ドラえもん のび太の転生ロックマンX


 

不注意からの転生

"X"は、より複雑な人間的思考能力を持つ、新しいタイプのロボットである。

しかし、この能力は、非常に危険なものでもある。
 
もし"X"が、「ロボットは人間を傷つけてはいけない」というロボット工学の原則を 自らの意志で破ったならば、おそらく何者も彼を止めることはできず、結果は恐しいものとなるだろう。
 
30年もあれば、彼の安全性をたしかめることは可能である。
 
しかし、私の命もそう長くはなく、私の研究を託せる者もいない。
 
それ故 私は、このカプセルに彼を封印する。
 
このカプセルは、彼の安全性を確かめるまで彼の内部構造を検査してくれるものである。
 
そのときまで、どうかカプセルを開けないでもらいたい。
 
"X"は無限の可能性と共に、無限の危険性をも孕んでいる。
 
私はただ、最良の結果を望むのみである。

 
20XX年 9月18日 トーマス ライト

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
・・・・・・・話をしよう。
 
俺の名前はエックス。
 
イレギュラーという犯罪を起こす・人間に危害を加えるような行為を起こすレプリロイドをレプリロイドが捕縛、破壊する組織「イレギュラーハンター」第17精鋭部隊に所属しているB級ハンターのレプリロイドだ。
 
 
っと、ここまで言えばそれがどうしたんだ?というかと思うが実は俺、元は“人間”だったんだ。別世界の。
 
 
どうしてこうなったのかは俺の発見者、ケイン博士が再起動する前の話になる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「のび太くん、せっかくのお正月なんだから外に遊びに行ったら?」
 
俺こと元“野比のび太”は、毎年のように正月休みを満喫していたところだった。

あっ、ここからは一旦元の口調に戻して話そう。
 
両親に新年の挨拶をした後に雑煮を食べ、同居人こと親友であるえっと・・・・・・・ドラえもんともらったお年玉を計算しながらどう使うかの話をし終えて、昼寝をしようと思った矢先のことだった。
 
「別にいいじゃん。外に出たって寒いんだもん。」
 
「子供は風の子って言うでしょ?天気もいいんだし、少し動かせば暖かくなるよ。寒がりの僕だって大丈夫なんだよ。」
 
「でもな・・・・・・・・」
 
「のび太~。ドラちゃ~ん。」
 
僕がもたもたしていると丁度母に外で遊んできなさいと言われてしまった。
 
実はというと外に出たがらなかった理由はもう一つある。
 
・・・・・運動神経が非常に悪いのだ。
 
レプリロイドとして生きている今にしてはそれはないだろうと言えるが本当にスポーツがダメだったのだ。
 
僕の学校のガキ大将・・・・もとい悪友である剛田武ことジャイアンには野球の試合負けでよくバットで追い掛け回されたものだ。
 
 
最悪なことに外に出た僕たち二人は、彼に出くわした。
 
「オッスッ、のび太!!近いうちに空き地で俺のリサイタルを開くからお前も招待してやるぜ!」
 
彼は笑いながら自分で製作したチケットを僕とドラえもんの二人分を渡してきた。
 
おいおい・・・・・よりによって正月の後にあの恐ろしい歌を聴かなくちゃならないのか?
 
しかし、逆らったら怖かったし、僕らは仕方なく彼からチケットを受け取った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「はあ・・・・・」
 
「のび太くん、そんなに気を落とさないで。まだ時間があるんだから何とか作戦を考えようよ。」
 
ドラえもんは、僕を慰めるように言ってくれていたが僕の心は正月明けの恐ろしいリサイタルのことで頭が一杯だった。


あの様子だとスネ夫としずかちゃんにも渡しているのかもしれない。みんな楽しい正月が楽しめなくなってしまったんだろうな。
 
気分紛らわしに町の書店で漫画を買おうと思ってきていたが考えすぎて信号を無視したまま、僕は交差点を歩いていた。
 
「のび太くん、危ない!!」
 
「えっ?」
 
ドラえもんの叫ぶ声で気が付いたが時はすでに遅し、僕の眼中には大型トラックが迫っていた。
 
「ドラ・・・・・・」

ドラえもんに助けを求めようとした瞬間、身体に強い衝撃を受け、意識が吹き飛んだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


そして、気が付いた時僕は真っ白な謎の空間で目を覚ました。
 
「うぅ・・・・・あれ?ここは・・・・・」
 
 
「ハアァ~イィ!!」
 
「ん?」
 
聞き覚えのある声を聴いて、俺が後ろを向くと奇妙な格好をしたドラえもんがお坊さんの格好をして雲に乗っていた。
 
「何だドラえもんか。びっくりしたじゃないか。」
 
「ノンノン、私、ドラえもんじゃなぁ~い!私『神様』!」
 
言っている意味がよくわからなかった。どうせ悪ふざけなんだろう。
 
「ふざけないでよドラえもん。こんな変なところに連れて来て。早く帰らないとママが怒るよ。」
 
「だ・か・ら!私、“ドラ神様”!!ドラえもんじゃないよぉ~!!」
 
ドラえもん?は、まじめな顔で僕の顔を見ながら異常なほどアピールしてくる。ひょっとしたら故障でもしたのだろうか?
 
「ど、どうしちゃったんだよ?ドラえもん。もしかして、どこかおかしくなったとか・・・・・」
 
「そうじゃなくて、私神様ねっ!!この耳見て!あの青タヌキにこんなチャーミーな耳ある!?」
 
ドラ神様と名乗るドラえもんは自分の耳を主張しながら言う。確かに途中で付け直したわけでもないらしい。
 
「えっと・・・・・そのドラ神様が僕に何の用ですか?」
 
「う~んとね~。」
 
ドラ神様は勿体ぶった様子で渋る。そういえば3時に「宇宙ターザン」と「カメライダー」が始まるんだけど。
 
「あの・・・・・早く話してくれないかな?早くしないと『宇宙ターザン』の時間になっちゃうから・・・・・」
 
「そうそう。チミ・・・・・・・実は死んじゃったの。」
 
「・・・・・・・・え?」
 
ドラ神様が言う言葉に僕は思わず愕然とした。
 
死んだ?
 
いくらなんでも冗談だろ!?
 
死んだら僕としずかちゃんの結婚する未来が・・・・・っていうかそれ以前にセワシ君とか色々変わっちゃうじゃないか!?
 
 
「そんな!?冗談でしょ!?」
 
「いんや、本当のことだよ。」
 
「うわぁ~!!嘘だぁ~!!」
 
僕は、この時思わず泣いた。
 
「ねえ、元の場所に戻してよぉ~!神様なんだからできるんでしょ!?ねぇ~!!」
 
「ダメダメ、そんなことしたら規則違反になっちゃう。」
 
「規則違反って何!?」
 
「それは神様だけの秘密。」
 
ドラ神様は、意地悪そうな顔で言うが僕の頭はパニック状態だ。
 
もしかしてこのまま天国行きか?
 
っとそう思った矢先、ドラ神様は何やら福引とかでよく見る箱を出す。
 
「・・・・・・っとは言っても君は本当はこうなるはずなかったからね。普通はここから天国か地獄に行くかを決めるんだけど今回は特別出血サービスで神様の慈悲として転生させてしんぜよう。」
 
「へっ?」
 
「さあ、このくじ引きを引いて~。この中で君が行く転生先を決めるから。う~ん、僕のお勧めはIS世界で俺TUEEEE!!しまくる世界とヒーローの力を持って堕天使や悪魔と戦ってハーレム作る世界、それとも東方系?、いっそのこと・・・・えっと・・・・・・・」
 
「あの・・・・・・」
 
「何?のび太くん。」
 
説明を考えているドラ神様に対して僕はイチかバチか重要なことを聞く。

「元の世界に戻すという選択はないの?」
 
「NAI☆!」
 
「・・・・・・・そう。」
 
「さあ、引いて引いて!!ここからが君のセカンドライフだからね!!」

僕は、仕方なくくじの箱に手を突っ込む。
 
せめてかっこよく生きられる世界にしてほしいなぁ。
 
「え~い!もうしずかちゃんと結婚できないならどうにでもなれ~!!」

そして、引いたくじは
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『ロックマンX』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・・・ロックマンX?」
 
「あららぁ~、君は実に運がないね。よりによって『ロックマンX』を引いちゃうなんてね。」
 
ドラ神様は残念そうな顔をするけど僕が知っている限りロックマンXなんて名前は知らない。
 
少なくともロックマンぐらいだ。
 
少し前、スネ夫が新作ゲームの「ロックマン2」を見せてくれた(とは言ってもジャイアンとしずかちゃんはやらせてくれたのに僕はやらせてもらえない)青いタイツ・・・・・・・って、えぇ!?
 
「そんなぁ!?嫌だよ!なんで僕があの青タイツのロボットにならなくちゃならないの!?」
 
「えっ?」
 
「なんかかっこ悪いし・・・・嫌だぁ~!!転生しなくていいから天国に連れてって~!!」
 
僕は再び大パニック状態になった。
 
「ん~もう、仕方ないなぁ。エックス結構かっこいいのに・・・・・・・ただ、主人公としてはな・・・・・・うん。」
 
ドラ神様はポケットからハリセンを出して僕の頭を叩きつけた。
 
「かっ!?」
 
「まあ、決まったことなんだから文句言わない!さあ、第二の人生へレッツゴー!!」

僕は再び意識を失った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
・・・・ックス
 
 
・・・・・エックス。
 
 
「・・・・・・」
 
知らない声が聞こえて来た。
 
「エックス。」
 
誰だろう?
 
「エックス。」
 
僕は目を開けてみる。
 
目の前には白衣を着た老人の姿が移った。優しそうな人だ。
 
「あな・・・たは?」
 
「儂はトーマス・ライト。お前の生みの親だよ、エックス。」
 
「エックス・・・・・・それが僕のな・ま・え・・・・・・」
 
まだ完成していないのか僕の意識は再び途切れてしまった。
 
「エックス。そう、無限の可能性を意味する名前だ。お前は自分で考え、行動する新しいタイプのロボットになるんだよ。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
これが転生した時の最初の出来事だ。 

 

イレギュラーハンター

???
 
『降下地点マデ後、45秒。』
 
「・・・・・・・・・」
 
『聞こえるか、エックス。目標の有効射程距離に入り次第すぐに叩け。』
 
「・・・・・・・・」
 
『・・・・・エックス。』
 
「・・・・・・ZZZZZZZZ。グウ。」
 
『エックス!』
 
「はっ、はい!?」
 
しまった。

俺は慌てて目を覚ます。
 
うっかり居眠りをしてしまった。
 
人間のころ学校の先生に怒られていた時のように思わず反応してしまった。
 
『間もなく降下地点に到達するな?』
 
「は、はい!」
 
『目標が射程距離内に入り次第、お前の射撃で目標を行動不能にするんだ。いいな?』
 
「わかりましたシグマ隊長!」
 
『うむ。』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺がこの世界に生まれてから随分時が経った。
 
次に意識を取り戻した時、ライト博士の姿はもうなかった。俺の発見者、ケイン博士の話によると俺は研究所の跡地の隠されていた地下室で約百年近くメンテナンスカプセルの中で封印されていたと言う。
 
後でわかったことだけど俺の正式名称は『ロックマンX』でどうやらあのゲームのロックマンの後継機らしい。
 
それからしばらくしてケイン博士が俺の設計データを基に『レプリロイド』を開発・生産され、社会はレプリロイドと人間の共存する世界へとなった。
 
しかし、その後レプリロイドの中で電子頭脳のエラーなどの発生で人間に危害を加える「イレギュラー」が発生、そのイレギュラーの捕縛・破壊を目的とした「イレギュラーハンター」が結成された。
 
俺はその中の第17精鋭部隊に所属することになった。ちなみにハンターランクは「B」。どうも甘いところがあって他のメンバーからは嫌な目で見られることが多い。別に嫌なわけじゃないけど。
 
 
 
 
 
 
 
『降下地点到着。』
 
ハッチが開くと目の前は青い空、その真下には俺の住む街「シティ・アーベル」が小さく見える。
 
俺の任務は、上空から暴走しているメカニロイドを空から狙撃して行動不能にすることだ。
 
地上には上司であるシグマ隊長たちが部隊を率いて待機している。
 
「・・・・・行くか。」
 
俺は、ハッチから飛び降りると地上に向かって降下し始める。
 
 
そう言えば昔、偶然見つけた首長竜の卵をから孵して、白亜紀の世界を旅した時こんな感じで滝からドラえもんと一緒に落ちたんだっけ?
 
今、思い出すと懐かしいもんだな。交通安全のお守りの効力が本当かどうかはわからないけど。
 
 
だんだん町が大きくなるにつれて俺は右腕をバスターへ変形させ地上に向けてチャージを始める。
 
「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」
 
ハンター試験とかの時は思わず相手を撃つことに戸惑う事があったけど今回はメカニロイド、躊躇わずに撃つことができる。右腕からバチバチと音が鳴る。どうやら限界までチャージしたようだ。
 
「一発で決める!!」
 
俺は地上を徘徊している暴走メカニロイドに向かってフルチャージショットを放った。
 
上空からの狙撃にメカニロイドは地面へと叩きつけられ、沈黙する。
 
(手応えあり・・・・・)
 
俺は威力を弱めてバスターを発射し、近くのビルに飛び移って地上に着陸した。
 
 
 
 
 
 
 


「B中隊、突撃!」
 
エックスの狙撃を確認したシグマは、沈黙したメカニロイドの確保に移る。
 
「行くぞ!確保するクワッ!」
 
ペンギン型のレプリロイド アイシー・ペンギーゴは隊員を引き連れてメカニロイドの方へと向かっていく。
 
だがその直後、メカニロイドは何事もなかったのかのように動き出した。
 
「「「なっ!?」」」
 
思わず隊員たちは唖然とする。
 
「あの攻撃を受けて何ともないのか!?」
 
ペンギーゴも同様に驚いている。メカニロイドは脚部を動かし、彼らの方へと向かっていく。逃げ遅れた隊員は奴に押しつぶされる。
 
「くそ!奴の足を止めるんだ!!」
 
 
「ゼロ、そちらから目標のメインジェネレーターを確認出来るか?」
 
状況を見た上でシグマは、近くに待機している赤いレプリロイド ゼロに通信を入れる。彼の視点でメインジェネレーターは確認できるもののそれはメカニロイドのアームの近くで近づかなければならなかった。
 
「ダメです!奴の動きが早くて近づけません!!」
 
その間にも隊員がメカニロイドに捕まり別の部隊へと投げ飛ばされ被害は広がって行く。
 
「喰らえ!!」
 
ペンギーゴは、口から冷凍弾を発射してメカニロイドの脚部を凍らせる。他の隊員たちもワイヤーを発射して動きを封じようとするがメカニロイドのパワーは相当なもので氷が砕け始めた。
 
「なんてパワーだぁ・・・・・」
 
ペンギーゴは思わず表情をゆがめた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「隊長!奴のパワーは想像以上です!地上からの援護に回ります!」
 
俺は急いでペンギーゴのチームに合流しようと走っていた。しかし、現場に到着しようとしたとき隊員の一人が捕まってしまっていた。
 
「た、助けてくれ!」
 
「野郎!」
 
一足来るのが遅かった。
 
「くっ!」
 
俺は、バスターを奴の脚部に向かって撃つ。しかし、メカニロイドは工事などの作業用として頑丈に作られている。そのため、通常のバスターでは歯が立たない。メカニロイドは今度は俺たちに向かって襲い掛かってきた。
 
「いつまでも好き勝手にやらせるかよ!!」
 
ゼロはバスターを構えながら突っ込む。
 
バスターで関節を破壊したためメカニロイドはバランスを崩し、メインジェネレーターが見えるようになった。
 
「あっ・・・・・・」
 
「ジェネレーターだ!」
 
俺はすかさずバスターで照準を定めようとする。だが、そのすぐ近くには捕まった隊員がいる。外せば彼の命が・・・・・・・
 
「エックス!ジェネレーターだ。ジェネレーターを撃つんだ!!」
 
ペンギーゴが言うのは尤もだった。でも、俺の手が震えて目標をうまく定められない。
 
 
俺はのび太だった頃、射撃だけは得意だった。
 
シューティングゲームに関してはスネ夫やジャイアンにも劣らなかったし、狙いを外したことはない。
 
だが、それは敵を容易に狙える時の方が多かった。
 
誰かを盾にされた時のことはあまり考えたことがない。
 
故に撃つのを躊躇ってしまう。
 
 
「早くしろ!エックス!!」
 
「くっ!」
 
俺は、メカニロイドに向かって走って行く。
 
「何をするつもりだエックス!?」
 
突然の俺の行動にペンギーゴは唖然とする。
 
メカニロイドは、まだ動く脚部で俺を潰そうとするが紙一重に避け、ジェネレーターの真下へと転がり込む。
 
「ここなら!!」
 
俺はジェネレーターの真下でバスターを発射した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
事件は、メカニロイドが機能を停止したことによって幕を閉じた。
 
幸い怪我人は少なく、捕まった隊員も無事救出することができた。
 
俺はホッとしながら運ばれていく隊員を見送るとシグマ隊長が来た。
 
「エックス。」
 
「シグマ隊長。」
 
「今回はご苦労だったな。」
 
「は、はい!」
 
シグマ隊長を前にして俺は背筋を伸ばして言う。
 
「だが、エックス。お前の射撃能力なら回り込まずともあの場でジェネレーターを撃つことができたはずだ。」
 
「・・・・・・・・」

シグマ隊長の言葉に俺は後ろめたさを感じる。確かにあの場でジェネレーターを撃ち抜くことは可能だった。
 
「仲間を危険にさらしてしまう確率はほんの数%に過ぎない。違うか?」
 
「はい、シグマ隊長。私は・・・・・」
 
「いいか、エックス。我々イレギュラーハンターには、引き金を引くのを躊躇ってはならない時がある。」
 
「・・・・・・」
 
シグマ隊長は他の同僚たちに比べればかなり良心的に言ってくれる。ある意味で飴と鞭の使い方を心得ているのかもしれないな。

「それが力なき者の剣となり、盾となる我々の定めだ。忘れるな。」
 
「・・・・はい。」
 
俺の返事を聞くとシグマ隊長はほかの部隊に損害状況の確認を指示して現場から去って行った。
 
「・・・・・・」
 
「大活躍だったじゃないか。」
 
「ゼロ。」
 
俺は、後ろから声をかけてきたゼロの方を見る。
 
「どうした?せっかく活躍したのに元気がないじゃないか?」
 
「いや、そんなでもないさ。また、撃つのをためらっちゃったからさ。」
 
俺たちはそんな会話をしながら拠点であるハンターベースへと戻って行く。 

 

可能性

ハンターベース 廊下

「えっと、これをこうして・・・・・・・・」
 
「エックス。」
 
「う~ん~・・・・こうやった方がいいかな?」
 
「おい。」
 
「ん?どうかしたかゼロ?」

廊下をあるっている中、一緒に歩いていたゼロが声をかける。 

「お前な・・・・・歩きながらその・・・・・アヤトリとかって言うのやるのやめておけ。」
 
「いや、今回はかなり難しい新作なんだ。どこまで再現できるか・・・・・」
 
「・・・・あのな・・・・・」
 
あやとりをしながら歩いている俺をゼロは呆れた態度で見る。
 
俺が野比のび太として生きていた時もあやとりは昔の遊びとしてみんなから相手にされていなかった。
 
まあ、あの時はスポーツが全くできなかったり、小遣いを貯める習慣とかなかったから手持ちがなくなるとやることがなくてやっていたんだけど。
 
一度「もしもボックス」であやとりができる人が偉い世界って言うのをやったことがある。ドラえもんのこと考慮していなかったからすぐに元に戻されたっけなぁ。
 
こっちで生きていくようになってからもあやとりはある意味頭の運動としてやっている。そして、今回は・・・・・・
 
 
「できた!!」
 
「はあ?」
 
突然の俺の声にゼロは思わず言った。
 
「見てくれゼロ!よく似ているだろ?」
 
俺は力作をゼロに見せる。
 
「・・・・・・・それ。まさかシグマ隊長か?」

正解。

今回はシグマ隊長の顔をどれだけあやとりで再現できるか挑戦してみたんだ。
 
「今回は隊長の顔をどれだけ再現できるかをやってみたんだ!よくできているだろ?」
 
「ま、まあな・・・・・」
 
俺の様子を見てゼロは少し困ったような態度をとる。
 
「よし!今度はゼロの顔をどれだけ再現できるかやってみるか!」
 
「おいおい、今度は俺の顔かよ・・・・・勘弁してくれ。それにそんなものシグマ隊長に見せたら注意されるぞ。」
 
「なんだよ。よくできているだろ?」
 
俺たち二人はそんな会話をしながらハンターベースのロビーに辿り着く。
 
その時丁度、すれ違ったハンター二人の会話が耳に入った。
 
「メカニロイドのイレギュラー・・・・・・今月で7件目だな。」
 
「それで隊長はその件でケイン氏のところに?」
 
「あぁ、そうらしい。」
 
 
俺は、さっきまであやとりについて話していたことを忘れ、一つの疑問が勝手に口から出た。
 
「イレギュラーか・・・・・・どうしてイレギュラーは発生するんだろう?」
 
 
俺の親友だったドラえもんが住む22世紀もこちらの世界と似たような世界だった。
 
でも、あっちではイレギュラーの発生なんて一度も見たことがない。
 
あると言ったら強盗とかでそれを含めてもそこまでの頻度でもない。
 
どうしてこちらの世界ではそんなに起こるのかよくわからない。
 
 
そんな俺にゼロは納得いくような説明をしてくれた。
 
「プログラムのエラー、電子頭脳の故障、俺達レプリロイドの高度な情報処理能力の・・・・・いわばツケって奴だな。」
 
「そうなのかな?」
 
「あぁ。」
 
その矢先俺たちの目の前で保安員に連行されていくレプリロイドを見た。
 
SF系で出てきそうなヘルメット型の頭部に紫のボディ。額のVの字はまさに彼の象徴というべきものだった。
 
 
「VAVAだ。大方また揉め事でも起こしたんだろうな。同じハンターでもエックスみたいにいつまでも甘い奴もいればVAVAの様にイレギュラーすれすれな奴もいる。」
 
「・・・・・」
 
俺は黙って連行されていくVAVAの後ろ姿を見送った後、ゼロに訓練を誘われたけどいつも昼寝をするところに行きたかったから適当に言い訳して別れた。
 
どこかって?
 
屋上さ。
 
あそこは日が一番当たるし、この季節は寝心地が最高なんだ。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
シティ・アーベル Dr.ケイン宅
 
「最近、騒がしいようだな。」
 
「はい、ケイン博士。イレギュラーによる犯罪は増加傾向にあり、大型メカニロイドの暴走も数件発生しています。」
 
シグマは、ハンターベースからレプリロイドの生みの親 Dr.ケインの自宅を訪問していた。その時はちょうどケインが書斎を整理していたこともあり、ケインは幼いころから集めていたと思われるブリキの玩具を並べていた。
 
「・・・・・エックスはどうしている?」
 
「状況分析、戦闘能力。共に極めて高いレベルにあり、特に精密射撃の高さは異常です。が・・・・・時に悩み、判断を遅らせるところがあります。」
 
「ふむ。」
 
ケインは作業を終えるとソファーに腰を掛ける。
 
「悩むか・・・・・・・・正しくそれこそがエックス最大の特性なのだ。」
 
「・・・・・・」
 
「シグマよ、お前は悩むことがあるまい?かつて私は、封印されていたロボット エックスを見つけだし、その設計思想を流用し、お前達レプリロイドを生み出した。レプリロイドは人間と同じように考え、行動することが出来る。だが、深く思い悩むレプリロイドはエックスだけだ。それは一つの可能性でもあるが・・・・・」
 
「悩むことが新たな可能性・・・・・欠陥ではなく?」
 
「フッ、普通はそうだなシグマ。だが、思い悩むことがこれまでにない新しいタイプのロボットと人類の関係を見出すのかもしれない。だが、その可能性が希望になるか、あるいは危険なものになるのかは誰にもわからんのだ。」
 
ケインは感慨深い顔で話をする。
 
「私は、それを見届けられるかどうかはわからんが生き続ける限りは見守ってやりたいと思っている。その可能性をな。」
 
「・・・・・・・・・」
 
シグマは少し腑に落ちない顔をしていたが任務に戻るためそのままケインの自宅を後にしていった。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース トレーニングルーム
 
ゼロは、今回起きたメカニロイドの事件をシュミレーションで体験していた。
 
目標のメインジェネレーターに合わせ、タイミングを見計らって発射する。
 
しかし、バスターの光弾は捕えられた隊員の方に命中してしまった。
 
「うっ!」
 
『残念!訓練終了!』
 
コンピューターから今回の成績が表示される。
 
<成功率95%>
 
「ちっ、5%ミスっちまったか。」
 
ゼロは悔しそうに舌打ちをした。
 
「95%か。大したもんじゃないかゼロ。」
 
そこへ鷲型のレプリロイドがやってきた。彼の名はストーム・イーグリード 第7空挺部隊隊長であり、現在はミサイル基地の守備任務に就いているはずだった。
 
「イーグリードか・・・・・・お前、ミサイル基地の守備任務はどうしたんだ?」
 
「警報装置が完成したんで、守備隊は縮小されたよ。今日からはまた通常のハンター業務さ。」
 
「そうか。」
 
「っで、早速メカニロイド暴走事件で召集だ。行こうぜ、ゼロ。」
 
「あぁ。」
 
二人はトレーニングルームを出て、ブリーフィングルームへと向かう。

「・・・・ところでイーグリード。」

「ん?」

「お前、最近ティルの奴に会いに行っていないのか?お前の部隊から外れてから随分疎遠になっているようだが。」

ゼロの言葉を聞いてイーグリードは何とも言えない表情をする。

「・・・・俺も彼女もまだあの事件のことで心の整理ができていないんだ。」

「そうか。」 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ブリーフィングルームではすでに多数のハンターが集まっていた。その中で先ほどまで気持ちよく昼寝をしていたのかエックスは見えないように小さいあくびをしていた。
 
「解体中のビルで起きたメカニロイドの暴走ですが、コントロール系が何者かに乗っ取られていたと判明しました。」
 
女性型オペレーターは、床の大型モニターへ現場の状態を映し出しながら状況を説明する。
 
「中には誰も乗っていなかった・・・・・・つまり遠隔操作されていた?」
 
「そうです。」
 
眠気を隠しながらエックスが聞くとオペレーターはすぐに返答した。
 
「ちょっと待てよ。メカニロイドの警戒プログラムは・・・・・」
 
「そう簡単にハッキングされるような防壁ではないはずだクワッ。」
 
「はい、犯人はこちらの警戒体制に精通している可能性があります。」
 
「っで?犯人はどこから操作を?」
 
「いくつもの衛星を経由してカモフラージュしていましたが・・・・・発信源はここ・・・・・シティ・アーベル東16番地区です。」
 
オペレーターは腕部のボタンを押し、マップを表示させる。
 
「すぐ近くか・・・・・ふざけやがって!」
 
「シグマ隊長にこのことは?」
 
「連絡済みです。エックス、ゼロのチームはブリーフィング終了後、現場に偵察に向かうようにとの指示です。」
 
「「了解!!」」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺とゼロは、急いで現場に向かった。
 
だが、あまりにも静か過ぎだった。
 
「あまりにも静か過ぎないか?」
 
「あぁ。」
 
ゼロもどうやら同じように感じているようだった。
 
「行ってみるか、エックス?」
 
「うん。」
 
俺たちは壁を蹴って飛びながら犯人が潜伏していると思われる建物の屋上へと乗り込んだ。
 
しかし、そこには無残に破壊されたレプリロイドの残骸が転がっているだけだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
本部から応援を呼んだ後、倒れていた犯人たちを調べてみたが既に手遅れだった。
 
「どうだ?」
 
俺は、端末を調べている隊員に聞く。
 
「ダメですね、データは既に持ち出されたようです。」
 
「かなりの手練れだな。」
 
「状況は?」
 
そこへシグマ隊長が来た。隊員の一人がおそらく仲間割れではないかと報告する。報告を聞いた隊長はゼロの方を見る。
 
「ふむ。ゼロ、どう思う?」
 
「さあ、ですがどちらにせよやったのは相当の戦闘能力を持った奴でしょう。全て急所を一撃です。」
 
「うむ。」
 
そう言ってシグマ隊長はなぜか俺の顔をしばらく見ると外に待機させているイーグリードたちに指示を出すべく去って行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ドラえもん。
 
君がいてくれたらすぐにでも犯人を見つけられるのにな。
 
俺って本当に君がいないと駄目だよ。 

 

The Day of Σ

ハンターベース
 
「イーグリード隊A班は、ポイント445へ。」
 
「西28区でまた暴走!?」
 
「待て!まだ逆探知が!」
 
「さっきからやってます!イーグリード隊B班、移動完了!」
 
「はい、こちらハンターベース。・・・・えっ?またメカニロイドの暴走!?場所は?・・・・・そんな近くで!?」
 
 
 
 
翌日
 
シティの各方面でメカニロイドの暴走事件が発生していた。これまでとは比べ物にならない規模にハンターベースの通信網は麻痺し、各部隊が対処に追われていた。
 
 
俺もゼロと共にライドチェイサーで現場へと向かっている。
 
「くそ!どうしてこんなことに。」
 
「メカニロイドの暴走・・・・・俺たちを攪乱してるだけの気もするが・・・・」
 
「ん?犯人には何か別の目的があるという事か?」
 
「あるいはな。」
 
その直後に本部から通信が入った。
 
『エックス、ゼロ。緊急事態です!留置されていた元イレギュラーハンター VAVAが脱走しました!』
 
「何だって!?」
 
『最優先で現場に急行してください!』
 
「「了解!!」」
 
俺たちは方向転換して留置場へと向かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース 留置場
 
「こ、これは・・・・・・・」
 
俺は、無残にやられた保安員たちを見て動揺した。
 
こんなことは普通あり得ない。
 
確か独房に入れられるときは武装はすべて取り外されるはずだ。元々同じハンターであるVAVAも当然取り外される。それに武装を隠し通して脱走したとしてもこの数を倒すことは不可能だ。
 
でも、この状況から見たら・・・・・・・・
 
 
「・・・・・違うな。拘束されていたVAVAにこれほどの攻撃力はなかったはずだ。どれも急所を一撃で仕留めている。やったのは極めて高い判断力と戦闘力を持ったレプリロイドだ。」
 
でも、ここを襲撃したものは一体・・・・・・もしかしてメカニロイドを暴走させている犯人と同一人物なのか!?
 
「じゃあ、犯人はVAVAを逃がすためにわざとメカニロイドを暴走させているというのか!?」
 
「・・・・・可能性は十分にある。まさかだが・・・・ん?」
 
本部からの通信だ。
 
「こちらゼロ。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『エックス、ゼロ。ハッキング地点の逆探知に成功したわ。暴走メカニロイドの発信信号を送っているのはミサイル基地です。全部隊に連絡しましたがほとんど反応が途絶えています。シグマ隊長ともずいぶん前から連絡が取れなくて・・・・・・・・・』
 
 
通信を聞き、俺たちはミサイル基地へと急行した。情報によれば犯人もそこにいる可能性が高いと言う。
 
俺とゼロはバスターを展開して基地の中へと入って行く。
 
つい最近自動警報装置が完成したこともあって基地に人影はなかった。俺たちは基地のミサイルの安全を確認する。
 
「・・・・・ん?誰かいる。」
 
ゼロはミサイル基地のコントロールルームに人影を捕えた。俺たちは急いで部屋に向かう。
 
 
 
「動くな!」
 
「あっ!」
 
俺たち二人は部屋の前に立ち、バスターを向ける。しかし、そこにいたのは
 
「シグマ隊長っ!?」
 
何と連絡が取れなくなっていたシグマ隊長だった。
 
「エックス、ゼロ。どうやら犯人はここの警備システムを使ってコントロールをしていたようだ。」
 
「警備システムでカモフラージュしていたってことですか。」
 
「逆探知に手間取るわけだ。」
 
俺たち二人はバスターを解除して室内へと入って行く。急いで暴走を止めなくては。
 
「シグマ隊長、司令部とは連絡が着かなかったそうですが・・・・・・」
 
「敵に気づかれたくなかったのでな。通信は切っておいた。」
 
シグマ隊長の足音が近づいてくる。
 
「なに、もはや通信など大したものでもなかろう・・・・・・」
 
「っ!?」
 
ゼロはとっさに後ろを振り向いた。俺も何事かと向いたらシグマ隊長がゼロをサーベルで突き刺そうとしていたのだ。
 
「シグマ隊長!?ゼロ!」
 
「ほう、何故気づいた?」
 
攻撃を受け止められたシグマ隊長は動じる様子はなくゼロに聞く。
 
「犯人の戦闘力、あれほどのことをできるレプリロイドは多くない。そして、最初に急所を狙ってくるとわかっていれば避けることもできた!」
 
「流石ゼロと言いたいが私を全く警戒していなかったエックスの甘さこそがレプリロイドとして貴重だと言わねばならんな!」
 
「ぐうぅ!?」
 
シグマ隊長の左腕がゼロの頭部を掴み上げた。
 
「そう思わんか?ゼロ。」
 
「があぁぁぁ!!」
 
ゼロはもがくが離れる様子はない。
 
「シグマ隊長、何をするんですか!?早くゼロを離してください!」
 
俺はバスターをシグマ隊長に向ける。
 
「そうだ、エックス。よく狙え!私を止めたければ今すぐゼロの体ごと私を撃ち抜くほかないぞ?」
 
「なあっ!?」
 
シグマ隊長はゼロを盾にする。迂闊に撃てばゼロごと撃ち抜いてしまう。
 
「どうした?撃て!」
 
俺は何とかゼロを傷つけない方法を考えて見たが見当がつかない。
 
ここにドラえもんがいれば「タンマウォッチ」や「とりよせバッグ」「どくさいスイッチ」で何とかできるかもしれない。
 
でもこの状況でそんなことできるはずないし、ゼロごと撃ち抜く以外方法はない。
 
撃てない俺を見てシグマ隊長は笑う。
 
「ヌゥフッハハハハ、どうだエックス?やはりお前はそうなのか。」
 
シグマ隊長はゼロを真上に放り投げるやゼロを斬りつける。
 
「ぬわぁぁあぁあああ!!!」
 
斬られたゼロは、そのまま落ちて動かなくなる。
 
「ゼロ!」
 
「ぬうん!」
 
「ぐっ!?」
 
シグマ隊長は、隙を逃さず俺を掴み上げた。
 
「ぐうぅ・・・・」
 
俺は何とかバスターを撃とうとシグマ隊長に向けようとする。
 
「ヌハハハッ、言ったはずだぞエックス?引き金を引くのをためらうなと。あれが私を撃つ最後のチャンスだったのだ。」
 
シグマ隊長はサーベルを腰に戻すと小さなボタンを取り出してスイッチを押す。すると基地のミサイルが一斉に発射準備にかかる。
 
「あっ!」
 
「次にこのスイッチを押せば基地のミサイル全てが発射される。目標は我々の街だ。さあ、どうする?街を賭けて私を撃ってみるか?できなければ武装解除してもらおうか!」
 
シグマ隊長は本気だ。
 
確かに今の状態ならシグマ隊長を撃ち抜くことは可能だ。
 
だが、もし先にボタンを押されてしまえば街が・・・・・・・・
 
「・・・く、くっ・・・・・くうぅ。」
 
俺は止むを得ずバスターを右腕パーツごと取り外す。バスターは床に落ちると元の右腕に戻る。
 
「フッハハハ・・・・・エーハッハハハハハハハハ!!!ふん!」
 
「うわぁ!」
 
シグマ隊長は、笑うと俺を放り投げる。俺はそのまま床に倒れる。
 
「・・・・・な、何故だ・・・・・・何のためにこんな・・・・・・」
 
「我々のためだよ、エックス。我々レプリロイドの可能性を真に試すために。」
 
「仕組んだのか?メカニロイドを暴走させ、罪のない者を・・・・仲間たちを次々に殺して!!」
 
「賛同してくれた連中に礼を言う。エックス、犠牲のない進化など・・・・・・・」
 
「あっ・・・・」
 
まさか・・・・・・
 
「ない。」
 
シグマ隊長は、発射スイッチを押した。
 
「やめろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
 
 
俺は、シグマ隊長に向かっていく中、ミサイルはすべてシティ・アーベルへと発射されていった。
 
 
 
 
 
 
ハンターベース

「何っ!?ミサイル基地から!?」

「ミサイルが発射された!目標軌道を計算!」

ミサイル基地からのミサイル発射はハンターベースでもキャッチされた。女性オペレーターはすぐにミサイルの到達時間を計算する。

「ミサイル到達まで46秒、目標は・・・・・・シティ・アーベル・・・・・・」

結果を知った瞬間、ハンターベース全体が寒気に襲われる。

ミサイルはそんな彼らを他所にシティ・アーベルに落下し、火の海へと変えていった。





 
 
 
 

 
 
 




 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
「あ、あぁ・・・・・・・・・・」
 
「エックス、全てはお前が招いたことなのだ。無限の可能性と危険、そのどちらも備えたお前が。」
 
俺は身動きをすることができなかった。
 
俺の腹部にシグマ隊長のサーベルが突き刺されている。
 
「これで終わりかエックス?いや、違う。ここから始めるのだ、我々の世界を!」
 
シグマ隊長が言う中、俺の意識は薄れていった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
・・・・・・・・ここはどこだ?
 
どこかで寝かされている。
 
周りには泣いている人たちがいた。
 
なんで俺を見て泣いているんだろう?
 
 
・・・・・・あっ、思い出した。
 
この人たちのうちの二人は、僕のパパとママじゃないか。
 
でも、どうして泣いているんだろう?
 
ねえ、ママ。どうして泣いているの?
 
あれ?聞こえていないのかな?
 
それにしても体が動かない。
 
どうしてなんだろう?
 
 
あっ、丁度いいところにドラえもんが来てくれた。
 
ドラえもん、どうしてママは泣いているの?
 
あれ?ドラえもんも同じだ。
 
何故だ?
 
 
『ごめんね、のび太くん・・・・・』
 
 
どうしてドラえもんが謝るんだよ?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
あっ・・・・・・そっか。
 
僕はあの時死んだんだっけ。
 
トラックに撥ねられて。
 
ごめんね、ママ、パパ、ドラえもん。
 
 
そして、今僕は棺桶の中に入れられているのか。
 
よく見たら一緒にいるジャイアンやスネ夫まで泣いているよ。
 
日頃からいじめていたのに。
 
『のび太の馬鹿野郎!死んじまいやがって!』
 
『帰って来いよぉ~!!もう三人用とか言わないからさ!!』
 
帰って来いって言われてもどうにもならないよ。
 
そんな中、みんなは、僕の周りに大事なものを入れていく。
 
しずかちゃんは、花束。
 
ジャイアンは、自分の命より大切にしていたリサイタル衣装(汗)
 
スネ夫は、自慢して僕が欲しがっていた新作ゲーム。
 
ドラえもんはどら焼きかな?
 
えっ?それ・・・・・スペアポケットじゃん。
 
『のび太くん、もう僕は君の傍にいることができないからこれを一緒にもっていくといいよ。危なくなったら使ってね。』
 
危なくなったら使えって?
 
本当に最後まで心配かけさせちゃったね。
 
『のび太くん。』
 
ん?何ドラえもん?
 
『僕は、君と一緒に過ごしてきたことをずっと忘れない。大切な宝物だよ。それはしずかちゃんやジャイアン、スネ夫くんも同じだよ。』
 
うん、ありがとう。
 
今度生まれ変わった時は心配かけられないように生きていくよ。
 
『もう時間みたい。』
 
棺桶の蓋が閉じられる。
 
それでもドラえもんは最後まで僕のことを見ている。
 
『さようなら、のび太くん。僕の・・・・・・・みんなのかけがえのない友達・・・・・・』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・・・・・・・・・・」
 
エックスの頭部の赤いパーツが光を発し始めた。
 
「うん!?」
 
「ぬうぅおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
 
エックスは頭部パーツと同時に光り出した右手をシグマの頭部に打ち付ける。反動でシグマは後方に吹き飛び、エックスの腹部からサーベルが抜ける。
 
「ぬわあぁぁぁぁああ!!!」
 
自由になったエックスはすかさず右手でシグマの顔を掴む。
 
「ぬわあぁぁあ!!」
 
先ほどまでとは比べ物にならない力の影響でシグマの顔に傷がつく。思わぬダメージにシグマは顔を抑えた。
 
「ぬうぅ・・・・・エックス――――――――――!!!」
 
シグマは、エックスの名を叫びながら再びエックスと対峙する。
 
「し、シグマ・・・・・・・」
 
しかし、同時にエックスの頭部パーツの光は消え、目の輝きも失われる。
 
先ほど受けた腹部の傷から煙が吹く。どうやら機能を停止してしまったらしい。
 
「・・・・・・・フフフッハッハッハッハ、ア―――ッハハハハハハ!!!」
 
シグマは機能を停止したエックスを見る。
 
「そうだ、これがお前の力。お前の、レプリロイドの可能性なのだ。フッハハハハ、アーッハハハハハ!!アハハハハ!!」
 
シグマは、エックスにとどめを刺すことなくその場を去って行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「く・・・・・・・くう・・・・・・シグマ・・・・・・エックス?」
 
それからしばらく時間が経過して倒れていたゼロがようやく意識を取り戻した。
 
ゼロは立ち上がるなり、機能を停止したエックスを発見する。
 
「エックス!エックス―――――――ッ!!」
 
ゼロは、その後急いでエックスを修理するためにハンターベースへと急いだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ヌゥフフフフ・・・・・アッハハハハハ!!!」
 
一方、エックスを見逃したシグマは破壊された街を眺めながら笑っていた。
 
「立ち上がって来い、エックス!お前の戦う相手はここだ!私はここにいるぞ。」
 
「さあ、戦いを始めようではないか。レプリロイドの可能性をかけた戦いをな!!ハハハハ、ア―――――――――――ハッハッハッハッハ!!!」
 
 
 
 
 
 
かくして、この日よりレプリロイドの初の反乱「シグマの反乱」の幕が切って落とされた。 

 

VAVA

シティ・アーベル ハイウェイ
 
ミサイル攻撃によって打撃を受けたシティ・アーベル。
 
その破壊された通りを一人のレプリロイドが作業用の機械である『ライドアーマー』に乗って眺めていた。
 
「・・・・・・・エックス、何故お前なんだ・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ミサイル発射 数時間前


ハンターベース 留置場
 
元イレギュラーハンター VAVAは、命令違反などを理由に独房に入れられていた。外からわずかな振動が感じられる中、彼は特にすることもないため、スリープモードに切り替え、眠りにつこうとしていたところだった。
 
そんなとき、彼の部屋の扉が開いた。

外にはシグマが立っている。
 
「・・・・・フン、直々にこの俺を処分しに来たというわけか。」
 
シグマがここに来る機会はそのくらいしかない。シグマはサーベルを展開するとVAVAに斬りかかる。
 
「くっ!」
 
VAVAは、無駄な抵抗と分かっていながらも自分の腕についている拘束具を利用して防御しようとする。しかし、シグマは、VAVA本人ではなく彼を拘束していた拘束具を壊した。
 
「なっ!?何の真似だ!?」
 
「力を貸せ、エックスを倒す。」
 
「エックスを倒すだとっ!?」
 
「そうだ。ひいてはそれが我々の進化につながるだろう。」
 
シグマの思わぬ発言にVAVAはおかしく思った。
 
 
エックスを倒すのが進化につながる?
 
いつも引き金を引くのを躊躇う甘ちゃんハンターを倒すために力を貸せ?
 
いくらシグマとは言えランクが下のハンターを倒すためだけに自分を解放するなどあまりにおかしなことだ。
 
「・・・・・・フッ、フフフフフ・・・・何を言い出すかと思えば。あのいつも悩んでばかりの甘ちゃんハンターが何をしてくれるというのだ!!」
 
「悩む・・・・・・そう、悩むことこそ他のレプリロイドにはない特殊な能力だ。甘さ故にエックスは悩み、深く考え、通常のレプリロイドが達しえない結論にたどり着くのだ。だが、エックスは本来の力に気づいていない。」
 
「そのエックスの力を引き出すために自らイレギュラーになるというのか?」
 
「そうだ。」
 
「俺にもその手伝いをしろと?」
 
「だからここに来た。」
 
「・・・・狂ってやがる。」
 
シグマの目的を聞いたVAVAは、面白くなさそうに言う。だがシグマはそんなVAVAの態度を気にする様子はない。
 
「強制はしない。誰にでもできることではない。」
 
シグマはそう言うと独房の外に出る。
 
「自ら狂う事が出来なければな。お前の装備は、外にある。その気があるのなら好きにするがいい。」
 
「・・・・・・・・」
 
シグマはそう言い残すとその場から離れて行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・・悪いが世界を変えるのはエックスではない。この俺だ!!」
 
VAVAは、ライドアーマーに乗り込み、その場から飛び降りていった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
シティ・アーベル ハイウェイ
 
エックスは、ゼロに運ばれた後にミサイルの攻撃から運よく免れたDr.ケインの修理によって意識を取り戻した。意識を取り戻すなり、エックスは急いで現場へと急行していた。ゼロとケインには、もう少し休んだ方がいいと言われたもののこうなったのは自分の責任だと感じとり、二人の言葉を押しのけて破壊されたハイウェイを移動しながらメカニロイドをバスターで撃ち落としていく。
 
『エックス!そのエリアの暴動もイレギュラーが誘導している可能性が高いわ!』
 
「誘導・・・・やはり、シグマか!」
 
オペレーターの通信を聞いたエックスは、万全とは言い難い状態でありながらも確実に暴走メカニロイドを破壊しながら移動していく。
 
しかし、自分が破壊した覚えのないメカニロイドの残骸まで見えた。
 
シグマの反乱によって大半の特A級ハンターは、組織から離脱してしまっている。それ故にだれがやったのか見当がつかなかった。
 
しばらく移動していくと見覚えのある人影が見えた。
 
「貴様・・・・・・VAVA!!」
 
エックスが見たのは、脱走して行方を暗ませていたVAVAだった。
 
「よう、エックス。シグマに踊らされている気分はどうだ?」
 
「貴様もシグマの反乱に加わっているんだな!?」
 
「反乱?・・・・・クッククク、そんなこと知ったことか!」
 
「!?」
 
「俺はな・・・・・お前が気に食わないだけだ!行くぞ!エックス!」
 
VAVAは、ライドアーマーを操作してエックスに襲い掛かる。エックスは動きの鈍いライドアーマーの短所を利用して、うまく回避しようとする。
 
「甘いぜエックス!俺のライドアーマーを他の量産型と一緒だと思うな!!」
 
「なっ!?」
 
ライドアーマーのパンチがエックスの腹部に直撃する。エックスは後方へと吹き飛ばされる。
 
「コイツは、俺専用にチューンアップした奴だ。並のライドアーマーよりもパワーもスピードも桁違いだ!」
 
「くっ!」
 
エックスは、必死の抵抗でバスターを発射する。
 
「ほれほれどうした?お前にしては全然当たらんぞ?」
 
「くっ・・・・・・」
 
現在のエックスは、病み上がりで万全な状態でない上にダメージを受けてしまっている。今の状態ではVAVAの動きを見切るのは極めて困難な状態だった。
 
「フン、所詮エックスはこの程度か。」
 
VAVAは、弱っているエックスをライドアーマーの腕でつかみ上げる。
 
「ぐうぅ・・・・・・・」
 
「これが可能性か・・・・・・シグマの奴は誤ったようだな。これでどちらが真に優れたレプリロイドかどうか明らかじゃないか。」
 
ライドアーマーの腕は今にもエックスを握り潰さんばかりとしている。
 
「ぐわあぁぁぁぁ!!!」
 
「世界を変えるお前じゃない!この俺だ!VAVAだ!クッハハハハハハ!!!」
 
「ぐ・・・・ど・・・・・ドラえ・・・・・・」
 
その直後、赤い光弾がエックスを掴んだ腕を破壊した。
 
「!?」
 
VAVAは、光弾が飛んできた方を見る。よく見るとゼロがバスターをチャージしながらこちらに向かってきていた。
 
「エックス、大丈夫か?」
 
ゼロは、エックスを庇いながらバスターをVAVAに向ける。
 
「クッ・・・・・ゼロ!貴様ほどのハンターがどうしてエックスに肩入れする!?そいつはたかがB級ハンターに過ぎん!」
 
「VAVA・・・・今のお前はイレギュラーだ。俺はハンターとしての義務を全うしているまでだ。」
 
「ちっ。」
 
VAVAはゼロのチャージショットを避けると高速道路から飛び降りる。
 
二人が道路の下を見るといいタイミングで旗艦兼空中要塞デスログマーが離陸しているところだった。
 
VAVAは、デスログマーから二人を見下ろしながらその場から離脱して行ってしまった。
 
「・・・・イーグリードまで堕ちたか。これで大半の上級ハンターがイレギュラーになったに等しいな。」
 
ゼロは、そう言うと跪いているエックスの方に戻る。
 
「くっ・・・・俺の力じゃ奴等には勝てないのか・・・・・・」
 
エックスは自分の無力さを呪った。
 
「エックス、いつまでもミサイルの件で自分を責めるのはよせ。あれは俺の責任でもあるんだ。それにお前はまだ万全じゃなかったんだ。気に病むな。」
 
「・・・・・・でも、VAVAには敵わなかったよ。これじゃあどの道シグマを倒すこともできない。」
 
「確かに今のお前じゃシグマを倒すのは無理だ。しかし、お前には戦いの中で成長する能力がある。」
 
「成長する能力?」
 
「あぁ。俺は少なくともそうだと確信している。お前は戦えば戦うほど強くなれるはずだ。俺よりもな。俺はそれに賭ける。だが、今のお前には、修理が必要だ。一回ハンターベースに戻ってじじいに直してもらえ。じじいの方も心配していたからな。」
 
「ゼロはどうするんだ?」
 
「俺は、もう少しシグマの足取りを追ってみる。後で連絡する。」
 
ゼロはそう言うとその場から去ろうとする。
 
「・・・・・・・ゼロ。」
 
「ん?」
 
「ありがとう、君のおかげで少し気が楽になったよ。俺もケイン博士に直してもらったら急いで合流するよ。」
 
「・・・・フッ。そういうのは照れるからよせ。」
 
ゼロは笑みを浮かべた後走り去っていき、エックスは一旦ハンターベースへと戻って行った。 

 

アイシー・ペンギーゴ

ハンター・ベース メディカルルーム
 
「ほれ、エックス。修理は終わったぞい。」
 
ケイン博士の声でエックスは目を覚まして作業台から起き上がる。
 
「全く、修理も終わっていないうちに出撃するからこんなことになるんじゃぞ。」
 
「すみません、ケイン博士。」
 
エックスは、申し訳なさそうにケインに頭を下げる。そんなエックスに対してケインは特に文句を言わず肩に手を置いた。
 
「エックス、お前が自分で責任を感じておるのはよおくわかる。じゃが、シグマはこれまでの暴走メカニロイドやイレギュラーとはわけが違う。そのことを忘れてはならんぞ?」
 
「ケイン博士・・・・・・」
 
エックスは、後ろを向いて部屋から出ていこうとするケインの後姿を見て思った。
 
 
彼にとって自分の最高傑作ともいえるシグマは息子同然であった。
 
しかし、そんな彼までもがイレギュラーとなってしまった。イレギュラーになった以上、人類の敵になったシグマを討たなければならない。しかし、大半のハンターがシグマとともに組織から離脱してしまった。おそらく立ち向かえる可能性があるのはエックスとゼロぐらいしかいない。
 
エックスが元々戦いを好まない性格だという事も承知の上で遠回りにシグマを止めてくれと頼んでいるのだ。
 
それは、エックス以上に複雑な思いをしているに等しいものである。
 
「・・・・さて、儂は少し休ませてもらおうかのう。」
 
ケインはそのまま部屋から去っていく。エックスもこのままにしておくわけにもいかないためハンターベースの司令部へと向かう。司令部の方は反乱のこともあって慌ただしい様子だった。
 
「エックス!メンテの方は?」
 
「先ほどケイン博士に済ませてもらった。」
 
「今、各地で大規模なイレギュラー反応が確認されています!反乱が本格的に動き出しているようです!」
 
「・・・・・・くっ、シグマを追うよりもこちらを片付けるのが先決か!」
 
「エックスは、急いで現場に急行してください!」
 
「了解!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
雪山エリア
 
エックスは、最初の目的地である雪山へと到着した。
 
「・・・・・・雪山には碌な思い出がないな。」
 
エックスは、目の前に広がる銀世界を見ながら思わず言う。
 
のび太だった頃、未来の自分のガールフレンドを助けていいところを見せようと思って大恥をかいたこと、古代の日本で凍死しかけたこと、他にもいろいろあるが今はそれどころじゃない。
 
『そのエリアを占拠しているのは元特A級ハンター アイシー・ペンギーゴです。異名「雪原の皇帝」と言われるように吹雪と氷での攻撃を得意としています。』
 
「了解、これよりミッションを開始します。」
 
エックスは、雪山の基地へと乗り込んでいく。
 
進んですぐに丸太を斬り飛ばしてくるメカニロイドと遭遇する。
 
「ちっ、ペンギーゴが配置した物か!」
 
エックスは、確実にバスターで的確に破壊していく。引き続いで蜂型、ウサギ型のメカニロイドもエックスへの攻撃を行うがチャージショットで迎え撃つ。
 
「うおぉ!?」
 
途中、エックスのすぐ真上を回転ノコギリが飛んでくる。すぐに避けるが頬を僅かに掠った。
 
「そこか!」
 
エックスはフルチャージショットで攻撃してきた長身のダチョウ型メカニロイドを破壊する。
 
「伊達にのび太だった頃、射撃に自信があったんだ。宇宙にも通じるほどにね!」
 
メカニロイドを殲滅したのを確認するとエックスはペンギーゴが待ち構えていると思われる最深部へと目指す。
 
「ん?」
 
そのとき、エックスに妙な感覚が走った。
 
(何だろう?なんか呼ばれているような気が・・・・・・・それも何か知っている人が・・・・・)
 
 
エックスは、妙な感覚に引き寄せながらも向かっていく。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「これは・・・・・カプセル?」
 
エックスの目の前にあるもの。
 
それは、白と青で縁取られた円盤状の機械でこの場にあるにしてはかなり違和感があった。エックスは警戒しながら機械へと近づいて行く。
 
それを感知したのか、円盤はふわりと浮かび上がる。エックスはとっさにバスターを構えるが浮かび上がった円盤の下で白衣を着た白い髭を豊かに蓄えた老人の立体映像が映し出された。
 
「あ、あなたは!?」
 
エックスは、思わずこの老人に見覚えがあった。
 
自分がエックスとして新たな生を与えられたときに最初に目にした人物。その人物が今目の前で姿を現しているのだ。
 
『わしは、トーマス・ライト。このメッセージをエックス・・・・お前の未来に託す・・・・』
 
「ライト?俺は・・・・・この人を知っている?」
 
深い記憶を刺激する電子音声がエックスの聴覚回路に響き、彼は自然にバスターを下した。
 
『エックス、やはり来てしまったようじゃな。できればお前には、平和な日々を送って欲しかったのじゃが・・・・・これも運命なのかのう・・・・。』
 
「・・・・・・・」
 
『カプセルに入るのじゃ、エックス。そうすれば、お前はダッシュができるようになり、移動能力が大幅にアップするはずじゃ。このフットパーツの他にも各パーツが各地に隠れておる。強くなりたいのならそれを見つけ出すことじゃ!辛い事も多かろうがわしの残した力で未来を正しい方向に導いておくれ・・・・・わしのエックスよ。』
 
ライトの姿が消えるとエックスはカプセルの中に入る。するとエネルギーが充填されていくと同時に温かいものに抱かれるような感覚が身体中に満ちてゆく。そして、カプセルの中から出ると足は白と青を基調にしたフットパーツが装着されていた。
 
「すごい・・・・・今付けられたばかりなのに全く違和感がない。」
 
エックスが後ろを振り向くとカプセルは消えていた。
 
エックスは思いっきり走ろうとする。すると今までとは比べ物にならないほど早く移動できるようになっていた。
 
「早いぞ!このスピードなら最深部まで・・・・・ん?」
 
エックスは足を止める。丁度目の前にある雪の盛り上がりに違和感を感じたからだ。手で掘り返してみると作業用のライドアーマーが埋もれていた。
 
「・・・・・・そう言えば、VAVAは、これを戦闘に使っていたけど本当にできるのかな?」
 
エックスはライドアーマーに乗り込みエンジンを入れる。ライドアーマーは移動しながら拳で向かってくる敵を次々と破壊していった。
 
「イレギュラーハンターもライドアーマーを使っているぞ!」
 
「なんでこっちのやり方知ってんだ!?教えた憶えないのに!?」
 
「なんとなくやってみました。」
 
「「なんとなく!?」」
 
エックスは、ペンギーゴの部下が乗り込んでいたライドアーマーに向かって攻撃する。部下たちは、ライドアーマーが動かなくなるや乗り捨てて逃げて行く。
 
 
 
やがて、アーマーが入らないほどの入り口に辿りく。
 
「・・・・・・・・・・あっ、入り口も壊せないかな?昔、ドラえもんと一緒に大きなプラモデルのロボット造った時似たようなことやったし。」
 
エックスは、思いっきりライドアーマーの拳で扉を破壊した。
 
 
「なっ!?何事だっクワッ!?裏切りかクワッ!?」
 
突然ライドアーマーが中に入り込んできたことに中で待機していたペンギーゴは飛び上がる。
 
「あっ、ペンギーゴ。」
 
「エックス!お前の仕業か!!普通こんなところまでライドアーマーに乗ってくるなんて失礼にもほどがあるぞ!!」
 
「いやあ、できるかなって・・・・・」
 
「できるかなじゃないっクワッ!!!早くそいつを外に置いて改めて出直してくるクワッ!!」
 
「わかったよ。」
 
エックスは仕方なく、ライドアーマーごと外にいったん戻る。
 
「これでいいかい?」

「うん、それでいい。」
 
エックスは改めて戻ってくる。しかし、外が丸見えになってしまったのは違和感がぬぐえない。
 
「うぅ・・・・・俺様の仕掛け部屋が見事に丸裸に・・・・・」
 
「ペンギーゴ、何故シグマなんかに着いたんだ!?」
 
「お前、ちょっとこの空気読め!!・・・・・まあ、いい。シグマ様は俺の実力を認めてくれた。なんもない南極でくすぶっているよりここで派手にやっていた方が遥かにいいぜ!!」
 
「お前は間違っている!シグマのやっていることは反逆だ!!」
 
「人の部屋をぶっ壊したB級ハンターに言われたくないっクワッ!!行くぞ!!」
 
ペンギーゴは、這って高速で一気にエックスに迫る。エックスはジャンプして避けてペンギーゴを攻撃しようとするが
 
 


「クワッ~!?どこのB級が壁壊したせいで落ちる~!!!」
 
「あっ。」
 
エックスが遠くから見守る中、ペンギーゴはエックスが外に置いてきたライドアーマーに直撃。
 
「クベッ!?」
 
 
 
エンジンに直撃したのかライドアーマーごと大爆発した。
 
 
「ペンギーゴ・・・・・・・・・」
 
エックスは急いでペンギーゴのところへと向かう。ペンギーゴは爆発で見事に黒焦げになりこと切れていた。
 
「・・・・・・・勝ったっていうべきなのかな?・・・・・・なんかごめん。」
 
エックスは申し訳ない顔をしながらペンギーゴの黒焦げの亡骸をハンターベースへと持って帰った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ちなみにペンギーゴの亡骸を調べたケイン博士から彼のDNAデータをもらい、彼の得意技であった「ショットガンアイス」を使えるようになった。
 
「・・・・・・・ごめん、ペンギーゴ。今度は部屋の前でちゃんとおいてから入るよ。」
 
エックスは、申し訳なさそうに言いながらも次のエリアへと向かうのであった。 

 

スパーク・マンドリラー

 
前書き
この作品ではできるだけボスを破壊しないように・・・・・してるつもり。 

 
発電所
 
ペンギーゴを退けた(?)エックスが次に向かったのは巨大発電所。
 
このエリアは、自分と同じ第17精鋭部隊に所属していた元特A級ハンター スパーク・マンドリラーが占拠しているのだという。
 
「マンドリラー・・・・・・」
 
エックスは、電流の走る床をジャンプしながら移動する。
 
マンドリラーは、これまで考えるのが苦手とよく言ってシグマに従っていた。だから今回もそれを理由に反乱に加わったのではないかと考えていた。普段のマンドリラーは、特A級ハンターでありながらペンギーゴと比べてそこまで積極的ではなかったからだ。ハンター業務がなければどこかで寝るか好物の電気を食している・・・・ある意味で自分と似たようなことをしていた。
 
以前、オフの日に昼寝場所に居合わせて並んで寝っ転がっていたこともある。
 
「・・・・・この部屋はなんだ?」
 
エックスは奥へ進んで行くと広い部屋に辿り着いた。
 
「何もないようだが・・・・・・・ん?」
 
その時エックスの方に何かが落ちた。手に取ってみるとゼリーのようなものだった。
 
「なんだこれ?」
 
エックスが天井を見上げるとそこには、透明なゼリー状に覆われた巨大な機械が先ほどのゼリーのようなものをまき散らしながら浮いていた。
 
「何だこのメカニロイドは!?」
 
エックスがゼリーを避けるとメカニロイドは、電流を飛ばす。ゼリーが着いた地面は粘着力が強いせいで移動しづらいため、まともに攻撃を受けてしまう。
 
「こいつは・・・・・・・そうだ!以前博士が言っていた・・・・・」
 
 
エックスはこのメカニロイドについて思い出した。
 
“サンダースライマー”
 
ケインの話では、十年近く前に「1個の細胞をどこまで巨大化できるか」というラボの実験の産物で維持に大量の電気が必要なのと制御不能のため、プロジェクトもろとも凍結処分が下されていた。
 
おそらく占拠されたときに凍結が解除されたのだろう。
 
サンダースライマーは、エックスに向かってその巨体をぶつけようとする。
 
「くっ!」
 
エックスは、バスターで狙い撃つがゼリー状の膜で覆われたスライマーには何事もないように迫ってくる。
 
「うわあぁぁぁぁ!?」
 
エックスはスライマーの膜の中に入ってしまい、体に電流が走る。何とか出ようとするが膜が突き破れず、出られない。
 
「こ、このままだと身体が完全にショートして動けなくなってしまう・・・・・・・・」
 
無我夢中にバスターと入手したばかりのショットガンアイスを撃つが膜が破けない。
 
「うぅ・・・・・ん?」
 
エックスは一瞬思った。
 
出られないのなら本体に攻撃した方が早いのでは?
 
そう思うなり彼は、スライマーの本体である機械に向き直る。
 
「ショットガンアイス!!」
 
氷の塊は機械にめり込み、スライマーは中から大爆発を起こした。
 
「・・・・・・・ゲフッ。」
 
・・・・・・・エックスも爆発に巻き込まれて焦げているが(ついでにゼリーまみれ)。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
しばらく休んでから何もない通路を抜けると、タービン室の扉にたどり着いた。エックスがそれを力任せに開けると、中は真っ暗だった。
 
だが、何かがいるのは分かった。
 
暗い天井付近で七色に明滅するランプが縦一列に見える。それが合図であったように、広い部屋の照明が点灯される。
 
天井の太いパイプに片手でぶら下がる巨大な猿ことスパーク・マンドリラーがぶら下がっていた。
 
「・・・・・来ちまったか、エックス。」
 
スパーク・マンドリラーは、静かに床に降りてエックスと対峙する。
 
「マンドリラー、すぐに投降するんだ。君とは戦いたくない。」
 
「・・・・すまんが、邪魔をするなら潰すよ?エックス。」
 
「自分のしていることがイレギュラーだと気付かないのか!?」
 
「・・・・・難しいことはわからん。ただ、シグマ隊長の言っていることは、間違っていない気がするんだよ。」
 
「奴はもう隊長じゃない!イレギュラーだ!」
 
「ん~。」
 
マンドリラーは頭を掻きながらしばらく黙ると答える。
 
「なあ、エックス・・・・・・隊長が正しくて、お前が間違っていると思った事はないか?」
 
「・・・・・・」
 
「俺も考えるのは苦手だ・・・・・答えは戦えばわかるかもしれんな・・・・・」
 
マンドリラーはそう言うと腕のドリルの回転数を上げる。
 
「・・・・戦うしかないのか。」
 
エックスは、バスターを展開してマンドリラーに向かって放つ。マンドリラーはそれをかわすと一瞬ではあるものの瞬発的な速さでエックスの近くにまで接近し、パンチをする。
 
「くっ!?」
 
エックスは両手で防御に入るがマンドリラーの怪力もあって後方の壁に打ち付けられる。
 
「ぐはっ!」
 
重い衝撃がエックスに襲い掛かる。
 
「エックス・・・・邪魔をしないというのなら見逃してもいいよ?」
 
「何!?」
 
天井のパイプにぶら下がりながら言うマンドリラーにエックスは驚く。
 
「シグマ隊長からはここを守れとしか言われていない。別にお前を壊せとは言われていないんだ。ならここで逃げたっていいんじゃないか?」
 
「そんなこと・・・・・」
 
「俺だってできるならお前を壊すのは惜しい。・・・・・・せっかくの昼寝仲間なんだからな。」
 
「!?」
 
「覚えているだろ?二人でハンターベースの屋上から空を眺めながら詳しいことは忘れちまったけどなんか話をしたりしたことを。」
 
「マンドリラー・・・・・・」
 
楽しそうに語るマンドリラーを見ながらエックスは何とか立ち上がる。
 
「エックス、考え直す気はあるかい?」
 
「・・・・・残念だけど俺は戻らないよ。」
 
「・・・・・そうか。それは残念だな。」
 
マンドリラーは、地上に降りる。
 
「なら、全力で潰させてもらうよ?」
 
マンドリラーが床に拳を打ち付けると電撃がエックスに向かっていく。これが彼の技であるエレクトリックスパークである。
 
「俺は意地でも君を倒す!!」
 
エックスは電撃を避けるとバスターでマンドリラーを攻撃する。バスターの弾丸はマンドリラーにいくつか着弾する。
 
「ぬう・・・・・やるねえ・・・・」
 
マンドリラーは、右腕をドリルに変形させてエックスに向かって突っ込んでくる。
 
「ショットガンアイス!!」
 
エックスは、氷の弾丸をマンドリラーに向けて発射する。
 
「こ、これはペンギーゴの技っ!?」
 
氷の弾丸がマンドリラーの右腕に命中すると右腕はたちまち凍ってしまう。
 
「まだまだ!!」
 
エックスは続けて氷の弾丸をマンドリラーの体に命中させていく。
 
「ぬうぅ!?」
 
マンドリラーは全身を凍らせられて動けなくなる。
 
「これで動けないだろう?」
 
エックスは氷漬けになったマンドリラーに近づこうとする。
 
「ぶるぅああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 
その直後マンドリラーは強引に氷を打ち砕いた。
 
「マンドリラー!?」
 
マンドリラーはエックスに向かってまだ機能が残っていた左腕をドリルに変形させて突っ込んでくる。しかし、ダメージが蓄積した影響で動きは鈍っていた。
 
「・・・・・・・どうしても来るというのか。」
 
エックスは、バスターを限界までチャージしてマンドリラーに向ける。
 
「ぶるおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 
「はあぁぁぁぁ!!」
 
エックスはマンドリラーの胸をバスターで撃ち抜く。
 
「ぬ、ぬぐ・・・・・・・・」
 
マンドリラーは動きを止め、跪く。機能を停止したようだ。
 
「・・・・・・・・ごめん。でも、動力は無事だからケイン博士に頼めばきっと直してもらえるよ。」
 
エックスは、転送装置でハンターベースへと帰還する。
 
 
 
 
「また・・・・・・・・青空を見ながら何か話そう。」 

 

アーマー・アルマージ

エネルゲン鉱山
 
マンドリラーを撃破後、エックスは引き続いてイレギュラーに占拠されたエネルゲン鉱山へと向かった。
 
このエリアを占拠しているイレギュラーは、第8機甲部隊の元隊長アーマー・アルマージ。
 
鉄壁の防御力を誇る装甲を纏うアルマジロ型レプリロイドで武人肌の堅物。イレギュラーハンター部隊の指揮権を全てシグマに掌握された事から、彼を上官と判断。「上官の命令は絶対」として反乱に参加、蜂起後は兵器の原料の採れるこの鉱山を占拠した。
 
 
 
 
 
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 
現在エックスは、絶叫していた。
 
「無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!!止まってくれ!!」
 
原因は彼の乗っているトロッコだ。鉱山の中を移動するにはこれが必須なのだが大きく揺れる故に周囲にはメカニロイドによる攻撃、そして、止まったと思った矢先は針の床。
 
これの繰り返しでエックスは、まだアルマージの居場所にもついていないにもかかわらず精神的に疲労していた。
 
「あぁぁあぁ!?今度はなんだっ!?」
 
エックスは、目の前がどんどん明るくなっていくことに不安を感じる。トロッコはエックスを乗せたまま外へと飛び出した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
・・・・・・・・・・・・・但し、下は崖。
 
落ちたらレプリロイドといえど無事ではすまない。
 
「うわあぁぁぁ!!!」
 
エックスは死に物狂いで空中平泳ぎを披露しながらなんとか崖に掴まる。
 
「うん・・・・・・しょっと。」
 
エックスは崖から登りどうにか平らなところへと昇ることができた。目の前には、ペンギーゴの雪山以来のカプセルがある。
 
「ここにもパーツがあるのか?」
 
エックスが近づくと案の定カプセルが開き、老人の姿が映し出される。しかし、どういう事かいつもの白衣ではなく道着姿での登場だった。
 
 
「・・・・・・・・・・えっ?」
 
『ふふふ、どうじゃエックス!鍛え抜かれた、この体は!!後ろに見ゆる大瀑布で、鍛えに鍛えぬいたのじゃ!!
ばくふとゆうても、「江戸幕府」のことではないぞ!!』
 
「いや、それぐらいわかりますよ。」
 
ライトの様子を見てエックスは思わず動揺していた。
 
『っとまあ、そんなことは、どーでもよい!このカプセルの中に入るのじゃエックス!このカプセルに入れば、厳しい修業によって一部の人間だけが習得出来た必殺技を放てるようになる。人に近い心を持つお前なら、きっと使いこなせるはずじゃ!!エックス、宇宙を・・・・・パワーを・・・・・・波動を・・・・感じるんじゃ!!』
 
ライトはなんかしらの構えをすると消える。
 
「・・・・・・・か〇はめ波?」
 
エックスは前世で何となく読んでいた漫画の主人公の技を言ってみる。とりあえず、パーツではないようだ。
 
しかし、入れと言われたのを無視できないためカプセルに入ることにした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
エックスは、崖から落ちないようにゆっくり降りながらアルマージがいると思われる部屋の中へと入りこんだ。しかし、中には誰もいなかった。
 
「誰もいな・・・・・・いや、今来るのか。」
 
エックスが言い直すと同時にアルマージが丸まった状態で壁を突き破って現れた。
 
「アルマージ。」
 
「エックス、お前が来たら倒すよう命令されている。」
 
「狂ったシグマの命令で俺と戦うというのか?アルマージ。」
 
「それが私の使命だ。」
 
「それはイレギュラーの考えだ!!」
 
エックスの言う言葉にアルマージを動じる様子はない。
 
「自分は命令に従うのがイレギュラーだとは思わない。我々はどちらも間違ってはいないということだな・・・・」
 
アルマージは、エックスの考えを否定はしないものの、シグマへの忠誠を優先する。
 
「これ以上は問答無用!私は私の信念を、お前はお前の信念を貫こうではないか!!」
 
アルマージは、体を丸めると周囲にぶつかりながらエックスへと向かっていく。
 
「くっ!どうして・・・・・」
 
エックスは攻撃をよけながらもバスターを確実にアルマージへと命中させていく。アルマージは一旦着地するとバスターの攻撃を盾で防ぐ。
 
「お前の射撃能力の高さは知っている。だが、我が盾はいかなる攻撃も通じぬ。」
 
「・・・・・・・一か八かやってみるか。」
 
「ん?」
 
エックスの構え方にアルマージは警戒する。エックスは両手を合わせると何かを撃つ体勢に入る。
 
「か・・・・・・・・め・・・・・・・・・は・・・・・・め・・・・・・・・」
 
「何をする気だ?」
 
アルマージは見知らぬ攻撃に警戒し、盾を構える。
 
「波あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 
「ぬっ!?」
 
エックスの気迫にアルマージは身構える。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
しかし、両手を前に突き出しただけで何も起こらない。
 
「・・・・・・・・・・」
 
「・・・・・・・・・あれ?」
 
エックスは何も起こらないことに驚く。
 
「どうなっているんだ!?あの構えをすれば撃てるんじゃないの!?」
 
「・・・・・・どうやらはったりだったようだな。」
 
アルマージは、額を開いてレーザー攻撃をする。
 
「うわあぁぁ!?」
 
エックスは慌てて避けるもののアルマージは隙を逃さすローリングアタックを仕掛ける。
 
「ぐはっ!?」
 
エックスはもろに直撃を受け、跪く。
 
「この程度だったか・・・・・他の特A級ハンターを倒したと聞いたからさぞかし腕を上げたかと思っていたが・・・・・・どうやら倒したのは偶然だったようだな。」
 
アルマージは、そう言いながら再び額の兜を展開する。
 
「くっ!」
 
だが、エックスは、その瞬間うつ伏せ状態でありながらバスターでアルマージの額を狙い撃つ。
 
「何!?」
 
思わぬ反撃に動揺した束の間アルマージの額にバスターが命中する。
 
「ぐわあぁぁぁ!?」
 
アルマージは、額を抑えながらよろめく。
 
「今だ!!」
 
エックスは、ショットガンアイスをアルマージに向かって発射する。
 
「くっ・・・・・・・調子に乗るな!」
 
アルマージは、自分を覆うようにバリアを張りショットガンアイスを防ぐ。
 
「なっ!?」
 
「偶然は何度も起きん!ペンギーゴやマンドリラーのように私を倒せると思うな!!」
 
アルマージがバリアを解除すると同時にそのエネルギーを弾丸として飛ばす。
 
「うわぁあ!?」
 
エックスは、思わずガードするがアルマージは追撃の如く体当たりを食らわせる。
 
「う、うぅぅ・・・・・・・」
 
エックスは意識が薄れていく中、何とか立ち上がる。
 
「あれほどの攻撃を受けてまだ立ち上がるのか!?」
 
アルマージは、エックスの行動に思わず感心する。
 
しかし、あの目からしておそらくもうこちらへの攻撃はもはや無理だろう。
 
「・・・・・・・」
 
「・・・・意識が朦朧としているか。ならば、せめてとどめを刺す前に先ほどの言葉を訂正させてもらう。お前にはどうやらシグマ隊長の言っていた『可能性』があったようだ。だが、私はその『可能性』を破壊するように命令を受けている。これ以上苦しまぬうちに引導を渡してやる。」
 
アルマージは球体状態になると回転を始め、エックスへの攻撃態勢を整え始める。
 
その形は、エックスの脳裏に何か懐かしい光景を見させていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
???
 
エックスは、どこかで倒れていた。
 
懐かしく感じる感覚だ。
 
小さい頃、庭で遊んでいたとき転んではよくこうやって泣いていたものだ。
 
(・・・・・・負けたのか・・・・)
 
エックスは、自分が既に負けたと思い込んでいた。
 
(結局、俺はダメなままだったな。昔も今も何にも変わらない・・・・・・・)
 
エックスはそう言いながら目を閉じようとする。
 
 
 
 
 
 
 
・・・・・・・っと、そこへ何かが転がってきた。
 
それは赤い人の顔が書いてあったものだった。それは、彼の目の前まで転がる。
 
「こ、これは・・・・・・・」
 
エックスは思わず立ち上がってそれを拾う。とても懐かしいものだった。
 
「どうしてこれが・・・・・・・」
 
「さ、ダルマさんもおっきしたよ。のびちゃんだって一人でおっきできるでしょ。」
 
「!?」
 
さらに懐かしい声が聞こえてくる。エックスは声がした方を見る。
 
「お、おばあちゃん!!」
 
記憶回路が故障していたのかもしれない。
 
しかし、そこには自分が大好きだった祖母が立っていた。
 
「どうしてここに!?おばあちゃんは・・・・・」
 
「のびちゃんが落ち込んでいたら心配であっちの世界にいられないよ。」
 
「のび・・・・・!?」
 
この時エックスは、気づいた。
 
何故、祖母は自分のことがのび太だとわかっているのか?
 
自分を体を見るからにしてもエックスとしての姿のままだ。そんな自分をかつての孫だと気づくのだろうか。
 
「どうして俺のことを・・・・・・・」
 
「おばあちゃんがのびちゃんのことを見まちがえると思うかい?」
 
祖母は優しい顔で自分の所へ来てくれた。祖母はダルマを拾うともう一度エックスの前で転がしてみる。ダルマは、転がるとまたもとのように起き上がる。
 
「ねえ、のびちゃん。ダルマさんは偉いね。何べん転んでも泣かずに起き上がるものね。」
 
「何べん・・・・・・・!?」
 
エックスの脳裏にかつて約束した言葉が思い浮かぶ。
 
 
 
『ぼく、ダルマになる。約束するよ、おばあちゃん。』
 
 
 
 
「・・・・そうか。俺は、あのとき・・・・・・」
 
祖母と約束したんだ。
 
何度くじけても心配かけられないように強くなると。
 
「おばあちゃんとの約束、思い出した?」
 
「うん。」
 
エックスは、祖母の顔を見て言う。
 
「ありがとう、おばあちゃん。危うく諦めるところだったよ。」
 
次第に祖母の姿が透けていく。
 
「のびちゃん、おばあちゃんはいつものびちゃんのこと見ているからね・・・・・・」
 
「・・・・・・俺は、もうのび太じゃないんだ。でも、そう言ってくれたのはうれしかったよ。」
 
祖母の姿が消え、エックスの意識は現実へと戻って行く。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「とどめだ、エックス!これで楽にしてやる!!」
 
アルマージは、硬直状態のエックスに向けてローリングアタックを仕掛ける。
 
「シグマ隊長、貴方の命令はこれで完了・・・・・・!?」
 
任務が達成されたと思った矢先、アルマージはエックスの異変に気付く。
 
体色が変化し、バスターがチャージされ始めたのだ。
 
「バカな!?だが、これですべて終わる!!」
 
アルマージはとどめを刺さんとエックスへ急速接近する。
 
 
 
 
 
 
 
 
次の瞬間、エックスの目に光が戻り、アルマージに向かってバスターを向ける。
 
「フルチャージエレクトリックスパーク!!」
 
エックスのバスターから巨大な電撃弾が発射され、電気の柱と化しアルマージに命中する。
 
「ぐ、ぐがあぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 
アルマージの体の至る所から黒い煙を噴き上げ、自慢の鎧が吹き飛んだ。
 
「はあ・・・・はあ・・・・・」
 
エックスは、オーバーヒートを起こして煙を吹き出しているバスターをなんとか戻すと倒れたアルマージのところへと行く。
 
「ま、まさか・・・・・あの、意識を失いかけた状態、から、こうな、るとは・・・・・・・・」
 
アルマージは、息切れたような言い方で言う。特に額の方は事前に受けたダメージのこともあり、黒く焦げていた。
 
「・・・・・アルマージ・・・・・」
 
「・・・・・・お、お前の・・・・・・勝利を称賛するぞ、エックス。」
 
アルマージはもはや機能停止寸前だった。おそらく内部構造もズダズダで修理の仕様もないだろう。
 
「・・・・・・その実力ならおそ・・・らく、他のハンターたちも打ち破ることができるだろう・・・・・・・」
 
アルマージは満足そうな顔をしていた。
 
「・・・・・・いい戦いだった・・・・・・・」
 
眼の光が失われ、彼は完全に機能を停止した。エックスは、彼の身体からDNAデータの端末を取り出す。他の機器はひどい破損をしていながら無事だったのはまさに奇跡だった。
 
「・・・・・・・何度でも起き上がるか。」
 
エックスは、外に出て空を見る。
 
おそらくこれから先も何度も倒れる事態が起きるかもしれない。でも、何度も起きあがれる自信は何故かあった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・・・俺は、もう野比のび太じゃないけど、あの時の約束は忘れないよ。」
 
 
 
 
 
 
 
 
向こうで見ているかもしれない祖母に向かってエックスは言う。
 
 
「だから、見守っててね。おばあちゃん。」 

 

バーニン・ナウマンダー

工場地帯
 
エックスがアルマージを撃破していったんハンターベースに帰還している頃、シグマに加担したハンターによって占拠された工場地帯の一角で大爆発が起きた。
 
このエリアを占拠しているのは元第4陸上部隊隊長 バーニン・ナウマンダー。
 
動きは鈍重ではあるもののその圧倒的な火力を武器にかつて配属されていた中東では“灼熱のオイルタンク”という呼び名で敵に恐れられていた。
 
彼は、「自分の実力を今まで以上に試す機会」と考え、シグマの反乱に参加し、たった一人でこの工場地帯を占拠した。部下たちがついて行かなかったのは、「自分より力の劣る相手は徹底的に潰す」という残虐な面で嫌われていたからである。
 
そんな工場地帯でナウマンダーは、一体のレプリロイドと対峙していた。
 
「VAVA!てめえ、何のつもりだ!!俺様が占拠したエリアで暴れやがって!正義の味方ごっこは他所でやるんだな!!」
 
対峙している相手はVAVAだった。VAVAは、部屋の外でライドアーマーを待機させて単騎でこのエリアに乗り込んできていたのだ。
 
「正義?ふん、随分とくだらないことを言うようになったもんだなナウマンダー。」
 
「何ぃ!?」
 
VAVAの言葉にナウマンダーは怒りを覚える。
 
「てめえは、戦えれば何でもいいんだろう?なら、かかって来いよ。俺が直々に遊んでやる・・・・・」
 
「ははっ!いきがるなよ!今から俺様に喧嘩を撃ったことを後悔させてやる!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース
 
「Dr.ケイン!エックスがハンターベースに帰還しました!」
 
「うむ。」
 
オペレーターの声を聞いてケインは、入り口の方へと向かう。案の定、エックスはボロボロ・・・・・特に右腕の方はかなり損傷がひどい状態で戻ってきていた。
 
「ケイン博士、ただいま戻りました。」
 
「ずいぶん派手にやったようじゃのう・・・・」
 
ケインは、エックスの右腕を見る。この状態ではバスターも満足に撃つことはできまい。
 
「早速なのですがすぐに修理をお願いします。まだ各地でイレギュラーの暴動が続いているので・・・・・」
 
「やれやれ、こんなにボロボロになっては直すのも大変じゃ。少しは人の苦労を知れ。」
 
「・・・・すみません。」
 
「・・・・フッ。まあ、よい。直ぐに修理をしてやるぞい。さあ、さっさとメディカルルームに行くぞ!」
 
ケインは、ニコッとするとエックスの肩を叩きながら連れて行く。
 
作業台に寝かせるなり彼は、早速エックスのバスターから修理を始める。
 
「無理して撃ったようじゃのう・・・・・あちこちの配線が焼き切れておる。」
 
ケインは、新しいパーツに取り換えながら壊れてしまったパーツをエックスの前に置く。
 
「ケイン博士、どうなんです?直るんですか?」
 
「部品を交換すればまた撃てるようになる。じゃが、エックス。特殊武器をチャージショットと同じ要領で撃つと今度はこの程度ではすまんかもしれんぞ?」
 
「そんなにひどかったんですか?」
 
「あったりまえじゃ。この破損具合からして最悪な場合腕のパーツ丸ごと取り換えるだけでは済まなくなるぞ。」
 
「・・・・・・」
 
ケインの言葉にエックスは思わずゾッとした。
 
「じゃから絶対に特殊武器をチャージして撃ってはならんぞ?今度やったら本当に腕が吹き飛んでしまう。」
 
「は、はい・・・・・・・それと博士。マンドリラーの件なのですが・・・・・・」
 
エックスは顔を上げながらケインに聞く。
 
「一応上層部には彼の弁護をしておいた。じゃが、これほどの規模での反乱でシティの発電所を占拠した罪は重い。運が良くてハンターランクの降格処分、悪ければ・・・・・・・・」
 
「お願いします。マンドリラーは、反乱には加わりましたが普段はいい奴なんです。きっと・・・・・」
 
「わかったわかった。ワシもできる限りのことはするつもりじゃ。だから少し大人しく寝ておれ。いつまでたっても直らんぞ!」
 
「はい。」
 
エックスはそう言うとスリープモードに切り替え、深い眠りに落ちた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
工場地帯
 
「オラ!」
 
「ぐうぅ!?」
 
VAVAは、肩のキャノン砲でナウマンダーの足を破壊する。
 
「フン、弱いな。これでよく隊長なんてもんを務められたもんだな。あんまりにも動きが遅くて呆れちまうぜ。」
 
「ほ、ほざけ!!」
 
ナウマンダーは、VAVAに向かってファイアーウェーブを放つがVAVAは難なく避けてナウマンダーの腹部を撃ち抜く。
 
「がっ・・・・・・・・・」
 
「あばよ、ナウマンダー。恨むんならそのデカすぎた自分のボディを恨むんだな。」
 
VAVAは、とどめとして腕の搭載されているバルカンでナウマンダーの頭部を粉砕する。
 
「これで特A級か・・・・・・情けねえな。」
 
VAVAは、そう言うと工場の奥から必要な部品をコンテナに積み込み、ライドアーマーで運び出す。
 
「これだけありゃ十分だ。これでアーマーと武装の改造ができるってもんだぜ。」
 
VAVAは、ライドアーマーに乗り込み、壁を突き破って離脱していった。
 
「クッククク・・・・・・待ってろよ、エックス。本当に優れたレプリロイドが貴様ではなく俺だと証明される時をな・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・一体どうなっているんだ?」
 
VAVAが去ってからしばらく経ち、エックスはナウマンダーを討つべく工場地帯に来ていた。しかし、施設の大半が破壊され、討伐対象であったナウマンダーは腹部を貫かれた上に、頭部が完全に破壊されていた。
 
「ナウマンダーがこうまで破壊されているなんて・・・・・・」
 
エックスは、破壊されたナウマンダーの残骸を見ながらDNAデータを取る。既に破壊されている以上、他のエリアに向かわなくてはならない。
 
「ん?」
 
引き上げようとしたとき、エックスはまた例の奇妙な感覚がした。
 
「あの上か。」
 
エックスは壁を飛び蹴りして登ってみるとそこには例のカプセルがあった。
 
「・・・・・・・また、変な技を教えるとかでなければいいけど・・・・・」
 
エックスが不安に思う中、カプセルが開き例の老人が姿を現す。
 
(今度は流石に普通か。)
 
『このカプセルにはアームパーツを遺しておいた・・・・・・カプセルに入り、これを腕に装着すれば・・・・お前のチャージショットは強化され、より強力なスパイラルチャージショットを撃てるようになる。更に、バスターへの負担が軽減され特殊武器のチャージを撃てるようになる。』
 
「本当ですか!?」
 
ライトの言葉を聞いてエックスは思わず叫ぶ。
 
ケインの忠告で今後の特殊武器に関してどうしようかと考えていた矢先にこれなのだから致し方がないが。
 
『危険な力じゃが・・・お前が正しい心を持ち続ければきっと・・・・・』
 
「あっ、そうだ。博士。」
 
『ん?』
 
「あのかめはめ波・・・・・・結局撃てませんでしたよ?あれって修行をしろということですか?」
 
『なにぃ!?わしは「波動拳」を教えたつもりじゃったんだが・・・・・・・』
 
「ハドウケン?界王拳とか太陽拳とかの間違いでは?」
 
『・・・・・・・・エックスよ。お前は「ストリートファイターⅡ」というゲームを知らんのか?』
 
仕方なくライトは、エックスに波動拳についての説明をするのであった。
 
しかし、勢いで伝授したせいなのかその後も波動拳は撃てなかったそうな。 

 

ランチャー・オクトパルド

 
前書き
「悪いなのび太。ボンボン版の入手がネットぐらいしかないせいでマーティの設定が本作オリジナルになっちゃったんだ。」 byスネ夫

ボンボンの岩本佳浩先生のファンの方は怒りのあまりにイレギュラー化するから読まないでね。 by赤バンブル

 

 
海中エリア 最深部
 
シグマの反乱によって引き起こされたイレギュラーの暴動は空中、地上だけではない。
 
当然、この海にも及んでいるのだ。
 
このエリアを指揮する第6艦隊所属ランチャー・オクトパルドは、エックスが次にこのエリアに来ると予測したシグマの通信を受けていた。
 
『オクトパルドよ、エックスは次にそちらのエリアに行くようだぞ。』
 
「はぁい、シグマ隊長。こちらの対策は万全です。」
 
シグマの通信に対してオクトパルドは余裕のある顔で答える。
 
『既にエックスは、元特A級ハンターを三人も倒しておる。お前も油断していると後れを取るぞ?』
 
「ご心配なく。ここは水中、私のテリトリー・・・・・言わずと知れた舞台なのです。主に陸戦向けに作られたエックスには、正に不適応な環境。それにもう一つ作戦を考えております。」
 
『ほう?では、楽しみにしておるぞ。』
 
シグマは笑みを浮かべながら通信を切る。
 
「私は水中戦闘のアーティスト・・・・・・敵とは言えエックス君には演技よく散っていただかなくては。さて、私が用意した部隊は予定通り・・・・・・・ん?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

海中エリア
 
「フットパーツがなかったら泳げなかっただろうな・・・・・・」
 
ナウマンダーの工場地帯からエックスは、フットパーツのダッシュを推進力にして水中を移動していた。
 
のび太として生きていたころは浮き輪なしでは泳げなかったこともあって水中にいるのは若干感動もあればトラウマも蘇る。
 
「そう言えばドラえもんの『ソウナルじょう』とかいう道具で架空の海で泳ぐ練習したんだっけな・・・・・あの時は、日光浴しすぎてひどい日焼けを・・・・・・・」
 
「きゃあぁぁぁぁ!!」
 
「!?」
 
遠くからの悲鳴にエックスは、声がした方角へと向かう。そこではアンコウ型メカニロイドが誰かを襲っているところだった。
 
「危ない!!」
 
エックスは、バスターを展開してメカニロイドの頭部を狙う。
 
「スパイラルチャージショット!!」
 
エックスは、メカニロイドの頭部に向かって放つ。バスターの弾丸はメカニロイドを貫き、メカニロイドは勢いよく爆発する。
 
「うわぁぁ!?」
 
エックスは、爆発の勢いで吹き飛ばされるもののフットパーツの推進力を活かして体勢を整える。そんな彼に襲われたと思われる者が同じように吹き飛ばされて当たった。
 
「あっ、大丈夫?怪我は・・・・・・・」
 
エックスは、声を掛けようとしたところで言葉を失う。
 
「に、人魚?」
 
エックスの目の前にいるのは、長い金髪に下半身は魚のような尾びれを持った人魚型レプリロイドだった。人魚というのは22世紀のテーマパークで人工的に作られたもの、夏休みにドラえもんが見せてくれたバーチャル映像で見せてもらったことがあったがここまで近くで見る事はなかった。一方の彼女の方も少し驚いていたようだった。
 
「あ、ありがとう・・・・・・」
 
彼女はそう言うとエックスから離れる。
 
「ここはイレギュラーが占拠しているエリアだぞ?こんなところにいたら危ないじゃないか。」
 
少し彼女は困った顔をして言う。
 
「ここはアタシが活動しているエリアなの。それがオクトパルドに襲われて・・・・・」
 
「オクトパルド?やっぱり奴の仕業だったのか!」
 
「えっ?アンタ、オクトパルドと戦いに来たの?」
 
人魚型は意外そうに言う。
 
「本当にアンタが戦うの?」
 
「そうだけど。何か文句あるのかい?」

人魚型はジロジロとエックスを見る。
 
「・・・・・・・・ちょっと頼りなさそう。」
 
「なっ!?何だよその言い方は!俺だって歴としたイレギュラーハンターなんだぞ。君だって戦闘型じゃないんだから早くここから離れるんだ!」
 
「なっ!?女だからってアタシのことをバカにしているわけ!?」
 
「何が悪いんだよ!さっきだって危ないところだったじゃないか!!」
 
「フーンだぁ!危なくなかったですぅ!自力で逃げられましたぁ!助けなんて必要なかったですよぉ―――――だ!」
 
「そんな言い方しなくたっていいじゃないか!」
 
二人は喧嘩を始めてしまう。
 
そんな二人を他所に大量の魚類型メカニロイドが一斉に迫ってくる。
 
「大体アンタだって、うまく泳げていないじゃない!そんなんでよくオクトパルドと戦うなんて言えるわよね!」
 
「泳ぎの問題で戦いは決まるもんじゃない!少なくとも丸腰の君よりは戦えるさ!」
 
「言ったわね!」
 
「あぁ!」
 
「・・・・・って、いつの間にか包囲されちゃったじゃないの!?」
 
人魚型の方はいつの間にか取り囲まれていたことに驚く。
 
「君があんな言い方したからだろ!?」
 
「アタシのせいだって言いたいわけ!?」
 
「そもそも敵のところへ向かう途中で君を助けたことから始まったんだぞ!?」
 
「別にアンタに助けてなんて一言も言っていないわよ!!」
 
「言ったな!」
 
「言って何が悪いのよ!女に文句を言うほどの男にはお似合いの言葉よ!」
 
喧嘩はさらにエスカレートし、メカニロイドの大群のことを忘れた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「なっ・・・・なんと無粋な!!せっかく用意した舞台であんな喧嘩をしてしまうとは・・・・・・これでは芸術的ではありません!こうなれば少しテンポが崩れてしまいますが・・・・・・・・・序盤のラブロマンスからピンチを志半ばにしてラスボスに敗れる正義というシチュエーションに変更いたしましょう!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「大体助けたのはこっちの方なのにどうして君に怒鳴らなければいけないんだ!」
 
「アンタの顔が頼りなさそうだからでしょ!」
 
「なんて言い方だ!容姿差別だ!だったら君は見た目はきれいなだけのじゃじゃ馬娘だ!!」
 
「じゃじゃ馬ですって!?だったらもっとビシッとしなさいよ!」
 
 
「おやめなさい!」
 
 
「「ん!?」」
 
 
二人は声のした方を見る。その先にはオクトパルドがいた。
 
「「オクトパルド!!」」
 
「全く・・・・・・せっかくメルヘンチックな作戦にしようとしたのに・・・・・・」
 
「アンタの作戦なんてどうでもいいわよ!!邪魔だからあっちに行ってて!!」
 
「お黙りなさいマーティ!!あなたはいつもそうだからその美しさに釣り合わないんですよ!!」
 
人魚型ことマーティに向かってオクトパルドは、怒鳴る。
 
「貴方もですよエックス!!一応相手はレディーなのですからもっと柔らかく対処しなさい!!あなたの対処では、むしろ火にオイルを注いでるも同然です!!」

「ちょっと、アンタさり気なくアタシに失礼なこと言ってない?」 

「イレギュラーのお前に言われたくはない!!大体どうしてここにいるんだ!?」
 
「それはですね・・・・・私は水中戦のアーティスト、戦闘面においても芸術的にするのがポリシーです。ですから・・・・・・」
 
「君なんかどこかの知り合いのタヌキみたいなネコ型ロボットと同じだ!!」
 
「タヌキみたいなネコ型ですって!?何訳の分からないことを言ってんのよこの青ブルマ!!」
 
「なっ!?だったら君は・・・・・・」
 
「いい加減に私の話を聞きな・・・・・・」
 
「「うるさいから黙ってろぉ!!」」
 
「はっ!?はい・・・・・」
 
二人の威圧に押されてオクトパルドは、黙るしかなかった。
 
「・・・・・・・・くぅ、こうなったら私のやり方に傷がつくことになりますが止むを得ません!!こうなったら2人揃って地獄に堕ちなさい!!」
 
オクトパルドは、自分の体を高速で回転させて、渦巻きを作り上げる。
 
「「えっ?」」
 
喧嘩をしていた二人は急に発生した渦に呑まれる。
 
「うわあぁ!?」
 
「きゃっ!?」
 
「ホッホホホホ!さあ、2人仲良くこの渦の中でスクラップになってしまいなさい!!」
 
オクトパルドは、渦の中心から小型魚雷を多数発射する。
 
「うっ!?」
 
数弾が命中し、マーティは渦の外へと放り出される。一方のエックスは、バスターで魚雷を破壊しながらも被弾していく。
 
「あっ・・・・・・」
 
マーティは、渦の中で必死にもがいているエックスを見る。水中戦に慣れていない上に、うまく身動きのできない環境での防戦。やられるのは時間の問題だった。
 
「あ、アタシのせいで・・・・・・・・・・」
 
自分があんなことを言って足止めになるようなことをしなければ。
 
もっと素直に礼を言っていれば・・・・。
 
素直じゃない自分の性格を思わず呪いたくなった。
 
それでもエックスは、必死に防戦し続けていた。
 
 
「ホッホホホホホホッ!!エックス、抵抗するだけ苦しむ時間が長くなるだけですよ?潔く諦めたらどうです?今ならその功績に免じてこのエリアにブロンズ像を建てて差し上げても構いませんよ?」
 
「断る!俺は絶対にあきらめない!!昔からそうだった!そして、今も!!」
 
「ならばひと思いにとどめを刺して差し上げます!!」
 
オクトパルドは、触手からピラニア型魚雷を発射する。
 
「くっ!」
 
エックスはバスターで撃ち落とすが渦の中であることもあって数体が逃れてエックスに直行する。
 
「ダメだ!やられる!?」
 
魚雷が爆発する。
 
「・・・・・終わりましたか。やがてあの中からバラバラになったパーツが落ちてきて長い時間を経て錆びれて・・・・・・ん!?」
 
その時オクトパルドは自分の目を疑った。
 
目の前に落ちてくるはずのエックスのパーツが一かけらもないのだ。
 
「そんな馬鹿な!?私の魚雷は確かに命中したはず・・・・・・」
 
「オクトパルド!!」
 
「ぬっ!?その声は・・・・・もしや!?」
 
オクトパルドは後ろを振り向く。そこにはマーティに掴まりながらバスターをチャージするエックスの姿があった。
 
「そ、そんなはずは・・・・・あのマーティが・・・・・あのじゃじゃ馬娘が人に手を貸すなんて・・・・・・」
 
「はあぁぁぁぁぁぁぁああ!!」
 
「芸術は・・・・・・」
 
「スパイラルチャージショットッ!!」
 
エックスのチャージショットがオクトパルドの脳天を貫いた。
 
「爆発なのでえぇぇ~す!!!」
 
オクトパルドは水中で勢いよく爆発する。エックスとマーティは、バラバラになったオクトパルドの残骸から彼のDNAデータを取る。
 
「これで何者かに襲われたナウマンダーも含めて五人のイレギュラーを倒したことになるのか。」
 
エックスはバスターの端末に組み込むとマーティの方に向き直る。
 
「助けてくれてありがとう。君の助けがなかったら今頃おれは海の藻屑になっていたよ。」
 
「べっ、別に!あたしがちょっと言い過ぎたと思ったからその・・・・・お詫びって言う意味でやっただけよ!べっ・・・・・・別にお礼されたくてやったわけじゃないからね!!」
 
