略組!?」

中層プレイヤーにとっては珍しい存在だったな。そういえば

その言葉を聞いて戦意喪失……

「やってやるぜ!一度攻略組とバトってみたかったんだ!」

……するようなやつじゃなかったな、こいつは

朱雀は再び突進を開始。そのスピードはなかなかのものだ。朱雀は俺の少し前で立ち止まると

「でい!!」

槍を突き出した。難しい槍の間合いを完全につかんでいるのはさすがだが、攻撃が一直線すぎる。中層のモンスターやプレイヤーならかわしきることのできないスピードだ。そう、中層のならば

「なにぃ!?」

弾かれたのは必然。突きを横からの左手による斬撃によってそらしただけだ。朱雀にはその一撃に絶対の自信があったのだろう。事実、彼はその技でいくつものデュエル、モンスターとの戦闘に勝利してきた。だからこそ攻略組にも通用すると思っていた。その慢心は驚愕へと変わり朱雀の動きを妨げた。その時間は一秒にも満たない隙。されどその時間はあまりにも長すぎた

「お前の敗因は慢心だ」

右手の剣が突き出される。朱雀はその技を知っていた。"ヴォーパル・ストライク"。朱雀の頭にはその名前が浮かんでいた

朱雀は吹き飛ぶ。ギリギリHPが残っているが

「槍の本分は突き。確かにお前の突きはスピードがあり、なかなかいい攻撃だった。だが、一直線すぎる。視線からねらってる場所はわかる。それをあてたいのならフェイントを織り交ぜるべきだった」

俺はそこで言葉を切ると朱雀を見る

「それでは攻略組には通用しない」

「そうか……。俺は慢心してたのか。だが、俺の全ては突きだ。それは譲れねぇ!!」

再びこちらに突進してくる朱雀。そして

「テレポーゥト!!」

そう叫んで消えた。同時に後ろから音が聞こえる

「バカだろ、お前」

振り返るとそこには槍を突き出そうとしている朱雀。とりあえず、突き出してくる槍を俺は左手の剣で絡めとるように切っ先を上に反らす。一応剣道の技だが……

「っ!!」

あとは左手の剣で一閃。朱雀のHPは0になった










「負けた〜!!」

復活した朱雀はそんなことを言って地面に転がった

「でも楽しかったぜ」

と思ったらすぐに起き上がりサムズアップ

暑苦しい

「お疲れ様」

シオンが飲み物((水筒みたいなもの))を投げてきたのでありがたくいただく

朱雀がチラチラ見てるが男と間接でもキスする気はないので無視

「意外と苦戦したな」

「ああ。青龍は強かったよ」

「そんなこと言われると照れるにゃー」

次に話しかけてきたのはキリト。朱雀が俺は、俺は?と自分を指差してるが無視だな

「さて……」

飲みおわった容器をシオンに返し((容器型のアイテム))本題に入る

「俺の勝ちでいいよな?」

「俺たちに勝利するとはな!!」

朱雀うるさい黙れ耳元で叫ぶな

「じゃあ、約束通り言うことをきいてもらうぞ」

「おっ、俺はノーマルだぞ!?」

「死ね……」

朱雀は俺とシオンにたたきつぶされました

「じゃあ、改めて。俺たちの望みは、武器を譲ってもらいたいんだ」

「……負けたからしょうがないにゃー。どの種類が欲しいんかにゃー?」

「片手剣が2、弓が1、杖が1、鎚か斧が1かな」

「そうか……なら、杖はこれを持っていくといいにゃー」

青龍は自分の持っていた杖をこちらに渡してきた

「名前は災厄の杖。俺はもう使わないから持っていけ」

「……ありがとう……」

青龍が渡してきた杖をミユが受け取る

「あとは……片手剣二本と鎚と弓だったかにゃー?」

「あと刀もな!」

クライン復活

「そうだが……」

「ならこれかにゃー?」

弓:梓弓

片手剣:童子切、数珠丸

刀:三日月宗近

鎚:地打鉄


……もう何も言うまい。日本の天下五剣の三振りがあったり、他のアニメの物があったり……。わかるかな?それになぜか刀ではなく片手剣として存在していた。……ご都合主義乙としかいいようがない((日本の伝承に剣なんて登場しないから))

「最後だが……絶対クリアしろよ?」

「ああ……。もちろんだ」

「また、俺とデュエルをしろ!」

遊○王でか?

そんな冗談は置いておいて

「機会があったらな」

「強靭!無敵!最強!」

…………こいつは放置でいいな

「次は正々堂々とぉ!!」

君とはもう会わない気がする。……勘だけど

「じゃあ、そろそろ行くか」

「よし……。装備も充実したし」

「目指せ!出雲!」

「なんでクラインが締めるんだよ!」
 
 

 
後書き
蕾姫「遅くなりました。他の方の小説を読んでたら遅く……」

リン「言い訳はいいから」

蕾姫「今回でバカ×4は終了です。朱雀さん((ユーザーの方ですw))、ありがとうございました。いろいろ設定を足してしまいすみませんでした」

リン「ここから一気に物語が進むんだよな……」

蕾姫「だって……。早くGGOが書きたいんだもん!」

リン「黙れ……アリア読んでニヤニヤしてる野郎が」

蕾姫「私は……一発の……」

リン「……名前は一緒だけどな」

ではまた次回。感想その他お待ちしていますw
 

 

再戦(前編)

再び時間は飛び……

「ようやく出雲に着いたな……」

出雲へ向かう途中多くのプレイヤーが攻めてきたが全員返り討ち(+血祭り)

見敵必殺(サーチアンドデストロイ)を繰り返した

敵自体は弱いのだが、数が数でしかも全員ムスカ(何度でもよみがえ(ry)状態だからすごくめんどくさい。あきらめてくれる人は楽なのだがしつこい人はしつこいのだ

「とりあえず……もう襲って来ないでね?」

「ヒィ!?わかりました!!」

そんなしつこい人のせいで最近シオンの笑顔が怖いです。フラストレーションがたまっていて管理局の白い悪魔……もとい魔王も裸足で逃げ出すぐらいの威圧感を出してます

今もその威圧感を目が笑って無い笑顔とともにオハナシされた襲撃者が尋常じゃない汗を流しながら逃げて行った

「ふう……」

額を拭うシオン。この世界では汗などかかないのだが、妙に様になっている。顔はストレスを少しでも発散できたのかいい笑顔だ。……怖いが

「よ、ようやく出雲についたな」

声が震えないように全精力を注いだ。それでも少し震えたが

「あ、ああ」

同じく震えながら答えるキリト

「それで……どこなの?」

「クエストのダンジョンはこのあたりなんだが……」

本来なら島根県斐伊川の上流の位置にあたる場所にいる老夫婦からクエストを受けなければならないのだが、今回はもう受注済になっているので直接ダンジョンに行ける

「おっ……あった」

山の中腹、そこにぽっかりと空いた横穴。地図で確認するとそこが八俣大蛇の住みからしい

俺たちは無言でうなずきあうとその横穴に足を踏み入れた








「薄暗くて気味がわりィな……何か出そうだ」

薄暗い通路を歩いているとクラインが唐突にそうつぶやいた

「見つけたぁぁぁ!」

「クラインのバカやろおぅぅ!!」

「なんでだよ!?」

「フラグ立てるから敵が来たんだろうが」

三人のプレイヤーの待ち伏せ。まあ、音でわかってたがな

「罰として……」

おもいっきり上に振りかぶった敵を突きでしとめる

「打ち上げの金はおまえが出せよ」

隙だと思ったのか倒した敵の向こうからまた一人斬りかかってくるが左手の剣で弾き、引き戻した右手の剣で再度突きを放って二人目も倒す

「はぁ!?そりゃないぜ!!」

クラインは居合い斬りの要領で最後の一人を倒すと俺に詰め寄ってきた

「シオンのオハナシを食らうか?」

「ごめんなさい」

シオンに聞こえないようにそう言うとクラインは即座に土下座をした

「何を言ったの?」

元凶というか原因というか……シオンがこちらに寄ってきて首を傾げる

「まあ……弱み、かな」

本当の理由は言えない……言ったら俺が死ぬ












「後少しぐらいかな?」

しばらくダンジョン内を歩いだ。今マップの空白部分もあと僅か。後なぜか知らないが、最初に会った三人組以外はプレイヤーが現れなかった。もっと待ち伏せしてるかと思ったが……

「リン!開けるぞ!」

そして目の前には扉。……嫌な予感がする。罠だと本能が警鐘を鳴らしている。だが、行かなければクリアできない

「ああ……」

だからうなずく。未来を掴み取るための試練だ

ギィィィィィ……

そんな不気味な音を立てて扉は開いた

「ようやく来た?遅かったなぁ」

「レオン……!」

扉の向こうにはレオンを初めとする五十人ほどのプレイヤー

「本当は好きじゃないんだ、こういうマジな勝負は」

「なら……そこを退いてくれないか?」

無理だろうが

「それはできない相談だね。ま、やるんなら本気でやろうかぁ。その方が楽しいだろ」

そう言った途端向こうにあった大砲が火を噴いた。三人がかりで手を当てていた。放たれたのは光の玉。魔力砲か

「ふっ……!」

その玉はキリトが一太刀で切り捨てる

「へぇ……やるねぇ……」

するとレオンは近くの柱をつかんで折るとこちらに投げてくる

「ッ!?」

あわててかわす。その柱は凄まじい音と振動を発生させた

「彼の能力は魔力の無効化ってとこかな?あとはわからないけどまあいいかぁ……どちらにせよ斬り刻むだけだし」

再び近くの柱を折って手に持つレオン

「さあ、始めようかぁ」

そうレオンが言うと約五十人のプレイヤーが雄叫びを上げてこちらに走ってきた






〜没案〜

「本当は好きじゃないんだ、こういうマジな勝負は」

「なら……そこを退いてくれないか?」

無理だろうが

「それはできない相談だね。ま、やるんなら本気でやろうかぁ。その方が楽しいだろ」

レオンの背後の空間が輝く。そこから現れる一目で名刀、名剣とわかる武器の数々

「ここに出したのは全部宝具なんだ。さあ、防げるかなぁ?開け!ゲート・オブ・バ○ロン!射出!」

主人公たちに防げるわけないし英雄王が怒るのでボツ


「本当は好きじゃないんだ、こういうマジな勝負は」

「なら……そこを退いてくれないか?」

無理だろうが

「それはできない相談だね。ま、やるんなら本気でやろうかぁ。その方が楽しいだろ」

「少し……頭冷やそうか……」

「シ……シオン?」

なんで弓がシオンが持っているのも含めて4つに増えてるの?それにそのピンクの光の玉は?だんだん大きくなってるんだが……

「ははっ……何だよあれ、悪魔か?」

「もう……無理だ」

向こうの方々が口々にあきらめの言葉を言ってるんだが……。だがレオンはあきらめてはいない。前に踏み出そうとする、が

「なっ、なにぃ!?」

ピンクに輝く縄のようなものに拘束されているレオン。もがいているが拘束が外れる気配は無い

やがてピンクの光の玉の輝きが最高潮に達したときシオンが動いた

「全力ッ……全開!!」

ギリギリっと弓を引き絞るシオン。そして、死刑宣告にも等しいことを言った

「スターラ○トォ……」

弓をさらに引き絞る。そして、それは放たれた

「ブレ○カーァァァ!!」

それは光の奔流。それがなぜか分身していた弓からも放たれ、レオンたちを飲み込んだ

「ブラストォ……シュートォォ!!」

そうシオンが叫ぶとさらに光の奔流が太くなった

その光はレオンたちにとどまらず八俣大蛇までも消滅させたようでクエストクリアのファンファーレが鳴った

「俺……もうシオンを怒らせないようにしよ……」

「それがいいよ……」

顔を青くした主人公一同(シオンを除く)がいたそうな


今までの苦労はどこへ行ったんだ!あとオーバーキルにもほどがあるし、主人公が空気だったのでボツ
 
 

 
後書き
リン「後半のあれ、なんだ?」

蕾姫「いわゆるボツネタってやつ。書いてるときに頭をよぎったものを書いてみた。後悔はしてないw」

リン「これから真面目な戦闘だってのに……」

蕾姫「たぶん、AMO最後のギャグだからね。最高に暴走してしまった」

リン「はぁ……空気が台無しじゃないか」

蕾姫「入れてみたけど……後での方がよかったのか?」

リン「当たり前だろ」

蕾姫「むう……」



では次回もよろしくお願いします。感想、意見、その他お待ちしています!



思えば今日2月29日でこの小説を初めて投稿してから半年。数多くのお気に入り登録と感想……。本当に…本当に、ありがとうございました。この完全に素人作品にここまでお付き合いいただき感謝の言葉もありません。これからも私、蕾姫が書く、リンの紡ぐ物語をよろしくお願いします




蕾姫「真面目に書いてみた」

リン「出てくるな。締まらないだろう」
 

 

勝利の鍵

勝利の鍵

「ッ!?」

お互いに飛び出したが直後、その真ん中に着弾した火の玉にお互いが足を止める

「おもしろそうな戦いじゃないか。俺達も参加させてくれよ」

「バカ四人衆!?……プラスワン」

「おまけみたいに呼ぶな!?」

叫んでいるのはライア

「「「「バカ四人衆って誰?」」」」

ワンテンポ遅れて朱雀、白虎、玄武、青龍が首をかしげ言った。自覚しろ、バカってことを

「誰だい?君たちは?」

レオンが新たな侵入者に眉をひそめる。レオンのまわりのプレイヤーもざわざわと騒がしい

「リンに加勢しにきた者たちってとこだな」

両手の拳を打ち合わせる青龍

「俺は単に戦いたいだけだがな」

槍を回している朱雀

「戦いをフェアにしにきただけだ」

槌を背中に担いだ玄武

「永遠に続く戦いのロード……」

……片手剣の白虎

「勘違いするなよ。俺はおまえともう一度戦いたいから今回だけは味方するだけだ」

大剣を担いだツンデレライア

「俺達五人。リンに助太刀する!」

「おいおい、俺を忘れてもらっては困るな」

バカ四人衆プラスワンの後ろにはユージーンが立っていた

「ユージーンだ。リン陣営に助太刀しよう」

魔剣グラムを抜きユージーンが参戦した。ユージーンの名を聞いて敵のプレイヤーの何人かが後ろに半歩下がる。おそらくALOプレイヤーなのだろう

「おまえら……」

剣を打ち合うことで芽生える友情は確かにそこにある。それはバーチャルの世界でも……。いや、すべてが表に出るバーチャルだからこそその友情は堅固なものとなる。彼らが俺を後ろから攻撃していれば俺を倒せたはずだ。だが彼らはそれをしなかった。朱雀、白虎、玄武、青龍、ライア、ユージーン。確かにつながれた絆が存在した。……負ける気がしない

「人数が六人増えたところで絶対的な差は埋められるとでも?」

「人数差なんて関係ない。仲間の多さ、気持ち。それが勝敗を決する」

レオンの近くにいるプレイヤーは味方であって仲間ではない

「仲間?美しい響きだねぇ……。その幻想。打ち砕いたときの顔が楽しみだ」

「幻想では終わらない。信頼する強さ。それをおまえに教えてやる!」

そう叫んだのを皮切りに向こうの魔法使い組が詠唱を始める。戦いの火蓋は切られた

「リン!おまえはレオンを倒せ!残りは俺達に任せろ!」

俺の隣を並走するキリトがそう叫ぶ

「……分断は……任せて……」

「うん……」

ミユの目配せにシオンが答え二人は詠唱に入る

「「ファイアーウォール!」」

ファイアーウォール、サポート型の魔法で本来は自分の前に火の壁を出すだけだが魔力を余計に使い、範囲を拡大させたってところだろう。狙い通り、俺とレオン、それ以外とうまくわかれた。持続時間は抗魔法を使われなければ五分といったところか

「ありがとな、ミユ、シオン」

火の壁に遮られて見えないがミユとシオンに礼を言い、レオンに向かって走る

「せぇい!!」

近づくとレオンは手に持った柱を投げてきた。俺はそれを上に飛んでかわす。レオンはそれを狙っていたようで鎌を振りかぶった状態で目の前にいた

「甘い!!」

だが、俺は自分に重力をかけ下へ。そして着地と同時に能力を解除。そして、地面を蹴り右手の剣で突きを放つ

それはレオンが引き戻していた鎌の幅広い刃に止められる。レオンは刃をわずかに傾け俺の剣を後ろへ流す。そして、そのまま上からの振り下ろし。それを俺は左手の剣で弾き返す

「チッ……」

弾かれたレオンは崩れた体制をそのままに蹴りを放つ

俺はその蹴りを左腕で受ける。HPが二パーセントほど減るが、そのまま右手の剣で突きを放つ。が、レオンは蹴った反動によって後方へ飛ぶことで突きを回避する

「いいのか?」

「なにがだ?」

レオンが話しかけてきた

「あの大人数の前に君の大切な仲間を置いてきて」

「俺はあいつらを信頼してる。あいつらは負けないってな。だから、俺も信頼に応える。お前を倒すことで、な!!」

左手の剣で突きを放つ。レオンはそれを鎌の幅広の刃で受け、今度は刃を振り弾き返す

「だったらその信頼、裏切らせてやる!!」

振ったときに発生した遠心力をそのままに体を一回転させこちらに振るってくる

「俺はあいつらのために負けるわけにはいかない!!」

俺は後ろでも下でも上でも無い。前に出る。鎌というのは中距離で使う武器だ。その重さから小回りが効かないため懐に潜り込まれると戦えなくなってしまう

「くそぅっ!!」

横振りをしたあとのレオンにかわすことはもはや不可能だった

必殺の突き技。あの世界での呼び名は"ヴォーパル・ストライク"








「お前……何をした……?」

嫌な予感に咄嗟に後ろに飛んで正解だった。突然視界が真っ白になって、凄まじい衝撃に今は仰向けに転がっている。レオンも同じように転がっている。レオンのHPも俺のHPも半分より少し上ぐらいまで減っている

「わかってたけど、使うものじゃないね、これは……」

頭を振りながら立ち上がるレオン。あわせて俺も立ち上がる

「さあ、第二ラウンドと行こうか?今度は能力を織り交ぜたより楽しい殺し合いをぉぉぉ!!」

そう言ったレオンの前に白いものが現れる。それをレオンは鎌で叩くと複数に分裂して、こちらに向かって来た

「くっ……」

咄嗟に剣で弾くが数が多く、しかも剣で弾いたとしても分裂して当たってしまう。ダメージはあまり無いが集中が切られるのは痛い

そこにレオンが突っ込んで来た

「くっ……」

飛んできていた物質を防ぐのを中止しレオンの鎌の迎撃体勢に

「とおりゃぁ!!」

上からの大重量の鎌。下からの二本とはいえ比較的軽量な片手剣。どちらが勝つかは明白だろう

「ぐあっ!!」

なんとか逸らしたものの剣の切っ先は変な方向を向いている、属にいう死に体という状態になってしまった。それは鎌を完全に振り下ろしたレオンも同じ。だがレオンにはまだ……

「吹き飛べぇぇぇ!!」

この能力がある

レオンは能力を発動させる。今度はレオンを巻き込むようなものでは無く完璧に威力をセーブされた必殺の

だが、俺は目を開いたまま剣を振ろうとする

別に死ぬ間際まで戦おうってそんな英雄地味た考えは持ってない

頑張れば逆転できるとそんな主人公みたいなことができるとは思ってない

ただ……

俺は……

「あいつらを信じているだけだっ!!」

レオンと俺の間に割って入った一本の剣。レオンの発動しようとした能力は……発動しなかった

そんなことをできるやつは一人しか知らない

俺の知ってる中で最も主人公と思えるやつ。"ヒーローは遅れたことにやってくる"と言えるやつ

「キリトっ!!」

「わかってる!!」

もう一人の二刀流、キリトだ

能力を中断させられて硬直したレオンに二本の剣閃が放たれる。それは狙い違わずレオンの両腕を斬り落とした










〜おまけ〜

戦闘が終了するとミユが近寄ってレオンを嬉々として縛り始めた

「……ミユ?」

唖然としたしてしまったがなんとか我に返って声を出す

「これ……マグダラの聖骸布……。魔法、超能力の発動を阻害……できる」

「……いや……そうじゃなくて……。なんでそんなに嬉しそうなんだ?」

いつも無表情なミユの顔。なんか緩んでたし

「……縛るの……楽しい……」

「……」

当たりに沈黙がはしる。ミユ以外の全員が硬直してしまった 
 

 
後書き
蕾姫「はい、レオン戦終了です。本当はもっと長く書きたかったんですが……文才が欲しい……」

リン「まあ、おまえに文才が無いことは皆知ってるからいいんじゃない?」

蕾姫「それはそれでなんか悲しいw」

リン「それは置いておいて」

レオン(空牙刹那さんより)

元ネタはARMORED COREらしいです。作者は知らなかったのでFFのケフカをイメージしてました。

能力は形質変換……なんだけど……(白いものはドライアイス。爆発は……水素を固体に変えて(存在しないけど)一気に昇華させて爆発させた。水蒸気爆発と同じような原理。キリトが斬れたのは変換途中だったため)……いろいろ無理矢理ですみません


さて、最後に一言。バトルがいきなりギャグに変わるのは蕾姫クオリティw次回は八俣大蛇戦。では、また!感想その他お待ちしています
 

 

八俣大蛇

「よし……」

全員縛ったあと、満足げに息を吐くミユに少し引きつつ俺たちは体力の回復を行っていた

「どっちにせよ、君たちには勝ち目は無い……」

レオンがそう言った

「そんなことはやってみないと……!!」

「クライン」

クラインが激昂しレオンに掴み掛かろうとしたが、俺はクラインを止めた

「それはなぜだ?」

「行けばわかる。そこで絶望した姿を想像するだけでニヤニヤが止まらないよ」

縛られながらニヤニヤしているレオンは変態にした見えなかった

……実際に変態なのだが

「どんな状況になろうとも絶望なんてしないさ。希望は絶望的な状態から生まれるものだ。あきらめなければ……な」

「……そうか」

レオンはニヤニヤ笑いと引っ込めると真顔で呟いた

「じゃあ、行こうか……」

ボス部屋の前で振りかえるとレオンはまだ俯いていた

「さあ……いよいよ最終決戦だ」

「ああ……」

「キリト、シオン、ミユ、クライン、エギル、朱雀、白虎、青龍、玄武、ユージーン、ライア……。いまさらだが、俺に力を貸してくれ」

「当たり前だろ?」

「もちろん」

「……当然……」

「ここまで来て引けるかよ」

「無論だ」

「当たり前だぜ!」

「ふぅん、いいだろう」

「当然だにゃー」

「わかっている」

「……そのためにここに来た」

「か、勘違いするなよ?俺はお前ともう一度戦いたいから協力するだけで……」

全員が言葉は違うが協力を約束してくれた。泣きそうになってくるが、それはボスを倒すまでとっておかないとな

「じゃあ、行くぜ!」

ボス部屋への扉に手をかける。そして、一つうなずくと扉に力をかけ押し開く











中は暗かった。全員が中に入り扉が閉めると完全な闇になった。だから少し開けて気休めとも言えるが光を確保する。俺らSAO組はこんな状況も以前あったので周囲に気を配っているが他の面々は狼狽していた

その時、ボッという音を立てて部屋の入り口にあった松明に火がつく。続いて扉に近い松明が二つつく。その光は徐々に向こう側まで行き、八俣大蛇の姿を明々と照らしだした

「でっけぇ……」

クラインが呟いたその言葉はここにいる全員の気持ちを代弁したものだった

かなり高い天井だというのにその頭はそこまである。八つの頭に赤い瞳。鋭い歯。そして、凄まじい威圧感

八俣大蛇は俺たちの姿を見ると首を後ろにそらし……咆哮。威力は無いはずのそれによって発生した風により服がバサバサとなびく

「っ!?散開しろォォォ!!」

そのキリトの言葉に近くにいたシオンを抱え横にとんだ。今までいた場所に振り落とさせる太い影。それが叩きつけられた場所は深くへこんでいた

キリトはミユを。クラインとエギルは自力で。朱雀、青龍はそれぞれ白虎、玄武を抱えて横にとんでいた

「くっ!!」

第二撃が放たれる。さっきとはまた別の尻尾。さっきかわしたせいでかわす余裕は無い。ならば……受けとめる!!

「はぁぁ!!」

能力を全開で使用し蛇の尻尾を受けとめる。手に鉄をたたいた様な衝撃が走るが、無視し全力で押し返す

八俣大蛇については多少勉強した。うちにあった八俣大蛇の伝承に描かれていた八俣大蛇の尻尾は八本

第三撃、第四撃と来る前に俺は八俣大蛇の目に向かってナイフを投げる

どうやら少しはダメージを与えたようで八俣大蛇の動きが止まる。その隙をついてエギルと玄武がその手に持った巨大な武器で八俣大蛇を叩きつけた、が

「嘘だろ?こんだけしかダメージが無い!?」

「バカ野郎!下がれ!!」

玄武は自身の攻撃が全く効かなかったことにショックを受けて数秒間動きが止まる。すでに下がっていたエギルの言葉に再び動き出すが、八俣大蛇の方が早かった

「ぐはっ!!」

縦に振るわれた尻尾に吹き飛ばされ玄武の体は光と消える

「くっ……」

「どうする、リン!!こっちの攻撃はまるで通らないが、あっちの攻撃は一撃。このままじゃ!!」

「八俣大蛇……強い酒……十拳剣……天叢雲剣……」

記憶を探るが、この状況を打開できる策が見当たらない

「キリト!!なんとか尻尾を斬れないか!?」

「速くて硬い!正直不可能に!!」

「だが、それしか無い!!直接八俣大蛇を倒すより現実的だろ?」

「……そうだな」

「俺が受けとめるから近接武器組はそこを攻撃してくれ!!補助組は全員の攻撃と防御をブースト!!頼むぞ」

俺の指示に従いまわりが動き出す。そして

「はぁ!!」

八俣大蛇の尻尾を俺は受けとめる。そこに走り込んで来て様々な攻撃を放つ近接武器組

「すまんがマーキングを頼む!」

俺の言葉を聞いたシオンがすぐさまマーキング魔法を弓矢に付与し放つ。その矢は弾かれたがしっかりと印が刻まれた

上を見ると新たに尻尾が振り下ろされようとしていたので、受けとめていた尻尾を弾き返すと横に飛ぶ

「マーキングを着けた尻尾だけ受けとめるから、それ以外は回避だ!!」

続けて続けてとんで来た尻尾をさらに横にとんでかわす

「どうやら……復帰はできないみたいだな」

復帰するためラグが過ぎても玄武が復活することは無かった

「くっ……。マズいな……」

どう考えても分が悪い。集中力が切れたらまず死亡。躱しきれなかったらそれでも終わり。例えかわしていたとしても余波でジリジリと削られるHP

「ヤバっ……」

そう考えていたからできた決定的な隙。地面にあったへこみに足をとられ転倒してしまう。そこに振り下ろされてくる巨大な尻尾

「全く……」

「なっ……!?」

目の前に人影が割り込み、尻尾を受けとめた。もっと正確にいえば体をはって止めた

「その程度か、リン。まさか、君の言う希望とやらに自分がなるとは思ってもみなかったけど……」

その人物はレオンだった

「ほら、持っていけよ」

左手に持っていた剣をこちらに投げてくる。あわてて受け取るとレオンに視線を戻す

「これは?」

「十拳剣。……本当に柄でも無い。誰かを助けるなんて。勘違いするなよ?リン。お前を切り刻むのはこの僕ってことさ」

HPが0になったらしく、レオンのアバターは砕け散った。十拳剣を残して

「……倒すぞ、皆」

胸には新たに決意を。手には新たな剣を八俣大蛇戦は第二ラウンドに突入した
 
 

 
後書き
蕾姫「ふう……」

リン「AMOも残すところあとわずかだな」

蕾姫「まー、あとは駆け抜けるだけだよ。……コラボもあるし」

リン「そうか……」

蕾姫「次で八俣大蛇戦は終了!AMO編エンディングまで!」

では、感想、その他お願いします。
 

 

「クライン!!」

十拳剣は刀。今回のメンバーで刀が使えるのはクラインしかいない

「おう!!」

それに応え俺が投げた十拳剣をクラインはしっかり掴む。そして

「はぁ!!」

再び尻尾を受けとめる。何度となる衝撃に剣を落としそうになるが、こらえる

「いっけぇ!!」

後衛組+青龍の支援を受けたクラインが尻尾に向かって突進する。そして、鞘にしっかりと収まった十拳剣の柄に手をかけ、一気に振り切った。その一撃は今までの鈍い音とは違った音を立てた。何かが斬れる音。そして重い物が落ちる音。そして、何かが砕ける音。その三つが一瞬で発生した

「それで、どうするんだ!?リン!!尻尾は斬れたが十拳剣が砕けちまったが……」

「尻尾を斬り裂いてみろ!!」

八俣大蛇の目に浮かんだ明らかな怒りの炎。クラインに向けられた怒りの視線。それは視線だけではなく、尻尾による攻撃という形で放たれた

「ぐ……」

「リン!!」

クラインに放たれた尻尾を前に回り込んだ俺が受けとめる。あまり身構えて無かったということもあり、今までよりも強烈な負荷がかかる

「クライン!!早く尻尾を開いてみろ!!」

バキッと嫌な音が手の中から発生した。度重なる重圧にとうとう剣の方が耐えられなくなって罅が入る

「クライン、まだか!?」

「これか!?……これは……剣!?」

クラインがそう声をあげたその時だった

澄んだ音を立てて剣が折れた。それにより、止まっていた尻尾がこっちに向かってくる

「万事休す……か……」

俺の体は剣が折れた時の反動で崩れている。横に飛ぶ余裕などない

その時目の前に小さな影が入り込んできた。そして、何かが砕ける音

「……今度は……私が守るって……言った……でしょ?」

「ミユ……」

当たると思っていた八俣大蛇の尻尾はミユが自身の体を使って止めていた。俺は、一度目を閉じる。今までの疲れも手の痺れも消えていくような気がした。破裂音が聞こえたので目を開けるとミユはそこにはいなかった

「クライン……」

「ああ……」

クラインの投げた剣。天叢雲剣をしっかりと受けとめる。玄武、レオン。そしてミユが繋いでくれた道。必ず完走してみせる

尻尾を斬ったことにより八俣大蛇の動きが変わった。尻尾を叩きつける動きをやめ、首をたわめる

「何か来るぞ!!」

そして首のうちの一つが地面スレスレまで降りてきて、炎の帯を放った

「くっ……」

全員が効果範囲外まで下がろうと走ったが白虎が足をもつれさせ転んでしまう

「ウォォォ!!」

その前に走り込む黒い影。エギルだ。エギルは白虎の前に仁王立ちになると能力を発動させる

炎がエギルに当たるがダメージはない。やがて効果時間も終わったらしく炎は消える

だが、前述した通り首は八つだ。効果範囲内にまだプレイヤーがいることを確認した八俣大蛇は続けて炎の帯を放とうとした

「ホォームランンン!!」

そう放とうとしたのだが、上からの打撃により口を強制的に閉じることになった。逃げ場を失ったエネルギーはどうなるのか。その答えは口内での爆発という形で表された。その原因を作ったライアはドヤ顔で能力を使い戻ってくる。ドヤ顔が現われたり消えたりするのは正直うざい。後でライアを殴ることを決め、前に走る。八俣大蛇は口の中に発生したダメージに悶えている。その隙に八俣大蛇の下まで行き

「一つ目ッ!!」

今までの固さが嘘だったかのように一つの首を断ち切った。それにより八俣大蛇は悶えるのを止めこちらを睨んでくる。そして咆哮

「うるさい……だろうがぁ!!」

クラインの居合い斬り、青龍の拳、ユージーンの袈裟斬りが同時に先ほどライアが攻撃した頭に突き刺さる。これにはさすがにダメージが入ったようで尻尾を振るって払いのけようとする

「ふっ……!!」

それはかなわなかった。短い吐息とともに放たれたシオンの矢が八俣大蛇の目に突き刺さり目測を誤った八俣大蛇の尻尾は空振りに終わった。クラインたちはもう一度斬りつけるとその反動を利用してこちらに戻ってくる

「エギル!!」

「おうよ!!」

放たれたブレスをエギルの影に隠れてやり過ごすと俺は跳んだ。自身にかかる重力をほぼ0にして地面をおもいっきり蹴った俺は弾丸の様に飛び出し

「二つ目!!そして、三つ目!!」

通りすがりに二つ目の首を斬り落とした。そして、向こう側の壁を蹴ると振り向きざまに三つ目の首を斬った。そして、戻ってきた俺をシオンが魔法を使って受けとめる

だが八俣大蛇がその瞬間を見逃すわけが無く尻尾を叩きつけてくる

「セイッ!!」

その尻尾をキリトが二本の剣をクロスして受けとめる。だがそれは、俺が能力をフルに使っていたからこそ受けとめることができていたのだ。いくら筋力値が俺より高いビルドを採用しているキリトでも絶対に受けとめることはできない。だからその尻尾はわずかに動きを阻害されただけで、俺たち三人をたたきつぶすはずだった

「ウラァァ!!」

「ふん!!」

だが、それはキリト一人だったときの話。それが複数人だとしたら話は変わってくる。キリトが尻尾を止めたその僅かに止めた時間を使い、ユージーンの大剣と青龍の拳が尻尾に打撃を与える。なんらかの魔法を使っていたのかユージーンの大剣にまとわりついていた風がさらに圧縮されていた

「キリトッ!!」

「おう!!」

三人が全力で弾くと少し浮き上がる尻尾。その隙にキリトは右手の剣でユージーンの大剣の上を掠めるように払う。キリトの剣は魔法や能力を断つ。つまり、能力により圧縮されていた空気が解放された。さて、圧力がかかっているものに、いきなり一ヶ所に圧力が少ない場所が発生したらどうなるか?皆さんも経験したことがあるだろう。炭酸飲料の入ったペットボトルを振ってしまい、それを開けたことが。これはその威力を増幅させたものに過ぎない。ただ、それが水蒸気爆発並みの倍率でしかも一面にすべて集中されていただけだなのだ

「いっけぇ!!」

その威力は凄まじいもので八俣大蛇の巨体をわずかながらも後退させるほどのものだった。だが、作用には必ず反作用がある。八俣大蛇を後退させるレベルの攻撃に対する反作用だ。それをまともに受けたユージーンが凄まじい勢いで吹き飛ぶのは道理。地面に叩きつけられたユージーンのHPは消失し、アバターが砕け散る

ユージーンが命懸けで作ってくれたこの隙を無駄にするわけにはいかない

「ウラァァァ!!」

俺は気合いとともに飛び上がり四本目の首を断つ

続いて近くにあった五本目の首を斬る

すると八俣大蛇の動きが変わった。今までは単発的に尻尾かブレスを撃つだけだったのだが、今度は残った首三つが一斉にブレスをチャージしはじめたのだ

「あれはヤバイって!!」

嫌な予感が走る。それは誰もが一緒だったようだ。咄嗟にシオンが矢を放ち二つの首のモーションを停止させることに成功する

だが残りの一つがこれまでの放射型のブレスでは無く球型の単発型のブレスを撃ってきた。大きさは直径三メートルほど。大した大きさも無いはずなのだが、俺の本能があれは危険だと警鐘を鳴らす。そういうのはバカにはできないので、全力で後ろに下がる

着弾。そして爆発。音までもが消し飛んだような爆発が着弾地点を中心に発生。俺と同じく下がっていたキリトとシオン、そしてクラインは無事だったが動きの遅いエギル、ちょうど攻撃をしようとしてい遅れた朱雀、深くまで斬り込んでいた青龍、自慢のテレポートを失敗して地面に埋まったライアが一瞬で蒸発した

あれが三発も放たれようとしていたのか、と思うとゾッとする

続いて飛んできた八本の尻尾をかわすと同時に俺とキリトとクラインは走りだす。どうやら八俣大蛇は俺が一番危険だと判断したらしく俺をしつこくねらってくる

確かにそれは正しい。俺が持っているのが二本の(・・)剣じゃ無ければ

「行けっ!キリト!!」

そう、俺とキリトは持っていた武器を交換していたのだ。キリトは期待通り首を一つ刈ってくれる。怒った八俣大蛇がキリトの方へ残った頭二つを向けブレスを撃とうとする

だが

「うぉりゃぁぁぁ!!」

奇声を上げて跳んだクラインはまず一つの頭を居合いで斬る。それにより頭の向きが変わる。その反動でもう一つの頭の前に行った。その瞬間八俣大蛇は球型のブレスを放った

それのうちの一つは変な場所へ着弾。もちろん、誰も効果範囲内にいなかったため、ダメージはゼロ。問題はもう一つ。クラインに直撃しクラインはもちろん放った八俣大蛇の頭も吹き飛んだのだ

「決めろ、リン!!」

「当たり前だ!!」

キリトがこちらに投げてきた天叢雲剣を両手に持った剣で上に弾く。すると天叢雲剣は回転しながら上へ。俺は両手の剣を捨てると天叢雲剣を追って跳ぶ。途中八俣大蛇の体を足場に八俣大蛇の遥か上へ。そして飛んでいる天叢雲剣をしっかり掴み、残った首ごと八俣大蛇を断ち切った。すると凄まじい閃光と破砕音とともに八俣大蛇は砕け散った

「終わった……か」

「そう……みたいだな」

「うん……」

全員がその場で座り込む。今まで感じていなかった痛みや痺れが一気に手足に襲い掛かってきて立っていられなかったのだ

しばらくそのままでいると八俣大蛇がいた場所の向こうから足音が響いてきた

「まさか……本当にクリアするとはな」

「……」

こちらをいまいましげに見てくる親父に負けないよう俺は睨み付ける

「約束は守ってもらうぞ」

「わかっている……。おまえは……勘当だ」

「わかってるさ」

「まあ、手切れ金ぐらいはくれてやる。あとは身の回りの物だな。それで暮らせ。お前みたいな男でも私の息子だ。死なれるのは目覚めが悪い。世間体も悪いしな」

そう言うと親父はログアウトして言った

「リン……」

「大丈夫だ。ただ縛りが消えただけだ」

「これからどうするの?」

「ブラブラ気の赴くままに行くのも悪くない」

「そう……」

シオンは何か言いたそうに口をモゴモゴさせたり、顔を赤くしたり悲しそうな顔になったりしている

「じゃあ……戻ろうぜ。現実の世界へ」

そして、俺たちはその場から消えて行った


後日、俺が放浪するものだと思っていたキリトの家で居候することになるのだが、それはまだキリトには知る由はなかった
 
 

 
後書き
蕾姫「AMO編終了!」

リン「よし!」

蕾姫「さて、番外編に行くよ〜」

リン「ところで……」

蕾姫「何?」

リン「あとがきに書くことが無くなった来たんだが……」

蕾姫「……」

リン「……」

蕾姫「……何を書いて欲しいか聞いていいですか?」

リン「読者の意見を書く……とか?」

蕾姫「来ないよ……」

感想、その他お待ちしています。リンやミユらに聞きたいことがあったらどうぞお気軽に。好きな人は?とかでもいいですよ(笑)
 

 

番外編コラボ(蒼の輝石)

「イタタタタタ……って早く僕の上からどいてよ、クリア!ちょっとおも……」

「おも……何かしら?」

「イタタタッ!痛いよ、クリア!!」

一通り自分の文字通り尻に敷いていた少年をいじめるとクリアと呼ばれて少女は立ち上がった。その少女のフルネームはクリア・クーリッジといい、とある世界では宮廷魔術師として名を轟かせているのだ。無論この世界では知ってる人など隣にいる少年以外いないのだが。真っ黒なセミロング、それとは対照的な白い透き通るような肌。そして、真っ赤な色の瞳が気の強そうな光を宿している。文句無しの美少女だ。だが、この世界ではあり得ない容姿だ。なぜなら髪の色と瞳の色は一致しているはずなのだから。黒はインプ。赤はサラマンダー。どちらかに統一されているのがこの世界、ALOでは常識なのだ

「……ここはどこだろう?」

「さあ?いきなり地面に魔方陣が現れたと思ったらいきなりここに落ちてきたもの。わかるわけないでしょ?そんなことも分からないの?ケン」

そう言いつつも額にシワを寄せ真剣な顔をしている。クリア

そして、今名前が出た彼の名前は天空 鍵。一応元日本人らしい。黒髪で黒い瞳。なかなかに整った顔立ち。そして、一番目立つのは背中から生える純白の翼だろう。翅は普通だがそんな天使の様な翼を持つ者は存在しない。もちろん、普通の日本人はそんな翼を持っていない。そんな翼が生えた経緯は不明だが、実際にあるんだから仕方がない

「……とりあえず、森を出ないといけないね」

周りを見渡すと木、木、木、そして光る眼。……光る眼?

