ラブドライブ!〜女神の守り人〜


 

type0,Reincarnation



 –––––––2月





 俺の名前は江本タカユキ…現在人生最大の危機にいます…なんと縛られてるんです。いや、SMとかの趣味はないです…実は………。

「ちょっとでも動いたらぶっ殺すぞゴラアァァァ⁉︎」

 銀行に行ったら運悪く5人組の銀行強盗と鉢合わせというか…とにかく今絶賛人質状態なんです…。

「マジで無いわぁ…」

 俺の隣でボヤいてるのは俺の友達の久米野タケシ。今日はコイツが金降ろすって言うから着いて来た結果こうなった訳なんです…。

「大丈夫だって。ほら、兄ちゃんが凄い顔してやるよ」

 そう言って俺の後ろで泣いてる子どもをあやしてるのは同じく俺の友達・高田ユウキだ。……ほんと凄い顔してる…どうやったらあんな顔できるんだよ……?

「何やってんだテメェエエエエ⁉︎」

 強盗が叫びながらユウキの方に来てコイツの首根っこを掴んだ………ヤバい…コレはヤバい…。

 強盗が……。

「テメェ……‼︎」

 ユウキは強盗の腹に思いっきり後ろ蹴りを入れやがった……。

「グハァッ⁉︎…テメェエエ⁉︎」
「何やらかしとんじゃゴラアァァァ⁉︎」
「ブチ殺せえええ⁉︎」

 終わった……強盗がコッチに銃口向けてる……絶対死ぬ…。

 ……と、思ったら。

「フンッ‼︎」

 ユウキは縄を何時の間にか解いていた。そしてそれをさっき蹴飛ばした強盗の首に鞭みたいに叩きつけた。

「ギャッ⁉︎」

 強盗は一撃で気絶。何コイツ…化け物…?んでもってユウキは強盗に向かっていく。縄を振り回しながら……。
 もうコイツ怖い…帰りたい…。
 タケシもあんぐりしてる……。そうだよね…それが普通の反応だよ……。

「な、何だこの餓鬼⁉︎」
「何で当たんねぇんだよ⁉︎」

 そうだよ…何で弾避けれるんだよ…?もう、お前は人間じゃねぇ…。
 とはいえ今がチャンスだ。

「おいタケシ。どうにかして縄を解こう」
「お、おう」

 俺とタケシはユウキが好き勝手暴れてる内にどうにか縄を解こうとした。他の人質の人達も縄を解こうと頑張っている。

「よし、解けた!」
「俺もだ!」

 俺とタケシは同じタイミングで縄を解いた!早くユウキを助けに……。

「ユウキ⁉︎大丈夫……か……?」
「ええぇ……」

 俺とタケシがユウキに駆け寄った時、もう強盗達は虫の息だった………。

「もう終わったぞ」
 
「「………化け物」」

 てな訳で俺達は今、他の人質の人達の縄を解いている。

「な、大丈夫だったろ?」
「うん!ありがとうお兄ちゃん!」

 ユウキは子どもに声をかけている。本当に子ども好きなんだなぁ…いい奴だ。

「とりあえずあの強盗達は全員逆さで吊るそう。そして火炙りからの曳き回しだ。トドメにドラム缶にブチ込んで博多湾に棄てよう」

 前言撤回。ヤバい奴だ。

「シィィィ……この野郎……死ねえええ!!!」

 突然のことだった。1人の強盗が立ち上がって銃を乱射してきた。

「ヤバッ!?」
「ちょ!?」
「野郎ッ…!」

 俺、タケシ、ユウキは反射的に前に出てみんなの盾になった……。




 弾丸が俺達の身体に入り込み、臓器に喰い込む。口から血が溢れ出す……意識が遠退く……。




 そして闇の中へ堕ちていった………。







 ___________________________________






「こ、ここは…?」

 目を覚ましたら俺は真っ白な変な空間に居た。周りを見たらタケシとユウキも居た。

「おい、起きろ2人共!……ゴフゥッ!?」

 俺は2人を揺さぶって起こした……らユウキからいきなりパンチ喰らった……。

「あ?何だタカユキか」

 コイツ酷い……

「で、ここは何処だ?」

 人殴っといて速攻話戻すなよ……。

「……俺もわからない…」
「なんか変な何処だな………てか、俺達撃たれたよな⁉︎」
「そうだな」
「も、もしかして…………俺達…死んだ?」

「「マジかああああああああああああああああっ!!!?」」
 
「いやマジか……死んだかぁ………まだ這い寄れニャル子さんの2期4巻までしか見てないぜ……。ごちうさも見たかったのに……」
「俺なんかオメガルビー、四天王手前だぜ!?」
「俺昨日やっとナイトのアーツ予約したのに!?」

 俺とタケシはギャーギャー騒ぎ、ユウキは「うわぁ…」とショックを受けているようだ。だって死んだんだよ⁉︎まだ21年しか生きてないのに!?

「ギャーギャー喧しい奴らじゃのう」

 は?

 俺達の前にいかにも神様的な爺さんが出てきた。

「なんだこの爺さんは?面白い髭してんな」

 やめろユウキ。その人絶対神様だから。ほんと、神様の髭結ぼうとするのやめてくれ。てか普通に神様に触れるとかお前何なんだ?

「コラ、やめんか。いいか?お前達は死んだんじゃ」

 やっぱりかぁ……死んだのか俺達……。
 
 タケシは絶望してうつ伏せになってる。ユウキは相変わらず神様の髭結ぼうとしてる。

「…………ゴホンッ!そこでだ。君達は勇敢にも他の人々を守って死んだ。だから君達にはある世界に転生してもらう」

「「「は?」」」

 俺達はポカンとなった。だっていきなり転生とか言われたんだ訳わかんないよ。

「君達の勇敢な姿に感動したのだ!君達なら彼女を守れる!」
「彼女?何抜かしてんだこの爺さん」

 ユウキが明らかに舐めた態度で神様に接してる。アイツ一回地獄に落とされた方がいいんじゃないかな?

「君達にはラブライブの世界に転生してもらう」
 
「「何!!!??」」

 ラブライブ!!?マジで!?え、てか転生ってどういうこと!?

「そしてそこである事をやってもらいたい」
「転生って生き返れるってことだろ!?しかもラブライブの世界とかマジかよ!?」

 タケシ滅茶苦茶興奮しとる……。
 でも……。

「あの……1ついいですか?」
「なんじゃ?」
「家族とかのことなんですけど……」

 転生するってことは、2度と家族に会えなくなるということだろう……。

「確かに…君達はもう元の世界の家族には会えん。それに残念ながら元の世界に甦らせる事は今は出来んのじゃ……」
「そうですか……」
「申し訳ないのぉ…」
「いえ……それに、死んでしまったのは俺達の責任ですし。それより、頼みっていうのは?」

「それは……108人の転生者を倒して欲しいのじゃ」
 
「「「待て待て待て待て待て」」」

 え、何そのミッション?イミワカンナイ⁉︎しかもどういうこと?俺達以外にもうラブライブの世界に転生者とかいうのが108人もいるの?

「いや〜みんなラブライブの世界に行きたいって言うから次々送ったら悲惨なことになってしまったわい。ハッハッハッ。なんせその108人が怪人になる力を手に入れてしまったのだからな」

 いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!!!?

 え、何なの?神様って馬鹿なの!?

「何それ!?洒落になんない!?え、俺達怪人と戦うの!?ライダーでも戦隊でも宇宙刑事でも魔弾戦記でも黄金騎士でも伝説の戦士でも光の巨人でもおジャ魔女でも光人でも超星神でもプルガサリでもないのに!!!??」

 タケシが思いっきり神様に突っ込む。でも最後のはなんか違う気がする…

「安心しろ。君達にも戦う力をあげよう」

 そう言うと神様は俺達の前に3つのアイテムを出してくれた

「コレって…!?」

 それはドライブドライバー、マッハドライバー炎、ブレイクガンナー……。

 ……コレって仮面ライダードライブのキャラに変身するアイテム!?

「本物じゃ」
「「えええええええええええええええッ!!!??」」
「ラブライブの世界を乱す怪人と言うのはロイミュードなのじゃ。だから仮面ライダードライブの世界の力が必要なのじゃ。さ、好きなのを選べ」

 結構…というかかなり強引な神様だな……。

「……俺はコレだ」

 ユウキは迷う事なくブレイクガンナーを取った。仮面ライダーではなく魔進チェイサーという敵キャラの強化ロイミュードに変身するアイテムだ。

「なら俺はコレっと」

 タケシがマッハドライバー炎を取った仮面ライダーマッハに変身する為のベルトだ。
 って事は俺は…。

「コレになるのか…」

 俺が手に取ったのはドライブドライバー。仮面ライダードライブの作品での主役、仮面ライダードライブに変身する喋るベルトだ…。

 俺が主役って大丈夫かな?

「さぁ!3人の力を合わせて、ラブライブの世界を守るのじゃ‼︎」
「「「……………」」」
「な、なんじゃその目は?」

「いやラブライブの世界に怪人が出たのって元をたどれば神様のせいなんじゃ…?」
「ラブライブの世界に沢山転生させなきゃ良かった話だしな?」
「要は俺達、爺さんの尻拭いさせられるって訳か」

 俺、タケシ、ユウキの順で正論を叩きつけてやった。
 だいたいまだ説明不足な気が……。

「…………行って来おおおおおおおおおおおおおい!!!!!」


 ……え…?
 足場が……ない…!?


「何ッ…!?」
「「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!??」」


 3人は仲良く落下していった……っておおおおおおおい!?
 何でやねん!?また死ぬわ!?

「物語の始まる1年前に飛ばしたから頑張るじゃぞ〜!」

 これから何が起こるのか?訳のわからないまま、俺達の意識はまたそこで途切れた……。
















 埋伏の毒。甘い物に程、毒は含め易い。甘さに誘惑され毒に気付かず喉を通す。

 それは既に、俺達の喉を通っていた……。
















 窮極の門は開き閉じる。

 祝福せよ。祝福せよ。
 それは終わらない物語の始まり。

 祝福せよ。祝福せよ。
 これは逃れられない輪廻。



 祝福せよ。祝福せよ…………呪え、己自身を。
 






 
 

 
後書き
お久しぶりの人はお久しぶり
初めての人は初めまして、希ーと申します。


さて、この物語ですが転生することになった3人がドライブ、マッハ、チェイサーに変身してμ'sとラブライブの世界を守るというものです。

よくあるテンプレな転生ものですね←

今回は転生するまでの過程でした。詳しい設定なんかは追々紹介していきます。

ストックがかなりあるのでそこそこペースで上げていけたらなと思っております。

それではまた次回。
感想、評価、その他、是非是非お待ちしています!

 

 

count,10 Beginning




「うぅ……ここは…?」
 
 目を覚ました俺、江本タカユキは周りを見回した。そこはまるでガレージの様だった……そう、ドライブの劇中でトライドロンが停車している場所そっくりな…。
 
 タケシとユウキもいる…………でも今回は近づかないぞ。絶対殴られそうだし……。
 
 そう思いながら振り向いた俺は驚くべき物を見た…。

「これって…トライドロン!?」

 そこにあったのは正しく、仮面ライダードライブの愛車・トライドロンだった。他にも仮面ライダーマッハの使用するバイク・ライドマッハーと、魔進チェイサーが使用するバイク・ライドチェイサーも停車してある……。

「ここはドライブピットって訳か」
「すっげーなぁ、本物かよ……!?」

 ユウキとタケシも起きて辺りを見回していた。

「それは分かったけど…俺達、これからどうすりゃいいんだよ?」

《それは私が説明しよう》
 
 俺達がこれからどうするかを考えてた所に聞いた事のある声が聞こえてきた。振り向いた先にはドライブドライバーがあった。そのディスプレイには表情が映されていた。

《私はベルトだ…といっても、君達ならもう私の事は知っているだろ?》
「まぁな、毎週欠かさず観てたしな」

 ベルトさんの質問にタケシが答える。俺達は仮面ライダードライブを視聴していたのでベルトさんの事もちゃんと知っている。

 知らない人の為に説明すると、このドライブドライバーは仮面ライダードライブに変身する為の変身ベルトである。そして最大の特徴は独自の意思を持っている事で、主人公である仮面ライダードライブ=泊進之介からはベルトさんと呼ばれている。因みにベルトさんは元々はクリム・スタインベルトという名の人間でロイミュードと呼ばれる怪人によって命を落とした際に、ドライブドライバーに全意識と全記憶を移行したのだ。

「ま、とりあえずは俺達の状況と、何をすればいいかを教えてもらいたいもんだな…」

 ユウキが腕を組みベルトさんに尋ねる。その眼が真剣なので俺もタケシも妙に気が引き締まった。

《そうだな。先ず君達の状況から説明しよう。君達は今、ラブライブの物語が始まる約1年と4ヶ月前にいる。現在は12月20日だ》

 神様、1年前って言ってた様な……。

《四捨五入すれば1年前だ》

 成る程……って心読まれた!?

《話を続けよう。君達にはラブライブの物語を…つまりはμ'sのメンバーを守ってもらいたい。その為に戦士としての力を授けたのだ》
「成る程な。で、何から始めりゃいいんだ?こちとら訳解らんまま、こんな所にぶち込まれたんだ。目標くらい教えてもらわんとなぁ…」
《ほう…。ユウキ、君はなかなか頭の切れる様だね。頼もしいよ》
「別に……悪知恵が働くだけだ」

 確かにユウキの悪知恵の凄さは半端ない。俺やタケシもそれで何度泣かされた事か…。
 まあ、かなり頭が良いのも事実だが…。

《OK。まずはユウキ。君にはある試験を受けて合格してもらいたい》
「試験?」
《音ノ木坂学院の共学化に伴うテスト生になる為の試験だ。それに合格して音ノ木坂学院の内部からみんなを守ってもらいたい》
「ふーん……ま、いいだろ」
 
《次はタケシ、君だ。君には音ノ木坂中学校に転入してもらいたい》
「あーあ、音中ね……って中学⁉︎」
《そうだ。1月から音ノ木坂中学校の2年として活動してもらいたい。そこで現在中学生である星空凛、小泉花陽、西木野真姫の3人を、主に守ってもらいたいのだ》
「あ、成る程ね。なら、やりますか」

 ユウキ、タケシと順にその役目が伝えられていく…。となると次は俺か……。

《そしてタカユキ。君には秋葉原にある久瑠間学園という男子高校に入学してもらう》

 は……?

「す、すいません、ベルトさん……い、今聞き違いじゃなければ男子高校って…」
《聞き違いではないぞ。君が行くのは男子高校だ》

 …………え?

「いやいやちょっと待ってよ!?何で男子高校なの!?意味わかんないよ!?普通音ノ木坂じゃないの!?」

 俺は大パニックになった。だって何が悲しくてみんなと違って男子高校なんかにいかなきゃなんないんだよ!?
 
 しかもユウキとタケシはそれを聞いて腹抱えて笑ってるし、転生早々最悪だよ!!

《まあまあ落ち着け。2年生時には音ノ木に転校できる様に手配する。それにこれには理由がある》
「理由?」
《そうだ。実はその学園にもロイミュードの力を持った転生者がいるのだ》
「え、マジで?」
《ああ。あの方はラブライブの世界を元に戻す為に転生者をμ'sのメンバーから出来るだけ離れさせようとした。結果、久瑠間学園に転生者の一部が集まったのだ》

 へぇ〜、神様も一応頑張ったんだな……。

「で、その久瑠間学園ってのは音ノ木からどのくらい離れてんだ?」

 ユウキが「腹筋痛かった〜」とか言いながらベルトさんに尋ねる。………こいつやっぱり性格悪いわぁ…。

《5kmだ》
 
「「近ッ!?」」

 5kmって近過ぎんだろ!?その気になれば自転車でも十分行ける距離だぞ!?車やバイクだったらスグだぞ!?

《あの方の力ではこれが限界だったらしい》
「神様って…もしかして大した事ない?」

 俺がそう言ったら他の2人がうんうんと頷いてる。

 《と、とにかくだ。君達の年齢は現在、タカユキが15、タケシが14、ユウキが16だ。姿もその年齢に合わせている。鏡を見てみるんだ》

 ベルトさんに言われて鏡を見てみた俺達。確かに3人共、顔付きが若くなっていた。

《108体のロイミュードは秋葉原、御茶ノ水、神保町…これら音ノ木坂の周辺地域に潜伏し、彼女達に危害を加えようとしているだろう。中には同級生として関わろうとする者もいるだろう。最初の1年間、タケシは星空凛、小泉花陽、西木野真姫の3人を、ユウキは高坂穂乃果、園田海未、南ことり、矢澤にこ、絢瀬絵里、東條希の6人を守り、タカユキは久瑠間学園に潜伏している者達、そして外部から彼女達に危害を加えようとする者達を撃破していってくれ》
「俺の子守の対象6人かよ。面倒な…」
《君のポテンシャルなら問題無いと思うが?それともタカユキと変わるか?》
「俺なら楽勝だ。任せとけ」

 そんなに俺のポジションが嫌なのか?ユウキさんよ……。

《なら早速、ユウキには急いでもらわないとな》
「は?」
《今日の9時30分から音ノ木坂学院のテスト生になる為の試験があるのだ。》
「何⁉︎……って、まだ8時半だぜ。1時間もありゃ余裕で…」
《受け付けは9時終了。そしてここから音ノ木坂学院まで歩いて約30分だ》
「加速装置!!!!」

 ユウキは全力でドライブピットを飛び出した。は、早ぇ…!?

《タカユキはもう入学確定済だから、試験を受ける必要はないぞ。ただ後30分で授業が始まるぞ》
 
「「え?」」

《今日は平日。学校はあるからね。勿論タケシもだ》
「トランザム!!!!」
「クロックアップ!!!!」

 俺とタケシも全力で飛び出した!!
 初日から遅刻とか笑えない!!

《音ノ木坂中学校はここから歩いて40分程だ》

 なんかベルトさんの無責任な声が聞こえてきたが気にしてる暇はない!!

 本当にこれから、どうなるんだよ……?











 
 

 
後書き
てな訳で2話目です。
ほぼ説明回でしたが…←

次からラブライブ!のキャラも出てきます。

感想、評価、ご意見、その他、是非是非お待ちしております
 

 

count,9 Determination

 
前書き
まずはドライブに変身するタカユキ編です!
 

 








 俺は江本タカユキです。なんやかんやで久瑠間学園の1年生になりました。男だっけていう事もあってか結構楽に過ごせそうです。

「これさえ無ければなぁ〜…」

 そう言って俺が見るのは左手首に巻かれたシフトブレス

《なかなか酷い事を言ってくれるじゃないか》

 俺の元にやって来た赤いスポーツカーの様なミニカー。これはシフトカーの一台・シフトスピード。ドライブに変身する為に必要なアイテム。そして、ベルトさんの遠隔端末としても機能する。だからこのシフトスピードからはベルトさんの声が聞こえてくるんだ。

「だって戦いだなんて俺には……」
《何時迄も尻込みしてどうするんだ?少なくとも後8ヶ月以内にはこの学園に潜伏する14体のロイミュードを倒さなければならないんだぞ》
「わかってる…わかってるけど……」

 俺は何度か変身をしてドライブ能力を実際に使い調べたりはした。だがどうしても戦いには踏み切れなかった……。相手が怪人とはいえ傷つけるのはどうしても……。

 今は校舎裏に来ている。ベルトさんがここにロイミュードの反応を見つけたからだ。

《何にせよ、君が戦わなければ守れない人がいる。それだけは確かな事だ》
「俺が…戦う…」
《そうだ。ここでは誰でもない君が戦うんだ。タケシとユウキも戦っている》
「みんな戦っている……」

 確かにそうだ。タケシとユウキは戦っている。μ'sのメンバーの近くで、彼女達を守る為に…。
 だから俺は遊撃班としていずれ彼女達に害を為すであろうロイミュード達を倒す為に戦わなければならない…。
 それが2人の頑張りに応える唯一の方法だから…。
 
 でも………。
 
 それでも俺は、戦う勇気が湧いて来ない……。

《来たぞ、タカユキ!》
「えっ!?」

 ベルトさんに言われ俺が見た先には、2人の生徒と、それを襲うロイミュードがいた…。

「せっかくラブライブの世界に転生したってのに何で男子校なんかに通わされなきゃなんないんだよ!?ムカつくぜ…テメェで憂さ晴らししてやるよ!」
 
 ロイミュードは2人の生徒を左右の手で1人づつ掴み上げた。
 
 因みに、このロイミュードはコブラ型の下級ロイミュード。下級ロイミュードにはコブラ型、バット型、スパイダー型の3種類が存在する。コブラ型は特殊能力は無いが力が強いのが特徴だ。その為、作中では他の下級ロイミュードのリーダー格となる事が多かった。
 
 コブラ型下級ロイミュードは2人の生徒を投げた。2人は校舎の壁にぶつかり気絶してしまった様だ…。

《タカユキ、早く変身するんだ!》

 ベルトさんに促された俺はコブラ型下級ロイミュード……長いな…ナンバーで呼ぼう。下級ロイミュードの胸元にはナンバーがある。名前の無い下級ロイミュードにとってはそれが名前の様な物になる。コイツのナンバーは”084”か…。

「何だテメェは?潰されてぇか?」

 084が俺にガンを飛ばしてくる。正直怖い。なんせこうやってロイミュードと対峙するのは初めてなんだ。でも、逃げる訳にもいかない……早く変身を………。



 あれ……?




 ドライブドライバー……忘れた……?




「あ…あははは…」
「笑ってんじゃねぇぞコラァ!」

 やばい!?ドライバー、トライドロンの中に置きっ放しだった!?てか飛んでくるとか出来ないのかよベルトさん!?

《目立ってしまうから出来ないんだよ》

 だから心読むなよ!?
 
 とりあえず俺は校門を飛び越え必死で逃げてる。どうにか逃げ……。

「止まれェェェッ!!」

 やっぱ速いね!ロイミュード!
 ドンドン距離を詰められている。そろそろやばい…そう思った時だった。

「ッ!?何だ!?れ

 何かが084を襲撃した。……シフトカー達だ!
 
 オレンジ色のスポーツカー型のシフトカー・マックスフレアが炎を纏って084に体当たり、紫色のスポーツカー型のシフトカー・ミッドナイトシャドーが次々と手裏剣を投げ、黄緑色のスポーツカー型のシフトカー・ファンキースパイクが車体の棘を伸ばした状態で084に体当たりをした。

「ぐおっ!?何なんだコレは!?!

 シフトカー達の攻撃にタジタジになる084。奴は踵を返して走り逃げ去っていった。
 てかシフトカー…俺の100倍役に立ってるな…。

「ありがとうみんな……って痛ッ!?」

 尻に何かが噛み付いた!?…ってコイツは紫の車体に緑のタイヤを持つSUV型のシフトカー・マッシブモンスター!?

「な、何すんだよ!?」
《シフトカー達は怒ってるのだよ。何故戦わないのかと》
「えっ…?」

 モンスターが俺の尻から外れ他のシフトカー達と並んだ。シフトカー達は俺に抗議するみたいに動いている…。

「でも…相手は元々人間なんだろ?ロイミュードの力も外付けみたいな物で本当の怪物って訳じゃないし……」
《確かに奴らは肉体構造は人間と変わらない。だが1つだけ決定して違う物がある。何だか解るか?》
「……」

 俺はベルトさんの質問に答えられない……。
 
 決定して違う物?一体何なんだ?それが俺の戦いとどう関係するんだ…?

《まあ、この答えは自分で探すべきだな。今は早く学校に戻ろう。そろそろ授業が始まる時間だ》
「……分かった…」

 俺はベルトさんの質問の答えが分からず、モヤモヤした気持ちのまま学校へ戻っていった……。








 __________________________







「はぁ……」

 俺は帰宅の途についていた。気持ちはまだモヤモヤしている……。どうしても戦えない…。何で俺がドライブに?ユウキとタケシだけでも充分だった筈…。

「俺には向いてないな……仮面ライダーなんて……」







「きゃあああああああああっ!?


 な、悲鳴!?どこからか女の人の悲鳴が聞こえてきた。俺は一目散にその悲鳴が聞こえた方向に走った。そこには…。

「な、何なんですか…貴方は…!?

 084とそれを前にして腰を抜かし倒れている長い黒髪の少女………ってアレは……もしかして、園田海未ちゃん!?

「やっぱ海未ちゃんは可愛いなぁ…!たまんねぇぜ…!
「ど、どうして私の名前を…?…ッ、こ、来ないで下さい!?」

 海未ちゃんに迫っていく084。このままじゃ危ない!俺は迷わず走り出し084に体当たりをした。

「ぐっ!?テメェは…昼間の……!?」
「は、速く逃げて!?」
「へっ!…で、でも…!?」
「いいから速く!」

 084が怯んだ隙に俺は海未ちゃんに逃げる様に言った。海未ちゃんは驚いたけど俺が強めに言ったのでフラフラと立ち上がりながら逃げていった。

「あ!?……この野郎!?よくも俺の海未ちゃんを!」
「何が俺の海未ちゃんだよ!?完全に嫌がってたじゃないか!?」
「嫌よ嫌よも好きの内って言うだろうがァァ!」
「無茶苦茶な……!」

 そう言って084は俺に殴りかかってきた。俺はその腕を掻い潜って殴打を躱す。てかコイツの台詞完全にモテない男の台詞だな……。
 
 だが、そんな事より早くコイツを何とかしないと……。

「チッ…このクソ野郎……ッ!?グハッ!?」
《タカユキ!》
「ッ!?ベルトさん!」

 084がこちらを向いたその時だった。エンジン音を轟かせトライドロンが突っ込んで来て084を跳ね飛ばした

《さあ、私を装着するんだ!》

 トライドロンのドアが開いた。俺はベルトさんに促されてベルトさんを装着した……なんかややこしいな…。
 とにかく俺はベルトさんを装着してロイミュードの前に出たんだ。

「何であの子を狙ったんだ!?
「はぁ?決まってんだろ。お前はあの子の可愛さがわからねぇのか?」

 いや俺、海未ちゃん推しだったんでよくわかりやす!

「俺はあの子を愛してるんだ…だからあの子を俺の物にして……ハァハァ…」



 …………



 ……………



 …………………………



 …………………あ、コイツただの変態か。




「か、勝手な事言うなよ!あの子明らかに怖がってただろうが!」
「黙れ!?……学校でも邪魔しやがって…ぶっ殺してやるよ!…そして海未ちゃんを捕まえに行くさ!」

 ………奴の台詞を聞いたとき、心の底から怒りが湧いてきた。
 
 海未ちゃんは嫌がっていた。なのにコイツは自分の身勝手な愛情を押し付けようとしている。それに海未ちゃんのことを”物”としてしか考えていない……。奴の考えは赦されない。海未ちゃんは何時の日か、この世界に感動を与える女神の1人になる少女。それを自分の欲望で穢すことなど言語道断ってやつだ。だから俺は今……コイツを止める為に……海未ちゃんを守る為に……。

「俺が戦う…俺が変身する!もう考えるのはやめだ!ただ誰も哀しませない為に俺がやるんだ!!」
《そうだタカユキ…その熱いハートだ!それこそが君にあり奴らに無い物だ!君なら何処までも走る事が出来る!さぁ、行こう!!》
「ああ!行くぜベルトさん!!」
 
《Start Your Engine!》

 俺はドライブドライバーのキーを回し、シフトスピードを手に取ってシフトブレスに差し込む。
 そして魂を込めて叫んだ…!



「変身!!」

《DRIVE!type SPEED!》



 全身を黒いスーツと赤い装甲が包む……そしてタイヤが俺の胸に斜め向きに装着された……。

「な、何だ貴様は!?」
「俺は………仮面ライダードライブ!」

 車のヘッドライトの様な目が強く輝く…仮面ライダードライブ・タイプスピードに俺は変身した。
 俺はこの時から、仮面ライダードライブとして戦う事を誓ったんだ…。
 ま、ドライブになったら、やっぱあの台詞を言いたくなるよなぁ…。

 俺は腰を低く下ろして構える。

「初乗りだ…ひとっ走り付き合えよ!」


 俺は思いっきり走って084を殴った!奴は呻きながら下がる。今がチャンス!俺は続けてパンチを放っていく。喧嘩は苦手だけど、不思議と身体が動く。これもライダーの力ってやつか?俺は084の胸に蹴りを入れて奴をぶっ飛ばした。

「ぐおおおおっ!?………お、己れェェ…!」
「流石にしぶといな…シャドー!」

 呼ばれて飛んできたミッドナイトシャドーが俺の手に収まる。そして俺はキーを回してシフトスピードをシフトブレスから取り、新たにミッドナイトシャドーを装填しレバーを倒した!

《タイヤコウカーン!》
《Midnight SHADOW!》

 タイプスピードタイヤが外れ、新たにミッドナイトシャドータイヤが俺の胸に装着された。タイプスピードシャドーとなった俺は両手に大きな手裏剣を形成してそれを084に投げた!

「ぐおおっ!?ぬううっ!?」

 手裏剣は084の皮膚を切り裂き火花を散らしていく。

「お次はコイツだ!
 
《タイヤコウカーン!》
《Max FLARE!》

 次にタイヤ交換したのはマックスフレアタイヤ。タイプスピードフレアになった俺は自分の前方に炎のタイヤを作り出し、それを084目掛けて蹴り飛ばした!

「がああああっ!?」

 見事命中し、084は転がった。

「トドメだ!!」

 俺は再びタイプスピードタイヤを装着する。そしてキーを回してシフトブレスのボタンを押した。

《ヒッサーツ!》

 そしてレバーを思いっきり倒した!

《Full Throttle!SPEED!》

 084をタイヤ型のエネルギーで拘束し、弾き飛ばす。そして俺の周囲を旋回していたトライドロンを俺は蹴って加速し飛んできた084にキックを放った!更に反射してまたトライドロンを蹴って加速し084にキック…そしてまた反射、加速してキック……と何度も何度もキックを浴びせていく。コレがドライブの必殺技・スピードロップだ!!

