麗しのヴァンパイア


 

第一話

                  第一話  吸血鬼のこと
 華奈子達クラウンの面々は何かが変わったと気付いていた、しかしその何かが具体的にどういったものかまではわからなかった。
 それで華奈子は家で自身の双子の姉妹であり同じクラウンのメンバーである美奈子にこんなことを言っていた。
「ねえ、先生達の様子がね」
「最近おかしいっていうのね」
「そんな気するでしょ」
「ええ、何かね」
 美奈子も感じていてこう答えた。
「思うわ」
「そうよね、何なのかしらね」
「まるで備えて警戒しているみたいな」
「そんな感じでしょ」
「何かあるのは間違いないけれど」
 美奈子は首を傾げさせつつ華奈子に話した。
「それでもね」
「何かがあるのは間違いないわ」
「そうね、本当に」
「そして今田先生も今日子先生もね」 
 二人共というのだ。
「私達にお話されないでしょうね」
「そんなお話じゃないのね」
「多分先生達の問題でね」
「そして私達に関わる様なお話じゃない」
「そうよね、博士みたいな滅茶苦茶だけれど実は私達に危害を加えるつもりは全くない人でもないわね」
 そして誤って危害を加えてしまう様な失態も犯さない、この辺り天本破天荒博士は実にしっかりとしているのだ。
「多分」
「そうね、博士相手は実は危険じゃなかったけれど」
「先生達の場合は違う」
「そうした雰囲気ね」
「凄く気になるけれど」
「先生達にお聞きしてもお話してくれないわ」
 絶対にとだ、美奈子は断言した。
「だからね」
「このことはね」
「あえてね」
 気付いていてもというのだ。
「知らない振りをしておきましょう」
「大人の対応?それって」
「そうかも知れないわね」
 美奈子は少し怪訝な顔になって聞いてきた華奈子にこう返した。
「これも」
「そうなのね、じゃあ他の皆ともね」
「そうしていきましょう」
 彼女達に話もしてというのだ。
「その方がいいみたいだし」
「聞いてもお話してくれないなら仕方ないし」
「だからね」
 それでというのだ、こう話してだった。華奈子も美奈子はクラウンの他のメンバーとも話して先生達にはあえて聞かないことにしたのだった。


第一話   完


                  2017・12・6 

 

第二話

                    第二話  不思議な洋館
 神戸のある場所、六甲の山の麓にあるそこに何時の間にか一軒の洋館が建っていた。人々はその洋館を見て思った。
「不気味だな」
「奇麗な洋館なのに」
 見ればフランスの宮殿を思わせる見事な洋館である、庭も広く敷地面積もかなりで金がかかっていることも一目瞭然だ。
「それでもな」
「日が差しているのに差していないみたいな」
「不思議な洋館だよ」
「気味が悪いわね」
「気付いたら建っていたし」
「誰が住んでいるのかしら」
 家ならば住人がいる、その住人についての話題にもなった。
「あんな立派な家に」
「いや、誰か住んでるのか?」
「表札ないぞ」
「けれど庭はいつも奇麗で建物も」
「いつも整っているし」
「誰が手入れしているんだ?」
 いつも奇麗なのでこのことについても話された。
「あんなに奇麗にしているのは」
「いつも薔薇や菫や菖蒲が咲き誇っているし」
「誰かいるんだろうけれど」
「どんなお金持ちが住んでいるんだ?」
 あまりにも見事な洋館なのでこのことも話された。
「あんな立派な洋館に」
「外国人じゃないかしら」
「何処の人?」
 外国人ならばどの国から来たかという話にもなった。
「それだと」
「あれオーストリアの建築様式だよ」
 建築に詳しい人がこう指摘した。
「十九世紀位の」
「じゃあオーストリアの人?」
「そこから来た人なの?」
「モーツァルトのお国の」
「あの国から来た人なのかしら」
 それならという話になった。
「住んでいる人は」
「相当なお金持ちなのは間違いないだろ」
「だよな、あんな豪邸建てるんだし」
「けれど人いるの?」
「観たことないし」
 人が洋館に出入りしたり家の庭を誰かが歩いていたり洋館の窓に誰か人が見えたこともないというのだ。
「しかも雰囲気が不気味だし」
「本当に何というか」
「お化け屋敷じゃないよな」
「まさかと思うけれど」
「けれどあの気配は」
 お化け屋敷とすら思えるというのだ。
 とかくその洋館を見て多くの者が何か得体の知れない不気味さを感じていた、気付いたらそこにあった見事な洋館を見て。


第二話   完


              2017・12・6 

 

第三話

                第三話  怪しい美女
 小田切君は研究所でタロとライゾウにパソコンでネットを検索してから首を傾げさせつつこんなことを話した。
「何か神戸市の山の方にね」
「何かあったの?」
「美味いものの店でも出来たか?」
「お店じゃなくて洋館が建ったらしいんだ」
「洋館は神戸には多いよ」
「だよな、結構」 
 二匹は小田切君の話を聞いて別にと述べた。
「だから山の方に建ってもな」
「別におかしくないんじゃ」
「それが変な洋館らしいんだ」
「変な?」
「っていうと?」
「人の気配がしないのにお庭や建物が手入れされてて」
 小田切君は洋館についての文章を読みつつタロとライゾウに話していく。
「急に建ってたらしくて」
「急にね」
「それもいつも手入れされてるのかよ」
「けれど人の気配はない」
「確かに変だよな」
「その変な洋館がね」
 今現在というのだ。
「神戸で話題になってるんだ」
「ふうん、そうなんだ」
「おかしな洋館だってか」
「あともう一つ噂があって」
「もう一つあるんだ」
「今度は何だよ」
「黒いドレスを着た物凄く奇麗な人が出るらしいね」
 二匹にこの話もした。
「白人のね」
「ふうん、白人の人も神戸に多いし」
「っていうか今じゃ日本のあちこちにいるぜ」
 白人といってもとだ、二匹は小田切君に洋館の時よりもずっと驚いていない感じで言葉を返した。態度も同じである。
「アジア系の人はもっとだしな」
「黒人の人だってじゃない」
「ううん、それがこの世のものとは思えない美人らしいんだ」
「ああ、美人さんもね」
「神戸には多いぜ」
「何か多いばかりだけれど話題になってるよ」 
 洋館と美人のことがというのだ。
「何かとね」
「とにかくその二つがだね」
「今の神戸の話題か」
「ネットでね」
 そちらでというのだ。
 こうした話をだ、小田切君はタロとライゾウに話した。彼等はこの時これから神戸で何が起こるのか全く知らなかった。


第三話   完


                  2017・12・13 

 

第四話

                  第四話  博士と美女
 天本博士はこの時自動式の車椅子に乗ってそのうえで神戸にいるヤクザ屋さんやチーマー、つまり獲物を探していた。
 だがその博士の目の前に一人のコーカロイドの美女が現れた、黒い十九世紀の絹のドレスを着ている波だつ腰までの金髪と雪の様に白い肌を持っている。唇と瞳の色はさながら鮮血の様に真っ赤である。
 その美女を見てだ、博士はすぐに美女に言った。
「わかっておったわ」
「私が来日したことは」
「既にな」
「感じ取っていたのね、流石博士ね」
「うむ、しかしじゃな」
「私は貴方と戦うつもりはないわ」
 美女は妖艶な笑みを浮かべて博士に答えた。
「このことを伝えに来たわ」
「ではあの魔女達とじゃな」
「私が興味がある相手は知ってるわね」
「美女じゃ」
 博士は車椅子に座ったまま美女に答えた。
「お主と同じくな」
「そうよ、興味があるのは美女でね」
「男には興味がないな」
「戦いを挑んでくるのなら別だけれど」
 それでもというのだ。
「そうでもない限りはね」
「一切じゃな」
「そのことは言っておくから」
「わかった、ではな」
「私と二人の戦いにはね」
「わしは一切干渉せん」
 博士は美女に約束した。
「そしてわしは言ったことはじゃ」
「守るわね」
「そうじゃ、だからお主がわしに向かって来ない限りはな」
 美女は言ったことがそのまま履かsにも当てはまっていた。
「わしも何も」
「それではね」
「好きにするがい、わしも好きにする」
「博士にとっていつも通りのことをするのね」
「実は今また異次元人と揉めておる」
 かなり前に遭遇して戦った彼等と、というのだ。
「そちらに専念する、今は趣味で殺せるならず者達を探しておったが」
「いそうにないわね」
「仕方がないからヤクザ屋さんの事務所に殴り込んでじゃ」
 そうしてというのだ。
「皆殺しにしてくる」
「本当に博士は相変わらずね」
「そう言うお主もな」
「お互い変わっていなくて何よりよ」
「全くじゃな」
 二人でこうした話をしてだった、美女は博士の前から姿を消した。そして博士は自身の言葉通りに暴力団の事務所を一つ壊滅させてから家に帰った。


第四話   完


                 2017・12・13 

 

第五話

                 第五話  研究室に帰って
 博士は自身の研究室に帰った、そうして小田切君とタロとライゾウが話している洋館と美女の話を聞いてこう言った。
「わしは関わらんからな」
「別の博士の関わるお話ではですか」
「ない、わしはな」
 こう言うのだった。
「そうなのじゃ」
「じゃあ別にですね」
 小田切君は博士のその話を聞いてこう言った。
「犯罪者とかそういうお話じゃないんですね」
「そうじゃ、むしろな」
「むしろ?」
「より危険な相手じゃな」
「犯罪者よりもですか」
「そうじゃ」
「っていいますと」
 小田切君は博士のコメントを聞いて考える顔になりこう言った。
「博士並に危ない人ですか」
「そうだよね、犯罪者よりもってなると」
「そうなるよな」 
 タロとライゾウも小田切君の言葉に続いて頷いた。
「博士は半端じゃない犯罪者だしな」
「殺人、危険物の製造と使用に大量保持ってな」
「人類史上最悪の犯罪者だから」
「その辺りのシリアルキラー以上の人なんだからな」
「シリアルキラーはその辺りにはおらんぞ」
 博士は二匹に極めて冷静に突っ込みを入れた。
「それこそごくごく稀じゃ」
「まあ人殺すのが大好きな奴なんてね」
「そうそういてたまるかってことだよな」
「その辺りにいるっていっても」
「あくまで例えだしな、おいら達の」
「そうじゃ、しかしその相手はな」
 博士はその者についてあらためて話した。
「そいじょそこいらの犯罪者よりも遥かに危険じゃから小田切君達も相手にせんことじゃ」
「博士も戦われないので」
「わしは遊びで殺したりするチンケな悪党以外とは進んで戦わぬ」
 旧日本軍も自衛隊もクラウンの面々も博士に向かってくるから相手をしているだけであるのだ。博士にとってはそうなる。
「だからじゃ」
「僕達もですか」
「そいつには向かうな」
「関わるなってんだな」
「その通りじゃ」
 まさにというのだ。
「わかったな、あと洋館と美女はな」
「そのとんでもないのと関係あるんですか」
「うむ、そのことを今から話そうか」
「お願いします」
 小田切君は博士にすぐに応えた。
「気になってますから」
「是非ね」
「お話してくれよ」
 二匹も応える、博士も彼等の話を受けて話をした。


第五話   完


                     2017・12・14 

 

第六話

                    第六話  魔王
 博士は洋館と美女について話した、その話を聞いて小田切君も二匹も驚きを隠せないでお互いに話をした。
「まさかね」
「そんなのが来日するとか」
「想像もしなかったぜ」
「そうじゃな、しかしじゃ」
 博士はその小田切君達にさらに話した。
「カーミラは実際におるのじゃよ」
「あの小説は実話を基にしていたんですね」
 小田切君は博士の言葉を反芻しつつしみじみとした口調で言った。
「そんなことは露程も思っていませんでした」
「ドラキュラ伯爵もじゃぞ」
 博士は小田切君達にこのあまりにも有名な吸血鬼もそうだと話した。
「実在人物じゃぞ」
「ワラキア、今のルーマニアの王様じゃなくて」
「あの伯爵がな」
「実在人物だったんですか」
「しかも生きておる、ヘルシング教授の子孫と戦っておるぞ」
「ううん、信じられないですが」
 しかしだ、博士をよく知っている長い間助手として雇われているだけによく知っている小田切君はわかった。二匹の動物達も同じだ。
「博士は嘘は言われないですからね」
「そうじゃ、わしはマッドサイエンティストじゃが」
「嘘吐きじゃないですからね」
「だから嘘は言わぬ」
 決してというのだ。
「それでじゃ」
「今言われてることもですね」
「本当のことじゃ、それでカーミラは男に興味はない」
「それ小説通りですね」 
 あのあまりにも有名な作品に書かれている通りだとだ、小田切君は思った。
「カーミラは本当にですね」
「美少女が大好きでな」
「美少女の血を吸うんですね」
「自分好みのな、尚吸血鬼は普通の食事も摂るぞ」
「あれっ、そうなんですか」
「そして昼も行動出来るからのう」
 このことも話した博士だった。
「これは小説でもあったな」
「カーミラだけでなくドラキュラ伯爵もでしたね」
「昼でも遭う場合があるからのう、しかしな」
「男には興味がないんで」
「基本わし等は無関係じゃ、だからな」
「博士はカーミラとはですね」
「お互いに仕掛けぬから何もないわ」
 衝突は起こらないというのだ。
「別のことをするぞ、異次元人との戦いじゃ」
「また異次元に行ったんでしたね」
「そうしたら怒って喧嘩を売ってきたからじゃ」
「やり返すんですね」
「わしは売られた喧嘩は買う主義じゃ」じゃ」
 こう言って自ら異次元に行く装置を発明しそれで単身異次元に乗り込む博士だった。そうして異次元人達と激しい死闘を繰り広げてきてからこちらの世界に帰ってきたが博士は何一つ怪我を負ってはいなかった。


第六話   完


                   2017・12・14 

 

第七話

                   第七話  妖美人
 華奈子の使い魔の方のタロとライゾウが美奈子の使い魔であるタミーノとフィガロからこうしたことを言われていた。
「どうもです」
「神戸にとんでもない人が来たそうです」
「この世のものとも思えない美人が」
「そしてその美人はどうもです」
「人間じゃないって?」
「おいおい、それ洒落になってないだろ」
 タロとライゾウはタミーノとフィガロにこう返した。
「人間じゃないなんてな」
「そんな人が来るなんて」
「美人なのはいいとしてもな」
「人間じゃないとしたら何なのかな」
「そこまではまだわかりませんが」
「人間でないことは間違いない様です」
 とりあえず人間でないことは確実だというのだ。
「そして何かです」
「この神戸で何かをするつもりの様です」
「恐ろしいことでなければいいのですが」
「この世にとって」
「だよな、何者だよその美人」
 ライゾウはその目を顰めさせて言った。
「人間じゃねえなんてな」
「妖怪じゃないかな」
 タロはこう考えた。
「それじゃあ」
「妖怪かよ」
「美人の妖怪なんて結構いるじゃない」
「ああ、雪女とかな」
「そうした感じかな」
「雪女は冬だけですが」
「冬にしか出ないですよ」
 タミーノとフィガロは雪女についてはこう述べた。
「ですからまた違うかと」
「今はまだ暖かいですので」
「ううん、じゃあどういう妖怪かな」
「悪魔とかじゃねえよな」
「悪魔って。結構まずいよ」
「けれどそうじゃねのか?」
 タロはこうライゾウに返した。
「少なくとも可能性はゼロじゃねえだろ」
「そう言うとそうだけれどね」
「おいら達のご主人達と戦いとかならないといいな」
「そうだね、とんでもなく強いとね」
 それこそと言うタロだった。
「ご主人様も美奈子さんもね」
「バトルにならないといいな」
「そうだね」 
 二匹はかなり深刻に危惧を覚えていた、それでタミーノとフィガロのさらに聞いて自分達の意見も話した。


第七話   完


                2017・12・27 

 

第八話

                第八話  妖怪といっても
 タロはここでこう言った。
「妖怪っていっても色々だよ」
「ああ、怖い妖怪強い妖怪もいればな」
「そうでもない妖怪もいるよ」
「というか日本の妖怪はぶっちゃけ地震の方が怖いぜ」
 ライゾウは日本の妖怪についてはこう述べた。
「それこそな」
「そうだよね、雷とか火事とかね」
「台風とかな」
 そうした災害の方がというのだ。
「ずっとな」
「そうだよね」
「そうですね、しかしです」
「それは日本の妖怪のことでして」
 タミーノとフィガロは日本のことから話した二匹にこう話した。
「中国や欧州、アメリカもですね」
「そうした地域では恐ろしい力の妖怪もいます」
「吸血鬼もいますし」
「こうした妖怪は厄介ですよ」
「ああ、吸血鬼になるとな」
 それこそとだ、ライゾウは二匹の言葉に応えた。彼も吸血鬼の力とその恐ろしさのことはよく聞いていて知っている。
「もうとんでもないよな」
「ドラキュラ伯爵とかね」 
 タロは吸血鬼と聞いてすぐにこの有名人の名前を出した。
「もう日本のどの妖怪よりも強いよ」
「だよな、もう」
「まあ美人さんっていうから女の人で」
「ドラキュラ伯爵じゃねえな」
 これは違うというのだ。
「やっぱり」
「そうだよね」
「では悪魔でしょうか」
「悪魔が来たのでしょうか」
 タミーノとフィガロはここでこう考えた。
「だとしたら厄介です」
「悪魔といっても色々ですが」
「相当な力を持った魔女なら」
「ご主人様と華奈子さんにとっても脅威ですよ」
「そうだよね、敵になるのならね」
「こっちのご主人達はまだ小学生だからな」
 流石にあまり強力な相手はというのだ。
「天本博士はまだ何とかなったけれどな」
「博士は殺したりしないからね」
 博士が殺すのはあくまでならず者達だけだ、自分が嫌いな相手には容赦しないが普通の市民には一切そうしたことはしないのだ。
「まだよかったけれど」
「悪魔とかだったらやばいな」
「そうですね、どうにも」
「私達も不安です」
 タミーノとフィガロも本気で危惧していた。四匹は若しその妖しい美人と戦ったらどうなるかがひたすら心配であった。


第八話   完


                 2017・12・27 

 

第九話

                  第九話  近付く敵
 今田先生と今日子先生は今は二人で双方の行きつけの喫茶店、神戸らしい洒落たイギリス風の店の中でだ。
 ティーセットを楽しんでいた、その二人がだ。
 紅茶を飲みつつだ、同時に言った。
「ねえ」
「今ね」 
 二人同時に言ってからだ、お互いにだった。
 顔を見合わせてくすりと笑って今度はこう言い合った。
「同時に感じたわね」
「そうね」
「それで言葉に出すなんて」
「私達らしいわね」
 二人は今は上品な着物姿だ、着物姿でイギリス風のティーセットを楽しんでいるのだ。
「今もね」
「そんな風だったわね」
「それでね」
 今田先生から今日子先生にあらためて言った。
「今このお店の方にね」
「ええ、来ているわね」
 今日子先生もあらためて応えた。
「こちらにね」
「そうね、どうもね」
 今田先生はさらに話した。
「私達に用があるわね」
「それで来ているわね」
「どうしようかしら」
「あら、もう答えは出ているでしょ」
「ええ」
 今田先生はにこりと笑って今日子先生の問いに答えた。
「このままね」
「お茶を飲むのね」
「そうするわ。あの人もわかっているから」
「ええ、こうした時は何もしない人よ」
「無粋なことは絶対にしないわ」
「優雅なレディーよ」
 それがこれからここに来る者だというのだ。
「だからね」
「ここでは何もしないわ」
「また今度ね」
「機会をあらためてね」
 今日子先生も言う。
「そうなるわね」
「だから今はね」
「ここでお茶を飲んだままね」
「あの人の分も注文しようかしら」
「それはいいことね」
 今田先生のその提案に笑顔で頷いてだった。
「それじゃあね」
「今からね」
 こう言ってもう一人前注文したのだった、ティーセットも含めて。


第九話   完


                 2017・1・1 

 

第十話

                 第十話  客人の来訪
 今田先生と今日子先生のところに来たのは店にいた誰もがその姿を見ただけで息を飲む美女だった。
「えっ、また凄いな」
「外国の人よね」
「モデルさん?女優さん?」
「着ている服も凄くいいし」
 昔ながらの貴族の令嬢の様だった、その美女が今田先生と今日子先生のところに来て微笑んで言ってきた。
「お久し振りですわね」
「はい、こちらこそ」
「お久し振りです」
 先生達は席を立って美女に笑顔で会釈をした、そのうえで美女にさらに言った。
「それでカーミラさんの分もです」
「紅茶とティーセットを用意しておきました」
「有り難うございます、私は紅茶も好きでして」
 その美女カーミラは笑顔で応えた。
「それでは今は」
「はい、飲みながらです」
「お話をしましょう」
「それでは」
 カーミラも応えそうしてだった、その紅茶とティーセットを口にしつつ先生達に穏やかな笑顔のまま話した。
「日本に来たのはお二人に会いにですわ」
「来られたのですね」
「そうなのですね」
「そして日本がいい国でしかも」 
 ここで妖艶な笑みを浮かべて言ったカーミラだった。
「美少女が多いとか」
「それで、ですね」
「来日されて」
「はい、このままですわ」
 妖艶な笑みはそのままだった。
「美少女達を愛しそうして」
「そのうえで」
「血も」
「それは相手の方次第ですけれど」
 相手の同意、それを得てというのだ。
「楽しみたいですわね」
「では私達はその貴女と」
「時が来れば」
「そちらも楽しみにしていますわ」
 これがカーミラの返事だった。
 そうして先生達と紅茶とティーセットを楽しんでから優雅に席を立って先生達に言った。
「私の分、宜しければお二人のお支払いも」
「私達の分は払いますので」
「ご心配なく」
「そうですか、それでは」
「また」
「お会いしましょう」
 今は優雅に別れた双方だった、カーミラは貴婦人の顔に戻って店を後にし先生達はそれからも暫くお茶の時間を楽しんだ。


第十話   完


                 2017・1・1 

 

第十一話

                 第十一話  お茶の後で
 今田先生はカーミラが帰ってから今日子先生に笑顔で言った。
「挨拶だったわね」
「ええ、あの人のね」
 今日子先生も笑顔で返した。
「日本に来ての」
「そうだったわね、ではね」
「次に会う時は」
「戦いね」
 そうなるというのだ。
「晴れてね」
「そうなるわね、ではね」
「その時は」
「戦いましょう」
 今日子先生は今田先生に笑顔のまま言った。
「そしてね」
「戦うからにはね」
「負けていられないわ」
「ええ、負けてはいけないわ」
 今田先生も言う。
「決してね」
「このことは絶対よ」
「そしてあの人と戦うからにはね」
「二人でないとね」
「絶対に駄目よ」
「さもないと負けないだけね」
「そうなるわ」
 カーミラの実力を知っているからこそだ、今田先生は話した。
「私だけでも今日子ちゃんだけでも」
「勝てる人じゃないわ」
「だからね、あの人もそれでいいっていうし」
「オーストリアでの戦いの時からそうだったわね」
 今日子先生は笑顔に真剣な顔で応えた。
「正直一人では勝てないことは残念だけれど」
「二人でもだから」 
 勝てない相手だというのは。
「仕方ないわね」
「二人で力を合わせて戦いましょう」
「使い魔の子達も含めてね」
「私達一人では勝てない理由もね」
 今日子先生はこのことも話した。
「あの人も使い魔がいるから」
「それも沢山ね」
「だから余計にね」
「二人で戦いましょう」
 こうした話をしてだった。
 先生達は店を後にした、その時に二人で笑顔に戻ってこうも話した。46
「楽しい思いをしたし」
「塾の時間まで魔法の修行をしましょう」
 二人で話してそうしてだった、店に勘定を支払ってそうしてだった。今田先生の家に戻って魔法の勉強をするのだった。


第十一話   完


                2018・1・4 

 

第十二話

                  第十二話  生徒達から見て
 梨花は最近の先生達を見て学校で美樹に話した。
「ねえ、最近今田先生も今日子先生もね」
「ええ、ご自身の魔法の勉強にね」
 美樹もこう応えた。
「凄く熱心ね」
「そうなっているわね」
「何かね」
 考える顔で言う美樹だった。
「これまでの魔法のおさらいもして」
「それであらたによね」
「凄い魔法の勉強をしたり」
「私達の魔法の勉強よりも凄いわね」
「先生達は日本いえ世界でも屈指の魔女だけれど」
 このことは本当のことだ、金や銀の魔女の法衣はそれぞれ最高位の魔女が着るものなのだ。そうそう着られるものではない。
「その先生達がね」
「物凄くお勉強してるって」
「何かあるのかしら」
「ないとね」
 梨花は考える顔で話した。
「やっぱりね」
「あそこまでされないわよね」
「美樹ちゃんもそう思うのね」
「何かあるわね」
「物凄いことをされるか向かわれるか」
「そうでもないと」
 それこそというのだ。
「あそこまでの勉強をされないし」
「それじゃあね」
「必死に勉強されて」
「どうされるのか」
「気になるわね」
「本当にね」
 二人で話した、そしてだった。
 梨花は美樹にこうも言った。
「私達が入ったらいけない感じだし」
「そんな風よね」
「先生達の問題で」
「生徒の私達はね」
 入ってはいけないとだ、美樹も言う。そうしてだった。
 二人は今は話すことを止めた、だが美樹は梨花にこうも言った。
「先生達なら何でもね」
「ええ、大丈夫ね」
「先生達は凄いから」
「どんなことでもね」
 例えそれがどんな困難なことに向かうものであろうともとだ、二人は先生達なら絶対に大丈夫だと確信していた。自分達の先生達を知っているからこそ。だからこそ今も言えた。
「だからね」
「安心出来るわね」
 こう言ってこの話を終えたのだった、そしてこの予想は当たった。


第十二話   完


                2018・1・4 

 

第十三話

               第十三話  静かな時
 小田切君は平和な状況にある神戸について違和感を以て言った。
「何かおかしいね」
「おかしいって?」
「平和なのがかよ」
「うん、博士は相変わらずだけれどね」
 タロとライゾウに答えた、今は研究所の中は彼等しかいない。博士はカイザージョーを出してアラブのテロリスト達を攻撃しに行っていていない。
「他所の国まで行ってね」
「うん、殺戮だね」
「それを楽しんでるよな」
「そうしてるけれどね」
 博士はというのだ。
「まあ今は日本にいないけれどね」
「博士以外は平和で」
「それでっていうんだな」
「まずはいいとして」
「まあいないならね」
「それだけで平和だよ」
 実際にとだ、二匹も博士に答えた。
「博士については。それは置いておいて」
「ああ、最近の神戸かよ」
「何か不吉な気配が明らかにして」
 ライゾウに自分が飲むお茶を煎れつつ話した。
「博士もそんなこと言ってたのに」
「それでもだよな」
「これがね」
 タロも言ってきた。
「平和なのがだね」
「おかしいね」
 どうにもというのだ。
「雰囲気的に」
「嵐の前ってやつか?それともな」
 ライゾウはその小田切君に怪訝な顔で話した。
「おいら達には関係ない」
「それで平和だっていうのかな」
「平和ってそんなものだろ」
 ライゾウは右の前足を小田切君を指し示す様にして言った。
「結局な」
「自分達が平和で危害が及ばないなら」
「平和だろ」
「自分の主観だっていうんだね」
「そうしたものだろ」
「確かにね」
 タロもライゾウのその言葉に頷いて小田切君に話した。
「平和はそうしたものだね」
「だから僕は今平和って感じてるのかな」
「そうじゃないかな、実際にね」
 さらに話すタロだった。
「僕達は平和だよ」
「何もないから」
 小田切君も応えた、そうしてさらに言うのだった。


第十三話   完


                 2018・1・11 

 

第十四話

                 第十四話  不穏な平和を
 小田切君はタロとライゾウに平和について言われて少し考えてからそのうえで二匹に対してこう言った。
「じゃあ僕達は平和を楽しんでいいのかな」
「神戸で何があっても」
「それでもなんだな」
「うん、生活が困らないで神戸自体も平和なら」
 彼等が住んでいる街もというのだ。
「それでいいのかな」
「結局はそうなるよ」
「はっきり言うとな」
 二匹も小田切君に答えて話した。
「そうなるな」
「結局自分に関係のあるもの全部が平和ならね」
「平和ってなるんだよ」
「絶対に安全ならな」
「確かに。日本も神戸も平和でも」
 小田切君は自分を主観にして考えてもみて話した。
「この研究室が攻撃されてたり僕がストーカーに追われたりしていたら」
「刃物を持ったりしたね」
「そんなやばいのにな」
「そうしたら全然平和じゃないしね」
 自分が危険ならばというのだ。
「背中からぶっすりとされたりしたら」
「幾ら不穏な空気がしても」
「結局自分に関係ないならだろ」
「だから小田切君は今平和だよ」
「おいら達もな」
「ついでに言うと博士もいないし」
「今はアラブで暴れてるしな」
 テレビでは丁度ニュースが報道されていた、天本博士がカイザージョーでテロリストの基地を嬉々として攻撃していた。
「博士がいないとな」
「相当に平和だね」
「まあ博士がいないと余計にだけれどね」
 このことは小田切君もわかった。
「いつも破壊と殺戮を楽しむ人だから」
「そうそう、余計にね」
「そうなってるしな」
 まさにというのだ。
「まあ博士はそのうち戻ってくるけれどな」
「飽きたらね」
「とりあえず博士は置いておいてな」
「今は平和だし」
「だったらな」
「素直に喜べばいいよ」
「そうなるね、じゃあこのままね」
 プレステを出して二匹に応えた小田切君だった。
「今はゲームをしようか」
「うん、じゃあね」
「そうして遊ぼうな」
 二匹は昼寝の用意に入りつつ小田切君に応えた、そうして小田切君はその彼等と共に平和な時間を満喫していくのだった。


第十四話   完


                 2018・1・11 

 

第十五話

                  第十五話  二枚重ね
 春奈と赤音は休日に二人で神戸の街で遊んでいた、赤音はお洒落をしたつもりだが春奈のふわふわとしたロングスカートを見て言った。
「春奈ちゃん似合ってるわよ」
「似合ってるの?」
「うん、お嬢様みたいよ」
 そうした感じだというのだ。
「可愛くて上品な感じで」
「これお母さんが買ってくれたの」
「お母さんが?」
「そうなの、買ってくれて」
「それを着てるのね」
「私に似合うからって」
 そう言って買ってくれたものだというのだ。
「言ってくれてね」
「そうなのね、私の服はね」
 赤音は自分の半ズボンを見て言った、足は黒タイツで覆っている。
「お姉ちゃんからのお下がりなの」
「そうだったの」
「似合ってればいいけれど」
「似合ってるわよ」
 春奈は赤音にお世辞抜きに笑って答えた。
「赤音ちゃん赤が似合うから」
「赤はよく華奈子ちゃんが着てるけれどね」
「華奈子ちゃん赤の法衣だしね」
「それでと思ったけれど」
「黄色い半ズボンと」
 赤音のイメージカラーとなっているこの色と、というのだ。
「それで赤がね」
「よく似合ってるの」
「ええ、奇麗な赤だし」
「赤ね、ちなみにこれ二枚重ねだし」
「寒くない様に」
「似合ってたら本当に嬉しいわ」
「二枚重ねだと暖かいしね」
 冬の寒さの中半ズボンでもとだ、春奈は笑顔で応えた。
「丁度いいわね」
「これもお姉ちゃんに言われたの」
「二枚重ねの方がいいって」
「そうなの、そっちの方があったかいからって」
「赤音ちゃんのお姉ちゃんそういうの詳しいわよね」
「ええ、どういう服の着方したら暖かいか涼しいか」
 そうしたことに詳しい姉なのだ、実際に。
「それでお話聞いてね」
「二枚重ねにしたら」
「実際にあったかいわ、上着もちゃんと着て丈の長いコートにマフラーにカイロまで持って来てるし」」
「完全装備ね」
「本当にあったかいわ」
「それは何よりね、じゃあ今から」
「遊びに行きましょう」
 笑顔で話をしてだ、二人で遊びに行った、そうして二人で寒いが賑やかな神戸の街を楽しむのだった。


第十五話   完


                   2018・1・18 

 

第十六話

                 第十六話  クレープの中身
 春奈と赤音は神戸に遊びに出てまずは何かを食べることにした、すると赤音が春奈に対して言った。
「ここクレープが美味しいお店あるの」
「そうなの」
「ええ、コゼットってお店で」
 赤音は店の名前も話した。
「色々なクレープがあってね」
「それで味もなの」
「凄く美味しいらしいの」
「それじゃあ」
 春奈は赤音のその言葉を聞いてすぐに明るい顔になって応えた。
「まずはね」
「そのお店に行って」
「そしてね」
「クレープ食べてから」
「百貨店行こう」
「八条百貨店ね」
「あそこに行くとね」
 笑顔で言う春奈だった。
「それだけで楽しいわよね」
「中にお店一杯あってね」
「屋上に行ったら」
「ゲームコーナーがあって」
「クレープ食べるけれど」
「他にも一杯食べるものあるし」
 食べることが好きな赤音は明るい笑顔で春奈に話した。
「いいからね、あと私可愛いキャラクターの文房具買いたいし」
「あそこの百貨店にしか売ってない」
「それも買いたいから」
 だからだというのだ。
「春奈ちゃんも買いたいものあったわよね」
「私は本をね」
 百貨店の中の本屋でとだ、春奈は赤音に笑顔で答えた。
「そう思って赤音ちゃんと一緒に行くし」
「じゃあまずはね」
「クレープ食べて」
「そうして行くのね」
「ええ、じゃあそのお店に行きましょう」
 そのクレープ屋にと言う赤音だった。
「それ食べてから行きましょう」
「何を食べようかしら」
「それは入ってからのお楽しみよ」
「何を選ぶのかもなのね」
「楽しみだってお姉ちゃんが言ってたし」
 それでというのだ。
「お店が空いてたらだけれど」
「選ぶのもね」
「楽しみましょう」
 姉のアドバイスを思い出しながら少し背伸びをして言う赤音だった、今の赤音はそんな大人な気分だった。


第十六話   完


                    2018・1・18 

 

第十七話

                 第十七話  二人も感じる異変
 赤音は春奈を自分が美味しいと思うクレープ屋に案内した、そうしつつ春奈に怪訝な顔で尋ねたのだった。
「最近先生達だけれど」
「ええ、ちょっとね」
 春奈は赤音に不安そうな顔で応えた。
「これまでと違う感じよね」
「何か私達のこととは別にね」
「事情あるみたいね」
「博士は最近大人しいけれど」
 天本博士はというのだ。
「最近神戸に妖しい気配感じるしね」
「そうね」
 春奈は赤音に心配そうな顔のまま答えた。
「妙にね」
「そのことと関係あるのかしら」
「赤音ちゃんはそう思うのね」
「何かね。それ春奈ちゃんもでしょ」
「ええ、関係ないとは思えないわ」
 どうにもとだ、春奈は赤音に答えた。
「やっぱりね」
「そうよね、最近神戸に感じる気配は」
 妖しいそれはとだ、赤音はクレープ屋までの道を春奈と共に歩きつつ彼女に真剣な顔で言うのだった。
「これまでとは違って」
「妖しいけれど魅力的?」
「奇麗でね」
「そんな感じよね」
「その感じは」
 まさにと言うのだった。
「女の、大人の人の感じで」
「それでいて人間じゃない」
「そんな感じだから」
「先生達は妖怪を懲らしめたことも多いっていうし」
 そうしたことでも有名なのだ、先生達は。
「だからね」
「その妖しい、人間でない気配とね」
「関係あるかも知れないわね」
「どうもね」
「そう思えて仕方ないわ」
 どうにもとだ、二人で話した。そしてだった。
 赤音は春奈にさらに言った。
「先生達に何もないといいわね」
「そうね、妖怪退治をしても怪我をしなかったら」
「そうだったらね」
「いいわね」
「私達がどうにも出来ないことかも知れないけれど」
「それでも」
「何もなかったら」
 いいとだ、二人で話した。そうしたことを話しながらだった。赤音は春奈をクレープ屋の前まで案内したのだった。


第十七話   完


                  2018・1・24 

 

第十八話

                    第十八話  クレープの味
 赤音は春奈をクレープ屋の前まで案内した、その店は車の中でクレープを作って売る売店タイプの店でお客さんが一人いてだった。
 チョコレートクレープを買って食べていた、赤音はそのお客さんを見ながら春奈に話した。
「ここなのよ」
「車のお店なので」
「そう、ここのクレープ美味しいの」
 春奈ににこりと笑って話した。
「だからね」
「今からよね」
「そう、クレープ買って食べましょう」
「そえじゃあ。クレープは何を買おうかしら」
「苺どう?」
 赤音は春奈ににこりと笑って提案した。
「それとアイスクリームね」
「苺とアイスなの」
「アイスはバニラで」
 赤音はアイスクリームのことも話した。
「それでね」
「苺ジャムを入れた」
「それはどうかしら」
「そうね、食べやすいしね」
 笑顔になってだ、春奈は赤音に答えた。
「甘いし」
「それに春奈ちゃん苺好きでしょ」
 赤音は春奈の好みも入れて話していたのだ。
「それもあって」
「私に勧めてくれたの」
「そうなの、私も苺好きだしね」
 次に自分のことも話した赤音だった。
「だからね、それにしない?」
「そうね。それじゃあ」
「苺とバニラアイスね」
「それでね」
 二人で話してだ、一緒に苺とバニラアイスのクレープを注文した。そしてそのクレープを二人で店の近くのベンチに並んで腰掛けて食べた。
 一口食べてだ、春奈は赤音に言った。
「本当にね」
「美味しいでしょ」
「ええ、このクレープ」
「生地の焼き加減がよくて甘くて」
「中身もね」
「いい感じで」
 それでと言うのだった。
「生地と合っていてね」
「そうでしょ、お姉ちゃんに紹介されてね」
「赤音ちゃんも食べてみたら」
「これが美味しくて」
「私にも紹介してくれたのね」
「そうなの、それで春奈ちゃんもなのね」
「ええ、美味しいわ」
 これが春奈の返事だった、そうしてだった。
 二人でクレープを食べた後は買いものを楽しんだ、二人は先生達のことを気にかけながらも日常を楽しんだ。先生達のことを知らないこともあって。


第十八話   完


                  2018・1・24 

 

第十九話

                 第十九話  三人で
 梨花は昼休みに美樹のところに行ってこんなことを提案した。
「今度二人で何処か行かない?」
「二人で?」
「ええ、商店街にでもね」
「八条町の商店街ね」
「二つあるけれどね」
 そのうちのというのだ。
「住宅地の方のね」
「駅前じゃなくて」
「そっちの商店街に行かない?」
 こう誘いをかけた。
「そうしない?」
「そうね、今度の土曜か日曜によね」
「どっちかの日にね」
「それじゃあ」
 すぐにだ、美樹は梨花に笑顔で答えた。
「是非ね」
「ええ、土曜か日曜に行きましょう」
「どっちの日に行くかだけれど」
 美樹は今度はこのことについて考えた。
「問題は」
「そうね、土曜にしても日曜にしても」
「どちらの日にするかよ」
「ううん、土曜日?」
 梨花は少し考えてから美樹に答えた。
「その日にする?」
「そうする?」
「土曜日学校が終わったら」
「一旦お家に帰って」
「それから行きましょう」
「携帯で連絡し合って」
「そうしてね」
 ここまで二人で話して決めたがここでだった。
 二人のところに亜美が来た、亜美は二人が一緒に話しているのを見てそれで彼女達に聞きに来たのだ。
「何話してるん?」
「今度の土曜商店街に行こうってね」
「そうお話してたの」
 二人は亜美にありのまま話した。
「遊びに行こうって」
「そうお話していたの」
「ふうん、商店街に」
「よかったら亜美ちゃんもどう?」
「住宅街の近くの方だけれど」
 そちらの商店街に行くこともだ、二人は話した。
「どうかしら」
「よかったら」
「うちでよかったら」
 亜美は二人ににこりと笑って答えた。
「三人で、かな」
「ええ、じゃあね」
「今度の土曜日に行きましょう」
 その商店街にとだ、理科と美樹は亜美と約束した。こうして二人が三人となり一緒に遊びに行くことになった。


第十九話   完


                    2018・2・2 

 

第二十話

                 第二十話  待ち合わせ場所
 亜美は二人に今度の土曜日に一緒に八条町の住宅街の近くにある商店街に行くことになった。だが亜美は二人にまだ聞くことがあった。
「土曜の何時行くん?」
「まずは皆一旦お家に帰ってね」
「ランドセル置いて御飯食べてからよ」
 梨花も美樹もすぐに亜美に答えた。
「それでそれからね」
「待ち合わせをして行く予定よ」
「携帯で連絡し合って」
「そうしてん」
「携帯あったら絶対に会えるし」
 お互いに連絡出来てだ、亜美もこの辺りの事情はわかった。
 だがここでだ、亜美は二人にこうも言った。
「待ち合わせ場所はどっか決めとかへんの?」
「やっぱり決めておいた方がいいわね」
「そうね」
 梨花も美樹も亜美のその言葉に賛成して頷いた。
「あらかじめね」
「そうしておいた方がいいわね」
「そやろ、時間もな」
 場所だけでなくとだ、亜美はさらに話した。
「決めとこな」
「それじゃあ。あの商店街に行くなら」
 梨花はすぐに考えに入った、そうしてから美樹と亜美に話した。
「商店街の入り口の銅像前がいいわね」
「ああ、あの銅像ね」
 美樹は銅像と聞いてすぐに応えた。
「八条グループの創始者の人の像ね」
「あの像の前にしましょう」
「それがいいわね、あの人の像なら目立つし」
 それにとだ、美樹は梨花に応えてさらに言った。
「あそこの下にいればね」
「すぐにわかるでしょ」
「ならあそこね」
「あそこやったら」
 亜美もその像のことはもう知っているので二人に反対することなく話した。
「待ち合わせ場所に丁度ええね」
「じゃああそこに一時半ね」
 梨花は亜美が賛成したのを見て今度は時間も決めた。
「その時間に待ち合わせしましょう」
「ええ、じゃあね」
「一時半に創始者の人の銅像の前やね」
 美樹と亜美も頷いた、こうしてだった。
 三人はそこで待ち合わせをすることになった、梨花はこのことを決めてから笑顔になってこう言った。
「土曜日が楽しみね」
「ええ、あそこで何して遊ぶか」
「考えるだけでも楽しみやで」
「あそこ色々なお店があるからね」
「入るだけでも楽しいし」
 そうした場所だからとだ、二人も言うのだった。二人だけでなく梨花も今から非常に楽しみにしていた。


第二十話   完


                   2018・2・2 

 

第二十一話

                      第二十一話  一張羅
 その日が来た、すると梨花と美樹はそれぞれ一時半に八条グループの創始者であり明治期に活躍した偉大な経営者の像の前に来た。
 すすとそこにはだった、黄色や赤や青や橙色でかなり派手な色彩でミニスカートにタイツにセーターに帽子にと服装も目立つ外見の亜美がいた。
 その亜美を見てだ、美樹は思わずこう言った。
「何かね」
「派手やろ」
「ええ、かなりね」
 亜美にどうかという顔で言った言葉だ。
「そう思ったわ」
「これうちの一張羅やねん」
「つまり一番いい服なの」
「いい服っていうか外出の時にお洒落したい時はな」
 亜美は美樹に笑って話した。
「寒い時にはこれって決めてるねん」
「そうなの」
「うちなりのお洒落やで」
「お洒落っていうか」
「目立ちたいだけのやね」
「そういう風に見えるけれど」
「目立ってなんぼってな」
 亜美は明るく笑ってこうも言った。
「そう思ってな」
「何かね、私が思うにはね」
 どうかとだ、今度は梨花が亜美に言った。
「お洒落イコール目立つじゃないし」
「そうなん」
「ええ、何か今の亜美ちゃんのファッションは」
 梨花はここはあえてダイレクトに言うべきと思いその方向で話した。
「アバンギャルド?」
「それやねんな」
「そう思ったわ」
「そうね、亜美ちゃんの今のファッションってね」
 実際にとだ、美樹も再び亜美に話した。
「アバンギャルドね」
「突拍子もないっていうか」
「そんな風よね」
「アバンギャルドな、それもええわ」
 亜美はそう言われても平気な顔で二人に返した。
「似合ってなかったら着んけどわ」
「似合ってるわよ」
「亜美ちゃんにね」
「そやったらええわ、ほな行こな」
「ええ、今からね」
「商店街に入りましょう」
 二人は亜美に笑顔で言った、そしてだった。
 三人で商店街の方に向かう、そこで亜美はまた梨花と美樹に言った。
「商店街に入ったら何をするか」
「それはね」
「入ってから考えるのもいいわね」
 これが梨花と美樹の返事だった、三人共今はそうしたことを考えることも楽しむことにしていたのだ。


第二十一話   完


                 2018・2・8 

 

第二十二話

                第二十二話  まずすること
 梨花と美樹、亜美は三人で商店街に入った。そうしてからすぐにまずは何をしようかと考えた。そしてだった。
 その中でだ、梨花は美樹と亜美に言った。
「ゲームセンター入る?」
「そういえばこの商店街のゲームセンターは」
 美樹は梨花の提案にすぐに応えた。
「面白いゲーム多いわね」
「そうでしょ、昔のね」
「それで遊ぼうっていうのね」
「それかゲームしている人のプレイを見るか」
 梨花は美樹にこちらのゲームセンターの楽しみ方も話した。
「それもね」
「見てたら迷惑じゃないかしら」
「何も言わなかったらね」
 ただ見ているだけならとだ、梨花は美樹に答えた。
「別に何もね、怒る人もね」
「いないから」
「だからね、黙ってね」
 このことは絶対として、というのだ。
「見ているだけならね」
「いいのね」
「だからどう?」
「それじゃあね」
 美樹は梨花のその提案に確かな顔で答えた。
「私としてはね」
「いいのね、じゃあ亜美ちゃんは」
「うちもええで、そうした遊び方もあるさかい」
「それじゃあね」
「ゲームセンター行こうな、ただな」
「ただ?」
「少しやったらうち等も遊ぼうな」
 今から行くゲームセンターの中でというのだ。
「そうしよな」
「そうね、UFOキャッチャーでもね」
「それで遊ぼうな、けれどそのお店昔のゲームあるって聞いたけど」
「それがもう一杯あって」
「どんなゲームあるねん」
「ゼビウスとかパックマンとかグラディウスとか」
「何か聞いたことある様なない様な」
 亜美はそうしたゲームのタイトルを聞いて己の記憶を検索した。
「そんな名前やな」
「三十年以上前のゲームとかよ」
「うち等のお父ちゃんが子供の頃位か」
「それも五歳位とかね」
「ゲームセンター行く歳ちゃうやん、大昔もええとこやな」
 亜美はその話を聞いて心から思った、そうしてだった。
 あらためてだ、梨花に言った。
「何かどんなゲームか興味出たし」
「それじゃあね」
「そのゲームセンター行こうな」
 今からとだ、梨花に笑顔で言ってそうして店に行くのだった。


第二十二話   完


                    2018・2・8 

 

第二十三話

              第二十三話  レトロゲーム
 梨花と美樹、亜美の三人は商店街にある昔ながらと言っていいゲームセンターに入った。するとその中では。
 様々なゲームがあった、亜美はその中の一つを見て梨花と美樹に話した。
「これ三十年は前のゲームやで」
「三十年って」
「本当に私達が生まれるずっと前じゃない」
「もうそれこそね」
「お父さんやお母さんもまだ子供の頃よ」
「そやな、今田先生と今日子先生もな」
 亜美は自分達に魔法を教えてくれている二人の先生のことも思って言った。
「まだ生まれてへんかな」
「そうかしら」
「あの先生達はどうかしら」
 二人は亜美の今の言葉には疑問形で返した。
「私先生達のお歳知らないけれど」
「私も」
「一体お幾つなのかしら」
「ちょっとわかわないわよね」
「うちも知らんけれどな」 
 亜美にしてもというのだ。
「今田先生と今日子先生の年齢はな」
「まだお若いわよね」
「多分ね」
 美樹は梨花の言葉に考える顔になって答えた。
「そうだと思うわ」
「そうよね」
「多分だけれど」
「三十歳にはね」
「まだじゃないかしら」
「うちもそう思うから言うたんやけど」
 今の様なことをというのだ。
「どやろな、まだ三十歳ちゃうやろか」
「そうよね」
「何かどちらの先生もよく考えたら年齢不詳だけれど」
「お顔はお若いから」
「そうじゃないかしら」
「そやろな、それでこのゲームはな」
 亜美は二人にあらためてゲームの話をした、見ればそのゲームは白い詰襟の学生服を着た主人公が不良達と戦うゲームだ。
「大体三十年位前やで、もっとやろか」
「本当に凄い昔ね」
「相当古いゲームね」
「あっちにあるゲームなんか」
 ブロック崩しの様なゲームも観て言う。
「それより前ちゃうか」
「何か難しそうね、あのゲーム」
「そうよね」
「操縦するキー独特だし」
「使いにくそうね」
「何か具体的な操作わからんけどどのゲームも難しそうやな」
 亜美も考える口調で言うのだった、三人共その目で見るゲーム達はどれも全く未知の世界のものであった。


第二十三話   完


                 2018・2・14 

 

第二十四話

                第二十四話  やっぱり難しい
 亜美はその白い詰襟の主人公が不良達と戦うゲームをはじめた、そうしつつ梨花と美樹に対して言った。
「うちゲーム得意やし」
「それでなのね」
「そのゲームやってみるのね」
「最初やって一周クリア出来んかったゲームないで」
 こう二人に話した。
「シューティングでも格闘でもな」
「どのゲームでもなの」
「一周クリアしてるの?」
「コイン一回入れただけで」
「それでなの」
「一周するまでゲームオーバーになったことないわ」
 本気の目で言っている言葉だった、そこに偽りは見られなかった。
「そやからこのゲームもや」
「はじめてやるけれど」
「それでもなの」
「一周はクリアするで」
 絶対にと言ってだ、そしてだった。
 亜美はそのゲームをはじめた、すると本当に一周してエンディングの画面まで見た、だがここで亜美は二人に苦い顔で言った。
「このゲーム難しいで」
「そう?さくさく進んでたけれど」
「敵を軽く倒してね」
「攻撃も上手だったし」
「よかったと思うけれど」
「いや、最後に出て来たヤクザ屋さん達が半端やなかった」
 その彼等がというのだ。
「うちそこでどんどんやられたやろ」
「そういえばそうね」
「事務所の中でも前でもね」
「刺されたりピストルで撃たれたりして」
「それでやられてたわね」
「一撃で死ぬなんて辛いわ」
 クリアしてからの言葉だがこう言うのだった。
「幾ら何でも飛び道具はないな」
「ヤクザ屋さんだからね」
「ドスやらピストル使うのね」
「一撃でやられるなんて辛いわ、それで残り一人になった」 
 そこまでやられたというのだ。
「迂闊やった、ほんまはノーミスでいけたのに」
「クリア出来たからいいと思うけれど」
「亜美ちゃんにとってはそうなのね」
 二人は亜美はゲームがかなり上手だと思った、だが亜美はクリアしてこう言うのだった。今プレイしたゲームは難しいと。
 それでだ、亜美は二人に話した。
「二週目で終わりや」
「そうなるのね」
「全滅するのね」
 実際に二週目にヤクザのボスに撃たれて死んでゲームオーバーとなった、それで亜美は最後にも難しかったと言った。


第二十四話   完


                 2018・2・14 

 

第二十五話

                第二十五話  ゲームセンターの後は
 三人はゲームセンターで遊んだ後は本屋に行った、その本屋の中で美樹は梨花と亜美に対して言った。
「何の本買うの?二人は」
「私はライトノベル買うわ」
「うちもや」
「私はライトノベルにね」
 それにと言う美樹だった。
「後は漫画を買うわ」
「漫画も買うの」
「そうするんや」
「ええ、買いたい漫画があるの」
「どんな漫画なの?それで」
「どんなのや」
「女の子同士の恋愛というか遊んでる漫画?」
 美樹は少し考えつつ二人に話した。
「恋愛でもキスとかはなくて」
「緩い感じやな」
「そうなの」
 亜美にもそうだと答えた。
「別にそんなね、キスとか触ったりもしないし」
「何や、ほんまに大人しい感じやねんな」
「恋愛っていうかギャグ漫画なの」
 作品のジャンルとしてはというのだ。
「そんな感じの漫画なの」
「その漫画も買うつもりやねんな」
「最新刊出たから」
 それでというのだ。
「買うわ」
「そうか、そうするねんな」
「そうなの、それでライトノベルは」
 美樹はこちらの本の話もした。
「異世界に行って冒険するお話だけれど」
「あっ、私もよ」
「うちもや」
 梨花と亜美もこのことは同じだった。
「そんなお話や」
「何か最近そうした作品多いけれど」
「そうなのね、何か三人共そうしたライトノベル買うっていうのは」
 どうかとだ、美樹はまた言った。
「奇遇ね」
「そうね、けれど多分作品は違うわね」
 梨花はここでこう言った。
「多分ね」
「そうでしょうね、じゃあ今からね」
「それぞれ本買いましょう」
「そうしましょう」
 美樹は梨花の言葉に笑顔で頷いた、そしてだった。
 美樹はまず漫画のコーナーに行って自分が買いたい漫画を手に取った、それからライトノベルのコーナーに行き。
 梨花、亜美と一緒に自分が買いたい本を探した、美樹が手にしたライトノベルはというと。


第二十五話   完


                  2018・2・25 

 

第二十六話

                第二十六話  異世界ものでも
 美樹が手にしたライトノベルは異世界転生ものの最新刊であった、そしてそれは梨花と亜美も同じだったが。
 美樹はまずは梨花が手にした作品を見て言った。
「私が買うのとは違うわね」
「そうね」
 梨花も美樹が手に持っているライトノベルを見て言葉を返した。
「同じ異世界ものでもね」
「全然違うわね」
「そうよね、それでね」
 今度は梨花が亜美の手を見て言った。
「亜美ちゃんが買う本もね」
「そやな、三人が三人でな」
「同じ異世界ものでもね」
「買う作品はちゃうな」
「そうよね」
「というか異世界もんでもな」
 亜美は梨花の本だけでなく美樹の本も見て述べた。
「作品めっちゃ多いからな」
「もう一杯あるから」
「うち等が買う本もちゃうな」
「そうね」
 まさに三人それぞれだった。 
 それでだ、亜美はさらに言った。
「まさかと思うてたけれど」
「それでもよね」
「ちゃうな」
 亜美は梨花に応えた。
「見事な位にな」
「何ていうかね」
 今度は美樹が言った。
「同じジャンルでも読む作品は違うのね」
「これもおもろいわ」
「ええ、こうしたこともあるのね」
「何か美樹ちゃんの本読みたくなったし」
 亜美は美樹の本を見てから今度は梨花の本を見てこうも言った。
「梨花ちゃんの本もね」
「そっちもなのね」
「読みたくなったわ」
「そうなのね」
「どんな作品かな、というかほんま最近異世界もの多いな」
 ライトノベルにおいてというのだ。
「恋愛とかSFが多くてもええやろ」
「そうよね」
「そうも思うわ、こんなに多いと」
 梨花と美樹も亜美に応えた、そしてだった。
 三人はそれぞれの本を買った、そこで梨花は他の二人に尋ねた。
「今度は何処行く?もうすぐ夕方だけれど」
「夜までに帰らないとね」
「そやからあと少しだけやな、遊べるのは」
 二人は時間のことを話した、もうすぐタイムリミットであることを感じながら。