マーティは顔を赤くして言う。
 
「あぁ・・・・・そ、そうなんだ。あっ、そう言えばさっき喧嘩して自己紹介していなかったな。俺はエックス。イレギュラーハンター第十七精鋭部隊所属のB級ハンターだ。き、君は?」
 
「あ、アタシはマーティ。レスキュー部隊所属・・・・痛!」
 
「マーティ?」
 
エックスはマーティに近づく。よく見ると彼女の脇腹に先ほどの爆発で突き刺さったと思われる破片があった。
 
「大丈夫かい!?」
 
「へ、平気よ!別に大したことなんて・・・・・」
 
「戦闘用じゃない君がそれで平気なわけがないだろ!!」
 
エックスはマーティを抱きかかえると海上へと向かっていく。
 
「ちょっと!どこへ連れて行くのよ!?アタシだったら平気だって!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
海岸部
 
地上に出たエックスは、マーティを横にすると破片を抜き取って簡易ながらも修理を行う。受けているマーティの方は少し恥ずかしそうだった。
 
「べ、別に修理なんてしなくてもよかったのに・・・・・・・」
 
「助けてくれたお礼さ。まあ、これなら普通に泳いだ分では破損個所に浸水してくる心配はないよ。」
 
エックスは抱き上げてマーティを海に帰す。
 
「・・・・ま、また、アンタに助けられたわね・・・・」
 
彼女の方は顔が既に真っ赤だった。
 
「じゃあ、俺は次の仕事があるから!」
 
エックスはそう言うと街の方へと走って戻って行く。
 
「・・・・・・・何なのかしら。」
 
エックスがいなくなった後もマーティの顔は赤いままだった。
 
「・・・・・・・・これって・・・・・・まさか初恋ってやつ?」
 
どんどん小さくなっていくエックスの後姿を見ながらマーティはさりげなく言う。
 
 
 
 
 
「もう一度会いたいな・・・・・・・・・」 

 

ブーメル・クワンガー

シティ・アーベル シンボルタワー
 
シティ・アーベルのシンボルとなるべく建造されたシンボルタワー。
 
しかし、現在は元17精鋭部隊所属の特A級ハンター ブーメル・クワンガーの手によって要塞と化していた。
 
エックスは、クワンガーを討つべく、タワー内部を進んでいた。
 
「くっ!警備が厳重だな!」
 
エックスは向かってくるメカニロイドをバスターで撃ち落としながらも梯から梯へと移っては登り続けていた。天井に配置されている砲台も容赦なく攻撃をし、エックスはタイミングを合わせようととにかく必死に登る。
 
「うわあぁ!?ここにもトラップが!?」
 
警備システムに引っかかり、危うくメカニロイドの攻撃を受けそうになりながらもエックスはどうにかダッシュで切り抜け、バスターで撃破する。
 
ひたすら落とし、壁蹴りをしながら登って行き、砲台を壊して登る。
 
 
 
それを繰り返しているといつの間にか頂上付近にまで到達していた。
 
エックスが制御室に入り込むと既にクワンガーが待ち構えていた。
 
クワンガーは、エックスが来たことに驚く様子もなく興味深そうな目で見ていた。
 
「ここまで登ってくるとは・・・・・・・・やはり、シグマ隊長が仰るようにあなたには可能性があるようですね、エックス。」
 
クワンガーは、好戦的な一面はあるもののナウマンダーほど喧嘩をするタイプではない。部隊内ではそれなりにまとめるし、同じ部隊に所属している弟のグラビティー・ビートブードの面倒見もいいという意外な一面もあった。エックスから見れば少し好戦的になった出木杉のようなものだった。
 
「シグマの言う通り?一体どういう事なんだクワンガー。」
 
「B級ハンターのあなたが戦いの中で悩み・・・・・すごいスピードで成長している。シグマ隊長はそれをあなたの可能性だと仰っておりました。」
 
「バカな!?戦う以外の道だってあるはずだ!!」
 
「戦う以外の道?イレギュラーハンターは戦うために作られたレプリロイドでは? 」
 
「そ、それは・・・・・・」
 
「イレギュラーの私を始末しに来たのならもはや会話など不要・・・・・・・さあ、あなたのスペックを存分に拝見させていただきましょう。」
 
クワンガーは、そう言うと瞬発的なスピードで一気にエックスへと迫る。
 
「はっ、速い!」
 
エックスは咄嗟にジャンプをしてショットガンアイスを放つがクワンガーはわけなく避ける。
 
「反射速度、判断力、目標への狙い・・・・元々備わっていた射撃能力がさらに向上しているようですね。」
 
「くっ!」
 
エックスは、通常のバスターに切り替えて連射する。
 
クワンガーは、スピードによる機動力を重視したレプリロイドであるため装甲は極めて薄い。通常のバスターでも一発でも当たればかなりのダメージになってしまう程である。しかし、その機動力は、並のレプリロイドは愚かシグマすら一時的に凌駕するほどのレベルとなる。
 
「それに避けてはいるものの私との間隔がだんだん短くなってきている・・・・・どうやら私の動きを捉えつつある様ですね。以前のあなたではできなかったというのに。」
 
クワンガーは、エックスのバスターがだんだん自分に命中する危険性が高まっていると判断した。
 
「こうなってはボディへの負担は覚悟のうえで本気を出した方がよさそうですね。」
 
クワンガーは頭部のカッターを外してエックスへと投げるとすかさず一気に接近して手刀を放つ。エックスも手刀を避けると近距離からのチャージショットをお見舞いする。クワンガーは訳なく避けて距離を取るが壁に大穴が空き、そこから外の景色が見えるようになった。
 
「あれ程の威力があるとは・・・・・・・当たっていれば危ないところでしたね。」
 
「やっぱりチャージしたバスターじゃ速度が遅いか・・・・」
 
エックスはダッシュしながらもクワンガーに後れを取らないように奮闘する。
 
(エックスにこれほどの機動力はなかったはず・・・・・・腕といい新しいパーツが付けられている・・・・・いや、それ以上に彼の成長が想像以上に早い。あの判断力が欠けているエックスのどこにこれほどの力が・・・・・・)
 
「エレクトリックスパーク!!」
 
「っ!!」
 
クワンガーは、床を走る電流に危うく当たるところだった。他のハンターならまだしも装甲が極めて薄い自分に当たれば致命傷になりかねない。しかし、これはエックスの作戦だった。
 
「ローリングシールド!!」
 
「何っ!?」
 
エックスのバスターから球状のエネルギー弾が発射され、クワンガーの足元へと向かっていく。クワンガーは避けるがエネルギー弾は壁に当たると跳ね返りクワンガーへと命中する。
 
「ぐっ!!」
 
クワンガーの顔の装甲が一部吹き飛び、そこから内部の機器が露出する。
 
「まだです!この程度のダメージで・・・・・」
 
「ホーミングトーピード!!」
 
エックスは攻撃を緩めず、ミサイルでクワンガーの脚部を破壊する。
 
「うぅっ!!」
 
身動きが取れなくなったクワンガーを前にエックスは、バスターをチャージしながら歩いてくる。
 
「まさか、私がこうもあっさり動きを封じられるとは・・・・・・・」
 
クワンガーは、悟ったかのように攻撃をやめた。
 
「クワンガー・・・・・・アルマージ、オクトパルドに続いて君を撃つことになるなんて・・・・・・」
 
エックスはクワンガーにバスターを向ける。チャージは既に完了していつでも撃てる状態だ。
 
「クワンガー・・・・・もう一度聞く。投降する意思は?」
 
「無論ありません。」
 
「・・・・・・・」
 
エックスは黙ってバスターをクワンガーに向けて放とうとする。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「っ!?」
 
しかし、その直後エックスは発射するのを中断した。原因は、空いた大穴から何か巨大なものが自分に向かって飛んできたからである。巨大なものはエックスの攻撃を中断させるとクワンガーの前に立つ。
 
「君はっ!?」
 
エックスは目の前に現れた者に驚きの顔をする。
 
青い体色に巨大な一本角、細身のクワンガーとは対照的にずんぐりむっくりの体型。エックスがのび太だった頃でも子供に人気がある昆虫 カブトムシがモチーフのレプリロイド。
 
「ビートブード。」
 
クワンガーは自分の目の前で庇うレプリロイドの名を言う。
 
彼こそが同じ17精鋭部隊に所属している弟のグラビティ・ビートブードである。
 
シグマの反乱直後、離反した兄の責任によって独房に監禁されていたのだが、看守たちの立ち聞きでエックスがオクトパルドに続いてクワンガーを討伐しに行くと聞いたため強引に脱走してここまで来たのである。
 
「ビートブード!どうして君まで!」
 
「・・・・・・・」
 
ビートブードはエックスの質問にしばらく黙る。
 
「・・・・・お、俺は・・・・・・・・兄貴を連れ戻しに来ただけだ。」
 
「えっ?」
 
ビートブートは、クワンガーの方を向く。
 
「・・・・・ビートブード。」
 
「兄貴・・・・・・一緒にハンターベースに帰ろう。このままだと兄貴はエックスに殺されちゃうよぉ・・・・・・」
 
ビートブードは震え声で言う。
 
「兄貴、頭がいいからもう知ってんだろ?エックスは、もう四人も俺たちと同じ特A級ハンターを倒したんだぜ?だから、殺されないうちに自首しよう。」
 
「・・・・・・・」
 
「俺ってさ・・・・・兄貴に比べて動きは鈍いし、頭だって優秀じゃない・・・・・・兄貴がいないと駄目なんだよぉ・・・・・・だから一緒に・・・・」
 
「そんな甘ったれたことを言いに態々脱走してまできたのですか?」
 
「・・・・・・・えっ?」
 
クワンガーから帰ってきた言葉は、予想とは違ったのかビートブードは目を丸くする。
 
「私がシグマ隊長に付いて行ったのは飽くまで自分の興味とエックスに秘められている可能性の解明。態々、貴方と一緒に命乞いをするためにやったのではないのですよ。」
 
「なっ、何を言っているんだよ!?現に今の状態まで追い込まれて危うくとどめを刺されかけたんじゃないか!!死ぬかもしれなかったのにどうしてそんなこと言うんだよぉ!?」
 
「実験に犠牲はつきものと言うではありませんか?言うのなら私も他のハンターたちもエックスという名のモルモットを実験するための実験材料、人間で言う投薬実験の試験薬のようなものなのです。」
 
「も、モルモットと薬って・・・・・・」
 
「とにかく邪魔です。これ以上罪が重くならないうちにさっさと牢屋にでも帰りなさい。」
 
「嫌だ!兄貴も一緒に行こうよぉ!」
 
「私は態々一緒に命乞いをしてまで生かしてもらおうとする弟を持った覚えはありません。」
 
「そんな・・・・・だっ、だったら俺がエックスを倒す!!そうすれば・・・・・」
 
「無理ですね。監禁される際に武装は外され、ここまで飛んでくるまでに受けたダメージの蓄積具合、その状態ではおそらくエックスは愚か、一般のB級ハンターとやっと互角に戦えるぐらいでしょう。」
 
「くっ・・・・・・」
 
兄に指摘されてビートブードは何も言えなくなる。
 
現在の彼には武装はない。さらにここに来るまでに残っていたハンターたちに攻撃も受けてかなりのダメージが蓄積されていた。今の状態のエックス相手に勝つことはおそらく無理だろう。
 
「私は、適切な判断をして行動しろと教えたはずです。それにもかかわらずこんなところまで来るとは・・・・・・」
 
「あ、兄貴・・・・・」
 
「エックス、この愚か者のことは気にしなくて結構です。早くとどめを刺しなさい。そうしなければタワーの防衛システムは解除されませんよ。」
 
「クワンガー・・・・・」
 
「嫌だぁ!」
 
「まだ言うのですか。いい加減に・・・・・・」
 
「なら俺が刺してやる。」
 
「「「!?」」」
 
聞き覚えのある声にエックスが振り向こうとした時、すぐ脇を何かの砲弾が通り過ぎていき大爆発が起きる。クワンガーに視線を戻すとクワンガーは燃えながらこと切れていた。
 
「クワンガー!!」
 
「兄貴!!」
 
エックスとビートブートは思わずクワンガーの亡骸に近づく。
 
「クックククク・・・・・・少しは強くなったようだが相変わらず甘いようだな、エックス。」
 
エックスはバスターを構えようとしたが砲弾が命中してしまう。
 
「うわあぁぁぁぁ!?」
 
エックスは大穴から外に放り出されてしまった。
 
「エックス!?」
 
ビートブードも思わず驚くが彼も砲弾が命中し、後方に飛ばされる。
 
「相変わらずブラコンか?ビートブード?」
 
「ヴァ、VAVA!!」
 
クワンガーにとどめを刺したのはVAVAだった。VAVAは、クワンガーの亡骸に近づくと彼の装甲を剥ぎ取ってある回路を取り出す。
 
「これだ。こいつが丁度必要だったんだ。」
 
VAVAは、回路を自分の体に組み込む。
 
「貴様!!兄貴の部品をぉ!!」
 
ビートブードは仇を取らんとVAVAに突っ込んでいく。しかし、VAVAは、何かを飛ばした。
 
「パラサイトソード。」
 
発射されたものは巨大な刃を形成し、ビートブードの体を切り裂く。
 
「うわあぁぁぁ!!」
 
激痛にビートブードは倒れる。VAVAは、笑いながらそのビートブードの顔を踏みつける。
 
「情けねえな、ビートブード?それでも兄貴と同じ特A級ハンターか?」
 
「うぅぅう・・・・」
 
「フン。」
 
VAVAは、ビートブードを蹴り飛ばすと元来た道を戻ろうとする。
 
「ま、待て・・・・・・」
 
「おいおい、まともな武器を装備せず素手で今の俺に勝てると思ってるのか?てめえの兄貴だったら見ただけでよっぽど呆れるだろうな。」
 
「う、うるさい!!あ、兄貴を殺しやがって・・・・・・・」
 
「俺はお前には興味がねえ。今回は見逃してやる。今度は、まともな装備をしてから来るんだな。」
 
VAVAは、そう言うと外の方を見る。
 
「エックス!どうせ、壁に掴まって聞いているんだろ?」
 
VAVAが言うとエックスが手を伸ばして中へと入ろうとする。
 
「VAVA・・・・・・貴様・・・・・・クワンガーを・・・・・」
 
「どのみち処分するんだろ?だったら都合がいいじゃねえか。俺が始末してやったんだからな。ここでお前を消してやりたいところだがそれじゃあ、面白くねえ。そのアーマーみたいな奴を全部付けてきたうえで相手をしてやる。」
 
「待て!!」
 
エックスが登ろうとした矢先、VAVAはエックスを飛び越えて穴から外へと出ていく。
 
「あばよ!次会う時を楽しみにしているぜ!!ハッハハハハハハハハハ!!!」
 
VAVAは、笑いながら地上へと落下していった。エックスが中に入るとビートブードは無残にバラバラにされたクワンガーの亡骸を抱いて泣いていた。
 
「うわあぁぁぁぁ!!!兄貴ぃいい!!」
 
泣いているビートブードを見てエックスは思わず口を噛み締めた。
 
「VAVA・・・・・・・お前だけは・・・・・・お前だけは絶対に許さないぞ!!」
 
エックスは救護班と連絡をとり、ビートブードを引き渡した後、次のエリアへと向かって行った。 

 

スティング・カメリーオ

森林エリア
 
シティ・アーベルからかなり離れたところにある森林基地。
 
このエリアは、第9特殊部隊通称「レンジャー部隊」所属スティング・カメリーオによって占拠されていた。カメリーオは、レンジャー部隊きっての実力者であったが野心家で毒舌、狡猾な性格のため、人望が薄い嫌われ者で隊長になるぐらいの実力はあったものの一歩のところで及ばないというレプリロイドである。
 
そのカメリーオが占拠したエリアだけのことがあって森林には多数のメカニロイド、トラップが設置されていた。
 
「「「メト~!!」」」
 
「ごめんね。」
 
エックスは同情しながらも行く先で待ち構えているメットールをバスターで倒していく。途中の泥沼におぼれかけながらもエックスは着実にカメリーオのいる最深部へと進んで行った。
 
「泥だらけだな・・・・・・こんな格好で家に帰ったらきっとママに怒られるぞ・・・・まあ、今になっては懐かしいことだけど。」
 
エックスはジャンプをして崖の上によじ登る。
 
「ん?」
 
そのまま素通りして行こうと思ったその時、エックスはすぐ脇の林に何かがあると感じた。草をかき分けて探してみるとここにも例のカプセルがあった。
 
「こんな茂みの中に隠れているなんて・・・・・・・よく見つからないもんなんだな・・・・」
 
エックスはそう言いながらもカプセルの前に立つと例の如くカプセルが開き老人の姿が映し出される。
 
『このカプセルに遺したのはボディパーツじゃ。カプセルに入り、このパーツを装着すればお前の防御力は飛躍的に向上し、体に受けるダメージを半減にすることができる。戦いが始まってしまったことは哀しいことじゃが・・・・お前ならそれを終わらせることができるはずじゃ・・・・エックス。』
 
「博士・・・・」
 
エックスはカプセルの中に入る。するとエックスのボディに純白のアーマーが装着される。
 
「これで一通りできたのかな?でも、博士が言うには確かパーツは四つって言っていたからあと一つは・・・・・・頭に付けるのかな?もう付いているけど。」
 
エックスはそんなことを気にしながら足を進めていく。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
道中の洞穴で岩に擬態したレプリロイドや他のエリアにいた量産型のレプリロイドに襲われるもののエックスは的確に急所を狙って仕留めて進んで行く。
 
「あっ、ライドアーマーだ。」
 
エックスは沼地に入り込もうとしたとき、途中で放棄されたと思われるライドアーマーを発見する。
 
「随分ボロボロだな・・・・・」
 
とりあえず機器を確認する。結構老朽化が進んではいるものの沼地を越えるには問題はなさそうだ。
 
エックスは早速ライドアーマーに乗り込んで沼地へと足を踏み入れた。沼地に嵌ることはないものの極地用にカスタマイズしたメカニロイドや他のライドアーマーたちは次々とエックスに襲い掛かってくる。
 
「弱ったな・・・・・こっちのライドアーマーはボロボロなのに・・・・そんなに攻撃されたら壊れちゃうよ・・・・」
 
既にライドアーマーのあちこちから煙が噴き出していた。エックスは一刻も早く沼地から脱出しようと急ぐ。しかし、焦ったあまりに敵のライドアーマーの攻撃をまともに受けてしまった。
 
「しまった!?」
 
ライドアーマーの動きが止まり所々からバチバチと音がし始める。そして次の瞬間エックスは黒ひげの玩具の如くライドアーマーの爆発に巻き込まれて飛ばされて行ってしまった。
 
「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 
エックスは、森林の奥地へと飛ばされる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ににに・・・・・」
 
一方、エリアの最深部ではカメリーオが何やら計算をしていた。
 
「ににに・・・あの甘ちゃんハンターを倒せば俺の株は上々に上がるな。シグマ様も丁度いいときに反乱なんて起こしてくれたもんだぜ。まあ、元々弱っちい人間を守るなんて下らねえことだって思ってたしな。それにしてもエックスの奴遅いな・・・・予定ならもう来てもおかしくないが・・・・・途中で沼地に沈んだか?面倒だな、引き上げるのは・・・・・・・ん?」
 
その時遠くから悲鳴のようなものが聞こえた気がした。
 
「気のせいか?まあ、どうせ鳥の鳴く声が・・・・・・」
 
 
「うわあぁぁぁぁぁ・・・・・」
 
「ん!?」
 
「ぶつかるうぅう!!!!」
 
「えっ?」
 
カメリーオが後ろを振り向くと閉じていた扉が壊れ、そこからエックスが勢いよく自分に向かって飛んできた。
 
「え、エックスっ!?」
 
「なんかよくわからないけど好都合だ!喰らえ!カメリーオ!!」
 
エックスはカメリーオに向かってバスターを構える。
 
「なんで!?なんで飛んできたっ!?普通、歩いて入ってくるよな!?いくらなんでもそれは変だろ!?」
 
思わぬ突入の仕方にカメリーオは動揺する。
 
「スパイラルチャージショット!!!」
 
「いくらなんでもゼロ距離射撃は反則だ!!!」
 
避ければよかったものをカメリーオはゼロ距離からのチャージショットをまともに受けてしまう。
 
「ぶ、ぶ、ぶへっ・・・・・・」
 
顔が真っ黒こげになり、ボロボロに崩れてしまいカメリーオは頭部を失う。
 
「なんかどうなるかと思ったけど運よく倒せたな・・・・・・なんかカメリーオには悪いけど。」
 
「悪いならてめえがくたばれエックス!!」
 
「!?」
 
突然カメリーオの体が動き、エックスに襲い掛かる。エックスは思わず距離を取る。
 
「ど、どういう事なんだ!?頭部を失ったはずのカメリーオがまだ動いている!?」
 
「にににに!こんなこともあろうかとメモリーチップは頭部とボディに分けて取り付けてるのさ!よくも俺に不意打ちをしかけやがったな!今度はこっちの番だ!カメレオンスティング!!」
 
カメリーオの尾から矢状のエネルギー弾が発射される。エックスはすぐにバスターを構えるが
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
どういうわけか飛ばされたのはエックスの方ではなく後ろの壁の方だった。
 
「?」
 
「どうだ!?くたばったか?」
 
カメリーオはキョロキョロしながら確認する。どういうことなのかエックスは動揺するが近づいてカメリーオの足を引っかけて転ばせてみる。
 
「ににっ!?くそまだ生きてやがったか!!くそ、どこだ!?どこにいやがる!?」
 
「・・・・・・カメリーオ、まさかだとは思うけど・・・・・・・見えていないのか?」
 
「・・・・・・・・」
 
エックスの質問にカメリーオは硬直した。
 
「・・・・・・そうなんだ。」
 
「うるせえ!給料安いうえに賭けでボロ負けしたからスペア安物しか買えなかったんだよ!!」
 
カメリーオは悔しそうに言う。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その後、カメリーオはエックスに拘束されて捕まったそうな。 

 

ストーム・イーグリード

デスログマー
 
カメリーオを捕えたエックスは、反乱軍最後の特A級ハンターであるストーム・イーグリードの旗艦「デスログマー」に乗り込んでいた。
 
「ちょこまかと!」
 
エックスは、応戦して来るメカニロイドたちを撃ち落とす。
 
「おっと!?」
 
危うく足を踏み外して落ちそうになる。足を踏み外せば上空から地上へとまっしぐら・・・・・確実にお陀仏・・・・・・・彼にとっては二度目の死になってしまう。
 
「ふう・・・・危なかった・・・・」
 
エックスは、足場に上がってデスログマーの上部を進んで行く。
 
「イーグリード・・・・・あなたほどのハンターまでシグマにつくなんて・・・・・・俺はいまだに信じられない。」
 
 
 
ストーム・イーグリード
 
第7空挺部隊の隊長で人望と正義感の強い鷲型のレプリロイドで彼の部隊に所属している部下は愚か別部隊にいるエックスなど他のハンターたちからも強い信頼を得ていた。中でもゼロとは何度も任務で組んでいた時期もあったため親しい仲でもある。現在は別れたらしいが司令部のオペレーターの恋人がいるとかいないとか。
 
しかし、そんな彼も反乱開始時、シグマとの直接対決に敗れ彼の傘下へと下ってしまった。
 
このデスログマーも反乱軍の空中要塞として制空権を掌握している。
 
 
「ペンギーゴ、ナウマンダー、オクトパルド、クワンガーに続いて彼も処分しなくてはならないのか?あの彼を・・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『このカプセルにはヘッドパーツを遺してある。このパーツを装備すればお前の頭部ユニットを攻撃から守り、頭突きによって一部の強固な壁を壊すことができるはずじゃ。』
 
メカニロイドの大群を蹴散らした後、エックスはデスログマー内部で例のカプセルを発見し、最後のパーツを受け取る。これで全身白をベースとしたアーマーが完成した。
 
『頼んだぞエックス・・・・わしの・・・・・人類の希望よ・・・・』
 
老人の姿が消えるとカプセルは閉じる。
 
「・・・・・博士。俺はあなたが考えているような存在じゃありません。昼寝はするし、撃つのを躊躇ったり、優秀なわけじゃない、欠点ばかりです。でも、ドラえもんやみんなと遊んだり、怒られたり、みんなと冒険したり・・・・・・そんなことを経験してきたから目の前で起こっているこの争いを止めたいと思うんです。だから、この力を俺はそのために使います。一刻も早くこの戦いを終わらせるために!」
 
エックスはそう言うとデスログマーの奥へと駆けて行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
デスログマー 甲板
 
「・・・・・・・・」
 
エックスの侵入により、デスログマー各所が爆発し始めている中、一体のレプリロイドが甲板の上で腕を組んでいた。その眼には、強い何かを感じられると同時に何かを悟っているかのような感じがあった。
 
「・・・・・・・来たか。」
 
後方を向くと全身アーマーを装着したエックスがいる。エックスはバスターを構えながらもそのレプリロイドに近づいて行く。
 
「見ないうちに随分と変わったな、エックス。」
 
鷲型レプリロイド ストーム・イーグリードは対峙しながらもエックスの目を見ていた。
 
ハンターベースなどで見せていた以前と変わらない正義感の強い彼がそこに立っていた。
 
 
「イーグリード、どうして・・・・・どうして貴方ほどの者までがイレギュラーに!?」
 
「・・・・・」
 
「答えてくれ!」
 
「・・・・・・イレギュラーに堕ちたことは否定せまい。」
 
「今からでも遅くはない、投降して罪を償ってくれ!そうすれば・・・・・」
 
「・・・・・エックス、俺とてイレギュラーに堕ちたと言えどその手に乗るつもりはない。」
 
「!?」
 
イーグリードの言葉にエックスは思わず疑問を感じる。
 
「風からの噂ではマンドリラーは一時的な機能停止、カメリーオは口を割らない、それ故にシグマに関する情報が思うように得られない。だから、俺から情報を吐かせようと考えても無駄だぞ。」
 
「なっ、何を言っているんだ!?俺はそんなつもりで言ったんじゃ・・・・・・」
 
「お前がそう思っていないとしてもハンター上層部のことだ。おそらく強引にでも吐かせるだろう。」
 
「・・・・・・・」
 
「そういうわけだ。お前は俺を殺す気でやらなかったとしてもこちらは本気でやらせてもらう。」
 
「・・・・・ゼロ、ごめん。どうやら彼を止めるのはもはや無理なようだ。」
 
エックスもイーグリードの硬い意志を認めたのかバスターを改めて彼に向ける。
 
「なら、俺はあなたを処分する!イレギュラーハンターとして!!」
 
「いいだろう!なら全力でかかってくるがいい!イレギュラハンター エックス!!」
 
イーグリードは、翼を広げて空へと飛翔する。エックスは、チャージショットを一回発射すると通常のショットでイーグリードの翼を狙う。
 
「空からの攻撃は不利と読んで最初に相手の長所を潰す・・・・・・流石に判断が早いな!だが、その程度の弾速では俺に当たることはない!!」
 
イーグリードはエックスのバスターの弾を難なく避けると自分のバスターを構える。
 
「ストームトルネード!!」
 
イーグリードのバスターから突風が発生してエックスを吹き飛ばす。
 
「くっ!!」
 
エックスはダッシュをして踏ん張ろうとするがイーグリードはすかさず口から何やら卵のようなものを発射する。卵は甲板に堕ちると割れて小型の鳥メカニロイドがエックスへと攻撃を始める。
 
「ホーミングトーピード!!」
 
エックスはミサイルでメカニロイドを撃破するとジャンプをしてイーグリードに照準を向ける。
 
「カメレオンスティング!!」
 
バスターから放たれたエネルギー弾は三方向に別れ、イーグリードの翼を射抜く。
 
「くっ!?」
 
翼にダメージを受けたイーグリードは思わずバランスを崩す。
 
「他のハンターたちから学習した能力をここまで使いこなすとは・・・・・・だがまだだ!!」
 
イーグリードは下降する勢いを利用してエックスにダイビングアタックをかます。
 
「うわあぁ!?」
 
エックスは勢いよく飛ばされ、甲板の上から落ちそうになる。
 
「この勝負、俺の勝ちだ!うおぉぉぉぉぉ!!!」
 
イーグリードはそのままエックスを振り落とすべくダイビングアタックを行おうとする。
 
「くう・・・・・ブーメランカッター!!」
 
「何!?」
 
エックスのバスターから放たれたカッターはダイビングを開始したイーグリードの左翼を奪う。片翼を失ったイーグリードはそのままエックスの真上を通過し、空の真下へと落ちる。

「うおぉぉおおおっ!?」
 
「イーグリード!!」
 
エックスは、左腕でイーグリードの右手を掴む。落下はどうにか阻止できたものの右腕だけで二人を支えるのは限度があった。
 
「くっ・・・・・・・・」
 
「は、離せエックス!俺を離さなければお前ごと落ちてしまうぞ!」
 
イーグリードは自分を離すように催促するがエックスは離そうとしない。エックスの右腕は二人の重さもあって徐々に離れようとしている。
 
「何を言っているんだ!?あなたを見捨てるなんて俺にはできない!!」
 
「早くしろ!お前には俺を助けるよりも大事なことがあるはずだ!!シグマをいつまでも野放しにしててもいいのか!?」
 
「だったらどうして最初からシグマにつかなかったんだ!?あなたが他のハンターと同じなら最初からデスログマーでシティに空爆を仕掛けることもできたはずだ!?」
 
「・・・・・・・エックス・・・・・」
 
「くうぅ・・・・・・・」
 
もう限界だった。
 
(ドラえもん・・・・・・俺はまた死ぬようだ。今度生まれ変わったらまた君と出会えることを願っているよ・・・・。すみませんでしたライト博士・・・・・・あなたの期待に応えられませんでした・・・・・・・)
 
エックスの右手がとうとう力を失って離れる。
 
「「うわあぁぁぁぁぁぁ!!!」」
 
二人は上空から真っ先に地上へと落下していく・・・・・・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
と思われた矢先、第三者の手がエックスの右腕を掴んだ。
 
「はっ!?こ、この手は!?」
 
エックスは上を見上げる。
 
「全く、俺を差し置いてイーグリードのところに一人で乗り込むなんて少しひどいんじゃないのか?エックス。」
 
「ゼロ!!」
 
ゼロはエックスを引き上げながらイーグリードも共に引き上げる。
 
「ゼロ・・・・・」
 
「久しぶりだなイーグリード。」
 
「・・・・・・」
 
イーグリードは状況を見ながらこれから先のことを考える。
 
エックスとゼロの二人を相手に今の自分ではおそらく勝ち目はないだろう。かと言ってこのまま投降したところで情報を吐かされた後の処分も免れないだろう。
 
(・・・・・・残されたのは自決のみか。)
 
イーグリードは右腕のバスターを自分の頭部に押し付けようとする。
 
「おっと、せっかくの戦友同士での再会で自決なんてらしくもないぜ。」
 
ゼロはイーグリードの両腕に手錠をかける。
 
「何のつもりだ?俺を拘束したところで・・・・・」
 
「情報を売るほど堕ちたつもりはない・・・・・だろ?心配するな、お前に聞かなくともシグマの本拠地は分かった。」
 
「何だと?」
 
「ゼロ、一体どういう事なんだ?」
 
「カメリーオの奴・・・・・とうとう白状しやがった。それにおれも入手した情報と位置はまったく一致している。だから、イーグリードを捕まえたところで拷問してまで情報を吐かせる必要はないってわけだ。」
 
「・・・・・・・」
 
「イーグリード、お前は元々シグマが最初に反乱を起こした段階で反抗していたのは誰でも知っている。だから潔く罪を償え。」
 
ゼロはイーグリードの顔を見ながら言う。
 
「・・・・・・」
 
「・・・・・・後で迎えの連中が来る。それまでここで大人しくしてろ。それとティルにぶたれる覚悟しておけ。アイツ、相当ショック受けているぞ。」 
 
「うっ。」

「エックス、俺たちはシグマの拠点に乗り込む準備だ。」

「あぁ。ハンターベースに戻って準備が整い次第向かおう。」
 
エックスとゼロは、ハンターベースへと転送される。
 
「・・・・・・・罪を償え・・・・か。フッ、奴に言われたんじゃ何も言い返せんな。」
 
イーグリードは自分を笑いながら思わず言う。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『クッククク・・・・・・どうやらここがわかったようだな。いつでも来るがいい、エックス。見させてもらうぞ、お前の無限の可能性を。フッフフフフ・・・・・・ファ――――――――――ッハハハハハハハッ!!!!』 

 

ちょっとどら焼きを

ハンターベース メディカルルーム
 
「よし、2人とも整備はばっちりじゃ。これでいつでも出撃できるぞい。」
 
ケインは作業台で寝かされているエックスとゼロに声を掛ける。
 
「ありがとうございます、ケイン博士。」
 
「しっかし、少し整備にかかり過ぎじゃないのか?」
 
「何を言っとる。お前たちはただでさえ複雑で手入れするだけでも大変なんじゃ!これでもミスがないようにやったんじゃぞ。」
 
ゼロからの不服にケインはしかめっ面で言う。
 
「まあ、それはともかく・・・・・エックス、ゼロ。いよいよシグマと戦う時が来た。お前たちの強さは儂もよぉおく知っておるが相手はあのシグマ、今までのハンターたちとは大違いじゃ。心して行くんじゃぞ!」
 
ケインは、真剣な目で二人を見る。流石にいつも爺呼ばわりしているゼロも少し驚いている様子だった。
 
「しかし、ケイン博士。本当にいいんですか?シグマは・・・・・・」
 
「確かにシグマは儂にとっては一番思い入れのあるレプリロイド・・・・・・じゃが、儂一人の感情で世界を危険に晒させるようなことはしたくない。せめて・・・・・シグマがこれ以上罪を重ねぬうちに一思いにやってほしいのじゃ。」
 
ケインは感慨深そうな顔をしてエックスに言う。
 
「・・・・・わかりました。博士がそう仰るのなら・・・・・」
 
「・・・・ところでエックス、ゼロ。」
 
ケインは後ろを向きながら何やら持ってくる。
 
「決戦に行く無事を祈って少し菓子でも食って行かんか?」
 
「「はっ!?」」
 
ケインのニヤリとした顔と言葉にエックスとゼロは思わず叫ぶ。
 
「・・・・・・・・おい、爺。せっかく引き締まっていたのに今の一言で全部台無しになったぞ。」
 
「何を言っとるんじゃい!それとこれとは別じゃ!緊張している時こそ甘いものを取ってリラックスするのが一番。ずいぶん懐かしいものが手に入ったのでのう。」
 
「確かに俺たちレプリロイドには食物からエネルギーに変換する機能はありますけど・・・・・・何もこんな時に限って・・・・・・・・」
 
「ん?エックス?どうした?」
 
途中で言葉を止めたエックスを見てゼロはケインの持ってきたものを見る。
 
それは、昔で言う和菓子でこんがり茶色のホットケーキのようなものをハンバーガーのように二枚重ね、その間に何やら黒い粒つぶしたものが付けられている。
 
「どうじゃ?珍しいじゃろう?ほんの少しまでシティ・アーベルでも何件か売っとったんじゃがミサイル攻撃でやられてしまってのう・・・・・無事だった店から買ったんじゃ。」
 
ケインはニヤニヤしながら言うがゼロは呆れていた。
 
「こんな事態に態々買いに行くなんて・・・・・・爺死ぬ気か?」
 
「コイツのためなら命いくつやっても惜しまんわい!」
 
「どら・・・焼き・・・・・」
 
エックスの口から出た言葉にケインとゼロは思わず喧嘩をやめる。
 
「エックス、お前このケーキの出来損ないみたいな奴を知っているのか?」
 
「・・・・・えっ!?俺そんなこと言ったかな!?たまたまだと思うけど・・・・・・」
 
「ほうほう、エックスがどら焼きを知っていたとは意外じゃわい!」
 
「い、いや・・・・そんなわけじゃ・・・・・」
 
エックスは何とか誤魔化そうとした。
 
 
思えば最後にどら焼きを見たのはいつの頃だろうか?
 
自分の時代には街に行けばいろんな店に売っていたし、親友のネコ型ロボットの大好物という事もあってよく買っては食べていたものだった。
 
レプリロイドとして生まれ変わってからはどら焼きを見ることはもう二度とないと思っていた。
 
度重なる自然破壊による環境の悪化や食文化の変化もあってかつて知っている和食・洋食があまり見られなかったこともあったせいかもしれない。
 
まさかどら焼きをまた目にすることができるなんて夢にも思わなかった。エックスは慣れた手つきでどら焼きを受け取る。
 
「この黒い奴はなんだ?」
 
「それはどら焼きの重要な要の一つである『アンコ』じゃ。小豆という豆を砂糖などと一緒に煮詰めて作るんじゃぞい。」
 
「豆なのか・・・・・俺が知っているやつでも缶詰で見るケチャップと一緒に煮込んだような奴しか知らないな。」
 
「まあまあ、食べて見ればわかるもんじゃ!どれ、二人の健闘を祈っていただくぞい!」
 
ケインは満面の笑みを浮かべながらどら焼きを口に入れる。
 
エックスとゼロも同じようにしてどら焼きを口に運んだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
どら焼きが口の中に入った瞬間、エックスの脳裏には懐かしい光景が次々と浮かんでは消えていった。
 
 
『ごめん、ドラえもん君の分まで食べちゃった(笑)』
 
『えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!』
 
『「どら焼きはのび太の腹の中にある!」(秘密道具の音声)」』
 
『僕の買ってきたどら焼きまで!!!(ドラヤ菌発生時)』
 
『懸賞を当てるためにどら焼きを買う分のお金までつぎ込んだのに!!(とある懸賞品を間違えて知り合いにやってしまったとき)』
 
『儲けた暁には世界中のどら焼きを・・・・・(とあるエネルギーで話に乗って儲けようとしたとき)』
 
『はあぁ・・・・・・どら焼きが食べたい・・・・・(とある冒険の時)』
 
『のびえもんだよ(おやつがどら焼き一つ)』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・・・・・・・・・・」
 
「お、おい、エックス。お前どうしたんだ?いつの間にか泣いているぞ?」
 
ゼロに声を掛けられて気が付いた時、エックスはいつの間にか自分が泣いていたことに気が付く。
 
「あっ・・・・・・あ、あまりにもおいしかったから!!つい!」
 
「そんなものか?まあ、確かに悪くはないと思うが・・・・・」
 
「ホッホホッホホ!エックスもどら焼きにやられたようじゃのう!」
 
ケインは笑いながらエックスの肩を叩く。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
シグマパレス
 
「この島がシグマの・・・・・・」
 
エックスとゼロは敵の勢力を分散させるべく、二手に別れてシグマのアジトがある島に乗り込んでいた。
 
「既にゼロが別ポイントから侵入しているはずだ・・・・・」
 
エックスは目の前のゲートをそっと覗くと警備が予想通り厳重だった。
 
「・・・・・・・いよいよ、シグマと戦うことになるのか。」
 
エックスは自分の手を見る。
 
既に八人の特A級ハンターは倒れ、自分はここにいる。シグマを倒せば平和が戻り、負ければシグマの思うがままになってしまう。
 
今更後戻りはできない。
 
「・・・・・・・ドラえもん。俺のことを見守っててくれ。」
 
右腕をバスターに変形させ、エックスは入口へと走り出す。
 
「イレギュラーハンター エックスだ!!」
 
見張りがすぐに警報を発する。
 
『緊急事態発生!イレギュラーハンター エックスが現れた!直ちに全部隊応戦せよ!!』
 
メカニロイド、レプリロイドの編隊がエックスに迫ってくる。エックスはバスターを放ちながらアジトの中へと突入する。
 
「行くぞシグマ!!お前の野望も罪もここで終わらせてやる!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『・・・・・・やっと乗り込んできたようだなエックス。』
 
シグマパレスの奥深くでVAVAは、専用のライドアーマーの上に腰を掛けながらエックスの侵入を察する。
 
『・・・・・早く来い、エックス。そして、俺と戦え。それですべてが決まる・・・・・・どちらが真に優れたレプリロイドなのかがな・・・・・クッククククク・・・・・』 

 

VAVA 第二戦

シグマパレス
 
「イレギュラーハンター ゼロだ!!」
 
「いつの間にここまで!?」
 
「ライドアーマー隊は何をしている!?」
 
「表の方からも敵が・・・・うわあぁぁぁ!!」
 
シグマパレス内のレプリロイドたちは、表側からエックス、裏側からのゼロの攻撃により混乱状態に陥っていた。
 
「エックスの奴、どうやらうまくいっているようだな。」
 
ゼロはバスターで敵を撃ち落としながら城の中へと進んで行く。圧倒的なゼロの実力を目の前にしてレプリロイドたちは思わず後ずさる。
 
「くうっ!」
 
「死にたくなかったら道を開けろ。そうすれば命だけは・・・・・」
 
「ぎゃあぁ!!」
 
「なっ!?」
 
投降を呼びかけようとした矢先、目の前にいたレプリロイドは何かに胸を撃ち抜かれ倒れた。ゼロはそのレプリロイドの背後を見る。
 
「投降を呼びかけるとは・・・・・ずいぶん甘くなったなゼロ?」
 
「VAVA!貴様!!」
 
「イレギュラーを狩るのがお前たちの仕事じゃなかったのか?こいつは既にシグマについていた。」
 
「お前がそれを言うか!?何の見境もなく破壊するお前が!!」
 
「クッククク・・・・・・」
 
VAVAは、笑いながらゼロの前から走り去る。
 
「待て!!」
 
ゼロは、バスターをチャージしながらVAVAの後を追う。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「エレクトリックスパーク!!」
 
「ぐわぁぁあ!!」
 
エックスは目の前に現れるメカニロイドを破壊すると砲台を破壊しながら城の奥へと進んでいた。
 
「だいぶ数が減ったな・・・・・・・ゼロがうまく誘導してくれたのかな・・・・」
 
エックスはそんなことを考えながらも進んで行く。だが、同時に違和感を感じるようになっていく。
 
(・・・・・・それにしても・・・・・VAVAの姿が見えない。クワンガーの時といい既に姿を現してもおかしくないはずなのに・・・・・・)
 
エックスは少し不安になりゼロに連絡を取ろうとする。
 
「こちらエックス。ゼロ、そちらの状況は?」
 
『・・・・・・・・』
 
「ゼロ?」
 
返事がない。
 
エックスの不安はさらに増大する。
 
クワンガー戦以降姿を暗ましたVAVA。
 
連絡が途絶えたゼロ。
 
更にその背後で待ち構えているシグマ。
 
エックスは少しでも不安を紛らわせようと先を急ぐ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
最深部辺りの扉が開くとそこには一つのカプセルがあった。謎の老人のとは形状は違うものの中に入っている人物は明らかだった。
 
「ゼロ!!」
 
エックスは急いでカプセルに向かう。しかし、ゼロは慌てて制する。
 
「来るなエックス!!罠だ!!」
 
「なっ!?」
 
ゼロの言葉に反応してエックスは一気に後方へと下がる。その瞬間、エックスがいたところに何やら巨大な何かが落下してきた。
 
「ちっ、仕留め損ねたか。」
 
ライドアーマーに乗り込んだVAVAだ。
 
「VAVA!」
 
「エックス、すまん。俺としたことがVAVAの挑発に乗せられてしまった。」
 
「余計なことは言うなゼロ。」
 
VAVAは、コックピットからコントローラーを取り出すとスイッチを押す。その瞬間カプセルに電流が走りゼロを痛めつける。
 
「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 
「ゼロ!!」
 
「おっと、お前の相手はこの俺だぜ?エックス。」
 
苦しんでいるゼロを目にしてエックスは助けようとするもののVAVAのライドアーマーによって阻まれる。
 
「VAVA、ゼロを離せ!!」
 
「そうして欲しいか?だったら俺を倒すしかねえな!!」
 
VAVAはライドアーマーの拳をエックスに向けて放つ。
 
「くっ!スパイラルチャージショット!!」
 
エックスは避けながらチャージを行い、VAVAのコックピットに向かって発射するがライドアーマーの手が受け止めて防ぐ。
 
「無駄だ。このライドアーマーにはお前たちのバスターがほぼビームだという事を考えて耐ビームコーティングを施しておいた。よって、お前の通常バスターは無意味だ!」
 
「くっ!だったら他のはどうだ!ストームトルネード!!」
 
エックスはVAVAに向けてストームトルネードを放つ。しかし、VAVAは、一瞬押されたかと思わせ一気にライドアーマーのバーニアを吹かしてエックスに体当たりをした。
 
「ぐわあぁ!!」
 
「ふん、前にも言ったはずだ。俺のライドアーマーをそこらの量産型と一緒にするなって。」
 
壁に打ち付けられて倒れたエックスの右腕に向かってVAVAは、ライドアーマーの足で踏みつける。
 
「うわああぁぁぁぁ!!」
 
「そして、お前たちの兵装はほとんど右腕に集中している。つまり、そこを潰せばお前たちの戦闘能力は失われる。」
 
VAVAは、ライドアーマーのパワーを上げてさらにエックスの右腕を攻撃する。
 
「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 
エックスの右腕に激痛が走り装甲が歪んでいく。
 
「エックス・・・・・・・」
 
カプセルの中でゼロはどうにかしなくてはと試行錯誤していた。
 
カプセルから出てもおそらくダメージが増えてとても助けになるとは思えない。
 
しかし、このままではエックスが殺されていくのを見ているようなものだ。
 
「どうした?早くしないと右腕がなくなるぞ?オラ!」
 
「があぁぁぁあああ!!」
 
「・・・・・・・!!」
 
ゼロはVAVAのライドアーマーの背後を見てふと気が付いた。
 
確かにVAVAのライドアーマーは耐ビームコーティングをしている上に機動性が高いこともあって通常のバスターでは破壊できない。しかし、コーティングができないバーニア部に最大出力で攻撃できれば・・・・・・・・・当然自分の犠牲になる覚悟の上ではあるが。
 
(ここでエックスを失うわけにはいかない・・・・・・・あいつはシグマを倒すことができる可能性を持つこの世界の希望だ・・・・・・・ここで死なせはしない!!)
 
ゼロは自己犠牲覚悟の上で強引にカプセルを破り、VAVAの背後にとりついた。
 
「お前の相手はエックスではない!!この俺だぁ!!」
 
「何ぃ!?ゼロ、この死にぞこないがぁ!!」
 
VAVAはゼロを振りほどこうとエックスから離れて行く。ゼロは何とか起き上がろうとするエックスを見ながら叫ぶ。
 
「エックス!俺がしてやれるのはここまでだ!!」
 
「ゼロ?一体・・・・・」
 
エックスが立ち上がった次の瞬間、ゼロのバスターがVAVAのライドアーマーに放たれる。バーニアからの引火によって機器が誘爆し、ライドアーマーはすさまじい威力で大爆発する。その威力に呑まれてゼロの体も吹き飛ばされた。
 
「ゼロ・・・・・・ゼロォオ!!!!」
 
エックスは体の半分を吹き飛ばされたゼロの元へかけようとするが思わず足を止める。
 
「・・・・・・・・・・ゼロめ、余計なことをしてくれる・・・・・。」
 
爆発した煙の中からVAVAがほぼ無傷の状態で現れる。
 
「VAVA!!あの爆発の中でまだ・・・・・・・」
 
「全く、ゼロといい、ナウマンダーといい、でしゃばらなければ長生きできたものを・・・・・・・大人しく死んだクワンガーの方がよっぽど利口だ。」
 
「ナウマンダー?・・・・!じゃ、じゃあナウマンダーを倒したのも・・・・・・・」
 
「ん?あぁ、俺が始末した。元から図体ばかりデカい能無しだったからな。無駄な抵抗ばかりして呆れたもんだぜ。」
 
「貴様・・・・・そうやって仲間であるはずのレプリロイドを殺して何とも思わないのか!!」
 
「仲間?ふん、俺にそんなものはない!今も昔も!これからもな!!」
 
「許さないぞVAVA!!」
 
エックスは、ダメージが大きい右腕を強制的にバスターに変形させる。
 
「そんなバスターで何ができる?その様じゃ精々数発がやっとだ。お前もゼロと一緒にあの世に送ってやる!!」
 
VAVAは、腕のバルカンとキャノン砲を同時に発射してエックスを攻撃する。
 
「ホーミングトーピード!!」
 
エックスは腕の痛みに構わず追尾式のミサイルを放つ。
 
「無駄なあがきはよせ!!」
 
VAVAは飛んでくるミサイルを迎撃してエックスに照準を向けようとする。だが、いつの間にかエックスはすぐ目の前にまで来ていた。
 
「何!?」
 
「うおぉぉぉぉ!!!」
 
エックスは左腕で思いっきりVAVAを殴る。
 
「くっ!このくらいで・・・・」
 
「まだだぁ!!」
 
次は変形したままの右腕でVAVAの顔を殴りつける。同時にショットを放ち、VAVAの頭部の一部を吹き飛ばす。同時にエックスの右腕から煙が出る。
 
「今のはクワンガーの分だぁ!!そして、これはその弟のビートブードの分!!」
 
エックスは倒れたVAVAに跨り、殴り続ける。
 
「これはナウマンダー!!これは貴様に殺された他のレプリロイドたちの分!!」
 
「ぐぅ・・・・・・・」
 
顔面が変形して視覚を失ってもVAVAは抵抗しようとする。
 
「これはゼロの分!!これは俺の分だぁ!!」
 
「があぁ・・・・・・・」
 
「うおぉぉぉぉぉお!!!!」
 
VAVAに抵抗する力は残っていなかった。いや、正確には頭部が完全に破壊されたため動かなくなった。それでもエックスはVAVAの顔を殴るのをやめない。
 
思えばここまで彼がやったのはあの夜以降ではなかろうか?
 
かけがえのない親友であるドラえもんに安心して未来に帰ってもらうために普段はやられてばかりで抵抗できなかったジャイアン相手に何度も立ち上がったあの夜のように。
 
 
 
 
「はあ・・・・はあ・・・・・」
 
はっと正気に戻り、エックスは動かなくなったVAVAを見る。
 
「うっ!!」
 
今まで怒りのあまりに忘れていた右腕の痛みを思い出し思わず抑えるがすぐに吹き飛ばされたゼロの方へと向かう。見る限り下半身と左腕は完全に吹き飛んでしまっている。
 
「ゼロ!しっかりしてくれ、ゼロ!!」
 
エックスはゼロを抱き上げると必死にゆすって声を掛ける。すると僅かながらゼロの目が開いた。
 
「エックス・・・・・・・・いつも・・・・お前に油断するなと言っておきながら・・・・・この様だ・・・・・」
 
「もう、これ以上しゃべらないで!!すぐにハンターベースに戻って治療を・・・・・・・・」
 
エックスは立ち上がろうとするがゼロはエックスの右腕を握り首を横に振る。
 
「ダメだ・・・・・・こうしている間にも・・・・・・・シグマは計画を確実に進めている・・・・・」
 
「でもこのままじゃ・・・・・・それにおれのバスターの状態じゃ・・・・」
 
エックスは自分の右腕を見る。完全に歪んでしまい、配線があちこち焼き切れている。おそらく交換しなくては駄目だろう。
 
「・・・・・・・俺のバスターを使え。」
 
ゼロは唯一残された右腕を自分の意思で外す。
 
「以前・・・・・・・爺に聞いたことがあって・・・・・俺とお前のバスターは基本的な機能はほぼ同じらしい・・・・だが、俺みたいにアースクラッシュは使えん。それでも攻撃力は格段に上昇するはずだ・・・・・・コントロールが難しいのが難点だが・・・・・」
 
「ゼロ・・・・・・」
 
「・・・・・・・フッ。そんな悲しそうな顔をするな。お前は世界の希望なんだ・・・・・・・・・・・」
 
ゼロの目が再び閉じようとする。
 
「じゃあな・・・・・エックス・・・・・・シグマを倒して・・・・・・・見せてくれよ・・・・・・・・・・平和な世界を・・・・・・・・・・」
 
 
ゼロの目が完全に閉じる。
 
「ゼロ・・・・うぅ・・・・・・・また死なせてしまった・・・・・・・・・何が希望だよ・・・・・・・・結局、誰も助けられないじゃないか・・・・・・そんな俺のどこが希望なんだよ・・・・」
 
エックスは、機能を停止したゼロの体を抱きしめながら泣く。
 
「・・・・・・・ドラえもん・・・・・・・助けてよ・・・・・・・・・もう、寝坊しないから・・・・・・・・遅刻もしないし、宿題だって一人で頑張るから・・・・・・・・・・・だから・・・・・助けてよ・・・・・・ドラえもん・・・・・・・・」
 
無駄なことはわかっている。
 
だが、今のエックスはどうしても彼に助けてきてほしいと思った。
 
ドラえもんに。 

 

シグマ

シグマパレス
 
「・・・・・・・・」
 
エックスは、黙って長い通路を歩き続けていた。彼の通った後にはメカニロイドの残骸が転がっている。右腕は、破損して使用不能になっていた自分のものからゼロから受け取ったアームパーツへと換装している。
 
 
長い廊下を抜けると巨大な扉が目の前にあった。
 
「・・・・・・ここか。」
 
エックスは、目の前に立つと扉はゆっくりと左右同時に開いて行く。中に入るとそこにはかつての上司、別の意味で言えば今回の戦いの元凶がそこにいた。
 
「・・・・・・・・・」
 
エックスはシグマを見ながらゆっくりと中へ入る。一方のシグマはエックスの姿を見るなり思わずニヤリと笑った。
 
「ほう・・・・・・・いい目をするようになった。迷いがない。」
 
「・・・・・・シグマ、俺はお前を許さない。」
 
エックスは構えを取りながらシグマと対峙する。やる気満々のエックスを見てシグマは満足そうだった。
 
「どうやらVAVAとゼロはここには辿り着けなかったようだな。ゼロに関しては驚いたが・・・・」
 
「ふざけるな!同じレプリロイドを殺しておきながら!!」
 
エックスは、右腕をバスターに変形させる。
 
「その眼をしたお前なら・・・・・エックス、私と戦う資格があるかもしれん。・・・・だが・・・・・まずはこれを試してもらおう。何しろ裏切り者の始末はすべてこやつにやらせているのでな。」
 
そう言うとそれまで彼の足元で大人しくしていた狼型メカニロイド ベルガーダーはうなり声を上げながらエックスの前に立つ。
 
「グルルルルゥゥウゥ・・・・・・・」
 
「・・・・・・・・・俺の相手はシグマだ。他に相手をする気はない。」
 
「ウゥワオォン!!!」
 
エックスの言っていることがわかるのかベルガーダーは、敵意をむき出しにしてエックスに飛び掛かる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ズガァ―――――――――――――――――ン!!!
 

「ワオォ!?」
 
その瞬間、ベルガーダーの体に大きな風穴が開き、壁に打ち付けられる。急所を撃たれたベルガーダーは立ち上がろうとするもののすぐに火花を散らしながら粉々に吹き飛んでしまった。
 
「・・・・・・・見事だエックス。」
 
シグマは、拍手を送りながらエックスを称賛する。
 
「やはりお前には私が見込んだ通りの可能性があるようだ・・・・・・我々レプリロイドの“無限の可能性”がな・・・・・」
 
しかし、そんなシグマの反応とは裏腹にエックスは敵意むき出しの目つきでにシグマを睨みつける。
 
「シグマ・・・・・狂ったお前に可能性なんてない!!」
 
「フッフフフフ・・・・・・・エックス。それはお前が本当に考えていることではない。」
 
「・・・・・」
 
「お前が正義だと信じているものが・・・・・・・お前にそう思わせているだけだ!!お前は私が想像していた以上に成長した。今度は私自らの手で確かめさせてもらうぞ!行くぞ!!」
 
シグマは、マントを脱ぎ棄てサーベルを展開してエックスへと一気に迫る。
 
「くっ!」
 
エックスは壁を蹴ってよじ登って攻撃を回避する。
 
「甘いぞエックス!それで私の攻撃を避けたつもりか!!」
 
シグマの額のランプから光弾が発射され、エックスの方のアーマーを掠る。エックスはシグマの背後に回るとゼロのバスターから「ハイパーゼロブラスター」を放つ。壊れた自分のチャージショットとは違い、攻撃範囲は限られてはいるもののビームを収束しているため威力では前のバスター以上に強化されている。背後からの攻撃にシグマは反応するものの回避行動が遅れ、胸部に命中する。
 
「ぬう・・・・・背後に回って撃つとは・・・・相変わらずの腕前だな・・・・」
 
しかし、シグマは元はといえばケイン博士が作り上げたレプリロイドの中で最高傑作と言われる存在、元々頑丈に作られているためバスターの攻撃を耐え抜いた。
 
「だが・・・・・射撃をメインにしたお前と接近戦をメインにしたこの私、この部屋の中で有利なのは果たしてどちらなのかな?」
 
シグマは、急速に接近してエックスに向けて拳を放つ。エックスは最初は回避するもののシグマの拳の速度は徐々に速くなり、止むを得ず腕でガードをするしかなくなっていく。
 
「どうしたエックス?私を倒すのではなかったのか?」
 
「くうぅ・・・・・・・」
 
「でぃいあぁ!!」
 
「ぐわあぁ!!」
 
シグマの回し蹴りを受けてエックスは壁に打ち付けられる。
 
「このぐらいで!!」
 
エックスは壁に取り付けてあった鉄パイプを捥ぎ取ると剣の代わりにして構える。
 
「ほう、剣を使う私にその鉄パイプで挑もうというのか?まるであの時のようだな・・・・・・・・」
 
「あのとき?」
 
「フッ、過ぎたことを思い出しても致し方あるまい・・・・・・・・・フン!」
 
「くっ!」
 
シグマのサーベル攻撃に対してエックスはそれを受け止めることに精一杯だった。
 
(これが電光丸だったら・・・・・・・・いや、電光丸があったとしてもおそらくシグマの実力じゃ歯が立たない・・・・・・)
 
「どこを見ている!」
 
シグマは、サーベルを振り下ろすと鉄パイプはいともたやすく切断されてしまった。
 
「うっ!」
 
「とどめだ!!」
 
シグマはサーベルをエックスに向かって振り下ろす。
 
「くっ!まだだ!!」
 
エックスはすっと何かを取り出してサーベルをガードする。先ほど外しておいた自分の右腕だ。
 
「何!?自らの腕を盾に!?」
 
「この腕じゃもう撃てないからな。だが、時間を稼ぐには丁度いい!!」
 
「ぬっ!?」
 
シグマはエックスの右腕を見てはっとする。エックスは既にこの近距離からチャージショットを放とうとしているのだ。
 
「まさか鉄パイプで接近戦を試みようとしていたのは・・・・・・・」
 
「そう、いくら強固のボディとは言えこの距離からなら!!」
 
エックスは、最大までチャージしたバスターをシグマの体に向かって撃つ。シグマのボディは貫かれ跪いた。
 
「・・・・・・・・・」
 
「はあ・・・・はあ・・・・・・動力炉もこれで吹き飛んだはずだ・・・・・・・・」
 
「・・・・・・・・ヌフッ、ヌッフフフフフ・・・・・・」
 
「・・・・・・何がおかしいんだ。」
 
突然笑いだすシグマにエックスは疑問を感じる。もうすでに動力炉がある急所は破壊されて死ぬのも時間の問題であるシグマがどうして笑い出すのか?死の恐怖に狂ったか、それとも・・・・・・
 
「素晴らしいぞエックス!もはや貴様はB級ハンターなどではありえない!ヌッハハハハハハハハ!!!」
 
「何を言っている!?お前の野望もここまでだ!!」
 
エックスはとどめを刺すべくシグマにバスターを向けようとする。
 
「ワハハハハハハハ!!ハーッハハハハハハハハ!!」
 
 
次の瞬間、シグマの頭部がボディから外れ、壁から伸びてきたケーブルに繋がれる。そして壁に取り込まれた。
 
「一体何が・・・・・・・・・」
 
「ウォオオオオォォォォ!!!!」
 
壁が吹き飛び、中から巨大な狼型メカニロイドが姿を現す。そのメカニロイドの頭部には先程取り込まれたシグマの頭部がケーブルに接続されていた。
 
「私が負けることを考えていなかったかと思ったかね?こんな時のことも考えて新たなボディを造らせておいたのだ。」
 
シグマはエックスを見下す。
 
「さあ!続けようエックス!!戦いを!苦悩を!破壊を!その果てにお前はレプリロイドの真の可能を見るだろう・・・・・」
 
シグマは、両腕から雷撃を放つ。エックスは避けようとするもののその巨大さゆえに余波を受けてしまう。
 
「うわあぁぁぁぁぁ!!」
 
雷撃によりアーマーに亀裂が走る。そんなことに目もくれずシグマは火炎で周囲を焼き払う。
 
「こ、こんなところで!!」
 
エックスは、残った特殊武器をすべてシグマに向かって放つ。しかし、巨大ゆえに効き目がない。
 
「無駄だ!!こうなった以上もはや貴様に勝ち目はない!!」
 
シグマは、すかさず雷撃と火炎の連撃でエックスを吹き飛ばす。
 
「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 
床に叩きつけられたエックスは、まるで叩き落とされた虫のように動かなくなった。
 
「もう終わりかエックス?」
 
意識はあるものの体が動かない。
 
(こんな・・・・・こんなところで倒れるわけにはいかないんだ・・・・・・・・・・・)
 
 
しかし、その意識もどんどん薄れていく。
 
(ケイン博士・・・・・・・マンドリラー・・・・・ビートブード・・・・・・・イーグリード・・・・・・・ゼ・・・・ロ・・・・・・ド・・・・・・ラ・・・・・・・・え・・・・・・も・・・・・・)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ここでエックスの意識は完全に途切れた。 

 

奇跡

???
 
「・・・・・・・ッス。・・・・・クス。・・・エックス。」
 
「?」
 
エックスは懐かしい光景を見ていた。それは転生して初めて出会った老人との出会いの瞬間を。
 
「あな・・・・・・・たは?」
 
老人はにっこりと笑って自分を見ている。
 
「わしはトーマス・ライト。お前の生みの親だよ、エックス。」
 
「エックス・・・・・・・・それが僕のな・・・・ま・・・・え・・・・」
 
まだ組み立て中だったこともあり、エックスの意識はそこで途絶える。
 
「エックス。そう、無限の可能性を意味する名前だ。お前は自分で考え、行動する新しいタイプのロボットになるんだよ。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
再び目を覚ますと右腕を除いてボディはほぼ完成している状態だった。
 
しかし、老人の方を見ると老人は最初に見た時と違ってかなり弱っているようだった。
 
「どうしました博士?お疲れの様子ですが・・・・・・・」
 
「エックス・・・・・お前は本当に人間と同じようだ・・・・・それだけに・・・ゴホッ、ゴホッゴホッ!!・・・・お前のように極めて自分達に近い存在を受け入れるには、まだ人類は幼すぎるかもしれん・・・・・」
 
まだ出力が不安定なのかエックスの視界が突然不安定になる。
 
「人は・・・・お前の無限の進化の可能性を危険と感じるかもしれない・・・・エックスという名には“危険”という意味もあるのだ・・・・・・・・」
 
再び意識が途絶える。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
意識が再び戻ると自分はカプセルの中に入れられていた。老人はひどく弱った様子で自分を見ている。
 
「すまないエックス・・・・・・お前を世の中に出してやるには時間が足りなかった・・・・・ゴホッ、ゴホッ!!」
 
「ライト博士・・・・」
 
老人はひどく咳き込んでいた。エックスは似たような光景を一度だけ見たことがある。亡くなった祖母も似たようなことがあったからだ。おそらく今回で老人の顔を見るのも最後になるのだろうと悟った。
 
「わしはお前に悩み考え、そして進化を戦い取る力を与えた・・・・・・・・だが、それをまだ解放するわけにはいかないのだ・・・・・」
 
これを聞いてエックスは何となく言葉の意味を理解できた。つまり、自分は時が来るまで眠りにつくという事だ。目覚める先の未来がどうなるのかもわからない状態で眠りにつくのは正直言って不安だった。だが、それは自分に未来を託すという意味にも聞こえた。
 
「博士、僕はこの力を正しいことのために使います。希望のために。」
 
エックスの言葉を聞いて安心したのか老人はにこやかな表情でエックスを見る。
 
「あぁ・・・・・・もちろんわしもそう信じている。エックス、お前がその正しい心を持ち続けるということを。未来の人々が・・・・・・そう願う事を・・・・・・・・・・・」
 
老人はパネルでカプセルを起動させる。蓋は閉じられ、わずかに見える窓の向こうでエックスは老人の顔を見る。
 
「博士・・・・」
 
「さらばだエックス・・・・・・・・・わしの・・・・・・・・世界の希望・・・・・・」
 
そこで意識が途絶えた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
再び意識を取り戻した時エックスは何もない暗闇の中に立っていた。
 
「・・・・・・結局、博士とおばあちゃんの約束・・・・・・・やぶっちゃったな。」
 
その場でしゃがみ込んでエックスは、ため息をつく。
 
「・・・・・・・・ドラえもん。やっぱり君がいないと僕は駄目だよ・・・・・。君がいたから僕はあんな楽しい日々を送ることができたんだ。毎朝叩き起こして、遅刻して先生に怒られて、ジャイアンにいじめられて・・・・・出木杉を羨ましがって・・・・・・0点とって先生やママに怒られて・・・・・・嫌な思い出があったけど考え直してみれば楽しい毎日だったよ・・・・・それなのに今の僕ときたら・・・・・誰も守れない・・・・・」
 
エックスは、もうこのままでいいと思った。
 
もう、自分は負けてすべてが終わったのだ。
 
このままでいても誰かが何も言う事もない。
 
命がけでイレギュラーとも戦わなくて済む。
 
でも・・・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
「ん?」
 
再び顔を上げると目の前に懐かしい襖があった。
 
「どうしてこんなところに・・・・・・・・・」
 
エックスは、襖を開けてみる。
 
「・・・・・・・・・」
 
目の前には懐かしい自分の部屋があった。
 
机に本棚、押し入れ、窓からの景色。
 
そして・・・・・・・・・何よりもそこで後ろを向いて座っているものに驚きを隠せなかった。
 
「・・・・・・・・・・・」
 
今でも忘れられないダルマのような体をした青い体。
 
振り向くと首に鈴のついた首輪、白いおなかにはポケットを付けた「彼」がいた。
 
「ド・・・・ド・・・・・」
 
今の自分では誰なのかわからないのはわかっているもののどうしても名前を呼びたくなった。しかし、「彼」の方が早かった。
 
「のび太くん!!」
 
ドラえもんはうれしそうな顔でエックスの前に来た。
 
「えっ?」
 
「会いに来たよ、のび太くん!!」
 
エックスの手を握ってドラえもんは言う。
 
「どうして・・・・・・どうして、俺のことを・・・・・・・・」
 
ドラえもんはにっこりとしながらエックスを見る。
 
「だって、のび太くんが僕のことをずっと呼んでくれたじゃない。」
 
「ど、ド・・・・ドラえも~ん!!!」
 
エックスは、思いっきりドラえもんに抱き着いて泣いた。ドラえもんはそんなエックスを優しく撫でながら思わず涙が出ていた。
 
「辛かったんだね・・・・・・ずっと・・・・・」
 
「俺は・・・・・・・僕は・・・・・・何もできなかったよ・・・・・・・ゼロも・・・・・・・誰も守れなかった・・・・・・・・」
 
「うんうん。」
 
「君がいないと駄目なんだ・・・・・・」
 
「うんうん・・・・・・でも、本当にそう思うの?」
 
「えっ?」
 
ドラえもんの一言でエックスは思わず顔を上げる。
 
「どういう事?」
 
「本当に君は何も守れなかったと思うの?」
 
ドラえもんの顔を見てエックスは考え直してみる。
 
守れなかったものは確かに多い。だがそれと同じように守ることができたものもあるはず。
 
昼寝仲間のマンドリラー。
 
男っ気があったけど協力してくれたマーティ。
 
本来イレギュラーとして倒すはずだったイーグリード。
 
全て守れなかったわけではなかった。
 
「ほら、君にだって守れたものがあるじゃない。君は、僕がいなくてもやればできるんだよ。」
 
「で、でも・・・・・・・僕はシグマに負けたんだ・・・・・・」
 
「また、やればいいじゃない。」
 
「無理なんだ!確かにジャイアンの時はどうにかなった時はあった・・・・・・でも、それとこれとでは次元が・・・・・」
 
「それは君がそう思っちゃっているだけなんだよ。よく考えればきっと答えが見つかるはずだよ・・・・・」
 
そう言うとドラえもんの姿が透明になり始めた。
 
「ど、ドラえもん!?」
 
「ごめん・・・・・もう時間がないみたい・・・・・もう少し君と話したかったけど仕方ないね・・・・・・」
 
「い、嫌だ!行かないで!僕の傍にいてよ!!」
 
エックスは必死にドラえもんに言う。そんなエックスの手にドラえもんは何かを握らせる。
 
「これは・・・・・・四次元ポケット・・・・・」
 
「君が忘れて行っちゃったからね。僕は君に会うことはできないけどいつもそばにいるよ。」
 
ドラえもんの姿はさらに透けていきとうとう見えなくなる。
 
「待って!ドラえもん!」
 
「じゃあね、のび太くん・・・・・・・・君に会えてうれしかったよ・・・・・・・」
 
「ドラえもん!ドラえもおぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・・う、うぅ・・・・・」
 
エックスは目を開くといつの間にか先ほどの場所でうつ伏せになっていた。
 
「ん?あれ程のダメージを受けてまだ生きていたか。しかし、そのダメージではもはや動くことはできまい。」
 
シグマはエックスに向けて火炎を放とうとし始める。
 
「くっ!(ダメだよドラえもん・・・・・・結局・・・・・・?)」
 
諦めかけていたエックスはいつの間にか自分が何かを握っていることに気が付く。
 
「これって・・・・・・じゃあ、さっきのは!!」
 
(僕は君に会うことはできないけどいつもそばにいるよ・・・・・)
 
「お別れだエックス。」
 
シグマはエックスに向けて火炎を放つ。エックスは急いで握っているものに手を突っ込む。
 
「頼む!間に合ってくれ!!」
 
「そんなボロボロの身体で何ができる?あの世にいるゼロの後を追うがいい!!」
 
火炎は既に目前に迫っていた。エックスは「四次元ポケット」からあるものを出す。
 
「ひらりマント!!」
 
「ん!?」
 
「ひらり!!」
 
エックスがマントをなびかせた瞬間、火炎は反射されシグマの方へ戻ってきた。
 
「うぉぉぉおおぉぉぉ!?」
 
まさかのカウンターにシグマは混乱する。エックスは急いで次の道具を出す。今度も同じ布きれでエックスの全身を覆った。
 
「おのれ・・・・・」
 
シグマは布きれに全身を隠したエックスの方を見る。
 
「それで隠れたつもりかエックス!!!」
 
シグマは怒りの雷撃を放つ。
 
「な、なに!?」
 
 
しかし、そこには焦げてチリになった布きれだけでエックスの姿がない。
 
「バカな!?あれ程のダメージでどうやって・・・・・・!?」
 
その時自分の左手に何やら凄まじい殺気を感じた。見るとそこには罅だらけだったはずのアーマーが完全に修復されたエックスが何やら両腕からエネルギーの塊のようなものを生成していた。
 
「アーマーが直っているだとっ!?そんな馬鹿なことが・・・・・・・」
 
「ライト博士が言っていた波動・・・・・・ようやくわかった気がする。」
 
エックスは、エネルギーをシグマに向かって突き出そうとする。その光景にシグマは初めて恐怖を感じた。否、正確には二度目の恐怖であるが・・・・・。
 
「う、うぉあぁぁ・・・・・・」
 
「シグマ・・・・・これでお前も終わりだ!!」
 
「来るなあぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」
 
エックスは拳を前に突き出す。
 
「波動拳!!!!」
 
両手から放たれたすさまじいエネルギーはシグマの頭部を突き抜けシグマパレスに風穴を開ける。
 
「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!エェエックスウゥゥゥ!!!!」
 
断末魔に相応しい叫びをあげながらシグマは崩れ落ちていく。シグマパレスも同時に崩壊し始めエックスは巻き込まれていく。
 
 
「ドラえもん・・・・・・・・・・・ありがとう・・・・・・・」
 
 
エックスは、シグマパレスと共に海の中へと落ちて行った・・・・・・・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


シティ・アーベル 海岸沿い 
 
「・・・・・・・う、うぅ・・・・・はっ!」
 
エックスが意識を取り戻すといつの間にか砂浜で倒れていた。前を見ると崩壊しているシグマパレスが徐々に沈没しているのがわかる。
 
「俺は・・・・・いったいどうしてここに・・・・・・」
 
周囲に人がいる気配はなく、何かが海に飛び込んだような音が聞こえたが周りは夜であることもあってよく見えない。
 
「・・・・・・・・」
 
エックスは握っていた四次元ポケットを見つめる。
 
「・・・・・・・これはドラえもんが自分の代わりとして俺に贈ってくれたものなのか? ・・・・いや、きっとそうだ」
 
疑問に感じるのは尤もだが目の前にある以上認めるしかない。
 
シグマパレスが完全に沈んだ頃、東の空からゆっくり太陽が昇り始める。
 
「・・・・・・・長い戦いだったな・・・・」
 
僅かな期間ではあったもののそれ以上に長く感じる戦い。それがようやく終わりを告げたのだ。
 
「・・・・・・ペンギーゴ・・・・クワンガー・・・・・ゼロ・・・・・・終わったよ。長い悪夢からようやく目を覚ましたんだ・・・・・・けれど、君たちはもう二度と戻ってこない・・・・・・・絶対に忘れないよ・・・・・・ドラえもん、君のことも・・・・・。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

・・・・・・・・戦いは終わった。
 
明日になれば、再び平和な朝が訪れる事だろう。
 
しかし、傷つき倒れ、夜の闇へと消えていった者達が、その朝を迎える事は決してない。
 
一人立ちつくすエックスの姿は、その日差しに照らされて、今にも消えてしまいそうに見えた。
 
何故戦わなくてはならないのか?
 
誰もエックスにそのことを教えてはくれない。
 
休む間もなく、どこかでイレギュラー達が発生し、再び彼は戦いの渦へと巻き込まれていくのだろう・・・・・
 
優しさを捨て切れぬイレギュラーハンター エックス。
 
彼の戦いは、どこまで続くのであろうか?
 
彼の腕に冷たく光る、亡き友ゼロのバスターの輝きと共に・・・・・・ 

 

戦いの後

シグマの反乱終結から二か月。
 
イレギュラーたちによって破壊された都市は復興作業が進み、シグマと共に多くのハンターが離脱してしまったイレギュラーハンター本部では部隊の再編及び人材の確保に頭を悩ませていた。
 
そして、またここにハンターを志す者が訪れた。

「・・・・・・・・・」

「ふむ、判断力及び射撃、身体機能も上々。それに模擬試験の結果も悪くない。いいだろう、君を正式にイレギュラーハンターに任命する。ランクはA級だ。今後ともよろしく頼むぞ。」 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース 屋上
 
「・・・・・・・・・・」
 
エックスは、久しぶりに一人屋上で寝っ転がりながら空を眺めていた。
 
壊れていた右腕はケインに直してもらい、代わりに付けていたゼロのものは回収されたゼロのボディに返還した。しかし、現在のところゼロの修復は見込みがないという。話によればゼロの体の構造は自分と同様にかなり複雑らしく一から作り直すことさえ難しいそうだ。
 
「また、ここで昼寝ですか?エックス隊長。」
 
そこへ一人のレプリロイドが歩いてきた。エックスは体を起こして相手を見る。
 
「マック?」
 
「勘弁してくださいよ。上層部からの報告書を渡そうと思ったらどこにもいないし、独房にぶち込まれているマンドリラーに聞いたら『多分屋上にいるんじゃないかな?』って教えてもらってやっと見つけたんですから・・・・・」
 
マックと呼ばれたハンターは愚痴を言いながらエックスに書類を渡す。だが何か違和感を感じた。
 
「・・・・・・そう言えばさっきから丁寧語で言うわ、隊長って言うわ、一体どうなっているんだ?いつもの君ならため口で聞いてくるのに・・・・・」
 
「言ったとおりですよ。本日をもってB級ハンター エックスは特A級に昇級及び第17精鋭部隊隊長に任命されたんですよ!上になった相手にため口なんて言えませんよ!!」
 あ
「はあっ!?」
 
エックスは思わず飛び上がった。いきなりのそんなことが目の前で起きたためマックも思わず尻もちをつく。
 
「驚かさないでくださいよ!?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
イレギュラーハンター上層部
 
「い、一体どういうつもりかね?え、エックス隊長?」
 
イレギュラーハンター総監は何故か荒々しいオーラ全開で入ってきたエックスを目の前にして冷や汗をかいていた。本来なら自分が部下であるエックスを叱らねばならないのだがここまでプレッシャーを感じるエックスを見たのが初めてであったため押されてしまっていた。
 
「総監!これは一体どういう事なんですか!!私が隊長になるなど・・・・・・組織の中には私以上に優秀なハンターがいるはずです!!」
 
エックスがこの状態になっているのには二つの理由がある。
 
一つは勝手に上層部が決めていたこと。いくらシグマの反乱を終わらせたとはいえ、あの功績は自分だけではなくここにはいないゼロ、夢かはわからないがドラえもんのおかげで成しえたことなのだ。それを上層部がうまく組織の士気を上げるために利用している。これは許せないことだ。
 
もう一つは・・・・・・・隊長に就いたら今の業務が倍以上に増えることだ。
 
正直言ってシグマがまだ隊長をしていた頃、被害状況などの報告書をまとめるやら、部隊をまとめるやらで彼が偉く苦労していたことを知っていたからだ。それに仕事の量が増えれば唯一気を紛らわせることができる昼寝の時間が大幅に減ってしまう。それだけはどうしても避けたかった。
 
「お、落ち着きたまえ・・・・・・エックス隊長。これは我々上層部が全員一致したうえでの判断でケイン氏の推薦でもあるのだ!?(汗)君は今回のシグマの反乱を終結させるのに大きく貢献してくれた。本来ならこれにはとどまらない功績であるのだぞ!?」
 
「・・・・・だからって、ハンター歴なら同僚のビートブードの方が長いし、他のハンターでも・・・・」
 
「確かにハンター歴とランクなら彼の方が上だ。しかし、先日の兄であるクワンガーのイレギュラー化、及び監禁中の脱走のこともある。その様な男を隊長にするわけにはいかんのだよ。」
 
「・・・・・・なら、せめてA級のマックを・・・・・」
 
「あれは駄目だ!?彼はさぼりの常習犯故に隊長などにしたらむしろ組織全体の士気が下がってしまう!!」
 
「しかしですね・・・・・」
 
「いい加減にせんか、エックス。」
 
そこへケインがやってきた。
 
「ケイン博士・・・・」
 
「こ、これはケイン氏!!わざわざこちらに来られていたとは!!」
 
総監は、敬礼をしながらケインに挨拶する。ケインは、エックスを見ながら言う。
 
「エックス、今回の騒動を治められたのは、お前だけの力によるものではないことはよおぉく理解しておる。」
 
「ですが・・・・」
 
「何を遠慮しておるんじゃ!儂に言わせたらお主を新総監にしてやってもいいくらいなんじゃぞ!!」
 
「ケイン氏、いくらなんでも言い過ぎです・・・・・」
 
「お前はこの度の戦いでの一番の功労者なんじゃ。儂なんか感謝してもしきれんぐらいじゃ。」
 
ケインはニッコリとしながらエックスに言う。ここまで言われてしまえばさすがのエックスも断るわけにはいかない。
 
「(前の俺だったら調子に乗るから遠慮していたんだけどな・・・・・・・)は、博士がそこまで言うのでしたら・・・・・・・」
 
エックスは仕方なく引き受けることにした。
 
「おぉ!引き受けてくれるかね、エックス隊長!!」
 
総監もほっとしたような顔で言う。
 
「早速ではあるがこれが再編した17部隊・・・・・君の率いる部隊のメンバーリストだ。目を通しておいてくれたまえ。」
 
総監からリストを渡されるとエックスは、ケインと共に部屋を後にした。
 
「・・・・・・・・・ふう~!!あのB級ハンターだったレプリロイドがあそこまで殺気を発するとは・・・・・・・本当に危ないところだった・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース 廊下
 
「博士、いくらなんでも俺に隊長が務まるとは思えませんが・・・・・・」
 
エックスは、施設の中を歩きながらケインに言う。
 
「何を言っておるんじゃ!そんな調子ではゼロに笑われるぞ!!」
 
「はっはは・・・・・・ところで博士。マンドリラーの件、総監には聞き忘れてしまいましたが・・・・・・」
 
エックスは思い出したように言う。
 
「あぁ、あの件なら大丈夫じゃ。かなり苦労したがB級にまで降格させるのとしばらくの監視付きでの行動で何とか話を付けたわい。」
 
「そうですか!ありがとうございます!!」
 
「後、イーグリードとブートビードの方もしばらくの監禁、ランクの降格でなんとかできたぞ。あっ、ちなみにカメリーオの方はどうにもならんかった。一応白状した件で処分は免れたが。」
 
「いろいろとすみません。」
 
「ところでエックス・・・・・・・この間の話なんじゃが・・・・・・・」
 
ケインはエックスをじろじろ見ながら言う。
 
「この間話してくれた『四次元ポケット』という物から出す『ひみつ道具』、わしにいくつか・・・・・・」
 
「渡しません。」
 
「ケチ~!!わしだって研究への探求心という物があるんじゃぞ~!!壊さないから!ねっ?ねっ?」
 
「ダメです!」
 
「そんなこと言わんで~!」
 
ケインは、まるで子供のように駄々こねながらエックスに頼み込む。
 
実は、シグマの反乱終結直後にエックスはケインにのみ自分の過去について明かした。
 
最初は目を丸くしたケインではあったがエックスがポケットから出した道具を見て納得してくれた。しかし、逆にその構造を解明したいという欲求にいくつかのひみつ道具を貸してほしいとたびたび頼むようになった。無論、しつこく断られたら諦めるが。
 
「せめて『タケコプター』だけでも・・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース 第17部隊隊長室
 
「ふう・・・・・・まさか俺がこの部屋に入ることになるなんてな・・・・・・」
 
エックスは、かつての上司が使用していた部屋を眺めながら言う。まだ荷物の整理が終わっていないこともあって部屋には段ボールが山積みにされていた。
 
「自分の部屋から荷物を持ってこなくちゃいけないから早くしないとな・・・・・・・『ロボッター』を使えば楽だけど・・・・・・って、いけないけない!!ひみつ道具に頼っていたらのび太のまんまじゃないか!しっかりしなくては・・・・・・」
 
エックスは、誘惑を打ち消して部屋の片づけに入る。そんなときに部屋のドアからノック音が聞こえた。
 
「どうぞ。(誰だろう?まだリスト見ていないけど・・・・・・)」
 
部屋のドアが開く音がすると同時に誰かが入ってきたことは分かった。
 
「あっ、悪いけど書類は机の上に置いといて。後で目を通しておくか・・・・・・」
 
エックスが相手の顔を見ようと前を向いた瞬間、あっと声が出た。
 
「・・・・・・・・・」
 
「き、君は確か・・・・・・・」
 
相手は女性型で見覚えのある顔だった。ただ、若干、姿が変わっており全体的に言えばビキニアーマーを身に着けた人間に近いタイプだった。何故か顔が真っ赤になっていたが。
 
「・・・・・・・・・」
 
「・・・・・・・ま、マーティ・・・・・・・だよね?」
 
エックスは、彼女の顔を見ながら言う。確かに顔はかつてオクトパルドの戦いのときに知り合った人魚型レプリロイドのマーティだった。しかし、下半身は足が二本だし、あまりハンターというには格好が・・・・・・・
 
「ど、どうして君がここに?」
 
「・・・・・・・・・」
 
マーティは顔を赤くしたまま書類を見せる。書類には丁度部隊のメンバーの情報がまとめてあり、彼女のが一番前に載せてあった。
 
「えっと・・・・・・・A級・・・・・・・第17精鋭部隊副隊長マーティ・・・・・・・えっ!?ビートブードかマックじゃないの!?」
 
エックスは思わず彼女の顔を二度見する。てっきり副隊長はあの二人のどっちかかと思った。マーティは、ボソボソとだが言い始める。
 
「べ、別に・・・・・・・アンタのことが気になってハンターになったとか・・・・・・・そういうわけじゃないからね・・・・・・・・」
 
「・・・・・・・・あっ。」
 
エックスは少し前にケインと別れる直後の話を思い出した。
 
 
「・・・・おっ、そう言えばエックス。」
 
「はい?」
 
「お主、女性型で知り合いいなかったか?」
 
「えっ?何を突然・・・・・」
 
「うむ、そのレプリロイドがわしのところにきて戦闘用に改造してほしいって懇願してきての。あまりにもしつこかったもんで改造してやったんじゃよ。」
 
「そうなんですか。」
 
「何かお前の名前とボソボソ言っておったぞ。まあ、一目でわかるようにしておいたがのう。」
 
「どんな風にですか?」
 
「フッフフフフフ・・・・・・秘密じゃ秘密。」
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・・・まさか、ケイン博士が言っていた女性型って・・・・・・」
 
「と、とにかく!!アタシ、この部隊の副隊長することになったから!!その・・・・・・・・よろしくお願いします!!・・・・・・・きゃっ!?」
 
マーティはそう言うと走って部屋を出ようとするがよく見ていなかったせいで段ボールの山にぶつかる。段ボールの山はバランスを崩し二人の前に崩れた。
 
「うわあああぁぁぁぁ!?」
 
「きゃああぁぁぁぁ!!」
 
部屋は書類だらけになってしまい、二人は書類の中から顔を出す。
 
「・・・・・・何か言うことは?」
 
「・・・・・わかったわよ。手伝うわよぉ・・・・・・・」
 
罪悪感なのかけじめなのかマーティは、顔を赤くしたままエックスと共に部屋の片づけをするのであった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
数日後

「ケイン氏、いくらなんでも隊長に賄賂を貢ごうとはどうかしていますよ?」

数日後、A級に降格されたビートブードと共にケインは、お菓子の詰め合わせを持ってエックスの部屋へと向かっていた。

「何を人聞きが悪い!?儂とて科学者としての欲求があるんじゃ!どんなことをしてでも借りるぞい!」

「全く・・・・・・隊長に叱られても知りませんよ。」

二人は、部屋へと入って行く。
 
「エックス、ひみつど・・・じゃなかった!!・・・・気分転換に甘いものを・・・・・なにやっとんじゃ?この二人?」
 
「さ、さぁあ?」

2人が来た時、部屋にいたのは困った顔をしたエックスと顔を真っ赤にしたまま書類整理をしているマーティの姿があった。

 

 

新たな影

???
 
「・・・・・やあ、みんな!初めまして、僕ドラえもんです。今回からのび太くんが活躍する『ドラえもん のび太の転生ロックマンX」の新しい物語が始まります。シグマとか言う校長先生以上の頭が光る人との戦いからしばらく、成長したのび太くんが新たな敵と戦うことになります。これからまた長いお話になりますがどうかごゆっくりご覧ください。(ペコリ)」
 
『ねえねえ!!肝心な説明忘れているよ!!のび太くん転生させたの僕だよ!!なんか知らないけど忘れ去れていない?ちょっと、そこの君、僕のこと覚えてる?』
 
「・・・・・あの・・・・・神様、気持ちはわかるけど神様って基本転生させたら出番がなくなるもんだよ(汗)。」
 
『とにかく!!いつか重要な役割が出たとき「お前誰だよ!?」って事態になりかねないんだから!!忘れないでね!!!!ちなみに僕は「ドラ神様」!!OK?』
 
「で、では始まります。どうかのび太くんを温かい目で見てあげてください。では、スタート!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
最強のイレギュラー「シグマ」との戦いから半年後・・・・・・
 
エックスはシグマの残党のイレギュラーの処理を主な任務として活動していた。
 
今日もエックスはハンター基地からの指令を受け、イレギュラーが製造されているとされる工場の調査、及び破壊のために再編された第17精鋭部隊を率いて出動した。
 
 
 
 
しかし、それはエックスにとって新たな戦いへのプロローグでしかなかった・・・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ドラえもん のび太の転生ロックマンX2 「バーサス カウンターハンター」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
シティ・アーベル郊外 イレギュラーの秘密メカニロイド工場前
 
「エックス隊長!私のチェバルが被弾しました!!」
 
「早く脱出しろ!!」
 
「ひいぃ!!」
 
一人のレプリロイドが悲鳴を上げながら乗っていたライドチェイサーから飛び降りる。
 
乗っていたライドチェイサーは煙を上げながら進むとやがて爆発した。
 
「敵の攻撃が激しいぞ!!各隊員は、散開して敵の攻撃を避けて工場に突入せよ!!被弾した場合は乗機を捨ててエリアから離脱しろ!!」
 
「「「「「了解!!」」」」」
 
「マーティは左のポイントから!ビートブードは右、俺は正面から突入する!!各隊員はこの三班に別れて以降は二人の指示に従う!以上!!」
 
「「「「「「了解しました!エックス隊長!!」」」」」」
 
そう言った束の間エックスの班に入ろうとしたマックのライドチェイサーが被弾し、マックは後方へと吹き飛ばされた。
 
「うわあぁ~!!!」
 
「マック先輩~!!」
 
「隊長!マック先輩がやられました!!」
 
「あっちの方は弾は飛んでこないから大丈夫だ!俺たちは突入するぞ!!」
 
「「「了解!!!」」」
 
「マーティ、ビートブード。それぞれポイントに向かって施設が危険だと判断した場合は打ち合わせした通り、爆弾をセットした後に撤退してくれ。」
 
「了解しましたエックス隊長。ビートブード隊、行くぞ!!」
 
「「「はい!」」」
 
「・・・・・・・」
 
「マーティ?」
 
返事のないマーティにエックスは声を掛ける。
 
「マーティ副隊長!エックス隊長が返答を求めています!」
 
「はっ!?りょ、了解!!」
 
「マーティ、考えているのは別に構わないけど作戦中は危険だから気を付けてくれ。」
 
「わっ、分かってるわよ!?マーティ隊、遅れるんじゃないよ!!」
 
「「「はい、副隊長!!」」」
 
「これより突入する!!」
 
エックスの合図と同時に17部隊は三手に別れて工場へと突入を開始する。
 
エックスが工場から発せられる砲弾を避けている中、後ろからついてきていた部下たちの大半が被弾し離脱を余儀なくされた。
 
「あの入り口から突入する!!」
 
「「はっ!」」
 
入り口にまで来れたのは、エックスと僅かな隊員のみだった。エックスは乗機のチェバルを乗り捨てると入り口を警備していたメカニロイドに衝突させる。異常と判断して対応したメカニロイドを容赦なくバスターで破壊するとエックスは先陣を切って工場内部へと乗り込む。
 
「俺が先に行って内部を調査する!他の者は周囲の敵を殲滅の後に続け!!」
 
「「はっ!了解しました!」」
 
周辺にいる警備用のメカニロイドを部下たちに任せるとエックスはダッシュをしながら工場内部へと向かって行く。
 
シグマを討伐した数日後、老人からもらったアーマーはカプセルに返却したのだがダッシュ機能だけはそのまま残っていた。元からあった機能かは不明だがこれで移動はかなりスピーディーになった。エックスは、周囲にいるメカニロイドを破壊して梯子を昇ると目の前に巨大なメカニロイドを組み立てている製造プラントがあった。
 
「どうやら確実に黒のようだな・・・・・」
 
エックスがそう思っている矢先、頭上を飛行していた小型メカニロイドがアームを伸ばして壁を閉ざしてエックスを押しつぶそうとする。
 
「おっと!」
 
エックスは壁を蹴り勢いよくジャンプし、小型メカニロイドを一発で仕留める。
 
「ここまで警備システムが動いているという事は何か重要なものが隠されているのかもしれない。マーティたちに連絡して・・・・・・」
 
そのとき、エックスに通信が入る。
 
『こちらマーティ部隊とブートビード部隊!!エックス隊長、応答願います!!』
 
「どうした?」
 
隊員の慌ただしい声を聴きながらもエックスは、移動する。
 
『こちら巨大メカニロイドの製造プラントを爆破しようとしたのですが組みあがっていた一体が起動して暴れています!!マーティ副隊長、ビートブード各隊員で応戦していますが苦戦しています!!至急応援を!!』
 
「何ッ!?ちっ、これならマンドリラーを無理に連れてくるべきだったな・・・・・・・まだ基地内での行動制限が災いになったか・・・・・・・わかった、直ぐにそちらに向かう!!」
 
エックスは、通信を切るとポイントへと急ぐ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
???
 
「・・・・・奴がエックスなのか・・・・・なるほど、中々やりおるわい。」
 
とある施設の薄暗い室内の中で何者かが工場内で戦闘をしているエックスの姿を見ていた。
 
「フン!あんなもやしみたいなレプリロイド、大したことないぜ!!」
 
エックスを高く評価している小柄の老人レプリロイドに対して隣にいる大型のレプリロイドは鼻息を荒くしながら言う。しかし、その一方で細身ながらも背が高いレプリロイドはエックスの戦闘を見ながら首をかしげていた。
 
「・・・・いえ、確かにサーゲスの言う通り彼の能力は極めて危険ですね。今のうちに倒してしまわなくては・・・・・」
 
「おそらくあの工場も持たんじゃろう・・・・・。アジール、遠隔操作であの製造工場の爆破準備を。こやつの処理はわしらの部下に任せるとするかのう。」
 
「御意。」
 
「お、おい。いいのかよ?あそこのメカニロイド全部捨てんのか?」
 
「奴らに回収されてしまっては厄介じゃからのう。」
 
「・・・・・・・ところでサーゲス、あのレプリロイドが完成するのにいつまでかかるのですか?」
 
「・・・・・パーツはほぼ新規で製作して完成はしておるが・・・・・制御回路が不完全なのじゃ。」
 
「私たちの目的のためにはあのレプリロイドの力が必要なのです・・・・・・急がなくては・・・・・・」
 
エックスたちイレギュラーハンターが活動している裏側で何かが動こうとしていた・・・・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
メカニロイド製造工場
 
「ったく!一体どういう装甲してんのよ!このデカブツは!!」
 
マーティは、巨大メカニロイドに向かって量産型のバスターでメカニロイドを攻撃する。隊員も続いて攻撃しているがメカニロイドは怯む様子すらなく、工場を壊しながらマーティたちに迫っていた。
 
「コイツ!!」
 
ビートブードは空中から攻撃するがメカニロイドは逆に彼をその巨大な腕で地面に叩きつける。
 
「うわぁあぁ!?」
 
「ビートブード!!あんたたち、早くあいつを回収しな!!」
 
「しかし、副隊長は?」
 
「アタシは隊長が来るまでコイツを引き付けておくわよ!!(勝てる気しないけど・・・・・)」
 
「副隊長が一人で!?無茶ですよ!!」
 
隊員の一人が思わず叫ぶがマーティは平手で彼をぶつと大声で言う。
 
「バカにするんじゃないよ!!アタシだってれっきとしたハンターなんだから!!心配している暇があったらさっさと行ってこい!!」
 
「「はっ、はい!!」」
 
隊員たちは急いでビートブードが落ちた方へと走って行く。マーティはバスターを捨てると腰に付けてある筒状のものを手に取り、槍を展開する。
 
「さて・・・・・・あのじいさんの武器がどこまで通じるのか・・・・・試させてもらおうかね!!」
 
マーティは、壁を蹴ってジャンプするとメカニロイドの肩に飛び乗り、手あたり次第槍を突きつける。
 
「ここもダメ・・・・こっちも全然通用しな・・・・・きゃっ!?」
 
メカニロイドがマーティを捕えようともがき始め、マーティは足を滑らせて落ちる。
 
(こんなところから落ちたら・・・・・・・・・くっ!)
 