「クリアっ!!」

「囲まれてるわね。数は五。前に一匹。後ろに二匹。左右に一匹ずつ……」

「……どうするの?」

「任せるわ」

クリアはそう言うと伸びをした

「やっぱりか!!」

軽く涙声になっているケン。そんな結末を想像してしまった自分とそれに慣れてしまった自分に少し落ち込みつつ拳を構える

向こうはバレていることを悟ったのか、身を隠すのをやめて飛び出してくる。名前は"イービル・フェンサー"邪悪な剣士という名前を持つトカゲの魔物。武器は片手剣に盾。闇魔法を使ってくるのでかなり嫌われている魔物だ。もちろん、この世界の住人ではない彼らにはそれを知ってるわけが無いのだが

「遅い!」

並み外れた動体視力を持つ彼には"イービル・フェンサー"の攻撃は止まって見えた。この程度の下級モンスターにフェイントという高等な技術は使えない。従ってただただ愚直に振り下ろすだけである。もちろん当たらない。なんの訓練も受けてないケンではあるがかわせないわけがない

ケンは体を横にそらし回避すると、その拳を"イービル・フェンサー"の体にたたきつける。その威力、速さはもはや不可避、必殺の領域。比較的紙装甲な"イービル・フェンサー"に耐えられるわけが無く一瞬で砕け散る

「え……?」

まさか血も出ずに砕け散るという生物としてはあり得ない死の形にケンは驚き硬直する。それを好機と見たのは残りの"イービル・フェンサー"が一斉にケンに斬りかかる

「全く……グランドスパイク!」

だが、それは突如発生した土の壁によって阻まれる。それを発動したクリアは呆れ顔だ

「戦いの最中にほうけるなんてバカじゃないの?」

「確かにそうだな」

「「!?」」

ケンとクリアは声の聞こえた方を咄嗟に向き身構える

下級とはいえそれを無手で一撃で打ち破る力と速さ。それにタイミングの完璧な未知の魔法。勘を取り戻すために受けた簡単な依頼"イービル・フェンサー"六体の討伐……だったはずなのだが、思わぬイレギュラーがいた。リンは木の上からその戦いを見ながらそう思っていた

「まだ、"イービル・フェンサー"は残ってるぞ?」

その言葉ではっとなった二人は再び"イービル・フェンサー"の方へ向き直る。そして、ようやく壁にぶつかったダメージから立ち直った"イービル・フェンサー"たちに拳が突き刺さった









「なるほど……つまりあんたたちは異世界の住人ってわけか」

「ええ……滑稽かもしれないけどそうなのよ」

「いいや、信じる。この世界ではあり得ないことばかりだったからな」

"イービル・フェンサー"たちがすべて砕け散った後、向き合ったまま硬直状態に入った三人だったがクリアの一言で話し合いに持ち込まれたのだ。そこでリンは異世界なるものの存在。逆にクリアら二人はこの世界がゲームであることを知った

「こんなものが作れるなんて……凄い技術だね……」

「本当ね」

二人は異世界ということよりもこれがゲームの中ということに驚いたようだ。……ちょっとズレてるような気がしないでもない

「それで、私たちが元の世界に戻る方法はあるのかしら?」

「……右手を振ってみてくれないか?こうやって……」

リンは実演をする。するとリンの前にメニューが現れる。それの一番左下にログアウトの文字

「なにも起こらないわよ?」

「そうか……」

つまりログアウトはできない。リンもそれ以外のログアウト方法は知らない

「……とりあえず聞いてみるか」

そう呟くとリンはホログラムのキーボードを出してメッセージを打ち始める

「……何をやってるんですか?」

敬語じゃなくてもいいとリンに言われたにもかかわらず敬語の抜けないケンがリンに尋ねる

「フレンドにクエストを調べてもらう。おまえらの容姿で街を歩くことはできないからな」

「……クエスト?」

「まあ、依頼みたいなものだ。その報酬でおかしなものが無いか、聞いてみる。正直これで見つからないとなるとお手上げだな」

リンは打ち終わったのかホログラムを消して手を上げてみせる

それから数分後、リンがピクリと体を動かす。どうやら返信が来たようだ

「……どうやら、当たりみたいだな」

「どういう内容だったの?」

顔をグイッとリンに近付けるクリア。わかってやっているとしたら悪女である行為だが悪い意味でその方面へのことに疎いクリアは無意識にやってします。リンには彼女もいるので動揺はしない……

「ち、近いから」

……わけもないか。さすがにクリアほどの美人に至近距離まで寄られてなにも感じないというのは枯れてるか、特殊な性癖をお持ちの方々だけだろう

「とりあえず、内容を言って」

元の世界に戻りたくてしょうがないのはわかるがリンの気持ちも考えた方がいいと思う。それを感じたのかクリアをリンから引き離すケン。ホッと一息をついたリンはその依頼の内容を口にする

「フェンリルの討伐、だ。報酬は異世界へのチケット。多分これが当たりだと思う」

神を殺したという神狼の討伐。それが今回のクエストだった
 
 

 
後書き
今回は番外編一発目としてフォズさんの蒼の輝石とコラボしてみました〜!!

……次話に続きますけどね

初めてのコラボで正直緊張しまくってる私ですが暖かい目で見ていただければ幸いです

あとこれは二話完結……にしたいので急展開だと思います……。ご容赦ください

興味があればフォズさんの蒼の輝石もよろしくお願いします。NOSではありません

それではっ!感想その他お待ちしています
 

 

番外編コラボ(蒼の輝石)

「フェンリル……」

元日本人ならば知ってるだろう。ラグナロクでは北欧神話の最高神、オーディンを呑み込んだと言われる神狼。ケンが尻込みするのも無理はない。だが、その伝承を全く知らない彼のパートナーは余裕の表情だ

「さっさと行くわよ。場所はどこ?」

「この森を抜けた先にある村だ。……こっちだな」

「ふうん……ならさっさと行きましょう」

そう言ってすたすたとリンの指差した方向へ歩きだすクリア。クリアに続くリン。……そして、呆然と見送るケン……

「……ってちょっと待って!!」

「……何よ?」

自身の歩みを止められたからか凄く不機嫌な声を出すクリア

「どうした?」

いつも通りの表情で振り返るリン

「なんで……フェンリルって聞いてそんなに落ち着いていられるの?だって神も殺せる狼だよ?」

まあ、恐れるのも無理はない。そのフェンリルが伝説の通りなら

「何を言ってるんだ?この世界はゲーム内。そんな強さを持ってたら誰もクリアできるわけ無いだろうが」

苦笑いを浮かべるリンとクスクス笑っているクリア。それを見て顔を恥ずかしさで真っ赤にするケン

「……いいよ。フェンリルなんて僕が一人で倒してやる!」

「へぇ……」

「期待してるわよ」

軽く自棄になったケンがそう叫ぶ。リンはおもしろそうに笑い、クリアは純粋な期待の表情をその顔に浮かべた









「さーて、いよいよフェンリル戦だが。覚悟はできてるか?」

フェンリルのいると思わしき場所は山に建てられていた巨大なドーム。入り口を入るとそこから真っ直ぐ道が伸びており、突き当たりにはこれまた巨大な門が鎮座していた。ちなみにそこに行くまでに出てきたモンスターは0。どうやらボスだけのダンジョンらしい。その奥の扉に手をかけてリンは先ほど啖呵をきったケンに声をかける

「……うん」

先ほどのやけくそな感じは消え、純粋に目の前の戦いに集中しているようだ

「……いい目だ」

リンと一緒に戦った"黒の剣士"も同じような目をしていた。物語の主人公、真の英雄の目を

「まあ、心配するな。俺もちゃんと加勢するしな」

リンは視線をその目から外すと扉を見据える

「しょうがないから私も加勢するわよ」

そうは言いつつもわくわくしてるのが表情にでている

「よし、じゃあ行くぞ」

そうリンは言うと扉に手をかける。が

「あ、ちょっと待って」

ケンはあわてた様子でリンを止めた

「武器を創らないと……」

ここには材料も作るための道具も無いぞ、と言いかけたリンはその口を閉じる。なぜならケンの手が発光し始めたからだ

「想いよ、形となりて我が刃となれっ!……頼むぞ……アクチュアルイメージ!」

そうケンが唱えるとケンの両手を纏っていた光が弾け、その手には二丁の銃が握られていた

「これでよし……と」

「……そっちの魔法はなんでもありだな」

呆然と呟くリンがいたりした

「さて……」

中に入るとそこは広いドーム状になっていた。そして真ん中に鎮座する巨大な黒い影。大体うずくまった状態で高さが三メートルぐらいのフェンリルだった

俺たちがその前に立つとフェンリルは目を開け。話し始める

"汝ら、他の世界への渡航を欲する者か?"

「……元の世界へ帰る。だからっ!!」

リンの目の前にクエストに挑戦するかどうかのクエスチョンが表示される。もちろん選ぶのはYES

"ならば、その意志。我が前に示せ"

フェンリルはゆっくりと立ち上がると戦闘態勢に入った。同時にリンは双剣を、ケンは双銃を、クリアは拳を静かに握り自然体に

次の瞬間、フェンリルは飛び掛かってきた。狙いは一番前にいたケン

単純な前足の振り下ろし。だがフェンリル自身の大きさが尋常ではないため、範囲も、そして威力も並外れていた。だが、並外れているのはフェンリルだけではない。ケンの動体視力、そして動きの速さ。それもまた常人のそれではない

重い一撃をかわされたフェンリルに課せられる僅かな硬直時間。その一秒にも満たない隙でも戦いに慣れた者には十分だ。そう、クリアやリンのような

「はぁっ!!」

「っ!!」

鋭い気合いと共に赤黒くひかるリンの剣が。軽く息を吐くような気合いとともにクリアの拳が。それぞれ叩きこまれる

ダメージは大体全体の1パーセントほど。"ヴォーパル・ストライク"が当たったのにも関わらず

「かたいわね……」

フェンリルを殴った手をプラプラと振りながらクリアが言った

フェンリルはこちらを警戒して動かない。だからその間に作戦会議だ

「上級魔法なら……通るかな?」

「それなら防御を抜けるでしょうけど、詠唱する時間は無いわね……見て」

フェンリルが遠吠えの様なモーションを見せると合計八体の狼型モンスターが現れる

「名称はガルム……ねぇ。とりあえず減らしてみる?」

「そうね。攻撃パターンを調べる意味でもとりあえず全滅させましょうか」

「……なら僕が上級魔法を使うからちょっと時間稼いで!」

「了解!」

そう短く答えるとリンは地面を蹴った。続いてクリアも駆け出す

まずリンは一番近いガルムに右手の剣で片手剣突撃系剣技"ストライド・ライン"を放つ。この技はただ斬り付けるだけではなく振り切ったあと何にも当たらなければ衝撃波が剣先の方向へ出るとい優秀な技だ

案の定、真っ直ぐ斬り込んだためかガルムに軽々とかわされてしまう。だがリンにはそれは予想通りのことに過ぎない。衝撃波は向こうから飛び掛かろうとしていたガルムの一体を斬り裂く。さらにリンは思考を切り替えくるりと回る。その左手の剣にはソードスキルの発動をしめす黒い光が発生していた

片手剣単発重剣技"ターン・スラッシュ"体を一回転させ水平に敵を攻撃する技だ。その剣は先ほど"スラスト・ライン"をかわしたガルムに直撃する。どちらの攻撃も一撃でガルムを打ち砕いた

クリアはというとガルム三匹とフェンリル相手に立ち回っていた。爪による切り裂き、体を使って体当たり、足の振り下ろしによる衝撃波。実に様々な攻撃が断続的に、または変則的に放たれるがそれのどれも、クリアを捕えることはない。まるで攻撃パターンや範囲を知っているかのようにかわしていく

「空より降り注ぎしは選定の稲妻……」

リンとクリアがガルムたちの攻撃をかわしまくってるころケンは呪文を唱えていた

「我、選定されしもの……」

呪文が進むに従いケンの纏う空気が雷気を帯びる

「汝、選定されぬもの……」

さらに電気の弾ける音が大きくなりケンの周りに見えるようになった電気が発生

「この時をもって塵と化せっ!」

その纏っていた電気が一気に弾け空気中に霧散する。だがケンの纏う威圧感は消えてはいない。クリア、リンはすでにケンの後ろに下がっている

「ジャッジヴォルテックス!!」

ケンからフェンリルへ真っ直ぐ電気でできた光のレーザーが放たれる。その威力は強大で道筋にいたガルムを一瞬で消し炭にした

「……そんな……上級魔法なのに……」

だがその攻撃はフェンリルのHPを食らいきることはできなかった。フェンリルのHPはだいたい三分の一ぐらい。ギリギリ緑のゾーンに突入するくらいのところで止まっていた

「次は俺だな」

咆哮するフェンリルを見て不敵な笑いを見せるリン。手に持った二本の剣が妖しく光る

再びガルムが現れるが数は先ほどの倍、十六匹も現れる

それを見てもリンの笑みは変わらない

「行くぞっ!!」

リンは地面を蹴る。クリアとケンはリンの両サイドにつくようにして走る

「炎よ、形を為して敵を焼け!」

ケンは両手の銃を撃ち、ガルムを牽制しながら呪文をつむぐ

「ファイヤーボール!!」

ケンの前に巨大な火の球が発生。そのままガルムに向かっていき、ガルムを焼いた

そんなケンにフェンリルが飛び掛かってくる。ケンはかわそうとはしない。なぜなら目の端に攻撃モーションに入っているクリアがいたから

「ふっ……!」

爪を振り下ろそうとしているフェンリルをクリアは飛び蹴りで弾き飛ばす。相当速さがあったのかフェンリルは吹き飛び壁に叩きつけられる。クリアは蹴った反動で後ろに一回転すると地面に危なげも無く着地した

「ありがとう、クリア」

「かわせたでしょ」

「うっ……」

お礼を言ったケンににべもないクリア。事実だったためケンは何も言えない

「全く……」

そんな二人に死角から飛び掛かろうとしていたガルムをリンが斬り裂く

「前にも言ったが油断大敵だ」

「知ってたわよ。ねえ、ケン」

「う、うん……」

クリアは本当に知っていたが、ケンは完全に知らなかったため冷や汗をかきながらこたえる

「それならいいがな」

ケンの様子にニヤリと笑いながらリンは向かってきたガルムを斬る

「それで?どうするつもり?俺としては一撃を打ち込みたいんだが?」

「同感ね。……時間を稼ぐとしたらどのぐらい行けるのかしら?」

この会話の間にもガルムは飛び掛かってくるが、二人は危なげもなく対処する。ちなみにケンはフェンリルの足元に銃で魔力弾を撃って牽制をしている

「いくらでも……と言いたいが、この数だと五、六分ってところか」

ガルムが全滅し、再びフェンリルが倍の三十二匹を呼び出したのを見ながら言った

「十分ね。ケン!合体魔法行くわよ!」

「えぇ!?あれ発動まで五分ぐらい動けないんだけど!!」

「俺が時間を稼ぐ。だからその間に」

「……わかった!」

ケンが地面を蹴ってこちらに戻りクリアの隣に立つ。そして目を閉じる。同じくクリアも目を閉じる

「さて……」

フェンリル+ガルム三十二匹の方へリンは向き直る

「五分間。短い間だが、俺を信頼し命を預けてくれたんだ……」

フェンリルが咆哮し、それにあわせてガルムたちも一斉に吠える

「俺はその信頼に応える。そのために……少しの間。付き合ってもらうぞ」

鋭い眼光でフェンリルたちを見据えるリン。そして解放のキーワードを言った

「フルンティング、リリース。モード2!」

フルンティングとは古代イングランドの叙事詩『ベオウルフ』に登場する剣で敵の返り血を吸うごとに強くなるといわれる名剣である。ALOでのこの剣は、倒した数に応じて使えるエクストラスキルが異なる

「行くぞ……」

先端から赤黒い刃が出ているフルンティングを軽く振るとそれを肩に担いだ。そして、アロンダイトを前に突き出すように構える

それと同時に多数のガルムがこちらに向かってきた

「ふっ!!」

まず一番先頭にいたガルムをアロンダイトで一突き。さらに体を回転させ、レンジの広がったフルンティングを振り回す

瞬く間にガルム五匹が分断しポリゴンとなって消滅する

「さて……」

手の中のアロンダイトをくるりと回す。エクストラスキルは無いが、敵の数に応じて威力が増す能力がある。現状ではあまり意味ないが

「あと三分……」

爪を振り下ろしてきたフェンリルの攻撃を横へ飛んで回避する。そして、続け様に飛んでくるガルムの体当たりを剣で弾き、フルンティングを振る。再び三匹ものガルムが犠牲になる

「チィ……」

が、しゃがんでしたガルムの一匹には当たらず、そのガルムの反撃の体当たりをもろに食らってしまう。リンはそれを後ろに下がることでダメージを軽減。さらに後ろに向けてアロンダイトを投げる。それは後ろから攻撃をしようとしていたガルムにあたり、HPをくらい尽くした

続け様に腰のポーチから投げナイフを数本取り出し、追撃をしようとしていたガルムに投げる。その隙に落ちているアロンダイトを拾うとちょうどその近くにいたフェンリルを斬り付ける

「やっぱりかたいな」

ガルムたちを一刀両断してきたフルンティングの斬撃もフェンリルには少しのダメージしか与えられなかった

フェンリルの攻撃をアロンダイトで弾くとバック転でクリアたちの前に戻る

「ラスト一分!」

「行くわよ……」

そうクリアはつぶやくと一気に貯めていた魔力を解放した。同じくケンも解放する。そして、二人の立つ地面に巨大な魔方陣が発生した

「っ!?」

そこから放たれている威圧感にリンは本能的に横に跳ぼうとする体を理性で抑えつける

だが、理性を持たない(フェンリルは多少持っているが)フェンリルやガルムたちは一斉に飛び出してくる。とりあえず脅威の元は潰しておこうという本能に従った行動だろう

「ここから先は通さねぇ!!」

リンはフェンリル、ガルムの群れに突っ込み斬りまくるが、リンを無視してクリアたちに向かうガルムを完全には抑えることができなかった

「くっ……仕方がない」

結果、ガルム二体に突破されてしまう。しかも前方にはフェンリルが迫る

「はっ!!」

リンは自身の剣二本を後ろに投げる。それは過たずに二体のガルムを貫いた。これでリンは武器を失ったことになる。今リンがやられれば、クリアとケンまで攻撃が行くこととなり、敗北が決定となる。リンはいい。多少のペナルティとともにある地点で復活できる。だが、クリアとケンは違う。彼らは生身なのだ

勝利を確信したのかフェンリルの口角が上がったように見えた

「っ!!舐めるなぁぁ!!」

拳を握り締めたリンの手に白い光が灯る。言わずもがなスキルの発動光である。スキルの名は重単発体術技"フェンリル・ブロー"。威力はそれほどでもないが強いスタン値とノックバックを発動させる技だ

「ぐっ……」

体格で勝るフェンリルと正面からぶつかり合えば負けるのは必死。本来リンは受け流すことが得意。だが今回は受け流せばクリアやケンに攻撃が行ってしまう。"フェンリル・ブロー"は振り切るまでがスキル。その後押しを受けてようやく互角の押し合いができた。その拮抗状態を維持しているとクリアとケンは呪文の詠唱を始めた

「光は闇を生み……」

その言葉でケンを黒い光が包みこむ

「また闇は光を生む……」

その言葉で今度はクリアを白い光が包みこむ

「光は表……」

「闇は裏……」

そして二人は目を開けると手を繋ぎ

「「表裏揃いし時混沌が生まれ来る。我らに仇なすものを、混沌の果てに消し去れ!!」」

威圧感がさらに高まったのを見たリンが拮抗状態をわざと崩し、フェンリルの勢いも利用し全力で横に跳んだ瞬間

「「カオス・テンペスト!!」」

それが放たれた

それは

爆音すら残さず

フェンリルを消し去った

「凄い……」

そんな威力の魔法はALOには存在しない。別次元の威力だった

「ふぅ……」

「さすがに疲れたわね……特にケンに合わせるのが」

「ちょっと酷くない?クリア!!」

「全く……」

信じられない威力の魔法を放ったのにいつもの漫才のようなやりとりを見てリンは呆れたように笑った









結論から言うとこのクエストは本物だった……と思う。クリアした瞬間リンのアイテムボックスに"異世界渡航書"なるアイテムが三つ現れ、使うと目の前に扉が現れたのだ。おそらく、これはクリアとケンのためにあったクエストだろう。なぜ、俺の分もあったのか不思議ではあったが

それを使ってクリアとケンは元の世界へ帰って行った。こうして、短い間だったが、夢の様な本当の話は終わった

「じゃあな。ケン、クリア」

「うん……。また会えたらいいな」

「そうね……」 
 

 
後書き
蕾姫「はいっ、蒼の輝石とのコラボでした!」

リン「まあ、楽しかったな」

クリア「なんかキャラが違わないかしら?」

蕾姫「それは言わないで……泣きたくなるから……」

ケン「あははは……」

リン「コラボなんて初めてだしな。というかお前なんかの薄っぺらし文才で書こうとすることが間違ってたんじゃないのか?」

蕾姫「うぐっ……」

フォズさん、コラボに応じてくれてありがとうございました!この場を借りてお礼を申し上げます。私の力不足故にキャラの魅力を目一杯引き出せなかったとは思いますが、妥協していただければ。では、次回は相宮心さんのソードアート・オンライン・ツインズとのコラボです。今回はクエスト、でしたがツインズの方はバトル形式といたします。フィールドはSAO。キリカ&ドウセツVSリン&原作キャラ、です。さてさて、原作キャラは読んでのお楽しみです。ではでは〜
 

 

番外編コラボ(ツインズ&???)

「ソロ限定タッグトーナメント?」

「ああ……なんでも51層であるイベントらしい」

リンはその日、重大な知らせがあると言われたので、エギルの店にやってきた

「しかし、なんでまたソロ限定なんだ?」

「どうやら、ギルドに入ることへのアピールするためのイベントらしい」

「おいおい……俺はギルドに入る気は無いぞ?」

リンがそう言って顔を顰めるとエギルはその剛毅な顔歪ませた。……ウインクのつもりだったらしい

「実は凄い商品が賞品になってる。優勝すれば莫大な量のコルと……」

「と?」

「状態異常が一瞬で解ける、それに一日に五秒だけ敏捷値を二倍にする指輪、だとよ」

「……それは凄いな」

この世界には毒や麻痺を初めとする多種多様な状態異常が存在する。しかも一度かかれば死に直結するような。それが効かなくなる上敏捷値が五秒とはいえ二倍になる指輪だ。それこそリンのような敏捷優先のスピードアタッカーのようなタイプには垂涎のものだろう

「どうだ?やる気になったか?」

「ああ……。しかし、それだとギルドの連中も何人か脱退して出場してくるんじゃねぇか?」

一にも二にもなくリンはうなずいていた

「大丈夫だ。そのクエストが発表された時からギルドの脱退ができなくなったらしいから、な」

ギルドの奴らには御愁傷様だがな、とエギルが空を見てつぶやく

「あのKoBの閃光様なんかは血の涙を流していそうだな」

クックと笑うリン

「よし、そうと決まれば相方探しだな。実はもう呼んである」

今度はニヤリと笑うエギル。そのエギルの言葉を聞いて絶句したリン

「は?俺が承知しなかったらどうするつもりだったんだよ?」

「お前がこんな報酬がもらえるイベントを蹴るとは思えなくてな」

今回はエギルの方が一枚上手のようだ。その時、店の扉が開き一人のプレイヤーが入って来た









「ソロ限定タッグトーナメント……?」

とある層のとある酒場。そこでは全身を漆黒と蒼。どことなく和服にも似た服装をした長い黒髪の美少女と全身を白い装備で固めたこれまた美少女がテーブルを挟んで話していた

「そうよ」

「えっと……ドウセツ。なんでそんなにやる気なの?」

全身白い装備で固めた美少女、キリカはいつもは冷静沈着な相方、ドウセツが珍しくやる気オーラを出しているのを見て戸惑っていた

「その大会で優勝したときにもらえる指輪が欲しいのよ」

長い黒髪の美少女、ドウセツはその長い髪を右手で肩の後ろに払って言った。和服のような服装をしているだけあって実に様になっている

「へぇ……おもしろそうね。力試しにもちょうどいいし」

「じゃあ、ルールの説明をするわよ」







・まず大会はソロプレイヤーに限る(パーティーを組んでいても可)。なお、この大会が告知されてからエントリー期間終了時までギルドの脱退は不可能となる

・参加は二人一組とする

・大会はトーナメント形式で行う。なお、参加人数により敗者復活戦を行うことがある

・デュエルは全損モードで行われる。ただし、参加プレイヤーに生命のたすきを配布する(耐久値が自身のHPと同じになり、ダメージを受けるたびそれが減る。戦闘時回復や回復クリスタル等の戦闘中回復スキルまたは行為は一切発動しない。たすきの耐久値は戦闘終了とともに全快する)

「えっとそれは、いつなの?」

「明日」

「明日!?」

「仕方ないじゃない。知ったのがさっきなんだから」

悪いとは全く思ってなさそうな飄々とした感じのドウセツ

「……はぁ……」

割と苦労人のキリカはそっとため息をついた









「さあ、始まりました!ソロプレイヤーによるトーナメントです!実況は……不本意ながらKoB副団長のアスナと」

「KoB団長のヒースクリフ、だ」

大声を出して顔をしかめたアスナとその隣のいつも通りの顔でフィールドの観客席の一番前を陣取っているヒースクリフをはじめとするKoBのメンバー。もちろん他のギルドのメンバーも揃い踏みだ

「すごい人の数ね……」

「そうね」

当たりを見渡したキリカが呆然と見渡して言うとドウセツが相槌を打つ

「キリカも来てたのか」

「うげっ……。やっぱりいたよ……」

「うげっ……とは相変わらずひどいな」

飄々とした笑いを浮かべたのはいつも通りの服装のキリト。隣にはスキンヘッドで巨大な戦斧を背負ったエギルの姿も

「キリトはエギルと組んだんだ」

「ああ……。リンと組もうかと思ってたんだが……」

頭を掻きながら言うキリト

「リンって誰?まさかまたフラグを……」

わなわなし始めるキリカ

「違えよ。リンは男だ」

勘違いしてることに気付いたエギルは訂正した

「ふぅん……」

あまり興味なさげに息を漏らす。何を隠そうキリカが大のギャルゲ(・・・)好き。腐女子ではなく腐男子の要素を持っている少女なのだ

「で?そのリン……というのは強いの?」

「呼んだか?」

「っ!?」

ドウセツが疑問を投げ掛けたちょうどその時、後ろにリンが現れる。そしてなぜかドウセツではなくキリカの方が驚くことに

「よう、キリト」

軽く手を挙げて挨拶をするリン

「よう、リン」

それに応えて軽く手を挙げるキリト

「つか、エギル。なんでまたキリトと?」

「こいつと組むのが一番勝率がいいと思ったからな」

「へぇ……俺じゃ力不足と?」

軽くプライドを傷つけられたのかこめかみをピクピク動かすリン

「まあ、そう怒るな。俺は商人なんだ。悪いな」

「悪徳がつくけどな」

「ほっとけ」

エギルの言葉にキリトが茶々を入れると少しだが笑いが生まれ場が和やかになる

「そういや、リンの相方は誰だ?姿が見えないが……」

「そうなんだよな……。会場で待ち合わせのはずなんだが……」

キョロキョロまわりを見渡したリンの視線が止まる。同時に言葉も止まった。キリトたちがリンの視線の先を追うとそこには長身で浴衣姿で青龍偃月刀を背負った男が黒髪の少女と話をしている

「……ちょっと行ってくる」

やれやれと首を振ってそちらの方向へ歩いていくリン

「おい、リョウコウ」

「ん?よお……リンか」

長身薙刀癖毛の男リョウコウに話しかけるリン。リョウコウは少女との会話を中断するとリンの方を向いて笑った

「いつの間に彼女作ったんだ?」

「彼女じゃねぇよ。まあ、一緒に住んではいるが……」

それって彼女通り越して夫婦だよね?そう思ったリンであった

「サチっていいます。これからよろしくお願いしますね」

柔らかく微笑む黒髪の少女サチ

「これはご丁寧にどうも。リンです。以後よろしく」

サチのその様子に少し驚きながら丁寧に挨拶するリン。そして、リョウコウの脇を肘でつつきサチに聞こえないように顔をよせ

「おまえには勿体ないいい子じゃねぇか」

「おまえには関係ないだろ?」

そんなリンとリョウコウの様子を微笑みながら見るサチがいた

「なにやってんだおまえら……」

リンが戻ってくる気配がなかったので逆にキリトたちがリンの方へ歩いてきた

「ん?おまえらもいたのか」

「いたのか、はないだろ兄貴……」

「あれ?従兄もいたの?」

「んお?キリカもいんのか……。へぇ……この大会おもしろくなってきたじゃねぇか」
ニヤリと笑うリョウコウ。その顔はなかなかに迫力がある

「まあ、頑張ろうぜ。当たった時は本気で、な」

相方のそんな様子に影響されてか好戦的な笑みを浮かべるリン

「お手柔らかにね」

軽く微笑むドウセツ

「「「当たり前だ(ね)」」」

同じくニヤリと笑うキリト&エギル&キリカ

「それでは、時間になりましたのでトーナメントを始めます!」

そして、開戦を告げるアスナの声が闘技場に響き渡った 
 

 
後書き
アスナ「えっと、本編では実況中継はできないのでここでやります……って何言わせるのよ!」

蕾姫「文句言うなよ……アスナ、本当は出番ないんだから……」

ヒースクリフ「ふむ……確かにアスナ君も私もこの場が無ければ出番が無いな」

以下ヒースw

アスナ「団長……私こういうキャラじゃありません……」

ヒース「それは私も同じだ。本来私はKoB本部の一室で腕を組んでる予定だったのだけどね」

蕾姫「かたいこと言うなよ。さて、今回のトーナメントについて、まずは優勝候補を紹介するよん」

大本命 キリト†エギル ペア

アスナ「キリト君がスピード、エギルさんがパワー。両方兼ね備えたバランスのいいペアね」

ヒース「キリト君は攻略組の中でも一際目立つ存在だな。このペアはエギル君の働きによって恐らく勝敗が決まるだろう」

蕾姫「あれ?アスナなんか不機嫌だね」

アスナ「別に不機嫌じゃありません」

蕾姫「そうか……キリトと組めなくてさび……」

シュッ←蕾姫の頭上を細剣が通り過ぎる音

アスナ「何か言った?」

蕾姫「イイエ、ナニモ」

ヒース「……女というのは怖い生き物だな」

対抗馬 リン†リョウコウ ペア

アスナ「このペアもまたリン君がスピード、リョウコウさんがパワー。両方兼ね備えてるわね」

ヒース「ふむ……リン君については未知数だが、リョウコウ君は強い。彼の力は素晴らしい」

蕾姫「ちなみに速さは、アスナ≧リン>キリト。パワーは、キリト>リン>アスナ。こんな感じ。レベル?リン≧キリト>アスナ」

ヒース「ふむ。彼らの一回戦の相手は大本命のキリト君、エギル君ペアだったね。いかにキリト君を倒すか、これが勝利の鍵を握るだろう」

ダークホース キリカ†ドウセツ ペア

ヒース「彼女たちについては私からは何も言うことはない」

アスナ「え?……じゃあ私が。キリカさんの武器は薙刀だね。リョウコウさんと同じ武器。でも彼女の方が軽いかな。ドウセツは私と対象的に見られることが多いんだけど。スキルは秘密ね」

蕾姫「まあ、スキル関係、戦闘系、そういう質問は受け付けません。キャラについてはそれぞれの作品、リョウコウ(鳩麦さん、SAO─戦士達の物語)。キリカ&ドウセツ(相宮心さん、ソードアート・オンライン・ツインズ)を読んでください」

それではこの場をお借りして、相宮心さんと鳩麦さんに感謝を。まず最初にコラボを、と言ってくださいました相宮心さん。そして、サプライズ気味にキャラを貸していただいた鳩麦さん。ありがとうございました!なかなか至らない点も多いとは思いますが、どうぞご容赦のほどを

ではまた次回お会いしましょう!ではでは〜
 

 

番外編コラボ(ツインズ&???)

 
前書き
リン&リョウコウVSキリト&エギル


4/10 銀の鷹→銀の烏 修正 

 
参加人数16人8組

「……案外少ないな」

トーナメントの組み合わせを見てリンはつぶやいた

「まあ、ほとんどが攻略組だしな。なかなか下の方から上がってくるやつなんていないさ」

リンの呟きにリョウコウがこたえる

「それで最初の相手は誰だ?」

「それがな……」

リンが聞いた瞬間口籠もるリョウコウ

「……どうした?」

「いきなりキリトたちと、だ」

そのリョウコウの言葉はリンを固まらせるのに足る破壊力を持っていた

「……はぁ?」

ようやく絞りだしたその声は困惑と、そして喜びが混じっていた

攻略組で最強といえばヒースクリフなのだが、そのヒースクリフに負けずとも劣らない存在感を持つキリトだ。いきなりこの強敵とあたれるのは幸運か、または災難か。ちなみに二人の脳内にはエギルという存在はもはやなかった

「まっ、なんとかなるさ」

「はぁ……キリトとの戦いは決勝でやりたかったな……」

本命とは決勝で当たりたい。まあ、誰でもそう思うだろう

「まもなく、一回戦です。えっと、一回戦は"黒の剣士"キリトとエギルペア対"ジン"リョウコウとリンの戦いです」

観客がこの好カードにわーっと沸くが実際に戦うメンバーの顔は浮かない

「……なんで二つ名まで言うんだ?」

顔をしかめるリョウコウと苦笑いのリン

「まあ、俺は二つ名が無いからどうでもいいが」

「他人事だと思いやがって……」

恨めしげな眼てリョウコウはリンを見る

「ほら、行こうぜ。あちらさんもお待ちかねだ」

リングではキリトとエギルが武器を持って立っているのが見える。リンはリョウコウの肩をたたくとリングへ向かって歩きだした









「いきなり兄貴たちとか……」

「まあ、楽しくやろうぜ」

青龍偃月刀……固有名、冷裂を手首を使ってくるくるまわして笑った。長身のリョウコウを越える長さの巨大な黄金の龍の彫刻の様なものが刃に描かれた薙刀を軽々振り回すのはかなりの威圧感がある。威圧感といえば隣のリンも負けてはいない。二刀流がばれてしまった今、彼の本気を縛るもの等存在しないのだから

片方の剣は前に突き出し、もう片方の剣は肩に担いだその構えは巨大な存在感を放っていた

やがてリョウコウも薙刀を振り回すのを止め、肩に担ぐ

キリトとエギルも腰を落とし、リンとリョウコウ……敵を見据えた。その顔には威圧された感じはなくむしろ楽しくて仕方がないという顔をしていた

「では、一回戦……リン、リョウコウ対キリト、エギル。開始!」

アスナの声により戦いの火蓋は切って落とされた

「ふっ!!」

「だぁ!!」

やはりというかまず前に出たのはキリトとリン。開始と同時に地を蹴り、ほぼ中央でぶつかり合う。リンの初手はいつも通り右手に持った剣による突き。その突きの速度は並みのプレーヤーなら見ることも叶わぬスピード。ポリゴンすらブレた。だが、キリトもまた尋常ではない反応速度を見せる。突きに対して体を横へ反らす。そしてそのまま体を回転させ、左手の剣でリンを斬ろうとする。その剣はリンが振り下ろした剣とぶつかり火花を散らした。が、筋力値で優るキリトに徐々に押されるリン

「はっ!!」

「っ!!」

わざと体勢を崩し下がったリン。そして、できた間に走り込んで来たのはリョウコウ。走るスピードをそのままに横殴りにキリトを斬ろうとする

「だぁぁぁ!!」

だが、そこには同じく走り込んで来たエギルが横振りに斧を出す

「ちょっ!?」

そのコースはキリトに直撃するコースだ。もちろん、キリトを信じての行動なのだが

キリトはとっさに地面に伏せる。その上ではエギルの斧とリョウコウの薙刀がぶつかり合う膨大な衝撃音を発生させる

筋力極振りかつレベルで優るリョウコウにエギルが拮抗できるわけがない

だが一瞬止めることはできる。その隙にキリトが足をはねあげた。この試合初のソードスキル、単発体術技"サマーソルト・キック"下から蹴りあげる技だ。それが下からリョウコウのクリティカルポイント(まあ、男にはわかるだろう)を狙う

「チィ……」

リョウコウは冷裂に入れる力を抜くと後ろへ跳ぶ。キリトの蹴りはリョウコウには当たらなかったがキリトはその反動を利用して立ち上がった

「なかなかやるな!」

「そっちこそ!」

「だが……爪が甘いぞ、キリト!!」

「っ!?キリト!!」

エギルが気付いたときにはもう遅かった。キリトはわかっていなかったのだ。これは一対一の戦いではなかった、ということを。リョウコウに集中するあまりリンの姿(・・・)を途中から見ていなかったということを

キリトの顔にさっと影が差す。はっとしたキリトが上を見たときにはもう二本の剣が目の前に迫っていた

「ぐっ……」

そこから反応できたキリトは凄いの一言だろう。メタ発言になるが、銀の烏と戦ったとき彼の最強の武器、超高高度からの急降下蹴りのダメージを最小限に抑えたのもうなずける。だが、銀の烏の攻撃は爪先一点の点による攻撃だったが、リンの攻撃は二本の剣による面での攻撃だ。結果一本目の剣は弾いたものの二本目の剣はもろに食らってしまう

「だぁぁぁ!!」

衝撃で再び地面に倒れたキリトに、ここで決めるとばかりにリンはソードスキルを発動。選択した技は片手剣単発重剣技"ヴォーパル・ストライク"

「させるかぁぁ!!」

そうはさせまいとエギルがその斧で迎撃する。が、いくら筋力重視のエギルとはいえ、上から……しかもソードスキルを併用した攻撃を弾き返すことはできない

二人がリンに付きっきりとなり、自分に対してできた隙を見逃すほど甘いリョウコウではない

「終わりだ」

リョウコウの刃はエギルとキリトに向かって放たれた

「くそやろうがぁ!!」

だが、エギルが悪態をつきながらキリトを投げ飛ばす

エギルのたすきは砕け散り、光の粒子になって消える。砕けたら強制転移されるらしい

「……俺たちの負けだな」

頭を悔しそうにかくキリト

「だが、エギルがせっかく俺を残してくれたんだ」

二本の剣を担ぐとニヤリと笑った

「せいぜい楽しませてもらうぜ」

地を蹴りキリトが突っ込んでくる。リンとリョウコウはニヤリと笑うとお互いに迎撃体勢に。二対一は卑怯?真剣に戦わない方が卑怯だろう

「せいっ!」

キリトの右袈裟斬り。左の斬り払い。右の突き。左の斬り下ろし。右のを引きつつ左の返し斬り

それをリンは弾き、時には反らし、最後は後ろに跳んでリョウコウにスイッチする

「だぁぁぁ!!」

リョウコウは気合いとともに冷裂を一閃。キリトは剣をクロスして受け止めようとするが準備していたリョウコウと咄嗟に防御体勢をとったキリト。どちらが勝つか、もはや明白だった。崩れた体勢のキリトにリョウコウは横に振った冷裂を強引に止め、手首を返しキリトへ振りかぶる。上空からはリンが迫る

だが、キリトは攻撃の手をやめない。キリトは最後に残った時間で両手に持った剣を投げた。二連撃投剣技"ダブル・シュート"。リンとリョウコウは攻撃モーションに入っているためかわすことはできない。だが、その攻撃ではリンとリョウコウのHPを削りきることはもちろん不可能

そして、キリトのたすきの耐久値も0になった
 
 

 
後書き
アスナ「えっと、リン&リョウコウペアの勝ちだね」

ヒース「ふむ。このソードアート・オンラインには飛行型の敵はごくわずかだからね。知らず知らずのうちに上への警戒がなくなってしまっていたのだろう」

アスナ「そういう点ではリョウコウとリンの組の作戦勝ちってところね。まさか、リョウコウさんの肩を使って上に跳ぶなんて……」

ヒース「これにより大本命がいなくなったわけだな。さらなる波乱が予想できるだろう」

アスナ「うー……やっぱり出たかったなぁ……」

蕾姫「まあ、諦めなさい。"閃光"のアスナさん?」

アスナ「なんか、作者さんに言われると皮肉にしか聞こえない……」

蕾姫「まあまあ。よし、次回はキリカとドウセツの一回戦だ!」

ヒース「次回も見てくれたまえ」

蕾姫「……なんでヒースクリフが言うんだよ……」
 

 

番外編コラボ(ツインズ&???)