第二十六話   完


                 2018・2・25 

 

第二十七話

                 第二十七話  家に帰って
 三人は夜になるまでに帰路についた、そしてだった。
 三人共それぞれの家の門限には間に合った、亜美は家に帰ると家にいる自分の両親に笑って言った。
「今帰ったわ」
「お帰り。どうだったの?」
「楽しかったで」 
 亜美はリビングで夕食の用意をしている母に笑顔で答えた。
「遊んできて」
「そう、よかったわね」
「それでお兄ちゃんはまだなん?」
「ええ、もうすぐ帰ると思うけれど」
「日曜もアルバイトやねんな」
 亜美の兄は大学生でいつもアルバイトをしている、学業よりもそちらに熱心だと言っていい位である。
「そうやねんな」
「そうよ、お兄ちゃん頑張ってるわよ」
「そやねんな、何か遊ぶよりもな」
「アルバイトによね」
「精を出してるわ」
 実際にというのだ。
「いいことでしょ」
「そやな、遊ぶよりも働く」
 まさにと言う亜美だった。
「そうせなな」
「亜美もアルバイト出来る様になったらね」
「そうしてやな」
「お金を稼いで身体も動かしてね」
「時間を使うべきやな」
「そうよ、お姉ちゃんもそうしてるし」
 亜美の姉は高校生だ、彼女もそうしているのだ。
「それならね」
「アルバイトやな」
「遊ぶのもいいけれどね」
「働くべきやな、本当にな」
「そうした方がいいわ」
「今のうちは錬金術してるけど」
 魔法の中で一番力を入れているのでこう言ったのだ。
「アルバイトもええな」
「そうでしょ、それかお勉強よ」
「よく遊びよく学べやな」
「よく働いてね」
「よし、高校になったらアルバイト出来るし」
 色々なアルバイトがだ。
「うち頑張るわ」
「そうしてね、じゃあね」
「これからはやな」
「晩御飯だけれど」
「それまで勉強するわ」
「そうするのね」
「ぐうたらしててもしゃあないし」
 こう言ってだ、亜美は自分の部屋に入って勉強をはじめた。そうして夕食までの時間を過ごした。


第二十七話   完


                 2018・3・4 

 

第二十八話

第二十八話  使い魔達に言うこと
 カーミラは自身の屋敷でくつろぎつつ使い魔である蝙蝠や犬、猫、そういった一見すると普通の生きもの達から神戸の街のことを聞いていた。
 そしてだ、その輪を聞いて言った。
「そう、面白いわね」
「はい、この街はかなりです」
「面白い街です」
 使い魔達も主に話す。
「様々なものと人に満ちていて」
「実に興味深い街です」
「そうね、ではこれからの日々は」
 カーミラは豪奢な椅子に座り赤いワインを優雅に飲みつつ述べた。
「楽しめそうね」
「見て回ってでもですね」
「そうしても」
「そう、奇麗な娘達も多いわね」
 カーミラの目が妖しく光った、紅の目がそうして光りそのうえでさらに話した。
「この街には」
「かなり」
「日本は他の国以上に美少女が多いですが」
「神戸は特にです」
「多いですね」
「噂通りね。ではそちらも楽しむわ」
 こう言ってだ、カーミラはワインを一口飲んだ。そうして使い魔達に対してこうしたことも言った。
「血もいいけれどワインもいいわね」
「そちらもですか」
「美味しいですか」
「ええ、甲州ワインというけれど」
 日本のワイン、このワインがというのだ。
「非常に美味しいわ、だからね」
「今も飲まれていますか」
「そうされていますか」
「チーズもいいわ」
 見れば肴はチーズだがそのワインもというのだ。
「美味しいわ、欧州のものよりも美味しい位よ」
「そこまで美味しいですか」
「日本のワインやチーズは」
「繊細で自己主張をあまりしない味だけれど」
 カーミラの味わう限りではそうなのだ。
「いい味よ、こちらも楽しめるわ」
「ではお料理もですね」
「楽しまれていきますね」
「生活の全てをね。では夕食にするわ」
 ボトルを一杯飲んでから席を立った、そうしてだった。
 カーミラは贅沢な夕食も楽しんだ、亜美達とは違い彼女の夜は長く時間に追われてもいなかった。
 それでだ、夕食の後で使い魔達に告げた。
「では一人でね」
「神戸に街に出られ」
「散策を楽しまれる」
「そうされるのですね」
「そうさせてもらうわ、朝までね」
 一人で歩いてと言ってだ、そしてだった。
 カーミラは一人優雅に屋敷を出て夜の神戸の街での散策をはじめた、それは彼女にとって楽しみになろうとしていた。


第二十八話   完


                    2018・3・4 

 

第二十九話

                第二十九話  夜の楽しみ 
 カーミラは一人屋敷を出て神戸の街を散策した、その中で繁華街に入りそこのバーにふらりとだった。
 入りだ、バーテンに微笑んで注文した。
「ワインを頼めるかしら」
「ワインですか」
「ええ、ジブリー=シャンベルタンを」
 このワインをというのだ。
「ボトルでね」
「そうですか、では」
「ええ、ワインとね」
 カーミラはバーテンにさらに話した。
「チーズもね」
「おつまみにですね」
「そしてナッツも」
 こちらもというのだ。
「頼むわ」
「わかりました」
「ワインはまずは一本だけれど」
 ボトルのそれだというのだ。
「気が向けばね」
「二本目もですか」
「頂くわ、ただその時のワインは」
 それはというと。
「別のワインかも知れないわ」
「そうですか」
「ではまずはね」
「ジブリー=シャンベルタンですね」
「お願いするわ」
 バーテンに笑顔、妖艶なそれで注文した。そうしてよく冷えた赤いワインとグラスが来るとだった。
 チーズとナッツを肴に飲みはじめた、するとだった。
 カーミラは一杯また一杯と自分で入れて飲む、そうして言うのだった。
「ブルゴーニュのいいワインだけれど」
「はい、ジブリー=シャンベルタンはブルゴーニュ産です」
「いい保存状態ね」
 こう言うのだった、飲みながら。
「だから余計に美味しいわ」
「お誉め頂き何よりです」
「これならね」
 飲みつつ言うカーミラだった。
「もう一本飲めるわ」
「そうですか、では」
「ええ、一本空けたらね」
「もう一本ですね」
「そうさせてもらうわ」
 一本目はすぐに空けた、そして。
 カーミラはもう一本注文した、それでその二本目もだった。飲み干して最後にもう一品注文したのだった。
「アイスクリーム頼むわ」
「では」
 バーテンはまた応えた、そうしてアイスクリームも頼むのだった。


第二十九話   完


                 2018・3・15 

 

第三十話

               第三十話  二人も
 今田先生も今日子先生もこの時飲んでいた、だが今二人はカーミラと違いワインを飲んではいなかった。
 二人で今日子先生の家でウイスキーをロックで飲んでいた、その時に今田先生はこんなことを言った。
「今日はね」
「ええ、彼女もね」
「飲んでるわね」
「そうね、だから今夜はね」
「静かね」
 飲みつつ言うのだった。
「本当に」
「そうよね、血を飲むんじゃなくて」
「お酒を飲んでればね」
「平和よ」
 まさにというのだ。
「本当にね」
「そうよね」
「あの人は実は血を飲まなくても生きていけるのよ」
「そうなのよね」
 今日子先生は今田先生のその言葉に頷いた、二人共カーミラのその身体のことはよくわかっているのだ。
「だからね」
「美少女の血を飲まなくても」
「その他の誰の血を飲まなくても」
「生きていけるのよ」
 二人でこのことを話した。
「あの人は」
「それでもね」
 今日子先生はまた言った、氷でよく冷えているウイスキーは実に美味かった。
 それでだ、今日子先生はそのウイスキーをもう一杯飲もうとしたがその酒は今田先生が入れた。そうしてだった。
 今田先生が入れたウイスキーを飲んでだ、今日子先生は言った。
「あの人は血自体が好きだから」
「その味がね」
「だから飲むのよね」
「それも美少女の血ばかり」
「今は殺しはしないけれど」 
 血を吸ったその相手をだ。
「それでもね」
「血を吸うこと自体がね」
「問題なのよね」
「それがね」
 二人で話した、そして。
 その中でだ、さらにウイスキーを飲んだ。そうしてだった。
 二人共一本ずつ空けてだった、今田先生から話した。
「今日も飲んだし」
「そうね、じゃあね」
「もう休みましょう」
「ゆっくりと寝ましょう」
 こう話してだった。
 今田先生も今日子先生も今はゆっくりと休んだ、そうしてカーミラとのことは今は置いておいたのだった。


第三十話   完


                2018・3・15 

 

第三十一話

                 第三十一話  家の前を通られても
 華奈子と美奈子はこの時間はもうぐっすりと寝ていた、それぞれの使い魔達は二人が一緒に寝ている二段ベットの傍で寝ている。
 そこでだ、ふとだった。
 ライゾウは家の前を通った気配に目を覚まして寝ているタロに囁いた。
「旦那起きたかい?」
「うん、今ね」
 見ればタロも目を覚ましている、そのうえでの返事だ。
「起きたよ」
「今通ったよな」
「うん、確かにね」
「吸血鬼だよな」
 ライゾウは丸まっているままだがその目を警戒させて言った。
「これは」
「巷で噂になってるね」
「オーストリアだったか?」
 ライゾウは国の名前も出した。
「あの国から来たっていう」
「女吸血鬼だね」
「そいつだよな」
「多分そうだよ、血の匂いとね」
 タロは鼻を利かせてライゾウに話した。
「薔薇と石鹸の匂いがするから」
「薔薇と石鹸かよ」
「どうも毎日お風呂に入って」
 そうしてというのだ。
「薔薇の香水をかけてるらしくて」
「それでか」
「そう、その二つの匂いもするよ」
 血のそれと合わせてというのだ。
「だからね」 
「間違いないか、おいらは音でわかったよ」
「歩く音が人間の音じゃないんだね」
「ああ、あれが吸血鬼の歩く音か」
「どんな音だったのかな」
「少し浮いてる感じだよ」
 ライゾウはタロに剣呑な顔で話した。
「そんな感じだよ」
「浮いてるんだ」
「何処かな、人間の足音とはまた違うんだよ」
「それは面白いね」
「ああ、けれどな」
「お家の前を通ってもね」
「家の中に入ろうとはしないな」
 それはないと言うライゾウだった。
「気配はどっか行ったぜ」
「よかったね、じゃあね」
「ああ、寝るか」
「あらためてね」
 二匹はこう話して再び寝た、そして夜を過ごして翌朝華奈子にこのことを話そうとしたがここで、であった。


第三十一話   完


                  2018・3・18 

 

第三十二話

               第三十二話  タミーノとフィガロが
 華奈子に昨夜ことを話そうとしたタロとライゾウにタミーノとフィガロはそっと自分達の主に気付荒れない様に囁いた。
「そのお話は」
「今はされない方がいいかと」
「あれっ、そうなんだ」
「言わない方がいいのかよ」
「はい、相手はカーミラです」
「伝説の吸血鬼です」
 こうタロとライゾウに話すのだった。
「我々のご主人様の先生の方々が相手をしておられる様なので」
「我々のご主人様が相手をされるには荷が重いかと」
「若しもです」
「我々がカーミラのことをそれぞれのご主人様にお話しますとどうなるか」
「そんなの決まってるぜ」
 ライゾウは左の前足を動かしつつタミーノとフィガロに答えた。
「うちのご主人もあんた達のご主人も動く方だろ」
「我々のご主人様は一見クールですが」
「実は、ですから」
 タミーノとフィガロは自分達の主である美奈子のことを話した。
「華奈子様の双子のご姉妹だけあり」
「やはり根にあるものは同じです」
「いざという時には動かれます」
「そうした方です」
「そうだろ?そんな二人に話したらな」
 それこそと言うライゾウだった。
「うちのご主人も美奈子さんもすぐに動くぜ」
「間違いなくそうなるね」
 タロも言う。
「お二人の性格だと」
「火を見るより明らかだな」
「そうだね、うちのご主人様も美奈子さんも」
「そうした人達だよ」
「だからです」
「我々は今は黙るべきです」
 あえてとだ、また話したタミーノとフィガロだった。
「ご主人様達の案件ではないので」
「只でさえ天本博士という厄介な相手がいます」
「ここでカーミラともなりますと」
「余計に負担が増えますので」
「言われてみればそうだよな」
 ライゾウはまた応えて述べた。
「使い魔はそれぞれのご主人達に聞かれたら知ってることは全部言わないといけないけれどな」
「何でも言わないってことはないし」
 タロも言った。
「じゃあね」
「言わないでおくか、カーミラのことは」
「そうしましょう」
「ここは是非」
 また言うタミーノとフィガロだった、こうしてだった。
 四匹共カーミラのことは言わないことにした、このことを決めてそうしてだった。
 華奈子と美奈子はカーミラが自分達のすぐ近く、家の前を通ったことは知らなかった。それは彼女達の使い魔達の気遣いにもよってだった。


第三十二話   完


                 2018・3・18 

 

第三十三話

                  第三十三話  生徒には言わず
 今田先生も今日子先生もカーミラとのことについては二人で話をしていたがそれでも華奈子達自分の生徒達にはだった。
 一切言わなかった、だがそれを二人の使い魔達に尋ねられた。
「あの、生徒の方々には内緒ですか」
「あくまでお話されないですか」
「カーミラ嬢のことは」
「そうされますか」
「ええ、最初から決めているの」
 今田先生が答えた。
「絶対に言わないでおこうって」
「そうですか」
「だからですか」
「このことは一切お話せず」
「そうしてですか」
「ご主人様達だけで向かわれますか」
「あの人の強さは尋常じゃないでしょ」
 今田先生は使い魔達にこのことも話した。
「何百年も生きている吸血鬼だから」
「魔力は相当なものですね」
「最早魔王と言ってもいいです」
 使い魔達もこのことはよくわかっていた、カーミラがどれだけ強大な力を持っている存在であることかを。
「その様な魔王に関わってはいけない」
「生徒の方々は」
「そう、だからね」
「私達はあの娘達には言わないのよ」 
 今日子先生も使い魔達に話した。
「絶対に」
「だからね」
 また言う今田先生だった。
「カーミラ嬢は私達が相手をするわ」
「あの娘達は天本博士とのこともあるし」
「これ以上の負担はよくないし」
「だからね」
「言わないでおくから」
 こう話してだ、そうしてだった。
 今田先生と今日子先生は自分の使い魔達にお茶を持ってきてもらった、それはティーセットだった。そのティーセットを飲みつつだった。
 今田先生は今日子先生にこんなことを言った。
「昨日は何もなかったけれど」
「ちょっとしたことで起こるわね」
 今日子先生も紅茶を飲みつつ応えた。
「それだけで」
「そう、一触即発だから」
「何か起こったら」
「その時は」
「二人でね」
「カーミラ嬢と戦いましょう」 
 二人で約束した、昨日は何もなかったがそれでもだった。二人にとってカーミラとの戦いは避けられないことに思えていた。


第三十三話   完


                   2018・3・22 

 

第三十四話

              第三十四話  ヤクザ者さえも
 カーミラが普通に神戸の街を歩いているとだった、かなり減っているにしてもまだ日本にはいる暴力団構成員達と擦れ違った。
 その時にだ、先頭にいた和服の男がカーミラの方を振り向いて言った。
「あの嬢ちゃんは」
「金髪の姉ちゃんですね」
「えらい別嬪さんですね」
「何処の誰か知りませんけど」
「えらい美人ですけど」
「知ってる人ですか」
「知らん、しかしな」
 和服の男は如何にも構成員といった者達に鋭い目で話した。
「あの嬢ちゃんには関わるな」
「カタギじゃないんですか」
「ひょっとして」
「あの嬢ちゃんは」
「わし等と同じですか」
 裏の者かとだ、ヤクザ者達は考えた。だが和服の男は彼等にこう言った。
「違う、あれはもっとやばい」
「わし等よりもですか」
「極道よりも」
「そうなんですか」
「ああ、わしもでかい組持ってるが」
 しかしと言うのだった。
「あの嬢ちゃんは半端じゃない」
「半端じゃない悪党ですか」
「だからですか」
「そうなんですか」
「違うな、悪党ではないが」
 しかしと言うのだった。
「あの嬢ちゃん相当な人殺してるな」
「そうは見えませんが」
「殺し屋ですか」
「それだと」
「血の匂いが凄い」
 それがというのだ。
「だからあの嬢ちゃんには関わるな」
「声をかけることもですか」
「あきませんか」
「あの人に声をかけたら」
「わし等がですか」
「世の中わし等よりやばい奴がおる」
 和服の男はまた言った。
「あの嬢ちゃんはそうした人ってことだ」
「そうですか」
「じゃああの嬢ちゃん今度見たら視線外します」
「そうします」
「そんなにやばい嬢ちゃんでしたら」
 若い者達も言った、そしてだった。
 以後神戸でカーミラを見て目を向けるヤクザ者はいなかった、彼女に恐ろしいまでの妖気があるからこそ。


第三十四話   完


                   2018・3・22 

 

第三十五話

               第三十五話  生徒達の日常
 華奈子達七人はカーミラのことは一切知らない、気付かないまま日常生活を過ごしていた。それでだった。
 華奈子は塾で他の面々に明るくこんなことを言った。
「最近クラウンの練習あまりしてないわよね」
「ええ、そういえばね」
 美奈子が双子の姉妹の言葉に頷いた。
「最近ね」
「そうでしょ、だから明日塾ないから」
「久し振りによね」
「演奏の練習しましょう」
 クラウンのそれをというのだ。
「そうしましょう」
「いいわね」
 クラウンのリーダーの梨花が最初に賛成した。
「それじゃあ明日はね」
「ええ、バンドの練習ね」
「そうしましょう」
「クラウンなあ。最近楽器に触ってなかったし」
 亜美も言ってきた。
「うちちょっと心配やわ」
「心配でもね」
 赤音がその亜美に言う。
「やらないとね」
「下手になってくだけやな」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「練習しよう」
「明日からまたね」
 春奈も頷いて言った。
「練習ね」
「そう、それぞれの楽器のね」
 華奈子は春奈にも話した。
「そうしましょう」
「じゃあ今日は塾から帰ったら楽器の手入れをして」
 美樹も言ってきた。
「明日から練習出来る様にしましょう」
「サックス奇麗にしないとね」
 華奈子は自分が演奏する楽器の話もした。
「分解してね」
「そうね、フルートもね」
 美奈子も自分の楽器のことを考えた。
「分解して奇麗にして」
「そうしてね」
「明日からまたね」
「練習しましょう」
 クラウンの演奏のそれをというのだ。
「楽しく皆でね」
「ええ、そうしましょう」
 美奈子も他の娘達も華奈子の言葉に頷いた、そうしてそのうえでだった。七人共家に帰るとそれぞれの楽器を奇麗にした。


第三十五話   完


                  2018・3・25 

 

第三十六話

                  第三十六話  演奏をして
 華奈子達七人は久し振りにクラウンとして揃って演奏の練習をしてみた、そうして一時間半程練習をしてだった。
 華奈子は神妙な顔になってこう言った。
「何かね」
「何かって?」
「いや、久し振りにしたせいか」 
 自分の隣にいる美奈子に話した。
「指も喉もね」
「動かなかったのね」
「前と比べてね」
「私は別に」
「美奈子はいつもフルート吹いてるから」
 バンド以外でもというのだ。
「だからよ」
「そんなになの」
「ええ、動かないとかなかったのよ」
「そうなのね」
「バンドじゃなくてもね」
 それでもというのだ。
「やっぱり普段から演奏してるとね」
「出来るのね」
「そうよ」
「そうなのね」
「ええ、あたしなんてね」
 華奈子は美奈子にさらに話した。
「本当にここんとこサックスに触ってもいなくて」
「昨日随分と熱心にお掃除してたわね」
「だって埃付いてたから」
 それでというのだ。
「もう隅から隅までね」
「分解して」
「それで奇麗にしてたの」
 そうだったというのだ。
「拭いてね」
「そうなのね」
「ええ、つまり楽器に埃が付く位放っておいたから」
「その分なのね」
「下手になってたのよ」
 華奈子はあえてこう言った。
「そうだったのよ、だからね」
「これからは」
「ええ、もっと練習して」
 そうしてというのだ。
「勘を取り戻すわ」
「音楽の方もそうしていくのね」
「ええ、天本博士も最近大人しいしね」
 その分だけ暇もあるからだというのだ。
「頑張るわ、こっちも」
「じゃあ私達もね」
 美奈子も他の面々も華奈子に笑顔で続いた、そうして七人はクラウンとしての活動も再開させたのだった。この日の練習から。


第三十六話   完


                   2018・3・25 

 

第三十七話

第三十七話  クラウンの活動
 その日の練習を終えてだ、華奈子は家に帰ってから美奈子に言った。
「何か久し振りにやるとね」
「面白かったわね」
「というか何か最近ね」
「バンドの活動はね」
「忘れてたわね」
 どうにもと言うのだった。
「正直なところ」
「色々やることが多くて」
「そうそう、魔法のことに学校のことにね」
「天本博士のこともあったし」
「お勉強のこともあって」
「バンドのことまではね」
「何か気が回らなくて」
 それでというのだ。
「忘れてたわね」
「ええ、忘れたらいけないのに」
「他にやること多いと」
 どうしてもというのだ。
「忘れちゃうのね」
「ええ、大切なことでも」
「あたしも忘れてたし」
「私もだったわ」
 美奈子もというのだ。
「クラウンのことはね」
「最近は」
「そう、忘れていてね」
「久し振りに思い出したのね」
「そうだったわ、フルート自体は続けていたけれど」
 それでもというのだ。
「バンドは忘れていたわ」
「七人共だったみたいね」
「ええ、けれどね」
「思い出したらね」
「それがきっかけだから」
 それもいいきっかけだというのだ。
「それじゃあ」
「また時間を見付けてね」
「皆で楽しみましょう」 
 バンド活動自体をというのだ、そして華奈子は自分のサックスを奇麗に磨きだしてそのうえで美奈子に言った。
「サックスって磨けば磨く程ね」
「金色に光ってよね」
「いいからね」
「だからまた磨くのね」
「そうしてくわ」
 こう言ってだった、華奈子は美奈子も自分のフルートを磨いて銀色の輝きを増させていくのを見ていた。
 そうして二人でバンドの話をさらにしていった、華奈子にとっても美奈子にとってもバンドは非常にいいものだった。


第三十七話   完


                 2018・3・28 

 

第三十八話

                 第三十八話  使い魔達に言うこと
 亜美はセレニティとアルテミスに対して自分の家で自分の楽器であるギターの手入れをしつつ言った。
「このギターエレキとちゃうからな」
「アコースティックですね」
「そのギターですね」
「そやねん」
 こう話した。
「いや、皆バンドやってるって聞いてうちもどうかって言われて」
「何の楽器をされるか」
「困っていましたね」
「そやねん」
 まさにというのだ。
「けれどな」
「そのアコースティックギターを貰えましたね」
「幸いね」
 使い魔達は自分達の主に応えて話した。
「先生がお家に持ってたさかい」
「はい、まさか今田先生がギターまで持っておられるとは」
「どなたかの貰いものとのことですが」
「それを頂けて幸いでしたね」
「本当に」
「ほんまや、お陰でな」
 それでと言うのだった。
「バンドにもすんなり入れたし」
「それで、ですね」
「よかったですね」
「楽器ないとな」
 バンドならというのだ。
「何も出来んさかいな」
「だからですね」
「そのことはですね」
「本当によかったですね」
「このことは」
「ほんまによかったわ」
 こう言うのだった。
「断るしかないかなとか思ってたしな」
「はい、ですが七人全員でいけて」
「何よりでしたね」
「そや、あとな」
 さらに言う亜美だった。
「このギターやけどな」
「はい、エレキのものと違う」
「そこは気をつけてですね」
「手入れしてるけど」 
 それもというのだ。
「至らんところあったら言うてな」
「わかりました」
「それでは」
 使い魔達も頷いた、そうして亜美は使い魔達の助言も受けてだった。そのうえで話を進めていくのだった。


第三十八話   完


              2018・3・28 

 

第三十九話

                第三十九話  作詞作曲
 華奈子は自宅で美奈子にこうしたことを提案した。
「ねえ、久し振りだけれど」
「若しかしてと思うけれど」
「そう、新曲ね」
 これを作ろうかというのだ。
「作詞作曲してね」
「編曲もなの」
「しない?」
 こう言うのだった。
「今度ね」
「そうね」
 少し考えてからだ、美奈子は双子の姉妹に答えた。
「最近ずっとやってなかったけれど」
「それでもね」
「やってみるのね」
「バンドやってるとね」
 どうしてもと言う華奈子だった。
「曲も自分達でやりたくなるわよね」
「ええ」
「久し振りに活動再開したし」
 そのこともあってというのだ。
「是非ね」
「それじゃあね」
「やってみましょう」
 華奈子と美奈子は言った、そしてだった。
 美奈子は華奈子に自分から言った。
「じゃあクラウンの皆で」
「そう、七人でね」
「クラウンの作詞作曲はそうでしょ」
「編曲もね」
「誰かがメインになるけれど」
 これはその都度違う。
「それでもね」
「うん、七人全員でやるのは常だし」
「それじゃあね」
「しっかりとね」 
 七人でというのだ。
「やっていきましょう」
「そういうことでね」
 二人で話してだ、早速他のメンバーに連絡をすると五人共快諾した。そうして話がまとまったところでだ。
 華奈子はふとだ、美奈子にこうも言った。
「久し振りで難航するか失敗しても」
「それでもよね」
「まずはやってみないとね」
 そうしないとはじまらないというのだ。
「だからね」
「まずはよね」
「やってみましょう」
 美奈子に澄んだ笑顔で言う華奈子だった、こうして作詞作曲そして編曲もはじまった。


第三十九話   完


                  2018・4・5 

 

第四十話

第四十話  リーダーの言葉
 梨花はクラウンのメンバー全員を昼休みに校舎の屋上に集めてだ、そのうえでクラウンの話をした。
「さて、それでね」
「うん、今からよね」
「時間がある時にだけれど」 
 華奈子に真剣な顔で話した。
「作詞作曲してね」
「編曲もよね」
「やってね」
 そうしてというのだ。
「進めていくけれど」
「それでもなの」
「そう、やっていきましょう」
 こう言うのだった。
「皆でね」
「そういうことでね」
「まあ色々とね」
 梨花はメンバーの顔を見回しつつあらためて言った。
「時間も取れないかも知れないけれど」
「それでもよね」
「そう、少しずつでもね」
 時間は取れなくともというのだ。
「やっていきましょう」
「そういうことでね」
「まあ今のところは」
 梨花は考える顔でこうも話した。
「時間があるけれど」
「それでもよね」
「順調にいくかどうかはわからないし」
 いざはじめてみないと、というのだ。作詞作曲はだ。そして編曲もだ。
「もうね」
「そこはやってみないとね」
「前は順調にいけたと思うけれど」 
 前回の作詞作曲の記憶を辿っての言葉だ。
「これがね」
「どうもよね」
「うん、けれどね」
「まずはやってみる」
「華奈子ちゃんの言う通りでいいと思うわ」
 考えるのもいいがその前にというのだ。
「そうしていきましょう」
「そういうことでね」
「もうやってみる」
「これに尽きるわね」
「ええ、じゃあとりあえず今は」
 またメンバーを見回して言う梨花だった。
「はじめましょう」
「そういうことでね」
 他の面々も笑顔で応えた、こうして七人全員で新曲を作っていくことにした。まずはやってみようと決意して。


第四十話   完


                2018・4・4 

 

第四十一話

                第四十一話  試行錯誤
 クラウンの七人は集まってそうして作詞作曲をしていった、梨花はメンバー達を見回してからこう言った。
「ここは一度ね」
「一度?」
「一度っていうと」
「うん、全員がね」
 メンバー全員がというのだ。
「一曲ずつ作詞作曲して」
「そしてなの」
「そのうえでなの」
「やっていく?」
 こう言ったのだった。
「まずはね」
「まずはなの」
「そうしてみるの」
「七人全員で」
「作詞作曲やるの」
「一曲ずつ」
「うん、そしてね」
 そのうえでというのだ。
「そこからいい曲を選ぶ?」
「そうするのね」
「ここは」
「うん、そうしようって思ってるの」
 こう六人に話した。
「ここはね」
「ううん、一人一人が作詞作曲したら」
 美樹は梨花の言葉に腕を組んでそうして言った。
「ムラが出ない?」
「ムラ?」
「出来る人と出来ない人がいるでしょ」
 七人の中でというのだ。
「どうしてもね、こういうのってすぐ出る?」
「そう言われるとね」
「もうその人のその時の調子でね」
 そうしたものによってというのだ。
「出来る人と出来ない人がいるでしょ」
「だからなの」
「そう、だからね」
「七人が一曲ずつ作詞作曲するのは」
「どうもね」 
 これはというのだ。
「皆一斉にはいって出せないでしょ」
「宿題みたいに」
「そうしたものじゃない?だからこのやり方はね」
「止めた方がいい?」
「そう思うけれどどうかしら」
 こう梨花に言うのだった。
 梨花は美樹のその言葉にかなり考える顔になった、そうしてそのうえで少し考えてからあらためてメンバーに話したのだった。


第四十一話   完


                  2018・4・11 

 

第四十二話

                    第四十二話  七人一度は
 梨花は美樹に言われて少し考えた、そうしてそのうえで他の六人に対して迷っている顔で話をした。
「それじゃあね」
「それじゃあ?」
「それじゃあっていうと」
「ちょっと七人で一曲ずつはね」
 自分が今しがた言ったそれはというのだ、梨花は自分の部屋に皆を集めていて話をしていたのでこれまでくつろいでいたがその態度を変えて言った。
「止めておきましょう」
「そうするの」
「それは止めるの」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのだ。
「仕切り直してもう一度考えたいけれど」
「そうね、やっぱりね」
 今度は春奈が言ってきた。
「こうしたことは学校の宿題と違うから」
「そうよね」
「一度に出来ないから」
「それじゃあね」
「ええ、別のやり方にしましょう」
 こう梨花に話した。
「別のね」
「わかったわ、じゃあどうしようかしら」
「そうね」
 赤音も梨花に言った。
「ここはふと何かが宿った人がね」
「何か?」
「詞とか曲のね」
 それのというのだ。
「その人に頼む?」
「インスピレーション宿った人になのね」
「頼む?」 
 これが赤音の考えだった。
「ここは」
「それもいいかしら」
「そうでしょ、そうしたらね」
 まさにというのだ。
「七人一度に出すよりもね」
「いけるかしら」
「だからね」 
 赤音は梨花にあらためて話した。
「このやり方でどうかしら」
「それもいいわね、じゃあね」
 梨花はあらためて言った。
「誰かいけそうな人作詞作曲どっちでもいいから」
「出すの」
「そうしてね」
 こう六人に話した、そしてだった。七人は赤音のやり方でとりあえずいくことにしたのだった。方針はこれで決まった。


第四十二話   完


                 2018・4・11 

 

第四十三話

             第四十三話  インスピレーション
 こうして七人の中でそれぞれ詞と曲が浮かんだ娘がそれを書いて出してみるということになった、だが。
 この話が決まってだ、その場で華奈子が言った。
「ちょっとね」
「ひょっとして」
「ええ、何かきたわ」
 こう梨花に言った。
「詞の方がね」
「そうなの」
「ちょっと書いていい?」
「ええ、書いて」
 是非にとだ、梨花は華奈子に強い声で応えた。
「紙とペンあるし」
「あっ、ノートとボールペンね」
「ここで使うかもって思って持って来てたの」
 それで出せるというのだ。
「だからね」
「ええ、それじゃあね」
「書いてね」
「どんなのでもいいわよね」
 詞ならとだ、華奈子は梨花に確認を取った。
「それでも」
「ええ、いいわ」
 梨花は華奈子にここでも強い声を返した。
「書いて」
「何でもいいのね」
「ええ、本当に」
「出来不出来はいいの」
「まず書いてそこから叩き台にするから」 
 それでというのだ。
「いいわ」
「そうなのね」
「もう書いたらね」
「そこからはじまるから」
「どんな風でも。じゃあ」
「ええ、書くわ」
「あとね」   
 梨花はシャーペンをもう一本出した、そして今度は楽譜を出して一同に対してあらためて話をした。
「作曲もね」
「そっちもなのね」
「今閃いたら」 
 インスピレーション、それが来たらというのだ。
「書いてね」
「じゃああたしは作詞してみるわね」
「お願いするわ」
「じゃあ書くわね」
 こう言ってだった、華奈子は。
 梨花が出してくれたそのノートに自分が感じたその詞を書いていった、その間に梨花は華奈子以外のメンバーを見ていた。


第四十三話   完


                    2018・4・15 

 

第四十四話

                   第四十四話  作曲担当
 梨花は華奈子が作曲をしているのを見守りながら無言になった、ここで作曲が閃いた娘がいれば幸いと思っていた。
 だが今は出ない、しかし。
 華奈子は作詞を終えた、そこで彼女からその詞を受け取ってからだった。
 その詞を見てだ、こう言った。
「ポップスかしら」
「そんな感じの詞っていうのね」
「華奈子ちゃんらしいかしら」
 彼女の個性に合っているのではというのだ。
「これはね」
「そうなのね」
「ええ、全体的に明るい歌詞ね」
「ふと思ったのがね」
「これだったの」
「元気で明るく前向きに頑張ろう」 
 華奈子は梨花に笑って話した。
「そう思ったね」
「この歌詞になったの」
「そう、閃いたのはこれよ」
 この歌詞だったというのだ。
「だからね」
「明るいのね」
「そうなの、この歌詞なら」
「明るい曲ね」
 これが合うとだ、梨花も言った。そして梨花は華奈子も含めた他のメンバーの娘達に対して華奈子の歌詞を見せた。
 するとだ、読み終えた美奈子が言った。
「私今ね」
「ひょっとして」
「曲が閃いたわ」
 彼女もインスピレーションが降りたというのだ。
「今ね」
「華奈子ちゃんの歌詞を見て」
「そうなったわ、じゃあ」
「お願い出来る?」
 梨花は美奈子にも真剣な顔を向けて尋ねた。
「作曲ね」
「ええ、じゃあ今からね」
「曲書いてみるわね」
 こうしてだった、美奈子もだった。
 作曲を書いた、そうしてその曲を梨花に渡すと。
 梨花はその楽譜を見てだ、美奈子にはこう言った。
「華奈子ちゃんの曲に合うかも」
「そうなのね」
「ええ、明るい感じの曲だから」
 それでというのだ。
「合いそうね」
「そうなのね」
 美奈子は梨花のその言葉に笑顔になった、だがここで時間になった。それで場は一旦解散となったのだった。


第四十四話   完


                   2018・4・15 

 

第四十五話

              第四十五話  双子の感覚
 家に帰ってからだった、華奈子は美奈子に言った。
「あたしが作詞でね」
「私が作曲なんてね」
「何か縁ね」
「そうね、双子だからかしら」
 美奈子が考える顔で華奈子に言った。
「だからかしら」
「そうかもね。あたしが作詞閃いたのはね」
 それはとだ、華奈子は美奈子に返した。今は二人で自分達の部屋に入ってそうして学校の勉強の予習復習の準備をしている。
「たまたまだったわ」
「そうよね、実はね」
「美奈子もよね」
「ええ、私もなの」 
 美奈子は真剣な顔で華奈子に答えた。
「閃いたのはね」
「偶然だったのね」
「そうだったけれど」
「けれどそれは」
「多分ね」
 美奈子は華奈子に考える顔になって話した。
「私達はお互いそう思っていても」
「双子だからよね」
「シンクロしてるのよ」
「あたしが歌詞を閃いて」
「私が音楽を閃いたのよ」
 そうなったというのだ。
「それぞれね」
「そうよね、多分あたし達の心の」
 華奈子は真剣に考える顔になって美奈子に話した。
「もうあたし達自身がわからない様な」
「無意識ね」
「ああ、そう言うの」
「ええ、人の心にはそうしたものもあるらしいわ」
 美奈子はまだ無意識という言葉を覚えたばかりだ、それでこう言ったのだ。
「自分でも気付かないものがね」
「そんなのがあるのね」
「そう、それでその無意識でね」
「あたし達は繋がってるのね」
「そうかも知れないわ」
「それが双子なのね」
 華奈子は美奈子の言葉に真剣にかつ深く考える顔になった。
 そうしてだ、こうも言ったのだった。
「凄いわね」
「そうね、もう一人の自分みたいね」
「ええ、そう思えてきたわ」
「私もよ」
「そうよね、前からそう思っていたけれど」
 今はそれ以上に感じているというのだ、華奈子は美奈子にこう言ってそれぞれ学校の勉強の予習復習をしたのだった。


第四十五話   完


                   2018・4・25 

 

第四十六話

              第四十六話  作詞作曲を整えて
 華奈子と美奈子は入浴はいつも一緒にしている、それで華奈子は同じ湯舟に向かい合って入っている美奈子にこんなことを言った。
「音楽のことだけれど」
「作詞作曲ね」
「そう、ちょっと考えてみる?」
 こう言うのだった、二人共もう夕食も食べている。
「お風呂から出たら」
「そうね」
 美奈子は双子の姉妹の提案に微笑んで応えた。
「そうしましょう」
「ええ、あたし歌詞出すから」
「私は音楽出すわ」
「それでお互い話していってね」
「いい部分と悪い部分を把握して」
 そうしてというのだ。
「そうしてなおしていって」
「完成させていきましょう」
「魔法の練習もあるけれど」
「ああ、それもして」
「お風呂からあがったら魔法の練習をして」
 実は夕食を食べてすぐにお風呂に入ったのだ、二人共くつろいだ顔になってそのうえでお風呂に入っている。
「そしてね」
「それからね」
「歌詞と音楽を出し合って」 
 それぞれが作詞作曲をしたそれをというのだ。
「そしてね」
「寝るまでの間ね」
「お互いなおしていきましょう」
「そうしていくべきね。ただね」
 ここでこう言った華奈子だった。
「十時にはね」
「ええ、寝るべきね」
「やっぱり人間あれよ」
 お風呂のお湯で身体が暖まるのを感じつつ美奈子に話した。
「寝てこそよ」
「動けるっていうのね」
「あたし八時間は寝ないと駄目だから」
 華奈子はそうした体質だ、よく寝るタイプなのだ。
「だから十時までには寝るわ」
「そうね、それは私もだから」
 美奈子はここでも微笑んで話した。
「八時間寝ないと駄目だから」
「そこも双子ね」
「寝る時間も同じなのもね」
「一緒ね」
 それもというのだ。
「本当にあたし達双子ね」
「その双子でね」
「作詞作曲していこう」
 お風呂からあがって魔法の勉強の後でとだ、二人でお風呂の中で楽しく話した。


第四十六話   完


                  2018・4・25 

 

第四十七話

              第四十七話  ポップス調
 華奈子はお風呂から上がるとすぐにだった、バスタオルで身体を拭いて下着と赤のパジャマを着て自室に入った、勿論美奈子もだった。
 下着と紫のパジャマを着た後で華奈子に続いたが美奈子は部屋に入ってから華奈子にこんなことを言った。
「私達の下着もね」
「うん、赤系統と紫継投でそれぞれ分かれてるからね」
 華奈子は自分の席から隣の席に座った美奈子に応えた。
「間違えることもないから」
「嬉しいわね」
「お母さんもそこは考えてくれてるから」
 双子の母もだ。
「よくわかるわね」
「ええ、それじゃあね」
「うん、今からね」
「作詞とね」
 美奈子はまずは華奈子の受け持ちの話をした。
「そしてね」
「作曲ね」
「そう、それをね」
 華奈子にあえて言うのだった。
「しましょう」
「わかってるわ、じゃあね」
「ええ、まずは華奈子が書いて」
 こう華奈子に急かしてだった、自分もだった。
 楽譜を出してそこにざっと書いていった、そして二人同時にだった。
 書いたものを出し合う、するとまずは華奈子が言った。
「ううん、その曲だと」
「わかるわよね」
「結構ポップスな感じよね」
「自分でもそう思うわ、それでね」
 美奈子も華奈子の作詞したそれを見て言った。
「華奈子の歌詞もね」
「ポップス調?」
「明るい感じの歌詞でね」
「ええ、あたしこうした性格でしょ」
 華奈子は自分の性格から話した。
「だから作詞してもね」
「明るい感じになって」
「こうなったの」
「そうなのね、私はね」
 美奈子の方はというと。
「感じた曲がね」
「その曲だったの」
「それで書いてみたけれど」
「それだと明るい感じの曲ね」
「絶対にそうなるわ」
 間違いなくとだ、美奈子は華奈子に答えた。
 そうしてだ、二人でだった。
 お互いの作詞と作曲をさらに見て話すことにした、出し合って終わりではなくまたそこから話すのだった。


第四十七話   完


                    2018・5・2 

 

第四十八話

                第四十八話  話をして
 華奈子と美奈子はお互いが書いた詞と曲を見てだった、今度は二人で話していった。その話をしつつだ。
 華奈子は考える顔になって美奈子に言った。
「ううん、大体よね」
「そうね、出してね」
「これで基本出来てきた?」
「というか叩き台はね」
 それはとだ、美奈子は華奈子に応えて話した。
「これで出て来たから」
「だからなの」
「後はこの作詞と作曲をね」
「皆に見せるの」
「そうしたらね」
 それでというのだ。
「そこで皆の意見も出てね」
「それでなのね」
「曲として完成するから」
「あたし達はいつもそうしてるしね」
 曲を完成させているとだ、華奈子も答えた。
「だからね」
「それでいきましょう」
「この作詞作曲をね」
「後は皆に出しましょう」
 ここまで作ったそれをというのだ。
「そういうことでね」
「土台出しただけでもね」
「それだけでもかなりのものだし」
 それでというのだ。
「設計図の段階でもね」
「そうね、今あたし達がしたことはね」
「曲の設計図作りよ」
 それを行ったとだ、美奈子は華奈子に話した。
「けれどその設計図からね」
「出来ていくかあ」
「これだけでもかなり違うし」
「ここから出来てくるから」
「明日皆に出しましょう」
「そうね、それでだけれど」
 華奈子はここで自分達の机に一個ずつある時計で時間を見て言った、この時計は目覚ましも兼ねている。
「もうね」
「ええ、いい時間ね」
「十時半だし」
「もう寝ましょう」
「あたし先におトイレ行っていい?」
「ええ、いいわ」
 美奈子は華奈子に応えた。
「先にね」
「じゃあ今から行って来るわ」
 後で美奈子もトイレに行った、そうしてから二人はゆっくりと眠りに入った。


第四十八話   完


                 2018・5・2 

 

第四十九話

                  第四十九話  二人で出して
 華奈子と美奈子はクラウンのメンバーとして七人が揃った時に二人で顔を見会わせて頷き合ってからだった。
 歌詞と曲を出した、そのうえで他のメンバーに言った。
「一応出来たわ」
「私もよ」
 こう言うのだった。
「それで改める場所があったらね」
「どんどん言ってね」
「わかったわ」 
 リーダーの梨花が応えた。
「それじゃあね」
「ええ、今からね」
「見てね」
 二人も梨花に応えた、そしてだった。
 他のメンバーが華奈子の詞と美奈子の曲を見た、その間結構な時間がかかったが。
 五人共だ、二人に笑顔でそれぞれ言った。
「いいと思うわ」
「これでいきましょう」
「歌詞も曲もいいわ」
「この二つを組み合わせてね」
「それでやっていこうな」
 こう言うのだった、そしてだった。
 梨花は二人にだ、今度はこう言った。
「後はね」
「楽器でどう演奏するか」
「そのことね」
「ヴォーカルでどう歌うかはね」 
 そのヴォーカルの二人に言うのだった。
「二人のサックスとフルートもあってね」
「どうするかはね」
「私達で考えてっていうのね」
「歌詞と曲見たら華奈子ちゃんメインかしら」
 彼女の方がいいというのだ。
「これはね」
「あたしなのね」
「ええ、これポップスでしかも」
 このジャンルの音楽でというのだ。
「かなり明るい感じだから」
「ポップスの中でも」
「だからね」
「あたしメインの方がいいの」
「そう思うし。ただそれだと」
「それだと?」
「いえ、この曲はね」
 どうもとだ、梨花は歌詞と曲をまた目で読みつつ言った。
「サックス合いそうなんだけど」
「サックスをよく使うといいっていうのね」
「華奈子ちゃんがメインで歌うと」
 華奈子はサックス担当だがというのだ。
「サックス使えないかも」
「あっ、そう言われると」
 その華奈子も否定出来なかった、歌はいいがここで一つの問題点が浮かび上がってしまったのだった。


第四十九話   完


                    2018・5・9 

 

第五十話

                第五十話  どうしたらいいのか
 梨花の指摘を受けて華奈子は考える顔になった、そうしてこう梨花に言った。
「それはね」
「難しい問題よね」
「ええ、サックスはね」
 クラウンでそれが吹ける娘はというのだ。
「あたしだけよね」
「華奈子ちゃんが一番上手よね」
「それであたしがメインで歌うと」
「サックスがね」
 サックス担当の華奈子がメインヴォーカルになると、というのだ。
「いなくなるでしょ」
「そうよね」
「そこをどうするかよ」
「それが問題よね」
「本当にどうしようかしら」
 梨花は他のメンバーに問うた。
「このことは」
「私がサックス吹こうかしら」
 美奈子がここで言った。
「そうしようかしら」
「いえ、美奈子ちゃんはサックスの経験少ないというか」 
 赤音がその美奈子に言った。
「ないでしょ」
「練習すれば」
「フルートがおろそかになるから」
 このことを言う赤音だった。
「だからね」
「それはしない方がいいの」
「それぞれの楽器の技術をよくしていった方がいいでしょ」
 これが赤音の考えでそれで今も美奈子に言うのだ。
「だからね」
「ここはなの」
「ええ、私達全員がね」
「それぞれの楽器に専念すべきなのね」
「そうした方がいいでしょ」
「私もそう思うわ」
 美樹は赤音の言葉に同意して頷いた。
「美奈子ちゃんはサックスもするんじゃなくてね」
「フルートに専念すべきね」
「ええ、私達もそれぞれの楽器に専念してね」
 そうしてというのだ。
「やっていくべきよ」
「そうなのね」
「とはいってもこの歌詞と曲の感じやとな」
 亜美が言うことはというと。
「確かに華奈子ちゃんの歌とサックス合うで」
「そうね。それじゃあここは分ける?」
 こう言ったのは春奈だった。
「そうする?」
「分けるって?」
 六人は春奈の言葉に一斉に顔を向けた、そこに答えがあると直感で感じたからだ。


第五十話   完


               2018・5・9 

 

第五十一話

                 第五十一話  春奈の提案
 春奈は自分に一斉に顔を向けた六人に温和な笑顔で答えた。
「華奈子ちゃんがメインで歌う場合と」
「あたしがメインなの」
「そう、それでね」
 春奈は華奈子に応えつつさらに話した。
「美奈子ちゃんがメインで歌う場合ね」
「私もなの」
「二つやってみる?それでね」
 春奈は二人だけでなく他のメンバーにも話した。
「華奈子ちゃんが歌う場合は美奈子ちゃんがフルート吹いて」
「サックスじゃないのね」
「うん、美奈子ちゃんはやっぱりフルートだし」
 それでというのだ。
「その時は美奈子ちゃんがフルート吹いて」
「それで美奈子が歌う場合は」
 活発な華奈子は自分から言った。
「あたしがサックス吹くのね」
「そうしたらどうかしら」
「ヴォーカル二人じゃなくてなのね」
「メインを置いて」
 そのうえでというのだ。
「やっていったらどうかしら」
「成程ね」
「これが私の考えだけれど」
「そうね」
 華奈子は腕を組んで考える顔になって春奈に応えた。
「あたしはそれでいいと思うわ」
「華奈子ちゃんは賛成なのね」
「ええ、それでやってみよう」
「私もいいと思うわ」
 もう一人のヴォーカルである美奈子も言ってきた。
「それでね」
「美奈子ちゃんもそう言ってくれるのね」
「ええ。華奈子のサックスがあったら」
 歌う時に演奏としてだ。
「とても嬉しいし」
「リズムも合う?」
「そう、だからね」
「美奈子ちゃんも賛成なのね」
「是非やってみたいわ」
「他の皆はどうかしら」
 春奈は残り四人のそれぞれの楽器を担当する面々にも尋ねた、春奈にしてもキーボードを担当している。
「それで」
「じゃあ賛成の人は手を挙げて」
 リーダーの梨花が音頭を取った、するとだった。
 全員手を挙げた、それで皆で言い合った。
「決まりね」
「これで」
 こうして新曲のことが決まった、七人は色々と考えてその曲のことを歌うまでに進めたのだった。


第五十一話   完


                 2018・5・16 

 

第五十二話

                第五十二話  正式に決まってから
 新曲はどういった作詞作曲でどうして歌って演奏していくかがおおよそ決まった。その後でだった。
 華奈子と美奈子は自宅に帰って晩御飯の後で一緒にお風呂に入り湯舟の中で向かい合った時に話をした。まずは華奈子から言った。
「ねえ、春奈ちゃんの提案でね」
「ええ、私達のそれぞれが歌う時はね」 
 美奈子がその華奈子に応える。
「もう一方が楽器を演奏することでね」
「決まったけれど」
「これはいいわね」
「美奈子もそう思うでしょ、あたし美奈子の演奏はね」
 華奈子は自分から話した、湯舟は二人が入っても十分な広さだ。
「あると凄い歌いやすいの」
「私もよ。華奈子の演奏はね」
「歌いやすいのね」
「かなり合ってるわ」
 美奈子は自分の言葉で言った。
「本当にね」
「春奈ちゃんそういうこともわかってるわよね」
「絶対にね」
「それで提案してくれたのね。若しもね」 
 ここでこうも言った華奈子だった。
「私がサックス拭いたらね」
「それね」
 華奈子は美奈子の今の言葉にまさにという顔で返した。
「あたしフルートはね」
「上手に拭くことは」
「美奈子位には絶対に無理よ」
「私もよ。華奈子位に上手にサックスを拭くことはね」
「出来ないわよね」
「無理よ」
 美奈子は一言で答えた。
「華奈子のサックスのレベルかなり高いから」
「そんなに?」
「小学生とは思えないわよ」
 そこまで上手だというのは美奈子だけでなく他のメンバーも聴く者達も言うことだ、華奈子はセンスがあり練習が好きなのでその腕はかなりのものになっているのだ。
「だからね」
「あたしのレベルにはっていうの」
「出来ないわ」
「それでなのね」
「春奈ちゃんの提案はね」
「美奈子にとってもいいものなのね」
「そうよ」
 こう華奈子に答えた。
「本当にね」
「そうなのね、美奈子はあたし位拭けると思ったら」
「フルートも拭けるからかしら」
「ええ、そう思ったけれど」
「そうもいかないわ」
 実際にはとだ、美奈子は華奈子に冷静な声で答えたそんな話をしながら風呂に入っていた。


第五十二話   完


                 2018・5・16 

 

第五十三話

                   第五十三話  歌ってみて
 クラウンの七人は華奈子が作詞して美奈子が作曲した曲を春奈の提案通りに演奏してみた、するとだった。
 かなり上手くいっていてだ、二人はそれぞれ歌い終わってから言った。
「あっ、これはね」
「いいわね」 
 美奈子も言ってきた。
「歌いやすくてね」
「演奏にも乗れるしね」
「華奈子のサックスかなりいいわ」
「美奈子のフルートだってね」
 二人で笑顔で話す、リーダーの梨花も二人のその様子を見て述べた。
「そうね、二人の息もぴったりだしね」
「これでいいんじゃないかしら」
「そうよね」
 美樹と赤音も二人で話した、それも笑顔で。
「実際に演奏して歌ってみたけれど」
「悪くないわ」
「後はうち等のコーラス入れるけど」
 亜美はこちらの話もした、クラウンはヴォーカルの二人だけでなく残り五人のコーラスもここぞという時に入れるのだ。
「それはまあ大体」
「ええ、曲のここぞって時に入れるから」
 春奈もこう述べた。
「すぐに決められるわね」
「おおよそこれでいいわ」
 梨花はまたリーダーとして言った。
「曲はね」
「それじゃあね」
「路上ライブでもこれでいくのね」
「そうしましょう、コーラスのところも決めてだけれど」
 路上ライブをするのはというのだ。
「けれどね」
「この感じでいくことは気まりね」
「もうこれで」
「そうなるわ、さてそれじゃあね」
 さらに言う梨花だった。
「これからはコーラスの場所決めましょう」
「それじゃあね」
 華奈子が応えた、コーラスのところも決まってそのコーラス入りのバージョンも演奏して歌ってだった。
 それもよかったので話は終わった、これでこの日のクラウンのバンドとしての活動は終わったのだが。
 今田先生と今日子先生は違った、この日の夕食は恭子先生の紹介でフランス料理のレストランに入っていたが。
 そこでだ、今日子先生は今田先生に言った。
「ちょっといいかしら」
「あの人のことね」
「ええ、そうよ」
 こう切り出してだ、そのうえで話すのだった。その話すことは二人だけの極めて真剣なものであった。


第五十三話   完


                   2018・5・23 

 