掴める場所がないため、マーティは真っ逆さまに地面へと落下する。しかし、堕ちようとした寸前で何かが彼女の腕をつかんだ。
 
「・・・・・・・・」
 
彼女が目を開けるとそこにはエックスが自分の手を握っていた。
 
「大丈夫か?」
 
エックスに声を掛けられてマーティは思わず顔を赤くするがすぐに冷静を装う。
 
「だ、大丈夫よ!!ちょっと足を滑らせたけど・・・・・・・(今日はもう手を洗わないでいいや!!)」
 
「ならよかった。間に合ったようだしな。」
 
エックスは彼女を抱きかかえると飛び降りて着地する。
 
「各隊、撤収準備!!動ける者は、動けない者に手を貸せ!!」
 
「隊長!ビートブードがやられました。」
 
隊員たちがビートブードを担ぎながら言う。
 
「た、隊長・・・・・・すみません。してやられました。」
 
「生きているならいい方だ。みんな手を貸してやってくれ。」
 
隊員たちを撤退させている中、エックスはこちらに向かってくるメカニロイドに向かって行く。
 
「え、エックス!?なんでアンタは撤退しないのよ!?」
 
「コイツを倒してから俺も撤退する。君も急いで引き上げるんだ。」
 
「そんな・・・」
 
「巻き込まれるかもしれないから。」
 
「?」
 
文句を言おうとしたマーティに対してエックスはそれだけを言うと何かの構えをする。
 
「できれば使いたくないけどこういう状況じゃ仕方ないな。」
 
両手を合わせると瞬時にエネルギーが発生し始め、どんどん増していく。
 
「本当になんかやばそう・・・・・・」
 
それを見て納得したマーティは、急いで簡易型の転送装置を使って離脱する。それを見届けるとエックスは再び巨大メカニロイドに目を向ける。
 
「さて、これでもう邪魔者はなくなった。」
 
エックスは凝縮されたエネルギーを巨大メカニロイドに向かって放つ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「波動拳んんんんんん!!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「あ~いてててて・・・・・危うく死ぬかと思っ・・・・」

マックは体の砂埃を払いながら目の前で起こった出来事に唖然とした。 
 
 
 
 
 
 
 
その日、一つの巨大メカニロイドを製造していた工場が地上から消えた。
 
 
ちなみにエックスについていた隊員二名は既に連絡を受けて離脱していたため、死者は出なかった。
 
工場の外でその光景を見ていたマック曰く「突然工場から巨大なキノコ雲が上がった」とか。 

 

新第17精鋭部隊

ハンターベース
 
「また、17部隊がイレギュラーの製造工場を破壊したそうだ・・・・・」
 
「ほんとかよ?今月に入って工場破壊したのこれで3件目だぞ?」
 
シグマの反乱が終結して以降、新しい人材の登用などもあってハンターベースはかつての活気を取り戻しつつあった。
 
「しかし、信じらねえな・・・・あの甘ちゃんハンターが今じゃ精鋭部隊の隊長か・・・・・。」
 
「そんなに驚くことなんですか?今の17部隊のエックス隊長?」
 
「驚くも何もお前は最近入隊したばかりだからな。エックス隊長は、仕事以外昼寝やらアヤトリって言うひもで何か変なものをするやらで・・・・・」
 
「何の話をしてるんだい?」
 
「何の話って・・・・・うわあぁ!?」
 
歩きながら会話していたハンター二人が後ろを振り向いた瞬間思わず悲鳴を上げて尻もちをついた。
 
「あ、あぁ・・・・・・・」
 
声を掛けてきた相手はマンドリラーだった。
 
「別に・・・・・・後ろから声を掛けて来て驚くのにそこまで反応するかな?」
 
「えっ!?突っ込むところそっち!?」
 
新入りハンターは思わず言う。
 
マンドリラーはかつてシグマの反乱に参加していた元イレギュラーであり、本来ならば処分されるはずのレプリロイドである。しかし、エックス及びケインの助言により、処分は免れハンターランクがB級に降格、一定期間の施設内勤務のみという罰で済んだ。
 
しかし、新入りや反乱を体験したハンターにとってはマンドリラーへの警戒心は強い。マンドリラーもそれを飲んだうえで現在の職に就いている。
 
「い、いえ・・・・・その・・・・・・最近またイレギュラーが増えてきたなあ~って話をしていただけです!!」
 
「そうなのかい?」
 
「は、はい!!自分たちはそのことについて話していただけであります!!」
 
「ふ~ん~。」
 
二人はビシッと背筋を伸ばして言う。マンドリラーは首をかしげるものの別に気にする様子なくその場から離れて行った。
 
「・・・・・・・・行ったか?」
 
「は、はい・・・・行ったようです。」
 
「ふう~!」
 
二人は肩の力を抜いて思わず深呼吸した。
 
「あ、あれが・・・・・・前の戦いで発電所を占拠したって言うマンドリラーなんですか?」
 
「おうよ。エックス隊長とケイン氏が言うには害はないって言うが・・・・・・・・・あのでっかい腕で叩かれたら・・・・・おぉおう・・・・・・・ゾッとする・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
第17精鋭部隊 隊長室(現在のエックスの部屋)
 
「エックス隊長~。上層部からの書類が届いたよ。」
 
マンドリラーは、欠伸を掻きながらエックスに書類を渡す。
 
「ご苦労様、本部内での仕事はどうだい?」
 
「そうだな・・・・強いて言うならみんな俺を見ると何故かびっくりするんだよ・・・・」
 
「まあ、シグマの反乱からそう経っていないんだ。警戒されるのも仕方ないさ。」
 
エックスはそう言うと渡された書類に目を通す。
 
「ドッゲザタウンのハンター基地が破壊されたか・・・・・・・こちらでイレギュラーの製造工場を破壊しているのはいいけどこうも各地で基地を破壊されちゃあな・・・・・・」
 
エックスは、そう言うと窓から外の景色を眺める。
 
「あの戦いから半年・・・・・・・・街の復興は思っていたよりも進んではいるけど各地で事件が続いているんじゃ安心もできないな・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Dr.ケインの研究所
 
「じいさん!アンタがこの間作ってくれたこの武器、イレギュラーに全然効かなかったじゃない!!」
 
マーティは、机に待機状態にした武器を叩きつけてケインに言う。
 
「何を言っておるんじゃ!多少の大型レプリロイド相手なら十分貫通できるとは言ったが超大型のメカニロイドなら何でも貫けるとは一言も言っておらんぞ!」
 
「でもかすり傷すら付けられなかったのよ!エックスが助けてくれなかったら・・・・・・・」
 
エックスの名を挙げた瞬間、マーティの覇気は急激に落ち始める。
 
「アタシ・・・・・ただでさえ女性型でA級って変って見られてそうだし・・・・・・ビートブードみたいな取柄もないし・・・・」
 
急に自虐し始めたマーティに対してケインは仕方ないという顔をして彼女の肩を叩く。
 
「何自分で自分を責めておるんじゃ。お前は、自分からハンターになったんじゃろ?だったらそんなこと言わずにもっとビシッとせんか。」
 
「でも、アタシって泳ぐことぐらいしか・・・・・・」
 
「それでも十分な取り柄になるじゃろ?エックスは射撃がうまいが接近戦はそこまでうまくはない。ビートブードやマンドリラーもパワーはあるが俊敏さに欠けておる。レプリロイドとてみんながみんな完ぺきではないんじゃ。」
 
「・・・・・・」
 
「それに・・・・・・エックスに惚れておるんじゃろ?(ニヤリ)」
 
「!?!?!?!?!?」
 
自分に激励をかけてくれたかと思いきや急に思いにもよらぬことを言われてマーティは顔を赤くする。
 
「フッフフ・・・・図星じゃのう。じゃったら、あいつに自分のことを見てほしいと焦るのもわからなくもない。」
 
「そ、そんな・・・・そんなわけじゃないし!!私だっていつまでも守られている側が嫌で・・・・・・」
 
「そんなちっぽけな理由ならあの時頼み込んだ時途中で折れてあきらめて帰っておるわい。」
 
「・・・・・・・・・」
 
「・・・・・さて、この間渡したこれだけじゃ確かに心細いじゃろう。そこで今回はお前に合わせていろいろ作ってみたぞい。」
 
ケインはマーティの目の前にいくつかの武器を並べて見た。
 
「えっと・・・・・・銃にトンファー、シールド?」
 
「銃は、ハンターが一般的に使う量産型バスターショットのをベースにエックスのバスターのデータを応用して出力を上げておる。しかし、最大出力で撃つとカードリッジがすぐに底を尽きてしまうからできるだけけん制用に撃つことじゃな。もう一つのトンファー『パイルバンカー』は、この槍程の距離ではないが接近戦では使い勝手がいい。このシールド・・・・・そうじゃな『シールドブーメラン』は、アルマージのシールドのデータを基にエックスがフルチャージをして放ったバリアをシールドのビーム刃にして敵にフリスピーのように投げて攻撃することもできる。但しコントロールが難しいから気を付けて使うんじゃよ?」
 
武器を手に取ってみてマーティは、思わず涙目でケインを見る。
 
「爺さん・・・・・アンタって人は・・・・・・」
 
「フッフフ、わしとて恋する乙女をからかってばかりいないという事じゃ。まだ改良する余地の多いものばかりじゃがこれでエックスのことを支えてやってくれ。今はまだあいつを目覚めさせることはわしにもできんからな。」
 
「あいつ?」
 
「ん?エックスから聞いておらんのか?」
 
不思議そうな顔をしているマーティにケインは丁寧に説明をする。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース 留置所
 
「やあ、イーグリード。元気かい?」
 
エックスは牢の外から留置されているイーグリードに声を掛けた。手錠などで動きは制限されているものの特に異常はないようだった。
 
「元気なのは元気さ。まあ、復帰した時にリハビリは必要だと思うが。」
 
「ケイン博士からの話だと翼は完全に治ったんだろ?」
 
「まあな。ただ、本当にまた空を飛べるのかが少し不安だが・・・・・」
 
イーグリードは自分の翼を見ながら言う。エックスとの戦闘において破壊された翼は新しいものに変えられ、戦いがあったのがウソのように感じさせられる。
 
「・・・・・フッ、こうなってしまうと反乱前に部隊をやめたオストリーグの気持ちが少しわかったような気がするよ。」
 
「オストリーグ?確かブースターの故障での墜落で引退した・・・・・」
 
「あぁ。先月、あいつから手紙が届いたんだ。どうやら地上での勤務は慣れて来たらしい。相変わらず空を飛ぶことはできないようだが・・・・・・」
 
「そうか・・・・・」
 
「俺は出所後、復隊する前にあいつに会う予定にしているんだ。リハビリもそれに合わせてな。」
 
イーグリードは苦笑しながら言う。
 
「早くまた空が飛べるようになればいいな。ゼロがいたらきっと『早く戻って来い』って言うよ。」
 
「ゼロ?まだ、修理の目途が着いていないのか?」
 
「あぁ・・・・・・」
 
「エックス隊長!」
 
そこへ一人のハンターがエックスの元へと慌てて来た。
 
「どうした?そんなに慌てて・・・・・」
 
「上層部からの緊急指令です!各地でイレギュラーが出現!その中には前回の反乱で行方を暗ませていた特A級ハンターの姿も・・・・・・」
 
「なんだとっ!?」
 
エックスは深刻な顔をして言う。
 
「どうしたんだエックス?」
 
「・・・・イーグリード、悪いけど今回の面談はこれで終わりだ。この次はいつになるかわからないけどできるだけ日程を合わせるよ!」
 
エックスは急いでその場を後にした。 

 

ワイヤー・ヘチマール

 
前書き
岩本版エックスが打ち切らなければX5での決着はどうなっていたのやら。 

 
ハンターベース 司令部
 
「状況は!?」
 
エックスは、慌てた様子ながらもオペレーターに聞く。
 
「はい、現在確認されているのは8つのエリアで気象コントロールセンター、砂漠基地、深海基地、シティ・アーベルに進行中の恐竜型の巨大移動要塞、エネルゲン水晶鉱山、中央コンピュータ施設、火山帯、又はスクラップ工場で正体不明のイレギュラーが大量発生しています!!」
 
「首謀者はわからないのか?」
 
「すべてのエリアは特定できておりませんがコンピュータ施設では数時間前、先の反乱で行方不明になっていた特A級ハンター マグネ・ヒャクレッガー、火山帯ではフレイム・スタッガーらしき姿が目撃されています!」
 
「・・・・・シグマの反乱時離反したスタッガーか。」
 
エックスは腕を組みながらどうするか考える。
 
「遅れました!すみません!!」
 
ブートビードが慌てて入ってくる。
 
「遅刻・・・・・と言いたいところだが大丈夫なのか?先の作戦で怪我しただろう?」
 
「俺は大丈夫です!!あのぐらいの怪我で寝込んでたら兄貴に笑われちゃいますんで。・・・・・ところで副隊長は?」
 
「そう言えば、今日はまだ来ていないな。」
 
エックスは部屋を見まわしながら言う。いつもは自分よりも早く待機しているマーティが今日はどこにもいないのだ。
 
「あら?エックス隊長、ご存じないんですか?」
 
「どういう事だ?」
 
「マーティ副隊長は、エックス隊長からの指示で先に気象コントロールセンターに行ってくると・・・・・・」
 
「いや、俺はそんな事言ってないぞ!?」
 
オペレーターからの言葉にエックスは思わず動揺する。
 
「え、エックス隊長・・・・・・・」
 
「んん・・・・・・・本当は君と組ませて別エリアに向かわせる予定にしていたんだが・・・・・・」
 
「なら、俺一人で行きます。隊長は副隊長を連れ戻してきてください。」
 
「しかし・・・・・」
 
「俺だって降格はされたけど元特A級ハンターです。一人で何とかやってみせます。」
 
ビートブードの言葉でエックスは少し悩むがこうしている間にもマーティが危険なことをしようとしていると思うとやむを得ないと考えた。
 
「・・・・・・わかった。オペレーター、俺を気象コントロールセンター、ビートブードは火山帯へ転送してくれ。」
 
「了解しました。」
 
「ビートブード、危険だと判断したらすぐに撤退するんだぞ。君に万が一のことがあったらクワンガーに申し訳が立たないからね。」
 
「ご心配なく。隊長も副隊長のことちゃんと連れ戻してくださいよ。」
 
「わかってる。連れ戻し次第、そっちに向かうからな。」
 
「エックス隊長、転送装置の準備が整いました。これより、お二人を各エリアに転送します。」
 
「頼む。」
 
「転送5秒前、・・・・・・3,2,1、転送!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
気象コントロールセンター
 
「眩しい~!!」
 
マーティは、気象コントロールセンターの環境の変化に苦労しながらもケインから受け取った装備を駆使して施設の中を進んでいた。
 
「シールドブーメラン!!」
 
マーティが投げるとシールドは回転し、メカニロイドを切り裂くと彼女の手元に戻ってくる。
 
「思っていたよりも使い勝手がよさそうね!この調子で行くわよ!!」
 
そう言いながら今度は槍を展開し、ホッピングしながら移動する。
 
「アタシだってやればできるんだから・・・・・・・・一人でもイレギュラーを倒せばエックスだって・・・・・・」
 
 
 
 
 
そのわずか数分後、エックスがセンターへ転送され、彼女を追った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
コントロールルーム
 
「わあぁ!!何なんだよあの女!!僕の家に勝手に上がり込んだと思ったら勝手に作った玩具壊しやがって!!」
 
子供みたいな口調で一体のレプリロイド ワイヤー・ヘチマールがこちらに向かってくるマーティに対して怒りをぶつける。
 
「しかもあのおじさんが言っていた青いレプリロイドも出て来たし!!一体僕がなにしたって言うんだよ!!家で玩具造って遊んでいただけなのにどう・・・・・・・」
 
「見つけたわよイレギュラー!!」
 
「!?」
 
ヘチマールは後ろを振り向くとそこには槍を構えたマーティが既に来ていた。
 
「何なんだよお前!!勝手に人の家に上がり込んで!玩具ぶっ壊して!!何の用だよ!!」
 
「家?イレギュラーが何言ってんのよ?アンタがこのセンターを占拠したんでしょ。」
 
「違うもん!!ここは僕の家だもん!!僕の家で玩具を造ろうが遊ぼうが別にいいじゃないか!」
 
「だからアンタの家じゃないって。」
 
「だっておじさんがここにいる人たちみんな壊したら好きにしていいよって言ってたんだ!!」
 
「おじさん?誰の事?」
 
「教えないよ~だ!お前もあの青い奴も壊してやる!」
 
ヘチマールは、そう言うと蔓型のチェーン『ストライクチェーン』でマーティを攻撃する。
 
「青い奴って・・・・・・まさかエックス?」
 
マーティはヘチマールの攻撃を避けながらしまったと思った。
 
今回の出撃は自分の独断だ。故にエックスは心配して自分の後を追ってきたのだ。
 
「・・・・・でも、こんなところで助けられたんじゃハンターとしてアタシはいつまでもエックスの隣に立つ事ができない・・・・・ここは何としてもこいつを倒さなくちゃ。」
 
マーティは、ホルスターに収めてあるバスターショットを取り出し、牽制のために撃つ。
 
「そんなへっぽこ弾効かないよぉ~だ!!」
 
ヘチマールは、チェーンを天井に飛ばしてぶら下がりながら避ける。
 
「だったらこれでどう?」
 
マーティはシールドブーメランを投げる。ブーメランはチェーンを切断し、ヘチマールは地上に落下する。
 
「痛っ!?やったな!!」
 
ヘチマールは膨れっ面になり頬を膨らませると頭部の花が角に生え変わる。
 
「あら?怒り過ぎたせいで鬼になっちゃった?」
 
「ぶう~!!お前なんか死んじゃえ~!!」
 
ヘチマールが叫ぶと同時にコントロールルーム一帯に雷撃が降り注ぐ。
 
「えっ!?嘘!?」
 
マーティはシールドブーメランでガードするが雷撃は問答無用に彼女の体を直撃する。
 
「きゃああああぁぁぁぁぁぁああ!!!!」
 
雷撃によりマーティは、体のあちこちから煙を吹き出し倒れる。
 
「いやった~!!僕のことをバカにするからそうなるんだ!!」
 
ヘチマールは笑いながらマーティに近づいて行く。マーティは動こうとするがどこか壊れたのか体が動かない。
 
「う、うぅ・・・・・・・・」
 
「さあて、どうなって遊ぼうかな?電磁メスでその体をバラバラにして首だけメカニロイドにくっつけるか、それとも的にして顔だけ狙い撃ちするか・・・・・・どの遊びがいいかな~。」
 
ヘチマールはニヤニヤしながら考え込む。マーティは、思わぬ発言に顔を青くする。
 
「ぐっ!動け!動きなさいよ!!」
 
無理して体を動かそうにも手足が全然いう事を聞かない。このままではこのイレギュラーの玩具として殺されてしまう。
 
「う、うぅ・・・・・(こうなるんだったら素直に待っていればよかった・・・・・・・・エックスの足を引っ張って死ぬなんて・・・・・女としてもハンターとしてもアタシ最低・・・・・・・)」
 
何もできない自分への悔しさのあまり涙まで込み上げてきた。
 
「あれ~?もしかして怖くなって泣いちゃった?フ~ンだ。でも許さないもんね~!」
 
ヘチマールはそんなマーティの反応を見ながら踊り出す。それが死の舞に見えて一層彼女を追い詰める。
 
「うわあぁ~ん!!エックス助けて~!!」
 
「き~めた!!えっと君で遊ぶのは・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ガンマンごっこはどうだ?」
 
「「ん?」」
 
突然の第三者の声に二人は入口の方を見る。入り口にはエックスが立っていた。
 
「エックス!!」
 
「何だよお前?せっかくこれから遊ぼうと思ったのに・・・・・・」
 
泣き喜び状態のマーティに対してヘチマールは不満そうな顔をして言う。そんなヘチマールに対してエックスは堂々と近づいてくる。
 
「遊ぶんだろ?でも一人だとつまらないと思わないのか?」
 
「えっ?う~ん・・・・・・・・つまんないかも。」
 
エックスの問いにヘチマールは少し首をかしげると何となく言う。
 
「だったらそう簡単に壊しちゃダメだ。もっと有効に使わなきゃ。」
 
「じゃあ、どうすればいいの~?」
 
「簡単さ、どっちが銃を撃つのがうまいのか競争するんだよ。」
 
エックスは、笑いながら言う。
 
「俺と君でどっちが早く相手を撃てるのか?合図と同時に決めるんだ。」
 
「勝ったらどうなるの?」
 
「そりゃあ、今まで通りの生活に戻ってあの子を自由にしていいんだよ。」
 
「ちょっ、エックス!?」
 
「う~ん、でもお前が勝ったら?」
 
「それはどうなんだろうね~?」
 
「う~!教えてくれたっていいじゃないか!!」
 
「なら勝てばいいんだよ。もしかして自信がない?」
 
エックスは意地悪そうな顔でヘチマールを見る。
 
「うっ!?じ、自信ならあるさ!僕が勝つに決まってる!!」
 
「よし。じゃあ、まずは背中を合わせて。」
 
ヘチマールは言われるがままにエックスに背中を合わせる。
 
「やったぞ。」
 
「じゃあ、お互い『1,2・・・・・・の、3!』といったと同時に相手に向かって撃つんだ。それで倒れた方が負け。」
 
「よおぉ~し!絶対にやっつけてやる!」
 
ヘチマールは自信満々にエックスの話に乗る。
 
「じゃあ、行くぞ。」
 
「「1」」
 
2人が声かけと同時にゆっくり離れて行く。
 
「「2」」
 
お互い武器を構えて発射態勢に入る。
 
「エックス・・・・・・・」
 
マーティは心臓部をドキドキさせながら見る。
 
「「の・・・・・・・・・3!!」」
 
二人は同時に振り向く。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ズガ―――――――――――――ンン!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして銃声が響いた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「そ・・・・・・・・そん・・・・・なに・・・・・早い・・なんて・・・ずるいよ・・・・・・・」
 
ヘチマールは、頭部を撃ち抜かれて倒れる。エックスはバスターを通常の腕に戻すと司令部に通信を入れる。
 
「こちらエックス、気象コントロールセンターのイレギュラーを鎮圧した。イレギュラーをケイン博士のところへ持っていくように手配してくれ。」
 
そう言って通信を切るとエックスはヘチマールの体からDNAデータを抜き取り、バスターに組み込む。
 
「急所は外しておいたからケイン博士ならうまく直せるだろう。」
 
エックスは、呆れた顔をしてマーティを抱きかかえる。
 
「全く・・・・・・・いつもは待機していたのにどうして勝手に出撃・・・・・・・!?」
 
質問しようとしたエックスだがマーティの顔を見て思わず言葉を失う。いつもは本当に女性型か?と言うぐらい強気だった彼女が自分の胸の中で何処かしらにいそうな少女のように泣いていたのだ。
 
「うぅ・・・・・・・・ううう・・・・・・・」
 
「そ、そんなに泣かれても・・・・・・・・命令違反は命令違反だからな!」
 
彼女の顔を見て言いづらそうだったがエックスは立場上言う。
 
「・・・・・・どうして勝手に出撃した?」
 
「・・・・・・・・認めてほしかったから。」
 
「?」
 
マーティの言葉にエックスは思わずきょとんとする。
 
「・・・・・・・アタシ、今までイレギュラーをまともに倒した戦績もなかったし、危ないところはいつもアンタに助けられっぱなし。だから、今度は手間を掛けさせないようにって爺さんからの装備で行ったのに・・・・・・・」
 
そこまで言いかけたところでマーティはまた泣き出す。
 
「け、けっきょ、きょく・・・・・・勝てなかった・・・・・・じいさんに無理に頼んで態々作ってくれたのに・・・・・・・アタシって・・・・もうハンター失格だよ・・・・・・・何もできやしない・・・・・・・」
 
「・・・・・・・・」
 
そんなマーティに対してエックスは思わずジャイアンの妹ことジャイ子を思い出した。
 
彼女は将来漫画家になるべく、新人賞に応募しては何度も落選するという苦い経験を味わっていた。ジャイアンからの話を聞くなりよく何度も諦めかけながら起き上がっては自信作を書いては挑む・・・・・・それが今のマーティと何となく似ていた。
 
エックスは彼女の頭を撫でながら基地へと戻り始める。
 
「・・・・・悪かったな。そんな悩み事を聞いてやれなくて。」
 
「!?」
 
「俺だって最初っからイレギュラーと戦えたわけじゃないさ。それにそれよりも前はすぐに諦めちゃうような奴だった。まあ、一緒にいた親友がいろいろ言ってはやってくれたけど。」
 
「・・・・・・・」
 
「俺は別に君が弱いとか宛にならないとか思ったことは一度もないよ。それどころか信用しているし、いつも仕事をサポートしてくれることに感謝しているよ。」
 
「エックス・・・・・・」
 
「・・・・ちゃんと直ったら、また別のイレギュラーと戦うことになる。負けることなんかいくらでもある。でも、そこから立ち上がろうとすることも大事なんだ。だから、そんな風に言うんじゃない。」
 
「う・・・・うん・・・・・・」
 
マーティは、少し恥ずかしそうな顔をしていたが何かがほぐれたような気がした。
 
「・・・・・早く、ビートブードの方にも行かなきゃな。」
 
エックスはそう思いながら一旦基地へ帰還する。 

 

フレイム・スタッガー

 
前書き
イレギュラーハンターって高い確率で離反者多いな。 

 
火山帯
 
エックスと本部で別れたビートブードはただ一人イレギュラーが潜伏していると思われるエリアへと向かっていた。
 
「・・・・・・暑い。」
 
ビートブードは、体の冷却機能を全開にして火山帯の空洞エリアを通り抜ける。このエリアは、活火山の熱をエネルギー発電に利用できるように改造が施されているが所々からマグマが吹き上がるところがあるため人間がここに来ることはまずない。しかし、レプリロイドでも対応した装備をしてこなければマグマに呑まれ、ボディを溶かされてしまう。
 
「うわぁ・・・・またマグマだ・・・・・」
 
ビートブードは迫り来るマグマを飛行しながら避けていく。イレギュラーハンターに所属しているレプリロイドはある程度の過酷な環境には耐えられるが現場に完全に適応したものとは違い、長時間は持たない。彼は急いで、目的地を目指して行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
火山帯 最深部
 
ビートブードは炎が噴き出す崖を越えるとやっと最深部へと到着した。
 
「誰もいない・・・・・・報告では確か・・・・・おっと、その前にこの火山のコントロールを止めないと。ほっといたら火山が噴火してその火山灰が太陽を遮っちゃって太陽発電がストップしてしまう。今の電力エネルギーって大半が太陽光発電とかに切り替えられているからな・・・・・」
 
ビートブードは、コントロールパネルを見つけると早速操作しようとするが・・・・・
 
「グウオォォラアァァア!!!勝手にそのパネルを操作するんじゃねえぇえ!!」
 
「ひっ!?」
 
上からの罵声に思わずビートブードは思わず引き下がる。声の主は上から壁から壁へと飛び降り、ビートブードの目の前に着陸する。
 
「あぁ?どこのだれかと思ったらエックスじゃなくて“弱虫ビートブード”じゃねえか!」
 
「ふ、フレイム・スタッガー・・・・・・・・」
 
目の前に現れた鹿型レプリロイドを目の前にしてビートブードは言う。
 
「懐かしいなぁ・・・・・・・最後に会ったのはシグマ隊長が反乱を起こす少し前か?てめえはあの反乱で処分されなかったようだが兄貴のクワンガーは処分されちまってショックか?」
 
スタッガーは、意地悪そうな顔をしながら腕を組んでビートブードを見る。
 
「ち、違う・・・・・・・・兄貴はVAVAに殺されたんだ・・・・・・・」
 
「けっ、まあいい。ここに一人で乗り込んできたってことは死ぬ覚悟できたんだろうな?」
 
スタッガーは、挑発するかのように角の炎を一瞬大きくした。ビートブードは、オロオロしながらもスタッガーと対峙する。
 
「ス、スタッガー・・・・お、お前には・・・・前回の反乱に加わったことと・・・・・今回のイレギュラー的行いでイレギュラー認定されている。お、大人しく・・・投降しろ!!」
 
「はぁ?何言っているか聞こえねえな?」
 
スタッガーはワザとらしく聞こえない振りをする。
 
「投降しろって言っているんだ!」
 
「なに?投稿?投稿しろだって?俺は漫画家じゃないんだぜ?」
 
「ふざけるな!!降伏しろと言っているんだ!!」
 
ビートブードは思わず叫ぶがスタッガーは、その瞬間高速で彼の目の前に迫り顔面を殴り飛ばした。
 
「ぐっ!?」
 
「あぁ?誰に向かって口きいているんだ?“弱虫”がよ!!」
 
スタッガーは、追撃で火炎を拳に纏わせて彼の腹に連続で殴りつける。ビートブードは、膝をつく。
 
「ぐう・・・・・・」
 
「それにスタッガー?“スタッガーさん”って呼べよ!!昔みたいにな!!」
 
スタッガーは、ビートブードを蹴り飛ばすとその頭を踏みつけて言う。
 
「う、うぅ・・・・・・」
 
「あ~こうしていると本当にハンターだった頃のことを思い出すな。あの時もお前は俺にやられていていっつもその場に駆け付けたクワンガーに助けてもらってたもんだよなぁ!!」
 
「があぁ!!」
 
「所詮てめえはクワンガーがいなけりゃ何にもできねえ弱虫だ!!」
 
「ブッ!!」
 
「てめえの兄貴もがっかりだろうな!!こんな不出来な弟が生きているんじゃあなぁ!!」
 
「グウウ!!」
 
「ハッハハハハハハハハハ!!!オラ、どうした?昔みたいに言ってみろよ!!『助けて兄さん』ってよ!!ヒャッハハハハハハハハ!!!」
 
スタッガーは、笑いながらビートブードを蹴りまくる。ビートブードはボロボロになりながらその場で倒れる。
 
「あ~あ~面白かった。さて、弱虫には次の獲物が来る時の人質となってもらおうかねぇ~」
 
「ひ・・・・・・・人質?」
 
「エックスさ。あの野郎、今はシグマ隊長に代わって隊長になっているんだろ?昔からむかつく野郎だったからな。俺が新人をいじめていたらやめろって止めに来てよ・・・・・少し痛めつけてやろうと思ったらあいつの早打ちで負けて大恥をかかされて・・・・・・・・あの時の屈辱と言ったら忘れるにも忘れられねえ!!だから、奴を徹底的にぶちのめすために俺はある奴から強化改造をしてもらった!!今度は負けねえ!!今度こそ絶対に奴をバラバラにして溶かしてやるぜ!!!」
 
スタッガーは、狂ったような笑いをしながら叫ぶ。
 
(あ・・・・兄貴・・・・・・やっぱり怖えよ・・・・・・)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
シグマの反乱前 エックス入隊前のハンターベース
 
「オラ!」
 
「ガアァ!!」
 
スタッガーは、夕方ハンターベースの倉庫でビートブードを殴っていた。スタッガーが殴る原因になったのはビートブードの認定されたハンターランクだった。
 
「なんでてめえが最初っから特Aなんだ!!俺は最初A級からだったのによ!!てめえ、先に入隊していた兄貴に頼み込んで裏工作していたんだろ!!」
 
「ち・・・・・・違う・・・・・・僕はそんなことは・・・・・・・」
 
「嘘つきな新入りはどんな目に遭うかわからせなきゃならねえな!!白状しねえならまずはその自慢の角が折れるまで殴ってやるぜ!!」
 
「うっ、うぅ・・・・・・・」
 
「おやめなさい二人とも。」
 
そこへ聞いていたのかクワンガーが入ってきた。
 
「く、クワンガー!?」
 
「に、兄さん・・・・・・・・」
 
「全くスタッガー、貴方という者が・・・・・・入隊したばかりのハンターに暴行を加えるとは・・・・・これは問題行為ですよ。」
 
「くっ!」
 
スタッガーは、ビートブードを離すとその場から逃げるように走り去っていった。クワンガーは、ビートブードの方を見ると彼は体育座りをしながら泣いていた。
 
「う、うぅう・・・・・・」
 
「ふう・・・・また泣いているのですか?」
 
「兄さん・・・・・」
 
ビートブードは、泣きながらクワンガーに抱き着く。
 
「およしなさい。人間の子供ではないんですから。」
 
「兄さん・・・・・僕は・・・・・・僕は・・・・・人間を守るために作られたからイレギュラーハンターに入ったのに・・・・・・なんでこんな目に・・・・・」
 
「スタッガーは、結構な問題児ですからね。彼どころかこの部隊にはVAVAといい問題児はいくらでもいるんですよ。」
 
「こ・・・・・こんな目に合うんだったらガルマ隊長の第二部隊に入ればよかったよ・・・・・・・ガルマ隊長面倒見がいいし・・・・・・」
 
「・・・・・・なら、変えますか?」
 
「えっ?」
 
クワンガーの一言でビートブードは思わずきょとんとした。
 
「シグマ隊長にあなたの配属先を17部隊から2部隊に転属してもらうよう申請します。」
 
「え、えっ!?ちょっ、ちょっと待ってよ!!」
 
その場から去ろうとするクワンガーをビートブードは慌てて止める。
 
「なんですか?」
 
「ぼ、僕はそれでいいけど兄さんは一体どうするのさ!?」
 
「私はこのまま17部隊に残りますよ。別に何の問題もありませんから。」
 
「い、いやだ!!兄さんも一緒に別部隊に行こうよ~!僕一人なんて嫌だよ~!!」
 
「では諦めて17部隊に残るしかありませんね。」
 
「うぅ・・・・・・・・・・」
 
クワンガーに言われてビートブードは何も言えなくなってしまう。
 
「ビートブード、貴方もイレギュラーハンターになったのならいつまでも弱虫ではイレギュラーにすら舐められますよ。もう少し自信を持てるような異名がなければ・・・・・・・そうですね・・・・・・」
 
「い、異名?」
 
「特A級ハンターの中には異名を持つものが多いのです。イーグリードは天空の貴公子、マンドリラーは豪速拳の雷王、そして私も時空の斬鉄鬼という異名を持っています。」
 
「で、でも・・・・・僕、弱虫だから・・・・・・・」
 
「“弱虫のビートブード”ではシャレになりませんからね。・・・・・・・・あなたの形状から考えると『鋼鉄』というワードを入れたほうがいいですね。後は・・・・・・・」
 
「兄さん・・・・・・スタッガーさんにも異名があるの?」
 
「彼にそんな言い方をしていたのですか?だから、舐められているんですよ。彼は、ヒートナックルチャンピオン。その名の通り格闘戦が得意ですからね。」
 
「・・・・・・・いつか超えたいな・・・・・・」
 
「超えるですか・・・・・・・なら『リベンジ』、リベンジャーと合わせて“鋼鉄のリベンジャー”というのはどうでしょうか?いつか彼を超えるハンターになるという意気込みにはピッタリでしょう。」
 
「鋼鉄のリベンジャーか・・・・・・うん。なんか強くなれそうな気がするよ。」
 
「なら今日からあなたは『鋼鉄のリベンジャー グラビティー・ビートブード』として頑張りなさい。今までの弱虫ビートブードを超えて。」
 
「うん!わかったよ兄さん・・・・・・じゃなくて兄貴!!」
 
ビートブードは腕を上げながら言う。
 
「よおし!今日から僕・・・・・いや!俺は『特A級ハンター 鋼鉄のリベンジャー グラビティー・ビートブード』だ!!がんばるぞ!!」
 
「・・・・・その意気なら問題はなさそうですね。」
 
クワンガーは安心したような顔で後ろから彼を見ていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
現在
 
 
「・・・・・・兄貴・・・・・」
 
「まっ、エックスをなぶり殺しにした後はてめえも一緒に始末してやるからな!よかったな!バカなクワンガーと一緒になれてなっ!」
 
「ば、バカ!?」
 
スタッガーの一言にビートブードは反応する。
 
「あっ?聞こえなかったか?バカって言ってやったんだよ。エックス如きにやられてよ~、ゼロやシグマ隊長に殺されたんならまだしもおまけにVAVAの不意打ちで死んだってな・・・・・くっ、くっくっくっ・・・・・・こんなバカげたことがあるか?まあ、あの頑固頭にはピッタシだな!ナッハッハハハハ!!」
 
スタッガーはビートブードを踏みつけながら大笑いする。
 
「ハッハハハッハハハハハハ!!フッハハハハハハハ!!」
 
「・・・・・・・・・取り消せ。」
 
「ハッハハハハ・・・・・ハッ?今なんて言ったんだ?聞こえねえぞ?ハッハハハ・・・・」
 
「兄貴に対して言ったことを取り消せ!!」
 
「ぬっ!?」
 
突然体を起こしたビートブードによってスタッガーは転ぶ。
 
「痛てえな・・・・・・なにしやがんだ!!この・・・・・・うっ!?」
 
スタッガーはビートブードに文句を言おうとしたが目の前にいるビートブードの顔を見てギョッとする。
 
「俺のことは何でも言ってもいい・・・・・でも・・・・・兄貴は・・・・・・死んだ兄貴のことを言うのは許さねえ!!」
 
「うっ・・・・・・・(な、なんなんだコイツ!?さっきまでは何ともなかったのになんかすげえヤバイスイッチ入っちまったような気がする・・・・・・こいつ、本当にあの弱虫だよな!?)」
 
「兄貴のことを取り消せ・・・・・・・兄貴のことを悪く言うのは俺が許さねえ・・・・」
 
ビートブードは、鋭い眼差しでスタッガーに近づいてくる。
 
「くっ!調子に乗るなよ!!弱虫が!!これでも喰らえ!!ラッシングバーナー!!」
 
スタッガーは、自分の拳に炎を纏わせ、ビートブードに向かって飛ばす。ビートブードが立っていた場所はたちまち炎に包まれる。
 
「ハッ・・・・ハッハッハ・・・・・ざまあねえな!!誰がてめえの言う事なんか聞くかよ!!」
 
炎の向こうからは何も聞こえない。始末したのだとスタッガーは安心した。
 
「フッ、どうやらくたばったようだな。さてと・・・とっととお仕事に・・・・・・」
 
「やっぱりお前はどうしようもないイレギュラーだな。」
 
「!?」
 
炎の中からビートブードの声が聞こえて思わずスタッガーは、振り向く。
 
炎が中心へと吸い込まれている。少しすると炎は完全に消え、ビートブードの姿が現れた。
 
「バ・・・・・バカな!?・・・・・いや、待てよ?そう言えば奴には・・・・・・・小型ブラックホール・・・」
 
「イレギュラー フレイム・スタッガー!!お前は、このイレギュラーハンター グラビティー・ビートブードが処分する!!」
 
ビートブードは、バーニアを吹かしてスタッガーに突進する。いつもなら避ける事ができたスタッガーだがこの時ばかりは足が震えて避ける事ができず、そのまま壁に激突する。
 
「ブベッ!?」
 
身体の一部が破損したのかスタッガーは跪く。ビートブードは、冷徹な眼差しで彼を見る。
 
「うっ!?」
 
「お前は俺どころか死んだ兄貴にまで罵声を浴びせた。・・・・・・もう投降意思も何も関係ない。」
 
「まっ、待ってくれよ!?」
 
スタッガーは、正座をしてビートブードの前に命乞いをし始める。
 
「お、俺が悪かった!!許してくれ!!なっ!お、お前の兄貴にも悪口言ってな!?お前のこといじめたのも反省するって!これからは改心して人間のために働くからさ!!ねっ?ねっ?」
 
スタッガーは土下座をして言う。
 
「・・・・・・・ダメだ。お前は、俺たち兄弟は愚か無関係なレプリロイドまで破壊した。そんな嘘にはだまされない。」
 
「・・・・・・・・・・・・くっ。・・・・・・だったら・・・・・・・・だったらてめえをここで道連れにしてやる!!」
 
スタッガーは頭部の火炎を最大出力にしてビートブードに飛び掛かろうとする。
 
「こいつは元々エックスを抹殺するために組み込んだパワー増幅器で得た力だ!!俺自身にも負担が半端ねえがてめえに殺されるぐらいならこれで・・・・・・・」
 
その時、スタッガーの首に何かが当たった。するとスタッガーの頭部はズルリと落ちてボディも力を失って倒れた。
 
「・・・・・・・えっ?お、俺の・・・・体?い、一体どうなってんのこれ?」
 
目の前にいるビートブードを見ると右腕がバスターに変形しており、何かブーメランのようなものが彼の元へ戻ってきた。
 
「く、クワンガーのブーメランカッター・・・・・・・・」
 
「・・・・・・・あの反乱が終わった後、エックス隊長が返してくれた兄貴のDNA端末と武器をケイン博士に頼んで組み込んでもらったんだ。仕様上、一回の戦闘であまり多用できないけど。」
 
「い、いや~すごいね~ビートブード君!!いや、驚いちゃったよ、マジで!!それならどんなイレギュラーにも対処できるね~!!いや~アッハッハッハッハッハッハ・・・・・・・」
 
目の前に迫るビートブードに首だけになってしまったスタッガーは、何とか誤魔化そうと笑う。
 
「・・・・・・・お前に褒められても嬉しくないよ。」
 
「ハッ、ハッハッハッハ・・・・・・・」
 
ビートブードの足がスタッガーの頭を踏みつけようとする。
 
「ちくしょうおぉぉぉぉぉぉ!!!こんな・・・・・こんな弱虫に殺されるなんてぇぇぇぇぇえ!!!クッソタッレエェェェェェ!!!!」
 
 
 
 
グシャ
 
 
ビートブードの足はスタッガーの頭部を完全に踏み潰した。
 
「俺はもう弱虫じゃない。」
 
ビートブードは、スタッガーのボディからDNA端末を取り出すとゆっくりと歩き去っていく。
 
「俺は、鋼鉄・・・・・・・鋼鉄のリベンジャー、グラビティー・ビートブードだ。」 
 

 
後書き
ブートブードとクワンガー・・・難易度高いと思うけどXチャレンジで共演してほしかった。 

 

ホイール・アリゲイツ

 
前書き
サイバーミッションのアリゲイツは攻略しづらい。 

 
ハンターベース 治療室
 
「よし、マーティ。試しにジャンプしてみるんじゃ。」
 
「えぇ・・・・えい!やあ!!」
 
ケインに言われてマーティは、ジャンプをしてみる。ケインの横ではエックスが見守る。
 
「何か違和感はあるか?」
 
「ううん。むしろ前よりも動きやすくなったみたい!」
 
「ホッホッホッ、そうかそうか。それならよかったのう。」
 
ケインはニッコリと笑いながら言う。
 
「ちなみに精密機械の部分も前回のようにショートせんように補強しておいたぞい。」
 
「ありがとう、じいさん。」
 
「すみませんケイン博士。」
 
エックスは頭を下げながらケインに礼を言う。
 
「なあに、戦闘用に改造したワシの詰めが甘かったというのもあるからのう。しかし、ここに来た時と言ったら・・・・・・ぷぷぷ・・・・」
 
エックスに抱きかかえられて入ってきたときのことを思い出してケインは思わず吹き出す。
 
「ちょっ、今言わなくたっていいじゃない!!」
 
「ケイン博士、からかいすぎですよ。」
 
「ホッホッホッホッホッ・・・・・・」
 
そこへボロボロになったビートブードが戻ってきた。
 
「エックス隊長、ただいま戻りました・・・・・・」
 
「ビートブード!?」
 
ビートブードの姿を見るなりエックスは驚く。
 
「ど、どうしたんだその傷は!?」
 
「火山帯で元特A級ハンター フレイム・スタッガーと交戦して破壊しました。」
 
ビートブードはそう言うとエックスに取ってきたDNA端末を渡す。
 
「スタッガーって・・・・・」
 
「はい、火山を噴火させようと企んでいたのでイレギュラー認定して処分しました。」
 
「そうか、ご苦労だったな。」
 
「隊長も副隊長のことちゃんと連れ戻したようですね。よかったよかった。」
 
「ちょっと、なんでアタシのことを逃げ出したペットみたいに言うのよ。」
 
「えっ?いや、俺はそんなつもりで副隊長のことを言ったんじゃ・・・・・・・・・」
 
そのとき、ハンターベースに緊急警報が鳴り始めた。
 
「今度はなんだ!?」
 
エックスは、通信機を取って指令室に繋げる。
 
「一体何の騒ぎだ!?」
 
『エックス隊長!シティ・アーベルから東45キロ離れたオイルプラントにて停止していた恐竜型の巨大移動要塞が移動を再開しました!!後一時間もすればシティに到達します!!』
 
「あの停止していた要塞が動き出したか!」
 
エックスは、急いで部屋を出ようとする。
 
「エックス待って!!」
 
「!?」
 
マーティに呼び止められてエックスは足を止める。
 
「アタシも連れてって。」
 
「・・・・・君は、さっき直ったばかりなんだ。別に無理しなくても・・・・・」
 
「力になりたいの。だから、お願い。」
 
「・・・・・・・・」
 
エックスは少し考える。
 
「・・・・・・じゃあ、俺の言う事はちゃんと聞くこと。それでいいなら一緒に連れて行くよ。」
 
「うん、わかった。」
 
「無理したら強引にハンターベースに戻ってもらうからな。ビートブードは、手当てを受けた後合流してくれ。」
 
「了解しました。」
 
「はーい!!」
 
「・・・・・・大丈夫かな。」
 
ビートブードをケインに任せ、二人は一緒に司令部へと向かって行く。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
恐竜型移動要塞
 
「すごいメカニロイドの数ね。」
 
マーティは、バスターショットで迫ってくるメカニロイドを撃ち落としながらエックスの援護をする。
 
「ハンターベースのデータにもなかったからよくわからないけど、これほどの規模の要塞ならおそらく前回の反乱時に既に製造されていた可能性は、十分にあり得るな。」
 
エックスもバスターを撃ちながら下に降りようとしたとき足を止める。
 
「?エックス?」
 
「・・・・・・・」
 
エックスは黙って梯子を下りるのを再開する。
 
「・・・・・・この感覚は・・・・・まさか・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
梯子を下りてしばらく歩くとエックスは凹凸になっている天井をみる。
 
「あの辺から感じる・・・・・・」
 
「感じるって・・・・・なにが?」
 
エックスは壁蹴りをして天井へと凹凸へと足をかけて登る。マーティも真似て登ろうとするが爪先をぶつけてヒーヒー言いながら手で押さえながら涙目になる。
 
天井に上ると案の定、シグマの反乱時に見た例のカプセルがあった。
 
「やっぱり・・・・・・・・」
 
「エックス~~~アタシはどうやって登ればいいの~~~?」
 
「・・・・・」
 
下から叫ぶマーティにエックスは仕方なくワイヤー・ヘチマールの時に習得したストライクチェーンを伸ばして登らせた。
 
「別に此処まで着いて来なくてもいいんだけど・・・・・・」
 
「いいの!あんな場所で乙女を一人にする人なんていないでしょ!」
 
「・・・・ハンターベースを出て来た時と言っていることが矛盾しているんだけど。」
 
エックスは苦笑するとカプセルに近づく。するとカプセルが開き、例の老人が姿を現す。
 
『久しぶりじゃのう、エックス。どうやらまた大変なことになってしまったようじゃな。』
 
「ライト博士。」
 
「えっ?誰!?このおじいさん?エックスの知り合い?」
 
目の前に現れたライトに対してマーティは思わず動揺する。
 
『エックス、前回のアーマーに蓄積されたデーターを基に新たな強化アーマーを完成させたぞ。』
 
「本当ですか?」
 
『うむ、おそらく今回の戦いもかなり激しいものとなるじゃろう。戦いが続いてしまう事は哀しいことじゃがお前ならその戦いの先にある平和を必ず掴み取れると信じておる。』
 
ライトは優しい眼差しでエックスを見る。
 
『このカプセルに入るんじゃ、エックス。このカプセルでは、チャージショットをパワーアップさせるアームパーツを授けよう。アームパーツを装着すれば、両手にエネルギーを貯めて連続で攻撃することができるダブルチャージショットを放つ事ができるようになる。このアームパーツによってあらゆる特殊武器と組み合わせることによってより強力な攻撃をすることも可能じゃ。』
 
「はい。」
 
エックスは、カプセルに入る。するとかつてのようにエネルギーが充填されていくと同時に温かいものに抱かれるような感覚が身体中に満ちてゆく。カプセルから出るとエックスの両腕に前回とカラーリングが酷似したアームパーツが装着されていた。
 
「ありがとうございます、ライト博士。」
 
『頼んだぞ、エックス。』
 
「ちょっ、ちょっ、ちょっ、ちょっと!?」
 
「『ん?』」
 
二人はマーティの方を見る。
 
「なんでアタシを無視して勝手に話を進めるのよ!?アタシってそんな扱い!?ひど過ぎない!?」
 
「いや・・・・そんなわけじゃないけど。」
 
『君は確かマーティ・・・・・だったかな?エックスの戦闘データの中で君が助けてくれたことも記録されていたよ。エックスを助けてくれたことに感謝する。』
 
ライトは、彼女に頭を下げて礼を言う。無視されていたと癇癪を起こしていた彼女だったがライトの態度に態度を改める。
 
「べ、別にそこまで言われても・・・・・」
 
『ワシにはエックスに強化パーツを渡してやることしかできない。これからもどうかエックスのことを支えて欲しい。』
 
「は、博士!?」
 
「いや・・・・・別に・・・・・・やるだけのことはやるつもりですから・・・・うん・・・・大丈夫大丈夫・・・・・・」
 
マーティは顔を赤くしながら照れる。不思議そうな顔をしているライトとエックスであるが時間もあまりないため、そろそろ別れようと考える。
 
「では、博士。また別のパーツの時に。」
 
『あぁ、今回の戦いにおいても強くなるためにはパーツを揃えることが重要じゃ。』
 
「あぁ!?待って待って!!まだ終わっちゃダメ!!」
 
カプセルを閉じようとするとマーティが慌てて止める。
 
「どうしたんだマーティ?」
 
「べ、別にいいの!エックスは、先に行ってて!アタシ、このおじいさんにちょっと用事があるから!」
 
「ライト博士に?」
 
「早く!」
 
マーティに言われてエックスは渋々下に降りて先を急ぐ。それを確認するとマーティは再びライトの方へと向き合う。
 
『・・・・・・・で、何か頼み事でもあるのかな?』
 
「・・・・・・アタシ、今のままだとエックスのこと支えられる自信がないの。今まで助けてもらいっぱなしだし。ついさっきのイレギュラーとの戦いでそんなこと思っていないって言ってくれたけど・・・・・やっぱりこれから先の戦いでもっと強いイレギュラーが出てくるようになったら・・・・・・」
 
『・・・・・・それで。』
 
「アタシにエックスみたいな強化パーツを作ってほしいの。エックスみたいな強化アーマーを着ればアタシも少しは・・・・・・・」
 
『マーティ、君は何か一つ勘違いをしておる。』
 
「えっ?」
 
ライトの一言にマーティはきょとんとする。
 
『確かにエックスはワシの作ったアーマーを身に着けて強くなっているように見える。じゃが、アーマーは特殊能力を少し上乗せにしたに過ぎない。本当の強さはエックス自身の中に眠っておるのじゃ。』
 
「エックス自身の中?」
 
『エックスは、自分の守りたいものを守るために戦っている。君や仲間たちのために。その心がエックス自身の力を高めておるのじゃ。アーマーの性能で強くなっているわけではない。エックス自身が強くなっていくからこそアーマーはその性能を発揮するのじゃ。』
 
「心・・・・・・」
 
『君がエックスのことを支えたいと思うのなら君自身がその気持ちを持ち続けることじゃ。その感情が時に大きな力を発揮することになる。』
 
「おじいさん・・・・・・・」
 
『エックスはああ見えて傷つきやすい。どうか傍で間違えた道を歩まないように見守ってほしい。』
 
「・・・・・うん。アタシ、エックスのこと守ってみせるわ。」
 
『うん、それでいい。』
 
ライトはニッコリ笑うと姿を消し、カプセルが閉じる。
 
「さあて、アタシも急いでエックスに合流しなきゃ!」
 
マーティは天井から勢いよく飛び降りる。
 
 
 
 
 
グギッ!!
 
 
 
「ぎゃああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 
足を捻ってマーティは少しの間動けなくなった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
恐竜型移動要塞 甲板
 
「もう!いい加減に退きなさいよ!」
 
数分後、マーティは、足を引きずりながら運よく格納庫に保管してあったライドアーマー「ラビット」に乗って、要塞の頭部分に到着していた。
 
「どうしよう・・・・・・・ライドアーマーに乗れたからいいもののエックスのことを見失っちゃった・・・・・・・」
 
そのとき、自分の近くで何やら爆発音が聞こえる。
 
「目の方?」
 
マーティは、ラビットにロープを縛り付けて恐竜要塞の目に当たるところへと降りていく。中を覗いてみるとそこにはエックスの姿があった。
 
「エックス!」
 
 
中はオイルに満たされていてエックスの体には丸鋸のようなものがいくつも突き刺さっていた。
 
「くっ!」
 
「ガッハッハッハッハッハッハ!!!!どうしたエックス!!ご自慢のバスターで撃たんのか?」
 
オイルの海からワニのようなレプリロイドが姿を現す。マーティ自身も過去に所属していた海上レスキュー部隊時代で見たことがあったため相手の正体がわかる。
 
凶牙の重戦車 ホイール・アリゲイツ
 
元第6艦隊副隊長で凶暴な性格と仲間を巻き添えにしてまでイレギュラーを葬ることから部隊のハンターたちからも恐れられていた元特A級ハンター。シグマの反乱時に他のハンター同様に離反、反乱終息後に行方を暗ましていた。彼女とは別のレスキュー部隊も彼の攻撃に巻き込まれたことがある。ある者は破壊され、奇跡的に無事だった者でもトラウマで海に入れなくなり引退した者もいる。
 
エックスの体に突き刺さっている丸鋸も彼の武器であるスピンホイールというもので並のレプリロイドなら一撃で体を切断されてしまう代物である。
 
オイルによって動力炉が誘爆することを警戒してエックスは満足にバスターを撃つ事ができないでいた。
 
「ストライクチェーン!!」
 
「おっと!」
 
バスターから伸びる鎖をアリゲイツはオイルの中に飛び込んで避ける。
 
「またか!」
 
エックスは、壁に飛び蹴りしながらよじ登るがオイルで滑りやすくなっているせいでうまく上がれない。
 
「ガッハハハハハハ!!この部屋はワシの庭!この部屋に入ってきたことを後悔するがいい!!スピンホイール!!」
 
オイルの海から丸鋸が現れ落ちたエックスへと向かって行く。エックスはバスターの出力を抑えて丸鋸を撃ち抜くがそれでもいくつかがさらに体に突き刺さる。
 
「くうぅ・・・・・・・」
 
「どうじゃどうじゃ!!ここでお前を倒せば儲けもん!!シティもぶっ壊せば祭りもんじゃい!!ガッハハハハハ!!」
 
 
 
 
「どうしよう・・・・・なんとかしないと!」
 
マーティは、外から覗きながら急いで考えようとする。しかし、今の自分は片足がうまく機能しない。行っても足手纏いになってしまう。必死こいて考えているうちにあることを思い出す。
 
「そうだ!」
 
彼女はロープを引っ張ってラビットのところにまで戻る。そして、慎重に目のあたりにまで近づいて行く。
 
「うまくいけば、アーマーと一緒にアリゲイツを外に放り出せる。でも、一歩でも遅かったらアタシも・・・・・・・・・・いや、今は悩んでいられない!!気持ちよ、気持ち!!」
 
ラビットのブースターを全開にしてマーティは、要塞の目の部分から突進する。
 
 
そんなことも知らないアリゲイツは、自分の武器で動きが取れなくなったエックスにとどめを刺そうとしていた。
 
「よっしゃー!!これでとどめじゃい!!」
 
「くっ・・・・・・」
 
アリゲイツは、口を開けてエックスに向かって行く。
 
「行くぞいエックス!!これで・・・・・・」
 
「エックスウゥゥゥゥゥウウ!!!」
 
「「!?」」
 
窓に当たる部分から聞こえてきた叫びに二人は思わず目を向ける。そこからラビットに乗ったマーティが壁を破って飛び込んできた。
 
「なっ、なんじゃい!?」
 
「くたばれイレギュラー!!!」
 
ラビットのドリル付きの拳がアリゲイツの腹部に直撃し、抉り取る。
 
「グベッ!?」
 
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 
マーティは勢いのままにラビットの腕でアリゲイツを拘束し、向かい側の壁へと激突させる。壁は破れ、アリゲイツは動きが取れないまま地上に向かって真っ逆さまに落下していく。
 
「な、なんでワシが落ちるんじゃい!?ワシ、空が飛べんのじゃぞ!?」
 
アリゲイツは必死にラビットの拘束を解こうとするが逃れられない。
 
「えっ、えっ、え~~~!!!いやじゃいやじゃ!!ワシはまだ死にたくない!!死にたくないんじゃ~~い!!!!」
 
泣き叫びながら落ちていくアリゲイツに対してラビットのコックピットに乗っていたマーティはタイミングを見計らって脱出して、壁に手をかけるがオイルのせいで滑り落下しようとする。
 
「きゃあああああああああ!!!」
 
地上に向かって真っ逆さまに落ちていくと思っていた彼女であったがその手を誰かが握った。
 
「・・・・・・・・?」
 
いつまで経っても落ちないのに気が付いた彼女は上を見るとそこにはボロボロになっていたエックスの手がしっかりと自分の手を握っていた。
 
「・・・・大丈夫か?」
 
「エックス!」
 
エックスに引っ張ってもらうとマーティはすぐにエックスを見る。
 
「傷が・・・・・・」
 
「大丈夫。これくらいは・・・・」
 
「大丈夫なわけがないでしょ!!」
 
「!?」
 
エックスが丸鋸を引き抜きながらマーティを見ると彼女の目から大粒の涙が零れていたことに驚く。
 
「こんなにボロボロになって・・・・・・・何が大丈夫よ!!自分のことを棚に上げて・・・・・・」
 
「ま、マーティ?」
 
「もう・・・・・・自分ばっかり傷つけて・・・・・・・もしエックスに何かあったら・・・・・グス・・・・・・」
 
「ご、ごめん・・・・・・」
 
エックスは、マーティを抱きしめながら言う。
 
「心配かけてごめん。俺も無理しすぎたよ。だから・・・・・もう泣かないでくれ。」
 
「うっ・・・・・・今度あんなことしていたら許さないんだから!」
 
エックスは、マーティに支えてもらいながら立ち上がり、部屋を後にしていく。
 
ちなみにラビットが抉り取ったアリゲイツのパーツからDNA端末が見つかり、エックスの特殊武器が増えた。
 
 
その後、戻ってきた二人は、ケインにからかわれながら治療を受けた。 
 

 
後書き
X2のリメイクはよ 

 

メタモル・モスミーノス

 
前書き
モスミーノスの蓑状態がゴミの塊にしか見えない件。 

 
???
 
「・・・・・・・・エックスめ!」
 
薄暗い部屋の中で三人の人影がエックスたちの映像を見ていた。
 
「・・・・・流石一度とはいえ、シグマ様を倒しただけのことはありますね。」
 
「・・・・・・・それにしても奴の仲間も思っていたよりもやりおるわい。これでは、部下だけに任せてはおけんのう・・・・・・直接、ワシらの手で倒すしかないか。・・・・・・・くっくっくっ・・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース
 
「くっくっくっ・・・・・・・・今度は2人仲良くリペアすることになるとはのう・・・・・・・・くっくっくっ・・・・・」
 
ケインは笑いながらエックスとマーティのリペアを行っていた。エックスの方は確かにボロボロだったこともあるがマーティに関しては足の関節部の一部が破損していた。
 
「博士、笑われるのは嫌ですけど早く修理をしてください。まだイレギュラーは残っているんですよ?」
 
「そうよ!いくらなんでも笑いすぎでしょ!」
 
「くっくっくっ・・・・・いや、すまんのう。なんせあまりにもお似合いと言うかいいコンビと言うか・・・・・・・くっくっ・・・・・・・・ん?」
 
笑いながら修理を行うケインは、部屋の通信機が反応していることに気が付く。
 
「ぷっぷっ・・・・・・・ちょっと待っておれ。すぐに済ませるからのう・・・・・・」
 
ケインは作業台から離れて通信機を点ける。
 
「はい、どちら・・・・・・・・なにっ!?」
 
突然のケインの叫びにエックスとマーティは驚く。
 
「ど、どうしたんですか博士!?」
 
「何突然叫び声なんてあげるのよ!?」
 
「・・・・・・」
 
ケインは、通信機の音声を上げて真面目な顔で二人の方へと戻ってくる。
 
「・・・・・・・今回の事件の主犯を名乗るカウンターハンターというイレギュラーから通信が入ったのじゃ。」
 
「「カウンターハンター?」」
 
二人は顔を見合わせて言う。
 
「今、音量を上げておいた。」
 
『・・・・・・・ガ、ガガ・・・・・・・ガガガ・・・・・・・ロック・・・・・エ・・・・・・クス・・・・・・・・・・ゼロのパーツはワシらが手に入れた・・・・・・・・』
 
「なっ!?ゼロのパーツだとっ!?」
 
エックスは思わず叫ぶ。
 
『・・・・・・・・取り戻したければ・・・・・・』
 
『エックス、あなた一人で私たちに会いに来てください。』
 
『お前が俺たち全員に勝てれば、ゼロのパーツを返してやるぜ!!』
 
『楽しみにしていますよ・・・・・・・エックス・・・・・・』
 
 
そこで通信が途切れる。
 
「・・・・・・今言ってた通りじゃ。」
 
「ゼロって確かエックスの・・・・・・」
 
「・・・・・あぁ、今も眠り続けている俺のかけがえのない仲間だ。」
 
エックスは、拳を握り締めながら言う。
 
「どういう方法でパーツを手に入れたかは知らぬが連中はおそらくゼロをイレギュラーとして復活させることが目的なのじゃろう。」
 
ケインは、真剣な目で言う。
 
「えっ?じゃあ、なんでわざわざこっちに通信を入れてきたのよ?さっさと組み立てて復活させればいいのに・・・・・・」
 
「飽くまで仮説じゃが連中はゼロのコントロールパーツを持っていないせいなのかもしれん。」
 
「コントロールパーツ?」
 
「ゼロの行動を制御するための重要なパーツでそれがなければゼロは動く事ができん。」
 
「そのパーツは?」
 
「このハンターベースの研究室に大破したゼロのボディと共に保管してある。コントロールパーツがこちらにある以上、そう易々とゼロを復活させることはできんはずじゃ。」
 
「ケイン博士、急いで修理を!!なんとしてもゼロのパーツを取り戻さないと!!」
 
「わかっておる!エックスは、カウンターハンターを。マーティは、ビートブードと共に残りのイレギュラーを討伐に行くのじゃ!!これは、一刻を争うぞい!!!」
 
ケインは急いで修理のテンポを速める。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
スクラップ工場
 
「敵が出した座標の一つはここか。」
 
エックスは、マーティとビートブードを連れてスクラップ工場へと向かった。
 
「・・・・あの・・・・・エックス隊長、マーティ副隊長。」
 
「「ん?」」
 
「その・・・・・我々三人でここに来ていいんでしょうか?敵の話では一人で来いって言っていたのに・・・・」
 
「大丈夫よ、アタシとアンタはイレギュラーの討伐、エックスはゼロのパーツを取り返しに来ただけなんだから。自分たちの元に一人で来いって言っていたけど、三人別行動で同じ場所に来ちゃダメだとは言っていないでしょ?」
 
「そ、それはそうですけど・・・・・・・いいんですかね?」
 
ビートブードは、心配そうに言いながら二人について行く。そして、工場に入ってすぐにエックスは床下に違和感を感じる。
 
「この下に何かがある・・・・・」
 
エックスはスピンホイールを発射して床を削ってみる。案の定、床の下は空洞になっていた。
 
「マーティとビートブードは、先に行っててくれ。俺はここを調べてから指定されたポイントに向かうから。」
 
「了解。お気をつけて。」
 
「え~!いきなりそれはないじゃない。」
 
「文句言わない。お互いやることが終わったらこのポイントで合流しよう。じゃ。」
 
エックスは、そう言うと穴へと飛び降りていく。マーティは心配そうな顔をしてその姿を見送る。
 
「エックス・・・・・・」
 
「副隊長、大丈夫ですよ。エックス隊長は前の戦いで活躍した人なんですから。」
 
ビートブードは、マーティの肩に手を置いて言う。
 
「・・・・・・・・だといいんだけど。」
 
マーティは仕方なくスクラップ工場の中へと進んで行く。中には元作業員と思われるレプリロイドたちが攻撃をしてきたが耐久性が低いようでバスターで簡単に破壊できた。
 
「それにしてもずいぶん残骸が多いのね。この工場・・・・・・」
 
マーティは、工場の至る所にある残骸を見ながら言う。
 
「何しろ半年前の戦いで多くのレプリロイドがイレギュラーとして破壊されましたからね。」
 
ビートブードは、寂しそうな顔をして言う。
 
「あっ・・・・・・そう言えば、アンタのお兄さんもその戦いで亡くなったんだっけ・・・・」
 
「えぇ・・・・・・・兄貴の場合はケイン博士の計らいでアルマージ、ペンギーゴと共に丁寧に埋葬してくれましたけどね。」
 
「・・・・・ごめん。なんか悪いこと言って。」
 
「大丈夫ですよ、俺は気にしていませんから。兄貴の仇もエックス隊長がとってくれましたし。」
 
二人の目の前に巨大なレプリロイドの残骸を発見する。
 
「これは?」
 
「バーニン・ナウマンダー。前の戦いで工場地帯を占拠していたところをVAVAによって破壊されたそうです。」
 
ビートブードは、ナウマンダーの残骸を見ながら言う。
 
「・・・・・・ここって工場って言う割にはまるで墓場ね。」
 
「一部のレプリロイドたちも似たようなことを言っているそうです。ここに来たらバラバラにされて溶鉱炉で溶かされる運命ですからね。」
 
二人は、ナウマンダーの残骸の横を通り過ぎていく。その直後、2人の目の前にあったカプセルが割れて何かがナウマンダーの残骸の中へと入って行った。
 
「ん?なんか聞こえなかった?」
 
「ネズミですよ。こういうところにはいくらでも住み着きますからね。」
 
「ふ~ん。」
 
二人はまた前に進もうとする。その直後ギ、ギギッっと妙な音がする。
 
「「ん?」」
 
2人が振り向くと、頭部のないナウマンダーがホラー映画で出てくるゾンビのように起き上がってこちらに武器を向けているのだ。
 
「嘘!?死んでんじゃないの!?」
 
ナウマンダーは、右腕の火炎放射器からファイヤーウェーブを放つ。
 
「バグホール!!」
 
ビートブードは、すかさず目の前に小型ブラックホールを発生させて攻撃を無力化させる。その背後からマーティがジャンプし、ナウマンダーの胴体に槍を突き刺す。
 
「はああぁぁぁぁ!!!」
 
前の戦いから劣化が進んでいるのかナウマンダーの装甲は容易く切り裂かれる。その裂け目から虫のような小型メカニロイドが飛び出し、マーティに飛びつこうとする。
 
「パイルバンカー!!」
 
マーティは、収納していたビームトンファーを取り出してメカニロイドを突き刺す。メカニロイドが停止すると同時にナウマンダーも崩れるように倒れる。
 
「一体何だったのかしら?」
 
マーティは、破壊したメカニロイドを眺めながら言う。
 
「う~ん・・・・・もしかして、このメカニロイドが中に入って操っていたのかもしれませんね。」
 
「ふ~ん・・・・・・!」
 
マーティは何かひらめいたのかナウマンダーの残骸から右腕のファイヤーウェーブを取り外す。
 
「何やっているんですか、副隊長?」
 
「えっ?なんかこの武器使えるかなって思って。」
 
マーティはファイヤーウェーブを解体してみると何かメモリーチップのようなものが組み込まれていた。
 
「何これ?」
 
「あぁ・・・・・・確か属性チップっていうものですよ。以前死んだ兄貴から聞いたことがあります。」
 
「属性チップ?」
 
「はい、チップ一枚でその属性の攻撃ができるようになるとか・・・・・ただ、通常の武器に組み込むには出力が大きすぎで爆発しちゃうとかでごく一部の大型のレプリロイドでも一枚しか組み込むことができないそうなんです。」
 
「へえ・・・・・・・」
 
マーティは、とりあえず役に立つかもしれないと思いチップだけは持っていくことにした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
スクラップ工場 最深部
 
マーティとビートブードは、工場の最深部へと到着した。
 
「ここにいるって言うイレギュラーはどこにいるのかしら?」
 
「おかしいですね・・・・もしかして場所を間違えたんでしょうか?」
 
二人は辺りを見渡すがスクラップがあるだけで見当たらない。
 
「・・・・・・・もしかしてもう別の場所にでも・・・・・・・」
 
「そこのエロいねーちゃんとカブトムシ。俺のことをお探しかい?」
 
「「えっ?」」
 
二人は天井の方を見る。天井には、糸でぶら下がったスクラップの塊があった。
 
「何あのスクラップの塊?」
 
「人のことをスクラップと呼ぶとは礼儀のねえねーちゃんだな・・・・・・・・俺はこれでもれっきとしたレプリロイドなのによぉ・・・・・・・」
 
「アンタみたいなゴミの集合体にしか見えない奴にはお似合いよ!」
 
「だあぁからぁ!俺はゴミじゃねえぇぇズラ!!!そんなこと言う悪いねーちゃんには俺の食事になってもらおうじゃないの。」
 
スクラップの塊は、振り子のように動き始め自身に纏わりついているスクラップを二人に飛ばす。
 
「喰らえぇえ!!スクラップシュゥゥゥートォォオ!!!」
 
「バグホール。」
 
「ぬうぅわにぃい!?」
 
せっかく飛ばしたスクラップの塊はビートブードのバグホールに吸収される。
 
「誰がアンタの食事になるもんですか!!喰らいなさい!!」
 
マーティは、バスターショットでスクラップの塊を攻撃する。
 
「ぶるあああああああぁぁぁぁ!!!」
 
「シールドブーメラン!!」
 
「ブーメランカッター。」
 
2人の攻撃で糸が切れスクラップは、地面に落ちる。
 
「ダメズラかぁああ!!この姿のままでは・・・・・・俺が先にくたばってしまうぅ。こうなれば、この俺、メタモル・モスミーノスの真の姿を見せようじゃないのうぅう!!」
 
スクラップはスクラップの中を回転しながら二人に襲い掛かる。二人は、避けるがスクラップはしばらく回転し続ける。するとどんどんその大きさは巨大になって行きやがてレプリロイド一体分ぐらいの大きさになった。
 
「今からお見せしよう・・・・・・この俺の真の姿をなぁ!!」
 
スクラップは再び糸でぶら下がるとその塊はボロボロに崩れ一体の蛾の怪人のような姿になる。
 
「変身した!?」
 
「あっ、あれエックスと一緒に見ていた番組で見たことがある。確か毒蛾怪人ド・・・・・」
 
「だあぁれがぁ毒蛾怪人じゃあぁぁ!!!」
 
正体を現したモスミーノスは、空中からレーザーを発射する。
 
「きゃあ!?」
 
「うわあぁぁ!!」
 
二人は慌てて避けるがモスミーノスはすかさず空中からダイビングアタックを仕掛ける。
 
「残念だったよエロいねーちゃん、アンタが大人しく俺に喰われてくれれば今の姿がビキニアーマーベースの美女モデルになったのによぉ・・・・」
 
「誰がアンタの素材になんてなるもんですか!!」
 
マーティは、バスターショットで攻撃する。
 
「無駄無駄ぁ。このミーノス様がぁ、そんな豆粒鉄砲ぐらいでへばるほどやわにできていないのよぉ。」
 
モスミーノスは、レーザー攻撃を行う準備へと移る。
 
「今度こそ終わりにしてやるズラぁ!!」
 
「ふ、副隊長・・・・・・どうしましょう?いくら俺でもあの速さじゃついていけません。」
 
「う~ん・・・・・・シールドブーメランじゃ届かないし、バスターショットじゃ通じない・・・・・・・ん?ちょっと待って。」
 
マーティは先ほど回収したチップをバスターショットに取り付けて見る。
 
「副隊長、属性チップを作動させるには高エネルギーじゃなくちゃ。」
 
「そうよね。でも、もうカートリッジはこれしかないのよ。それにフルチャージで撃てるのも一発・・・・・・・・」
 
「どぉした?諦めたか?ならとどめと行こうじゃないのぉ。」
 
モスミーノスは照準を合わせ直す。
 
「落ち着いて・・・・・・落ち着いて・・・・・・」
 
「副隊長、深呼吸です。」
 
マーティは緊張しながらもトリガーをモスミーノスに向ける。当たればよし、外れれば一巻の終わり。
 
「・・・・・・・・・・」
 
「・・・・・・・・・・・」
 
「とどめだぁぁあああ!!!かめはめ波あぁぁぁ!!」
 
何の真似をしているのかモスミーノスは最大出力でレーザーを放つ。マーティは息をのんで引き金を引く。
 
「副隊長!!」
 
ビートブードは、撃ち終えたのを確認すると急いでマーティを引っ張ってレーザー攻撃を回避する。
 
「うわあぁぁぁぁぁ!?」
 
「きゃあぁぁぁあ!?」
 
それでもレーザー攻撃の衝撃波で二人はスクラップの中に埋もれる。
 
「ぶるあああぁああああああああああああ!!!」
 
一方のモスミーノスは、着弾した瞬間勢いよく燃えて地上に落ちる。
 
「「・・・・・・」」
 
スクラップの中から出てきた二人は息をのんで燃えているモスミーノスに近づく。
 
「・・・・・・・」
 
「・・・・・・し、死んだ?」
 
マーティは、槍でつついてみる。
 
反応はない。
 
「・・・・・コイツ、もしかして火に弱かったのかしら?」
 
「・・・・・まあ、ごみはよく燃えますからね。」
 
二人は燃え尽きたモスミーノスの残骸からDNA端末を取り出すとエックスに指定されたポイントへと歩き始める。
 
「さっきはありがとねビートブード。アンタが引っ張ってくれなかったらアタシも吹っ飛んでたわ。」
 
「副隊長は、エックス隊長にとって大切な方ですからね。死なれたらエックス隊長に合わせる顔がなくなります。」
 
「えっ?」
 
ビートブードの言葉にマーティは思わず驚く。
 
「?俺、なんか変なこと言いました?」
 
「いや・・・・・そういうわけじゃないけど・・・・・」
 
「副隊長も言うならしっかり言った方がいいですよ。」
 
「何を?」
 
「何って・・・・・自分の気持ちをですよ。早くしないとエックス隊長、誰かにとられちゃいますよ。あの人、結構女性型オペレーターに人気がありますから。」
 
「・・・・・・・・」
 
マーティの目の前が真っ暗になった。 

 

アジール

 
前書き
カウンターハンター第一戦では比較的にアジールが簡単だった。 

 
スクラップ工場
 
一方のエックスは床の穴から飛び降りて感覚を感じた方角へと歩いていた。
 
「・・・・・・あの二人・・・・・・大丈夫だろうか?」
 
エックスは、マーティたちの身を案じながらも奥へと進んで行く。すると目の前に例のカプセルがあった。
 
「床下の穴に設置するなんて博士も考えたもんだな・・・・・・」
 
エックスは感心しながらもカプセルの前に立つ。するとライトが姿を現す。
 
『よくぞ見つけてくれたなエックス。ここでは、新たなボディパーツを与えよう。前回と違い今回のボディパーツは、ダメージを半減するだけでなくそのダメージを武器エネルギーへと変換させて、満タンになれば一気にエネルギーを発散させることによって周囲に大爆発を起こさせる「ギガクラッシュ」を発動させる事ができる。じゃが、この技を使ってしまうとエネルギーが空になり、再チャージに時間がかかってしまうためここぞという時に使うのじゃ。』
 
「わかりました。」
 
エックスは、カプセルに入り込んでボディパーツを装着する。
 
『頼んだぞエックス。』
 
「はい。」
 
エックスは、急いでカウンターハンターが指定したエリアへと向かう。
 
『エックス・・・・・・お前にはロックのように戦ってほしくはなかった。だが、戦いを終わらせなければ多くの命が犠牲になってしまう。戦う運命にあるのはロックやブルースたちと同じなのかもしれんのう・・・・・・・』
 
ライトは、そう言いながらエックスの姿を見送る。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
エックスは、隠し通路のある扉の前に辿り着いた。中に入ると目の前に見覚えのある物が透明なケースに入れられていた。
 
「あれはゼロの足!」
 
エックスは近づこうとするが何者かの気配を感じて足を止める。すると残像を残しながら高速で移動する細身の背丈が高いレプリロイドが現れる。
 
「やはり、来ましたねエックス・・・・・・。」
 
「お前がカウンターハンターか!」
 
「いかにも。私はカウンターハンターの一人、アジールと申します。」
 
「どうやつて手に入れたかはわからないがゼロのパーツを返してもらうぞ!!」
 
「フッフフフフ・・・・・・・威勢はいいようですね。」
 
アジールはサーベルを展開すると身構える。
 
「・・・・・・・しかし、私とてこの剣で何人ものハンターを命を奪ってきたのです。あなたにもこの剣の贄になっていただきましょう!!」
 
アジールは、サーベルを振り上げると真空波がエックスへと向かって行く。エックスは、透かさず避けるがアジールの連撃が襲い掛かる。
 
「くっ!」
 
「私の長所はこのスピードでしてね。一撃が弱かったとしても何度も同じところを突けば脆くなるものなのです!!」
 
アジールの連撃はエックスの体を次々と傷つけていく。しかし、エックスとてじっとしているわけではない。
 
「チャージショット!!」
 
「ぬっ!?」
 
エックスのバスターから放たれる光弾をアジールは避ける。それがエックスの狙いだと知らずに。
 
「ダブルショットだ!!」
 
「なんとっ!?」
 
左腕もバスターに変形し先ほどよりも強力なバスター攻撃が発射される。アジールは俊足を生かして避けようとするが肩のアーマーを抉られる。
 
「私のアーマーが!?」
 
「隙あり!!」
 
エックスは、構えを取る。
 
「なっ、何をするというのですか!?」
 
「ギガクラッシュ!!!」
 
エックスの周辺が一瞬光ったかと思いきや衝撃波と共に閃光が部屋全体を包む。
 
「グ、グワワワアアアァァ!?」
 
避けようにも逃げ場などなくアジールは閃光の中に呑まれていく。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
しばらく経つと辺りは元の状態に戻り、そこにはエックスが立っていた。
 
「・・・・・・思っていたよりも威力があったな。でも、これでしばらく使えないな。」
 
目の前を見ると爆発で利き手を吹き飛ばされたアジールが立っている。
 
「どうだ?まだ俺と勝負をするつもりか?」
 
「こ、この私をここまで追い詰めるとは・・・・・・信じられん!どうやら私はあなたを甘く見ていたようです。」
 
アジールはもう戦闘をする意思がないようだった。
 
「悔いに残りますがゼロのレッグパーツはあなたに差し上げましょう。次に会う時を楽しみにしていますよ。」
 
そう言い残すとアジールはまた高速で移動をし、その場を後にして行った。エックスは、ケースの中に収納されているゼロのレッグパーツを出す。幸い特殊加工されたケースだったおかげでパーツはギガクラッシュの影響を受けていないようだ。
 
「確か指定されていた場所は後二つだったな。という事はゼロのパーツは後二つ。」
 
エックスは合流ポイントに向かって歩きながら周囲のメカニロイドを破壊していく。
 
「待っててくれ、ゼロ。きっと君のことを復活させてみせるから。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
スクラップ工場 外
 
「・・・・・・あっ、隊長だ!!」
 
外で待機していたビートブードは、工場の中から出てきたエックスを見て叫ぶ。
 
「エックス!」
 
マーティは、思わずエックスに近寄る。体のあちこちに傷はあったもののそこまでひどい状態ではなかった。
 
「今戻ってきた。二人とも無事で何よりだ。」
 
「はい。エックス隊長、ゼロのパーツは?」
 
「あぁ、この通り。」
 
エックスは二人に、ゼロのレッグパーツを見せる。
 
「しかし、敵はどうしてゼロのパーツなんて持っているんでしょうかね?Dr.ケインですら知らないのに。」
 
「さあ、それは俺にもわからない。でも、敵が持っている以上奴らにゼロを復活させるわけにはいかない。」
 
エックスはそう言いながらハンターベースへと戻ろうとする。
 
「あの・・・・・エックス?」
 
「ん?」
 
マーティに呼び止められてエックスは彼女の方を見る。
 
「その・・・・・・・この戦いが終わったらさ、えっと・・・・・・その・・・・・・・」
 
(副隊長・・・・・ファイトですよ。)
 
ビートブードが見守っている中マーティは顔を赤くして何かを言おうとする。
 
 
 
ところがそれと同時にエックスに通信が入った。
 
「ん?こちら、エックス。」
 
『エックスか?』
 
「ケイン博士!ゼロのパーツの一つを回収しました。今そちらに・・・・・」
 
『とんでもないことが起こりよった。イーグリードが脱走したんじゃ!』
 
「なっ!?」
 
ケインの言葉にエックスは言葉を失った。 

 

ソニック・オストリーグ

ハンターベース 
 
「ケイン博士!!」
 
エックスたちは、慌ててハンターベースに戻った。ケインは、丁度オペレーターと話をしていたところだった。
 
「エックス・・・・」
 
「説明してください!イーグリードが脱走したって・・・・・・」
 
「エックス、まずは落ち着いて聞いてほしい。お前たちが現場に向かった後、司令部で砂漠基地を占拠したイレギュラーの正体がわかったのじゃ。」
 
「・・・・・それってどんな奴よ?」
 
マーティが聞くとオペレーターが代わりに答える。
 
「イレギュラーは、元特A級ハンター ソニック・オストリーグ。かつてイーグリード隊長の部隊に所属しており、彼の親友でもあった方です。」
 
「えっ!?それって・・・・・・」
 
「えぇ・・・・・・そのことを独房で監禁中のイーグリード隊長に聞かれてしまったらしく・・・・・・・」
 
「イーグリードは牢の鍵を看守から奪った後、ハンターベースにあるチェバルを一台奪って逃走した。おそらく目的地は砂漠基地のはずじゃ。しかし・・・・・奴の飛行機能はまだ完全に治っているわけではない。急いで連れ戻さねば・・・・・・」
 
エックスは、カウンターハンターに指定されたエリアを確認する。よく見るとオストリーグが占拠しているエリアも指定されていた。
 
「マーティとビートブードは、急いでイーグリードを連れ戻してくれ。俺はカウンターハンターを倒した後にオストリーグの説得に向かう。」
 
「そんな!いくらエックスでも二人を相手にするなんて無理よ!?」
 
「副隊長の言う通りです!!エックス隊長でもイレギュラー二人を相手にしたら・・・・・・」
 
「無理をするつもりはない。だが、カウンターハンターが指定したエリアと一致しているという事はきっと何かあるはずなんだ。それに今のイーグリードじゃ、オストリーグにやられてしまう危険性もある。」
 
「・・・・・確かに、イーグリードは優秀なハンターじゃが飛行能力が使えない今、元特A級ハンターだったオストリーグを相手にするには分が悪すぎるのう・・・・・」
 
「とにかくあの砂漠基地には大型ミサイルが保管されている場所でもあるんだ。準備が整い次第、急いで基地へ向かうぞ!!」
 
「「りょ、了解!!」」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
???
 
「くっくくく・・・・・・・・中々プロテクトは厳重だったようじゃがワシの手にかかればあっという間じゃったのう。」
 
砂漠基地のミサイル格納庫のロックを解きながら老人型レプリロイドがニヤニヤしながら言う。そこへもう一つの人影が。
 
「ん?お前か。」
 
「・・・・・・・・」
 
「くっくっくっくっ・・・・奴も最初のうちは抵抗しておったが今ではワシの忠実な駒。ん?」
 
老人型レプリロイドはモニターを見る。
 
「おぉ・・・・・・・どうやら獲物がこっちに来てくれたようじゃのう。幸い砂漠には砂嵐を発生させる装置をセットしておいたから時間は十分に稼げる。」
 
「・・・・・・・・」
 
「お前が迎撃に迎え。よいか?ミサイルが発射されるまで奴らを・・・・・・いや、あの青いのを除いては絶対にいれてはならんぞ?あの青いのはワシが相手をするからな。」
 
「・・・・・・」
 
人影は黙って頷く。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
砂漠
 
シティ・アーベルから少し離れた砂漠地帯。この砂漠の先にはイレギュラーハンターが管理するミサイル基地があり、シグマの反乱を教訓に常にハンターたちがこの基地を警備していた。
 
しかし、今回の事件によりミサイル基地はイレギュラーによって占拠され、砂漠においては防衛用に設置されていた「人工砂嵐発生装置」によって行く手を阻んでいた。
 
そんな砂漠の中を一人のレプリロイドが歩いていた。
 
ハンターベースから脱走したイーグリードだ。
 
「くっ・・・・・・・・・飛行機能が完全だったら・・・・いや、この砂嵐の中じゃ無理か。」
 
途中で乗ってきたチェバルがイレギュラーの攻撃で壊れてしまったため、彼は止むを得ず歩いて砂漠基地を目指していた。
 
「オストリーグ・・・・・・・何故なんだ・・・・・お前ほどの男が・・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
数年前 ハンターベース
 
「オストリーグ!」
 
ハンターベースから去ろうとするダチョウ型レプリロイドを呼び止める。
 
「イーグリード隊長。」
 
「お前・・・・・・本当にやめるのか?」
 
「はい、自分にはもう空を飛べる力がないので。今までお世話になりました。」
 
「何故だ?ケイン氏から聞いた話ではお前のブースターは直っていてまた飛べるようになっていると聞いているんだぞ。」
 
イーグリードは、思い止まるように言う。しかし、オストリーグは首を横に振る。
 
「申し訳ございません隊長。自分は・・・・・・・空を飛ぶのが怖くなってしまったんです。」
 
「怖くなった?」
 
「はい、ブースターの修理が終わってリハビリ兼ての飛行テストを行おうとしたのですが何度も恐怖を感じて・・・・・・自分でもどうすることもできないんです。」
 
オストリーグは、申し訳なさそうな顔で言う。
 
「自分は、第7空挺部隊にいる資格がありません!!自分には・・・・・」
 
「ふざけたことを言うな!!」
 
「!?」
 
イーグリードは、オストリーグの肩に手を置いて言う。
 
「空を飛ぶことが怖いのなら怖くなくなるように努めろ!お前を慕ってくれている仲間たちもお前がきっと戻ってきてくれることを信じているんだ!!」
 
「隊長・・・・・・」
 
「俺もお前がトラウマを克服して戻ってくることを信じている。だから、お前も自分の恐怖を乗り越えて帰ってこい!!俺は、お前のことを信じる。」
 
「・・・・・・・はい!」
 
オストリーグは、感激のあまりに泣きかけながらも敬礼する。
 
「いつか、また空を飛べるようになったら戻って来い。どこにいようがお前は、我々第7空挺部隊の一員 ソニック・オストリーグなんだからな。」
 
「はい・・・・・自分が愚かでした・・・・・・いつか戻れるように努力します!!」
 
そう言ってオストリーグは、ひっそりとハンターベースを後にして行った。                                                                    
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
砂漠基地
 
「イーグリードは、まだここには来ていなかったようだな。」
 
エックスたち三人は、砂嵐の中どうにか砂漠基地に到着していた。
 
「イーグリード隊長が奪ったというチェバルも見当たりません。おそらく砂漠のどこかで遭難したのではないかと思います。」
 
「まずいな・・・・・・この砂嵐の中だ。長時間、晒されていたら砂が体のあちこちに入って動けなくなってしまうぞ。」
 
エックスは、腕を組みながらしばらく考えると顔を上げる。
 
「じゃあ、予定通りマーティとビートブードは、砂漠でイーグリードを捜索してくれ。」
 
「「了解!!」」
 
二人は、チェバルで砂漠の方へと戻って行く。
 
「さて、俺も急がなくては・・・・・」
 
エックスも基地の中へと入り、中を探索し始める。
 
「生存者はなし。後はメカニロイドと施設を改造して作ったトラップか・・・・・・・ん?」
 
エックスは一部の壁が不自然なことに気づく。叩いてみると中は空洞なようだ。
 
「スピンホイール!」
 
エックスは壁に向かってスピンホイールを当てると壁に穴が開き、奥にカプセルがあった。
 
「しめた!強化パーツならイーグリードの居場所を割り出せるものがあるかもしれない!」
 
そう思いながらもエックスは、カプセルの前に立つ。
 
『エックス、ここではパワーアップしたフットパーツを授けよう。このパーツを装着すれば空中でも素早く動く事ができるダッシュ「エアダッシュ」が使用できるようになる。さらに僅かだがジャンプ力もアップじゃ。』
 
「あっ、ありがとうございます・・・・・(流石にそこまで都合よくはならないか。)」
 
エックスは、カプセルに入ってフットパーツを装着する。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
砂漠
 
一方、別れたマーティとビートブードは、イーグリードの行方を探るべく移動していた。
 
「破壊されたチェバルです。」
 
ビートブードは砂に埋もれかけた壊れたライドチェイサーを発見する。
 
「・・・・・この状態だと破壊されてそう長くは経っていないようです。」
 
残骸をよく確認してみると形式番号がハンターベースから奪われたものと一致している。
 
「おそらくイーグリード隊長はここでマシンを破壊されてから徒歩で移動していると思われます。」
 
「よぉし!さっさと連れ戻してアタシたちもエックスに合流しましょう!」
 
二人はチェバルを走らせて移動を再開する。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その地点からかなり離れた地点では・・・・・
 
「はあ・・・・はあ・・・・・・」
 
砂嵐に襲われながらも基地を目指すイーグリードの姿があった。
 
「もう、砂漠基地までそう遠くないはずだ。」
 
自分の位置を的確に確認しながらイーグリードは、歩き続ける。
 
「・・・・・・・・ん?」
 
そのとき、自分の目の前に何かが近づいていることに気が付く。彼は自分のセンサーのレベルを上げて見る。
 
しばらくするとその姿は徐々に明確になっていき、姿が確認できる頃には自分のすぐ近くにまで来ていた。
 
「・・・・・・・オストリーグ。」
 
イーグリードは、懐かしむようにその名を呼ぶ。
 
「・・・・・・・・」
 
しかし、当のオストリーグ本人は何の反応も示さなかった。その様子にイーグリードは違和感を感じる。
 
「オストリーグ、一体どういうつもりなんだ?ミサイル基地を占拠して、イレギュラーハンター本部に標的を向けるなんて馬鹿なことを・・・・・・・・」
 
「・・・・・・・・」
 
「答えろ!オストリーグ!!」
 
「・・・・・・侵入者、ハイジョ。」
 
「!?」
 
無機質な声で答えるオストリーグの様子にイーグリードは思わず動揺する。オストリーグはそんなイーグリードを他所に高速で移動をする。
 
「どういうつもりなんだオストリー・・・・・ぐっ!?」
 
「侵入者、ハイジョ。青イヤツイガイハハイジョ、ハイジョ。」
 
オストリーグの強烈な蹴りがイーグリードを吹き飛ばす。イーグリードが倒れるとオストリーグは再び砂嵐の中へと消える。
 
「やめろ、オストリーグ!俺はお前と戦いに来たんじゃない・・・・・うぉ!?俺がわからないのか!?」
 
蹴りを受ける寸前で避けるイーグリード。
 
「ハイジョハイジョハイジョハイジョ・・・・」
 
「何があったというんだ・・・・・・オストリーグ・・・・」
 
イーグリードは、オストリーグの攻撃を受けながらも反撃できずにいた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
砂漠基地
 
「くっくくくく・・・・・・・・・その調子じゃ。このまま奴を破壊して・・・・・・」
 
「待て!!」
 
「むっ?」
 
老人型レプリロイドがイーグリードとオストリーグの戦闘を見ながら笑っていたとき、エックスが部屋に乗り込んできた。
 
「ほう、予定よりも早い到着だったようじゃのう。」
 
「お前が次のカウンターハンターか。」
 
「ワシの名はサーゲスじゃ。思っていたよりも生きがよさそうな奴じゃわい。」
 
サーゲスは、ニヤリと笑いながらエックスと対峙する。エックスはモニターの方を見る。
 
「・・・・・・・・お前がオストリーグを操っていたのか?」
 
「まあのう。イレギュラーハンターを叩き潰すには本部を叩けばいいだけのこと、手っ取り早く潰すにはこの砂漠基地に保管されてあった大型ミサイルが一番てきめんじゃったのでな。この基地で勤めておった奴を捕えて手駒にしたのじゃよ。」
 
「よくも!!」
 
エックスはバスターをサーゲスに向かって放つ。しかしサーゲスの乗っている飛行ユニットからバリアが発生し、バスターの光弾を弾いてしまった。
 
「なっ!?」
 
「ワシをただの老いぼれだと思ったら大違いじゃ。この基地のミサイル発射は既に完了しておる。早くワシを倒さんと仲間と本部がどっちもやられてしまうぞい。ほれほれ。」
 
サーゲスは、マントを脱ぎ棄てて戦闘態勢に入る。
 
「くっ!イーグリード、待っててくれ!必ずオストリーグを正気に戻して見せる!!」
 
エックスは、サーゲスへと向かって行く。 

 

サーゲス

 
前書き
タイトル詐欺 

 
砂漠基地
 
「くっくっくっ・・・・・・では、まずワシから行かせてもらおうかのう。」
 
サーゲスは、空中へジャンプしたかと思いきや回転しながらエネルギー弾を発射して来る。エックスはエネルギー弾を透かさず避けるとチャージショットでサーゲスを撃ち落とす。幸い急所は外れていたためサーゲスは立て直すべく飛行ユニットの上に着陸する。
 
「ちっ!」
 
「・・・・・射撃は思っていたよりも的確じゃのう。」
 
サーゲスは、慎重に攻撃を再開する。エックスは、隙を見せないサーゲスの様子を窺いながら攻撃のチャンスを探る。
 
(何か方法があるはずだ・・・・・あのバリアを切り抜けて奴にダメージを与えられる方法が・・・・・)
 
ジャンプした後に地面に着地すると何か踏んだのかカチッと音がした。
 
「ん?」
 
足元を見るとそこには・・・・・・・
 
「じ、地雷・・・」
 
サーゲスが移動する際にセットしておいた地雷が起動し、エックス諸共爆発する。
 
「クックックックッ・・・・・・・・灯台下暗しとはこういう事じゃのう。人形を解放しようとワシばかりを見ていたからこうなるのじゃ。これでは、奴も残念がるじゃろうな、ハッハッハッハッハッ!!」
 
サーゲスは勝ったと見て大笑いをする。
 
「さて、奴の残骸からメモリーデータを抜き取って、目当てのパーツの居場所を調べるとするかのう。」
 
サーゲスは飛行ユニットを動かしてエックスのいたところへと近づく。
 
「・・・・ん?何だこの音は?」
 
サーゲスは煙の中からキュイィーンという音がしているのに気が付く。
 
「この音・・・・・・・まさかっ!?」
 
やばいと気がついてサーゲスは急いで距離を取ろうとする。
 
「ダブルチャージショット!!」
 
煙の中からエックスが現れ、サーゲスに向かってダブルチャージショットを放つ。一発目は飛行ユニットのバリアで何とか防ぐが二発目はバリアを貫通してサーゲスにダメージを与えた。
 
「なんと!両腕を変形させて撃つ事ができたのか!?しかも地雷の直撃を受けて破壊されんとは!?」
 
「アーマーがなければ流石に危なかった・・・・・・・・博士に礼を言わないとな!スクラップシュート!!」
 
エックスは、バスターに付近に散らばった破片を集めてサーゲスに向けて放つ。サーゲスはすぐにバリアを張り直すが真上に展開するのを忘れたためスクラップに埋もれてしまう。
 
「し、しまった!?ま、前が見えん!!」
 
「ラッシングバーナー!!」
 
いくらイレギュラーとは言えやりすぎにも見えたがバリアの真上から炎を放つ。スクラップはたちまち炎上し、サーゲスは火だるま状態になる。
 
「あぢぢぢぢぢぢぢぢ!!!」
 
耐えられんとばかりにサーゲスは、バリアを解除し飛行ユニットから落ちてヒーヒーと言いながら火を消そうと転がる。
 
「あちち・・・・・・・まさか、ライトの忘れ形見に焼き殺されかけるとは・・・・・・・・」
 
「さあ、早くゼロのパーツとオストリーグの洗脳を解くんだ。」
 
エックスはバスターを構えながらサーゲスに近づく。
 
「ひっ、ひい~!!わ、ワシが悪かった!!ゼロのパーツはやるから許してくれ!!」
 
サーゲスは、助けてくれんとばかりにジャンピング土下座してエックスに命乞いをする。エックスは警戒を解かず、サーゲスにバスターを押さえつける。
 
「さあ、ゼロのパーツを引き渡すんだ。」
 
「くう・・・・・」
 
サーゲスは、飛行ユニットのパネルを操作する。すると台の上からゼロのヘッドパーツが出現する。
 
「はいはい、この通り頭です。」
 
「・・・・・」
 
エックスは警戒しながらゼロのヘッドパーツを受け取る。確認をする限り明らかに本物だ。
 
「よし、今度はオストリーグの洗脳を解くんだ。」
 
「よしよし分かったとも・・・・・・・・」
 
サーゲスは、そう言いながら飛行ユニットのボタンをこっそり押す。すると飛行ユニットから煙が出始める。
 
「なっ、なんだ!?」
 
エックスは急に発生した煙に動揺する。
 
「ガ~ハッハッハッハッハッ!!このワシが簡単にひれ伏すとでも思っておったのか?ゼロのパーツは惜しいがお前にくれてやる。じゃが、ワシにはまだミサイルという切り札があるのじゃ!!」
 
サーゲスはこの機を逃がすはずもなく飛行ユニットに乗ると急いで部屋から出ていく。
 
「あっ!待て!!」
 
エックスも後を追おうと急ぐが目の前の扉が閉まる。
 
「防火扉か!!」
 
エックスはバスターを連射して扉を破壊するがその先にはすでにサーゲスの姿はなかった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
砂漠
 
「ソニックスライサー。」
 
オストリーグは、上空に巨大な刃複数を放物線状に打ち上げてイーグリードに向けて落下させる。
 
「くっ!ゆけ!!」
 
イーグリードは、口から卵を射出し、小型のメカニロイドを盾にして攻撃を防ぐ。攻撃が失敗に終わるとオストリーグは、再び砂嵐の中に紛れて姿を消す。
 
「またか!」
 
イーグリードは唯一聞こえる足音に集中してオストリーグの動きを掴もうとする。しかし、砂嵐による流砂の音で思うように聞き取れない。オストリーグはイーグリードの後ろから飛び蹴りをくらわす。
 
「ぐっ!?」
 
イーグリードはそのまま砂に顔を突っ込む。
 
「・・・・・・」
 
オストリーグは、また砂嵐の中に身を隠そうとするが彼の足をイーグリードが掴んだことによって倒れる。
 
「!?」
 
オストリーグが立ち上がるとそこで待っていたのはイーグリードの拳だった。
 
「いい加減に目を覚ませ!!」
 
イーグリードの右腕がオストリーグの顔に食い込む。
 
「お前は・・・・・お前は本当はこんなことしたくないはずだ!!」
 
「ギッ、ギッ!?」
 
「お前はいつも勇敢で人一倍人間のために動こうとした!!どんな時もどんなに自分の身が危険になろうともかかわらずだ!!」
 
イーグリードは、苦しそうな表情でオストリーグを殴り続ける。本当はこんなことはしたくない。しかし、部下・・・・否かつての友をこのままただのイレギュラーにはしたくない。そんな思いを背負いながらの行動だった。
 
「あの事故の時もそうだ!!お前は、自分が身の危険に晒されながらも人間を助けようとした!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
数年前 
 
『オーシャンタウン行きの旅客機のエンジンにトラブル発生!!機体は炎上しながらなおも落下中。イレギュラーハンター 第7空挺部隊は直ちに現場に急行し機体に残されている乗客を救出せよ!!繰り返す・・・・・』
 
シティ・アーベルのエアポートから離陸した観光地オーシャンタウン行きの旅客機が突如エンジントラブルで墜落しようとしていた。
 
原因は、乗客の中にイレギュラーが潜り込み、持ち込んでいた爆弾が爆発したことが原因だった。墜落し始めた旅客機には怪我人も含め大勢の乗客が残されて、時間の誤差で起動している時限爆弾も残っており救助隊が向かっても間に合わない状態だった。
 
