ワンピースの世界に


 

プロローグ

目が覚めると、見た事のない部屋にいた。

「ここはどこだ?」

周りを見渡しても、何もない・・・

俺が寝ていた、ベッドがあるだけだ・・・

「目が覚めたみたいだな」

「・・・・・・・・・・・・」

いきなり目の前にハゲたじいさんが現れた・・・

「ハゲで悪かったのぅ」

「あ、す、すいません・・・」

これって考えを読まれたって事だよな、じゃあ目の前にいるのは

「神様じゃ」

「ですよね~」

「まあ、ザックリ説明すると、わしの手違いで君の命の火を消してしまったんじゃ」

「元に戻すことは?」

「出来ない」

「・・・・・・・・・・・」

「お詫びに好きな所に転生させるので、許してくれ」

「特典付きで?」

「もちろん」

「ならいいよ」

「転生さきはONEPIECEでいいか?」

「うん」

「どのような特典が欲しい?」

「ん~まずは、通常の人間よりも高い身体能力を付けて欲しいな、六式と覇気は最強レベルでお願い」

「ふむふむ」

「ルフィと友達になりたいから、フーシャ村の近くに送って欲しい」

「なるほど」

「あとはベルメールさんも助けたいから、アーロンが来る前に教えて欲しい、武器は刀が欲しい、最高級のやつを、それで以上かな」

「悪魔の実はいらんのか?」

「泳げなくなるのは勘弁して欲しいかな」

「ならば水に触れても大丈夫なようにしておくぞ?どうする?」

「それだったら、ゴロゴロの実の雷人間にして、容姿はFF7のセフィロスみたいにしておいて」

「わかった」

自称神様は俺の要望を紙に書き留めている。

本当に出来るんだろうか?ちょっと不安だよな・・・

「問題なくできるぞ」

「知ってるよ」

「そうか・・・では、送るとしようかの、好き勝手に生きるといい・・・さらばじゃ」

「ああ、ありがとうな」

そう言うと、目の前が暗くなり始めた。

楽しく出来たらいいな~などと考えながら、意識を手放した。





























 

 

1話

「う~ん」

目が覚めると小舟の中にいた、船の中には刀が一本と小さなカバンが置いてあった。

(遠くに見える島がフーシャ村か?先に行ってみようかなルフィにも会ってみたいし)

船を操作して、フーシャ村に向かっていると、頭の中に六式や覇気、剣術や航海術、能力を使った戦闘などの知識が流れ込んできた。

(これって神様のご加護かな?今の段階でも俺ってかなり強いよな・・・たぶん。それにこの刀は最上大業物『白連』か、いい物を貰ったよな・・・大事にしよ)

村に近づいていくと、海中から主が現れた。

(コイツって原作でシャンクスの腕を食いちぎった奴だよな・・・ここで始末しておくか)

刀を取ると、向かって来る主に横一閃になぎ払うと頭が切断されて海に落ちて沈んでいった。

(・・・・・・・・・ちょっと・・・・・・やりすぎたかな・・・・・まぁ、いいか)

刀を鞘に戻して、フーシャ村に向かって行く。

(それにしても今は何歳くらいなんだろう?それもちゃんと決めておけば良かったな・・・12歳位だとは思うんだけど、アーロンが来るまではフーシャ村に滞在していよう、そうすればエースやサボと知り合えるだろうし)

村に入って、少し歩くと人がいたので声をかけてみた

「こんにちは、ちょっと聞きたいんだけど良いですか?」

「こんにちは、初めて見る子だね」

「いま船で着いた所なんだ」

「そうか、ようこそフーシャ村へ・・・それで聞きたい事とは?」

「何処か食事できるとこはありますか?」

「食事ならそこの酒場に行けばいいよ、マキノと言う女性がいるからね」

「ありがとう」

礼を言って酒場に向かって歩いていく

(初めての原作キャラだな、楽しみだ)

扉を開けて入っていく

「いらっしゃいませ、初めて見る顔ね」

「あ、いま着いたばっかりなんです」

「何にしますか?」

「ん~と、おすすめをお願いします」

カウンターに座ると、すぐ近くにルフィが座っていた。

(店に入る前の二人の会話からすると、あの山賊がシャンクスに酒をかけた後ってことは分かったな・・・なら、近くにいる山賊は今日ルフィを海に突き落とす事になるんだよな・・・まぁ、タイミングはちょうど良かったな)