第五十四話

第五十四話  今日子先生が話すこと
 今先生達が入っているレストランは神戸でも有名なフランス料理のレストランである、だがその最高級の料理とワインを楽しみながら。
 今日子先生は今田先生に深刻な顔で話した。
「そう、あの人のことよ」
「やっぱりそうなのね」
「あの人が私達にそろそろね」
「勝負をしてくるのね」
「そう、挑んで来るみたいよ」
「別に悪いことをしようとはしないのね」
「そうしたことは考えていないみたいね」
「よく奇麗な女の人を狙うけれど」
 カーミラ、彼女はというのだ。
「今はそうしたことはしないのね」
「どうも血ではなくワインや食事を楽しんでるみたいよ」
「そちらをなの」
「そう、血を飲まなくても生きていけるみたいだから」
「そうね、吸血鬼も高位になるとね」 
 言うまでもなくカーミラは極めて高位にある吸血鬼だ。それもドラキュラ伯爵と並ぶ位にだ。
「血を吸わなくても生きていけるから」
「だからね」
 それでというのだ。
「今のあの人はね」
「血を飲まないで」
 吸血鬼だが、というのだ。高位の吸血鬼は確かに血を飲まなくても生きていけるが最高の好物は血であるのだ。
「それでね」
「美酒と美食でなのね」
「日本での生活を楽しんでるけれど」
「戦いも楽しみたくなったのね」
「そうみたいよ」
 今日子先生は家鴨料理を食べつつ自分と同じ料理を食べている今田先生に話した。
「あの人は」
「私達と戦って」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「満足したいみたいよ」
「相変わらずね。あの人にとって戦いはね」
「優雅な楽しみね」
「美しく楽しむ為のね」 
 今田先生は食べつつ話した。
「それじゃあ私達は」
「ええ、選択肢は一つよね」
「魔女としてね」 
 優雅にフォークとナイフを動かしつつだ、今日子先生に答えた。
「挑まれたらね」
「受けて立つわね」
「今日子ちゃんも同じよね」
「勿論よ」
 今日子先生もこう答えた、そうしてだった。
 先生達はどうするのかを決めた、そのうえで食事を楽しむのだった。


第五十四話   完


                  2018・5・23 

 

第五十五話

第五十五話  吸血鬼の手紙
 カーミラは己の屋敷の中で悠然として己の使い魔達に言った。
「気が向いたわ」
「だからですか」
「これよりですか」
「ええ、手紙を書いてね」
 そしてというのだ。
「その手紙を二人のところに送るわ」
「そうしてですか」
「そのうえで」
「勝負をするわ」
 それを楽しむというのだ。
「しうするわ」
「そうですか、いよいよですね」
「近頃ご主人様は神戸の街をお楽しみでしたが」
「散策にお食事に」
「そして遊興にと」
「そうしたものの楽しみが一段落したからよ」
 それでとだ、カーミラは使い魔達がグラスに入れてくれたワインを飲みつつ言った。それは赤いスパークリングワインだった。
「だからよ」
「それで、ですね」
「今はそちらの楽しみを中断されて」
「そのうえで」
「お二人との勝負にですね」
「入るわ」
 そうするというのだ。
「これからね」
「それでは我等も」
「及ばずながら」
「貴方達がいてこそよ」
 カーミラは自身を護り慕う様に囲んでいる使い魔達に真剣な声で言葉を返した。
「私は何か出来るのよ」
「いえ、滅相もない」
「その様なお言葉はあまりにも恐れ多いです」
「そこまでのお言葉は」
 使い魔達の方が謙遜した、カーミラの今の言葉には。
「むしろです」
「我々を使って頂くだけでも有り難いです」
「是非お使い下さい」
「それこそが我等の望みです」
 これが使い魔達の返事だった、それでカーミラにも言うのだった。
「ではです」
「これよりですね」
「お手紙を書かれるのですね」
「ええ。優雅な宣戦布告を行うわ」
 この言葉を優雅に言うカーミラだった、そしてだった。
 手紙を書いて自ら郵便ポストに入れて微笑んだ。
「切手も貼ってあるわ。これで後は返事を待つだけだわ」
 この時の笑顔も優雅なものだった、そうしてこの日はその足で神戸のレストランに行き食事を楽しんだ。血の滴るステーキを。


第五十五話   完


               2018・5・30 

 

第五十六話

               第五十六話  郵便局員の苦悩
 カーミラは今田先生と今日子先生に手紙を送った、だが郵便局の人達はカーミラのその手紙を見て言い合った。
「この手紙は」
「一体何語で書いてあるんだ?」
「日本語じゃないぞ」
「アルファベットなのはわかるが」
「崩し字だからな」
 カーミラはそうした字でしかも横書きで書いていたのだ、封筒も西洋のものであるから余計に日本人から見れば見慣れないものだ。
「日本にいる外国の人が書いたんだな」
「ええと、神戸って書いてあるな」
「アルファベットで」
「そうだよな」
 このことはわかった、だが。
 封筒の表の文章を見てもどうにもだった。
「英語じゃないな」
「ええと、ドイツ語か?」
「そうみたいだな」
「ドイツ語で神戸って書いてるな」
「神戸在住のドイツ人が書いたのか」
「同じ神戸の人に」
「そうみたいだな」
 じっくりと何人かで読んでやっとわかった。
 それでだ、郵便局の人達は言い合った。
「それじゃあな」
「今からこの住所の人のところに送るか」
「あれっ、今田さんって」
「あの神戸一の魔女の今田さんか」
「今田香織さんか」
 すぐに宛て先は今田先生だとわかった、今田先生は神戸ではかなりの有名人で郵便局の人達も知っているのだ。
「よし、じゃあな」
「今田先生のお家に送るか」
「プライバシーは保護してな」
「そのうえでな」
 郵便局の人の中には今田先生の住所を知っている人もいたがプライバシーのことはしっかりと守ってだった。
 今田先生の家にカーミラの手紙を送った、そこまでしてだった。
 彼等は笑顔でだ、こう言い合った。
「いやあ、ドイツ語の手紙なんてな」
「最初はびっくりしたけれどな」
「何て書いてあるかわかってよかった」
「それで送れてな」
「今田先生には会えなかったけれど」
 今田先生は美人としても有名で会えれば運がいいと言われているのだ。
「それでも仕事は果たせた」
「これからも頑張っていこうな」
「そうしていこうな」
 こう話しながら今日も仕事に励む、日本の郵便局の人達は勤勉だがそれは神戸の郵便局の人達も同じなのである。


第五十六話   完


                 2018・5・30 

 

第五十七話

              第五十七話  手紙を受け取って
 今田先生の家に手紙が来た、先生はその手紙を手に取ると封を切らずにすぐに自分のスマホで今日子先生を呼んだ。
 今日子先生はこの時たまたま仕事がなかったのでそれで今田先生の家に来たが今田先生は今日子先生が来るとすぐにその手紙を見せて言った。
「今から見ましょう」
「あの人の手紙ね」
「ええ、そうよ」
 その通りだというのだ。
「ドイツ語で書いてるしね」
「そうね、あの人の出身はオーストリアだからね」
「オーストリアもドイツ語を喋ってるから」
 ドイツとは民族的に同じなのだ、ゲルマン民族だ。
「そちらの言葉で書いてきたわ」
「私達二人共ドイツ語読めるし」
 今田先生も今日子先生も語学に堪能だ、二人共日本語とドイツ語だけでなくフランス、イタリア、スペイン、ギリシア、ロシア、中国、アラビアの言葉を読み書き出来て会話にも支障なく使える。勿論ラテン語もだ。
「そのことも踏まえてね」
「送ってきたわね」
「それじゃあね」
「え、今から読みましょう」
「そうしましょう」
 二人で会話してだった。
 先生達はお茶を飲みながらその手紙を読んだ、そうしてだった。
 読み終わってからだ、今田先生は今日子先生に言った。
「それじゃあね」
「ええ、明日の夜の十二時ね」
「中華街に行って」
 神戸市のそこにだ。
「そうしてね」
「そこで勝負ね」
 手紙でそれを申し込まれたのだ。
「それじゃあね」
「受けて立つわよね」
「勿論よ」
 答えは一つだった、今日子先生のそれは。
「香織ちゃんもでしょ」
「そうよ」
 今田先生もにこりと笑って答えた。
「こんな素敵な申し込みを受けたらね」
「受けないではいられないわね」
「ええ、素敵なディナーの申し込みよ」
 そう言っていいものだというのだ。
「だったらね」
「ええ、明日の夜の十二時に」
「中華街に行きましょう」
 そこにというのだ、こう話してだった。
 先生達は勝負に行く準備に入った、その中で自分達の使い魔達に言った。
「明日の夜の十二時よ」
「皆で中華街に行きましょう」
 こう言ってだ、彼等にも勝負のことを話すのだった。


第五十七話   完


              2018・6・3 

 

第五十八話

            第五十八話  神戸の中華街
 手紙を送ってからだ、カーミラは自身の屋敷で今は生クリームをたっぷりとその上に乗せたウィンナーコーヒーとザッハトルテを食べつつ自分の使い魔達に話した。
「もう手紙は届いているわね」
「はい、今頃は」
「そうですね」
「では明日の十二時にね」
 こう言うのだった。
「中華街に行くわよ」
「神戸の中華街ですね」
「そこに行って」
「そしてですね」
「勝負を楽しまれますね」
「そうするわ」
 実際にというのだ。
「明日の夜の十二時にね」
「はい、それでは」
「我等もお供させて頂きます」
「お二方もそれぞれの使い魔を連れて来られるでしょうし」
「そうさせて頂きます」
「そうさせてもらうわ、ただね」
 ここでこうも言ったカーミラだった。
「今気付いたけれど」
「はい、何でしょうか」
「何かおありでしょうか」
「私はまだこの神戸の中華街には行っていないわ」
 このことに気付いたのだ。
「そして楽しんでいないわ」
「あっ、そうでしたね」
「言われてみますと」
「ご主人はまだでしたね」
「神戸の中華街には行かれていないですね」
「そしてあちらで楽しまれていないですね」
「そうだったわ」
 このことを言うのだった。
「だからね」
「はい、ここはですね」
「是非にですね」
「あちらに行って」
「そうして」
「勝負の前にそうしてね」
 そのうえでというのだ。
「中華街を楽しみたいわ」
「折角神戸にいるですから」
「それなら」
「是非そうしたいわ」
 こう言ってだった、カーミラはウィンナーコーヒーとザッハトルテを食べ終わった後ですぐにだった。
 神戸の中華街に向かった、その場所自体を楽しむ為に。
 その途中でだ、ふと今は姿を隠して自分の周りにいる使い魔達にこうも言った。
「女の子を見ることもね」
「楽しまれますか」
「そうするわ」 
 こんなことも言って行くのだった。


第五十八話   完


               2018・6・3 

 

第五十九話

                 第五十九話  中華街の吸血鬼
 カーミラは神戸の中華街に来た、そこに入るとすぐにその中を見て回ってそのうえで今は姿を隠している使い魔達に言った。
「いい場所ね」
「はい、中華街は世界中にありますが」
「多くの国に」
「欧州各国にもありましたし」
「北米やアジア各国にもですね」
「あるわね、韓国位だったわね」 
 中華街がない国はというのだ。
「確か」
「最近韓国でも出来たそうですが」
「戦前の日本統治時代はソウルにもあったそうですが」
「それも結構な中華街が」
「ですがなくなったそうです」
 日本の統治が終わると共にだ、これもまた教科書に書かれることのない歴史の一つと言えるだろうか。
「そしてこの前復活したそうですが」
「ほんの一区画だけだとか」
「極めて小さいそうです」
「そうなのね。けれどこの中華街は」
 神戸のそれはというと。
「結構なものね」
「そうですね、少し狭い気もしますが」
「事実日本で最大の中華街は横浜のものだとか」
「あそこに比べれば小さいそうです」
「ですがいい場所ですね」
「日本の中華街も」
「そう思うわ。素敵な場所よ」
 カーミラは微笑んでその中華街の中を見て回りつつ言った、そしてだった。
 ある店の前に来てだ、こうも言った。
「ここに入りましょう」
「そしてですね」
「召し上がられますね」
「このお店は広東料理だから」
 それでというのだ。
「海の幸を使った飲茶を楽しむわ」
「それとお酒ですね」
「それもですね」
「ええ、楽しむわ」
 そちらをというのだ。
「是非ね、そして一人では寂しいから」
「誰かをお誘いして」
「そうしてですね」
「一緒に食べるわ。可愛い娘とね」
 ここでカーミラの笑みが妖しくなった、そしてだった。
 自分達の前に来た観光客と思われる二人の女子大生位の美女達を見て音もなく前に来て声をかけた。
「いいかしら」
「はい?」
 美女達も応えた、ここから誘いがはじまった。


第五十九話   完


                 2018・6・6 

 

第六十話

                第六十話  誘惑の瞳
 カーミラは妖しく笑って二人の美女達に誘いをかけた。
「これからお食事にしようと思ってるけれど」
「これからですか」
「そうされるんですか」
「ええ、よかったらね」
 二人の目を見て言った。
「お食事だけでいいからね、一緒にね」
「貴女とですか」
「そうして欲しいとですね」
「そう思っているけれど」
 こう言うのだった。
「どうかしら」
「ええと、貴女はどなたでしょうか」
「初対面の方ですが」
「随分とお奇麗な方ですが」
「日本人じゃないですよね」
「ミラーカ=フォン=ブラウベルグというの」 
 カーミラは名前は自分がかつて使った名前にして姓は以前会ったオーストリアの貴族出身の教授の名前を出した。
「オーストリアから来たわ」
「あの国の方ですか」
「そうなんですか」
「ええ、けれどね」
 カーミラは美女達に妖しく微笑んだままさらに話した。
「今はこの神戸に住んでいるのよ」
「そうですか」
「今はこちらにおられるんですか」
「画家をしてね」
 偽りの職業を騙った。
「そうして暮らしているの、そして今はね」
「私達と、ですね」
「お食事を、ですか」
「どうかしら」
 ここでだった、カーミラは能力を使った。
 その目に妖しい赤い光を宿らせた、するとだった。
 美女達は急に目をとろんとさせてだ、魅了された様にして言った。
「はい、わかりました」
「そうさせて下さい」
 カーミラに移ろな声で答えた。
「お食事だけなら」
「私達も」
「それだけをお願いね。お金のことは心配しないで」
 実際にカーミラは金には困っていない、錬金術を知っているので金や宝石をどれだけでも出せるからだ。
「存分ね」
「頂きます」
「そうさせて頂きます」
 二人の返事は虚ろなままだった、そうして。
 三人で店に入った、すると店員が愛想よく挨拶をしてきた。
「いらっしゃいませ」
「三人よ」
 カーミラが応えた、そうして美女達と楽しい時間を過ごすのだった。


第六十話   完


                 2018・6・6 

 

第六十一話

               第六十一話  中華料理と赤ワイン
 カーミラは女子大生達と共に席に座った、そして優雅な仕草で自分達のところに来た店員達に対して言った。
「麺は海鮮麺をお願いするわ」
「そちらをですね」
「貴女達はどうするのかしら」
 二人にも顔を向けて問うた。
「料理は」
「はい、私も海鮮麺を」
「私もです」
 二人はカーミラの言葉にまるで人形の様に答えた、二人共目には感情がある。実は二人共海鮮麺が好きなのだ。
「そちらを」
「そうします」
「わかったわ、そしてね」
 カーミラはまた店員に言った。
「炒飯も三つ、飲茶もお願いするわ」
「飲茶もですね」
「ええ、注文させてもらうわ」
 こちらもというのだ。
「海老蒸し餃子、焼売、小龍包、韮餅、ピータンもね」
「それ等もですね」
「デザートは後で頼むわ。そしてね」
 さらに言うカーミラだった。
「お酒はボトルで。赤ワインをお願いするわ」
「赤ワイン!?」
 ここで二人が言ってきた、今は目にも感情があった。
「中華料理に赤ワインですか」
「そちらのお酒ですか」
「これが美味しいのよ」
 カーミラは二人に今度はその目を見ずに答えた。
「是非楽しんでみて」
「わかりました」
「それでは」
 二人も頷いた、そしてだった。
 二人も赤ワインをボトルで貰うことにした、カーミラは料理を待ちながら二人に微笑んで話をした。
「中華料理には赤ワイン、和食には白ワインよ」
「その組み合わせがいいんですね」
「そうなんですね」
「そうよ。私はワインが好きなの」
 その優雅な笑みでの言葉だった。
「だからわかるの。そして実際に口にすればわかるわ」
「中華料理を赤ワインで食べると」
「そうすればですね」
「よくわかるわ。楽しみにしていてね」
 こうした話をしつつ料理を待った、そしてだった。
 まずは海鮮麺が来た、そして次にワインが来た。カーミラはそのワインに自らグラスを入れてまずは乾杯をした。
 カーミラはワインを飲んだ、その紅の整った唇でワインを飲みその味が血にも劣らないことに喜びを感じた。


第六十一話   完


                  2018・6・13 

 

第六十二話

            第六十二話  赤ワインの味
 カーミラと二人の旅の女子大生達はそれぞれワインを一口飲んでからだった。それから海鮮麺を食べた。すると。
 その組み合わせにだ、二人は言った。
「いいわね」
「そうよね」
「海鮮麺ってつまりラーメンだけれど」
「具が海の幸のね」
「ラーメンにも合うのね、赤ワイン」
「そうなのね」
「そうよ。そして飲茶にもね」
 そちらの話もするカーミラだった、勿論彼女も海鮮麺を食べている。
「合うのよ」
「そちらにもですか」
「赤ワインは合うんですね」
「赤ワインは麦に合うわね」
 このことから話すカーミラだった。
「だから合うのよ。ただシーフードだけだと」
「赤ワインは合わないんですか」
「そうなんですね」
「そうよ。そちらだと白ワインになるわ」
 海の幸だけならばというのだ。
「だから和食は白ワインになるのよ」
「日本酒みたいに飲むんですね」
「そうよ」
 その通りとだ、カーミラは二人に答えた。
「赤ワインはお肉だけでなく麦にも合うからパスタだけでなくて中華料理にも合うのよ」
「ああ、麺類とか飲茶にも」
「そういうことですね」
「勿論パンにも合うし」
 麦を使った主食であるそちらにもというのだ。
「お菓子にも合うわよ」
「ケーキにもですね」
「そちらにも」
「最高に合うのはチーズだけれどね」
「それでもですね」
「お肉や麦にも合って」
「中華料理にも合うの。中華料理で海の幸を使ったものでも」
 それでもというのだ。
「麦が主体なら合うのよ」
「そういうことなんですね」
「私達も今わかりました」
「ワインはあらゆるお酒の長よ」
 ワインについてこうまで言うカーミラだった。
「だからね」
「はい、今はですね」
「赤ワインを楽しめばいいですね」
「そうよ。存分に楽しんでね」
 こう言ってだった、カーミラはまたワインを飲んだ。それから。
 次から次に来る注文した料理がテーブルの上に置かれていった、その料理を二人と共に楽しむのだった。


第六十二話   完


                2018・6・13 

 

第六十三話

                  第六十三話  美食
 カーミラは飲茶も食べている、そうしつつ共に食べている美女達に問うた。
「楽しんでいるかしら」
「はい、こうして」
「楽しませてもらっています」
 二人はカーミラに食べつつ答えた。
「美味しいですね」
「このお店の飲茶は」
「炒飯も素敵ですし」
「とてもいいお店ですね」
「私は直感でわかるの」
 カーミラは二人に微笑んで答えた。
「どのお店が美味しいか」
「直感で、ですか」
「おわかりになられるんですか」
「そうなの」
 実際にというのだ。
「私は長い間こうしたお店に入っているから」
「だからですか」
「どのお店が美味しいかわかって」
「それで、ですね」
「楽しめるんですね」
「そうよ。日本は美味しいお店が多いわね」
 炒飯も食べる、それも確かに美味い。
「有り難いことね」
「そうですね、この神戸にしても」
「かなり美味しいお店が多いですね」
「お隣の大阪はもっと凄いですが」
「あそこは食いだおれっていう位ですから」
「聞いているわ」
 カーミラは大阪のことについても答えた。
「あちらはまさにね」
「はい、本当に食べものの街で」
「安くて美味しいお店が沢山あります」
「難波なんかいいですよ」
「美味しいお店が一杯あります」
「あの猥雑な感じは私に合わないけれど」
 カーミラはこのことは自分でわかっていた、自分の持っているものと大阪にあるものは相容れないとだ。
「それでも美味しいお店が多いのね」
「私達昨日大阪にいましたから」
「それで食べてきましたから」
 だからだというのだ。
「よくわかります」
「いい場所ですよ」
「そうね、行ってみることも悪くないわね」
 こう言ってだ、そしてだった。
 二人はカーミラと共に食べていった、そのうえでだった。
 気付けば三人で全て食べていた、二人は自分達の食欲に驚いた。
「こんなの食べたのはじめて」
「そうよね」
「美味しいから食べられるのよ」
 これだけの量がとだ、笑顔で言うカーミラだった。だが食事はまだ終わってはいなかった。


第六十三話   完


                    2018・6・20 

 

第六十四話

              第六十四話  中華デザート
 カーミラと美女達は海鮮麺も炒飯も飲茶も全て食べた、だがカーミラは二本目のワインを飲みつつ二人に話した。
「さて、後はね」
「あっ、デザートですね」
「それがありますね」
「そうよ、最後はね」
 食事のそれはというのだ。
「デザートよね」
「そうですよね」
「それがないとですね」
「終わらないわ」
「最後に甘いものを食べないと」
「食事は終わりじゃないんですね」
「私はそう考えているわ」
 カーミラは実際にそうした食事のスタイルだ、朝はともかく昼と夜は最後はデザートを口にするのだ。
「中華料理もいいデザートが沢山あるでしょ」
「はい、かなりありますよね」
「杏仁豆腐とかマンゴープリンとか」
 二人はそのデザートを具体的に挙げていった。
「あとタピオカとか」
「フルーツ類もいいですし」
「そういったものをね」
 カーミラは具体的なデザートを挙げていく二人に微笑んで話した。
「食べましょう」
「食事の最後にですね」
「今から」
「そうしましょう」
 こう言ってだ、そしてだった。
 カーミラは店の者を呼んだ、それで頼んだものは。
「フルーツの盛り合わせを頼むわ」
「そちらをですね」
「ええ、ライチは絶対にね」
 この果物は絶対にというのだ。
「入れてね」
「わかりました」
 店の者も頷いて答えた、そしてだった。
 店の者はすぐにフルーツの盛り合わせを持って来た、そのうえでだった。
 三人はそのフルーツも食べた、カーミラはライチを食べて言った。
「楊貴妃が愛しただけあってね」
「美味しいですね」
「この果物は」
「ええ、本当にね」
 実際にとだ、こう答えてだった。
 カーミラは二人と共にデザートであるフルーツを食べ終えた、そして三人共それぞれのワインを飲み終えてだった。楽しい食事を終えたのだった。
 そして勘定はというと。
「私が払っておくから」
「えっ、ですが」
「それは」
「いいのよ」
 この時も微笑んで答えた、カーミラにとって金はどうでもいいものだからだ。


第六十四話   完


                   2018・6・20 

 

第六十五話

              第六十五話  それで終わり
 カーミラは勘定を払い終わってだ、そのうえで二人の女子大生達に話した。
「ではこれでね」
「お別れですか」
「これで」
「ええ、また機会があれば会いましょう」 
 こう言うのだった。
「その時にね」
「お食事頂いて申し訳ないです」
「はじめてお会いしたのに」
「気にしなくていいわ、生きていれば」
 その時はというのだ。
「そうしたこともあるわ、では機会があればね」
「その時にですね」
「私達とまた」
「楽しみましょう」 
 二人にこう告げてだった、カーミラは二人の美形の女子大生達と別れた。そうしてそのまま神戸の中華街の中を歩いていたが。
 ここでだ、今は姿を消している使い魔達が彼女に心の中に語り掛けて尋ねてきた。
「あの、何故でしょうか」
「あの二人とあそこで終わったのは」
「床まで行かなかったのは」
「どうしてでしょうか」
「それはあの娘達がそうした趣味はないからよ」
 だからだとだ、カーミラは心の中で答えた。
「だからよ」
「ただ食事を共にしただけですか」
「そこで止まられたのですね」
「趣味の合う相手でないと」
 カーミラはこうも言った。
「楽しめないものだから」
「床の中においては」
「だからですか」
「そう、そうした趣味の相手なら」
 それならばというのだ。
「私もよ」
「是非ですね」
「床まで行きますね」
「そうされますか」
「そうよ、それにもう神戸で相手は見付けているし」
 そうした相手はというのだ。
「これからそこに行くこともいいわ」
「では今から」
「そうされますか」
「ええ、二人との楽しみの前に」
 カーミラは妖しく笑った、そのうえで言葉を出した。
「床を楽しむわ」
「わかりました」
 使い魔達も答えた、そしてだった。
 今は中華街を見て回ってそのうえで楽しんだ、そうしてその床の中の喜びにも向かおうと考えるのだった。


第六十五話   完


                2018・6・27 

 

第六十六話

             第六十六話  二人もまた
 今田先生と今日子先生はカーミラの手紙を受け取ってからその時への備えを進めていた、だがその時にだった。
 今田先生は今日子先生にこう言った。
「今夜だけれど」
「ええ、何を食べるのか」
「それだけれど」
「今晩は何にするの?」
「暑いけれどね」
 それでもとだ、今田先生は今日子先生に話した。
「お鍋にしない?」
「それにするの」
「ええ、鴨のね」
「それのお鍋なの」
「そう考えているけれど」
「暑いけれど」
 それでもとだ、今日子先生は今田先生に応えて話した。
「それでもね」
「いいわよね」
「暑い時こそ思いきり汗をかいて」
 今日子先生は今田先生にさらに話した。
「そうすることも気持ちいいしね」
「身体にもいいわね」
「それに汗をかいたら」
 今日子先生はそれからのことも話した。
「お風呂に入ればいいし」
「そうでしょ、そのことも考えてね」
「お鍋っていうのね」
「鴨鍋ね」
「じゃあお葱に白菜、茸にお豆腐も入れて」
「糸蒟蒻もね」
 これもというのだ。
「全部入れて」
「そうしてなのね」
「お酒も用意して」
「お酒は何にするの?」
「そうね、日本酒がいいかしら」
 今田先生は今日子先生に少し考えてから答えた。
「それでどうかしら」
「お鍋にはやっぱり」
「日本酒でしょ」
「だからなのね」
「そう思ったけれどどうかしら」
「いいと思うわ」
 今日子先生は今田先生ににこりと笑って答えた。
「それじゃあね」
「今晩は鴨鍋ね」
「それにしましょう」
「日本酒も用意して」
 酒の方も忘れていなかった、今田先生と今日子先生も二人で楽しんでいた。カーミラとの勝負を前にして。


第六十六話   完


                 2018・6・27 

 

第六十七話

                  第六十七話  夏の鴨鍋
 今田先生と今日子先生は鴨鍋の用意をして二人でその鍋を食べはじめた、その鍋の友は日本酒である。
 鴨や他の具、煮えたそれを食べて冷えた日本酒を飲んでだった。今日子先生は今田先生ににこにことして言った。
「いや、最初はどうかって思ったけれど」
「夏のお鍋もよね」
「いいわね」
 こう言うのだった。
「本当に」
「そうよね、暑い時に暑いものを食べて」
 そしてというのだ。
「思いきり汗をかくこともね」
「いいことなのね」
「そう、汗をかいて」
「それで後でお風呂に入る」
「それですっきりしてね」
 今田先生はコップの中の日本酒を飲みつつ今日子先生に話した。
「気分爽快よ」
「そうなのね、お鍋は冬だけれど」 
 今日子先生もお酒を飲んだ、その味も楽しみつつ述べた。
「夏もいいものなのね」
「夏にすき焼き食べる人もいるでしょ」
 今田先生はこの話もした。
「そうでしょ」
「そういえばそうね」
「それで思ったのよ」
「鴨鍋もいいって」
「そう、お野菜も沢山食べられるし」
「それもあるわね」
「しかもお酒にも合うし」
 またお酒を飲む今田先生だった、上等の酒でかなり美味い。
「余計にいいのよ」
「確かにね。汗が出て来たけれど」
「汗はかいてね」
「お酒も飲んで」
「そうして徹底的に気持ちよくなって」
 そしてと言うのだった。
「お風呂にも入るの」
「お風呂もなの」
「そう、シャワーじゃなくて」
 夏はあっさりとシャワーが多いがというのだ。
「お風呂よ」
「じゃあお風呂は少しお酒が抜けてから」
「そうして入りましょう、そして今はね」
「お鍋とお酒をお腹一杯楽しむのね」
「そうしましょう、じゃあね」
「二人で食べて飲んで」
「心ゆくまで楽しみましょう」
 二人で話してだ、そして鴨肉だけなく豆腐や野菜、茸に糸蒟蒻に酒も楽しんだ。すると鍋は瞬く間に空になった。


第六十七話   完


                  2018・7・4 

 

第六十八話

                  第六十八話  鍋の最後は
 鍋の為に用意してあった肉も野菜も他の何もかも食べた、先生達は実はいつもかなりカロリーを消費していてよく食べる。
 酒も一本ずつ一升瓶で飲んでいて瓶は残り四分の一となっていたが。
 ここでだ、今田先生は今日子先生に言った。
「最後はね」
「ええ、もう最後よね」
 今日子先生は空になった鍋を見つつ応えた。
「鍋は」
「最後はおうどんだけれど」
「うどんでよね」
「お酒の残りを飲んで」
「それで少し時間を空けてから」
「お風呂にも入るのね」
「そうしましょう、いや二人共ね」 
 今田先生は真っ赤になっている顔で言った。
「かなり飲んだわね」
「そうよね、食べてね」
「一升ずつ空けて」
「かなり飲んで」
「それでね」
 まさにというのだ。
「これからね」
「おうどんも食べて」
「お鍋とか洗って後片付けして」
 そしてというのだ。
「少し時間空けて」
「お酒を抜いてから」
「お風呂。二人で入りましょう」
「それがいいわね」
 今日子先生も今田先生のその言葉に頷いた。
「飲んですぐに入ったら危ないから」
「少し時間を置いて」
「それからね」
「じっくり入って」
「それでお酒を抜いて」
 そしてと言うのだった。
「休みましょう」
「そうしましょう、飲み過ぎたら二日酔いになるから」
「それがいいわね、ただデザートも食べましょう」
「デザートは何なの?」
「わらび餅あるから。お酒が抜ける間にね」
「わらび餅を食べるのね」
「そうしましょう、デザートも楽しんでね」
 そうしてというのだ。
「満喫しましょう」
「やっぱり最後はデザートよね」
「お鍋の時もね」
「日本酒を飲んでも」
 デザートは欠かせない、こう話してだった。それで二人でうどんもデザートも食べて後片付けもしてだった。風呂に入るまでの時間を待つのだった。


第六十八話   完


                   2018・7・4 

 

第六十九話

                 第六十九話  酒の後で
 今田先生と今日子先生は暫く時間を置いてから入浴した、二人で今田先生の家の風呂に入ったがその時にだった。
 今日子先生は身体を洗いながら湯舟の中にいる今田先生に言った。
「何か二人でこのお風呂に入るのも」
「久し振りよね」
「そうよね、けれど昔はね」
 今日子先生はその真っ赤になっている身体を洗いつつさらに言った。
「こうしてね」
「よく一緒に入ったわね」
 今田先生も笑顔で応えた。
「仲良く」
「子供の時からね」
「懐かしいわ」
 今田先生はにこにことしたまま応えた。
「あの時のことを思うと」
「私もよ」
「二人でお風呂に入って」
「あれこれとお喋りしたわね」
「魔法のこと、学校のこと、それで恋愛のこと」
「色々お話したわね」
「懐かしいわね」
 今田先生は湯舟の中でにこにことして言った。
「その時のことが」
「それで今はね」
「恋愛のことはね」
「お互いではお話するけれど」
「内緒だからね」
「他の誰にもね」
「まさかね」
 今田先生は今日子先生にくすりと笑ってこんなことを言った。
「私達がそちらでも魔女なんてね」
「誰も思わないわよね」
「ええ、もう既になんてね」
「そんなことはね」
 二人だけでわかる会話をした、そしてだった。
 その会話の後でだ、今日子先生は今田先生にあらためて言った。
「じゃあゆっくりとお風呂に入って」
「お酒抜いてね」
「歯も磨いたし」
「今日はゆっくり休んで」
「英気を養いましょう」
「そうしましょう」 
 二人で笑顔で話した、そしてだった。
 先生達はかなりじっくりと風呂に入った、途中冷たいシャワーで身体も冷やしつつ入って売湯舟に三度入った。
 その風呂場から出てだ、先生達は一度冷たいシャワーで身体を冷やし。
 そのうえでだ、下着を着けてパジャマも着てから話した。
「お茶ね」
「あれ飲みましょう」
 こう話してだ、今度はお風呂上りのお茶を飲むのだった。


第六十九話   完


                   2018・7・11 

 

第七十話

                   第七十話  お風呂上りに
 先生達はお風呂上りによく冷えた麦茶を冷蔵庫から出して飲んだ、今日子先生は一杯飲んでからほっとした顔になって言った。
「やっぱりね」
「お茶とかお水飲むとね」
「いいわね」
「お風呂上りはね」
 何といってもとだ、今田先生も言った。
「水分摂らないとね」
「それも沢山ね」
「毎日しっかり水分摂らないと」
「特にお酒飲んでお風呂に入ったら」
「その後はね」
「かなり汗かいているから」
 それで体内の水分を出しているからだというのだ。
「沢山飲んで」
「水分補給して」
「それで体温も調節して」
 この場合は冷やすということだ、入浴で温めた身体は夏じゃかなりの体温になる、それで冷たいシャワーを浴びるだけでなく水分補給でも体温を冷やしてそのうえで調整するのだ。
「そうしてね」
「体調管理もしないとね」
「魔女なら」
 この職業にあるならというのだ。
「やっぱりね」
「体調管理もしないとね」
「それが出来ないと」
 そうでなければというのだ。
「よくないから」
「そう、だから」
 それでというのだ。
「よく飲んで」
「毎日ね」
「それで体温も調整して」
「水分補給は身体の何にもいいから」
 それで脳梗塞にもならない、水分補給はそうした効果もあるのだ。
「身体をしっかり調整して」
「カーミラさんとの勝負にもね」
「向かいましょう」
「万全の体調でね」
 それを調整してというのだ、そしてだった。
 先生達は麦茶を相当に飲んだ、それは成人女性としては相当なものでそれこそお腹の中が一杯になるまでだった。
 飲んでからだ、今田先生から言った。
「じゃあ今から」
「ええ、寝ましょう」
「二人で同じベッドにね」
「朝まで寝て」
「身体の疲れを取りましょう」
 こう話してそしてだった。
 先生達は二人で今田先生のクーラーが効いた部屋の中にある天幕のベッドで寝た、そのベッドの寝心地は最高だった。


第七十話   完


                   2018・7・11 

 

第七十一話

                  第七十一話  夜になり
 その日の夜になりだ、カーミラは日が暮れる前に自身の使い魔達に対して一杯のワインを飲んでから優雅に答えた。
「では行くわよ」
「はい、これよりですね」
「会に向かわれますね」
「そうされますね」
「そうするわ。そして夕食は」
 それの話もするのだった。
「後よ」
「宴の後ですね」
「宴が終わってから」
「それからですね」
「楽しむわ。こうした楽しみは一瞬で終わる刹那なもの」
 カーミラは使い魔達に立ち上がりつつ優雅に述べた。
「そしてその刹那なものが」
「永遠に残る」
「その心にですね」
「それも楽しみとして」
「だからいいのよ。それ故に」
 これからと言うのだ。
「行くわよ。そしてその後で」
「夕食を召し上がられ」
「そしてですね」
「お風呂もですね」
「楽しむわ。思えば流れる水も」
 吸血鬼は水が苦手という、だがそれはというのだ。
「心地よいものね」
「そしてご入浴も」
「カーミラ様にとっては」
「私はそうした吸血鬼よ」
 日中も出られて流れる水も楽しめるというのだ。
「ごく普通にね」
「左様ですね」
「物語の吸血鬼とは違いますね」
「そこは」
「違うわ。私は本物の吸血鬼よ」
 それ故にというのだ。
「だからこそそうしたものは弱点ではないわ」
「そして大蒜も」
「そちらもですね」
「全くね。そして二人もね」
 これから戦う二人もというのだ。
「わかっているわ、だからこそね」
「面白い宴となる」
「左様ですね」
「最高の宴には相応しい相手が必要よ」
 こう言ってだった、カーミラは出陣した。そしてだった。
「皆で行きましょう」
「お供致します」
 全ての使い魔達が応えた、そうして屋敷を後にするのだった。


第七十一話   完


                  2018・7・18 

 

第七十二話

                第七十二話  先生達もまた
 今田先生と今日子先生もこの日は悠然として家を出た、出る前に二人共お茶を飲んで出発の準備に入ったが。
 ここでだ、今田先生は今日子先生にこう言った。
「いい?水分はね」
「摂っておかないと駄目よね」
「さもないとね」
 水分補給、それを怠るとというのだ。
「脱水症状になるし」
「痛風にもなりやすいし」
「しかも脳梗塞の危険もあるから」
 だからだというのだ。
「出来るだけね」
「沢山摂るべきよね」
「そしてね」
「これから起こることは汗もかくし」
「そう、だからね」
 今田先生は今日子先生にいつもの穏やかな笑顔で話した。
「今回もね」
「水分を補給して」
「それからね」
 そのうえでというのだ。
「行くべきだし」
「ええ、大丈夫よ」
 今日子先生は今田先生にいつもの明るい笑顔で応えた。
「それはね」
「そうよね。しっかり飲んでたから」
「若し飲まないと」
 それこそとだ、今日子先生も応えて述べた。
「それも飲み過ぎっていう位ね」
「本当にそれ位飲まないとね」
「駄目なのよ、特に夏場なんて」
「普段よりも遥かに汗をかくから」
 それでというのだ。
「もうね」
「汗をかく分も身体を冷やす分も」
「全部考えて」
「そうして飲んで」
「そのうえでね」
「出陣しましょう。それで帰ってからも」
 今日子先生の方から述べた。
「たっぷり飲みましょう」
「絶対にね」
「それが一番身体にいいから」
「お酒も飲むけれど」
「普通の水分もしっかりとね」
 摂らないといけない、先生達はこのことを考えていた。このことは健康のことを考えてのことである。
「飲みましょうね」
「皆もそうしてね」
 先生達は使い魔達にも水分補給をしっかりする様に言った、そうして今田先生の屋敷を戸締りをした後で出るのだった。


第七十二話   完


                  2018・7・18 

 

第七十三話

               第七十三話  対峙 
 須磨の水族館、その前でだった。
 今田先生と今日子先生はカーミラと対峙していた、真夜中の水族館の前には三人とそれぞれの使い魔達以外には誰もいない。
 それでだ、カーミラは先生達に優雅に微笑んで言った。
「こうした場所こそ宴に相応しいわね」
「私達の戦いにはっていうのね」
「そうよ、他に誰もいなくて」 
 それでとだ、今田先生も応えた。
「誰にも見られないから」
「ええ。ではね」
「今からはじめるのね」
「そうしましょう、そして言うけれど」
「どちらが勝ってもよね」
「恨むことなしよ」
「わかっているわ。魔力の弱い方が負ける」
 今日子先生も言ってきた。
「それが私達の勝負の掟だから」
「掟を護らない者は真の高貴な者に非ず」
 カーミラはこんな言葉も出した。
「我が家に代々伝わる言葉よ」
「貴女の家になのね」
「そう。古くから続いている家のね」
 カーミラは杏子先生にも優雅な笑みを向けて話した。
「その教えよ」
「だからなのね」
「私は負けたらね」
 その時にというのだ。
「素直に認めるわ」
「そう。じゃあね」
「今からね」
「楽しみましょう」
 戦い、それをと話してだった。
 先生達はそれぞれ身構え魔術を放ちに入った、そして先生達のそれぞれの使い魔達も戦う姿に入った。そのうえで。
 カーミラの使い魔達も身構えた、両者の戦いははじまった。使い魔達もそれぞれの術を放ってだった。
 先生達もカーミラも術を放つ、カーミラは闇の属性の魔法を多く使う。そして今田先生と今日子先生はというと。
 光の魔法を主に使う、今田先生はその中で言った。
「いい?カーミラはね」
「わかっているわ、吸血鬼だからね」
「光の魔法は使えない、そして」
「光の魔法だからね」
「こちらを主に使っていきましょう」
「わかっているわ」
 今日子先生も既に光の魔法を主に放っている、光の球に天使達も召喚してだった。46
 カーミラと戦う、だがカーミラもだった。
「光にはこれよ」
 闇の魔法を多く使いそして悪魔も召喚した、カーミラが召喚したその悪魔はサバトのあくまであるバフォメットだった。


第七十三話   完


                   2018・7・25 

 

第七十四話

                第七十四話  天使と悪魔
 先生達は天使、ケルビムを召喚しカーミラは悪魔、バフォメットを召喚していた。その四本足に四本の翼を持ち四つの顔を持つ天使を見てだった。
 カーミラは楽しそうに笑ってだ、先生達に話した。
「いい天使を召喚したわね」
「ええ、この天使ならね」
「バフォメットにも対抗出来るわね」
「五分と五分よ」
 カーミラが見てもそうだった。
「バフォメットは高位、けれどね」
「ケルビムは互角だったわね」
「バフォメットと」
「バフォメットは魔王ではないわ」
 この域まで高位の悪魔ではないというのだ。
「魔王に対することが出来るのはセラフィムだけれど」
「バフォメットならケルビム」
「そう思って出したけれど」
「やはりバフォメットを出してきたわね」
「その悪魔を」
「この悪魔は好きなのよ」
 黒山羊の頭と下半身、蝙蝠の翼に女の乳を持つ悪魔がというのだ。頭には燃え盛る蝋燭があり腕は人間の男のものだ。
「昔からね」
「雰囲気があるから」
「だからなのね」
「そうよ。宴の最初に召喚する悪魔としては」
 まさにという口調で言うカーミラだった。
「おあつらえ向きね。ではね」
「これからね」
「ケルビムと戦わせて」
「そして私達は私達で」
「一緒にね」
「戦いましょう」
 こう話してだ、そしてだった。
 天使と悪魔はお互いに光と闇を放ち闘いをはじめた、先生達とカーミラもそれぞれ魔法を放っていった。
 今田先生は自身の杖から光の球を放つ、その光に対して。
 カーミラは闇の壁を出して防いだ、そうしてこう言った。
「いい攻撃ね。けれど」
「貴女にはよね」
「効かないわ」
 こう言うのだった。
「私にはね」
「そうね。ではね」
「もっといい攻撃を出してくれるのね」
「そうさせてもらうわ」
「そして私も」
 今日子先生も言ってきた、そうして。
 今日子先生は雷の帯を自身の杖から放つ、しかしその雷の帯もだった。
 カーミラは今度は身体をすっと右に動かしてかわした、先生達の攻撃も吸血鬼には個々では通じなかった。


第七十四話   完


                   2018・7・25 

 

第七十五話

                    第七十五話  使い魔達も
 今田先生と今日子先生の使い魔達もカーミラの使い魔達も戦いに入っていた、彼等はそれぞれの魔法を使うが。
 攻防は一進一退だった、それで彼等は言うのだった。
「強いね、相手は」
「全くだよ」
「数も同じ位だし」
「しかも魔力も同じ位で」
 そしてその種類もだ。
「これじゃあね」
「中々決着がつかないよ」
「こんな調子だと」
「一体どうすれば」
 お互いに焦りだしていた、しかし。
 彼等は自分達の主の状況を見てそうして言った。
「いや、ご主人も真面目で」
「しっかりと戦っていておられるし」
「我々が焦ったら」
「焦ってそこから崩れたら」
 それでというのだ。
「ご主人様に申し訳が立たない」
「それなら」
「ここは慎重にいかないと」
「焦ったら駄目よ」
 双方の陣営で言い合ってだ、彼等は。
 焦るのを止めた、そうしてお互いに戦っていく。先生達とカーミラの周りで激しい魔力の欧州が続くが。
 彼等はお互いに傷ついたらだった。
「回復の魔法使うから」
「御免」
「誤ることはないから」
 どちらの陣営もこう話してだ、傷付いた者達は回復の魔法で回復させていった。そして回復してもらった者もだ。
 戦線に復帰する、そして。
 また戦う、戦いはかなり長期化していた。
「もう三時間?」
「それ位戦っているけれど」
「まさに互角」
「一進一退どころか」
 完全に膠着していた。
 しかしだ、彼等はそれでも先程の話を思い出してだった。
「焦らない」
「焦らないで戦っていこう」
「互角ならそれでいい」
「勝機が来るから」
「その時を待とう」
 先生達の陣営もカーミラの陣営も争ってだ、そして。
 攻防を続ける、その間で彼等は焦らずに戦っていた。
「焦らない」
「慎重にいこう」
「迂闊なに攻めるんじゃない」
「気も抜かずに」
 実際にそうしていた、彼等は膠着しても焦らないことを心掛けていた。


第七十五話   完


                   2018・8・1 

 

第七十六話

                第七十六話  召喚された者達も
 先生達が召喚したケルビムはバフォメット、カーミラが召喚したその悪魔と対峙してそうして言った。
「貴方と会うのもです」
「久し振りね」
「はい、しかしいつも思うことですが」
 ケルビムはバフォメットに四つの顔で述べた。
「貴方の性別はどちらでしょうか」
「牡山羊の頭なのに女の胸があるからね」
「それではわからないです」
「それはわかっているでしょ」
 バフォメットはケルビムに素っ気ない口調で返した。
「そんなことは」
「天使にも悪魔にもですね」
「性別がない者もいるわ」
 こう言うのだった。
「そして私はね」
「性別がないのです」
「そうよ、喋り方は女のものだけれど」
 それでもというのだ。
「この喋り方はね」
「貴方の好みでしたね」
「そうよ、あくまでね」
 それに過ぎないというのだ。
「それだけよ」
「そうでしたね」
「ただそれだけだから」
 あくまでというのだ。
「喋り方で決めないでね、声の色も女のものだけれど」
「大人の女性のものでも」
「性別はないのよ」
 バフォメットはそうだというのだ。
「私の場合はね」
「天使や悪魔は男性が多いと言われていますが」
「そう言う貴方はどうなのかしら」
「私にも性別はありません」
 これがケルビムの返事だった。
「ははは、貴方と同じでしたね」
「そうなるわね」
「自分もですね、では」
「ええ、軽いお話も終わったし」
「私達も闘いますか」
「そうしましょう」
 二人で話してだ、そしてだった。
 ケルビムとバフォメットも魔法を放っての闘いに入った、ケルビムは光をバフォメットは闇のそれぞれの魔法を主に使うが。
 こちらも互角だ、それでお互いに言うのだった。
「今回もですね」
「楽しい勝負になりそうね」
 こう話してだ、そのうえで二人は闘いつつ勝負を楽しんでいた。二人の間には焦りは全く存在していなかった。


第七十六話   完


                2018・8・1 

 

第七十七話

              第七十七話  夜の闇の中で
 今田先生と今日子先生もカーミラと戦い続けている、カーミラもまた闇の属性の魔術を多く使ってくる。
 そのカーミラを前にしてだ、今田先生は今日子先生に言った。
「前よりもね」
「ええ、腕を上げているわね」
「闇の魔術にしても」
「強くなっているわ」
「出す術の一つ一つだ」
 それがというのだ。
「前よりも強くなっていて」
「全体的に強くなっているわね」
「本当にね」
「そうね。けれどね」
 今度は今日子先生から今田先生に言った。
「これでよね」
「終わるつもりはないわ」
 これが今田先生の返事だった。
「相手が強くなってね」
「それで凄いと思っているだけはね」
「私達じゃないから」
「ええ、だからね」
「ここは怯むわけにはいかないわ」
 二人でこう話してだった、先生達は自然に。
 顔を見合わせ合い無言で頷き合った、そうして二人共そのステッキから光の魔法を放っていった。その魔法でだった。
 カーミラを攻撃する。カーミラもその攻撃を見て言った。
「闇には何といっても」
「ええ、光ね」
「光の魔法が一番ね」
 先生達もこう返す。
「それがわかっているからよ」
「だから使ったのよ」
「そうね。闇の魔法は確かに強いわ」
「けれど弱点はあるわ」
「そしてその弱点はね」
「光よ」
 まさにこの賊税の魔法だとだ、カーミラは自ら言った。
「わかっているわね、けれどね」
「それでもっていうのね」
「負けないっていうのね」
「光の魔法も無敵ではないわ」
 カーミラはこのことを笑って指摘した。
「そのことを見せてあげるわ」
「勿論これで終わりではないわ」
「私達もわかっているわ」
 先生達は光の魔法だけでなく他の属性の魔法も使う、そうしてカーミラと戦っていくが決着はつかず。
 戦いは日が変わっても続き。
「まだよ」
「これで終わりではないわ」
 先生達も退かない、戦いは深夜になっても続くのだった。


第七十七話   完


               2018・8・7 

 

第七十八話

                    第七十八話  朝まで
 先生達とカーミラの死闘は続く、双方の周りではそれぞれの使い魔達が上では天使と悪魔が戦い続けていた。
 戦いは二時三時になっても続いてだった。
 遂に空が明るくなろうとしていた、ここでカーミラは言った。
「まだ続けたいけれど」
「ええ、朝になるわね」
「もうすぐそうなるわね」
「だからよ」
 夜が終わろうとしている、それ故にというのだ。
「もうね」
「これでよね」
「戦いは終わりね」
「そのことを提案するわ」
 こう先生達に言うのだった。
「いいかしら」
「ええ、いいわ」
「貴女がそう言うのならね」
「私達もそろそろと思っていたし」
「それならね」
「ええ、終わりにしましょう」
 こう言うのだった。
「これでね」
「わかったわ、ではね」
「皆攻撃を終えて」
 先生達も言った、そしてだった。
 カーミラも自身の使い魔達と召喚した悪魔に戦いを止めさせた、こうして戦いは即座に終わった。それを受けてだった。
 今田先生と今日子先生はカーミラにあらためて言った。
「ではね」
「今日はこれでね」
「別れましょう、それで戦いが終わったから」
 だからだとだ、カーミラは先生達に微笑んで今度はこう提案した。
「飲まない?」
「朝から?」
「お酒を飲むの」
「欧州では普通のことよ」
 だからだというのだ。
「フランスのワインがあるけれど」
「いや、それはいいわ」
「朝からお酒は遠慮するわ」
 先生達はカーミラの申し出に優雅に応えた。
「日本では朝から飲むことはしないから」
「今日はもう寝たいから」
「そうなの。ではね」
 それならとだ、カーミラもそれ以上言わずに。
 先生達に優雅にお辞儀をした、先生達もお辞儀で返し。
「ではね」
「また楽しみましょう」
 お互いに別れの挨拶を言い合いそのうえで別れた、先生達は天使を天界に戻した後は使い魔達と共に今田先生の屋敷に戻った。


第七十八話   完


                    2018・8・8 

 

第七十九話

               第七十九話  戦いが終わって
 今田先生と今日子先生が家に帰った時は五時だった、その時間を見ると恭子先生は今田先生にこう言った。
「ねえ、少しでもね」
「二時間でも三時間でもなのね」
「寝ておかない?」
 こう提案するのだった。
「完全な徹夜はよくないから」
「そうね、徹夜をするよりも」
 今田先生もこう答えた。
「それよりもね」
「少しでも寝た方がいいわね」
「徹夜は一番駄目よ」
 これはと言うのだった。
「何といってもね」
「そうでしょ、それでね」
 だからだというのだ。
「ここはね」
「まずは寝て」
「そう、少しでも寝て」
 そうしてというのだ。
「休みましょう、そしてね」
「起きてよね」
「そうしてから」
 そのうえでというのだ。
「一日をはじめましょう」
「徹夜はお肌によくないし」
「髪の毛にもね」
 つまり両方にというのだ。
「だからね」
「そうね。じゃあね」
「寝間着に着替えて」
「ベッドで寝ましょう」
 二人でこのことを決めた、少しでも寝ようとだ。
 そのことを決めてからだ、先生達は自分達の使い魔達にもあらためて気遣う優しい声でこう言ったのだった。
「それじゃあ貴方達もね」
「休んでね」
「わかりました」
 使い魔達も自分達のそれぞれの主に答えた。
「ではです」
「休ませて頂きます」
「ずっと起きてはいけないから」
 今日子先生は使い魔達にもこう話した。
「皆で寝ましょう」
「では寝間着を出して」
 今田先生は笑顔で応えた。
「そうしてね」
「香織ちゃんのベッドでね」
「そこで寝る?」
「そうしていいかしら」
「いいわよ」
 今田先生はにこりと笑って答えた、そうして二人で今田先生の寝室に向かうのだった。


第七十九話   完


                   2018・8・15 

 

第八十話

第八十話  絹の寝間着
 今田先生は今日子先生と一緒に今田先生の寝室に入った、その寝室は白いカーテンと床、天井それに壁と白で統一されていた。
 勿論ベッドもだ、そのベッドは天幕のもので。 
 今日子先生はそのベッドを見て今田先生に笑顔で話した。
「この奇麗さがね」
「私らしいっていうのね」
「ええ、香織ちゃんらしいわ」
 こう言うのだった。
「本当にね」
「昔から寝る場所はね」
「白くよね」
「奇麗にしてね」
 そうしてというのだ。
「寝たいから」
「だからよね」
「今もこうしているの」
 寝室を白で統一して奇麗にしているというのだ。
「そうしてね」
「今からよね」
「寝間着を着て寝るけれど」
「今はどんな寝間着で寝ているの?」
「パジャマよ」
 今田先生は今日子先生にくすりと笑って答えた。
「下はズボンのね」
「あら、ズボンなの」
「ネグリジェだと思ってたのかしら」
「香織ちゃんスタイルもいいから」
 だからだとだ、今日子先生は今田先生ににこりと笑って答えた。
「だからね」
「それでなの」
「ネグリジェだと思っていたけれど」
「確かに持っているけれど」
 それでもというのだ。
「あまり着ないの」
「そうなの」
「浴衣も持ってるわ」
 こちらの寝間着もというのだ。
「けれどね」
「それでもなのね」
「天幕のベッドだから」
「パジャマなのね」
「これを着てね」
 そうしてというのだ。
「寝ましょう。私は金色のパジャマで」
「私は銀色ね」
「ええ。法衣の色でいいわね」
「いいわよ。じゃあね」
「それじゃあ」
「今から着替えましょう」
 二人で話してだ、それぞれのパジャマに着替えて一緒のベッドに入った。ベッドに入るとすぐに眠りに入った。


第八十話   完


                   2018・8・15 

 

第八十一話

                 第八十一話  起きて
 朝の八時半にだ、まずは今田先生が起きた。そうして隣で寝ている今日子先生に穏やかな声をかけた。
「今日子ちゃん、朝よ」
「今何時かしら」
 今日子先生は今田先生に目を開けて尋ねた。
「一体」
「八時半よ」
 今田先生は今日子先生に優しい笑みで答えた、一度壁にある白い大きな西洋時計細長いそれを見ると確かにその時間だった。
「今はね」
「三時間少し寝たのね」
「大体それ位ね」
「それ位寝たらね」
「かなり違うわよね」
「一睡もしないことは絶対に駄目よ」
 今日子先生はそれは絶対にと答えた。
「身体に一番悪いわ。けれどね」
「そうよ。三時間でも寝たらね」
「全然違うから」
 一睡もしないこととはだ。
「それでね」
「寝てよかったわね」
「ええ。寝不足ではあっても」
 それでもというのだ。
「かなり違うわね」
「そう。後でお昼寝してもいいし」
 そうしてもというのだ。
「とりあえずそれだけ寝たら」
「かなり違うから」
「香織ちゃんもそう言ったのね」
「そうよ。寝ましょうって」
 二時間でも三時間でもというのだ。
「言ったのよ」
「そうよね。じゃあ起きて」
「朝御飯食べましょう」
「朝御飯は何がいいかしら」
「オートミールにしましょう」
 今田先生は今日子先生ににこりと笑って提案した。
「それにね」
「オートミールなの」
「あれならすぐに出来るし」
「あっ、袋詰めなの買ってるのね」
「あれがあるし牛乳もあるから」
「じゃあね」
「一緒に作って」
 そしてというのだ。
「食べましょう」
「使い魔の子達にも御飯出してあげてね」
「そうして食べましょう」
 二人だけでなく皆で食べてというのだ、そうしてだ。
 二人でベッドから起きてまずはパジャマを脱いでそれぞれの私服姿になった。二人共丈が長く生地の薄い夏のフレアスカート姿になった。