「馬鹿な…!?俺はこの世界で…俺の物語を…がああああああああああッッ!?」

 連続キックに耐えられなくなった084は、断末魔を上げて爆発した…。

 爆発した所から何が出てくる……アレはロイミュードのコア。つまりは魂というべきか?とにかくロイミュードはコアが無事ならば何度でも再生の余地があるのだ。

《心配いらない。Cmon!ディメンションキャブ!》

 ベルトさんに呼ばれて来たのは黄色と黒のタクシーの様なシフトカー・ディメンションキャブだ。キャブはコアの周りを旋回している………するとコアの上に謎の穴が開き、コアはその中に吸い込まれた…。

《あの魂はあの方の元へ戻った。きっと更生してくれるだろう。君達がロイミュードを倒すと事は殺すという事ではない。誤った力を手に入れた者に更生するチャンスを与えるという事なのだ》

「そっか……死んではないんだな…」
《ああ。コアを破壊しない限り、ロイミュード…つまり転生者は死ぬことはない。必殺技の威力はコアを破壊しない様に調整してあるから安心したまえ》

 ベルトさんにそう言われて俺はほっとした。そして変身を解除した。

《NICE DRIVE!》
 
「ふぅ……つ、疲れた……」
 
 俺はどっさっと地面に尻をついた。その周りをシフトカー達が囲んでいる。

「もう大丈夫…みんな、俺に力を貸してくれるか?」

 シフトカー達は賛成と言わんばかりに跳ねたり周ったりした。

「ありがとう……でも、こっからが俺の戦いって訳か…」
《そうだな。油断は禁物だ》
「分かってる……この世界…守ってみせるさ」

 俺は決めたんだ。仮面ライダードライブとしてこの世界を、そして女神達を守る事を……。




 
 

 
後書き
誰かを守るという思いでドライブに変身。
メンタルは少々弱めなタカユキですがこれからどうなっていくのか、お楽しみに。

次回はマッハに変身するタケシ編となっています。1人1人少しずつキャラを掘り下げていこうかと思っています。


感想、評価、ご意見、その他、是非是非お待ちしています! 

 

count,8 Tracking

 
前書き
・江本タカユキ
本作主人公の1人。現在15歳。仮面ライダードライブに変身する力を得た。優柔不断な面があり、最初は戦いに踏み切れないでいた。しかし、自分の中にあった誰か守りたいという強い思いに促され、ドライブとして戦う決意をした。優しい性格だが、何かと苦労人で色々な人に振り回される事もしばしば…。平成ライダーの主人公達で言うと野上良太郎や紅渡の様なキャラをイメージ。
 

 





 俺の名前は久米野タケシ。又の名を仮面ライダーマッハ!

 普段は音ノ木坂中学校の3年生として世間の目を誤魔化している。俺が仮面ライダーマッハだって事は明かしてはならない秘密……。俺は仮面で素顔を隠して、この世界の平和を脅かす悪と……。



「タケシくーーーんっ!一緒に帰るにゃーーーーっ!」
「オゴオォォッ!?」

 俺の背中に何かが凄まじい勢いでぶつかってきた。俺は身体を逆くの字に曲げて吹っ飛び、壁にビタンッ‼︎と張り付いてしまった……。

「り……凛…テメェ……」

 「あ、ちょっとやり過ぎたにゃー」とか言ってる語尾が特徴的なこの子は星空凛。同じクラスで俺の友人だ。そして後にμ'sのメンバーになる少女だ。彼女とはクラスが同じになった時に話したら妙に気が合って友達になったんだ。
 
 ……でも毎回容赦無くぶつかってくるのは辞めて欲しい…。


「ま、待ってよ凛ちゃーん…!?」
 

 俺はぶつけた鼻を押さえながら振り向くとこちらに小泉花陽がゼェゼェ言いながらよろよろと走ってきた。彼女も俺と同じクラスで凛の幼なじみである。そして彼女も後にμ'sのメンバーになる少女だ。

「り、凛ちゃん…急に走ったら危ないよぉ…」

 花陽は肩を上下して息を整えている。その度に中学生離れした豊満な……。

「タケシ君、何見てるの?」
「へっ!?い、いや別に何も見てねぇよ!?」
「タケシ君最低にゃ」
「?」

 ううっ……女の子に言われるとキツイなぁ…。まぁ、花陽は気づいてないみたいだからまだマシか…。

「す、すんません…」
「ま、許しあげる。そんな事より早く帰るにゃ」

 とりあえずは許してもらえたみたいだ。花陽はまだ、分からないっていう様な顔をしてるが説明するのもアレだしほっとこう

「そうだな、帰るか」






 _____________________________







「は、腹が……」
 
 俺と花陽は凛に誘われてラーメン屋に行った。俺はそこで凛のオススメだと言う”超こってり濃くうま豚骨ラーメン”なる物を食べさせられた。コレがまた重いの何の…。うぷっ……胃がもたれそうだ…。転生前はこんなの全然平気だったのに……なんか身体の調子が少しおかしいぞ…?


「美味しかったにゃー!」
「そうだね!」


 凛は俺と同じ物を、花陽は普通の味噌ラーメンを食べた。
 凛よ……何故アレだけの物を食べて飛び跳ねれるのだ…?俺はこんなにも辛いというのに……。

 その時、俺の携帯が鳴った。


「もしもし?」
《私だ。そこから南西に約700mの所に出現した》
「…了解だ」

 それはあの化物共の出現を報せるものだった……

「凛、花陽、悪いが先帰っててくれ。俺ちょっと用事できたからっ!」

 俺はそう言って凛達の返事も聞かずに走り出した……。








 __________________________








「な、何なのよ……!?」


 私、西木野真姫は人生最大級のピンチに陥っていた……。
 原因は私の目の前にいる化物……。


「ま、ま、ま、ま、真姫、ま、ま、ハァハァ…ま、真姫ちゃ、真姫ちゃん……!」

 何なのよ、この化物…!?何で私の名前知ってんのよ…!?しかもなんか興奮してるみたいだし…気持ち悪い…!
 
 私は恐怖で腰が抜け、動けないでいた……。

「ちょっと待てぇぇぇぇっ!」

 突然、声が響き渡った。化物はその声が聞こえた方を向く。私も恐る恐るその方向を向いた…。

 そこにはフルフェイスのヘルメットを被った様な頭部に青い目、真っ白な鎧を身に着け、右肩にタイヤの様な物を着けた異様な化物が立っていた……。
 
 そしてその化物はポーズを決めながら叫んだ…。




「追跡!撲滅!いずれもマッハ!仮面ライダァァァァーーー……マッハァァッ!!」







 ____________








 決まった………。
 
 俺は心の中でそう確信した。俺にはポリシーがある。それは”ヒーローはド派手にかっこよく”というものだ。だから俺は戦いにおいて魅せる事を大事にしている。例え何があってもな…。
 さて、夕陽をバックにビシッと決まったとこだし、さっさとロイミュードと大立ち回r「きゃあああああああっ!?」そう、きゃあああああ…って、えっ!?

「ちょっと!?離しなさいよ!?」
「真姫ちゃんは…僕の物だァァ!!!!」


 見上げるとそこには赤毛の少女を抱え飛ぶ、バット型の下級ロイミュードがいた。
 てか真姫ちゃん…って、まさかμ'sの真姫の事か!?
 バット型ロイミュードはそのまま飛び去ろうとする…………って逃がすかよ!


「待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!」


 俺はロイミュードを追うべく全速力で走る!奴を逃がさない為に全速力で走る!とにかく走る!
 
 ロイミュードとの距離はグングン縮み、俺はジャンプして奴の右足を左手で掴んだ!


「な!?何だお前は、離せ!?
「離して欲しけりゃその子を離せ!」
「離せと言われて離すかよ!」
「だったら俺も離すかよ」
「離せよ!?」
「お前が離せよ!?」
「お前がだよ!?」
「いや、お前がだよ!?」


 空中であーだこーだ言い合う俺達。真姫も真姫でギャーギャー叫いて暴れている。そのせいか、次第に奴の高度が落ちてきた……チャンスだ!
 
 俺は銃・ゼンリンシューターを取り出し、奴の背中の左翼の付け根を撃った。目論見通り翼は千切れた。その瞬間、奴は真姫を離した。

「きゃあああああああっ!?」
「任せな!」

 俺はロイミュードから手を離し、真姫をキャッチして見事地面に着地した

「大丈夫か?お嬢s……オゴッ!?」

 何故か真姫は俺の顎に目掛けて、鞄を両手で思いっきり突き出した。俺はその不意打ちを受けて尻餅をついてしまう…。

「痛ッ………何すんだよ!?
「う、うるさい化物!変態!

 ば、化物!?それに変態!?ひ、酷くないか!?俺はお前の為に全速力で走ったのに!?
 
 そんな思いが届く筈も無く、真姫は走り去っていった……。

「酷いや酷いや……真姫ちゃん酷いや……」
「お、お前ぇぇ…よくもぉぉぉっ……オゴッ!?」

 俺がショックを受けていると、後ろでロイミュードが叫んび、俺に突っ込んできた。俺は直ぐに立ち上がり、ゼンリンシューターでロイミュードを撃つ。ロイミュードは立ち止まった。

「この野郎……人が悲しみに耽ってる時に邪魔すんな!」

 ゼンリンシューターで更に連射していく。今気づいたがコイツのナンバー・076か。雑魚だな。とっとと片付けてやるぜ!
 
 俺は小型のバイク型アイテム・シグナルバイクの一つ、シグナルマガールを手に取り、それをマッハドライバー炎に装填した。

《シグナルバイク!》
《シグナルコウカーン!マガール!》

 右肩のシグナコウリンにマガールのグラフィックが映し出された。これがマッハマガールだ!
 
 俺はその状態でドライバーにあるスイッチを押す

《マガール!》

 俺は076の右斜め上に向けてゼンリンシューターから圧縮光弾を撃った。

「フン!何処を狙って……何!?グアッ!?」

 光弾は湾曲して見事076に命中した!

「まだまだいくぜ!」

 俺は更に圧縮光弾を放っていく。


 《マガール!》《マガール!》


 光弾は湾曲して076に炸裂していく。076はどんどん追い詰められていく。
 
 さ〜て、そろそろトドメ刺してやるか。

 俺は076に背を向けた……奴が接近して来たら、必殺の一撃を華麗に喰らわせてやるのさ。さぁ来い…来い…来い!



 ……………



 …………………



 ………………グオォッ!?




 俺の背中に衝撃が走った。俺はバランスを崩しそうになったがなんとか持ち堪える。振り返るとそこには右手のを突き出した076が立っていた。その右手からは煙が出てる………………って事はコイツ撃ちやがったな!

「お前空気読めよ!普通ここは突っ込んで来るだろう!?」
「知るか!?油断したお前が悪いんだよ!?」

 そう言って076は走って逃げ去っていった

「ちょ、待て!?イテテッ……!?」

 俺は背中の痛みのせいで奴を追いかける事が出来なかった……。








 _____________








「はぁ……」

 俺はマスク・V-ヘルムのイノベイトバイザーを展開させて全身内部の余剰エネルギーを排出。そしてその場にがっくりと腰を落とした。

《また上手くいかなかったか》

 俺の隣に緑色のトラック型シフトカー・シフトテクニックが現れた。コイツはベルトさんの遠隔端末になってる。

《戦う事に積極的なのはいい事だが……流石に今のままではな…》
「うっ……う、うるせぇよ…」

 実を言うと俺は、まだ1体もロイミュードを倒せていない……。トドメを刺そうとする度に逃げられたり、反撃されたりしてしまう……。何でだよ……?

《君のポリシーを否定するつもりはないが、それが原因でロイミュードを取り逃がしているのは事実だ。そこは理解して置かねばならない》
「………」

 ベルトさんにそう言われた俺は何も言えなくなった……。








 ____________









 その日の昼休み俺は図書室でダラダラしていた。

「本当よ尾崎さん!」

 そんな時だった。少し大きめの声で離す聞いた事のある女の子の声が聞こえたのは……。

「本当に昨日、2匹の化物に襲われたのよ!」
「わかった、わかった。私は信じるよ。それで、化物ってどんなのだったの?」
「1匹はコウモリみたいな変態で……もう1匹は真っ白なダサい変態だったわ」


 ダサい変態!?
 俺の第一印象、ロイミュードより最悪じゃねぇか……。


「2匹して私の事、取り合ってたのよ」
「あはは、真姫ちゃん可愛いからね〜」
「でも………」
「でも?」


 でも、何だよ?今からもっと酷い事言われんのかよ俺…?



「白い方はもしかしたら……私の事助けようとしてたのかも……」
「えっ?」
「な、何となくそんな気がしただけ!多分よ!」





 …………何だ……なんやかんやで俺、ちゃんと助けれてたのか…。ロイミュードを倒せはしなかった。でも、真姫の事を守る事が出来た……。なら、それはそれでいいのかもな。
 
 他の2人にそんな事言ったら怒られるかも知れないけど、俺はそれだけでも充分な気がする。

 ただ彼女達を守る事が出来れば……。

 ただヒーローで在る事が出来れば……。









 ___________








「よし…」

 俺はマッハドライバー炎を装着し、シグナルマッハを手に取った。

《シグナルバイク!》

 俺はシグナルマッハをドライバーのパネルに装填。そして叫ぶ!
 
「レッツ、変身!」
 
《ライダー!マッハ!》


 パネルを下げると俺は鎧に包まれていく。右肩にシグナコウリンが装置され、白いマフラーをなびかせて俺は仮面ライダーマッハに変身した!

《076は北東に向かっている。その先には小泉花陽が居る事がシフトカー達によって確認された。捉えれるか?》
「当たり前だ。なんせ俺は、マッハだからな!」

 俺は専用バイク・ライドマッハーに乗り、ロイミュードの追跡を開始した。

「必ず守る………華麗に格好良くな!」






 
 

 
後書き

という訳でマッハ=タケシ編でした!
今回は1年生組を全員出せました←

次回は最後の1人、ユウキ=チェイサー編です。3年生達も登場します。

そして次回から少し雰囲気が……


感想、評価、ご意見、その他、是非是非お待ちしてます! 

 

count,7 Despair

 
前書き
・久米野タケシ
本作主人公の1人。現在14歳。仮面ライダーマッハに変身する力を得た。派手好みで、かっこ良く華麗に戦う事を第一に考えている。そのため詰めが甘く、何時もロイミュードを取り逃がしていた。先日ようやく076を撃破する事が出来たようだ。クールでハードボイルドな男を気取ろうとする事があるが、何時も上手くいかずにいる。平成ライダー主人公達で言うと城戸真司や剣崎一真、左翔太郎と似たようなキャラをイメージ。
 

 


「ハァ…ハァ…」
 


 何故だ…?



「ハァ…ハァ…ハァ…」



 何故だ……?



「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…!」



 何故なんだ!?



 俺は追われている。黒い死神に…。
 奴は俺の姿を見るや否や、容赦無く襲ってきた。
 
 奴の攻撃で、俺は右腕を捥がれ、左肩と右大腿部と右の脇腹が抉られた。
 

 何で俺がこんな目に?せっかくラブライブの世界に転生出来たというのに!?

 音ノ木坂に入学出来たというのに!?


 転生者はハッピーエンドを迎えるものじゃないのか!?コレはその為の力じゃないのか!?






 何で俺が…俺が…俺が!?






 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!!!!!





 俺は終わりたくな……ッ!?


 俺の身体は後ろから放たれた弾丸に貫かれ、粉々に砕け散った……。






 クソッ……まだだ…まだチャンスはある…!
 まだ”身体”が無くなっただけだ。俺はまだ生きている…!
 アイツらの所に行って、もう一度身体を……ッ!?







 –––––銃声が響き、092の意識はここで絶えた––––







 ____________






 

《……また、コアを破壊したか…》


 私は今、4WD型のシフトカー・シフトワイルドを介して彼、魔進チェイサー=ユウキの戦いを見ていた。
 
 その感想を言うなら、恐ろしいの一言だ……。
 
 彼は戦いに一切の迷い、雑念がない。それは良い事だろう。タカユキとタケシにはそれらがある。その為2人の戦績は振るわないからな。だが、2人には誰かを守るという熱いハートがある。そして相手のロイミュードにさえ、優しさを見せる事がある。
 
 ユウキからはそれが感じられない……。そのハートはただ冷たく、敵に対しては一切の慈悲がない。
 
 そして今では、ロイミュードを容赦無く破壊し、コアを消滅させる……。

 彼の腹の底は見えない…。余りにも深過ぎる……。何を考えて、今を生き、戦っているのだろうか?
 
 味方として、今は頼もしい。だがコレが敵になったら?恐らくロイミュード達以上の脅威になるだろう……

「転生者なんて、ろくな奴居ないだろ?俺も含めてな……。だったら1人残らず消すだけだ……」

 元の姿に戻ったユウキは私にそう言って去って行った……

 転生者を1人残らず……。

 つまり、いずれタカユキとタケシも……という事だろうか…?






 ____________






 6月1日––––––






「怠い……」

 俺は今、ある人物に呼ばれある場所に向かっている。昨日も夜遅くまで戦っていたというのに……。
 ま、アイツらにしたら、そんなの知らぬ風というやつだろうな。

 目的地の扉の前に着いた。そこはアイドル研究部の部室だ。俺はドアノブに手を掛け扉を開けた…………すると……。





「「ユウキ!!ハッピーバースデー!!!」
「…………」

 ……扉を開けた瞬間に出てきた2人に眼前でクラッカーを鳴らされ、紙テープやらなんやらが俺にかかる。
 俺は不機嫌にそれを取っていく。

「何よ?せっかくこのにこにーがアンタの誕生日祝ってやってんのよ。もっと喜びなさいよ?」
「眼前でクラッカーぶち撒けられて喜ぶかよ、普通。距離感考えろ矢澤」
「だ〜か〜ら、いい加減、にこって呼びなさいよ!!」
「まあまあ、にこっち。ユウキ君も、とかなんとか言って、本当は嬉しいんやろぉ?そんな顔しとるでぇ〜」
「はぁ…この顔をどう見たらそう見えるんだ?」


 俺はパイプ椅子に腰掛けた。目の前には17本のロウソクが刺さったケーキがある。


「にこっちがユウキ君の為に愛情込めて作ったんよ。ちゃんと味わって食べてな♪」
 
「は、はぁ!?な、何言ってのよ希!?」

 俺の後ろでドタバタやってる2人。東條希と矢澤にこ。因みにこの2人は1年後、μ'sのメンバーとなる者達だ。
 俺は振り返って、喧しいツインテールをじっと見つめた……というより、俺の目付きの悪さじゃ睨んだというのが正しいかも知れん。

「な、何よ…?」

 顔を紅めて目を逸らす……こういう反応をするのは、この学院ではコイツかだろう。隣の巨乳は適当な事を言ってからかってくるし、その他の連中はビビって逃げるか泣くかだしな。



 いや、1人居たな。敵意剥き出しで睨み返してくる奴が……。




 俺はにこの目を見た……あの日、絶望に堕ちた目を……。



 
 俺と彼女との出会い、そして彼女の絶望……。



 
 それは時を遡る事になる–––––––––






 ____________






 約5カ月前–––––––
 1月9日––––





 俺はドライブピットの話の後、音ノ木坂の試験を受け、勿論見事に合格した。そして1年の三学期から音ノ木生として通う事になった。
 
 てっきり2年の一学期からスタートと思っていたから非常に怠い…。
 
 そして何よりも俺の気を害しているのは、俺の前にいる4人の男……。
 
 俺は今、音ノ木坂学院1年A組の教室にいる。今日は俺ら男子が初登校した日であり、現在3限目、今日は午前中で終わりなので最後となるこの授業で、俺達は担任に言われ自己紹介をしているところなのだ。


 …………が、前の奴らの話が長い…。しかも俺は最後に自己紹介をする事になっているから本当に待ち時間が退屈で仕方ない。更に、奴らの話は自分の自慢話ばかりで非常につまらない。実際聞いている……というか聞かされている女共も面倒臭さそうな面をしてる。
 
 俺は扉に寄りかかり腕を組んで周りを見ている。たまに目が合う奴も居たが大概直ぐに顔を紅くして目を逸らす。
  
 漸く2人目の自己紹介が終わり3人目が壇上に立ち話を始めた。

 …………………長い…やはり長い…。


 俺はとうとう切れて壇上でグダグダ言ってた野郎の脇腹を蹴り飛ばした。それを見た女子生徒達は絶句し、担任はあたふたしている。


「グエッ!?な、何すんだよ!?」
「喧しい。しょうもない自慢話をべらべらべらべら続けやがって。自己紹介なんざ10秒で済ませろ耳障りだ」

 俺はそいつに喝を入れると女子生徒の方を向いた。

「高田ユウキ。以上だ」

 俺はそれだけ言うと適当に空いてた机の上に鞄を置いて席に座り腕を組んで目を瞑った……。
 こんな行動をした俺に皆は恐怖を感じる筈。これで誰も俺に話し掛けては来ないだろう…。




 と………思っていたが………。




「なぁなぁ〜、高田君はどこ出身なん?」
「……」


 放課後の事だ。話し掛けられた……。恐らく東條希だろう。


「ねぇねぇ〜」
 

 東條希は俺の左頬を右の人差し指で突いてきた。俺はそれを軽く叩いて直ぐに辞めさせた。

 
「他人に触れられるのは好かんな」
「そっか〜……ん?好かん?」
「高田君、良いかしら?」


 俺が東條希と話しているところにまた別の女が話し掛けてきた。金髪……って事は絢瀬絵里か…その後ろには4人の男子が俺の事を不快な物を見る様な目で見ている。

「今からクラス委員長として貴方達男子に学校内を案内するから、着いて来てくれない?」



 絢瀬絵里のその言葉を聞いた時、俺はある事を思った。

 似てるな…俺に……。


「断る」
「な!?……どうして…?」
「嫌々やってる様な奴に連れ回されても気分悪くなるだけだ。だったら1人で勝手に見回らせてもらう」

 俺はそれだけ言うと立ち上がり、教室を出ていった。






 ____________






「いいじゃん、にこちゃぁ〜ん?」


 嫌よ。


「俺達もアイドル研究部に入れてよぉ〜?」


 嫌よ。


「にこにーと一緒にアイ活させてよぉ〜?」


 絶対嫌!!!



「出てけぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」


 私は机を叩いて勢いよく立ち上がり思いっきり叫んだ。
 そしてアイドル研究部に入部したいとか言った3人の男を部室の外へ追い出してやった。私以外の4人の部員は辞めなよって止めてくるけど、私はコイツらが赦せない。
 
 この3人からはアイドルに対する情熱を感じない。それどころか絶対に疚しい気持ちで私達の部活に参加しようとしているのが直ぐに分かった。
 
 ふざけないで欲しい。私は真剣なんだから。もう少しで夢への大きな一歩を踏み出せるんだから。変な気持ちで私の夢を踏み躙る様な真似はさせない。


「アンタ達、二度と来ないで」

 私はそれだけ言うと扉を閉めようとした。


 ……が、閉まらない。

 どんなに力を込めても閉まらないので気になって外に顔を出してみた。

 そこには扉が閉まらないようにドアノブを右手でガッチリ握る1人の男子がいた。

 私はこの男子を知っていた。コイツは私と同じクラスに入って来た男子で、自己紹介中の別の男子を蹴飛ばした奴……。高田ユウキだ……。



 
 
 ____________






 俺は今、矢澤にこを説教している。

 理由はこうだ……。

 俺は放課後、学校探索と称してぶらぶらしていた。そしてアイドル研究部の部室の前に辿り着いた。気になって覗いてみようかと思ったその時だった。扉が勢いよく開いて、男3人が飛んできた。俺はそれとぶつかってしまい転んだ。
 そして扉の方を見るとそこにはツインテールの小学生みたいにちっこい女がいた。
 
 ああ、コイツが矢澤にこか……。
 
 状況からして俺はそう判断した。矢澤にこは男達を一喝すると扉を閉めようとした。だが、そんな事はさせない。人に人をぶつけといて逃げようなど、そうは問屋がおろさない。俺はドアノブを掴んで扉が閉まるのを止める。
 矢澤にこがこちらを覗いてきた。それを俺は睨み、ズカズカと中に入った………。

 という事である。

 俺は矢澤にこを無言で睨む。すると矢澤にこも負けじと唇を強く結んで俺の事を睨み返してくる。
 正直、少し驚いた。コイツは俺と同じクラスだったから俺のヤバさは分かってる筈だ。なのに臆せず睨み返してくる……。なかなか生きの良い奴だ。
 
 そう思って俺は思わずクスッと笑ってしまった

「何がおかしいのよ…?」
 
 矢澤にこはそう言って眉間に皺を寄せ、俺の事を更に睨んでくる。だが俺はそんなの御構い無しに部室内を見回した。

「凄い数のアイドルグッズだな…よくここまで集めたもんだ……」
「えっ?」

 矢澤にこはキョトンとした顔になる。俺にこんな事言われるなんて思ってなかったんだろうな。


「邪魔したな……」
「あ……待って!」

 俺は立ち上がって部室を出ようと扉に向かった。その時だった。矢澤にこが俺に声をかけた。

「貴方……アイドル、好き?」
「……興味無い」
「本当……?」

 矢澤にこはムスッとした顔でこちらを睨んでいる。俺が興味無いと言ったのが余程気に入らないのだろう。


「そっか…」
「話は終わりか?なら、俺はコレで出るぞ」
「ま、待って!?」
 
 矢澤にこが再び俺の事を引き止めた。

 
「……次は何だ?」
「………アンタ、アイドル研究部に入ってみない?」


 ………………は?


「何を言ってるんだお前は?」

 コイツは馬鹿なのか?今の会話のどこに俺をアイドル研究部に誘う要因があるんだ?


「私がアンタをアイドル大好きにさせてやるわよ!」

 理解不能だ……。


「……百歩譲って、俺がアイドル研究部に入るとしよう。だが、それを快く思わん者が4人程いる様だが」


 俺は矢澤にこの後ろにいる嫌そうな顔をした4人のアイドル研究部員を指差した。

「にこちゃん、辞めとこうよ!?」
「そうだよ、なんか怖いよこの人!?
「何よアンタ達、何ビビってんのよ?」

 いや、普通ビビるだろ。こんな得体の知れない男、入部させるのは相当の大馬鹿だ。

「とにかく、高田ユウキ!」

 矢澤にこは俺の顔をビシッと指差した。

「アンタはアイドル研究部に入って、私達のラブライブ出場を手伝いなさい!」

 何?

「ラブライブだと…?」
「そうよ。スクールアイドルの祭典…それがラブライブよ!私達は2月にあるラブライブの予選に出場して、そこに勝てば3月の本戦に出場出来るの!」


 妙だな……アニメ原作では確か、コイツが3年の時の夏に開催されたのが第1回大会だった筈だが……。
 
 まぁ、ラブライブは媒体によって設定が変わるから、コレもその一つという事か…?
 
 それとも転生者の介入による影響か…?

 前者ならまだいいが、後者なら考えものだな……。


「ちょっと、聞いてんの?」
「ん?あ、ああ…」
「とにかく、私達はそのラブライブで優勝を狙ってんの!だからアンタも手伝いなさい!」

 無茶苦茶だ……恐らくコイツは俺がどれだけ断ろうが手伝えと迫ってくるだろう。初日から非常に厄介な相手に絡まれてしまったか……。




 結局、俺はアイドル研究部に入部する事になった……。








 ____________








 俺がアイドル研究部に入りマネージャーとなって2週間。ラブライブ予選まで後1週間となった
 
 そしてこの2週間の間で俺は069、070、073、081、087の5体のロイミュードを撃破し、そのコアを神の元へと送っている。更生させるとか言ってたが、上手くいくとは思えんな…。

 
 ロイミュード達の正体は全員、音ノ木坂に試験生として来た男子共だった。
 
 彼らがいなくなった枠には違う男子生徒が入っていた。ソイツらは転生者ではない。
 
 つまり、俺達が転生者を撃破した場合、今までソイツがいた枠に、この世界の住民が入り、ある程度矛盾を防ぐ……っという仕組みになっているようだ。転生者が行った行動は代わりに入った人間がやった事になる……。転生者に関する記憶は人々から消える。ただ、転生者がロイミュードになる瞬間を見た場合は、その転生者に関する記憶は残るようだ。
 
 良く出来たシステムだ。容赦無く消しても構わないというのは有難い。

 ま、今はラブライブだな。今回の大会は関東地方限定の大会らしい。その為規模自体はそこまで大きな物ではないようだ。

 現在、俺は屋上での矢澤達の練習風景を眺めている
 
 因みに矢澤以外の部員の名前は大川 美弥、野崎 和香、佐竹 涼、湯川 恵子。全員1年C組だ。
 
 矢澤の目からはヤル気が伝わってくる。本気でラブライブに出たいという思いが伝わってくる。だが彼女達からはそれを感じない。練習は熟しているが、そこに情熱はない。


「よし、今日の練習はここまでよ!ラブライブまで後1週間、気合い入れていくわよぉー!」

 矢澤がそう言うと他の4人は蜘蛛の子を散らす様に帰っていく。その後、矢澤は俺の所にやって来た。

「どうだったユウキ、私のステージは?」
「褒められたもんではないな……。音程のズレ、運動能力の低さ…。とにかく残り1週間でどうにかしなければならない事が多々あるな」
「ううっ…!?い、痛い所突くわね…」
「当然だ。俺はマネージャー…。矢澤の欠点を探し、それを報告、修正させるのも仕事の内だ」
「ただ仕事ってだけ?」


 矢澤は不満そうに俺を見つめる。

「………そうだ」


 そして俺がそう言うとそっぽを向いてしまった。


「……このラブライブで優勝して、絶対にこの事を認めさせてやるわ。覚悟しなさい!」

 矢澤はまた俺の方を振り向き、無い胸を張って俺に高々と宣言する。




 そうか……。にこの事”は”認めさせようとするのか……。





 
 もう”私達”ではなく”私”になっている。お前も心の何処かで気づいてるんだな。他の4人に志が無い事を……。







 ____________









 私はラブライブに向けて必死で練習をしていった。そして明日は遂にラブライブの予選!
 
 必ず優勝する。その為にも、まず予選を突破する!
 そして今隣りを歩いているコイツをギャフンと言わせる!

 私がそう思いながら笑っていると、隣りから冷たい目線を感じた。


「………何よ?何か言いたいなら、ハッキリ言いなさいよ」
「なら言おう。気持ち悪い」
「な!?ハッキリし過ぎよ!もう少しオブラートに包みなさいよ!」
「ハッキリ言えだの言うなだの、訳の分からん女だ」
「アンタ乙女心って物が解らないの?ど、どうせ、か、彼女だって、どうせ居なかったんじゃないの!?」

 そう質問をした時、何故か私は緊張して顔が紅くなっていた

「居たぞ」
「へっ!?」
「俺のルックスだぞ。女の1人や2人、居て当然だろ」
「……アンタ、よく臆面もなくそんな事言えるわね…」
「お前と居るのは楽だからな。余計な気を使わんでいいから、こうやって喋れるって事だ」
「何それ?」
「そういう事だ。お前と居るのは楽しいって事………ん、どうした?」


 私は顔どころか身体全部が紅くなり、体温が上昇しているのがわかった。コイツ…何で年頃の女の子にそんな台詞言えんのよ!?


