【シェアワールド】ユア・ブラッド・マインー新約・魔鉄文明英雄譚ー


 

はじめに

 魔なる鋼と銀髪ロリヒロインの紡ぐ世界へようこそおいでくださいました。
 これはシェアワールド・ノベルス『ユア・ブラッド・マイン』——略称『ユアブラ』の設定資料です。

 この回では、本作『ユア・ブラッド・マイン』および、その設定資料を読んでいくために頭の片隅に置いたり置かなかったりするといい情報を紹介します。


【ユア・ブラッド・マインとは?】
 
 特殊な金属『魔鉄』を使った技術が発展した地球を舞台にし、各々パートナーたる銀髪合法ロリと共に活動する、ジャンル的には所謂『近未来異能モノ』です。
 
 アクション、日常ファンタジー、戦記、経済――どの分類で物語を書いても構いません。描いても構いません。

 ただ、この設定資料そのものは「外国からやってくる敵対勢力を相手に、青少年が戦う学園異能アクション」が最も設定を生かしやすい形である、という前提で整理されています。
 無論、上述の通り、普通に日常にスポットをあてた学園ものを作っても一切問題はありません。スポーツものとか、のんびりと辺境で農業する話とかもありかもしれませんね!


【本作のコンセプト、設立理由は?】

 ぶっちゃけて言うと「銀髪の合法ロリヒロインと、ちょっとトラウマ抱えた青少年がいちゃこらする話が見たい」に尽きます。つまり原案者の趣味です。勿論銀髪合法ロリを出さないのもありです。トラウマ? 何それ美味しいのみたいなクソ強メンタル主人公も大いにありですし、女の子と合法ロリの百合ものも全く問題ないです。最低限の禁則事項さえ守ってくだされば、大体自由に書いてもらって構いません。


【同じ名前の設定資料を前に見た気がするんだけど】

 この設定資料は『新造版』……本作風に言うなら『再契約版』となります。旧版は設定の矛盾や、追加設定による既存設定の齟齬、参加者の方のアイディアを潰す事態などを引き起こしたため、そういったケースにあらかじめいくつかの対策を施して整理し直した形です。
 前のバージョンの作品を既に書いてくださった方はそちらを継続して使用することも可能です(旧版の設定資料は現在非公開になっていますが、覚えている方はそちらの設定とからめた解釈をするのも面白いかもしれません)。


【資料を読む前に注意することはある?】

 設定資料には、「作品を創る・読む際には全く必要はないが、舞台世界の歴史、その不条理さを説明するためには必要となる裏設定」のようなものも記述されています(『本作と関係のない設定』という回に纏められているはずです)。
 一種のネタバレになるほか、この設定を基軸として作品を書くと、本質から大分ずれたものが完成してしまうと推測されます。前面に出していきたい参加者の方、そして純粋に作品を楽しみたい読者の方は注意してください。


【この資料の読み方は?】

 基本的に本作は「ジャンルや舞台が違っても設定を使えるようにする」ことを前提に設定を組んでいるため、「根本的なところで必要になる設定」を『必読設定』、言ってしまえば「公式の用意したシナリオと同一の舞台を使うために必要となる設定」を『オプション設定』として設置しています。
 
 資料はまずその二つに分けられ、そこから大きな項目ごとに分類、その後用語ごとの設定が記述されています。
 『大まかな解説(所謂設定資料)』が最初に設けられ、用語ごとの解説が必要だと判断したものについては、次ページから用語毎解説が行われています。そのため、一話一話の文字数は大変少ないです。ご了承ください。

 なお、箇条書きの回とそうではない回がありますが、単純に「箇条書きの方が見やすい」と判断した回は箇条書きにしているだけです。

【質問はどこで回答されるの?】
 
 感想欄でいただいた質問に関しては返信で回答させていただく形を取りますが、重要性が高い・公式見解を設定として守って欲しい、と考えられる場合、Q&Aの回を作成し、そこに記述しようと考えています。

 基本的には「この設定資料に書いていないことは各自でご想像にお任せする」というスタイルを取っています。そのため、質問は「どうしても公式の見解が知りたい」という場合に絞ることをお勧めします。
 Q&Aに追記が無く、感想返信に記されるのみとなった「公式見解」には、従わないという選択肢を取ることも可能です。


【図が欲しいんだが】

 後日、いくつかのページに於いては、図解や挿絵を入れることを考えています。「欲しい」という場所があればご意見をお寄せください。


【お気に入り登録では確認できない、追記や改訂に関する情報はどこで受け取ればいい?】

 原案者(八代明日華)のつぶやきで、その都度ご報告する予定でいます。
 また、後日ユアブラ用のTwitterアカウントでも作ろうかなと計画しています。

 《追記》
 告知用Twitterアカウントを作成しました。@YourBlo_Koshikiでご検索ください。


【禁則事項は?】

 基本的には自由に参加作品を創っていただきたい、と思っているのですが、マナーであったり、原案者としての自分が譲れない部分があったりで、いくつか禁止させていただいている箇所が存在します。
 禁止していることは以下の通りです。

・カセドラル・ビーイングを主人公にしてはいけない。

・ブラッドスミスと魔女の契約を強奪したり、強制的に破棄させる力を持った能力やキャラクター、アイテムを作ってはならない。

・アンチ・リアクター能力/体質を持つキャラクターや魔鉄器等を登場させてはならない。

・製鉄師ではないが製鉄師と戦闘ができるOI体質者を作ることは構わないが、OI能力ではない人間の場合は不可とする。

・所謂『最強キャラ』系の人物を出してはいけない(超強いキャラを作るのはありです)。設定資料の時点で、魔鉄暦30年における最強のブラッドスミスはリュドス四世である、と確定しているためです。

・他の参加者の方の作品に文句を言ってはいけない。マナーを守って楽しくシェエワールド。


 

 

あらすじ

 いつ頃からかは不明であるが――この世界の地球では、『魔鉄(ブラッド・スティール)』と呼ばれる物質が採掘される。鉄によく似た外見、表層から見る科学的組成を持つものの、人の手では加工の出来ない物体。人類にとっては無用の長物とされた、『物質界の悪魔』。

 やがて『三層世界論』に基づく研究により、人々が生きている世界よりも高位に位置する世界からやって来た、魔法の金属であることが判明するこの物体。その真の力、役割を世に知らしめたのは、当時トルコ、ボアズキョイと呼ばれていた地に姿を見せた、一人の青年であった。

 名を、ラバルナという。
 古い言葉(ヒッタイト語)で『皇帝』を意味するその人物は、魔鉄を架け橋として、上位世界とこの世界を繋ぐ巫女、『鉄脈(ブラッドマイン)』を有する鉱山の現身、そして『魔法の炉心』としての役割を与えられた存在—―『魔女(アールヴァ)』の素質を持った少女と契約。

 高位の世界からの干渉によって、現実を改変する術、『鉄脈術(リアクター)』を獲得、後に『ブラッドスミス』と呼ばれる異能者として覚醒したラバルナは、己の名を冠する帝国、『ラバルナ帝国』を設立。社会的支配体制の異なる複数の連邦・連合をまとめ上げる連結システム、『超国家(ドミニオン)』の名のもとに、己と、そして仲間の製鉄師——ブラッドスミスと魔女のペアで1組となるそれを率いて、瞬く間に世界を支配下に置いた。

 支配は50年にわたり続いた。
 ラバルナ帝国の支配のもと、それが正しい形であったかは否として、人類は繁栄と結束、そして平和を手に入れた。

 しかしその日々も終わりを告げる。ラバルナ自身が、正体不明の事故によって死去――上層部も共に死んだことにより、帝国はまるで汽車との連結を外された貨物であるかのように分解。平和と結束を置き去りに、さらなる繁栄、そして栄華の継承を求めて争い出した。

 帝国の独占していた魔鉄加工技術と、『製鉄師』を生み出す方法は全世界に拡散。見かけと力ではなく、意思とイメージが世界を変える、新たな金属の時代――石器時代、青銅器時代、鉄器時代に次ぐ最新のフェーズ、『魔鉄器時代』がやって来たのだ。
 

 やがて世界は、力を持った超国家たちが支配する、緩くもはっきりとした結束と、それに属さぬ勢力たち、という構図へ収束し、小競り合いとにらみ合いを続けている。

 
 あれから、30年が過ぎた。
 今、超国家たちのにらみ合いからはぐれ出た極東の島国、日本皇国に、帝国の血を継ぐ一人の少女が舞い降りる。

 それは新時代への福音か。
 それとも黙示録の喇叭(さきがけ)か。 

 

三層世界論

 セオリー・オブ・トリニティワールド。

 本作における、様々な超常現象を説明するための概念。

 この世界は、現実世界たる『物質界(マテリアル)』、存在の世界たる『霊質界(アストラル)』、そして記録情報の世界たる『冥質界(カセドラル)』の三つが、同じ位置にレイヤー状で重なり、基本的に相互不可侵の状態で成立してできている、という理論。2020年代後期にイギリスの超常現象研究家であるアンジェリカ・マナウィダン教授によって提唱された。

 魔鉄の研究が進むにあたり、この物質がマテリアルではなくアストラルの存在であることが判明すると、その理論が半ば正しいものであったことが証明された。また、マテリアル上に極稀に出現する、地上の法則では説明がつかない奇妙な生物たちが、カセドラルの存在ではないかとする仮説が立っており、ほぼ正しいだろうという推測のもと研究が続けられている。


【三層世界論の原則】

・マテリアル、アストラル、カセドラルは、右に行くほど『上位』である。

・三つの世界は、同位体に近い存在であると同時に独立した存在である。互いに干渉し合うことはあるが、常に接続しているわけではない。 
 
・上位の世界から下位の世界への干渉は自由であるが、下位の世界から上位の世界への干渉は基本的にできない。そのため、マテリアルに現出したアストラルの存在(魔鉄や鉄脈術)には、干渉方法を持つ人間しか干渉できない(この作品では、オーバードイメージ体質の人間がそれに該当する)。この原則を『下位世界から上位世界への干渉不可能性の原則』と呼ぶ。

・マテリアル、アストラルは同期する。マテリアルでの死はアストラルでの死、アストラルでの死はマテリアルでの死に直結する。
 どちらか片方が改変されれば、もう片方も改変されてしまう。

・カセドラルにおける変化はマテリアル、アストラルの変化には直結しないが、マテリアルとアストラルにおける変化はカセドラルに『情報』を記録する、という形で反映される。
 

 

物質界

 マテリアル。

 本作世界の住人達にとっての『現実世界』。絵に例えれば、「線画とベース色のレイヤー」。

 原則として不変である『形』といくつもの法則、そして『意思』を持った、最下位の世界であると同時にベースとなる世界。

 この世界における肉体を『マテリアル・ボディ』と呼ぶ。マテリアル、アストラル、カセドラルのいずれからの干渉でも潰れてしまう脆い肉体だが、上位世界をつなぎとめる『楔』の役割も果たし、マテリアル・ボディと同期(リンク)したアストラル・ボディは容易に変更することができない。
 
 前述の通り「形」を持つ世界である。すなわち、定型を持たず、本来簡単に改変できてしまうアストラルや、情報次第で如何様にでも変化してしまうカセドラルと異なり、マテリアルは物理的手段に訴えなければ簡単に変わることはない。この特性が、アストラル存在に定型を与える『楔』としての役割を持つ理由となる。

 
 

 

霊質界

 アストラル。

・「存在の世界」。物質世界の存在位相に沿った形で『存在』だけがあり、アストラルの存在に固有の意思などは特にない。絵に例えるなら、「影やハイライトと言ったベース色の上に塗る色のレイヤー」。

・マテリアルの存在では本来干渉ができないが、オーバードイメージ体質と呼ばれる性質を持った人間であればそれが部分的に可能である。
 本来この世界を認識するための共通のテクスチャは存在しないため、マテリアルからアストラルを見るとき、その人間の持つイメージが投影された姿で認知される。ただし、通常の人間はそもそもアストラルの景色を見ることができない。これが可能なのはオーバードイメージ体質の人間のみである。この「OI体質者が垣間見るアストラルの姿」を『歪む世界(オーバーワールド)』と呼ぶ。

・また、アストラルとマテリアルは基本的に同期するという法則がある。そのためマテリアルが変質すればその「『存在』という概念」、即ちアストラルも変質してしまう。逆にアストラルが変質すれば、現実であるマテリアルも変質する。
 現実世界が簡単には変容しないのと同じく、アストラルも本来簡単に変質はしない。しかし例外的に、魔鉄はマテリアルの存在(勿論、アストラルへの干渉が可能であるOI体質の人間のみであるが)でも干渉が可能であり、この理論を用いてアストラルを改変、同時にマテリアルをも改変させる術が『鉄脈術』である。

・なお上述の内容から推察できる通り、魔鉄はこのアストラルの存在が、どういうわけかマテリアルに物質の姿で顕現したものである。魔鉄がマテリアルの物質では鍛えることができず、しかしOI体質の者のイメージ力によって変質するのは、前述の『下位の世界(マテリアル)から上位の世界(アストラル)への干渉の不可能性』とその抜け道によるものである。また前述の通り、本来ならば干渉できないアストラル・ボディでも、魔鉄の場合はOI体質の人物なら干渉が可能であり、魔鉄を加工する技術の正体となる。

・この世界の肉体を『アストラル・ボディ』と呼び、マテリアル・ボディと同じ位置に存在する。
 基本的にマテリアルに存在するものはアストラルにもアストラル・ボディが用意されているが、逆にアストラルにしか存在しない物質、というものがいくつかある。アストラル・ブラッドなどがそれにあたり、本来ならば魔鉄もそういったものの一種である。それらは何らかの手段でマテリアル・ボディを得て地上に顕現しても、マテリアルからは干渉することができない他、そのマテリアル・ボディは『楔』の役割を果たさない。そのため、『仮初のマテリアル・ボディ』とも言われる。

・原則のページでも説明した通り、アストラル・ボディとマテリアル・ボディは、直接的な接続こそしていないものの密接に関連する。アストラル・ボディを失えばマテリアル・ボディも消滅してしまうし、逆にマテリアルで死ねばアストラルでの存在も消滅する。

・アストラルの存在は本来、流動的であり、楔を持たない。そのため、干渉さえできれば簡単に改変ができるが、「改変が難しい世界」であるマテリアルと同期することでそれを防いでいる。これによって、相手のアストラルを直接改変して殺害する、といった手法を取ることが不可能になる他、製鉄師に於いては「魔女の鉄脈に接続できるのは契約したブラッドスミスだけ」という法則が成立する。
 

 

冥質界

カセドラル。

 「記録の世界」。生体として活動するアカシックレコード、とも。絵に例えるなら、「線画に沿わないエフェクトやオブジェクトのレイヤー」。
 情報によって形成された生命体らしきもの、すなわち『カセドラル・ビーイング』が棲息する、物質世界とも霊質世界とも存在位相的には関係のない、独立した世界。『この世界にして異世界』とも言われる。

 カセドラル・ビーイングの姿は多種多様。その中には、マテリアルに存在する『情報』と自分自身の情報を対応させることで、マテリアルに肉体を構成し顕現する事ができる者もいる。この世界における幽霊は、死者の『情報』を軸としてマテリアルに顕現した、カセドラル・ビーイングである、とみることも可能だ。

 アストラルと同じく、干渉できる体質の人間はごくまれに存在する。ただしOI体質として体系化されているアストラルへの干渉能力者と異なり、こちらは数が多くない上にその方法も大きく異なるため、一括りにすることは現状できていない。所謂『霊能力』もその一種。
 OI体質者は人口の中で一定の人数を保っているが、カセドラル接続者は所謂「一握りの特別な人間」に過ぎない。そのため、そもそも体系づけること自体が不可能ではないかと推測される。

 この世界の肉体を『カセドラル・ボディ』と呼び、マテリアル、アストラルの位置には関係のない活動が可能である。
 カセドラルには平行世界の情報も記録されている。そのため、本作の世界には存在しない物体や生物、現象も、カセドラル・ビーイングとして顕現する可能性がある。具体的には、そう、ドラゴンであるとか、神々である、とか。
 
 

 

魔鉄

 ブラッド・スティール。

 いつ頃からかこの世界に顕れた、奇妙な金属。見た目や手触りは鉄に似ている他、加工していない状態における表面の組成は鉄のそれに似る。
 元々加工技術はラバルナ帝国だけが所有していたが、征服期に各国の技術者に継承、ブラッド・カタストロフを契機に彼らが母国に帰還したことで、加工技術は全世界に流出、結果として『魔鉄器時代』がやって来た。

