ちびまる子ちゃんH「たまちゃんが二人!?」の巻


 

その1

 
前書き
 「ちびまる子ちゃんH」の新作です。

 今回はたまちゃんが心の中でなりきる「タミー」に注目しました。

  

 
 たまちゃんこと、穂波たまえは夢を見ていた。

 たまちゃん「うわー、すごい山!ん?あそこに誰かがいる・・・。行ってみよう!」

 たまちゃんが近づくと、そこにいたのは・・・。

 たまちゃん「え、わ、私!?」

 タミー「あ、あなたは、現実の世界の私ね!タミー、あなた自身とあえて嬉しいわ!!これから二人で仲良くしましょう!!」

 たまちゃん「は、はあ?」

 タミー「分裂したもう一人の自分に会えるなんて!ああ、タミー、感激しちゃう!」

 たまちゃん「ぶ、分裂って!?」

 タミー「私はあなたの心の中から抜け出すことができたの!心の外の世界もホント素晴らしいわね・・・!!」

 たまちゃん「え、ええ~!!?」

 たまちゃんは気持ちが悪くなって逃げだそうとした。しかし、足を滑らせ、奈落の底へ落ちていった・・・。

 そして、朝になり、目が覚めた。

 たまちゃん「なんか嫌な夢みたな~」

 ・・・と、その時、何かしらベッドが窮屈な感じがした。ベッドを見てみると、隣に誰かがいた・・・。

 たまちゃん「え、えええ~!!」

 タミー「ん、ああ、あなた、おはよう~!」

 たまちゃん「ま、正夢!?」

 たまちゃんの悲鳴に母が飛び込んできた。

 たまちゃんの母「たまえ、どうしたの?ってキャー!」

 たまちゃんの母も驚いて腰を抜かしてしまった。そのとき、父も入ってきた。

 たまちゃんの父「な、何があったんだ!?おお、たまえが二人!!」

 父はすぐに部屋に出て行った。

 タミー「お母さま、おはようございます」

 たまちゃんの母「あ、あなたはいったい誰なの!?」

 タミー「私はたまえの心の中のもう一人の自分、タミーです!こうやって心の外から抜け出してお母様と会えるなんてなんて光栄なことなの!」

 そのとき、父がカメラを持って戻ってきた。

 たまちゃんの父「こりゃたまえが分裂した記念写真を撮ろうではないか!!」

 が、たまちゃんは父の空気を読まない行動に怒った。タミーはいきなり泣き出しそうになった。
 
 たまちゃん「お父さん!それどころじゃないわよ!」

 タミー「ああ、いきなりお父様に写真を撮られるなんて、タミー、どうすれば写真の苦しみから解放できるの!?」

 たまちゃん「お父さん、もう一人の私だって、嫌がってるじゃない!写真はダメ!」

 たまちゃんの父「そんなあ・・・」

 たまちゃんの母は何とか立ち上がった。

 たまちゃんの母「あなたは、もう一人のたまえなの?」

 タミー「はい、もう一人のたまえ、タミーと言います。普段は心の中にいるんだけど、こうして分裂で来たんです」

 たまちゃんの母は言っている意味が理解できなかった。

 たまちゃんの母「まあ、とにかく、学校があるからたまえ、着替えてご飯食べなさい」

 たまちゃん「うん」

 タミー「はい、お母さま!」

 たまちゃんの母は朝食にいつもより負担がかかった。何しろ1人増えたのだから4人分の朝食を作らなければならなかったからである。

 たまちゃんの父「しかし、家族が一人増えてなんだか楽しくなりそうだなあ、この朝食の様子を写真に残そう!」

 たまえ「お父さん!」
 
 タミー「やめて、お父様!タミーはそんなの恥ずかしくて嫌よ!」
 
 たまちゃんの父「はは、もうひとりのたまえは恥ずかしがり屋だな。まあ、そんなこと言わずに、はいこっち見てー!」

 たまちゃんの父は娘の制止を振り切って撮影を強行した。

 タミー「ああ、いきなりこんな写真を撮られるなんてどうしてお父様はタミーにこんな辱めるの!?イヤー!」

 タミーは泣き出した。たまちゃんはもう一人の自分にかまっていられず、すぐに朝食を食べ終え、身支度をして学校へ行こうとした。

 たまちゃん「私、もう行ってきます!」

 タミー「あ、待って、私も学校に!」

 たまちゃん「来なくていい!迷惑!」

 たまちゃんはさっさと家を出て行った。タミーは哀しい表情をした。

 タミー「そんな、いつも心の中ではいつも学校に連れて行ってもらえたのに、なんで今日はダメなの!?いや、タミー、そんなの嫌!!」

 たまちゃんの母は心配した。

 たまちゃんの母「朝からこんな騒がしくなるなんて落ち着かないわね・・・」

 たまちゃんは父の他に頭を悩ます人が増えるとなるとたまらなかった。

 たまちゃん(もう、何なのよ・・・。これはきっと幻よね!家に帰ったらきっと消えているはずよね!)

