転生とらぶる


 

0001話

「……あれ?」
 
 ふと周囲を見回す。
 まず眼に入ってくるのはその辺で普通に売ってそうなシングルタイプのベッド。他には積み木やら絵本やらのいわゆる子供の遊具とでも呼ぶべき物。

「ここは一体?」

 何と言うか、寝ていた時に唐突に目が覚めたという気分。
 しかも……

 何か周囲の物が妙に大きいような?

 そう。積み木とかの玩具はともかくベッドが妙に大きく感じるのだ。
 少なくても自分の顔の高さまである物は大きいと表現しても間違いはないだろう。
 未だによく分からないが、取りあえず眼の病気とかいう可能性を考えて眼を擦る……否、擦ろうとした時に視界に入ったのは。

「……え? これ……え?」

 ぷくぷくとした、柔らかそうな手。それは少なくても俺の記憶にある大人の手ではない。

「子供の、手?」

 そう。それはどう見ても幼児の手だった。

「はは、は……知らない天井だ、とでも言えば良かったのか?」

 呟いた瞬間、頭の中によぎってくる今までの記憶、記憶、記憶。
 昨日の夜に食べた夕食の仕出し弁当、1週間前に1人で公園で遊んでいる時に転んだ事、1年前に買って貰った積み木、いつも多忙でろくに家には帰ってこない両親。
 そして……

「痛ッ」

 あー、あー、あー、あー、思い出した。思い出してしまった。
 そうそう。俺は確か事故か何かで死んで、いわゆる神様転生したんだ。
 そして……

「って、うわ。マジか? 最悪じゃねぇか」

 転生の時の事を思い出して頭を抱える。
 OKOK、落ち着こう。びーくーる。取りあえず転生の時にもらった能力をまずは確認だ。

「1つ目。Fate/Zeroで出てきた月霊髄液をスライムとして自分のもう1つの感覚器として操る事が出来るようにする」

 確認すると、どこからともなく水銀の塊が床に落ちる。
 手を動かすような感じでスライムを動かすようにしてみるときちんと動いてくれた。

「取りあえず、良し。2つ目の空間倉庫もOKだな」

 スライムの確認をした時にどこからともなく現れた理由が、2つ目の能力である空間倉庫だ。
 これはまぁ、よくある能力なので問題無いだろう。

「3つ目。スライムに消化・吸収能力を付加し、敵の能力等を吸収出来るようにする」

 スライムを操り、床に転がっていた積み木を1つ取り込んで吸収する。

「これもOKっと。4つ目はステータスの成長性をなるべく高くしてもらう。だけどこれは今は確認できないので取りあえずパスだな。で、5つ目は3歳になったら記憶を取り戻すだから、これも今日が3歳の誕生日なので問題無しっと」

 そこまで確認してから、溜息をつく。

「問題は6つ目と7つ目なんだよなぁ」

 6つ目に希望したのは魔法の才能。
 7つ目に希望したのはステータス確認能力。

「取りあえず自分のステータスを確認っと」

 内心で念じると、脳裏にステータスが表示される。

名前:アクセル・アルマー
LV:1
PP:0
格闘:110
射撃:128
技量:120
防御:117
回避:145
命中:167
SP:150
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:A
海:B
宇:A
精神:???
   ???
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップ&SP回復&集中力)
     ???
     ???
     ???
     ???
     ???
     ???
     ???
     ???
 以上だ。
 ……突っ込みたい気持ちは良く分かる。良く分かるんだが、取りあえず名前の所を見てくれ。
 そう、俺の名前はアクセル・アルマー。
 名前だけならまだなんとか誤魔化しようもあるんだけど、ステータス表示が思い切りスパロボだったりする。
 ここまで来ると、もう現実を誤魔化す事は出来ない。
 俺はシャドウミラーの幹部になるアクセル・アルマーなんだろう。

「くそう。てっきり魔法のあるファンタジー系の世界に転生させてくれるとばかり思ってたのに。……まさかスパロボの世界に転生なんて……神様の意地悪……」







 落ち込む事しばし。
 取りあえず何とか落ち着いて来たので、改めて自分のステータスへと目を向ける。

「スキルのEXPアップは多分ステータスの成長性をなるべく高くしてもらうの効果だろ。で、このSPブーストは……魔法の才能の代わりか?」

 と言うかスパロボのスキルは5~6個程度だったと思うんだが、俺のステータスを見る限りでは10個。
 ……追加の転生特典か何かだろうか?

「いや。もし違っても俺に有利な事なんだしその辺は考えなくてもいいかな」

 精神関係……って、あれ? よく見るとSPが150!?

「うわ。これはスキルと併せて完全に魔法の才能関係だろ。まぁ、これも不都合はないしこれでOKと」

 能力の確認を終え、スライムを異空間へと戻してからこれからの事を考える。

「俺がアクセルであるのは理解した。そうなると次の問題は、ここがAの世界かOGsの世界かという事か」

 確かAではアクセルがロンド・ベル隊に所属する事が出来る可能性がある。OGsでは無条件でラミアがヒリュウ改&ハガネに所属。
 となると、死亡フラグは色々とあるが最終的には生き残れるスパロボAの世界である事が望ましい。
 いや、誤魔化すのはやめよう。戻った時の記憶によると両親がインスペクター云々と言っていたのを聞いた覚えがある。
 つまりは……

「スパロボOGsの世界で決まり、か」

 そして俺がアクセルである以上、ここはシャドウミラーが結成される世界。すなわち政治家やら官僚やらその他諸々は腐敗しまくって既に発酵臭がする状態。
 となると、俺の行動方針は大きく分けて2つ。
 このままシャドウミラーには関わらないで腐った政府の支配する世界で生きていくか、シャドウミラーに所属してあっちの世界へ行くか。
 ……いや、待てよ? ヘリオス、もといギリアムと一緒に一足早くあっちの世界へ行くのはあり、か?

「いや、駄目だな」

 転移実験をギリアムと一緒にやるという事は、最低限それなりの知識を身につけ、さらに主任研究員とかの地位にいなければ駄目だろう。
 少なくても俺の頭じゃ多分無理だと思われる。
 いや、今からでも勉強一筋で頑張ればもしかしたら可能かもしれないが、そうなると録に体を鍛える暇も無くこの死亡フラグ満載の世界を生きる事になってしまう。
 原作を見ても分かるように、シャドウミラーではレモンとヴィンデルが頭脳、アクセルが手足といった関係だった。
 その辺を考えるに、俺に……というよりも、アクセルに研究者としての頭脳を求めるのはちょっと無理があるだろう。
 知識と身体能力の両方があるギリアム? あいつは平行世界を移動し続けてるチートだし問題外。レモンは戦闘も可能とは言え、基本的には技術者だし。
 ……そう考えると、シャドウミラーの頭脳で、指揮官で、政治的能力もあって、戦闘能力もあるヴィンデルってギリアムに負けないくらいのチートなんだな。

「っと、それよりもこれからどうするかだったな」

 頭を振って、これからの事へと思考を戻す。

「まずは俺に有利な点を考えてみるか」

 これは簡単だ。
 転生チート能力と、大まかにだがこれからの歴史を知っている点だな。
 ……ん? ちょっと待った。これからの歴史。つまりは誰がどの分野で活躍するのか大まかに理解出来ている。つまり、有能なパイロットや指揮官を知っている。
 でもって、原作でシャドウミラーがこっちの世界でキョウスケに負けてあっちの世界に転移したという事は、つまりはこっちとあっちの世界は時間軸はそう違わない筈。
 まぁ、技術的な面でエルアインスの事を考えれば多少の違いはあるんだろうけど。

「そうなると、まだ無名なうちに有能な奴らを引き込んで……引き込んで、どうする?」

 上手くいけばシャドウミラーを倒すのは可能だろう。
 ただし、その場合は腐敗した政府に支配されたこの世界に留まる結果になる。
 アインストに寄生されたキョウスケというおまけ付きで、だ。

「はぁ……そうなるとシャドウミラーと一緒にあっちの世界に行くのが一番安全、か?」

 でもって、あっちの世界でシャドウミラーから抜けるなりなんなりすれば、ヒリュウ改&ハガネがシャドウミラーを片付けてくれて万々歳、かな?
 でも、そうすると有能な奴を引き抜く云々というのはやめた方がいいのか?
……いや、どう歴史が動くか分からない以上は使える手駒はあって困る事はない。

「よし、方針は決定だな。シャドウミラーとあっちの世界に行ってから裏切って安全を確保の方針で」

 口に出して、ふと気が付く。

「……どうやってシャドウミラーに所属すればいいんだ? 取りあえずは連邦軍に入隊して、PTのパイロットになればいいのか?」

 これで間違っていない筈だ。
 恐らく、多分、きっと、めいびー

「まぁ、まずは」

 周囲を見回すと、既に暗くなってきている。
 将来に関して考えている間に既に夕方になってしまったのだろう。
 これからの道程に苦笑を浮かべつつ、部屋の電気のスイッチをONにする。

「にしても、誕生日なのに両親そろって留守とはね。しかもまだ3歳だってのに」

 アクセル君の記憶を思い出す限り、両親は完全な仕事人間らしく家に帰ってくるのは着替えを取りに戻って来る時くらいだけらしい。
 それでも普通は3歳だとベビーシッターなりなんなりが必要そうなものだが、アクセル君は幸か不幸かいわゆる手の掛からない良い子だったらしくそのまま鍵っ子になってしまった訳だ。
 まぁ、俺の前世と違ってPTやらAMやらを作る程に技術が進歩している世界なんだから安全対策は万全なんだろう。
 誕生日だという事でいささか豪華な仕出し弁当で夕食を済ませ、風呂や歯磨き等のその他諸々を済ませると既に夜の8時過ぎ。
 取りあえず、そのままベッドで横になった。

「あれ? アクセルって事は、~なんだな、これが。みたいな口調にしなきゃ駄目なのか?」

 ……いや、そのアクセルを知ってる人はいないんだし、特に気にする必要は無いか。
 そんなどうでもいい事を考えながら、睡魔へと身を委ねた。 

 

0002話

 さて、俺が前世の記憶を取り戻してから早2年。
 今日は目出度く5歳の誕生日だ。
 ……とは言っても、例の如くこの家には俺一人なんだが。
 と言うかこの2年の間で父親が帰ってきた回数は4回。母親に至っては2回だったりする。
 通信ではそれなりに会話したりしているが、それだって月に1、2回程度だ。
 仕事ってそんなに面白いのかね?
 前世での自分を思い返すに、仕事なんてのはやらなければ生活が出来ないからやるけど、自分から好んでやる程のものじゃないと思うんだがね、これが。

「お? 今のはちょっとアクセルの口癖っぽかったか?」

 そんな風に思いつつ、家族で使っている口座に今月分の生活費が入っているのを確認する。

「せめてもの救いは毎月きちんと生活費を入れてくれて、育児放棄じゃないって事か」

 口座の中には誕生日プレゼントでも買えというのか、いつもより3割増し程の入金がされていた。
 正直、仕事人間だけあって両親の収入はかなり多い方だ。でもって放ったからしている影響か毎月入金される生活費もかなり多い。
 そうだな、前世の感覚で言うのなら大体1月100万程度と認識して貰ってOKだと思う。
 でもってそれの3割増しなので130万円。
 取りあえず、これ幸いと全額を自分の口座へと移す。
 自分の口座の残金を見ると、かなり凄い事になっているのか分かる。
 考えてみて欲しい。俺が住んでいるのは両親の持ち家である。電気・ガス・水道等の公共料金は両親がきちんと払ってくれている。
 つまり1月100万円のうち、俺が実際に使うのは食費と日用雑貨くらいなのだ。その食事にしたって、1食1000円、少し豪華な食事でも2000円程度だ。
 後は簡単に取れそうにない栄養のサプリとか。
 ……外食で懐石料理やらフルコースなんかを食べたりすれば話は別なのかもしれないが、俺みたいな幼児が1人でそんなレストランなりなんなりに行ったってまともな対応はしてくれないだろう。
 で、結局は体の栄養を考えてバランス良く食事を取る事になる訳だ。
 後は、シャドウミラー参加に備えて勉強用の資料やら軽いトレーニング器具程度だ。
 今までで一番大きい買い物は、この世界でもやっぱりあったバーニングPTの筐体で50万円弱となる。さすがに大きくて自分の部屋には置けないので居間にあるが。

「にしても……」

 バーニングPTに考えが及んだ事で、溜息一つ。
 俺のイメージとしては、アクセル=近接戦のスペシャリストだった。実際、スパロボOGsでも近接戦……っていうか、格闘戦がメインのソウルゲインを専用機にしてたし。

「でも、バーニングPTで判明した俺の特性は高速機動と遠距離からの射撃戦闘なんだよな」

 もちろん近接戦闘が苦手という訳ではない。
 それどころか、ネット対戦では立派に近接戦闘技能が通じている。
 ただ、それ以上に射撃に対する才能があっただけだ。

「これも転生特典と考えるべきか?」

 そうそう。転生特典と言えば俺の能力の1つである空間倉庫。
 ある時、ふと思いついてもしかしたら某金ぴか王様ごっこが出来るかも? と思ったんだが……無理だった。
 そもそも、倉庫の中身の射出自体が出来なかった。
 倉庫から取り出そうとすると、俺の周囲に中身が出てくる。意識すれば手元にも可能って感じだな。
 で、倉庫の中身はお約束通り時間が止まってるようだ。実際暖かい料理やら生鮮食品やらを入れて確認済みなので間違い無い。
 他には、生きているものを倉庫に格納するのも無理っぽい感じだ。
 少なくても生きている虫や鳥なんかは倉庫に入れようとしても入らなかった。
 ……死体とかなら収納出来たんだが。
 で、収納するには俺を中心に一定距離――半径5m程度――か、あるいは俺が接触している物を収納可能。
 収納できる量は取りあえず現在は不明。少なくてもバーニングPTの筐体は問題無く収納する事が出来たのでかなりの容量があると思う。
 後、これが一番大事な事だが、ステータス表示される時と同じような感じで念じると倉庫の中に何が何個入っているのかが脳裏にリストで表示される。
 で、それを選ぶと倉庫から出す事が可能、と。
 これで入れ忘れとかは心配しなくてもOKだ。

「まぁ、能力については取りあえず置いといて取りあえずは食事だな。折角の誕生日なんだし、ちょっと豪華に行くか」

 PDAのスイッチを入れ、ネットに繋げる。
 表示されたのは会員制デリバリーサービスのサイトだ。
 ここはその日の食費を入力するとその値段の料理をデリバリーしてくれる。
 もちろん会員制だけあって栄養価の計算もばっちりだ。
 かなり高い入会費や年会費を取るだけあって料理の味もかなりのもので、さらに同じ値段でも日替わりで全く違うメニューになるし、もちろん入力した料金が違えばメニューも違う等、かなり多彩だ。
 
「と言うか、こういうサイトがあるから俺みたいな鍵っ子がいても問題無いんだろうな」

 週に1回はヘルパーの人が掃除に来てくれるし、食事はこのサイトや近所の店で十分満喫出来ている。
 
 




 俺が生まれるちょっと前にインスペクターが地球を占領したらしいが、すぐに解放された。で、現在はその復興も一段落した状態で安定期に入ったみたいな所か。
 つまりシャドウミラーの考えで行けば、安定期=政府の腐敗となる訳で。

「とにもかくにも生き残る為には操縦技術を磨かなきゃないけない、と」

 本来なら筋トレなんかもやった方がいいんだろうが、子供の時に無理なトレーニングは成長に悪影響があるらしいからな。いざという時に故障で動けませんなんて事になったりしたら最悪だし。
 なのでトレーニングは基本的に動体視力を鍛えるのやら、バーニングPTやらのあまり体に負担が掛からないものが殆どだ。

 居間へと移動し、バーニングPTを起動させる。
 ちなみにこのバーニングPTは原作で出ていた物と違い、選べる機種がかなり多い。
 ゲームの名前の由来となったパーソナルトルーパー(PT)、アーマードモジュール(AM)等々。
 他にも地味な所だが、戦闘機やら戦車もある。
 この辺の違いはまだPTが一般的じゃなかったあっちの世界と、既に多種多様な兵器が溢れているこっちの世界との違いか。
 さすがに特機タイプはゲームの仕様上入っていないのだが。

 ぶっちゃけ、このバーニングPTは下手なシミュレータよりもそっちの機能が充実している。
 コックピットもゲシュペンストと同じ物を使ってるらしいし。
 つまりこれは純粋なゲーム機というよりも、半ば以上軍で使っているシミュレータと同じような物なのだ。

 取りあえず1人用のモードで軽くクリアをして、腕ならしをする。
 俺の使用機体は量産型ゲシュペンストMk-Ⅱだ。
 これにメインウェポンのM950マシンガン、近づかれた時の為にM13ショットガン、バックパックにスラッシュ・リッパー、スプリットミサイル。近接戦闘用にネオ・プラズマカッターと固定武器のジェット・マグナムといった結構オーソドックスな機体だ。
 ……と言うか、操縦技術を上げる為の訓練としてバーニングPTをやってるんだから、ここで奇をてらったり強キャラを使用しても意味が無いだろう。
 何事も基本が大事なんだし、俺の選択は間違っていない筈だ。
 ネットで対戦相手を見つけ、今日も挑む。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:2
PP:10
格闘:114
射撃:132
技量:124
防御:121
回避:149
命中:171
SP:158
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:A
海:B
宇:A
精神:???
   ???
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLV9&SP回復&集中力)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ??? 

 

0003話

 基礎訓練やら何やらをやったり、バーニングPTをやったり。そんな事をしていた俺も、既に10歳。
 あ、ちなみに学校には通っていない。通信教育でその辺は済ませている。
 と言うか、これもインスペクターによる地球占領の影響だな。
 インスペクターが攻撃してきた時の戦い、それを解放する為の戦いの被害はちょっと馬鹿にならない。
 人命に関してもそうだし、建物の被害に関しても同様だ。
 つまり何が言いたいのかというと、ぶっちゃけ学校として使える建物が殆ど無いって事だ。あと、教える方の人材も。
 現在は安定期に入って来た為に将来的にはどうなのか分からないが、俺の世代は家での通信教育が一般的……らしい。
 少なくても、ニュース番組ではそう言っていた。
 田舎なんかの被害が少ない場所だと普通に学校もあるらしいんだが、連邦のお膝元、スイスのジュネーブ近郊の被害は推して知るべしって奴だな。

 そうそう、少し前にチート能力で新しい要素を発見した。
 少し前に久しぶりにステータス表示を確認したら、レベルが3になっていたのだ。
 スパロボだと経験値は敵を倒した時とかしか貰えなかったけど、この世界では訓練でもある程度貰えるみたいだ。
 ……いくら軽い訓練しかしてなかったとは言え、7年訓練して上がったレベルが2という時点でとてつもない効率の悪さだという事が分かる。
 で、これも以外だったのがPP。
 確かこれって経験値と同じく敵を倒した時に貰えたと思うんだが、この世界ではレベルが上がっても貰えるらしい。
 もっともレベル3でPP20って事は、レベルが1上がって貰えるPPは10Pって事なんだろうけど。
 PPは原作と同じく消費して特殊能力を覚える事が出来るっぽい。
 能力値を上げるのも出来るんだろうけど、幸か不幸か俺のレベルアップによる能力値上昇率は半端ない程高い。
 何せ、1レベルごとにSP以外の全能力が+4。SPに至っては+8だ。
 しっかりとは覚えていないが、原作だとタイプ別に色々とあったと思うがそれでもレベルが10上がっても上がる能力値は5~8程度だったと思う。
 俺の場合はレベルが10上がれば全ての能力が+40となる。
 それを考えると俺の能力値の上昇率の高さを理解して貰えるだろう。
 なので、PPに関しては割り切ってスキルか地形適応を上げる予定だ。
 特に地形適応なんかは命中・回避・ダメージに直結している為に最優先で上げたいのだが……ポイントが足りない為か選択する事が出来ない。
 スキルの方は、現在覚える事が可能なのは『底力』『カウンター』『インファイト』『ガンファイト』『指揮官』の5つだ。
 OGsでは底力とカウンターは捨て技能だったと思うので、取りあえずこの2つはパス。インファイトは俺の特性が射撃なのでこれもパス……とは言わないまでも後回し、と。
 そうなると覚える候補はガンファイトか指揮官のみになる。
 ガンファイトの射撃攻撃力アップと射程アップ。指揮官の周囲の味方の回避・命中アップは確かに欲しい技能ではある。
 ただ、上記の効果と地形適応による自身の命中・回避・ダメージアップを考えた場合やっぱり後者に軍配が上がる。
 本来ならSP系統の技能を充実させる所だが、幸いにも俺はチート能力のSPブーストとかいう技能でSP系統は既にMAXになっている。
 という事で、取りあえずPPを貯めて早めに地形適応アップを取る予定だ。AからSに上げるには確か60P必要だったと思うから後4レベル。

「……はぁ、後4レベル、ね」

 溜息一つ。
 7年間で2レベルという事を考えると、どのくらい掛かるのやら。
 ただ、幸いにも俺は10歳。
 13歳になれば、ミドルスクールの代わりに連邦軍の幼年学校に入学する事が可能だ。そうなれば、少なくても今よりは経験値を稼ぎやすくなるだろう。

「後3年の我慢か」

 あ、ちなみに精神コマンドの加速を覚えてた。
 ステータス画面で表示されている消費SPは4だけど、SPブーストの集中力の事を考えると、本当は消費5なんだと思う。

 ちなみに、公園で加速を使ってみたら早さ……RPG風に言えば俊敏力? が大体1分程上がっていた。
 精神コマンドの加速がまさか自分自身の肉体にも効果があるなんて思ってなかっただけにかなり驚いた。
 加速の事を考えるに熱血を使ったら筋力アップとかなのか? 鉄壁で防御力アップ? 根性とかど根性は傷が回復?

「……まさかな」

 考えれば考える程怖い想像が頭に浮かぶので、取りあえずその辺でやめておく。
 あ、でも偵察はチート能力のステータス表示があるから実質消費SP0で使用可能になるのか。

 スライムの方も、制御訓練は順調だ。
 っていうか、チート能力で『手足のように動かす事が出来る』と設定したせいか本当に自分の手足の如く動かす事が可能だ。
 感覚的に言うなら、手がもう1本あって自在に動かせるようになったと言えばいいのか? ちょっとこの感覚は独特すぎて正確に伝える事が出来ないが。
 ただ、その手足の如くという設定が拙かったのか、スライムと設定したのに自意識は全く感じない。
 俺が動かそうと思えばその通りに動いてくれるから取りあえず問題は無いんだが……出来ればある程度の自意識はあって欲しかった。
 原作であったようにその能力は破格だ。
 水銀の高圧な高速駆動での斬撃は、数ヶ月ぶりに帰ってきた父さんからお土産としてもらったオリハルコニウムを切り裂き、槍状にした刺突は同じくオリハルコニウムを貫通した。
 自動防御に関してはスライムに意志がなく、魔術も使えない為か俺の反射で発動するようだ。原作では地雷やらマシンガンやらも無効化してたので対人戦での防御能力で言えばかなりのものがあるのだろうが、残念ながらここはスパロボの世界。
 取りあえずマシンガンはマシンガンでもM950マシンガンなんかは防げないと思っていいだろう。もちろんビームやレーザーなんかは問題外だ。もしかしたら防げるのかもしれないが、少なくても俺は試してみようとは思わない。
 いや、パイロットになってから何も無い所で試してみるのはいいかもしれない。
 で、最後が自動索敵。正直、スライムに一番期待している能力はこれだったりする。だって考えてみてくれ。原作であの広大なアインツベルン城の1フロアを数秒で探査完了するという桁違いの能力。
 この世界だと科学技術が発達しているが、スライムの自動索敵の方が余程有効だ。
 ただ、自動探査で不思議な事が1つある。
 俺の記憶が正しければ、確か自動探査はスライムの触覚を主軸・強化したもので、主に音や温度の変化を認識するというものだった筈だ。
 ここで疑問。このスライムは俺の感覚器の1つであり、つまりはその判断も俺がする訳だ。つまりはスライムが感じ取った情報は全て俺が処理しなきゃいけない筈なんだが……その辺は何故かスライムの方が自動的に処理してくれている。少なくても俺が情報処理で頭がパンクしたとかにはなった事が無いのでその辺は間違い無いと思う。

「そう考えると、案外自意識とかあるのかもしれないな」

 呟くが、家には誰もいないので返事は無い。
 もちろんスライムからの返事らしきものも無い。

「まぁ、いいか。これもいつもの如く転生特典とでも思う事にしよう」

 と言うか、能力を与えられてもその能力を使いこなせないってのは何か理不尽に感じないでもない。
 良くあるSSなんかだと大抵その辺は神様がフォローしてくれると思うんだが、俺にはその辺全く無し。
 それ以前に神様の容姿すら全く思い出せない。
 思い出せるのは、前世の記憶が途切れたらアクセル君になってた事だけだったりする。
 なのに、神様と会った事があるというのは実感としてきちんと残っている。

「これが神の力って奴なのかね」

 まぁ、もう俺は前世の○○○○じゃなくて、アクセル・アルマーなんだし神様の事は取りあえずどうでもいいか。

 首を軽く振り、神様の事を頭の中から追い出してスライムへと思考を戻す。
 PTやらAMでもスライムの攻撃力と偵察は使えると思う。ゼンガーのグルンガスト参式やダイゼンガーも液体金属を使って斬艦刀にしてたんだし。
 偵察に関しては、さすがにレーダーなんかの数kmとかの広範囲索敵とかには敵わないけど、逆に言えば近距離の精密な偵察はスライムの方が上だ。

 あ、それと空間倉庫とスライムの2つでかなり凶悪な真似が出来る事が判明した。
 その名前は『微妙に金ぴか王様ごっこ』
 いや、以前出来ないって言ってただろって突っ込みは分かるんだが、出来てしまった物はしょうがない。
 手順としてはこうだ。
 
 1:空間倉庫の中にスライムを待機させておく。(外に出してる状態でも出来ない事は無いけどそれでは金ぴか王様にはならないので)

 2:空間倉庫を展開しスライムを全部出さないで、複数の触手を槍状態や斬撃状態にして放つ。

 3:あら不思議、これで君も金ぴか王!

 ……って感じだな。まぁ、いわゆるネタ技だが初見殺しとしてはかなり使えるんじゃないかと期待している。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:3
PP:20
格闘:118
射撃:136
技量:128
防御:125
回避:153
命中:175
SP:166
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:A
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   ???
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv9&SP回復&集中力)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???


尚、特殊技能の習得や地形適応に使用するポイント等はスパロボOGを参考にしています。 

 

0004話

 目の前にあるのは、瓦礫の山、山、山。
 それは少し前まで俺がいた店の成れの果てだ。
 そして俺よりも年下と思われる男の子の死体。
 まだ幼いその顔は、どこか見覚えがある。

「って言うか、どう見てもリョウト・ヒカワだし」

 そう、その顔は良く言えば優しげ。悪く言えば気弱そうな印象を受ける。
 リョウト・ヒカワ。
 原作ではバーニングPTで誘拐? スカウト? まぁ、とにかくDCに所属していたが、ハガネ部隊との戦いを経て捕虜になり、そのままハガネ部隊のパイロットになるといった流れだったと思う。
 優柔不断な性格だが、バーニングPTでDCに目を付けられただけあってその操縦技術は一級品。おまけにPTやAMなんかの設計も出来て、生身でも実家が空手道場だけありそこそこ強い。でもって恋人は世界最大級の会社マオ・インダストリー常務の一人娘。
 正直、ゲーム内でも屈指の勝ち組と言っても間違いないキャラクターだ。

「いや、キャラクターだった、か」

 そう、現状目の前に死体がある以上、過去形で語るべきだろう。

「もっとも、リョウトにしてみれば過去形じゃなくて未来の話だったのかもしれないが」

 アクセルに転生して以来、既に癖になってしまった溜息を吐く。

「全く、俺はただ平和に過ごしたかっただけなんだが」

 呟きつつ、何故こんな事になったのかを思い出す。





 12歳になってから既に数ヶ月。
 不謹慎な話だが微妙にわくわくしつつも、その日俺は街中を歩いていた。
 基本、どちらかというとインドア派である俺が外出したのは、たまには外に出て気分転換をしたいと思ったからだ。
 ……ちなみに、基本的にやってるのが訓練やら勉強だとしても家にいる事が多いんだからインドア派でいいんだよな?
 バーニングPTだって一応ゲームなんだし。
 まぁ、それはともかく。
 強烈な太陽光が照りつける訳でも無く、雨が降ってたり曇っていたりする訳でも無い、まさに散歩日和といえる天気の中、特に目的も無く色々な店を適当に覗きながらぶらりとしていた。
 クレープを売ってる屋台でマックスベリーなんていう、ちょっとどうよ? 的なものを食べてみたり。
(ちなみに、味は一級品だった)
 何故かスイスにあるたこ焼きの屋台で一舟買ってみたり。
(大きなタコが入っていて、外はカリっとしてて中はトロっとして大満足)
 いつも使っているPDAの最新機を触ってみたり。
(増えた機能が解像度がちょっと上がっただけだったので買い換えないで現状の物をそのまま使う事にした)
 まぁ、そんなこんなでそろそろ夕方に近くなってきた事だし、屋台で色々と食べたから空腹度合いもそれ程じゃない為、何か軽い食べ物でも夕食に買って帰ろうとして街中から少し離れた所にあるベルナープラッテ――いわゆるポトフみたいな感じの肉がたっぷりの洋風おでんと考えて貰っていい――を売ってる店に入ったその時。
 ゾワリとした不気味な悪寒で背筋が冷たくなった俺は咄嗟に叫んでいた。

「スライム!」

 その叫びと共に、いつもの空間倉庫からスライムが銀色の体を見せた次の瞬間、強烈な振動のようなものを感じた。
 何かの重い物体が俺にぶつかったのと、スライムが俺を守護するように薄く広がったのは、時間的に殆ど同時だったろう。

「っっっっっ!」

 水銀の壁と化したスライムにのドームの中にいる俺と物体……もとい、子供。
 気を失っているのかはたまたすでに事切れているのか分からないが、目を開ける様子は無い。
 怪我とかをしているのなら手当をした方がいいのかもしれないが、まだガンガンと何かが落ちてきてはスライムのドームに当たっている音がするので迂闊に行動する事が出来ない。
 しょうがないので、スライムドームの内側の様子を調べる。
 パッと見、一番最初に目に付くのは子供。後はベルナープラッテの店の残骸らしき破片、それだけだ。

「早く収まってくれるといいんだが」

 取りあえずは、ドームの外で起きているだろう崩落が一段落するまでは即応体勢でいるしかない。

 ただ、幸いな事にそれから5分もしないうちに周囲は静かになった。
 それを確認してから、スライムのドームはそのままにようやく子供の方へと近づいていく。

「あー、駄目か」

 爆風か何かで吹き飛ばされたのだろうか、首の骨が折れているらしく変な方向を向いている。
 念の為に心臓に耳を当ててみたりもするが、その鼓動は完全に停止していた。
 死体を見た事で吐いたりするのかと思ったが、不思議とそんな感覚は湧いてこない。
 ただ、可愛そうだな、と思うだけだ。
 前世では普通の日本人だった俺が何故死体を見ても取り乱さないのかは不明だが、ここで取り乱しても百害あって一利無しだから取りあえず置いておく事にする。

「スライム、防壁解除。即応体勢で待機」

 スライムに命じて、ドームを解除する。

 で、冒頭に戻る、と。

「にしても、最初に出会う原作キャラがリョウトというのはちょっと予想外だったな。俺がアクセルなだけにヴィンデルかレモンだとばかり思ってたんだが。……まぁ、原作キャラ云々以前に死んでるんだけど。取りあえず、安らかに眠ってくれ」

 リョウトの目を閉じさせてから、改めて周囲を見る。

「感じた衝撃は1度。で、その後は特に何も無しと」

 最初はてっきりDC残党のテロかとも思ったんだがどうやら違うらしい。
 インスペクターの残党って事は……いや、ないか。
 確かインスペクターってのは指揮官だけが人間で、兵士はバイオロイドとかいう人造人間らしいし。
 こっちの世界のインスペクターの事は軍事機密で詳細情報は分からないが、あっちの世界のインスペクターの指揮官は5人だった筈。
 無言の筋肉に、その恋人のヒス女。脳筋バカとインスペクターの良心。で、総司令官がプライドだけは高い典型的なエリート官僚タイプ。
 そいつらが、地球が解放された後に10年以上も潜伏していたとは考えにくい。
 もしその万が一があったとしても、まさか一回の攻撃だけで終わる事は無いだろうし。

「となると、事故かテロのどっちかだな」

 呟きつつも、多分事故の線は無いだろうと判断していた。
 理由? スライムが外にいる怪しい奴等を感知していたからだ。
 無言でスライムを数mm程度まで細くし、瓦礫の隙間から外の様子を偵察する。

「ターゲットは?」
「この店の中にいた筈だからまず生き残るのは不可能だ」
「ならこの後は?」
「もちろん撤収。後はお偉い先生達が処理してくれるだろうさ」
「なるほど、政治家ってのは良い職業だな」
「全くだ。俺も選挙に出てみるかね」
「よせよせ、ある程度の金が無けりゃ無理だっての」

 ……あー、なるほど。了解了解。腐った政治家の暗闘か何かに巻き込まれたって訳だな。
 全く、市民を巻き込んでの暗殺騒ぎとはやってくれる。
 実際に腐った政治家のとばっちりを受ければ、シャドウミラーの理想も悪くないと思ってしまう。

「まぁ、それはともかく……俺を巻き込んだ事を後悔してもらおうか」

 スライムへと視線を向け、命令を下す。

「スライム、俺の周囲一帯を纏めて吸収。外にいる兵士も1人残さず吸収して良い。俺と奴らがここにいたという証拠は残すな」

 命令と同時に、スライムが広がり周囲の瓦礫をみるみる吸収していく。
 そう、地面に寝かせていたリョウト諸共。

「あ」

 やはり命の危機という事もあり、頭に血が上っていたのだろう。リョウトの事をすっかり忘れてしまっていた。

 ドクンッ

 次の瞬間、何かが体の中へと流れ込んでくるのを感じる。
 その衝撃に思わず地面へと倒れ込む。
 幸い、コンクリートの破片やら割れたガラスなんかの危ない物はあらかたスライムが吸収してくれていたので、怪我をせずに済んだが。
 自分に流れ込んでくるナニカ。それに堪えている間に外にいる兵士達の悲鳴のようなものが聞こえたが、俺はそれどころではなかった。
 なんと言うか体に無理矢理エネルギーをぶち込んだような感じとでも言えばいいのだろうか。
 正直あまり好きにはなれない感覚だった。




「ふぅ……」

地面に倒れ込んでから5分程経っただろうか。ようやく体が落ち着いて来たので立ち上がる。
 周囲を見てみると、兵士の姿も瓦礫も消え失せていた。
 もちろんリョウトの死体もどこにも見えない。
 あるのは、体積を数倍に増やしたスライムのみ。

「取りあえず、消えた方が無難だな」

 遠くから救急車かパトカーか知らないが、サイレンの音が聞こえてくる。
 恐らく街中にいても聞こえた爆音で、誰かが公共機関に連絡したのだろう。
 このままここにいてはとてつもなく面倒になると分かりきっているので、サイレンの音とは反対方向へと進み、かなり遠回りしてから家へと向かう。

「はぁ、最高の休日が最後の最後で最悪の休日になってしまったな」

 居間にあるソファに倒れ込みながら愚痴る。
 まさか、テロどころか軍の作戦に巻き込まれるとは思わなかった。
 しかも、民間の店を爆破するなんてどう考えても普通の軍隊ではない。特殊部隊か、政治家の私兵という所だろう。

「まぁ、それはともかく。あの感覚はなんだったんだ?」

 そう、今一番の疑問はそれだ。
 リョウトを吸収してしまった時に感じたあの感覚。
 正直、リョウトに関しては悪かったとは思うが、既に死んでいたのだししょうがないと割り切る事にする。
 どの道ベーオウルフの事を考えるに、この世界はアインストに滅ぼされるんだろうし。
 不思議なくらい罪悪感を感じていない事に疑問を感じないでもなかったが、そもそも俺の第一条件は俺が生き残る事だ。

「ステータスオープン」

 脳裏に表示されるステータス。
 あの吸収で何かが変わったのだとしたら、恐らくステータスに表示されている筈だ。

「あ、やっぱり」

 レベルやPPが増えているのは、予想出来ないでもなかった。敵を倒したんだしな。
 俺が気になったのはスキルの欄。

「念動力 LV.4、ね」

 そう。そこには俺が持っていなかった筈の念動力というスキルが表示されていたのだ。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:5
PP:60
格闘:126
射撃:144
技量:136
防御:133
回避:161
命中:183
SP:182
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:A
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   ???
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:4 

 

0005話

 ステータスに表示されている念動力LV.4の文字。
 その文字を眺めつつ、俺は首を捻っていた。
 そのスキルはつい先日起きた事件で手に入れたスキルなのだが、色々と不透明な所がある。

「リョウトは念動力持ちだったから、それを吸収して手に入れたのは分かる。ただ、なんで念動力だけなんだ? 俺の記憶じゃ確かガンファイトとか援護攻撃、援護防御なんかも持ってたと思うんだが」

 そう、OG1では屈指のパイロットであるリョウトは念動力以外にもスキルを持っていた。
 なのに何故か俺が吸収する事が出来たのは念動力のみ。

「ん? 念動力、のみ?」

 ふと、頭に浮かぶ考え。
 リョウトの所持していたスキルは念動力、ガンファイト、援護攻撃、援護防御。
 この4つの違いは念動力以外はPPを消費して習得が可能だという点だ。
 で、肝心の念動力は特定のパイロット固有のスキルで、PPを消費しても覚える事が出来ない。
 つまり……

「吸収が可能なのはPP消費で覚える事が出来ないスキル、か?」

 あくまでも予想だが、そう間違った結論ではないと感じる。

「そうなると、次の問題はこの念動力のレベルの上げ方なんだが」

 最初から念動力を持っていたとシステムが認識してくれるのなら、レベルが上がれば自動的に念動力のレベルも上がってくれるだろう。
 正直、これだとPP消費も考えなくて済むし、危険な道も通らなくて済むので一番楽な方法だ。
 ただ、この方法が取れない場合。
 つまりは、スライムの吸収でしかレベルが上げられない可能性だ。
 今回のように最初から死んでいる状態ならともかく、そんな上手い話はまず無いと言っていいだろう。
 つまりは、俺が自分の手で殺す事になる訳だが。

「それでシャドウミラーを倒せなくなったら本末転倒どころの話じゃないし」

 そう、手段の為に目的を見失ってしまっては全く意味が無い。
 となると……

「あっちの世界で駄目ならこっちで、か?」

 リョウトと同じく、最終的にはアインストに滅ぼされるこっちの世界でなら念動力持ちを吸収出来る可能性が無い訳じゃない。

「とは言え、念動力ってかなりのレアスキルって設定だったからそう簡単にはいかないんだろうけど」

 そう、原作ではキョウスケルートが好きだった俺は余り認めたくないが、半ばOGの主人公と化しているリュウセイとその姉的存在のアヤにその妹のマイ。
 その他はαからOGsに参戦した男主人公4人に、女主人公4人の合計11人となる。
 α組がいないとリュウセイとアヤ、マイの3人しかいないのだ。
 正直レアスキルにも程がある。
 ただ、それでも念動力は美味しいスキルだけに出来れば手に入れたい。
 何せ所有者に念動力のレベルで命中・回避の補正が入るのだから、死亡フラグ満載のアクセル君ルートを強制的に選ばされた俺にとっては喉から手が出る程欲しいスキルであるのは間違いない。

「ま、結局その機会があるのかどうかは運次第。吸収出来なくて元々、吸収出来ればラッキー程度の認識でいた方がいいか」





「さて。吸収についてはひとまずこれでOK。次は……」

 居間を占拠している銀色の塊へと目を向ける。
 もちろんその銀色はスライムであるのは間違いない。間違いないのだが。

「大きくなりすぎだろ」

 そう、俺のもう1つの体と言っても過言ではないそのスライムは事件前に比べて明らかに大きくなっていた。
 事件前は俺の腰辺りまでしかなかったのが、今では俺の頭の辺りまで巨大化しているのだ。
 これは明らかに、店の瓦礫やら兵士やらリョウトやらを吸収した結果だろう。
 ……あ、良く考えてみれば店の従業員とかの死体も吸収しているのか。
 後は兵士が話していたターゲット云々とその関係者も。

「それでも結局吸収したのは念動力だけって事はやっぱり俺の考えは正しいんだろうな」

 これからシャドウミラーに所属する予定である以上、俺としては軍人のスキルなんかも吸収して欲しかった所だが。
 あと、店の料理人の調理技術やらターゲットの政治家? の能力なんかもあれば嬉しかった。

「ただ、これからは迂闊にスライムの吸収は使えないか? このまま育って、それこそ質量が家やらビルやら並になったら使いにくく……ん?」

 そこまで口に出し、ふと思い出したネタ技『微妙に金ぴか王様ごっこ』あれって実はでかくなってしまったスライムで戦う場合かなり使えるんじゃ?
 それにスライムの質量が大きくなったという事は、攻撃する時に出せる手数が増えたという事になる。
 そしてスライムの質量が増したという事は、すなわちスライムが1度に吸収出来る量が増したという事にもなる。

「あ、こう考えてみればマイナス要素よりもプラスの方が大きいような気がする」

 まさに災い転じて福となす。

 ……いや。瓦礫やら人体やらを吸収してなんで水銀の容量が増すのか、とか。吸収能力を持つ水銀って水銀じゃないんじゃ? とか突っ込みたい気持ちはあるんだが、何を言っても『転生チートだから』で済んでしまうんだよな、多分。

「次はPPだな」

 微妙に口調の中に諦めのニュアンスが混じっているようだが、気にしないったら気にしない。気にしたら負けだ。
 PPに関して言えば、60ポイントある。
 現在の俺のレベルが5で、撃破数が4という事はいつもの如くレベルが2上がって20P。敵を1人倒して5P×4人でもう20Pなんだろう。
 にしても、敵を4人倒して2レベルアップって。
 敵が強かったのか、それとも俺が弱かったのか。できれば前者の方である事を希望する。
 主に俺の精神安定的な為に。
 さて、大量ゲットしたPPで何をするかだが……これは以前からの予定通り地形適応を上げようと思う。
 ただ、問題はどの地形適応を上げるか、だ。
 取りあえず宇宙はしばらく行く予定も無いし、現状のAで十分。
 そうなると、残りは海、地上、空の3択。
 原作じゃヒリュウ改・ハガネのどちらも海のみの戦闘マップは殆ど無かった。9割は地上・宇宙マップだったと思う。
 ただ、俺が海の地形適応を上げてみたいと思ってる理由はある純粋な興味からだ。
 思い出して欲しい。生身で精神コマンドの加速を使用した時、俺自身が素早く行動出来るようになった。
 これはつまり、海の地形適応をAとかSにすれば酸素ボンベとかそういうのが無くても数時間単位で海中にいる事が出来たり、どこぞの達人のように海の上を歩いたり出来るんじゃないか?

「……無いか」

 ふと思った事とは言え、それは無い。
 その理屈で行けば、空をSにすれば生身で飛ぶ事が出来るようになって、地上をSにすればゲッター2やザムジードの如く地中移動が可能になってしまう。
 宇宙をSにすれば、生身で宇宙に出ても平気というのは……スパロボの世界だと割とありそうな気もするが。

「まぁ、冗談は置いといてやっぱり地上か空のどっちかなんだけど」

 非常に、悩む。悩むんだが……

「取りあえず、地上をSだな。空は次に60P溜まったら最優先って事で」

 結局、地上をSにする事にした。
 理由としては、連邦軍の幼年学校にしろ士官学校のパイロットコースにしろ、多分最初に乗るのはゲシュペンストだからだ。
 少なくても、いきなり実機で空を飛ぶリオンには乗せてくれないだろう。
 まぁ、それ以前にあっちの世界と違ってこっちの世界の量産機はゲシュペンストで、リオンはそれ程量産されていない。
 その事を考えると確実にシャドウミラーにスカウトされる為、成績優秀者になる為にもやっぱり地上戦をメインにしておいた方がいい。

「まぁ、この調子で行けば幼年学校入学までには無理でも、士官学校入学までには60Pくらい簡単に溜まりそうな感じがするが」

 ぶっちゃけ、腐敗した政治家どもの私兵集団をスライムを使って狩っていけばかなり簡単にレベルが上がりそうな気がする。
 敵1人につき、5Pというのも魅力的だ。

「ただ、それで目を付けられちゃどうしようもないか」

 シャドウミラーに所属してあっちの世界に行く筈が、やりすぎてシャドウミラーに狙われるなんて事になったらそれこそ笑うに笑えない。
 となると、これからの優先順位的に言えば空、宇宙、海の順番だな。
 いや、上げるのは宇宙までで海は現状のままでも大丈夫、か?
 そもそも、海の地形適応はBでそれ程高いとは言えないが、CやDのように低い訳でもない。
 となると、宇宙をSにしたらスキルの習得に向かうべきか。
 ステータス画面を表示し、習得可能スキルを表示させる。

「候補としては、援護攻撃、援護防御、ガンファイト、インファイト、指揮官、ヒット&アウェイ、アタッカー、Eセーブ、Bセーブ、連係攻撃、集束攻撃、ガード、気力限界突破って所か」

 まぁ、この辺は実際にPPが溜まってから考えた方がいいか。
 スキルと言えば、念動力と同じようにスライムで吸収出来るのはラッキー、強運、天才、予知だな。

「強運ってどうなるんだ?」

 強運以外の3つは能力値に関係する能力だ。
 だが、強運は敵を撃破した時の獲得資金が1.2倍になるというもの。
 もちろんこの世界では敵を撃破した時に金を置いていってくれる訳ではないので、強運が現実にどんな効果を発揮するのかが地味に気になる。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:5
PP:0
格闘:126
射撃:144
技量:136
防御:133
回避:161
命中:183
SP:182
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   ???
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:4 

 

0006話

 
前書き
幼年学校・士官学校に関してはスパロボの世界ということである程度独自設定とさせてもらいました。 

 
「我々新入生一同は、地球の平和の為、また市民を護る為に偉大なる先輩達の残してくれた大いなる財産である経験を学び、そしてまた私達も後進の為の礎となる事をここに誓います」

 目の前にいるのは、100人近い連邦軍幼年学校の生徒達。
 そう、俺はようやく13歳になり幼年学校に入学する事が出来たのだ。
 ……計算違いと言えば、まさか俺が新入生代表の宣誓をする事になるとは思わなかった事か。
 現在の俺は、体育館の舞台の上で校長やら理事やらその他諸々偉い人達に背を向けている。
 前世の記憶やら、小さい頃からの英才教育やらのおかげで受験成績が1番になってしまった為、ここに立つ事になってしまった訳だ。
 拍手が鳴り響く中、軽く礼ををして自分の席へと戻る。
 後は、またお偉いさんの長ったらしい話を聞き流して入学式が終わるのを待っていればOKだ。
 その後、お偉いさんの自画自賛な自慢話なんかを右から左へと聞き流し、無事入学式を終えて、自分の教室へと向かう。
 ちなみに、この幼年学校でのクラス分けはA~E組の5組で、1クラス約20人の成績順で分けられる事になる。
 俺は成績が1番という事もあり、当然A組。
 ただ、クラス分けは1年ごとに再度行われる為気は抜けない。
 A組のクラスに入り、自分の名前が書かれている名札が置かれている机を探す。

「いや、探すまでもないか」

 名前がアクセル・アルマーだけに、出席番号は1番。つまりは、廊下側の一番前が俺の席となる。
 入学式が終わったので、後はHRを受けて終わりだ。
 その後は、寮に移動して説明を受けて解散って流れの予定だ。
 自分の席に座り、教師――いやこの場合は教官か?――が入って来るのを待つ。

「ふん、貴様がアクセルか?」

 席に座っていると、突然声を掛けられる。
 と言うか、あからさまにこちらを見下すような感じの喋り方だ。
 声が聞こえてた方に視線を向けると、そこには金髪で酷薄そうな顔つきの男の姿があった。
 どうやら、こいつが隣の席の人物らしい。

「あんたは?」

 どこかで見覚えのある顔なんだが、転生してから会った事のある人物ではない、と思う。
 自慢じゃないが、前世の記憶を取り戻してからは引き籠もり一歩手前で訓練やら何やらに集中していたのだ。いきなり人を見下すような相手と会った事があるなら忘れる筈がない。

「俺を知らないだと? ふん、どんな手段を使って主席の座を掠め取ったのかは知らないが、策士として名高いこのジーベル・ミステルの事を知らないとは程度が知れるぞ」

 ジーベル? 確かにどこかで聞いたような覚えはあるんだが。
 ……あ、ジーベルってあれか! 原作のキョウスケルートで出て来る典型的な三下の下っ端。
 ムーンクレイドルで自称策士を名乗りながらも詰めの甘さでヒリュウ改を取り逃がしたり、襲われてる振りをした戦艦か何かで毒ガスを使おうとしてあっさり見破られたり、コロニーを人質にしたりした奴。

「あー、悪いがお前のような三下とは……いや、すまん。なんでもない」

 原作知識のある俺が、思わず三下呼ばわりしてしまったのは不可抗力だと強く主張したい。
 もっとも、それを聞き入れてくれるとはとても思えないが。

「き、貴様っ、よりにもよって、この私を三下だと!?」

 そして案の定、あっさりと切れるジーベル。
 と言うか、こいつって確かコロニー統合軍所属だよな? 何で連邦の幼年学校にいるんだ?
 ……あ、確かコロニー統合軍って連邦軍の宇宙部隊をブランシュタイン家が吸収して作った軍隊だったか。ならジーベルがここにいるのは特におかしくはないのかもしれないな。

「ジーベル! いい加減にしないか!」

 考えている間に、新たな登場人物が俺とジーベルの間に入ってきた。
 まず目に入ったのは、金髪のショートカット。その顔つきは意志の強さを感じさせる美人だ。
 えー、ていうか、この女も見覚えあるんだけど。

「ユーリア、私が侮辱されたのだ。関係無い貴様は引っ込んでいろ!」

 ほらやっぱり。
 ブランシュタイン家、と言うかマイヤーの親衛隊であるトロイエ隊の隊長、ユーリア・ハインケルだ。
 ふと思いつき、ユーリアのステータスを表示してみる。

名前:ユーリア・ハインケル
LV:3
格闘:120
射撃:124
技量:115
防御:110
回避:148
命中:167
SP:45
空:A
陸:B
海:A
宇:A
スキル:カウンター LV.1
指揮官 LV.1

 ……あれ?名前とかLVとか地形適応は表示されたけど、PPや精神コマンド、成長タイプとエースボーナスが表示されていない?SPが表示されている以上、精神コマンドが無い訳じゃないんだろうけど。
 にしても、カウンターはともかくこの歳で既にLV.1とは言え指揮官を覚えてるというのはかなり凄い。
 感心しつつも、表示されないステータスには疑問を感じつつ、次はジーベルのステータスを表示する。

名前:ジーベル・ミステル
LV:1
格闘:101
射撃:105
技量:110
防御:112
回避:118
命中:137
SP:20
空:C
陸:B
海:D
宇:B
スキル:リベンジ LV.1

 ……能力低っ!
 いや、さすが三下と呼ぶべきなのか?

「うわぁ……」

 その能力の低さに、思わず声を上げる。

「ん? どうした? 自分の程度の低さを自覚したのか?」

 と、なんとも的外れなジーベルの言葉。
 なんと言うか、三下の上に道化って可哀想すぎる。
 リベンジを覚えてるのがせめてもの救いだろう。
 ……ん? でも、ここってA組だよな? 成績順の組み分けのA組にいるって事はそれ程無能という訳でもない、のか?

「あー、気にするな。こっちの事だ。お前には一切関係ない。で、そっちの、ユーリアと言ったか。俺はアクセル・アルマーだ。よろしく頼む」

 ジーベルをさらっと流して、ユーリアへと声を掛ける。
 突然声を掛けられた事に驚いたのか、一瞬驚いた顔をしつつもすぐに口元に笑みを浮かべる。

「ああ、私はユーリア・ハインケルという。こちらこそよろしく頼む」

 その凛々しい顔に浮かべた笑顔を見るに、きっとあれだ。女にもてる女。
 後輩なんかに『お姉様』とか呼ばれるタイプ。
 体型的には、とても成熟した女とは言えない残念、もといスレンダーな感じだ。
 パイロットじゃなくて宝塚に入ってればさぞかし1流の劇団員になれただろうに。

「ま、こっちに宝塚があるかどうか分からないけどな」
「宝塚? 何だ、それは?」

 思わず口に出していた宝塚にユーリアからの突っ込みが入る。

「格好良い女が集まると言われている所だよ」

 間違ってはいない筈。

「そうか? まぁ、褒められて悪い気はしないが」

 和やかに会話を楽しむが、それに我慢できない男が1人いた。

「おい、俺を無視するな!」
「いや、そう言われても、最初から喧嘩腰なお前と何を話せと? それに……」

 教室に向かってくる足音に気が付いた俺は、ジーベルを無視して椅子に座り直す。
 俺と同じ事に気が付いたのか、ユーリアの姿も既に自分の席へと戻っていた。
 ちなみに、「ア」クセルな俺と、「ユ」ーリアなので席は殆ど対角線上な位置にユーリアの席はある。

「おい、貴様。いい加減に」

 ムキになったジーベルが机を思い切り叩くが、それと殆ど同時に教室に教官が入って来た。

「あー、君はジーベルだな。何をしているんだ?」

 机に置かれている名札を確認し、尋ねる教官。
 てっきりここでも原作キャラが出てくるのかと思ったんだが、見覚えのない人物だった。

「いや、これはこいつが」

 とかなんとかジーベルが喋っているが、もちろん俺は無視して意味が分からないとばかりに困惑を顔に浮かべる。

「……まぁ、いい。ジーベル、教官が来るのは静かに待つように。そしてアクセル。君は新入生の代表たる立場である事を忘れないように」

 教官のありがたいお言葉を聞き、そのままHRに突入して慌ただしい入学式は終わった。
 ちなみに、寮は4畳程度の個室だった。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:5
PP:0
格闘:126
射撃:144
技量:136
防御:133
回避:161
命中:183
SP:182
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   ???
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:4 

 

0007話

「おーい、廊下に試験結果が貼り出されたぞ」

 声を上げながら教室に入って来たクラスメイトに皆の視線が集中する。
 入学当初は生徒全員の試験結果の順位が点数付きで張り出されるというのに驚いた物の、入学して10ヶ月も経てばさすがに慣れる。

「アクセル、見に行かないのか?」

 声を掛けてきたユーリアだが、正直あの人混みの中に入っていくのはちょっと遠慮したい。

「別にすぐに行かなきゃいけない訳でもあるまいに。もう少し人が少なくなってから行かせて貰うよ」

 教室を出て行くユーリアに軽く手を振り返事をする。
 と、それが気にくわなかったのか、横合いからいつもの声が掛けられる。

「ふん、さすがは主席様だな。だが、トップだと威張っていられるのは今日までだ。今回は俺が勝たせて貰うぞ」

 そう、言わずと知れたジーベルである。
 初日の印象が悪かったのか、何かある度に俺に絡んでくるようになったのだ。
 ちなみに今回は勝たせてもらう云々言ってるが、今までの試験でこいつは良くてA組の最下位。悪ければB組の真ん中辺りの連中にも抜かれている。
 ……本当に、どうやってこいつがA組に入る事が出来たのかもの凄く疑問に感じてしまう。
 まぁ、原作を見る限り何かくだらない事を企んだのだろうが。

「はいはい、楽しみにしてるよ」

 どうでもよさげに手を振る。
 と言うか、このままジーベルに絡まれ続けるよりは大人しく順位を見に行った方がいいか。
 既に癖になっている溜息を吐き、順位が張り出されている掲示板へと向かう。

「ん? やっぱり来たのか」
「ジーベルが五月蠅くてな」

 人混みの中から素早く俺を見つけ出し声を掛けてきたユーリアだったが、俺の台詞に苦笑を浮かべつつ納得する。

「あいつも、何であんな風になったのか。以前はもう少しまともだったと思うんだが」

 ユーリアとジーベル。この2人は同じ地区にいたらしく幼馴染み……とまで親しくはないものの、知人程度の知り合いだったそうだ。
 と言うか、俺の記憶が確かならユーリアとジーベルは10歳近く離れてたと思うんだが、それはあっちの世界だからなのか?
 そんな事を考えつつ、張り出された順位表へと目を向ける。

1位 アクセル・アルマー 総合:285点 学科:94点 運動:95点 シミュレータ:96点

2位 ユーリア・ハインケル 総合:280点 学科:98点 運動:89点 シミュレータ:93点

「また1位を持って行かれたな。今回は結構自信があったんだが」
「何とかって所だな。にしても、総合はともかく学科は負けたか」

 毎回の如く、俺が1位でユーリアが2位。
 ただしその点差は5点とかなり僅差だ。
 最初は20点程の点差があったんだが、徐々にその差を詰められて来ている。
 ちなみに学科に限って言えば、ユーリアに勝った事は殆ど無い。
 ジーベル? あいつは30番前後を行き来している。

「後5点か。なら、次こそは主席の座を譲って貰うとしようか」

 いつもの如く、男前な笑みを浮かべるユーリア。

「主席にこだわってる訳じゃないが、そう簡単に譲る訳にはいかないな」

 二人で話ながら教室へと戻ると、そこには既にジーベルの姿は無かった。
 俺達と入れ違いになったんだろう。

「さて、次の授業はシミュレータでの訓練だな。アクセルには追いつくにはまずここから何とかしないとな」

 幼年学校の勉強は大まかに学科・運動・シミュレータの3つがある。
 まあ、細かく分ければもっと色々と分けられるのだがその辺は省略させてもらう。
 その中で俺が一番得意なのがシミュレータ訓練。
 3歳頃からバーニングPTをやってたのは伊達ではない。
 ただ、幼年学校の為かシミュレータで操作するのは歩く、走る、しゃがむ等の本当に基本的な動作だけなのだが。

 概ね、俺の幼年学校1年目の生活はこんな感じで過ぎていった。









「お、ジーベルがCクラスに下がってるな」

 3年のクラス発表でC組にジーベルの名前を発見する。
 クラス分けも3回目ともなれば、既に勝手知ったるなんとやらだ。
 2年に進級した時と同じく、A組に自分の名前を見つけ3-Aの教室へと向かう。
 朝のトレーニングの為登校するのが少し遅くなってしまったせいか、教室は既に8割方埋まっていた。
 ざっと見る限り、A組の面子は7割が2-Aからの進級組。2割が2-Bからの上昇組、1割がそれ以外の、つまりC~Eクラスからの特進組といった感じか。
 いつもの如く廊下側の一番前にある自分の席に座り、顔見知りの同級生達へと軽く挨拶する。
 あ、ちなみに先程口に出したようにジーベルはA組にはいない。
 と言うか、2年進級時にB組に落ちた。
 それでも会う度に絡んでくるのはある意味不屈と言うか、何と言うか。

「今日は遅かったな」

 既に聞き慣れたその声はユーリアのものだった。
 いつものように、キリッとした表情をした顔を見ながら思う。
 やっぱり俺の予想、当たったな。
 俺達に後輩が出来た去年から、ユーリアは下級生からお姉様として慕われている。噂ではファンクラブもあるらしい。

「朝練にちょっと時間が掛かってな」
「なるほどな。……ちなみにアクセル、卒業後の進路はもう決めたか?」
「進路?」

 進路ねぇ。もちろん俺はこのまま士官学校に上がる予定だ。それはユーリアだってもう知っている筈。
 となると。

「進路ってのは士官学校のコースの事か?」
「そうだな。どのコースにするのかもう決めたのかと思ったんだ」
「にしたって、気が早くないか? まだ1年もあるんだぜ?」
「違うな。1年もあるんじゃなくて、1年しかないんだ」

 ユーリアの言う事も分かる。
 なにせ士官学校は基本的に1度コースを決めたら他へ移る事は不可能だ。
 いや、移れない事はないだろうけど基本的には専門科目を習うので、遅れを取り戻すのは非常に難しい。
 つまり、士官学校に入学した時点でその後の軍人生活が大体決まると言っても間違いない訳だ。
 もっとも、俺の場合は士官学校入学どころか幼年学校入学前に決まってるんだが。

「ま、それは人それぞれの考え方だな。あ、ちなみに俺はもう決まってる。パイロットコースだ」

 俺がそれを口にした瞬間、教室の中が一瞬静まる。
 ユーリアにしてもいつもの冷静な表情は消え、驚きに染まっている。

「学年主席のお前が、パイロットコース? 私はてっきり参謀コースか4軍コースに行くと思っていたんだが」

 まぁ、それは間違いではない。
 よく考えてみれば分かると思うが、パイロットは前線で命を張る仕事だ。それに対して参謀は戦場から離れた場所から指示を出すだけ。
 いや、参謀は参謀なりに色々と苦労はあるんだろうが端から見たらそんなもんだ。
 で、パイロットと参謀では圧倒的に参謀がエリートコース。将来の出世は決まっている。
 4軍コースっていうのは、地上軍・空軍・海軍・宇宙軍の指揮官養成コースとなる。
 こちらも将来のエリートコースだな。

「俺は元々バーニングPTでパイロットに憧れて軍人を目指したクチだからな。自然とパイロットを目指す事になるさ」

 苦笑を浮かべつつ、ユーリアに返答する。
 対外的に俺が軍人を目指す事になった理由はバーニングPTでパイロットに憧れてという事にしてある。
 まさか、地球連邦軍特別任務実行部隊のシャドウミラーにスカウトされて、連邦に反逆して失敗し、パラレルワールドに移動する為、なんて言えないし、仮に言った所で信じて貰えないだろう。下手したらそのまま精神病院行きだ。

「そうか、そう言えばそんな事を言っていたな」

 以前話した事を思い出したのか、ユーリアが納得した表情を浮かべる。

「そういうユーリアはどのコースにするか決めたのか?」
「ああ、私は宇宙軍コースだ」

 その言葉に俺は納得する。だって、ユーリアといえばやっぱりコロニー統合軍のトロイエ隊だろう。

「ま、俺達72期生の主席と次席の進路がもう決まってるようでなによりだな」
「ぬかせ、まだ私はお前から主席の座を奪い取るのを諦めた訳ではないぞ? くれぐれも油断しない事だな」
「油断、ねぇ」

 正直、前世知識やら小さい頃からの英才教育やらのアドバンテージがあって、ようやくユーリアに勝てている状態だ。
 と言うか全体的に見れば俺の勝ちだが、何度かユーリアには試験で負けた事もあるだけにとても油断なんて出来た物ではない。
 あっちは俺に追いつくのに必死なのかもしれないが、俺だって追いつかれないように必死なのだ。
 あ、ちなみに士官学校のコースは参謀と4軍、パイロットコース以外にも補給全般を担当する後方支援コースや通信オペレーター育成の為の通信コース、PT等の整備を担当する整備コースなんてのもある。
 設計は外部委託が一般的なのか、あるいはこことは別の教育機関があるのか不明だ。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:6
PP:10
格闘:130
射撃:148
技量:140
防御:137
回避:165
命中:187
SP:190
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   ???
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:4 

 

0008話

「アクセル、本当にパイロットコースでいいのか? 今ならまだ他のコースに変更出来るぞ?」

 教官がそう声をかけてくるが、正直ありがた迷惑以外のなにものでもない。

「教官、他のコースに変更って。卒業式は明日ですよ? ちょっと無理があるんじゃないですか?」

 と言うか、卒業式前日に志望コースを変更してもまだ間に合うってどんな学校だそれは。
 まぁ、教官の言う事も分かる。俺もちょっと興味があって調べてみたんだが、今までの卒業していった主席は大抵参謀か4軍コースに進学していた。
 それが、今期の主席である俺は使い捨てと言えばちょっと言い過ぎだろうけど、とてもエリートコースじゃないパイロットコースに進もうというのだから教官の成績とかにも影響があるんだろう。
 こんな事ならユーリアと張り合わないで、3年になった時点で主席を明け渡しておけば面倒が無かったな。
 まあ、主席と次席なんだしそう変わらないだろうけど。
 教官に軽く礼をし、さっさと自分の部屋へと戻っていく。





 翌日。今日は幼年学校卒業式だ。
 正直、この3年間はそれなりに楽しかったし充実もしていた。
 レベルも3年間で2上がったし、待望の精神コマンド「努力」も習得出来た。
 経験値2倍で消費SPが8と低コストの精神コマンド、正直一番欲しかっただけにステータス表示で確認出来た時には思わず叫んでしまった。
 スパロボでは覚える精神コマンドでそのキャラの性格を現していたと思うんだが、もしそうなら努力を覚えたのは納得だな。
 ただ、自分の性格を分析するに熱血は覚える事が出来ないような気がする。
 でも転生したという事を考えればツイン精神コマンドの魂は覚える可能性はある、か?
 あ、ついでにシミュレータで敵を撃墜してもステータスの撃墜数は4のままだった。
 どうやらシミュレータじゃなくて現実で敵機を撃墜するなりなんなりしなければ駄目らしい。
 くそう、シミュレータで撃墜数が増えたらエースボーナスが判明したのに。

「アクセル」

 声を掛けてきたのは、既に言うまでもなく男前の女。幼年学校の女生徒のうち7割を虜にしたとか噂されている皆のお姉様ユーリアだ。

「よ。卒業式日和って訳でもないが、いい天気だな」
「ああ。さすがに今日は遅刻していないみたいだな」
「卒業式の日くらいはな」
「それにしても、来週からはアクセルと一緒の教室じゃないとか。妙に違和感があるんだが」
「なんだかんだでこの3年間お互いが一番長く過ごしてきた相手だしな」

 今日の卒業式が終わり1週間程の休みの後、俺達は幼年学校から士官学校へと進学する事になる。
 もちろん、士官学校に入学後はそのコースが自分たちのクラスとなる。
 そう考えると、ユーリアと一緒ではないってのは寂しいものを感じるな。

「そう言えば、ジーベルの事聞いたか?」

 しんみりする空気を嫌ったのか、ユーリアが話を変える。
 にしても、ジーベル? 3年に上がってからも絡まれてはいたが、軽くあしらっていただけで何か特筆すべき事はない。

「あの三下がどうした? とうとう士官学校からの入学拒否されたとか?」
「いや、聞いた噂だと参謀コースに入学決定したらしい」

 ……は?
 正直、自分が前世の記憶を取り戻した時並に驚いた。

「いや、なんでそうなる?」
「さぁ? 私にも詳しくは分からん。最初に言った通り、噂で聞いただけだからな」

 今までにも何度か言ったが、参謀コースは軍隊におけるエリートコースの1つだ。
 少なくてもCクラスの成績で参謀コースに入るのは無理だろう。参謀コースの教官達だって、自分たちがエリートを育てているという意識はある。そこに1人だけ落ちこぼれを入れても利益が余りに少ない。
 それなら最初からもっと有能な生徒を入学させる方が絶対にいい筈だ。

「正直、訳が分からないな。参謀コースの教官達は何を思ってジーベルを受け入れたんだ?」

 他人を見下し、意味もなく自分の方が上だと思い込む。けど実際の能力は悪いとは言わないが、あくまでも平均レベル。その性格から協調性もない。
 自意識過剰な道化。
 それがジーベルを見た俺の印象だし、実際にそれ程間違ってもいない筈だ。

「だから言っただろう? あくまでも噂だと。……だが、良く考えてみるとジーベルは幼年学校でも1年の時にはA組だったんだ」

 つまり何かイカサマ、か?

「よう、そこにいるのはパイロットコースにしか行けなかった自称主席君と、宇宙軍に行く次席のユーリアじゃないか」

 ……噂をすればなんとやら。声のした方を見るまでもなくその声だけで誰だかわかってしまう自分が微妙に悲しい。

「残念だが、自称じゃなくて正式に主席だよ。その証拠に今日の生徒代表も務める事になってるしな」

 別に主席という地位に拘っている訳じゃない。
 ただ、それでもユーリアと共に切磋琢磨してきた結果なだけに、ジーベルのような奴に茶化されるのは正直我慢出来なかった。

「ほう。で、その主席は何故落ちこぼれのパイロットコースに行くんだろうな?」

 ちなみに、言うまでもなくパイロットコースは落ちこぼれではない。ないのだが……ジーベルのような奴には何を言っても理解出来ないだろう。

「ジーベルっ!」

 ユーリアの怒声が響くが、ジーベルの口元にはこちらを嘲笑するような笑みが浮かんでいるだけだ。

「ん? どうしたんだ? やっぱり恋人が落ちこぼれだと過保護になるのか?」

 正直、学生どころか教官の中にも俺とユーリアが付き合っていると誤解している者は多い。だが、少なくても俺がユーリアに感じている感情はLoveではなくLikeだし、ユーリアにしてもそうだろう。

「と言うか、もしかしてお前が今まで俺に突っかかって来てたのって、俺とユーリアの仲を嫉妬してか?」

 なんとなく思いつきを口に出すが、その効果は劇的なものがあった。
 つい数秒前まで俺に向けて嘲笑していたその顔が真っ赤に染まり、ただでさえ釣り上がっている眼がさらに釣り上がる。

「うわ、マジか」

 明らかに図星を指された感じだった。
 ユーリアの方を見ると、こちらは予想外の展開に考えが付いていっていないらしい。

「と言うか、好きな相手に意地悪するってどこの5歳児だよ」
「ふ、ふざけるな!! 誰が誰を好きだというんだ! 全く、これだから低脳で無能な輩は困る」

 捨て台詞? を吐き、卒業式が行われる体育館へと早足で去るジーベル。

「あー、悪い事したか?」

 未だに立ち直っていないユーリアに悪い事をしてしまったかもしれないと思いつつ尋ねる。

「い、いや。ちょっと驚いただけだ。気にしないでくれ」
「そうか? それじゃあ、こんな所で話していて卒業式に遅刻しても馬鹿らしいしさっさと行くとするか」

 まだまごついているユーリアを連れ、卒業生の待機教室へと向かう。







「私達がこの幼年学校に入学してから、既に3年が経ちました。その間、色々な教官達にお世話になり、あるいは生活を共にしてきた仲間達との絆を深める事が出来ました。そしてそれらの結果が、今日この日の卒業となります。この幼年学校を出て士官学校に入学し、私達の愛すべき故郷であるこの地球を護る為の守護者の一員として励む事をここに誓いたいと思います。今日、自分達は旅立ちます。後輩の皆も私達に負けないよう、幼年学校とは言え連邦軍の一員である事を忘れずに活躍してくれる事を希望します。卒業生代表、アクセル・アルマー」

 これで卒業生代表の挨拶も終わりっと。
 在校生や卒業生、教官、校長、理事や父兄等から拍手を貰いつつ自分の席に戻る。
 と言うか、入学式の時もこんな感じだったよな。


 そんなこんなで卒業式も終わり、体育館を退場する事に。
 後は、各自で写真を撮るなり卒業パーティをするなりしてそのままここで解散って流れだ。
 そう言えば、卒業式=第2ボタンってのは日本だけの風習なのだろうか?
 少なくても、この世界ではそんな風習は無い。

「アクセル。これから皆で卒業パーティやろうという話になったんだがお前も行くよな?」
「ん? ああ。じゃあお邪魔するとするかね」

 クラスメイトからの誘いに軽くOKを出す。
 はてさて卒業パーティとはいうものの、まだ未成年だしアルコールはNGって分かってるといいんだが。
 と言うか、幼年学校の卒業生が酒飲んで暴れたなんて事になれば、大問題で士官学校の入学も取り消しになる可能性が高い。

 ……腐敗臭がする政治家達が行っている犯罪に比べれば酒で酔っ払うぐらいはどうって事ないと思うんだがね。

 ふとそんな思いが心の中から浮かんでくるが、まさか今の俺が腐った政治家達を全滅させる訳にもいかないだろう。
 いや、現在の俺の能力でやってやれない事はないかもしれない。
 だが、その時は間違いなく俺の生も終わりを告げる事になる。
 そもそもこの世界に住んでる人達には悪いが、俺が一番大事なのはやっぱり俺自身なのだ。
 他の人達の為の自己犠牲なんて、少なくても俺の柄じゃない。
 そんな事は物語の主人公達に任せておけばいずれ解決してくれるだろうさ。
 それでなくても、この世界はアインストに飲み込まれる運命にあるんだし。

「おーい、アクセル。皆行ってしまったぞ」
「っと、悪い悪い。じゃあ幼年学校最後のお楽しみだ。派手に楽しむとしようぜ」

 いつの間にか立ち止まっていた足を動かし、友人達の下へと近づいていった。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:7
PP:10
格闘:134
射撃:152
技量:144
防御:141
回避:169
命中:191
SP:198
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:4 

 

0009話

 
前書き
一応、今回出てきたバリソンはスパロボOGのキャラです。 

 
「これが士官学校か」
 
 目の前にあるのは、つい1週間前まで通っていた幼年学校に比べて数倍の大きさを誇る建物だった。
 考えてみれば当然なのだが、この士官学校は幼年学校からの繰り上がり組だけではなく、一般からの入学者もいる。
 そして、シミュレーションだけで幼年学校では使う事が出来なかったPTやらAM、その他にも戦車や航空機等の実機もたっぷり置いてある。

「そりゃあでかくなるか」

 納得しながら、校門を通り抜けパイロットコースの校舎へと向かう。
 この士官学校はコースごとに校舎が別れており、学校行事もコースごとに行われる事になっている。
 正直、入学式や卒業式くらいは全コース合同でやってもいいと思うんだが、コースごとの連帯感を高める為にこのような形式になっているらしい。
 また、士官学校は基本的に授業料が免除されるどころか、逆に小遣い程度だが給料が出る。他にも各種資格も無料で取る事が出来るし、食堂で出される食事も無料となる。
 士官『学校』という名前ではあるが、既にここは連邦軍なのだ。

「えっと、ここがパイロットコースの校舎だな」

 入学案内の書類を確認しつつ、ようやくパイロットコースの校舎を見つける。
 ぱっと見ただけでもかなり広い敷地を持っているのが分かる。
 まあ、それもそうだろう。なにせここは『パイロット』コースなのだから、PTを動かす場所が近くにあって当然か。
 変な感心をしつつ校舎に入り、1年の教室へと向かう。
 校舎の中の案内板を確認すると、どうやら3階に教室があるらしい。
 
「各学年1クラスで、1年から3年の教室は全部纏めて3階にあるのか」

 階段を上がり、1年の教室へと入る。
 既に中には10人程度の人数が揃っていたが、時間的にはまだ30分程余裕があるしこれで全員という訳でもないだろう。

 ちなみに幼年学校と違い、ここでは出席番号順に座らなくても良いらしい。
 ただし俺の場合は既に廊下側の一番前が自分の席と言う認識だったので、大人しくいつもの席へと向かう。
 いつもの席に着き、近くにいる同期へと声を掛けてみる。

「よう、俺はアクセルだ。よろしく」
「ん? ああ、俺はバリソンという。よろしく」

 寡黙そうな感じで、がっしりとした体格。まさに縁の下の力持ちといった感じの男だった。

「にしても、まさか1クラスしかないとは思わなかったな」
「そうだな。でも食うに困る事はない職場だ。贅沢は言えんさ」
「ん? ……あぁ、なるほど」
「ま、そういう事だ」

 バリソンはどうやら復興が遅れている場所の出身らしい。
 そういう場所があるとは知っていたが、実際にそこ出身の人間と会うのは初めてだ。
 インスペクターとの戦争で破壊された地域は多い。
 そしてその復興は当然だが都市区画から優先して始まり、田舎になればなるほど順番が後回しになる。
 いくら安定期に入ったとは言え、地球全土の復興が完璧に完了した訳ではない。
 まだ復興されていない地域は当然仕事も少なく、食うに困って出稼ぎやらなにやらで都会に出てくる訳だ。
 そう考えると、確かに士官学校に入学というのは良い選択肢かもしれない。
 なにせ、士官学校の中で生活するには殆ど無料なのだから。

「そっか。ま、お互い色々とあるだろうけど頑張って卒業しようぜ」
「そうだな」

 バリソンと話をしていると、段々と人が集まってくる。
 1列10人で、5列の合計50人がこのパイロットコースの同期生なんだろう。
 男女の割合は大体6:4くらいか。
 幼年学校のAクラスやBクラスで見た事のある顔もちらほらと混じっている。

「っと、来たようだな」

 バリソンの声を聞き、姿勢を前へと戻す。
 数秒後、教室のドアが開き教官が入って来た。
 強面の顔を見るに、いわゆる鬼教官という奴だろうか。

「注目しろ。まずは入学おめでとうと言っておく。この御時世、しかも人手不足でいつも苦労しているパイロットコースに入学して来るのは余程の物好きだけだと思っていたが、中には幼年学校を主席で卒業したにも関わらずパイロットコースを選ぶなんて酔狂な奴もいたようで何よりだ」

 教官、あからさまに俺を見ながらそんな事を言わないで欲しいんだが。
 教室にいる生徒達の視線が痛すぎる。

「まぁ、いいだろう。今日はこれからパイロットコースでどのような授業や訓練を受けていくのかを説明する。この説明が終わった後は解散して宿舎に戻るなり、学校内を見学するなりして構わん。ただし、見学者は注意しろよ。ここは士官学校と言っても一応軍施設だ。そうそうないと思うが、変な場所に入って機密なんかを見てしまったらどんな目にあっても知らないぞ」

 強面の割には以外に愛嬌のある様子を見せる教官だな。
 と言うか、士官学校にある機密って何だ? 卒業した人が派遣された先とかそういうのか?

「さて、授業の事に入る。先程も言ったが、PTパイロットは基本的に常に人手不足と言ってもいい。つまり、即戦力が求められている訳だ。よって授業も実習をメインに行われる」

 インスペクターとの戦争で多くの人命が失われたが、当然と言うか何と言うか一番危険なのはやっぱり実際にインスペクターと戦っていた兵士な訳で。
 飛行機やら戦車、生身の兵士に比べるとPTやらAMなんかは目立つ。それはもう目立ちまくる。
 結果的にインスペクターのバイオロイドに優先的に狙われる事になり、損耗が加速度的に激しくなっていく訳だ。

「ざっと説明すると、これから半年は学科2割、射撃・格闘訓練1割、シミュレータ5割、実機実習2割となる。もちろんこの比率は半年間だけのものだ。それが過ぎたらシミュレータと実機実習の比率が逆になる。半年で基本的な事は覚えておけよ。でないと実機演習が本格的なものになった時に事故を起こす事になるからな。特に、一般入学組。お前達は殆どゼロからの勉強となる。死ぬ気で頑張らないと付いてこられないぞ。そして幼年学校組、お前達も下地があるからと言ってぼけっとしてるなよ。このコースは基本的に連帯責任だ。一般入学者組が事故を起こしたらお前達にもペナルティが行く事になる。そうなりたくなかったら、今まで習ってきた事を教えるなりなんなりする方がいいぞ」

 なるほど、これも仕官教育の一環なんだろう。
 幼年学校組は、その知識をいかに効率よく部下――いや、今回は同期の仲間だが――に教える事が出来るか。一般組は逆に効率よく教えて貰った事を理解出来るか。

「成績の付け方もそれに準じる事になる。また、半年の基礎訓練が終了した後はシミュレーションによる模擬戦、実機による模擬戦等も行われるので忘れないようにしておけ」

 教官の話を聞く限り、かなり実践的な授業になるらしい。
 ただ、実際にゲシュペンストとかに乗れるのはかなり楽しみだ。
 アクセル・アルマーとしてこの世界に転生したのは、正直もの凄く不本意ではあったが、人型ロボット兵器のゲシュペンストに乗るなんて前世ではまず不可能だっただけにちょっとだけ嬉しさを感じる。

「さて、とりえあえず1年時における授業の大まかな所はこんなものだ。後は、そうだな……お前達も知っての通り、この士官学校は金を貰って勉強が出来る素晴らしい場所だ。それだけに、規則なんかも厳しくなっている。それに違反した時には退学や逮捕という事もあるから十分自覚を持って行動するように。では、初日の授業はこれで終了とする。明日は0830時にはこの教室で待機しているように。さっきも言ったが、ここは基本的に連帯責任だ。自分が遅れたら仲間にも迷惑を掛けるという事を肝に銘じておけ。以上、解散」

 解散を聞き、俺達生徒は立ち上がり敬礼をする。
 幼年組や一部の一般組は素早く敬礼が出来たが、大多数の一般組は俺たちから遅れる事数秒で敬礼をした。
 その遅れた一般組をジロリと見てから教官は教室を出て行った。

「なるほど、まずはそこからか」

 これが先程言っていた、幼年学校組が一般組に教えると言う事の最初の1歩なんだろう。

「アクセル、悪いが教えて貰えるか」

 俺と同じ事を感じ取ったらしいバリソンが、後ろから声を掛けて来た。
 ふと周りを見てみると、俺とバリソンのように幼年学校組と一般組が交じり合って固まっている。
 連帯責任が基本である以上、他の面子のミスで自分までペナルティを受けるのが嫌なのだろう。
 その辺の教育制度は、さすがに士官学校の中でも屈指の歴史を誇るジュネーブ仕官学校だけの事はあると感心してしまう。
 バリソンの問いかけに頷き、敬礼の仕方やいつするかなどを教える。
 幸いバリソンは理解が早くすぐに要領を掴んでくれたので教える方としても非常に楽だ。

「なるほど、助かった」
「いや、連帯責任でこっちもいらないペナルティは受けたくないしな」

 気にするな、と軽く肩を叩く。
 と、唐突に真面目な顔をして俺の方を見るバリソン。

「アクセル。聞いて良い事かどうか分からないので率直に聞かせて貰うが、先程教官が言っていた幼年学校を主席で卒業したというのはお前の事なのか?」
「ん? ああ、そうだな。確かに俺だ」

 真面目な顔をして聞いてくるから何を聞かれるのかと思いきや、そんな事だったのか。……と思ったのはどうやら俺だけだったようで、教室の中が一気にざわめきに包まれる。
 驚いた様子を見せていないのは、俺と同じ幼年学校組だけだ。

「なんでまた、主席卒業のエリート候補がパイロットコースに? 普通参謀や4軍コースに行くって話だが」
「いや、それはまぁ、そうなんだが。……と言うか、お前も良くそんな事を知ってるな?」

 幼年学校というある意味閉鎖的な場所の情報なんて、そうそう知る機会は無いと思うんだが。

「さすがに士官学校に入学するんだ。それくらいの下調べくらいはしてくるさ」

 ……そういうもの、なのか?
 俺自身、最初から幼年学校に進む事を決めていただけにその辺は疎い。
 ただまぁ。

「小さい頃からバーニングPTにはまっててな。幼年学校に入る前からパイロットになる事は決めてたんだ。幸い、そこそこの才能はあったみたいだし」

 結局、いつものを志望動機を話せば騒ぎは収まってくれる。
 それよりも、そろそろ寮にでも行った方がいいか? と思った丁度その時、突然教室のドアが開けられる。

「ん?」

 見ると、入って来たのは1人の男。
 メッシュの入った髪と鋭い目つき、寡黙な表情が印象に残る。
 と言うか、あれってどう見ても。

「すまない。皆、ちょっと聞いてくれ。俺はパイロットコース3年主席のキョウスケ・ナンブだ。色々と連絡事項があって来た」

 ……え? マジ? 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:7
PP:10
格闘:134
射撃:152
技量:144
防御:141
回避:169
命中:191
SP:198
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
    ???
    ???
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    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:4 

 

0010話

 え? あれ? 何でキョウスケがここにいるんだ?
 いや、ここは士官学校なんだし、原作でもアクセルとキョウスケはそんなに歳が離れているように見えなかった。
 つまりは同年代って事で、それを考えればキョウスケが俺と同じジュネーブ士官学校にいてもおかしくはない、のか?
 原作でキョウスケとアクセルがライバルではあるけど、顔見知りじゃなかった理由は原作のアクセルは俺と違ってジュネーブ士官学校に入学しないで、他の士官学校なりなんなりで入隊してシャドウミラーに所属する事になった?
 ……うわ、もしかして俺ってば気が付かない所で思い切り原作ブレイクしてしまったんじゃ?
 混乱している間にも、キョウスケの説明は続いている。
 ただ、その説明は基本的に幼年学校卒業者は知っているような常識についての事だった。
 基本的に教官に指定された時間の10分前には到着して待機しているようにとか、外出届けとか外泊届けの出し方とか、その辺。

「さて、説明は大体これで終わりだな。それと、幼年学校主席のアクセル・アルマーというのは?」

 バリソンに背中を突かれ、ふと気が付く。
 どうやらお呼びが掛かったようだ。
 ……まさか、アインストに感染させられるなんて事は無いよな?

「はい、自分です」
「そうか。1年時のクラス代表は慣例的にそのクラスに所属している幼年学校の生徒で、一番成績の良かった者となる。つまり今年の1年の場合はお前という事だ。2年以降の代表は1年を通しての総合成績が1番良い者がなる」
「分かりました」

 内心びくびくものだったが、表情は変えずにやり過ごせた。

「連絡事項は以上だ。我々パイロットコースの上級生はお前達の入学を歓迎する」

 キョウスケは最後に敬礼をして、教室を出て行った。

「ふぅ」
「ん? どうしたんだ? さすがに幼年学校主席でも、上の学年の主席には緊張するものなのか?」

 バリソンがからかうように言ってくるが、それをやり返すだけの気力は現在残っていないので、軽く手を振るだけで答える。
 にしても、まさかここでキョウスケと出くわすとはな。正直驚きすぎて思わずスライムを出してそのまま襲わせる、なんていう考えも一瞬頭をよぎってしまった。

「……あれ?」

 よく考えてみる。
 そもそもキョウスケがアインストに感染するのは、士官学校卒業後で任地に移動中のシャトル事故だ。つまり、現在のキョウスケはこう言ってはなんだが至ってノーマルな普通の人間という事になる。
 つまり今のうちにキョウスケを殺すなりなんなりしてしまえば、アインストに感染する事も無くなり、結果的にベーオウルブズは結成されない。あるいは結成されても原作よりも弱体化するのは間違い無しとなる。

「行ける、か?」

 今のうちにキョウスケを殺してしまった時の利点は今まで考えた通りだ。
 次に考えるのは、キョウスケがいない場合の不利益になる点。
 これは簡単。俺の知ってる原作とは全く違う展開になってしまうので、転生者としての最大のアドバンテージである原作知識が使えなくなってしまう点だ。
 だから、例えばこのままキョウスケを殺してしまった場合はシャドウミラーの反乱の行方が分からなくなる。
 いや、正直俺の頭程度ではいくら凄腕揃いで高性能な機体を使用しているとは言え、所詮は1部隊でしかないシャドウミラーが連邦に対する反乱で勝利出来るとはとても思えない。
 某中将も『戦いは数だよ、兄貴』と言っている。
 まぁ、その数に対抗する為のWシリーズなんだろうが。
 つまりはどう考えても反乱は失敗する以上、原作知識を使えなくするのはやめておいた方がいいという事か。
 それにもしキョウスケがいなくて、アインストが他の誰かに感染してしまった場合は手に負えなくなる。現在の俺は、原作知識があるからこそキョウスケがアインストに感染されると分かってる訳で、キョウスケを殺してしまった場合のアインスト感染先の特定は極めて困難だ。

「結局は現状維持だな」
「何を考えていたのかは分からないが、もういいのか?」

 バリソンの声でふと我に返る。
 予想以上に考え事に熱中していたのか、既に教室には俺とバリソンを含めて数人しか残っていない。

「っと、悪い。待たせたな」
「いや、そうでもないさ。それにそういう台詞は恋人にでも言ってやったらどうだ?」

 一見して寡黙な男にしか見えないが、そんな冗談を口にする事も出来るらしい。
 にしても、恋人。恋人ねぇ。
 アクセルに転生した以上、やっぱりレモンとくっつくべきなのか。
 個人的には、ああいう大人で知的なタイプは好みなので全然問題無い。
 と言うか、むしろ大歓迎。
 ああ、じゃあそういう意味でもやっぱりキョウスケには原作通りにシャトル事故にあってもらわないといけないのか。
 確かシャトル事故で死んでしまったエクセレンをWナンバーズの基礎になった人造人間の技術で蘇生させたんだけど、エクセレンだった記憶が無いのがレモンだった筈だし。
 ま、それも結局は実際にレモンに会ってみないとどうにもならないけど。

「さて、じゃあ俺達も寮へと行くとするか」
「そうだな、これからよろしく主席さん」

 バリソンと2人連れだって、教室を出る。

「それで、寮の場所は知ってるか?」
「さぁ? 幼年学校出身とは言え、別に何でも知ってる訳じゃないんだ。入学案内書に書いてないか?」
「ん? ああ、書いてるな。結構近い。まあ、パイロットコースの寮だけにパイロットコース棟の近くにあるのは当然と言えば当然か」

 校舎から出て、徒歩10分もしないうちに寮が見えてくる。
 外見だけで言えば、それなりのものだ。
 少なくても、築30年の木造で隙間風が入ってくるなんて心配はなさそうだ。
 寮の前に置いてある機械に、パイロットコースの生徒である証のIDを通す。
 バリソンと共に寮の中に入ると、入り口の近くにある管理人室から初老の爺さんが出てきて明らかに手作りと思われる冊子を渡される。
 冊子のタイトルは『パイロットコースの寮則とかそんなの』
 ……いや、本当にタイトルに『そんなの』って書いてあるんだよ。
 誰だこれ作ったのは。明らかにやる気が感じないぞ。
 隣を見ると、バリソンも苦笑を浮かべながら冊子を見ている。

「玄関から入って、右側の階段を上れば男子寮。左側が女子寮だ。どっちも5階まであるけど男子寮と女子寮は繋がっていない。女子寮に行く為には1階を通らなきゃ駄目だが、原則として夜9時以降の移動は禁止になってるから気をつけるように。後はその本に書いてあるから読んでおく事。後、荷物はもう部屋に運ばれてるから」

 言いたいだけ言うとさっさと管理人室へと戻っていく。

「俺は405号室、アクセルは……207号室だな」
「207号室。つまりは2階か。毎朝階段を昇らなくて良いだけラッキーだな」
「取りあえず部屋に行こう。荷物の整理なんかもしたいしな」

 バリソンの言葉に頷き、右側の階段を昇っていく。
 これがゲームか何かなら、間違って左の階段を昇って女キャラとのフラグを立てるんだろうが。
 ……いや、スパロボはゲームか。

「なあ、バリソン。俺は右側の階段昇っていくからお前は左側の階段に行かないか?」
「断る。入学早々変態のレッテルを貼られるのは御免だ」
「それって、入学早々じゃなきゃいいのか?」
「くだらん揚げ足を取ってないで行くぞ。昼食は1400時まで大丈夫らしい。荷物の整理なんかも考えて、1300時でどうだ?」
「了解。じゃ、1300に食堂でな」

 右の階段を昇り、2階の踊り場でバリソンと別れて207号室へと向かう。

「なかなか広い部屋だな」

 207号室は、6畳程度の部屋で明らかに幼年学校の寮よりも広かった。
 部屋の中にはベッドとTV、エアコン、そして小さめの冷蔵庫がぽつんと置かれており、壁際には収納棚が設置されている。
 以前誰かが暮らしていたらしい痕跡はあるが、恐らく俺と入れ違いで卒業していった生徒のものだろう。ここで暮らしていればそのうち慣れる。

「さて、時間は1200ちょっと前か。なら時間は十分にあるな」

 PDAで時間を確認し、ベッドの上に倒れ込みつつ冊子を読む。
 寮則自体は幼年学校の時とそれ程変わらないが、いくつか違う点もある。
 まず、基本的に士官学校からの無断外出は禁止で最低3日前に外出届なり外泊届けを出さないと許可を貰えないとか。変わった点では購買部での買い物には現金や電子マネーの利用も可能だがツケも可能らしい。もっとも、そのツケは給料から差っ引かれるらしいが。
 寮の構造は地下にトレーニングルーム、1階に食堂と休憩室、会議室があるらしい。
 で、3~5階は寮になっていると。
 食堂での食費はもちろん無料。また、食材を持ち込めば自分で調理も可能らしい。
 朝食が0530~0730。昼食が1100~1400、夕食が1700~2000。
 ただし、前もって話しておけば取り置きもしてくれるらしい。
 士官学校内で生活している分には門限等は無いが、外出している場合は2200が門限となる。
 寮則やらなにやらを確認していると、いつの間にか約束の時間5分前になっていた。

「最初から遅刻する訳にもいかないし行くとするかね」

 PDAをポケットに入れ、部屋を出て1階に降りると丁度バリソンの姿を発見したので声を掛ける。

「よ、時間に正確なのはいい事だな」
「そうだな」

 頷くだけのバリソンと共に食堂へと向かう。
 ちなみに昼食はおかわりし放題の数種類のパスタだった。
 ……味はまぁ、それなり。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:7
PP:10
格闘:134
射撃:152
技量:144
防御:141
回避:169
命中:191
SP:198
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:4 

 

0011話

 
前書き
拳銃の撃ち方についてですが、ネットで調べたものなので実際の撃ち方と違う場所等あるかしれませんが、その辺は流してくれると助かります。 

 
「さて、これから射撃訓練を行って貰う訳だが、この中で実際に銃を撃った事のある奴はいるか?」

 士官学校に入学してから1週間。座学やらオリエンテーションやら身体測定やらで忙しかったのも一段落し、ようやく本格的にパイロットコースらしい訓練風景になってきた。
 現在は、教官の言ってる通り射撃訓練。
 クラスの連中を見る限り、何人か銃を撃った経験者はいるみたいだ。
 俺? 俺はもちろん経験無しの方だ。幼年学校では射撃訓練なんてなかったし、前世は平和的な日本人だ。
 ……あ、でもよく考えてみれば、リョウトを吸収した時に纏めて吸収した奴らは多分銃を持っていた筈だ。そう考えると初めての能力吸収できつかったとは言え、勿体ない事をしてしまった。

「ふむ、殆どいないか。じゃあまずは手本だな」

 頷いた教官が、皆の前に出て説明を始める。
 要約するとこんな感じだ。

1:相手にさらす面積をなるべく小さくする為左足を前にだし右足を後ろに引き、半身にする。
2:銃のグリップは小指から中指までで握り、人差し指は引き金の下に。
3:グリップをしっかりと握ったのを確認したら、その銃で遠くのものを指さすように腕を伸ばす。
4:左手で銃を支えて、右手を包み込むように。
5:右腕の肘を少し曲げて、銃を身体に引きつけるようにする。
6:トリガーは絞るように、人差し指に徐々に力を入れていく。

 実際に教官の撃った弾は標的代わりの人の形をした紙(?)の頭や心臓部分に集中している。

「取りあえずは今俺が言った事に気をつけて撃ってみろ。まずはクラス代表のアクセル。お前からだ」

 渡された拳銃を構え、狙いを付け、撃つ。

 言葉にすると時間が掛かるように思えるが、俺は殆どタイムラグ無しに全弾を撃ち終わっていた。
 弾の集まる場所、集弾率に関しても明らかに教官のものより狭くなっている。

「うわぁ」

 自分でやった事とは言え、思わず驚く。
 さすが射撃152というべきなんだろうか。

「お前、本当にこれが初めての射撃か?」

 驚いた顔の教官が尋ねて来るが、自分自身の事とは言え驚いているのは俺も同じだ。
 他にも『さすが主席』『あれで初めてって、これだから天才は』『ウホッ! 尻貸してくれ』なんて声が。

 最初の奴はともかく、俺はブランシュタイン兄弟やラトゥーニのように天才は持ってないぞ。吸収したい技能ではあるが。そして最後の奴ちょっと出てこい。ヘッドショットを決めてやるから。

「取りあえず、俺が見る限りでは特に問題は見当たらない。初めての射撃でこれって事は、教官として認めたくないが天賦の才って奴なのかも知れないな。だが、浮かれる事なくこれからも励むように」

 教官の言葉に敬礼を返し、元の位置に戻る。

「さて、次だ」

 こうして、結局この日の午前は射撃訓練だけで終わってしまった。




 翌日。今日はシミュレータを使った訓練の日だ。

「今日はシミュレータ訓練となる。これは昨日の射撃訓練と違って幼年学校組は経験あるだろうから俺からは大まかな説明だけさせてもらう。詳しい説明は幼年学校組に聞くように」

 教官がシミュレータの使い方を説明すると、その後の説明はそのまま幼年学校組に投げられる。
 いや、いくらなんでも手を抜きすぎじゃないか?
 周囲を見ると、やはり不満そうな顔をしているものが多い。
 特に一般組で不満そうにしているのが多いが、これは当然だろう。
 いくら経験者だからと言っても、結局の所俺達は生徒でしかない。どうせ教わるならきちんとした教官に教わりたいと思うのは当たり前だ。
 ま、これが入学した時に言っていた一般組に教えなければ連帯責任云々って奴なんだろうけど。
 パイロットコース50人のうち、幼年学校組は俺を含めて25人。一般組が25人だ。
 あからさまにきっちりと人数がわけられているが、パイロットコースの教育方針か何かなのだろう。

「アクセル、頼めるか?」
「了解、了解っと。お前等も先生役1人と教え子役1人でペアを作れよ」

 バリソンの言葉に頷いてから、まだまごまごしているクラスメイトに声を掛ける。
 本来なら自分の事は自分でやれと言いたい所だが、1年代表である以上はある程度フォローしなければならないのが面倒な所だ。

「まず、最初にこのスロットにIDを通す」

 シミュレータの横にある装置に自分のIDを認識させる。

「そうすると見ての通りシミュレータが開くから中に入る事が出来る。っと、ちょっと待ってくれ」

 シミュレータ装置に座り、設定を多少いじる。

「今は設定をいじってドアは開いたままになってるが、本来は閉まる。で、ここで機体と武器の選択をして作戦目的を入力、1人でやるか他のシミュレータと連動してやるかを設定して開始のスイッチをONにする」

 さすがにドアが開いている状態で実際にシミュレータを起動させてしまえば危険極まりないのでスイッチはそのまま。

「操縦方法はパイロットコースにいるんだし、大体分かるよな?」

 俺たちは幼年学校で既にシミュレータを使っているので操縦方法は覚えている。だが、一般組はパイロットコースに入学が決定した時点で最低限機体を動かすのは可能な筈だ。
 と言うか、入学試験に入ってる筈だし、それ以前にバーニングPTをやった事があれば大体感覚的に分かるだろう。
 そして案の定、バリソンは操縦方法を知っていた。

「ほら、じゃあやってみろ」

 設定を全てキャンセルして初期状態に戻すと、バリソンと代わる。
 初期設定にしてあるので、扉が開いたままという事もなく無事に閉まる。
 近くにあるモニタにはバリソンがゲシュペンストを使い歩いている姿が映っていた。
 周囲を見回すと上手い事全員きちんとペアを作ったらしく、余った人員はいない。

「教官、こっちは終わりましたが」

 教官に敬礼しながら報告すると頷いてくる。

「お前達が1番だな。さて、じゃあお前もやってみるか?」
「了解」

 短く返事を返し、空いているシミュレータにIDを通し乗り込む。

「アクセル、聞こえているな。機体は量産型ゲシュペンストMk-Ⅱだ。今日は最初の授業だし、とりえずドローンに対する的撃ちでもやってろ」
「分かりました」

 教官に指示された機体は量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ。連邦軍における主力量産機だ。武装は近接戦闘用にネオ・プラズマカッター、射撃戦にメガ・ビームライフル、スプリットミサイル、スラッシュ・リッパーがある。
 ただし、ゲシュペンスト最大の特徴であるジェットマグナムはオミットされており、その代わりという訳でもないだろうが、テスラ・ドライブで飛行が可能だ。
 まぁ、あれだ。0083でいうジム・カスタム。目立った特徴が無いのが特徴。
 もっとも、量産機なんだから当然なのかもしれないが。

「準備OKっと」

 士官学校に入学して初めてのシミュレータなので、特に追加武装は選ばないでノーマルのままにする。
 それに元々高機動射撃戦闘が得意な俺としては、R型の量産機であるこの機体は扱いやすい機体だし。
 勝利条件はドローンを10体破壊に設定し、シミュレーションスタート。

「舞台は平原か」

 正面のモニタに表示されているのは、どこまでも広がる草原。いやまぁ、実際シミュレータで映し出しているんだから本当にどこまでも広がっているんだろうけど。
 ゲシュペンストにネオ・プラズマカッターではなくメガ・ビームライフルを持たせる。
 今回のシチュエーションの場合は、近接用武装は邪魔だ。
 ウェポンラックに装備されているスプリットミサイルとスラッシュ・リッパーもいつでも発射出来るようにしてある。

「来たかっ」

 モニタに映るのは、機械で出来たイカのような機体。
 インスペクターのガロイカだ。
 いわゆる雑魚機体で、質より量を地でいっている機体だ。当然ながらインスペクターとの戦争では1番多く見られたらしい。

「まずは1機」

 落ち着いてメガ・ビームライフルのトリガーを引く。
 銃口から赤いビームが発射され、ただ真っ直ぐに飛んでいるガロイカを貫通、爆破、四散させる。
 次に敵機の反応が現れたのはこちらの射程外。
 ゲシュペンストで地上を移動し、射程内にターゲットをロック。

「スプリットミサイル、発射!」

 ウェポンラックからミサイルコンテナが射出され、そのミサイルコンテナから複数のミサイルが発射。メガ・ビームライフルに比べれば小型の爆発を繰り返し2機目のガロイカを撃破する。

「次っ!」

 いつの間にか背後からこちらに近づいいたガロイカに向かい、スラッシュ・リッパーを選択。

「スラッシュ・リッパー、射出!」

 ウェポンラックから発射された3枚の刃を持つそれが、2つ。それぞれに回転しながら複雑な軌跡を描きながらガロイカへと迫り……呆気なく切り裂いた。
 特に派手な動きもしないガロイカに対して、コンピュータ制御されたスラッシュ・リッパーは外すという事はしなかったらしい。

 そんな感じで1機のミスもなく連続で10機のガロイカを破壊し、昨日の射撃訓練に続いて教官を驚かせる事に成功した。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:7
PP:10
格闘:134
射撃:152
技量:144
防御:141
回避:169
命中:191
SP:198
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
   ???
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スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
    ???
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撃墜数:4 

 

0012話

「さて、お待ちかねだ。今日は初の実機訓練となる」

 パイロットコースの校舎にある格納庫。その中で俺達は教官の話を聞いていた。

「現在、パイロットコースで使えるのは量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが50機。丁度お前達生徒の数と同じだな。もっとも教官用の機体もいくつかあるが。言っておくが、これは正直破格の待遇となる。理由としては、ここが連邦政府や連邦軍のお膝元であるジュネーブ士官学校だからだ。有事の際の戦力としても期待されてる訳だな。ちなみに他の士官学校の配備数は大体10機前後である事を考えれば、お前等がどのくらい破格の待遇をされているかが分かるだろう」

 確かに生徒用50機、それ以外にも教官用の機体もあるというのは正直驚きだ。
 もっとも教官が言ってる通りとおり、本当に有事の際の戦力としても考えられているんだろう。
 普通ならジュネーブが襲われるなんてまず無いと言ってもいいと思うんだが、原作ではDC残党やエアロゲイターに襲われているのを考えるとそれ程的外れな備えという訳でもないのか。

「さて、操縦自体はシミュレータでやっているので大丈夫だと思うが、PTに乗り込む際にも注意が必要だ」

 規則正しく並べられている生徒用の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱではなく、倉庫の入り口近くにある機体の方へと近づいていく。
 ちなみに教官用の機体も俺達と同じ量産型ゲシュペンストMk-Ⅱのようだ。

「機体に乗り込む方法は基本的にはタラップを使って乗り込むか、乗降ワイヤーで乗り込むかのどちらかになる。今回は初めてという事もあるから念には念を入れて各自タラップで乗って貰う」

 タラップというのはアレだ。飛行機とかで降りる時に使う奴。この格納庫にも量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ1機ごとの近くに何個か置いてある。
 乗降ワイヤーってのはコックピットの近くにあって、足を乗せて上に上がっていく奴だな。

「で、機体に乗り込んだら中にあるリーダーでIDを読み込ませて、TC-OSを起動させる」

 TC-OS。PTのOSでTactical Cybernetics Operating Systemの略称だ。
 OSが登録されているモーションの中から適切なものを選択してくれるという、非常に便利なものだ。
 原作にあった『必殺ゲシュペンストキック』なんかはモーションをTC-OSに登録して出来た必殺技だろう。
 ……そういえば、こっちの世界でもその類の必殺技はあるんだろうか。
 ゲシュペンストだけにありそうな気がする。

「TC-OSが起動したら後はシミュレーション通りにやればいい。じゃあ、各自機体に乗り込め。そしてTC-OSを起動させたら格納庫前に集合」

 教官の声と同時に、生徒が素早く散っていく。
 まぁ、それもしょうがない。早く量産型ゲシュペンストMk-Ⅱに乗ってみたいというのもあるんだろう。
 それに50機と言うかなりの数が揃っているだけに、奥の方にある量産型ゲシュペンストMk-Ⅱは格納庫の外に出るのにそれだけ長時間歩かせなければいけない。
 初めて乗る機体で操作ミスする可能性も考えると、歩く距離は短い距離が好ましいんだろう。
 何て考えていたら、いつの間にか俺の周囲には誰もいなくなっていた。
 バリソンの姿も消えてしまっている辺り、微妙に薄情な奴だ。
 しょうがないので、1番奥にある量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの下へと向かいタラップでコックピットに乗り込む。

「えっと、リーダーはこれか」

 IDを通し、認識完了。TC-OS起動。

「さて、行くとするか」

 周囲を確認しつつ、機体を歩かせる。
 幸い、整備員を踏みつけるなんて真似も無く無事格納庫前まで移動出来た。
 えっと、取りあえず1番後ろに並べばいいか。
 並んでいる機体の最後列へと移動する。

「よし、全員揃ったな。にしてもいつもはお手本のアクセルが1番遅いとはちょっと意外だな」

 通信用モニタに教官の姿が映ったかと思うとこれだ。

「こんな日もたまにはあります」
「まあいい。全員この通信が映っていると思うが、これより簡単な実機訓練を行う。なに、グランドをその機体で歩いて回るだけだ。TC-OSがあるんだしそれ程難しくはない。シミュレータでの訓練を思い出せば簡単だ。……ただし、誰か1人でも操作ミスで転んだりしたら連帯責任でお前等全員腕立て500回だ」

 うわぁ。腕立て500回とかどこのバニング大尉だ。

「行進する順番は、今並んでいるそのままで構わん。じゃあ、始めろ」

 結局、全員で腕立て500回をやるはめになった。
 女どころか、男でも何人か泣きながら腕立て伏せをやっていた。





「さて、座学、射撃訓練、シミュレータ、実機訓練とやってきたが今日は何をするか分かるか?」
「格闘訓練です」

 いや、まぁ。運動着の上からプロテクター付けてるんだから逆に言うとそれ以外に何をしろと?