 研究の結果、その正体は『三層世界論』における霊質界(アストラル)の物質が、なんらかの理由で物質界に顕現したものであると判明している。
 いくつか存在する、『アストラルにしかない存在』のうちの一つ。マテリアルからは干渉できない、アストラルの存在。顕現に際して得ているマテリアル・ボディは仮初のモノであり、「人間のアストラル・ボディ」などと異なりオーバードイメージによる干渉を受け付け、改変させることが可能である。

 人間のイメージに呼応して形や性質を変えるという特性があり、例えば『発光する』という特性を与えられた魔鉄は光るようになる。こういった特性を付与する技術、即ち『魔鉄加工』はオーバードイメージ体質の人間にしかできないが、加工の段階で一般の人間でも操作ができるようにすることは可能。ただし、「一般人が魔鉄を加工できる」という特性だけは付与することができない。原因は不明である。

 三層世界論における『下位世界から上位世界への干渉不可能性』によって、物質界の法則に異常に強い。そのため酸化やほかの物質との化合は起こらない。が、それらを可能とする性質であったり、誕生すると推測される合金に似た性質を付与することで、『合金に似た何か』を生成することは可能である。

 元来、「産出はするが使い道のない物質」「邪魔者」「物質界の悪魔」と言った意味合いで『魔鉄』の名が名付けられていた。
 2030年代後期に、アメリカで行われた実験が失敗、爆発を起こして研究所を崩壊させた、『血塗られた金属事件』を経て、「人々の命を奪い去った魔の鉄」との意味を込めて正式に『魔鉄』と命名された経緯がある。

 現在は研究が進んだ結果、上記のような暴発の可能性は極小になっているため、原則として起こらないと考えてよい。どうやら魔鉄加工、または疑似的な鉄脈術の発動が失敗したことによる現象だったようだ。
 これらの結果、魔鉄暦30年現在では「魔法の鉄」程度の意味に落ち着いている。 

 

魔鉄の利用

 OI体質者による魔鉄加工で様々な性質を付与できる魔鉄には、従来の金属を大きく超える様々な用途が存在する。

・建築:基本的に地上の法則によって干渉ができないため、耐久が高く、耐震性や耐火性に異常に優れる。そのため建築の世界では、家の柱や基礎として起用する場合が多い。近年では性質を変化させることができる、という特性を用いて、金属的で冷たい外見から、木やレンガを思わせる見た目や手触りに変化させた家も誕生している。
 また、戦時中に鉄脈術によって破壊されても、技術者の手によって瞬時に元の形に復旧することが可能という点に注目が集まり、魔鉄暦以後の戦争における戦後復興が早い要因となっている。

・魔鉄器(一種のマジック・アイテムとしての):電気を使わずに灯りが付くランプや、自動的に切れ味が増すナイフなど。製鉄師達が契約に用いる『エンゲージ』や、OI能力者を監理するリングがそれである。

 なお、厳密には魔鉄によって造られたものならば何でも『魔鉄器』である。


 加工技術はラバルナ帝国が独占していた。OI体質の人間そのものは帝国以外の領域にもいたが、力の使い方を当時明確に理解していたのは帝国のOI体質者のみであった。
 ラバルナ帝国による世界征服後、即ち支配期には、各国から素養ありと見込まれたOI体質の人間が集められ、帝都ハットゥシャで魔鉄加工技術を修める。

 帝国崩壊後、この技術者たち――のちのブラッドスミスやドヴェルグの祖になっていく人物たちが、自国に魔鉄加工技術を持ち込んだことで、世界は鉄器文明から魔鉄器文明へとフェーズチェンジすることになった。

 前述の通り、『下位世界から上位世界への干渉不可能性』の規則により、マテリアルの法則に非常に強いため、劣化が非常に遅い・あるいは劣化しないとされており、この事実が魔鉄普及に一役買っている。 

 

魔鉄器(広義の)

 OI体質の人間、特にドヴェルグによって特別な『魔鉄加工』を施された魔鉄を、『魔鉄器』と呼称する。
 魔鉄器には様々な特性を付与することが可能であり、ファンタジー小説に出てくるマジックアイテムのようなものまで作ることが可能。

 ただし「一般人への魔鉄加工の解禁」と「装備した一般人へのOI体質の付与」など、「通常の人間とOI体質の人間の垣根を破壊する行為」、及び「魔鉄を食用にする性質」の付与は不可能である。

 魔鉄に付与できる性質、つまり魔鉄器が持つ性質はイメージ次第でいくつか付けることができるが、大抵の場合5つほどである。

 この限界を超えて、大規模かつ多数の性質付与を行う魔鉄加工を施された魔鉄器を『魔道具』と呼ぶ。傭兵国家マギが所有する機動要塞(ペルセポリス)『カラーエ・チフルダート』や、星詠みの国の中枢を成す『星の図書館(ニネヴェ・アッシュール)』がその代表例として挙げられる。
 魔鉄器は(ものによるが)比較的短い時間で完成するのに対し、魔道具は非常に長い時間をかけて作成する。その期間は数か月から数年、巨大なものでは十年近くがかかる場合も。 

 

魔鉄の産出

 魔鉄の産出現場は、鉄の鉱山に限らず、『鉱山』である/あったならどこにでも湧く可能性がある。が、本当に「どこでもいい」わけではないらしく、産出する場所・しない場所がある。現在に至るまで研究が進められているが、その規則性はいまだ明らかになっていない。

 産出の形態は非常に奇妙であり、インゴットや延べ棒と言った「加工済み」の姿で、文字通り発掘されてくる。仮説ではあるが、『人のイメージによって変形する物質であるため、人間の考える金属の姿を模して出現しているのではないか』とされる。

 産出自体は、最古の記録では鉄暦の1500年代、錬金術に関連する書物の中に確認されているが、当時から『加工ができない金属』として厄介者扱いされてきた。その後は都市伝説の類として認識されてきたが、鉄暦2030年代末期に急速に産出が加速。その実在が認められる。産出(その正体を考えれば『顕現』と言った方が良いか)が増加した原因は今なお不明である。
 

 

魔鉄器時代

 エイジ・オブ・ブラッド。

 魔鉄文明が到来した社会のこと。

 ラバルナ帝国が崩壊し、その技術が流出した、鉄暦2100年の『ブラッドカタストロフ』以後をそれとする説と、ヴァンゼクス超国家連合が成立し、人類の方向性が確定した鉄暦2105年以後をそれとする説の二つに分かれる。

 国際的には鉄暦2105年説が一般的であり、以後を『魔鉄暦』という国際紀年法で表す。

 なお、魔鉄暦の英名は『ブラッド・イラ』。物語の舞台、その基準となる年代は魔鉄暦30年である。


 魔鉄器時代の戦争には以下の特徴がある。即ち

・戦闘の形態は「大群有利」ではなく「製鉄師一強」である。強力な製鉄師ペアは万軍に匹敵し、群よりも個(?)の力が勝る。

・魔鉄によって造られた建造物は、ものにもよるが大抵の場合魔鉄鍛造の過程で行われる『焼き入れ』によって、元の形状を記憶している場合が多い。そのためOI体質の人間が集まれば、簡単に形を復元させることができる。そのため農作物や人的被害は兎も角、建造物に関してはすぐに復興が可能。

・戦争は製鉄師と製鉄師がぶつかり合うモノである場合が多い。これにより、一戦争における人的被害自体が終息していく傾向にある。
 魔鉄暦30年現在では殆ど大規模な戦争は行われていないが、今後一種の『競技戦争・代理戦争』のような形にまでなるのではないか、とする説も。
 これらは製鉄師が持つ『鉄脈術』による大規模破壊力、そして『魔鉄の加護』と呼ばれる特殊な性質により通常の兵士では彼らに対抗ができないため、大軍を以て戦争に臨むよりも、少数の製鉄師を戦場に繰り出す方が、無駄な損失を省けるうえに、勝利の確実性が上がるようになったからである。 

 

オーバードイメージ

 過剰想起。
 日本皇国では『オーバード・イメージ・コンスティテューション』、略してOI体質、またはOI能力という呼び方が一般的である。

 人間が自身の身体を動かすには、「自分の身体がどう動くか」というイメージが必要不可欠となる。つまり、人間は日常的に、自分自身に対して己のイメージを反映させ、自己の身体をイメージ通りに改変していると考えることができる。
 
 オーバードイメージとは、本来ならば自分にしか働かないはずの、『改変のイメージ』で、『他者も改変できる』能力のことである。

 この能力を行使することで、本来マテリアルからは観測・干渉することができないはずのアストラルを垣間見、手を伸ばすことが可能である。


 実はこの名称が付く理由たる上記の説明は、厳密には『逆説』である。
 何故なら、元々ヴァルトラウテ博士の研究により、「魔鉄は人間のイメージによって性質がかわること」自体は先に突き止められていたのだが、その「魔鉄を改変するほどのイメージ」を発揮するためにはこの能力が必要であり、それによってこの能力は「人を超えたイメージ力」と判断され、即ち『オーバードイメージ』と名付けられた、という経緯があるためだ。 

 

OI能力者

 オーバードイメージを行使できる人間のこと。

 オーバードイメージによって、アストラルを観測することができる人間のこと。アストラルには特定のテクスチャが存在しないため、彼らは自分のイメージに沿った異世界の風景――通称『歪む世界(オーバーワールド)』を垣間見る。

 OI体質者は各々技術を身に着けることで、その魔鉄干渉能力を十全に発揮させるための存在として、大まかに二種類のパターンに『覚醒』する。

 一つは、魔女の『鉄脈』にアクセスし、『魔鉄分』をコントロールして現実世界を改変する、現代の魔法、『鉄脈術』を行使する工夫にして細工したる鋼の魔法使い――『ブラッドスミス』。
 一つは、魔鉄そのものを『鍛造』し、既存金属では作りようもないマジック・アイテムをこの世に齎す聖霊技師たち――『ドヴェルグ』。

 彼らの根本は同じであるが、各々、本人の意思や才能などによる適正、収める技術などによって大きく差別化される。

 なお、『魔女』もOI能力者と同様、魔鉄に干渉する力を持っているが、こちらはOI能力とは異なる原理によるものである。

 OI能力者による魔鉄の改変を『魔鉄加工』と呼ぶ。
 その精度や複雑さといった性能は、『歪む世界』の頁で紹介する『OW深度』に比例する。OW深度が(ふか)い程、魔鉄加工技術の性能も向上する。


 OI能力は遺伝するかしないか、現在の所明らかになっていない。OI能力者の両親からOI能力を持たない子供が生まれたり、一族に一人もOI能力者がいないのにOI能力を持つ人間が生まれる、という場合があるため。ただし、各種超国家のトップ層とその血族や、ラバルナ帝国統一貴族の末裔たちは殆どがOI体質者である。よって、やはり遺伝するのではないか、という説も根強い人気を持つ。
 魔鉄暦30年現在においては「おおむね遺伝する」説が最有力。

 日本皇国では、小学校五年生の定期健診で、OI能力を持っているか否かが正式に判断され、OI能力者として認定された場合、その監理のために、銀色で地味な、細い腕輪型魔鉄器の装着が義務付けられている。
 

 

ブラッドスミス(OI能力者としての)

 OI能力者のうち、「魔女と契約して『歪む世界』を格納する」者たち。魔女の『鉄脈』にアクセスし、『鉄脈術』と呼ばれる超常の業を駆使する、幻想の採掘師にして現代の魔法使いたち。
 
 魔女との契約の仕方、魔鉄器を通したアストラルへの干渉、鉄脈術の行使とコントロール、戦闘系ブラッドスミスとして活動する場合は戦闘技術等を学ぶ。

 魔鉄暦30年現在では戦争の中心はこのブラッドスミスである。

 魔鉄文明社会に於いては、各職業にブラッドスミス用の立場が用意されていることが多い。

 日本皇国に於いては、『プロ・ブラッドスミス』と呼ばれる軍属の製鉄師と、そうではない製鉄師の二つの道を設けている。
 前者は半公務員のような立ち位置——いわば『武士』的な立場として、普段は各自侵入者への対処や、通常の国民と同じ普通の生活を送る傍ら、戦時には国防兵として戦う役目が与えられている。
 後者は軍に協力する義務はないものの、私生活において許可のない鉄脈術の使用が禁止されている。こちらは部分的な鉄脈術の行使が可能となる部門が、前述の通り各職業ごとに設けられている場合が多く、そう言った箇所で活躍する事が多い。無論、鉄脈術を修めはしたものの、製鉄師とは一切関係のない生活を選ぶものもいる。 

 

ドヴェルグ(OI体質者としての)

 OI体質の『覚醒者』のうち、戦闘ではなく『魔鉄加工』に特化した人間が『魔鉄加工技師』——ドヴェルグである。
 魔女と契約する形で『歪む世界』を「封印」するブラッドスミスと異なり、ドヴェルグは魔鉄に己の歪む世界を反映させることで「消費」する。
 完全な消費は不可能で、歪む世界は一定の時間がたつと復活するが、この技術を使用することで通常の魔鉄加工品よりもはるかに強度や汎用性に優れた品が完成する。この技術を『魔鉄鍛造(スヴァルト)』と呼ぶ。

 歪む世界の消費には一定のリミットがあり、このリミットを超えて使用し続けると、OWの内容や構成要素に関わらず、肉体に『歪められる金属の痛み』が投影され、激痛や自我の崩壊を引き起こす危険性がある。そのためドヴェルグには、この『歪む世界』を利用した特殊な鍛冶に関して、一日の使用可能回数に限界が存在する。リミットは個人ごとにまちまちである。
 なお、このリミットを超え、激痛の中で魔鉄鍛造を続けることも可能である。これを『超過鍛造(ユーベルスヴァルト)』と呼び、魔鉄鍛造をさらに超える非常に優秀な作品を作ることが可能である。しかしドヴェルグ自身の寿命を大きく縮めてしまうため、基本的にはタブー視される傾向にある。

 また、ドヴェルグは自身の作り出した魔鉄器に『焼き入れ』と呼ばれる措置を取れる。これは、「固定のイメージ」を叩き込むことで、他のOI能力者による干渉であるとか、鉄脈術による破壊といった行動によって破壊された魔鉄器を、再びイメージを注ぎ直すことで元の形に戻すことを可能とするもの。


 武装作成型鉄脈術を操るブラッドスミスとの最大の違いは、そちらの作った魔鉄製の武装は、鉄脈術の効果時間が切れれば消滅してしまうことに対して、ドヴェルグの作り出した魔鉄器はそのまま残り続けることにある。
 

 

魔女(アストラル干渉者としての)

 アールヴァ。

 この作品の根本を成す要素の一つ。魔鉄器時代の勇士たちを導く女神にして戦乙女。魔鉄の産出が確認されたころから世界中で散見されたが、世界人口の中に確かな割合を占めるようになったのは、OI体質と同じくラバルナ帝国の征服期以降である。
 以前は特にこれと言った名前が付けられていなかったが、2030年頃、後述する成長停止現象とアストラルの関係性が明白になり始めたときに、ロキ・ヴァルトラウテ博士から『魔女(アールヴァ)』と命名された。

 そのアストラル・ボディにおける心臓部位に、疑似魔鉄たる『魔鉄分(イコルスティール)』を含む、仮想血液――アストラル・ブラッドを封じた『鉄脈(ブラッドマイン)』を持つ。

 精神は問わないが、肉体は必ず女性である。魔女であるか否かは生まれつきであり、後天的に女性に変化した人では魔女になることはできない。
 
 魔女体質の女性は一貫して平均寿命が120歳程度であり、肉体の成長・老化が10歳~15歳の内にほぼ停止する(完全に変化が停止する、というわけではないらしく、排泄は行う他、髪の毛や爪が伸びたり、妊娠・出産も可能である。どちらかと言うと『外見年齢が変わらなくなる』という方が正しいのかもしれない)。

 また、魔女体質の女性は髪の毛がうっすらと銀色を帯びる他、虹彩にも銀色が混じり、また、その血液を特殊な液体に漬けるとやはり銀色に変色する。

 髪の毛や虹彩の銀色が強ければ強いほど、魔女として『完成している』とされる。

 厳密にはOI能力者ではないが、魔鉄加工が可能である。深度制度は持っていないが、加工の精度には個人差がある。この個人差は、上述の『完成度』が高ければ高いほど優秀な成績が出る傾向にある。

 OI能力者の魔女というのは存在するが、基本的には大してメリットが無い(OI体質でなくとも魔鉄加工が可能であるため)。そもそもOI体質魔女に関しては、絶対数が世界的・歴史的に見ても少ない。