第八十一話   完


                 2018・8・22
 

 

第八十二話

第八十二話  夏の朝
 今田先生と今日子先生は着替えが終わると二人でオートミールを作った、そうして使い魔達の食事を出そうとしたが。
 その使い魔達がだ、二人に言ってきた。
「それには及びません」
「私達の食事は私達で出しますので」
「そうして食べますので」
「お気遣いは無用です」
「そういうことで」
 こう言ってだ、自分達で実際に用意してだった。
 そうして食べる、先生達もその彼等を見てだった。
「皆がそう言うなら」
「それじゃあね」
「はい、それでは」
「私達は私達で」
 こう言ってだ、そしてだった。
 二人でテーブルに座ってオートミールを食べた、今田先生は銀の食器の中のオートミールを銀の食器で食べつつ言った。
「こうした朝食もね」
「いいわよね」
 今日子先生も銀の皿と銀のスプーンを使っている、そのうえで食べつつ言うのだった。
「フルーツも用意したし」
「林檎をね」
「それも食べて」
「気持ちいい朝になるわね」
「和食もいいけれど」
 今日子先生はにこりと笑ってこちらもと述べた。
「それでもね」
「こうした朝御飯もいいわよね」
「本当にね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「寝不足の身体に優しく入ってきていて」
 今田先生はこうも言うのだった。
「いいわね」
「栄養が。よね」
「特に牛乳が」
 その中にある栄養がというのだ、牛乳は栄養の塊でありしかも身体が非常に吸収しやすい様に出来ているのだ。
「そうなっていて」
「いいわね、じゃあね」
「このオートミール食べて」
「後で林檎も食べて」
「今日も一日ね」
「頑張りましょう」
 二人で話してだ、そのオートミールを食べてだった。その後で林檎も食べて朝食を仲良く食べてだった。
 その後でだ、今田先生は今日子先生にあらためて言った。
「じゃあ今日もね」
「頑張りましょうね」
 今日子先生も応えた、そうして二人で一日をはじめるのだった。


第八十二話   完


                 2018・8・22 

 

第八十三話

               第八十三話  吸血鬼の朝
 カーミラも朝を迎えていた、吸血鬼もまた家に帰ったが彼女の帰宅の方法は人間とはまた違っていた。
「霧になって動けば」
「はい、蝙蝠や狼になるよりもです」
「素早く動けますね」
「あらゆる壁も窓も越えられますし」
「便利なものです」
「早く帰りたい時はこれに限るわ」
 朝日を観つつ周りにいる自身の使い魔達に述べた。
「まことに」
「はい、我々は瞬間移動で戻りましたが」
「移動の魔術で」
「霧もまたよしですね」
「素早く動けますね」
「ええ、それでだけれど」 
 朝日を観るだけでなく浴びもした。カーミラは日光を浴びても何ともない。だがやはり彼女が好きなのは夜であり月なのだ。
 それ故にだ、使い魔達にこうも言ったのだった。
「少し休むにしろ」
「今はですね」
「朝になりましたので」
「お食事の時間ですね」
「赤ワインをお願いするわ」
 朝食にこれをと言うのだった。
「そしてパンもね」
「そちらもですね」
「朝食に」
「それと無花果もお願いするわ」
 この果物もというのだ。
「パンに付けるものは苺のジャムを」
「わかりました」
「ではすぐに用意します」
「用意が出来次第お伝えします」
「お願いするわ、あと言い忘れていたけれどチーズもお願いするわ」
 こちらもというのだ。
「日本のプロセスチーズをね」
「あのチーズですか」
「近頃ご主人様あのチーズをお気に入りですか」
「今朝もですか」
「妙な美味しさがあるわ」
 日本のそのチーズにはというのだ。
「だから頂くわ」
「わかりました」
「ではです」
「チーズはそちらをお出しします」
「お願いするわ、ワインは一本でね」
 その本数も注文した。
「足りなければまたお願いするわ」
「では」
 使い魔達も応えた、そうして主の為に朝食を用意した。カーミラは朝食を待つ間も好きではないが朝日を観ていた。


第八十三話   完


                  2018・8・29 

 

第八十四話

               第八十四話  日本のチーズ
 朝食の用意が出来た、カーミラは食堂からベルが鳴ったのを受けて食堂に入った。そうしてテーブルに座ると。
 もうテーブルの前には朝食が用意されていた、そして既にビニールから出された端が丸い三角に切られたチーズを見て微笑んで言った。
「このチーズがね」
「美味しい」
「ご主人様のお気に入りになっていますね」
「そうよ。このチーズはね」
 そのプロセスチーズはというのだ。
「普通に売られているものだけれど」
「スーパーに行けば何処でもあります」
「安価に手に入ります」
「高級チーズとは比べものになりません」
「そうだけれどね」
 安い、日本で言うと庶民的だがというのだ。
「その味はね」
「違う」
「欧州の高級チーズに負けない美味しさがある」
「そうでありますね」
「ええ。若し馬鹿にする人がいれば」
 日本のそのチーズをというのだ。
「チーズの味がわかっていないわ」
「そう言っていいですね」
「そこまでの味ですね」
「日本のチーズは」
「このスライスチーズは」
「これが高級チーズでないことは不思議よ」
 カーミラからしてみればだ。
「まことにね。ではね」
「これからですね」
「そのチーズを召し上がられ」
「そしてですね」
「パンもワインもですね」
「無花果もまた」
「食べさせてもらうわ」
 見ればパンは食パンで既に苺のジャムがたっぷりと塗られている、そして無花果は四個新鮮なものがある。
 それを食べてだ、そのうえで。
 赤ワインを飲む、すると今度はこう言った。
「ワイン、特に赤ワインは私にとってはね」
「血と同じですね」
「それだけの栄養がありますね」
「だからいつも飲まれていますね」
「そうよ。今朝も一本飲んで」
 そしてというのだ。
「また一日を楽しむわ」
「ではそうされて下さい」
「是非」
「ええ、これからね」
 オーストリアから持って来た年代もののグラスで赤ワインを飲んだ、イタリア産のその赤ワインもまた美味くチーズもそれと共に食べた。


第八十四話   完


                2018・8・29 

 

第八十五話

第八十五話  一本のワインで
 カーミラはパンと日本のスライスチーズを食べながらそのうえで赤ワインを飲んだ、そして一本飲み終わり。
 無花果も食べ終わってから使い魔達にこう言った。
「いい栄養補給になったわ」
「お味は如何でしたか」
「そちらは」
「満足したわ」
 笑みを浮かべての返事だった。
「これ以上はないまでにね」
「それは何よりです」
「ではですね」
「今日もまた楽しまれますね」
「一日を」
「ええ、ただ朝御飯を食べたから」
 それ故にというのだ。
「今からね」
「はい、お休みですね」
「それに入られますね」
「朝は寝る時よ」
 吸血鬼にとってはそうなのだ、カーミラは元々夜に動き日が顔を出している時は眠っている暮らしをしていた。
 それでだ、こう使い魔達に言ったのだ。
「だからね」
「はい、では」
「その様にされて下さい」
「ベッドの用意は出来ております」
「既に」
「そうさせてもらうわ。ベッドはね」
 やはりと言うのだった。
「天幕付きに限るわね」
「左様ですね」
「ご主人様のお好みはそうですね」
「日本においても」
「羽毛のものですね」
「ええ。そして眠りから覚めたら」
 それからのこともだ、カーミラは話した。
「その時はね」
「はい、それからはですね」
「お風呂に入られ」
「身体を奇麗にされて」
「それからですね」
「今夜も一日を楽しむわ」
 こう言ってだ、そしてだった。
 カーミラは服を脱いだ、下着までも。
 そうして一糸まとわぬ姿になり天幕のベッドの中に入った、そうして日の光を見つつそれが強くなろうとする中でだった。
「お休みなさい」
「では」 
 使い魔達と挨拶を交えてだった。
 窓のカーテンも閉めさせて眠りに入った、最高の栄養補給を行ってその栄養を眠りに入ることに使うのだった。


第八十五話   完


                  2018・9・5 

 

第八十六話

第八十六話  先生達の一日
 カーミラは基本朝に寝て夜に動く、だがそれは吸血鬼であることが大きく今田先生の身体は人間である。
 それでだ、睡眠不足でもだ。
 今田先生は今日子先生に朝食の後で話した。
「夜までね」
「眠らずにいてね」
「夜に寝ましょう」
「そうね。人はやっぱりね」
「朝とお昼は起きてね」
 そうしてというのだ。
「夜に寝るものよ」
「本当にそうね」
 今日子先生も頷くことだった、このことは。
「さもないとね」
「生活が乱れるから」
「生活が乱れるとね」
「お肌も髪の毛も荒れるし」
「いいことはないわ」
 女性にとってはどうかと話す今田先生だった。
「だからね」
「そうよね、今は我慢して」
 例え眠くとも、というのだ。
「三時間は寝たから」
「一睡もしていない訳じゃなから」
「随分違うわ」
 少しでも眠ればというのだ。
「だからよね」
「ここは起きていて」
「夜に寝るのね」
 今日子先生はこう尋ねた。
「そうすべきね」
「今日はゆっくり寝られるわ」
 睡眠不足であるだけにだ、そう出来るというのだ。
「だからね」
「夜まで我慢ね」
「濃いお茶かコーヒーを飲んで」
「授業もしてね」
「お仕事が来たら頑張って」
 そのうえでというのだ。
「起きていましょう」
「そうするわね、じゃあお抹茶飲もうかしら」
「日本のお茶にするのね」
「あのお茶が一番目が冴えないかしら」
「そうね。濃いお抹茶はね」
 実際にとだ、今田先生も抹茶が好きでよく飲むだけにこう答えた。
「目が冴えるわね」
「だからそれを飲みながら夜まで過ごしましょう」
「ではね」
 今田先生も頷いた、そうしてだった。
 先生達は抹茶を飲みつつ夜まで起きていた、そうして日常を過ごして夜になると早いうちから柔らかいベッドの中で安らかな眠りに入ったのだった。


第八十六話   完


                 2018・9・5 

 

第八十七話

第八十七話  少女達は知らず
 華奈子は家で美奈子にこう言った。
「今日今田先生と今日子先生寝不足だったわね」
「わかるの?」
「うん、だってお二人共目の下が少しね」
 そこでわかったとだ、華奈子は美奈子に話した。
「クマってまではいかないけれど」
「疲れた感じがしたの」
「少し寝ていないなってね」
「そういえばそうだったかしら」
「夜遅くまでゲームしていたのかしら」
 ここでこう言った華奈子だった。
「それでかしら」
「いや、それはないわよ」 
 美奈子は華奈子の今の言葉はすぐに否定した。
「先生達ゲームをされてもね」
「夜遅くはなの」
「されないでしょ」
「そうなのね」
「華奈子もしないけれどね」
 華奈子は基本早寝早起きなのでそれでゲームをしても夜遅くまですることは決してしないのだ。十時位になると眠くなる体質なのだ。
「それでもよ」
「それはないの」
「それよりもね」
 美奈子は考える顔になって華奈子に話した。
「お酒か読書か」
「どちらかでなの」
「夜遅くまでね」
 楽しんでいてというのだ。
「そのせいで、じゃないかしら」
「先生達はそちらだっていうのね」
「先生のお家ワインのボトル多いでしょ」
「リビングにお邪魔したらいつもあるわね」
「それによく本のお話もされてるし」
 今田先生も今日子先生もだ。
「サガンとかユゴーとかいつも言っておられるし」
「ユゴーってああ無情のよね」
「あの作品の人よ、そういうのを読まれていて」
 そしてというのだ。
「夜更かしされたんじゃないかしら」
「それかお酒か」
「そうじゃないかしら」
「そのどちらかなの」
「寝不足だとしたらね、けれど華奈子よくわかったわね」
「目の下見たらわかったの」
 先生達の寝不足、それがというのだ。
「これはってね」
「よく見てるわね」
「そうかしら」
「ええ、まるで探偵ね」
 こうも言う美奈子だった、華奈子の観察力を素直に称賛してもいた。だが二人共先生達の寝不足の原因まではわからなかった。


第八十七話   完


                    2018・9・12 

 

第八十八話

第八十八話  ビクトル=ユゴー
 華奈子は美奈子が今言ったビクトル=ユゴーという作家について尋ねた。
「ああ無情書いた人って言ったけれど」
「その通りよ」
 美奈子もすぐに答えた。
「他にも色々書いてるわよ」
「そうなの」
「華奈子はああ無情しか知らないの」
「あの作品のアニメあったから」
 それでというのだ。
「知ってるけれど」
「他の作品は知らないのね」
「そうなの。どんな作品があるの?」
「嵐の九十三年とか」
 美奈子はこの作品の名前も挙げた。
「ノートルダムのせむし男とかね」
「せむし男ってあれよね」
 華奈子はこの言葉は知っていた、それで考える顔になって述べた。
「背中が曲がった」
「そう、その背中の人が主人公なのよ」
「そうした作品もあるの」
「そうなの、けれど華奈子ってせむし男って知ってるの」
「前お母さんに昔の漫画読んでる時に教えてもらったのよ」
 そのせむしについてというのだ。
「今はあまり使われていないっていうけれど」
「私もこの前図書館でノートルダムのせむし男見て知ったのよ」
「そうだったの」
「華奈子はお母さんに教えてもらったのね」
「そうなの、この前ね」
 こう美奈子に話した。
「それで知ってるけれど」
「そのことはわかったわ」
「そういうことでね、ただ結構書いてる人なのね」
「フランスじゃ凄い有名人らしいわ」
 実際に祖国では文豪として有名である。
「日本で言うと夏目漱石かしら」
「ああした感じなの」
「もう誰でも知ってるね」
「そうした人なのね」
「政治家でもあったそうよ」
 議会で議員を務めてもいた、ナポレオン三世の時代はこの人物に反発して他国に亡命していたりもしていた。
「かなり長生きした人で一文字だけの作品も書いたそうよ」
「一文字だけでってのも凄いわね」
「あのびっくりの文字ね」
「『!』ね」
「そう、『!』の文字だけで書いたの」
 このことは本当の話だ。
「やたら長い作品が多いらしいけれど」
「逆に一文字だけなの」
「そう、大長編とは逆にね」
 そうもしたというのだ。
 美奈子は華奈子にユゴーの話もした、このフランスの偉大な文豪のことも。


第八十八話   完


                2018・9・12 

 

第八十九話

                   第八十九話  たった一文字
 美奈子は華奈子にビクトル=ユゴーの話をさらにした。
「沢山の作品を書いてきて」
「それでなのね」
「そう、今もよく読まれていて」
 それでというのだ。
「日本語訳の本もあって」
「学校の図書館にもあるわね」
「私もそれ読んだの、ただね」
「ただ?」
「学校の図書館にある本は子供用みたいよ」
 そうした本だというのだ。
「難しい部分を省略したね」
「そうした本なの」
「だから一冊の本にまとめてるけれど」
「実際は違うのね」
「ああ無情は分厚い本に四冊あるらしいの」
「四冊もあるの」
「そう、凄く長いでしょ」
 美奈子は小学生の活字の本に対する単位から華奈子に話した。
「それだけあるのよ」
「そんなにあったら読むのに凄い時間かかりそうね」
「先生が言うにはしかも文章が暗いらしいの」
「暗いの」
「それで怒られてるみたいだって」
「何か読みにくそうね」
 ここまで聞いてだ、華奈子はどうかという顔になって美奈子に返した。
「あたしそうした本は駄目なのよ」
「華奈子は明るい作品好きだからね」
「小説でも漫画でもね」
「ハッピーエンドのお話好きよね」
「文章も明るくてね」
 それでとだ、華奈子も答えた。
「そうした作品が好きだからね」
「じゃあああ無情は」
「暗いんだったら」
「暗いけれどね」
 それでもとだ、美奈子は話した。
「それでも展開は痛快でね」
「そうなの」
「ヒロインのピンチを助けたり」
 主人公のジャン=バルジャンがコゼットを救い出したりするのだ、他にはジャン=バルジャンが危機を乗り越える場面も多い。
「そうした展開が多くてハッピーエンドよ」
「それだけ聞くと面白そうなのに」
「それが文章がね」
 日本語訳のそれがというのだ。
「どうもね」
「暗いからなのね」
「そうした作品になってるみたいなの」
 長くて暗い作品になっているというのだ。
 美奈子は華奈子にユゴーの代表作の一つから話をはじめた、それは決して華奈子にとって好きになりそうなものではなかったが華奈子は確かに聞いた。


第八十九話   完


                   2018・9・19 

 

第九十話

                  第九十話  読んでみたく思っても
 華奈子は美奈子が先生から教えてもらったああ無情の本来の文章のことを聞いて美奈子にどういったものかという顔で言った。
「あたし今どうかって言ったけれど」
「読みたくないわよね」
「ええ、言った通りにね」
「じゃあ文章次第で」
「読みたいと思うかも知れないけれど」
 それでもというのだ。
「漫画の絵も文章もね」
「どちらもよね」
「明るい感じが好きで」
「もう暗いと」
「それだけであまりってなるけれどお話自体は」
「そうなの、ピンチを助っ人や機転でここぞっていう時に乗り越えて恋愛も対決もあってね」
 そうした展開が続く、デュマもそうであるがユゴーもピンチとそれを乗り越える展開が多いのだ。
「明るいのよ」
「美奈子が読んだ本だと」
「そうなの」
 実際にというのだ。
「最後主人公死ぬけれど」
「それでもなのね」
「義理の娘さんだったヒロインと立派な青年を結ばせてだから」
「いい終わり方ね」
「それを見届けて死ぬから。あと主人公の宿敵の警部さんも」
 この人物もというのだ。
「実は正義感があって勇敢な人なのよ」
「漫画にしたら面白そうね」
「お話自体は面白いわ。華奈子この前三銃士読んだでしょ」
「面白かったわ」
 華奈子は美奈子に三銃士の感想を笑顔で答えた。
「痛快でね、三銃士格好良くてね」
「主人公のダルタニャンもよね」
「よかったわよ」
「その三銃士みたいにね」
「痛快な感じなの」
「色々とピンチがあっても乗り越える」
「今の小説みたいなのね、じゃあ文章が明るかったら」
 華奈子は心から思って言った。
「あたしも読みたいわね」
「そうよね、私も子供向けの方は読んだしお勧め出来るけれど」
 それでもというのだ。
「原作はね」
「そんな風だと」
「ちょっと読みたくないわね」
「美奈子も明るいの好き?」
「そうみたいね」
 華奈子と同じくとだ、美奈子はくすりと笑って答えた。
「明るい作品でないと」
「読みたくないのね」
「そうみたい」
 美奈子はここで自分の好みが何となくだがわかった、華奈子と同じく明るい感じが好きなのだとだ。この辺りは双子というところだろうか。


第九十話   完


                 2018・9・19 

 

第九十一話

第九十一話  華奈子の苦手なもの
 華奈子ははっきりとだ、美奈子に言い切った。
「あたし本当にね」
「明るい作品が好きよね」
「さもないとね」 
 それこそというのだ。
「読めないわ」
「バッドエンドとか駄目よね」
「あと悪役が最後高笑いして終わる様な作品も」
「そんな作品あるかしら」
 美奈子は悪役が最後まで笑って終わる様な創作があるのかとだ、首を傾げさせて華奈子に対して言った。
「悪役が最後までって」
「若しあったらよ」
 その時はとだ、華奈子は答えた。
「もうね」
「読めないのね」
「そう、やっぱり最後はヒーローが勝つ」
「そうでないと駄目なのね」
「途中どれだけ苦難があっても」
 それでもというのだ。
「明るくてね」
「それでなのね」
「そう、ハッピーエンド」
「それ言うとああ無情はそうだけれど」
 作風自体は明るくかつハッピーエンドだというのだ。
「けれどね」
「文章が、なのね」
「どうも暗いらしいから」 
 それでというのだ。
「華奈子には合わないかも」
「じゃあ文章が最近の小説みたいに」
 華奈子は自分が読む本の文章から美奈子に話した。
「明るい文章だったら」
「本当に華奈子も読めると思うけれど」
「それでもなのね」
「とにかく文章に問題があるみたいだから」
 とかく暗いというのだ。
「華奈子に絶対に合わない感じで」
「ううん、じゃあああ無情はいいかしら」
「華奈子だったら三銃士かしらね」
「やっぱりそっち?」
「こっちは痛快だから。けれど何と分厚い本で十一冊なのよ」
「三銃士ってそんなに長いの」
 華奈子は美奈子の今の言葉にびっくりして言い返した。
「無茶苦茶長いじゃない」
「三銃士は一部で物語全部だとそうなるのよ」
「そうだったの」
「鉄仮面のお話も入るから」
 そこまで入れての全十一冊だというのだ、美奈子は華奈子に対して三銃士の話もしていくのだった。


第九十一話   完


                  2018・9・26 

 

第九十二話

                 第九十二話  三部作
 美奈子は華奈子に三銃士のことをさらに話した。
「三銃士のお話が第一部らしいの」
「第一部なの」
「全三部作でね」
「三銃士のお話はそのうちの三分の一なのね」
「それで第二部が十年後で」
 それでというのだ。
「第三部は鉄仮面よ」
「鉄仮面って映画の?」
 仮面の男という映画からだ、華奈子は言った。
「それよね」
「そう、ちなみに原作でも最後ダルタニャン死ぬから」
 主人公の彼はというのだ。
「鉄仮面だとアトスもポルトスも死ぬの」
「アラミスだけ生き残るの」
「映画じゃ死ぬのはダルタニャンだけだったけれど」
「三銃士のうち二人も死ぬの」
「それでダルタニャンまで死んで」
 そうしてというのだ。
「お話終わるの」
「ううん、ダルタニャン死んじゃうの」
「学校の先生に教えてもらったけれど」
 その三銃士のことはというのだ。
「それだけ長くてね」
「最後はそうなるのね」
「ちなみに鉄仮面の正体はね」
「あれ王様の兄弟よね」
「物語ではそうだけれど」
 それがと言うのだった。
「実は実在人物で」
「それあたしも聞いたわ」
 鉄仮面が実在人物であることは華奈子も聞いて知っているのだ、そして華奈子はさらに聞いて知っていた。
「あのお話の登場人物殆どそうだってね」
「それで鉄仮面も実在してたけれど」
「実際も王様の兄弟じゃないの?」
「実は今もわからないのよ」
「えっ、そうなの」
「そう、一体誰だったのか」
 このことは実際のことだ、鉄仮面が何者だったのかは現代でも諸説あるうえに確かな証拠は存在していないのだ。
「わかっていないの」
「そうだったのね」
「それで今もね」
「正体は誰だったか」
「わかってないの」
「そうなのね」
 華奈子は美奈子に教わりこのことがわかった。
 そうしてだ、二人で物語のことをさらに話していった。まだ子供と言っていい年齢だが文学への目覚めがそこには確かにあった。


第九十二話   完


                 2018・9・26 

 

第九十三話

第九十三話  両親に聞いても
 華奈子と美奈子は日曜日の昼に両親と一緒に昼食を食べている時に三銃士に出て来た鉄仮面について尋ねた。
「ねえ、鉄仮面っていたわよね」
「昔のフランスに」
「三銃士にも出て来たっていうけれど」
「あの人誰だったの?」
「鉄仮面か」
 まずは父が二人に怪訝な顔で答えた。
「あの人の正体か」
「うん、誰だったの?」
「一体どんな人だったの?」
「わかっていないんだ」
 父は母が焼いてくれたトーストにマーガリンをたっぷりと塗りつつ答えた、食事は他にはソーセージの盛り合わせとポタージュそしてトマトが沢山入っているサラダだ。
「今もな」
「そうなの?」
「まだわかっていないの?」
「色々言われてるけれどな」
「王様の兄弟じゃないかって言われてるけれど」
 母も二人に話してきた。
「けれど確かなことはね」
「ううん、本当にわかってないのね」
「鉄仮面のことは」
「ええ、ただね」
 母は娘達にこうも話した。
「王様、ルイ十四世の兄弟じゃないかっていうのは」
「可能性高いの?」
「そうなの?」
「そうみたいよ」
「ただな、証拠がないんだ」
 父はまた話した。
「一切な」
「ないの?証拠は」
「残っていないの」
「それは全部消されたんだ」
 鉄仮面にまつわるそれはというのだ。
「本当にな、手紙を窓から落としたら」
「どうなったの?」
「そのお手紙は」
「拾った人にすぐに偉い人が来て手紙の中を読んだのか聞かれてな」
「まさか」
「まさかと思うけれど」
「拾った人が字が読めなかったから助かった」
 現実にあった話だという。
「幸いな」
「その人運がよかったわね」
「若し読めていたら」
「殺されていただろうな」
 そうなっていたというのだ。
 だが両親も鉄仮面の正体については知らなかった、華奈子と美奈子は二人共鉄仮面の正体がわからないまま両親とお昼御飯を楽しんだ。


第九十三話   完


                  2018・10・3 

 

第九十四話

            第九十四話  図書館で調べても
 華奈子と美奈子は昼食の後鉄仮面にさらに興味を持った、それで華奈子は美奈子にこう提案したのだった。
「ねえ、図書館に行って」
「そこでっていうのね」
「鉄仮面のこと調べない?」
 こう提案するのだった。
「そうしない?」
「いいわね」
 美奈子は華奈子に真剣な顔で答えた。
「お父さんとお母さんもわからなかったし」
「そう言われると余計によね」
「ええ、興味持ったわ」
「あたしもだから」
 華奈子は目をきらきらとさせて言った、興味の対象に向かおうという好奇心と動こうとする意識が出てのことだ。
「だからね」
「ここはね」
「ええ、図書館に行って」
「そこで調べるのね」
「鉄仮面に書いた本で調べて」
「いいわね、じゃあね」
「今から行こう」
 こう言ってだった。
 二人は街の図書館に行って鉄仮面について書かれている本を片っ端から読んだ。だがどの本を読んでもだった。
 鉄仮面の正体についてはっきり書かれた本は一冊もなかった、どれも推察ばかりだった。それでだった。
 華奈子は閉館時間になったところで美奈子に言った。
「ねえ」
「ええ、閉館だから」
「帰ろう、けれどね」
「それでもよね」
「わからなかったわね」
 華奈子は美奈子に難しい顔でこうも言った。
「図書館に行っても」
「本当に誰も知らないみたいね」
「ネットでも調べてみる?」
 華奈子は美奈子に今度はこう提案した。
「そうする?」
「そうしてなの」
「そう、そしてね」
 そのうえでと言うのだ。
「正体突き止めよう」
「ネットでもわかるかしら」
「わからないかも知れないけれど」
「まず調べてみる」
「そうしましょう」
 まずはとだ、こう言ってだった。
 二人は閉館する図書館を後にした、そうして家に帰ってだった。今度はネットで鉄仮面のことを調べるのだった。


第九十四話   完


                 2018・10・3 

 

第九十五話

              第九十五話  ネットでもわからない
 華奈子と美奈子はネットでも鉄仮面について調べてみた、だがそのネットで調べてもどうしてもだった。
 誰だったかわからない、美奈子は華奈子と共に家のパソコンの画面を見つつ曇った顔で華奈子に言った。
「やっぱりね」
「ええ、わからないわね」
 華奈子が困った顔で応えた。
「何をどう調べても」
「フランス語や英語で書いてるっぽい文章もあるけれど」
「あたし達どっちの言葉もね」
「わからないから」
 だからと言うしかなかった。
「どうしようもないわ」
「というか多分ね」
 美奈子は自分の隣に椅子を持って来て座っている華奈子に話した。
「どっちの言葉でもね」
「わからないっていうのね」
「ええ、間違いなくこの人だっていうことはね」
「書かれていないの」
「確かな証拠を出して」
 そのうえでというのだ。
「そこまで書いている人はね」
「じゃあ日本語で書かれていること通りに」
「そう、わかっていることはね」 
 そのことはというと。
「鉄仮面の正体はわからない」
「それだけなのね」
「そうだと思うわ」
「じゃあ学校の先生に聞いても」
「返事は同じだと思うわ」
 小学生達にとっては何でも知っている人の代名詞である先生達でもというのだ。
「結局ね」
「返事は一緒なのね」
「これまで私達が調べた通りにね」
「完全に謎なのね」
「多分ね」
「多分?」
「当時かなり重要な人だったとは思うけれど」
 このことは間違いないというのだ。
「やっぱりね」
「それはそうよね」
「厳重な警護というか監視と対応だったから」
「そのことはよね」
「間違いないけれど」
 それでもというのだ。
「正体はね」
「結局誰も知らないままってことね」
「そうみたいね」
 美奈子はがっかりした顔で自分と同じ顔になっている華奈子に述べた。そうしてここで下から母がお風呂と言ってきた。


第九十五話   完


                 2018・10・10 

 

第九十六話

                第九十六話  お風呂の中での話
 華奈子と美奈子はいつも通り二人で一緒にお風呂に入った、そうしてお互いの身体を洗った後で湯舟の中に向かい合って入ったが。
 華奈子は美奈子に湯舟の中でこう言った。
「結局鉄仮面が誰かわからなかったけれど」
「残念なことにね」
 美奈子は苦い顔で応えた。
「そうだったわね」
「ええ。それでこのことはね」
「これからもっていうのね」
「わからないと思うわ」 
 華奈子は美奈子に話した。
「多分ね」
「そうでしょうね、私もね」
「美奈子もそう思うでしょ」
「ええ。証拠が本当にね」
「何もないからね」
「完全に消されたみたいだから」
 ブルボン王家が完全に消し去ったらしいことは二人も調べていてわかった。
「誰だったか書いていた文章も」
「もうないのよね」
「何処かに行ったみたいだから」 
 鉄仮面の正体について書かれたそれがだ。
「だからね」
「もうね」
「鉄仮面の正体はこれからも」
「はっきりとはわからないわね」
「推理の域でしょうね」
「推理ね」
「この人だろうっていう推理は出来ても」
 それでもというのだ。
「はっきりしたことはね」
「これからも言えないで」
「それでね」
「最後の最後まで」
「わからないで」
 それでというのだ。
「終わりでしょうね」
「そうなるわね、華奈子の言う通り」
 美奈子は湯舟の中で華奈子のその言葉に頷いた。
「新しい証拠が発見されないと」
「それも確かな」
「そうでもないと」
「わからないままね」
「そうした証拠も出そうにないし」
 美奈子はそう感じていたが華奈子もだ、二人共鉄仮面のことについての考えは何処までも一致していた。
「だからね」
「このままね」
 わからないままだとだ、言うしかなかった。二人は身体が温まった後で髪の毛を洗って身体を拭いてから服を着てお風呂場を後にした。


第九十六話   完


                 2018・10・10 

 

第九十七話

第九十七話  次の興味の対象
 鉄仮面の正体はわからないままだったので華奈子も美奈子も諦めることにした、だが文学への関心は止まらず。
 華奈子は美奈子に今度はこんなことを言った。
「ねえ、小公子と小公女って書いた人同じよね」
「ええ、そうよ」
 美奈子はその通りだと答えた。
「三銃士と巌窟王の作者さんも同じだし」
「デュマでね」
「ああ無情、嵐の九十三年、ノートルダムのせむし男もね」
「ユゴーで」
「有名な作品でもね」
「どの作品とどの作品が同じ人が書いたのか」
「それを頭に入れるのも面白いと思うわ」
 こう華奈子に言うのだった。
「それで小公子と小公女はね」
「作者さん同じね」
「両方共主人公が苦労するけれど」
 特に小公女が有名だ。
「最後はハッピーエンドよ」
「そうよね、ただね」
「ただ。どうしたのかしら」
「小公女読んでると」 
 華奈子が読んだのは小学生向けの意訳だがそれでも言うのだった。
「物凄く腹立つわね」
「ええ、ミンチン先生とかね」
「あの先生とラビニアはね。料理人の夫婦も」
 その彼等もというのだ。
「物凄くね」
「腹立つでしょ」
「私もよ」
「セーラが落ちぶれたら掌返しして」
 そうして徹底的にいじめてというのだ。
「あの先生読んでたらね」
「絶対に許せないって思ったのね」
「思わない筈ないじゃない」
 華奈子は美奈子に怒りを剥き出しにして言い切った。
「あんな人あたしだったらね」
「もう見ただけでよね」
「飛び出そうよ」
 怒りでミンチン先生に向かうというのだ。
「只でさえ弱い者いじめ嫌いなのに」
「華奈子だったら絶対にそうするわね」
 美奈子も納得することだった。
「私もそうよ」
「やっぱりそうよね」
「こうしたところ姉妹ね」
 ああした人間を許せないところがとだ、美奈子は華奈子にくすりと笑って述べた。そうしてだった。
 二人で小公女をまた読んだ、最後はほっとしたがその途中の展開には二人共あらためて怒りを感じた。


第九十七話   完


                    2018・10・17 

 

第九十八話

               第九十八話  怒った結果
 華奈子も美奈子も小公女を読んでミンチン先生達に怒りを禁じ得なかった、それで華奈子はまた美奈子に言った。
「ああした人間がいるってね」
「絶対にね」
 美奈子もこう答えた。
「私達二人共同じ気持ちね」
「許せないわよ」
 華奈子もまた言う。
「あんな最低な人学校の先生にいるのね」
「いるかも知れないわね、実際に」
 美奈子はその可能性を否定せずに述べた。
「そうしてね」
「あんな最低なことするのね」
「アニメでもあるらしいけれど」
「小公女が」
「ミンチン先生達物凄く嫌われてたらしいわ」
「当然よね、根っからの悪人だから」
 特に華奈子がこう思っている。
「誰だってね」
「そう思うわね、それでブーイングが殺到して」
 アニメの放送中にキャラクター達に対してだ。
「演じている声優さん達もね」
「嫌われたの」
「もう抗議どころか嫌がらせの手紙とか送りものが殺到して」
「嫌がらせの送りものって」
「カミソリとかゴミとか虫とかの死骸とか縄とか」
「縄?」
 華奈子はこれを送りつける理由はわからず美奈子に聞き返した。
「何で縄なの?」
「これで首吊れっていう」
「そんなの送るって何よ」
「酷いわね、周りからも色々言われて」
「それ演じている人達大丈夫なの?」
「ミンチン先生役の人とラビニア役の人かなり参ったそうよ」
「そりゃなるわよね、三ヶ月抗議だったら」
 華奈子は今のアニメの多くの放送期間から述べた。
「これが半年だったらあたしだったら役降りるわ」
「その作品一年だったわ」
「一年って」
 華奈子もこれには唖然となった。
「声優さんも大変ね」
「お二人共こうした役は二度としたくないって言われたそうよ」
「あたしみたいに怒る人一杯いたらね」
 放送当時はそうなるだろうとだ、華奈子もわかった。
「それで抗議の手紙とか書きまくったら」
「嫌になるわね」
「そうならない方がおかしいわね」
「私もミンチン先生達大嫌いだけれど」
「アニメとかで演じるとなると」
「その人達にとっては大変みたいよ」
 所謂ファン達からのヘイトがこれ以上ないまでに殺到するからだ、華奈子と美奈子は小公女を読んでそうしたことも理解したのだった。


第九十八話   完


                2018・10・17 

 

第九十九話

                第九十九話  同じことはしない
 華奈子と美奈子は小公女のことを話しているうちにいじめとそれを行う者達への激しい嫌悪を感じた、だが。
 その中でだ、華奈子は美奈子にこうも言った。
「確かにいじめはよくないけれど」
「いじめを止めることはいいけれど」
 美奈子も華奈子の言うことを察して述べた。
「それでも同じことはね」
「したら駄目よね」
「いじめを止めることはいいけれど」
「その人を徹底的に攻撃とかしたら」
「同じよ」
 まさにというのだ。
「いじめをしている人達と」
「本当にそうよね」
「だからね」
「そこはよね」
「いじめはしている人を止める」
「それで終わるべきね」
「それ以上やったら」
 美奈子は自分にも華奈子にも戒める顔と声で述べた。
「本当にね」
「いじめを行う人達とね」
「何も変わらないから」
 自分が嫌っている彼等と、というのだ。
「だからね」
「するものじゃないわね」
「そうよ」
 美奈子の声は強いものだった。
「そうしたことはね」
「私いじめ嫌いで許せないけれど」
「若しアニメの演じている人達、声優さん達がされた様なことしたら」
「ミンチン先生達とどう違うのか」
「そうよ。ミンチン先生が嫌いなら」
 それならというのだ。
「ミンチン先生と同じことはしない」
「ミンチン先生を徹底的に攻撃するんじゃなくて」
「同じことをしないの」
 それが大事だというのだ。
「何があってもね」
「そうよね。けれど沢山の人が」
「ミンチン先生を実際に見たら」
 その時はというと。
「徹底的に攻撃するわね」
「ミンチン先生と同じことをしたら」
 自分が嫌って否定する相手と同じ行為即ちいじめを行ってしまうというのだ。
「もうね」
「自分が嫌になるわね」
「そんなことをしたら」
 二人はこのことにも気付いた、嫌いな相手にその相手がしたことを加えると全く同じだとだ。このことに気付いたのだ。


第九十九話   完


                   2018・10・24 

 

第百話

                 第百話  苦労の末に
 華奈子も美奈子も小公女を最後まで読んだ、そのうえでセーラが最後は救われたことにほっとした。
 それでだ、華奈子は美奈子に言った。
「セーラは日頃の行いがよかったからかしら」
「それで最後は救われたっていうのね」
「ダイアモンド鉱山の主になって」
 インドの方のだ、それでセーラは救われるのだ。
「そうなったのはね」
「セーラの心がよかったか」
「だからかしら」
「そうかもね。ミンチン先生も何だかんだで救われたけれど」
 学園が破産して破滅しそうになったがだ。
「あの先生はずっと後悔するでしょうね」
「自分の嫌な面を見させられて」
「それに気付かさせられてね」
 華奈子は厳しい口調で言った。
「後は大変でしょうね」
「お母さんも言ってるわね」
 美奈子もまた厳しい顔で話した。
「人が一番悲しい時、辛い時は自分の嫌な面を見させられた時って」
「ミンチン先生はそれを見させられたのね」
「これって凄く辛いわよね」
「自業自得にしても」
 それでもとだ、華奈子も頷いて答えた。
「それでもね」
「残酷な結末ね」
「ええ、けれどセーラは」
「シンデレラみたいにね」
 美奈子は辛い立場からお姫様になれたことにセーラとシンデレラに共通するものを見ていた、セーラは返り咲いたとなるが。
「幸せになれたわ」
「そうよね、それで凄いのは」
「セーラはミンチン先生に仕返しをしなかった」
「仕返し出来たのに」
「けれど仕返しをしても誰も責めないけれど」
 ミンチン先生達がセーラニしたことを考えるとだ。
「けれど同じになってたわね」
「ミンチン先生達と」
「だからセーラは凄いのよね」
「そうした人だから幸せに戻れたのかしら」
「元々心が奇麗だったから」
 それで神様も応えたというのだ。
「そうなのかしら」
「そうかもね」
「大変な苦労をしたけれど」
「最後は救われたのよ」
 その徳、人間としてのそれに神様が応えたというのだ。
「日頃の行いの結果」
「そうかも知れないわね」
 美奈子は華奈子のその言葉に頷いた。
 そうして塾でもその話をするのだった、小公女はむしろ三銃士以上に二人に影響を与えていると言えた。


第百話   完


                  2018・10・24 

 

第百一話

                第百一話  五人に聞くと
 華奈子と美奈子は学校の昼休みに他の魔女の面々と一緒になったのでそこで五人にも小公女について聞いた。
 するとだ、すぐに赤音が眉を顰めさせて言った。
「私ミンチン先生大嫌いだから」
「私もよ」
 美樹も眉を顰めさせて言う。
「ああした人はね」
「許せないわよね」
「ええ、ラビニア達も料理番の夫婦も」
「セーラはいい人過ぎるわよ」
「お嬢様に戻ったならね」
「何で仕返ししないのよ」
「そうよね」
「うちもそう思うわ」
 亜美も二人と同意見だった。
「あそこまでされたら自分がセーラの友達でも」
「仕返しするわよね」
「それも徹底に」
「さもないと気が済まへんわ」
 亜美は本気で言った。
「それこそな」
「ミンチン先生って酷い人だと思うわ」
 春奈も自分の意見を述べた。
「セーラがお金がなくなったら掌返しをしてあんなにいじめて」
「だったらね」
「お嬢様に戻ったらよ」
「こっちの番よね」
「普通そうなるわ」
 まさにとだ、春奈も言うのだった。
「大抵の人がね」
「怨みは忘れろっていうけれど」
 梨花もどうかという顔で述べた。
「あんなことされたら」
「許せないわよね」
「そうなるのが普通よ」
「ううん、あたし達はセーラがお嬢様に戻れてよかったってね」
「そう思っただけだけれど」 
 華奈子と美奈子は自分達の考えを述べた。
「そこまでは考えたけれど」
「皆あたし達以上にあの先生達に怒ってるわね」
「あんな酷い人達許したら」
 特に言うのは赤音だった。
「また同じことするでしょ」
「セーラみたいな人が出て来たら」
「だったら二度と悪事出来ない位にしてやるのよ」
「復讐するのね」
「ええ、これ以上はないまでにね」
 そこまでにというのだ。
「してやらないとね」
「駄目ってことね」
「私はそう思うわ」
 赤音だけでなく他の面々も同じ考えだった、いじめる面々に純粋な怒りを感じていたのだ。


第百一話   完


                 2018・10・28 

 

第百二話

                    第百二話  復讐は
 赤音は華奈子に強い声で言った。
「復讐位いいじゃない」
「それも徹底的な」
「セーラあんなことされたのよ」
 酷いいじめを受けたからというのだ。
「だったらね」
「やり返してもなのね」
「当然の権利でしょ」
「うちやったら自分がやられたら倍返しどころか
 亜美が言うには。
「いじめを糾弾するサイトあるから」
「そこになのね」
「通報したるわ、そうしたら糾弾する人達が大挙して学校に押しかけてきて」
 ミンチン先生が経営している破産寸前の学院にだ、この先生はお世辞に経営能力はあるとは言えなかったのだ。
「そうしたらや」
「ミンチン先生達は報いを受けるのね」
「セーラが友達でも通報してるわ」
 そうしたサイトにというのだ。
「それで地獄見せたるわ」
「悪人には報いがあるべきでしょ」
 美樹も厳しい声で言う。
「何があっても自業自得よ」
「私はそこまでは思わないけれど」
 七人の中で一番大人しく温厚な春奈はそう思うが。
「けれど悪い人達よね」
「正直セーラはいい人過ぎるわ。そりゃずっとお嬢様に戻ったセーラと対するのは辛いわよ」
 梨花は日本のドラマの方の小公女の話をした。
「自分がいじめていた相手、自分が弱くて醜かった姿をずっと見させられるのはね」
「それって凄く酷い報いじゃない?」
 華奈子もそのドラマの話に応えた。
「殺されたりするよりも」
「そうかしら」
「だって。自分の嫌な姿をずっと見させられるのよ」
 華奈子は目を顰めさせて言った。
「しかも自分に何もしないしかもお嬢様に戻ったセーラから」
「自分がいじめていた相手から」
「あたしだったら逃げるわ」 
 自分の醜悪な姿を見ることに耐えられなくてだ。
「皆もそうならない」
「そう言われたら」
「そんなことになったら」 
 五人もそうした状況に自分がなればと思った、それで華奈子に答えた。
「もうね」
「逃げるわ」
「セーラって凄い復讐をしたのかも知れないわね」
 ミンチン先生達にというのだ、自分の醜さや弱さを常に見せるという。華奈子は日本でかつて放送されていたドラマ版の小公女のことから話したのだ。
 美奈子も華奈子の言葉に頷く、そう言われるとその通りだと思ってだ。双子の姉妹の言葉に無言でそうした。


第百二話   完


                 2018・10・28 

 

第百三話

第百三話  我慢出来ないこと
 亜美は小公女についてさらに言った。
「うちほんまあんな人達あかんわ」
「ミンチン先生達みたいな人達は」
「何があっても許せんわ」
 春奈にもこう答えた。
「何があってもな」
「それでなのね」
「若しもや、うちがセーラみたいな目に遭うか」
「お友達がそうされたら」
「もうな」
 その時はというのだ。
「何があってもな」
「許せなくて」
「徹底的にやり返すわ」
「それ私もよ」
「私だってそうよ」
 赤音と美樹もこう言った。
「あんなことされたら」
「友達がされてもよ」
「絶対にやり返すわ」
「何があってもね」
「そうね、私もね」
 リーダーの梨花も言うことだった。
「ドラマのセーラは凄い復讐をしたかも知れないけれど」
「あれ位じゃなのね」
「気が済まないと思うわ」
 加奈子の問いにはっきりと答えた。
「その時はね」
「そうなのね」
「だってね」
「やられたことが酷いから」
「何でも学生時代は苦労したかも知れないけれど」
「それはね」
 華奈子も本を読んだ後でアニメやドラマの小公女について調べてそういったところでのミンチン先生を見てそのことはわかっていた。
「苦学生だったりしてね」
「苦労していても」
「セーラにやったことは許せないから」
「徹底的にやるわ、それでね」
「やるだけのことはあるっていうのね」
「そう思うわ」
 セーラにあそこまですればというのだ。
「そう思ったら」
「そうなのね」
「そう言われると」
 美奈子も反論出来なかった、それで言うのだった。
「そうかもね」
「皆が言うのもその通りかもね」
 華奈子はその美奈子に応えた、そうしてだった。
 七人で小公女についてさらに思うのだった、自分達がセーラかセーラに近いならミンチン先生達にどうするのかを。


第百三話   完


                2018・11・7 

 

第百四話

                第百四話  可哀想な人
 七人で小公女の話を塾でもした、それは塾の授業がはじまる前にしていてその話を教室が入る時に聞いた今田先生は授業がはじまる前に七人に言った。
「小公女のミンチン先生は凄く可哀想な人なんです」
「えっ、可哀想って」
 七人共驚いたが真っ先に声をあげたのは亜美だった、驚きの声だった。
「ミンチン先生がですか」
「はい、とても可哀想な人ですよ」
「あの、セーラにめっちゃ酷いことしてますよ」
 表情も驚きの顔だ、その顔での言葉だった。
「それでもですか」
「はい、酷いことをしてますよね」
「見ていて腹立つ位に」
「そこまでのことをしていてです」
 そうしていてというのだ。
「気付いていないですね」
「そのことがですか」
「とても可哀想なんですよ」
 こう七人に話すのだった。
「自分がそんなことをしていることに気付かない」
「そやからですか」
「とても可哀想です、そして最後に気付かさせられますね」
 小公女の結末でだ。
「そのうえで打ちのめされますね」
「自業自得ですやん」
 亜美は強い声で口をへの字にさせて言った。
「それは」
「ですが自分の醜さと浅ましさを突き付けられるので」
「そうなるからですか」
「とても可哀想な人なのですよ」
「自分のやってることに気付かないで最後に突きつけられて打ちのめされるから」
「こんな可哀想な人はいないです」
 今田先生はこう七人に話した。
「先生も好きな人ではないですが」
「可哀想な人とですか」
「先生は思われていますか」
「そうです」
 華奈子と美奈子にも答えた。
「ああした人の様にはなりたくないとも」
「とても可哀想な人だから」
「だからですか」
「セーラは素晴らしい人ですが」
 それでもというのだ。
「その素晴らしさと対極にある人ですね」
「物凄く浅ましくて嫌な人」
「確かにそんな人は可哀想ですね」
「先生が思うのはこのことです」
 こう七人に話すのだった、先生は七人に教壇から向かい合ってそのうえで彼女達に真面目な顔で話をした。
 そうしてだった、先生は魔法の授業をはじめた。魔法の授業自体は普通のものを普通に行った。小公女の話の後で。


第百四話   完


                  2018・11・7 

 

第百五話

第百五話  誰の悲劇か
 塾での魔法の授業が終わってからだった、華奈子は美奈子と共に家に帰ってすぐに母にこう言われた。
「二人共晩御飯食べたらお風呂に入りなさい」
「じゃあお風呂まで勉強ね」
「そうね」
 二人共すぐにそうしようと思った。
「学校の宿題してね」
「明日の予習と今日の復習もして」
「それでね」
「晩御飯までそうしていましょう」
「ええ、お風呂に入ってからね」
 それからと言う母だった。
「好きにしなさい」
「わかったわ、じゃあお風呂に入った後で」
「漫画読みましょう」
 二人でそうしようと話してだ、そのうえで。
 二人共実際にまずは勉強をした、まずは宿題をしてから予習と復習をしてだった。まだ仕事から帰っていない父以外の三人でだった。
 晩御飯を食べた、この日は焼き餃子に卵を入れた味噌汁に色々な野菜の浅漬けだった。
 そうしたものを食べつつだ、華奈子は美奈子に言った。
「今田先生はミンチン先生が可哀想って言ったわね」
「ええ」 
 美奈子も頷いて応えた。
「そうだったわね」
「あたしどうかなって思ったけれど」
 今田先生のミンチン先生についての考えがだ。
「今考えるとね」
「可哀想な人だって思うのね」
「ええ、自分がとても酷いことしているのに気付かないなら」
 それならというのだ。
「本当にね」
「可哀想だっていうのね」
「それに最後若しセーラが恨んでいたら」
「そうなっていたらね」
「確実に奈落の底に落とされていたから」
 自分が何よりも大事にしていた学園を失ってだ。
「これまで凄く苦労して妹さん育てながら働いて学校通ってたのに」
「そこまでして学園築いたけれど」
「その学園を失っていたから」
 だからだというのだ。
「本当に可哀想になってたわね」
「そうね、自業自得でもね」
「酷いことをしていることに気付かないことも可哀想だし」
「あの最後を見ていたら余計にね」
 まさにというのだ。
「可哀想だったわ」
「そういえばそうね」
「それに読んだ人観た人殆ど全員に物凄く嫌われてるから」
 このことは華奈子達も同じだ。
「やっぱり可哀想ね」
「そうなるのね、確かにね」
 美奈子も否定しなかった、華奈子のミンチン先生への今の考えに。


第百五話   完


               2018・11・16 

 

第百六話

                  第百六話  話が終わって
 華奈子と美奈子が小公女についての会話が終わると母は自分の娘達である二人に対してこう言った。
「はい、お話終わったらね」
「それならよね」
「これからは」
「ええ、食べなさい」
 そうしろと言うのだった。
「いいわね」
「ええ、わかったわ」
「それじゃあね」
 姉妹で母の言葉に頷いた。
「餃子と浅漬け食べて」
「お味噌汁もね」
「全部しっかり食べなさい」
 こう言うのだった。
「食べた後は果物も用意してあるから」
「果物は何なの?」
 華奈子はその果物について尋ねた。
「それで」
「キーウィよ」
 母は華奈子にすぐに答えた。
「それ食べなさい」
「キーウィなの」
 キーウィと聞いてだ、華奈子は複雑な顔になって母に尋ねた。
「熟れてるわよね」
「熟れてるから言うのよ」
 これが母の返事だった。
「だからいいわね」
「ええ、食べるわ」
「キーウィね」
 美奈子は華奈子と違って微笑んでいった。
「それはいいわね」
「美奈子キーウィ好きだしね」
「華奈子もでしょ」
「だからあたしは固いと駄目なのよ」
 キーウィは熟れていないと駄目だというのだ、固いキーウィはそれこそ食べられたものではないというのだ。
「それで言ったけれど」
「それは私もよ」
「美奈子もなの?」
「熟れてないと駄目よ。けれど熟れたキーウィなら」
 それならというのだ。
「何個でも食べたいわ」
「そこまで言うってやっぱりあたし以上よ」
「そうかしら」
「そう思ったわ。じゃあね」
「晩御飯食べたらお風呂に入る前に」
「一緒に食べましょう」
 そのキーウィをというのだ。
「そうしましょう」
「一人二個ずつよ」
 母は数も言った、そうして二人でキーウィも食べるのだった。


第百六話   完


               2018・11・16 

 

第百七話

                 第百七話  入浴中に
 華奈子と美奈子は二人でキーウィを食べた後で洗面所で二人並んで歯も磨いた、もう何も食べることも甘いものも飲むこともしないつもりだからだ。
 それから服を脱いで風呂に入ったが。
 二人で身体を洗いつつだ、華奈子は美奈子に言った。
「ミンチン先生みたいな人だとセーラにね」
「お風呂もよね」
「多分だけれど」
「ええ、満足にね」
 美奈子もこう答えた。
「入らせてないわよね」
「絶対にね。というか」
「というかっていうと?」
「昔の欧州はそんなにお風呂入らなかったから」
「あっ、そんなお話あったわね」
 華奈子もその話を言われて思い出した。
「日本程はね」
「入らなかったから」
「そうだったわね」
「だからセーラは余計にね」
「殆どお風呂入らせてもらわなかったの」
「私達は毎日だけれど」
 母親に入る様に言われているのだ、それは女の子が体臭がきつくてはいけないという母の考えからくるものだ。
「けれどね」
「セーラについては」
「殆どだったと思うわ」
「それも嫌ね」
「他の娘達もそうだったと思うけれど」
 十九世紀のイギリスではというのだ。
「それでもね」
「こき使われていた時は余計に」
「酷かったと思うわ、だからね」
 美奈子は身体が終わると髪の毛を洗いはじめた、華奈子もそうだが美奈子は髪の毛が長いので余計に手間がかかっている。
「セーラは本当にね」
「辛かったのね」
「けれど耐えて」 
 そしてというのだ。
「奇麗な心のままだったのは凄いわね」
「それね、何があってもだったからね」
「挫けなかったわね」
「あれ立派よ、本当に最後は仕返しもしなかったしね」
「そのことがやっぱり一番凄いかしら」
「そうかも知れないわね」
 復讐出来る立場になってもしなかった、それが気高いというのだ。
「セーラは本当のプリンセスでミンチン先生は本当に可哀想な人」
「そうよね」
「見事に正反対ね」
「そう思うとミンチン先生みたいな人にはなりたくないわ」
 二人で髪の毛を洗いつつ話した、二人はここで小公女についての結論を出した。


