ドラゴンクエストⅤ 砂時計の僕


 

1話 僕

 
前書き
ということで物語の幕が上がるわけですが…

もういろいろ心配すぎてw 

 




あったかい。

ここはどこ?

あかるい。

よくみえない。

でもすごく。

しあわせ。





すなどけいがさかさまになって、ぼくのいのちもじかんもおちはじめた。


✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨



………ザァ……


ザァァ……………


??「…おいリュカ、起きろよ」


ザァ…ザザァン…………

ゆらゆら、揺り籠の中で揺られているかのよう。
心地良いテンポが僕の眠気をより一層誘うのだ。

まだ、何も見えなくていいかな。



幸せだ。









??「ほら起きろこのグズ!カンカンカンコッケコッコー‼ほらめっちゃ朝‼」

「うるさいよ!僕今めっちゃ深夜‼お休み‼」



なんだ‼僕今めっちゃ眠い!寝かせろ!お願いだ‼空気読んで!寝たいんだ…なのに


??「そーんな寝たって背ェ伸びないよ、どうせ。希望を捨てろ」





そうやって顔を覗き込んでくる。僕も片目薄めにして見つめ返す。





にいさん。





僕の5つ上の。



名前はリュゼ。




でもなんでかな、性格も顔も何もかも僕にも父さんにも…たぶん母さんにも似ても似つかない。

それでも兄は兄。僕の大事な家族だ。(たまにというかいつもイラッとするけど)


まあおじいちゃんとかおばあちゃんに似たんだよね、きっと。

でもいい男だとおもう。
夜空みたいに真っ黒で艶のある長髪を銀の輪っかで纏め、くすんだ紺色のマントと白の服を着て、首や足首には銀の輪っかを身につけている。


耳につけた可憐な紫の耳飾りが光を受け、キラリと光る。


リュゼ「おっ、リュカ、潔く起きたか!これから美女探しのために甲板いくんだけど来いよ!」



そういってにいさんは僕の布団をはがし、僕を無理やりベッドから引っこ抜く。



「強制なの?!やめて!美容に良くないから‼」



僕は必死でベッドにしがみつく。が、5つの差は大きく、無残にも床に転がされた。




「ああああああああああああああああああああああああ」
絶望



パパス「どうした、やけに騒がしいな。」


途端、父さん…パパスが部屋に入ってきた。筋骨隆々の毛根が強そうなイケメンおじさまだ。




リュゼ「散歩しようってリュカに言ったらベッドから落ちた。」



リュカ「ちが…(
パパス「そうか、リュカ大丈夫か?父さんは降りる準備やらで忙しくて着いていけないが、くれぐれも海に落ちたりはするなよ」



……
ならそういうことでいいですお父さん。




リュゼ「だーいじょぶだってぇ!俺もいるし、どんくさいリュカも心配ねェよ!白髪増えるぞー」


失礼だな父親に向かって


パパス「む、父さん白髪は生えてな」


リュゼ「いってきまーす!」





兄さんが思いっきりドアを開ける。
僕を引き摺って…


ごめん父さん、兄さんフリーダムすぎて手が付けらんないや…



子犬のように悲しそうに僕らを見つめる父さんの顔をドアが遮った。



ていうか
「痛いっ、階段いたっ」



段に腰やら肩やらをぶつける。

そのたびに体が軽く浮く。
ちょっと楽しいけど…

全く弟をなんだと思ってんだッ!

そんなことおかまいなしにドアを開く兄。

立ち止まって息を吐くと、

リュゼ「わぁ…潮の香だァ!」
興奮気味に小声で呟く。

やれやれ、でもこの潮の香に紛れてえげつないモンスターたちが出てくると思うとゾッとするねまったく…
僕も嫌々振り向く。











一面の大海原。









水面はキラキラと太陽の光を受け、うねっている。























てかいい船だなこの船。 

 

登場人物

 
前書き


そういえば、と思って←



ただいましゃっくりがとまりません( ˘ω˘ ) 

 


登場人物


リュカくん(6)