この危機にイレギュラーハンター上層部は、近くの空域でパトロールをしていた第7空挺部隊に乗客の救助を命令。それを聞いたイーグリードはすぐに旗艦デスログマーを方向転換させ、落下を開始した機体から爆弾が作動する前に乗客の救出活動を行った。
 
「隊長!これ以上長く船を近づけたら墜落に巻き込まれてしまいます!」
 
「すでに乗客の救出は完了しています!直ちに引き上げを!」
 
「完了か。よし、これより離脱する!船を機体から遠ざけろ!」
 
部下の報告を聞いてイーグリードはすぐにデスログマーを旅客機から遠ざけた。本部の報告によれば墜落機にはまだ作動中の爆弾が積まれているらしく、このままこの空域にいると巻き添えをくらう可能性があると聞いていたからだ。しかし、船を遠ざけ始めてとんでもないことが発覚する。墜落機から随分離れた時だった。一人のオペレーターが若い女性を連れて艦橋に慌てて入ってきた。
 
「何事だ!?乗客は、ここには入れるなと言っただろう!」
 
イーグリードは何事かと女性型オペレーターに言う。
 
「イーグリード、お願い!すぐに船を旅客機の方へ戻して!!」
 
「何を言い出すんだティル!?もう、あの墜落機には乗客は残っていないんだぞ?」
 
ティルと呼ばれたオペレーターの言葉を聞いてイーグリードは動揺する。すると連れの女性が泣きながら叫ぶ。
 
「お願いです!!娘が・・・・・娘がまだあの中に残っているんです!!!」
 
「なんだとっ!?」
 
女性の言葉を聞いてイーグリードは報告した部下たちを見る。
 
「お前たち!!乗客はもう全員救出したんじゃないのか!?」
 
「そ、そんなはずは・・・・・・」
 
隊員たちは思わず混乱する。おそらく女性の年齢から考えて見てかなり幼い子なのだろう。自分で最終確認するべきだったとイーグリードは後悔しながら指示を出す。
 
「急いで船を戻せ!!」
 
「は、はっ!」
 
デスログマーは、急いで墜落機へと引き返す。しかし、墜落機は既に限界高度に到達しており、救出できるレベルじゃなかった。
 
「ダメです!これ以上近づけません!!」
 
「発見されていない爆弾が爆発するまでの時間ももうほとんど残っておりません!!」
 
「なんという事だ・・・・・・」
 
イーグリードは歯を食いしばりながら墜落機を見る。後ろでは女性が我が子の名前を叫びながら泣いていた。このまま黙って見るしかないのか。
 
その時だった。
 
『自分が行ってきます!!』
 
モニター越しで甲板で待機していたオストリーグが自ら救出を買って出た。
 
「オストリーグ、何を言っている!!もう、時間が残っていないんだぞ!?」
 
『でも、子供一人をこのまま見過ごすわけにはいきません!!』
 
「それに爆弾の件もある。もし、お前が向かった直後に爆発すれば・・・・・・」
 
『必ず助け出します!!行かせてください!!』
 
「しかし・・・・」
 
「私がサポートに行きます!」
 
ティルが自ら志願する。
 
「何を言い出すんだ!」
 
「二人で向かった方が救助活動が早く完了します。それにこうしている間にも・・・・・・」
 
『隊長、この通りです!お願いします!子供一人の命がかかっているんです!』
 
「私からもお願いします。」
 
「・・・・・・」
 
2人の申し出にイーグリードは一瞬迷ったが二人の言うことは正論だ。このまま見過ごせば一人の子供の命を奪い、一生後悔することになるのかもしれない。
 
「・・・・わかった。救助はお前たち二人に託す。オストリーグ、お前は簡易転送装置を持っていけ。ティル、君はジェットパックを装備して向かえ。時間がもう残されていない、迅速に行うんだ。」
 
『「はい!」』
 
「ティル、無茶をするんじゃないぞ。後で俺も向かう。」
 
「えぇ。」
 
 
 
 
 
二人は、その後墜落機へと急行。中に入ると既に機内は火が回っており、二手に別れて捜索すると幼い女の子が座席の方で母親に助けを求めるかのように泣いていた。
 
「ママ~!!ママ~!!」
 
「大丈夫よ!すぐにママのところへ連れてってあげるからね!」
 
ティルは、子供を抱えるとオストリーグの方へと向かう。
 
「子供は見つけたわ!」
 
「そうか!じゃあ、急いで脱出を・・・・・・」
 
その直後、時限爆弾が起動した。爆発によって発生した爆風がティルに迫っていた。
 
「ティル、危ない!!」
 
オストリーグは急いで彼女の後ろに回り代わりに爆風を受ける。
 
「ぐっ!」
 
「オストリーグ!」
 
さらに爆発によって飛んできた破片もいくつか突き刺さった。
 
「大丈夫?オストリーグ。」
 
「このくらい・・・・・・・・・ティル、君の方は大丈夫かい?」
 
「えぇ・・・・でも、ジェットパックはダメみたい。」
 
彼女は背中に装着してきたジェットパックを見る。さっき飛んできた破片がいくつも突き刺さって「使用不能」という表示が出ていた。
 
「なに、2人だったら余裕で運べるさ。」
 
オストリーグは二人を抱きかかえると急いで墜落機から飛び降りる。
 
「さあ、急いで船の方へ・・・・・・!?」
 
オストリーグは、ブースターに違和感を感じた。自分の背中の方を見るとブースターが火花を散らしていた。
 
(しまった!さっきの爆風でブースターが・・・・・・・・・だが、この距離じゃ三人をまとめて転送した時にブースターが爆発したら・・・・・・・)
 
「どうしたのオストリーグ?」
 
ティルは心配そうに見ている中、オストリーグは黙って彼女に簡易転送装置を付ける。
 
「オストリーグ!?」
 
「君に何かあったら隊長に申し訳ないから・・・・・・」
 
オストリーグは簡易転送装置を起動させて二人をデスログマーに転送させる。その直後にブースターが爆発し、彼は地上へと落下していった。
 
 
 
 
後に転送装置で戻ってきたティルの報告を聞いたイーグリードは急いで救助隊を編成して落下ポイントへ向かったがその時発見され、重傷を負ったオストリーグが言ったことは「あの子は無事に母親に会えましたか?」という言葉だった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「そして、この間あの時の母娘がお前に礼を言いにハンターベースを訪れたんだ。ティルから聞いた話だがお前が引退したことを聞いて娘さんの方がお前に対して『ごめんなさい、ごめんなさい』って泣きながら謝っていたよ。引退した原因が自分だと思ってな。だが、同時に『あの時助けてくれてありがとう』と感謝の言葉を言っていたそうだ。お前はそれだけ感謝されていたんだ。」
 
殴るのをやめてイーグリードは距離を置く。同時に倒れていたオストリーグは立ち上がる。
 
「だが・・・・・・今のお前はあの子に見せられないぐらい変わってしまった。本当のお前はこんなことをする男じゃない。」
 
「ギッ、ギギギ・・・・・・・」
 
「目を覚ませ、オストリーグ!!本当のお前に!昔のように危険を恐れず勇敢に立ち向かっていたお前に!!」
 
「ギッ、ギッ・・・・・グガアアアアアアァァァァァアァァァ!!!!!」
 
殴られ過ぎた影響なのか、それとも自分と戦っているのか叫びながらオストリーグはイーグリードに飛び掛かる。
 
「ガアアアアァァァァァァァァ!!!」
 
「くっ!許してくれ、友よ。ストームトルネード!!」
 
イーグリードは、オストリーグに向かって竜巻を放つ。竜巻はオストリーグを吹き飛ばし、砂嵐で見えていなかった何かにぶつかる。
 
「ガッ、ガアァ・・・・・・・・・・」
 
打ち付けられオストリーグは力をなくしたように倒れた。同時に砂嵐も止む。どうやら彼がぶつかったのは人工砂嵐発生装置だったらしい。
 
「オストリーグ!!」
 
イーグリードは倒れたオストリーグのところへと駆ける。同時に砂嵐が止んだことにより、近くを捜索していたビートブードとマーティがイーグリードを発見する。
 
「副隊長!見つけました!イーグリード隊長です!」
 
「あんな近くに装置があったなんてね・・・・・」
 
二人はチェバルを走らせて彼のところへと向かう。
 
「イーグリード隊長~!!」
 
「?君たちは?」
 
「エックス隊長の部下のグラビティー・ビートブードです。こちらはマーティ副隊長です。」
 
「そうか・・・・・君たちがエックスの・・・・」
 
「ぐ、ぐうぅ・・・・・・・」
 
その時オストリーグが動き出した。
 
「コイツまだ・・・・・」
 
「待て!」
 
バスターショットを構えたマーティに対してイーグリードはやめさせる。
 
「オストリーグ、俺のことがわかるか?」
 
オストリーグを抱きかかえて、イーグリードは聞く。オストリーグは、彼の顔を見る。
 
「た・・・・・隊長・・・・・・・・・」
 
「元に戻ったのか!?」
 
「じ、自分は・・・・・・・・一体何を・・・・・・砂漠基地にあの方が訪れて話の途中で・・・・・・連れの老人型に・・・・・・・」
 
「あの方?一体誰のことを言っているんだ?」
 
「そ、それは・・・・・」
 
そのとき、砂漠基地の方から警報が鳴った。四人は基地の方を見ると基地から大型ミサイルがその姿を見せていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
砂漠基地
 
「ヌッフッフッフッフッ・・・・・・これでもうミサイルの発射準備は完了じゃ。もはや誰も止めることはできん!!」
 
サーゲスは勝ち誇ったかのように言う。
 
「サーゲス!!」
 
そこへようやくエックスが到着した。
 
「ほう、ようやく来よったか若造。じゃが、少し遅かったようじゃな。」
 
サーゲスは、ミサイルの発射ボタンを押す。
 
「なっ!?」
 
「クックク、さらばじゃ。もうここには用はない!精々自分の基地が吹き飛ばされるところをそこで見ておるんじゃな!!ガッハハハハハハ!!!」
 
「待て!!」
 
エックスはバスターで撃ち落とそうとするがサーゲスはその場から逃げ去ってしまった。そうしている間にもミサイルは発射されていく。
 
「くっ!このままでは!!」
 
エックスは上昇していくミサイルに飛びつく。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
砂漠
 
「ミサイルが!!」
 
ビートブードは飛んでいくミサイルを見ながら唖然とする。しかし、マーティが驚いていたのはそのミサイルにエックスが飛びついていることだった。
 
「え、エックス!?なんであんなところに・・・・・」
 
「もしかしてエックス隊長、自分を犠牲にしてでもミサイルのコースを変えるつもりじゃ・・・・・・」
 
「!?そ、そんな・・・・・・」
 
ビートブードの一言でマーティは顔を真っ青にする。
 
「エックス!!」
 
マーティは後を追いかけようと思わず走ろうとする。
 
「副隊長!無茶です!!今行っても間に合いません!!」
 
「離しなさいよ!!」
 
取り押さえるビートブードを振り払おうとマーティは必死にもがく。
 
「エックスが死ぬかもしれないのよ!?なんで止めないのよ!!」
 
「俺だって助けたいです。でも、今行ったところでエックス隊長は愚かハンターベースにいる全員が死ぬかもしれないんですよ!!エックス隊長の行為を無駄にさせるつもりですか!?」
 
「・・・・エックス・・・・・・」
 
マーティは、跪いて泣きだす。
 
何もできない自分を憎みながら。
 
「エックス・・・・・エックス・・・・・・」
 
「・・・・・・副隊長。」
 
泣いているマーティを見てビートブードは自分で言ったことに罪悪感を持った。その姿を見てオストリーグは黙って空を見上げる。
 
「・・・・・・・・・いや、まだ手はあるさ。」
 
「「えっ?」」
 
「どういう事だオストリーグ。」
 
イーグリードは、オストリーグを見て聞く。
 
「隊長、またお会いできてうれしかったです。本当はもう一度部隊に戻ってあなたの元で働きたかったのですが・・・・・・・お別れです。目を覚めさせてくれてありがとうございました。」
 
「何を言っている!?」
 
「・・・・・どうかティルさんと末永くお幸せに。」
 
オストリーグはそう言うと、高速で走り出した。
 
「待てオストリーグ!!やめろ!!」
 
イーグリードが叫ぶのを他所にオストリーグは、走度を上げてあっという間に砂漠基地の外壁を昇ってエックスのところへと辿り着く。
 
「オストリーグ!?」
 
「エックス、君はまだここで死ぬべき男じゃない!」
 
オストリーグは自分の体から何かを取り外すとエックスに渡し、ミサイルから突き落とす。
 
「なっ!?何をするんだ!?」
 
「このミサイルは私が処理する!!」
 
「無茶を言うな!?」
 
「無茶なことをするのは昔からさ。イーグリード隊長を頼む!!そして、君のことを想ってくれている人を大切にな!!」
 
「オストリーグ!!」
 
エックスは地上に落下していく中、オストリーグの姿を見た。
 
 
 
 
彼は、まっすぐな眼差しで空を見ていた。
 
その顔には恐怖やら恐れもなくただ空に向かって飛んでいるかのように見え・・・・・・否、実際ブースターを使って猛スピードでミサイルに迫り、特攻した。
 
同時に上空は、ひと時の閃光によって真っ白になった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ケイン博士、エックス隊長及びイーグリード隊長の姿を確認しました!」
 
夕方、ハンターベースから来た護送車がようやくエックスたちの元へ到着した。
 
護送車が一同の前に着陸するとケインが降りてきた。
 
「エックス、イーグリードは・・・・・・」
 
「・・・・あそこにいますよ。」
 
エックスは指をさして言う。その先には夕日を眺めているイーグリードの姿があった。ハンターの一人が手錠をもってイーグリードに近づこうとするがエックスが制する。
 
「俺がやるよ。悪いけど下がってもらえないか?」
 
「は、はあ・・・・」
 
手錠を受け取るとエックスはイーグリードの方へと歩いて行く。
 
「イーグリード・・・・・」
 
「・・・・・・」
 
「・・・・・・・オストリーグのことはすまなかったな。俺がサーゲスを取り逃がしたりしなければ・・・・・・」
 
「・・・・・・いや、別にお前のせいじゃないさ。」
 
謝罪をするエックスに対してイーグリードは言う。
 
「アイツはやっと自分の力で空へ帰ることができたんだ。失った翼を取り戻して。」
 
「・・・・・でも。」
 
「それにアイツは俺たちに未来を託して散ったんだ。我ながらいい友を持ったよ。」
 
「・・・・・・そうか。」
 
イーグリードはエックスに両手を差し出し、手錠をかけてもらう。
 
「また、ティルに心配を掛けさせるだろうな。一度ならず二度も牢に入れられるのだからな。」
 
「ティルってゼロから聞いたけど元は第7空挺部隊のオペレーターだったんだろ?」
 
「あぁ、オストリーグの件の後、責任を感じたのか部隊から外れて本部のオペレーターになったがな。全く合わせる顔がないな。」
 
「ん?そうか?それはそうと限らんがのう。」
 
二人の顔を見てケインは少し意地悪そうな顔をする。
 
「えっ?どういうことですか?ケイン博士。」
 
「おい、護送車から彼女を出してやってくれ。」
 
「はい。」
 
ハンターの一人が護送車の中へ戻ると中から手錠を掛けられたオペレーターの姿があった。
 
「ティル!?どういうことですかケイン氏!?なぜ彼女にこんなことを・・・・・・」
 
「今回のお前を脱走させるように手を回したのが彼女だったからじゃよ。」
 
「「えっ!?」」
 
ケインの言葉にエックスとイーグリードは同時に驚く。
 
「今回の事件がオストリーグが関わっていると知って動かずにいられなかったらしくてのう。看守に頼み込んで鍵を奪いやすくさせといてチェバルを一台すぐ使えるように手配しておいたんじゃよ。」
 
「じゃ、じゃあ、急に警備が疎かになったのは・・・・・」
 
「彼女がやってくれたからできたんじゃよ。」
 
「ティル・・・・・・」
 
ティルは、イーグリードに近づく。
 
「あなたにあの時のような後悔をさせたくなかったから・・・・・・・・・」
 
「・・・フッ、俺もまだまだだな。でも、ありがとう。君のおかげで彼の最後の意思まで見届ける事ができたよ。」
 
「ごめんなさい。」
 
イーグリードは、ティルと抱き合って言う。
 
「イーグリード・・・・・・」
 
「エックス。」
 
「ん?」
 
2人を見ていたエックスが後ろを振り向くとそこには目を真っ赤にしたマーティが腕を組んで立っていた。
 
「マーティ!?い、一体どうしたんだ!?その目は!?」
 
「もう・・・・バカバカバカ!!エックスの馬鹿!!」
 
マーティは、泣きながらエックスのことを叩き始める。
 
「ちょっ!?い、痛いからやめてくれ!?」
 
「こっちがずっと心配していたのにあっちの二人のことばかり見てて!!もう!!」
 
「う、うわあ~!!」
 
エックスは、砂漠の方へと走って逃げて行く。
 
「待ちなさ~い!!今日という今日は絶対に許さないんだから!!!」
 
「勘弁してくれ~!!」
 
二人は日が沈む砂漠の中を走り回る。
 
「あ~あ、エックス隊長とマーティ副隊長。もう少しってところでうまくいかないんだよな・・・・・」
 
「そうか?儂はそうは見えんがのう。むしろ仲が良く見えるぞい。」
 
ケインは笑いながら言う。
 
 
 
日が沈む砂漠。
 
そこで一人の戦士が命を散らした。
 
しかし、戦いはまだ終わらない。
 
エックスの戦いはまだこれからもおそらく続くであろう。
 
だが、彼はどんなに窮地に陥っても必ず這い上がってくる。
 
そこにはかけがえの仲間たちがいるのだから。 

 

バブリー・クラブロス

 
前書き
平成最後の大盤振る舞い。

大投稿開始。 

 
翌日 ハンターベース
 
オストリーグの命を懸けた行いによりハンターベースへのミサイル攻撃は失敗に終わった。
 
しかし、イレギュラーはまだ残っており、ゼロのパーツを持つカウンターハンターも後一人残っていた。
 
エックスたち第17精鋭部隊はこの戦いを一刻も早く終わらせるべく、そして、ゼロを助けるために動き出そうとしていた。
 
「昨日の砂漠基地での戦いが終わり、ついにイレギュラー反応も残り3つ。ゼロのパーツを持ったカウンターハンターも残り一人になった。」
 
「いよいよ大詰めって言うわけですね。」
 
「っで、残りの反応は?」
 
「エネルゲン水晶鉱山、中央コンピュータ施設、後深海基地だ。そのうちカウンターハンターの指定した場所はエネルゲン水晶鉱山にある。」
 
「じゃあ、隊長と副隊長は深海基地へ、俺は・・・・・・」
 
「あっ、ちょっと待って。深海基地ならアタシ一人でいいわ。」
 
マーティの一言にエックスとビートブードは目を丸くする。
 
「マーティ、いくらなんでもそれには無理が・・・・・・」
 
「あら?海なら元レスキュー部隊に入っていたアタシの方が詳しいのよ。水中でも移動も利くし、水中戦に不慣れなエックスたちよりはうまく戦えるはずよ。それにハンターベースには誰かしら残っていた方がいいんじゃない。あのカウンターハンターって奴等きっとゼロのパーツを諦めているとは思えないわ。」
 
「・・・・・・・・」
 
「・・・・エックス隊長、副隊長の言う事にも一理あります。連中が奪われたものをあきらめるとは到底思えません。ハンターベースは俺が残るのでエックス隊長は残りのカウンターハンターを。」
 
「・・・・・・そうだな、奴らがもしここを襲ってきたら一般のハンターじゃ止めようがない。よし、俺がエネルゲン水晶鉱山、マーティは深海基地、ビートブードはここに残ってカウンターハンターの攻撃に備えてくれ。」
 
「了解しました。」
 
「後、マーティは念のために簡易転送装置を持っていくこと。危なくなったら引き返すんだぞ。」
 
「何よ、失礼しちゃうわね。」
 
マーティは膨れっ面になって言う。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
深海基地へと向かうべく、ハンターベースから出発したマーティは、海中へ繋がる洞窟から基地を目指していた。
 
通常は海から直接行くこともできるのだが基地のレーダーに引っかかりやすくすぐに見つかってしまうため、普段はあまり使われない洞窟からのルートを利用して乗り込もうとしていた。
 
深海には、魚類・クラゲ型が泳いでいたが彼女の泳ぎなら避けられた。
 
「思えばこうやって泳ぐのも久しぶりね・・・・・・」
 
彼女は泳ぎながら思った。もっとも彼女が最後に泳いだのはシグマの反乱が終了してイレギュラーハンターに入るべくケインの元へ行く前だったのだが。元々、マーメイドタイプで水中ぐらいでしか活動できなかったマーティだったがケインの改造によって地上での二本足での通常形態、水中においての人魚形態へと使い分けられるようになった。
 
しかし、イレギュラーハンターに入ると水上任務中心であったレスキュー部隊とは違い地上での任務が中心になったため、こちらの形態になることはほとんどなくなった。
 
そうこう考えているうちにマーティは深海基地の入口へと乗り込んで行った。
 
「へえ・・・・・・なんか予想していたよりも破壊された形跡はないわね。」
 
彼女は通常形態へと戻ると基地の中を歩き始める。
 
本部の情報によれば、この基地を占拠したのは、元第6艦隊所属の特A級ハンター バブリー・クラブロス。ホイール・アリゲイツと同じ部隊に所属していたカニ型レプリロイドで、かなり金に貪欲な守銭奴な人物らしく、シグマの反乱時もシグマから多額の大金を受け取ったうえで参加していたらしい。今回の目的は何なのかは不明だが何か裏があるのは確かである。
 
「・・・・って、気になっていたけど思っていたよりもメカニロイドの配置が少ないわね。もしかして、メカニロイドまでケチっているのかしら?」
 
マーティは、ただでさえ少ないメカニロイドをバスターショットで破壊しながら進んで行く。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・・・ほんとに何にもなかった。」
 
マーティはほとんどトラップに引っかかることなく扉の前に辿り着いた。
 
「守銭奴っては聞いていたけどここまでケチっているとは思わなかったわ。」
 
呆れながら気を引き締め直し、彼女は扉の中へと入っていく。
 
「イレギュラーハンターよ!!大人しく出て・・・・・・」
 
その直後、彼女の真上から何かが降ってきた。
 
「えっ!?何っ!?」
 
避けようにも間に合わずマーティは、檻に閉じ込められる。
 
「なにこれ!?」
 
「よっしゃ―――――――!!とったど――――――!!!」
 
彼女は動揺していると天井からレプリロイドが降りてきた。このレプリロイドこそこの基地を占拠した主犯バブリー・クラブロスである。
 
「よっしゃ、よっしゃ、よりによって美人な女性型が捕まるとはな。ターゲットじゃねえけど十分高く付くぜ!!」
 
「なっ、何の話よ!?」
 
喜んでいるクラブロスを見てマーティは思わず聞く。
 
「売り物に話す義理はねえがメイドの土産として教えてやるよ。俺はちょっと商売をしている身なんでね、時々女性型レプリロイドをオークションに売り飛ばすのよ!観賞用・奴隷用としてな。」
 
「ど、奴隷!?」
 
「裏の世界では結構好評なんだぜ~!まあ、今回はその予定はなかったんだがな。今回の獲物はあのシグマを倒したって言うエックスが狙いなんだからな!」
 
「エックスを!?」
 
「依頼主が前金として1000万ゼニーPON☆ってくれたぜ。だが、それだけじゃねえ。奴を倒せばその倍以上の莫大な賞金がもらえるんだ!こんなおいしい仕事ないね!」
 
「くっ!」
 
「ねーちゃんのことも少し調べておいたぜ。エックスと同じ第17部隊所属のA級ハンター マーティ。エックスが最も信頼している副官でもある女だ。奴がアンタが戻ってこないところを不思議に思ってこの基地に来る。そして、俺がねーちゃんを人質にして奴を迂闊に攻撃させないようにする。するとどうなる?俺の勝ちが決まり、奴は死、ねーちゃんはオークションの商品、俺は大金を頂くという事さ!ハッハハハハハハ!!笑いが止まらないね~!!」
 
クラブロスは大笑いしながら話す。あまりにも汚いやり方にマーティは怒りを感じる。
 
「ふざけるんじゃないわよ!!金、金って!!アタシはアンタの商品になんてなるつもりはないわよ!!」
 
「クッククク・・・・・言うね。だったら、こうやっても強気で言えるかな?」
 
クラブロスは、壁のレバーを引く。すると部屋に海水が入り始める。
 
「!?」
 
「この部屋はな、海水で満たせるように作ってあるのよ。下手なことを言うとこの部屋いっぱいを海水で沈めちまうぜ?見る限り泳ぎがうまそうじゃないしな。」
 
「・・・・・・そう、だったらやってみたら?」
 
クラブロスの言葉を聞いてマーティはあえて挑発するように言う。
 
「言ってくれるなねーちゃん。でも、その態度もいつまでもつかな?」
 
クラブロスは、さらに部屋を海水で満たす。だんだん水位が上昇し、彼女の首元にまで上った。
 
「ほれほれ、これ以上我慢していると全身がドップリ浸かっちまうぜ?」
 
「ふん、カニに頭を下げるほどアタシはよくできていないのよ。」
 
「なっ!?カニ!?俺が最も気にしていることを言いやがったな!!」
 
クラブロスの態度が一変する。
 
「俺は自分のことをカニって言う奴は大っ嫌いなんだ!!アリゲイツの野郎もそうだ!!俺のことカニ、カニって言いやがって!!」
 
クラブロスはレバーを全開にする。すると海水は部屋を完全に満たしてしまった。
 
「へっへへへへ・・・・・・これでもう抵抗できないぜ。その装備を全部外して恥ずかしい写真をオークションにかけて、その後てめえをダッチワイフ用に改造して高値で売り飛ばしてやる!!メモリーもゴチャゴチャにしてな!!」
 
クラブロスは、マーティの入った檻へと近づいて行く。中ではマーティが息苦しそうにしていた。
 
「ぐうぅう・・・・・・」
 
「ケッケッケ、ここまでどう来たのかは知らねえがきつそうだな・・・・・」
 
クラブロスは笑うとマーティの檻を外して掴もうとする。
 
「さあて、ここから別の場所でお楽しみと行こうじゃないの。情けない姿になりにな・・・・・・」
 
「・・・・・・(ニヤリ)」
 
「!?」
 
急に態度を変えたマーティにクラブロスは動揺する。その隙を見てマーティは、槍を展開してクラブロスへと突き刺す。
 
「ぐ、グエェ!?」
 
クラブロスは思わず距離を置く。マーティは逃がすまいと足を変形させて人魚形態へとなる。
 
「お、お前!?その姿は!?」
 
「悪かったわね、アタシは元々マーメイドタイプだったのさ!!」
 
マーティは、素早い泳ぎでクラブロスの背後に回るとトンファーを展開して打ち付ける。
 
「パイルバンカー!!」
 
「うぉおあぁ!?」
 
クラブロスは突き飛ばされながらも態勢を整え直すがマーティの泳ぎについて来れない。
 
「くっ!コイツ!!バブルスプラッシュ!!」
 
腹部から泡を吐きつけるがマーティは魚の如く泳いで避け切る。
 
「クッ・・・・・・このままではまずい!!急いでレバーを戻さねば!」
 
クラブロスは泡でバリアを張って向かおうとするがマーティはシールドブーメランを投げつけてレバーを戻した。
 
「なっ!?」
 
「どうしたの?元に戻したかったんでしょ?」
 
部屋から海水が抜かれ、部屋は元の状態に戻る。マーティは素早く足を元に戻すとダッシュでクラブロスの前に迫る。
 
「ひっ!?」
 
「よくも散々人のことを金もうけのために見てくれたわね!!」
 
マーティは槍でクラブロスの体を突きまくる。
 
「ぐわあぁぁぁ!?」
 
「同じレプリロイド・・・・・それも女を競売にかけるなんて・・・・・・体は機械でも女は女なのよ!!それを売り物にするなんて許さない!!」
 
マーティの猛攻でクラブロスは、ボロボロになった。さっきまでの威勢はどこへ行ったのかクラブロスはもうヘロヘロだった。
 
「た、助けてくれ・・・・・・・・助けてくれたら10万ゼニーやるから・・・・・・・」
 
クラブロスは、金で助けてもらおうとするがマーティの殺気は収まる様子はない。
 
「・・・・・・ダメ。」
 
「じゃ、じゃあ100万でどうだ!?」
 
「無理。」
 
「じゃあ500万!!」
 
「・・・・」
 
「700万!!」
 
「・・・・・」
 
「・・・・・今まで俺が稼いできた金を全部やるよ!それならどうだ!?」
 
命が助かるなら安いもんだとクラブロスは大きく出る。でも、マーティは首を縦に振らなかった。
 
「・・・・・・」
 
「じゃ、じゃあ・・・・・・・・な、何をやればいいんだよ!?」
 
「アンタまだわからないの?」
 
マーティは槍を振り上げる。
 
「アンタの今までやってきたことは・・・・・・・」
 
「ひっ、ひいいいぃぃぃぃいい!!!」
 
「金じゃ払いきれないのよ!!!」
 
思いっきり振り下ろしてクラブロスの体を真っ二つにする。
 
「カ・・・・・・・・・カ・・・・・カ、ネ・・・・・・」
 
もがくように動きながらクラブロスは機能を停止する。
 
「・・・・・・今まで女を売ってきた罪・・・・・地獄で受けなさい。」
 
マーティは、クラブロスの体からDNAデータを取ると泳ぎながら帰って行った。その後、クラブロスが死亡したことにより深海基地は大爆発を起こした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・・・・エックス。アタシ、できたわよ。今はまだまだ遠いけど絶対にあなたの隣にいても恥ずかしくない女になってみせるからね。絶対に。」
 
 
海岸から海を見渡しながらマーティは新たな決意をした。 

 

クリスター・マイマイン

エネルゲン水晶鉱山
 
マーティが深海基地に向かっている頃、エックスはカウンターハンターが待ち構えているエネルゲン水晶鉱山へと乗り込んでいた。ここはかつてアルマージが占拠していた鉱山とは違い、エネルゲン水晶以外にも希少な鉱石が採掘できる他、鉱山の内部のほとんどがクリスタルになっているため一種の自然の芸術にも見えるところである。
 
「・・・・・・ここを占拠したイレギュラーに関してはほとんどデータがないな。」
 
エックスは、キラキラと輝く鉱山の中を歩きながら防衛装置を破壊していく。途中でクリスタルで塞がれている道もあったが元々採掘用に配備されていたラビットもあったため、それを利用して奥へと進んで行く。
 
「ん?」
 
途中でいつもの感覚を感じ、エックスはラビットを止める。すぐ目の前では崖があり、その下にはいくつかの抜け穴らしきものが確認できる。
 
「あの抜け穴のどれかか・・・・。」
 
エックスはラビットから降り、落下しないように慎重に抜け穴の中を確認していく。その中の一つの奥にカプセルが確認できた。
 
「あった。」
 
エックスは滑り落ちないように抜け穴の中へと入る。目の前に立つとカプセルが開きライトが姿を現す。
 
『エックス、よくぞここまで来てくれた。ここでは第三の目となるヘッドパーツを与えよう。精密機械を組み込んだことにより、前回のように頭突きをすることはできんようになったがお前のエネルギーを利用して様々なものを探知するレーダーとして使う事ができる。この鉱山や迷路のようなところではでは大いに役に立つじゃろう。』
 
「ありがとうございます、博士。俺もこの迷路みたいな鉱山で丁度迷うかもしれないと心配していたところです。」
 
エックスはカプセルに入り、ヘッドパーツを装着する。これにより全身のパーツが揃い、アーマーが完成した。
 
『くれぐれも気を付けるんじゃぞ、エックス。』
 
「はい。」
 
エックスはそう言うと洞穴の入口へと戻る。すると足が滑って一瞬落ちそうになる。
 
「おぉ!?」
 
『え、エックス!?』
 
落ちそうになったところをライトは一瞬ヒヤッとしたがエックスはすぐに態勢を取り直して抜け穴から登って行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・・・・ヘッドパーツのレーダーの反応によればこの先にゼロによく似た反応が感じられるな。」
 
エックスは、ラビットでクリスタルを砕きながら進んで行くとカウンターハンターが指定した場所へと到着する。
 
「・・・・・・」
 
エックスはラビットから飛び降りて奥へと行くとゼロの胴体が保管されていた。
 
「あれが残りのゼロのパーツか。」
 
エックスはそれを確認すると壁を蹴って思いっきりジャンプする。
 
その直後、エックスがいた場所に大型の棘付き鉄球がぶつかる。エックスはすかさずチャージショットで鉄球が飛んできた方角へと撃つ。
 
「ぐおぉ!?」
 
そこには大柄のゴリラのような体型のレプリロイドがいた。
 
「な、何故俺様の不意打ちに気づいた!?」
 
「こういうことをする奴は、色々見たことがあるんでね。それにレーダーで動きも探知できたのさ!!」
 
「くそ!」
 
レプリロイドは、左手の指先からマシンガンを放つがエックスはうまく避けて反撃する。
 
「何っ!?このバイオレン様の攻撃を避け切るだとっ!?」
 
「お前の攻撃は確かに驚異的だ。だが、俺だけしか見ていない上にコントロールも力任せ、そんな攻撃ならほかの二人の方がまだうまく当てられる!!」
 
「くっそ!!調子に乗りやがって!!」
 
バイオレンは怒りに任せてエックスに向けて鉄球を投げる。エックスはジャンプをし、エアダッシュで鉄球とバイオレンを繋ぐチェーンに向かってバスターを構える。
 
「ソニックスライサー!!」
 
衝撃波の刃はチェーンを切り裂き、鉄球のコントロールを失わせた。
 
「お、俺様の鉄球が!?」
 
「これは、お前たちのためにその命を犠牲にしたオストリーグの武器だ!!お前たちのためにどれだけのハンターが命を失ったことか・・・・・・俺はお前たちを許さないぞ!!」
 
「くっ・・・・・・・・・・・俺の自慢の武器がなくなってしまった・・・・・・・・・・・残りの武器じゃあいつに当てられねえ・・・・・・・・・・くそ!!覚えていやがれ!!」
 
バイオレンは悔しそうに歯ぎしりしながらその場から逃げて行った。エックスはそれを確認するとゼロのボディーパーツを回収する。
 
「よし、これでパーツは全て揃った。後はここのイレギュラーを叩くだけだ。」
 
ゼロはラビットのところまで戻り、急いで奥へと向かって行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
エネルゲン水晶鉱山 最深部
 
「まるかいてちょん、まるかいてちょん、おまめにめがでてうえきばち~うえきばち~、六月六日にUFOが~あっちいって、こっちいって、おっこちて~、お池がふたつできました~!お池におふねをうかべたら~お空に三日月のぼってた~。ひげをつけたら・・・・・・・・」
 
水晶鉱山 最深部では一体のレプリロイドが何かをしていた。
 
そこへエックスがバスターを構えて乗り込んできた。
 
「動くな!!」
 
「うわ~!!警察だぁ!!イレギュラーハンターだぁ~!!」
 
突然現れたエックスを見てレプリロイドは慌てて荷物をまとめて逃げようとする。しかし、見た目がカタツムリなせいなのか意外に遅く、躓いて転んで荷物が散乱してしまった。
 
「あわわわわ!!!」
 
レプリロイドは、慌てて荷物を拾い集める。エックスは思いにもよらない行動に疑問を感じて荷物の中の一つの紙一枚を拾ってみる。
 
「・・・・・・・絵?」
 
「うわ~!見るな見るな!!」
 
カタツムリ型レプリロイドはエックスから紙を取り返す。
 
「・・・・・君、ここで何をしていたんだ?」
 
「どうせ言ったって無駄だ!!僕を見るやつはいっつもそうだ!見た目が気持ち悪いだけでイレギュラーと決めつけて!!僕をまた刑務所にぶち込むつもりなんだろ!!」
 
「ちょっ、俺はまだ何も・・・・・・」
 
「うるさいうるさい!!みんな大っ嫌いだ!!」
 
カタツムリ型レプリロイドは口からゲル状の何かを見境なく吐きつける。エックスは避けるが近くにあったメカニロイドの残骸は命中するや結晶になってしまった。
 
「うわああぁぁぁ~!!」
 
カタツムリ型レプリロイドは今度は背中に背負っている殻に篭るとエックスに向かって体当たりを仕掛けている。
 
「おっと!?」
 
エックスは急いで避けると殻は勢いよく壁にぶつかった。すると結晶に罅が入り崩れてカタツムリ型レプリロイドを生き埋めにしてしまう。
 
「うわわあぁっ!?」
 
「お、おい!」
 
エックスは、急いで結晶をどかしてカタツムリ型レプリロイドを助け出す。
 
「う、うぅ・・・・・・」
 
「・・・・・どうやら、情報と噛み合わないな。」
 
エックスは、カタツムリ型レプリロイドを座らせると近くの手ごろなサイズに崩されているクリスタルに座り、尋問を始める。
 
「まず落ち着いて話を聞いてくれ。そうすれば攻撃しないから。」
 
「・・・・・・本当?」
 
カタツムリ型レプリロイドは、落ち着いた様子で聞く。
 
「あぁ、じゃあまず聞くけど君の名前は?」
 
「クリスター・マイマイン。」
 
「マイマインか。ここで何をしてたんだい?」
 
「絵を描いてた。」
 
「絵?」
 
「ここはすごく静かだから集中できるよって怪しいおじさんに勧誘されて、レンタルしてたんだ。」
 
「・・・・・じゃあ、ここの鉱山を襲ったのは君じゃないのか?」
 
「なんかちゃんと料金払うかわからないからって見張りのゴリラみたいな奴がいたよ。僕はここ借りただけだから」
 
「・・・・・っという事は、あのカウンターハンターが本当の犯人か・・・。」
 
エックスは腕を組みながら言う。マイマインの方はなんか心配そうな様子だった。
 
「・・・・あの・・・・・僕をここで処分するとか言わないよね?」
 
「なんでそんなこと言うんだ?」
 
「前に何回もイレギュラーの疑い掛けられて刑務所に入れられたんだ。」
 
「なんで?」
 
「僕が気持ち悪いから。」
 
マイマインは哀しそうな表情で言う。
 
「みんな僕を見るやつはこう言うんだ。『気色悪いからあっち行け!!』とか『こっちくんな!!』とか。時には石を投げられたこともあるよ。」
 
「・・・・・・そんなひどいことを・・・・・。」
 
「っで、時には街にいただけでイレギュラーの疑い掛けられて・・・・・」
 
「・・・・・・・それであそこまで警戒していたのか。」
 
マイマインの言葉でエックスは何となく納得する。マイマインは、散らばってしまった絵を拾いながら大事そうにしまう。
 
「その絵は?」
 
「僕のことを大事にしてくれた人間のおじいちゃんの顔を描いた絵。このおじいちゃんだけは僕のことを認めてくれた。短い間だったけど、あの頃は楽しかったな・・・・・・・・すぐに亡くなっちゃって、死んだのも僕のせいにされて、また逮捕されたけど。グス・・・・・・・」
 
マイマインは泣き始めた。
 
「その後は・・・・・・・・どこに行っても・・・・・追い払われて・・・・・・・・うぅ・・・・・おじいちゃんの趣味だった絵を描いて新しいことをしてみようと思ったんだけどまたわけわからない理由で捕まって・・・・・・・・うわ~!!また、僕は刑務所にぶち込まれるんだ~!!」
 
子供のように大泣きし始めた。あまりにも理不尽な理由に同じハンターであるエックスも思わず彼に同情しざるを得なかった。何となく昔の自分を見ているようだった。しかし、大きな差は自分は見た目をある程度認めていたのに対してマイマイン自身は存在そのものを否定されてきたのだ。これはあまりにもひどいものだった。
 
「・・・・・・・・これは、ケイン博士に相談した方がいいかもしれないな。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース
 
「お帰りなさい、エックス隊長・・・・・・って、何ですか?その後ろにいる泣いているレプリロイドは?」
 
マイマインを連れ帰ってきたエックスを見てビートブードは思わず動揺する。
 
「あぁ・・・・・ちょっと色々あってな。ケイン博士はいるか?」
 
「えっ?はっ、はあ・・・・今、研究室からゼロのパーツを取りに行って丁度整備室にいるところです。」
 
「そうか。」
 
エックスはそう言うとマイマインを連れて整備室の方へと行く。
 
「あ、あの・・・・・副隊長も戻ってきて・・・・・・行っちゃった。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
整備室  
 
「なるほどのう・・・・・」
 
ケインは、エックスの話を聞いて隣で泣いているマイマインを見る。
 
「・・・・レプリロイドを生み出した儂としてもそれは聞き捨てならんのう。」
 
「博士、何とかならないんでしょうか?」
 
「う、うぅ・・・・・・」
 
「う~む・・・・・・」
 
ケインはしばらく首を傾げて考えるが何かを思いついたのかマイマインの方を見る。
 
「君、よかったら儂の家に来んか?」
 
「えっ?」
 
「昔はエックスがいたり、シグマが来てくれたりしておったんだが最近は誰も来てくれなくてのう・・・・・・丁度話し相手が欲しかったところじゃったんじゃ。」
 
「え、えっと・・・・・」
 
「もちろん、お前を受け入れてくれそうな場所を探しておこう。別に儂から見てもそこまで気持ち悪いと思わんぞ。きっと、受け入れてくれるところがあるはずじゃ。」
 
「・・・・・いいの?」
 
「いいとも~!」
 
ケインは笑いながらマイマインに返事する。
 
今まで泣いていたマイマインが泣くのを忘れたのかのように嬉しそうな顔をした。
 
「よかったな、マイマイン。」
 
「うん。」
 
「あっ、そうだ博士。ついにゼロのパーツが全て揃いました。」
 
「おぉ!全て手に入れたのか!!これでゼロを蘇らせる事ができるぞ!」
 
エックスの言葉を聞いてケインは大いに喜ぶ。
 
「これは吉報じゃぞ!!しかし、全てのパーツにコントロールパーツを繋げるのにかなり時間がかかる。ワシも急いで完成させるがそれまで頑張ってくれ、エックス!」
 
「はい!」
 
「あの・・・・・」
 
「ん?どうしたマイマイン。」
 
部屋から出ようとしたエックスにマイマインが声をかける。
 
「・・・・・ありがとう。」
 
「・・・・・・いいさ、このくらい。」
 
エックスはそう言うと部屋から走り去っていった。 

 

マグネ・ヒャクレッガー

 
前書き
バスターオンリーなら多分一番苦戦しそう・・・・・ 

 
中央コンピューター施設
 
ゼロのパーツすべてをカウンターハンターから取り戻したエックスは、ビートブード、マーティを連れて最後のイレギュラー反応がある中央コンピュータ施設へと到着した。
 
「あの光る球・・・・・一体何なのかしら?」
 
マーティは宙を漂う光る球体を見ながら言う。
 
「あっ!ダメですよ副隊長!それはコンピュータ施設のセキュリティシステムで触れると防衛装置が作動しちゃうんですよ!?」
 
ビートブードが慌てて止める。
 
「えっ!?マジで!?」
 
一足遅く光る球体がマーティを捕捉する。すると警報が鳴り防衛装置が作動し始めた。
 
「ほら言わんこっちゃない!!」
 
「悪かったわよ!!」
 
「二人とも急げ!!足場が崩れて進めなくなるぞ!」
 
エックスは二人に注意を促しながらも走っていく。どうにか崩れる足場を抜けるが今度は天井からブロックが降ってくる。
 
「避けろ!!」
 
エックスはエアダッシュで避け、マーティはビートブードに乗ってブロックを避ける。
 
「今度は制御室の一つか。」
 
ようやく安全地帯に到着し、エックスたち三人は武器を構えながら中の様子を探る。
 
「・・・・・・・・!隊長!何か出てきます!!」
 
「!?」
 
ビートブードの指をさす方を見ると剣の立体映像が現れる。
 
「・・・・・ホログラム?」
 
「な~んだぁ・・・・・びっくりしたじゃないの。また敵が出てきたと思った・・・・・・」
 
マーティが安心して呼吸を整えようとすると剣の立体映像「チョップレジスター」がすぐ脇を通り抜けた。その時のすれ違いで彼女の髪の先端がすっと切れて宙を舞った。
 
「・・・・・・・・・・・ほ、ホログラムよね?こ、これって・・・・・・・」
 
すぐ脇にいるレジスターにマーティは思わず涙目で聞く。一瞬でも動けば彼女の首を切断するのも容易い。レジスターは一回距離を置くとマーティめがけて飛んでくる。
 
「嘘ッ~!?なんでアタシなわけ!?」
 
マーティは急いでバスターショットでレジスターを攻撃する。しかし、たいして効いていないのかレジスターはまっすぐ突っ込んでくる。
 
「ストライクチェーン!!」
 
エックスは咄嗟にバスターからワイヤーを伸ばしてマーティの足に引っ掛けると思いっきり引っ張って彼女を無理やりスライディングさせる。
 
「熱熱熱熱熱熱!!!」
 
摩擦熱でマーティは思わず悲鳴を上げるもののレジスターの攻撃を避けることに成功した。
 
「ブーメランカッター!!」
 
「フルチャージソニックスライサー!!」
 
エックスとビートブードの連携攻撃でレジスターは、爆発を起こしながら消滅する。
 
「恐ろしい施設だな・・・・・・まさか、ホログラムまで実体化するなんて・・・・・・・」
 
「エックス・・・・・・」
 
「ん?」
 
エックスが隣を見ると尻を痛そうに手で撫でているマーティが目を細めて見ていた。
 
「アタシを助けてくれたのはいいけど・・・・・・・もっと優しい方法は思いつかなかったの?」
 
「仕方ないだろう、あのままだったら首と胴体が泣き別れになっていたんだぞ?」
 
「・・・・・・もう。傷物になったらエックスに責任とってもらうから。」
 
「?」
 
「!?(しまった!つい口が滑っちゃった!?)」
 
(副隊長・・・・・何気にとんでもない爆弾発言しちゃったよ・・・・・)
 
三人の間を一瞬沈黙が支配する。
 
「・・・・・ん・・・・悪かったよ。今度は痛くない方法でやれるよう努めるよ。」
 
「ほっ。わ、分かればいいのよ・・・・・」
 
(エックス隊長って意外に天然なんだな・・・・・・・)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その後のトラップに引っかかりながらもエックスたちはどうにか無事最深部までたどり着く事ができた。
 
「さ・・・・・・流石にあの巨大ブロックは潰されるかと思った・・・・・・・」
 
ビートブードは冷や汗をかきながら今まで来た道を見る。・・・・っとは言っても足場はすでに崩れて何も残っていないが。
 
「ね・・・・ねえ・・・・・・エックス・・・・ここを占拠していたイレギュラーってどんな奴だったの?」
 
「マグネ・ヒャクレッガー、元第0特殊部隊所属の特A級ハンターで別名『紅のアサッシン』と呼ばれているが俺もそれ以外のことに関してはよく知らないんだ。」
 
「俺も反乱前に兄貴から聞いたぐらいしかよくわかりません。0部隊は『忍び部隊』という程隠密活動をメインに行っているそうなので。」
 
「・・・・・・・・とにかくこの扉を開けた瞬間、忍者みたいな奴がバッ!と出てくるかもしれないというわけね。」
 
三人は扉を開く。すると中央には、ムカデ型のレプリロイドがヨガを取っていた。
 
「・・・・・」
 
「・・・・・ねえ、あれがさっき言ってた忍者見たいな奴?」
 
「え、えぇ・・・・あれがおそらくマグネ・ヒャクレッガーです。」
 
「・・・・・・」
 
三人は警戒してヒャクレッガーに近づいて行く。
 
「・・・・・」
 
「イレギュラー ヒャクレッガー!無駄な抵抗はやめて大人しく投降しろ!!」
 
エックスはバスターを構えて警告するがヒャクレッガーは動く様子を見せない。
 
「・・・・・アイツなんか変じゃない?」
 
「おかしいですね。動く様子も見せなければこちらを見る気すらない。」
 
「もう一度言う、無駄な抵抗はやめてこちらに投降するんだ!」
 
「・・・・・・」
 
エックスがいくら聞いてもヒャクレッガーは答えない。その様子を見てマーティは我慢していられなかった。
 
「ちょっと、アンタ聞いてるの!?投降しないなら撃つって言ったのよ!!」
 
「・・・・・・」
 
「返事ぐらいしなさいよ!!」
 
マーティはバスターショットを構えながらヒャクレッガーに近づく。
 
「マーティ!迂闊に近寄り過ぎだ!」
 
「大丈夫よ、こんな返事もしない奴なんて一発お見舞いしなくちゃ・・・・・」
 
マーティはヒャクレッガーに平手打ちをしようとするが彼女の手が触れた瞬間、ヒャクレッガーは消えてしまった。
 
「えっ!?」
 
「しまった!!ホログラムだ!奴は自分の立体映像を見せて俺たちの目を欺いていたんだ!!」
 
「その通り、だが少し気づくのが遅かったようだな。」
 
「「「!?」」」
 
三人が天井を見上げるとヒャクレッガーが先ほどのポーズで立っていた。そして、彼の目はマーティを捉えていた。
 
「マーティ、逃げろ!!」
 
「遅い!!フン!」
 
ヒャクレッガーは頭部に接続されている尾を分離させて彼女に差し向ける。
 
「マーティ!!」
 
エックスはマーティを突き飛ばして彼女を救出するが代わりに自分が捕らえられてしまった。
 
「ぐっ!?」
 
「エックス!!」
 
「まずは一匹。」
 
ヒャクレッガーは尾のパーツをエックスごと戻し、先端をエックスに突き刺す。
 
「ぐわあぁ!!」
 
「エックス隊長!!この野郎、隊長を放せ!!」
 
ビートブードはヒャクレッガーに体当たりを仕掛ける。
 
「ふん。」
 
するとヒャクレッガーは、エックスを放し、またもや姿を消す。
 
「ま、また姿が!?」
 
「後ろだ。」
 
「なっ!?」  
 
ビートブードが後ろを振り向くとそこにはヒャクレッガーが既に構えていた。
 
「マグネットマイン!!」
 
先ほどのように尾のパーツを切り離しビートブードの周りを旋回し、彼を拘束する。
 
「ま、まずい!!このままだとエックス隊長みたいに・・・・・・・」
 
「後はこれで十分だ。」
 
ヒャクレッガーは、手裏剣を飛ばしてビートブードの手足に突き刺す。
 
「ぐっ!?・・・・ブーメランカッター!!」
 
「無駄無駄。」
 
ヒャクレッガーはブーメランに当たることなくまた姿を消す。一方マーティは、倒れたエックスの方へ駆け寄っていた。
 
「エックス、大丈夫?」
 
「くっ・・・・・あ、足が・・・・・・」
 
エックスはマーティの協力もあって何とか立ち上がるがふらついていた。
 
「どうやらさっきの攻撃は相手にウィルスを打ち込んで動けなくする攻撃らしい・・・・・・・」
 
「そ、そんな!?じゃ、じゃあこのままだと・・・・・・」
 
マーティは、ビートブードの方を見る。幸いまだ撃ち込まれてはいないようだがやられるのも時間の問題だ。
 
「どうしよう・・・・・エックスは体が思うように動けないし、ビートブードは苦戦してるし・・・・・」
 
「マーティ、少し重いかもしれないが俺を支えてくれないか?」
 
「えっ?」
 
エックスの言葉にマーティは驚く。
 
「俺のヘッドパーツの能力なら奴の居場所を割り出せるのかもしれない。だが、今の状態じゃバスターを撃つことが精一杯だ。だから、俺のサポートをしてくれ。」
 
「・・・・・・うん。わかった。」
 
マーティは、自分を信頼してくれているんだなと少しうれしく思いながら集中してエックスを支える。
 
ヒャクレッガーは既にビートブードを追い込んでいた。
 
「これで同じ特A級ハンターか・・・・・・・ぬるい。裏の仕事を任されている0部隊とここまで格の差があるとは・・・・・正直言ってガッカリだ。」
 
「・・・・・生憎、今の俺はA級さ。特A級はエックス隊長だ。」
 
「あの一番最初に仕留めた奴か。奴ならもう動けん。俺のウィルスは相手のコンピュータを麻痺させる能力があるからな。」
 
「ヒャクレッガー!!」
 
「ん?」
 
ヒャクレッガーが後ろを振り向くとエックスがマーティに支えられて立っていた。
 
「ほう、まだ立っていたか。だが、その状態では満足に動けまい。」
 
「そうかな?そうやって誇張するのは時には命取りになるものだ。」
 
「ふん。」
 
ヒャクレッガーは、また姿を消す。
 
「ま、また消えた!?」
 
「落ち着け、集中して奴の動きを読み取るんだ。」
 
エックスは目を閉じてセンサーの感度を最大にする。マーティはバスターショットを構えながら周囲を警戒する。
 
「・・・・・・・・・上だ!!」
 
「!?」
 
マーティは慌てて距離を取る。するとエックスの言うとおりにヒャクレッガーが現れる。
 
「何?俺の動きを読んだだと?」
 
ヒャクレッガーはまた姿を消す。
 
「次は右!!」
 
「はっ!」
 
「ぬっ?」
 
「左!」
 
「くっ!」
 
「すぐ目の前だ!!」
 
「・・・・・」
 
エックスたち二人に何度も攻撃を読まれ、ヒャクレッガーの表情から余裕が消えていた。
 
「・・・・・・この俺の動きをここまで読むとは・・・・正直驚いた。」
 
ヒャクレッガーは、消えるのをやめる。
 
「だが・・・・その状態では満足に戦うのは難しいだろう。特に肉弾戦ならなおさらな。」
 
ヒャクレッガーは、2人に向かって歩いてくる。元々限られた空間でもあるため接近戦に持ち込まれたら抵抗しようがない。
 
「エックス・・・・」
 
「くっ!」
 
「まずは女の方からだ。その後、あのカブトムシ。そして、仲間を失って絶望したお前をジワリと料理してやる。クッ、クックックック・・・・・」
 
ヒャクレッガーは笑いながら手裏剣をマーティに向けて放とうとするがその時彼の足を何かが掴んだ。
 
「ぬっ!?き、貴様!?」
 
足元を見るとダウンしていたビートブードが足を押さえていた。
 
「隊長と副隊長には指一本触れさせないぞ!!」
 
「くっ!放せ!!」
 
ヒャクレッガーは、ビートブードを蹴りつけるが放れる様子はない。
 
「隊長!今です!撃ってください!!」
 
「何ッ!?」
 
ヒャクレッガーがエックスたちの方を見るとエックスがバスターに巨大なスクラップの塊を形成させていた。
 
「なっ!?」
 
「フルチャージスクラップシュート!!」
 
巨大なスクラップはヒャクレッガーを圧し潰し壁へと打ち付ける。ビートブードもこれまでかと思っていたが顔を上げると千切れた足を掴んでいる状態で自分は無事だった。
 
「こ・・・・・・こんなことが・・・・・!!」
 
スクラップに押しつぶされたヒャクレッガーは、ハッと我に返る。
 
「お、俺は一体何をしていたんだ?・・・・何故ここで押しつぶされている?シグマの仕業か?それとも・・・・・・・・・」
 
一瞬正気に戻りながらもヒャクレッガーは機能停止する。同時にウィルスの効果が切れたのかエックスの体がまた動くようになった。
 
「こ、今回は流石に危なかったな。」
 
「ふう・・・・・」
 
安心したのかマーティは膝をついてしゃがみ込む。
 
「マーティ、ありがとう。君が動いてくれなかったらみんなここで全滅していたよ。」
 
「エックスの指示が良かったからよ。」
 
「でも、副隊長は今回よく頑張りましたよ。本当に二人とも息が合っていましたよ。」
 
「そ、そんな・・・・・て、照れるじゃない。」
 
2人に称賛されマーティは思わず顔を赤くする。
 
「さっ、これでイレギュラーは全員片づけた。後は、本部に戻ってケイン博士がカウンターハンターの基地を割り出すまで準備を整えよう。」
 
「はい。」
 
「えぇ。」
 
三人は転送装置を利用して本部へと帰って行った。
 
 
 
 
その後、一般ハンターたちがヒャクレッガーの残骸を確認しに来た。
 
しかし、ヒャクレッガーの残骸はどういうわけか見つからなかったという。 

 

ミニドラ登場

 
前書き
ミニドラが可愛すぎる。ペットに一体は欲しい。 

 
ハンターベース
 
「ケイン博士、カウンターハンターの基地はまだ発見できないんですか?」
 
コンピュータ施設から戻ってきたエックスたちは、ゼロの修理を一旦中断して休息をとっているケインのところに来ていた。
 
「うむ・・・・・今イレギュラーハンター本部が総力をかけて見つけ出そうとしておるのじゃが手間取っておってな。もうしばらくかかるそうじゃからエックスたちも少し休息をとっておけ。しばらく碌に休んでおらんかったからのう。」
 
「ケイン博士、しかしこうしている間にも・・・・・」
 
「わかっている。じゃが、エックスよ。焦ってはカウンターハンターの手の内に堕ちる危険性も大きい。奴らはお前に敗れ続け相当焦っておるはずじゃ。何かしかけて来ることは確かじゃろう。だから、少し休んで心に余裕をもっておけ。」
 
「・・・・・そこまで言うのでしたら。分かりました。少し休息をとっておきます。」
 
エックスは、ケインにそう言うとメンテナンスルームから出ていく。
 
「エックス・・・・・」
 
マーティは一人心配そうな目で見つめるがビートブードは彼女の肩に手を置いて言う。
 
「隊長は焦っているんですよ。まだ今回の事件の黒幕がまだ生きているし、何をするのかわからないから。」
 
「・・・・・・」
 
マーティは、黙ってメンテナンスルームから出て行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース 屋上
 
エックスは部屋には戻らず屋上で空を見ながら寝っ転がっていた。
 
「ふう・・・・・・・」
 
こうして空を見上げながら寝るのは久しぶりだった。最近は隊長としての仕事とイレギュラー討伐が多かったためここに来ることはほとんどなくなっていたからだ。
 
「・・・・・・・はあ、昔みたいに裏山の草の上で寝っ転がりたいな・・・・・・あの山での程よい風と土のしっとりとした冷たさ。そして、木の上に登った時しか味わえない木のベッド。今度休暇取れるようになったらどこかの野山にでも行こうかな・・・・・ケイン博士やマーティ、ゼロも復活したら・・・・・・・あ、でもマーティはああいうところあまり好きじゃないかもしれないな。元々マーメイドタイプだったし・・・・・・」
 
前世の懐かしき思い出を口にしながらエックスは目を閉じる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
一方のマーティは、一人隊長室の自分の席に座っていた。部屋で休んでいようと考えていたのだがどうも落ち着かずここに来たのだ。
 
「・・・・・・・エックスって、こういうとき何やってんのかしら?」
 
マーティはぐったりとしながらエックスの机を見る。
 
「・・・・そう言えばアタシって普段エックスが何をしているのかさっぱりわからなかったわよね。・・・・・・何も知らないなんて・・・・・・じいさんでも何か知ってそうなのに。はあ。」
 
マーティはため息をついてエックスの机の中を少しいじってみる。エックスがこの現場にいたら怒られるかもしれないが何も知らないという劣等感があるためかそこまで気にしていない。すると机の中から一つのケースが出てきた。
 
「何かしら?」
 
マーティがケースを開けてみると中には大事そうにしまわれている半月型の布のようなものが入っていた。
 
「何この布袋?」
 
マーティは布袋の中に手を突っ込んでみる。しかし、小さいにもかかわらず中はどうなっているのかわからないほど深いようだった。
 
「一体どうなってるのよ・・・・・このポケット・・・・・」
 
マーティは、不気味に思いながらもポケットの中から一つの巨大な球を出す。サイズはバスケットボールより一回り大きく中央部分が縁どられている。
 
「・・・・・・何これ?」
 
マーティは、ポケットをケースにしまい直して球を手に取ってみる。球には張り紙が張られていて汚い字で読みづらかったがどうにか宛先が「のびのびた」と読めた。
 
「誰なのかしら?のびのびたって。もしかしてエックスの本名?いや、それはないだろうし・・・・・・・」
 
マーティはそんなことを言いながら球を開けようとする。中に何か入っているらしい。強引に蓋を槍で開いてみると中には小型の赤いダルマのようなメカニロイドらしきものが入っていた。
 
「め、メカニロイド?」
 
マーティは奇妙そうにそのメカニロイド?を見る。するとメカニロイド?は目を開いてマーティを見る。マーティは思わずバスターショットを構えようとするがメカニロイド?の方が先に彼女の胸に向かって飛びついてきた。
 
「きゃっ!?」
 
彼女は驚きのあまりに尻もちを搗くがメカニロイド?の方は笑いながらマーティの顔を見ていた。
 
「ドラララ!ドラララ、ドララ!」
 
「な、なによコイツ!?離れなさいよ!!」
 
マーティは、急いでメカニロイド?を突き離そうとするがビキニアーマーをぴったりとくっついてしまっているのか離れない・・・・・と言うか無理やり離すとアーマーごと取れそう。
 
「ドラララ!ドララ~!」
 
「もう・・・・・・なんでこんな目に遭うのよ。」
 
マーティは仕方なくメカニロイド?をそのままにし、ケインに助けてもらうべく隊長室から出て行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
メンテナンスルーム
 
「・・・・・・マーティ、何なんじゃ?そいつは?」
 
ケインは、半泣きできたマーティを見ながら思わず聞く。
 
「うぅ・・・・・・こいつが突然飛びついてきて離れないのよ・・・・」
 
「ドラ?ドラララ!!ドラドラ!」
 
「ふん・・・・・・・・・こんなメカニロイド見たのは初めてじゃ。というより本当にメカニロイドなのかどうかも怪しいぞい。うん・・・・・型から考えるとタヌキ型かダルマ型かのう・・・・・」
 
「ドッ!?」
 
ケインの一言にメカニロイド?はショックを受けたのかマーティから離れて落ちる。
 
「あっ、取れた。」
 
「ドッ、ドッドッドッ!!」
 
メカニロイド?は怒ったよう動く。しかし可愛らしいせいかケインは思わず笑った。
 
「なんか怒っているのかのう?可愛らしいわい。」
 
「まあ・・・・・確かに可愛らしいけど。」
 
「うん・・・・・名前はタヌキにちなんで“タヌちゃん”はどうかのう?」
 
「ドラ~!!」
 
メカニロイド?はケインに飛び掛かった。
 
「あっ。」
 
「うお~!?」
 
「ドラ、ドラドラ、ドラ!!」
 
メカニロイド?はケインの顔を踏みつける。受けているケイン本人にはたまったものではないがマーティからしてみれば飼い犬が飛び掛かって悪戯しているようにしか見えない。
 
「あいててて!!わ、ワシが悪かった!?タヌちゃんはやめるからやめてくれ~!!」
 
そこへエックスがビートブードを連れてメンテナンスルームに来た。
 
「ケイン博士、ゼロの修復はどのくらい・・・・・・・・」
 
「あいてててて!!」
 
「エックス隊長!ケイン氏がタヌキ型イレギュラーに襲われています!?カウンターハンターからの刺客でしょうか!?」
 
「なっ!?」
 
エックスは目の前の光景を見て絶句する。そして、急いでケインの顔からメカニロイド?を引き離した。
 
「ビートブード!そこのどら焼きを持ってきてくれ!」
 
「へっ?」
 
「そこにテーブルに乗っているものだ!」
 
「あっ!こ、これですか!?」
 
エックスの指示でビートブードはテーブルに置かれているどら焼きを持ってくるとエックスに渡す。受け取るとエックスはメカニロイド?の目の前に出す。
 
「ドラ!?」
 
「さあ、これあげるからもう大人しくするんだ。」
 
エックスはメカニロイド?を降ろすとどら焼きを渡す。メカニロイド?は嬉しそうにどら焼きを受け取ると口を大きく開けて頬張った。
 
「ドララ~。」
 
「うわあ・・・・・メカニロイドが食べ物を食べた・・・・・」
 
ビートブードは驚いた顔で言う。エックスはケインの方を見る。
 
「博士・・・・・・俺の机を勝手にいじりましたね?何度も断ったからとはいえ流石にただではすみませんよ。」
 
「ち、違う!?儂は何もしておらんぞ!?」
 
「じゃあ、なんでミニドラが出てきているんですか!?ポケットから出さなかったらここにいないんですよ!!」
 
「み、ミニドラ?」
 
「この子の名前ですよ!!全く、もうこうなるんだったらポケットの場所も考えなくちゃな。博士も俺の部屋に来る暇があるんだったら早くゼロを直してやってください!!」
 
エックスは、怒りながらケインに言う。予想外の事態にケインは戸惑うばかりであったが流石に全部の責任を押し付けられないと思い、マーティが口を開く。
 
「ごめんなさい、エックス。アタシがこの子出したの。」
 
「えっ?」
 
ケインを叱っていたエックスはきょとんとした顔で彼女を見る。当のミニドラもマーティの肩に乗りながら遊んでいた。
 
「ちょっと興味本位でいじってたら・・・・・・・・」
 
「・・・・・・・」
 
「・・・・・・・・・ごめんなさい。」
 
「ドラララ!」
 
「・・・・・・・ふう、しょうがない。出てきちゃった以上早々カプセルに戻りたがらないし、ケイン博士のところに置いておくと何するかわからないから、責任をもって世話するしかないな。」
 
エックスは頭を抱えながら言う。
 
「えっ?こ、このメカニロイド?を隊長が世話するんですか!?」
 
「ドラ?」
 
「いや、俺一人だと見きれないところがあるからマーティにも見てもらう。意外に懐いているようだし。」
 
「あ、アタシも?」
 
「ドララ。」
 
(うわあ・・・・・・・夫婦だ。)
 
「とにかく、マーティはミニドラをちゃんと面倒見ること。博士は、早くゼロを直してやってください。」
 
「「は、はい。」」
 
「はあ・・・・・・ミニドラ。今日は外で食べようか。」
 
「ドララ~!」
 
ミニドラは、マーティの肩から飛び降りてエックスについて行く。
 
「ま、待ってよ~!アタシも行く!!」
 
マーティも急いで二人の後を追う。
 
「・・・・・・博士、大丈夫ですか?」
 
「お、おおう・・・・・・・ビートブード。お前だけじゃよ、儂のこと心配してくれたの。」
 
ケインとビートブードは、そんなことを言いながらも三人を見る。
 
「・・・・・・・親子ですね。」
 
「親子じゃな。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「エックス。」
 
「ん?」
 
エックスはミニドラと手をつなぎながらマーティを見る。
 
「ミニドラのカプセルに『のびのびた』って名前が書いてあったんだけど、エックスとどういう関係があるの?」
 
「あぁ・・・・それか・・・・・話はずいぶん長くなるけど・・・・・」
 
 
 
 
 
 
翌日、ようやくカウンターハンター基地の場所が分かった。 

 

ネオバイオレン

ハンターベース
 
「エックス!ようやくカウンターハンターの基地を発見したぞ!」
 
「本当ですか!?ケイン博士!!」
 
「あぁ、ダブルゼロ ポイント 北極点じゃ!!」
 
「よし!」
 
エックスは遅れてきたマーティとビートブードの方を見る。マーティの背中にはミニドラが付いている。
 
「いよいよこれが最後の戦いだ!二人とも気を引き締めて行くぞ!!」
 
「「了解!」」
 
「ドラ!」
 
「ちょっと待った、ミニドラはダメ。」
 
「ドラッ!?」
 
「危ないところへ連れて行けないからケイン博士のところで大人しくしているんだ。」
 
「ドラララ!!!」
 
エックスに言われてミニドラは不満そうな態度をとる。
 
「いいか、お前を危ない目に逢わせたくないんだ。ちゃんとお留守番していればご褒美にどら焼き買ってきてあげるから、なっ?」
 
「ドラ!?ドララ!!」
 
どら焼きにつられてミニドラは容易く承諾する。
 
「ゼロの修復にはまだ少し時間がかかる。それまで頑張っておくれ。」
 
「はい!これより出動する!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ダブルポイント ゼロ
 
カウンターハンター基地
 
「・・・・・副隊長、戻った方がよろしいのでは?」
 
ビートブードは、自分の上で歯をガタガタ震わせているマーティを見て言う。
 
「な、なに・・・・言ってんのよ・・・・・・こ、こ、こ、こ、ここまで来てそれはないでしょ?」
 
「だって副隊長、寒がってるんじゃないですか。それじゃあ、敵を倒す前に自分が氷漬けになっちゃいますよ。」
 
「・・・・・しょうがない、このトラップ地帯を抜けたら何とかするからそれまで我慢してくれ。」
 
一番前を行っているエックスはそう言いながらエアダッシュをして移動する。
 
 
 
 
 
 
 
 
しばらくするとようやく罠が一切ない小部屋へと辿り着いた。
 
「よし。ビートブード、マーティをここに寝かせてくれ。」
 
「はい、わかりました。」
 
ビートブードは、ほぼ動かなくなったマーティを寝かせる。
 
「さ・・・・・寒い・・・・・・・気が遠くなる・・・・・・・」
 
「よく耐えたな。念のために四次元ポケット持ってきておいてよかったよ。」
 
エックスはアーマーの中から四次元ポケットを取り出して何かを出す。
 
「あべこべクリーム。」
 
エックスはクリームを手に取るとマーティの体に塗り始める。
 
「あ・・・・・・・あ・・・・・・・・」
 
「我慢してくれ、これ塗らないとここで氷漬けになっちゃうんだから。」
 
少し抵抗を感じながらもエックスはクリームを塗る。するとマーティの顔色が徐々に戻り震えなくなった。
 
「ほ・・・・ほんと後一歩で河原の向こうのマーメイド型に連れて行かれるところだった・・・・・・・」
 
「残りの部分は自分で塗ってくれよ。変なところに塗ったら君だっていやだろ?」
 
「えっ?え・・・・・・」
 
エックスに言われてマーティは顔を赤くする。
 
「その・・・・・・エックスがやってくれるって言うんだったら別に構わないけど・・・・・・」
 
「ん?」
 
「その・・・・・・お手柔らかにやってね・・・・・・」
 
(うわぁ・・・・・・ここで大きく勝負に出たよ!副隊長!エックス隊長、副隊長の気持ちに気づいてあげてください!!)
 
「そ・・・・・そうか・・・・・」
 
(く・・・・・・くる!もう少しで・・・・・・・はあ・・・・はあ!アタシ・・・・・・エックスに触られて・・・・・・!!)
 
(副隊長、告白出るか?出るのか!?出ちゃうのか!?)
 
(こんなことしずかちゃんだったら絶対怒られるんだけどな・・・・・・・)
 
エックスはそう思いながらもクリームをマーティの背中に塗ろうとする。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「待ってたぜ!!エックス!!この間の礼をたっぷりしてやるぜ!!」
 
そんなところへバイオレンが現れた。
 
「なっ!?ビートブード、悪いが代わりに塗ってやってくれ!!俺が相手をしている!!」
 
エックスは塗るのをやめてクリームをビートブードに預けるとバイオレンへと向かって行く。その場に残されたビートブードは、思わずマーティの方を見る。
 
「どうして・・・・・・・こんな時ばっかりに敵が出てくるのよ・・・・・・・・・・」
 
マーティは、涙目で落ち込んでいた。
 
「・・・・・・副隊長、元気出してください。後もうちょっとだったのは残念だったけどエックス隊長、少し顔を赤くしていましたよ。この調子で攻めて行けば隊長の心を鷲摑みに・・・・・」
 
「・・・・・・・許さん・・・・・・・・あのゴリラ許さん!!」
 
マーティは、怒りに燃えて槍を展開してバイオレン目掛けて走っていく。
 
「あっ!待ってください、副隊長!!ブラのホックまだ付けてないですよ!?外れちゃいますって・・・・・・・って聞いてます!?」
 
背中にクリーム塗っているときブラのホックを付け直し忘れてのを知らずにマーティはバスターを撃っているエックスよりも前に出て槍でバイオレンの頭部を突き刺す。
 
「なっ!?」
 
「このゴリラ~!!!」
 
「ま、マーティ!?」
 
彼女のとんでもない行動に思わずエックスは後を引く。マーティはお構いなしに槍を引き抜くと続けてパイルバンカーを展開して、バイオレンの腹に叩きこんでいく。
 
「ぐおっ!?」
 
「許さん許さん許さん許さん!!!許さないわよ!!!!」
 
そうしている間にもブラがドンドンずり下がって行く。エックスとビートブードは思わず自分の目を両手で隠す。バイオレンは、突然の奇襲及びボコボコにやられて涙目だった。
 
「こ・・・・・こんな女に・・・・・・・」
 
「いつもチャンスの時ばっかり・・・・・・・」
 
「ひいいぃい!!」
 
「出てくるんじゃないわよぉおお!!!」
 
とどめとばかりに戦闘の途中で外れた彼の鉄球を持ち上げて放り投げる。同時にブラは完全に外れた。
 
「ブボッ!!」
 
鉄球は見事に腹部にクリーンヒットする。
 
「エ、エックスどころか・・・・こんな女までが俺より優れているというのか!?この俺のパワーが通じぬとは・・・・・・・」
 
「はあ・・・・はあ・・・・・・」
 
マーティは、息を荒くしてバイオレンを見る。
 
「こんな・・・・・・・・・変態女にやられるとは・・・・・ぐわああぁぁぁあああああああ!!!!」
 
バイオレンは、見事に大爆発する。
 
「はあ・・・・・はあ・・・・・・ん?変態?」
 
バイオレンの最後の一言にマーティは反応し、自分を見てみる。
 
「・・・・・・」
 
すぐ近くに落ちているブラ。
 
後ろを向いて自分のことを見ようともしないエックスとビートブード。
 
 
上半身裸の自分。
 
 
 
「・・・・・み・・・・・・・見られた・・・・・・・・・」
 
更に天井を見ると監視カメラ。おそらく敵側も完全に見ていただろう。
 
「う・・・・・・嘘よね・・・・・・・こんなこと・・・・・・・・嘘よね?」
 
跪いて恥ずかしさのあまりに彼女は顔を真っ赤にして涙を出し始める。
 
「み、見られた・・・・・・・・アタシの裸見られた・・・・・・・・エックスどころか全員に見られた・・・・・・」
 
「ま、マーティ・・・・・・・言うのもなんだけど・・・・・早くソレ、付け直してくれ。」
 
「俺たちは何も見てません!!正直言って何も見てません!!隊長も俺も何も見てません!!!本当です!!だから、急いで付けてください!!」
 
二人は後ろを向いて言うが最早彼女の聴覚センサーには届いていない。
 
 
 
 
 
 
 
 
「いやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
この日、マーティにとって思い出したくもない黒歴史が誕生した。 

 

サーゲスタンク

 
前書き
令和でもロックマンが出ることを願う。 

 
カウンターハンター基地
 
「・・・・・・」
 
「マーティ。」
 
「・・・・・・・・」
 
「副隊長、いい加減機嫌を直してください。俺もエックス隊長も本当に見ていませんでしたよ。」
 
「もう黙ってて!!」
 
マーティは顔を赤くして言う。
 
バイオレンを倒して以降、彼女はエックスに顔を合わせられなくなった。いや、合わせるのが怖くなってしまったのだ。
 
「・・・・・・・なんとかならないのか?」
 
困り果てたエックスは、ビートブードに聞く。
 
「俺に聞かれましても・・・・・エックス隊長が何か言ってやってくださいよ?レプリロイドとは言え女の人の裸ですよ?そんなもの見られたら・・・・・・」
 
「裸がなんですって?」
 
「い、いえ!何も言ってません!!」
 
三人は、ギシギシとした空気の中で移動し続けていた。
 
(あんなことあったらエックスと顔合わせられるわけないじゃない!!うぅ・・・・・もう何もかもお終いだわ・・・・・・・・お嫁に行けない・・・・・)
 
マーティは、そう思いながら後ろを振り向かないようにする。いっその事この事件が終わったら辞表でも出して誰もいない無人島にでも引っ越してひっそりと暮らそうとすら考えていた。
 
「マーティ・・・・・・」
 
エックスも彼女にかける言葉を考えられずそうこうしているうちに大きな扉の前に付いた。
 
「・・・・・・・ここか。さっきのことを考えればここにも・・・・・」
 
エックスが話しているにもかかわらずマーティは勝手に部屋へと入って行く。
 
「マーティ、まだ部屋に入るのは・・・・・・」
 
「いいじゃないの!どうせどの道ここを通らなきゃ最深部へと進めないんだから!さっさと倒すわよ!!」
 
マーティは、エックスの方を見ないで部屋へと入って行く。部屋の先は、トゲがビッシリと敷き詰められた床が広がっており三人の目の前に移動式の飛行ユニットが並んで飛んできた。
 
「・・・・・・・こいつに乗れってことね。」
 
マーティは2人よりも早く飛行ユニットへと飛び乗る。
 
「マーティ!いくら何でも前に出るのは危険すぎる!!」
 
「そうですよ!ここは慎重に行動すべ・・・・・・」
 
「アタシのことはいいの!!いいからエックスたちは黙ってて!!もう、ほっといてちょうだい!!」
 
三人がそんな言い合いをしていると前方から縦に4門の砲台を付けた大型戦車が向かってきていた。
 
「なっ!?何なんだあの戦車は!?」
 
エックスは思わず息をのむ。
 
今まで多くのメカニロイドや兵器を見てきたがこんなラビット二台分以上の大きさもある戦車を見たのは初めてだった。すると戦車の方から笑い声が聞こえてきた。
 
『ガ~ハッハッハッハッハッハッハ!!よく来よったな、エックス!!』
 
「その声はサーゲス!?」
 
『前回は不甲斐無いばかりに敗北したが今度はそういかんぞ。このサーゲス自らを組み込んだサーゲスタンクの前では貴様らなど敵いはしないのだ!!それにそこは限られた足場に一歩間違えればトゲの床に真っ逆さま。お前たちのみじめな最期を拝めるぞい!!』
 
「何言ってんのよ!むしろアンタの方が串刺しになれば?イレギュラーの最後にしてはお似合いなんじゃないの?」
 
大笑いするサーゲスに対してマーティは挑発するように言う。
 
『何をっ!?生意気な変態小娘め!!そんなこと言うなら貴様からけっちょんけっちょんのぎったんぎったんにして、最後にさっき撮ったお前の恥ずかしい写真を全世界にばら撒いてくれるわ!!』
 
「へ、変態言うな!!って言うかアンタも見てたんかい!!このクソジジイ!!!」
 
サーゲスの言葉に激怒したマーティは槍を展開して向かって行く。
 
「マーティ!!」
 
エックスは止めようとするがマーティは、エックスに構わずバスターショットをサーゲスタンクの砲身部に向けて放ちながら砲弾を避けていく。
 
『ええい!ちょこまかと!!』
 
接近したところでブーメラン弾を放つとシールドブーメランで相殺し、槍を伸ばして砲台の一門を突き刺す。砲台は火花を散らして爆発する。
 
「よし!まず一門!」
 
『おのれ!小娘が!!』
 
サーゲスはタンクの距離を詰める。するとマーティの乗っていた足場が破壊され、着地点を失う。
 
「なっ!?」
 
『ヌフフフフフフ!!まずは生意気な小娘一人!!』
 
マーティは真っ逆さまにトゲの床へと落ちていく。エックスはエアダッシュで咄嗟に彼女を抱き、足場の端を何とか掴む。
 
「くっ!」
 
「エックス!?」
 
『ガッハハハハ!!たかが女のために危険な目に遭うとは奴と同じで本当に甘いのう!!』
 
サーゲスはうまく動く事をいいことにエックスに攻撃を集中させる。
 
「グッ!?」
 
『ほれほれ!!早くその女を放さんと自分がやられてしまうぞい?』
 
サーゲスは笑いながら言う。
 
「エックス隊長!?」
 
ビートブードは助けに行こうとするが砲撃が激しくて防御するのが精一杯だった。エックスは傷つきながらもマーティを放そうとしない。
 
「ぐ、ぐうぅう・・!!!」
 
「エックス、放して!このままだとあなたまで・・・・」
 
「ダメだ・・・・・・くっ!」
 
エックスは、痛みに耐えながらも彼女を掴んでいる手の力を弱めない。
 
「アタシなんてどうせただの変態女よ!?そんなアタシを助けて・・・・・」
 
「君は俺の大切な仲間だ・・・・・・それに・・・・・ぐうう!!」
 
エックスは弱っていながらもマーティをしっかりと見る。
 
 
 
 
「傷物にしちゃった責任を取らなくちゃいけないからね・・・・」
 
「責任?」
 
「ビートブードはああ言ってくれたけど実はあのとき、君の裸はっきり見ちゃったんだ・・・・・・本当にごめん・・・・・」
 
「う、うぅ・・・・・・・バカ・・・・・結局見てたんじゃない・・・・・」
 
エックスの言葉に対してマーティは怒ることなく泣きながら彼を抱きしめる。
 
「隊長と副隊長がこのままじゃ・・・・・・・・ん?」
 
防御態勢を取り続けていたビートブードは足元に何か落ちているのに気が付く。
 
エックスが落とした四次元ポケットだ。
 
「エックス隊長のだ!」
 
ビートブードは咄嗟にポケットを取り手を突っ込む。
 
「これで何か隊長を助けられるものを!!」
 
ビートブードは手あたり次第何かを取り出す。
 
「これだ!!・・・・・・・コンニャク!?これじゃあ役に立たない!!」
 
ビートブードはコンニャクを捨てて別の物を出す。
 
「これ・・・・・・・ってきび団子・・・・・相手は鬼じゃないんだから!!」
 
ビートブードは手あたり次第道具を取り出すがどれもこれも使えそうなものではない。
 
「えっとこれでもない・・・・これでもない・・・・・・あぁ!!どれが使えるんだぁ!?」
 
ビートブードは無我夢中に出した道具をサーゲスタンクに向かって投げる。
 
『くっくっく・・・・・そんな変なものでこのサーゲスタンクを壊せると思っているのか?』
 
その中の爆弾みたいなものが一つサーゲスのいるコックピットに転がってくる。
 
『くっく・・・・・・!?ば、爆弾っ!?』
 
爆弾?はコックピットの中で爆発する。
 
『ベロベロバー、オッペケペッポー、アジャラカモクレン!!』
 
サーゲスは突然狂ったかのように笑いだす。おかげでタンクが攻撃を止めた。ビートブードは、その間にエックスたちを引き上げる。
 
「エックス隊長、大丈夫ですか?」
 
「な・・・・・なんとかな・・・・・よくやってくれたよビートブード。時限バカ弾を投げ込むなんて・・・・・」
 
エックスはよろよろと立ち上がると両手を構える。
 
「エックス、そんな体で・・・・・」
 
「大丈夫だ・・・・・今の状態のサーゲスなら避けることはできない。」
 
エックスの腕にエネルギーが溜まっていく。
 
『パッパラ・・・・・・はっ!?わ、ワシは一体何を・・・・・・・ヌッ!?』
 
ようやく正気に戻ったサーゲスは、目の前の高エネルギー反応に驚く。そして、その反応がエックスから感じられていた。
 
『こ、このエネルギーは奴が発しておるのか!?』
 
「喰らえ!!サーゲス!!波動拳!!」
 
エックスはサーゲスタンクに向かって波動拳を放つ。波動拳は砲台をすべて破壊するとサーゲスの動力炉を貫いた。
 
『そ・・・・そんな馬鹿な・・・・・・わ、ワシはここで滅びるのか?』
 
タンクが爆発していく中サーゲスは気力を失ったような表情をする。
 
『ライトの忘れ形見のロボットにまたも敗れるとは・・・・・・無念・・・・じゃ・・・・・』
 
サーゲスは、呪うような言葉を残して爆発する。それを確認するとエックスはそのまま倒れてしまった。
 
「エックス!!」
 
倒れたエックスをマーティは抱きかかえる。
 
「エックス!エックス!!」
 
エックスからの返事はない。マーティとビートブードは思わず顔が真っ青になった。
 
「そ・・・・・・そんな・・・・・エックス隊長が・・・・・」
 
「エックス・・・・エックス!!」
 
目を開けないエックスに対してマーティは涙を流し始める。
 
「責任とるって言ってたじゃない・・・・・なのに・・・・・どうして・・・・・」
 
マーティはエックスを強く抱きしめる。
 
「好きだったのに・・・・・・・・もっと早く言えば・・・・・・もっと女らしかったら・・・・・・アタシのバカ・・・・・」
 
「・・・・・副隊長・・・・・」
 
マーティは、エックスにそっと口づけをする。
 
「愛してる・・・・・・・あなたのこと・・・・ずっと忘れないわ。さよう・・・・・」
 
「勝手に人を殺さないでくれ。」
 
「「!?」」
 
二人は驚いてエックスを見る。エックスはゆっくり目を開く。
 
「え、エックス・・・・・!?ま、まさか・・・・・・・ど、どこまで聞いていたの?」
 
「倒れてすぐ。」
 
「・・・・・・・!!」
 
マーティは思わず顔を真っ赤にして何も言えなくなってしまう。
 
「いや・・・・・その・・・・・・君がそう思っていたなんて・・・・・・・」
 
「う、うっ、うぅう・・・・・・」
 
「俺、こういう経験があまりないもんだから・・・・・・・気づかなくてごめん。」
 
「!!!!!」
 
あまりの恥ずかしさにマーティの顔から湯気が出始める。
 
「でも、俺も君のことが好きだよ。昔のことでうまく言えなかったんだけど・・・・」
 
「エックスのバカ!!もう、知らない!!」
 
マーティは足場が次の目的地点に到達するとすぐにすたこらさっさと歩いて行く。
 
「悪かったよ・・・・・・うっ。」
 
「!?エックス!?」
 
よろめいて倒れるエックスを慌てて支える。自分を庇ったダメージと先ほどの波動拳でかなり消耗しているようだ。
 
「・・・・・・・ごめん。」
 
「いいのよ、アタシを助けてこうなったんだから。その代わり・・・・・・・・今度一緒にデートしてね。」
 
エックスの肩を支えながらマーティは恥ずかしそうに言う。
 
「・・・・あぁ。でも、途中で怒って帰らないでくれよ。」
 
エックスは、歩きながら言う。その言葉を聞いてマーティはまた顔を赤くした。
 
「そ、そっちも途中で居眠りとかしないでよね!!仕事の時間以外は昼寝しているんだから!!」
 
「はっはっはは・・・・・」
 
(よかったですね、副隊長。・・・・・それにしてもエックス隊長も意外に副隊長のこと意識していたんだな・・・・)
 
ビートブードはそう思いながら二人の後ろについて行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
???
 
『・・・・・・どうやら、サーゲスまでもが敗れたようだな。だが、奴はよく私に尽くしてくれたよ。おかげでオリジナルではないがゼロのコピーは完成したのだからな。間もなく完成する・・・・・・エックス、このゼロが完成した暁には貴様は撃てるかね?かつての戦友と全く同じ姿をしたこのゼロを・・・・・・・クッククククク・・・・・・・ファ―――――――――ハッハッハッハッハッ!!!』 

 

アジールフライヤー

 
前書き
アジフライのインパクト・・・・・・ 

 
カウンターハンター基地
 
「よいしょ、よいしょ・・・」
 
マーティはエックスを引っ張りながら進んで行く。
 
サーゲスをどうにか倒す事ができたエックスではあるがダメージは予想以上に大きく、一人で立つのも困難な状態だった。本当ならすぐにでもハンターベースに戻って修理をするべきなのだが基地の防衛システムの一環なのかここでは簡易転送装置が起動しない。そのため、今ビートブードと交代交代でエックスを支えながら進んでいた。
 
「ぐっ・・・・・・」
 
「大丈夫エックス?」
 
マーティは心配そうにエックスの顔を見る。正直言ってあまり顔色が良くない。
 
「だ、大丈夫だ・・・・・」
 
「こんな時に転送装置が使えればいいのですが・・・・・・」
 
「使えないものを言っても仕方ないさ。一刻も早く奥へと向かおう。幸いカウンターハンターも後アジールだけだ。」
 
「でも、今のエックスの状態じゃ・・・・」
 
「君を置いてなんて逝ったりはしないさ。だから、進もう。」
 
エックスは、そう言いながら足を進める。三人は梯子や移動用リフトに乗って移動すると深い下りへと辿り着く。
 
「結構深いですね・・・・・・・安全のためにロープをつけながら行きましょう。」
 
「そうね。」
 
ビートブードは飛行しながら先導し、マーティはエックスをしっかり固定してロープを伝って降りて行く。しばらくするとマーティは腕にしびれを覚え始めた。
 
「うぅ・・・・・流石に一人背負って降りると疲れるわね・・・・」
 
「すまない・・・・・」
 
「・・・・・・フッ、いいのよ。こうなったのもアタシが原因なんだから、早く終わらせて爺さんに直してもらいましょう。」
 
詫びるエックスに対してマーティは笑いながら答える。すると先に降下しているビートブードが二人に声を掛ける。
 
「副隊長!ここの壁だけ何故かホログラムで偽装されています。結構広い空間になっていて敵もいないようです!!」
 
「占めた・・・・そこで一旦休憩を取りましょう。」
 
マーティは、ビートブードがいるところまで降りると壁に触れて見る。確かに他の壁と違って手を触れるとすっと中に入り、少し広い空間へと辿り着いた。
 
「どうやら、敵が設置したわけでもないようですね・・・・・・・でも一体どうやって・・・・」
 
しかし、奥を見ると見覚えのあるカプセルがあった。
 
「副隊長・・・・・・・もしかしてメカニロイドを収納しているカプセルでしょうか?」
 
「いいえ・・・・おそらくだけど・・・・・」
 
マーティとビートブードは恐る恐るカプセルに近づく。するとカプセルが開きライトが姿を見せた。
 
『よくぞここまで来たエックス!!ここでは波動拳と並ぶ必殺技を授けよう!!ほれ!さっさと・・・・・・!?ど、どうしたんじゃエックス!?その姿は!?』
 
かつてのように胴着の恰好をしていたライトだったがエックスの姿を見て唖然とする。
 
「さっきの戦闘でアタシを庇ったばっかりに怪我をしたのよ・・・・」
 
『なんじゃとっ!?それは一大事じゃ!!マーティ、エックスを急いでこのカプセルに入れるのじゃ!!』
 
ライトに言われるままにマーティは、エックスをカプセルに入れる。するとカプセルの上下から小型の修理アームが展開され、エックスを修理し始める。
 
「副隊長、このコン・・・・いや、この老人は一体何者なんですか?」
 
「さあ・・・・・・一応、エックスとは何らかの関係はあるとは思うけど・・・・・・・」
 
二人は、修理が終わるまで近くに座って待機した。
 
 
 
 
 
 
 
しばらくするとエックスがカプセルから出てきた。
 
「エックス!」
 
「エックス隊長!」
 
「二人とも、心配かけてすまなかったな。」
 
エックスは、2人を見ながら言うとライトの方を見る。
 
「ありがとうございましたライト博士。もし、ここにカプセルがなかったら俺でもどうなっていたか・・・・・」
 
『わしだけのおかげではない。そこにいる仲間がおったからこそわしもお前を修理することができたのじゃ。』
 
「博士・・・・・」
 
『この戦いもあともう少しじゃ。頑張るんじゃぞ、エックス。』
 
「はい、博士。」
 
『あっ、言い忘れるところじゃったが今回習得させた必殺技は“昇龍拳”じゃ。拳を炎に包んで飛び上がり、相手に強力なアッパーカットを放つもので空中にいる敵に対して有効じゃ。気をつけて使うんじゃぞ。』
 
「はい。」
 
エックスは二人の方を見る。
 
「いよいよこれで最後だ!みんな気を引き締めて行くぞ!!」
 
「了解です!」
 
「えぇ!」
 
三人は壁を伝って再び降りて行く。
 
「あっ、そうだ。エックス隊長、これお返しします。」
 
「あっ、四次元ポケット!君が拾ってくれてたのか。ありがとう。」
 
「いえいえ・・・・・」
 
 
 
 
『・・・・・・・エックス、頼もしい仲間を見つけた様じゃな。それにマーティもわしが想像していた以上に支えてくれているみたいじゃ。彼女にも何かサポートできるようなものを作っておいてもいいかもしれんな・・・・・・』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三人は、扉の前に辿り着く。
 
「・・・・また、トゲ床じゃないでしょうね?」
 
「俺も正直言ってあの床もう嫌です。一歩間違えれば串刺しになりそうだし。」
 
「そうだな・・・・・・俺もできればそうならないように考えたいな。」
 
三人は扉の中を通る。心配が的中しまたもやトゲ床が設置されていた。
 
「まただ・・・・」
 
「もう、いや!あいつ等どんな趣味してんのよ!!」
 
「ここに来る道中もこの床ばっかりだったのに・・・・・・・・」
 
三人が嘆いていると上から何かが迫ってきた。
 
 
 
「何よあれ?」
 
「鳥だ!」
 
「飛行機だ!」
 
「いやあれは・・・・・」
 
「やっと来ましたね、エックス。」
 
三人が上を見るとそこには顔だけ残して、他はドラム缶を横にしたような空中浮遊型の機械に改造されているアジールが浮遊していた。
 
「「「・・・・・・・キモッ。」」」
 
「なっ!?いきなり見てキモイとは!?」
 
三人の反応にアジールは唖然とする。
 
「お前・・・・・・ずいぶん変わり果てた姿になったな。顔以外全く別物だぞ。」
 
「貴方を倒すためにサーゲスにアップグレードしてもらったら大爆発して・・・・・・・・・」
 
「あっ、頭以外吹っ飛んだんだ・・・・・・。」
 
「ですが性能は十分です。それにここは一歩落ちれば串刺しにされる足場・・・・・それに比べて私は空中戦に有利になっています。今の私に負ける道理はないので・・・・・・」
 
「昇龍拳!!」
 
話している最中のアジールフライヤーにエックスは迷いなく昇竜拳を仕掛ける。急所を撃たれたのかアジールフライヤーは、爆発しながら落ちていく。
 
「まさか・・・・・・・戦闘開始前にやられるとは・・・・・・・・」
 
「・・・・・えっ?まさかこれで終わり?」
 
マーティは、ビートブードと顔を見合わせて言う。
 
「う~ん・・・・・まあ、最後の一人を倒したんだし一件落着には変わりないと思いますが・・・・・・」
 
「えっ?えっ!?そ、それでいいわけ!?さっきのエロジジイの時はあんなに苦労したのに!?」
 
「でも、いいじゃありませんか。これで戦いが終わったんだし、副隊長もこれで帰ってエックス隊長とデート行けるんですし。」
 
「うん・・・・・」
 
マーティはいまいち納得いかなかったものの終わったんならこれでいいかと考え直した。
 
しかし、アジールフライヤーは最後にとんでもないことを叫ぶ。
 
「シグマ様~!!どうか我らの仇を!!!グワアァァァァァァアアアア!!!!」
 
それだけを叫ぶとアジールフライヤーは木っ端みじんに吹き飛んだ。
 
「シグマだと!?」
 
エックスは驚いた顔で言う。
 
「シグマって・・・・・・確か半年前に死んだはずのイレギュラーよね?」
 
「はい、俺とエックス隊長の元上司で前回の反乱の首謀者です。ですが・・・・・あの時エックス隊長がボディ諸共破壊したはずです。」
 
三人が動揺していると不気味な声が聞こえ始める。
 
『クッククク・・・・・・・久しぶりだな、エックス。』
 
「「!?」」
 
聞き覚えのある声にエックスとビートブードは思わず驚く。
 
「その声・・・・・まさか本当にシグマなのか!?」
 
『・・・・・・・どうやらカウンターハンターの作戦は失敗に終わったようだな。だが、安心したまえ。お前たちのために楽しい趣向を用意してあるのだよ。』
 
「御託はいい!!どこにいるんだ!?」
 
『クックック・・・・・・・そう慌てるな。私は中央コンピューターのところにいる。待っているぞ・・・・・ファ――――――ハッハッハッハッハッハ!!!』
 
シグマの笑い声が消えると部屋の奥の隠し扉が開く。
 
「どういう事なんだ・・・・・・奴は確かにあの時死んだはずなのに・・・・・」
 
「エックス隊長、とりあえず進みましょう。何はともあれ確かめるべきです。」
 
「そうだな・・・・・マーティ、転送装置は使えるか?」
 
「えぇ、さっきの奴を倒したと同時に使えるようになったわ。」
 
「じゃあ、君だけでもハンターベースに・・・・・」
 
「貴方と一緒じゃなきゃ戻らないわよ?」
 
「・・・・・・・・・わかった。よし、中央コンピューターまで行くぞ!!」
 
三人は走ってその場を後にして行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
カウンターハンター基地 中央コンピューター
 
「ここは中央コンピューターか。」
 
エックスたち三人は道中のトラップを掻い潜って中央コンピューターにまでたどり着いた。まあ、最も、以前のヒャクレッガーが占拠したエリアに構造が似ていたという事もあるが。
 
「ここに・・・・・シグマ隊長が・・・・」
 
ビートブードは辺りを警戒しながら周囲を見渡す。すると高速で動くかのように三人の目の前にシグマが現れた。
 
「シグマ!!」
 
エックスはバスターを構える。以前の姿と比べてボディの体色や各部のパーツがかなり異なっているが間違いなくシグマだった。
 
「クックックッ・・・・・・・久しぶりだな、エックス。この日を待ちわびていたぞ。」
 
「黙れ!!すべてお前が黒幕だったのか!!カウンターハンターを使って・・・・・オストリーグを利用したり・・・・他のレプリロイドの命を奪って!!」
 
「オストリーグのことか。クックックッ・・・・サーゲスは実に有能だったな。奴を操るのは愚か、こんな代物まで残したのだからな。」
 
「こんな代物?」
 
エックスが奇妙に思うとシグマのすぐ隣に別のレプリロイドが現れた。
 
「なっ!?」
 
「ぜ、ゼロッ!?」
 
「えっ!?あれが!?」
 
体色は赤から黒に変化しているものの間違いなくゼロだった。
 
「紹介しよう、彼が私の新たなパートナー ゼロだ。」
 
「そんな・・・・パーツは全部・・・・・・!ま、まさか取り返したパーツは全部偽物だったというのか!?」
 
「う、嘘ッ!?」
 
「でも、目の前にゼロがいるって言うことは・・・・・・」
 
「クックックッ・・・・・・では、昔の仲間同士。存分に戦ってくれたまえ。」
 
シグマが言うとゼロ?は、背部に設置されているビームサーベルを引き抜いてエックスたち三人に近づいて行く。
 
「ゼロと戦うしかないのか・・・・・・・・・・やっと会えたと思ったのに・・・・・・」
 
「エックス・・・・・」
 
悔しそうな顔をするエックスにマーティは何とも言えない顔になる。
 
「隊長、やるしかありません。ゼロには申し訳ないけど・・・・・・」
 
「・・・・・・・くっ!許してくれゼロ。」
 
エックスも覚悟を決めてバスターを構える。ゼロ?はエックスに向かって行く。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「避けろエックス!!」
 
「「「!?」」」
 
その直後、三人の後ろから声がした。三人が避けると二つの光弾と斬撃がゼロ?に命中し、吹き飛ばされる。
 
「い、今の声は・・・・・まさか!?」
 
エックスは飛んできた方を見るとそこにはもう一人のゼロがこちらに向かってきていた。ゼロは三人のところへ到着するなり、シグマを見る。
 
「ゼ、ゼロ!?じゃあ・・・・さっきのは一体・・・」
 
「あれがゼロ・・・・・」
 
「シグマ!俺のコピーにしては出来が良くないようだな!!」
 
現れたゼロに対してシグマは、苦虫を嚙み潰したような顔をする。
 
「おのれゼロ!!何故貴様は私に牙をむける!?貴様の本当の敵は私ではないはずだ!!」
 
「俺はお前が嫌いなのさ。」
 
「チィ!!」
 
シグマは上へと姿を消していく。
 
「逃がさん!!」
 
ゼロは先ほどと同じダブルチャージウェーブを送り出すが逃げられてしまう。エックスたちはゼロを見る。
 
「ゼロ・・・・・ほ、本物なんだよな?」
 
「た、確かに・・・・・・偽物が勝っちゃうなんて言うことも否定できませんからね。」
 
「おいおい・・・・俺は本物だ。その証拠に・・・・・・」
 
ゼロの後ろから何かが出てくる。
 
「ドラ!」
 
「「「ミニドラ!?」」」
 
ミニドラはゼロの肩から飛び降りるとエックスたちのところへ走ってくる。
 
「そいつに付いて来られちまってな。まあ、道案内にはなったが。」
 
「来ちゃダメだって言っただろ?」
 
「ドラ・・・・・・・」
 
「そう怒るな。それに今俺たちがすべきことはシグマを倒すことだ!」
 
ゼロは、部屋の中央に立つと拳を思いっきり床に叩きつける。
 
「アースクラッシュ!!」
 
すると床が崩れ、大きな穴ができる。
 
「ゼロ?」
 
「エックス、俺はこの基地のメインコンピューターを破壊する。お前はシグマを追いかけろ!この穴の先にある部屋にシグマの本体が潜んでいるはずだ!」
 
「ゼロ!まさか、死ぬ気か!?」
 
「心配するな、二度も死ぬつもりはない。」
 
ゼロはそう言うと先へと進んで行ってしまう。エックスたちとミニドラはゼロがあけた穴を見る。
 
「ドララ・・・・・・」
 
「思ったより深そうですね。」
 
「あぁ・・・・・だが、この先にシグマがいるというなら行くしかない。二人とも、覚悟はできているか?」
 
「えぇ、もちろんよ。」
 
「心得ています。」
 
「ドラ!!」
 
「・・・・・・よし、それじゃあ、行くぞ!!」
 
エックスたちは、穴へ飛び込んで行った。  

 

シグマ

 
前書き
X2編はここで本編終了。 

 
カウンターハンター基地
 
エックスたちは穴をしばらく落下し続けると一つの広い部屋に着陸した。
 
「みんな無事か。」
 
「何とかうまく着陸できました。」
 
お互いの無事を確認すると同時に目の前にシグマが現れる。
 
「シグマ!」
 
「どこまでも私の邪魔をしたいというのかね・・・・・・エックス!」
 
「あぁ!貴様を倒すまではどこまでも邪魔をしてやる!!」
 
「威勢はいいな・・・・・ならば、パワーアップしたこの私自らの手で貴様を闇へ葬ってやるとしよう!行くぞ!!」
 
シグマは両腕から鉤爪を展開し、エックスに向かって高速で接近して来る。
 
「おっと!」
 
エックスはエアダッシュでシグマの攻撃を回避する。しかし、シグマは壁を蹴ってジャンプをすると高速移動で姿を消した。
 
「「「き、消えたっ!?」」」
 
「ドラ?」
 
「ここだ!」
 
「!?」
 
落下してくるシグマを避けてエックスはダブルチャージショットを放つ。シグマは回避が間に合わないと判断し両腕を組んで防ぐ。
 
「ヌッ!?・・・・・・相変わらず隙が無いなエックス。」
 
「今回は俺一人じゃないという事を忘れていないか?シグマ。」
 
「うん?」
 
シグマが上を見上げるとマーティが槍を振り下ろそうとしていた。
 
「やあ!!」
 
「くっ!
 