「そうだ。お前達も座学で習ったと思うが、TC-OSは各自でモーションを作成して登録が可能だが、そのモーションをきちんと入力したり操作するにもやはり身体を自由に動かせるようになっているのがベストだ。それに、俺自身は聞いた事しかないが噂じゃゲシュペンストに跳び蹴りや背負い投げのモーションを登録して使いこなしているパイロットもいるという話だ」

 ……あ、カイ・キタムラってこの世界にもいるんだ。
 俺の記憶じゃ跳び蹴りはともかく、背負い投げはカイ・キタムラしか使っていなかった筈だ。
 正直、鬼教官度で言えば、俺達の担任であるこの目の前いる教官より数ランク上の人物だと思う。
 好んで会いたいとは思わないが、少しでも実力を伸ばす必要のある俺としてはちょっと残念かもしれない。

「さて、例によってアクセル前に出ろ」
「了解」

 やっぱり俺が最初なのか。
 格闘技自体は幼年学校で習っただけだが、運動神経抜群のアクセルの身体+格闘134は伊達じゃない。
 インファイトがあればもっと安心出来たんだろうが、PPは地形適応の空をSにする為に貯金中だ。

「準備はいいな? どちらかが有効打を一撃当てた時点で終了とする」
「分かりました」

 頷き、教官と数歩分の距離を取る。
 取りあえず、教官相手にどこまで出来るか。本気でやってみよう。
 グローブで覆われた拳を軽く握るようにして、顔の前で構える。

「バリソン、合図をしろ」
「始めっ」

 教官がバリソンに促し、戦闘が開始される。

 まずは挨拶の一撃をっ!
 開始の合図と共に全力で教官の前まで移動。距離を離す為に放たれた教官のジャブを回避しつつ、教官の右横へと移動し、そのまま足を掬い上げるように蹴り上げる!

「っと、やるな」

 さすがにパイロットコースの教官だけあり、俺の蹴りはあっさりと回避された。
 教官と距離を取り、改めて向き合う。

「さすが主席だな。今の回避から蹴りに繋げる動きはさすがだ」
「いえいえ。教官こそ、その攻撃をあっさりと避けるとはさすがです」
「ふん、それこそ伊達に教官をやってる訳ではないんでな。じゃあ、次は俺から行かせて貰うぞ!」

 素早く間合いの中に入ってきた教官が左手で俺の顔、というよりも目に向けて掌底を放つ。
 ちぃっ、これは攻撃というよりもこちらの視線を隠す目的か!

「加速!」

 教官に聞かれないよう、小声で精神コマンドを唱える。
 いつもより数段素早くなった動きで、教官から放たれた掌底を回避しそのまま腕を絡め取……れない!
 加速によって素早さを増した俺の動きだが、教官は早いというよりも巧いとしか言えない動きで俺に絡め取られる寸前だった左手を引き戻す。
 加速を使っても追いつけない、か。……いや、違うな。単純に俺の動作に無駄が多いだけか。
 例えば教官が1つの動作で目的に辿り着いているのに対し、俺は2つも3つもの動作でようやく目的に辿り着く。そんな状態なら素早さが高くても結局は1つの動作で済む教官の方が最終的には素早く行動が終わる訳だ。

「お前、本当に1年か? 何だ、今の速度は?」
「そういう教官だってその速度での攻撃をあっさりと回避してるじゃないですか」
「それはお前、いくら何でも入学したばかりのヒヨ子に教官の俺が負ける訳にはいかないだろう。……もっとも、ヒヨ子はヒヨ子でもお前は鷹のヒヨ子のようだが」
「ありがとうございます。では続けて行かせて貰います!」

 言葉と同時に再度間合いを詰める。
 加速の効果時間は約1分。残り10秒程度だ。それが切れる前に仕留めさせて貰う!
 無駄の多い俺の動作だが、加速を使って無駄が入りようがない1直線の攻撃なら!
 繰り出したのは、右ストレート。これが避けられた時の事は考えないでただ真っ直ぐに撃ち貫く!

「よし、来い!」

 教官も真っ正面から迎撃するべく待ち構えている。
 加速で速さが増した俺の右ストレートが届くか届かないかの合間、教官がカウンターを狙い、こちらと同じ右ストレートを繰り出す。
 間に合うか? いや、このまま行けばこちらの攻撃を回避し、その隙に教官のカウンターが叩き込まれる。
 こちらの速度が足りない。だが、既に加速を使っている為これ以上の速度は出せない。……出せない? いや、出せる!
 咄嗟に念動力を使い、自分の身体の位置をほんの少しだけずらす。
 これでカウンターは無効化した。後はこちらの攻撃を打ち込むだけだ!

「む!?」

 焦った教官の声が聞こえると同時に、俺の意識は刈り取られ意識は闇に沈んだ。





 気が付いた時には医務室で寝かされていた。
 あの時、念動力を使って身体をずらしたのはいいが、念動力のLVが足りなかったのか身体の位置を動かし切れなかったらしい。
 で、結局カウンターの直撃はなかったものの、教官の右ストレートが俺の顎を掠めて脳を揺らされた俺は意識を失ってしまった訳だ。
 と言うか、加速と念動力を使っても勝てないって教官強すぎだ。
 授業の最初にカイ・キタムラと比べてしまったが、今思えば、どっちもどっちだな。
 俺の攻撃は結局教官に回避されたし。現在のベストを尽くした1撃だったのだが。
 結構長い時間気絶していたのか、医者によると既に昼休みらしい。
 午後の授業が始まらないうちに、何か腹の中に入れておかないと。
 あ、そうそうこの学校って士官学校だけに保健室には医者がいる。
 普通なら保健室の先生とかなんだろうが、この学校の場合は医師免許を持った歴とした医者だ。
 その辺、怪我をする事が多い士官学校ならではなんだろう。
 医者に礼を言い、食堂へと向かいながらふと思った。

「努力使っておけば良かった」 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:7
PP:10
格闘:134
射撃:152
技量:144
防御:141
回避:169
命中:191
SP:198
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
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スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
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撃墜数:4 

 

0013話

「じゃ、この手紙を頼みます」
「分かりました。宛先は時流エンジン研究所のフェル・グレーデン博士ですね。機密保持の為、内容確認されますがよろしいですか?」

 購買員の言葉に頷き、手紙を預ける。
 今時メールではなく手紙というのはちょっと時代錯誤かもしれないが、相手からの要望ではしょうがない。
 フェル・グレーデン博士。エクサランスの心臓部分である時流エンジンを開発したメンバーの中心人物だ。
 士官学校に入学して数週間後に、博士の時流エンジンに関する論文が発表された。
 それを目にする事が出来た俺は、すぐにコンタクトを取る。
 ……いや、コンタクトって言っても応援してるとか、時流エンジンに興味があるとか、もしかしてタイムマシンが出来るのか? とかそんな内容のファンレターみたいなものを送っただけなんだが。
 だが、幸いにもタイムマシンの可能性を示唆したその論文は学会では良くて物笑いの種、悪ければ嘲笑を持って迎えられていた。そんな中で興味を示した俺に博士も好印象を持ったのか、既に10ヶ月近く手紙のやりとりをしている。
 だが、原作知識のある俺は知っている。時流エンジンはフェル・グレーデン博士の死後、その子供達によってエクサランスという兵器として完成する事を。
 時間の流れる場所であればどこででも採取可能な『時粒子』を動力源とする永久機関。時の流れは一定な為、一度に一定以上のエネルギーを生み出す事は出来ないという欠点もあるが。
 そして原作のアクセルが注目していたフレーム換装システム。戦場によってフレームを変更する事でより効率的な戦いが出来るようになる。
 エクサランス開発チームは10年以上前に決めた『野に埋もれている人物を見つけ出す』という方針の中で一番期待しているメンバーだ。
 博士からの印象も友好的なものだし、出来ればエクサランス開発チームはシャドウミラーで抱え込みたい。
 それが無理な場合、最低でも俺個人の繋がりは持っておきたい。
 そんな事を考えて教室へと戻ろうとした時、廊下で1人の男が待っていた。
 その男を見た時、動揺しなかった自分を俺は褒めてやりたい気分だ。

「アクセル・アルマー。ちょっと時間を貰えるか?」
「構いませんよ、キョウスケ先輩」
「じゃあちょっと食堂で話でもするか」

 キョウスケに連れられ、寮の食堂まで移動する。

「飲み物は?」
「何かお茶を適当に」

 食堂にある自販機で紅茶を奢って貰う。
 ちなみにキョウスケはコーヒーだ。

「さて、まずは2年時主席決定おめでとう」
「ありがとうございます。キョウスケ先輩こそ、主席で卒業ですよね? おめでとうございます」

 最初の話題は、特に差し障りのないものから始める。
 と言うか、正直俺としては現在のキョウスケには出来るだけ関わりたくない。
 なにせ、後数ヶ月でアインストに感染される人物なのだから。
 アインストに感染した後、下手に俺の事が記憶に残っていたら洒落にならん。

「ん、こうして改めて向かい合ってみると何を話していいのかちょっと分からんな。2年の主席はそれなりに駄目な奴だから色々と注意する事があったんだが、お前は殆ど隙らしい隙が見当たらない」

 ふぅ、どうやら3年主席と1年主席としての会話がしたかったらしい。取りあえず無難にやり過ごして記憶に残らないようにフェードアウトするのが理想か。
 ただ、士官学校で10ヶ月。それなりに長い期間生活してきてキョウスケとも頻繁にという訳じゃないが、それなりに話をする機会があった。
 その為、心のどこかでこのまま見捨ててもいいのかと考えているのは確かだ。
 だが、ここでキョウスケを助けたりした場合は完全に原作知識が通用しなくなってしまう。
 その事は最初にキョウスケと出会った時、十分検討した事だ。
 だから俺は、助ける事が出来るかもしれない目の前の男を見捨てる。自分自身が生き残る為にそう決めたのだ。

「キョウスケ先輩は任地先はもう決まったんですか?」

 紅茶を飲みつつ、尋ねる。
 この期に及んで、任地先がジュネーブであればシャトル事故なんて事が起きないかもしれないなんて事を心の片隅で考えながら。
 糞っ、いつの間に俺の心はこんなに弱くなった?
 既にリョウトを吸収しているというのに、キョウスケが死ぬのは駄目なのか?
 ……認めよう。確かに俺はスパロボOGsではキョウスケが好きなキャラだった。
 OG1ではリュウセイルートは1度しかやってないのに、キョウスケルートは10回以上クリアしている。
 だが、勘違いするな。ここは確かにスパロボOGsの世界ではある。だが、ゲームの世界であっても、現実なのだ。

「ああ、決まってる。だが、一応これも機密に当たるから、どことは言えないがな」
「やっぱりそういうものなんですか。でも、キョウスケ先輩程の腕があるなら、どこに行っても大丈夫ですよ」
「ふ、良く言うよ。いくら主席とは言え、まだ1年のお前と殆ど互角だというのに」
「いや、キョウスケ先輩はいらない所で賭に出るのが多すぎるんですって。この前のシミュレータでの模擬戦だって、なんでメガ・ビームライフルをネオ・プラズマカッターで切り払おうとするんですか。普通に回避しましょうよ」
「分の悪い賭程勝った時の当たりはでかいものだ」
「いや、でも結局切り払いが失敗してコックピットに命中して大破扱いでしたよね?」
「む」

 結局、俺とキョウスケとの会話はそれから30分程続き、夕食の時間になり人が集まって来た所で別れた。





 そしてその2ヶ月後。キョウスケはシャトルで原因不明の事故に遭い、キョウスケ以外の同期は全て死亡した。





「おい、聞いたか! 3年の先輩達が乗ったシャトルが事故でほぼ全滅だって!」

 教室に入ってきたクラスメイトの台詞に一瞬教室中が静まりかえる。
 ……やっぱり事故は起こった、か……
 思い切り苦い溜息を吐き、知らせを持ってきたクラスメイトへと声を掛ける。

「それは本当か? デマとかじゃなくて?」
「ああ、間違いない。教官達が騒いでいるのを聞いたんだ」
「DC残党のテロか? それともどこかの異星人がまた攻めてきたのか?」
「いや、原因不明らしい。少なくても教官達は知らないらしい」

 こっちでも事故の原因は不明、か。
 原作の方では確かシャトルにアインストがぶつかって起きた事故だった筈。
 もっとも、事故の原因は公式発表では結局不明なままだったと思うが。
 そして、ほぼ全滅という事は、恐らく生き残ったのが何人かいるのだろう。
 はたしてそれは、キョウスケ1人か、はたまたエクセレンも生き残ったのか。

「取りあえず、そんな大事故なら次の時間にでも教官達が知らせてくれる筈だろうし大人しく待ってる方がいいな」

 教室の全員に聞こえるように、このクラスの代表として話す。

「原因が不明と言う事は、テロや異星人の先制攻撃という可能性も捨てきれないという事だ。本当にあくまでも万が一、異星人の攻撃となると」
「……なると?」

 先程教室に走ってきた男が、ゴクリと息を飲み聞き返す。

「忘れたのか? ここは連邦のお膝元、ジュネーブだ」
「!?」

 それだけで俺の言いたい話が分かったのだろう。もしかしたら異星人がここに先制攻撃を仕掛けてくる可能性があるという事に。
 もっとも、今回の事故の原因を知っている身としては、その辺は全く心配していない。
 アインストが攻めてくるにしても、原作を見るに最低でもシャドウミラーの反乱以降になるだろう。
 つらつらと取り留めの無い事を考えていると、教室のドアが開き教官が入ってくる。
 その顔には厳しい表情が浮かび、ただでさえ強面なのがどこのヤクザだと言いたいくらいの面相だ。
 教官の迫力に押されるかのように教室は静まりかえり、皆の視線は教官へと集中する。

「教室の外まで騒いでいる声が聞こえていたぞ。知ってると思うが、3年の生徒達が乗っていたシャトルが事故に遭った。生存者は1名のみ。3年主席のキョウスケ・ナンブだけだ」

 教官が喋り終わった瞬間、教室の中がざわめきで満たされる。
 生徒の1人が聞いてきた噂なら間違っている可能性もあるが、教官の口から出たとなると間違いの無い事実であると認識したのだろう。
 にしても生存者は1名か。エクセレンが死に、レモンがこの世に生まれ落ちるか。

「これから教官達も色々と忙しくなる為、今日と明日は休校となる」

 教官はそれだけ言うと教室から出て行く。
 普段なら皆で喜ぶ所だが、3年の殆どが死亡という結果を聞いてはそれ所ではない。
 3年と知り合いだった者も結構いるらしく、泣き声も聞こえてくる。
 俺はもちろん泣かない。こうなる事を知っていて助ける努力をしなかったのだ。ただ俺が生き残る為だけに49人の命を奪ったのだ。そんな俺には、少なくても涙を流す権利なんて無い。

「アクセル、大丈夫か?」
「ああ」

 バリソンからの声に返事をし、席を立ち上がる。

「悪い。部屋に戻る」
「わかった。あまり気にするなよ」

 そう、既に賽は投げられたのだ。その上で俺がぐだぐだとしていれば、それこそ死んでいった人達に対する侮辱だろう。
 俺は生き残る。なんとしても、生き残らなければならない。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:8
PP:20
格闘:138
射撃:156
技量:148
防御:145
回避:173
命中:195
SP:206
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:4 

 

0014話 閑話 バリソン

 俺がアクセル・アルマーという人物に出会ったのは、士官学校に入学したその日だった。
 理由としては本当に単純で、席が近かったから。
 それだけだ。
 それだけなのだが、今では親友といえるアクセルに出会えたその偶然に心底感謝している。
 
 インスペクターと戦争後の復興は都市部から最優先で行われた為、俺の生まれ故郷のような田舎は後回しとなった。
 もっとも、それを恨むような気持ちは無い。
 何せ、都市部の復興が遅れると政府機能も回復しないという事になり、食料やらなにやらの配給もそれだけ遅れるのだから。
 だが、それでも安定期に入ったと言われている現在でも復興は完全ではなく、それ故不景気で仕事が無い俺は食う為に士官学校に入学した。
 ただ、そんな状況での入学だったからエリートコースと言われる参謀や4軍に入るにはちょっと成績が足りなかった。
 残るのは後方支援コース、整備コース、通信コース。そしてパイロットコースだ。
 身体を動かすくらいしか取り柄のなかった俺は、迷う事なくパイロットコースを選択した。

 パイロットコースには教官の方針か一般組25人に、幼年学校からの進学組が25人と丁度半々という構成になっていた。
 そして幼年学校組を教師とし、一般組は生徒のような扱いだ。
 で、俺の教師役がアクセルという事になった訳だ。

 正直、授業が始まってからのアクセルを見る限り幼年学校組というのはどのくらいのエリート集団なんだってかなりショックを受けたよ。
 だってそうだろ? 座学は殆どノーミスで教官の質問に答え、初めて撃ったという射撃で教官よりも好成績を叩きだし、シミュレータでも他の連中が歩いたりなんなりしている中、インスペクターの機体相手に無双。
 実機訓練に関しては、最初の授業で他の連中に足を引っ張られた為に腕立て500回をやらされていたが、その腕立てにしてもクラスのかなりの人数が途中で泣き言を言っていたのに対して、アクセルは表情こそきつそうだったが、泣き言を漏らさずに500回を休憩無しでやり遂げた。

 とてもじゃないが、俺達と同じ立場だとは思えない能力だった。
 それこそ、ベテランの軍人が正体を隠して士官学校に通ってると言われても『ああ、なるほど』と納得してしまう程に。

 あ、でも基本的に完璧超人のアクセルだが、格闘技だけはそれ程得意って訳じゃないようだった。
 格闘技の最初の授業の時にいつもの如く教官とアクセルが模擬戦をしたんだが、この勝負は教官がアクセルを気絶させるという形で終了した。
 ……よく考えてみれば、生徒が教官に勝つのを当たり前だという時点でちょっとおかしいんだが。
 まぁ、それはともかく。
 アクセルの奴も負けたのがかなり悔しかったみたいで、他の授業以上に熱心に格闘技にのめりこんだんだが、それでも勝率は30%程度。
 ただ、聞いた話だと俺達の担当教官は以前何かの格闘技大会で入賞した経験もある猛者だったらしい。
 そう考えると、アクセルのデタラメ具合は結局変わらないな。

 成績が凄いからと言ってアクセル自体に欠点が無いかと言われればきちんと欠点はある。

 自分自身のスキルを高める事には非常に熱心だが、他の連中に対しては適当に流させる。
 つまり自分の能力を高める事と、クラスメイトの面倒を見る事の2択になった場合は間違いなく前者を選ぶ。
 正直、何故あんなに能力を高めるのに熱心なのかは分からない。
 だが、たまにトレーニングをしている時に何かに追い詰められた獣のような、そんな顔をしているのを見掛ける。
 何かあるのは間違い無いだろうが、それを無理に聞き出すというのも俺らしくないし、話してくれるのを気長に待つとするさ。

 そして俺達が士官学校に通い始めて1年近く。もう少しで2年に進級という時にあの事件が起きた。
 3年の先輩達が乗っていたシャトルが原因不明の事故で大破。
 生き残りは3年主席のキョウスケ・ナンブ先輩だけという、あの大事故が。
 その話を最初にクラスに知らせたのは、お調子者として有名な幼年学校組の生徒だった。
 その知らせを聞いた時のアクセルの表情は今でも忘れられない。
 悲しみ、無念、怒り、納得……そして、希望。
 そんな、正負入り乱れたぐちゃぐちゃな感情を浮かべたその顔を。
 だがそれもすぐに消え失せ、最後には何かを決めたような意志の強さを感じさせる表情を浮かべていた。
 アクセル自身は意識していなかったのだろうが、1年主席のアクセルと3年主席のキョウスケ・ナンブ先輩は馬が合うようだった。
 2年主席がおちゃらけた性格の為、ある意味ストイックに自分を鍛えるといった似たような感じの2人だっただけに相性が良かったんだと思う。
 そんな仲の良かった先輩以外は全員死亡というこの事故は普段超然としているように見えるアクセルにとってもきつかったんだろう。

 実際、その事故から1ヶ月程はなかなかいつもの調子を取り戻せないようだった。
 もっとも、逆に言えば1ヶ月で調子を取り戻したという事なんだが。
 ただ、それ以降は今までよりも訓練に熱中していったな。それこそ、何かに追い詰められるみたいに。
 ま、その結果ただでさえ高かったその能力がさらに高くなったんだが。

 そう言えば、アクセルの奴は基本的に学校外の知り合いが極少ないみたいだった。
 人付き合いがそれ程得意じゃない俺でさえ故郷には親や友達なんかがいるが、アクセルからその辺の話を聞いた事はなかったな。
 あ、でもタイムマシンがどうとかいう研究者とは手紙のやりとりをしてたみたいだった。

 ま、なんだかんだと言ったがアクセルは俺にとって親友と言ってもいい奴だってのは間違いは無い訳だ。 

 

0015話

 
前書き
今回の話で出てくるラージの父親であるモントーヤ博士ですが、色々と調べても名前が不明なままでしたので独自設定ということで「ロム・モントーヤ」とさせてもらます。
どなたか正式な名前を知ってる方がいらしたら、教えて貰えれば修正します。

また、今回の葬式のシーンに関しては色々と細かい所は話に合うように省略させてもらました。 

 
 その墓地には、人が少なかった。
 今回亡くなった人の事を考えれば、それもしょうがないのだろう。
 時流エンジンの論文を発表し、タイムマシンの可能性を世に示した研究者『フェル・グレーデン』博士の葬式なのだから。
 殆どの学者に嘲笑で迎えられた論文の為、研究費用にも困っていたという。
 そんな人物の葬式だけに、墓地に来ているのは俺の他に数人といった所か。
 取りあえず喪主と思われる2人の兄妹へと声を掛ける。
 まだ若い……というよりも、幼いと言うべきか。
 それもしょうがない、2人ともまだ13歳なのだから。
 そしてそんな2人の側には緑の髪をした中年の男がいた。

「すまない、フェル・グレーデン博士の身内か?」

 突然声を掛けられたのに驚いたのか、兄の方は驚き、妹の方は睨むようにこちらを見てくる。
 数秒の沈黙の後、口を開いたのは兄妹ではなく中年の男だった。

「失礼だが君は?」
「アクセル・アルマーといいます。新聞でフェル博士が亡くなったとの記事を見まして」
「ああ、君が」

 俺の言葉に納得したように頷くと、2人の兄妹……ラウルとフィオナの方へと振り返る。

「モントーヤおじさん?」

 ……なるほど、どこか見覚えのある顔だと思ったらフェル博士と時流エンジンを一緒に研究していたロム・モントーヤ博士か。
 確かにこうして見てみると、スパロボRに出てきたラージ・モントーヤに似ていなくもない、か?
 ロム・モントーヤは心配そうな様子のフィオナに笑い掛けながら口を開く。

「大丈夫、この人はフェルの友達だ。ほら、フェルがいつも楽しそうに読んでいた手紙があるだろう? あの手紙の差出人だよ?」
「え? 本当!?」

 先程までのキツイ表情はどこへやら。笑顔を浮かべながら俺の方を見る。
 ラウルの顔にも嬉しそうな表情が浮かんでいた。
 この2人にとって、周囲から馬鹿にされていた父親を認めてくれるというのはそれだけ嬉しい事なんだろう。

「ああ。フェル博士が論文を発表した時に手紙を送って、それ以来の付き合いだ。2人に関しては手紙で色々と知ってるが、実際に会うのは初めてだな。改めて、アクセル・アルマーだ。よろしく頼む」
「え? じゃあ、えーっと」

 指を折って何かを数えるラウルを微笑しながら眺めつつ、モントーヤ博士が口を開く。

「もう2年近い付き合いになるのかな」
「そうですね。俺が士官学校に入学してそんなに経っていない時期にフェル博士の論文が発表されて、それ以来約2年ですか」
「そう言えば、アクセル君は士官学校の生徒だったね。じゃあ、もうすぐ3年生かな?」
「ええ、後1ヶ月もしないうちに最上級生になりますよ」

 3人と話をしていると、牧師がやって来る。

「牧師様が来たか。アクセル君、もっと話したい事があるんだがそれは葬儀が終わってからにしよう」
「分かりました」

 モントーヤ博士に頷き、人の少ない墓地で牧師の話を聞き、棺を埋めて葬式は終了する。
 その後は、教会にて各々が持ち寄った食べ物を食べる。
 日本式に言えばお通夜みたいなものだ。

「アクセル君、ちょっといいかな」

 皆で持ち寄った料理――俺の場合は寮の食堂で働いている料理人に作って貰った――を食べていると、モントーヤ博士から声が掛けられる。
 よく見ると、ラウルとフィオナの他にもう1人同い年くらいの子供を連れていた。
 モントーヤ博士と同じ緑の髪に、眼鏡。こちらを観察するように見ているその人物は恐らくスパロボR組のラージ・モントーヤだろう。

「こっちは私の子供でラージ・モントーヤ。ラージ、こちらはフェルの友人のアクセル君だ。ラージもフェルが手紙をやりとりしていたのは知っているだろう?」
「はい。アクセルさん、初めまして。ラージ・モントーヤといいます」

 差し出された手を握り返す。
 ラウルやフィオナに比べるとやはり精神的に成長しているのだろう。

「フェルが未練無く旅立てるように、今日は楽しんでいってくれ」
「ええ、そのつもりです」

 モントーヤ博士の言葉に頷き、皿の上に乗っていたテリーヌを口に運ぶ。
 俺に挨拶をして用が済んだのか、ラージも少し離れた位置で食事をしているラウルとフィオナの方へと戻っていく。
 それにしても、いるのはラウルとフィオナ、ラージだけか。エクサランスを実質的に1人で開発したミズホの姿が無いが……この時期、まだ会っていないのか?
 そんな風に考えつつ、モントーヤ博士に声を掛ける。
 正直、士官学校で主席としての権力を使い、特例的に急な休みを貰ってまでこの葬式に来たのは理由がある。
 もちろん、親交のあったフェル博士の葬式というのも理由の1つだけだが、それだけではない。

「……モントーヤ博士、時流エンジンの研究はこれからどうなさるつもりですか?」

 周囲に人がいないのを確認し、モントーヤ博士に尋ねる。

「そうだな。今までメインで頑張ってきたのは確かにフェルだが、私だってそう捨てたものじゃない。人類の夢、タイムマシンを諦める事は出来ない、な」
「それは分かります。俺だってタイムマシンという単語で時流エンジンに興味を持ったんですし。でも実際、研究資金とか大丈夫なんですか?」

 痛い所を突いたのだろう、モントーヤ博士の顔が苦い表情を浮かべる。

「確かにフェルが亡くなった以上、今までと同じ規模での研究は無理だろう。だが、私はこの研究を諦める事は出来ないんだよ。あれを母親のいる所に連れて行くと約束したのでね」

 ラージの方を見ながら、自分に言い聞かせるように話を続ける。
 ……あぁ、そう言えばモントーヤ博士は妻が亡くなった時にラージに母親の所へ連れて行って欲しいと言われて時流エンジンの研究にのめりこんでいったんだったか。

「確かにフェルは、時流エンジンの論文を発表する前は有能な研究者として有名だった。だからこそそれなりに研究資金を投資してくれる人がいたが、それは今後難しくなるだろう。残念な事に、私はフェル程に有名じゃないしね」

 ここが押し時、か。

「モントーヤ博士。1つ提案があります」

 俺の顔に浮かべた真剣な表情に驚きながらも、言葉を返してくる。

「なにかな? 非常に申し訳ないが、研究費用は1人の士官候補生に出せる金額ではないんだが」
「いえ、そうではなく。……いや、まぁ。確かに俺自身はそんなに大金を持ってませんが」

 子供の頃から貯めた貯金は実は結構な額になっている。
 幼年学校に入学し、士官学校に入学してからも毎月の1月100万程の入金は続いているからだ。
 だが、もちろん俺が今回しにきた提案はそんなものではない。

「時流エンジンがタイムマシンの他にも幾つか特徴があるのは、論文を読んでる俺よりもその論文を執筆しているモントーヤ博士の方が詳しいですよね?」
「特徴? それはもちろん。時間の流れがある場所ならいつでも時粒子を採取可能という事だろう?」
「ええ。つまり、時流エンジンを動力源に使った機体があればその機体は燃料がいらなくなるという事です。そして俺は士官学校のパイロットコースの生徒。……ここまで言えば、俺が何を言いたいのか分かってくれると思いますが」
「つまり、君は……時流エンジンを使ったPTを作れと言っているのか?」
「そうですね。ただ、PTじゃなくてAMでもいいですし、なんだったら新規格のものでもいいかも……」

 そこまで喋った時、それを遮るようにモントーヤ博士が言葉を被せる。

「私達は、人殺しの道具を作る為に時流エンジンの研究をしていた訳ではない!! それは君だって分かっているだろう?」
「ええ、もちろん」

 頷きつつも、さらに言葉を重ねる。

「確かに理解しています。ですが、もし兵器転用が可能となればまず間違い無く連邦軍から資金援助をして貰えます。しかも永久機関の兵器ですよ? これから資金に困る事はまず無くなると思っていいでしょう」

 資金に困らない。それは資金不足に悩む時流エンジン研究者にしてみればこの上ない魅力を持った言葉だ。

「だが、軍が時流エンジンを理解してくれるのか? 学会で笑いものになったのは君も知っているだろう?」
「軍は即物的なものです。実際に使えて、確実に動く物なら理屈に拘ったりはしないでしょう。もっとも、最初に見せ札として時流エンジンをプレゼンか何かでお披露目する事は必要でしょうが」

 俺の言葉に、考え込むモントーヤ博士。
 これでいい。原作の流れのままでもエクサランスは作られるだろうが、それはモントーヤ博士が死んでからの話だ。
 まだ生きている今のうちにエクサランス開発の流れに持って行けば、あちらの世界に転移する時にはより完成度の高い機体に仕上がっているだろう。
 上手くいけば、ライトニングフレームやエターナルフレームが転移前に完成している可能性も考えられる。
 そして、その時にエクサランスが俺の手にあるかどうかは実はそれ程問題では無い。
 原作通りヒリュウ改とハガネの部隊に組み込まれるのなら全く問題は無いし、俺の手にあった場合でも原作の流れを変えない為にラウルとフィオナにはヒリュウ改とハガネに所属して貰うだろう。

「このままでは時流エンジンの研究は出来なくなります。それなら最初の願いとは多少違うかも知れませんが、兵器転用の方向で考えてみてはどうでしょう?」
「……分かった。すぐに返答は出来ないが検討してみよう」

 呻くように返事をする博士に対し、内心で喜びつつも表情には出さないよう注意する。
 恐らくこれでエクサランスが設計されるのは早まり、結果的にその完成度は原作よりも高くなる。
 っと、そうそう。これは言っておかないとな。

「返事ですが、俺にする必要はありません。と言うか、今の俺はあくまでも士官学校の生徒でしかないので、俺に相談されても出来る事と言えば教官に話を通すくらいしかありません。なのでもし本当にその気があるのなら、それなりの立場の人に話を持って行く方がいいでしょう」
「ああ、分かった。ありがとう、参考にさせてもらうよ」
「じゃ、俺はラウルとフィオナの方へ行ってますので」

 モントーヤ博士に挨拶し、ラウル達3人がいる方へと近づいていく。

「よ。邪魔してもいいか?」
「アクセルさんなら大歓迎ですよ」

 フィオナの笑顔は、墓地で初めて会った時の睨むようなものを一切感じさせなかった。

「こうして話すのは初めてだけど、ラウルとフィオナの事はフェル博士からの手紙によく書いてあったからどうも初対面という感じがしないな」
「え? 俺達の事、父さんが書いてたんですか? どんな風に?」

 興味津々の様子で尋ねて来るラウルに笑いながら教えてやる。

「ラウルはのんびり屋で、寝坊するのが困りものとか。フィオナはしっかり者でラウルの妹なんだけど、端から見れば姉と弟にしか見えないとかだな」

 うがー、とショックを受けるラウルに得意そうな表情のフィオナ。

「それにしても、貴方も本当に物好きですね」

 そんな2人を尻目に、ラージが声を掛けてくる。

「そうか?」
「ええ。学会では嘲笑の対象でしかない父さん達の論文に興味を持って、手紙まで送ってくるなんて。物好き以外のなにものでもありません」
「そうは言うがな、タイムマシンは男の子の夢だろ? それに時粒子の特性も非常に興味深いし」
「特性、それは士官学校の生徒として、ですか?」
「そうだな。それももちろんある。実際それに関してモントーヤ博士にアドバイスしてきた所だしな」
「アドバイス?」

 不思議そうな顔をしているラージ、そしてラウルとフィオナに現在の時流エンジンが置かれている立場を説明する。

「つまり、兵器の動力炉としての研究なら軍からお金が貰えるって事?」
「そういう事になるな。ただ、あくまでも可能性だ。実際に時流エンジンを見せて軍の人間を納得させなければ難しいだろうな」

 フィオナに答えつつも、まず大丈夫だろうと内心では確信している。
 軍にとって、燃料のいらない永久機関というのはもの凄く魅力的なのは間違い無い。
 性能的にも、対費用効果にしても、だ。

 幸いにもここにはまだミズホがいない為に時流エンジンを使った機体をレスキューマシンへ、という流れにはならない筈だ。
 原作の流れだと、その辺に拘っていたのはミズホだったと思うからこの時期に接触できたのは幸運だったな。
 内心そんな風に考えつつも、3人とそれなりに楽しく談笑しているといつの間にか夕方になっていた。

「さて、俺はそろそろ失礼するよ。明日は実機演習があるから今のうちに作戦を考えておかなきゃいけないんでな」

 3人に挨拶し、最後にモントーヤ博士の下へと向かう。

「モントーヤ博士、そろそろ俺は帰らせて貰います」
「そうか、今日はわざわざありがとう。フェルもきっと喜んでいるよ」
「いえ。それよりも先程の話、検討をお願いします。早く行動すればそれだけ資金的に余裕が出来ますので」
「ああ、分かってる」

 モントーヤ博士に挨拶し、そのまま士官学校へと帰る。




「アクセル・アルマー、戻りました」

 教官に報告をすれば、後は自分の部屋に戻るだけだ。今日の遅れを取り戻さなきゃいけないし、明日の演習の作戦も考えたい。
 さっさと報告を終え寮に戻ろうとした時、教官から声が掛かる。

「アクセル、明日の放課後時間を空けておけ。お前に会いたいという人が来る予定になっている」
「自分に、ですか? 誰でしょう?」
「ヴィンデル・マウザー中尉だ」

 ……は? 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:9
PP:30
格闘:142
射撃:160
技量:152
防御:149
回避:177
命中:199
SP:214
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:4 

 

0016話

 ヴィンデル・マウザー。
 言うまでもなく、シャドウミラーの指揮官だ。
 その能力は戦闘能力だけではなく、指揮官や政治家、技術開発者としても優秀だ。
 正直、なにソレ? というレベルのチートと言ってもいいだろう。
 現在の階級が中尉という事は、年齢的には俺より3~4歳程上か。
 俺の目標がシャドウミラー入隊である以上いつか接触するとは予想していた。
 ただ、それが俺の予想より1年近く早かったというだけだ。
 てっきり、3年に上がってからスカウトが来ると思っていたがまさか2年のうちに接触してくるとは。





 葬式に行った翌日、正直いつの間にか放課後になっていたという感じだ。
 受けた授業も、食べた食事も、いまいちよく覚えていない。
 そして、現在俺はパイロットコース棟の1階にある会議室のドアの前にいる。
 深呼吸をし、自分が落ち着いているのを確認してからドアをノックする。

「誰だ?」
「アクセル・アルマーです」
「入れ」

 会議室の中から聞こえてきた渋い声に返事をし、ドアを開ける。
 そこにいたのは、モントーヤ博士よりも濃い緑色、濃緑とでもいえばいいのか。その髪を無造作に背中に流している人物だった。
 顔つきを見る限り、それ程の威圧感は覚えない。
 実際、顔だけなら教官の方が強面だろう。
 だが、存在そのものの圧力とでも言えばいいのだろうか。1目見たら忘れられないような、強力な印象を残す人物だった。

「良く来たな。私はヴィンデル・マウザー中尉だ」
「は」

 敬礼に対し、返礼をする。

「取りあえずは座ってくれ。話はそれからだ」

 ヴィンデルの言葉に従い、向かいの椅子へと腰を下ろす。

「さて、わざわざ来て貰ったのは他でもない。お前にちょっとした頼みがあった為だ」
「頼み、ですか?」
「ああ。これはお前の将来に関わる事にも関係のある話だ」
「……何でしょう?」

 予想は出来る。出来るが、俺はその事を知っている素振りを見せてはいけない。
 全く何も知らない1人の士官学校生としてヴィンデルと相対しなければならないのだ。
 自分に言い聞かせ、動揺が欠片でも顔に出ないようにする。

「実は、私に近々1つの部隊が任される事になった」
「それは、おめでとうございます」
「ありがとう。だが、その部隊の性質が性質でね。迂闊なメンバーを入れる訳にもいかない訳だ」

 ……決まりだ。これはどう考えてもシャドウミラーだろう。

「はぁ。それでその部隊が自分に何か?」
「ふ。惚けるのはよせ。もう大体理由は察しがついているんだろう?」
「つまり、その部隊に自分が入隊しろと?」
「その通りだ。幸いお前はまだこの学校を卒業後の希望配属先は無いと聞く」

 確かに、希望配属先の用紙には特に無しと書いて提出した。
 元々シャドウミラーに所属予定だったのだし、変に他の部隊を希望してそこに配属されたら笑い話にもなりはしない。

「確かに希望は特にありませんでしたが。ちなみにヴィンデル中尉の部隊はどのような部隊になるのでしょうか?」
「……ふむ、そうだな。確かにその辺りの説明をしないで引き抜くというのは横暴か」

 数秒考えるように目を閉じるが、すぐ決断したのか説明する気になったようだ。

「本来ならその辺は秘密なのだから、もし私の部隊に配属を希望しない場合でもここで今から私がする話は一切他言無用だ。もし情報が他に漏れた場合はそれ相応を対処を取る事になると思うが、それでも構わないか?」

 1つ頷き、それを俺の返事とする。

「いいだろう。正式名称はまだ決まっていないが基本的に少数精鋭の部隊となる予定だ。主な任務はいわゆる特殊任務となる。つまりは特別任務実行部隊だな」
「特別任務実行部隊」
「そう。そして私はお前をその部隊の実働部隊。これは特殊処理班という名称になるが、その隊長としてスカウトしにきた訳だ」
「!?」

 いきなり隊長!? てっきり、普通のメンバーとしてスカウトされた後に経験を積んでから昇格するものだとばかり思っていたんだが。

「いきなり実働部隊の隊長、ですか?」
「なに、そう驚く事もないだろう。お前の成績は知っている。このジュネーブ士官学校で50年に1人の天才と言われているのだろう?」

 50年に1人の天才。面と向かって言われた事がある訳じゃないが、教官や後輩達からそんな風に言われているというのは知っている。
 確かに元々のアクセルの潜在能力に転生時にもらったチート能力がある今の俺はそういう風に言われてもおかしくないのかもしれない。
 だが……

「確かに才能はあるかもしれませんが、士官学校の生徒である以上肝心の経験が圧倒的に足りません」
「普通の奴ならそうだろう。だが、お前は違う……いや、少なくとも私の目にはそう見える。もしそれが原因で何か事が起きてしまえば、それは私に人を見る目が無かっただけだ。それに新設の部隊だけに迂闊な奴は引っ張って来れん。変な政治色の付いていない奴が必要なのだ。そしてそれに実力があれば尚良い」

 正直、何故ここまでヴィンデルが俺を評価しているのかは疑問だ。
 ただ折角のチャンスだし、このまま飛びつくか? それとも、少しでも俺の価値を高める為に多少は引いた方がいいのか。

「さて、大体私の考えは話したが……どうするかね?」

 ヴィンデルの言葉に数秒迷うが、結局俺は自分の勘を信じて口を開いた。

「分かりました。経験不足のこの身でどこまで出来るか分かりませんが、部隊へのお誘い、引き受けさせて貰います」
「そうか。助かる。部隊規模に関しての構想も相談したい所だが、時間が無くてな。悪いが今日はこれで失礼させてもらう。今度は……そうだな。来週にでもまた時間を作って学校に寄らせて貰う。詳しい事は教官に連絡するから、そのつもりでいてくれ」

 本当に時間が無かったのか、ヴィンデルはそれだけ言うと足早に会議室を出て行く。

「は。ではまた来週、お待ちしています」

 敬礼をしてヴィンデルを見送り、会議室の中から完全にヴィンデルの姿が消えてようやく溜息をつく。

「これで良かった筈、だよな」

 少なくても、今日の自分の言動を見る限りそれ程問題になるような事は無いと思う。ヴィンデルも俺を怪しむなんて事はない筈。

「にしても、いよいよシャドウミラー結成か」

 ……あれ? でも俺はまだ2年で、後1年学校生活が残ってるんだが……まさか士官学校卒業前に退学してシャドウミラーの方に来いなんて言わないよな?
 いや、どうせシャドウミラーに所属したらそのままあっちの世界に転移するんだろうからこっちでの学歴なんて意味が無い訳だしそれでも構わないのか?

「ま、なるようになるか」

 結局思考を途中で放り投げ、成り行きにまかせる。

「まずは来週の打ち合わせだな。シャドウミラーで使う装備品なんかはやっぱり実行部隊である特殊処理班の隊長として俺が決めなければならないのか?」

 そこまで呟き、ふと思う。
 もしかしたら、シャドウミラーの機体としてエクサランスを使うのは可能だろうか。

「いや、無理か」

 そもそも、まだ兵器として時流エンジンの転用されると決まった訳ではない。
 モントーヤ博士には念を押して来たし、子供達にもその辺を唆しては来たがまだ確定という訳でもない。
 もしエクサランスが設計されたとしても、その完成がいつになるのかは未定だ。

「だが……」

 俺がシャドウミラーに正式に配属されるのが、士官学校卒業後の場合はおおよそ1年の猶予がある。そして、現在はエクサランスチームにいないがミズホは極めて優秀なメカニックだ。
 なにせ、原作ではごく短期間の間にエクサランスのフレームを修理したり新造したりしているのだ。
 問題があるとすれば、戦いを嫌うその性質か。そこさえなければモントーヤ博士に安心して推薦出来るんだが。

「取りあえず、有望な機体であるのは確かなんだし。ヴィンデルにはその辺で勧めるしかないか。もしかしたらシャドウミラー側でエクサランス開発の援助をしてくれるかもしれないしな」

 シャドウミラーで使う事になるであろう兵器を、頭の中でピックアップしつつ会議室を出て自分の部屋へと戻っていった。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:9
PP:30
格闘:142
射撃:160
技量:152
防御:149
回避:177
命中:199
SP:214
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:4 

 

0017話

 前回、会議室でヴィンデルと会ってから1ヶ月ちょっと。俺は再度同じ場所で同じ相手と顔合わせしていた。
 本来はもう少し早く打ち合わせをする予定だったのだが、ヴィンデルの方で仕事が忙しいらしく、ようやくまとまった時間が取れたのが今日だった。

「遅くなってすまなかったな。それから3年への進級を祝わせて貰う」
「ありがとうございます」
「いや、もう私もお前も同じ部隊の仲間だ。そんなに格式張った口調ではなく、いつも通りで構わんよ」

 ……意外にフレンドリーだな。

「了解。じゃあそうさせて貰う」
「さて、それじゃあ早速だが部隊編成の話に入ろうか」
「ちょっと待ってくれ。その前に聞いておきたい事がある」

 早速話を進めようとするヴィンデルだが、その話を遮り前回感じた疑問を口に出す。

「ん? 何だ?」
「ついさっきも祝って貰ったが、俺は士官学校の3年だ。つまりはまだ1年間この学校に通わなければならない訳だ。その場合シャドウミラーとしての活動はどうするんだ?」
「……シャドウミラー?」

 うわしまった! まだ部隊名が決まってないのにシャドウミラーの単語を出してしまった!? 洒落にならないミスだ!

「あ、いや、その……」
「シャドウミラー、シャドウミラーか。通常の連邦軍の鏡写しの影、とでもいうべきか」

 ……あれ?

「ヴィンデル?」
「いや、なかなかいいネーミングだ。良し、シャドウミラー。部隊名はそれでいこう」

 え、えー……マジ?
 もしかして、原作でも実はシャドウミラーってアクセルが名付け親だったりしたんだろうか?

「あー、取りあえず、部隊名はシャドウミラーで決定でいいのか?」
「そうだな、シャドウミラー。私達の部隊にふさわしい名前じゃないか。それで学校がどうした?」
「つまり、このままシャドウミラーを起ち上げても、特殊処理班の隊長である俺がまだ学生という事になってしまうんだが、その辺はどうするんだ?」

 その質問に対する答えはシンプルだった。

「簡単な事だ。シャドウミラーとしての活動と学生としての活動、両立させればいい」
「は?」

 いや、ちょっと待て。言いたい事は分かるんだがちょっと、いやかなり無理があるんじゃないのか?

「無理だろ」
「何を言う。やってもみないで無理だと決めつけるな」
「いや、どう考えても無理だろ」
「ならこう言ってやる。シャドウミラーと学生を両立しろ。上官命令だ」

 しょうがない、か。まぁ、確かに現実的に考えて士官学校にいる以上両立させるしかない。それに幸いにも部隊はこれから作っていくのだ。装備品の調達やら拠点となる基地の選択、部隊に所属する隊員なんかもこれからだ。最低でも半年は掛かるだろう。
 そして士官学校では3年の後半になれば自習という形も多くなる。
 つまり、両立する期間はそれ程長くないという事だ。

「分かったよ。それで部隊編成の話だが、もう目処はたっているのか?」
「そうだな。PTやAMは当然だがそれ以外にもADやVCの導入も考えている」

 やはりその2つは出てくるか。機動性重視のアサルト・ドラグーンに砲撃戦特化のヴァルキュリアシリーズ。
 だが、現在の知識として俺はそれを知ってるべきではないので、ヴィンデルの言葉に聞き返す。

「AD? VC? それは?」
「ああ、一般の士官学校まではまだ情報が出回ってないか。ADというのはアサルトドラグーンと言って、フレモント・インダストリー社が開発した強襲型の機体だ。高性能なマン・マシン・インターフェイスと機動力が売りの機体で俺達のような特殊部隊にとってはかなり使える機体だ。VCはヴァルキュリアシリーズ。Z&R社が開発した機体で実弾兵器が主体の砲撃戦特化の機体となる。こちらは支援用の機体として少数ではあるが欲しい所だな。両方ともごく最近発表された機体だ」

 ADとVCの説明を聞き、納得した表情を作る。

「なるほど。確かに強襲用の機体に支援砲撃用の機体というのは特殊部隊に必要かもしれないな」

 PTにもシュッツバルトという砲撃用の機体があった筈だが、これは確か3機しか作られていない筈だし砲撃用の機体は確かに必要だろう。
 ADに関しても、最初から強襲用というコンセプトをしっかりもって作られた機体だけにその信頼度は高い。
 
「その4つは決まりだな。後は、こんなのはどうだ?」

 ここで切り札を1枚切る。
 鞄の中からレポートを取り出し、ヴィンデルへと渡す。

「ん? これは……時流エンジン?」

 そう、フェル博士が発表した論文の時流エンジンに関する部分を分かりやすくまとめ直したものだ。
 黙ってレポートを読むヴィンデルだが、その表情は徐々に真剣になっていく。

「……どうだ?」

 レポートを読み終わったヴィンデルに尋ねてみる。

「確かにこの理論は凄い。本当に実現するのなら、だが」
「その点は大丈夫だ。俺はその理論を発表したフェル博士と個人的に親交を持っていた。嘘の論文を書く人じゃない事は保証してもいい」
「……持っていた? 過去形、か?」
「ああ。ちょっと前に亡くなってな。今は共同研究者のモントーヤ博士が研究を引き継いでいる」

 研究者の死亡という言葉に、頬をピクリとさせるヴィンデル。
 その頭の中では色々な事が計算されているのだろう。

「それでその、時流エンジンを使った機体というのは現状どのくらいの完成度だ?」
「完成度もなにも、まだその辺はさっぱりだ」

 再度ピクリとするヴィンデル。
 だが、今度のピクリは先程のピクリとは違い、怒りを抑えた為だろう。

「レポートには書いてないが、時流エンジンは元々タイムマシンの可能性を求めて作り出された物だ。頭が固い学者先生にタイムマシンの可能性、なんて言えばどうなるか分かるだろう? その煽りを受けて研究資金に困っていた。だが、それでもフェル博士は有能な研究者としてそれなりに知られていたからギリギリだが何とかなっていたんだ。だがそのフェル博士が亡くなり、今は同僚のモントーヤ博士のみ」

 口の中が乾いたので、テーブルに置いてあったペットボトルのお茶を1口。

「で、ヴィンデルと初めて会った前日に俺はそのフェル博士の葬儀に行ってきた。その時にモントーヤ博士に永久機関という特性を活かして時流エンジンを使用した兵器を作るという事になれば連邦軍から資金援助して貰えるとアドバイスしてきた訳だ」
「なるほど。だが、その時流エンジンしかない状態ではどうにもならないだろう?」
「今はそうだろう。だが、俺達が実際に行動出来るようになるには最低でも半年。その半年は長くはなっても短くはならない」

 俺の言いたい事が分かったのか、納得した表情で頷く。

「だが、それにしても半年で機動兵器を製造するのは無理だと思うが? ましてや、時流エンジンなんて今まで扱った事がないものを動力源に使ったものならなおさらだ」
「だが、燃料のいらない永久機関というのは魅力的だろう? それに最悪、動力源の時流エンジンはあっち。機体はこっちという方法もある」
「なるほど……ならばシャドウミラーのメンバーには機体開発出来る者も必要か……ふむ。なら奴、か?」

 1人納得した様子のヴィンデルを眺めつつ、考える。
 シャドウミラーがあちら側に転移すれば、色々な最新技術を集める事が可能だ。そうなれば、時流エンジンに対するブレイクスルーになる可能性もある。
 実際、原作のツヴァイザーゲインはあちらの技術を使う事で完成したのだ。
 出力制限のない永久機関、か。

「そうだな、幸い特殊兵装技術研究所に1人、有能なんだが逆に有能すぎて持て余されている奴がいる。そいつを引き込んでみるか」
「ほう、天才は理解されないって奴か?」
「そうだな。まさにそんな感じだ。何となくだが、お前と馬が合うような気がするよ」

 俺と馬が合う、ね。誰だ? その奇特な奴は。
 ……ん? 待て。特殊兵装技術研究所? それってもしかして……

「なぁ、ヴィンデル。ちなみにその天才さんはなんていう名前なんだ?」
「レモン・ブロウニング」

 あー、あー、あー、あー、やっぱり。レモンがここで出てくるのか。
 まさか時流エンジン関係でレモンが出てくるとはちょっと、いやかなり予想外だ。
 と言うか、キョウスケが事故にあってまだそれ程時間が経ってないんだが、もうレモンとしての自我があるのか。
 いや。エクセレンを基にしてるんだからそれはあり、なのか?

「まぁ、そっちで何とか出来そうなら頼む」
「うむ、それは構わんが。時流エンジンの方は大丈夫なんだろうな? レモンを加えて資金援助の用意もして、いざという時にやっぱり兵器転用されるのは嫌です、なんて事になったら取り返しがつかんぞ」
「それは大丈夫だと思う。さっきも言ったが、研究者といえども人だ。研究資金がなければどうにもならない」
「分かった。ならそっちは任せるぞ」

 取りあえず時流エンジンの件はこれで大丈夫だろう。
 原作が見る影も無いが、原作よりも俺が生き残る方が大切だからな。

「他に何か使えそうなものはあるか?」
「ふむ、先程言ったADとVCに関してだが、ADの開発ベースになったソルプレッサ、VCの開発ベースになったフュルギアというのがある」
「どんな機体だ?」
「ソルプレッサは戦闘機だ。整備性に優れ、離陸走行距離が短いのが特徴だ。要撃機としてなら十分使用可能だろう。フュルギアはホバータンクでホバー移動による機動性や旋回速度は優秀だ。火力にしても、腕のいいパイロットが乗ればという条件が付くが、PTやAMを1撃で破壊出来る性能を持っている」
「使えると思うが、シャドウミラーは少数精鋭の部隊になる予定なんだろう? 人型兵器だけで十分じゃないか?」
「何、どんなものでも使いようさ」

 そんなものか? ……まぁ、そうか。原作でもノイエDCにソルプレッサやフュルギアを渡していたからな。
 そう考えると確かに使いようなのか。別に無理に俺達が使わなきゃいけないという訳でもないだろうしな。

「さて、そろそろ時間だが……これを渡しておく」

 渡されたのは、1枚のデータディスク。

「これは?」
「私がピックアップしたシャドウミラーの部隊員候補だ。お前から見て有能そうだと思う奴を絞り込んでくれ」
「おい、俺に丸投げか?」
「ほう、なら基地やら何やらの方面を担当してくれるのか? 私はそれでもいいが」
「OK、ボス。部隊員の選抜は俺に任せてくれて構わない」

 呆気なく負けた俺だった。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:9
PP:30
格闘:142
射撃:160
技量:152
防御:149
回避:177
命中:199
SP:214
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
   ???
   ???
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スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
    ???
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撃墜数:4 

 

0018話

 ヴィンデルとの打ち合わせから3ヶ月。本当に大変な毎日だった。
 パイロットコースの授業を受けつつ、渡されたデータディスクに入っていた膨大なパイロット達の情報をチェック。シャドウミラーに関してヴィンデルとの連絡を取り合い、モントーヤ博士やラウル、フィオナへとメールを送り動向チェック。3年主席としての細々とした雑務。
 唯一の救いは、教官が俺の事情をある程度理解してくれていたのか色々とフォローをしてくれた事か。
 ヴィンデルからの連絡によれば、シャドウミラーの拠点となる基地がようやく決まったらしい。
 その場所を聞いて驚いた。思わず通信中に飲んでいたお茶を口から吹き出す程に。
 場所は北米、ラングレー基地。
 ATX計画の総本山、アルトアイゼンやヴァイスリッターらが造られた場所だ。
 マ改造のマリオンが生息していたりもする。
 教官にちょっと探りを入れた感じではキョウスケはいないらしいし、ATX計画なんてのも聞いた事がないらしいので、その辺はちょっと安心した。
 シャトル事故が起こってしまった以上、既にキョウスケはアインストに感染されているのだから君子危うきに近寄らずって奴だな。
 それに、この世界ではアルトアイゼンは作られないでゲシュペンストMk-Ⅲがキョウスケに与えられていた筈だ。
 ……あれ? ATX計画がないって事は、マリオン博士もいないんだろうか。

「……大丈夫か?」

 余程疲れた顔をしていたのか、バリソンが心配そうに尋ねて来る。

「今が1番忙しい時期だしな。しょうがないさ」

 パイロットコースでの3年間、俺とコンビを組んできたバリソンに心配を掛けるというのはあまり嬉しくないので、取りあえず話題を変える。

「そう言えば、バリソンは卒業後の任地は決まったのか?」
「ああ。詳しい場所はさすがに教えられないが、アフリカの方に行く事になった。そこでPT隊の小隊長になるらしい」

 さすがに3年もそろそろ中盤という時期になると、それぞれ任地先が決まってくるらしい。

「そう言えば、結局パイロットコースの中で1番最初に任地先が決まったのはアクセルだったか。さすが主席と言うべきか?」
「嬉しいような辛いような、不思議な気分だよ」

 今の状況を忙しいと取るか、毎日充実していると取るか。
 正直、微妙な所だ。
 つらつらとそんな風に考えていると、ふとバリソンが何かを思い出したかのように口を開く。

「あぁ、そう言えば忘れてた。教官から頼まれてたんだ」

 そう呟き、渡されたのは1枚のデータディスク。
 正直、このクソ忙しい時にそんなものを渡されても嫌な予感しかしないんだが。

「これは?」
「中身は聞いてない。教官からアクセルに渡してくれって頼まれただけだしな」

 ふむ、ヴィンデルから教官を経由してのシャドウミラー関連か?
 通信はデータのやりとりである以上、技術を持った者なら覗き見る事も可能だ。
 そういう事を考えれば、結局はアナログな手渡しという手段が実は最も安全な場合もある。

「分かった。部屋に戻って見させて貰う」

 バリソンに礼をいい、寮の部屋へと向かう。





「さて、何が出るのやら」

 データディスクをコンピュータに入れて中身を表示させると、中身は2つ入っていた。1つは何らかの画像データでタイトルは『001』もう1つはテキストファイルで『002』となっている。
 その素っ気ないファイル名に嫌な予感を覚えながらも001の方を開いてみると、画面に映し出されたのは量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの設計図だった。

「おいおいおいおい」

 冷や汗を垂らしつつ、急いで001を終了させる。
 軍の兵器の詳細な設計図。量産型とは言え、いや量産型だからこそ、その重要性は非常に高い。
 技術官とかなら見るのはそれ程難しくはないかも知れないが、少なくても一介の学生が見る事はまずないと言ってもいいと思う。

「ヴィンデルの奴、何を考えているんだ?」

 疑問に思いつつ、文章ファイルを開く。そこには数行の文章が書かれているだけだった。

「時流エンジンの件で向こうからコンタクトあり。大尉の権限を使い、資金援助の件を了承させた。お前はこのデータを持って先方とコンタクトを取るように」

 との事だ。
 にしても、大尉。いつのまに昇進したんだ? こちらはまだ士官学校生で少尉ですらないというのに羨ましい事だ。
 だが、取りあえずヴィンデルの意図は分かった。
 既にある機体の設計図を開示する事で、時流エンジン搭載機の開発を少しでも進めたいのだろう。

「となると、少しでも早くあっちと接触しないといけないな」

 幸いにして、諸々の雑事も一段落ついた所だ。明日から数日休みを取っても問題はないだろう。
 たまには他の連中に俺の苦労を味わえ、なんて考えはこれっぽっちも持っていない。
 これはヴィンデルからの命令だから、仕方なく……そう、『仕方なく』従うだけだ。





「やあ、アクセル君。久しぶりだね」
「モントーヤ博士、お久しぶりです。数ヶ月ぶりですが……苦労してるようですね」

 ヴィンデルからデータを受け取った翌日、早速俺はモントーヤ博士と接触していた。
 時流エンジン研究所――と言ってもどうやら家と兼用しているようだが――のロビーと思しき場所でモントーヤ博士が出迎えてくれる。
 てっきりアポを取って数日後という風に予想していたのだが、まさか即日面会可能とは。
 現れたモントーヤ博士は以前葬式で会った時とは違い、明らかに疲労の色が濃くなっていた。
 ぱっと見で以前より痩せているのが分かるという事は、相当苦労している証拠だろう。

「まぁ、フェルがいなくなって私1人になってしまったからしょうがないさ。それよりも今日は何の用件で?」
「ええ。ちょっと相談がありまして。ただ、出来れば人気の無い所でお話したいのですが」
「そう言われても、見ても分かる通り幸か不幸がここには私達だけなのだし、特に問題無いのでは?」

 確かに、ロビーに他の人の姿は無い。
 周囲からは馬鹿にされている時流エンジンの研究所なんだししょうがないのかもしれないが。
 だが、俺の持ってるデータの事を考えると念には念を入れておきたいのも確かなのだ。

「一応、念の為にお願いします」

 重ねて頼み込み、疑問に感じつつも自分の部屋へと通してくれる。
 その部屋は子供の書いた文字で『しょちょーのへや』というプレートがドアに付けられていた。

「ラウルとフィオナが、もうこの研究所の所長は私だと言ってくれてね」

 照れくさげに笑いながら部屋の中へと入る。
 部屋の中は予想外に片付いていた。てっきり研究研究で足の踏み場もない状態だとばかり思っていたのに。

「さて、それでここまで念を入れてまで話したい秘密の話というのは何なのかな?」

 部屋の入り口近くにあるソファに座り、尋ねて来るモントーヤ博士へバックから取り出したデータディスクを手渡す。

「これは?」
「上官予定の人物から預かってきたものです。モントーヤ博士のお役に立つかと」
「ほう、進級してからまだそれ程経っていないのに、もう就職先が決まったのかね? ……いや、就職先というのは適当ではないか」
「そのようなものです。その関係で博士が連邦軍にコンタクトを取った事を知り、そのディスクに繋がった訳です」

 俺の話に興味を惹かれたのか、部屋にあるコンピュータを起動させてデータディスクを読み込ませる。

「001と002の2つあるが?」
「あ、002は俺への伝言なんで特に気にしなくても構いません。重要なのは001の方です」
「!?」

 002のファイルを開いたのだろう、モントーヤ博士の顔が驚愕に包まれているのが分かる。

「ア、アクセル君。これは」
「お察しの通り、現在の連邦軍主力機である量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの詳細な設計図です」
「だがそんな物を……」
「ええ。これが知られたら恐らく機密漏洩の罪に問われるでしょう。ただ、うちの上司はその危険を知った上でそのデータディスクを俺に渡しました」
「それ程に時流エンジンに期待している、という事かね?」

 博士からの問いに頷き1つで返す。

「実際、博士に対する資金援助の対応に関しても、うちの上司が動いている筈です。それだけ時流エンジンは魅力的だという事ですよ」

 しんとした静寂で部屋が満たされる。
 博士が口を開いたのは、それからたっぷり1分は経過した後だった。

「ありがたい事だ、このデータは参考にさせてもらうよ。幸いつい先日そっち方面に才能のある子と知り合ってね。年齢はまだラージと大して違わないのだが、機械関係に関しては天才的と言ってもいい才能を持っている。時流エンジンを使った兵器に関してもその子の力を借りたいと考えている」

 その言葉に冷たい汗を感じた。年齢的にラージと大して違わないメカニックでエクサランスチームに入ってくるという事は、ミズホ以外にいないんじゃ?
 まさかこの時期にミズホが合流しているとは思わなかった。早めに兵器転用を進めておいて正解だったな。
 動揺を隠しつつ、口を開く。

「へえ、ラージ君と同じくらいとなるとまだ13歳かそこらですよね? その年齢でモントーヤ博士にそれ程に評価されるとは。是非1度会ってみたいですね。紹介して貰えますか?」
「構わないよ。丁度この時間は4人で勉強している筈だ」

 所長室を出て行くモントーヤ博士の後についていく。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:9
PP:30
格闘:142
射撃:160
技量:152
防御:149
回避:177
命中:199
SP:214
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
    ???
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    ???

撃墜数:4 

 

0019話

 研究所の中にある、小さな部屋。そこに4人はいた。
 部屋の広さは日本風にいうなら8畳程度だろうか。教室というよりは誰かの部屋に集まって勉強している、といった雰囲気の方がぴったり来る気がする。
 部屋の中央に置いてあるテーブルに4人が揃って勉強している姿を見てはさらにその印象を強める。

「4人ともちょっといいかな? 今日はアクセル君が来てくれたのでミズホさんに紹介したいのだが」

 モントーヤ博士の話の後に続いて声を掛ける。

「3人とも久しぶりだな。通信では何度かやりとりしたが、直接会うのは葬式の時以来か。そしてそっちにいるのがミズホだな? モントーヤ博士からも紹介があったが、俺はアクセル。アクセル・アルマーだ。フェル博士と手紙でやり取りしていた縁でここにいる人達と知り合う事になった。よろしく頼む」

 ピンク色のショートカットで、小柄な体格。どことなく小動物を連想させる雰囲気を持つ少女。それが俺がミズホに感じた第一印象だった。

「あの、初めまして。ミズホ・サイキです。少し前からここでお世話になっています」

 ペコリと頭を下げるが、その手はラウルの服を掴んでいる。
 第一印象に違わない小動物っぷりだ。

「モントーヤ博士からも聞いている。設計や整備の天才だってな」
「そんな、私なんか」

 顔を真っ赤にして照れているその様子からは、とてもアストナージ顔負けの天才メカニックとは思えない。

「ミズホにとってはいいお土産がある。後で博士から見せて貰うといい。きっと君の役に立つ物の筈だ」
「お土産、ですか?」
「ああ、今度時流エンジンを使った兵器を作る事になってな。その関係で軍の機体の設計図を持ってきたんだ」
「凄い、本当ですか!?」

 意外や意外、軍の機体の設計図という言葉に一番最初に反応を見せたのはラージだった。
 それに対して、ミズホの方はやはり良い顔はしていない。
 ラウルやフィオナに関しては、何故ラージが驚いているのかよく分かっていないようでポカンとしている。

「あの、ロムさん。私は兵器は……」

 何か言い掛けるミズホだが、モントーヤ博士が被せるようにその言葉を遮る。

「ミズホさん、確かに君が兵器よりもレスキューマシンの方を優先したい気持ちは分かる。だが、レスキューマシンを作っていたらこの研究所が破産してしまう可能性が高いんだ。連邦軍はアクセル君の口利きもあってすぐに資金の方を何とかしてくれるらしい。だから、少なくても今は時流エンジンを使った兵器の開発に力を貸してくれないか。何もレスキューマシンを作るのを諦めろと言っている訳じゃない。私だって時流エンジンを動力源としたレスキューマシンが動いているのは是非見てみたいと思っている。だが、もう少しだけ待ってくれないか」

 懇願するようなモントーヤ博士の言葉に、黙って下を向くミズホ。
 やはりレスキューマシンが無かったせいで両親を助けられなかったというのは一種のトラウマになっているようだ。
 モントーヤ博士に援護射撃でもするか。

「ミズホ、俺からも頼む。これは秘密なんだが、今回時流エンジンに研究資金を援助出来るようになったのは俺が士官学校を卒業してから配属される事になる部隊の隊長が動いてくれたからなんだ。もちろん完全な善意100%という訳では無いが、逆に完全な打算という訳でも無い。まだ正確な事は言えないが、時流エンジンが動力源の機体をその部隊で採用出来る可能性もある。そうなればもう資金に困るなんて事にはならないから、レスキューマシンの開発も可能になるだろう」

 本来なら所属する部隊なんかの情報は基本的に秘密なのだが、ここにいる人達なら他人に漏らすなんて真似はしないだろう。
 原作に出ていたラージなんかはちょっと心配だが、その辺はフィオナが抑えてくれると思う。

「……すいません、もう少し時間を貰えませんか。理屈では分かってるんですが、感情が納得してくれないんです」

 申し訳なさそうな表情でミズホが謝ってくるが理屈ではしょうがないと認識してくれただけでも前進、か。
 後は他の面々に任せた方がいいだろう。
 モントーヤ博士も俺と同じ考えに至ったのか、軽く頷き、ミズホの肩を励ますように軽く叩く。

「そうだな。ミズホさんもそうホイホイ考えを変える事は出来ないだろう。私もちょっと急ぎ過ぎたようだ。時間的猶予はそれ程無いが、全く無いという訳じゃない」
「そうですね。無理に納得して兵器を開発しても、使えるものでなければ結局は連邦軍での採用も難しいでしょうし」
「えっと、アクセルさん。難しい話は終わり?」

 話が終わったと思ったのか、フィオナが声を掛けてくる。
 ……そういえば、ラウルとフィオナを完全に置き去りにしてしまっていたな。

「ああ、悪い。もう難しい話は終わりだ」
「じゃあ、あたし達と一緒に遊ばない?」

 嬉しそうに尋ねて来るフィオナだが、そこにラージからの苦言が放たれる。

「フィオナ、ただでさえ君やラウルの勉強は遅れがちなんですよ? 遊んでる暇があると思っているのですか?」
「でも、あたしにしてもラウルにしても勉強よりは身体を動かす方が得意なんだし、しょうがないじゃない。それにほら、時流エンジンを動力源にした機体を作るんでしょ? ならそのテストパイロットはあたし達がやってあげるからさ」
「あのですねぇ。もし機体を作る事になったにしても、完成するのがいつになるのかは分からないんですよ? アクセルさんは期待してくれているようですが、僕達がその期待に応えられるとは限りません」

 チラリとミズホの方を一瞥し、さらに言葉を続ける。

「それに、ミズホの事も考えて下さい。彼女はまだ開発を手伝うと決めた訳じゃないんですよ」
「ラージさん、私の事は気にしなくても」
「いや、今のはフィオナが悪い」

 3人の言い合いに、蚊帳の外だったラウルが口を挟む。
 こうして見ると、問題を起こすフィオナに、突っ込みを入れるラージ。それを取りなすミズホに、最終的に纏めるラウルと、丁度いい役割分担になっているんだな。

「4人とも落ち着きなさい。それにフィオナ、テストパイロットというのは体力だけがあればいいというものじゃないんだよ。それ相応の知識も求められる」
「父さんの言うとおりです。少なくても僕なら体力馬鹿にテストパイロットは任せたくありませんね」
「でも、久しぶりにアクセルさんに会ったんだよ? 少しくらい」
「何もアクセルさんと絶対に遊ぶな、とは言いません。勉強が終わったら構いませんよ。僕にしたって、アクセルさんと話してみたい事は色々とありますし。構いませんよね?」

 確認を求めてくるラージに軽く頷く。

「ああ、俺としてもお前達話すのは嫌いじゃない。そっちに問題がないのならこっちとしては構わない」

 結局、ラージの言葉が決め手になり勉強が終わったら一緒に過ごす事になった。
 4人の勉強が続いている間、俺はモントーヤ博士の研究室へと戻る事にする。

「アクセル君、ありがとう。君の言葉のおかげでミズホさんも前向きに検討してくれるようになってくれた」

 ソファに座りながら感謝の言葉をもらうが、俺としても永久機関の時流エンジンは捨てがたいので問題はない。
 っと、そう言えばあの提案もしておかなきゃいけないか。

「博士、今日の様子ではそれ程心配はいらないと思いますが、もし機体開発が無理な場合の保険という意味での提案があります」
「何かな?」
「動力炉の時流エンジンをここで、機体そのものをこちらで開発するというものです」
「機体開発? 出来るのかね?」
「もちろん簡単ではありませんし、それ相応の能力を持った人材をスカウトなりなんなりしなければいけないでしょう。その手間や労力を考えての保険です。こちらとしては、やはり時流エンジンを載せる機体なのですから、時流エンジンの事を1番良く分かっている博士達に開発して貰うのがベストとなります」

 納得したように博士が頷く。
 俺からヴィンデルに提案したとは言え、それは先程も言ったようにあくまでも保険でしかない、苦肉の策だ。
 やはり時流エンジン機は、その性能を完全に理解しているこの研究所でエクサランスを作って貰うのがベストだ。もしシャドウミラーで開発した場合は、フレーム換装システムなんかも俺が知ってるのと違ってしまう可能性もある。

「あくまでも保険となります。ただ、このプランで行った場合は機体開発がこちらになるのですから、どうしても援助可能な資金は当初の予定よりも少なくなるでしょう」
「分かった」

 取りあえず、エクサランスへの念押しはこれで大丈夫だと思う。
 個人的には格闘よりも射撃の方が得意だから、ライトニングじゃなくてエターナルに乗ってみたい。……機体の外見が外見だからそのままのエターナルって訳にはいかないだろうけど。

 仕事の話は終わり、その後は近況や雑談をして時間を潰していると、所長室の中にラウル達が飛び込んできた。

「アクセルさん、勉強はしっかりやったから一緒に遊ぼう!」

 ラウルの元気の良い声に苦笑しつつ、ソファから立ち上がった。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:9
PP:30
格闘:142
射撃:160
技量:152
防御:149
回避:177
命中:199
SP:214
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
   ???
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スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
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撃墜数:4 

 

0020話

 視界に映るのは『特殊脳医学研究所』の文字。
 そう。通称『特脳研』
 SRX計画に必要不可欠な要素であるT-LINKシステムを作動させるキー能力『念動力』を研究する施設だ。
 もちろん、研究所があるのは日本。スイスのジュネーブにいる筈の俺が何故ここにいるのかというと、話は数日前まで遡る。





「は?」

 ヴィンデルの言っている意味が分からなかった。
 正確に言えば、意味は分かるが理解したくないという事だろうか。
 正直、ここが寮にある自分の部屋で良かったと思う。
 今の俺は、とてつもなく間抜けな顔をしている事間違い無しだからだ。
 通信モニタ映っているヴィンデルに向け、口を開く。

「もう1回頼む」
「ああ、何度でも言ってやる。シャドウミラーとしての初仕事だ。ちょっと1人で日本に行ってDC残党と繋がっている研究所を潰してこい。ちなみにPT等の使用は出来ない」

 その言葉を聞き、思わず怒鳴り返した俺は悪くない筈だ。

「ふざけるな! シャドウミラーとしての活動はまだ先だろう。そもそも何で日本の問題に出張らなきゃいけないんだ。そして何故俺1人に限定されてる。さらに何より、PTの使用も出来ないってどういう訳だ!」

 思わず突っ込みまくるが、ヴィンデルから帰ってきた返事は淡々としたものだった。
 まず、ヴィンデルの後ろ盾になっているお偉いさんがシャドウミラーの特殊処理班隊長に俺を抜擢したのに納得出来なかったらしい。
 まぁ、当然ではある。隊員としてならともかく、特殊部隊、しかもその実行部隊の隊長に士官学校の生徒を選んだのだから。
 ちなみに、ヴィンデルが中尉という身分で1つの部隊を任される事が出来たのはこのお偉いさんが関係しているらしい。原作ではATXチーム隊長のキョウスケがヴィンデルと同じ中尉だったが、あっちは隊員数4人の小隊みたいな感じでシャドウミラーとは規模が違うからな。
 で、そのお偉いさんとヴィンデル曰く根気強く話し合い、取りあえず本当に隊長を務めるだけの実力があるのならという事にして貰ったが、その証明に選ばれたのが特脳研の破壊工作という訳だ。
 と言うか、何で日本にある特脳研の問題がスイスにいるこっちに回ってくるのか不思議でならないんだが。そこは政治のあれこれって奴なんだろうな、多分。
 ちなみにこの特脳研の所長は俺の原作知識にあるケンゾウ・コバヤシではなく全く聞いた事のない人物だった。で、その所長はDC残党やテロリストに対して情報や物資を流したりしているらしい。
 これは、俺がこの世界に対して干渉した事のバタフライ効果なのか、はたまた元々こちらの世界では特脳研の所長は違う人物だったのか。
 ちなみに、PTを使わないというのも俺の実力調査の一環だったりする。

「分かったな。教官には話を通してあるから明日には日本へ向かうように」
「……了解」

 不承不承頷く。
 確かにそのお偉いさんの心配はもっともだからだ。
 俺だって、自分の肝入りで作った部隊の実行部隊の隊長が経験も何もない士官学校の生徒だったらまず納得は出来ない。
 と言うか、条件付きとは言えそのお偉いさんに納得させたヴィンデルの政治手腕がとんでもないな。

「分かってると思うが、お前がこの任務を失敗したら私の面目も丸潰れ。シャドウミラーも無かった事になりかねん。絶対に成功させるように」
「おいおい、そこは安心させる為に任務の結果はともかく、生きて帰れとか言う場面じゃないのか?」
「ふん、お前が死ぬなんてちょっと想像出来ないがな」
「ま、やるだけやってみるよ。成功の報告を楽しみに待っていてくれ」

 幸い俺にはスライムや精神コマンドというアドバンテージがある。PT相手ならともかく、人間相手にそうそう後れを取る事は無いだろう。
 ……そう考えると、PT使用不可というのは逆にチャンスだったりするのかもしれないな。
 それに、対象は特脳研。つまりはT-LINKシステムに関する情報が大量に置いてあるのは間違い無しだ。折角念動力を手に入れたんだし、その辺の資料は是非欲しい。
 なにせ、T-LINKシステム搭載機はかなりのレア物であり欲しいと言えばすぐに貰えるような機体ではないのだ。
 もし上手い具合にT-LINKシステム搭載機を手に入れられたとしても、念動力を持ってると言う事で念動力を持っていないライの代わりにSRXチームに引っ張られたりするのは御免だ。
 ……あれ? そう言えばこっちの世界ではSRXチームはあるけどリュウセイ、ライ、アヤの3人が所属してたんだっけ?
 まぁ、SRXチームに所属する気がない以上機体はともかくメンバーの方にはあまり興味ないのだが。
 そんな通信のあった翌日、ジュネーブから日本の伊豆基地へと向かうタウゼントフェスラーに乗り込み、夜になるまで時間を潰して現在は特脳研の前にいる、と。





 特脳研自体はそれ程大きな建物じゃない。それこそ、建物の大きさで言えばジュネーブ士官学校の方が余程大きい。
 規模として見れば、時流エンジン研究所と殆ど変わらない位だ。
 ただ、研究の関係上研究所自体が高さ3m程の大きな壁で囲まれている。
 普通に潜入するのならこの壁を乗り越えたりするのだが、赤外線感知が可能な暗視装置によると壁の上には赤外線が張り巡らされている。

「ま、俺には関係ないんだけどな」

 空間倉庫からスライムを伸ばし、壁を吸収させ人間大の穴を開ける。
 ……そういえば、スライムを出したのは何ヶ月ぶりだろうか。
 寮生活で共同生活をしている以上、チート能力を使っては見られる可能性が高いので空間倉庫の使用自体控えていたしな。

「穴の中からこんにちは、ってね」

 壁に空いた穴から研究所の外観が見える。
 夜という事もあり、研究所の明かり自体は消えていないが人気は少ないようだ。
 研究所と壁の間には赤外線等は張られてなく、特にトラップらしきものも見当たらない。
 ……妙に寂れているように感じるな。
 疑問に思いつつ、ヴィンデルに渡された地図データを思い出しながら人目に付かない場所で研究所にスライムで穴を開けて侵入する。

「……外でも感じたが、やけに人気が少ないな」

 特脳研はSRXに重要な役割を果たしていた筈だ。それなのにこの人気のなさ、いや寂れ具合はなんだ?
 内心首を傾げつつ、取りあえずは破壊工作の前に証拠を集めるべく行動を開始する。

「所長室はこっちか」

 先程と同じく地図データを思い出しつつ所長室へと向かう。
 目的は破壊工作だが、DC残党やテロリストと所長が繋がっているという証拠があればそれに越した事はない。

「ここだな」

 研究所の1番奥まった所にある部屋、それが所長室だった。
 時流エンジン研究所とは違い、きちんとした文字で『所長室』と書かれているので間違いは無いだろう。そして、ドアには指紋認証の機械が設置されている。

「さて、どうしたものか」

 ここの突破方法を考える。
 スライムを使っての力任せでなら簡単にドアを切断出来るが、間違いなく音が鳴り響く。
 いくら人気が少ないとは言え、さすがに警備員がいなかったり、警報装置が設置されていない、なんて事はないだろう。
 ドアの前で数分考えるが、どうしてもいい方法が見つからない。
 こうなったら、スライムで扉を破壊して警備員が来る前に証拠となりそうなものを片っ端から空間倉庫に放り込んで逃げるか、目的が破壊工作である以上警備員達を気絶させるかどうかしてからゆっくりと部屋の中を物色するか。
 そんな事を考えていた時だった、廊下の向こうから足音が聞こえてきたのは。

「ちぃっ、不味い!」

 闇夜に紛れるべく黒で染め上げられたボディースーツを身に纏い、暗視装置を顔に装着している見知らぬ人物。
 俺がここの研究員で、所長室の前でそんな、この上なく怪しい人物を見かけたらまず間違いなく警備員を呼ぶだろう。
 まかり間違っても夜の挨拶をしてそのまま別れるなんて事はない。
 隠れる場所を探して周囲を見回すと、廊下の隅に自販機があるのを発見する。
 よし、まだ運はつきていない。

「加速」

 精神コマンドを使用し、素早く自販機の影へと隠れる。
 これで少なくても普通にしていれば見つかる事はない筈だ。
 接近してくる人の目的が自販機であった場合は、しょうがないのでここで気絶でもしてもらって明日の朝まで強制的に眠って貰おう。
 風邪を引くくらいはするかもしれないが、死ぬよりはマシな筈だ。
 自販機の影で息を殺す事数十秒、段々と足音が近づきその姿も判別出来るようになる。
 ぱっと見た感じ40~50代くらいの中年の男だ。一応研究者らしく白衣を身に纏っているが、正直あれを白衣とは呼びたくない。あえて呼ぶなら『黄ばんだ白衣』だろうか。
 ぼさぼさの髪に、不摂生な生活から来るのかガリガリに痩せている。典型的な研究馬鹿と見た。
 その研究馬鹿から身を隠していたのだが、幸いその必要はなかった。研究馬鹿が所長室のドアについている指紋認証システムに自分の指紋を認証させたのだ。
 つまり、あの男が特脳研の所長という事か。
 ……本当に、ケンゾウ・コバヤシはどこに行ったのやら。
 ただまぁ、俺にとってチャンスであるのは間違い無い訳で。
 機械が所長の指紋を認証し、ドアが開いたのと同時に再度精神コマンドの加速を使用し所長の背後へと近づき、その首筋を銃のグリップで殴りつける。
 士官学校に入学したばかりの頃なら近接戦闘が苦手だったのだが、教官との最初の戦い以来かなり真面目に鍛えてきたのだ。今ならこの程度はなんとかなる。

 銃の一撃で気絶した所長を部屋の中へと連れ込み、所長室のソファへと寝かせる。
 ロープかガムテープでもないかと、部屋の中を見回し……俺は『それ』を発見した。
 部屋の片隅にひっそりと存在しているシリンダー、とでも言うのだろうか。1m程度の高さのケース。ケースの中は何らかの液体で満たされていて、その液体に脳みそが1つ浮かんでおり、脳みそにはケーブルか何かが複数突き刺さっていた。
 おい、これって。

「人の脳みそ、か?」

 ふと、シリンダーの上の方に張られているプレートが目に入る。そこには『No.7』の文字。
 特脳研、ケンゾウ・コバヤシではない所長、No.7。
 それらの文字が脳裏をよぎる。
 そして次に浮かんできたのは、原作ではないが第三次αのとある場面。

「おい、まさか……」

 違うと思いつつも、俺に判別する術はない。
 ……いや、ある。
 内心でステータスと念じて、その脳みそのステータスを表示する。
 生きているのなら、きちんと名前とかが表示される筈。

名前:アヤ・コバヤシ
LV:-
格闘:-
射撃:-
技量:-
防御:-
回避:-
命中:-
SP:-
空:-
陸:-
海:-
宇:-
スキル:念動力LV.7
    集中力
 
 ステータスに表示されたのは「アヤ・コバヤシ」の名前だった。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:9
PP:30
格闘:142
射撃:160
技量:152
防御:149
回避:177
命中:199
SP:214
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:4 

 

0021話

 アヤ・コバヤシ。
 SRXチームのリーダーで、念動力者。特脳研の所長、ケンゾウ・コバヤシの義理の娘であり、SRX合体時における機体制御を担当している。
 まぁ、ぶっちゃけSRXチームの重要なキーの1人という訳だ。
 原作では確かこっちの世界でもSRXチームは存在したとラミアが話している。つまりそのSRXチームにはアヤ・コバヤシがいない事になるんだが、どうやってSRXに合体時の念動フィールドを維持しているんだ? 誰か代わりの念動力者が見つかったのか?

「……駄目だ、分からん」

 シリンダーに入っているアヤの脳みそを見て思い浮かぶのは、第三次αでのシーン。
 アヤがバルマー――いやこちらではエアロゲイターか――にさらわれて、それをリュウセイ達が助け出そうとした時にシリンダーの中に脳みそがあって、それがアヤだったシーンだ。
 結果的にそれはダミーだった訳だが、俺の目の前にあるのは間違いなく本物だろう。
 現在の地球に人の脳みそだけを取り出して殺さないなんて技術があるのか? という疑問もあるのだが、よく考えてみれば地球は1度インスペクターに占領されたのだ。そしてインスペクターとエアロゲイターは長期間戦争をしている敵対国家の筈。
 つまりはインスペクターとエアロゲイターの技術力はそう大差ないんだろう。

「インスペクターの遺産、か」

 結局はそういう事なんだろう。
 溜息1つ吐き、ソファで気絶している所長へと視線を向ける。
 まさか、この部屋の主であるこの男がアヤの脳みそについて何も知らないという事は無い筈だ。
 無言でソファへと近づき、所長の頬を数度叩く。

「ぐ……」
「起きたか」

 まだ事情が分かっていないらしい所長に、再度頬を叩く。

「痛……き、君は誰だ!? 僕の部屋で何をしている!?」
「ようやく正気に戻ったか。俺の事よりも、色々と聞かせて貰いたい話がある。答えて貰おう。あぁ、黙秘権とかは無いからな」

 殆ど恐慌状態といった感じの所長に、無造作に告げてそのやせ細った腕を思い切り握りしめる。

「は、離してくれ、痛、痛い!」
「自分の立場が分かったか? まずはそうだな、お前がDC残党やテロリストと繋がっているというのは分かっている。その証拠となるようなものを出せ」

 アヤの事に関しては、取りあえず後回しだ。頭に血が上って情報を聞き出す前に所長を殺してしまっては元も子もない。

「何の話か分からないよ」

 首を振って否定する所長だが、その目はキョロキョロと落ち着きなく周囲を見渡し、額には冷や汗とおぼしきものが浮かんでいる。

「ほう、本当にか? もし嘘だった場合はこっちもそれ相応の態度を取る事になる。……本当に、DC残党やテロリストと繋がっていないんだな?」

 確認の意味を込めて、最後の問い。
 と言うか、話している途中でスライムには自動索敵が可能である事を思い出した。
 アヤの脳みそを見て頭に血が昇ってしまったのか。まだまだ未熟だな。

「ああ、もちろん。僕はそんな奴等の事なんか知らない。それよりも君は僕にこんな事をしてもいいと思ってるのか? 僕はこの特脳研の所長、つまりは連邦軍とも繋がりを持ってるんだよ? 今回の件はハンス中佐に報告させてもらうからね」

 ハンス、ハンス・ヴィーパーか。確か日本の伊豆基地にいるエリート意識だけが高い能無しだったな。原作ではDCに寝返ってたんだが、こっちではまだ伊豆基地に所属したままか。
 所長のおかげで、こいつのバックにはハンスがいる事が判明した。もっと情報を漏らしてくれると助かるんだが。

「ほう、ハンスか。他にはどんな知り合いがいるんだ? 是非聞かせて欲しいものだな」
「き、君に言う必要なんかどこにもない! それよりも早く出て行ってくれないか!」

 甲高い声で喚き叫ぶが、研究所の所長をしているだけあってそれ程頭の回転は悪くないようだ。恐らく俺が情報を聞き出そうとしている事に気が付いたんだろう。
 ……もう、遅いんだけどな。

「なるほどなるほど。ただ、出て行く前にちょっと面白い物を見せてやろう」
「面白い物?」

 突然何を言い出した、といった顔でポカンとする所長。

「そう、ちょっとした手品だ。1、2、3!」

 3で指をパチリと鳴らす。
 同時に空間倉庫が展開され、銀色のスライムの身体が伸ばされる。

「な、なんだそれは!」

 驚愕の表情で叫ぶ所長。
 幸い所長室という場所なので防音設備はしっかりしているだろうが、五月蠅いものは五月蠅い。

「言っただろう、手品だ。種も仕掛けも無いがな」

 口元ににやりとした笑みを浮かべ、スライムで所長室をくまなく探査すると数秒もかからずに異変を感じ取る。
 ……ここか。
 部屋の壁に1部分だけ明らかに厚さが違う場所が存在する。スライムの触感によると中に50cm四方の空間があるようだ。
 所長に見せつける意味も込めて、再度指を鳴らし壁を切断させた。

「な……」

 所長は現実を超えた出来事に声も出ない様子だが、それは無視して中を確かめる。
 恐らく隠し金庫のようなものだったのだろう。正方形の空間の中には3cm程もある紙の束と、データディスクが数枚入っていた。
 おまけに余程几帳面なのか、データディスクには『DC』や『その他』等のラベルが貼ってある。

「さて、所長。俺は先程言ったな? それ相応の態度を取る事になる、と」

 データディスクを空間倉庫の中へと放り込みながら所長に声を掛ける。

「つまり、これからそれ相応の……」

 続いて紙の束を取り上げて、言葉を止める。
 紙の束には『人工的な念動力者の作成と強化調整』とタイトルが付いていた。
 人工的な念動力者? これはつまり、ガンダムで言う所の強化人間みたいなものか?