「べ、別に何でもないわよ!!」


 私はそう言って走り出した。そしたらユウキは私の事を追いかけて…………。




「何で追いかけないのよ!?

 私は立ち止まって振り返り、ユウキに叫ぶ。信じらんない!普通こんな美少女が走り出したら追いかけるでしょ!

「予選前日に手間取らせるな」
「ううっ…」

 ユウキは近づいて来て、私の頭に手を置いた。

「勝ってみせろ…」

 それだけ言うとユウキは歩いていってしまう。私はその背中をジッと見つめた……。

「当たり前よ…必ず優勝してスクールアイドルの高みに立ってみせるわ!!」







 そして…優勝出来たら、私はアイツに………。








 ____________





 ラブライブ予選当日––––






 俺は矢澤と会場に来ていた。矢澤はさっきから緊張で震えている。
 まぁ、それはいいだろう。だが、問題は俺と矢澤以外の4人が会場に着いていない事だ。

 矢澤が何度も電話やメール等で4人に急ぐ様に呼びかけたが、電話は繋がらず、メールの返信も無い。

 時間は惨酷に過ぎていき、受け付け終了まで残り20分となっていた。


「何で…何でみんな来ないのよ…!?」


 緊張、不安、苛立ち……それら全てが矢澤を襲い、彼女の震えを更に酷くする。このまま4人が来なければ棄権しなければならない。それはつまり、矢澤の今日までの頑張り全てが無駄になるという事だ。もう彼女の脚はグラグラで、突けば簡単に倒れそうなくらいだ。

「早く来てよ……みんな………!?」

 矢澤は目にいっぱいの涙を溜め呟く……。







 来る筈が無い……。
 俺はそれが容易に想像出来た。
 
 それに恐らく奴ら最初から、こうするつもりだったんだろうな……。









 俺の予想通り4人は来ず、音ノ木坂アイドル研究部は、ラブライブ予選を棄権した––––––







 ____________







「何で来なかったのよ!!?」



 次の日の放課後、矢澤は4人を屋上に呼び出し、その怒りをぶつけていた。4人はさっきから何も言わず、ただ俯いて黙りしている。
 
 俺は扉の近くに寄り掛かってその様子を見ていた。


「アンタ達、自分が何したのか解ってんの!?アンタ達が来なかったせいでラブライブの予選に…!?」
「うるさい」

 口を開いたのは野崎だ。

「えっ…?」
「うるさいのよアンタ。何で私達がアンタのアイドルになりたいっていう、叶いもしないしょうもない夢に付き合わされなくちゃなんないのよ?」
「そうよ。だいたい私達、アイドル”研究”部でしょ?別にアイドルになる必要なんて無いじゃない。研究部は研究だけやればいいのよ」


 野崎が言葉を続け、それに感化されたのか佐竹も口を開いた。更に湯川も続けて……。


「それにアンタ、自分が本当にアイドルになれると思ってんの?言っとくけど、誰もアンタがアイドルになれるなんて思ってないわよ。だって、アンタ痛いだけだし」


 大川は何も言わずただオドオドしながら、そのやり取りを見ている。


「アンタ達……今までそんな事思ってたの……?」

 矢澤は顔を俯かせ、拳を震える程に握り締めている。

「ええ。でも、もう我慢の限界。アンタには着いて行けないわ。貴方もそう思わない?高田君」

 湯川は俺に質問をしてきた。何故それを俺に聞く?矢澤は不安そうな目を俺に向けてくる。既に矢澤の目は絶望している……。
 
 ここで俺にまで裏切られたら、コイツは一生立ち直れないだろうな……。






 まぁ……そんな気は更々ない。


「知ってるか…?夢っていうのは呪いと一緒だ」
「はぁ?」

 俺は意味がわからないという顔をする4人と、ポカンとしてる矢澤を放っといて話を続ける。

「挫折した人間は、その呪いから永久に逃れられない……。矢澤は今、挫折をした………どうする?」



 俺は矢澤に問う。お前はこれからどうするのか?その呪いに永久に取り憑かれ苦しむのか?
 
 それとも再び夢に立ち向かい呪いを払拭するのか?



 だが、その答えは矢澤の中では既に出ていた……。


「私は……にこは、諦めたくない…‼︎どんなに厳しくて辛い道だとしても……にこはアイドルになりたい‼︎」
「それでいい……他者を犠牲にし、己の手を汚さず夢を叶える利口者…難癖を付けて、結局何もしない阿保…無駄とわかりながらもただ我武者羅に突っ込む馬鹿……。この中だったら俺は馬鹿が好きだ」
「……それってにこの事、暗に馬鹿って言ってない?」
「暗にどころか、本気で大馬鹿だと思ってるぞ」
「な!?アンタ慰めるのか馬鹿にすんのか、どっちかにしなさいよ!?」


 矢澤の目に何時もの活気が戻る。野崎達3人は面白くない様で屋上から去っていく。大川もコチラを何度か見て去っていった。







 ____________




 時刻は午後10時を回っている。
 神田明神に居た時の事だった。矢澤から電話がかかってきた。


《もしもしユウキ?話したい事があるんだけど…大丈夫…かな?》
「ああ、構わん……いや、ちょっと野暮用が入った。30分後に商店街の近くの公園に来い…」
《えっ………うん、わかったわ》



 俺は電話を切り、振り返る。そしてそこに居た者を見る。
 そこに居るのはスパイダー型下級ロイミュード。だが、その胸の数字は俺を少し喜ばせた……。




「051か……。初めてだ、50番代…しかも半分より上の数字と殺り合うのは…」








 ____________







「ふぅー…」


 ユウキへの電話を終えた私は、まず一息ついた。


 何故かは分からないけど、今は無性にユウキと話したかった。会って話したいと思っていたが、それは迷惑だろうと思って電話をした。しかし、そんな私の想いを知ってから知らないでか、ユウキの方から会ってくれる約束をしてくれた。


 嬉しかった……。


 私はタンスの中にある服を引っ張り出した。何を着て行こう?私服で会うのは初めてだし、変な格好で行く訳にはいかない。だからといって気合い入れ過ぎるのもどうかと思うし……。


 高まるキモチに、私は促されていた………。







 ____________








 スパイダー型下級ロイミュードは俺に何度も糸を吐いてきた。俺はそれを転がって躱していく。流石に50番代と言った所か、その攻撃スピードは今まで殺り合った奴の中ではトップだ。
 ロイミュードは数字が若くなればなる程、その戦闘力は強くなる。奴の数字、051は俺が今まで戦った相手よりも若い数字…つまり今までよりも強い相手という事だ。

 スパイダー型下級ロイミュードは光弾を放ってきた。俺は回転してそれを回避。そしてロイミュードを見据えた…。




「そんな攻撃で俺が殺れると思ったのか?








 –––––––––––大川…」


 俺がそう呼ぶと、スパイダー型下級ロイミュードは動きを止める。



 そして”大川 美弥”の姿に戻った…


「……何で分かったの?」
「お前がロイミュードだと確信したのは今日、屋上でだ。まぁ、元々4人の内の誰がロイミュードだろうと踏んだのは入部した時からだがな」
「……」


 大川は警戒した目で俺の事を見ている


「お前達は俺が部室に来たあの日、俺以外の男が入部する事には賛成してたらしいじゃないか?……それはソイツらが、転生者=ロイミュードだったからだろ?」


 大川は何も言わない。図星の様だ。俺は更に話を進める。


「あの男共はお前よりもNo.は上。つまり、お前より力は下って事だ。だから入れても問題無いと思った……違うか?他の3人も何故同じ行動をしたのかについては正直分からんが、粗方お前が何らかの細工をしたんだろ?」
「でも、その推理は無茶苦茶じゃない?だって貴方は教室で暴れてるのよ。毛嫌いされるのは当然でしょ?」


 ようやく大川が反論してきた。その発言が墓穴を掘る事になるとも知らずに……。


「何であの時、お前達がそれを知ってるんだ?」
「えっ?」
「お前達と俺はクラスが違う。あの日は3限で終わりでお前達が直ぐに部室に行ったのなら、そんな事があった何て事は知らない筈だ。それに仮に俺が暴れた事を誰かから聞いたとしても、それは”高田ユウキという名の男が暴れた”と文章としてお前達に伝わるだけで、俺の顔は知らない筈だろ?あの場で初めて会うのに俺の名が分かる筈がない。だから分かったんだ」
「………そう。なら私だと確信した理由は?」
「屋上でのお前の目だ」
「目?これまた抽象的な理由…」


確かにそうだ。だが、俺は間違いないと確信している。


「お前、サディストだろ?」
「は…?」
「屋上で矢澤を見てる目が、変態そのものだったしな。他の奴ら矢澤を責めているのを楽しんでただろ?だからお前が3人とは根本から違うという事が分かった……。転生者ってのは、頭の狂った奴が多いからなァ」


黙り込む大川。すると……。


「……………ククッ……ククククッ…」
「あ?」


「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははッ‼︎ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははッ‼︎‼︎きゃははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははッ‼︎‼︎‼︎あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははほほははははッ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」



 彼女は笑い狂った。


「だって貴方も見たでしょ!!?にこちゃんのあの顔!!!最高じゃない!!!!絶望の淵に堕ちていくにこちゃん……思い出しただけで興奮するわ!!!!私はそのにこちゃんを手に入れる………… その予定だった……」
「……」
「でも、貴方がそれを狂わせた。本当は貴方のポジションは私の物だった……。私が堕ちていくにこちゃんの側にいる筈だった!!!そして堕ちたにこちゃんを一生私の奴隷にする筈だった!!!!にこちゃんは私の物…それを貴様がァァ…!!!」

「黙ってろクズ」
「何ィィ…!?」
「聞いてるだけで反吐が出る。さっさと潰してやるよ…」
「はぁ?ただの人間風情が…調子に乗るなァァァァァァッ!!!」


 大川は再び051の姿になった。
 だが、奴の変化はそれだけでは止まらなかった……。





「……これまた初めてだ…進化態と殺り合うのは…」




 051は姿を大きく変化させ、上級ロイミュードとなった。
 その身体にはマイクやスピーカー、集音器、アンテナの様な者が複数付いていた


「ブレイウォッシング……それが進化して得た、私の名前よ!」
「洗脳か……」
「因みに良い事教えてあげる。私は人間を操る事が出来るの。だから私はあの3人を操ってにこちゃんを追い詰めさせたりしたの……」
「成る程…」
「さぁ、無駄話はここまで………貴様は死ね…!!!」


 ほぉ……なんな特撮番組っぽい展開になってきたな…。
 面白い……。俺はこういうのを………。



「求めてたんだ…」


 俺は懐からある物を取り出した。
 それは俺を死神に変える魔具と言っても過言ではないだろう…。

 ブレイクガンナー––––––

 俺はブレイクガンナーを右手に持ち、銃口型スイッチ・ディストラクションマズルを胸の前で左掌に押し付けた。



《Break up…!》



 俺の身体は漆黒と紫炎の鎧に包まれた…。

 死神・魔進チェイサーの狩りが始まる……。










 ____________










「…流石にまだ居ないわね……」


 私は約束の20分も前に着いてしまった。とにかくドキドキして居ても立ってもいられなかった。そしてアイツに会うのが楽しみで仕方がなかった。
 アイツは口は悪いけど、私の事を…私の夢を認めてくれた男……。

 私にとってかけがえない存在……。

 アイツの存在が自分の中で大きくなっている……。でも、多分アイツは、私がこんな事思ってるなんて気づいてないだろう……。


「とにかく…ちゃんと言わなきゃ……」


 まだ伝えれてない事がある。だから、まずはそれを伝える。私の胸の奥の想いを伝えるのはそれからだ……。






 ____________









「グウゥゥゥッ!?」

 何だ……この化物は……?



 私は高田ユウキが変身した戦士に追い詰められていた。奴は右手に持ったメリケンサックの様な武器を使って何度も容赦無く、私を殴ってくる。
 離れて戦おうとすると、今度はそれを拳銃の様にして銃撃を放ってくる。


 私は全く対応が出来なかった……。


 確かに最近妙な奴が現れ、私達ロイミュードの力を持った転生者を排除しているという噂は聞いていた。だが、今まで排除されたのは、どれもこれ弱いナンバーばかりだったので気に留めてなかった…。

 だが、まさかそれが高田ユウキの事で、しかもここまで強いとは予想外だった……。


「おのれェェ……ハァァッ!!」


 私は強烈な破壊音波を放った。音波は地面に亀裂を走らせながら、高田に向かっていき炸裂した。



「やった……!」



 これで倒した!この技は鋼鉄すら塵に変える程の威力がある。これを喰らって無事な筈…………は……!?







 奴は立っていた……。鎧の所々から煙が立っているが、大したダメージではなさそうだ……。


 馬鹿な!?アレをまともに受けて無事だなんて!?
 あり得ない…あり得ない……あり得ない!!!!

 何なんだコイツは!?




 《Tune…Chaser spider…!》



 高田はバイラルコアを拳銃にセットした。すると奴の右腕に巨大な爪の様な物が装備された…。


 ヤバい………逃げろ…!?

 私は本能的にそう感じて奴に背を向け走り出した………。





 だが、それが間違いだった。


 奴の爪は直ぐに私を貫き、更にそれが振られ、私の身体は真っ二つとなり爆散した…………。










 ____________












 ユウキは変身を解除し、浮遊する051のコアを見つめていた。


《ご苦労だったな、ユウキ》


 私はシフトワイルドを介してユウキに声をかけた。しかし彼は何も言わず、ただコアを見つめている……。


《よしキャブ、コアの回収を急ぎ……ッ!?



 私がディメンションキャブにコアの回収を命じようとした瞬間の事だった。なんとユウキはブレイクガンナーでコアを撃ち抜き消滅させてしまったのだ…!?


《何をしてるんだユウキ!?》
「見ての通りだ。世界を乱す輩にトドメを刺してやった。二度と甦らない様に…念入りにな」
《コアを破壊するという事は、その人間の存在、意識、全てを完全に消滅させる事になるんだぞ!?つまり大川美弥はもう何も見る事も、聞く事も、感じる事も、考える事も、何も出来ない永久の地獄に叩き落すという事なんだぞ!?》

「いいじゃねぇか……。転生者とかいうクズ共には……ピッタリの仕置だ………」


 それを言うとユウキは去って行ってしまった……。









 ____________











 俺は矢澤と待ち合わせしていた公園に着いた。


 10分前だからまだ居ないだろうと思っていたが、矢澤はベンチに座っていた。


「早いな…余程暇だったのか?」
「ッ………会って第一声がそれって、どういう事よ?普通待たせてごめんとかあるでしょ」
「お前が勝手に待ってただけだろ?」
「………ごもっともです…」


 軽くしょうもないやり取りをし、俺は矢澤の横に座った。


「あのね……ユウキ…」
「何だ?」
「今日は…本当に…あ…ありがとう……」
「……」
「ユウキのおかげで私、まだアイドル目指せそうなの…。だから、心から思ってるわ……ありがとうって…」
「…………泣かないのか?」
「へっ?」
「お前どんな状況でも声出して泣かないだろ。泣いていいんだぞ。辛かったり、苦しかったら。泣くのは弱さじゃない……」



 矢澤の目から涙が溢れ出してきた。コイツは今まで沢山の不満や苦しみ、孤独感を胸にしまってきたのだろう。それが今、解き放たれたのだ。



「ユウキ……胸借りて…いい…?」


 俺は何も言わず、ただ腕を広げた。矢澤はその中に入り、俺の胸に顔を埋めた。




「ううぅ……ううぅぅぅ…わあああああああああああああああああああんっ!!怖かったよおお!!ずっと…ずっと頑張ってきたのに‼︎あんな簡単に無駄にさせられてしまって……悔しかったよおおおおおおお!!!わああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!」



 その小さな身体を震わせて、矢澤は精一杯泣き叫び、俺に自分の感情をぶち撒けた………。







「ぐすんっ……ごめん…」


 矢澤は泣き止み、縮こまって俺の隣に座っている。


「小さい割にはデカイ声だったな」
「うっさい…」


 そして暫く沈黙が続いた……。




「ねぇ、ユウキ…」
「……何だ?」
「ユウキはさ……私の事、裏切らない…?」
「さぁな…?俺と矢澤がずっと友でいられるとは限らん。何時かスレ違い、敵になるかも知れん……」
「……」
「だが、それまでは…………ダチだ…」


 俺は矢澤に拳を向けた……。


「じゃあ、ずっと続く様に…お互い努力しないとね」


 矢澤は笑顔で俺の拳に自分の拳を合わせた……。




 この絆が永久に続く事を願って––––––––––











 ____________











「あ!?それ私の苺!?何勝手に取ってんのよ希!?」
「ええやん、ええやん♪パクッ」
「あーーッ!?私の苺ぉ…!?」



 と、まぁ……これがそこで喚いている、矢澤との出会いというか何というか…そんな感じのものだ。

 あの後も俺はアイドル研究部として活動している。今となっては副部長になった。
 とはいえ2人しか居ない以上、必然的な流れだがな。
 部員は誰も入らず、活動は大抵、部室でダラダラ過ごすか、たまに東條が来てドタバタするか、のどっちかになっている。
 矢澤はまだアイドルを諦めておらず、他のスクールアイドルの研究に余念がない。

 皮肉なもんだ。研究がしたい3人が抜けたおかげで、この部は今、研究しか出来なくなったんだからな。


「ユウキく〜ん、にこっちが虐めてくる〜」


 東條が俺の後ろに隠れる。そして俺の前には……。


「無駄な抵抗は辞めて、大人しく苺を返しなさい!」
「はぁ……」
「ムッ、何よユウキ、その溜息は?」
「本当騒がしいなぁ、にこは……
「うっさい!うっさぁぁぁいっ!!…………………って、あれ?い、今名前で……!?」
「少しは落ち着け、矢澤」
「ナァッ!?にこにーって呼びなさいよおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」






 俺は戦う……。少しでもこの笑顔が見ていたいから……。その為なら、どんな罪も背負い、どんな苦しみも耐え、どんな役割も受け入れ………どんな者も抹殺しよう……。












 
 

 
後書き
3人目、ユウキの話になりました。
因みにハメ時代の物を読んでた方はお気付きかも知れませんが、大川美弥が変身するロイミュードの名前がボイスからブレイウォシング・ロイミュードに変更されてます。当時まさかのボイスが本編に登場して驚きましたからね……()

ユウキの台詞回しなども一部変更してます。


次回もチェイサー=ユウキ編の予定です。その次はドライブ=タカユキ、そして次にマッハ=タケシとなります


今回長いし、なかなか強引な所あるし、見苦しかったかもしれない……申し訳ありません…←


そして少しずつ脱テンプレしていこうと思っています……。



感想、ご意見、評価、その他、是非是非お待ちしています! 

 

count,6 Weak

 
前書き

・高田ユウキ
本作主人公の1人。現在17歳。魔進チェイサーに変身する力を得た。目的に為なら手段を選ばない面があり、自身の感情を圧し殺しながらでも使命を遂行していく事が出来る。頭脳面も異常に優れ、上記の事もあり、クリムからは警戒をされている。またユウキもクリムや神には疑念を抱いている。とはいえ基本的には自由奔放な性格で、子ども好きという優しい所もある。戦闘能力は他の2人よりも遥かに高く、生身の素手でも下級ロイミュード程度なら充分渡り合え圧倒出来る。平成ライダーの主人公達で言うと天道総司や門矢士の様なキャラをイメージ。

 

 









 放課後俺は理事長室である人物に詰め寄られている。俺を鋭く見つめる碧眼……。彼女の名は絢瀬絵里だ。


「何でやりたくないの?」
「何度も言ってるだろ。やりたくないから、やりたくないんだ」
「……だったら、名前を置くだけでも…」
「俺の名前は簡単に貸せる程、安くない」



 何の事だと思うだろう。実は理事長に生徒会に入れと頼まれたのだ。男の目線から音ノ木坂を見る為に、男子の生徒会役員が欲しいとの事だ。俺は断ったが、何故か絢瀬がしつこくやれと詰め寄ってくるのだ。


 俺はそれをする訳にはいかない。理由は3つある。


 1つ目は時間。俺はロイミュードを潰していかねばならない。それなのに更に生徒会の業務をやる何て事になれば多忙過ぎて死んじまう。

 2つ目………俺はこの女、絢瀬絵里が苦手だ。コイツは何処と無く、昔の俺と似ている所がある。くだらない責任感やプライドで動いている。そして自分を圧し殺してる。……同族嫌悪というやつだろうか?コイツの事はとにかく苦手だ。

 そして3つ目……これが最も重要な理由だ…。それは………










「やりたくない」


 そうだ。とにかくやりたくない。何が哀しくて生徒会なんざ入らねばならんのだ?冗談じゃない……絢瀬と東條で充分だろ?


「貴方は学校の為に試験生として来たんでしょ?だったら、学校に取って有意義な行動をする義務があるわ」
「俺が生徒会に入るのが有意義と?」
「そうよ。貴方は男性。この音ノ木坂学院が男性の視点からどう映るかを見る。それはとても有意義だと思うけど?」
「だったら他の野郎共にでも頼めばいい。俺じゃなくても問題はない筈だからな」





「ウチがユウキ君を推薦したんや」


 そう言って絢瀬の後ろでニコニコしている東條。


「………ご自慢のカードが、そう告げたのか?」
「うーん…まぁ、半分はな」
「希、口出ししないで」


 絢瀬に制され、カードを口元に当てて黙る東條。そして絢瀬は再び俺をその碧眼で見つめた。


「正直、私も貴方の生徒会加入には反対よ。他の男子も加入して欲しくはない。…でもこれは学校の為なの。早急に入ってもらうわ」



 それだけ言うと絢瀬は理事長に一礼をして部屋を出ていった……。




「あーあー、怒らせちゃったね?」
「黙れ。元を辿れば、東條が俺を推薦しなければ、こうはならなかった」

 俺の応えに「それもそうやねっ」と言って自分の頭を小突いてウィンクをする東條。腹立たしい。


「ごめんなさいね。私が男の子の意見を効率的に取り入れる為に男子を生徒会に加入させたらどうかしらって私が絢瀬さんに提案したせいで……」
「いえ、理事長の言われてる事は理に適ってます。ですが、私にはその役目は不適応かと思われます。力になれず申し訳ありません」


 申し訳ないという顔で理事長が謝罪をしてきたので、俺は丁重に言葉を返し、頭を下げる。そして理事長室を退室しようとした……が。


「あ、ちょっと待って」
「ッ……何か?」
「個人的に頼みたい事があるんだけど、良いかしら?」
「……内容によります」
「私の娘に、我が家の鍵を届けて欲しいの。今日は用事があって家に帰れないんだけど…あの子、鍵を忘れてしまっててね…」
「それでしたら私よりも東條の方が適任かと思いますが」
「あー…ウチは無理やね、これからちょっと用事があるんよ」


 東條が「ごめんな」と言ってウィンクをして舌を出す。殺すぞ。


「だから高田君に頼みたいんだけど……お願いして良いかしら?」


 ……まぁ、断る理由は無いな…。という事で俺は理事長の頼みを受ける事にした。
 しかし、理事長の娘って事は……。












 _______________________









「ふわぁ〜…」


 私、南ことりは今、アルパカさんを眺めてます。今日は友達が用事で先に帰っちゃったから、ことりは1人でアルパカさんの小屋に来て、こうして癒されてるの。

「やっぱり可愛いなぁ〜、アルパカさん…」


 ことりはアルパカさんが大好きなんです!だってモフモフしてて可愛いから!

 本当に癒されるねぇ〜……。




「おい」



 アルパカさぁ〜ん……。



「おい」




 モフモフぅ〜……。





「おいっつってんだろ」
「ひゃっ⁉︎」


 声をかけられてる事に気付いた私はビックリして振り向いた。するとそこには背の高い黒髪の男の子が立っていたの……。

 男の子はムスッとした顔で私の事を見てる…。
 何だろう…?ことり、何か悪い事したかなぁ…?男の子はこっちに歩いてくる。ことりは少し泣きそう……怖いよぉ…!?




 男の子は私に何かを差し出した…。これは…鍵?


「理事長……いや…この場合は君の母親からと言うのが妥当だろう……君の家の鍵を渡すように頼まれてな」
「へっ?…」


 私は男の子から家の鍵を受け取った。今気付いたんだけど、この人先輩だ。


「なら、俺はコレで」
「あっ…えっと……」


 その先輩は私に背を向けて歩き出した。私はお礼を言う為に声を掛けようとした。でも、さっきまで怖がっていたせいか、上手く声が出せない…。



「嗚呼、そうだ」


 先輩は私の方に身体を向けた。


「最近は色々と物騒だからな。暗くなる前に帰った方が身の為だ。それと出来るだけ人通りの多い道を複数人と一緒に帰れ。そうすれば安全だ」
「へっ!?あ、はい…わかりました……」
「宜しい…じゃあな」


 先輩はまた背を向け、そのまま校舎の方へ行ってしまった……。






「………あ、名前…聞いてないや…」







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 私、絢瀬絵里は少しイライラしながら帰路についていた…。

 原因は高田ユウキ……


 彼は何故、学校に非協力的なのか?学校の為に入学したのではないのか?私には彼が理解できない…。試験生なら学校の為になる行動をするべきだ。


「そうでないと…音ノ木坂は……」













「エリーチカ……」


 突然私は誰かから昔のアダ名を呼ばれた。振り向くとそこには私と年のあまり変わらないくらいの男が立っていた。


「何かしら…?というか、どうして私の名前を…?」


 私は警戒の目を向けながらその男に尋ねた。すると男は口角を上げ不気味な笑いを見せた。そして少しずつコッチに近づいてきた。


「ああ…!?本物だァ…!!可愛い…可愛い過ぎる!……これを好き放題出来ると思うと、興奮が止まらないよ……!!」
「……フザケてるの…?警察呼ぶわよ…!?」


 な、何なのこの男は…!?気味の悪いけど、ここで同様した姿を見せれば何をされるかわからない。私は気丈な態度で男の前に立っていた。


「警察?……呼んでもいいよ………無駄なだけだから…」



 私の顔は恐怖で引き攣った。男がいきなり怪物に姿を変えたのだ


「な、何…!?」
「さぁ…エリーチカ……俺の…俺の物にィィ…!!」


 私は後退りをする。本当は走って逃げたいが、恐怖で足が竦んでいて、後退りするのが精一杯だった。
 怪物はジワジワと私との距離を詰めてくる……。


 もう駄目だ…!?









 すると突然、曲がり角から手が伸びてきて私の腕を掴み引き寄せた。


「きゃッ!?……今度は何……うッ!?」


 私は首の辺りに衝撃を受けた。そして私の意識は沈んでいった……。









 ________________________








「ふぅ……間に合った」


 俺は気絶させた絢瀬を地面に寝せた。起きてコイツがロイミュードの事でワーワー騒いだら、「夢でも見たんだろ」って言うか…。



「ど、どうしたんだエリーチ……ギャアッ!?」


 曲がり角を曲がってきたロイミュードに対して俺は振り向きもせずに、顔面に裏拳を叩き込んだ。倒れたロイミュードの胸元のナンバーを確認––––––093……雑魚か。


「グッ…何なんだお前は!?」
「何だろうな……?俺にも解らん」



《Break up…!》








 _______________________










「っ……」


 私は目を覚ました。だが先程まで気を失っていた為、まだ少し頭がボーっとする。



 ん…?



 私は違和感を感じた……。もしかして今…誰かから膝枕されてる…?
 そう思い見上げたその先には、高田君が私の事を見下ろしていた。


「えっ!?ちょ…きゃっ!?」


 驚いた私は立つ上がろうとしたが、バランスを崩して彼の膝から落ちてしまった。


「イッタ…!?」
「馬鹿……急に立ち上がる奴がいるか」
「……普通大丈夫とか言わない?」
「勝手に転んだ奴に対して心配などしない」
「それが女性に掛ける言葉かしら?紳士の風上にも置けないわね」


 立ち上がって服に付いた埃を払う。そして一つの疑問が浮かんだ……。


「でも、どうして高田君が居るの?…………というかあの怪物は!?」


 そうだ、怪物!アイツは一体何処に……?


「怪物だァ?何言ってんだテメェは?」
「だってさっき、私の事を怪物が…!!」
「幻覚でも見たんだろ……俺はお前が道端で倒れてるのを見つけて、わざわざここまで連れてきたんだ。本当に怪物がいたらお前死んでるだろ?」


 …………確かにその通りかも知れない…。


「でも…やっぱりアレが幻覚とは思えないわ…」
「ほぉ……余程頭をやられてるらしいな…」


 そう言うと高田君は立ち上がり、私の額に自分の額を当てた……!?