シグマは鉤爪で槍を受け止めるが後ろからビートブードの体当たりをまともに喰らう。
 
「うおっ!?」
 
「シグマ!!兄貴の仇だぁ!!うおぉぉおお!!」
 
ビートブードの体当たりでシグマは壁に突き飛ばされる。
 
「ドラララ!!」
 
ミニドラもミニ空気砲を装備してシグマに攻撃する。
 
効いているかどうかは置いといて。
 
「ぬうぅ・・・・・・・流石今の第17精鋭部隊と言ったところか。だが、ここで私を簡単に倒せると思うな!!」
 
シグマは構えを取って自分の周りに光弾を複数発生させてエックスたちに向けて放つ。
 
「避けろ!」
 
エックスの声で二人は回避行動をとる。しかしその隙を逃すシグマではない。瞬時に壁を蹴って高速移動し、エックスの目の前に現れる。
 
「!?」
 
「喰らうがいい!!」
 
シグマの攻撃をエックスは防御するが見かけによらず斬りつけ攻撃を食らうと、吹っ飛ばされて壁に跳ね返り、天井まで打ち上げられてしまった。
 
「ぐっ!?」
 
「次はこれだ!!」
 
シグマはまた構えを取りエネルギーを溜める。
 
「エレクトリックスパーク!!」
 
かつて前の戦いでエックスが使用していたエレクトリックスパークを残りの二人に向かって放つ。
 
「うわあぁぁ!?」
 
「きゃああぁ!!」
 
三人は倒れ、残りはミニドラだけになった。
 
「ドラっ!?」
 
「後はお前だけだチビスケ。」
 
「ドラララ~!!」
 
ミニドラは駆け足でシグマから逃げる。
 
「逃げられると思っているのか!!」
 
シグマは高速で移動しミニドラの目の前に来る。
 
「ドラ・・・・・」
 
ミニドラは何とかしようと手あたり次第ひみつ道具を取り出す。
 
「ドラ!!」
 
まず投げてきたのは「桃太郎印のきびだんご」・・・・・ではなく「おしり印のきびだんご」。しかし、レプリロイドは下痢などしないため効果なし。
 
「ドラララ・・・・・・・」
 
次に出したのは「地球破壊爆弾」の小型サイズ版「ミニ地球破壊爆弾」。これもミニドラサイズに縮小してしまっているため大したダメージにならない。
 
「ヌッフッフッフ・・・・・・・覚悟はできたかチビスケ?」
 
シグマがゆっくりとミニドラに迫る。
 
「ドララ・・・・ドラ!!」
 
「ヌッ!?」
 
ミニドラは最後の賭けと何か大量の錠剤が入った薬瓶をシグマの口へ放り投げる。蓋は空いているため薬瓶がシグマの口に入ると全ての錠剤が口の中へと入ってしまった。
 
「おのれ・・・・こんなものを私に入れおって、最早容赦せんぞ!!」
 
「ドラララ・・・・」
 
ミニドラは頭を抱えて縮こまるがどういうわけかシグマの動きが急激に遅くなった。
 
「なっ!?こ・・・・・・・・こ・・・・・・れ・・・・・・は・・・・・・・・い・・・・・・・・」
 
喋りまでゆっくりになり、シグマの動きがカタツムリ並みに遅くなる。ミニドラはそれを確認すると倒れているエックスの元へと走っていく。
 
「ドラララ!」
 
「う・・・・・・み、ミニドラ?」
 
エックスは目を覚まして起き上がるとほぼ静止した状態のシグマを見る。同じように起こされたマーティとビートブードも何事かと思った。エックスはシグマの足元に転がっている薬瓶を拾う。
 
「そうか。『スロー』を大量に飲んだせいで動きが極限まで遅くなったのか。だから、ほとんど動いていないように見えるんだ。」
 
「えっと・・・つまり、今のコイツは動いているけど攻撃できないほど遅くなっているってこと?」
 
「そう言うことになりますね。」
 
四人は、少し哀れそうにシグマを見る。
 
「な、なんかちょっと卑怯に感じますね。動けない敵を全員で叩くというのは・・・・・」
 
「仕方ないんじゃない?ミニドラを侮ってこうなってんだから。」
 
「それじゃあ・・・・・・みんなで決めて終わらせよう。」
 
エックスたちは一定距離まで離れるとシグマに向かって総攻撃を仕掛ける。
 
「ダブルチャージショット!!」
 
「チャージショット!!」
 
「ブーメランカッター!!」
 
「ドララ!!(ミニ空気砲)」
 
全員の攻撃がシグマに命中する。
 
「グ・・・・・・・・・・・・・グワ・・・・・・・・ア・・・・・・・・」
 
悲鳴まで遅くなってしまっているため、シグマは断末魔の叫びを最後まで言うことなく爆発した。
 
「今回は予備のボディらしきものも近くにない。今度こそ本当におわ・・・・・」
 
『まだだ!!この程度では終わらんぞ、エックス!!』
 
「なっ!?」
 
後ろから聞こえてくるシグマの声にエックスたちは思わず後ろを見る。
 
『ファ―――――――――ハッハッハッハッハッ!!これからが本番だ!!行くぞ!!』
 
上に巨大なシグマの顔が現れたのだ。あまりにも現実離れしていたためエックスたちは茫然とする。
 
『喰らえ!!』
 
シグマは口から光線を放つ。エックスたちは避けるもののシグマは更に口からメカニロイドを発射し、追撃の手を緩めない。
 
「マーティ!」
 
マーティに目掛けて飛んできたメカニロイドをエックスはダブルチャージショットで破壊する。このまま続けば消耗戦となり、エックスたちが不利になる。
 
「どうすればいいのよ!?あのデカい禿頭、いくら攻撃してもビクともしないし・・・・・・」
 
「副隊長、コンピューター施設のことを思い出してください。おそらくあのシグマ隊長はホログラムです。っということは他に本体であるメインコンピューターがあるはずです。」
 
「よし、俺がシグマを引き付ける。その間に二人はシグマの本体を探してくれ。」
 
エックスはシグマに向かって行く。
 
『一人で挑むつもりかね?エックス。』
 
「お前にやられるような俺じゃない!!」
 
エックスは、拳に炎を纏ってアッパーカットをする。
 
「昇龍拳!!!」
 
『無駄だ・・・・・実体のない私にはお前の攻撃は痛くも痒くもないぞ?』
 
シグマは、一瞬にして姿を消す。
 
「ま、また姿が・・・・・」
 
『ここだ。』
 
「うおっあぁ!?」
 
背後から現れたシグマの攻撃を慌てて避ける。
 
『フッフフフフ・・・・・いつまでその抵抗が持つかな?』
 
「くっ!」
 
エックスは、特殊武器を駆使して時間を稼ぐ。
 
 
 
その一方でマーティたちは急いでシグマの本体と思われるものを探す。
 
「本体って言ってもどこにあるのよ・・・・・・施設の時はホログラム自身を攻撃し続けたら勝手に崩壊したけど・・・・」
 
「これだけ広い基地ですからね。おそらく大型なせいで俺たちの攻撃を受けてもそこまでのダメージに至らないんだと思います。そのコンピューターを破壊すれば・・・・・・」
 
「ドラララ!!」
 
ミニドラが一番稼働しているコンピューターを見つける。
 
「これだ!こんな巨大なサーバーだったからダメージの演算処理とか早くてあまり効いていないように見えていたんだ。」
 
「だったら、さっさと壊すに限るわね!!」
 
マーティは、槍でコントロールパーネルを突き刺しまくる。するとメインサーバーが火花を散らし始め誘爆し始めた。
 
「さあ、急いでエックス隊長のところへ戻りましょう!」
 
三人は急いでエックスの元へと戻って行く。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
同時にシグマの方にも異変が起こる。
 
『グッ!?ど、どういう事だ!?ダメージが蓄積されていくだとっ!?』
 
突然のシグマの苦しむ姿にエックスはハッとする。
 
「どうやらマーティたちがうまくやってくれたようだな。」
 
『何・・・・・・』
 
「お前の本体を壊したのさ。これでお前も本当に終わりだ!!」
 
エックスはシグマの額に殴りつけると全エネルギーを集中させる。
 
『や、やめろ!?放せ!!』
 
「ギガクラッシュ!!!」
 
エネルギーを一気に拡散させてエックスはシグマを吹き飛ばす。シグマの顔は徐々に崩壊し、完全に崩れ去って行った。
 
シグマが完全に消滅するとエックスは力を使い果たしたとばかりに尻もちをついた。
 
「お・・・・・終わった・・・・・・・・」
 
「エックス!!」
 
そこへマーティたちが戻ってくる。
 
「やったんですね、エックス隊長!」
 
「あぁ・・・・・みんなのおかげで終わったんだ・・・・・」
 
エックスは立ち上がると二人を見る。
 
「おそらくこれで奴も終わりだ。早くゼロと合流して・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『・・・・・・・これで本当に終わりだと思っているのかね・・・・・・・エックス・・・・・』
 
 
「「「!?し、シグマっ!?」」」
 
「ドラッ!?」
 
倒したと思っていたシグマの声にエックスたちは思わず叫ぶ。
 
「そ、そんな・・・・・嘘でしょ!?コンピューターは破壊したはずよ!?」
 
『クックックッ・・・・・・私は死にはせん。・・・・・・・・・だが残念なことに今回も私の負けのようだ・・・・・・・・だが、私は何度でも蘇り新たな力を得る事ができる・・・・・・貴様らの勝利などほんのひと時に過ぎないのだ!!』
 
「減らず口を・・・・・・・どこにいるんだ!?」
 
『しかし・・・・・何故ゼロが・・・・・・・・奴は最後の・・・・ワイ・・・・・・ナン・・・・・ズの・・・・・・・・・』
 
「何を言っている!?」
 
『どうやら今回は時間切れのようだ・・・・・・・・・ぐ、ぐおおぉぉぉおおおおおおおおおおおっ!!』
 
シグマの断末魔と共に基地の爆発が激しくなっていく。
 
「まずいです!!このままだと俺たちも一緒に吹っ飛んでしまいます!!」
 
「みんな!急いで脱出するぞ!!」
 
エックスたちは走って基地から脱出を始める。
 
しかし、途中で足場が崩れてしまったところで足を止めてしまう。
 
「道がないわよ!!」
 
「待っててくれ・・・・・」
 
エックスは四次元ポケットからタケコプターを人数分出す。
 
「二人ともこれを体に付けるんだ!ビートブードは背中、マーティは頭に!!」
 
三人はタケコプターをつけると飛びながら基地から脱出した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
エックスたちが基地から離れて行くと同時に基地は大爆発をして崩壊して行った。安全地帯に着陸するとゼロが先に待っていた。
 
「ゼロ!!」
 
「エックス、どうやら無事にシグマを倒したようだな。」
 
「いや・・・・・それが・・・・シグマはまだ生きているようなんだ。」
 
「何?」
 
エックスの言葉にゼロは不思議そうな顔をする。
 
「あの時の戦いのときもそうだった。・・・・・もしかしたら、またシグマは俺たちの目の前に現れるのかもしれない・・・・・・」
 
「・・・・・・そうか。・・・・・だが、その時はまた倒してやるまでだ。例え奴が何度も蘇ろうと・・・・俺たちがいる限り、好き勝手にさせてたまるか。」
 
「あぁ。」
 
その時丁度朝日が昇り始める。
 
「どうやら夜明けのようだな。」
 
「・・・・・・半年前のあの時もこんな感じで朝日を眺めていた・・・・・・・この太陽の温もりを・・・・・・」
 
エックスは感慨深い顔で朝日を見る。そんなエックスの手をマーティはそっと握る。
 
「マーティ、どうしたんだ急に?」
 
「・・・・・・ちょっと寒くなったから握らせてよ。」
 
まだクリームの効果は切れていなかったがマーティはエックスの手を握りながら朝日を眺める。その状況にゼロは少し妙に感じた。
 
「なあ、あれは一体どうなっていやがんだ?」
 
「愛ですよ、愛。」
 
「愛?」
 
「そう・・・・・2人がようやく一緒になったんですよ。」
 
「?」
 
ビートブードの答えがよくわからないもののゼロはあまり言わない方がいいと考えて黙る。ミニドラはそんな二人の周りを走り回っている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
再びやってきたシグマの脅威を退け、親友ゼロを救い出したエックス。
 
ハンターとしての任務を全うし、ゼロと仲間、そして、恋人同士となったマーティと共に見つめる朝日の海がエックスの遠い記憶を呼び覚まそうとする・・・・・・・
 
エックスは考える。
 
冷たいボディから溢れ出る熱い力と暖かな安らぎの訳を・・・・・・・
 
人間と機械、相容れぬ二つの生命が共存する平和な世界・・・・・・それはかつて一人の科学者が望んで止まなかった理想郷であり、かつての友が見せてくれた世界・・・・・・・・。
 
自らに託されたライト博士の願いを・・・・・やがて彼は知ることになるのだろうか?
 
エックスよ
 
新たなる戦いに向け、その小さな存在の中に秘められた大きな力を今はゆっくりと休めるがよい・・・・・
 
この平穏の時が仮初めのものに終わらぬことを祈りながら・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
???
 
「・・・・・・・・」
 
ゼロに破壊されたゼロ?は僅かながら意識を取り戻す。
 
「お・・・・・・俺は・・・・・・・誰・・・・・・・だ?」
 
ボディが破壊されたため、既に虫の息だった。そこへ複数の人影が歩いてくる。
 
「俺は・・・・・・ゼロ?・・・・・いや・・・・・・俺はゼロじゃない・・・・・・俺は奴の影・・・・・・」
 
「・・・・・・・このロボットはまだ意識があるぞ。」
 
「いかがなさいますか?・・・・・様。」
 
ゼロ?の視界には複数の人影が写っていた。その中には死んだはずの
 
「コイツは間違いなくあのゼロのコピーだ。壊れてはいるがまだ修理の仕様がある。」
 
「時空間の歪みに飲み込まれてこんな高性能ロボットを発見するとは・・・・・いよいよこの私にも運が向いてきたっしょ。直ぐにコイツを回収して22世紀に戻るっしょ!」
 
「「「はっ。」」」
 
「お前にも付いてきてもらうっしょ。」
 
「俺も既にイレギュラーに堕ちた身だ。それにお前には修理してもらった恩がある。素直にお前の世界に同行しよう。」
 
壊れかけたゼロ?はパーツごと回収され、空間に空いた謎の穴へと運ばれていく。
 
穴の中は乗り物なのか他のレプリロイドの残骸らしきものもあった。
 
「俺は・・・・・・・・・誰?・・・・・・・」
 
ゼロ?の意識が途絶えると同時に空間の穴も閉じられ、そこにはもう何もなかった。 

 

二つの世界から

カウンターハンターとの戦いから一か月
 
「フン、フン、フッフフ~ン!」
 
ハンターベースの一室でマーティは嬉しそうに服を選んでいた。
 
カウンターハンターとの戦いが終わってからイレギュラーの活動が沈静化しつつあったこともあり、多忙だったエックスたちもようやく休日が取れるくらいのゆとりができていた。そして、この間の約束もあって今日はエックスとデートに出かけることになっているのだ。
 
「この服がいいかしらね・・・・・・でも、エックスと色をお揃いにして青もいいかも・・・・・・それとも対照的に赤・・・・・でも、ゼロと色被るわね・・・・・・・・」
 
「ドラララ!」
 
マーティが迷っているとミニドラが部屋に入ってきた。遊びに来たらしい。
 
「あら?もう、勝手に入ってきちゃダメだって言っているでしょ?」
 
「ドラ?」
 
怒っているマーティに対してミニドラはよくわかっていないようだった。マーティはため息をつきながらミニドラを抱えて外に出そうとドアを開ける。
 
すると・・・・・
 
「「「「ドラララ~!!」」」」
 
「・・・・・・・・」
 
ドアの前では別の色のミニドラが四人いた。その光景を見てマーティは思わずきょとんとした。
 
「アンタ・・・・・・・こんなに兄弟いたの?」
 
「「「「「ドラララ~!」」」」」
 
「こら!ミニドラ!!またポケットから勝手に仲間を出したな!!」
 
そこへ怒ったエックスが走ってきた。するとミニドラたちは一斉に逃げ出して行った。
 
「全く・・・・・」
 
「エックス、一体どういう事?ミニドラが何であんなに増えてるの?」
 
「あぁ・・・・・ミニドラが勝手にポケットの中から仲間を引っ張り出してきたんだ。あんまり増えると厄介だから注意はしているんだけど・・・・・・・」
 
「どうするのよあれ?あんなにいたんじゃアタシ達でも面倒見きれないわよ?」
 
「う~ん・・・・・・」
 
「ところでエックスは準備できたの?」
 
「うん?あぁ・・・・・ちょっとミニドラたちをケイン博士のところに置いてきてから行くよ。君は準備できたら待ち合わせの場所で待っててくれ。そんなに待たせないようにするから。」
 
「もう・・・・・・じゃあ、いいわよ。アタシも付き合うから。」
 
「えっ?でも・・・・・」
 
「女を待たせるなんて失礼だと思わないの?それにアタシ待っているの嫌いだし。」
 
「・・・・・・・ごめん。」
 
「じゃあ、エックスも身支度整えたらハンターベースの入り口で待っててね。」
 
「わかった。」
 
そう言うとエックスは捕まえたミニドラを連れて自分の部屋へと戻って行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
一時間後 Dr.ケイン宅
 
「・・・・・エックス、マーティ・・・・・・これは一体どういう事じゃ?」
 
ケインはミニドラたちに髭を引っ張られたり、寂しい頭によじ登られたりしながら二人に聞く。後ろでは偶然来たことが災いしてミニドラに遊ばれているゼロとマイマインの姿もあった。
 
「いや・・・・・・これから二人で出かけるのでそれまでの間博士が預かってもらえないかと・・・・・」
 
「この間、逃げられたんだからいいでしょ?その反省も込めて・・・・・」
 
「いやいや、反省と言うかそんなところ通り越しておるぞ!?儂は忙しい身なんじゃ、こんなに連れてこられても・・・・・・・」
 
「「「ドララ、ドララ・・・・・・」」」
 
「・・・・・・・・」
 
ミニドラたちの目を見てケインは何とも言えなくなる。
 
「わかったわかった!ワシが責任もって面倒見ておくから!」
 
「じいさんってああいうのに弱いのね・・・・・」
 
「まあ、独り身だったからね。そういうわけでケイン博士お願いします。」
 
「ちょっと待て、エックス!まさか俺まで巻き添えとかっていう悪い冗談じゃないだろうな!?」
 
「すまないゼロ。懐かれているから博士に付き合ってくれ。」
 
「おい!?」
 
「ドラララ!」
 
ゼロの助けを求める声を聴きながらもエックスはマーティを連れてそのケインの自宅を後にした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
19XX年 とあるお宅
 
「あ~!!またやられた~!!」
 
「ジャイアン、これでもう12回目だよ。もう、いい加減に僕に代わってよ。」
 
テレビゲームをしている二人の学生が何かでもめている。後ろではダルマ型の青いロボットと二人と同じぐらいの年の女の子が何かを話している。
 
「うるせえ!!それ以前にスネ夫!お前の番の時にゼロのパーツ回収し忘れなかったらこんなところで詰むことなかったんだぞ!?」
 
「そんな~!第一カウンターハンター戦は終盤でいいから早く進めろって言ったのはジャイアンだろ?ライフアップやアーマーパーツ、サブタンクを全部回収しただけでも勘弁してよ。」
 
「うるせえ!とにかく何とかしろ!!」
 
ジャイアンは、スネ夫の襟を掴んで脅迫する。二人に呆れてロボットは二人のところへと来る。
 
「もう、いい加減にしなよ二人とも!」
 
「ドラえもん、けどよ・・・・・」
 
「僕たちはゲームをしに集まったんじゃないんだよ?」
 
「そうよ、2人とも。高校卒業が近いし、大学に入ってからは集まる機会があまりないから記念にドラちゃんに未来の世界のテーマーパークで思い出作りする計画を立てるはずでしょ?」
 
「「し、しずかちゃん・・・・・・」」
 
しずかに言われて二人はジャイアンたちは少し困った顔をする。
 
「全く・・・・・・そんなことばかりしていると連れて行かないよ!!」
 
「わ、悪かったよ・・・・・・」
 
「ごめん・・・・」
 
二人は申し訳なさそうに頭を下げる。しかし、ジャイアンは時計を見るや顔色を変える。
 
「やべっ!?もうこんな時間だ!?早く行かねえと母ちゃんに怒鳴られる!?」
 
「えっ?今日店番の日だったの?」
 
「悪いみんな!俺は帰るぜ!この埋め合わせは必ずするからよ!!」
 
ジャイアンは慌てて部屋から出て行った。
 
「全く・・・・・ジャイアンも大変だな・・・・・」
 
「あっ、そうだ。私もパートの時間になってるわ。」
 
しずかも思い出したように言う。
 
「え~、しずかちゃんも?」
 
「ごめんなさい。この計画は次集まれる時にやりましょうね。」
 
「しょうがない・・・・・どこでもドア!」
 
ドラえもんはポケットからどこでもドアを取り出すとしずかの家の前に繋げる。
 
「ありがとね、ドラちゃん。」
 
しずかは玄関から靴を持ってくると急いで履いてドアの外へと出て行った。
 
「みんな本当に変わっていくもんだね・・・・・」
 
スネ夫は感慨深そうな顔で言う。
 
「そうだね。」
 
「のび太がいなくなってもうかれこれ6年以上も過ぎちゃったんだな・・・・・」
 
「・・・・・」
 
「正直言ってあの頃が懐かしいよ。ジャイアンが定期的にリサイタルを開いて死にかけたり、タイムマシンに乗っていろんな冒険をしたり・・・・・あの時ののび太は頼りになったな・・・・・・・・」
 
「スネ夫君・・・・・」
 
「ははっ、ちょっと僕にしてはおかしなこと言っちゃったな。」
 
スネ夫は恥ずかしそうな顔をしてドラえもんを玄関まで送る。
 
「じゃあ、ドラえもん。また今度ね。」
 
「うん、じゃあね。」
 
ドラえもんはタケコプターをつけて飛んでいく。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
21XX年 シティ・アーベル
 
「あの映画、なかなか面白かったわね!」
 
「あぁ。映画なんて随分久しぶりに見たからな。」
 
マーティは、エックスと手をつなぎながら歩いていた。
 
「次はどこ行こうか?」
 
「う~ん・・・・・じゃあ、今度はエックスが行きたいところで構わないわ。」
 
「そうか・・・・・じゃあ、お言葉に甘えて。」
 
エックスは、そう言うとシティにある歴史博物館へと足を運ぶ。
 
そこには、昔の貴重の資料などが展示されており、当時のサンプル模型などが飾られていた。エックスは、1900年代後半の展示場で懐かしむように眺めていた。
 
「・・・・・あの頃はこんなものも流行っていたな・・・・。」
 
「ねえ、この白い奴は何?」
 
マーティは展示品のロボットの模型に指をさす。
 
「バンダムのプラモデルか・・・・懐かしいな。昔、お小遣いやっと貯めて朝早く買いに出かけたけど店に着いた頃は行列で買えなかったんだよな。」
 
「ふ~ん。」
 
「こっちは建設巨神イエオン。当時人気だったけど制作会社とのトラブルで中々グッズが売られなかったんだよな、あの時ドラえもんが道具を出していろいろ作ってくれたけどその後と言ったら・・・・・・あっ!こっちはライオン仮面!作者がマンネリ化に困ったのか時々休載していた時期もあったんだ!」
 
「本当に詳しいのねエックス。」
 
「うん、どれも懐かしいものばかりだ。こんな形でまた見られるなんて・・・・」
 
2人が博物館を後にした頃にはすでに日が落ちていた。エックスたちは近くにあったベンチに座る。
 
「懐かしいものを見たな~。まだB級だった頃は時々見に行ってたけど最近は忙しかったから・・・・・・」
 
「ねえ、エックス。」
 
「ん?」
 
「貴方って前は人間だったのよね?」
 
「まあね。」
 
「・・・・・レプリロイドになった時ってどんな気分だった?」
 
「えっ?」
 
「いや・・・・・だって、人間の体から機械の体に変わったのよ?元の体に戻りたいとか、自分のいた場所に戻りたいとか思ったことはないの?」
 
「・・・・・・帰りたいと思ったことはあるさ。」
 
エックスは夜空を見上げながら言う。
 
「あの頃は確かに勉強も運動もダメでみんなにバカにされたり、ママや先生に怒られていたけど今考えればあれはあれで楽しい毎日だった。ドラえもんが家に来てからは尚更だった。ポケットの中の道具でいろいろやったり、タイムマシンで未来・過去に冒険して・・・・時には変な思い付きで小遣い稼ぎをしようとも思ったこともあるよ。後でひどい目に遭ったけどね。」
 
「・・・・・・・・」
 
「でも、今は今で生きている。体が機械に代わっても俺は生きているんだ。ケイン博士やゼロ、ハンターベースの仲間たち、そして、君に出会えた。」
 
エックスはマーティの顔を見る。
 
「エックス・・・・・」
 
「今の俺は、野比のび太じゃなくてエックス。第17番精鋭部隊隊長のイレギュラーハンター。今もそして、これからも。」
 
「・・・・」
 
「さて、流石にこれ以上時間が過ぎるとケイン博士がのびちゃうから早く帰ろうか。」
 
エックスはベンチから立ち上がる。
 
「エックス。」
 
「ん?今度は何?」
 
マーティは、突然エックスの口に口づけする。いきなりの出来事にエックスは思わず混乱するがそっと彼女を抱きしめた。口づけを終えるとマーティはエックスの顔を見て頬を赤くする。
 
「たとえ人間だろうかレプリロイドだろうがアタシは、エックスのことが好きだから。」
 
「マーティ・・・・・・」
 
「・・・・・また、休み取れたら一緒にデートしましょうね!」
 
「・・・・・うん!」
 
二人は手を繋ぎながらハンターベースに帰って行った。
 
ハンターベースの入り口でミニドラにあちこち落書きされたゼロが不動明王のように立っていることも知らずに・・・・・・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
19XX年 野比家
 
「ただいま。」
 
ドラえもんはタケコプターを外して玄関のドアを開ける。
 
「ドラえも~ん!!」
 
玄関を開けるとドラえもんに向かって幼稚園ぐらいの女の子が飛びついてきた。
 
「うわっ!?」
 
いきなり飛びつかれてドラえもんは転ぶ。転んだ音に気が付いたのか台所にいた玉子が駆けつけてきた。
 
「どうしたの玉美?そんなに騒いで・・・・・って、あら、ドラちゃんお帰り。」
 
「ただいま、ママ・・・・・ってもう、玉美ちゃんったら。突然来るとびっくりしちゃうよ。」
 
玉美と呼ばれた少女をどかすとドラえもんは痛そうに腰を上げる。
 
「ドラちゃん、悪いわね。いつも玉美の面倒見てもらって。」
 
「別に大丈夫だよ、ママ。」
 
ドラえもんはそう言うと玉美と手を繋いで家の中へと入って行く。
 
「玉美ね、もうすぐ小学生になるんだよ!」
 
「わかってる分かってる。最近いつも言ってるじゃない。」
 
「だって楽しみなんだもん!」
 
2人で階段を上がっている後姿を玉子、そして先ほどまで居間でテレビを見ていたのび助がそっと見守る。
 
「毎日あの話で持ちっきりね。」
 
「あぁ。もし生きていたらのび太も『お兄ちゃん』って呼んでいたんだろうな。」
 
「早いものね。」
 
「本当だな。」
 
 
 
野比家の居間には、ひとつの仏壇が置かれている。
 
そこには今でものび太の写真が飾られている。
 
 
そして
 
 
「ねえ、ドラえもん。しずかお姉ちゃんとスネ夫お兄ちゃん、ジャイアンお兄ちゃんと出かけるのいつなの?」
 
「そうだね。玉美ちゃんが幼稚園卒業した次の日かな?」
 
ドラえもんは嬉しそうに言う。
 
 
 
その日がもう一つの世界へと迷い込む日だと知らずに・・・・・・・・・・ 

 

データの世界へ乗り込め

 
前書き
サイバーミッションなどの外伝作品の知名度の低さ・・・・ 

 
A.D.21XX年・・・・・人間とレプリロイドが共存する世界。
 
正体不明の青いロボットが発見されたのはこれよりも前のことである。
 
人間に限りなく近い思考回路を持ち、唯一「悩む」ことのできるロボット エックスは現在の科学では解析できないほどの高性能のロボットだった。
 
しかし、エックスは、無限の可能性を持つと同時に無限の危険性も秘めていた・・・・・・・
 
エックスの発見者Dr.ケインは、彼を参考に考え行動する新しいタイプのロボット「レプリロイド」の開発に成功した。
 
しかし、電子頭脳に何らかの支障をきたしたレプリロイドは「イレギュラー」と呼ばれ、人間に恐れられていた。
 
この「イレギュラー」を取り締まるためのレプリロイドは「イレギュラーハンター」と呼ばれていたのであった。
 
エックスは、このイレギュラーハンターの一員となったのである。
 
その後、さらに赤いロボットが発見される。
 
このロボット「ゼロ」は、高い攻撃力を持っていたが発見時は既にイレギュラーのように暴走状態に陥っていた。
 
当時、最強のレプリロイドと謳われたシグマはこれを鎮圧。監視を兼て彼を部下にする。
 
それ以降、ゼロは暴走することはなく、ハンターの中でも高ランクの特A級ハンターへと昇格したのであった。
 
 
 
 
 
 
 
それからしばらく・・・・・・・シグマは突如部下を率いて反乱を起こす。
 
それに伴いイレギュラーは急速に増加し、強敵が次々と現れる。
 
しかし、エックスとゼロ、その仲間たちの活躍により幾度か平和が取り戻されたのであった。
 
 
 
そして、現在・・・・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「短編:ドラえもん のび太の転生ロックマンX サイバーミッション」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
???
 
「う・・・・うん・・・・・・・」
 
エックスはふと目を覚ます。
 
「こ、ここは・・・・・・・?」
 
つい先ほど仕事を終えて屋上でこっそり昼寝をしているはずだった。
 
しかし、今目に見えているのは屋上ではなく、シティ・アーベルのハイウェイだった。それも以前見た形でだ。
 
「これは一体・・・・・・」
 
エックスは起き上がるとダッシュをして辺りを調べて見る。すると自分を発見したメカニロイドたちが一斉に迫ってきた。エックスは右腕をバスターにしてメカニロイドを撃ち落とす。
 
「ここは・・・・確かシグマの反乱の時に通ったハイウェイだ!でも、ここは既に復旧作業が完了しているはず。どうしてこんなことに?」
 
エックスはバスターで撃ち落としていきながらハイウェイを通り抜けていく。しばらく進むとそこには見覚えのあるレプリロイドがライドアーマーに乗って待ち構えていた。
 
「VAVA!?そんな馬鹿な!?倒したはずなのに!?」
 
目の前で待ち構えていたのは死んだはずのVAVAだった。しかし、そんなエックスを見てもVAVAは反応する様子がない。
 
「・・・・・・・・シネ、エックス。」
 
VAVAはあまりにも無機質な声でライドアーマーを走らせてくる。エックスは避けてバスターで応戦するが何か違和感があった。 
 
あの時のVAVAは、これ以上に強かったはずだ。
 
しかし、目の前で戦っているVAVAは、まるで操り人形のようになにかぎこちない。
 
エックスがチャージショットを連続でVAVA本体に当て続けるとVAVAはライドアーマーごと粉々に吹き飛ばされていった。
 
同時にエックスの視界が急に眩しくなり始める。
 
「なっ、なんなんだこれは!?一体全体どうなって・・・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース コンピュータールーム
 
「う、うぅ・・・・・・・」
 
エックスはゆっくりと目を開ける。視界に入ったのは自分の副官であり恋人でもあるマーティだ。
 
「エックス・・・・・・目が覚めた?」
 
「ま、マーティ・・・・・?」
 
エックスはゆっくりと起き上がる。よく見ると自分の体に何かケーブルがいくつか付けられていた。
 
「どうやら無事戻ってきたようだな、エックス。」
 
起き上がった自分の元へゼロがやってくる。
 
「ゼロ・・・・・・いったい何がどうなっているんだ?」
 
マーティに支えられながら立ち上がるエックスにゼロは答える。
 
「お前は屋上で倒れていたからわからなかっただろうが今、世界中が大変なことになっているんだ。」
 
「大変なこと?」
 
「何者かがこのハンターベースのマザーコンピューターをハッキングして、データを操り、世界中を混乱させているんだ。」
 
「なんだって!?一体誰がそんなことを!?シグマを倒してやっと掴んだひと時の平和を乱すなんて!!」
 
「どうやら敵はマザーコンピューターに記録されている過去の戦闘データを蘇らせているようだ。そして、エックス。お前が先ほどまで迷い込んでいた場所はマザーコンピューターの中・・・・つまり、過去のシグマの反乱時の記録媒体の中だったというわけさ。そして、そのデータの世界からお前を連れ戻してくれたのが・・・・・おい、ミディ。挨拶しろ。」
 
ゼロは自分の後ろでコンピューターを操作している少年型のレプリロイドに言う。
 
「はっ、はい!」
 
ミディと呼ばれたレプリロイドは慌ててエックスの方へ向き直る。
 
「初めまして!ミディです!」
 
「初めまして。」
 
「ミディは、世界中でもコンピューターにかけては爺が太鼓判を押すほど認めている超天才だ。今回の事件解決を手伝ってもらっている。」
 
エックスは、ミディのところへ行くと早速握手をする。
 
「よろしくお願いします!エックスさん!!」
 
「こちらこそよろしく。協力してこの事件を解決していこう。ちなみに俺のことは普通にエックスと呼んでくれても構わない。」
 
「は、はい!それじゃあ、エックス。早速、僕から説明させてもらうね。」
 
ミディは早速コンピューターを操作して説明を始める。
 
「過去のデータを修正するためには、マザーコンピューターの『コア』にあるデータを修復しなくちゃいけないんだ。ここがマザーコンピューターのコアだよ。」
 
ミディは参考として一つの画像を見せる。
 
「でも、コアに行く途中には『プロテクト』が掛けられているんだ。プロテクトを解かないとコアへは行けないからプロテクトを守っているイレギュラーのデータで誰かがデータ化してマザーコンピューターの中に入って倒さないといけないんだ。」
 
「・・・・つまり、俺がデータ化して奴らを倒して行けばいいんだな?」
 
「そうなります。」
 
「よし、早速準備を開始してくれ。」
 
「はい!」
 
「エックス、俺はこの混乱を利用して悪事を働いている奴らを片付けに行ってくる。いくら過去のデータとは言え、油断するな。」
 
「あぁ、わかっている。十分気を付けるよ。」
 
「それじゃあ、早速準備にかかるからそこのカプセルに入って。」
 
ミディの指示でエックスはコンピューターのすぐわきに設置されたカプセルに入る。
 
「あれ?マーティも行くの?」
 
「エックスが帰ってこれなくなったら嫌なんだもん。」
 
「エネルギー充電開始!」
 
ミディは、真剣な表情になり、素早く操作を完了させていく。
 
「セットアップ完了、データ化準備OK!!インストール開始!!」
 
ミディがボタンを押すと同時に二人の意識がマザーコンピューターへと転送されていく。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
気が付くと二人は雪山に立っていた。
 
「ここがデータの世界?」
 
「あぁ・・・・ここはペンギーゴが占拠していたエリアだ!っという事はここのペンギーゴを倒さない限りは先へは進めない。」
 
エックスは、マーティと共に周囲の敵を一掃しながら進んで行く。
 
『エックス・・・・・・エックス!』
 
その道中、エックスに呼びかける声が聞こえてきた。
 
「この声は!?」
 
エックスは、記憶を頼りに壁を飛び蹴りして隙間に乗り込むとかつてのようにカプセルがあった。エックスが前に立つとライトが姿を現す。
 
「ライト博士!?どうしてここに?」
 
『お前が心配になってここまで来たんじゃ。本来なら新たなアーマーを授けたかったんじゃがすまない。間に合わんかった。』
 
ライトは申し訳なさそうに言う。
 
『しかし、かつて使用したファーストアーマーのバージョンアップ版はどうにか仕上げられた。ここでは強化したフットパーツを授けよう。エアダッシュはできないがダッシュなしの移動でも早く動けるようになっておる。急な間に合わせですまんな。』
 
「いえ、気持ちだけでも十分です。ありがたく使わせていただきます。」
 
エックスはカプセルに入るとフットパーツが装着される。
 
『少し軽量化もしてみたんじゃがどうじゃ?』
 
「はい、前のものに比べると軽くなってます。」
 
『今回はこれまでとは違う世界での戦いじゃ。気をつけるんじゃぞ。』
 
「わかっています。」
 
『後、マーティ。君も一度カプセルに入ってくれんか?』
 
「えっ?」
 
ライトの言葉にマーティは驚く。
 
『エックスをいつも支えてもらっている君にも何かサポートできるものを作ろうと思ってな。そのために君のデータを採っておきたいのじゃ。』
 
「別にいいけど・・・・・」
 
マーティはカプセルの中に入る。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ライトと別れてさらに奥地へと進むとかつてのようにペンギーゴが二人を待ち構えていた。
 
「ペンギーゴ・・・・・・」
 
『ギッ、ギッ・・・・・・・・・侵入者、排除。』
 
見た目は確かにペンギーゴだがかつての面影はなくただのロボットに見えた。エックスはペンギーゴが飛ばすショットガンアイスを避けながらバスターで攻撃していく。
 
『ギッ、ギッ!?』
 
「悪いけどいくらペンギーゴのデータを復元しても君は彼のようにはなれないよ。」
 
エックスは、バスターを最大までチャージするとマーティと一緒に発射し、ペンギーゴを破壊する。
 
『ギ・・・・・ギガッ・・・・・・・・!!』
 
「彼は確かに問題的なところはあった。でも・・・・・言いたいことはしっかり言う真面目な奴だったよ。」
 
同時に周囲の背景が崩壊し始め、ミディの姿が映し出される。
 
『お疲れ様。これで一つのプロテクトが解除されました。』
 
「後これを何回か繰り返して行けばいいのね?」
 
『はい!このまま引き続いてサポートするのでお二人ともよろしくお願いします!!』
 
ミディの映像が消えると次のゲートと思われるものが出現する。
 
「複数あるな・・・・・」
 
「二手に別れてやりましょう。そうした方が効率がいいわ。」
 
「わかった。危なくなったら連絡してくれ。すぐに駆け付けるから。」
 
「大丈夫、データにやられっぱなしだったら副隊長の名が泣くもの。」
 
エックスとマーティは二手に別れてプロテクトの解除を続行する。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
???
 
「・・・・・・・・まさかこうも簡単に過去のデータを突破してしまうとはね・・・・フフン。」
 
薄暗い部屋の中で一人の少年型レプリロイドがパネルを操作しながら不敵な笑みを浮かべる。
 
「・・・・・・でもこのままコンピューターのプロテクトが解かれてしまっては不味いな・・・・・・何か手を打たなくちゃ。」
 
「ケケケ!心配する必要ないさ!ここから奴らが動いているのを高みの見物でもしていようじゃないか!」
 
背後で待機していた二体のレプリロイドのうちの西洋甲冑を着込んだようなタイプの方が言う。
 
「・・・・・・油断するな、ギーメル。奴はそこらのハンターと格が違う。奴の力を侮ると痛い目に遭うぞ。」
 
少年型は、ギーメルと呼ばれたレプリロイドに対して忠告する。するとギーメルのすぐ脇で黙っていた大剣持ちのレプリロイドがゆっくりと顔を上げる。
 
「・・・・・俺様が行ってやる。必ずあの青いレプリロイドの首を刎ねてやるぜ。」
 
「ちょっ!?ザイン!ミーを差し置いて手柄を取るつもりか!?」
 
「・・・・そうだな、君に任せるとしよう。お喋りなギーメルだとしくじりそうだし。」
 
「ちょっ!?ムウ・・・・・・だったらミーは女の方を始末する!!恨みっこなしだぜ!!」
 
「フン。じゃあ、テクノ。俺たちをそれぞれのエリアにデータ化させて転送してくれ。闇から狩る『シャドウハンター』って言うもんを教えてやるぜ。」
 
「いいよ。」
 
ギーメルとザインは、コンピューターのわきに設置されているカプセルに入り、テクノと呼ばれた少年型が準備を始める。
 
「精々足手纏いにはならないでくれよ。」
 
テクノは二人のデータをマザーコンピューターに向けて転送した。 

 

シャドウハンター

 
前書き
ファンでも知っているか怪しい二人組 

 
マザーコンピューター エリア:火山
 
マーティと別れたエックスは、着実にプロテクトを解いて行った。ペンギーゴを退けた後にマンドリラー、イーグリードを撃破し、現在はこの火山地帯のプロテクトを守護するイレギュラーのデータの元へと向かっている。少し前にライトから残りのアーマーパーツも受け取り、準備は整いつつある。
 
「このエリアが終われば彼女と合流できる。向こうはうまくやっているといいけど・・・・・・」
 
エックスは不安を抱えながらも奥へと進んで行く。少しすると少し広い空間へと着く。
 
「・・・・・そう言えば火山地帯はビートブードに行ってもらって行っていなかったから今回来るのが初めてなんだよな・・・・・・このくらいの広さならあのカウンターハンターみたいに・・・・・!!」
 
少し考え事をしていたエックスは背後からの殺気を感じて急いで回避する。すると彼がいた場所に大剣が突き刺さる。
 
「・・・・ちっ。仕留め損ねたか。」
 
攻撃を仕掛けた来たのはザインだった。
 
「何だ!?」
 
エックスはバスターを構えながら警戒する。こんなイレギュラーを見たのは初めてだ。明らかに今まで戦ってきたデータと違い明確な意識を持っている。そんなエックスに対してザインは、大剣を担いで対峙する。
 
「・・・・・・噂は確かなようだな。これは狩りがいがあるというものだ。」
 
「貴様は何者なんだ!?カウンターハンターの仲間か!?」
 
エックスは思わず聞く。
 
「・・・・・・・・俺様の名はザイン。シャドウハンターだ。」
 
「シャドウハンター?」
 
「裏社会で高価なパーツや功績を積んでいるレプリロイド・メカニロイドを狩って、それをさらに高値で取引する・・・・・・・そして、お前の首にも大きな賞金が掛かっている。」
 
「なんだと!?そんなことをしていいと思っているのか!?それはイレギュラー行為だぞ!!」
 
「イレギュラーがなんだろうが知ったことではない。どの道お前の首を獲ればそれで終わりだ。」
 
ザインは大剣を振るってエックスに襲い掛かる。
 
「くっ!」
 
エックスはダッシュで回避するがザインはその勢いを維持しながら体を軸に横に回転してエックスを切り刻む。
 
「何ッ!?ぐう!!」
 
「お前の首・・・・・・・・もらった!」
 
ザインは勢いをさらにつけてエックスに向かって大剣を振り下ろそうとする。
 
「昇龍拳!!」
 
「なっ!?」
 
しかし、その直後にエックスはザインに向かって昇龍拳を放つ。拳はザインの顎に直撃し、勢いよく上空へと舞い上がり、落ちていく。
 
「ガ・・・・・ガアァ!!」
 
ザインは顎に受けたダメージにもがき苦しむ。
 
「これ以上無駄な抵抗はやめるんだ。」
 
エックスはバスターをチャージさせながらザインに近づこうとする。ザインは顎を押さえながら大剣を杖代わりにして起き上がる。
 
「これほどの力とはな・・・・・・・・油断したぜ・・・・・・・」
 
「答えるんだ。お前たちは一体何を企んで・・・・・・・」
 
「フン!」
 
「!?」
 
ザインは突如何かを投げ落とす。すると周囲が煙に包まれ視界が一気に悪くなる。
 
「え、煙幕か!?このデータの世界で・・・・・・」
 
「今度はこうはいかん・・・・・・・絶対にお前の首を・・・・・・・」
 
ザインは転送装置を使うかのようにその場から消える。煙幕が晴れるとそこにはエックスしか残っていなかった。
 
「シャドウハンター・・・・・・・・一体何者・・・・・・いや、今はそれよりもマーティと合流するのが先か。」
 
エックスは急いで最深部へと向かって行く。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
マザーコンピューター エリア:恐竜型移動要塞
 
一歩マーティの方は・・・・・・・・・
 
「ほらほら!アンタそれでもシャドウ何とかって言うの!?あまりにもみっともないわよ!!」
 
一方的にギーメルを叩きのめしていた。
 
「よ・・・・・・・・予想外に強かった・・・・・・・この女・・・・・・只者じゃない・・・・・・」
 
自慢の手裏剣もシールドブーメランで跳ね返され、タコ型の飛行ユニットも槍で破壊されて以降、彼は一方的にやられていた。
 
「ほら!ここで大人しく逃げるか、それともアタシに倒されるか、どっちがいいわけ!?」
 
マーティはバスターショットをチャージしながら聞く。
 
ギーメルは考える。
 
このままおめおめ逃げ帰ったらテクノに何を言われるかわかったもんじゃない。
 
それどころかもしザインの方がうまくいっていたら自分の立場がなくなる。
 
しかし、このまま挑んでも勝ち目はない。
 
こうなったらザインの方が失敗したことを祈るしかない。
 
「キー!!くそ、覚えてろ!!この鬼女!!今度会ったら必ず仕返ししてやる!!」
 
「誰が鬼女よ!!アタシはマーメイドタイプよ!!」
 
「こんな無茶苦茶強い人魚がいるか!!」
 
ギーメルはクモの子散らすかのように逃げ出していく。その姿をマーティは、なんか情けなく感じた。
 
「・・・・・・これもアタシの実力がついてきたってところなのかしら?まあ、イレギュラーのデータもこれで最後だし、早く終わらせてエックスと合流しよう!」
 
マーティは、そう言いながら扉の中を潜って行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
マザーコンピューター エリア:シグマパレス
 
「エックスお待たせ!」
 
シグマパレスの前にゲートが展開されてマーティが出てくる。
 
「マーティ、大丈夫だったかい?」
 
「まあね、アタシだって伊達にエックスの副官(兼恋人)なわけじゃないわよ。途中で変な奴に絡まれたけど。」
 
「やっぱりそうか。実は俺の方もシャドウハンターと名乗ったイレギュラーに遭遇したんだ。」
 
「エックスも!?じゃあ・・・・・今回の黒幕は・・・・・・・アイツら?」
 
2人が手に入れた情報でマーティは何となく言ってみる。
 
「いや、それにしては変だ。奴等の行動からにしてあんなハッキング行為ができるとは到底思えない。」
 
「じゃあ、裏で動かしている奴がいるってこと?」
 
「おそらく。まさかだとは思うけど・・・・・・・・いや、今はこの最終プロテクトを突破するのが先決だ!」
 
「えぇ!」
 
二人はシグマパレスへと乗り込んでいく。 

 

やはりシグマ

 
前書き
ワイリーと言い、シグマと言い懲りない黒幕の方々。マリオではクッパ以外が黒幕演じる時もあるのにな・・・・・。 

 
ハンターベース コンピュータールーム
 
「・・・・・・」
 
ミディは、黙りながらコンピューターの操作をしていた。しかし、事件解決の兆しが見えてきたにもかかわらずその表情は何か寂しさが感じられた。
 
「・・・・・・やっぱり・・・・・・そうなのかな?」
 
プロテクトの解除まであと少しというところで彼は思わず手を止める。
 
「・・・・・・・・やっぱり、この事件の犯人は・・・・・・・」
 
「ドラ!」
 
「うわあぁ!?」
 
突然後ろから飛びついてきた何かにミディは悲鳴を上げる。そんなこともお構いなしにミニドラは彼の頭の上に飛びつく。
 
「ドッ、ドッ。ドラララ~!!」
 
「こ、この子は・・・・・・」
 
「いや~ごめんね~。」
 
そこへ巨体を誇るマンドリラーがゆっくりと歩いてきた。彼の上にも何匹かのミニドラがよじ登って遊んでいた。
 
「エックス隊長に面倒を頼まれていたんだけどこっちまで逃げてきちゃったんだ。」
 
「そ、そうなんですか・・・・・・・」
 
ミディは、ミニドラをマンドリラーに渡す。
 
「そのメカニロイドは一体何なんですか?」
 
「う~ん、エックス隊長の話ではミニドラって言うらしいよ?」
 
「ミニドラ・・・・・ですか。」
 
「ドラララ!」
 
ミニドラはまたミディの元へ戻ってきて彼の手を引っ張る。
 
「ドラ!ドドド!」
 
「えっ?あ、遊んでほしいの?」
 
「ドラララ!」
 
ミニドラは笑いながら答える。その顔を見てミディは思わず言いづらい表情をする。
 
「・・・・・ごめんね。今、大事な仕事をしているから手が離せないんだ。」
 
「ド?」
 
「この仕事が終わったら遊んであげるから。だから、向こうで大人しくしているんだよ。」
 
「ドラ、ドララ!」
 
ミディの言葉を理解しているのかミニドラは手を振りながらマンドリラーの元へと戻って行く。
 
「悪いね~。仕事の邪魔しちゃって。」
 
「いえ、大丈夫です。」
 
「もう一息頑張ってくれよ~。」
 
マンドリラーはそう言うとコンピュータールームから出ていく。ミディはその姿を見届けると再びコンピューターの操作へと戻る。
 
「終わったら・・・・・か。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
マザーコンピューター エリア:シグマパレス
 
「スパイラルクラッシュバスター!!」
 
「グワアッ!?」
 
「はあ!!!パイルバンカー!!!」
 
「ぎょえぇぇぇぇええ!?」
 
シグマパレス内ではエックスとマーティが再戦に挑んできたザインとギーメルを倒していたところだった。
 
「こ・・・・・・これが・・・・・・・俺様の限界だとでもいうのか・・・・・?」
 
「チキショォオ!!二度も女にやられるとは!!ミーの面子、もう丸潰れ!!」
 
ギーメルは致命傷を負ったザインを支えながらエックスたちと対峙する。
 
「まだ続けるつもり?」
 
「キー!!お前らこれで終わったと思うなよ!!いつか仕返ししてやるからな!!」
 
「アンタ、それこの間も言ったわよ?」
 
「だまらっしゃい!!」
 
ギーメルとザインは転送装置で転送されるかのようにデータ化して撤退する。それを確認するとエックスたちは再びシグマパレスの奥へと侵攻していく。
 
「この先の最終プロテクトを解除できれば事件は解決される。でも、最終プロテクトも本当にデータなのだろうか?シャドウハンター、さらにコンピューターをハッキングしている者、何かもう一つありそうな気が・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
シグマパレス 最深部
 
「ここが最後のプロテクトの場所か。」
 
エックスとマーティは、部屋へと入る。
 
ここはかつて、肉食恐竜型メカニロイド『D-REX』が配置されていた部屋だ。シグマの反乱時はゼロを失ったことで怒りに燃えていたエックスに惨敗したが二人が入っても現れる様子はない。しかし、代わりに聞き覚えのある声が聞こえてきた。
 
『フッフッフッフ・・・・・・・よくここまでやり遂げたものだな、エックス。』
 
「「!?」」
 
エックスとマーティは思わずギョッとする。
 
「この声は・・・・・まさか!?」
 
エックスが天井を見上げるとシグマが最初の反乱の時のマント姿で現れた。
 
「シグマ!やはり、お前が黒幕だったのか!?」
 
「クックックッ・・・・・・・お前とそこの女性型の努力は称賛に値する・・・・・・だが、それもここまでだ!」
 
シグマは、マントを脱ぎ棄てサーベルを引き抜いてエックスに斬りかかる。
 
「エックス!」
 
マーティは、槍を展開してサーベルを受け止める。
 
「マーティ!」
 
「くう・・・・・・」
 
「ほう、私とやり合おうというのか?女。」
 
「誰が女よ!アタシにはマーティって名前があるのよ!!」
 
マーティはサーベルを押し返すとパイルバンカーに装備を変えてシグマの懐に潜り込む。
 
「うん!?(この女・・・・・・カウンターハンターとの戦いよりも動きが早くなっているぞ!?)」
 
「はああああ!!!」
 
マーティはシグマの脇腹にパイルバンカーを突き刺す。
 
「ちい!!」
 
シグマは、マーティの頭を掴むと放り投げる。投げられたところをエックスがキャッチし、二人同時にバスターを構える。
 
「「ダブルチャージショット!!」」
 
「ぐおぉっ!?」
 
2人のバスターは、シグマの両腕を破壊する。エックスはすかさず構えをとる。
 
「はあああああああ!!!!波動拳!!」
 
波動拳は、シグマの腹部を貫いた。
 
「ぐ、ぐおぉぉ・・・・・・・・・流石だな・・・・・・」
 
シグマは、敗北を認めながらも笑みを浮かべていた。
 
「フフフフフ・・・・・・・・・だが、残念だったな。それしきの力ではこの私を滅ぼすなど不可能なのだよ!ファ―――――――ハッハッハッハッハッ!!」
 
シグマは爆発しながら消えていく。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
???
 
「ダメだ!ここも見つかった!!誰も奴を止めることはできないのか!?」
 
テクノは、焦りながらコンピューターを操作していた。その後ろでは負傷したザインとギーメルがいる。
 
「・・・・・・・・・これは俺たちも不味いな。」
 
「ギョッ!?ま、まさかここにあの鬼マーメイドが来るのか!?冗談じゃねぇ!!ミーたちは逃げるに限る!!」
 
二人はテクノを見限ったかのように事前に用意していたのか簡易転送装置で逃げ出した。
 
「ザイン!ギーメル!?・・・・・・・くそ!あいつ等、この落とし前をいつかつけてもらうぞ・・・・・!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース コンピュータールーム
 
マザーコンピューターから戻ってきたエックスとマーティを出迎えたのはケインとミディだった。
 
「エックス!マーティ!ついにシグマの隠れ家を突き止めたぞ!」
 
「本当ですか?」
 
「幸いマザーコンピューターのコアを通じて転送することができるのじゃ。一刻も早くこの混乱に終止符を打っておくれ。」
 
「わかりました、ケイン博士。直ぐに出動します。」
 
一方のミディは何か心配そうな顔をしていた。
 
「それともう一つじゃがどうやらそこにはシグマに協力してマザーコンピューターをハッキングした犯人と思われる何者かがいるようなんじゃ。」
 
「あ・・・・・あのね、エックス・・・・・そのことなんだけど・・・・・・」
 
「ん?」
 
「ううん、やっぱり何でもないよ。二人とも気をつけて。」
 
「既にゼロとイーグリードたちにも連絡を入れておる。少し合流が遅れるかもしれんが気をつけるんじゃぞ。」
 
「「はい!」」
 
二人は、マザーコンピューターを経由して転送されていく。
 
「・・・・・・」
 
それを見届けるとミディはこっそりと部屋を出て行く。
 
「・・・・・・・・」
 
「ドラ?」
 
「うわっ!?・・・・・・なんだ、君か。」
 
目の前に飛び出してきたミニドラに一瞬驚いたがミディはすぐに冷静に戻る。ミニドラは仕事が終わったのかと思い、ミディについてくる。
 
「ドラドラ・・・・・・ドラララ?」
 
「・・・・・・ごめんね。まだ終わっていないんだ。悪いけど急がないと・・・・・・・」
 
「ドラ・・・・・・・ドラ!」
 
何かに気が付いたのかミニドラはポケットに手を突っ込む。
 
「ドッ、ドッ、ドララ!!」
 
ミニどこでもドアを出す。そしてすぐに別の道具を取り出す。
 
「ビッ、ビッ、ビッ!!」
 
ミニビックライトで何処でもドアを大きくする。
 
「・・・・・・もしかして、これで好きなところへ行けるの?」
 
「ドラララ!!」
 
「・・・・・・・ありがとう。でも、もう遊べないかもしれないんだ。」
 
ミディは、ミニドラの頭を撫でる。
 
「ドラ?」
 
ミディは、ミニドラを撫で終わるとどこでもドアの取っ手を掴む。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「テクノ兄さんの所へ!!」 

 

戦いの後の虚しさ

 
前書き
サイバーミッションはやや雑に感じるけどそこそこ楽しめるゲームなのでダウンロードして遊ぼう! 

 
???
 
エックスとマーティは、マザーコンピューターのハッキング形跡を辿ってシグマの隠れ家と思われる場所へと辿り着いていた。
 
「データが正しければこの先に黒幕がいるのよね?」
 
「おそらくな。だがセキュリティで守られていたマザーコンピューターをハッキングするほどの相手って・・・・・」
 
2人がそうこう言っている間にテクノがいる部屋に到着した。
 
「子供!?(それもミディによく似ている!?)」
 
「しまった!?もうこんなところまで来ていたのか!!なんとかしないと・・・・・・」
 
彼は急いで隠れ家の防衛システムを作動させようとパネルを操作する。
 
「そうはさせない!」
 
エックスはバスターでコンピューターを破壊する。破壊された衝撃で大破したコンピューターから大量の電流が逆流し、テクノに直撃した。
 
「うわあああああああああ!!」
 
テクノはもがき苦しみながら倒れる。
 
「兄さん!」
 
そこへどこでもドアが二人の後ろに現れて中からミディとミニドラが出てくる。後ろから現れた二人にエックスは驚く。
 
「ミディ!?どうしてここへ・・・・・・」
 
「テクノ兄さん!?」
 
ミディは倒れているテクノの方へと駆けて行く。大量の電流を浴びたテクノはもはや動く力は残されていなかった。
 
「兄さん!!しっかりしてよ、兄さん!!」
 
ミディは必死にテクノの体を揺さぶる。
 
「うぅ・・・・・・その声は・・・・・・ミディ・・・・・?」
 
テクノは僅かながら目を開いてミディを見る。
 
「兄さん!気がついたんだね!」
 
「俺は一体・・・・・・・・そうか・・・・・今の今までシグマに操られていたのか・・・・・・・」
 
テクノの声はどんどん弱々しくなっていく。
 
「ミディ・・・・・・俺はもうダメだ・・・・・・マザーコンピューターをハッキングしたときに俺の頭脳CPUをこのコンピューターに直接繋げていたからな・・・・・・・・ハア・・・・・・ハア・・・・・・」
 
「うぅ・・・・・・・・そんなのいやだよ、兄さん!しっかりしてよ!」
 
ミディは、涙を流しながらテクノに言う。
 
「し、シグマは・・・・・・・人の心を掴むのがうまい・・・・・俺もいつの間にか心の隙を突かれていたんだ・・・・・」
 
「兄さんは僕なんかよりも天才なんだよ!心の隙なんてないよ!!」
 
「・・・・フッ、そうかもな・・・・・・・ミディ・・・・・・・」
 
テクノの目の焦点が定まらなくなっていく。
 
「でも・・・・・・・お前にはきっとわから・・・な・・・・・い・・・・・・よ・・・・・・・・・」
 
テクノの目から完全に光が失われた。
 
「兄さん?テクノ兄さん!?」
 
ミディがいくら声を掛けてももうテクノは動かない。
 
「そんな・・・・・・嘘だよね?死んじゃうなんて・・・・・・嘘だよね?」
 
「・・・・・・・・」
 
「何とか言ってよ!?兄さん!テクノ兄さん!!」
 
「・・・・・・・・・」
 
「嘘だ・・・・・・・・・こんなの嘘だ・・・・・・・・・・う、うぅ・・・・・・・・」
 
たった一人の兄弟を失ったショックにミディは泣き叫んだ。
 
「うわあぁぁぁぁぁぁん!!テクノにいぃさあぁぁんんん!!!僕を置いて行かないでよ――――――――――――――!!!兄さ―――――――――ん!!!」
 
泣き叫ぶミディに対してエックスとマーティは辛い顔をしていたが隣にいたミニドラは一体何がどうなっているのかさっぱりの様子だった。
 
「ドラ・・・・・・ドラララ?」
 
しかし、その直後ミディも力を失ったのかのように倒れた。
 
「ミディ!?一体どうしたんだ!?」
 
「ドラララ!?」
 
エックスたちは倒れたミディを抱き上げる。先ほどこと切れたテクノと同じ様子だった。
 
「ぼ・・・・・・僕とテクノ兄さんは・・・・双子の兄弟で・・・・・・頭脳CPUを共有しているんだ・・・・・・・」
 
ミディは、弱りながらも説明する。
 
「だから・・・・・・・・兄さんが死んだら僕も死んでしまうんだ・・・・・・・・うぅ!」
 
「ミディ!諦めるんじゃない!まだきっと何か助かる方法があるはずだ!」
 
「・・・・・いいんだ。この事件は僕も起こしたも同然なんだ・・・・・・ごめんね、エックス・・・・マーティ・・・」
 
「ドラララ!」
 
「・・・・・・・・ごめんね、君とも遊んであげられないんだ・・・・・本当にごめ・・・・・・・・ん・・・・・・」
 
ミディの目が閉じられる。
 
「ミディ!!」
 
エックスは、何とかして助けなければと思った。
 
自分の部下であるビートブードの時もVAVAの目の前でクワンガーを殺させてしまった。あの悲劇を今回は自分がやってしまったのだ。だが、ミディまでこのまま死なせたくはない。
 
「何か・・・・・・何か方法は・・・・・・!そうだ!!」
 
エックスは四次元ポケットから懐中電灯のようなものを出す。
 
「エックス、こうなったら一か八かじいさんのところへ・・・・・・・」
 
「それじゃあ間に合わない!賭けになるが・・・・・・・」
 
エックスはミニドラを見る。
 
「ミニドラ・・・・・・これは君の手にかかっているんだ。何としても彼を助けてくれ!」
 
「ドラ!」
 
「よし、このスモールライトで君を小さくする。そして、ミディの体内に入って彼を助けるんだ!俺たちはその間にシグマを倒す!」
 
エックスはミニドラをスモールライトで小指よりも小さくする。そして、掌に乗せるとミディの口からミニドラを体内に侵入させた。
 
「大丈夫なの?これで・・・・・」
 
「以前ドラえもんが調子が悪かった時にミニドラを小さくさせて自分の体にいれて修理させたことがあるんだ。そのとき、様子が少し変だったけど・・・・・・・」
 
「・・・・・・・・それ、逆に危ないんじゃないの?」
 
エックスの一言でマーティは不安そうな顔をする。
 
「・・・・・でも、ケイン博士のところに連れて行ったんじゃ間に合わない。後はミニドラがやってくれることを信じよう。俺たちは、早くシグマを倒すことだ!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
エックスたちはその場にミディを残してその先に行ってみると隠し扉があった。
 
「シグマはこの奥だな。」
 
エックスとマーティは部屋の中へと入る。部屋は暗闇でよくわからなかったがすぐ近くでシグマの声が聞こえてくる。
 
「・・・・・・やはり、来たかエックス。」
 
「シグマ!よくもテクノを!!そして、ミディを!!」
 
「クックックッ・・・・・・テクノはよくやってくれたよ。後一歩のところでイレギュラーハンター本部のコンピューターを崩壊させるところだったのだからな。今回のお前たちの活躍は、中々愉快だったぞ。」
 
「ふざけるんじゃないわよ!!同じレプリロイドの命を何度も弄んで!!」
 
「フン、なんとでも言うがいい。だが、お遊びもここまでだ。この場で倒れるがいい!!行くぞ!!」
 
2人の目の前にシグマの顔が現れる。そして、照明がつくとその場にはかつて最初の反乱の時に見せたウルフシグマの姿があった。
 
「マーティ、奴は頭部にしか武器が通用しない。この場で波動拳を撃てばミディのいるところまで影響が出てしまう・・・・・・・この場で蹴りをつける!!」
 
エックスは壁蹴りをして頭部に向かってストームトルネードを放つ。シグマは頭部の防御シールドを張る威力を軽減させる。
 
「頭部を叩いたところで決着が付けられると思っているのか?エックス。」
 
「そうだろうな、ローリングシールド!!」
 
エックスはローリングシールドを放ってシグマの防御シールドを相殺させようとする。
 
「無駄だ。この防御シールドはその程度の攻撃ではビクともせん。」
 
「ふうん、だったら、同じ場所を何度もやられたらどうなるのかしらね?」
 
マーティは、バスターショットに属性チップをつけてチャージする。
 
「アイスチャージショット!!」
 
バスターの光弾が氷結化し、ローリングシールドが消滅したと同時に同じ場所に命中する。すると光弾を覆っていた氷が砕け、シールドを通り越してシグマの頭部に命中する。
 
「ぬうっ!?おのれ!!」
 
シグマは、マーティに向かって火炎を吐きつける。マーティは、壁蹴りをしてシグマの手の上に乗るとシールドブーメランを投げつける。回転しながらビームの刃を発生させるシールドブーメランはメカニロイドボディの動力ケーブルを切断していく。
 
「くう・・・・・・ちょこまかと!!」
 
彼女を振り下ろそうとシグマは腕に電撃を発生させるが命中する寸前に彼女はジャンプをして槍をシグマの頭部に投げつける。槍は、防御シールドを貫いてシグマの額に突き刺さる。
 
「ぐおぉぉぉおお!?」
 
「どお?アンタの生みの親のじいさんが作ってくれた槍の威力は。」
 
シグマが怯んでいる隙にエックスはシグマの頭部付近で思いっきりジャンプをしフルチャージラッシングバーナーですぐ目の前にまで迫る。
 
「なっ!?」
 
「これはお前に操られて死んだテクノの分!!」
 
エックスはシグマの頭部に向けてショットガンアイスを撃つ。
 
「うおぉ!?」
 
「これがミディの分!!」
 
続けてスピンホイールで顔を刻ませる。
 
「がああぁぁああう!!」
 
「今度こそ、消えてなくなれぇぇええええ!!」
 
エックスはシグマに向かってフルチャージショットを放った。シグマは、顔の爆発からボディのあちこちが誘爆し始める。
 
「・・・・・・フッフフフ・・・・・・残念だが今回はこれで引き下がるとしよう・・・・・・だが、エックス。これで終わったと思うなよ・・・・・・・・・今度私が現れたとき・・・・・・・・それが貴様の最後だ!!ファ――――――ハッハッハッハッハッハッ!!!!」
 
シグマは笑いながら爆発して消えて行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ミディ!!」
 
シグマの最期を見終えた後、エックスとマーティは急いでミディのところへと戻ってきた。同時にミディの口の中からミニドラが出てきた。
 
「ミニドラ!」
 
エックスはビックライトを出してミニドラを元の大きさに戻す。
 
「ミディの・・・・・・ミディの修理はうまくいったのか。」
 
エックスがミニドラに聞く一方、マーティはミディを抱き上げて声を掛けてみる。
 
「ミディ!しっかりしなさい、ミディ!!」
 
「・・・・・・」
 
返事はないが体の機能は徐々に正常へ戻りつつある。どうやら修理はうまくいっているようだ。後は早くここから脱出するだけだ。
 
「エックス!」
 
そこへゼロがようやく合流してきた。
 
「ゼロ!来てくれたのか!」
 
「あぁ・・・・・だが、助けはいらなかったようだな。」
 
「いや、来てくれただけでもうれしいよ。」
 
「この隠れ家はもうすぐで爆発する。早く脱出するぞ。」
 
「わかった。」
 
エックスは亡くなったテクノを背負うと急いで脱出して行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース 屋上
 
「「・・・・・・・」」
 
エックスとマーティは、上層部に事件の終息を報告すると黙って屋上に上り、夕焼けを眺めていた。
 
ケイン博士のところへ運ばれたミディは、意識を取り戻して以降容態も回復へ向かっているらしい。逃げ出したザインとギーメルも現場に向かっていたイーグリードに発見されて逮捕された。しかし、死んだテクノに関しては手の打ちようがなくせめてもの情けで手厚く葬るしかなかった。
 
「エックス、マーティ。」
 
そこへゼロがイーグリードとビートブードを連れて現れた。
 
「ゼロ・・・・・・イーグリードとビートブードまで。」
 
「何2人して浮かない顔をしているんだ?事件は無事解決したんだぞ。」
 
「あぁ・・・・・・・」
 
「何が解決よ!!」
 
マーティは思わず叫んだ。
 
「アタシたちは・・・・・結局・・・・・ミディに対して何もしてやれなかったじゃない。テクノをみすみす死なせちゃって・・・・・・・」
 
「副隊長・・・・・・」
 
「アタシ・・・・・ずっとイレギュラーは碌な奴がいないと思っていた。でも、テクノはシグマに操られていただけだったのよ!?オストリーグの時みたいに!!なのに・・・・・・・・」
 
「マーティ・・・・・・あれは俺のせいだ。俺がテクノをコンピューターから引き離しておけば・・・・・・・」
 
「ううん。アタシにも責任があったのよ。ミディが一瞬黙った時に事情を知っておけば・・・・・・」
 
「だが、ミディはあえて言わなかった。それはそれで正しい選択だったのかもしれない。」
 
ゼロの一言で周りは、一斉に彼を注目する。
 
「ゼロ!?なんてことを言うんだ!?」
 
「エックス、もし、ミディがあの時テクノのことを打ち明けていたらお前たちは撃つことができたか?確かにミディとテクノはかけがえのない兄弟だった。だが、もし、あの時お前がテクノを撃たなけば奴は正気に戻ることなくシグマの操り人形のまま過ごしていたのかもしれない。」
 
「・・・・・」
 
「それにテクノはお前のおかげでミディと正気で別れを言うことができた。それだけでも救われたとは思わないか?」
 
「・・・・・・確かにゼロの言う通りかもしれない。でも、平和を取り戻すために誰かが犠牲になるなんておかしいわよ!!あんな子供だったのに!!」
 
「そんなことをさせないためにも俺たちイレギュラーハンターが存在している。」
 
イーグリードは、真剣な目で言う。
 
「イーグリード。」
 
「確かにイレギュラーになれば処分しなければならなくなる。だが、イレギュラーを野放しにしておけばさらに犠牲が出てしまう。俺たちはそんなことが起こらないようにするためにも戦わなければならないんだ。・・・・・・・例え、戦いに終わりが見えなくなったとしても・・・・・・・」
 
「「「「・・・・・・・・・」」」」
 
全員黙って夕日を眺める。夕日が沈み、夜が明ければまた朝が来る。それは決して変わることはない。だが、戦いは必ず終わらせる方法があるはず。それを見つけ出すもの自分たちの役目なのだと考えながら沈んでいく夕日を眺めていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
エックス、マーティ、そして、ゼロたちの活躍によってコンピューター世界を乗っ取るというシグマの野望は断たれた。
 
しかし、最後に残されたシグマの言葉がエックスを不安にさせる・・・・・・・・
 
この世にはびこる悪を決して許してはならない。
 
どんな強敵が現れようと必ず平和を取り戻すのだとエックスは固く心に誓うのであった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「イーグリード!」
 
「「「「ん?」」」」
 
全員が後ろに向くとティルが書類を持ってイーグリードに向かってきていた。
 
「ティル、どうしたんだ?」
 
「これ、今回の事件の始末書。終わったら私に呼びかけてね。」
 
ティルがイーグリードに書類を渡すとき彼女の右手の薬指に何か光っているのに全員目がつく。
 
「ん?おい、ティル。お前の指に付いている奴はなんだ?」
 
「えっ?これ?」
 
ゼロに指摘されてティルは少し顔を赤くする。
 
「・・・・・・・ゆ、指輪よ。」
 
「えっ?ティルさん、指輪買ったんですか?」
 
ビートブードは思わずツッコむ。するとイーグリードが言いづらそうな顔をしながら言う。
 
「お、俺が買ったんだ・・・・・・・」
 
「?イーグリードがか?」
 
ゼロは理解していないようだった。ビートブードとマーティ、そして、エックスも何となく察する。
 
「えっと・・・・・・・・・私たち、結婚することにしたの。」
 
「?結婚?」
 
「えっ?マジなんですかイーグリード隊長!?」
 
「・・・・・あぁ・・・・・・本当はもう少し早く知らせる予定だったんだが・・・・今回の事件があってな。」
 
「そうだったのか、おめでとう!!」
 
「おめでとう!!」
 
「ありがとう。」
 
エックスたちが祝福している中、ゼロだけがどうにもわからないような顔をしているのであった。
 
 
 
 
 
「・・・・・・結局、ケッコンってなんなんだ?」 

 

ゼロは仕事ができない

21XX年
 
科学者レプリロイド「ドップラー博士」により、イレギュラーは一掃された。
 
そして、その記念としてドップラー博士が建設している平和都市「ドッペルタウン」に優秀なレプリロイドたちが次々と招待されていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ドラえもん のび太の転生ロックマンX3「時を超えた再会」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース グラビティー・ビートブード自室
 
「拝啓 グラビティー・ビートブード様 あなた様は抽選により「ドッペルタウン設立記念式典」に選ばれました。・・・・・う~ん、式典に出席か・・・・・・」
 
ビートブードは届いた招待状を眺めながら言う。
 
ここんところイレギュラーも減少傾向にあり、コンピューターハッキング事件から一年が経っていた。
 
「まあ、ここ最近は平和だしたまにはこういうのに出るのも悪くないかもな。」
 
ビートブードはそう思いながら招待状をしまおうとする。
 
「式典は来週の金曜日か・・・・・まっ、ちょうど非番だし、ゆっくりくつろぎながら・・・・・・・・」
 
「ビートブード・・・・・・」
 
「ん?」
 
自分の後ろから聞き覚えのある声に彼は後ろを振り向く。入り口でマーティが手招きをしながら立っていた。
 
「副隊長、どうしたんですか?エックス隊長となんか喧嘩でもしたんですか?」
 
「いや・・・・・そういうわけじゃないんだけど・・・・・・」
 
マーティは言いづらそうな顔をしながら部屋に入ってくる。いつもはそんな顔をしない彼女にビートブードは違和感を感じる。
 
「本当にどうしたんです?」
 
「・・・・・・・アンタ、来週の金曜日空いてる?」
 
「へっ?」
 
マーティの質問にビートブードは思わず口から出る。
 
「実はエックスが大事な話があるって言うのよ。でも、アタシその日、本部にいなくちゃいけなくて・・・・・・・・アンタが時間空いているって言うなら代わってほしんだけど・・・・・・・・」
 
「大事な話・・・・・・!?もしや・・・・」
 
ビートブードは何かを察したのかマーティを見る。
 
「や、やっぱりアンタも大事な用事とかあるのよね?そりゃあ、休日なんだもん。仕方ないわよね。」
 
まだ答えも聞いていないのにマーティは勝手に断られると解釈し始める。
 
「はあ・・・・・・マンドリラーはなんか無理っぽいからアンタに頼もうかと思ったけど・・・・・はあ・・・・・・しょうがないからエックスには別の日にしてって頼みに・・・・・・」
 
「あ・・・・・あっ、だ、大丈夫ですよ・・・・・・・」
 
ビートブードは一瞬迷いながらも答える。その言葉を聞いてマーティの態度が一変する。
 
「ほ、本当に!?」
 
「え、えぇ・・・・・・・・だ、大丈夫ですよ・・・・・・・」
 
マーティは暗い顔からすぐさま明るい表情になる。
 
「ありがとう、ビートブード!!アンタって本当にいい奴ね~!!」
 
「はっ、はあ・・・・・・・」
 
「よかった!じゃあ、早速エックスに伝えてくるわ!!」
 
マーティはすぐさまビートブードの部屋を後にして行った。
 
「・・・・・・やれやれ・・・・・・俺も本当に人が好過ぎるな・・・・・・・」
 
ビートブードは招待券を見て自分に呆れる。
 
「・・・・・まあ、副隊長もこれでエックス隊長と結ばれるし、やっとゴールインするからいいか。イーグリード隊長も先月ハネムーンに出かけたし。」
 
ビートブードはベッドに寝っ転がってこの招待券をどうするか考える。
 
「どうしような・・・・・・・・マンドリラーはこういうのにあまり興味ないし・・・・・招待している対象がレプリロイドだからな・・・・・・・あっ!そうだ!!」
 
ビートブードはベッドから起き上がって部屋から出て行く。
 
「どうせならマックにあげるか。どうせ暇持て余しているし、こういうのに行きたがるはずだからな。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
第0特殊部隊 隊長室
 
「えっ?ゼロ隊長、出席されないのですか?」
 
ゼロ宛に届けられた招待状を持ちながらハチ型レプリロイド エクスプローズ・ホーネックは、驚いた顔をする。ゼロもイレギュラーハンターに復帰後、数々の戦果を残して今では第0特殊部隊の隊長へと昇格していた。
 
「俺はこういう集まりに行くのが苦手でな。別に行かなくたっていいんじゃないか?」
 
「いや、ダメですよ!せっかくドップラー博士が抽選で選んでくれたんですよ?」
 
ホーネックに言われてゼロは頭を抱える。
 
正直言って式典のようなイベントに参加するのはあまり好きではなかったのだ。
 
「・・・・・・・だったら、お前が俺の代理として出席してくれないか?」
 
「何言うんですか!?そんなことをしたら・・・・・・・」
 
「俺だってこの部隊の隊長になってからまだ仕事に慣れていないんだ。それにお前は副隊長だ。俺の代理として十分だろ。」
 
「ですが・・・・・・」
 
「・・・・・・頼む。ただでさえ書類が終わっていないんだ・・・・・・・」
 
ゼロは、珍しく困った顔で頼み込む。
 
特A級ハンターとして有名な彼であったがこういう事務関係はエックス以上に苦手で部屋は書類の山になっていた。
 
その現実を見てホーネックは黙る。
 
「・・・・・・・しょうがないですね。だったら、式典から帰ってくるまでに書類仕上げてくださいよ。」
 
「ほっ。」
 
「た・だ・し・他にも書類がありますから終わらなかったら・・・・・・・・ケイン博士特製のスペシャル青汁・・・・・・・・一か月、朝昼晩飲んでもらいますからね。一リットル。」
 
「いっ!?」
 
ホーネックの言葉にゼロは顔色を真っ青にする。
 
ケイン特製スペシャル青汁とはケインが健康生活を目指して生み出した、成分が全く謎の青汁でとてつもなく苦く飲んでもなお口に独特の風味が残り、一般ハンターは、強制的にスリープモードへ切り替えようとする恐るべき殺人兵器なのだ!!(但しケイン本人は、飲んでも全く何の害もない)
 
 
 
そんなゼロを他所にホーネックは部屋を後にしていく。
 
「では、私は自分の仕事に戻るので・・・・・・・・仕事しっかりやってくださいよ?ゼ・ロ・た・い・ちょ・う。」
 
「・・・・・・・・・」
 
ホーネックが部屋から出て行くとゼロは通信機を使って17部隊の隊長室へ連絡する。
 
『はい、17部隊・・・・・・』
 
「エックス!!」
 
『なんだゼロか。どうしたんだい?』
 
「頼む!!助けてくれ!!」
 
『はっ?』
 
「来週の金曜日までに書類を全部終わらせなくちゃならないんだ。手伝ってくれ!!」
 
『いや、でも俺は自分の部隊の物が・・・・・・・・・』
 
「嘘つけ!!お前の方はマーティと一緒にやってとっとと片付けちまっているだろうがぁ!!」
 
『そんなこと言ったって・・・・・・・ゼロが溜めたんだろ?だったら自分で・・・・・・』
 
「そんなこと言わずに頼む!!!あの爺の作った危険な飲み物を飲まされそうになっているんだ!!」
 
『あぁ・・・・あの青汁?まあ、確かに苦いけど牛乳入れると若干緩和されて飲みやすくなるよ。俺もマーティも毎日飲んで・・・・・・』
 
「お前らもうレプリロイドじゃねえぇえ!!!」
 
『まあ・・・・・そんなわけだから自分で・・・・・・』
 
「くそ!だったら、お前が所持している年代物の漫画全部サーベルで切り刻むぞ!!」
 
『なんでそんな脅しになるのさ!?無茶苦茶だよ!!』
 
ゼロが頼んでいるはずなのにいつの間にかエックスに対して脅迫している。
 
「とにかくだ!来週の金曜日までに書類を全部終わらせなくちゃならないんだ!!」
 
『そんな風に言われても来週の金曜日は・・・・・・・・』
 
「さもないと今からお前の部屋に行って徹底的に破壊する!!!」
 
『それはイレギュラーのやることだよ!ゼロ!!』
 
「・・・・・・お願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いします・・・・・・・・・」
 
『・・・・・(あっ、ゼロが壊れた。)』
 
ひたすら頼むゼロにエックスも流石に呆れた。
 
『・・・・・・・しょうがないな。手伝うだけだからね。』
 
「・・・・・・・恩に着る。」
 
『はあ・・・・・・』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
第17精鋭部隊 隊長室
 
「・・・・・・ごめん、マーティ。来週の予定はキャンセルになったよ。」
 
エックスは申し訳なさそうにマーティに謝る。対するマーティはせっかくビートブードに頼んでまで作った時間を奪ったゼロに対して怒りを燃やしていた。
 
「うぅううううう!!!折角時間作ったのに!!!!」
 
「でも、この埋め合わせは必ずするから。だから、一緒に手伝ってくれないかな?」
 
「・・・・・・・・え、エックスが頼んだら断れないじゃない・・・・・」
 
マーティも流石に怒るのをやめて恥ずかしそうにする。
 
「とにかくゼロの部屋に行こう。そんなに書類が溜まってなければいいけど・・・・」
 
エックスは、マーティを連れてゼロの部屋へと向かう。
 
「全く・・・・・ゼロって戦闘の時は頼りになるのにこういうのはほんと迷惑かけるんだから。」
 
「まあ、俺もB級時代は書類出すの苦労していたから。」
 
エックスは苦笑しながら言う。
 
のび太だった頃、まともに宿題を出すことがほとんどなかった彼にしてみてはゼロに対して同情するところもある。しかし、エックスの場合は小学生だったから笑って済ませられるものでゼロの場合はとても笑えるものではない。
 
「もう、この仕事終わったらゼロの所持金がなくなるまで奢ってもらいましょう!」
 
「流石にやりすぎな気がするけど・・・・・・・」
 
そんなことを話している間に二人は部屋の前に着いた。
 
「ゼロ、手伝いに来たよ。」
 
エックスはノックをして言う。するとドアの向こう側からゼロの声が聞こえる。
 
『おう、来てくれたか。悪いがゆっくり開けて入ってきてくれ。』
 
「えっ?どういうことだい?」
 
『とにかくゆっくり開けてくれ。』
 
ゼロの言葉に二人とも半信半疑だった。とりあえず普通の力でドアを開けてみる。
 
「ゼロ、一体どのくらいため・・・・・・」
 
「うわぁあ!!ゆっくり開けろって言っただ・・・・・・うわあああああああああ!!」
 
するとものすごい音が鳴り、ゼロの悲鳴が聞こえた。
 
「ゼロ?」
 
「一体どうしたのかしら?」
 
エックスたちは部屋の中へと入ってみる。
 
 
 
「「・・・・・・・・・・」」
 
そこにはゼロの姿がなく、部屋一面書類に埋もれていた。
 
「・・・・・・・・ここって倉庫だったのかしら?」
 
あまりの光景にマーティは絶句していた。そんなところへホーネックがまた新しい書類を持ってきた。
 
「あっ、エックス隊長。マーティ副隊長まで。」
 
「ホーネック!これは一体どういう事なんだ!?」
 
「見ての通り、部屋一面提出待ちの書類です。」
 
「・・・・・・・・」
 
「・・・・・・・これは、一生奢ってもらっても終わらないわね。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
一週間後
 
「副隊長、エックス隊長からプロポーズ受けているかな・・・・・・」
 
ビートブードは、仕事で隊長室で留守番するため、部屋からあまり出ないようにインスタントラーメンなどの携帯食を大量に持っていきながらエックスの部屋へと向かっていた。
 
「さてと!今日はここで・・・・・・・・・えっ?」
 
ビートブードが部屋のドアを開けるとそこには出かけているはずのエックスとマーティがひたすら書類を書いていた。
 
「え、エックス隊長!?副隊長!?」
 
ほぼ死に顔に近い二人を見てビートブードは思わず唖然とする。ビートブードが入ってきたことに気がついたのか二人はビートブードを見る。
 
「ビ・・・・・・・・ビートブード・・・・・・?」
 
「は、はい!?」
 
「す、すまないけど・・・・・・・・・・ゼロの部屋から新しい書類を・・・・・・・・・・・ガクッ。」
 
「エックス隊長!!」
 
「ア・・・・・・・・アタシも・・・・・・・・もう・・・・・・無理・・・・・・・ガクッ。」
 
「副隊長!!!」
 
意識を失った二人にビートブードは思わず叫ぶ。
 
「大変だ大変だ!?とにかく二人をメンテナンスルームへ連れて行かないと!!」
 
ビートブードは二人を担いで急いで部屋から出て行く。
 
 
 
 
 
 
 
 
結局ゼロの書類は一週間かけてもすべて終わらずゼロは青汁の刑になるとビクビク震えながらホーネックの帰りを待ったがホーネックはそれっきり戻ってこなかった・・・・・・・。
 
 
17部隊でもビートブードの代理として出席したマックも式典が終了しているはずなのにもかかわらず帰ってこなかった。それどころかドッペルタウンに招待されたレプリロイド全員が出かけたっきり帰ってこないという。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
それから数か月後・・・・・・・・・
 
突然、沈静化したはずのイレギュラーたちが一斉に反乱を起こした。
 
ドップラー博士が首謀者だと突き止めたイレギュラーハンター本部は、エックスとゼロ、そして17部隊にドップラー博士の捕獲とドップラー軍の壊滅を命じた。 

 

ドラえもん到来

19XX年 野比家
 
「「「お邪魔しま~す!!!」」」
 
高校の卒業式を終えて数日後。
 
ジャイアン、スネ夫、しずかちゃんの三人は野比家に来ていた。
 
「あら、みんないらっしゃい。」
 
「いらっしゃい!」
 
「おばさん、お邪魔します!」
 
三人は玉子に挨拶すると玉美に連れられて二階ののび太の部屋・・・・・現在の玉美の部屋へと上がる。
 
「やあ、みんな準備はできているかい?」
 
「おうよ!」
 
「こうやってみんなでタイムマシンに乗るなんて本当に久しぶりだね。」
 
「玉美ちゃんは初めてだものね。」
 
「うん!」
 
「じゃあ、みんな机の中に入って。」
 
ドラえもんが机の中へと入ると全員続いて入って行く。
 
「懐かしいな~!」
 
「本当、最後に乗ったのっていつだっけ?」
 
「もう、6年近くになるのね。」
 
三人は懐かしむように言う。
 
「それでは、三人の高校卒業と玉美ちゃんの幼稚園卒園を記念して僕の故郷22世紀への記念旅行へ出発したいと思いま~す!」
 
「いよ~!待ってました!!」
 
スネ夫は煽てる様に拍手する。
 
「じゃあ、一応念のために最低限のルールを言っておくけど絶対に破っちゃいけないよ。」
 
「おう!何でも来い!」
 
「まず一つ、僕の言う事にはちゃんと従う事。これから行くのは飽くまでも未来で歴史を狂わすとまではいかないけど過去の人間がそう易々と行ってもいい場所じゃないんだ。もうこれから大人になる君たちならわかるね。」
 
「「うんうん。」」
 
「次にもう一つ、バラバラに行動しない。行きたいところがあったら僕にちゃんと声を掛けること。」
 
「そんなもん中学の時とかの修学旅行で先生に言われてるって!」
 
「いくら何でもそこまではやらないよ。」
 
「じゃあ最後に一つ。玉美ちゃんが行きたい場所があるときは誰かが一緒に行ってあげること。僕が場所を外す場合もあるからその時は誰か一人は一緒について行くこと。」
 
「任せとけって!そんなのこの剛田武、ジャイアンがお守りしますって!!」
 
「ジャイアン調子がいいな・・・・・・」
 
「よし、それじゃあ、早速出発進行!!」
 
「「「「おぉ!!」」」」
 
ドラえもんはタイムマシンを起動させて移動を始める。
 
「そう言えばドラえもんの時代に行くのはこれが初めてなんじゃないかな?」
 
「そうだな、行くって言ったら恐竜時代や石器時代とか大抵は過去だからな。」
 
「私もドラちゃんの未来の世界この目でちゃんと見て見たいわ。」
 
「いやあ~そんな大したものじゃないよ・・・・・ん?通信?22世紀から?」
 
タイムマシンの通信機に着信が入っていることに気がつきドラえもんは出てみる。
 
「はい、もしもし・・・・・・」
 
『お兄ちゃん?』
 
「あぁ、ドラミか。そっちに着くのは・・・・・・・」
 
『お兄ちゃんもしかしてもうタイムホール移動中なの!?』
 
「えっ?そうだけど・・・・・」
 
通信先のドラミの態度があまり芳しくない様子だった。
 
『悪いことは言わないわ。一回引き返して!』
 
「え~!?」
 
「「なんだって!?」」
 
「ドラミちゃん、一体どういう事?」
 
『最近、どういう原因なのかはわからないんだけど時々、時空間の歪みが発生するの。ねじれゾーンみたいに人体に影響を与えるようなことはないんだけど歪みに飲み込まれたらどこの時代に飛ばされるかわからないのよ!』
 
「「「「えっ~!!」」」」
 
「?」
 
『今、タイムパトロールが発生の原因について調査しているんだけど詳しい実態が把握されるまでタイムマシンの使用はせ・・・・・・・・・げ・・・・・・・ズッ、ズズズッ・・・・・・』
 
「ん?ドラミどうしたの?ドラミ?」
 
妹の声が聞こえなくなってドラえもんは不安そうな表情をする。
 
「一体どうしたのかしら?」
 
「わからない。でも、どうやら一旦引き返した方がよさそうだ。」
 
ドラえもんはタイムマシンを戻そうとレバーを引く。
 
「・・・・・・・あれ?」
 
しかし、タイムマシンは進路を変えない。
 
「おい、どうしたんだよドラえもん?」
 
「まさか・・・・・こんな時にタイムマシンが壊れたなんて言わないよね?前に白亜紀であったみたいな・・・・・」
 
「そんなはずないよ!?この日のために無理に修理しに行ってきたんだから!でも一体・・・・・・・」
 
「ねえ!あれを見て!」
 
しずかはタイムマシンの進路先を指差す。その先は時空間が異常なほどの歪みを生じていた。
 
「こ、これは一体・・・・・・・」
 
「これがまさかドラミちゃんが言っていた歪みじゃ・・・・・・・」
 
スネ夫が言いかけたときタイムマシンはこれまでにないほど大きく揺れ始める。その勢いのあまりに全員放り出されそうになる。
 
「みんな、しっかり掴まって!!」
 
ドラえもんはどうにかしようとタイムマシンのレバーを握る。今までにない揺れに幼い玉美は愚かスネ夫やジャイアンは涙目状態だった。
 
「母ちゃ~ん!!」
 
「ママ~!!」
 
「ドラえもん~!!こわいよぉお!!」
 
「玉美ちゃん、離れちゃダメよ!」
 
しずかは怖がる玉美を抱きしめながら振り落とされないように掴まる。
 
「みんな頑張って!!」
 
ドラえもんは必死にタイムマシンを操縦する。 
 
タイムマシンは、機体の限界を迎えたのか強制的にタイムホールを開いた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
21XX年 ドッペルタウン 郊外の森
 
タイムマシンは地面に激突すると五人を放り出した。ドラえもんは地面に顔を埋めながらも砂を吐き出して四人の無事を確認する。
 
「ゲホッ、ゲホッ・・・・・・・・・・みんな、無事?」
 
「あぁ・・・・・」
 
「はあ、し、死ぬかと思ったよ・・・・・・・」
 
「うわぁ~ん!!ママ~!!」
 
「玉美ちゃん、泣かないで。」
 
四人の無事を確認し終えるとドラえもんは、どの時代に流れ着いたのかタイムマシンの方へと向かいメーターを確認する。
 
「『21XX年』・・・・・・あれ?おかしいな?」
 
「どうしたんだよ、ドラえもん。」
 
「まさか、変な時代に飛ばされたとかって問題じゃないんだろうね?」
 
ジャイアンとスネ夫は心配そうな顔でドラえもんを見る。
 
「いや、そうじゃないんだ。タイムマシンのメーターは確かに22世紀を差しているんだ。」
 
「なぁんだ、ちゃんと着いたんじゃないか。」
 
「それが変なんだ。22世紀に着いたんならドラミが心配して連絡してくるはずなんだよ。それなのに連絡が全く来ない・・・・・」
 
「もしかして、さっきの歪みに入ったせいで壊れちゃったんじゃないかしら?」
 
「うん、そうかもしれない・・・・・・でも、どの道すぐには元の時代へは帰られそうもないよ・・・・・・・」
 
ドラえもんはボロボロになってしまったタイムマシンを見る。白亜紀の時に比べれば修理の余地はあるがここでは修理のしようがない。
 
「じゃ、じゃあ、僕たち・・・・・・このまま帰れないの?」
 
「そんな!そりゃあ、ないぜ。」
 
「いや、少し部品を取り換えれば動くようにはなるよ。ただ・・・・・今は夜で視界も悪いし、場所が悪い。もう少し見栄えがいいところへ移動して修理をしよう。」
 
ドラえもんはタイムマシンをポケットにしまうと人数分のタケコプターを出す。
 
「とりあえず近くに町がないか調べてみよう。」
 
「うん。」
 
全員頭にタケコプターをつけると森から飛行を始める。少し上昇するとドッペルタウンが見えた。
 
「見て、街があるわ!」
 
「はあ・・・・・・随分大きな街だね・・・・」
 
「ドラえもん、ここがお前の生まれた22世紀なのか?」
 
「いや、僕の生まれた22世紀はもっと機械化が進んでいたよ。それにしてもこの世界は一体・・・・・・とにかく街に人がいるかもしれない。行ってみよう。」
 
ドラえもんたちは飛行しながらドッペルタウンを目指す。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ドッペルタウン
 
ドラえもんたちは街に着くと早速人を探し始めた。
 
「おかしい・・・・・・・誰もいない。」
 
「こんにちわー!誰かいませんか!?」
 
あまりの静けさにジャイアンの声が虚しく響く。
 
「もしかしてここゴーストタウンじゃないの?」
 
「いや、それにしては町があまりにもきれいすぎる。」
 
ドラえもんは一つのビルに指をさす(とは言っても指はないが)。
 
「ほら、あのビルの状態を見てごらん。最近できたばかりだ。それに周りの建物も同じように新品同然だよ。」
 
「じゃあ、最近まで人はいたという事か。」
 
「でも、どこへ行っちゃったのかしら?」
 
「ドラえもん・・・・・・早く帰ろうよ・・・」
 
ドラえもんにしがみついて玉美は言う。余程さっきの揺れが怖かったらしい。
 
「うん・・・・・・・でも、代用できる部品が見つけない以上は帰れないからね・・・・・機械の部品が置いてありそうな店を探して手に入れないと。」
 
「よーし!それじゃあ、探検と行こうぜ!!」
 
「行くって誰と?」
 
「そりゃあ、俺とスネ夫。ドラえもん、しずかちゃんと玉美ちゃんの二手でだ!」
 
「えぇ~!?」
 
「何だよスネ夫!文句あるのか!?」
 
「い、いや・・・・そんなことはないよ・・・・」
 
スネ夫は不満そうな顔をしながらもジャイアンに文句を言う事はなかった。
 
「そうだね、ジャイアンの言う通りここは二手に別れよう。」
 
ドラえもんはポケットの中から道具を取り出す。
 
「空気砲!もし危ないのに会ったらこれで威嚇して逃げるんだ。」
 
「まっかせとけ!!」
 
ジャイアンは空気砲を受け取ると右手に着ける。
 
「とりあえず30分後にさっきの森で合流しよう。この街が安全とは限らないからね。」
 
五人は二手に別れて街の探索を始める。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
???
 