第百七話   完


                  2018・11・21 

 

第百八話

第百八話  先髪
 華奈子と美奈子は身体を洗った後で髪の毛を洗っていた、そうしている中で美菜子は華奈子を見て言った。
「ねえ、洗ってる時にね」
「シャンプーがよね」
「目に入るかって思うとね」
「石鹸も結構くるけれど」
「シャンプーはね」
 こちらの洗髪料はというのだ。
「痛いわよね」
「石鹸以上にね」
「けれど華奈子は子供の頃からよね」
 自分で身体も髪の毛も洗える様になり母や父に入れてもらうのではなく双子で入る様になる前からのことだ。
「目を開けて洗ってるわね」
「あたしはそれでも平気なのよ」
「目に入るじゃないかって思っても」
「そう思うならね」
 それならというのだ。
「余計にね」
「目を開けてなのね」
「入らない様に注意したいから」
 それでというのだ。
「子供の頃からね」 
「目を開けてなのね」
「洗ってるのよ」
「そうなのね。私はね」
 美奈子は自分のことも話した。
「最近までね」
「目を閉じてたわよね、美奈子は」
「コンディショナーの時までね」
 シャンプーからリンス、そして最後までというのだ。
「そうしていたわ」
「そうよね」
「怖かったから」
 シャンプー等が目に入ることがだ。
「だからね」
「目を閉じてだったのね」
「目に入らない様にしていたの」
「あたしが見て注意するのとは逆ね」
「そうね、入らない様にするのは」
「そこも姉妹で違うわね」
「そうね」
 美奈子は双子の姉妹の言葉にくすりと笑って応えた。
「双子でいつも一緒にいるのに」
「それでもね」
「違うところは違うわね」
「髪の毛を洗う時も」
 その時もというのだ。
 今二人は目を開けて洗っている、だが最近まで違ったというのだ。そうした話をしながら二人で髪の毛を洗ったのだった。


第百八話   完


                    2018・11・21 

 

第百九話

第百九話  博士と文学
 天本破天荒博士の学問はあらゆる分野に及んでいる、それは当然ながら文学に関してもそうである。
 それで今研究室で源氏物語の原語を読みつつ小田切君に言った。
「久し振りに源氏物語の原文を読んでおるがのう」
「博士って文学にも通じてますしね」
「うむ、文学はよい」
 源氏物語を読みながらの言葉だ。
「そこから学べることはまさに宝箱じゃ」
「宝箱みたいに得られるものが多いんですね」
「そうじゃ」
 その通りだと言うのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「今も読んでおる」
「源氏物語を原文で読むとか」
 小田切君は博士に自分の古典の知識から話した。
「普通出来ないですよ」
「うむ、源氏物語は原文で読むとな」
「かなり難しいんですよね」
「日本の古典の中でもな」
 その文章は難解だというのだ。
「だから現代語訳が流行っておる」
「谷崎潤一郎とかですね」
 小田切君はすぐにこの作家の名前を出した。
「田辺聖子や円地文子も書いてますね」
「与謝野晶子もな」
「そうでしたね」
「あと英語訳等もあるが」
 有名な作品なので海外でも紹介されているのだ。
「原文より遥かに読みやすい」
「そうなんですね」
「一度読んでみるといい、わしだからすらすら読めるが」
 実際博士はかなりの速さで読んでいる。
「普通の人には出来んな」
「博士は文学にも強いですからね」
「わからん言語はない」
 博士の知能指数二十万の頭脳の前には言語の壁なぞ何の関係もないのだ。
「だからじゃ」
「それで、ですよね」
「普通に読めてじゃ」
 そうしてというのだ。
「理解出来る、しかし並の人はな」
「原文で読むよりですか」
「試しに英語で読むとよい」
 古典の原文でなく、というのだ。
「ずっと読みやすいぞ」
「それも凄い話ですね」
「それだけ源氏物語の文章は難解じゃ」
 そうだとだ、博士は小田切君に話して。
 源氏物語を読んでいった、そうしつつ小田切君に語るのだった。


第百九話   完


              2018・11・25 

 

第百十話

                第百十話  雅の世界
 博士は小田切君にさらに話した。
「この頃の日本も面白かったわ」
「平安時代のですか」
「この時代は後期の頃じゃな」
 平安時代のというのだ。
「あの時代も長かったからのう」
「そういえば江戸時代より長かったですね」
 俗に七九四年の平安京遷都から鎌倉幕府成立の一一八五年までとされている、実に四百年近いから日本の時代区分では相当に長い。
「それでその長い時代のですね」
「後期じゃな」
「その時代が舞台ですか」
「うむ、わしにとっては懐かしい時代の一つじゃ」
「その頃から博士白衣でしたよね」
「わしの服装は変わらん」
 二百億年前にビッグバンと共に誕生してからだ。
「白のタキシードでな」
「この時代から考えたら違和感凄い恰好ですね」
「西の方の格好と説明してな」
「納得してもらってたんですか」
「そうじゃ、波斯より西の服だとな」
 適当にそうしたことを言ってだというのだ。
「納得させた」
「博士の設定は西域の人でしたか」
「唐や宋でもじゃった」
 中国の王朝に入る時もというのだ。
「そう言ってじゃ」
「納得してもらって」
「過ごしておった、そして活動しておった」
 この頃も博士の行動は同じだった。
「生体実験に破壊活動を行ってな」
「そこは変わらないですね」
「当時は山賊や海賊がどの国にもおったが」
「そうした連中を捕まえたりその場で殺してたんですね」
「そうしておった」
 今はヤクザ者や不良にそうしているがだ。
「当時はな」
「そうでしたか」
「それでじゃ」
 博士は小田切君にさらに話した。
「当時の雅にも通じておるつもりじゃが」
「雅を実体験されてたんですね」
「あの時代におってな、よい文化だった」
「そうでしたか」
「それを忠実に書いておる」
「源氏物語はそこもいいんですね」
「流石は紫式部じゃ」
 こうも言う博士だった。
「生まれた時に話したこともあったぞ、清少納言ともな」
「それ本当ですか?」
「わしは嘘を言わん」
 こう答えた博士だった、ここでまた博士の秘密が明らかになった。


第百十話   完


                2018・11・25 

 

第百十一話

                   第百十一話  今で言うと
 博士は小田切君に源氏物語のことをさらに話した。
「紫式部が書いておったが」
「そのことはもう」
「うむ、一般常識じゃな」
「学校の授業で習います」
 小田切君もこう答えた。
「古典のテストにも絶対に出ます」
「そうじゃな」
「ですから僕も知っています」
「ではあれが小説投稿サイトの小説みたいだったのは知っておるか」
「投稿サイトですか」
「そうじゃ、今多くあるな」
「はい、ネットでは」
 それこそスマホで手軽に投稿出来るし閲覧も出来る。
「僕も読んでいます」
「そうじゃな、しかしな」
「それはですか」
「そうじゃ、源氏物語もな」
「今で言ったらですか」
「小説投稿サイトに投稿してじゃ」
 そのうえでというのだ。
「大人気になったな」
「そうした作品ですか」
「人気になってどんどん書いていったのじゃ」
 作者の紫式部がというのだ。
「そうした作品じゃ」
「そうですか」
「うむ、もっと今風に言うと出版やコミカライズひいてはアニメ化になっておるな」
「そう言うと俗ですね」
「紫式部は宮廷に仕えておったから収入はあったがのう」
 それも摂政、関白となる藤原道長の娘であり中宮定子のお付きであった。宮廷の女御集の中でもかなりの立場だった。
「当時は収入にはな」
「つながらなかったですか」
「完全に趣味で書いておった」
「そう言うと同人誌ですね」
「そうじゃな」
「完全に小説投稿サイトですね」
 小田切君はあらためて思った。
「それだと」
「結局小説というか文学はそうじゃ」
「自分が頼んで書いて」
「そして人気が出る時は出るものじゃ」
「そうして後世に残りますか」
「そうしたものじゃよ」
 博士小田切君にあっさりとした口調で話した。
「残るものは残る」
「人気もですね」
「出る時は出るものじゃよ」
 こう小田切君に話すのだった。
 そのうえで博士は自分からコーヒーを煎れた、キリマンジャロを豆から煎れてそうして美味しそうに飲むのだった。


第百十一話   完


                   2018・12・5 

 

第百十二話

               第百十二話  コーヒーを飲みつつ
 博士は自分が煎れたコーヒーを小田切君のカップを出してそこにも入れてから彼に対して言った。
「さて、コーヒーを飲みながらじゃ」
「お話をですか」
「するぞ」
「じゃあいただきます」
「ではな、それでじゃが」
 博士はあらためて話した。
「紫式部もじゃ」
「楽しんで書いて」
「そうしてな」
「あれだけの作品にしましたか」
「一番凄いのは完結させたことじゃ」
「ちゃんと終わらせたことですね」
「わしも発明は必ず完成させておる」
 実は未完成のものは一度も造ったことがない。
「そうじゃな」
「僕が知っている限りはそうですね」
「この二百億年の間な」
 ビッグバンの時から生きていてだ。
「未完成のまま放っておいたものは一作もない」
「そして紫式部もですか」
「そうじゃ」
 この人類史上最初の女流作家と言われている彼女もというのだ。
「一番凄いことはな」
「完結させたことですね」
「源氏物語もな、そしてじゃ」
 博士は小田切君と共にコーヒーを飲みつつ語った。
「彼はな」
「続編も書いてじゃ」
「宇治十帖ですね」
「それも書いてしかも作品の質も落とさず」
「完結させたことがですね」
「凄い、だからこそじゃ」
 そこまでのことが出来たからだというのだ。
「紫式部は偉大じゃ」
「そういうことですね」
「そして源氏物語もじゃ」
「偉大な作品なんですね」
「その通りじゃ、作品で一番難しいことは二つある」
 博士はコーヒーの苦い味を楽しみつつ小田切君にさらに話した。
「はじめることとじゃ」
「終わらせることですね」
「その二つが出来てこそじゃ」
 まさにというのだ。
「作品じゃ、質も大事じゃがな」
「まずはその二つですか」
 小田切君は博士に問うた。
「はじめることと終わらせること」
「少なくとも源氏物語は終わっておる」
 しっかりと、というのだ。博士は彼が読んだ源氏物語のその悲しいが美しい結末、宇治十帖のそれも思い出しながら小田切君に話した。


第百十二話   完


                   2018・12・5 

 

第百十三話

                第百十三話  未完の名作
 博士は小田切君にさらに話した。
「未完の大作という言葉があるな」
「ですね、文学には」
「そして未完の名作という言葉もあるな」
「そうですよね」
「しかしじゃ、わしが思うにじゃ」
 博士は自分でコーヒーを淹れつつ小田切君に話す。
「それは大作でも名作でもない」
「完結させないとですか」
「作者が死んで未完となるのは仕方がない」
 この場合はというのだ。
「人は必ず死ぬからのう」
「博士は違いますけれどね」
「わしは実は人ではないからのう」
「ビッグバンの頃から生きておられた」
 地球どころか宇宙誕生の頃からだ。
「そりゃ人間じゃないですね」
「様々な宇宙の星達を巡って今は地球におる」
「大体一万年位前からですね」
「そうじゃ、しかしわしは置いておいてじゃ」
 人間ではない自分自身はというのだ。
「あえて言うがな」
「はい、人間はですね」
「必ず死ぬ」
 このことは絶対のことである、人間だけでなく普通の生ある存在はその最期は必ず来る。それが死なのだ。
「そうなる、だからじゃ」
「作者の人が死んでの未完はですね」
「これは仕方がない」
 こう言うのだった。
「それはな、しかしな」
「放り出しての未完は」
「創作者として失格じゃ」
 博士は自分の考えを述べた。
「それはな、それで未完ならな」
「大作でも名作でもですか」
「ない」
 博士は断言した。
「人生も未完の人生はあるか」
「それはないですね」
「そうじゃな、だから作品はな」
「未完だとですか」
「未完は未完でじゃ」
 それに過ぎず、というのだ。
「どれだけ面白くても芸術性が高く感動してもな」
「大作でも名作でもないですか」
「そうなのじゃ。だから作品を書いたなら」
 それをはじめたならというのだ。
「作者は完結させねばならん」
「それが作者の義務で」
「大作も名作も出来るのじゃ」
 完結させてこそ、というのだ。博士は小田切君に話した。


第百十三話   完


               2018・12・12 

 

第百十四話

                第百十四話  作者の義務
 博士はコーヒーだけでなくマカロンも出した、そしてそのマカロンの味も楽しみつつ小田切君にさらに話した。
「作者が飽きることもあるが」
「人間やっぱりありますね」
「しかしな」
「飽きたからといってもですね」
「作品を放り出して未完にしておくことはな」
 このことはというと。
「やはりな」
「作者失格ですな」
「そうなる、作品が泣く」
 博士はここでもはっきりと言い切った。
「だからじゃ」
「書きはじめたならですか」
「商業誌だと打ち切りもあるが」
「例え打ち切りでもですか」
「終わらせねばじゃ」
 やはりそうしなければというのだ。
「ならんのじゃ」
「それが作者の義務なんですね」
「揺るぎないな、だから若しも小田切君もじゃ」
 小田切君自身にも言うのだった。
「小説なり漫画を執筆するとな」
「最近どっちも投稿サイトありますしね」
「やはりじゃ」
「完結させてこそですか」
「作品でな」
「創作者ですか」
「時折多く書くが一作も完結させておらぬ作者もおる」 
 世の中そうした作者もいるのだ。
「スランプで書けないのならそれはやはり仕方ないが」
「飽きたとかいう理由で放り出すと」
「失格じゃ、またスランプもな」
 これもというのだ。
「理想を言うとな」
「乗り越えないといけないですか」
「わしはスランプは感じたことがない」
 博士の場合はそうだった。
「知能指数二十万の頭脳にはその様なものはない」
「まあそれだけあればですな」
「それにはならんが」 
 それでもというのだ。
「しかしじゃ、スランプになってもと思う」
 博士はさらに言った。
「人間は苦難を乗り越えるものだからスランプもな」
「乗り越えるべきですか」
「そうするのが理想じゃ、それでじゃ」
「作品は何があっても完結させる、ですか」
「そうでなければならん」
 博士は小田切君に持論を述べた、そうして彼にもマカロンを勧めて食べさせるのだった。今は文学モードの博士だった。


第百十四話   完


                  2018・12・12 

 

第百十五話

                第百十五話  死ぬことによって
 博士は小田切君と共にコーヒーをマカロンを楽しみながらさらに話した、今度はこんなことを話した。
「ノヴァーリスを知っているか」
「確かドイツの作家ですね」
「うむ、青い花を書いていたが」
「名前は聞いてますけれど」
 小田切君は博士にどうかという顔で応えた。
「どんな作品ですか?」
「ワーグナーのタンホイザーからヒントを得た作品でな」
 それでというのだ。
「作品もその流れに近い」
「そうだったんですか」
「主人公の名前がタンホイザーの名前じゃ」
「タンホイザーっていうんですか」
「いや、ハインリヒ=フォン=オフターディンゲンという」
 博士は日本人にしてみればいささか長い名前を出した。
「タンホイザーの本名じゃ」
「そういえばそうでしたね」
「そうじゃ、タンホイザーの本名はな」
 ワーグナーの作品の中でもだ。
「その名前であってな」
「何かワーグナーっていいますと」
 小田切君は自分のワーグナーのそのイメージを述べた。
「凄く長い感じがしますが」
「大長編じゃな」
「そうなんですか?やっぱり」
「いや、別にそこまで長くない」
 博士は小田切君にこのことは断った。
「確かにワーグナーの作品は長いものが多いがな」
「ニーベルングの指輪なんて上演に十五時間かかりますからね」
 四日かけて上演してだ。
「タンホイザーも長いですし」
「三時間はかかるからのう、上演に」
「はい、ですがその青い花は」
「長くない、というよりかな」
「ひょっとして」
「今の話の流れならわかるであろう」
「未完ですか」
 小田切君も察して応えた。
「そうなったんですか」
「うむ、恋人がこの世を去ってな」
「気落ちしたんですか」
「どうもそこから結核が悪化したらしい」
「ああ、当時結核になったら死にますからね」
 助からない病だとだ、小田切君も知っていた。
「だからですか」
「未完となって終わった、わしは当時読んでおってな」
 博士は残念な顔で述べた。
「第二部の完結を楽しみにしておったが」
「それはなかったんですね」
「永遠にな」
 博士はこう話した、青い花の未完は博士にとっても非常に残念なことであったのだ。言葉の色にもそのことが出ていた。


第百十五話   完


                  2018・12・19 

 

第百十六話

                第百十六話  人間的成長は
 博士は小田切君に真剣な顔で話した。
「言っておくがわしは人間もあらゆる生物も嫌いではない」
「小悪党が嫌いでもですね」
「生物自体は嫌いではない、小悪党以外を不必要に殺したことはない」
 小悪党は不必要に殺している。
「滅ぼしたこともない」
「博士のポリシーに反するからですね」
「そうじゃ、わしはあくまで小悪党を殺すだけじゃ」
 遊びで殺したり生体実験の素材にしてだ。
「それ以外はせん」
「決してですね」
「うむ、そして人間が生み出した芸術も愛しておる」
「だから文学にも親しまれていますね」
「左様、それで青い花もじゃ」
 ノヴァーリスの青い花もというのだ。
「読んでおったが」
「作者が死んだらどうにもならないですね」
「構想はわかっておるがな」
「そうなんですか」
「作者がそうしたことを書いた文章を残しておる」
 そうしたものが残っていてというのだ。
「だからじゃ」
「どういった展開になるかはわかってるんですね」
「作品自体が終わっておらんから実際はわからぬが」
 執筆中に作品の展開が作者の当初の構想から違ってくることはよくあることだ、日本では週刊少年ジャンプの作品は心霊推理から格闘漫画に変わったことがある。
「しかしな」
「構想から推察されますか」
「うむ、しかし終わっておらぬ」
「そのことは厳然たる事実で」
「わしは今も残念に思っておる」
「それは残念ですね」
「誰か続編を書いて欲しいが」
 博士はこうも言った。
「金色夜叉の様にな」
「作者は違っても終わることは事実ですからね」
「曲がりなりにと言ってもよいが」
 それでもというのだ。
「終わることは事実じゃ」
「やっぱり作品は簡潔させないと駄目ってことですね」
「完結させてこそ作品は眠れるのじゃよ」
「安らかにですか」
「そして幸せに生きられるのじゃ」
 作品としてそうなるというのだ。
「だから大事なのじゃ」
「そうですか」
「うむ、だから青い花は残念でじゃ」
「誰かが完結させて欲しいですか」
「最近の日本のライトノベルの様にな」
 作者の志を継ぐ人が出て、というのだ。作品は十九世紀だが二十一世紀になっても思う博士であった。


第百十六話   完


                   2018・12・19 

 

第百十七話

                  第百十七話  終わらせてこそ
 博士は小田切君にさらに話した。
「とにかく文学も絵画も彫刻もな」
「全てですね」
「完結、完成させてな」
「そうしてこそですね」
「その作品に命が宿るのじゃ」
「命がですか」
「そうじゃ、宿るのじゃ」
 そうなるというのだ。
「人は生まれた時に命が宿るが」
「小説とかはですね」
「完結、完成した時にじゃ」
 まさにその時にというのだ。
「命が宿るのじゃ」
「そうしたものなんですね」
「だから青い花もまだ命が宿っておらんしのう」
「他の作品もですね」
「夏目漱石の明暗にしてもな」
 この作品も未完である、他ならぬ漱石が持病の胃潰瘍を悪化させてしまって急死してしまったからだ。あと少しで完結というところでそうなってしまったのだ。
「命が宿っておらん」
「それじゃあ絵になりますが」
 この分野のことからだ、小田切君は話した。
「モナリザは」
「ダ=ヴィンチ自身が言っておるな」
「未完だって」
「わしもあれは未完とは思えぬが」
「作者がそう言うのなら」
「未完であろうな」
 博士は首を捻って考えつつ述べた。
「命が宿っておらん」
「そうなるんですね」
「うむ、完成している様に見えるが」
「何処が未完成か」
「あれはわからんな、色々と言われておる作品じゃが」
 その不思議な目が笑っていない微笑みやモデルになった人物が一体どういった人物かであることもだ。
「それでもな」
「あの作品も命はですか」
「宿っておらんな、そして文学に話を戻すが」
「完結させることがですね」
「やはり第一じゃ」
 何といってもというのだ。
「どの様な作品でもな」
「一旦書きはじめたらですね」
「完結させることが作者の義務であるからのう」 
 博士はマカロンを口の中に入れつつ述べた。
「まさにな」
「完結させて命を与える」
「そこはしてもらいたいものじゃ」
 作者にはとだ、博士は真剣に言った。そしてそのうえで今度はコーヒーを飲んだ。甘いものも飲みものも楽しんでいた。


第百十七話   完


                  2018・12・26 

 

第百十八話

               第百十八話  作者の義務
 博士は自分と同じくコーヒーとマカロンを楽しみながら自分の話を聞いている小田切君にさらに話した。
「わしが開発した兵器を必ず完成させるのと同じじゃ」
「小説もですね」
「筆を持って文字を書きはじめるとな」
「ネットだとキーボードを叩いてですね」
「書きはじめたならな」
 その作品をというのだ。
「必ずじゃよ」
「完結させて」
「命を与えねばならんのじゃ」
 このことは絶対だというのだ。
「何度も言うが作者の義務じゃ」
「じゃあほったらかしで未完にするのは」
「よくない、読者がどう思う」
 博士はこうも指摘した。
「一体な」
「確かに。読んでる人にとっても」
「困ったことじゃな」
「はい、本当に」
「読者のことも考えてじゃ」
 そのうえでちいうのだ。
「最後の最後まで書いてじゃ」
「完結させることは義務ですね」
「例えどんな形でもな。人気がなくとも飽きてもな」
 そうした作品でもというのだ。
「やはりじゃ」
「完結させてそうして」
「命を与えねばならん」
 絶対にというのだ。
「そこはよいな」
「僕が書いてもですね」
「うむ、励むことじゃ」
 作品を完結させ命を与えることにというのだ。
「絶対にな」
「そうしないと駄目ですね」
「小田切君も頼むぞ」
 そのことはというのだ。
「まことにな」
「努力します」
 小田切君もこう博士に答えた。
「そのことは」
「ではな。しかしまことにじゃ」
 今度は苦い顔で言う博士だった。
「青い花は誰か完結させてくれぬか」
「ドイツで誰か書いてませんかね」
「金色夜叉はまだいいのじゃ」
 尾崎紅葉自身は簡潔させられなかった、だが後世に紅葉の志を受け継ぐ形でこの作品を完結させた作家が出てだ。
「全く、別の作家でもな」
「作品を完結させるべきですね」
「青い花もな」
 またこの作品を話に出す博士だった、博士の文学に向けている気持ちは少なくとも真剣なものだった。


第百十八話   完


                  2018・12・26 

 

第百十九話

               第百十九話  話の後で
 小田切君は博士と話した日の夜だった、トレーニングと入浴を終えてタロとライゾウに対して言った。
「今日はここに泊まるよ」
「そうするんだ」
「それで休むのかよ」
「うん、これからここでじっくりと飲むからね」
 それでというのだ。
「そうするよ」
「小田切さん結構ここに泊まるよな」
 ライゾウは小田切君が座ってテーブルの上に座っている、タロは下に寝そべっている。そしてその上から小田切君に言うのだった。
「飲む時とか」
「うん、結構居心地いいからね」
「だからかよ」
「起きたらすぐに仕事にかかれるし」 
 このこともあってというのだ。
「博士も何も言わないし」
「博士って小悪党は殺すけれど基本寛容だからね」 
 タロも小田切君に話した。
「小田切さんにも言わないね」
「基本傍にいればいいからね」
 それが博士の助手の仕事だ。
「雑用とか突っ込みしれたらいいから」
「うん、だからね」
 それでというのだ。
「本当に無茶苦茶な人だけれど」
「軍隊に喧嘩も売るしね」
「危険な兵器の開発もするし」
 大量破壊兵器の開発と製造は小悪党の虐殺と彼等への生体実験と並ぶ博士の趣味だ、尚博士が二百億年の間に殺した者の数は二億人に至る。
「とんでもない人だけれどね」
「それでもだね」
「うん、僕達には何も言わないから」
「給料も高いし」
「福利厚生もしっかりしてるから」
 実は博士は雇い主としてはホワイトなのだ。
「いいんだよね」
「そうだよね」
「雇われる側ではね、それで今日はね」
 小田切君は二匹にあらためて話した。
「飲んでそしてね」
「ここに泊まるんだな」
「そうするのね」
「そうしてね」
 そしてと言うのだった。
「ここで寝るから」
「ああ、じゃあな」
「ゆっくりと休もうね」
 ライゾウとタロは小田切君に応えた、そしてだった。
 小田切君は酒と肴を出した、そのうえで飲み食いをはじめた。


第百十九話   完


               2019・1・2 

 

第百二十話

               第百二十話  飲みながら話す
 小田切君は酒は濁酒、肴は梅を出した。そうして甘い濁酒と酸っぱい梅の両方を楽しみつつタロとライゾウに言った。
「今日博士から文学の話を聞いたけれど」
「ああ、博士ってどんな学問にも興味あるからな」
「文学にもなんだよね」
 二匹も小田切君に答えた、小田切君の飲み食いを見ながら。
「日本だけじゃなくて海外の文学に詳しいよ」
「それも全般的にな」
「もうそれこそ古今東西のに詳しいから」
「話していて凄いだろ」
「うん、それで博士が言われるには」
 小田切君は湯飲みに濁酒を入れつつ話した。
「小説とかは完結しないと駄目だって言ってたよ」
「ああ、博士って兵器もそうだよな」
 ライゾウは小田切君の言葉に右の前足を出して応えた。
「絶対に完成させるよな」
「小説でも絵でも彫刻でもね」
「完成させないと、ってか」
「言ってたよ」
「それな、博士のこだわりだろうな」
「僕もそう思うよ、博士ってこだわりの人だから」
 タロも小田切君に話した。
「それでね」
「完成させないとだね」
「駄目だって言うんだよ」
 こう小田切君に話した。
「本当にこだわってね」
「それでだね」
「それで今日小田切君にも話してたんだ」
「コーヒーとマカロン楽しみながらね」 
 小田切君はその時に博士と一緒に飲んで食べたものの話もした。
「そうしながらね」
「そうだったんだ」
「とにかく完結にこだわっていたよ」
「小説についても他の分野でも」
「そう、完結させないと命は宿らない」
 博士のこの言葉も出した。
「そう言ってたよ」
「命が宿る、だね」
「生きものは生まれた時に命が宿って」
「作品は完結したら命が宿る」
「だから一旦小説を書いたら」
 その時はとだ、小田切君は濁酒をさらに飲みつつ話した。
「作者は絶対に作品を完結させないといけないってね」
「それそうそう出来るかな」
「難しいけれどしないといけないってね」
「博士は言ってたんだね」
「そうなんだ」
 小田切君は梅干しも食べた、その酸っぱさが酒を飲みたくさせる。
 そうしてさらに飲みつつだ、二匹にさらに話していった。


第百二十話   完


                2019・1・2 

 

第百二十一話

              第百二十一話  上杉謙信もまた
 小田切君は濁酒と梅干を楽しみつつタロとライゾウに話していく、彼はその中で気付いたことがあった。
「そういえば濁酒と梅干って」
「いい組み合わせだよな」
「すっきりしていてね」
「うん、上杉謙信さんの飲み方だよ」
 日本で知らぬ者はいない偉大な戦国大名である。
「武田信玄さんと戦ったね」
「あの人酒好きだったな」
「それで有名だよね」
 タロとライゾウもこのことはよく知っている、それで言うのだった。
「毎日飲んでいたよね」
「毎晩だったってな」
「出陣してもお酒を飲んでいて」
「毎晩かなり飲んでいたよな」
「あの人がこの飲み方だったよ」
 小田切君はまた二匹に話した。
「当時のお酒は濁酒でね」
「それで肴は梅干しか」
「この組み合わせで飲んでいたんだ」
「そうみたいだよ、梅干しだけじゃなくてお塩だった場合もあるよ」
 その肴はというのだ。
「けれど梅干しをよく肴にしていてね」
「今の小田切君みたいにだな」
「飲んでいたんだね」
 二匹も小田切君の言葉に頷いて応えた。
「酒好きなのは知っていたけれどな」
「何を肴とかは考えていなかったよ」
「縁側に座って」
 そしてというのだ。
「毎晩飲んでいたっていうね」
「一人お庭やお月さんを観ながら飲んでたか」
「風流だね」
「それで漢詩にも読んでたね」
 謙信は詩人でもあったというのだ。
「風流さもあった人なんだね」
「酒の飲み方もそうだしな」
「漢詩を詠むのもいいね」
「そうだね、僕は文学は読むだけだけれど」
 それでもとだ、小田切君は二匹に飲みつつ話した。
「今謙信さんと同じ飲み方だね」
「そうして文学を語るっていうのもな」
「面白いね」
「そうだね、しかしこの飲み方は」
 梅干を肴に濁酒を飲むそれはというと。
「幾らでも飲めそうだよ」
「ああ、けれど飲み過ぎには注意しなよ」
「それには注意だよ」
「わかってるつもりだよ」
 こう言いつつも飲む小田切君だった、酒はどんどん進み止まる気配は一行に存在しなかった。


第百二十一話   完


                  2019・1・9 

 

第百二十二話

                第百二十二話  あらためて話すこと
 小田切君が上杉謙信の話からタロとライゾウにあらためて言った。
「それでお話を戻すけれど」
「うん、文学にだね」
「そっちにだよな」
「博士の言う通りかな」
「完結させないと駄目ってやつか」
「どの作品でも」
「うん、完結させてこそね」
 梅干を一粒食べて種を吐き出して皿の上に置いてまた飲む、もう種の数は結構以上のものになっている。
「作品として命が宿るのかな」
「少なくとも完結させないと言われるよね」
「未完の作品ってな」
「それだけで何か悪い感じがするよね」
「終わらせてないってだけでな」
 二匹も小田切君に話す。
「そう考えるとな」
「博士の言う通りかな」
「そう思うと」
 小田切君は飲みつつさらに言った、もう顔は真っ赤だ。
「博士も正論言ってるね」
「確かに滅茶苦茶な人だけれど」
「破天荒極まりないな」
「けれど正論も言うからね」
「あれでな」
 そうした時もあるというのだ。
「博士は普通の人は殺さないしな」
「民間施設には興味ないからな」
「犯罪者は殺しまくるにしても」
「大量破壊兵器とか造るけれどね」
 その為人類最悪のテロリストとされている。
「文学とかそうしたことだと」
「筋が通っていたりするからな」
「そんな人なんだね、博士のところに来て随分経つけれど」 
 それでもと言う小田切君だった。
「最初はこんな無茶苦茶な人いないって思ったけれど」
「実際に無茶苦茶だしね」
「やること為すことがな」
「けれど普通の一面もあるからね」
「支払いはちゃんとするしね」
「そうしたことは守るしな」
 博士は金銭は普通に手に入れている、錬金術等も使ってそうして生活費や研究費を手に入れているのだ。
「小田切君にも給料支払うし」
「僕達の世話も忘れないしね」
「文学論といい実は」
 まさにと言うのだった。
 小田切君は博士はまともな一面もあるのではと思いはじめた、少なくとも只のマッドサイエンティストではないとだ。そのうえでまた酒を飲む。気付けば酒は一升を越えていたがまだ飲もうとしている。


第百二十二話   完


                 2019・1・9 

 

第百二十三話

                第百二十三話  飲み続けて
 小田切君は梅を肴に濁酒を一升飲んだ、その間何回かトイレに行っていたが一升を飲んでもまだだった。
 飲めそうだった、それでタロとライゾウに言った。
「清酒ならここまで飲めないね」
「アルコール度が違うからね」
「それでだよな」
「この濁酒は六パーセントだね」
 アルコール度を見ればそれ位だった。
「清酒の半分以下だよ」
「清酒は十四度か十五度だったな」
 ライゾウが清酒のアルコール度を話した。
「大体ワイン位だな」
「うん、実際それ位だよ」
「そうだよな」
「けれど濁酒はね」
 小田切君が今飲んでいるこちらの酒はというと。
「アルコール度が高いものもあるけれど」
「そうじゃないのもあるな」
「うん、それでこの濁酒はね」 
「六度か」
「これだったらね」
「どんどん飲めるか」
「一升飲んでもね」
 それでもというのだ。
「まだ飲めるね」
「小田切君清酒だと一升が限度だよね」
 タロがこのことを指摘した。
「大体」
「うん、清酒そこまで飲んだらね」
「もうふらふらでね」
「次の日二日酔いだよ」
 間違いなくそうなるというのだ。
「だからね」
「清酒だとこれ以上は飲めないね」
「絶対にね、けれどこの濁酒だと」
「もう一升飲めるね」
「うん、実際に二升目に入ったよ」
 実際にというのだ。
「それで二升目もね」
「全部飲めるね」
「いけるね、甘くて飲みやすいしね」
「小田切君甘口だから」
「そのこともあるし
 それでというのだ。
「飲めるよ」
「それじゃあね」
「もっと飲んでいくよ」
 こう言って実際にだった。
 小田切君はさらに飲んでいった、梅も食べてそうしてだった。
 二升目も飲む、するとその二升目も飲み干してしまった。その時の小田切君の顔は心から満足しているものだった。


第百二十三話   完


                   2019・1・16 

 

第百二十四話

                   第百二十四話  二升飲むと
 小田切君は梅干しを肴に濁酒を二升空けた、その顔は満足しているものだった、だがそれでもだった。
 顔は真っ赤でだ、言葉の呂律もだった。
「ちょっとおかしいかな」
「うん、少しね」
「回ってない感じだな」
 タロとライゾウは小田切君のその言葉を聞いて答えた。
「ちょっとだけれどな」
「何か回ってない感じだね」
「だからもうね」
「今日は寝た方がいいぜ」
「そうだね、じゃあ後片付けをして」
 そしてとだ、小田切君は述べた。
「歯を磨いて寝ようか」
「瓶は台所の端に置いてね」
「明日中洗えばいいさ」
「お皿やお箸は台所に置いて」
「そっちも明日洗いなよ」
 二匹で小田切君にアドバイスした。
「梅干しは冷蔵庫にしまってな」
「後は歯を磨いて寝ようね」
「うん、意識はまだしっかりしてるし」
 それは確かにあった。
「じゃあ今日はここに泊まるよ」
「そうした方がいいね」
「絶対にな」
「もうそれじゃあ長い間歩けないだろうし」
「途中変な奴に絡まれたら終わりだぜ」
 そうしたことも考えられるからだというのだ。
「今日はこっちで寝な」
「そしてまた明日だよ」
「うん、ただ明日起きたら二日酔いかな」
 小田切君は笑ってこうも言った。
「これは」
「だったら朝に汗流しな」
「トレーニングとお風呂でね」
「お風呂は絶対だな」
「トレーニングが無理ならお昼にでもね」
「そうだね、トレーニングルームでのトレーニングは」
 これはとだ、小田切君は後片付けをはじめつつ述べた。
「出来たらだね」
「お風呂は絶対にね」
「あれが二日酔いには一番だからな」
「うん、熱いお風呂に入って」
 湯舟にというのだ。
「その後で冷たいシャワーを浴びてまた湯舟に入る」
「それを繰り返したらね」
「二日酔いなんてあっという間に解消されるからな」
「やるよ、もう今日はすぐに寝るよ」
 葉を磨いてとだ、こう言ってだった。
 小田切君は後片付けの後で歯を磨いた、そのうえで自分のベッドに入ってそれで寝るのだった。


第百二十四話   完


                   2019・1・16 

 

第百二十五話

               第百二十五話  喉が渇いて
 小田切君は朝の五時に起きた、寝たのは十二時位であったが目が覚めた。どうして起きたのかというと。
「喉が渇いて」
「それでかよ」
「そうなんだ」
 丁度台所で会ったライゾウに聞かれて答えたのだ。
「起きたよ、何か今はね」
「頭痛いだろ」
「かなりね」
 実際にとだ、小田切君は答えた。
「だからちょっとね」
「今からだな」
「お水飲んで」
「それからだな」
「ジャージだしね」 
 小田切君はライゾウに自分の今の格好の話もした、小田切君の寝間着はジャージでそれでラフに寝ているのだ。
「トレーニングルームで自転車漕いでね」
「汗かくんだな」
「千キロカロリー位消費しようかな」
「それ位だと汗もかなりかくよな」
「何なら千五百でもいいし」
「自転車好きだな」
「サイクリング好きなんだ」
 それでとだ、小田切君はライゾウに答えた。
「だからね」
「あれだとそこまで身体動かせるんだな」
「それでね」
「風呂入るんだな」
「そうするよ」
「まあそれだけやったらな」
「二日酔いは解消されてるよね」
 ライゾウに三杯一気に水を飲んでから言った、すると少しであるが二日酔いが解消されてきた。そのことを実感しつつの言葉だ。
「もう」
「そうだろうな」
「お風呂でサウナにも入って」
「湯にも入るな」
「もうとことん汗をかいて」
 そうしてというのだ。
「すっきりするな」
「そうするよ、今から」
「じゃあな、あとな」
「ああ、朝だからね」
 小田切君はライゾウの言いたいことを察して笑って返した。
「ここはね」
「飯くれよ」
「わかってるよ」
 小田切君はライゾウにご飯をあげた、それからまずはトレーニングルームに入った。そうしてまずはそこで汗を流した。


第百二十五話   完


                  2019・1・23 

 

第百二十六話

第百二十六話  朝風呂の後で
 小田切君はトレーニングルームで思いきり汗をかいてからそのうえで風呂に入った、そうしてサウナと湯舟それに合間の冷水シャワーでだ。
 酒を抜いた、そのうえで服を着て台所に行くと。
 ライゾウだけでなくタロもいた、時間はもう七時半だった。
「ああ、タロも起きたんだ」
「うん、今ね」
「そういえばライゾウに挨拶してなかったね」
「そういえばそうだったな」
 ライゾウも言われてこのことを思いだした。
「じゃあな」
「うん、おはよう」
「おはよう」
 ライゾウだけでなくタロも挨拶をした、そしてだった。
 小田切君はタロにもご飯をあげた、そうしてから言うのだった。
「いや、もうね」
「お酒抜けたな」
「完全にだね」
「復活したよ」
 小田切君は二匹にすっきりとした笑顔で答えた。
「お陰でね」
「それは何よりだな」
「相当に飲んでたからね、昨日は」
「その飲んだのがね」
 まさにというのだ。
「完全に抜けたよ」
「よし、じゃあな」
「まずはお水飲んでね」
 二匹で小田切君にこのことも話した。
「汗かなりかいているからね」
「今はどんどん飲みな」
「二日酔い自体身体から水分出てなるしね」 
 だから水を飲むと二日酔いが解消されるのだ、そして汗をかくとそれでアルコールが抜けていくのだ。
「それじゃあね」
「おう、どんどん飲めよ」
「今小田切君の血どろどろだしね」
「血糖値もそれで下げろよ」
「高くなり過ぎた体温もね」
「そうするよ」
 こう言ってだ、小田切君は水をどんどん飲んだ。一リットルは飲んでからだった。大きく息を吐きだした。
「これでいいね」
「完全復活だね」
「一日はじめられるね」
「それが出来るよ、もう大丈夫だよ」
「じゃあな」
「これで復活ってことで」
「今日も一日頑張るよ」
 二日酔いはなくなってだ、小田切君は朝起きてくる博士と自分の為に朝食を作りはじめた。今朝のメニューはザワークラフトとソーセージ、それにトーストだった。


第百二十六話   完


                  2019・1・23 

 

第百二十七話

                第百二十七話  懐かしい作品 
 カーミラもまたこの日は本を読んでいた、彼女の周りにいる使い魔達がそれを見て主に対して尋ねた。
「何の本を読んでおられますか?」
「日本語の本ですか?」
「英語の本よ」
 カーミラは使い魔達に微笑んで答えた。
「今読んでいるのはね」
「英語ですか」
「そちらの言葉でしたから」
「アーサー王ロマンスよ」
 今読んでいる本はそれだというのだ。
「現代語訳だけれどね」
「現代の英語ですね」
「そちらですか」
「古代の英語ではないですか」
「かつての英語とはかなり違うけれど」
 この辺りは日本語と同じだ、時代によって言葉が変わるのはどの言語でもあることなのだ。日本語や英語だけではない。
「それでもね」
「英語だからですか」
「それで読まれていますか」
「日本では日本語訳で売られているけれど」
 日本であるから当然のことだ。
「けれどね」
「それでもですね」
「やはりアーサー王は英語ですね」
「それが現代語訳でも」
「原語に限りますね」
「そう思うから」
 だからこそとだ、カーミラは読みつつ言うのだった。
「だから今こうして読んでいるのよ」
「左様ですか」
「そうでしたか」
「やはり面白いわね」
 アーサー王ロマンスの感想も述べた。
「すらすら読めるわ」
「左様ですか、ではですね」
「本日はその書を読まれてですね」
「そうして時を過ごされますか」
「そうするわ、そして夜はね」
 吸血鬼の本来の時になればというと。
「外に出て」
「そして、ですね」
「そのうえで今宵も楽しまれますね」
「そうされますね」
「そのつもりよ、ただ最近血を飲んでいないわね」
 カーミラはここでこのことに気付いた。
「どういったものかしら」
「そういえばそうですね」
「飲まれていませんね」
 使い魔達もそのことに気付いた、カーミラは本を読みつつそのうえで夜のことも考えるのだった。彼女の時間のことを。


第百二十七話   完


                   2019・1・29 

 

第百二十八話

                 第百二十八話  夜に飲むもの
 夜になった、カーミラは自分自身の時間であるその時が来ると満月の輝きを観つつそのうえで自身の使い魔達に話した。
「血を飲もうと思ったけれど」
「思った、ですか」
「ではですか」
「それではですね」
「今宵もですね」
「いつものものにするわ」
 笑顔で言うのだった。
「今宵もね」
「ではワインをお出しします」
「今宵もそれを飲まれて下さい」
「そうされて下さい」
「私はワインを飲んでも生きていけるわ」
 血を飲むことと同じだけの栄養を得られる、カーミラはそうした身体の仕組みになっているのだ。この辺りは人間と違うのだ。
「赤でも白でもね」
「そしてロゼでも」
「どのワインでもいいですね」
「思えば可愛らしい女の子の血だけを飲んでいたわ」
 かつてのカーミラはそうであった。
「今の日本も可愛らしい女の子が多いけれど」
「それでもですね」
「飲まれるとなれば」
「それはですね」
「ワインになったわ、血も美味しいけれど」
 しかしというのだ。
「今はね」
「ワインが美味しい」
「だからですね」
「今はワインを主に飲まれ」
「そしてですね」
「今宵も、ですね」
「そうするわ、血を飲まない吸血鬼」
 カーミラはくすりと笑ってこうも言った。
「矛盾するわね」
「ですがワインの赤はです」
 使い魔達はカーミラに答えた。
「血を思わせます」
「よく言われますし」
「ならいいのでは」
「ワインを飲まれても」
「そうなるわね、では一本は赤ワインで」
 これもいつものことだ、カーミラはワインを飲む時は一本は絶対に赤のボトルを開けている。これも常になっている。
「楽しむわ」
「それでは」
「ディナーと一緒にお出しします」
 使い魔達も応えてだった、カーミラはまずは彼女の馳走を楽しんだ。ワインはボトル三本空けたがどれも赤だった。


第百二十八話   完


                 2019・1・29 

 

第百二十九話

              第百二十九話  夜の神戸
 カーミラはワインと夕食を楽しんでから街に出た、神戸の夜の街を姿を消させている使い魔達を連れてだった。
 歩きながらだ、こんなことを言った。
「一つ思うことは」
「はい、何でしょうか」
「この神戸の街についてのことでしょうか」
「ええ、欧州の街もいいけれど」
 これまで住んでいたその街もというのだ。
「けれどこの街もいいわね」
「そうですね、不思議な街です」
「昔ながらの日本もありますが」
「それと共に欧州もあります」
「中華もあればです」
「アメリカの趣まであります」
「この前ベトナム料理のお店を見付けたわ」
 その神戸の中でというのだ。
「今度入ってみるわ」
「そうされますか」
「ベトナムの方に」
「タイやインドネシアのお料理のお店もあるし」
 ベトナム以外の東南アジアの国々のものもあるのだ。
「とかくこの街そして日本はね」
「ただ日本だけでなく」
「他の国のものも多くありますね」
「今の日本もあるわ」
 昔ながらの日本だけでなく、というのだ。
「その全てを楽しめる国であり街だから」
「住んでいて楽しいですね」
「そうですね」
「それではですね」
「今夜もですね」
「こうして楽しんで」
 そしてというのだ。
「満喫するわ」
「では今夜は散策ですね」
「それを楽しまれますね」
「この神戸の街を歩いて」
「そうされますね」
「そうするわ、そして可愛い娘がいれば」
 カーミラは妖艶に微笑んでこうも言った。
「その時はね」
「はい、別の楽しみを味あわれますね」
「そうされますね」
「楽しみは時として突然来るものよ」
 カーミラは妖艶な笑みのままこうも言った。
「ではね」
「はい、その時が来ることも期待しつつ」
「今は散策を楽しみましょう」
 使い魔達はこう主に応えた、そしてだった。
 カーミラは今は夜の神戸の街を歩いた、それもまた彼女の楽しみだった。


第百二十九話   完


                   2019・2・6 

 

第百三十話

                  第百三十話  出会い
 カーミラは姿を消させた使い魔達を連れてそのうえで夜の神戸の街を歩いていっていた。その中でだった。
 目の前に一人バーから出た女を見た、その女はかなり泥酔しており顔は真っ赤でしかも足取りも怪しかった。
 その女を見てだ、カーミラは言った。
「随分酔っているわね」
「泥酔と言っていいですね」
「今十一時半ですが」
「仕事が終わって今まで飲んでいたのでしょうか」
 見れば膝までのスカートでコートという恰好だ、黒髪は長く伸ばしていて切れ長の黒い目と紅の唇は艶やかだ。
「見たところ中々の美人ですが」
「相当無理な飲み方をした様ですね」
「足取りがふらふらしています」
「あの酔い方をみますと」
「間違いなく何かありましたね」
「あの目は」
 女の目を見てだ、カーミラは言った。
「泣いていたわね」
「そういえば赤いですね」
「瞼も腫れています」
「酔ってあの瞼を腫らすまで泣くとなると」
「それは」
「失恋ね」
 すぐにだ、カーミラは看破した。
「これは」
「やはりそうですか」
「失恋ですか」
「そしてその傷を癒す為に」
「飲んでいたのですね」
「そうね、しかも」
 カーミラは悠然としたいつもの態度を崩さなかった、だがそれでも目にあるものは強くさせて言うのだった。
「酷い失恋の仕方をしたわね」
「それはよくないですね」
「今日で吹っ切れたらいいですが」
「失恋の傷は時として深くなります」
「そして心を蝕みます」
「私は恋愛は好きよ、けれど」
 それでもと言うのだった。
「失恋は嫌いよ」
「だからですね」
「この度はですね」
「ええ、すぐにね」
 まさにと言うのだった。
「声をかけるわ」
「そうされますね」
「これから」
「ええ、そうするわ」
 こう言ってだ、カーミラは泥酔状態の美女の方に足を進めた。これがこの夜のカーミラの物語のはじまりだった。


第百三十話   完


                2019・2・6 

 

第百三十一話

                第百三十一話  夜の花
 カーミラは美女に声を穏やかかつ優雅に声をかけた、近くで見ると切れ長の黒い目にピンクのルージュが映えている。
「どうしたのかしら」
「何も」
「何もなくてその酔い方はないわ」
 こう美女に言うのだった。
「決してね」
「本当に何も」
「真実を言うのよ」
 カーミラは美女の目を見た、そしてだった。
 その目を赤く光らせた、そうして魅了して真実を語らせた。
「それで何かしら」
「実は」
 魅了されてだ、美女はカーミラに話した。
「彼氏が浮気をしていて」
「よくある話ね」
「それで別れて」
「わかったわ、傷付いた心をなのね」
「明日お仕事もないから」
 このこともあってというのだ。
「もう忘れる為に」
「今まで飲んでいたのね」
「ええ」
 その泥酔しきり今にも意識を失いそうな顔で言うのだった。
「そうよ」
「わかったわ」
 カーミラは美女の話を聞いて述べた、ここで黒髪に触れたが長く絹の様なツヤと手触りだ。
「全てね」
「もうどうなっても」
「失恋は辛いわ」
 カーミラは美女をその右手で抱いてこうも言った。
「心が散り散りになる位に」
「もう何処までも」
「けれど」
「けれど?」
「それで絶望する必要はないわ」
 それはと言うのだった。
「決してね」
「そう思っていたけれど」
「すぐに忘れることよ」
「そう思っても」
「飲んでもなのね」
「忘れられなくて」
 それでというのだ。
「もう幾ら飲んでも」
「飲むのはこれ位にした方がいいわ」
 ここでだ、カーミラは。 
 その手にあるものを出した、それはカードだった。
 そのカードを手にだ、美女に対して囁いた。そうして彼女を連れて使い魔達を隠れさせたままある場所に向かうのだった。


第百三十一話   完


                 2019・2・13 

 

第百三十二話

               第百三十二話  ホテル
 カーミラは美女を連れてある場所に入った、そしてホテルの者にカウンターでそのカードを出して告げた。
「一泊いいかしら」
「はい、お部屋は」
「ロイヤルスイートよ」
 ホテルの者に微笑んで答えた。
「そこを頼むわ」
「そうですか」
「いいかしら」
「わかりました、ただ」
 そのカードを見てだ、ホテルの者は驚いていた。そのカードはある有名な企業の最高級のカードだったからだ。
「貴女は」
「そうね、古い家の女と言っておくわ」
「古い家のですか」
「そうよ」
 カーミラはホテルの者に妖艶に微笑んで答えた。
「そう言っておくわ」
「左様ですか」
「ではね」
「お二人で、ですね」
「一泊ということで」
「わかりました」
「すぐにルームサービスでね」
 カーミラはホテルの者にさらに話した。
「飲みものを用意するわ」
「飲みものは一体」
「お酒に効くものよ」
「ではスポーツドリンクですか」
「それを持ってきてくれるかしら」
 こう言うのだった。
「いいかしら」
「わかりました、では」
「ええ、今からね」
「案内致します」
「チェックアウトは私が言うまででお願いするわ」
 一泊と言ってもというのだ、こうしてだった。
 カーミラは美女と共にそのホテルのロイヤルスイートに入りそこでだった。まずは美女にスポーツドリンクを飲ませた。
 そしてだ、泥酔しながらも意識のある彼女に尋ねた。
「まだ名前を聞いていなかったね」
「久保雪路よ」
「久保さんね」
「ええ、職業はOLよ。銀行の」
「そうなのね」
「けれど貴女は」
「通りすがりの貴女の友達と思ってくれていいわ」
「通りすがりの」
「そうよ」
 ここで妖しく笑って話した。
 カーミラは美女、久保雪路にはこう名乗った、そしてそのうえでまずは彼女に酔い醒ましのものを飲ませるのだった。


第百三十二話   完


                2019・2・13 

 

第百三十三話

               第百三十三話  まずは酔いを
 カーミラは雪路に酔い醒ましにいいものを飲ませた、それは一体何かというと。
「スポーツドリンクというものは飲まないけれど」
「そうなのですか」
「ええ、私はワインを飲むわ」
 スポーツドリンクを飲む雪路に妖しく微笑んで話した。
「そちらをね」
「そうですか」
「ええ、ワインは血の色ね」
「血、赤いからですか」
「そう、白も好きだけれど」
 白ワイン、それもというのだ。
「赤の方が好きね」
「そうですか」
「そう、毎日飲んでいるわ」
「毎日ですか」
「欧州では普通よ。特に私の身体はね」
 真実を隠してだ、カーミラは雪路に微笑んだまま話した。
「特別だから」
「特別といいますと」
「お酒を幾ら飲んでも壊れないのよ」
「そうなのですか」
「酔いはするけれど」
 それでもというのだ。
「酔い潰れないしね。ただ栄養になるだけよ」
「それは素晴らしいですね」
「色々と難点もあるけれどね。お日様の光は苦手だし」
 それを浴びても死にはしない、普通の人間と同じ様に入浴や食事も楽しめる。だがそれでも人間の身体とは違うことが多いのだ。
「困ることもあるわ」
「それでもお酒は、ですね」
「幾ら飲んでも酔い潰れないわ」
 このことは事実だというのだ。
「そして今日も飲んだわ。けれど貴女程ではないわね」
「その様ですね」
「今はそれを飲んでね」
 スポーツドリンクをというのだ。
「お酒を醒ますのよ」
「まずはそれからですか」
「悪い酔いをしているから」
「だからですか」
「そうした酔いは醒まして」
 そのうえでというのだ。
「またはじめましょう」
「それがいいですか」
「いい酔いと悪い酔いがあるでしょ」
「そうですね、そして今の私は悪い酔いなので」
「醒ますのよ」
「わかりました」
 雪路はカーミラの言葉に頷いた、そしてだった。
 まずはスポーツドリンクを飲んで酔いを醒ましていった、飲んでいくと少しずつだが確かに酔いは醒めていった。カーミラはその彼女を静かに見守っていた。


第百三十三話   完


               2019・2・18 

 

第百三十四話

                第百三十四話  酔いを醒まして
 スポーツドリンクを飲んでいくとだ、雪路の酔いも次第に醒めていった。カーミラはその彼女を見てまた言った。
「これでもう二日酔いにはね」
「ならないですか」
「酷くはならないでしょうね」
「ではまだ」
「明日辛いなら」
 二日酔いそれでというのだ。
「朝起きてすぐにお風呂に入ることよ」
「お風呂ですか」
「そう、お風呂に入ってね」
 そうしてというのだ。
「すっきりすることよ」
「それがいいですか」
「そうよ、それで貴女の失恋は」
「騙されていました」
 落ち込んだ顔になって俯いてだ、雪路は話した。
「私は」
「騙されていたの」
「結婚を考えていました」
 そこまで本気だったというのだ。
「ですがそれでも」
「結婚詐欺だったのかしら」
「いえ、私以外にもです」
「付き合っている人がいたのね」
「そのことがわかって」
 それでというのだ。
「さっきまで飲んでいました」
「自棄酒ね」
「忘れようと。ですが」
「お酒で失恋を癒すことは難しいわよ」
 カーミラもわかっていた、これまでの人生で。
「忘れるには思いきり泣くこともね」
「いいのですか」
「思いきり泣いて。そして難しいと言ったけれど」
 今しがたというのだ。
「飲むこともね」
「大事ですか」
「泣いて飲んで。もう徹底的に我を忘れて」
 そこまでしてというのだ。
「誰かに色々と言ってね」
「そうしてですか」
「含んでいることを捨てることよ、全部ね」
「全部ですか」
「そうすればいいのよ、含んでいることを捨てないから」
 だからだとだ、カーミラはこうも話した。
「悲しいのよ、だから今はね」
「酔いを醒ましてからですか」
「まずは寝なさい、ゆっくりとね」
 そうしろと言うのだった、そのうえでカーミラは雪路の傍にい続けるのだった。