6さいのリュカくんですが随分とお話し上手です。
お兄ちゃんと本を読んだり色々教えてもらってるらしく、考えも結構達観です。
6さいにしては。

しっかりものでおっちょこちょいで冷静ですが、非常に勇敢です。
因みに大好物は骨付き肉ですが、小食です。


リュゼくん(11)

5つ上のお兄ちゃん。原作には登場しない完全オリジナルのお兄ちゃんです。
この年にして綺麗なおねいさんが大好きでよく口説いてます。
台風みたいなヤツで単純、正直こいつがいなかったらリュカくんさっさと死なせて
        題名「天国の僕~おかあさんといっしょ~」
みたいになってたかも知れません。

外見はリュカの青バージョンと思ってください(´-ω-`)




あとはまあ

パパス(??)

パパ

とかしか()




また書き足すことがあったら更新してきます( ◠‿◠ )  

 

2話 海

大きな船は風を受けて、帆をはためかせていた。

僕はよっこいしょと立ち上がると大きな伸びをした。
腰が痛む。


呑気に兄さんは
「びっじょ美女ーー♪」

と言いながらさっさとどこかへ行ってしまった。


こんないい船に乗っているのに寝て過ごすのは何とも惜しい気がするので、僕もこの豪勢な船を探検することにした。



手あたり次第ひのきの棒で樽やらツボやらをたたき割っていく。
昔、こうして薬草を見つけたときにお父さんがとても褒めてくれたのが今でも忘れられなくて申し訳ないがやってしまう。


僕はあたりを確認してさりげなく破片を海に投げ捨てて薬草を拾う。

そこに丁度若い船乗りが二人やってきた。
幸い見られてなかったが、こんなゴツイ人に叱られたら拳骨一振りで頭がへこむ気がする。



船員A「どうした坊や?船長はそこの船室にいるぜ?」



一人がおもむろに話しかけてきた。
いい人そうだな、この人なら頭がゆがむ程度で済みそうだ。


リュカ「おにいちゃんをさがして、ふねたんけんしようかなぁっと思って!」


精一杯の笑顔を作り、ヒノキの棒を背中に隠しながら元気に答える。

これが良い子の手本とゆうやつだ…

船員B「そうか、でも船長室にはあまり気軽に出入りしてくれるなよ。奥の階段を下ると食堂や船員室もあるからな、気を付けて船から落ちるなよ。」



もう一人は不愛想だがなかなかに親切だ。兄さんも見習ってほしいところだ。

リュカ「ありがとうございます!船のおしごとがんばってくださいね!」


船員に別れを告げると、食堂に向かった。正直船長に興味もないし船長室は後回しにしようかな。



階段を下るとおいしそうなにおいがして来た。
あいにく今ごはんを食べたら色々すごいことになる気がするので、腹の虫を一所懸命に押さえつける。



リュカ「いいにおいですね!」

おじさん「おっ、坊やはもうおなかすいてきてしまったのかい?おじさんの料理はうまいだろう?坊やのお父さんとどっちが上手かな?」



いやそれは骨付き肉の食べ比べでないと図れない。

因みに今のところお父さんの骨付き肉を超える骨付き肉を僕は知らない。
キングオブ骨付き肉職人はお父さんなのだ。

リュカ「ん~?」

とりあえず困ったときは可愛らしく首を傾げとけという兄さんの教えに従っておく。
僕はあざとく首を傾けた。


おじさんを振り払い船員室に下る。

そこでお父さんをしこたま褒められた。

船員C「男の子二人を男手一つで育てるなんて…坊やのお父さんはえらいよなぁ」

と、頭をがしがし撫でられた。
僕もちょっと誇らしい。

リュカ「えへへ」

実は僕はお母さんの顔を知らない。
兄さんは知ってるらしいけど、僕が生まれてすぐいなくなってしまったらしい。


お母さんの話をするとお父さんが悲しそうな顔をするのであまりしないけど。

たぶん探し物も探し人なのかもしれない。

だからきっとずっとこうして海を渡っていろんなところに行って旅をしてるのかもと思うと何となくしっくりする。


船員室を後にする。

階段は石造りで頑丈でひんやりとしていた。

 

 

3話 ルドマンさん

 
前書き
題名が思いつきません

ルドマンさんの娘可愛すぎて兄さんが発情しちゃったんだぜヒャッハー!!