『人間がのこのことこの街に来るとはな・・・・・・』
 
薄暗い研究室の中で一人の老人型レプリロイドが街を探索しているドラえもんたちの姿を見ている。
 
『・・・・・・しかし、あのタヌキのようなレプリロイド。あのお方の報告にあった赤いチビのメカニロイドとよく似ている。もしや、イレギュラーハンター・・・・・・・・ケインが作った新しいタイプのレプリロイドか?』
 
老人型は、メンテナンスカプセルを開く。
 
そこには二体のレプリロイドが眠っていた。
 
『目覚めよ、ヴァジュリーラ。マンダレーラ。』
 
老人型が言うと二体のレプリロイドの目が光る。
 
『最初の仕事だ。あのタヌキのようなレプリロイドを捕まえてこい。できるだけ無傷でな。』
 
二体はドラえもんの姿を見る。
 
「・・・・・・奴の周りにいる人間はいかがいたしますか?」
 
『放っておけ。あんなガキどもに興味はない。それに直にイレギュラーハンター本部への強襲作戦が開始される。抵抗するのなら殺してしまっても構わん。』
 
「わかりました、Dr.ドップラー。」
 
「我ら“ナイトメアポリス”必ずや任務を果たしてまいりまする。」
 
そう言うと二体は一瞬にして姿を消す。ドップラーは、再び椅子に座ると首を傾げる。
 
『・・・・・・そう言えば、街のバーでは奴がまだ寛いでいたな。邪魔をせねば良いが・・・・・・・・』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ドッペルタウン ジャイアン&スネ夫ペア
 
「ジャイアン・・・・・もう、この辺探し回っても誰もいないよ・・・・・・」
 
スネ夫は周りをビクビクしながら確認する。反対にジャイアンはまじめに探し回っていた。
 
「何言ってやがんだ。部品がなくちゃ帰れないんだぞ、お前も真面目に探せ。」
 
「そんなこと言ったって・・・・・・・・」
 
「おっ?」
 
ジャイアンの動きが止まる。いきなり止まったためすぐ後ろを飛んでいたスネ夫はジャイアンにぶつかってしまう。
 
「いた・・・・・・いったいどうしたの?」
 
「あれを見ろよ。」
 
ジャイアンの見ている先にはバーがあった。他の建物とは違って中から明かりが見えている。
 
「人がいるかもしれないぜ。」
 
「でも、なんか怪しいよ。ここまで街はずっと無人なのにこの店だけ開いているなんて・・・・・・」
 
「ゲームでだって酒場は情報を集めるのにぴったりの場所だろ?だったら覗きに行く価値はあるぜ。」
 
「もう・・・・・・僕は知らないからね。」
 
二人は、降りてバーの中へと入って行く。中は薄暗く人がいる気配が全く感じられない。
 
「やっぱり誰もいないのかな?」
 
「ごめんくださーい!!」
 
「わあぁ!?」
 
ジャイアンが大声を出したためスネ夫は慌ててジャイアンの口を塞ぐ。
 
「なにしやがんだよ!」
 
「もし変なのがいたらどうするのさ!」
 
「こっちには空気砲があるんだ。心配ねえって。」
 
「でも・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『うるせえな・・・・・・・・・誰だ?騒いでいる野郎は?』
 
「「!?」」
 
店の奥から声が聞こえてきた。そして、2人に向かってくる足音が聞こえだす。しかし、それは人間の足音ではなくロボットの歩く音だった。
 
「な、なにが来るんだ・・・・・・」
 
『うぅ・・・・・・また頭が痛んでくる・・・・・野郎に殴られて死んでからずっと響いてくる・・・・・・酒で誤魔化そうとしてもいつまでも感じる・・・・・・・・・・』
 
足音はどんどん近づいてきた。
 
「ジャイアン、まずいよ・・・・」
 
「・・・・・とりあえず威嚇で一発撃つ。そして、相手が怯んだら一気にドラえもんが言った場所に逃げるぞ。」
 
ジャイアンは、空気砲を構えて現れる敵に備える。はっきり言えば射撃はそこまで得意なわけではない。それでも相手を怯ませることぐらいはできると考えた。
 
「スネ夫、逃げる準備はできているか?」
 
「わかってるよ。」
 
やがて店の中から何者かが出ようとする。
 
「行くぞ!」
 
ジャイアンは、空気砲を構えて相手に向かって撃つ。しかし、相手の方は別の物に見えていた。
 
『エックスか!!』
 
相手は肩に備え付けられているキャノン砲を構えてレーザーを放った。レーザーはスネ夫のすぐ脇を通り過ぎると後ろにあったビルが破壊され転倒して行った。一方で相手は空気砲をまともに受けてもビクともしていない。
 
「く、空気砲が効いてない!?」
 
『そんな玩具で勝てると思っているのか?』
 
相手は薄暗くなった闇の中で一つの光を灯して迫ってくる。
 
「ジャイアン、ヤバいよ!」
 
「お、おう!逃げるぞ!!」
 
ジャイアンとスネ夫は急いでその場から離れて行く。
 
『おい待て・・・・・っ痛!?まただ・・・・・・・また痛みが・・・・・・・・』
 
店の外に出てきたレプリロイドはまた頭を押さえてその場に倒れた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ドッペルタウン ドラえもんペア
 
「ん?あっちの方で何か騒がしい音が!?」
 
爆発音が聞こえてドラえもんたちは足を止める。
 
「武さんたちに何かあったのかしら?」
 
「心配だな、一回戻ってみよう。」
 
ドラえもんたちは反転してジャイアンたちがいる方へと向かおうとする。
 
その直後、三人の目の前に突然黄色いボディに額には勾玉、飛鳥文化の人みたいな髪型という奇抜な外見のロボットが立ちはだかった。
 
「わっ!?なっ、なんだ!?」
 
慌てて元来た道を引き返そうとするが後ろには既に別の赤いボディにチョンマゲをした、力士のような巨漢のロボットが待ち伏せていた。
 
「な、なんなんだコイツらは!?」
 
「怖いよ~!!!」
 
玉美は泣きながらドラえもんに抱き着く。
 
「貴方たちは何者なんですか?」
 
しずかが聞くと黄色い方のロボットが先に答えた。
 
「私の名はヴァジュリーラ。偉大なるドップラー博士によって生み出されたレプリロイドだ。」
 
「「レプリロイド?」」
 
「同じく、我が名はマンダレーラ。ドップラー博士の生み出した『ナイトメアポリス』なり!」
 
「「ナイトメアポリス?」」
 
聞き覚えのない単語にドラえもんたちは動揺する。
 
「ナイトメアポリス・・・・・・・悪夢警察か・・・・・・・一体僕たちが何をしたというんだ!?」
 
「理由などない。ドップラー博士はそこのタヌキ。お前に興味をお持ちだ。」
 
「僕はタヌキじゃない!!」
 
ヴァジュリーラの言葉にドラえもんは怒る。
 
「フン、まあいい。博士からの命令で貴様を連行する。」
 
「なんだって!?」
 
「覚悟!」
 
マンダレーラとヴァジュリーラは一斉にドラえもん目掛けて襲い掛かってくる。ドラえもんたちは慌てて避けて逃げ始めるが二人の移動速度は尋常にないほど速かった。
 
「まずい!あの二人のロボット・・・・・・僕たちよりも速い!」
 
「ドラちゃん、何か道具はないの!?」
 
「えっと・・・・・待ってて!!」
 
ドラえもんは急いでポケットから道具を出そうとする。スモールライトで小さくするという手もあるがあの動きの速い相手だ。当てる前に捕まってしまう。
 
「えっと、空気砲!!」
 
ドラえもんは咄嗟に空気砲を装備してヴァジュリーラに照準を向ける。
 
「ドカーン!!」
 
空気の砲弾はヴァジュリーラ目掛けて飛んでくる。
 
「フン!」
 
ヴァジュリーラは、ビームブレードを展開して空気砲の砲弾を叩き斬った。
 
「ダメだ!奴に有効な道具が見つからない・・・・・・」
 
「フン!!」
 
マンダレーラが勢いよく体当たりをかましてくる。三人は急いでバラバラになって事なきを得たがマンダレーラはビルに激突して辺りは砂ぼこりだらけになる。
 
「みんな、早くこっちへ!!」
 
ドラえもんたちはすぐに別のビルの陰に隠れる。砂埃が晴れるとヴァジュリーラとマンダレーラは三人を探し始める。
 
「奴らめ・・・・・・どこへ行った?」
 
「どこかに潜んでいる可能性がある。」
 
「よし、別れて探すぞ。見つけ次第捕獲だ。」
 
「御意。」
 
2人が分かれて探し始めたのを見るとドラえもんはまたポケットから道具を出す。
 
「石ころぼうし!」
 
石ころぼうしを三人分取り出し、頭に被る。
 
「これで僕たちの姿は見えないはずだよ。見つからないうちにさっきの森まで急ごう。」
 
三人は再び移動をし始める。ヴァジュリーラとマンダレーラは周囲を探し回っているが見つけられない。
 
「奴等・・・・・・まさかもう逃げ切ったとでもいうのか?」
 
「慌てるなマンダレーラ。あの移動速度だ。そう遠くへは行っていないはずだ。」
 
「では、どうしたというのだ?」
 
「姿を消せるとしたらどう思う?」
 
「ん!?」
 
「現にレプリロイドの中には姿を消せるものもいる。私にはそう言う輩に対処するための機能がある。」
 
ヴァジュリーラの目が赤く変化する。そして、しばらく辺りを見回ると不意と一角に目を止める。
 
「・・・・・・・あそこか。」
 
ヴァジュリーラは、捕縛用のリングを投げる。捕縛用のリングは高速で移動し、透明化しているドラえもんを捕らえた。
 
「うわあぁ!?」
 
「ドラちゃん!?」
 
ドラえもんの悲鳴を聞いてしずかは足を止める。
 
「ドラえも~ん!!」
 
「しずかちゃんたちは早く逃げて!!」
 
ドラえもんは自分に構わず逃げるように言う。しずかは戻ろうとする玉美を抱くと急いで逃げて行った。
 
「ドラえも~ん!!」
 
玉美は必死に呼びかけるが最後に見たのは石ころぼうしを外されて二人に連れて行かれるドラえもんの姿だった・・・・・・・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ドッペルタウン 郊外の森
 
「ドラえもん・・・・・・ドラえもぉおん・・・・・・・」
 
玉美は泣きながらしずかと一緒に最初に来た森へと戻ってきた。現場にはジャイアンとスネ夫が先に待っていた。
 
「お、おい!?ドラえもんはどうしたんだ!?」
 
ジャイアンはドラえもんの姿がない事に驚く。しずかは申し訳なさそうに言う。
 
「私たちを庇って二人組のロボットに捕まってしまったの・・・・・・・」
 
「何だって!?それじゃあ、僕たちはドラえもんの道具なしで一体どうやって帰ればいいんだ!?」
 
「喚くなスネ夫!」
 
「喚きたくなるじゃないか!!僕たちはこのわけわからない世界で取り残されちゃったんだぞ!?それをどう・・・・・」
 
「二人ともやめて!」
 
言い合いになっていた二人をしずかは必死で止める。
 
「喧嘩したところでドラちゃんは戻ってこないのよ?今はどうやってドラちゃんを助け出すのかを考えるのが大事なんじゃないの?」
 
「そ、それはそうだけど・・・・・」
 
「そうだ!まず、ここにいるとしずかちゃんたちを襲った連中が追いかけてくるかもしれねえ。一旦、場所を変えて態勢を立て直そう。」
 
「うん・・・・・でも、どうする?僕たちの手元にあるのはタケコプター、空気砲、石ころぼうしだけだよ?」
 
「今までいろんな冒険があったけどどうにかなっていただろ?」
 
「そ・・・・・・それは・・・・・・」
 
「よし!それじゃあ、ドラえもん救出のために行くぞ!!」
 
ジャイアンの言葉で四人は移動を始める。タケコプターだと見つかる危険性と電池切れがあるため、あえて徒歩で移動する。幼い玉美は長時間の移動が困難なため疲れた場合はジャイアンが背負って移動することに。
 
四人は、半日かけて移動するがこの世界に着いてからまともに食事をとっていなかったこともあり、疲労がどんどんたまっていく。
 
 
「はあ・・・・・・・腹減ったな・・・・・・」
 
「仕方ないよ。今の日から見てもう昼時だから2食分はとっていないんだから。」
 
「スネ夫・・・・・お前なんか持っていないか?」
 
「持ってるわけないでしょ・・・・・・」
 
四人はフラフラしながらも歩き続ける。そして、しばらくすると一本の道路に出る。
 
「しめた!これに沿って歩いて行けばきっと別の街に行けるはずだよ!」
 
「でも、またあの危ないロボットたちみたいなのが出てきたら・・・・・・」
 
「この際ロボットでも何でもいいよ・・・・・俺、腹ペコペコ・・・・・」
 
四人がそう嘆いていると一台のライドチェイサーが走ってきた。
 
「あっ、バイクだ・・・・・・・」
 
「お~い~助けてくれ~・・・・・・・」
 
「私ももう・・・・・ダメ・・・・・」
 
四人はその場で倒れてしまった。それに気がついたのかライドチェイサーは四人の前で止まる。
 
「なんだ?こいつ等は・・・・・・」
 
ライドチェイサーから降りてきたのはゼロだった。ゼロは、倒れている四人を確認すると通信機で呼びかける。
 
「こちらイレギュラーハンター ゼロ。倒れている人間を四人見つけた。現場からしておそらくドップラー軍に襲われて逃げてきたものだと思われる。至急じじ・・・・・・じゃなくて、ケイン氏と問い合わせてくれ。」
 
ゼロは、連絡すると救急班が来るまで四人を見る。
 
「はあ・・・・・・・ホーネックの奴がいなくなってから碌なことにならねえな。エックスたちには散々奢らされるし、ビートブードの野郎には白い目で見られるし・・・・・はあ。早く戻って来い、もう青汁の刑は受けてもいいから・・・・・・・・・」
 
ゼロはため息をつきながら空を見上げた。 

 

Dr.ケイン

 
前書き
ケイン博士・・・・・X4以降どこへ行ったんでしょうね? 

 
Dr.ケイン宅
 
「う、うぅ・・・・・・ん・・・・・」
 
気を失っていたスネ夫は、寝かされていたベッドから起き上がる。
 
「ここは・・・・・一体・・・・・・」
 
「目が覚めたか?」
 
「!?」
 
声がした方を見るとゼロが壁に寄り掛かりながら立っていた。
 
「ゼ、ゼロ!?」
 
スネ夫は思わず叫んだ。
 
「ん?俺の名前を知っているのか?」
 
「えっ?え、えっと・・・・・・すごい腕のハンターだって聞いていたもんですから・・・・は、ハッハッハッハッ・・・・・(ゲームでしか見たことないけど間違いなく本物のゼロだ!でも、なんでこんなところに・・・・・もしかして僕たちはゲームの世界にでも迷い込んじゃったのかな?)」
 
「食事を持ってきました。」
 
そこへマイマインが軽食を乗せた盆をもって部屋に入ってくる。
 
「く、クリスター・マイマイン!?」
 
「はっ?ぼ、僕ってそんなに有名ですか?」
 
「え、いや・・・・その・・・・・・」
 
「コイツは、見た目は不気味かもしれないがいい奴だ。悪いように見ないでやってくれ。」
 
戸惑っているスネ夫に対してゼロは落ち着かせるように言う。
 
(お、おかしい!?クリスター・マイマインはX2のボスキャラのはずだ・・・・・っという事はこの世界はX2後の世界?だとすればゼロの姿が復活後になっているのも裏付けられる。でも、それならこいつはエックスに倒されているはずだよね?どうなっているんだろう・・・・!)
 
そのとき、スネ夫は自分のタケコプターがない事に気がつく。
 
「あ、あのすみません・・・・・」
 
「ん?」
 
「僕のポケットに入っていたえっと・・・・・プロペラみたいな小道具見ませんでした?」
 
「プロペラ・・・・・あぁ、タケコプターみたいなアレか?」
 
「えっ?」
 
ゼロの言葉を聞いてスネ夫は思わず息をのむ。
 
「あの・・・・・もしかしてタケコプターのことをご存じなんですか?」
 
「ご存じも何もじじいがエックスが持っていた物を喉から手が出るほど欲しがっていたからな。喜んで持って行ったぞ。」
 
「え、エックスが持っていたっ!?」
 
スネ夫はますます混乱する。
 
自分の・・・・・それも未来のひみつ道具を何故エックスが持っているのか?
 
それがすっかりわからなかった。
 
「あの・・・・・・ここで食事しづらいのでしたら場所を変えても構いませんけど・・・・・」
 
硬直しているスネ夫を見てマイマインは少し困った顔で言う。
 
「・・・・えっ?あっ、いや・・・・そういうわけじゃ・・・・」
 
「他の三方も先にお目覚めになってケイン博士のところで食事をとっているので。」
 
「えっ?ジャイアンたちが!?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ケイン宅 居間
 
「うんめえ!」
 
ジャイアンは、目の前にある食事を豪快に食べていた。
 
「よっぽどお腹が空いておったんじゃのう・・・・・しかし、若いもんはよく食べるわい。」
 
その様子をケインはその食べっぷりに感心していた。近くではミニドラが走り回っていたが特に気にする様子はない。
 
一方のしずかの方は落ち着いて食事ができないようだった。
 
「うん?お嬢さん、お口に合わんかったか?」
 
「い、いえ。おいしいです。」
 
「・・・・・もしかして、周りを走り回っておるチビたちのことが気になるのかね?」
 
「・・・・・・」
 
「フッフッフッ・・・・・・図星のようじゃのう。」
 
「おじいちゃん、なんでちっちゃいドラえもんいっぱい持ってるの?」
 
玉美の方も興味津々のようだった。
 
そこへスネ夫がマイマインに連れられてやってくる。
 
「あっ、やっぱりみんな起きて・・・・・・って、なんでこんなにミニドラがいるの?」
 
「おう、スネ夫。お前もこっちに来て食えよ!うまいぜ!」
 
「全くジャイアンは・・・・・・・・あっ!あなたはもしかしてケイン博士!?」
 
スネ夫はケインの姿を見て驚く。
 
「おっ、君がスネ夫君かね?いかにもわしがケインじゃよ。」
 
「えっ?ぼ、僕の名前まで・・・・・・」
 
「マイマイン、ゼロはどうしたんじゃ?」
 
「仕事があるからってさっさと帰りました。」
 
「全く、エックスといい、ゼロといい最近は大変になったもんじゃのう。」
 
ケインは残念そうな顔をする。
 
「ねえ、ジャイアン・・・・・・」
 
「うんうん・・・・・この肉うま・・・・」
 
「もう!食べるよりもドラえもんを助けに行くのが先でしょ!!」
 
「おぉ!?いっけねー!?忘れてた!?」
 
食事に夢中になってたあまりにジャイアンは驚きの表情をする。
 
「さっ、君も腹が減っておったじゃろう。まずは食事でも・・・・・」
 
「あっ、はい・・・・・・(やっぱり、ここはロックマンXの世界なんだ・・・・・・でも、ひみつ道具を知っているのと言い、ミニドラが家にいるなんて・・・・・・)」
 
スネ夫はとりあえず出してもらった食事を平らげるとケインはミニドラたちと共に四人を自分の書斎へと連れて行く。ミニドラに髭を引っ張られたりといたずらされていたがケインは特に気にしている様子はない。
 
「さっ、その辺に腰を掛けて。」
 
ケインに言われて四人は目の前にあるソファーに腰を掛ける。
 
「あの・・・・・早速なのですがケイン博士・・・・」
 
「何故ひみつ道具のことを知っているのかじゃろ?」
 
「えっ?えぇ・・・・・」
 
「それとミニドラがどうしてわしの家にいるのか?」
 
「そうそう!じいさん確かえっと・・・・・・ロックマンX2に出て来ていた博士だろ?」
 
「?X2?」
 
「ジャイアン、ここでゲームのナンバリング言われても分かりっこないよ。」
 
「あっ、そっか。」
 
「君たちのことはエックスから聞いておったんじゃよ。」
 
「「・・・・・・・・はっ?」」
 
ケインの言ったことにジャイアンとスネ夫は唖然とする。
 
「エックスって、あのロックマンXが・・・・・・」
 
「俺たちのことを知っている?」
 
「あの・・・・・それは一体どういう意味なんですか?」
 
しずかが聞くとケインは真面目な顔で話し始める。
 
「うむ、わしもエックスから打ち明けられるまでは知らんかったんじゃが、エックスは元は君たちの仲間の一人だったんじゃよ。」
 
「俺たちの仲間?」
 
「そのエックスさんという方が言っていたことは本当なんですか?」
 
「では、君たちが一匹の首長竜 ピー助と白亜紀の恐竜時代を恐竜ハンターから追われながらも冒険したのは覚えているかね?」
 
「「「!?」」」
 
「ねえ、何の話なの?」
 
玉美以外は驚いた顔でケインを見る。
 
「では、犬のペコ・・・・・いや、クンタック王子の国を救うために大魔境を冒険した話はどうかな?鬼岩城や惑星 コーヤコーヤでの悪人との一騎打ちのことでも良いが・・・・」
 
「ペコの話を知っているのか!?」
 
「エルやバギーちゃんのことまで!?」
 
「みんなエックスから聞いた話じゃ。言っておくが漫画とかの話ではないぞ?」
 
「でも、冒険のことまで知っている奴なんて・・・・・・・!?いや、そんなはずはねえ。あいつはもう・・・・・」
 
ジャイアンは何か思い当たることがあったがすぐに取り消す。それを察したのかケインは口を開く。
 
「野比のび太くんのことを言いたかったのではないかね?」
 
「!?」
 
「ケイン博士・・・・・・なんでのび太の名前まで!?のび太は6年前事故で・・・・・・」
 
「もし、エックスがその野比のび太君の生まれ変わりだったとしたら?」
 
「「エックスがのび太の生まれ変わり!?」」
 
「つまり、のび太さん本人だって言う事!?」
 
「わしも最初に聞いた時は驚いたが輪廻転生という言葉がある故に決してあり得ないわけではない。」
 
ケインから明かされた事実に三人の顔は硬直する。確かにほとんどの話は自分たちしか知らないし、コーヤコーヤのことに関しては自分たちよりものび太の方が詳しい。っという事はエックスがのび太だと納得できる。
 
「エックスがのび太の生まれ変わり・・・・・・・でも、それならミニドラやひみつ道具があるのも納得できる。」
 
「のび太さんがロボットに・・・・・」
 
「爺さん!のび太の居場所を教えてくれ!」
 
ジャイアンは頭を下げて頼み始める。
 
「と、突然何を言い出すんじゃ!?武くん。」
 
「俺たち、大事な友達が変なロボットたちに捕まっちまったんだ!」
 
「そ、そうなんです!それもかけがえのない友達で・・・・・・」
 
「ちょいちょい待たんか。一旦落ち着いて。」
 
ケインは騒ぎ出した二人を落ち着かせようとする。一方の玉美はその話を聞いて少しわからないようだった。
 
「のび太お兄ちゃんって玉美が生まれる前に事故で死んじゃったんじゃないの?」
 
「えっと・・・・・わかりやすい言葉で言えば姿は違うけど中身は玉美ちゃんのお兄ちゃんって言う事よ。」
 
「じゃあ、お兄ちゃんなの?」
 
「そう。」
 
「お兄ちゃんか・・・・・」
 
「生憎なんじゃがエックスは今取り込み中で会わせる暇がないんじゃ。」
 
「どうしてなんだよ!?」
 
ジャイアンはケインに聞く。
 
「今、イレギュラーハンターは、ドップラー軍壊滅のために動いておる。とても忙しい身なんじゃよ。」
 
「ドップラー軍?」
 
「あっ!もしかしてX3の内容なのかも・・・・」
 
スネ夫の言葉にジャイアンとしずかは首を傾げる。
 
「来月発売予定の新作で確か次の敵の名前がそんな名前だったような気がするんだ。」
 
「じゃあ、ドラえもんはそいつらに捕まっちまったってわけか?」
 
「そうなるね。会社の裏情報だと今回の敵は科学者だからもしかしたら・・・・・・・・」
 
その直後、部屋にものすごい揺れが起こる。
 
「なっ、なんだぁ!?」
 
全員が驚いているとマイマインが慌ただしく入ってきた。
 
「大変です博士!ドップラー軍がここシティ・アーベルに空爆を開始し始めました!?」
 
「なんじゃとっ!?」
 
「急いでみんな地下シェルターへ!!」
 
「マイマイン、ハンターベースの方はどうなっておる?」
 
ケインは地下シェルターに移動しながらマイマインに聞く。
 
「現在ドップラー軍の空軍と都市防衛用大型メカニロイドが襲っているとのことです!」
 
「シェルターの通信機からエックスとゼロを呼び戻せ!急いで本部を守れと!」
 
「わかってます!」
 
一同はケイン宅にある地下シェルターへと逃げ込む。
 
「ここは特殊合金でできているので爆撃ではビクともしません。」
 
「ふう・・・・・・」
 
「・・・・・・」
 
「ジャイアン何黙っているの?」
 
「・・・・今頃、のび太の奴戦っているんだろうな・・・・」
 
「そうだろうね。」
 
「くそ!俺たちはここで大人しくしているしかないのか!」
 
ジャイアンは悔しそうに言う。
 
「ジャイアン、大丈夫だよ。のび太がエックスだって言うんならゼロが一緒に居るはずなんだし・・・・・」
 
「そういう問題じゃねえんだ!例えのび太がエックスだろうがゼロだろうが、もう一度会えるかもしれないんだぞ!俺たちのかけがえのない仲間に!心の友に!それなのに・・・・・命がけで戦っているのを何もしてやれないなんて・・・・・・・」
 
「武さん・・・・・」
 
「武お兄ちゃん。」
 
「・・・・・・どうしてもエックスに会いたいか?」
 
ケインは真剣な顔をして四人に聞く。
 
「そりゃあ、もちろん!」
 
「ぼ、僕も・・・・・・」
 
「私も会いたい!」
 
「・・・・・・・うむ、ならこのシェルターからハンターベースに繋がっている地下道がある。」
 
「「「地下道!?」」」
 
ケインはシェルターに設置されているパネルを操作する。するとシェルターの壁の一部が開き地下通路が現れる。
 
「この道をまっすぐ歩いてその先の梯子を昇ればハンターベースの中へ潜り込める。」
 
「おぉ!じいさん、ありがとな!」
 
四人は急いでいこうとするとケインは一匹のミニドラを渡しておく。
 
「わしの時は道具を出してくれんかったが君たちなら力を貸してくれるじゃろう。」
 
「ドラララ!」
 
「ありがとうございます。」
 
「よし、それじゃあみんな、のび太の手助けをしてドラえもんを助けに行くぞ!!」
 
「「おぉ!!」」
 
「お~!」
 
「ドラララ!」
 
ジャイアンたちは地下通路を走って行った。
 
「若いもんは本当にいいのう~。あんなに走れて。さて、あの子たちと再会してエックスはどんな反応をするのかのう・・・・・・・」
 
「本当に大丈夫なんですかね?」
 
そんなことを言いながらマイマインとケインは爆撃が止むまでシェルターの中で大人しくするのであった。 

 

再会

 
前書き
ドラえもんとロックマンの共通点は青。 

 
『こちら、イレギュラーハンター本部!ドップラー軍の攻撃を受け、応戦中!!本部周辺のイレギュラーハンターは直ちに帰還し、応戦に当たれ!繰り返す!本部周辺のイレギュラーハンターは・・・・・』
 
現在ハンターベースはドップラー軍の攻撃を受けていた。対するイレギュラーハンターは応戦に当たっていたがドッペルタウン周辺の警戒によって各地に人員を割いてしまっていたため、劣勢を強いられていた。
 
「撃て撃て!敵が既に内部に潜り込んでいるんだぞ!!これ以上内部への侵入を許すな!!」
 
「「「はい!!」」」
 
ビートブードの指揮の元17部隊は対空砲火でメカニロイドをこれ以上寄せ付けないようにしていた。
 
「おりゃ!!」
 
マンドリラーは巨大な瓦礫を放り投げてメカニロイドを撃ち落としていく。
 
「副隊長!外の方は防戦一方です!負傷者も増えてきてこのままだと抑えきれません!」
 
ビートブードは通信機でマーティと連絡を取る。
 
『もうすぐエックスとゼロがそっちにつくはずよ!アタシも内部に侵入した敵を撃退しているからアンタたちも頑張って!』
 
「了解。おい、もうすぐ隊長たちが合流する!それまで何とか持ちこたえるぞ!!」
 
「「「「はい!!」」」」
 
「マンドリラー、もっと敵に瓦礫を投げろ!」
 
「わかったよ~!ほい!」
 
マンドリラーは、さらに瓦礫を投げて行く。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
一方、市街地でもメカニロイドによる爆撃が行われていた。
 
幸いシティ全体に警戒態勢を敷かせていたこともあって住民の避難は完了している。エックスは、本部へと向かいながらも飛行中のメカニロイドたちを次々とフルチャージショットで撃ち落としていた。
 
「ドップラー軍め!!こんな市街地まで攻撃するなんて!!」
 
本部へと向かうメカニロイドに飛び乗り、バスターを連射して内部を破壊していく。途中、同じく現場に駆け付けたゼロも飛び乗ってサーベルでメカニロイドの動力を破壊する。機能を失ったメカニロイドは勢いよく落下し、2人はハンターベースの目の前で離れて着地する。
 
「エックス、俺は本部周辺の敵を片付ける。お前は内部を頼む。」
 
「あぁ、敵の数も相当だ。お互い気をつけて行こう。」
 
二人は別れて、ゼロは外へエックスは内部へと乗り込んで行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース 通路
 
マーティは警戒しながら通路を移動していた。
 
「・・・・・・この辺はもうイレギュラーはいなくなったようね・・・・」
 
彼女はバスターショットを構えながら歩き回っていると煙で見えないところから何か物音がした。
 
「!?まだ敵が!!」
 
彼女はバスターショットで威嚇射撃をする。
 
「うわぁあ!?いきなり撃ってきたぞ!?」
 
「だからいきなり出てきたらダメだって言ったじゃないか!」
 
「?」
 
反撃する様子がないため、彼女はバスターショットをしまって槍を展開して近づいて行く。すると煙の中からミニドラが飛び出してきた。
 
「ドラララ!」
 
「ミニドラ!?アンタ、どうしてこんなところに・・・・」
 
「ドララ!」
 
ミニドラが来た方を見るとジャイアンたちが両手を上げていた。
 
「人間?」
 
「あの・・・・・俺たち、テンプラー軍じゃありません・・・・・。」
 
「テンプラーじゃなくてドップラー軍だよジャイアン。」
 
「ジャイアン!?」
 
スネ夫の言葉を聞いてマーティは反応する。
 
「アンタたち・・・・・・・もしかして人間だった時のエックスの知り合い?」
 
「えっ!?何故気づいたの!?」
 
「いや、アンタたちのことはエックスが思い出話で話してくれていたから。」
 
「あののび・・・・エックスさんのお知合いですか?」
 
しずかは見た目のせいかマーティを少し警戒して質問する。
 
「あ、アタシ?アタシはマーティ、第17精鋭部隊副隊長のA級ハンターよ。」
 
「スネ夫、マーティなんてキャラゲームにいたか?」
 
「いや、聞いたことないよ。そもそもXシリーズは女性キャラがいないのが事実だし。」
 
「ところでなんでアンタ達がここに・・・・・ん?はい、こちらマーティ。」
 
マーティが話しかけたとき彼女の通信機に着信が入る。
 
『マーティ副隊長~まずいことになったよ~。』
 
「マンドリラー?一体に何があったのよ!?」
 
「「マンドリラー!?」」
 
『巨大なメカニロイドが本部に向かって迫ってきているんだよ~。いくら撃ってもキリがないしこっちに突撃して来るのも時間の問題なんだな~。』
 
呑気そうに言っているがそれどころではないのは確かなようである。
 
「わかったわ、アンタ達はできるだけ守りを固めて!アタシも中の敵を一通り片づけたら合流するから!」
 
『あっ、後もう一つ。エックス隊長が本部の中へ入ったそうです~。』
 
「エックスが!?」
 
『外ではゼロ隊長も応戦してくれているみたいだけどどこまで持つか・・・・・』
 
「とりあえず何とか持たせといて。無理だったらその場を放棄して本部から脱出しなさい!」
 
マーティは通信を切ると四人の方に向き直る。
 
「四人ともアタシに付いて来て!急いで本部の外に出るわよ!」
 
「一体何があったんですか?」
 
「巨大なイレギュラーがここを目指して来ているの。ここを攻撃されたら堪ったもんじゃないわ!急いでエックスを見つけるわよ!!」
 
マーティは四人を連れてエックスを探し始める。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース 留置所
 
「おーいー、一体何がどうなっていやがんだよー。」
 
留置所に監禁されているカメリーオは拘束されたまま何が起こっているのか看守に聞こうとするが誰もいないため聞けずにいた。
 
「ミーたちはこのまま生き埋めってか!?冗談じゃない!?」
 
「・・・・・・・」
 
隣の部屋ではギーメル、さらにその隣にはザインが閉じ込められている。二人が騒いでいる間にも天井が崩れるのではないかと心配していた。かと言っても武装は既に没収されてしまっているため出られない。
 
「ニニニニ~!!俺はこんなところで死にたくねえ!!頼むから出してくれ~!!」
 
「もう、悪いことしないって誓うからどうか出してくれ~!!」
 
「・・・・・・・・・万事休すか。」
 
三人が言っている中、留置所の入り口が開いた。
 
「「「!?」」」
 
入口の方を見るとそこにはマックが立っていた。マックはゆっくり歩きながらカメリーオの部屋の前で止まる。
 
「・・・・・・・」
 
「マック!?てめえ何しにここへ来た!?俺の死にざまを笑いに来たって言うのか!?」
 
「し、死!?やっぱりミーたちはここで殺されるのか!?」
 
「・・・・・・」
 
マックは黙って牢の鍵を開けるとカメリーオの拘束を解く。
 
「に?」
 
「・・・・・これでお前は自由の身だ。」
 
「てめえ・・・・どこの風の吹き回しだ?」
 
「お前にはドッペルタウンに行ってもらう。」
 
「ドッペルタウン?最近噂に聞いていたドップラーが作ったって言う平和都市か?なんでそんなところへ・・・・・」
 
「そこへ行けば偉大なるドップラー博士がお前にさらなる力を授けてくださると言っておられるのだ。」
 
「・・・・・・条件は?」
 
「いいから行け。好き勝手にするのは構わないがまたエックスに無様に負けるだけだぞ。」
 
「・・・・・・ちっ。」
 
カメリーオはマックから端末を受け取るとマップを確認し始める。
 
「このルートを行けばいいんだな?」
 
「あぁ。ここはもうすぐ陥落する。急いで行け。」
 
「ににに・・・・・・・俺を逃がしたことを後悔するんじゃねえぞ!」
 
カメリーオは光学迷彩を使って姿を消す。それを確認するとマックはギーメルとザインの方を見る。
 
「お前たちにも利用価値がある。お前たちが乗るというのなら自由にしても構わんぞ?」
 
「ほっ、本当か!?」
 
「・・・・・っで、何をすればいい?」
 
マックから武器を受け取ると二人は留置所から出て行く。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース 戦闘機格納庫
 
「この辺りはもう敵はいないようだな・・・・・」
 
エックスは周囲を確認しながらメカニロイドを破壊し終える。
 
「ん?」
 
戦闘機の裏で人の気配がしたためエックスはバスターを再展開して近づいて行く。
 
「動くな・・・・・!?」
 
しかし、姿を見るやエックスはバスターを戻す。そこにはマックがギーメルとザインを拘束して終えていたところだった。
 
「きみは ゆくえふめいになっていたマック じゃないか。」
 
「・・・・・・」
 
「マック、ドッペルタウンから逃げられたのか?ホーネックは・・・・・・・・!?」
 
エックスがマックに近づこうとしたときマックはバスターから拘束用プラズマブラスターを放つ。不意打ちされたことによりエックスは、身動きがとれなくなった。
 
「・・・・・フッフッフッフ、相変わらず甘いなエックス。」
 
「ぐあぁ!?マック!こ、これは一体・・・・・・・・」
 
「ケケケ!ミーたちが捕まったと思ってやっぱり油断しやがったな!!」
 
ギーメルは笑いながらザインと共に自分でロープを解く。捕まったふりをしていたのはエックスを油断させるためだったのだ。
 
「俺は、もうイレギュラーハンターではなく、ドップラー軍の一員だ。こいつ等も含めてな。」
 
「何だと!?」
 
「ケケケ!ミーたちはあんな薄汚いドブネズミの住処からおさらばできるならどこだろうと構わないぜ!!」
 
「・・・・・・お前の首が取れないというのは残念だがな。」
 
三人はエックスを見下ろしながら言う。
 
「悪いがお前を捕獲する。」
 
輸送用のメカニロイドがエックスを捕らえると浮遊しながら移動を始める。
 
「ケケケ!無様なもんだな!!」
 
「・・・・・アイツはどうするんだ?」
 
「さあな、ドップラー博士の命令だから詳しいことは俺のもわからん。だが・・・・・・」
 
「マック!!」
 
「ん?」
 
マックは聞き覚えのある声に顔を向ける。
 
そこにはジャイアンたちを連れたマーティがいた。
 
「これはこれは・・・・・・・お久しぶりですな、マーティ副隊長殿。」
 
「マック、アンタ・・・・・・自分が何やってんのかわかってんの!!」
 
「えぇ・・・・・俺はもうイレギュラーハンターじゃありませんからね。」
 
激怒しているマーティに対してマックは冷淡に答える。ジャイアンたちは運ばれていくエックスの姿を見て唖然としていた。
 
「この野郎!!のび太をどこへ連れて行く気だ!!」
 
「?」
 
ジャイアンはその辺にある鉄パイプを手に取るとマックに向かって行こうとする。
 
「あっ!ジャイアン無茶だよ!?」
 
「武さん、危ないわ!」
 
「武お兄ちゃん!」
 
「・・・・・やれ。」
 
「フン!」
 
マックの命令でザインは大剣を床に叩きつけて衝撃波を起こさせる。すると天井が崩れ始め、瓦礫が降り注ぐ。
 
「みんな、伏せて!!」
 
マーティの叫びで四人は伏せる。その間にマックたちはギーメルの凧に乗ってその場から脱して行った。
 
「ケッケッケケケケ!!ざまあねえな鬼マーメイド!!そこでてめえの彼氏がノコノコ攫われていくのを眺めているんだな!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
少しして、振動が収まるとゼロが天井の穴から降りてきた。
 
「さっきの振動は何だったんだ?エックスからの通信が途切れたから妙だと思って来てみたが・・・・・・・・」
 
辺りを見回してゼロは、エックスが残した僅かな反応を頼りに移動しようとする。
 
「キイィィイイイイイイイイイ!!あのクソイレギュラー!!!」
 
瓦礫の中からマーティが出てきた。
 
「マーティ!?お前、無事だったのか?」
 
「ゼロ!・・・・・はっ!エックスは!?」
 
マーティは、エックスを探すべく辺りを見回す。その後からジャイアン達が命からがら瓦礫の中から出てくる。
 
「くそ!みんな、怪我はないか!?」
 
「僕は大丈夫だよ。」
 
「私も。」
 
「玉美も大丈夫だよ。」
 
「ドラララ・・・・・・・」
 
「お前たち・・・・・なんでこんなところに?」
 
ジャイアン達を見てゼロは驚く。民間人である彼らがここにいること自体が驚きだがよりによってマーティと一緒に瓦礫の中から出てくるとは思わなかった。
 
「あっ!ゼロさん。」
 
「お前たち、こんなところで何をしている?民間人はさっさと避難しろ。」
 
「そうは行かねえ!のび太を助けるんだ!!友達をこのまま見捨てるわけには行かないんだ!」
 
「のび太?・・・・・・・・お前たち、じじいから聞いたのか。だが、そういうわけにもいかない。人間を危険な目に逢わせるわけには行けないからな。」
 
「そんなこと言わずに頼むよ!こうしている間にものび太が・・・・・・」
 
ジャイアンは土下座して頼み込む。
 
「・・・・っと言われてもな。俺とマーティはともかくお前たち移動手段がないだろ?」
 
「あっ、それならタケコプターで何とかなります。」
 
四人は揃いに揃ってタケコプターを出した。口で言っても止められないと悟ったのかゼロはため息をつきながら四人を見る。
 
「・・・・・仕方ない。但し、俺たちから離れて勝手な行動をするんじゃないぞ?何かあっても責任は取れないからな。」
 
「「「「は~い!わかってま~す!」」」」
 
「ドララ~!」
 
 
 
 
 
 
 
六人は、天井から落ちてくる瓦礫に気をつけながら移動をした。メカニロイドはゼロとマーティが破壊し、ジャイアンたちはとにかく二人の迷惑にならないようにミニドラから受け取ったミニ空気砲をビッグライトで大きくして使っていた。
 
「ミニドラから道具を出させる奴を見たのは初めてだな・・・・・」
 
自分たちが相手の時はエックスのしつけのもあってか何も出さないにもかかわらず彼らに対しては力を貸しているのだ。それだけ彼らとエックスの絆は強いのだと何となく納得できた。
 
壁を昇って部屋に入るとマックたちが拘束していたエックスを転送装置にかけようとしていた。
 
「マック!」
 
「何ッ!?あの瓦礫の中で生きていただと!?」
 
やってきたゼロたちにマックは動揺する。
 
「キー!!二度も牢屋に戻ってたまるか!!」
 
「・・・・死ね!」
 
ギーメルとザインは、一斉にゼロたちに襲い掛かる。
 
「ダブルチャージウェーブ!!」
 
ゼロは、フルチャージショットを二発連続で放つ。ギーメルは吹き飛ばされるもののザインは大剣でどうにか持ちこたえる。
 
「コイツ・・・・・」
 
「アタシがいることを忘れているんじゃない?」
 
「!?」
 
ザインが防御を解くと目の前でマーティが槍を構えていた。しかし、槍の刃先がビームを帯びていた。
 
「な、なんだその槍は・・・・・」
 
「チャージロッド!!」
 
マーティがザインの体に槍を突き刺すと槍は彼の体を貫通して壁の方へと固定して動きを封じる。
 
「がああぁぁぁぁ!!!」
 
「ちっ!どいつもこいつも役立たずばかりだ!!」
 
マックは再び拘束用プラズマブラスターをゼロたちに向けようとする。
 
「そうはさせるか!!」
 
「何ッ!?」
 
ジャイアンは先ほど拾った鉄パイプでマックの顔面を殴りつける。
 
「があああああ!!!目が!目があぁ!?」
 
ダメージで視覚センサーが故障したのかマックはもだえ苦しみ始める。ジャイアンはすかさずパイプでマックの後頭部を叩きつけた。
 
「あ・・・・・・あぁ・・・・・・」
 
マックは、気を失ったのかその場で倒れる。ゼロは、輸送用メカニロイドをサーベルで破壊し、エックスを開放する。エックスは一瞬跪いたもののすぐに立ち上がる。
 
「大丈夫か、エックス?」
 
「あ、ありがとうゼロ。おかげで助かったよ。」
 
「礼ならマーティとあいつらに言うんだな。はっきり言って俺一人だったら脱走していた二人はどうにかなったのかもしれないがマックにやられていたかもしれないからな。」
 
「アイツら?」
 
エックスは、ゼロに後ろにいるジャイアンたちを見て目を丸くする。
 
「じゃ、ジャイアン!?スネ夫!?しずかちゃんまで!?」
 
エックスは信じられない光景に一瞬見間違いなのではと思ってしまう。自分がのび太だった頃と比べて大分変わっているがすぐに三人だとわかった。ジャイアンたちは心配そうな顔でエックスの前に来る。
 
「のび太、大丈夫か?」
 
「!?み、みんな・・・・・どうして俺のことを・・・・・・」
 
「ケイン博士って言う人にあなたのことを聞かせてもらったの。」
 
「いや、驚いたな・・・・・・のび太がロックマンXだなんて。」
 
「みんな・・・・・・・」
 
エックスは思いがけない再会に涙目になりかけていたが先にジャイアンが号泣し始めた。
 
「うおぉ~!!心の友よ~!!会いたかったぜ~!!」
 
「うわぁ!?」
 
ジャイアンに抱きしめられてエックスは苦しそうだった。
 
「全く俺たちよりも先にいなくなっちまうなんて・・・・・・・・・こっちの身にもなれよ・・・・・」
 
「はっ、ははっはは・・・・・相変わらずだな、ジャイアンは。」
 
「でも、のび太とまた会えるなんで思ってもみなかったな。」
 
「スネ夫・・・・・」
 
「姿は違うけどのび太さんに会えるなんて・・・・・本当に夢みたいだわ。」
 
「しずかちゃんまで・・・・・・・」
 
エックスは久しぶりに見た三人を見て嬉しそうだった。そして、マーティの後ろに隠れている玉美に気がつく。
 
「?あの子は?もしかして、しずかちゃんの妹?」
 
「違うわ。あの子は・・・・・・」
 
その直後、エックスに通信が入る。
 
「ん?こちら、エックス。」
 
『エックス隊長~!!助けてください!!もう巨大メカニロイドがハンターベースのすぐ目の前にまで迫っています!!』
 
「なんだって!?分かった!すぐに俺も外に出る。」
 
エックスは通信を切ると三人に向き直る。
 
「みんな、すまない。直ぐに行かなくちゃいけないんだ。話はまた後にしよう。」
 
「何言ってんだ!お前ひとりに任せられるかよ!俺たちも一緒に行くぜ!!」
 
「ジャイアン、でも・・・・・・」
 
「俺たちは親友だ!敵の一人や巨人の二体や三体が来たって逃げたりはしないぜ!なっ、スネ夫?」
 
「えっ!?う・・・・・うん・・・・・・」
 
「・・・・・・確かに今から外に出ても間に合わないな。しずかちゃんはその子と一緒にマーティと来てくれ。二人は俺とゼロと。」
 
「よっしゃあ!大船に乗った気でいてくれよ!!」
 
「・・・・・・全く、ジャイアンったら・・・・・・」
 
「バカというべきか勇敢というべきか・・・・・・お前の仲間は不思議な連中だな。」
 
一同はハンターベースの屋上へと向かって行く。屋上に辿り着くと既に超大型メカニロイド マオー・ザ・ジャイアントがすぐ目の前にまで迫っていた。
 
「あれは・・・・・・ドッペルタウンの平和のシンボルのはずのメカニロイドじゃないか!?」
 
「ドップラーの奴・・・・・・どうやら本気でここを潰す気みたいだな。」
 
「なんだい!あんなでっかいロボット、さっさとやっつけちまおうぜ!」
 
「そんな簡単に言わないでよっ!?僕たちの何十倍あると思っているんだよ!?」
 
一同がそんなことを言っている間にもジャイアントは腕に装着されている鉄球を発射してきた。
 
「みんな、避けるんだ!!」
 
全員急いで回避する。エックスはその間にもバスターを構え、急所を探すべく攻撃し始める。
 
「かなり装甲が分厚いな・・・・」
 
ジャイアントは、そんなエックスたちに構わずハンターベースを攻撃する。ジャイアンとスネ夫は鉄パイプをバットの代わりにしてジャイアントの攻撃でできた瓦礫をバッティングでジャイアントにぶつける。
 
「こんにゃろう!!」
 
「ジャイアン・・・・・・いくら何でもあんな大きいロボットに瓦礫は通じないよ・・・・・」
 
「喋ってる暇があったらさっさと瓦礫を集めろ!のび太を援護するんだ!!」
 
「そんなこと言ったって・・・・・・・」
 
「スネ夫さん、今はできることをやりましょう。」
 
「う、うん。」
 
しずかに言われてスネ夫は渋々作業を再開する。そして、そのうちの一つが頭部の目に入るとジャイアントは一瞬動きが遅くなった。
 
「あれ?アイツ、突然動きが鈍くなったよ?」
 
「そうか!あいつは顔が弱いのか!!」
 
ジャイアン達の声を聴いてエックスは目標を顔に集中させる。ジャイアントは頭部を攻撃されるたびに動きが鈍くなり、攻撃もだんだん遅くなってきた。
 
「よし、これで決められる!」
 
エックスは、ゼロとマーティと並んでバスターをチャージする。
 
「「ダブルチャージショット!!」」
 
「ダブルチャージウェーブ!!」
 
三人の攻撃が命中するとジャイアントの頭部が吹き飛びさらにボディの方も誘爆し崩壊をし始めた。
 
「「「やった~!!」」」
 
「ドララ!」
 
「やった!やった!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース 屋上 朝
 
「はあ・・・・・・・・・どうにか乗り切れたな・・・・・」
 
エックスは、腰を下ろして朝日を眺めていた。直ぐ近くではマーティとゼロが見ている。
 
「おーい!のび太~!」
 
「のび太~!」
 
「のび太さ~ん!」
 
そこへジャイアン達もやってくる。エックスは腰を上げると四人の方を見る。
 
「ジャイアン、みんなありがとう。おかげで何とか本部を守れたよ。」
 
「いいってことよ!親友なんだからよ!」
 
「でも、のび太もカッコよかったな・・・・・ゲームのエックスのまんまだよ。」
 
「のび太さんカッコよかったわ。」
 
「いや~、しずかちゃんに褒められるなんて~。」
 
エックスは昔ののび太のようなしぐさをして照れる。それを面白くないと思ったのかマーティは不満そうな顔でエックスの隣に立つ。
 
「エックス。」
 
「ん?」
 
エックスは、少し不満そうなマーティの顔を見てギョッとする。
 
「ま、マーティ?一体どうしたんだ?」
 
「・・・・・その子に褒められて何照れてんのよ?」
 
「えっ?いや、別にそんな深い意味は・・・・・・」
 
「・・・・ふ~ん。」
 
マーティはしかめっ面をしてその場を後にしよとするが足元でくっついている玉美を見て足を止める。
 
「・・・・・・ところでエックス。この子は誰なの?」
 
マーティは、玉美を抱き上げるとエックスに見せる。
 
「いや、俺もわからないんだ。しずかちゃんの従妹かい?」
 
「もう・・・・・空気が読めないな、のび太は。」
 
「もっと別な解釈はないのか?」
 
「?」
 
スネ夫とジャイアンの反応を見てエックスはキョトンとする。
 
「その子はね・・・・のび太さんの妹なのよ。」
 
「妹・・・・・・・・・・妹!?」
 
「えっ!?」
 
しずかの言葉を聞いてエックスとマーティは驚く。後ろにいたゼロも少し驚いているようだった。しずかはとりあえずいきさつを教える。
 
玉美は、のび太・・・・つまりエックスが亡くなってすぐに生まれた子でのび太の存在自体は両親から聞いていたとのこと。そして、一度も見たことがない兄に会ってみたいと思っていたことを話してくれた。
 
「俺の妹か・・・・・・・・どうもいまいちピンとこないな・・・・・・」
 
エックスは戸惑いながらも玉美を見る。玉美はマーティから放してもらうとエックスのことを興味津々に見ていた。
 
「・・・・・・・えっと・・・・・玉美ちゃん・・・・・でいいかな?」
 
エックスは玉美を見ながら言う。
 
「・・・・・お兄ちゃん。」
 
「ん?」
 
「のび太お兄ちゃんなんだよね?」
 
「・・・・・・まあ、姿はすっかり変わったけど。」
 
エックスは、困った顔をしていたものの玉美は嬉しそうだった。
 
「お兄ちゃん!!」
 
玉美は思い切ってエックスに抱き着いた。エックスは少し驚いたものの嬉しそうに抱き着いてきた玉美を優しく撫でてあげた。
 
「・・・・・・確かによく見てみるとママとパパに似ているような気がするな。」
 
「はっははは。」
 
「ねえ、アタシにも見せてよ。」
 
 
 
 
 
その様子を見ている三人は、少し不思議に思ったことがあった。
 
「・・・・・なあ、スネ夫。」
 
「何?ジャイアン。」
 
「気になっていたんだけどよ・・・・・・マーティさんってのび太とどういう関係なんだ?」
 
「さ、さあ?」
 
「ん?じじいから聞いていなかったのか?あの二人、恋人同士なんだぞ。」
 
「「恋人同士!?」」
 
ゼロの言葉を聞いて唖然とする三人であった。 

 

ドラえもんを救出せよ

 
前書き
X4からカーネル出張。 

 
???
 
「ドラえも~ん!!ドラえも~ん!!」
 
・・・・・誰?僕を呼んでいるのは?でも、どこかで聞いた懐かしい声だ・・・・・・・
 
「ドラえもん!しっかりしてよ!ドラえもん!」
 
僕の目の前に立っている人影。
 
「の、のび太くん?」
 
そんな・・・・・確か僕のせいで死んだはずなのに・・・・・
 
「よかった~僕を残して未来に帰っちゃったと思ってたよ!」
 
「のび太くんを残していけないよ・・・・・」
 
・・・・そうか!今までのは夢なんだ!のび太くんは死んでいなかったんだ!よかった!
 
「さあ、帰ろう。」
 
「帰るって・・・・ここが何処かわからないのに・・・・・・」
 
「大丈夫だよ!さあ、ママたちのところへ帰ろう。」
 
「うん!」
 
僕たちは走って帰ろうとする。
 
でも、なんかおかしい。
 
僕とのび太くんの距離がどんどん離れて行く。
 
「はあ・・・はあ・・・・・・のび太くん、待って!!」
 
僕は必死に呼びかける。
 
でも、のび太くんはどんどん小さくなっていく。
 
「待って・・・・・・のび太くん!!」
 
いやだ・・・・・・・僕を置いて行かないで・・・・・・・・もう一度やり直そう。待って・・・・
 
「のび太く~ん!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
???
 
「・・・・・・・はっ!?」
 
ドラえもんは目を覚ます。そこは何かの研究施設なのかあちこちのコンピュータが休むことなく動いている。
 
「ここは・・・・・・・」
 
「ようやく目が覚めたようだなタヌキ。」
 
「!?」
 
ドラえもんは動こうとするが体が拘束されているのか身動きが取れない。仕方なく首を上げるとそこには自分を襲ったヴァジュリーラとマンダレーラがいた。
 
「君たちは一体何者なんだ!?僕を捕まえてどうしようって言うんだ!?」
 
「お前が知る必要はない。間もなくドップラー博士がお前を調べるのだからな。」
 
「調べる?」
 
ドラえもんがそう言った束の間、一人の老人型レプリロイドが部屋へと入ってくる。
 
「お前たち、研究サンプルを傷つけておらんだろうな?」
 
「はっ、ほぼ無傷の状態で確保いたしました。」
 
「うむ。」
 
老人型はドラえもんを見るなり興味深そうに観察する。
 
「ふむ・・・・・外見上はあのイレギュラーハンターと一緒に居たチビとそっくりだな。だが、報告の情報と比べるといくらか古くなっているようだ。」
 
「貴方は何者なんだ!?」
 
観察する老人型に対してドラえもんは怒鳴る。
 
「んん・・・・思考回路は最新型に比べれば劣っているところがあるがかなり自我が強い。せっかくサンプルになってもらっているのだ。自己紹介だけはしておこう。ワシの名はドップラー。レプリロイドの科学者だ。」
 
「ドップラー?一体何が狙いなんだ!?」
 
「サンプルになる君が知っても仕方ないがまあ教えてあげよう。我々レプリロイドの世界を築くためにあるお方の究極のボディを製作しているのだよ。」
 
「究極のボディ?そんなことをしてタイムパトロールが黙ってはいないぞ!」
 
「タイムパトロール?なんだね、聞き覚えのない単語だが?イレギュラーハンター側の新しい組織かね?」
 
(タイムパトロールを知らない!?じゃあ、ここは僕の生まれた22世紀じゃないのか!?)
 
ドラえもんはこれからどうなるかの恐怖を感じながら考える。そんなドラえもんの反応を他所にドップラーはコンピュータの操作を始める。
 
「君のようなタイプのレプリロイドは極めて珍しい。特にそのポケットに関してはね。」
 
(危なかった・・・・・・・万が一に備えて僕やのび太くんたち以外には使えないように防御シールドを張れるようにしておいて。これで奴はポケットのひみつ道具を使えないはず・・・・・・)
 
「・・・・・だが、残念ながら我々は使用することができないよう特殊なプロテクトが掛けられているようだ。せっかくあのチビの謎も解けるかもしれんというのに・・・・・・・・」
 
「チビ?」
 
「実はかなり前の戦いであのお方が見たという君そっくりの小型のメカニロイドがいてね・・・・・・」
 
ドップラーはパネルに映像を出す。そこにはエックスたちと共にいるミニドラの姿があった。
 
「み、ミニドラ!?どうして・・・・・」
 
「どうやら知っているようだな。このチビも君と同じようにポケットから謎の道具を出していた。それも現代科学では理解できないような不可解な現象をね。」
 
「・・・・・・・」
 
「安心したまえ。直ぐにバラすようなことはせんよ。ただ、君の体の隅々を研究させてもらおうじゃないか。ネジの一本も逃さずにね・・・・・・・クックックッ・・・・ハッハハハハハハ!!」
 
ドップラーは笑いながらドラえもんを見る。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース
 
一方、ドップラー軍の襲撃から一日が過ぎたハンターベース。各地に向かわされていたイレギュラーハンターは本部の復旧作業を行うべく戻ってきていた。
 
そして、イレギュラーハンターに代わって大規模な災害時に素早い対応を行なうべく設立されたレプリロイドのみで構成された軍隊組織「レプリフォース」がドッペルタウン周辺のエリアを警戒していた。
 
復旧作業が行われているハンターベースの周辺でゼロは、白を基調としたボディと顎の赤いパーツが特徴の如何にも軍人と言える見た目のレプリロイドと歩いていた。
 
「すまないな、カーネル。お前たちレプリフォースに頼ることになるとは・・・・・」
 
ゼロは申し訳なさそうに一緒に歩いているカーネルに言う。
 
「気にするな。この状況が芳しくないという事はジェネラル将軍も理解しておられる。だからこそ、我々レプリフォースが周囲の警戒に当たっているんだ。それにお前たちの被害の方もかなりひどいのも事実だからな。」
 
「あぁ・・・・・・幸いドップラー軍はあの襲撃の後、占拠したエリアの防衛に就いたこともあって被害は広がっていないがあのドップラーのことだ。おそらく、また次の手を考えているだろう。」
 
「我々の部隊も襲撃後にドッペルタウンに乗り込んだがドップラー博士の姿はどこにもなかった。その後も街全体を隈無く捜査したが結局わからずじまいだ。」
 
「ふん・・・・・・・」
 
二人は腕を組みながら歩いて行く。するとカーネルの方が何か思い出したかのような顔をする。
 
「・・・・そう言えばゼロ。」
 
「ん?」
 
「少し前に話したレプリフォースとイレギュラーハンターの研修生の交換の話なんだがレプリフォースから私の妹が行きそうなんだ。」
 
「妹?」
 
ゼロはふと朝見たエックスのことを思い出した。
 
「あぁ、アイリスと言ってオペレーターの見習いでしっかり者なんだが私と比べて少し内気的なところがあってな。もし、お前の部隊に来たときは面倒を見てやってほしい。」
 
「おいおい・・・・いくらお前と俺の仲とはいえ、妹を俺に押し付けるなんてお前としては問題じゃないのか?」
 
「フッ、もしもの話だ。それより、ゼロ。久しぶりに手合わせでもやらないか?何しろお前とやるのはお前がレプリフォース設立時に模擬戦をやって以来だからな。」
 
「・・・・・そうだな、幸い訓練所は壊されていない。少しばかりやるか。」
 
二人は、手合わせをしに訓練所の方へと向かって行く。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース 第17精鋭部隊隊長室
 
「それじゃ・・・・・・ドラえもんはドップラー軍に捕まったという事か。」
 
エックスは部屋のソファーに座ってジャイアンたちの経緯について聞いていた。ハンターベース内はほとんどのハンターが復旧作業に向かっているためこの話を聞いているのはマーティを含めても二人だけだった。
 
「ごめんなさいのび太さん。私を庇わなければ・・・・・・」
 
「いや、それはドラえもんの判断だからしずかちゃんのせいじゃないよ。」
 
「でも・・・・」
 
「ピリカ星のパピのことを覚えているかい?あの時も彼はドラえもん同様に自分の意思で君を助けたんだ。何も君のせいじゃないよ。」
 
「のび太さん・・・・・・・」
 
エックスはソファーから立ち上がると窓の外を眺めながら腕を組む。
 
「しかし、問題はドラえもんをどうやって助けるかだ。」
 
「そんなの簡単だ!そのドンブリって言う博士のいる場所を突き止めて乗り込んで助ければいいんだ!」
 
「ジャイアン・・・・・だから、ドップラーだって。」
 
「そんな簡単に言ってくれるけど行動するのは簡単じゃないわよ。」
 
マーティは、端末を操作してドッペルタウンなどを含めるイレギュラーが占拠したエリアを映す。
 
「レプリフォースがドッペルタウンに乗り込んで行ったそうだけど首謀者のドップラー博士は発見ならず。さらに電力管理センター、巨大ダム、空軍基地、ジャングル、それにドッペルタウン周辺にあった都市にも被害が出ているわ。海の方もイレギュラーに造船所が乗っ取られたって言うし、この中でドップラー博士を見つけ出すのは容易じゃないわ。」
 
「そ・・・・そんなにいるのかよ。」
 
「そりゃあ、ロックマンのボスキャラは8体いるんだから多いに決まってるでしょ。」
 
「今一番情報が入手しやすいのは多分兵器工場かしら?あそこはドップラー軍が使用している兵器が生産されて輸送されているって諜報員が報告していたし。」
 
「「「「う~ん・・・・・・・」」」」
 
「ドラえもん・・・・・・」
 
玉美は哀しそうな顔をして落ち込む。そんな玉美に対してエックスは、頭を撫でて励ます。
 
「心配するな玉美。ドラえもんは必ず俺が助け出すから。」
 
「お兄ちゃん・・・・・」
 
「ドラえもんは、お前にとっても俺にとっても親友であり、家族でもあるんだ。きっと助け出してみせる。」
 
「・・・・・・うん。」
 
「のび太・・・・・ドラえもんを助け出す算段はあるのか?」
 
ジャイアンはまじめな顔で聞く。
 
「ドップラー博士の潜伏先がわからない以上ドラえもんは助けられない・・・・・・でも、今占拠しているエリアのイレギュラーを倒していけば向こうから何か情報が得られるのかもしれない。確証とは言えないけど・・・・・・」
 
「要は、今目の前にある問題を解決するしかないって言う事か・・・・・」
 
「でも、これ以外の方法はない。なんとしてもドップラー博士を逮捕してドラえもんを助けないと。」
 
「俺たちも出来ることならなんでも協力するぜ、のび太!」
 
「ジャイアン・・・・・」
 
「僕も怖いけど・・・・・・ドラえもんを見捨てる訳にはいかないよ。かけがえのない友達だし。」
 
「スネ夫。」
 
「みんなで力を合わせればきっとドラちゃんを助けられるはずよ。」
 
「しずかちゃん・・・・・・・」
 
四人のやり取りを見てマーティは置いて行かれているようで複雑な心境になっていた。
 
「ねえ・・・・・なんかアタシのこと無視してない?」
 
「えっ?いや、そんなつもりは・・・・・」
 
「ふ~ん~。」
 
マーティは、不満そうな顔をしながらも返事をする。
 
「さて、行くのはいいけどこれからしばらく四人の仮住まいが必要だな。ケイン博士の家も空爆で吹き飛んじゃったし・・・・・ハンターベースの空いている部屋を利用すればいいけど・・・・・」
 
「玉美はお兄ちゃんと一緒に居る!」
 
「俺とスネ夫は個室でいいぜ。」
 
「うん、僕もジャイアンの意見に賛成。」
 
「じゃあ、しずかちゃんは一人部屋にするか・・・・・・・でも、この間の事件もあるし一人にしておくのもな・・・・・・・・」
 
エックスたちが考え事をしているとビートブードが報告書を持って部屋に入ってきた。
 
「エックス隊長、今回の本部の被害の報告をまとめてきました。」
 
「あぁ、ありがとう。ビートブード、すまないけど彼らに部屋を手配してくれないか?」
 
「えっ?はあ・・・・・しかし、今回の被害で空いている部屋は二つしかありませんよ。」
 
「二つか・・・・・・悪いけどジャイアンとスネ夫はペアで使ってくれないか?」
 
「「え~!?」」
 
「いや、しずかちゃんを一緒の部屋にする訳には行かないし・・・・・・・・」
 
「なら、アタシの部屋を使ってもいいわ。」
 
「えっ?」
 
マーティの言葉にエックスは思わず驚く。昨日の自分の反応を見てしずかに対して嫉妬しているかもしれないと思っていたのだが。
 
「ただし、床に布団敷いて寝てもらうから。それでいいわね?」
 
「は、はい。」
 
「え・・・・・・よ、よかったな2人とも個室にできて。」
 
エックスはマーティが何かしないか不安だったが部屋がない以上しずかの無事を祈ることぐらいしかできなかった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その日の夜
 
「しずかちゃん大丈夫かな・・・・・・・」
 
エックスは隣で眠っている玉美を見ながら何となく言う。マーティは、決して意地悪をしない性格なのはわかっているが自分のあの態度を見ていまいち面白くない様子だった。もしかしたら、何か報復に出るのかもしれない。
 
「早いうちに部屋を手配できるようにしておかなくちゃな・・・・・」
 
エックスはそう言いながらスリープモードへと切り替えて眠りにつく。
 
この日の夜は久しぶりにドラえもんとの思い出に浸りながらぐっすり眠った。
 
 
一方でしずかとマーティは・・・・・
 
「ねえ・・・・・・・アンタってさ。エックスが人間だった頃よく一緒に居たのよね?」
 
「えぇ・・・・・・時々入浴中に入ってきたりとエッチなことしてましたけど・・・・・」
 
「やっぱり、人間だった時からそういう一面はあるものなのね。」
 
風呂に入りながら楽しそうに会話をしていた。 

 

フローズン・バッファリオ

ハンターベース 司令部
 
翌朝、ドップラー軍に占拠されたエリアを開放するべくエックスたちイレギュラーハンターは司令部に集まっていた。
 
「現在、ドップラー軍によって占拠されているのはこの八つのエリアです。」
 
女性オペレーターはマップを表示させて言う。
 
「この中で現段階で確認されているイレギュラーは、ジャングルエリアをシャイニング・タイガード。電力管理センターをエレキテル・ナマズロス。ドッペルタウンの近辺の都市をフローズン・バッファリオが占拠し、近辺の住民に被害を与えています。他にもドップラー軍の兵器生産工場で元イレギュラーハンター エクスプローズ・ホーネックらしき姿も確認されました。」
 
「何!?ホーネックだと!?」
 
オペレーターの言葉にゼロは思わず驚く。
 
「やっぱり、マック同様にイレギュラー化されていたのか・・・・」
 
「俺、行かなくてよかった・・・・・・」
 
「現在、最も被害が甚大になっているのはバッファリオの占拠しているエリアです。」
 
「よし、俺が行こう。」
 
エックスは自分から名乗り出る。
 
「エックス、いいのか?せっかく昔の仲間との時間を・・・・・」
 
「あぁ、一刻も早くドラえもんに関する情報が欲しいから。」
 
「・・・・・それなら、俺は兵器工場の方へ行く。もしホーネックの奴だったら連れ戻さなきゃいけないからな。」
 
「なら、ジャイアンたちをそっちに同行させてくれないか?」
 
「ん?また、どうしてだ?」
 
エックスの発言にゼロは聞く。
 
「兵器工場なら何かしら研究とかに関する情報が見つかりやすいかもしれない。ゼロがホーネックを探す一方でスネ夫たちに情報収集してもらう。これなら効率がいいだろ?」
 
「確かにな・・・・・・だが、イレギュラーに襲われたときはどうするつもりなんだ?俺がその場にいなかったら何もできないぞ?」
 
「心配ないよ。しずかちゃんに四次元ポケットを預けておくから。彼女なら管理もいいからうまく使いこなせるよ。」
 
「・・・・・・わかった。お前の方も気をつけてやれよ。」
 
「あぁ。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース 第17精鋭部隊隊長室
 
「・・・・・と言うわけでジャイアンたちはゼロと一緒に行ってくれ。」
 
エックスは四人の前で言う。
 
「のび太は一人で大丈夫なのかよ?」
 
「そのことに関してなんだけどマーティが何故か一緒に行くってしつこく言うから同行させることにしたよ。本当は本部をあまり手薄にしたくないから残ってもらおうと思ったけど・・・・・・」
 
「でも、大丈夫かな?」
 
スネ夫は心配そうに言う。
 
「スネ夫、心配しなくてもいいよ。イレギュラーは大方ゼロが破壊してくれるから。君たちは工場のデータバンクにドップラー軍に関する情報があったらこの端末にコピーして持って帰ってきてくれたらいい。危ない時に備えて俺の持っているポケットをしずかちゃんに預けるよ。」
 
エックスは机から四次元ポケットを取り出し、しずかに預ける。
 
「のび太さん、このポケット一体どうしたの?」
 
「最初のシグマの反乱の時に夢かもしれないけどドラえもんから受け取ったんだよ。」
 
「「ドラえもんから?」」
 
「まあ・・・・・ひょっとしたらどこかに隠してあったのをたまたま見つけたのかもしれないけど。これを使えば大抵の問題は何とか対処できるよ。」
 
エックスは玉美の方を見る。
 
「玉美にはもしもの時に備えてミニドラをつけとくよ。ミニドラ、玉美のことを頼んだぞ。」
 
「ドラララ!」
 
「俺とマーティは一足早く一番被害が甚大になっているエリアに向かう。みんなもゼロの準備が完了し次第出発してくれ。」
 
「おう!のび太、気をつけるんだぞ。」
 
「ジャイアン達も。」
 
「エックス、準備ができたわよ。」
 
「あぁ。出撃する!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ドッペルタウン近辺エリア シティ・シャーベット
 
ここは、ドッペルタウンからそれほど遠くない観光地として名高い「シティ・シャーベット」。
 
その名の通り夏は涼しく、冬はスキーやスケートなどウィンタースポーツを楽しむことができる場所である。
 
しかし、この都市はかつてこの街で働いていたフローズン・バッファリオの手により、氷が覆う死の世界へと変わり果てていた。
 
その街へとエックスはマーティと一緒に乗り込んでいた。
 
「ひどい有様ね・・・・・・」
 
マーティは白い息を吐きながら言う。
 
「来たことがあるのか?」
 
「レスキュー部隊に所属していた時、同僚と一緒にね。避暑地としてよかったっていう印象はあったけど・・・・・」
 
「うん・・・・・」
 
「それに・・・・・直接じゃなかったけどバッファリオを一度見たことがあるのよ。真面目でいい奴だったのは覚えているわ。」
 
「そうなのか。」
 
エックスたちは、落ちてくる氷塊を避けながら進んで行く。近くに何かの転送装置のようなものがあったが機能を停止しているようで動かなかった。
 
「マーティ、今回は大丈夫なのか?」
 
「えっ?何が?」
 
聞いてきたエックスにマーティは不思議そうな顔をする。
 
「だって、以前のカウンターハンターの基地に乗り込んだ時は氷漬けになりかけていただろう?」
 
「なっ!?・・・・・・そ、それは問題ないわよ!じいさんに頼んで耐寒性持たせてくれたから!!」
 
「そ、そうか。」
 
二人はそう言いながら街の中を歩いて行く。
 
凍り付いた床は滑りやすくなっていたものの、ダッシュする際には勢いがつくので気をつけて行けば移動がスムーズなものだった。
 
ダッシュでビルの壁に飛びつくとエックスはすぐ上から声が聞こえた。
 
『エックス・・・・エックス・・・・』
 
「!?この声は・・・・・」
 
エックスは、マーティを引っ張りながら壁をよじ登る。そして、建物の奥へと進むとカプセルがあった。二人がカプセルの前に立つとライトが姿を現した。
 
「ライト博士!」
 
『エックス、どうやらまた戦いが始まってしまったようじゃな。』
 
「はい。」
 
『前回のハッキング事件の時は突貫工事でアップデートしたアーマーしか渡せなかったが今回はヴァージョンアップした新しいアーマーを授けよう。』
 
「ありがとうございます。」
 
『このカプセルには前回から更に性能を高めたフットパーツを預けよう。このフットパーツは前回のエアダッシュを頭上にも移動できるようになった「ヴァリアブルエアダッシュ」が使用できるようになっておる。』
 
「上にもですか?」
 
『うむ、敵から逃れられないときはこれによって緊急回避することも可能じゃ。それとマーティ・・・・』
 
「えっ?アタシ?」
 
ライトに言われてキョトンとするマーティ。
 
『君にもサポートメカを与えようと思う。まだ完全ではないがエックス同様にすべてのカプセルを見つければ完成するはずじゃ。』
 
「サポートメカ?」
 
カプセルからライトの姿が消えるとカプセルから何かが出てきた。一見するとわかりづらいが狼や犬に見えないこともない。
 
『ワン、ワン!』
 
犬型メカニロイド?は、吠えながらマーティの方へと歩いてきた。
 
「何?このメカニロイド?」
 
『それは、“ラッシュヤークト”。わしがかつて作ったラッシュの後継機で君をサポートするために作ったんじゃ。生憎まだすべての機能が使える訳ではないが君のサポートをしてくれるはずだ。』
 
『ハッ、ハッ、ハッ、ハッ。』
 
ラッシュと呼ばれたメカニロイドは尻尾を振りながらマーティの前に座る。その間にエックスはカプセルに入ってフットパーツを装着した。
 
「では、博士。俺たちは急いでいるんで。」
 
『今回のアーマーは前回の物に比べれば強力じゃがそれに反して癖が強くなってしまっておる。気をつけて使うんじゃぞ。』
 
「はい!」
 
『ラッシュ、2人を頼んだぞ。』
 
『ワン、ワン!』
 
ラッシュは、嬉しそうに二人の周りを走る。
 
「・・・・・・もう、邪魔なんかしたら捨てちゃうんだからね。」
 
『クゥウン・・・・・・』
 
「冗談よ、冗談。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
シティ・シャーベット 最深部
 
二人はラッシュを連れて最深部へと乗り込んだ。部屋の奥には氷の世界へと作り替えた張本人 フローズン・バッファリオが待ち構えていた。
 
「マタ・・・・・・エモノ・・・・・・・コレクション・・・・・来タ。」
 
その目は正気ではなく明らかに操られているようにも見えた。
 
「バッファリオ、もうこれ以上こんなことをするのはやめるんだ!」
 
エックスはバスターを構えながらバッファリオに言う。しかし、当のバッファリオは聞く耳を持たない。
 
「オ前タチデコレクションハ100体目。マタ、数ガ増エル・・・・・・・・」
 
「・・・・あれってもう、まともな目じゃないわよね?」
 
「仕方ない。できれば動けないようにして捕まえよう。そして、ケイン博士に診てもらうんだ。」
 
「了解。」
 
『ウ~!!ワン、ワン!!』
 
「オ前タチモコレクションニ加エテヤル!!」
 
バッファリオは、氷の塊を二人に向かって投げてくる。二人は攻撃を避けるが氷の塊は地面に着弾すると氷柱が発生し、逃げ場を減らしていく。
 
「くっ!」
 
エックスはバスターでバッファリオを攻撃する。しかし、巨体ゆえにバッファリオは怯む様子を見せない。
 
「フン!」
 
「うわぁぁあ!?」
 
バッファリオのタックルでエックスは後方へと吹き飛ばされていく。
 
「エックス!アンタよくも!!」
 
マーティは槍を展開してバッファリオの動力パイプの一つを切り裂く。切られたパイプからは冷凍ガスが流出し、バッファリオは顔色を変える。
 
「女ガ!!」
 
バッファリオは、彼女を捕まえるとエックス同様に壁に向かって投げ飛ばす。
 
「グッ!?」
 
壁に叩きつけられた衝撃で怯むマーティだったがバッファリオは更に冷凍光線を放つ。
 
「マーティ!!」
 
エックスは急いで彼女の前に立って庇う。
 
「エックス!?」
 
マーティも急いで動こうとするが冷凍光線自体でのダメージはなかったものの身動きが取れなくなってしまう。
 
「う・・・・・動けない。」
 
「ど・・・・どうして・・・・・」
 
「オマエタチハバラバラニシタ後、氷漬ケニシテヤル。」
 
バッファリオは身動きが取れなくなった二人に向かって突進して来る。
 
「く、くそ!!う、動いてくれ!!」
 
エックスは必死にバスターを構えようとするが身動きがとれない。抵抗している間にもバッファリオはどんどん迫ってくる。
 
「・・・・・マーティ、ごめん。これなら無理にでも置いて行くんだった・・・・・・」
 
「・・・・・・いいのよ、無理して付いてきたのはアタシなんだし。でもな・・・・・・・」
 
迫ってくるバッファリオを見ながらマーティはそっと口にした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「死ぬ前にもう一度デートしたかったな・・・・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『ワオォォオオオン!!』
 
その矢先、ラッシュが吠えながら脚部を変形させてブースターへと切り替えて二人の目の前にまで飛んでくる。
 
「ラッシュ?」
 
ラッシュは胴体に備え付けられていたアンカーを二人に飛ばして付着させるとそのまま飛んで二人を運んだ。
 
「ナニッ!?」
 
目標を外したバッファリオはそのまま壁へと激突する。ラッシュは安全地帯まで運ぶとアンカーを外して二人を降ろす。
 
「危なかった・・・・」
 
『ワン、ワン!』
 
ラッシュは、尻尾を振りながら二人の前に座る。
 
「ラッシュ・・・・・」
 
『クゥン、クゥン。』
 
マーティはラッシュを優しく撫でる。
 
「ごめんなさいね。あたし、アンタのこと本当に役に立つのかってバカにしてたわ。おかげで助かったけど・・・・」
 
『ワン、ワン!』
 
「・・・・フッフフ。これからはアンタもうちの部隊の一員だからね!」
 
『ワオォン!』
 
ラッシュは嬉しそうに吠える。
 
「ブ、ブモォ・・・・・・・・カ、壁ニメリ込ンデ動ケナイ・・・・・・・」
 
一方のバッファリオは壁にめり込んでしまって動けなくなっていた。エックスはバッファリオの方へ近寄ると密かに機能を停止させた。
 
「ブ・・・・・・モ・・・・・・」
 
「これでもう動けないはずだ。後はケイン博士のところへ持ってって原因を見てもらおう。」
 
エックスは、マーティたちの方へと向き直る。
 
「ありがとうな、ラッシュ。おかげで助かったよ。」
 
『ワォン?』
 
「これからもっと大変なことがあるかもしれないけどお互い頑張ろうな。」
 
エックスはラッシュの頭を撫でる中、ラッシュはじっとエックスを見ていた。
 
『・・・・・・・・』
 
(よくやったね、ラッシュ。これからも一緒に頑張ろうね!)
 
『ワン!ワオォオオオオオン~!!!』
 
何かの面影を感じたのかラッシュは勢いよく吠えた。 

 

エクスプローズ・ホーネック

兵器開発工場
 
エックスたちがバッファリオと交戦している頃、ジャイアンたちはゼロと共に兵器開発工場へと乗り込んでいた。
 
「ふわぁ・・・・・・昔、恐竜ハンターの基地や鉄人兵団の臨時基地に入ったことはあるけどこの工場はそれ以上だね。」
 
「気を抜くな。俺たちはここでは侵入者なんだ。防衛用のメカニロイドがあちこちでちらほら動き始めている。」
 
ゼロはセンサーで辺りを確認しながら移動する。その後をスネ夫たち四人がミニドラを連れてついてくる。
 
「なあ、スネ夫。この工場の兵器を一つかっぱらって俺たちのものにするって言う方法はねえもんかな?」
 
「あのねジャイアン・・・・・僕たちは飽くまでドラえもんの情報とかがないかどうかを調べに来たんだよ!敵の兵器を奪ったところでドラえもんの居場所を知る手掛かりにはならないよ。」
 
「で、でもよ・・・・・」
 
「武さんの言う事にもわからないでもないわ。ドラちゃんが捕まった時もドラちゃんのひみつ道具が通用しなかったんだから。・・・・・でも、のび太さんは無理をしないようにって言ったんだから無茶なことはよしましょう。」
 
「う、うん・・・・・・・そうだな。」
 
しずかにも言われてジャイアンは少し不満そうな顔をしながら移動を再開する。ゼロは、先陣を切ってゼロバスターとビームサーベルでメカニロイドを破壊していく。
 
「ホーネックの奴・・・・・戻ってきたら今溜まっている書類全部押し付けてやるからな。」
 
最初のメカニロイド製造工場を抜けるとゼロは周囲の安全を確認しながら歩いて行く。
 
「・・・・・・センサーで確認してみたがこの辺のイレギュラーは一通り片づいたようだ。」
 
「じゃあ、ここから別れるんですか?」
 
「そうだな、俺はもう少し奥へ行ってみる。お前たちは自分の身の安全を確保しながらデータ収集に当たってくれ。終わり次第、その簡易転送装置でハンターベースに戻るんだ。」
 
「おいおい、一人で行くつもりかよ?」
 
「お前たちはエックスのかけがえのない仲間だ。お前たちに万が一のことがあればエックスに合わせる顔がないからな。」
 
ゼロはそう言うとダッシュで奥へと去ってしまった。
 
「なんだよ・・・・・・のび太の親友なら俺たちの仲間で変わりねえだろ。」
 
ジャイアンは、納得いかない顔で言う。
 
「でも、僕たちは人間だよ。のび太みたいな無茶はできないよ。」
 
「そうね、あまり心配かけさせるわけにもいかないから私たちは、自分の仕事を最優先しましょう。」
 
四人は、一つの格納庫へと入る。
 
「暗いね。」
 
玉美はミニドラを抱えながら中を覗く。
 
「あっ!みんな、ここに梯子があるよ。」
 
少し奥へ進むとスネ夫が地下へと続く梯子を発見した。四人は慎重に梯子を下りて奥へと進んで行く。すると停止しているメカニロイドが何かを吊り下げているところへ出くわす。
 
「おっ!あれって・・・・・」
 
「頭がないロボットだぁ~。」
 
「ドラララ!」
 
「ライドアーマーだ。」
 
スネ夫は、懐中電灯で見ながら確認する。
 
「ここにコンピューターがあるわ。」
 
しずかはライドアーマーのロックをかけていると思われるコンピューターを操作してみる。いろいろ専門用語などはあったが大抵のものは何とか読めた。
 
「何かわかったしずかちゃん。」
 
「えっと・・・・・このロボットは、DRA-00 キメラって呼ぶらしいわ。」
 
「えっ?普通のライドアーマーじゃねえのか。」
 
「待って・・・・・・このロボットはどうやら換装機能があるみたいで空中飛行・水中移動もできる設計になっているそうよ。これは試作機らしいわ。」
 
「へえ・・・・・僕たちは意外なものを発見したってわけか。オプションの装備はこの工場にあるのかい?」
 
スネ夫に聞かれてしずかはパネルを操作してみる。
 
「・・・・・・この工場には本体の試作機が数機生産されてあるだけみたい。パーツは他の場所で生産するって書いてあるわ。」
 
「う~ん・・・・・じゃあ、今度はこの工場の兵器がどこへ流されているのかを調べよう。」
 
スネ夫がしずかと相談している最中、玉美はじっとライドアーマー キメラをじっと見ていた。
 
「ん?どうしたんだい、玉美ちゃん。」
 
ジャイアンは玉美に聞いてみる。
 
「あのロボットって、人が乗るの?」
 
「えっ・・・・・・ま、まあ・・・・・・乗れるんじゃないかな?一応、ゲームでも乗れてたし。・・・・・まさか、乗りたいの?」
 
「うん!」
 
「ドラララ!」
 
玉美とミニドラの返事にジャイアンは呆気にとられる。まあ、ドラえもんの傍で生活していてひみつ道具に触れる機会が多いのだからやってみたいという好奇心があるのは仕方ないが。
 
「う・・・・・ん・・・・・」
 
ジャイアンは腕を組みながら考える。
 
「ジャイアン、そろそろ次の場所へ行くよ。」
 
「・・・・・2人はちょっと先に行っててくれ。」
 
「えっ?どうしたの。」
 
「・・・・・・・玉美ちゃんがトイレに行きたいそうだからちょっと連れてってからそっちに行く。」
 
「それなら私が・・・・・・」
 
「しずかちゃんはスネ夫と一緒に情報収集を続けてくれ。俺だとこういうのはチンプンカンプンだからな。」
 
「わ、わかったよ。」
 
そう言うと二人は先に奥の方へと進んで行った。それを確認するとジャイアンはこっそりキメラのロックを解除してメカニロイドから切り離した。
 
「わあ・・・・・・大きいね。」
 
ジャイアンは玉美とミニドラをコックピットに乗せると自分もキメラに乗り込んで操縦桿を握る。
 
「えっと・・・・・・・トラックの免許は取り合えずとっていたけど、意外にボタンとか少ないんだな。これが起動スイッチかな?」
 
ジャイアンがボタンを押すとキメラがゆっくりと立ち上がる。
 
「動いた動いた!!」
 
「ドラララ~!!」
 
キメラはゆっくり歩きながら二人の後を追っていく。
 
「走らせるには・・・・・・・・このボタンかな?」
 
次のボタンを押すとキメラは思いっきりジャンプした。
 
「わあぁぁ!?」
 
急に飛び上がったキメラにジャイアン達は驚く。
 
「や、やべぇ!早く止めねえと!」
 
ジャイアンは別のボタンを押すが今度はダッシュ移動をし始める。
 
「わ、わ、わぁ!?」
 
「わぁ~!」
 
「ドララ!?」
 
キメラが着地した瞬間、下に設置されていた移動式の床が起動して三人は地上に上げられてしまう。
 
「ど、どこへ行くんだよ~!?」
 
地上に到着した時は、地上ではイレギュラーたちが輸送機に資材を積んでいたところだった。
 
「な、なんだお前たちは!?」
 
「あっ、やべぇことになった!」
 
イレギュラーたちは一斉にキメラに向かって攻撃を開始する。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
兵器開発工場 最深部
 
ゼロは工場の最深部へと到着していた。
 
「・・・・・ここだな。」
 
ゼロはゼロバスターで扉を破壊して中に乗り込む。その部屋の奥の席で誰かが椅子に腰を掛けてモニターを眺めていた。
 
「・・・・・・・・・・随分早いご到着のようですね。ゼロ隊長。」
 
椅子がゼロの方へ向くとそこにはホーネックが座っていた。
 
「・・・・・ホーネック、一体どうしたというんだ?ドップラー軍になど入って・・・・・」
 
「・・・・・・私はね・・・・己の能力を認めてもらうための世界にしたいと考えているのですよ。」
 
ホーネックは椅子から立ち上がり、ゼロと対峙する。
 
「己の能力を認めてもらうため?」
 
「・・・・・・今のイレギュラーハンターの組織を見て思わないのですか?」
 
「どういう事だ?」
 
「レプリロイドはそれぞれ与えられた能力がある。その能力を活かすことによって世界をより良い方向へ導くが本来の役割です。それなのにもかかわらず・・・・・・」
 
ホーネックは頭を押さえて言う。
 
「我々の組織の実態を見てどう思います?書類もまともに整理できない上司、元B級ハンターが中心に再編された17部隊。」
 
「・・・・俺とエックスのことか。」
 
「それだけではありません。その元B級の副官が階級すらなかったレスキューマーメイドタイプの女性型、さらに部下たちは元イレギュラーとそのイレギュラーの弟・・・・・・これで精鋭と言えますか?」
 
「マンドリラーとビートブードのことを言わなくたっていいだろ。あいつ等もアイツらで反省している。」
 
「それが甘いのですよ。このような能力をまともに活かせない輩が増えれば世界は更に混沌としたものへとなってしまいます。それをドップラー博士が正そうとしているのです。」
 
「それは間違いだ!今お前たちがやっているのは破壊だ!」
 
「今はそうです。しかし、歴史の中で世界を正しい方向へ導くためには時に破壊・暴力が必要な時もあるのです。我々はその力となるのです。」
 
「・・・・・・どうしても、戻ってきてはくれないんだな。」
 
「知れたことを。貴方のような自分の仕事を人にやらせる輩のところにいたら私の才能が押し潰されてしまいます。」
 
ホーネックはボタンを押すと肩にミサイルポッドやバズーカ砲を装備する。
 
「・・・・・すまないな、だったらここでお前をイレギュラー認定する。」
 
「結構!ならば私はここで鬱憤を晴らさせていただきます!!」
 
ホーネックは、ミサイルとバズーカ砲を同時にゼロに向かって発射する。ゼロは、バスターで牽制しながらミサイルを回避しようとする。しかし、ミサイルは方向反転してゼロに向かってくる。
 
「くっ!追尾式か!」
 
ゼロは、バスターでミサイルを撃ち落としていくが間に合わず何弾か命中する。
 
「グッ!?」
 
「ハッハハハハハハ!どうです?私が貴方用に作ったミサイルのお味は?」
 
ホーネックは針を展開してゼロに飛び掛かる。ゼロは何とか右腕を構えて地面に打ち込む。
 
「アースクラッシュ!!」
 
「ぬっ!?」
 
ホーネックは地面から振動で飛ばされる瓦礫を回避する。ゼロはその隙を狙ってビームサーベルでホーネックのバズーカ砲を切断する。
 
「これしき!パラスティックボム !!」
 
ホーネックは無数の小型のハチ型爆弾を発射する。爆弾はゼロを包囲してその距離を詰めては爆発して行った。
 
「ぐぅう・・・・・・・・」
 
ゼロは防御態勢をとって何とか凌ぐもののエックスのようなアーマーもないため徐々に追い詰められていく。
 
「わかりますか?この苦しみが!!今の今まで貴方が放置した書類を処理させられて動力炉をキリキリ痛めていた私の痛みが!!満足にエネルギー補給すらままならなかったこの私の苦しみが!!」
 
「ぐわあぁぁああ・・・・・・・・・」
 
「死ね死ね死ね死ね!!私に呪われて地獄に落ちろ!!」
 
ホーネックは本音を吐き散らしながらゼロを追い詰める。ゼロは近づくことすらままならず膝をついた。
 
「くうぅ・・・・・・・・・」
 
「フッフフフフ・・・・・どうですか?エックス隊長のような強化アーマーを身に着けていないあなたにはさぞお辛い事でしょうね・・・・・・」
 
ホーネックは満足したかのようにまた針を展開してゼロの真上に飛ぶ。
 
「・・・・・・ホーネック・・・・・」
 
「今度は貴方が地獄でキリキリ苦しみなさい!!!」
 
ホーネックは勢いをつけてゼロに向かって行く。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「母ちゃ~~~~ん!!!」
 
「ん?」
 
外から聞こえる叫び声にホーネックは、動きを止める。
 
「なんだ?今の叫び声は?」
 
「あの声・・・・・まさか!?」
 
「スネ夫~~~!!ジャイ子と母ちゃんのことを頼んだぞ!!!」
 
壁を突き破って二人の目の前にキメラに乗ったジャイアンたちが現れた。キメラはイレギュラーたちの攻撃で装甲が傷ついていたが操縦桿が外れていて暴走状態だった。ちなみに玉美とミニドラは気絶している。
 
「ライドアーマー キメラ!?なぜ人間が!?」
 
「誰か止めてくれ~!!」
 
泣き叫ぶジャイアンの乗ったキメラは見境なく部屋を破壊しながら迫ってくる。
 
「まっ、待て!?そ、そこは・・・・・ブボッ!?」
 
何かを言おうとしたホーネックは、キメラの拳に殴られて壁に激突する。
 
「おい、早くそいつを止めろ!」
 
「止められないんだよ~!!」
 
「くっ!」
 
ゼロは無理やり体を動かして自分が斬りおとしたホーネックのバズーカ砲を取るとキメラの両足に撃ち込む。脚部を失ったキメラは腕を振るい続けていたがビームサーベルで斬りおとして完全に無力化した。
 
「た、助かった・・・・・・・」
 
ジャイアンはホッとしてコックピットから出てくる。ゼロは不機嫌そうな顔でジャイアンの前で腕を組んで立っていた。
 
「・・・・・・危険なことはするなと言ったはずだぞ?」
 
「悪かったよ。俺も本当はこんなことするつもりじゃなかったんだ。」
 
謝るジャイアンの前に目を覚ました玉美が駆けつけてくる。
 
「玉美が悪いんだよ。玉美がお兄ちゃんに乗ってみたいってわがまま言ったから・・・・・・・・」
 
半泣きで謝る玉美を見て流石に気まずいと思ったのかゼロは彼女の頭を撫でる。
 
「今回は、無事だったから大目に見てやる。だが、今度こんなことしたらお兄ちゃんに言って怒ってもらうからな。」
 
「うん。」
 
その直後工場全体の警報が鳴り始めた。
 
「なんだ?」
 
『機密保持のため自爆装置が作動しました!施設にいるスタッフは急いで脱出してください!繰り返します、本工場は・・・・・・・』
 
「じ、自爆!?」
 
ジャイアンは顔を真っ青にする。
 
「まずい!早くほかの二人を見つけて脱出するぞ!」
 
ゼロは倒れているホーネックを慌てて担ぐと、三人を連れて動き出した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
工場外
 
工場の外に出ると同時に、工場は爆発しながら崩壊していった。
 
しばらく歩いて行くとスネ夫としずかが工場から奪ったものと思われるキメラの傍で待っていた。
 
「ジャイアン!」
 
「おぉ!スネ夫!無事だったか!」
 
ジャイアンは玉美を背負ったままスネ夫の方へと駆けて行く。
 
「ジャイアンたちの悲鳴が聞こえてきたから急いで戻ろうとしたんだけど敵に見つかっちゃって。運よくライドアーマーを奪えたからここまで逃げられたんだけど・・・・・・・」
 
「でも、みんな無事でよかったわ。」
 
「すまねえな、2人とも。俺の勝手な行動で・・・・・・・すまない!」
 
ジャイアンは二人の前で土下座をして謝罪する。
 
「やめなよ、ジャイアン。別に怒ってるわけじゃないんだから。」
 
「スネ夫・・・・・」
 
「それに武さんのおかげでゼロさんも軽いけがで済んだんだから、ねっ?」
 
「しずかちゃん・・・・・うおぉぉぉお!!!心の友よ~!!」
 
2人の温かい態度にジャイアンは号泣する。
 
「・・・・・・フッ、大した奴らだよ。エックス、お前の仲間は。」
 
「う、うぅ・・・・・・・・」
 
ゼロの後ろに降ろされたホーネックが喚き声を挙げる。一同は思わず彼の方を見る。
 
「う、うぅ・・・・・・・・ん?」
 
ホーネックは目を開けると身体を痛そうにしながらも立ち上がる。
 
「いててて・・・・・・ぜ、ゼロ隊長?一体・・・・・何が起こったんですか?」
 
「ホーネック!?お前・・・・・元に戻ったのか!?」
 
「何ですか?戻ったとかなんかとか・・・・・私は至って正常ですよ!う~ん~、でもなんか忘れているような・・・・・」
 
ホーネックは頭を抱えながら困った顔をする。
 
「まさか・・・・イレギュラー化していた時のことを何も覚えていないのか?」
 
「イレギュラー?いえ、私はマックさんと一緒に式典に出席して、お互いの隊長の愚痴を言いながらお酒を飲んで、酔っぱらいながら用意されていた部屋で寝て・・・・・・・そこからは何とも・・・・・・・」
 
「じゃあ、工場のことは何も覚えていないのか。」
 
ホーネックを見ながらゼロは言う。
 
「はい・・・・・・自分も今まで一体どうしていたのか・・・・・・・」
 
「工場じゃ、データは取ってきたけどパスワードが必要なようで全く分からなかったよ。」
 
スネ夫はデータをインストールしてある端末をゼロに渡す。
 
「ふん・・・・・・じじいなら暗号を解くことができるかもしれない。一旦、ハンターベースに戻るか。ホーネックの治療も必要だしな。」
 
「あいてて・・・・・・・・なんで私はこんなに怪我をしているのか・・・・・・・・」
 
一同は簡易転送装置でその場を後にした。
 
 
ちなみにスネ夫としずかが強奪したキメラはこの後ハンター本部に回収され、解析されるのであった。 
 

 
後書き
ホーネック、ブチ切れるの巻 

 

ヴァジュリーラFF

ヴァジュリーラFF

???
 