色々考えているとマキノが料理を持ってきた。

「おまちどうさま」

俺の前に置かれた料理は、スタミナがつきそうな肉料理だった。

「美味しそうだな、いただきます」

一口食べると

「美味しい」

「そう?良かった」

夢中で食べ始めていくと、隣のルフィが涎を垂らしながら見てくる

「・・・・・・・食べるか?」

そう言って手を付けてない部分を差し出すと、一瞬で口の中に消えていった。

「ありがとな、お前良い奴だな」

嬉しそうに笑うルフィに対してマキノが注意しだした。

「もうルフィ、ほかの人の料理に手を出したらダメでしょう」

「え~でも食って良いって言ったんだぞ」

「俺もお腹一杯になったから、いいですよ」

などと話していると15人程の人が入ってきた。

「邪魔するぜ」

(コイツ等が山賊か・・・ルフィはゲッとか言ってるし)

「今日は海賊がいないんだな、静かでいい・・・何ボーっとしてる、酒だ」

「は、はい」

マキノが酒を山賊出しているあいだに、ルフィは山賊を睨み続けている。

(原作をあんまり気にしないでいいなら、俺が助けてもいいんだよな?見聞色の覇気で辺りを見ると船が一隻向かって来てるから、多分シャンクス達だろうし・・・俺あの山賊に勝てるよな?主も倒したし)

そんな事を考えていると、ルフィが山賊達に怒り出した。

「シャンクス達をバカにするなよ!!!腰抜けなんかじゃあない!!」

「やめなさい、ルフィ」

マキノが止めるが収まる気配がない

「シャンクス達をバカにするなよ!!!」

「あん?うるさいガキだな」

「シャンクスを馬鹿にしたことを取り消せ」

「あの海賊を腰抜けと言っただけだろ?本当のことじゃねぇか」

「黙れ!!」

ルフィは山賊を殴ろうと手を伸ばすと、手が3mほど伸びた

「「「「ええ~~~」」」」

山賊が驚いて声を上げる

(本当に伸びるんだな、ちょっと感動した)

「お前、能力者か?」

「そうだ、ゴムゴムの実を食べた、ゴム人間だ」

「ククッ、こいつを売ればソコソコの金になるだろう」

そう言ってルフィを捕まえ、店から出ていった・・・

(マキノも後を追っていったし、怪我される前に助けよう)

俺もあとを追って店を出ようとすると

「待ってくれ、その子を放してくれ!!頼む!!」

その人は土下座をすると

「ルフィが何をやったのかは知らんし、あんた達と争う気もない。失礼でなければ金も払う、その子を放してくれ」

「さすがは年寄りだな、世の中の渡り方をよく知ってるな。だが駄目だ、こいつは俺を怒らせたんだからな」

「悪いのはお前等だ!!この山ザル!!」

「やっぱり売り飛ばすのはやめよう、ここで殺す」

山賊が剣を抜き、ルフィに振り下ろそうとする

「ルフィ」

「頼む、見逃してくれ」

マキノと村長の言葉を無視して、剣が振り下ろされた。

「剃」

一瞬で山賊の懐に潜り込むと、剣を握っている右手を蹴って弾く。

「グッ」

(今ので右手は折れただろ・・・たぶん)

「大丈夫かルフィ」

「お前助けてくれたのか、ありがとう」

「クソガキ・・・テメェは誰だ」

「さあ、誰だろうな」

「チッふざけやがって、おい、こいつから殺せ」

言葉ともに周りの山賊が一斉にかかってきた。

(初めての実践だし、いろいろ試してみるか・・・)

斬りかかってきた敵に対して

「鉄塊」

全部の攻撃を受け止めたあと、両手の人差し指に力を込めて

「指銃」

目の前の敵を倒し、離れた場所にいる残りに向かって

「嵐脚」

周りのモブを倒して、残りは1人・・・

(コイツって確か賞金首だったよな)

「あんたってさ、いくらの賞金首なんだ?」

「えっ・・・はっ800万だ」

「まあ、0よりかはいいか・・・獣巌」

最後の一人も意識を失い地面に倒れた。

山賊全員を倒して振り向くと、ルフィを始めマキノや村の住人も唖然としていた

(まぁ、いきなりこんなの見せられたら驚くよな)

「ルフィ怪我はないか?」

「うん、無い」

「なら良かった」

「お前強いんだな」

「修業してるからね」

ルフィと話していると、シャンクス達が現れた。

「港に迎えがないから何事かと思えば、倒れているのは山賊だよな」

「シャンクス」

「船長さん」

「一体何があったんだ?」

ルフィとマキノがシャンクスに説明をしているあいだに、俺は村長に近寄っていった。

「すまんな、ルフィが助けられた」

「いや、俺が勝手にしたことなんで気にしないでください。それより、この山賊は800万の賞金首らしいので、軍に引き渡してそれを俺が壊した建物の修繕費にでもして下さい」