とかつける勇気がありません。

先日海に行って参りました。 

 
船長室の思い木のドアを開ける。


中には人のよさそうなふくよかな白い髭のおじさんが座っている横に、助手っぽいおじさんが座っていた。

船長は白い髭のひとかな?お金持ちっぽいし。


だらだら入口で考え事をしているとなんと、船長自ら僕に話しかけてきた。


船長「どうした坊や、こっちにこないのかい?」


それはつまりこっちこいという暗示だろう。
怒ったときのお父さんがよく兄さんに使うアレだからなんとなく察する。

リュカ「失礼します」

船長「小さいのにしっかりしていていいこだね、ささ、座っていいんだよ」

促されるまま手前の椅子に座った。

船長の隣のおじさんがにこにこしながら見てくる。
まあ僕子供だし、大人の人って大抵は子供好きだからなぁ。

船長「この船はルドマンさんという人のものでね、普段はあまり貸さないが今回は特別だよ」


唐突ですねオイ


船長「坊やのお父さんには昔よく世話になったものだよ。坊や、お父さんのいうことをよく聞いて立派な人になるんだよ。」


そういうと船長はこっちにきなさいと手招きをした。

言われるがまま近づくと頭をガシガシ撫でられた。
まってそんなに撫でないで、ターバンがずれる。

リュカ「僕、いつか船長さんの言うとおり、りっぱな人になりますね、その時にまたあいましょうね!」


精一杯の笑顔で答え返すと、船長は満足げだった。


奥の部屋は風呂場のようだった。気になって覗くと、完全に僕を待って驚かせる準備をしてるいかついおじさんが見えた。知ってるとはいえ、あんな怖い人に驚かせられたらさすがに心臓に悪い。

だから申し訳ないけど見て見ぬふりをしてここを去ろう…
方向転換をして船長室を後にした


…………


そういや兄さんはどうしたかなーとおもいつつ最後に一番豪華そうな部屋に足を進めた。
番人さん曰くルドマンさんのお部屋らしい。

やばそうだ。


ドアを開けると一変して上品な花の香りがした。

奥に進むとテーブルがあり、そこににいさんがいた。

リュゼ「お、リュカ。」

お皿に丁寧に盛り付けてあったブドウをつまみ、呑気に食べていた。

…呆れる

リュカ「…兄さんそれルドマンさんのごはんじゃない?いいの?」
恐る恐る聞く。
リュゼ「んー」

兄さんはブドウを頬張りながら僕の腕を引き、二階へと連れて行った。
どうやら二階は寝室のようだ。

僕なんか泊まったことのないような豪華な絨毯にベッドが置かれていた。

そしてドレッサーの横のドアを開けると、バルコニーになっていて海が見渡せた。最も僕は、背伸びしないと真下までがみえないけど。
いい眺めだ。
でも下を見ると、落ちたらすごいことになりそうだという不安がよぎって身震いした。

こんなこと考えるのはやめよう…

リュゼ「ペッ」

ふいに、隣で兄さんがブドウの皮を吐き出した。
皮は海までまっすぐ落ちていった。

わぁお下品ですこと。
兄さんは「証拠隠滅」とか言ってどや顔して見せたけど僕は空を眺めていた。

すると唐突に威勢のいい掛け声が聞こえてきた。どうやら目的地についたようだ。

リュゼ「おっ、やっと美女来る?」

そういえば船はゴツイおじさんばっかりだったな。
夢もかけらもないなと、僕も少し思った。

僕は兄さんに手を引かれるままルドマンさんの部屋を後にした。


途中、船長にお父さんを呼んできなさいと言われたので兄さんが駆け足で僕たちの部屋に戻っていった。

それにしても、船員さんたちは威勢よく綱を引っ張り大変そうだ。
さっきの風呂場の人も悲しそうな顔で仕事している。

……ゴメンナサイ


戻ってきた兄さんは「覚えているか~リュカ、俺たちのおうちはすぐそこだぜ~二年ぶりだな」
と懐かしそうに語った。

4さいのときかぁ…あんまり記憶にないなぁ…

パパス「リュカ、リュゼそろそろ行くか?」
後ろからお父さんが声をかけてきた。
そのお父さんの後ろに、恰幅のいいいかにも金持ちそうなおじさんと黒髪、青髪の強気そうな少女と可憐で控えめそうな少女が見えた。