 これらの特徴は魔女がマテリアルの存在でありながらアストラルと部分的に接続した、非常に特殊な人間であることに基因する。外見年齢が変化しなくなるのは、『下位世界から上位世界への干渉不可能性』の原則が一部分だけ働いているからである(完全に働いているわけではない)。そのため、魔女は通常の人間よりも若干頑丈であったり、病気にかかりづらかったりする。
 OI能力を行使しているように見えるのは、「一部的にアストラルの存在として扱われるため、魔鉄に対して『下位世界から上位世界への干渉不可能性』の原則が作用していない」ためである。


 日本皇国においては小学校五年生の健康診断時に魔女体質であるか否かの検査が行われる場合が多い。これはOI体質者であるか否かを判断するのとほぼ同時期である。

 魔女体質の女性は外見年齢の不変などによって「他人との乖離間・疎外感」を感じる場合が多い。ブラッドスミスと魔女が互いを「共有できなかった感覚を共有する相手」として認識するのは、こういった部分にも関連する。

 OI能力と同じく、遺伝するのかしないのか、するならばその『完成度』は継承されるのかは不明である。現在は、これもOI能力と同じく「おおむね遺伝する」が定説。


 なお、ブラッドスミスと契約していない魔女は、厳密には『魔女体質の人間』という扱いである。 

 

『歪む世界』

 オーバーワールド。略称『OW』。

 OI能力者が観測する、アストラルの風景。アストラルは固定のテクスチャを持たないため、観測者毎にその内容は大きく変化する。

 一般的に「視界に自身のイメージに基づく、現実とは異なるもう一つの世界が見える」形で出現する。例として、『視界を覆う様に燃え盛る、消えない碧い炎』『街を行く人々の姿が氷の彫像に見える』など。

 『歪む世界(オーバーワールド)』には『深度』があり、(ふか)ければ(ふか)いほど規模や影響が大きくなっていく――より正確には、観測するアストラルに反映されるイメージの要素が増える。これを『OW深度』と呼ぶ。

 『OW深度』には『埋鉄(ベリード)』『製鉄(スティールオン)』『鍛鉄(トライン)』『振鉄(ウォーモング)』の四つの位階がある。左に行けば行くほどイメージの要素は増え、中には感触の認識が変質してしまう者も。

 この深度のランクは生まれつき高い場合もあるが、基本的にはOI体質の人間が「自分は一つ上のステップに上がった」「今までとは違う自分に変わった」と、思い込みなどではなく本当に確信できる局面に到達した際に、ブレイクスルーの様な形で上昇する場合が多い。なお、埋鉄位階から製鉄位階への上昇(通称『覚醒』)が最も困難である。OI能力を鉱山の採掘に例える説を採用するならば、『埋まった鉄を発見し、採掘することが一番大変である』からだという。
 
 OW深度は単純にその人物のOI能力の強さを示す以外にも、OI能力者としてのランクを表すためにも使われる。また、歪む世界と密接にかかわる『鉄脈術』においても、その位階は元となったOW深度と一致する。これに関して、鉄脈術の位階が上がるとOW深度も上がっていくことになる。

 なお、『歪む世界』の内容――即ち『元となったイメージ』がどのように選出されているのかには諸説あり、現在も明らかになっていない。その人物が思うアストラルの風景のイメージそのもの、転じて『高位の世界の認識の仕方』であるとか、その人物の強い信念や意思の発露、とする説が有力であるが、いまだ定説と呼べるものはない。

 ブラッドスミスの『歪む世界』は、魔女との契約を交わした段階で『鉄脈(ブラッドマイン)』に転写・格納され、以後契約が切れるまで視界に顕れることはない。

 ドヴェルグの『歪む世界』は、魔鉄鍛造を行使することで一時的に視界から消失するが、暫くすると復活する。

  

 

埋鉄位階

 ベリード。

 OW構成要素0。アストラルの景色は見えない。魔鉄加工ができるならばこの位階には到達している。この状態では歪む世界に悩まされることはないものの、魔鉄文明社会において高い地位が約束される、ブラッドスミスやドヴェルグとして活動することはできない。

 現在世界中で最も人数が多い位階。
 この位階では「OI能力が使えるだけ」「魔鉄を変形させることができるだけ」程度に等しく、アストラルにアクセスして超常の力を行使したり、魔鉄に特殊な性質を付与させたりすることはできない。

 そのため、この位階では『OI能力を持っているだけの一般人』と殆ど変わらないと判断してよい。ブラッドスミス/ドヴェルグになることが事実上不可能であることから、『未覚醒者』とも呼ばれる。

 ちなみに日本皇国においては、製鉄師育成学園の入学試験を突破するには製鉄位階以上のOW深度が事実上必須となるため、埋鉄位階では入学することは非常に難しい(完全に不可能、というワケではない)。
 ただし製鉄師となるための『契約』、ドヴェルグとしての『魔鉄鍛造』のいずれにも製鉄位階を超えるOWが必須であるため、ブラッドスミスやドヴェルグになることは不可能である。


 魔鉄加工ができないわけではないため、埋鉄位階であっても、魔鉄が関わってくる部分では一般人とは一線を画すことは確かである。

 語源は「埋まっている鉄」。まだ掘り起こされていない=覚醒していない状態を表しているらしい。 

 

製鉄位階

 スティールオン。

 OW構成要素1。

 歪む世界の対処のために、ブラッドスミスやドヴェルグを目指す者が増えだす。活動することは可能だが、あまり強力な鉄脈術や、優秀な魔鉄器は作れないだろう。

 ブラッドスミスやドヴェルグとして活動する者達の中では最も人数が多く、日本皇国における学生OI体質者は殆どがこの位階。

 製鉄師として活動する場合、鉄脈術の変成形質が一つであるため、戦略は単調になり易い。しかしそれは「必殺のルート」が決めやすくなることを意味する。そのため、戦闘者として不十分、というワケでは決してない。製鉄位階でも強力なブラッドスミスとして活動する人物は少なからず存在する。

 ドヴェルグとして活動する場合、複数の性質を付与するような『魔鉄鍛造』は難しいが、特化した機能を持つ魔鉄器が作り易い・作品の方向性に悩まなくてよい、という利点がある。実際、日本皇国に於いてOI体質者の能力使用状況を監視するためのリングを作成する『技官』達のうち、『破壊不可能』の性質を付与する者達は殆どが製鉄位階であるとされる。

 語源はその名の通り「鉄を製作する」/「精錬する」。採掘された銑鉄を、きちんとした鋼に作り変える段階をイメージしているらしい。 

 

鍛鉄位階

 トライン。

 OW構成要素2。

 多くの場合アストラルの景色が現実を侵食し出す。風景そのものがガラッと変わって見えることも。

 『歪む世界』の現実世界との融合率が上がり、正常に世界を認識できなくなり始める。そのため、ブラッドスミスかドヴェルグとしての生活の道を探さなければ生活が難しくなってくる。

 日本皇国に於いて『プロ・ブラッドスミス』の地位にある人物は殆どがこの鍛鉄位階である。複数の戦術を選択できるようになり、単純に鉄脈術を使うだけでもいくつもの戦況に対応できる。

 ドヴェルグとしては、複数の性質を一度に魔鉄に付与できるようになる。そのため、複雑なギミックを魔鉄器に施すことが可能に。

 語源は「鉄を()つ」ことから。鍛鉄位階のOI能力者たちは、鉄を鍛えて新たな形に変えるように、魔鉄を発展させることができるため、らしい。 

 

振鉄位階

 ウォーモング。

 OW要素3。

 アストラルの景色が現実を完全に喰らい尽くし、本当の姿が認識できなくなる。
 肉体にも錯覚の形で影響を及ぼすため、体の感覚が無くなったり、あるはずのない痛みを感じる、自分自身が全く別の生物に見える等の症状が出る。

 この状況では『歪む世界』を魔女に格納できるブラッドスミスの道を選ぶ必要が極めて高くなる。何故ならドヴェルグの魔鉄鍛造では、この膨大な歪む世界を消費しきる事が出来ないからだ。

 語源は「鉄を振るう」ことから。英名は「鉄を振るえば戦が起きる。よってこの位階の存在は、戦争を引き起こす者(ウォーモンガー)足りえる」という意味を持つらしい。無論、実際には振鉄位階のOI能力者/鉄脈術にも、非戦闘系のものは存在する。 

 

製鉄師

 ブラッドスミスと魔女の一組で構成される、この世界において最も重要な概念。その役割は生体兵器、予言者、時代の先導者と多岐に渡る。読み方は『ブラッドスミス』だが、構成要素としてのブラッドスミスとは別のものとして扱われる。

 製鉄師の最大の特徴は『鉄脈術(リアクター)』の存在である。これは、OI体質の人間の一種であるブラッドスミスが持っていた『歪む世界(オーバーワールド)』を、魔女のアストラル・ボディに存在する『鉄脈(ブラッドマイン)』に転写。鉄脈から流出するアストラル・ブラッドの中に含まれた、魔鉄と酷似した「存在」を持つ疑似魔鉄、『魔鉄分(イコルスティール)』が改変されることで、『歪む世界』を現実世界に再現する、というもの。人間をたった一組で戦術兵器レベルの生体兵器へと押し上げる、戦の常識を塗り替えた技術。

 『魔鉄の加護』によって、OI能力者及び魔女以外の人間から攻撃によるダメージを受けない製鉄師に対して、この鉄脈術と、それに関連する諸技術はダメージを与えることができる。そのため現在、この作品の世界における戦争は、製鉄師同士の戦いが基本となっている。

 また、鉄脈術には戦闘に向かない形で現出するものもあるが、鉄脈術そのものが一種の魔法・魔術のようなものであるため、例えば傷を癒す力に特化した鉄脈術を持つペアであれば、所謂『回復魔法使い(ヒーラー)』のような社会的立場で活躍することができる。

 魔女とブラッドスミスは、何事も無ければ一生に一人のペアとなる。「誰とも共有できなかった世界を共有する相手」として強い信頼関係で結ばれることにより、長じて恋愛関係になるペアも多い。特に日本皇国では、教育システムの都合上幼少期から共に過ごすほか、代表的な魔女である皇女・天孫東子が自分のペアを婚約者に選んでいることから、「製鉄師カップル」は比較的人気があり、受け入れられている。


 これもまた日本皇国の例となるが、契約を交わして製鉄師となったブラッドスミス及び魔女は、OI能力監理用リングの色が変化して金色になり、外見からパートナーがいることが判断できるようになる他、OI能力だけでなく鉄脈術の使用状況も記録されるようになる。これはプロ・ブラッドスミスならば交戦状況を記録するために。そうでないブラッドスミスなら許可のない場所・目的で鉄脈術を使用していないかどうか監視するために、それぞれ使われる。 

 

ブラッドスミス(製鉄師としての)

 OI能力者のうち、魔女との契約、及び鉄脈術の行使・コントロールに関する技術を修めたタイプの人材。採掘師であり、加工師であり、魔鉄の時代を駆け抜ける英雄たちである。

 鉄脈術の使用には『歪む世界』が必要であるため、埋鉄位階のOI能力者ではブラッドスミスになれない。

 魔女との契約を経る事によって、その存在が若干マテリアルではなくアストラルの物質に寄る(つまり魔鉄と同じような、マテリアルでありながらアストラルである存在になる、ということ)。
 *このため「下位世界から上位世界への干渉の不可能性」の原則が一部分のみ働き、OI能力者でないとブラッドスミスにはダメージを与えることができない。例えばOI能力を持たない人間が、鉄製・魔鉄製問わず銃弾をブラッドスミスに向けて撃ったとしても、それは肌を貫通する事なく弾かれてしまう。
 *この半アストラル化による身体性能の向上を通称『魔鉄の加護(ブラッド・アーマー)』と呼ぶ。
 

 なお、魔女と契約することでブラッドスミスの視界からは『歪む世界(オーバーワールド)』が消滅するが、OI能力が失われるわけではない。問題なく依然と同じOW能力を使用可能である。
 

 

魔鉄の加護

 ブラッド・アーマー。

 魔女と契約したブラッドスミスに与えられる、アストラルからの守護。魔女との契約が破棄されると、この加護も喪われる。 
 OW深度のレベルアップに伴い強固になっていく傾向があり、深度の浅いブラッドスミスでは、深度の深いブラッドスミスに与えることができるダメージが小さくなる。

 OI能力を持たない人間からの攻撃を完全にシャットアウトするが、OI能力者からの攻撃は減衰にとどまる。よって、上述のような格上との戦闘であっても、全くダメージを与えられない、と言った事態にはならない。

 ラバルナ帝国の征服時代には、そもそも世界にOI体質の人間が少なかったことも相まって、製鉄師への対抗手段とはなり得なかった。現在の社会でも「ただのOI体質の兵士」と「製鉄師」では鉄脈術という絶対的な差が存在するため、決定打とはなり得ない。

 魔鉄の加護は、若干ではあるが人間の身体性能を向上させる。そのため、もともと運動が苦手だったブラッドスミスが、契約後にはきちんと戦闘ができるようになる、といった事例が確認されている。また、訓練を積めば敵意にも敏感になることが可能。
 
 何故『魔鉄の加護』が身体性能の向上にのみ働くのかは現状不明。
 また、『魔鉄の加護』があっても、何もかもをふせげるというワケではない。例えば風でよろめいたり、水に濡れたり、と言ったことは普通にする。ただし火傷や爆風には強くなる。どういった選定基準があるのかは、これもまた今一明らかになっていない。
 

 

魔女(製鉄師としての)

 ブラッドスミスと契約した、魔女体質の人間。パートナーたるブラッドスミスに、『歪む世界』を転写する『鉄脈(ブラッドマイン)』を提供する。鉱山であり、炉心であり、ブラッドスミスを導く現代の戦乙女にして女神。

 魔女も『魔鉄の加護(ブラッド・アーマー)』を持つが、これは厳密にはブラッドスミスのそれとは異なり、外見年齢変化の停止や、OI能力によらない魔鉄加工と同じ、『アストラルに足を踏み入れた人間の特権』のようなモノである。
 ブラッドスミスが『鉄脈術』を起動している間、この魔女の『魔鉄の加護』は非常に強固になる(振鉄位階の魔鉄の加護と同等か、或いは超える)。これによって、ブラッドスミスであっても魔女にダメージを通すことはかなり難しくなる。最も、完全防御、というわけではないため、盾などにしてしまえば魔女は普通に死んでしまう。いうなれば100のダメージが30になっているような感覚。

 『鉄脈(ブラッドマイン)』は魔女のアストラル・ボディにおける心臓の部分に相当し、その脈動は命の鼓動に同期する。即ち、魔女が死亡した場合、鉄脈は機能しなくなる。これによって魔女の死は即ち、そのペアの鉄脈術の機能停止を意味する。


 

 

鉄脈

 ブラッド・マイン

 魔女のアストラル・ボディにおける心臓部分に形成されたアストラル機関。

 アストラル・ブラッドとよばれる仮想血液を潤動させ、その内に疑似魔鉄『魔鉄分(イコルスティール)』を乗せて運ぶ、いわば『鉱山』である。
 同時に、契約したブラッドスミスの『歪む世界』を投影・格納するキャンバスにして揺り篭の役割も持つ。

 鉄脈は魔鉄のような『霊質界にのみ存在の基盤がある物質』ではなく、きちんと同期するマテリアル・ボディがある存在。そのため、本来人間がアクセスすることはできない。これを可能とするのが『契約』である。

 なお、鉄脈と心臓は同期する、とは書いたが、どうやら完全にリンクしているわけではないらしく、契約を交わしても心臓の形が変わったりするわけではない。こういった『同期する箇所・同期しない箇所』というのは三層世界論に関わる大きな疑問点であり、現在もなお研究が続く。
 

 

アストラル・ブラッド

 仮想血液。

 『鉄脈』の内に渦巻く、霊質界のエネルギー。そのうちに疑似魔鉄『魔鉄分』を宿す。

 ブラッドスミスが鉄脈術を発動すると、魔女の身体からこのアストラル・ブラッドが展開する。実際に目に見えるわけではないが、その光景をイメージするのであれば、さながら魔女、そして『鉄脈』という鉱山から外界に伸びる坑道のように認識されるだろう。 

 

魔鉄分

 イコルスティール

 魔鉄と同じ、アストラル・ボディのみを持つ存在。魔鉄と異なり、通常は仮初のマテリアル・ボディも持たない。

 鉄脈に格納されたブラッドスミスの『歪む世界』を、あらかじめ己の内に封印している。

 鉄脈術は原理的にはこの魔鉄分を魔鉄の代わりに加工するものであり、ブラッドスミスのイメージに呼応して、封じた『歪む世界』の光景を再現しようと蠢く。

 この時『魔鉄分』がアストラルを改変することで、マテリアルが改変され、形成されたかりそめのマテリアル・ボディが『鉄脈術』として現実世界に姿を現す。
 

 