 たまちゃんはそう願って登校した。


 
 
 

 
後書き
 タミーが実体化したらこうなるんでしょうか・・・。

 次回はまる子やクラスメイトとも絡み始めます。 

 

その2

 たまちゃんは学校へと向かった。

 たまちゃん(はあ、もう何だったの・・・?)

 こうしているうちに学校に着いた。そしてまる子に出会った。

 まる子「あ、たまちゃん、おはよう~」

 たまちゃん「あ、まるちゃん、おはよう」

 まる子「たまちゃん、どうしたの?なんか、落ち着きないみたいだけど」

 たまちゃん「ううん、何でもないよ・・・!」

 たまちゃんは慌ててごまかした。

 と、そのときはまじが、驚いた表情で入ってきた。

 はまじ「なあ、さっき廊下で穂波そっくりの人に話しかけられたんだ。穂波の姉ちゃんかなと思ったけど穂波は一人っ子だろ、誰なのか聞いたらもう一人のお前だとか言ってたぞ」

 たまちゃん「え・・・!?」

 たまちゃんは驚きながら教室を出ていった。

 まる子「あ、たまちゃん!?はまじ、たまちゃんそっくりの人だって!?」

 はまじ「ああ、アルプスの少女・タミーとかわけのわからん事言ってたぜ」

 まる子「ふ、ふ~ん」

 何とも言えないまる子だった。

 たまちゃんは廊下に出ると、家で見たタミーの姿があった。

 たまちゃん「ちょっと!来ないでって言ったでしょ!!」

 タミー「いやよ、まるちゃんたちに挨拶しなきゃいけないんだもの。タミーには大切な友達だもの!」

 たまちゃん「何言っているのよ!あなたは知っているけど、心の中にいたんだから、まるちゃんには誰だかわからないわよ!」

 タミー「だからこそ、挨拶させて欲しいの!もう一人の私、お願い!!」
 
 たまちゃん「だからって、学校でしなくても・・・」

 そのとき、まる子が現れた。

 まる子「もういいよ、たまちゃん」

 たまちゃん「ま、まるちゃん!?」

 タミーはまる子のところに向かった。

 タミー「まるちゃん、私はアルプスの少女・タミー、心の中のもう一人の私よ!」

 まる子「へえ、ってことは今までたまちゃんの心の中にいたってことなの?」

 タミー「そうよ、私はまるちゃんの考えていることについていけなかったり、とんでもないことが起きたりすると、いつも心の中でたまえからタミーになっていたの!」

 たまちゃん「ちょっと、あんた!変なこと言わないでよ!」

 タミー「だって、そうじゃない!!」

 まる子「へえ~、たまちゃんはいつもそうやって上の空になっていたことがあったんだ~、アンタロマンチストだね~」

 たまちゃん「ま、まるちゃん・・・」

 たまちゃんは何と返事していいのかわからなかった。

 たまちゃん「とにかく、授業の邪魔はしないでね!」

 タミー「そんな、授業に出られないなんて、タミーはどう勉強すればいいの!?」

 たまちゃん「私が勉強するので心配なく。ていうか、家に帰ってちょうだい!行こう、まるちゃん!」

 まる子「え?う、うん・・・」
 
 授業中だった。その後はタミーが現れることはなかった。どうやら帰ったらしい。

 まる子はたまちゃん、はまじ、ブー太郎、そしてとし子ちゃんの五人で下校していた。

 たまちゃん「ごめんね、今日はみんなに迷惑かけて」

 まる子「そんなことないよ。でも双子みたいになってたまちゃんち賑やかじゃない?」

 たまちゃん「そんなことないよ!あまりにも存在が暑苦しいよ・・・。それに心の中で何か考えるときはいつもあんなふうになりきる癖があって・・」

 四人はたまちゃんの心の想像に何とも言えなかった。

 とし子ちゃん「あ、そうだ、なら今日みんなでたまちゃんちに遊びに行かない。そのもう一人のたまちゃんと一緒に遊べばそんな違和感忘れてすぐ友達になれるんじゃないかな?」