「えっ…なッ!?」
「……少し熱がある様だ。早く帰って寝ろ」


 高田君は当ててた額を退かし去って行こうとする。


「ま、待って!?」


 私は思わず彼の足を止めさせた。


「……何だ?」
「何で…生徒会に入りたくないの?」
「またそれの質問か……何度も言うが、やりたくないから。ただそれだけだ」
「もっと納得出来る理由が欲しいわ」


 高田君は私から一旦目をそらして頭を掻く、そして再び私を鋭い目で見てきた。


「なら教えてやろう。俺は絢瀬が苦手だ」
「それってどういう事…?」
「言葉通りの意味だ。絢瀬の様にくだらん義務感で動く奴は根本的に苦手だ……。俺はお前が相手だとやり辛い。だからだ」
「……」


 流石に私もショックだった。だって嫌いって言われた様なものだから。例えその相手が、ただのクラスメイトだとしても……人の嫌われるという事を今迄全く経験しなかった訳ではない。でも、やはり人に嫌われるというのは辛い事だ……。


「そうよね……嫌いな人がいる場所になんて、居たくないわよね……ごめんなさい、無理に誘おうとして……」
「は?」



 次に彼から返ってきた言葉は予想外のものだった……。







「勘違いするな。俺は絢瀬の事は嫌いではない」





「えっ…?」
「ただ苦手なだけだ」
「でも…それって嫌いって事なんじゃ…?」
「”苦手=嫌い”とは限らない。だってそうだろ?苦手だから嫌いなどと決めつければ、人の視野は狭くなるからな」
「人の…視野?」
「世界を見る視野って事だ……」


 それ言い終えると同時に高田君は去って行く。私はその背中を只々、見つめていた……。







 ______________________







「さて…飯だ」


 次の日の昼休み。俺は教室で弁当を食べようとしていた。因みにコレは俺が自分で作った物だ。料理も完璧に出来るのが俺だ。
 さぁ、頂くとしよう。風呂敷を開き、フタを開け、箸を手にしたその時だった……。




《2年A組、高田ユウキさん。理事長室に来て下さい》


「……」


 放送で呼ばれてしまった……。無視するか…。とはいえ試験生である以上、そんな事はできんか……。


「アンタ何かしたの?」


 矢澤が俺の前に来て尋ねる。


「知るか。俺が聞きたいくらいだ」
「ふーん…………玉子焼き、もーらいっ!」


 矢澤の手が、俺の弁当に伸びてきた……が俺は矢澤の手が届く前に、素早くフタを閉め、風呂敷で包んだ。


「うわっ!?けち!」
「何とでも言え」


 俺は弁当を鞄に入れ、教室を出ていった…。








 _______________________________________









 俺は今、理事長室に来ている。
 そこには俺以外に南理事長、絢瀬絵里、東條希がいた。


「高田君。貴方に頼みがあります」


 絢瀬が俺の目を真っ直ぐに見つめてくる。


「何だ?」
「生徒会に入って、私達に力を貸して下さい。お願いします!」
「ウチからも、お願いします!」


 絢瀬、そして東條が俺に頭を下げる。


「……何故?」
「ただ貴方が必要なの…この学校には……そして、私達には…」





 この馬鹿は……。
 ダメだな……この手のタイプに本気で頭を下げられると、どうしても断れない……。






「分かった…」
「えっ…!?」
「ホンマなん…!?」
「二度言わせるな。俺は現時点で生徒会の役員に所属しよう」



 俺がそう言うと、絢瀬と東條は目を合わせて笑い合った。そして絢瀬が俺に手を差し出す。


「コレからよろしくね、高田副会長」
「ああ………ッ?」



 絢瀬の手を握ろうとした俺の手が止まる……。

 副会長……?


「おい、どういう事だ副会長って……」
「そういう事よ。私は生徒会長として働く。だから高田君には生徒会副会長になってもらうわ」
「ちょっと待て副会長は……ッ!?………」


 ………んっ?
 副会長は……何だ……?



「どうかした?」
「いや……何でもない」
「ウチも一緒に副会長やるから安心してなっ」


 東條が俺にそう伝えてきた。副会長2人とか珍しいな……。


「……そうか、なら俺が仕事をキッチリ熟さねばならないか」
「それどーいう意味ー?」


 頬を膨らませる東條。それを絢瀬が宥めている。


「貴方が入ってくれて本当に嬉しいわ。お互い頑張りましょ!」




 絢瀬が屈託無い笑顔を俺に見せてくる。
 …………やっぱり、コイツは色々な意味で苦手だな……。








 
 

 
後書き

6話目、ユウキ編でした
ユウキ編は彼が音ノ木に居る為、ラブライブキャラがよく出ます。

次回は久々ドライブ=タカユキ編です!
戦いを決意したタカユキ。アレから何があったのか……?


と言った感じで終わらさせて頂きます
感想、評価、ご意見、その他、随時お待ちしてます!
 

 

count,5 Evolution

 
前書き



・ロイミュード
ラブライブ!の世界に転生した者達が変身する怪物。”仮面ライダードライブ”本編の様に増殖強化アンドロイドではなく、人間がロイミュードに変身する力を得た物であり、つまりロイミュードの力は外付けである。変身前にも常人より高い運動能力を持つ。下級ロイミュードと上級ロイミュードが存在しており、最初は全員下級ロイミュードの状態である。下級ロイミュードはコブラ型、スパイダー型、バット型の三種が存在する。コブラ型は力が強く戦闘力に優れ、スパイダー型は糸を吐いたり壁を這い登る事等ができ、バット型は飛行能力を持つ。下級ロイミュードにはナンバーが振り分けられており、数が少ない程、その力は強力であり上級ロイミュードに進化できる確率が高くなる。上級ロイミュードは下級ロイミュードが進化した物であり、下級ロイミュードを遥かに凌ぐ戦闘能力と特殊能力を有する。進化態のモチーフとなるのは主に無機物や現象、行動、役職等である。

※上記はこの作品での設定となります
 

 







「ハァァ──ッ!!」


 俺、江本タカユキは今、ドライブに変身し、夕暮れの久瑠間学園の屋上で088、074、068の3体のロイミュードと戦っている。088と074はバット型、068はコブラ型の下級ロイミュードだ。
 奴らは連携して攻撃を仕掛けてくるので、俺は少し苦戦をしている。……こんな時は……!


「来い、ハンドル剣!」


 校庭に停車していたトライドロンから射出され俺の手に来た物。これはハンドルが付属した加速剣・ハンドル剣だ。
 知らない人の為に説明しておくが、これは俺が名付けた訳じゃない。この名前は劇中で主人公の泊進ノ介が付けた物だ。つまり公式設定なのだ。

 って、こんな事説明してる場合じゃないな。
 俺はハンドル剣片手にロイミュード達に向かっていく。

 088、074が光弾を放ってくる。俺はそれを掻い潜って接近し、まず074を斬った。074は火花を散らす。


《ターン!》

「ヤァッ!」


 更にハンドル剣のハンドル部分を回し加速して、088を連続して斬りつける。


「グウゥッ!?
「ギイィィィッ!?」


 2体の下級ロイミュードは苦悶して後退する。俺は更に畳み掛ける為に1台のシフトカーを呼んだ。


《タイヤコウカーン!》
《Funky SPIKE!》


 黄緑色の車体に棘を持つスポーツカー型シフトカー・ファンキースパイクを装填。ファンキースパイクタイヤにタイヤ交換し、タイヤを回転させ、2体に次々と棘を射出した。それを受けて2体は火花を散らして倒れる。


「次はコレだ!」

《タイヤコウカーン!》
《Spin MIXER!》

「ハァッ!」


 次にオレンジと黒の車体のミキサー車型シフトカー・スピンミキサーでスピンミキサータイヤにタイヤ交換。タイヤにある射出口・コンクリシューターから特殊な生コンクリート弾を飛ばすキャノンクリートを放った。
 088には躱されたが074には命中。074はコンクリートで身体を固められた。


《Uターン!》

「オリャアァァッ!!」


 俺はハンドルを切って、ハンドル剣の斬れ味を増強。加速して074を一刀両断する。074は爆散した。


「グッ!?………おのれ仮面ライダーめェ!」


 ディメンションキャブが074のコアを回収し、それを見た088が俺に構える。俺も088に対して構えた……。その時だった。


「シャアァァァッ!」
「グオッ!?」


 068が俺の背後から 殴ってきた。俺はその衝撃でよろけ、ハンドル剣を手放してしまった。


「クッソォ……!それなら…来い、みんな!」


 複数のシフトカーが走って来て、088と068に体当たりを食らわせた。そして俺はその内の1台を手に取った。


《タイヤコウカーン!》
《Justice HUNTER!》

《HUNTER!》


 パトカー型シフトカー・ジャスティスハンターでタイヤ交換を行い、再びレバーを倒しシフトアップして鉄格子型の盾・ジャスティスケージを2体の下級ロイミュードの上空に投げた。するとジャスティスケージから複数の鉄柱が2体を囲む様に降り注ぎ、更にその上にジャスティスケージが被さる。ジャスティスケージは檻となり2体を閉じ込めた。


「な、何だコレは!?」
「クソ!?出せ!?」


 2体は檻の中で暴れてる。だがその程度で破れる程、ジャスティスケージは柔じゃない!


《ヒッサーツ!》
《Full Throttle!HUNTER!》

「ハァァ──ッ!ラァァッ!」


 俺は自分の周囲に複数発生させたタイヤ型のエネルギーに弾かれ加速。そして檻に閉じ込めた2体に渾身のパンチを放った。コレがタイプスピードハンターの必殺技・ジャスティスマッシュだ!

 2体は俺の拳に纏めて貫かれ爆散した–––––









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《よくやったタカユキ》


 変身を解除して回収されていく2つのコアを見送る俺にベルトさんが労をねぎらってくれた。


《これで久瑠間学園に残るロイミュードは5体。遂に半数を切ったな》


 俺は戦う事を決意した後、098、096、091、090、083の5体のロイミュードを撃破した。因みに全部、下級ロイミュードだった。


「うん。どうにか…って感じだけどな」
《充分な成果だ。今の君の実力なら、残るロイミュードの撃破も問題無い筈だ》
「まぁ、やってみせるさ。それじゃ、帰るとするか」


 俺は屋上から降りて校庭に停めてあるトライドロンの元まで向かっていった。そして俺はトライドロンの助手席に乗った。
 トライドロンの運転は変身した時にしかしない様にしている。だって俺、無免だし……。てか、2年後じゃないと免許取れないし……。そういう意味ではユウキがドライブの方が良かったのかも…今更だけどね。

 運転席には、あるホログラム映像が投影される。それはベルトさんこと、クリム・スタインベルト本人の姿。コレで外から見られても、人間・クリム・スタインベルトが運転している様に見えるって訳だ。まぁ、実際ベルトさんが動かしてるんだけどね。
 トライドロンのエンジンがかかり、発車。辺りはすっかり、薄暗くなってきていた––––












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 ––––––––カシャッ!………–––––––カシャッ!…









 アレが仮面ライダーか……。噂には聞いていたが、なかなかやるなァ…。






 まぁ、コレだけ”観察”したんだ……。もう俺達の敵では無いな……







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 次の日の土曜日の朝。俺は散歩をしていた。最近は激しい戦いが多かったから、偶にはこういうのも良いかもな……。

 そう思って角を曲がった瞬間だった。


「ッ!?」


 …………俺はいきなり誰かから水をぶっかけられた。


「ううぅ…な、何だよ…」
「わわわわっ!?ご、ごめんなさぁーいっ!?」


 俺の前に女の子が慌てて寄って来た。オレンジ髪のサイドテール…………この子もしかして…?


「と、とにかく着替えないと!家に入って!」


 そう言って女の子は俺の手を引いてある店の中に入っていく。店の名前は和菓子屋”穂むら”。


 間違いない。この子は高坂穂乃果だ––––





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「本当にごめんなさい…クリーニング代はちゃんと出します」
「ごめんなさい!」


 高坂家の居間に招き入れられた俺。その前には頭を下げる穂乃果ちゃんとその母親がいる


「いえ、気にしないで下さい。大した事もないので」


 水をかけられたとはいえ、濡れたのは上着と頭だけだったから然程気にする必要もなかった。寧ろ、コレくらいでクリーニング代を渡されるとか、逆に申し訳ない。


「でも……」
「丁度暑いなって思ってたし、寧ろナイスタイミングって感じですよ」


 俺はそう言って笑ったが、勿論それは嘘だ。現在10月。外には肌寒く、風も吹いている。コレで暑いとか言う奴は頭がおかしいだろう。


「本当!?なら良かったー!」
「コラ、穂乃果!だいたい貴女って子は……」


 安堵した穂乃果ちゃんを母親が叱る。俺はその様子を苦笑いしながら見ていた。するとインターホンが聞こえてきた。穂乃果の母は穂乃果ちゃんを叱るのを中断して玄関に向かっていった。


「もう!お母さんったら、口うるさいんだから!」


 穂乃果ちゃんは頬を膨らませて拗ねた様な顔をする。


「はは…大変だね…」
「本当大変だよ!何時も何時もお手伝いしろってうるさいし!嫌になっちゃう」
「でも、それでもちゃんとお手伝いしてるんなら、偉いと思うよ」
「本当!?そう言われると嬉しいなぁ〜…。あ!自己紹介まだだったね。私は高坂穂乃果!穂むらの看板娘で、音ノ木坂学院の1年生だよ!」
「俺は江本タカユキ。ああ……久瑠間学園の…1年生…なんだ…」
「えっ…」


 久瑠間学園っという言葉を聞いて、穂乃果ちゃんの顔が少し険しくなる。

 実は最近の久瑠間学園の評判は悪くなっている。最大の理由は転生者が好き勝手に振る舞い、それに興じて他の生徒も暴れたりしているからだ。元々は良くも悪くもないといった所だったが、転生者が入って来た事でこんなにも酷くなるなんて、正直言って予想外だった。


「おはよぉー、穂乃果ちゃんっ」
「お母様から聞きましたよ。貴女また他人に迷惑を掛けたそうですね」
「あ!ことりちゃん、海未ちゃん!」




 ことりちゃん…海未ちゃん……って、まさか…?

 俺は現れた穂乃果ちゃんの友人2人の方を向いた。間違いなく、ラブライブ!の登場人物である南ことりと、園田海未だった。そして俺と目が合った海未ちゃんが驚いた顔をする。


「あ、貴方は…あの時の!?」


 俺は以前、海未ちゃんをロイミュードの手から救った。彼女はその事を覚えていたのだ–––––







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「あの時は本当にありがとうございました」

 海未ちゃんが正座をして、俺に深々と礼をする。

「貴方が居なければ、私はどうなっていた事か……この御恩は一生忘れません」
「そんな大袈裟な…俺は当たり前の事をやっただけだよ」


「へー、タカユキ君が海未ちゃんの言っていた、命の恩人だったなんてびっくりだね」
「そうだねぇ。でも私はあの話が本当だった事がびっくりだなぁ」
「だから何度も本当だと言ったじゃないですか」


 海未ちゃんが2人を怒った様に見る。どうやら今日の今日まであの時の事は嘘だと思われていたらしい。まぁ、怪物に襲われたなんて話、信じろって言う方が難しいもんな。


「そういえば自己紹介がまだでしたね。私は園田海未と言います。音ノ木坂学院の1年生です」
「私は南ことりです。私も穂乃果ちゃん、海未ちゃんと同じ音ノ木坂学院の1年生ですっ」
「俺は江本タカユキ。……学年はみんなと一緒で、高校は……久瑠間学園…」


 ううぅ……学校名を言うのがこんなにも恥ずかしいと思うのは21年+16年で初めてだ……。
 ……ってか思ったんだが俺、年齢足したら37なのか…アラフォーとか…とんだオッさんじゃないか……


「驚きました……。久瑠間学園にも貴方の様な立派な殿方が居ただなんて」


 へっ?


「穂乃果も最初聞いた時は少し驚いたけど、海未ちゃんの話を聞いたら、タカユキ君は良い人なんだって思ったよ!」
「海未ちゃんの命の恩人だもんね。悪い人の訳ないよねっ」
「高坂さん…南さん…園田さん……」



 3人の優しさが身に染みた。久瑠間学園だと言えば、大抵の人が冷めた目で見てくるのだが、彼女達は俺をそんな目で見る事はなかった。


「穂乃果でいいよ!コレからよろしくね、タカユキ君!」
「私も海未で構いませんよ」
「私もことりでいいよっ」
「ありがとう…。よろしくね、穂乃果ちゃん、海未ちゃん、ことりちゃん」





 それから俺達は、学校の事、この町の事、昔の事……他愛のない話を、時間が経つのも忘れて語り合った–––––









 _______________________











「ふぅ……」


 俺は今までずっと、穂乃果ちゃんの家で話していた。そして暗くなる前に海未ちゃんとことりちゃんを家まで送り届け、今帰路についたのだ。


「今日は楽しかったなぁ…」


 まさか、あの3人とこんなにも楽しく話せるなんてなぁ…。実を言うと転生前は、女の子と話す事なんて余りなかったから、結構緊張したんだけどね……。でも思ってた以上に話す事が出来て良かった…。
 この事ユウキとタケシに言ったら、絶対イジられるな……。







「ッ!?」


 突然の事だった。大きな音が響き、地面が揺れる。俺はフラついて膝をついた。

「な、何だッ!?」


 顔を上げた俺の目に、空に上がる黒い煙が映った。


「まさか……ロイミュード!?」


 俺は煙が上がっている方角に向かって走り出そうとする。




《タカユキ!!》
「ベルトさん!」


 そんな俺の前にトライドロンが颯爽と駆けつけた。俺はドアを開けてベルトさんを手に取り装着した。


《Start your Engine!》
「変身‼︎」

《DRIVE!type SPEED!》


 ドライブに変身した俺はトライドロンに乗り込んでハンドルを握り、アクセルを踏み込む。トライドロンは全速力で走り出した!












 _____________________









「ぐああああああああ!?」
「うわぁああ!?」
「ゴフッ!?」


「ハハハッ!オラオラ、どうした!?
「ただの人間が……俺達に勝てる筈が無い」


 …………俺達4人は今、警官と戦っている。……いや、蹂躙してるって言った方が正しいな。

 俺達は転生者…ロイミュードの力を手に入れた者達だ。ただの人間風情が束になって掛かって来ようが、敵う訳がない。俺達の力は強力だ。肉体は銃弾も刃も通さない。拳は大地を砕き、蹴りは鉄柱をも圧し折る。

 俺達に怖れる物はない……。奴等の存在を除けば……。








「待て!?」


「あッ?」
「何だ!?」
「……」


 来たか………焔の様な真紅のボディを持つ、俺達の最大の敵……仮面ライダー…!だが、無駄だ。俺は徹底的にお前の事を”観察”してるからな……。
 オブサベイション……それが進化した俺…059の名前だ…。



 そしてコイツらも……




 _____________________








「嘘だろ……!?」


 俺は驚愕していた。理由は俺の目の前に居る4体のロイミュード……全員が進化態なのだ…。

 俺は今まで進化態とは戦った事は無い。だが進化態は下級ロイミュードとは比べ物にならない強さを持つ事は知っている。それが4体も居るのだ…。恐ろしい程、絶望的な状況だ……。


「どうした?ビビったか!?」


 1体のロイミュードが俺の事を嘲笑う。


「うるさい…!」
《気をつけろドライブ。進化態が相手となれば一筋縄ではいかない》
「分かってる……でも」


 ……俺は逃げる訳にはいかない。コイツらは恐らく、無差別に暴れているのだろう。なら、ココで逃げれば多くの犠牲者が出る……。そんな事は………。


「絶対にさせない!」
「しゃらくせェェェッ!」


 拳を握り締め構える俺に、先程俺の事を嘲笑ったロイミュードが突っ込んで来る。ロイミュードはドリルの様な右腕と、削岩機の様な左腕を同時に突き出してきた。俺はそれを横に転がって躱す。2本の腕は寸前まで俺が立っていた大地を抉った。


「ドリル…それが俺様の名前だ!もう061なんて呼ばせやしねぇ!!」


 ドリルロイミュードは何度も腕を俺に振るってくる。当たれば一溜まりも無いだろう。俺は只管、それを回避し続けるしかない……。
 だが、俺はいきなり左から来た衝撃に吹き飛ばされ倒れた


「グアァァッ!?……クッ…!」


 顔を上げるとそこには両腕に盾の様な物を備え、全身が武骨な鎧に包まれたロイミュードが居た。コイツが突撃して来たのか…!?


「俺はアサルト…元063……」
「アサルト…突撃って訳か……ッ!?」


 俺は背後に気配を感じて振り返った。そこにはまた、1体のロイミュードが居た。


「う…おおおおおッ!?」


 俺はソイツに思いっきりパンチを放った………だが……。


「…ガァッ!?……ガッ⁉︎」


 俺の放った拳に目掛けて、ソイツも拳を叩き込んできた。その強さに俺の拳は押し負け、激痛が走る。
 まるで西洋の騎士の様な黒い鎧に銀のマント。腰には剣が帯刀してある。


「俺はナイト…数字は……」




 奴の数字を聞いた時、俺は驚愕をする事になった……。




「037だ……」





 037……その数字は、今までの相手とは強さの桁が違う事を物語っていた……。


「グッ!?」


 俺は右手を抑えながらジャンプしてロイミュード達から距離を取る。

 このままじゃマズい……。
 俺はそう思いながらも引く事は出来ず、再びロイミュード達に構えた。



「逃げないか…。流石、仮面ライダーと言った所か……なぁ、江本タカユキ……」
「なッ!?」


 1体のロイミュードが前に出て、俺の名前を呟いた。俺はまた驚いた。何故なら俺は今まで正体がバレない様、細心の注意を払いながら戦ってきたからだ。


「俺の名はオブサベイション…。元059だ。対処を観察し、その能力を理解して他のロイミュードに伝える事が出来る……」
「観察…だと?」
「俺達は全員、九瑠間学園の生徒だ…。正体さえ分かってしまえば、貴様を観察する暇などいくらでもある》
「無駄話は終わりだァ……死に晒せェェ…仮面ライダァァァァァッ!!」


 ドリルが左腕の削岩機を突き出して俺に突っ込んで来る。


「ッ!?ドア銃!」


 俺は咄嗟に車のドアの形を模した武器・ドア銃を呼んだ。ドア銃はトライドロンから射出され俺の手に来る。そして俺はソレを使いドリルに発砲した。


「グオッ!?」


 それを受けてドリルは動きを止めた。今がチャンスだ!俺は畳み掛けようとドア銃の銃口をドリルに向けた……。


《タカユキ!上だ!》


「俺を……忘れるな…!!」
「なッ!?グアァァッ!?」


 アサルトが上空から襲撃してきた。奴の突撃を受けて、俺は吹っ飛ぶ。


「グゥッ……つ、強い…!?」
「当然だ……俺達はお前を倒す為に手を組んだのだからな…」
「な、何だと…!?」


 俺を倒す為!?今までの転生者の目的はラブライブの登場人物だった。俺を直接狙って来るなんて初めてだ……。


「貴様ら仮面ライダーは邪魔なんだよ……だからさっさと消してしまった方が、都合が良い……!」


 そう言って、ドリル、アサルト、オブサベイションの3体が俺に突っ込んで来た。俺はドア銃を発砲して止めようとしたが、奴等は止まらない。
 3体の攻撃が次々と繰り出される。俺は反撃をする事が出来ず、防戦一方となってしまった。そしてその防御も次第に疎かになっていき、装甲が傷付けられていく。


「グッ…ガァッ!?……ヌゥッ…!?」


 俺はボロボロになり膝をついた…。そして、顔を上げた時、目の前には剣を構えたナイトが立っていた。


「終わりだ……仮面ライダー………フゥゥゥンッ!!」


 ナイトは剣を思いっきり振り、俺を斬り上げた……。


「グアアァァァァァァァァッ!!!??」



 ナイトの剣が俺の身体を斬り裂き、俺は上空を舞う…。
 大地に叩きつけられると同時に俺の意識は途切れた……–––––







 
 

 
後書き

7話、タカユキ編でしたー

前回のユウキ編が戦闘シーンを大胆全カットしたので、今回は戦闘シーンを多めに書いています。

そしてやっと穂乃果ちゃん登場です。これでμ'sの9人が遂に出せました。主役の穂乃果ちゃんが最後って…←


次回はタカユキ編の続き………ではなくマッハ=タケシ編です←


タカユキがどうなったのか…?

それはまた、何れの機会に…


感想、評価、ご意見、その他、是非是非お待ちしてます
 

 

count,4 Eradication

 
前書き
・ドライブピット

スタインベルト邸地下にあるトライドロン、ライドマッハー、ライドチェイサーの整備場及び、ドライブ達のアイテムの開発所である。様々な機器が用意されていて、シフトカーやシグナルバイク、チェイサーバイラルコアの調整等も行われ、更に本編にはなかったアイテムの開発も進められている。整備は主にクリムが行ない、開発はユウキが(たまに)行っている。

・スタインベルト邸

現在、タカユキ、タケシ、ユウキの3人が暮らしている3階建の豪邸。御茶ノ水にあり、かなりの広さを誇る。多目的ホールや上映室、大量の食品を保存する冷蔵室等、他にも様々な部屋がある。とはいえ3人しか居ないので、部屋の殆どが未使用の状態である。その維持費が何処から出ているかは不明。タケシとユウキは落ち着かないという理由から邸を出ており、タケシは音ノ木中の近くのアパートを借りていて、大体そっちで過ごし、稀に戻ってくる程度。ユウキは邸の外では何処で暮らしているのか不明(前にタカユキとタケシが気になって尾行したが、見つかって酷い目にあった)。スタインベルトという名の通り、邸はクリムの物であり、3人はクリムの血縁者ということになっている。
 

 





「それでは今から、文化祭での食べ歩きルートの最終確認をするにゃ!」
「はい!」
「おう!」

「凛はもちろん、ラーメン屋を全制覇するよ!」
「私は…白いご飯をいっぱい食べたいなぁ…」
「俺はとにかく食べる!」



 何話してんだコイツらは?と、みんな思っただろう。俺と星空凛と小泉花陽は、明日のUTX学院で行われる文化祭の入場チケットを運良く手に入れたのだ。そしたら凛が「いっぱい食べるにゃー!」とか言って、それで現在、UTX学院文化祭のパンフレットを見ながらどのルートで行くかの最終確認をしていたのだ。


「そ、それよりも…!」

 花陽がパンフレットのあるページを開いた。

「1番行きたいのはこの今をときめくスクールアイドル、A-RISEのライブだよ!コレの為に頑張って並んで入場チケット取ったんだし!」


 A-RISE……それはUTX学院に結成されたスクールアイドルだ。メンバーは綺羅ツバサ、統堂英玲奈、優木あんじゅの3人だ。結成して半年も経たない内に人気グループとなり、そのままうなぎ登りでスクールアイドルランキング第1位となり、現在もその地位を不動の物にしてるって訳だ。

 この文化祭では、そのA-RISEの生ライブが行われる。その為、文化祭の入場チケットは先着順の数量限定品となっていた。俺と凛は、花陽に連れられてチケットが発売される前日の早朝から並んでいた。

 その際、俺達よりも先に並んでいた人がいた。サングラスに変な帽子を被ったツインテール………まさかねぇ…?

 あ、勿論、夜には花陽と凛はちゃんと家に帰させたぜ。俺が順を取って置いた上でな。そんな努力の甲斐もあり、無事チケットを3枚ゲットできたのだ。

 そういえば、前に並んでいたツインテールの人は、チケットを購入する直前、電話で揉めていたな。なんか「あれ程来なさいって言ったでしょ!?にこがどんだけ並んだと思ってんのよ!?てか、何で副部長なのに来ないのよ、この馬鹿ユウキ!!」…とか言って……。

 その馬鹿ユウキが俺の知ってるユウキで無いことを祈っている……。


「本当に楽しみだよぉ…!A-RISEのライブを生で観れるなんて…‼︎」


 花陽はドが付く程のアイドル好きで、特にA-RISEは結成当時から大ファンだったらしい。今も何とも表せないくらい幸せそうな表情をしている。


「かよちん、本当にアイドルが好きなんだにゃー」
「うん!あ、勿論、凛ちゃんのことも大好きだよ!」
「かよちん……凛もかよちんのこと、大好きにゃ!」



 ………ご馳走様です。

 とにかく、俺はA-RISEを最近知ったばかりでよく分からないが、あの花陽があそこまで大好きなスクールアイドルで、そのライブを生で観れるんだ。それは相当凄い事なんだろうな……。





「ん…?」
「にゃ?どうしたにゃ、タケシ君?」
「へっ?あ、いや、何でもないぞ…」


 俺は一瞬”違和感”を感じた。だが、それが何かを深くは考えなかった…。










 __________________________






 アイツが…仮面ライダー……。

 潰してやる……必ず…俺達が…!




 –––––––窓の外からタケシを見ていたそれは、空へ飛び立った……。





 _________________________






 私は小泉花陽です。今は親友の凛ちゃんとタケシ君の3人で下校しています。

 明日は遂に、待ちに待ったUTX学院の文化祭!チケット買うのは大変だったけど、2人が協力してくれたから無事に買えました!


「明日は腹一杯食うぞー!」
「おー!」


 タケシ君と凛ちゃんは両腕を上げて叫んでます。私はそれを見て思わず微笑んだ。そして再び、手にしていたUTX学院のパンフレットに目を落とした。

 UTX学院…いいなぁ……。


「なぁ?もしかして花陽、UTXに行きたいのか?」
「へっ!?」
「何言ってるにゃタケシ君?かよちんは明日、凛達と一緒にUTX学院に行くにゃ」
「いや、そうじゃなくてさ。花陽はUTXを受験したいんじゃねぇのかなって思って」
「ええっ!?そ、そんな事は……」


 私はタケシ君の言葉にびっくりしました。……実を言うと、その気持ちが全く無い訳じゃない。でも……。


「何言ってるの!かよちんは凛と一緒に音ノ木坂学院に行くんだよ!」


 凛ちゃんがタケシ君に対して、そう言いました。私は前に凛ちゃんと、一緒に音ノ木坂に行こうって約束したんです。


「凛、お前が花陽の進路決めんなよ!」


 タケシ君が凛ちゃんに反論をしました。2人は強く睨み合っています……。


「あ、あの…2人共…?」


「だいたい凛は、何時も何時も花陽のことを勝手に決め過ぎなんだよ!花陽のことは花陽に決めさせろよ!?」
「かよちんは迷ったまま何も出来なくなる時があるから、凛がビシッと決めてあげた方が良いの!!」
「それはお前の身勝手だろ!!」
「違うもん!かよちんの為だもん!!
「あのなぁ!……ッ」


 そんな時、タケシ君の携帯が鳴りました。

「……もしもし…ああぁ……うん、分かった……」


 タケシ君は電話を切って凛ちゃんと私を見ました。


「悪いけど俺、用事出来たから…」


 そう言ってタケシ君は私達に背中を向けて走り出してしまいました……。


「むむむむ〜!話の途中で逃げ出すなんて、どっちが身勝手にゃ!」


 凛ちゃんはタケシ君に対してご立腹みたいです……。こんな調子で、明日は大丈夫なんでしょうか…?


「誰か助けてぇ……」


 私は不安で、思わず呟いてしまいました…。










 __________________________













《シグナルバイク!》
《ライダー!》

「レッツ!変身!!」

《マッハ!》


 俺はベルトさんからの呼び出しをくらって、ロイミュードと戦っている。さっきの凛との喧嘩のせいで今、無性に腹が立ってる。相手は089と082……こんな雑魚ロイミュード共、とっとと潰してやる!