「わかった、軍にはわしから連絡しておこう」

「お願いします」

村長と話しているとシャンクスとルフィが近づいてきた。

「ルフィを助けてくれたんだってな、ありがとう、俺の友達を救ってくれて」

「スゲェー強かったんだぜ」

「この人がルフィの言ってたシャンクスか?」

「ああ、そうだ、赤髪海賊団のシャンクスだ」

「へ~(やっぱり強そうだし、格好良いよな)」

俺がジロジロ見ていると

「ん?どうした、俺の顔に何かついてるか?」

「いや、ルフィの言ったとおり強そうだなと思って」

「そうか・・・お前も強そうだな」

「もっと強くなりたいとは思うけどね」

「フフッ・・・ところで、お前の名はまだ聞いてないな」

「あっ・・・俺も聞いてない、名前はなんだ?」

「・・・・・・・・名前か・・・・なんだろう?(名前か・・・そういえば決めてなかったな、どうしようかな)」

俺が悩んでいるのを、ルフィとシャンクスだけではなく、赤髪海賊団やマキノ、周りにいた村人も俺を見てくる。

「う~ん・・・名前・・・カイト・・・カイトって呼んでくれ」

「カイトか俺はルフィだ」

「知ってるよ」

少し遅めの自己紹介をしてから、マキノの酒場で宴が始まり俺も参加させてもらった。

(ルフィが宴大好きなのはシャンクスの影響なのかな?でも、ルフィにも会えたしこの後はゆっくり考えながらでもいいだろう、10年近くは時間もあるはずだし・・・神様も好きに生きればいいって言ってたし)

やりたい事は色々あるけど、今日はこんな感じでいいや。























































































 

 

2話

気がつくと何処か見覚えのある場所にいた。

ここって最初に神様とあった場所だよな・・・たぶん

「うむ、そのとおりじゃ」

「あっやっぱりいるんだ」

「お主が眠りに落ちていたので、呼んだんじゃよ」

「そんな事が出来るんだ」

「わしとお主が会うのはこれで最後じゃからな」

「最期?」

「神と言っても、人間に干渉する事は本来は出来んからのぅ・・・お主はわしのミスもあるから特別だっただけじゃわい」

「そうなんだ」

「最後に何か叶えたい事はあるか?」

「ルフィやシャンクスとも知り合えたしな・・・あ、剣術の技で覚えたい流派があるんだけどいい?」

「構わんぞ」

「るろうに剣心の飛天御剣流を覚えたい」

「わかった、目が覚めた時に使えるようにしておこう」

「ありがとう、あと知り合いたい人がいるんだけど、元海軍大将のゼファーと知り合いたい」

「問題ないぞ」

「時期はベルメールを助けたあと、色々見て回るつもりだからその辺りでお願い。ゼファーを襲う海賊は誰か知らないからドフラミンゴにしておいて。時期は解らないから、神様の力で上手い事やっておいて・・・出来る?」

「問題ないぞ・・・ではこれで最後じゃな」

「ああ」

「もう会う事もないじゃろう・・・さらばじゃ」

「ああ、ありがとう・・・この世界で好き勝手に生きて見るよ」

そう言って目を閉じると、急激に眠気が襲ってきた。



「ふぁ~あ、よく寝たな」

目が覚めると、神様の言ったように頭の中に飛天御剣流の剣術が入ってきた。

(あとで試してみよう、)

外に出ると港の方に、大勢の人が集まっていた。

(シャンクスの船が出稿準備をしてるな、ならあの名場面が見れるはずだよな、行ってみよ)

港の方に行くと、ルフィが『海賊王に俺はなる』とシャンクスに宣言しているところだった。

「ほう、俺たちを超えるか・・・ならこの帽子をお前に預けておく、立派な海賊になって返しに来い」

そう言ってルフィの頭に麦わら帽子をのせ、シャンクス達は去っていった。

(ここからルフィの海賊王を目指しての歩みが始めるんだよな・・・ちょっと感動して泣きそうになったな)