 ブー太郎「いいなブー、賛成だブー!!」

 はまじ「よーし、おれトランプ持っていくよ!」

 まる子「いいね、いいね、あたしゃ、なんかお菓子買ってくるよ!」

 たまちゃん「みんな、ありがとう・・・」

 しかし、たまえは不安に感じていた。
 


  
 

 
後書き
  

 

その3

 まる子はたまちゃんの家に遊びに行った。途中ではまじ、ブー太郎、とし子ちゃんとも合流した。そして一行は穂波家に到着した。
 
 全員「こんにちは!」
 
 たまちゃんの母が出迎えた。

 たまちゃんの母「あら、いらっしゃい」

 その時、タミーが急に出てきた。

 タミー「みんな、私のために遊びに来てくれたのね!ああ、タミー、本当感動しちゃうわ!!」

 たまちゃん「ちょっと、大袈裟すぎだよ・・・。みんな、ごめんね、私のために遊びに来てくれて・・・」
 
 まる子「いや、いいよ。気にしないでよ」

 はまじ「そ、そーだよ。賑やかで面白そーじゃねーか」

 四人は上がった。

 とし子ちゃん「それじゃあ、何して遊ぼーか?」

 ブー太郎「トランプがいいブー。穂波、持ってるかブー?」

 たまちゃん「う、うん・・・」

 たまちゃんはトランプを持ってきた。タミーは目を光らせていた。
 
 タミー「どんなのやる?」

 まる子「それじゃあ、まずはババ抜きからやろうか!」

 全員「賛成!!」

 6人でババ抜きをやった。タミーは勝ったわけでも負けたわけでもなかったが、(ちなみに一抜けははまじでババはまる子だった)急にうっとりした。

 タミー「ああ、ババ抜きで抜けられるなんて、タミーなんて幸せなの!」

 皆タミーのリアクションに一々付き合わされているような感がして何も言えなかった。そしてババを何度も繰り返して遊んだ。

 4度ほどやったあと、ブー太郎が他のゲームを提案した。

 ブー太郎「次は7並べやろうブー」

 まる子「いいねえ」

 こうして7並べにシフトした。

 タミー「あ、スペードのここ入った。アハハハ・・・」

 タミー「やーん、ジョーカー貰っちゃったー!タミー、どうしよう!」

 やたらハイテンションなタミーに何も言えない5人だった。

 また、たまちゃんの母が持ってきたお菓子を皆で食べるときも皆と共にするのがとても嬉しく思っていた。

 タミー「ああ、みんなとこんなお菓子を食べられるなんてタミー、なんて幸せなの!」

 はまじ「穂波の心の中ってこんな感じだったのか?」

 たまちゃん「う・・・、それはその・・・」

 たまちゃんは返答ができなかった。

 まる子「あ、でもさ、まあ姉妹ができたと思って賑やかでいいじゃない?」

 ブー太郎「そ、そーだブー、ウチも妹のトミ子がいて楽しいと思うブー!もしオイラが一人っ子だったら寂しいなブー!だから穂波んちもきっと楽しくなるブー!」

 タミー「ありがとう!タミー、頑張るわ!!」

 たまちゃん「ええ!?」

 まる子とブー太郎はたまちゃんを励ますつもりが逆効果になってしまったかと思い凍り付いてしまった。

 夕方になり、まる子たちは帰ることになった。
 
 まる子「ふう、たまちゃん大変だろうね」

 とし子ちゃん「うん、あれだけ戸惑ってたもんね。元のたまちゃんに戻るかな?」

 はまじ「わかんねーな。でも元に戻る方法なんてあるかもわかんねえしな」

 どうすればいいのかわからない一同だった。

 その夜、穂波家は父の写真のオンパレードだった。

 たまちゃんの父「さあ、二人のたまえの食事シーンだ!」

 たまちゃん「もう、お父さんっ!!」
 
 タミー「こんな写真撮られながら食事なんて、タミーはどうしてみんなのような普通のお父さんがいないの?私、もう食べる気なくなっちゃう!!」

 タミーは泣きながらダイニングから出ていった。

 たまちゃんの父「あ、タミー、待ちなさい!!」

 たまちゃんの母「あなたが写真ばかり撮ろうとばかりするのがいけないんでしょ!!」

 たまちゃん「もう、いい加減にしないとお父さんのカメラ壊すよ!!」
 
 たまちゃんはいつも以上に父に怒っていた。

 たまちゃんの父「う・・・、それだけはやめてくれ~」

 さすがに「カメラを壊す」などと脅されてしまえば(たまちゃんは本気で言った可能性もある)さすがに父もやめざるを得なかった。

 穂波家にとって慌ただしい一日が過ぎた。果たして今後どうなっていくのだろうか・・・?
 