「あの時、捕まえ損ねたイレギュラーハンターがこれほどの能力を持っていたとは・・・・・」
 
ドップラーはエックスの戦闘を見ながら感心する。すぐ脇ではドラえもんが拘束されたままぐったりしている。
 
「これは何としても手に入れねばならん。・・・・いでよ、ヴァジュリーラ!マンダレーラ!」
 
ドップラーが叫ぶとヴァジュリーラ、マンダレーラの二人が高速で目の前に現れる。
 
「お呼びですか?ドップラー博士。」
 
「あのイレギュラーハンターを捕獲せよ。できるだけ無傷でな。」
 
「「はっ!偉大なるドップラー博士のために!!」」
 
二人はドップラーの命令を聞くなりすぐさま姿を消した。
 
「クックックッ・・・・・まどろっこしいな。生け捕りとはね。」
 
そこへ暗い人影が立つ。ドップラーはその姿を見るなりため息をついた。
 
「また、お前か・・・・・・パワーアップまでして再生してやったというのに・・・・・。いい加減、ワシの指示通りに動いてはくれんのかね・・・・・」
 
「再生してくれたことには感謝しているが奴らには恨みがあるんでね・・・・・・俺は俺のやり方で行かせてもら・・・・う、うっ!?」
 
彼は突然頭を押さえて膝をついた。
 
「・・・・・またか。一体どうしてそんな作用が起こるのやら・・・・・」
 
「と、とにかくだ・・・・・・・俺は俺のやり方でやらせてもらう・・・・・・・・・鎮静剤プログラムチップももらって行くぜ・・・・・・・・・」
 
そう言うとドップラーからメモリーチップを受け取って退散していった。
 
「・・・・・フン、まあよい。それにしても本当にあのイレギュラーハンターが二度もあのお方を倒したとは思えんが・・・・・・・・」
 
ドップラーは拘束されているドラえもんを見る。
 
「だが、まずはお前をどうするかだな。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース 尋問室
 
「じゃあ、君はハンターベースを襲っていた時の記憶は残っていないのかい?」
 
バッファリオ討伐から戻ってきたエックスは、本部へ戻るなり気を失っていたマックが目を覚ましたという報告を聞き、彼に問いただすべく尋問を行っていた。しかし、どういうことかマックはハンターベースを襲った時の記憶はないという。
 
「はい・・・・・・俺にも何のことなのやら・・・・・・覚えているのは式典でホーネックと飲み合って酔って指定された部屋で寝ていたことぐらいです・・・・・その後のことは何をしていたのか・・・・・・・・・うぅ・・・・」
 
ジャイアンに叩かれたのが未だに響くのかマックは後頭部を押さえる。この様子だとこれ以上聞いても仕方ないだろうと思いエックスは尋問を終了させることにした。
 
「ありがとう、マック。君の処遇については上層部とケイン博士と話し合って決める。とりあえず、この後はケイン博士からメンテンナンスを行ってもらうよう手配させるよ。」
 
「は、はあ・・・・・・・」
 
エックスはそう言うと尋問室から出て行く。外ではマーティがラッシュを連れて待っていた。
 
「どうだったの?」
 
「あぁ、それがハンターベースを襲った時の記憶はないそうなんだ。」
 
「本当?もしかしたら嘘ついているんじゃないの?」
 
エックスの言葉にマーティは聞く。
 
「いや、それはないと思う。マックは、仕事に関しても嘘の報告は一度もしたことがないし、洗脳された件もオストリーグやテクノの例もある。おそらくドップラー博士にコントロールされていたんだ。」
 
「そうだとしたら博士の目的は一体何なのかしらね?今はどこにいるかはわからないけど・・・・・・」
 
「そうだな・・・・・・」
 
2人がそう言いながら会話をしているとゼロたちが戻ってきた。
 
「エックス。」
 
「ゼロ、君たちの方も戻ってきたのかい。」
 
「まあな。骨川たちが収集してくれたデータはじじいに預けてきた。時間はかかるだろうがドップラーが何を企んでいるかの手掛かりにはなるだろう。」
 
「そうか。」
 
「それともう一つ。剛田のおかげでホーネックの奴を連れ戻せた。ついでに工場にあった新型ライドアーマー二機も手に入れられた。」
 
「すごいじゃないかジャイアン。」
 
「ま、まあな!ちょっと迷惑かけちまったけどよ。」
 
ゼロの後ろにいたジャイアンは腕を組みながら恥ずかしそうに言う。
 
「それよりのび太、その赤い犬みたいなロボットは?」
 
スネ夫は二人の傍にいるラッシュを見て言う。
 
「コイツはラッシュ。ライト博士がマーティのサポートメカとして送ってくれたんだ。」
 
「ラッシュ!?これが!?」
 
『ワン、ワン!』
 
ラッシュは尻尾を振りながら吠える。
 
「わあ、ワンちゃんだ!」
 
玉美はラッシュを撫でる。するとラッシュも嬉しそうだった。
 
「う~ん・・・・・・・確かに見えなくもないけど・・・・・」
 
「のび太、次はどこへ行くんだ?」
 
「次は、巨大ダムの方へと向かう予定だよ。あそこをイレギュラーが占拠した上に水質を変えられて近辺の都市が困っているからね。」
 
「ダムか。水着か釣り竿でも持ってくればよかったぜ・・・・・・」
 
「ジャイアンってば。遊びに行くんじゃないんだよ。」
 
「でも、やっぱり水の流れるところに行くからそれにあった服装にした方がいいわね。」
 
スネ夫がジャイアンに注意するもののしずかはある程度妥協する。
 
「困ったな・・・・・・・動きづらい場所だからできれば行かない方がいいと思うけど・・・・・」
 
「まあ、アタシたち三人でカバーすればいいんじゃない?」
 
「俺も助けられた方だから認めざるを得んな。」
 
一同は一旦休息を取るとダムへと向かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
巨大ダム 水路
 
「うわぁ~!!何だこの汚い水は!?」
 
すぐ脇の水路を流れる水を見てスネ夫は絶句する。
 
「元々このダムは水質がきれいでダムの方でも魚が釣れる観光スポットだったんだ。それがここまで汚染されるなんて・・・・・・・・」
 
「気をつけろよ。汚い上に水質が強めの酸性に変わっていやがる。」
 
エックスたちは汚染水に触れないように慎重に移動していた。幸い事前に「テキオー灯」である程度の環境でも適応できるようにしていたため軽く触れるぐらいなら大丈夫だが万が一ということもあるため常に警戒をしていた。
 
しばらく昇っていくと少し開けた場所へたどり着いた。
 
「ここは汚染水とかは流れていないようだ。」
 
エックスは辺りを確認すると部屋へと入っていく。
 
『ウゥ~~~!!!』
 
「ラッシュ?」
 
突然唸り始めたラッシュにマーティは驚く。今までの人懐っこい様子が激変してまるで近くに何かがいるかのように警戒し始めたのだ。
 
「急に唸り始めちゃってどうしちゃったのかしら?」
 
「何か嫌な前触れじゃなきゃいいけど・・・・・・・」
 
『ウゥウ~!!!ワン、ワンワンワン!!』
 
ラッシュはとうとう吠え始める。流石におかしいと思い辺りを警戒するとエックスの目の前に捕縛用のリングが無数に向かってきていた。
 
「エックス危ない!!」
 
「!?」
 
エックスは、すぐさまリングを避けるとバスターを展開して破壊する。後ろにいたゼロとマーティもバスターでリングを破壊した。
 
「なんなんだこれは・・・・・・・」
 
エックスは、破壊されたリングを拾って見てみる。
 
「ちょっと見せて!」
 
しずかは何か見覚えがあるのかエックスからリングの破片を受け取って見る。
 
「どうしたのしずかちゃん?何かこれに見覚えでも・・・・・・」
 
「ドラちゃんを捕まえたロボットが使っていたのと同じものよ!」
 
「なっ!?」
 
「フッフッフッフフフ・・・・・・・どこかで見たかと思ったらあの時の人間か。」
 
動揺しているエックスたちの目の前にヴァジュリーラが降りてきた。
 
「お、お前は!?」
 
「私はヴァジュリーラ。ドップラー博士の右腕として多くのレプリロイドを葬ってきた。」
 
「ヴァジュリーラ・・・・・・しずかちゃん、あいつがドラえもんを?」
 
「えぇ、私たちを襲ったロボットよ!」
 
エックスは、バスターを構えてヴァジュリーラと対峙する。
 
「・・・・ここは俺が足止めをする。みんなは先に奥へ進んでくれ。」
 
「なっ、何を言い出すんだよのび太!?」
 
エックスの発言にジャイアンは驚く。
 
「ドラえもんを捕まえた奴なんだぞ!?一人で・・・・・・・」
 
「今は、このダムを占拠しているイレギュラーを一刻も早く討伐してダムの汚染を止めるのが優先だ。ゼロ、マーティ、みんなを頼む。」
 
「エ、エックス・・・・・・・」
 
「早く!」
 
「っ!?」
 
エックスに怒鳴られてマーティは後を引く。
 
「・・・・・今は、エックスの言う事が正しい。俺たちは一足先にイレギュラーを討伐しに行く。エックス、無茶をするなよ。」
 
「あぁ。」
 
「のび太、死ぬなよ。」
 
そう言うとゼロたちは不安な表情をするマーティを含めて先に奥へと向かって行った。
 
「仲間を先に行かせるとは・・・・・・・私も舐められたものだな。」
 
「・・・・・ドラえもんをどこへやった?」
 
「ドラえもん?・・・・・あぁ、あの変なポンコツタヌキのことか。奴ならドップラー博士が研究している。」
 
「ドラえもんに手を出してみろ!そんなことをすれば俺が許さない!!」
 
エックスは今までにない険しい顔でヴァジュリーラを睨みつける。
 
「フン、まあいい。博士の命令だ、消えてもらう。」
 
ヴァジュリーラは、火炎を飛ばして攻撃を開始する。一方のエックスもバスターで威嚇射撃をしながらヴァジュリーラへと向かって行った。
 
「パラスティックボム!」
 
エックスのバスターからヴァジュリーラに目掛けて針付きの爆弾が発射される。
 
「笑止!」
 
ヴァジュリーラは、火炎をさらに飛ばして爆弾を爆発させる。
 
「こんな遅い弾では俺に近づくことはできん。」
 
「ならこれならどうだ!フロストシールド!!」
 
続いてバスターから先端に氷を装着した小型ロケット弾が放たれる。ヴァジュリーラはまた火炎を飛ばして破壊するが着地した瞬間何かが足に刺さったのを感じる。
 
「こ、これは!?」
 
足元を見ると先ほど破壊したはずのフロストシールドがまきびしのように床に着き刺さり、ヴァジュリーラの足に穴を空けていたのだ。
 
「この武器は一回だけじゃ終わらない。床に落ちればわずかな時間だけまきびしのような状態になって残るんだ。」
 
「おのれ!」
 
ヴァジュリーラは、ビームブレードを展開してエックスに斬りかかる。エックスも斬られまいと必死に避けながら至近距離でバスターを放つ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「エックス・・・・・・・お手並み拝見とさせてもらうぞ。今のお前の実力をな。」
 
その様子を見ている者がいるとも知らずに。 

 

アシッド・シーフォース

巨大ダム 
 
ヴァジュリーラをエックスに任せたゼロたちはダムを占拠したイレギュラーを討伐するべくダムの中を移動し続けていた。
 
「ここから先は水の中だな。」
 
ゼロは目の前にある水面を見ながら言う。
 
「ここからは二手に別れよう。お前たちは上の方から、俺とマーティは水中から進んで行く。」
 
「万が一のためにラッシュをそっちに行かせるから。ラッシュ、みんなの道案内をお願いね。」
 
『クゥウン・・・・・』
 
マーティに言われるとラッシュは少し寂しそうな声を出す。そんなラッシュを彼女は頭を優しく撫でる。
 
「大丈夫よ、少し離れているだけだから。すぐに会えるわ。」
 
『クゥウ・・・・・』
 
そう言うとマーティは、下半身をマーメイド形態に変形させて水中に潜る。
 
「じゃあ、みんな。また後で会いましょう。」
 
「ほわぁ・・・・・本当に人魚だったんだ・・・・・」
 
「今更ながらあんな恋人がいるなんてのび太の奴羨ましいな・・・・・・」
 
その姿を見て呆気にとられるジャイアンとスネ夫。
 
『ワン、ワン!』
 
ラッシュは開き直ったのか吠えて呆然としている二人を呼びかける。
 
「二人とも!私たちも行くわよ。」
 
「置いて行っちゃうよ~。」
 
「「あっ、待って~!」」
 
四人はラッシュを先頭にダムの上部の方へと向かってく。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
巨大ダム 水路
 
「はああぁぁああ!!」
 
「くっ!私の動きをこんな短時間で読んでいるというのか!?」
 
一方、ヴァジュリーラとエックスの戦闘は序盤は苦戦はしていたものの攻撃パターンを掴んだエックスが徐々に押し上げていた。
 
「ドラえもんの居場所を言うんだ!!」
 
エックスは器用にチャージをしてはヴァジュリーラに向かってバスターを放つ。フルチャージならもっとダメージを与えられるのだがヴァジュリーラを破壊してしまえばドラえもんの居場所が分からなくなってしまう。そのため、完全に破壊しない程度に出力を抑えて撃っていた。
 
先ほどまで自分のスピードを生かして翻弄していたヴァジュリーラではあったがダメージの蓄積もあって動きが鈍ってきていた。
 
「バカな・・・・・・私は、ドップラー博士が生み出した最高傑作『ナイトメアポリス』の一人なんだぞ!?何故、旧式の奴に・・・・・!もしや・・・・・」
 
ヴァジュリーラは、攻撃をやめてエックスと対峙する。
 
「どうした?ドラえもんの居場所を言う気になったのか?」
 
エックスは警戒を緩めずバスターのエネルギーをチャージする。
 
「・・・・・・貴様のパワーがこれほどの物とは恐れ入ったものだ。・・・・・ならば一つだけ教えてやる。タヌ・・・・・いや、そのドラえもんという奴は今ドップラー博士が貴様たちのことを研究するために秘密研究所で奴の解析を行っている。だが、早くせんと解体されるかもしれんぞ?」
 
「貴様!!」
 
エックスはフルチャージショットを放つ。しかし、ヴァジュリーラは素早く避けその場から消え去った。
 
『今回はここで手を引くが次はこうはいかんぞ。ハッハハハハ・・・・・・』
 
「待てぇえ!!」
 
エックスは、見境なくバスターを撃つ。しかし、それはただ無駄に天井のパイプを破壊するだけに過ぎなかった。
 
「ドラえもん・・・・・・・・・・・ドラえもぉぉぉおおおおおんんん!!!!」
 
エックスはドラえもんの名を叫ぶ。その背後で聞いている輩がいるとも知らずに。
 
 
 
(なるほどな・・・・・・・あのメカニロイドの出来損ないは奴の大事なもんだったのか。まあ、お手並みは拝見させてもらった。後で楽しませてもらうぜエックス。貴様が俺に味合わせたこの痛みをな。)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
巨大ダム 堤防
 
『ワン、ワン!』
 
「お~い~!一人でそんなに早く行くなよ~!」
 
一人で走っていくラッシュにジャイアン達は必死になって追いかけていた。ここに来る途中、制御室でキメラのオプションパーツデータを入手できたことはお手柄だったがダムの水質を戻すための浄化施設がどういうわけかエラーを発生していて、それがイレギュラーが占拠したエリアと一致しているため、ラッシュに向かってもらっているのだ。
 
「しっかし、本当に大きなダムだな。」
 
ジャイアンは、堤防から見えるダムの光景を見て言う。
 
「そりゃあ、一応22世紀の世界なんだもの。僕らの時代よりも大きなダムがあるのは当り前さ。」
 
「でも、ああいうものを見せられちゃうと悲しいわね。」
 
しずかが見ているのは、水面に浮かんでいる魚の死骸だった。それも大量で明らかにイレギュラーの手による汚染の影響だともいえる。
 
「こんなに魚をダメにしやがって・・・・・許せねえ!!」
 
「ジャイアンは食べるためでしょ。」
 
「うるせえ!」
 
「いで!?」
 
四人がラッシュと一緒に堤防を渡りきると丁度ゼロたちが水面から出てきたところだった。ラッシュはマーティを見るなり尻尾を振って走っていく。
 
『ワンワン!!』
 
「ん?ラッシュ、もう来たの?」
 
『ハッ、ハッ、ハッ、ハッ・・・・・』
 
ラッシュは、飼い犬のようにマーティの前に来るとお座りをする。
 
「呆れたもんだな・・・・・一時間も離れていないのに。」
 
「それだけマーティさんのこと慕っているのよ。」
 
「お前たちの方は何かあったか?こっちは水中でイカみたいなメカニロイドと交戦したが。」
 
「俺たちの方は特に敵はいなかったぜ。あっ、スネ夫がライドアーマーのオプションのデータ見つけたって言ってたな。」
 
「オプションデータ?ハンターベースに持って帰ったアレのか?」
 
「多分ね。コードネームが“カンガルー”ってなってたけど。」
 
「それは戻って調べればわかるだろう。今は目の前にいる敵を倒すことが先だ。
 
一同はイレギュラー反応が大きい浄化施設の入口へと入る。扉を開けた瞬間、強烈な悪臭がゼロたちを襲う。
 
「うえぇ・・・・・・なんだこのにおい・・・・・」
 
「俺んちのトイレよりも臭いぜ。」
 
「見て、この部屋ゴミだらけよ。」
 
しずかの指をさしているところを見るとゴミが散らばっていた。しかし、よく見て見ると何かで溶かされている。
 
「おかしい。反応はここから出ているが何もいないぞ。」
 
ゼロはバスターを展開して奥へと入っていく。
 
反応はあるものの中には誰もいない。
 
「・・・・・・もしかして反応が偽物・・・・・ってわけじゃないわよね?」
 
『クンクンクンクン・・・・・・・・』
 
ラッシュは鼻を嗅ぎながら敵を探す。するとゼロが踏もうとした不気味な色をした水たまりの前で急に足を止める。
 
『ウゥ~~~!!!ワン!ワンワンワン!!』
 
「ん?どうしたラッシュ?」
 
「あんまりにもクセェもんだからもう部屋から出たいんじゃないのか?」
 
「だったら早く出た方がいいよ。このままいたら僕たちも臭くなっちゃうよ。」
 
『ワン!ワン!!』
 
ラッシュは、吠えながら水たまりを踏みつける。
 
 
 
 
 
シュウゥ・・・・・・
 
『ワオォン!?』
 
「ラッシュ!」
 
嫌な音がしたと同時にラッシュは足を引っ込める。マーティが足を見て見るとまるで酸に溶かされたのかのように白くなっていた。水たまりは一か所に集まると徐々に一体のレプリロイドの姿へと変貌する。その姿は一見タツノオトシゴにも見える。
 
「これが奴の正体か。」
 
「マタ・・・・・・人間・・・・来タ・・・・ココ・・・・・汚シニ・・・・・・・」
 
イレギュラー アシッド・シーフォースはまるで憎んでいるかのようにゼロたちを睨みつける。
 
「ねえ・・・・こいつ何か僕たちに恨みでもあるのかな?」
 
「知るかよ。やいやい、てめえ!よくもこのダムを汚くしやがったな!魚もあんなに死なせちまって、どうしてくれるんだ!!」
 
「・・・・・・・違ウ・・・・・・・アレ、全部オ前タチノセイ・・・・・・・・・」
 
「?」
 
「俺・・・・・・何度モ注意シタ、綺麗ニシテタ・・・・・・・デモ、オ前タチ人間・・・・・・ミンナ捨テル・・・・」
 
シーフォースは目から涙を零して言う。
 
「こいつ・・・・・・泣いているのか?」
 
「オ前ラノセイ!!オ前ラノセイデ!!」
 
シーフォースは、液体の塊を生成してゼロたちに向かって投げる。ゼロはバスターで塊を吹き飛ばすが飛び散った液体はゼロのアーマーを溶かす。
 
「この液体・・・・・強酸だったのか!?」
 
「オ前タチモ溶ケロ!!」
 
シーフォースは次々と強酸の塊を生成してはゼロたちに向かって飛ばしてくる。ゼロはボディを溶かされながらも撃ち落としていくが、ジャイアンたちは大慌てで逃げて行った。
 
「うわぁ!?今度はこっちに飛んできた!?」
 
「避けろ避けろ!!」
 
マーティもバスターショットで攻撃するが運が悪く効果はほとんどない。
 
「属性チップがあればなんとかなるのに!」
 
「溶ケロ溶ケロ!!」
 
シーフォースは、焦点の合わない目で攻撃を続ける。
 
「くっ!このままバスターで攻撃したんじゃ埒が明かん!」
 
ゼロは、バスターを戻してビームサーベルを引き抜くとシーフォースの懐目掛けて突っ走る。
 
「シネ死ネ!」
 
「バスターがダメなら斬るまでだ!!」
 
ゼロは、強酸を避けながらシーフォースの目の間にまでくるとサーベルを振り下ろす。
 
「喰らえ!!」
 
「・・・・・・・・・」
 
しかしサーベルがシーフォースに届こうとした瞬間、シーフォースの体はスライムのようにドロドロに溶けてその場から消えた。
 
「何!?」
 
ゼロは周囲を警戒するがシーフォースはゼロの背後で再び姿を現した。
 
「ゼロ!後ろよ!」
 
「なっ!?」
 
ゼロが後ろを向いた瞬間、シーフォースはゼロを抱きしめる。
 
「ぐわあぁぁぁあああああああ!!!!」
 
ゼロの体が音を立てながら溶け始める。
 
「大変だ!このままだとゼロさんが溶かされちゃう。」
 
「しずかちゃん、なんか役に立つ道具はねえのかよ!?」
 
「そんなこと言われても・・・・」
 
しずかはエックスから預かったポケットから何か道具を出そうとするがいいものが見つからない。
 
「くっ!」
 
マーティは、槍を展開してシーフォースに突き刺すが逆に槍の先端が溶けてしまった。
 
「うっそ!?」
 
「・・・・・・・・」
 
シーフォースは、口から強酸の液を吐き出してマーティのビキニアーマーを融解させる。
 
「いやいやいやいや!いやぁ~!!」
 
音を立てながら溶けかけているアーマーが外れないようにしようとマーティは、必死に押さえる。
 
「クッ・・・・・万事休すか・・・・・・」
 
ゼロはもはや助からないと判断する。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「フロストシールド!!」
 
「グッ!?」
 
その時聞き覚えのある声とシーフォースの苦しむ声が聞こえた。目を開けて見てみるとそこにはバスターを構えたエックスがいた。
 
「エックス!」
 
「「「のび(さん)!!」」」
 
「お兄ちゃん!」
 
「エックス・・・・・」
 
「遅れてすまない。」
 
エックスが放ったフロストシールドはシーフォースの体に命中し体を凍りつかせていた。
 
「グッ、グウゥウウウ・・・・・・・・」
 
シーフォースは力を失いゼロを離す。
 
「どうやらパワー切れのようだな。」
 
ゼロはサーベルでシーフォースの体を斬る。シーフォースはもだえ苦しむようによろめいて行く。
 
「ア・・・・・アァ・・・・・・・」
 
「野郎。まだ・・・・・・・」
 
急所を斬られながらも動き続けるシーフォースにゼロはとどめを刺そうとバスターを展開する。
 
「待ってくれ、ゼロ。」
 
しかし、その手をエックスが押さえさせる。
 
「何故止めるエックス?」
 
「何か様子がおかしくないか?俺たちを狙わずに外へ行くなんて・・・・・・」
 
確かにシーフォースはエックスたちに目もくれず外へと出て行った。
 
「怖くなって逃げだしたんじゃないの?」
 
「まさか。」
 
「ねえ、これ見て!」
 
しずかは部屋の隅から何かの端末とディスプレイを発見する。端末を挿入して開いてみると何かメッセージが残されていることが分かった。
 
「これは一体・・・・・・・」
 
一同は、メッセージを開いてみる。すると若い女性の姿が映った。
 
「この人は?」
 
『21XX年、〇月〇日。どうやら私も限界のようです。その前にシーフォース。このメッセージをあなたに残しておきます。貴方を環境再生のための新型レプリロイドとして開発し、ついにあなたがこのダムの環境を改善するまでに至りました。設計した亡き父、そして、貴方を生み出した私も誇らしく思うわ。本当は、さらに改良を重ねて貴方の兄弟機を製作したいところだったけど父譲りの病状が私にも現れてきたの。今まで薬で誤魔化してきたけど・・・ゲホッ、ゲッホ!ゲホッ!・・・・・・・残念ながらあなたの完成まで持たないみたい。私の研究はドップラー博士に引き継がせることにしたわ。同じレプリロイドである博士ならあなたの能力を完成させるのに協力してくれるはずよ。このダムみたいに貴方が世界を綺麗にしてくれるようになったら私も父も満足よ。だから、私がいなくなっても・・・・・・・美しい自然を大切に守ってね。追伸、私が亡くなったらこの収容カプセルに入れてダムに沈めてちょうだい。きれいな水の底で魚たちに囲まれて寂しくないし、貴方がここを離れるようになっても私はここで眠っています。さようなら。』
 
そこでメッセージは途切れた。どうやら遺言だったらしい。
 
「・・・・・・・おそらく、この映像の女性があのイレギュラーの開発者だったんだろうな。」
 
「そうか!あのレプリロイドは元々環境再生のために開発されていたのか!それが人間がごみを何度も捨てるようになって分解処理しきれなくなってあそこまで変貌したんだ!」
 
「だとすると可哀そうね。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ア・・・・・・アァ・・・・・・・・・・・」
 
シーフォースは、ボロボロの体でダムの水中へと潜っていた。濁って魚がほとんど死滅してしまった湖底に辿り着き、彼は何かを探すように彷徨う。
 
「ア・・・・・・・ア・・・・・・・!!」
 
そして、一つのカプセルを発見する。汚い藻を払って見てみるとそこには先ほどエックスたちが映像で見た女性の寝顔があった。
 
「ハ・・・・・カ・・・・・・セ・・・・・・・・」
 
シーフォースは泣きながらカプセルに抱き着いた。
 
「ハカセ・・・・・・・・ゴメン・・・・・・・俺・・・・・・取リ返シノツカナイコトシタ・・・・・・ハカセノ眠ルココ・・・・・・汚シタ・・・・・・俺、ハカセトノ約束ヤブッタ・・・・・・・・・」
 
シーフォースは機能停止寸前になっているのにもかかわらずひたすら女性に謝り続ける。
 
「俺、結局人間ト同ジ。自然壊ス奴ダッタ・・・・・ハカセニ寂シイ思イサセタ・・・・・・ゴメン。」
 
シーフォースはとうとう体が動かなくなる。
 
「セメテ・・・・・・・・ココ、ダ・・・・・・ケ・・・・・ハ・・・・・・・・」
 
機能停止すると同時に水中のゴミなどがシーフォースに集まって行く。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「おい!これは・・・・・・」
 
エックスたちは、外に出てきたときダムの光景を見て唖然とした。
 
「ダムの水が綺麗になってる!?」
 
先ほどまで汚かったダムの水は嘘のように綺麗になっていた。それどころか死にかけていた魚たちが見違えるように泳いでいる姿も見えた。
 
「シーフォースがやったんだ・・・・・・せめてもの罪滅ぼしとして生みの親である彼女の眠るこの場所を守るために・・・・・・・・俺たちも今残されている環境を守るように努めなくちゃいけないな。」
 
「・・・・・そうかもしれんな。」
 
一同はダムの景色を見ながらそう感じた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・・あの・・・・・エックス。」
 
「ん?」
 
浄化施設から出てこようとしないマーティにエックスは顔を向ける。
 
「何か感慨深そうにしているところ悪いけどアタシ・・・・・アーマー溶けちゃって・・・・・・・なんか体に巻くものはない?」
 
「そうは言われても・・・・・・あっ!そうだ!しずかちゃん、『着せ替えカメラ』を出してくれ。」
 
エックスに言われて、しずかは着せ替えカメラを出す。
 
「これで何か服を・・・・・・」
 
「あぁ、それなら僕に任せてよ。」
 
スネ夫は紙に適当に絵を描き始める。
 
「大丈夫なのかい、スネ夫?」
 
「任せなって、将来デザイナーを目指しているんだから。」
 
「スネ夫の奴、高校の時美術コンテストで全国の時惜しかったけど銀賞取っているんだぜ?」
 
「そうなんだ。」
 
「よし、しずかちゃん。後はこれを彼女に合わせて。」
 
「わかったわ。」
 
しずかは絵を受け取ると早速浄化槽施設の中へと入っていく。
 
「ところでどんな服にしたんだい?」
 
「気になるかい?一応モデルはKOFの・・・・・・・」
 
「なんじゃこりゃあぁあああ!!!」
 
「「「「「!?」」」」」
 
マーティの叫びに一同は思わず入口の方を見る。するとしずかが焦った顔で戻ってきた。
 
「スネ夫さん!どうしてあんな服にしたの!?」
 
「えっ?そんなにまずかった?」
 
「まずいにもほどがあるわよ!」
 
スネ夫としずかの会話を他所にエックスは、施設の入口へと行く。
 
「マーティ、大丈夫か・・・・・・・」
 
「誰が来てって言ったのよ!!」
 
「ブッ!?」
 
「あっ・・・・・・・」
 
入り口から顔を覗くなりエックスはマーティの平手を受ける。そして、撃たれた方を見るとそこにはボロボロのアーマーから浴衣の左右を切り取って肌の露出を多くしたデザインの赤い装束の格好になったマーティがいた。
 
「ご、ごめんエックス!?」
 
まさかエックスとは思わずマーティは茫然としてしまっているエックスを揺さぶる。
 
「まさか、エックスだとは思わなくて・・・・・・・大丈夫?」
 
マーティは先ほどぶってしまったエックスの頬を撫でる。レプリロイドは人間とは違い腫れたり青くなったりはしないがかなり痛そうにみえた。エックスは思わず彼女の恰好を見て顔を赤くした。
 
「だ、大丈夫だよ。」
 
「・・・・・・・本当にごめんね。」
 
マーティは、エックスの顔を見ながら心配そうに言う。
 
「とりあえずみんなと一緒にハンターベースに戻ろう。」
 
「でも・・・・この格好・・・・・・」
 
「俺が傍にいるから。」
 
「・・・・・・・うん。」
 
彼女は顔を赤くしながらエックスの手をしっかりと握る。
 
お互い顔を赤くしながら出てきたときはみんな驚いた顔をしていたが。 

 

シャイニング・タイガード

巨大ダムにおける戦いを終えたエックスたちはダメージを受けた体を直すためにハンターベースに戻ってきていた。
 
 
 
 
ハンターベース メンテナンスルーム
 
「おうおう・・・・・・これはひどいもんだわい。」
 
ケインはゼロの体を見ながら唖然としていた。
 
「直せるのか?」
 
「幸い内部フレームは傷んでおらん。外部フレームを取り換えれば大丈夫じゃろうがこれほど融解しているならオーバーホールした方がよいのう。」
 
「おいおい、いくらなんでもきつい冗談だぜ・・・・・・」
 
「冗談ではないわい!」
 
ゼロを無理やり寝かせ、ケインはゼロを強制的にスリープモードへと切り替えさせる。
 
「こんなボロボロになりおって・・・・・・・・」
 
「すみません博士。」
 
ゼロの代わりにエックスが謝罪する。
 
「別にお前が謝る必要はないぞエックス。悪いのは無茶をしたゼロなんじゃからな。」
 
「ですけど・・・・・」
 
「幸いお前たち二人が軽傷だったのはよかったわい。もしお前たちまでボロボロだったら三日三晩徹夜せねばならんかったかもしれんからのう。」
 
「は、はあ・・・・・・・」
 
ゼロの修理に入るケインの背中を見送りながらエックスはメンテナンスルームを後にしていく。
 
「明日までに直ればいいけど・・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
翌日 
 
「えっ?しばらく安静?」
 
メンテナンスルームに来たエックスは逃げられないように鎖で縛られているゼロを見て言う。
 
「あぁ・・・・・爺の奴がオーバーホール中に俺のボディのあちこちが酸で腐食していたのを見つけたらしくてな。徹底的に修理するからってここまで拘束されちまったぜ。」
 
ゼロは困った顔で答える。
 
「頼むエックス。こいつを解いてくれ。これじゃあ、まるで囚人みたいだ。」
 
「そんなこと言わずにオーバーホールを受ければいいじゃないか。それが元でまた上半身と下半身が泣き別れっていう風にはなりたくないだろ?」
 
「それはそうだが・・・・・・」
 
「今日はゆっくり休んでいてくれ。」
 
「・・・・・・・無理はするなよ。」
 
ゼロに言い終えるとエックスは自室に戻り、ジャイアン達と今日の予定を話し合う。
 
「エックス、今日はどうするの?」
 
「今日は、ジャングルエリアに向かう予定だ。それとビートブードとマンドリラーにはエネルゲン水晶鉱山に向かってもらう。」
 
「ジャングルか!なんか久しぶりに冒険するって感じがするな!」
 
「ジャイアンったら・・・・・・アフリカの大魔境に冒険しに行くわけじゃないんだから・・・・・・」
 
「ねえ、のび太さん。やっぱり、猛獣とかも出てくるのかしら?」
 
しずかは他の2人と比べて心配そうな顔をして言う。
 
「そりゃ・・・・・・一応野生動物保護管理区に入っているからね。ワニとか蛇も出てくるよ。後ゴリラも。」
 
「何だか心配ね・・・・・。」
 
「大丈夫よ、三人はアタシが見ているから。危なくなったら追い返すことぐらいはできるわよ。」
 
「気がお強い人魚さんだこと。」
 
「じゃあ、現場に着いたら船に乗って移動するから。」
 
「「「は~い!」」」
 
「玉美も行っていい?」
 
「う~ん~・・・・このお姉ちゃんの傍から離れないって言うんなら連れて行ってあげる。」
 
自分も行きたそうな顔をしている玉美にエックスはマーティに抱っこさせて言う。
 
「俺は、ビートブードたちに伝えに言って来るからみんなを頼む。」
 
「もう、エックスったら。しょうがないわね・・・・・・・じゃあ、お姉ちゃんと一緒に準備しましょうね~。」
 
マーティは、エックスに対して不満そうに答えながらも満更でもない態度で玉美を連れて行く。
 
エックスもそれを見届けると急いでビートブードたちに今日の作戦を伝えに行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ジャングルエリア 川
 
「「「「こんなことい~いな!できたらい~いな!あんな夢 こんな夢 いっぱいある~けど~。」」」」
 
エックスたちはジャングルエリアの入り口から船に乗り、イレギュラー シャイニング・タイガードが潜伏していると思われる最深部を目指していた。
 
このエリアは今の時代にしては自然がほとんど手が付けられておらず野生動物が多く生息しているため、保護区へと登録されていた。その保護区を警備するために作られたのがシャイニング・タイガードなのだがドップラーの手によってイレギュラー化した彼はこの保護区を自然要塞にするべく改造を施そうと環境破壊をしていた。
 
エックスたちは陸路で自然を無暗に傷つけないように水路で最深部へと向かう事にした。その水上の船の上でエックスたちはほんのひと時歌を歌いながらジャングルを見渡していた。
 
「畜生~!のび太の奴、俺に船の舵の管理をしてくれって言いやがって・・・・・・・」
 
ジャイアンは一人不満そうに操縦室で弁当を食べていたが。その隣ではスネ夫が呆れながらも少しホッとしていた。
 
(ジャイアンが歌ったりなんかしたらイレギュラーどころか野生動物まで絶滅しかねないからな・・・・・のび太の判断はある意味正しい。)
 
一同はそんなことをしながら船を進める。
 
エックスは川を見ながらそろそろジャングルへ本格的に入って行くのを確認する。
 
「みんな、そろそろジャングルに本格的に入る。ここの野生動物たちは外部から来たものに敏感だから、動物を見てもできるだけ大きな声は出さないようにしてくれ。ワニが集団で襲ってきたときは俺とマーティで撃退するから。」
 
「怖いなぁ・・・・・」
 
玉美は船の上から川の水面を見る。少し濁って底が見えないが明らかに何かいそうで気味が悪い。
 
「ジャイアン、自動操縦だから心配はないと思うけど万が一ってことがあるから目を離さないでくれよ。」
 
「わかってるって!この俺が二度も三度も同じヘマをするかってんだ!」
 
ジャイアンは前を見ながら言う。
 
しばらく進んで行くと野生のワニの集団が船を囲み始めた。
 
「予想外に集まってきたな・・・・・・」
 
エックスはあらかじめ用意しておいた囮の餌である肉塊をワニの集団から少し離れたところへと放り投げる。するとワニたちは一斉に肉に向かって行った。
 
「みんな一斉に行ったわ。」
 
「うん。今のうちにできるだけ奥に進もう。」
 
しかし、安心したのも束の間。ワニたちはまた船の方へと戻ってくる。
 
「もう、戻ってきたわ!?」
 
「くっ。」
 
エックスは今度はもう少し遠めに肉を投げる。ワニたちは餌を求めるべくまた一斉に肉の方へと向かって行ったが五分もしないうちにまた船を包囲していた。
 
「一体どうなっているんだ!?いくら何でもこんなにすぐ戻ってくるなんておかしいだろ!?」
 
エックスはそれから何度も肉を放り投げる。そのたびワニの群れは船から離れては戻ってきて、離れてはまた戻ってきた。
 
「まずいな・・・・・・・肉のストックがなくなってきた。このままだと帰りに逸らすための分がなくなっちゃうぞ・・・・・・」
 
「お兄ちゃん。」
 
「あっ、ごめんね。今取り込み中だから・・・・・・」
 
「さっきから川の色がおかしくなってきているよ?」
 
「えっ?」
 
玉美に言われてエックスは川の水を見てみる。確かに出発してきたときとは違い川の水の色はおかしいと言えるほど赤黒く濁っていた。それどころかジャングルの方を見てみると葉が枯れかけているように見えた。
 
「これは一体・・・・・・」
 
「見て!ワニたちが戻って行くわ!」
 
しずかに言われてエックスは船の後部をみる。先ほどまでしつこく付いてきたワニの集団が嘘のように船から離れて行っていた。
 
「・・・・・もしかすると・・・・・」
 
エックスは川の水を手ですくってみる。手はベットリとした何かが付着し、明らかに川が汚れていることがわかる。
 
「これは・・・・・・重油?ジャングルの奥でこんなものが!?」
 
「あのワニたち、ひょっとすると住処を追い出されたんじゃないの?」
 
マーティが言うのも尤もだった。既にエックスたちが船を進めているエリアは死んだ魚が大量に浮いて腐敗臭が立ち込めていた。河原の陸地を見ても水を飲んで死んだと思われる野生動物の死体がいくつか見える。
 
「どうしてこんなひどいことに・・・・・・・」
 
「タイガードの仕業だ。ジャングル全体を要塞化するために至る所を機械化の影響で汚染水が流れて川を汚し、その近くの環境を悪化させ、動物が住めないようなところへと変えてしまったんだ。」
 
「あのワニたちは、ここに住めなくなってさっきの場所まで逃げてきたのね。それでも環境が徐々に汚染されて食糧であった魚もどんどん減って・・・・・・・」
 
「ワニさん可哀そう・・・・・・・」
 
エックスは最深部から少し離れた川岸に船を止め。そこからジャングルへと入って行った。
 
本来なら聞こえるはずの野生動物たちの鳴き声も全く聞こえない。
 
「すごく静かだね。」
 
「逆に薄気味悪いぜ・・・・・」
 
「このジャングルの動物たちも環境の汚染で住めなくなったんだ・・・・・」
 
エックスは近くの木の枝を取ってみると枝はボロっと崩れる。見た目は普通のジャングルにも見えなくはないが既にこの辺一帯は死の世界へと変わり果てているのだ。
 
「タイガード・・・・・今まで守ってきた自然をこうも簡単に破壊してしまうなんて・・・・・・許せない。」
 
一同が歩き続けると奥から奇妙な声が聞こえ始める。
 
『・・・・・クス、・・・・・エックス。』
 
「なっ、なんだっ!?」
 
「ま、まさか、動物の怨霊とか!?」
 
ジャイアンとスネ夫は思わず顔を青くする。しかし、エックスは動じることなく枯れた茂みの中へと入りこむ。
 
「あっ、のび太!?」
 
全員心配してついて行くがそこにはカプセルがあった。
 
「あっ!パワーアップパーツのカプセル!」
 
カプセルが開くとライトが姿を現す。
 
「ライト博士!」
 
『エックス、ここではパワーアップしたアームパーツを授けよう。前回のダブルチャージショットを広範囲で展開に撃てるよう両腕をクロスすることによって「クロスチャージショット」を撃つことができるようになる。じゃが、広範囲に撃てるようになった分、反動が大きくなり、撃つ速さが遅れてしまうという欠点がある。使い方には気をつけるんじゃぞ。』
 
「はい。」
 
『それとラッシュ。お前のデータを追加ロードする。カプセルに入りなさい。』
 
『ワン。』
 
ライトに言われるとラッシュは素直にカプセルに入る。そしてエックス同様に何か起きたかと思って見てみたが特に何も変化はなかった。それとは反対にエックスの両腕には新たなアームパーツが付けられている。
 
「これが新しいアームパーツか。」
 
『ちなみに今回は各パーツ用に特殊な強化チップを用意しておいた。』
 
「強化チップ?」
 
カプセルから現れた端末をエックスは受け取る。
 
『それはフットパーツ専用でのチップでヴァリアブルダッシュの他にエアダッシュも二回までできるようになる。』
 
「二回も!?」
 
「うわぁ・・・・・夢のような強化チップだな・・・・・」
 
『ただ・・・・・一枚一枚のチップの容量が多いせいで一枚しかセットすることができん。』
 
「なぁんだよ。一枚だけかよ。」
 
ライトの言葉にジャイアンは残念そうに言う。
 
『チップは後3枚ある。今、全ての能力が使える特殊チップを製作しておるが・・・・・・・・とにかく使うときは慎重に選ぶんじゃ。』
 
「は、はい・・・・・」
 
カプセルが閉じるとエックスは、強化チップをしまって再びマーティたちと一緒にジャングルの奥へと進んで行く。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ジャングルエリア 最深部
 
「グルルルゥ・・・・・・・」
 
エックスたちが最深部へと乗り込むとそこには、猛獣の如くビームクローを展開したタイガードが待ち構えていた。
 
「グルルルゥルル・・・・・・・イレギュラーハンター・・・・・・・俺の縄張りにまで潜り込んできやがったか・・・・・」
 
「タイガード、何故だ!?どうして今まで守ってきた自然を破壊してまでドップラーに従う!?」
 
エックスはバスターを構えてタイガードに言う。
 
「グルルゥ・・・・・・知れたこと。俺は野獣、戦う戦士。警備員という役柄で持て余されていたところをドップラー博士が目に付けてくれた。今の俺は、闘争本能を剥き出しに心地いい気分になっている。」
 
「そんな!今まで守ってきた動物たちの住処を壊してまでやることなんですか!」
 
タイガードの言葉にしずかは思わず叫ぶ。
 
「そうだぞ!川を汚して魚をあんなに死なせやがって!」
 
「ジャングルまで枯らしちゃってそこまで戦いたいのか!」
 
「黙れ!!」
 
タイガードは目をギョロッとさせ、ジャイアンたちは思わずゾッとした。
 
「お前たち人間が言えることか?俺は警備員として務めを果たしてきた。絶滅の危機に瀕している動物を守ろうとする傍ら、生態系を崩さないよう害虫、害獣の駆除をし、密猟者を捕らえ、怪我をした動物の治療を行う。それが俺の仕事だった・・・・・・・だが、お前たち人間は何も変わろうとしない!」
 
タイガードの目には何やら複雑な思いを感じさせられる。
 
「いくら捕らえようと密猟者は現れる。しかし、奴らとて人間。手を出すことはできん。目先のことしか考えない人間に対して俺がそんな苛立ちを感じ続けている最中ドップラー博士が俺に新たな力を授けてくれた。もう、人間だろうがレプリロイドだろうが容赦しねえ。どんな犠牲を払ってでも醜い人間共に復讐してやる!!」
 
エックスは、タイガードの発言から見て彼が人間を憎く思ってしまっても仕方ないと感じた。しかし、ドップラーに施された処置の影響なのか復讐しか考えず自分が今まで守ってきたものまで犠牲にしてしまう彼を見過ごすことはできない。
 
「シャイニング・タイガード・・・・・・イレギュラー認定する。」
 
「いくらでもほざけ!!俺を狩れるもんならな!!」
 
タイガードはビームクローを展開するとかつてシグマパレスで交戦した時のシグマのように高速でエックスに迫ってきた。
 
「速い!?」
 
エックスはヴァリアブルダッシュで上へ回避するがタイガードは、すかさず尻尾の先から光の玉を発射する。
 
「レイスプラッシャー !!」
 
「くっ!?」
 
エックスは、腕を交差して凌ぐ。
 
「アイツ思っていたよりも速いわ!」
 
「まあ、虎とかの肉食動物は俊敏さが取り柄だからね。」
 
マーティは槍を展開してタイガードに突く。
 
「甘い!!」
 
「うぅう!?」
 
タイガードは斜め真上にジャンプし、背後から彼女を斬り裂いた。傷からは高エネルギーの液体が漏れ出して血のように見える。
 
「大丈夫かマーティ?」
 
「何とかね・・・・・アイツ、復讐すると言っただけ伊達じゃないわね・・・・・」
 
「どうした?貴様らの実力はその程度か?」
 
タイガードは二人に向かってビームクローを振り下ろす。ダメージを負ったマーティに代わりエックスが槍で塞ぐが出力負けで槍が折れて爪がエックスの胸部を抉る。
 
「グ、グアッ!?・・・・ア・・・・・・・・」
 
「エックス!?」
 
「「のび太!?」」
 
「のび太さん!?」
 
「お兄ちゃん!!」
 
力を失くしたかのように跪くエックスに全員が動揺する。
 
「ハッハハハハ!!かの有名なイレギュラーハンターもこの様か!!」
 
タイガードはエックスを掴むと上に放り投げる。
 
「とどめを刺してやるぜ!!」
 
タイガードは、ビームクローを最大出力にして落下してくるエックスに狙いを定める。
 
「させるもんですか!!」
 
マーティは傷の痛みを圧してパイルバンカーを展開してタイガードの胸部装甲に突き刺す。
 
「ぬっ!?小癪な!」
 
タイガードは、エックスからマーティへ照準を変えて攻撃を行う。ジャイアンたちは倒れたエックスを急いで担いで離れると地面に寝かせる。
 
「しずかちゃん、お医者さん鞄!!」
 
「今ののび太さんは人間じゃないのよ。」
 
「じゃあ、復元光線!」
 
「破片が揃ってないわ!」
 
「「じゃ、じゃあ、タイム風呂敷!」」
 
「あったわ!」
 
しずかは急いでエックスの傷に風呂敷を当てる。すると一瞬で傷ができる前の元の状態へと戻る。
 
「ありがとう、しずかちゃん。」
 
エックスは、しずかに礼を言うとバスターを展開してタイガードの元へと戻っていく。
 
戦いはマーティが押され気味だった。
 
「女にしてはよくやるものだな・・・・・だが、これは防ぎきれまい!」
 
タイガードは一旦距離を取ると構える。
 
「こ・・・・・今度は何・・・・・・・」
 
マーティはヨロヨロとしながらも身構える。するとタイガードの体が光り始めた。
 
「えっ?」
 
「ウォオオォォォォンン!!!」
 
タイガードは今までにない速さでマーティの目の前にまで迫り、ビームクローで彼女の体を斬りつけると同時に上空へと殴り上げた。
 
「ガハッ!?」
 
予想以上のダメージを受けたマーティは身動きひとつとることができずタイガードの前に落下していく。
 
「まずは一人!!」
 
タイガードは元の状態に戻るとビームクローを彼女の喉元目掛けて斬りかかろうとする。
 
『ワン!!』
 
しかし、直前にラッシュがタイガードの尾に噛みつく。
 
「なっ!?コイツ!!」
 
タイガードは、ラッシュを振り払おうと尾を左右に大きく揺らす。そうしている間にエックスはエアダッシュでマーティを回収する。
 
「マーティ・・・・・」
 
「ご、ごめん・・・・・・・・動けない・・・・・」
 
マーティは弱った声で答える。幸い致命傷にはならなかったがかなりの重傷だ。エックスはマーティをそっと地面に寝かせると怒りに燃えてタイガードの方へと向き直る。
 
「許さないぞタイガード・・・・・・マーティをこんなに傷つけて!!」
 
迫ってくるエックスに気がつかずタイガードはラッシュを引き離そうと岩にぶつけていた。
 
「これでも離れんのか!!」
 
『ウゥ、ウウ!!・・・・・・!』
 
ラッシュはエックスがタイガードのすぐ後ろに迫っているのに気がつくと口から尾を放してタイガードから離れて行った。
 
「やっと離れたか・・・・・・さて・・・・・!?」
 
そう言って後ろを向いた直後タイガードの下あごに何か強い力が籠った何かがぶつかる。何事かと前をよく見てみるとそこには怒りの表情になっていたエックスの顔が一瞬見えた。
 
「昇龍拳!!!」
 
「ガ、ガバアァアアアアア!!!」
 
タイガードは、先ほどのマーティ以上に上空に打ち上げられ勢いよく落下した。
 
「・・・・・・」
 
エックスは倒れたタイガードに向かって構えを取る。
 
「お、おい・・・・のび太?」
 
今までにない険しい表情をするエックスにジャイアン達は思わず不安を抱いた。エックスの両手の間にエネルギーの塊が生成され始める。
 
「ね、ねえ・・・・・ジャイアン。のび太が撃とうとしているのまさかだと思うけど『波動拳』だよね?」
 
「あ、あぁ。ロックマンXの隠し技であり、最強の必殺技・・・・・・・」
 
「まさかのび太さん。とどめを刺すつもりじゃ・・・・・・・」
 
しずかの言う通りだった。今のエックスは明らかにとどめを刺す気満々だった。エネルギーの塊が一定以上に大きくなり、手から火花が出始める。
 
「ぐ・・・・・ぐう・・・・・・」
 
タイガードは、何とか起き上がったものの目の前で凄まじい殺気を放つエックスを見てもはやこれまでだと悟る。
 
「・・・・・・・これまでか。」
 
「・・・・・・これで終わりだ。」
 
エックスは、波動拳を放とうとする。
 
「波動け・・・・」
 
「だめ!」
 
「!?」
 
波動拳を放とうとするエックスの目の前に玉美が出て来て止める。これには、エックスは愚かタイガード本人も驚いていた。
 
「玉美、そこを退くんだ!」
 
「ママから聞いてたもん!お兄ちゃんは人を傷つけるのが嫌いな人だったって!お兄ちゃんがこんなことしちゃダメだよ!」
 
「・・・・・・・・・」
 
「もう、トラさん動けないんだから・・・・・・・・もう、悪いことしないように言えばわかってくれるはずだから・・・・・・やめようよ。」
 
「・・・・・・・」
 
エックスは、波動拳を撃つのをやめて玉美の頭を優しく撫でた。
 
思えばそうだったのかもしれない。
 
喧嘩でいつもジャイアンにやられていたので腹が立ったことはあったが自分よりも弱いものをいじめようという気にはならなかった。
 
他人を傷つけることを嫌う。
 
それは自分の人間としての本質だったのかもしれない。
 
だからこそ、玉美は必死に止めようとしているのだ。
 
「・・・・そうかもしれないな。怖い顔していたのによく勇気を出して言ってくれたね。」
 
エックスは玉美の顔を見ながら言う。危うく目の前でタイガードを破壊するという光景を見せるところだった。
 
「・・・・・そこの小娘。」
 
タイガードは、ビームクローを戻して玉美を見る。
 
「どうして俺を助けた?俺はお前たちを殺そうとしていたのだぞ?」
 
エックスに見守られながら玉美は笑顔で答えた。
 
「だって、トラさん。本当はいい人なんだもん。いい人でも間違えて悪いことをするときもあるってパパが言っていたし。それを止めて仲直りさせるのも大事だってママが言ってたんだ。」
 
「・・・・・・・・なんと純粋なんだ・・・・」
 
タイガードの目から復讐の炎が消え、自然と涙が流れてきた。同時に先ほどまで薄気味悪かったはずの空もいつの間にか雨雲に覆われて雨が降り出す。
 
まるで彼の憎しみを洗い流すかのように。
 
「俺は・・・・・・・俺は取り返しのつかないことをしてしまった!!」
 
タイガードは跪きながら泣く。
 
復讐のために今まで守ってきたものをすべて失ってしまった。
 
それがより一層彼の心に突き刺さる。
 
「復讐などに囚われ、ドップラーの誘いに乗り、ここを・・・・・・かけがえのないこの場所を・・・・・・・・・何もない死の世界にしてしまった!!」
 
タイガードは、号泣しながら汚れ切った土を握り締める。
 
「うおぉぉおお・・・・・・・おおぉお・・・・・・」
 
「・・・・・・何泣いてんのよ。」
 
そこへ先ほどまで倒れていたはずのマーティが歩いてきた。しずかに手当てしてもらったのか傷はなくなっている。
 
「う、うぉお・・・・・・・・・」
 
「壊しちゃったんならまた一から作り直して行けばいいでしょ?アンタ自身の手で。」
 
「何?」
 
タイガードは顔を上げながら言う。
 
「今まで汚しちゃった場所を綺麗にして少しずつ戻していけばいいじゃない。そりゃあ、死んじゃった動物とかはもう戻ってはこないけど簡単に死んじゃったりするわけじゃないのよ?でも、綺麗にすれば別の場所からまた動物が来て住んで元に戻っていく。そういう場所を作っていくのも仕事なんじゃないの?」
 
「・・・・・・」
 
タイガードは無言で辺りを見渡す。
 
「・・・・・・・・できるのか?この俺に?」
 
「それは君自身が決める事さ。確かに一人の力じゃ限界がある。でも、仲間を作って一緒にやっていけばまた元の環境に戻って行くよ。」
 
エックスは、タイガードに手を差し伸べる。
 
「・・・・・」
 
「もう一度やり直そう。ここがまた自然の楽園に戻れるように。」
 
「う、うぅ・・・・・・・かたじけない。」
 
タイガードはエックスの手を握って答える。
 
「なんか泣けるね。」
 
「うおぉ~!なんて感動的な握手なんだぁ~!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その後、シャイニング・タイガードはエックスたちの手でハンターベースへと連行された。
 
後に出所したタイガードは、このジャングルエリアの再建計画を行い、賛同者を集めて自分の犯した罪を償うように環境再生・保護活動に尽力を尽くすことになる。 

 

スクリュー・マサイダー

エネルゲン水晶鉱山
 
「ハア、ハア・・・・・」
 
エックスたちがジャングルエリアに行っている頃、ビートブードは、マンドリラーと共にイレギュラーが占拠した鉱山へと行っていた。
 
「なぁ・・・・ビートブード。」
 
「ん?」
 
洞窟の中を移動しながらビートブードはマンドリラーの方を見る。
 
「どうしたんだ?」
 
「ここさっきも通らなかったかい?」
 
「えっ?」
 
マンドリラーの指摘を見て彼は辺りを確認する。元々限られた明かりと同じような道ばかりが続いているため見間違いだと思っても仕方がないのだが明らかに同じ道であるように見えた。
 
「そ、そんなはずは・・・・・・・・」
 
「だって、ほら。アレ、俺が付けた目印だよ。」
 
マンドリラーは一つの岩を拾い上げるそこには大きく「✖」の印が付けられていた。
 
「・・・・・っていうことは戻ってきちゃったのか?」
 
「そうなるね。」
 
ビートブードは頭を押さえながらしゃがみ込む。
 
どうもこの坑道は、迷路のようになっているらしい。元々エネルゲン水晶は現在の社会では欠かせないエネルギー源であるためこのような鉱山があってもおかしくはないのだがここまで同じ場所に戻ってくるようなことはそこまでない。もしかしたら、イレギュラーが事前に侵入者対策に自分で細工していたのかもしれない。
 
「このままではいつまでたっても進めない・・・・・」
 
「う~ん~・・・・・・・・・・・!」
 
マンドリラーは、ちょっと考えて何かひらめいたような表情をする。
 
「どうしたの?」
 
「俺の腕もドリルだからこれで掘り進めばいいんじゃないか?」
 
「それはそうだけど・・・・マンドリラーのドリルって採掘作業用のじゃないんじゃ。」
 
「大丈夫大丈夫。このぐらいの岩の硬さだったら何とかなるよ。」
 
ビートブードが心配している中マンドリラーは腕をドリルに変形させて岩を掘り始める。
 
「うん、結構岩盤が適度な硬さだから崩れてくることはないよ。」
 
「そうかな?」
 
二人は掘った穴からどんどん先へと進んで行く。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
エネルゲン水晶鉱山 最深部
 
「今日ノ分ハコレグライデイイ。」
 
その頃、鉱山を占拠していたイレギュラー スクリュー・マサイダーは、ドップラー軍へ採掘したエネルゲン水晶を届けるべく。水晶を積んだコンテナを秘密通路から運び出そうとしていた。
 
「ドップラー博士・・・・・コレデ喜ブ。俺タチ、レプリロイドノ理想郷、マモナク誕生スル・・・・・」
 
その目には何も映っておらずただひたすら仕事をしているように見えた。
 
「・・・・・・ン?」
 
マサイダーは一旦足を止める。
 
「・・・・・・何カ聞コエタ?」
 
しかし、後ろを振り向いても誰もいない。
 
「空耳?デモ、レプリロイド、空耳聞クノカ?」
 
マサイダーは、そう言うとまたコンテナを引き始める。
 
「・・・・・・マタ、聞コエタ。」
 
しかしやはり後ろを見ても誰もいない。不思議に思って彼は上を見上げてみる。
 
すると
 
「「うわあぁぁぁぁああ!?」」
 
「!?」
 
上からマンドリラーとビートブードが落ちてきた。急に上から現れた二人に回避行動をとる暇がなくマサイダーは二人に押しつぶされた。
 
「だから言ったじゃないか!無暗に掘り進んでも変なところに落ちるかもしれないって!」
 
「でも~、いつまでも同じところをぐるぐるしているよりはましだと思うよ?」
 
下にマサイダーがいるとも知らずに怒るビートブード。
 
「・・・・・それにしても変なところに出てきちゃったな。これだとどう帰ればいいのかわからないぞ。困ったな・・・・・」
 
「・・・・・・なあ、ビートブード。」
 
「ごめん、考えさせてくれ。今後の自分たちの運命を左右する選択になるんだから・・・・・・・・」
 
「何か踏んでいるように感じるんだけど気のせいかい?」
 
「えっ?」
 
ビートブードは自分の足元を見てみる。
 
そこは確かにゴツゴツしているが岩ではない。
 
手を触れてみると何か尖ったものがある。
 
「・・・・・・・あっ。」
 
よく見ると自分たちはレプリロイドらしきものの上に立っていた。慌てて避けて見ると二人が落ちてきた衝撃で伸びたマサイダーの姿があった。
 
「・・・・・・」
 
ビートブードは近くにあった木材を拾って突いてみる。
 
反応はない。
 
「・・・・・・もしかして・・・・殺っちゃった?」
 
「俺に聞かれてもな・・・・・」
 
ビートブードは真青になってマンドリラーに聞く。
 
「ど、どうしよう・・・・いくらイレギュラーでもこんなにあっさり殺っちゃうなんて・・・・・」
 
「まあ・・・・・・事故だからしょうがないんじゃないかな?」
 
「事故で済むか!!俺たちはもしかしたら罪もないレプリロイドを破壊したことになるんだぞ!?」
 
「そんなこと言われてもな・・・・・・・・後で穴掘って墓でも作ってあげればいいんじゃないか?」
 
「ペットじゃないんだから・・・・・・」
 
ビートブードは申し訳なさそうな顔で倒れているマサイダーを見る。
 
「うん、その・・・・・ごめんね。」
 
「ゴメンネデ許スカ!!」
 
「うぉ!?」
 
突然起き上がってきたマサイダーにビートブードは驚く。
 
「生きていたのか!?」
 
「俺、コノ程度デクタバルカ!!」
 
マサイダーは怒りの眼で二人を睨みつける。
 
「なんであんなに怒ってるのかな?」
 
「俺たちのせいだよ!!」
 
「トルネードファング!!」
 
マサイダーは、右手のドリルから3つのトルネードファングを繰り出す。
 
「何か飛ばして来たよ。」
 
「任せろ!バクホール!!」
 
ビートブードは、無効化にするべくバクホールを展開する。しかし、一つはバクホールに吸収されたものの残りの二つは二人の眉間に命中する。
 
「ふおぉっ!?」
 
「あいててて!?」
 
二人は思わず両手で押さえる。
 
「ビートブード、もっとしっかり狙わないと。」
 
「この武器は癖が強いからコントロールが難しいんだよ!!」
 
「サッサト失セロ!!」
 
マサイダーはドリルを回転させながら突進して来る。
 
「なんの!」
 
マンドリラーも右腕をドリルに変形させてマサイダーに向かって行く。
 
互いのドリルが命中し、互角に見えた。
 
「・・・・・・あり?」
 
マンドリラーはドリルに変形させた右腕を見る。ドリルの回転率がマサイダーの方が上だったのか彼のドリルは徐々に押されていく。
 
「ソンナドリルデ俺ハ、倒セナイ!!」
 
マサイダーは、ドリルの回転率を上げて前進して来る。するとマンドリラーのドリルの先端部がぐにゃりと曲がってしまい、彼は後方に勢いよく吹き飛ばされた。
 
「うおぉぉおおお!?」
 
「マンドリラー!?」
 
岩盤にぶつかって倒れたマンドリラーにビートブードは駆け寄る。
 
「大丈夫か?」
 
「なんとか・・・・・・でも、これじゃあ、もうダメだな。」
 
マンドリラーは、変形してしまった右腕のドリルを見て言う。幸いまだ動くが攻撃には使えないだろう。
 
「どうしようかな・・・・・・こんな山の中じゃエレクトリックスパークの効果薄いし。」
 
マンドリラーは困った顔で首を傾げる。その間にもマサイダーは突進をしてくる。
 
「くう!こうなったら当たって砕けろだ!!」
 
ビートブードも自らの角を活かして突進する。だが、ドリルの回転によって接触した瞬間、ビートブードは勢いよく上に投げ飛ばされた。
 
「うわぁあああ~!?」
 
「弱イ!弱イ!イレギュラーハンター弱イ!!」
 
吹き飛ばされたビートブードをマンドリラーがキャッチする。
 
「大丈夫かい?ビートブード。」
 
「う、う・・・ん・・・・・俺たちじゃ相手が悪かったみたい・・・・・でも、このままおめおめ逃げるのもな・・・・・・・って言うか逃げるにしても帰り道がわからない・・・・・」
 
「う~ん~・・・・・・ビートブードの角もドリルだったらいいのにね。」
 
「そんなこと言われても・・・・・・・・・!ん!?ちょっと待てよ。」
 
何か思いついたのかビートブードはマンドリラーの右腕をいじり始める。
 
「何するんだい?」
 
ビートブードはドリルの部分を外すと自分がくっつく。
 
「これでドリルを回転する要領でやってみてくれ。」
 
「えっ?」
 
「いいから!」
 
「コレ以上時間長引クトドップラー博士困ル。ソロソロ終ワリニスル!!」
 
とどめを刺そうとマサイダーは、ドリルを回転させて二人に向かって来る。マンドリラーはドリルを回転させるようにビートブードが掴まっている右腕を回転させる。
 
「酔うんじゃないの?」
 
「うぅ・・・・・気にするな!これに続けて電流流して!!」
 
「そんなことしたらショートしちゃうよ?」
 
「後でケイン博士に直してもらえばいいから!」
 
「うん・・・・・・わかったよ。」
 
ビートブードの指示の元マンドリラーは、右腕に電流を流す。回転していることもあって右腕はまるで電流を帯びた巨大なドリルのように見えた。
 
「よし、このまま突っ込め!!」
 
「どうなっても知らないよ。」
 
「クタバレ!!」
 
「ブラアァァアアアアア!!!」
 
右腕を前にしてマンドリラーはマサイダーへと向かって行く。
 
「無駄ナコトヲ!今、楽ニシテヤル!!」
 
双方の攻撃が激突すると同時にマンドリラーの右腕に帯びていた電流がマサイダーを直撃する。
 
「グオォオオオオ!?ナ、ナンナンダコレハァア!?」
 
「ドリルに電気を帯び立たせて伝導率を上げたんだ!確かに普通に使えば効果は薄まるが武器に帯びたたせて使えば効果はそのままだ!」
 
「グオォォオオオオ!?カ、体ガショートスルッウゥウウウ!?」
 
かつてエックスがアルマージを倒した時のようにマサイダーは体のあちこちから煙を吹き出す。同時にドリルの回転が止まり、ビートブードの角が彼の胸部を貫く。
 
「ガ、ガァア・・・・・・」
 
動力部を貫かれてマサイダーは膝をついてそのまま機能を停止する。それを確認するとマンドリラーは電流を止め、回転を止めた。止まると身体から煙を吹き出したビートブードがゆっくりと離れた。
 
「大丈夫かい?」
 
「ゲフン、ゲフン・・・・・・・後少し遅かったら兄貴のところへ行ってたかも・・・・・・」
 
ビートブードはゆっくり起き上がると機能停止したマサイダーの方を見る。
 
「コイツを連れて帰って調べたいところだけど俺たちの状態じゃな・・・・・」
 
「これ使って運べばいいんじゃないか?」
 
マンドリラーは後方にあるコンテナを見て言う。
 
「そうだな。でも、今の時代トロッコって・・・・・」
 
「乗れるだけましなんだから贅沢は言わない方がいいと思うよ?」
 
二人はマサイダーをコンテナ乗せると待機してあったトロッコに繋いでゆっくり出口を目指して進んで行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
エネルゲン水晶鉱山 外
 
トロッコは、ゆっくりと外へ出た。
 
「うわぁ・・・・意外にも俺たちが入った入り口の反対側にあったんだ・・・・・・」
 
「木を見て森を見ずとはこのことを言うんだろうね~。」
 
トロッコを止めるとビートブードは早速ハンターベースと連絡を取ってマサイダーの回収を頼む。
 
「通信はこれで良しと。後は・・・・・」
 
「ビートブード、あれなんだろう?」
 
「ん?」
 
マンドリラーの指さす方を見てビートブードはあっと声を出した。
 
そこには以前カウンターハンター基地で見たカプセルが待機状態であったからだ。ビートブードが前に立ってみると案の定カプセルが開き、ライトが姿を現した。
 
『君はビートブードだったかな?エックスがいつも世話になっている。』
 
「あ、あっ、いえ・・・・・・俺も隊長には随分世話になっているので。」
 
『本来ならエックスに直接このカプセルに入って装着してほしいのじゃが、ただでさえこの事態じゃ。わしの代わりにエックスにパーツを届けてほしい。』
 
「構いませんよ。」
 
ビートブードが返事をするとカプセルにヘッドパーツが出現する。
 
『今回のヘッドパーツは、前回の探知機能を強化して、最新鋭の人工衛星から送られるデータをもとに、その地帯の簡易的な情報マップを表示してくれる。これなら敵の位置もある程度正確に教えてくれるはずじゃ。後、ヘッドパーツ用の強化チップも授けよう。このチップは微弱だがダメージを回復する機能を有している。ある程度のダメージならこれですぐに治癒してくれるはずじゃ。』
 
「わかりました。パーツと強化チップ、エックス隊長にお渡ししておきます。」
 
『頼んだぞ。』
 
「ところでえっと・・・・・・ライト博士。」
 
『?何かね?』
 
「貴方とエックス隊長っていったいどういう関係なんですか?」
 
『ふむ・・・・・・そのことに関してはあまり明言することはできんが少なくとも君達の味方であることに変わりはないよ。だが、わしにはパワーアップパーツを渡すことしかできない。どうか、エックスのことをサポートしてほしい。』
 
「・・・・大丈夫ですよ。今でも副隊長がしっかり支えてくれていますし、俺たち17部隊も頑張っていますから!」
 
ビートブードは、カプセルからパーツとチップを受け取るとマンドリラーのところに戻ってハンターベースへと戻って行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
???
 
「・・・・・よし、まあこれで見た目は奴にでも遠目では気づかんだろう。」
 
とある廃工場で何者かが何かを組み立て終えたところだった。
 
「音声も取っておいた。これで奴をおびき寄せ・・・・・クッ!また頭が!!」
 
レプリロイドは両手で頭を押さえて苦しむ。
 
「・・・クッ!待ってろよエックス・・・・・・お前に見せてやる・・・・・地獄を見て来た俺の『鬼』をよ・・・・・・」 

 

VAVA MK-II

 
前書き
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 (〒 )
㏄  )))) 

 
ハンターベース
 
「エックス隊長、ライト博士から預かったヘッドパーツと強化チップです。」
 
マサイダーを捕獲したビートブードは、修理の順番をマンドリラーの方を先にしてもらい自分はパーツを届けるべく、エックスの部屋に戻ってきていた。
 
「ありがとう、ビートブード。君も早くケイン博士に診てもらって休んでくれ。」
 
「はい、流石に今回ばかりは本当に兄貴の元へ逝くところでしたからね。ハッハハハハ・・・・・」
 
ビートブードは笑いながらもヨロヨロしながら部屋を後にしていく。エックスは早速ヘッドパーツを装着して次のイレギュラーに占拠されたエリアを確認し始める。
 
「残りは電力管理センター、造船所、後は・・・・・・・」
 
そこへ部下の一般ハンターが慌てて入ってきた。
 
「エックス隊長大変です!行方不明になっていた元イレギュラーハンター スティング・カメリーオが空軍の空母を占拠しました!?」
 
「何ッ!?」
 
その報告を聞いてエックスは唖然とする。
 
カメリーオがドップラー軍との戦闘の時脱走していたのは知っていたがまさかこのタイミングで姿を現すとは思ってもみなかった。
 
「弱ったな・・・・・・ゼロも動けないし、ビートブードもマンドリラーも今修理中。動けるのはマーティと俺だけか・・・・・・」
 
「現在、空港でイーグリード隊長の第7空挺部隊、ドラグーン隊長率いる第14特殊部隊が共同で足止めをしていますが未だに内部へは侵入できません。」
 
「・・・・・・わかった。俺とマーティたちで気づかれないように潜入する。イーグリードたちにはカメリーオに俺たちのことが気付かれないように引き続き攻撃を続行するよう伝えてくれ。」
 
「はっ!」
 
一般ハンターは急いでエックスの部屋から出ていく。
 
「今回ばかりはみんなを置いていった方がいいかもしれないな・・・・・でも、まさかカメリーオがまた同じことをするなんて。これじゃあ、もう処分は逃れられないぞ・・・・・・・」
 
エックスは考え事をしながら部屋を後にする。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
空港
 
空港ではイーグリード率いる第7空挺部隊、爆炎の武道家 マグマード・ドラグーン隊長率いる第14特殊部隊が空母を占拠したカメリーオに対して攻撃を続けていた。
 
「カメリーオ!警告する!!大人しく武装解除をして投降しろ!繰り返す、これ以上抵抗するならば我々イレギュラーハンターは空母に総攻撃を開始する!これは脅しじゃないぞ!」
 
旗艦「デスログマー・改」の艦橋でイーグリードはカメリーオに向かって投降するよう呼びかける。
 
「・・・・・・イーグリード、一つ言わせてもらうがあのカメリーオのことだ。これ以上言っても無駄だと思うのだが・・・・・・・」
 
イーグリードと共に共同戦線をしているマグマード・ドラグーンは腕を組みながら投降を呼びかけるイーグリードに言う。
 
「だが、ドラグーン。あの空母には試作のミサイルやら物騒なものが積まれている。無暗に刺激を与えて爆発でもしたら取り返しのつかないことになってしまうぞ。」
 
「それが奴の狙いだ。俺たちが迂闊に攻撃できないことを知ったうえでそれらの武器を俺たちに向かって使う危険性の方が高い。ここは俺たちの部隊が・・・・・・」
 
ドラグーンが言いかけたとき、ティルが書類を持ってイーグリードの元へ来た。
 
「イーグリード、これ。」
 
イーグリードは彼女から書類を受け取ると目を通す。
 
「・・・・・・そうか。わかった。俺たちは引き続きここで威嚇を続ける。」
 
「何があったんだ?」
 
「エックスたちが空母の背後から潜入してカメリーオを確保するそうだ。俺たちは、引き続きここで威嚇と投降の呼びかけを続ける。急に態度を変えたらカメリーオが怪しむからな。」
 
「また、エックスか・・・・・・」
 
ドラグーンは、艦橋から空母を見る。
 
「・・・・・大した男だ。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
空母
 
イーグリードたちが報告を聞いている頃、エックスたちはカメリーオが占拠した空母へと侵入していた。
 
「・・・・・・結局みんなで来る羽目になってしまった。」
 
ジャイアン達に今回ばかりは来るなと言いたかったのだがメンバーが欠けていることもあって一緒に行動することになってしまった。昔から一緒に冒険してきたから致し方ないと思いながらエックスは玉美と手を繋ぎながら空母の中を歩いて行く。
 
「いいかい?今回はこの空母の無力化とカメリーオの確保が目的なんだ。下手に騒いで事態を大きくしないでくれよ。」
 
「わかったけどよ・・・・・のび太。お前なんでカメリーオなんて生かしておいたんだ?」
 
ジャイアンが不思議がるのも無理はない。カメリーオはジャイアンたちが知っているロックマンXでも似たような性格だったらしく倒されて当然だと思っていたからだ。
 
「人間に悪い者や良い者がいるようにレプリロイドも同じように人それぞれ違うんだ。悪いからと言って破壊するのはいけないだろう?」
 
「まあ、それはそれでのび太らしいと思うよ。でもさ、カメリーオは多分死んでもあの性格治らないと思うよ?」
 
「・・・・・・・・そうだけどさ。」
 
一同がそう話している間にヘッドパーツのセンサーに何か反応があった。
 
「何かこの先に何かあるみたい・・・・・」
 
「また、おじいさんのカプセルかしら?」
 
反応のある方へ行ってみるとそこにはカプセルがあった。
 
「おっ!やっぱあったじゃん!」
 
「でも、ジャングルで見たものよりもなんか大きく見えない?」
 
しずかが疑問に思うのも無理はない。カプセルは何故か展開状態になっており、色も若干異なっているからだ。
 
「・・・・・でも、罠だったらとっくに何か起こるはずだし、害はないんじゃないかな?」
 
「そうだぜ、しずかちゃん。ひょっとしたら波動拳や昇龍拳みたいな隠し技かもしれないぜ?」
 
「・・・・・それでも何か心配だわ。」
 
一同が心配する中、エックスはカプセルに入ってみる。するといつも通りの反応が起こり始めるが何かおかしかった。
 
「あれ?やっぱり、なんか様子が変よ?」
 
「もしかして・・・・・転送装置?」
 
マーティが言いかけたときエックスの姿が消えた。
 
「エックス!?」
 
「「「のび(さん)!?」」」
 
「お兄ちゃん!!」
 
玉美は、ミニドラと一緒に後を追おうとカプセルに入る。
 
「あっ!玉美ちゃん、行っちゃダメだ!!」
 
スネ夫は慌てて連れ戻そうとするが捕まえようとした瞬間玉美もミニドラと一緒に転送されてしまう。同時に装置も機能停止する。
 
「やばいぜこれは!早く再起動させて戻さないと!?」
 
マーティは転送装置を再起動させようとするがエネルギーが底を尽きていた。
 
「エネルギーがもう残っていないわ。どこかで補充しなくちゃ・・・・・」
 
その直後、空母内に警報が響く。
 
「やべっ!?もしかして見つかった!?」
 
「飽くまでも推測だけど転送装置のエネルギーがセンサーにキャッチされちゃったのかも・・・・・・」
 
「仕方ないわ。みんな、一旦ここから離れるわよ!」
 
マーティは三人を連れてカメリーオのいる空母の最深部へと向かうべくその場を去って行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
???
 
「ここは?」
 
エックスは、見覚えのない廃工場に転送されていた。辺りを見回していると玉美がミニドラを連れて転送されてきた。
 
「お兄ちゃん!」
 
「玉美、お前までここに転送されたのか?」
 
「お兄ちゃんの後をついて行ったらここにいたの。」
 
「そうか・・・・・・・まさかあんなところに転送装置が・・・・・ん?」
 
エックスは急に顔を上げて辺りに警戒する。
 
「どうしたのお兄ちゃん?」
 
「・・・・・声がする。」
 
「声?」
 
「耳を澄ましてごらん。」
 
エックスに言われて玉美は耳を澄ましてみる。すると確かに何かの声が聞こえて来た。
 
『・・・・・・くん・・・・・・・・・けて・・・・・・』
 
「何を言っているんだ?でも、この声・・・・・」
 
『の・・・・・・くん・た・・・・・・けて・・・・』
 
よく聞いてみると聞き覚えのある懐かしい声だった。
 
「もしかして・・・・・・」
 
『のび太くん・・・・・・・助けて・・・・・』
 
「ドラえもん!」
 
声の正体がわかるとエックスは驚く。それは玉美も同じだった。
 
「ドラえもん?ドラえもんなの!?」
 
『のび太くん・・・・・助けて・・・・』
 
「ドラえもん!」
 
エックスは、玉美をおんぶするとバスターでメカニロイドを破壊しながら声のした方を目指してダッシュ移動する。
 
『のび太くん、助けて・・・・』
 
「待っててくれ、ドラえもん!今、助けに行くから!!」
 
ドラえもんに会いたい一心でエックスは玉美に攻撃が当たらないように避けながら壁を昇っていく。上り終えるとそこには一つの大きな扉があった。
 
「この先だ!」
 
エックスは玉美を降ろすとバスターで扉を破壊する。部屋の奥には青い大きな頭のなにかがロープで縛られていた。
 
「ドラえもん!!」
 
『のび太くん、助けて・・・・・』
 
「ドラえもんだ!」
 
エックスは急いでドラえもん?の方へと駆けて行く。
 
「ドラえもん!今すぐ助け・・・・・・!?」
 
ドラえもん?に手を掛けようとした瞬間、ドラえもん?はバラバラになってしまった。エックスはあまりの出来事に破片をかき集める。
 
「こ、これは・・・・・・」
 
よく見るとそれはドラえもんではなく青い塗料を塗って似せた作り物だった。中にはドラえもんの声を録音したボイスレコーダーが流れている。
 
「そ、そんな・・・・・!」
 
落胆しかけたエックスだったがすぐ背後から何かが迫ってくると感じ、玉美を抱えて急いで回避した。それは、スクラップを踏み潰し、すぐに後ろを向いたエックスを見下ろしていた。
 
「クッククク・・・・・・あんな浅はかな罠に嵌るとは相変わらず甘いな、エックス。」
 
「お、お前は・・・・・・・・」
 
目の前に現れた者にエックスは唖然とした。
 
パーソナルカラーは多少は変わっていたものの見覚えのある姿。自分が倒したはずの元同僚であり、ゼロと自分を窮地に追いやったイレギュラー。
 
「VAVA?!そ、そんな馬鹿な!?生きていたのか!?」
 
エックスの驚いた顔に玉美はよく理解できないでいた。VAVAは、そんなエックスを他所に余裕そうにライドアーマーに乗っている。
 
「死んだとも、お前のおかげでな。だが、こうして地獄から戻ってきた。パワーアップしてな。」
 
「そんなことが・・・・・・」
 
「この工場には至る所に爆弾が仕掛けてある。しばらくするとお前諸共吹き飛ぶようにな。」
 
「なっ!?」
 
VAVAの言葉にエックスは動揺する。
 
「さあ、俺がお前を倒すのが先か、それともお前がこの工場諸共吹っ飛ぶのが先か。勝負と行こうぜ?」
 
「・・・・・・・玉美。俺から離れてろ。」
 
「お、お兄ちゃん・・・・・・・」
 
険しい顔をするエックスに対して玉美は心配しながらも離れて行った。エックスはバスターを展開してVAVAと対峙する。
 
「ドラえもんを利用して・・・・・・・そこまで俺に復讐がしたいのか!VAVA!!」
 
「復讐?フン、そんなことはどうでもいい。俺はお前が気に喰わないだけだ!!」
 
VAVAはキメラに酷似したライドアーマーを操縦してエックスに襲い掛かる。 

 

スティング・カメリーオ(リベンジ戦)

 
前書き
カメリーオの回だぜ!
えっ?内容が短い?
そんなことはないぜ。
VAVAが勝手に出番を取っただけだからな!!
 

 
空母 最深部
 
『警告する!カメリーオ、大人しく投降しろ!』
 
「ににに・・・・・誰が投降なんかするかよ。したらしたで今度こそ終わりよ。」
 
カメリーオは空母の管制室から投降を呼びかけているイーグリードの声を聴いて言う。
 
正直言って投降する意思は全くない。
 
いや、投降したところで末路はわかりきっているため、投降するのならひと暴れしてくたばった方がマシという考えがあると言った方が正しいのかもしれない。
 
「ドップラーの老いぼれの話に乗って奪った空母でシティを空爆しようと思っていたがこんな簡単にバレるとはな。まあ、幸いこの空母には物騒な物が大量に積み込んである。コイツを盾にして利用すればアイツらも手足も出せねえはずだ。」
 
カメリーオは、そう言うと空母のミサイルを装填し始める。
 
「ににに、悪いなイーグリード。俺はお前と違ってこの場を逃れれば何とでもなるんだよ。」
 
装填が完了し、カメリーオは発射ボタンを押そうとする。
 
「もうすぐ空母の燃料も満タンだな。満タンになったと同時にミサイルを撃ってこの場から・・・・・・・」
 
『ワオォン!!』
 
「アダッ!?」
 
突然背後から何かに尻尾を噛まれ、カメリーオは飛び上がる。後ろを見るとラッシュがカメリーオの尻尾に噛みついていた。
 
「な、なんだこの犬型は!?離れろ!」
 
『グルルル!』
 
カメリーオはラッシュを吹き飛ばそうと尻尾を揺らすがラッシュの噛む力が強くなるだけで全く離れない。そこへ遅れてマーティたちが突撃してきた。
 
「カメリーオ、大人しく捕まりなさい!!」
 
「にに!?てめえはエックスの女じゃねえか!?くそ!いつの間に乗り込んでいやがったのか!」
 
カメリーオはラッシュに構うのをやめて一行と対峙する。
 
「うわぁ・・・・・・本当にカメリーオだ。」
 
「でも、見た目は大して変わってねえじゃねえか。」
 
「ににに!どいつもこいつも俺のことをバカにしやがって!」
 
カメリーオは、ラッシュを無理矢理離すと透明になって姿を消す。
 
「あっ!透明になりやがった!?」
 
「大丈夫だよジャイアン。カメリーオは攻撃する時は必ず姿を見せるんだから。」
 
スネ夫がそう言った直後カメリーオのカメレオンスティングが飛んできた。
 
「あれ?」
 
『にににに!馬鹿め!ドップラーの爺のアップグレードのおかげで俺様は光学迷彩を解除しなくても攻撃できるようになったのよ!』
 
更に何かの衝撃でマーティが壁にぶつけられる。
 
「グッ!?」
 
『ざまあねえな!エックスはどこへ行ったかは知らねえがどの道お前らはここで終わりよ!』
 
「きたねえぞ!堂々と勝負しやがれ!!」
 
『ににに、自分から出てくる馬鹿なんていないのよ!』
 
カメリーオは、姿が見えないことをいいことにジャイアン達にも攻撃を始める。ジャイアンたちはどうにか避けるが一歩でも間違えれば大けがは逃れられない。
 
『にににに!愉快だな!ほれほれ!踊れ踊れ!』
 
「クッソ~!」
 
ジャイアンは悔しそうな顔をするが姿が見えない以上攻撃することはできない。
 
『さてと、そろそろ終わりにしてイーグリードの奴らを吹っ飛ば・・・・・』
 
『ワンッ!!』
 
 
ガブリ!
 
 
『イデデデデデデデデデデデ!!!!』
 
ラッシュは見えない何かに噛みついて部屋全体にカメリーオの悲鳴が響く。
 
『いででで!離れろこのワン公!』
 
『グウウ!!』
 
『イデデデデ!イデ!俺の尻尾を噛むな!』
 
ラッシュが不自然に宙に浮く。ジャイアンたちは呆気にとられた顔でその光景を見る。
 
「・・・・どうやら、迷彩は解けなくても攻撃は通じるようね。」
 
マーティはよろっと起き上がると属性チップをバスターショットに装填しフルチャージで床に撃つ。すると姿は見えないもののカメリーオの足の形が見えた。
 
『にに!?』
 
「どうやらそこに隠れていたようね!」
 
マーティは順にフルチャージショットで凍り付かせてカメリーオの全貌を晒しだす。
 
『に、ににに・・・・・・・う、動けない・・・・・・』
 
カメリーオが動けなるとラッシュは尻尾を離し、マーティの所へと戻ってくる。
 
『ワン、ワン!』
 
「よくやったわラッシュ。貴方のおかげで捕まえることに成功したわ。」
 
『ハッ、ハッ、ハッ。』
 
マーティに撫でられてラッシュは満足そうだった。マーティは空母の通信機でイーグリードと連絡を取る。
 
「こちらマーティ、カメリーオの確保に成功したわ。」
 
『そうか、やってくれたか!我々もそちらへ向かう。』
 
「えぇ、できるだけ早く来て。エックスが何か試作の転送装置でどこかへ飛ばされちゃったから・・・・・」
 
マーティは通信を終えると、バッテリーパックを運ぶ準備を始める。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
廃工場
 
「クロスチャージショット!!」
 
「・・・・・・」
 
エックスのチャージショットによってVAVAのライドアーマーは吹き飛ばされる。VAVAは、無言のまま着地する。
 
「・・・・・・・・つまらん。」
 
「何!?」
 
VAVAの言った言葉にエックスは言う。
 
「ライドアーマーを破壊するのにこれほどの時間がかかるとはな・・・・・・正直言ってガッカリだ。」
 
「な、何を言っているんだ!?」
 
「“鬼”と化した俺には満足できねえってことだよ。」
 
VAVAは、一瞬にしてエックスの目の前にまで接近し、拳をエックスの腹に撃ち込む。
 
「グッ!?」
 
「この程度か、エックス?アーマーがないお前はこの程度の攻撃でへばるのか?」
 
「くっ!トルネードファング!!」
 
エックスは、腹を押さえながら特殊武器をVAVAに向けて撃つ。しかし、VAVAは、腕のバルカンや肩のキャノン砲ですぐに相殺してしまう。
 
「鈍い・・・・・・あまりにも鈍すぎる。これが一度俺を殺したレプリロイドの力か。」
 
「くそ!」
 
特殊武器も通じないと焦ったエックスは波動拳を撃つ態勢に入る。
 
「シグマを仕留めた技か。」
 
「これなら通じるはずだ!」
 
両腕にエネルギーが蓄積し、スパークを放ち始める。対するVAVAは身構えることなく立っていた。
 
「波動拳!!」
 
両手から放たれたすさまじいエネルギーは、VAVAへと向かって行く。
 
「・・・・・・確かに凄まじいエネルギーだ。だが、殺気も何も感じねえ・・・・・・ただの見掛け倒しよ。」
 
VAVAは、右腕の人差し指を目の前に突き立てる。すると命中したはずのエネルギーの塊は指先で拡散していった。
 
「なっ!?」
 
「シグマを倒した技がこの程度か。失望にもほどがあるぞ。」
 
波動拳が効かなかったことに愕然としたエックスにVAVAは、肩のキャノン砲を向ける。
 
「ストレートナイトメア 。」
 
砲身から放たれたレーザーはエックスへと迫る。
 
「うっ!」
 
エックスはすぐに上空へと逃げるが次に上を向くとそこには既にVAVAが待ち構えていた。
 
「そ、そんな!?」
 
「ゴールデンライト!」
 
「グッ!?グッガァ!?」
 
VAVAから飛ばされた右腕がエックスの頭に直撃する。凄まじい衝撃がエックスを襲い、エックスははるか後方へと吹き飛ばされていった。
 
「お兄ちゃん!!」
 
玉美は急いでエックスの方へと駆けて行く。VAVAは、そんな玉美を他所にエックスの方へと歩いてくる。
 
「どうしたエックス?俺を倒すんじゃなかったのか?オラ!」
 
エックスに寄り添う玉美を摘まみだすとVAVAは、エックスを思いっきり蹴り上げる。
 
「ガッ!!」
 
「あの時のお前はどこへ行った!?ゼロを死なせたときになったお前は!?」
 
VAVAは、エックスの頭を踏みつけながら叫ぶ。
 
「あの時の気迫を、シグマが言っていたお前の真の力を見せてみろよ!」
 
「やめてよ!」
 
玉美は泣きながらVAVAの足を掴む。
 
「お兄ちゃんが死んじゃう!」
 
「どいてろ、ガキに用はねえ!」
 
「きゃあ!」
 
VAVAは、玉美を軽く蹴り上げると肩のキャノン砲をエックスに向ける。
 
「所詮は、この程度か。“鬼”となったこの俺には大したことがなかったようだな。」
 
VAVAは、キャノン砲のオプションを変更し、チャージを始める。
 
「お兄ちゃん・・・・・」
 
痛みに耐えながら玉美はエックスの方を見る。
 
「死ね、エックス・・・・・・・!」
 
その直後、何かの気配を感じ、VAVAはエックスから離れる。そこにはマーティとジャイアンたちが駆けつけていた。
 
「ちっ、邪魔者が入ってきやがったか。」
 
「エックス!」
 
倒れているエックスを見てマーティは言葉を失う。
 
「ジャイアン、あれはVAVAだよ!初代で死んだはずなのに!」
 
「んなこと言わなくたって分かる!取り敢えずのび太を助け出すんだ!」
 
ジャイアンは空気砲を構えながらエックスの方へと回って行く。
 
「・・・・・・・フン、気が失せた。」
 
VAVAは、構えるのをやめてその場から離れ始める。
 
「あっ!?この野郎!逃げる気か!?」
 
「逃げる?勘違いするな。この場は逃してやると言っているんだ。」
 
VAVAは、エックスの方へと向き直る。
 
「そこの甘ちゃんハンターに言っておいてやれ!俺と戦うのなら“鬼”となれとな!」
 
「「お、鬼?」」
 
「・・・・・チッ!また、痛みが!」
 
VAVAは、頭を押さえながらその場から消える。
 
「何言っていやがったんだ、アイツ。」
 
「みんな、とにかく時間があまりないわ!急いで脱出しましょう!」
 
しずかは玉美を背負いながら言う。
 
一同は急いで爆弾がセットされた工場を後にする。
 
マーティに背負われているエックスは失った意識の中で微かに何かを言っていた。
 
 
(VA・・・・・VA・・・・・・・・・) 

 

エレキテル・ナマズロス

 
前書き
さあ、みんな集まって!
ジャイアンリサイタルが始まるよ!(逃げろ!!) 

 
ハンターベース
 
「え、エックス!?」
 
戻ってきたエックスを見てケインは言葉を失う。
 
「じいさん、早く修理を!」
 
「・・・・お、おう。分かっておるわい!」
 
作業台に乗せるとケインは、エックスの損傷具合を確認し始める。
 
「・・・・・・・」
 
「ねえ、エックス大丈夫よね?」
 
「・・・・・・・」
 
「お兄ちゃん大丈夫!?」
 
「のび太は助かるよな!?」
 
「どうなの!?」
 
「えぇーい!みんな揃いに揃ってやかましくて集中できんわ!全員外に出ておれ!!」
 
ケインに怒鳴られるとマーティたちはメンテナンスルームから追い出されてしまった。
 
「お兄ちゃん・・・・・・」
 
玉美は不安そうな顔で扉の方を見ていた。
 
「・・・・大丈夫よ、エックスのことだもん。明日になればきっと元気な姿で出てくるわよ・・・・・」
 
マーティは励ますように言うがその彼女の表情も著しくなかった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
???
 
「・・・・・ん?ここは?」
 
エックスは、暗闇の中で意識を取り戻した。周囲は暗闇に閉ざされており、何があるのか確認することができない。
 
「・・・・・そうだ!玉美は?玉美!」
 
『お兄ちゃーん!』
 
後ろからの声を聴いてエックスは振り向く。
 
「玉美!」
 
『助けてー!』
 
「待ってろ!すぐに・・・・・!?」
 
その直後、走って逃げている玉美のすぐ後ろに何かが現れた。
 
「シグマ!?」
 
『ファーハッハッハッハ!!』
 
シグマはサーベルを展開して玉美を背後から斬った。
 
『きゃあぁああああ!!!』
 
「玉美!!」
 
『エックス!』
 
「はっ!?」
 
また違う方へと向くとマーティがボロボロになりながら自分へと近づいて来ていた。
 
「マーティ!」
 
『た・・・・・助け・・・・・』
 
その瞬間、マーティは、背後からの攻撃で蜂の巣にされて倒れる。倒れた彼女の後ろにはVAVAが立っていた。
 
「VAVA!」
 
『クックックックッ・・・・・・』
 
「くそぉおおおおおお!!!」
 
エックスは、バスターでVAVAとシグマに向かって撃つ。
 
『ぐおぉ・・・・・・』
 
『があぁ・・・・・・・』
 
「やった・・・・・・!?」
 
しかし、撃った直後シグマとVAVAの姿は消え、体に穴が開いたジャイアン達だった。
 
「ジャイアン・・・・・スネ夫・・・・・・・しずかちゃん・・・・・・・」
 
エックスは体を振るえさせながら自分のバスターを見る。
 
「お、俺が・・・・・・・俺が殺ったのか・・・・・・」
 
『のび太くん!』
 
「!?」
 
聞き覚えのある声にエックスは振り向こうとする。
 
「ドラえも・・・・!?」
 
しかし、そこに立っているのはかつての親友ではなく巨大な顔のシグマだった。
 
「うわあああああああああああ!!!」
 
『ファーハッハッハッハッハッハッハッ!!!』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
メンテナンスルーム 作業台
 
「はっ!?」
 
「おぉ!エックス!意識が戻りおったか!」
 
目を覚ましたエックスを見てケインは安堵の表情を浮かべる。エックスは周囲を確認しながらケインの方に向き直る。
 
「け、ケイン博士・・・・・・?」
 
「全く運のいい奴じゃわい。ここまでボロボロになっても意識を取り戻すとはのう。」
 
「お、俺は確か・・・・・」
 
「VAVAに負けて動けなくなったお前をみんなが運んできてくれたんじゃ。」
 
「・・・・・・・っ!」
 
エックスは思わず上半身を起こす。
 
あの夢に起こったことがどうしても頭から離れない。
 
そんなエックスに対してケインはそっと彼をまた寝かせた。
 
「無理はよせ。お前は今目を覚ましたばっかりなんじゃ。しばらく体を休ませるんじゃ。」
 
「し、しかし・・・・・・・・・」
 
「マーティが心配しとったぞ。大丈夫なのかって。」
 
「・・・・・彼女たちは?」
 
「あぁ、今日眠っておるお前を見た後、電力管理センターへと向かったわい。」
 
「そ、そんな!?・・・・グッ!?」
 
「心配するな、ビートブードとマンドリラーも一緒に行ったんじゃ。」
 
「・・・・・・・そうですか。」
 
エックスは、再び目をつむる。
 
「今日は一日ゆっくり休め。お前が倒れたらあの子が一番悲しむんじゃからのう。」
 
「・・・・・・・」
 
エックスは、スリープモードへと切り替えまた眠りについた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
電力管理センター
 
一方電力管理センターでは・・・・・
 
「うぉぉぉおおおおおおお~!!」
 
「うおぉおおお~!!!」
 
何故かジャイアンと一体のナマズ型レプリロイドが一緒に号泣していた。
 
「何と悲しい事だったんだ~!本当は歌手になりたかったのに発電機として使われるなんて~!!」
 
「おめぇはわかってくれるか!オデがどれだけ自分の夢を潰して人に尽くしてきたのかを~!」
 
このイレギュラー エレキテル・ナマズロスは、確かにドップラーの手によってイレギュラー化している。
 
しかし、一同がセンターに来て驚いたことはセンター全体がライブ会場(?)に改造されていることだった。そしてひどいう・・・・・ではなく歌を歌っていたナマズロスを発見し、訳を聞くと同じ歌手志望であるジャイアンが同情して泣いているという事だった。
 
「俺もわかるぜ!その気持ち!自分の歌を否定されたとき、どんなに辛いことか!」
 
「そうだども!オデは歌が好きなんで歌う事を否定する奴らの気が知れねえんだぁ!」
 
「・・・・・ねえ、みんな。ここはジャイアンに任せて僕たちは帰ろうよ・・・・・・・」
 
スネ夫は不安そうな顔でみんなを見る。しずかも何かを察しているようだった。
 
「・・・・?アンタ達、なんでそんなに怯えているの?」
 
「う~ん~あんな風に花を咲かせているのがそんなにおかしいのかな?」
 
「おかしい以前の問題だよ!?早くここから離れないと・・・・・・」
 
「おーい、スネ夫、しずかちゃん!」
 
「「!?」」
 
ジャイアンに声を掛けられて二人はゾッとする。
 
「悪いんだけどよ着せ替えカメラ出してくれよ。」
 
「な、何するのジャイアン?」
 
「俺は、新たな友、ナマズロスとチームユニットを組んでプロを目指すことにした!これからのアイドルはグループが主題だからな!よって、ここで俺たちチームの初リサイタルを開く!」
 
「ん?」
 
「リサイタル?」
 
「やっぱり来た・・・・・・・」
 
スネ夫は顔を青くしながら言う。
 
 
ジャイアンリサイタル
 
それは、スネ夫たちにとってある意味 拷問に近い物であり町内では地獄のイベントともいえる。
 
それはジャイアンのこの世のものとは思えない恐るべき歌を何時間も聞かされるという・・・・・・・・ここ数年学生生活でリサイタル活動が行われなかったため諦めたのかと思われていたが・・・・・・
 
「スネ夫、俺に似合うデザインで頼むぞ!」
 
「わ、わかったよ・・・・・」
 
スネ夫はいやいや衣装のイラストを描き始める。
 
ちなみにこの現場に玉美とビートブードはいない。
 
ラッシュが何かを嗅ぎつけたらしく途中で別れたためである。
 
「で、できたよ・・・・・」
 
スネ夫は二枚の絵を着せ替えカメラに入れる。そして、2人に向かってシャッターを押すとジャイアンとナマズロスは、たちまち今どきの暴走族のような格好になる。
 
「おおう!活かすデザインじゃねえか!」
 
「うおぉお!燃えて来たどー!!」
 
2人のやる気にスネ夫としずかは怯える。
 
「それじゃあ、早速剛田武&エレキテル・ナマズロスによるグループユニット『ストロング・スパーキングズ』の初リサイタルを開催する!!」
 
「「お、おう・・・・・・」」
 
「一体どんなものなのよ・・・・・・・・」
 
微妙な空気の中恐るべきリサイタルが開催されようとしていた。
 
「では、早速俺の新曲『恋はマルチメディア』からいくぜ~!」
 
「おうおう!」
 
2人が深呼吸をし、スネ夫たちは腹に力を入れて備える。
 
 
 
 
 
 
「「こぉおおおおいぃい~はぁ~~マルチメディィイイアァ~~~!!」」

 
 
 
 
 
「「!?」」
 
この世のものとは思えないひどい歌声にマーティとマンドリラーは思わず飛び上がる。
 
「な、なんなのよ!?この歌は!?」
 
「頭が痛くなってきたよ・・・・・・」
 
 
「「おぉお~!!」」
 
 
「うぅ・・・・・相変わらずひどい・・・・・」
 
 
スネ夫は意識が吹き飛ぶのではないかと思いながらもなんとか二人の歌を聴き続ける。
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
四時間後\(^o^)/
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ふう!久しぶりに歌ったからつい歌いすぎちまったぜ!」
 
「おんめえもなかなかいい声してんでねえか!」
 
歌い終えて満足そうな二人に対してスネ夫たちは伸び切っていた。
 
「あ・・・・危なく意識が吹き飛ぶかと思った・・・・・・」
 
ちなみにマーティは既に気を失っている。
 
マンドリラーは途中で考えるのをやめたのか眠っていた。
 
「ふう・・・・・おかげでなんか吹っ切れたような気がするど・・・・・あんがとな、友よ!」
 
「おう!また、一緒に歌おうな!」
 
「あれ?みんな、どうしてのびちゃっているの?」
 
そこへ玉美たちが何かを持って戻ってきた。ビートブードは倒れているマーティを見て思わず飛び上がる。
 
「ふ、副隊長!?どうしたんですか!?」
 
思わず抱き上げるがマーティは完全に意識を失っている。
 
「あんがとな友よ。オデは、ちゃんと反省して捕まるよ。出所したらまた組もうな。」
 
ナマズロスは、満足そうに言いながら投降する意思を見せる。
 
「おっ?玉美ちゃん。なんだその鎧みたいなのは?」
 
「何か白いお髭のおじいちゃんがお兄ちゃんのパワーアップの奴なんだって。」
 
玉美が持っていたもの、それはライト博士から受け取ったボディパーツだった。どうやらラッシュは、カプセルの反応をキャッチしていたようだ。
 
「ところでなんで武お兄ちゃんそんな格好しているの?」
 
「これかい?俺、今この人とリサイタルしていたの!」
 
「りさいたる?」
 
「今度またやるからその時は玉美ちゃんにも聞かせてやるよ!」
 
「うん!わかった!」
 
何も知らない玉美は嬉しそうに答える。
 
「無知とは・・・・・時に恐ろしいものを知らないから怖いものだ・・・・・・・」
 
スネ夫はさりげなく独り言を言った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース
 
「ただいま!」
 
玉美はボディパーツを持ってメンテナンスルームへと走ってきた。
 
「お兄ちゃん!」
 
エックスが眠っているはずの部屋に入ったが眠っているはずのエックスの姿が見当たらない。
 
「お兄ちゃん?」
 
玉美はエックスを探し始める。しかし、どの部屋にもエックスの姿は見当たらない。玉美はどんどん不安になってくる。
 
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!?」
 
部屋に戻ったのではないかと玉美は半泣きの状態でメンテナンスルームを出ようとする。
 
すると、ちょうど入り口からゼロが入ってきた。
 
「おっ、お前もエックスを探しに来たのか!?」
 
ゼロは泣きかけている玉美を見て言う。
 
「お兄ちゃん・・・・・・どこいったの?」
 
「俺にもわからないんだ。アイツ、あんな体で何処へ行きやがったんだ・・・・・」
 
玉美の頭を撫でながらゼロはエックスのことを不安に考える。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
「・・・・・・・・・」
 
そして、エックスは一人、造船所へと乗り込もうとしていた。 

 

殺意の何か

造船所
 
「・・・・・・」
 
エックスは黙ったままバスターでメカニロイドを破壊していた。
 
「・・・・・くっ!」
 
何度消そうとも現れる夢の光景。その拭いきれない不安がエックスを追い込んでいた。
 
『そこの甘ちゃんハンターに言っておいてやれ!俺と戦うのなら“鬼”となれとな!』
 
僅かながら残っているVAVAの言葉が胸に突き刺さる。
 
(“鬼”とは・・・・・・イレギュラーに堕ちろという事なのか?だが、イレギュラー化したら今までの俺を否定することになる。でも、あの時のVAVAの強さは異常だった。バスターは愚か、波動拳すら通じない・・・・・・・そんな奴とどう戦って行けと言うんだ!?くそ!)
 