鉄脈術

 リアクター。

 正式名称を『ブラッドマイン・マイニングリアクター』という。

 魔女の鉄脈に格納された『歪む世界』をもとに、現実世界を改変する術。魔法や魔術と呼ばれた時代もあったが、現在はラバルナ帝国が使用したこの呼称で統一されている。
 製鉄師たちの切り札にして象徴。彼らを超人たらしめる最大の理由。


 魔女の仮想心臓たる鉄脈を満たす仮想血液、『アストラル・ブラッド』を霊質界に展開。その内に含まれる魔鉄分が、鉄脈に格納された『歪む世界』を再現し、本来ならば改変ができない霊質界を改変(『一時的に上書きする』というのが正しいか)、同期の法則に伴い物質界を改変する、というのが、鉄脈術のロジック。

 ブラッドスミスが、直接肌に触れる箇所に『契約魔鉄器(エンゲージ)』を構える。魔鉄に「接続のイメージ」を叩き込むことで、魔鉄鍛造によって刻まれたイメージが起動。契約魔女、正確にはその鉄脈に、ブラッドスミスが干渉できるようになる。
 その後、「精錬開始(マイニング)、ユア・ブラッド・マイン」の文言――通称『起動句(マイニング・コード)』を唱えることで、接続した鉄脈が起動。アストラル・ブラッドが展開される。
 ブラッドスミスが鉄脈術の術名を唱えることによって、内部に封印されていた『歪む世界』が解放され、霊質界と物質界を改変していく。これが鉄脈術の発動である。
 この一連の流れは、「鉱山である魔女及び鉄脈に坑道を開く」「坑道を外界まで伸ばす」「坑道から金属たる魔鉄分を採掘する」の形で表現される。

 
 基盤にした『歪む世界』の深度に応じて『製鉄(スティールオン)』『鍛鉄(トライン)』『振鉄(ウォーモング)』の三ランクに分かれる。OWを構成していた『要素』は『変成形質』と呼ばれる、発動の際に引き起こされる現象に反映されることとなる。例えば要素として「侵食・融解・再創造」を有する『歪む世界』を持つブラッドスミスは、鉄脈術が「周囲を『融解』・『侵食』し、同じような存在に『再創造』させてしまうゲル状の物質を放出する術」として発動する。
 なお、埋鉄位階は鉄脈術のランクとしては存在しない。

 発動範囲や効果が発動している時間は人それぞれである。小さな範囲で発動しすぐに効果が消失する、まさに一撃必殺、と言った鉄脈術もあれば、膨大な範囲に長く残留し、環境を変えてしまうような鉄脈術も存在する。

 鉄脈術、即ち「魔鉄分の外界への展開」は、上述の通り「採掘」と深く紐づけられた概念であるため、採掘師であるブラッドスミスにのみが行うことができる。魔鉄分の操作が魔女にも可能であるにも関わらず、魔女個人では鉄脈術を発動させることが不可能な理由の一つ。

 鉄脈術には、自然現象や固形ではない物質を生成・コントロールする『エネルギー型』や、武器や兵装を錬成する『武装形成型』、傷を癒す『回復型』や、未来予知を行う『予言型』、自身や魔女を別の姿に変える『変身型』、魔鉄ではないものに何らかの効果を付与する『エンチャント型』などの、様々な種類が存在する。
 極稀に、カセドラルに接続してそのデータをダウンロードする鉄脈術が現れる。これらは『降霊型』と呼ばれ、その極致として、魔女を核としカセドラル生命体を降臨させる『ブラッドメイデン』なる技術がある。いまだ研究の途上にある技術であり、利用する製鉄師は殆どいない。また、降霊型鉄脈術が完全にカセドラル生命体を顕現させてしまい、魔女が失われたどころか鉄脈術のコントロールも利かなくなってしまったという『冥界共鳴(エウリュディケ)事件』なる逸話が存在するが、こちらは眉唾であるとされる。

 忘れてはいけないが、鉄脈術の起動に必要となる基盤――即ち魔鉄分(イコルスティール)は、事実上魔鉄(ブラッドスティール)の一種である。そのためブラッドスミスには魔鉄加工のそれとも似たイメージの駆使が求められる。例えば炎を操る鉄脈術であれば、その炎を「どのように操るか」はブラッドスミスのイメージに一任される。この性質を利用して、自分自身を強化するタイプの鉄脈術を使うブラッドスミスが、戦闘中にさらなる強化を行うことも可能である。
 *エネルギー系の鉄脈術同士がぶつかり合った時に重要となるものもこのイメージによるブーストである。相手の鉄脈術を押し返し、かき消すイメージは、自分の鉄脈術に力を与えるだろう。
 

 

契約魔鉄器

 エンゲージ。

 ブラッドスミスと魔女が契約に用い、以後鉄脈術の発動にも使用する、『鉄脈へ接続するための架け橋』という性質を付与された魔鉄器。

 上記の二つは同様のモノを使わなくても構わない。

 日本皇国においては多くのブラッドスミスと魔女が、学生時代に契約を交わすが、製鉄師養成学園には汎用の契約魔鉄器が用意されている場合が多い。そのため、契約はそれを使って行い、鉄脈術発動用の魔鉄器は、あとから自分たちに合わせてドヴェルグに依頼する、というケースが一般的である。

 契約に使用した魔鉄器が破損した場合でも、契約が解除されることはない。
 また、鉄脈術の発動後に魔鉄器が破損した場合、その効果時間中は問題なく鉄脈術が発動する。魔鉄器そのものが残ってさえいればその後も普通に鉄脈術を発動できるが、契約魔鉄器を武器や兵装として利用している者は整備のために、単純に「魔女とのつながり」として利用しているものは気分のために、ドヴェルグに修復を依頼する場合が多い。

 なお、OI体質者監理用のリングは付与されている性質が一般的な限界である五個を超えているのか、契約の魔鉄器として使用することは不可能である。
 
 
 

 

鉄脈術の諸技術:トリガー行動

 鉄脈術の発動の際、ブラッドスミスが取る「魔女との接続を強くイメージさせる行動」のこと。

 鉄脈への干渉には、契約魔鉄器に「魔女への接続イメージ」を注入し、その力を呼び起こす必要がある。このイメージの集約を簡単かつ迅速に行うための行動が、このトリガー行動である。

 接続イメージの集束さえできれば発動自体には影響がないため、トリガー行動をとらずにイメージを束ねるブラッドスミスも存在する。

 トリガー行動の例としては、簡単なものなら「手を繋ぐ」「抱き締める」といったものから、「噛みついて吸血する」と言った過激なものまでもが含まれる。

  

 

鉄脈術の諸技術:起動句

 マイニング・コード。

 ブラッドスミスが鉄脈術発動の際に用いる、「マイニング、ユア・ブラッド・マイン」という言葉のこと。

 契約魔女の鉄脈からアストラル・ブラッドを引き出し、魔鉄分をいつでも展開可能な状態に変化させる、文字通りの『起動の言葉』にして『採掘の言葉』である。

 省略が可能なトリガー行動と異なり、こちらは省略することができない。


 ブラッドスミスは鉄脈術の発動の度に(無詠唱発動の話ではなく、戦闘の開始時に、という話)、契約魔鉄器を構えてこのコードを唱えることになるが、その理由はアストラル・ブラッドは常時外界に展開しているわけではないため。つまり、「坑道を進み直す」必要があるわけである。
 

 

鉄脈術の諸技術:有詠唱と無詠唱

 鉄脈術は起動句(マイニング・コード)コールと位階提示、術名誦句を終えたあとは、いつでも発動ができる状態――いわばスタンバイ・モードに入る。

 この状態で発動する鉄脈術のことを『無詠唱(ハースブラッド)』と呼び、製鉄師の戦闘の大半を担うことになる。

 だが、鉄脈術は専用の詠唱を唱えることで、強力な効果――いわば必殺技とでもいうべき、さらなる姿を解き放つことができる、という性質を持つ。これこそが『有詠唱(フォージブラッド)』であり、製鉄師の戦闘における切り札、戦術の中心となる。
 有詠唱の鉄脈術は、「金属を加工し鍛えること」に例えられる。

 有詠唱を行う場合、ブラッドスミスは起動句コール、詠唱、位階提示、術名誦句の四つのステップを踏むことになる。この詠唱を唱えている間、ブラッドスミスはイメージの集約を円滑に行うためあまり移動しない場合が多い。

 発動した鉄脈術は多くの場合単純に性能が向上する(例えば効果範囲や時間、火力が伸びる)だけであるが、稀に全く内容が違う、あるいは大幅に強化された鉄脈術が発動する場合もある。
 その中でも、詠唱が極めて長大かつ、詠唱の途中から鉄脈術の発動が始まる、いわば儀式のような『有詠唱』のことを、『儀式詠唱(カレリアクト)』と呼ぶ。予言系鉄脈術や、武装作成系の鉄脈術で極まれに見かける。

 詠唱は契約の際に脳裏に自動的に出現する。鉄脈術の内容や、ブラッドスミスの「歪む世界」を反映したものである場合が多い。
 詠唱の長さは個人によって大きく異なり、非常に短いものもあれば、前述の『儀式詠唱』の様に数時間、または数日を要する、異常に長い詠唱が与えられることも。
 

 

鉄脈術の諸技術:魔女のサポート

 製鉄師の戦闘に於いて、ブラッドスミスは上述の通り鉄脈術を駆使した戦闘を行うが、魔女もまた、魔鉄分を用いてサポートが可能である。内容としてはブラッドスミスのアストラルに魔鉄分を展開することによる身体性能の向上、『二重詠唱(リアクデュエット)』による鉄脈術の威力強化、防御壁の展開、及びそれを応用した戦闘空間の形成などである。これらには「魔女の思う、ブラッドスミスが見る『歪む世界』のイメージ」が反映される。

 特に『防御壁展開』と『二重詠唱』は、魔女が行えるサポートの中では指折りで重要度の高いものである。

 有詠唱の際、ブラッドスミスは基本的にその場から動けなくなってしまう。そのため、敵からの攻撃には無防備になる。そういった場合に、魔女は防御壁を展開してパートナーを護ることができる。
 また、鉄脈術はその性質上、魔女が死亡した時点で発動が出来なくなってしまう。魔女自身、簡単に殺せるような防御力ではないが、その防御は完全なものではない。そのため、防御壁で自分自身を守る、というのは、戦闘を円滑に運ぶためにも重要なものなのだ。

 『二重詠唱(リアクデュエット)』は、有詠唱を行うにあたって、それを強化する技術である。ブラッドスミスの「マイニング、ユア・ブラッド・マイン」につなげて「ローディング、マイ・ブラッド・ユアーズ」の起動句を魔女が唱えることで、魔女の脳裏に自分用の詠唱が出現。ブラッドスミスが唱える詠唱の各所に、一種合いの手を入れるようにこれを唱え、有詠唱をさらに強化する。
 強化の方向性はペアによって異なる。単純に術の規模や威力が強化される場合もあれば、「魔女が思う、自らのペアが持つ『歪む世界』へのイメージ」が反映された鉄脈術が『再誕』することもある。後者のケースは非常にまれ。
 非戦闘系の製鉄師であっても、この『二重詠唱』は自身の出来ることを広げる切り札足りえる。


 このほかに、魔女は、自身及び契約者の『魔鉄の加護』の性能を向上させ、身体能力をさらに上げることができる能力も備える。

 
 以上のいずれも、鉄脈術を発動している状態(起動句を唱え終えた後)でなければ使用することはできない。 

 

鉄脈術の諸技術:過剰採掘

 ドヴェルグにユーベルスヴァルトがある様に、製鉄師にも『過剰採掘(オーバーリアクト)』という特殊な詠唱方法が存在するのではないか、とする説が存在する。ただしこの説が正しかった場合、実行者は強大なデメリットを被るはずであり、実践する者はいない。
 噂程度ではあるが、降霊系鉄脈術でこの過剰採掘を実践してしまった結果が、件の『冥界共鳴(エウリュディケ)』ではないかとするものがある。 

 

契約

 魔女の鉄脈、ひいてはその内を流れるアストラル・ブラッド、そして魔鉄分(イコルスティール)は、原理上は魔鉄と同一の「マテリアル・ボディを持たない存在」である。しかしそちらと大きく異なり、鉄脈は魔女の心臓を『楔』として有するため、本来ならば干渉・改変することは不可能である。

 その鉄脈へとアクセスすることを可能にし、ブラッドスミスの『歪む世界』を格納、魔鉄分を染め上げる行いを、『契約』という。契約を済ませることでブラッドスミスの視界から『歪む世界』は消失する。

 また、契約したブラッドスミスのアストラル・ボディを通して、魔女はブラッドスミスに様々な恩恵を与えることが可能になる。『魔女のサポート』の項目で記した「ブラッドスミスの身体強化」はこれに基因する。同時に、ブラッドスミスの身体性能を落とすことも可能。

 一種「採掘される金属を決定する行為」にも例えられるこれこそが、ブラッドスミスと魔女を繋ぎ、『製鉄師』たらしめる概念である。
 

 

契約の手法

 契約のためには互いの完全な同意の下、『契約の魔鉄器(エンゲージ)』と呼ばれる専用の魔鉄器を「採掘道具」、同時に「橋」として、魔女の鉄脈への干渉を試みる。この際、「掘削開始(マイニング)、ユア・ブラッド・マイン」のコールが必須。

 契約の魔鉄器を用い、かつ上述の通り完全な同意が両者にある場合、そして魔女側が(その場面で)他のブラッドスミスと契約していない場合に限り、次のプロセスへと進むことが可能となる。

 その内容は以下の通り。

 1.契約の魔鉄器による鉄脈干渉に魔女が同意する場合「掘削許可(ローディング)、マイ・ブラッド・ユアーズ」と唱える。すると鉄脈へのプロテクトが剥がれ、二人のアストラルの間には契約の魔鉄器によって結び付きが生まれる。

 2.結びつきを通して、魔女の鉄脈へとブラッドスミスの『歪む世界』が転写される。魔女がブラッドスミスの『歪む世界』を垣間見、その内容に耐えきることが可能であった場合のみ、契約は成立する。基本的には耐えることが可能だが、魔女が契約解除のデメリットや体質等で『脆くなっていた』場合や、相手のイメージが強大過ぎて耐えきれなかった場合、逆にブラッドスミスの『歪む世界』が弱すぎて鉄脈に届かない場合は、契約ができない。
 埋鉄位階のOI体質者がブラッドスミスになれないのは、『歪む世界』を持たないため、この転写作業ができないからである。

 3.契約が完了すると、一度強制的に鉄脈術が発動する。この際、初めてアストラル・ブラッドが展開するが、このフィードバックが魔女のマテリアル・ボディにも反映され、「自分が開発されているような感覚」が襲ってくる。その内容は人それぞれであり、性的興奮や激痛など様々(基本的にこのフィードバックは初回のときだけのものであるが、二回目、三回目の発動でもこれを感じる魔女はゼロではない)。

 4.強制発動が10秒ほどで終了する。

 5.ブラッドスミスと魔女の脳裏に、鉄脈術の詳細な効果や、有詠唱のときに使う詠唱が出現する。基本的には「その人物にとって最も理解しやすい形」で表示される。多くの場合は母語表記で、ゲームのキャラクターウィンドウのような形で現れるという。


 契約が完了した後は、起動句の「掘削」の文字を「精錬」で表記する。これらは作中世界では「込める意味、イメージ」として表現される。そのため、「掘削」の方は操作できないが、「精錬」の方はペア事にカスタマイズが可能である。「ユア・ブラッド・マイン/マイ・ブラッド・ユアーズ」に対する当て字も同じ原理によって改造が可能である。(例:「掘削開始(マイニング)汝が(ユア・)血肉を(ブラッド)我に捧げよ(マイン)」)


 

 

契約の制約

・ブラッドスミスは複数の魔女と同時に契約をすることができるが、魔女は一人のブラッドスミスとしか同時に契約をすることができない。

・一つの『歪む世界』は一人の魔女との契約にしか同時には使えない。そのため、歪む世界を複数持っていない場合は複数の魔女と契約することもできない。本来ブラッドスミスが――というより、OI能力者が持つ『歪む世界』は一つだけかつ最大三要素のみである。二つ以上の歪む世界を有する人間は、世界中を見ても数えるほどしかいないだろう。