《ゼンリン!》


 俺はゼンリンシューターの車輪を089に叩きつけた。


「追跡!」


 次に082を蹴っ飛ばして089にぶつける。


「撲滅!」

《シューター!》


 そしてゼンリンシューターを連射して2体を仰け反らせた。


「いずれもマッハ!!」


 更に連射を続けながら俺は叫んだ。


「仮面ライダァァァ…!!マッハァァァァァッ!!」


 2体のロイミュードは吹っ飛んで転がった。へッ、言い様だぜ。


「クッソ…仮面ライダーめ……!?」

「今日はイライラしてんだ!何時も以上にド派手にぶっ飛ばしてやるよ!!」


《シグナルバイク!》
《シグナルコウカーン!カクサーン!》

 俺はシグナルカクサーンを装填した。右肩のシグナコウリンにカクサーンの標識が表示される。
 俺は2体のロイミュードにゼンリンシューターを放った。そしてマッハドライバー炎のブーストイグナイターを押した。


《カクサーン!》


 すると放たれた弾丸は2体の前で拡散した。


「グギィッ!?」
「ウアッ!?」
「まだまだ!!」


 俺は更にゼンリンシューターを連射していく。そしてブーストイグナイターを連続で押しまくった!


《タクサン!カクサーン!》


 弾丸は沢山拡散して、2体に炸裂した。2体はそれを受けてぶっ飛んだ。さぁ、トドメだ!


《シグナルバイク!ヒッサツ!》


 俺はゼンリンシューターにシグナルマッハを装填。そして車輪を回転させた。


《フルスロットル!シューター!》


 ゼンリンシューターから強化された弾丸が放たれ、ロイミュード達の前で拡散。拡散した弾丸は2体を貫き爆散させた!


「ギィヤアアアアアッ!?」
「グアアアアアァッ!?」


「あーーーッ!!まだむしゃくしゃするぅぅぅぅッ!!」


 俺はイノベイトバイザーを上げて、思いっきり叫んだ………。







 __________________________







 今日はUTX学院の文化祭当日…タケシ君と凛ちゃんと私は学院の前に集合したんですが………タケシ君と凛ちゃんが一切目を合わさないんです…。

 そして何も喋らない…。
 なんか空気も物凄く重い…誰か助けてぇ……。


「かよちん!あっちの唐揚げ屋さんに行こう!」


 そう言って凛ちゃんが私の手を握ってきました。


「う、うん。タケシ君も一緒に…「いや、俺はいいや」……えっ、タケシ君!?」


 タケシ君は私達より先に中に入ってしまいました…。


「いいよ、かよちん。タケシ君なんかほっとこ!」
「ふえぇっ、ちょ、ちょっと凛ちゃん!?」


 凛ちゃんは私の手を引いてどんどん歩いて行き、そのまま学院の中に入っていきました……。





 ____________________________






「はぁ……」


 俺は休憩室で溜息をついていた。


「最悪だぁ…モヤモヤすんなぁ…」


 本当は朝、凛に謝ろうって思ってたんだけど………なんか意地になっちまって結局言い出せず…。


「どうしたもんかなぁ…」







「隣、良いかしら?」


 テーブルに伏せていた俺に、女の子が話し掛けてきた。サングラスに帽子を深く被っているウェーブのかかった茶髪……。


「別に…良いけど……」
「ふふっ、ありがとう」

 女の子はそう笑ってから俺の隣に座る。
 俺は特に話す事も無いんで黙ってたんだが……。


「ねぇ、貴方は何でこの文化祭に来たの?」
「……何でって…友達に誘われて、それでだよ」
「へぇ……それで、その友達は?」
「そ、それはぁ……」


 俺は女の子に凛との喧嘩のことを話した。………初対面の相手に何話してんだよ俺は……


「そっかぁ…」
「それで独り寂しくしてるって訳だよ……」
「まぁ、凛ちゃんって子の気持ちも、解らなくはないわ」
「えっ?」
「その子は花陽ちゃんって子のことが大好きなのよ。だからどうしても放って置けないのよ。それで過保護になってしまうってこと。貴方もそれは解ってるんじゃないの?」
「うっ……」


 女の子にそう言われて俺はその通りだと思った…。凛がそういう奴だってことは解っていた。それは花陽を思ってのことだって事も……。なのに俺は、そんな凛を否定するような事を言ってたんだな……。


「何やってんだか、俺は……」
「でも、貴方の言い分も正確よ。自分の事は自分で決めて欲しいもんね」


 女の子はそう言って俺の鼻先を人差し指で突いた。


「お、お、おう…!?」


 女の子のまさかの行動に、俺は思わず赤面してしまった。女の子に耐性が無い訳じゃないが、やっぱりこういうのは慣れないな……。


「それじゃ、私はもう直ぐ出番だから行くね」
「出番?」
「絶対見に来てね……










 私達、A-RISEのステージ…」


 そう言って女の子は去っていった……。


「はぁ?……はぁぁぁッ!?」


 A-RISE!?あの子が……って、もしかして!?あの子、優木あんじゅ!?


「嘘だろ……俺、トップスクールアイドルとお喋りしてたのかよ……」


 驚きの事実に、俺は呆然とするしかなかった……。





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 凛は今、かよちんと一緒にA-RISEのライブがあるステージに来てる。もうすぐライブが始まるらしい。凛はスクールアイドルとかよく解らないけど、楽しみだにゃ!


 …………


 ………………


 ………でも…


 なんかモヤモヤする……


「凛ちゃん…凛ちゃん!?」
「にゃ!?ど、どうしたにゃ、かよちん?」


 凛はかよちんに呼ばれたけど気付かず、肩を叩かれてやっと気付いたにゃ。


「大丈夫?なんかボーっとしてたけど…」
「だ、大丈夫だよ!凛はいつも元気だし!」


 凛はそう言ったけど、本当は大丈夫じゃない…。

 タケシ君……今頃どうしてるかな…?





 そう思っていた時、周りから歓声が上がった。A-RISEのライブが始まったんだ……。






 ライブは凄かった。その凄さを凛は上手に表現できないけど、とにかく凄かった。アイドルに興味の無い凛が釘付けになる程に凄かった……!
 隣のかよちんは目を輝かせながらライブを見ている。本当にアイドルが大好きなんだね……。



 やっぱり……UTXに行くのが、かよちんにとって一番良いのかなぁ…?


 一曲目が終わり、次の曲の音楽か流れ始めた………。










 その時だった…。
 突然大きな音が鳴り響き、ステージの後ろから土煙が舞い上がる。


「えっ、何!?」
「どうしたの!?」
「なんかの演出?」


 周りのお客さん達はびっくりしながらステージを見ている。勿論、凛とかよちんも驚いてるにゃ。
 A-RISEの3人も土煙を見つめている………すると…。




「クククッ…初めまして、A-RISE…」


 土煙の中から、3匹の怪人が出てきた…!?


「な、何!?」


 A-RISEの3人は驚いて後退りしている。そんな3人に怪人達は迫っていく。


「さて、アンタらには死んでもらうぜ…」
「何だと…!?どういうことだ!?」


 統堂英玲奈ちゃんが綺羅ツバサちゃんと優木あんじゅちゃんを庇って怪人達の前に立って叫んだ。かっこいいにゃ〜……。


「そういうことだ。そうすれば、"アレ"も出て来るだろうからな…」
「"アレ"…だと?」
「知る必要はねぇ…今から死ぬ貴様らにはなァァァッ!」


 1匹の怪人が3人に爪を向ける。


「か、かよちん!早く逃げよ……かよちん!?」


 凛はかよちんの手を引っ張り逃げようとした。でも、かよちんは凛の手を振り払って、なんとステージの方に走り出した


「かよちんッ!?」


「とっとと地獄に……あッ?」
「や、辞めて…下さい…!」


 なんとかよちんはステージ上に上がって、A-RISEの3人を庇うように怪人達の前に立った。


「…A-RISEの皆さんを…傷付けないで…下さい………」


 その声は決して大きくはない。でも、その”想い”は凛には伝わった……。
 物凄く怖い。今すぐ逃げ出したい。それでも大好きなスクールアイドルが、A-RISEが、傷付けられるなんて我慢できない。だから怖くても勇気を振り絞って、かよちんは立ち向かったんだ……。


「ああァ?蚊が鳴くみてぇな小せぇ声出してんじゃねぇよ、餓鬼がッ!!」


 怪人はそんなかよちんの想いなんて考えず、かよちんに爪を振り上げる。アレを喰らえば、ひとたまりも無い…。
 そして、爪が振り下ろされていく……。


 凛はその前に走り出してステージ上に上がり、かよちんを抱き締めて一緒に倒れた。怪人の爪を躱すことができた!


「チッ!…次は何だ!?」


 凛は怪人を思いっきり睨んだ!


「かよちんを…凛の大事な友達を傷付けないで!!」
「り、凛ちゃん…!」
「凛?かよちん?……ああ、お前ら小泉花陽と星空凛か……」


 えっ…どうして凛とかよちんの名前を…?


「流石にコイツら殺ったら、他の連中から文句言われるなぁ?」
「別にいいだろ…。A-RISEも似たようなもんだ。どうせ文句言われるなら1匹残らず消して、この世界を楽しもうぜ…!」
「071の言う通りだ…。それにもうすぐ、"アレ"が来る…」


 そう言った大きな耳を持つ怪人が凛とかよちんに爪を向けてきた。凛はかよちんを抱き締めて目を瞑った。

 凛……ここで死ぬのかな…?まだ14才なのに…。まだ恋だってしたこと無いのに……。


 まだタケシ君に「ごめんね」って言って無いのに……。







「グッ!?何だ!?」
「ウオッ!?」
「クッ!?……やっと来やがったか……!!」





 えっ?

 目を開けると、いくつものミニカーが怪人達に体当たりをしていた!?
 そして凛の目の前に、真っ白な姿をした人が現れた。凛にそれがヒーローに見えた……。

 ヒーローは怪人達の前に立ってポーズを決め叫ぶ……。






「追跡!撲滅!いずれもマッハ!仮面ライダァァァ…!マッハァァァッ!」









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 マッハに変身した俺は今、3体のロイミュードの前に立っている。まさかA-RISEを狙うなんてな…。


「待ってたぜ…仮面ライダー……」
「あ?待ってた?俺を?」
「そうだ…何せ、俺達の目的は仮面ライダーを倒す事だからなァ……」
「なッ!?」


 俺を倒す事が目的!?
 真ん中にいたバット型の060がそう言った。


 今迄の転生者・ロイミュードはラブライブ!の登場人物を狙っていた。仮面ライダーを直接狙うなんて……ん?

 アレか?余程俺達が恐ろしいってことか?そうかそうか!いや〜、有名人は辛い…ゴフッ!?


「考え事してる暇なんてやるかよッ!」


 スパイダー型の075がいきなり突っ込んで来て俺を殴りやがった。そいつは更に攻撃を続けてくる。


「うおっ!?クッ!?この野郎!」


 俺は攻撃をなんとか往なし、蹴りを撃って075と距離を空ける。


「速く逃げろ!」


 そして、後ろに居た凛達に逃げるように促した。


「あ、は、はい!?」


 凛達は驚きながらも返事をし、ステージから降りていく。
 さぁーて、コレで暴れ易くなったぞぉー…。


「かかって来な、ロイミュード共!」


 俺はゼンリンシューターの銃口を奴等に向けた。


「フンッ、ならァ…お望み通り、そうしよう…」



 だが次の瞬間、俺は驚くことになる。060が、進化態の上級ロイミュードへと変化したのだ!



「なッ!?マジかよ…!?」


 ゴツゴツとして黒いその肉体は所々が赤く発光し、蒸気が発生られている…。


「イラプション……それが俺の名だ…!」


 イラプション……だと…!?
 …………なんて意味だろう…?


「ま、何でもいい。とにかくいくぜ!!」


 俺はゼンリンシューターを手にロイミュード達に立ち向かっていった!













「グアッ!?」


 俺はUTXの校舎内の柱に叩きつけられた。


「クッ…ソ…!?」


 イラプション・ロイミュードの強さに俺は苦戦を強いられていた。奴が口から放つ溶岩弾が俺の肉体に炸裂し、俺は何度も傷付けられていく。おまけにパワーも半端じゃない。そこに更にスパイダー型の075と071の2体の追撃が入ってくる……。


「どうした?仮面ライダーさんよォ」
「動きが鈍いぜェ」
「ハァ…ハァ…う…うるせぇッ…!」


 俺は最早、立っているのが精一杯の状態だ………。


「それじゃ……トドメだ…!!」


 ラバが俺に狙いを付けた………その時だった!





「やめるにゃ!!」


 俺を庇うように立ち塞がったのは凛だ。


「また貴様かァ…」


 凛はイラプションのことを強く睨んでいる。


「何やってんだ馬鹿…速く逃げ……ッ!?」


 ラバが溶岩弾を放ってきた。俺は凛を抱き抱えて転がりギリギリで躱した。


「馬鹿野郎、死ぬ気か!?だいたい……ッ!?」


 俺は凛と一緒に柱の後ろに隠れ、そこで凛に説教をしようと肩を掴んだ時、その肩が震え、泣いていることに気付いた。


「お前……」
「怖かったよ…でも、貴方が負ける所見る方が怖いよ!」
「えっ…?」
「貴方、ヒーローなんでしょ?凛はヒーローが好きだから、ヒーローが負ける所なんて見たくない!かよちんだって好きな物を守る為に勇気出したんだから、凛も勇気出すにゃ!」


 凛………。


「何時迄も隠れてんじゃねーよ、この野……グオッ!?」


 俺は柱から出てきて075を撃ち抜いた


「ありがとな」
「へっ…?」
「俺は絶対負けねぇから、安心しな」
「……うん!」


 凛は涙を拭って笑顔を俺に見せてくれた……。
 さて、コレで絶対に負けられなくなったか……。俺はヒーローなんだ。アイツの笑顔を守る為にも、負けるつもりはねぇ!!


《シグナルバイク!》
《シグナルコウカーン!キケーン!》


 俺はシグナルキケーンをドライバーにセットしてキケーンにシグナル交換をした。そして3体に向かってゼンリンシューターから弾丸を放ち、スイッチを押した!


《キケーン!》


 弾丸はミサイルのような姿をした魔獣に変わり、ロイミュード達に襲いかかった。


「な!?グアッ!?」
「ウオッ!?
「ヌゥッ!?グッ…グアアアァッ!?」


 071は魔獣の攻撃に耐え切れず爆散した。


「残りもチャチャッと片付けるぜ!」


《シグナルバイク!》
《シグナルコウカーン!トマーレ!》


 シグナルトマーレに交換し、スイッチを押し弾丸を放つ!


《トマーレ!》


 イラプションは躱したが075には命中!075はその動きを止めた。


「な、何だコレは!?」
「へへッ、オラッ!」
「なッ!?ウワァァァッ!?」


 動きが止まった075を俺は狙撃。奴は粉々に砕け散った。


「馬鹿な…何処からそんな力が…!?」


 急に逆転した俺を、イラプションは信じられないといった目で見ている。そんな奴に対して、俺は胸を叩いて言った。


「ココからだ!!」


 誰かを守りたい……救いたい……助けたい……その為に戦いたい!そんな想いが俺を強くする…。でもそれは俺だけじゃなくて、そう想う全ての人に言える事だ。だから凛も花陽も勇気を出してロイミュードに立ち向かえたんだ!!
 ただ自分の私利私欲の為に他人を傷付ける奴には解んねぇだろうがな!!

 俺は再びシグナルマッハをドライバーに装填して、スイッチを連続で何度も押した。


《ズーット!マッハ!》

「フッ!」
「何ッ!?」


 俺は加速して、イラプションの懐に一気に潜り込む。そして……。


「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!!!」


 容赦無く連続パンチを叩き込んでいく。無駄無駄とか言わせる隙は与えねぇぜ!!



「グオッ!?ゴオオオグウゥゥゥッ!?グアアアアアァッ!?」


 イラプションは思いっきり校舎の外まで吹っ飛ぶ……さぁ、トドメだ!!


《ヒッサツ!》
《フルスロットル!マッハ!》


 俺は跳び上がり、空中で何度も前方回転をして勢いをつけ、そのまま急降下してイラプションにキックを放つ。コレがマッハの必殺技・キックマッハーだ!


「ば、馬鹿な…!?俺が!?……ヌゥゥグアアアアアァッ!!?」


 イラプションはその威力に耐えらずに爆発した……。








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「凛ちゃん!?」


 私は、1度校舎の外に逃げた後また戻っていった凛ちゃんを追いかけて来ました。着いた所には、あの私達を助けてくれた人を見つめる凛ちゃんがいました……。


「だ、大丈夫、凛ちゃん!?」
「かよちん!…うん、凛は大丈夫だよ!」


 凛ちゃんは私の質問に笑顔で答えてくれました。そして私と凛ちゃんは一緒に、あの人……真っ白さん…だっけ?…を見ました。

 真っ白さんは私達に手を振ると、そのまま走り去ってしまいました……。


「凄かったにゃ……」
「うん……」
「本物のヒーローだにゃ……」
「うん……」



「おーいっ!?」


 私達が驚いている所に、タケシ君がやってきました。


「うん…私達は大丈……「凄かったんだよタケシ君!!ヒーローが凛達を助けてくれたんだよ!!」り、凛ちゃん!?」


 私の言葉を遮って、興奮した凛ちゃんがタケシ君の前に出ました。

「ひ、ヒーロー!?
「そうだよ!本当だよ!かっこよかったんだよ!ねえ、かよちん!?」


 凛ちゃんの目はキラキラと輝いている。そっか、凛ちゃん、真っ白さんのこと好きになったんだ。

 凛ちゃんはさっきの出来事を嬉しそうにタケシ君に話していきます。タケシ君もそれを楽しそうに聞いている…。よかったぁ……。仲直り、できたみたいですね。









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 その日の夜。俺達は帰路についていた。


「なぁ、凛」
「何にゃ?」
「昨日は……ごめんな」
「ううん、凛の方こそ悪かったから……」
「なら、おあいこだな」
「そうだね。おあいこ」
「仲直りできてよかったね!凛ちゃん、タケシ君!」


 花陽が俺と凛に笑いかけてきた。花陽も板挟みで大変だっただろうな。
 そう思っていると、花陽が立ち止まってモジモジとし始めた。


「どうした花陽?」
「かよちん?」
「あの…ね……実は…ね………受けてみよう…って思うんだ……UTX………」


 マジかよ!?
 俺は驚いた。あの花陽が自分から何かをしたいって言ってくるなんて……。そしてそれは俺にとって、とても嬉しい事だった。だって、花陽はアイドルが好きなんだから、No.1スクールアイドルがいる学校はそんな花陽にピッタリだしな!


 でも、凛は……。


「ごめんね……凛ちゃ…ッ!?」


 凛が花陽の両手を掴んだ。


「頑張ってね、かよちん!凛の成績じゃ、UTXは無理だけど……かよちんが合格できるように応援してるよ!」
「えっ!?…い、いいの…?」
「うん!だって、学校が違っても凛とかよちんはズーット友達にゃ!」


 そう言って凛は花陽を抱き締めた……。

 ええ子やぁぁぁぁぁぁぁ!!めっちゃええ子やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!俺涙止まらへんわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


「じゃ、じゃあな!俺コッチだから。花陽!頑張れよ!」


 俺は泣いてるのを悟られる前に手を振って走り去っていった。






「タケシ君泣いてたね……」
「そうだね。でも、そこがタケシ君の良い所にゃ!」
「うん!」







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 いや〜よかったよかった。

 俺は大満足で帰路を歩いていた。花陽がした決断、応援してあげないとな。アイツ可愛いからきっとA-RISEの新メンバーになるだろうな。そしたらμ'sの最大のライバルに…………。


 μ's………?





 ・花陽は近い将来μ'sのメンバー
 ・でも、花陽がUTXに入る
 ・なら音ノ木には当然来ない
 ・て事はμ'sは結成されない
 ・例えされても花陽は居ない
 ・つまりラブライブ!の物語は……





 始まらない……!?








「しまったああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!???やっちまったああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」



 俺は最大級のミスをしていた!!花陽が音ノ木に来ないと全てぶち壊しじゃないか!?ヤバいヤバいヤバいヤバい!!?どうすれば……!?



 そんな時、電話が鳴った。


「あ、ベルトさん!?な、ななななな、なな何か、あったよか!?…………え…タカユキが…!?」



 自分のミスにアタフタしていた俺にベルトさんから掛かってきた電話の内容は、タカユキがロイミュードに倒されたというものだった………。








 
 

 
後書き
さて、1万文字いっちゃいました←

かよちんは本来、両親への申し訳なさと音ノ木への強い思い入れから音ノ木坂学院に入学したという設定でしたが、もし、UTX学院への入学を後押しされたら…?

元々アイドル好きの彼女なら行きたいと思うのではないかと考え、このような話になりました。


結果、タケシ君は最大級のミスをしてしまうことになりましたが……。


そしてハーメルンの時はラヴァだった060をイラプションに変更してます。



次回は、ラストカウントに入る前の話になり、タケシ、ユウキ、タカユキ、そして原作突入前のラストという順で進め行きたいと思います

つまり原作突入まで残り5話!

ご意見、ご質問、ご感想、お待ちしております!
 

 

Last 3 count Before

 
前書き


・転生者

一度命を落としたが、神の力によって別人として自分の世界に、又は元のままか別人で別世界に甦った者の事をいう。転生者は通常の人間よりも高い身体能力を持ち、何かしらの特殊能力を持っている者もいる。また、転生者には精神面に置いて異常な者が多いらしい。以前の記憶を持っている者もいれば、失っている者もいる。尚、転生そして転生者に関しては謎な部分も多い。ラブライブ!の世界に転生した者達はロイミュードに変身する力を得ている。それを撃破する為に、タカユキ、タケシ、ユウキの3人は転生させられた







その理由も解らず


 

 















 さて……ドライブは倒れた。俺達の力の前にな…。そして今、ナイトがトドメを刺す為にドライブ=江本タカユキに剣の鋒を向けて迫っていく。

 コレでまずは1人だ。残るはマッハと名乗るライダー…そして死神と呼ばれる者……。前者の正体は既にリサーチ済だ。奴は正体を隠すのが下手だったしな。だが、後者は戦闘能力については少しあるが、正体については情報が無い。徹底して正体を隠しているとは、侮れんな……。まぁ、コイツが死ねば、嫌でも出てくるだろう。

 ナイトの剣が振り上げられた。そして真っ直ぐに奴めがけて落ちていく……。










《シューター!》





 銃声が鳴り響き、ナイトの身体から火花が散る。



「ッ……貴様は…」
「んだテメェはァァッ!?」


 ドリルが怒りの声を上げ、削岩機を向けるその先に居る戦士……。

 俺はコイツを知っている。観察対象の1人だからな。ま、もう観察し終えた個体で取るに足らん相手…。久米野タケシ…仮面ライダーマッハだ…。









_________________________








「オワァッ!?」


 奴らの隙をついてどうにか救い出したタカユキを肩に抱え、走って逃げる俺だが、ロイミュードの放った斬撃が足下に炸裂して吹っ飛んだ。

 痛ゥ……え?トライドロンかライドマッハーで逃げろって?俺もそうしたいのはやまやまなんだが……。






「フンッ!」


 なんかゴツいロイミュードがトライドロンを抑えてるんだよ…。そしてライドマッハーなんだが……。






 あの鎧みたいな奴にぶっ壊された……。

 いや、びっくりだよ。剣の一振りで吹っ飛んで煙り上げて壊れちまったんだから…。最悪だ…。今度ユウキに直してもらお……。


「でも、その前に…どうやって、こっから逃げるかだな…」


 俺は再び立ち上がってブーストイグナイターを押しまくった。


《ズーット!マッハ!》


「ちょいとキツイかも知んないけど、我慢してくれよタカユキ…」



 俺は思いっきり加速して走り出した!







 だが……。



《タケシ、前だ!》



「ッ、何ッ!?」
「逃がさん……」


 あの鎧みたいなロイミュードが立っていた。俺のスピードに追い付いただと!?

 鎧野郎は俺の胸に拳を叩きつけやがった。


「ガァッ…ッ!?」


 俺は思いっきり吹っ飛んでアスファルトに転がる。タカユキも落としてしまった。


《タケシ!?》


 タカユキに装着されているベルトさんが叫ぶ。


「クソッ…やってくれんじゃねぇか…この鎧野郎!」


 俺はフラフラと立ち上がりながら鎧野郎にゼンリンシューターの銃口を向ける。
 逃げんのは辞めだ!この野郎…絶対ぶっ飛ばしてやる…!ココに居るロイミュード全員倒せば、タカユキ担いで悠々と帰れるしなァ!


「追跡!以下略!かかって来やがれロイミュード共!」











「ハァ…ハァ……ゴフッ…!?」


 俺は気を失っているタカユキの側で膝を地面に着き強制変身解除され吐血した。

 コイツら……強過ぎだろ…!?
 連携が半端ねぇ…付け入る隙が全然見当たらねぇ…。しかもオブ…なんとかとか言うロイミュードの話によると、俺の力は解析済みだとよ…。何だよ、そんなのありかよ…?俺に勝機0じゃねぇか……。


 このままじゃ……殺られる…!?



 俺がそう思った時だった。俺達の前に誰かが降り立った…。



 黒と紫の鎧……。
 魔進チェイサー…ユウキだ…–––––


 チェイサーが左腕を挙げると複数のシフトカーが現れ、ロイミュード達に突撃をしていく。




「チッ!?邪魔だァァァァッ!!」


 ロイミュード達が混乱している隙をついてチェイサーは俺とタカユキを引き摺って物陰に走っていく…。
 せめて担いでくれよ…。










_______________________________








「全く…」


 俺は変身を解除してボロボロで転がっている2人を見た。クリムから報せを聞いて来てみればこの様か……。

 物陰から顔を出して覗くとその先には、ロイミュード達が俺達を捜している。必死だな…余程俺達を始末したいという事か……。ま、解らんでもないが。

 逃げようにも、易々とは逃げれんだろうな。ライドマッハーが破損している以上、ライドクロッサーは使用出来んし、トライドロンもロイミュードの攻撃で破損しているだろうしな。
 ………帰ったら修理か…面倒くせぇな…。


「お、おい…どうやって逃げる…?」


 タケシが肩の傷を抑えながら、俺に尋ねてくる。


「逃げるにも、この状況じゃなぁ…。それに、向こうには俺達の力を知り尽くして、そいつをリークした野郎がいるんだろ?オマケに30番代の数字が居る……最悪じゃねぇか。正当法で挑んでも勝つのは難しいだろうな…」
「ううぅ…確かに……。でも、このまま大人しく殺されたら堪ったもんじゃねぇぞ…?」
「解ってる……。要は正当法じゃなきゃ良いんだよ……」


俺はそう言って、ある物に目を向けた…–––––










_________________________________










「クソッ!何処行きやがった!?」
「落ち着け。そう遠くには行ってない筈だ…」



 荒れるドリルを宥めるアサルト。俺、オブサベイションは右肩に着いているカメラを使って逃げた仮面ライダー共を捜している。アサルトの言う通り、遠くに逃げるのは不可能だろう。マシンは破損。チェイサーが2人を担いで逃げようものなら、直ぐにナイトの餌食となる…。

 奴らは八方塞がり……。打開策等与えはしない…。


 ん…?





「お!出て来やがったな!」


 歓喜の声を上げるドリル。その先にはコチラに歩いてくる1人の戦士がいた。
 まだ息の有るマッハか…それとも死神か………ッ!?


「馬鹿な…!?」
「何!?」
「テメェ!?何で!?」
「ほぉ…」


 俺、アサルト、ドリル、ナイトは歩いて来る戦士を見て驚愕した。何故ならそれは、先程重傷を与えた筈のドライブ=江本タカユキだったからだ。

ドライブはまるでノーダメージだったと言わんばかりに、悠々と歩いて来る。……まさか…。


「テメェ!?何でピンピンしてんだよッ!?」
「落ち着けドリル。マッドドクターというシフトカーが有る事を忘れたか?」
「ああァ?」
「おそらくそのシフトカーを使って死神が傷を治療したのだろう。最初に江本タカユキを治療して、次は久米野タケシ…。そうやって3人で俺達と戦うつもりなんだろう。奴が出て来たのは久米野タケシの治療の時間を稼ぐ為…。治療中に攻められたら堪らんだろからな…」


 成る程……。戦力を揃えた上でぶつかろうという事か。それとよく見たら、姿はタイプスピードだがタイヤはタイプスピードの物ではないな。初めて見るものだ…。だが、無駄だ。どの道、貴様らに勝機など無い。力の知れた貴様らにはなァ……。


「復活したのなら、もう一度潰す迄…!!」
「ヒャァァッ!!殺って殺るぜェェェェェェェェェッ!!!」


 アサルトとドリルが突っ込んでいく。ドリルは狂った様に腕の武器を振り回す。破壊衝動を抑えられない戦闘狂…。何処までも狂った奴だ…。ナイトは剣を構えて離れた位置からドライブを見据えている。


「ヒャァァァァァッ!!」


 ドリルの右腕が突き出された。ドライブはそれを横に動いて躱し、ドリルの背に蹴りを入れる。そして次に突っ込んで来たアサルトを飛び越えて躱す。その隙を狙ってナイトが剣を振るった。だがドライブはそれをバク転して回避……。




 おかしい……。なんだ、この違和感は…?


 俺は少し離れた位置からドライブの戦いを見て思った


 奴はナイト達の攻撃を軽々と往なし、カウンターを放ってくる。こんな戦い方…観察したデータには無かった筈……。この短時間で覚えたというのか?

 いや、それは有り得ない……。だが、そうとでも言わないとまるで別人としか………。








 別人…?





 まさか…!?







「気をつけろッ!!?」


 俺はナイト達に向かって叫んだ。


 その時だ。奴はタイヤを境に分離をした。そして上半身の頭部と右腕の部分が地面に吸い込まれるように消えていく。残った左腕と下半身の部分は剣を手にナイト達に攻撃を仕掛ける。

 ナイト達は混乱して連携が乱れている……。間違い無い…奴は……。








江本タカユキじゃない–––––




《ドリフトカイテーン!》


 俺がそう思った時、ドライブは俺に向かって剣を投げてきた。


「クソッ!?」


 俺は身体を反らしてそれを回避した……。だが……


「––––ッ!?まさか…!?」


 俺の後ろには、奴の上半身があった。その右手には先程奴の下半身が投げた剣が握られている……。

 嵌められた……。そう思った瞬間、俺の身体は真っ二つになり爆散した……––––––––












 俺はコアの姿となった…。

 だが、バイラルコアさえあれば俺は復活出来る…。機械の肉体になるのは気に食わんが………ッ!?