「……その前に、色々と聞く必要が出来たようだな。このレポートとか、あっちの脳みそに関してとか」
「ひぃっ、し、知らない! 僕は何も知らないんだ!」
「ほう、では何でこんなものがここにあるんだ? それにここはお前の部屋だろう? そこにある脳みそを知らないなんて事があるか?」
「そ、それは……そうだ、僕が知らない間に誰かが勝手に置いていったりしたんだ。だから僕は関係ない。無実だ。ハンス中佐に連絡してくれ」

 みっともなく喚いている所長の左手首をスライムで包み込み、溶かし始める。

「さて、お前がきちんと話をするまで溶かし続ける。骨まで溶かす前に正直になってくれると助かる」

 徐々に、徐々に、本当に少しずつスライムは所長の手を溶かしていく。
 基本水銀で出来たスライムなので、手が溶かされている様子は外からは判別出来ない。
 溶かされている手の感触しか感じる物はない為に、数秒もしないうちにあっさりと降参する。

「や、やめてくれ、頼む! 何でも僕が知ってる事は教えるから、頼む!」

 顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにして泣き喚くその姿を見ながら、再度指を鳴らしてスライムから解放してやった。
 その手は全体的に赤くなっており、所々皮膚が溶けている。
 そしてそんな自分の手を見て、再度泣き喚く所長。
 懐に手を入れ、中に入っている録音機器のスイッチをONにする。

「黙れ。約束通り解放したんだ。喋って貰おうか」
「わ、分かった。分かりました。確かに僕はDCやテロリストに情報や物資を横流ししています。そこにあったデータディスクはその横流しに関する裏帳簿になっています」
「で、ハンス中佐とやらはどう関わってるんだ?」
「ハンス中佐にはその立場から色々と便宜を図って貰っていて、そのお礼に儲けの2割を渡しているんです」

 ふむ、決定的な証拠にはならないが、ハンスに嫌疑を掛けるには十分だろう。
 録音機器のスイッチをOFFにする。

「さて、次はあの脳みそだ。きちんと話して貰うぞ? 話さない場合はもう1度スライムに頼る事になるしな」
「あ、あれは特脳研の実験体だった女の脳みそだ。そのレポートにある通り人工的に念動力を強化しようとしたんだが結局は失敗。その実験の副作用で目を覚ます事がなくなったんだ。そのまま殺しても良かったんだけど、滅多にいない念動力者なんていうレアな脳みそをそのまま処分するのは勿体ないだろう? だから、ハンス中佐に頼んでインスペクターが残していった機械を取り寄せて貰ったんだ。ほら、あの脳に繋がってるケーブルがあるだろう? あれのおかげで、彼女はまだ生きているんだよ」

 喋ってる途中で琴線に触れるものがあったのか、段々と興奮していく。
 その顔はつい数分前までとは違い、狂気的な何かを感じさせる。

「……もういい、分かった。……外道が」

 今度は指を鳴らす事なく、スライムを動かす。
 スライムは俺が命じた瞬間、1秒も掛からずにその身を刃と化して所長の身体へと殺到した。
 水銀のその身体は超高速で動く事により、オリハルコニウムですら切り裂く事が可能だ。人間である所長の身体は特に抵抗する事もなく数十に分解された。
 興奮したまま逝けたのだ、外道にしては幸福な最期だっただろう。

「さて、証拠はこれでいいな。後はT-LINKシステム関連の情報か」

 部屋にあったコンピュータや書類を手当たり次第に空間倉庫の中へと突っ込むと、部屋に残っているのはソファやデスク等に肉片になってしまった所長の死体、そしてシリンダー。

「……このまま生かしておくのは逆に残酷、か。ならせめて俺の糧となって逝ってくれ」

 スライムでシリンダーを覆い、そのまま吸収する。













 ドクンッ

 途端、リョウトを吸収した時と同じくナニカが無理矢理身体に流し込まれているのが分かる。
 リョウトに続いて2度目の能力吸収だというのに、身体にナニカを注入される違和感はどうしても慣れない。
 床にうずくまる事1分くらいだろうか。こちらは前回と違い行動可能になるまでの時間がかなり短くなっている。
 深呼吸を1つし、脳裏にステータスを表示させる。
 スキルの欄にあるのは『念動力LV.7』の文字。

「せめて、来世では幸福な人生を」

 数秒だけアヤの冥福を祈り、所長室から出て行った。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:9
PP:35
格闘:142
射撃:160
技量:152
防御:149
回避:177
命中:199
SP:214
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:5 

 

0022話

「これが横流しなんかの証拠だ」

 いつものパイロットコース棟の会議室で、特脳研の所長室から持ってきたデータディスクと所長と俺のやりとりを録音したディスクをヴィンデルへと渡す。

「ご苦労だったな。実力を示した事だし、これでアクセルが実行部隊の隊長になっても誰からも文句は出ないだろう。私の面子も立ったという訳だ」

 満足そうなヴィンデルだが、残念ながら今の俺はそれに合わせる事が出来ない。

「どうした? 妙に沈んでいるが」
「ああ、特脳研で嫌なものを見てな」
「嫌なもの?」
「ああ。例の所長の悪趣味なコレクションをちょっとな。ま、もっとも所長を処理する時に纏めて処分してきたから、これ以上人目に付く事はないと思うが」

 正確にはスライムで吸収したのだが、まさかヴィンデルにそんな事を言う訳にはいかない。

「そうそう。録音の方だけど、聞いてみれば分かるが極東支部のハンス中佐とかいうのが所長の後ろ盾だったらしいぞ」
「そうか、分かった。上の方には報告しておく」
「で、次だが……こんな物も手に入った」

 次にバッグから取り出したのは、T-LINKシステム関係の書類だ。
 コンピュータの中から有用そうな情報をプリントアウトして持ってきた。

「ほう、T-LINKシステムか。そう言えば伊豆基地では念動力者が所属する特殊チームがあるという噂を聞いた事がある。その関係か?」
「恐らくな。あのまま特脳研に置いといても、どうせ死蔵するだけだろ? なら俺達が有用に使った方がいいと思ってな」
「だが、T-LINKシステムを使える念動力者なんて極めて珍しいぞ? そうそういるものじゃない」

 ヴィンデルの言葉に、ニヤリとした笑いを返してやる。

「そうそういるものじゃない……かもしれないが。少なくてもここに1人はいるぞ?」
「…………」

 俺の言葉の意味を最初は理解出来なかったのか、数秒経ってようやく動き始める。

「本当か?」

 尋ねて来るその表情は遊びという物が一切無く、真剣そのものだった。
 俺はそれに頷き、テーブルに置かれているヴィンデルのペンに意識を集中し、念動力を発動して空中に浮かべる。

「これが証拠だな。もっとも、普段は変な所から強引なスカウトを受けないよう隠しているんだがな」
「ならば、何故私に打ち明けた?」
「さっきも言っただろ? 折角T-LINKシステムの情報があるんだ。それを使わない手は無い」
「つまりはお前の機体にはT-LINKシステムを装備して欲しいという事か」
「ああ」

 そう言えば、所長を殺した事で撃墜数が1増えていたが、アヤを吸収しても撃墜数は変わっていなかった。これは撃墜対象に意識があるかどうか、とかそういう問題なのだろうか。
 その後はシャドウミラーとしての活動拠点、ラングレー基地の事や、俺がピックアップした隊員達の話で打ち合わせを完了した。





「諸君、卒業おめでとう。君達は今日からパイロット候補生ではなくれっきとした連邦軍の正式なパイロットとなった。これからもこの士官学校で勉強した内容を忘れずに励んでくれる事を期待する」

 パイロットコースの教室。そこで教官が俺達卒業生に向かい最後の言葉を送っている。今日は俺達パイロットコースの生徒、最後の授業の日なので簡単な卒業式のようなものだろうか。
 今日の授業が終われば、俺達はそれぞれの任地へと向かう事になる。俺はもちろん北米、ラングレー基地。
 そこでヴィンデル以外のメンバーとの初顔合わせだ。データでは何度か見たりしたメンバーだが、実際に顔を合わせるのは初めてとなる。
 ……ちなみに以前の俺の予想通り、結局半年で部隊を実働状態に持って行く事は出来なかった。なんとか準備が完了したとヴィンデルから連絡が来たのが2週間程前の事になる。
 後1ヶ月もしないうちに卒業という関係もあり、結局シャドウミラーの正式稼働は俺がパイロットコースを卒業してからという事になった。

「起立、教官に向かい、敬礼!」

 学年代表としての最後の仕事として、3年全員で教官に対する敬礼をしてパイロット候補生としての最後の授業を終える。

「さて、後はシャトルで移動か」
「ん? もう行くのか」

 さっさと教室を出ようとする俺に向かい、バリソンが声をかけてくる。
 そういえば、こいつとも結局3年に渡って長い付き合いになったな。
 一般組として入学したのだが、最終的にはクラスでも10位以内に入る成績を叩き出すようになっていた。
 気心が知れていて、それでいて優秀。バリソンみたいな奴がシャドウミラーにいてくれれば助かるんだが。

「ああ。何せ色々と忙しくてな」
「そうか。元気でな、というのはおかしいか?」
「いや、おかしくはないだろう。お前も元気で。と言うか、死なないように気をつけろよ。アフリカの方はDC残党がまだかなりいるらしいし」

 バリソンに軽く挨拶をし、クラスメイトにも適当に声を掛けつつ教室を出て寮の自室へと戻る。
 寮の部屋にある私物は既に殆どがラングレー基地に送ってあるので、持って行くのは簡単な手荷物だけだ。
 3年間とは言え、自分の部屋だっただけにいざ退去するとなると寂寥感みたいなものが湧き上がってくる。

「じゃ、今までありがとうな」

 誰にともなく礼を言い、ついでに管理人の爺さんに挨拶をして寮を出る。

「後はラングレー行きのシャトルが出るまで待つだけか」

 連邦お膝元の士官学校という事もあり、この学校には空港なんかも近くにあるので移動は非常に楽だ。
 空港内にある喫茶店で時間を潰していると、ふと1人の人物が店に入ってくるのが見えた。
 金髪の凛々しい顔立ちのその人物は俺を見ると驚いたように一瞬動きを止めるが、すぐに俺の座っている席へと向かってくる。

「久しぶりだな、アクセル。相席いいか?」
「ああ、構わんよ。にしても、まさかこんな所でユーリアに会うとは思わなかった」

 ユーリア・ハインケル。言わずと知れた幼年学校時代の親友だ。
 士官学校では俺がパイロットコース、ユーリアが宇宙軍コースに別れてしまった為に校舎も別々となり3年間全く接触がなかった。
 ただ、たまにメールでやりとりはしていたので、完全に音信不通だった訳ではない。
 それでも実際に会うのは殆ど3年ぶりなので、何だか妙な感じがする。
 何と言うか、幼年学校を卒業した時でも凛々しい表情でファンクラブが作られていたのに、今は男装の麗人といった雰囲気だ。
 可愛いというよりは、格好良い。格好良いというよりは男前、みたいな。

「アクセル、卒業おめでとう」
「ああ。そっちもな」

 運ばれてきた紅茶セットのケーキを1口食べながら、会話を続ける。

「ユーリアはやっぱり宇宙か?」
「ああ。そっちは?」
「俺は北米だな。そこでパイロットをやる事になった」
「北米というと、大きい所ではラングレー基地か。……あ、いや、すまん。任地先を聞き出すつもりはないんだ」
「いや、気にするな」

 慌てて謝るユーリアに首を振る。
 その後はお互いの学生時代の経験を話しつつ、時間を潰す。

「っと、俺はそろそろ時間だ。先に失礼させてもらう」
「ん、そうか。今日は会えて良かった。また機会があったら一緒にお茶でも飲もう」

 ユーリアからの挨拶に軽く手を振り、ユーリアと自分の料金を支払い喫茶店から出る。

「また、か」

 このまま俺のスケジュール通りに行った場合は、恐らくもうユーリアと会う機会は無いだろう。もしあったとしたら、それは反乱時に戦場でという事になると思う。

「そのまた、が無いのを祈ってるよ」

 呟き、シャトル発射場へと向かった。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:9
PP:35
格闘:142
射撃:160
技量:152
防御:149
回避:177
命中:199
SP:214
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:5 

 

0023話

「アクセル・アルマー少尉、シャドウミラー隊特殊処理班に到着しました」

 部屋の中にいたヴィンデルに敬礼する。

「ご苦労。シャドウミラー隊隊長ヴィンデル・マウザー少佐だ」

 ヴィンデルから返礼を貰い、一段落。
 と言うか、また階級上がってるのか。シャドウミラーが実働体勢に入った為か?
 部屋の中にあるソファに腰を掛け、いつも通りの口調に戻りヴィンデルと話をする。

「さて、これで堅苦しいのは終わりだ。シャドウミラーの研究・開発を任せる事になる人物がそろそろ来る予定だからもう少し待っていろ」
「了解。にしても、よくこんな大きな基地に出来たばかりの新設部隊を捻じ込めたな。ラングレー基地と言えば北米最大級の基地で、おまけに北米防衛の要とも言われている場所だろ?」
「ふ。まぁ、その辺は色々と政治的なやり取りがあったのさ。それに私達はここの命令系統に組み込まれていない以上、あくまでも仮初めの客でしかない」

 確かに。その基地の命令系統に含まれていない特殊部隊なんて存在はその基地に所属している軍人達にしてみれば身内意識は持ちにくいか。
 こちらも特殊部隊なんて性質上、気軽に基地所属の軍人に接触して、間違えて機密を漏らしてしまいましたなんて事になったら笑い話にもならない。

「という事は、そのうち本当にシャドウミラーだけの基地が必要になるんじゃないか?」
「ああ、その辺は現在建造中だ。ただ、シャドウミラー発足までに時間が無かったからな。今はこの基地に世話になっている訳だ」
「なるほど。じゃあT-LINKシステムなんかは?」
「そうだな、そっちの基地に移ってからになるだろう。それまでは普通の機体で我慢してくれ。部隊としての実績を上げていけばその辺の融通も効くようになってくるんだろうが」
「実績ねぇ」

 結局は結果が全てという事だろう。その実績で上からの信用やらなにやらを貰い、部隊を強化していく訳だ。

「で、その実績についてだが来週早速その機会がある」
「来週? まだ部隊としての連携訓練も何も出来てないんだが」
「安心しろ、今回の敵は小さなテロ組織だ。何より1度の実戦は数度の訓練に勝る。そして今回の標的程度の相手に苦戦するようなら、これからシャドウミラーとしてはやっていけないだろう」

 まぁ、確かに訓練よりは実戦が部隊としての経験値を積むのにいいのは確かだろう。だが、その実戦の前に最低限の訓練はしておきたい所だが。

「了解、1週間ね」

 1週間でなんとかするしかないのだろう。

「そう不安になる事もない。言っただろう? 小さなテロ組織だと。あちらの戦力はF-28メッサーが数機に、71式戦車バルドングが数機といった所だ」
「うわ、どこからの払い下げだ?」

 相手の戦力を聞き、ひとまずは安心する。
 F-28メッサーに71式戦車バルドング。両方とも数世代前の兵器であり、機動兵器の技術が日進月歩的に進化しているこの時代ではまさに骨董品と言っても構わない戦闘機と戦車だ。
 もっとも、骨董品でも兵器は兵器。人を殺す目的で作られている以上、安心しすぎて油断するなんて真似は出来ないが。

「アクセルの隊長のデビュー戦でもあるし、部下に舐められないようにな。特殊部隊に引き抜いただけあって、癖が強いのが多いぞ」
「了解。ま、舐められない程度には活躍してみせるさ」

 ヴィンデルと話していると、ドアがノックされる。

「入れ」

 ヴィンデルの言葉に入って来たのは1人の女だった。
 年齢は俺やヴィンデルとそう変わらないだろう。桃色の髪が肩に掛かるくらいの長さになっている。
 ヴィンデルから感じる印象が覇気なら、こちらは退廃といった所か。ただ、その美貌の中でも特に印象深いのが高い知性を感じさせる眼だ。
 既に言うまでもないだろうが、レモン・ブロウニングその人だった。
 いや、その人物がレモンだという事は知っていた。知っていたんだが、その姿を眼にした瞬間その存在に眼を奪われてしまった。
 ……見惚れてしまった、と言ってもいいかもしれない。
 正直、俺がアクセルだけにレモンに惹かれるという可能性は考えていた。だが、それがあくまでも考えていただけだったというのがはっきりしてしまった。
 あるいは、これも歴史の修正力とかそういうものなのだろうか。

「アクセル。彼女が先程言った、シャドウミラーの研究と開発を任せる人物だ。以前ちょっと話題にも出したから覚えているかも知れないが、名前はレモン。レモン・ブロウニング」

 ヴィンデルの声で我に返る。

「そうか。俺はアクセル・アルマーだ。レモン、よろしく頼む」
「ええ、任せておいて頂戴」

 お互いに挨拶をしながら、握手を交わす。

「面通しは済んだな。先程アクセルには言ったが、1週間後にシャドウミラーの初の作戦行動が予定されている。対象は小規模なテロ組織でどちらかと言えば訓練の意味合いが強い。レモンは機体の整備等よろしく頼む。アクセルは搭乗機体を決めておいてくれ。以前話した機体は大体揃えてある」
「分かった。それで今回はヴィンデルは出るのか?」
「そうだな。記念すべき最初の作戦だ。部隊長の私も一緒に出撃した方がいいだろう」
「私は?」

 俺とヴィンデルの会話にレモンが尋ねてくる。
 戦闘要員ではないレモンだが、原作ではエースパイロット級の戦闘力は持っていた筈だ。
 まぁ、エクセレンをベースに強化されて蘇生したんだし素質的には問題無いだろう。

「どうするんだ、アクセル? 特殊処理班の隊長はお前なんだし、お前が決めてくれ」
「そうだな、PTなんかの操縦経験は?」
「それなりには経験があるけれど、貴男みたいに士官学校のパイロットコースを卒業した訳じゃないから過度に期待されても困るわ」
「取りあえず、ランドグリーズ辺りで後方から支援射撃とかしてみるか?」

 現状のシャドウミラーで使う機体の中でも、遠距離射撃に向いていて防御力も高いとなるとランドグリーズが1番に思い浮かぶ。
 だが、その言葉はすぐにレモンに否定された。

「確かにランドグリーズなら貴男の言う通りだけど、どうせならラーズアングリフに乗ってもいいかしら?」
「ラーズアングリフ? ランドグリーズの上位機種だったか?」

 正直、原作でもスパロボAでもアシュセイヴァーを使用していたので、ラーズアングリフ系統には余り詳しくない。ユウキやカーラのノイエDC組が乗っていた機体だったか?

「上位機種と言うのもあながち間違って無いわね。ただ、正確に言えば強化型カスタム機よ。具体的にはランドグリーズの火力と装甲を強化した機体になっているわ」

 レモンが笑みを浮かべつつ、機体の説明をする。
 ふむ、ならいいか。

「そうだな。じゃあその機体で出撃してくれ」
「いや、ちょっと待て」

 何故か呆れた口調のヴィンデルが待ったを掛ける。

「何かしら?」
「ラーズアングリフがランドグリーズよりも高性能な機体なのは分かった。だが、私はその機体が搬入されているという話は聞いていないのだが? 私が把握している限りでは後方支援系の機体はランドグリーズが3機のみだ」
「特殊兵装技術研究所からお土産に2機貰ってきたの」

 ……自由だな。
 ヴィンデルの方を見ると、こちらも呆れた表情をしている。

「持ってきた物はしょうがない。この件はこちらで処理しておく。他には持ってきた物はないな?」

 確認するようなヴィンデルの問いに、レモンは平然と口を開いた。

「機体は残念ながらラーズアングリフしか持ってきてないわ」
「……まぁ、いい。機体がその2機だけならどうにかなるだろう」

 機体は、という事は他に何か持ってきたのか、聞きたい。正直、もの凄く聞きたい。
 ヴィンデルの表情を見る限り、あっちもそうなのだろう。

「シャドウミラーは基本的にこの3人で動かしていく事になる。幸い私はアクセルの事もレモンの事もそれなりに知っているから、後は2人で相互理解を深めておくように」

 仕事があるからと、部屋から追い出される俺とレモン。

「さて、相互理解を深める為にもバーで1杯、と行きたい所だが1週間後には出撃を控えている身だ。早い所自分の機体を見ておきたいんだが、構わないか?」
「ええ、シャドウミラーに割り当てられている格納庫はこっちよ」

 レモンの後を追いかけ格納庫へと向かう。

「それにしても貴男、士官学校を3年間主席で卒業したと言う割にはあまりエリートっぽくないわね」
「エリート、ねぇ。俺はパイロットコースの出身だからな。これが参謀コースや4軍コースならそれこそエリートだろうさ」
「へぇ、ヴィンデルみたいに?」

 ……どうだろうか。確かにヴィンデルはエリートだろう。何せ俺と大して変わらない年齢で既に少佐だ。だが、個人的にはエリートというとプライドだけが高い人物のようなイメージがある為、どうにもヴィンデル=エリートとはイメージ出来ない。
 もっとも、ユーリアの例もあるんだし結局俺のイメージはあくまでもイメージでしかないのだろうが。

「そうかもしれないな。それよりレモンこそ特殊兵装技術研究所なんて所にいたんだからそれこそエリートだろう?」
「さて、どうかしらね? 少なくてもあの研究所の人達は私を同僚だとは思ってなかったみたいよ?」
「天才は理解されないって奴か?」

 なにせ、原作ではシャドウミラーの使用する量産機以外の機体の殆どを作ったり、Wシリーズを製造したり、あっち側の技術を貪欲に吸収してツヴァイザーゲインを完成させたりたりとまさに八面六臂の活躍だ。
 エクサランスチームにいるミズホも大概だが、レモンもそれに勝るとも劣らずと言っていいだろう。

「変な人ねぇ。何であったばかりの私をそんなに評価出来るのかしら?」
「そりゃあ、あのヴィンデルがわざわざ引っ張ってきた科学者なんだし、無能な筈が無いだろう?」
「あら、そういう意味じゃあアクセルも同じよ? と言うか、貴男の方が凄いと思うわよ? 私は曲がりなりにも現場で働いていた科学者だけど、貴男はまだ学生だったんでしょう? それなのにあのヴィンデルが直々にスカウトに行ったくらいなんだから」

 そりゃそうか。普通に考えればそうなるか。

「さて、貴男とのお話も楽しかったけど、そろそろお仕事の話をしましょ。そこのドアを入れば格納庫だから」 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:9
PP:35
格闘:142
射撃:160
技量:152
防御:149
回避:177
命中:199
SP:214
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:5 

 

0024話

 格納庫の中は思っていたよりも広かった。
 シャドウミラー1部隊で使ってるからそう感じるのかもしれないが、10機前後の機体数しかないのでがらんとしているように見える。
 ちなみに現在は10機前後だが、部隊規模が大きくなればその分機体数も多くなる予定だ。

「それで、どの機体を使うの?」
「そうだな……ん? ガーリオンもあるのか。珍しいな」

 この世界の連邦軍ではあちらの世界と違い、量産機は殆どがゲシュペンストMk-Ⅱとなっている。それだけにガーリオンは結構なレア物となる。

「そうね。確かに珍しいけど、性能はそう悪くは無いわよ。これにする?」
「いや、どうもリオン系は脆い感じがしてな」

 原作を知ってる為か、リオン系はどうしても脆い印象が拭えない。
 格納庫に並んでいる機体を順に見ていくと、ふと目に入った物があった。
 青色が基本色となっている機体で、その印象はどこかこの世界では全く知られていないガンダムを思わせる。そして1番特徴的なのは、その肩に装備された6機のソードブレイカー。

「レモン、あのアシュセイヴァーはソードブレイカーを装備しているって事は、量産型じゃなくて指揮官機の方か?」
「あら、お目が高い」

 嬉しそうなレモンの声を聞きながら、疑問に思う。
 確かに俺はシャドウミラーの兵器として量産型じゃなく指揮官型のアシュセイヴァーを使用する事をヴィンデルに上申した。
 だが、その時は予算を理由に全機量産型で揃えるという話になっていたと思うんだが。

「あら? もしかして聞いてないの?」

 考え込んでいた俺を見て、不思議そうにレモンが尋ねて来る。

「何がだ?」
「だから、指揮官型アシュセイヴァーがここにある理由。アクセルは念動力を使えるのでしょう? つまりはT-LINKシステムを使えるという事よね? あのアシュセイヴァーはT-LINKシステムで強化する為の実験機という意味合いもあるのよ?」
「実験機?」
「ええ。私も詳しくは知らないのだけど、T-LINKシステムを装備した機体で作られた特殊チームがあるんでしょう? その部隊ではソードブレイカーのような武器をT-LINKシステムでコントロールしてかなり精密なオールレンジ攻撃を行えるそうよ」

 もっとも、現在のアシュセイヴァーは改造していないノーマル機だけど、と続ける。
 R-3のストライクシールドか。
 だが、アヤ・コバヤシは特脳研で見た通りパイロットをやるどころか脳みそだけの状態になってシリンダーに浮かんでいた。
 そうなると、アヤ以外の念動力者がSRXチームでR-3のパイロットをやっているのか。

「そうだな。じゃあ折角だから俺はあのアシュセイヴァーを使わせて貰う」
「分かったわ。じゃあ手続きの方はしておくわね」

 早速手続きをしているのか、近くにあるコンピュータに素早く何かを打ち込んでいく。

「これでOK。後は、そうね。ちょっと聞きたい事があるんだけどもう少し付き合って貰っていいかしら?」
「構わないが、何だ?」
「焦らさなくてもいいじゃない。そもそも私がこの部隊に呼ばれた理由を忘れたの?」

 レモンがこの部隊に呼ばれた理由?
 元々招集予定だった? T-LINKシステムの開発?
 ……あぁ。

「時流エンジンか」

 俺の中では、既に時流エンジンはあちらでエクサランスに開発されるという認識だったのですっかり忘れていた。

「その様子じゃ忘れてたのね?」

 咎めるような視線を向けられるが、その瞳の中にはどこか悪戯っぽい光が見て取れる。

「興味津々の所を悪いが、恐らく時流エンジン搭載機は開発者側で作る事になると思う。……まぁ、資金援助している身なんだし、サンプルとしていくつかもらう事は出来るかも知れないが」
「今はそれで十分。凄く興味をそそられるのよね。ヴィンデルから時流エンジンの話を聞いて、フェル博士の論文を読ませて貰ったのだけど本当の意味でこの時流エンジンが完成したら時間移動も夢じゃ無くなるわ」
「確かにモントーヤ博士なんかは、そのタイムマシンを目指して時流エンジンを開発していたようなものだしな」

 ぽつりと呟いたその台詞に、レモンが食いついてくる。

「アクセル、貴男モントーヤ博士とも交流があるの? ヴィンデルからはフェル博士と手紙のやりとりをしていたと聞いているけど」
「そのフェル博士の葬式で面識を得てな。それ以来メールや通信なんかで時々やりとりしている」
「面白いわね。ちょっと私の研究室に来ない? 時流エンジンについての話をもう少し聞かせて欲しいのだけれど」

 開発・整備を担当する技術班の責任者であるレモンだが、その本質は科学者だ。研究室くらいは持っていてもおかしくは無いんだろう。

「俺としては構わない」
「そ。じゃあ行きましょ。格納庫からはちょっと離れた所に研究室として使える部屋を用意して貰ったから。まだ到着したばかりであまり片付いていないんだけどね」

 苦笑しながら格納庫を出て行くレモンの後を付いていく。
 格納庫から歩いて10分程の場所にレモンの研究室はあった。
 IDを認識させたレモンの後に続き研究室に入ってみると、1番最初に目に飛び込んできたのは2m程の大きさのシリンダーが大量に並べられている光景だった。

「これは……」

 シリンダーの中には何らかの液体が満ちていて、その中には人間の形をしたものが入っている。
 特脳研でアヤの脳みそを見た時に感じた不快感が湧いてこないのは、原作知識でWナンバーズだというのを知っているからか、はたまた脳みそだけだったアヤと違いきちんと人の形をしているからか。
 こうして見る限りでは、ここで製造されているのは全てがナンバーズではない、いわゆる量産型Wのようだ。
 この技術で、いずれウォーダン・ユミルやエキドナ・イーサッキ、そしてラミア・ラヴレスがこの世に生を受けるのだろう。
 いずれ起こる確実な未来に想いを馳せていた俺は、思わずその単語を口に出す。

「Wナンバーズ」
「え?」

 思わず呟いたその単語にレモンが反応する。
 ちぃっ、しまった。シャドウミラーの時といい、どうしてこうも迂闊なんだ俺は!

「ねぇ、アクセル? 今何て言ったのかしら?」

 その美貌に笑みを浮かべつつ尋ねてくるレモンだが、その目は全く笑っていない。獲物を見定めた肉食獣のような雰囲気だ。

「いや、ヴィンデルにそういう研究をしていると聞いていてな。これがそれだと思ったんだ」
「へぇ、ヴィンデルに、ねぇ」
「ああ、間違い無い」

 取りあえず、勢いに任せて誤魔化すしか無い。無いのだが、その儚い希望も次のレモンの言葉で無残に砕け散ってしまう。

「確かにヴィンデルは私が人造人間の研究をしているのは知っているわ。でもWナンバーズという単語は教えていないのだけれど」

 ネズミをいたぶる猫はこういう顔をしているのだろう。先程よりもより攻撃的な笑みを浮かべつつ、こちらを眺めている。
 墓穴を掘ったネズミの身としては、どうするべきか。

「ヴィンデルだって、自分がスカウトする人材の研究くらいは調べていてもおかしくはないと思うが?」
「確かにそうかもしれないけど、そうすると先程からの貴男の不自然な言動には説明がつかないわよね?」

 どうする? ここでレモンの口を封じる?
 馬鹿な。シャドウミラーの生命線であるレモンを失ったら、それこそあちらの世界に転移するまでもなく反乱の失敗で捕まってしまうだろう。
 そしてキョウスケに感染したアインストに地球ごと滅ぼされるのか?
 冗談じゃない。

「……しょうがない、か」

 溜息一つ。

「あら? 観念したの?」

 不思議そうなレモンの顔を見つつ、覚悟を決める。

「そうだな、まさかこんな所でドジを踏んでしまうとはな。完全に俺のミスだ」
「へぇ。じゃあ何で貴男が私の研究の事を知っていたのか、話してもらえるのかしら?」
「ああ。ミスってしまった以上はしょうがない。ただ、なるべく人目につきたくない。どこかいい場所を知らないか?」
「なら、ここでいいじゃない。忘れたの、ここは私の研究室よ? 私の許可が無ければ入って来れる人はいない」

 あぁ、そう言えばそうだったな。
 そんな一目瞭然の事を忘れるとは、余程俺は自分のポカミスに焦っていたらしい。

「分かった。ただ、ちょっと時間が掛かるが構わないか?」
「ええ、構わないわ。シャドウミラー隊としての訓練も明日からだし、これからの予定も無い事は無いけどアクセルの話の方が余程重要そうだし」
「そうか。じゃあ、せめてどこかに座って話そう。後は俺の口を滑りやすくする為のお茶か何かがあれば完璧なんだが」

 こうなってしまった以上はしょうがない。幸い、レモンは科学者らしく好奇心が旺盛なタイプだ。上手く話を持って行けばこちらの不利益になるような真似は多分しないだろう。
 それでももし、ヴィンデルに知らせるとなると……最悪の未来と現状での絶望。どっちがいいのやら。 
 

 
後書き
LV:9
PP:35
格闘:142
射撃:160
技量:152
防御:149
回避:177
命中:199
SP:214
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
   ???
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スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
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撃墜数:5 

 

0025話

 
前書き
基本的にオリジナルキャラを出す予定はなかったのですが、マルティン以外の隊員にも名前がないと非常に不便ですのでモブ扱いになることは確定とは言え、名前付きのオリキャラを登場させてしまったのが微妙に不満です。
 

 
「はい、紅茶で良かったかしら?」

 レモンの研究室の中の応接セットで、俺に紅茶を渡してから向かいに座るレモン。
 正直、これが俺の秘密云々という話じゃなくて、普通に2人でお茶を飲んでいるのだったらどれ程良かった事か。

「ああ。特に拘りは無いから自販機の紅茶でも全然構わない」
「もう、持て成しがいのない人ね」

 少し拗ねた様子のレモンを眺めつつ、紅茶を1口。

「ん、美味いな」
「それはどうも。さて、それじゃあ貴男の秘密とやらを教えてもらいましょうか」

 さて、鬼が出るか蛇が出るか。
 紅茶が出されるまでに必死になって考えた俺の設定を口に出す。
 まさか俺は転生者で、スパロボOGsをゲームとして知っていたからWナンバーズの事を知っている、何て話を本気で喋ったら呆れられて馬鹿にされるだけならまだマシな方で、下手したらそのまま強制除隊だ。そうなってしまったら、今日まで頑張ってきた事が無駄になってしまう。

「ちょっと話は戻るが、俺が念動力を使えるのは知ってるな?」
「ええ、時流エンジン以外にも興味が惹かれるものがあったからヴィンデルからのスカウトに応じたんだし」
「で、正確には俺の能力は念動力だけじゃない。未来の事が分かる、いわゆる予知能力もあったりする」

 予知能力の単語に、ポカンとするレモン。
 ただまぁ、それ程無茶な設定ではない筈だ。原作でもラーダやシャインが予知をスキルとして持っていたからな。気力130以上で反撃時の回避率+30%とかなり強いスキルだったと思う。
 実際、アニメの方ではシャインが予知能力で敵の攻撃を回避しまくっていたんだし公式にも強スキルと認識されているのだろう。

「予知能力、ねぇ」
「まぁ、いつでも自由自在に未来が分かるって訳じゃないけどな。時々不定期に頭の中に未来の事象を浮かべる……いや、思い出す? まぁ、そんな感覚だ」
「さすがに自由自在という訳にはいかないのね」
「そりゃあな。もし自由に未来予知が出来るんなら、軍人なんかやってないでギャンブルで一攫千金を繰り返して豪遊してるさ」

 もっとも本当に予知能力があってそんな事をしていれば、それこそアードラー・コッホやアギラ・セトメみたいな色々と逝っちゃってる奴等に目をつけられるだろうけど。

「で、さっきはその予知能力であの子達の何かが見えたって訳?」

 さて、どの札を切るべきか。
 ラミアは主人公格だけに、下手な干渉をすると原作の流れが歪む可能性がある。そうなると、エキドナかウォーダンだな。

「Wナンバーズの1人が仮面を被って巨大な特機で戦っているシーンがな」

 結局切る札はウォーダンにした。
 エキドナはラミアとの接触回数が多い為に、より安全な方を選ぶべきだと判断したからだ。

「まぁ、念動力自体がまだまだ未知の能力ですものね。予知なんておまけがあっても不思議じゃないけど……」

 納得してくれたかと思ったが、まだ微妙に疑いの眼差しでこちらを観察している。

「まだ信じられないか?」
「信じられないと言うか、微妙に私の女の勘がちょっと、ね」

 女の勘で見抜くとか、恐ろしすぎる。
 誤魔化すように紅茶を口に運び、レモンの疑惑を受け流す。

「ま、しょうがないわね。今日の所は信じておいてあげる」

 取りあえず誤魔化す事になんとか成功した俺は、今度こそ本当に時流エンジンやモントーヤ博士の事でレモンと楽しく会話したのだった。





「俺がこの特殊処理班の隊長を務めるアクセル・アルマーだ。よろしく頼む」

 レモンとの危ない出来事の翌日、俺は会議室で特殊処理班の面々と初顔合わせをしていた。
 会議室にいるのは、俺と特殊処理班に配属された部下達4人の合計5人だ。
 ……将来的に連邦に反旗を翻すシャドウミラーの実行部隊が隊長含めて5人というのはさすがに寂しいものがある。まぁ、新設の部隊なんだしその辺はしょうがないのか。
 結局俺がヴィンデルから言われて選んだパイロットはマルティン・ロメロのみで他はヴィンデルが選んだパイロットだ。
 新設部隊に配属された4人は全員がまだ若い。
 1番年上なのが20代半ばくらいのマルティンだと言えば、その若さが実感できるだろう。
 本来なら古参の兵士を最低1人は欲しかったのだが。

「マルティン・ロメロ曹長です。以前は南米にあるエクアドル基地でPTパイロットをしていました」

 最初にマルティンが敬礼しながら挨拶する。
 ただ、あからさまにこちらの実力を推し量るような雰囲気を出している。
 どうやら、この男が1番の曲者だな。まぁ、それ故に腕にも自信はあるんだろうが。と言うか、これで腕が悪かったら推薦した俺の人を見る目の無さに泣けてくるのでそれは無いと信じたい。
 そんな風に考えている間に、他の3人の自己紹介も終わった。
 ちなみに、他の3人はそれぞれアル、ボビー、フルストというらしい。

「さて、自己紹介が終わった所で早速だが、各々の搭乗機体を決めてもらう」
「は? 隊長が自分達に割り当てるんじゃないんですか?」

 俺の言葉に驚きの表情を浮かべるマルティンだが、効率的に考えた場合は自分の特性にあった機体を自分で選んだ方がいいと判断した。
 その辺の新兵なら自分の特性も何もあったものじゃないだろうが、新設とは言え特殊部隊に配属されたパイロット達だ。自分たちの特性ぐらい理解出来ているだろう。

「いや、お前達が乗る機体だ。自分達で決めろ。ただし、自分の特性に合っていてきちんと乗りこなせる機体を選ぶように。言い忘れたが、その機体を使い来週早速任務が入っているからその辺も考慮するようにな」
「は? 来週ですか? ですがまだ訓練も何もやってませんが」
「俺もそう言ったんだが、指揮官であるヴィンデルからの命令でな。と言っても、相手は本当に小さなテログループだ。使用している兵器も数世代前の戦闘機や戦車が殆どだそうだ」

 その言葉にホッとするマルティン達。
 さすがにいくら曲者とは言えども、DC残党のような手練れ揃いの部隊と戦闘になるのは御免らしい。

「という訳で、今からそれぞれの乗機を決めて午前一杯は調整の時間とする。午後からは早速模擬訓練に入るので昼食が終わったら格納庫に集合。機体に関しては、格納庫にいる整備員に言えば問題無いだろう。では、解散」

 敬礼をし、会議室を出て行く。
 あいつらがどんな機体を選ぶのかは午後のお楽しみだ。
 アシュセイヴァーの調整は昨日の時点でもう済んでいるので、午前一杯はそれなりに時間があったりする。

「隊長じゃなかったらなぁ」

 そう、俺は紛れもなく特殊処理班の隊長。すなわち一般隊員達には無い書類仕事が待っている。どうせなので折角空いた午前中は書類仕事を片付ける事にするかね。





 午後、格納庫にはシャドウミラー隊特殊処理班の面々が揃っていた。

「さて、午前中にも言った通り午後からは実機での訓練となる。まずはそれぞれ自分の乗機に何を選んだか報告してもらおうか」

 マルティンへと視線を向ける。

「では、自分が代表して報告させてもらいます。まず、自分は量産型アシュセイヴァーを選びました。理由としては、元々強襲が得意だったのでそのコンセプトで作られた機体を選びました。そして他の3人は全員量産型ゲシュペンストMk-Ⅱとしました。これは彼らが基本的に万能型で近距離・遠距離共にそれなりにこなせるのが理由です」

 ふむ、なるほど。量産型ゲシュペンストMk-Ⅱは苦手な距離が無いだけに俺やマルティンのフォローとしても期待できる、か。

「分かった。では早速実機演習とする。各々機体に乗り込め」

 4人に声を掛け、俺もアシュセイヴァーが待機している場所へと向かう。
 コックピットに座り、アシュセイヴァーを起動させ各機へと通信を送る。

「さて、準備はいいな。まずは自己紹介代わりの模擬戦と行こう。各々モードを模擬戦へと変更」
「了解」

 全員の声が揃い、俺のアシュセイヴァーを含めた合計5機の機体が格納庫から基地の外へと移動する。
 このラングレー基地は北米最大規模という事もあり、模擬戦用のフィールドが用意されている。OG1のキョウスケルートで、エクセレンと共にAI戦車と戦ったあの場所だ。
 ぱっと見だと普通の基地施設のように見えるが、模擬戦用のフィールドだけあり基地施設は中身のない張りぼてだ。
 もっとも俺はゼンガーのように実弾訓練をするのは御免だが。

「各機、武装が模擬戦用のものになっているかを確認しろ。不慮の事故なんて御免だからな。その後、俺とアルのチームにマルティン、ボビー、フルストの3人のチームに分かれてから10分後に模擬戦開始だ」

 アシュセイヴァーの武装が模擬戦用――ペイント弾等――になっているのを確認し、アルと共に自分達のスタート地点へと向かう。

「隊長、あっちが3人で大丈夫なんですか?」

 移動しながら、アルの量産型ゲシュペンストMk-Ⅱから通信が入る。
 初の実機訓練だけに、負けたくはないのだろう。
 もちろんそれは俺も同じだ。

「そうだな。人数的にはこっちが不利だが、オレのアシュセイヴァーはマルティンの量産型と違ってソードブレイカーが装備されている。その戦力差を考えればしょうがないだろう」

 実際、ファンネルの如くオールレンジ攻撃が出来るわ、それ自体が近接戦闘用の武器にもなるのを考えるとまだこちらが有利だろう。だが、だからと言って俺1人対4人というのではさすがにこちらが不利すぎる。
 にしても、こうして考えてみるとソードブレイカーってどちらかというとファンネルよりもガンダム00のファングに近いのか。

「隊長、そろそろ時間です」

 アルからの声を聞き、アシュセイヴァーで模擬戦を開始した。 
 

 
後書き
LV:9
PP:35
格闘:142
射撃:160
技量:152
防御:149
回避:177
命中:199
SP:214
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
   ???
   ???
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スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
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    ???
    ???

撃墜数:5 

 

0026話

 
前書き
時流エンジンのコストについては独自設定としています。 

 
 模擬戦から1週間後、ヴィンデルからの命令通り俺達シャドウミラー隊は現在レイディバード2機に分乗しつつ攻撃目標へと向かっていた。
 レイディーバード。PTやAM等の小型機なら5~6機程搭載可能で、特機も1機なら搭載可能な連邦軍の輸送機だ。輸送機故に武装は貧弱だが、そのペイロードはかなり大きい。
 と言うか……

「ぶっちゃけ、どう見てもミデアだよな」

 思わず呟く。
 もっとも、ミデアと違い機銃の他にミサイルを装備しているのだが。
 これでジェットストリームアタックを喰らっても平気か? ……無理だろ。

「アクセル、何か言った?」

 向かいの座席に座っていたレモンが声をかけてくるが、首を振ってやり過ごす。
 現在、こちらのレイディーバードにはヴィンデルとレモン、そして俺が。もう1機の方にはマルティン、アル、ボビー、フルストの4人が乗っている。
 他にも整備員や通信士がいる筈だが、そちらは俺の管轄ではないので詳しくは知らない。

「ヴィンデル、相手は弱小テロ組織らしいがもう少し詳しい報告はないのか?」

 近くに座って何やら書類を読んでいるヴィンデルへと声を掛ける。
 と言うか、輸送機の中でも書類仕事をするってどうよ。

「そうだな。奴らはDC残党が中心メンバーとなっているのが判明した」
「あら、DC残党が中心メンバーなの? なら弱小とはいかないんじゃなくて?」

 ヴィンデルの言葉にレモンが疑問を返すが、俺もその疑問には賛成だ。
 DC戦争が終わってから結構な時間が経つが、それでもまだ活動しているDC残党はかなりの数が残っていると思われる。
 また、それだけ長期の間連邦軍と戦い続けてきただけにその腕前はその辺の新兵なんて相手にならない。

「まぁ、聞け。DC残党と言ってもドロップアウト組だ。それが街のチンピラやらマフィアやらを吸収して出来たグループになっている。人数的には大体30人弱。主な兵器は以前アクセルには教えたがF-28メッサーに71式戦車バルドングが数機ずつとなる」

 なるほど、手練れの熟練兵という訳ではなく脱落組がメインなのか。しかも吸収したのがチンピラやマフィアとくればヴィンデルの分析も当たっているだろう。

「ふぅ、ん。確かにそれなら安全ね」

 レモンも安堵の息を付く。
 いくら将来的にはエースパイロットクラスの腕を持つ事になるとは言え、今のレモンは科学者としてはともかくパイロットとしては初心者で、これが初の実戦となる。やはり不安を感じるのだろう。

「そうだな、まず大丈夫だと思うけどいざという時には俺が守ってやるよ」

 そんな風に声を掛けるが、恐らくそんな事態にはならないだろう。
 実際問題、敵機が戦闘機のメッサーに戦車のバルドングだけなら俺のアシュセイヴァーだけでも殲滅は可能な戦力だ。
 そして他にも特殊処理班の量産型アシュセイヴァーが1機に量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが3機。レモンのラーズアングリフとヴィンデルの……ヴィンデルの?

「あれ? ヴィンデル、お前の機体は? まだその辺は聞いてなかったよな?」
「そう言えばそうね。ラングレー基地で初めてアクセルに会った日も結局は私のラーズアングリフの話で終わったし」

 ……いや、あれはしょうがないと思う。
 見ると、ヴィンデルも溜息をつきながら口を開いた。

「私の機体は量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改だ」

 聞き覚えがなかったのか、不思議そうな顔でレモンが尋ね返す。

「量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改? カスタム機かしら?」
「いや、正確にはちょっと違うな。現状の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱに近代化や延命措置を施す、ハロウィン・プランとかいう計画の成果物だ。だが、あの機体は極少数しか作られていなかったんじゃないか?」

 最初の方をレモンに話し、最後の言葉をヴィンデルへと投げる。
 実際、原作のOG外伝でも量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改はカイの他にクライ・ウルブズで数機が使われているだけだった筈だ。

「なに、権力とは使うべき時に使うものなのだよ」

 いささか得意げなヴィンデルの言葉を聞きながらレモンが口を開く。

「でも、次期量産機のトライアルはエルアインスが有力だって話を聞いてるわよ?」

 科学者であるレモンにしてみれば、すでに次期量産機のトライアルが始まっているのに量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを延命させるのに納得がいかないのだろう。

「次期量産機とは言っても、実際にトライアルで決まるまでにまだ時間が掛かる可能性がある。それにもしすぐに決まったとしても、今現在ある機体をすぐに全機新型にする訳にはいかないだろう。そういう意味でも私の機体を作り出したハロウィン・プランは有用なのだ」

 ヴィンデルの言葉に頷くレモン。
 それぞれの認識の違いは、科学者と軍人としての認識の違いか。

「それで、ヴィンデルの機体はどういう風に強化されてるの?」
「俺が聞いた話だと、機体フレームの剛性を高めて各部可動範囲の拡大が図られているらしい。そして動力源は新型プラズマ・ジェネレーターに変更。装備拡張の為のハードポイント設置とか……他にもまぁ、色々だな」
「何それ。強化というよりは、殆ど再設計機じゃないの」

 驚くレモンを見つつ、再設計機という言葉に納得する。
 だが、実際問題そのくらいしなければ次期量産機と同等に渡り合えないというのもまた、事実なのだ。

「にしても次期量産機、ね」

 呟き、脳裏に浮かぶのはエクサランスの事。
 まだまだ開発が始まったばかりだろうが、もしエクサランスが今回の次期量産機のトライアルに出ていればどうなっただろうか。
 純粋に性能だけで言うのなら、R-1直系の機体であるエルアインスが勝るのかもしれないが、フレーム換装システムによる汎用性の高さと、何より永久機関である時流エンジンを考えればエルアインスと互角に渡り合うのも可能だろう。
 だが……

「あら、どうしたのアクセル? 何か考え込んで」
「いや、もし今回のトライアルに時流エンジン搭載機が出ていたらどうなったかと思ってな」

 俺の言葉に何か少し考える様子を見せるが、すぐに首を左右へと振る。

「それはちょっと無理だと思うわ。時流エンジンの特性、つまりある程度の上限はあるとは言え永久機関であるというのは大きいアドバンテージになるでしょう。機体設計に関してもその点を有効に使えば決してエルアインスには劣らない筈よ。でも、現時点の時流エンジンには量産機用としては大きな欠点がある」
「コスト、か」
「そう。何日か前にヴィンデルから時流エンジンのレポートを回してもらったのだけど、あれに書いてある内容が事実なら動力炉の時流エンジンだけでエルアインスを3~4機は製造出来てしまうレベルよ。それに搭載する機体に関しても考えると、恐らく時流エンジン搭載機1機を用意するコストでエルアインス5機分くらいにはなると思う。いくら性能が良くても、まさか量産機に乗る一般の兵士が5倍の戦力差をどうにか出来る訳じゃないでしょう? 一部のエースパイロットはともかく」

 やっぱり無理、か。
 時流エンジンのコスト高は、以前モントーヤ博士に相談された事があり理解はしていた。もう何年かして技術的に進歩すればもう少しコストを低くするのも可能だとは言っていたんだが。
 モントーヤ博士とのやり取りを思い出していると、レモンの話が続く。

「私なら時流エンジンは量産機じゃなくて、エースパイロット用の機体強化に使うわね。それならある程度コストが高くなってもその分パイロットが活躍すれば十分に元は取れるんだし」
「なるほど、エースパイロット用か。それはありかもしれないな」

 レモンの話に頷いたのはヴィンデルだった。興味深そうに俺とレモンを見ている。

「どうしたんだ?」

 不思議に思い尋ねてみると、ヴィンデルは口元に笑みを浮かべながら話し始める。

「俺達にとってのエースパイロットは誰だ?」
「それはもちろんアクセルでしょ? 実行部隊の隊長なんだし」
「そう。つまり時流エンジンをアクセル用に使うというのは有用な使い方となる」
「は?」

 一瞬、ヴィンデルの言っている事が分からなかった。
 いや、俺がエースだというのは理解しているつもりだ。この1週間というもの、マルティン、アル、ボビー、フルスト等とかなり厳しい実機訓練を行ってきたが、その中で行われた演習では殆が俺の勝利だったのだから。
 問題は……

「ヴィンデル、時流エンジンが私達に回ってくるの?」

 そう、レモンの言う通りいくら俺がエースパイロットで時流エンジンを使った機体に乗るのにふさわしいと言われても、肝心の時流エンジンが無ければそれこそ絵に描いた餅だ。

「ああ。近いうちにサンプルという事で1基だけだが譲ってもらえる事になった。この点はアクセルに感謝だな。先方もアクセルのいる部隊なら信用出来ると話はスムーズに進んだのだから」

 うわ、モントーヤ博士も気張ったな。それともエクサランスの開発が難航していて、その為の点数稼ぎか?

「ちょっと待って。サンプルなら私に貰えるんじゃないの?」

 真剣な表情のレモンだが、ヴィンデルはそれをあっさりと却下する。

「確かに研究も大事だろう。だが、その研究はアクセルの機体に搭載すると出来なくなる訳じゃないだろう? ならアクセルの機体強化にも併用した方が合理的に進める事が出来るし、先方の印象も良くなるだろう」
「……しょうがないわね」

 諦めの溜息をつくレモンだが、すぐにその顔をこちらへと向けてくる。

「覚悟しておきなさい、アクセル。私の研究にも付き合って貰うわよ」
「あ-、俺って一応特殊処理班の隊長という役目もあるんだが、その辺の考慮もしてくれると助かる」

 無駄と判っていても思わず抗議をしてしまう。

「却下よ」

 だが、そんな俺の願いもレモンにあっさりと却下されてしまった。
 苦笑を浮かべて諦めたその時、レイディバードの機長から連絡が入った。

「ヴィンデル少佐、そろそろ目的ポイントに到着します。機体に乗っていつでも降下出来るように準備しておいてください」
「分かった。ここまでご苦労だった。もう1機にも同様の連絡をしておいてくれ」

 ヴィンデルが機長に礼を言い、俺とレモンの方へと振り向く。

「さて、仕事の時間だ。敵は弱小とは言えシャドウミラーとしては初の実戦となる。気を引き締めろよ」 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:9
PP:35
格闘:142
射撃:160
技量:152
防御:149
回避:177
命中:199
SP:214
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   ???
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:5 

 

0027話

 レイディバードのハッチが開き、そこから飛び出すように出撃するアシュセイヴァー。もう1機のレイディバードの方を見ると、そちらでも量産型アシュセイヴァーと量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが出撃しているのが見える。
 量産型ゲシュペンストMk-Ⅱはテスラ・ドライブを装備している為に空を飛ぶ事が可能だが、アシュセイヴァーは陸戦用の為にそうも行かない。
 だが、着地する寸前に一時的にバーニアを噴射し、地上への激突を避けるのは可能だ。
 ……と言うか、どう考えても空を飛べないというのは痛い。この作戦が終わったらレモンに頼んでテスラ・ドライブをつけてもらうか。

「アクセル、私とレモンは基本的に後方支援に回らせてもらう。目標の殲滅は任せたぞ」

 ヴィンデルの量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改から通信が入る。
 まぁ、指揮官であるヴィンデルと技術班のトップのレモンなんだしその辺は当然か。

「了解。後方からレモンと一緒にシャドウミラー隊としての初作戦をゆっくりと見ていてくれ」

 通信を送ったのと同時に、バーニアを噴射し地面へ着地した衝撃を殺す。

「こちらアクセル。マルティン、アル、ボビー、フルスト、全員地面にノーロープバンジーをしたりはしていないな?」
「全員無事です、隊長」

 マルティンの通信を聞き、安堵する。

「よし、目標はこの森の奥にある洞窟を拡張して隠れ家にしているそうだ。敵戦力は以前言ったように数世代前の戦闘機と戦車のみ。戦闘機はともかく、戦車はこの森の中では小回りが利かないからそれ程心配いらない。では、行くぞ!」

 マルティン等を率いるように、アシュセイヴァーのバーニアを噴射させてホバー移動しつつ森の中を進んでいく。
 森の中とは言えテロ集団が出入りしているらしく、軽く道のようなものが出来上がっているので移動も楽だ。
 そして進む事数分、陣形の1番後ろにいるフルストから通信が入った。

「隊長、敵機補足しました。数は戦闘機5ですが、そのうちの2機が先行してきます」

 フルストの量産型ゲシュペンストMk-Ⅱは技術班に頼んで偵察機仕様に改造してもらっている。特殊処理班の目となり耳となるのがフルストの仕事だ。

「了解。各機、戦闘準備。オールウェポンズフリー。目標を見つけ次第撃破せよ」

 俺の通信に4機とも頷き戦闘準備を整える。
 俺もアシュセイヴァーのメイン武器であるガン・レイピアをいつでも発射出来るように確認する。
 胸部から発射するファイア・ダガーに高火力のハルバート・ランチャー、近接戦闘用のレーザー・ブレードとアシュセイヴァー最大の特徴であるソード・ブレイカーもいつでも使用可能だ。

「まずは挨拶代わりって奴だ。喰らえ!」

 最初に視界に入った機体、青い戦闘機のメッサーへとファイア・ダガーをばらまき、それを回避した所にガン・レイピアのトリガーを引く。
 そしてトリガーを引く直前に精神コマンドの努力を使用。 
 ガン・レイピアから放たれた1筋のレーザー光はメッサーの青い機体を貫通し、数秒後に機体は爆散する。

「まずは1機」

 呟いた瞬間、まるでそれを待っていたかのように新たに現れたメッサーに向け、マルティンの量産型アシュセイヴァーが突撃し、空中に跳躍。その手に持っていたレーザー・ブレードでメッサーを切り裂く。そして爆散。

「やるな、マルティン」

 今の動きはTC-OSのモーションを使っているとは言え、隙の無いものだった。恐らく独自に登録したモーションパターンなのだろう。

「へ、隊長にばかりいい格好はさせませんよ」

 帰ってきた返事に苦笑している間に、残りの3機のメッサーが姿を現す。

「アル、スプリットミサイルでメッサーを牽制して陣形を崩せ。ボビーは敵機が散らばったらスラッシュ・リッパーで撃破。マルティンもそれに続け。フルストはバルドングの居場所を索敵。注意しろよ、数世代前の戦車とは言え戦車砲は当たり所によってはPTの撃破も可能だ」

 全員が俺の指示に従い、行動を開始する。

 まず発射されたのはアル機のスプリットミサイル。3機のメッサーに向かいミサイルコンテナが発射され、そのコンテナから大量の小型ミサイルが射出してメッサーの陣形を乱す。
 その隙を突き、ボビー機から射出されたスラッシュリッパーが高速で回転しながら1機のメッサーを切り裂く。
 マルティンは体勢を崩したメッサーにバーニア噴射で跳躍し、先程と同じくレーザーブレードで切り裂いた。
 そして残る最後の1機は、再度精神コマンドの努力を使用してからソード・ブレイカーを1機発射し、メッサーの後方からレーザーを放ち、貫通・爆破させる。

「よし、これでメッサーは全機撃破の筈だ。フルスト、残りの戦車は発見できたか?」
「すいません。全く見つかりません。どうやら余程上手くカモフラージュしているようです」

 索敵役のフルストへと通信を送るが、その返答は発見失敗の報告だった。
 チンピラを集めて作ったテログループなのに偽装工作が上手いのは、腐っても元DC兵という事か。

「しょうがない。俺が囮になって敵本拠地の洞窟へと向かう。そうすればいくら隠れていても攻撃してこざるを得ないだろう。各機は射線を見逃すなよ」
「隊長、危険です。囮なら俺が!」

 マルティンからの通信が入るが、首を振って否定する。

「この中で1番操縦技術が高いのは俺だ。それはこの1週間の模擬戦で判明している。つまり囮は俺が1番適任って事だ」
「ですが、隊長がやられてしまえば俺達の指揮は誰が取るんですか?」
「ふん、あいにくこの程度の連中にやられる程弱くはないつもりなんでな。では行くぞ。敵を見逃すなよ」

 アシュセイヴァーのバーニアを噴射し、4人の部下達から離れる。
 そして十分に離れた所で、精神コマンドの加速を使用して速度を上げる。
 3分程森の中を移動していると、モニタに敵の本拠地らしき洞窟の姿が表示された。
 だが、それでも敵からの攻撃は一切無い。
 ……どうなっている? もしかして敵戦力はメッサーだけでバルドングがあるというのはヴィンデルの間違いだったのか?
 そんな事を思った瞬間だった。右斜め前・左右の3方向から同時に砲弾が飛んできたのは。

「ちぃっ!? 火線のクロスポイントか! 加速!」

 咄嗟にアシュセイヴァーのバーニアを全力で噴射しつつ、再度精神コマンドの加速を使用して左斜め前へと移動し、なんとか3発の砲弾を回避する事に成功する。
 前方から砲弾が飛んできた方向を見ると、そこには木々で上手くカモフラージュしているバルドングが潜んでいた。
 だが、既に発見された迷彩は意味が無い!
 まだ加速の効果が続いているのを確認し、その速度のままバルドングの横腹へと接近。
 近づいてくる俺に気が付いたのか、旋回に時間の掛かる戦車砲ではなく取り回しのしやすい機関砲をこちらに向けてくるがその時には既にこちらの射程距離!

「努力」

 忘れずに精神コマンドの努力を使用してバルドングとの距離をほぼゼロにした瞬間、アシュセイヴァーの胸部からファイア・ダガーを全弾発射し、次の瞬間には加速の効果もありバルドングとの距離を空けていた。
 そして次の瞬間にはバルドングの爆散する音と衝撃波が辺りに響き渡った。

「これで3機、だな」

 呟き周囲を見てみると残り2機のバルドングもアルのメガ・ビームライフルと、ボビーのネオ・プラズマカッターで破壊されていた。
 それを確認しつつ、フルストへと通信を送る。

「フルスト、他に敵機は?」
「こちらのレーダーでは表示無しです。ただ、今の戦車も表示出来ていなかったので絶対に安全とは言えませんが」

 さて、どうするか。あの洞窟にいるテロリスト共を尋問してもいいんだが、正直に話すとも思えないし、もし言ったとしてもそれが本当の事かどうかを判断する事も難しい。
 ここはヴィンデルに方針を決めてもらうのが一番か。
 そう判断し、ヴィンデルへと通信を繋げる。

「ヴィンデル、取りあえず敵戦力と思われるものは全機撃破した、と思う」
「思うとは?」
「バルドングが上手い具合に隠れていてな。索敵役であるフルストの機体でも最初発見できなかった。それは取りあえず俺が囮になって撃破したんだが、他にも隠れている機体があるかもしれない。洞窟の中に隠れているテロリスト共なら何か情報を持ってるかもしれないが、どうする? 尋問するか?」

 数秒考え込んだヴィンデルだが、すぐに結論を出す。

「いや、必要無い。まだ数機残っているかもしれないが、敵戦力の殆どを撃破したのは間違い無いだろう。そのまま帰還してくれ」
「は? あの洞窟はどうするんだ?」
「それは私とレモンの機体で破壊させてもらう。幸い既に射程距離に入っているのでな。そこから見えないか?」

 ヴィンデルの言葉に周囲を見回すと、遠くの方に量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改とラーズアングリフの機影を発見する。

「確認した。じゃあ俺達は撤収するが構わないか?」
「ああ。問題無い」

 ヴィンデルから撤収の許可をもらい、それを部下達に知らせる。

「全機、良くやった。これで俺達の初任務は終了となる。あの洞窟の始末はヴィンデル達がやってくれるそうだ。俺達は撤収だ」
「了解」

 全機からの了解の返事を聞き、レイディバードが待機している場所へと向かい機体を移動させる。
 ヴィンデルとレモンの隣を通り過ぎようとした時、レモンからの通信が入った。





「アクセル、お疲れ様。さすがの腕前ね」
「まぁ、このくらいはな。それよりも後始末を任せていいのか?」
「それくらいしなきゃ、本当になんで付いて来たのか分からなくなるじゃない。それに後始末と言ったって……」

 レモンのラーズアングリフの背中にあった砲塔が持ち上がり、肩を支点として前方に展開される。ラーズアングリフ最大の火器であるFソリッドカノンだ。そして同時にヴィンデルの機体もF2Wキャノンのバレルを展開して最大射撃の準備を行う。
 次の瞬間には両機から同時にそれぞれの最大火力での射撃が行われ、洞窟は蒸発してその姿を地上から消し去った。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:10
PP:60
格闘:146
射撃:164
技量:156
防御:153
回避:181
命中:203
SP:222
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
???

撃墜数:8 

 

0028話

 シャドウミラーとしての初任務が無事終了した俺達は、レイディバードでラングレー基地へと帰還していた。
 俺の乗っているレイディバードは、来た時と同じくヴィンデル、レモンの2人と一緒だ。ヴィンデルは相変わらず書類仕事をしており、レモンはPDAで何かのレポートを読んでいる。
 そんな2人を見ながら、俺は自分のステータスを確認していた。
 敵が雑魚とは言え、努力を使用しての3機撃破のおかげか、レベルが1上がっている。PPも貯めていた35P+レベル上昇分10P+敵撃破15Pで目出度く目標だった60Pになっていた。
 もちろん迷わず予定通り空の地形適応をSに変更。
 これでPPがまた0になってしまったが、当面の目標であった空と地の地形適応Sを獲得できたので不満はない。
 地形適応Sを達成出来た事で、次の目標はアタッカー、インファイト、ガンファイトだな。
 そしてレベルが上がった事により、精神コマンドも新しいのを覚える事が出来た。それは集中。ゲームでは1ターン回避・命中が30%プラスされるという効果だったが、ここでの効果はまだ不明だ。取りあえず今までの経験から行くと1ターンは1分という認識でいいと思うんだが。
 集中力を使っても消費SP16と、努力の2倍、加速に至っては4倍も消費するだけに、なるべく良い効果であって欲しい。
 もっともSPアップLV.9の効果による豊富なSPや、SP回復のスキルを考えるにそれ程気にする必要もないのだが。
 で、今回レベルが上がって起こった最大の変更。それはスキルだ。
 いや、新しいスキルを覚えたとかそういうのじゃない。単純にスキルスロットが1つ増えているのだ。
 今まではスキルスロットが10だったのが、レベルが10になったらスキルスロットの数が11に増えていた。
 嬉しいか嬉しくないかで言えば、もちろん嬉しい。大歓迎と言ってもいいだろう。だが、スキルスロットが増えた理由が不明な為、微妙に喜べないのもまた事実だったりする。レベルが10になったから増えたのか。ならレベルが20になればスキルスロット数が12になるのか。それともレベル以外の要素、たとえば撃墜数や初任務達成なんてのが原因なのか。その辺りが全く分からない。

「アクセル?」

 そんな事を考えていると、レモンから声が掛けられる。

「どうした?」
「いえ、何か難しい顔して考え込んでいたから、どうしたのかと思って」
「いや、別に何も考えてないさ。単純に初任務が完了したのはいいんだが、報告書を提出するのが面倒だっただけで」

 チラリとヴィンデルの方へと視線をやりながら会話を続ける。

「元々小さい頃からパイロット一筋だっただけに、どうも書類仕事とかは苦手なんだよ」
「そう? 書類も慣れればそんなに苦じゃなくなるものよ?」
「それは、レモンが科学者だからこそ言える台詞だな」

 レモンとそんな事を喋りつつ、レイディバードがラングレー基地へと到着するまでの時間を潰した。





「これが、時流エンジン」

 シャドウミラーとしての最初の任務が終了して数日。ようやくと言うか、とうとう時流エンジンのサンプルがラングレー基地に届いたのだ。
 そしてその時流エンジンが置かれているシャドウミラー用の格納庫で俺とレモンの2人は時流エンジンがコンテナから搬出されるのを見学していた。
 梱包を解いていく整備員達だが、ふと気が付く事があった。

「ちょっと大きくないか?」

 そう、その大きさはPTに搭載されている一般的な核融合ジェネレーターや新型のプラズマ・ジェネレーターに比べて明らかに大きいのだ。
 こうして見る限りでは、大体1.5倍くらいの大きさだと思われる。

「ええ、確かに。ちょっと待ってて。一緒に送られてきたレポートに何か書いてあるかも」

 俺と同じ事を感じたのだろう。レモンが眉を顰めて梱包を解いている整備員達へと声を掛けている。
 やがて渡されたレポートを読み始めたが、その表情は晴れない。
 最後の1ページまで読み進め、溜息をついているレモンへと声を掛ける。

「どうだった?」
「そうね。まずこの時流エンジンは現在研究されているものよりも前の世代のものらしいわ」
「前の世代?」
「ええ。今研究されている時流エンジンは普通の動力炉、いわゆる核融合ジェネレーターと同じ大きさらしいわ」

 まぁ、サンプルとして送られてきたものなんだし、確かに最新型の小型タイプである必要は無い、のか?

「じゃあ、これは俺の機体の強化には使えないのか?」

 前回の作戦時にヴィンデルが言っていた、時流エンジンを使用して俺の機体を強化するという案は無理という事になるのだろうか。

「いえ、それが全くそういう訳でもないのよ」

 だが、その懸念はレモンに否定される。

「いい? まず確かにこの時流エンジンは前の世代という事でサイズ的には大きいわ。でも、最新型の時流エンジンよりも勝っている所も幾つかあるの」
「勝っている所?」
「そうね。まず大型である為に、現在の小型の時流エンジンよりも生み出す事が出来るエネルギー量は多いわ。そして安定性に関してもこちらが上のようね」
「なるほど、古いものではあるけど使えない訳じゃないという事か。だが、今問題なのはその大きさだろう? この大きさじゃとてもじゃないがアシュセイヴァーで使うのは無理だぞ。それこそ特機とかなら可能かもしれないが」

 そう、いくら現行の時流エンジンよりも性能が良いとしても、実際に使えないのでは絵に描いた餅以外の何物でもない。

「そう、それが問題なのよね」

 レモンも苦笑を浮かべつつ頷く。

「ねぇ? どうせなら特機に乗り換えてみない?」
「いや、そんな余裕は無いだろう。そもそも、俺の適性的には高機動な機体がベストだ。特機なんて無理だし、何よりあまり趣味じゃない」
「趣味って貴男ねぇ」

 レモンとやりとりしながら、何とかこの時流エンジンを有効活用する方法は無いか考えるが、そっち方面の知識は専門のレモンとは違い、原作やらガンダムやらしか持ってないので……ガンダム?
 そのキーワードでふと思い出す。確かガンダム00のセカンドシーズンで主人公の刹那が乗っていた00ガンダムは両肩に太陽炉を装備していなかったか?

「なぁ、レモン。ちょっと思ったんだがアシュセイヴァーを改造して動力炉の場所を変更出来るようにすれば使えないか?」

 個人的には渾身のアイディアだったんだが、それはレモンに溜息を1つ吐かせるだけで終わってしまう。

「いい、アクセル。簡単に言うけどもしそれを実現するとなると改造どころの手間じゃ済まないわ。新型機の設計をするくらいの手間暇を掛ける事になるわよ。それなら最初から時流エンジン用の新型機を作った方がマシよ」

 駄目か。いいアイディアだと思ったんだが。

「そうなると、本当にレモンの研究用に使うしかないか?」

 もっとも、サンプル用として送られてきたものなんだし、それが妥当な扱いなんだろうがどうにも惜しい。
 レモンの時流エンジンに対する研究が進む事で、あちらの世界への転移する時の危険性が少しでも減るのなら御の字、か?

「そう、ね。私も一応考えてはみるけど、何も思いつかない場合は貴男の機体に時流エンジンを使えないという可能性も覚悟しておいて頂戴」
「ま、しょうがないか。まさか時流エンジンを外付けにする訳にもいかないし」

 何気なく呟いた時だった。レモンの眼が鋭く俺を見据える。

「ちょっと待って、アクセル。貴男、今何て言ったの?」

 レモンの迫力に押されつつも、口を開く。

「だから、外付けにする訳にもいかないだろ? 敵の攻撃が当たる可能性を考えると、そんな機体は怖くて乗れないぞ」
「違う、いえ、確かにそれもあるわね。でも装甲を? いえ、それだけでは動きが鈍くなる。なら機動力も。あら、なら武装も?」

 何かのスイッチが入ったのか、ブツブツと呟きながら自分の考えを纏めているレモン。
 こういう所を見ると、好奇心優先の科学者なんだと妙に納得してしまう。
 数分の間ブツブツと呟きながら考えを纏めているレモンを眺めていたが、ようやく考えが纏まったのか落ち着いてきた。

「考えが纏まったか?」
「ええ、これからちょっとヴィンデルの所に行って許可を貰ってくるわ。貴男は、そうね。2週間程アシュセイヴァー無しになるから、訓練をする時には何か他の機体を使って頂戴」
「2週間?」
「ええ、時間的にちょっと難しいかもしれないけど、そのくらいの時間があれば完成させてみせるわ」
「いや、そんなに急がなくてもいいから、確実に使える機体に仕上げてくれ」

 急いで改造したばかりに、肝心な所で故障する機体になったりしたら安心して乗る事が出来ない。

「そうね、分かったわ。じゃあちょっと余裕を見て1ヶ月頂戴」
「まぁ、レモンがそれでいいのなら」

 頷く俺を見ると、すぐに格納庫を出て行く。
 先程言っていたように、ヴィンデルの許可を貰いに行ったのだろう。
 はてさて、どんな機体になるのやら。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:10
PP:0
格闘:146
射撃:164
技量:156
防御:153
回避:181
命中:203
SP:222
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
???

撃墜数:8 

 

0029話

 時流エンジンが届いてから1ヶ月。その間は訓練でも量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを使用していた俺だが、つい先程ようやくレモンから機体の改造が完了したと連絡を受けた。
 その連絡を受けて格納庫に向かっている訳だが、正直どんな機体になっているのか期待半分、恐怖半分だ。

「あら、アクセル。早かったわね」

 格納庫に入った俺を出迎えたのはレモン。その表情はどこかいつもより嬉しそうに見える。

「俺の機体だし、やっぱりどうなったのかが気になってな」
「丁度準備が出来た所よ」

 レモンの視線が向いている方を見ると、シートで覆われた機体が1つ。
 レモンの様子を見るに、これがアシュセイヴァーなのだろう。

「じゃあ早速お披露目と行きましょうか。アクセル、そこにある紐を引っ張ってくる?」

 よく見ると、機体を覆っているシートから紐が1本伸びている。

「これを引っ張ればいいんだな?」

 レモンの言葉に従い、その紐を引っ張る。
 すると、どんな仕掛けになっているのか分からないが機体を覆っていたシートが剥がされ、その姿が露わになった。
 まず1番最初に目に入ってきたのがアシュセイヴァーの背後にあるバックパックがかなり巨大になっている点だ。そして後ろから前方に伸びるように突き出ている2本の砲身。片方はガトリングのような感じで、もう片方は口径が妙に小さく感じる。
 なんと言うか、ガンダムSEEDのデュエルガンダムが装備していたアサルトシュラウドを巨大化したような感じとでも言えばいいのだろうか。
 こうして見る限りはその感想はそう間違ってはいないと思う。

「どう? 凄く変わったでしょ?」

 自慢げなレモンの言葉に思わず頷く。

「と言うか、変わりすぎて何から聞けばいいのか分からないな。説明頼む」
「まず、背中に装備しているのが追加統合兵装クロノスよ」
「クロノス? また随分と大仰な名前だな」

 疑問に思い尋ねると、得意そうな顔をしてレモンが続ける。

「ギリシア神話ではゼウスの父とされてる神様ね。子供に自分の権力を奪われるという予言をされた為、自分の子供が生まれるたびに飲み込んだと言われているわ。これから作られる機体に負けないようにという願いを込めてクロノスという名前にしたの」

 この場合はロマンチック、と言うべきなんだろうか?

「で、まずは時流エンジン。結局アシュセイヴァーには内蔵出来なかったから貴男のアイディア通りクロノスに組み込んで外付けにさせてもらったわ。それと追加してアシュセイヴァーの核融合ジェネレーターも新型のプラズマ・ジェネレーターに換装して出力アップ。クロノスにテスラ・ドライブも内蔵したから飛ぶ事も可能で、追加ブースターにより機動力も上がってる。時流エンジンとプラズマ・ジェネレーターの併用でまずエネルギー切れは無くなったと思ってもらっても構わないわ」

 つまり、クロノスに時流エンジンとテスラ・ドライブと追加ブースターをセットにして押し込んだって事か? 確かにそこまでやれば大型にもなるか。

「で、武装については右側から伸びているのがビームガトリング砲の砲身。左側から伸びているのがリニア・レールガンの砲身ね。後、クロノスにまだ多少余裕があったから追加でソードブレイカーを左右に4機ずつで合計8機追加装備しているわ。それとビームガトリングとリニア・レールガンは普段は折りたたんでおく事が可能になっているわ。でないと近接戦闘や高機動戦闘の時に邪魔になるでしょう?」

 ……何と言うか、牛丼が食べたいと頼んだら超高級料亭のすき焼きが出てきた感じがする。
 とは言え、戦力がアップするのは嬉しいから大歓迎なんだが。

「いや、正直凄いな。さすがレモンと言うべきか」
「クロノスを装備している状態はASK-AD02Cグロウセイヴァーで登録しておいたわ」
「グロウセイヴァーか。いい名前だ」

 俺の新たなる愛機、グロウセイヴァーを眺める。
 元々ガンダムに似た外見だったアシュセイヴァーだが、クロノスを装備した為に、より重厚な雰囲気を感じさせるようになった。

「まずは訓練だな。いくら良い機体でもパイロットの俺が乗りこなせないようじゃ本末転倒だ」
「そう思って、シミュレータにもきちんとデータを入力済みよ。それが終わったら実機訓練が出来るようにヴィンデルにも許可を貰ってるから安心して」
「そうか。悪いな」

 レモンに礼を言い、早速シャドウミラー専用のシミュレータ室へと移動する。
 やはり自分の手が入った機体が気になるのか、レモンも俺の後に付いてきていた。

「正直、戦力的にはノーマルのアシュセイヴァーと比べて2.5倍くらいになってると思うわ。まあ、開発者の欲目も入ってますけどね」

 シミュレータの設定を弄っているとそうレモンが声をかけてくる。

「了解した。そのつもりで操縦させてもらうよ」

 レモンに返事を返し、シミュレータを開始する。

「まずは機体を動かす所からか」

 まずは軽くグロウセイヴァーで歩き、機体バランスを確かめる。
 クロノスの為に相当重量バランスが変わったかと思ったが、全くそんな感じはしない。それ所か、ノーマルのアシュセイヴァーよりも機体バランスは上のような気がする。 草原フィールドで数分歩き、機体バランスを確認した後でテスラ・ドライブを起動させる。軽い浮遊感を感じ、気が付くと既にグロウセイヴァーは空中に浮かんでいた。
 士官学校のシミュレータで量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを使用していた時は空中に浮かぶ時に微妙な違和感があったりしたのだが、この機体はそれらを全く感じさせない。

「凄いな。違和感が全く無い」

 口の中で機体を賞賛しつつ、空中を自由に飛び回る。
 こちらも操作がしにくいという事はない。と言うか、下手したらノーマルのアシュセイヴァーよりも操作性が上だろう。速度に関しても、ノーマルの状態でバーニアを全開にしたアシュセイヴァーよりも多少ではあるが上だ。

「バーニア、全開!」

 グロウセイヴァーのバーニアを全開にして空を飛ぶ。その速度はアシュセイヴァーのバーニア全開時に精神コマンドの加速を使用した時と大して違わない。
 なら、これはどうだ?
 クロノスに装備されている追加ブースターのスイッチをONにする。
 すると、今までの速度とは比べものにならないくらいの早さで空を飛ぶ……否、空を切り裂くグロウセイヴァー。その速度は恐らくサイバスターや速度を極限まで突き詰めたプロジェクトTDの機体にも負けていないだろう。

「しかも、この速度でこの操作性の良さとか」

 空を切り裂きながら飛び続けるグロウセイヴァーは追加ブースター自体を自由に動かす事によって空中での姿勢制御や方向転換が容易に行える。
 グロウセイヴァーの常識外れの速度を一通り体験し、取りあえず満足した後は武装の確認をする。

「まずはビームガトリング砲だな」

 折りたたんで背中側に仕舞われていたビームガトリング砲とリニアレールガンの砲身を展開させてからシミュレータの設定を弄り、取りあえず的となるガロイカを数機出現させる。

「さて、どんな感じだ?」

 ガロイカへの方へとビームガトリング砲を向けトリガーを引く。
 一発一発は小さいが、殆ど途切れる事なくビームが発射されていく。
 そしてそのビームが数発命中しただけで爆散するガロイカ。
 弾幕だけが取り柄という訳でもなく、威力自体も高いようだ。
 次はガロイカを30機程出現させて、こちらに攻撃を仕掛けるように設定する。

「喰らえ!」

 ガロイカの群れへと向けて、再度ビームガトリング砲のトリガーを引く。
 再びビームの弾幕が張られ、ガロイカは数秒も保たずに全機が破壊された。

「これは、凄いな」

 その余りの弾幕に言葉が出ない。
 ガロイカのような数で押してくるような敵に対しては絶対的なアドバンテージを得る事が出来るだろう。
 ビームガトリングの威力を感じつつ、次の武器としてグロウセイヴァーの左側に装備されているリニアレールガンを選択する。
 三度ガロイカを出現させ、狙いをつけてトリガーを引く。
 発射の際に軽い衝撃を感じるが、それ程強いものではない。これに比べればビームガトリング砲の方が反動は強いだろう。
 そしてリニアレールガンの利点はそれだけではない。ビームではない為発射光がなく、発射の際にどこから撃たれたか敵に察知されにくいのだ。
 また、磁力を利用して弾丸を発射している為、発射音も他の火器に比べて驚く程小さくなっている。威力に関してはビームに多少負けるかもしれないが、これらの利点を考えると不満は無い。

「となると、最後は数の増えたソードブレイカーか」

 アシュセイヴァーの時は左右に3機ずつで合計6機だったソードブレイカーが、それにプラスしてクロノスの左右にそれぞれ4機ずつの合計8機で総合すると14機のソードブレイカーとなる。
 正直、これだけでその辺の敵は問題なく倒せるだろう。
 ただ、問題はその14機のソードブレイカーを俺が問題なく操れるかどうかだ。
 ソードブレイカーはアシュセイヴァーに搭載されている『搭乗者の脳波パターンを解析・記録した後、機体側からのフィードバックによって半強制的に同調させるシステム』を用いてオールレンジ攻撃を可能にしている。
 つまり、ソードブレイカーを使えば使う程パイロットに負担が来る訳だ。
 6機のソードブレイカーなら全く問題無く使える俺だが、その数が倍以上の14機になった時はどうなる?
 シミュレータの設定を弄り、今度はガロイカ50機を敵として出現させる。
 そして、グロウセイヴァーのソードブレイカーを全機発射用意。

「行け、ソードブレイカー!」

 こちらに向かってくる大量のガロイカに向けて14機のソードブレイカーを射出する。
 どう動けばいいのかを頭の中で考え、それをシステムが感知してソードブレイカーの行動へと反映させる。
 レーザー発射、近接で切断、打突、回避、回避、レーザー、切断、レーザー、回避、回避、打突。
 11機のソードブレイカーを自由に動かし、12機目を動かそうとした瞬間突然頭に鋭い痛みが走る。

「痛っ! シミュレータ中止!」

 咄嗟に中止のスイッチを押し、シミュレータを中止させる。

「アクセル、どうしたの?」
「いや、ソードブレイカーを操りきれなくてな。フィードバックで痛みが来た」
「そう、じゃあもう少し数を減らす?」
「そのうち慣れるだろうからこのままでいい。戦闘で破壊された時の為の予備として考える事も出来るからな。それに……」

 途中で言葉を切った俺に、レモンが尋ねて来る。

「それに?」
「いや、この問題はT-LINKシステムで解決出来るんじゃないかと思ってな。以前レモンも言ってただろ? T-LINKシステムを使ったソードブレイカーのような武器があるって」
「ええ、ただ時間は掛かると思うわよ?」
「グロウセイヴァーなんて機体を造ったレモンの事だ。信用して待たせてもらうさ」

 レモンに声をかけながら、シミュレータから降り実機で訓練すべく格納庫へと向かった。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:10
PP:0
格闘:146
射撃:164
技量:156
防御:153
回避:181
命中:203
SP:222
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:8 

 

0030話

「はぁっ!」

 空を飛んでいるグロウセイヴァーへと近づいてきたリオンに精神コマンドの努力を使ってからレーザーブレードで切り下ろす。
 AMとしては最初期の機体であるリオンは近接格闘用の武器を持っていない。
 これがリオン・タイプVならアサルトブレードを装備しているのだが、今俺と相対しているのはテロリストが使う、どこからか横流しされたノーマルタイプのリオンだ。
 結果、レーザーブレードを回避する事は出来ない為その細い胴体を上下に分断される。

「次は、そこだ!」

 リオンを撃破した一瞬の隙を突くように放たれたホーミングミサイルを、ブースターを使用して回避。こちらを追撃するべく方向転換した所にビームガトリング砲を撃ち込み破壊する。
 残った敵機へと視線を向けて再度精神コマンドの努力を使用。

「ソードブレイカー射出!」

 クロノスに装備されているソードブレイカーを2機射出し、ホーミングミサイルを撃ってきたリオンに向かわせる。
 俺がやったように一端やり過ごしてからマシンキャノンでソードブレイカーを破壊しようとするリオンだが、残念ながらそのソードブレイカーは俺の意志通りに動く。
 軌道変更して弾丸を回避し、左右に展開させてレーザーを発射。レーザー光が十字を描くようにリオンの胴体を貫き、爆散。

「よし、これで敵の空中戦力は潰したな。マルティン、そっちはどうだ?」

 レーダーで敵機を探しながら、マルティンへと通信を送る。

「こちらも……っと、喰らえ!」

 通信の中で一瞬慌てたような声が聞こえ、マルティンの罵声と共に爆発音が聞こえてくる。

「失礼しました、隊長。こっちも地上戦力の沈黙を確認しました」
「分かった。フルスト、そちらで他の敵機を確認できるか?」
「いえ、敵戦力は殲滅したと考えてもいいと思います」

 偵察仕様機を使っているフルストからの通信を聞く限り、取りあえず今回の作戦は完了したと判断してもいいだろう。
 グロウセイヴァーを与えられてから半年。最初は乗りこなすのにも時間がかかったが、ようやく自分の手足のように扱えるようになってきた。
 この半年でこなした任務の数は、今回の戦闘を入れて3つ。
 今回の任務の2機撃墜と合計して5機撃墜と撃墜スコアも増やした。
 シャドウミラーは特殊部隊であり、つまりは普通の部隊では対応出来ない任務が回ってくる。それが半年で3回となるとやはり多いと考えるべきだ。
 だが、多少の疑問も残る。

「隊長、ちょっといいですか?」

 レイディバードへと帰還するべく移動していると、マルティンから通信が入る。
 どうやら他のメンバーには聞かれたくないらしく、オープンチャンネルではない。

「どうした?」
「今日の作戦にしてもそうですが、最近おかしくないですか? どう考えても俺達に回ってくるような任務だとは思えません。あの程度の戦力なら普通の部隊でも十分対応出来る筈です」

 そう、俺の疑問もそこだ。今回の攻撃目標はAMを使用していたとはいえ、使っているのはリオンだ。それもノーマル機が2機のみ。地上戦力にしても、ランドリオンが3機のみだったと聞いている。
 これはどう考えても特殊部隊に回ってくるような任務ではない筈だ。

「だが、俺達に回ってきたとなるとそれなりの理由があるんだろう。他の部隊の手が足りなかったとか、な」

 自分で口に出して気が付く。
 これはもしかして始まった、のか?
 原作ではシャドウミラーの反逆の理由の1つに兵士を使い捨てるとかそういうのがあった筈だ。軍縮でその分の予算を浮かし、高官がその差額を自分の懐に収める。いわゆる政治の腐敗だ。
 だが、シャドウミラーがあちらの世界に転移するまでにはまだ3年以上残っている筈だ。
 ……3年? 何か、重大な事を忘れているような気がするのだが、思い出せない。

「隊長?」

 突然黙った俺が気になったのか、マルティンが不思議そうに尋ねてくる。

「いや、何でもない。恐らく軍の方でも何か理由があるんだろう。ただ、その辺は俺もちょっと気になるから基地へ帰還したらヴィンデルに尋ねてみる」
「分かりました。ただ、何か嫌な予感がするんですよね」
「ほら、レイディバードが見えてきた。俺達実戦部隊は難しい話は考えなくていい。そこら辺はヴィンデルやレモンに任せておけ」
「了解です」

 取りあえず、基地に戻ったらヴィンデルにその辺を聞いてみる必要があるか。





「ヴィンデル、ちょっといいか?」

 ラングレー基地へと帰還し、報告書を持ってきがてらヴィンデルの執務室へと出向いた。
 そこではいつもの通り、ヴィンデルが書類仕事を片付けている。

「構わんが、どうした?」
「報告書の提出と、ちょっと聞きたい事があってな」

 持ってきた報告書をヴィンデルの机に置きながら話を続ける。

「何だ?」

 書類から目を離さずに会話を続けるヴィンデルだが、その様子は慣れたものだ。

「その報告書にも書いてるが、今日の任務で出てきた敵機はリオンが2機にランドリオンが3機。どちらも今の連邦軍にしてみればロートル機だ。時代遅れの機体と言ってもいいだろう」
「そうだな。特に私達シャドウミラーは新鋭機を配備される事も多いだろうからそう感じるだろう」
「なら、何故だ? そんな旧世代機相手に、何故特殊部隊である俺達が出張る必要がある? それこそこの基地に所属しているPT隊とかでは駄目なのか?」

 そこまで口に出すと、初めてヴィンデルは顔を上げ視線をこちらへと向ける。

「確かに今回のような作戦は私達シャドウミラーではなくても十分だろう。だが、いくら特殊部隊とは言え、私達も軍の指揮系統に属しているのだ」
「だから、その指揮系統がおかしくなってないか、と聞いてるんだが」

 基地に帰還する時に思った事をヴィンデルに話す。
 それを聞いたヴィンデルは驚きつつも頷いてみせた。

「なるほど、確かにアクセルの言う可能性もあるな。……いや、誤魔化しはやめるか。確かにそういう汚職した軍人や政治家が増えてきているのは確かだ。だが全てが全てそのような腐った人物ばかりではない。大多数はまっとうな人格を持っている」

 正直、何が驚いたかと言えば今のヴィンデルの台詞だ。
 まさかあのシャドウミラーを率いて連邦に反逆の狼煙を上げるヴィンデルから、大多数の政治家や軍人がまともだという言葉が出るとは。
 となると、原作の方でもヴィンデルは最初から連邦を見限っていた訳じゃないのか? シャドウミラーとして活動していく中でなんらかの理由により連邦を信用出来なくなった?

「……分かった。ヴィンデルがそう言うのなら取りあえず現在はそれを信じよう。だが、次から任務を受けるのはいいがその裏くらいは調べておいた方がいいんじゃないのか?」
「そうだな。確かにそれも必要か。分かった。アクセルの方でも次の任務で何か調べる事が可能なら調べてみてくれ」
「ああ、了解した」

 ヴィンデルの言葉に頷き、執務室から出て行く。
 向かうのは格納庫だ。
 任務から帰ってきて、すぐに報告書を書いてヴィンデルへと会いに行ったので機体はそのままレイディバードから格納庫へ運ばれたままになっている。
 一応、不具合がないとは言えグロウセイヴァーはシャドウミラーの技術班としての最初の仕事だ。それだけに細かい不具合がないかどうかを出撃の度にレモンに報告しているのだが。

「怒ってないといいが」

 レモンの顔を思い出しつつ歩く。

「ん? レモン?」

 ふと脳裏を過ぎる違和感。それは少し前に感じた、あちらの転移まであと3年と考えた時のそれと似ていた。
 あと3年、レモン……あ! テスラ研でギリアムのアギュイエウスによる転移イベントか!
 ギリアムがあちらの世界に転移したのがシャドウミラーが転移する2年前。つまりは後1年程しか猶予が無い。
 シャドウミラーとしてはかなり大事なイベントだが、この所グロウセイヴァーの調整やらなにやらですっかり忘れていた。
 しかし、どうする? やはりレモンを送り込むべきか。
 その辺は格納庫でレモンにそれとなく匂わせてみるしかないか。時流エンジンに興味を持っているレモンなら、アギュイエウスが次元転移の可能性があると言えば俺が特に何をするまでもなくヴィンデルから許可をもぎ取りテスラ研へと出向くだろう。
 考えが纏まった所で、ちょうど格納庫へとたどり着いたので中へと入りレモンの姿を探す。

「あれ?」

 だが、レモンの姿がどこにも見えない。格納庫にいると思ったのは俺の勘違いだったか?
 疑問に思いつつも、近くを通りかかった技術班の整備員へと声を掛ける。

「すまないが、レモンはどこだ?」
「確か、グロウセイヴァーの方で見ましたが」
「そうか、悪いな」

 整備員に礼を言い、再度レモンの姿を探す。
 ……いた。丁度グロウセイヴァーの脚の影になっていて見えなかったようだ。

「レモン、ちょっといいか?」 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:11
PP:25
格闘:150
射撃:168
技量:160
防御:157
回避:185
命中:207
SP:230
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:13 

 

0031話

 振り返ったレモンは口元には笑みを浮かべつつも、その目は笑っていなかった。

「あら? アクセル。グロウセイヴァーに関して色々と聞いてみたかったんだけど、どこに行ってたのかしら?」
「あー、すまん。ちょっとヴィンデルに聞きたい事があってな。今回の作戦の報告書の方を先に仕上げさせてもらった」
「聞きたい事、ねぇ」

 取りあえずレモンの機嫌を取らなきゃ駄目だと判断し、持っていた書類をレモンの方に渡す。
 ヴィンデルへの報告書のついでに作っておいたものだ。
 グロウセイヴァーを操縦していて気になった点や、こうして欲しいという希望を纏めてある。

「ほら、これでも読んで機嫌を直してくれ。そうしたらもっと機嫌が良くなりそうな話を教えるから」
「あら、何かしら?」

 渡された書類を読みつつ、こちらに返事をしてくるレモン。
 この辺はヴィンデルと同じで器用なものだ。

「テスラ研って知ってるだろ?」
「テスラ・ライヒ研究所でしょう? もちろん知ってるわよ。と言うか、科学者じゃない一般人でも知らない人っていないんじゃないかしら?」

 まぁ、グルンガストみたいな特機を作っていて、しかも所長が派手好きでメディア露出もあるんだし当然か。

「で、小耳に挟んだんだが、そのテスラ・ライヒ研究所でちょっと面白い実験をやっているらしい」
「面白い実験?」
「ああ、なんでも空間転移に関する装置を作っているらしい」
「空間転移? インスペクターがやってた? でも、インスペクターが撤退する時に空間転移に関する技術なんかは全部持っていったって聞いてるわよ? 持っていけなかったものは粉々になるまで破壊する念の入れようだったとか」
「かもしれない。あくまでも俺が聞いたのは噂なんでな。ただ、インスペクターの技術を研究して作ったんじゃなくて、テスラ研の独自技術で作ってるって話だ」
「それは……確かに凄いわね」

 興味深そうな顔をするレモン。
 よし、掛かった!

「だろう? レモンが興味を持ってる時流エンジンとちょっと似ていると思わないか? 時流エンジンは時間をコントロールし、テスラ研の方は空間をコントロールする。どうだ?」
「そう、ね。時流エンジンの研究に使えるかどうかは分からないけど、空間転移というだけでも確かに興味深いわ」

 予想通りと言うか何と言うか、やはりレモンにとって空間転移の技術はかなり興味深いらしい。
 後は、どうにかしてテスラ研でその研究に関われるように持って行くだけだ。
 いや、元々口が上手い訳でもない俺にとってはそれがかなりの難題であるのは間違い無いんだが。
 ただまぁ。シャドウミラーには政治的能力の高い指揮官がいるんだしそっちに頑張ってもらおう。

「興味あるなら、ヴィンデルに頼んでテスラ研に協力研究員って事で出張させて貰うってのはどうだ? 幸い、グロウセイヴァーの調整も殆ど問題無いようだし、いざとなったら通信でどこをどう調整すればいいのか部下にアドバイスすればいいだろう」
「そう、ね。確かにそれもいいかも。でも何でそこまでしてくれるのかしら?」

 積極的にテスラ研へ行くのを勧めすぎたのが気になったのか不思議そうな顔で訪ねてくるが、正直今回レモンを派遣するように行動しているのは純粋にシャドウミラーの戦力アップの為、というのもある。

「特殊処理班の隊長としても、転移技術は美味しいからな。もし自由に使えるようになれば、移動の時間を限りなく少なくできるし、なによりインスペクターが使っていた転移による奇襲攻撃も使えるようになる」

 もっとも転移技術が完成するのはあちらの世界に転移してからなのだろうが。
 いや、原作ブレイクしまくっているこの世界ではもしかしてレモンの力でシャドウミラーの反乱前に転移技術が完成する可能性もある、のか?
 もしそうなったら、反乱が成功してしまう可能性を考えないといけなくなるな。
 ……いや、そもそも原作でもシステムXNのアギュイエウスが内蔵されたツヴァイザーゲインが完成したのはアースクレイドルに所属していたイーグレット・フェフやアギラ・セトメ、クエルボ・セロの技術を使い、それだけでも足りなくてイスルギ重工に手を回して手に入れた各種新型機の技術を使ってようやく完成したレベルのものだ。いくらレモンとは言え、1人ではちょっと無理だろう。

「そう、ね。なら早速ヴィンデルに頼んでみるわ」
「頑張って説得してくれ」
「あら、手伝ってくれないのかしら?」
「俺よりもレモンの方が口が上手いだろ」

 レモンに軽く手を振り、格納庫を出て行く。
 ここまでレモンの好奇心を高めたんだし、まず俺がいなくても大丈夫だろう。

「ふわぁ……」

 安心した途端、欠伸が出てきた。
 作戦で暴れて、帰ってきたからすぐに報告書の作成と休む暇もなかったらからな。部屋で昼寝と洒落込むか。





「アクセル少尉、アクセル少尉?」
「ん……?」

 なにやらコンコンと五月蠅いな。何だ?
 ベッドの上で背伸びをすると、再度ドアの方から声が聞こえてくる。

「アクセル少尉、ちょっとよろしいでしょうか?」
「あー、構わないから入ってくれ」

 昼寝という事で軍服のままで寝ていたので、特に着替える必要もなくそのままベッドに腰を掛ける。
 ふと、部屋に備え付けの時計を見ると18:28分とあった。どうやら2時間程眠っていたらしい。

「あ、眠ってましたか。お休みの所お邪魔して申し訳ありません」

 入ってきたのは基地の中で何度か見た顔の通信オペレーターだった。
 その顔色はどこか心配そうにこちらを見ている。

「で、どうしたんだ?」

 その顔色を疑問に思いつつも、尋ねる。

「はい、それがアクセル少尉に通信が入っておりまして」
「通信?」

 はて、誰からだろう? アフリカにいるバリソンからか? それとも宇宙にいるユーリアからか?