・複数の魔女との契約を果たそうとした場合、一人に失敗すると全員との契約が解除される。
 この場合、『任意解除』のデメリットと同じ現象が発生し、全員の契約成功率が下がる。
 

 

契約の解除

・片方が死亡した場合、契約は強制的に解除される。

・契約に用いた魔鉄器が破壊されても、契約は維持される。が、上述の通り鉄脈術の再発動には魔鉄器が必要であるため、普通は「武器としての魔鉄器」の他に、「破壊されないように装備した魔鉄器」を用意する。

・魔女を亡くしたブラッドスミスは、その際のトラウマによって『歪む世界』が変貌してしまう場合がある。歪む世界が固定されたものではなく、ブラッドスミスのイメージを反映してその視界にうつるものだからである。

・契約は双方の同意があれば破棄することが可能である。この契約解除は魔女側から行うもので、必要な文言は「鉱山封鎖(カタストロフ)、マイ・ブラッド・ノットユアーズ」。これを唱えながら、ブラッドスミスに対して開いていた自身の鉄脈のプロテクトを貼り直すイメージを引き出す。以上で契約の解除が完了である。不手際で解除してしまう者が現れないように、という事なのだろうか。この「プロテクト貼り直し」にはかなり強固なイメージが必要である。

・任意による契約解除にはデメリットが存在する。契約は一度破棄するごとに『再契約の失敗率』が増加する。ブラッドスミス側は「鉱山から締め出されたことによる採掘技術の低下」、魔女側は「一度採掘されたことによる鉱山崩壊率の増加」と解釈される。

・極めて特殊な事例であるが、ペアのうち片方がもう片方から何らかの危害を加えられており、どうしても契約を一方的に破棄したい、と感じた場合、その人物がブラッドスミスであるか魔女であるかに関わらず、契約解除が可能となる。ロジックは判明していないが、悪戯での使用が不可能である。この契約解除を行うと、危害を加えていた側に、契約に使用していた『歪む世界』を基軸とするダメージがフィードバックされるという仕組みがある。原理としては、ドヴェルグのユーベルスヴァルトのデメリットとよく似ている。

・死別の場合は上記のデメリットは発生しない。
 

 

魔鉄鍛造

 スヴァルト。

 魔女と契約する形で『歪む世界』を「封印」するブラッドスミスと異なり、ドヴェルグは魔鉄に己の歪む世界を反映させることで「消費」する。
 完全な消費は不可能で、歪む世界は一定の時間がたつと復活するが、この技術を使用することで通常の魔鉄加工品よりもはるかに強度や汎用性に優れた品が完成する。この技術を『魔鉄鍛造(スヴァルト)』と呼ぶ。

 魔鉄鍛造によって造られた魔鉄器は、通常の魔鉄加工よりも『歪む世界』に影響を受けた、超常的な性質を付与される場合が多い。つまりは広義における『魔鉄器』は、この『魔鉄鍛造』によって造られたマジック・アイテムということになる。

 スヴァルトによる『歪む世界』の消費には、回数及び連続使用に関する時間制限が存在し、決められた時間内に決められた回数行える、というリミットが存在する。このリミット及び、消費した『歪む世界』の回復=リミットのリセットはドヴェルグ個人によってまちまち。
 リミットを超えて魔鉄鍛造を続けると、自分自身の肉体が金属の様に焼き鏝をあてられたり、歪んだり、鍛造されていくような激痛が走り出す。この激痛は自我に影響を及ぼしたり、最悪の場合発狂を引き起こすため、ドヴェルグはリミットが来たら回復するまで魔鉄鍛造を行わないのが普通である。

 なお、リミットがどこにあるのかは感覚で掴む必要がある。
 そのため「視界から『歪む世界』が消え去る、あるいはほとんど見えなくなるあたり」まで来たら、そこから先は魔鉄鍛造を行わない、と言った自衛が必要。

 ちなみにリミットへの到達=『歪む世界』の消費完了から、『歪む世界』の復活までの間に、ドヴェルグからOI能力が失われることはない。 

 

超過鍛造

 ユーベルスヴァルト。

 魔鉄鍛造のリミットに到達した後も、魔鉄鍛造を続ける禁忌の技術。

 通常の魔鉄鍛造を超える強力な魔鉄器を作成可能だが、ドヴェルグの寿命をすさまじい速度で削っていくため、タブーとされる。

 日本皇国における魔鉄鍛造技術の発展に寄与したとある刀鍛冶は、このユーベルスヴァルトを狂ったように使い続け、果てに若くして命を落としたという経緯を持つ――とされている。 

 

超国家

 ドミニオン。

 社会的支配体制の異なる複数の国家を、同一の政権の下に接続し、各国家には自由政治をさせつつも上層部の一員として統一政権の関係者を派遣する政権方式。

 古代中国の『郡国制』や、近代国家においてはソヴィエト連邦、合衆国制、スケールはもっと小さいが、現実世界の日本における各都道府県の地方自治体制と、中央政府の関係性に似る。

 ラバルナ帝国皇帝・ラバルナによって提唱され、帝国そのもの、そして帝国崩壊後の世界に於いて、一般的な統治体制として機能する。
 
 厳密には過去の歴史にも存在した統治方法の改変に過ぎないが、「超国家(ドミニオン)」という新たな名前を与えることで、「人類は次なるステップに進んだ」ということを印象付ける目的があったらしい。
 

 

ラバルナ帝国

 ドミニオン=エンパイア・オブ・ラバルナ。
  
 鉄暦2050年代初頭に、当時のトルコはボアズキョイを占拠、名を『ハットゥシャ』に改名させ首都を構え、それによって独立した国家。元首は古い言葉――ヒッタイト語で皇帝を意味する、『ラバルナ』を名乗る男。旗揚げ時にはまだ十代後半か二十代前半と思しき青年だった。
 
 それまで世界中の誰も実用化できていなかった魔鉄加工技術を有し、製鉄師の軍勢による少数を以て大軍を殲滅する圧倒的武力で瞬く間に世界を手中に収めた。

 ラバルナ帝国の超国家制度は、支配下の国家、そのブロックごとに『統一貴族』と呼ばれるラバルナ帝国本土の住民――多くがのちの『製鉄師』である――を置き、基本的には各国の自由統治としつつも、重大な決定には統一貴族の、ひいては皇帝自身の指示を仰がせる、という形。

 ラバルナ帝国は製鉄師とその鉄脈術による迅速かつ最小規模の破壊、あるいは相手の最大戦力を真正面から撃破することによる、「迅速かつ必要最小限の戦闘で、相手国の戦意を喪失させる」戦術により、その戦火は世界中に及んだにも拘らず人的・建造物的共に歴史でも類を見ない程の小規模の犠牲で征服政策を完遂した。徹底抗戦を唱えた国家もあったが、いずれも最終的には降伏勧告の前に屈した。
 今なお残るこのラバルナ帝国の征服政策の最大の謎は、「征服された国家は反逆をしなくなる」ということである。この奇妙な現象が、帝国のスムーズな世界征服を成し遂げたとされる。わずかに残る当時の資料によれば、「国家が『ラバルナ』のうちに組み込まれる宣言が成された瞬間、帝国への翻意や対抗心が一気に薄れてしまった」との事だが、いかなる手段を用いたのかは不明である。現在では、何らかの精神干渉系の鉄脈術によるものだったとする説が濃厚。

 帝国は世界征服完遂後、各地に配置した統一貴族たちに、各々の管理国家から優秀なOI体質者を集めさせ、それらを本土へと連れ帰り魔鉄鍛造や鉄脈術といった、後の魔鉄器文明を切り開くことになる技術を教え込んだ。

 ラバルナ帝国の支配は50年続いた。
 その支配の最期は、帝都ハットゥシャで発生した、正体不明の発火事故である。これによって最上位の研究者や一部貴族、そしてほかならぬ皇帝ラバルナが死去し、瞬く間に帝国の支配は瓦解した。
 この崩壊を皮切りに、秘匿技術を覚えた技術者たちが本国に帰還、その技術を公開したことで、魔鉄加工技術が世界中に広がることになる。以後の世界を『魔鉄器時代』と呼称する。


 現在の世界はこの帝国に代わり新たな覇権を握るため、武力・経済問わず複数の超国家が争う時代である。

 崩壊後、統一貴族や皇族達は散り散りとなり、今も世界のどこかで身を潜めている。

 皇族は一様に『白銀の瞳と、銀と金の混じった髪の毛』という非常に特徴的な外見をしている。
 統一貴族は外見上の特徴はないが、その血族の殆どが優秀なOI能力者、あるいは魔女である。


 ながらく皇族の存在は確認されていなかったが、魔鉄暦30年、ライオニアから空路を通じて日本へと皇族とみられる少女――のちにラバルナの孫にあたる、当代の皇女『マリア・アンナ・ラバルナ』と判明——が渡る場面が目撃され、以後各々の超国家が己の目的のために彼女を狙って刺客を放つ。 

 

ラバルナ帝国の人物

*マリア・アンナ・ラバルナ

「うるさいわね! とにかく私に従いなさい!」
「可愛い? 当然よ、ラバルナ貴族だもの、私」
「馬鹿っ……馬鹿馬鹿馬鹿、雄二の馬鹿っ! 日本人は、命を粗末にしないことを習わないの!?」

 金と銀の入り混じった、ロングポニーテールの美少女。ミラーシルバーの瞳に強気な光をやどした、ラバルナ帝国の現皇女である。
 血筋的にはラバルナ本人の孫にあたる。非常に素質の高い『魔女』。契約者はいない。

 ライオニア商業国の領土内で、身分を隠して暮らしていたが、何らかの理由で家を追われて逃走、日本皇国に身を寄せ、神凪雄二および天孫東子に保護を要請する。

 十五歳。成長停止は十四歳のときであったらしく、魔女にしては恵まれたスタイルをしている、所謂『トランジスタグラマー』というやつである。
 人形のような整った外見から、想像もつかない……あるいは想像通りの、極めて高飛車で我儘な発言を繰り出す、暴君極まるお姫様。一方で他人想いで、心を許した相手にはとことん甘い、ツンデレ的な側面も持つ。

 その運命の翳には、祖父・ラバルナが仕掛けた、人類の未来を大きく左右する『何か』が見え隠れする――



 

 

ヴァンゼクス超国家連合

 ドミニオン=ユナイテッドドミニオン・オブ・ヴァンゼクス。

 『ブザイ』『パルタケノイ』『ストルカテス』『アリザントイ』『プディオイ』『マギ』の六つの中規模な超国家からなる、巨大超国家連合(ユナイテッドドニオン)。支配領域は東欧から東アジア、一部北欧を含む、ユーラシア大陸東部の大半。
 
 中心となるブザイ王国は、ペルシアはエクバタナに首都を構える。現在連合の中ではこのブザイ王国と、多数の製鉄師やドヴェルグを排出する傭兵国家マギが非常に大きな勢力となっており、他の四つはこれらに半ば従属している状態である。
 
 六国共に超国家として各々の政府を持つが、その上にさらにヴァンゼクス統一議会及び統一王(シャー)が存在する、非常に複雑な政治体制を持つ。特に行政の中心であるブザイと軍事の中心であるマギが緩く対立しているため、国家内で一つの意見を纏めることができない場合も多々。

 魔鉄暦30年現在では、この時代のシャーであるリュドス四世が持つ、『当代最強のブラッドスミス』という肩書に各国が従っている形である。が、マギの上層部はいまだに政権の中心を掌握することを虎視眈々と狙っており、時折リュドス四世を出し抜こうと動くことも。

 ブザイ王国を中心とした派閥、並びにリュドス四世の目的は『ラバルナを継承する、新たな世界統治体制の樹立』。
 対するマギを中心とする派閥は『兵士が求められる、戦いが続く世界』を求める。
 
 マリア・アンナ・ラバルナに対する態度は、ブザイ王国派が「保護」。傭兵国家マギ派が「殺害」。

 現在の国家元首は上述の通りリュドス四世ことシャフレワル・ブザーイー。振鉄位階の『歪む世界』を二つ持つ、極めて強力なイメージ力を有したブラッドスミス。統一王としては超然とした態度を見せるが、その実、農業に従事する平和な毎日を夢見る、のんびり屋の青年でもある。『当代最強のブラッドスミスの一人』との呼び声高いが、彼自身があまり戦闘を好まない事、もしも戦場に出て殺された場合、国内の派閥闘争が激化することなどから戦場に姿を見せることはほぼない。


【国家の風景】
 ブザイ王国は、現実世界における中央アジアや東ヨーロッパの景観が調和したようなグラフィックを持つ。一方のマギは、町中が魔鉄制の建物で構築された、非常に冷たく、威圧感のあるエリアが多い。街そのものが超巨大魔鉄器――『魔道具』として、移動要塞になっている場所も。

【人々の傾向】
 歴史を重んじ、他者の功績は認め、しかし自らはその上を行くことを疑わない気風が強い。

【製鉄師の傾向】
 ブザイ派の国家出身のペアは、比較的平和思想な者が多い。ペア間で恋愛関係に発達する場合、日本と似た比較的平和な恋愛関係が多数を占める。
 対してマギ派国家出身のペアは、死線を共に潜り抜けてきた存在として、戦闘者の覚悟が出来上がった強豪が多い。恋愛関係に発展する場合、極度に相手に依存するペアになる場合が多い。

 

 

ヴァンゼクスに属する人物

*リュドス四世/シャフレワル・ブザーイー

六の王(ヴァンゼクス)とは余のことであり、余の鉄脈術そのもののことである」
「滅せよ。争いは、迅速に終わらなければならない」
「——うん。今年のキュウリも良くできた」

 ヴァンゼクス超国家連合の統一王(シャー)にして、ブザイ王国の当主。
 金髪碧眼、どこか冷ややかな、しかしよく見れば温和な顔立ちの青年。二十五歳。

 他者を認めつつも必ずその上を行く、ヴァンゼクスのお国柄を地で行くような人物。統一王としては超然とした態度が目立つが、本来はのんびりとした野菜好きの青年である。故に、ということだろうか。戦乱の時代をいち早く終わらせることを自らに課しており、「ラバルナの継承による統治体制の再臨」という目的に決着をつけるべく、マリアのいる日本へと多数の刺客を差し向ける。目的としては彼女の誘拐、ということになるが、しかしヴァンゼクスが一枚岩ではないためか、中にはリュドス四世の命令を無視する者達も多い。

 統一王として振る舞う時の一人称は「余」だが、普段の一人称は「俺」。

 OW深度は『振鉄』。複数の『歪む世界』が見える特異体質であり、一人の魔女だけではそのイメージを格納しきれなかった。そのため、二人の契約魔女を持つ。非常に強力なブラッドスミスであり、魔鉄暦30年現在、世界最強と目される人物たちの一人。彼が出撃すれば戦場が変わる。戦況が変わる。戦は、終わる。されど彼が万が一死ぬようなことがあってはならないため、自ら戦場に出撃することは少ない――というより、側近たちから止められているようだ。
 
 二人の契約魔女を持つため、鉄脈術も二つある。
 「全世界を遍く照らす光と、その三つの恩恵と災厄が降り注ぐ光景」を歪む世界とする、『光の統治、(ヴェルグ・)灯掲げるは(スプンタ・)光輝女神(アールマティ)』。
 「全世界を遍く呑み込む闇と、その三つの恩恵と災厄が渦巻く光景」を歪む世界とする、『闇の統治、(ヴェルグ・)黄昏降ろすは(アンラ・)暗黒女神(ターロマティ)』。

 各々三つの変成形質を持ち、計六つの能力を操ることから『ヴァンゼクスそのもの』とも称される。
 前者が展開すると三枚の光の翼が、後者が展開すると、同じく三枚の闇の翼が背中から伸びる。自然空間の光源と影を操り、光量の増幅による発火や、影縫いと呼ばれる「影を固定することで、持ち主の行動を制限する」術までも操る。時に「恒星墜とし」とも呼ばれる彼の最大殲滅術理の正体は、この影縫いによって戦場の敵兵全てを停止させ、彼らの感じる『光』を増幅させることで焼き尽くす、というものである。
 魔鉄器は牛の角を模した穂先を持つ金属槍。


*シャフルナーズ・リュミエール

「はい、陛下(あなた)
「いいえ、いええ。王妃(あのひとのわたし)は、陛下(あのひと)のために生きるものです。あなたは、おかしなことだと思いますか? ですが、ええ、王妃(あのひとのわたし)は、自らの意思で以て、あなたの疑問を否だと断じます」