––––––跳躍したドライブの下半身がオブサベイションのコアを蹴り砕いた…。













___________________________










 私はベルトだ。ユウキの奇策によってロイミュード達からの逃走に成功した私達は今、ドライブピットにいる。


 彼の奇策と言うのは…。



************




《な、何のつもりだユウキ!?》


 ユウキはタカユキから私を外し、自身に装置した。


「おまっ、何やってんだよ!?」
「ドライブドライバーが”タカユキ専用”だなんて、誰も言ってないだろ…?」


 タケシは彼の言葉に驚いて目を開いている。だが確かにその通りだ。ドライブやマッハには、高い身体能力を持つ人間なら変身出来る。ユウキなら何の問題も無い。

 ユウキはキーを回して、シフトスピードを手にした。


「クリム、まだ使用して無いシフトカーは何だ?」
《ディメンションキャブくらいだ。他は一通り使用している。それらが観察されているかどうかは解らんが…》
「そうか……ッ」

《DRIVE!type SPEED!》


 ユウキはシフトスピードをシフトブレスにセットして変身。そしてその手にディメンションキャブを握る。

《タイヤコーカン!》
《Dimension CAB!》


 ユウキが変身したドライブはディメンションキャブにタイヤ交換をし、ロイミュード達に向けて歩き出した……––––




************





 という事だ。オブサベイションは“タカユキが変身したドライブ”の情報しかない。その為、“ユウキが変身したドライブ”の動きには対応出来なかったのだ。更に今迄使用して無かったディメンションキャブを使ったのだ。それがロイミュード達を混乱させたのだろう。

 ユウキはオブサベイションを撃破し、そしてその混乱に乗じて我々は逃走する事が出来たのだ。

 重傷を負ったタカユキはユウキの治療を受け、長椅子の上に寝ている。タケシも今、ユウキの治療を受けている。


「イテテテテッ!?も、もうちょい優しく頼む!?」
「うるせぇ…オラよッ」
「イデェッ!!?」

《何とか乗り切ったとはいえ…コレからどうするか…?》
「どうもこうも、タカユキは色々やり辛くなるだろうな」
《確かに…》


 ユウキの言う通り、タカユキの正体を知っているロイミュードが久瑠間学園にいるというのは非常に厄介だ。それにロイミュード側の正体が解らないとなるとその厄介さは増す。何時、命を狙われる……。


「だから人前で下手に暴れるなと言ったのに…。ライダーの存在は詰まらん噂レベルにするべきだった物をお前達は…」
「ちょ、ちょっと待てよ⁉︎お前“達”って俺も入ってんのか…よ…」


 ユウキの台詞に食い付こうとしたタケシだったが、そんな彼にユウキが数枚の新聞記事を突き付けた。恐らく今日の夕刊だろう。突き付けた記事にはこう書いてある。



【UTX学院に謎の怪物出現!?そして現れた謎のヒーロー!?】
【ヒーロー登場!?その名も仮面ライダーマッハ!!】
【都市伝説の戦士!?仮面ライダーとは!?】


「御丁寧に名乗ったみたいじゃねぇか。しかも堂々と見栄まで張りやがって………。素晴らしいカメラアングルだなァ…」


 顔は笑っているが目が笑っていない。タケシはヤバいと思ったのか、目が滅茶苦茶泳いでいる。


「だ、だろ?いやー、お、俺もどうすれば格好良く写るか、メッチャ考えてなぁ…あははは…」
「あははは………フンッ!」

ユウキはタケシの傷口に蹴りを容赦無く叩き込んだ。タケシは余りの激痛に声すら出せずにもんどり打って倒れ、床でジタバタしている。


「馬鹿が……。まぁ、何れ表には出るだろうとは思っていたが、ここ迄早期になるとはな」
「アガ…アガガガッ!アガガガガガ!アガ!」


タケシが何か言っているが激痛に襲われていて、一切言葉になってない…。私には理解出来ない…。

「うるせぇ、早過ぎなんだよ」


解るのかユウキ!?


「アガガガッ!アガアガ!」
「それを今考えてんだよ…。テメェも脳味噌搾って考えてみろ」
《ユ、ユウキ…?タケシは一体何を…?》

「あ?あー。最初のは“何れバレるのが解ってたんなら、別にいいじゃねぇか”。二つ目は“コレからタカユキはどうするんだ?”っていう事だ」
《な、成る程…。確かにタカユキのコレからは一番に考えなければ……》
「状況が状況だからな……。最悪、奴をドライブの座から外す事も視野に入れんとな…」
「おま!?それ本気かよ!?」


 復活したタケシがユウキの台詞に驚く。私も今のユウキの台詞には驚いた。しかし、冷静に考えれば、それが一番かも知れない……。


「本気だ。コイツの正体がバレている以上、俺らにも被害が来る可能性が有る。そうなれば、μ'sを護る処の話ではなくなる。どの迄広がっているか解らんし…」
「な、なら、お前がドライブになってタカユキがチェイサーになれば…」
「現在、転生者共から一番危険視されているのは魔進チェイサーだ。コアを破壊しているからな。そんな物に詰めの甘いコイツを変身させてみろ。直ぐ正体バレて殺されちまう」
「ううぅ…確かに……」
「今直ぐではない。少なくともナイト、ドリル、アサルトの3体と久瑠間学園に残る最後の1体のロイミュードを撃破した後だ。でなきゃタカユキは、奴らからの自衛手段無しだからな。そしてその後はドライブの座を剥奪して隠居…と言った所か…。ま、この件は慎重に進めんとな…」


 そう言ってユウキはドライブピットを出て行く…。タケシも一度タカユキを見た後、ドライブピットを後にした……。









_______________________________











「ふぅ……」


 俺=ユウキは溜息を吐き、シャツを脱ぎ捨て自室のベットに転がった。


 何だ、この違和感は…?
 余りにも妙な所が多い……。


 ロイミュード……。奴らと何度も戦った中で感じた違和感……。まず何故、重加速現象を起こさないんだ?重加速こそ、ロイミュードの最大の特徴と言えるだろう。だが今迄戦った奴らはそれを一度も使用していない。

 使用に何らかの制限があるのか?それとも単に今迄戦った奴らが使用していないだけなのか?

 以前、俺達が重加速を起こせるかを試してみた際は使用出来た。更にチェイサーには重加速を打ち消す力がある事も分かった。この能力は使い方次第では役に立つだろう。


 そしてそれ以上に気になるのは何故“ロイミュード”何だ?


 転生者が得た力。それが何故、全てロイミュードなのか?恐らく現段階で、コレが最大の謎だろう。

 転生者達は望んでロイミュードとなった……コレは考えられない。外付けの能力とはいえ、望んで化物になりたいと言う奴はそうそう居ないだろう。

 重加速が使えるから?だったらドライブやマッハを希望する筈だし、そもそも奴らは重加速を使っていない。。

 ならば強制的にロイミュードにされた?この仮説にも引っかかる点がある。強制的にロイミュードにされたというのなら、それを実行したのは神と考えるのが自然だ。だが、幾ら神が考え無しに“ラブライブ!の世界”に転生させまくった奴とはいえ、怪物をぶち込む様な真似はしないだろう。

 それに奴は「108人が怪人になる力を手に入れてしまった」と言っていた。つまり、その力は転生した時点ではなく、後から得た物という事だろうな……。


「神が嘘を吐いてなければの話だが……」



 何にせよ、この他にも引っかかる点があり過ぎる。一体何なんだ…?俺は……。








–––––––何と戦うんだ?










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「はぁ……」


 俺=タケシは自室のベットに座って溜息を吐いた。

 とりあえず今、俺が一番ヤバいと思っているのは花陽の事だ。アイツにUTXを受ける事を後押ししてしまった…。

 花陽の成績は結構良いから、多分普通に合格出来ると思う。そうなったらμ'sは永久に結成されないという事になる。それはつまり、俺達の知っている“ラブライブ!”という物語が始まらないという事だ。

 こんな事話したら、絶対ユウキに殺される……!ヤバい、震えが…!

 でも今更、花陽にUTXの受験を辞めてくれ何て言えないし……。

 でもこのままだと、この世界は変わってしまうし……。



 花陽の代わりに誰かをμ'sに入れるか?いや、花陽の代わり何て絶対に見つからないし、そもそも居ないだろう。

 あの9人だからこそμ'sなんだ。
 誰の代わりも居ないし、欠けてもならない……。なのに……


「あー!チクショウ!」


 この世界の在り方守る為に花陽が折角決めた目標を潰すのか?花陽の目標を達成させて世界を潰すのか?俺は……。











––––––何を守れば良い?









___________________________







「ううぅ……っ…」


 俺=タカユキは目を覚ました。身体には強烈な痛みがあるが、構わず起こす。そして辺りを見回した。


「ドライブピット………何で…?」
《ユウキとタケシが、タカユキを救出したのだ》
「ベルトさん…」
《治療は終えている。命に別状はない。身体的な後遺症もないそうだ》
「そう…か……」


 俺は視線を落として包帯の巻かれた身体を見た。

 ボロボロだ……。そして無様だ。
 まるで歯が立たなかった。自分の無力差を徹底的に感じさせられた。そして自分の限界も……。


「なぁ……ベルトさん…」
《……何だ?》
「ユウキ達、何か言ってたか?」
《………久瑠間学園には、あのロイミュード達がいる。だから、正体がバレているタカユキが学園内で命を狙われる可能性は高い。そしてタカユキの正体がバレているのならユウキやタケシにも何らかの被害があるかも知れない。…………だから最悪…久瑠間学園での任務終了後、タカユキにドライブの座から降りてもらうかも知れない…と》
「………そうか」
《…余り驚かないんだな》
「ユウキなら、そう言いそうだし」

 アイツは物事に置いて、どうすれば被害を最小限に抑えられるかを考えている。そこに余計な情は入れない……いや、実際は入れている。多分アイツは直ぐにあの3体のロイミュードを撃破する為に動くと思う。……俺やタケシに危害が加わらない様にするに……。アイツは本当は優しい奴だ。ただ不器用で、その優しさはなかなか通じない…。多分、俺やタケシくらいだろうな、解るのは…。

 それにタケシも、きっと動くだろう。アイツは友達思いの熱い奴だ。真っ直ぐで、誰かのヒーローである為に必死で戦っている。自分がどんなに傷付いても、それは変わらない。誰かを守る為に戦う強さをアイツは持っている…。




「……何やってんだ、俺?」


 μ'sを守るとか言った癖に、今の状況は何だ?2人に迷惑かけて、2人に守られてるじゃないか?きっと2人は気にすんなとか言ってくるだろうな…。

 このままで良い訳がない…。でも、俺に何が出来る?


 俺は弱い……心も…身体も…。
 今迄戦って勝てていたのは、相手が俺よりも偶然少し弱かっただけ…。ドライブの性能が、奴らの性能を上回っていただけ…。
 俺の実力なんて、たかが知れてる…。

 ドライブに変身出来なくなれば、更にアイツらに守ってもらう事になる……。



「何処までお荷物なんだよ…俺は……」


 覚悟は決めたと思っていた。でも、そんな事は無かった。自分の弱さに吐き気すら感じる。俺は……。








––––––何の為に変身する?









__________________________













 そして3人は同じ事を思う––––









–––––何故、俺達何だ?








 
 

 
後書き
一括で段落下げなどの編集が出来る機能が欲しい……。
なかなか伸び悩んでて少しやる気を無くしかけてる私であります←


序章も残す所あと4話となりました。原作突入までもう少し!
3人は残された時間の中で答えを見つけられるのか…?

原作突入までラスト3カウントとなりましが、暖かい目で見守って頂けると幸いです。

ご意見、ご感想、質問、その他お待ちしております 

 

count,3 Both Mach

 
前書き
仮面ライダーマッハ

身長:197cm
重量:92kg
パンチ力:10t
キック力:17t
ジャンプ力:約40m
走力:100mを2.5秒(加速時0.18秒)

久米野タケシがマッハドライバー炎とシグナルマッハを使用して変身する戦士。高出力を誇り、平均的能力は3戦士中トップとなっている。その分、変身者に掛かる負担は大きく、長時間の戦闘には向かない。タケシ以外の人物でも、高い身体能力が有れば変身はできる。素早い動きを利用したアクロバティックな戦法を得意とし、武器であるゼンリンシューターを使って遠近両距離をカバーすることができる。重加速という特殊な状況下でも行動する事ができ、マッハ自身も重加速を発生させる事が可能。シグナルバイクと言われるアイテムを使ってシグナル交換をして、自身やゼンリンシューターから放つ光弾に特殊な効果を与える事ができる。シフトカーやチェイサーバイラルコアも使用可能。必殺技にキック技・キックマッハー、ゼンリンシューターから必殺光弾を放つヒットマッハー、ゼンリンシューターのタイヤ部分を叩きつけるビートマッハー。これらの技は使用するシグナルバイクによって属性、効果が変わってくる。又、変身者によって身長、重量、パンチ力等の、データは変わり、上記はタケシが変身した時の物となっている

※上記はこの小説内での設定
 

 









《シグナルバイク!》
《ライダー!マッハ!》

「レッツ!変身!!」





 季節は12月の冬。俺は今、ドリル・ロイミュードと戦っている。因みに今回で6戦目だ。


「ヒャハァァァァッ!!」


 ドリル・ロイミュードのドリルが俺の左肩アーマを削る。俺はその衝撃で地面に転がった。
 強ぇ……でも、敗ける訳にはいかねぇ……!
 タカユキの正体を知っているコイツらを倒さなきゃ、アイツの命が危ねぇ……。アイツは俺の大事なダチの1人だ。絶対力になって見せる……!


「今日こそ潰す……!必ず!

《シグナルバイク!》
《シグナルコウカーン!カクサーン!》

「殺ってみろよ雑魚がァァァッ!!」
「上等だコラァァァァァッ!!」



 俺は焦っていた。タカユキの事、そして花陽の事で……。早く蹴りをつけないとヤバい……。そんな思いが俺の不安を掻き立て、更に焦らせる。











 そんな状態で勝てる程、ドリル・ロイミュードは甘く無かった……。








 ___________________________









「かーよーちんっ!」


 昼休み、花陽がUTX学院の受験の為に勉強をしていると凛ちゃんがやってきました。


「受験勉強は進んでいるかにゃ?」
「うんっ!何とかなりそうだよ。凛ちゃんは音ノ木、大丈夫そう?」


 花陽が凛ちゃんにそう聞くと、凛ちゃんはこの世の終わりが来たような顔をしました。凛ちゃん……危ないのか……?


「そ、そういえばタケシ君はどうしたの?」


 私は話題を変える為にタケシ君のことを尋ねてみました。


「んー、知らないにゃ。授業が終わって直ぐに教室出て行っちゃったし」
「なんか、UTXの文化祭が終わった後くらいから、タケシ君元気無いね……」
「凛もそう思う。だからこの前「どうしたの」って聞いてみたんだけど、「何でもない」って言われたにゃ」
「私達にも、相談できないような事なのかな?」


 だとしたら……何かちょっと、寂しいなぁ……。



「大丈夫にゃ。あのタケシ君のことだから、本当に大変になったら凛達に泣き付いてくるにゃ!」


 そう言って凛ちゃんが胸を張りました


「そうだね……。その時は助けて上げなくちゃね!」
「そうだにゃ!だからぁ……」
「だから?」


 凛ちゃんは涙目になって私に抱き付いてきました。


「かよち〜んっ!凛のことも助けてにゃ〜っ!?」
「え、ええぇっ!?」


 凛ちゃん……そんなに受験危ないんだ……あはは……。

 それから私は、凛ちゃんと一緒に受験勉強を始めました。










 ___________________________









「はぁ……」


 俺は昼休みに図書室にあるテーブルに顔を伏せていた。




 クッソォ……あのドリル野郎……どうすりゃいい勝てんだよ……?


「ねぇ?」


 コッチの手は完全に読まれちまってるし、やり様がねぇっつうの……。


「ちょっと」


 それに花陽だ事もだよ……。もう願書は出しちまったらしいし……。


「聞いてる……?」


 このままじゃ花陽がUTX学院に入学して、μ'sが……ラブライブの物語が滅茶苦茶になっちまう……。


「ねぇ……」



 ああああああああああ!!どうすりゃいいんだよおおおおおおおおお!?



「聞きなさいよ!?」
「おわっ!?」


 な、何だ!?
 俺は驚いて顔を上げた。そこには俺のことを鋭く睨む少女・西木野真姫がいた……。


「この席、何時も私が使ってるんだけど」
「んだよ……別にいいだろ、何処でも?早い者勝ちだよ」
「良くない!私はこの席が一番集中できるの!!」




 知るかよおおおおおおおおおおおお!!

 何なのこの娘!?どんだけ我が儘なんだよ!?俺はこんなに辛いのに!?悲しくなっちまうよ!?何コレ虐め!?


「知らねぇよぉ……イミワカンナイ……」


 俺はテーブルにぐったりと伏せた。


「私の台詞取らないで!」











 その後、俺は結局席を譲ったよ。だってコレ以上クダクダなったら俺の許容範囲オーバーしちまうからな……。

 んで、俺は今スター西木野氏の前の席に座ってるって訳ですよ……。


「何か今、凄い失礼な事言われた気がするんだけど」


 うん、サラッと心読んだねこの娘。てか、失礼じゃないよ。スター西木野は凄い人だよ。


「何の話よ!?」


 ……すんません。



「てか貴方、勉強しなくていいの?見た所頭はあんまり良くなさそうだけど」
「な、な、ななな、な何を失礼な!?おおお俺はコレでも頭脳派なんだぞ!?」
「なら、三平方の定理解るの?」
「あ、理科は専門外なんで」
「……数学よ……」
「」


 スター西木……じゃなくて真姫は呆れたように溜息をつく。何だよ……。数学なんて解んなくても生きていけるんだよ!世の中ある程度の足し算、引き算、掛け算、割り算が出来ればやってけるんだよ!


「屁理屈」

 ……あの……マジで心読むの辞めてくれないかな……。



「全く、貴方相当ね……」
「うるせぇ……だったら勉強教えてくれよ」
「はぁ?何で私がそんな事しなきゃいけないのよ!?」
「いいだろ別に!散々馬鹿にしたんだし!それに俺達もう友達だろ?」
「ゔぇ!?と、友達!?」


 俺の言葉に、真姫は顔を赤くした。


「だって、こんだけあーだこーだ話したんだ。友達で良いよな?」
「な、何よそれ!?イミワカンナイ!?」


 そう言って真姫は立ち上がって荷物をまとめ、その場を去ろうとしたが、直ぐに立ち止まって俺の方を向いた。その顔は少し赤い。


「……本当……?」
「え?」
「本当に私の事、友達だって思ってくれるの?」
「ま、まぁな」
「どうして?お互い名前だって知らないのよ。そんな相手に友達に成ろうとか、普通言わないでしょ?意味わかんないわよ……」


 いや、俺は君の名前どころか、趣味も好物も誕生日もスリーサイズも知ってんだけどね。
 あれ?俺、ただの変態じゃね?ま、いいか。


「そんな事言って尻込みしてたら、何時まで経っても友達なんか出来やしないだろ?」
「それは……そうだけど……」
「話してみて、互いに良い奴だなって感じたらもう友達。そういうもんじゃねぇか?俺はお前の事、良い奴だなって感じたぜ」
「ゔぇえ!?」


 真姫はまた顔を真っ赤にしている。反応が一々可愛いなぁ。そして、どっか出してんだその声?


「ま、自己紹介でもするか。俺は久米野タケシ。3年1組だ」
「……西木野真姫……3年4組よ……」
「よろしくな、真姫」


 俺は立ち上がって真姫に手を差し出した。真姫は一瞬躊躇ったが、直ぐに俺の手を握ってくれた。


「仕方ないから……勉強教えてやっても良いわよ……?」
「おう!助かるぜ!因みに俺、音ノ木目指してんだ」
「あら、一緒ね。私も音ノ木なの……本当は嫌だけど……」
「ん?」


 最後の方は小声だったので聴き取れなかった。だから何て言ったか聞いてみたんだが、「別に何でもない!」って言われそっぽ向かれてしまった……。











 ___________________________









 –––月日は流れ……




 今日はUTX学院の合格発表の日だ。俺と凛は花陽に付き添いとして一緒に来ている。さっきから花陽は緊張で震えている。


「大丈夫!かよちんなら合格してるよ!」
「そうだって!自分を信じろよ!」


 俺は凛と一緒に花陽に声を掛けている

 アレから何度か花陽に音ノ木坂に行かないかって言おうと思ったが言えず……。こうなったらもう応援してしまえ!ってことで今日まで来たって訳だ。
 あ、でも花陽は滑り止めとして音ノ木坂を受けて合格してるんだ。
 花陽がUTX落ちたら音ノ木坂に行くことになるけど、俺はそんな事望まねぇ。俺は花陽に夢を叶えて欲しいと思う。アイツの夢、アイドルになるっていうのが叶う可能性が高い場所はUTX学院だからだ。
 確かに音ノ木坂でμ'sが結成されればアイツはアイドルになれる。でもユウキが以前、こんな事を言っていた……。




「ラブライブの物語は俺達が存在している時点で破綻する……」




 その通りだ……。本来俺達は“ラブライブの物語”に居ない存在だ。だからこの世界にどんな影響を与えることになるか分からない。最悪、物語が破綻するかも知れない……。つまり花陽のアイドルになるっていう夢が崩されるかも知れない……。

 俺はそんなのは嫌だ。花陽は大切な友達だ。だから彼女には夢を叶えて欲しい。たとえ“ラブライブの物語”が破綻することになっても……。



 ……こんなこと言ったら、みんなに殺されるかもな。でも、それでも良い気がする……。




「俺が守りたいのは……」




「タケシ君!何やってるにゃー?早くいくよー!」
「えっ?お、おう!」


 俺は凛に促されて先を行く2人の元へ向かう。
 花陽の合格を祈りながら–––––












 ______________________













 花陽の番号は無かった……–––














 帰り道、花陽は俺と凛の少し前を歩いている。俺達は何度か花陽に声を掛けようとしたが、彼女の小さな背中を見たら話し掛けられずにいた……。

 そして暫く歩いた後、花陽は立ち止まって俺達の方を向いた。


「ごめんね、凛ちゃん、タケシ君……。せっかく着いてきてもらったのに……。恥ずかいとこ見せちゃったね」
「かよちん……」


 花陽は俺達に笑い掛ける。でもそれは無理して笑っているんだっていうのが俺には分かった。多分凛もそう思っている。


「残念だったけど、私にはああいうアイドルがいるキラキラした学校は似合わないって事だろうね……」
「…………そんな事ねぇよ」
「えっ……?」
「花陽は充分キラキラしてる‼︎UTXにも負けない……アイドルみたいに!今迄頑張って勉強だってしてきただろ!?それが証拠だ!花陽は輝いてる……!」
「タケシ君……」
「そうだよ……かよちんは炊き立て白米みたいに輝いているにゃ!」


 …………凛よ、何だその例えは……?そんな例えで花陽が感動……–––


「凛ちゃん……!?」



 ……–––しますよねー。お米大好きっ子だもんね。そりゃ感動するよね!うお!2人で抱き合ってるよ!凄いね!薄い本が厚く熱くなるね!



 ……と、まぁ冗談はこのくらいにして……とにかく花陽は元気を取り戻したみたいだな、良かったぜ。


 UTX程じゃないかも知れないけど、音ノ木坂だって輝いている。お前の……いや、お前達の夢はこれからだぜ……––––










 ________________________









 –––––西木野総合病院……西木野真姫の両親が経営する総合病院だ。そこに一つの影が迫っていた。


「クククッ……ここを壊せば、真姫ちゃんは俺の物に……!」


 –––––ロイミュード058……アンカー・ロイミュード。灰色をベースに青いラインが身体中に血管の様に張り巡らされ右手は錨の様な形になっている。そしてイカリ肩。


 –––––コイツの目的は西木野総合病院の破壊。そして真姫の両親の殺害だ。その理由は非常に歪んだ物。コイツはこの病院と真姫の両親を“真姫を縛る物”と勝手に判断し、それを消せば真姫は自分の物になる……そう考えているのだ。


「待っててね真姫ちゃん……直ぐに助けて……ッ!?」


 –––––だが、そんな勝手を赦さない者がアンカーの前に立ち塞がる……。


「何だ貴様……?」







 ____________________








 俺はずっと迷っていた……何を守ればいいのか分からなかったから……。この世界か、アイツらか……。でも、迷う必要なんて無い。世界もアイツらもどっちも大切なんだ。どっちも守ればいいんだ。例えどっちかしか守れない状況が来ても、そんなの糞食らえだ!俺は世界もアイツらも守る!その先にみんなの夢があるから……。






「守りたいのは……」








 –––……みんなで描く夢だ!!





《シグナルバイク!》
《ライダー!マッハ!》

「レッツ!変身!」







「追跡!撲滅!いずれもマッハァッ!!」






「仮面ライダァァァ……マッハァァァァッ!!」





 ロイミュードの前に立ち俺は叫ぶ。彼女達の夢を未来を、決してコイツらに穢させはしない!


「仮面ライダーだとォ?しゃらくせえ!!」



 右腕の錨を奴は飛ばして来た。


《ズーット!マッハ!》


 ブーストイグナイターを連打し一気に加速。飛ばされた錨を躱してロイミュードに接近。俺は想いを込めた拳をブチ込んだ。
 火花を散らして吹き飛ぶロイミュード。みんな守るって決めた俺が、負ける訳無いんだよ!!


「ぐおお……!?」
「へへっ。どうよ?」
「おのれぇ!」


 奴は立ち上がり向かって来た。俺はゼンリンシューターを取り出してスロットにシグナルマッハを装填。


《ヒッサツ!》


 そして銃口を向けて、そのトリガーを引いた!


《フルスロットル!》

「くらえぇッ!!」
「なっ……!?そ、そんな馬鹿なあああああ!?」


 放たれた必殺の弾丸はロイミュードの身体を貫き、粉々に吹き飛ばした!


《オツカーレ!》

「よっしゃあああああ!!」



 俺は戦い続ける。いや、守り続ける。仮面ライダーマッハとして、絶対にだ!!





















 闇より生まれし子よ。何も知らない黒山羊の子よ。
 何かを知るまで戦い続けるが良い。
 そして己を知った時…………。




 
 

 
後書き


これにてマッハ=タケシ編終了です!


因みにタケシ編3話の各タイトルは「追跡!撲滅!いずれもマッハ!」を英語訳したものとなっています。


ハーメルン版との違いとしてラストバトルの追加ですね。短いですが戦闘シーンを入れています。そして最後……。


さて、次回はチェイサー=ユウキ編のラストです!戦うべき敵、そしてその理由を探すユウキ。彼はそれを見つけることができるのか…?



感想、ご意見、質問等、お待ちしています!
 

 

count,2 Grim Reaper

 
前書き


魔進チェイサー

身長:201cm
重量:107kg
パンチ力:7t
キック力:12t
ジャンプ力:約26m
走力:100mを6秒

高田ユウキがブレイクガンナーを使って変身する戦士。変身アイテムでもあり武器でもあるブレイクガンナーを使用した銃撃、打撃を得意とし、距離を選ばず戦える。チェイサー平均的能力は数値的には他の戦士より低いが、変身者であるユウキが高いポテンシャルを持っているので数値を遥かに超える戦闘能力を叩き出す事が出来る。重加速下でも行動が可能でチェイサーも重加速を発生させる事が出来る。更にチェイサーには重加速現象を消滅させる事が出来る。ユウキが自分専用に改良した為、彼以外では例え変身しても操る事はほぼ不可能である。チェイサーバイラルコアを使う事で武装チェイサーとなる。また、シフトカーも使用することが出来る。武装チェイサー時の武器はチェイサースパイダーバイラルコアの力で装備する爪・ファングスパイディー、チェイサーコブラバイラルコアの力で装備する鞭・テイルウィッパー、チェイサーバットバイラルコアの力で装備する弓兼翼・ウィングスナイパーである。必殺技はウィングスナイパーを背中に装備して飛び、キックを放つエグゼキューションバット。ファングスパイディーから蜘蛛型のエネルギー刃を放つエグゼキューションスパイダー。テイルウィッパーを飛ばして相手を攻撃するエグゼキューションコブラ。


※上記はこの小説内での設定 

 




–––––12月の夜




 高田ユウキだ。とあるホテルの一室。俺はソファーに座っている。そして目の前には、これまたソファーに座った薄着の東條希がいる……。



「ほな、もっかい始めよか」
「ああ……」
「なんや不満そうやなぁ?」
「まぁ……こう何度も何度もやられてはな…」


そう言うと東條は悪戯っぽい笑顔を浮かべながら俺の顔を覗いてきた。


「とか言って、本当は好きなんやろぉ〜?」
「そんな訳あるか馬鹿が」
「まあまあ、もっかいやろ?ウチが満足するまで付き合ってもらうよぉ〜?」
「ちっ……はいはい…」


 何を言っても無駄な様だな。こうなったらとことんコイツに付き合って、やるしかないか……。


「ほな…いくで……」


 東條は1度真剣な顔をした後に目を瞑り、ソレを指でゆっくりと捲った……。



















「……死神やね」
「死神だな」


 何やってるって思ったんだ?唯のタロット占いだ。

 さっきから何回もやってるんだが全部死神が出てる。ま、俺は1度死んで転生した身だ。死神が連発しても不思議じゃない。それに……

 ああ、それと最初にホテルの一室と言ったがラブホじゃねぇぞ。俺達は今、修学旅行で北海道・札幌にいる。そこの宿泊ホテルの一室にいるという訳だ。
 明日の朝にはホテルを出て、昼に東京に戻る為の飛行機に乗るので準備をしていたら東條が俺の部屋にやって来て占いを始めたってとこだ。


「何でこんな毎回死神が出るんやろ?それにこの結果やったら、ユウキ君はとっくに死んでしまっとるってことになってしまうし…」
「ふん。実はもう死んでいて、お前の目の前にいるのは幽霊かも知れんぞ?」
「おー!それはそれはスピリチュアルやね」
「……はぁ………」
「むむっ!あんま溜息ばっかつくと幸せが逃げてしまうで〜?そんなユウキ君にはウチがわしわしして、希パワー注入したr!?