 
前書き
短い……。一応キリカ&ドウセツの一回戦です 

 
キリト&エギルVSリン&リョウコウが行なわれたあと。一つ試合をおいて一回戦、第三試合

「……やっと私たちの番だね」

「そうね。さっきの試合は退屈だったわ。レベルが低すぎて」

軽く欠伸をしているドウセツ。なんというか、試合前とは思えない

「そりゃ、第一試合と比べればどんな戦いだって退屈だろうけどさ……」

とりあえず、第一試合のレベルがおかしかったのだ。その後の試合がお遊びと表現できるほどだった。ドウセツの毒舌。今日も正常運行である

「じゃあ、第三試合の選手たちは控え室へ!」

アスナの声が闘技場内に響き渡る。最初は嫌そうだったが今ではノリノリのアスナである

「行きましょうか」

そう言ってドウセツは闘技場内へ。キリカもそれに続く。そこにいたのは……バカだった

「はっはっは!俺の名前は朱雀!!いざ尋常にぃぃ!!」

手に持った槍をブンブン振り回しテンションMAXな男が一人

「うるさい……」

その隣にいるのは巨大な鎚を持った男。結構げんなりとした顔をしている

「……バカね」

「ぐはっ……」

ドウセツの毒舌が朱雀に突き刺さる。普通の男からの言葉なら慣れているがドウセツは見た目は(・・・)かなりいい美少女である。そんな初対面の美少女から言われてダメージを受けないわけがない

「……はい、じゃあ静かになったところで。一回戦第三試合。朱雀と玄武ペア対"白百合"キリカと"漆黒"ドウセツ。……開始!」

呆れながらもアスナの合図とともに始まった

「行くぜぇぇぇ!!」

まず飛び出したのは朱雀。自身の槍を前に出しながらキリカに向かって突進する

対してキリカは自身の武器である薙刀に手をかける。そして薙刀に赤い光が灯る

「無駄だぁぁぁ!!」

朱雀の体全体にソードスキル発動を表す光が灯り朱雀の体が浮かぶ。そして、槍を中心として円錐状の光となった朱雀はそのままキリカに突っ込んだ

槍重突撃系剣技"フラッシング・コメット"

キリカも自身の薙刀でこれを応戦する

薙刀重単発剣技"スタン・グランド"

彗星の名に恥じない突撃を見せる朱雀と地を割るほどの威力を持つキリカがぶつかり合う。開始からの派手なぶつかり合いに観客は大いに沸く

重突撃系と単なる重攻撃では重突撃系に軍配が上がるが、そこは攻略組と中層プレイヤーの違い。互角という形になってしまう

「くっ……」

キリカは相手が中層プレイヤーだと軽くなめていた。だからこそこれには本気で驚いていた。だが、臨機応変の対応力も攻略組の特徴である。すぐに持ち直す

「ふっ……」

ここで横から走り込んできたのはドウセツ。腰の鞘に入ったままの刀に手をかける。そして鞘ごと刀はソードスキル発動を表す光に包まれた。そして、次の瞬間、ドウセツの手がブレた

「ぐぉっ……!?」

吹き飛ばされる朱雀。この程度で済んだのは玄武の投剣がドウセツの邪魔をしたからに他ならない

「っ!!」

そして、すぐにキリカが追撃をかける。この辺のスイッチの早さはさすがである

が、そこに走り込んできたのは玄武。巨大な鎚をキリカに向かって振り下ろす

「くっ……」

やはり拮抗。筋力重視の玄武とバランスタイプのキリカ。レベル差により拮抗してしまう

そこへ走ってくるのは朱雀。槍にソードスキルの光を灯しキリカに向かって突き出した

「!?」

だが、キリカは頭をねらっていたその技の軌道がわかっていた(・・・)かのように軽く首を傾け回避する

驚き硬直する朱雀。それもそのはず。完璧なタイミング。玄武と一週間ぐらい考えた必勝パターン。それを回避されたのだ。しかも紙一重で

「ふっ……!」

その間に玄武の後ろへ回り込んでいたドウセツが剣に手をかけ居合いを放つ

「ガバッ!?」

キリカとの押し合いに全力を注いでいた玄武に回避できるわけが無く吹き飛ばされる。クリティカルポイントに入ったその一撃は一気に玄武のたすきの耐久値をレッドゾーンまで持っていく

「はぁ!!」

そして、玄武という邪魔が無くなったキリカは目の前で硬直していた朱雀に一閃

薙刀単発重剣技"ホリゾンタル・スプリット"

もう耐久値がわずかだった朱雀を倒すにはかなりオーバーな技だが、それはキリカなりの反省の意がこめられていたのかもしれない

「うぉぉぉぉ!!」

朱雀がやられて負けを悟った玄武は自身のできる最高の攻撃をドウセツに放とうとした。だが、鎚の攻撃には若干の溜めが必要で、その瞬間をドウセツが逃すわけがなかった

ドウセツの居合いが玄武を切り裂き、一回戦第三試合は終了した 
 

 
後書き
アスナ「やはり、攻略組と中層プレイヤーの差は大きいわね……」

ヒース「それでも私はあそこまで拮抗できたことに称賛を送りたいところだ」

蕾姫「一応中層プレイヤーのトッププレイヤーだからね」

アスナ「レベルの差をスキルや連携で補う。なんかうらやましいわね……」

蕾姫「まあ、キリカたちの切り札を一つ、"絶対回避"を曝け出させるまでに頑張ったからねぇ……」

ヒース「ふむ……"絶対回避"についてはノーコメントでお願いしたい」

蕾姫「正直俺もわからないので……。効果、制限とかは知ってますが」

アスナ「あと"居合い"についてもね」

蕾姫「次回は決勝。ついに三作品のキャラが一同に会し戦いを始めます!」

では次回もよろしくお願いします!質問などありましたらお気軽にどうぞ!
 

 

番外編コラボ(ツインズ&???)

「では決勝戦です!」

そうアスナが言った途端、今までで一番の歓声が上がる。二回戦?瞬殺で終了したため省きます

「うるさい……」

「まあ、いいんじゃねぇ?せっかくの祭りだ。楽しまねぇと損だろ」

その歓声に顔をしかめ両耳を塞ぐリン。それとは対照的にちょっとハイになっているリョウコウ

対するは

「うるさいわね……」

「従兄とか……。それにキリトと互角に戦ったリン……」

リンと同じように顔をしかめるドウセツ。セリフまで似ている。その隣にいるのはキリカ。対戦相手に対して戦略を練っているのだろうか、少し顔を俯かせてぶつぶつ言っている。美少女でなければ少々危ない絵面だった

「では、決勝戦、リンとリョウコウ対キリカとドウセツの戦い……」

その言葉でお互いに構える。リンはいつもの構え。リョウコウとキリカは薙刀を肩に担ぐ。そしてドウセツは刀に手を添えた

「始めっ!!」

アスナが開始の宣言をするが誰も動かない、否動けない。リンはリョウコウの動きが遅いため飛び出せばリョウコウを置いていくことになる。対して相手はどちらもバランス、ないしは敏捷優先タイプ。リンには及ばないものの筋力一極のリョウコウよりは確実に速い。そうなると必然的に二対一の構図となってしまう。相手が中層プレイヤーならそれでも戦えるのだが、今回の相手は二人とも攻略組。よって慎重にならざるを得ないのだ

対してキリカとドウセツがなぜ動かないのかというと間合いを計っているからだ。一回戦、二回戦と幸か不幸か中層プレイヤーとばかり戦ってきたため、リンやリョウコウといった本物の強者の前に多少気後れしてしまっている

でも、そうやって睨み合ってるだけでは勝ちも負けもない。静まり返る闘技場

ついに試合は動く。どこかでなった何かを落とす音。それが合図だった

「っ!!」

キリカがまず動く。ワンテンポ遅れてドウセツが。対するリンとリョウコウは動かない。完全に迎撃するつもりだ

まずはキリカが薙刀を横に凪ぐ。それをリョウコウが真っ正面から受けとめる。言うまでも無く弾かれるキリカの薙刀。そこに横からリンが斬り掛かろうとするがドウセツの居合いに弾かれる

「くっ……」

とっさに剣をクロスさせ、居合いを受ける。が、勢いに押されそのまま一メートルほど滑る

「従兄、食らえ!!」

「やだね!!」

弾かれた反動を利用したクルリと体を一回転させたキリカの二撃目。だが、それもリョウコウには効かない。同じ武器を持つもの同士、薙刀という武器の性質は完全に理解している。戦い方もしかり。無論、対処方も

「ふっ!!」

滑っていた足に力を入れ、自身の動きを止めるとそのまま前に飛び出す

二刀流突撃系二連撃剣技"ダブル・サーキュラー"

光の灯った剣が二本ドウセツに襲い掛かる

「っ……!!」

迎えうつドウセツの手に握られている刀にも光が灯っていた

刀二連撃剣技"アレグロ・ツイン"

刀スキルの中で最も速い技。それにより"ダブル・サーキュラー"を迎撃する

「ふっ……!!」

迎撃されることを予測していたリンは硬直が解けた瞬間、新たなソードスキルを放つ

片手剣四連撃剣技"ホリゾンタル・スクエア"

硬直時間は"ダブル・サーキュラー"よりも"アレグロ・ツイン"の方が長い。従って硬直が解けたときにはもうドウセツの目の前に剣が迫っていた。絶対に回避できないはずの一撃。だが、ドウセツは人間には不可能(・・・)な動きで回避する

「これで終わり」

回避し終わったドウセツの手と鞘に入った剣はソードスキル発動の光が発生していた。"ホリゾンタル・スクエア"の硬直時間を狙った完璧なタイミング

が、リンは笑う。なぜならここまでの展開を読んでいたから

「っ!?」

不可避のはずの攻撃は左手の剣で受けとめられていた。発動したソードスキルは

片手剣単発重剣技"ショック・ホリゾンタル"

「そのスキルは確かに強い」

再びリンの左手の剣に光が灯る

「だが、相性が悪かったな」

片手剣六連撃剣技"スネイク・リープ"

「くっ……」

焦ったような表情ながら全てを完璧に回避する

だが、リンの"スキル・コネクト"の前にはほとんど意味がない

ドウセツたちのスキル"絶対回避"は本来、一人の敵に対して一回しか使えない。だが"赤い糸"の効果二回使えるようになっていた。だが、それも関係ない。もうすでに使い切ってしまったから

片手剣三連撃剣技"シャープ・トライアングル"

その三連撃が全てドウセツの体にたたき込まれれる

「くっ……」

ドウセツは攻撃を受けながらも下がる。が、リンの左手で発動したソードスキルの方が早い

片手剣重単発剣技"ヴォーパル・ストライク"

「ドウセツ!!」

それがドウセツに当たる直前で薙刀が横から割り込んできた

「ちっ……!?」

薙刀は下からリンの剣を的確にすくい上げ、上へ流す

「ありがとう、キリカ」

ドウセツも反転しリンに居合いを放つ。いきなりのことでリンには防ぐことができなかった

下がってダメージを軽減したリンの隣へリョウコウが現れる

「すまねぇ……逃がした」

「まあ敏捷値に差があるんだ。しょうがない」

キリカとリョウコウでは敏捷値に差がある。知らず知らずのうちに距離を離したキリカの作戦勝ちだろう。ドウセツも少なからずダメージを負ったため完全な勝利とは言い難いが

残りの耐久値は、キリカが八割、ドウセツが四割、リョウコウが九割、リンが三割、だ

「リンは私たちの天敵ね。"絶対回避"によるカウンターが通用しない」

「私も従兄相手に一回使ったし、ドウセツはリンに対して二回。本当にキツい」

「……とりあえず、なんとしてでもリンを落とすわよ」

そういう会話がキリカとドウセツの間でかわされていた一方

「作戦はあるか?」

「なるべく俺たちが離れないように戦うぐらいか……。負ける気は無いがな。この二本の剣にかけて」

「そうか……なら、リン。俺の背中は預けたぜ」

「了解。行くぜ、相棒」

「おう」

そして戦いはクライマックスに移行する

前回と同じ様にキリカとドウセツが先に動いた。キリカがやや前に出てそれを刀に手をかけたドウセツが追いかけるという形でリンとリョウコウの方へ走る

対してリンとリョウコウは前にリン。後ろにリョウコウという形で迎撃体勢に

そしてキリカの薙刀とリンの二本の剣がぶつかり合う

すかさずキリカの横からドウセツが飛び出す。そして、キリカと組み合い動けないはずのリン目がけて居合いを放つ。だが、それは空振りに終わる。リョウコウがリンをやや後ろ向きの上方向へ投げたからだ

「とった!!」

目の前が空いたリョウコウが薙刀を凪ぐ。もちろん受けとめられるようなものでは無く、体勢の崩れていたドウセツは"絶対回避"を使用する。これでもう、この試合中には"絶対回避"は使用できなくなってしまった

「くっ……」

薙刀を振り切った状態のリョウコウの隙を捕らえようとキリカが前に出て斬ることに成功。だが、リョウコウはそれを無視し体を回転させキリカにたたき込もうとする

すぐに退避したため刃には当たらなかったが、風圧により体勢を崩してしまう。一方ドウセツは上から落ちてきたリンに居合いを放つ。地上で踏ん張りの効くドウセツと空中にいるリン。どうなるかはもはや明白だ

「まだだ!!」

再び空中に飛ばされるリンだが、リンは剣を口に銜えるとポーチからピックを取り出しキリカとドウセツにそれぞれ投げる。動きの止まったキリカとドウセツに再びリョウコウが薙刀による凪ぎ払いを打つ

二人ともそれぞれの武器で受けるが、その場にいることはできず、五メートルほど後ろに下がってしまう

リョウコウは再び落ちてきたリンの腕を掴むとキリカとドウセツの方へおもいっきりぶんなげる。剣を構え突っ込んでくるリンとキリカ、ドウセツ。そして自ら跳んだリョウコウの剣がぶつかり合った
 
 

 
後書き
蕾姫「ふい〜……これで、コラボは終了とさせてもらいます。しかし、やっぱり他の作者さんのキャラは動かしにくいですな……」

リン「終わり方が中途半端だな」

蕾姫「まあ、下手に結果は出せないからね……引き分けにするって手もあったが」

コラボに協力を申し出てくれた相宮心さん。そして、裏で一緒に悪巧み(リョウコウの登場)を仕掛けてくださった鳩麦さん。ありがとうございました!この場を借りて深くお礼を申し上げます!キリカ、ドウセツ、リョウコウ。どのキャラも魅力に溢れ、全てを出し切ることは私の文才ではできなかったと思いますが、そのあたりはご容赦ください




リン「おお……蕾姫が真面目だ」

蕾姫「失礼な」

リン「しかし、まだなんかあるのか?」

蕾姫「宣伝を」

リン「宣伝?」

零「というわけで緋弾のアリアの二次創作も書いてるからそっちもよろしく頼む」

蕾姫「というわけです」

リン「なるほど」

次回から本編に戻ります!感想その他お待ちしています
 

 

新たな物語へ

 
前書き
現実、幻想、過去、未来

交錯する

銃弾に思いを乗せて……



というわけでGGO編。この小説のメインとも言っても過言ではない銃と硝煙の世界ガンゲイル・オンライン。始まります! 

 
「ふむ……」

俺は窓の下でイチャイチャしているバカップル(本人たちが聞けば全力で否定するだろうが)を見ながら目の前にあるラーメンをすすった。……微妙な味だな

ぼーっと見ながらラーメンを胃の中へ放り込んでいると目の前でズズッという音が発生したためそちらに目を向ける

「おい……汚いぞ」

「うるさいわよ」

ピシャリと一瞬で切られる。……うるさいのはそっちだと思うがな

「そうですよ。リズ……里香さん、もうちょっと静かに飲んでくださいよ」

俺の向かいの席のもう一人の少女が俺に援護射撃。すると、うだーといった感じでリズ……篠崎里香はため息をつきながら言った

「だってさぁ……あー、キリトの奴、あんなにくっついて……」

「まあ、恋人同士だからな。あいつら」

再び窓からバカップル……キリトとアスナを見下ろす。……あのハンバーガーうまそうだな

「けしからんなあもう、学校であんな……」

「嫉妬か、リズ?」

ニヤニヤ笑いながら里香に言うと案の定顔をしかめるが何も言わない。言い方が違うか。図星だから何も言えないのだろう

「はぁ……」

一つため息をつくと里香は再び外を見始めた。その向かいではシリカ……綾野珪子が目の前に置かれたエビピラフを口にはぐはぐと食べ始めた。小動物みたいで実に癒されるのだが、彼女もキリトを奪おうとしている肉食系女子なのである

「なんか今失礼なことを考えませんでした?リンさん」

女の勘か知らんが図星である

「肉食系女子」

正直に答えると珪子だけでなく里香までもがむせた

「ゴホッゴホッ……あーあ……こんなことなら《一ヶ月休戦協定》なんて結ぶんじゃなかったなあ」

俺の言葉を否定せずに強引に話を変える里香。……認めるんだな

「リズさんが言い出したんじゃないですか!一ヶ月だけあの二人にらぶらぶさせてあげよう、なんて……甘いんですよまったく」

珪子も食い付く。どっちもわかりやすいねぇ

「うし……じゃあ俺は行くわ。ときにシリカよ。頬にご飯つぶついてるから取っとけよ」

そう言って完食したラーメンの器を載せたトレイを持ち、席を立つ。ガールズトークに男があまり参加するべきではないからな。手遅れな感はあるが

完全に余談ではあるがこの学校はネット用語でSAO生還者である学生のために作られたらしい。アスナもそうだが、俺も名前とプレイヤーネームが同じである。……俺にも二つ名がつきました。"黒き導き手"……厨二全開な名前である。事あるごとにそう呼んでくるため、正直疲れる。悪意がないから尚更質が悪い

俺はそう考えてため息をついた

「ため息ついてると幸せが逃げるぜ?"黒き導き手"さんよ」

「てめぇ、わざとだろ」

話しかけてきたのは俺の数少ない友達の一人。正直やかましい。プレイヤーネームは確か"朱雀"だった気がする

「そんなことはねぇよ。それよりも、校門で姫様がお待ちだぜ?」


今日は半日だということを言ってあったのでそろそろ来るとは思ってたが、早いな

「そうか。じゃあ、俺は帰る」

「くそう……お前といい"黒の剣士"といい、彼女がいて羨ましいなぁ」

カバンを持ち直し恨み言を言っている朱雀の隣を通り抜け校門へ向かう








「あれ?」

校門に行ったが姫様……詩乃の姿が見えない。朱雀は嘘をつくような性格じゃねぇしな

「あんたが朝田サンの彼氏?」

「ん?」

横から見知らぬ女が声をかけてきた

突然だが、俺を初めとするアインクラッド攻略組は悪意には敏感だ。敏感にならざるを得なかったというべきだろうか。そうしなければ簡単にPKされてしまうからな

そして、今この女から発っせられている悪意。それに軽く身構えてしまう

「へぇ……なかなかいい男じゃないか」

初対面の俺に悪意を向ける相手は限られる。この女は見覚えがない。つまり

「詩乃はどうした?」

詩乃関連だと判断した。彼女は正当防衛とはいえ人をあやめている

「朝田サンはちょっとあそこの路地でうちらと遊んでるよ」

後ろにある細い路地を指差して濁った笑みを見せる女。こんな表情はソードアート・オンラインでよく見てきた、暴力に酔った者の笑み

「っ!!」

その女の脇を一気に走りぬけその路地に走る。そこにはモデルガンを突き付けられている詩乃が

「貴様ら……」

拳を強く握りしめ、その女たちをにらみつける。後ろに一人。詩乃の側に二人

「友達だから金貸してもらおうと思ってたんだけど朝田サン。全く持って無くてね。だから彼氏さん。代わりに貸してくれないかなぁ?」

限界だった

「友達っていうのはな……」

踏み込みから一瞬でトップスピードへもっていく。素人には消えて見えたはずだ

「苦しみも悲しみも嬉しさも分かち合える奴のことをいうんだよ」

詩乃を抱えて路地のさらに奥へ。震えてる詩乃を抱き締めて頭をなでる

「てめぇらみたいなやつ。友達とは言わねぇ。二度と言うんじゃねぇよ」

女たちは一つ舌打ちして

「……またね、朝田サン」

そう言って帰って行った

「燐……」

「大丈夫。今度こんなことがあったらすぐ呼べ。絶対に守ってやる」

「うん……」

「はぁ……胸糞悪いな……」

「ごめん……」

「なんで詩乃が謝るんだよ」

「私が弱いから……だから」

いつになく詩乃は弱気だな

「だから……あの世界で……卒業するんだ……弱い自分から」

あの世界。推察するにMMOか。だがな、詩乃。あの世界で偽りの強さを得られたところで根幹の強さは得られないぞ?

「ん?」

突如電話が鳴り響く。それはキリトからの電話。その時は気付かなかったが

これが詩乃を救うため

銃と硝煙の世界へ誘う一つの始まり

さあ、行こう。GGOへと
 
 

 
後書き
蕾姫「ぶっちゃけ、とある直伝の男女平等パンチをやってもよかったんだがなぁ」

リン「詩乃の安全を確保する方が大切だろ?」

蕾姫「始まりましたGGO編!」

リン「ふむ……俺の武器は決まってるんだろうな?」

蕾姫「……」

リン「決まってないんかい!!」

蕾姫「候補は二つあるんだがな……」

ちなみに

この小説の詩乃に合うな、と思った曲はfripsideのmeditationsです。……合ってるよね?

では次回!
 

 

新たな始まり

「おーい、キリトくん、リンくん、こっちこっち!」

明らかに高級そうな喫茶店の中から響く無遠慮な声。そのせいで俺たちは視線の集中砲火を浴びていた。俺とキリトは一つため息をつくと呼んだ男……菊岡誠次郎の前に二人で腰掛ける

「ここは僕が持つから、何でも好きに頼んでよ」

俺たちがメニューを広げたのを見て菊岡が陽気に話しかけてくる。どうせ経費で落とすんだろうが。とメニューに目を通す。どれも四ケタ以上のものばかり。俺はまだ勘当される前、たまにこういう店に入ったことがあるからいいが、キリトは庶民。若干緊張している。まあ、目の前の男のせいというかおかげで若干ですんでいるみたいだが

「ええと……パルフェ・オ・ショコラ……と、フランボワズのミルフィーユ……に、ヘーゼルナッツ・カフェ」

「俺は、アールグレイだけでいい」

「零くん。遠慮はいらないよ?」

「お前の顔を見ながら食べる気が起きない。まあ、お前の財布に風穴を空けれるなら目一杯頼むけどな」

にやりと笑って俺は菊岡に毒を吐く。正直、俺は菊岡が気に入らない。笑顔の裏に何を隠しているか分からないからな

「つれないなぁ……」

そう言って肩を落とす菊岡。心配する必要性は皆無だろう。どうせふりなのだから

「以上です」

「かしこまりました」

注文を律儀に待っていてくれたウェイターさんにそう言った

「さて……落ち込んでるところ悪いが本題に入ってもらえないか?こっちも暇じゃないんだ」

詩乃を送ってからこっちに来たが、もう少し一緒にいてやるべきだったかな

「どうせまたバーチャル犯罪がらみのリサーチなんだろ?」

「おお、君たちは話が早くて助かるね」

落ち込む振りをやめると菊岡はアタッシュケースからタブレット型の端末を取り出すとつつきだした

「いやあ、それがねぇ。ここに来て、バーチャルスペース関連犯罪の件数がまた増え気味でねぇ……」

「へえ。具体的には?」

基本的にキリトと菊岡の話を聞く方に徹する。正直俺まで呼ばれて理由がわからないし

「……ずいぶん遠回りをしたが、今日の本題はそこなんだ。これを見てくれ」

VRMMOが現実に与える影響などについて話していた菊岡がタブレットをこちらに渡してきたので、キリトと一緒に覗き込む

「ええと、先月……」

そこからその男、ゼクシードと薄塩たらこの不審死について、死銃と名乗る人物が関係しているのか、という話になった。確かに出来すぎている。二人の死亡時刻と撃たれた時刻。あまりにも近過ぎた。加えてその事件が起きたゲーム。ガンゲイル・オンラインの運営ザスカーはアメリカにサーバーを置いていて全てが非公開のため、全く情報がない

「とまあそんな理由で、真実のシッポを掴もうと思ったら、ゲーム内で直接の接触を試みるしかないわけなんだよ。もちろん万が一のことを考えて、最大限の安全措置は取る。キリト君とリン君には、こちらが用意する部屋からダイブしてもらって、モニターしているアミュスフィアの出力になんらかの異常があった場合はすぐに切断する。銃撃されろとは言わない、君たちの眼から見た印象で判断してくれればそれでいい。……行ってくれるね?」

「……それはお願いではなく強制ってやつだろ?まあ、俺は行くよ。貸しを作っておくのも悪くない」

「リンが行くって言うなら俺も行かないとな」

俺の言葉にキリトも乗ってくる

「ありがとう。じゃあ、これが死銃氏の声だよ。どうぞ、聴いてくれたまえ」

準備よくイヤホンを菊岡はこちらに差し出してくる。キリトと一緒にそのイヤホンを受け取り耳に突っ込む

『これが本当の強さだ!愚か者どもよ、この名を恐怖とともに刻め!』
『俺と、この銃の名は死銃……デス・ガンだ!』

その叫び声は金属質な声だったが、紛れもない、殺人へと駆り立てる狂気を孕んでいた








「どう思う?」

「ん?」

店をキリトと出ると早速キリトに話しかける

「死銃のことだよ。……どこかで聴いたことある気がするんだよな……」

声に出さずにソードアート・オンラインで、と言うとキリトも真剣な顔になる

「俺もだ。……だが、思い出せない」

「ああ……」

しばらく無言で歩くキリトと俺

「ガンゲイル・オンラインね……。キリトは銃使えるのか?」

ちなみに俺は一応アメリカで射撃経験はある

「飛び道具って苦手なんだよな……」

頭をかきながらそうぼやけキリト

「おいおい……大丈夫かよ」

正直致命的だろう。回避に関しては大丈夫だと思うが

「まあ、当たって砕けろ、だな」

そのキリトの返答に自然とため息が出る

「相変わらずだよな……。振り回される方の身にもなってくれ」

アスナもどこか無鉄砲なところがあるからなぁ……。脇役としてはもうちょっと計画性を持って行動してもらいたいところだ。とりあえず、俺の言葉に笑うキリトを今すぐぶん殴りたい

「よし……俺はアスナとちょっと出かけるが、燐はどうする?一緒に来るか?」

「馬に蹴られる趣味は無いから遠慮しとく。まあ、帰って下調べってところかな?」

「……よくやるよな……」

「お前がやらなさすぎなだけだ」

そう言って手を振りキリトと別れる。さて、家に戻るか

「ふむ……」

携帯でガンゲイル・オンラインを検索しながら電車に乗り込む

この時間帯はあまり人がいない。何気なく辺りを見回すと詩乃が座席に座っていた。……電車で偶然知り合いに会うってどんな確率だよ

「よう、詩乃」

「ひゃっ……」

「そんなに驚くことは無いだろうに」

声をかけると詩乃は少し飛び上がった。苦笑しつつ詩乃の手元を覗き込む。そこにあった携帯の液晶画面にはガンゲイル・オンライン(・・・)の文字が

俺の視線に気付くと詩乃はあわてて携帯を閉じる

「……見た?」

「何を?」

とぼける俺。理由は自分でもわからなかった

「そう……」

目に見えてほっとする詩乃。……詩乃は隠し事ができないタイプだな

「今、帰りか?」

「うん。ちょっと、買い物に」

買い物袋を左右に揺らし、微笑む詩乃

俺は詩乃が座っている場所の近くに立つ。……ねばつく様な視線から詩乃を隠す様に

「燐こそ。どこに行ってたの?」

「俺はちょっと野暮用。知り合いとお茶してた」

菊岡を知り合いとカウントしたくないが……

「燐……」

しばらく沈黙の後、急に詩乃が口を開いた

「私……強くなるから」

「ああ……」

その言葉は俺にたいしての宣言か、また自分に言い聞かせたものか、俺には判断できなかった

「死銃……ね……」

詩乃と駅を出たところで別れる。しばらく出てくる人の波を眺めているが視線の主はわからなかった

おそらく最後の一人だろう人が出てきたのを確認し、俺は家に向かう

「……とりあえず、直接戦わないとわからないよな」

戦闘形態を見れば誰なのか判別できる自信がある

「っと、ただいま」

考え事をしているといつの間にか家に到着していた

帰るとすぐに、分けてもらった自分の部屋に向かう。すぐにパソコンを立ち上げ、ガンゲイル・オンラインについての下調べをする

「バレット・オブ・バレッツか……」

次、狙うとしたらここだろう。中継も入り、知名度もかなりある。今までの死銃の行動から、目立ちたいらしい、ということがわかっている。格好の獲物だろう。しかし……

「詩乃……」

詩乃が見ていたページ。それはガンゲイル・オンラインで、かなりの有名人のページだということがわかった。前回大会にも出場して、上位入賞経験も持つ

「詩乃も出場する可能性が高いな」

観客という可能性もあるが、観客ならばあんな眼にはならない。あれは間違いかく戦士の眼だ。追い詰められた、な

俺は直葉が呼びに来るまで考え事に耽っていた
 
 

 
後書き
蕾姫「いろいろ伏線張りな回でした」

リン「あからさま過ぎないか?」

蕾姫「俺にはこれが限界です……。まあ、次回にはガンゲイル・オンライン内に入ります!」

リン「ようやくか……」

蕾姫「アリアの方と同時執筆なんで多少遅くなりますが、よろしくお願いします……。まあ、メインはこっちなんですけどね」

リン「まあ、よろしく頼む」

ではでは、感想その他お待ちしています
 

 

邂逅そして確信

「ここか……」

数日後、俺とキリトは千代田区にある大きな都立病院の前に立っていた

「菊岡の話だと入院棟の三階だったよな?」

「ああ……」

指定された病室に入るとかなり元気な声が聞こえた

「おっす!桐ケ谷君、お久しぶり!そして、初めまして、鈴木君」

ニコニコと微笑んでいるのは長身でスタイルのいい看護師。名前は安岐さん。キリトに関わる女性ってのはなんでこんな美人が多いのかねぇ

「あ……ど、どうも、ご無沙汰してます」

そう言って頭を下げるキリト。あわせて俺も頭を軽く下げる。キリトの体を見回していた安岐さんはやがてキリトの肩からわき腹にかけて握り始めた

「わ……わぁ!?」

「おー、けっこう肉ついたねぇ。でもまだまだ足りないよ、ちゃんと食べてる?」

「キリトには自慢の彼女がいるからねぇ……。っと、この事は報告が必要かな?」

俺が茶々を入れると安岐さんの目がキラリと光った

「へぇー、桐ケ谷君、彼女いたんだ」

「ええ、しかもかなりの美人です」

キリトをそっちのけでアスナについて話し合う俺と安岐さん。……安岐さんとは気が合いそうだ。主にキリトをいじることについて

「今はそんなこと、どうでもいいでしょう!!それよりなんで安岐さんがここに……」

話をそらすキリト。案の定というかなんというか菊岡の手回しだった

「そういえば伝言、預かってるよ」

安岐さんが茶封筒を渡してくる。そこには菊岡からのメッセージがあった

『報告書はメールでいつものアドレスに頼む。諸経費は任務終了後、報酬と併せて支払うので請求すること。追記……美人看護婦と個室で一緒だからといって若い衝動を暴走させないように』

…………

「……あのやろう……」

追記を読んだ俺たちの行動は早かった。俺が安岐さんに苦笑い。その隙にキリトが封筒ごと手紙を握り潰しポケットに突っ込む。一秒に満たない早業だった

「あー……それじゃあ、早速ネットに接続しますんで……」

キリトと俺は安岐さんに心電図モニター用の電極を貼ってもらい(キリトが赤くなっていた)アミュスフィアをかぶる。そして、仮想空間へ飛び込むためのキーワードを唱える

「「リンク・スタート」」

そして、俺たちはガンゲイル・オンラインの世界に降り立った








降り立ってから横を見た俺は仰天した。GGO世界の首都SBCグロッケンの威容もそこに立つメタリックな高層建築群も目に入らない

「すげぇな……」

「ああ……」

キリトのセリフはGGOの世界を見て言った言葉だろう。正直俺は笑いをこらえるのに必死だった。だって、アインクラッドで最強の剣士の一人であるキリトのアバターが……こんなに中性的だなんて

「お前……キリトだよな?」

「ん?なにいってやが……」

初めてこちらを向いたキリトが固まった。……まさか

俺はあわてて近くのガラスを見る。そこには俺のアバターが写っていたのだが……小っせ

「まさかのショタ化かよ……」

この姿で銃をぶっぱなしたりするのか……シュールとしか言いようがないな

「小さいな」

キリトがその中性的な顔を近付けて言ってくる。ニヤニヤ……と笑っているんだろうが、優雅にほほえんでるようにしか見えないぞ?

「そっちこそ、TSでもしたか?」

「へっ!?」

俺の言葉に近くのガラスに顔を向けて現状確認をするキリト

「な……なんだこりゃ!?」

ここで、俺とキリトの容姿について説明しよう。キリトは透き通るような白い肌に真っ黒な長い髪。瞳は大きめでまつ毛も長い。まあ、いわゆる美少女というやつだ。初見でこいつを男だとわかるやつはいないだろう。俺はというとALO時代よりも縮んだキリトよりもさらに小さい身長(140ぐらい?)。長めの髪。Fate/Zeroの桜みたいな容姿をしている(どっちかというと容姿が少女っぽいんだよ、ちくしょう)

二人して男っぽくない、むしろ美少女と呼ばれるであろうアバターを手に入れて肩を落としていると向こうから男が一人あわてて走ってきた

「おおっ、お姉さんたち運がいいね!そのアバター、F1300番系、そしてF1500番系でしょ!め〜〜ったに出ないんだよ、そのタイプ。どう、今ならまだ始めたばっかだろうしさあ、アカウントごと売らない?二メガクレジット出すよ!」

ぼーっとして胸のあたりをまさぐっているキリトは無視して俺が応える

「コンバートだからな。残念ながら譲れない」

女発言は華麗にスルーして答える。どうせもう会うことはないだろうからな

「うーん、そうか……。ま、気が変わったら連絡してくれ」

そう言って透明なカード型のアイテムを押しつけてさって行った。キャラ名、性別、所属ギルド名などが書かれた、せい名刺のようなものだろう。すぐに消えたがアドレス帳にでも記載されたのだろう。と、そんなことよりも……

「いい加減目を覚ませや!!」

胸のあたりをまさぐっているキリト(端から見るとただの変態)に回し蹴りを決める。武道の経験者が見ればうなるレベルの綺麗な回し蹴りだった

「ぶふっ!?」

街中なのでダメージはないが衝撃で吹き飛び壁に叩きつけられるキリト。まわりの人は驚いて動きを止める。まあ、見た目幼女(不本意だが)の俺が見た目美少女(笑)のキリトを回し蹴りで吹き飛ばしたのだから無理ないか

「な、なにしやがる……」

「お前……端から見ると変態だったぞ……」

まあ、顔がいいから絵にはなってたがな

「ま、まあ目立つし、こんな容姿も悪くないかな」

「俺は嫌だが」

キリトは髪を指先でかきあげ後ろに払う。実に様になっている。それに気付いたキリトが肩を落とす

……そーだなぁ……

「お姉ちゃん、元気出して」

音符マークが語尾についているかのような甘い声を出してみると、周囲のプレイヤー(キリトを除く)が前屈みになる。……変態率高いな……。何人かは目が血走ってるし

「お前、それ、マジでやめろ……」

「……まあ、キャラじゃないからな」

まわりに聞こえないようにキリトに話しかけるとキリトは呆れたような声を出した

「お前……男としてのプライドはないのか……」

「無いけど?」

プライドなんてあるわけないだろ。利用できるものはなんでも利用する。守るためには、な

「はぁ……とりあえず大会にエントリーしようぜ」

「了解」

まあ、普通に話すことにしてSBCグロッケンの街を練り歩く

……案の定道に迷う俺たち

「キリトに先頭を任せたのが悪かった」

「……すまん」

キリトに任せていたらおもいっきり道に迷った

「あのー、すいません、ちょっと道を……」

キリトが話しかけた相手はペールブルーの髪を持った少女。猫のような瞳。……俺より大きいな……身長

ふと視線をキリトに向けるとどこかを見ている。その視線を辿ると少女の胸へと

「この、変態が!!」

「ぐはっ!?」

本日二撃目の回し蹴りがキリトに炸裂。再び壁に叩きつけられる。もちろん、目の前でアクション映画さながらの光景を見せられた少女は目を丸くしている

「すみません、キリトのやつが。えっと……」

VRMMOでも現実と同じようにいきなり話しかけるのはナンパととられかねない

でも、飛んでいったキリトを見て警戒も薄れたらしい。俺の容姿が女の子っぽいのも+したのだろう。やがて少女は笑み(微妙に引きつってるが)を浮かべると口を開いた

「……このゲーム、初めて?」

キリトのことはスルーすることにしたようだ

「総督府ってところに行きたいんだけど」

「総督府?何をしに行くの?」

「バトルロイヤルイベントのエントリーに、ね」

まあ、ニュービーがこんなことを言うのもなんだけど、と自分でも思う。案の定少女もそう思ったのか目を丸くする

「え……ええと、今日ゲームを始めたんだよね?その、イベントに出ちゃいけないことはぜんぜんないけど、ちょっとステータスが足りないかも……」

「コンバートキャラだから大丈夫です。あいつも、俺も」

正直に答える。少女はちょっと首をかしげた

「俺?」

「こんななりをしてるけど男なんだよ。あいつも。……正直驚いたよ、小さくて」

苦笑混じりに言う。男と言った途端警戒色を滲ませるが、その後の言葉に対して小さく吹き出す

「警戒してたのがバカみたい。いいよ、案内してあげる。私もどうせ総督府に行くところだったんだ。その前にガンショップだったね。好みの銃とか、ある?」

「見て決めたいかな。……それじゃあ、お願いします」

倒れているキリトの襟首をつかんで引っ張る。グェって聞こえたが気にしない

「うん。……ところで彼、大丈夫なの?」

「いつものポジションだから大丈夫」

見た目美少女が白目むいてるけど気にしない。それよりも……

「そういえば名前聞いてなかったよな?」

「私はシノン。……改めてよろしく」

「リンだ。こっちはキリト。こちらこそよろしくな、シノン」

俺とキリトの名前を聞いて少しシノンは目を見開く。でもすぐに首を左右に振って微笑んだ

今ので確信した。シノンは朝田詩乃であると
 
 

 
後書き
蕾姫「というわけでシノンとの邂逅、ならびに正体の看破でした。ちなみに逆は気付いてません(笑)」

リン「おいこら、てめえ……容姿桜ってどういうことだよ」

蕾姫「ミニマム化。桜ちゃん可愛いよね〜。五次だとヤンデレ化するけど……」

リン「だからって使うなよ……」

蕾姫「俺にその常識は通用しねぇ」

リン「帰れ、メルヘン野郎!!」

蕾姫「次回、拳銃選び。……拳銃どうしよう」

リン「決まってないのかよ……」

蕾姫「連射性に優れた拳銃がなかなか……。説明読んでもちんぷんかんぷん。というわけで詳しい方おすすめをお願いします」

感想その他、お待ちしています!拳銃は連射性、軽量、速射性、重視で。お願いします
 

 

武器屋

「ここがガンショップ……。なんかものものしいな」

「まあ、リアルの日本じゃ絶対あり得ない光景だもんね」

シノンの先導でようやく迷子からのジョブチェンジに成功した俺とキリトは現在ガンショップで銃の物色中だ

ちなみにキリトは光剣に貼りついている(誤字にあらず)。キリトの武器メイキングが終了したので俺の武器を選んでる途中だ

「どんな銃がいいの?」

「連射性能に優れていて軽い銃がいいかな」

「うーん……だったらグロック17とかいいかな?」

シノンが一つの銃の名前を口にするが正直わからない。その時一つの拳銃が目に留まった

「これは?」

「それにするの?それはコルト・シングル・アクション・アーミー。通称ピースメーカー。結構古い銃で早撃ちに適してるけど……弾数は六発だし威力も低いよ。……あまりオススメできないかな」

早撃ち。俺にぴったりだな

「じゃあ、これにする。あとシノン」

「なに?」

「ナイフってどこにある?」

「え?えっと何に使うの?最近アップデートされた銃は軒並み命中率が高いからあたる距離まで行くのは相当難しいと思うけど……」

通常フィールドならともかく大会に出ようというプレイヤーがナイフを買うのはかなり珍しい。そもそもガンゲイル・オンラインにおいてナイフの位置付けというのは弾代も払えない時の緊急用というものだ。まだ銃の少なかった第一回大会ならまだしも最近の大会で戦えるとは思えない。だからシノンは疑問の声をあげたのだ

だが、俺は微笑み片目をつぶって口元に人差し指を当てて言った

「禁則事項です」

これは絶対桜ちゃんの容姿だから様になってるよな。そう思いつつもナイフを品定めし始めた。店にいた何人かが俺を見て頬を染めていたがおそらく紳士(ロリコン)に目覚めたのだろうな

「えっと……でもコンバートしたばかりだよね?」

その言葉でシノンの言わんとすることがわかった。金がない

「そうだった……」

キリトの方を見ると崩れ落ちてるし

「あのね、もし、よかったら……」

シノンの言おうとしていることがわかった。だが、キリトも俺もそれを享受するのにはすごい抵抗がある。……今回は諦めざるを得ないかな

そしたらキリトがカジノのことを言い出した。……現実でもそうだろうが、ギャンブルゲームは運営側が必ず勝てるようにできている。わかりやすい例を出すと宝くじなんかの一枚あたりの期待値は100ちょいがせいぜい。一枚300円なのにな。同じ結論に達したシノンも呆れたような笑みを浮かべた

「ああいうのは、お金が余ってるときに、スるのを前提でやったほうがいいよ。そりゃあ、あちこちに大きいのも小さいのもあるけどね。確か、この店にだって……」

キョロキョロと見回したシノンはお目当てのものを見つけたのか指差した。するとすぐにキリトが寄っていく

幅三メートル、奥幅二十メートルほどか。一番奥に趣味の悪い西部劇のガンマンのようなNPCが。ゲームの名前は《Untouchable!》

触れることはできない……でいいのかな?