 リュドス四世の契約魔女の一人にして、彼の正妃の片割れ。青い髪の毛が特徴的な『魔女』。外見年齢は十一歳かそこらであるが、実年齢は二十四歳。

 常に夫をたて、夫を第一に考え、夫のために身を捧げる人物。その姿はときに「人形」「奴隷の様だ」「抑圧されているに違いない」とさえ言われるが、実際の所は単純にそういう行動が彼女の趣味と合致しただけである。リュドス四世とは幼馴染の関係にあり、幼少期からの恋仲。そのため、二人の間にある信頼関係は全世界の製鉄師達の中でも指折り。

 公私問わず、夫の事は、直接会話時には「陛下(あなた)」、他者との会話の最中に話題に上ると「陛下(あのひと)」と呼ぶ。一人称は、リュドス四世との会話時には「(あなたのわたし)」、他人との会話時には「王妃(あのひとのわたし)」となる。

 『光の統治、灯掲げるは光輝女神』は彼女との契約によって得られた鉄脈術である。本人には魔女としての戦闘能力は壊滅的と言って良いレベルで存在しない。しかし反面、本来ならば「契約者を視認できる距離」が目安とされる、鉄脈術の発動可能距離が異常に広く、結果として首都エクバタナの王城に彼女を待機させたまま、リュドス四世は遠く離れた戦場で鉄脈術を発動する――といったことが可能となっている。また、攻撃が着弾する前に光の防壁が展開し、シャフルナーズの身を護る様になっている。

 

 

アクエンアテン神王国

 ドミニオン=サンクチュアリ・オブ・アクエンアテン


 「ラバルナ帝国に代わる新たな統治の歴史を作る」ことを目的とする。
 ラバルナ帝国の崩壊後に初めて成立した超国家。オリエント及び北部アフリカ大陸を支配する。規模はブザイ王国の倍ほどであり、ブザイが周辺超国家と連合し『ヴァンゼクス』となるまでは最大規模の超国家だった。

 首都はナイル川中流域の都市アケトアテン。国家元首は『神王(ファラオ)』を名乗る。現在のファラオは、同時に国家の設立者でもあるアクエンアテン二世。ラバルナ帝国統治期に、その素質を見込まれて、帝国が企画したOI体質者徴収に参加、ブラッドスミスとなった経緯を持つ。

 アクエンアテン神王国はラバルナの名を必要としない新統治体制を築き上げることを目的としている。そのため、マリア・アンナ・ラバルナに対する態度は『殺害』である。
 日本と距離的に遠いためか、あまり刺客は送ってこない。


【国家の風景】
 典型的な中東諸国家をモデルとする風景が広がる。魔鉄器文明の導入で、古代史跡の補強が容易になったことが、当時研究者たちから大層喜ばれた。

【人々の傾向】
 比較的世話焼きだが、時々嫉妬深い。仲良くなった人物とは以後も良好な関係を築こうとする。

【製鉄師の傾向】
 アクエンアテン神王国は日本皇国と同じく「ペア教育制」を採用しているが、日本とは異なりあまり恋愛関係には発達しない。しかし両者の関係は極めて良好である場合が多く、良き『相棒』として機能する。 

 

アクエンアテンに属する人物

*アクエンアテン二世

「よい。(アテン)はそなたが気に入った」
(アテン)が許し、(アテン)が示し、(アテン)が導く。それこそが、世界のあるべき姿よ」
「私は常に不思議だったのだ。陛下の力は圧倒的であった。陛下の力さえあれば、もっと完璧な支配がこの世界にもたらされたはずだったのだ。にも拘わらず、陛下はそれをなさらなかった――『だからこそ』、私が、(アテン)が、それを実現させる。陛下と陛下の帝国(ラバルナ)を超える、完全なる統一世界を、この手で築くのだ。その邪魔は誰にもさせん――精錬開始(マイニング)遍く照らせ我が威光(ユア・ブラッド・マイン)!! 《振鉄(ウォーモング)》、『輝けよ神煌、統べからく地平まで(アニムスアムン・イクナートン)』!!」

 アクエンアテン神王国の神王(ファラオ)。本名はナプフレヤ・イブン・シャムスッラー。七十代後半の老王であり、褐色の痩身に白髪と白い髭、といった容姿を、金の装飾を施した、白いシルクのトーガで覆っている。既に戦士としての風格こそないが、その瞳と不敵な笑みに宿る野望の光は衰えることを知らず、見た目に反して身体能力も極めて高い。

 かつてラバルナ帝国が、建国二十五周年を記念して、各地から素質のあるOI能力者や魔女を集め、製鉄師やドヴェルグとして育成した際のメンバーの一人――即ち『セカンドオリジナル』である。聖玉学園の初代理事長だった故・相浦群青や、ライオニアを中心に活動する、強力なブラッドスミス『白騎士』とは一応の面識を持っている。
 当時から野心的な性格であり、ラバルナの圧倒的な力に心酔していたらしいが、現在では彼の帝国に反目、ラバルナではなく自身による世界秩序を作ると宣言している。そのため、彼の率いるアクエンアテン神王国は、ラバルナの継承を目指すヴァンゼクスとは対立関係にある。

 帝国崩壊後、いち早く新たなる超国家を建国した最初の人物であり、彼の行動が今の魔鉄暦の歴史を造り始めたと言っても過言ではない。当時から今に至るまでの35年間王位にあり、これまでの四人の全てのヴァンゼクス統一王(正確にはブザイの当主)及びライオニア十三評議会のメンバー全員、そして星詠みの国の歴代ルガル全てと言葉を交わした経験がある。
 
 かなりの実力主義者であり、自らが認めた人物なら外国の人間であっても優遇する模様。
 一方で己を、かつて秩序改革に挑み敗れたファラオ・アメンホテップ四世ことアクエンアテンに重ね、彼と同じ名を名乗り、その名を超えることを誓うなど、どこか幻想主義・理想主義で傲慢な側面も持つ。

 歪む世界(オーバーワールド)は『無限に広がる黄金の砂漠と、それを照らし続ける灼熱の太陽、そしてその太陽が、砂漠に生きるありとあらゆるものに手を伸ばし、人形遣いの様に操る風景』。振鉄位階のこの光景から導き出される鉄脈術『輝けよ神煌、統べからく地平まで(アニムスアムン・イクナートン)』は、自身の視界の範囲内全てを、砂漠の内に佇む幻想都市の風景を持つ結界内に閉じ込めるフィールド形成系の技。内部はアクエンアテン二世の支配下にあり、ありとあらゆる建造物から砂の一粒に至るまでが外敵を苦しめる。

  

 

ライオニア商業国

 ドミニオン=シンジケート・オブ・ライオニア

 
 西欧を中心に活動する巨大商業シンジケートが支配する複数の国家が、商業組合を統一政府として超国家化した存在。支配領域は地中海から北欧の一部だが、世界中に出資や企業進出を果たしているため、ある意味でその領域は全世界である。現在存続しているユーラシア大陸の二大超国家もライオニアとの商業取引を行っているため、簡単に手を出すことができていない。

 その行動理念は「金の生る木を追い求めて」であり、基本的にはお金が稼げる、と思った方向へ味方する。

 商業組合は十三の企業のトップによって造られた議会制であり、現在最大の勢力を持ち事実上の支配者であるのは、魔鉄商業で大成した若き実業家ヘルメス・バルタザール。物腰の柔らかな好青年。しかしどこか含みのある態度を見せ本心が窺えない上、まだ生まれてもいないはずの何十年も前からその姿が確認されているといううわさが存在する、謎めいた人物。


【国家の風景】
 魔鉄によって造られた高層ビルや、魔鉄加工技術によって再現された風情ある地中海の街並みが混在する、いかにも『近未来』といった様相の風景。

【人々の傾向】
 フレンドリーで親しみやすいが、金が絡まると裏切り易い。

【製鉄師の傾向】
 非常にビジネスライク。
 また、比較的必要に迫られてなる場合が多いブラッドスミス社会に於いて、道楽や趣味の一環としてブラッドスミスを目指す者もいる、かなり型破りな国家。そのため製鉄位階から順当にグレードアップしてきた実力派のペアが多い。
 多くが商人の家庭の出身であるため、育つ過程で見てきた世界中の知識を基にした『歪む世界』を有している場合が多く、他に類を見ない愉快な鉄脈術を発動することも。
 

 

ライオニアに属する人物

 
前書き
 国家元首およびその関係者ではないキャラは、どの方でも自由に登場させることが可能です。このページであればロッテとリーテがそれに当たります。 

 
*シャルロッテ・キャロライン

「では姉上、死合開始の合図を」
「だっ、騙し討ちとは卑怯な! サムライなら正面から正々堂々と戦え!!」

 ライオニア商業国の古物商、キャロライン家の次女。幼いころ、父親のコレクションの中にあった古い日本の資料を見たことで『ブシドー』にハマり、日本かぶれな言動を取るように。普段は姉のシャルリーテと組んでライオニアの製鉄師育成学園に通っているが、日本のそれとの交換留学によって念願の来日を果たす。

 長い金髪をポニーテールに結った、碧眼の美少女で十六歳。服装そのものは姉と違って西洋風だが、コルセット型のスカートには和服の帯をイメージしたリボンを付けるなど、随所に拘りが見える。
 間違った日本人観や武士道精神を振りかざす、所謂『日本文化好き外国人』の典型例である。が、その再現力や習得速度には目を見張るものがあり、自動翻訳の流通した世の中にあって、彼女が日本人との会話に使用するのは、流ちょうな日本語である。
 愛称はロッテ。

 OW深度は『鍛鉄』。鉄脈術、『武士道驀進、(ラ・マンチャ・)止まることなき我が正義(ル・ブシドー)』は、常に自身の背後に立ち続ける、燃える剣を構えた明王系の仏像、という『歪む世界』を元とする。その効果は、自身の身体能力と戦闘精度を上昇させる、という極めてシンプルなもの。しかしさすがは鍛鉄位階と言うべきか、その上昇領域は非常に高く、刀の一振りで鉄を叩き割った上で、反動を打ち消すことが可能になるほど。複数の腕を持つ仏像のイメージから、刀を浮遊させ、己の腕の延長であるかのように動かすこともできる。
 黒い鞘と白い鞘に納め、腰に携えた二振りの日本刀が特徴的。どちらも魔鉄鍛造の業界において、とある流派の開祖と呼ばれた人物の作品。無銘・無号であるが、ロッテは勝手に、黒い方に『でゅらんだる』、白い方に『おぉとくれぇる』という名前を付けている。
 

*シャルリーテ・キャロライン

「やれやれ、お前も物好きだね」
「だっ、騙し討ち! 凄いな、なんて華麗な一撃なんだ! やっぱりジャパニーズ・ニンジャは現存したんだね!?」

 ライオニア商業国の古物商、キャロライン家の長女。ロッテの姉。幼いころ、父親のコレクションの中にあった古い日本の資料を見たことで『ニンジャ』にハマるが、ブシドーかぶれを前面に押し出す妹と違い、表面上はそれを隠している。が、それっぽい動きをする日本人を見かけると目を輝かせるため、比較的周囲にはバレている。
 普段はロッテと組んでライオニアの学園に通っているが、日本のそれとの交換留学で来日した。

 実年齢は十八歳だが、魔女であるため外見年齢は十二歳前後。金髪をショートボブにし、桜柄のカチューシャを身に着けている。所謂ファッション和服めいた服装であり、裾の部分にフリルのついた、黒とピンクの柄物和服を着る。瞳の色は碧で、妹と同じ。
 愛称はリーテ。

 魔女としてはフィールド生成能力に長ける。相手のブラッドスミスとロッテが一騎打ちをできるように、相撲の土俵にも似た遮断空間を形成する。
 なお、本人が最も得意とするのは、隠れやすいオブジェクトが随所に配置され、天井が暗いドーム型戦闘フィールドの形成である。ニンジャ・アンブッシュ・ファイトを行うためのものであるが、ロッテが強襲戦闘を非常に嫌うため、残念ながら撤退時に相手の目をくらます程度にしか使う場面が訪れてくれない。
 他、魔鉄製の苦無で構成された鉄扇を駆使し、近接戦闘を行うこともできる。
 

 

星詠みの国

 ドミニオン=カルデアス

 
 バビロンを中心都市とし、周囲の都市国家が連合して出来上がった、非常に小規模な超国家(超国家の定義は領土の広さではないため、下手をすれば普通の一国よりも狭いが超国家としてカウントされる)。

 『魔道具』の一つである『星の図書館(ニネヴェ・アッシュール)』を所有しており、その内部にはこれまでの全ての予言の内容が記録されている、という。

 「予言者の国」とも呼称されるほど国民に予言者型製鉄師が多い――というより、国民はほぼ予言者型製鉄師とその家族である。恐らく世界一製鉄師密度の多い国。

 現在の予言者長(エン)はナブー・クディリ・ウツル七世――ネブカドネザル七世。悲観的で後ろ向き思考の青年。生まれながらにして正気を失いかけるほどの強烈な『歪む世界』を有していると同時に所謂『カセドラル接続者』であり、「この世界の終わる瞬間を六種類見た」とされる。彼の膨大な『歪む世界』は六人の魔女が居なければ収めることができず、誰か一人でも欠けると強烈な『強制未来予知』に襲われる、OI体質のデメリットを体現した様な人物である。

 国家の方針は「我関せず」「予言の継続」。そのためマリア・アンナ・ラバルナに対する態度は「放置」。

 ただしネブカドネザルのみは何事かを予知したのか、「特定の人物による殺害」「ヘルメス・バルタザールが彼女を手中に収めることの絶対的な阻止」を対応として掲げる。


【国家の風景】
 常に薄暗い。魔鉄加工技術によって作り出されたドームによって国土が覆われているため。

【人々の傾向】
 あまり他人と関わろうとしない。特に営利目的の協力は絶対に行わず、ライオニア民との相性は最悪。その一方で、仲良くなった相手にはその人生を有意義にするための予言やおまじないを沢山教えてくれる。ただし前述の通り他人とのかかわりを嫌う気難しい気質の人々が多いため、それは並大抵の努力では叶えることができないだろう。

【製鉄師の傾向】
 国内の製鉄師のほぼすべてが予言者型。カセドラルの記録情報から、唐突に未来のデータが降ってくる。恐らくこの国家は最もカセドラル接続者が多い国家。


 

 

日本皇国

 サンクチュアリ・オブ・ジャパン。

 この作品における日本。現実世界のそれとは異なる歴史を辿った国家。
 海外を作品のステージとして選択しない場合、基本的にこの日本皇国を舞台とすることになる。
 超国家ではない。

 国家元首は皇王『天孫』。国家を創立した人物の、直系の子孫たち。

 国家の運営方式は本来ならば皇制であるが、歴代天孫が国民にその権限を譲渡する、という形で、基本的には現実世界の現代日本とそう大きくは変わらぬ形式を持っている。

 ブラッド・カタストロフの影響を比較的大きく受けた過去があり、魔鉄器時代に突入したのは世界でもかなり遅い方。突入後の魔鉄文明化は迅速であり、現在は然程遅れた立場にいるわけではない。ただしこの遅れが響き、世界の覇権争いには参加していない。島国であることから他国からもさして大きな注目も浴びず、侵略を後回しにされた結果、国境確定条約に伴い侵略数がさらに激減し、今に至る。

 OI能力者に関しては、小学校五年生時の定期健診でその判別を行うことが一般的である。

 製鉄師の将来に関しては、『プロ・ブラッドスミス』と呼ばれる軍属の製鉄師と、そうではない製鉄師の二つの道を設けている。前者は半公務員のような立ち位置——いわば『武士』的な立場として、普段は各自侵入者への対処や、通常の国民と同じ普通の生活を送る傍ら、戦時には国防兵として戦う役目が与えられている。後者は軍に協力する義務はないものの、私生活において許可のない鉄脈術の使用が禁止されている。こちらは部分的な鉄脈術の行使が可能となる部門が各職業ごとに設けられている場合が多く、そう言った箇所で活躍する事が多い。無論、鉄脈術を修めはしたものの、製鉄師とは一切関係のない生活を選ぶものもいる。

 製鉄師やドヴェルグの育成には、国内九か所に存在する養成学園を用いている。これらは約20年前、当時の天孫が選び、設立・運営権を与えられた九人の人物が運営する、半国立・半私立の学園である。
 *なお、本設定資料では札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、北九州の七か所を設定している。残る二か所は各自で自由に設定してほしい。