 

 

その4

 
前書き
 たまちゃんとタミーって二重人格・・・?そういうわけでもありませんよね。ただ現実逃避するとタミーになりきるんですね。 

 
 たまちゃんはどんどん性格が暗くなっていく一方だった。

 まる子「とし子ちゃん、分裂してからたまちゃんの元気がなくなっていく一方だね」

 とし子ちゃん「うん、でもどうすることもできないね」

 まる子「う~ん、そういえばタミーって心の中のたまちゃんなんだってね。タミーがたまちゃんの中に戻って一人になればたまちゃんも元通りになるのかな?」

 とし子「でもできるのかなあ?」

 まる子「うーん、そうだ、長山君なら何か知っているかもしれない!聞いてみよう」

 まる子ととし子ちゃんは長山君の席に向かった。そしてたまちゃんの心の中のもう一人の自分「タミー」が実体化して、分裂した二人を元通りにするにはどうすればいいのか何かいい案はないか尋ねた。

 長山君「うーん、それは僕にもわからないなあ。非現実すぎる現象だからね」

 まる子「そっか・・・」

 とし子ちゃん「長山君にもわかんないんじゃ、たまちゃんは元に戻れないのかな・・・」

 長山君「そうだなあ、今日穂波んちに行ってもいいかな?そのタミーって人に会って話を聞けば何とかなるかもしれないし・・・」

 まる子「あ、うん、たまちゃんに聞いてみるよ」

 まる子はたまちゃんの席に向かった。

 まる子「たまちゃん、今日長山君がタミーに会いたいって言っているんだけど、たまちゃんちに行ってもいいかな?」

 たまちゃん「う、うん・・・。でもそれでどうするの?」

 まる子「タミーに話を聞けば何かわかるかもしれないって言ってたんだ。もしかしたら元に戻れるかもしれないよ?}

 たまちゃん「え、うん・・・。だといいけどね・・・」

 たまちゃんはとりあえずまる子や長山たちの訪問を承諾した。

 
 放課後、まる子、とし子ちゃん、そして長山君は穂波家に到着した。

 まる子・とし子・長山君「こんにちは!」

 たまちゃんの母「こんにちは。たまえ、まるちゃんたちが来たわよ」

 たまちゃん「ああ、みんな、いらっしゃい」

 その時、タミーも現れた。

 タミー「あー、まるちゃん、とし子ちゃん、そして長山君!今日も会えるなんてタミーほんとラッキーだわ!!」

 長山君「えーと、あ、あなたがタミーさんですか・・・」

 タミー「ええ、そうよ。もう一人のたまえよ!」

 長山君「ああ、そうですか・・・」

 長山君もタミーに対して何と返答すればいいのかわからなかった。

 まる子、とし子ちゃん、長山君はダイニングでたまちゃん、そしてタミーと集まった。

 長山君「ええと、タミーさん」

 タミー「やあ、長山君。『さん』なんていらないわ。タミーでいいわよ」

 長山君「じゃあ、タミーはそれまではどうしていたんですか?」

 タミー「それはもちろん、このもう一人の私の心の中にいたの。まるちゃんのいう事がわからなかったり、お父さんのカメラに嫌気がさすときに私がよく出てきたのよ」

 たまちゃん「ちょ、ちょっと・・・!」

 たまちゃんは恥ずかしくなってしまった。

 長山君「では、どうして心の外へ出ようと思ったのですか?」
 
 タミー「それはいつも心の中ではまるちゃんたちに想いが伝わらないからそとへ出て実際に会ってみたいと思ったの!」

 たまちゃん「そ、そしたらまるちゃんに悪いよ・・・」

 まる子「まあ、まあ、たまちゃん。話を最後までさせてあげなよ」

 まる子は突っ込もうとするたまちゃんを制止した。

 長山君「それで、元に戻ろうとする気はないんですか?このままずっと心の外にいたいですか?」

 タミー「ええ、だって自分で外の世界に踏み出せるなんてこんな嬉しいことはないわ!元になんて戻る気はさらさらないわ!!」

 タミーは嬉しそうな表情で返答した。

 長山君「わかりました。ありがとうございます」

 そのとき、たまちゃんの母が現れた。

 たまちゃんの母「たまえ、みんな、せっかく来てもらったんだし、このお菓子食べてもらって」

 まる子「おばさん、ありがとうございます!」

 こうして五人はお菓子にクッキーとドーナツを食べた。そしてまる子、とし子ちゃん、長山君が穂波家から帰宅しようとする途中、まる子ととし子ちゃんは長山君に今日の質問から得た手がかりはないか聞いた。