「手前のゲートから入って、奥のNPCの銃撃をかわしながらどこまで近付けるか、っていうゲームだね。今までの最高記録が、ほらそこ」

シノンが指差した床には赤く発光する細いラインが

「へえ。……いくら貰えるんです?」

「えっと、確かプレイ料金が五百クレジットで……って、え?」

「ん?」

シノンの話の途中から俺はすでに動いていて、今参加料金を払ったところだ

「リン……ギャンブルはダメだって……」

「こんなのギャンブルじゃねぇよ。ただの弾幕ゲーだ」

ルナシューターの俺に敵はいねぇ(関係ない)

NPCガンマンが英語で何かを喚くが俺の意識にはなかった。集まってきた野次馬の声も耳には入らずガンマンだけを見つめる

そして、カウントが0になると同時に走りだす

即座に三ヶ所、体の真ん中高めと右肩、それに右腕を弾道予測線が貫こうとした。だが、すでに俺の体はそこにはない。右肩を引き、軽く下げているからだ。ソードアート・オンラインのシステム外スキル"見切り"。ガンマンの目線、指にかかる力、体の強ばり、そこから攻撃の軌道を読む。弾道予測線ですら俺の体には当たらない。三発の弾丸が後ろに飛んでいくが無視

次にガンマンの目線が足、膝、腰と動く。俺は狙われた方の足とは逆の足で踏み込むと、その足を軸に一回転。スピードを殺さずそのまま走る

短いSEが響くがそれも無視。ガンマンは回転式弾倉を即座にリリースし、新しい弾を装填。即座に撃ち放つ。狙いは足、地面すれすれの弾道。前に飛び込むようにして回避。地面に両手がつくと同時に即座に横に飛び退く。俺の頭があった場所に銃弾が

足のバネを利用して再び斜め前に跳ぶ。ガンマンの目線が俺を追う。左右にさまよった後俺にピタリと狙いを定める。二発の銃弾が俺の退路を断つように左右に飛来。続けて俺の体の真ん中を狙って一発

だが、当たらない。フックスライディングのように軽く足を曲げて地面を滑る。弾は肩のすぐ上を通過

再びガンマンがシリンダーをリロード。今度は同時に六発もの弾丸を放つ。距離が近いが、まだ穴はある。体を横にして首を傾けることで全てをかわす

あと二歩ほどの間合い。この距離ならばリロードの間に触ることができる。だが、俺は上に跳ぶ。なぜなら視線がそこを狙っていたからだ。するとそこにノータイムで六本のレーザーが飛来した。弾をリロードせずにノータイムとか元攻略組でなければかわせないのではないのか

「やっぱりな」

そう呟きながらガンマンを触る。するとガンマンはオーマイガッとか叫ぶ。そして、ガンマンの背後が崩れ金貨が流れ出てきた

それも消えるとゲームはリセットされた

……案外楽しめたな

そう思ってふりかえると人の山。少々気圧されながらもキリトとシノンの元へ向かう

「……あなた、どういう反射神経してるの……?最後、目の前……二メートルくらいのとこからのレーザーを避けた……あんな距離だともう、弾道予測線と実射撃の間にタイムラグなんてほとんどない筈なのに……」

シノンが目を丸くして話しかけてくる。キリトは普通だ

「いや……俺は最初っから弾道予測線なんて見てないよ」

「じゃ、じゃあ何を見てたのよ」

「相手の重心とか力の入れ具合。後は視線かな?」

普通に答える。こんなこと明かしても別にマイナスにはならないからな

「そんなものでわかるものなの?」

「訓練すれば誰でも」

な、とキリトの肩を叩くと苦笑いをしながらうなずいた。シノンを含めるギャラリーの皆さんは開いた口がふさがらないようだがな

「金は手に入ったから武器をさっさと買おうぜ」

「おう」

シノンの手を引き再び武器を買いに戻った

余談だが、シノンが我に返った時、俺が手を握っていることに気付いて顔を赤く染めるのはまた別の話 
 

 
後書き
蕾姫「まあ、唖然とするよな。見た目桜みたいな女の子が銃弾の雨をくぐり抜けるのをみたら……」

リン「いや……まあ分かるが……」

蕾姫「とりあえず武器購入〜。キリトは原作通り光剣とファイブセブン。リンはピースメーカーを二丁(・・・)に銃剣をお買い上げ」

リン「まあ、じゃあ次回」

蕾姫「銃での戦闘、うまく書けるかな……」

では感想その他お待ちしています

ではでは〜
 

 

悪意ある視線

「さてと……」

武器や防具、その他のもの(時計等)を買った俺たち。買った腕時計を見るとちょうどいい時間だった

「そろそろ行こうか」

「ん……もうそんな時間?」

「今、二時半ぐらいだよ。三時じゃなかったか?」

俺がいなくてキリトだけだったら待ち合わなかったことは想像に難くない

「そうね。じゃあ、行きましょうか」

NPCやプレイヤーの波を縫うように歩く

「そういえばあなたたち。なんでガンゲイル・オンラインに来たの?」

唐突にシノンがたずねてくる。それにキリトが答える……

「それはちょっと銃での戦闘に興味が……」

……のを遮って俺が答えた

「仕事だよ。仕事でこの世界に来たんだ」

「おっ、おい!?」

キリトがあわてる。だが、俺はキリトを目線で制した。どうせ隠したところでばれることは必死。ある程度情報を出してやれば協力関係を築き安くなるだろう

「仕事ねぇ……。バレット・オブ・バレッツに出場するってどんな仕事よ」

そういう切り返しが来るのは予想できていた。だからあらかじめ容易しておいた答えをシノンに言う

「本選まで出てきたら教えるよ」

予選ではまず危険はないだろう。やつはなるべく目立ちたいようだから本選で何かやる可能性が高い

「絶対に教えてもらうわ」

シノンはかなり好戦的な笑みを浮かべる。それは生き生きとしていてかなり魅力的な笑顔だったが、シノン=詩乃とわかっている俺には複雑だがな

そんな話をしている間に総統府に到着。正面の扉から入るとそこは広いホールだった

「えっと……」

ホール内を見回すが見つからない。残り時間は十分ほど

「こっち」

シノンの誘導に従って行くと総統府のホールの一角に複数の端末があった。個室などは無く、隣が見えなくなっているだけである

「わからないことがあったら聞いてね。隣の端末で登録してるから」

真ん中にシノン。その両隣に俺とキリトが登録する形になった

「……名前……ね」

まず一番上に名前を打ち込む欄が。死銃はソードアート・オンラインからの生還者だということは知ってる。俺は……残念ながらかなりの有名プレイヤーだ。ソードアート・オンラインでの名前をそのまま使用してもいいのだろうか?

「いや……むしろそれでいい」

俺が狙われればその分狙われる人数が少なくなる

だから俺はソードアート・オンラインでの名前、"RIN"で登録する

名前以外にも住所や郵便番号など、打ち込む欄があったが、賞品がもらえなくなる可能性がある、ってだけで参加はできるみたいなので全キリ。三人の中で最も早く登録を終えた。登録を終了するとエントリーを完了した、という文章と予選トーナメント一回戦の時間が表示された。……約三十分後か

「終わった?」

隣からそういう声が聞こえたので思わず生返事をしてしまう

端末から離れるとそこにはシノンの姿があった。クスクス笑っている。恥ずかしいな

「相変わらず、女の子と仲良くなるスピードが速いな。リン」

キリトが茶化してくるがはいはい、と俺は流す。がシノンは流せなかったようで顔を赤くしている

「それより、お前何番だった?」

登録したときグループと番号が振り分けられたのだ

「俺か?俺はFの三十七番」

「グループは一緒だな。俺は四十二番」

「私も同じグループで十二番。……同じグループで本選に進めるのは二人。私はあなたたちと決勝まであたらないから……」

「俺とキリトはよくて準決勝で当たるわけだ」

先ほどトーナメント表を確認した。キリトはほぼ間違いなく勝ち上がってくるから、俺が勝ち抜けば準決勝で当たる

「……負ける気はないからな」

「俺もだ。今回だけは譲れない」

俺とキリトは笑い合う。目には闘志を燃やしながら

「私も忘れないでよね。どちらが上がってくるのかは知らないけど……」

そこでシノンは一度言葉を切ると微笑んだ

「予選だからって……手は抜かないからね」

なんとまあ好戦的な連中が集まったものだ。そのうちの一人である俺が言えた義理ではないが

「それにしても、洋ゲーにしてはこの端末の日本語はしっかりしてますね?公式サイトは英語オンリーだったのに」

「キリトが……公式サイトを見た、だと」

ようやく学習したか?

「そんなに驚かなくてもいいだろ?」

ブスッとした表情で言ってくる

「いや、猪突猛進を地で行くおまえが下調べをするなんて、な」

「俺だって下調べはするよ!!」

思わず大声を出すキリト。うるさい……

「ああ……うん。話を戻そうか。運営体のザスカーっていうのはアメリカの企業なんだけど、このJP(日本)サーバーのスタッフには日本人もいるみたい。でも、ほら、GGOって日本でもアメリカでも法律的には結構グレーらしくて」

「通貨還元システムのせいですね」

キリトの言葉にわずかに苦笑を滲ませるシノン

「そう。ある意味、私営ギャンブルだもんね。だから表向きのホームページとかには最低限の情報しかないんだ。所在地も載ってないんだから徹底してるよね。キャラ管理とか、通貨還元用の電子マネーアカウント入力とか、ゲームに関する手続きはほとんど中でしかできないの」

「何て言うか……凄いゲームですね」

キリトがそう思うのも無理はないだろう。そこまで情報管理に徹底しているゲームはガンゲイル・オンラインを除いて皆無だろう

「だから、リアル世界とはほぼ完全に切り離されてるんだけど……でも、そのせいで、今の自分と、現実の自分も、まるで別人みたいに……」

シノンの瞳に一瞬影が差す

「……?」

キリトはわけがわからなかったみたいだが、シノンの現実……朝田詩乃を知る俺にはその意味が完全に理解できた。だから、次の言葉が自然と口に出ていた

「リアルとバーチャルを完全に切り離すことなんて出来はしない」

「え?」

「どんなに取り繕っても、どんなに猫を被っても本質は変容しない。だってその人は、その人だから。俺は俺だし、キリトはキリト。もちろんシノンもシノンだ」

「……考えておくわ」

俺のその言葉はシノンには届かなかったようだ

「……そろそろ、予選の会場に行かないと。って言っても、ここの地下なんだけどね。準備はいい?」

「ああ……」

俺とキリトがうなずくとシノンはこっち、とエレベータのところまで先導してくれる

エレベータに乗り込むとシノンは迷わずB20Fのボタンを押した。エレベータは架空の落下する感覚を与えてくる。待つこと数秒。エレベータが開く。そこは広く薄暗いホールだった。天頂部の多面ホロパネルには【BoB3 preliminary】の文字とカウントを続ける数字。そして壁際に存在するテーブルや椅子。そして、そこに座るプレイヤーたち

「……はぁ……」

新しく来た新参者に向けられる粘っこい視線。悪意は感じないが測るような、試すような視線に嫌気が差す。そういうあからさまな視線は怖くない。わかっているなら対処できるし、軽くひねりつぶせる。だが、その逆。そういう視線をコントロールできるやつが怖いのだ

微弱な視線。粘っこい視線の中で消えてしまいそうな視線だが、俺は確かに感じた。そちらに視線を向けると壁の隅の暗がりでこちらを見つめるギリーマントで骸骨を模したであろうゴーグルをつけたプレイヤーが一人

「……どうしたの?」

「なんでもない」

シノンが肘でつついてくる。俺はそいつから視線を切るとシノンに微笑む。……シノンにむいていた視線の半数がこちらに来たんだが……(熱っぽい視線が複数)

「まず、控え室に行こう。あなたたちも、さっき買った戦闘服に装備替えしないと」

「そうだな。……キリト?」

キリトの方を見ると微妙に腰が引けている。……本当なら回し蹴りを打ち込むところなんだが、自重して頬をつねる。……なんか生暖かい空気になったんだが

「はい、行くぞ」

「……わかったよ」
 
 

 
後書き
蕾姫「骨もくっつき全力全壊の蕾姫ですw」

リン「全壊したらいかんだろうが……」

蕾姫「えっ……心配してくれるの?」

リン「いや……お前が更新をやめたら俺が動けなくなるだろうが」

蕾姫「そんなことだろうと思ったよ!!」

リン「大丈夫。お前の弄られキャラはもうすでに周知の事実だから」

蕾姫「ぶつぶつ……」

リン「地面に"の"を書くとか古いなお前……」

今回は移動回。つか武器屋から総統府まで何キロあるんだろ……。20分で着けるのだろうか?健脚だったんだな、皆。うん←

視線の正体は皆わかってるよね?ん?病院弟?知らんよそんなやつ
原作と違ってあれには詩乃は恋愛感情を持っていません。あくまでお友達です

なんで視線がわかるって?攻略組の皆さんがバグキャラだから。だから俺が悪いのではないと言っておく

更衣室は皆一緒に。会話せにゃならんからな。だが、いくらキリト君でもシノンの下着姿をみたら……殺るよ?

では感想、妄想、空想、幻想、理想……お待ちしてますw
質問も、あればどうぞ
 

 

控え室にて

シノンに続いて控え室に入る。中はやや狭いロッカールームふうの空間になっていた

「……全く……お調子者ばっかり」

「それには同感だな」

「そ、そうだな」

……冷や汗が出てるぞ、キリト。誤魔化してもバレバレだぞ?軽く気圧されてたのは

「リンはわかってると思うけど、武器は試合直前に装備したほうがいいよ。……えっと、じゃあ着替えるから……」

シノンの言わんとすることがわかったので俺は即座に後ろを向く

「え?」

が、キリトは察することができなかったようで動かない

「え、じゃねぇよ」

再びキリトに回し蹴りがジャストミート。ノックバックによりキリトがぶっ飛びロッカーの角に頭をぶつける

現実なら死んでるな。バーチャルでもそれなりにダメージがあったらしくキリトはしばらく頭を押さえてうずくまっていたが、しばらくして俺に涙目で文句を言ってきた

「何をするんだよ!!」

「もうちょっと鋭くなれ、キリト」

そう言うとキリトは首を傾げた

「?鋭い方だと思うが?」

「感覚の方じゃねぇよ。いいか、鈍いおまえのために順序だてて言ってやる」

俺はキリトを部屋の隅に連れて行く。シノンには先に着替えてて、とジェスチャーを送る。わかるか不安だったが、うなずいたから大丈夫だろ

「まずは、ここは更衣室。更衣室は何をやるところだ?」

「着替えだろ?」

なんでわからないんだろ?……アスナに報告かな

「シノンは女で俺たちは男。そこで問題だ。この更衣室で女であるシノンが男である俺たちに後ろを向け、と言った。……どうだ?」

キリトが目を見開いてるからわかったんだろうな。自分がアホだったことを。俺は静かにため息をつく。ようやくわかってくれた

「もう、いいわよ」

シノンから許可が出たので振り向く。シノンは戦闘服に着替えていた。その姿は気性の荒い山猫を思い起こさせた

「じゃあ、私は外に出るけど最後に言っておくわ」

シノンはメニューを操作すると名刺のようなものを二枚実体化させこちらに投げてくる

「どちらと当たっても……」

闘争心を剥き出しにした鋭い目線をこちらに向けた

「手加減はしないから」

その闘争心には応えないとな。俺は自分の名刺のようなものをシノンに投げる

「ああ。相対したらその時は」

キリトも同じくシノンに投げる

「お互い全力で戦おう」

そう言うとシノンはふっ、と微笑み更衣室をあとにした

「シノンと戦うためにはまずおまえを倒さないといけないよな」

メニューを呼び出し装備全解除のボタンを押しながらキリトに声をかける

「楽しみだ。おまえと戦うなんて久しぶりだからな」

「二人の双剣使い、ねぇ」

「感慨深そうだな」

俺がボソッと呟いた言葉にキリトは反応した。どうやら自分でも予想外なほど懐かしむ雰囲気を出していたようだ

「本当は一人にしか与えられないはずの勇者の如き力。それが二人に与えられた」

「俺はおまえなら背中を安心して預けられるぜ?」

そのキリトの言葉に軽く笑う

「俺はおまえの背中を守るんじゃねぇよ。おまえの背中を守るのはおまえのヒロイン(アスナ)の役目だ。俺はただ、おまえらが進むのを導く道しるべにしか過ぎない。でも……」

そこで言葉を切りキリトを見る。……ったく勇者っぽい顔をしてるよな

「今回だけは譲れない。譲らない。なぜなら俺の、俺だけのヒロインが苦しんでるんだ。だったら道しるべだとしてもそいつのヒーローとして助けてやらないといけないだろ」

「リン……」

キリトがつぶやくように俺の名前を呼んだ

「だからって手加減するなよ?」

キリトのことだから何も言わないと手心を加えそうだからなぁ

「……わかったよ」

ちょっと罰の悪そうな顔をする。やはりな

「もう、そろそろ第一試合が始まるぞ。出ようぜ」

「了解」

更衣室を出ると再び視線の波が襲ってくるが先ほどのシノンのものに比べれば軽い。いや、比べるのも酷か

シノンは……壁の隅で腕を組み目を瞑ってじっとしている

目線を向けると薄く目を開けたシノンと目が合う

「静かな闘志や殺意が一番怖い」

「……どうした、リン?」

「なんでもない」

誰にも聞こえないように言ったつもりが隣にいたキリトには聞こえたようだ。首を傾げたキリトに目を瞑って首を横に振ってやる

「もうすぐだな」

もう残り時間があと一分もない

「準決勝まで来いよ?」

「当たり前だろ。おまえこそ、途中で負けるなよ」

そう言った途端視界が光に包まれた

「……ふーん……」

視界が回復したとき、そこはニュートラルコーナーとも言える場所だった。対戦相手の名前は、LOVE&PIECE。……愛と平和って書こうとしたんだろが……なんでこの世界来てるんだ?どう考えてもこの世界に愛はともかく平和は無いだろ。それと綴り間違ってる。そのPIECEは欠片って意味になるぞ?

おっと、対戦相手の名前について思考してたら時間が危なくなってた

俺は急いでピースメーカーを二丁とサブ装備と弾丸を実体化させ服にある複数のポケットに分けて入れる

ちなみにフィールドは林

「隠れるところ、多そうだな」

某LOVE&PIECEさんがどんな武器を使うのか知らないが負けるわけにはいかないんでね

……悪く思うなよ
 
 

 
後書き
蕾姫「いろいろと満身創痍な蕾姫です」

リン「まあ、気にしてやるな」

蕾姫「今回、残念ながらバトルに入れませんでした……」

リン「入る気がなかっただけだろ」

蕾姫「……」

次回はようやくバトルに入れそうです。ではよろしくお願いしますね
 

 

銃と弾丸

残り時間がゼロになった途端目の前が真っ白になり、次の瞬間には俺は林の中に立っていた

「さて……どこにいるんだ?」

林の中。障害物になる木が多くあり見通しが悪い。特徴といえばそれぐらいだ。俺の武器との相性はかなりいい。ピースメーカーは少々射程距離に難があるからな。最大装填弾数も六発しかない。まだ、手札を使うわけにはいかないし、この十二発で仕留めたいところだ

ポケットの中にあるピースメーカーを握りながら目を閉じる。どうせ見えないんならいっそ視覚を閉ざす。必要ない感覚を削ることで他の感覚を活性化させる。嗅覚も触覚も味覚もいらない。必要なのは聴覚。敵が動くその音だけ

しばらくは風が地面に生えた草を揺らす音しか聞こえなかった

「……?」

数分後、俺はちょうど真後ろから違和感を感じた。音が増えたのではなく、消えたのだ。言うなれば風で草が揺れる音で満たされた空間にぽっかりと空いた空白

つまり、プレイヤー

俺は目を開けて、軽く笑みを浮かべるとタイミングを計る。最も効果的に衝撃を与えられる瞬間を

「なっ!?」

俺が振り向くのとそのプレイヤーが立ち上がるのはほぼ同時だった。俺が気付いているとは思ってもみなかったらしく一瞬動きが止まる

その間に二、三歩すでに動いている。そのプレイヤーは全身迷彩色の服で手にはアサルトライフル。腰には二つのプラズマグレネード

やがて硬直から覚めたそのプレイヤーは膝立ちになるとアサルトライフルの銃口をこちらに向けた

俺は複数の弾道予測線が俺を貫くと同時にポケットに突っ込んでいた手を抜き放つ。もちろん持っているのはピースメーカー

数瞬遅れてアサルトライフルが火を噴いた。当たる弾数は八。残りは後ろに流れるようだ

「っ!!」

戦いに加速している俺の眼にはその銃弾の軌道がはっきり見えた

飛んでくる銃弾にピースメーカーの銃口を向ける。ピースメーカーの銃口から伸びる剣をイメージ。一発目は、ピースメーカーの弾速がわからないためほぼ正面から撃つ。口径はあちらの方が上らしくかるくダメージを負う。だが、それだけ。ピースメーカーの弾速を完全に把握した俺は続く七発の銃弾を横から撃つ感じで軌道を変える。某緋弾の言葉を借りれば"弾丸撃ち"

残り弾数。左が三。右が一

「嘘だろ!?」

敵プレイヤーはアサルトライフルを捨てると胸ポケットに手を突っ込む

リロードしている暇はないと思っての判断だろう。加えてピースメーカーの性能を知ってるのだろう。威力が決定打になり得ないということを

「させねぇよ!」

ピースメーカーは旧式のリボルバー式拳銃だ。威力はこの世界では弱い分類に入るだろう。それこそブレイクポイントにマガジン一つ全てを撃ち尽くさなければ倒せないレベルで。相手もそれがわかっているのかまだあきらめていない

だが……俺の狙いはプレイヤーの体ではない

放たれた銃弾は過たず狙った場所に直撃した。そう、相手の腰のプラズマグレネードに

軽くて強力。そんな便利なアイテムがなんのリスクもないわけないだろ

小さく散った火花。そして、一瞬遅れて盛大な爆音と閃光をもってそれは爆発した

静かに息を吐く。そして目の前に勝利した旨の文字が現れ元の控え室に転送された

「っと?」

部屋の一つの面に広がる画面群。その画面内では多数のプレイヤーが戦闘を繰り広げていた。戦闘モニター。俺の戦いを見ていた人もいるようで俺が帰ってくるとどよめきが生まれる。どこの所属だ?等の声を無視しながら、俺はモニターを流し見する。探しているのはもちろんシノンとキリト

「おっ……いたいた」

右上から下に三。左に五いった場所にキリトが戦っている画面があった

「……バーサクしてるなぁ」

キリトが相手の銃弾を全て光剣で迎撃している様子が映っている

「キリトは……余裕そうだな」

何というか当たった相手に同情すら感じる。キリトは公式チートだし……

そんなメタなことを考えながらシノンの戦闘画面を探す

「……見つけた」

キリトの画面とはそう遠くないところにシノンの画面はあった

「狙撃銃か」

シノンの手に握られているのは巨大な狙撃銃。今は地面に伏せて敵を待ち構えているみたいだ

「あなたも応援?」

声をかけてきた背の高い男が一人。俺の容姿はまことに不本意だが初見で男と見破るのは不可能に近い

「ナンパですか?」

「違います!シノンが戦っている画面を見ていたようだったから……」

長い銀灰色の髪をかきあげる男

「なんでシノンが戦っている画面を見ているとわかったんだ?」

「シノンの戦っている画面の辺りをみて狙撃銃ってつぶやいてたので」

「なるほど。そうだな……さっきの質問に答えるなら俺はトーナメント参加者だ」

そう答えるとなぜかその男は困惑した様子を見せた

「……その姿で俺はやめた方がいいと思うよ?せっかく可愛いアバターを手に入れたんだし……」

「……はぁ……」

俺は黙って、もはやお馴染みの名刺の様なカードをその男に投げる

「リンさん……ですか。そして……男……」

なんだその世の中の不条理を見たような表情は。俺自身も不条理だと思ってるからそんな眼で俺を見るな

「リン。早かったわね。……あれ?シュピーゲル、あなたも来たの?」

シノンが戦いから帰還した。どうやら俺が男と話し込んでいる間に戦いを終えていたらしい

「うん。シノンの応援にって思って」

顔を緩ませるシュピーゲル。端から見れば恋する男子そのものだ。眼に危うげな光が宿ってなければ

「ありがと。それにしてもリン。あなた、私よりも早かったのね」

「俺は近接速攻型。シノンの遠距離狙撃型よりは、勝つにしても負けるにしても早く終わる確率が高いからな」

そうね、と微笑むシノン

「シノン。彼との関係はなんなの?」

シュピーゲルはこちらを睨みながらシノンに問いただす

「ライバルよ」

一瞬の迷いもなくそう言ったシノン。俺はそれに喜びを感じた。強い者からライバル宣言されるのはやはり興奮するものだ

「そう……」

腑に落ちないような表情を見せるがシュピーゲルは引き下がる。そのままシュピーゲルは壁の方へ歩いていった

「そういえばキリトは?」

「ん、そういえば……」

シノンの言葉に辺りを見回しキリトを探す

「お……。いたいた」

端っこの方で椅子に深く腰掛け顔を伏せているキリト。が、明らかに様子がおかしい

「どうした、キリト?」

顔を上げたキリトは恐怖にうち震えていた

「……シノン。すまないがちょっとあっちに行ってくれないか?」

シノンは一つうなずくと向こうの壁の方まで歩いて行った

それを確認すると俺は再度キリトに問いかけた

「どうした、キリト?」

「死銃は……」

「死銃がどうしたって?」

「死銃はSAO生還者、それも……」

「レッドプレイヤー、ってか?」

「知ってたのか!?」

「何となく気配でな」

自分でも人外地味てきたのはわかるよ?気配読みとか……

「そうか……」

「あの戦いは仕方がなかったことだ」

そう言うとキリトはこちらをにらみまわりも気にせず叫んだ

「リン!!お前は人の命を何だと思ってる!!」

「ならおまえはあそこにいたすべての人の命を救えたというのか?」

「それは……」

あくまで冷静に。俺の問いかけにキリトは答えを窮した

「殺らなければ殺られていた。その中で、別に自分だけがそんな幻想を抱いて死んでいきたいというなら俺はかまわない。でもな」

俺は言葉を切ると初めてキリトをにらむ

「それが原因でまわりのやつが、仲間が死んでいくのには耐えられない。確かに人を殺した。俺だって三人。この手で奪った。でも、俺はそれ以上の数の命を救った。もちろん殺した三人のことは覚えている。贖罪もしよう、謝罪もしよう。だが、後悔だけは絶対にしない。なぜなら俺は自分の手で救った命が必ずあるのだから」

モニターを見るとちょうど一回戦がすべて終わったところだった。もうすぐ二回戦だな

「勇者であるおまえには小をすて大を救う考えは理解できないかもしれないが……。だが、忘れるな。おまえに救われたやつもいるってことを」

そう言うと俺を光が包み込んだ

……これがご都合主義というやつか
 
 

 
後書き
蕾姫「初試合+αでした」

リン「明らかにαの方が重かったよね?なんか俺、どこぞの赤い傭兵化してたし……」

蕾姫「無限に剣を内封した世界でも使ったろか?」

リン「いろいろな意味で問題だろ……」

蕾姫「今回は見てのとおりリンがキリトにいろいろ言う回です。地味に私の持論を展開してますがご容赦ください。反論は結構ですが、感想には書かないようにお願いします。意見なんて人それぞれですしね」

リンは殺人に対する感覚は戦場でのそれです。殺される前に殺す。守るために殺す。そこに躊躇は存在しません。まあ、それには過去が絡んでくるわけですが、それはまた今度、ということで
大体想像はつくとおもいますが

リン「微妙に血なまぐさい場面だが、見捨てないでやってな?苦手なシリアスなのに頑張ってるんだ」

蕾姫「……」

感想その他お待ちしています
 

 

二人の双剣使い

「ふぅ……」

俺やキリト。そしてシノンは順当に勝ち進む。俺に関して言えば一番苦労したのは一回戦だった。それ以外はほとんど俺の速さに反応できないやつばかりだった

つまり速さが足りない!!

すまん、なんか電波を受信した

一回戦のあと、シノンがキリトとのことを尋ねてきたがはぐらかした。人には思い出したくない過去がある、と言って。そう言うとしぶしぶだが引き下がってくれた

それよりも、だ。次は準決勝。相手はキリト。楽しみだな。キリトと戦うのは久しぶりだ

フィールドは荒野。ほぼ視界を遮るもののない平坦なフィールドだ。それでいい。キリトとの勝負に小細工など必要ないのだから

「さて……」

スタート直後だがキリトの姿ははっきり見える。だんだんと姿が大きくなっているのは近づいてきているからだろう

「よう、キリト」

あくまでいつも通り声をかける。だが、どちらも戦闘に入る隙をうかがっているのは百も承知

「よう、リン。おまえと戦えて嬉しいよ」

そう言うとキリトは腰から光剣を抜いた。さらにそれとは逆の手で銃を握る

対して俺は両手にピースメーカーを持つ。どちらもお互いが使っている武器に関して熟知している

キリトはFNと光剣。俺はピースメーカー

銃弾斬りに銃弾撃ち

そして、二人の双剣使い

もうかわす言葉など必要ない

いざ……尋常に

勝負!!

キリトの光剣がブウンと音をたてたのを合図に俺とキリトはほぼ同時に飛び出した

俺が後ろに下がりながら立て続けに放った二発の銃弾をキリトは無駄のない動きて斬り捨てる。お返しか、しらないがキリトのFNが火をふいた

俺はその銃弾を銃弾で反らす。後ろ向きに動く俺と前向きに動くキリトではキリトの方が速い

この攻防の間も、キリトは着実に近づいて来ている

俺は右手の銃で一発撃ち、さらにすぐ後で左手の銃で一発撃った

その軌道はほぼ一緒。だからかキリトはあとから来た銃弾に反応しきれずその身で受けてしまう。だが、キリトは怯まない。さらに距離を詰めようとしてくる

残り弾数、右3左4

距離はあと10mほど

キリトのことだ。もう同じ手は通用しないだろう

だから他の方法で隙をつくる

牽制に二発放つもキリトの持っている光剣に弾かれる。銃弾で銃弾を撃つ俺がいうのもなんだが、とんでもないやつだ

残り弾数右2左3

もう牽制は意味ないだろう。これ以上は無駄弾。なら、一番得意なレンジ。近距離で戦うしかないだろうな。武器ではあちらの方が圧倒的に上。技術もあちらの方が上だろう
だが、まだ俺には奥の手がある

「ふっ!!」

俺は反転し、前に跳ぶ。もちろん前にはキリト
だが、キリトも俺の反転をよんでいたのか光剣を振りかぶっていた

俺は続けざまに二発の銃弾を放つ。キリトはそれを光剣で弾く。それによってキリトは俺を斬る余裕が無くなった

残り弾数右1左2

「くっ……!」

キリトの表情に焦りが入る。キリトは後ろに下がりながらも水平に光剣を振った

それは悪手だ。もちろんキリトをそういうふうに誘導したのだが
銃弾を弾いたキリトの光剣は横に流れていた。そこから俺を斬るためには水平斬りしかないだろう
だから俺は足を曲げ地面を滑る。今回のフィールドである荒野には丈の短い草が生えている。地面との摩擦係数はかなり小さいのだ。つまりスライディング要領でキリトの剣の下をくぐり抜けたのだ

キリトは光剣を振ったあとに己の失策に気付いたのだろう
顔が悔しげに歪む

俺は滑りながら三発の銃弾をキリトのブレイクポイントである心臓のあたりに撃ちこんだ

だが、キリトのHPを削りきるには至らない

俺は舌打ちしながらもそのままキリトの後ろに抜ける

振り返って止まるとキリトも止まった

その距離約5m

「それで弾切れだろ、リン」

「……言うと思うか?」

だよな、そう言ってキリトは笑った。わかっているのだろう。俺の持っている銃に弾が入ってないことを。だが、キリトは構えを変えない。弾込め、もしくは下がる余裕はない

「惜しかったな、リン。あそこでかわされるとは予想外だった」

「倒しきれたと思ったんだがな……」

俺とキリトは苦笑いを浮かべる。これを観ている観客はなんで動かないのか疑問に思っているんだろうな

「安心しろ。おまえが守りたかったものは絶対に俺が守ってやる」

「自分で守るからこそ意味がある」

「へ?」

「一度守ると決めたものは絶対に自分で守るって決めてるんだ」

俺がそういうとキリトは嬉しそうに笑った

「なに、笑ってるんだよ」

「いや、お前らしいって思ってな」

「何を今さら」

俺はキリトの言葉にため息をつきながら肩をすくめる

「背中を預けた仲だろ」

キリトは相変わらずそんなことを臆面も無く言えるよな。……俺も言ってる気がするが

「このタラシが」

「なんで罵倒の言葉が返ってくるの!?」

「うるさい。そんな言葉を吐かれた女が落ちないわけないだろ」

「は?」

どうやら本当にわからないようで首を傾げるキリト。……なんかムカつく
ついでに言うとこの会話の最中でも構えを崩さないキリトにムカつく

「無自覚なのが一番怖いよな……」

アスナはともかくシリカとリズベットが可哀想だ。俺?両方の気持ちに気付いてるよ。でもやっぱり……

「そろそろ観客も焦れてきたんじゃないか?」

「……そうだな」

なんだかんだ言いながら戦いが始まってから20分ぐらい経ってるし

「じゃあ、リン。その状況からどうやって逆転するんだ?守るんだろ?」

ニヤリと笑うキリト。そこに挑発はあっても油断はない

「言ってろ!!」

俺はその言葉と同時にピースメーカーをポケットに納め、内ポケットに両手を入れながらおもいっきり後ろに跳ぶ。それとほぼ同時にキリトも動く。力強く地面を蹴りながら俺に近づいてくる。その剣は大きく後ろに引かれている

内ポケットから抜き出された俺の手に握られていたもの、それは右手には弾。左手には銃剣(・・・)

俺がSAOで極めたのは二刀流だけではない

銃剣の形は剣で言うとエストックのような形をしている。今回それを見たキリトが思い浮かべたのはエストックではない

「投剣!?」

俺は右手のスナップを利かせてその銃剣を投げる。すぐさまその手でピースメーカーを取り出し弾をリロード。時間が無くて一発しか入れることができなかったが、キリトのHPを吹き飛ばすのにはそれで十分だ
その間にキリトは投剣をかわす。俺が改めてキリトに銃を向けたときにはもうすでに立ち直っていた

俺はもう一つのピースメーカーも取り出す

一斬と一弾。あとはこれだけで勝負がつく

足が地面に着いた瞬間蹴りだす。向きは先ほどとは逆。つまりキリトのいる方向へ

キリトの光剣と俺の左手(・・・)の銃が交錯した

キリトの光剣は形こそ剣の形だが、刃の部分はエネルギーの塊で実体がない。金属系の物質とぶつかり合ったとき、弾くことができない。それは攻撃しやすく防御し難いということを意味する
だが考えてみてほしい。刃の部分は確かに実体がない。だが、柄の部分は?その柄を金属系の部分。例えばピースメーカーの銃身などで受ければ?

「柄を弾いたか……」

今の体制はキリトの頭に右手のピースメーカーを突き付けている状態である
光剣を弾いてすぐにピースメーカーを突き付けたのだ

「俺の……負けだな」

後一歩まで追い詰めたのだらか悔しさも大きいのだろう

「リン。絶対守れよ」

「ああ……」

バレット・オブ・バレッツ。予選準決勝第二試合。リンVSキリト
勝者リン
試合時間24分13秒
 
 

 
後書き
蕾姫「なんかタイトルが最終回みたいですけどまだまだ続きます」

リン「紛らわしいな」

蕾姫「まあ、気にしないぜ。今回はリンVSキリトです。キリトに勝たせる……どうするよ、公式チート野郎相手に……って考えた結果あんな感じになりました。ショップで買った銃剣という伏線(?)はここで回収させてもらいました」

リン「あれ……伏線だったのか」

蕾姫「うるせぇよ。下手で悪かったな」

一応この戦いはシノンが観てました。一人称なので載せることができませんでしたが

ではまた次回。感想その他お待ちしています!
 

 

冥府の女神と平和の使者

 
前書き
冥府の使者=ヘカートⅡ

平和の使者=ピースメーカー

シノンVSリンです 

 
キリトとの戦いを終えると待機ドームを経ずに直接戦闘前の控え室といったところに送られた
相手の名前はもちろんシノンである
この戦いに勝とうが負けようが本戦出場は確実なのだがもちろん手を抜くつもりはない

フィールド名は世紀末の一本道

世紀末……。ひゃっはーなライダーでもいるのだろうか

待機時間も無くなり俺は戦場へ転送された

目を開けるとそこには赤い空。そして真っ直ぐ伸びる道。所々に一目で壊れているとわかる複数の車

シノンは狙撃手。放置されている車の中に潜んで狙撃の機会を伺っているだろう

今回のフィールドは障害物が多いため狙撃手にとっては有利なフィールドである。気付いたら死んでいた、なんて展開もあるかもしれない

わざわざ相手の罠の中に飛び込むのもなんだが……

「行くしかねぇか……」

進まなければ何も始まらない。弾を互いに交わさないと始まらないのだ

俺は車を盾にしながら少しずつ進んで行った。影から出る前に岩を投げる。誤射してくれればもらい物っていうものだが

「っ!!」

岩を穿った一発の銃弾。四度目になる投げた岩にシノンのもつ狙撃銃の銃弾が直撃した

いる。そっと影から覗くと前から三番目の壊れたバスの窓ガラスが割れていた

中が暗いためシノンの詳しい位置はわからないがあの付近に必ずいる

一度大きく息を吸って吐く。手のピースメーカーを握りなおし、一気に飛び出した

飛び出した瞬間銃弾が襲ってくるが二発の銃弾でそれを弾くと地面をしっかりと蹴り加速する

一発では口径が違いすぎて反らしきることができないと判断しての処置だ

残り弾数右5左5

シノンの狙撃銃ヘカート?はボルトアクションで連射は効かない。次弾の装填まで多少の時間がかかる。それに今の弾で大体の居場所はは判明した。ヘカート?はかなりの重量があるため一度下ろした銃を移動させるのは現実的ではない。固定概念を持つのは良くないが大体の当たりをつけるのは構わないだろう

「そこだ!」

二発の銃弾が当たりを付けたあたりにある窓ガラスを砕く

見えた。こちらを見据え冷静に銃を構えるシノンが
そしてシノンの視線が俺の足を狙っているのが

「っ!!」

次の瞬間飛来する銃弾をさっきと同じように二発の銃弾で弾く。もしかしたら一発でも十分かもしれないが、失敗すれば一撃でHPをもっていかれる
弾いたことを目にしたシノンが息を飲むのがわかる。一度ならず二度までもヘカート?の銃弾を防いで見せたから

残り弾数右3左3

シノンは目を見開いているが次弾を装填する手は淀みが無かった

「くっ……」

少しでも動きが遅くなることを期待したのだがやはり無理か

二発をシノンに当てるがシノンは全く動揺しない

やはりピースメーカーの性能を熟知しているのだろう

再び飛来するシノンの弾丸を弾く。これで俺の銃に装填されている銃弾はゼロ
まあ、計画通りだが

俺はシノンの潜伏するバスの背面に背をつける。狙撃銃はその重量故にほぼ真下やほぼ真上を狙うのは不可能だ

それでも何をしてくるか分からないので素早く弾を装填

「っ!?」

嫌な予感に逆らわず体を横へ投げ出す

ちょうど俺の体があったところを弾丸が走った。バスの車体を見ると小さな穴が開いていた

「アンチマテリアル・ライフルか……!?」

対物狙撃銃。それならばバスを貫いて俺を撃つことができただろう

鏡か何かで俺の位置を特定し撃った。シノンの銃がアンチマテリアル・ライフルだとわかった今、安全な場所はないな

今、俺の銃に入っている弾は両方あわせて五発

「行くしかねぇか」

狙撃手相手に狭いバス内で戦いたくはないが、戻ろうとしても後ろから撃たれるだけ。シノンもそれはわかっているだろう。だから迎撃のための準備をしてあるに違いない

「キリトといい、シノンといい……。楽しませてくれるな」

シノン……いや、詩乃。まずは俺の強さ。SAOで鍛えた心の強さ。おまえに教えてやるよ

中に入って目に入ったのはこちらに狙撃銃を向けているシノン。もちろんすぐさま撃ってくる

読んでいた俺は難なく撃ち落とすとシノンに向かって走る。シノンは反動で後ろの座席に座り込むが副装備であろう拳銃を抜いていた

シノンが撃とうと引き金に指をかけた瞬間斜めからシノンの銃を撃ち抜く。それにより照準がずれ、バスの運転席の当たりを蜂の巣にした

その隙にシノンに近づいていた俺はシノンの銃をシノンから弾き飛ばし、左手に持っていたピースメーカーを捨て、シノンを座席に抑えつけ、銃口をシノンの体に当てた。そして、長い息を吐く

「あー……心臓に悪い」

狙撃銃みたいな大口径の銃の弾を弾くのは本当にストレスが溜まる。一発当たれば終了なんて現実みたいじゃねぇか。SAOよりも質が悪い

本当に疲れたような顔をしていたのかシノンはクスリと笑った

「……私の負けね。撃って」

「おいおい物騒だな」

「恥を晒そうっていうの?この、あなたが押し倒しているような状態で」

「む……」

確かにそんな感じの体勢だな。でもこうしないと距離が詰めれないから

「そんなつもりはない。……というかシノン。顔が赤いが」

「あなたがリアルで好きな人に似てるだけよ」

それは恐らく自惚れで無ければ本人ですから

「それで?この状態で止めた訳は?」

「この世界に俺とキリトが来た理由」

「いいの?」

「本戦に出る以上信じる信じないは別として聞いていて欲しい」

シノンがうなずくのを確認すると俺は死銃についての話を始めた。具体的には死銃により実際に人が死んでいるということ。本戦で死銃が何人かを殺す可能性が高いということ。その二点について話した

「信じる」

俺の話を聞いてシノンが最初に発した言葉はそれだった

「自分で言うのもなんだが、よく信じれたな」

「あなたは嘘をつくような人じゃない」

そうやって信じてもらえるのは嬉しいが……

「……死銃ね。私の方でも探してみる」

「それは危険だ」

「でもそんな危険なことをリンはしようとしてるんでしょ?」

そう返されると何も言えないんだが

「だったら私も戦う。逃げてたら……強さなんて手に入らない」

「その強さを手に入れたらどうしたい?」

「む、胸を張って好きな人に告白……って何を言わせてんのよ!!」

顔を真っ赤にしてバタバタと暴れだすシノン。俺がおさえてるせいで全く動けてないけど

「そうか……」

リン=燐ってことは言わない方がいい気がする。繰り返し言うが自惚れで無ければ

「そろそろ終わりにしない?観客たちも飽きてきただろうし」

まあ、この状態のまま動かないもんな

「この状態で撃ったらどんな鬼畜野郎って思われるんだろ」

「どっちかというと鬼畜野郎ではなくて超アグレッシブな女の子って感じかな」

「そういえば女の子に見えるんだったな……」

キリト、シノンと強敵との連戦ですっかり忘れていたぜ……

「私が降参をすればいいんだけどね。……本戦で死銃を倒したら、その時は」

「ああ……」

なんでまあ俺の周りには好戦的なやつが多いんだろうな。……そうか、俺が好戦的だからか

「降参!!」

決勝戦

シノンVSリン

勝者リン

試合時間26分37秒
 
 

 
後書き
蕾姫「セクハラ野郎め」

リン「は!?いきなりなんだよお前」

蕾姫「シノンを押し倒して……」

リン「その言い方はやめろ。なんか卑猥だ」

蕾姫「押さえ付けるのにどこを押さえていたのだね?」

リン「え?えっと肩だけど?」

蕾姫「胸じゃないのか……」

リン「……一回死んでこい変態」

ミユ「……変態……」

蕾姫「グハッ……!?」

えー……狙撃銃に関して個人的な解釈が入りましたが、気にしないでください

では次回もよろしくお願いします
 

 

二人の少女

 
前書き
6/6

フィールドバック→フィードバック
に訂正 

 
「ねぇ、燐君」

GGOでキリト、次いでシノンと死闘を繰り広げた次の日の日曜日の昼食時。居候している桐ケ谷家のテーブルで桐ケ谷家の長女が俺に満面の笑みで話しかけてくる

こ、この威圧感はヒースクリフに匹敵する。……女って怖いんだな、と改めて再確認
いい加減はっきりしないと詩乃か直葉に刺されるかもしれないと、珍しく戦慄する俺

「えっと……何かな?」

声が震えなかったのを褒めて欲しいな。今の直葉は笑顔だけど目が笑ってないもの……。素直に怒ってるよりも怖い

「あのね、あたし今朝、ネットでこんな記事をみつけたんだけどね?」

そう言って俺の目の前に出されたのはVRMMOゲーム情報サイト、MMOトゥモローのニュースコーナーの切り抜きコピーだった

ちなみにタイトルは【ガンゲイル・オンラインの最強決定バトルロイヤル、第三回本大会出場プレイヤー三十名決まる】である

あー、もろ俺のことだなと思いながら直葉の指差した場所に【Fブロック一位:RIN(初)】とあった

チェックメイト

「あー……それは俺だな」

ちなみに隣ではキリトが冷や汗を書いてる。こっちが心配になるぐらい
SAO最強の剣士様も妹相手には形無しである
……SAO攻略組の二人を威圧する直葉は何者なのだろうか

「おい、燐。そんな正直にスグに話していいのか?」

直葉に聞こえないように耳打ちしてくるキリト。うん、正面を見ているからわかるんだが、耳打ちしているときの直葉。無表情になったんだけど

キリトをつついて前を向かせる。あ、青くなった

「直葉サン?木刀はやめておいた方が……」

後ろに立て掛けてあった木刀を直葉は大上段に構える。視線は真っ直ぐキリトの頭をロックオン

「……話してくれるよね?」

「了解しました」

横には気絶したキリトいる。そのことから、それ以外言う言葉が思いつかなかった

「えっと、何から話したらいいのかな?」

キリトの頭の上から赤いものが流れてる気がするが大丈夫なのだろうか

「なんで、コンバートしたの?」

直葉の持っている木刀に赤いのがついているのが見える。……なんだプチトマトか

「例の公務員さんに仕事を頼まれたんだよ」

「例の、って菊岡さん?」

軽くうなずく。直葉はティッシュで木刀についたプチトマトの汁を拭っている
血に見えるのはご愛嬌

「それで、どんな仕事なの?」

「すまないが、それは言えない」

一応守秘義務があるからな。……協力を求めるためにシノンにはしゃべったけど

「そっか……」

拭くのをやめ木刀を再び元の位置に立て掛ける。そして立ち上がると俺の後ろに回り、肩に手を置いてきた

「どうした?」

「わからない。でも、燐君があたしの知らないところに行っちゃうような気がして……」

首だけ回して直葉を見る

その瞳は不安で揺れていた

「大丈夫だ。きっと戻ってくる。現実に。そして、この家に」

肩に置かれた手に手を重ねて微笑みながら言う

「うん……」

直葉もぎこちないながらも微笑えんでくれる

「燐よぉ……」

すっかり空気だったキリトがなんか暗い声で話しかけて来た

「実の兄の前で妹とイチャイチャするなんて挑発してんのか?」

絶賛キャラ崩壊中のキリト。……シスコンめ

「い、イチャイチャなんて……」

顔を真っ赤にしてうつむく直葉。ちなみに現実世界での強さは、俺>直葉>キリトである

「スグと付き合いたかったら俺を倒してからに……」

「うるさい!!」

「グフッ……」

キリトは全てを言い切ることができなかった。我に返った直葉がキリトの顎を打ち抜いたのだ
……見事なアッパーだった

「えっと、違う……いや違わないけど……えっとえっと……」

顔を真っ赤にした直葉は下を向いて少しの間モジモジしていたが

「うー……とにかく何でもない!!」

ダンと地面を足で力一杯踏みつける
……キリトの腹に直撃したんだが、生きてるか?キリト

「そういえばお兄ちゃんもコンバートしたんだよね?」

足退けてあげよ?そのままじゃ話せないと思う


〜数分後〜

「危ねぇ……もう少しで現実世界からログアウトするところだった」

「お兄ちゃんが悪いんだからね」

顔を赤らめて文句を言う直葉。キリトの行動が恥ずかしかったのだろうな

「俺もそう思う」

「うぐ……」

あ、倒れた。キリトが現実世界から精神的にログアウトしました

「で、もう一度言うんだけど、お兄ちゃんもコンバートしたんだよね。ガンゲイル・オンラインに」

直葉は自分の席に座りなおしてシーフードサラダを取り皿に取りながらキリトに尋ねた

「ああ……」

俯せに倒れたままキリトが応える。……物凄く邪魔

「じゃあ、なんで燐君と一緒に大会に出てないの?」

「燐とは準決勝で当たっちまってな」

まあ、そこまで言えば直葉も理由がわかるだろうな
あ、ピラフ旨いな

「つまり、負けたんだね」

「……そういうこと」

なんか元気が無くなったキリト。その時は良くても改めて考えるとへこむらしい

さてと

「ご馳走様。ちょっと出かけてくる」

「ん?どこ行くの?」

「ちょっとね」

「気をつけてね」

「ああ」

軽く手を振ると俺は家を出た
情報を整理するには歩きながらの方がいい。まあ、俺だけかもしれんが

まず問題点は、どうやってゲームの中で起こったことをフィードバックさせるか、だ
殺されたゼクシードも薄塩たらこもゲーム内で撃たれたと同時に殺された。ここで疑問点が一つ。なぜ、死亡した時間と撃たれた時間が少しずれていたのか。薄塩たらこを例にすると撃たれてからそのプレイヤーを抗議しようとしていた、と菊岡は言っていた
ゲーム内の衝撃を伝えるのに時間が必要だった、ということなのか?