「それが、その、訃報の連絡らしいです」
「訃報? ……訃報!?」

 訃報、つまりは誰かが死んだのか?
 その事で1番先に頭に浮かんだのは、やはり先に挙げたバリソンとユーリアの2人の事だった。

「……誰だ?」

「その、時空研究所のラージ・モントーヤという方からです」

 は?
 ラージからの通信だと聞き、最初は意味が分からなかった。
 だが、すぐにエクサランスチームの面々を思い出す。
 ……なるほど。ここでロム・モントーヤ博士が死ぬのか。
 ラージからの訃報の通信となると、時流エンジン研究所の誰かが死んだのは確かだろう。だが、ラウルにしろ、フィオナにしろ、ミズホにしろ、ラージにしろ、主人公勢とその仲間達だ。こんな所で死ぬ可能性はまず無いと思っていい。
 だが、ラージの父親であるロム・モントーヤ博士に関して言えば、原作が始まった時点で既に死んでいた人物だ。

「アクセル少尉?」
「ああ、分かった。すぐに行く」

 軽く礼を言い、プライベート通信が許可されている部屋へと向かう。
 にしても、この時点でロム・モントーヤ博士が脱落するというのは予想外だ。
 いや、先程も考えた通り原作開始前に死ぬのは分かっていた。ただ、それでも後1~2年の猶予はあると思っていた。
 理由としては、ラウル達の年齢がある。俺が現在19歳という事は、俺と4歳差のラウル達はまだ15歳前後だろう。
 ぶっちゃけ、前世で考えれば中学3年か高校1年くらいの年齢だ。そんな年齢でエクサランスを無事開発する事が出来るかと言われれば、普通なら首を傾げるだろう。
 それとも、ラージの論理的な交渉術とミズホの開発能力でなんとか乗り切るのだろうか。
 そんなどうにもならない事をつらつらと考えているうちに通信室へとたどり着く。

「では、通信が終わったら知らせてください。私は部屋の外にいますので」

 気を利かせてくれた礼を言い、通信モニタの前に出る。

「こんにちは、アクセルさん」
「ああ、久しぶりだな。それで訃報だという事だが?」
「ええ、父が事故で亡くなりました」

 淡々と用件のみを伝えてくるラージ。
 悲しくないという訳ではなく、感情を抑えているようだ。

「分かった。葬式には行かせてもらう。いつだ?」
「来週の火曜になります」

 今日が土曜だから、3日後か。ヴィンデルに休暇を貰わないとな。
 エクサランスの件でも話をしておきたい所だ。
 時流エンジンの研究者で唯一の大人だったモントーヤ博士が逝ってしまった以上、これからの研究はあの4人で進める事になるだろう。
 そして、その研究を続ける為の資金も今までよりもずっと厳しくなる筈だ。なにせ傍目から見れば子供だけなのだから。

「そう考えると、エクサランスの開発スピードが上がる、のか?」

 資金が足りない以上、なるべく早めにきちんとした結果を出さなければならなくなる。いくらシャドウミラーが援助しているといっても、ヴィンデルだって金の成る木を持っている訳じゃないんだし。
 溜息を1つ吐き、ヴィンデルに休暇をもらえるよう交渉に向かう事にした。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:11
PP:25
格闘:150
射撃:168
技量:160
防御:157
回避:185
命中:207
SP:230
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:13 

 

0032話

「今回は大変だったな」
「いえ、事故ではしょうがないです」

 モントーヤ博士の葬式も終わり、現在は時流エンジン研究所で皆が持ち寄った料理を食べている所だ。モントーヤ博士の死因は交通事故。どうやら気分転換でドライブに出たのはいいが何らかの理由で車の操作をミスり、海に突っ込んでしまったらしい。

「それにしても、おじさんがいなくなっちゃってこれからどうしよう?」

 不安な表情をしながら口に出すフィオナ。
 フェル博士が亡くなり、後見人だったモントーヤ博士まで亡くなってしまった。
 フィオナ達の年齢も考えると、未来の事を思い不安になるのはしょうがない。

「そうだな。うちの部隊としてもこのままの資金援助をするのは難しいと上司に言われたな」
「そんな。アクセルさん、なんとかならないんですか?」

 ラウルの言葉に首を振る。

「俺だけの問題ならなんとでも出来るし、してみせるさ。ただ、これまでの資金援助も俺の上司がかなり無理をして連邦軍と交渉した結果だったんだ。だが、それだってモントーヤ博士という人物がいたからこそ出来た資金援助だ」

 俺の言葉にショックを受けた4人を見ながら、溜息を1つ吐く。
 実際、ヴィンデルからは今回の休暇をもらいに行った時にその辺に関して言われていた。 そしてもう1つ。

「ただ、幸か不幸か上司から1つ提案を貰ってきた」

 その言葉に、僅かな希望を見たかのようなラウル達。

「提案、ですか?」

 4人を代表してラージが口を開く。

「ああ、提案だ。現在の資金援助は時流エンジンの研究と、それを動力源にした人型兵器の開発に対するものだ。これらの比率は今までは大体7:3くらいの割合で使われていた。この比率を4:6にして時流エンジンを使用した兵器の完成を急ぐ。また、無条件で資金援助するのは3年が限界だ。それまでに何らかの成果を上げられない場合は援助を打ち切る可能性が高い」
「そんな……」

 ショックを受けた様子でミズホが呟く。
 まぁ、兵器よりはレスキューマシンを開発したいミズホにとってはあまり嬉しい話ではないか。

「悪いが、こっちとしても色々と頑張ってこの条件を引き出したんだ。これ以上の条件は無いと思ってくれていい」

 俺の言葉にラージが何かを考え込むように目を瞑る。
 数秒後、目を開けると何かを決意したようにこちらへと声を掛けてくる。

「アクセルさん、ちょっと見てもらいたいものがあります。……ミズホ、いいですね?」

 その言葉でラージが何を見せようとしているのか想像がついたのだろう。ミズホは大人しく頷く。
 頷いたミズホを見て、部屋を出て行くラージ。その後ろ姿を眺めながらラージが何を見せようとしているのかが予想できた。
 資金援助に関する話とミズホに確認した事を考えれば兵器関係。だが、この短期間で何らかの実物が出来ているとも思えない以上、設計図が妥当だろうか。

 部屋に戻ってきたラージは、1枚のデータディスクを持っていた。

「アクセルさん、これを見てもらえますか?」

 部屋にあるコンピュータにデータディスクを入れてモニタに表示させる。
 やはりそこにあったのは何らかの機体の設計図だった。ただし、俺の知っているエクサランスの姿ではない。どちらかと言うと、ゲシュペンストを簡単にしたような感じ? ガンダムの量産型であるジムみたいな感じか。

「これは?」
「一応、僕達で設計してみた時流エンジン搭載機の設計図です。ただ、見てもらえば分かる通りアクセルさんからもらった量産型ゲシュペンストのさらに量産型といった感じになってしまっています」

 量産型のさらに量産型ってのもある意味凄いな。
 だが、もちろんヴィンデルはこれを成果物としては認めないだろう。
 もしかして、気を回して量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの設計図を持ってきたのが原因か?
 本来、4人で相談しながらエクサランスを作っていく所に、既に設計図があったからそれを基に考えたらこうなった?

「さすがにこれはヴィンデルも却下するだろう。レモンなんかは面白がって欲しがるかもしれないが」

 俺の漏らした名前に反応したのはフィオナだった。

「アクセルさん、ヴィンデルとレモンって?」
「あぁ、言ってなかったか。ヴィンデルが俺の上司だ。時流エンジンの研究資金を援助するように上と掛け合ってくれたのもこいつだな。レモンは俺たちの部隊の技術班のトップだ。何と言うか、興味のある事に対しては天才的な能力を持っている」
「ふぅ、ん。ヴィンデルって人は名前からいって男の人だろうけど、レモンさんって人も男の人?」
「いや、女だ。年齢は俺とそう変わらないな。と言うか、ヴィンデルも俺とそう年齢は違わない」

 ん? なにやらフィオナが複雑そうな表情になっている。ミズホやラージが科学者や技術者として対抗心を持つなら分かるんだが、テストパイロット予定のフィオナが何で対抗心を持つんだ?
 っと、とにかく話を纏めないとな。

「とにかく、この設計図の機体じゃ駄目だ。ただでさえ、現在は次期主力機のトライアルが行われている。この意味が分かるな?」
「量産型ゲシュペンストMk-Ⅱのスペック以上の性能が最低ラインになるという事ですか?」

 さすがにラージは話を理解するのが早い。
 のんびりしているように見えるミズホもいつもなら理解が早い筈なのだが、今は何故かフィオナと一緒になってこそこそと何かを相談している。

「ああ。ただラージ達に取っては悪い事に、その量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを強化・改修する為のハロウィン・プランという計画も進められている」
「そうですか。ならボーダーラインがもっと高くなるという事ですね」
「ああ、だから……そうだな。もっと他の機体にないコンセプトの機体を考えてみるのはどうだ?」
「時流エンジンだけじゃ駄目なんですか?」

 横から口を挟んできたのはラウル。やはり自分達で作る機体だけに気になるのだろう。

「そうだな、確かに時流エンジンは大きい長所の1つだ。しかし、同時に一定以上のエネルギーを生み出す事は出来ないだろう?」
「うん、確かにそういう話をミズホから聞いた事があるな」
「例えば、だ。俺の機体はサンプル用にモントーヤ博士からもらった大型の時流エンジンを使っているんだが、世代的に古い時流エンジンだから他の動力源よりもサイズが大きいんだ。つまり、俺が使っているアシュセイヴァーに積む事は出来なかった。これを解決したのがさっき話に出てきたレモンで、時流エンジンを外付けにした」

 外付けという単語が聞こえたのか、ミズホとフィオナも話に入ってくる。

「外付けですか? でもそれじゃあ危ないんじゃ?」
「そうだな。普通ならそう考える。だが、レモンは逆に考えたんだ」
「逆、ですか?」
「つまり、外付けにして危険なら、外付けにした時流エンジンに装甲を纏わせるという風にな。ついでにという事で、追加ブースターやらビームガトリング砲やリニアレールガンやらの追加武器も纏めて追加統合兵装を作り出した」
「凄い」

 感心するミズホと、それに同意するラージとラウル。フィオナは何故かまた苦々しげな表情をしている。

「つまりレモンは外付けという危険な手段を取りながらも、最終的には機体をより強力に仕上げる事に成功した訳だ。まぁ、この例はあくまでもコンセプトの1つだからこれに拘る必要は無いが、お前達独自の発想というのは大事なものだと言うのを忘れないでくれ」

 俺のその言葉を聞き、ラージとミズホは考え込む。
 自分達の開発する機体の事を考えているのは明白だ。
 こうして見る限りではミズホもレスキューマシンを諦めた訳じゃないだろうが、今はエクサランスの開発に専念してくれるだろう。

「なぁ、ラージ、ミズホちょっといいか? 今のアクセルさんの話を聞いててちょっと思いついた事があるんだけど」

 何か考えついたのか、ラウルがラージとミズホの2人に声を掛ける。

「何かいいアイディアでも思いついたんですか?」
「えっと、アクセルさんの機体は時流エンジンを外付けにした理由はそっちに送られた時流エンジンが旧型で大きかったからなんですよね?」
「そうだな。ただ、旧型ではあるが1度に出せるエネルギー量と安定性に関してはモントーヤ博士が研究していた小型のものよりも上だったようだが」
「つまり、元々機体で使ってた動力源と時流エンジンの2つ使ってるという事ですよね?」

 ラウルの問いに頷く事で答える。それを見たラウルは、ラージとミズホの方へ振り向き口を開く。

「どうせ俺達が作る機体は1から設計するんだし、最初から元来の動力源と時流エンジンの2つを同時に使えるようにしてみるというのはどうかな? 時流エンジンをメインにして、元来の動力源をサブで」
「なるほど。確かにそれはありだな。俺の乗ってる機体でも時流エンジンを使う時にその案を検討したんだが、レモンにそれなら最初から開発するのと大して変わらないと却下された。だがお前達の場合はこれから新型機を作るんだしその問題は無い」

 ラウルのアイディアを素直に賞賛する。
 そう言えば、原作でも時流エンジンの他に補機を採用していたな。これはつまり。
 ふとそう考えた時、とうとうそのアイディアがミズホの口から言い放たれた。

「前から考えていたんですが、コックピットをメインにして機体を取り替える、というのはどうでしょう?」
「それは確かに有用ですが、なんで最初から言わなかったんです?」

 多少ではあるが、責めるようなラージに対して謝るミズホ。

「すいません。奇抜すぎて駄目かな、と思いまして」
「まぁ、そのおかげでアクセルさんがいる時に言えたんだからいいじゃないか」
「そうだな。機体フレームを換装するシステム、フレーム換装システムか。良いアイディアだと俺も思うぞ。軍人としての意見を言わせてもらえればフレームを換装するだけで水中戦・空中戦・地上戦・宇宙戦にも対応出来るようになってくれればパイロットとしてはありがたいし、連邦軍としても時流エンジンのコスト問題を抜きにしても飛びつく可能性があるな」

 俺のお墨付きに、4人とも表情を明るくする。
 フィオナもいつの間にか明るい表情になっていた。

「ただ、出来れば時流エンジンのコストをもう少し下げるべきだな。フレーム換装システムと時流エンジンというプラス要素を考えても、時流エンジンのコストというマイナス要素で差し引きゼロになったらつまらないだろ?」
「そう、ですね。その辺はこれからの研究次第でしょうか」

 これでようやくエクサランスの開発が始まる、か。俺のつまらないお節介で逆に遠回りさせてしまったな。まさに小さな親切大きなお世話って奴か。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:11
PP:25
格闘:150
射撃:168
技量:160
防御:157
回避:185
命中:207
SP:230
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:13 

 

0033話

 モントーヤ博士の葬式から4ヶ月程が経ち、レモンもヴィンデルを上手く説得出来たらしくテスラ研へと出張して転移装置を開発する科学者達の一員として働いていた。
 週に3~4回程シャドウミラーとしての連絡事項やら何やらでこちらに通信を送ってくるが、大抵は開発がなかなか進まないと愚痴られる事が多い。
 ……そういえば、その開発者の中心メンバーにヘリオス・オリンパスというのがいるらしいんだが、これって確かギリアムの偽名だったよな。
 いや、この世界で使ってる名前なんだし、別に偽名という訳じゃないのか。
 ギリアムは原作だと後1年ちょっとであちらの世界に転移する筈なので、レモンにはそれまでに出来るだけ空間転移技術のノウハウを習得して欲しいものだ。

 エクサランス開発の方はそれなりに順調らしい。
 基本的にはやはりラージとミズホで開発を進めているらしいのだが、ラウルやフィオナが時々妙に鋭い所を突いてくる、とラージからのメールに書かれていた。
 理由は不明だが、フィオナが今まで以上にエクサランスの開発に熱心になっているようだ。
 原作通りコックピットが脱出装置兼小型戦闘機になるってアイディアも、フィオナがテストパイロットとしての意見で提案して採用されたらしい。
 フレーム換装システムに関しては取りあえず没になったとは言え、最初に作った設計図を基に地上戦闘用のフレームから作る事になったようだ。
 地上戦闘用のフレームって確か右手にでかいハサミを持ってる奴だったと思う。……何かでかいハサミを装備している機体というとビルトビルガーを思い出すな。
 何はともあれ、開発は頑張って欲しい所だ。
 で、俺はと言うと。

「ヴィンデル、入るぞ」

 ヴィンデルの部屋を軽くノックし、さっさとドアを開けて執務室へと入っていく。
 部屋の中では眉を顰めたヴィンデルがこちらを見ていた。

「アクセル、ノックをしてもこちらの返事を聞く前に入ってくるのではノックの意味がないではないか」
「どうせ書類仕事しているだけだろ? 気にするな。俺は気にしない」

 溜息を吐き、2枚の書類を俺の方へと渡す。

「これは?」
「アクセル・アルマー中尉、任務だ」
「中尉?」

 渡された書類を良く見てみると、片方は俺が少尉から中尉に任命すると書かれているものだった。

「俺が中尉、ねぇ」

 原作の方でのアクセルの階級はどうだったか? その辺は確か全く表現されていなかった筈だ。ヴィンデルが大佐だというのは自分で名乗っていたので覚えているのだが。
 まぁ、散々原作ブレイクしまくってしまった以上、俺の階級がどうでもそう大差はないか。

「で、任務は?」
「以前言っていた汚職政治家に関係する件で、ニューヨークにあるマフィアの事務所に忍び込んでの証拠集めだ」

 そっち系の任務か。俺はどちらかと言えば戦闘向けなんだが。

「そう面倒そうな顔をするな。お前に任せるのは理由がある。まず、この任務での殺しは一切禁止とする」
「は? それは相手に見つかったりした場合でもか?」
「そうだ。マフィアのメンバーを殺せば騒ぎが大きくなる。そうすると結局問題の政治家にもその騒ぎが聞こえて警戒されるてしまうからな」
「だが、証拠集めなんだろう? つまりは裏帳簿やらコンピュータやらを盗んでくるという事だよな? そんな事があれば、その政治家にも連絡が行くんじゃないのか?」

 マフィアを殺して政治家に連絡が行くのも、汚職政治家の証拠品を盗んで連絡が行くのも一緒だと思うんだが。
 そんな俺の疑問に、ヴィンデルは首を振って否定する。

「確かに証拠品が無い事に気が付けばいずれは政治家に連絡も行くだろう。だがそれは証拠品が無い事に気が付いてから、だ。また自分の不手際を知られたくない為に、まずは自分達でどうにかしようとするだろう。その分の時間があればその間に政治家の方をどうにか出来るかもしれない」
「なるほど。という事は、コンピュータごと盗ってくるのは駄目か」
「そうだな。データをディスクか何かにコピーして来るというのがベストだ。さすがに裏帳簿やら契約書やらはそのまま持ってくるしかないと思うが、そちらでもダミーの紙を置くなりしてくれると助かる」

 コンピュータを丸ごと空間倉庫に入れて、という特脳研の時と同じ手は使えないか。

「了解した。所でその汚職政治家の名前は?」
「アルバート・グレイだ」
「あぁ、あの」

 原作ではカール・シュトレーゼマンの操り人形になっていたが、エアロゲイターに攻撃された時にあっさりと見捨てられていた3流政治家だったと思う。
 口調が一々相手を見下しながら話す奴で、その点では幼年学校時代のジーベルと似たようなものだ。

「了解。あの3流政治屋を表舞台から消す為ならちょっと頑張ってみようかね」
「お前も案外言うものだな」

 苦笑を浮かべつつ見送るヴィンデルに軽く敬礼をして、執務室を出て行く。
 まずは忍び込むのに必要な各種道具を技術班に用意して貰わなくちゃいけないか。
 俺はレモンと仲がいい為か、技術班に所属している奴らからはそれなりに敬意を払われている。
 その事をレモンに教えた時には『私を一体何だと思ってるのかしら?』とか言って、時々見る肉食獣の笑みを浮かべていた。
 そんな笑顔をするからこそ、整備員達に恐れられるんだと思うんだが。
 もっとも恐れられているだけかと言うと、ちょっと違う。その能力の高さや何だかんだで面倒見の良い所から慕われてもいる。ただそれが純粋な尊敬ではないだけで。あえていうなら畏れ敬うという事で畏敬、か?
 そんな事を思いつつ、整備員達や科学者が集まっている技術班の待機部屋へと向かった。





「ここか」

 ニューヨークの夜に紛れるようにして、俺はそこにいた。
 着ているものは、特脳研に忍び込んだ時と同じ闇に紛れる為の黒いボディスーツに赤外線探知や暗視装置、ズーム機能に映像保存機能。その他諸々の機能が詰め込まれたレモンお手製の特製バイザーだ。テスラ研で得た技術を使って作ったらしく、使い心地をレポート提出するようにと言われている。
 もっとも、技術班員達は自分達の代わりに俺が使うという事で大喜びだったが。
 にしてもレモンの奴、なんでこんなピンポイントに使えそうな装備品を用意してあったんだ? ヴィンデルから俺がこの任務を命令されると知っていたのか?
 まぁ、使えるんだし問題は無い。データの方はともかく、紙の資料はこのバイザーにある映像保存機能を使えばダミーなんかは必要無いんだし。
 ちなみに、他の道具類は持っていない。何せ俺には空間倉庫というものがあるので細々としたものはそっちに全部突っ込んである。
 おかげで多少ではあるが、動きやすい。

「さて、まずは集中」

 精神コマンドの集中を使用。
 ちなみにこの集中の効果は1分程集中力を上げるというものだった。
 より正確にはものごとの違和感を察知すると言えばいいのだろうか。
 原作のように無条件で1ターンの間、回避・命中が30%アップというものではなく、その違和感を覚えてそれを基に行動した結果、回避や命中を上げるというものだ。
 そんな曖昧な効果故か、加速なんかと同じように生身でも気軽に使える精神コマンドと言ってもいいだろう。
 集中を使った効果により上がった集中力で周囲の違和感を探る。

「よし、特に何も無いな」

 マフィアの事務所はオフィス街の一画にある為、夜の現在は周囲が暗闇に包まれている。
 これが日本のヤクザとかなら繁華街に事務所があるんだろうが、堂々と組名を看板に掲げて存在する事の出来る日本と違い、ニューヨークではそんな真似は出来ない。
 そんな真似をしていればすぐに警察なりなんなりが突入してくるだろう。
 集中の効果で増した集中力により、周囲に警備をしている人物がいないというのは確認できた。
 もっとも、俺の違和感を察知する能力よりも高い隠蔽能力を持った人物がいないとも限らないが、そこまで考えては何も出来なくなる。
 周囲の闇に紛れるようにして、2階建てのその建物へと近づいていく。

「よし、スライム」

 空間倉庫からスライムの触手を出し、液体状にして事務所の探索を進める。
 全部屋の探索が終わるまで1分弱。建物の影に潜むようにして隠れていたが、幸い誰か来るという事もなく探索は終了した。

「中に人は誰もいないが、赤外線が設置されている部屋が2階に1部屋だけあり、と」

 ほぼ間違い無くその部屋に大事なものがあるのだろう。赤外線が張られているのは部屋の中の高さ1m程の場所だけにネズミなんかの小動物が引っ掛かる恐れも無い。つまり赤外線に接触するのはほぼ確実に侵入者という事になる。

「ま、もっともそこにあると分かっていれば引っ掛かるなんて事は無いんだが」

 事務所の換気扇から進入させたスライムを使い、近くにある窓の鍵を開けて中へと侵入する。
 スライムで確認はしたが、一応念の為にバイザーのスイッチを入れ赤外線を見逃さないようにしておく。
 そしてそのまま2階へと移動し、問題の部屋の前まで呆気なく到着する。

「幾ら何でも簡単すぎる気がするが」

 仮にも政治家と癒着して悪さをしているマフィアだ。その事務所がこれ程手薄なのはちょっと疑問に感じる。

「まぁ、アルバート・グレイみたいな三流と組んでいるのを考えると、このマフィアも三流なのかもしれないが」

 小さく呟き、ドアを体が入る程度に小さく開ける。
 この部屋の赤外線の位置からいって、ドアを大きく開けると接触する事になるからだ。
 ドアの中へと体を滑り込ませ、すぐにドアを閉め部屋の中を確認する。
 バイザー越しに視界に入ったのはスライムで偵察した通り床から1m程上の位置に赤外線が張られている光景だった。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:12
PP:60
格闘:154
射撃:172
技量:164
防御:161
回避:189
命中:211
SP:238
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:18 

 

0034話

 恐らくこの部屋はマフィアの中でもそれなりの地位にいる男の部屋なのだろう。
 高級家具と思われるソファやらデスクが置かれている。
 ……いや、バイザーの暗視装置越しなので絶対に高級品かと言われれば断言は出来ないが。
 壁に掛かっている絵だって俺の知識じゃ本物か偽物かの判別は出来ない。
 もっとも、この絵は10中8、9贋作だとは思う。理由として、この絵が掛かっている後ろの壁に隠し金庫らしきものが埋め込まれているからだ。
 隠し金庫を使うたびに触る所に、まさか名画は飾らないだろう。
 にしても、特脳研の所長といい、ここの事務所といい。壁に隠し金庫を埋め込むのが流行ってるのか?
 壁に掛かっている絵画を外し、スライムでなるべく鋭く隠し金庫のある壁を斬り裂く。スッパリと綺麗に切断されたその壁は、元の位置にピッタリと戻せば傍目には斬られたとは分からないだろう。
 実際に触ればバレるかもしれないが、その辺の時間との勝負はヴィンデルに任せておくしかない。
 金庫の中から取りだした書類をバイザーの録画機能で次々に保存していく。
 アルバート・グレイとのやりとりに使う裏帳簿や、武器に関する売買の契約書、中にはPTやAMの売買契約書もあった。
 後は債権やら株券やらその辺だが、一応念の為にそれらも記録しておく。
 数分後、一通りの記録が終わり書類を隠し金庫の中へと戻し、切断した壁を嵌め込み、絵をかけてカモフラージュ完了っと。
 隠し金庫の方が一段落したら、次はコンピュータだ。
 一応起動させる前に通信ケーブルを引っこ抜いておく。
 コンピュータ起動時に自動でネットに繋がって、それが原因で侵入がバレたりしたら洒落にならん。
 空間倉庫から技術班謹製のハッキングツールが入っているディスクを取り出し、起動時に読み込ませる。
 これを行う事で、これから行われる操作の一切のログがコンピュータ側には残らないという優れものだ。ちなみにこれはバイザーと違い、レモンではなくて技術班員達の作品だったりする。
 OSが立ち上がり、パスワードを要求されるがツールの方で自動的に解除してくれる。
 画面に操作準備OKの文字が出たのを確認してからツールの入っているディスクをデータ保存用のディスクへと交換し、コンピュータの中身を丸ごとコピー。
 にしても、ディスク1枚でまるごとコピー出来るコンピュータの容量ってどうなんだ? いや、この場合はコンピュータのデータを丸ごと保存できるディスクの性能に驚くべきか。

「コピーに掛かる時間は大体30分か」

 30分間特に何もする事がないので、暇つぶしにコンピュータの中身を見てみる事にする。
 もっとも仕事用のコンピュータらしく、特にゲームやらなにやら面白いものが入っている訳では無いのだが。

「見ていても、特に面白いものは……あ、メールでも見てみるか」

 ふと思いつき、メーラーを起動。受信メールを表示させる。
 そこに並ぶメールのタイトル一覧を上から順に見ていきつつ、面白そうなメールを読んでみる。
 内容的にはアルバート・グレイからの依頼……いや、違う?

「おいおいおいおい」

 メールの本文を見るに、依頼というよりは命令といった方が正しいような書き方だ。
 例えばどこそこにある店で暴れて評判を落とせという内容や、特定の政治家の集会に参加して野次を飛ばして荒れさせろ、その他にもそれ系がずらりと並んでいる。
 もしかして俺は勘違いをしていたのか? ここのマフィアはアルバート・グレイと協力関係にあるんじゃなくて、アルバート・グレイ本人が汚い仕事を任せる為に作ったんじゃないのか?
 そんな風に考ながらメールを順番に見ていると、その内容が目に入ってきた。
 特定の個人を殺すように命令するものだ。
 内容的にはそれ程珍しいものではない。今見てきたメールには何回か同じような命令が出ている。
 だが、その対象の名前が『ロム・モントーヤ』となると話は別だ。
 ラージから聞いたモントーヤ博士の死因は事故。車の運転中に操作を誤り海に突っ込んでしまい亡くなった筈だ。少なくてもラージはそう信じている。

「それが、暗殺だった?」

 だが、原因は何だ? 俺は原作知識があるので永久機関の時流エンジンを知っていたからその業績の大きさが分かるが、普通のこの時代の人にとってはモントーヤ博士は殺さなきゃいけない程の重要人物ではない筈だ。

「いや、待てよ?」

 時流エンジン。それがモントーヤ博士を暗殺する原因になったとは考えられないか? 例えば、このマフィアはPTやAMなんかの兵器の裏取引もやっている。そこに永久機関の可能性を持つ時流エンジンを開発しているという人物がいると知ったとしたら?
 学会での時流エンジンの扱いは物笑いの種でしかないが、現実に利益になる可能性を考えた場合アルバート・グレイのような奴は即物的な手段を取ろうとしても不思議は無い。そしてそれをモントーヤ博士が断ったとしたら?

「ヴィンデルに相談する必要があるな」

 ピコ、という電子音が聞こえてふと我に返る。
 モニタにはコピーが終了したと表示されている。 どうやらそれなりに長い時間考え込んでいたらしい。
 データをコピーしたディスクを空間倉庫の中へと入れ、誰かがここにいた痕跡がない事を確認し部屋から出る。
 取りあえず、これで任務は完了だ。後は結果をヴィンデルに報告するのみ。
 スライムで周囲を探索しつつ、誰にも見つからないようにして事務所から脱出した。





「ヴィンデル、これがコンピュータのデータだ。それとこっちのディスクに裏帳簿やら何やらを撮ってきた映像が入ってる」

 ニューヨークから無事ラングレー基地まで戻った俺は、ヴィンデルへと2枚のディスクを渡す。

「ご苦労だった」

 ヴィンデルはそのディスクを受け取り、早速自分のコンピュータで確認を始める。

「そのデータを見てれば分かると思うが、今回忍び込んだマフィアはアルバート・グレイと協力関係にあるんじゃなくて、多分自分の汚れ仕事をやらせる為にアルバート・グレイ本人が作ったものだ」
「本当か?」
「それだけじゃない。データの中でもメールを見てくれ」

 ヴィンデルが俺の言葉を聞き、データの中からモニタにメールの一覧を表示させる。

「上の方の……そう、それだ。ちょっと読んでみてくれ」

 そのメールは、モントーヤ博士の暗殺を命令するものだ。
 さすがにヴィンデルもそのメールを読んで驚きの表情を浮かべる。

「これは」
「アルバート・グレイってのは三流の政治屋なんだろう? そいつが時流エンジンの事を知ったらどうなると思う?」
「なるほど、確かモントーヤ博士は事故で死亡だったな?」
「ああ、恐らく車に細工か何かしたんだろうな。で、警察なんかは政治家としての権力で黙らせたって所だろう」
「そう、か。そこまで」

 数秒黙っていたヴィンデルだったが、突然デスクへとその拳を叩きつける。
 ガンッという音が部屋に響き、それがヴィンデルの内心を表しているように思えた。

「アクセル、この事は」
「ラージ達にか? 言えない。言える訳がない」

 モントーヤ博士に時流エンジンを動力源に人型兵器を作るようアドバイスしたのは俺だ。つまり、モントーヤ博士が死んだ理由の何割かは俺にある。
 例え俺が接触しなくてもいずれエクサランスを作る事にはなっていただろう。そうも思うが、胸の中にある不快感は消えてはくれない。

「分かった。この証拠は私が有用に使わせてもらう。絶対にこのままにはさせないから安心してくれ」
「ああ、頼んだ。俺はあいにくそっち方面の才能はないんでな。その辺はヴィンデルに任せる」

 ヴィンデルと互いに頷き、そのまま部屋を出ようとする俺に再度声が掛けられた。

「アクセル、言い忘れていたが以前言っていたシャドウミラー専用の基地が後少し、恐らく3ヶ月程で完成する。完成したらそっちに移る事になるから、その辺は気をつけておいてくれ」

 そういえば、この基地に来た当初にそんな事を言っていたな。

「場所は?」
「南米のエクアドルだ」

 エクアドル、確かアマゾン川やガラパゴス諸島が近くにある所だったか?
 イメージ的には自然豊かな場所ではあるが、連邦軍の特殊部隊の基地というのとはちょっとイメージと合わないな。
 地理的には、コロンビアとペルーに挟まれている小国だ。

「また、なんでそんな辺鄙な所に」
「誰も興味を持たないような所だからこそ、私達シャドウミラーのような特殊部隊の基地として丁度いい」

 そんなものか、と頷き納得する。

「分かった、3ヶ月だな。一応準備はしておく。特殊処理班として持って行くものは機体くらいしかないけどな」
「それもしょうがない。元々ここは仮初めの宿だ。持ちきれない程の荷物があっても困る」

 持ちきれない程の荷物、ねぇ。

「レモンの技術班はそうなりそうな気がするけどな」
「ああ、確かに。レモンの研究室自体がかなりの荷物だからな」

 ヴィンデルの言う通り、Wシリーズの研究もしているレモンは人間大のシリンダーを多数所持しているし、その中身が入っていたりするものがある。
 この様子ではヴィンデルもWナンバーズの事を知っているのだろう。

「あぁ、そうだ。レモンの事で思い出した。アクセル、お前は明日から3日程休暇をやるからレモンのいるテスラ研まで行ってきてくれ」
「休暇? いや、嬉しいがなんでまた俺がテスラ研に?」

 ここの所、任務やら訓練でそれなりに忙しい日々が続いていたし、今回判明したモントーヤ博士の事もある。骨休みしたかったのは事実だが、急にテスラ研に行けと言われても困る。

「レモンから転移装置の件でお前にも意見を聞きたいと言ってきてな」
「いや、意見って。本職のレモンが全くの部外者である俺にか?」
「どちらかと言うと、時流エンジンの研究者と親交の深いアクセルの意見を聞いてみたいらしい」

 時流エンジンの研究者と親交の深い、ね。俺がレモンをテスラ研に出張させる時に使った転移装置と時流エンジンが似ているというのを覚えていたのか?
 まぁ、実際にテスラ研には1度行ってみたいと思ってた所だし丁度いいと言えば丁度いいんだが。

「了解。出発は明日であっちに1泊して戻ってくる感じか?」
「ああ、それで頼む」

 こうして、休暇に託けたテスラ研への短期出張が決まったのだった。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:12
PP:60
格闘:154
射撃:172
技量:164
防御:161
回避:189
命中:211
SP:238
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:18 

 

0035話

 目の前にあるのは巨大な建物。テスラ・ライヒ研究所、通称テスラ研だ。
 その大きさはかなりのもので、時流エンジン研究所とかとは比べるのも失礼なくらいだ。
 それもしょうがない。ここではグルンガストのような特機も作っている為、それらの起動テストやらなにやらをする為にもより広大な敷地が必要なのだから。
 テスラ研の大きさを眺めつつ、車を入り口の方へと近づける。
 そこでは検問が行われており、警備兵達が目を光らせていた。
 テスラ研の重要さを考えればしょうがない措置ではあるが。
 ゲートの近くまで移動し、窓を開けてIDを出す。

「ラングレー基地所属のアクセル・アルマーだ。レモン・ブロウニングに呼ばれて来た」

 俺の言葉を聞き、詰め所で何やら確認する警備兵。
 その動作はきびきびとしていて、とても研究所の警備員だとは思えないが、これもテスラ研の重要さを考えると当然の事なのだろう。

「確認が取れました。このまま道なりに沿って進めば実験棟へと着きます」
「ああ、了解」

 警備員に軽く礼を言い、言われた通りに進む。
 やがて見えてきたのはそれなりに巨大な施設棟だった。

「あれが実験施設か」

 レモンからの話が正しければあそこで転移装置、すなわちアギュイエウスの開発を行っているのだろう。
 実験棟の駐車場へと車を止め、中に入るとそこには既に見慣れた顔であるレモンが待っていた。

「待たせたか?」
「いいえ、今来た所よ」

 その会話をして、レモンと顔を合わせて同時に口元に笑みを浮かべる。
 自分達の会話がデート時のテンプレ的なものだと気が付いた為だ。

「ねぇ、アクセル。普通は私と貴男の役目が逆じゃないかしら?」
「次があったら気をつけるさ」
「あら? 期待してもいいのかしら?」
「さて、な。それよりも急に呼び出されたから驚いたぞ」
「詳しい話は私の部屋でしましょう。さ、こっちよ」

 レモンの後をついていくと、実験棟の2階にレモンの部屋はあった。
 ラングレー基地にあるレモンの部屋とは違い、6畳程度の広さで普通の部屋だ。

「レモンの部屋にしては随分と普通だな」
「プライペートな部屋な訳じゃあるまいし、この実験棟にあるのは研究者が考えを纏めたりレポートやらを書く為の部屋なんだから当然でしょう?」
「いや、レモンの事だからテスラ研でも自分の部屋をシリンダーで埋めているとばかり思ってたんだよ」
「Wシリーズの事? あの子達はそれなりに手が掛かるから、テスラ研に来ている間は開発を一旦停止しているのよ。幸い丁度きりのいい所まで行ってたし」

 なるほど、Wナンバーズもそれなりに研究が進んでいるようだ。
 ただ、俺の知っているWナンバーズで1番古いのがW15のウォーダン・ユミルなのでそこに追いつくにはまだ随分と時間が掛かるだろうが。

「それで、俺は結局の所何で呼ばれたんだ?」

 部屋にあるソファへと腰をかけ、レモンへと尋ねる。
 ヴィンデルからは時流エンジンの研究者と親交が深い俺の意見を聞きたいと言われているが、少なくても俺には技術的に詳しい内容は分からない。技術的な事なら、時流エンジンのサンプルやレポートをもらっているレモンの方が余程詳しい筈だ。
 だが、そんな俺の疑問はレモンの言葉によってあっさりと氷解する。

「特に深い意味は無いわ。単純に転移装置の開発に難航しているのよ。だから何か突拍子もないアイディアでもないかな、と思っただけ。後は、そうね。ここの所モニタ越しにしか会っていなかったアクセルの顔を久しぶりに見てみたいと思っただけよ」
「アイディア、ねぇ。なんならラージやミズホ辺りに通信で聞いてみるか?」

 時流エンジンと転移装置の違いはあれど、同じ研究者や開発者だ。何か良いアイディアを貰えるかもしれないと思いレモンに提案してみるが、レモンは首を振って否定する。

「アクセル、一応この転移装置は機密なの。私と同じ部隊にいる貴男ならともかく、一般の人達に情報を教える事は出来ないわ」
「そうか。ならしょうがないか」

 確かに今のは俺が迂闊だった。変に時流エンジンとアギュイエウスの事を知っているだけにその辺の気遣いが出来ていなかったな。
 俺がそんな風に考えていると、レモンの部屋のドアがノックされる。

「誰?」
「俺だ、ブロウニング博士」
「あぁ、オリンパス。鍵は開いてるわ」

 って、オリンパス? ヘリオス・オリンパス、つまりギリアム・イェーガーか!?
 突然の重要人物の登場に驚きつつも、ドアの方へと視線を向ける。
 そこにいたのは、紫色の髪で顔を右半分を隠している人物。紛れもなく、俺の知っているギリアム・イェーガーその人だった。
 呆然とギリアムを眺めている俺に気が付いたのだろう、こちらへと視線を向けてくる。

「すまない、来客中だったか」
「いえ、気にしなくていいわ。それよりもどうしたの?」
「アギュイエウスの件で相談があったのだが、特に急ぐ用事ではないので気にしなくてもいい」

 レモンの問いに軽く首を振って答えた後、こちらへと視線を向ける。

「ブロウニング博士、こちらは?」
「私の同僚よ。私が技術協力員として派遣されているのは知ってるでしょう? その派遣元の部隊での同僚」

 紹介された以上このままやりすごす訳にもいかないので、ソファから立ち上がってギリアムへと近づく。

「アクセル・アルマーだ。よろしく頼む」
「ヘリオス・オリンパスだ。こちらこそよろしく」

 内心の動揺を押し殺し、笑顔で握手を交わす。

「ブロウニング博士の助力には本当に感謝している。おかげで技術的な問題をかなり減らす事が出来た」
「それは俺じゃなくてレモンを派遣すると決定した上司に言ってくれ」
「でも、私にここで転移装置を開発しているのを教えてくれたのはアクセルじゃない。なら、私がここに来るきっかけもアクセルでしょう? お礼を言われてもいいんじゃなくて?」

 レモンの放った言葉に、ギリアムの眉がピクリと動く。
 しまった、レモンにその辺の口止めをすると怪しまれると思い何もしなかったのが裏目に出たか。

「ほう、ここで転移装置を開発しているのは一応機密なのだが。誰から聞いたのか、教えてもらってもいいか?」

 おいおい、まさかここで予知能力を働かせたりはしていないだろうな。
 あっちの世界では情報部等にも所属しており、頭も切れるギリアムだ。ここで変な疑いをもたれるのは御免被る。

「さて、どこだったか。俺も風の噂で聞いた話だからな。確かラングレー基地の食堂かどこかで誰かが話しているのを耳にしたんだったと思う」

 数秒、その真贋を確かめるように俺を見ていたギリアムだが、やがて納得したのか軽く頷く。

「そうか、ラングレーとテスラ研は新兵器の開発や補給等でそれなりに交流があるからな。恐らくその辺から情報が漏れたんだろう。一応分かってるとは思うが」
「ああ、変に広めるような事はしないよ。レモンに話したのだって時流エンジンの関係があったからだし」
「時流エンジン?」

 不思議な顔で聞き返してくるギリアム。レモンはその辺を言ってなかったのか?

「時流エンジンは私が興味を持ってる研究対象の1つね。アクセルはその時流エンジンを開発している研究者達と親交が深いのよ。今日呼んだのもその辺でアギュイエウスに関するアイディアを出して貰えないかと思って」
「ほう、それは興味深いな。俺にも今度その時流エンジンとやらを見せて貰えないか?」

 興味深そうなギリアムだが、こちらとしては頷く事は出来ない。
 ただでさえ頭の切れるギリアムだけに、時流エンジンを見せた場合の反応が予測出来ない。時流エンジンの技術を流用するなりなんなりして、アギュイエウスを完成させてしまったら1年後のギリアム転移イベントが起きなくなる可能性がある。
 原作では、あちらのDC戦争やL5戦役でギリアムの果たした役割は大きい。それだけに転移イベントが起きなくなる可能性はなるべく潰しておくべきだ。

「すまないが、時流エンジンに関してはうちの部隊でもどちらかと言えば機密になっていてな。そう簡単に見せる訳にはいかないんだ」

 俺の台詞に一瞬疑問を浮かべたレモンだが、すぐにいつもの表情に戻る。

「そうか。それじゃあ仕方ないな。ブロウニング博士、俺はこれで失礼させてもらう。用件に関してはまた明日改めて」
「ええ、悪いわね」

 ギリアムが部屋を出て行くと、レモンの視線がこちらに向けられる。

「アクセル、さっきのはどう言う事? 確かに時流エンジンは重要なものだけれど、それは私の研究対象が主な筈よ? 探せば研究発表されたレポートなんかはすぐに見つけられる」
「いや、何でだろうな。あのヘリオスという人物は何かを隠しているような気がしてな。そう思ったら咄嗟に口から出た」
「隠す? 以前聞いた、貴男の予知が教えてくれたのかしら」
「かもしれない。詳しい事は俺にも分からないが、そう感じた、としか言えないな」

 その説明でどうにか納得してくれたのか、レモンの視線からこちらを追求するようなものがなくなる。
 なんとか誤魔化せたようで助かったな。後は取りあえず話題を変えるか。

「そう言えば、ヴィンデルから聞いたんだが俺達の基地がそろそろ完成するらしい」
「へぇ、いつくらいに引っ越しになりそう?」
「大体後3ヶ月程度だそうだ。特殊処理班はそれ程荷物がないけど、技術班は多いだろうからなるべく早めに準備をした方がいいんじゃないか?」
「そう、ね。今はなるべくテスラ研から動きたくないんだけど……研究室の問題もあるしね。1度は戻らなきゃ駄目かしら」
「ま、運ぶ為の手は貸すから安心してくれ」

 と言うか、Wナンバーズ関係に関してはなるべく知ってる人が少ない方がいい為に手を貸さざるを得ないだろう。

「それで基地ってどこに作ってたの?」
「南米のエクアドルだそうだ」 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:12
PP:60
格闘:154
射撃:172
技量:164
防御:161
回避:189
命中:211
SP:238
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
    ???
    ???
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    ???

撃墜数:18 

 

0036話

「これが俺達の基地か」

 基地の周囲を見回すと自然が目に入ってくる。
 と言うか、自然しか目に入ってこない。
 熱帯雨林のど真ん中に作られた秘密基地、という印象だ。
 基地としてはかなり小規模な基地で、大きさ的にはテスラ研よりも小さいくらいだ。
 テスラ研でギリアムに遭遇するという心臓に悪いイベントをこなしてから5ヶ月。ようやくシャドウミラー専用の基地に俺達は到着していた。
 基地自体はあれから4ヶ月程で完成したのだが、まさか技術班の引っ越しに1ヶ月も掛かるとは思ってもいなかった。
 北米から南米への引っ越しとなるんだし、しょうがないと言えばしょうがないのだが。
 正直、技術班自重しろと思った俺は悪くない筈。
 もっとも、テスラ研で転移装置の開発も大詰めを迎えているこの時期にレモンもラングレー基地とテスラ研を行ったり来たりと忙しかったようだが。
 ヴィンデルとしてもこの引っ越しに集中したかったのか、特殊処理班としてもこの5ヶ月は数回の任務しかなかった。

「アクセル隊長、レモンの姐さんが呼んでますぜ?」

 俺を呼びに来たマルティンだが、何故かレモンを姐さん呼ばわりしている。
 俺はこいつらの隊長で、ヴィンデルは少佐だ。実際にこいつらは俺を隊長と呼ぶし、ヴィンデルは少佐と呼ぶ。なのに、何故かレモンは階級の中尉ではなく姐さん呼ばわりだ。いや、姐さんと呼ぶのにふさわしいか? と問われれば、YESと答えてしまうのだが。

「分かった。場所は研究所でいいんだな?」
「はい、ヴィンデル少佐も呼ばれているようですんで何か重要な話があるんじゃないかと」

 さて、何の話だろうな。
 そんな風に思いつつ、レモンの研究所へと向かう。
 正直、このエクアドル基地が出来て何が変わったかと言えば、俺はレモンの研究室と答えるだろう。
 ラングレー基地でもそれなりに広い研究室を持っていたレモンだが、この基地で使っている研究所は以前の数倍、50畳程の広さと言えば分かりやすいだろうか。

「レモン、呼んだと聞いたが?」

 研究室のドアを開けて、レモンに声を掛ける。
 そこには丁度レモンとヴィンデルの姿があった。

「あら、早かったわね。丁度いいからヴィンデルと一緒に話を聞いて頂戴」

 レモンの言葉に頷き、応接セットのソファへと腰を掛ける。

「さて、アクセルも来た事だし話を始めて貰えるか? 私もこの基地の責任者として色々と忙しいのでな」

 実際、この基地で誰が1番忙しいかと言えば、ヴィンデルと答える者が多数だろう。シャドウミラー隊指揮官としてだけではなく、このエクアドル基地の司令官としての事務仕事もあるのだから。
 エクアドル基地が特殊部隊1部隊の為の基地という事で、かなり小規模とは言え事務仕事はある程度の量がある。
 ヴィンデルの言葉に頷き、レモンが口を開く。

「私達の基地を得た事で、ラングレー基地では無理だった研究を進められるようになったわ。そこでT-LINKシステムの研究に着手してみたいけどどうかしら?」
「いや、機体のパワーアップに繋がるんだから俺としては大歓迎だが、大丈夫なのか?」

 現在のレモンはWナンバーズに、時流エンジン、テスラ研のアギュイエウスと大きなものでもこの3つを同時進行で研究している。細かな研究や開発も含めるとどれ程の数になるのか想像も出来ない。そこにT-LINKシステムを新たに研究・開発すると言われても機体のパワーアップに関する喜びよりもレモンの体に対する心配の方を強く感じる。

「私もアクセルと同意見だな。そんなに大量の研究を同時進行してお前の健康は大丈夫なのか?」

 ヴィンデルも俺と同意見らしく、レモンの体を心配している。
 だが、レモンはそんな俺達の懸念をあっさりと否定した。

「大丈夫よ。Wナンバーズの子達は疑似経験を体に慣れさせる期間だからそれ程手間は掛からないし、アギュイエウスは私の担当は大体目処がついたからこっちも時間はそれ程掛からない。そうすると、時流エンジンとT-LINKシステムの2つを同時進行させるくらいは可能よ。それにグロウセイヴァーには時流エンジンとT-LINKシステムの両方を装備させるのよ? その調整の為にも同時進行が望ましいわ」
「そういうものなのか?」

 科学者としてのレモンの知識や技術力を考えるにそれ程不思議な事でもない、のか?

「それにT-LINKシステム自体はアクセルが特脳研から持ってきてくれた資料で殆ど完成している状態だから、それにテスラ研の方で得た技術を流用すれば比較的短期間でなんとかなる筈よ。と言っても、グロウセイヴァーの専用装備くらいしか開発は出来ないと思うけど」
「T-LINKシステムの装備というと、念動フィールドとか機体制御関係か?」

 特脳研で見たレポートと、原作知識を併せて考えてみる。
 T-LINKシステムは原作では念動フィールドでバリアに使用したり、ガンダムでいうサイコミュみたいに機体制御に使用したり、T-LINKナックルやT-LINKソードみたいに念動フィールドを武装に流用したりと、かなり万能なシステムだ。
 それが現在のグロウセイヴァーにも使えるのなら、確かに凄い事にはなりそうだが。
 正直、レモンの健康状態に問題が無いのなら是非頼みたい。
 同じ事をヴィンデルも思ったのか、俺の方を見て頷く。

「そうだな。レモンが大丈夫だというのならアクセルの機体強化の為にも是非頼みたい」
「任せて。ただ、テスラ研の方は目処がついたと言っても完全に問題無いと言う訳じゃないから、以前程じゃないけどあっちに行く必要もあるわね」
「その辺はお前の匙加減に任せる」
「俺はそっち関係は特に何も出来ないからな。護衛やら話し相手が必要なら言ってくれ」
「そう? なら期待させて貰おうかしら」

 微笑を浮かべるレモン。
 数秒、その笑顔に見とれるものの、すぐに我に返る。

「さて、折角3人が集まったんだ。何かあるのなら今のうちに話しておいた方がいいか?」

 確かに折角3人で集まったのだし、この機会に相談できる事は相談しておいた方がいいだろう。

「まずは私からだな。アクセル、シャドウミラーは基地を得た事である程度人数を増やす事が可能になった。そこで特殊処理班を増やそうと思うのだが」
「まぁ、確かにこれだけの基地を与えられたとなるとこれからの任務も増えるだろうしな。俺としては問題無いが、どのくらい増やすんだ?」
「現在の特殊処理班はお前を入れて5名だ。これに追加してもう5名増やして2小隊制にしたいと思う」

 特殊処理班の数が倍になると言われると驚くが、5人が10人になるのならそれ程問題ないか。

「俺としては異論ないが、目星はついているのか?」
「隊員に関してはこちらである程度絞り込んでおいたが、小隊長が務まる人材がなかなか、な。アクセルの方で誰か推薦できる人物はいないか?」

 特殊処理班の小隊長を任せられる人材、ねぇ。ぱっと頭の中に思い浮かんだのはバリソンとユーリアの2人だ。
 ただし、ユーリアは宇宙軍なのでこちらに引っ張ってくるのは難しいだろう。あちらの世界ではトロイエ隊の隊長をやってただけあって能力的には文句無しなのだが。
 となるとバリソン、か。

「そうだな。士官学校で俺と同期だったバリソンを推薦させてもらおうか。少なくても能力的には問題無い筈だ」
「ふむ、士官学校で打ち合わせをしている時に何度か聞いた名前だな。現在はどこにいるか分かるか?」

 士官学校の会議室での打ち合わせの際に雑談の中で何度かバリソンの事を喋った覚えがあるが、ヴィンデルもそれを覚えていたようだ。

「確かアフリカの方でDC残党と戦っている筈だ。詳しい部隊なんかは分からないから、スカウトするんならそっちで調べてくれ」
「分かった。こちらで打診してみよう」

 取りあえず特殊処理班増員の話は解決だな。

「さて、次の話だが……アクセル」

 真剣な表情でこちらへと視線を向けるヴィンデル。その顔には真剣な表情の他にもどこか悔しさのようなものが浮かんでいるように見える。
 嫌な予感を胸に覚えながらも、話を促す。

「アルバート・グレイの件、覚えているな?」
「ああ、もちろん」

 モントーヤ博士の暗殺を指示した男だ。忘れる訳がない。
 だが、ここでその話題を出しつつ悔しそうな表情を浮かべるという事は。

「残念だが、こちらで提出した証拠が握りつぶされた」
「握りつぶされた? あれ程明確な証拠が多数ありながらか?」

 裏帳簿にはアルバート・グレイ名義の口座がしっかりと明記されていたし、コンピュータの中に入っていた情報を考えても、とても言い逃れが出来る状況ではない筈だ。
 そもそも3流の政治屋であるアルバート・グレイがあれだけの証拠がある状態から逃げ延びられるとはとても思えない。
 となるとアルバート・グレイ以外の誰かが裏から手をまわしたか?

「誰が動いた?」

 短く聞いた俺に、すかさずヴィンデルが答える。

「カール・シュトレーゼマン」
「ちょっと、そんな大物がなんで動いているの?」

 俺とヴィンデルの会話を聞いていたレモンが思わず口を挟む。
 だが確かにレモンの言う事ももっともだ。
 連邦政府安全保障委員会の副委員長とEOT特別審議会議長を兼任しているカール・シュトレーゼマンは連邦政府の親玉と言ってもいい。正確には腐った政治屋共の親玉というのが正しいが。
 ちなみに、この世界ではメテオ3が地球に来る事は無かったが、インスペクターの残していった技術の関係でEOT特別審議会がきちんと存在している。

「なるほど、つまりアルバート・グレイはカール・シュトレーゼマンの操り人形だった訳か」

 原作でも確かそういう関係だった筈だ。恐らくこちらの世界でも同様なのだろう。

「そうらしいな。連邦政府上層部の腐敗は少しずつだが確実に広がってきている。そのうち連邦軍にも広がる可能性が高い」

 苦々しげに吐き捨てるように口に出すヴィンデルを見つつ、溜息を1つ。

「その辺は俺達が心配したってしょうがない。シャドウミラーが動く事でその辺を少しでも抑制出来ると信じるしかないだろ」

 もっとも、抑制が出来ないから結局はシャドウミラーの反乱に繋がる訳だが。

「そうだな。取りあえずこの話はここまでだ。他に何か話しておく事はあるか?」
「俺は特にないな」
「私も同じよ」
「では、今回はこれで終わるとしよう。レモン、T-LINKシステムの開発を頼む。アクセルはいつでも出撃できるように訓練を怠りなくな」

 ヴィンデルの言葉で、シャドウミラーの幹部会は終わった。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:13
PP:85
格闘:158
射撃:176
技量:168
防御:165
回避:193
命中:215
SP:246
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
    ???
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    ???

撃墜数:21 

 

0037話

「アクセル、久しぶりだな」

 俺に声をかけてきたのは、士官学校の同期生であるバリソンだった。
 エクアドル基地に引っ越して来て1ヶ月。ヴィンデルの交渉が実ったのか、今日からバリソンがシャドウミラーに配属される事になったのだ。

「ああ、久しぶりだ。アフリカはどうだった?」
「DC残党が予想以上に多くてな。他にもゲリラや独立派のテロリストも居て、配属当初は気の休まる暇も無かったよ」

 確かに士官学校を卒業したばかりの少尉がそんな場所に配属されるときついだろう。
 とは言っても、別にシャドウミラーが楽だという訳では決してないのだが。

「ま、これからはお前も特殊処理班の一員だ。頑張って俺を楽にさせてくれよ」
「いや、ここは先輩としての度量を見せるべく俺を気遣うべきじゃないか?」

 そんな事を言っていると、マルティンが近づいてきて声をかけてくる。

「隊長、そちらは?」
「俺の士官学校の時の同期でバリソンだ。特殊処理班の第2小隊を率いる事になる。バリソン、こっちはマルティン。俺の小隊のまとめ役みたいなものだな」
「マルティン曹長です。よろしくお願いします」
「バリソン少尉だ。シャドウミラーに来たばかりで何かと分からない事もあると思うがよろしく頼む」

 互いに敬礼をして挨拶を済ませ、マルティンがこっちへと視線を向ける。

「隊長、そろそろ任務の時間ですのでレイディバードの方に」
「あぁ、もうそんな時間か。分かった、すぐに行く」
「早速俺も仕事か?」

 俺とマルティンの会話にバリソンがそう尋ねてくるが、今回の出動は俺の小隊だけだ。

「いや、今回の出撃は俺の小隊だけになっている。バリソンはまず自分の小隊員と挨拶でもしていてくれ」
「そうか? 分かった。ちなみに相手は?」
「オーストラリア近海にDC残党と思われるキラーホエールが見つかったという情報が入ってな。その確認と、もし実在するなら殲滅だ」

 キラーホエールは、DCで製造された原子力潜水母艦だ。ハガネやヒリュウ改のようにISA構想、すなわち『空母の役割を果たす機動戦艦と、そこに搭載された人型機動兵器による電撃戦』を実現した艦船で、DC残党としてはかなりの大物となる。

「もっとも本当に実在していれば、だがな」

 口の中でボソリと呟く。
 ヴィンデルからの情報によれば、今回のキラーホエール発見の報は正直あまり信頼出来ない筋からのものらしい。
 だが、何故か軍上層部からの強い圧力があり、ヴィンデルとしても仕方なく俺達を派遣する事になった訳だ。
 そもそも、何故嘘か本当かどうかも不明なこの状況で特殊処理班である俺達が出撃する流れになる? シャドウミラーの実行部隊である俺達が出撃するのなら標的がきちんと存在していると判明してからだろう。

「特殊部隊は特殊部隊で色々と大変らしいな」

 俺の様子を見ていたバリソンから声をかけられる。
その表情から、大体の事情を読み取ったといった所か。

「しょうがないさ。軍人なんだし上からの命令にはそうそう逆らえない」

 余程の証拠があればまだしも、何の証拠もないこの状況で上層部に逆らったりしたらシャドウミラーの反乱が3年近くも前倒しになってしまう。

「ん? 証拠?」

 自分が内心で思ったその単語に何かを感じる。
 あるいは、念動力が何らかのインスピレーションを与えてくれたのかもしれない。
 証拠を闇に葬られて間一髪の所を脱したアルバート・グレイだが、はたしてそれで一安心という事で終わるだろうか? 少なくても、俺の原作知識ではそんな殊勝な奴ではない。自分を追い詰めようとした相手に対して執拗に報復を行うだろう。
 だが、それにしたって証拠を盗んでから半年近く経ったこの時期に何故?
あるいは、自分を追い詰めた相手が俺達シャドウミラーだと判明するのに時間が掛かった? 後ろ盾であるカール・シュトレーゼマンを頼らないで、自分だけで調査した場合は半年という時間は辻褄が合うような気がする。

「隊長? 急がないと時間に遅れますぜ?」
「っと、悪い。今行くよ。じゃあな、バリソン。戻ってきたらまた話そう」
「ああ。そっちも任務頑張ってくれ」

 バリソンに軽く手を振り、レイディバードへと向かう。
 今回の任務がガセだった場合は、今思いついた事をヴィンデルに話しておこうと決心しながら。





 今回の出撃は俺の小隊のみなので機体数は5機丁度。つまりレイディバード1機での出撃だ。
 本来なら2機のレイディバードを使用して捜索範囲を広げたい所だが、何せレイディバードは基本的に輸送機で碌な武装が付いてない。もし本当にキラーホエールが存在した場合は海の藻屑になってしまう可能性が高い。
 そういう訳で、結局はレイディバードを前線基地としながらADやPTで潜水艦の探索をする事になる。
 ちなみに、マルティンの量産型アシュセイヴァーも技術班がテスラ・ドライブを装備してくれたので、俺の小隊は全機空中移動が可能になっている。

「隊長、こちらフルスト。キラーホエールらしきものは確認できませんでした」

 レイディバードに戻ってきたフルストからの報告の通信が届くが、発見出来なかったか。
 索敵仕様のフルストの機体でも見つけられないとなると、アルとボビーは余程の幸運が無い限りは期待出来ないだろう。
 キラーホエールの探索は基本的に俺とマルティン。アルとボビーとフルストの2組に分かれて行っている。
 武装が碌に付いていないという理由でレイディバード1機で来たので、まさか護衛も無しに全機が索敵に出る訳にもいかないのだ。
 なので1時間交代で護衛と探索を交互に行っている。

「隊長、アルとボビーも帰還しました」

 フルストから残り2人の帰還の通信が入る。

「どうだった?」
「駄目ですね。アルが一瞬見つけたかと思ったらしいですが、普通のタンカーだったらしいですし」
「了解。じゃあ次は俺達だな。マルティン、出るぞ!」

 マルティンに通信を送り、グロウセイヴァーをレイディバードから発進させる。
 後に続くように、マルティンの量産型アシュセイヴァーも飛び出してきた。
 マルティンの機体と並んで飛びながら、通信を送る。

「3人から捜索済み地域のデータは受け取ってるな?」
「大丈夫です」
「じゃあ俺はフルストの後を継ぐ。お前はアルの後を頼む」
「了解」

 マルティンからの返事を聞き、俺はグロウセイヴァーをフルストが捜索していた場所へと飛ばす。





「無駄足だったか」

 結局キラーホエールの影すらも捉える事なく俺達はエクアドル基地へと戻ってきていた。
 格納庫に機体を搬出し整備と補給を整備員に頼んだ後、俺はヴィンデルの執務室へと向かっていた。
 報告書の提出と、出撃前に感じた事の確認の為だ。

「ヴィンデル、いいか?」
「アクセルか。構わん」

 ドアをノックし、部屋に入るといつもの如く書類仕事をしている……いつもの? いや、その顔は微妙に苦々しげな表情を浮かべている。

「どうした? いつも鉄面皮のヴィンデルらしくもない」
「いや、多分お前がここに来た事の同じ理由だ」
「俺が?」
「今回の作戦についてだろう? キラーホエールの姿は影も形もなかった。違うか?」
「いや、確かにその通りだったが」

 ヴィンデルは怒りを吐き出すように溜息をついてから、口を開いた。

「任務に行く前にも言ったが、今回の作戦は信憑性が非常に薄いものだった。その理由が判明したんだが」
「アルバート・グレイ、か」

 その名前に眉をピクリとさせて聞き返してくる。

「気づいていたのか?」
「いや、作戦開始前にふと脳裏に浮かんだ。そこから連想ゲームのようにしていった結果その名前が出てきた。念動力のせいかもしれんがな」
「念動力か、羨ましい事だ。そんな真似が出来るのなら私も是非欲しい所だが」

 珍しいヴィンデルの愚痴に思わず苦笑を浮かべる。

「まぁ、俺達みたいな特殊部隊だ。政治家なんかの腐った面を見るのはしょうがないだろうさ」
「ふぅ。実際に無駄足を踏まされたアクセルにそう言われては、私としても収めるしかないか」

 手のひらで顔を隠すようにしてその表情を隠すヴィンデル。
 これは相当きてるな。基本的に実直な軍人であるだけにここ最近の政府や軍上層部の腐敗に思う所があるのだろう。
 俺としても、友人でそれなりに長い付き合いがあったモントーヤ博士を殺された恨みは忘れてはいない。今は無理だろうが、仇を取る事が出来るようになったらいずれこの手で、とは思っている。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:13
PP:85
格闘:158
射撃:176
技量:168
防御:165
回避:193
命中:215
SP:246
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   ???
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スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
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撃墜数:21 

 

0038話

「T-LINKシステムが完成した!?」

 半月ぶりにテスラ研から戻ってきたレモンに研究室へと呼び出された俺は、唐突にT-LINKシステムの完成を知らされた。
 このエクアドル基地が稼働してから3ヶ月。つまりレモンは基地稼働直後に俺とヴィンデル、レモンの3人で相談した時に言ってた通り、それ程苦労せずにT-LINKシステムを完成させてしまったのだ。
 さすがに得意気なレモンの顔を呆然と見つつ、その才能に舌を巻く。

「テスラ研の技術も流用したから、特脳研にあったものよりも性能はアップしている筈よ。もっとも取り付けと調整に数日掛かると思うからすぐに使うのは無理だけど」
「と言うか、この前の通信でそろそろアギュイエウスの開発も終盤に入ったって言ってなかったか? 良くT-LINKシステムの開発をする時間があったな」
「私の担当はもう殆ど終わってるから、問題ないのよ」
「なるほど。で、T-LINKシステムは具体的にどういう風になるんだ?」

 俺の言葉にレモンがコンピュータを操作し、モニタにグロウセイヴァーの設計図を映し出す。

「まず、念動フィールドが発動すればある程度のダメージは無効化出来るようになる筈よ」
「発動すれば?」
「特脳研の資料によると、パイロットのやる気やテンションによっては発動しない事もあるらしいわ」

 やる気やテンション? ……スパロボのシステムでいう気力の事か。

「なるほど、その辺は実際にグロウセイヴァーに設置してから試してみる必要があるな」
「ええ、お願い。で、次だけど機体制御もT-LINKシステムを使用する事によってより反応速度が高くなってる筈よ。機体の追従性も同じく上がってると思うわ。この機体制御関係は一種の念動力を使った脳波コントロールシステムね」
「脳波コントロールシステム? だが、グロウセイヴァーも脳波を使うシステムを採用していなかったか? 競合して不具合を起こす可能性は無いのか?」
「グロウセイヴァーはアシュセイヴァーで採用していた脳波のフィードバックシステムを全てT-LINKシステムと取り替える事になるわ。ただ、機体の反応速度は間違いなく上がる筈よ。誤解されるのを承知の上で言わせてもらえば、T-LINKシステムは脳波フィードバックシステムの上位互換と言ってもいいでしょうね」

 何と言うか、アシュセイヴァーの特徴の1つである脳波のフィードバックシステムまでなくなるとなると、外見はともかく中身は完全にオリジナルの機体になったと思っても構わないんじゃないだろうか。

「それとクロノスに追加装備されたソードブレイカーだけど、T-LINKシステムのおかげで負担は軽くなってる筈よ。それにこちらは現在まだ開発中だけど、より小型・高性能のT-LINK対応型ソードブレイカーを開発中だから期待してくれてていいわ」

 T-LINK対応型ソードブレイカーって。それはR-3のストライクシールドとどう違うんだ? いや、テスラ研の技術を流用しているとレモンが言っている以上ストライクシールドよりも性能が落ちるという事はないと思うが。

「あ、それと機体制御のT-LINKシステムに関連してだけど、特脳研からの資料にあった『思念の増幅度次第では、触感に近い第六感が広範囲にわたって展開され、空間内に存在する敵機の捕捉も可能となる』というのを採用しているからT-LINKシステムの稼働率によってはソードブレイカーの操作が今までよりも楽になるかもしれないわね」
「なるほど、それはありがたいな」

 現在のグロウセイヴァーが装備しているソードブレイカーは合計14機。中でも俺が使いこなせているのは10機前後となっている。
 その辺の操作が楽になってくれるというのは非常にありがたい。

「それにしても、T-LINKシステムは凄い事は凄いんだけど色々と問題もあるわね」
「問題?」
「そう。機体制御からバリア、武装にも応用出来るT-LINKシステムだけどまだまだ発展途上の技術の為かパイロット任せの部分が多いのよ。さっきも言ったけど、パイロットのテンション次第で発動出来たり出来なかったりするバリアなんてその最たるものよ」
「しょうがないさ。念動能力者自体が稀少なんだし、その分それを利用したシステムの開発が遅れてもおかしくない」
「そう考えると極東基地にあるT-LINKシステムを使用した機体の特殊部隊というのは凄いわね。どうやって多数の念動能力者を集めたのかしら?」

 レモンの言葉に、脳裏をよぎるのは特脳研の所長室にあったアヤの脳みそだ。
 あの点を考えると、原作のあちらの世界とは違い色々と後ろ暗い手段を取って念動力の素質がある者を探している可能性は高いだろう。

「T-LINKシステムについてはこんな所ね」
「機体制御はともかく、バリアなんかはあるのとないのとでは大違いだからな。その辺は助かる」
「でも、アクセルの戦い方は防御よりも回避がメインでしょ? その為にクロノスを開発した時に追加ブースターを積み込んだんだし」
「確かにそうだが、幾ら何でも全ての攻撃を完璧に回避出来る訳でもないからな。いざという時に頼れるものがあるというのは正直ありがたい」

 応接セットのテーブルの上に置かれた紅茶を飲みながら、レモンとの会話を続ける。
 内容は別にそれ程重要なものではない。単なるありふれた雑談だ。
 だが、ここの所色々とあっただけに有意義な時間ではあった。
 そうした会話を初めて30分くらいたった事だろうか。レモンが不意に話題を変えてきた。

「アクセル、貴男Wシリーズについてどう思う?」
「うん? Wシリーズについて、か? そうだな、完成したらこの忙しさが解消されるんなら早い所完成して欲しいってくらいか」

 俺の言葉が予想と違っていたのか、意表を突かれた表情のレモン。

「そうじゃなくて。人造人間なのよ? その辺に特に思う事はないの?」
「特には無いな。人造人間だろうか、生まれた以上は1つの生命だろう? もっとも個人としての人格があるのが大前提だが」

 個人としての人格がない人造人間はそれこそこちらの命令をただこなすロボットとそう大差ない。
 もっとも、そのロボットが量産型Wになるんだろうが。

「1つの生命?」
「我思う、故に我有り」
「デカルト?」
「ま、そこまで難しく考えなくてもいいんじゃないのか? 人造人間だろうが何だろうが、お前が産み出したんだからお前の子供みたいなものだろ」
「そう、ありがとう。貴男になら、いつか本当の事を言えるかもしれないわね」

 感謝の言葉を聞こえるように言い、最後の言葉を口の中だけで呟くレモン。
 ただ、その言葉は常人よりも五感の鋭い俺には聞こえている。
 今の言葉を聞くにどうやら自分がWナンバーズの技術を使って蘇生された事を気にしているらしい。
 あるいは、レモン・ブロウニングではなく生前のエクセレン・ブロウニングの事を気にしているのかもしれない。
 取りあえずこの話題は変えた方がよさそうだと判断し、少し前から気になっていた事を提案してみる。

「レモン、話を変えるが今回の事でT-LINKシステムに関しては一段落したと考えていいんだよな?」
「ええ、そうね。T-LINK対応型のソードブレイカーの開発は残っているけど大体は終わったと考えていいわよ」
「それなら、幾つか開発を検討してもらいたいのがあるんだが構わないか?」
「あら? アクセルからお願いしてくるのは珍しいわね。何かしら?」
「以前フェル博士から聞いたんだが、高性能ECMで発生させた球状フィールドの表面に沿って電磁波を屈曲させる、というやり方があるらしい。これが上手く行けばレーダーに電磁波が返されなくなる」

 もちろんフェル博士から聞いたと言うのは嘘だ。本来ならあちらの世界でノイエDCが開発する高性能ECMのASRS。
 これがあれば敵のレーダーに引っかからずに奇襲攻撃が出来る。
 原作でもノイエDCのASRSに連邦軍は手を焼かされていたし、是非欲しい技術だ。
 俺の説明を聞きつつも、難しい顔をするレモン。

「ちょっと難しいかもしれないわね。球状フィールドを高性能ECMで発生させるというのは面白い発想だけど、そもそもその高性能ECMを開発するのにどれくらい時間が掛かるか分からないわ。一応研究はしてみるけど、もし開発するにしても時間が掛かるというのは覚悟しておいて」

 時間が掛かる、か。
 しょうがない。レモンだって何でも出来るという訳でもないのだし。

「時間が掛かるのはしょうがないか。その辺は無理しない程度に開発してくれれば構わない。で、もう1つだが俺達の母艦を開発してくれないか?」
「母艦? 今使っているレイディバードじゃ駄目なの?」
「レイディバードは基本的に輸送機だから、武装が殆ど無い。そうなると、出撃する時には必ず護衛が残らなきゃいけなくなる。前線からすぐに下げるならそれでも構わないが、そうするといらない所で時間を取られる事になる可能性がある」
「母艦、ねぇ」
「目安としては、スペースノア級万能戦闘母艦を参考にして貰えると助かる」
「ちょっと、幾ら何でもスペースノア級を建造するのは無理よ? そんな予算どこにもないわ」
「だから、あくまでも参考にだよ。出来ればスペースノア級の戦闘力が欲しいが、それが無理な場合は……そうだな。ステルス性能を重視してくれればいい。もちろんある程度の武装は必要だろうが」
「ステルス?」
「ああ。レイディバードのように後ろに下がるんじゃなくて、敵に見つからないように隠れる事が出来れば安心して出撃できる」

 ふむ、と何かを考え込むレモン。
 恐らく開発に掛かる期間や技術、労力なんかを頭の中で計算しているのだろう。

「ちなみに、その母艦には他にどんなスペックを希望するの?」

 原作のトライロバイト級のスペックを思い出す。

「まずステルスが最重要なのは先に言った通りだな。他には特殊部隊の性質上どこに派遣されるか分からないから、宇宙・空中・水中での行動が可能な万能母艦である事が望ましい。後、これもうちの特色だが人数がそれ程多くないから艦内の無人防衛システムは重要視して欲しい。武装に関しては、こちらも先に言った通りある程度で十分だと思うが、それでもレイディバードとは違って自衛出来る程度は欲しい。それに折角ステルス搭載艦なんだし、基本的には隠れているだけでもいざという時にはステルス状態からドカンというのもありだな」

 俺の話を聞きながら、頷くレモン。

「じゃあまとめるわね。ステルスと艦内の無人防衛システム重視で、宇宙・空中・水中で行動可能。武装はスペースノア級とまではいかなくてもそこそこのものが希望。……以上でいいかしら?」
「ああ、それで頼む」
「母艦の開発となると私と貴男の権限だけじゃ無理だから、ヴィンデルにも話を通すけど構わないわよね?」

 レモンの問いに頷いて答える。
 原作ではトライロバイト級がいつから建造を始めたのかは分からないが、こちらでは既に原作ブレイクしまくっている為に下手をしたら建造されない可能性もある。だからこそ今のうちに開発を進めておくべきだろう。

「じゃあ、早速ヴィンデルから許可を貰ってくるけど、もちろんアクセルも付いてきてくれるのわよね?」
「了解」

 レモンに頷き、2人そろって研究室を出る。

「そういえば、アギュイエウスの開発も終盤でレモンのやる事は殆どないと言っていたが、なら完成も近いのか?」

 このまま黙って廊下を歩くのもなんなので、少し気になっていた事を尋ねてみる。

「ええ、後は微調整が殆どね」
「じゃあ、転移実験もそろそろ目処がついてきたのか?」
「そうなるわね。恐らく後3~4ヶ月くらいだと思うわ」

 そうか、ギリアムがあちらの世界に転移するのは後3~4ヶ月か。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:13
PP:85
格闘:158
射撃:176
技量:168
防御:165
回避:193
命中:215
SP:246
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   ???
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:21 

 

0039話

 そろそろ新年を迎えようというこの時期、テスラ研でいよいよ初の転移実験が行われようとしていた。
 実験に参加するのは、転移装置アギュイエウスの主任開発者であるヘリオス・オリンパス。つまりはギリアム・イェーガーその人だ。
 普通なら主任開発者なんて責任者が実験に参加するなんて事は無いんだろうが、そこはテスラ研。カザハラ所長のノリの良さでOKを出してしまったそうだ。
 もっとも許可を出した理由としては、それだけアギュイエウスに対する自信もあったのだろう。
 実際、モニタに表示されているアギュイエウス開発者達の顔は自信に満ちている。

「ねぇ、アクセル。何が起きるの?」

 俺の隣で同じく実験の様子をモニタで見ているレモンが尋ねてくる。
 本来ならレモンもテスラ研に行って実験を見学する予定だったのだが、転移事故が起きる事を知っている俺としてはさすがにそれは遠慮してもらいたい。
 原作のままならあちらの世界に転移するのはギリアム1人だが、そこにイレギュラーたるレモンがいた場合、もしかしたらという可能性がある。
 なので予知能力で何かが起きるのを見た、とレモンに話してエクアドル基地から通信モニタで実験の様子を見学する事にしてもらったのだ。

「普通に考えるのなら、実験の失敗だろうが」

 同じく俺達と一緒にモニタを見ているヴィンデルが呟く。
 ただ、ヴィンデルが見ているモニタは俺とレモンが見ているテスラ研を映し出しているモニタではない。そちらのモニタに映っているのは広大な草原だ。テスラ研の転移実験が上手くいけば、ギリアムの姿がここに現れる予定となっている。

「多分、そうだと思う。予知とは言ってもあくまでも漠然としたフィーリング的なものだからな」
「なら、オリンパスに実験失敗の事を教えておいた方が良かったんじゃないの?」

 レモンの疑問ももっともだが、ここでギリアムに俺が予知能力を持ってるなんて思われたら絶対ややこしい事になるに決まっている。
 ただでさえ、予知能力を持っているというのは嘘なんだし。

「いや。俺が感じたのによると、この転移事故自体は正しい歴史の流れ? 上手く言葉には出来ないがそんな感覚があった。多分転移自体が上手くいかないんじゃないかと予想してるんだが」
「2人とも、始まるぞ」

 ヴィンデルの言葉を聞き、テスラ研が映し出されているモニタへと意識を集中する。
 モニタに映されている転移装置自体はシンプルな形状だ。
 鳥の羽根を模したような外側の装置の中に十字架を模したような装置が収まっている。
 何度かテスラ研へは足を運んでいるが、実際に見るのは初めてだ。

「あれがアギュイエウス、か」
「ええ。オリンパスや私達が開発した転移装置になるわね」

 モニタの中ではギリアムがアギュイエウスの近くへと移動して待機しており、周囲の開発者達が何らかの操作をしている。

「いよいよだな」

 ヴィンデルの言葉に、俺達はモニタへと意識を集中する。

「始まるわ」

 レモンの言葉と共に、ギリアムを中心になんらかのフィールド――いやこの場合は転移フィールドでいいのか――が展開される。
 それを見ていたヴィンデルの口から思わず、といった感じに言葉が漏れた。

「小さいな。あのフィールドで包んだものが転移されるのだろう? 人が1人転移するのがやっとではないか」
「今回は初の実験と言う事で転移フィールドの範囲を極小規模、それこそ1人分くらいに設定してるのよ」

 俺達がそんな会話をしている間にも転移フィールドの形成は進み、モニタに映っているアギュイエウス開発者達は忙しく動いている。

「転移するわ」

 レモンのその呟きと共に、モニタに映し出されていた転移フィールドが一際強く輝き、その姿を消失させた。
 自然と俺達の視線はもう1つのモニタ、すなわち本来ならギリアムが転移してくる筈の草原へと向けられるが、転移フィールドが現れる兆候が一切無い。
 普通の草原のままで、少し離れた所にいたテスラ研の研究者達と思われる数人の人影がなにやら騒いでいる姿がモニタには映っていた。

「失敗、か?」

 ヴィンデルの呟きに頷くレモン。

「そうだと思う。もし転移が成功していたのなら時間的なロスなんかは無い筈ですもの」
「だが、どこに消えた?」

 ヴィンデルの視線はテスラ研を映し出しているモニタに向けられているが、そのモニタはアギュイエウスと混乱する開発者達の姿しか映し出されておらずギリアムの姿はどこにもない。

「アクセル、貴男が予知したのはこの事?」

 レモンが尋ねてくるが、俺はそれに頷く事しか出来ない。

「多分な」
「レモン、実験失敗の理由として考えられる可能性としては何がある?」
「そう、ね」

 何かを思い出そうとしているかのようなレモンの姿を横目で見ながら、俺はギリアムがあちらの世界に転移した事を考えていた。
 原作ではギリアムはシャドウミラーがあちらの世界に転移するよりも随分と前の時代に転移していた筈だ。少なくてもあちらの世界でゲシュペンストの教導隊が作られた時にその教導隊に所属していたのだから。
 そんな事をつらつらと考えていると、ようやく考えがまとまったのかレモンが口を開く。

「以前アクセルがテスラ研でオリンパスに会った事があったわよね?」
「ああ、何か用事があるとかでレモンの部屋に来た時だな」

 正直、あの時はギリアムとの初顔合わせが起こるとは思っていなかっただけに動揺した。幸いアクセルに生まれ変わってからの経験のおかげでそれを顔に出す事はなかったが。

「あの時の用事というのがアギュイエウスについてだったんだけど、あくまでも可能性の話としてアギュイエウスには通常の転移だけではなく次元転移の可能性も考えられる、というものだったのよ」
「次元転移?」

 不思議そうなヴィンデルを横目に、既に知っている俺は口を開く。

「つまり、平行世界。パラレルワールド、か?」
「馬鹿な、そんな事が」
「いえ、アクセルが正解よ」

 驚くヴィンデルに、レモンの言葉が被せられる。

「となると、ヘリオスは平行世界に転移したのか?」
「あるいは、平行世界に到達できずに次元の狭間に呑まれたか」
「その可能性もあるのか。……レモン、アギュイエウスの開発は今回の失敗で中止されると思うか?」
「いえ、それは無いでしょうね。インスペクターの転移による奇襲攻撃が行われたという事実がある以上、対抗手段は必要と考えると思うわ。ただ、アギュイエウスをそのまま開発という事にはならないでしょうね。恐らくより安全性を高めた装置を開発すると思うわ」
「そうか。なら悪いがまだあっちとの繋がりを保っておいてくれ。転移装置自体は非常に興味深い」
「まぁ、いいけど。でも言った通り、開発規模は縮小される可能性が高いのよ? そうなったら私が関われる可能性が少なくなる可能性があるわ」
「その辺は私が手を回しておく。テスラ研としても優秀な科学者の協力はあった方がいいだろう」

 なるほど、これでシャドウミラーがリュケイオスを手に入れる事が出来る可能性が高まったな。
 俺としても、大歓迎だ。
 原作ではシャドウミラーがこちらからあちらの世界に転移した後に時限爆弾でリュケイオスを破壊したらしいが、幸い俺には空間倉庫がある。もしかしたらリュケイオスごとあっちの世界に持って行く事が可能かもしれない。
 もっとも、リュケイオスの事は俺だけの秘密にしておくべきだろうが。

「さて、アギュイエウスについてはこれでいいな。本来なら実験が成功してくれていれば良かったのだが」

 ヴィンデルの言葉でアギュイエウスの話題については終了し、これからの事を相談する。
 と、部屋にある時計を見てみるといつの間にか年が明けているのに気が付いた。

「2人とも、新年だ」
「あら。そういえば」
「ふむ」

 俺の言葉で、その事に気が付いた2人だった。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:14
PP:105
格闘:162
射撃:180
技量:172
防御:169
回避:197
命中:219
SP:254
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:23 

 

0040話

「は? 海賊退治?」

 ギリアムがあちらの世界に転移して5ヶ月。いつもの如く新しい任務があるという事でヴィンデルの部屋に呼ばれた俺は、困惑の声を出していた。

「と言うか、この時代にまだ海賊なんているのか?」
「ああ。それもシーリオンを使って船を襲うような連中だ」

 シーリオン? リオンの水中対応型だったか。
 リオン系を使っているという事は。

「DC残党か?」
「可能性は否定出来ない。その疑いもあったから私達に出動要請が来た訳だ。作戦としては単純で、アクセルがグロウセイヴァーでタンカーに隠れて襲われるのを待ち、襲撃者達を撃退、あるいは捕獲する。背後関係を調べるのが簡単になるから出来れば捕獲してくれ」

 海賊に襲われるのなら海路じゃなくて空路にすればいいじゃないか、という意見が無い訳でも無いのだが、空路と海路だとあいにく掛かるコストや運べる荷物量に雲泥の差がある。よって一番普及している輸送方法は海路となる訳だ。

「背後関係?」
「ああ、どうやら例によって腐った政治家共が後ろ盾になってる可能性があるようでな」

 最近のヴィンデルは腐敗した政治家達の事を口にする事が多くなった。これまでの任務で、政治家達の汚れ具合にほとほと呆れているのだろう。

「尚、今回の囮作戦で出撃するのはアクセルのグロウセイヴァーのみとなる」
「は? マルティンとかは?」
「残念だが、他にも必要な任務が多々あるのでそちらに回ってもらう」
「バリソン達の小隊は?」

 去年シャドウミラーに引き抜かれたバリソンも、現在では特殊処理班第2班として活躍している。

「そちらも忙しくて手が回せん」
「……なんか急に忙しくなってないか?」
「分かるだろう? 尻ぬぐいだ」

 他の面子の出撃も腐敗した奴等の尻ぬぐい、か。

「ただ、さすがに1機では不安もあるんでな。一応、応援が来るよう手配はした」
「応援?」
「ああ、ATXチームという部隊から何機か応援に回してくれるそうだ」
「っ!?」
「どうした?」
「いや、なんでもない。それで?」

 正直、ATXチームという名前を聞いて吹き出さなかった自分を褒めてやりたい。
 シャトルの墜落事故があった以上、キョウスケは既にアインストに感染している。
 てっきり再会するのはシャドウミラーの反乱が始まってからだとばかり思っていたのだが、まさかここでとは。
 ……いや。応援はATXチームから数機、だ。キョウスケが来ると決まった訳ではない。

「ただ、あちらも忙しいらしくてな。アクセルが海賊と戦闘に突入したと確認したら応援を出すそうだ」
「ちなみに、誰が来るかとかは?」
「いや、聞いてないな」

 やっぱりキョウスケか? ATXチームという事なら、せめてブリットであってくれればいいんだが。
 いや、と言うかレモンが存在している以上エクセレンは存在していない。ATXチームはキョウスケとブリット以外に誰がいるんだ? ゼンガーはDC戦争でATXチームを抜けている筈だし。
 にしても。

「海賊相手にグロウセイヴァーはちょっときついんじゃないか? 海で通用する武装はファイア・ダガーとソードブレイカーしかないぞ?」
「あぁ、その件での連絡を忘れていたな。そろそろの筈だが」

 ヴィンデルのその台詞を聞いていたかのようにノックの音がする。
 このノックのリズムはレモンか。

「ヴィンデル、いいかしら?」
「ああ。丁度説明をしようと思っていた所だ」

 予想通りレモンが入ってきて、手に持っていた資料を俺に渡す。

「以前言ってたT-LINK対応型ソードブレイカーが完成したからグロウセイヴァーに取り付けておいたわ。概要に関してはその資料に書いてあるから、大まかな所だけ説明するわね」
「ああ、頼む」

 資料を受け取り、レモンの言葉の先を促す。

「まず、T-LINK対応型ソードブレイカーというのも長いので、これからは開発名称のファントムと呼ぶ事にするわね。ファントムだけど、T-LINK対応型にしたおかげで大きさとしては今までのソードブレイカーの半分以下になってるわ。よってグロウセイヴァーに搭載するのも本体6機、クロノス8機だったのが本体12機、クロノス16機になったわ」

 レモンのその言葉に思わず待ったを掛ける。

「いや、ちょっと待ってくれ。14機のソードブレイカーでさえグロウセイヴァーにT-LINKシステムを搭載してなんとか全機使いこなしていたんだぞ? それを28機も装備されても宝の持ち腐れになる」

 だが俺のそんな疑問に対する答えを、レモンは口元に微笑を浮かべてあっさりと口にする。

「大丈夫。T-LINK対応型というのは伊達じゃないわ。前にも言ったと思うけど、T-LINKシステムはアシュセイヴァーの脳波関係のシステムの上位互換のようなものよ。そのおかげでファントム使用の時の負担は今までの半分以下になっているわ。少なくてもアクセルの念動力なら28機全てのファントムを自由に扱える筈よ」

 28機のファンネル……もとい、ファントムを自由自在に扱える、か。正直どこのニュータイプLV.9だって感じだな。

「で、そのファントムだけど小型化した為にソードブレイカーのような打撃武器としては使えなくなったわ。射出型レーザーによるオールレンジ攻撃と、レーザーの刃による切断・貫通攻撃がメインになってるわ。今回の作戦だと海中での戦闘になるだろうから、敵にファントムが接近した瞬間、あるいは至近距離で使えば大丈夫な筈」

 打撃武器として使えなくなったのは痛いが、大きさが半分になったという事は打撃武器として使用する為の質量も半分になったという事だ。しょうがないだろう。
 にしても、ソードブレイカーの形まで変わったんじゃアシュセイヴァーの名残がどんどんと少なくなってきてるな。
 どちらかと言えば、完全にシャドウミラーのオリジナルADじゃないか?

「それと、ファントムのレーザー出力に関してもT-LINKシステムが対応した関係上、念動力の強さ次第では威力も変動するから注意してね」
「それは、念動力が弱いとファントムの威力も低くなのか?」
「いえ。基準となる攻撃力に念動力の強さで+αになるのよ」

 つまり、R-1のT-LINKナックルみたいな念動フィールドを武器にする技術とレーザーを何らかの方法で融合させた、という事か?
 いや、技術的な事を言われても理解出来ないからレモンの言ってる通り念動力のおかげで威力が増すとだけ覚えておいた方がいいだろう。

「まぁ、詳しい話が知りたかったらそのレポートに書いてあるから作戦前の暇つぶしにでも読んでみて」

 先程手渡してきたレポートへと視線を向け、レモンが告げる。
 確かに海賊が出てくるまでタンカーに隠れていなければいけない以上、時間を潰すのに苦労はする事になりそうだしありがたいかもしれない。

「私からは以上よ」
「ご苦労。アクセル、何か聞いておきたい事はあるか?」
「そう、だな。今回の任務にも影響しているが、手が足りないんじゃないか?」

 手が足りない状態がこれ以上続けば、そのうち破綻する事になる。
 その前に何とかして特殊処理班の増員を増やしてもらいたい所なのだが。

「一応、対策は練っている。レモン」
「何?」
「以前言ってた量産型Wはどうだ?」

 ……なるほど、ここで量産型Wが出てくるのか。

「一応、疑似経験の記憶定着も終わってるし使えるわ。ただ、調整がまだ十分じゃないから臨機応変な対応は出来ないわよ?」
「指揮官の命令には従うのだな?」
「ええ、それは大丈夫」
「そうか。アクセル、今回の海賊退治が終わったらテストケースとしてお前と量産型Wの小隊を試してみるとする」
「それは俺が1人にWシリーズが数人という事か?」
「そうなるな。その結果が問題無いようなら、将来的には特殊処理班10人全員が隊長として量産型Wを率いる事も視野に入れる」
「確かに人手が足りない状態はそれで解消するかもしれないが、臨機応変な対応が取れないんだろ?」
「その辺は、それこそ実際に使ってみなければ分からないからな。テスト次第といった所だ」

 まぁ、実際に人手が足りない状態が続いているんだし、量産型Wを使う事になるのもしょうがないと言えばしょうがない、のか?
 ただ、個人的には応用が効かない量産型じゃなくてWナンバーズの方を優先して欲しいのだが。

「取りあえずは了解した。人手が足りないんだ。この際使えるものはなんだって使わせてもらう」

 ヴィンデルが俺の言葉に満足したように頷き、レモンの方を見る。

「レモンもWシリーズの改良に力を入れてくれ」
「任せておいて。今は色々と手を出しているけど、私が1番最初に研究を始めたのはWシリーズなのよ。手を抜くなんて事はあり得ないわ」

 ふとレモンの研究という言葉で思い出した。

「レモン、母艦と高性能ECMの開発はどうなっている?」
「母艦はアクセルの希望に沿ったものが既に開発中よ。もっとも、規模が規模だから完成までまだ掛かりそうだけど。高性能ECMに関しては開発が難航しているわね。テスラ研の技術も応用してはいるのだけど」

 若干悔しそうなレモンを見つつ、内心で溜息を吐く。今回の海賊退治のような作戦でASRSがあれば便利だったんだが。

「さて、それぞれ報告はいいな? ならそろそろ行動に移そう。アクセル、海賊の件は頼んだぞ」
「了解。レモンも研究の方を頑張ってくれよ」

「ええ、アクセルも怪我をしないようにね」

 2人に声をかけ、ヴィンデルの執務室を出て行く。
 にしても、ATXチームとの共同作戦なんてどうなる事やら。
 念動力が教えてくれるのか、微妙に嫌な予感を感じつつも格納庫へ向かった。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:16
PP:150
格闘:170
射撃:188
技量:180
防御:177
回避:205
命中:227
SP:270
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:28 

 

0041話

「……暇だ」

 グロウセイヴァーのコックピットの中、俺は暇をもてあましていた。
 ヴィンデルからの命令により、海賊を誘き出してから殲滅――と言うか捕獲――する為にタンカーの中で待機しているのだが、肝心要の海賊が現れないのだ。
 海賊が頻繁に現れる海域をタンカーで移動している為、てっきり誘蛾灯に誘われる虫の如く現れるかと予想していたのだが。
 そんな風に思いつつコックピットの中から見える、グロウセイヴァーに新たに装備されたファントムへと視線を向ける。
 T-LINK対応型ソードブレイカー、通称ファントム。
 ソードブレイカーがハサミ型だったのに対して、小型化されたファントムは細長い円錐形へとその姿を変えていた。
 その見た目に一番近いのはUC系のガンダムに出てくるファンネルだろうか。
 ただ、ファンネルと言ってもサザビーやヤクト・ドーガ等のものではなくキュベレイのものに近い。
 もっとも、その性能を考えるとガンダム00に出てくるファングの方が近いのかもしれないが。

「メールでも送れればいいんだが」

 ふと、久しぶりにエクサランスチームへとメールを送る事も考えたが、戦闘待機中である現在そんな真似が出来る訳もない。
 1週間程前にもらったメールでは、エクサランスの開発も順調に進んでいるらしい。
 これから起こる戦闘の事を考える。
 今回は、基本捕獲なので敵パイロットを生かして捕まえなければならない。そうなると今までの経験上から言って経験値や撃墜数は稼げないだろう。

「そう言えば」

 経験値や撃墜数で思い出し、久しぶりにステータスを確認する。
 ここの所色々と忙しく、ステータスチェックをしている暇が無かったし丁度いい機会だ。
 新しく覚えた精神コマンドの『直撃』が増えているのは、以前何度か戦闘で使ったので知ってはいた。原作での内容は『1度だけ敵の援護防御や特殊能力の効果を無視して攻撃出来る』というものだった。
 特殊能力の効果というのは、簡単に言えばグロウセイヴァーが装備している念動フィールドのようなものだ。これを無視できるというのはどういう効果なのかは分からなかったが、実際に使ってみるとはっきりした。感覚的に閃くのだ。敵のどこにどのタイミングで攻撃すれば攻撃が当たるというのが。感覚的という意味では、集中に近い効果なのだろう。
 ただ、援護防御なら敵の隙を突くという意味で直撃の効果も分かりやすいのだが、念動フィールドやその他のバリア系にはどういう効果があるのか不明だ。恐らくだが、バリアと言っても常に展開している訳ではないのだろう。その展開していない隙間を直感的に教えてくれるのではないか、と予想している。
 幸か不幸かまだバリア系を持った敵と戦った経験は無いが、あちらの世界に転移すれば嫌でも主人公勢と戦う事になる。念動フィールドなんかのバリア系を持っている機体と戦う前に、その辺の性能を確認しておきたい。
 それとこの際だから、PPを使って新しいスキルを覚えておくか。
 現在のPPは150丁度。貯まっていたのは分かっていたが、色々と忙しくて新しいスキルを覚えるどころではなかったのだ。
 もっとも、これまでの作戦で新しいスキルが必要になる程に追い込まれた事がなかったというのもあるのだが。
 今回の作戦が海賊退治で、捕獲対象が海中にいるシーリオンという事で海の適性を上げる事も考えたが、将来的な事を考えると海適性を上げても、邪魔にはならないまでもそれ程有益と言う訳でもないだろう。
 以前も考えたが、何せ海での戦闘する機会はそれ程多くない。と言うか、ぶっちゃけ少ない。それに現在の海の適性はBで、海中戦は得意な訳ではないが、別に苦手な訳でもない。
 能力値に関しては、転生特典で伸びが異常に高くなってるのでこれも選ぶ必要性は薄い。
 となると、やはりスキルか。
 援護攻撃・援護防御・指揮官に関しては、今回は俺1人での作戦行動という事もあるし考えなくていいだろう。底力に関しては回避タイプの俺にはあまり意味がない。見切りに関しては有り余るSPと精神コマンドの集中があるから問題無し。EセーブはENを消費するのはレーザー・ブレードにハルバードランチャー、念動フィールドくらいなのに加えてクロノスの時流エンジンがある為気にしなくてOK。Bセーブに関してはファイア・ダガーとガン・レイピアが関係するが、ファントムがあるのでOK。
 気力が+になるスキルはスパロボOGsでは地雷スキルだったから覚えなくても大丈夫だろう。
 その他諸々を考えるに、今の状況で覚える候補はインファイト・ガンファイト・ヒット&アウェイ、アタッカー、収束攻撃、気力限界突破だな。
 まず、俺自身が基本射撃系という事もあるし射撃の威力と射程が伸びるガンファイトは取っておくべきだろう。インファイトはPPにもう少し余裕が出来てからだな。
 ガンファイトを何LVまで覚えるかは後で決めるとして、そうなると残りのPPを考えるに覚えるのは後1つくらいか。
 気力限界突破は覚えるのに100PP消費なので今回は置いておくとする。
 アインストのように大量に敵が出てくる訳ではないだろうし、収束攻撃も今回はやめておくか。
 そうなると、残りの候補は2つになる。
 多少悩むが、今回は俺の個人的な趣味でアタッカーを取らせてもらう事にする。
 アタッカーで80PP消費し、残るのは70PP。ガンファイトをLV.3まで……って、PPが5足りない。しょうがないのでガンファイトはLV.2まで覚えて残りPPは25か。
 インファイトLV.1か、貯めるか。数秒迷ったが初志貫徹という事で今回は貯める事にした。
 
「良し。まぁ、こんなもんだろ」

 そう呟いた瞬間、コックピットが揺れた。
 いや、これはタンカーが揺れている?
 という事は。

「軍人さん、聞こえるかい?」

 案の定、船長からの通信が入ってきた。

「海賊か?」
「ああ。ご丁寧に水中用のリオンが3機だが、大丈夫か?」

 心配そう、と言うよりは確認の意味を込めて尋ねているのだろう。

「ああ、戦闘は俺に任せてなるべく早く戦闘海域から離脱を」

 下手に戦闘海域に居座って、シーリオンに人質に取られでもしたら厄介極まりない。
 そこまで考え、ふとATXチームの事を思い出す。

「戦闘が始まったらこちらの援軍が来るかもしれないので一応注意しておいてくれ」

 その言葉に不思議そうに首を傾げる船長。

「注意? お前さんの援軍にか?」

 まぁ、普通はその反応だろう。無理もない。だが、援軍に来るのはアインストに感染したキョウスケの率いるATXチームなのだ。キョウスケでなくブリットや俺の知らない面子であったとしてもアインストに感染している可能性は少なくない。
 そして原作を見る限りではアインストに感染したキョウスケは敵味方の区別が無い。
 いや、正確にはアインストかどうかで判断してるので区別が無い訳じゃないんだろうが。
 そこまで感染が進んでいるかどうかはまだ不明だが、用心するに越した事はないだろう。

「ま、俺もそうだが色々と訳ありの部隊って事だ。さて、出るぞ」

 まさか本当の事を言う訳にもいかないので、誤魔化すようにそう言い、グロウセイヴァーを出撃させる。
 出撃したグロウセイヴァーのモニタに映ったのは、こちらへと飛んでくるミサイルだった。

「ちぃっ」

 咄嗟にレーザー・ブレードを展開、そのまま切り払う。
 切り払われたミサイルはそのまま船とは逆の方へと飛んでいき、数秒後に爆発を起こす。
 シーリオンはリオン系最大の特徴とも言えるレールガンを装備しておらず、近接戦闘用の武装も持っていない。持っている装備はマルチジェット・ミサイルのみだ。
 しかもこれはミサイルというよりは魚雷といった方がいい性能で、水中以外の敵に対しては酷く命中率が悪い。
 そんなマルチジェット・ミサイルを空中、というよりは船のブリッジに向かって撃ってきたのはまさか俺のような護衛がいるとは思っていなかったからだろう。
 それにこいつらは海賊である以上、船の積荷や身代金目的で船長なんかの身柄が目当てだ。船底に攻撃を命中させて沈めてしまっては積荷を引き上げるのにも一苦労だろうし、身代金と交換する人質も死んでしまう可能性が高い。

「だが、残念だったな!」

 まずは手始めと言う事で、ファントムを2基射出する。
 空中に向かって撃ち出されたファントムは、俺の意志を感じ取ったT-LINKシステムに従いそのまま水中へと突入した。

「今、マルチジェット・ミサイルを撃ってきたので1機。残り2機はどこだ?」

 ファントムを操り、シーリオンを追い込みつつ残り2機の姿を探す。
 T-LINKシステムでも敵を感知する事が出来るらしいが、俺はまだ発動出来ない。いや、敵を探すのはT-LINKシステムの裏システムであるウラヌス・システムだったか? そんな事を考えていたが、レーダーに反応!