エックスは、悩みながらも造船所の港近くにまでたどり着く。そして、イレギュラーの占拠している船へと乗り込もうとしたとき、何かが降りてくる気配を感じ足を止める。
 
「そこか!」
 
エックスがバスターを天井に向かって撃つと天井が壊れ、そこから仁王像の如くマンダレーラが降りて来た。
 
「よくぞ我の気配を読んだ!流石は偉大なるドップラー博士が見込んだレプリロイド!」
 
「お前もヴァジュリーラの仲間か!?」
 
「如何にも!我が名はマンダレーラ!ヴァジュリーラと共にドップラー博士に生み出されたナイトメアポリスなり!」
 
マンダレーラは、エックスと対峙しながら言う。
 
「我が宿命ゆえに戦ってもらう!いざ!」
 
(こんなことしている場合じゃないのに・・・・・)
 
エックスが焦っている中、マンダレーラは磁石のようなものを投げる。エックスはこれを回避するが磁石は壁に付着し、磁力でエックスを引き寄せる。
 
「なっ!?」
 
「隙あり!」
 
動揺しているエックスに対してマンダレーラはタックルをし、エックスを掴み上げると片手で振り回し、壁や天井に投げ飛ばす。
 
「グッ!?」
 
何とか着陸し直すもののエックスの体は既に疲弊しきっている状態だった。元々病み上がりだったこともあったがマンダレーラの見た目に劣らぬ怪力がかなりダメージを与えていた。
 
(まずい・・・・・・体がまだ思うように動けない・・・・・)
 
「どうした?ヴァジュリーラを引かせたお前の力はその程度か?」
 
マンダレーラは、エックスを見下ろすかのように見る。
 
「くっ!」
 
エックスは体に鞭を打ってマンダレーラに向かってバスターを放つ。しかし、スピードがヴァジュリーラほどない分マンダレーラの装甲は厚く、チャージされていないバスターは通じなかった。
 
「この程度の攻撃で我を倒せると思っているのか!」
 
マンダレーラはすかさずタックルを仕掛けてくる。エックスは、ヴァリアブルエアダッシュで真上に逃げると壁蹴りをしてマンダレーラの背後へと回りこむ。
 
「トルネードファング!!」
 
「ヌッ!?」
 
背後から飛んできたドリル型ロケット弾をマンダレーラは素手で受け止める。ドリルの回転を押さえている間にエックスは、マンダレーラの真下に接近する。
 
「何っ!?」
 
「昇龍拳!!」
 
手が塞がれたマンダレーラに向かってエックスは昇龍拳を喰らわせる。昇龍拳の威力にマンダレーラは天井に叩きつけられて落下して来るが致命傷にまでは至らず起き上がってきた。
 
「ヌウ・・・・・・・・・流石だな。」
 
「昇龍拳が効いていない・・・・・・」
 
エックスは、愕然としていた。
 
精神的に不安定になっていたこともあったが万全の状態での昇龍拳ならば致命的なダメージを与えられたのは確かだった。
 
VAVAの時の事もあってエックスは、手の震えが止まらなくなってしまった。
 
(俺は・・・・・・俺は・・・・・・・!!)
 
夢で見た光景が鮮明に甦る。
 
斬られた妹。
 
蜂の巣にされた恋人。
 
自分で殺した仲間たち。
 
「ハア・・・ハア・・・・ハア!!」
 
その光景は、エックスの恐怖心をさらに増大させた。
 
「だが、これ以上戦っては我に不利。ここで一気に蹴りを付けさせてもらう!参る!!」
 
マンダレーラは構えを取って先ほどより高速でタックルを仕掛けようとする。エックスは、恐怖心に取り付かれ我を忘れた。
 
「うわああぁぁあああぁぁぁぁああ!!!」
 
そこでエックスの意識は一旦途切れる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
一時間後
 
「反応が正しければ、エックスはここにいるはずだ!」
 
少し遅れてゼロたちは、ようやく造船所へ到着した。近くに散らばるメカニロイドの残骸を確認しながら一同は奥へと進んで行く。
 
「お~い~!のび太~!」
 
「迷子の迷子ののび太や~い。」
 
「のび太さ~ん!」
 
「お兄ちゃ~ん!」
 
「エックス~!」
 
お互い呼びかけながらエックスの行方を捜す。すると港の一歩手前の所で人影が見えた。
 
「お兄ちゃんだ!」
 
玉美は急いで向かって行く。
 
「お兄ちゃ・・・・・・あっ!?」
 
「どうしたの玉美ちゃん・・・・・あっ!?」
 
驚いた玉美を見て何事かと行ってみたら全員が唖然としていた。
 
「・・・・・・また、貴様らか。」
 
そこには、先のダムでの戦いでエックスと交戦したヴァジュリーラが立っていた。
 
「お前たち、下がっていろ!」
 
ゼロはサーベルを展開してヴァジュリーラの目の前に立つ。しかし、ヴァジュリーラの方はかなり苛立っていた。
 
「貴様らか・・・・・・・・よくもマンダレーラを倒してくれたな!!」
 
「何?」
 
ヴァジュリーラの言葉にゼロは、思わずキョトンとした。よく見るとヴァジュリーラのすぐ後ろに無残にも破壊されたマンダレーラの姿があった。
 
「こ、これは!?」
 
「マンダレーラの連絡がなかったと思って来てみれば・・・・・・・貴様らが倒したとはな。」
 
「待て、俺たちはついさっきここに来たばかりだ。お前の相方のことなど知らん。」
 
「しらばっくれたことを・・・・・・マンダレーラの仇、ここで取ってくれるわ!!」
 
ヴァジュリーラは、ビームソードを展開して斬りかかろうとする。しかし、その直後、通信が入る。
 
「ぬっ!?」
 
ヴァジュリーラは通信機に出る。
 
「はい・・・・・なっ!?あれがもうすぐ完成するというのですか!?それで引き上げを・・・・しかし、マンダレーラが・・・・・・・・・・わかりました。すぐに戻ります。」
 
ヴァジュリーラは、通信を切るとゼロたちを睨みつける。
 
「運が良かったな、貴様ら。残念だが我らの主であるドップラー博士の呼び出しで戻らなければならない。・・・・・・・だが、これだけは覚えておけ。貴様ら全員、必ずこの私自らの手で殺してくれる・・・・・・・」
 
ヴァジュリーラは、マンダレーラの亡骸を抱えるとジャンプをしてその場を去って行った。
 
「・・・・・一体何だったのかしら?」
 
「さあな、だが少なくともエックスが破壊したのは間違いないらしい・・・・・・・」
 
先ほどのマンダレーラの残骸を見てゼロは冷や汗をかきながら言う。
 
これまでエックスは多くのイレギュラーを倒してきた。
 
そのほとんどは、無暗に破壊せず急所を狙っているため、原型をほぼ留めているのがほとんどだった。
 
しかし、先ほどのマンダレーラを見る限り、明らかにこれまでのエックスのやり方とは思えないほどのひどさだった。
 
まるでVAVA・・・・・否、それ以上のイレギュラーと思えるほど。
 
「のび太の奴・・・・大丈夫なのか?」
 
「・・・・・信じたくはないがエックスがイレギュラー化したという可能性も否定できない・・・・・・もしそうだったら・・・・・」
 
「やめて!」
 
ゼロが言いかけたところをマーティが叫ぶ。
 
「ま、マーティさん・・・・・」
 
「お姉ちゃん・・・・」
 
「ハア・・・・・・ハア・・・・・エックスに限って、そんなことあるわけないじゃない。きっと何かの間違いよ・・・・・・」
 
マーティは、手を振るえさせながらも言う。その姿を見てゼロは、これ以上は言わない方がいいと判断して歩き出す。
 
「急ぐぞ。エックスを連れ戻さなくちゃな。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
潜水艦
 
「ハア・・・・・ハア!ハア!」
 
造船所に止められていた潜水艦の中でザリガニ型イレギュラー シザーズ・シュリンプァーは、恐怖に怯えた顔で何かと対峙をしていた。
 
「何なんだよ・・・・・・なんなんだよ、お前は!?」
 
「・・・・・・・・」
 
目の前に立っているのはエックスだった。
 
だが、その全身から赤黒い湯気のようなオーラが立ち上っていた。エックスは黙ってバスターをシュリンプァーに向ける。
 
「くそ!!」
 
シュリンプァーは、自慢の鋏でエックスを捕らえようとする。
 
「・・・・・・・」
 
しかし、エックスはまるでスローモーション映像でも見ているかのように残像を残しながら攻撃を回避してしまう。
 
「こいつ!これでもか!」
 
シュリンプァーは、エックスを捕らえようと必死に攻撃を続ける。戦闘用故に元より非常に好戦的かつ凶暴な性格である彼が恐怖を感じるなど通常あり得ない。そのシュリンプァーをエックスは、無慈悲にバスターで攻撃していく。
 
見た目からして明らかにチャージショットだが何かがおかしかった。
 
通常のチャージならば次の光弾が出るまでにわずかながらのタイムロスが発生するのだが今のエックスにその様子は見られない。っというよりはチャージをしているしぐさもない。
 
そして、このチャージショット・・・・・・・エックス同様に赤黒い湯気のようなオーラを放っていた。
 
チャージショットは、シュリンプァーの体を次々と撃ち抜いていき、動けなくした。
 
「・・・・・・・」
 
「た、助けてくれ!!」
 
今まで命乞いをしたことがないシュリンプァーは、迫り来るエックスに対してもう耐えられんとばかりに命乞いを始めた。
 
エックスは、まるで見下すかのような目をしてシュリンプァーを見る。
 
「・・・・・・・それで?」
 
「えっ?」
 
「お前は同じように命乞いをしたレプリロイドを助けたことはあるのか?」
 
「?!?」
 
「お前だってそうなんだろ?命乞いをしていたのに楽しみながら破壊したんだろ?それで自分がいざ同じ立場になった時助けてもらおうだなんて都合がよすぎるんじゃないのか?」
 
「あ、あぁ・・・・・・・・・」
 
シュリンプァーは、エックスの顔を見て絶望した。
 
その顔には慈悲もなければ、情けもない。
 
まるで地獄で罪人を裁く鬼のように見えた。
 
「あ・・・・・悪魔・・・・・・・」
 
「お前のような奴に生きる資格はない。」
 
エックスは、腰を落として大股で構えた後、片足を上げて拳を前に構えたまま、滑走するように残像を描きながらシュリンプァーの目の前にまで急接近する。
 
「うわああああぁあああああああ!!!」
 
「死ね。」
 
次の瞬間、シュリンプァーの視界は暗転して途絶えた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして、数分後
 
ゼロたちはようやく潜水艦の最深部へと到達した。
 
「エックス!」
 
ゼロはサーベルで扉を破壊して、中へと入る。
 
「エッ・・・・・!?」
 
ゼロは、目の前の光景を見て絶句した。
 
そこにはイレギュラーの残骸の目の前で赤黒い湯気のようなオーラを全身から発しているエックスの姿があった。
 
「・・・・・・エックス?」
 
「・・・・・・」
 
「!?」
 
一瞬、エックスから放たれた殺気にゼロは思わず後ずさる。
 
「お兄ちゃん?」
 
ゼロを通り越して玉美がエックスに近づいて行く。
 
「い、行くな!?」
 
ゼロは慌てて止めるが玉美はエックスに抱き着いた。
 
「お兄ちゃん!」
 
「・・・・・・・玉美?」
 
その瞬間、エックスからオーラが消え、普段と変わらない様子で玉美と接した。
 
「何処行ってたの?みんな心配していたんだよ?」
 
「えっ?・・・・・・」
 
エックスは目の前で破壊されているシュリンプァーの残骸を見る。
 
(このイレギュラーは一体・・・・・・でも、俺はマンダレーラを相手にして負けそうになっていたはず・・・・一体どうして・・・・・)
 
そんなエックスを見てゼロは、不穏な表情をする。
 
(さっきのエックスは一体何だったんだ?あのまるでシグマ以上のイレギュラーに感じたあの状態は・・・・・・)
 
「ねえ、早く帰ろう!」
 
「あ、あぁ・・・そうだな。ごめんな、心配かけて。」
 
エックスは玉美に引っ張られながらっ潜水艦を後にしていく。
 
「エックス、帰ったら爺にしっかり診てもらえよ。万全でない状態で出たからな。」
 
「あぁ、分かっているよ。」
 
「もう、あんな無茶しないでよね。」
 
「悪かったって。」
 
 
このとき、エックスは僅かながら感じていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
自分の中に眠っていた「鬼」が目覚めたことを。 

 

夜の出来事

ハンターベース メンテナンスルーム
 
造船所から戻ってきたエックスは、すぐにメンテナンスルームに運ばれ、ケインに怒られながら修理を受けた。
 
その後、ケインは、回収してきたシュリンプァーのデータメモリーからドップラーの潜伏場所が割り出せないかどうか寝静まったハンターベースの中で一人コンピューターで解析を続けていた。
 
「・・・・・ふむ、ドップラー・・・・お主、一体何を考えておるんじゃ・・・・。」
 
ケインは、そう呟きながらシュリンプァーのメモリーチップの他に投降及び鹵獲してきたイレギュラーのコピーメモリーを合わせて解析を進める。
 
そこへ部屋に誰かが入ってきた。
 
後ろを振り向くとゼロは何か言いたそうに立っていた。
 
「何じゃゼロ?あまりメンテナンスとか受けたがらないお前がこんな夜中に来るとはのう。」
 
「メンテならこの間受けたばかりだろ。悪い冗談はよしてくれ。」
 
ゼロは、そう言いながらケインの傍にまでくる。
 
「ドップラーの居場所は何とか割り出せそうなのか?」
 
「まだ何とも言えんのう。何しろメモリーには僅かながら暗号形式でプロテクトを掛けてあって解析が難しいからな。」
 
ケインはそう言いながら操作を続ける。
 
「・・・・・・なあ、じじい。」
 
「ん?」
 
「エックスのことなんだが・・・・・」
 
「エックスか?特に何ともなかったが・・・・・・何かあったのか?」
 
「・・・・・いや、何でもない。異常がなかったんならそれでいいんだ。」
 
ゼロはそう言うとさっさと部屋から出ていってしまった。
 
「・・・・・なんじゃ。ゼロにしてはずいぶん珍しいことを聞いてくるもんじゃのう。」
 
ケインは解析作業を再開する。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース 廊下
 
「・・・・・・」
 
ゼロは自分の部屋に戻りながら昼間、造船所で見たエックスの姿を思い出す。
 
顔自体は見なかったものの明らかに殺意に満ちていた。
 
かつて、多くのイレギュラーと対峙してきたゼロでもその異常さは明らかだった。
 
(あの時のエックスはVAVAやシグマとは比較にならないほどの気配を感じた。あれがエックス自身の意思ではなく何か別の意思によるものだとしたら・・・・・俺は奴をイレギュラーとして処分しなければならないのか?あのエックスを。)
 
ゼロとエックスの付き合いは長い。
 
故に今まで共に戦ってきた戦友を処分するとなると普段は何のためらいもなくイレギュラーを葬ってきた彼でも辛く感じる。
 
(じじいが修理した時もどこにも異常がなかった・・・・・・だとしたら、何が引き金であんな風になると言うんだ?)
 
ゼロは、再びエックスがあのような状態にならないための策を考える。
 
しかし、原因がわからない以上、対策のしようがなく虚しく時間が流れていくだけだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース マーティ私室
 
「・・・・・・・・」
 
マーティは、睡眠をとらず机に座って何かを見ていた。
 
造船所に設置してあった監視カメラの映像だ。
 
エックスが帰還後、イレギュラーハンター諜報部へと映像が回されたのだが頼んでコピーを取ってもらったのだ。
 
その映像にはマンダレーラと交戦しているエックスの姿が写っていた。
 
「ここまではエックスが圧されていた・・・・・・・でも・・・・・」
 
しかし、それからすぐエックスに異変が起き始める。エックスが絶叫したと同時に体全体から赤黒いオーラが発生し始め、エックスの動きがまるで別人の如く変化していたのだ。
 
そして、エックスは無慈悲に素手でマンダレーラの左腕を引き千切り、ズタズタに八つ裂きにした後、バスターで容赦なく撃ち殺していた。
 
「・・・・・・・アタシの知っているエックスじゃない・・・・・これじゃあまるでイレギュラーじゃない・・・・・」
 
映像はさらに続いていた。エックスは潜水艦に乗り込むや防衛用のメカニロイドをバスターと素手で破壊して行っていた。それも原型が残ることなく。普段の彼を見ていた彼女にとってその姿は最早地獄に巣食う鬼としか言いようがなかった。
 
「はあ・・・・・はあ・・・・・」
 
不安のあまりマーティは息を荒くする。その顔は冷や汗で濡れていた。
 
エックスは更に最深部へと侵入するとシュリンプァーと交戦する。そして、命乞いをした彼を笑いながらバラバラに引き千切っていた。彼が泣き叫ぼうが喚こうがその息の根が止まるまで。
 
「やめて・・・・・・もう・・・やめて・・・・・・」
 
最後にシュリンプァーが完全にこと切れるとエックスは、DNA端末を奪い取ってバスターに組み込む。
 
そこでゼロと自分たちが合流した。
 
「はあ・・・・・はあ!はあ!」
 
マーティは映像を切ると不安のあまりに体を震わせた。
 
あれが本当にエックスなのか?
 
あの映像からはもう別人としか見えない。
 
今まで無暗に敵でも傷つけようとしなかった彼がまるで殺人マシンの如く戦いを楽しんでいた。
 
「もし・・・・・また、エックスがあの状態になったら・・・・・・」
 
想像もしたくない。
 
しかし、彼女の脳裏ではすでに仲間たちを蹂躙して笑いながら自分を見るエックスの姿が見えてしまった。
 
「いやよ・・・・・・・そんなこと絶対に・・・・・・」
 
「マーティさん?」
 
声がして後ろを向いてみるとしずかが目を覚ましていた。
 
「しずか・・・・・」
 
「何かあったの?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・そう、やっぱりのび太さんに何か異変があったのね。」
 
「えぇ・・・・」
 
マーティは、静かにエックスの事を話す。その顔は暗く、普段の彼女とはかけ離れている。
 
「・・・・・・アタシね。昔、最初の反乱のとき、エックスに助けてもらったことがあるの。」
 
マーティは懐かしむように話す。
 
「その時の私さ、今と比べて全く弱くて・・・・口だけは一人前だったのよ。エックスに助けてもらった時もとんだ一言で喧嘩しちゃって・・・・・・」
 
「そんなことがあったのね。」
 
「うん、その後一緒にオクトパルドを倒したんだけどね。怪我をした時もお礼にって手当てしてくれたのよ。」
 
「フフッ、のび太さんらしいわ。」
 
「その時だったのかも、エックスと一緒にいたいって思ったのは。それから海に落ちた彼を陸地に運んだり、じいさんに頼んで地上でも動けるように改造してもらったり・・・・・・・」
 
マーティは、思い出の一つ一つを摘むように話していく。
 
「特に一番危なかったのはカウンターハンターの基地での時だったわね。アタシのブラ取れて・・・・・・今でもゾッとするわ。それでへんちくりんな変態じじいに盗撮されたと聞いた時は・・・・・・・」
 
「まあ・・・・」
 
「でも、危ないときはいつもエックスが助けてくれるの。どんなに突き放しても、どんなに冷たく当たっても、彼はアタシのことを見てくれた。そんな彼だから好きになった。・・・・・・・・でも・・・・」
 
彼女は肩を震わせながら目から涙を零す。
 
「そんなエックスが壊れていくのが怖いの・・・・・アタシの知っているエックスが・・・・・・・アタシが好きだったエックスが変わっちゃうのが・・・・・・あんなに優しかったエックスがイレギュラーのようになるなんて・・・・・・・」
 
「マーティさん・・・・・・・」
 
泣き始めたマーティに対してしずかは一瞬困った顔をするもののすぐに彼女に向き合って言う。
 
「大丈夫よ、マーティさん。のび太さんがそんな風になるはずがないわ。」
 
「・・・・・・えっ?」
 
しずかの一言にマーティは思わずしずかの顔を見る。
 
「だって、体が機械に変わったからと言ってもあののび太さんだもの。おっちょこちょいで不真面目ですぐお風呂覗くエッチなところがあるけど、いつも一生懸命で、周りに気をつかって貧乏くじ引いても笑っていられる強い人だもの。」
 
「・・・・・・しずか・・・」
 
「それに今までだって辛くても乗り越えてきたんだもの。きっと今度も乗り切ってこれるはずよ。」
 
「・・・・・・・うん。きっとそうよね、エックスのことだもん。」
 
マーティは涙を拭きとりながら言う。
 
「もうすぐドラちゃんが捕まった場所も見つかるはずだし、今は少しでも休まないと。」
 
「えぇ・・・・・エックスは、きっと乗り切ってくれるはず・・・・・きっと・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
数日後 ハンターベース
 
エックスたち一同は、ケインに呼び出されてメンテナンスルームに集められていた。
 
「お呼びですか?ケイン博士。」
 
「もしかして、ドップラーの居場所が分かったとか!?」
 
「まあ、落ち着くんじゃ。・・・・・実はドップラーに操られていたレプリロイドたちのメモリーデータをコピーして解析してみたんじゃが、どうやらドップラーは、レプリロイドが持っている『特殊能力』を集めて、最強の戦闘用レプリロイドボディ作り出そうとしているらしい。」
 
「戦闘用だって!?」
 
「うむ、ドップラーは元々科学者レプリロイドだから、戦闘力がないので自分のために作っていると思っておったが、どうやらドップラーは、誰かにそのボディを作らされているみたいなのじゃ。」
 
エックスは、ケインの話を聞いてふと一年、数か月前のことを思い出す。
 
『これで終わったと思うなよ・・・・・・・・・今度私が現れたとき・・・・・・・・それが貴様の最後だ!!』
 
 
「まさか・・・・・・・・・・シグマが!?」
 
「「シグマ!?」」
 
エックスの言葉を聞いてジャイアンとスネ夫は仰天する。
 
「でも、のび太が倒したんだろ!?」
 
「・・・・いや、ジャイアン。その可能性は十分にあるよ、現にX2のエンディングでも復活するって言っていたんだし、裏で動いていたとしてもおかしくないよ。」
 
「奴め・・・・・・まだ生きていやがったのか・・・・」
 
「まだそこに関してははっきりとはしておらんがDポイントで登録されていない研究施設が発見された。おそらく、そこがドップラーの秘密研究所なんじゃろう。すぐに向かってくれ。」
 
「わかりました、すぐに出動します。」
 
「シグマめ・・・・今度こそ息の根を止めてやるぜ!」
 
「それとマーティ、お前から整備を頼まれていたラッシュなんじゃが・・・・・・」
 
話を切り替えてケインはマーティの方を見る。
 
「えっ?まさか、なんか悪い事でも・・・・・・」
 
「いや、そういうわけじゃないんじゃがラッシュのメインメモリーの中にアーマーの設計図のようなものが入ってたんじゃよ。」
 
ケインが手招きするとラッシュが走ってくる。いたっていつも通りで何ら変わりない。
 
「別に普通じゃない。」
 
「うむ、アーマーはどうやら転送式のようでお前のデータと照合せねば出んらしい。」
 
「ふ~ん・・・・・」
 
マーティはラッシュを撫でる。
 
するとラッシュの体が光り始めた。
 
「えっ!?」
 
「な、なんだっ!?」
 
「ラッシュが、ラッシュが光り出した!?」
 
一同は驚きながらその様子を見る。
 
まず、ラッシュが飛行形態に変形し、そこにエックスのアーマー同様の展開で装甲が追加されていく。
 
そして、あっという間にラッシュは、ライドチェイサーのようなものへと変化した。
 
「あらら・・・・・ライドチェイサーになっちゃった・・・・」
 
「ら、ラッシュ!?」
 
『ワン?』
 
マーティが声を掛けるとラッシュの声が聞こえた。どうやらこの形態でも変わりないらしい。
 
「ど、どうやらこれがアーマーらしいのう・・・・・」
 
「これが!?」
 
『ワン、ワンワン!』
 
「ライドチェイサーが吠えるなんてシュールな光景だな・・・・」
 
スネ夫は、違和感を感じながら言う。
 
「・・・と、とにかく急いでドップラー博士の秘密研究所へ向かおう。こうしている間にもドラえもんが心配だからな。」
 
「あぁ。それにシグマの野郎が気になるからな。」
 
「俺たちも行くぜ!!」
 
「ケイン博士、ここはビートブードとマンドリラーに任せておきます。」
 
「うん、気をつけて行くんじゃぞ。」
 
「はい!」
 
全員、急いで部屋を後にして行った。
 
『ワンワン!・・・・・ワオッ!?』
 
しかし、ライドチェイサー形態のラッシュが入り口で詰まった。
 
「あっ!ラッシュは別の入り口から行って!ここからじゃ出られないから。」
 
『クゥン・・・・・・』 

 

ゴッドカルマシーン・O・イナリー

 
前書き
ヴァジュリーラネタまさかの登場 

 
Dポイント付近
 
エックス、ゼロ、マーティの三人はライドチェイサーに乗ってドップラーの秘密研究施設があると思われるDポイントへと向かっていた。
 
目標エリアの目の前までくるとケインの情報通り、ドップラーの研究施設が建っていた。
 
「あれがドップラー博士の研究所・・・・・・」
 
「どうやら、光学迷彩で今までカモフラージュしていたようだな。俺たちやレプリフォースの目まで欺くとは恐ろしいもんだぜ。」
 
その真上では、ジャイアンたちがタケコプターで飛行していた。
 
「しずかお姉ちゃん・・・・・ドラえもん・・・・・大丈夫だよね?」
 
玉美は心配そうな表情でしずかに聞く。
 
「大丈夫よ、ドラちゃんのことですもの。」
 
「待ってろよ!ドラえもん!今すぐ俺たちが行くぜ!」
 
「全く・・・・・・助けるのはのび太なのに・・・・」
 
研究施設の防衛システムは、接近して来るエックスたちを感知し、レールガンなどが発射される。
 
「防衛システムに関しても手抜きなしってわけか。」
 
「こうなったら避け切れないぜ。エックス、ここは少し強引だがチェバルを特攻させて侵入ルートを確保するぞ!」
 
「了解!エンジンを暴走させたら飛び降りるぞ!」
 
「ちょ、ちょっと待ってよ!?ラッシュは無理よ!?」
 
二人は、搭乗していたチェバルのエンジンを暴走させて研究施設の壁に向かって走らせる。ある程度まで距離を詰めると二人はチェバルから飛び降り、壁に激突させた。チェバルの爆発で壁に大きな穴が開いた。
 
「よし、マーティは、そのまま突入して奇襲・・・・・!?」
 
その直後、破壊された穴から巨大な防衛メカニロイドが出て来た。
 
「えっ!?嘘でしょ!?」
 
そのまま乗り込もうと考えていたマーティは、目の前に現れたメカニロイドに対して唖然とする。メカニロイドはマーティとラッシュに向かってレーザーで攻撃する。
 
「きゃあぁ!?」
 
「マーティ!?」
 
幸い命中はしなかったものの、マーティはラッシュと共に上空へと吹き飛ばされる。メカニロイドは目標を彼女に定めて砲口を向ける。
 
「あの野郎・・・・・・彼女を先に消すつもりだぞ!?」
 
「やめろ!!」
 
エックスは、ダッシュをしながらクロスチャージショットを繰り出す。しかし、メカニロイドはミサイル攻撃でバスターを相殺させてしまう。
 
「くそ!」
 
エックスは、ヴァリアブルエアダッシュでメカニロイドの真上まで到達するとスピニングブレードで攻撃する。メカニロイドは一時怯んだものの副砲でエックスを撃ち落とす。
 
「グアッ!?」
 
エックスはそのまま地面に衝突する。メカニロイドは再びマーティめがけてレーザーを放った。
 
「もうダメ・・・・・・」
 
マーティは落下しながら思わず目を閉じるが同時にラッシュにまた変化が生じ始めた。
 
ライドチェイサーの装甲部分が次々と外れて彼女の体に装着し始めたのだ。やがてラッシュがすべての装甲をパージするとマーティは、青と白のトリコロールカラーのアーマーを装着していた。
 
「何これ!?」
 
彼女が驚く間もなくメカニロイドからレーザーが放たれる。すると左腕に装着されているシールドがスライドし、エックスのアーマーのディフェンスシールドのようなバリアを展開、レーザーを防御した。
 
「・・・・・・・えっ?」
 
マーティは、装着されたアーマーの性能に驚きながらメカニロイドに向けて外付け式のバスターをチャージして放つ。思いがけない反動に後ろに飛されてしまったもののメカニロイドはたった一撃で吹き飛んだ。
 
「「「「「「・・・・・・・」」」」」」
 
その光景に一同は沈黙する。彼女は背部に装着されているバーニアを吹かしてラッシュと一緒に着陸した。
 
「す、すごい・・・・・・」
 
「スッゲエ!?のび太の奴とは比べ物にならないくらいだぜ!」
 
「たった一撃で倒しちゃうなんて!」
 
ジャイアンとスネ夫は思わず興奮していたがエックスは、一瞬険しい表情を浮かべ、先に穴へと入って行った。
 
「・・・・・」
 
「どうしたエックス?褒めてやらないのか?」
 
「・・・・いや、別にそんなわけじゃないんだ。」
 
ゼロの言葉に対してエックスは、顔を向けずに答える。
 
「ただ・・・・・・・どんどん彼女に危ない橋を渡らせているようで怖いんだ・・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ドップラーの研究施設
 
エックスは、先頭に立ちながらバスターで的確にメカニロイドを破壊していく。
 
マーティも手に入れたばかりのアーマーで彼に続いてがまだ使い慣れていないこともあって所々で危うく自分から底なしの穴へ落ちようとしたことがあった。
 
「結構難しいものなのね。」
 
「無理もないさ、何度もアーマーを装着していたエックスと比べてお前は何も経験しないで装着したんだからな。だが、こんなトラップだらけの場所で練習をしている暇はない。実戦はそんじょそこらの訓練よりは呑み込みが早い。何とか自分のものにしてみるんだな。」
 
「・・・・・・ったく、その言葉、エックスの口から聞きたかったわ。」
 
自分なりのアドバイスを送っているゼロに対してマーティはイマイチ不満そうに返事をする。
 
トゲ鉄球が落ちてくる通路を潜り抜け一同は、大きな広間に辿り着く。
 
「ここはなんかの実験所か?」
 
ジャイアンが聞いて辺りを見回そうとすると一同の目の前にヴァジュリーラが目の前に現れた。
 
「ヴァジュリーラ!」
 
「エックス!マンダレーラの仇!ここで取らせてもらうぞ!」
 
「えっ?」
 
ヴァジュリーラの言葉にエックスは思わず驚いた。
 
「何のことだ?俺は知らないぞ!?」
 
「惚けるな!貴様の手によって無残に殺されたマンダレーラの雪辱・・・・・・ここで晴らしてくれるわ!!」
 
ヴァジュリーラが叫ぶと同時に彼の背後にマンダレーラの残骸が落ちてくる。
 
「あれは・・・・マンダレーラ!?どうして・・・・・・」
 
「ドップラー博士は、私にマンダレーラの力を与えてくださった!今、ここで貴様たちに見せてやるぞ!はああぁああああああ!!!!」
 
ヴァジュリーラは構えると身体が光り始め、マンダレーラの残骸と合体し始める。そして、瞬く間に巨大なお稲荷型レプリロイドが姿を見せた。
 
「こ、これは!?」
 
『パワーアップした私の力・・・・・・・存分に思い知れ!!』
 
合体したゴッドカルマシーン・O・イナリーは、かつてヴァジュリーラが使っていたビームブレードを展開すると凄まじい斬撃を繰り出す。エックスたちは二手に別れるものの斬撃は二つに分裂し、危うく命中するところだった。
 
『まだだ!!』
 
イナリーは、両腕を飛ばし、エックスとゼロを捕らえる。腕はヴァジュリーラの時と変わらないものの握力はマンダレーラの怪力に匹敵するものだった。
 
「グッ!?」
 
「野郎!!」
 
ゼロはバスターでイナリーに攻撃するがイナリーはバリアを展開してバスターの攻撃を防ぐ。両腕は二人をそのまま壁に打ち付けると戻ってくる。
 
「エックス!」
 
壁に打ち付けられてずり落ちて来たエックスを見てマーティは思わず叫ぶ。
 
「アンタ、よくもエックスを!!」
 
マーティは、まだ扱いきれていないバスターでイナリーを攻撃しようとする。しかし、イナリーは、斬撃で無力化したかと思いきや今度は空いている左手から光弾を作り出し、彼女に投げつけた。先ほどのメカニロイドのときのようにバリアフィールドが張られるものの出力を上回り、彼女に直撃した。
 
「きゃあぁっ!?」
 
『そんな攻撃が通じるか!!』
 
イナリーは、倒れた彼女を踏み潰そうとその巨体を動かし始める。
 
「や、やばいよ!?」
 
「早く助けないと!」
 
ジャイアンたちが駆けつけようにも光弾が飛んできて近づくことができない。
 
『まずは一人だ!』
 
イナリーは、巨大な足を持ち上げマーティを踏み潰そうとする。
 
「くっ・・・・・体が痺れて動けない!」
 
『死ね!そして、地獄にいるマンダレーラに詫びるがいい!』
 
その直後、エックスはどうにか体勢を立て直してダッシュで移動し、彼女を突き飛ばして自分が身代わりに足を両腕で押さえた。
 
「グウッ!!」
 
『ほう、自分から死にに来てくれるとはな・・・・・なら、このままスクラップにしてやる!!』
 
イナリーは、足の力を強めてエックスを踏み潰そうとする。
 
「ぐ、ぐう・・・・・・・」
 
エックスは踏ん張るものの徐々に床にめり込んでいく。
 
「いかん・・・・・・ここでバスターで攻撃すればエックスまで巻き込まれてしまう・・・・・・」
 
ゼロはバスターで攻撃しようにも手が出せない状態になっていた。それをいいことにイナリーは、衝撃波を繰り出していく。
 
『惨めなものだな。貴様のために満足に攻撃できないとは。』
 
イナリーは、踏みつけているエックスを見ながら言う。後、数分もすればエックスの体が圧力に耐えきれず潰れてしまうだろう。
 
「こんな所で・・・・時間を無駄にする訳には行かないのに・・・・・・」
 
エックスは歯ぎしりをしながらつぶやく。
 
『まだ、無駄口を叩く余裕があるか。ならば、すぐにその抵抗を失くせるようにするまでよ!』
 
イナリーは、左手に今までとは比べ物にならないほどの巨大な光弾を作り出す。
 
「なっ!?」
 
『もうすぐクリスマスだったからな・・・・・・・プレゼントとしてこれを奴らにぶつけてやる。その光景を目に焼き付けておくんだな、自分の無力さを。』
 
イナリーは、ジャイアンたちに向けて光弾を発射する。
 
「やめろおぉおおおおおおおおおおお!!!!」
 
エックスの叫びは虚しく光弾は一同の目の前で爆発を起こす。
 
『ハッハッハッハッ・・・・・・・・・フハッハハハハハ!!メぇぇぇ~~リぃぃぃぃぃクリっスマぁぁぁスぅ!!!ヒャ~ハッハッハッ―――――――!!!!』
 
イナリーは笑いながら叫んだ。
 
『見ているかマンダレーラ?お前のために盛大なプレゼントを贈ってやったぞ!お前を苦しめた分、存分に遊んでやってくれ!ハッハッハッハッハ!!!』
 
イナリー・・・・・・・否、ヴァジュリーラはまるで死んだマンダレーラに語り掛けるように言う。そして、急に力を失ったのかのように声を出さなくなったエックスの方を見る。
 
「・・・・・・・・・」
 
『フン、ついに気力を失ったか。だが、心配することはない。すぐに会わせてやろう、あの世でな。』
 
イナリーは、とどめを刺すべく足に力を入れ始める。
 
『・・・・・・・・ン?』
 
イナリーは、足に違和感を感じた。いくら力を入れてもエックスが倒れるどころか押し潰される様子もないのだ。
 
『何がどうなっているんだ?奴にはもう戦うだけの気力は残っていないはず・・・・・・。なのに一体・・・・!?』
 
その直後、イナリーの巨体は持ち上がった。よく下を見るとエックスが片手で持ち上げていることがわかる。
 
「・・・・・・・・」
 
『き、貴様!?』
 
イナリーは、右腕を飛ばす。しかし、エックスは空いていた左手で受け止めるとまるで豆腐を握り潰すように右腕を握り潰した。
 
『なっ!?こんなバカな!?』
 
「ウゥウウウ・・・・・・・・!!」
 
エックスは、そのまま勢いよくイナリーを放り投げる。イナリーは起き上がって見てみるとエックスは、全身から赤黒いオーラを発し、その目はまるで燃え上がるような赤色に変化していた。
 
『あ、あれはマンダレーラを倒した時と同じ・・・・・いや、それ以上に変化している・・・・』
 
「・・・・・」
 
エックスは一瞬でイナリーの目の前に迫り、首を掴むと相手を絞め殺すために力を入れ始める。
 
『グッ・・・・・・・・これしき!』
 
「!?」
 
イナリーは、足でエックスの脇腹に蹴りを入れる。
 
『どうだ!?この巨体から放たれる蹴りは!?いくら貴様とて無事では・・・・・・!?』
 
しかし、蹴りはエックスの体に接触する寸前で止まっていた。
 
『ば、バカな!?何故当たらん!?』
 
イナリーは、力を入れ直すがいくらやってもエックスの体に届かない。
 
まるで見えない壁にでもせき止められているかのように。
 
エックスは、イナリーの足を掴むと握り潰そうとする。
 
『グワアァァアアアア!?』
 
自分よりも小柄な体から出る力とは思えず、イナリーは足を引っ込めようとする。その瞬間、エックスはイナリーの顎に昇龍拳を仕掛ける。
 
「昇龍拳・・・・」
 
『グッ!?』
 
吹き飛ばされたイナリーは、何とか距離を置こうとするがエックスから逃れられなかった。
 
怯んでいるところを容赦なく手足を掴み、まるで小さい子供が玩具の人形を毟り取るようにイナリーの体をどんどんバラバラにしていく。
 
『ば、化け物め!!』
 
イナリーはビームブレードでエックスの首を斬りつける。だが、そこに既にエックスの姿はなく気がついた時は胴体を切断していた。
 
『ガアッ!?』
 
上半身のみとなったイナリーは、目の前で波動拳を撃つ態勢になったエックスを見て愕然とした。
 
もはや、目の前にいるレプリロイドはレプリロイドではない。まるでひたすら戦いを求める鬼にしか見えなかった。
 
『・・・・・マンダレーラ・・・・すまん。どうやら、私もそちらに行くようだ・・・・・』
 
イナリーの顔がヴァジュリーラのものに戻り、抵抗するのをやめた。
 
「波動拳!!!」
 
エックスから繰り出された波動拳を受けて、ヴァジュリーラは、後方へと吹き飛ばされていった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
数分後
 
「み・・・・・・みんな・・・・・生きてる?」
 
爆煙が晴れるとそこにはマーティたちが倒れていた。命中する寸前、彼女はシールドのディフェンスシールドの出力を最大にしてどうにか凌ぐことに成功したのだ。その代わり、シールドから煙が出ている。おそらく、もう使うことはできないだろう。
 
「の、のび太は?」
 
ジャイアンは顔を上げると少し離れた場所にエックスが立っていた。
 
「よかった!のび太も無事だ!」
 
だが、その束の間。彼らの方を向いた瞬間エックスの変貌ぶりに驚愕する。
 
「えっ!?」
 
「の、のび太!?」
 
「お兄ちゃん!?」
 
「のび太さん・・・・・・」
 
「そんな・・・・・・・」
 
恐れていた事態が起こってしまった。
 
凶暴化したエックスは、無言でゆっくりと一同の元へと歩み寄って行く。
 
「・・・・・・・」
 
「・・・・・・お前たちは、ドップラーのところへ急げ。」
 
ゼロは、マーティたちに行くように促す。
 
「ゼロ!?どういうつもりよ!?」
 
「・・・・・・アイツは、俺が引き受ける。その間にドラえもんって奴を早く助け出してこい。」
 
「でも、ゼロさん一人じゃ・・・・・」
 
「くだらないこと言わずに早く行け!!」
 
ゼロは、サーベルを展開して全員に怒鳴り散らす。その直後、エックスは頭を押さえて苦しみだす。
 
「グッ、グウウウ!!!」
 
「エックス?」
 
苦しみだしたエックスを見てマーティは思わず彼に近づいて行く。
 
「行くな!」
 
ゼロは必死に止めようとするもマーティはすぐにエックスの肩を持って揺さぶった。
 
「エックス、しっかりして!」
 
「グウウウウウ!!」
 
エックスは苦しみながらマーティを見る。一瞬、彼女に向かって拳を振り下ろそうとするがすぐに何かが吹っ切れたかのように目の色が元の状態へと戻る。
 
「・・・・・お、俺は・・・・・・・・・」
 
目の前にいるマーティを見てエックスは、動揺する。そして、バラバラになって朽ち果てたイナリーの残骸を見る。
 
「・・・・・・・・俺がやったのか。」
 
前回とは違い、エックス自身、今回の戦闘は覚えているようだった。
 
「・・・・・エックス、お前・・・・・・」
 
「俺は・・・・・・・俺は・・・・・・・イレギュラーになりかけているのか?」
 
不安そうな表情を浮かべてエックスは全員を見る。
 
「落ち着け。今だって正気に戻ったんだ。」
 
「でも・・・・・でも・・・・・」
 
エックスは手を震わせながら全員を見た。
 
ゼロたちは、エックスを心配しているのだが彼からしてみればそれは逆に自分を危険な存在だと思い、距離を置いているように見えた。
 
「・・・・・・・・」
 
エックスは、無言で施設の中へ進むのを再開した。
 
 
何かを感じたのか悲しそうな背中を見せながら。 

 

過ち

ドップラーの研究施設
 
エックスは、ゼロたちと距離を置いて進んでいた。その後ろ姿を心配そうに見ているゼロたちだが今声をかけても却って逆効果になると思い、一定の距離をとりながらエックスを見守っていた。
 
「・・・・・・・・・・(今はドラえもんを助け出すことが優先だ)」
 
エックスは、それ以外のことを考えないようにしていた。考えるとまた自分を見て動揺する仲間たちの顔が浮かんでしまう。
 
「・・・・・・・」
 
そんなふうにしていたこともあってエックスは、一機メカニロイドを撃ち漏らす。
 
「なっ!?しまっ・・・・・・」
 
自分に攻撃しようとした一瞬、ゼロが後方からバスターで撃ち落としてくれた。
 
「あっ・・・・・ありがとう、ゼロ・・・・」
 
エックスは、不安を抱えたまま先へと行く。
 
奥へと進んで行くと広々とした空間へと辿り着いた。
 
元々何かのトラップを設置する予定だったようだがもぬけの殻だった。
 
「・・・・・・どうやら、ここは防衛用のメカニロイドを設置する予定だったらしいな。だが、俺たちが来るのが予想以上に早くて間に合わなかったようだ。」
 
ゼロは僅かに残っている痕跡を見て推測する。どうやらドップラーの方も焦っているようだ。
 
「なら、話は早いわ。早く博士を取っちめてじいさんにエックスの体を診てもらいましょう。早くしないと・・・・・・」
 
マーティは言いかけた時思わず口を塞ぐ。すぐ後ろではエックスが無言で自分の手を眺めていた。
 
「・・・・・・・」
 
「え、エックス、アタシ、別にそんな意味で言ったんじゃ・・・・・・・」
 
「いいんだ。気にしなくても。」
 
エックスは彼女の顔を見ることなく移動を再開する。そして、ゼロの隣に差し掛かった時、小声で言う。
 
「・・・・・・・・ゼロ、もし俺がまたあの姿になってみんなを殺そうとしたときは・・・・・・」
 
その言葉はゼロのメモリーに強く残った。
 
 
 
 
 
 
「俺をイレギュラーとして処分してくれ。手遅れになる前に。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ドップラーの研究施設 最深部
 
いくつもの部屋を抜けてエックスたちは最終ブロックへと到着した。
 
「ここにドラちゃんが・・・・・」
 
「ドラえもん・・・・」
 
「よっしゃ!突撃!!」
 
ジャイアンが言うのを皮切りに全員で扉の方へと入って行く。
 
部屋は薄暗く視界が悪かったが奥で老人らしき人物が椅子に座っているのが確認できる。
 
彼こそが今回の事件の犯人ともいえるDr.ドップラーだ。
 
ドップラーはエックスたちが来るのを確認すると不敵な笑みを浮かべ椅子から立ち上がった。
 
「待っていたよ、エックス君。私がドップラーだ。君たちの活躍はじっくり拝見させてもらったよ。我が側近をあそこまで破壊するとは大したものだ。一瞬、イレギュラーに見えるほどにね。」
 
「くっ!」
 
エックスは思わず歯ぎしりをする。そんな彼に対してドップラーは余裕を崩すことなく話を続ける。
 
「まあ、そう怒らないでくれたまえ。その君の力を思ったのだが、我らに貸すつもりはないかね?君が我らと手を組み、そして、我らと共にシグマ様の元でレプリロイドが全世界を支配する理想郷を築こうじゃないか?悪い話ではあるまい。」
 
「断る!貴様の・・・・・シグマの計画はここで終わりだ!さっさとドラえもんを返せ!」
 
「ドラえもん?・・・・・・・!そうか、あのレプリロイドのことか。中々興味深い素材だったよ。では、彼を返却するのを条件にどうかね?」
 
「ふざけるな!!早く返すんだ!!」
 
エックスは表情を険しくしてドップラーに向けてバスターを構える。
 
「・・・・・フン!愚かな!では、君には消えてもらうしかないな。そして、我がシグマ様のボディーパーツとなるがよい!行け!!」
 
ドップラーは白衣を脱ぎ棄てると同時にエックスたちの目の前に巨大な何かが落下してきた。
 
「コイツは、私の新作の一つでね。生憎時間がなくて護衛用のメカニロイドを解体して組み上げたんだ。制御ユニットとしては十分に役に立つのでね。」
 
よく見るとメカニロイドは、象型とクラゲ型を組み合わせたような外見だった。だが、その頭部の頂点を見た瞬間、エックスたちは唖然とした。
 
「あ、あれは・・・・・・」
 
「「「まさか・・・・」」」
 
明らかに無理矢理取り付けられた青く丸い頭。
 
「ドラえもん!?」
 
そう、メカニロイドの頭部にドラえもんが取り付けられていたのだ。しかし、当のドラえもんは明らかに正気ではなかった。
 
「ドラ?ドラララ・・・・・・・」
 
「ドラえもん!・・・・うわあっ!?」
 
エックスが近寄ろうとしたところ象型の鼻から強酸が飛ばされる。
 
「エックス!」
 
「おっと、ゼロ君。悪いが君たちの相手は私がさせてもらおう。」
 
エックスたちのところへ向かおうとするゼロとマーティの目の前にドップラーは、光弾を放ちながら立ち塞がる。
 
「そこを退け!!」
 
ゼロはバスターでドップラーを攻撃する。しかし、ドップラーは構えを取ると電磁フィールドが発生し、バスターの光弾を吸収してしまった。
 
「何ッ!?」
 
「残念だが君たちの戦闘データは配下たちとの戦闘で収集済みなのだよ。」
 
ドップラーは炎で自分の目の前にシールドを形成し、ゼロに体当たりする。数千度はあるのではないかと思われる炎がゼロの体を焼く。
 
「グワアアァアア!?」
 
「君も実に興味深い実験材料だ。どこまで持ちこたえられるか試させてもらうよ。」
 
「ハアアアアアアア!!」
 
その背後からマーティがバーニアを吹かしてドップラーに突っ込もうとする。
 
「愚かな。」
 
「なっ!?」
 
ドップラーは命中する寸前に上空へと飛び上がりマーティの攻撃はゼロに命中してしまう。
 
「グウゥ!!」
 
「ごめんなさいゼロ!」
 
「謝る暇はあるのかね?」
 
「ハッ!?」
 
自分の真上に迫るドップラーを見てマーティは身構える。そして、ドップラーの手が彼女のアーマーに触れた瞬間、高圧電流が彼女を襲う。
 
「ア゛ア゛ァァァァアアア!!!」
 
「クックククク・・・・・・いくら凄腕のイレギュラーハンターとて研究してしまえば赤子の手を捻るようなものよ。」
 
『ワオォン!!』
 
「ぬっ?」
 
倒れたマーティを助けるかのようにラッシュが噛みつこうとする。
 
「無駄だ。」
 
『ワオォォォォォォォオオオ!?』
 
噛みついた直後、ラッシュの全身から火花が立ちぐったりと倒れてしまう。
 
「ラッシュ!?」
 
「今の私の体はナマズロスの170パーセント以上高い電流が流れている。いくら私を捕らえたところで倒れるのは君たちの方なのだよ。」
 
「くそ!」
 
ゼロはサーベルを引き抜いてドップラーと対峙する。
 
「近接武器では君の方がダメージを受けてしまうのではないかね?」
 
「そうだろうな、だがお前に付き合っているほど俺はお人好しじゃないんだ。」
 
ゼロはダメージ覚悟でドップラーに斬りかかる。
 
「グッ!」
 
「フッフフフフ。さて、私と君、どちらが先に倒れるか比べようじゃないか。」
 
ドップラーは光弾でゼロを攻撃し続ける。
 
 
 
 
 
 
一方のエックスとジャイアンたちは必死にドラえもんに呼びかけていた。
 
「ドラえもん、目を覚ましてくれ!!」
 
「ドラララ?」
 
ドラえもんは、クローアームで攻撃する。エックスはヴァリアブルエアダッシュで頭部まで上りドラえもんの目の前にまでくる。
 
「ドラえもん。俺だよ、のび太だよ!!」
 
「ドラ!」
 
「グッ!」
 
ドラえもんに掴まそうとした瞬間、複数のミサイルがエックスに命中する。
 
「ドラちゃんやめて!!」
 
「ドラえもん、俺たちのことがわからないのかよ!?」
 
「大好きなどら焼きご馳走してあげるから!元に戻ってよ!?」
 
「ドララララ!」
 
「「「うわあぁあ!?」」」
 
ジャイアン達の声が届くことなくドラえもんは容赦なしに彼らにミサイル攻撃を行う。エックスはクローアームで攻撃されながらも必死にドラえもんに呼びかけ続ける。
 
「ドラえもん、思い出してくれ!あんなに一緒にいたんじゃないか!僕たち友達だろ!?」
 
「ドラ?」
 
「グウ!・・・・・ほら、最初に会った時のこと憶えているだろ?アルバム見て僕のことをバカにして・・・・・」
 
「ドラ!」
 
「うぅ・・・・・・一緒に冒険だって言っただろう?ほら、僕のせいで魔界を冒険する羽目になったり、石にされたり・・・・・グフッ!」
 
何度も殴られながらもエックスは、ドラえもんから離れようとしない。
 
「学校に遅刻しそうになった時、叩き起こしてくれたり道具で助けてくれただろう!?本当に忘れちゃったのか!?」
 
「ドラ!」
 
「・・・・・・・もう、わがまま言わないから、お願いだよ。元のドラえもんに戻ってくれ!」
 
「ドララララ~!!」
 
「ガアアアアアアアァアアア!!!」
 
数十弾のミサイルがエックスを直撃する。
 
「・・・・・・・、道具出してなんか言わないから・・・・・朝だって一人で起きれるようになったんだ・・・・・勉強だって一人でできるようになったんだよ?頼むよ・・・・・・僕の知っている・・・・あのドラえもんに戻ってよ・・・・・・・」
 
「ドララララ。」
 
「ドラえもん・・・・・・」
 
ドラえもんの頭に抱き着きながらエックスは呼びかけ続ける。
 
「・・・・・・の・・・・・・の・・・・・・」
 
「!?」
 
「のび・・・・・・・」
 
「ドラえもん!?」
 
一瞬、自分の名前を呼びかけた。正気に戻り始めたとエックスはドラえもんの顔を見る。
 
「ドラララ~!!」
 
「ガアァ!?」
 
しかし、期待虚しくクローアームが直撃してエックスは壁に激突して床に落ちた。
 
「ぐう・・・・・・」
 
「お兄ちゃん!」
 
玉美は急いでエックスの元へと走って行く。
 
「玉美ちゃん危ない!」
 
「戻って来い!」
 
玉美に気づいたドラえもんはあろうことか玉美に向かってミサイルを撃とうとする。
 
「!?やめろ、ドラえもん!?」
 
「ドラえもん、お願い!もう、やめてよ~!!」
 
「ドラララ・・・・・」
 
不気味な笑みを浮かべてドラえもんは玉美に向かってミサイルを撃つ。
 
「やめろおおおおおぉおおおおお!!!」
 
エックスは、体に鞭を打って玉美の元へと走って行く。しかし、ミサイルは玉美の目の前で地面にぶつかり爆発を起こした。
 
「きゃああぁあああぁあああああああ!!!」
 
「玉美!!!」
 
爆風で玉美は後方へと飛ばされ落下し、そこからピクリとも動かなくなる。
 
「「「玉美ちゃん!?」」」
 
「何!?」
 
「そんな!」
 
全員がその光景に呆気に取られている中、ジャイアンたち三人は玉美の元へと走り、彼女の小さい体を抱き上げる。
 
「おい!玉美ちゃん!しっかりしろ!!」
 
ジャイアンは必死に呼びかける。しかし、玉美は動かなかった。
 
「・・・・・・心臓が止まっているよ!?早くしないと!?」
 
「待って、・・・・・あった!お医者さん鞄!」
 
しずかはお医者さん鞄を取り出して急いで治療にかかる。
 
「あ・・・・あぁ・・・・・・・・・」
 
目の前でつい少し前に一緒に暮らしていた玉美を戸惑うことなく撃ったドラえもんを見てエックスは言葉を失う。
 
 
 
同時にエックスの中で何かが切れた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ウ、ウ、ウオオオオオォオオオオオオオオオオオ!!!!!」
 
「「「!?」」」
 
「あっ!」
 
「まずい!」
 
「ほう・・・・」
 
「ドラ?」
 
ドラえもんの目の前でエックスは叫び声をあげながら体全体から再び赤黒いオーラを纏った。今回はオーラだけではなくアーマーにも影響が出始め、白の部分が黒へ点滅するように安定していない。
 
「ウゥウ・・・・・・・・ウウウウウ!!!」
 
「ま、まさか・・・・・・」
 
ゼロは嫌な予感がした。
 
「ドララララ~!!」
 
ドラえもんは再びクローアームでエックスを攻撃しようとする。しかし、エックスは、残像を残しながらドラえもんへと急接近していく。
 
「ドラ!?」
 
エックスは、メカニロイドのクローアームを掴むとグミのように捻じ曲げて破壊する。
 
「・・・・・」
 
「ドララララ!?」
 
ドラえもんは慌ててミサイルを発射する。そのミサイルも避けることなくエックスはバスターで撃ち落としていく。よく見ると腕がバスターに変形しているのは一瞬でまるで手から光弾を出しているように見えてしまう。
 
「ドラララ・・・・・」
 
「・・・・・・」
 
ミサイルを使い切って焦ったドラえもんは、象型の鼻を切除して床一帯を強酸の海に変えようとする。
 
「・・・・・・・笑止!!」
 
「ドラッ!?」
 
エックスはなんと象型の鼻に右腕を突っ込んで塞ぐ。同時にバスターに変形させ、鼻からバスターを連射していき、強酸はドラえもんの方へと逆流していく。メカニロイドのボディは強酸に耐えきれず所々から亀裂が入り、漏れ始める。
 
「やめろ、エックス!そんなことをすれば・・・・・・・」
 
「砕け散れいぃ!!!」
 
エックスは、とどめとばかりにフルチャージショットを繰り出し、メカニロイドをドラえもん諸共爆発させる。
 
「あ・・・・・・・」
 
その光景を見てマーティは絶句した。エックスが正気を失っていたとはいえ、かつての親友をこの手で殺めてしまったのだ。更にそこでは終わらず、エックスは高速移動でドップラーとゼロの間に割って入る。
 
「「なっ!?」」
 
驚く間もなく一瞬目の前が暗転し、エックスの無数の拳がドップラーに炸裂。視界が戻るとエックスの足元にほぼ瀕死状態のドップラーが倒れていた。
 
「ドップラー!?」
 
「・・・・・・・我はエックス。修羅の鬼なり!!」
 
「エックス・・・・・・どうしちゃったの?」
 
エックスの変貌ぶりにマーティは、動揺を隠しきれなかった。
 
「・・・・我は、鬼を極めし者。うぬらの無力さ、その身に思い知れい!」
 
「・・・・・とうとう本当にイレギュラーになっちまったのか・・・・・」
 
ゼロは、信じられず思わず拳を握り締めた。そして、右腕を地面に打ち付ける。
 
「アースクラッシュ!!」
 
床を吹き飛ばして、エックスの視界を遮らせるとゼロは、ダッシュをしながらサーベルでエックスに斬りかかる。
 
「・・・・・残像・・・・・」
 
斬れたのは残像で既にエックスは背後に回り、ゼロに向かって回転蹴りを披露する。
 
「グッ!」
 
「どうした?うぬの力は、その程度か?」
 
「くっ!」
 
ゼロはバスターでエックスを攻撃するがこともあろうことかエックスは平手でバスターの光弾を弾き飛ばしてしまった。
 
「この程度の技で我に挑もうとは笑止!!」
 
エックスは大ジャンプをし、バスターにドリルファングのチャージ版であるドリルを装填させ、ゼロに飛び掛かる。ゼロは、フルチャージショットでエックスを撃ち落とそうとするがエックスには通用せず、ドリルは、ゼロの右腕を捩じり取って床に激突。地面にひび割れを起こした。
 
「「「わわわわわ!?」」」
 
玉美を治療中のジャイアンたちは思わず動揺するが地割れは、先ほど吹き飛ばされたドラえもんをメカニロイドの残骸と共に地の底へと落として行った。
 
「ドラちゃん!?」
 
「「ドラえもん!?」」
 
「グ・・・・・・グウ・・・・・・・・」
 
右腕を奪われてゼロは傷口を押さえる。そこへエックスがゆっくりと歩いてくる。
 
「とどめだ。」
 
「・・・・・エックス・・・・・正気に戻れ・・・・・・このままだとお前は・・・・・本当に・・・・・」
 
エックスは、バスターのチャージを始めようとする。
 
「やめろのび太!」
 
そこへジャイアンたちがエックスを取り押さえる。
 
「もう、戦いは終わったんだ!いつもののび太に戻れよ!」
 
「・・・・・・弱者が。邪魔をするな。」
 
「お前、ドラえもんに続いてゼロさんまで倒すつもりなのか!?」
 
「これ以上、のび太さんがこんなことをしたら玉美ちゃんやマーティさんが悲しむわ!お願いだからこれ以上暴れるのはよして!」
 
「マーティ?玉美・・・・・・痛!」
 
エックスはチャージをやめて額を手で押さえる。すると白黒に点滅していたアーマーが白に戻り、オーラが消えた。そして、目を開けるといつものエックスに戻っていた。
 
「・・・・・・・俺は・・・・また・・・・・・!?そうだ!?ドラえもんは!?」
 
エックスはドラえもんを倒した場所を見る。そこは先ほどの攻撃で大きな穴が開いているのみでドラえもんの姿はなかった。
 
「お、俺がやったのか?俺が・・・・・・・・ドラえもんを殺したのか!?」
 
「「「・・・・・・」」」
 
「あ・・・・・・・あぁぁあああああああああああ!!!」
 
絶叫を上げるエックスに対して、ジャイアンたちは黙ることしかできなかった。
 
「俺がドラえもんを・・・・・ドラえもん!!」
 
目から涙を流すエックスは、跪いて穴を見た。そこは果てしなく深く、底は見えなかった。
 
「ドラえもん・・・・・・ごめんよ・・・・・・ドラえもん・・・・・」
 
「エックス・・・・・・」
 
悲しみエックスの姿を見てマーティは何もできなかった自分に悔しがる。
 
そんな時、先ほどまで動くこともなかったドップラーがゆっくりと起きがった。
 
「え・・・・・・エックス君・・・・・」
 
「ドップラー!?正気に戻ったのか!?」
 
「・・・す、すまないことをした・・・・・シグマに操られていたとはいえ、君の親友に手をかけてしまい・・・・・うぅ。」
 
「お、おい、じいさん!?」
 
倒れたドップラーをジャイアンたちは急いで支える。
 
「・・・・し、シグマの正体・・・・それは悪性のプログラムウィルスだ・・・・・。私は奴の対策として抗体プログラムを製作していたが不覚にも奴に洗脳され・・・・・・世にも恐ろしいボディを作ってしまった。」
 
「・・・・・ドップラー博士、そのボディはどこにあるんだ?」
 
ゼロは、傷を押さえながらドップラーに聞く。
 
「・・・・・ボディは既に奴の本拠点があるドッペルタウンに運ばれてしまった・・・・・だが、まだ起動プログラムの最終調整が終わっていない。」
 
ドップラーは、エックスの前まで歩いてくる。
 
「早く奴がボディを使う前に破壊してくれ・・・・・・もう、あまり時間が残されていない。私のことは構わずに・・・・・」
 
「・・・・・・マーティ、悪いけどゼロとドップラー博士をハンターベースに送っててくれないか?」
 
エックスは、マーティの顔を見ないで言う。
 
「えっ?エックスはどうするの!?」
 
「・・・・・・俺は、シグマを倒しに行く。ここからならドッペルタウンまでそう遠くない。」
 
「無茶よ!?一旦、ハンターベースに戻ってから・・・・」
 
「そんな時間はない!こうしている間にもシグマはボディの最終調整を進めているんだ!!急がないと手遅れになる!!」
 
エックスは、そう言うとラッシュの元へと行く。ラッシュは尻尾を振りながらエックスの前でお座りする。
 
「ラッシュ、ライト博士から預かっていた強化チップを全部出してくれ。」
 
『ワン!』
 
ラッシュは胴体部をスライドさせて強化チップを取り出す。エックスは四枚すべて受け取る。
 
「どうするのエックス?」
 
「・・・・・・くっ!」
 
なんとエックスは強化チップをすべて自分の体に取り込んでしまった。その瞬間、彼の体から電流が漏れ出し、一時放電状態になりかけた。
 
「グワアアアアア!!」
 
「エックス!?」
 
「「のび太!?」」
 
「のび太さん!?」
 
しばらくすると先ほどのように赤黒いオーラは発生していないものの、アーマーは黒に変色していた。
 
「はあ・・・・・はあ・・・・・・これで大丈夫だ。」
 
エックスは、ドップラーの前にまでくる。
 
「ドップラー博士、この施設にライドチェイサーはありますか?」
 
「地下ドックに数機置いてある。」
 
「ありがとうございます。一機お借りします。」
 
エックスはそう言うと地下ドックの方へと歩いて行く。
 
「エックス!」
 
「心配ないさ、シグマとはこれで四度目なんだ。負けはしないよ。」
 
「でも・・・・・」
 
「ボディさえ破壊すれば奴も逃げ場を失う。」
 
「だけどよ、全員で行った方が・・・・・」
 
「いい加減にしてくれ!!これ以上足を引っ張られるとこっちが迷惑なんだよ!!」
 
エックスは、鋭い目つきで全員を見る。
 
「今まで散々足を引っ張ってきて!これ以上、やられると面倒なんだよ!!」
 
「何だよその言い方は!!」
 
「事実だろ!!そもそもドラえもんが捕まらなければこんなことにはならなかったんだ!!」
 
「エックス!」
 
「君だっていい加減に受け入れたらどうなんだ!はっきり言って今の君は俺にとって邪魔にしかならないんだ!!」
 
「!?」
 
エックスに怒鳴られてマーティはショックを受ける。エックスは、そこまで言うとまた足を進めようとする。
 
「・・・・・待て、エックス。」
 
「ゼロ、君まで・・・・」
 
「止はしないさ。俺もこの状態じゃ何もできないからな。」
 
ゼロはサーベルをエックスに渡す。
 
「俺のビームサーベルだ。持っていけ。」
 
「・・・・・・」
 
エックスは黙って受け取る。そして、過ぎ去ろうとした瞬間、ゼロは誰にも聞こえない声でエックスに声を掛ける。
 
「・・・・・・・生きて帰って来いよ。みんな、お前のことを大事に思っているんだからな。」
 
エックスは地下ドックでチェバルに乗り込むとドッペルタウン目指して走り出した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・・・・さようなら、みんな。」
 
その目から涙を流しながらエックスは一人ドッペルタウンへと向かって行った。 
 

 
後書き
最早、エックスが豪鬼な件。 

 

覚悟

ハンターベース
 
「・・・・・・・・」
 
マーティは、ハンターベースに戻ってきた後自室に籠っていた。
 
エックスと別れた後、戻ろうとした彼女たちは、運よく増援で駆け付けたイーグリードたちと合流し、デスログマー改でハンターベースに帰投した。
 
その後、ドップラー、ゼロはケインの元へ、玉美はメディカルルームで集中治療が行われていた。どちらもかなりの重傷で自分が着ていたアーマーも修理中だ。
 
「・・・・・・・副隊長?」
 
ビートブードはそっと入り口から入ってきた。
 
「・・・・・・・」
 
「その・・・・・かなりエネルギーを消耗しているんですからせめてエネルギーボトルでも飲んで補充してください。体に毒ですよ?」
 
ビートブードも彼なりの気遣いで間食とエネルギーボトルを一緒に盆に乗せて彼女の机の上に置いておいた。
 
「・・・・・エックス隊長、きっと帰ってきますよ。だから・・・・・元気出してください。」
 
ビートブードはそれだけ言うと部屋から去って行った。
 
「・・・・・・」
 
マーティは顔を上げてエックスの言葉を思い出す。
 
『はっきり言って今の君は俺にとって邪魔にしかならないんだ!!』
 
 
「っ!」
 
彼女はまた頭を抱えて泣き出す。
 
『俺は別に君が弱いとか宛にならないとか思ったことは一度もないよ。それどころか信用しているし、いつも仕事をサポートしてくれることに感謝しているよ。』
 
「エックス・・・・・うぅ、うう・・・・・」
 
昔言ってくれた言葉は嘘だったのか。エックスのあの目を見て彼女は自信を失ってしまっていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
メンテナンスルーム
 
一方、メンテナンスルームではゼロとドップラーが集中治療を受けていた。ドップラーは現在応急処置が終わり、スリープモードに切り替わっていたがゼロに関してはケインは険しい表情をしていた。
 
「ICチップは愚か、バスターの回路がほとんど使いものにならなくしまったのう・・・・・」
 
ケインは、ジャイアンたちが拾ってきたゼロの右腕の状態を見て言う。
 
「・・・・修理できそうにないのか?」
 
「いや、普通の動かすぐらいにはすぐに修理は可能じゃが・・・・」
 
「それでいい。すぐに付け直してくれ。」
 
「ん!?」
 
ゼロの言葉を聞いてケインは思わず驚く。
 
「アースクラッシュの回路が生きているならそこだけ直してくれればいい。剣があればバスターがなくとも戦えるからな。予備のサーベルは作っておいてくれたんだろう?」
 
「しかし、ゼロ・・・・・」
 
「急いでくれ、俺はあいつを死なせたくないんだ。」
 
ゼロの目を見てケインは口を止める。
 
「・・・・・・・わかった。できるだけの事はしよう。じゃが、無理したら承知せんからな。」
 
「あぁ、頼む。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース メディカルルーム集中治療室
 
「「「・・・・・・」」」
 
ジャイアンたち三人は、集中治療室で寝かされている玉美をガラス越しで見ていた。
 
「・・・・ドラえもんとの約束、破っちまったな。」
 
ジャイアンは、暗い顔をして言う。
 
「ジャイアンのせいじゃないよ。それに一番傷ついたのはのび太の方さ。」
 
「でも、のび太さん。大丈夫かしら?」
 
「「「・・・・・・」」」
 
三人が再び黙っているとビートブードが入ってきた。
 
「あっ、どうでした?マーティさんは。」
 
「あぁ・・・・副隊長、相変わらずだったよ。何も口に入れないんだ。」
 
「そうか・・・・」
 
「・・・・・ねえ、みんな。僕が言うのもなんだけど・・・・・僕たち、このままこの世界で生きていくって言うのも有りなんじゃないかなって思うんだ。」
 
「「!?」」
 
スネ夫の言葉を聞いてしずかとジャイアンは驚愕する。
 
「いや!別にのび太がドラえもんを殺して帰れなくなったとかそういう理由じゃないんだ。ただ・・・・・僕たちがこのまま引きずっていたら、一番苦しいのはのび太だと思うんだ。」
 
「・・・・・スネ夫、お前・・・・・」
 
「そりゃあ、ママに会えなくなったり、不便になったりって言う事はあるけど・・・・・今までだって何とかしてきたじゃない。それにもしのび太までいなくなったら玉美ちゃん・・・・・・」
 
意識が戻らない玉美の顔を見てスネ夫は、真剣な顔で言う。
 
今までの冒険ではすぐに「お家に帰りたい!」と言っていた彼にしては本当に信じられない言葉だった。これも成長した証かもしれない。
 
「・・・・・・あぁ、そうだな。のび太の野郎を一人で死なせたりはさせねえ!死ぬ気だったら一発ぶん殴ってやる!」
 
「ジャイアン。」
 
「そうね、私たちも前に進まなきゃ。」
 
「しずかちゃん・・・・・」
 
「よし、玉美ちゃんが起きる前に俺たちものび太に加勢に行くぞ!!」
 
「おぉ!」
 
「えぇ!」
 
三人がそう決意した直後、集中治療室から治療を担当したドクターが出て来た。
 
「先生、玉美ちゃんは・・・・・・」
 
「えぇ・・・・ご心配ありません。峠は越しました。後、数時間経てば目を覚ますでしょう。」
 
「おぉ!!ありがとうございます!」
 
ジャイアンは頭を下げてお礼を言う。
 
「ビートブードさん、早速で悪いけどよ・・・・」
 
「エックス隊長に加勢に行くんですよね?分かってますよ。今、イーグリード隊長がドッペルタウンに乗り込む準備をしています。皆さんもご一緒に・・・・」
 
四人はそのまま集中治療室を出て行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ドッペルタウン
 
ドッペルタウンは変わり果てた姿になっていた。
 
街は破壊しつくされ、都市の中央部には不気味な鬼の顔を模倣したシグマの居城がそびえ立っている。エックスはチェバルから降り、ゆっくりとシグマの居城を目指して行った。
 
「・・・・・・・・」
 
エックスは胸のカバーから手のひらサイズの小さな箱を出した。
 
「・・・・・・ごめん。」
 
そう言うと箱をまたしまい、奥へと進んで行く。
 
「・・・・・・・?」
 
そのとき、不意に少し離れたところからピアノの伴奏が聞こえて来た。
 
エックスは、本能に従ってピアノが聞こえるところへと向かって行く。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース
 
「・・・・・・」
 
マーティは、黙ってデータ端末をいじっていた。映像にはエックスと過ごしてきた記録があり、どれにも嬉しそうな自分とエックスのが並んで写っていた。
 
「・・・・・」
 
彼女は全ての画像を選択する。
 
『選択したデータを削除しますか?』 
 
⇒『YES』 
 
 『NO』
 
「・・・・」
 
彼女の指は、YESを押そうとする。
 
 
そのとき、不意に部屋のドアが開いた。
 
「!?誰!?」
 
顔を上げて見るとそこにはティルが立っていた。
 
「ちょっと・・・・・お話できるかしら?」
 
「え、えぇ・・・・・・」
 
マーティは、慌てて端末をしまって彼女の座るための椅子を準備する。そして、自分も向かいの椅子に座る。
 
「・・・・・・・」
 
「・・・・もうすぐ、第7空挺部隊がドッペルタウンに潜伏しているシグマを討伐する為に出発するわ。17部隊も参加するけどマーティは行かなくていいの?」
 
「・・・・・いいのよ。アタシなんて、どうせ足手まといになるだけなんだから。」
 
マーティは吐き捨てるかのように言う。
 
「・・・・エックスのことはいいの?」
 
「・・・・自分から一人になったんだもの。好きにすればいいわ。」
 
「・・・・・・そう、貴方のエックスに対する考えってそのぐらいだったのね。私は、こんなことで諦めるような貴方だとは思わなかったのに。」
 
「なっ!?」
 
ティルに言われてマーティは思わず逆上し、睨みつけた。
 
「アンタなんかに何がわかるのよ!?アイツから拒絶されたのよ!!今まで一緒にいて、お互い支え合ってきたのに!それなのに・・・・・」
 
「でも、貴方だって怖がっていたんじゃないの?エックス自身が変わってしまう事が。」
 
「!?」
 
「話は運ばれてきたゼロから聞いたわ。」
 
「・・・・・・だから、何よ!どうすればいいのよ!?別人みたいになって、イレギュラーのように仲間を破壊しかねないエックスをどうやって!」
 
「それは貴方自身が決めることじゃないの?」
 
「えっ?」
 
ティルは自分の指に嵌めてある指輪を見ながら言う。
 
「私もね、最初のシグマの反乱のときにイーグリードが彼に加担した時すごいショックを受けたの。今まで正義感が強く、自分の事よりも人のことを大事にする彼が反乱に加わるなんて・・・・・・裏切られた気分だったわ。・・・・・でも、保護された隊員の話と連行されてきた彼を見て思ったの。逆に好きな人がどんな風に変わろうと受け入れられる強さを持つことも大事なんじゃないかって。だから、私は彼を受け入れられた。」
 
「・・・・・・・」
 
「結婚の時も彼、最初はやめようかって迷っていたのよ。元イレギュラーの自分と結婚するのは不味いんじゃないかって。もしかしたらこっちの職場で私が肩身の狭い思いをするんじゃないかって心配してね。・・・・・でも、私は一緒になることを選んだ。本当の彼を知っているから。今だって、彼の妻だということを誇りに思っているわ。」
 
「ティル・・・・・」
 
「ごめんなさいね、レプリロイドは人間とは違うのに・・・・・・なんか言っていることがおばさん臭く感じちゃったかしら?」
 
ティルは、そう言うと少し恥ずかしそうな顔をして部屋から去って行った。
 
一人自室に残ったマーティは、端末を再起動させて写真を見直す。そこに写っているエックスと自分の笑顔は偽りのない本当の顔だった。
 
「・・・・・・」
 
別れる間際のエックスを思い出してみる。
 
確かにあの時のエックスは、イレギュラーよりも怖かった。
 
でも、それとは別に泣いているようにも見えた。
 
そのエックスを自分は拒絶してしまったのだ。
 
「・・・・・アタシ・・・・・バカだよ。」
 
写真を見ながらマーティは、自然とまた涙が溢れ出した。
 
「アタシ、エックスのこと何もしてあげられなかったじゃない・・・・・・一番怖がっているのはエックスだったのに・・・・・・変わるのが怖くて遠ざけていただけじゃない・・・・・何してんのよ・・・・アタシは・・・・・ごめんね、エックス・・・・・・・・・ごめんね・・・・・・・」
 
涙を手で拭いながらマーティは、ひたすら泣き続けた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ハンターベース エアポート
 
「これより我々は、ドッペルタウンを占拠しているイレギュラー シグマを討伐しに行く。」
 
旗艦 デスログマー・改の目の前でイーグリードは隊員たちを整列させて言う。
 
「諸君らも理解しているだろうがこの戦いは最悪な場合、全員生きて戻ってこれない可能性がある。全滅も否定できない。今回の出撃に関しては志願してもらえる者はここに残れ。それ以外の者はこのハンターベースで待機だ。この中に俺と付いてくる者はいるか!」
 
イーグリードが隊員の顔を全員見る。全員真剣な眼差しで見ていた。
 
「隊長!自分はこの命、隊長にお預けします!」
 
「自分も同じです!最後まで隊長のお供をさせてください!」
 
「自分も!」
 
「自分も!」
 
「供に行かせてください!」
 
「お願いします!」
 
「・・・・・・みんな、ありがとう。」
 
その後、全員デスログマーへと乗り込んで行く。無論、ジャイアン達三人、ビートブード、マンドリラーも乗る。
 
「これで全員か?」
 
「マーティがまだ来ていないわ。」
 
入り口で最終確認をするイーグリードの隣でティルは報告する。
 
「・・・・彼女が来ると思うか?」
 
「きっと来るわ。だって、今までエックスと一緒に戦ってきた彼女ですもの。」
 
「・・・・・そうか。」
 
二人はそう言うと船の中へと入って行った。
 
「マーティさん、本当に来ないのかしら?」
 
「心配ねえ!もし乗り遅れて行けなかったら俺たちがのび太を連れ戻せばいいんだ!」
 
「でも、そののび太が無茶をしていなければいいけど・・・・・ゼロさんもまだ動けない様子だし。」
 
船の中でジャイアンたち三人は心配しながら外を見る。
 
 
 
 
「・・・・・出航の時間だ。」
 
艦橋の中でイーグリードは、時間を確認する。
 
「デスログマー、離陸。目的地、ドッペルタウン。」
 
「了解。」
 
イーグリードの指示でデスログマーは、離陸を開始する。
 
「マーティさん・・・・・」
 
閉じようとする入り口の目の前でしずかは複雑な心情でエアポートを見る。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「待ちなさーい!!」
 
「「「!?」」」
 
船の中へ戻ろうとした三人は聞き覚えのある叫び声に思わず振り向く。
 
そこにはラッシュを連れたマーティが息を荒くしながら全力で走ってきていた。彼女は閉じかけた扉に飛びつくと踏ん張りながら乗り込もうとする。
 
「フギギギ・・・・・・・!!」
 
「大変!すぐに開け直さないと!」
 
しずかは急いで入り口のドアを開け直す。マーティはラッシュに引っ張られながらどうにか船の中に入ることができた。
 
「ハア・・・・ハア・・・・・危なかった・・・・・・」
 
「「スゲェ・・・・・・」」
 
マーティの意外な身体能力に感心するジャイアンとスネ夫。
 
「行く決心がついたんですね。」
 
そんな二人とは違いしずかは嬉しそうだった。そんなしずかに対してマーティも笑顔で返す。
 
「あったりまえじゃない。アタシがいなくて誰がエックスを連れ戻すのよ?」
 
マーティはそう言うとゆっくりと起きあがり、窓からどんどん小さくなっていくハンターベースを見る。
 
(待っててね・・・・・エックス。アタシ・・・・・もう逃げない。貴方がどんなに変わろうとアタシはエックスのことを信じるから・・・・・・だから、死なないで。)
 
彼女は胸の中で遠く離れているエックスに対して誓った。 

 

 
前書き
まさかの漫画版と同じサブタイ 

 
ドッペルタウン
 
エックスはピアノの伴奏に導かれるままに歩き、シグマの居城に辿り着く。
 
「・・・・・・」
 
無言でバスターを展開し、壁を破壊するとピアノの音が聞こえる方へと向かって行く。
 
本拠地なのにもかかわらず防衛用のメカニロイドすら見当たらない。
 
シグマが余裕を見せているのか、それとも油断させるための罠なのか・・・・。
 
そんなことはエックスにとってどうでもいい事だった。
 
歩いているうちにエックスはピアノの伴奏が聞こえてくる部屋の前に辿り着くとドアをブチ破って中へと入って行く。
 
部屋の奥では、ピアノを伴奏しているイレギュラーの姿があった。
 
「・・・・・・ピアノ・・・・・というものらしいな。音の組み合わせ次第で人はそれを“芸術”と称賛するらしいが、その観念は絶対的多数の中にしか自分を見出せない奴の戯言に過ぎない。己に自信を持つ者は、そんな戯言に惑わされることはない・・・・・これの俺がそうである様にな。」
 
VAVAは、そう言うとピアノを閉じ、エックスを見る。
 
「・・・・・いい顔をするようになったな、エックス。だが、楽しい命のやり取りの後に立っていられるのは、『死』という地獄を掻い潜ってきた真の『鬼』に目覚めたこの俺だ。」
 
「VAVA・・・・・・」
 
「さあ、決着を着けようじゃないか・・・・・俺とお前の戦いを・・・・・・・・『鬼』同士の死闘をな。」
 
 
 
 
 
 
次の瞬間、城の一角が爆発した。
 
エックスがバスターを撃てば、VAVAは腕部の武装で迎え撃つ。
 
「容赦のないこの攻撃・・・・・・いいぞ。これが俺が求めていた戦いだ!!」
 
VAVAは左肩のミサイルポッドと腕部の武装を切り替えてミサイルを連射する。エックスは高速で回避しようとするがミサイルは方向転換し、エックスを包囲して着弾する。
 
「!?」
 
「当然だがホーミングなんだよ!!」
 
VAVAは、腰からコントローラを取り出し、後方からライドアーマーを呼び寄せる。
 
「簡単にくたばるんじゃないぞ。この新型ライドアーマー『ブラウンベア』の性能を試すまではな。」
 
VAVAは、ブラウンベアに乗り込むとエックスに向かって腕を振る。
 
「ん?」
 
ところがエックスがいた辺りでブラウンベアの腕が止まった。爆煙が晴れるとそこには氷の盾で受け止めていた。
 
「フロストシールドか。そう来なくてはな!」
 
VAVAは、ブラウンベアの腕を何度もエックスにぶつける。何回か攻撃を受け止めるとエックスは、ヴァリアブルエアダッシュで空中へと逃れ、瞬時にクロスチャージショットを放った。
 
「くっ!」
 
VAVAは、コックピットから離れ攻撃から逃れる。代償としてブラウンベアは一瞬で爆発したが。
 
「・・・・・・ブラウンベアを一瞬で破壊するとは。だが、それでいい。お前も十二分に『鬼』に目覚めたようだな!」
 
VAVAは、キャノン砲をエックスに放ちながら言う。
 
「・・・・・お前みたいな奴が・・・・・・そんな狂ったことしか考えられないから戦いは終わらないんだ・・・・・VAVA!お前のような奴が!!」
 
「だから俺を倒すか・・・・・・・だが、今やお前も俺と同じ『鬼』に目覚めし者。何の変りもないんだよ!!」
 
VAVAは、一斉発射をしてエックスを追い込む。
 
「クッ・・・・・・ドリルファング!!」
 
エックスは右腕にドリルを装填させ攻撃を受けながらもVAVAに向かって突進する。
 
「フン。」
 
VAVAは、命中する瞬間に背中に装備されてある盾でエックスの攻撃を防ぐ。
 
「グウウウウ!!」
 
エックスは最大出力でドリルを回転させるがVAVAの盾に穴が開く様子はない。
 
「ファイヤーマーレイン!」
 
「グワアァ!?」
 
肩のキャノン砲から放たれた爆炎にエックスは吹き飛ばされる。燃えながらもエックスは態勢を変えてVAVAにバスターを向ける。
 
「アシッドラッシュ !!」
 
強酸の塊二発は、VAVAのボディに命中するが特殊加工でもされているのかVAVAの装甲が溶ける様子はない。
 
「お前の『鬼』とはこの程度かエックス!」
 
VAVAは、キャノン砲のオプションを変更してレーザーでエックスを攻撃する。
 
「・・・・・クッ!」
 
エックスは一瞬目を赤くし、高速で避けて一気にVAVAの背後に回り、チャージショットを放つ。しかし、VAVAは紙一重にしゃがんで攻撃を回避した。
 
「!?」
 
「パワーアップした俺の性能の中で一番強化されたのは攻撃力でも防御力でもない。即座に反応して行動することができるスピードなんだよ!!」
 
「グッウゥ!?」
 
VAVAの拳がエックスの顔面に炸裂する。怯んだエックスの隙を見てVAVAは、ジャンプをして距離を取り、脚部の武装を展開する。
 
「ドラゴンズワース !」
 
脚部から放たれる炎でエックスは全身炎に包まれる。
 
「スピードこそが俺の最大の武器・・・・・・いや、違うな。」
 
VAVAは、燃えているエックスに急接近し、その頭を掴むと城の壁にぶつけながら引きずって行く。
 
「俺の最大・・・・・本当の武器は・・・・・」
 
壁にぶつけ続けながらVAVAは、目の前にある塔の壁を破壊し、エックスを部屋に壁に投げ飛ばす。
 
「俺の中に巣食う『鬼』そのものよ!!」
 
エックスを投げ終えるとVAVAは、ブースターを全開にして外に出るとオプションを即座に切り替え、砲口を向ける。
 
「ネクロバースト!!!!」
 
キャノン砲から放たれた一撃によりエックスは部屋ごと大爆発に飲み込まれる。建物が崩壊する中、VAVAはゆっくりとその場に着陸した。燃え盛る塔を見ながらVAVAは、今の攻撃に手ごたえを感じた。
 
「所詮は地獄を見ずに目覚めた『鬼』、本当の地獄を見て来た俺の『鬼』に敵うわけがないのだ・・・・・・ん!?」
 
VAVAは、崩れゆく塔を見ながら異変を感じた。
 
燃えている炎がどんどん小さくなり、塔が完全に崩壊すると焼け跡に火の粉すら残らなかったのだ。
 
「何が起こった?」
 
VAVAは、煙がまだ晴れていない中エックスがいた辺りに移動する。
 
「そうか!ビートブードのバグホールを使ったのか。奴の小型ブラックホールなら炎と瓦礫が消せても不思議はない・・・・!」
 
その直後、VAVAは、背後から凄まじい殺気を感じ取った。後ろを向く暇のなく彼は、姿勢を低くするが飛んできた光弾により、右肩のキャノン砲を破壊された。
 
「くっ!」
 
後ろを振り向くとそこにはバスターを展開しているエックスの姿があった。
 
「この悪視界の中で・・・・・らしくなってきたじゃないか・・・・・・ん!?」
 
彼が意識を目の前のエックスに戻した瞬間、彼の姿はなくなっていた。
 
「奴は!?どこへ行った!?・・・・・・はっ!」
 
VAVAが気付いて間もなくエックスは上空からVAVAに向かって殴りつけた。そして、倒れたVAVAに馬乗りする。
 
「御託は・・・・いらない!!」
 
エックスは、かつてシグマパレスのときのようにVAVAを殴る。
 
「『鬼』だろうが『イレギュラー』だろうが関係ない・・・・・・・・どれもがこの世にいてはいけないんだ。かけがえのない物を奪う存在は。」
 
「グッ・・・・ならば・・・・お前はなぜ存在する!?」
 
うまくブリッジの態勢を取り、VAVAは、エックスを振り飛ばす。
 
「『鬼』がいてはいけないというのなら・・・・・・・・くっ!・・・・・・・何故、『鬼』に目覚めてまでお前は戦う!?」
 
VAVAは、頭を押さえながらエックスに向かって叫ぶ。どうやら鎮静剤の効果が切れかけているらしい。
 
「俺が・・・・・『鬼』になった理由?」
 
エックスはゆっくりと起きあがる。
 
「そうだ!お前も最強の力を手に入れるために『鬼』に目覚めたんだろう!・・・・・・・!?」
 
「お前たちのような『鬼』を滅ぼすためだ・・・・・」
 
エックスの顔を見てVAVAは、一瞬こわばった。その顔は目が赤く充血し、体からは赤黒いオーラが立ち籠っていた。
 
「お・・・・鬼?」
 
近づいてくるエックスに対してVAVAは、更に動揺する。
 
(奴の言う『鬼』・・・・・・・俺の『鬼』とは何かが違う・・・・奴の『鬼』は強さを求める一方で何をしようとしている・・・・・・)
 
「う・・・うぅ・・・・・・その目で俺を見るなぁあああああ!!!」
 
動揺しているVAVAは、ミサイルポッドのミサイルでエックスを攻撃する。
 
しかし、ミサイルはVAVAのようにエックスを恐れているのかまるで逃げるように別の場所へと飛んでいく。
 
「うおぉぉおおおおおおおおお!!!!」
 
ミサイルは次々と発射され、全く目標とは違うところへと飛んでいき、遂に全弾を撃ちつくしてしまう。
 
「くう!」
 
VAVAは、ミサイルが切れたことに気づくとエックスの方を見直す。
 
エックスは依然と同じ場所で立ち尽くしていた。
 
「ク、クックックックッ・・・・・・」
 
最早考えるのをやめたのかVAVAは、急に笑い出す。
 
「砕いてやる!!」
 
武装をほぼ使い果たしたのか、彼はエックスに向かって走って行く。対するエックスも身構え、VAVAへの反撃に備える。
 
 
双方の拳が両者の頭部にぶつかろうとする。
 
「・・・・・・・」
 
VAVAは、その一瞬に右腕をワザと外し前転してエックスの攻撃を回避する。同時にエックスの拳は攻撃を外し、VAVAの右腕がエックスの頭部に命中する。
 
「これならどうだ!」
 
VAVAはかかとで自分の右腕を釘のように打ち付ける。追加の力が加わり、エックスの額に高エネルギーの液体が血のように流れ出す。
 
「頭が砕けたな!俺の勝ちだ!!」
 
「・・・・・・・」
 
「なっ!?」
 
自分の方を睨みつけたかと思いきやエックスは、VAVAの足を掴み、すぐわきの塔へと昇り始める。
 
「馬鹿な!?手ごたえはあったはずだ!」
 
VAVAが驚いているのも他所にエックスは塔のてっぺん目指してさらに昇って行く。
 
「それに何故死なない!?頭部は砕けたはず・・・・・なのになぜ!?」
 
エックスは頂上に着くとヴァリアブルエアダッシュでさらに上昇し、そこからVAVAを地面に打ち付ける態勢で落下を始める。
 
「俺は復讐するために・・・・・・お前という存在を超えるために『鬼』なった!!だが、エックス!お前の『鬼』はなんだ!?何故『鬼』となりながら『鬼』を否定する!?お前は一体何を・・・・・・!?」
 
VAVAは、エックスの目を見て言葉を止める。その目はまるで魂が抜けたかのようにすべてを悟り、終わりを迎えようとしている目立った。
 
(そうか・・・・・そういうことか・・・・・・・シグマは愚か俺も認めない、『鬼』を滅ぼすつもりだというのか。すべての『鬼』を滅ぼした後、『鬼』と化した自らも滅ぼす・・・・・・破滅の『鬼』に・・・・・だが)
 
その瞬間、2人は地面に激突。地面に巨大なクレーターを作り上げた。エックスは立ち上がり、すでに瀕死となったVAVAを見下ろす。
 
「これで・・・・・・・勝ったと思うなよ・・・・・お前がそうだと決めたとしても俺は・・・・・・・何度でも・・・・・よ・・・・・・・み・・・・・・・・」
 
最後に何かを言いかけたVAVAは、そのまま機能を停止しこと切れた。
 
「・・・・・・待ってろよ、シグマ。」
 
エックスは、再びシグマの居城へと向かって行く。
 
 
自分も含めたすべての『鬼』を滅ぼすために。 

 

ポケットの中には

???
 
 
・・・・・・・ここはどこだろう?
 
僕は、あの老人に機能停止させられて・・・・・・・
 
みんな、無事なのかな?
 
玉美ちゃん、まだ小さいのに。万が一のことがあったらのび太くんに顔向けできないよ・・・・・・
 
『もう、ユーは何こんな所で寝てるの?』
 
あれ?僕そっくりなアンタは誰?
 
『えっ?覚えてないの~?まあ、記憶消したから覚えていなんだろうけどさ~。』
 
なんだって言うんだ!?僕は君の事なんか知らないぞ!?
 
『しょうがないなぁ・・・・・じゃあ、思い出させてあげるから。ちょっと手貸して。』
 
えっ?一体どういう・・・・・・
 
『はい、記憶戻しま~す。ドーン!!』
 
うわああぁぁああ!?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
???
 
『はっ!?』
 
ドラえもんは意識を取り戻した。起き上がってみるとそこはいつもののび太の部屋だった。
 
『これは一体・・・・・』
 
「のび太くん・・・・・・ごめんよ・・・・」
 
『えっ?』
 
ドラえもんが声をした方を見るとそこにはもう一人の自分が泣いていた。
 
『ぼ、僕がもう一人!?』
 
『当たり前じゃん。だって、ユーの記憶の中だもん。』
 
『えっ!?』
 
ドラえもんが後ろを振り向くとそこには自分そっくりなネコ型ロボットが筋斗雲に乗っていた。
 
『アンタさっきの・・・・・』
 
『はいはい、じゃあ続きを見ようか。』
 
『えっ?』
 
「うぅ・・・・・・・僕は本当にダメなポンコツロボットだぁ~!!一体何のために来たんだ・・・・・・僕は・・・・僕はぁああ~!!」
 
ドラえもんは号泣する自分を見てハッと思い出す。
 
『これはのび太くんの葬式の日の夜の僕じゃないか!?』
 
『Exactly。んでんで、私、降臨。』
 
その直後、泣いていたドラえもんの目の前に奇妙な光が現れる。
 
「全く・・・・・・歴史の修正で苦労しているというのに。主人公がいつまでも泣かれてもこっちが困るんだよ。」
 
「えっ?誰?」
 
ドラえもんは、顔を上げて光を見る。
 
「君ね・・・・・いい加減に泣くのをやめなさい!それだとのび太くんに申し訳が立たないでしょうが!」
 
「でも・・・・・のび太くんは僕のせいで・・・・僕が誘わなければ・・・・僕があんなことを言ったせいで・・・・・」
 
「ん~。しょうがないな、ちょうどエックスもシグマのケツ顎ハゲ野郎に負けかけているし。よしよし、この神様が特別にのび太くんに会わせてしんぜよう。」
 
「えっ!?アンタ神様だったの!?」
 
「では、まず最初にそこに布団を敷いて寝るのだ~。」
 
「う、うん・・・・・」
 
ドラえもんは、光の玉の言う通りに布団を敷いて中に入る。
 
「それから?」
 
「寝ろ。」
 
「えっ?」
 
「寝るんだよ。眠らないと夢を繋げて会わせられないんだもん。そして、夢の中でこれをエック・・・・・じゃなくてのび太くんに渡すがよい。」
 
光の玉は、ドラえもんにある物を渡す。
 
「これは・・・・・僕が棺桶に入れたスペアポケットじゃないか!?どうやって持ってきたの!?」
 
「あぁ~もう!グズグズしているとマジで死んじゃうから早く眠りなさい!!でないと会うにも会わせられないんだから。」
 
「は、はい・・・・(本当にこれで大丈夫なのかな?)」<