そもそもゲームが現実にフィードバックすること事態あり得ない。SAOだってプレイヤーの死因は外部(・・・)にあるアミュスフィアからの高出力マイクロウェーブだ
ならば、本当の死銃はどうやってプレイヤーネームを突き止めた?その家は?
なんにせよ情報が少なすぎる
あとは実際に相対してみないとわからないな

「はぁ……いろいろ面倒だな」

「どうしたの?」

「ん?」

考え事に夢中でオートパイロット状態の俺の独り言に反応した少女……詩乃。隣には以前詩乃を付けていた少年

「いや……考え事をしていただけだ。……その人は?」

やはり雰囲気が怪しい少年。それはまさしく狂気。が、うまく隠しているな

「ああ、紹介するわね。学校の友達の新川 恭二君」

「はじめまして、新川 恭二です。よろしくお願いします」

にこやかに挨拶してくるが目が笑っていない。腰に剣があったら迷わず斬り捨てたくなる敵意

「ああ……よろしくな」

腰を落としながらもなんとか返答を返す俺

「それじゃ朝田さん。僕はもう行くから。それとさっき言ったこと……本気だから」

詩乃を見た新川の目に映っていたのは狂気、恋慕、そして欲望
その方面に鋭い人間しかわからないような濃度ではあるが確かに含まれていた









「えっと彼とはただの友達で……」

新川が去った後、なんか焦って弁解してきた。その態度と新川の最後の言葉から察するに告白でもされたんだろうな

「俺は詩乃の返事を待つだけだ」

俺がそう言うと安心したように微笑んだ。まわりの人の視線が痛い。暇人多いんだな……このあたり

「ありがとう、燐」

抱きついてくる詩乃。いや、俺も男だし嬉しいよ。でもまわりの目が……。この時ばかりは視線に敏感な感覚が恨めしい

「詩乃……あの新川 恭二には気をつけろ」

「え?」

俺はまわりに聞こえないように耳元で詩乃に話しかける

「俺が言えるのはそれだけだ」
 
 

 
後書き
蕾姫「今回は少女二人の好意と野郎二人の恨みを受けたリンでした」

リン「今回は日常パートだったが……。女って怖いな……」

蕾姫「フラグを立てるのがいけないんだよ」

リン「誰のせいだと思ってるんだ?」

蕾姫「おれwもう一人立てようか悩んでる」

リン「おいおい……」

蕾姫「そのことですが、アンケートを取ります。

①ユウキを生存させた上でヒロイン化

②ユウキを生存させる。ヒロイン化は無し

③原作通り

④俺の嫁だから手をだすんじゃねぇ!(マザーズ・ロザリオ自体介入しない)

の四つの内から一つ。期限は六月末までです」

リン「アンケートなんかとって答えてくれる人がいると思ってるのか?」

蕾姫「信じてる!こんな駄文でもお気に入りが500件を越えたんだ!きっと二桁は……」

リン「幻想だな」
 

 

本戦前

詩乃と別れて昨日来た病院を訪れた。もちろんGGOの大会の本戦のためである

「……」

そして病室の前で俺は今立っている。何故かって?病室の中で安岐ナースとキリトが取り込み中なんだよ
軽く見た限りではキリトが安岐ナースに人生相談ってとこかな?
まあ、写真を撮ってアスナに送るのは勘弁してやるよ。さすがに茶化す気にはなれない
というかまだ折り合いを付けてなかったのかよ……

「お待たせ、燐君。もういいよ」

安岐ナースには気付かれてたみたいだな

でもキリトには気付かれてなかったみたいだ。俺が入ったとき目を丸くしてたし……

「話は終わりました?」

「ええ。それじゃあ、上着を脱いでベッドに寝てくれるかな?」

「そういえばなんでキリトがいるんだ?」

「いや……俺の装備を渡したくてな。使わなくてもいいんだ。ただ……持っていてくれないか?」

ちょっと恥ずかしいのか頬をかきながら言うキリト

「途中で負けたらそれのせいにしてやるよ」

「そりゃあ無いだろ!」

ふっ、と鼻で笑ってやる
するとキリトがつっかかってくる。笑顔で
うん、まあ良かったよ

「冗談だよ。じゃあ安岐さん。監視のほうをお願いします」

「はいよー」

なんかすごい軽い声が返ってきてとても不安になった

「じゃあ行ってきますね。リンク・スタート!」

「はいな、行ってらっしゃい"影の英雄"さん」

なんだその厨二全開の呼び名は。俺は薄れゆく景色に爆笑しているキリトを見た。……あの野郎、あとでしばく









「相変わらず空が赤いな」

「リン!」

駆け寄ってくるキリトの腹におもいっきり拳を入れる
まわりの人がすごいギョッとしてるな
まあ、見た目美少女のキリトに見た目美幼女の俺が拳をたたき込めば当然か

「な……なにしやがる……」

キリトは腹を押さえ倒れる。いくらダメージは入らないとはいえSAOでトップクラスだった俺の能力値から繰り出された一撃によるノックバックは甚大だったようだ
キリトは最初から鍛えなおしているみたいだが、俺を含むほとんどのプレイヤーはそのまま使ってるがな
別アカも持ってるが、その話は追々。今重要なのは

「お前、"影の勇者"って聞いたとき笑ってたろ?」

「見えてたのか」

「バッチリだ。というわけでもう一発殴らせろ」

思い出したらムカついてきたじゃねぇか。責任をとれ

「何をやってるのよ」

「ん?じゃれあい?」

まずは顎へのアッパーから入って、体が浮いたところでワンツーパンチを腹へ。止めの回し蹴り
おー、よく飛んだな

「じゃれあいじゃなくて虐めに見えるんだけど……」

キリトとの"じゃれあい"はそういう仕様なんでね

「それはそうとよくここがわかったな」

「結構注目を浴びてるわよ」

ほら、と言われて初めて周りを見回した。すごい数のプレイヤーがこちらをチラチラ見ている

「ふむ……でも寄って来ないな」

なんか恐がられてる気がする

「あなたは本戦に残ったのよ?しかもそこそこに有名な私を倒して、ね」

気が強い女子と見られているのか。近づくと噛まれるみたいな

「ちなみに一番の要因はキリトを倒したからだと思う」

「なんでだ?別にキリトは有名じゃないだろ」

コンバートしたばかりで顔見知りもほとんどいないしな。強いて言うなら最初に話しかけてきたアバターアカウント商人ぐらいか

「それがそうでも無いのよ」

シノンはため息をつきながら地面に転がっているキリトを見た

「"銃ではなく好き好んで剣を使う肉食系女子"それがキリト」

「うわ……」

まあ、中・遠距離の銃がはびこってる中で超近距離の剣で勝つなんて常識じゃあり得ないよな

「そしてそのキリトに超近接戦闘を挑んで勝利した二丁拳銃。有名になるなという方が無理じゃないかな」

「まあ、視線には慣れてるからいいけどな。……そろそろキリト起きろや」

震脚を打ち込むとうめき声をあげるキリト。起きないともう一度いくぞ?

「容赦ないわね」

「長い付き合いだからな」

キリトのことなら大抵のことを知ってる気がするな。ストーカーとかじゃないから勘違いするなよ

「それよりもまだ時間あるだろ」

「うん。今日はちょっと余裕を持って入ったからね」

「ならよし。ちょっと情報交換しないか」

「……本当なら断るんだけど。いいわ。行きましょ」

キリト……起きないな。仕方ない。担いで行ってやるか

「シノン。首がいいか足がいいかどっちがいい?」

「え?足かな」

「了解」

キリトの足を掴む

「さあ、行こうか」

俺はキリトの足を持っている。すると必然的にキリトの頭は地面に引き摺られることになる

「ねぇ……。彼、大丈夫なの?」

「ギャグ回だから大丈夫だろ」

まあ、どうせ現実世界じゃないからな。地面を引き摺られても髪を引っ張られた、程度の感覚しかないんじゃないかな








シノンの行きつけの店というNPCが経営する酒場に入る。今の時間から入ってる人は少ないのかほとんど人がいなかった

「シノン、ちょっと聞きたいんだが前回の大会は出てたんだよな?」

適当に飲み物を頼んでから俺はシノンにたずねた

「ええ。順位はあんまりよくなかったけど」

それは本戦に行けなかった連中に喧嘩を売っているのだが気付いているのか?

「まあ、聞きたいのは今回初めて本戦に出てきたプレイヤー、かな。前回出ていたプレイヤーはまず死銃じゃないからある程度は絞り込みたい」

「そうね……」

シノンはメニューウィンドウを開き、選手三十人の名前を列挙したページを開くと他人にも見えるモードに変え、肩を寄せてこちらにも見えるようにした
髪の毛が頬に当たってるんですけど
あっちは気付いてないみたいだけど

「ん……リンを含めると五人かな」

「案外少ないな」

「BoBも三回目だからね」

近くで見るとシノンのアバターって可愛いな……。っと真面目な話の最中だった

「と。それに。あとは……これはかな?」

【Sterben】そこにはそう書かれていた

「ステルベン……」

俺の呟き。それは小さく聞き逃しても仕方ないぐらいの音量だったがシノンにはちゃんと聞こえていたようだ

「ステルベン?読めるの?」

「ああ……。それはドイツ語だ」

俺は目の前に運ばれてきた琥珀色の飲み物で喉を湿らせる。そして

「医療用語で意味は……【死】だ」

「死……」

「そいつが死銃なのか?」

「わからない。が、可能性が高いのは事実だ」

しばらく沈黙が走る。各自無言で飲み物を飲んだ

「死銃ってなんで殺人を犯すのかな……」

しばらくしてポツリとシノンがつぶやいた

「だってそうでしょ?例え敵対しているギルドに属している人同士でも広域で捉えれば同じゲームで遊ぶ仲間じゃない……」

「生死を賭けた戦いに飢えているからだと思う」

今は無き鉄の城。あの世界を経て俺もキリトもアスナも変わっただろう
それがどちらに転んでいるかはわからないが

「なによそれ?」

「すまん、これ以上は言えない」

言えるわけがない。あの鉄の城であったことは
 
 

 
後書き
蕾姫「はい、本当にたくさんのアンケートに対する回答ありがとうございました!」

リン「正直こんなに来るとは思わなかったよな」

蕾姫「うん、めちゃくちゃ感動した(笑)」

なんと総数24

リン「じゃあ、内訳と行こうか」

①ユウキを生存させた上でヒロイン化 17票

②ユウキを生存させるがヒロイン化は無し 3票

③原作通り 3票

④マザーズ・ロザリオ自体無し 1票

蕾姫「圧倒的ですね(笑)」

リン「今月末まで募集してるからまだ逆転の可能性はあるぞ?」

感想、意見、アンケートの返答。お待ちしています
 

 

本戦

「とりあえずシノンと合流かな」

あの後の話し合いで死銃を排除するために一時的に協力関係を結ぶことに決めた。集合場所は特に決めなかったが問題ない
なぜならプレイヤーには全員というアイテムが自動配布されているのだ。十五分に一度全員の端末に全員のプレイヤー位置、そして名前が表示されるのだ
一番近いのが自分たちだった場合。そこで合流しようとそう決めたのだ
とはいえフィールドは直径十キロの円形。結構広いから簡単には出会えない

「っと最初のスキャンか」

地図を覗きこむ。近くにプレイヤーはいない。一番近いのは山岳地帯に一人。名前は
こいつはシノンから岩山の頂上付近から動かないプレイヤーであると聞いている。だからあまり気にしなくてもいいだろう

ちなみにおれがいるのは山岳の麓。草原地帯よりのあたりだな。さっき調べたがシノンは森林地帯に潜伏中。他には砂漠に五人。田園に四人。森林にはシノンを含めて四人。草原の北のほうに二人。都市廃墟に十三人。山岳には俺を含めて二人。そして……姿のない要注意人物
シノンから姿がない場合、洞窟内にいるって言ってた。おそらくそれだろう
それを確認するとちょうど光点は消えてしまった

「さてと……」

とりあえず、死銃の可能性があるの顔を拝みに行くとしますかね……

ピースメーカーの残り弾数。予備も含めて36発

俺はシノンとペイルライダーのいる森林の方へ足を向けた

「……鉄橋か……」

ものすごく狙われやすそうな場所である








「ふぅ……」

俺は今、鉄橋の近くに隠れている。というのもというプレイヤーをターゲットのが現在進行形で追い掛けているからだ。というわけで先回りをさせてもらったのだ
おそらくは死銃ではないと思う。なぜなら俺は死銃を一度控え室で目にしているがそいつの装備は後を追い掛け回すというよりも姿を隠して一撃で仕留めるといった感じのものだったからだ
シノンが近くで隠れているが合流は終わったあとでもいいだろう。シノンも要注意人物は知っているから確認できるまで撃たないだろうし
そうこうしているうちにダインは橋を渡り終わって伏射姿勢に入っていた
対するペイルライダーは無防備に橋に侵入したかと思うと、橋を支える紐を片手だけでグイグイ登り始めた
「へぇ……」

軽業スキルというのもあるらしい。おそらくその類いだろう
そんなマイナーなスキルを身につけているプレイヤーがいたなんて知らなかった
観ている俺はちょっと驚いた程度だが実際に戦っているダインはそうはいかない。あわてて銃口を上に向けるが伏射姿勢だったというのが災いした。伏射姿勢は上方への命中度が著しく低くなる。案の定ダインのばらまいた銃弾はすべて外れた

「なろっ!」

ダインもすぐに銃弾をリロードするも、ペイルライダーが持っていたショットガンのディレイ効果のためにろくに反撃もできず敢えなく敗退となった

「さすがに本戦まで来るプレイヤー。なかなかに強いな」

少なくとも技術ならキリトとまではいかないまでも中層プレイヤー上位並みである。まあ、見切りや聴音といったシステム外スキル。度量。それに生き残る力を見るとSAOのプレイヤーの方が遥かに上だろうが

「ん……?」

突如ペイルライダーが倒れた。ダインのようにDeadタグは出てないから死んではいないだろうが、倒れたまま動かない
理由として考えられるのは……

「睡眠……いや、麻痺か」

対巨大Mobように電磁スタン弾があるとは知っていたが、あれはかなりの大口径しか使えないしそれに一発当たりの値段がすごく高いため大会中ではお目にかかる機会がないと思っていた
だがなぜだ?見たところ装甲が薄いペイルライダーを電磁スタン弾で撃つ理由がわからない
電磁スタン弾を撃つことができるほどの大口径ならば通常弾で、しかも一撃で仕留めることができた
だが現実にペイルライダーは電磁スタン弾で撃たれている
そんな奇妙な行動をするプレイヤーはおそらくただ一人

「死銃……!」

ならばペイルライダーの命が危ない
素早く立ち上がると橋へ行く。場所がよかったのですぐにペイルライダーの前に立つことができた。そして先ほど弾が飛んできた方向をにらみつける

「……」

しばらくの沈黙。聞こえるのは葉が擦れ合う音と橋の下を流れる水の音のみだ

「来たな……」

姿は見えないが足音が聞こえた。水音などで紛れてしまいそうなほど小さかったが聴音を使ってギリギリ聞こえた

そして姿を現したのは全身をギリーマントで包み、顔に骸骨を模したマスクを被っているプレイヤー。目が赤く光っているのがまた不気味さを醸し出している

「お前が死銃か?」

俺はピースメーカーの銃口を突き付けながら言った
だが、そのプレイヤーはシュウシュウといった感じの風の音のような笑い声を上げる

「そうだ。俺が死銃だ。黒の剣士」

「ずいぶんと懐かしい名前を吐くがそいつは俺じゃないぞ?」

やはりこいつはSAO生還者。それもレッドプレイヤーで間違いない。俺はこの揚々の少ない声も風が吹くような笑い声も知っている

「いいや、おまえだ。キリトとリン。光と影の勇者」

「俺は勇者になった覚えはないがな」

俺と死銃は笑うがどちらも相手の隙を伺っているため空気が重い
後ろで倒れているペイルライダーもそれを感じているのか動かない

「だがおまえを倒すのが勇者いうならば勇者にでもなんでもなってやるよ」

「できるのか、おまえに。剣を捨て、そんな旧式の銃を握った、おまえに」

死銃から放たれる濃厚な殺気。これはVRMMOだから殺気なんてものは存在しないが確かに俺は威圧感を感じていた

「剣も銃もそうだが、どういう時に一番強くなると思う?」

「?」

「それは人を守るときだよ、ザザ」

「ほぅ……気付いていたか」

今度は嘲笑ではなく感心したような笑い

「それだけ特徴があるアバターをしていれば、な。赤目のザザよ」

「だが、おまえがログアウトしている間に二人……いや、三人のプレイヤーが死ぬぞ?」

ターゲットは三人か。そんなことをあっさりバラすってことはまだ余裕なのか?

「残念ながらそれは無理な話だな。なぜならおまえはここで俺が倒す」

「やれるものならやってみろ。影の英雄?」

俺はこの時、SAOでの対笑う棺桶の戦いを思い出していた
笑う棺桶。そのリーダーPoHの右腕にしてエストック使い、赤目のザザ。スピードならばあの閃光、アスナをも凌駕してみせた
俺が対決したのは一瞬。アスナを貫こうとしたエストックを弾いただけの一瞬。その後はキリトが斬り掛かっていたっけな

あの時のようにキリトもアスナもいない
しかも俺の手には剣は無い
だが、負けるわけにはいかない。あの時もそうだし、この時もそうだ

「行くぞ、ザザ」

「来い、リン」
 
 

 
後書き
蕾姫「早くも死銃との戦闘開始&正体の看破でした。キリトみたいにリンは脳筋ではないので←」

リン「キリトは脳筋じゃねぇよ。……ちょっと戦いが混じると猪突猛進なバカになるだけだ」

シノン「それを脳筋って言うんじゃないの?」

…………

蕾姫・リン「「!?」」

シノン「?」

リン「なんでいるの?」

蕾姫「原作キャラはあんまり入れないようにしてたのに……」

シノン「結構キャラが変わっちゃってるからいいんだって」

蕾姫「いいのか……」


次回は死銃との戦闘第二ラウンド
では感想その他お待ちしています!
 

 

赤眼の狙撃手

「くっ……」

強い。以前SAOで見たときよりも遥かに
死銃……いや、ここではザザと呼ぶべきか。ザザがどこから出したのか知らないがエストックを抜いたのには驚いた
銃剣とかその類いだろうが柄の部分にテーピングをしたそれはエストックそのものだった

「クックック……そんな得物じゃ満足に戦えないだろう」

「チィ……」

かなり近くまで接近させたのが間違いだった。俺が牽制で撃った弾はエストックで弾かれ、後ろに下がってもピタリとついてくる
そして放たれるエストックの鋭い突きを俺はピースメーカーの側面を滑らせることでかわしているが、徐々に間に合わなくなってきている

エストックというのは漢字で書くと刺剣と書くことからわかるように突きのように面ではなく点での攻撃が得意である。点が得意ということは防御が弱いということでもある。剣速は最速だろうがそれに反比例するかのように剣自体の強度は低い
だからエストック使いと戦うときは守勢に入らず常に攻勢に出なければならない
しかし、どういうカラクリかは知らないがザザの持つエストックは銃弾を受けても折れる気配はない
折るというのは期待できないようだ

「クックック……おまえにいいことを教えてやろう」

攻撃の手を緩めずに突然そんなことを言ってきた。俺には答える余裕はなかったが、ザザは気にせずそのまま続きの言葉を口にした

「今回のターゲット。その中に……」

そこで言葉を切ると笑いだした。普通のではなく不気味な笑い

「おまえの守りたいやつがいるぞ」

「なっ!?」

今回BoBに出ているプレイヤーで俺が知っているのはシノンただ一人

「動揺しているぞ?」

「チィ……!」

動揺したからか肩に一発もらってしまう。幸い一撃死するほどのダメージはなかった

「クックック……おまえは守りたい者がいる時強くなるんだったな。ならば見せてみろ。あの日あの時の狂気の剣を!」

俺は思いっきりエストックを弾くと距離をとった。ザザはついて来なかった

「確かにあの時の剣は狂気に満ちていたさ。だがな……俺はもうそんな剣はとらない。俺は俺の剣で守りたいやつを守る!」

「ならばその剣を打ち砕いてやろう。狂気の剣がな!」

地を這うように体勢を低くしてザザが走ってくる。こちらが放つ銃弾は全て弾かれる。ならば力を貸してもらうぞ、キリト!

俺はピースメーカーを一丁ポケットにしまうと懐からキリトの光剣を取り出す
スイッチを入れるとブゥンという音を立てて刃が出る

「それがおまえの剣か?」

「いいや……キリトに託された剣だ。俺とキリトでおまえを倒す!」

「ならばその剣ごと断ち切り、あの日の復讐を成し遂げてやる。……今戦いたいのは山々だがそろそろ他のプレイヤーが集まってくるだろう。今は引こう。次に会ったときに必ず……」

声には出していなかったがやつの口が殺してやると言った
そして、ザザの姿は消えた。比喩表現ではなく本当に消えたのだ

システム上は人の動体視力を上回るような速度は出せないはずである
ならば透明になるような装備があるのか、と聞かれればそんなバランスブレイカーな装備はほぼ無いと言えるが
……どちらにせよ、早く移動しないと死銃を倒す前にやられるな。時計を見たらサテライトスキャンがあったばかりで今の俺の場所はバレバレだからな

「リン!」

「よう、シノン」

一息ついたところでシノンが崖の上から顔を見せた
銃でペイルライダーを狙っている
……そういえばいたな。ペイルライダー

「ペイルライダー……でよかったか?」

「ああ……」

BoB本戦において死亡するとアバターはその場に残る。その状態で殺せるかは不明だが命がかかっている以上賭けにでるわけにはいかない

「状況はどこまでわかっている?」

「私が死銃と呼ばれるプレイヤーに殺されかけた……というぐらいだ。信じたくはないがな」

戦闘中の俺らの会話からそこまで正確に読み取れたのか。この人は案外人格者かもしれない

「とりあえず移動しないか?やつの言った通りこの場にいると格好の獲物にされるぞ」

「同感だな」

ペイルライダーは立ち上がると俺の後ろからついてくる
後ろから撃たれる心配はない
先ほどの会話からシノンが俺と敵対関係にはないことがわかってる
撃とうとした瞬間撃たれることがわかっているのだ

「リン。こっちよ」

俺とペイルライダーはシノンについてその場を離れた








「大体理解した。つまりリンは死銃にこれ以上人を殺させないためにここにいる。そしてシノンはそれに協力していると」

「ああ……それの認識でいい」

「あってるわ」

「……なら俺は単体行動をしよう」

「えっ!?」

「一緒に行動した方が安全じゃないか?」

驚きの声をあげるシノン。そんなシノンに聞こえないように俺の耳元に口を寄せる

「シノンだろ?大事な人ってのは?」

「なぜわかった?」

「ただの協力者ってだけじゃない近さを感じたのさ。お前とシノンの間にはな」

「……そうか」

まさかバレバレだとは思わなかった。……カマをかけただけかもしれないが

「俺じゃなくてシノンだけを守ってやれよ。二兎追うものは一兎も得ず、だ」

俺が知る由もないが、ペイルライダーは妻と子。二人を同時に救けようとしたがどちらも救けられなかった過去を持つ

「……わかった」

「それでいい」

そう言うとペイルライダーは俺の耳元から離れた

「……そろそろいいかしら?」

なんか微妙に不機嫌なシノン。仲間外れにされたことを怒っているのか?

「自分の目で見ても信じられないんだけど死銃は<<メタマテリアル光歪曲迷彩>>っていう能力を持っている装備を使っているんだと思う」

メタマテリアル光歪曲迷彩とはGGOでも高ランクボスMobだけが持っていると言われている能力で、名前の通り光を湾曲させ透明になることができるのだ
しかもスキャンに映らない
狙撃手垂涎の能力だな

「それはやっかいだな。……じゃあ、俺はそろそろ行かせてもらう」

「わかった、気をつけろよ」

「気をつけて」

そしてペイルライダーは去って行った
……俺はシノンを守らないとな

「……なに?」

シノンを見ていたら首をかしげられた。長く見すぎたか

「なんでもない。それより行くぞ。残り人数を減らせばそれだけやつが仕掛けてくる可能性が増える」

「そうね」

田園地帯でも行ってみるかね 
 

 
後書き
蕾姫「短くてすみません……」

リン「もうちょっと長く書けよな」

蕾姫「……」

悩んだ末ペイルライダー生存。性格は渋い親父化。重い過去あり
変な設定すみませんでした

感想その他お待ちしています
 

 

強さ

「……なんというか……無謀だな」

「なにが無謀だ!」

おバカキャラって絶対いるんだよな。朱雀とかクラインとか……
面白いんだがシリアスじゃなかったか?

「俺の名前は……ッ!?」

鳴り響いた銃声と共に目の前で名乗りをあげようとしていた男が消滅した
あー……

「容赦ないな、シノン」

隠れていた場所から出てきたシノンに向けて苦笑い。おい……頭に葉っぱが乗ってるぞ

「戦いの場で自己紹介なんてバカじゃない。……それより早くここを離れないと。ヘカート?の銃声を聞いて漁夫の利狙いのプレイヤーが集まってくるわ」

戦いのときはクールだよな。シノンって
普段はあんなに可愛いのに
……惚気話ですまん

名もなきプレイヤー(笑)に軽く黙祷を捧げシノンの後に続く。いまさらだが俺たちの戦闘プランは俺が突っ込んで気を引いているうちにシノンが一撃で仕留める。まあ、当たり前といえば当たり前だがな

「しかし、森は歩きにくいな」

今俺とシノンがいる森林地帯。名前の通り高い木々が生い茂っているのだが、結構光が地面に当たっているせいで茂みも多い
枝をかきわけて進まなければならない場所もあり極めて動きづらいのだ
現実世界のように蜘蛛の巣はないのだが

「文句言わないでよ。このルートが一番安全だって判断したから」

まあ、好き好んでこんな枝が密集している場所を通るやつなんていないわな

「なんというかシノンと一緒に戦えるってのは嬉しいな」

詩乃は戦うようなタイプには見えなかったしな。やはり惚れたやつと背中を合わせて戦うってのは、キリトみたいな信頼できるやつと背中を合わせて戦うのとはまた別の嬉しさがある

「なっ……」

……顔を赤くするようなセリフだったか?

「そろそろスキャンの時間だな」

今大会四度目の衛星によるスキャン
十五分ごとだから開始から一時間経ったってわけだ

「……バカ……」

なぜに

「っ!すぐそこにプレイヤー!」

画面に映し出された生きているプレイヤーを表す点が俺らを含めてこの近くに三つ(・・・)あった

くそっ……話に夢中で周りへの警戒を怠った

あわててそのプレイヤーのいる方向を見るとあちらも面食らったのだろう
結構近い距離なのにも関わらずプラズマグレネードを投げてきた

「シノン!」

俺はプラズマグレネードに向けて袖口から出した投剣と化している銃剣を放ち、シノンを抱えて後ろに跳んだ

銃剣は狙い違わずプラズマグレネードを貫き、その位置を投げたプレイヤーの方へ押し返した

「ぐっ……」

それでも効果範囲外に逃れることはできずダメージを受けてしまう。だが、一撃死は免れた

「大丈夫か?シノン」

「私は大丈夫だから早く回復をして!」

案外HPを削られた。半分を割り込んでHPバーが黄色になってやがる

「はいはい」

苦笑いを浮かべながら抱き締めていたシノンを離すと、俺は最初に全員に配布された救急キットを使って回復する。回復速度は遅いが三十パーセント回復できる
二つも使えば全快だ。が顔を真っ赤にしたシノンはどうすれば

「リン……あなた、好きな人に似てるね」

本人ですから

「いつでも私を守ってくれる。……でもそれだけじゃダメ。胸を張って付き合えるようになるにはもっと強くなって隣を歩けるように、一緒に戦えるようにならないといけないんだって私は思うんだ」

シノンは手に持ったヘカート?をギュッと握り締めながらそう言った

「十分だよ……シノン。いや、詩乃」

詩乃、俺がそう言った途端目を見開くシノン。もちろん周囲には聞こえない大きさだが

「今……詩乃って……」

「……間違ってたらすまん。朝田詩乃……だよな?」

「一体……どこで……」

「どこでってなぁ……。詩乃もさっき言ってただろ?いつも守ってくれるって」

そこまで言うとシノンも気付いたようだ。いや、元々薄々感付いてはいたようだが

「俺は鈴木燐だ。詩乃」

「燐……本当に燐なの?」

「ああ……」

ゲーム内で知人に会うというのはかなり確率が低い
驚くのも無理はないだろう
今のアバターもアバターだしな

「なんで……なんでこんなところまで来ちゃうの?」

「え?」

「だってそうでしょう!過去を振り切れて燐に相応しい人になれるような強さを手に入れるためにこのゲームで戦ってたのに。また燐が隣にいたら……また守ってもらったら……弱くなっちゃうよ……」

目に涙を貯めながらそうすがりついてくるシノン
ずっと思っていたがこれまでのシノンは無理をしていた
弱いと思い込んでいる詩乃が強い理想のシノンを演じることによって

「シノンはもう十分強い」

俺がそう言ってもシノンは首を左右に振った

「違う。強いのはシノンであって詩乃じゃない。まだ私はシノンになれてない……」

「シノンも詩乃も同じ人間だ。俺と全力で戦った、な。おまえは十分強いよ。あのソードアート・オンライン攻略組の双剣使い、リンが保証してやる」

俺がそう言った途端涙を流すシノン

「やっぱり燐がそばにいると弱くなる。だって……大会の最中だっていうのに涙が止まらないもの……」

俺はシノンの涙を拭ってやる。やっぱり好きなやつの涙は例え嬉し涙でもあまり見ていたいものじゃないからな

「一人で切り抜けることだけが強さじゃない。だから、もっと他人を、俺を頼れ。そしたら精一杯道を切り開いてやる。過去のしがらみだって俺が断ち切ってやる。それは俺の得意分野だからな。」

「うん……本当にありがとう」

……やはり笑ったシノンは可愛かった

「じゃあ、手始めに」

俺はピースメーカーを手の中で一回転させ近くの茂みに銃口を向けた
シノンも俺の意図に気付き少し下がると茂みにヘカート?の銃口を向ける

「共闘と行こうか」

「うん」

俺が突っ込みシノンが援護する
俺とシノンが最初に出会った時からは考えられないような光景だった
迷いが消えたシノンはまさに冥界の女神のごとく敵を裁いていった
 
 

 
後書き
蕾姫「というわけで、かなりの私の主観が入りました」

リン「まあ、俺の考え=作者の考えだから俺には何も言えないが」

蕾姫「VRMMOってアバターという仮面を被れるからこそ素が出る。皮肉なもんですよねー。自分を良い方向に偽ろうとすれば偽ろうとするほど、悩み苦しみ……」

リン「……」

では次回もよろしくお願いします。感想、レビュー、その他お待ちしています
 

 

過去の出会い

俺と詩乃が出会ったのは中一の頃

今年入学したやつに人殺しがいる

そんな噂を聞いたのは二年に上がったころだ

その頃の俺は親の言うことをバカみたいにきいていたただのガキだった
守るだけの力を持っていながら最初から味方になってやれなくて今でも後悔してる

「あなたも私を傷つけるの?」

それが詩乃から一番最初にきいた言葉だった









「……はぁ……」

中学校受験の日高熱を出して休んでしまい試験を会場で受けられなかったのだ。そして、無理矢理病室で受けた試験は意識が朦朧としていたからか惨敗
仕方なく地元の公立中学に入学
親には家族の恥と言われ、次の受験では必ず名門高校に合格することを約束させられた
学校が終わるとすぐに家庭教師、武道の練習、そして自習
もちろん遊ぶ暇なんて少しもなかった
とても空虚な日常
友達なんてできない。強いからいじめられもしない
他人に興味なんてできない。時折俺はそんな自分を思ってため息をつく
これが俺に許された数少ない自由だから

「じゃあ帰るか……」

最後のホームルームが終わると同時に俺は教室を出る。学校が終わるのが午後三時。家庭教師が来るのが午後三時半。家からここまで歩いて二十五分かかる
急がないと間に合わない
だから誰とも話さず、誰とも触れ合わずいつも通り帰る、はずだった

「っ!!」

早足で廊下を歩いていると横から誰かがぶつかってきた
黒髪に眼鏡をかけた少女。目には涙がたまっている

ぶつかってきたのは少女の方だが俺が鍛えてたからか弾きとばされたのは少女の方だった

「あなたも私を傷つけるの?」

俺が謝罪を言う前にそんなことを言う少女
だからかもしれない。俺が初めて他人に興味を持ったのは

「いや……別に傷つけるつもりは無いけど……」

対人交渉術も学んでいるがいきなり敵意と恐怖を込めた視線を向けられて口籠もってしまう

「嘘!皆、人殺し、人殺しって……」

それをきいたときこの子が噂の子だと気が付いた
この時俺が感じていたのは
めんどくさいのに絡まれた
そんな感情だった
家庭教師の時間に遅れると課題が倍になり睡眠時間が無くなってしまう

「皆人殺しだっていう理由で私をいじめてくる!だからあなたもそうなんでしょ!」

そう言って走り去ってしまった
俺はそのまま家に帰ったがその後ずっと心にその姿が焼き付いていた

今思えば自分と似ていたんだと思う
詩乃は過去という鎖で縛られ、俺は家という鎖で縛られている。相談できる人もいない、そんな孤独の中で

「なんで……考えてしまうんだ?」

その疑問は暫く解けるとこはなかった









「朝田詩乃さん……か」

その日の予定がすべて終わり、後は自習時間。俺はどうしても頭を離れない少女、朝田詩乃について調べた
この付近にある。郵便局で起きた事件
そもそもこの付近に引っ越してきたのは受験の後で病養のため。だから知らなかった
死亡したのは犯人ただ一人
死因は出血多量による失血死
銃殺した人は書かれていないが、小さな町の大きな事件だ。噂が広がるのはもはや当然と言える
見たところ完全な正当(少し過剰かもしれないが)防衛
だが、人間というのは小さいもので他人の隙に付け込み騒ぎ立てる
ましてや所詮小中学生。いじめに発展するのはもはや当然の理だった

「ってなんで俺はこんなことをしてるんだろうな……」

睡眠時間を削ってまで朝田詩乃のことを調べている
何を考えているのか自分でもわからない

「くっ……」

長い間画面を見ていたからか、首を動かすとポキポキと音がする
疲れた目を押さえながらパソコンを電源を落とす
おもいっきり伸びをするとあくびとともに涙が出てきた
時計を見ると午前三時を回っている

「そろそろ寝ないと」

寝ないと明日がつらい。学校では真面目に授業を受けるように厳命されている。内申に響くからだ

「でも……」

寝れそうにない
朝田詩乃が走り去るときの表情が忘れられない

「PTSDか……」

Posttraumatic stress disorderの略。日本語で心的外傷後ストレス障害
危うく死ぬまたは重症を負うような出来事の後に起こる、心に加えられた衝撃的な傷が元となる、様々なストレス障害を引き起こす疾患のこと(Wikiより引用)

精神的な病気の類いは治すことが難しい。心の傷というのは治療法がないのだ

カウンセリングというのはまずは患者との信頼関係を築くことが重要だ。問題は

「どうやって信頼を得るか、か……」

不思議な気分だった。いつも親の言うことを従ってばかりいたのだが、今は俺が考え、俺がしたいことをする
それの素晴らしいこと

「……自由か……」

簡単なようで難しい自由。俺はそのことを考えながら窓から見える夜空を見上げた

「……キャラじゃねぇ」

結局眠れなかった









「やめて!」

そんな声がきこえたのは朝田詩乃と初めて会ってから一週間ほど経った昼放課時だった

「何をやってる?」

自分でもわからないうちにその声が聞こえた場所へ行って声をかけていた

「あんた誰よ?」

真ん中には朝田詩乃。その周りには男子五人と女子一人。どうやら女子がリーダー格らしく俺に返答をしてきた

「2年の鈴木燐だけど……」

「で、その先輩様が何の用?」

こいつらには悪いことをしているという意識はないのか?

「わからないのか?」

「止めに来たの?」

「……そうだが?」

ふーんと言いながら俺の体を無遠慮にじろじろ見る。筋肉はついているが制服の上からはわからないと思うが?