「空中だと!?」

 シーリオンだけにてっきり海中にいるとばかり思っていたのだが、どうやら空を飛ぶ事もある程度は可能らしい。
 いや、リオン系の機体というのを考えれば飛べても不思議ではないか。
 俺が空中にいるシーリオンを発見したのと、ファントムが海中にいるシーリオンの手足をレーザーブレードで切り裂いたのは殆ど同時だった。

「まずは1機」

 とにもかくにも、最低限の情報源は手に入ったと言ってもいいだろう。残り2機も可能なら捕獲したい所だ。

「っと!」

 空中にいるシーリオンから発射されたマルチジェット・ミサイルを右に移動する事で回避。そのままレーザー・ブレードで四肢を切り裂こうと敵機へと向かうが、それを読んでいたのか海中へとその身を沈めるシーリオン。
 咄嗟にファントムを射出しようとするが、さすが水中専用機とでも言うべきか既にファントムの射程距離外まで移動している。

「なら炙り出させてもらおうか。加速!」

 シーリオンがいると思われる海中の上まで精神コマンドの加速とクロノスに装備された追加ブースターを使用して一気に移動し、海中にグロウセイヴァーの胸部を向ける。

「多段頭ミサイルのシャワーだ。存分に喰らえ!」

 ファイア・ダガーを連続して発射。小型の爆発で海中を埋め尽くす。
 その爆発に炙り出されたのか、シーリオンが堪らず空中へと避難してくる。

「2機目!」

 クロノスに折りたたまれているビームガトリング砲を伸ばし、空中にいるシーリオンの下半身へと攻撃を集中させる。
 トリガーを引いていた時間は1秒足らずだったが、シーリオンに発射された数十の細かいビームがその下半身を砕き尽くし、上半身のみになったシーリオンがタンカーの近くへと墜落した。

「ラスト1機は?」

 レーダーを確認するが、反応は無い。
 余程上手く隠れているか、はたまたシーリオンだけにこちらの索敵では探索出来ない深海に潜んでいるのか。

「船長、そちらのレーダーで残り1機を海中に確認できるか?」

 取りあえず、グロウセイヴァーのレーダーでは海中を把握しきれないので、専門のレーダーが積んであるタンカーの船長へと連絡する。
 だが、帰ってきた通信は船長の焦りの声だった。

「軍人さん、真下だっ!」

 真下!? ちぃっ!

「念動フィールド、全開!」

 T-LINKシステムをフル稼働させ、念動フィールドを俺に出せる最大強度で稼働させる。
 それと殆ど同時に感じた衝撃と揺れ。
 空中で弾き飛ばされたグロウセイヴァーの体勢を建て直し、モニタを確認するとそこには空中を勢いよく駈け上がっていくシーリオンの姿。
 どうやら俺の真下から全速力で突っ込んできたが、念動フィールドのおかげで弾き飛ばされただけで済んだらしい。
 これはエクアドル基地へと帰ったらレモンに礼を言わないとな。
 そんな事を考えつつ、空中に飛び出したシーリオンへとリニア・レールガンの砲身を伸ばして狙いをつける。
 いくらリオン系列とは言え、シーリオンはあくまでも水中専用機。跳ぶ事は出来ても、飛ぶ事は出来ない。
 つまり、今は空高くにいてもいずれは海中へと戻る事になる。

「そこを狙えば3機目の情報源を確保可能ってな。集中、直撃」

 最高高度に達したのだろう、推力を失い海中へと落下していくシーリオン。
 精神コマンドの集中と直撃を使用した俺はトリガーへと指をかけ。

「軍人さん、避けろぉぉぉぉぉっ!」

 突然通信で聞こえてきた船長の叫びに咄嗟にトリガーから指を外し、反射的に追加ブースターを稼働させ上へと移動。

 ガンッ

 鈍い音と同時に激しい衝撃がコックピットを揺らす。
 中でシェイクされながらも、集中の効果で集中力が増した俺の目には1機のPTが映し出されていた。
 恐らく、その機体が俺にぶつかってきたのだろう。
 だが、それは今は問題では無い。
 問題なのは……

「アルトアイゼン」

 それがグロウセイヴァーを吹き飛ばしたPTの名前だった。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:16
PP:25
格闘:170
射撃:188
技量:180
防御:177
回避:205
命中:227
SP:270
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.2
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:28 

 

0042話

 やはり精神コマンドの集中を使っていたのが良かったのだろう。そのおかげで船長からの咄嗟の叫びに反応出来たのだから。
 もし集中を使っていなかった場合、あの機体の角に貫かれていた可能性がある。
 そう、まるでカブトムシの角のようなヒートホーンに、右手に装備されたリボルビング・ステーク。PTにしては重量級とも言えるその重さを大推力バーニア・スラスターで無理矢理解消したその機体。
 ただし、その機体色は赤ではなく青。

「アルトアイゼン」

 ……いや、こちらの世界では違うか。

「ゲシュペンストMk-Ⅲ」

 そしてそのパイロットは。

「キョウスケ・ナンブ」

 正直やはりか、という印象が強い。ヴィンデルからATXチームが援軍に来ると聞いた時に半ば予想出来ていたのだ。

 シーリオンへとブースターを噴射させ、その右手に装備されたリボルビング・ステークで狙いを付け、振り下ろされた金属製の杭がシーリオンのコックピットへと向けて突き出される。

「駄目だ、先輩!」

 思わず口から出た『先輩』というその言葉だが、ゲシュペンストMk-Ⅲは特に動揺する事もなくその杭でコックピットを串刺しにし、リボルビング・ステークの機構を使い撃ち貫く。
 そして数秒後にシーリオンが爆散する。

「キョウスケ先輩、いや。先輩はもう死んだ。あそこにいるのはベーオウルフだな」

 口の中だけで呟き、改めてキョウスケへと通信を送る。

「こちらシャドウミラー隊、特殊処理班隊長、アクセル・アルマーだ。援軍には感謝するが、今回の作戦は海賊共から情報を聞き出す為に生きて捕まえる事だった筈だ。何故、殺した?」
「敵……消滅……確認」

 通信から聞こえてくるのは、途切れ途切れのキョウスケの呟き。
 これは、感染が思ったよりも進行しているのか?

「ATXチーム、キョウスケ・ナンブ、聞こえているのなら返答を」

 再度通信を送るが、キョウスケはこちらに答える事なく来た方へと向かい去っていった。

「軍人さん、大丈夫か?」

 恐る恐る、といった様子で船長からの通信が送られてくる。

「ああ、さっきは助かった。船長からの通信がなければ右脚だけじゃすまなかっただろう」

 グロウセイヴァーのモニタには、右脚損傷のアラートが表示されている。
 船長の叫びに咄嗟に回避したが、それでもゲシュペンストMk-Ⅲの突進を完全には回避できなかったのだ。

「にしても、軍人さんから前もって聞いていて本当に良かったよ。まさか味方も何も関係無しに攻撃を仕掛けて来るとは思わなかった」
「そうだな。取りあえずタンカーの方で海に浮かんでいるシーリオン2機を引き上げてもらっていいか? 機体とパイロットは近くの港に着いたらうちの部隊が引き取りに来ると思うが」
「ああ、任せとけ。おい、浮かんでる機体を2機とも引き上げろ。相手は海賊だからな、気を抜かないようにしろよ!」

 近くにいる船員に命じながら、なにやら装置を操作している。
 そんな様子を見ながら、俺も右脚を損傷したグロウセイヴァーをタンカーの甲板へと移動させる。
 取りあえず右脚の損傷のみだし、任務も達成したし応急修理等は別にいらないだろう。
 と言うか、下手に手を出したら素人の生兵法で余計に修理に時間が掛かりそうだ。
 近くにいる船員には危険かもしれないのであまり機体に近づかないように声を掛け、引き上げられたシーリオンの方へと移動する。
 既に2機とも引き上げられ、片方は四肢がない状態、もう片方は下半身が丸々ない状態となっており動く様子はない。
 2機の周囲には船長や船員が周りを囲んでおり、その手には銃や斧なんかの武器を持っている。

「船長」

 銃を持っている船長へと声を掛ける。
 何やら困惑した表情でこちらへと振り返る船長。

「おお、軍人さんか。引き上げたのはいいけど、パイロットが出てこないんだがどうしたもんかな」
「確か、外部からコックピットを強制的に開放させる為の装置があったと思うが」

 船長と会話をしつつ、四肢がない方のシーリオンのコックピット周辺を調べる。

「開けるぞ」

 シーリオンのコックピット近くにあった装置を操作し、コックピットを強制的に開放。
 船長達はコックピットの周りに固まり、海賊が襲いかかってこないか警戒している。
 俺も強制解放の操作を完了した後、すぐにそちらへと向かう。手には念の為に拳銃を持っているが……

「なぁ、軍人さん?」

 船長の近くに行くと、俺が声を掛ける前に船長から話しかけてきた。
 何やら呆然としたその表情を浮かべている。

「どうした? 海賊は?」
「それが、ちょっと見てくれ」

 船長に言われ、シーリオンのコックピットの中へと視線を移す。
 そこにいたのは少年と言うよりは、まだ幼いと言った方がいいような少年だった。
 年齢的には10歳くらいだろうか。きつい目付きでこちらを睨んでいる。

「お前がこの機体のパイロットか?」

 状況証拠からそれ以外は有り得ないのだが、念の為に確認する。

「見て分からないのかよ。俺以外に誰か乗ってるように見えるか?」
「いや、一応確認の為にな。で、あっちのパイロットもお前さんのお仲間だろう? 出てくるように言って貰えないか?」
「ふん、誰が軍人なんかの命令を聞くか! さぁ、殺すなら殺せよ! 俺は絶対にお前達なんかの命令は聞かないからな!」

 俺やこの船で働く船員達へと向けて叫ぶ少年。

「あー、船長? どうしたらいいと思う?」
「いや、俺に聞かれても。こいつは捕虜で、軍が責任を持つんだろう?」

 てっきりチンピラやらDC残党やらが出てくると思っていただけに、対応に戸惑う。
 ……ん? ちょっと待て。少年のパイロット? それってスクール関係じゃないだろうな?

「お前、スクール出身か?」

 少年は俺の言葉が理解出来なかったのか、胡散臭げに口を開く。

「あいにく俺は学校なんかに行った事は無い。そんな金があったら食べ物を買ってる」

 少なくてもスクール出身じゃない、か。てっきりラトゥーニやアラド、ゼオラ、オウカなんかの仲間かと思ったんだが違ったらしい。
 取りあえず、下半身が破壊されているシーリオンに向かって声を掛ける。

「そっちのシーリオンのパイロット、出てきてくれないか? 出てこない場合は、この少年に不本意な態度を取らざるを得なくなるんだが」

 その声が聞こえたのだろう、もう1機のシーリオンのコックピットが開きパイロットが出てくる。

「こっちもかよ」

 呆れたような船長の声。
 それもそうだろう。もう1機の方から出てきたのも先程の少年と同年代の子供だったからだ。ただ、先程の勝ち気な少年と違ってこちらは内向的な印象を受けるが。

「馬鹿、何で出てきたんだよ!」
「だって、このままだと……」

 何やら言い合いをしている2人を尻目に、船長へと声を掛ける。

「船長、部屋を用意してくれないか? 取りあえず事情を聞いてみる」
「あ、ああ。分かった。すぐに用意させる。あいつに付いていってくれ」

 船長から何やら命令を受けている船員の後を、2人の少年を連れて付いていく。

「なぁ、カルは?」

 階段を下りている途中、勝ち気そうな少年に声を掛けられた。
 カル。人の名前か? いや、この流れで聞いてくると言う事は。

「カルというのは、3機目のシーリオンに乗ってたパイロットの名前か?」
「ああ、そうだ。俺達の中で1番腕が立つんだ」

 自慢げに言って少年に本当の事を言うべきかどうか迷ったが、ここで誤魔化してもどうせすぐに知られる事だと思いなおす。

「3機目のシーリオンは俺達の援軍にコックピットごと貫かれて爆発したよ。あの爆発で生き残っているとは思えない。諦めた方がいい」
「そんな……」

 言葉を詰まらせたのは勝ち気な少年の方だった。内気な少年の方は、その瞳に涙を貯めている。

「着きました、ここなら大丈夫です」
「助かる」

 船員に礼を言い、2人の少年と部屋の中へと入る。
 さて、何でこんな子供達が海賊なんてやってたのやら。口が上手い方ではないが、出来るだけ聞き出してみるとしよう。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:16
PP:25
格闘:170
射撃:188
技量:180
防御:177
回避:205
命中:227
SP:270
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.2
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:28 

 

0043話

 目を瞑っていても尚眩しい光により、意識が覚醒されていく。
 なにやら甘酸っぱいようないい匂いがする。
 匂いの元をさぐるべく手をまさぐると、何やら弾力のある物体を触る。
 かなり大きく、重量もそれなりにある。

「ん?」

 ようやく頭がはっきりしてきたので、目を開く。
 まず最初に入ってきたのは肌色。そしてその肌色の上の方にはピンク色が。

「って、レモン!?」

 自分自身が何を抱いて寝ていたのか気が付き、慌てて起き上がる。
 ベッドの上で全裸で眠っていた俺とレモン。
 既に何があったかは言うまでもないだろう。
 周囲を見回すと、少なくても俺の部屋ではない。
 何度か入れてもらった、レモンの部屋だ。

「えっと……あれ?」

 自分に何があったのかを思い出す。





 タンカーにある客室の1つで、捕らえたシーリオンのパイロット2人から事情を聞いていた。
 正直、事情を聞いて頭が痛くなってしまったのはしょうがないだろう。
 北アフリカのリビアにある中規模の連邦軍基地。そこの司令官が近くの街にいる孤児を集めて育てていた。
 それだけを聞くと立派な行動なのだが、実際は子供の頃から自分を崇めるように教育して将来的には決して裏切らない自分の私兵とするつもりだったらしい。
 教育と言うか、この場合は洗脳だな。
 その事を知った子供達のうち数人がDC残党の使っていたシーリオンを保管してあった所から盗み脱走。その後この近海の海賊に拾われて現在に至ったという訳だ。
 エクアドル基地に戻り、ヴィンデルにその事を報告。取りあえず海賊のパイロットという事で捕虜にしたが、さすがに10歳前後の子供をどうこうする訳にもいかず、ヴィンデルの伝手で施設へと送られる事になった。
 とうとうと言うか、やはりと言うべきか。明らかになってしまった、軍上層部へと広がっていた腐敗。その実態を目にしたヴィンデルの顔は悔しさと憎しみを混ぜ合わせたものだった。
 そんなヴィンデルを見つつもキョウスケの事もありフォローする余裕も無かった俺は、そのまま執務室を出て食堂へと向かう。





「何でもいいから、アルコール」

 食堂でそう頼むと、出てきたのはエクアドルで最も飲まれているビールのピルスナービールだった。
 アクセルに転生して、初めて飲むアルコールがやけ酒になるとは思いもしなかったな。
 俺の様子に何かを感じたのか、無言で食堂のアルコールを取り扱っているマスターが出してくれたものだ。
 ちなみに、マスターというのはアルコール部門の責任者である以上そう呼ばれるのが当然、という事で客に自分をマスターと呼ばせている。
 差し出されたビールを一瞬の躊躇無く飲み干し……飲み干し?


「あれ? それからどうした?」

 ビールを一気飲みした所で記憶がすっぽりと抜け落ちている。
 気がいた時にはレモンのベッドでお互いに一糸纏わぬ姿で眠っていた。

「ん? アクセル?」

 俺の気配で目が覚めたのか、まだ眠たげな目をしたレモンがこちらを見ている。

「おはよう」
「あ、ああ。おはよう」

 朝の挨拶をしてくるレモンに、何とか挨拶を返す。
 だが、やがて俺の困惑している表情に気が付いたのだろう。不思議そうな顔をして尋ねてくる。

「どうしたの?」
「いや、その、なんだ。俺とレモンは昨日寝た、んだよな?」
「ええ、そうね。……覚えてないの?」

 俺の質問に即座に頷き、次の瞬間には何か理解をしたかのようなジト目でこちらへと視線を向けてくる。

「あー、正直すまん。ビールを1杯飲んだ所で記憶が途切れてる」

 まさかアクセルの体がここまでアルコールに弱いとは思わなかった。
 アクセルに転生して20年弱。今までアルコールを飲んだ事が無かったのがここまで致命的だったとは。
 弁明をさせてもらうとするなら、俺は前世では普通にアルコールを飲む事が出来ていた。ザルという程強い訳でもなかったが、それにしたってビール1杯で記憶を失う程弱い訳でもなかったのだ。

「そこから? 全く、しょうがないわね」

 苦笑をしつつも、レモンの知ってる昨夜の俺の行動を教えてもらう。
 
 レモンが夕食を取る為に食堂に来た時、俺はビールを飲んでいたらしい。
 2年以上の付き合いになるが、俺がアルコールを飲む所を初めて見たレモンは、物珍しさも手伝いそのまま俺と一緒に飲み始めた。
 その時に俺がキョウスケに関する事や、軍上層部の腐敗についてかなり愚痴っていたらしい。そんなこんなで数時間。さすがに食堂もそろそろ閉まる時間になったのでアルコールを手当たり次第に購入して、レモンの部屋で飲み直す事に。
 そして、レモンの部屋でまたもや弱音を漏らす俺。
 曰く、腐った政治家共が気にくわない。
 曰く、腐った連邦軍上層部も気にくわない。
 曰く、インスペクターも気にくわない。
 曰く、そもそもこんな世界を作った神も気にくわない。
 曰く、転生なんて最悪だ。

 ……って、おいっ!?
 いくら酔っ払っていたとは言え、俺の最大の秘密をあっさりばらすか普通?
 冷や汗をにじませながらも、レモンの方へと視線を向ける。
 すると、面白そうな笑みを浮かべているレモンと視線がぶつかった。

「その様子だと、満更酔っ払いの戯言と言う訳でもなさそうね」

 こういう時ばかりは、レモンの頭の回転の速さが恨めしい。
 時々見掛ける、肉食獣のような眼光をその眼に宿し、俺の方へと這い寄ってくる。

「と言うか、服くらい着ろよ」

 一瞬、レモンの肢体へと見惚れつつも何とか口に出す。
 ほんの一瞬だったが、染み一つない肌の白さや、これでもかと盛り上がって自己主張をしている胸は強く記憶に残ってしまった。
 だが、レモンはそんな俺の様子を面白そうに見るだけだ。

「何で? 隠す程に醜い身体のつもりはないんだけど?」

 俺の脳裏には原作で裸にバスタオル1枚の姿でブリットをからかっていたエクセレンの姿が思い浮かんでいた。いや、原作ではなくてコミック版だったか?
 くそう、こういう所はエクセレンにそっくりだよ。

「分かった、降参だ降参。俺の知ってる事は教えるから、頼むから服を着てくれ。眼のやり所が無い」

 本来なら誤魔化す所なのだろうが、あの鋭いレモンに転生という、俺に対するヒントを与えてしまった以上どう言い逃れようとしても無駄だろう。
 それならこっちから話せる事だけ話して、シャドウミラーのこれからに協力してもらった方が余程有益だ。
 どうせ下手に誤魔化しても、こちらに対する疑心感が残るだけだろうし。
 取りあえずこのままでは俺の理性がやばいので2人とも着替えをし、改めてレモンと向き合う。

「さて、何が聞きたい?」
「そうね。まずは何を知っているのか? で行きましょうか」
「何を知っているのか、か。良い質問だな。そうだな。あえて言うなら、この先に起こる未来を限定的にだが知っている」
「限定的?」
「ああ、例えば本来の歴史ならアクセルはモントーヤ博士と親交を結ぶ事は無かったし、シャドウミラーに時流エンジンが流れてくる事も無かった」
「でも、アクセルがその歴史を変えた?」
「そうなるな。何せ死亡フラグ満載の世界を生き抜かなきゃいけないんだ。なるべく自分に有利になるように行動せざるを得ないさ」

 そこまで言った時、ふとレモンが何かを思い出すように眼を瞑る。

「ねぇ。じゃあもしかして貴男に予知能力があるというのは?」
「ああ、そんなものは無い。念動力があるのは本当だがな」
「本来の歴史でもアクセルは念動力を持っていたの?」
「いや。これは俺がアクセルとしてこの世に生を受けた後に得た力だ」
「得たって、どうやって? 特脳研のレポートにあった人工的な念動力者の実験に参加したとか?」

 レモンの言葉に首を振り、指を1度鳴らす。
 同時に俺の顔の横に空間倉庫が口を開け、そこからスライムの触手を伸ばす。

「ちょっと、これって……」

 さすがのレモンも驚いたのか、呆然とした顔をしている。

「転生の特典という奴でな」

 レモンへとスライムと空間倉庫について詳しく説明する。
 それ以外の能力については、具体的な証拠を示せる訳でもないので黙っておく事にした。
 転生したというのはこの2つがあれば十分証明できるだろう。

「なるほど。なんともまぁ、便利なものね」

 スライムを眺めながら、説明を聞いていたレモンが口を開く。

「それで、貴男が本来の歴史を知っているというのも転生特典とやらのおかげなのかしら?」
「いや、それはちょっと違うな。そうだな、何と言えばいいか。ぶっちゃけるとこの世界の事は前世で物語になっていたんだよ」
「物語?」

 さすがに不審そうな顔になるが、アギュイエウス等の開発に関わっていただけあり飲み込みが早かった。

「なるほど。つまりは平行世界のような場所でどういう理由かは知らないけど、この世界の情報を無意識に観測していた人がいた……のかもしれないわね」
「そして、その観測者が無意識にその観測結果を自分のアイディアだと思い込み、世に出した?」

 俺の言葉に頷くレモン。
 そっち関係の知識が全くない俺としては、専門家の意見だけに納得するしかない。

「それで、これから私達は……いえ、やめておきましょう。ここで何か聞いたら、それこそ未来の流れがねじ曲がるかもしれないし、なによりも先の事を知っているのは面白くないわ」
「そういうものか? まぁ、レモンがそれで納得するならそれでいいんだが」
「ええ。取りあえず未来の事はどうしようもなくなるような内容でも無い限りは言わないでちょうだい。それと、この事を知っているのは?」
「俺以外ではレモンだけだな」
「そう、ヴィンデルには言わないの?」

 正直、それを考えた事が無いとは言わない。士官学校時代に出会ってからそれなりに長い付き合いだ。だが、政府や軍上層部の腐敗ぶりを憎み始めている今のヴィンデルに教えるというのはちょっと不味い。

「そうだな。もし時期が来れば、いずれは話したいと思っている」

 頭の回転が並外れているレモンの事だ。そう答えた俺の表情を見て、大体の事情を察したのだろう。
 黙って近寄ってきて、俺を背後から抱きしめる。

「そう、なら私は何も言わないわ。でも、覚えておいてね。私は貴男を決して裏切らない」
「ああ、ありがとう」

 レモンへと礼を言い、そのまま唇を重ねた。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:16
PP:25
格闘:170
射撃:188
技量:180
防御:177
回避:205
命中:227
SP:270
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.2
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:28 

 

0044話

 レモンに俺の真実を打ち明けてから2ヶ月余りが経過した。
 ヴィンデルは今までのシャドウミラーでの成果が認められて中佐へと昇進したらしい。もっとも、最近の連邦軍の事を憂いてか、あまり嬉しそうには見えなかったが。 
 前世や転生の事を知ったレモンだが、俺との関係に特に変化はない。
 いや、まぁ、その。付き合う事になったというのは変化と言えば変化かもしれない。
 ただ、科学者としては当然と言うべきだが、空間倉庫やスライムに強い興味を持っているようで、2人きりになったとしても恋人同士の甘い時間というよりは科学者と被験者のような時間を過ごす事が多かったりする。
 特にレモンは空間倉庫よりもスライムの方に夢中なようで、色々と実験を繰り返している。
 例えば、どれだけの量を吸収すればスライムの質量が増えるのかや、対象を吸収するのに必要な時間等。
 また、ただ実験するだけではなく、スライムをグロウセイヴァーの武器として使うという発想もレモンのものだ。
 正直スライムを使った攻撃手段としては、スライムの元ネタFate/Zeroのケイネスのイメージが強かったので生身で使うという先入観があっただけに、目から鱗だった。
 ただ、さすがに毎回毎回人目につかないように空間倉庫を展開するというのが大変だと欠点を指摘した所、なんとテスラ研で現在開発中のグルンガスト参式が使う液体金属を使用した刀、参式斬艦刀の技術を流用……という名目でグロウセイヴァーが使用しているレーザー・ブレードをスライム・ブレードに変更してしまった。
 もっとも、さすがにスライム・ブレードなんて名前では人目を引くので暫定的に『アダマン・ハルパー』となったが。
 理由としては、グロウセイヴァーが装備している追加統合兵装クロノス。そのクロノスが父親である神界の王ウラノスを斬ったのがアダマンタイトの大鎌であった所からとったらしい。
 その名称通り、基本状態は大鎌となっている。
 だが、外見は大鎌でも中身(?)はスライムなので現在は質量の関係上、近距離限定ではあるがオールレンジ攻撃が可能だし、その鋭さはその辺のPTなんかは抵抗感すらなく切り裂く一品だ。
 実際、前回の作戦時にはリオン系列では最も重装甲と言われているバレリオンを一刀で切り裂いたしな。
 ちなみにその作戦で敵を2機撃墜し、PPを10P入手したので早速ガンファイトのLVを3に上げておいた。
 そんな風になんだかんだで上手くやっている俺とレモンだったが、時流エンジンに関して相談されても俺にはどうしようもないのでラージ達を紹介した。
 考えてみれば今まではモントーヤ博士とヴィンデルがやり取りをしていたので、レモンがエクサランスチームと通信越しとは言え、会うのは初めてだった。
 最初のうちは、同じ研究者という事もありラージやミズホと専門用語を交えた会話をしていたのだ。
 内容自体は難しいものだが、3人とも専門家という事もあり友好的な雰囲気で会話をしていた。
 それが一変したのは、モニタの向こうにフィオナとラウルが現れた時だ。





「ラージ、ミズホ。エクサランス・ストライカーのフレームなんだけどもう少し骨太にしないと格闘戦をしている時に破損しちゃうんじゃない? ……って、あら? どちら様?」
「フィ、フィオナさん!?」

 慌てた様子のミズホを尻目に、ラージがあっさりと口に出す。

「彼女はレモン・ブロウニング博士。ほら、アクセルさんの話に以前出ていた同僚の方ですよ。僕達と同じく時流エンジンの研究もしているそうで、色々と情報交換やアドバイスをしてもらっている所です。ミズホも会話に参加しているのは、レモン博士は機体開発もしているらしいので、それでですね」
「へ、へぇ。ミズホもねぇ」

 ラージの説明にジト目でミズホを見るフィオナ。

「あの、フィオナさん。私は別に、その、あの」
「貴女は? 私の事は知ってるようだけど」

 レモンの問いに答えたのは、やはりラージだった。

「彼女はフィオナ・グレーデンといって、僕達エクサランス開発チームのメンバーで、テストパイロットを担当してもらっています」
「あぁ、貴女がフィオナさんね。アクセルから話は聞いてるわ」

 フィオナへと視線を向けるレモン。何やら挑発的な目でフィオナの事を見ている。

「へぇ。あたしもレモンさんの事は色々と聞いてますよ? そう、色々と、ね?」

 挑発には挑発という事か。レモンへと掛けられた言葉は挑発に満ちていた。
 何か、妙に雰囲気が重くなっているような気がする。
 実際、モニタの向こう側でもラウルとミズホが額に汗を浮かべながら2人の様子を黙って見守っていた。
 ……もっともラージは何が起こっているのか分からない様子で戸惑っているが。
 最初に口火を切ったのはレモンだった。

「アクセルとは士官学校時代から親交があったそうね?」
「ええ、父さんと文通をしていたのがきっかけで。あら? でもそうなるとアクセルさんとの付き合いはあたしの方が長いって事ですよね?」

 口元に笑みを浮かべつつ、何故か勝ち誇るフィオナ。
 だが、その得意顔もレモンが口を開くまでだった。

「ええ、そうらしいわね。アクセルからは妹みたいな存在だって聞いてるわ。妹さん?」
「そ、それは以前までの印象でしかないです。それにそういう風に言うならあたしだって聞いてますよ? 良き同僚のレモンさん?」

 そう言えば、確かにモントーヤ博士の葬式の時にそんな風にレモンを紹介した覚えがあるな。
 だが、それを聞いたレモンは何故か俺の方へと視線を向けてきた。

「へぇ、同僚ねぇ」
「ん? 2人とも、どうしたんです?」

 何やら気の毒そうに俺を見ているミズホとラウルをよそに、言葉を挟んできたのはラージだった。

「いえ? 別に何でもないわよ?」
「そうそう。何でもないわ」

 そして何故か急に呼吸が合う2人だった。
 何となく重苦しい雰囲気が消え去ったのを感じ、モニタの向こう側へと声を掛ける。

「そういえば、機体名はエクサランス・ストライカーで決まったのか? 少し前にラウルからもらったメールには何て名前にするかで迷ってるとか書いてあったが」
「エクサランスが機体名で、ストライカーがフレーム名になっています。つまりエクサランス・ストライカーは地上戦闘用のフレームですね」

 レスキューマシンではなくても、自分が開発したからには多少の愛着も湧いたのだろう。ミズホが少し得意そう説明する。

「ストライカーフレームは基本的に格闘戦をメインにしてますから、フィオナさんよりはラウルさんの方が相性がいいんですよね」
「ちなみに他のフレームはどうなっている?」
「そうですね、宇宙用と空中用のフレームをそれぞれ開発中ですがどちらも完成度はまだ10~20%程度です」
「なるほど、そっちはまだまだか」





 とまぁ、こんな感じでレモンとフィオナの初対面は終わった。
 何故か妙に仲の悪い2人の様子がちょっと気になったが、レモンが時流エンジンの研究もしている以上これから嫌でも関わっていくだろう。そのうちに仲良くなってくれるといいんだが。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:16
PP:5
格闘:170
射撃:188
技量:180
防御:177
回避:205
命中:227
SP:270
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.3
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:30 

 

0045話

「反乱?」

 ヴィンデルの執務室に呼び出された俺に下された命令は、連邦軍に反旗を翻した部隊を殲滅せよというものだった。

「にしても、反乱なんて穏やかじゃないな」
「穏やかな任務が私達に来る訳が無いだろう」

 それもそうか。俺達みたいな荒事専門の特殊部隊に航空ショーに参加しろ、みたいな任務が来たら逆に驚く。

「で、そもそもどこで何が原因で反逆なんて真似をやらかしたんだ?」
「場所としては、北米のコロラドのヴェルドにある基地だ。反逆の理由としては基地の責任者に言わせると自分に嫉妬した1部の将校が暗殺を試みたが失敗。逮捕しようとした所、テスト機として配備されていた新型量産機であるエルアインスを含む機体多数を奪取され、基地司令は決死の奮戦やむなく一時避難した、との事だ」
「あー、えっと、どこから突っ込めばいいんだ?」

 そもそも、連邦軍に反旗を翻した理由が嫉妬ってなんだ、か? それとも新型量産機をあっさりと奪われるとか有り得ないだろう、か? 駄目だ。突っ込み所が多すぎる。
 そんな風に悩んでいると、俺の顔を見て何を考えているのか大体理解したようでヴィンデルが話を続ける。

「まぁ、怪しいのは十分承知の上だ。そもそも以前からあそこの司令には良い評判は聞かなかったからな。何らかの裏があるのは間違い無い」
「で、その裏があるのを知っていながら殲滅してこいと?」
「少なくても、その反逆した部隊を消滅させろとの命令だ」
「ヴィンデル!」

 兵士を見捨てろとでもいうような発言に思わず声を荒げる。
 だが、それを制するようにヴィンデルが言葉を重ねる。

「上層部の命令はその部隊が消える事、だ。もしアクセルが秘密裏に捕虜にしても表舞台からその部隊が消えれば問題は無い」
「なるほど」

 ようするに、敵をなるべく殺さずに倒して捕らえれば、捕虜という名目でヴィンデルが何とかしてくれるという事だろう。

「それと、量産型Wはどうだ?」
「最初は色々と問題があったが、今は十分役に立ってくれている」

 少し前から、以前ヴィンデルが言っていた通り俺の部隊は俺以外の3人が量産型Wになっている。
 最初は色々と不具合も多かったのだが、レモンが調整を加えるに従って普通の兵士としては十分な実力を示すようになってきた。
 ……いや、普通の兵士じゃないな。1流の兵士と言ってもいいだろう。
 レモンの技術により産み出された量産型Wは疑似記憶や疑似経験等の注入により生まれた時から既に兵士として完成している。
 ただ、問題なのはあくまでも1流でしかないという事だ。
 ヒリュウ改やハガネのような部隊にいる超1流と呼ばれるようなパイロット達に勝つ事は絶対に無理だろう。
 これがWナンバーズならラミアの例もあるしそれらにも対抗出来るのだろうが。

「そういえば、Wナンバーズの方はどうなっているんだ?」
「レモンの話によると、W15はまだしばらく時間が掛かるそうだ。W16は経験を積ませる為にも、今回お前に同行させる事になる」

 W16、エキドナ・イーサッキか。原作ではアクセルを守って散っていっただけに妙な因縁を感じてしまう。
 ただまぁ、有能なのは間違い無いんだし今回のような手数が必要になる任務では十分役に立ってくれそうだ。

「分かった。そのW16は?」
「レモンの研究室にいるそうだ。後で寄って顔合わせしておけ」
「分かった。他に何かあるか?」
「そう、だな。先にも言ったが、今回の反乱はあからさまに怪しい。いや、怪しい所しかないと言っても構わないだろう。その辺を解明する為にも、なるべく多くを捕らえてきてくれ」
「ああ、了解した。エルアインスもついでに欲しいしな」

 エルアインス。あちらの世界では未だ設計図すら存在しない機体。R-1直系の機体で高い運動性と長射程、テスラ・ドライブによる飛行機能を持つ優秀な機体だ。いずれシャドウミラーにも配備されるだろうが、この機会に何機か奪っておくのも悪くはないだろう。

「その辺はお前の裁量に任せる。実際あれは優秀な機体だ。最近は補給も厳しくなってきただけにあると助かるな」

 ヴィンデルが軍上層部に対する諫言や汚職政治家の悪事の証拠等を提出するようになった為か、ここしばらくは補給が滞りがちになっている。言うまでもなく質の悪い報復だろう。
 その癖、任務はいつも通りに命令されるのだから色々と厳しくなって来てるのも確かだ。

「了解。機体の他にも使えそうなものは適当に確保してくる」

 ヴィンデルへと敬礼し、執務室を出た俺はレモンの研究室へと向かう。
 レモンの研究室へは既に数えるのも面倒なくらい通っているので、軽くノックをしてから扉を開け、いつものようにソファでくつろぎながら紅茶を飲んでいるレモンへと声を掛ける。
 5ヶ月程前にエクサランスチームと時流エンジンについて意見交換をしていたが、現在でも最大の興味はやっぱり俺のスライムとか空間倉庫だったりする。

「レモン、W16が今回の作戦に付いてくると聞いたんだが」
「ええ、聞いてるわ。エキドナ、こっちに来て頂戴」

 レモンの声に従い、奥で何らかの作業をしていたエキドナがこちらへとやってくる。
 紫色のショートカットが強い印象を与えるその姿は、まさに俺が知っているエキドナ・イーサッキだった。

「紹介するわね。彼女がW16。エキドナ・イーサッキよ。エキドナ、彼がアクセル・アルマー。特殊処理班の隊長で、今回の作戦中貴方の上司になるわ」
「了解しました。よろしくお願いします、隊長」

 綺麗に敬礼をしてみせるエキドナ。
 だが、その仕草はどうにもロボットのように思える。心がこもってないとでも表現するべきか。

「レモン、本当に大丈夫か? 余り自我を感じないんだが」
「それはしょうがないわよ、まだ生まれたばかりですもの。時間が経つにつれて自分という存在を確立していく筈よ」
「なるほど。疑似経験はあくまでも疑似という訳か」
「そうなるわね。でも、戦闘なんかはきちんと出来るから安心して頂戴」
「機体は?」
「そうね、何かお勧めはある?」

 レモンの言葉に考える。
 今回の任務で俺はなるべく多くの敵を行動不能にして捕虜としなければならない。そうなると、臨機応変に動くのが苦手な量産型Wを指揮するというのは俺の負担になるだろう。
 戦闘はきちんと出来ると言う話だし、エキドナには後方からの援護と量産型Wの指揮をしてもらうのがベストか。

「そうだな、以前レモンに勧めたランドグリーズで出撃してもらおう。やる事は量産型Wの指揮と、後方からの援護射撃だ」
「あら? 指揮をエキドナに任せるの?」
「ああ、ヴィンデルからの要請でなるべく殺さずに捕虜にしろとの事だ。そうなると一番対応しやすいのはファントムを装備しているグロウセイヴァーだろう。だから今回は基本的な指揮はエキドナに任せて、俺は敵機の無力化に専念させてもらう。構わないな?」
「了解しました、隊長」

 エキドナは敬礼して了解する。

「それと、こちらは可能ならだが新型量産機のテストとして配備されていたエルアインスをなるべく多く入手しておきたい。それ以外にも使える物資があったら忘れずに持ち帰る事になる」
「あら、それじゃまるで私達が山賊みたいじゃない」

 面白そうに言ってくるレモンだが、背に腹は替えられない。

「レモンも知っての通り、最近は補給が滞りがちだからな」
「それもそうね。でも、今回の反乱が起きるのが後半月程後だったら良かったのだけど」

 何やら残念そうなレモンを見て、疑問に思う。

「半月?」
「ええ、アクセルに頼まれていた母艦の最初の1隻が後半月程でロールアウト予定だったのよ」
「本当か!?」

 その報告には驚いた。
 まさかトライロバイト級がもうロールアウトしてくるとは。
 いや、あちらの世界に転移するまで後約1年程だと考えるとそうでもないのか?

「ちなみに、トライロバイト級万能戦闘母艦と名付けたわ」
「了解した。1番艦に乗るのはこの作戦の後の楽しみにさせてもらう」

 レモンに出撃前の挨拶をし、エキドナと共に研究所を出る。
 トライロバイト級が間に合わなかったという事で、今回の出撃もいつもの如くレイディバードとなる。

「む?」

 ふと思い立った。敵を捕虜にするのが今回の目的だ。それはいい。だが、捕虜にした以上、この基地に運び込まなければならないだろう。それにエルアインスやその他の機体も鹵獲する予定な以上、それらもエクアドル基地へと運び込まないといけない。
 それなのに、出撃するのがレイディバード1機というのはどう考えても無理がある。
 レイディバードが積み込める人型兵器は特機以外の普通のPTサイズで計算して5機だ。そして俺の小隊は5人。つまり小隊の機体だけでレイディバードの貨物室は一杯になる。
 格納庫の通信装置でヴィンデルへと通信を送ると、数秒もしないうちにヴィンデルが出た。

「アクセルか、どうした?」
「これから出撃するんだが、捕虜や鹵獲機体なんかはどうやって運べばいいんだ?」
「あぁ、それを言うのを忘れていたな。もう少ししたらレイディバードを何機か後を追わせるから、それに収容してくれ」

 一緒に出撃して護衛の手間を考えるよりは後から来てもらった方が効率がいいか。

「了解した。戦果を期待していてくれ」
「ああ、任せた」

 ヴィンデルとの通信を終え、エキドナへと声を掛ける。

「エキドナ、待機室にいる俺の小隊所属の量産型Wを連れて俺達の小隊用のレイディバードに機体を積み込め。量産型Wは量産型ゲシュペンストMk-Ⅱで、そのうちの1機は偵察仕様とする。お前は先程レモンの部屋で言ったようにランドグリーズだ」
「はい、了解しました」

 敬礼し、量産型Wが待機している部屋へと移動するエキドナ。
 まだ実際の経験が足りないのか、どうしてもロボット染みた感じに見えるな。

「さて、俺もグロウセイヴァーを積み込まないとな」

 呟き、グロウセイヴァーを積み込む為に歩き出す。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:18
PP:55
格闘:178
射撃:196
技量:188
防御:185
回避:213
命中:235
SP:286
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.3
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:35 

 

0046話

 現在、俺の小隊は反乱鎮圧の為に北米のコロラド州に向かっているが、レイディバードの中では沈黙が続いていた。
 何せメンバーが俺に、ロールアウトしたばかりのエキドナ、量産型Wが3人だ。どう会話しろと。
 量産型Wの機械的な顔を見ながら、内心で呟く。
 ちなみに、量産型Wは顔をなかなかにごついヘルメットで完全に覆っている。
 レモンに聞いた所、顔に色々と機械が埋め込まれている状態になっており、それを隠す為のヘルメットらしい。もっとも、ヘルメット自体にもなんらかの機能があるのは間違い無いだろうが。
 量産型というだけあり、コスト面で考えるとしょうがないと愚痴っていたのを聞かされた覚えがある。
 その点、Wナンバーズであるエキドナはどこからどう見ても、普通の人間にしか見えない外見をしていた。

「隊長? どうかしましたか?」

 じっと見られているのに気が付いたのかこちらへと質問してくるエキドナだが、その反応はやはりどこか機械的だ。
 レモンとしては、今回の戦闘で経験を積んでより人間らしくなる事を期待しているのだろう。

「いや、それよりも指揮の方は大丈夫か?」
「はい、レモン様にその辺の知識はもらっていますので特に問題は無いかと」
「そうか。お前の目的は、量産型Wを指揮して敵機を鹵獲する事だ。鹵獲した機体は俺達の戦力になるから修理出来ない程に壊さないように注意しろ。それと敵パイロットも出来るだけ捕虜にする事になっているから忘れるな」
「了解しました」

 結局そのまま黙ってしまい1時間程。あまりにも暇だったのでふと気が付き、ガンファイトのLVを4へと上げておいた。これで原作通りなら射程が+1される筈だが。
 そうこうしているうちにコロラド州へと入り、ヴェルド基地まであと30分弱という距離まで近づいた時に機長からの通信が入る。
 ちなみにこのレイディバードの機長は量産型Wではなく普通の人間だ。

「アクセル中尉、こちらのレーダーに反応。数は2、機種はF-32シュヴェールトです」

 F-32シュヴェールトか。その試験機がリオンのベースになった事を考えると、リオンの兄弟機と言ってもいい機体だ。戦闘力はリオンに劣るが機動力はリオンよりも上なので、偵察には向いている機体だろう。

「まず間違い無く反乱軍の偵察機だな。機長、レイディバードでこのまま戦場に突っ込んでは武装が心許ない。この辺で出撃させてもらう」
「了解しました。ご武運を」

 機長からの通信が切れると、こちらへと視線を向けていたエキドナへと声を掛ける。

「エキドナ、聞いていたな。出撃だ」
「了解しました。いくぞ」

 量産型Wを引き連れ格納庫へと向かうエキドナの後を追い、俺もグロウセイヴァーへと乗り込む。

「機長、こちらの準備は出来た。いつでも出撃可能だ」
「了解。シュヴェールトは進路を変更せずにこちらへと近づいてきています。ハッチ開放します」

 機長の言葉と同時にハッチが開放され、グロウセイヴァーのモニタには青い空と白い雲が映し出される。

「いい天気だな。グロウセイヴァー、アクセル、出るぞ!」

 テスラ・ドライブを起動させ青空へと機体を舞わせる。
 どこまでも広がる澄んだ青空をグロウセイヴァーで舞うように飛ぶ。
 たった今も口に出したが本当にいい天気だ。こんな日に戦闘なんて勿体ないような気がする。

「まぁ、そうは言っても俺の仕事だしな」

 軽く首を振り、意識を戦闘へと切り替える。

「隊長、見えました。シュヴェールト2機接近してきます」

 エキドナのランドグリーズから通信が入る。
 ちなみに、このランドグリーズもテスラ・ドライブを装備しており空を飛ぶ事が可能になっている。
 エキドナからの報告と共に、グロウセイヴァーのモニタにもシュヴェールトの姿が映し出された。
 白い機体色で、どこかヒラメを思わせるような扁平なその姿は間違いなくシュヴェールトだ。

「今回は基本的に死者無しでいきたいんだ。撃ってくるなよ?」

 ポツリ、と呟く。
 相手がPTならまだしも、戦闘機では迂闊に攻撃を当てる事が出来ない。もし当たってしまえば、余程当たり所が良くない限りそのままパイロットごと爆発してしまうだろう。

「隊長、敵機が引き返していきます」

 俺の願いが通じたのか、こちらを窺うようにしていたシュヴェールトは元来た方へと引き返していく。

「何も考えないで攻撃してくるような脳筋じゃなくて助かったな」

 敵パイロットはきちんと偵察としての役割を自認していたのだろう。
 だが、それはつまり反乱軍の規律や命令系統がしっかりとしている事も意味している。
 少なくても上司への嫉妬で反乱を起こす、なんて真似をするような奴ではないのだろう。

「エキドナ、気をつけろ。敵はそれなりの練度を持つ部隊だと思われる。敵機の捕獲が優先だが、自分達の命と引き替えにしては割に合わん」
「了解しました。……隊長、レーダーに反応。エルアインスが4、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが6、ガーリオンが5の合計15機です」

 結構数が多いな。こちらの5機に対して15機。戦力比ににして1:3か。

「だが、3倍程度の敵機と互角に戦えてこそシャドウミラー隊だ。エキドナ、まずは俺がエルアインスを受け持つ。その間の他の敵機は任せた」
「了解しました。W1とW2はガーリオン隊へ牽制射撃を。隊長に近寄らせるな。W3は私と量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ隊を」

 量産型Wの無機質な声で了解という返事が3つ、聞こえてくる。
 こちらの大まかな作戦が決まるのと殆ど同時に、敵も牽制の意味を込めてかエルアインス4機から8条のビーム光が発射される。
 エルアインスの最大射程を持つツイン・ビームカノンだ。

「各機散開!」

 エルアインスの両肩に光が見えた瞬間に叫んでいたのが幸いし、全機被弾する事なく回避に成功した。

「ならこっちからも仕掛けさせて貰おうか。集中、ファントム!」

 精神コマンドの集中を使用した後に、グロウセイヴァーから12機のファントムが発射される。発射されたファントムは念動力を増幅したT-LINKシステムを経由し、俺の意志に従ってその牙を振るう。
 ツイン・ビームカノンを撃った後の一瞬の油断を突き、1機目のエルアインスへと6機のファントムが襲いかかった。
 エルアインスが背後に背負ったテスラ・ドライブを2機のファントムがレーザーブレードで貫通し、残りの4機で左右の手足を4本とも付け根で切断して完全に無力化した。
 残り6機のファントムのうち、エルアインス1機につき2機を使用して援護に来るのを足止めする。

「これでまずは1機」

 折角のエルアインスを胴体だけにしてしまったが、レモン率いる技術班なら再生するのも可能だろう。
 まさか自分達がやられるとは思ってもいなかったのか、残り3機のエルアインスの動きが鈍る。
 その隙に敵機へと通信を送る。

「こちら、地球連邦軍特別任務実行部隊シャドウミラー隊、特殊処理班隊長のアクセル・アルマー中尉だ。今回の反乱の鎮圧を命じられている。だが、うちの上司は今回の反乱が起きた理由についての基地司令の言い分を疑問視している。大人しくこちらに従うのならその辺の事情を明らかにする手助けをする事も出来るだろう。こちらの指示に従って貰えないか?」

 そこまで大規模な戦場という訳でもないので、全ての機体が俺の通信を聞いただろう。出来れば大人しく降伏してもらえると助かるんだが。補給物資的な意味でも。
 だが、帰ってきたのはエルアインスの片方が放ったG・レールガンの1撃だった。

「ちぃっ、問答無用か!?」

 咄嗟に機体を右へと移動させ回避に成功する。
 こちらからも反撃の一撃を行おうと射出済みのファントムへと命令をしようとした瞬間、もう片方のエルアインスからの通信が発せられた。

「全機、一端攻撃を停止せよ。こちらブラックバード中隊隊長のキロノ大尉だ」

 キロノと名乗る男の通信が聞こえてくるのと同時に、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ隊、ガーリオン隊共に攻撃を収めてその場で待機する。
 エキドナと量産型W達も今回は撃破ではなく捕虜にするのが目的だと言っておいた為か大人しく戦闘を停止して距離を取る。

「キロノ大尉、用件は降伏という事でいいのか?」
「いや、今回の事件で基地司令が何と言っているのか興味が湧いてな。よければ教えて貰えないか?」

 さて、正直に言うべきか? いや、どうせ何か後ろ暗い事を隠しているに決まっている言い訳をそのまま話しても、ブラックバード中隊のパイロット達は怒るか呆れて馬鹿にするかのどちらかだろう。
 言って怒らせる可能性も考えるが、怒って頭に血が上って猪突猛進になってくれるのならこちらとしては対処しやすくなる、か。

「詳しい事は聞いていないが、基地司令に嫉妬した1部の将校が基地司令を暗殺しようとして失敗。逮捕される前にPTやAMを奪って、と聞いている」

 俺の通信が響いた戦場には一切の音が消えていた。エキドナや量産型Wは新たな命令がないから行動を起こしていないのかもしれないが、ブラックバード中隊までもが一切の無言となると不気味なものを感じる。
 だが、やがてその不気味な沈黙も破られる。キロノ大尉の笑い声が通信に響き渡ったのだ。

「クッククククッ、ワハハハハ、わ、笑わせてくれる。あの豚、よりによって嫉妬で暗殺だと? この世に生を受けて30年、これ程の笑い話を聞いたのは初めてだ」

 この様子を見るに、やはり何か後ろ暗い事を隠していたのだろう。

「さて、笑い話で済ませるかどうかはキロノ大尉次第だ。俺達に投降してくれれば真実を明らかにする事も出来るだろう。だが、死んでしまってはその笑い話こそが真実となってしまう。死人に口無しというだろう?」

 俺の言葉に対する返事は、キロノ大尉が乗っているエルアインスのG・レールガンの銃口をこちらに向ける事だった。

「悪いが、軍上層部からの命令を受けて俺達を攻撃してきたお前さん達を信じる事は出来ない。俺達が悪だというのなら結構! 悪は悪らしく連邦軍に逆らってみせる。行くぞ、皆!」

 キロノ大尉の宣言と同時に量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ隊、ガーリオン隊共に攻撃を開始してくる。

「エキドナ、命令は作戦開始前と変わらん。だが無駄死にするなよ!」
「了解しました」

 エキドナへと通信を送り、1機目のエルアインスを撃破したファントム6機と、キロノ大尉達のエルアインスを足止めに使用していた6機、合計12機のファントムに攻撃を命じる。
 こうして、再び戦端が開かれた。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:18
PP:20
格闘:178
射撃:196
技量:188
防御:185
回避:213
命中:235
SP:286
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:35 

 

0047話

 12機のファントムの攻撃を回避に専念する事で殆どダメージを受ける事なくやり過ごしているキロノ大尉ともう2機のエルアインス。
 エルアインス1機につき4機のファントムが四方八方から攻撃しているというのに、細かいダメージはともかく致命的なダメージは1つも受けていない。

「なら、こっちだ」

 空中で姿勢制御をしながらビームガトリング砲の砲身を伸ばし、ファントムの攻撃に専念しているエルアインスへと狙いを定め……トリガーを引く。
 トリガーに指をかけていたのは数秒間だけだったが、ファントムに意識を集中していた、いや集中しすぎていたキロノ大尉以外のエルアインス2機は下半身を砕かれ、そのまま地上へと落下していく。

「2機、3機。これで終わりだ」

 元々キロノ大尉を攻撃していた4機のファントムと、撃破したエルアインス2機を攻撃していたファントム8機の合計12機によるオールレンジ攻撃を仕掛けようとしようとした時、エキドナからの通信が入ってくる。

「隊長、申し訳ありません。W1とW2がガーリオン隊を撃ち漏らしました。2機のガーリオンがそちらに向かっています」

 その台詞と同時に、最後の1機になっていたエルアインスを守るかのように2機のガーリオンがそれぞれ両肩からT・ドットアレイを応用したソニック・ブレイカーを展開しながら突っ込んでくる。
 余程俺の運が悪いのか、はたまたガーリオンのパイロット達の腕が良いのか。ソニック・ブレイカーで展開されたエネルギーフィールドがエルアインスを攻撃しようとしていたファントムを全て弾き飛ばす。
 急いで弾き飛ばされたファントムを操作しようとするが、ソニック・ブレイカーの威力により多かれ少なかれ損傷を負っている事をT-LINKシステムが教えてくる。
 この状態のファントムを動かすのは危険と判断し、そのまま地面へと軟着陸。
 何せ補給が渋られている現在、直せる可能性があるものはなるべく節約しなければいけないので無理も出来ない。

「残りのファントムは16機か」

 こうして見た感じでは、キロノ大尉以外のエルアインスに乗っていたパイロットよりも、ガーリオンに乗っているパイロットの方が腕利きな印象を受ける。

「だが、グロウセイヴァーを甘く見てもらっては困るな。加速・集中・直撃」

 努力以外の使える精神コマンドを全て使用し、ビームガトリング砲の砲身を折りたたみ、クロノスの追加ブースターを全開にする。
 急激に近づいてくるガーリオン2機とエルアインスを見ながらアダマン・ハルパーを起動し、空間倉庫からスライムを流し込む。
 ガーリオンがグロウセイヴァーが近づいてくるのを察知した時、既に俺はアダマン・ハルパーを振りかぶっていた。そして振り下ろす直前にスライムはまさにデス・サイズと呼ぶにふさわしい大鎌へと姿を変え、そのまま振り下ろす。

「うわぁっ」

 アダマン・ハルパーがガーリオンを真っ二つ――と言ってもパイロットを殺さないように頭からではなく右肩から真下にだが――するとそんな声が聞こえてくる。
 どうやら唐竹割にしたガーリオンパイロットの悲鳴が接触回線で聞こえてきたらしい。

「追加だ、喰らえ!」

 そのまま続けて、アダマン・ハルパーをスライムモードへと変え、すぐ近くで呆然としているガーリオンへとオールレンジ攻撃を仕掛ける。
 大鎌の形が崩れ、5本の鞭と化したスライムが四肢と頭を切断し、こちらは悲鳴を上げる暇もなく地上へと落下していく。

「次!」

 ついでにキロノ大尉の機体も行動不能にしようと再度アダマン・ハルパーを振りかぶろうとするが、T-LINKシステムが何かを感じ取る。

「っ、念動フィールド、全開!」

 その何かを避ける為、反射的にT-LINKシステムによる念動フィールドを全力で展開した。

 ガッ

 聞こえたのは、何かが念動フィールドを削り取るような音。
 グロウセイヴァーのモニタに映し出されているのはネオ・プラズマカッターを振り下ろし、そのまま下から切り上げようとしているキロノ大尉のエルアインスの姿だった。

「ちぃっ」

 切り上げられるネオ・プラズマカッターを右方向へと追加ブースターを噴射する事で回避しながら、アダマン・ハルパーを5つの鞭へと変化させ切り裂こうとする。
 が、まるでそれを見越していたかのように後方へと下がり、俺と距離を取るキロノ大尉。
 エルアインスは近接武装を持っていないものだとばかり思っていたのだが。……原作でも武器を自由に装備できるシステムがあったんだし、装備を変更していても不思議ではない。と言うか、これまでの行動を見る限り古強者と言ってもいいキロノ大尉が近接用の武装を1つも持っていないと考える方がおかしいか。

「やるな、さすが特殊部隊と言うべきか」

 向かい合って数秒、キロノ大尉から通信が送られてくる。
 その言葉はこちらを賞賛するものだが、獰猛な顔を見る限りまだ降参する気はないようだ。

「そっちこそ。まさかアダマン・ハルパーによる攻撃を見透かすように躱すとは予想外だった」
「アダマン・ハルパー? 先程の妙な近接武装か?」
「妙な、とは酷いな。テスラ研の最新鋭機、グルンガスト参式の武装に使われている技術を流用したものなんだが」
「ほう、テスラ研と繋がりがあるのか。なら見た事の無い武装や機体を持っている事もそれ程不思議ではないな」
「うちの技術班からテスラ研に技術協力しているのがいてな。その見返りみたいなものだ」

 言うまでもなくレモンの事だが、アギュイエウスの安定簡易版とも言えるリュケイオスの開発はどうなっているのだろうか。
 そんな事を思いつつ、クロノスから伸びているリニアレールガンの砲身を伸ばす。

「そんな長物をわざわざ撃たせると思うか?」
「さて、それはどうかな? ファントムッ」

 俺の叫びと共に、残り16機のうち12機を射出する。4機はいざという時の保険として取っておきたいので、自由に使えるファントムは正真正銘これで全てだ。
 だが、さすがと言うべきかキロノ大尉は回避や防御に徹してファントムからのダメージを最低限に抑え、なおかつこちらへの注意も怠っていない。

「けど、これでも回避しきれるか?」

 呟き、リニアレールガン……ではなく、クロノスの武器ラックから取り出したガン・レイピアで狙いをつけ、トリガーを引く。
 ガン・レイピアから発射される数条のビーム弾。それを装甲を削られながらもそれでも直撃は避けるキロノ大尉。
 だが……

「本命はこっちなんでね」

 砲身を展開していたリニアレールガンのトリガーを引く。
 他の武器に比べると驚く程低い発射音をたてながら、電磁力により飛ばされた弾丸は目標へと向かう。キロノ大尉のエルアインス……では無く、エキドナが相手をしている量産型ゲシュペンストMk-Ⅱへと。
 最初の弾丸が量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの下半身を砕き、地面へと墜落するのを確認しつつ、続けざまにリニアレールガンを発射。

「ちぃっ、そっちが狙いか! ファルコン隊、気をつけろ! こちらから狙われているぞ!」

 慌てたキロノ大尉からの通信が響くが、既に量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの数は2機にまで減っている。
 そしてその2機もすぐにエキドナの乗るランドグリーズから放たれたリニアカノンと量産型Wのネオ・プラズマカッターで行動不能になってしまう。

「俺を攻撃すると見せかけて仲間の援護か。なかなかに強かじゃないか」
「お褒めにあずかり恐悦至極……とでも言えばいいか? 残るはキロノ大尉のエルアインス1機にガーリオンが2機だけ。そろそろ降参してもいいと思うが?」

 ガーリオン隊を担当していた量産型Wだが、2機をこちらに逃がしてしまったものの、残り3機のうち、既に1機を行動不能にする事に成功していた。
 エキドナに比べるとペースが遅いが、そこは量産型WとWナンバーズの能力の違いなのだろう。それに相手が元々空戦を想定して作られたガーリオンというのもあるかもしれない。
 どのみち残るガーリオンは2機。エキドナと量産型W3人ならまず問題は無い。

「それでも、それでも俺達はあの腐った基地司令の命を受けたお前達に負ける訳にはいかんのだ!」

 心の底からの絶叫、というのはこういうのを言うのかもしれない。
 そんな風に考えつつ、連続で撃ち込まれるG・リボルヴァーの弾丸をグロウセイヴァーの機動力を活かし回避する。

「なるほど、なら嫌でもこちらの命令を聞いてもらうしかないな」

 射出していた12機のファントムを一時後退させ、グロウセイヴァーの後方で待機させた。
 ついでに最後の保険として残しておいた4機のファントムも射出。これで計16機のファントムでの攻撃が可能になる。
 リニアレールガンの砲身を折りたたみ、高速機動を可能に。アダマン・ハルパーを大鎌状態で固定し、全ての準備は完了した。

「キロノ大尉、今回は色々と勉強をさせてもらった。これ程腕の立つパイロットとやりあったのは久しぶりだ。なかなかに楽しい一時でもあった。だが、それもそろそろ終わりにしよう」
「……いいだろう。俺に勝ってまだ尚この命がある時には中尉に大人しく投降してもいい」
「その言葉、忘れるなよ。加速、集中、直撃」

 最後の精神コマンドを使用する所だけは口の中で呟くだけにする。

「では、行くぞ!」
「来い!」

 精神コマンドの加速を使用し、クロノスに装備されている追加ブースターも全開にしてキロノ大尉へと猛スピードで迫る。
 対するキロノ大尉は右手にネオ・プラズマカッターを持ち、左手にはG・リボルヴァーでこちらを迎え撃つ態勢だ。
 牽制の意味も込めて撃ち込まれたエルアインスの両肩に装備されたツイン・ビームカノン。それを機体をロールさせる事で回避し、さらに接近する。
 グロウセイヴァーの手を伸ばせば触れる距離まで近づき、アダマン・ハルパーを振りかぶり……集中を使った効果で違和感を覚え、咄嗟にエルアインスの足下を潜るようにブースターを噴射する。同時につい一瞬前まで俺がいた場所をG・レールガンの弾丸が貫いていく。ネオ・プラズマカッターとG・リボルヴァーで両手が塞がっている状態でどうやって撃ったのかは分からないが、間一髪それを回避する事に成功した。
 渾身の一撃を放った後の隙を突き、そのままエルアインスの下半身をアダマン・ハルパーで斬り落とす……つもりだったのだが、咄嗟の回避で右脚を斬り落としただけに留まった。
 こちらの攻撃をなんとかやり過ごしたエルアインスが、その勢いを利用してネオ・プラズマカッターで斬りかかってくる。

「念動フィールド、全開!」

 ギャリッと、何かを擦るような音が響くが念動フィールドは切り裂かれる事なく健在だ。そして念動フィールドに攻撃した事によって動きを止めたキロノ大尉。

「ファントムッ」

 エルアインスに突撃する前に後方で待機していた16機のファントムがレーザーを放つ。それもバラバラらではなく、16のレーザー光がエルアインスの下半身1ヶ所に集中するように。
 そして同時にアダマン・ハルパーを鞭状態にして近距離からのオールレンジ攻撃。
 
「沈めっ!」

 水銀の鞭はキロノ大尉のエルアインスの両腕と頭を斬り裂いた。
 チラリとエキドナの方を確認すると、ちょうどそこでもガーリオンの最後の1機を無力化に成功している。
 俺が突撃してからほんの数秒。だが、限りなく濃い数秒だった。
 落下していくエルアインスを受け止め、通信を送る。

「キロノ大尉、約束は守ってもらうぞ」
「……了解した」 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:18
PP:20
格闘:178
射撃:196
技量:188
防御:185
回避:213
命中:235
SP:286
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:35 

 

0048話

 
前書き
軍警察は本来ならMPと表記しますが、わかりにくいのであえて軍警察と表記しました。 

 
「隊長、反乱部隊の拘束を完了しました」
「ご苦労。死者、怪我人は?」
「負傷者はいますが、死んだ者はいません。一番重傷で骨折程度となっています」

 死者0、か。なんとかヴィンデルからの任務は完遂出来たな。

「さて、エクアドル基地から後続のレイディバードがそろそろ到着する筈だ。撃墜した機体の部品なんかを可能な限り纏めておけ。基地の中のものに関しては後続の部隊がなんとかしてくれるだろう」
「了解しました。量産型Wに命じておきます」

 と、そこまで命令してふと気が付く。基地司令は取りあえず置いておくとしても反乱部隊となった15機のPTやAMのパイロット。それ以外の基地にいた軍人やその他諸々はどうしたんだ? 反乱軍が負けたとは言っても、戦闘自体は終わったのだ。普通は様子を見に来るなりするんじゃないか? だが、基地は静まったままで誰かがいる様子はない。

「エキドナ、キロノ大尉と話は出来るか?」
「はい、特に怪我もありませんでしたのでレイディバードの1室に軟禁しています」
「分かった。ちょっと話が聞きたいから、ここは任せる。何か不明な事があったら連絡しろ」
「了解しました」

 レイディバードの1室、そこにキロノ大尉は軟禁されていた。
 とは言っても、客室であるそこは本来なら軟禁をするような部屋ではないので脱出する気ならそれ程難しくはないだろう。エキドナもその辺は分かっていると思ったんだが、この部屋を軟禁場所に選んだのは経験不足から来るものか、はたまたキロノ大尉が逃げ出さないと確信しているのか。……恐らくは前者だな。

「キロノ大尉、ちょっと聞きたい事があるんだが構わないか?」
「ああ、特にやる事もないし構わないさ」
「基地に貴方達以外の人員は?」
「いない。俺達以外の者は皆避難させてある。どうせ戦闘になるのは分かりきっていたからな」
「なるほど。ではこちらと最初に接触したシュヴェールトのパイロットは? あの戦闘にシュヴェールトは出ていなかったようだが」
「戦闘機ではPTやAMの戦闘にはついて来れないと分かってるのに、それで戦闘に参加させる程俺は堕ちちゃいないよ。あのパイロットならガーリオンで出撃していた。と言うか、中尉があのテスラ研から流用したとかいう武装で撃墜したじゃないか」

 そう言われて、キロノ大尉を守るようにファントムを落とした2機のガーリオンの姿を思い出す。

「なるほど。あの機体に乗っていたのか」
「……何人、生き残れた?」

 低い声で尋ねてくるキロノ大尉だが、エキドナは何も言わなかったのだろうか。
 あるいは精神的に追い詰める為に言わなかったのか?

「安心しろ。全員無事だよ。一番の重傷は骨折だそうだ」
「は?」

 キロノ大尉は信じられない、といった様子でこちらを見ている。

「戦闘前にも言った通り、今回の騒動でうちの上司は基地司令の証言を信用していない。その辺をはっきりとさせる為にも大尉達の情報は必須だからな。なるべく死者を出さないように、との命令を受けていたのさ」
「だが、それにしたって本当に1人も殺さないで……いや、ちょっと待て。こちらが全機撃墜されたのは確認している。そちらの被害は?」
「撃墜されたのを被害というのなら被害は0だな。一番損傷の酷い機体でも小破で済んでいる」

 個人的に一番痛かったのは、ファントム12機の損傷だ。詳しく調べた訳ではないが、ざっと見ただけでもガーリオンのソニック・ブレイカーをまともに受けた為に損傷が大きい物が大半だった。
 T-LINKシステムにより意識を通わせる事は可能なので完全に破壊された訳ではないと思うが、レモンに何を言われるのかを想像するとちょっと怖い。

「被害0で俺達は全機撃墜か。それもこちらの死者0。中尉達の部隊はとんでもない腕利き揃いだな」
「このくらいの腕がなければうちの部隊ではやっていけないのさ。……さて、大尉。詳しい話は基地に帰還してから聞く事になると思うが、今のうちに一通り聞いておきたい。何故反乱を起こした?」

 まさか基地司令の戯言を信じる訳ではないが、それでも普通は反乱なんて真似は余程の事が無ければ実行に移さないだろう。

「そう、だな。俺達を倒したらそちらの言う事を聞くと約束したんだし、中尉を見る限りはまともな軍人と判断できる。これなら話しても問題無いだろう」

 ……いや、俺の場合はとてもまともな軍人なんて言えないんだが。まぁ、わざわざ告げる事でもないか。

「基地司令。名前はカールと言うんだが、奴はこの基地でおおよそ考えられる犯罪の全てを行っていた。脅迫、傷害、殺人、強姦、強盗、密売、物資の横流し。それこそ数えるのが嫌になるくらいの犯罪件数だ」

 ここでもまた、ヴィンデルの嫌な予感が当たった訳だ。
 だが、疑問もある。まさかそんな犯罪行為に基地全体で関与していた訳でもないだろう。実際、キロノ大尉はそれが原因で反乱を起こしたんだし。

「確かに酷い話だな。だが、他にもあるんだろう?」
「そうだな。犯罪行為の大半は基地の軍人達にも秘密裏に行われていた。だが、そんな事をしていれば情報はいずれ漏れる。事実、それで俺達も犯罪の事を知った訳だしな。だが、中尉の言う通り他にもあった。この基地はな、連邦軍上層部や連邦政府上層部が表向きに出来ない汚れ仕事を任せる為の基地なんだよ」
「それを言うなら、俺達シャドウミラーだって特殊部隊なんだし、表向きに出来ない作戦を命令される事もあるが?」
「いや、そういう意味での表向きって事じゃない。例えば、そうだな……連邦政府高官の命令で近くの街や村から年端もいかない子供や女をさらってきたりとか、そういう意味での汚れ仕事だ」
「なん、だと?」
「さらわれた女子供がどうなるかは、言うまでもないだろう。この基地はそんな薄汚れた仕事をする為の拠点だった訳だ」

 苦々しげ、としか言いようのない表情のキロノ大尉。
 恐らく俺も同じような表情をしていただろう。

「それを噂という形で知った俺達は、真偽を確かめる為にカールへと会いに行った。元々悪い噂しかない基地司令でも、まさかそんな事はしていないだろうと一縷の望みをかけてな」

 だが、結果的にそれは無駄だったのだろう。そしてキロノ大尉は反乱へと踏み切った。

「奴は笑って噂を肯定したよ。それどころか、今まで行ってきた下種な行動を嬉々として語った。現在の連邦軍や連邦政府が正常に機能しているのは自分の手柄だと。おまけに、金も女も好き放題に出来るから俺にもその犯罪行為に荷担しないかと誘ってきやがった。その場でカールを殴り殺さなかった自分を褒めてやりたいくらいだ」

 苦い溜息を1つ。

「上へ報告すればなんとかなると信じていた俺は、取りあえずその場は保留という形でお茶を濁した。ちなみに、その時はお土産という事でデータディスクを貰ったんだが……中身の映像がどんな内容だったかは言わなくても分かるな?」

 これまでの話から大体の予想はつく。どんな映像だとしてもそれはまともなものではないだろう。 

「幸い俺には軍警察に知り合いがいたからな。すぐに連絡を取ってカールの事を話した。そいつも最初は信じてくれなかったが、データディスクに入っていた映像が決め手になってすぐに調べてくれると約束してくれた」
「それで?」

 薄々どういう話になるのか予想できつつも、続きを促す。

「次の日、死体で見つかったよ。それを知らせてきたのはもちろんカールだ。そいつの家族や兄弟、恋人も同じ所に行けて良かったと笑ってやがった」
「それで反乱、か」
「ああ。どうにかカールの手足となっていた部隊の奴等は全員始末出来たが、気が付くとカールの姿が無かった。ぶくぶく太ってる割には逃げ足だけは速かったようだな。その後はどうなるか大体予想出来たから、俺に付いてくると言ってくれた馬鹿共以外は避難してもらった。で、そこに中尉達が来た訳だ」

 なんと言うか、圧巻だな。まさか連邦軍の軍事基地を犯罪の拠点としているとは。

「もう少ししたら後続のレイディバードが来るが、それが来たら俺やキロノ大尉達はシャドウミラーの本拠地であるエクアドル基地へと行く事になる。そこで俺の上司に話を聞かれると思うが、今の話をしてやってくれ」

 これが恐らく分水嶺となるだろう。そしてヴィンデルは反乱へと動き出す。

「それはいいが、その後に俺達はどうなるんだ?」
「上からの命令は、反乱部隊が消滅する事だそうだ」
「そう、か」
「だが、恐らく大丈夫だろう。俺の上司はお前達を匿う事になると思う」
「……正気か?」

 せめてそこは本気か? と聞いて欲しい所だが。

「まぁ、不正なんかが嫌いな質だからな。おまけに腕利きが揃ってる。恐らく名前を変えるなりなんなりして俺達の部隊に組み込まれるんじゃないか?」
「腕利きねぇ。俺達を完封した中尉に言われても嬉しいやら、悲しいやら」
「それにカールとかいう基地司令に関しても何らかの手を打ってくれる筈だ。ただそっちは握り潰される可能性が高いが」
「ああ、かなりの大物がバックについているようだしな」

 キロノ大尉と話していると、ドアがノックされエキドナが顔を出す。

「隊長、レイディバードが到着しました。彼らの機体の部品もご命令通り1ヶ所に纏めてあります」
「そうか。なら引き継ぎを済ませたら基地へ帰還するぞ」
「了解しました」

 敬礼をして客室を出て行くエキドナ。

「キロノ大尉も、エクアドル基地に戻るまでここで我慢してくれ。基地に帰ったら色々と忙しくなると思うから、今のうちに休んでおくといい」
「ああ、分かった。……なぁ」
「何だ?」
「来てくれたのが中尉達の部隊で良かったよ」
「……それは基地に帰って、今回の件が片付いてから改めて言ってくれ」
「ああ、そうだな。同じ部隊になったら女のいる店で酒でも飲もうぜ」
「俺の恋人はとんでもなく恐くてな、キロノ大尉が彼女から許しを貰ったら付き合ってもいい。ただ、下戸なんで酒は勘弁してくれ」 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:18
PP:20
格闘:178
射撃:196
技量:188
防御:185
回避:213
命中:235
SP:286
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.4
    ???
    ???
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    ???
    ???

撃墜数:35 

 

0049話

「……と、言う訳だ」

 エクアドル基地に戻ってきた俺とキロノ大尉、エキドナの3人は早速ヴィンデルに呼び出され、今回の反乱が起こった経緯を説明していた。
 と言っても、話しているのは基本的にキロノ大尉でたまにヴィンデルが質問の為に口を開くくらいだが。

「そう、か。……すまない。ちょっと1人にしてくれないか。詳しい話はまた後で話そう」

 何かを押し殺したようなヴィンデルの口調に、俺達はただ頷く事しか出来なかった。

「アクセル、2時間後、17:00時にレモンと2人でにまたここに来てくれ」
「ああ、分かった」

 小さく頷き、ヴィンデルの執務室を出る。

「中尉、これから俺はどうすれば?」
「そうだな、まずは部下の見舞いにでも行ってやれ。エキドナ、キロノ大尉を医務室へ案内を」
「了解しました、隊長」

 エキドナがキロノ大尉を連れてその場を離れてから数秒。
 ドガッという何かを叩きつけるような音がヴィンデルの執務室から聞こえてきた。
 そして同じような音が数回。

「はぁ」

 溜息1つ。
 ヴィンデルの中で何が起きているのかは原作知識がある身としてなんとなく予想が出来る。ギリアムが転移してから既に1年。時期的に考えてもおかしくはない。

「レモンに会いに行くか」

 何故か無性にレモンの顔を見たくなったので、研究室へと向かう。

「レモン、ちょっといいか?」

 ノックをして扉を開くが、研究室の中には誰もいなかった。

「いや、1人いるか」

 研究室の中に並べられているシリンダーへと視線を向ける。
 そこには緑がかった銀色の長髪をした1人の女の姿がある。
 W17……いや、ラミア・ラヴレスというべきか。いずれはWナンバーズの中で初めて完全な感情を持ち、創造主であり、母であるレモンから独立するレモンの最高傑作。

「アクセル?」

 ラミアを見ていると、ふと声が掛けられる。
 声のした方を見ると、研究所の入り口にレモンの姿があった。

「どうしたの?」
「いや、ちょっとレモンの顔を見たくなってな」
「その割にはW17を熱心に見ていたようだけど」

 多少拗ねているように感じるのは、俺の独りよがりな思い込みではないと信じたい。

「Wナンバーズの最新ロットはどういうものなのか考えていただけだよ。それよりも17:00時に俺とレモンでヴィンデルの執務室へと来てくれとさ」
「今回の作戦の事で何かあるのかしら?」
「多分な。それより鹵獲してきた機体の方はどうだ? レイディバードはもう戻ってるんだろう?」
「最新型のエルアインス4機は数日で修理が完了するわね。あの斬り口はアダマン・ハルパーかしら?」
「ああ。遠距離・中距離に関しては文句無しだが、近距離が苦手だったグロウセイヴァーにとってはありがたい武器だな」
「ファントムで破壊された方も特に問題無く修理可能よ。で、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱだけど、こちらは半分程損傷の酷い機体があるわね。うちの主力機種でもあるんだし、修理というよりは部品取り用にまわす事にしたわ」
「ガーリオンは?」
「こちらもアダマン・ハルパーで倒した2機は問題無く修理可能。残り3機は1機が修理可能、残り2機は部品取り用にまわすわ」
「となると、今回の収穫はエルアインス4機に、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱとガーリオンが3機ずつの合計10機か」

 数はともかく、最新量産型のエルアインスが手に入ったのはラッキーだった。4機ある事だし、マルティンやバリソンが乗る事になるんだろう。アル、ボビー、フルストに関しては、フルストが索敵担当なんだし今回は割を食うか?

「鹵獲機体に関してはこれでいいでしょう。さて、アクセル。ファントムを12機も壊してくるなんてどういうつもりかしら?」

 あ、やばい。口元では微笑を浮かべているものの、目が笑っていない。

「補給が厳しいのは分かっているでしょう? 幸い今回はあの基地から使えそうなものを洗いざらい持ってきているからなんとか新規にファントム12機の製造は出来るけど、次からは気をつけてよ?」
「ちょっと待て。あの基地にファントムを製造する為の物資があったのか?」

 言うまでもなくファントムの正式名称はT-LINK対応型ソードブレイカーだ。新規製造するにはT-LINK関係の物資が必要になる。

「ええ、念動力関連のものが一通り揃ってたわ。どうやら例の特脳研にあった人工的な念動力者の作成とかいう戯言を本気にして実験してたみたいよ?」

「特脳研でも無理だった実験を、専門家でもない者が? ちょっと無理がないか?」
「ええ、だからでしょうね。人体実験が失敗したと思われる報告がかなりあったみたい」
「人体実験、か。被験者はもちろん軍人ではなかったんだろう?」
「ええ、そのようね。ちょっと調べてみたんだけど、あの基地の周辺で行方不明になってる人はかなりの数になる。でも不思議な事に、捜索願は出ていても実際に警察が動いている様子は全くといっていい程無かった」
「揉み消し、か」

 叩けば埃が出る身とは良く言うが、カールとかいう基地司令は叩けば叩く程埃以外は何も出てこないな。
 そんな感じでヴィンデルに呼ばれている約束の時間まで2人で話をして時間を潰し、17:00になったので執務室へと向かう。

「ヴィンデル、俺だ。レモンもいる。入っていいか?」
「ああ、入ってくれ」

 執務室の中に入ると、何かを決意したような顔のヴィンデル。これは決まりだな。

「座ってくれ。何から話すべきか。……アクセル、レモンに今回の反乱騒ぎの詳細は話したか?」
「いや、大体の事しか話してない」
「分かった。ならレモンはこれを読んでくれ。今回の反乱騒ぎに関して捕虜達から聞き出したものを纏めた報告書だ」

 レモンに差し出されたのは1cm程の紙の束。恐らく、あの紙全てに基地司令のカールが行ってきた犯罪が書かれているのだろう。
 報告書へと目を通すレモン。俺とヴィンデルはたまに眉を顰めながら報告書を読み進めるレモンをただ待っていた。
 そして10分程が経ち、最後のページを読み終わる。

「はぁ、連邦軍も末期なのかもしれないわね」

 苦い溜息と共に、口に出す。

「ああ、私もそう思う。……だが、何故こうも軍や政府に汚職、いやそれでは生温いな。腐敗が広がって行ったと思う?」
「少なくてもインスペクターとの戦いの最中はそんな事はなかったのよね?」
「ああ。地球の命運を賭けて戦っている中でそんな馬鹿な事をする程に愚かな奴はいなかったと思いたい」
「ならヴィンデルの言う腐敗が広がったのは戦争後、平和になった後って事ね」
「そういう事になる。つまり」

 そこで一端言葉を止め、何かを確かめるような目で俺とレモンを見るヴィンデル。

「平和は政治を腐敗させる。そしてその腐敗は酷く感染性が高い為に軍上層部や巨大企業のトップのような、地位や権力を持った者へと感染する」

 とうとう言った、か。

「それに対して戦乱が続いた場合、トップが私利私欲で動く事は無い……とは言い切れないが、平和な時と比べると確実に少なくなるだろう」
「確率的に言えば確かにそうだろうな」

 ヴィンデルの言っている事は極端だが、ある意味間違ってはいないのだ。
 もっとも、それは戦う人間にとっての理想で、一般人にしてみればたまったものではないだろうが。

「そして、戦争は技術を爆発的に進歩させる為の起爆剤でもある」

 ヴィンデルの言葉にレモンが続ける。

「戦争があるから、破壊があり……同時に新たな創造が始まる」
「そうだな。テスラ・ドライブやインスペクターの残した技術、EOT。そして極東方面にあるという念動力者の特殊部隊は、トロニウムというその辺のEOTでは及ばない動力源を使用していると聞く」
「確かにそれは否定出来ないな」

 実際、戦争によって発展した技術なんて枚挙に暇が無い。

「つまり、人間は戦争によって進化の兆しへと辿り着く」

 一端言葉を止め、溜めを作る。
 こういう所がヴィンデルの優れている所だ。分かっていても、その言葉へと引き込まれていく。

「すなわち、永遠の闘争。絶えず争いが行われている世界。それが我々の目指すべき理想の世界だとは思わないか?」

 チラリ、とレモンがこちらへと視線を向ける。
 それは無言でこのままでいいのか、と聞いているようだった。
 本来の歴史通りなのか疑問に思ったのだろう。
 無言でレモンに頷き、ヴィンデルへと向かって口を開く。

「何を言いたいのかは分かった。ヴィンデルの言っている事にも理がない訳じゃない。だが、それを俺とレモンに聞かせてどうしたいんだ?」
「ああ、今回の事でようやく踏ん切りが付いた。既に今の連邦軍は腐りきっている。ならば私達がその膿を切り捨て、理想である永遠の闘争を目指すべきだ」
「つまり?」
「私は、シャドウミラーを中核とした反乱を起こそうと思う。アクセル、レモン。協力して貰えないだろうか?」

 いよいよ反乱の始まり、か。脳裏に今まで世話になった人物達の顔がよぎる。
 幼年学校、士官学校の同期生。教官達。フェル博士、モントーヤ博士、ユーリア、ラウル、フィオナ、ミズホ、ラージ。既に何年も会っていない父親と母親。……そして、キョウスケ。
 俺はこの世界に転生してから、今まで生き残る為にこれまで行動してきた。その結果の1つが今日、示されたのだ。

「……了解だ。士官学校時代からの長い付き合いなんだ。付き合ってやるよ」
「アクセルが行くのなら、私が付き合わない訳にはいかないわね」

 こうして、いよいよシャドウミラーの反乱が始まる。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:18
PP:20
格闘:178
射撃:196
技量:188
防御:185
回避:213
命中:235
SP:286
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:35 

 

0050話

 ヴィンデルの執務室。そこで俺達は連邦に対する反乱を起こす事を決定し、これからの事を話し合っていた。

「反乱を起こすにしても、戦力が足りないな。まさかシャドウミラー1部隊で連邦軍全てを相手にするつもりじゃないだろう?」
「アクセルの言う通りよ。暫くは潜伏期間という事になるわね」

 俺とレモンの言葉に頷くヴィンデル。

「そうだな……半年だ。それでなんとか戦力を整える。レモン、以前言っていた母艦はどうなっている?」
「トライロバイト級万能戦闘母艦の事? それなら1番艦のギャンランドが後半月程度、2番艦のネバーランドが1月。3番艦のワンダーランドが2月という所かしら」
「なるほど、十分間に合うな。アクセル。現在の連邦軍、連邦政府に不満を持っている者達に連絡をつける事は可能か?」

 現政権や軍部に不満を持つ者達。大きい所ではDC残党やレジスタンス。小さい所ではテロ組織やマフィア等になるか。
 だが、個人的にテロ組織やマフィアとは手を結びたくはない。

「DC残党や、レジスタンスなら連絡が付かない事もない」
「構わん。連絡をとってくれ。出来れば協力態勢を取りたい。それとレモン、これまで以上に量産型Wを造り出す事になると思うが?」
「分かったわ」

 ヴィンデルとレモンの話を聞き、Wナンバーズの事を思い出す。
 原作ではW15は対キョウスケ用にゼンガーの人格をトレースして造られたナンバーズだった筈だが、キョウスケの……否、ベーオウルフの危険性がまだ知られていない現状ではロールアウトは暫く先になってしまうだろう。
 そして完成したとしてもあちらの世界に転移して、アースクレイドルのソフィア・ネート、というよりはメイガスによる調整を受けなければまともに戦えなかった筈だ。
 だが、テスラ研や時流エンジン関係で原作よりも上の技術力を持つレモンなら、その辺の調整が出来ないだろうか。

「レモン、W15に関してだが」
「W15はまだ無理よ。デフォルトでは己を持たない非人格タイプだから、誰かの人格をトレースさせないといけないの。それに、恐らくロールアウトしても色々と調整が必要な筈。半年ではまず無理だと思うわ」
「つまりはまずトレースする人格から選ばないといけないという事か」

 ヴィンデルの質問に頷くレモン。

「なら、そうだな。元ATXチームに所属していたゼンガー・ゾンボルトの人格で調整を頼めないか?」
「ゼンガー・ゾンボルト?」
「ああ。特機による近接戦闘でその実力を発揮する凄腕だ」
「待て。ゼンガー・ゾンボルトだと? 元教導隊のか?」
「あぁ、ヴィンデルは知ってたか。そう、元教導隊のだ」
「なるほど、確かにそれなら腕はいいだろうが」

 多少不思議そうな顔をしているが、特に追求してくる様子はないようだ。
 まさか、ベーオウルフ対策とは言えないだけに助かった。

「W17の方はどうなっている?」
「W17ならあと1週間もすればロールアウト可能よ。計算上では今までのWナンバーズの中でも最高傑作と言っても構わないスペックを持っているわ」

 こちらは順調か。まぁ、あちらの世界に転移する事で言語機能が故障して順調とはいかなくなるのだが。もっとも、その故障故に完全な自我を確立出来たのかもしれない。

「ヴィンデル、DC残党やレジスタンスに声を掛けるにしても兵器が足りないぞ。エルアインスとまではいかなくても、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱやガーリオンクラスの機体は欲しい所だが」
「ああ、それは分かっている。だが、知っての通り補給が厳しい。……いや、これからはさらに厳しくなるだろう」
「今以上にか?」
「恐らく、いや間違いなくな」
「何で断言できるの?」

 レモンの言葉に苦虫を潰したような顔でヴィンデルが答える。

「答えはその報告書にある」

 ヴィンデルが視線を向けたのは、レモンが先程まで読んでいた今回の反乱騒ぎの原因になった犯罪行為の数々が記されている報告書だ。

「おい、まさか」

 ヴィンデルだって中佐という階級である以上、上司はいる筈だ。幸か不幸か俺は会った事がないが。だが以前上からの命令でシャドウミラーを結成した、みたいな話をヴィンデルの口から聞いた覚えがある。

「お前の上司の名前が?」
「ああ、しっかりと書かれていたよ」

 現状の連邦軍上層部にこの報告書を提出しても、揉み消されるのはまず間違いないだろう。そしてそこに自分の名前が書いてある事をヴィンデルの上司は知る事になる。

「じゃあ、報告書を提出しなければいいんじゃない? あるいは、その上司の名前だけ消しておくとか」

 レモンの言う事ももっともなのだが、ヴィンデルの答えは決まっている。

「駄目だ。上層部の腐敗を旗印にする私達がそのような真似をすれば、付いてくる者達に疑念を抱かれる可能性がある」
「そうなると、どうやって補給態勢を整えるかが問題だな」

 生身で戦争をやっていたような時代ならまだ多少の無理は出来たかもしれないが、PTのような人型機動兵器を使っての戦争となるとそれも出来ない。なにせ、機体の消耗部品や破損した時の交換部品、武器弾薬等々。運用上必要な物資が多すぎる。

「……企業からバックアップを受ける事は出来ないか? 向こうにしても新型兵器なんかの実践テストをやって貰えると考えればそう悪い話じゃないと思うが」

 ふと脳裏に浮かんだのは、Zガンダムのエゥーゴだ。あの組織もMS売買で大きくなったアナハイム・エレクトロニクスからバックアップを受けてティターンズに対抗していた。もっとも、アナハイムとしては新兵器の実践テストや戦いを長引かせて死の商人としての利を狙っていたのだろうが。それでも補給があるのはありがたい。

「ふむ、それは確かに可能かもしれないな。候補としてはイスルギ重工にフレモント・インダストリー社、Z&Rといった所か」

 マオ社は外すか。まぁ、しょうがない。あそこの社長であるリン・マオは平地に乱を起こすのを望まないだろう。主力量産機が量産型ゲシュペンストMk-Ⅱやエルアインスである以上出来れば協力が欲しかったんだが。

「後は、そうだな。この腐敗した世界にもまだまともな政治家はいる。そいつらに後ろ盾になって貰うか」
「誰かいるのか?」

 ヴィンデルから出た言葉に多少驚く。まともな政治家と言われると、ブライアン・ミッドグリッドくらいしか思い浮かばない。しかしこちらもマオ社と同様の理由でこちらに手を貸す事はないだろう。
 待て。ブライアン・ミッドグリッド?
 その名前から連想されたのは、政界の魔術師と呼ばれている男の姿だった。

「グラスマン・グライエンだ。以前に何度か面識がある。彼の望みは私達と多少違うかもしれないが、途中までの道のりは同じだ。それに彼の根回しの手腕は非常に頼りになる。また、タカ派の軍人を子飼いにしている事から補給という意味でもやりやすいだろう」

 ……予想通りの名前がヴィンデルの口から出てきた。しかし子飼いの軍人ってもしかしてケネス・ギャレットか? あの態度やプライドだけ高くて、能力的には頑張って三流のグラサンタコと手を組めというのはちょっときついぞ。

「その軍人は使えるのか?」
「グライエン程の男の子飼いだ。それなりに使えるとは思うが、どうせ利用して、利用される関係。そこまで心配する必要は無いだろう」

 カールじゃないが、嫉妬でこちらの行動を邪魔してくるような気もするが。他に手が無い以上しょうがないな。その時はその時で対応するしかないか。
 っと、カールで思い出した。

「キロノ大尉以下、ブラックバード中隊はどうするんだ? 連邦に対して反乱を起こすとなると、このまま俺達の部隊に組み込んでもいいのか?」
「その辺は私が後で説得しよう。アクセル、レモンもそれぞれの部下である特殊処理班、技術班の面々に対する説得を頼む」
「ええ、分かったわ」
「こっちも了解だ」

 特殊処理班に関しては、元々配属されたのが軍人としての枠に嵌らないパイロットが多かったので特に問題は無いと思われる。
 だが、技術班はどうだろうな。基本的に技術馬鹿や研究馬鹿のような者が多いからもしかしたら何人か抜ける可能性もある。

「ヴィンデル、俺達に付いてこれないという奴はどうする?」
「ふむ、そうだな。私達の事を上層部に報告されても面倒だし、だからと言ってここまで一緒にやってきた相手を口封じというのもしたくはない。反乱を起こすまではこのエクアドル基地に軟禁というのが一番か」

 ヴィンデルのその言葉に、俺とレモンは安堵の息をつく。
 さすがに今まで一緒にやってきた仲間を口封じで殺すというのは勘弁して貰いたかったからだ。

「それとアクセル。一応補給の目処は付いたが、物資は多ければ多い程いい。奪われても公に出来ない所を襲撃して物資の強奪を頼む」

 となると、ヴィンデルに連絡をつける事が出来るかと言われた時に却下したマフィアやテロ組織から奪ってくるのがベストか。
 ……待て、テロ組織?
 脳裏に浮かんだのはモントーヤ博士とアルバート・グレイの顔だ。
 確かアルバート・グレイの組織はPTやAMなんかの密売もやっていたな。意趣返しも含めて、まずはあそこから襲撃するか。

「了解。トライロバイト級が完成する半月後を目処にして物資の強奪を行う。幸いDC残党やレジスタンスと連絡を取れば、テロ組織なんかの情報も集まってくるだろう」
「じゃあ、永遠の闘争を目指して張り切るとしましょう。私の方も忙しくなりそうだし」

 実際、物資の強奪はともかく、機体の鹵獲となると今回のブラックバード中隊の機体のように行動不能にしてからというのが多くなるだろう。そうなると、自然とその修理を行う技術班は忙しくなる訳だ。

「降伏してくれれば無傷で機体が手に入るんだけどな」 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:18
PP:20
格闘:178
射撃:196
技量:188
防御:185
回避:213
命中:235
SP:286
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.4
    ???
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    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:35 

 

0051話

「隊長、来ました」

 ラミアの声を聞き、レモン特製のバイザーで暗闇の向こう側を覗き込む。
 そこにいたのは数人の男達に前情報通りの81式PTキャリアが2台。1台に付きコンテナが5台連結されているが、これは10分程前に見た時と変わらない。新しく来たのは黒い車だ。いかにも高級車といった雰囲気を醸し出している。乗っている人物が人物なので、恐らく防弾性能も高めてあると予想される。

 シャドウミラーが反乱を起こす事を決めてから1月。今日の俺の任務はとうとうロールアウトしたラミアを部下としてエルアインスの密売取引を襲い、機体を奪ってくる事だ。後ついでに金も。
 ラミアを連れてきたのは、エキドナと同じ理由で経験を積ませて自我を確立させて欲しいとレモンに頼まれた為だ。

 この任務に対する俺の意気込みはかなり強い。なにせ、こいつらはアルバート・グレイの組織の人間だからだ。政治家としては3流の能力しか持たないアルバート・グレイがどうやって最新鋭量産機のエルアインスを入手したのかは分からないが、その密売取引の情報はバリソンを通してシャドウミラーに合流してきたDC残党からもたらされた。
 アフリカでDC残党狩りをやっていたバリソンが、何故DC残党に頼られたとかの疑問もあるが、俺だってあいつに隠し事を色々としているだけに追求するつもりはない。

「W17、量産型Wの準備は?」
「いつでもいけます」

 現在、俺とラミア以外の量産型Wは自分の機体で待機しており、こちらの襲撃命令を待っている。

「よし。なら客が車から出てきて、現金を見せたら作戦開始だ」
「了解しました」

 にしても、ラミアの服装を見て思わず苦笑する。エキドナしかりラミアしかり。何でレモンはWナンバーズにここまで露出度の高い服装をさせたがるのだろうか。やはり趣味か?
 ちなみに俺は普通に夜に溶け込む黒をメインにしたボディスーツにレモン特製の多機能バイザーだ。

「銃の準備はいいな?」
「はい、いつでも行動可能です」

 シャドウミラー隊員用の銃を持ち、答えるラミア。
 シャドウミラー隊員に配られている銃はレモン率いる技術班が開発した物なので、その辺の銃とは比べるのが悪い程に高性能な物に仕上がっている。
 一説によると、EOTが使われているとか、テスラ研の技術が使われているとか噂されているが、真実を聞くのはちょっと恐くて出来ていない。

「……行け!」

 金の受け渡しが始まると同時に出した命令で待機していた量産型Wが動きだし、装備していたM950マシンガンを発射する。
 本来は量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの正式装備ではないこの武器だが、メガ・ビームライフルやスプリットミサイルよりは威力が低く牽制には丁度いいという理由で今回採用された。
 ちなみに原作では弾数も多く、地形適応もオールAで改造費用も安いというもの凄く優秀な武器だったりする。

「うわああぁぁぁぁ」

 牽制の銃撃とは言え、本来はPT等の人型兵器に撃ち込む為のものだ。それが人間に向けられ撃ち込まれたのだから、現場で悲鳴が上がるのもおかしくはない。

「W17、俺は81式PTキャリアを奪取する。お前は金を回収してからもう1台の81式PTキャリアを奪い取れ」
「はっ!」

 ラミアの声を聞きながら、M950マシンガンの弾着によって起きた土煙に紛れ81式PTキャリアに近づく。
 空間倉庫からスライムの触手を伸ばし、81式PTキャリアの中を索敵。

「よし、運転手1人のみ。しかも混乱中か。ありがたい」

 ドアの近くまで移動し、スライムでドアを切断。

「な、何だ!?」

 襲撃されている状況で危機感の足りない運転手が突然切断されたドアから顔を出した瞬間、額へと銃弾を撃ち込んで永遠に眠らせてやる。
 ちなみにスライムで殺さなかったのは、斬殺すると血で運転席が汚れる為だ。
 これから運転するのは俺なのだから、わざわざ血で汚れた運転席で運転なんてしたくない。
 そのまま死体を地面へと放り出し、81式PTキャリアの運転席へと潜り込む。
 ちらりと正面を見ると、ラミアが素早い動きで金の入ったカバンを奪取し、もう1台の81式PTキャリアへと向かっていた。

「よし、かかった!」

 81式PTキャリアのエンジンが始動し、アクセルを目一杯踏み込む。
 心臓に火をいれられた81式PTキャリアは取引現場で突然起こった事態に右往左往している者達を無視し、この場で唯一こちらを追跡可能になると思われる高級車を踏み潰しながら走り去る。PTを運搬する為の81式PTキャリアだ。防弾性能がある車だろうとなんだろうと関係なく踏みつぶす事が可能だ。

「W17、そっちは?」

 ボディスーツから通信機を取り出し、ラミアへと通信を送る。
 現金が入っていると思われるカバンを奪ったのは見ていたから、後は81式PTキャリアの奪取が上手くいったかどうかだが。

「隊長、こちらは問題ありません。このまま指定の場所まで移動します。追跡に関しては偵察仕様のW3で警戒に当たらせます」
「分かった。じゃあさっさと家に帰るとするか」
「家ではなくてギャンランドですが」
「物の例えって奴だよ」

 軽口を叩きながら運転する事約1時間。心配していた追っ手等も特に無く、81式PTキャリア2台は無事目的のポイント、海岸へと辿り着いた。

「クラル。聞こえるか? こちらは任務成功。無事到着した。ステルス・シェードを解除して格納庫を開けてくれ」

 ここにいる筈のギャンランドへと通信を送ると、すぐにステルス・シェードが解除され平べったい形をした艦が現れる。
 下から見ると分からないが、上から見た場合はトライロバイトの名前通り三葉虫に見えるのだろう。

「大尉、お疲れさん」

 声を掛けてきたのはクラル。正確には元キロノ、現クラルと言った所か。
 ブラックバード中隊はヴィンデルの説得に応じ、全員が名前を変えてシャドウミラーに所属する事になった。ただ隊員全員がキロノの下で働きたいと希望した為に俺達のように量産型Wを部下とするのではなく、ブラックバード中隊全員を1部隊として扱う事になった。顔に機械が埋め込まれている量産型Wでは無理な情報収集等が主な仕事だが、その他にも今回のように人手が足りない場合は出張ってくる事がある。
 まぁ、ぶっちゃけると雑用全般だな。
 あ、ちなみにブラックバード中隊による反乱を無事鎮圧したとして俺とレモンは大尉に、ヴィンデルは大佐へと昇進している。
 どうせ後半年もしないうちに反乱を起こすから無意味になるとは言え、昇進すれば給料が高くなるので嬉しくないと言ったら嘘になる。あちらの世界に転移する前に今まで貯めた金を全て使い果たす予定だ。

 ギャンランドの格納庫へと81式PTキャリアを運び込み運転席から降りるのと、ラミアの運転する2台目の81式PTキャリアが入ってくるのは殆ど同時だった。
 近くにいる技術班の整備員へと目を向ける。
 ちなみに、俺の特殊処理班にしてもレモンの技術班にしてもシャドウミラーからの離脱者は1人も出なかった。ヴィンデルがブラックバード中隊が何故反乱を起こしたかというのを一切隠さずに公表したからだ。後、今まで俺達がやってきた腐った連中の尻ぬぐいに関しても隠す事なく公表した。

「大尉、お疲れ様でした。早速中身をチェックしたいのですが」

 俺に見られていた整備員がこちらへと近寄ってきて声を掛けてくる。
 元々整備員との仲は悪くなかったが、レモンと付き合ってる事が知られてからは親しいというよりは敬われる? そんな感じになってしまった。
 これは間違い無くレモンの関係なんだが、恋人になっただけで敬われるというのを怒ればいいのか、喜べばいいのか、悲しめばいいのか。正直微妙な感じだ。

「ああ、頼む。一応中身の確認はしっかりとやってくれ。発信器なんかがついていたら俺達の事がバレてしまうからな」
「はい、分かりました」

 整備員が頷き、早速81式PTキャリアに接続されているコンテナのうち、1つを開く。中にあったのは情報通りエルアインスだ。数は1機。恐らくコンテナ1つに付きエルアインス1機が入っているのだろう。
 その予想は整備員が次々に開けていったコンテナが証明してくれた。

「あれ?」

 と、ラミアの乗ってきた81式PTキャリアのコンテナを開いていた整備員が声を上げる。

「どうした?」
「いえ、てっきり全部でエルアインス10機かと思っていたんですが、どうやら機体は8機で残り2つのコンテナには補修部品や消耗品が入っているようです」
「ま、確かに故障した時や消耗品の事なんかを考えるとその辺は必要だな」

 と言うか、アルバート・グレイにその辺の事を考える脳みそがあった事に驚く。いや、この場合は側近の誰かの入れ知恵か?