リュゼ「お父さん、あの人は?」

裾を引っ張って尋ねる

パパス「おや…船長、あの方はどちら様ですかな?」

船長「お、おお!ルドマン様。お待たせいたしました!」

おお、噂の…

リュゼ「わお、噂のルドマンさんか」

兄さんは小さく口笛を鳴らす。

すると強気そうな少女がルドマンさんたちを押しのけ勢いよく甲板にのぼってきた。

黒髪「おじさん、ジャマよ!」
そういってお父さんを押しのけると奥のルドマンさんの部屋へ駆け込んでいった。
リュゼ「…随分強気だなぁ」

たまんないねとか言って腕を組む。
一体どこからどこまでが兄さんのストライクゾーンなのか。

ルドマン「いやいや、娘が失礼しました旅のお方。」
ルドマンさんは軽くお辞儀して申し訳なさそうにそういった。

そこからルドマンさんは船長と話始めた。どうやら旅の帰りらしい。

ルドマン「そうそう、娘を紹介しよう。といっても一人は奥に行ってしまったが。」

そういうと横に退いた。
ルドマン「フローラや、こっちへ上がっておいで。」

フローラと言われた青髪の少女は船に上がろうと足を上げた。
…が、どうやらこの船は少女には高すぎたみたいだった。

パパス「どれ私が(リュゼ「どうぞ、手を取ってください」

お父さんを押しのけ紳士(っぽく)手を差し出す

お父さんは唖然としている。

フローラ「あっ、ありがとう…」
フラーラは大体僕と同じ年齢に見えた。
リュゼ「いえいえ、気を付けて」

フローラは少し照れて赤くなっていた。

ルドマン「こ…これは旅のお方ありがとうございました…」

ルドマンさんも微妙な顔だ…
リュゼ「いえいえ、お礼など」
胸に手を当てギザったらしくいう。

ルドマン「さあ、フローラは奥の部屋で休むといいぞ。君、フローラを部屋に連れてってくれ。」

船員「はっ、はい」

船員に連れられてフローラは奥の部屋にはいっていった。
まだ少し顔が赤かった。

リュゼ「俺ってば罪な男だな…」

自覚しているなら改善しようね。

ルドマン「おっほん、お騒がせいたしました、さ、港へどうぞ」

大きく咳ばらいをするといい笑顔で港の方に促した。
パパス「二人とも、忘れ物はないかもう一度確認してきなさい」

リュカ「僕はn(リュゼ「いっけなーい!忘れ物しちゃった!」

僕の声を遮り大声でそういうと一目散に僕の手を引き奥の部屋へ駈け込んでいった。

………

部屋に行くと兄さんは「最後の別れに来たよ…」なんてふざけたことを言い出した。
フローラは驚いてとっさに黒髪の子の後ろに隠れた。

こうしてみるとフローラは妹なんだなっていうのがよくわかる。

黒髪「あっ、あんた!フローラに何したのよ!」

黒髪の子が突っかかった来た。

リュゼ「いえ、エスコートしただけだよ」
と、イケメンスマイルで言った。

黒髪「はぁ?」
気のせいだといいけど黒髪の子も顔が赤くなってきた気がしなくもない。
リュゼ「失礼だけど君の名前は?」
うっわさりげないキモイ

デボラ「…デボラだけど」

リュゼ「そう、デボラ。素敵な名前だ、デボラ、フローラ、今日の記念にこれをあげるよ。また会おう」
そういうとバラを取り出し二人に渡した。

僕はもう恥ずかしくなってきたので兄さんをひきずり退散する。





てかどっからバラ持ってきた。 

 

4話 才能?