「この子。人殺しよ?」

ニヤニヤしながらその女は言った。囲まれている朝田詩乃の肩がビクッと動く

「知ってるよ」

「知ってて助けるの?もしかして体でタラシ込まれちゃった感じかな?」

ギャハギャハと下品な笑い声をあげる男たち
プチンと頭の中で何かが切れる音がした
ああ、これが堪忍袋の尾が切れる音か、と頭の片隅で他人事のように思った

「黙れよクズ共」

低い口調でそう言うと男たちは笑うのをやめた

「人殺し?おまえらは襲われたのかよ、その子に」

答えは沈黙。当たり前だ。朝田詩乃が人を殺したのは正当防衛。自発的に殺したのではない

「おまえらはその時どういう状況かも知らずにいじめているアホか?それとも知ってていじめているクズか?」

まあ後者だろうが

「ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇよ!」

取り巻きAが襲ってきたが、素人丸出し。頭を軽く下げて拳をかわすとカウンターで顎にフックを当てた
脳を揺らした一撃で気絶した

「次はどいつだ?」

俺を囲む男たち。女は一歩引いたところから見ている

「全員で同時に行きな!」

同時攻撃するだけの頭はあったらしい
まあ、素人四人とたかが知れてるが

まずは後ろから来た拳をかわすとそのまま足に引っかけ合気道の要領で投げる
そいつは見事に前から来ていたやつと正面衝突
続いて左右から来ていたやつの拳を受け止めると強く押す
よろめいた二人の顎に一発いれて気絶させ、続いて前で衝突している二人の首に手刀をいれ気絶させる
この間約二秒
まあ、素人相手ならこんなもんか

「チッ……」

女は逃げて行った。わざわざ追いかけて行って制裁を加える価値もないしいいか
朝田詩乃の方を見るとまたビクッってする
……なんか傷つく

「大丈夫か?」

「なんで助けてくれたの?」

完全に恐がってるな

「人を助けるのに理由はいるか?」

「……助けてくれてありがとう。でも、もう私には関わらないで」

まあ……それは無理だな

「……なに?」

走り去ろうとしたので手を掴んで止めた
すると怪訝さと恐怖が混じったような表情をしていた

「いや……」

何を言えばいいんだ?
咄嗟に止めたけど……

「何もないなら離して」

そういえばなんで俺はここまでこの少女のことを気に掛けてしまうのだろう
似ているから?
確かにそれもあるが違う
正義感にかられて?
あり得ないな
少女の顔を見る
胸が高鳴った
そうかわかった

これが……恋なのか

「好きになったから」

自然とそう声に出していた








「そういえばそうだったな……」

「なにが?」

「俺と詩乃が初めて会った時」

そう言うと思い出したのか顔を赤くする詩乃

「二回目にいきなり告白してきたあれね。あの時は本当にびっくりしたわ」

まあ嬉しかったけど、とぼそぼそ呟いた

「……今はBoBに集中しなさい。次はレオンってプレイヤーを狙うんでしょ」

顔を背けて少し強く言う詩乃。わずかに見える頬が少し赤くなっていた

「はいはい」

あの時詩乃に会わなかったら俺は変われなかったかもしれない
自分で考えて自分で動く。簡単なようで難しい
それに気付かせてくれた詩乃は俺が守る
未だに過去に囚われている詩乃を
 
 

 
後書き
蕾姫「いつぞやにリクエストされていた燐と詩乃の出会いです」

リン「……テンプレ?」

蕾姫「知らん。恋愛系は書けないんだ!本当にできが悪くてすみません……」

リン「まあ、頑張れ」

蕾姫「終わりが中途半端ですけど中学生編は書く気がありません。次回はBoBの続き。とうとう物語がアレグロで動き出す……っとでも言っておきましょうか」

では感想レビューその他をお待ちしています!
 

 

足りない物

 
前書き
にじファンにあったものを再投稿

更新を再開いたします 

 
現在田園地帯。開始から五十二分経過

「あそこにいるのがレオンね」

田園地帯の中頃の開けた場所にレオンは立っていた

「……狙ってる?」

シノンがそう思うのも無理はない。あまりにも無防備なその立ち姿は誘っていると言わんばかりである

「さすがに狙撃をかわせるとは思えないが……」

俺はできないと思う。ハイパーセンスでも覚醒しない限り
……キリトなら素で回避しそうだがな

「じゃあ、私はここからレオンを狙う」

「じゃあ、俺は狙撃の後の遊撃で。念のために、な」

シノンの腕を疑うわけじゃないが万が一ということがある
もし、かわされたときのことを考えると狙撃手であるシノンが一番危ない
ならもしものときに備えておくというのがベストだろう

藪に伏せ隙を窺う……とは言っても隙だらけだから走って行ってすぐに斬れそうだけどな

その時、レオンの口が動いた。声は聞こえなかったが、確かにレオンはこう言った"そこにいるのはわかっているぞ、リン"

「罠か!?」

ヘカートⅡが火を噴く轟音が聞こえるが視界の中のレオンはきれいにかわしてみせた
弾道予測線が見えていたかのように
俺がいるのがわかっていてシノンがばれていないのはあり得ないか

「チッ……」

あわてて藪から飛び出しピースメーカーを構える

「久しぶりだなぁ、リン。いや……黒の剣士の片割れと言った方がいいかな?」

「誰だ……おまえ……」

レオンという名には聞き覚えがあるが……まさか

「そう、そのまさかさ!AMOでは世話になったねぇ。あの時の借りを返して貰いに来たよ」

大袈裟に手を広げて満面の笑みを浮かべる
手には先に銃剣のついた狙撃銃

「今は忙しい。返すのはあとにして欲しいが」

「もう待てないよ。本当は大会開始直後に行こうと思っていたんだけどねぇ……。君のまわりにいる人たちが邪魔だったのさ」

ニヤニヤと笑うレオン。欲しいものが手に入ったようなそんな笑顔だ

「だから死銃と組んだのさ」

「!?」

後ろからドサッという音が聞こえたので振り返るとそこには倒れているシノン。その脚に刺さっている金属片。そこから這い出るスパークエフェクト
あんなもの……電磁スタン弾をPVPに使うプレイヤーなんて限られている
つまりは死銃

「くそっ!」

後ろへ走りだそうとする俺の足元を一発の銃弾が撃ち抜いた

「えー……そりゃないよ。君と戦うのはこの僕だ。悪いけどこれも約束でねぇ……。君と一対一で戦わせてくれる代わりに君の足止めをするっていうね」

こいつの強さはAMOで痛いほど知っている。短時間での撃破は難しいだろう。くそっ!シノンの命が危ないっていうのに!!

「人の命がかかってるっていうのにか……」

ピースメーカーを持つ手が汗で湿ってくる。額からは一筋の汗
ここまで悪い状況はSAOでもそうはなかった。しかもかかっているのは自分の命ではない

「なにを言ってるんだい?命をかけた戦いなんて当たり前じゃないか。まあ、それが君の命じゃないのが少々残念だけど……」

いい具合に歪んでるな、おまえは!

「まあ、ステルベン……死銃は少々遠いところから狙撃しているからタイムリミットは一分ってところかな?」

それは大体であって確実じゃない。どれだけ正確にレオンが死銃の現在位置を把握しているかは知らないが、あながち間違ってないと思う

「さて……無駄話もこの辺にしておかないと君が可哀想だ。じゃあ、始めようか。命をかけた狂宴を……」

そう言うと軽く狙撃銃を振り、ニヤリと笑った

レオンの武器は狙撃銃。俺の武器はピースメーカー二丁
ピースメーカーは正直威力が低すぎて短期決戦には向かない……が、この戦い。何もレオンを倒すだけが勝利条件じゃない。シノンを回収し、撤収することでも俺の勝ちである。ピースメーカーは足止めとしては速射ができる分上等だ
加えてあいつがSAO生還者というのもこの場合はプラスとなる

「じゃあ、行くよぉぉ!!」

凄まじい勢いで踏み込み、突きを放ってくる

「槍!?」

その動きはまさしく槍。しかも熟練者のような無駄のない高速の突き
横に避けつつ弾をレオンの銃剣にあて動きを鈍らせる

「無駄無駄ァ!!」

踏み込んだ足を軸に一回転し、そのまま狙撃銃を凪いでくる
槍より太い鉄の塊は十分脅威だ
俺はそれをピースメーカーをクロスさせ、衝撃を吸収するように受けとめるが、遠心力がかかっている狙撃銃を完全には受けとめきれず足が浮いた

「ガッ……」

跳びながらも銃弾を放ち、追撃を押さえ込む。そして受け身をとりつつ着地すると、すぐに地面を蹴って前へ。レオンの武器は槍の前に狙撃銃なのだ。それこそ距離を取られれば致命的だ

「はぁぁぁ!!」


ピースメーカーの持ち方を変える。中指を引き金に引っかけ、おもいっきり握る

そして、そのままレオンに向けて突き出した

同じタイミングでレオンも銃剣を突き出している
そして、俺のピースメーカーをナックルの代わりに装備した拳とレオンの狙撃銃に銃剣をつけた槍がぶつかり合う

もちろん本来そのような使い方をするわけがないピースメーカーの外枠が耐え切れるわけがなく、深々と銃剣が刺さってしまう。が、俺の生身の拳には届かなかった
そして爆発

すまない……

この世界で短い間だったが共に戦った相棒の片割れ。その最後に心の中で詫びを入れる
そんな心の中とは関係なく体の動きは止めない
爆発による衝撃で弾かれた左手を逆らわず、後ろに踏み込んだ左脚を起点に一回転。そして、レオンに蹴りを打ち込んだ

「ぐっ……!!」

爆発により体勢を崩していたレオンにかわす術はないが、それでも後ろに跳ぶことでダメージを軽減していた

「マズい!!」

シノンの側にはボロマントに髑髏を模したマスク……死銃がいた。死銃は懐から黒い拳銃を取り出すと十字を切った

この距離なら銃を撃てば確実に当たる……が、ピースメーカー程度の威力で射撃を止めさせることは不可能だ
先ほど、言った相手がSAO生還者だから使える手というのは、その身に染み付いた反射的行動を利用したものだ
威力のわからない攻撃は必ずかわす。レオンは最近までAMOをやっていたため、ピースメーカーの威力は知らなかったのだろう
だからこそ利用できたのだが、GGOベテランプレイヤーである死銃には効かない
ピースメーカーの威力を知っているためだ

ならどうするか。ピースメーカーはダメ、走って斬るのも間に合わない

悔しいが俺の力ではシノンを助けることはできない……
こういうとこ大事なところでいつも俺は脇役なんだということを思い知らされる

それでも俺は主役にならなければならない。シノンを救うと決めたのだから

自分の力で解決できなければどうするか?簡単だ。他人の力を借りればいい

俺にもう打つ手段が無いと思っているのだろう。俺を見てニヤニヤしている死銃に……

「間に合えっ!!」

懐から取り出したFNの銃口を向けた
キリトが貸してくれた主役の力。思う存分味わえ、ザザ

おまえの知らない絆の力というものを見せてやる 
 

 
後書き
蕾姫「暁に来てのSAO一発目!」

リン「ようやくか……」

蕾姫「まあ、なにも言うことはありませんが、感想が返せなくてすみません……」 

 

一時の撤退

 
前書き
この話はに○ファンでも中途半端な状態で投稿されていたものを加筆したものです 

 
一発の銃声と共に銃弾が風を斬る

自分以外の誰かが銃を突き付けられている場合、取るべき行動はいくつかある
まずは突き付けている側の人を戦闘不能にすること
これがゲームだし不可
または発射された銃弾を弾くこと
キリトみたいな主人公じゃあるまいしそんな精密射撃は俺にはできない
ならばどうするか?それはディレイの大きい銃で手を撃ち銃口事態を外させること
実際にそれは成功した

「ちっ……」

響き渡るザザの舌打ち
それは足止めを十分に果たせなかったレオンに対するものか、それともシノンを仕留められなかったことに対する苛立ちか

わずかなディレイ時間。接近するにはそれで十分だった

「はっ!!」

伸長させた光剣を横に一閃する。それをザザはしゃがむことで回避した。そして、銃から抜き出したのは一振りの刺剣
なるほど。それがザザ、おまえの切り札か
だが甘いよ

「吹っ飛べ!!」

光剣を横に一閃したときの踏み込みを利用して振った側とは反対の方の足でザザを蹴り飛ばす

「ぐ……っ!?」

さすがにしゃがみこんだばかりのザザにはかわす手立てがなかったようだ。苦悶の声をあげて吹き飛び、木と木の間に消える

後ろで風が鳴らしたのとはまた違う草の擦れる音がする。おそらく先に蹴飛ばしたレオンだろう
もう一刻の猶予もない
俺は地面に倒れているシノンをヘカートⅡごと肩に担ぐ
俺はアスナほどではないが筋力……この世界でいうところのSTRがない。ならなぜシノンとヘカートⅡを担いで重量オーバーにならないのかというと単純に元々の俺の装備が軽かったこととSAOのデータをそのまま残しているアバターだったためレベルが高かったからである
本当に収まって少しほっとしながら俺は走る
後ろからは振り返るまでもなくザザとレオンが追いかけてくるのがわかる
おそらく敏捷はこちらの方が上だろうが、差はだんだんと詰まって来ている
理由は持っているものの重量だろう
あちらは狙撃銃だけ持っているのに対してこちらは狙撃銃に加えシノンまで担いでいるのだから当然である

「リン……ごめん」

「謝るのは後だ!」

正直会話できるだけの余裕はない。道が悪い上にヘカートⅡやシノンが落ちないように気をつけなければならないのだ
しかも時折後ろから飛んでくる銃弾を反対の手で持ったピースメーカーで弾いたり、かわしたりしている

「……私を置いていけばリンは……」

「バカか?」

シノンがそう言い掛けたときには反射的にそう答えていた

「俺がシノンを見捨てるなんてあり得ない。だからそんなことを言うな」

それっきりお互いに沈黙する。田園に響くのは時折放たれるレオンとザザの銃声だけとなった

だんだんと近づいているからかそろそろかわすのが辛くなってきている

「そろそろ迎撃しないとマズいんじゃないかな?」

顔が俺から見て後ろを向いているシノンが焦ったようにそう言った

「だが、迎撃したとして勝てる気がしない。ザザ……ステルベンもレオンも俺と同じ元SAOトッププレイヤー。レオンが本来の得物じゃないのは幸いだけどあの槍さばきは決して侮っていいものじゃない。ザザに至っては本来の得物である刺剣を持っていた。対して俺は自分の武器である剣よりも軽い光剣。かなり不利」

「でも……」

私の援護があると言い掛けたようだが、途中で気付いたようで言葉が尻窄みになってしまう
そう、近接戦闘中の相手の狙撃は味方にも当たる可能性があるからできないのだ

どうする、このままじゃそのうち追い詰められる
俺にはピンチで覚醒したりするような力はないぞ?

「そろそろ諦めたらどうだぁ?鬼ごっこもそろそろ飽きてきたぜぇ?」

「クックック……」

レオンが後ろから話しかけてくるが無視。ザザは笑っているだけだが明らかに俺たちをおちょくっている

そろそろ戦うしかないのか

俺は別にいい。だがシノンが殺されるのは許容できない

「シノン、走れるか?」

「え?……うん」

「なら、俺が奴らを足止めするからおまえは逃げろ」

「それじゃあリンが!」

「いや……奴らに俺は殺せない。ザザはターゲットは三人と言っていた。シノン、ペイルライダー、そして俺たちが知らない一人。だがそれは俺じゃない」

「なんでそんなことを言えるの?」

「俺を殺すならいつでもできた。一番殺したいはずの俺を」

俺をプレイヤーが死ぬのを見せ付けることで苦しませたいっていう考えかもしれないが、ここは捕まったら確実に殺されるシノンを逃がしたい

「……わかった。この先にある一番奥の洞穴で待ってるから絶対来てね」

「ああ……約束する」

俗にいう死亡フラグを立ててしまったようだが……それを叩き折るのが主人公ってものだろ。例え偽物だとしても

「じゃあ、三つ数える。数えたら前に投げるから上手く着地して走れよ?」

「うん」

岩場が近いのか視界が開けてきている。これならば着地するのも簡単だろう
後ろからは相変わらずザザとレオンが追いかけてきてはいるが弾は撃ってきていない
確実な距離まで近づいて一撃で仕留めるつもりか?

「1、2、今!」

3のカウントでシノンをヘカートⅡごとおもいっきり前方に投げる
綺麗な弧を描いて宙を舞ったシノンを視界の隅に収めつつ滑るようにブレーキをかける
そして、振り返りつつ光剣を一閃。シノンを狙って発射された銃弾を叩き斬った
俺が止まると同時にザザとレオンも立ち止まる

「女だけ逃がしたか……」

明らかに嘲笑ととれるシュウシュウという笑い声を上げるザザ

「僕はリンと戦えればそれでいいけどねぇ」

シノンのことなど歯牙にもかけていない様子のレオン

「順番が逆になっただけだ……。まずはおまえを倒してそれからゆっくりとあの女を殺すことにしよう」

「俺を倒すことができたらな」

ここに双剣はない。使い慣れた金属剣もない
しかし、俺はこの場所を守り抜かなければならない

「ここは僕に任せて先に行くといいよ?ステルベン」

「残念ながらリンが退くとは思えない」

「正解だ、ザザ。ここから先に行くことができるのは俺だけだ」

「おまえに勝機があるとでも?」

「勝機があるとかないとか関係ない」

シノンをこの先に待たせているからな

「絶対に勝つ」

俺はそう言うとザザとレオンに向かってピースメーカーと光剣を構えて走りだす。対するザザは刺剣を、レオンは槍にみたてた銃を構えた

「ふっ!!」

初撃の光剣によるなぎ払い。レオンとザザは後ろに跳ぶことで回避する

「二度は同じ手を食わない!!」

刺剣による突きのラッシュ。この動きはソードアート・オンライン内で見たことがある
たしか、スター・スプラッシュだったか

俺は突き出された刺剣が体に突き刺さる直前でピースメーカーで横に少し押してやることで回避する
ザザの舌打ちが聞こえる
その直後、ザザが跳び退きその開いた隙間から銃剣が突き出されてきた

「くっ!?」

とっさに後ろに跳ぶが完全にはかわし切れず軽く胸に刺さる
もう一度地面を蹴り、完全に銃剣の効果範囲から出る

「ステルベンがいなければ仕留められたのに」

「俺がいなければあんな隙は生まれなかった」

ステルベンがいたから踏み込みをしっかり行えなかったのだろうレオンが軽口を言っているがザザはそれを真っ向から受けてたつ
どちらにせよ、コンビネーションはかなり良い
悪ければ個々に分断して片方ずつ撃破すればよかったのだが

「無駄な話はこれ位にしてそろそろ行くよ?」

「ああ……」

再び俺とザザ、レオンが腰を落として構えたその時だった

「ッ!?」

ちょうど真ん中辺りに缶のような物体が落ちてきたのは

とっさにそれに背を向けて後ろに跳んだ

そして、その場は光と爆音に包まれた

「スタングレネードか……」

多少離れていたのと反対を向いていたことが幸いして意識を持っていかれることはなかったが、耳がやられた
しばらくは何も聞こえないだろう

聴覚というのはかなり重要だ
敵の気合いの声。武器が風を斬る音。足元でなる草の擦れる音
様々な音から情報を入手し、戦うのだ
俺は耳が聞こえる状態で戦うのなんて絶対にしたくない
ザザとレオンもそうかは知らないが普通の人間なら同じだろう
よって戦闘続行は不可能だ
……どこの誰かはしらないがスタングレネードを投げてくれたやつに感謝だな 
 

 
後書き
蕾姫「うっ……どうしよう……」

リン「なにがだよ」

蕾姫「いや、GGO編のサブタイトルって幻影の一弾じゃん……」

リン「まあ、そうだが……」

蕾姫「絶対に使いたいんだが、使える展開が……思いつかぬ。最悪、原作と同じようにザザと撃ちあってもらわないと……」

リン「そうか……」

蕾姫「しまったなぁ……なんで先に壊して置かなかったんだ!」

次回からに○ファンでも投稿していなかった話です
た、戦いの連続じゃないか…… 

 

戦いの前

「シノン?」

「リン!」

言われた通り一番奥の洞穴に入ると同時にシノンが抱きついてきた

「大丈夫?怪我はない?」

極限状態にも関わらず笑ってしまう。ガンゲイル・オンラインに限らず、VRMMOでは多少の衝撃は入るが怪我をすることはあり得ない

「本気で心配してたんだから笑わないで」

冷静になったからか自分が言ったことがちょっとズレていることに気が付いたのだろう、顔を赤くする
なんというか、上目遣いは反則だと思う
状況が状況だけになにも言わないが

「それで……どうなったの?」

「シノンを逃がした後、ザザ……ステルベンとレオンと交戦したが……即席とはいえかなりの連携と剣技に翻弄されて勝てなかったよ。最終的に飛んできたスタングレネードがなければ撤退も危うかった」

首筋に最初に配布された注射器を模した回復キットの先を当てて反対側を押す
一つで三分の一回復するらしいから一つで十分か

「スタングレネード……一体誰が」

「ペイルライダーだと思う。彼以外の可能性は相当低い」

他の可能性は俺ら以外にも死銃の正体を知っているやつがやったってことぐらいだが……それはまずない

「そっか……」

そのシノンの言葉を最後に会話が途絶える

しばらく洞穴に沈黙が走る。響くのは風の音と時計が針を刻む音のみ
シノンを腕に抱きながら洞穴の土壁を見つめていたのは何分ぐらい経ったのか

「リン……今度は私も戦う」

「そうか」

俺はそれを拒否したりはしない。なぜならシノンの瞳に確固たる決意の光が宿っているから
本音を言うなればシノンにはこの洞穴内で待っていて欲しい
あちらにはシノンのトラウマをフラッシュバックさせるであろう黒星も存在する
シノンに自身の傷をえぐるような真似はして欲しくはないし、そもそも命がかかっている
だが、俺一人でザザとレオンの二人をほふれるかと聞かれれば、できないと答えるしかないだろう
キリトとかなら主人公補正などを発揮して纏めて粉砕しそうなものだが……

「全く……俺には主人公の資質はないな」

思わず苦笑してしまう
それでも腕の中の存在は守ると誓ったんだが

「資質なんて関係ない」

なんの気なしに呟いたその一言をシノンが否定してくる

「リンは立派な私の主人公(ヒーロー)だよ」

シノンを見ると柔らかく微笑んでいた
その笑顔を見ていると先ほどまで感じていた不安も色褪せて消えていった

「そうか……」

自然と口角が上がってしまう。先ほどの笑みとはまた違う意味の笑みが俺の顔に浮かぶ

「……そうだな」

いつもしてきたことを忘れていたみたいだ。俺の仕事は主人公を導く道を作ること
女主人公(ヒロイン)に道を開いてあげるのも俺の仕事ではないか
主人公になれなくても構わない。過去と戦う意志を固めたヒロイン(シノン)を支える導き手になればよいのだから

「……なんというか無粋ね」

「え?」

「ライブ中継カメラよ。たぶん、人数が少なくなってきたから戦闘風景でなくても撮影しにきたんだわ」

視界の右上に赤いアイコンが出ている
重い雰囲気を払拭してくれたのはありがたいが、空気を読んで欲しい

「会話とかも全部聞かれるのか?」

「大分大きな声を出さなければ問題ない」

それでも聞かれてしまうかもしれない状況では自然と声が小さくなってしまう

「抱き合っているのも見られているわけだ」

「そうね」

シノンは恥ずかしそうに身を縮める。自然と俺の体に抱きつく力も強くなってしまうわけで……
心頭滅却っと。今はそんな場合じゃないだろ


「この状態で悪いが、対策を練らないといけないな」

「そうね……とりあえずリンが前衛で私が後衛で……」

「初撃はシノンに頼む。一人は倒せればそれがベストだけど、あちらもベテラン。おそらく通じない」

悲観論で考え、楽観論で行動しろって言葉があった気がする

「いくらベテランでも食らえば一撃で落ちるヘカートの銃弾を無視できるわけがない。だから体勢が崩れたその瞬間、俺は突っ込む」

シノンが一つうなずくのを確認すると先を続ける

「この戦術は敵二人が並んで来た場合のものだ。もちろん他の可能性もある」

腕の中のシノンの頭を撫でるとシノンは気持ち良さそうに瞳を細めた。それと同時に軽くうなずく

「だが、俺は二人が必ず並んでくると思う。レオンは俺にしか興味がないし、ザザ……ステルベンはシノンを殺しに来ているが、この洞穴の周りは砂地。姿を隠せたとしても足跡や足音は消せない。ついでにレオンが狙撃を許容するとは思えないしな」

許容されると眉唾物であるシステム外スキル、ハイパーセンスぐらいしか頼るものが無くなる
……キリトならやってのけそうだけど

「そうなると、二人で一緒にくる方が勝率は高くなるから一緒にくるだろう。……どうだ?」

「……私はその計画でいいと思う」

俺の計画をよく吟味した上でシノンはうなずいたようだ

「とりあえず次の衛星スキャンで残っている人数を確認しよう。ステルベンとレオン……あとはペイルライダー以外が残っていればその対応も考えないといけない」

「残っていたらまっすぐこちらに向かってくると思うから私が対処する」

残っている人がすべているこの周辺に集まってくるのは当然の理
そうなるとシノンが迎撃するのがベストか……

「じゃあ、任せる。さてと……洞穴内は衛星スキャンの電波も入らないから外に出るか」

立ち上がろうとする俺をシノンは止めた

「……まだ時間がある。それまで抱きつかせて」

「……ああ……」

シノンは先ほどよりも強く俺を抱き締めた。よく見れば小刻みに震えている

「シノン?」

「やっぱり怖いよ……。私が殺した男が私への復讐のために黒星を使ってリンが殺されたりしないかって……」

「死者は蘇らない。これは絶対だ」

かつてのソードアート・オンラインでも俺の知り合いを含むかなり多くの人間が死んだ。彼らは現実となった世界で長さは関係なく生きた。死者が蘇るなんてことになったらそいつらが浮かばれないだろ

「それに黒星はたまたまではないと思う」

「……え?」

「黒星ってのはかなりマイナーな旧式拳銃だ。威力も低いし射程も短い。殺害の効率を求めるならもっと射程の長い銃を使えばいいわけだしな」

それに黒星と同程度の性能でもっとメジャーな銃は多くある
なぜそれを使う必要があったのか

「やはり、シノンがいるから……だと思う」

そう考えるのが自然だろう

「それって……」

「シノンの周辺の人物。それも医療従事者、ないしはその関係者ってところかな。心当たりはある?」

「……」

軽くうなずくシノン
……いるのか。ならそいつが死銃であるとみて多分間違いがないだろう

「この試合が終わったら、急いでお前の家に行く。だから……」

腕の中のシノンを見つめる

「勝つぞ」

「うん」

俺の宣言にシノンは力強くうなずいた 
 

 
後書き
はい。戦いまで行けませんでした(笑)
次回は必ず戦いです、はい

シノンが原作と違うって?
原作と違ってリンという支えがあったからで多少性格が違っても当方は責任を負いかねます(笑)
イチャイチャさせたい! でもって恥ずかしさでゴロゴロする

あと……mixi……始めました 

 

剣と槍と銃と

 
前書き
この話はリン視点とシノン視点からなっていますのでご注意を

今回はリン視点です。つまりいつも通りです(笑) 

 
足元を生暖かい風が過ぎていく
ガンゲイル・オンラインで最強のプレイヤーを決めるバレット・オブ・バレッツであるが、もうすでに開始からかなりの時間が経っていて、太陽は沈みかけ、辺りは少しずつ薄暗くなり始めている
俺は洞穴から外に出てスキャンを待つ。洞穴の入り口でシノンは待機している
ザザやレオンには意味がないが第三、第四のプレイヤーに対する対策になるからだ

「時間か……」

定時と共に端末を見る。一番近いのは北一キロあたりにいる二人のプレイヤー。名前はステルベンとレオン
そして、東二キロあたりにいるプレイヤー、名前は闇風。前大会準優勝の実力者。確か敏捷重視のミドルレンジ型だったか
フィールドにそれ以外生きている点は存在しない
俺が見ている間に、俺以外の点が一斉に移動し始めた
三つの点はすべてこちらに向かって来ている
ステルベン、レオン組はゆっくりと。闇風は滑るように素早く
どうやら闇風は先にこちらを片付ける腹積もりらしい
やがて頭上を監視衛星が飛び去り、光の点が全て消えたのを確認すると俺は洞穴で待つシノンの元へ歩み寄った

「どうだった?」

「残っているのは俺とシノンを含めて五人以上。死んだ点をいちいち数えている暇はなかったからシノンと同じように洞穴に隠れている可能性は否定できない。肝心のステルベンとザザはゆっくりとこちらに移動中。光の点の速さから考えて接触は大体五分後。そして一番動きが速かったのは闇風。こっちの接触は大体二分後。もちろんスピードを落としたり早めたりすればその限りではないけどな」

「なら、私はこの洞穴の上から闇風を狙撃する。……信じてくれる?」

「愚問だな。信じるに決まってるだろ?」

闇風はシノンに任せて俺はステルベンとレオンに集中するとしよう

「じゃあ、シノン。俺の背中は任せた」

そう言うとシノンは武者震いなのか体を震わせた










そして、一発の銃声が辺りに響き渡る
おそらく闇風をシノンが狙撃した音だろう
結果は見るまでもない。俺の役目はもうすでに目に見える範囲に入ってきているステルベンとレオンの迎撃なのだから

「よお、リン。さっきはよくもまあ無様に逃げてくれたもんだねぇ」

「しょうがないだろ、レオン。背中に守るべきものを背負ってたんだ。……物理的にな」

「おい、レオン。早くしないとシノンがこっちを狙ってくるだろ」

俺とレオンが口調上は穏やかに話していると、苛立ったような擦り切れた声が割り込む

「やれやれ。君もせっかちだねぇ」

そう言いつつもレオンは銃剣を付けた狙撃銃を構え、重心を低く落とした
それを見たステルベンも持っていた狙撃銃を後ろに放り投げ、懐からエストックを取り出す

対する俺はFNとピースメーカーを取り出し、いつものように構える
すなわち、FNを前に突き出してピースメーカーを肩に担ぐような構え

「ッ!!」

戦闘はヘカートⅡの銃声で始まった。狙われたステルベンは大きく体を曲げ、体勢を崩す
それとほぼ同時に俺とレオンは走りだしていた

「なかなか粋な計らいだねぇ」

レオンの放った突きを上体を傾けることで回避する
そのまま脇に挟み込もうとする
レオンはそれを嫌い、突きの速度をそのままに蹴りを放ってくる

ピースメーカーをクッションに後ろに跳びながら受けとめる
咄嗟の蹴りだったのか威力が弱く全くダメージが無かった
後ろに跳びながらFNをレオンに向けて発砲。が、それはレオンが横凪ぎに振った狙撃銃に打ち落とされる
スコープの部分をもぎ取れたからよしとする

「しかし、君は僕のことばかり気に掛けていてもいいのかい?」

「くっ!?」

シノンのいる方をみるとステルベンが滑るように近づいている
シノンもヘカートで応戦してはいるが、ステルベンは幽霊の様な動きで全てを回避している

「よそ見していてもいいのか?」

「この野郎っ!!」

突き出された銃剣を手で払って反らす
その衝撃でFNを取り落としてしまう

「いいねぇ。その表情。大切な物を失いかけた時の憤怒の表情。やっぱり君はそうでないと」

多少の距離を空けて向かいあっているが、踵を返してシノンの方へ行こうとすれば狙撃銃で撃ち抜かれるだろう。この距離ならスコープなんて関係ない

「リン、こっちは俺に任せてそいつを倒せ!」

「ペイルライダーか!?」

「おまえがそいつを倒すまでの間、俺が持ちこたえてやる!」

その後は声ではなく断続的な銃声が響いた

「倒してしまっても構わんのだろうぐらい言えよ、バカ野郎」

ペイルライダーも命を狙われているはずなのに、初対面であるはずの俺たちのために戦いに身を投じてくれた。ありがたいが、バカだ

「というわけで俺はあのバカ野郎の命も助けたいんでな。覚悟はいいか?」

「もちろん、望むところだよ」

そう言ってレオンは唇を舐める
単純な悪意がない分質が悪い

「勝負なら後でも受ける。だからここは引いてくれないか?」

ナックルのように構えた拳銃で突いてくる銃剣を打ち払い、空いている片手で無理矢理軌道を変える
即席のもので完全にはダメージを防ぐことはできないが、致命傷は避けている

「笑止! 僕は何かを賭けているときの鬼神のような君と戦い、そして切り刻みたいのさ! そして今! そんな戦いができている。仕切りなおせだなんて生殺し……ナンセンスさ!」

「……なら、押して進むまでだ!」

俺はピースメーカーで強くレオンの銃を思いっきり叩く。それによりできたわずかな隙に懐から光剣を取り出した

「っ!!」

刃を伸長させる時間ももどかしく電源を入れながら光剣を振る

しかし、レオンは当たらない。崩れていた体勢を立て直し、空中で一回転。バック宙の着地と同時にこちらに突いてくる
俺はその切っ先をピースメーカーで撃つことで銃剣の速度をわずかだが緩める
その隙に体をひねり、少しでもダメージを減らす
その結果、銃剣は俺の脇腹をかするにとどまった

「実にいい! 実に素晴らしい!」

この一撃に全体重を賭けていたのか銃剣と一緒にレオンの体が俺の構えた光剣へと倒れこんでくる

「そうだねぇ……君相手に様子見(・・・)なんて必要なかったんだ」

嫌な予感を感じたのでとっさに俺はレオンの狙撃銃を切り裂くと後ろに下がる
冷たいものが頬を撫でた感触が残る
もちろん幻覚である
レオンの持つ二本の短刀に切りつけられたからってそんな感覚は生まれない
仮想空間なのだから

「これが僕の本当の武器。双短刀だよ。アインクラッドにおいて君が二刀流スキルを用いて敵をほふっているのを目にしてね。憧れたんだ。でも、同じなものはつまらない。そうだろう?何事も二番煎じはよくはない。大勢いる使い手のうちの一人に成ったって輝かない。だから短刀にしただけの話さ。まあ、気休め程度なんだけど……」

辺りに金属音が響き渡る

「僕はまだ話している途中なんだけど……不意打ちなんて正義の英雄様には似合わないと思うよ?」

俺の握ったピースメーカーから立ち上っていた煙が風に消える

「悪いが俺は正義の英雄様なんてお行儀の良いものになった覚えはないな。生憎だが、お前の演説を聞いてるほど暇じゃなくてな。卑怯者の罵られようとも、俺を信頼してくれているやつの意に己の意志で応える。そのためならいかなる手段を用いても成し遂げる。それが俺だ」 

 

決意

 
前書き
シノン視点

……無駄に疲れました(笑) 

 
「じゃあ、シノン。俺の背中は任せた」

そうリンに言われたとき、私は自分でもわからない内に体を震わせていた
恐怖や怒りじゃなくて、私の中に浮かんでいた感情は歓喜、そして興奮
これが武者震い……
今までしてきたどんな戦いにも優る高揚感
好きな人から頼られる充足感
それらが一遍に襲ってきて身震いという形で表にでてきた

今までいた洞穴の上に登ってヘカートのスコープを覗く

スコープ内には闇風が映っていた。剥き出しのいかつい顔。腰にプラズマグレネードをぶら下げて両手で持った銃を腰の辺りに構えながら体勢を多少低くし、高速で移動している
真っ直ぐではなく蛇行したり様々な完全にランダムに見える歩き方
狙撃手にとって最もいやな相手
止まった瞬間が一番の狙撃タイミングなのだが、あの様子ではそれは望めないだろう

軽く息を吐く。それで頭の芯を冷やす
意識を冷たく、凍り付かせる。でも、それで凍えることは無い。心の奥にリンという暖かい温もりがあるのだから

目を瞑り、その温もりをしっかりと感じる
そして、意識をしっかり切り替える
詩乃からシノンへと

「闇風か……」

直接戦うのは初めてだが、闇風の戦闘スタイルは熟知している
武装は手に持ったあの銃と腰にぶら下がっているプラズマグレネードのみ
高速で移動して相手の弾を回避しつつ銃弾をたたき込む戦闘スタイル
近接に持ち込まれたらひとたまりもない

一発目で動きを止めて二発目で仕留めようかと少し考えるが瞬時に却下する
ドラグノフみたいな連射性能の高い銃ならともかく、ヘカートⅡはボルトアクションだ

息を吸って止める。指先を動かし僅かに銃身の向きを微調整。そして、照準サークルが最小に……小さな点に収束したとき引き金を引いた

弾丸が発射され、闇風に直撃した
闇風は動いてはいたが、私から見て手前から奥に移動していただけで、左右には動いていなかった
闇風の動きは確かに不規則に見えたが、それは地形を加味した場合でのみのこと
人間というのは完全に不規則な動きというものはできない。必ずそこにはある一定の法則が存在する
闇風の場合は平面において斜め右前、左、斜め左前、右を繰り返していた
……正直勘だったけれど上手くいってよかった

リン!