第百三十四話   完


               2019・2・18 

 

第百三十五話

               第百三十五話  夜の間は
 雪路は眠りに入った、カーミラはベッドで眠っている彼女を見つつソファーでルームサービスで取り寄せた赤ワインをチーズやクラッカーと共に楽しんでいた。その彼女に対してこれまで姿を隠していた使い魔達がだった。
 姿を現してだ、そのうえで彼女に尋ねた。
「あの、ご主人」
「少しいいでしょうか」
「こちらの方ですか」
「非常にお奇麗な方ですが」
 それでというのだ。
「何もされないのですか」
「楽しまれませんか」
「そして血も」
「ええ、失恋している娘からはね」
 カーミラは飲みつつだ、彼等に答えた。
「私は飲まないのよ、知っているわね」
「そうでしたね」
「ご主人は相思相愛の方からでしたね」
「いつも血を飲まれていますね」
「そうでしたね」
「ええ、だからね」
 それでというのだ。
「彼女からは飲まないわ」
「それで、ですね」
「今はワインですか」
「そちらを楽しまれていますか」
「そうよ」
 その通りだというのだ。
「こうしてね」
「では、ですね」
「この方が心を癒される」
「その助けを続けられますか」
「そうするわ。美女や美少女は好きよ」
 カーミラとしてはというのだ。
「けれどね」
「失恋されている方は」
「どうしてもですね」
「お好きではない」
「そうでしたね」
「だからね」 
 カーミラはワインの味を楽しみつつ自分の使い魔達にさらに話した。
「私はこうして見ているだけよ、そしてね」
「ワインを飲まれる」
「そうされますね」
「今は」
「チーズやクラッカーと共に」
「この夜は」
「ええ、こうしてね」
 実際にとだ、こう言ってだった。
 カーミラはまたワインを飲んだ、それは一本で終わらず夜の間飲み続け夜が明けるまでに三本飲み干した、そうしつつ雪路の顔を見ていた。


第百三十五話   完


                2019・2・25 

 

第百三十六話

               第百三十六話  朝になり
 朝になるとだ、雪路は目を覚ました、だが彼女は目を覚ましてすぐにその整った眉を顰めさせて言った。
「かなり・・・・・・」
「お酒が残っているわね」
「はい」
 その通りだとだ、カーミラに答えた。
「どうも」
「そうね、じゃあお風呂にね」
「これからですね」
「入るといいわ、それもうんと熱いお風呂に入って」
 そうしてというのだ。
「酔いを醒ましなさい」
「熱いお風呂ですか」
「そして思いきり汗をかいて」
 そうしてというのだ。
「それから冷たいシャワーを浴びて」
「身体を冷やして」
「そうしてからね」
 再びというのだ。
「熱いお風呂に入るのよ」
「そうすればですか」
「何度か繰り返せば」
 そうすればとだ、カーミラは雪路に微笑んで話した。
「人間の酔いは醒めるわ」
「人間の、ですか」
「そう、人間の酔いはね」
 それはというのだ。
「完全に抜けるわ。そしてね」
「そして、ですか」
「また飲むといいわ」
 酒の酔い、それを醒ましてからというのだ。
「それも徹底的にね」
「あの、また飲めばいいんですか」
「そうよ、そうしてね」
 再び飲んでというのだ。
「忘れることよ」
「二日酔いをですか」
「今日は潰れるまで飲んでいいのよ」
「昨日の夜は止められましたが」
「昨日はね、けれど今日は違うわ」
「それはどうしてでしょうか」
「貴女の為よ、昨日の飲み方は荒れる飲み方だったわ」
 それ故にというのだ。
「止めたのよ」
「そうでしたか」
「けれど今日は違うわ。ここのホテルのワインは美味しいし」
「飲んでいいですか」
「心ゆくまでね」
 こう言ってだ、カーミラは雪路をまずはバスルームまで案内した。そうして風呂に入れさせるのだった。


第百三十六話   完


                 2019・2・25 

 

第百三十七話

               第百三十七話  愛の詩集
 雪路は熱い風呂に入った、その前に身体を洗ってから入ったが。
 それだけで二日酔いが急激に解消されていくのを感じた。そうして冷たいシャワーと交互に三度程湯舟に入るとだった。
 すっかり元通りになっていた、それで服を着て部屋に戻るとだった。
 カーミラは本を読んでいた、雪路はその彼女に問うた。
「何を読まれてるんですか?」
「バイロンよ」
 カーミラは雪路に微笑んで答えた。
「彼の詩集よ」
「あの人のですか」
「そうよ、昔から好きでね」
「確かバイロンは」
 雪路は彼女の教養の範疇から述べた。
「随分と」
「ええ、スキャンダルもあったわ」
「そうした人でしたね」
「同性愛者でね」
「そうでしたね」
「当時は問題だったから」
「オスカー=ワイルドもそうでしたね」
「欧州というかキリスト教は不思議な宗教よ」
 カーミラはこの言葉は幾分かシニカルに答えた。
「同性愛には恐ろしいまでに不寛容よ」
「かつてはそうでしたね」
「今になって変わった、いえ」
「いえとは」
「欧州の人達は取り戻したのかしらね」
 こうも言うのだった。
「昔の姿を」
「昔のですか」
「そうよ、キリスト教は同性愛を忌み嫌っているけれど」
 それこそ罪に問われるまでにだ、バイロンもそこが問題視されたがオスカー=ワイルドもそうであった。
「古代ギリシアは違ったから」
「そういえばあの頃は」
「男同士は特によかったわね」
「神話でもありますね」
「そうでしょ、女同士でもね」
 カーミラは妖しく微笑んでだ、雪路に話した。
「よかったのよ」
「確かサッフォーですね」
「そうよ。それでね」
「欧州はギリシアの頃に戻った」
「心の原風景にね。けれどね」
「戻るまでにですか」
「悲劇もあったのよ。いえ」
 ここでだ、カーミラは今度はシニカルな笑みになって言うのだった。
「喜劇かしら」
「悲劇ではなく」
「ええ、多くの人が死んでもね」 
 その同性愛に対する考えと行いはとだ、カーミラは雪路に自分の中に秘かにあるものを隠して話すのだった。


第百三十七話   完


                   2019・3・4 

 

第百三十八話

             第百三十八話  バイロンという人
 カーミラは雪路に欧州の同性愛について話した、そしてその中で彼女が今読んでいる詩集の著者バイロンについても話した。
「美貌の貴族でもあったのよ」
「そしてインテリでもあったんですね」
「詩も書くね」
「何か素敵な人ですね」
「ここまではね」
 ここでこう言うのだった。
「そう思えるわね」
「と、いいますと」
「確かに美形だったわ」
 バイロンについてだ、カーミラは他ならぬ彼女自身の記憶から語ったが雪路はカーミラが普通の人間だと思っていたのでただ聞くだけだった。
「そのことはね、ただ性格はね」
「どうだったのですか?」
「悪い一面もあって」
「そうだったんですか」
「傲慢で怠惰だったのよ」
「あっ、そのことは」
 雪路もその話を聞いて頷いて言った。
「私も聞いたことがあります」
「そう、知っていたの」
「はい、美男子だったそうですが」
「それでもね」
 カーミラは彼女が会ったバイロンのことをさらに話した。
「貴族の中でも傲慢でね」
「そうしてですね」
「怠け癖があって女好きでね」
「同性愛者でもあって」
「そうして不道徳でもあったわ」
「何といいますか」
 そう聞いてだ、雪路は考える顔になって言った。
「色々問題のあった人ですね」
「人間としてはね」
 カーミラはここでは吸血鬼として語ったがやはりそれは雪路に対しては全く気付くことはなかった。
「そうだったのよ、何かとね」
「そうした面があって」
「かつて彼に仕えていた人がモデルにしてね」
 バイロン、彼をというのだ。
「吸血鬼に書いているのよ」
「バイロンは吸血鬼にもなっていますか」
「そうよ、それは文学にも残っているし」
「バイロン自身も詩人で」
「彼は吸血鬼にもなっているのよ」
「美形の吸血鬼にですね」
 雪路はバイロンがそうであったことからこう考えて言った。
「そうですね」
「ええ、そうだったわ」
「それはまた面白いですね」
 雪路はカーミラのその話に興味を持った、するとここでカーミラは彼女に朝食の時間になったことを告げた。


第百三十八話   完


                2019・3・4 

 

第百三十九話

              第百三十九話  朝食の場で
 朝食はホテルの一階、食堂に出てのビュッフェだった。新鮮なサラダやフルーツがあり卵料理や乳製品、ソーセージやハム、ベーコンもある。
 そしてシャンパンもある、そういったものをだ。
 二人は取ってテーブルで食べはじめた。そうしつつカーミラは言うのだった。
「バイロンのお話もするけれど」
「それだけでなく」
「ええ、シャンパンをね」
「この朝はですか」
「楽しみましょう、辛いことはね」
 それはというのだ。
「二日酔いが醒めてもね」
「そうしてもですか」
「飲んで」
 そしてというのだ。
「そのうえでね」
「忘れていくことですか」
「今日は夜まで飲んでいいのよ」
 そこまでしていいというのだ。
「明日は明日よ」
「あの、明日も」
 雪路はカーミラに話した。
「実は」
「休日なの」
「明日は会社自体がです」
「お休みなのね」
「はい」
「なら余計にいいわね」
 カーミラは雪路の話を聞いて微笑んで述べた。
「それじゃあね」
「今日は朝からですか」
「もう飲めばいいのよ。ホテルを出たら」
 それからのこともだ、カーミラは話した。
「いいお店を紹介するわ」
「それでそのお店で、ですね」
「また飲めばいいから」
「だからですか」
「そう、今日は本当にね」
 朝も飲んでと言うのだった、カーミラはパンに苺のジャムをたっぷりと塗りながら雪路に対して話した。
「飲んでね」
「そうして恋のことをですね」
「忘れるといいわ、お酒は洗い流す効果もあるの」
「洗い流す、ですか」
「心をね、だから飲んで」
 そしてというのだ。
「忘れるのよ」
「前は止めてくれましたが」
「今は違うわ。前は止める時だったけれど」
 それでもとだ、カーミラは話した。
「今は飲んでいいから」
「飲んでいいのですか」
「昨日の夜止めたのにも理由があるのよ」
 それが何故かもだ、カーミラは雪路に話すことにした。自分も朝食を楽しみながら。


第百三十九話   完


                  2019・3・12 

 

第百四十話

                第百四十話  止めた理由 
 カーミラはパンを食べつつ雪路に話した。
「あの時貴女は一人だったわね」
「一人で飲むことはですか」
「そう、過ぎるとね」
「よくないのですか」
「そのまま酔い潰れたら」
 そうなればどうかと言うのだ。
「大変でしょ」
「言われてみますと」
「沈んだらそのまま沈むかも知れないし」
 気持ち、それがというのだ。
「だから止めたの。けれど今はね」
「違いますか」
「私がいるから」 
 カーミラは自分自身のことも話に出した、そうしてパンの後はサラダを食べそれからソーセージを食べてだった。
 シャンパンを飲んだ、そして一杯空けてからあらためて話した。
「だからよ」
「今はいいのですか」
「そう、もう今日はね」
 それこそというのだ。
「心ゆくまでね」
「朝からですか」
「飲んで」
 そしてというのだ。
「忘れるのよ、忘れて」
「それからですね」
「新しい恋を見付けることよ」
「そうすればいいですか」
「人は恋をして」
 自分自身の過去、雪路が知らないそれを瞼に見つつだった。カーミラは彼女に対してさらに話した。
「それが終わってね」
「そうしていってですか」
「成長していくものなのよ」
「失恋によって」
「そうよ、心の痛みも知って」
 失恋によるそれをというのだ。
「他の人にも優しくなれるから。そして」
「次の恋では」
「新しいものも得られるから」
「次の恋をですか」
「今は見付けられる様に」
 その為にもとだ、カーミラは今度はソーセージやハムを食べつつ話した。
「今は飲むのよ」
「そして心をですね」
「洗い流すのよ」
 失恋の痛み、それをというのだ。
 そう言いつつカーミラは自分ももう一杯シャンパンを手に取った、そうして雪路にも飲む様に促すのだった。今は洗い流す為に。


第百四十話   完


                2019・3・12 

 

第百四十一話

              第百四十一話  朝食の時から
 雪路はカーミラの言葉に頷いてだった、そのうえで。
 朝食の場に置かれていたシャンパンを飲んだ、それも一杯や二杯ではなく。
 朝食を食べつつそれと共に飲んだ、シャンパンを五杯六杯と飲むと次第に酔いが回ってきてそのうえでだった。
 カーミラにだ、こんなことを言った。
「あの、何か」
「気持ちが上向いてきたでしょ」
「はい」
 カーミラに答えた。
「少しずつ」
「そうでしょ、ただね」
「ただといいますと」
「まだはじまりよ」
「飲むことのですか」
「そう、今日飲むことのね」
 それのというのだ。
「まだはじまりよ」
「朝のこのシャンパンは」
「そう、まだね」
「はじまりで」
「朝も心ゆくまで飲むけれど」
 それでもとだ、カーミラは自らもシャンパンを飲みつつ話した。
「それだけでなくね」
「ホテルを出てからもですね」
「いいお店を知ってるから」
「そこでもですね」
「ワインを飲みましょう」
 この酒をというのだ。
「そこではチーズやクラッカー、ソーセージと一緒にね」
「軽い感じで、ですね」
「飲みましょう」
「それもいい飲み方ですね」
 雪路はカーミラが話したその飲み方について微笑んで応えた。
「飲むワインは赤ですね」
「ええ、それをね」
「飲んでですね」
「また気持ちよくなって」
「心を洗い流せばいいですね」
「もう気持ちが軽くなってきたわね」
 カーミラはシャンパンを飲む雪路に尋ねた。
「シャンパンで」
「はい、何か」
「そうね、じゃあもっとね」
「飲むといいですか」
「食べながらね。朝はこうしたものを食べて」
 サラダや卵料理に燻製、そしてパンやフルーツそれにチーズやヨーグルトといったものと一緒にというのだ。
「シャンパンを飲むのがいいから」
「だからですね」
「このまま飲んでいきましょう」
「わかりました」
 雪路は頷いてだった、朝の豪奢なビュッフェを食べつつシャンパンを飲んでいった。そうして十杯程飲んだのだった。


第百四十一話   完


                2019・3・14 

 

第百四十二話

                第百四十二話  シャンパンの後で
 朝食を食べ終えた時雪路は結構酔いが回っていた、それでカーミラに対してその酔いが回っている顔で話した。
「食べ終わって飲み終わって」
「結構酔ってるわね」
「二日酔いがなおったのに」
 それでもとだ、少し苦笑いで言うのだった。
「また酔ってしまいました」
「それでいいのよ、今はね」
「飲んでですね」
「気持ちよく洗い流しなさい」
 失恋の悲しみ、それをというのだ。
「だからね」
「ゆっくりとですね」
「飲むといいのよ」
「そうですか」
「明日もお休みならね」
「今日はですね」
「飲む日にして」
 それも朝からというのだ。
「そうしてね」
「楽しむといいですか」
「そうよ、そしてね」
 カーミラはまだ飲んでいる、そうしつつの言葉だ。
「ホテルを出たら」
「次のお店ですね」
「そうよ、十時にね」
 この時間にというのだ。
「開いているから」
「その時間に空いているのは珍しいですね」
「そうでしょ、飲めるお店でね」
「喫茶店みたいですね」
「喫茶店でもあってね」
 それでというのだ。
「ワインも用意しているから」
「だから飲めますか」
「そうよ、だからね」
「ここを出てですね」
「行きましょう、そこまで歩いて行くけれど」
「そこでいい酔い醒ましになりますね」
「醒ましてまた飲んで」
 そうしてというのだ。
「今日は楽しむのよ。いいわね」
「お昼も飲みますね」
「勿論よ。三時も夜も飲んで」
「ずっとですね」
「夜は特に飲んで」
「もう徹底的にですね」
「失恋を忘れなさい」
 カーミラは言いつつ最後の一杯を飲んだ、そして雪路を連れて優雅にホテルの食堂を後にするのだった。


第百四十二話   完


                2019・3・14 

 

第百四十三話

                  第百四十三話  十時にまた
 カーミラは雪路をホテルから別の場所に案内した、勿論使い魔達も姿を消して主んつき従っている。
 そうして朝の道を歩きつつだ、カーミラは雪路に話した。
「さて、十時位にね」
「次のお店にですね」
「着くから」
「それまではですね」
「ええ、気楽にね」
 カーミラは雪路に微笑んで話した。
「そのうえでね」
「歩いていくのですね」
「歩いていけば」
 そうしていけばというのだ。
「適度にお酒が醒めるから」
「それで、ですね」
「次のお店では赤ワインでね」
「また楽しむのですね」
「ええ、ただ」
 カーミラは雪路に笑ったまま話した。
「軽くよ」
「お昼ご飯ではないからですね」
「そうよ、十時はね」
 この時間はというのだ。
「まだお昼ではないから」
「言うならおやつですね」
「そう、ティータイムみたいなものよ」
 こう雪路に話した。
「簡単に言うとね」
「やはりそうですね」
「ええ、赤ワインはボトル一本で」
「一緒に食べるものも軽くですね」
「数本のソーセージとチーズとクラッカーね」
 これ位だというのだ。
「それでね」
「軽くですね」
「飲んで食べてね」
「楽しむのですね」
「こうしたお酒の楽しみ方もいいものよ」
 知っている言葉だった、その楽しみを」
「だからね」
「これからですね」
「歩いてそのお店まで行きましょう」
「わかりました」
 雪路はカーミラに反対することなく言葉を返した、その足取りは確かに酒が入っているものだったがふらついてはいない。
「それでは」
「ゆっくりと行きましょう」
「軽く飲みにね」
 カーミラは実際に軽く考えていた、これから飲むことについて。そうして雪路と共に歩いていくのだった。


第百四十三話   完


                   2019・3・21 

 

第百四十四話

             第百四十四話  十時のワイン
 カーミラは雪路をその店に案内した、そこは屋外でも飲むことが出来る喫茶店にも見える店であった。
 その店でカーミラハ赤ワインを二本とだった。
 ソーセージとチーズ、クラッカーそれにハムも注文した。そうしてだった。
 グラスで飲みはじめた、雪路はその赤ワインを飲んで言った。
「甘いですね」
「そう、飲みやすいね」
「そうしたワインですね」
「それをね」
 今からと言うのだった。
「一本飲むのよ」
「このお店ではですね」
「ええ、一本でもね」
「充分ですね」
「今飲むには」
 それならというのだ。
「これ位よ、ではね」
「今からその一本を」
「ソーセージやチーズと一緒にね」
 見ればどれも量は多くない、二人のそれぞれの白い大きめの皿にあるだけだ。少し少食な人の朝食位の量だ。
 そのソーセージやチーズを食べてワインを飲むとだった。
 美味い、雪路はそのことを実感して笑顔になった。
「チーズもクラッカーもよくて」
「ソーセージもでしょ」
「ワインが進みます」
「昼食前の軽いおやつでね」
「カーミラさんも飲まれていますか」
「そうなの、そしてね」
 それでと言うのだった。
「楽しんでいるわ」
「そうですか」
「時々だけれどね、けれど」
「その時々がですね」
「楽しいのよ」
「そうですか。ただ」
 雪路はワインの美味さ、そして酒だからこその酔いを感じつつカーミラを見て彼女に尋ねた。
「カーミラさんのお仕事は」
「お金はあるから」
「働かれていないですか」
「そうなの、資産は自然と増えてるし」
 実はその辺りの手配は使い魔達がしている、資産運用についても有能な者達なのだ。
「何も困っていないわ」
「そうしてですか」
「今は日本で暮らしているの」
「それは何よりですね」 
 こう話しつつだった、雪路は一本を飲んで言った。
「食べるものもなくなりましたし」
「私もね」
「素敵な時間を過ごせました」
「その時間は終わりではないわよ」
 カーミラは空になった赤ワインの二本のボトルを見つつ述べた、皿の上にも何もなかった。だがそれでも終わりではないというのだった。


第百四十四話   完


                2019・3・21 

 

第百四十五話

第百四十五話  十時に飲んでから
 軽食と共に赤ワインをそれぞれ一本空けた、その後でだった。
 カーミラは雪路を連れてそのうえで店を出た、支払いはカーミラが行ったが雪路はどうかという顔で彼女に話した。
「あの、お金は」
「あるというのね」
「ですから今も」
「気にしなくていいわ」
 カーミラは自分の横にいる雪路に微笑んで答えた。
「今日はね」
「ホテルの時と同じですか」
「私はお金に困っていないから」
「先程言われた通りですね」
「財産があるから」
 それでというのだ。
「昔からのそれがね」
「昔からですか」
「そう、オーストリアにいた時から」
「オーストリアの方ですか」
「ええ、その時からね」
 オーストリアといっても何時のオーストリアとは言わなかった、そのうえで雪路に対してさらに語るのだった。
「資産を持っていてそれは増えていってるから」
「今も」
「これ位はね」
 平気な、何でもないといった顔だった。
「気にしないで」
「しかも減らないのですね」
「増やしてくれているから」
 使い魔達がそうしてくれていることは言わなかった。
「だからね」
「心配無用ですか」
「そうよ」
 まさにという返事だった。
「だからね」
「気にしないで」
「そしてね」
 そのうえでと言うのだった。
「楽しんでね」
「忘れる為に」
「忘れて新しい一歩を踏み出す為に」
「その為にも」
「今は気にしなくていいわ」
 金のことはというのだ。
「それでお昼の場所に行くまでに」
「どうしますか?少し時間がありますけれど」
「近くの美術館に行きましょう」
 カーミラが次に勧めた場所はこちらだった。
「そちらに行きましょう」
「美術館ですか」
「ええ、そちらにね」
 こう雪路に言った、そしてだった。
 カーミラはタクシーが傍を通ると手を挙げて呼び止めた、そうして二人で車内に入って運転手に行き先を告げた。


第百四十五話   完


                    2019・3・29 

 

第百四十六話

             第百四十六話  美術館の中で
 カーミラは雪路を連れて今度は美術館に入った、そこは神戸でも有名な美術館の一つだった。そこに入り。
 雪路に並べられている絵画や彫刻品を見せつつ彼女に尋ねた。
「どうかしら」
「こうして美術品を観ることは好きです」
 雪路はカーミラに微笑んで答えた。
「とても、ただ」
「お酒を飲んではなのね」
「これまでなかったです」
「そうね、けれどね」
「飲んでいてもですか」
「美術館に入って芸術を観ることはね」
 このことはというのだ。
「いいことなのよ、むしろ飲んでいると」
「いいのですか」
「ええ、普通ではわからないものがわかったりするわ」
 飲んでいない状態、つまり素面ではわからない時があるというのだ。
「だからね」
「飲みながらでもでもですね」
「美術館には入っていいし」
 カーミラも芸術を観つつさらに話した。
「そして観てもいいのよ」
「そうなんですね」
「実際にいいでしょ」
「はい」
 雪路は微笑んで答えた。
「今は」
「そうでしょ、だからね」
「このままですね」
「お昼までね」
「また飲みますね」
「その時までね」
 こうしてというのだ。
「観ていきましょう」
「わかりました」
「酔っているとそれだけで楽しくなるけれど」
「芸術を鑑賞すると」
「余計にいいものだから」
「絵も彫刻もですね」
「観ていきましょう」
「そうします」
「あとお花もね」
 こちらもとだ、カーミラは話した。
「お昼は楽しみましょう」
「そちらもですね」
「それはまたお昼ね」 
 昼食の後でというのだ。
「いいわね」
「それでは」
 雪路はこくりと頷いた、そうしてだった。今はカーミラと共に酒が入った心地よい状態のままで芸術を楽しみ普段と違う感じるものを感じ取っていた。


第百四十六話   完


                2019・3・29 

 

第百四十七話

               第百四十七話  芸術の後で
 美術館を出た時もういい時間になっていた、それでカーミラは雪路に対して優雅な声でこう告げた。
「ではいよいよね」
「お昼ですね」
「そうよ」
 その時間になったというのだ。
「だからそちらに行くわよ」
「お昼は」
「今度はパスタよ」
 こちらの料理だというのだ。
「オリーブオイルとガーリックをふんだんに使った」
「イタリア風の」
「イタリアはいい国よ」
 カーミラは微笑んで自分の好みも話した。
「私達の国では憧れの国だったのよ」
「イタリアは」
「ええ、もっと言えば私達の言葉の場所はね」
 そこはというのだ。
「イタリアに憧れ続けているのよ」
「そうなのですか」
「だからゲーテもワーグナーも愛して」
 こうした人物達もというのだ。
「私もね」
「イタリアがお好きですか」
「そうなの、今もね」
 こう雪路に言うのだった。
「イタリアの空に建物、景色、芸術、人達がね」
「イタリアのあらゆるものがですか」
「私達は好きでね」
「貴女もですね」
「ええ、愛しているわ」
 そこまでの感情を持っているというのだ。
「本当にね」
「それで日本でもですね」
「色々なお料理を食べてるけれど」
 その中でもというのだ。
「やっぱりね」
「イタリア料理はですか」
「好きだから」
「今からですね」
「一緒に行きましょう」
 昼食にというのだ。
「これからね」
「わかりました」
 雪路はカーミラのその言葉に頷いた、そしてだった。こうカーミラに返した。
「では今から」
「そのお店に行ってね」
「パスタを食べてですね」
「ワインもね」
 そちらも忘れていなかったそれでそちらに行くのだった。


第百四十七話   完


               2019・4・4 

 

第百四十八話

             第百四十八話  イタリアへの愛
 カーミラは雪路と共に二人で彼女が紹介したその店に入った、するとその店はカンツォーネが聴こえてきて。
 木造の店だった、雪路はその店の中に入ってカーミラに話した。
「趣がありますね」
「そうでしょ、イタリアのね」
「お店自体が」
「だからいいのよ」
 イタリアの趣がそのままあることがというのだ。
「これがね」
「そうですね、何か雰囲気だけでも」
「素敵でしょ」
「はい、本当に」
「イタリアは素敵な国よ、私もよく行ったけれど」 
 カーミラは雪路に微笑みつつ話した。
「何時行っても素敵な国だから」
「日本にいてもですか」
「ええ、こうしてイタリアのお店にも通ってるの」
 今の様にというのだ。
「そうしているのよ」
「そうなんですね」
「ええ、ではね」
 カーミラは雪路にあらためて話した。
「これからね」
「パスタを食べてですね」
「ワインもね」
 こちらも忘れていなかった。
「楽しみましょう」
「それでは」
「それとね」
 カーミラは雪路におうも言った。
「ここでは本格的に飲むわよ」
「お昼だからですか」
「そうよ、さっきは一本だったけれど」
 十時のそれはというのだ。
「ここはね」
「一本で抑えずにですね」
「二本でも三本でもね」
「飲んでいいですか」
「ええ、とはいってもさっきも一本でなくてもよかったわ」
 その実はというのだ。
「セーブしたけれどね」
「それはお昼の為ですね」
「今のね、ではね」
「これからですね」
「飲みましょう、いいわね」
「わかりました」
 雪路も頷いて答えた、そしてだった。
 二人はパスタとワインを注文した、ここでカーミラはウェイトレスに対してこちらも注文した。
「チーズのセットもね」
「そちらもですね」
「お願いするわ」
 こう言ってこちらも注文することを忘れなかった。


第百四十八話   完


                 2019・4・4 

 

第百四十九話

               第百四十九話  チーズとパスタを
 カーミラは注文したチーズが来たのを見てだった、目を細めさせてそのうえで雪路に対して言った。
「後でパスタが来るけれど」
「今はですね」
「ええ、これを食べてね」
 チーズのセット、それをというのだ。
「飲みましょう」
「本格的なお食事の前に」
「そうよ、さっきも食べたけれど」
 チーズ自体はというのだ。
「その時のチーズとは違うチーズだから」
「先程は普通のチーズでしたが」
「ええ、日本人がよく食べるね」
「そうしたチーズでしたね」
「今度はウォッシュチーズよ」 
 こちらのチーズだというのだ。
「これはこれでね」
「美味しくて、ですね」
「ワインとも合うから」
 それでというのだ。
「今からね」
「ワインも来ましたし」
 二人にそれぞれ一本ずつボトルが来た。
「このウォッシュチーズを食べながら」
「飲みましょう」
「わかりました」
 雪路はこの時もカーミラの言葉に頷いた、そしてだった。
 チーズを食べてからワインを一口飲んだ、そのうえで笑顔で言った。
「確かに」
「美味しいわね」
「はい、こちらのチーズも」
「そしてワインもね」
「このワインは」
 甘味が強い発泡性のそのワインはというと。
「かなり飲みやすいですが」
「ランブルスコよ」
 カーミラはワインの種類も話した。
「イタリアのワインよ」
「ワインもイタリアですね」
「そうよ、パヴァロッティの出身地のワインよ」
「あのテノール歌手の」
「そう、そして彼が愛したね」
「そのワインですか」
「ちなみにチーズもイタリアのものよ」
 今食べているこちらもというのだ。
「だから余計に合うのよ」
「イタリアのワインにイタリアのチーズ」
「まずはそれを楽しみましょう」
 パスタの前にと言うのだった。
 カーミラは雪路に話しながら自身もチーズを食べてワインを飲んだ、その発泡性のワインを飲む彼女は血を飲む様であった。それも楽しんで。


第百四十九話   完


                2019・4・14 

 

第百五十話

              第百五十話  白と黒
 パスタが来た、最初のパスタはカルボナーラだった。
 そのカルボナーラを前にしてだった、既にチーズを食べ終えていた二人は笑顔でこんな話をしたのだった。
「このパスタもね」
「美味しいですね」
「カルボナーラは」
 カーミラは言うのだった。
「素敵なイタリア料理よ」
「そのうちの一つですね」
「このパスタが生まれた時はね」
 その時はというと。
「戦争中だったけれどね」
「第二次世界大戦ですか」
「そう、その時に生まれた比較的新しいスパゲティなのよ」 
 そうだというのだ。
「これはね」
「かなり濃い味ですよね」
「そうよ、私も好きよ」
「生クリームと卵の黄身とベーコンと黒胡椒を使って」 
 そしてというのだ。
「そうした味になっていて」
「美味しいのですね」
「かなりね、では今からね」
「はい、これから」
 雪路も笑顔で言ってだった。二人で食べはじめるが。
 雪路はそのパスタを食べてこう言った。
「大蒜もオリーブオイルも」
「かなり効いてるわね」
「はい、そのせいで」
「かなり美味しいわね」
「そう思います」
「そうね、だから私はこのお店が好きなの」
 カーミラも食べつつ言うのだった。
「それで貴女にもよ」
「紹介してくれたのですね」
「今ね、そしてね」
 カーミラはさらに言った。
「カルボナーラの次は」
「どういったスパゲティでしょうか」
「ネーロよ」
 このスパゲティだというのだ。
「イカ墨のね」
「ああ、あのスパゲティですか」
「カルボナーラは白だけれど」
「イカ墨は黒ですね」
「それを食べましょう」
「わかりました」
「そういうことでね」
 カーミラも食べつつ言う。
「飲むこともね」
「していきますね」
「ええ、お昼も」
「そうさせてもらいます」
 雪路はカルボナーラを食べつつ応えた、そしてその次のネーロ黒いスパゲティにも思いを馳せるのだった。


第百五十話   完


                    2019・4・14 

 

第百五十一話

            第百五十一話  スパゲティから
 ネーロ、イカ墨のそのスパゲティも来た、それでだった。
 二人はそのスパゲティも食べた、そうしつつ雪路は言った。
「このスパゲティもですね」
「美味しいわね」
「はい」
 こうカーミラに答えた。
「とても」
「実はドイツでもよく食べられるのよ」
「このスパゲティは」
「いえ、スパゲティ全体がね」
「そうなのですか」
「ドイツは伝統的にイタリアが好きだから」 
 それでというのだ。
「イタリア料理も人気があってね」
「スパゲティもなんですね」
「ヒトラーも好きだったし」
「菜食主義とは聞いていました」
 雪路もこのことは知っていた。
「それでお酒も煙草も口にしなかったと」
「そうよ、ヒトラーは個人としては真面目で清潔だったのよ」 
 悪名高き独裁者であたたがというのだ。
「それで食事もね」
「菜食主義で」
「スパゲティが好きだったのよ」
「そうだったんですね」
「それで他のドイツ人達もね」
 その彼等もというのだ。
「よく食べているのよ」
「そうなんですね」
「オーストリアでもそうだし」
 この国でもというのだ。
「私も好きよ」
「それで今もですね」
「貴女と食べてワインもね」
 その赤ワインを飲む、大蒜とオリーブオイルを利かせたスペゲティによく合っていて実に美味い。
「こうしてね」
「飲まれますね」
「貴女も飲んでね」
「はい、確かにスパゲティにもよく合いますね」
 ワインはとだ、雪路も飲みつつ応えた。
「本当に」
「ではね」
「今もですね」
「ワインを飲んでデザートもね」 
 こちらもというのだ。
「楽しみましょう、デザートの時もね」
「ワインですね」
「それを飲みましょう」
 是非にと言うのだった。
「お昼は好きなだけね」
「飲みますか」
「ええ」
 頷いてだ、そうしてまた飲むのだった。


第百五十一話   完


               2019・4・18 

 

第百五十二話

                 第百五十二話  デザートの時も
 雪路もカーミラもイカ墨のスパゲティも楽しんだ、そしてデザートのケーキを楽しんだがその時にだ。
 赤ワインの残りを見てだ、カーミラは雪路に微笑んで言った。
「ではね」
「ケーキの時もですね」
「飲みましょう、けれど」
「はい、十時に一本空けて」
「朝はシャンパンでね」
「もうかなりですね」
 かなり緩くなった顔でだ、雪路は言った。
「酔ってますね」
「そうね、それも無理ないわ」
「ワイン四本以上空けていますね」
「貴女はね、私は朝もっと飲んでいたから」
 それでというのだ。
「五本分はね」
「飲んでおられますか」
「そうよ、けれど私は平気よ」
「お酒お強いですか」
「自信があるわ、むしろ酔わない方なの」
「幾ら飲まれても」
「そう、酔い潰れることもね」
 そうしたこともというのだ。
「ないわ」
「そうですか、では」
「ええ、このワインも」
 そろそろ限界の雪路に言うのだった。
「飲むわ」
「それでは」
「お昼の後は」
「どうしますか?」
「少し寝ましょう」 
 カーミラは今度はこう提案した。
「そして起きてからね」
「飲むんですね」
「いえ、お風呂に入って」
 そうしてというのだ。
「お酒を抜いて気持ちもすっきりさせて」
「そうしてですか」
「夜また飲みましょう」
「夜も飲みますね」
「ワインをね、今度はステーキがいいわね」
「夜はステーキですか」
「それを食べながら」 
 そうしつつというのだ。
「飲みましょう」
「夜もですね」
「お昼寝とお風呂の後で」
 こう言いつつケーキを食べる、そしてケーキの時も赤ワインを飲むのだった。ケーキとワインもよく合っていた。


第百五十二話   完


               2019・4・18 

 

第百五十三話

第百五十三話  シェスタ
 カーミラは昼食の後で雪路をある場所に案内した、そこは会員制の喫茶店でありそこに彼女を案内してから言った。
「ここはお昼寝も出来るの」
「そうなんですね」
「日本ではあまりない習慣だけれど」
「シェスタですね」
「そう、それが出来るの」
 この喫茶店では、というのだ。
「だからね」
「今からですか」
「少しね、寝るといいわ」
「寝るとですか」
「お酒も抜けるから」
 寝ている間にというのだ。
「時間も過ぎてね」
「では、ですね」
「これから寝るといいわ、それと」
 カーミラは雪路に微笑んでさらに話した。
「起きたらね」
「それからはですね」
「お風呂に入りましょう、少し寝たらもうね」
 それでというのだ。
「時間も経っていてお酒も抜けて言うなら」
「あっ、二日酔いですね」
「そんな状態になるから」
 だからだというのだ。
「ここはね」
「シェスタをすべきですね」
「私は寝ないけれど」
 カーミラ自身はというのだ。
「本を読んでおくわ」
「そうされますか」
「ええ、けれど貴女はね」
「寝ればいいですか」
「飲んで寝れば」
 それでというのだ。
「随分違うから」
「失恋のことも」
「そう、もうかなり忘れたでしょ」
「そうですね、不思議と」
 実際にとだ、雪路も答えた。
「そんな感じです」
「楽しく飲んで食べたらね」
 それでというのだ。
「それだけで違うから。それで寝たら」
「余計にいいですね」
「気持ちよく寝て」
 そうもしてというのだ。
「忘れるのよ、けれど起きた時は二日酔いみたいになってるから」
「その時はですね」
「また言うわ」
 こう笑顔で言ってだった、カーミラは雪路をその喫茶店で寝かせるのだった。


第百五十三話   完


              2019・4・25 

 

第百五十四話

               第百五十四話  シェスタの後で
 雪路はカーミラが案内してくれた会員制の喫茶店の中でゆっくりと寝た、酔いのせいかよく寝ることが出来た。
 そして目覚めた時に時計で時間を見ると。
「四時ですね」
「一時位にお店に入ってね」
「四時ですね」
「三時間位寝たわね」
「そうですね、何か」
 起きるとだった、実際に。
 頭に鈍く強い痛みを感じてだ、雪路は言った。
「二日酔いにです」
「なってるわね」
「これは間違いありません」
「それではね」
 二日酔いになっているならとだ、カーミラは雪路に微笑んで話した。
「わかるわね」
「はい、お風呂ですね」
「今度はお風呂に案内するから」
 そうするというのだ。
「いいわね」
「ではそちらもお願いします」
「それではね、このお店の近くにね」
「お風呂に入る場所があるんですね」
「スーパー銭湯があるから」
 今度はそちらだというのだ。
「そちらに入ってね」
「そうしてですね」
「汗を流して」 
 その様にしてというのだ。
「身体も奇麗にして心もすっきりして」
「お酒をですね」
「完全に抜いて」
 二日酔いの状態になっているがというのだ。
「それでね」
「夜は夜で、ですね」
「次の場所にい行きましょう」
「そうするんですね」
「一日はまだあるわ」
 終わりではないというのだ。
「だからね」
「これからもですね」
「お風呂に入って」
「それから夜も楽しんで」
「じっくりと満喫して」
 快楽、それをというのだ。
「生まれ変わればいいのよ」
「生まれ変わるんですか」
「そうすればいいのよ」
「お酒も飲んで」
「その為のお酒だから」
 こう言ってだった、カーミラは雪路を次の場所に案内した。酒と遊楽の時はまだ続くのだった。


第百五十四話   完


                   2019・4・25 

 

第百五十五話

               第百五十五話  入浴
 今雪路は鈍くそして強い頭痛を感じていた、そして身体も辛い。彼女自身それがどうしてなのかわかっていた。
「二日酔いです」
「夕方だけれどね」
「そうなっています」
「少し寝たけれど」
 シェスタ、それでだとだ。カーミラも話した。
「状況的にはね」
「二日酔いですね」
「二日酔いは朝になるとは限らないわ」
 そうだというのだ。
「お昼でもね」
「飲んで、ですね」
「寝れば」
「それでお酒が残っていれば」
 もっと言えば頭の中の水分が少ないとだ。
「なるものよ」
「だからですね」
「今の貴女は二日酔いになったのよ」
「それだけワインを飲んだということですね」
「そうよ、そしてね」
「これからですね」
「言った通りにね」
「お風呂にですね」
「行きましょう」
 そこにというのだ。
「そうしましょう」
「わかりました」
「そこでお酒を抜いて」
 そうして二日酔いを解消させてというのだ、雪路が今苦しんでいるそれを。
「そしてね」
「そのうえで、ですね」
「身体も奇麗にして気持ちも」
 入浴、それでというのだ。
「すっきりさせるのよ」
「お風呂のいい入り方ですね」
「そうよ、お風呂はね」
「そうした楽しみの為にあるもので」
「日本では特にそうよね」
「はい、日本人はお風呂が好きな人が多くて」
 実際にとだ、雪路はカーミラに答えた。
「沢山の人がそうして楽しんでいます」
「私もそうなのよ」
 日本生まれではないがとだ、カーミラは笑って話した。
「東欧では有名だし」
「そうなんですか」
「ハンガリー等でね、ではね」
「今度はお風呂ですね」
「そちらを楽しみましょう」
「わかりました」 
 まずはこの二日酔いを解消したい、こう思いつつだった。雪路はカーミラに今度は風呂に案内してもらった。


第百五十五話   完


                2019・5・2 

 

第百五十六話

              第百五十六話  まずはサウナで
 雪路はカーミラに彼女の行きつけのスーパー銭湯に入るとだった、まずは軽く身体を洗ってからサウナに入った。
 するとだ、熱いサウナの中でだった。
 雪路は汗をかいた、すると二日酔いもだった。
「お酒が抜けて」
「楽になってきてるでしょ」
「そのことがわかります」
「思いきり暑くなったら」
 それからのこともだ、カーミラは話した。タオルで包んだ肢体は見事であるが不思議なことに汗はかいていない。
「その時はね」
「水風呂ですね」
「そこに入って」
 そしてというのだ。
「身体を冷やして」
「そうしてからですね」
「また入ればいいわ」
 その様にすればいいというのだ。
「その時はね」
「水風呂がまた、ですよね」
「二日酔いを解消してくれるから」
 だからだというのだ。
「水風呂もね」
「入るといいですね」
「そうよ、熱した後は」 
 それからはというのだ。
「冷やすのよ、二回か三回繰り返せば」
 サウナと水風呂を行き来することはというのだ。
「それでね」
「もうすっきりなって」
「それでね」
「楽になっていますね」
「そうよ、その後でお湯にも入るのよ」
 サウナの後でというのだ。
「そうすればね」
「お酒はもうですね」
「完全に抜けているから」
 だからだというのだ。
「それで気持ちもすっきりして身体全体も」
「よくなっていますか」
「貴女が肩や腰も悪かったらね」
「別に今は」
 そちらはとだ、雪路は答えた。
「それでもですね」
「そう、悪かったらね」
 その肩や腰がというのだ。
「お風呂はいいから」
「だから入るべきですね」
「ゆっくりとね」
 言いながらカーミラもサウナの中にいた、だが彼女だけは汗をかかない。よく観ないと誰も気付かないことだが事実そうであった。彼女も水風呂に入るがその時も実は彼女だけは体温は同じのままであった。


第百五十六話   完


                2019・5・2 

 

第百五十七話

              第百五十七話  二日酔いが
 風呂に入ってだ、そしてだった。
 雪路は気持ちが晴れやかになってカーミラに話した。
「もうです」
「お酒が抜けたわね」
「はい」
 そうなったというのだ。
「湯舟にも何度も入りましたし」
「サウナだけでなくね」
「そのお陰でもう」
「そうね、じゃあ今はね」
 カーミラは雪路の返事に微笑んであることを勧めた、それは何かというと。
「水分補給をしてね」
「お水ですね」
「これまでかなり飲んで」
 そしてというのだ。
「お風呂にも入ったでしょ」
「だから水分をかなり失っているので」
「お酒でもお風呂でもね」
 その両方でというのだ。
「そうなっているから」
「だからですね」
「飲むこともいいけれど身体のことも考えて」
 そのうえでというのだ。
「まずはね」
「水分もですか」
「ちゃんと飲んでね、普通にお水を飲んでいいのは」
 カーミラはここでんなことを言った。
「最近までのことね」
「最近?」
「ええ、最近はスポーツドリンクがあるから」
「あの、最近ですか」
 雪路はカーミラのその言葉に目を瞬かせた、それは彼女にとってはどうにもピンとこない話だったからだ。
「私が生まれる前からありますけれど」
「そうだったわね、人ではね」
 カーミラは自分の言葉の意味に気付いて言った。
「最近ね、歴史では」
「歴史ですか」
「そう、だからね」
「確かに。歴史なら最近ですね」
 雪路はそこから考えるとスポーツドリンクの誕生はそうなると解釈した、そのうえでカーミラに話した。
「そうなりますね」
「そうね、ではね」
「これからですね」
「スポーツドリンクを飲みましょう」
 そええで水分補給をしようと言うのだった。
「これからね」
「それでは」
 雪路も頷いてだ、今はワインではなくスポーツドリンクを飲むのだった。水分補給として。


第百五十七話   完


                    2019・5・10 

 

第百五十八話

              第百五十八話  水分を補給して
 カーミラもスポーツドリンクを飲んだが雪路もだった、ワインと風呂でかなり抜けた水分を補給した。
 かなり飲んだ後でだ、雪路はカーミラに話した。
「かなりです」
「落ち着いてきたでしょ」
「お酒が抜けてしかも」
「水分も補給出来てね」
「生き返った気がします」
「お酒を飲んだ後はね」
 そして入浴もしたならというのだ。
「こうして水分を補給しないと駄目よ」
「身体に悪いからですね」
「そう、だからね」
「今は、ですね」
「お昼も飲んでね」
 そしてというのだ。
「シェスタの後でお風呂も入って」
「脱水症状にもですか」
「なりかねないから」
 それ故にというのだ。
「今はね」
「水分を補給すべきだったんですね」
「そしてね」
「これからですね」
「そう、少し休んで」
 そうしてというのだ。
「夜もね」
「飲みに行けばいいですね」
「そうよ、そして飲むのは」
 まさにという口調での言葉だった。
「今回はね」
「夜だからですね」
「これまでもかなり飲んできたけれど」
「本番ですね」
「もう徹底的に飲んで」
 その様にしてというのだ。
「完全に忘れてね」
「そうしてですね」
「何もかもを入れ替えて」
 その気持ちになってというのだ。
「また日常を過ごすのよ」
「全てはその為ですね」
「今飲んで楽しんでいるのはね、だからその最後に」
 夜にというのだ。
「いいわね」
「少し休んでからですね」
「思いきり飲むのよ」
「そして今度のお店は」
「最後はお肉よ」
 これが肴になるというのだ。
 カーミラは雪路に優雅に微笑んでまずはゆっくりと少し休んだ、そうしてから彼女をあるお店に連れて行くのだった。


第百五十八話   完


                     2019・5・10 

 

第百五十九話

              第百五十九話  歌と酒と
 カーミラは雪路をある高級レストランに案内した、雪路はその店に入ってすぐにカーミラに対して言った。
「あの、幾ら何でも」
「どうしたのかしら」
「このお店は高いのでは」
「私にとっては何でもないわ」
 カーミラは雪路に微笑んで答えた。
「別にね」
「そうなのですか」
「私には資産があるし。それに」
「それにといいますと」
「私はお金は幾らでも生み出せるものだから」
「そうなのですか」
「ええ、色々とね」
 錬金術や使い魔達が行っている株等は内緒にしての言葉だ。
「だからね」
「こうしたお店もですか」
「何でもないわ。だからね」
「お金のことは」
「気にしないで。それでね」
「今からですね」
「食べて」 
 そしてというのだ。
「飲みましょう」
「このお店でもですね」
「ワインをね。しかもこのお店で飲むワインは」
 そちらの話もだ、カーミラはした。
「貴腐ワインよ」
「あの甘い」
「ええ、トカイよ」 
 ハンガリー産のこのワインだというのだ。
「このワインを飲みましょう」
「トカイとは」
「貴女も知ってるわね」
「あまりにも有名ですから」
 こうカーミラに答えた、既に二人用の席に着いているその中で。もうメニューはカーミラが注文していた。
「私も」
「そしてそのトカイをね」
「ここで、ですか」
「飲みましょう。いいわね」
「それでは」
「これで終わりだから」
 カーミラはこうも言った。
「だから最後はね」
「トカイですか」
「これで終わらせましょう」
 雪路に優しい笑みで話した、そしてだった。48
 二人は食事をはじめた、まずはサラダが来てだった。そしてその後でそのトカイが運ばれてきたのだった。


第百五十九話   完


                2019・5・16 

 

第百六十話

                第百六十話  トカイ
 二人にトカイのボトルが一本ずつ運ばれてきた、雪路はそのトカイのボトルを見てカーミラに対して言った。
「まさかです」
「トカイとは思わなかったわね」
「とても」
 こうカーミラに答えた。
「思いませんでした」
「そうね、けれどね」
「実際にですか」
「今からトカイを飲みましょう。それに」
 カーミラはさらに言った。
「お料理もね」
「このお店は、ですか」
「凄くいいから」
 それでというのだ。
「だからね」
「そちらもですね」
「楽しみましょう。サラダも」
 見ればレタスとトマト、胡瓜にセロリと組み合わせはオーソドックスだ。だがそれでもだった。実際に食べると。
 全く違う、それで雪路も言った。
「普通のサラダとは」
「違うわね」
「はい、全く」
 こうカーミラに答えた。
「凄く美味しいです、ドレッシングも」
「お酢もオイルも違うから」
「普通のものとはですね」
「そう、だからね」
 それ故にというのだ。
「普通のお料理とは違うのよ」
「素材が違うので」
「そしてシェフの腕もね」
 こちらのこともあるというのだ。
「違うから」
「だからサラダでもですか」
「この味なのよ」
「そうなのですね」
「そしてサラダだけでなくね」
 カーミラはさらに言った。
「これからのスープやオードブル、そして魚料理にね」
「メインディッシュもですね」
「デザートもね」
 これまでというのだ。
「全く違うから」
「お料理も楽しめますか」
「トカイと一緒にね」
 そうだと言うのだった。
 そうして自分もサラダを食べるのだった、塩の味もしたがその塩自体も使い方も普通の塩のそれではなかった。


第百六十話   完


                 2019・5・16 

 

第百六十一話

                第百六十一話  最後まで楽しんで
 雪路はトカイを飲みつつ料理を食べていった、そしてステーキもデザートも食べ終えてワインも最後の一口まで飲んだ。
 そうしてだ、カーミラに笑顔で言った。
「もうです」
「満足したかしら」
「はい」
 その通りだと答えた。
「もうすっかり」
「では忘れたわね」
「失恋のことですね」
「そうなったわね」
「忘れていました、そして」
 雪路はカーミラにさらに話した。
「思い出しても」
「それでもよね」
「もう何でもありません」
「そうなったわね」
「すっきりしました」
「そうよ、ワインはね」
 これまで飲んだこの酒はとだ、カーミラもトカイの最後の一口を飲み終えてから雪路に対して話した。
「失恋も洗い流してくれるのよ」
「そうですか」
「そうよ、だからね」
「今日はですか」
「貴女にずっと飲んでもらったし」
 これまで言った通りにというのだ。
「そうだったのよ」
「そうでしたか」
「そう、そして実際によね」
「もう失恋のことは」
「何でもなくなったわね」
「ワインのことや遊ぶことを考えて」
 カーミラに案内されてというのだ。
「そしてでした」
「そうだったわね、これでね」
「すっきりして」
「失恋もでしょ」
「何でもないです。大切な人と思っていましたが」 
 そう思っていた人と別れたと思っていたがというのだ。
「もう」
「そうよ、ならもうね」
 カーミラは明るい顔になった雪路にこう言った。
「暫くして新しい恋をね」
「探してですか」
「それに入ればいいわ」
「そうですか」
「もうすっかり忘れて思い出になったから」
 ワインで悲しみを洗い流したからだというのだ、カーミラは雪路に彼女の部屋まで案内すると言ってだった。レストランを二人で去った。最後の楽しみだった場所を。


第百六十一話   完


                2019・5・23 

 

第百六十二話

               第百六十二話  家まで送り
 雪路はカーミラに自分の部屋まで案内してもらった、だが雪路は自分の部屋の扉の前に来たところでカーミラに尋ねた。
「あの、私のお部屋のことは」
「何故私が知っていたか」
「お話したでしょうか」
「わかるのよ」
 カーミラは雪路に微笑んで答えた。
「私には」
「そうなのですか」
「人の心がね」
 それがというのだ。
「目を見ていると」
「目をですか」
「そう、私はね」
「不思議ですね」
「私はそうだから」
 自分の能力のことは隠して述べた。
「わかったのよ」
「そうですか」
「そうよ、では今日はね」
「これで、ですね」
「お仕事にね」
「励めばいいですね」
「別れた相手は同じ職場にはいないわね」
 カーミラは雪路にこのことを確認した。
「そうよね」
「はい、違います」
「それならね」
「これで、ですね」
「終わりよ、そしてはじまりよ」
 カーミラは雪路にこうも言った。
「貴女のね」
「新しい恋を見付けて」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「楽しめばいいわ」
「そうですか、では」
「ええ、はじまりの為にお部屋に入れば」
 つまり帰ればというのだ。
「よく寝てそして」
「またですね」
「元気に起きればいいわ」
「そうですね、今日はよく寝れそうです」
 雪路はカーミラに笑顔で答えた。
「では」
「機会があればね」
「またですね」
「会いましょう」
 カーミラから言ってだった、彼女は雪路と別れた。そうしてそのうえで自身の屋敷に戻り楽しい夜を過ごすのだった。


第百六十二話   完


                2019・5・23 

 

第百六十三話

第百六十三話  鉄分
 華奈子と美奈子は家で自分達の母親が出してくれたそのおやつを見てまずは怪訝な顔になった、そのうえで母に尋ねた。
「お母さんこれ何?」
「これ何なの?」
「果物みたいだけれど」
「はじめて見るわ」
「プルーンよ」
 それだとだ、母は答えた。
「果物よ」
「ううん、色は葡萄に似てる?」
「そうよね」
 華奈子と美奈子はそのプルーンを見てこうも言った。
「何かね」
「形は何かね」
「大きなさくらんぼというか」
「葡萄の房の大きいの?」
「そんな風ね」
「どうもね」
「そうね、色は葡萄に似てるけれど」
 母親もこう答えた。
「また違うから」
「そうなのね」
「別のものなのね」
「そうよ、味も全然違うから」 
 こちらもというのだ。
「食べてね、あとね」
「あと?」
「あとっていうと」
「栄養もあるから」
 プルーンにはというのだ。
「ビタミンもあるしお通じにもいいのよ」
「お通じって」
「そんなになの」
「そうした意味でも健康にいいから」
 それでというのだ。
「食べてね」
「別にお通じはね」
「それはね」
 双子ははあの今の言葉には顔を見合わせて話した、女の子としてそうした話はとも思ったからである。
「私達の場合はね」
「別に気にしてないけれど」
「ビタミンがあるなら」
「食べましょう」
「鉄分があるから」
 それでというのだ。
「お通じもいいのよ。とにかく食べてね」
「身体にいいならね」
「是非ね」
「しかも美味しいから」
 こう言ってだった、華奈子と美奈子の母親は今日のおやつにプルーンを出した。一緒に出した牛乳もおやつだった。