「隊長、任務無事完了しました」

 81式PTキャリアの運転席から降りてきたラミアがそう声を掛けてくる。
 顔の造形は美しいのだが、その無表情ぶりを見るとどうしても無機質的なものを感じてしまう。
 そんなラミアだがレモンのお気に入りなのは間違い無く、反乱まで時間的余裕がそうある訳でもないのに、ラミア専用機を作っているらしい。
 原作通りに考えるならアンジュルグの事だろう。
 原作ではあっちの世界であれをイスルギによる次期主力機と偽ったんだが……連邦軍人、特に中年以上の男のパイロットにあの機体が配備されたら凄い事になりそうな気がする。

「隊長?」

 妙な妄想をしていた俺を訝しんだのか、ラミアから再度声が掛けられた。
 っと、いかんいかん。

「いや、何でもない。後は特にやる事も無いだろうし基地に到着するまでは休んでいていいぞ」
「了解しました」

 敬礼をして格納庫を出て行くラミアを見送っていると、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ3機が帰還してきた。
 81式PTキャリアの強奪後、追跡がないか警戒していたのだろう。

「さて、後は基地に帰るまで暇だし、俺も一休みするかね」

 一眠りするべく格納庫から出ようとして、ふと、81式PTキャリアの方へと振り向く。

「アルバート・グレイ、今回は密売品のPTだけだが次はお前の命を奪いに行かせて貰う」 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:18
PP:25
格闘:178
射撃:196
技量:188
防御:185
回避:213
命中:235
SP:286
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:36 

 

番外編001話 0051.5話

 スイスにあるジュネーブ、EOT特別審議会の一員であるアルバート・グレイは怒っていた。

「何故私ばかりがこんな目にあう!」
「アルバート議員、怒っていても奪われたエルアインスは戻ってきません。それよりもカール・シュトレーゼマン議長にお願いして手を貸して貰い、襲撃者を捜すというのはどうでしょう?」
「あまり笑わせないでくれ。そんな事をすれば私が無能だと議長に証明するようなものではないか!」

 秘書の男は内心で思った事を顔に出さずにアルバート・グレイを宥める。

「しかし、今回の取引は議長の紹介で行われたものです。いずれ知られるのなら、こちらから話した方が誠意ある対応と思われるのでは?」
「うるさい、貴様は私を誰だと思っている! そんなみっともない真似が出来るか! それよりも、襲撃者の情報は何かないのか!?」
「それが、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを使った襲撃だったらしく」
「なら、その機体をどこが使っているのか調べれば分かる事だろう!」

 その台詞に秘書の男は溜息をもらし、口を開く。

「アルバート議員、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱは現在の連邦軍で正式採用されている量産機です。誰が使っているのかを特定するのは無理です」
「こ、この無能が! そんな事だからどこの誰とも分からぬ輩に出し抜かれるのだ! いいか、お前が責任を持ってきちんとこの件を処理するんだぞ! 命令だからな!」

 秘書はこの時、辞表の用意を真剣に考えた。 

 

0052話

 シャドウミラーが反乱を起こすまで後1月余り。ヴィンデルにしろレモンにしろ、皆忙しく動いている。
 ……もちろん、俺もだ。だが、俺には反乱を始める前にどうしてもやっておかなくてはいけない事があった。
 今まではそれを伸ばし伸ばしにしていたのだが、さすがに後1月で反乱という祭りが始まるとなればそうそう先延ばしする訳にもいかない。

「この忙しい時に一体誰ですか?」
「悪いな、ラージ。俺だ」
「あぁ、アクセルさん。久しぶりですね、どうしたんですか?」

 通信に出たラージは最初気むずかしげな表情をしていたが、通信相手が俺だと分かるとすぐにいつもの表情へと戻る。
 とは言っても、慣れていなければ仏頂面だと判断されてもおかしくないのだが。

「ちょっと時間が出来たんでな。エクサランスの方が気になって連絡してみたんだが」
「そちらからの資金援助のおかげで、開発はそれなりに順調です。実は今度テスラ研で時流エンジンの研究をしてみないかと誘われたんですよ」

 やはりテスラ研か。
 原作通りならラージ達がテスラ研に向かう途中で俺と再会する事になるな。

「ほう、それは凄いな。あそこで研究すると言う事は、エクサランスも認められてきたという事か」
「そうだといいですね。そういえば、レモンさんは一時期テスラ研に行ってたんですよね? 是非お話を聞かせて貰いたいのですが」
「悪いな、レモンは今ちょっと忙しいんだ。こっちも今度大きい仕事がありそうで、その関係でここ暫くは2人でゆっくりする暇もないって愚痴ってたよ」
「そうですか、残念ですね。よろしく伝えて下さい」
「ああ。それで開発は順調との事だが、地上用のストライカーフレームだったか? それは完成したのか?」
「ええ、ストライカーフレームはもう完成しました。今はフライヤーフレームが60%、コスモドライバーフレームが30%といった所です」
「ちょっと、ラージ! この忙しいのに何サボって……って、アクセルさん!?」

 ラージとの会話に割り込んできたのはフィオナだった。

「フィオナ、久しぶりだな」

 通信相手が俺だと言う事に一瞬驚いた顔をしたフィオナだが、すぐにその頬を膨らませる。
 いかにも『あたし怒ってます』といった感じだ。
 全く、知り合ってからもう4~5年経つというのに、まだまだ子供っぽいままだな。
 恋人を作るのはいつになるやら。少なくてもこちらの世界では無理だからあちらの世界に転移してからになるだろう。

「本っっっっっ当に久しぶりですね。半年ぶりくらいですか?」
「悪いな、こっちもここしばらく忙しかったんだよ」
「でも通信を送ってきたって事は、その忙しいのも一段落したってんですよね? 次はいつこっちに? あ、そうそうラージから聞いたかもしれませんが今度テスラ研で研究する事になったんですよ。だからこの時流エンジン研究所に来てもあたし達はいないかも」
「ああ、テスラ研の話はラージに聞いた。お前達の努力が認められたって事だな」

 フィオナやラージの努力は知っている。何度か相談されたりもしたからだ。その努力が報われたのだから、あの4人は褒められてしかるべきだろう。

「おめでとう」
「え? あ、その……ありがとうございます」

 何故か急激に顔を赤くするフィオナ。……病気か?

「それと、今回通信を送ったのはこれからまた忙しくなる予定でな。その前にお前達の顔でも見ておこうと思った訳だ」
「忙しい、ですか?」
「ああ。さすがに軍事機密なんで詳しい話は教えられないが……そうだな。後1月程したらお前達の耳にも入るかもしれないな」

 少なくても、原作ではシャドウミラーの反乱は連邦軍による情報操作でDC残党の一斉蜂起、とされていた筈だ。そちらの情報なら間違いなく知る事が出来る。

「アクセル、ようやくASRSのプロトタイプの目処が……あら?」

 通信をしている俺に話しかけてきたのはレモンだった。
 しまった。レモンとフィオナは何故か妙に仲が悪いんだよな。あれから何度かレモンもエクサランス開発チームと通信で話をしているのだが、その辺は初対面から全く変わっていない。
 いや、どちらかと言うと、フィオナがレモンに突っかかっていくのか。

「あら、レモンさん。何だか分からないけど忙しいんじゃないんですか? アクセルさんの事はあたしに任せて、どうぞ自分の仕事に集中して下さい」
「その仕事に関してアクセルに話があって来たのよ。お嬢ちゃんには悪いけどこちらを優先して貰わなきゃ。なにせ仕事なんですから、ね」

 ……ほら、また始まった。

「あら、ラージも一緒なのね。エクサランスの開発はどう?」
「お久しぶりです、レモンさん。エクサランスはストライカーフレームはもう完成して、現在は他のフレームを開発中です」

 見ての通り、同じ研究者という事もあり話が合うのだろう。レモンはラージをそれなりに気に入っているようだ。
 考えてみれば、シャドウミラーでレモンの専門的な会話についていけそうなのはヴィンデルと技術班の面々くらいしかいない。だがヴィンデルは司令官としての仕事が忙しくてそんな暇は無いし、技術班についてはレモンを尊敬と言うか畏敬しているだけに、気軽に専門的な会話が出来るラージには親しみを覚えているのだろう。
 ラージに関しても自分より先輩で能力的にも上のレモンに対して懐いているように見える。

「それでアクセルさん。やっぱりこの後は忙しいんですか?」

 レモンとラージを横に置き、フィオナが声をかけてくる。

「そうだな。訓練やら機体調整やら打ち合わせやらがあるが、後何時間かは大丈夫だ」
「ならもう少しお話できますね」
「ん? ああ、それは別に構わないが」

 確かに友好的に会話出来る最後の機会だ。レモンとフィオナの喧嘩で終わらせるというのは勿体ない。なにせ、反乱が起きれば俺とエクサランスチームは敵対する事になると予想されるのだから。
 いくら幼い頃から親交があったとは言え、現政権に対して反乱を起こした俺達と行動を共にする事はないだろう。恐らく原作通りとはいかないまでも、俺達とは敵対してデュミナスによりあちらの世界へと転移するんじゃないかと予想している。

「ちょっと。アクセルには私が用事あるんだけど?」

 ラージと話していたレモンが、俺とフィオナの会話に気が付いて口を出してくる。

「あら、レモンさんはラージと思う存分話をしていたらいいじゃないですか。あたしはアクセルさんとプライベートな話をしますので、仕事の話をするのなら後にしてくれません?」

 何やら所々に妙に力が入っている喋り方のフィオナだが、それに対するレモンは口元に笑みを浮かべながら返事を返す。

「そうねぇ。私とアクセルは殆どの時間一緒にいるから、少し話すくらいの時間を譲って上げてもいいかしらね」
「ぐ、この。自分の方が近くにいるからって。その余裕、いつか無くしてやる」
「あらあら、恐いわね」

 何かまた、微妙に寒気がするような。背筋がゾワリと。

「フィオナさん、ラージさんは見つかり……あぁ」

 新しく部屋に入ってきたミズホが、通信越しに向かい合っている――睨み合っている――2人を見て、溜息をついた。

「全く、ラージさんを呼びに行ったきり戻ってこないと思っていたら」
「ミズホ?」
「あ、ラウルさん。ご覧の通りです」

 新たに通信に映ったのは、ミズホとラウル。これでエクサランスチーム全員集合だな。

「2人共、久しぶりだな」
「アクセルさん、レモンさん、久しぶり」

 俺の言葉にラウルはいつもの調子で返事を返し、ミズホは小さく会釈する。

「ラージとフィオナには言ったんだが、これから暫く忙しくなりそうでな。その前に顔を見ておこうと思ったんだ」
「で、その結果がアレですか」

 未だにやり合っているレモンとフィオナの様子を苦笑を浮かべつつ見ているラウル。

「全く、あの2人は何であんなに仲が悪いのやら。俺としては仲良くして欲しいんだが」
「え? アクセルさん、それ本気で言ってるんですか?」
「ん? 当然だろ。数少ない俺の身内なんだ。仲良くして欲しいに決まってる」
「そういう意味じゃなくてですね」
「?」

 ミズホが何やら天を仰いでから右手で顔を覆ってしまう。
 はて、何かおかしな事を言ったか?

「フィオナさん、哀れです」
「どうしたんだ?」
「……いえ、何でもないです。それよりもテスラ研の事聞きましたか?」
「ああ、研究が認められたんだってな、おめでとう。ラウルもこれからがテストパイロットとしての本番だな」
「はは、メインのテストパイロットの座は既にフィオナに取られてるんですけどね。何でかあいつ、やけに張り切ってて。レモンさんに負けられないとかなんとか」
「レモンに負けないって……あいつは科学者だぞ? いや、確かにそれなりにPTなんかは乗りこなせるが」
「ですよね。俺もそう言ってるんですが」
「全く、2人共」

 む、何だミズホ。その駄目だこりゃって感じの表情は。
 ちらりとラウルの方を見てみると、そっちでもよく分かっていない顔をしている。

「ミズホ、そっちだけで分かってないで俺やアクセルさんにも教えてくれないか?」
「そうだな。出来れば教えて欲しいんだが」
「駄目です。これは乙女の秘密ですから」

 いつもは内気なミズホにしては、珍しいくらいに強気な断り方だった。

「それよりもですね。実際にPTに乗っているアクセルさんにアドバイスをして欲しいんですが」

 いや、俺が乗ってるのはPTじゃなくてADなんだけどな。しかももう殆どシャドウミラーオリジナルと化している。

「俺に分かる事なら構わないが」
「フライヤーフレームを使用した場合の回避行動についてなんですが、可動式ブースターをアクセルさんの機体で使ってるって話でしたよね。それと似たような機構にした場合の機体フレームに掛かる負担についてちょっと疑問が」
「いや、だからその辺は俺よりもレモンに聞いた方が早いぞ」

 そんなこんなで、エクサランスチームとのこの世界で最後の和やかな一時は過ぎていった。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:19
PP:45
格闘:182
射撃:200
技量:192
防御:189
回避:217
命中:239
SP:294
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:40 

 

0053話

「んん……」

 隣でなにやら艶めかしい声が聞こえ、深い睡眠の中にあった筈の意識を急激に覚醒させていく。
 目に入ってきたのは、見覚えのある部屋。と言うかレモンの寝室だった。
 当然、俺の隣には全裸のレモンが眠っている訳で。

「……あぁ、そうか」

 いよいよシャドウミラーの反乱が始まるまでの日数があと3日となった昨日の夜、突然ヴィンデルから1日の完全な休暇を言い渡された。
 準備のラストスパートというこの時期だったので断ろうと思ったのだが、ここの所働き過ぎだという事で、反乱決行日の前に十分な休養を取って体調を万全にしておくようにと言われては断れる筈も無く。
 そして俺と同じような理由で休暇を取らされたレモンと久しぶりに恋人としての逢瀬を楽しんで、今にいたる。
 隣で眠っているレモンの髪を、なんとなく撫でながら呟く。

「いよいよ、か」

 反乱における準備は手を抜く事なくやってきた。
 アルバート・グレイの組織からエルアインスを盗み出したのを始め、仲間になるべくシャドウミラーに合流してきたDC残党やレジスタンスから情報を貰えば、すぐに調べてその組織から盗めるものはなるべく多く盗み出した。
 ちなみに、俺の空間倉庫にはそういう組織から盗み出した銃器やら爆弾やらヴィンデルに黙って着服した金塊なりがたんまりと入っていたりする。
 また、ヴィンデルが言っていたグラスマン・グライエンとの繋がりも無事出来た。この辺はさすがの政治力という感じだ。
 ただ、やはりその部下のケネス・ギャレットに関しては良い印象を覚える事は出来ない。顔を合わせたのはほんの数度だが、あからさまにこちらを見下しているのがその態度でまる分かりだ。
 士官学校の同期だったジーベルを思い出す相手だった。恐らくジーベルも将来的にあんな風になるのだろう。
 ……いや、アインストに滅ぼされる可能性の高いこちらの世界だ。将来なんてあってないようなものか。
 ともかく、グラスマン・グライエンと手を組んだり、ADやVCを製造している企業のフレモント・インダストリー社やZ&R社とも手を組んだおかげで補給の心配がいらなくなった俺達だったが、念には念をと盗まれた事が公に出来ない所からの物資強奪を重ねてきた。
 その結果、戦力的にはPTやAM等の人型兵器だけでざっと500機。戦闘機や戦車等を含めるとざっと600機を超える数の戦力がシャドウミラーのものとなった。
 もっとも、こちらの世界での負け戦で失われる数や次元転移に失敗する数も考えると、結局あちらの世界へと渡る事が出来るのは原作通りに200~300機程度となるだろう。
 また、ヴィンデルがどう政治工作をしたのかは知らないが、連邦軍に所属している軍人でもいざとなったらこちら側についてくれる奴もいるらしい。
 いわゆる埋伏の毒って奴か?

「ん、アクセル?」

 髪を撫でている感触で目が覚めたのか、寝起きでまだ意識がはっきりしていない状態のレモンがこちらをぼんやりと眺めている。

「ほら、起きたならシャワーでも浴びてこい。目覚ましにも丁度いいだろ」
「ええ、そうね」

 寝起きの気怠げな様子のまま、シャワー室へと向かうレモン。
 と言うか、せめて何かで身体を隠すなりなんなりして欲しいんだが。
 
 俺の要望で完成したトライロバイト級も当初は3隻の予定だったのが最終的には5隻もの数がロールアウトする事が出来た。反乱が始まった後は俺達の拠点として知られているここは放棄され、基本的にはトライロバイト級5隻が拠点となる。
 補給に関してはヴィンデルのおかげで特に心配する必要もないしな。

「ねぇ、アクセル。そういえば貴男宛に妙に荷物が一杯届いていたようだけど、あれって何だったの?」

 シャワー室から出てきたレモンがバスタオル1枚の格好で尋ねてくる。

「あぁ、あれか? 反乱を起こせばどうせすぐに俺の身元なんかは特定されて、銀行口座やら何やらその辺の足取りを追えそうなものは監視されるだろ。だから今のうちに預金を全部引き出して使えそうなものを片っ端から買ったんだよ。ヴィンデルにも買い物の量で呆れられたが、これから忙しくて買い物する暇がないから纏め買いだと言ったら納得してくれたし」
「そんなに一杯買っても、ギャンランドの部屋には持ち込めないでしょうに。アクセルの部屋に行ったら荷物で部屋が埋まっていて、ドアを開けた途端雪崩を起こすなんて事になったら嫌よ?」

 レモンの言葉に、空間倉庫を展開して見せる。

「俺にはこの便利な空間倉庫がある事を忘れたのか? もう全部この中だよ。結構急いで詰め込んだから、梱包されたままのものが多いのは事実だが」
「何度見ても便利よね、それ。科学者としての興味はスライムの方が強いけど、日常生活を送る上でどっちが欲しいかと言われたら絶対にその空間倉庫よ」
「確かに便利なのは認めるけどな」
「きちんと確かめた訳じゃないけど、容量無制限、念じれば何が何個入っているのかが頭の中で確認可能で、それによる出し入れも可能。おまけにその中は時間が止まってるですって? 普通の科学者がそれを知ったら貴男を解剖したくなるわよ」
「おい、物騒な事は言わないでくれないか、女科学者さん」
「言ったでしょう? 普通の、科学者ならよ」

 微笑を浮かべるレモン。

「科学者と言えば、聞くのを忘れてたんだが結局リュケイオスってどうなったんだ?」
「リュケイオス? あれならもう完成した筈よ。私は結局開発の途中で抜けてしまったけど」
「抜けた?」
「いくらなんでも、反乱の準備と転移装置の開発を同時にやれる訳ないじゃない」

 そう言われれば確かにそうだ。
 だが、あちらの世界への転移の事を考えると出来るだけレモンにはリュケイオスに関わっていて欲しかった所だ。

「そういえばアギュイエウスは十字架状の装置だったが、リュケイオスもやはり似たような形なのか?」
「いえ、外見はアギュイエウスとは随分と違うわね。モノリス状のものが4機あって、それを四方に設置してあるわ。その4つのモノリスを総称してリュケイオスと呼んでいるのよ」

 なるほど、4つのモノリスか。原作ではアギュイエウスはともかくリュケイオスはアクセル転移の時にちょっと話に出てきたくらいで形状の説明なんかは全くしていなかったからな。その事を知る事が出来たのは運が良かった。

「ねぇ、アクセル。貴男もちょっとシャワー浴びてきたら?」
「目は覚めてるんだが?」
「昨日の残り香をそのままにしておきたいなら別にいいけどね」
「……あぁ」

 レモンが何を指して言っているのかを理解し、そのままシャワー室へと向かう事にする。
 熱めのシャワーを浴びて、レモンの部屋へと戻るとそこには良い匂いが漂っていた。
 テーブルを見ると、目玉焼きに厚めにカットされたベーコン。サラダにパンと紅茶とテンプレ的な朝食が用意されていた。

「ほら、食べましょ」
「レモン、料理出来たのか」

 思わず、といった感じで口に出すと脇腹を軽く抓られる。

「このくらい、料理でもなんでも無いわよ。いいから座りなさいな」

 その言葉に従い、レモンの向かいの椅子へと腰を下ろす。

「じゃ、食べましょ」
「ああ、頂かせて貰う」

 目玉焼きは半熟、ベーコンは焼きすぎずにジューシーさが残っている。
 朝食では定番のカリカリに焼かれたベーコンだが、俺としては噛み応えがあるこちらの方が好みだ。
 と言うか、目玉焼きにしろベーコンにしろ、何で俺の好みを知ってるんだ? 話した事あったか?

「なぁ、レモン。俺の好みって話した事あったか?」
「いいえ、貴男からは聞いた事は無いわね」
「じゃあ誰から?」
「フィオナよ」
「フィオナ? 仲が悪いとばかり思ってたんだが……違うのか?」
「聞いたというよりは、自慢されたという方が正しいんでしょうね。フェル博士との手紙のやり取りでその辺の話を書いた事あったんでしょう? それを見せて貰ったフィオナが自慢してきたのよ。……慕われてるわね」

 そういえば、以前フェル博士に送った手紙にその辺を書いた事があったような気がする。何せ随分と前の話だけに詳しくは覚えていないが。

「そうだな。シャドウミラーに所属する前からの仲だからな。フェル博士が亡くなり、後見人だったモントーヤ博士もアルバート・グレイの手に掛かった。あの4人の保護者役が出来そうなので残ったのはそう大して年の離れていない俺だけだからな」
「……その保護者が反乱を起こす。いいのね?」
「ああ。もうあの4人も随分と大きくなったし何かあっても自分達でどうにかするだろう。ただ、気がかりがないでもない、かな?」
「気がかり?」
「ラウルとミズホはそれなりに良い雰囲気を出している。付き合う事になるのはそう遠い話じゃないだろう。でも、ラージとフィオナがなぁ」

 原作では最終的に恋人同士になったラージとフィオナだが、何故かこの世界ではお互いを異性として見るのではなく、良き友人という感じで落ち着いてしまっている。
 世話焼き癖があるフィオナにしてみれば、ラージは世話を焼く筆頭になると思うんだが、その辺の気配は一切無い。

「ラージにしろ、フィオナにしろ。恋人が出来るのはいつになるのやら」
「貴男ねぇ……」

 先程まで普通に食事や会話をしていたレモンが、頭を押さえて俯いている。

「レモン? 風邪か?」

 あと数日で反乱を起こすというこの時期に、技術班のトップであるレモンが風邪というのは有り難くない話だ。もしかしたらそれが理由で数日程反乱を起こすのが遅れてしまうかもしれない程に。

「いえ、何でもないわ。アクセルがそういう人だってのは分かってた事よ」
「そうか。具合が悪いんじゃなきゃいいんだが」

 こうして、最後の安息日はゆったりとした雰囲気の中で過ごした。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:19
PP:45
格闘:182
射撃:200
技量:192
防御:189
回避:217
命中:239
SP:294
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:40 

 

0054話

「ヴィンデル大佐、指定された施設だけでよろしいのですね?」
「ああ。それで構わない」

 グロウセイヴァーに映し出されているモニタの向こうでヴィンデルと技術班の人間が打ち合わせをしている。
 だがそれもすぐに終わり、モニタにヴィンデルの姿が現れた。

「アクセル、いよいよだ。準備はいいな?」
「ああ。ヴィンデルの宣言が終わったと同時に奇襲を仕掛ける。……この基地の奇襲に俺を選んでくれて感謝するよ」

 グロウセイヴァーのモニタの1つに映し出されているその基地は、北米のコロラド基地。即ちクラルが半年前に反乱を起こしたあの基地だ。あの時に使えそうな物資は根こそぎ強奪していったにも関わらずこの半年であっと言う間に再建されてしまった。そして反乱を起こされてその犯罪をヴィンデルが上に訴えたにも関わらず、懲りもしないで同じ事を繰り返しているらしい。ただ、この基地を反乱の狼煙を上げる場所に選んだのは何もそれだけが理由ではない。大事なのは今日この基地にアルバート・グレイの姿があるという事だ。
 何故こんな小規模な基地にいるのかは、この基地がどんな場所なのかが判明してる今、考えるまでもないだろう。

「W17、準備はいいな?」

 隣にいる機体へと声を掛ける。そこにいるのはグロウセイヴァーの2倍程の大きさを持つ機体。甲冑を纏った女騎士という印象を受ける機体、アンジュルグ。

「準備は万端です、アクセル隊長」

 ロールアウトしてから数ヶ月。自我はそれなりに確立してきたようにも思えるが、レモンの期待しているレベルには遠く及ばない。だがそれもあちらの世界へと転移すれば変わるだろう。

「W1からW3もいつでも攻撃可能です」

 そう言えばW1、W2、W3の量産型Wシリーズだが、こうして考えてみるとそれなりに長い付き合いになるな。
 エルアインスに乗って待機している3人をふと思い出す。

「ヴィンデル様、準備完了です」

 モニタの向こうから技術班の人間の声。
 そして……反乱の産声は上げられた。





「初めまして。私は地球連邦軍特別任務実行部隊シャドウミラーの指揮官、ヴィンデル・マウザー大佐だ。この通信を見ているのは連邦軍関係者、並びに連邦政府の高官の筈だ。さて、長々と挨拶するのもつまらないし単刀直入に言わせて貰おう。現時刻をもって我等シャドウミラーは連邦政府に対し反旗を翻す事をここに宣言させてもらう。もちろんこうなった理由を知りたい者も多いだろうが、残念ながらそれを長々と詳細に説明するには時間が足りない。よって、連邦軍のネットへと情報を上げさせて貰ったので各自で見て欲しい。簡単に言えば、我々は腐敗しきった連邦軍上層部や連邦政府についていけなくなった者の集まりだ。連邦軍や連邦政府もかつてはこの世界を支える為の大樹だったのだろう。だが、その大樹も既に腐り果ててしまった。腐った大樹はそのままでは倒れ、周囲のものを巻き込んでしまう。よってそうなる前に切るなり燃やすなりしなければならない」

 大きく息を吸うヴィンデル。

「再度、宣言しよう。我等シャドウミラーは連邦政府に対して宣戦を布告する! この通信を聞いている心ある者は我が下に集え! そして我が同士達よ、今こそ我等の力で理想の世界を目指すのだ!」





「W17、用意はいいな?」
「はい」
「なら行くぞ!」

 さすがヴィンデルと言うべきか。
 その演説の内容を知っていながらも、心の底から衝動が湧き上がってくる。
 グロウセイヴァーの加速を活かし、目的の基地へと一気に近づいていく。
 演説前から既に基地の警戒ラインのすぐ外側で待機していた為に、すぐに基地側へとこちらの侵入がバレてしまうがそれでも構わない。

「隊長、対空迎撃システムが稼働しています。対空ミサイル、来ます!」
「全機、俺の後ろに付け! ジャマー、起動」

 ラミアへと命令を返しつつ、グロウセイヴァーに装備されているジャマーを起動させる。すると、こちらへと真っ直ぐ向かってきていた10以上のミサイル全てが標的を失ったかのように蛇行する軌跡を描き、そのまま地面へと墜落、爆発した。

「安心するな、すぐに迎撃部隊が出てくるぞ」

 ラミアと量産型Wに注意を促しつつも、5機の機体は基地へと向かって真っ直ぐに進む。

「敵機、確認」

 偵察仕様のエルアインスに乗っているW3からの通信を受け、基地の方を確認すると確かにこちらへと向かってくる敵機の姿があった。
 データ照合を行うと、空中は量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが12機、リオンが5機、ガーリオンが4機。地上にはバレリオン5機にランドリオン3機、82式戦車ガヴァメントの数も数機ある。

「W17、地上部隊はお前と量産型Wに任せる。空の敵は俺に任せてくれて構わん」
「相手は20機以上いるのですが、さすがにそれは無理なのでは?」
「ふん、構わん。シャドウミラーの実力を世界中の腐った奴等に見せつける必要があるからな」

 この戦闘は先程ヴィンデルが通信を送った相手全てに生中継されている。ここで俺が圧倒的多数の敵を一方的に倒す事が出来れば、反乱による勢いは増す。
 だが、逆に手こずったりやられたりした場合には反乱の成功率が一気に落ちてしまうだろう。

「そこの不明機、所属と姓名を述べてこちらの命令に従え。貴様等は基地の警戒ラインを越えて不法に侵入している。こちらは理由次第では撃墜しても構わんとの命令を受けている」

 迎撃部隊の隊長格なのだろう量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが1機、こちらへと通信を送ってくる。

「こちらはシャドウミラー特殊処理班班長のアクセル・アルマーだ。そこの基地所属という事は、先程の通信を聞いていたのだろう? 俺は連邦軍に反旗を翻した者。腐った政治家アルバート・グレイの手足である貴様等の命令など聞ける訳がない!」
「貴様等、やはり反逆者か! 全機、攻撃開始! 連邦の秩序に対する反逆者だ。容赦はいらん。全て撃墜せよ!」

 隊長機の命令と共に、メガ・ビームライフルやスラッシュリッパー、スプリットミサイル、リオン系のレールガン各種が纏めてこちらに発射される。
だが……

「遅い! 念動フィールド全開! ジャマー起動、アダマン・ハルパー、ナイン・テールモード、集中!」

 メガ・ビームライフルやスラッシュリッパーがが念動フィールドに遮られ、スプリットミサイルがジャマーの効果であらぬ方向へと飛んでいく。レールガンの弾はアダマン・ハルパーのナイン・テールモード、すなわち9条の鞭によって撃ち落とされる。
 もちろん全ての攻撃を防ぎきった訳ではない。中には念動フィールドの同一ヶ所に偶然命中して念動フィールドを破った攻撃もあるし、ミサイルの数の多さにジャマーの効果が追いつかないでこちらを狙ってきたものもあった。
 だが精神コマンドの集中の効果で増した集中力により攻撃をギリギリ回避し、装甲を削る程度のかすり傷に押さえ、アダマン・ハルパーの9条の鞭が弾丸やミサイルを斬り裂き、叩き落とす。
 結果として、敵の一斉攻撃を受けたグロウセイヴァーは軽い損傷こそあるものの、ほぼ無傷と言ってもいい状態だった。

「馬鹿な、これだけの集中攻撃を受けて無傷だと? 化け物がっ」

 通信から響いてきた敵隊長の声を聞き、口元に笑みを浮かべながらラミアへと命令する。

「W17、行け。地上の敵は任せる」
「は、了解しました。隊長もご無事で」

ラミアのアンジュルグが量産型Wの操るエルアインス3機を引き連れ地上の敵へと攻撃をし掛けるのを横目に、念動力を全開にしてT-LINKシステムを稼働させる。

「さて、次はこちらの番だ。俺達の反乱。否、革命の贄となれ! T-LINKシステム、フルコンタクト! ファントム!」

 グロウセイヴァーの本体に装備されている12機、クロノスに装備されている16機の計28機ものファントムが射出され、俺の意志のまま自由自在に空を舞う。

「あの数は何だ!?」

 慌てたような声が隊長機から聞こえてくるが、それは理解出来る。この世界にはR-3のストライクシールドやアシュセイヴァーのソードブレイカー等、似たような武器が無い訳ではない。だが、それらとファントムとの圧倒的な差はその数だ。
 リョウトとアヤという、この世界でも指折りの念動力者を吸収して増大した俺の念動力。そして特脳研のT-LINKシステムをベースにしてテスラ研の技術やレモンの技術を用いてより高性能になったT-LINKシステム。それらの結晶がこの28機のファントムなのだ。

「集中、直撃、努力」

 そして駄目押しに先程の防御で切れた集中と直撃、努力の精神コマンドを使用し、これで準備は整った。

「さぁ、革命の幕開けだ。贄達よ、存分に抗え!」

 俺の意識を感じ取り、ファントムがその牙を露わにする。
 上空から敵機体のコックピットを目指し、レーザーブレードで貫通。3機のファントムが3方向からレーザーを発射し爆散させる。真下から機体の中心を貫通する。
 そんな光景が至る所で見られた。

「ファントムだけで済むとは思わないで貰おう」

 クロノスの右から伸びているビームガトリング砲の砲身を伸ばし、グロウセイヴァーの左手にはハルバート・ランチャーを持たせる。

「誰も逃がさん!」

 運が良いのか、はたまた腕がいいのか。どちらにせよファントムの群れとも呼べる第一波攻撃をなんとか回避した機体へと向けて、ビームガトリング砲のトリガーを引く。
 また、こちらはファントムからの攻撃は回避したものの機体の損傷が激しく、なんとか空中に浮かんでいる機体へと向けてハルバート・ランチャーのトリガーを引く。
 ファントム以上の集弾率を誇るビームガトリング砲を横薙ぎにされ、ばらばらの部品へと砕け散るガーリオン。
 ハルバート・ランチャーから放たれた複数の光線がなんとか空中に浮かんでいたリオンや量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを纏めて消滅させる。
 既に空を飛んでいるのは量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ1機のみだった。

「そんな……馬鹿な。20機のPTやAMが2分と保たず全滅、だと? 俺は、夢でも見ているのか?」

 呆然とした口調で呟かれた言葉が通信に流れる。
 先程俺とやり取りしたまま通信が繋がったままになっているのだろう。

「さて、残るのはあんただけだが」

 ファントムを全機収納し、ビームガトリング砲の砲身を折りたたむ。ハルバート・ランチャーをクロノスのラックへとしまい込み、多少の損傷はあれど戦闘開始前と変わらない状態になったグロウセイヴァー。

「ひぃっ」

 思わず、といった感じで悲鳴が聞こえてくる。

「お、俺に手を出したら後で後悔する事になるぞ! 俺はあの基地に来ているアルバート・グレイ議員専属の護衛パイロットなんだからな!」

 なるほど、アルバート・グレイ直属の部下か。もしかしたらエルアインスを強奪した時にもいたのかもしれないな。だが、今回は見逃す訳にはいかない。

「そうか、なら……」

 アダマン・ハルパーを起動させ、大鎌状で固定する。

「や、やめっ」
「後でアルバート・グレイもお前の所へ送ってやる。だから安心して逝け」

 こんな奴に精神コマンドを使うのも馬鹿馬鹿しい。敵機へと急速に近づき、クロノスのブースターを左右に微調整し、そのまま相手の後ろへと移動。そしてアダマン・ハルパーを斬り下ろす。

「そ、そんな。なんで俺が……」

 隊長機は最後の言葉を残して、そのまま爆散した。
 地上の方へと視線を向けると、そこでも既に勝負はついているらしくアンジュルグとエルアインス3機が待機している。

「W17、そのまま待機していろ。基地から逃げ出すシャトルなりなんなりがあった場合は無警告で撃ち落として構わん」
「了解しました」

 ラミアへと命令を下し、グロウセイヴァーをそのまま基地へと移動させる。
 既に戦力の大半を失ってしまったその基地は、無防備にこちらが近づいてくるのを見ているしかなかった。
 いや、戦力自体はまだあるのかもしれないが、あっても戦闘機や戦車くらいだろう。
 もしPT等の人型兵器があったとしても、今の戦闘を見ても尚こちらに戦いを挑むとは思えない。少なくても、アルバート・グレイ子飼いのパイロットにそんな気概のある奴がいるとは思えない。

「アルバート・グレイ、聞こえているな? 通信に出ろ」

 基地へと通信を送るが、一向に応答がない。
 ファイア・ダガーを発射し、数発が基地の滑走路や人気のない場所へと命中し、爆発を起こす。

「今のは警告だ。まだ通信に出ないようなら次はその基地ごと消滅させてもらう」
「わ、私がアルバート・グレイだ。私に何の用だ!」

 通信画面に現れたのは、いかにもな悪人顔の男。間違いない、アルバート・グレイだ。何度もTV放送や新聞で見た顔なので間違い無い。

「さて、アルバート・グレイ議員。俺達の事はもう紹介するまでもないな?」
「シャドウミラーとかいう反逆者だろう! 私に何の用だ!」
「ふむ、そうだな。確かに俺達は反乱を起こした。だが、何故その最初の攻撃がこの基地に行われたと思う? この、基地としては小規模な場所に」
「それは……そう、この基地くらいしか落とせる戦力がお前達にないからだろう! は、はははっ、そうに決まってる。今降伏するのなら私の権限である程度の恩赦を約束してやってもいいぞ?」

 ちらりとグロウセイヴァーに表示されているもう1つのモニタへ視線を向けると、そこではヴィンデルが珍しい事に頭を抱えていた。ヴィンデルにしてもこいつの頭の悪さは予想外だったのだろう。と言うか、こんな愚鈍な男が実力者の操り人形とは言え、よくも政治家をやってられたな。

「残念ながら違う。正解はお前がここにいたからだよ、アルバート・グレイ」
「は? わ、私が? いや、私はお前の事なんか知らないぞ?」
「そうだな、確かに俺とお前は直接の面識はない。だが」
「な、何だ?」
「お前は、俺が世話になった人の仇なんでな」
「は? 何を言っている? 私は誰にも恨まれるような真似をした覚えは無いぞ」

 ……この場合、本気か? と聞くべきなのか。それとも正気か? と聞くべきなのか。

「残念ながら証拠がある。ニューヨークにある、お前の裏仕事用の組織のコンピュータに暗殺を指示するメールがきっちり残っていたよ」
「ふざけるな! 私はそんな後ろ暗い組織なんか持っていない!」
「お前がそう言っても、こちらではきちんと証拠が残っている。言い逃れは無駄だ」
「だ、誰が反逆者の言い分に耳を貸すものか!」
「なら、その証拠をこの場で披露しようか?こちらは構わないが?」

 もっとも、ヴィンデルが証拠としてネットに上げた情報の中にその証拠が含まれているので、ここで披露しようがしまいが結果は変わらないのだが。
 そしてネット上の情報を削除しようとしても、ヴィンデルの宣言が済んだ時点で既にネットワーク上に拡散している為、消去してもイタチごっこになるだけだ。

「ふざけるなぁぁぁっっっっ! わた、私の、私の」

 既に意味不明の事を話すだけのアルバート・グレイ。もう用は済んだな。
 クロノスのラックからガン・レイピアを取り出し、通信の逆探知を終えた技術局の人間からアルバート・グレイの居場所を教えて貰い、ヴィンデルの方へと視線を向けると軽く頷かれる。

「腐敗したゴミはきちんと消去しなければ他人の迷惑になる。悪く思うなよ」
「なっ」

 最後に一言だけ告げてガン・レイピアのトリガーを引く。何やら言いかけていたようだが、聞くだけ耳が穢れるだけだ。
 幾筋ものビームが基地を貫き……アルバート・グレイがいたと思しき場所が爆発した。
 モントーヤ博士にとっては嬉しくないかもしれないが、俺のけじめという意味で必要な事だった。せめて安らかに眠ってくれ、モントーヤ博士。

「さて、腐敗した軍人・政治家諸君。今の光景を見て貰えたかな? 我々の覚悟はここに示した。そしてこれからも示し続ける事になるだろう」

 ヴィンデルの演説を聴きながら、ギャンランドへと帰投した。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:22
PP:185
格闘:194
射撃:212
技量:204
防御:201
回避:229
命中:251
SP:318
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:66 

 

番外編002話 0054.5話

 時流エンジン研究所、そこで現在4人の人物が会話をしていた。

「ねぇ、そう言えばそろそろ1ヶ月じゃない?」

 フィオナがふと思いついて口に出す。

「何がでしょう?」
「ほら、最後にアクセルさんから通信があった日からですよ」

 ラージの疑問にミズホが答える。

「そうそう。ほら、1ヶ月くらいしたらアクセルさん達が忙しくなる理由が分かるかもしれないって言ってたじゃない。だからそろそろ分かるかな、ってね」

 嬉しそうな顔で話すフィオナだが、ミズホが遠慮がちに口に出す。

「フィオナさん、レモンさんが恐くないんですか?」
「何よ、あんなのちょっと側にいるだけじゃない。いずれあたしがあの座を奪い取ってやるわ!」

 拳を握りしめて決意を新たにするフィオナ。
 そんな3人に突然今まで黙っていたラウルが声をかけてくる。

「おい、何かやばげな事になってるぞ」

 ラウルが見ているのはPDAで表示しているニュース番組だった。
 3人は興味深げに覗き込む。
 そこでは、ニュースキャスターが興奮した様子で臨時ニュースを告げていた。

「繰り返します。連邦政府からの発表によりますとDC残党が武装蜂起し、北米のコロラド州にある基地を襲撃したとの事です。まだ詳しい事は分かっていませんが、死傷者多数との情報もあります。また、とある情報筋によるとアルバート・グレイ議員が当時基地に視察に来ており襲撃に巻き込まれて安否不明との事です」

「ちょっと、もしかしてアクセルさんが言ってたのって」

 恋する乙女の直感か、フィオナはすぐにこの件にアクセルが関わっているという事を確信した。
 ただし、その予想は仕掛けた側と仕掛けられた側で違っていたのだが。 

 

0055話 閑話 ユーリア

 ……馬鹿な、これは何だ?
 私は、エルピスにある連邦宇宙軍基地にてその映像を見ていた。
 最初にモニタに映っていたのは1人の男だ。深緑色の髪と強い意志を宿した瞳が印象に残る。その男は言う。政府の腐敗が許せないと。軍上層部の腐敗が許せないと。故に反乱を起こしたのだと。
 実際そのヴィンデルとかいう男の言う通りにネットで調べてみた所、汚職の証拠や彼の部隊が行ってきた後始末なんかの情報が細かく書かれたファイルがダウンロード可能な状態で置かれていた。
 それも問題だが、1番の問題は。

「何故……お前がそこにいるんだ、アクセル……」

 そう、まさに鬼神とでもいうような強さで20機以上のPTやAMを瞬時に葬り去ったその機体。初めて見る機体で、少なくてもPTやAMではないだろう。
 先程まではヴィンデルが映し出されていたモニタに表示されているのは、その機体の戦闘シーン。そしてそのパイロットとおぼしき男の声。
 恐らく戦闘シーンは母艦から撮り、音声はアクセルのものを流しているのだろう。
 その声を私は忘れる事が出来ない。何せ軍の幼年学校で3年を共にした相棒の声なのだから。
 士官学校に進学して以来、それまでよりは疎遠になったとは言え通信やメールのやり取りはそれなりにしていた。最後に直接会ったのは士官学校を卒業した時の事だったか。
 喫茶店で一緒にケーキを食べたあの日。北米の基地に配属されたと言っていたアクセルが、何故シャドウミラーなんていう特殊部隊に所属しているのだ。
 そんな事を現実逃避気味に考えていると、モニタの向こうでは新しい動きがあった。

「アルバート・グレイ、聞こえているな? 通信に出ろ」

 アルバート・グレイ? 確かEOT特別審議会のメンバーだったか?
 そんな人物がアクセルとどんな関係が?
 出てこない事に苛立ったのか、アクセルの乗っていると思われる機体が基地の人気のない場所へと向けて小型のミサイルを撃ち込む。
 ようやく出てきてアクセルと会話をするその男を見ながら、それでも未だに画面の中で起こっている事が真実だとは思えなかった。いや、思いたくなかった。
 モニタ上で行われている2人の話を聞くに、アクセルの知人をこの男が暗殺するように命令したらしい。
 政治家が、しかもEOT特別審議会なんて所に名を連ねている人物がやっていい事ではないだろう。
 事実、その事を徹底的に否定しているがアクセルのあの様子から見るに何か絶対的な証拠でも持っているようだ。
 そして言い逃れが出来なくなった男に対し、アクセルはあっさりと話を切り上げて機体の持っている武器で基地を攻撃した。

 あのアクセルは、本当に私の知っているアクセルなのか? そんな疑問も浮かぶが、頭のどこかではある意味アクセルらしいと納得している自分もいる。
 幼年学校で初めて会った時から、アクセル・アルマーという人物は私にとって尊敬すべき人物であり、憧れの人物であり、超えるべき壁であり……初恋の相手だった。
 だからそんな人物に相棒と認められて過ごした3年間はとても充実した日々だった。
 だが、同時に才能のある人物故の危うさというものも感じ取っていた。
 自慢じゃないが、私は小さい頃から10年に1人と言われるくらいの才能を持っていた。
 正直、それでいい気になっていた事もある。そんな私が幼年学校で出会った人物がアクセル・アルマーだ。
 彼はそれこそ100年に1人と言っても過言ではない才能を持つ人物に思えた。
 最初の試験で彼に負けて以来、彼に追いつく事だけを考えて寝る暇も惜しんで勉学に励んだ。それでも、試験で彼に勝てるのはかろうじて学科試験のみ。それも本当に僅差で。
 人柄も基本的には柔らかく、自分を鍛える事に必死になると多少周りが見えなくなる事もあったが、周囲の受けは良かった。

「そんなアクセルが、反乱?」

 信じられない……というよりは、信じたくない。
 あのヴィンデルとかいう男に弱みを握られて脅されているのかもしれないと、有り得ない幻想にすがりたくなる。

「ユーリア隊長、今の放送!」

 部屋の中に部下のレオナ・ガーシュタインが入ってくる。彼女もあの放送を見たのだろう。
 そして、あの映像が事実かどうか確認する為に行動に移した。
 ……なのに、私は何をしている? ここで一人うじうじと考え込んでいるだけか?
 違う。私はそんな女じゃない筈だ。もし分からない事があったら、アクセルに直接聞けばいいだけなのだ。それが、例え戦場であろうとも。
 そう、私は……

「トロイエ隊隊長ユーリア・ハインケル少佐なのだから」
「ユーリア隊長?」
「悪いな、レオナ。私はやるべき事が出来た。行かねばならん」
「え? どこにですか?」
「先程の通信を見ていたのなら分かるだろう?」

 反乱が起きたのは地球。ならば宇宙で戦いが起きるとしても随分と先の話になるだろう。そして現在の戦場は地球。
 ならば私が今いるべき場所はここではない。

「地上だ」
「え? ちょっと、ユーリア隊長?」

 まずは上司に許可を貰わなければならないが、どうにか出来るだろう。

「待ってろよ、アクセル」 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:22
PP:185
格闘:194
射撃:212
技量:204
防御:201
回避:229
命中:251
SP:318
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:66 

 

番外編003話 0055.5話

 L4宙域に浮かぶ人類初の密閉型スペースコロニー第1号基、エルピス。そのエルピスにある連邦宇宙軍基地の1室で、レオナは1人呆気に取られていた。
 自分の信頼し、敬愛する上官であるユーリア・ハインケルが唐突に地球へ向かうと言い、部屋を出て行ったからだ。
 正直レオナとしては地球での反乱がこの宇宙にいる自分達にそう影響があるとは思えなかった。放送に映っていた人物の言う通り、確かに連邦軍上層部の腐敗は目に余るものがある。
 だが、それとてブランシュタイン家の影響力が強いこのコロニーでは他の場所に比較すれば汚職の広がりは少ない。

「エルザム様、カトライア様。私はユーリア隊長に付いていくべきなのでしょうか? それとも、このエルピスを守る為に残るべきなのでしょうか?」

 忌まわしきエルピス事件で亡くなった2人に心の中で問い掛けるが、心の中の2人は答えを教えてはくれない。
 だが、その時。唐突に自分の中で何かを感じた。

「このままユーリア隊長を1人で地球に行かせてしまっては、もう戻ってくる事はない? 何でそんな風に感じるのかしら?」

 それはレオナ自身未だに覚醒していない念動力が教えてくれたものであったのかもしれない。
 だが幸か不幸かレオナは念動力の存在を知らなかった為、深く考える事なく決断した。

「そう、ユーリア隊長はトロイエ隊の隊長。ならその部下である私達はユーリア隊長と共にいるのが当然なのよ」

 決断してからの行動は早かった。すぐに他のトロイエ隊のメンバーへと連絡を取り、自分やユーリアと共に地球へと向かうよう頼み込む。
 用件が用件なので、共に行く事が出来るのは自分を含めて11人しか集まらなかったが、全員でユーリアへと会いに行く。
 幸い司令室から出てきたユーリアを捕まえる事が出来た。

「どうした? 私はこれから忙しいのであまり時間がないのだが」
「知ってます。地球に向かうんですよね? トロイエ隊11名、ユーリア隊長と共に地球へ向かう事を進言します」
「馬鹿な、これは私の個人的な事情だぞ? それにお前達を付き合わせる事など」
「私達はユーリア隊長率いるトロイエ隊です。ならユーリア隊長のいる場所が私達トロイエ隊のいる場所です」

 決意を固めたその目を見た時、ユーリアは説得する事を諦めた。その目は自分がアクセルに会う為に地球へ行くと決め時と同じものだったからだ。

「馬鹿が。好きにしろ。司令から許可は貰ってきてやる。だがあの映像を見た者は分かっているな? 敵は凄腕だぞ」

 ユーリアの言葉に全員が一糸乱れぬ所作で敬礼をした。 

 

0056話

「隊長、敵が沈黙しました」

 エキドナからの通信が入る。俺達が反乱を起こして2ヶ月、今の所は順調に進んでいる。落とした基地の数は既に10を超えた。もっとも、その殆どは連邦軍による追撃部隊が来たら守りきれないと判断して占領する事なく放置しているのだが。
 そして、今また1つの基地を落とす事に成功した。
 ちなみに俺は今回の戦闘には出ていない。ここ最近のグロウセイヴァーの戦いぶりを見ていたレモン、と言うか技術班が1度オーバーホールをする事を進言してきたからだ。
 幸い基地の規模はそれ程大きくなく、エキドナ、ラミアの2人と量産型W3人がいれば十分陥落出来ると予想された為に俺は居残りになった訳だ。

「隊長、久しぶりです」

 ネバーランドのブリッジで戦闘の様子を見ていた俺に声がかけられる。
 振り向くと、そこには先程の戦闘中に着艦してきたマルティンの姿があった。後ろには量産型Wを4人連れている。

「久しぶりだな、元気だったか?」
「隊長こそ。見てましたよ、反乱を始めた時の無双ぶり」

 あれでT-LINKシステムに負荷を掛けすぎたのもオーバーホールの原因の1つだったりするんだが。

「そっちこそ、かなりの数のテロリスト達を撃破していると聞いてるが?」

 マルティンの任務は、テロリストやマフィアからの物資の強奪とそれらの組織と政治家や軍人と横の繋がりがあった場合の証拠の押収だ。
 押収された証拠なんかは、ヴィンデルが例の如く順次ネットにアップしている。

「隊長、敵機の反応、数6」

 マルティンと話していると、ネバーランドのオペレーターをしている量産型Wからの報告が入る。
 基地の援軍に向かっていた部隊か?

「機種は?」
「量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが5に……ゲシュ、いえ不明が1」

 量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが主力となると、それ程練度の高い部隊でもないのか?
 最後の、途中まで言いかけてやめたのは、恐らく量産型ゲシュペンストMk-Ⅱのカスタム機か何かの為に判別出来なかったのだろう。
 ふと、胸中に何かを感じる。

「俺達が出ますか?」
「そうだな、頼む。W16とW17も補給が終了したら応援にまわす」
「ま、相手が6機なら俺達の敵じゃないと思いますがね」
「油断はするなよ」
「了解です。行くぞ、お前等」

 量産型Wを連れて、ブリッジを出て行くマルティン。

「W16、W17、聞こえるな。新たな敵影を補足した。マルティン達が出てくれるとの事だが、念の為にお前達も補給が済んだら応援にまわってくれ」
「了解しました、隊長」

 ……何だ? 妙な違和感が。いや、これは不安か?
 マルティンがブリッジから出て行ってから妙に不安を感じる。
 これは念動力が何かを俺に教えようとしている、のか?

「マルティン隊、出ます」

 ブリッジのモニタを見ると、量産型アシュセイヴァーが1機に量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが4機、ネバーランドから出撃していく所だった。
 マルティンの部隊は本格的に連邦軍と戦う可能性が少ない為、まだまだ新型で数が揃っていないエルアインスではなく量産型ゲシュペンストMk-Ⅱがメインになっているようだ。 

「敵、モニタに出ます」

 オペレータ役の量産型Wの声を聞き、モニタへと視線を向ける。
 そこに映し出されたのは、報告にあった通り量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの姿だった。数は5機。
 ……5機?

「おい、機種不明のもう1機はどうした?」
「分かりません。レーダーから消えました。恐らく何らかの手段でステルス状態にあるのではないかと」

 不明機種1が消息不明、か。これか? 先程からの嫌な予感は。

「マルティン、気をつけろ。1機の姿が突然レーダーから消えた。何らかのステルス装置を持っていると思われる」
「了解」
「W16、W17、出ます」

 モニタには格納庫から出て行くアンジュルグとランドグリーズの姿と、それに続く3機のエルアインスが映っていた。
 敵の数は現在ステルス状態にあると思われるものも含めて全部で6機。しかも大半が量産型ゲシュペンストMk-Ⅱだ。それに比べてこちらは9機、しかも量産型アシュセイヴァーに、エキドナ用にカスタム化されたランドグリーズ。そしてレモンが腕によりを掛けて作りあげたラミア専用のアンジュルグだ。数でも質でも負けてはいない。なのに何故嫌な予感が消えない?
 何か、何か大事な事を忘れていないか?
 ……待て。量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ、だと? 連邦軍は既に幾度となく俺達シャドウミラーに対して敗戦を重ねている。それなのに、何故新型量産機のエルアインスをメインにした部隊ではなく、旧式化しつつある量産型ゲシュペンストMk-Ⅱがメインの部隊を基地の援軍にまわした?
 何かを思い出せそうな、その瞬間。爆発音が聞こえてきた。

「マルティン隊のW1、撃破。W2は中破で行動不能です」
「っ!」

 決定的だ。量産型Wは基本的には兵士として1流の能力を持っている。それが接敵1分も経たずに撃破と中破。この部隊はどこかがおかしい。
 ここは一時撤退した方が無難か?

「マルティン、W16、W17。この部隊は何かが妙だ。一時撤退を」
「機種不明機、ネバーランドへ急速に接近中」

 俺が最後まで言葉に出す前にオペレーターの量産型Wからの報告が入る。
 こっちに接近? PTではなく母艦であるネバーランドを落とす事を優先しようというのか。

「撤退命令は撤回だ。マルティンはそのまま量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの相手をしながらネバーランドへ引きつけろ。W16とW17はこちらに接近してくる敵を叩け。W1からW3はマルティンの部隊の援護を。それと敵の姿をモニタに表示しろ」

 俺の指示に全員が了解、と返事をしてそれぞれの行動を開始する。
 マルティンの部隊で動けるのはマルティンと部下のW3の2機だけ。だが、そこに俺の部隊のW1からW3の3機を応援にまわし、何とか数的に互角に出来た。だがマルティンの部下があっさりやられた事から考えるに、練度としては向こうが上だ。ならこちらに向かってくる機種不明機をW16とW17の2機で速攻撃破してからマルティンの援護にまわすのがいいだろう。
 だが、俺のそんな希望的観測は次の報告で消え去った

「敵、正面モニタに表示されます」

 その声と同時に映し出されたのは、青い機体。その右手にはリボルビング・ステーク。そして額にはヒートホーン。その機体の名前は……

「ゲシュペンストMk-Ⅲ!?」

 ここで出てくるのか。つまりあの部隊は単なる基地への援軍ではなく、ATXチーム。……いや、既にベーオウルブズか?

「マルティン、敵を引きつけるのは中止だ。急いで撤退してこい。W16とW17は敵を倒すのではなく時間を稼ぐ事を考えろ。オペレーター、全機を収容できたら急いでステルス・シェードを展開。すぐに引くぞ」

 くそっ、こんな時にグロウセイヴァーがオーバーホール中というのは痛いな。今のW16とW17では経験不足でベーオウルフに対抗出来ない。マルティンでも無理だろう。機体性能が違いすぎる。

 エキドナのランドグリーズからファランクス・ミサイルとマトリクス・ミサイルが撃ち出され、ベーオウルフのゲシュペンストMk-Ⅲを牽制しようとする。だがゲシュペンストMk-Ⅲはミサイルの嵐をまるで意に介する事なく機体を左右に小刻みに動かしてすり抜け、命中しそうなものは手に装備されている3連マシンキャノンで撃ち落とす。
 その右手に装備されたリボルビング・ステークをエキドナへ撃ち込もうとして突き出そうとした瞬間、ラミアのアンジュルグが細身の非実体剣であるミラージュ・ソードでリボルビング・ステークが装備されている右腕を貫けとばかりに突き出す。
 しかしそれをゲシュペンストMk-Ⅲは機体を一瞬しゃがみ込ませる事で回避。距離を取る。

「くそっ、あの2人では手に負えないのは分かっていたが、2人同時でも駄目か」

 視線をマルティンの方へと向けると、エルアインスと4機の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱはじりじりとだが、こちらの方へと撤退を始めている。
 だが、ベーオウルブズの量産型ゲシュペンストMk-Ⅱがそれを阻止すべく身を捨てるかの如く猛攻撃をしかけている為、そちらを防いだり回避する為になかなか距離を稼ぐ事が出来ていない。

「VLSミサイルランチャー、発射用意。目標は敵の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの後方だ。間違ってもマルティン達に当てるなよ」
「了解。VLSミサイルランチャー、発射準備完了。いつでも発射可能です」
「マルティン、これからミサイルを発射する。当たるなよ」
「了解、なるべく早く頼みます」
「撃てっ!」

 俺の合図と共に、ネバーランドからVLSミサイルランチャーが発射される。その弾頭はベーオウルフやW16、W17の頭を越えて、ベーオウルブズの量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの少し後方へと着弾。爆発を引き起こす。
 爆風がマルティン達を襲うが、敵の機体を盾にする事でこちらの被害を最小限に抑える事に成功したらしい。それに比べて敵機は背後から爆風を受けた為に全機が多かれ少なかれテスラ・ドライブを損傷したようだ。

「マルティン、引けっ」
「了解、全機撤退!」

 マルティンの合図で味方機がどんどん撤退していく。
 敵機は追いかけようとするが、テスラ・ドライブが損傷している為に空を飛ぶ事が出来ないので地上を移動するしかない。
 この時間差がこちらの唯一の希望だ。

「W16、W17、マルティン達が撤退してくる。3機で何とかそいつの行動を押さえろ」

 現在でも2人がかりで防御や回避に専念してなんとか持ちこたえている状況だが、マルティンも加わればどうにか攻勢にまわる事が出来るだろう。

「DOBキャノン発射準備」

 オペレータに指示を出し、いつでもゲシュペンストMk-ⅢにDOBキャノンを撃ち込めるようにする。アインストに感染している今のベーオウルフではまともに撃ち込んでもこれで倒す事は出来ないだろう。だが、こちらが撤退する隙を作る事くらいは出来る筈だ。

「たいちょおおぉぉぉぉぉぉっっっっっ!」

 通信で聞こえてきたマルティンの叫び声。その声に潜んでいた危機感に咄嗟にモニタへ視線を向けると、そこにはネバーランドのブリッジめがけてリボルビング・ステークを撃ち込もうとしているゲシュペンストMk-Ⅲの姿があった。

「ちぃっ、命令している隙を突かれたか!?」

 Eフィールドで防げるか? ふとそんな事を思うが、可能性は少ない。
 なら、スライム? いや、時間が足りない。精神コマンドの加速を使う? これも無理だ。
 頭の中で自分が取り得る行動を必死になって組み立てるが、打開策が浮かばない。
 くそっ、これで終わりか!?

「やらせるかよぉぉっっっ!」

 突き出されたリボルビング・ステークだったが、それが突き立てられたのはブリッジではなく、マルティンの量産型アシュセイヴァーだった。

「マルティンッ!」
「へへ、隊長の部下は結構……楽しか」

 最後まで喋る事なく、爆散する量産型アシュセイヴァー。

「DOBキャノン、狙いはあの機体だ……撃てぇっ!」

 命令と同時に、量産型アシュセイヴァーの爆発で丁度射線上まで吹き飛んでいたゲシュペンストMk-ⅢへとDOBキャノンが撃ち込まれる。数秒後に大きな爆発が起きるが、まず仕留め切れてはいないだろう。だが、少なくてもかなりのダメージは与えた筈だ。出来るのならここで倒しきってしまいたいが。

「敵機5機が近づいてきます」

 ……駄目か。アンジュルグとランドグリーズのダメージも軽視できるレベルを超えている。倒しきる事は出来そうにない。
 本当に、ここにグロウセイヴァーがないのが悔やまれる。

「撤退だ。全機収容後、ステルス・シェードを展開。本体を率いるヴィンデルに合流する」

 くそっ、マルティンを失い、尚且つ敵に碌なダメージを与える事も出来ていない。完全に負け戦だ。
 敗戦の苦い味を噛み締めながら、ネバーランドはその場を後にした。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:23
PP:240
格闘:198
射撃:216
技量:208
防御:205
回避:233
命中:255
SP:326
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:75 

 

0057話

「そうか、マルティンが逝ったか」

 ギャンランドのブリッジで、俺はヴィンデルにベーオウルブズに対する戦いの経緯を説明していた。

「ああ、俺を庇ってな」
「満足して逝ったか?」
「どうだろうな。だが、少なくても最後に俺の部下で楽しかった、と言ってくれたんだ。そう悪い最後ではなかったと思いたいな」
「分かった。アクセルは明日1日休んで英気を養ってくれ」
「大丈夫なのか?」
「ああ。アクセルは負けたかもしれないが、幸い他の部隊は有利に戦いを進めている。それにレモンからの報告ではグロウセイヴァーのオーバーホールは明日には終わるらしいからな。もうグロウセイヴァーがない状態で戦場に出るのは御免だろう?」
「全くだ。じゃあ明日一杯休ませて貰うよ」

 ヴィンデルに断り、ブリッジを出て自分の部屋へと戻る。





「ふぅ、さすがに疲れたな」

 ベッドに倒れ込むように横になる。
 黙って横になっていると、俺を庇って散っていったマルティンの姿が脳裏に浮かぶ。
 このまま眠ってしまっても、あの戦いを悪夢として見る事になりそうだったので寝るのをやめて起き上がる。ふと顔を触ってみると、驚く程に汗が浮かんでいた。どうやら自分で思っているよりも今回の事は堪えているようだ。
 気を取り直し、備え付けの冷蔵庫からスポーツドリンクを取り出して一息に飲み干す。

「くっ、冷たいものを一気に飲み過ぎたか。頭痛が」

 多少頭が痛くなったものの、気分転換にはなった。
 だが、このまま眠ってしまってもどうせ嫌な夢を見ると予想出来たので久しぶりにステータスチェックでもしてみる事にした。
 改めてステータスを表示してみると、確認するまでもなくもの凄い数値になっていた。まぁ、考えてみれば反乱開始の時の戦闘で無双したんだし、その後も戦っていたのだから当然と言えば当然だろう。
 そして、ついにと言うか、ようやくと言うか。撃墜数が50を超えてエースボーナスを獲得したのだが。

「SPブースト?」

 名称を見るに、スキル欄にあるSP関係のスキルを1纏めにしたものと同じなのだが。名称の後に『SPを消費してスライムの性能をアップする』と明記してある所を見るとスキルのSPブーストとは別物と考えてもいいだろう。

「取りあえず試してみるか」

 口に出しながら空間倉庫からスライムの触手を1本伸ばす。……って、あれ? SPブーストってどう使えばいいんだ? 精神コマンドみたいに口に出せばいいのか? 

「SPブースト」

 精神コマンドを使う時のようにSPブーストを使うと意識しながら口に出した瞬間、身体から何かが抜けていくのを感じる。いや、何かというのは正確じゃないか。これに近い感覚は今まで何度も感じてきた。

「やっぱり精神コマンドと同じか」

 ステータス表示を確認すると、確かにSP表示が減っている。と言うか現在進行形でどんどん減っていっている。
 この辺は1度決まった量を消費すれば使用可能な精神コマンドと違い、SPブーストを使用している間中どんどんと減っていくのだろう。
 意識してSPを多く消費しようとするとSPの消費スピードが増える事から考えるに、消費SPの量に比例してスライムの性能が上がるらしい。
 また、SPの供給をやめると思った瞬間SP消費が止まったので、その辺はある程度の融通が効くようだ。

 その後、肝心の効果を確かめてみた所、吸収能力や武器としての展開速度等、スライムとしてのあらゆる能力が2~3割程性能アップしているのを確認できた。スライムの質量自体はSPブーストを使用する前と変わった様子はないので、恐らくだがSPを車で言うニトロのようなものとして使用しているのだろう。その証拠という訳でもないが、通常1秒間にSP1消費の所を1秒間にSP5消費するように調整してみた所、ノーマルのスライムと比較して5割程の性能アップを確認できた。
 実際にまだ戦闘ではあまり使った事はない能力だが、SPが余り気味の俺にとっては非常に有用なエースボーナスだろう。

「取りあえず、エースボーナスに関してはこんな所だな。次はPPとスキルか」

 視線をステータス表示のPPの場所へと向けると、そこには240の文字が。……貯めすぎたな。
 いつも通り、まずはガンファイトのLVを上げていく。順調に5、6、7、8と上げたのはいいのだが、LV.9にするには後10P足りなかった。
 一瞬残り50PでインファイトをLV.2まで取ろうと思ったのだが、ここで取ってしまうとガンファイトLV.9への道が凄く遠くなる予感がするので何とか我慢した。
 ただ、今回一気にLV.8まで上げた事によりガンファイトを極めるのはそう遠くないだろう。そうなると次のスキルなんだが……今回上げるのを我慢したインファイトが第1候補だな。他にも色々と欲しいスキルはあるんだが、最近はアダマン・ハルパーを使う事も多くなってきたし近距離戦闘でのボーナスが入るインファイトは非常に美味しい。
 そういう意味では気力の最大値を150から170まで高める事の出来る気力限界突破も捨てがたい。
 近距離武装+移動力に補正の入るインファイトか、気力の最大値が上がり最終的には攻撃力・防御力共に増える気力限界突破か。
 どちらにするか、あるいは他の選択をするかはまたポイントのが貯まってから考えるとしよう。

「ふぅ、取りあえずこんなもんだろ」

 ステータスチェックとスキル習得を終えた俺は、そのままベッドで横になり睡魔へと身を委ねた。





「隊長、起きてますか?」

 ノックの音とエキドナの声で目が覚める。

「ん? あぁ、今起きた。何の用だ?」
「ヴィンデル様がお呼びです」
「ヴィンデルが? 分かった、すぐに行く」

 軍服を予備のものに着替え、手早く身支度をして部屋を出てブリッジへと向かう。

「ヴィンデル、どうした?」
「アクセル。ブラックバード中隊から緊急連絡だ。敵との戦闘で部隊がほぼ壊滅状態になったらしい。クラルの戦死も確認された」
「ブラックバード中隊が!?」

 基本情報収集がメインのブラックバード中隊だが、それでも念の為という事で人数分の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱやトライロバイト級4番艦のアークランドも配備されていた筈だ。
 最新機のエルアインスではないが、ブラックバード中隊は腕の立つ熟練者がそれなりに揃っている。そうそう後れを取るなんて事はないと思うんだが。

「敵は?」
「相手が悪かったな。生き残りによると、敵は連邦宇宙軍特殊部隊のトロイエ隊だ」
「宇宙軍のトロイエ隊!? なんで宇宙軍が地上での戦闘に参加しているんだ?」
「さて、詳しい事は私にも分からんよ。宇宙は地上以上に腐敗している軍人や政治家が多い筈だ。そいつらが私達に脅威を覚えてトロイエ隊を送り込んだのかもしれんしな」

 トロイエ隊、という事は原作通りならユーリアが隊長か。以前はメールのやり取りをしていたが、直接会ったのは士官学校を卒業した時以来となる。
 それに反乱を起こす事が決まってからは、いざという時に俺と連絡を取っていたという事実がユーリアの為にはならないだろうと意図的に連絡を絶っていた。

「という訳で、アクセル。トロイエ隊の対処は任せて構わないな?」
「ああ。それは構わないが、どれくらい連れていく?」
「そうだな、まずW17は今回出せない。機体の修理がまだ終わっていないからな」

 確かにそれはそうだろう。アンジュルグは基本的に遠距離戦に向いた機体だ。だが、エキドナの乗っているランドグリーズはアンジュルグよりさらに遠距離戦に特化している。なのでベーオウルフとの戦闘ではアンジュルグが前衛を任され、かなりのダメージを受けていた。幸いランドグリーズの方は遠距離からの援護射撃をメインにしていた為、ダメージはあるがそれ程深刻なものではない。ゲシュペンストMk-Ⅲの射撃武装が3連マシンキャノンしかなかったのも大きかったが。

「了解した。じゃあW16と、量産型Wは何人?」

 ブラックバード中隊をほぼ壊滅という事は、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ15機がやられた計算になる。それに対するのだから、なるべく戦力は多い方がいい。

「すまんが、通常通り量産型Wは3人で頼む。こちらも手が余っている訳ではないのだ。だからこそ対多数用武装ファントムを装備しているグロウセイヴァーとそのパイロットであるアクセルに任せるのだしな」

 確かにファントムを使えば普通の敵なら物の数ではないが、敵はトロイエ隊だ。油断は出来ない。
 が、そもそも出せる戦力が無いのならしょうがない。

「しょうがない、か。分かった。ネバーランドはそのまま使ってもいいんだな?」
「ああ、構わん。既に機体の搬入は済ませてある。後はアクセルが乗り込めばすぐにでも出撃可能だ。……あぁ、それと言い忘れていたが、レモンの開発したASRSプロトタイプだが、非常に高価なので量産は難しいらしい。だが、それでも折角作ったからという事で、グロウセイヴァーに積み込んだそうだ。恋人からの贈り物だ。使ってやれ」

 コスト面に問題ありで量産は出来ない、か。だがまぁ、俺の分だけでも出来たのだし良しとしておくべきか。

「了解。じゃあ宇宙軍の最精鋭と噂されているトロイエ隊の実力を見せてもらおうかね。あぁ、それと俺が負けた部隊の情報を集めておいてくれ。隊長は以前海賊退治の時に援軍としてきたキョウスケ・ナンブだ。ATXチームだったか? その部隊の戦力や所属人員を集中的に頼む」
「分かった。そういう意味では情報収集を担っていたブラックバード中隊が失われたのは痛いな」

 こうして、俺はユーリアと戦場で再会する事になる。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:23
PP:50
格闘:198
射撃:216
技量:208
防御:205
回避:233
命中:255
SP:326
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.8
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:75 

 

0058話

「は? ランドグリーズじゃなくてラーズアングリフ?」
「はい。レモン様がW17にはアンジュルグを作ったけど、私には何も専用機を作ってやれなかったのでご自分の機体を使え、と」

 俺はトロイエ隊と戦うべくブラックバード中隊が壊滅した場所に向かうネバーランドのブリッジで、エキドナからその報告を聞いていた。
 どうやらレモンが持ち前のお茶目を発揮して、自分の機体であるラーズアングリフをエキドナへと与えたらしい。
 それならランドグリーズが空いてる事になるので、ラミアを連れてきても良かった筈だが、それを聞くとエキドナは首を左右に振る。

「現在のW17はアンジュルグの操縦に最適化されています。ランドグリーズに乗せても量産型Wより多少マシという程度の技量しか発揮できません」

 その辺はこれからの技術発展に期待、か。

「まあ、持ってきた物はしょうがない。と言うか、今回は敵が敵だ。高性能な機体を渡してくれたレモンに礼を言うならともかく、文句を言うのはおかしいか」
「はい、そうするとレモン様も喜んでくれると思います」
「隊長、そろそろブラックバード中隊のアークランドと合流します」

 その言葉と殆ど同時に、モニタにトライロバイト級4番艦アークランドの姿が見えてきた。外側から見る限り、かなり酷い損傷を受けているようだ。状態としては中破といった所か。フレモント・インダストリー社かZ&R社辺りのドックで修理しないと使い物にならないだろう。

「アクセル隊長、すみません。みすみすクラルさんを失ってしまった」

 通信が送られてきて最初に言われた言葉は謝罪の言葉だった。モニタに映っている男は見覚えがある。クラルの部下の1人だ。

「生き残りは何人だ?」
「6人です。アークランドは何とか動かせますが」

 レモンの技術により艦の自動化が進んだ恩恵がなければ、折角のトライロバイト級を廃棄する事になっていた訳か。

「ふむ、なら事情はこのまま聞いた方が早いか。敵は宇宙軍のトロイエ隊と聞いたが?」
「はい、元宇宙軍所属の奴が言っていた事なので間違いは無いかと」
「数は?」
「全部で12機でしたが、2機落としたので残りは10機かと。……補充がされてなければですが」
「トロイエ隊は精鋭揃いだけに、補充もそう簡単には出来ないだろう。了解した。後はこちらに任せてアークランドはヴィンデルの本隊に合流。指示を待て」
「了解しました。クラルさんの仇討ち、お願いします」

 アークランドとの通信が切れ、そのまま後方へと移動していく。
 それにしても、トロイエ隊か。使用機種はガーリオンだったか? いや、正確にはガーリオンの運動性能を強化したガーリオンV型、ガーリオン・カスタムだったな。

「隊長、敵機補足。数は10。全てガーリオンタイプです。接触まで後5分」
「分かった。エキドナ、出撃するぞ」





 俺のグロウセイヴァーとエキドナのラーズアングリフ。そして量産型Wのエルアインス3機は敵が来るのを待ち構えていた。
 俺とエルアインスが前衛を受け持ち、エキドナのラーズアングリフが後方支援しつつエルアインスへの指示を出すいつもの陣形だ。
 いつでも攻撃開始命令を出せるようにしていると空の向こうから10機のガーリオン・カスタムが姿を現す。

「来たか」

 一糸乱れぬ、といった表現はこの為にあると言っても間違いではないように綺麗な隊形を保ったままこちらへと進んでくる。
 やがてこちらを認識したのか、先頭の1機を除く全機がバースト・レールガンの銃口をこちらに向けるが、先頭にいるガーリオンの右手が払うように一閃すると銃口を下ろす。

「その機体、映像で見たがアクセル・アルマーだな?」

 通信から聞こえてきたその声は、間違いなくユーリアのものだった。

「ああ、俺だ。こうして直接会うのは随分と久しぶりだな」

 その通信が聞こえたのか、ユーリア機のすぐ近くにいたガーリオン・カスタムが再度バースト・レールガンの銃口をこちらへと向ける。
 それに反応するように3機のエルアインスがG・レールガンの銃口をその機体に向け、ラーズアングリフもFソリッドカノンの砲身を伸ばして狙いをつける。

「貴方、隊長とどんな関係なのか知らないけど、反逆者が少し図々しいんじゃなくて?」

 4機の機体から銃口を向けられているのに、全く気にせずにこちらへと通信を送ってくる。モニタに映し出されたのは、金髪の気が強そうな女だった。
 そうか、そういえばトロイエ隊という事は、彼女がいても当然なのか。
 レオナ・ガーシュタイン。エルザムやライのブランシュタイン家の分家の出だ。マイヤー、エルザム、カトライアがエルピス事件で死亡しているこの世界だが、あちらの世界同様トロイエ隊に所属しているらしい。

「レオナ、構わない。彼とは……そう、友人なんだ」
「隊長!?」
「すまない、アクセル。部下が失礼をしたな」
「いや、気にしてないさ。間違った事を言っている訳じゃない」

 レオナの抗議するような声を無視してモニタにユーリアが映る。その顔は士官学校卒業時に会った時とは違い、苦渋に満ちたものだった。

「……単刀直入に聞かせてもらう。何故だ?」
「何故、とは何に対しての何故だ?」
「全てだ! 何故、こうなる前に私に相談してくれなかった? 何故、こんな馬鹿な真似をした? 何故……何故、私からの連絡を一切絶った?」

 悲痛とも言えるその声に、胸がチクリと痛む。
 反乱軍の幹部でもある俺と連絡を取っている事がバレるとユーリアに取って決して少なくないダメージになるだろう。そう判断したからメールの返事をしないようにした。それぞれの生活時間の違いもあった為か通信でのやり取りはこれまでなかったが、ユーリアが通信を求めてきても出ないようにしただろう。
 だが、それがユーリアの心を傷つけてしまった。あのいつも凛とした表情をしているユーリアが、今は泣きたいのを必死に我慢しているように見える。
 レオナもそんなユーリアは初めて見るのか、信じられないといった表情をしている。

「悪いな、色々と心配を掛けたみたいで。だが、これは俺が選んだ道だ。それにユーリアを付き合わせる訳にはいかないだろう?」
「だが! それでも……私は、相談して欲しかった」
「た、隊長?」

 俺とユーリアの関係を知らなかったらしいレオナだ。恐らくすぐに戦闘になるものとばかり思っていたのだが、予想外にユーリアの弱い所を見てしまって動揺している。

「アクセル。黙って投降してくれないか? 後の事は私がこの命に代えてもなんとかしてみせる」
「無駄だよ。知られては不味い事を知りすぎている俺達を連邦軍や連邦政府がそのままにしておくと思うか? それにヴィンデルの言っている事は決して間違ってはいない。俺はな、このシャドウミラーの実行部隊の隊長だ。つまり、奴らの汚い所をヴィンデルと同じくらい、いやそれ以上に見てきているんだよ」
「だが! たった1部隊だぞ? たった1部隊で連邦軍全てを敵に回して勝てると思っているのか?」
「さて、それはどうだろうな?」

 実際、連邦軍を抜けて俺達に合流してくる兵士も決して少ない訳じゃない。
 もっとも、口ではこう言っても、勝てないのは分かりきっているのだが。

「アクセル、現実を見ろ!」
「……悪いな。折角のお誘いだが、俺はシャドウミラーの幹部の1人なんだ。それにここであっさりと降伏したら俺の為に死んでいった奴等になんて言えばいい?」

 脳裏をよぎるのは、ベーオウルフからネバーランドを庇って散ったマルティンの姿。

「ならば、力ずくでも私はお前を助けてみせる!」

 結局そうなる、か。

「そうだな。その方が俺やお前らしい。分かっていると思うが、手加減は期待するなよ?」
「そちらこそ、数が少ないから負けたなんて泣き言は聞かないからな」
「ふん、あの時の映像を見ているのなら俺が対多数を得意にしている事くらい分かるだろうに」
「見てたから、だよ。アクセルとてまさか手の内を知られているのにそう易々とこちらを倒せるとは思っていないだろう?」

 先程までの泣きそうな顔は既に消え、今モニタに映し出されているのはトロイエ隊隊長ユーリア・ハインケルという女戦士の顔だった。

「全機、戦闘用意。相手は連邦宇宙軍特殊部隊のトロイエ隊だ。手を抜くなんて真似はしないで全力で掛かれ」
「全機、戦闘用意。相手はたった1部隊で連邦軍に反旗を翻した手練れ共だ。あの映像を見ている者なら油断なんて馬鹿な真似をするなよ。全身全霊で戦いを挑め」

 期せずして、俺とユーリアの声が重なる。

『全機、戦闘開始』 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:23
PP:50
格闘:198
射撃:216
技量:208
防御:205
回避:233
命中:255
SP:326
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.8
    ???
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    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:75 

 

0059話

 まず最初に口火を切ったのは、トロイエ隊のガーリオン・カスタムからのバースト・レールガンによる一斉砲火だった。

「念動フィールド、全開っ! アダマン・ハルパー起動、SPブースト、ナイン・テールモード!」

 銃口の殆どがグロウセイヴァーへと向いていたので、念動フィールドを全開に。エースボーナスを使いSPを消費してスライムの能力をブーストしアダマン・ハルパーを九条の鞭へと変化させて少しでも弾丸を防ぐ事に専念する。

「エキドナ、ミサイル3種一斉射撃、敵の陣形を崩せ! W1からW3はツイン・ビームカノンとG・レールガンで陣形から崩れた敵機を落としていけ!」

 俺の命令と共に、エキドナの乗っているラーズアングリフの背後からファランクス・ミサイルが弧を描くように山なりに、手持ち火器のリニアミサイルランチャーから小型のミサイルが多数、その両肩からマトリクス・ミサイルが2発発射される。
 マトリクス・ミサイルは敵との距離が近づくと中から小型ミサイル4発の合計8発へと分離する。

「全機回避に専念しろ」

 まだ通信を閉じていない為、モニタ越しにユーリアの命令が聞こえてくる。
 上空からはファランクス・ミサイル、正面からはリニアミサイルランチャーとマトリクス・ミサイルが迫る状況で回避に専念するトロイエ隊の面々だが、その隙を狙いエルアインス3機からツイン・ビームカノンとG・レールガンが狙い撃たれる。
 だがさすがにトロイエ隊と言うべきか。並の兵ならまず間違い無く多数撃墜出来た筈のその攻撃で、実際に撃墜したのは2機のみであった。

「ソニック・ブレイカーか。厄介な」

 そう、殆どの機体はT-ドットアレイを利用したソニック・ブレイカーを使用し、機体前方へと展開されたエネルギーフィールドでエルアインスからの攻撃を防ぎきったのだ。

「だが、甘い!」

 SPブーストにより、その能力を増したアダマン・ハルパーをナイン・テールモードのまま敵機へと向かい、思い切り叩きつける。
 9条の鞭と化したアダマン・ハルパーはトロイエ隊のガーリオン・カスタムの中でも比較的こちらに近い位置にいたレオナの機体を斬り裂く。
 運良くコックピット部分を損傷する事は免れたが、四肢を切り裂かれたレオナの機体はそのまま地上へと墜落して動きを止めた。

「さすがアクセル。だが、私達もこのままやられっぱなしという訳でもない。全機、オプション薙鎌」

 そのユーリアの台詞と同時に、残り7機のガーリオン・カスタムがこちらを中心にして周囲を飛ぶ。その飛行は見事に連携が取れており、ここに到着した時の一糸乱れぬ動きが伊達ではなかった事を証明している。

「鳥篭!」

 そしてユーリアのその声と同時に、7機全機から一斉に撃ち出されるバースト・レールガン。その狙いは俺……ではなく、W2のエルアインス!?

「W2、回避しろ」

 エキドナからの命令が出されるが、鳥篭と呼ばれたその一斉射撃は計算され尽くしていたのだろう。回避スペースが殆ど無い。いや、無い事はないのだが、それは本当に極僅かなスペースであり、量産型Wの能力でその攻撃に対処するのは不可能だった。
 結果、エルアインスは四方八方からバーストレールガンの弾丸に貫かれ、その命と共に散っていく。
 もっとも、量産型Wは行動不能になった場合は機密保持の意味も込めてコードATAを使用して自爆する。エルアインスが行動不能になった時点でその死は確定的だっただろう。

「ファントムっ」

 T-LINKシステムを通してグロウセイヴァーに装備されているファントムのうち、21機を起動させる。

「ほう、それがあの映像で敵機を瞬く間に瞬殺した武装か。実際に見るとなるほど、圧倒されるな」

 ファントムを見たユーリアがそう言い放つ。口では圧倒されると言っているが、その表情には闘志が満ちている。

「なら、俺の牙を存分に味わえ!」

 俺の意志に従い、トロイエ隊のガーリオン・カスタム1機につき3機のファントムが襲い掛かる。
 しかし、さすがトロイエ隊と言うべきか。全機が見事な機動でファントムの攻撃を回避し、当たりそうなものはソニック・ブレイカーのエネルギーフィールドで防いでいる。
 だが……

「あまり、見くびられても困るな」

 敵機のうち、ユーリアから一番遠くで攻撃を回避している機体へと目をつけ、攻撃をしているファントムへと意識を集中させる。
 3機のファントムは1機が真上からのレーザーブレードを用いた貫通攻撃を行い、それを回避したガーリオン・カスタムにその隙を突くように右からレーザーを撃ち込む。そのレーザーはエネルギーフィールドによって防がれるが、殆ど同時にレーザーが撃ち込まれた場所と同一ヶ所へと最後のファントムがレーザーブレードを突き立てる。
 一瞬レーザーブレードを防ぐ事には成功するが、防ぐ事が出来たのはあくまでも一瞬だった。次の瞬間にはエネルギーフィールドを貫通したファントムがガーリオン・カスタムの胴体を貫通する。

「いくらT-ドットアレイを利用したエネルギーフィールドとは言え、限界はある。なら限界以上の威力で攻撃すればいいだけだ」

 グロウセイヴァーで使う事の出来る念動フィールドにしても、限界以上のダメージを受けると攻撃を通してしまうのだ。それが防御専用に用意された訳でもないガーリオン・カスタムのエネルギーフィールドの限界など推して知るべしだろう。

「これで6機。大分数が減ってきたがそろそろ降参するか?」
「まさか。それにそちらとて残り4機だ。まだまだこちらが有利だよ」

 数秒の間ユーリアと言葉を交わし、戦闘が再開される。

「W16、見ていた通り敵のエネルギーフィールドは同一ヶ所へと複数回攻撃すれば貫通が可能だし、ラーズアングリフのFソリッドカノンのように強力な武器なら一発で抜けるだろう。それを念頭にいれて攻撃しろ」
「了解しました。W1、W3。今の話を聞いていたな? G・レールガンの攻撃を同一ヶ所へと集中させろ」

 指示を出しながら、Fソリッドカノンの砲身を展開するエキドナ。
 エルアインスの方もツイン・ビームカノンはG・レールガンに比べて狙いがつけにくいのでツイン・ビームカノンはあくまでも牽制にとどめ、G・レールガンによる攻撃をメインにしている。
 そして俺もクロノスのラックからハルバート・ランチャーを取り出し、ファントムの攻撃を回避し続けている敵へと狙いを定める。

「全機、エネルギーフィールドを過信しすぎず、なるべく回避に専念しろ。また敵は回避の隙を突いて攻撃しようとしているので注意しろ」

 ちぃっ、アドバイスのタイミングがいいな。後10秒程後なら2~3機は撃墜出来ていただろうに。
 だが、相手にとっては不幸な事に、こちらにとっては幸運な事に、俺にはユーリアの知らない精神コマンドという奥の手がある。しかもバリア関係を無視出来る取っておきが。

「直撃」

 小さく呟き、精神コマンドの直撃を使用。集中の時と同じく感覚的な何かが鋭くなっていく。本来なら努力も使いたい所だが、エースボーナスのスライムに対するSPブーストで残りSPがどのくらいあるのかを確認している暇がないので我慢する。

「そこだっ!」

 1機のガーリオン・カスタムがエネルギーフィールドを解除するのを先読みし、その機体めがけてハルバート・ランチャーのトリガーを引く。
 ハルバート・ランチャーの銃口から放たれた複数の光線がエネルギーフィールドを解除した瞬間、ガーリオン・カスタムへと襲いかかりその機体を爆散させた。

「何っ、偶然か?」

 ユーリアの驚愕の声が聞こえてくるが、その瞬間を狙っていたかのようにエキドナのラーズアングリフがFソリッドカノンを発射、エネルギーフィールドを貫通してまた1機撃墜する。
 続けて2機連続で撃墜されたのが余程意外だったのか、1機のガーリオン・カスタムが空中でバランスを崩す。

「W1、W3、狙え」

 そこに鋭くエキドナからの命令が下り、G・レールガン2つが空中でバランスを崩した機体を狙う。先程のファントムの時と同じく、1発の弾丸はエネルギーフィールドで受け止めたが、同一ヶ所へと着弾した2発目の弾丸がエネルギーフィールドを貫通し、機体の下半身を砕く。

「甘いっ」

 だが、その隙を狙っていたかのようにユーリアがW1の乗るエルアインスに急接近。アサルトブレードで上から真っ二つに断ち割る。幸い爆発は起きなかったが、完全にスクラップ状態になってしまった。

「あまりやられっぱなしというのも面白くないのでな」

 ユーリアの顔にはしてやったり、といった感じの笑みが浮かんでいる。

「これで3機ずつ、か。だがそちらもまだ甘いぞ!」

 クロノスの右から伸びているビームガトリング砲の砲身を伸ばし、1機のガーリオンカスタムへと狙いをさだめる。

「集中」

 精神コマンドの集中を利用し、トリガーを引く。
 砲身が自分に向けられている事が分かったのか、何とか回避しようとするガーリオン・カスタムだが、集中の効果を得ている今の俺にとっては狙いを付け続けるのはそう難しくはない。1発のビーム弾は小さくても、その量は圧倒的なビームガトリング砲だ。すぐに限界を超えたダメージを叩き出し、エネルギーフィールドを突破して機体を爆散させる。
 そして殆ど同時に、ユーリア以外の最後のガーリオン・カスタムも再度放たれたラーズアングリフのFソリッドカノンの弾丸により撃墜された。

「さすがにトロイエ隊、手強かったがこれで勝負は付いたな」

 最後の1機になったユーリアへと声を掛ける。

「確かにそうかもしれないな。だが、まだ私という戦力が残っている以上、部下達の為にもここで引く事は出来ん」

 アサルトブレードを持ち、こちらへと刃先を向けてくる。

「さぁ、アクセル。最後の勝負と行こうか」
「W16、俺がやる。手を出すなよ」
「しかし、私はレモン様に隊長の身を守れと命令されています」
「ふん、この程度でやられるようなら特殊処理班の隊長には就いていないさ」

 俺の言葉に不承不承納得し、小さく頷くエキドナ。

「アダマン・ハルパー、起動。行くぞユーリア!」

 アダマン・ハルパーを起動状態の大鎌のまま、SPブーストを使用し可能な限りのSPを込め、クロノスのブースターを全開にしてユーリアのガーリオン・カスタムへと斬り掛かる。

「来い、アクセル!」

 ユーリアもソニック・ブレイカーによるエネルギーフィールドを展開しながらアサルトブレードを上段に大きく構えてこちらに突撃してくる。
 ユーリアの考えとしては、ソニック・ブレイカーで俺を弾き飛ばしてからアサルトブレードで斬り下ろすといった所だろう。それは普通なら十分有用な戦法である。俺がエースボーナスであるSPブーストを使っていない状態であるのなら。

「うおおおおぉぉぉっっっっっ」
「はああぁぁぁぁぁぁぁっっっ」

 俺とユーリアの声が戦場へと響き渡る。猛烈な加速でガーリオン・カスタムに弾き飛ばされる直前、俺はアダマン・ハルパーで斬り下ろす。……ガーリオン・カスタムではなく、エネルギーフィールドを狙って。
 ユーリアの読みとしては、アダマン・ハルパーの攻撃を弾き飛ばすか、最悪でも威力を弱めるつもりだったのだろう。だが、俺のSPを貪欲に吸収したスライムの能力はユーリアの読みを凌駕してエネルギーフィールドを何の抵抗もなく斬り裂き、そのまま弧を描くように大鎌を動かし、ガーリオン・カスタムの左手、左足、右脚も纏めて切断した。
 アサルトブレードが左手と一緒にどこかへと飛んでいき、空中でバランスを崩した機体は地上へと激突してその勢いのまま数十メートル程地面を削りようやく止まる。

「ユーリア、無事だな?」
「ああ。身体中怪我だらけだが、命に別状はないようだ」

 ユーリアへと通信を送ると、多少苦しそうではあるが意識ははっきりとしているようだ。

「ユーリア、最後に1度だけ聞く。……俺と共に、来るか?」

 その言葉がどのくらいの衝撃をユーリアに与えたのかは分からない。だが、次にユーリアが言葉を発したのは、1分程の沈黙の後だった。

「悪いが、共には行けない。私にはトロイエ隊指揮官としての立場もあるし、こんな私に最後まで付き合ってくれた馬鹿な部下達もいる。……すまない」
「いや、そう言うと思っていたよ」

 ユーリアは良くも悪くも真面目で一本気な性格なのだ。誘っても応じない事は予想出来ていた。だが、それでもユーリアという友が側に居て欲しいと思ってしまったのだ。

「もし、私が責任ある立場でなかったら……いや、よそう。そんなのは未練以外のなにものでもない」
「じゃあ俺達は行く。この戦闘も連邦軍がいずれ察知して救助が来るだろう。それまでは我慢していてくれ」
「ああ。この戦いが終わったらいずれまた会おう」

 その言葉にすぐに返事を返す事は出来なかった。この戦いが終わった後に俺達が会う事はもうないのだから。だが、それでもその約束でユーリアの心の負担が小さくなるというなら。

「ああ。また、な」 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:23
PP:65
格闘:198
射撃:216
技量:208
防御:205
回避:233
命中:255
SP:326
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.8
    ???
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    ???
    ???
    ???