 とし子ちゃん「長山君、何かいい案見つかった?」

 長山君「うーん、自分で外の世界に踏み出せることが嬉しいと言っていたんだ。もしかしたら外の世界を嫌にさせたら元に戻るかもしれないね・・・」

 まる子・とし子ちゃん「うーん・・・」

 まる子「よし、やってみよう!長山君、ありがとう!明日たまちゃんに伝えるよ!」

 長山君「う、うん・・・。」

 長山君は本当に上手く行くか確信が持てなかった。

 
 

 

その5

 まる子は遅刻しそうになり、急いで学校に向かっていた。何とか間に合い、学校に着いた。

 まる子「はあ、はあ、たまちゃん、おはよう!」

 たまちゃん「あ、まるちゃん、おはよう・・・」

 まる子「昨日タミーに聞いて、どうすれば元に戻れるのか分かったよ!」

 たまちゃん「え?」

 まる子「この世界がタミーにとって嫌なように見せるんだよ!」

 たまちゃん「どういう事?」

 まる子「つまり、タミーはこの世界が見たくてたまちゃんの心の中から出たんだ。つまり、タミーにこの世界は嫌な世界だと思わせるようなことするんだよ!そうすれば元に戻れるよ!長山君もそう言ってたし!」

‐長山君は必ずそうなるとは言っていない。
 
 たまちゃん「できるのかなあ・・・」

 まる子「そりゃ、やってみなきゃわかんないよ!私も精一杯協力するからさ!」

 たまちゃん「あ、ありがとう、まるちゃん・・・」

 たまちゃんは本当にできるのか信じられなかった。

 休み時間、まる子とたまちゃんは長山君の机に向かった。

 まる子「長山君、私絶対にたまちゃんを元に戻すためにタミーにこの世界は嫌なとこだってのを見せてやりたいと思うんだ!長山君も協力してよ!」

 長山君「え、でも僕はそうすればいいのかもしれないと言って必ずそうなるとは言ってないんだけど・・・」

 まる子「いいの、いいの!やってみなきゃわかんないよ!」

 長山君「う、うん・・・」

 こうしてたまちゃんを元に戻す作戦が始まった。そして下校中・・・。
 
 まる子「たまちゃん、今日はあたしん家に来なよ。もちろんタミーを連れてね!」

 たまちゃん「え、いいの?」

 まる子「そりゃもちろん、たまちゃんのためなんだから!」

 たまちゃんはまる子の行動に振り回されている感がした。

 たまちゃん(あ・・・、まるちゃん・・・)

 そのときたまちゃんは自分の違和感を覚えた。いつもまる子の理解に苦しむような行動に対しては心の中でタミーになりきるのだが、なぜかできない。なりきれないのだ。

 たまちゃん(心の中でタミーになりきれない・・・。ってことは実体化しているから・・・?)

 たまちゃんはそれで急に恐怖を感じた。やはり何としてでも元に戻るにはタミーを心の中に戻すことに他ならなかった。

 たまちゃん「うん、わかった!」

 こうしてたまちゃんはまる子と別れて家に着いた。

 たまちゃん「ただいま~」

 そしてタミーを呼んだ。

 たまちゃん「あんた、今からまるちゃんの家に遊びに行くよ!」

 タミー「え、いいの!?タミー、今日もまるちゃんに会えるなんてドキドキしちゃう!」

 こうしてたまちゃんとタミーはさくら家へ遊びに行くことになった。

 たまちゃん・タミー「こんにちは」

 まる子「あ、たまちゃん、それにタミー!待ってたよ~」
 
 タミー「アハハハ!まるちゃんに会えて嬉しいわ!」

 まる子「あのさあ、タミー」
 
 タミー「まるちゃん、何ー?」

 まる子「こんなこと言っちゃなんだけど、タミー、この世界はとんでもない世界だよ!今すぐたまちゃんの心の中に還った方がいいよ!」

 タミー「え、そうなの?!」

 まる子「ああ、そうだよ、アタシなんてね、いっつも鬼のようなお母さんとお姉ちゃんに怒られるし、学校にはテストなんて嫌なものがあるし、勉強とか面倒くさいし、ホント嫌な世界だよ!アタシなんてこの世界から今すぐ逃げたいよ!」

 たまちゃん(ま、まるちゃん・・・、それって全部まるちゃんの嫌な事言いたいだけなんじゃないの・・・?)