 日本皇国のドヴェルグは特に刀剣の作成に長けることで知られる。

 国内のブラッドスミスは全員、中央政府で位置や鉄脈術の使用状況を確認するための魔鉄器の装着が義務付けられている。

 現在の国家元首は天孫(てんそん)青仁(せいじ)。軽快で親しみやすい人物だが、本質的に物事に対する興味が薄く、明るい性格の裏で非常に冷めた対応を取る。その理由は、彼が振鉄位階のOI体質者でありながら、何故かブラッドスミス・ドヴェルグ共に一切の適性を持たない奇妙な人物であるため。彼は自分の『歪む世界』に対する対処手段を持たず、同時に『歪む世界』を通してしか見ることのできない世界に興味を持っていない。彼が真に愛するのは、歪む世界が在ってなお、現実の世界として見ることができる、妹とその婚約者の二人だけである。
 幼少期には歪む世界が見えていなかったという。ある時を境に、いきなり振鉄位階として覚醒したのである。埋鉄位階から振鉄位階への飛び級覚醒は非常に珍しい。


【国家の風景】
 基本的には現代日本をそのまま近未来化した様な風景。国内九か所に設置されたOI体質者の養成学園の周辺は学園都市として独自の発展を遂げている。

【人々の傾向】
 比較的OI体質者に対する保護が手厚い。そう大きく現実世界の日本人とかけ離れているわけではないが、「国家元首がカセドラル生命体の血を引く」という現実離れした建国譚に基因するのか、妙にロマンチストな傾向がある。

【製鉄師の傾向】
 あまり国家の特色といったものは感じられないが、しいて言うならば幼少期からパートナーと共に過ごす都合上、そのまま一生を共に過ごす二人が多い。
 また、ドヴェルグと製鉄師間の距離が近く、専属関係を結んでいる者達もいる。

 製鉄師になった場合、国に申請することが義務となっている。その際に上述の状況確認魔鉄器を渡される。
 

 

製鉄師養成学園

 製鉄師養成学園との呼称を使うことが多いが、実際にはドヴェルグの育成も行っている。
 ブラッドスミス、魔女、ドヴェルグといった、アストラルに関連する異能者を育成し、正しい力の使い方を教える学校。

 全国に九か所存在。先代天孫が選んだ「運営権」を与えられた九人の人物、あるいはその後継者が運営する、半国立・半私立の学校。

 中等部と高等部に分かれており、途中入学も可能。

 全ての学校は『聖』の文字とそれに続く一文字という二文字の漢字で固有校名を持つ。これは『後半の文字と同音、あるいは元となった武器を”製作する”』という意味が込められている――が、別にその制作に特化したドヴェルグを輩出しているわけではない。
 *上述の通り、養成学園は全国に九か所存在するという設定ですが、正式に位置を決定しているのは七か所です。残り二か所に関しては、参加してくださった方が自由に位置を決めてくださって構いません。また、学校の様子に関しても、公式設定では東京のそれ以外は深く決めないことにしています。そちらも各自で好きなように妄そ……設定してください。
 また、学校名の作成に当たっては参加者の方々からも案を頂きました。旧版でも書きましたが、重ねて御礼申し上げます(校名の由来が書いていないものがそれです)。


・東京:『聖玉学園』
 学園長:相浦(あいうら)紺碧(あおい)
 全ての製鉄師養成学園の中心となる、東京に存在するメガスクール。製鉄師科とドヴェルグ科の二つの科を持つ。OI体質者としての育成以外にも、一般教養や発展教養を教えるエリート進学校としての側面も持つため、将来的にプロ・ブラッドスミスや、OI体質者としての力を扱わない道を選んだとしても、この学校での六年間が無為となることはない。
 例年優秀な製鉄師やドヴェルグを排出しているエリート校でもある(ただしその『エリート』の形は、後述する理由から必ずしも戦闘能力の高さを意味しない)。

 日本国皇女・天孫(てんそん)東子(あずまこ)とそのペア兼婚約者(非公式・現天孫は公認)神凪(かんなぎ)雄二(ゆうじ)の通う養成学園として一定の知名度を持ち、国内最大のビッグネームカップルかつ学生最強クラスの『製鉄師』である二人を目当てに入学する生徒もある程度いるとかいないとか。

 有事の際は現天孫・天孫(てんそん)青仁(せいじ)が指揮権を握る国防軍として機能するため、教師は現役の製鉄師が多い。

 名前は『玉を製作する』から取られた。教育方針は、初代学園長:相浦群青の「全てのOI能力者が、己の力に傷つかぬ世界が来るように」という願いを反映し、実戦よりも能力に慣れたり、技術を磨くことを重視するもの。戦闘者としては他学園の卒業生に劣る場合が多いものの、鉄脈術や魔鉄鍛造の熟練度に関しては他を圧倒する。


・札幌:『聖晶学園』

・仙台:『聖奏学園』
 名前は『槍を製作する』から取られた。

・名古屋:『聖陣学園』
 名前は『刃(短剣)を製作する』から取られた。

・大阪:『聖憐学園』

・広島:『聖窮学園』
 名前は『弓を製作する』から取られた。

・北九州:『聖観学園』


【入学試験】

 一律で一般的な学力試験(比較的難易度は高め)と、魔鉄加工技術のレベルを見るための魔鉄器作成試験がある。
 この魔鉄器作成試験は、500mlペットボトルサイズのインゴットを、出されたお題に沿った形に加工する、というもの。加工技術のどういった側面を見るかは学校によって異なり、一概に上手ければ良いと言うわけではない。例えば聖玉であれば、「指示から逸脱しない程度のアレンジ」に重点をおき、将来的に「命令違反をせず、されど自分の判断で戦況に対応できる人材」を発掘することを目的とする。

【契約試行】

 製鉄師科の場合、入学後、定期的にブラッドスミスと魔女は契約に挑戦することとなる。入学直後ではブラッドスミス側のイメージ力や深度が足りず契約が出来ない場合が多い。また、ペアが見つからない、という生徒もいる。そういった者は後からこれに挑戦することとなる。
 定期試行は毎月初めの三日間。自信がついたものは、定期試行期間でなくとも挑戦が可能である。
 契約の魔鉄器は個人のものを用いても構わないし、学園側も一応誰にでも対応するものを用意している。
 学園における契約には立会人として製鉄師の教員が最低一名つく。 

 

日本皇国に属する人物

*神凪雄二

「へいへい、分かりましたよ『お姫様』」
「ばっかお前何言ってやがる。いいか、デッキ構築において重要になるのは軸とする戦術とそれを確実に行うためのルート制定、そしてそれを取れなかった場合に取るべきサブルートの設定だけじゃない。仮想敵、どうしても対処したい相手へのメタ、いっそ切り捨ててしまう戦闘の判断に加えて—―」
「うるせー。俺がお前のこと好きなのは今に始まったことじゃねぇし、全国民に知られてるレベルなんだから隠す必要もねーだろ」

 くせ毛気味の黒髪と目つきの悪い黒目に、若干猫背気味といろいろ揃った青年。十六歳。
 東京の製鉄師養成学園、『聖玉学園』に通う高校一年生。所属は中等部から。
 優秀なブラッドスミスで、既にプロ・ブラッドスミスの資格も有しているが、勉学の方はあまり得意ではない。
 ぶっきらぼうで投げやりだが、興味のあることに関しては目を輝かせて早口かつ長々と喋り出すという悪癖を持つ。
 
 趣味はトレーディングカードゲームだが、引き運が異常に悪く、大変弱い。
 
 契約魔女である天孫東子とは、身分違いの恋を乗り越え、将来を誓い合った仲。普段は彼女と一緒に高層マンションの最上階で暮らしているが、基本的に庶民気質なので時折「これは夢なのでは?」「実は何かの陰謀なのでは?」などと考えているらしい。ただし東子の事だけは心の底から信用している。

 OW深度は『振鉄』。鉄脈術は『天地再生、汝国創りの神為れば(リバース・リゲネレイト・リゲネシス)』。周囲を自動的に侵食・融解し、同様の存在に変えてしまうゲル状の物質を、濁流の如く発生させる鉄脈術。雄二のイメージ力が強いためか、対鉄脈術という状況にめっぽう強く、大抵のエネルギー系鉄脈術は喰らい尽くしてしまうことが可能。
 生まれつき振鉄位階に到達していたタイプの人物で、東子との契約前は、『自分自身が世界に溶けだし、融解する世界と混ざり合って別の何かになってしまう』という歪む世界に苦しめられた。幼少期には歩くことすらままならなかったという。
 トリガー行動は首筋からの『吸血』。彼の『歪む世界』を構成する要素の一つ、「侵食」を反映した接続のイメージである。


*天孫東子

「死んじゃいやよ、『王子様』」
「うるさい馬鹿雄二。その話前にも聞いた」
「ん……不安になっちゃって。本当に、私の事、好き? 嘘じゃない?」

 肩口までの、星屑を思わせる銀髪と、淡く青みがかった白銀の目。小柄で可憐な姿から、容赦なく厳しい言葉を飛ばす美少女。十六歳。
 日本皇国現天孫・天孫青仁の実の妹であり、現在、彼の他では唯一皇位継承権を持つ人物。
 聖玉学園に通う高校一年生。非常に『完成度の高い』魔女。
 
 成長停止が十歳のときだったため、幼い外見なのを若干気にしている。

 契約者である雄二とは、「皇女と平民」という身分違いの恋を乗り越え、将来を誓い合った仲。彼女と雄二のカップルは、日本皇国におけるOI能力者への親密さのきっかけでもある。
 長らく家庭内で孤立し、兄以外に味方のいない日々を送っていたためか、時折甘えたがりな一面を見せる。

 製鉄師としては戦闘空間の作成や、敵の攻撃をゲル状化して無効化する防御壁といったサポートを中心とし、雄二が有詠唱を使用する際は必ず『二重詠唱』のサポートを行う。
 

 

主な出来事

 
前書き
 この年表には後半の方に若干世界観のネタバレのようなモノが存在します。そういうのが苦手だ、という方はご注意ください。 

 
鉄暦(西暦)????年代:魔鉄が産出され始める。時を同じくして10歳~15歳の間に成長が停止する『魔女体質』の女性が生まれるように。『魔女(アールヴァ)』の名は2030年代にドイツの科学者ロキ・ヴァルトラウテによって付けられる。

鉄暦2020年代:イギリスの超常現象学者アンジェリカ・マナウィダンが『三層世界論』を提唱。

鉄暦2030年代:ロキ・ヴァルトラウテ博士が、魔鉄が霊質界の物質であることを突き止める。魔鉄に関する研究が本格化。しかし同年代末期、アメリカで行われた実験で魔鉄が発火、研究所を火の海に変える。この実験に参加するために渡米していたロキ・ヴァルトラウテ博士とその助手たちが巻き込まれ死去。

鉄暦2040年代:トルコはボアズキョイで、『ラバルナ』を名乗ることになる青年が、妻である魔女体質の少女、『アンナ』との間に、正式な手順では世界で初めて、鉄脈術を発動。

鉄暦2050年:青年、『ラバルナ』を名乗り、新秩序『超国家(ドミニオン)』と、初となる超国家『ラバルナ帝国』の建国を宣言。ボアズキョイを単騎占領、ハットゥシャと改名。配下となった戦士たちと魔女体質の女性たちに各々契約を結ばせ、製鉄師を多数生産。他国に向けて侵略行動を開始。おかしなことに征服が完了した瞬間にその国家は抵抗をぴたりと止め、ラバルナの傘下として忠実に動くようになる。

鉄暦2053年:ラバルナ帝国、驚くべき速さで全世界を超国家圏内に入れることに成功。史上初となる『統一超国家』に。

鉄暦2075年:ラバルナ帝国、建国25周年を記念し、各国からOI体質者を招集。ドヴェルグやブラッドスミスとしての育成を開始。

鉄暦2100年:首都ハットゥシャで、原因不明の炎上事件。上位研究者や一部貴族、皇帝ラバルナが死去。

同年:ブラッド・カタストロフ開始。経済的に優位にあったアメリカ、中国が大きな打撃を受けたほか、日本皇国も暫くの間経済的に大きな混乱を被ることになる。

鉄暦2100年代:帝国に召集され、魔鉄加工技術を得た者達が帰国。これまでラバルナ帝国の上層部にのみ知ることができた魔鉄器の精製技術や『契約』の手法が流出。

鉄暦2102年:ラバルナ帝国外で初めてブラッドスミス、ドヴェルグが誕生。以後、急速に魔鉄文明が普及。世界各国でもブラッドスミスやドヴェルグが誕生し出す。

鉄暦2102年:エジプト、魔鉄器時代に突入。ラバルナ帝国に召し上げられ、ブラッドスミスとして活動していたエジプト人の青年が『アクエンアテン二世』を名乗り、新たな国家秩序を作ると宣言、超国家『アクエンアテン神王国』を建国。

鉄暦2103年:イラン、魔鉄器時代に突入。史上初となる非ラバルナ産ブラッドスミス達のうちの一人であった青年が、『リュドス』を名乗り、超国家『ブザイ王国』を設立。『ラバルナの正当後継国家』を名乗り、アクエンアテンと覇権を争い出す。以後各地で様々な超国家が建設され始める。しかし最初に建設されたアクエンアテンが有利な戦況となった。この情勢に焦ったある超国家が、バビロンに住まう予言者系の製鉄師を囲い込もうと都市を襲撃。結果としてその国家は滅びを予言され、予言通りの日にブザイとアクエンアテンの挟撃を受けて滅びた。似たような事態が数度起こり、「バビロンの予言者は未来を変える」と噂される。ほぼ同時期、兵士たちは製鉄師に限られるようになり始め、「戦争は製鉄師VS製鉄師」という構図が出来上がる。

鉄暦2105年:バビロンの予言者系ブラッドスミス達が、都市の独立を宣言。周囲の予言者系ブラッドスミスを多く擁する都市国家いくつかと連携し、超国家『星詠みの国』が出来上がる。

鉄暦2105年:ブザイ王国、複数の超国家と連携し、超国家連合『ヴァンゼクス王国連邦』を設立。アクエンアテン優勢の勢力図が変化し、戦況はヴァンゼクスの若干有利の形で五分に。この事件の前後、世界の過半数の土地が魔鉄文明化を完了。以後、『魔鉄器時代』が始まる。

魔鉄暦3年:それまでヴァンゼクス、アクエンアテンとの覇権争いを金銭面で回避してきた、シリアやイタリア、地中海を中心とした巨大商業シンジケートが超国家体制樹立を発表。以後『ライオニア商業国』を名乗る。

魔鉄暦5年:OI体質の国民に専門の教育を受けさせるための、養成学園設立のプロジェクトが日本皇国国内でスタート。当時の天孫が九人の人物を選定し、彼らに運営を委ねる。

魔鉄暦7年:後天的に『魔女』を誕生させようとする実験『人造魔女(デミアールヴァ)プロジェクト』がヴァンゼクスの一部(主に傭兵国家『マギ』の主導)で始動するも、最初の被験者に選ばれた女性たち五名が例外なく発狂あるいは死亡したため即座に中止。計画は廃棄となる。

魔鉄暦10年:日本、魔鉄器文明化完了。ほぼ同時期に最も魔鉄器文明化が遅れていた北アメリカ大陸が魔鉄器文明化をあらかた完成させる。

同年:ユーラシア大陸の殆どの超国家が駆逐され、東欧~アジアのヴァンゼクス、オリエントのアクエンアテン、西欧のライオニアの三つにほぼ統一される。三国の中でも特に好戦的なヴァンゼクスとアクエンアテンは、互いの国境が接していない部分における国境の確定を発表。両超国家に属さない国家や、いずれの超国家にも属さない国家への侵略行為件数が激減。ライオニアもこの協定に加わり、大規模な戦争は減ることになる(戦争が禁止されたわけではないため、三国の国境付近では今でも戦乱が続く)。なお完全にこの三国のみになったわけではないことに注意されたし。星詠みの国を始めとし、存続した超国家も存在する。

同年:日本で最初の製鉄師養成学園『聖玉製鉄師養成学園』が開校。

魔鉄暦25年4月:聖玉の理事長であった相浦群青が死去。長女・紺碧が『運営権』を天孫より移譲され、跡を継ぐ。

魔鉄暦30年4月:マリア・アンナ・ラバルナが緊急来日。各超国家の上層部はこれを察知し、各々の行動原理に基づく刺客を日本皇国へと差し向ける。

魔鉄暦30年7月:マリア・アンナ・ラバルナの現状及び、彼女を保護する日本の製鉄師達を確認するため、リュドス四世、ネブカドネザル七世が相次いで極秘来日。

魔鉄暦30年12月:ラバルナ皇帝、『器』に意識をインストールし、カセドラル・ビーイングとして復活。マリアを捕らえ、ラバルナがかつてアンナとの間に交わした鉄脈術を利用した、強制契約を交わす。