 
前書き

ヨシヒコ


始まりましたね



ご無沙汰です。 

 
「んーーーーっきもちぃーーー!」

ザザァと波打つ海が昼の太陽に照らされてキラキラ輝きながら波打っている。


リュゼ「いい空気だなぁここは。せまっ苦しい船旅ともようやくバイバイか」

兄さんは隣で大きく伸びをしてあたりを見回す。


その向こうから、船乗りの様な恰好の男の人が大きく手を振りながら「パパスさーん‼」と、手を振りながら駆けてくる。

パパス「そうだな、もう少しで家に着く。お父さんは話があるからお前たちは自由にしてなさい。」

お父さんの大きな手が僕と兄さんの頭を掻きなでる。


パパス「そうだ、念のためこれを持っていきなさい。
   その地図は歩けばあるくほど、地図が広がっていく。あまり遠くへは行くんじゃないぞ」


そういうと、古い地図を取り出して僕に手渡した。
随分と古く、日焼けして黄色っぽくなっていた。


ぼくは「はぁい」と返事をした。

リュゼ「ふふっ」
振り返ると、兄さんはにやにやしながら僕を見ていた。
何やら嫌な予感がする。

リュカ「な、なに兄さん…気持ち悪い……」

僕が感想を述べると「まって話しを聞いて」と否定して見せた。
リュゼ「いやぁほら、冒険は男のロマンっていうだろ?」


的中


リュカ「いや、でも父さんは遠くへ行くなって…」

リュゼ「お前のいい子ちゃんも今日で終わりだ‼」


兄さんは無理やり僕の手を掴んでアーチをくぐっていく。


リュカ「オイオイオイオイ?????!!!!!」


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in港の外



マズイ、マズイぞ。


思わず冷や汗が垂れる。口も乾いてきた。

今、絶賛兄さんに拉致されて案の定魔物に囲まれてしまっている。



リュカ「だからゆったじゃん!!!」



恐怖で喉が縮こまって上手く声が出せない、そんな悲鳴を上げる。

僕はいつも戦ってこなかった。だってまだ6歳だし腕なんてゴボウみたいに細い。
兄さんは多少戦えるが、ほとんど父さんが倒しているからあんまり戦っているのを見たことはない。



リュゼ「だぁーいじょぶだって!心配しすぎると禿げんぞ」


兄さんは鞘から銅の剣を引き抜き、嬉々とした笑顔で答える。

こんな兄さんの顔初めて見るかもしれない。

リュカ「禿げるのはお父さんだけで十分だよぉ‼」

僕も懐からヒノキの棒を取り出してぎこちなく構えてみる。


兄さんは身軽に地面を蹴って剣を大きく振りかぶり、魔物に飛びつく。

剣で真っ二つにされたスライムや魔物たちは血を噴き出しながら、小さく悲鳴のような鳴き声をあげてだんだんとけていく。
そうしてゴールドと薬草が魔物のいた所に現れる。

一体どんな仕組みになっているんだろう。


兄さんは頬に飛んだ血しぶきを指で拭き取り、鞘を納める。
拭き取った血は、だんだん溶けていった。


はっとして、僕の目の前にも親切に魔物が待っててくれてることを思い出す。

よし、ぼくもあんな風に…

リュカ「いやっ、無理っ!無理でしょ!!」

脚がガタガタ震える。
兄さんは少し遠くから
「脚に力いれて!腰を深く落として!勢いよく手を前に突き出すんだ!!お前ならできるっできるぞっ」
と、わけのわからないことを叫ぶ。

僕がつっこむ前に魔物は僕に襲い掛かってくる。

そして僕は無心に言われたまま腰を落として全神経を手に集中させて大きく前に突き出す。

リュカ「うああああああああああああどえりゃあああぁぁぁあああああああああああああああ‼‼」


もうどうとでもなれ、

そう思い、目を強くつぶったのも束の間、
僕の手から大きな火の玉が飛び出す。

僕は思わずあほな気の抜けた声で
「え」
とつぶやく。

そのころには周りの草木ともども焼け焦げて、目の前にはゴールドが落ちていた。


リュゼ「す、…っすっげぇ‼お前天才なんじゃないのか?!」

兄さんもかけつけて僕の頭をわしゃわしゃ乱暴に搔きなでる。

リュカ「や、やめ……にいさ………」

視界がなぜだかぼやけて見える
魔力切れってやつか…

リュゼ「あ…」

ばつの悪そうな兄さんの顔と声が遠のいていく