第百六十三話   完


                2019・5・30 

 

第百六十四話

               第百六十四話  食べてみて
 華奈子と美奈子は二人でプルーンを食べてみた、二人共一口ずつ食べてから母親に対してこう言った。
「うん、これはね」
「美味しいわ」
 二人で母に言った。
「甘いしね」
「何個でも食べられそうね」
「そうでしょ、美味しくて」
 見れば母も食べている、そうしながらの言葉だ。
「健康にもいいから」
「だからなのね」
「今日はプルーンを出してくれたのね」
「実は苺も考えたの」
 二人の好物の一つである。
「けれどね」
「プルーンにしたの」
「こちらに」
「今日スーパーでこっちの方が安かったから」
 母は娘達に笑って話した。
「それでね」
「理由は簡単ね」
「そうね」 
 二人は母のその返事に笑って返した。
「確かに安いとね」
「そちらにいくわね」
「それにあんた達まだ食べてないでしょ」
 このこともあったというのだ。
「おまけに身体にもいいから」
「それでなのね」
「今日はプルーンで」
「そうよ、それで買ったけれど美味しかったら」
 二人がそう感じたならというのだ。
「また買って来るわね」
「ええ、お願いするわ」
「本当に美味しいし」
「干したりジャムにしても食べるから」
 母は今度はプルーンの食べ方の話もした。
「そっちも今度ね」
「ええ、おやつにね」
「食べさせてくれるのね」
「そうさせてもらうわ、お母さんも久し振りに食べたけれど」
 母はこうも言った。
「美味しいわね、本当に」
「こうした果物もあるなんてね」
「面白いわね」
「そうね、あんた達にはよく果物を買うけれど」
 二人の好物だからだ。
「これからはプルーンもね」
「今度食べる時も楽しみにしてるわ」
「私もよ」 
 華奈子も美奈子も笑顔だった、そうして二人はプルーンを食べ終えた後で牛乳を飲んでおやつを終えたのだった。


第百六十四話   完


                2019・5・30 

 

第百六十五話

                第百六十五話  おやつの時に
 プルーンを食べてからだった、美奈子は華奈子に言った。
「最近私達よく牛乳飲んでるわね」
「あっ、そういえばね」
 華奈子も言われてすぐに応えた。
「最近ね」
「私達そうよね」
「おやつの時はね」
「何時も牛乳よね」
「ジュースや紅茶じゃなくて」
 そうしたものも以前は読んでいた、だがそれでも最近は二人共牛乳をよく飲んでいる。このことを美奈子が最初に行って華奈子も頷いたのだ。
 それでだ、華奈子は自分から言った。
「あたし達牛乳よく飲むわね」
「最近ね」
「そうなったわね、どういう訳か」
「私達元々牛乳好きだったけれど」
「最近多くなってるわね」
「どういう訳かね」
「だって最近うちジュース買ってないから」
 ここで母親が二人に言ってきた。
「だからよ」
「あっ、そうなの」
「最近ジュース買ってないの」
「そうなの、牛乳の方が身体にいいから」
 それでというのだ。
「オレンジジュースとかよりもね」
「牛乳買ってるのね」
「身体にいいから」
「そうしているの、それで紅茶は」
 こちらはというと。
「毎朝出してるでしょ」
「あっ、ホットティーね」
「そちらで出してるわね」
「そっちに出す様にしてるの」
 おやつの時ではなくというのだ。
「だから最近は牛乳が多いの」
「そうだったのね」
「そういう理由だったのね」
「そうよ、それにあんた達元々牛乳好きだし」
 このことも理由だというのだ。
「出してるのよ」
「ううん、言われてみると」
「結構簡単な理由ね」
 二人はは藩言葉を聞いて言った。
「けれどそれでもね」
「別にいいわね」
「ジュース飲みたいなら言ってね」
 その時はその時にという母だった。
 そして二人は又牛乳を飲んだ、その牛乳もまた美味かった。二人共満足して牛乳を飲み終えることが出来た。


第百六十五話   完


               2019・6・7 

 

第百六十六話

               第百六十六話  牛乳の栄養は
 華奈子と美奈子はおやつのプルーンと牛乳を楽しんだ後で自分達の部屋に戻った、ここで美奈子は華奈子に話した。
「牛乳は確かに栄養があるのよね」
「そうそう、蛋白質とかカルシウムとかね」
 華奈子も自分の席から応えた、美奈子も自分の席にいる。
「凄く身体にいいのよね」
「だからいつも飲んでいることはね」
 自分達がと言う美奈子だった。
「いいことよ」
「そうよね」
「それで果物はビタミンも豊富だから」
 それでというのだ。
「この組み合わせはね」
「ただ美味しいだけじゃないのね」
「凄く身体にもいいから」
「尚更いいのね」
「そう、だからね」
「あたし達はこのまま飲んでもいいのね」
「そう思うわ、それに牛乳飲んだら」
 美奈子は華奈子に笑顔で話した。
「背が高くなって胸もね」
「あっ、胸もなの」
 華奈子はその言葉に笑顔で応えた。
「大きくなるの」
「そうみたいよ」
「だったらね」
 華奈子は美奈子にさらに言った。
「どんどん飲んでいけばいいわね」
「華奈子も胸欲しいわね」
「そりゃね、それ美奈子もでしょ」
「ええ」
 その通りだとだ、美奈子の返事も同じだった。
「それはね」
「だったらね」
「牛乳はね」
「どんどん飲んでいきましょう」
「これからもね」
「それじゃあね、これからもジュースよりもね」
「牛乳飲んでいくべきね」
 見れば美奈子も笑顔である、しかも二人共目を輝かせている。
「私達は」
「絶対にね、モデルさんかグラビアアイドルみたいな」
「そんな風にね」
「なりましょう」
「牛乳を飲んで」
 そしてと言うのだった。
「今私達成長期だし」
「絶対に飲むべき時ね」
「しかも美味しいから」
 飲むことに抵抗がない、それでだった。
 二人でさらに牛乳を飲んだ、美味いだけでなく栄養もあると思うと本当によかった。


第百六十六話   完


                  2019・6・7 

 

第百六十七話

              第百六十七話  牛乳について
 華奈子と美奈子は牛乳について塾でも話した、すると赤音は二人に対して明るい笑顔でこう言った。
「私も好きよ」
「赤音ちゃんも好きなの」
「それで毎日飲んでお姉ちゃんもね」
 赤音の姉もというのだ。
「いつも飲んでるのよ」
「そうなのね」
「それでお姉ちゃん最近ね」
 こうもだ、赤音は華奈子に応えて話した。
「おっぱいがね」
「大きくなってきてるの」
「そうなの、もうどんどんね」
「そういえば赤音ちゃんのお母さん胸が大きいわね」
 美奈子は赤音の話を聞いて述べた。
「それも」
「お母さんもね」
 赤音は美奈子にも話した。
「実際にね」
「牛乳好きなのね」
「そうなの」
「やっぱり牛乳って身体によくて」
 それでとだ、華奈子はまた言った。
「胸にもいいのね」
「錬金術にも使えるし」
 亜美も言ってきた。
「ええもんやな」
「学校でよく牛乳飲むといいって言われるけれど」
 春奈もしみじみとした口調で話した。
「そうしたことからもいいのね」
「やっぱり胸って大きい方がいいわよね」
 華奈子がここでまた言った。
「本当に」
「そうよね、だから私も最近ね」
「牛乳どんどん飲んでるのね」
「お姉ちゃんみたいになりたいから」
 赤音は華奈子にこう答えた。
「胸だって」
「それで牛乳も飲んでるのね」
「そうしてるの」
 実際にと言うのだった、そうしてだった。
 華奈子は美奈子と共にこうも言った。
「あたし達もこれからね」
「どんどん牛乳飲んでいこうね」
「そうしてね」
「胸だってね」
「だから」
「これからもね」
 牛乳を飲んで何かと大きくなろうと言うのだった、そうしているうちに塾の授業がはじまった。するとここでもなのだった。


第百六十七話   完


                 2019・6・13 

 

第百六十八話

                第百六十八話  魔法でも
 今田先生は塾の教壇からあるものを出して華奈子達に話した。
「今日はこれを使います」
「牛乳ですね」
 美樹はその牛乳パック、一リットルのそれを見て自分の席から先生に対して尋ねた。見れば確かにそれは牛乳パックだった。
「それは」
「はい、牛乳を使ってです」
「魔法を行うんですね」
「今日は錬金術ですね」
「はい、そういえばさっき亜紀ちゃんが」
「言うてたな」
 その亜紀が美樹に応えた。
「牛乳は錬金術にも使うって」
「丁度そうなったわね」
「何ていうか」
 梨花も自分の席から言った。
「言ったすぐ傍からよね」
「牛乳使うわね」
「そうよね」
 梨花は美樹にも応えた。
「噂をすればだけれど」
「本当にそうよね」
「今回はお薬を作りますが」
 それでもというのだ。
「牛乳は栄養の塊と言ってもいいので」
「だからですか」
「錬金術にも使うんですね」
「そうです、石鹸も作れますね」
 先生はこちらの話もした。
「そうですね」
「はい、そういえば」
「お店でも売っています」
「そしてクレオパトラもです」
 絶世の美女と謳われたエジプトの女王もというのだ。
「牛乳のお風呂に入っていました」
「あの、牛乳のお風呂に入ったら」
 華奈子は先生の今の話にどうかという顔で応えた。
「臭くないですか?」
「後でお水で流せばです」
「臭くないですか」
「よく洗えば」
「そうしていたんですね」
「ですが美容にもいいことは確かですよ」
「それで錬金術にも使うんですね」
 華奈子はまた先生に言った。
「そうですね」
「はい、ですから今からです」
「その牛乳を使って」
「とても身体にいいお薬を作りましょう」
「わかりました」
 華奈子も他の六人も頷いてだった、牛乳に他の材料も使ってだった。身体にいい薬を作るのだった。


第百六十八話   完


                  2019・6・13 

 

第百六十九話

               第百六十九話  良薬の元
 今田先生は華奈子達に牛乳を使って作る錬金術の薬についての説明をはじめた、するとその数があまりにも多く。
 錬金術を得意とする亜美もこう先生に言った。
「あの、何か種類が」
「多いですね」
「こんなに多いんですか」
「はい、何しろ牛乳はです」
 先生は亜美に笑顔で話した。
「身体にいいですね」
「栄耀の塊ですね」
「牛乳とお野菜、果物を食べていれば」
 それでというのだ。
「生きていけるとです」
「あっ、菜食主義ですか」
「それも可能なので」
「そやからですか」
「健康に非常にいいので」
 だからだというのだ。
「錬金術にもよく使われていてです」
「お薬の種類もですか」
「ここまで多いのです」
「うちこのうちの幾つか知ってますけれど」
 中には作ったものもある、やはり亜美は錬金術が得意なのだ。
「それでもです」
「こんなに多いとはですか」
「ほんまに思ってませんでした」
 そうだったというのだ。
「こんなに多いですか」
「はい、しかも健康や美容にとです」
「白魔術によお使いますね、これは」
 ここで亜美はこんなことも言った。
「色が白いからですか」
「それは違います」
「身体にええからですね」
「だからです、それはわかっておられますね」
「冗談でした」
 亜美もそれで言ったことを認めた。
「実は」
「はい、ですが白魔術に相応しいことは」
 このことはというのだ。
「色からも言われています」
「白やからですね」
「そうです、ではです」
「今からですね」
「最初に作りますので」
 塾の授業ではというのだ。
「簡単なものからはじめましょう」
「わかりました」
 亜美も頷いた、そうしてだった。
 皆で牛乳も使って薬を作りはじめた、それがはじまったのだった。


第百六十九話   完


                 2019・6・20 

 

第百七十話

                第百七十話  作ってみて
 牛乳をベースに華奈子達は色々な身体にいいものを入れて薬を作った、そして薬が出来てからだった。
 それぞれが造った薬を見てだ、先生は笑顔で話した。
「皆さんよく出来ていますね」
「合格ですか?」
「全員これでいいですか」
「はい、皆さんそれを飲まれますと」
 そうすると、とだ。先生は華奈子と美奈子に話した。
「風邪をひいてもです」
「治りますか」
「風邪でも」
「もう四十度の熱でも」
 そこまでの風邪でもというのだ。
「すぐに治ります」
「そんなに強いんですか」
「このお薬は」
「そうです、牛乳だけでなく」
 白い飲み薬だが牛乳には見えない、バニラシェイクの様なものがコップの中に入っている。どろりとした感じだ。
「他にも身体にいいものを沢山入れていますので」
「風邪もですか」
「四十度の熱でも」
「それこそです」
 飲めばというのだ。
「すぐに治ります」
「そんなに凄いですか」
「牛乳を使って作ると」
「ただし普通の時に飲みますと」
 風邪をひいていない時に服用すればというのだ。
「元気が出過ぎてです」
「よくないですか」
「その時は」
「夜寝られなくなります」
 そうなってしまうというのだ。
「それで身体を動かしたくなってです」
「仕方なくなる」
「そんなものですか」
「じゃあまさか」
「このお薬は」
「そこから先は言いませんが」
 あえてだった、まだ子供である生徒達には。
「ですがそれでもです」
「そこまで凄いんですね」
「四十度の熱の風も治して」
「普通の時に飲めば夜寝られなくなる」
「そうなる位に」
「これも牛乳の力ですよ」
 先生は生徒達に穏やかな笑顔で話した。
 そうして後で自分が風邪になった時に飲んだ、すると結構酷い風邪だったがものの一時間で全快してしまったがこれは後の話である。


第百七十話   完


                 2019・6・20 

 

第百七十一話

             第百七十一話  背を高くする為にも
 華奈子と美奈子は塾の授業が終わってから家に戻ってすぐに冷蔵庫の扉を開けた、そうして牛乳を出してだった。
 それを飲む、すると母に言われた。
「あら、また飲んでるの」
「うん、牛乳って身体にいいし」
「背も高くなるから」
 それでというのだ。
「飲んでみてるの」
「これまで以上にね」
「そうなの。確かに牛乳は身体にいいけれど」
 母は娘達の言葉を聞いてこう返した。
「飲み過ぎない様にね」
「飲み過ぎないと何かあるの?」
 華奈子が母に尋ねた。
「牛乳って」
「だから飲み過ぎるとお腹に悪いでしょ」
 母が言うのはこのことだった。
「牛乳は」
「ああ、そういうことね」
 華奈子も言われて納得した。
「確かにそうよね」
「そう、だからね」
「飲み過ぎないことね」
「そうよ、牛乳はね」
「そういえば」
 美奈子も母の言葉を聞いて言った。
「牛乳って飲み過ぎるとよくないわね」
「お腹の調子が悪くなるでしょ」
「ええ」
 その通りだとだ、美奈子は母に答えた。
「だからお母さんも言うのね」
「そう、牛乳は確かに身体にいいけれど」 
 それでもというのだ。
「飲み過ぎには注意してね」
「わかったわ」
「そこは気をつけて」
 そうしてというのだ。
「飲んでね」
「ええ、そうするわね」
「お水みたいに飲んだら」
 どうかとだ、華奈子も言った。
「お腹壊すからっていうのね」
「そう、よくないから」
「そこは気をつけて」
「そうして飲んでね」
「わかったわ」46
 華奈子も頷いた、そうしてだった。
 二人はもう一杯牛乳を飲んだ、だがその一杯で止めて。
 その後は自分達の部屋に入ってそうして学校の勉強の予習と復習をした。それから魔法の勉強を夕食までした。


第百七十一話   完


                  2019・6・28 

 

第百七十二話

                第百七十二話  夕食の後で
 華奈子と美奈子は夕食は両親と共に食べた、メニューは焼き魚と海草のサラダにピクルスそして茸が多く入ったスープだったが。
 二人は夕食を終えてからまた牛乳を飲んだ、ここで華奈子は両親に対してこんなことを言った。
「一敗はいいのよね」
「これ位は」
「そう、とにかく飲み過ぎはよくないけれど」
 それでもとだ、母が二人に答えた。
「それでもね」
「飲むこと自体はよくて」
「それで一杯だといいのね」
「朝昼晩一杯と言わず二杯三杯って飲んでいいのよ」
 それ位はというのだ。
「ただ、問題はね」
「飲み過ぎないことね」
「そういうことなのね」
「そうよ、本当のがぶ飲みはね」
「よくないけれど」
「二杯とか三杯はいいのね」
「あんた達のコップの大きさだとね」
 見れば二人のコップは湯飲み位の大きさである。
「いいのよ」
「そうなの、じゃあね」
「二杯か三杯にしておくわね」
「お父さんもそうするか」
 双子の父も言ってきた、それで父も牛乳を飲むが。
 ここでだ、母は自分の夫にはこう言った。
「あなたも注意してね」
「飲み過ぎにはか?」
「お酒もそうだけれど」
「おいおい、お酒と牛乳は違うだろ」
「それでもよ、やっぱり飲み過ぎはよくないわよ」
 牛乳にしてもというのだ。
「やっぱりね」
「お腹壊すからか」
「あなたは日本酒やビールはあまり飲まないけれど」
「身体によくないからな」
 父もそこはわかっているという感じだった。
「ワインや焼酎にしてるな」
「そうよね、けれどね」
「お酒も飲み過ぎないでだな」
「牛乳もね」
 こちらもというのだ。
「気をつけてね」
「そうするな、何でも飲み過ぎはよくないな」
「そう、けれどあなたワインは」
「好きだからな、飲む時はボトル二本だな」
 これだけ飲むというのだ。
「けれどそれはな」
「飲み過ぎよ、本当に何でもね」
「飲み過ぎは注意だな」
「そういうことよ」
 自分の夫にもこう言うのだった、そして自分も牛乳を一杯飲んだのだった。


第百七十二話   完


                 2019・6・28 

 

第百七十三話

               第百七十三話  先生の牛乳
 今田先生が風邪が治ってから今日子先生に言った。
「ちょっと体力がまだね」
「回復しきってないのね」
「ええ、だからね」
 それでというのだ。
「今日は軽いお食事でいいわ」 
「そうなのね」
「ええ、そう言っても何を食べるかって言われると」
 メニューはというのだ。
「思いつかないけれど」
「それならお粥か」
 今日子先生は今田先生の言葉を聞いてすぐにこうしたメニューを出してみせた。そのメニューはというと。
「オートミールかしら」
「オートミールね」
「オートミールに牛乳を沢山入れて」
 そうしてというのだ。
「食べたらね」
「体力が回復するわね」
「牛乳はそれ自体が栄養の塊でしょ」
「実際に私も牛乳使った風邪薬飲んだし」
 自分の錬金術で作ったものだ、今田先生はそれを飲んでそのうえで風邪を治したのだ。四十度近い熱が一晩ですっきりしたのだ。
「本当に牛乳はね」
「いいわよね」
「ええ、それじゃあね」
「オートミールにするわね」
「牛乳をたっぷりと入れたね」
 今日子先生も笑顔で応えてだ、すぐにだった。
 リビングに来た今田先生にその牛乳を大量に入れたオートミールを出した、見れば自分の分もある。
「私も食べるから」
「今日子ちゃんもなのね」
「朝だから」
 この時間帯だからというのだ。
「丁度いいし」
「オートミールは朝よね」
「そうでしょ、だからね」
 それでとだ、今田先生に笑顔で答えた。
「私もって思ったの」
「そうなのね、じゃあ一緒にね」
「ええ、今から食べましょう」
「牛乳をたっぷり入れたオートミールを食べて」
 そしてとだ、今田先生は笑顔で答えた。
「風邪が治って」
「そしてそこからね」
「元気になるわね」
「風邪は治った時よ」
 まさにその時にというのだ。
「そこで何を食べるかよ」
「そういうことね」
 今田先生は笑顔で応えた、そうしてオートミールを食べはじめた。


第百七十三話   完


                   2019・7・4 

 

第百七十四話

             第百七十四話  オートミールを食べて
 今田先生は今日子先生と一緒に牛乳を多く入れたオートミールを食べた、その朝食の後でこんなことを言った。
「オートミール食べて」
「元気が出たかしら」
「ええ、まだ本調子じゃないけれど」
 それでもというのだ。
「これで午前中はゆっくり休んだら」
「復活出来るのね」
「そんな感じね」
「じゃあ午前中は私や使い魔達に全部任せて」
 そうしてとだ、今日子先生は今田先生に話した。
「それでね」
「寝ていたらいいのね」
「そう、風邪が治ったら食べて」
「それから休んだら」
 そうすればというのだ。
「それでね」
「体力も回復するわね」
「だからよ、いいわね」
「今からなのね」
「ベッドに戻って」
「寝るべきね」
「そうすればいいわ、牛乳がたっぷり入っていたから」
 それでというのだ。
「よく寝られるわよ」
「そうよね、牛乳は良質の蛋白質だから」
 このことは今田先生も知っている、それで応えるのだ。
「沢山飲むとよく寝られるから」
「だからね、いいわね」
「今日の午前中も」
「よく寝てね」
「わかったわ。それで午後は」
「塾に来る子供達にね」
「授業で魔法教えさせてもらうわ、そういえば午前中は」
 今田先生はこの時間の話もした。
「今日は予定ないわね」
「ええ、有り難いことにね」
「それじゃあ都合がいいから」
「あと何かあっても」
「今日子ちゃんと」
「使い魔の皆に任せてね」
「それじゃあね」
「よく寝てね」
「そうさせてもらうわ」
 笑顔で応えてだった、そのうえで。
 今田先生は幸い寝間着のままだったのでそのままベッドに戻った、それでよく寝た。そして目覚めるとだった。
 もう昼だった、それで起きてきて今日子先生に言った。
「お昼はサンドイッチとサラダと目玉焼きにしましょう」
「いいわね、じゃあね」
「それと牛乳ね」
 これもと言ってだ、お昼を食べたがこの時は完全に本調子になっていた。


第百七十四話   完


                 2019・7・4 

 

第百七十五話

第百七十五話  大蒜は
 今田先生はこの時は大蒜が多く入ったアヒージョやパエリアといったスペイン料理を赤ワインと一緒に楽しんでいた。
 その時に料理を作った自身の使い魔達に言われた。
「あの、ふと思ったのですが」
「ご主人は今大蒜を楽しまれていますが」
「オリーブもですが」
「大蒜は吸血鬼の弱点でしたね」
「苦手なものの一つですね」
 こう今田先生に言うのだった。
「確か」
「左様でしたね」
「十字架や銀や日光と共に」
「苦手だと記憶していますが」
「それは種類によりますね」
 今田先生はパエリアを食べつつ答えた。
「吸血鬼の」
「種類といいますと」
「それはどういうことですか」
「まさか吸血鬼にも」
「吸血鬼は世界中にいまして」
 今田先生は使い魔達にこのことから話した。
「多くの種類がいます」
「そうなのですか」
「吸血鬼は多くの種類がいるのですか」
「それは知りませんでした」
「そうなのです、日本にもいますよ」
 吸血鬼はというのだ。
「ドラキュラ伯爵だけが吸血鬼ではありません」
「あの有名な、ですね」
「吸血鬼の代名詞の方ですね」
「カーミラ嬢と並ぶ」
「それだけの吸血鬼ですね」
「あれは映画のことで実際のドラキュラ伯爵も日光は嫌いですが」
 それでもというのだ。
「その下にいられますし多くの種類の吸血鬼達は」
「大蒜も平気ですか」
「十字架や銀も」
「そして日光も」
「そうです、お昼に活動する吸血鬼もいまして」
 そしてというのだ。
「大蒜や十字架や銀にも強い」
「そうした吸血鬼もいるのですね」
「一概にそうは言えないのですね」
「そうしたものに弱いとは」
「日本の吸血鬼は勿論平気ですよ」
 大蒜や十字架が弱点ではないというのだ。
「全てキリスト教のお話ですから」
「あっ、十時かはキリスト教ですね」
「言われてみれば」
 吸血鬼達も頷いた、そうしてだった。
 先生の食事の世話をしつつ話を聞いた、吸血鬼と大蒜等の関係を。


第百七十五話   完


              2019・7・11 

 

第百七十六話

                第百七十六話  大蒜を食べても
 先生は赤ワインを飲んでからまた使い魔達に話した、アヒージョやパエリアだけでなくソーセージやチーズもあるのでそれ等も楽しみつつそうしている。
「大蒜等が苦手なのは東欧の限られた種類だけです」
「その吸血鬼達だけですか」
「そうなのですね」
「吸血鬼全てがそうではない」
「大蒜は苦手ではないですか」
「私達が戦っているカーミラ嬢も」
 この吸血鬼もというのだ。
「大蒜は平気です」
「そうなのですね」
「その実は」
「はい、大蒜をよく使ったお料理も」
 そういったものもというのだ。
「平気でして」
「それで、ですか」
「大蒜料理も楽しめる」
「そうなのですね」
「十字架も好きではないですが平気で」
 こちらも大丈夫だというのだ。
「銀もです、そして日光も」
「そういえばそうですね」
「カーミラ嬢はお昼に歩く時もありますね」
「確かに夜がお好きですが」
「それでも」
「高位の吸血鬼はバンパイアロードとも呼ばれ」
 吸血鬼の貴族になるというのだ。
「その中でもかなり高位ですと魔王にも匹敵します」
「魔王ですか」
「そこまでの強さになるのですか」
「ではカーミラ嬢もですか」
「そこまでの強さがありますか」
「はい、ドラキュラ伯爵と並んで」
 吸血鬼の代名詞となっているこの吸血鬼と共にというのだ。
「そうなっています」
「今ドラキュラ伯は八条学園におられますね」
「そこで定住しておられますね」
「狼男さんやフランケンさんといつも一緒ですね」
「一緒に遊んでおられますね」
「カーミラ嬢はそこは違っていて」
 今田先生はまた彼女の話をした。
「私達と戦いを楽しんでいますが」
「その実力は魔王ですか」
「そこまでのお強さですか」
「そうでしたか」
「ですから私も今日子ちゃんも真剣です」
 こうは言う、だが。
 今田先生は今は笑顔だった、そうしてだった。
 大蒜が多く入ったスペイン風の食事の最後にはやはりスペイン風のデザートを楽しんだ。そこでも赤ワインは一緒だった、そうしてこの時は最後まで笑顔であった。


第百七十六話   完


                 2019・7・11 

 

第百七十七話

              第百七十七話  大蒜は
 今田先生は風邪が全快してから今日子先生に対して笑顔で話した。
「今日は大蒜を沢山使ったね」
「そうしたお料理を食べたいのね」
「ええ、駄目かしら」
「香織ちゃん昔から大蒜好きよね」
 今日子先生は笑顔で先生に応えた。
「他には生姜も好きね」
「香辛料好きよね」
「基本ね。けれどその中で」
「大蒜が一番好きよね」
「美味しいし身体にもいいから」
「体力も回復させてくれるし」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「大好きなのよ」
「それで風邪が全快したから」
「体力の回復を確かにする為にね」
 その為にというのだ。
「今日はね」
「大蒜を沢山使ったお料理を食べたいのね」
「そうしたいの」
「わかったわ、じゃあ今日はアヒージョにするけれど」
「そのアヒージョになのね」
「大蒜を沢山入れるから」
 この料理の中にというのだ。
「それでいいわね」
「アヒージョね」
「香織ちゃんアヒージョ好きでしょ」
「大好きよ」
 実際にとだ、香織先生は今日子先生に笑顔で答えた。
「じゃあ今日はなのね」
「アヒージョにするわね。あとサラダを作るけれど」
「サラダは普通でいいわ」
「それでいいのね」
「ええ、それでね」
「後はご飯はパエリアね」
 こちらにするというのだ。
「シーフードや鶏肉を沢山入れるけれど」
「大蒜もなのね」
「入れるからね」
「有り難う、これはね」
 今田先生はメニューを聞いてあらためて述べた。
「体力がつきそうね」
「そうでしょ、アヒージョにパエリアで」
「どちらも大蒜が沢山入っているから」
「きっとね」
 体力がつくとだ、今田先生はにこりと笑って述べた。
「明日はもっと元気になっているわね」
「そうなっているわね」
「絶対にそうよね。それにしても」
 ここで今田先生はこうも言った。
「どっちもスペイン料理でオリーブオイル使ってるわね」
「大蒜とオリーブの組み合わせっていいのよね」
「凄く美味しくなるわね」
「そうなのよね」
 こう二人で話してだった、今田先生は実際にこの日の夜はアヒージョとサラダそしてパエリアを前にした、そうして食べはじめるのだった。


第百七十七話   完


                2019・7・18 

 

第百七十八話

              第百七十八話  スペイン料理には
 アヒージョとサラダ、そしてパエリアを前にした今田先生は向かい側の席にいるこのメニューwk作った今日子先生に言った。
「どれも大蒜が沢山入っているわね」
「見てわかる位よね」
「そうよね、じゃあね」
「一緒に食べましょう、ただ」
 今度は今日子先生から言ってきた。
「これだけでは駄目でしょ」
「あら、わかるのね」
「こうしたお料理を食べるとなると」
「お酒が欲しくなるわね」
「それも赤ワインね」
 このワインがというのだ。
「欲しくなるわね」
「ええ、確かにね」
 笑顔でだ、今田先生も答えた。
「私それを言おうと思っていたけれど」
「ワインを飲めるなら」
 それならとだ、今日子先生は今田先生に答えた。
「大丈夫よ、それでね」
「飲んでもいいのね」
「ええ、沢山飲んで」
 そしてというのだ。
「今日はゆっくり寝てね」
「それでいいわよね」
「そう、そして」
 それにと言うのだった、今日子先生も。
「明日の朝二日酔いでもね」
「お風呂に入って」
「それですっきりすればいいし」 
「今夜は沢山飲んでいいのね」
「もう香織ちゃんお風呂入ったわよね」
「くつろげたわ」
 これが今田先生の返答だった。
「身体も奇麗になったし」
「ローズの香りがするけれど」
「香水付けたから」
 お風呂に入った後でというのだ。
「だからよ」
「そうよね、じゃあね」
「今から大蒜を沢山食べて」
「そしてワインも沢山飲んでね」
「じっくり寝ればいいわね」
「二日酔いになっても」
 それでもというのだ。
「私もそうするけれど」
「お風呂に入ればいいわね」
「ええ、そうしましょう」
 二人でこう話してだった。
 二人で赤ワインも開けてそうしてアヒージョやパエリアを食べはじめた、するとワインがどんどん進んだ。


第百七十八話   完


                  2019・7・18 

 

第百七十九話

              第百七十九話  酒について
 赤音は学校で梨花に話した。
「ねえ、塾の先生だけれど」
「今田先生?今日子先生?」
「どちらの先生もよ」
 二人共というのだ。
「結構お二人で晩ご飯のお話してるでしょ」
「ええ、そういえばね」
 言われてみればとだ、梨花も頷いて答えた。
「結構ね」
「そうでしょ、それでその時にワインのお話もしてるわよ」
「お酒のね」
「先生達ってお酒お好きなのかしら」
「そうでしょうね」
 赤音の言う通りだとだ、梨花は答えた。
「お好きだからね」
「お酒のお話もしてるのね」
「嫌いで飲まないと」
 それならとだ、梨花は述べた。
「お話しないでしょ」
「そうよね、先生達って煙草のお話しなくて」
 酒及び煙草という言葉からだ、赤音は言った。
「お酒は結構してるから」
「それだとね」
「やっぱりお酒お好きなのね」
「それもワインが」
 梨花は赤音の話に乗って述べた。
「お好きだと思うわ」
「そうなのね。けれどお酒って美味しいの?」
「それは」
 どうかとだ、梨花は赤音の今の質問には怪訝な顔になって答えた、顔だけでなく声も怪訝なものだった。
「私もね」
「わからないわよね」
「だって私達子供だから」
「小学生でね」
「二十歳になっていないから」
 だからだというのだ。
「飲めないから」
「わからないわよね」
「ちょっとビール舐めさせてもらったことはあるけれど」
「私は日本酒ね」
「お父さんにね」
「私はお祖父ちゃんに。けれど」
 赤音はどうかという顔で述べた。
「あまり美味しくないわ」
「ビールって苦くて」
「美味しくないのね」
「どうもね」
 こう言うのだった、二人共それぞれが飲んだというか舐めたに過ぎない酒についてはこうした感想であった。


第百七十九話   完


                    2019・7・25 

 

第百八十話

第百八十話  香りも
 赤音は梨花にさらに言った。
「匂いもね」
「日本酒のよね」
「梨花ちゃんだとビールね」
「ええ、どちらにしてもお酒の匂いね」
「あまりよくないわよね」
 こう梨花に言うのだった。
「そうよね」
「ええ、いい匂いとはね」
「美味しいとは思わないわよね」
「変な匂いね」
 ビールのそれはとだ、梨花は答えた。
「どうにも」
「そうよね」
「あの匂いは」
 梨花はさらに言った。
「私駄目よ」
「私も。日本酒はね」
「それでワインも」
「そうそう、あの匂いもね」
 二人は今回の話の最初に戻った、今話しているワインは赤ワインのことで二人は実はワインのことはまだ詳しく白ワインは失念している。
「私駄目よ」
「私も。けれどお父さんもお母さんも」
「ワインも飲むの」
「二人共煙草吸わないけれど」
「うちもよ」
 赤音の両親もというのだ。
「煙草は吸わないわ」
「けれどお酒は飲むのね」
「そう、それでね」
「日本酒の匂いは駄目だったのね」
「味もね」 
 どちらもというのだ。
「駄目だったわ」
「私もよ、お酒って」
「本当に美味しいのか」
「わからないわね」
「けれど大人の人ってね」
「飲む人多いわよね」
「飲めないって人もいるけれど」
 赤音は下戸の人の話もした。
「けれどね」
「大人の人って好きな人多くて」
「そうした人は美味しそうに飲むけれど」
「何処が美味しいのか」
「酔うからかしら」
「けれど飲み過ぎたら辛いっていうし」
「何処がいいのかね」
 それがというのだ。
「わからないわよね」
「ええ、私もよ」
 梨花は赤音にどうかという顔で答えた、とかく今二人は酒についてはこうした評価しかなかった。


第百八十話   完


               2019・7・25 

 

第百八十一話

               第百八十一話  他のメンバーも
 赤音は塾でクラウンの他のメンバーからも酒についてどう思うかを聞いてみた、するとまずは春奈がこう赤音に言った。
「私のお祖父ちゃん痛風なの」
「痛風って?」
「何か足の親指の付け根が凄く痛くなる病気だって言ってたわ」
 こう赤音に話した。
「ビールを飲み過ぎたらなるっていうわ」
「ビールをなの」
「お祖父ちゃん昔ビールをよく飲んでたらしくて」
 それでとだ、春奈は赤音に話した。
「それでなって今はビールはね」
「飲んでないのね」
「ワインとか焼酎にしてるって言ってるわ」
「お酒自体は飲んでるのね」
「ええ、けれどね」
「ビールは飲まなくなったのね」
「何でもとんでもなく痛いそうだから」
 春奈は自分はなったことないので実感がないまま述べた。
「ビールはよくないそうよ」
「お酒はなの」
「そうお祖母ちゃんが言ってたの」
「梨花ちゃんのお祖父ちゃんの奥さんね」
「うん、だから私も大人になったら」
 春奈は眼鏡の奥の整った顔を曇らせて赤音に話した。
「気を付けなさいって言われてるわ」
「ビールって怖いのね」
「というかお酒自体がそうじゃないかしら」
 今度は美樹が言ってきた。
「飲み過ぎて身体壊すってお話よくあるじゃない」
「それはね」
 赤音は美樹にも応えた。
「私もよく聞くわ」
「内臓悪くするってね」
「そうよね」
「もうお酒を飲み過ぎて」
 そうしてというのだ。
「身体を悪くして最悪死ぬ人もいるでしょ」
「よく聞くわね」
「だからね」
「お酒はよくないものね」
「飲み過ぎてお金なくす人もいるっていうし」
「じゃあいいことないじゃない」
「私はそう思うわ」
 こう赤音に話した。
「何で大人の人達ってそんなの飲むのかしら」
「飲むと酔っぱらうけれど」
「それがいいのかしら」
「そうみたいだけれど」
 赤音達は酒について何がいいのかわかりかねていた、だがここで酒についてあることが言われるのだった。


第百八十一話   完


                  2019・8・1 

 

第百八十二話

              第百八十二話  アルコールは
 錬金術を得意としている亜美が赤音にこう言ってきた。
「けどお酒って魔法にも使うで」
「あっ、そういえば」
 言われてだ、赤音も思い出した。
「先生達がお薬に入れたりするわね」
「そやろ、それでお酒にはアルコール入ってるやん」
「あれで酔っぱらうのよね」
「このアルコールもな」 
 これ自体もというのだ。
「魔法でよお使うし」
「錬金術とかに」
「うち錬金術好きやから」
 それで得意としているのだ、亜美も好きこそものの上手なれという言葉のままに生きているのである。
「それでな」
「錬金術のことも詳しいわよね」
「アルコールの使い方も知ってるし」
「それでお酒にも入っていて」
「うちは別にお酒はあかんと思ってへんわ」
「アルコールが入ってるからなのね」
「それで魔法にも使えるさかい」
 特に錬金術にというのだ。
「それでな」
「そう言われるとね」
 赤音は亜美のその言葉に頷きつつ言った。
「お酒も悪いことばかりじゃないのね」
「魔法に使う分にはええんちゃう?」
「飲んだらよくなくても」
「まあ実際うち等まだ子供やから」
 それでとだ、亜美はこうも話した。
「そら飲むことはな」
「駄目よね」
「まだな、けどあまり邪険にするのも」
「身体によくないからって」
「飲んだらあかんだけで」
 亜美もこう考えてたいた、酒は飲むとよくないとだ。
「けど魔法に使うなら」
「いいものね」
「特に錬金術にな」
「そういえばアルコールランプもね」
 華奈子はこちらの話をした。
「あるしね」
「そうね、あながち悪いことばかりじゃないわね」
「そうよね」
「お酒といってもね」
「どうして大人の人達飲むかわからないけれど」
「それでも悪いことばかりじゃない」
「魔法に使えるならそうでしょ」
 華奈子は亜美と大体同じことを言った。
「まあ何で飲むといいかわからないけれど」
「それはどうしてもよね」
 このことには誰も異論がなかった、七人共子供なのでまだ酒のことがわかっていない故のことである。


第百八十二話   完


                   2019・8・1 

 

第百八十三話

               第百八十三話  父の言葉
 華奈子と美奈子は赤音達と酒のことを話したその日の夜仕事から帰ってお風呂に入った後で夕食の時に焼酎を飲んでいる父に尋ねた。
「お父さんお酒って美味しいの?」
「お父さん週に一回位飲んでるけれど」
「お酒って美味しいの?」
「どうなの?」
「お酒によるな」
 父は娘達にこう答えた。
「それは」
「お酒?」
「お酒によるの」
「ああ、お父さんは日本酒とかビールは苦手なんだ」
 父は娘達に自分の酒の好みのことを話した。
「だから家でも外でも殆ど飲まないのだ」
「そういえばうちってビール缶ないわね」
「日本酒の瓶もね」
 華奈子と美奈子は父の言葉を受けて二人で顔を見合わせて話した。
「どっちもないわね」
「冷蔵庫の中にもね」
「それであるのは」
「ワインとか焼酎の瓶ね」
「そうしたお酒は飲めるんだ」
 そのワインや焼酎はというのだ。
「好きだしな」
「好きなお酒だと飲めるの」
「そうなの」
「お酒はそうしたものなんだ」
 父は娘達に話した。
「自分が美味しいと思うお酒は飲めてな」
「まずいと思ったお酒は飲めない」
「そうしたものなのね」
「そうなんだ、お父さんは今焼酎を飲んでるだろ」
「焼酎は好きだから」
「それで飲めるの」
「そうだ、こうして中に氷を入れて」 
 つまりロックにしてというのだ。
「飲むのが好きなんだ」
「そうだったの」
「お酒って好きなものじゃないと飲めないの」
「何でも飲める訳じゃないのね」
「そうしたものなのね」
「お父さんはそうだ、だから今もな」
 焼酎を柿の種を肴に飲みつつ娘達に話した。
「焼酎を飲んでいるんだ」
「ううん、成程ね」
「そうした風なのね」
「薩摩、鹿児島県の芋焼酎だ」
 その焼酎だと娘達に言って。
 父はまた飲んだ、そうしてこうも言った。
「お父さんはいつも一本空けるな」
「それでその焼酎もなのね」 双子で言葉を合わせた、見れば父は実際にその焼酎の瓶を一本空けてしまった。


第百八十三話   完


                   2019・8・9 

 

第百八十四話

               第百八十四話  飲んでから 
 父は娘達に焼酎の瓶を一本完全に空けて顔を真っ赤にさせた状態になってからこうしたことを言った。
「飲む日は考えるんだ」
「っていうと?」
「いつも飲んだら駄目なの」
「飲み過ぎは身体に悪いんだ」
 まずはこのことから話した。
「それに次の日仕事だとな」
「そういえばお父さんってね」
「飲む日はいつも休日の前ね」
 華奈子と美奈子はここでまた二人で顔を見合わせて話した。
「次の日お仕事だと飲まないわ」
「いつもそうしているわね」
「お父さんは飲む時はかなり飲むからな」
 それでというのだ。
「ワインだったら二本空けるしな」
「だからなの」
「次の日はお休みでないと飲まないの」
「二日酔いになっているからな」
 それでというのだ。
「次の日の朝は絶対に」
「それでなのね」
「いつも飲む日を考えているの」
「そうだ、身体と仕事のことを考えてな」
「成程ね」
「飲む時は考えないといけないのね」
「そしてな」
 父は娘達にさらに話した。
「飲んだらすぐに寝る」
「そうしないといけないの」
「飲んだら」
「そうだ、酔っていると何をするかわからない」
 それでというのだ。
「もうすぐに寝るんだ」
「お酒を飲んだら」
「そうしないといけないの」
「お父さんはそうしている」
 他の人は知らないが、というのだ。
「だからお父さんも歯を磨いて寝るな」
「いつも十二時位まで起きてるのに」
「今日は九時で寝るのね」
「そうだ、お酒を飲む時はとにかく気をつけるんだ」
 父は娘達に飲んだ後で話した、そうして自分が言った通りに。
 洗面所に向かっていって歯を磨いた、華奈子はその状況を見て美奈子に考える顔で話した。
「お酒飲むのも大変?」
「お父さん色々言ってたわね」
 二人でこうしたことを話した、二人から見る限り酒を飲むことには色々と条件がいるものであった。


第百八十四話   完


                    2019・8・9 

 

第百八十五話

                 第百八十五話  翌朝
 華奈子と美奈子が起きると父はすっきりした顔でキッチンにいた、華奈子はその父の顔を見て言った。
「お酒飲んでたのに」
「昨日の夜だな」
「その割にすっきりしてない?」
「それはな」
 父は華奈子に笑顔で話した。
「朝早く起きたからお風呂に入ったんだ」
「そうだったの」
「そういえばお父さんいい匂いがするわ」
 美奈子はこのことを指摘した。
「随分と」
「そうだろ、朝早く起きたんだが」
 それでもとだ、父は美奈子にも話した。
「二日酔いで頭が痛かったんだ」
「やっぱりそうなったのね」
「それでな、無理してベッドから出て」
「お風呂に入ったの」
「そうだ、そうしてだ」
 そのうえでというのだ。
「身体も洗ってお湯に入って」
「そうしたらなのね」
「すっきりしたんだ」
「お風呂に入ると二日酔い治るっていうのは」
 華奈子はここで言った。
「本当なのね」
「そうだぞ、もうすっきりするからな」
「そうなるのね」
「お湯の中で汗をかいて」
「あったまって」
「一旦出て冷たいシャワーを浴びるんだ」
「冷たいシャワーって」
 そう聞いてだ、華奈子は思わず言った。
「風邪ひかない?」
「身体が熱くなっていたら大丈夫だ」
「そうなの」
「ああ、そして身体を冷やしてまた入るんだ」
「それだとサウナみたいね」
 美奈子は父のその話を聞いて言った。
「それだと」
「実際にそんな感じだぞ、サウナも二日酔いにいいんだ」
「そうなのね」
「そうしてお風呂でお酒を抜いたからな」
 それでというのだ。
「もう大丈夫だ」
「そうなのね」
「今日は一日いい休日を過ごすか」
 父はこうも言った、だが。
 母に二日酔いのことで少し小言を言われていた、華奈子と美奈子はそんな父を見ながら朝食の席に着いた。


第百八十五話   完


                2019・8・16 

 

第百八十六話

                 第百八十六話  サウナについて
 華奈子は朝食の後で美奈子と一緒に家を出て遊びに出た、遊びに行く先はプールで二人で泳ぐつもりだったが。
 街を歩きながらだった、華奈子は美奈子にこんなことを言った。
「お父さん二日酔いのお話した時サウナのこと言ったわね。というか」
「私が言ったわね」
「ええ、あたしもサウナのことは知ってるけれど」
 華奈子はその美奈子に返した。
「熱い場所に入って」
「そうして汗をかいてね」
「そこから水風呂に入るのね」
「物凄く身体が熱くなって汗をかいたら」
 その時にとだ、美奈子は話した。
「水風呂に入るの」
「そうして身体を冷やすのね」
「そうなの、それでまたサウナに入るの」
「それを繰り返すのね」
「そうしたらね」
 美奈子は華奈子に落ち着いた声で話した。
「二日酔いも治るらしいわ」
「汗をかいてなの」
「そうみたいよ、身体が熱くなったり寒くなったりして」
 その様にしてというのだ。
「そうしてね」
「お酒抜けるのね」
「そうみたいよ」
「ううん、それでさっきお父さんも」
「すっきしてたのよ」
「お風呂でもいいのね」
「そうみたいよ。サウナはね」
 美奈子は今度はサウナ自体の話をした。
「汗をかいてそこから身体の悪いものが出るから」
「悪いものが出るの」
「汗からね、それで健康にいいそうよ」
「そうなのね」
「だからお風呂もいいけれど」
 湯舟のそれもというのだ。
「サウナもいいみたいよ」
「フィンランドやロシアから来た子も言ってるわね」
 華奈子達がいる八条学園の生徒の半分は海外からの留学生だ、その中にはこうした国々から来ている子もいるのだ。
「サウナは身体にいいって」
「そうでしょ、だからね」
「サウナに入ると健康になるの」
「お酒も抜けてね」
「そうなのね、じゃあプールにサウナあるし」
 それでとだ、華奈子は美奈子に言った。
「プールだけじゃなくてサウナに入る?」
「お風呂にも入るのね」
「ええ、そうする?」
 こう美奈子に提案した、そうしたことをしつつプールに向かうのだった。


第百八十六話   完


                 2019・8・16 

 

第百八十七話

               第百八十七話  プールで
 華奈子と美奈子はプールに入るとまずは目一杯泳いだ、特に華奈子は体力の続く限り幾らでもだった。
「いや、五十メートルのプールをね」
「二十往復はしたでしょ」
「ええ、クロールに背泳ぎに」
 華奈子は美奈子にプールの中で話した、華奈子は赤美奈子は紫のそれぞれ上はシャツの様な下は半ズボン上の水着だ。
「平泳ぎにね」
「バタフライもしてたわね」
「そっちはちょっとでね」
 バタフライの方はというのだ。
「一往復位ね」
「けれどバタフライもなのね」
「泳いだわ」
 このことは事実だというのだ。
「泳いだわ」
「そうよね」
「いや、流石にね」
「二十往復もしたら」
 五十メートルのプールでとだ、美奈子も言った。
「流石に疲れたでしょ」
「もう無理よ」
 泳ぐことはというのだ。
「あたしも」
「合わせて二キロだし。私なんて」
 美奈子は華奈子にプールの中で話した。
「その半分位よ」
「一キロね」
「それだけ泳いで」
 それでというのだ。
「もう限界だから」
「じゃあもうね」
「泳ぐことはね」
 それはというのだ。
「終わりましょう」
「そうね、じゃあ」
「後はね」
「これまではこれでシャワー浴びて帰ったけれど」
 それをというのだ。
「お水飲んで」
「それからね」
「お風呂に入るのよね」
「そう、そして特にね」
「サウナね」
「入ってみましょう」
「ええ、あたし入ったことないけれど」
 それでもとだ、華奈子は美奈子に応えた。
「それならね」
「入りましょう」
 こう話してだった、そのうえで。 
 二人はプールから出た、そうして次の場所に向かった。


第百八十七話   完


                    2019・8・22 

 

第百八十八話

第百八十八話  風呂場
 華奈子は美奈子と共にプールを出て同じ施設の中にあるバスルームに入った、そのバスルームはというと。
「凄いわね」
「ええ、お湯のお風呂もね」
「普通のお風呂に」
「露天風呂もあって」
「水風呂に薬湯って」
「かなりね」
「スーパー銭湯みたいね」
 脱衣場で水着を脱ぎつつ話した。
「これなら」
「実際スーパー銭湯としてもね」
「使われているのね」
「そうした場所よ」
「そうなのね」
「ジムもあるし」
 こちらもというのだ。
「スポーツとね」
「お風呂の両方を楽しむ場所ね」
「ここはね。じゃあね」
 美奈子は華奈子に微笑んで話した。
「まずはね」
「水着脱いでね」
「そうしてね」
「身体洗って」
 華奈子は楽しそうに言った。
「そうしてよね」
「お風呂に入りましょう」
「そうね、最初は」
 そのお風呂はというと。
「何処かだけれど」
「もう言うまでもないわね」
 美奈子は笑って華奈子に応えた。
「そのことは」
「サウナね」
「そう、サウナよ」
 そこだというのだ。
「そこに入って」
「実際にサウナがどんなところか」
「確かめましょう」
「その為に来たし」
「ならね」
「尚更よね」
「そうよ、だからね」
 美奈子は華奈子にさらに話した。
「まずはね」
「わかったわ、バスルームに入って」
「まずは身体を洗ってね」
 そうして奇麗にしてと言うのだった、二人はそんな話をしつつ服を脱いだ。そうして互いに一糸まとわぬ姿になってバスルームに入った。


第百八十八話   完


                  2019・8・22 

 

第百八十九話

第百八十九話  最初にすること
 バスルーム、スーパー銭湯のそれの大浴場に入るとすぐにだった、華奈子は美奈子に対して言った。
「お風呂に入ったら」
「まずはね」
「身体奇麗にしないとね」
「ええ、身体を洗って」
 美奈子も応えた。
「そうしてね」
「湯舟とかに入らないとね」
「身体を洗わないと」
「身体は垢や汗で汚いから」
 それでというのだ。
「だからね」
「まずはね」
 何といってもというのだ。
「身体を洗って奇麗にして」
「そうして」
「湯舟とかに入らないとね」
「そうよね、美奈子もその辺りはね」
「お母さんに教えられたから」
 二人共だ、幼い頃から母に入浴の時はそうしろと言われているのだ。
「だからよ」
「そうよね、あたしもだし」
「だから私にも今言ったのよね」
「そうよ、だから」 
 それでとだ、華奈子は美奈子に笑って話した。
「まずはね」
「身体を洗って」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「お風呂に入りましょう」
「是非ね、ただね」
「ただ?」
「髪の毛は」 
 美奈子はこちらの話もした。
「最後よね」
「そうよね、あたし達っていつも」
「身体を洗うのは最初でも」
「髪の毛は最後よね」
「それでこうした時は」
 大きな浴場に遊びで入る時はというのだ。
「最後も身体洗うわね」
「そういえばそうね」
「どうしてかわからないけれど」
「癖みたいになってるわね」
「ええ、けれどね」
 まずはと言ってだ、そうしてだった。
「こうしてね」
「二人でね」
 隣同士の席に座ってだった。
 二人はまずは身体をタオルに浴場のボディーソープをつけてそれで身体を洗った。垢も汗も落としてから全てをはじめるのだった。


第百八十九話   完


                  2019・8・29 

 

第百九十話

                第百九十話  最初に入ったのは
 身体を洗ってからだった、華奈子は自分と一緒に身体を洗った美奈子に対してこうしたことを言った。
「最初に何処に入る?」
「やっぱりあそこよね」
 これが美奈子の返事だった。
「サウナでしょ」
「そうよね、やっぱり」
「華奈子もそのつもりでしょ」
「最初にお話したし」
 それでとだ、華奈子は笑顔で答えた。
「それはね」
「そうよね、じゃあね」
「美奈子もそのつもりよね」
「ええ、最初はサウナってね」
「考えてたわよね」
「それじゃあね」
「サウナね」
 こう美奈子に言った。
「最初は」
「そうしましょう」
「それじゃあね」
 二人で話してだった、華奈子と美奈子は二人でサウナに入った、サウナルームは木の部屋でテレビがあり数段になっているそれぞれの場所に敷きものがある。
 そのタオルの敷きものの上に座ってそうしてだった。
 華奈子と美奈子はそこでじっとしていた、身体の部分にタオルを巻いて暫くしているとだった。二人共。
 次第に汗をかいてきた、それで華奈子は言った。
「これはね」
「熱くなってきたわね」
「身体がね」
「これがサウナなのね」
「ええ、最初からむっときて」
 サウナルームの熱気がというのだ。
「そこにいたらね」
「熱くなってきて」
「身体からもね」
「汗が出て来たわね」
「これはね」
 まさにというのだ。
「すぐに汗がもっと流れて」
「玉みたいにね」
「そうよね、けれど」
「玉で終わらないで」
 その汗がというのだ。
「滝みたいになるわ」
「真夏のお昼にお外で身体動かしたみたいな」
「そんな風になるわね」 
「すぐにでもね」
 言っている傍からだった、二人共全身から汗を流しそれが玉の様なものから滝の様なものになりだした。


第百九十話   完


                 2019・8・29 

 

第百九十一話

               第百九十一話  汗を流して
 華奈子も美奈子もこれまで滅多にかいたことのないまでの汗をかいた、そしていよいよ我慢出来なくなった。
 それで美奈子は華奈子に言った。
「もうね」
「いい頃よね」
「そう思うけれど」
「そうね」
 華奈子も素直に頷いた。
「じゃあね」
「今から汗を落として」
「そうしてよね」
「そう、水風呂に入りましょう」
「さもないと」
 美奈子は全身から汗を流し続けつつ華奈子に話した。
「もうこの中で熱中症になって」
「ここでばたんといきかねないわね」
「だからね」
 それでというのだ。
「水風呂で身体冷やしましょう」
「それがいいわね、じゃあね」
「今からね」
「水風呂に入りましょう」
 華奈子は美奈子に言って二人でサウナルームを出て部屋を出たすぐそこにある水風呂の水を風呂桶にすくって浴びてだった。
 そして水風呂に二人で入ってだった。華奈子は美奈子に言った。
「もう急にね」
「身体冷えてきたわね」
「無茶苦茶熱かったけれど」
 それがというのだ。
「急に冷えてね」
「気持ちよくなってきたわね」
「ええ、このままね」
「暫くこの中にいて」
 美奈子は自分の隣で肩まで冷たい水の中に浸かっている華奈子に話した、勿論美奈子もそうしている。
「身体をうんと冷やしましょう」
「それがいいわね」
「そうしてね」
「またサウナに入るのよね」
「また入るの?」
 美奈子は華奈子の今の発言に思わず問い返した。
「そうするの」
「そんなお話してこなかった?」
「そうだったかしら」
「ええ、もう一回サウナに入って」
 華奈子は美奈子にさらに話した。
「そこから湯舟に入りましょう」
「そちらのお風呂にもなのね」
「そうしましょう」
 こう美奈子に話しつつだ、華奈子は今はその美奈子と共に水風呂で身体を冷やしていた。