撃墜数:78 

 

0060話

「来たな」

 ポーランド地方のとある草原の中、遠くに見える道を警戒しつつ俺はASRSを展開し、グロウセイヴァーの姿を隠して潜んでいた。
 連邦政府内にいるこちらのシンパからの情報で、今日この時間にここを連邦軍の部隊が通りオポーレにある連邦軍基地の援護に向かうというものだった。敵がなかなか来ないので焦れながらもステータスチェックをしたり、ガンファイトを待望のLV.9にしたりとしているうちに敵の姿がようやく見えてきたのだ。
 81式PTキャリアにコンテナが7台接続されているものが2両、か。
 全てのコンテナに機体が入っているとは限らないが、それでも10台以上の機体があるのは間違い無い。
 現在オポーレ基地を攻めている筈のバリソン達だが、この援軍が届くとピンチになるとまではいかないが、手こずる事になるだろう。ならやはりヴィンデルの命令通りここで俺が叩いておくべきだな。
 本来ならもっと手数が欲しい所だが、確実に通るポイントがここしか判明していない上に、周囲には森なんかの身を隠す所が一切無い見通しの良さだ。
 そこで、ASRSのプロトタイプを装備している俺の出番となった訳だが……10機以上の機体を俺1人で潰せと言うのはちょっと厳しいと思っていた。だが、機体がコンテナに搭載されている状態でなら撃破も特に難しくはない。

「ASRS解除」

 ASRSを解除して、機体の姿を現す。同時にレーダーか何かでこちらを察知したのか、急ブレーキを踏む2台の81式PTキャリア。

「だが遅い!」

 クロノスのラックから取り出したガン・レイピアで狙いをつけてトリガーを引く……前に、1台の81式PTキャリアがコンテナ諸共爆発した。

「何が起きた?」

 ガン・レイピアはまだ発射されていない。そしてシャドウミラーは俺以外にここに部隊は派遣していない筈だ。事故か、はたまたテロか?
 そんな俺の疑問に答えるように姿を現したのは、ゲシュペンストMk-Ⅲとその周囲をまるで親衛隊のように守る量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ4機の姿だった。

「ちぃっ、ベーオウルブズか。こんな所で再会とはな」

 以前ヴィンデルに頼んで調べて貰ったが、やはり既にATXチームはベーオウルブズへと変わっていたらしい。その強さは驚異的だが、敵も味方も関係なく攻撃を仕掛ける為に連邦軍の部隊からも忌み嫌われている。シャドウミラー各隊にも最重要危険部隊として連絡が回っている。
 もっとも、腐敗した上層部は味方の被害も大きいが戦果も大きいので重宝しているらしいが。

「間に合うか? ASRS展開!」

 まだこちらの姿を敵に発見されていないという万に一つの望みを掛けてASRSを展開しようとするが、モニタに放熱の為ASRS展開不可の文字が表示された。
 プロトタイプだけあって、まだまだ未完成な所があるらしい。
 だが、あのベーオウルブズ相手に俺1人でどこまでやれる? 最悪なのはベーオウルフ以外にも4機の敵機がいる事だ。ベーオウルフ1機だけなら勝つ、と言い切る事は出来ないが一方的に負ける事はないんだが。
 精神コマンドの加速を使って逃げの一手を取るべき。そう判断したが、その決断は既に遅かった。
 ゲシュペンストMk-Ⅲがこちらへ振り向くと、その意志に従い量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ4機が纏めてこちらへと向かってきたからだ。

「くそっ」

 こうなっては仕方がない。何とか時間を稼ぎ、放熱が完了した後に再度ASRSを展開させてから引くしかないだろう。

「ファントムっ」

 T-LINKシステムを通じて、20機のファントムが宙を舞う。

「とにかくこいつらは倒してしまわなきゃベーオウルフの相手をする所じゃないな」

 幸いにもベーオウルフは自分では動かず、部下にこちらを攻撃させて自分は高みの見物と洒落込んでいる。
 奴が本気を出して参戦する前に少しでもこいつらを撃破しておくべきだ。
 攻撃の軌道をイメージし、それをT-LINKシステムを通してファントムへと伝える。
 前、左、右、そして上の4方向から。あるいは前が2、左が1、上が1等それぞれで変化を加えての攻撃を実行する。
 そして俺はファントムをコントロールしながら、クロノスの左右から伸びているビームガトリング砲とリニアレールガンの砲身を展開。同時にハルバート・ランチャーを取り出し狙いをつける。

「喰らえっ」

 ファントムで牽制しつつビームガトリング砲を放ち、ダメージを与えた所にハルバート・ランチャーで攻撃する。砲身から放たれた複数の光線が1機の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを直撃し、激しい爆風を起こす。数秒後、そこには機体の残骸と思われる脚の部分だけが転がっていた。

「これで1機」

 残り3機のうち、2機が殆ど同時にネオ・プラズマカッターで左右からこちらに斬りかかり、最後の1機が後方から3枚刃を回転させた武器を射出する。
 スラッシュリッパーかっ!?
 ある程度の誘導性能がコンピュータで与えられている為、この攻撃を迂闊に回避する事も出来ない。かと言って……っ!?
 一瞬、何かの違和感をT-LINKシステムを通じて感じる。だが、それが何なのかを確認する時間は当然無く、左右からのネオ・プラズマカッターが振り下ろされようとしていた。

「ちぃっ、加速!」

 精神コマンドの加速を使用し、クロノスの追加ブースターによりその場から一気に待避する。
 それと殆ど同時につい数秒前までグロウセイヴァーがいた空間へとネオ・プラズマカッターが振り下ろされた。
 間一髪の回避に成功したと思いきや、グロウセイヴァーを追ってくるスラッシュリッパー。
 馬鹿な、コンピュータの誘導可能範囲は加速を使って振り切った筈だ。なのに何故まだこちらを追尾してくる!?
 咄嗟にアダマン・ハルパーを起動させ、初期状態の大鎌で切り払うべくその刃を振り下ろす。

「っ!?」

 だが、3枚刃のその武器はこちらの攻撃を見透かすかのように大鎌の刃をひらりと回避してこちらへと迫る。

「ファイア・ダガー!」

 グロウセイヴァーの胸部からファイア・ダガーを発射出来たのは反射的な行動と言ってもいいだろう。だが、その反射的な行動のおかげで何とか3枚刃の武器を撃ち落とす事が出来た。

「スラッシュリッパーじゃない。という事は……T-LINKリッパーか!?」

 標的の追尾をコンピュータ制御で行うスラッシュリッパーに対して、念動力を使い標的の追尾を行うT-LINKリッパー。どちらの方がより高い誘導性能を持っているのかは考えるまでもないだろう。と言うか、恐らくだがスラッシュリッパーはT-LINKリッパーの有用性に気が付いた者が誰でも使えるように作ったものなのかもしれない。

「つまり、念動力者がいるのは確実という事か」

 ベーオウルブズに所属する念動力者。パッと思い浮かぶのはブルックリン・ラックフィールドとクスハ・ミズハだろう。クスハとブリットのどちらかの可能性を考えると、やはりここは最初からATXチームに所属していたブリットか。

「だが、折角の念動力も機体が対応していなければそれ程脅威にはならない」

 T-LINKリッパーがあると分かっていればいくらでも対処のしようはある。例えば『使わせない』とか。

「加速、直撃、SPブースト、アダマン・ハルパー起動!」

 精神コマンドとSPブーストを使用し、クロノスのブースターを全開にしてブリットが乗っていると思われる機体へと突撃する。
 前衛2機の横をすり抜ける時にネオ・プラズマカッターが振り下ろされるが、ファントムで牽制しつつ、ブースターを小刻みに動かす事で攻撃を回避する事に成功する。
 そしてブリット機が近づいてきた所で、再度T-LINKリッパーが射出されようとするが、敵の背後に回していたファントムのレーザーブレードを使用してT-LINKリッパーが射出された瞬間に撃墜。
 そしてとうとうブリット機を射程距離内へと捉える。

「喰らえ、アダマン・ハルパー!」

 ナイン・テールモードで手足を切断し、そのままスライムとしての捕食機能を発動。ブリットを機体の胴体ごと吸収させる。普通の状態なら吸収するのにある程度時間が掛かるのだが、現在はSPブーストを使用してスライムの能力を強化している。その結果ものの数秒で胴体ごとブリットの吸収は完了した。

 ドクンッ

 リョウトやアヤを吸収した時と同じく、念動力者を吸収した時特有の感覚が身体を襲う。
 いつもならこの感覚が収まるまで待っているのだが、戦闘中にそんな事をしている余裕はない。

 身体に念動力が吸収されていくのが分かる。やはりあの機体に乗っていたのはブリットだったらしい。だが、その感覚を堪えている為か視界が揺らいでいてまともに敵の姿を見る事が出来ない。
 身体に入ってくる力を感じながらも、T-LINKシステムを使い敵の位置を大雑把にだが把握する。少し離れた所に1機。これはベーオウルフだろう。そしてこちらへと向かってくるのが2機。こいつらだ!

「ファントムっっっっっ」

 身体の中を荒れ狂っている激情のままに叫ぶと、ファントムはこちらの意志に従い敵へとその牙を露わにする。予備として取っておいたファントムも含め、28機のファントム全てがたった2機の敵機を喰らい尽くすべく襲い掛かる。



「……ふぅ」

 ようやく視界が戻った俺に見えたのはズタボロになった2機の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの姿だった。
 それを確認してから、残る1機へと機体を向ける。俺に対応するかのように、こちらへと歩を進めるゲシュペンストMk-Ⅲ。

「さて、ここからが本番だなベーオウルフ」 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:24
PP:35
格闘:202
射撃:220
技量:212
防御:209
回避:237
命中:259
SP:334
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:82 

 

0061話

 まずは小手調べという事か、左腕に装備されている3連マシンキャノンをこちらへと向けて撃ってくるが、その攻撃は右に移動する事で回避に成功する。
 そのままベーオウルフを中心に反時計回りに移動しつつ牽制の意味を込めてガン・レイピアを発射するのだが、何か意味不明のフィールドのようなものであっさりと防がれる。

「……なんだ?」

 あれに乗っているのはベーオウルフ、すなわちキョウスケ・ナンブだ。それを考えると、念動フィールドではないのは確定。そうなるとABフィールドやG・ウォールの類か? アルトアイゼンに装備されている特殊装置はビームコートのみだと思ったが、ゲシュペンストMk-Ⅲは違うのか?
 疑問に思いつつ、ファントムを全機使用してゲシュペンストMk-Ⅲの胴体へと攻撃を集中させる。
 28機のファントムから発射されたレーザーと、ガン・レイピアから発射された細いビームが胴体の1点へと集中した。

「がああああぁぁぁぁぁっっ」

 さすがにこの攻撃は効果があったのか、正体不明のバリアを突破し胴体へと直撃する。
 どうやったのかは不明だが、グロウセイヴァーのコックピットにベーオウルフの声が聞こえる。いつの間にか通信が繋がっていたようだ。

「ベーオウルフ、いやキョウスケ・ナンブ。俺の事をまだ覚えているか?」
「敵……不明……破壊…消去」

 駄目、か。既にキョウスケ・ナンブではなくアインストと化しているか。

「ならここでマルティンの仇を取らせて貰いたい所だが」

 もしここでベーオウルフを倒したとしてもすぐに再生するだろう。実際、マルティンが倒された時にネバーランドのDOBキャノンを直撃させたというのにこうしてピンピンしているのだから。
 だが、このまま撤退というのも難しい。モニタにはASRS使用不可の表示が出ているし、もし使用可能だとしてもアインストの特殊感覚か何かでこちらを追尾なんて事になったら洒落にならない。
 バリソンが基地攻略をしている場所にベーオウルフを連れて行く? それこそ敵味方関係なく暴れて、混乱しか巻き起こさないだろう。
 となると、やはり俺が一時的にでも再起不能にして、その後で撤退というのがベストなのだが。

「問題は勝てるかどうか、か」

 いや、弱気は禁物だな。俺は生き残る。その為にこれまで頑張ってきたのだから。

「続けていくぞ!」

 ビームガトリング砲で連続してビーム弾を撃ち込み続け、ビームの豪雨とも言えるその速射性から自然と同じ場所に命中するビーム弾が多くなり、ゲシュペンストMk-Ⅲが張っているバリアを突破する。
 ベーオウルフに行動の余地を残さない。言うのは簡単だが、実際にやるとなるとかなりきつい。あのベーオウルフと対峙し、移動しながら射撃して命中させ続けるのだから。
 だが幸い俺には比較的余裕があった。ベーオウルフのゲシュペンストMk-Ⅲは近・中距離用の武装がメインで遠距離へ攻撃が可能なのは左腕についている3連マシンキャノンのみだ。そしてその3連マシンキャノンは威力的には大した事はないので、もし命中しても常時発動している程度の念動フィールドで無効化が可能だ。
 そしてベーオウルフが攻撃する時には自然とバリアも解除されるので、その点もこちらにとっては有利な要素だろう。
 これが逆に近接戦闘となるとあちらの独壇場になるのだろうが、俺にはわざわざ相手の土俵で戦うなんて趣味はないので出来ればこのまま一方的に相手をなぶっていきたい所だ。

「無理か」

 よく見ると、最初にビーム弾が命中した場所の損傷が無くなっている。マシンセルのような特殊なものを使っているのではない限り、アインストの効果だろう。
 そうなると相手の損傷が修復されるよりも大きなダメージを与えなければいけないのだが、現状の武装でそれが可能なのはファントムの一斉射撃くらいだろうか。だが、ファントムに意識を集中しすぎるといざという時の反応に不安が残る。普通の敵なら問題ないのだが、相手が相手なので少しでも不安要素は減らしておきたい。

「はあああぁぁっぁぁぁっっっっ」

 突如吠えるような声を上げるベーオウルフ。その声に意識を集中したのが悪かったのだろう。ふと気が付くとモニタにはリボルビング・ステークをこちらへと突きだそうとしているゲシュペンストMk-Ⅲの姿が。
 馬鹿なっ、あの距離を一瞬で詰めた!?

「念動フィールド、全開!」

 咄嗟に念動フィールドを全開にするが、突き出された杭は念動フィールドをあっさりと貫通しグロウセイヴァーのコックピット、つまり俺目掛けて撃ち出される。

「ちぃっ」

 咄嗟にとは言え機体を右に多少なりともずらせたのは、運か、ブリットから吸収して増大した念動力のおかげか、はたまた内心でベーオウルフの攻略法を考えつつもその挙動を注意深く観察していた為か。
 理由はともあれ、リボルビング・ステークがコックピットを貫通するという最悪の事態はなんとか避ける事が出来た。代わりにグロウセイヴァーの左手とリニアレールガンを持って行かれたが。

「くそっ、加速!」

 このまま奴の距離にいるのは不味すぎる。精神コマンドの加速を使用し、ブースターも利用して再度ベーオウルフとの距離を取る。

「全く、きついな」

 そもそも現在連邦軍で最強の部隊と言っても間違いではないベーオウルブズを俺1人で相手取れというのが無茶な話なのだ。
 愚痴を言いつつも、機体のコンディションをチェックする。幸い損傷したのは左手とリニアレールガンのみで、その他には特に影響がない。
 と言うか、ASRSにも影響がないというのは不具合ばかりのASRSにしては凄いな。

「……む?」

 ふと、ゲシュペンストMk-Ⅲの様子に妙な違和感を覚えた。何だ? T-LINKシステムの効果なのか、何かを俺に教えている。教えているのだが、それが何かが分からない。

「取りあえず考えるよりも行動だ、ファイア・ダガーでも食らってろ」

 あくまでも牽制として放たれたファイア・ダガーだが、複数の小型ミサイルはゲシュペンストMk-Ⅲをかすめてあらぬ方向へと飛んでいき、爆発する。

「待て」

 何故、今の攻撃がかすめた? あのバリアを使えばかする事もなく防げたんじゃないのか?
 物は試しと言う事で再度ファイア・ダガーを発射するが、今度もバリアは展開されていない。
 バリアの展開をやめた、のか? 何故?
 疑問に思うが、そもそも相手はあのアインストなのだ。人間の俺に理解が及ばないのはある意味当然だろう。
 ゲシュペンストMk-Ⅲのバリアは強度はそれ程ではなかった。あくまでも俺の主観だが、グロウセイヴァーで発動出来る念動フィールドの方が強度的には上だったように感じる。
 そんなバリアでもあのベーオウルフが操るゲシュペンストMk-Ⅲが装備しているとなると話が違ってくる。だが、理由は不明だがそのバリアも消えた。

「これならなんとかなる……いや、なんとかしてみせる」

 深呼吸をして、意識を敵機へと集中。

「加速、集中、直撃、SPブースト! 行くぞぉぉぉぉっ!」

 自らを鼓舞する為、雄叫びを上げながらクロノスのブースターを全開にして最大スピードでベーオウルフへと向かう。
 相手も自分の距離で戦いたい為か、こちらを待ち受けていた。
 と、ゲシュペンストMk-Ⅲの両肩のカバーが展開する。
 ちぃっ、スクエア・クレイモアか!? あの攻撃をまともに受けるのは不味い。しかしあの武器の射角を考えると回避するのも間に合うかどうか微妙。ならここは肉を切らせて骨を断つ!

「念動フィールド、全開!」

 念動フィールドの出力を最大にした途端、バチバチバチッという音が途切れる事無く聞こえてくる。スクエア・クレイモアで撃ち出されたチタン合金の弾が念動フィールドを削り取っている音だろう。意識が極限まで集中された事により感じた、一瞬の永遠ともいえる時間。だがそれもすぐに終わりを告げる。数発の弾が念動フィールドを突破したものの、その数は極少数であった為にグロウセイヴァーの装甲表面を削り取る程度で済んだのだ。
 だがベーオウルフもそれを見越していたのだろう。ゲシュペンストMk-Ⅲの代名詞ともいえる、額に装備されているヒートホーンでこちらを突き刺そうとしてくる。
 ヒートホーンで串刺しになるのは御免被りたいので機体をロールさせる事で回避し、そのままブースターを微調整しつつ敵機の後ろへ。同時に後方で待機させていたファントムの半数からレーザーの一斉射撃を行い、もう半数はレーザーブレードを展開させて四方八方から突き刺すべく突撃させる。
 レーザーの射線軸上にグロウセイヴァーがいる為に本来なら自殺行為ものの行動なのだが、幸いその射線にはゲシュペンストMk-Ⅲという盾がいるので問題ない。

「アダマン・ハルパー、ナイン・テールモード!」

 9条の鞭と化したアダマン・ハルパーによる近距離からのオールレンジ攻撃。いくら機体修復が可能な化け物といえども、ファントムの射撃により体勢を崩され、レーザーブレードによる刺突攻撃により機体の十数ヶ所を刺し貫かれて動きを止められたその状態でナイン・テールモードによる9ヶ所同時攻撃を防ぐ事は不可能だった。
 SPブーストによりその性能を上げた水銀の鞭により、ゲシュペンストMk-Ⅲは四肢切断、頭部粉砕、おまけに胴体部分もコックピットの部分を狙い分割される。
 よし、このままハルバート・ランチャーで消滅さ……!?

 クロノスのラックから残った右腕でハルバート・ランチャーを取り出そうとしたその瞬間、背筋にゾクリとした何かを感じた。同時にT-LINKシステムが致命的に嫌な予感を教える。
 咄嗟に機体をバックステップさせるのと、ナニカが数瞬前までグロウセイヴァーのいた位置を通り過ぎたのは殆ど同時に起こった事だった。

「何だ?」

 よく見ると、ゲシュペンストMk-Ⅲの散らばった部品から蔦のようなものが伸びて近くにある部品を取り込んでいる。
 その蔦状のものはどう考えても……

「アインスト、か。機体の状態もあるし、ここにいるのは不味いな」

 モニタへと視線を向けると、幸いにもASRSは展開可能になっている。
 なら、ベーオウルフは現在行動不能なんだし今のうちに撤退するべきか。

「ASRS展開」

 蔦状のものにより、修復されているゲシュペンストMk-Ⅲを横目にASRSを展開してその場を飛び去った。 
 

 
後書き
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   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
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撃墜数:82 

 

0062話

「ここでもベーオウルブズ、か」

 ギャンランドのブリッジで、俺はヴィンデルへと先の戦いに関して知らせていた。
 もちろんアインストに関する修復機能の事なんかは誤魔化して、だが。

「ここでも?」
「ああ、ここ数日で連邦に反旗を翻した友軍部隊が数多く壊滅している。その実行犯が、アクセルの言ったベーオウルブズだ」
「何でまた急に? 敵味方関係なく攻撃を仕掛けるって事で上層部はともかく、現場では忌み嫌われていた筈だが?」
「どうやらその上層部が強引に派遣しているらしい」
「それは、またなんとも」

 ベーオウルブズが派遣された戦場では、敵はともかく味方まで甚大な被害を受ける。考えるまでもなくそんな味方と一緒に戦いたい指揮官などいる筈も無く、これまでは本当に限定された戦場でしかその姿を見る事は出来なかった筈だ。

「私達が勝ちすぎた、という事だろうな」

 シャドウミラーが反乱を起こしてから既に数ヶ月経つが、それを鎮圧できない現場に上層部が業を煮やした訳か。
 ヴィンデルと2人でどう対応したのもかと考えていると、レモンがブリッジへと入ってくる。

「ちょっといいかしら? グロウセイヴァーの修理に関して相談があるんだけど」
「ああ、構わん。機体の様子はどうだ?」
「一番大きい損傷は左腕とクロノスのリニアレールガンだけど、これは幸い補充部品があるから付け替えるだけで特に問題は無いわ。ファントムに関しても定期的なメンテナンスで十分なんだけど、時間を数日貰っても構わないかしら?」
「数日? 話を聞いてる限りじゃ、特に問題があるようには思えないんだが」
「現状のままだとベーオウルフに対抗出来ないとまではいかないけど、きついのは確かでしょう? だからちょっと改造を加えたいのよ。幸いと言うか何と言うか、グロウセイヴァーを今の形に仕上げてからそれなりに時間も経っているし、その間に得た技術を使えばある程度のパワーアップは可能よ」
「ふむ。アクセル、どうだ? お前の方に問題が無いようならその方向で進めたいと思うが」

 レモンとヴィンデルの言葉に、俺は迷わずに頷く。
 今回は何とかなったが、これから先またベーオウルブズと戦う可能性を考えると少しでも戦力は多い方がいい。少なくても、テスラ研で後最低一度は戦うのだから。

「ああ、こちらとしては大歓迎だ。よろしく頼む」
「了解。じゃあ、どんな機体になるのか楽しみにしていてね」

 くすり、と微笑を口元に浮かべるレモン。いつもならその笑顔に嫌な予感がする事もあるのだが、今日に限っては非常に頼もしい笑顔だった。

「さて。丁度レモンが来てくれた事だし、次の話に移らせて貰おうか」
「次の話?」
「あぁ、先程のベーオウルブズや、バリソンの部隊が苦戦しているクライ・ウルブズの例もある。レモン、例の話をしてくれ」
「ええ、リュケイオスに関係する事よ。アギュイエウスの実験を見て貰えれば分かる通り、あの転移装置には平行世界への次元転移が可能だというのはいいわね。その下位互換とでもいうようなリュケイオスにも同様の機能が備わっているのよ。アギュイエウスはまだきちんとこちらでコントロールは出来ないけれど、リュケイオスならある程度安定した次元転移が可能な筈よ」

 ……ここで来たか。ただ、ヴィンデルの話を聞くに徐々にこちらが押され始めているというのは確かなようだ。そういう意味でも今この話が出るのはそれ程おかしくはない、か。

「ちなみに、アギュイエウスを強奪していく予定の為か次元転移に成功した場合の転移先はヘリオス・オリンパスが転移した世界になる可能性が非常に高いそうだ」
「強奪?」
「ああ、空間転移や次元転移をする為の装置だ。上手く使えば限りなく強力な戦力になるからな」
「で、そのアギュイエウスだけど。どうやらメインの開発者であるヘリオス・オリンパスとなんらかの形で繋がっているフシがあるのよ。その繋がりを利用しての転移になるから彼のいる所へ転移する可能性が高い訳ね」
「ただし、これはあくまでも最後の手段だ。当然私もこのまま連邦軍に負けるつもりはないから、あくまでも保険として考えておいてくれ。ただし、もし実際にこの作戦を実行に移す事があった場合はアクセル、お前にテスラ研制圧の陣頭指揮を取ってもらう事になるだろうから心に留めておくように」

 テスラ研、か。やはりフィオナやラウル達と戦う事になるのだろうか。俺としてはこちらについて欲しいんだが。

「この作戦名はエンドレス・フロンティア。プランEFとする」
「了解した。この作戦が指示されたら、俺はテスラ研を制圧すればいいんだな?」
「ああ。だがまぁ、何度も繰り返して言うようだがプランEFはあくまでも最終手段としての保険に過ぎん。このまま私達が連邦政府を打倒すれば意味の無くなる作戦でしかない」

 ヴィンデルの言葉で話が終わり、俺達はそれぞれにブリッジを出て行く。
 さすがに疲れた俺も、そのまま部屋へと戻り身体を休める事にする。
 ベッドで横になりながらふとブリットを吸収した事を思い出し、ステータスを表示する。そしてそこに表示されているスキルの念動力を見て思わずベッドが飛び上がるくらいに驚いた。吸収すると念動力のLVが上がるのは今までの経験で既に分かっていた。だがそれが……

「念動力LV.10、だと?」

 俺のステータス表示なんかのシステムは基本的にスパロボをベースにしたものだ。故にスキルの最大LVは9だとばかり思っていたのだが、実は違っていたらしい。
 あるいはこれも転生特典の成長性が高いというのの効果、か?
 まぁステータス表示を見た時は驚いたものの、ベーオウルブズと戦わなきゃいけない現状では嬉しい誤算であり文句を言う要素は全く無い。
 気を取り直し、戦闘の疲れを取る為に睡魔へと身を委ねた。





 プランEFの事を聞かされてから数日後、ギャンランドの格納庫に俺の姿はあった。レモンから改造と修理が終わったと連絡を受けた為だ。
 確かに修理が終わったとの連絡通り、ベーオウルブズと戦う前の姿に戻っているのだが。

「レモン、改造も終わったと聞いたんだが?」

 そう。グロウセイヴァーは損傷前の姿に戻っており、どこにも改造されたような痕跡を見つける事は出来なかった。あえて言うなら、ファントムの色が以前とは違っているくらいか。
 だが、レモンはそんな俺の表情を見つつ笑顔のままだ。と言うか、まるで悪戯に引っ掛けた相手を見るような目、と言えばいいだろうか。

「あのね、アクセル。改造というのは何も見て分かるようなものばかりじゃないのよ。例えばほら。グロウセイヴァーのマニピュレーターを見て?」
「……ん? 確かに微妙に違ってるような気が」
「アクセルの話を聞く限りでは、グロウセイヴァー1機でゲシュペンストMk-Ⅲに対抗するのは厳しいんでしょう?」
「そうだな、無理とは言わないが俺1人だと厳しいのも事実だ」
「つまりより火力のある機体と組んでなら、もっと楽に戦える筈よね?」

 レモンの言う事は確かにもっともだ。ハルバート・ランチャーやファントム並の攻撃力がある機体と組んで戦えばゲシュペンストMk-Ⅲに効率よくダメージを与えられるだろう。だが問題は。

「攻撃が当たれば、だけどな」

 エキドナの乗るラーズアングリフ。ラミアの乗るアンジュルグ。どちらの機体もグロウセイヴァー並の攻撃力を持つ武器を所持している。アンジュルグのファントムフェニックスに至っては通常のファントムよりも攻撃力が上だろう。だが、いくら攻撃力が高い武器でも、赤い彗星ではないが『当たらなければ、どうという事はない』のだ。

「そこで、まずは今回の改造結果その1」

 格納庫に置いてあるコンピュータのモニタにグロウセイヴァーのマニピュレーターを表示する。左右の手のひらの甲の部分に薄い何かが増設されているのを見るに、確かに以前とは変わっているようだ。

「極東基地に所属している念動力を使用する特殊部隊では、T-LINKシステムを通して念動フィールド自体を武器として使っているというレポートをテスラ研で見た事があってね。それを応用したのがこのグレイプニルよ」

 グレイプニルって。クロノスのギリシア神話から何故北欧神話。
 そんな俺の疑問をよそに、レモンの解説は続く。

「このグレイプニルは、そうね。簡単に言えば念動フィールドを糸状態にして操る事が出来るのよ」
「糸?」
「ええ。長さや強度はアクセルの念動力次第ですけどね。計算上では、高度な念動力を使う事が可能ならその糸に切断力を持たせる事も可能……な筈よ。例によって念動力を使った武器の前例が少ないから確実な事は言えないけど」

 なるほど、いわゆる念動フィールドを使った鋼糸と考えればいいのか。R-1のT-LINKソードのように念動フィールドを剣状にする事も出来るのだから、鋼糸状にする事も可能という訳だ。それに高度な念動力というのも、ブリットを吸収して念動力LVが10になった俺には嬉しい仕様だ。原作で言うと、敵の移動力を減らす特殊武器のスパイダーネットというのがあったが、あれの上位互換と考えて間違い無いだろう。だが、ふと疑問が浮かぶ。

「つまりはこのグレイプニルで敵を動けなくしてから火力の強い機体が一斉放火という狙いだと思うんだが、それはアダマン・ハルパーでも可能じゃないか?」

 そう、敵の動きを止めるなら液体金属であるアダマン・ハルパーで十分可能な筈だ。

「それも考えたんだけど、アダマン・ハルパーを敵の拘束に使ったら武器として使えないでしょう?」

 なるほど。確かに敵を拘束している状態でアダマン・ハルパーを使用できないというのはちょっときついかもしれないな。

「それと改造結果その2。……とは言っても、今回のメインはあくまでもグレイプニルで、こっちはおまけ程度なのだけど」

 続いてモニタに表示されたのはファントムだった。ただし色が以前の青から銀色へと変わっている。これは格納庫へと入ってきた時に気が付いていた事だ。てっきりカラーリングを変更しただけだと思っていたが、どうやら違うらしい。

「ファントムの色が変わっているのはレーザー反射材で表面部分をコーティングしたからよ」

 レーザー反射材? それはつまり。

「読んで字の如く、レーザーを反射させる事が可能という事か?」
「ええ、だからファントムのレーザーを他のファントムに反射させて跳弾のように敵の意表を突く事も可能よ」

 それなんてリフレクタービット。いや、戦力的には嬉しいんだけどな。

「悪かったな、レモン。助かった」

 レモンに礼を言い、早速新武装に慣れる為にシミュレータで練習する事にした。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
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格闘:202
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回避:237
命中:259
SP:334
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
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撃墜数:82 

 

0063話

「数だけは多い有象無象がっ!」

 砂糖に群がる蟻のようにこちらへと殺到してくる敵機の群れ。リオンやガーリオン、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ。珍しい所では地上型リオンであるランドリオンや新型のエルアインスの姿も数機確認出来る。

「隊長、そろそろこちらも撤退を」

 エキドナからの通信を聞き、素早く周囲を確認する。
 俺の隊が殿を受け持っていた関係もあり、既に周囲に友軍機の姿は見当たらない。
 ヴィンデルからプランEFの事を聞かされてから2週間程。ここ最近はこんな撤退戦が多くなってきている。

「W16、俺の機体にはASRSがあるから殿は俺に任せろ。お前はW1からW3を連れて先に行け。合流ポイントは覚えているな」

 グロウセイヴァーの両手に新しく装備されたグレイプニル。T-LINKシステムにより念動フィールドを糸のようにして使う事が可能なこの装備の扱いも、この2週間の実戦で既に熟練したと言ってもいいだろう。そのグレイプニルで敵の進軍ルートへと蜘蛛の巣のように糸を張り巡らせ、空中を飛んでこちらを追ってきていた機体を文字通り蜘蛛の巣にかかった蝶にしてやる。
 何の脈絡もなく空中でいきなり止まった敵機は混乱し、慌ててバーニアを吹かすので、その時を狙ってグレイプニルを解除。そうすると敵機は自然とバーニアが吹かされた状態のままあらぬ方向へと突っ込み、上手くいけば地上や周囲の味方へと激突する。
 ただし、この戦法では敵の撃破はまず無理なのであくまでも時間稼ぎにしかならない。本来なら敵が蜘蛛の巣にかかったと同時にグレイプニルの糸で斬り裂けば撃墜も容易いのだが、レモンが言っていたようにこの糸は念動力の強さにより頑丈さや切れ味が変化する。念動力LV.10の俺でも機体を斬り裂く鋭さを糸に与えるとなると消耗が激しすぎてすぐにへばってしまうのだ。
 短期決戦の時ならまだしも、撤退している部隊の殿がそんなざまになったら殿の意味がない。

「私はレモン様に……」
「俺の護衛を頼まれてるんだろ? だがお前の機体は基本足を止めての射撃戦闘用だ。この戦闘には向いていない」
「……了解しました。では、合流ポイントで落ち合いましょう」

 最近エキドナが以前よりも人間臭くなってきている気がするが、気のせいだろうか。
 本来人間臭くなるのはラミアの方が先だったんだが。……俺が苦労をかけているから、何て事は無いと思いたい。
 量産型W達3機を引き連れ戦場から離脱していくラーズアングリフの後ろ姿をちらりと見やり、ふとそんな風に思う。

「さて、後は時間稼ぎの撤退戦にもう少し付き合っていって貰おうか」

 ファントムを20機射出し、戦域中へと展開する。発射されるレーザーやレーザーブレードを展開して敵機を貫通。そして新たな機能によるリフレクター機能でレーザーの反射による跳弾を使用して徹底的に敵へと嫌がらせの攻撃をする。
 1機撃墜するよりもより多くの機体を損傷させる事を目的にしているので、撃墜数自体は殆どない。だが、その分足止めの効果は抜群だった。

「卑怯者がっ、正々堂々と勝負しろ!」

 通信から敵パイロットと思しき挑発が聞こえてくるが、もちろんそんなのは無視……いや、頭に血を昇らせる為にあえて返事をするのもありだな。

「お前は馬鹿か? 撤退戦で時間を稼ぐ為に残っている俺が、何で正々堂々なんてそんな時代遅れな真似をしなきゃいけないんだ? そんなのは森の中で猪相手にでもやってくれ」
「貴様ぁっ、中佐であるこの俺が猪と同レベルだと言いたいのか!?」

 中佐!? なんでそんなお偉いさんがこんな前線に出てきてるんだ?
 と言うかこのイラッとするような声、何か聞き覚えがあるような。

「なぁ、中佐さん。あんたの名前は? もしあんたがエースとして有名なパイロットだったらそれに敬意を表して正々堂々と戦っても構わないんだが」

 いや、嘘だけどな。正々堂々戦うつもりは一切無い。

「ほう、反乱軍にしては殊勝な心がけじゃないか。いいだろう、貴様の脳みそでも分かるように教えてやる。俺はハンス・ヴィーパー中佐だ」

 ……は? いや、ちょっと待て。何でお前がここにいる? と言うか、PTやAMに乗れたのか。原作ではキラーホエールに乗っていたのでてっきり人型兵器のパイロットとしては使い物にならないものだとばかり。

「聞き覚えがあるな。だが、俺の記憶が確かなら極東基地の所属だったと思うんだが。ここはウクライナだぞ?」
「ふざけるなぁぁぁぁぁっっっっ! そもそも俺がこんな所に飛ばされたのはお前等が原因ではないか!」

 何となく感じた疑問をそのまま口に出しただけだったのだが、その疑問は予想以上にハンスの逆鱗に触れてしまったようだ。

「俺達のせい?」
「そうだ。貴様等がネットに流した何の裏付けもないデタラメな不正の証拠と言われているあのファイルだ!」

 いや、何の裏付けもないと言われても。ヴィンデルがそんな間抜けな真似をするとは思えないし、明らかにこいつの言い逃れの為の言い訳だろう。
 にしても、そうか。そういえば昔、まだ士官学校の生徒だったころに特脳研に潜入した時の所長の証言や裏帳簿なんかにもろにハンスの名前があったな。
 その情報もネットに流れた訳だ。そしてその結果が中佐という地位にも関わらず前線指揮官か。
 いや、逆にそんな状態になってもまだ降格されないで中佐の地位にある事に驚くべきか? あるいは、もっと他の上層部の面々は不正の証拠があっても現在の地位に留まり続けているのだから、残念だったなと哀れんでやるべきか。
 まぁ、結局は。

「自業自得じゃないか」
「貴様ぁぁっっっっ!」

 その怒声と共に、エルアインスがこちらへと突進してくる。
 紫に塗装されたその機体は恐らくハンスのパーソナルカラーなのだろう。
 そのハンスが操縦していると思しき紫のエルアインスはG・リボルヴァーを撃ちながらこちらへと突っ込んでくるが、グロウセイヴァーは無傷のままだ。
 いや、念動フィールドを使ってるとかじゃなくて、ただ純粋にこちらへの命中弾が無いのだ。
 ……何と言うか、うん。まぁ、頑張れ?
 ただまぁ、中佐という事もありハンスと話している間は他の機体からの攻撃は全く無い。
 迂闊に中佐なんて階級の邪魔をしてしまったら、この戦闘が終わった後にどのような目に遭うかが予想出来ているのだろう。特にハンスはあからさまに粘着質な性格をしているし。
 なんと言うか、味方にいると扱いに困るが、敵にいるとこちらに有利になるとは非常に珍しい男だな。

「で、攻撃はもういいのか?」

 考え事をしている間にも撃ち込まれていたG・リボルヴァーだが、残弾が無くなったのか今度はG・レールガンを取り出している。

「まだ私の攻撃は終わっていない!」

 その台詞に溜息1つ。
 だが、おかげでレーダーに友軍機の反応は無くなっている。そろそろ時間稼ぎは十分だろう。
 後は俺もここから撤退してネバーランドとの合流地点に向かうだけだ。

「お前さんとのコントはなかなかに面白かったが、残念ながらそろそろ時間でな。また会う事があったら会話を楽しもう」
「待て、逃げるつもりか!」

 いや、だから最初からこちらはそのつもりなんだが。
 苦笑を浮かべつつ、ビームガトリング砲とリニアレールガンの砲身を展開。両手にはガン・レイピアとハルバート・ランチャーを持つ。

「さて、締めの一幕だ。存分に楽しんでくれよ!」

 言い切ると同時に構えていた4つの武器のトリガーを引き、手当たり次第に撃ち込む。もちろん手当たり次第なので敵へと命中するものは驚く程少なく、その殆どが地面に命中して盛大な土煙を巻き上げて周囲を覆い尽くす。
 視界が土煙に覆われたのを確認し、クロノスから伸びている2本の砲身を折りたたむ。

「ASRS展開、加速!」

 ASRSを展開してレーダー等から姿を消し、そのままブースターと精神コマンドの加速の効果によりその場を後にした。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:24
PP:60
格闘:202
射撃:220
技量:212
防御:209
回避:237
命中:259
SP:334
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:87 

 

0064話

「プランEFの実行?」

 ギャンランドのブリッジでヴィンデルに問い返す。
 ハンスとの衝撃の出会いから1ヶ月。この1ヶ月で反乱が始まってからこちらが占拠した基地や連邦施設の7割程を奪還されてしまった。
 ベーオウルブズやクライウルブズ等の活躍もあるが、やはり1番の問題は連邦の数だ。こちらの部隊が量産型Wを使用しているとは言え、連邦軍との数の差を縮めるのはさすがに限度がある。まるで雲霞の如く湧いてくるのだから。
 この1ヶ月の間で100機近くの戦力が失われており、反乱開始当初から考えると20%近くの戦力が失われている。
 特にトライロバイト級5番艦のブルーランドがクライウルブズの攻撃で大破してしまったのは非常に痛い。
 また、ベーオウルブズが頻繁に戦場に出てくるようになったのもこちらが不利になっている大きな要因だろう。敵味方諸共に攻撃してくるとは言え、シャドウミラーと連邦軍じゃ保持している機体数が違う。ベーオウルブズに撃破された機体が双方10機ずつだとしても、総合的に受けているダメージの割合はこちらの方が大きいのだ。
 そんな現状、ヴィンデルの言っているプランEFに関しては確かに考える余地があるだろう。

「ああ、現在の状態は徐々にこちらが不利になってきている。故に最後の手段として考えていたプランEFの実行を考えている。ただ、これはあくまでも保険だ。明日行われる予定の大規模会戦の結果次第ではプランEFを実行する必要が無くなるかもしれん」

 ヨーロッパで徐々に追い詰められているシャドウミラー。その不利な状況を一挙に覆すべく一大反攻作戦を実行する方向で計画が進められている。

「シャドウミラーの特殊処理班である俺がその戦いには出撃しないでいいのか?」
「確かにグロウセイヴァーは戦力として非常に大きい。だが、テスラ研確保の重要度を考えると、やはりそちらへと専念して貰いたい」
「テスラ研制圧に使用可能な戦力は?」
「トライロバイト級でも戦力になる1~3番艦はこちらで使用させてもらう。アクセルは4番艦のアークランドを使用してくれ」

 トロイエ隊との戦闘で中破ともいえる状態になってしまったアークランド。その後修理されたのだが、さすがに時間や資材が足りなかった為武装の修復を諦め、純粋に輸送船として使用されている。
 確かに占領するのがテスラ研のみだというのなら、戦力として使えるトライロバイト級はこちらに置いておくのが正しいだろう。
 このまま原作通りに進んだ場合はラウル達エクサランスチーム、テスラ研近隣の連邦軍、そして何よりデュミナスと戦闘になる可能性があるが、そこは連れていった戦力でどうにか対応するしかない。

「それと、W16とW17、バリソン隊を連れていって構わん」
「バリソン隊も? いいのか?」
「戦力として使えるトライロバイト級を渡せないしな。それに今回のテスラ研占領は絶対に失敗出来ない作戦だ。頼んだぞ」
「分かった。ちなみに量産型Wはどのくらい連れていってもいいんだ?」
「そうだな、20人程ならそちらに回せる。それでどうにかやりくりしてくれ。それとこちらの作戦が成功するにしても失敗するにしても、折角テスラ研を占領するんだ。あそこで開発中の使えそうな機体や装備は出来るだけ接収しておいてくれ」
「ああ、そっちも了解だ。じゃあ早速出発するとしよう」

 ヴィンデルに軽く敬礼をし、ブリッジを出る。
 そのまま格納庫へと移動し、バリソン、エキドナ、ラミアへと招集をかけた。

「アクセル、どうしたんだ?」
「ヴィンデルから新たな命令が下った。俺達4人と量産型W20人でテスラ研へと向かう事になる」
「テスラ研へ? しかし、もうすぐ大規模な反攻作戦を行うんだろう? 構わないのか?」
「ああ、その反攻作戦に破れた時の為の保険だ。プランEFの話は以前聞いただろう?」

 信用出来ると判断された隊長格にはヴィンデルがプランEFに関してを教えている。もっとも、平行世界へ一時的に撤退。そこで戦力を蓄えてこの世界に戻ってくるというこの作戦は半ば冗談だと思っている者もいるようだが。アギュイエウス、リュケイオス、そしてレモンの事を知っている者にとっては、そんな笑い話で済むものではなく、限りなく本気の作戦である事を理解していた。

「ああ、平行世界に転移するとかいう、あの」

 バリソンもレモンの事を知らない訳じゃないので、すぐに納得する。
 エキドナとラミアにとっては、レモンは産みの親なのでそもそも疑いすらしないだろう。

「量産型Wは20人連れていく。移動手段はアークランドになるからすぐに準備してくれ。それ程時間に余裕がある訳じゃないから、準備が出来次第出発する」
「アクセルさん、ちょっといいですか?」

 話に割り込んできたのは、整備員の1人だった。

「どうした?」
「ヴィンデル大佐からの連絡で、量産型Wに量産型アシュセイヴァー4機の使用を許可するとの事です」
「……本当か?」

 量産型アシュセイヴァーは、グロウセイヴァーの基になったアシュセイヴァーの量産型であり、性能も最新量産機であるエルアインスよりも高い。コストの関係かソードブレイカーは装備されていないが、それ以外の性能はアシュセイヴァーと変わらない。
 うちの部隊にある程度の数はあるが、基本的にバリソンやマルティン等のような部隊長向けの指揮官機やエース機扱いだ。それを量産型Wにも配備するという事は。

「ヴィンデルの奴、本気だな」

 思わず言葉を漏らす。
 だが、それを聞いていたバリソンは真剣な表情で頷き、俺に同意している。
 エキドナとラミアは特に表情を変える事なくいつも通りだが。

「分かった。なら俺達の機体をアークランドへ搬入してくれ」
「はい、すぐに取りかかります」

 整備員は足早に去っていった。





 アークランドのブリッジにあるモニタに、テスラ研の姿が映し出されている。
 ステルス・シェードを展開している為、こちらの動きには気が付いていないようだ。

「あれが、テスラ研か」
「ああ、そう言えばバリソンは来た事無かったか」

 バリソンの声にそう返事を返す。
 俺はアギュイエウスの開発に関わったレモンに会いに来たりしていたので、中の様子なんかもそれなりに理解している。俺がテスラ研制圧に選ばれたのは恐らくその辺にも理由があるのだろう。

「そろそろ機体に乗り込んで、いつでも出撃出来るようにしておけ」

 ブリッジにいる面々へと声をかけ、俺も格納庫へと向かう。
 今回の編成は、俺、バリソン、エキドナ、ラミアの4人にそれぞれ量産型Wが5人ずつとなっている。量産型Wのうち、量産型アシュセイヴァーへ搭乗しているのが各隊に1人ずつで、他はエルアインスに搭乗となっている。
 グロウセイヴァーへと搭乗し、出撃の合図を待っている間に軽い打ち合わせをする。

「バリソン、俺とお前の隊はテスラ研から出てくる迎撃部隊の相手だ」
「了解」
「W16、W17、お前達は迎撃部隊をある程度減らしたらテスラ研内部へと潜入して制圧しろ。尚、研究者の中には投降してくる者がいるかもしれないが、そいつらは保護しておくように。俺達にとって、テスラ研の研究者は喉から手が出る程欲しい人材だからな。反撃してくるような相手は無力化する事になるだろうが、なるべく殺さないようにしろ」

 エキドナとラミアの了解、という声が重なって返事をしてくるがそこにバリソンから待ったがかかった。

「うちのやり方にしちゃ随分と甘くないか?」
「殺してしまうと、こちらに協力しようとする奴でも反感を持って意地でも協力しない、なんて事になりそうだからな」

 普通の人間なら同僚が殺されて脅されたらあっさりとこちらの言う事を聞くのだが、なにせここは変人と天才の集まる事で名高いテスラ研だ。そんな普通の反応はしないと思っていいだろう。

「だが」

 なおも言いつのってくるバリソンだが、ヴィンデルからの命令にあるこのテスラ研にあるもので使えそうなものを接収するという任務を考えると、どうしてもある程度は研究員の助力が必要だ。
 その辺を話すと、不承不承だが納得したらしく引き下がってくれた。

「隊長、テスラ研にこちらの存在が気が付かれたようです。防衛部隊が出てきました」
「数は?」
「量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが6機のみです」
「は?」

 その間の抜けたような声は、俺の口から出たものだったろうか。あるいは、バリソンかもしれない。エキドナやラミアでない事は確実だろうが。
 っと、いかん。ぼけっとしてる場合じゃないな。

「後続はいるか?」
「いえ、その6機のみです」
「……アクセル、罠だと思うか?」

 バリソンが尋ねてくるが、技術の最高峰とも言えるテスラ研を危険に晒してまで罠を仕掛けるというのはちょっと想像出来ない。
 そもそも、テスラ研自体が開発している機体なんかもある筈なのに、それらが迎撃に出てくる様子も一切無いのはどういう事だ?

「いや、テスラ研程の重要施設を囮にするとは思えん。恐らく何らかの突発的な事態か何か起こったんだろう」
「じゃあ、このまま当初の予想通りに?」
「いや、敵が6機のみなら予定を前倒しにする。W16、W17。お前達2人の隊は敵機を無視してそのままテスラ研へ突入しろ。敵機は俺とバリソンで受け持つ」
「了解しました」

 Wナンバーズ2人が同時に頷く。何かこの2人、最近妙にテンポが合ってるんだよな。

「敵機はたったの6機だが、目標はテスラ研だ。何があるか分からないから油断せずに十分注意しろよ。出撃!」

 アークランドの格納庫から、24機の機体が順番に射出されていく。最初は俺とバリソンの隊。テスラ研の占領を目標にしているエキドナとラミアは後回しだ。

「グロウセイヴァー、アクセル・アルマー、出るぞ!」

 射出された俺は、空を飛びテスラ研へと向かいながら、先に射出されたバリソン隊の機体をモニタで確認する。
 いた。まずは牽制という事か、ガン・レイピアやG・レールガンを撃っている。
 だが、次の瞬間に起きた出来事に目を見張る。なんと敵機がバリソンの放った牽制のガン・レイピアに胴体を貫かれて爆散したのだ。

「……」

 思わず無言でモニタを眺める。
 バリソン隊と、俺の下に配属された量産型Wの攻撃で次々と沈んでいく敵機。
 そして命令通りにそんな様子を横目にテスラ研へと突っ込んでいくエキドナとラミアの小隊。
 こうしてテスラ研から出てきた迎撃機は全滅し、十数分後にはエキドナからテスラ研占領完了の連絡が入ってきた。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:24
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格闘:202
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命中:259
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成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
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宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
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    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
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    ガンファイト LV.9
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撃墜数:87 

 

0065話

「あれが普通の警備態勢?」

 目の前にいる中年の男から話を聞き、その内容に呆れた。
 青い髪が印象的なその男は、ジョナサン・カザハラ。このテスラ研の所長であり、ロボット工学の分野では有数の権威であり、グルンガストの開発者でもある。
 
 エキドナとラミアがテスラ研の占領を報告してから数十分後、俺は目の前にいるジョナサン・カザハラとテスラ研の所長室で事情を聞いていた。
 ジョナサンが言うには、あの量産型ゲシュペンストMk-Ⅱがこのテスラ研に配備された連邦軍の防衛隊の全てで間違いないらしい。
 テスラ研の最新技術で特機等を開発しているのにこの防衛体制って。一瞬そう思ったが、確か原作でもインスペクターなんかにテスラ研を襲撃された時に連邦軍の防衛部隊なんかは出ていなかった気がする。
 そう考えるとジョナサンが言っているのもあながちおかしくない、のか?

「これでも、君達が起こした戦いのせいでいつもより警戒していたんだが」

 俺の呆れた表情に気が付いたのか、苦笑を浮かべつつ言い訳をするジョナサン。

「あれで、か?」
「普段ならテスラ研に連邦軍からの防衛部隊なんていないよ」

 まぁ、よく考えてみると確かにテスラ研は分類としてはあくまでも民間の研究所であり、連邦軍に所属している訳ではない。逆に考えればそれでも6機とは言え防衛の為に機体が派遣されたのはテスラ研の重要度を表しているんだろう。

「それにしても、久しぶりだね。随分とご無沙汰だが、まさかこんな乱暴な訪問をされるとは思わなかったよ。こちらとしては、女性の寝室を訪れる時のように紳士的に訪問して欲しかったのだが」

 ……あぁ、そういえばこういう性格だったか。
 レモンの用事なんかでテスラ研に何度も訪れている俺だから、当然ジョナサン・カザハラ所長とも顔見知りではある。初めて紹介された時にもレモンに言い寄って強烈なカウンターを食らっていたのを思い出す。

「こうして見ると、アクセル君の部下は美人が多いな。レモン君の嫉妬が恐くないのかね?」

 一応念の為に護衛として側にいるエキドナとラミアへと視線を向けながらジョナサンが2人の容姿を賞賛する。
 この2人がWナンバーズと呼ばれる人造人間だと知ったら、彼の反応はどうなるだろうか? ふとそんな事を思うが、恐らく今と変わらないだろう。
 もっとも、実年齢がまだ1桁だと教えた時の反応は面白い事になりそうだが。

「さて、ジョナサン所長。言うまでもなく、このテスラ研は俺達が占拠させて貰った。こちらの言う事に大人しく従って貰えれば所員に危害を加えないと約束しよう」
「その約束が守られる保証は?」
「こちらは最初からそのつもりで、占拠する時にもなるべく手荒な真似をしないように命令している。W16、研究員に死傷者は?」

 W16、との名称にジョナサンの眉がピクリと動くが、エキドナは気に掛ける様子もなく報告してくる。

「はい、数名が反抗してきましたので打撲等の軽傷がありますが、その他は概ね問題ありません」
「との事だが、これでも信用して貰えないか?」
「……分かった。ここには君やレモン君にとっての知人、友人も多くいる。君の話を信じよう」
「では、まずはアギュイエウスとリュケイオスを用意して貰おうか」

 まずはこの基地に来た最大の目標である2つを要求するが、ジョナサンは申し訳なさそうに首を振る。
 もっとも曲者のこの男の事だ。その態度が演技だと言われても驚く事はない。

「その2つは現在封印されている。その解除には1日程時間が掛かるが、構わないかね?」

 1日、か。ヨーロッパで反攻作戦が開始されるのが明日と言う事を考えるとヴィンデル達がその作戦に失敗し、北米のコロラドにあるテスラ研へと到着する頃にはその2つの用意が整っている計算になるか。

「構わん。ただ、こちらとしてもそう時間的に余裕がある訳ではないのでな。なるべく早くしてくれると助かる」
「そうは言っても、今まではインスペクターにしか使用できていなかった物質転送装置だよ? いくら開発が終了したからと言って、ほいほい使える状況でその辺に置いておく訳にもいかないのは理解して貰えるだろう」

 言っている事はもっともなのだが、原作ではインスペクターにテスラ研を占拠された後にもダイゼンガーやアウセンザイターを隠し通した事実があるだけに、あまり信用するのも危険だろう。
 ……あぁ、そういえば。

「しょうがないな、その辺は任せる。だが明日のこの時間になっても用意できていない場合はこちらも手荒な手段を取る事になってしまう事を覚えておいてくれ。それと明日までの時間が空いたから、その間にこの研究所で開発されている各種機体を接収させて貰う事になるが、構わないな?」
「構うか構わないかで言えば、思い切り構うんだが……言っても無駄なんだろう?」
「そう言う事だ。レモンからの情報やコンピュータをざっと検索した所EG系列のソウルゲイン、VR系列のヴァイサーガ、SRG系列ではグルンガスト参式があるな」

 そこまで告げてから一端言葉を溜め、口を開く。

「それから、地下格納庫にあのビアン博士が設計したというDGG系列の機体が2機あるというのも把握している。悪いがその2機も接収させて貰う」
「馬鹿なっ、あの2機の機体情報は極秘で地上のコンピュータには情報すら残っていない筈! 何故知っている!?」

 さすがにダイゼンガーとアウセンザイターの2機の情報をこちらに知られているとは思っていなかったのだろう。今までの飄々とした顔つきが驚愕へと塗り変わる。
 ちなみに、ダイゼンガーは正式には『ダイナミック・ゼネラル・ガーディアン』なんだが、長いので原作通りにダイゼンガーと略す。

「さて、世の中には漏れない秘密はないという事だ」

 もちろんこの件に関しては、どこかから情報が漏れた訳ではなく原作知識故だ。この研究所である程度信頼されていたレモンにしても結局は外様であり、この基地最大の秘密ともいえるDGG系列の機体に関して知る事はなかった。

「誰かが情報を流したというのか? いや、だがあの2機について知っているのは限られた者だけで彼らが秘密を漏らすなんて事は……」
「考え事をしている所悪いが、既に地下にあるというのは判明している。大人しく提供してもらえないのなら強硬手段としてテスラ研を破壊して物理的に地下格納庫への道を作る事になってしまうが?」

 その言葉を聞いたジョナサンは諦めの溜息をもらし、机の引き出しから取り出したカードをこちらへと渡す。

「エレベータのスロットにそのカードを通せば地下格納庫へと移動可能だ。だが、DGG系列の機体は2機共特定のパイロットの専用機として設計されている。君達が接収したとしても乗れるパイロットがいないぞ」

 なるほど、その辺も原作と同じか。元々ダイゼンガーはその名前通りにゼンガーの専用機として。アウセンザイターはエルザムの専用機としてクレイドル防衛用の機動兵器として造られた機体だ。
 だがこちらの世界ではゼンガーはともかく、エルザムはエルピス事件で死んでいる筈なんだが果たして誰の専用機として造られたんだろうか? 弟のライディース専用機か?

「知っての通りうちにはレモンという天才科学者がいるからな。彼女に任せればどうにかしてくれるだろう」

 人はそれを丸投げと言うのかもしれないが、丸投げすればきちんと成果が出るのだからそう悪い事でもない。
 それに、射撃特化の機体であるアウセンザイターの武器はもしかしたらグロウセイヴァーに対して流用出来るかもしれない。
 もっとも、特機系統であるアウセンザイターは大きさがグロウセイヴァーの2~3倍近いので、武器をそのまま流用出来るかどうかはそれこそレモンに期待するしかないだろうな。

「それと、地下格納庫に行けば分かるが、機体自体はまだ殆ど組み上がっておらず部品がバラバラになっている状態だ」
「2機ともか?」
「ああ」

 となると、部品を地上へと上げるのには時間が掛かるか? いや、原作では完成した機体が地下格納庫から出撃したんだから、機体用のエレベータか何かある筈だな。

「完成された機体でないのは残念だが、部品ごともらっていく事にする。地下格納庫には機体搬出用のエレベータか何かあるんだろう?」
「それがないと地下で機体を完成させても地上に出す事が出来ないからね」
「なら、部品はそのエレベータで纏めて地上に上げさせてもらう。それと、早速アギュイエウスとリュケイオスの封印解除作業に取りかかってくれ。こちらも各種機体の接収を始めさせて貰う」

 ジョナサンへとそう声をかけ、所長室を出る。

「W17、確かプランEFではお前が先発隊として先に転移する予定だったな?」
「はい。予定ではそうなっています」
「なら、機体接収に関してはお前に任せる。量産型Wを連れてまずは地下格納庫からDGGの接収をしろ。その後はSRG系、EG系、VR系の接収だ。機体だけじゃなくて予備部品や補修部品、消耗品も忘れるなよ。テスラ研の機体は性能は高いが、一般流通してる部品は殆ど無いからもし忘れるといざという時に使い物にならなくなる。W16は念の為にテスラ研周囲の護衛だ。ここに配備されていたのは量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ6機だけだったが、占領されたとなれば話は別だ。奪還部隊が来るかもしれないからな」
「はい、了解しました」

 取りあえずここまでは大体原作通りの流れに持って行けてると思っていいだろう。
 既に原作介入しまくって細かく流れが変わっている所も多いが、大きい流れとして見た場合は原作に近い流れの筈。
 後、テスラ研で重要なのは……エクサランスチームと、デュミナス、か。

「W17、接収前に一仕事頼む。俺の情報では近いうちにここにエクサランスチームが来る筈なんだが、それがいつかを知りたい」
「了解しました」

 頷いたラミアが去っていく。レモン自慢のWナンバーズだ、コンピュータから情報を抜き出すくらいは朝飯前だろう。

「W16、テスラ研の護衛はバリソンと交代で行え。いくらお前がWナンバーズとは言え、疲労していざという時に使い物にならなかったりしたら困るからな」
「了解」

 さて、いよいよ明日にはこの世界ともお別れだ。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:24
PP:60
格闘:202
射撃:220
技量:212
防御:209
回避:237
命中:259
SP:334
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
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スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
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撃墜数:87 

 

0066話

 テスラ研を占領した翌日、ラミアが俺の所へと報告に来た。

「アクセル隊長。エクサランスの件ですが、既にこのテスラ研へと向かっているようです」

 やはり、か。
 ラミアの報告に、やはりという思いとようやくという思いが混ざる。
 俺がエクサランスチーム、いやフェル博士へと接触したのはあちらの世界への転移するこの時にラウル達エクサランスチームをこちらへと引き入れる為だった筈だ。だがあの4人と深く関わってしまった今、このままシャドウミラーへと引き込む事が良いのかどうか分からなくなっている。
 理性ではこのままシャドウミラーへと引き込めと言っている。だが感情はあの4人をシャドウミラーという修羅の道へ引きずり込むのをやめろと言っている。

「だが、俺の生存の為には……生存の、為?」

 俺の究極的な目的は、死亡フラグ満載のこの世界で生き残る事。それには力がいる。だからこそ永久機関ともいえる時流エンジンを手に入れるべくフェル博士に接触した。そしてその時流エンジンは旧式とは言え、レモンにカスタム化されて既にグロウセイヴァーへと搭載されている。つまり最低限の結果は既に出ている訳だ。

「なら必ずしもあいつらを引き入れる必要はない、のか?」

 と言うか、エクサランスチームを引き入れない方があちらの世界でアインストやインスペクターに対する戦力として期待出来る分俺にとっては有用じゃないか?

 ……あぁ、分かってる。分かってるさ。これはあくまでも俺の偽善だという事に。だが、それもあいつ等とここまで深く関わってしまった俺の行動の結果だ。
 あいつ等の保護者とも言える俺が裏切る。それがどれだけの心の傷を残すのかは分からないが、このままシャドウミラーへと所属した場合に受ける精神的ダメージよりはマシだと思いたい。

「W16、確かテスラ研でこちらに協力したいと言ってきたテストパイロットが何人かいたな?」
「はい、嘘か本当かは分かりませんが、レモン様と親しくしていたと自称する者が4人程」

 レモンと親しくしていたという部分に多少気に掛かる所があるが、エキドナの様子を見るに恐らく嘘なのだろう。この研究所に所属している者はレモンの顔を知っている者も多い。そしてそうなると、そのレモンと親しい関係にあった俺の事を知ってる者もそれなりにいるだろう。そして、そんな奴等がレモンの事を理由に俺に取り入ろうとしている、か。なら捨て駒には丁度いい。

「では、そいつ等にピーターソン基地所属のPTという事にしてエクサランスチームをテスラ研へと誘導するように伝えろ。機体はアークランドにある予備機体の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを4機使っても構わん。それと、以降の周辺の警戒はバリソンに任せてお前は転移の為の準備を進めろ」
「了解しました」

 敬礼をして出て行くエキドナ。
 これで後はラウルとフィオナがエクサランスであの4人を倒せば、原作通りの流れの筈だ。





「隊長、リュケイオスの起動コードを入手しました」

 量産型Wの1人が俺にそう報告してくる。
 ジョナサンは昨日の約束通り、1日と掛からずにアギュイエウスとリュケイオスの封印を解除した。だが、起動コードの入手に関してはこちらでやって欲しいと言ってきたのだ。理由としては、封印の解除はともかく起動コードに関する事まで自分達が手を貸してしまっては連邦軍に言い訳出来ないとの事だった。
 だが、恐らくその言葉はブラフだったのだろう。俺達が起動コードを入手出来無ければそれで良し。もし入手出来たとしてもある程度は時間が掛かる為、テスラ研を奪還する為の部隊を待つ時間稼ぎといった所か。リュケイオスとアギュイエウスの封印はきちんと解除しているので、俺が約束を守る限りは所員に手荒な事をしないと読んでの行動だと思われる。
 この辺は地球でも最大規模の研究所であるテスラ研の所長をやってるだけあり、さすがの強かさといった所か。
 だが、そんな行動もレモン自慢の量産型Wにかかれば本当に多少の時間稼ぎにしかならなかった。

「すぐにリュケイオスの起動準備を。そろそろ連邦軍の奪還部隊がここに来てもおかしくはない。それにヴィンデル達ももうすぐ到着予定だ」
「はっ」

 量産型Wが敬礼をして部屋を出て行く。

「本隊はやはり破れた、か。敵は恐らくベーオウルブズ」

 以前バラバラにしてやったというのに、その場で修復完了しそうになっていたアインストの馬鹿げた再生能力を思い出す。
 原作を知っている俺だが、その原作よりもベーオウルフの能力が強化されているように感じるのは気のせいだろうか。あるいは、俺が原作に干渉した結果ベーオウルフの能力が強化されたのかもしれない。

「失礼します、隊長」

 内心考え込んでいた俺に、部屋へと入ってきたエキドナが声を掛ける。

「W16か。どうした?」
「ナンバーズの0番から10番までの準備が整いました」
「W10までという事は、初期型のみを集めた先発隊か。……ん? ちょっと待て。0番からという事は、W00も含まれているのか?」
「はい、レモン様からそのように言われています」

 レモンから話だけは聞いていた初期型Wナンバーズ。俺の原作知識には全く無い存在だ。少なくても、OGsには初期型Wナンバーズは出てこないのでこのグループの転移は失敗するのだろう。
 そう言えば、無限のフロンティアとかいうゲームにWナンバーズが出ているとかなんとか見たか聞いた記憶があるのだが、そっちは未プレイなのでなんとも言えない。
 ただ、W00に関して言えばレモンが最初に設計したナンバーズらしく、成長するのに時間が掛かる為に計画を凍結してW00も冷凍睡眠させているらしい。

「アクセル隊長、すぐに転移させてますか?」
「いや、まだだ。レモンが先発隊をネバーランドに乗せると言ってきた」

 リュケイオスの起動コードを発見する数分前にレモンから送られたメールにはそう書かれていた。ヴィンデルの了解も貰っているらしいので、俺としては納得するしかない。
 あちらの世界への転移に失敗するのだから、せめてネバーランドではなくアークランドで我慢して欲しかったのだが。
 貴重なトライロバイト級を、しかも武装が殆ど無くなりステルス機能つきの輸送機としてしか使えないアークランドではなく、きちんと戦艦として使えるフルスペックのネバーランドをW00の揺りかごにするのはレモンの母性故、なのだろうか?

「では、先発隊の転移はレモン様達が到着してからと言う事で?」
「そうなる。レモンとヴィンデルが到着次第すぐに積み込めるようにしておけ」
「了解です。それともう一つ報告が。テスラ研のテストパイロット部隊ですが、エクサランスの奪取に失敗しました」

 その発言を聞き、思わず眉を顰める。

「エクサランスの奪取だと? 俺は確かエクサランスチームをテスラ研へ誘導しろと命じた筈だが?」
「どうやら、連邦軍所属の機体と鉢合わせしてしまいボロを出した事でエクサランスチームと戦闘になったようです。尚、その戦闘でエクサランスが実戦投入されたという報告も入っています」

 反乱前にラージ達と通信で話した時には、既に地上戦闘用のフレームであるストライカーフレームは完成したと言っていたな。実戦投入されたというのは恐らくそれだろう。

「となると、俺が出るしかないか」
「隊長自らですか? しかし……」
「お前とW17は転移の準備で忙しい。バリソンはテスラ研の警戒に当たっている。他は量産型Wだ。となると、この状況で動けるのは俺しかいないだろう? 機数はあまり割けない、だがエクサランスは入手すべきだ。……となると少数精鋭でいくしかないか。量産型アシュセイヴァーを4機連れていく。バリソンに連絡して、エルアインスに搭乗している量産型Wと交代させろ。それとアークランドにソルプレッサが余っていたな? あれを4機偵察用に使う」
「……了解です。隊長がそう仰るならば」
「何、そんなに時間は掛からない。ここの守りはお前達に任せるが構わないな?」
「はっ、お任せ下さい」

 エキドナは早速俺の命令に従い、バリソンへと連絡を取る為に部屋を出て行く。
 その後ろ姿を見送った俺も、出撃の準備をする為にアークランドの格納庫へと向かった。





「隊長、目標発見しました」
「よくやった。そちらの位置を知らせろ」

 ソルプレッサに乗った量産型Wからエクサランスチーム発見の報告を受け、量産型アシュセイヴァー4機を引き連れ目標地点へと向かう。
 幸い場所はそれ程離れていない為に、輸送機等を使う必要はなく編隊を組んで空を飛ぶ。

「隊長、ソルプレッサの反応をロストしました」

 俺の隣を飛んでいた量産型アシュセイヴァーから通信が入る。
 あくまで偵察を優先して戦闘は行わないように命令していたのだが、撃墜?
 命令違反という概念すらない量産型Wなのだから、こちらの命令を無視して功を焦って仕掛けて返り討ち、なんて事はまずない。
 となると、なんらかのアクシデントが起こって戦闘状態に入らざるを得なかったと考えるべきか。

「全機、もう少し速度を上げるぞ」

 4機の量産型アシュセイヴァーへと通信を送り、飛行速度を上げる。





 速度を上げてから数分後、レイディバードと見覚えのある機体2機を確認できた。
 赤い機体色をメインに、所々黄色い塗装がアクセントとなっている。右手にハサミとも爪とも思えるような巨大な武装。エクサランスの地上用フレームを使用したエクサランス・ストライカーだ。

「全機、ここで待機だ。敵機に気が付かれないようにしろよ。それとW1、相手の機体の通信周波数を探れ」
「了解」

 クロノスからリニアレールガンの砲身を伸ばし、2機いるうちの片方へと狙いをつける。原作ではフィオナが攻撃を受けていたが、俺からはどちらの機体に誰が乗っているのかは分からない為、どちらかを狙うのは完全に運だ。

「ふぅ」

 狙いをつけて、深呼吸をする。
 今まで何度となく射撃をしてきたが、ここまで緊張する射撃は初めてだ。
 狙うのはエクサランスの胴体……ではなく、コックピットのある頭の部分だ。もちろん直撃をさせる気は毛頭無い。掠める衝撃でラウルかフィオナを気絶させるのが目的なのだから。
 ここでどちらかが気絶して、それを庇うもう片方。そしてそれを察知したデュミナスが現れ、エクサランスチームがあちらの世界に転移する。少なくても、原作ではそういう流れになっていたので、その流れに乗せてもらおう。

「集中、T-LINKシステム、フルコンタクト」

 精神コマンドの集中を使用し、感覚を増す。次にT-LINKシステムを利用して万が一にもエクサランスの頭部を撃ち抜かないように慎重に狙いをつける。
 本来ならT-LINKシステムで誘導可能なファントムを使えればいいのだが、あれは複数を同時運用する事を前提としている武装だ。1発の威力が小さすぎてコックピットに直撃でもしなければパイロットの気絶なんて出来ないだろう。だが、コックピットへ直撃となると下手をするとパイロットごと撃ち抜くという可能性もある。故に、長距離からの狙撃に適したリニアレールガンの出番となる訳だ。

「そこだっ!」

 集中を使い鋭くなった感覚と、T-LINKシステムによる機体制御。それらが一致したその瞬間、リニアレールガンのトリガーを引く。
 レールガン故の静かな発射音が聞こえたのと同時に、エクサランスの顔の左の部分が弾け飛ぶのがグロウセイヴァーのモニタでも確認出来た。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:24
PP:60
格闘:202
射撃:220
技量:212
防御:209
回避:237
命中:259
SP:334
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:87 

 

0067話

「きゃああああああ」

 グロウセイヴァーのコックピットにフィオナの悲鳴が響き渡る。どうやらW1がラウル達の通信周波数を解析してこちらに流してくれたらしい。

「フィオナさん!?」
「くそっ!」

 ミズホの悲鳴を聞き、状況を把握したラウル機がフィオナ機の隣へと移動する。

「そんな、何で……」

 状況を把握できていないのか、混乱しているミズホの声が通信を通して聞こえてくる。
 だが、そんな混乱の中でもラージだけは冷静に行動をしていた。この辺はさすがエクサランスチームの頭脳といった所か。

「生体反応はある。気を失っているのか?」

 ラージの台詞を聞くに、こちらの狙い通りに上手い事気絶させる事が出来たようだ。

「くそっ、誰だ!? どこから攻撃してきた!?」

 ラウルが敵を確認するようにエクサランスで周囲を見回す。
 さて、そろそろ俺の出番か。いよいよ茶番の始まりだ。デュミナス、しっかりと食いついて来いよ?
 ふと、クロノスにも時流エンジンが内蔵されている事を思い出しクロノスの時流エンジンを停止させておく。エネルギーの供給に多少の不安はあるが、そんなに戦闘時間がある訳でもないし大丈夫だろう。
 量産型アシュセイヴァー4機と共に機体を進ませ、エクサランスから確認できる位置まで移動する。

「あれは!?」
「4機いるのは確か量産型アシュセイヴァーという機体だったと思いますが、指揮官機と思われるあの機体はえらくカスタムしてますね。恐らくあれもアシュセイヴァーが基になってる機体だと思いますが、殆ど原型を留めていないじゃないですか」

 混乱するラウルと、こちらを冷静に観察するラージ。そんな相変わらずの2人の様子に思わず口元に笑みを浮かべる。

「そ、そんな……あれはまさか……嘘、そんな事って」

 ミズホの震えるような声が聞こえてくる。さすがにエクサランス開発のメインスタッフという事か。グロウセイヴァーとクロノスを見ただけでこの機体に誰が乗っているのかが分かったのだろう。

「……さて、始めるか。各機、そのまま待機だ」
「了解」

 通信装置をあえて切らずに、量産型Wへと命令を下す。

「え? ちょっと待て。今の声……」
「そんな、まさか」

 その声で大体俺の正体を悟ったのだろう。ラウルとラージの声が聞こえてくる。

「ラウル、聞こえているな?」
「!?」
「お前の機体を渡して貰おうか。レイディバードの中にある他のフレームも一緒にだ」
「ア、アクセルさん!?」
「ああ、そうだ。この機体に乗っているのは俺だ。ミズホはどうやら一足早く気が付いたようだがな」

 今まで音声だけだった通信を、映像も流れるように調整する。

「久しぶりだな。いつぞやの通信以来か」
「そんな、何でアクセルさんがDC残党に協力してるんだよ!?」
「DC残党?」

 ……あぁ、そう言えば原作でも最初はアクセルの事をDC残党と勘違いしていたんだったな。

「まぁ、それで構わん。俺がどこに所属していようとお前達がすべき事は変わらない」
「何で……何でだよ、アクセルさんっ! あの機体には妹が、フィオナが乗ってたんだぞ!? それを、何でよりにもよってあんたが撃ったんだよっ!」

 血を吐くようなラウルの叫び。胸がチクリと痛むが、今はその痛みを感じている時間はない。胸の痛みはあえて無視して口を開く。

「選択肢は2つ。エクサランスを渡すか、それともこの俺に抗うか。どちらを選んでも結果は変わらんが、好きな方を選べ。悪いが交渉の時間は無い。大人しくこちらに従うのなら身の安全は保証しよう。だが、抗うのなら……次はコックピットを狙わせてもらう」
「くそっ……」
「ここまでですね、ラウル。アクセルさんの要求を受け入れるしかありません」
「ラージ!?」

 ラージの言葉にラウルが信じられないといった口調でラージの名前を呼ぶ。

「冷静になって下さい。あちらは量産型アシュセイヴァーが4機に、あのアクセルさんのカスタム機ですよ? 多勢に無勢どころではありません」
「だけど、こいつはフィオナを!」
「フィオナは気絶しているだけで、命に別状はありません。今は全員で生き残る事を考えるべきです。命と機体が無事なら研究を続ける事が出来ます。例え最初からやり直す事になったとしても」
「!?」
「僕がアクセルさんと話してみます。アクセルさん、先程の身の安全を保証するというのは本当なんですね?」
「ああ、俺としても縁の深いお前達に危害を加えたいとは思わない」
「では……」

 ラージが口を開き何かを言いかけた時、突然レーダーへ反応が現れる。
 これは、来たか!?

「うわぁっ!」

 ラウルのエクサランスから見て東の方向から衝撃波が起き、土煙をまき散らす。

「あ、あれは何だ!?」

 衝撃波が起きた方向をモニタで確認したのだろう、ラウルの驚きの声が上がる。
 そこにいたのは、どこか蟹や蜘蛛を思わせる存在、デュミナスだった。

「……3つ発見……1つ…使用不可……2つ利用……する……」

 通信が繋がっている訳でもないのに、何故か聞こえてくるその声はデュミナスのものなのだろう。
 恐らく3つ発見というのは、クロノスに搭載されているものとエクサランス2機に搭載されている時流エンジンの事。そして使用不可というのは稼働しているエクサランス2機と違い停止している俺の時流エンジンの事か。
 その考えを証明するかのように、2機のエクサランスの時流エンジンが共鳴を始める。

「こ、これは?」
「タイムタービンが、出力が勝手に!?」
「ラージさん、この反応って」
「時粒子が漏れている? いや、これはまさかあの物体が!?」

 混乱している3人の様子を通信で見ながら、息を潜めて一連の流れを見守る。
 どうやらラージはこの現象を起こしているのがデュミナスだと気が付いたらしい。
 このままあちらの世界に転移してくれっ!
 祈るような思いで見ていたが、ふとモニタを見るとそこに信じられないものを見てしまった。

「馬鹿な、何故ここに連邦軍機がいる!?」

 そう、そこには1機の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの姿があったのだ。
 テスラ研奪還部隊の1部か何かだと考えたものの、今はそんな事は問題では無い。問題なのは、その機体がラウルとフィオナへとメガ・ビームライフルの銃口を向けている事だ。
 時流エンジンの共鳴という謎の現象を起こしている原因があの2機だと判断し、それを力ずくで止めるつもりか!

「ちぃっ、加速、間に合えっっっ!」

 咄嗟に精神コマンドの加速を使用し、ラウル機とフィオナ機の前へと躍り出る。

「念動フィールド、全開!」

 T-LINKシステムへと念動力を注ぎ込み、可能な限り念動フィールドを厚く展開する。そしてそれと殆ど同時に機体が揺れるような衝撃。

「間に合った、か」

 どうやら念動フィールドでメガ・ビームライフルの攻撃は防ぎきる事が出来たようだ。こちらへと攻撃した機体を改めてみると、量産型アシュセイヴァーから放たれたガン・レイピアにより機体を爆散させていた。

「ア、アクセル…さん?」

 通信に聞こえてきたのはフィオナの声。この騒ぎで気絶から目を覚ましたのか。

「アクセルさん、なんで!?」

 ラウルもまた、自分達を裏切った俺がフィオナを庇ったのを見て混乱しているようだ。
 と、突然フィオナの乗っている機体から白い光が発せられる。
 ちぃっ、転移か!?
 咄嗟にエクサランスから距離を取る。

「ラ、ラージさん、1号機の出力が!!」
「120…160…180…200を突破、まだ上がる!?」
「そんな、暴走!?」
「多少なりとも機体を損傷している今のフィオナの機体では、あの出力にフレームの方が持ちませんよ!?」
「フィオナァァァァァァ」

 混乱するラージとミズホ。そしてフィオナの名前を叫んだラウルのエクサランスも、フィオナ機同様白い光を発し始める。

「な、何だ!? 俺のエクサランスも出力が上がる?」
「ラウル、タイムタービンを止めて下さい!」
「駄目だ、タービンも機体も制御できない!」
「何ですって!?」

 ラウルへと指示を出すラージだが、ラウルから返ってきた返事に絶句する。

「ラウル、フィオナ、脱出して下さい! このままでは機体が!」
「無理、よ。完全にコントロールを失っている」
「くっ、こちらからの緊急制御も受け付けない」
「ならEリミットでET-OSを落とします!」
「それは既に試しました! 完全に制御不能なんですよ!」

 混乱する2人へフィオナから声がかけられる。

「ミ、ミズホ……ラウルの事、お願いね。あの人、頼りない所があるから……」
「フィ、フィオナさん何を!?」
「ラージ……あたし達の研究を……必ず……」
「その先の台詞は言わせませんよ! 何とかして回収を!」

 ラージとミズホの乗っていたレイディバードがラウル機とフィオナ機を回収しようと、2機の近くへと移動していく。

「アクセルさん……何でここにいるのか知らないけど……助けてくれてありがとう。そんなアクセルさんだからこそ、あたしは好」

 フィオナが言葉を最後まで言い終わるまでもなくエクサランスから漏れていた白い光が急激に広がり、辺り一面が閃光で埋まる。

「……行ったか」

 閃光が消え去った後には、エクサランスの姿も、レイディバードの姿も、そしてもちろんデュミナスの姿も消え去っていた。
 少なくても、これで原作通りの流れをなぞっているのは確信が持てた。後はあちらの世界で再会する事になる、か

「各機へ。任務は失敗だ。テスラ研へ帰還する」 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:24
PP:60
格闘:202
射撃:220
技量:212
防御:209
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命中:259
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成長タイプ:万能・特殊
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陸:S
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精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
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    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
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撃墜数:87 

 

番外編004話 0067.5話

「バリソン隊長、レーダーに反応。数は5です」

 テスラ研の周囲で索敵をしていたバリソンは部下の量産型Wからの報告に眉を顰める。

「もう奪還部隊が来たのか? 連邦にしては動きが早いな。各機、戦闘準備だ。現在テスラ研ではリュケイオスの転移準備が始まっている。ここを通す訳にはいかないぞ」
「了解」
「こうなると、量産型アシュセイヴァーをアクセルの隊に持って行かれたのは痛かったな」

 自分も乗っているだけあって、量産型アシュセイヴァーの性能の高さは理解している。この機体よりも後に造られた最新鋭量産機のエルアインスよりもほぼ全ての面で能力が上なのだ。
 ただ、彼自身としては親友のアクセルが以前使っていたソード・ブレイカーという武器にも興味はあったのだが。

「隊長、敵機にゲシュペンストMk-Ⅲを確認。敵はベーオウルブズです」

 その言葉を聞いた途端、まるで背筋に氷を入れられたかのようにヒヤリとした。

「ベーオウルブズ、だと?」

 敵味方関係なく破壊を振りまくその凶悪さは、すでにシャドウミラー隊全体に知れ渡っている。

「……ここまで、か。出来れば俺もあっちの世界に行ってみたかったんだがなぁ」

 口に出すと、自分がここまでだという事を嫌でも理解してしまう。
 食う為に軍人になり、その裏でDC残党と繋がり、士官学校の友人と同じ部隊に誘われた。バリソンの人生を端的に言ってしまえばそんな所だろう。
 その後、シャドウミラーが連邦軍に対して反乱を起こすと聞いた時にも自分は全てを納得してそのまま残った。家族が政治家の利権の為に行われた無理な工事の為に亡くなったのが関係してないと言えば嘘になるのだろうが。

「ベーオウルフ、いや、キョウスケ先輩。ここを通す訳にはいかない。暫く付き合って貰おうか」

 モニタに表示されたゲシュペンストMk-Ⅲを相手に、ハルバート・ランチャーを構えながら命令を下す。

「全機、攻撃開始! 絶対に奴らをテスラ研へ通すな!」 

 

0068話

 エクサランスが消えた場所からテスラ研へと向かっている途中、エキドナからの通信が入った。

「隊長、本隊が到着しました。ヴィンデル様達はそのまま出立されます」
「時間は稼げたようだな。了解だ」
「隊長も急いでお戻りを」
「ああ。転移の準備を進めていろ」
「はっ」


 エキドナとの通信が終わってから十数分後、テスラ研が見えてくる。
 テスラ研の周囲には、シャドウミラー隊の機体の姿が多く見える。
 それと、あれは確かレモンが操縦するヴァイスセイヴァーだな。

 ヴァイスセイヴァー。アシュセイヴァーをレモンがカスタム化した機体で、レーザー・ブレードやガン・レイピアがオミットされてその代わりに実弾とビーム弾の撃ち分けが可能なO.O.ライフルを装備した機体だ。
 と言うか、O.O.ライフルってあっちの世界に転移してから開発するものだとばかり思っていたのだが、レモンがどこかから手に入れてきたゲシュペンストMk-Ⅳの設計図から武器を流用したらしい。俺の記憶が確かなら、あちらの世界のヴァイスリッターがゲシュペンストMk-Ⅳと呼ばれていた筈だから、それ程おかしな事でもないのだろう。他にもソードブレイカーを改良したソリッド・ソードブレイカーを装備しており、搭載数もアシュセイヴァーの6機から8機へと増加している。

「あら、遅いお帰りね、アクセル」

 レモンからの通信だ。口では文句を言っているが、それなりに付き合いが長いのでこちらを心配していたのを感じ取れる。

「少々手間取った。その割に実りは少なかったけどな。先発隊やヴィンデル達は?」
「もう行ったわ。後は奪取した新型と私達を残すのみよ」
「今の所はほぼ予定通りか」
「でも、エクサランスは駄目だったみたいね。ヴィンデルが残念がっていたわ。……あの子達は?」
「……」

 レモンの問いに、無言で首を振る。
 フィオナとの仲は決して良いとは言えなかったが、ラージとは科学者として。ミズホとは機体設計者として。ラウルとは弟分としてそれなりに親しかっただけに、やはり心配なのだろう。

「何やら妙な物体が出てきてな。エクサランスの時流エンジンを外部から暴走させて気が付いたら姿を消していた」
「そう」

 一瞬目を伏せるレモンだが、すぐに気を取り直したかのように首を振る。

「時流エンジンの可能性、時空間転移。もしかしたら遙か過去か未来に転移したのかもしれないわね」
「それよりも、レモンがここにいるという事は後詰めか?」
「正解。敵の動きが予想以上に速くてね。さっき、バリソン隊との通信が途絶したわ」
「何? バリソンが、か?」

 ……そうか。結局歴史を覆す事は出来なかったか。一瞬胸に後悔が浮かぶが、すぐにそれを切り捨てる。反乱を起こしたシャドウミラーへ自分から望んで残ったんだ。こうなるのも覚悟の上だったろう。せめて悔いなく逝った事を祈るだけだ。

「どうやら、年貢の納め時という感じかしら? まぁ、納めるつもりはないのだけど」
「この作戦、やはり急ぎすぎたんじゃないのか? まるで分の悪い博打だ。負ければ何も残らないというのに」
「らしくないわね、アクセル。成せば成る、成さねばならぬ何事もって言うじゃない? それにね、私、向こう側に行くのを結構楽しみにしているのよ?」
「楽しみ? ……例の話か」

 以前、寝物語にエクセレンに関してポロッと漏らしてしまった事がある。自分のベースになった人物の事だ。気にならない訳はないのだろう。

「さあて、ね」

 誤魔化すように笑みを浮かべるレモン。

「らしくないのはレモンだろ。仮に向こう側にいたとしても、そいつは……」
「期待なんてしてなくてよ? ただ純粋に興味があるだけよ」
「……」

 無言でレモンの方を眺めるが、猫の被り方は俺よりも数十枚上手のレモンだ。見破れる筈もない。

「そういえば、接収したDGG系列の機体に関しては見たか?」
「ええ、まさかテスラ研の地下であんなものが造られてたなんて思いもしなかったわ」
「もっとも、殆ど部品の状態だったがな。それでどう見た?」
「1号機の方は完全にゼンガー・ゾンボルト用に作られているからどうしようもないわね」
「W15はどうだ? あれはゼンガーの人格をトレースして仕上げたものなんだろう?」
「確かに性格はそうね。外見に関してもゼンガー・ゾンボルトと似通っている。でも細かい所まで同一という訳じゃないのよ。試してはみるけど恐らく無理だと思うわ。私としてはグルンガスト参式を彼の機体として考えているのだけれど。……どのみち精神の安定をどうにかしないと戦力として数えられないわね」

 ウォーダンはやはりあちらの世界にあるアースクレイドルでメイガスとリンクしなければ使い物にならないらしい。

「DGG2号機については?」
「2号機の方も誰かの専用機として作られているみたいだけど、その辺の情報が紛失しているのよ。こちらも機体としては使い物にならないでしょうね」
「機体としては、という事は武器は?」
「そちらは大丈夫だけど……興味あるの?」
「ああ、大型ビームランチャーが2つあっただろう? あれをグロウセイヴァーに装備出来ないかと思ってな」
「あのねぇ。機体の大きさを考えて言ってくれないかしら。DGG2号機はグロウセイヴァーの2倍以上の大きさなのよ? その武器がそのまま……あら?」

 話している途中で何かに気が付いたのか、途中で何かを考え出す。

「そう、確かにそのまま使用は出来ない。でもそれは他の武器でも同じ事。となると、クロノスの時と同じように? でもそれだと重量バランスが……いえ、それに関してはセッティング次第でどうとでもなるわね。そうなると問題は?」

 レモンの考えている様子を眺めていると、ふとT-LINKシステムが何かを感じた。これは、奴が来るのか?

「レモン、先に行け」
「アクセル?」

 俺の雰囲気が変わったのに気が付いたのだろう。考え事を中断して不思議そうな顔でこちらを見ている。

「俺に客だ。……いや、この場合は送り狼だな」
「まさか、ベーオウルブズ?」
「ああ、このまま尻尾を巻いて逃げるのは我慢ならん。それにあのベーオウルフの事だ。もしかしたら次元転移に付いてくる可能性もある」

 普通なら有り得ないと断言出来るのだが、相手が相手だ。下手をしたら冗談じゃ無しに向こうの世界へと付いて来かねない。
 何せ、向こうの世界にもアインストは存在しているのだから。

「来たな、腐った連邦の亡霊共が。進む先にあるもの敵味方関係なく全てを喰らい尽くす者共、連邦軍特殊鎮圧部隊、ベーオウルブズ」

 現れたのは、ベーオウルフのゲシュペンストMk-Ⅲとその脇を固めるように量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが4機。丁度ブリットを吸収した時と同じ布陣なのは運命の皮肉と言うべきか。

「ゲシュペンストMk-Ⅲ、やはり最後まで俺達に付きまとうのはキョウスケ・ナンブ、お前か」
「ここまで来ると、執念以上のものを感じるわね」
「士官学校で出会い、シャドウミラーとしての任務で共闘し、最終的には敵になる、か」
「昨日の友は今日の敵、って訳ね」

 レモンと会話をしていると、ベーオウルフから声が聞こえてくる。

「お前達は……望まれていない…世界を創る……故に撃ち…貫く」

 その言葉と共に、ゲシュペンストMk-Ⅲの機体が大きくなっていく。幻影とかそういうものではなく、物理的に巨大になっているのだ。

「こ、この反応は!?」
「俺と最後に戦ったあの時に比べて、また変化してるな」
「ヨーロッパで戦った時よりもさらに様子が変だわ。彼も、機体も」
「ククク……フフフフフフ……創造と破壊、破壊と創造、創造は破壊、破壊の創造」
「完全にあちらの世界へと逝ったか。こちらの事を理解しているかどうかも怪しいな、化け物が」

 グロウセイヴァーをベーオウルブズに向けて進める。

「アクセル、どうするつもり?」
「決着を付ける」
「待って! すぐ私達が跳ぶ番なのよ!?」
「後顧の憂いは断っておくべきだろう。奴は危険な存在だ。もう人間ですらなくなっているようだしな」
「その憂いってベーオウルブズの事かしら? それとも……」
「どちらもだ。俺達が転移を行った後、リュケイオスを確実に回収する為にも不確定な要素は可能な限り取り除く。……特にそのイレギュラーの中でもこいつは別格だ」
「一度決めたら変える人じゃない、か。遅刻は厳禁よ? 分かっているとは思うけど」
「行け!」
「私達が転移した後は、20分後にリュケイオスが起動するようにセットしていくわ。くれぐれも戦いに夢中になって時間を忘れないでね、アクセル」

 その言葉と共に、レモンのヴァイスセイヴァーと周囲に残っていた機体はテスラ研の中へと入っていく。
 20分か。それだけあれば十分だ。

「ベーオウルフ、いや敢えてこの場ではキョウスケ先輩と呼ばせて貰おう。俺は、本来なら先輩をアインストから救う事が出来たかもしれなかった。だが俺自身のエゴでその可能性を捨て去った。その結果が今のベーオウルフだ。俺の決断により、ベーオウルフという災厄を産み出したのなら、産み出したこの俺がその災厄を刈り取らせてもらう」
「各機展開……噛み砕け……!」

 ベーオウルフの言葉と同時に、この世界での最後の戦いが幕を開ける。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:24
PP:60
格闘:202
射撃:220
技量:212
防御:209
回避:237
命中:259
SP:334
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
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    ???

撃墜数:87 

 

0069話

 開戦の狼煙はグロウセイヴァーのハルバート・ランチャーと、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱのメガ・ビームライフルが撃ち合う事で始まった。
 メガ・ビームライフル独特ともいえるピンク色のビームのうち2つをハルバート・ランチャーで相殺する事に成功し、残り2つはブースターを細かく噴射して回避に成功する。
 ブリットを吸収した時もそうだったが、とにかく数を減らさないとこちらの打てる手が少ない。
 あの時と同じようにベーオウルフが最初は様子見をしてくれていると助かるんだが。そんな俺の楽観的な予想は、モニタの向こう側で左腕に装備している3連マシンキャノンの銃口をこちらへと向けているベーオウルフの姿を見た瞬間に砕け散った。

「ちぃっ」

 ただの3連マシンキャノンなら、あるいはブリットを吸収したあの遭遇戦よりも前の戦いでなら念動フィールドで防御していただろう。だが、あの時の戦いでバラバラになった時にゲシュペンストMk-Ⅲの部品を集めて融合した蔦のようなもの。あれを見たせいでベーオウルフの攻撃は防御すら非常に危険だと思うようになった。
 3連マシンキャノンの弾丸が、アインストの種だったらどうする? 攻撃を受けた途端アインストに浸食されるなんて事は御免被りたい。おまけに、今のゲシュペンストMk-Ⅲはアインストの感染がより進んだ為か、機体自体が歪に変化しているのだ。
 ブースターを噴射しそのまま空中へと逃れる。そのまま速度を上げて上昇し、反転して太陽を背にして重力の助けを得て降下する。

「アダマン・ハルパー、起動。集中」

 アダマン・ハルパーを起動させ、大鎌から突撃に適した槍、いわゆる馬上槍へと姿を変える。また、左手ではクロノスのラックからガン・レイピアを取り出しておく。
 地上にある量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの姿がどんどん大きくなってくるのを見ながら、牽制の意味を込めてファイア・ダガーを発射。
 元々牽制の為の攻撃なので命中弾は期待していなかったのだが、幸い何発か命中してくれたらしく、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの1機が黒煙を上げていた。

「はあああぁぁぁぁぁっっっ!」

 馬上槍へと変化した巨大な槍を右手で構え、そのまま黒煙を上げている機体へと突っ込む。ギャリッという金属を引っ掻くような嫌な音を立てて槍が敵の機体を貫いた。

「切り刻め、アダマン・ハルパー」

 馬上槍が貫通している場所を中心にして、そのまま機体内部を液体金属の刃と化したアダマン・ハルパーが切り刻むと、数秒も経たずに量産型ゲシュペンストMk-Ⅱのうちの1機は鉄屑へとその姿を変えていた。
 それを見届けると同時に、T-LINKシステムが左から新しい敵機が接近してくるのを感じ取る。
 その感覚に逆らわずにグロウセイヴァーの左手で持っていたガン・レイピアを敵が近づいてくる方向へと向け、トリガーを引く。
 ほぼ零距離からの射撃だったのだが、さすがベーオウルブズの一員と言うべきか咄嗟に機体を回避させて右腕の損傷だけで済ませてしまった。

「っ!?」

 T-LINKシステムと集中で増した感覚が近づいてくる何かを感じ、咄嗟に機体を後方へと移動させる。見えたのは三枚の刃が回転してくるスラッシュ・リッパーだ。
 ブースターを全開にして距離を取ると、コンピュータの追尾可能距離から離れたらしく明後日の方向へと飛んでいく。
 スラッシュ・リッパーの攻撃を回避した速度をそのまま活かし、ガン・レイピアの攻撃で右腕が損傷した機体へと接近する。

「グレイプニルの糸!」

 右手に馬上槍状態のアダマン・ハルパーを握ったままグレイプニルの糸を展開し、そのまま敵機へと絡みつかせる。そして糸を絡みつかせたまま、先程スラッシュ・リッパーを放ってきた敵機へと向かう。こちらを迎撃する為にスプリットミサイルを撃ってくるのが見えたその瞬間。

「加速!」

 精神コマンドの加速を利用し敵機へと近づく速度をさらに上げ、その速度でこちらへと向かってくるスプリットミサイルを回避し、そのままグレイプニルの糸で絡め取った機体を……叩きつける!