私は闇風に着弾した弾丸を確認するのももどかしくリンのいる方向へ銃口を向けた

再びスコープを覗きこむとステルベンの髑髏を模したフルフェイス型のマスクとその隣に立つレオンの軽薄そうな男の顔。それに相対して立つリンの姿がはっきりと映し出された

何かを話しているようだったが、やがてお互いに武器を構えた
狙撃銃を後ろに投げて懐から尖った銃剣のような刃物を取り出して構えるステルベン。銃剣を付けた狙撃銃を槍のように構えるレオン。そして、それらに相対して銃を二丁構えるリン

「間に合った……かな」

すぐに二人のうちの一人……ステルベンに照準を合わせる
私の姿は見られているから弾道予測線が自分を貫いたのがわかったのだろう、ピクリとステルベンの肩が震えた
それを確認すると同時に引き金を引く
ヘカートから発射された弾丸がステルベンの元へと飛んだ

ステルベンは転がるようにして弾丸を回避する。その隙をついてリンがレオンに殴りかかった
……おかしい
回避されること自体は元々予想できていたことだが、その動作が大きすぎる(・・・)のだ
以前、吊橋のところで回避したよりも遥かに

起き上がったステルベンはこちらを見てニヤリと笑った

「くっ!!」

嵌められた。元々ステルベンにはリンは眼中になかったんだ。いかにリンをかわして私を殺すか。それだけを考えていたんだ。私を殺すことがリンに最大のダメージになると考えて
状況は最悪だ。私は狙撃手でミドル、ショートレンジは苦手である
対する相手はヘカートの攻撃を余裕でかわせるほどの近接技能の持ち主。しかも相手の黒星は一発でももらったら終わり
私のサブアームの拳銃じゃ削り切れるかどうか……
でも、諦めない。私がリンの足枷になることだけはしたくない
私もその辛さを知っているから

ボルトを引いて次弾を装填する
残り弾数は五。軽量化のためにほとんど持ってなかったのが仇になったかな

「マズいな……」

一発撃って、余裕でかわされたとき思わずそうつぶやいていた
一撃必殺とも言えるヘカートの弾丸。でも、当たらなければ意味はない

再びボルトを引いて撃ったたまの殻を弾き飛ばし、次弾を装填する
その僅かな時間にもステルベンは近づいてくる
死の具現化したようなステルベンが近づいて来ているわけだが、私の思考は冷静にステルベンを倒すための算段を考えている
その可能性がゼロに等しいという事がわかっているけれども

第二弾はわざとステルベンの足元に撃ちこむ。それにより宙を舞う複数の石や砂ぼこり
だがステルベンはそれらがなかったかのように普通に向かってくる
石が当たり、微量のダメージが入るがそれは微量。例え残りすべての弾を今の方法で撃ちこんだとしても削り切ることはできない
しかも、時間稼ぎにすらならない

その時、スコープの中のステルベンが地面に転がった。そして、その上を多数の銃弾が飛び去っていく

「リン、こっちは俺に任せてそいつを倒せ!」

横合いから飛び出してきたのはアーマライト・AR17を手にしたペイルライダー
彼だってあの黒星に撃たれれば命が危ないのに

「ペイルライダーか!?」

レオンと膠着状態に入っていたリンがレオンを睨んだまま叫ぶ

「おまえがそいつを倒すまでの間、俺が持ちこたえてやる!」

倒すと言わないあたり、実力差を理解しているのか。だが、ミドルレンジを得意とするであろうペイルライダーが参戦したことで手段が広がり、時間をさらに稼ぐこともできる
それにしても完璧なタイミングで間に入ってきたな……

変な方向へ飛んでいこうとする思考を頭を振って締め出す。今は、そんなことを考えている暇はない
とにかく、倒すなんてことは考えず時間を稼ぐ。それだけを考えればいい

「ほう……殺されに出てきたか」

「はっ! 誰が殺されるかよ!」

強がってはいるが、剥き出しの顔には冷や汗が光っている。おそらく最初の一撃に賭けていたんだろう

ペイルライダーのアーマライトが火を噴く。しかし、ほぼすべてがかわされ、数少ない当たりそうな弾はエストックによって弾かれる

「ここ!」

ステルベンが銃弾を弾いた瞬間、私は引き金を引いた
高威力のヘカートⅡの弾がステルベンに向かっていく

「……SAO生還者ってのはこんな人ばかりなの?」

よりによってヘカートⅡの弾をそらした。一瞬でも刃のタイミングが違っていたり、ちょっとでもスピードが違っていたりすると失敗する高難度のリンの十八番

「くくく……」

奇妙な笑いを浮かべつつペイルライダーの銃弾を弾くステルベン
私の右手は染み付いた習慣から弾を再び装填している
そして撃つ。もちろん当たる訳がなく、近くの地面に着弾する

「くく……なかなか楽しめた。だが、そろそろ殺すか」

笑いながらのセリフのはずなのに背筋が凍った。そんな気がした
楽しげなその裏に含まれた、狂気、そして殺気
私のトラウマの原因の男もこんな声をしていたっけ
でも……

「私は……私たちはお前なんかに殺されたりしない!」

「ほう……」

感心したような声色に怒りを覚える
抑えるな。そして体をふるわせろ。そして、恐怖からくる寒気を制しろ

「私は、私を暗闇の中から救ってくれた……リンに恩返しをするまでは死ねないんだ!」

私は思う。この時の言葉は詩乃とシノン。それが同一の存在であることを実感した言葉であると 

 

勝利の条件

 
前書き
シノン視点

……ペイルライダーェ…… 

 
「その意気は買ってやろう。だが、それは実力が伴ってなければ何の意味もない」

シューシューと嘲笑気味に笑うステルベン。そして、私の脇に置かれたヘカートⅡをチラリと見た

「見たところ、どうやらヘカートⅡの弾丸は全て撃ち尽くしたようだな。攻撃方法を持たないおまえが何を言っても……説得力がないぞ」

確かに、もうヘカートⅡの弾丸は使えない
でも、私にはこの口がある。時間を稼ぐだけならそれだけで十分だ

「それでも、私は生きたいんだ。過去のトラウマに囚われて無為に過ごした日々。それを取り戻すために!」

「無駄なことだ。どうせおまえもここで死ぬ。愛する者が敗北し地に這いつくばって無力を感じているその前で殺してやるよ」

ゾクッと背中が震える。VRMMO内であるはずのガンゲイル・オンラインでは感じるはずのない濃厚な殺気
それを感じた

「はっ……趣味が悪いな」

そんな思い空気を破ったのはペイルライダーの軽い声だ
手は小刻みに震え、額には汗が浮かんでいるが精一杯強がってみせている

「俺はシノンの過去やお前とリンの確執は全く知らないが、少なくともおまえが腐ってるってことだけはわかった。どうしたらそこまで性根が歪むのやら……」

やれやれ、と首を振るペイルライダー。だが、その目は鋭くステルベンの一挙一動を観察している。おそらく、怒りで動きを単調なものにしようとしているのたろう
だが、激昂するかと思われたステルベンは思った以上に冷静だった

「腐ってる、か……。どちらかというと歪んでいる、と言った方が当たっているかもな」

「なにが言いたい」

「おまえもやって見れば分かるだろうよ。ソードアート・オンライン……あの鉄の城での生活を」

「おまえは……SAO生還者なのか……」

喘ぐように声を絞りだすペイルライダー。VRMMOの先駆けにして最悪の死のゲームであるソードアート・オンライン。当時、ネットゲームに興味のなかった私はリンが囚われたことを知って調べたから他の普通の人よりは知っていると思う

「そうだ。俺もリンもSAO生還者にして……あの世界で殺し合った仲だ」

あれは楽しかったなっと懐かしむような声を出すステルベン

「あの城で戦ったやつは全員どこか歪んでいる。俺も、ジョニーも、ヘッドも、キリトも、アスナも……そして、リンもな」

「キリトもリンも歪んでなんかない!」

リンに比べればキリトと交流した時間なんて微々たるものだし、特別仲がいいってわけじゃない
でも、二人とも歪んでいるなんて感じはしなかった

「ククッ……どうだかな」

本当に面白いといった感じで笑うステルベン
確かに私はリンやキリトの全てを知っているかと聞かれれば違うとしか答えようけど……

「例え歪んでいたとしても私がきっと矯正してみせる。それが好きになった人への義務だと思うから」

「……つまらないな」

愉快そうな雰囲気から一転つまらなそうな雰囲気へ

「……おしゃべりはそろそろやめだ。レオンがリンにやられて二対一になると厄介だ、まずはペイルライダーから仕留めてシノン、おまえはじっくりと殺してやろう」

「くっ……」

慌てて銃を構えるペイルライダーにステルベンがその手にエストックを持って突っ込む

ペイルライダーの銃が火を噴くがもうすでにそこにはステルベンの体はない

「くそっ!」

流れるような動作で弾切れになった弾倉(マガジン)を捨て、新しい弾倉を懐から装填するペイルライダー
しかし、その間にステルベンはペイルライダーに肉薄していた

素人目にみても鋭い剣閃が煌めき、銃を胸に抱え身を固くしたペイルライダーの体を穿っていく

「クアッ!!」

「おまえたちは所詮、死の恐怖を感じられないところで遊んでいた甘ちゃんだ。それが、死線をいくつもくぐり抜けてきた俺たちSAO生還者に勝てると思うな」

ペイルライダーは力任せに銃を横に振り、そのまま後ろへ跳び退いてステルベンから離れようとする
しかし、それを許すステルベンではない
後ろへ跳んだペイルライダーにピタリとくっついているかのように追随していく
そして、ペイルライダーが着地し、スピードが鈍ったところで再び無数の剣閃がペイルライダーに襲い掛かった

「ぐっ……マズッ……」

唯一の救いはエストックの単発の威力が低いことか
何度も穿たれているはずの軽装のペイルライダーのHPはまだ残っている
だが、残っているとは言っても確実に減っていっている
これでは、いつか必ずペイルライダーのHPは消えるだろう
ここから降りてサブの銃で戦うという手はある。でも、私の近接戦の技量は普通レベル。今出ていってもペイルライダーの足を引っ張るだけだ
もう一つ、攻撃方法があるにはあるがそれは使えない。切り札になりえるあれは確実に当たるタイミングで撃たないといけない
助けたい気持ちを抑え、加勢できないペイルライダーに心の中で詫びを言いながら、ぐっと我慢するしかなかった

「くそ野郎が!」

銃を無差別に放つペイルライダー。一発でも食らえばショックによるスタンを食らい、蜂の巣になることが確実なペイルライダーの弾丸をステルベンは自分に当たるものだけを選別してエストックで撃ち落とす

どんな銃でも弾丸の最大装填数は決まっている
自動拳銃であるペイルライダーの銃はかなり装填数は多いがフルオートで撃っていればすぐに弾切れになることは確実だ

やがてガキンという硬質な音が辺りに響き渡る。ペイルライダーの銃が弾切れになった音だ

「クッ……!?」

ステルベンの口調に初めて驚愕が走る
ペイルライダーが空になった銃をステルベンに投げ、それに追随する形でステルベンに特攻をかけたのだ

「確かに俺は甘ちゃんだ。死の恐怖なんて今初めて感じたよ」

ステルベンの手を払い、足元を払おうとするがかわされる

「だがな……俺はおまえみたいなやつには負けたくねぇ!」

「HPが消えそうなやつがなにを言う。意気がったところで結局なにもできないだろう」

「残念ながら、俺の勝利条件はおまえを倒すことじゃないんだな」

ここから見えるペイルライダーの顔には笑みがある。
それが見えると同時に、ステルベンの持つエストックがペイルライダーのHPを削り切った

そして、スコープの中に入り込んできた一人の人物

「あとは任せた、リン」

そうペイルライダーの口は動いた 

 

敵を貫くのは

 
前書き
リン視点
 

 
「……そうか。ならこれ以上の言葉は不要だね」

今まで常にレオンの表情にあった愉悦が消えた
変わって現れるのは怖いくらいの無表情

「いいよ。なら僕は君の意を汲んで本気で取りにいく。キャラじゃないけど……いいよ、今回だけは熱血キャラでいてあげる。来なよ。命を賭けた殺し合いを始めようじゃないか」

「言われなくても!」

友好的かつ平和的な解決ができない以上、あとは暴力的な力に頼るしかない。もっと時間があれば他の方法を模索できるんだが……

「行くぞ!」

地面を確認しつつおもいっきり土を踏みしめ前へ。短刀相手に懐に潜り込まれることの愚かさを俺はよく知っている
だが、遠距離からチマチマとピースメーカーで撃っているだけではレオンほどの実力者を倒すことは絶対にできない
だから前に出る。一歩間違えれば、俺は全体力を失い敗北するだろう
それはすなわち詩乃とペイルライダーの死を意味するだろう

「しっ!!」

光剣を横なぎに振る。それをレオンはフックスライディングのような形でかわす
そして、俺の足を軽く蹴り下から跳ね上がるようにして斬り上げてくる

「チッ……」

ピースメーカーで向かってくる剣先を撃ち、ついで向かってくる二撃目をピースメーカーで受ける
もちろん強度的に足りるわけがなく、ピースメーカーは爆発。それで怯んだその隙にレオンに向けて再度光剣を振る

「くおっ……!!」

仰け反ったレオンの頬に光剣が当たるが浅い
これ以上の追撃は不可能と判断し、地面を蹴って距離をとる

「やはり……強い」

俺の手元にある武器は手に持っている光剣と懐に入っている数本の銃剣のみ

「それはこっちのセリフだよ。まさか、あのタイミングでかわされるとは思わなかった」

予備知識無しならば危なかった。俺がかわせたのは単にその技を知っていたから
二刀流突撃系剣技、ダブル・サーキュラー
それがその技の名前だ
自身も何度も使用していたからこそ軌道を読み切ることができたのだ

「……キツいな」

自身の武器である光剣に目を向ける。自分の使っていた剣よりも軽く、武器防御もできない
唯一の救いは攻撃力が桁違いってことだけか

「……っ!!」

再びレオンが懐に潜り込もうと行動を開始する

俺は懐から銃剣を取り出すと投げる

「チッ……」

レオンは舌打ちをしながらも銃剣を弾く
そこに俺が光剣を一閃

「くっ……!」

苦悶の声は俺。レオンが投げたナイフによって腕にダメージを負ったからだ。その衝撃で光剣の軌道がブレ、外してしまった

「取った!!」

「やらせると思うか?」

光剣をやり過ごしたレオンが反転。残ったナイフで首筋を狙ってくる
迎撃できるような武器は所持していないので地面に転がる

「かかったな!」

倒れることを予想していて、そのまま全体重をかけて倒れこむようにして短刀を振り下ろしてくる
光剣の刃は自身を斬らないようにするため転がるときにしまってある。レオンの言った通りチャンスだろう
転がったときに握ったFN(・・)が無ければ

「なっ!?」

そりゃ驚くだろう。武器も何も使えなくなった(と思っていた)俺がいきなり銃口を向けてきたのだから
簡単な話だ。転がる位置、タイミング、銃の転がっている場所。そして、ここまでが俺の描いたシナリオ
俺は主人公のように偶然や隠されていた力なんてものはない
だから、それを補うだけの策を用意しておく。それが俺の戦い方。……最近、主にキリトのせいでできていない気もするが

向かってきたレオンに向けてFNを撃ちこむ。そして、その衝撃でスタンしたレオンを伸長した光剣で斬り裂いた

レオンの体が宙を舞い、Deadタグを浮かばせ始めたときにはもう俺はステルベンの元へ走り始めていた










「ザザ!」

「くっ……リンか!」

地面を見るとペイルライダーがDeadタグを浮かべて倒れている
剥き出しの顔はどこか誇らし気である
ステルベンは手にしていた黒い小型拳銃……黒星を懐に納める
そして改めてエストックを構える

「レオンはやられたか……」

「……あぁ……」

どうにか倒したが、体力を半分ほど持っていかれた
。あのレベルの相手との戦闘なんてソードアート・オンラインのヒースクリフの影以来だ

「ククッ……まあいい。ペイルライダーは倒したし、シノンは弾切れだ。あとは俺がお前を一騎打ちで破り二人を……殺すだけだ。無様に負けて倒れ、地に這いつくばらせて見せてやるよ。お前の大切なものが儚く散る様をな」

「どうかな……。地を這うのはお前の方じゃないか?人は守るものがある時に最大の力を発揮する。そうだろ?」

「くだらないな。人と人の繋がりなんて脆いものだ。結局、人は自分可愛さに犯罪を犯す。俺がそうだし、お前もそうだ。忘れたとは言わさないぞ?あの日、あの洞窟で三人もの人を殺したことを」

「忘れてなんかいないさ。確かにあの時、俺は躊躇なく人を殺した。それは消えることの無い罪だし、懺悔をしよう。でもな、あそこで三人を殺したことは後悔していない。殺したことで命を拾ったやつもいるんでな。残念ながら、俺にとっては守る側の命の方が重かった」

「それはただの詭弁だ」

ステルベンはそう吐き捨てた

「そうかもな」

俺は笑う。詭弁であることも理解しているから

「だが、詭弁だろうがなんだろうが、俺はそれを信じて突き進む。もし、間違っていたらキリトやシノンが止めてくれるさ。俺をたたきつぶしてでも」

そう言うとステルベンは嘲笑気味に笑った

「結局は他人頼りか」

「他人頼りのなにが悪い。俺は自分だけではできないことにぶち当たったとき、他人に助けを求める。巻き込みたくないとかそんな小さなプライド……いくらでも捨ててやる」

「……詭弁だ」

そういうステルベンの言葉は弱々しくなっていく

「なら、詭弁じゃないことを証明するさ。……お前を倒すことで」

「……いいだろう。俺はお前を倒した後、あの二人を殺しおまえの無力さを思い知らせてやる」

もはや、語ることは無いといった感じで話を打ち切り、エストックを構える

「……おまえの敗因を教えてやろうか」

「ほざけ!」

エストックを構え、こちらに跳びだしてくるステルベン
知ってはいたが、凄まじい剣のキレ
足場が砂場ということも重なり、時折俺にダメージが入る。だが、俺は言葉を紡ぐことをやめない

「お前は強い。それは認めよう。だがな。それは所詮個の力だ」

「……なにが言いたい」

エストックが俺の体を擦る。残りHPは二割強
光剣を振ってステルベンを下がらせる

「個の力では……よほどの実力差がなければ信頼しあった群には勝てない。お前の負けだ」

「ククッ……可笑しなことを言う。シノンはもはや戦えず、おまえは俺に手も足もでないじゃないか」

「シノンが戦えないと決め付けるなよ?」

「なに?」

眉をひそめたステルベンの体が硬直し、瞬時に後ろに跳んだ

「弾道予測線?……まさか!?」

弾が無いと思っていたシノンからの弾道予測線による攻撃(幻影の一弾)。さぞや、ステルベンは驚いただろう。反射的に回避行動をとったのがその証拠だ。シノンから見て俺とステルベンの体はほぼ一直線上にあると思う。いくらシノンが腕のいいスナイパーだとしても俺に当たる可能性が高く、ステルベンにかわされる可能性が高いこの状況で撃つわけがないと回避行動をとってから気付いたようだ
このチャンスを逃す手はない

「はっ!」

後ろに跳び、隙だらけになったステルベンに光剣を叩きつけるように一閃
だが、ステルベンも諦めてはいない
持っていたエストックを俺の手元に向けて投げた
その当たった衝撃で剣閃がブレる
結果として俺は攻撃を外した。そして、HPが一割を切った

「ククッ……結局俺の勝ちだ」

懐から既に予備のエストックを取り出していたステルベンは勝ち誇ったような声色で振りかぶり、そのエストックを持った手を撃ち抜かれた

「なっ……」

「俺に意識を向けすぎだ!」

シノンのヘカートⅡに弾丸が残っていたことをステルベンは知っていたはずだ。それなのにかわせなかったのは集中力を欠き、俺の策略にはまり俺に意識を向けすぎたからだろう

そして最大の失敗は撃ち抜かれたことに驚き、動きを止めてしまったこと
シノンの弾丸は予備を除いて打ち止めだし、俺のHPは一割を切っている。対するステルベンは三割ほど残っている。だから、そのまま後ろに転がればステルベンの言った通り俺たちの負けだっただろう
だが、現実は動きを止めているし俺はステルベンのHPを刈り取るために動き始めている

「俺を……倒しても……あの方が……」

斬り裂かれ、宙を舞っているステルベンが切れ切れに言葉を発した

「残念だがそれは無いな。俺には防ぐことは無理でもキリトのバカがいる」

地面に落ち、Deadタグを浮かべ始めたステルベンに向かって、吐き捨てた

「俺はともかく、俺たちをなめるな」 
 

 
後書き
蕾姫「はい、というわけでガンゲイル・オンライン。バレット・オブ・バレッツはこれにて終結ってわけです!」

リン「なんだかんだいいながらバトルシーンでは最長なんだよな……」

蕾姫「まあ私自身、このファントム・バレット編を本編と捉えていましたし、その最後を彩るバレット・オブ・バレッツのリン&シノン&ペイルライダー(笑)とステルベン&レオンの戦い。約一年間の執筆活動の集大成であります!」

リン「ほとんど文才がないから集まってもそんなに凄くないがな」

蕾姫「言わないで……それは……」

リン「……了解した」

蕾姫「はい。気を取り直して……ファントム・バレット編はまだちょっとイベント(うちのメインヒロインに付いた虫退治)が残っていますが、一応山場は終了です!」

リン「次はどこへ行くんだ?」

蕾姫「とりあえず、キャリバー編とマザーズ・ロザリオ編をもって完結となると思う。アシリゼーション編は……やるとしても別作品。主人公をスライドさせるから考え中……」

リン「そうか……まあ、まだ先は長そうだが、終わりは見えたな」

蕾姫「それは完結してから考える。それよりも!」

リン「……なんだよ?」

蕾姫「リンの画像が欲しいです! 俺の絵心は小学生レベルだから無理! 誰かお願いします。シノン付きで」

リン「……話題の転換が早い」

蕾姫「あ、感想が返信できるようになりました」

リン「今言うことか!?」


というわけで、リン&シノンを書いてくれる人を募集ー。くれる人は感想によろしくお願いします!あと普通の感想もお願いします 

 

最後の戦い

「リン!」

ステルベンを倒し、崩れ落ちた俺にシノンは駆け寄ってきた

「よう、シノン。よかった、無事だったな……」

泣き出しそうになるが、我慢する。今泣けば、全国の晒し者だ

「よかった……本当に……」

シノンが俺の腕の中で泣きじゃくる
俺は優しく抱きしめながら頭を撫でた

最後の最後。シノンのあの二つの弾丸が無ければ俺は負けていただろう
シノンとペイルライダーが勇気を示してくれたから俺は戦えたし、勝利も得た
……だが、まだ完全勝利とは言えない。現実世界に潜む死銃を刑務所にぶちこむまではシノンの安全は保証できない

「シノン、よく聞いてくれ」

ずっと抱き合っていたいのは山々だが、早くしなければ様々な危険が詩乃に襲い掛かるだろう

「なに?」

「俺が推理した通りなら、死銃はステルベンを動かしていたやつ、そして実際に殺人を犯した実行犯が二人いる」

なにかを聞きたそうなシノンを目で抑える
とにかく、時間が惜しい

「シノン。この試合が終わったら、俺は真っ直ぐ詩乃の家に行く。俺が来るまでの十数分間。絶対に誰も中に入れるな。死銃はなんらかの方法で詩乃の部屋に侵入する術を持っているはずだ。だから、現実世界で目を覚ましたら部屋の中に誰もいないことを確認してバリケードを作ってくれ」

「う、うん」

いろいろと言いたいことはあっただろうが、素直にうなずいてくれた
……さてと

「どうやって決着をつけるか……」

光剣で自分を斬ってもいいし、FNで自分を撃ち抜いてもいい
……自殺しているみたいで気分は良くないが、シノンを斬るよりは、な
そう考えて、光剣の刃を伸ばした

「あ、ちょっと待って」

光剣の刃を伸ばしたのをみて俺の意を察したのが俺の手を掴んで止めてくる

「なに?」

言い忘れたことあったっけ?

「レアケースだけど過去のBoBでは優勝者が二人出たことがあるの」

「……え?」

いきなり、何を言い始めたんだ?
今の場には必要のない情報なんだが……

「優勝するはずだった人が最後に油断しておみやげグレネードっていうものにひっかかってね。それで二人同時優勝。だからね」

それがどうかした?そう言いかけて俺は硬直してしまった
俺の腕の中にいるシノンが持つピンの抜かれたプラズマグレネードを見て

「……剛毅な」

「ちょっと否定できないかも」

クスクスと笑うシノンと苦笑いの俺
二人でプラズマグレネードの爆発に巻き込まれ、辺りを白い光が満たした
最後、シノンの口はこう動いていた。ありがとう、と

試合時間、二時間四十分五秒
第三回バレット・オブ・バレッツ本大会バトルロイヤル、終了
リザルトーSinon及びRin同時優勝

結果が決まり、例の白い待機場所へ飛ばされる
以前は戦いへのモラトリアム(猶予期間)と次のフィールドの名称だけを表示していただけだったが、今は先ほどまで戦っていたバレットオブバレッツ本戦の最終ランキングが出ている

一位に俺とシノン。二位とび三位にステルベン。四位にペイルライダーで五位がレオン。六位に闇風と続く。そして一番下に回線切断者ギャレットの名前
死銃の犠牲者であろうその名前に軽く黙祷を捧げる
やがて、ログアウトへのモラトリアムを終え俺の意識は現実世界へと帰っていく









目が覚めるとすぐに見えたのはキリトの顔のドアップ。キリト顔面に反射的にたたき込んだ正拳突きで悶絶するキリトを一瞥し、なぜか側にいたアスナに声をかける

「アスナ、警察に連絡を。安岐さんは菊岡さんに連絡をお願いします」

「警察って……どこに呼べばいいの?」

「シノン……本名朝田詩乃の家だ。場所は菊岡さんに調べてもらえ。俺は今から詩乃の家に直接向かう」

詩乃の家の住所なんて記憶していない。この情報化が進んだ世界で、自分の家以外の住所を知っていることは稀だ
菊岡さんは腐っても役人なのだから、役にたってもらう

「お、俺も……」

顔を押さえていたキリトがふらふらと立ち上がる

「ダメだ。現実での強さなら俺の方が強いし、なによりこれは俺がけりをつけなければいけない問題なんだ」

これは俺のケジメ。いつも脇役でしかなかった俺が、初めて前に出て身に余ることをやった……それでもこの手で助けたかった少女を守り切るために

「そうか……」

「ほら、リン君」

「ありがとうございます」

安岐さんが差し出してくれた俺の上着をありがたく着る

「じゃあ、ちょっと行ってきます」

「頑張ってその少女を助けてきなよ?」

「はい、当然です」

安岐さんに言われるまでもなく、それは規定事項だ。成功率とかは関係なく、必ず助ける

「いいわね。青春って」

そう安岐さんが呟いたときには俺は駆け出していた

病院を出てすぐにタクシーを拾い、詩乃の家の最寄りの駅に下ろしてもらう

そして、再び走りだした
焦る気持ちを抑え、いつもの自身のペースを取り戻す。無理に加速して、戦えないなんてことになったら意味はない
地面を踏み込む度、加速したくなる足を抑えつつ、アスファルトの道を駆ける

やがて、詩乃の住むアパートが見えてきた。かなり、ボロボロの小さなアパート

俺はギシギシと音を立てるこれまた壊れそうな外階段を登る
そして、登った先にいた一人の少年。詩乃のいる部屋の扉を狂ったように拳で殴るその少年には見覚えがある。以前会ったことがあるその少年の名は確か、新川恭二だったか
どちらにせよ、やることは変わりがない。幸いこちらに気付いてはいないわけだし、凶器を出す前に決める

二階の外の渡りを走る
ボロいためかギシギシと立った音に気付いた少年がこちらを見るが、もう遅い

そのままの勢いを込めた足でその少年の体幹部を蹴り跳ばした

「くそっ……」

外した。一応当たったは当たったのだが、意識を落とすレベルにはなかったと思われる。踏みこんだとき、足が沈み込まなかったら落とせた
少々たわんでいた足場に運がなかったと思いながらも意識を切り替える。悪態をついていても状況が変わるとも思えないし、ゆらりと起き上がった少年に対する牽制の意味もある

「な、何をする!」

ヒットした脇腹あたりを押さえながら、怒気と殺気の混ざった声を出してくる

「お前が死銃の片割れか?」

罵詈雑言を喚いていた少年がその一言でピタリと止まる。その一言で少年の瞳に光っていた感情が入れ替わる。怒気、殺気から狂気へと

「どうして……」

わかった?と続けようとして少年は俺の顔を見て再び止まる
そして、その瞳の狂気の色が深くなった

「そうか……お前かぁぁぁぁ!!僕の朝田さんに手を出したのわぁぁぁぁ!!」

絶叫。多量の唾と共に吐き出された言葉はまさに呪咀

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す、お前なんか、お前さえいなければぁぁぁぁ!!」

興奮してくれればむしろ好都合。こちらとしては攻撃が直線的になり、対処が簡単になる。そう考えていた

「……リン……?」

ミユこと水崎優衣が買い物袋を下げて、向こうにあった階段から上ってくるまでは

「ミユ、逃げろ!」

「はははは、これはラッキーだなぁ!」

とっさにそう叫んだが間に合うはずもなく、あっさりと捕まってしまう。そして、どこから取り出したのか携帯用の注射器をミユの首筋に押しあてる

「こいつの命とお前の命、どっちがいいんだぁ?」

先ほどの興奮は収まり、粘っこいニヤニヤ笑いにとって変わる

「下衆が……」

恨み言を吐いても状況は好転しない
完全に俺のミスだ。一撃で仕留められなかったがために周りを危険にさらしてしまう
つくづく俺は主人公ではないということを思いしらされる

「……リン!……私のことは……いいから……」

久しぶりに聞いたミユのたどたどしい言葉遣い

「うるさい! 黙っていろ!」

「……くぅ……」

腹を殴られた端正なミユの顔が歪む。歯を食い縛って耐える様を見て、俺の怒りのボルテージがMAXまで跳ね上がる
だが、迂闊に近寄ればミユの命はない

どうする……

「……ほら。これで自殺しなよ」

新川が渡してきたのは今、ミユが突き付けられているものと同じ注射器。中には多量の薬品で満たされている

「首筋に打てばこの子は解放してあげるよ」

ニタァとサディスト地味た笑みを浮かべる新川。俺は死ねない。だが、ミユも失いたくない

「……私のことは……いいから……!」

「だから、うるさいって言ってるだろぉぉ!」

「っ……!」

今度はミユの頬を張る新川。その様子を見て、歯を食い縛りながら、手の中の注射器を見る

全体は二十センチほどある、光沢を放つクリーム色のおそらくはプラスチック製
先には銀色に鈍く光る金属パーツがあり、尖っている。ここから致死量の毒薬を打ち込むことは容易に想像できる。円筒部分には緑色のスイッチがあり、そこを押せば死刑が執行されるといったところか

「早くしろよ!」

俺がすぐには動かなかったのを見て、苛立たしげにミユの首筋を注射器の先で突く

なにか……なにかないか。一瞬でもいいから新川の意識をこちらから外せるなにかが

「リン!」

俺を呼ぶ声が響いたのは新川とミユの向こう側
部屋の中にいるはずの詩乃の声

「なっ!?」

神経がささくれだっているときに後ろから、いきなり声をかけられれば誰だって振り返る
例にも漏れず新川を振り返った

「ふっ!」

千載一遇のチャンスを見逃す手はない。新川の意識が詩乃へと向いた瞬間、俺は手の中にあった注射器を捨てて駆け出した
一歩、二歩、新川の元へ駆け寄り、拳の攻撃範囲に入ると同時に短く息を吐きながらミユの首筋に当てられていた注射器を弾く

続いてミユの足を払い、ミユの足と首を手で抱え上げて、いわゆるお姫様だっこをして新川から離れた

「朝田さん!」

新川の顔が晴れやかな表情へと変化する
暗闇の中で一筋の光を見たような、砂漠の中でオアシスを見たような、そんな表情だ
新川は地面に転がった薬品の入った注射器を拾いもせずに詩乃へと近づいていく

「新川君。私弱いから……弱かったから新川君をそこまで歪ませたのかもしれない」

「朝田……さん?」

「ごめんなさい。でも……だからこそ私が新川君を止める。これ以上、私の背負ったような人殺しの罪を背負わせるわけにはいかないから」

決意に満ちた目をしているのはここからでもわかる。ただ、手に持っている武器。五キロはありそうな巨大な黒い鉄の塊はダメだと思う
歪みを直すはずの一撃が、それを通り越してそのまま昇天しそうなんだが……

詩乃のその様子に唖然として動きを止めた新川の脇腹に詩乃の持った鉄塊が横殴りに直撃した

新川は為す術もなくこちらに一直線。というかこっちに飛ばすなよ……

「あー……どうするか」

完全に弛緩してしまった場のシリアス度だが、このままだとミユごと新川に潰されてしまうので、受け止めないといけない。どうせなら微妙に残っている詩乃とミユの件に対する怒りをぶつけるか

「……よっこいしょ」

右足を引いて腰を落とす。手を大きく振りながら骨盤の動きを意識しつつ、左足を軸に右足を新川にたたき込む

地面にべちゃっと落ちて停止した新川に駆け寄ると脈を診る
……うん、問題ない。呼吸も正常だし内臓が破裂した、なんてこともなさそうだ

「詩乃、それはやりすぎだと思うんだが……」

「外にある粗大ゴミ置き場にあった私が使えそうな武器がこれしかなかったの」

ミユが自分の家からいつの間にか持ってきていた縄で新川を縛りながら詩乃を見る
詩乃もやりすきだと思っていたのか苦笑いを浮かべている

「まあ、それは置いておいて助かった。あの時は完全に手詰まりだったからな」

「リンこそ、宣言する時間をくれてありがとう。決められたんでしょ?」

「まあ、な」

注射器を払ったあと、顎に拳を打ち込めばおそらく意識を奪うこともたやすかっただろう
最初に蹴りを打ち込んだ時とは違い、距離が短かったからな

「リン……ありがとう。私を助けてくれて」

「……ああ……」

改めてお礼を言われると照れる。遠くから響いてくるパトカーのサイレンを聞きながらそう思った

「ところで、ミユ。この縄……」


「……私の趣味……」

「やっぱりか……」
 
 

 
後書き
蕾姫「はい。朝田詩乃の隣には水崎優衣ことミユが住んでいる、という伏線回収!」

リン「分かりにくい+どうでもいいって」

蕾姫「……」

リン「そういえば詩乃。あの時は無粋すぎて聞けなかったが、どうして部屋の中にいたはずの詩乃が階段から上がってきたんだ?」

シノン「ロープを使って窓から脱出したの」

リン「最近の女子は部屋にロープを確保しておくのが流行りなのか!?」

ミユ「呼んだ?」

シノン「あのロープ、優衣が私にプレゼントしてくれたやつなんだけど……」

リン「プレゼントのチョイスがおかしくないか……?」

蕾姫「そういうキャラだから」

ミユ「……汚されちゃった……」

蕾姫「酷くない!?」


はい、作者の蕾姫です。上の蕾姫(笑)はなにかって?
もはや、あいつは別人格ですw
まあ、それは置いておいて作品の裏話でも
この話を書くにあたって一番考えたのはサクシニルコリンのことですね
処置をしなければ(・・・)死にいたると聞いたので裏付けを取ろうとしたんですが、これが載ってない
詩乃の人工呼吸+看病+ユウキとの出会いフラグの計画が台無しです(笑)
そして新川恭二が原作より下衆い……

感想その他お待ちしております
ではでは 

 

夜会

その数分後、サイレンと共にやってきた警察に新川恭二は逮捕された
罪状はとりあえず殺人未遂らしい
余罪はこれから増えていくそうだ
俺と詩乃、そして優衣はパトカーに同行してきた救急車にて病院へ
ただの検査。一応形式上だったらしいが、一晩病院の個室に泊まることとなった

「人間ってのはじっとしているようにできていないってのを実感した」

「私は慣れてるけど……」

「……詩乃は狙撃手……」

「そうだよね」

検査といっても全員、体は健康(心はわからない)なのですぐに終了。残った結構多い時間はベッドの上で寝てないとダメなんだが、示し合わせたように詩乃と優衣が俺の部屋に集合したので強制的に座談会になっている

「……燐はALOから……コンバートさせてた……んだよね?」

「まあ、そうだな。そうでもしなきゃ戦えないって」

初期能力値でレオンやステルベンと相対するなんて恐怖を通り越して無理である。PS(プレイヤースキル)はほぼ互角か向こうの方が上。詩乃の援護があったとしても初期能力値では勝てないかもな

「……またALOに帰って……くるの?」

「帰らないと後が怖い。主にアスナとユイが」

アスナは未だにゲーム内では俺のことを息子と見なしているらしく、色々と心配される。ユイにいたっては本物の兄のような扱い。怖いというか耐えられない。良心の呵責的な問題で

「……詩乃も来る……?」

「……私はそういうファンタジー系は……」

そう言って難色を示した詩乃の耳元で優衣が何事か呟く。結婚とか生活とかいう単語が聞こえてきたが……なにを出汁にしている……

「わかった、新しくキャラを作ってALOを始める」

落ちた
だが、勢い余ってコンバートすると言わなかっただけまだ理性が残っていたと言えるだろう

「……じゃあ種族……決めようか……」

心なしか優衣の声が弾んでいる
感情の起伏のあまりない優衣には珍しい

「とりあえず、燐と優衣の種族ってなに?」

「俺は闇妖精インプだ」

「……私は……火妖精サラマンダー……」

「……聞いてもわからなかった」

と苦笑い。名前だけなら有名な妖精の名前だし、得意な属性はわかるにしても細かい特徴はわからない

「ん~、まあそうだろうな」

「種族ごとの特性はこのサイトに纏めてありますよ」

「あれ、ユイ?」

俺の携帯からいきなり聞こえてきたのはユイの声
携帯を開くとネットに繋がっており、一つのサイトが目に入る

「ほら」

まあ、ユイがいても困ることない、というか助かるので、そのまま俺の携帯を詩乃に手渡す。だが、詩乃はこちらをじっと見たまま動かない

「今の声……なに?」

「えっと、はじめまして。私はユイと言います。これからよろしくお願いしますね、詩乃さん、優衣さん」

「あ、よろしく」

「……よろしく……」

俺の携帯のランプをペカペカ光らせながらユイが丁寧に挨拶するとつられたのか詩乃と優衣は頭を下げる

「なんでユイがいるんだ?いつもはキリトの携帯だろ?」

「にぃが他のゲームに浮気しないかどうかってママに見てきて欲しいって頼まれたんです」

「おいおい……」

そんなことで娘を使うなよな……
俺にとってもユイは可愛い妹みたいな存在なんだから

「え、にぃ?」

ユイの俺に対する二人称を聞き咎め、フリーズが解けると同時に俺につっかかってくる詩乃
顔が近い。一応ここがベッドの上であることを自覚して欲しい
事情を知っている人ならいいが、知らない人から見ればかなり危ない

「ユイ、説明を頼む」

「簡単に、でいいですか?」

「もちろん」

詳しく話すと時間をとられすぎて消灯時間+中断のコンボを食らうって









「リンも無茶をするね」

「そうしないと全滅してたんだが……」

ユイの話は出会いから始まりの街までの簡単なものだったのだが、なぜか運命の鎌との戦いだけは詳細に表現してみせた
単に弾いてただけなんだがそんなに凄いかね?

「じゃあ、私はパパのパソコンに戻りますね」

「おう、まあキリトのやつに今度会ったら覚えておけって言っといてな」

「わかりました! にぃ、おやすみなさい」

最後にコロコロと笑うとユイの声が聞こえなくなった
盛大に場を掻き乱していったがどうせ後々詩乃たちとユイは会うことになるんだ。そう思えば特に恨みも感じない
キリトは……クックック……

「それで種族は決めたのか?」

「ん~遠距離系の武器ってあるの?」

「……遠距離……魔法ぐらいしか……思いつかない……けど……」

普通の人は優衣のように遠距離系といえば魔法しか思いつかないだろう
なにせ、これはALOの話。妖精たちが舞うALOにて最もファンタジー色の強い魔法を他の武骨な遠距離系武器で代用しようなんて者は少ない。というか皆無と言ってもいい
後衛は魔法特化のダメージディーラーか回復特化のヒーラー。補助特化のバッファーはあまりいない。大体がヒーラーを兼ねている。珍しいのでデバッファーなんてものもいるが、これがセオリーだ

いきなり魔法以外の武器を使おうという発想が出るのは硝煙と鉄の世界の申し子である詩乃らしいといえば詩乃らしいのだが……少女としてどうかと思う

「なに?」

じっと見すぎたらしい。心の中の言葉を感付かれないうちに話題を反らした方が良さそうだ
女の勘って怖いから

「遠距離系武器だったな?遠距離系武器なら投剣、投槍、弓、チャクラムぐらいだと思う。まあ、すべてを網羅しているわけじゃないから他にもあるかもしれないが」

「……弓かな」

「弓か……」

確かALOにおける弓は矢に金がかかるわ、当たらないわで結構不遇だった気がする
空を素早く飛ぶシルフが使う短弓か力の強いノームの使う弩ぐらいか?魔法耐性の強いボス用でメインアームにしているやつなんてほとんどいない

「弓といっても短弓、長弓、バリスタなんてのがあるが……」

「一番射程が長いのは?」

「長弓だけど……」

威力はバリスタが一番。当たり前か

「じゃあ、ケットシーで長弓にする」

予想の斜め上をいく詩乃。優衣にも予想外だったようで普段の無表情を崩して唖然としている

「弓ってのはシルフの短弓かノームの弩がセオリーだと思うんだが……」

「私は狙撃手だからね。一番目がいい種族って書いてあるケットシーで超遠距離から狙撃をする」

そんなにそれを貫きたいんですか?詩乃さん

「弓の有効射程ってそんなに長くなかった気がするんだが……」

「……魔法の1.5倍ぐらい……」

意外とあるらしい
どの魔法を基準にしてるかは知らないけど

「なら、決定かな」

「まあ……自分でしっかり考えたなら止めはしないが……」

大丈夫か?

「楽しみ方は人それぞれでしょ?」

「……そうだな」

SAOとかは完全に遊びではなかったし、ALOやAMO、そしてGGOでは誰かさんの野望を阻止するので忙しかったから遊んでいる暇がなかったからその楽しむということを忘れていた

「じゃあ、それで決定かな」

「そうか……そろそろ解散した方が良さそうだ」

時計を見ると消灯の時間が迫っていた。さすがに男性である俺の病室に女性である優衣と詩乃をこんなに遅くまで残るのは許してくれまい
……男性でもダメだろうが

「そうだ、リン」

「ん?」

名残惜しそうに病室を出て行こうとしていた詩乃だが、入り口のあたりで振り返る

「来週の土曜日、空いてる?」

「まあ、空いてるが……」

警察の突発的な事情聴取がなければ、と注釈がつくが
約一週間ぐらいあるしその頃には終わっているだろう

「じゃ、じゃあ二人で遊園地に行きたいな」

「……わかった。待ち合わせは前と同じ駅前でいいか?」

「うん。じゃあ、おやすみ」

「また明日な」

扉が音もたてずに閉まると部屋に静寂が訪れた
ダイブも禁止されているからなにもすることがない

「寝るか……」

最近寝る時間も遅かったからちょうどいいしな 
 

 
後書き
蕾姫「あー……あとはダイシーカフェの一幕で終了か……」

リン「それについてはキリトたちが根回ししていてくれるから問題ない」

蕾姫「回収の忘れた伏線とかない……よな?」

リン「強いて言うならザザのラストの言葉ぐらいか?」

蕾姫「それは無理。この作品はマザロザまでだもの」

リン「終わったらどうするんだ?」

蕾姫「ん〜、アシリゼーション編のプロットを組みつつ別主人公でプログレッシブをやる予定。ちなみにプロット無しの行き当たりばったりw」

リン「おいおい……」

蕾姫「というわけで予告をどーん!」

このゲームが始まった時、俺は記憶を失った

ここがどこかはわからない。知ってるようで知らない世界
現実なのか、あるいは仮想世界なのか
ただ、わかったのは周りの人間を含む自分がこの世界に囚われてしまったということ

知っている(記憶にはない)。わかってしまう(体が覚えている)
そして、記憶を取り戻した時……残酷な現実が目を覚ます

ソードアート・オンライン・プログレッシブ〜Defect of Memory〜

ソードアート・オンライン〜二人目の双剣使い〜では語られなかった舞台の裏の物語の幕が開ける

あなたは、記憶を思い出す覚悟がありますか?



蕾姫「まあ、約五分で書いた予告だから変わる可能性大」

リン「俺も出るのか?」

蕾姫「エキストラで出す予定。脳内設定通りで行くなら」

リン「ふーん……」

蕾姫「主人公の武器、どうしようかなぁ……」

主人公の武器候補を募集。ただし、神聖剣と二刀流以外のユニークスキルは90層を越えないと現れないという原作設定をお忘れなく
ではでは〜 

 

無駄話

その週の木曜日
キリトに例の件の準備ができたとのことで詩乃をダイシーカフェに連れてこいとのこと
というわけでわざわざ詩乃の学校の前にバイクではり込んでるわけだが

「いつになったら出てくるんだ?」

こちらから見えるということは向こうからも見えるということで、ものすごく見られている。見られるのは慣れてるからいいんだけどこそこそ数人で話すのはやめて欲しい。気になる
詩乃……はやく出てきてくれないかな

「あの……」

「ん?」

少々、いやかなり気を揉みながら待っていると一人の少女が声をかけてきた

「誰か待っているんですか?」

「まあ……」

「誰ですか?」

……ちょっとデリカシーがないんじゃないか?
別に誰でもいいだろ?と答えたくなるがここは抑えて……

「朝田詩乃を待っているんだけど……」

「ちょっと、燐!」

「よう、詩乃」

「よう……じゃないって! なんで学校前にいるの?」

「いや……事前に言ってあっただろ?」

ちゃんと連絡をしたから知ってると思ったんだけど

「そうだけど校門前で待つことはないじゃない!」

「バイクを停められる場所がなかったんだよ。キリトにバイクを借りたのが間違いだった」

わざわざ免許とったのにな
かなり時間がかかるが電車でくればよかったと今さらながら後悔している

「……はぁ……まあ、いいや。とりあえず早くここから離れよ?そろそろ視線が痛くなってきたから」

「そうだな。ほら、詩乃」

手に持っていた予備のヘルメットを詩乃に投げ渡す
弧を描いて飛んで行ったヘルメットが詩乃の手に収まるのを確認すると俺はバイクに跨った

「朝田さんの彼氏ですか!?」

見れば先ほど俺に話しかけて、その後フリーズしていた少女が再起動し、詩乃に突っ掛かっていた
詩乃の顔が赤くなったのがここからでもわかる

「まだ彼氏じゃない!」

「まだ(・・・)ねぇ……」

「ッ……!」

玩具を見つけたようないい笑顔
盛大に自爆した詩乃を庇う気はないのでキリトにメールを
ちょっと遅れますっと

「顔を赤らめちゃって……ねぇ、キスとかしちゃったの?」

「うぁ……」

「きゃー、しちゃったんだ!」

「……」

こうなると氷の狙撃手様も型なしだな
こうもあっさりと打ち解けるとは、女子ってのは勢いがすごい
……詩乃の明日が大変そうだ。おそらくクラス中からの質問責めだろう
社交性が低いから心配である

「ねぇねぇ、未来の彼氏さん」

「なんか用か?」

「初めてはちゃんとゴ……」

「なにを言ってるの!?」

全力の下ネタでした。途中で顔を真っ赤に湯であがらせた詩乃に邪魔をされたが、内容はわかった。いや、わかってしまったと言うべきか

「了解した。今日の帰りに薬局でも……」

「燐も乗らないで!!」

その少女を手招きすると詩乃に聞こえないように声のボリュームを下げる

「……もしかして詩乃ってそっち系の耐性はないのか?」

「私が友達になったのは極最近だけど……ここまで耐性がないとは思わなかった。彼氏さんは知らなかったの?」

「ちょっと事実があって二年ぐらい会わなくてな。二年前はそっち系のネタなんて思いつかなかった」

「ふーん……」

「あまりいじめてやるなよ?」

「彼氏さんだっていじめてたじゃん」

「あれは愛情表現だ。……そろそろ時間が危ないから行くよ」

別にいつもの連中を待たせる分にはかまわないのだが、今回はそうは言ってられない。もうすでに遅刻なのだが、さすがにこれ以上はマズい

「……まだ色々聞きたいことがあるけどな。まあ、明日朝田さんから直接聞けばいっか」

「ほどほどにしてやってな。詩乃、そろそろ行くぞ」

詩乃はというとヘルメットをつけるのに手間取っていた
ジーと見ているとごそごそやった後、顔を赤くして言った

「燐、お願い」

「了解……苦しくないか?」

「うん、平気」

詩乃が俺にしっかり抱きついたのを確認するとエンジンを起動させる
小気味のいい音と共に俺のテンションも上がっていく
性格が変わる程ではないが、バイクに乗って風を切るのは楽しい
今回は後ろに詩乃が乗っているというのも相まってちょっと危ない
性格は変わらないがキャラ崩壊の危機。今さらか

「どこに行くの?」

「ダイシーカフェっていうところだ。ソードアート・オンライン時代の知り合いの紹介と……あとは行ってからのお楽しみだな」

あの件は今言うべきではない。前情報なんかあったら実際に会ったときの感情の起伏が少なくなるだろうし連れていくのも難しくなる

「ふうん……それってキリトも?」

「キリトとアスナとリズだったか?まあ、順次紹介するから楽しみにしてな」

エギル?そういえばいたな。そんなやつも
スキンヘッドで色がちょっと黒い恐面の男がサムズアップしている情景が浮かんできたので、頭を振ってイメージを追い出す
……蝶ネクタイは似合わないと思うのは俺だけだろうか?