第百九十一話   完


                2019・9・6 

 

第百九十二話

第百九十二話  二度目のサウナ
 華奈子は美奈子と共に暫く水風呂に入った、そうして身体の冷えをはっきりと感じてから美奈子に言った。
「じゃあね」
「ええ、もうね」
「いい頃合いよね」
「そうね、それじゃあ」
「水風呂に出てね」
「サウナにね」
「また入りましょう」
 こう話してだった、そのうえで。
 二人で一緒に水風呂から出てまたタオルを身体に巻いてからサウナに入った、暫く汗は流れてこなかったが。
 次第に手足や顔に汗が出て来て華奈子は言った。
「いや、最初はね」
「物凄く冷えていたけれど」
 美奈子も華奈子に応えて話した。
「それがね」
「徐々にね」
「身体が熱くなってきて」
 それでというのだ。
「汗が出て来たわね」
「いや、ちょっといたら」
 サウナルームの中にというのだ。
「それでね」
「汗が出て来たわね」
「最初は冷えたままだったのに」
「それが変わってきたわね」
「ええ、それじゃあ」
 華奈子は今も自分の隣にいる美奈子に微笑んで話した、二人共汗がかなり出ている。
「もうここでまたうんと汗をかいて」
「そうしてよね」
「また水風呂に入って」
 そうしてというのだ。
「身体を冷やして」
「お湯の方に入るのね」
「普通のお湯のお風呂もいいし」
 華奈子は美奈子に笑って話した。
「炭酸風呂とかワイン風呂とか露天風呂もあるし」
「どのお風呂にも入るのね」
「そうしましょう」
「いいわね、じゃあね」
「二人でね」
「色々なお風呂に入って」
「そうして楽しみましょう」
 こう話してだった、そのうえで。
「もういいわね」
「サウナはね」
「これで」
 二人で話してだった。
 華奈子と美奈子はもう我慢出来ないといったところでサウナルームを出た、そうしてまた水風呂に入って身体を冷やすのだった。


第百九十二話   完


                  2019・9・6
 

 

第百九十三話  

第百九十三話  次に入るのは
 水風呂の水はまるで氷水の様に冷たく双子の身体を瞬く間に徹底的に冷やしてくれた。それで華奈子は美奈子に言った。
「もうガチガチってね」
「歯が言いそうね」
 美奈子もこう返した。
「さっきまで熱くてたまらなかったのに」
「あっという間に冷えたわね」
「ええ、それじゃあね」
「次のお風呂に行きましょう」
 こう美奈子に提案した。
「これから」
「そうね、次は何処に入ろうかしら」
「ええと、薬膳湯がね」
 華奈子はそちらを見つつ美奈子に話した。
「何でもワイン風呂だから」
「大人の感じがするわね」
「お酒のお風呂って身体にいいのよね」
「テレビでそんなこと言ってたわね」
「そう、だからね」
 それでとだ、華奈子は美奈子に話した。
「これからね」
「ワイン風呂ね」
「それに入って」
 そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「楽しむのね」
「他のお風呂にも入りたいけれど」
 それでもとだ、華奈子は美奈子にさらに話した。
「まずはね」
「ワイン風呂ね」
「それに入って」
 そうしてというのだ。
「身体あっためて」
「そして楽しむのね」
「一体どんなお風呂かね、ただね」
「ただ?」
「お湯に入っても身体熱くなるから」
 長い時間入っていればというのだ。
「だからね」
「それでなのね」
「ええ、熱くなったらまたね」
「ここに入るのね」
「水風呂にね、そうして身体を冷やして」
 そのうえでというのだ。
「またお湯に入りましょう、普通のお湯のお風呂もジェットバスも」
 華奈子はもうそうした風呂を見ていた。
「露天風呂もね」
「全部満喫して」
「そうしてゆっくり楽しみましょう」
 こう話してだった、華奈子は美奈子と共に水風呂を出た。そのうえでワイン風呂に向かいその中に入ったのだった。


第百九十三話   完


                 2019・9・12
 

 

第百九十四話  

第百九十四話  ワイン風呂
 華奈子と美奈子は今度はワイン風呂に入った、そうしてそこで水風呂で冷え切った身体が急激にあったまっていくのを感じつつ。
 二人で共に話した。
「いい香りするわね」
「そうよね」
「ワインの香りよね」
「これがね」
「それでお湯の色もね」
「ワインレッドで」
 この色でというのだ。
「これがワイン風呂なのね」
「はじめて入ったけれど」
「結構いいわね」
「実際に普通のお風呂と違う感じがして」
 それでというのだ。
「身体によさそうね」
「そんな感じがするわよね」
「実際に」
「そう思うとね」
「いいお風呂よね」
「本当にね」
「じゃあこのお風呂には」 
 どうするかも話すのだった。
「熱くなるまで入って」
「我慢出来なくなるまで」
「そうしてね」
 そのうえでというのだ。
「また水風呂に入って」
「もう一度身体冷やして」
「今度はどのお風呂に入るか」
「そのお話もしましょう」
「それがいいわね」
「というか」
 こうも話すのだった。
「ワイン風呂もいいわね」
「そうよね」
「どうかって思ったけれど」
「実際に入ったら」
 これがというのだ。
「結構以上にいいわね」
「身体もあったまって」
「ほっとする感じでね」
「こんなにいいなんて」
「思いも寄らなかったわ」
 二人共身体の中の何か悪いものが抜け出ていっていることも感じていた、そうしたものも感じながらだった。
 今はワイン風呂に入って楽しんでいた、そうしてだった。華奈子が美奈子に話した。
「身体の匂いもね」
「いい匂いになっていくみたいね」
 ワイン風呂の香りでとだ、こんなことも話した。


第百九十四話   完


                   2019・9・12
 

 

第百九十五話

              第百九十五話  身体がほぐれて
 華奈子も美奈子もワイン風呂の温かさだけでなく香りも楽しんでいた、だがやはり湯だってきてそれでだった。
 また水風呂に入った、そして冷えるとだった。
 華奈子は今度はこんなことを言った。
「今度は炭酸風呂入る?」
「そちらなのね」
「ええ、どんなお風呂かね」
「それを確かめるのね」
「そうしない?」
 こう美奈子に言うのだった。
「今度は」
「それじゃあね」
 美奈子は華奈子の言葉に特に批判することなく答えた。
「それに入りましょう」
「面白そうだし」
 華奈子は美奈子に応えてこうも言った。
「そうしましょう」
「そうね、どんなお風呂か」
「あたし達炭酸風呂は入ったことなかったし」
 それで知らないからというのだ。
「だからね」
「ええ、どんなお風呂か知る為にも」
「入りましょう」
「それじゃあね」
 二人で話してだ、水風呂を出て今度はだった。
 炭酸風呂に入った、そしてその中で華奈子は自分の身体に多くの泡が付いていくのを見て華奈子に言った。
「これはね」
「また変わったお風呂ね」
 美奈子は身体だけでなくお風呂の中の泡立つものも見て話した。
「ジェットバスとかバブルとはね」
「また違ったね」
「面白いお風呂ね」
「そうよね」
 その風呂の中で二人で話すのだった。
「これはまた」
「華奈子は随分気に入ったみたいね」
「美奈子もでしょ」
「そう言われるとね」
 華奈子は美奈子に笑って返した。
「それはね」
「そうよね」
「サウナもワイン風呂もよかったけれど」 
「この炭酸風呂もね」
「いいわね」
 実際にというのだ。
「本当に」
「そうよね」
「ええ、じゃあね」
「暫く入りましょう」
「それじゃあね」
 二人共この風呂も楽しんだ、湯の中の炭酸が二人には実に面白いものだった。


第百九十五話   完


               2019・9・19 

 

第百九十六話

                第百九十六話  お風呂によって
 炭酸風呂の中で美奈子は華奈子にこんなことを言った。
「温度はね」
「そうよね、炭酸風呂ってね」
 華奈子の返事は気付いているものだった。
「あまりね」
「高くないわね」
「ワイン風呂よりもね」
「実際に」
 ここでだ、美奈子は風呂の温度が数字に出ているのを見て華奈子に話した、どの風呂にも温度計の様に出ているのだ。
「ワイン風呂より一度位低いわよ」
「確かにね」
 華奈子もその温度をチェックして美奈子に応えた。
「これは」
「そうよね、そのせいかね」
「ちょっと長い時間はいられそうね」
「そうよね、それはそれでね」
「いいわね」
「そうよね」
「これもね、それと」
 華奈子はこうも言った。
「このお風呂でもあったまるし」
「その後はね」
「また水風呂に入って」
 そしてというのだ。
「身体冷やすわね」
「そう、そして」
「また次のお風呂に入るのよね」
「そうしましょう、ちょっと変わったのが続いたから」
「今度はなのね」
「正統派でいかない?」 
 こう美奈子に言うのだった、華奈子の顔は明るく笑っていてそのうえで美奈子に誘いをかけるものだった。
「そうしない?」
「正統派っていうと」
「だから普通のお湯のお風呂よ」
「そちらね」
「普通のお風呂もいいでしょ」
 こう言うのだった。
「それは」
「そうね」
 美奈子は華奈子の言葉に頷いて応えた。
「普通のお風呂もいいわね」
「そうでしょ、折角普通のお風呂もあるし」
 それでというのだ。
「入らないとね」
「全部のお風呂制覇するのね」
「そうしましょう、ただスチームサウナもあるけれど」
 華奈子はこちらの風呂の話もした、炭酸風呂に二人でまだ入っていたしもう少し入るつもりであった。


第百九十六話   完


                2019・9・19 

 

第百九十七話

               第百九十七話  スチームサウナ
 炭酸風呂の中でも熱くなってきた、それで華奈子と美奈子はその炭酸風呂を出てまた水風呂に入った。
 そこで身体を冷やしつつ華奈子は美奈子に言った。
「さっき言ったけれど」
「スチームサウナね」
「そっちも入る?」
 こう提案するのだった。
「そうする?」
「全てのお風呂を制覇するから」
「そう、だからね」
「スチームサウナにも入ろうっていうのね」
「そうしない?」
「ええ、全てのお風呂を制覇しようって思ったら」
 それならとだ、美奈子は答えた。
「スチームサウナもね」
「入らないとね」
「だからよね」
「そう、入りましょう」
「わかったわ、それでスチームサウナの後で」
「そう、普通のお風呂とね」
 それにとだ、華奈子はさらに話した。
「露天風呂もね」
「入るのね」
「その二つは後にして」
 そしてというのだ。
「まずはね」
「スチームサウナね」
「それに入りましょう」
「わかったわ、じゃあね」
「ええ、身体もかなり冷えてきたし」
 水風呂の温度はかなり低い、それであっという間に冷えたのだ。
「今度はね」
「わかったわ」
 美奈子も頷いてだった。
 二人は水風呂を出てスチームサウナに入った、そこはまるで霧の様に蒸気が部屋を包んでいて温度は然程でもなかった。
 だがそれでもだ、華奈子はその中に入って美奈子に話した。
「サウナっていってもね」
「普通のサウナとはまた違うわね」
「ここに結構いても」
 そえでもというのだ。
「あまりね」
「汗はかきそうにないわね」
「普通のサウナみたいにね」
「そうしたところね」
「ええ、美奈子も思うでしょ」
「入ってみてね」
 肌、まさにそれでわかったというのだ。
 華奈子と美奈子は部屋の中の椅子に並んで座ってそうして汗をかくのを待った、だが汗は中々かかなかった。


第百九十七話   完


               2019・9・26 

 

第百九十八話

                第百九十八話  汗をかいて
 二人でスチームサウナの中にいると徐々にだが暑くなってきて汗をかいてきた、それで美奈子が言った。
「少しだけれど」
「汗かいてきたわね」
「ええ」
 そうなったとだ、華奈子に話した。
「そうなってきたわね」
「そうよね、あとね」
「あと?」
「あたしと美奈子って結構汗かく方みたいね」
 華奈子はこう美奈子に話した。
「どうも」
「そうね、華奈子もそうで」
「美奈子もでしょ」
「それですぐにね」
「汗出るわよね」
「しかも」
 美奈子は華奈子にこうも言った。
「殆ど同時に汗かくわね」
「同じ場所に同時に入ったらね」
「サウナでもワイン風呂でもね」
「炭酸風呂でもそうだったし」
「この中でも」
 スチームサウナの中でもというのだ。
「そうね」
「やっぱり双子だから?」
 華奈子はその理由をこのことに求めた。
「だからね」
「体質も似てるのかしら」
「あたし達って髪型は違うけれど」
 華奈子はショートヘアで美奈子はロングヘアだ、この違いはある。
「それでも顔立ちもね」
「よく見れば似てるし」
「スタイルも背も」
 勿論体重もだ。
「殆ど同じだし」
「全部ね」
「そう考えると」
「双子だから」
「そう、だからね」
 その為にというのだ。
「お風呂でも同じなのかしら」
「双子だから一緒に暑くなって」
「一緒に汗かくのでしょうね」
「そうなのね、それでスチームサウナも」
「そろそろね」
 見れば汗をかなりかいてきた、それでだった。
「ここもね」
「出ましょう」
 こう話してまた水風呂に入った、そのうえで今度はどちらの風呂に入ろうかと楽しく話すのだった。

第百九十八話   完


                  2019・9・26 

 

第百九十九話

                第百九十九話  迷わない
 華奈子は水風呂の中で考えた、それで美奈子に言った。
「こうした時あたし決断速いわよね」
「というか華奈子はね」
 美奈子はこう華奈子に返した。
「決断は何でもね」
「速いわよね」
「迷わないわよね」
「優柔不断ってね」
 そうしたことはというのだ。
「あたしとしてはね」
「嫌いよね」
「他の人がそうでも言わないけれど」
「華奈子自身はね」
「もう考えたらね」
 それはというのだ。
「その場でね」
「きっぱり決めるわね」
「そうした性分なのよね、そりゃ一瞬でもね」
「迷うことはするわね」
「ええ、どっちにしようかってね」
 そう考えて、というのだ。
「迷うわよ」
「華奈子にしても」
「それでもね」
 迷うことは迷う、だがそれでもというのだ。
「それは一瞬で」
「すぐに決めるわね」
「それで決めたらね」
 その後はというと。
「基本それでいくからね」
「それを変えないわね」
「どう考えてもおかしいことでないと」
 そうでないと、というのだ。
「変えないわ」
「基本華奈子の判断は間違ってないわよ」
 美奈子は双子の姉妹に微笑んで話した。
「いつもね」
「そうなの」
「だから余計にいいわ」
「迷わないで一度決めたら変えないことは」
「若し相当間違っていたら」
 その時はというと。
「私や他の皆が言うから」
「クラウンの皆が」
「お父さんお母さん、クラスの皆に学校の先生に」
「今田先生も今日子先生も」
「おばちゃんもポポちゃんも、だからね」
「あたしはこのままでいいのね」
「それで今も決めるといいわ」 
 次に入るべきお風呂もとだ、こう言ってだった。美奈子は華奈子の決断を聞く為に心の中でどう答えるのかと待ったのだった。


第百九十九話   完


                 2019・10・3 

 

第二百話

第二百話  こちらにした
 華奈子は美奈子に今の自分の決断を話した。
「普通のお風呂にしましょう」
「次はそちらね」
「ええ、そっちに入って」
 そうしてというのだ。
「楽しみましょう」
「わかったわ、それじゃあね」
「それでね」
 華奈子は笑みを浮かべてこうも言った。
「最後にね」
「露天風呂ね」
「それに入りましょう」
「最後はそちらね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「考えてみたら一番入ってるのは」
 その風呂はというと。
「この水風呂よね」
「身体を冷やす為にね」
「そうよね」
「そうね、実際にね」 
 どうかとだ、美奈子も答えた。
「私達がここで一番入っているのは」
「水風呂よね」
「だって身体が熱くなる度に」
 その都度とだ、美奈子も話した。
「入ってるから」
「サウナの後でもね」
「ワイン風呂、炭酸風呂に」
「スチームサウナの後でもだったし」
 つまり今もというのだ。
「だからね」
「もう一番入っているのは」
「やっぱり水風呂よね」
「そうね、考えてもたら」
「そうよね、それでね」
 笑顔でだ、華奈子は美奈子にこうも話した。
「これから普通のお風呂にも入るけれど」
「その後でもね」
「露天風呂に入る前に」
 最後のそちらに入る前にもというのだ。
「また水風呂に入りましょう」
「身体冷やす為に」
「そうしましょう」
「そのことも決めたのね」
「ええ、じゃあね」
「今からね」
「普通のお風呂に入りましょう」
 こう言ってだった。
 二人で一緒に水風呂を出てそのうえで一番大きな浴槽である普通の湯舟に入った。その湯も実にいい湯だった。


第二百話   完


                   2019・10・3 

 

第二百一話

             第二百一話  最後のお風呂
 最後に入るつもりの露天風呂について華奈子は美奈子に言った。
「最後は露天風呂になったけれど」
「それがどうかしたの?」
「いや、最後に入るにはね」
 それにはというのだ。
「やっぱりいいかもね」
「最後はお外でっていうのね」
「そう、岩場のお風呂で終わるっていうのが」
 華奈子は今は普通の大きな湯舟の中で一緒にいる美奈子に話した。
「有終の美よね」
「そういうことね」
「そう、今思うと」
「そうね、言われてみればね」
 美奈子もこう華奈子に返した。
「そうね」
「ええ、それで露天風呂で終わりだけれど」
 華奈子はさらに話した。
「お風呂から出たらね」
「その時はどうするの?」
「お水飲みましょう」
 そうしようというのだ。
「服を着てね」
「水分は摂らないと」
「そう、よくないから」
 こう言うのだった。
「身体にもね」
「そうよね、だからね」
「水分摂るのね」
「お風呂を出たらね」
 最後の露天風呂の後はというのだ。
「そうしましょう」
「そこまでがお風呂ね」
「あたし最近お風呂から出たらね」
「絶対にお水飲んでるわね」
 美奈子もそのことを指摘した。
「それもかなり」
「あっ、気付いてたの」
「だっていつも一緒にいるのよ」
 それならとだ、美奈子は華奈子に微笑んで話した。
「双子だし」
「それでなのね」
「ええ、ただ華奈子が飲んだ後で」
「美奈子も飲んでるのね」
「やっぱり水分は必要だから」
 摂らないといけないからだというのだ。
「そうしてるわ」
「あたし飲んだ後すぐにお部屋に戻るから」
「私少し後で戻ってたでしょ」
「その時に飲んでたのね」
 華奈子はそのことがわかった、そうした話をしながら今は大きな湯舟の中で身体を休めるのだった。


第二百一話   完


                 2019・10・10 

 

第二百二話

              第二百二話  今度の湯舟でも
 華奈子も美奈子も風呂場の中で一番広い浴槽の中にいたが少しずつだが確実に熱くなってきた。そしてだった。
 美奈子は華奈子の顔を見てそうして言った。
「お顔真っ赤よ」
「そう言う美奈子もね」
「私もなのね」
「ええ、じゃあね」
「もういい頃合いかしら」
「そうね、このお風呂も出て」
 そしてというのだ。
「そうしてね」
「水風呂に入るのね」
「そうしましょう、若しも」
 華奈子はこんなことも言った。
「水風呂がなかったら」
「こんな色々なお風呂入られないわね」
「そうよね、一旦冷やさないとね」
 熱くなった後はというのだ。
「どうしようもないから」
「水風呂って有り難いわね」
「あたし小一とかの時何であるかって思ってたわ」
 水風呂がというのだ。
「冷たいのに」
「そうよね、私もね」
 美奈子も華奈子の言葉に応えて話した。
「水風呂はね」
「小一とかの時だとね」
「冷たいだけで」
「そんなところに入ってどうするかって」
「思ってたけれど」
 それがというのだ。
「今わかったわ」
「色々なお風呂に入ったり何度も入る為にね」
「入る場所ね」
「身体を一旦冷やして」
「またお湯やサウナに入る」
「その為の場所だったのね」
「実際に私達今そうしてるけれど」
 美奈子は華奈子に話した。
「そうしたらね」
「どんなお風呂にも入られるわね」
「熱いところから熱いところって無理だから」
「それは不可能よね」
「だから一旦冷やして」
「それでまた熱い場所に行くのね」
「そうした風にするのね」
「それが水風呂ね」
「そういうことね」
 二人でこうした話をした、そうして二人はまたしても水風呂に向かいそこで実際に身体をよく冷やした。

第二百二話   完


                 2019・10・10 

 

第二百三話

第二百三話  露天風呂の前に
 華奈子は水風呂の中で自分の身体を冷やす中で美奈子に提案した。
「あの、もうね」
「もう?」
「露天風呂が最後だから」
 最後に入るお風呂だからだというのだ。
「それでね」
「あっ、ここでは」
「そう、身体をね」
「冷やすのね」
「もう徹底的にね」
 まさにというのだ。
「そうしてね」
「そのうえでなのね」
「露天風呂に入りましょう」
「身体を冷やしに冷やして」
 美奈子は華奈子の言いたいことを理解して笑顔で応えた。
「そのうえで」
「あったかいお風呂に入りましょう」
「冷えた身体を温めるのね」
「そうしましょう、徹底的に冷たいところから」
 まさにというのだ。
「熱いところに入って」
「気持ちよくなるのね」
「これ絶対に気持ちいいわよ」
 華奈子は笑顔で言い切った。
「だからね」
「それじゃあ」
「今は徹底的にね」
 まさにというのだ。
「ここに入っていましょう」
「わかったわ、けれど水風呂にいると」
「どんどん冷えてくるわね」
「ここの水風呂水温低いし」
 見れば十六度だ。
「余計にね」
「どんどん冷えるわよね」
「ええ、これならもう」
 それこそというのだ。
「あと少しでね」
「徹底的に冷えてね」
「そうしてね」
「それこそ冷え過ぎて我慢出来なくなる位にね」
「そうなるから」
 だからだというのだ。
「あと少しね」
「ここにいればいいわね」
「そうしましょう」
「わかったわ」
 美奈子はまた応えた、そしてだった。二人は実際に今は水風呂で自分達の身体を冷やした。そして遂に歯がガチガチと鳴りだした。


第二百三話   完


                   2019・10・18 

 

第二百四話

                第二百四話  徹底的に冷えて
 華奈子も美奈子も水風呂の中で歯がガチガチと鳴りはじめた、もうこれだけで冷えきっているのが明らかだった。
 それでだ、華奈子は美奈子に提案した。
「ねえ、もうね」
「ええ、水風呂出てもね」
 美奈子の返事はもう我慢出来ないという感じだった。
「いいわね」
「そうよね、じゃあね」
「今すぐ出ましょう」
「それがいいわね。それでね」
「もうすぐにね」
 水風呂を出てすぐにというのだ。
「露天風呂入りましょう」
「それがいいわね」
「これ以上ここにいたら」
「死ぬってとこまではいかないにしても」
「我慢出来ないから」
 これ以上水風呂にいることがというのだ。
「だから」
「出ましょう」
「そうしましょう」
 二人共飛び出る様に水風呂を出た、まだ小学生であるが二人共そろそろ少女の身体になろうとしている。
 その身体で外に出てだった。
 露天風呂に流石に飛び込むのは他のお客さんの迷惑なのでそっと入った、そうしてから華奈子は美奈子に言った。
「生き返るわね」
「もう急にね」
 美奈子もこう返した。
「そうなってきてるわね」
「あったかくて」
 お湯の中がというのだ。
「それでね」
「生き返るみたいね」
「さっきの感覚が嘘みたい」
 冷えきったそれがというのだ。
「本当に」
「私もよ。このままね」
「冷えきった身体がね」
「元に戻って」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「あったまってくるわね」
「まだ冷えてるけれど」
「それでもね」
「もう少しでね」
「あったまってくるわね」
「絶対にね」
 二人で露天風呂の中で話した、そして次第に身体が温まっていくことを感じだした。それは実に心地いいものだった。


第二百四話   完


                   2019・10・18 

 

第二百五話

                  第二百五話  露天風呂の景色
 二人は露天風呂にいて周りを見た、岩造りのその湯舟の中で華奈子は身体が温まるのを感じつつ美奈子に言った。
「温泉かっていうと」
「違うみたいね」
「そうしたお湯じゃないみたいだけれど」
 それでもと言うのだった。
「本物の温泉にね」
「いるみたいよね」
「まあ実際に温泉にいるのとね」
「同じだし」
「そう思うと」
 今入っている露天風呂はというのだ。
「温泉ね」
「そうよね」
「こうしてね」
 まさにというのだ。
「温泉に入っているって思うと」
「いいわよね」
「ええ、最後に入ったけれど」
「それがよかったわね」
「本当に温泉に入っているみたいな気持ちになって」
 それでというのだ。
「素敵な気持ちになれるわ」
「そうね、ここまで入って」
 美奈子も華奈子に笑顔で話した。
「私も満足してるわ」
「そうよね、美奈子も」
「あんまりにもすっきりしたから」
「すっきりしたから?」
「最後に身体また洗って」
「最後に?」
「そう、それで完全にすっきりして」
 そうなってというのだ。
「お風呂から上がりましょう、勿論髪の毛も」
「あっ、まだ洗ってなかったわ」
 華奈子も言われてそのことに気付いた。
「あたしも」
「そうでしょ、だからね」
「最後は身体を洗って」
「髪の毛もね」
 こちらもというのだ。
「しっかり洗って」
「それでっていうのね」
「お風呂出ましょう」
「それがいいわね、じゃあ」
「そういうことでね」
「今はよね」
「露天風呂で景色も楽しみましょう」
 こちらもと言ってだ、そうして二人で露天風呂の景色も楽しんだ。湯舟だけでなくそちらも楽しめるものだった。


第二百五話   完


                 2019・10・24 

 

第二百六話

               第二百六話  身体も髪の毛も
 露天風呂でじっくり温まってからだった、華奈子と美奈子はそこを出てそのうえでもう一度身体を洗った。
 それから髪の毛を洗うがここでだった。
 華奈子は洗いながらあることに気付いて美奈子に言った。
「シャンプーが違うから」
「それでよね」
「いつもと違う感じがするわね」
「そうね、何か私達が使うには」
 美奈子も髪の毛を洗いつつ話した。
「少し強い感じがするかしら」
「そうよね、けれど洗って奇麗になるし」
「いいわね、洗ったら」
 シャンプーでそうした後はというのだ。
「その後はね」
「リンスもあるから」
「それもして」
 そうしてというのだ。
「奇麗にして」
「髪の毛も守らないとね」
「そうよね、華奈子の髪の毛って」
 美奈子は微笑んでこうも言った。
「奇麗だから」
「大事にしろっていうのね」
「ええ、そうしてね」
「それ言ったら美奈子もよ」
 華奈子も微笑んで言った。
「髪の毛奇麗よ」
「そうかしら」
「ええ、奇麗だから」
 それでというのだ。
「ちゃんとね」
「奇麗にして大事にしないといけないのね」
「だからちゃんと洗って」
「それで整えて」
「奇麗にしましょう」
「シャンプーもリンスもして」
「コンディショナーもあるし」
 見ればそちらも用意されている。
「だからね」
「それで完全によね」
「整えましょう、あたしは髪の毛が短いからそっちは少しでいいけれど」
「私は長いから」
「その分を気をつけてね」
「華奈子も髪の毛伸ばせば?似合うと思うわ」
「えっ、あたしが!?」
 華奈子は美奈子のその言葉に一瞬動きを止めて表情もそうなった。そのうえで美奈子に言葉を返した。
「髪の毛伸ばすの」
「そうしたらどう?」
 美奈子は笑顔で言った、そしてこの言葉がまた一つの出来事のはじまりとなるのだった。


第二百六話   完


               2019・10・24 

 

第二百七話

                第二百七話  お風呂から出て
 華奈子と美奈子は露天風呂を最後にしてお風呂を出た、そうしてほっとした顔で家から持ってきた水筒の中のお茶を飲んだ。
 その時に華奈子のまだ少し濡れが残っている髪の毛を見てだった、美奈子は彼女に真剣な顔で話した。
「やっぱり華奈子の髪の毛奇麗よ」
「またそう言うの?」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「伸ばしてみる?」
「だからあたしはね」
 華奈子は美奈子に少し微妙な笑顔になって応えた。
「髪の毛はね」
「伸ばすつもりないの」
「そうなの、このままがね」 
 つまり短いままがというのだ。
「快適でね」
「そのままいたいの」
「そう思ってるけれど」
「そうなの。折角奇麗な髪の毛だから」
 それでとだ、美奈子はそれでもという口調で言った。
「だからね」
「伸ばした方がいいっていうのね」
「そうしたら?」
「けれどそうしたら」
 どうかとだ、華奈子は美奈子に返した。
「姉妹でね」
「見分けがとかいうの?」
「つかなくならない?」
「別にそうならないと思うわ」
 美奈子は華奈子に笑って答えた。
「確かに同じ顔でね」
「背もスタイルもでしょ」
「確かに同じだけれど」
「それでもっていうの」
「ええ、別にね」 
「あたしが伸ばしてもいいの?」
「見分けはつくわ、だってね」
 美奈子は華奈子に笑って話したことがあった、その話したことは一体何かというと。
「私と華奈子表情違うから」
「表情が?」
「そうよ、双子だけれど」
 それでもというのだ。
「表情が違うのよ」
「そうかしら」
「そう、着ている服の色も違うし」
「あっ、それはね」
 華奈子も美奈子のその言葉には頷いた、このことは華奈子にとってもすぐに納得出来ることであった。
 見れば華奈子は今も赤、美奈子は紫の服を着ている。双子はこのことでも見分けがつく。しかし華奈子はまだ表情についてはそう思わなかった。


第二百七話   完


                 2019・11・1 

 

第二百八話

               第二百八話  表情
 華奈子は美奈子を見てそうして言った、お風呂場のあったプールを出た時に。
「あたしと美奈子って表情違うの」
「そうよ、これがね」
「自覚なかったけれど」
「笑顔でもね」 
 これでもというのだ。
「華奈子は明るくてお日様みたいなのよ」
「そんなに明るいの」
「そうよ、それで私はね」
 美奈子は自分の笑顔のことも話した。
「落ち着いてお月様みたいな」
「そんな風なの」
「そうなの、アルバム観てたらね」
「そこで二人の笑顔を見ていたら」
「違っていたの」
「そうだったのね」
 華奈子は言われて目を丸くさせて述べた。
「あたし自覚なかったわ」
「アルバム観てもだったの」
「ちょっとね、じゃあ他の表情も」 
 喜怒哀楽のそれからだ、華奈子は話した。
「違うのね」
「ええ、二人でね」
「そうだったのね」
「この前気付いたの」
 こう華奈子に話した。
「私達双子でも表情が違うって」
「そうなのね」
「それでわかるわよ」
「あたし達がどっちかって」
「服の色以外でもね」
「それで髪型以外でもなのね」
「わかるから」
 それでというのだ。
「華奈子も髪の毛伸ばしてもね」
「いいのね」
「見分けがつくから」
「成程ね、けれどね」
「今のところはなのね」
「あたしとしてはね」
 華奈子は自分の考えを美奈子に一緒に歩きながら話した。
「別にね」
「このままでいいのね」
「そう思うから」
 だからだというのだ。
「折角だけれど」
「そうなのね、まあ考えてみてね」
「まあね、けれどね」
 今のところはその考えはない、そうした返事だった。
 華奈子はそうした返事をしつつ美奈子と一緒に家に帰っていった、そして家で二人の母のことを聞くことにした。


第二百八話   完


               2019・11・1 

 

第二百九話

               第二百九話  母のいうこと
 華奈子と美奈子はプールそしてスーパー銭湯を楽しんでそうしてから家に帰った、そうしてだった。
 母に泳いでサウナも色々な風呂を楽しんできたことを話すと母は自分の娘達に対して少し気になった様に言った。
「水分摂った?」
「お水?飲んだわ」
 華奈子が答えた。
「ちゃんとね」
「それならいいけれど」
「運動してお風呂に入ったから」
「そう、かなり汗をかいているから」
 だからだというのだ。
「ちゃんとね」
「お水飲まないと駄目なのね」
「そう、さもないとね」
 母は娘達に真剣な顔で話した。
「脱水症状にもなるから」
「だからなのね」
「運動とお風呂はいいの」
 このこと自体はというのだ。
「身体にもね」
「じゃあ私達とてもいいことしたのね」 
 今度は美奈子が言った。
「そうなのね」
「ええ、そうよ」
 母は美奈子にも答えた。
「とてもね、けれどね」
「運動してよね」
「そう、お風呂でも汗をかいたから」
「どうしてもよね」
「お水を飲まないとね」
 つまり水分を摂取しないと、というのだ。
「よくないから」
「そうなのね」
「汗をかいた後は」
 それがプールやお風呂といった水の中でもというのだ。
「そこは絶対によ」
「じゃあお風呂から上がってお水飲んでよかったのね」
「そうよね」
 二人で話した。
「やっぱりお風呂の後はね」
「お水飲むべきね」
「そこは絶対に守ってね、それさえ守ってくれたら」
 運動そして入浴の後は水分を摂ることをというのだ。
「何も問題はないわ」
「わかったわ、じゃあね」
「またプールとお風呂楽しんでくるわ」
 双子は母に笑顔で答えた、そしてだった。
 自分達の部屋に戻ろうと思った、だがその前に華奈子が美奈子に対してこんなことを言ったのだった。


第二百九話   完


                   2019・11・8 

 

第二百十話

               第二百十話  部屋に戻る前に
 華奈子は美奈子に一緒に部屋に戻る前に声をかけた。
「ちょっといい?」
「どうしたの?」
「お部屋に戻る前にね」
 その前にというのだ。
「ちょっと牛乳飲まない?」
「牛乳?」
「まだ喉渇いてない?」
「そう言われたら」
 どうかとだ、美奈子も答えた。
「結構ね」
「そうでしょ、だからね」
「牛乳飲んでからなのね」
「お部屋に戻りましょう」
「わかったわ、お風呂出た時に結構お水飲んだ」
「それでもまだ喉渇いてるから」
 だからだというのだ。
「ここは飲みましょう」
「それじゃあね」
「お風呂、特にサウナは汗かくわよ」
 母もリビングから言ってきた。
「あんた達サウナも入ったの?」
「うん、入ったよ」
「他のお風呂も全部入ったわ」
「じゃあ余計によ」
 それならとだ、母は自分の娘達にさらに言った。その言葉は娘達をしっかりと気遣うものであった。
「水分摂らないといけないから」
「それじゃあ牛乳飲んでいいのね」
「そうしたらいいのね」
「無理はしないの」
 決してという言葉だった。
「汗をかいたら飲みものを飲むことよ」
「そういうことね」
「しっかりと」
「さもないと脱水症状か熱中症になるから」
 だからだというのだ。
「そこはしっかりとね」
「わかったわ、お母さん」
「牛乳も飲むわね」
「そうしてね」
「じゃあ美奈子、今からね」
「そうしましょう、華奈子」
 双子で頷き合ってだった。
 一緒に牛乳を飲んだ、そうして部屋に入ったが。
「何か眠いわね」
「そうね」
「泳いでお風呂に入って」
「牛乳も飲んで」
 二人共強い眠気を感じた、そうしてうとうととしだしたので二人は今度は寝ようか寝るまいかという話をした。


第二百十話   完


                   2019・11・8 

 

第二百十一話

第二百十一話  寝ない様に
 姉妹を睡魔が襲う、プールと入浴と牛乳のせいであることは明らかだった。しかも夕食までじかんがある。
 それで華奈子は美奈子に提案した。
「魔法の練習する?」
「それで眠気を覚ますのね」
「そう、魔法の練習をして」
 そうしてというのだ。
「身体動かして頭もね」
「動かすとっていうのね」
「絶対に目が冴えるから」
「そうね、それがいいわね」
 美奈子は華奈子のその言葉に同意して頷いた。
「こうした時こそね」
「魔法でしょ」
「ええ、魔法の勉強をして」
「寝る位なら」
「寝ることは夜だから」
「今はね」
 それよりもというのだ。
「魔法の勉強しましょう」
「具体的には練習ね」
「ここまで眠いと」 
 それこそともだ、華奈子は言った。
「学校のお勉強は」
「してる間に寝そうね」
「美奈子はともかく」
 勉強が元々得意な彼女はというのだ。
「あたしはね」
「寝ちゃうっていうのね」
「もう絶対にね」
 学校の勉強をしている最中にというのだ。
「寝ちゃうから」
「その自信あるのね」
「それならね」
「同じお勉強でも」
「今は魔法の方をね」
 そちらをというのだ。
「しようと思ったけれど」
「私はそれでいいと思うわ」
「美奈子がそれでいいって言うならね」
 双子である華奈子もだった。
「あたしも安心して勉強出来るわ」
「それで晩ご飯食べて」
「寝るまでね」
「そちらのお勉強もするのね」
「そっちもすればするだけよくなるってわかったし」
 華奈子もそれで学校の勉強が出来る様になったのだ。
「そっちはまたするけれど」
「今は魔法の勉強ね」
「練習をしましょう」
 こう言ってだった、双子は家の庭に出た。そうしてそのうえで法衣に着替えてステッキも出したのだった。


第二百十一話   完


                  2019・11・15 

 

第二百十二話

            第二百十二話  練習をすると
 華奈子と美奈子は眠気覚ましに自宅の庭で魔法の練習をはじめた、二人共瞬時にそれぞれの法衣に着替えステッキも出し。
 そうして魔法の練習をはじめようとしたがここで美奈子は華奈子に言った。
「火を使うとね」
「あたしの得意な」
「ええ、今私達かなり眠いから」
 このことから華奈子に話すのだった。
「ちょっと手元が狂うと危ないでしょ」
「ああ、火はね」
「燃えるから」
「一番危ない魔法だからね」
 火を使うだけにとだ、華奈子もこのことはわかっていた。
「それはね」
「だからね」
「今は控えるべきね」
「他の魔法の練習をしましょう」
「そうね、そう言われたら」
 華奈子は少し考えてから美奈子に答えた。
「あたしここはあえて属性が逆のね」
「水の魔法ね」
「それをやろうかしら」
「いいと思うわ、全く逆の属性の魔法もね」
「やるといいわね」
「苦手だけれど」
 自分の得意な属性の魔法と逆の属性の魔法を使うことはというのだ。
「それでもね」
「その苦手な魔法をあえてやることに意義があるわね」
「両方使えたら凄いし」
 それにとだ、美奈子はさらに話した。
「得意な魔法のこともさらにわかったりするでしょ」
「だからよね」
「そう、だからね」
「水の属性の魔法もね」
「やってみたらいいわ、私もね」
「美奈子の得意な魔法は音ね」
「ええ、それだとね」
 音の魔法の逆の属性の魔法はとだ、美奈子は話した。
「特にないわね」
「そうよね、音はね」
「これといってね」
「雷がそれになるかもだけれど」
「あまり正反対でないわね」
「火と水よりはね」
「ええ、けれどここは」 
 正反対と言う程ではないがというのだ。
「雷をね」
「そっちの魔法をなのね」
「やってみようかしら」
「雷も眠いと危ないでしょ」
「じゃあ音の方がいいわね」
 美奈子の場合はとだ、こう話してだった。二人はそれぞれ魔法の練習をして本格的に眠気を覚ましにかかったのだった。


第二百十二話   完


                 2019・11・15 

 

第二百十三話

                 第二百十三話  練習では
 華奈子と美奈子は音の魔法の練習を二人で家の庭に出て行った、立って呪文を詠唱してそうしてだった。
 杖も使っていると二人共自然にとだった。
「目が覚めてきたわね」
「そうね」
「身体を動かしてるとね」
「やっぱり目が覚めるわね」
「狙いが当たったわね」 
 華奈子は美奈子に笑顔で話した。
「身体動かしたらね」
「眠気も飛ぶわ」
「これがお勉強で」
 それをして、というのだ。
「本とか読んでたら」
「そうしたら私もね」
 美奈子もすぐに答えた。
「今だとね」
「眠くなるわよね」
「ええ、だから華奈子にもお話したの」
「眠気覚ましには本を読むのじゃなくて」
「同じ魔法の勉強でもね」
 それを行うにしてもというのだ。
「それでもね」
「本を読むよりも」
「それよりもね」 
 あまりにも眠い時はというのだ。
「身体を動かした方がいいのよ」
「そうよね」
「それとね」
「それと?」
「音の魔法なら眠い時に行っても安全だから」
 このことについても話すのだった。
「これにしようって言ったの」
「そういうことね」
「それで実際にしたら」
 その時はというのだ。
「目が覚めたわね」
「よかったわね」
「じゃあ後はね」
「晩ご飯までよね」
「身体を動かして」
 そうして魔法の勉強をしてというのだ。
「そうしてね」
「寝ないでいくのね」
「そうしましょう、あと少しで晩ご飯だし」
 美奈子は今度は時間の話をした。
「もう少しだけね」
「練習するのね」
「そうしましょう」
「それじゃあね」
 二人でこうした話をしてだった、双子は魔法の勉強を身体を動かしてしていった。そのうえで夕食までの時間を過ごした。


第二百十三話   完


                 2019・12・4 

 

第二百十四話

              第二百十四話  夕食は
 華奈子と美奈子は自宅の庭で魔法の勉強をしていたがやがて母から晩ご飯だと言われて家に入った。そして食卓に着くと。
 華奈子はおかずを見てすぐにこんなことを言った。
「肉じゃがにしたの」
「ええ、そうよ」
 母は華奈子ににこりと笑って答えた。
「今日はね」
「それとお味噌汁ね」
 見ればそちらもあった。
「そっちは韮と茸ね」
「そちらも考えたのよ」
「そうだったの」
「身体にいいお料理は何かしらってね」
「どちらも和食ね」
 このことは美奈子が指摘した。
「肉じゃがもお味噌汁も」
「納豆もあるし」
 華奈子はそちらも見た。
「全部和食ね」
「二人共好き嫌いあまりないから」
 勿論和食も食べる、二人の親だけあってこのこともわかっているのだ。
「だからって思って」
「肉じゃがにしてくれたのね」
「お味噌汁も出してくれたのね」
「そうよ」
 母は二人ににこりと笑って答えた。
「全部しっかり食べてね」
「ええ、ただね」
 華奈子はここで少し苦笑いになって述べた。
「問題はね」
「何かしら」
「納豆かき混ぜたら」
 これを食べる前にとだ、華奈子はパックの中に入っている納豆を見ながら母に対して言うのだった。
「お箸が納豆で滑って」
「他の食べものが掴めないっていうのね」
「それがね」
「そこは最後にしてね」
 母は華奈子にすぐに答えた。
「いいわね」
「ええ、じゃあね」
「まずは肉じゃがとお味噌汁を食べて飲んで」 
 美奈子は華奈子に横から話した。
「それで最後にね」
「納豆ね」
「そうしましょう」
「それがいいわね」
「ええ、食べましょう」
 こう話してだった。
 母と三人で頂きますをして食べた、そして華奈子は肉じゃがを食べて笑顔で言った。
「美味しいわ」
「そうね」
 美奈子は味噌汁を飲んで華奈子に応えた、そうして三人でその美味い夕食を心から楽しんだ。


第二百十四話   完


                2019・12・4 

 

第二百十五話

                  第二百十五話  眼鏡のこと
 春奈はいつも眼鏡をかけている、だがその眼鏡のことについて彼女は自分の使い魔であるイーとリャンに言った。
「眼鏡をかけてるけれど」
「どうしました?」
「眼鏡のことですか」
「何かありましたか」
「思われるところがおありの様ですが」
「ええ、長くかけていたら耳が痛くなるし」
 眼鏡をかける耳の上のところがというのだ。
「それに曇るし」
「だからですか」
「眼鏡をどうするか」
「そのことをお考えですか」
「私眼鏡がないと」 
 どうなるかもだ、春奈は二匹に話した。
「何も見えないけれど」
「ご主人は両目共〇・一でしたね」
 イーはその視力のことを話した。
「左様でしたね」
「ええ、それだけしかないから」
 だからとだ、春奈は答えた。
「もうね」
「眼鏡がないとですね」
「殆ど見えないから」
 そこまで視力が弱いからだというのだ。
「眼鏡は必要だけれど」
「耳が痛くてですね」
「曇るから」
 それでというのだ。
「今どうしようかと考えているの」
「ならです」
 今度はリャンが言ってきた。
「コンタクトはどうでしょうか」
「コンタクトレンズね」
「あれならです」
 コンタクトレンズならというのだ。
「曇りませんし」
「耳に当たることもなくて」
「いいかと」
「コンタクトね」
 リャンの提案についてだ、春奈はどうかという顔で言った。
「それもね」
「どうかとですか」
「目に何か入れるのは」 
 それはというのだ。
「危なそうだし」
「だからですか」
「どうしようかしら」
 難しい顔で言うのだった、春奈は二匹に眼鏡のことを話してからそのうえで今度はコンタクトについて考えだしたのだった。使い魔達の言葉を聞いて。


第二百十五話   完


              2019・12・9 

 

第二百十六話

             第二百十六話  兄に話して
 春奈は使い魔達と話してから暫く考えた、だが考えがまとまらず夕食が終わってから兄の夏雄に声をかけた。
「お兄ちゃん、いい?」
「どうしたんだ?」
 兄は妹にすぐに顔を向けて応えた。
「悩んでるみたいだけれど」
「実は眼鏡が嫌になって」
 それでとだ、春奈は素直に話した。
「どうしようかって思ってるけれど」
「そうなんだな」
「コンタクトも考えてるけれど」
「そうだな、僕としてはな」
 兄は妹の考えを聞いてだった、まずは。
 彼女を自分の部屋に入れてクッションの上に座らせてから自分の机の席に座ってそのうえで話をした。
「別にな」
「別に?」
「眼鏡でもな」
 つまりこのままでもというのだ。
「いいんじゃないかってな」
「思うの」
「コンタクトは目に入れるだろ」
 春奈と同じことを言うのだった。
「だからな」
「危ないっていうのね」
「僕はな」
 どうしてもというのだ。
「それが気になってな」
「コンタクトはなのね」
「お勧め出来ないな」
「そうなのね」
「落としやすいし落としたらな」
 その時はというと。
「見付けにくいしな」
「そうなの」
「小さいし透明だからな」
 この二つの要素があってというのだ。
「それに目に入れたまま寝たら目に悪いしな」
「そうなの」
「目を傷つけるしな、だからな」
「お兄ちゃんは眼鏡のままでいいっていうのね」
「ああ、かける時間を少なくしたらどうだ」
 これが兄の提案だった。
「それなら」
「それがいいかしら」
「僕はそれでいいと思うがな」
「そうなのね」
「ああ、あくまで僕はな」
 そう考えるとだ、夏雄は春奈に話した。だが春奈はまだ考えが決まらずそれからも考えていくのだった。


第二百十六話   完

    
                   2019・12・9 

 

第二百十七話

              第二百十七話  両親に相談すると
 春奈は兄と眼鏡のことで相談した後でも答えを出せなかった、それでまた兄に相談したが兄の返答は変わらなかった。
「僕はやっぱり」
「眼鏡なのね」
「それがいいと思うな」
「コンタクトは危ないから」
「そう考えると」 
 どうしてもというのだ。
「眼鏡の方がいいだろうな」
「そうなのね」
「けれど春奈は」
「まだ迷ってるの」
 兄に言われてもというのだ。
「どうもね」
「だからまた僕に言ってきたんだな」
「そうなの、どうしようかしら」
「それなら」
 兄は妹の話を聞いて言った。
「もうお父さんとお母さんにな」
「相談してなのね」
「それで考えてみたらどうだ」
「そうね、お父さんとお母さんならね」
 それならとだ、春奈は頷いてだった。
 夜だったので兄の部屋もっと言えば自分の部屋もある家の二階から一階のリビング今は両親がいるその部屋に行ってだった。
 そのうえで両親に眼鏡かコンタクトかの話をすると。
 まずは父が春奈に言った。
「そうだな、眼鏡じゃないか」
「お父さんはそう思うの」
「コンタクトは危ないだろう」
「目の中に入れるから」
「どうしてもな」
 父は兄と同じ考えだった。
「そう思うからな」
「眼鏡の方がいいのね」
「ああ、入れたまま寝たりしても危ないしな」
「目に悪いのよね」
「ああ、だからな」
「お母さんはいいと思うけれど」
 母はコンタクトでもと言った、そのうえで春奈に対して考える顔でさらに話していった。口調も真剣なものだった。
「それでもね」
「コンタクトでもなのね」
「いいんじゃないかしら」
「お母さんはそうなのね」
「ええ、お金のことは気にしないで」
「お金はいいの」
「別にね」 
 そのことはとだ、母は春奈に話した。両親の意見はそれぞれ違っていてそれで春奈にも話すのだった。


第二百十七話   完


                  2019・12・12 

 

第二百十八話

                  第二百十八話  母の意見
 母は娘にさらに話した。
「お母さんはプラスチックのね」
「そのコンタクトならなの」
「柔らかいしね」
 それでというのだ。
「別に、って思うの」
「目を傷つけないの」
「ええ、ただ寝る前にはね」 
 その時にはというのだ。
「ちゃんと外さないと駄目よ」
「目に悪いから」
「それは本当によくないから」
 だからだというのだ。
「そのことはね」
「気をつけないと駄目なのね」
「そう、外して」 
 それでというのだ。
「寝てね」
「そのことは絶対なのね」
「春ちゃんは寝る前は眼鏡は外してるわね」
「絶対ね」 
 眼鏡をかけたままで寝ることは考えられない、春奈は寝る前は眼鏡は絶対に外して枕元に置いて寝ている。
 それでだ、母にもこう答えた。
「そうしてるわ」
「眼鏡は耳にかけていてお鼻にもかかるから気付けるけれど」
「コンタクトは違うの」
「そう、どうしても入れたままだから」
 目にというのだ。
「気付きにくいから」
「入れたまま寝るから」
「それは本当に目によくないから」
 だからだというのだ。
「そのことに気をつけてくれるならね」
「コンタクトでもいいのね」
「お母さんはそう思うわ」
「そのことは」
 どうかとだ、春奈は真剣に考えて述べた。
「私も」
「忘れるかも知れないのね」
「眼鏡は絶対に忘れないけれど」 
 その自信はあった、耳や鼻にかかるので常に意識しているので。
「けれどコンタクトになると」
「わからないのね」
「どうしてもね」
「それに目に入れるからいつも清潔にしておかないと駄目よ」
「そのこともあるのね」
「だからそうしたことに気をつけてくれるなら」
 それならとだ、母は言うのだった。春奈は母のその話を聞いて結局母も眼鏡の方がいいのではと思った。


第二百十八話   完


                  2019・12・12 

 

第二百十九話

          第二百十九話  コンタクトレンズの値段
 春奈は眼鏡の方に傾きつつもまだ迷っていた、それで彼女は今度はイーとリャンに対してさらに話した。
「あの、コンタクトの値段って」
「お金ですね」
「そちらのことですね」
「お父さんとお母さんは出してくれるって言ってくれたけれど」6
「それでもですね」
「実際の値段を見てみたいのですね」
「ええ、だから」
 それでというのだ。
「ちょっとネットで検索してみるわね」
「はい、それがいいかと」
 イーは主のその考えに頷いて答えた。
「まずはお値段を確かめて」
「それからよね」
「考えられるべきかと」
「眼鏡も高いですが」
 今度はリャンが話した。
「ですが」
「それでもよね」
「眼鏡も高いですが」
「眼鏡は目に入れないから」
「その分安全ですから」
 だからだというのだ。
「それはいいかと」
「そうよね」
「安全性はやはり眼鏡の方が上です」
 イーもこのことについて話した。
「何といっても」
「そうよね」
「ですがコンタクトの方が安いと」
「考えてもいいわね」
「はい、ですが」
「若し高いなら」
「どうかとなります、それにです」
 イーはさらに話した。
「それでも目にかかる負担が問題です」
「やっぱりそうよね」
「目に入れるのですから」
 またリャンが主に話した。
「そのことは注意しないといけないです」
「そうよね」
「ですから」
「お値段も合わせて色々と考えるべきね」
「もう一度そうされては」
「そうね、お金のことを考えて」
 そしてとだ、春奈は自分の使い魔達の言葉を聞いて頷いてから言った。
「もう一度安全のことをね」
「目のことですから」
「ご注意を」
 使い魔達はまた言った、そうして春奈は彼等の言葉を聞きつつもう一度考えるのだった。


第二百十九話   完


                2019・12・20 

 

第二百二十話

               第二百二十話  値段を見て
 春奈はイーとリャン、自分達の使い魔達と自分の部屋においてコンタクトの話をしてから今度はネットでコンタクトについて調べた。
 そしてまずは値段を見たが。
「あまり安いと胡散臭いし」
「だからですね」
「安過ぎるものはですね」
「それは置いておいてね」 
 それでというのだ。
「確かな値段の見たら」
「高いですか」
「やはりそうですか」
「幾らお金出してくれると言っても」
 春奈は自分の両親のその申し出の話もした。
「それでもね」
「高いとですね」
「ご両親に悪いですか」
「眼鏡がもうあるから」
 だからだというのだ。
「それでまた買ってもらうことはね」
「ご両親に悪い」
「負担になりますね」
「だからね、それに」
 春奈は使い魔達にさらに話した。
「やっぱりどうしても」
「目の中に入れる」
「そのことがですね」
「あらためて考えると」
 コンタクトレンズのことはというのだ。
「それが問題だから」
「それではどうされますか」
「この件は」
「やっぱり止めるべきね」
 春奈はこの答えに至った。
「眼鏡でいいわ」
「左様ですか」
「そちらにされますか」
「ええ、もうね」 
 二匹にあらためて答えた。
「眼鏡でいくわ、これからも」
「そうですか、では」
「もうコンタクトのことは」
「いいわ」
 諦めるとだ、二匹にこうも言った。
「これでこのお話は終わりにするわ」
「わかりました、では」
「その様に」
「ええ、じゃあ今から勉強するわ」
 ここで言うのは学校の勉強だった、早速教科書とノートそれに鉛筆や消しゴムを出してそれからだった。
 春奈は勉強をはじめた、その目には眼鏡がかけられていて実によく似合っていた。


第二百二十話   完


                 2019・12・20