「アダマン・ハルパー、ナイン・テールモード!」

 機体がそのまま質量弾として使われ、2機の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱがもんどりをうって倒れ込む。そしてその2機目掛けて、9条の鞭と化したアダマン・ハルパーが襲いかかり、その身を切り刻む。

「これで3機。残るは1機と1匹か」

 既にばらばらの部品と化した2機から離れ、ベーオウルブズとの距離を取る。

「っ!?」

 モニタに何かが映った瞬間にとんでもなく嫌な予感を感じて反射的にブースターで機体を右に寄せるのと、つい一瞬前までグロウセイヴァーのいた場所を何かが貫いたのは殆ど同時だった。
 その何かを放ったのは言うまでもなく。

「ベーオウルフかっ!」

 撃ち込まれた先を見てみると、そこには右手をこちらに突き出している異形の機体。
 戦闘開始前に異形と化していたゲシュペンストMk-Ⅲだが、この短時間にさらにその異形化は進み、機体の表面をアインストの蔦のようなものが模様を描くかのように覆っている。
 そして同じく蔦に浸食されたリボルビング・ステークは射出口を俺の方へと向けていた。

「……なるほど。確かにリボルビング・ステークは近接武装にしては射程が長かったな」

 原作ではアルトアイゼン唯一の射撃武装である3連マシンキャノンより射程が1少ないだけだった筈だ。それにネオ・チャクラムシューターやブーストハンマーのような遠距離格闘用の武器もあった事だし、それを考えれば異形化した今の奴ならより射程を長くした近接武装として使えてもおかしくはないだろう。

 改めて観察してみると、元々の機体色である青い表面を緑の蔦が何かの紋様のような形で覆っている。機体の大きさもこちらの2倍程度まで増えており、PTというよりは特機と言った方がピッタリくる。
 ……まぁ、少なくても俺はあんな怪しげな特機は絶対に使いたくないが。

「とにかく、お前は最後のメインディッシュだ。これでもくらって少し大人しくしていろ。ファントム!」

 本来なら数機は保険として残しておきたいのだが、ベーオウルブズ相手にそんな真似をしていてはそれこそ命取りになる可能性が高いので、ファントム28機全てを射出して中距離からのレーザー射撃のみでベーオウルフを牽制する。そして俺は狙いを1機にまで減った最後の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱへと変え、ブースターを全開にして突っ込む。
 俺が向かってくるのにあわせてネオ・プラズマカッターを振りかぶるが、今更その程度の攻撃などっ!

「加速!」

 精神コマンドの加速を使用し、ブースターを小刻みに噴射させる事で不規則な軌道を描きながら敵機へと近づいていく。
 相手も覚悟を決めたのか、こちらの進路を予測してネオ・プラズマカッターを振り下ろしてくるが……

「甘いんだよっ!」

 ベーオウルフに対して牽制攻撃を仕掛けていたファントムのうち、1機が近くにあるファントムへとレーザー弾を撃ち込む。
 レモンの改良によりレーザー反射材でコーティングされたファントムはその効果を発揮して撃ち込まれたレーザー弾を反射する。ベーオウルフではなく、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱへと。
 反射したレーザー弾はネオ・プラズマカッターを振りかぶっていた右手へと着弾。反射の為に威力は弱まっていたが、それでも右手を破壊する事には成功し、その右手はネオ・プラズマカッターを握ったままあらぬ方へと飛んでいった。
 そして右手を失った機体のすぐ目の前には既にグロウセイヴァーの姿がある。

「存分に食らえ、大サービスだ! ファイア・ダガー発射!」

 グロウセイヴァーの胸部装甲から大量の小型ミサイル、ファイア・ダガーが発射される。
 いくら小型ミサイルで1発の威力が低いとは言え、ほぼ零距離からの攻撃だ。
 小規模な爆発を繰り返し、黒煙が晴れた後には手足が破損して胴体のみになり既に碌に動けない状態になっていた。
 とにもかくにもこれで残りはベーオウルフのみ、か。
 深呼吸を1つして、改めて意識を対ベーオウルフへと切り替える。

「ファントムっ」

 ベーオウルフに対して牽制攻撃をしていたファントムを全機戻し、後方へと浮かべてからベーオウルフの機体の損傷を確かめるが、目に見える損傷は無い。
 いや、あるにはあるのだが、こうして見ている間にどんどんと修復していくのだ。

「さすがアインスト、と言うべきか」

 以前の遭遇戦でも機体を切り刻んだにも関わらずにすぐに復活しようとしていた。あの再生能力を考えると、1撃で欠片も残さずに消滅させるくらいの事をしなければ恐らく倒しきるのは不可能だろう。ぱっと思いつくのはR-GUNのメタルジェノサイダーにSRXの天上天下念動爆砕剣、サイバスターのコスモノヴァ、ハガネのトロニウム・バスターキャノン、ヒュッケバイン008Lのブラックホール・キャノンといった所か。そしてグロウセイヴァーの武装にそこまでの威力を誇るものはない。正確に言えば、ファントムを全機使えば攻撃力だけはそれらと同等の威力を出せると思う。だがこの場合に必要なのは、ベーオウルフの機体を一片すら残さずに消し去る事が出来る面の攻撃なのだ。ファントムのような点の攻撃では決定打にはならない。
 ならアダマン・ハルパーでの吸収はどうか。こちらは恐らく吸収は可能だろう。だがあのアインスト状態のベーオウルフを吸収してしまった場合、それが俺に与えるであろう悪影響を考えるとこれも遠慮したい。ベーオウルフを吸収しました。その結果内側からアインストに浸食されて俺がベーオウルフの代わりにアインストになりました、では笑い話にもならないだろう。

「となると端から破壊して、その破壊した部分をハルバート・ランチャーで消滅させていくしかないか」

 グロウセイヴァーの持っている武装の中でも面の攻撃に最も適しているのはハルバート・ランチャーなので、これがベストの選択だろう。

「さて、律儀に待っててくれたようだがそろそろ始めようか」

 モニタに表示されるのは、ファントムによる攻撃の損傷が完全に消え去り見るからにHP全快といった様子のベーオウルフ。
 対してグロウセイヴァーは機体の損傷こそないものの、SPの消費やファイア・ダガーの消耗がある。
 ちらりとモニタを見ると、レモンが言っていたリュケイオスが再び起動するまで後10分程度しか残っていない。お供の機体を片付けるのに時間を使いすぎたか。

「だが、この世界から旅立つ最後の締めだ。行くぞ!」

 クロノスのラックからガン・レイピアを取り出し、背後に浮かんでいるファントムからレーザー弾が発射されたのと同時にトリガーを引く。
 対するベーオウルフも右手のリボルビング・ステークから杭を連続して撃ちだし、左手の3連マシンキャノンから発射される弾丸でレーザー弾を迎撃した。

 こうして、俺のこの世界での最後の戦いが幕を開ける。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:24
PP:80
格闘:202
射撃:220
技量:212
防御:209
回避:237
命中:259
SP:334
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:91 

 

0070話

 ガン・レイピアから撃ち出されたビーム弾がリボルビング・ステークから撃ち出された杭を迎撃する。そしてファントムのレーザー弾が3連マシンキャノンの弾丸を迎撃する。
 だが幸いな事にやはり射撃戦ではこちらに分がある為、射撃の嵐はベーオウルフの方へと次第に近づいていく。

「ついでにコレも貰ってろ!」

 ビームガトリング砲とリニアレールガンの砲身を伸ばし全力斉射。
 電磁力により撃ち出された弾と、途切れる事なく発射されるビーム弾。さすがにこれを同時に食らうのはあのベーオウルフでも遠慮したかったらしく、この戦闘が始まって初めて右へと大きく跳び、回避行動を取った。

「ここだ! 加速、集中、グレイプニルの糸!」

 精神コマンドの加速を使用した効果で急激にベーオウルフへと近づくと、両手で持っていたガン・レイピアを左手だけで保持し、右手のグレイプニルにT-LINKシステムを通して念動フィールドを糸へと変換。そのままベーオウルフの右腕へと絡めて動きを止める。

「T-LINKシステム、フルコンタクト! 斬!」

 グレイプニルの糸にさらに念動力を送り込み、切断力を生成。そのままベーオウルフの武装の中で最も危険なリボルビング・ステークを装備している右腕を右肩から切断する。

「ハルバート・ランチャーで消え去れ!」

 グレイプニルの糸に切断力を持たせた事による急激なSPの消費に疲労に襲われつつもグレイプニルの糸を解除。ラックからハルバート・ランチャーを取り出し、地面に転がっているベーオウルフの右腕目掛けてトリガーを引く。
 ハルバート・ランチャーの銃口から放たれた光線がリボルビング・ステーク諸共ベーオウルフの右腕を飲み込み、それこそ欠片も残す事なく消滅させた。

「ぐうっ」

 一瞬だが気を抜いたその瞬間、驚く程の疲労に襲われる。グレイプニルの糸で切断力を産み出したのはほんの一瞬だったというのに、念動力LV.10でもこれとは。

「がああああああああぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!」

 戦場に響くベーオウルフの雄叫び。その叫びが怒りと憎しみに満ちているように感じるのは決して俺の気のせいではないだろう。だが次の瞬間、俺は目を見張る事になる。
 ベーオウルフの切断された右肩からアインストの蔦が伸びたかと思うと、破壊された量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの部品へと巻き付き、そのままベーオウルフの右肩へ引き寄せ、蔦が二重にも三重にも巻き付き擬似的な右腕を形成したのだ。
 さすがに応急措置らしくリボルビング・ステーク等の武装は装備していないが、蔦で雁字搦めにされたその右腕はどこか生物的なものを思わせ、生理的嫌悪感を呼び起こす。

「だが、これで当初の作戦通りには……?」
「GAAAAAAAAAAA!」

 再度雄叫びを上げるベーオウルフ。すでにその声は人間のものとは思えないものになっていた。そして身体中から蔦を四方八方に伸ばし、戦場に散らばっていた量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの部品を手当たり次第に取り込んでいく。
 グロウセイヴァーをも取り込もうと考えたのか、こちらにも蔦が数本伸びてきたが、それらはハルバート・ランチャーを使い対応する。
 先程ベーオウルフが取り込んだのは、4機目のファイア・ダガーで大破した機体だ。1機目の機体は幸いアダマン・ハルパーで内部から粉々になるまで斬り裂いたのでベーオウルフに見向きもされていないが、ナイン・テールモードで斬り裂かれた2機目と3機目は蔦を伸ばして吸収されてしまった。

「……まさに機械で出来た大怪獣って奴だな、これは」

 グロウセイヴァーの3倍近い大きさとなったベーオウルフを観察しながら、思わず口に出す。大男総身に知恵が回りかねとでもなってくれればいいんだが。そもそもアインストと化したこいつに知恵があるのかどうか。
 チラリ、とモニタの表示を見ると、残り時間は7分を切っている。敵は強大で残り時間は後僅か、か。
 歪な人型のナニカと化したベーオウルフが右手を振り上げ、そのまま振り下ろす。それはただのパンチなのだが、ベーオウルフの質量を考えればその威力は考えるまでもない。
 ただ。

「大きいだけあって動きが鈍いぞ、でかぶつ!」

 振り下ろされた拳を回避し、地面に突き立てられた右腕の肘の部分へとリニアレールガンをたたき込む。至近距離から放たれた弾丸は、右腕の関節部分を貫通して粉砕した。

「脆い?」

 リニアレールガン1発で砕けたその様子に思わず口に出すが、次の瞬間には右肩の部分と肘から先の右腕の残りの部分から蔦が飛び出し、融合して何事もなかったかのように元の右腕へと戻ってしまう。

「だよな」

 溜息一つ吐き、ベーオウルフから距離を取る。
 さて、普通ならこういうでかいのが相手の場合は内部からの攻撃ってのがセオリーなんだが。

「アインストじゃなければなぁ」

 さすがにアインストの内部へと突っ込む勇気は持てない。と言うか、それは勇気じゃなくて蛮勇だろう。
 ……待てよ? 内部、か。奴は量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを3機取り込んだ。あの3機の動力源である核融合ジェネレーターは破壊されていなかったのでそのままベーオウルフの内部に存在している筈だ。そしてその核融合ジェネレーター3機を連鎖爆発させてやればどうだ?
 他にもっといい方法があるのかもしれないが、時間のない今、俺に思いつけるのはこれだけだ。残り時間も既に6分を切っている。

「分の悪い賭けは嫌いじゃない、か」

 原作のキョウスケの台詞を思い出し、口に出す。あぁ、本当に。これこそが分の悪い賭け以外のなにものでもないじゃないか。

「T-LINKシステム、フルコンタクト!」
「GYAAAAAAAAAA!!!!」

 T-LINKシステムで奴の機体を探ろうとしているのに気が付いたのか、雄叫びと同時にベーオウルフの身体中から蔦が生え、それらがこちらへと向かって伸びてくる。こうなるともう、蔦じゃなくて触手だな。

「くそっ、こう数が多いとT-LINKシステムに集中する事も出来ないな。集中、ファントムっ」

 再度精神コマンドの集中を使用し、蔦による触手攻撃を回避しながら自分に命中しそうなものだけをファントムのレーザー弾で焼き尽くす。
 とにかくこの触手をなんとかしてベーオウルフの動きを止めなければどうにもならないな。そうなるとグレイプニルの糸を使うしかないんだが、あれは基本的に射程が短い……短い? いやちょっと待て。そもそもグレイプニルの糸はT-LINKシステムを使って念動フィールドを変化させたものだ。つまり元々は俺の念動力が根本にある。となると……出来るか? いや、やるしかない、か。
 
「T-LINKシステム、フルコンタクト! うおおおおぉぉぉぉぉ、グレイプニルの糸っ!」

 T-LINKシステムに限界まで念動力を注ぎ込み、右手に装備されたグレイプニルの糸を発動する。通常時なら糸が形成された時点で念動力を注ぎ込むのをやめるのだが、今回はそのままさらに念動力を注ぎ込み続ける。動きを止めてT-LINKシステムに集中しているので、当然ベーオウルフから伸びている蔦の触手はグロウセイヴァーへと攻撃を仕掛けてくるのだが、ファントムを使いこちらに命中しそうなものだけをなんとか撃ち落とす。だがそんな状況がいつまでも続く訳もなく、1機、また1機とファントムが叩き落とされていった。
 破壊されたファントムが10機を超えた頃、ようやくグレイプニルの糸が伸び始める。

「食らえぇぇぇぇっっっっ!」

 こちらへ向かってくる触手とベーオウルフを纏めてグレイプニルの糸で雁字搦めにする。その様は神を喰い殺したフェンリルを縛り付けるという伝説を再現したかのようだった。
 そして一息つく暇もなく、T-LINKシステムを使用してベーオウルフの中にある核融合ジェネレーターの場所を探す。

 …………あった! 丁度鳩尾の位置に3機纏められている!
 ファントムを6機のみ残して残り10機をクロノスへと収容する。
 これでようやく終わりだ、と気が緩んだ瞬間ふと気が遠くなりそうになる。
 ちっ、今回の戦いでT-LINKシステムを使いすぎた疲れが出てるな。
 考えてみれば、ベーオウルブズとの戦いで何度T-LINKシステムにフルコンタクトしただろうか。だが、それもこれが最後だ。

「T-LINKシステム、フルコンタクト! ファントムよ、その牙で孤狼の命を貫け!」

 俺の意志に従い、念動力を限界まで込められたファントム6機が核融合ジェネレーターを目指してレーザーブレードの牙を剥く。

「ついでだ、これも喰らえ!」

 ビームガトリング砲、リニアレールガン、ガン・レイピア、ハルバート・ランチャーの4門をベーオウルフの鳩尾を狙い一点集中して撃ち放つ!
 レーザーブレードを展開したファントム6機が次々にベーオウルフの鳩尾を貫通し、そこにビームガトリング砲の細かいが大量のビーム弾が撃ち込まれ、リニアレールガンの弾と、ガン・レイピアのビーム弾が集中する。そして最後の仕上げとばかりに、ハルバート・ランチャーから放たれた複数の光線がベーオウルフの胸部へと撃ち込まれた。
 そしてそれと殆ど同時に、必要以上の念動力を込められて半ば暴走状態だった右手のグレイプニルが煙を上げて動作を停止する。

「加速!」

 このままここにいては、核融合ジェネレーター3機の爆発に巻き込まれる事になるので、加速を使いその場から急速離脱する。目指すはリュケイオスの設置されている実験場だ。既にモニタに表示されている残り時間は1分を切っている。





「くそっ、間に合うか!?」

 精神コマンドの加速だけでは足りず、クロノスの追加ブースターも全開に。そして十数秒後、ようやく目的地の実験場が見えてきた。
 既にリュケイオスを中心とした転移フィールドが発生している。

「間に合……っ!?」

 背後から迫ってきたナニカを感じ、咄嗟に機体をロールさせる。数秒後、グロウセイヴァーの飛んでいた空間を貫いたのは半ば予想通りアインストの蔦だった。
 くそっ、ジェネレーターの連鎖爆発はまだなのか!?
 この場で反転して駄目押ししておきたい所だが、転移までの残り時間は後30秒程度でそんな事をしている暇はない。かと言ってこのままではこいつまであちらの世界へと連れて行ってしまう事になる。
 その時ふと目に付いたのは、実験棟の天井部分。そしてグロウセイヴァーの胸部には発射の為に一々構えなくても大丈夫なファイア・ダガー。
 空中を飛んでいるグロウセイヴァーの胸部を天井部分へと向け、リュケイオスに向かって進みながらも胸部からファイア・ダガーを全弾発射。天井部分で次々と爆発が起き、天井の構造材が落下して蔦を押し潰す。
 それを見届ける間もなくグロウセイヴァーは転移フィールドの中へと入り、そしてその瞬間、モニタに表示されていた残り時間は0になりあちらの世界への転移が始まった。
 空間転移が発動する直前、恐らく核融合ジェネレーターの起こしたと思われる、まるで空間を震わせるような巨大な爆発音が聞こえてきたが、既に転移フィールドで半ば時空間にその身を移して機を窺っている俺にそれを気にするような余裕は無かった。

「……まだだ、まだ完全に時空間に入ってはいない」

 正直、ベーオウルフと戦っている時よりもある意味で緊張している。何せ早ければあちらの世界への転移に失敗する事になり、遅ければリュケイオスの回収は失敗する。

「!? 今だ!」

 その時、俺にタイミングを教えてくれたのは、念動力か第六感か。はたまたそれらとは違うナニカか。ただ、心の底から今しかない! というタイミングを教えてくれたものには感謝したい。

「収納、リュケイオス!」

 脳裏に浮かぶ空間倉庫の中身一覧に『リュケイオス』と表示されているのを確認した後、ようやくあちらの世界へと旅立つ事が出来ると安堵しながら俺の意識は闇に沈んでいった。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:25
PP:95
格闘:206
射撃:224
技量:216
防御:213
回避:241
命中:263
SP:342
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:92 

 

番外編005話 0070.5話

 その報告をユーリアが聞いたのは、地上での敗戦の後になんとかコロニー・エルピスに戻ってきた直後だった。
 いずれこの戦いが終わったらまた会おうとアクセルと約束をし、その約束を奮起の材料としてあの敗戦から立ち直った。
 私的な理由で任務地である宇宙から地上へと降り、反乱を起こしたアクセル達と戦うという馬鹿な真似をした自分に最後まで付いてきた馬鹿な部下達。
 その事を考えている時は、馬鹿な指揮官の下には馬鹿な部下が配属されるとレオナと共に笑っていた。
 もっとも、そんなレオナも『馬鹿な隊長の下にいるから馬鹿が感染したのです』と言っていたのだが。

「この報告は本当なのか!?」

 既に自分の故郷とも言えるエルピスに戻ってきた途端に受けたその報告。
 信じられない。否、信じたくないユーリアは自分にとっての凶報を持ってきた相手へと掴み掛かる。

「ほ、本当です!」
「馬鹿な!?」

 報告書に書いてある事は簡潔だった。曰く『反乱軍は自分達の不利を悟り、北米にあるテスラ研に籠城。その後追撃隊諸共自爆した』とある。

「アクセルが、自爆?」

 ユーリアの脳裏をよぎるのは、つい先日に通信越しに見たアクセルの顔。
 たった1部隊で反乱を起こしても負けるのは分かっていただろうに、それでも弱気な表情など欠片も見せていなかった。

「その、アクセルが……自爆?」
「隊長……」

 レオナの心配そうな声が聞こえてくるが、自分の考えに没頭しているユーリアには聞こえていない。

「何かがおかしい」

 状況証拠だけを見れば、確かに追い詰められていたアクセルの部隊は自爆という自暴自棄な手段に出てもおかしくはない。
 だが自分の中にある何かがそれは違うと告げている。
 あるいはそれは、1人の男に恋する女の妄想なのかもしれないと苦笑を浮かべるが、アクセルの顔を思い出すだけでこの絶望的な状況の中でも立ち上がる勇気が湧いてくるのを感じる。

「レオナ、この報告はどこかおかしい。恐らく何か大事な事が隠されているような気がする」
「ええ、私もそう思います。あれだけの戦いをした戦士が自暴自棄になるなど、とても考えられません」

 ユーリアとレオナ。2人共無言で目を合わせ、それだけで意思の疎通を完了する。

「私は士官学校時代の伝手を使って調べてみる」
「では、私はブランシュタイン家の情報網を頼ってみます」

 1人は己が愛した男の為に。もう1人は敬愛する上司と尊敬すべき敵の為に。
 2人の女は、こうして軍部の闇へと挑戦状を叩きつけた。 

 

0071話

 何やら軽い衝撃を受け、目を覚ます。

「ここは、一体?」

 モニタに表示されているのは漆黒の空間。遠く離れた場所では時々爆発光と思われる光が見える。

「……あぁ、そういえば」

 そう、俺はあちらの世界でベーオウルフを倒して……倒して? まぁ、核融合ジェネレーター3機分の連鎖爆発だ。恐らくテスラ研の地上施設諸共ベーオウルフも吹き飛んだだろう。幸いなのはヴィンデルやレモンがテスラ研の研究者達を隔離という名目で地下にあるシェルターに避難させていた事か。さすがテスラ研の地下シェルターと言うべきか、アースクレイドル並に丈夫らしいので地上でベーオウルフが爆発しても特に影響は無いと信じよう。
 その結果、俺はようやくこちらの世界へと転移してきたのだ。ただし対エアロゲイターの最終作戦であるオペレーションSRWのど真ん中に。幸いな事に作戦宙域でも外れの方に転移してきたらしく、周囲にあるのは隕石やらPTやAMの機体の破片のみで、こちらに敵対しそうなエアロゲイターの姿は見えない。
 モニタから見る限りでは、既にホワイトスターのエネルギーフィールドは破られている。となると既にクライマックス間近なのだろう。

「っと、このままここにいるのは不味いな。ASRS展開」

 ASRSを展開し、グロウセイヴァーの姿を隠す。これで原作のマスタッシュマンのように妙なあだ名をつけられる事はない。
 周囲に浮かんでいたリオンと思われる残骸――既にデブリと呼ぶべきか――を念の為に盾にするようにしてその後ろへと隠れる。
 先程俺が目を覚ました時に感じた衝撃の正体はこの残骸が機体に接触した音だったんだな。
 恐らくオペレーションSRWで撃破されたか、あるいはDC戦争時のコロニー統合軍の機体だろう。
 そんなリオンの残骸を見ながら、グロウセイヴァーの機体状況をチェックする。

「ファントムは残り11機、右手のグレイプニルが念動力のオーバーロードで動作不可。ファイア・ダガーは弾切れ。リニアレールガンの残弾は2発、ガン・レイピアは3発のみ、か」

 武器の損耗は著しいが、幸いグロウセイヴァーは時流エンジンを積んでいる為エネルギー消費の武器に関してはほぼ無尽蔵だ。よって現在使える武装は左手のグレイプニル、ビームガトリング砲、ハルバート・ランチャー、アダマン・ハルパーとなる。

「いや、あのベーオウルブズと1人で戦ってこの程度の損耗で済んでいるのだから幸いといった所か」

 残弾の少ない武装に関してはいつ補給できるのかも不明なので、もし戦闘になってもなるべく使わないようにしよう。
 そう考えると原作のアクセルが乗っていたソウルゲインはエネルギー消費か、そもそも弾数もエネルギーも消費しない武器のみとコストパフォーマンスには優れていたんだな。消費するのがエネルギーのみなら、時流エンジンをソウルゲインに積み込めばエネルギー切れの心配をしなくてもいいし。
 いや、でも近接戦闘用のソウルゲインであのベーオウルフと戦う事を考えれば機体損傷度がもの凄い事になっていたような気がする。実際、原作ではそれが原因で転移直後はまともに動かすのも難しかったらしいし。
 グロウセイヴァーが武器の残弾はともかく、機体損傷がないのは高機動射撃戦闘用の機体で、その距離でベーオウルフと戦えたからだ。そう考えると一長一短だな。

「あ、そういえば」

 ベーオウルフで思い出す。確かリュケイオスはきちんと空間倉庫に収容した筈だが、確認した時は念動力の使いすぎやら精神的疲労で朦朧としていたからきちんと確認しておくべきだろう。
 脳裏に空間倉庫の中身がリスト表示され、テロ組織から奪った武器各種や貯まりに貯まった金で纏め買いした物の名前が表示される。そしてリストの1番下にはきちんと『リュケイオス』の文字が。

「ふぅ、きちんと収納完了してたか」

 ……そう呟いた時、ふと気が付く。もしかしてファイア・ダガーの予備弾頭やリニアレールガンの弾丸を空間倉庫の中に入れておけば補充に苦労する必要もなかったんじゃないか?
 今更気が付いても後の祭りだが、地球へと降りればどうにか各種弾丸も手に入れる事が出来るだろう。あまり目立ちたくはないが、あちらの世界でやっていたように物資を奪われても表沙汰に出来ない所を襲うという手段もある。あるいは空間倉庫に入っている金塊で武器商人から買うという方法も。リニアレールガンの弾丸はレールガンを主武装とするリオン系列と弾の共用が出来る可能性があるので、ファイア・ダガーよりは弾丸の入手が容易だろう。

 とにもかくにも、リュケイオスが無事回収できた事が確認できただけでも良しとするべきか。

「……あ」

 そう思った時、再度気が付いてしまった。俺の空間倉庫は基本的に生物の収容は出来ないが、容量はかなり大きい。どのくらい大きいかと言えば、こちらで把握出来ないくらいだ。つまりは。

「ホワイトスターを奪えるんじゃないか?」

 原作通りなら、この一連の戦いは最後にホワイトスターがアインストに浸食されてラスボスとなる。ならその原因のホワイトスターを消しておくというのはありなのではないだろうか。
 オペレーションSRWが原作通りに進んでいるのならキョウスケルートであろうとリュウセイルートであろうと、エアロゲイターのメンバーは全滅している筈だ。
 正確にはヴィレッタや再生される予定のマイ・コバヤシなんかもいるが、少なくてもヒリュウ改やハガネがセプタギンを倒しにアイドネウス島へと向かった後には生命体は残っていない筈。後の問題は連邦軍がホワイトスターを占拠する前に回収できるかどうかだが……

「ASRSに賭けるか」

 なにせ俺の機体に装備されているのはあくまでもプロトタイプのASRSだ。実際、ブリットを吸収した時の戦いではトラブルを起こしてもいる。一応その後レモンがちょくちょく手を加えているのだが、原作のアースクレイドルで開発されたものより信頼性は低い。

「とは言え、結局はあるものを使うしかない、か」

 ASRSを展開しているとは言え、何が起きるか分からないのでリオンの残骸を盾にしたままホワイトスターへと近づいていく。
 生まれて初めての宇宙空間での行動だったので最初こそ多少ぎこちなかったが、さすがアクセルの身体と言うべきか。すぐにシミュレーションで体験した時のように自由自在に宇宙での行動をものにできた。
 恐らくこれが宇宙適性Sになっていたら最初からなんの戸惑いもなく操縦出来ていたのだろう。

「このままなんのトラブルもなくホワイトスターまで行ければいいんだが」

 あるいは、その台詞がフラグだったのかもしれない。メギロート5機とガーリオン2機が戦闘を行いながらこちらへと近づいて来る。
 このままASRSを展開して隠れているべきか、はたまた開き直って姿を現して7機とも撃破すべきか。迷ったのは一瞬。残弾が心許ない現状で好んで戦闘を行う必要もないと判断し、そのまま隠れている事にした。

「こっちに来ないで他の所に行ってくれよ」

 そう祈るのだが、不幸な事に7機の機体は戦闘を行いながらさらにこちらへと近づいてくる。
 だが、ガーリオンを操縦しているパイロットの腕がそれなりだった為か、アサルトブレードでメギロートを真っ二つにし、マシンキャノンやバースト・レールガンで残りのメギロートを全滅させた。

「助かった、か」

 そう安堵したのも悪かったのだろう。アサルトブレードで真っ二つにされたメギロートの上半身がこちらへと飛んできて俺が盾にしているリオンの残骸へと衝突。さらに間の悪い事に、それがなんらかのショックになってしまったのか唐突にASRSが解除され、グロウセイヴァーの姿が露わになる。

「そこの見慣れない機体、どこに所属しているものだ? 官、姓名を名乗れ」

 バースト・レールガンの銃口をこちらへと向け、通信を送ってくる。
 ちぃっ、運の悪い!
 思わず舌打ちをするが、逆に考えればこの2機をどうにかしてしまえば暫くは安全になるのだ。

「ファントムっ!」

 残された11機のファントムのうち6機を射出。恐らく初めて見る武器なのだろう、戸惑っているガーリオン2機へとレーザーブレードを使い攻撃を仕掛ける。
 1機につき3方向から寸分の乱れもなく突っ込んでくるファントムの姿に、ガーリオン2機は為す術もなく手足を斬り落とされた。

「悪いがしばらく漂流しててくれ。胴体部分には攻撃を加えてないから救助は呼べるだろう?」

 さすがにただこちらを見つけただけの相手を殺すというのは可哀そうだし、俺の心理的負担にもなる為に後を追ってこれないようにして連邦艦隊のいる方向へと流してやる。
 モニタで確認するとASRSが使用可能になっていたので、再度ASRSを展開してホワイトスターへと近づく。

 ……この2機のガーリオンのパイロットの報告により、グロウセイヴァーはマスタッシュマン……ではなく、インビジブルマンというコードネームを付けられるのだが、それは戦いが終わった後の話。

「よし。後は中から出てくるのを待つだけだな」

 ホワイトスターの外縁部へとグロウセイヴァーで取り付き、ASRSで身を隠してじっと機を窺う。
 そういえば、ホワイトスター近くにいるのはヒリュウ改。となると、この世界はキョウスケルートで進んでいる事になるのか。確かリュウセイルートだとヒリュウ改もホワイトスター内部に攻め込んでいた筈だし。

「……来たっ!」

 ホワイトスター周囲で戦っていたエアロゲイターの無人機達が唐突に動きを止める。恐らく内部でレビ・トーラーが倒されてホワイトスターの機能が停止したのだろう。
 その予想が正しかった事は数分後にホワイトスターから飛び出てきた機体群が証明してくれた。ゲシュペンストMk-Ⅲ……否、アルトアイゼン、ヴァイスリッター、グルンガスト系列が3機に隠しユニットのヴァルシオン改まで。そしてSRXやヒュッケバイン等々。それ等の機体を見た瞬間、ナニカを感じた。恐らく念動力者同士の共感のようなもの。あるいは、リョウト、アヤ、ブリット等の俺が吸収した念動力者達が平行世界の自分達と呼び合っているのか。
 その証拠という訳でもないが、SRXとヒュッケバイン2機が何かに動揺したかのように機体制御を崩している。
 だがそれもほんの数秒。すぐに自分達の母艦へと帰投してそのまま地球へと向かう。
 そしてそれをその2艦が十分に離れたと判断した俺は、ホワイトスターの表面にグロウセイヴァーの右腕を接触させる。

「空間倉庫、ホワイトスター回収」

 次の瞬間、コロニー並みの大きさを誇るホワイトスターの姿はこの宙域から消え去っていた。

「……ふぅ。どうやら無事に回収出来たようだな」

 脳裏に浮かぶ空間倉庫のリストには『ホワイトスター』の文字がきちんと表示されている。にしても、コロニー並の大きさも何の問題もなく回収可能とは……驚くべきか、呆れるべきか。

「何はともあれ、後は地球に降りる方法を考えないと」

 なにせグロウセイヴァーは特機並みの攻撃力を誇るが、特機ではない。ソウルゲインのようにその身一つで大気圏突破なんて真似は出来ないのだから。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:25
PP:95
格闘:206
射撃:224
技量:216
防御:213
回避:241
命中:263
SP:342
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:92 

 

番外編006話 0071.5話

 オペレーションSRW、それはラグランジュ5宙域に突如出現したエアロゲイターの前線基地と目されるホワイトスター攻略の為の作戦名だ。
 
 フェイズ1:PT・AM部隊と宙間戦闘機部隊で敵機を陽動しHOSジャマーでかく乱を掛ける。
 フェイズ2:第2次防衛線上の戦艦からホワイトスターに向けてMAPWとAMARVを搭載した核ミサイルを発射。
 フェイズ3:艦隊で可能な限りホワイトスターへ接近しヒリュウ改の超重力衝撃砲、ハガネのバスターキャノンを含む艦砲射撃。
 フェイズ4:ヒリュウ改とハガネ搭載機でホワイトスター内部へと乗り込む。

 以上が、オペレーションSRWの全容だ。
 そして現在は最終段階のフェイズ4。ホワイトスターを覆っていたエネルギーフィールドは破壊され、最後の希望とも言えるヒリュウ改・ハガネ所属のPT・AM部隊がホワイトスターに乗り込み、しばらく経っていた。

 ペレグリン級の艦長であるその男は、エアロゲイターの無人機に対して対空機関砲、ホーミングミサイル、連装ビーム砲による弾幕を張りつつも吉報を待っていた。エアロゲイターは基本的に無人機を主戦力とする故に、物量では自分達は勝てない。勝てるとするならそれは質なのだ。

「そして、その質を極めた部隊があのヒリュウ改とハガネの2艦なのだ」

 呟いた、その時。待ちに待った報告がオペレーターよりもたらされる。

「艦長! ハガネからの連絡、ホワイトスター内部にいたエアロゲイターの指揮官を倒したそうです!」
「本当か!?」
「はい!」

 待ちに待った報告であったとは言え、思わず問い返す艦長だったが、オペレーターは喜色満面とでも言うべき笑みと共に肯定した。
 そしてその証拠にふと周囲を見回すとエアロゲイターの無人機は動きを止めている。

「待て。無人機? 報告にあった有人機と思われるアンノウンはどうした?」

 少し前、友軍機がバグスと戦っていた時に突然姿を現した人型機動兵器。見慣れない機体であり、人型という事からどう見ても無人機には見えなかった為所属を尋ねたのだが、それに答えずに攻撃をしてきたと報告が入っている。

「こちらの機体を攻撃した後の消息は不明です」

 むぅ、と艦長が自慢の口髭を撫でながら考えを纏めていると、ヒリュウ改とハガネが急速にこの宙域を離脱していくのが見える。恐らく追加で何らかの任務が入ったか、あるいは補給でもしに戻ったのだろうと考えていたが、次の瞬間に聞こえてきた報告に耳を疑った。

「か、艦長……ホワイトスター、消滅です」
「何?」

 モニタを見てみると、確かにホワイトスターの姿がどこにも無い。あるのはただ宇宙空間のみだ。

「…………馬鹿なっ!? 衝撃波も何もなしに爆発したとでも言うのか!? オペレーター、各艦に連絡! ホワイトスターが消えた瞬間を見ていた者がいないかどうか至急確認を!」
「その、艦長。私ずっと見てましたが……本当に、ふっと、突然消えたんです」

 オペレーターの声が震えている。

「転移装置か何かではないのか?」
「いえ、ホワイトスターが出現した時に検出した反応は一切ありませんでした。本当に何の前触れもなく消えたんです」

 ホワイトスターが出現した時、偶然その現場にいた機体から得られたデータは全軍が閲覧可能だ。本来ならその機体のパイロットがいればもっと詳しい事が分かったのだろうが、機体自体はその時に破壊されておりデータのみが送信されてきたのだ。

「何だと言うんだ、一体……」

 呆然とした艦長の言葉が、静寂に包まれたブリッジに響き渡る。
 結局、ホワイトスターの突然の消滅の謎は解明されず、勝利したにも関わらずその実感を得る事の出来ないままオペレーションSRWは終了したのだった。 

 

0072話

 結局地球に降下する方法は思いつかなかったので、無難に連邦軍の宇宙船へと紛れ込む事にした。
 ASRSを展開したままホワイトスターがあった宙域に一番近い位置にいたペレグリン級へと近づく。この戦艦はイスルギ重工製というだけありAM用射出カタパルトを備えている戦艦だ。現在の連邦ではDCが製造したリオンの生産ラインを連邦軍がそのまま流用した影響でリオン系列の機体が最も多く、結果AMの運用に長けたペレグリン級の戦艦もその数を増やす事になった。

「……まだ誰もいないな」

 出撃した機体は、突然のホワイトスター消失により混乱しているのかまだ帰ってくる様子はない。格納庫にまだ数人の整備士達がいるが、それも急いで格納庫を出て行く。
 ……さすがにホワイトスター消失は意表を突きすぎたか。
 苦笑を浮かべつつも、空間倉庫からパイロットスーツを取り出し着替える。
 一応、向こうの世界の連邦軍用のパイロットスーツなので、このペレグリン級でも違和感はないだろう。

「ASRS解除」

 ASRSを解除しコックピットから格納庫へと出ると、すぐにグロウセイヴァーへと触り、空間倉庫の中へと回収。

「おい、今何かここになかったか?」

 恐らく整備員の1人であろうツナギを着た人物が声を掛けてきた。グロウセイヴァーの姿を見たのか? いや、言い切っている訳じゃないので恐らく空間倉庫に回収する時にちらっと見えたのだろう。

「ああ。俺も何かこの辺にあったように見えたんで様子を見に来たんだが……ご覧の通りだよ」

 いかにも偶然ここに来ました、といった雰囲気を出しながら肩をすくめる。

「それよりもちょっと前から妙に騒いでる奴が多いが、どうしたんだ?」
「何? 聞いてないのか?」

 俺の言葉に驚いたように尋ねてくる。既にその頭の中にはグロウセイヴァーの事など残っていないだろう。

「ああ、つい今し方まで割り当ての仕事をしててな」
「何でもホワイトスターが消え失せたって話だぜ?」
「ホワイトスター? あのコロニー並にでかいのが消えるなんてあり得るのか?」
「そのあり得ない事が起こったから皆騒いでいるんだよ」
「なるほど、なら俺も詳しい事を知りたいんだが、どこに行けば情報を集められる?」
「そうだな、やっぱり食堂じゃないか」
「分かった。なら早速行ってみるとするよ」

 整備員に声をかけ、格納庫を出て行く。
 この様子ではホワイトスターはともかく、アイドネウス島に出現したセプタギンの情報は伏せられていると見ていいだろう。
 まぁ、攻めてきたエアロゲイターの本拠地とも言えるホワイトスターが消え去ったのは考えようによっては良いニュースと言えるだろうが、アイドネウス島に駐留していた連邦軍がメテオ3に吸収されました、なんてのはどこをどう考えても悪いニュース以外の何物でもないからな。

「さて、この辺がいいか?」

 恐らく物置として使われているのだろう部屋の中へと入り込み、物陰で目をつぶる。
 エクサランスチームとの再会、デュミナスの出現と時空間転移。ベーオウルブズとの戦闘、化け物へと姿を変えたベーオウルフとの戦い、リュケイオスによるこの世界への転移とリュケイオスの回収、原作メンバーとの恐らく念動力による共振、そしてホワイトスター回収。主観時間の1日未満でこれだけの出来事があったのだ。こちらの世界へと転移した時に少し気を失っていたくらいでは、とてもじゃないが疲れは取れない。
 でもまぁ、転生してからの念願だった未来のある世界へと……やっとこれたんだから……少し……眠っても……





「……ん?」

 暗闇の中、目を覚ます。一瞬自分がどこにいるのか分からなかったが、すぐに思い出す事が出来た。

「そうそう。地球に降りる為にペレグリン級へ乗り込んだんだったか」

 呟いた瞬間、腹の虫が激しい自己主張をしてきた。周囲に誰か人がいれば絶対に聞こえていた音量で。

「そう言えば、最後に食事したのはいつだったか。ラウルやフィオナ達に会う為にテスラ研から出撃する前の朝食か」

 脳裏に空間倉庫のリストを表示し、まだ暖かいハンバーガー4個とペットボトルの烏龍茶を取り出して飢えを満たすように貪り食う。

「さて。艦内が妙に静かだが、艦内時間は何時なんだ?」

 部屋の時計を見ると、そこにはAM3:48分との表示が。そりゃあこの時間なら皆寝てるか。特に今日はホワイトスター消滅で一先ずはエアロゲイターの脅威が去ったんだし。セプタギンにしても、この時間なら既に原作主人公達が倒してくれているだろう。

「となると、最低半年は安全な期間だな。さて、どうするか。アースクレイドルに向かうか? いや、場所はアフリカのケニア周辺としか分かっていない現状では無事に辿り着けるかどうかも分からないし、そもそもシャドウミラーの本隊がまだ合流していないと俺はただの不審人物としてDC残党、いやノイエDCか。ともかくノイエDCに捕まってしまう可能性がある。となると、やはりアースクレイドルに向かうのはOG2が始まる半年後以降か。……折角安心出来るこちらの世界にやってきたんだし、しばらくは旅をしてみるというのもありか? まぁ、どのみち戦力は必要な訳で」

 空間倉庫からスライムを出し、扉の向こう側を偵察させる。

「よし、誰もいないな。……と言うか、最近はずっとアダマン・ハルパーとして使っていたから、この状態で使うのは久しぶりだな」

 スライムの偵察を利用し、誰にも会わないように注意しながら格納庫へと向かう。驚く事に、格納庫の中には整備員やパイロットの1人もいなかった。さすがにオペレーションSRWの直後――しかも大勝利――だけにベッドで良い夢でも見ているんだろう。
 だが、それは俺にとっても幸運な事だった。何せこれから色々と盗もうというのだから。

「さて、どんな機体があるか」

 格納庫の中を見回すと、かなりの数の機体が目に入る。損傷している機体も多いが、殆ど無傷のものも多い。
 まずはリオン系の基礎とも言えるノーマルのリオン。宙間戦闘能力を特化させた宇宙用のコスモリオン。バレリオンに……うわ、何だこの艦。バレリオンの種類が豊富だな。ノーマルのバレリオンにバレリオンの弱点である近接戦闘能力を強化したバレリオンV、バレリオン系の最上位機種であるヘビーバレリオンまである。そしてリオンの上位互換とも言えるガーリオンとガーリオン・カスタムもあるな。
 ガーリオン・カスタムを見るとユーリアの事を思い出す。
 シャドウミラーによる内乱が終わったらまた会おうと約束したが、結局もう2度と会う事はないのだ。
 せめて、あちらの世界で元気に暮らしていける事を祈ろう。

「取りあえず、リオン系は全部1機ずつ貰っていくとするか。後は、武器で何かいいのはないか?」

 予備の武器庫へと入り、中身を物色する。
 だが、オペレーションSRWで大量に使用した為か、M950マシンガンしか持って行けそうなものはなかった。いや、フォトン・ライフルとかそれなりに強力な武装があるにはあるのだが、1つしかない武器が消えていればすぐにバレるだろう。そういう意味では大量にあるM950マシンガンは狙い目なので3つ程いただいていく。
 このM950マシンガン。OGsでは改造するとかなり高性能な武器になるので持っておいて損はないだろう。なんなら本隊に合流した後にでもレモンに改造して貰ってもいいかもしれない。



「……よし、こんなもんだろう」

 お目当ての物資をあらたかた空間倉庫に取り込み、格納庫を出ようとしてふと気が付く。グロウセイヴァー独特の装備であるファイア・ダガーやガン・レイピアの弾丸はともかく、レールガン系統をメインにしているリオン系列ならリニアレールガンの弾丸を補給出来ないだろうか?
 もちろんグロウセイヴァーのリニアレールガンはリオン系列から流用したものではなく、レモンが開発したものだ。
 だがそもそもレールガンというのは電磁力を使い弾丸を発射するものであり、特に弾丸に火薬等を必要とはしない。つまりは同じレールガンの弾丸ならある程度は流用できる筈。
 もっとも、リオン系列のレールガンの弾丸はグロウセイヴァーで使えなくても今回頂いたリオン系を使う時にそのまま流用できるので必ずしも無駄という訳ではない。
 格納庫にある弾薬庫からレールガン関係の弾やM950マシンガンの予備弾倉を怪しまれない程度に貰い、格納庫を後にする。
 後はコルムナかどこかの拠点についたら地球へ降下するシャトルにでも紛れ込むだけだ。

 そうそう、それとベーオウルブズと戦った事でレベルアップして新しい精神コマンドの覚醒を覚えていた。使ってみたが、一度限界まで動いた後に何故かまた動けるようになるという、集中なんかと同じような不思議パワーを与えてくれるみたいだ。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
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   努力 消費SP8
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撃墜数:92 

 

0073話

 こちらの世界へ転移し、地球に降下してから半年が過ぎた。
 その間、俺は世界中を旅して回っていた。色々とトラブルにも巻き込まれもしたのだが、基本的に地球に降りてからは気楽に過ごせていた。
 ただ、気楽に過ごせていたのは俺くらいのもので、世間では新たに地球連邦政府の大統領になったブライアン・ミッドクリッドの東京宣言で異星人の存在を公表。それによって世間一般は大混乱と言ってもいい状況になっていた。
 あちらの世界から来た俺にとっては何を今更といった感じなのだが、この世界の人に取ってはまさに寝耳に水の出来事だったのでその混乱ぶりは予想できると思う。
 その混乱もようやく一段落してきたこの頃は、連邦軍の組織改革と軍備増強計画『イージス計画』が本格化してきているだろう。

 時期的にそろそろOG2が始まる頃なのでアフリカにあるアースクレイドルへと向かいたいのだが、俺の姿はアメリカはワシントンの連邦会議場近くにあった。
 何故この時期にここにいるのかと言えば、正直成り行きとしか言いようがない。カナダで知り合いになった旅行者にだらだらと付き合っているうちにワシントンへと来る事になり、折角ワシントンに来たのだからという事で、この連邦会議場を見学に来た訳だ。
 そして一通り見学して満足した後は『そろそろ1人旅に戻るから。じゃ』と短く挨拶してそのまま俺をここに置き去りにしてさっさと旅を再開するというサプライズを見せてくれた。おのれ。

「……まぁ、いなくなったのはしょうがない。俺もそろそろアフリカに向かわなきゃいけなかったし、ちょうどいいと言えばちょうどいいんだよな」

 溜息を吐き、早速アフリカに向かうべく空港へ向かおうとしたその時、ふと道の先に数人が集まり立ち話をしているのが見えた。
 いや、それだけならよくある普通の光景なんだが、その立ち話をしているのがあちらの世界の士官学校の教官並にゴツイ頑固親父といった様子の人物に、左手に手袋をしている金髪の2枚目、紫色の髪をしたロリ眼鏡と中華風の美少女とその父親らしき人物。そして第一印象では内気なように見えるが、その目には強い意志を感じさせる人物。つまりはカイ・キタムラにライディース・F・ブランシュタイン、ラトゥーニ・スゥボータの特殊戦技教導隊メンバーと、リオ・メイロン、ユアン・メイロン、リョウト・ヒカワのマオ社スタッフだというのが問題だった。
 ……そう言えば、確かにOG2ではこの場所での会話シーンがあったな。
 そんな事を思い出してとにかくこの場を去ろうとしたその瞬間、唐突に俺の方を振り返ったリョウトとまともに目が合ってしまう。
 その表情に浮かんでいたのは驚愕だろうか。はたまた郷愁だろうか。その感情は何であれ、俺を見て何かを感じたのは間違い無い。
 ユアン・メイロンに何かを告げ、そのままこちらへと近づいてくる。その様子を不思議そうに見ていたリオ・メイロンもまた、リョウトの向かう先にいる俺を見て驚愕の表情を浮かべる。
 原作組との距離は10m程あったが、リオの口が俺の方を見て『リョウト君?』と動いたのを見てしまう。
 そう言えばリオも念動力持ちか。それが俺の中にあるリョウトの念動力と共振でもしたのか?

「すみません、ちょっといいですか?」

 そんな事を考えていると、近づいてきたリョウトに声を掛けられる。
 ここは逃げの一手か? いや、ここで逃げると何か後ろ暗い事ありますと言ってるようなものだしな。まぁ、実際後ろ暗い事はあるんだが。

「何か?」
「あの、不躾ですが僕と以前どこかで会った事ないでしょうか?」

 あっちの世界では死体のリョウトと出会ってるし、こっちでもホワイトスターから脱出した時に機体越しにではあるが会ってるな。……いや、ホワイトスターの時はASRSを展開していたからあっちは気が付いていないか。

「いや、初対面だと思うが。何か心当たりでも?」
「いえ、でも貴方を見た瞬間に何だか妙に懐かしい思いがしたんです」
「リョウト君、その人とは知り合い?」

 リョウトと話していると、そこにリオもやってくる。その2人がこちらに来たものだから、他の面々もこちらへと近づいてくる。

「えっと、多分初対面だと思うんだけど……既視感っていうのかな。そんなのを感じたんだ」

 リョウトの話を聞き、リオが俺の顔を何か確かめるように見つめてくる。

「既視感、ね。実は私もこの人の顔を見た時に感じたんだけど……どこかリョウト君に似てるのよね。もしかして生き別れの兄弟って事ないかしら?」

 ……さすが念動力者、鋭い。いや、この場合は女の勘が鋭いと言うべきか?
 確かに俺の中にあるリョウトの念動力の事を考えれば、生き別れの兄弟というのもあながち的外れな意見ではない。

「いや、俺は元々兄弟がいないし。それ以前に俺と彼を見てどこか似てるか?」

 リョウトと俺では髪の色から顔立ちまで、似ている所は殆どないと言ってもいいだろう。まぁ、スパロボの世界なんだし兄弟で髪の色が違うくらいは普通にありそうだが。

「顔立ちは全然似ていないんだけど、何て言うのかな、印象? そう、2人から受ける印象が似ているのよ」
「うーむ、俺には似てるとは思えないが」

 リオの言葉に口を挟んできたのはカイ・キタムラだった。確かにリオとリョウトが俺に感じている感覚が念動力によるものなら、念動力の素質がないカイには理解出来ないだろう。
 だが、このままここでこの面子に顔を覚えられるのはちょっと面白くないな。さっさと退散させてもらうとするか。

「悪いが、俺にも用事がある。そろそろ行ってもいいか?」
「あ、すいません。確かに急に呼び止めてというのは失礼でしたね」
「いや、気にしなくていい。それよりも飛行機のキャンセル待ちをしたいので時間にあまり余裕がないんだ」
「時間を取らせてしまって申し訳ありませんでした」

 謝ってくるリョウトへと軽く手を振り、そのままその場を後にする。
 後ろではラングレー基地に行くとかで相談をしているが、もちろん現在は関わるつもりがないのでそのままスルーさせてもらう。
 ……ただ、ヴァルシオン改・タイプCFは趣味的に出来れば手に入れたい機体ではある。もっとも、ここで俺が手に入れてしまったらOG外伝で起きるODEシステムの騒動にどんな変化があるか分からないし、無理をする必要はないか。





 空港でキャンセル待ちをしていると、ネットのニュース系HPでイスルギ重工の保安課長が逮捕されたという記事がアップされていた。どうやらリオンタイプのパーツを横流ししていたらしい。
 これってあれだよな。クスハが人質に取られた奴。先程別れたばかりのリョウト達が首を突っ込む事件だ。

「ベーオウルフ、いやこちらではキョウスケ・ナンブか」

 こちらに転移してくる時に戦ったあの異形の巨人を思い出し、背筋がヒヤリとする。正直、もう2度とあんな敵とは戦いたくない。ないのだが……このまま原作通りに進んだ場合は遅かれ早かれアインストとは戦う事になるのだろう。

「失礼します、アクセル・アルマーさんでしょうか?」

 考え事をしていたのが悪かったのか、いつの間にか近くに来ていた男に唐突に声をかけられる。しかもこの世界に来てからは誰にも名乗った事のない名前で。

「……お前は?」

 場所が空港という事で手持ちの武器はない。だが、幸いな事に俺には空間倉庫という便利極まりないものがある。
 ズボンのポケットに手を入れて、そのまま空間倉庫からあちらの世界のテロ組織から手に入れたデリンジャーを取り出す。空港という人が大量にいる場所だが、幸いこのデリンジャーはテロ組織が使用していただけに消音性能が非常に高い、主に暗殺用の代物だ。周囲にこれだけの人がいる中でなら発砲音はまず間違いなく喧噪に紛れる。
 だが、そんな俺の警戒を気にもしていないようになんの躊躇もなく俺に近づき用件を話し出す。

「私はイスルギ重工からの使いです」
「イスルギ重工から?」

 ちらりと先程までイスルギ重工の保安課長が逮捕されたという記事が載っていたPDAへと視線を向ける。

「何か?」
「いや、イスルギ重工の保安課長がリオンの部品を横流しして逮捕されたとネットに流れていたんでな」

 その言葉を聞き苦笑する男。だが、苦笑をしているのだがその目には何の感情も現れていない。なんと言うか、量産型Wのように無機質なロボットをイメージさせる男だな。
 外見だけを見るならどこにでもいるごく普通の中年のサラリーマンといった外見なのだが、まさかごく普通のサラリーマンがこんな目をしている訳もない。恐らくイスルギ重工の裏に所属しているのだろう。

「早いですね、もう情報が流れたんですか」

 苦笑を浮かべつつ1通の手紙を渡してくる。

「これは俺が見ても良いのか?」
「ええ、うちの社長からです」

 手紙の裏には確かにミツコ・イスルギと書かれており、薔薇の封蝋がされていた。今時封蝋というのも古式ゆかしいと言うかなんと言うか。
 取りあえず目の前の男は味方と判断。デリンジャーを空間倉庫の中へと戻し手紙を開封する。
 中身は非常にシンプルに『同胞は大地の揺りかごにあり』とだけ書かれていた。
 大地の揺りかご、アースクレイドルか。同胞というのはもちろんレモンとヴィンデルで間違い無いだろう。
 なるほど、もうアースクレイドルに入ったか。

「非常に助かる情報だが、何故俺がここにいると分かったんだ?」
「自覚がないようですが、貴方は非常に目立ちます。良い意味でも、悪い意味でも。外見の特徴が分かっていればイスルギの情報網で見つけるのはそれ程難しくありません」
「目立つ、ねぇ。まぁ、いいか。それで俺はこれからどうすればいいんだ?」
「貴方が希望するのなら大地の揺りかごまでご案内するように言われていますが、どうしますか?」
「……そうか。じゃあ頼む。手配なんかは全部任せていいんだな?」

 目の前の男の提案を受けるかどうかは一瞬迷ったが、すぐに了承する。この男が持ってきた手紙から考えるに、既にヴィンデル達はイスルギ重工と手を結んでいるのだろう。ならヴィンデル達の仲間の俺に変なちょっかいをかけてくる心配は無いと判断した為だ。
 まぁ、何かしようとしてきても対処が可能という自信があるのも間違いではないのだが。格闘・射撃共に200をオーバーしているのは伊達じゃない。

「分かりました、ではこちらへ。向こうに輸送機を用意しております」
「輸送機?」
「はい、補給物資等もありますので」

 俺のついでに補給を送るのか、はたまた補給のついでに俺を送るのか。まぁ、どっちにしろ助かるからいいんだけどな。

「分かった。よろしく頼む」

 イスルギ重工の男の後ろに付いていく。
 いよいよアースクレイドル、か。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
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精神:加速 消費SP4
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    ガンファイト LV.9
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    ???
    ???

撃墜数:92 

 

0074話

「アクセルさん、ちょっといいですか?」

 タウゼントフェスラーの客室で寛いでいると、声を掛けられる。そこには空港で俺に声を掛けてきた男の姿があった。

「どうしたんだ?」
「非常に申し訳ないのですが、社長がこれから起きる仕事を手伝って欲しいと」
「仕事?」
「ええ。いわゆる裏の仕事という奴ですね。アクセルさんの上司から許可は貰ってると言えば理解してくれると」

 ヴィンデルの許可済みか。となると断る訳にもいかないな。

「分かった。で、具体的には?」
「すいません、細かい話は私も聞いていません。ただ、受けて貰えるようなら艦を乗り換えてもらう事になるとだけ。詳しい話は先方で聞いて欲しいとの事です」
「そうか。なら急ごう」

 それなりに乗り心地のいいタウゼントフェスラーから降りるのは残念だが、仕事ならしょうがない。それにしても15機しか建造されていない筈のタウゼントフェスラーを所持しているとは、さすがイスルギ重工と言うべきか。

「相手との合流は5分後です」
「5分後? もうすぐそこまで来てるのか。早いな」
「社長曰く、時は金なりらしいですから」

 その会話から5分後、タウゼントフェスラーは地上へと着陸する。周囲は崖に囲まれている為、連邦軍に発見される恐れは少ない。
 タウゼントフェスラーから降りると、目の前には剣のような艦首衝角が特徴的な地上戦艦、ライノセラスの姿があった。

「では、私共はここで失礼させて貰います。アクセルさんも気をつけて」
「ああ、世話になったな」

 てっきり、このライノセラスへと補給物資を積み込むのかと思ったが補給物資の行き先はあくまでもアースクレイドルらしい。タウゼントフェスラーは俺を降ろすとさっさと飛び去ってしまった。

「で、お前等が俺の迎えって事でいいのか?」

 振り返った先には2人の男女の姿があった。男は冷静な表情でこちらを観察している。女は興味津々といった顔をしている。男の方はユウキ・ジェグナン。女の方はリルカーラ・ボーグナイン。言うまでもなく原作キャラだ。

「そうです。自分はユウキ・ジェグナン少尉。こちらはリルカーラ・ボーグナイン少尉です」
「俺はアクセル・アルマー。階級は今はないな。原隊復帰したら大尉に戻るだろうが、今回はあくまでもそっちの手伝いだからそんなに気を遣わなくていいぞ」

 にしても、ユウキとカーラか。そうなるとライノセラスの艦長でこの2人の上司はあの狂人で間違いないだろう。

「よろしくお願いします。早速ですが今回の作戦指揮を執られるアーチボルド少佐が待ってますので乗艦をお願いします」
「ああ、案内を頼む」

 ライノセラスへと乗り込む2人の後をついて行き、ブリッジの中へと入るとそこには黒くて丸いサングラスをした男の姿があった。アーチボルド・グリムズ。あのエルピス事件を引き起こした実行犯。正直、気に食わない。この男の姿、性格、気質。それら全てが気に食わない。すなわち、この男の存在自体が気に食わないのだ。

「貴方がローズの言ってた協力者ですか?」
「……ああ。今回はあちらからの依頼で協力する事になった。ただ、何に協力するのかは聞いてないから説明を頼む」
「分かりました。ユウキ君、説明をお願いします。私はそろそろ紅茶の時間ですので」
「了解しました。ではブリーフィングルームを使ってもよろしいでしょうか?」
「ええ、お願いします」
「では、アクセル大尉こちらへ」

 ユウキとカーラの案内でブリーフィングルームへと向かう。その途中、ユウキが話しかけてきた。

「アクセル大尉、アーチボルド少佐と何か因縁が?」
「そうそう、少佐に会った途端雰囲気が変わるんだもん。驚いたよ」

 ……気持ちは押し殺したつもりだったが、どうやら甘かったらしい。

「いや。……お前達2人は少佐がどのような人物か知ってるのか?」
「いえ。配属されたばかりですので」
「そうか。ならお前達もそのうち知る事になるだろうさ」
「……そうですか。あぁ、ブリーフィングルームはこちらです」

 ブリーフィングルームの中へと入ると、早速モニタを起動してどこかの基地を表示させる。

「ヒューストン基地です。今回の作戦の目的はここに配備されている新型、量産型ヒュッケバインMk-Ⅱを奪取する事になります」

 あぁ、原作でもそういう話があったな。確かにあそこではアーチボルドが出てきて量産型ヒュッケバインMk-Ⅱを奪っていった。だが、ユウキとカーラはいなかった筈だが。

「なるほど。目的は理解したが、機体を持ってきていない俺に何か手伝えるのか?」
「あ、機体に関してはこの艦に積んであるガーリオン・カスタムを使って構わないらしいよ。新型のブースト・ドライブとかいうのを積んでる奴で1機はアーチボルド少佐が乗るけど、もう1機はアクセル大尉に任せるみたい」
「ブースト・ドライブ?」
「なんでもどこかの企業から流れてきた技術で、かなり高い機動力を機体に与えるらしいね」
「カーラ、大尉に向かってその口の利き方は」

 気安いカーラの口調を咎めるユウキだが、シャドウミラー自体がそれ程厳格な組織じゃない。いや、正確にはやる事をきちんとやるのであれば、という大前提があるが。

「ユウキ少尉、気にするな。俺の所属していた部隊もそこまで厳しい組織じゃなかったからな。やる事をきちんとやるならそこまで堅苦しい態度を取る必要はないさ」
「……了解しました。大尉がそう言うのなら」

 恐らく不承不承だろうが頷くユウキ。

「さすが大尉、部下の心を掴むのが上手ですね」

 カーラがパチリとウィンクをしてみせる。

「まぁ、とにかく俺はこの艦にあるガーリオン・カスタムに乗って作戦に参加すればいいんだな。作戦指揮は?」
「それはアーチボルド少佐が自ら出撃すると。また、自分達の機体は調整が間に合いませんでしたので今回はライノセラスにて待機する事になります」
「……了解した」

 アーチボルドの名前を聞いた途端、多少なりとも良い気分だったのがスッと一瞬にして冷え切った。
 だが、なるほど。この2人があの時に出なかったのは機体の調整が間に合わなかったからなのか。

「で、作戦開始時間は?」
「もうそろそろヒューストン基地近くに到着する筈ですが」

 ユウキがそう答えた瞬間、ブリッジから作戦準備をするようにと通信が入る。

「じゃ、早速行くとするか。格納庫まで案内頼む」

 2人にそう言ってブリーフィングルームを出て行く。





「さて、ではそろそろ戦闘の時間です。アクセル君も準備はいいですね?」
「ああ、こちらも準備は整っている。いつでもOKだ」

 隣を飛んでいるアーチボルドのガーリオン・カスタムから通信が入る。
 俺とアーチボルドのガーリオン・カスタムが1機ずつ。そしてガーリオンが3機にリオン・タイプFが4機の合計9機での作戦行動だ。一応、後詰めとしてリオン・タイプFがもう4機来るらしいが。

「では、行きますよ!」

 速度を増したアーチボルドの機体に追従するように、俺を含めた残りの機体が後を追う。全機がブースト・ドライブ搭載機なので、迎撃に出てきたリオンを置き去りにして突き進む。もっとも後を追ってこられても面倒なので、通り魔の如くバースト・レールガンやアサルトブレードで損傷を与えていくが。

「見えた!」

 ガーリオンの1機が興奮した声を上げる。確かに俺の乗っているガーリオン・カスタムのモニタにもヒューストン基地が映し出されている。

「ふふふ、連邦のパイロットはまだまだリオンの扱いに慣れていませんねぇ。あの程度の腕では僕達を捉える事は出来ませんよ。おかげで思ったより簡単に基地へ侵入できました」

 得意げな口調で喋っているアーチボルドだが、確かに連邦軍のリオンは動きがいまいちだった。

「少佐、目標の機体はまだ出ていません。ただ代わりに新型の戦闘機が」
「ほう、あれが プロジェクトTDの実験機ですか」

 ヒューストン基地の空を飛び回る赤と白の2機の戦闘機、カリオンか。テスラ・ドライブを2機装備している為運動性能に関して言えば俺の乗っているガーリオン・カスタムよりも上だろう。
 そしてカリオンを開発しているプロジェクトTDに資金援助をしているのはイスルギ重工。その社長であるミツコ・イスルギと繋がっているアーチボルドには当然その情報も流れている訳だ。

「アーチボルド少佐、あの機体も鹵獲を?」
「ああ、無視して下さい。僕達の獲物じゃありませんから」
「はっ!」

 そしてその予想を裏付けるかのように、部下が聞いてきたカリオン2機の鹵獲を却下するアーチボルド。
 だが、カリオン2機はこちらへと向かってくる。
 ヒューストン基地所属のPT部隊が出るまでの時間稼ぎか。

「おや? 離脱せずにこちらとやりあう気ですか」

 さすがのアーチボルドも意外そうな口調で呟く。

「情報では非武装の実験機だとの事ですが」
「やれやれ、どうやらローズに一杯食わされたようですね。仕方ありません。コーツ隊は実験機の相手を」
「はっ!」
「ああ、そうそう。くれぐれも功を焦ってあの2機を攻撃しては駄目ですよ。スポンサーを怒らせると、これからの僕達の活動に支障が出ますからね」

 あるいはローズ、もといミツコ・イスルギは俺の腕を確かめたかった為にカリオンが武装しているという情報を隠していたのかもしれない。そう思うのは俺の自惚れだろうか。

「ところで、僕達の獲物は見つかりましたか?」
「はっ、熱源反応を確認。機数4。出撃準備中のようです」
「結構。じゃあ、僕達はもう少し様子を見るとしましょう」

 コーツ隊と呼ばれたリオン・タイプFが4機、カリオンへと向かっていくのを見ながら俺達ガーリオン隊は獲物の出現をじっと待つ。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:25
PP:95
格闘:206
射撃:224
技量:216
防御:213
回避:241
命中:263
SP:342
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:92 

 

0075話

「少佐、基地に動きがあります。どうやら目標が出てくるようです」
「ほう、ようやくですか。では、ガーリオン隊とアクセル君は第3段階に移行を。中のパイロットは殺して構いませんから」
「了解した」

 アーチボルドからの命令に短く返す。確かに本来なら殺した方が手っ取り早いのだが、わざわざアーチボルドを喜ばせてやる義理もないだろう。

「ブースト・ドライブ!」

 機体に装備されたブースト・ドライブのスイッチをONにして普通のガーリオンでは出せない速度を叩き出し、まだ起動したばかりの量産型ヒュッケバインMk-Ⅱへと近づく。
 突然速度を増したこちらに動揺したのか、量産型ヒュッケバインMk-Ⅱの動きは鈍い。
 俺の機体と同時に、他のガーリオン3機もそれぞれ目標の機体へと取り付いていく。

「パイロットに告げる。機体から降りろ。でないとコックピットごと潰す」

 バースト・レールガンの銃口を量産型ヒュッケバインMk-Ⅱのコックピットへと突きつけ、接触回線で勧告する。
 ただし勧告したのは俺だけで、他の3機はコックピットへアサルトブレードを叩き込みパイロットごとコックピットを潰していた。

「他の3機のパイロットはコックピットごと潰されたぞ。どうする?」
「ひいいぃぃぃっ!」

 仲間のパイロットが潰されるのを間近で見たのがショックだったのか、あるいは実戦経験のない新兵だったのか。ともかく俺の押さえていた量産型ヒュッケバインMk-Ⅱのコックピットから涙と鼻水を垂らしながら出てきてそのまま基地へと向かって走っていった。

「少佐、機体の奪取に成功しました!」
「上出来です。後詰めは僕達に任せて、直ちに離脱を」
「はっ!」

 他の3機に比べて少し遅れつつも機体の奪取に成功すると、ガーリオンのパイロットがアーチボルドへと報告する。

「にしても、アクセル君は人道主義ですね。もしかして人殺しを忌み嫌う質ですか?」
「別にそういう訳じゃない。だが殺さなくてもいいのなら別に殺さなくてもいいだろう。実際、俺が鹵獲した機体はコックピットが無傷で他の3機よりも状態はいい」

 まさか人を殺した場面を見たお前が喜ぶのが嫌で殺さなかった、なんて本当の事を言う訳にもいかないので、適当にそれらしい理屈を並べる。

「まぁ、いいでしょう。後は僕達に任せて先に行って下さい」
「ああ。先に行かせて貰う」

 ブースト・ドライブを全開にし、量産型ヒュッケバインMk-Ⅱを持ち上げたままライノセラスへと帰還する。
 原作だと俺達が去ったあとにATXチームが来るんだが……ラミアは確かこの時点で既にATXチームに所属していた筈だ。ただし、転移のショックで言語機能がバグってるんだが。





「アクセル大尉、無事戻ってこれて何よりです」

 ライノセラスの格納庫へと戻ると、ユウキが俺を出迎えてくれた。もちろんカーラは自分の定位置とばかりにユウキの隣へと陣取っている。

「ああ、この機体は結構使える。ただ連邦軍も新しい機体を配備しだしている事を考えると、機体の寿命は短いかもしれないな。ブースト・ドライブの速度を考えると、今回みたいに一撃離脱用の作戦には丁度いいんだが」
「新しい機体ですか」

 そう呟いたユウキの目は俺が奪取してきた量産型ヒュッケバインMk-Ⅱへと向いている。
 こちらの世界ではリオンや量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの後継機がこの量産型ヒュッケバインMk-Ⅱで、そのさらに後継機がエルアインス……いやエルシュナイデとなる。
 正直、ヒュッケバインの量産型と言われてもその姿は全く似ていない。例えて言うのなら、ガンダムとその量産型であるジムの姿が全く似ていないと同じようなもの、といえば分かりやすいだろうか。額のV字型アンテナが省略されているのなんて、もろにその例えに近い。

「アクセル大尉?」
「いや、なんでもない。それよりこれからどうするのか聞いているか?」
「あ、あたし聞いてる。メキシコ高原にある基地に向かうらしいよ。そこで本隊と一端合流するんだってさ」

 本隊……となると、バン・バ・チュン大佐か。

「なら、俺はそこでお別れだな。恐らく本隊とやらの艦の方に乗る事になるだろう」
「え? そうなんですか? 会ったばかりなのにもうお別れなんて残念。ユウもそう思うよね?」
「ああ、そうだな。アクセル大尉には是非紅茶をご馳走したかったんだが」

 ユウキが珍しくカーラの軽口に付き合っている。話題が紅茶だからか?

「ほう、俺もどちらかと言えばコーヒーよりは紅茶派なんだが」
「本当ですか? どこの茶葉が好みですか?」
「あ、いや。紅茶派と言ってるがそこまで詳しい訳じゃない。普段は缶の紅茶だしな」
「勿体ない。紅茶が好きならそんな邪道な真似はしないで、是非自分で淹れるべきです! いえ、まずは手本が必要ですね。是非自分の淹れた紅茶を飲んで下さい」

 うわ、ユウキってこういうタイプだったのか。いや、原作でも紅茶に拘りを持っていたしそんなにおかしくはないのか?

「あ-、大尉、地雷踏んじゃいましたね。こうなったユウはもう止められませんよ」
「大尉、本隊との合流までそんなに時間がありません! 是非邪道ではない真実の紅茶を!」

 いや、真実の紅茶って何だよ。
 結局俺はユウキから紅茶の真髄とやらの講義を聴かされる事になった。



「アクセル大尉、もうそろそろ基地に到着するとの事ですので下船の準備をお願いします」

 ライノセラスの速度が落ちてきたのを見計らったかのように、ユウキから声を掛けられる。
 とは言っても、ワシントンの空港からタウゼントフェスラーに乗って、このライノセラスへと乗り換えて来たんだから、荷物は旅をしていた時のボストンバッグくらいしか持っていない。
 元々本当に必要なものはグロウセイヴァーを含めて空間倉庫に収納してあるので、ボストンバッグに入っているのは本当に着替えくらいだ。
 そのボストンバッグを手に取るだけで、下船準備は完了する。

「準備完了だ。いつでも降りれるぞ」
「荷物はそれだけですか?」

 呆れたような口調のユウキだが、隣にいるカーラは何故か残念そうな顔をしている。

「アクセル大尉の私物なんだから、何か面白そうな物があると思ったのに。残念」



「じゃ、アクセル君はちょっとここで待ってて下さい。僕は話をつけてきますので」

 基地の司令室へと入っていくアーチボルドの後ろ姿を黙って見送る。
 こちらの世界ではDC戦争の後にアードラー・コッホがDC残党を纏めて反乱を起こすが、それもハガネやヒリュウ改に潰された。その状態でここまでDCという組織を維持し、拡大してきたバン・バ・チュンという男はやはりそれなりの人物なのだろう。
 そんな風に考えていると、扉が開きアーチボルドが顔を出す。

「アクセル君、バン大佐に紹介するので入ってきて下さい」

 アーチボルドの言葉に頷き、司令室の中へと入る。
 部屋の中でまず最初に目に入ってきたのは1人の男。日焼けした浅黒い顔に幾筋もの傷跡が残っている。この男がバン・バ・チュン。その男から受けた印象は、司令官と言うよりも熟達した戦士のそれだった。だが、考えてみれば目の前の男は元々民族解放運動のリーダーをしていたのだ。恐らく最前線で戦っていたのだろう。

「初めましてだな。私はバン・バ・チュン大佐だ。現在のDCを纏めさせてもらっている」
「俺、もとい自分はアクセル・アルマー大尉です。よろしくお願いします」

 さすがに大佐クラスの相手となると、ユウキやカーラに言っていたように砕けた態度で接する訳にもいかないのできちんと敬礼する。

「ああ。ところで大尉はアースクレイドルの協力者との事だが、詳しい事を説明して貰っても構わないかね?」

 さて、どうするか。まさか正直に平行世界で反乱を起こしたけど失敗したので逃げてきました、なんて言う訳にもいかない。となると機密を盾にするしかないか。

「一応、その辺は機密となってますので自分からはお答えできません。ただ、アースクレイドルに行けば上司がいる筈ですので、話はそちらの方でお願いします。こちらから言えるのは、イスルギ重工との繋がりでアースクレイドルと関わった、とだけ」
「ふむ、機密か。アースクレイドルに行けば分かるというなら、それもいいだろう。それにイスルギ重工に関してはこちらも支援して貰っている身だ。とやかく言う事は出来んしな」

 どうやら言い逃れる事には成功したか。その辺の詳しい話はアースクレイドルにいるヴィンデルに任せるとしよう。

「それでこれからの予定はどうなってるんでしょうか?」
「アースクレイドルからの迎えが8時間後にテビク沖へ到着する予定だ。その案内に従ってアフリカへ渡り、アースクレイドルへという流れだな。大尉も同道するという事でいいんだな?」
「はい、お願いします。こちらとしても上司と合流しようと思っていたのですが、アースクレイドルのある場所が大まかにしか分からなかったので渡りに船です」
「ふ。呉越同舟とならなければいいが、な」

 口元には笑みを浮かべているが、その目は鋭くこちらを観察している。だがそれも当然だろう。現在の俺はあくまでも自称アースクレイドルの協力者でしか無いのだから。

「それはこれからの行動で示していきたいと思います」

 思わずそう返すが、原作通りの流れだとオペレーション・プランタジネットで裏切るんだから、バン大佐の読みは間違ってはいない。

「では出発までもう少し時間がある。部屋を用意するからそちらで休んでくれ」
「ありがとうございます」

 さて、ようやくアースクレイドルに向かえるか。本来ならタウゼントフェスラーでワシントンから直行だった筈が、かなりの回り道になってしまったな。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:25
PP:95
格闘:206
射撃:224
技量:216
防御:213
回避:241
命中:263
SP:342
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
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    ???
    ???

撃墜数:92 

 

0076話

「あれがアースクレイドルか」

 バン大佐の指揮するライノセラスに乗り、アフリカへと渡りようやくここまで辿り着いた。原作同様アーチボルドが陽動として暴れている為か、こちらはトラブルも特に無い平和な旅路だった。
 個人的には中国の蚩尤塚で龍王機と虎王機に接触してみたかったというのもあるが、アインストと早速ご対面というのもちょっと遠慮したい。

「アクセル大尉。アースクレイドルの責任者と会う事になるのだが、君も一緒に来るように」

 ブリッジにあるモニタでアースクレイドルを眺めながら考え事をしているとバン大佐から声をかけられる。
 アースクレイドルの責任者というと、イーグレット・フェフか。原作のレモン曰く純粋な科学者という事で、シャドウミラーの事情も理解している筈だ。

「了解」

 アースクレイドルの内部に入ったライノセラスから、バン大佐と共に降りてイーグレット・フェフの下へと向かう。



 その部屋にいたのは青い長髪を後頭部で縛っている中年の男、イーグレット・フェフ博士だった。
 こうして見ると、科学者というよりは流浪の格闘家か何かのように見えるな。
 そんな事を考えていると、フェフ博士が口を開く。

「ようこそアースクレイドルへ、バン大佐。我々はあなた方を歓迎する。そして……」

 そこまで言って、俺へと視線を向けてくるフェフ博士。その目は理知的なようでありながら、どこか狂気を秘めている。

「君がアクセル・アルマー大尉か。話は聞いている。よく無事にこのアースクレイドルまで辿り着いてくれた」
「いや、バン大佐が拾ってくれたおかげだよ」
「イーグレット・フェフ博士、困窮に喘ぐ我が同志達を受け入れてくれた事を感謝する。ところで、ここの責任者であるソフィア・ネート博士はどこに?」

 フェフ博士の言葉で俺への疑いはある程度晴れたのか、バン大佐がフェフ博士へと声を掛ける。

「彼女は人工冬眠中だ。自らの意思でな」
「……」
「その事に何か疑問でも?」
「DC戦争終結後、アースクレイドルは彼女の意思により地中での眠りについたと聞いている。それが何故今になって活動を再開して、尚且つ我々への協力を申し出てきたのだ?」
「アースクレイドルのメンバーは元々その大半がDCの出身者や関係者だ。我々が大佐達に協力するのはおかしな事ではないだろう?」
「だが、アースクレイドルは最悪の事態に備える為の、人類の種を存続させる為の施設だ。現時点で異星人が具体的な動きを見せておらぬとは言え、いささか軽率ではないか? 特にホワイトスターの行方が分からぬこの状況で」

 追求するバン大佐と、それを躱すフェフ博士。なんと言うか、こういうのを狐と狸の化かし合いとでも言うのだろうか。

「フッ、さすがはビアン総帥の死後にDC残党を纏め上げた男だ。与えられた力をただ享受するような真似はせんか」

 唐突に部屋へと入ってきたのはヴィンデルだった。俺にとっては半年ぶりになる顔だが、その顔は相変わらず意志の強さを感じさせる。

「何者だ?」
「ヴィンデル・マウザー大佐だ。アースクレイドルの協力者だと言っておこう。そしてバン大佐が連れてきてくれたアクセルの上司でもある。久しいな、アクセル。随分とのんびりしていたようだが、腕は落ちてないだろうな?」
「ふん、それを確かめる為にここに新型機の奪取なんていう仕事をまわしたのか?」
「先方の要望もあってな。だが、アクセルの事だ。ヘマをするなんて思っていなかったよ」

 俺とヴィンデルが話をしている間にも、バン大佐とフェフ博士の会話は続いている。

「バン大佐は、異星人の脅威が払拭できぬ現状でアースクレイドルを表に出すのが危険だと言うのだな?」
「そうだ。いずれ我々は彼らと戦う事になるのだからな」
「では我々が連邦軍どころか、異星人と互角に戦える力を手に入れつつあると聞けばどうだ?」
「力だと?」
「そうだ。そこにいるヴィンデル・マウザー大佐率いる部隊が提供してくれた技術だ。それにより、我々はクレイドル内でのPTやAMの量産。そして、それらを超える機動兵器の開発に成功している」

 PTやAMを超える機体? ランドグリーズの事か? 個人的には足を止めての撃ち合いをメインとするヴァルキュリア系の機体はいまいち好みじゃないんだが。ランドグリーズよりはブースト・ドライブを搭載したガーリオン・カスタムの方が使えるように感じる。
 それに、軍隊として必要なのは兵器の質もそうだが、それを操るパイロットの質も重要だ。いくら高性能な機体でも、乗っているのがヘボパイロットなら意味は無い。あちらの世界でエルアインスに乗っていたハンス中佐が良い例だ。
 バン大佐も元は民族解放運動のリーダーだけありその辺は十分に理解しているのだろう。

「だが、それだけでは異星人に勝てまい」
「だからこそ、連邦の体制を武力で変えると言うのだろう? バン大佐」
「そうだ。 L5戦役の勝利など一時しのぎに過ぎん。異星人との闘争は、まだ始まったばかりなのだ。実際、エアロゲイターの前線基地であったホワイトスターはその姿を消し、いつまた攻め込んでくるのか分からない状況だ」

 まさかホワイトスターは俺の空間倉庫に収納済みです、と言う訳にもいかないのでその辺は黙って聞き流す。ホワイトスターの回収に関しては俺の能力も含めて迂闊に話せない秘密だ。話せるとしたら、俺の能力の事を知っているレモンくらいだろうか。
 本来の歴史を知っているのならホワイトスターが無いのはおかしいと感じるのだろうが、幸いな事に向こうの世界で現れた異星人はエアロゲイターではなく、インスペクターだ。そしてホワイトスターはエアロゲイターの物なので、向こうにはホワイトスター自体が無かった。
 そんな事を考えている間にも、俺以外の3人で話しはどんどん進んでいく。

「我々もその考えに賛同している。故に大佐の本懐を遂げる為の下準備をしている所だ」
「下準備?」
「ああ。新生DCの皮切りとなるアフリカ北部制圧作戦、デザートクロス作戦。それを成功させる為の充分な戦力をすでに用意してある」
「ほう」
「どうだ、バン大佐? ヴィンデル大佐の言う通り後は機が熟するのを待つだけなのだ。早く各地へ散っている同志に集結命令を出した方がいいぞ」
「……ローズは今回の件を承知しているのか?」
「無論だ」
「了解した。諸君らの協力に改めて感謝する」

 ローズ、いやイスルギ重工の機嫌を伺うような発言が出るが、現状のDC最大のスポンサーであるのだからその意思は無視出来ない、か。

「全てはビアン総帥の遺志。そして、我らの手で作り出す新しい秩序の為に」
「うむ」

 その会話を最後にして、3人の会談は終わりを告げた。
 バン大佐とフェフ博士はこれからのDCの活動について打ち合わせがあるとかで部屋に残り、俺はヴィンデルに連れられてシャドウミラーに割り当てられている区画へと向かう。

「ヴィンデル、結局戦力はどのくらい持ってこれた?」
「そうだな。大まかにだがエルアインス120機、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ80機、量産型アシュセイヴァー50機、ラ-ズアングリフとランドグリーズが20機ずつ、アシュセイヴァー10機にその他諸々あわせてざっと350機という所だな。他は転移の際に時空の捻れに巻き込まれて消滅した。お前が使っていたネバーランドもこちらには辿り着いていない」

 350機、か。原作だと確か250機前後しか転移に成功しなかった筈だから、大体100機程増えた事になるのか。これはアギュイエウスとリュケイオス、そして時流エンジンの開発に関わったレモンのおかげだろう。

「ネバーランド以外のトライロバイト級は?」
「ギャンランドは無事にこちらに辿り着いていて、すぐにでも使用可能だ。ワンダーランドは無事に辿り着いたものの、損傷が酷い為に現在修理中。アークランドは大破と言ってもいい状況だな。よって修理を断念。部品はワンダーランドの補修部品へとまわしている」

 アークランドは元々武装が壊れた状態で、輸送艦として使われていたのだから部品取り用にまわされてもしょうがない、か。

「にしても、ネバーランドにアークランド。俺が乗った艦が悉く消えたり壊れたりするのは呪われでもしているのか?」
「ふっ。世界に反旗を翻した俺達だ。呪われているとしてもそれはある意味当然と言えるんじゃないのか?」

 珍しく冗談を口にしたヴィンデルに驚く。こいつもこの世界に転移してきて多少は変わったのかもしれないな。
 そんな風に会話を続けながら歩いていると、指紋認証や網膜認証等の強固なプロテクトがかかった扉へと辿り着く。

「この先が私達シャドウミラーが借りている区画だ。あまり詮索されるのも嬉しくないのでな、厳重に行き来を制限している」

 指紋や網膜を認証して扉が開くと、向こうには武装した量産型Wの姿が数人見えた。
 侵入者対策にここで待機しているんだろう。

「ご苦労」

 ヴィンデルの言葉に敬礼をし、道を空ける。俺もその後に続いて通路を進む事数分。大きめの部屋へと辿り着く。
 中に十数人の量産型Wがコンピュータへと向かって何やら作業をしている。この部屋の印象を一言で表すなら作戦司令室とでも言えばいいのだろうか。

「アクセル!」

 部屋の中を見ていた俺に声を掛けてきたのは、レモンだった。その顔には笑みが刻まれている。
 ……ただし、目は笑っていないのだが。
 拙い、アレはなにか怒っている顔だ。それも怒りを表に出すのではなく、内に溜め込んでいる。

「レモン、久しぶりだな。元気にしてたか?」

 ヴィンデルやレモンはともかく、俺に取ってはこちらの世界に転移してきてすでに半年以上が経っているのだ。久しぶりにレモンの顔を見ると、胸の中にじわりと暖かい何かが湧き上がるような気がする。
 ……それが例え、怒っているレモンだとしても。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:25
PP:95
格闘:206
射撃:224
技量:216
防御:213
回避:241
命中:263
SP:342
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:92 

 

0077話

「さて、アクセル。あれからどうしたのかしら?」
「あれから?」

 ピクッとレモンの眉が動く。やばい、何かミスったか?

「テスラ研で私と別れてからよ。ベーオウルブズと戦いになったんでしょう?」
「ああ。部下の4機を倒して、右腕を叩き落としてやった。だが、その後がな」
「その後?」
「何か触手のようなものを伸ばして、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの残骸を吸収してグロウセイヴァーの3倍近い大きさの化け物に変化した」
「そんな……」
「一体、奴は何者なんだ? 少なくても人間とは言えないだろう」

 俺の言葉に驚くレモンと、信じられないとでもいうような口調で呟くヴィンデル。

「で、最終的にはその吸収した量産型ゲシュペンストMk-Ⅱの核融合炉3基を連鎖爆発させて俺はリュケイオスで転移してきた」
「核融合炉3基の連鎖爆発……」
「ああ。いくら化け物みたいなベーオウルフでもさすがに消し飛んだだろうさ。テスラ研やリュケイオスと一緒に、な」

 リュケイオスが消し飛んだという部分でレモンがピクリと反応したが、特に何を言うでもなく、そのまま話を続ける。

「で、こっちの世界に転移したのはいいが、どういう訳か殿だった俺が一番最初にこの世界へと辿り着いてしまったみたいで、エアロゲイターとかいう異星人と連邦軍の戦いの真っ直中に出てしまってな。ASRSを使って何とかやり過ごした訳だ」
「あぁ、それは知ってるわ」
「知ってる?」
「あら、知らなかったの? グロウセイヴァーの映像がしっかりと連邦軍の記録に残ってたのよ。工作員が見つけてきてくれたわ。映像では突然目の前から消えるものだから、インビジブルマン、透明男なんてコードネームをつけられてるわよ?」

 ……あの時に見逃したガーリオンか? だがまぁ、ヒゲ男なんてコードネームじゃないだけ良しとしておくか。

「だが、連邦軍の記録に残ってるとなると、グロウセイヴァーは迂闊に使えないな」
「そもそもお前のグロウセイヴァーはどこにあるんだ? バン大佐のライノセラスの中か?」
「いや。こちらの世界に来て情報収集も兼ねて世界中を旅していたからな。さすがに邪魔になるって事で誰にも見つからないように隠してある。後で取りに行くよ。それにベーオウルブズとの戦いで多少だが損傷もしたからその修理もしたいしな」
「ベーオウルブズと戦って多少の損傷って時点でアクセルの異常さが際立つわね」

 苦笑を浮かべながらレモンが言うが、それは褒められてるのか、あるいは貶されているのかどっちだ?
 取りあえず俺に対しての追求はこれで終わりと言う事だろう。レモンの表情もいつもの気怠げなものへと戻った。

「ともかくよく戻ってきてくれたな、アクセル」

 心底安堵したというような表情のヴィンデル。それもしょうがないのだろう。こいつは原作と同じくWナンバーズを余り信用していない。そうなると実働部隊として使える手駒が一気に減ってしまう。アル、ボビー、フルストの元部下3人組もあちらの世界で戦死しているしな。
 そう考えると、最後の最後でバリソンがベーオウルフにやられてしまったのは思った以上にでかいダメージだな。

「そっちはどうだ? 上手くいっているのか?」
「うむ、ほぼ予定通りだ」
「こちら側のベーオウルフは?」
「知っているのか。あの男が存在している事を」
「そりゃあ知っているさ。オペレーションSRWの最中に俺は転移してきたんだぞ? エアロゲイターの前線基地、ホワイトスターだったか? あれからゲシュペンストMk-Ⅲ、いやこちらの世界ではアルトアイゼンとか言ったか? まぁ、ともかくその機体が脱出してきたのもASRSで隠れながら見学させて貰ったしな」
「現在の奴の所在は押さえている。今はスペースノア級戦闘母艦のハガネにいる」
「W17にマークをさせてるわ。だからアクセルが余り拘る必要は無いわ」
「W17か。多少不安は残るが現在の手持ちで出せる札が他に無い、か」

 ハガネとヒリュウ改に関しての話はそこで終わり、軽い世間話と情報交換をする。その中でヴィンデルがバンと会った時の話へと話題が移り、レモンが興味を示した。

「……で、どうだったの? 新たなDCの総帥候補さんは?」
「噂通りの男だ。DC残党だけでなく、北アフリカの反連邦主義者達を纏め上げている。単なる戦争屋ではないな」
「元は民族解放戦線の指導者だったそうだし、政治面に長けていて当然ね。期待以上の人材かも」
「それだけに我々シャドウミラーの真実に気が付く可能性も高い」
「いずれは分かる事よ。邪魔になればその時は、ね」
「イーグレット・フェフとは違うという事か?」
「ええ、彼はいい意味でも悪い意味でも純粋な科学者だもの。それに、ローズのお嬢ちゃんと同じで、あの手のタイプにはこちらの手の内を見せておいた方がいいのよ。例の装置を完全に修理するまでの時間を稼ぐ為にもね」
「例の装置? アギュイエウスか?」
「ええ、現在ソウルゲインにあの装置を組み込んでヴィンデルの専用機を設計している所よ。ただ、アギュイエウスがどうにも上手く制御出来ないのよ。EOTなんかも組み込んでるだけに相性の問題なのかしらね」

 ふむ、俺がソウルゲインに乗らなかった影響により、ヴィンデルがソウルゲインに乗る事になったのか。まぁ、レモンの話を聞く限りでは色々とカスタム化されているようで原作のそれとは大分違ってしまうようだが。

「私の機体の事はともかく、地球連邦軍の力はもう少し削いでおきたい」
「大丈夫じゃないかしら? 現状から考えれば、次の作戦は99%成功するわ」
「残りの1%を侮り敗北した者は過去に限りなくいる」
「その1%……ベーオウルブズ。いえ、ハガネとヒリュウ改の部隊ね」
「ああ。報告によれば、向こう側より戦力が充実しているようだな」
「そうね…… 足止めをしておくべきかもね」
「……で、W17からの報告は?」
「それが……W16がディスクを届けたらしいんだけど音沙汰なし、なのよね」
「W16? 奴もハガネに潜入しているのか?」

 思わず2人の話に口を挟む。俺はここに来たばかりなので、その辺の事情を詳しく分からない為に黙って聞いていたのだが、W16がW17と共にハガネに潜入しているというのなら、俺の知っている原作とかなり違う展開になる。

「あぁ、いえ。違うわ。W16はDCの補給物資を届けに行っているのよ。そのついでにW17と接触したと報告が来てるわ。……あら、そういえば確かW16が補給物資を運んだ部隊はアクセルが量産型ヒュッケバインMk-Ⅱを強奪した時の部隊ね」
「あぁ、あの部隊か」

 思わず、眉を顰める。

「どうしたの? そこまで不機嫌そうになるなんて珍しいわね」
「いや、その部隊の指揮官がアーチボルド・グリムズなんだよ。ほら、エルピス事件の」
「あぁ、あのテロリストの。こっちではDCに所属してるのね」
「アーチボルドの部下は気の良い奴等だったんだが、上にいるのがあの男ではな。下手をしたらそのまま離反という事もあるかもしれないな」

 ユウキとカーラがDCを離反したとしたら原作通りにハガネへと投降するのだろうか。エキドナが既に補給に行っているという事は、アラドやゼオラも一緒の筈だから4人揃ってハガネに投降しているというのが俺的にはベストの流れなんだが。

「話がずれてるぞ。それでW17は失敗したと思うか?」

 ヴィンデルの言葉で話がW17との連絡が出来ない件に戻る。

「彼女に限ってそれはないわよ。Wシリーズの最高傑作。スタイルも凄いんだから」
「最高だろうが最低だろうが関係ない。任務が遂行できればそれでいい」
「確かに定時連絡もなければこちらからも不通なのよね」
「次の指令は正確にW17へ伝わっているのだろうな?」
「大丈夫だと思うけど」
「ヘリオス。あのファーストジャンパーだけは早急に確保せねばならん」
「彼も私達の事には気づいている筈だし簡単に尻尾は出さないでしょうね。それに、W17から連絡がないって事はハガネとかにはいないんじゃない?」

 この時期のヘリオス、いやギリアムはクロガネに所属していたと思うが、どのみちヘリオスという名前だけでは探し出す事が出来ないだろう。映像でもあれば別だが。

「それから、W16が気になる報告をしてきたわ」
「何だ?」
「向こうの物や異星人の物じゃないアンノウンが現れたらしいのよ」

 その言葉を聞いた時、背筋がゾクリとした。間違いない、アインストだ。となると、出てきたのは蚩尤塚で、龍王機と虎王機目当てか。物見遊山で見に行きたいとか思ったが、実際にアインストが出現したと聞くと実行しないで良かったと心底思う。

「お前でも分からん代物なのか?」
「そう、正真正銘のアンノウン。しかも、空間転移をしてきたそうよ」
「あれは異星人共も使っていた技術だ。そういうケースもあり得る。実際にあちらの世界ではアギュイエウスやリュケイオスという存在があるしな」
「でも、厄介よね。宇宙じゃ連邦軍の部隊がいくつか行方不明になったっていうし」
「……本当か?」
「ええ。例の事件の前触れね、恐らく。L5戦役の事もあるから、ハガネとヒリュウ改がオトリになるかもよ」
「手を下すのをもうしばらく待てと?」
「上手く使えれば、の話だけど」
「……」
「何にせよ、色々と事態が動き始めたみたいね。これから私達も忙しくなりそうだわ」
「ふむ、そうなると俺もグロウセイヴァーをアースクレイドルに持って来るべきか。修理が必要な箇所もあるしな。ヴィンデル、輸送機を手配してくれ」

 ハガネとヒリュウ改をどうやって利用するかを考えているヴィンデルへと声を掛ける。

「ん? ああ、構わんが。どこに隠してあるんだ?」
「フィリピンの近くにある無人島の洞窟にな」
「何でまた、そんな所に……」

 レモンが呆れたような目でこちらを見ているが、そもそも地球に降下したのがマニラ基地だったのだ。そこに隠したという事にしておくのが一番自然だろう。万が一にも俺の足跡を辿った場合に不信感を抱かれない為にも。
 もちろん実際は俺の空間倉庫の中に収納してあるのだが。

「アクセルにしては迂闊だな。もし万が一にも現地住民や海賊なんかに発見されていたらどうするつもりだ? こういう言い方は余り好きではないが、あの機体はうちのエースであるお前の専用機、言わばシャドウミラーの象徴と言っても過言ではない。その事をしっかりと理解して欲しいものだが」
「シャドウミラーの象徴か。ならヴィンデルが乗るか?」

 シャドウミラーの象徴と言われても正直ピンとこない。それに現在レモンが改造しているヴィンデル用のソウルゲインが完成すれば、それがシャドウミラーの象徴になるだろう。

「あんな馬鹿げた機体、私は遠慮させてもらおう」
「馬鹿げた機体って……ちょっと言い過ぎじゃないか?」
「クロノスによる馬鹿げた加速に、30機近いファントム、T-LINKシステム、時流エンジン。グルンガスト参式の技術を流用したアダマン・ハルパー……さて、もう1度聞かせて貰おう。馬鹿げた機体と言っても間違いは無いと思うが?」

 ……グロウセイヴァーに使われている技術を並べられると言い返せなくなったのが微妙に悔しい。

「無人島の洞窟でカモフラージュは完璧だし、トラップも厳重に仕掛けてあるからまず大丈夫だ。それで輸送機の方は?」

 取りあえずこのまま言い