道筋については割愛する。そもそもうちの人(蕾姫)は東京の道に関する知識がない

「ここ?」

「ああ、ここがダイシーカフェだ」

元SAOプレイヤー、エギルがやっている店である
そんなこんなで縁があり、俺たちが集まるときは大抵この店というのがお決まりとなっていた
現実世界に帰ってきたときキリトから聞いた番号で電話をかけたのだが、その時出たのが女性だったので一旦電話を切り、番号を確かめたのはいい思い出だ
……まさか既婚者だったなんて思いもしなかったから
なかなかの美人でクラインがすごく悔しがっていたのは言うまでもない

「まさにヤのつく自由業の人みたいな顔をしてるから驚かないように気をつけろよ」

「そんなもの、GGOで見慣れてるから大丈夫」

「それもそうか」

GGOには小物臭がするヤのつく自由業の方の顔が多い。そんな世界に身を置いていた詩乃に恐がれっていう方が無茶か

「あれ……でもCLOSEっていう看板が出てるけど……」

「大丈夫だ」

CLOSEの書かれた板のかかった扉を押し開けると、中にいたスキンヘッドと目が合った

「いらっしゃ……」

扉を閉める

「どうしたの?」

「今さらだが、凄まじい威圧感だった……」

SAO攻略組の壁戦士は伊達ではない
見慣れてるはずなんだがなぁ……

「仮にもBoB優勝者でしょ?なにをビビって……」

「いらっしゃ……」

扉が閉まる

「確かに凄まじい威圧感ね」

「だろ?」

エギルの第一印象を詩乃と話し合っていると三度扉が開く
中から顔を出したのは黒髪でショートヘアーの少女。どこか勝ち気そうなその少女は俺たちを見ると呆れの混じった声で言った

「早く入りなさいよ、燐……」

「よう、リズ。これはダイシーカフェに初めて入る人のお決まりだろ?」

「アンタは初めてじゃないでしょ!」

「なかなか新鮮味があってよかっただろ?」

「アンタねぇ……」

額に青筋を浮かべるリズベットこと篠崎里香
ソードアート・オンラインでは俺をはじめとする多くの攻略組メンバーの御用達である鍛冶屋の店主だ
当然何度も通うこととなるので自然とお互いの性格を熟知していくことになる
なにを隠そう俺の中でのリズは弄りやすいランキングの上位にいる存在なのである
もちろんクラインとキリトも上位ランカーだ

閑話休題

いきなり始まった俺とリズの漫才を呆然と見ている詩乃に悪いからそろそろ中に入らないとな
中のメンバーもミイラ取りのミイラとなったリズと俺たちを待っていると思うし

「リズ、時間が無駄だから中に入らないか?詩乃が呆然としているぞ」

「誰のせいよ、誰の!……えっと……」

俺の言葉に噛み付いた後、リズは詩乃に向き直ると口籠もった

「自己紹介は後で。全員一度にやった方がいいだろ」

「それもそうね。じゃ、行くわよ」

そう言って扉を開けて……閉めるリズ

「どうした?」

「……開けてみればわかる」

「ん~?」

いつも元気なリズベットが萎縮してる?
中になんかいたのか?

扉を開ける

泣きそうなエギルの顔がそこにはあった

「……なにやってんだ、エギル?」

「二連続で扉を開けて閉められる。いじめか?いじめなのか!?」

意外とセンチメンタルなんだな、エギル
スキンヘッドの泣き顔というのはかなりくる(精神的なダメージ)

「……とりあえず中に入れてくれ。入り口で立ったまま自己紹介しあうのなら別だが」

「そうだな……入ってくれ。そちらのお嬢さんもな」

エギルは鼻を軽くすするとダイシーカフェの中に引っ込んだ
俺たちは顔を見合わせて小さく笑いダイシーカフェの中に入って行った 

 

Precious Night

 
前書き
ブラックコーヒーを用意してお読みください
あといろいろ顔文字が出てきたり三人称だったりするのは見逃してやってください 

 
「クリスマスパーティーへの招待状?」

それが鈴木燐の元へと届いたのはクリスマスイブのことである。そして招待状をひっくり返して送ってきた主の名前を確認すると途端に苦虫を一ダースほど噛み潰したような顔になった

「どうかしたの?」

その顔を見て声をかけたのは朝田詩乃。燐の彼女である

「いや、蕾姫の野郎が招待状を送ってきやがったんだ」

燐の脳裏に蘇るのは SAO勢VS AW勢 の戦いとその帰結。結局グダグダに終わりもはや読む価値すらない駄文に終わったあれ

「とりあえず内容を読んでみたら?」

「いや、どうせ行かないんだから読んでも無駄だろ。あいつのことだから開けた瞬間に拉致とかいう事態になりかねん」

完全に読まれている
というかさっさと開けろよゴルァ

……というわけでもう一通

「ん?なんか飛んできた……って紙飛行機かよ」

突然どこからともなく飛んできた紙飛行機に困惑の色を隠せない燐
実はこの飛行機、掴むと自動的に開く仕掛けになっていて開くと先ほどの手紙を開けたときと同じ結果になるのだ
ふははは、我が計画に一片の曇りな……

ザン!

「斬れば問題ないだろ」

チンと音を立てて抜刀した片手剣を鞘に戻した燐

(;-ロ-){キラレタ

「えっと、燐?それはさすがに……」

「普通だ」

詩乃の言葉を取りつく島もなく斬って捨てる燐
蕾姫(作者)が涙目になったのは言うまでもない

「それよりリアルで出かけないか?」

「いいけど……どこに行くの?」

「それは行ってのお楽しみってとこかな」

人を食ったような笑みを浮かべる燐
詩乃ももはや慣れたものではいはいと流してはいるが、顔が赤くなるのは抑えられないようで期待しているのは明らかだ

「じゃあ、詩乃の家までバイクで迎えに行くから出かける準備をしておけよ」

「うん!」

燐は手を振ってメニューを呼び出すとログアウトのボタンを押すと現実に復帰して行った
一人になった詩乃はしばらく燐の消えた場所を見つめながら顔をさらに赤らめて一言つぶやいた

「……クリスマスデートか……」

付き合い初めてまだ日は浅いが、もうすでに氷の狙撃手シノンの氷は完全に溶かされているようである








▼△▼△








「さてと……キリト。バイク借りるぞ」

「おお……ってどこに行くんだ?」

コタツで蜜柑を妹と共に食べながらテレビを見ているダメ兄妹の兄の方に、バイクの鍵についている輪に指を引っ掛けぐるぐる回しながら燐は話しかけた

「ちょいとそこまで。今からでも遅くないからキリトもアスナを誘ってやれよな」

「アスナを?なんで?」

この男、彼女ができたのが燐よりも早いのにも関わらず女心の機微に凄まじく疎いのはどうにかならないのだろうか?
相手のアスナが可哀想である

「……わかったな?」

「……了解」

まだ首を傾げているが、とりあえず燐の言うことだからと携帯に手を伸ばすキリト。コタツに潜りながらだが

「行ってらっしゃい、気をつけてね」

コタツの中から今度は妹の方が声を燐にかける
こちらは燐が今からなにをしに行くのかわかっていれのだろう。とても複雑そうな表情だ
自分の好きな人が別の異性とデートに行こうとしている。その人の幸せを願っている妹、直葉であってもそう簡単に割り切れることではないのだろう

「ごめんな、直葉」

「ううん、いいの。私はちゃんと気持ちを伝えられた。それが実らない恋だったとしても後悔はしてない。だから、今は純粋に燐の幸せを願ってるから。行ってあげて。詩乃さんのところへ」

先程までの複雑そうな顔は成りを潜め、吹っ切れた満面の笑顔を見せる直葉
でも……とそう続けた直葉の顔に黒いものが混じる

「詩乃さんを悲しませたりしたら……ね?」

「当たり前だろ?そんなことはしないって」

「うん、それならオッケー」

……扉を開けた瞬間、冬の夜の冷たい風が吹き込んできて首を竦める

「寒いな……」

空は星が見えないから、もしかしたら今夜は雪になるかも知れない……そんな期待を胸に燐は詩乃の家へとバイクを走らせた

居候させてもらっているキリトの家から詩乃の家までは結構遠い
バイクであっても結構時間がかかるため重装備であっても身体の芯から冷えきってしまうのはもはや必然と言えた

「悪い、待ったか?」

そんなことは奥微にも出さず詩乃にヘルメットを渡す

「ううん、大丈夫。私も今準備できたところだから」

「じゃあ、後ろに乗りな。行くぞ」

「うん」

詩乃がバイクに跨り、自分にしっかりと抱きついたのを確認すると燐はエンジンを再起動させる

「寒っ……」

「おいおい、ちゃんと着てこいって言っただろ?」

冬の夜の風は身を切るような寒さである。詩乃もかなりの重装備ではあるが、それでも多数の布を貫いた寒さに身を震わせる

「大丈夫。早く行こう?」

「後悔してもしらないぞ……」

若干あきれの混じる声で燐はつぶやくが、詩乃がなにも言わなくなったのでため息をつき、アクセルを踏んでバイクを走らせた

高速道路には乗らず、人気のあまりない道を走り続けること十数分。燐と詩乃は小高い丘の上にいた

「……綺麗……」

その丘から見えるのは無数の東京のネオンサインの輝き。一つ一つが宝石のような輝きを放ち、詩乃と燐はしばらくの間それを見入っていた

「この景色は子供の頃、親のところから一回だけ逃げ出したときに見つけた景色だ。俺にはそれが家柄や血筋、金……それが何であっても変えがたいものに見えたよ」

白い息を吐きながら燐の独白は続く。詩乃は景色に目をやりながらも燐の言葉に耳を傾けた

「それでいつか俺が子供の家出みたいなちゃちなものじゃなくて本当に解放された時……その時は一番大切な人と、この景色をもう一度見ようって思ってたのさ」

「燐……」

詩乃が目の前の景色から目を離し燐を見る。その上気した頬の赤さは寒さのためか、恥ずかしさのためか……

「メリークリスマス、詩乃。俺にもう一度この景色をみせてくれて……一緒に見てくれてありがとうな」

「燐こそ。私にこんなにもすごいクリスマスプレゼントをありがとう。大好きだよ……ううん、愛してる」

最後の言葉を聞いた瞬間、少し赤かっただけの燐の頬が一気に赤くなる

「そ、それは不意打ちすぎないか?」

「私は狙撃手だって燐も知ってるでしょ?」

不意打ちを成功させた詩乃の頬も真っ赤になっている
当たり前だ。大好きまでは今までに何度も言っていても愛してるなんて初めて言ったのだから

「燐はどうなの?」

「……愛してるに決まってんだろ!」

もはやどちらも湯気の出そうなほど真っ赤だ

その時、その愛の誓いを祝福するかのごとく雪が降り始めた

「あ……雪……」

「ホワイトクリスマスか……」

東京のネオンサインの光を浴びてキラキラと幻想的な輝きを雪が放つ

「……来年もまたここで景色を見れるといいね」

「見れるさ。来年も……再来年も」

やがて互いに一歩歩み寄り目を閉じる。そして二人の影が重なった

この清き聖夜に……メリークリスマス





~おまけ~

「もしもし、アスナか?」

「え?あ、うん。キリト君、どうしたの?」

「いや、リンのやつがアスナに電話かけろって言うもんだから……」

意味を考えたものの全くわからなかったキリトは相変わらず怪訝そうな顔でアスナに電話をかけたのであった
対するアスナは満面の笑顔。その弾んだ声は例え電話ごしだろうと感情が伝わりそうなものだ

「ねぇ、キリト君。今日、今からどこか出かけない?」

「え?うーん……すまない。今からちょっと用事が……って痛い! スグ、足を踏まな……」

バタンバタンと電話から聞こえてくる格闘音に苦笑いを浮かべるアスナ
相変わらず仲のいい姉妹だ。……そんな微妙にはずれた考えに至ってしまうのはこちらもちょっと鈍感だからか

「もしもし、アスナさん?うちのバカお兄ちゃんは大丈夫です。別に用事なんてありません」

ほら、お兄ちゃんはさっさと駅に行って!
いや、だってコタツの魔力が……
いいから行く!
……なんて会話が電話の受話器から漏れているがアスナはあえて聞かなかった
バーサク化しそうだし

「今からいつもの駅で、だそうです」

「うん、ありがとね直葉ちゃん」

「はい! うちのバカなお兄ちゃんをお願いします」

アスナは電話を切るとベッドに転がり、枕を抱え込んでゴロゴロし始めた
一通りゴロゴロした後、顔を赤くして立ち上がる

「どんな服を着ていこうかな?」

そして、幸せそうに服を選びだした 
 

 
後書き
というわけでクリスマス特別編でした

とりあえず書いてる途中砂糖を垂れ流してたんですけどどうでしたか?

私は全力で疲れましたね。だから!私は!恋愛パートが!苦手だっちゅうねん!

……取り乱しました
この話の時系列はアシリ編が終わったあたりを想定しています
燐と詩乃のクリスマスデート。人気のないネオンの綺麗な場所はどこかって?知らないです
東京の地理とか全くわからない
そして私は中高と男子校にいたので全く女っ気のある生活をしておりません(書いた時点で高三)
デートはおろか女性と手を繋いだことすらないドーテーです
女心とか知らん。デートの作法とか知らん
そんな受験生の二日間、合わせて約四時間を食いあさっていったこの話。楽しんでいただけたら幸いです

では皆さんにこの話を送ります
燐と詩乃から愛を込めて
蕾姫と私から哀を込めて

ではでは〜


〜おまけ2(奴らはその頃)〜

シリカ
ゲーム内でピナと戯れる

リズベット
キリトに電話で誘いをかけるが断られたため、やけ酒(ゲーム内)

ユイ
リンに頼まれてキリトのサポート

クライン
家から蕾姫に拉致られる。その後、クラインを見たものはいない(嘘

エギル
奥さんと二人きりで飲む

ミユ
コタツの魔力に負けて夢の中。次の日は風邪をひく未来が決定した

新川恭二&須郷伸之
拘置所

PoH
バイト(予想) 

 

雪解け

ダイシーカフェは元SAO攻略組のプレイヤー、エギルがマスターの喫茶店モドキである。どちらかというと酒場かバーの方が近いと思うが

二年間以上も店にマスターが不在でよくもったな、と思うのだがそこは一重にエギルの奥さんの尽力のおかげだ

俺は一度しか会ったことはないが、人当たりのよい美人だった。その時一緒にいたクラインがおもしろかったのを追記しておこう

「エギル、俺はコーヒーを。詩乃はどうする?」

「私も同じので……」

余談だが、俺は紅茶よりコーヒー派だ。というか紅茶は飲めない
コーヒーは微糖がジャスティス。フレッシュは邪道
もちろん異論は認める

「じゃあ、自己紹介でもするか……」

砂糖を一袋入れたコーヒーを一口飲んで口内を湿らせると俺はそう切り出す
そして、椅子に腰掛け柔らかく微笑んでいる栗色の髪の少女に手のひらを向ける

「彼女は結城明日奈。プレイヤーネームは俺と同じく名のアスナ。閃光の異名をとるほどの戦闘狂(バトルジャンキー)だ」

「ちょ、ちょっと待って!」

戦闘狂のあたりでガタリと音を立てて立ち上がったアスナは俺に詰め寄ってくる

「私のどこがバトルジャンキーよ!」

「回復職(ヒーラー)のくせに嬉々として杖(ワンド)から細剣(レイピア)に持ちかえて前線に出てくるやつが何を言う。弁解の余地はあるや?否や?」

「それは……自分の役割を放棄して悪かったけど……」

煮え切らないようだが納得してくれたみたいで何より。とりあえず挨拶をして欲しいんだけど。詩乃はひいてるし

「ちなみにキリトの彼女だ」

「え……」

詩乃は絶句する。まあ、いきなり知り合いの彼女が出てきたら驚く。クラインに彼女がいるといきなり聞かされてみろ。明日の天気は槍のちハルマゲドンだ
これはマヤの予言よりも正確だ。……ハズレまくってるマヤの予言よりは

「結城明日奈です。よろしくね」

「う、うん、よろしく……」

第一印象(ファーストインパクト)が強すぎたみたいだが、面倒見がよく天然なアスナなら詩乃の良い友達になれそうで一安心

そして若干暴走気味な俺の人物紹介は黒髪でショートヘアーの少女に移っていく
「次は……リズか。名前は篠崎里香。プレイヤーネームはリズベット。腕のいい鍛冶師(スミス)なんだが高い。ぼったくってくるから気を付けろよ」

「ぼったくってない!」

「俺の所持金の大半がおまえの武器屋の金庫へと消えたんだが?」

「それはあんたがすぐに武器の耐久値を減らしてくるからじゃない……」

武器逸らし(スラッシュ)を身に付けるために当時は無茶をしたからな
武器の横腹に相手の攻撃が当たるからその分消耗も激しかったし

「まあ、それは置いておいて……」

「そうね……。じゃあ改めて、篠崎里香よ。よろしく」

「よろしくお願いします」

とりあえずこの場にいる女性陣との挨拶はつつがなく終了
あとは男性陣なのだが……正直面倒くさい

「じゃあ、SAO組の自己紹介はこんなところで……」

「「ちょっと待て!!」」

「なんだよ」

「「なんで俺たちは紹介してくれないんだ!」」

一言一句違わぬ完璧なはもり具合。打ち合せでもしたのだろうか?

「はぁ……しょうがないな。猪のキリトと壁のエギルだ」

「「ちょっと待てやこら!」」

「なんだよ?」

「紹介が短い!」

「真面目に紹介してくれよ!」

それぞれの特徴が完璧に込められた漢字を紹介にもりこんだのだが気に入らなかったらしい
四字熟語の方がよかったのだろうか?

「……キリトは面識があるだろ?本名は桐ケ谷和人。猪突猛進でいつも問題事に突っ込んで行ってはヒロインを増やす節操の無いやつだ」

「燐……後で聞かせて?」

キリトは頭の上にクエスチョンマークを浮かべている。リズは焦っている。アスナは怖い顔になっている。詩乃はそんなアスナを見て震えている
まごうことなきカオスだった

「それでそこのマスターはエギル。本名はアンドリュー・ギルバート・ミルズ……だったよな?」

「ああ……というかよく覚えていたな」

「まあ……記憶力はいい方だからな」

あー、と今思い出したような顔をしているキリト、アスナ、リズとは違うんだよ

「よろしくな。エギルでいいぞ」

「よろしくお願いします、エギルさん」

エギルはかたいな、といいつつ苦笑している
そのうち慣れるだろ

「じゃあ、今度はこっちの紹介か。プレイヤーネームシノン。本名は朝田詩乃で俺の幼なじみだ。よろしくしてやってくれ」

軽く詩乃が頭を下げると皆が口々によろしくと言った
紹介の間に多少冷めてしまったコーヒーを一気飲みし、エギルにおかわりを要求する

「さてと……今回の事件のことはキリトから多少は聞いてるな?」

「触りのところだけだけどね」

「とりあえず死銃はSAOプレイヤーだった」

「あの動き……私も見覚えがあった」

気付く人は気付くか。あの敵のクリティカルポイントを的確に抉るような突きができるプレイヤーはそんなにいなかったしな

「あいつはレッドギルド、笑う棺桶(ラフコフ)の幹部格、赤目のザザだったよ」

元SAOプレイヤーはそれぞれ顔を暗くする。意味のわかっていない詩乃だけが首を傾げていた

「あの……レッドギルドって?」

「ソードアート・オンラインでは犯罪を犯したプレイヤーはHP表示がグリーンからイエローになるんだけど、その中でPKを好むプレイヤーをレッドプレイヤー……そのプレイヤーが集まったギルドをレッドギルドって言うんだよ」

俺が答える前にアスナが答えた
ラフコフはレッドギルドの中でも最悪最強を誇ったギルドだ
俺もキリトもアスナもその討伐作戦に参加していた
そして俺はこの手で数人の命を奪った

「俺とザザはあの世界で文字通り殺しあった。仕留めることはできなかったけどな」

「仕留めることができれば……今回犠牲者が出なかったのにな」

俺と同じくあの日、ザザと殺しあいをしたキリトが顔を歪め辛そうにしている
ザザの命と今回犠牲になった三人の命。選ぶなら確実に後者だ
もちろん、自身が奪った命はこの先ずっと背負っていかなければならない

「ザザみたいにソードアート・オンラインに魂を歪められた人はたくさんいると思う。だからこういう事件はどちらにせよ起こったと思うよ」

ソードアート・オンラインは現実ではありえないファンタジーのような世界だった
単純に戦闘能力が生死を分けるあの世界
平和ボケしている事なかれ主義の現代日本人がそこに放り込まれたらどうなるか?
クリアするんだと息まいてレベル上げに打ち込むだろうか?
それとも考えることを放棄して宿に閉じこもるだろうか?
それとも自殺するだろうか?
それとも……現実だと認めず自分が生きるためではなく現実ではまず味わえない体験……殺人を犯すだろうか?

「でも救われた人だっていると思うよ。……私みたいに。だから私はあの世界での約二年間は否定したくないな」

アスナの視線はまっすぐキリトを向いていた
アスナはキリトと出会い救われた。それは俺も同じだ
自己の価値を本当に理解していなかった俺を個として見てくれたのはキリトがおそらく初めて

「……さすがはタラシ」

または主人公というべきだろうか?
おそらく本人は救ったことを自覚していない。自分を信じる道を突き進み、まわりを救いながらまわりに支えられ困難を乗り越えていく。それを主人公だと言わずしてなんと言うのだろうか

「燐。それは後でたっぷり聞かせてもらうから……」

「ああ……了解」

人間タラシは主人公の基本スキルではあるので時には女同士の修羅場が発生する。これは主人公スキルではどうにもならない困難であるので頑張れよ、キリト

俺はキリトの未来に心の中で合掌した










「さて、そろそろ次の話題に移るか」

俺が事件の概要を話し終え、リズとキリトとアスナが一通り憤慨し、エギルが一つ上の視点から冷静に分析した後、俺はそう切り出した

「次の話題って?」

「詩乃……お前についてだ」

「私?」

「最初に謝っておく。すまない、ここにいる全員に詩乃な過去を話した」

「えっ……」

詩乃の顔色がサッと青ざめる
そして、俺の方を信じられないといった顔で見た
詩乃の過去、すなわち殺人を犯したという過去
それについて酷い心の傷(トラウマ)を持っているのはもう知っているだろう。俺が初めて詩乃と話したときもすぐには信用してくれなくて辛かった

「朝田さん、あのね?」

「明日奈は黙っててくれ」

俺を庇おうとしたのかはわからないが、アスナが口を挟んでこようとするが少し強い口調で制止する

「勝手に話したことについては後でどんな罰でも受ける。だが、ここにいる連中はそんなことを気にするような矮小なやつはいない。それは信じてくれ」

詩乃が一人一人の顔を順々に見ていく。そして、全員の顔に敵意や嫌悪感が浮かんでないことを確認すると表情が少し緩んだ

「話したのは詩乃にある人と会って欲しかったからなんだが……見つけたか、キリト?」

「ああ、向こうで待機してもらってる」

「そうか……」

結局、詩乃を本当の意味で過去の呪縛から解放できるのは俺じゃなかった
でも……それでも解放できる一助となれたなら、解放されるまでの支えになれたのなら、それでいいだろう。俺はなんでも最後には自力で解決してしまう主人公なんかじゃなく、他人の力を借りてようやく舞台に立てる脇役なのだから

詩乃のためにきてくれた主人公……大澤祥恵さん、そしてその娘の瑞恵ちゃん。共に詩乃が人を殺したあの場所で、詩乃に偶然とはいえ命を救われた親子

「はい、これ……」

娘の方の瑞恵ちゃんが差し出した手紙。それを読んだ瞬間、詩乃の瞳から涙が溢れた
その涙は雪解け水のように冷たく……だが暖かな輝きをもって後から後から流れる
春の訪れを祝うように 
 

 
後書き
最後の言い回しがわかりづらくてすみません……

ちょっと補足
雪解け水はまあ本文中になんども凍り付いた心〜的な表現から察しください
雪解け水が出始めるのは春。ここに心が晴れたときを春に例えて重ね合わせてます
雪解け水は冷たい(温度)ですが多くの生物の恵み……暖かさになってるわけです

とまあ、こんな感じで補足説明終わり!
そして以下あとがき

はい! これでGGO編は終了です
あとは番外編とマザーズロザリオですね!
さて、次回はモンハンですね。涙カノ先生の作品、ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士とのクロスです
モンハンで双大剣てチートだと思うのは私だけだろうか?

ではでは 

 

狩りに行こうぜ!①

リンがアルヘイヴ・オンライン内にあるクラインの酒場でクラインと飲んでいると水色の髪を揺らしながらシノンが入ってきた

「新しいVRMMOのモニター?」

「うん、菊岡さんが持ってきた話なんだけど……」

「ふーん……どんなゲーム?」

「まだ携帯ゲームが普及していた頃の作品をリメイクしたんだって。タイトルは……えっと、一狩り行こうぜ?」

「それはキャッチコピーだろ……モンスターハンターな」

時代的にリンがまだ小学生の頃流行っていたタイトルである
最大四人のハンターが巨大なモンスターを狩る単純明快な作品……とリンは記憶していた

「なんでそんな旧型のタイトルなんか出してくるんだ?」

「さあ……わからないけどモニターしてくれないかって電話で……。四人までいいらしいから燐を誘いに来たの」

リンの隣にいるクラインもウズウズしている

「な、なあ……俺も混ぜてくれよ……」

「……クラインはやったことがあるのか?」

「おう、もちろんだぜ!」

「あっ、そう……」

「どうする?」

クラインが仲間になりたそうな目でこちらを見ている……仲間にしますか?

「無論いいえで」

「何故!?」

「だってクライン……猪武者じゃん」

「猪じゃねぇ! 俺はただ裸で突っ込むだけだぜ?」

「却下で」

モニターなのにそんな上級縛りプレイをしてどうする
「じゃあ、あと二人はどうするの?」

「キリトとアスナでも誘ってみるか?」

主人公とその嫁ならばいい仕事をしてくれるだろう……そうリンは思いこの二人の名前を出した

「ちょっとリアルで電話してくる。詳細データはある?」

「もちろん。私も落ちてリンに菊岡さんから来たメールを転送する」

「了解。……楽しみだ」









†††








菊岡さんに指定された場所に行く道で燐は首を傾げていた

「それで?どうしてこうなった?」

「あはは……」

「笑い事じゃないぞ、陸也」

燐の隣で渇いた笑い声をあげたのは雄護陸也。短めの黒髪に黒い服装。今から葬式でも行くのかと言わんばかりの黒づくめである

「そうよ、陸也。せっかく明日奈が機会をくれたんだから覚悟を決めなさい」

いや、あなたのせいでしょうが……という意思を込めた燐と陸也の視線がその言葉を発した少女に集中する

結城悠香。明日奈の姉で陸也の幼なじみらしい
しかし、容姿は似ているのだが……性格はあまり明日奈と似てない
今回、燐が明日奈に連絡を入れたところ代役として推薦されたのは彼女であったのだが、その枠に陸也を無理矢理詰め込んだのだった

「というかなんでついてきてるんだ?」

「私も見てみたいのよ」

後々燐がそのことについて聞くと悠香もモンハンをやっていたらしい
自分の妹である明日奈にばかり気をかける両親
そんな現実に嫌気が差し、ゲームにぶつけていたと
理由は真逆ではあるが燐と同じよう心情であり、妙に親近感を覚えた燐だった

「キリトとはあっちで合流?」

「いや……どうも外せない用事があったみたいで代役をたてるとか言ってたぞ」

「代役か……誰だろう?」

クラインかエギルか……そのあたりではないかと燐は考える
キリトの交友関係でモンハンができそうなのはその辺しかいない
……クラインだったら殺る。そう、燐と詩乃は決意を固めた

「あそこかな?」

菊岡さんからもらった地図とにらめっこしながら皆の先導をしてくれていた詩乃が立ち止まる
その詩乃の視線の先には割と新しいビルが建っていた

「遅かったな」

「なんでお前がいる……涼人」

「居たら悪いのか?」

そのビルの入り口で待っていたのは桐ケ谷涼人。タイミング的にキリトの代役なのだろうけど

「いや……悪いってことはないが……」

なんというか……敵役のモンスター達がかわいそうだ
力では明らかにSAO生還者一で中国由来の巨大な冷裂を振り回すリョウコウにモンハンでは明らかに火力が有りすぎてまずあり得ない双大剣のリクヤ。スナイパーで有効射程以上の距離で正確に射ぬいてみせる弓使いのシノン

「燐、今なんか考えなかったか?」

「いや、俺以外モンハンの常識を完膚無きまでに打ち壊しそうだな……と」

「銃弾を斬ったり、攻撃を逸らしたり……燐も大概だと思うのは私だけ?」

詩乃のその言葉にその場にいる燐以外の全員が明後日の方向を見た

「俺は非常識じゃないんだが……」

その燐の呟きは当然の如く無視された

「リョウ……入り口でなにをやってるの?」

「おおう、そうだった。ほら、全員中に入れや」

中から顔を出したのは麻野美幸
彼女も元SAOプレイヤーでSAO内ではリョウコウとリクヤと同棲していてかつリョウコウとリクヤは一瞬に住んでいないというややこしい立場にある
……これもコラボをする上での宿命

「あれ……?」

美幸を見て何かを思ったのか首をひねる陸也

「どうかしたの?」

「いや……なんでもない」

なにやら違和感を感じたが、気のせいで片付けた陸也は涼人に続いてビルの中へ入って行く
燐と詩乃も一瞬目を見合わせると陸也に続き、中へ入って行った

エレベーターで上がった先で待っていたのは複数のベッドと同数のアミュスフィア。そして、菊岡とカプコンの社員と思わしき数名のスタッフだった

「いらっしゃい。懐かしき狩りの世界へ……」

「前置きはいいから……さっさとしてくれ」

菊岡が両手を広げて長々と話し始めようとしたのを燐が言葉を被せてぶった斬った

「つれないなぁ……燐君は。まあ、いいや」

多少肩を落としつつも一瞬で意識を切り替え真顔に戻る

「今回このモンスターハンターのVRMMO版のモニターの会社側の責任者である新田さんから説明を」

「えっと新田です。まずは今回モニターを受けていただきありがとうございます」

軽く頭を下げる新田に慌てて頭を下げ返す一同

「皆さんはVRMMOの熟練者ということで菊岡さんから紹介を頂いたのでその類の説明は省かせていただきます。まず、モンスターハンターについては皆さん、どの程度の知識がお有りですか?」

「経験者です」

真っ先に燐と涼人、陸也、悠香が答える

対して

「モンスターを狩るってことぐらいは……」

詩乃と美幸が控えめにそう答えた

「わかりました。今回はそれで十分ですので、先に進ませていただきます。武装に関してですが、今回は皆さんが馴れた武器の威力を調整したものを使っていただきます」

「防具はどうなるの?」

「防具は今回はなしでお願いします。ただし、ちゃんとモンスターに対して適正値だと思われる防御力を保有しているのでご安心ください」

「なるほど……」

モンハンを知らない詩乃と美幸はちょっとついていけてないようだが、残りの面々は納得したようだ

「他に質問はございませんか?」

「まあ、無いよな?」

「無い……な」

全員が頷くのを確認すると新田は軽く頷き、一歩下がった

「じゃあ、みんな。楽しんで来てよ。僕はみんなの身体がイタズラされないように現実世界で見守ってるからさ」

「それはそれで不安なんだが……」

苦笑いを浮かべる一同
とはいえ、特には菊岡を疑ってはいない様子だ

「リンクスタート!」

六人の言葉が重なり、意識をゲームの世界へ飛ばした








†††







モンスターハンター3rdの最大の特徴は依頼を受ける場所が混浴の浴場になっているということだろう
VR系統で最も表現が難しいと言える水。その難しい水が大量に必要となる風呂はかの天才茅場晶彦の作ったソードアート・オンラインにおいても省略されていた
もしこの表現に成功した場合、ゲームのみならず救命関連や軍事関連の訓練においても多大な貢献を見込めるであろう。それが一ゲーム会社に過ぎないカプコンに菊岡が出張ってきた理由である

「いやー……VRとはいえ温泉ってのはいいもんだな」

「そうだな。家の風呂だとこんな解放感は味わえないし」

「……」

女性陣よりも一足お先にモンハン3rd名物の集会浴場を堪能する男性陣
全員がその現実の温泉となんの遜色の無い温泉の心地よさに顔を綻ばせる
もちろん全員腰にタオルを巻いているが、一応言っておく。湯にタオルをつけるのはマナー違反であると

「どうかな、湯の調子は?」

「ウゲッ……」

「チッ……」

「……何の用だ、クリスハイト」

寛いでいた三人の前に現れたのは菊岡……のアバターであるクリスハイトだった

「いやー僕もVRの温泉に一度入ってみたくてねぇ。それに、やっぱり男同士で親交を深めるなら裸の付き合いをするべきだろう」

三人のその反応に何も気落ちした様子を見せず、奥の見えない仮面のような笑みを浮かべながら、かなり時代錯誤をおこしている言葉を口にした

「……俺はあんたとは親交を深めたくない。腹に一物抱えたやつと話すのは特殊なときだけで十分だ」

「相変わらず冷たいなぁ……リン君は」

「それで、本当はなにをしにきたんだ?クリスハイトさんよ」

「……単純にVRシステムにおいての水の感触を直に確かめに来ただけだよ。親交を深めに来たってのも嘘じゃないんだけどね」

リンのいつも通りの態度に肩を落とすクリスハイトだったが、リョウコウの問いかけに顔を上げると多少真剣な顔でその問いに答える

「うわっ……なにそのだらしない顔……」

「だらしないって酷……ってユカ!?」

温泉の気持ち良さにクリスハイトの言葉を少しも聴かず、とろけていたリクヤは唐突に飛んできた辛辣な言葉に反射的に顔をそちらの方に向けて目を丸くした

「なによ……何かおかしいところでもあるの?」

「いや……その……」

今のユカの姿はタオルを体に巻いただけのモンハン入浴スタイルである
必然的に通常の服より露出が激しく、温泉の熱で上気した肌がなんとも艶めかしい……
以上こんな理由からリクヤは真っ赤になって目線を宙をフラフラさせる結果となった

「さすがに意識されると恥ずかしいわね……」

入ってきたときは堂々と。それこそ羞恥心を持ってないかのように入ってきたユカだったが、リクヤのその反応に顔を場の熱とは別の理由で赤くし、胸の辺りを腕で庇う
……そんなことをすると逆効果だということを知らずに

「……ポロリは無いから安心してくれ」

「あってたまるか!!」

ポツリと呟いたクリスハイトの言葉に全力でツッコミを入れるリクヤだった

「リ、リョウ、湯加減はどう?」

「ん?ああ、サチか……」

リクヤとユカ、そしてクリスハイトのやり取りをリンと一緒にのんびり眺めていたリョウコウに声をかけたのはユカと同じく、タオルに身を包んだサチだった

「あれ、シノンは?」

ユカ、サチと入ってきて未だ姿の見えないシノンにリンはサチに所在を尋ねる

「ここよ」

「……いつの間に……」

リンの隣、リョウコウとは反対側。すでにシノンは温泉に浸かっていた

「はー……広いお風呂っていいわね。うちのお風呂はボロいから……。サチも早く入ったら?」

「シノン、言葉が荒くなってるぞ」

「……ごめん、どうしても直らない」

詩乃とシノン。間の氷は解けたとはいえ、まだその影響は残っているようだ

「まあ、少しずつ直していけばいいよ。……お邪魔するね」

サチはシノンの荒い言葉に気分を害した様子もなく、逆にシノンに微笑みかけるとゆっくり温泉に入った

「……まだ、やってるのか……あいつら」

「はっはっは! まあ奴らもせっかく親交を深めてるんだから」

言い争いにシフトしているリクヤとユカの会話に目を向けながらリンは呆れたような口調で、リョウコウはどこか暖かみを含んだ口調で言葉をかわす
何というか、子供の喧嘩を見る父と祖父のような会話である

「……そろそろ逆上せそうなんだが」

「……そうだな」

実際には逆上せることはないのだが、雰囲気に呑まれて気分が悪くなる可能性がある

「もう行くの?」

「おう、時間的にそろそろな」

ついでに尺的にもそろそろ進めないとマズい

「おい、そろそろ行くぞ」

「ああ、わかった」

「ちょっと、まだ私は温泉に浸かってないわよ!?」

「……ユカは別にまだクエストに行かないんだから今からゆっくり浸かっていけばいいじゃん」

最初にクエストに行くのはリクヤ、リョウコウ、リン、サチの四人。次はサチがシノンに変わり、最後にユカ……という順番である

「一人で入ってろって言うの?」

「大丈夫、私もいるから……」

リクヤに噛み付くユカに対して同じく居残り組であるシノンが小さくフォローする

「……ありがとう。どっかの誰かさんと違ってシノンは優しいわね」

どっかの誰かさんのところで視線を向けられたリクヤはため息をついた 
 

 
後書き
蕾姫「風呂シーンがかけた……うん、満足」

リン「……よかったな」

蕾姫「ま、それは置いておいて、俺思ったんだけどさ……」

リン「……ああ……」

蕾姫「今回リで始まるオリ主ばっかだな」

リン、リクヤ、リョウコウ

リン「確かにな。それで?」

蕾姫「以上」

リン「……下手でかつ落ちのない小説はクズ以下だぞ……」

蕾姫「……き、気にするな」

さて、今回コラボ第二段かつモンハンクロスという感じですが……3rdを選んだのは風呂シーンが書きたかったからなのだ!
その割りには女性が少なかった?
……誰だ、ツインズのキリカとドウセツを連れてこいと言ったのは
……気を取り直してどの作品とコラボしてるのかと言うと、涙カノさんのソードアート・オンライン守り抜く双・大剣士 と鳩麦さんのSAO─戦士達の物語です

本当にこの企画に参加していただいて感謝感激ですね

この場を借りてお礼を申し上げたいと思います

では、いろいろとあり鈍っているかも知れませんが、これからも頑張っていきますので応援よろしくお願いしますね!
 

 

狩りに行こうぜ!②

小闘技場。そこは誰がどうやって連れてきたのかわからないモンスター達とハンターが戦う決戦の場

「なあ、最初に狩るのってなんだ?」

「アオアシラだった気がするが?」

青い毛と堅い手甲を持つ牙獣種アオアシラ、別名青熊獣
空こそ飛べないものの、人間の体格を遥かに凌駕する体躯と大木をもやすやすと叩き折る太い足から繰り出される無慈悲かつ豪快な一撃は下手な腕を持つ者なら抵抗すらできず、命を刈り取られてしまうだろう

……と言えば強そうなのだが、実際のゲーム内ではただの初心者向けの敵である

「アオアシラってどんなモンスターなの?」

今いるメンバーの中で唯一モンハンを実際にプレイしたことがないサチが支給されたアイテムの入ったポーチの中を漁っていたリョウコウに尋ねる

「ん?……まあでっかい熊だと思ってればあながち間違いじゃねぇだろ」

「適当だな。……サチ、熊に手甲をくっつけてデカくしたやつだ」

「五十歩百歩……」

リクヤが疲れたようにつぶやいた
明るいはずの闘技場内がリクヤの周辺だけ暗くなった気がした

「そんな相手に私の槍が通用するかな……」

このメンバーの中で唯一戦闘メンバーではないサチ。不安に思うのは当然だろう
SAOの中でも前に出るのが怖くて後衛の槍から前衛の片手剣への転向を渋ってたくらいなのだから

「ま、いざとなれば俺が守ってやるさ」

「リョウ……」

サチが熱のこもった視線でリョウコウを見るが、当の本人はポーチの中に入っていた回復薬をしげしげと見ている
その様子を見たリンとリクヤはリョウコウとサチから少し距離をとるとヒソヒソと話し始めた

「なあ、リクヤ。ブラ