 その台詞が言い終わる前に、俺は東條の頭を掴んだ。


「そんなに鐚死鐚死して欲しいか?」
「あ…あはははー…ちょっとした茶目っ気やん♪やから許して…痛たたたた!?ちょ!?ユウキ君握力どんだけあるん!?」
「右(測定器を破壊した為)測定不能。左(測定器を粉砕した為)測定不能」
「なんやそれ!?もう人の握力やないやん!?ウチ潰れるやん!?」
「ったく……」


 俺は東條の頭から手を離した。東條は涙目で頭を摩っている。かなり軽く握ったつもりなんだが……。


「もう!酷いでユウキ君!」
「酷くて結構。とっとと出てけ」
「むぅー、はぁーい…」


 そう言うと東條は部屋から渋々出て行った。その後、俺はシャワーを浴びに向かった。




「ハァ……」


シャワーを浴びながら、俺は先程の占いのことを考えていた。そして、あの事も……。

 未だに本当の敵は見えない。奴らは何が目的なんだ?何故この世界を襲う?一体その先に何があるんだ…?



「”死神しか出ない”……そうだろうな…」



 身体中にある傷の一つを指でなぞる

 もし解っている事があるとすれば一つ…。それは俺に死神が迫ってるんじゃない……。













「俺が死神なんだ…」








_________________________




––––次の日の朝



 ウチは東條希や。今日は修学旅行の最終日でさっぽろ羊ヶ丘展望台にみんなで来たんや。
 そんで、今は親友のエリチと一緒にクラーク像の前におるんよ。


「おー!アレがクラーク像かぁ」

「”Boys, be ambitious(少年よ、大志を抱け)”有名な台詞よね」





 そんな事を話していた時後ろから鈍い音が聞こえたので、ウチとエリチは振り返った。見ると音ノ木坂の男子生徒3人が、倒れている同じ音ノ木坂の男子生徒1人を囲んでた。どうやら倒れている生徒は3人の内の1人に殴られて倒れたみたいや。

 そして倒れてる生徒には、にこっちが寄っていた。


「ちょっと!?何してんのよ!?」
「そいつが悪いんだよ。俺達がにこにーと話そうとするのを邪魔したんだからな」
「そうそう」
「だからにこは、アンタ達みたいなのと話す事なんて無いって言ってるでしょ!いい加減しつこいわよアンタ達!」
「まあまあそう言うなって…」


 男子生徒が、にこっちに腕を伸ばしていく。ウチとエリチはにこっちが危ないと思って走り出した!


 ………でも、男子生徒の腕はにこっちに届く前に止められたんや。



「なッ!?テメェ!」
「野村 俊一……佐竹 良樹……仁村 敬太……よくもまあ、修学旅行の最終日に暴れてくれたなァ……。一々仲裁するコッチの身にもなって欲しいもんだ」
「ユウキ…!」


 にこっちは嬉々とした顔をする。なんせ彼女を助けたのは最も信頼している男子、高田 ユウキ君だったから。

 ユウキ君は野村君の腕を掴んだまま、3人を鋭い目付きで睨んでいる。そうなった3人は正に蛇に睨まれた蛙状態。野村君はユウキ君の腕を振り払ってそそくさと逃げ出し、佐竹君と仁村君もその後を追って逃げていった。


「全く……。帰ったら生徒指導室にブチ込んでやろう。……で、無事か瑠川 利也?」
「う、うん……何とかね」


ユウキ君は瑠川君に手を伸ばして立ち上がらせた。


「ごめんねぇ。にこにーが可愛過ぎるばっかりに、貴方にまで迷惑かけちゃってぇ…。ああ!やっぱりにこにーの可愛さは罪なんだわ!」
「無事ならいい。暫くは気をつけろ。なんかあったら俺に言え。生徒会権限で奴らを潰そう」
「ありがとう…でもそれって執権乱用じゃ……」
「使える時に使わずして、何の為の金と権力だ?」


 ……なんか途中から恐ろしい会話が聞こえてきたなぁ…。ほんで、無視されたにこっちがユウキ君の胸板を叩きながら何か叫んでる…。あ、頭掴まれた……。


「瑠川君、ユウキ、大丈夫だった?」


 エリチが2人に尋ねた。ウチもその後ろで返答をまっている。


「俺は無問題だ」
「僕も大丈夫です」
「そう。なら良かったわ」
「それはそうとユウキ君、そろそろにこっち離してやってな」

「ん?…あ、成る程」


 ユウキ君のあの握力で頭を掴まれてたにこっちは身体を痙攣させてたんや……。にこっち、南無阿弥陀…。


「イッ…タァァァ…!?ユウキの馬鹿!もう少しでにこの頭潰れちゃうとこだったわよ!って、希は手を合わせるな!まだ死んでないわよ!!」
「何処でもうるせぇな……矢澤は」
「僕は、元気があって良いと思うなぁ」
「むむむむー!…お!何よ、瑠川君は分かってるじゃない♪じゃあ、瑠川君は特別ににこの事をにこちゃんって呼んで良いわよ♪」
「本当?じゃあそうさせてもらうよ」


「絢瀬、帰りの飛行機だが、俺は瑠川の隣りに座るぞ」
「えっ!?」
「えっ…じゃねぇ。コイツをまた、あんな連中に絡ませる訳にはいかんだろ」
「そ、そうね…」


 エリチは少し残念そうな顔をしてる。本当やったら、ユウキ君とエリチは隣り同士やった筈やもんな。それが無くなったのが残念やったんやろ。
 まぁ、こんな事言ったら、エリチに怒られてしまうから黙っとこっと。














_____________________________











–––––修学旅行から2週間後


 俺はアイドル研究部の部室で読書をしている。その隣りでは矢澤が鏡を見ながら笑顔の練習とかいうのをやってる。
 そこにあの男がやって来た。


「にこにー、高田君、こんにちは」
「あ、瑠川君!こんにちはにこー♪」
「………また来たのか。お前も暇だな」
「ははっ、まぁ特にやる事も無いし、ここに居る方が楽しいしね」


 瑠川 利也……修学旅行の時に助けた男子生徒だ。クラスはB組だそうだ。あれ以来矢澤と仲良くなったらしく、よく部室に顔を出している。

 俺と同じで他の男子達から嫌われてるらしく、恐らく転生者ではないだろう。この世界に最初からいる男ってことか。


「そういえばクリスマスにA-RISEがライブやるらしいね?」
「そうなのよ!もうチケットは取ってあるわ。しかも3枚!ユウキ!瑠川!一緒に行くわよ!!」
「良いの!?嬉しいな!」
「却下。東條でも誘え」
「何でよ!?アンタ仮にもアイドル研究部の副部長でしょ!?部長の言うこと聞きなさいよ!!」


 矢澤はピーピー喚いている。本当に喧しいなぁ…コイツ。何にせよ、俺は行くつもりは無いっての…。

 その後は適当に言葉を並べて断った。矢澤も渋々了承してくれた様だ。ライブには矢澤と東條と瑠川の3人で行く事になったらしい。俺はA-RISEのライブなんざ、興味ねぇしな。わざわざ行く必要性も無いって事だ。














 ……この時、俺がついて行くと言っていれば、結果は変わっていたのかも知れない。辿り着く答えは変わっていたのかも知れない……。











___________________________











 クリスマス。今日は矢澤と東條と瑠川の3人がA-RISEのライブを観に行く日でもある。時間帯的に今頃会場で大いに盛り上がってんだろうな。
 なら、こちらは1人でゆったりと過ごさせてもらおう……。




「1人っきりのクリスマス…………の筈だったんだがなぁ
「……私達が隣りにいるのに、その台詞は無いんじゃないの?」
「……姉妹デートに巻き込んどいて、その台詞は無いんじゃないか?」


 俺は今、絢瀬と彼女の妹と一緒に喫茶店にいる。あるシフトカーの最終調整を終えて街をバイクで走り回っていて信号で停車した際、この姉妹に声を掛けられ捕まってしまったということだ。


「迷惑…でしたか…?」


 絢瀬妹が上目遣いでコッチを見てきた。


「いや、大丈夫だ。寧ろ、コッチが邪魔してる様に感じてな」
「そんな事無いですよ!ユウキ先輩の話はお姉ちゃんからよく聞いてたんで、会えて嬉しいです!」
「俺の話?」


 絢瀬め…ロクでもない話でも吹き込んだのか……。


「はい!凄く頼りになる男の人だって、言ってました!」
「ちょ、ちょっと亜里沙!?」
「ほぉ……意外と高評価だったとはな…」


 絢瀬は顔を赤くしながら伏せた。


「兎にも角にも、改めて自己紹介しよう。高田ユウキ。音ノ木坂学院の2年生で生徒会副会長だ」
「絢瀬亜里沙です!元々ロシアに住んで居たんですけど、1ヶ月前に日本に来ました!音ノ木坂中学校の2年生です!」
「1ヶ月前か……その割りにはなかなか流暢な日本語だ」
「日本人の祖父も一緒に住んで居たので教えてもらいました!」


 成る程…ってか、元気な子だな。


「俺のことは好きに呼んでもらって構わない。宜しく、亜里沙ちゃん」
「はい!宜しくお願いしますユウキ先輩♪」
「……なんか…私の時とは態度が違うわね…」


 絢瀬がボソッと何か言ったが……ま、別にいいか。そう思っていると携帯に着信が入った。矢澤からだ。


「ちょっとすまん」


 俺は席を立ち、店の外に出て携帯に出た。


「何の用だ、矢澤?」











《矢澤にこ、東條希、瑠川利也は預かった》


 聴こえてきたのは少し高い男の声だった。


《返して欲しければ今から言う場所にk「そりゃ助かる。適当な時間になったら迎えに行こう」…ふざけんな!?保育園じゃねぇんだよ!?》
「ちっ………で、何が目的だ?」
《それは後で教えてやるよ。港にある倉庫に来い。急がないとコイツら……どうなっても知らねぇぞ…?》


 それだけ言うと通話は切れた…。犯人は…恐らくロイミュードか…。俺の正体を知っている可能性もあるな。だとしたら狙いは俺ということか。


「少々面倒な事になりそうだ……」


 俺は再び店に戻り絢瀬達の所へ行く。


「悪いが野暮用が出来た。失礼させてもらう。コイツで払っとけ」


 そう言って俺は二千円札をテーブルの上に置いた。


「え…?」
「へ…?」
「何だよ?コイツで十分に足りる筈だが……」
「「コレってお金⁉︎」」


 ……流石だ二千円札。全然浸透してねぇ


「……正真正銘の金だ。滅多に見ないけどな」
「「ハラショー…」」


 二千円札に驚いている姉妹をほっといて、俺は店を出てバイク・ライドチェイサーに乗り、指定された場所へ向かっていった……。













_____________________________


















「ここか…」


 俺は指定された場所に着きバイクを停め、倉庫の中へ入っていった。


「…ッ」


 倉庫の中には気を失った東條と矢澤と瑠川が倒れていた。俺は3人に駆け寄り、身体を揺さぶった。


「おい、起きろお前ら……ッ!?」
「シャァァッ!」
「ハァァッ!」


 突然、物陰から2つの影が飛び出して来た。コブラ型とバット型の下級ロイミュードだ。俺は咄嗟に反応し、奴らの攻撃を躱していく。そしてカウンターの蹴りを放っていって奴らを東條達が倒れている場所から離していった。


「貴様ら…何の真似だ?」


 ロイミュードの番号はコブラ型が080、バット型が086……。


「そんなの決まってんだろ、高田ァ……」
「このラブライブの世界で好き勝手やる貴様をズタズタにしてやるんだよ!」
「そういう事だ……」


 そして、2体のロイミュードの間から歩いて来た青年……野村俊一だ。


「やっぱりテメェか野村…」
「高田ァァッ…!俺達の邪魔ばっかしやがって……貴様も転生者か!?」


 ………あ?コイツら、俺の正体知らなかったのか?ただ俺が東條や矢澤とツルんでるのが気に食わないから俺を消そうって魂胆か。瑠川はとばっちり喰らったって訳か。


「まぁ、音ノ木坂にいる男子の大半が転生者だからな。俺もそれだ」
「やっぱりか…!」
「テメェ!俺達を排除してハーレムでも作る気か!?」


 080が訳の解らん事を言ってきた。馬鹿だなコイツは


「誰がそんなもん作るか、怠い。てか、好き勝手暴れてんのはテメェらだろうが…」
「もう良い……。佐竹、仁村、アイツ消すぞ」


 あの腰巾着2体は佐竹良樹と仁村敬太だったか…。まぁ、予想通りだな。どっちがどっちかは…どうでもいっか。

 そして野村はロイミュードに姿を変えた。上級ロイミュードに。

 右腕はスナイパーライフルの様になっており、ボロく薄汚れた白い布切れみたいなのを身体に纏っている。右眼付近にはスコープの様な物が植え付けられていた。


「スナイパー…それがこの俺、元052の新たな名だ!」


 そう言ってスナイパーは右腕のライフルを俺に向けてきた。


「3対1…か。ハンデには丁度良いな……」
「……本当にそう思うか?」
「ああ。俺と貴様らの実力を考えれば…」



「違う…」
「何?」








「本当に“3対1”だと思うか…?」
「……!?まさか……ッ!?」






 背後から気配を感じた俺は振り返った……。













 そこには俺にナイフを突き立てた瑠川利也がいた…。


「瑠川…!?何故……!?」


 俺は咄嗟に左腕を盾にしたので致命傷は間逃れた。だがその腕には刃が深々と刺さっている。


「チッ、後ろからナイフでグサッ!ってやつをやってみたかったんだがなァ…」


 その声はあの弱々しい瑠川の物とは思えない程、冷たい物だった。


「瑠川も転生者だったとはな…」
「は?何言ってんの?」
「あ…?」







「俺は転生者とかいうのじゃないぜ。普通の人間だ…」


 瑠川の放ったその言葉が俺には理解できなかった。何故転生者でも無い普通の人間がこんな事をするのか?こんな事をして何になるのか?


「その目…。何で俺がこんな事したのか理解不能って目だなァ……教えてやろうか?」


俺は何も言わずに瑠川を睨む。瑠川は気色の悪い笑みを浮かべている……。反吐が出そうだ…。



「ま、理由なんて別にねぇけどな」
「無い…だと…?」
「強いて言うなら……人を殺してみたかった…だな」


 そう言うと瑠川はゲラゲラと笑い出した…。ロイミュード共も俺の背後で笑っている………。









 狂ってる……。
 ただ狂ってる……。

 転生者も…この世界の人間も……。
 なら俺は狂ってないのか?


 いや、きっと俺が一番………。


「狂ってる…」


「あッ?」
「本当……馬鹿だったよ俺は。敵を捜してる内に貴様らと戦う理由を考え……貴様ら“と”戦う理由を考えている内に…貴様ら“の”戦う理由を考えていた…」
「……何が言いたい?」
「ある訳ねぇよなァ…。人ってのは皆悪魔だ。理由が無くても他者を傷つけ殺せる…そういう生き物だ。理由無き悪意も殺意も、そこら中に転がっている…。転生者もこの世界の人間も根本は同じだ…」


 俺は刺さっていたナイフを引き抜き投げ捨てる。


「貴様らに理由が無いなら……俺にも理由は要らねぇ…。仮に貴様らにそれが有っても知った事では無い………。全て俺の敵だ…」


 俺は懐からブレイクガンナーを取り出した。


「もう貴様らの理由も、是非も問わん……」




 俺は痛む左腕を無理矢理上げ、ブレイクガンナーのマズルに左掌を押し付けた。


「只々……」


 そして左掌をマズルから離す……。








「地獄で…悔むがいい……!」



《Break up…!》








___________________________










–––––瑠川利也は目の前の現実を受け入れられずにいた。ロイミュードの存在は問題無い。仲間である野村や佐竹らからその存在については聞いていたからだ。


–––––彼らと仲間になったのは修学旅行の2週間前。偶然にも野村がロイミュードになり、殺人を犯している所を目撃したのがキッカケだ。瑠川には強い殺人願望があり、とにかく人を殺してみたいという思いがあった。幼少の頃から周囲から隠れて兎や犬、小鳥などの動物を殺していたという過去を持っている。


––––––そんな彼の前に現れたスナイパーロイミュードは瑠川にとっては信仰の対象となった。簡単に命を奪える力…命を蹂躙できる力…。それは瑠川にとって、最も欲しい物だったのだ。


––––––瑠川は野村に協力すると言い、野村も瑠川は利用できると判断して2人の協定は成立した。そして今日、最も邪魔なユウキを殺す為に、にこと希の誘拐を計画、実行したのである。


––––––ユウキを瑠川が殺し、にこと希を野村達が好きにする筈だった……だが……。





《Tune Chaser Cobra…!》


–––––ユウキは黒と紫の鎧を纏う戦士となった。そして今、右腕に鞭を装備して3体のロイミュードを蹂躙している。


「グッ…!?ば、馬鹿な…!?グアアアアアァッ!?」


–––––080……仁村が、鞭による猛攻に耐え切れず爆死散した。そして飛び出したコアも鞭により薙ぎ払われ粉砕された。


「仁村ァァァァッ!?」
「野郎ォォォ…!!」


–––––仲間を殺られ叫ぶスナイパー。そして怒りのままに飛び出していく086……佐竹。だが、それは愚かな行為だった。再び鞭が振られ086は吹っ飛んで倉庫内に積み置かれていた木箱に突撃した。


《Tune Chaser Bat…!》


–––––右腕の武器が形状を変え、今度は弓の様になった。そしてそこから放たれた光矢が086の顔面を貫いた。086は断末魔すら上げる事無く倒れ灰化した。飛び出したコアも有無言わさず光矢が貫く。


「佐竹!?貴様ァァ……よくも仲間をォォォッ!!!」


–––––スナイパーが右腕のライフルから銃撃を放っていく。だがユウキはそれを回避しながら走り、その際に右腕の武器を背中に装着して翼の様にする。そしてそれを羽ばたかせ飛翔した……。


《Execution…!》
《Full Break…!Bat…!》




––––––突き出された右脚は、スナイパーの肉体に深々と喰い込み、跡形も無く粉砕した………。









___________________________








「あぁ……!?は……あ…!?あぁ……!?」


 俺は…瑠川利也は脅えていた。目の前の存在に…。
 奴はさっき殺したのから飛び出てきた数字を銃で撃ち抜くと、その銃口を俺に向けて歩いて来る。


「や、辞めろ…!?来るなァァァ……!!」


 どんなに叫んでも奴は俺に近いて来る。


「何だよ…!?自分を殺そうとした奴が気に喰わないのかよ!?お前だってアイツら殺してんじゃないか!?お前だって人を殺すのが悪い事だとか思ってないんだろ!?俺と同じだ!!蟻も蝿もゴキブリも人間も、所詮同じ命だ!!人間だけ殺しちゃなんねぇなんておかしいだろ!?人を殺すも虫ケラを殺すのも一緒……。なぁ…何で人を殺しちゃいけないんだ……–––––グッ!?」


 奴は俺の首を、怪我をしている左の手で掴み締め上げていく。そして奴は高田ユウキの姿になった…。


「何で人を殺しちゃいけないのか?……教えてやるよ」
「な…にィ……!?」


 怪我をしているとは思えない程の力で俺の首は締め上げられていく。気道が塞がれ、まともに呼吸が出来ない……。




「この状況で…その質問が出来るか?」
「…それ……は………ッ!?」




「気付いたか……。いいか、人を殺しちゃいけない理由は“自分が他人に殺されない様にする為”だ。人を殺すって事は、人から殺される可能性も考えなければならない。お前は“自分が殺される可能性”を考えずに人を殺そうとした……。反吐が出る…」


 首はギリギリと締められ、俺の意識は段々と遠退いていく……。


「人から殺される覚悟……それも碌にない奴が人の命を奪うなど笑止千万……」


 高田は俺を投げ捨てた。俺は床に激突し転がる。
 俺は恐怖で身体中が震えている。何なんだコイツは?俺はコイツに殺されるのか?


 嫌だ…



「死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたく……!!?」





 俺は高田を見た…。奴は俺に銃を向けている。


「い、嫌だ……!?やめてくれ……!?」
「言っただろ?地獄で悔めと……」

 





–––––引き金は弾かれ、一つの灯火が消失した…。










________________________











「んっ……ここは…?」


 気が付いた時、ウチはベッドの上で寝ていた。
 確か…にこっちと瑠川君と一緒にA-RISEのライブを観に行ってそれから……。


「目覚めたか…」


 隣りを見るとユウキ君がウチの寝ているベッドの傍らに座っていた。


「ユウキ君…どうして…?」
「簡潔に説明しよう。お前達は拐われた。そして港にある倉庫の中に連れ込まれた。偶然目撃した人間から通報があって警察が駆け付けた時には犯人は消え、お前と矢澤だけが転がっていた。……瑠川は犯人に殺害された」
「ッ!?瑠川君が!?何で!?」
「さぁ……解らん…。運ばれたお前と矢澤はここ西木野病院で眠っていた…という事だ。矢澤はお前の隣りのベッドで眠っている」


 それだけ言うとユウキ君は立ち上がった。そしてウチに背中を向けて去っていこうとする。



「あ…ユウキ君!」


 ユウキ君はウチに振り向くこと無く部屋から出て行った…。


 ウチにはユウキ君の様子が変に見えた。いや、変と言うのは違うかも知れない。どう表せばいいかは分からないけど、とにかく何時ものユウキ君ではない気がした。背中は大きくも、小さくも見えた。
 何かを決断し、何かを背負った……。そんな人の背。

 ユウキ君が少し離れた様な気がした…。









_______________________








 俺は戦う……己の前に立つ全ての敵と。それが何者でも容赦はしない。ただ排除する。それこそが俺の正義。これが俺の答えだ……。後悔はしない。



 俺はその欲望(正義)の為なら……。









悪鬼(オニ)となる……」





 
 

 
後書き


という訳でチェイサー=ユウキ編3話終了しました!


最初は瑠川もロイミュードとして出す予定でしたが、急遽変更してサイコパスという設定にしました。必ずしも敵がロイミュードだけということはあり得ないという意味もあります。

ユウキの今回の決断が後々の彼の行動にどう影響していくか注目して頂きたいです。


さて、次回は遂にドライブ=タカユキ編のラストです!

タカユキは立ち直る事が出来るのか?そして衝撃の結末が…?


感想、ご意見、質問等、その他、是非是非お待ちしております!
 

 

count,1 Let's Run Together

 
前書き
仮面ライダードライブ

・タイプスピード
身長:198cm
重量:98kg
パンチ力:6t
キック力:10t
ジャンプ力:33m
走力:100mを5秒(加速時1秒)

・タイプワイルド
身長:196cm
重量:120kg
パンチ力:10t
キック力:17t
ジャンプ力:20m
走力:100mを8秒

・タイプテクニック
身長:201cm
重量:108kg
パンチ力:7t
キック力:12t
ジャンプ力:24m
走力:100mを8秒

江本タカユキがドライブドライバーとシフトカーを使って変身する戦士。状況に応じてタイプチェンジやタイヤ交換をしてオールマイティに戦う事が出来る。出力は平均的である程度の身体能力があればタカユキ以外でも問題無く扱う事が出来る。基本形態でありスピードに優れたタイプスピード。格闘能力、パワーに優れたタイプワイルド。機械操作能力、状況判断能力に優れたタイプテクニック。これらの形態を使い訳て戦う。使用するタイヤによって戦闘能力、身体能力が変化する。主な必殺技はスピードロップで他にも各形態やタイヤにより、様々な必殺技を持つ。

※上記はこの小説内での設定 

 












 俺はあの日以来、学校に行く回数が減った。理由は怖いからだ。あの学校には俺を徹底的に追い詰めたロイミュード達がいる……。
 そう思うと足が向かなくなるんだ


 俺は今、自室のベッドに寝転がっている。最近はアイツらとも会っていない。ベルトさんともあまり会話をしていない。
 ドライブじゃ無くなったら、もっとみんなと会う回数や話す回数は減るだろうか?ドライブじゃ無い俺なんて……。


「何も無いな……ッ」


 そんな事を考えていた時、インターホンが鳴り響いた。俺は怠い身体を起こして玄関へ向かう。そして扉を開けるとそこに立っていたのは……。


「…先生……」
「よう、江本」


 俺の久瑠間学院での担任・海条(かいじょう) アズマ先生だった……。







_________________________










「これ、今日の分の課題だ。明日のこの時間に取りに来るから、それまでに仕上げといてくれ」
「あ……ありがとうございます………」


 海条先生は俺の事を気に掛けてくれ、俺が退学なんて事にならないように課題を持ってきてくれる……。


「調子はどうだ?顔色は……前見た時とあんま変わんない様だが…」
「………すいません……」
「謝る必要は無いさ。お前は思春期真っ盛りの16歳だ。他人に言えない悩みの1つや2つ、有ってもおかしくないしな。それに俺みたいな大人になら尚更だろ」
「……」


 何も言う事が出来ず、俺はただ黙るしか出来ないでいる。


「ただ…さ、1つだけ信じて欲しい事があるんだ」
「信じて…欲しい事?」
「教師にとって…俺にとって、生徒は特別な存在なんだ。子どもとか友達とかとはまた違う大切な存在…。そんなお前が“助けてくれ”って言えば、俺は必ず助ける。だから、俺の事を頼っても良いって思ったら何時でも頼ってくれ」


 海条先生は俺の肩に手を置いた。


「……先生…。なら1つ聞いて…良いですか…?」
「…何だ?」
「力を持つってどういう事ですか…?」
「力…?」
「はい…とても強い力です…」


 俺の質問を聞いて先生は考え込む。


「うーん……力って言ってもいろいろあるからな。身体の強さや武器等の物理的な力、地位や立場や名誉等の権力、精神的な強さ……。例えば、俺は教師だ。立場的には江本よりも強い力を持っていることになるだろ?」
「はい……」
「強い力って言うのは、その気になれば簡単に人を追い詰めて命を奪うことだって出来る……物理的な力は勿論の事だ。俺ら教師や警察、検事、裁判官等の権力を持つ者達はそれを使って精神的に追い詰めて命を絶たせる事だって出来る…。精神的に強い力を持つ者が弱い者を振り回して潰してしまう……なんて事だってあるだろ?」
「…確かに」
「強い力ってのは恐ろしいもんさ。使い方次第でどうにでもなる。その意味を理解しないと、取り返しの付かない結果を出してしまう…。弱者を食い潰してしまう。誰も彼もが強い力を持ってる訳ではないしな」
「……」


 先生は俺に笑い掛ける。


「大切なのは“相手の弱さに気付いて寄り添う事”だと俺は思う。強い力を持つ者は弱い者をただ守るだけじゃなくて、その弱さと向き合う強さを与える事、そして自分の弱さに気付いて向き合う事をするべき……。ま、俺の詰まらない自論さ」
「弱さに…気付く…」



















 その後、海条先生はすぐに家を後にした。帰り際に「たまには外に出てみな」って一言を残して。
 俺はその言葉に従って外出する事にした………。










_________________________














「はぁ…」


 俺は特にあても無くブラブラと歩いていた。あの事件から3ヶ月近く経つが俺は自分が何の為に変身するのかが分からない。



 守る為?何を?

 戦う為?何と?

 生きる為?何故?



 分からない……考えれば考える程モヤモヤしてくる。何も見えてこない…。


「“弱さに気付いて向き合う”……か。俺にそんな強さがあるのか…?………ッ?」




「メェェェェェンッ!」


 何処からか鋭い音と声が聞こえてきた。何となく気になった俺は聞こえてきた方へ向かっていった。
 そして辿り着いたそこは……。



「園田流道場……もしかして…」


「あーっ!タカユキ君!」
「本当だ久しぶり!」
「えっ、穂乃果ちゃん、ことりちゃん……?」


 呼ばれたので後ろを振り返ると、そこには穂乃果ちゃんとことりちゃんの2人が居た。


「タカユキ君も海未ちゃんに会いに来たの?」
「海未ちゃん?ってことはやっぱりここは………」
「海未ちゃんの家だよっ」


 ことりちゃんに言われてここが海未ちゃんの家だと俺は知った。道場の娘だったのか……。


「とにかく2人共入ろうよ!タカユキ君が来たって知ったら、きっと海未ちゃん喜ぶよ!」
「え、ちょ、穂乃果ちゃん!?」


 俺とことりちゃんの手を引いて、穂乃果ちゃんは道場の中へ入って行く。俺はその強引さに只々従っていくしかなかった…。










___________________________








 道場内に入るとそこには剣道着を着て防具を付けた海未ちゃんが正座をしていた。海未ちゃんは面と面タオルを外して黙想をしている。
 その姿は凛としていて美しかった……。


「お疲れ、海未ちゃん!」
「穂乃果、ことり。来ていたのですね……って、タカユキさん!?」


 穂乃果ちゃんの呼び声に反応した海未ちゃん。その際に俺のことに気付いたみたいだ。


「偶然この家の前で穂乃果ちゃんとことりちゃんに会ってね。ごめんね、お邪魔しちゃって…」
「い、いえ、構いませんよ!どうせ穂乃果が無理矢理連れて来たのでしょうし」


 そう言って穂乃果ちゃんのことを軽く睨む海未ちゃん。穂乃果ちゃんは「あははー」と笑っている。


「まったく……少しは人様の迷惑も考えて下さい」
「むー!でもでも!海未ちゃんだってタカユキ君が来てくれて嬉しいでしょ?
「そ、それは…!?……た、確かに嬉しい…です……」


 え、そうなの!?俺なんかが来て嬉しいの!?そう言われると俺も嬉しいけど……なんか慣れてないから歯痒い感じって言うか何て言うか……。


「よかったね、タカユキ君っ」
「え!?あ、うん…ありがとね海未ちゃん……」


 ことりちゃんの言葉で我に返った俺は海未ちゃんにお礼を言った。言ったんだけど、なんか恥ずかしくて少し顔が赤くなった気がする……。
男の紅潮なんて誰が美月たいんだよ……。

 海未ちゃんも海未ちゃんで赤くなっている。そんな俺達を見てことりちゃんも赤くなっている。そして何故かしら穂乃果ちゃんも赤くなっている。何このカオス?





 まぁ、その後はみんな落ち着いて……今は縁側に並んで座って緑茶を頂いている。因みに左から穂乃果ちゃん、俺、海未ちゃん、ことりちゃんの順番だ。


「いや〜、やっぱり今日もパンが美味しいなぁ〜」
「…緑茶にパンなんだ……」


 穂乃果ちゃんは自宅から持ってきたというパンを頬張っている。そんなにパンが好きなのかな…?