魔鉄暦30年12月:ラバルナに操られたマリア、『ラバルナ帝国の復興』を宣言。各種超国家が各々の目的のもと、復活したラバルナおよびマリアのペアと対立、戦争開始。

魔鉄暦30年12月25日:ラバルナ&マリアペア、雄二&東子ペアと一騎打ちの末敗北。ラバルナは未来の行く末を残った製鉄師たちに託し、消滅。マリアは意識を取り戻す。

 

 

その他の設定

 
前書き
 こまごました設定を記載しています。 

 
・言語は各々の国家ごとのモノを使っているが、魔鉄器を用いた自動翻訳が広く流通している。

・魔女とブラッドスミスが遠距離にいると、鉄脈術は発動できない。目安としては「相手の所在地が視認できる距離」。ただし極稀にその制限を突破するペアが現れる。例としてはヴァンゼクスのシャーであるリュドス四世とその契約魔女、シャフルナーズがそれにあたる。

・製鉄師による日本皇国への侵略の経路(海路・空路)などは各自で設定されたし。転移系鉄脈術を持っているペアがいて、彼らが送り届けているのかもしれないし、その場合は転送ができない範囲が存在するのかもしれない。

・ラバルナ帝国皇帝としてのラバルナは、鉄脈術として『既存観念の侵略』を操る。ラバルナ帝国に侵略された国家が急に言うことを聞くようになったり、ラバルナ帝国がその後の社会に於けるスタンダードとなったのはこの鉄脈術の影響による。

・魔女の一種として、『ハッティ』と呼ばれる特殊な個体が存在する。歴史の中でごくまれに確認される、個人で鉄脈術を操る奇妙な存在。その正体は「魔女の外見データを使用して顕現した、新種のカセドラル生命体」であり、依然として人間はペアでなければ鉄脈術は使用できない。

・死んだ魔女の心臓では鉄脈としての役割は果たさない。同時に、生きている心臓でも肉体から離れてしまえば鉄脈としての役割を果たさない。ただし魔女が昏睡状態にある場合では、問題なく鉄脈術の発動が可能である。これに関する理由はいまだ研究の途上にある。

・契約の難易度、言い換えるならば「魔女/鉄脈という鉱山の規模、鉱脈の長さ」は、転じて「鉄脈術の規模」となる場合がある。魔女として完成した人物、つまり契約の難易度が高い魔女と契約すると、非常に大規模な鉄脈術が発動できる――のかもしれない(これもまた、研究の途上にある)

・宗教事情に関しては特に設定は無い。各々で自由に作成していただいて構わない。ただしこの世界に於いて、幽霊や神々の正体は記録情報生命体――所謂『カセドラル・ビーイング』であることに留意されたし。

・ヴァンゼクス、ライオニア、アクエンアテンの三国の間では、『これらの超国家へ属していない国家への大規模な侵略』を禁止する条約が結ばれている。そのため、いかにマリア皇女が日本にいると言えども、大規模な侵略行為をすることができないでいる。ちまちまと小規模に敵を送り込んでくるのはそのため。

・日本に敵対意思を以てやってくる海外の製鉄師の目的は、なにもマリア皇女を狙ったものだけではない。というより、マリア皇女に関連する情報を知らされているのは超国家そのものから指示を与えられたペアたちだけであり、一般の侵略者は皇女の存在そのものを知らない。
 *そのため、敵キャラとして海外の製鉄師を登場させる予定がある、バトルモノの作品を作る予定の方は、「マリア皇女に関連する指示を受けてきたタイプ」の敵と、「自分の目的のために日本へやって来た敵」の二タイプから選択して敵キャラを作成することになります。
 ただしマリアは基本的には聖玉に身を寄せている状態であるため、必然的に後者の『敵』が多くなるように思います。

・テロリストは存在する。上述の「自分の目的のために日本へやって来た製鉄師」の一部は、軍人ではなくこういったテロリズム行為を目的とした存在かもしれない。

・アンチ・リアクター的な能力や体質を持っている人物は、現時点ではこの世界に存在しない。
 

 

本編とは関係のない設定

 
前書き
 この回には、本作における裏設定や、ネタバレが含まれる場合があります。ご注意ください。 

 
・皇帝ラバルナは侵略型のカセドラル生命体、即ちハッティと出逢ったことがある。ラバルナはカセドラル生命体がマテリアルを支配する未来を回避するため、彼らが侵略してきた際に団結して対応するための「人類統一」を目指した。
 ラバルナは志半ばでカセドラル生命体による暗殺(件の発火事故)を受けたが、実際は既に『既存観念への侵略』を用いて新たな肉体を用意して有り、ヘルメス・バルタザールの手によってそれを使用し現代に蘇生、再統一を目指す準備がある。

・近い将来、カセドラル生命体によるマテリアルへの侵略が始まる。だがそれは後述の通り、あくまでも「近い将来」であり、魔鉄暦30年前後を舞台にするならばまだまだ先の話である。

・星詠みの国の真の目的は「いつか訪れるカセドラル生命体によるマテリアル侵略の時のために、彼らの顕現に必要となる『情報』を記録すること」。『星の図書館』は魔鉄器などではなく、その姿を基軸として顕現したカセドラル生命体である。
 実は国民たちは鉄脈術など使わずとも予言、即ちカセドラルへの接続が可能である。鉄脈術を使用した方がより効果的であるからそうしているだけで。

・即ち、星詠みの国は本来、人類の敵である。

・ただし現在その役割は事実上忘れ去られており、その事実を知っているのは「人類によってこの世界が滅びる未来を六種類垣間見、このまま人類が存続した場合、その事実を覆すことができないこと」を悟ったネブカドネザル七世と、その契約者たる六人の魔女たちだけである。

・実はライオニア(LIONIA)の国名の由来は『ラバルナ(L)イン(I)アザー(O)ニュー(N)イデアル(I)アドミニストレイター(A)』である。事実上世界を支配するに足りる力があるにも関わらず、金の力で他国を屈服させないのは、この国家の真の目的が「ラバルナの復活」にあるためである。その事実を知るのはヘルメス・バルタザール――その名の通り、ギリシア神話の神格『ヘルメス』のデータを基軸とし、エウリュディケ現象によってラバルナ帝国の降霊型ブラッドスミスが呼び出してしまった、そして皇帝ラバルナの忠臣として彼に仕えた、一柱のカセドラル生命体のみである。ヘルメスはカセドラル生命体におけるマテリアルへの支配に反対する立場の存在であり、ラバルナに協力して彼らに対抗する手段を模索していた。

・カセドラル生命体の中には、マテリアルの侵略・支配を企てる勢力がいる。彼らはこれまでにも何度かマテリアルに侵攻してきたが、その度に人類に追い返された。なお、アンジェリカ・マナウィダンはこのカセドラル生命体撃退の光景に立ち会った事がある人間であり、その際の研究から三層世界論を提唱した、という経緯がある。
 *この勢力は現在もマテリアルの侵略を計画しているが、まだ実行に移すにはかなり時間がかかる模様。少なくとも、魔鉄暦30年を舞台にするならば、彼らと戦うことは無いだろう。


・マリア・アンナ・ラバルナは、ラバルナが『復活』した際にその契約魔女として彼の鉄脈術をこの世に蘇らせるための人物である。ラバルナは魔鉄暦30年の12月に、ヘルメス・バルタザールの策略によって復活、彼がかつてアンナと共に使った、『既存観念の侵略』を司る鉄脈術『天地侵略、汝覇道の神なれば』の効果によって、「ラバルナに従う」という行動観念を刷り込まれたマリアと契約。再び鉄脈術を発動させ、上記の人類統一の目的を達成するために二度目の世界征服を開始する。
 
 マリアの「復興宣言」とはこれによって洗脳された彼女が放ったものである(皇帝ラバルナは自身を『新たなラバルナ』であると位置づけており、『本人』として振る舞うことはない。あくまで新時代の皇帝はマリアであり、自分はその契約者として振る舞う)。
 *この際の侵略は阻止されるだろう。今のマテリアルは、ラバルナの統一など必要なくとも、十分に動くだけの英雄たちがいる。
 それを紡ぐのは、いまこの資料を読んでいるあなたの役割だ。


 

 

Q&A

 
前書き
 頂いた質問の中から、特に重要性が高いと考えたものを筆記していきます。 

 
Q:多重人格の人の『歪む世界』はどうなるの?
A:人によって異なりますが、概ね複数の人格一つ一つにつき『歪む世界』が違う場合と、複数の人格で一つの『歪む世界』を共有している場合に分かれます。後者の方が圧倒的に数が多いです。また、前者の場合は、人格一人ごとに別の魔女を用意する必要があります。一人の魔女が一度に格納できるオーバーワールドは一つだけです。

Q:多重人格になる『歪む世界』っていうのはあり?
A:ありです。

Q:脳の機能に何らかの影響があり、生態的に特殊な世界が見えている人は、この世界観では『歪む世界』との関連性はある、とされているの?
A:いいえ。前者は医療的な話題であり、オーバーワールドとは関係ありません。ただし、特殊な世界が影響して『歪む世界』の内容が変化する、といったことはあるかもしれません。
 *この質問と関連して、盲目のOI能力者がいた場合、歪む世界は視界への投射、というよりは脳の認識への干渉に近いため、オーバーワールドは目が見えなくても見え続けます。魔鉄暦30年現在のように、OI能力者へのサポートが充実し、様々な情報が手に入る様になる前は、歪む世界を消去するために自ら盲目になり、その行いが無意味だったことを知った人もいたかもしれません。 

 

追加設定:人造魔女計画

 
前書き
 設定集に記述がある、あるいは原案者が存在を示唆しているが設定集に記載がない設定について、参加者の方から「使ってみたい」と要望があったもののうち、GOサインを出させていただいたものの詳細設定を記載していきます。 

 
 デミ・アールヴァ・プロジェクト。
 
 魔鉄暦7年、当時のヴァンゼクス超国家連邦のうち、傭兵国家マギの一部過激派研究者たちが、密かに進めていた企画。その内容は、「OI能力者でも魔女でもない女性に、後天的に魔女体質を付与する」実験である。
 どのような方法を用いたのかは不明だが、結論を言うならば計画は失敗に終わった。被験者として連れてこられた五名の女性たちは、全員が平均的な魔女と同じく十歳前後の外見へと変貌してしまった上、二名が発狂死、残る三名の内一名は魔女体質もOI能力も手に入れることができず、二名は魔女体質を手に入れたものの正常な思考を保てなくなった上、その体質も不完全なものであった。そのため、計画は失敗したとされる。

 魔鉄暦20年、統一王(シャー)に即位した当時十五歳のリュドス四世は、この計画の存在を知ると激怒、両妃を伴い『全力を以て』研究所を殲滅。よって計画はとん挫した。研究資料もすべて処分されたため、現在その全容を知ることはできない。
 
 しかしこの殲滅事業の際、全ての研究者を断罪できたわけではなかった模様で、現在もどこかに残党が残っていると推測される。


 現在公式に生存が確認されている『人造魔女』は一名のみ。
 

 

追加設定:アダマンタイト(魔鉄の発展利用に関する研究)

 
前書き
 旧版に存在した設定を掘り起こしてみました。元々はユアブラに一部設定を流用した、別の一次創作で使っていた設定だったりします。 

 
 魔鉄を利用できないか、という研究は、この奇妙な金属が霊質界(アストラル)の存在であることが明らかになってから、何度も繰り返し計画されてきた。その集大成こそがラバルナ帝の編み出した『鉄脈術(リアクター)』であり、それを扱う生体兵器『製鉄師(ブラッドスミス)』なわけであるが――それとは別のアプローチで魔鉄に挑んだ研究もまた、魔鉄暦30年現在ではある程度知られている。

 輪をかけて有名なのは、ロキ・ヴァルトラウテ博士の研究していた『魔鉄合金』である。人のイメージに呼応し、その性質を変える、という魔鉄の特性は、彼女の研究の時点で既にある程度判明していた。ヴァルトラウテ博士はこの特性から、恐らく魔鉄は何らかの手法を用いれば「全く別の金属との合金であるかのように振る舞うだろう」という仮説を立てていたという(この時点ではまだ魔鉄鍛造は考案されてすらいない)。

 結局、合金のようにふるまう魔鉄、というのは上述の通り魔鉄鍛造によって再現が可能となったのだが――ヴァルトラウテ博士はもう一つ、『魔鉄合金』に関する研究を進めていた。

 それこそが『アダマンタイト』である。
 これは『合金の特性を有する魔鉄』ではなく、文字通り『魔鉄の合金』だ。魔鉄と別の金属を融合させた、霊質界の物質と、異なる次元の物質の融合存在。
 研究は失敗に失敗を重ね、ついぞ博士が事故で命を落とすまで完成することはなかったが、しかし彼女は死の直前、一つの金属の噂を聞き、それがこのアダマンタイトの作成に役立つのではないか、と考えていたらしい。
 名を緋々色金という。日本皇国の極秘事項として一部の人間にのみ伝えられてきたこの物質は、かなり以前からどうにも冥質界(カセドラル)の存在ではないか、と推測されていたらしい。曰く『進化する金属』。担い手と共に成長し、魔鉄とはまた違ったベクトルでその性質を変化させていくとされ、日本皇国に於いては国祖・初代天孫が冥質界より持ち込んだ霊金とされてきた。
 当然極秘事項であるがゆえに知る者は殆どいなかったわけであるが、偶然その名を耳にしたヴァルトラウテ博士は、この金属と魔鉄を合金にすれば、『人の意思に答え、共に進化する金属』を作り出せる、と考えていたらしい。

 無論、彼女はアダマンタイトを完成させる前にこの世を去った。それ故、この世界にアダマンタイトが存在することはあり得ない。
 されど、もしそんなものが実在するのであれば――あるいは、物質界と霊質界だけでなく、冥質界とも接続する究極の『魔鉄器』が、完成するのかもしれない。 

 

追加設定:魔鉄人形

 魔鉄人形(ブラッディ・ゴーレム)

 複数の魔鉄器を利用して作り出す機巧、所謂『魔道具』の一種。ラバルナ帝国の基本労働力として利用されていた、機械人形の類である。編み込むイメージや製作過程が非常に難解であることから、魔鉄暦30年現在ではほぼオーパーツ化しており、ゼロから作成するのはトップクラスのドヴェルグにとっても最高難易度に位置するとされる。
 開祖はラバルナ帝国の筆頭魔鉄技師(ファースト・ドヴェルグ)ことギルラ・ジュール。彼の作品はオーパーツ中のオーパーツであり、再現はおろか修復も困難と謳われる。俗に『生き人形』と呼ばれる種別に分類されるそれは、「一体売れば億万長者」と言われるほどに価値の高い存在であり、ハンターやコレクターの間では常にその行方が追われている。一方で、現在でも一部の統一貴族の家庭では、彼の作品が平和に駆動していることも。

 ハットゥシャ炎上に際して首都から持ち出された帝国の所蔵魔鉄器一覧には、この魔鉄人形の名が多く記されていた。ほとんどが行方不明であり、特に上記のギルラが『最高傑作』と位置付けていた十三機(公式記録では十二機)の魔鉄人形、『ブラッディ・イヴ』は一体残らずその所在が分かっていない。


・生き人形に関する条約や法律
 生き人形は、その姿、性質が、外見からでは殆ど人間と見分けがつかない。そのため、帝国時代から続く慣習・及び法規に基づき、魔鉄暦30年現在、いくつかの条約を以て人間と魔鉄人形を区別することが暗黙の了解となっている(一般に『生き人形の取り扱いに関する国際条約』、『ゴーレム条約』と呼ばれる)。
 また、帝国に倣い、この条約を元に国内で法律を設定している国もある。以下は日本皇国の法規において採用されている箇所の一部である。
 ・魔鉄人形は人間との区別のため、必ず額に『真理(エメス)』のコードを刻むこと。使用する文字は問わない(原則としてギルラに倣いヘブライ文字か、英語向けアルファベットである。日本ではこの二つ以外を違法とする)。また、このコードと起動スイッチを連携するものとし、頭文字を消すことで機能停止が可能であるようにすること。
 ・魔鉄人形の扱いに関する権利は、基本的に制作者及び所有者に付随するものとする。日本皇国では役所に所有権に関する届け出をすることを法律で義務付けている。権利者は人形の人格を尊重し、大切に扱うことがモラルとして求められる。
 ・魔鉄人形との結婚に関しては、国家あるいは地域によって認めている箇所も認めていない箇所もある。帝国では認めていたらしい。日本皇国においては地域による。