 タミー「ええ、そうなの!?でも私もう一人の私を見てそんなふうには見えないわ!」

 まる子「いや、たまちゃんを見てるとそうは思えないけど、勉強とかお使いいかされるとか、ここはまさに地獄だよ!今すぐたまちゃんの心の中に戻らないと・・・」

 タミー「戻らないとどうなるの?」

 まる子「呪われるよ~」

 たまちゃん「ま、まるちゃん・・・」

 タミー「いやー!そんなの・・・!!」

 たまちゃんはまる子の話に何も言えなかったが、タミーには相当なダメージのようだった。

 タミー「そんな世界なの?せっかくまるちゃんに会えたのに・・・。でも元には戻りたくない・・・。ああ、タミーどうすればいいの!?」

 その時、まる子の姉、さきこが居間に入ってきた。

 お姉ちゃん「あら、たまちゃん、こんにち・・・、って二人いる!?」

 タミー「キャー、もしかしてまるちゃんの怖いお姉さん!」
 
 タミーはお姉ちゃんをみて怖がった。

 お姉ちゃん「は?」

 タミー「だっていつもまるちゃんをいじめる怖いお姉さんなんでしょ?」

 お姉ちゃん「へ・・・?」

 お姉ちゃんはまる子が変な事を言ったと察した。

 お姉ちゃん「ま~る~子~!!」

 まる子「お、お姉ちゃん、これには深いわけが・・・」

 お姉ちゃん「言い訳無用!!」

 お姉ちゃんはまる子をものすごい勢いで怒鳴りつけた。

 タミー「こ、怖い、もうタミー生きてられない!!」

 タミーはまる子とその姉を見て怯えた。
 

 

その6

 
前書き
「とある3年4組の卑怯者」の執筆で遅くなりました。すみません、 

 
 タミーは怒るまる子の姉を見て恐ろしく感じてしまった。

 タミー「ああ、恐ろしい!今までまるちゃんのお姉さんは優しい人だと思ったけど、とっても怖い人だわ!ああ、タミー、この世界が怖くなってきた!」

 タミーが大袈裟に怯えるアクションを起こすので、その場にいた3人は何も言えずにタミーを見ていた。

 お姉ちゃん「何言ってんの?この子?」

 まる子「さあ、私には・・・」

 タミーはさくら家を出ていった。

 たまちゃん「あ、ちょっと!ごめん、まるちゃん!!」

 たまえはまる子に謝って家を出てタミーを追いかけた。そして追い付いた。

 たまちゃん「ちょっと!どうしたの!?」

 タミー「私、怖くなってきたの!現実がとても!折角出てきたのに私が期待してたのと違うなんて!」

 たまちゃん「は?」

 タミー「もう私、戻りたい!」

 たまちゃん「戻りたいってどこに!?」

 タミー「あなたの心の中よ!」

 その時、タミーの体がやや透明化していった。タミーはたまえに向かって走り出す。

 たまちゃん「え!?」

 タミーはたまえに向かって飛び込んだ。二人はぶつかる事はなかった。タミーの体は小さくなり、掃除機に吸い込まれるようにたまえの体内に入っていった。

 たまちゃん「一体なんだったの・・・?」

 たまえはタミーがいなくなったと共に、今までの出来事は一体なんだったのかと思った。


 翌日、たまえはまる子やはまじ、ブー太郎にタミーが自分の体の中に入ってしまった事を話した。

 はまじ「んで、そのタミーってのは一体なんだったんだ?」

 たまちゃん「うーんと、その、私がまるちゃんについていけなくなった時、心の中でタミーになりきって本音を叫ぶんだ」

 たまえは何とか説明しようとしたが、周囲にはさっぱり理解できなかった。

 まる子「まあ、もう一人のたまちゃんみたいなもんかあ~」

 まる子は勝手な解釈をした。

 たまちゃん「まあ、そんなもんだね・・・」

 ブー太郎「ところで穂波、寂しくはないのかブー?」

 たまちゃん「全然・・・。いても迷惑なだけだし・・・」

 そのたまえの心の奥底の中、もう一人のたまえことタミーは叫んでいた。

 タミー「ああ、迷惑だなんて、もうずっとここにいるわ!!」