「そんな事より、タカユキさんは何故家の前に?」
「ちょっと、いろいろあって………適当に散歩していたら剣道やってる声が聞こえて、それを辿ってここまで来たら……」
「偶然ことり達と会った……ってことだね」
「そういうこと」
「そういえばタカユキ君、あれ以降全然うちの店にも来なかったし、連絡もくれなかったけど何してたの?」


 穂乃果ちゃんがパンを食べるのを止めて俺に質問してきた
。その質問に対する返答に俺は困る…。化物に負けて落ち込んだました…なんて言えないしな……。


「えっと……」
「穂乃果、タカユキさんが困ってますよ」
「あ!ごめんね…」


 海未ちゃんに言われて穂乃果ちゃんが申し訳なさそうに俺のことを見て謝ってきた。


「大丈夫だよ、穂乃果ちゃん。海未ちゃん……聞きたいことがあるんだけど…良いかな?」
「聞きたいことですか?なんでしょう?」
「海未ちゃんはどうして剣道を?やっぱり強くなりたいから?」
「何故剣道を……ですか。確かに強くなりたいという思いはあります。でも、それ以上に負けたくないっていう思いがあります」
「負けたくない…?それって戦う相手にってこと?」


「いえ、自分にです」
「えっ…?」


 俺は海未ちゃんの言葉にキョトンとしてしまった。自分に負けたくない…?


「私は武道とは誰かを倒す為ではなく、己に勝つ為の物だと思うのです。昨日の自分に勝ち、大切な人を守ることができる力…。それが本当の強さだと思うのです」
「大切な人…?」
「ええ。お父様、お母様、お祖母様、お姉様…そして穂乃果、ことり…その他にも私には大切な人が沢山います。…それに……」


 海未ちゃんは顔を赤くして下を向いてモジモジしている。


「…タカユキさんも……私にとって…大切な人…ですから……!」
「俺も…?」
「そうだよ!タカユキ君は穂乃果達にとって大切な友達だよ‼︎」


 穂乃果ちゃんが俺の目の前に来て手を差し伸べてきた。










 そうだ……。俺はあの時、ただ海未ちゃんのことを……そして彼女達の未来を守りたいと思って変身した。大切な人達を守る為に変身したんだ。他には何も考えてなかった。

 いや、考える必要がなかったんだ。大切な人達を守りたいって気持ちに理由なんかいらない。

 俺は余計な事を考えて自分に言い訳をしていただけだ。負けた恐怖から逃げ出す理由が欲しかっただけなんだ。


 もう逃げない。俺は穂乃果ちゃんの手を取った。


「ありがとう。なんか吹っ切れた気がする。みんなのおかげだよ。」
「本当!?」
「うん。考えるのはやめだ。ただ自分の想いに従って、俺は走る。例え何があっても……穂乃果ちゃんみたいに」
「いやぁ〜、照れますなぁ〜」
「穂乃果はもう少し考え深くいてもらいたいですが…」
「まあまあ海未ちゃん、今ここでそれを言うのは止めとこ」



「じゃあ、俺は行くよ」


 俺は立ち上がって拳をぎゅっと握った。


「行くって何処にですか?」


 海未ちゃんが首を傾げて聞いてきた。俺は決意を込めた目を3人に向けてその質問に答える……。



「泣いていた昨日までの自分に勝ちに行くんだ」












___________________________












「まさか…貴様の方から来るとはなァ……」
「ハッ!余程死にたいって事か!」
「殺しに行く手間が省けた……」


 俺は今、アサルト、ドリル、ナイトの3体の前にいる…。


「違う!お前達に…そして自分に勝ちに来たんだ!」
「はぁ?」
「俺は逃げていた……あの日からずっと泣いていた…。変身する事を躊躇っていた」
「だから何だ?」
「でも、もう逃げない!弱い自分も泣いていた自分も受け入れ、それに勝って走り続ける!また何度も止まる事があるかも知れない…でもそこで諦めはしない!止まる度に、もう一度走り出すんだ!」


《ギアが入った様だなタカユキ!》


 俺のもとにベルトさんが飛んで来た。俺はそれを掴んで腰に装着する。


「ああ!ベルトさん今迄すまなかった…。でも、こっからは大丈夫だ。今の俺は……」


 俺はシフトスピードを掴んで叫ぶ。今の自分の魂を。





「脳細胞がトップギアだぜ!」
《Start your Engine!》








「変身!」

《DRIVE!type SPEED!》


 赤い鎧に包まれ、胴体にタイヤが装着。白銀の瞳が輝き、俺の姿は仮面ライダードライブに変身を遂げた。


「ひとっ走り付き合えよ!」


 一度腰を落とした俺は、勢い良く3体に向けて走り出した!


「しゃらくせぇ!」


 ロイミュード達も同時にこっちへ突っ込んで来る。

 ドリルロイミュードが振るった腕を躱し、その腕を蹴り上げる。そして体当りをして来たアサルトロイミュードを飛び越え、その際に背中を蹴り、ナイトロイミュードの目の前に着地して顔面に拳を叩き込む。ナイトロイミュードは顔を抑えて後退した。


「ッ!?……馬鹿な…何故!?」


 ロイミュード達は俺の動きが以前とは違っている事に驚いている。前の時もそうだったが、コイツらは不測の事態には弱い様だな。だったら……。


「来い!ワイルド!」


 俺はベルトのキーを回してシフトブレスからシフトスピードを抜いて、新たにシフトワイルドをブレスに差し込んだ。


《DRIVE!type WILD!》


 タイプスピードタイヤが外れ、黒い装甲が纏われた後に右肩にタイプワイルドタイヤが装着される。ドライブのパワー戦闘形態、タイプワイルドだ!


「オラァァァァッ!」
「なッ!?グウゥゥゥッ!?」


 俺はまず、タックルでアサルトロイミュードを吹っ飛ばした。そしてドリルの方へ向く。


「調子に乗んなよ雑魚がァァァッ!!」
「フッ!」


 ドリルロイミュードが俺に向かってドリルを突き出して来る。俺は体勢を低くくしてラグビーのタックルの様にドリルロイミュードに突撃した。そしてそのまま進んで壁に叩きつけた。


「グッ!?」


 俺はドリルロイミュードから一旦離れ、シフトカー・ランブルダンプを手にし、それをシフトブレスに差し込む。


《タイヤコウカーン!》
《Rumble DUMP!》


 タイプワイルドタイヤが弾かれ、新たにランブルダンプタイヤが俺の右肩に装着された。そしてドリル型の武器、ランブルスマッシャーを左手に持って構える。


「グッ……!?この野郎ォォォォッ!」


 ドリルロイミュードはドリルを突き出して俺に突っ込んで来る。俺もそれに合わせてランブルスマッシャーを突き出した。


「ハァァァァァッ!!!」
「ラァァァァァッ!!!」


 力と力がぶつかり合い鬩ぎ合う。ドリルロイミュードの力は強い……だが俺は負けない!


「ハァァァ……アァァァァァッ!!!!」


 気合いを込め、思いっ切り踏み込んむ。そしてドリルロイミュードのドリルを粉々に粉砕した!


「グオォォォッ!?」


 ドリルロイミュードはその衝撃で後ろに転がっていく。今なら!


《ヒッサーツ!》
《Full Throttle!DUMP!》

「ハァァァァァァッ!!!」


 左手のランブルスマッシャーに力を込め、それでドリルロイミュードを貫く。必殺のドリランブルだ!


「ガァァァァッ!!??」


 ドリルロイミュードは身体を貫かれ爆散した!


「よし…!」
「己れ…!」


 後ろを振り返るとそこにはアサルトロイミュードが居た。アサルトは体勢を低くして構えている。


「お前はクールに倒す!」


 俺の手にはシフトテクニックが握られている。


《DRIVE!type TECHNIC!》


 タイプワイルドタイヤが外れ、黄緑の装甲が纏われた後に胸元に真横にタイプテクニックタイヤが装着される。ドライブの特殊戦闘形態、タイプテクニックだ。


「何がクールだ…!」


 アサルトロイミュードは俺に突っ込んで来る。俺は横に転がって躱す。そしてシフトカー・ファイヤーブレイバーを手にする。


《タイヤコウカーン!》
《Fire BRAYBAR!》


 タイプテクニックタイヤを弾いてファイヤーブレイバータイヤが装着された。俺はファイヤーブレイバータイヤから梯子型マニュピレーター・ラダーエキスパンダーを伸ばしてアサルトロイミュードを掴んだ。


「何!?」
「ハァァァッ!」


 そのまま俺はアサルトロイミュードを振り回して投げ飛ばした。


「ヌウッ!?クソッ……がァァァァッ!」


 アサルトロイミュードは地面に叩きつけられ倒れるが、直ぐに立ち上がって俺に突っ込んで来る。俺はドア銃を手にし、それにファイヤーブレイバーを差し込んだ。


《ヒッサーツ!》
《Full Throttle!BRAYBAR!》


「ハァァッ!!」


 ドア銃から梯子型のエネルギーが飛び出してアサルトロイミュードを捕捉して壁に叩きつける。そして引き鉄を引いてエネルギー光弾を放ちアサルトロイミュードを撃ち抜く。これがパーフェクショットだ!


「グウオォォォッ…!?」


 アサルトロイミュードを粉砕。これで残るのは……。




「まさかアサルトまで…」


 ナイトロイミュードが剣を手にコチラに歩いて向かって来る。


「何故だ?我々は貴様の戦闘データを取得し、前回の戦闘では完全に圧倒していた。…なのに何故貴様はあの2人に勝てた…?」
「簡単だ。俺もう、あの時の俺じゃない!俺の進化は止まらない!何処までも強くなる!自分に勝つ為…自分の弱さに向き合う為…大切な人を守る為…その為に戦う…その為に変身する!!」
「笑止…!」

《DRIVE!type SPEED!》

「ハァァーッ!!」


 俺はタイプスピードになってハンドル剣を手に向かって来るナイトロイミュードに走り出した。
 剣が何度もぶつかり合い火花を散らす。やはりナイトロイミュードは強敵だ。少しずつ圧されてきた……。

 でも負けられない!
 こんな所で止まってられないんだ!


「ハァァァーーッ!」
「なッ!?」


 俺はハンドル剣を力一杯振り上げてナイトロイミュードの剣を弾き飛ばした。そしてそのままハンドル剣を一気に振り下ろした。


「オラァァーーッ!!」
「グオォォォッ!?」


 ナイトロイミュードは火花を散らして後退していく。


「畳み掛ける!」

《タイヤコウカーン!》
《Massive MONSTER!》


 マッシブモンスタータイヤにタイヤ交換。両手にモンスターと呼ばれる2枚組の武器を装備。そして接近してその2枚でナイトロイミュードを挟む様に攻撃した。


「ヌゥッ!?」


 ナイトロイミュードはまた火花を散らす。俺は更にモンスターを振り回して攻撃を続けていく。


「ハァァッ!!」


 俺はナイトロイミュードの腹に蹴りを叩き込み吹っ飛ばした。ナイトロイミュードが転がっていくのを見た後、新たにドリームベガスタイヤにタイヤ交換をした。


《タイヤコウカーン!》
《Dream VEGAS!》


 ドリームベガスタイヤ、そして2枚のドラムシールドが俺の胸に装着されスロットの様になり、回転を始めた。


「行くぞッ!」

《ヒッサーツ!》
《Full Throttle!VEGAS!》


 スロットの回転を止めると“777”が見事に揃った。そしてドリームベガスタイヤから無数のコインが流れ出る。そのコインの奔流にナイトロイミュードは呑み込まれていく。これがミリオンアタックだ!


「ヌゥッ…グオォッ!?」
「いくぞ!」


 俺はタイプスピードタイヤを再び装着してシフトブレスのシフトスピードをシフトアップした。


《SP!SP!SPEED!》

「フンッ!オォォォォォォォォラァッ!!」


 俺はナイトロイミュードの懐に入り奴をアッパーカットで上空に上げ、落下してきた所に連続パンチを叩き込んでいった。


「ヌゥゥゥゥッ……ガァァァァッ!!?」


 ナイトロイミュードはまた吹っ飛んで倒れる。さぁ、今こそトドメだ!


《ヒッサーツ!》
《Full Throttle!SPEED!》

「フッ!ハァァ…ハァァァァァァッ!!!》


 俺は高く跳び、赤く発光した右脚をナイトロイミュードを突き出して一気に必殺の蹴りを叩き込んだ!
 それはナイトロイミュードの胸に深々と突き刺さり、奴は断末魔を上げながら大爆発を起こした……。






「ハァ…ハァ………やった……ッ!?」


 戦いが終わり、爆発の中から出て来たそれぞれのコアがディメンションキャブによって転送されていく。俺はそれを見送って帰ろうとした時、3体分の爆発の中から出て来る謎の粒子に気が付いた。


《何だアレは…?》
「……ッ何!?」


 粒子は一ヶ所に集まり、あるロイミュードの幻影を形成した。それは……。




《よぉ……ドライブ…》
「……オブサベイション…!?」


 ソイツはかつて俺のデータを観察、解析してナイト、ドリル、アサルトの3体にそのデータを渡し、俺を追い詰めたロイミュード、オブサベイションロイミュードだった。


「何で…お前はユウキが変身したドライブに倒された筈じゃ!?」
《確かに俺の肉体は滅んだ…それどころか魂までな…。今お前の目の前にいるのはオブサベイションであってオブサベイションではない》
「どういう事だ…?」
《恐らく奴は、オブサベイションの残留思念だ。ナイト達にそのデータを植え付けて置いて、奴らが倒されると同時に起動する様に設定してあったのだろう…》
《ご名答……。俺のオブサベイションとしての意識は直ぐに消滅する…。だが、それでも構わない…貴様を殺せるならなァァァッ!!!》


 オブサベイションロイミュードの周りに複数のバットバイラルコアが現れ、奴に吸収されていく。オブサベイションロイミュードはバット型の巨大ロイミュードに変異してしまった。


「キィィエエエエェェェッ!!!」


 巨大なバットバイラルコアに翼と両足を生やした様な姿をしている。奴は飛翔して俺に向かってビームを放った。


「グアァァァァァッ!?」


 ビームは地面に着弾。俺はその爆発によって吹っ飛ばされてしまった。


「キエエエエェェッ!!!」


 バット型巨大ロイミュードは方向転換すると、市街地の方へと飛んで行った。


「アイツ…俺が目的じゃなかったのかよ!?」
《暴走しているのだろう……最早、奴はただの獣だ!》
「クッ…!逃すか!」


 俺はトライドロンに乗り込んだ。 奴を倒す為にエンジンを点火しアクセルを踏み込んで走り出した。










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「キィエエエエエエエエェェッ!!!!」


 巨大ロイミュードは翼を羽ばたかせ、口からビームを放ちながら秋葉原の街で暴れ回っていた。


《トライドロン・シュート!》


 俺はトライドロンから高出力圧縮エネルギー弾を巨大ロイミュードに向かって放った。だが、奴は寸前で気付いたららしく、エネルギー弾を回避し高速で移動する。


「クッ!?だったら!」

《タイヤフエール!》


 左前輪にマックスフレアタイヤ、左のリアハッチのタイヤにミッドナイトシャドータイヤ、右のリアハッチのタイヤにファンキースパイクタイヤを装着した。
 そしてミッドナイトシャドータイヤから手裏剣を、マックスフレアタイヤから火炎弾を、ファンキースパイクタイヤから針を、移動する巨大ロイミュードを追いながら飛ばしていく。

 巨大ロイミュードは回避行動をしながら移動するが、全てを躱し切る事は出来ず、何発かが当たり、その衝撃で巨大ロイミュードはビルに激突し噴煙が上がった。


「よし!やった……ッ!?」



「キィヤァァァァァァッ!!!」


 巨大ロイミュードは噴煙から顔を出しビームを放った。ビームは俺の前方にあった歩道橋に当たり、それを粉々する。瓦礫となった歩道橋が俺の道を塞いだ。


「だったらコレだ!」

《ドロン・トライドロン!type WILD!》


 俺はトライドロンをタイプワイルドに変形させた。そしてトライドロンタイプワイルドの前輪・グランタイヤで瓦礫を粉砕して進んでいく。それを見た巨大ロイミュードは再び飛び立ち逃げようとする。


《トライドロン・ボンバー!》

「くらえぇぇッ!!」

 
 トライドロンを一気に加速させジャンプして、巨大ロイミュードに体当たりをぶち込んだ!巨大ロイミュードは吹っ飛んで地面に落ちて滑っていく。


「次はコイツだ!」

《ドロン・トライドロン!type TECHNIC!》


 タイプテクニックに変形したトライドロンで地に落ちた巨大ロイミュードに接近し、作業用アーム・マイティスマッシュアームで掴んだ。


《トライドロン・スマッシュ!》

「ハァァーーッ!!」


 掴んだ巨大ロイミュードをブン回して思いっ切り上空に投げ飛ばした。


「キィィィ……!?ギィイイイイイッ!!!」


 巨大ロイミュードは上空で体勢を立て直して俺の方を向く。そしてビームを放って来た。


《ドロン・トライドロン!type SPEED!》


 俺はトライドロンをタイプスピードに変形させ、巨大ロイミュードの攻撃を躱しながら接近していく。


《オールタイヤアタック!》


 トライドロンの各タイヤから、これまでの戦闘で召喚したランブルダンプ、ファイヤーブレイバー、マッシブモンスター、ドリームベガス、マックスフレア、ミッドナイトシャドー、ファンキースパイクのタイヤが飛び出し、巨大ロイミュードに向かっていく。巨大ロイミュードはタイヤの攻撃を受けボロボロになり地面に墜落する。


「これで本当に終わりだ、オブサベイション!!」

《ヒッサーツ!》
《Full Throttle!SPEED!》


 俺はトライドロンから飛び出し巨大ロイミュードにキックをした。そして反転し、巨大ロイミュードの周りを走るトライドロンを蹴って再び反転して加速した状態でまたキックを浴びせる…。それを何度も何度も繰り返していく。タイプスピード最大の必殺技・スピードロップで巨大ロイミュードを粉砕した……!



《NICE DRIVEだ、タカユキ!》












_________________________











「ふぃー…」


 戦いが終わり、俺は秋葉原の街を歩いている。そして俺の隣りをシフトスピードが走っている。


《よくやったな、タカユキ。見事だった》
「ありがとうベルトさん。……俺はさ、多分これからも迷ったり、躓いたりすると思う……。でもその度に立ち上がって走り出してみせるよ。どんな壁にぶつかっても、必ず超えてみせる…!」
《その意気だ。君なら必ず、進む事が出来る》
「ああ…!」








「きゃあああああああっ!?」




「ッ、何だ!?」
《向こうの路地から聞こえて来たぞ!》


 突然、裏路地の方から悲鳴が聞こえて来た。俺とシフトスピード(ベルトさん)は悲鳴の場所に向かって走り出した。





 その場所に辿り着くとそこには3人の男に囲まれている1人の女の子がいた。男の1人がその女の子の腕を掴んでいる。


「ちょっと、離しなさいよ!」
「あ!コラ!暴れんな!」
「全く、とんだじゃじゃ馬娘だな!」
「まぁ、可愛いから許してやろうぜ。後でたっぷり遊んで……ッ!?」


「やめろぉぉぉッ!!」


 俺は女の子を掴んでいた男に走って近付き、思いっ切り殴り飛ばした。男は倒れて顔面を抑えている。


「痛えッ!?」
「な、何しやがるテメェ!」
「それはコッチの台詞だ!女の子を虐めるなんて最低だぞ!」
「うるせぇ!……おい、お前ら…コイツ血祭りにするぞ!!」


 男の1人がそう言うと同時に奴らは下級ロイミュードに姿を変えた。コブラ型の079、バット型の085、スパイダー型の097だ。


「ッ、ロイミュードだったのか…!?」
「あ、あの時の怪物…!?


 ん?あの時の怪物?
 もしかして、この子前にもロイミュードに襲われた事があるのか?まぁ何にせよ、この状況をどうにかしないと……。

 さっきまでの戦いの疲労もあって少しキツイけど、とにかくこの子を逃がさなきゃ……!


「俺の後ろに下がって!」


 俺は女の子を庇う様に、ロイミュード達に向かって身構えた。
 それを見たロイミュード達は腕を伸ばして一斉に襲い掛かろうとしてきた。
 しかし……。


「ブチ殺す!……ッ!?」
「な……にィィ…ッ!?」
「グオォォ……ッ!?」





 奴らの腕が俺達に届く事はなかった。何故なら突如上空から光弾の様な物が降ってきて、ロイミュード達を貫いたからだ。そしてロイミュード達は爆散した。


「危ない!?」
「きゃっ!?」


 俺は女の子を抱き締め、爆風から守った。


「大丈夫!?」
「う、うん……ッ、あれ……」


 女の子は何かを指差した。その先には1枚のカードがあった。


「あれって…カード?…何か書かれて……これは……!?」


 俺はそのカードを拾って、書かれていた文を読んだ。そして俺はそれに驚愕した……。書かれていた事とは……。












–––君の勇ましい決断に感動したよ。故に私は一度君を倒す事を一時中断しよう。何時の日か、戦う時を楽しみにしているよ–––
〜最後の者〜










 そうだ……。ナイト達ばかりに気を取られて忘れていた…?久瑠間学園にはあと1人、転生者が居たんだ!
 きっとコレは久瑠間学園に居る最後のロイミュードからの物……ッ!?

 爆発の中からコアが飛び出して来た。コアは何かに吸収されていく様に飛んでいく……あそこか!


「ごめん!俺もう行くから、じゃあね!」
「え!?ちょ、ちょっと!?」


 俺は女の子に一方的だが別れを告げ、コアが飛んでいった方へと走った……。







「行っちゃった……」


–––––残され少女は先程の感覚を思い出す様に目を瞑る。


「結構……かっこ良かったかも……ふふっ」


–––––タカユキがこの少女・綺羅ツバサと再び出会うのはまだ先の事である……。










「何処に行ったんだ…!?」


 俺はコアが飛んでいったであろう場所へと辿り着いたが、そこには誰1人としていなかった。


《逃げられたか……。とは言え恐らく暫くは動かないつもりだろう》
「確かに…あのカードが嘘だとは思えないしな……」


 彼の目的は分からない……でも、戦うというのなら俺は負けない!
 俺は決意を込めるように拳をグッと握りしめる。必ずこの世界を……みんなを守ってみせる。





「危機の最前線にだって飛び込んでみせる……俺は…」






 仮面ライダードライブだ!







 
 

 
後書き


タカユキ編終了!
最後に登場した存在など謎も残しながらも終わりとなります。
そして次回、いよいよ序章の最終回!


音ノ木坂学院の前に立つ3人…彼らは何を思い、これまでを…そして、これからを進むのか…?

感想、ご意見、質問、その他お待ちしております
 

 

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前書き
ラブライブ!の世界

タカユキ、タケシ、ユウキが転生した世界。108人の転生者がこの世界には存在し、好き放題暴れていた。あるスクールアイドルが、学校存続の為に立ち上がる……というが本来この世界の物語である。

 

 





 ––––––月光が桜に降り注ぐ…その静かな夜を彩る様に…。心地良い風が吹き、散る桜が世界をより鮮やかに魅せる。


 ––––––彼らは学舎の前に来ていた……。これからこの場所で新たな物語が始まる…。それは彼らにとっては新たな苦しみ(戦い)の始まりでもある。その先で彼らが味わうのは勝利の美酒か?それとも敗北の苦汁か?



 ––––––それはまだ、誰にも分からない。だが、彼らはもう止まれない。もう戻れない。ただアクセルを踏み込み進むしかない。




 ––––––3人の戦士はこの場所で何を思うのか?





______________________







「月夜に照らさる夜桜…風情のあるもんだな」


 桜を眺めながらユウキがポツリと呟く。


「んな事より、さっきコンビニで買ったこの半額だったポテトめっちゃ美味ぇぞ!」

 ……花よりポテトかよ、タケシ…。

「ま、まぁ、何にせよ。全員無事、音ノ木坂学院に集まる事が出来たな」


 そう、俺は音ノ木坂学院への転入に見事成功したのだ。タケシも無事合格し、これで2人共明日から音ノ木坂学院の生徒になれるって事だ。


「俺1人でも、充分過ぎるんだがな」 
「そう言うなよユウキ。俺らだって役に立つぜ」 
「……週刊誌に載るような奴らがよく言う…」 
「「うぅ…ごもっとも…」」
「兎にも角にも、こっからが鬼門だ…」 
「そうだな。まだ半分以上のロイミュードが残ってるし…」 
「でも、俺達の力なら楽勝だって!」


 タケシが俺とユウキの背中を叩き肩に腕を回してきた。ユウキは物凄く鬱陶しそうな顔をしてそれを退けた。


「簡単に言うな。現段階で倒した最高位のロイミュードは037。しかもコイツは実力の半分程度しか出せてなかった様な奴だ」 
「そ、そうなのか!?」
「恐らく、オブサベイションが与えたデータを頼りに戦っていたのが、実力を発揮出来なかった理由だろう。本来ならタイプスピードであれだけ圧倒出来る数字じゃないしな」 
「マジかよ……」
「そこはあれだろ?タカユキの熱いハートで勝利出来た!みたいな感じだろ?熱い魂が有れば負ける事は無いしな!」


 タケシの言葉にユウキは溜め息を吐く。


「そんなもんで勝てたら、誰も苦労しない」 
「俺はタケシに賛成だな。守りたいって気持ちが俺達を強くするんだ」
「だよな!やっぱヒーローってのはそうじゃないとな!」


 タケシが俺の手を握ってブンブンと振り上げ下げする。ちょっと痛いぞ、加減してくれ。ユウキはユウキで、呆れた目で俺とタケシを見ている。
 
 でも、口こそ悪いけどユウキにだって誰かを守りたいって気持ちが有る事を、俺もタケシも知っている。もしかしたらその気持ちが一番強いのはユウキかも知れない。


「変な目でこっち見んな気持ち悪い」


…………うん。コイツ酷いや。







「クククッ………見つけたぞ貴様ら!俺様は元053、バーナーロイミュードだ!!過去にオブサベイションから話は聞いている…貴様らを倒し、俺がこの世界を支配するのだ!!!」




「取り敢えず酒だ酒だ」
「うお!?ちょ、何普通に缶ビール開けてんだよ!?」
「何か問題あっか?ああ、安心しろ。お前らの分は無い」
「無いんかい!?じゃなくて、俺達未成年だぞ!!」
「そうだ、タケシの言う通りだぞ!!まだ酒飲んじゃダメだろ!?」
「酒は飲みたくなった時から、だろ?」 
「「二十歳になってから、だよ!!」」




「おい!貴様ら俺様と勝負だ!!!」




「うるせぇなぁタカユキは…。そんなんだから童貞のまま死んじまったんだよ」
「ファッ!?そ、それ関係無いだろ!?なぁ、タケシ!?」
「え?…あぁ…うん…」
「何だよその微妙な反応!?」
「あ、安心しろタカユキ!まだこの世界じゃ俺達は童貞だ!」
「そ、そうだよな…。流石にユウキもまだ…「え?」……え…?」
「いや、え?」
「ユウキ、何だその反応は?」
「………いや、別に」
「「……あっ(察し)」」




「おい!!」




「てか、入学前に何でこんな事聞かなきゃなんないんだよぉ…」
「お前らが聞くからだ」
「俺らの所為かよ!?」
「まあまあ落ち着けタケシ…。俺らに…勝ち目はない…!」
「ぐっ……まさに…陳情」
「どっから持って来たんだその薔薇は?」



「おいコラ!!?」




「…ゴク…ゴク……うん、美味い」
「だから飲むなよ!?」 
「なッ!?返せ、タカユキ……!」 
「警察とかに見つかったらどうすんだよ!?」
「殺す」
「「お前1度逮捕されてこいや!!!!」




「聞いてのか貴様r………ッ!?



「「「うるせぇ!!!!」」」
「ゴフゥゥゥッ!!!?」


 俺達はさっきから喧しかったロイミュードを思いっ切り蹴飛ばした。


「じゃかぁしいんじゃテメェゴラァァァッ!!さっきっからキーキー鳴きやがって…猿かおどれはァッ!?」


 ユウキがブチ切れた。もうコイツただのヤクザだね。


「このまま終了する感じだったってのによォォ……空気読めやゴラァァァッ!!!」


 タケシも切れた。……終了って何のことだろ…?

 因みにロイミュードは腰抜かしてガクガク震えている。余程恐いんだろうな…。あ、漏らした。


「ま、まぁとにかく!……なんか悪い気するけど…お前を倒す!!」


《Start your Engine!》
「変身!」
 
《DRIVE!type SPEED!》


《シグナルバイク!》
《ライダー!マッハ!》
 
「レッツ、変身!」


《Break up…!》


 初めてだった。俺達は横に並び同時に変身した。

「ひとっ走り付き合えよ!」
「追跡!撲滅!いずれもマッハ!仮面ライダァァァ…マッハァァァッ!!」


 今、ロイミュードの前には3人の戦士がいる。性格はバラバラ、考え方もバラバラ、ぶつかる事もよくある。
 でも、3人には同じ想いがある。


"この世界を守りたい"


 きっと、それだけは3人とも変わらない。だから3人とも戦えるんだ。
 誰よりも信頼できる"友"が戦っている。これ程心強い事は無いのだから。


《ヒッサーツ!》
《Full Throttle!SPEED!》

《ヒッサツ!》
《フルスロットル!マッハ!》

《Execution…!》
《Full Break…!Bat…!》



 ––––––決意を込め、月夜に跳んだ3人のキックが、ロイミュードを粉砕した。







___________________________









 少しずつ……少しずつ………変わっている。
 少しずつ……少しずつ………見えなくなる。
 少しずつ……少しずつ………消えている。

 知らないなら………天国。
 知ったら………地獄。

 どうせ誰も戻れない。






 影の悪魔()はせせら嗤う。
 なんて愉しい遊戯だろうかと。

 
 落とし仔達は、暗闇の底で死に続ける。







––––序章––––
〜転生した彼らは何の為に生きるのか?〜
 




 
 

 
後書き





と、いう訳で!遂に序章、全13話終了です!
次回から原作突入となります。



それではまた次回。
感想、評価、質問、意見、その他、是非是非お待ちしています!