その後シャンクスの船を眺めていたルフィが、俺に気づいて近寄って来た

「カイト起きたのか」

「ああ、さっき起きたところだ。シャンクス達行ったな、寂しいか?」

「いいんだ、俺は俺の仲間で海賊王になるから。この帽子を返しに会いにいくんだ」

「そうか」

「なあ、カイト海賊やらねぇか?」

「海賊?」

「俺の船に乗れよ」

「お前船ないだろ?」

「いつか持つさ」

「海賊か・・・あんまり興味はないんだよな」

「絶対に面白いから」

「海賊ねぇ・・・う~ん・・・(何か目的があるわけじゃないしな、まぁ、いいか)」

「なあ、いいだろ。一緒にやろう」

「わかった、いいぞ」

「ホントか・・・やった~」

「その前にルフィは体を鍛えて強くならないとな」

「わかってるさ、俺は必ず強くなる!!」

(ここにいれば、エースやサボと出会うことも出来るだろうし、エースの死亡フラグも消せるかもしれない・・・まぁ、それが一番の目的だな。)

「なら、俺が船長でカイトが副船長な」

「一船員から副船長に格上げか」

「ああ、よろしくな」

「わかったよ、船長」

このまま行っても退屈はしないだろうな・・・ベルメールやゼファーはどうにかなるだろう・・・

連絡があったら行くとして、それまではここに居るのも楽しいと思うしな。














 

 

3話

俺がフーシャ村に来てから1年が経過した。

この間にガープを始めダダン、エース、サボに出会い共に過ごした。

ガープは原作の通りの人だった、俺を始めルフィ、エース、サボの4人は数え切れないくらいボコボコにされた。

特に俺は3人を鍛えて海賊にする元凶だとして、顔を合わせる度に追い掛け回された。

本気でやれば勝てると思うが、今後のことを考えてド突き回される事にした。

4人で義兄弟の盃を交わし『たとえ違う船に乗ることになってもこの絆は永遠だ』と誓いもした。

ただ阻止しようとした天竜人のサボ砲撃も何故か起こらないまま今に至った、天竜人が来る情報すら入ってこない。

ああそれと、ルフィ達と一緒に居る間に俺の年齢と誕生日が決まったことも嬉しかったな。

転生者とは言えないから、小さい時に元海軍のおっさんに拾われて育ててもらったと話し。その人が病気で死んだ為に一人で旅をしてフーシャ村に来たと3人に説明した。

拾われる以前の記憶がないから、年齢も誕生日もわからないと答えたら、3人が相談して決めてくれて『年齢は13・誕生日は6月5日』と決まった。

そんな時、ニュース・クーが運んできた新聞の記事に『海峡のジンベエ・王下七武海入り』の文字が入っていた。

アーロンの事が近いと判断して、ここから出ることを決めルフィ達に説明した。

案の定3人には反対されたが、なんとか説得して納得してもらう事ができ、ルフィが海に出る9年後に必ず戻ってくることを約束してフーシャ村を後にした。







数日後・・・ココヤシ村付近にて

(近くまで来たのはいいが・・・停泊してるのはアーロンの船か・・・原作より早い気がするんだけど、俺が転生した影響なのかな?・・・クソッもしかして間に合わなかったのか?・・・いや、争う声が聞こえる・・・急がないと)

その場を離れ、見聞色の覇気で見た一番強い奴がいるところを目指す。

林を抜け、家が見えてくるとそこには何人もの魚人達とアーロンだと思う人物がいて女性に向けて銃を構えていた。その近くに血塗れの村人と子供が二人泣いていた。

「お前が最初の見せしめだ・・・くだらねぇ愛に死ね」

「ノジコ、ナミ大好き」

「「ベルメールさん!!」」

そう言ってアーロンが引き金を引いた。

ドオンッ!!

銃声が鳴り響き、誰もがベルメールという女性が死んだと思った。しかし目を開けるとアーロンの持っていた銃は、突如現れた少年によって弾かれ、弾丸は上空に放たれていた。

「間に合って良かった、ギリギリだったけど」

ベルメールをはじめノジコとナミ、血塗れで倒れている人達は呆然とした表情をしており、アーロン達魚人は突然現れたカイトを睨んでいた。

「・・・誰だ?てめぇ、村の人間か?」

「いや、この村に用があって来ただけだよ」

「そりゃあ、運がなかったな」

「なんで?」

「ここで死ぬからだ」

「お前・・・バカか、相手の強さも分かんねぇのか?」

「シャーハッハッハ、てめぇみたいなガキが「獣厳」・・・ガハッ」

10m程アーロンは吹っ飛んでいった。

「結構効くだろう?」

ほかの魚人はアーロンが吹っ飛んだことに驚いてる。

「「「アーロンさん」」」

かなりのダメージを受けた、アーロンがフラつきながら起き上がった。

「てめぇ、ただの下等生物が魚人の俺に何をした!!!」

「下等生物も結構やるだろう・・・」

「オイてめぇら、こいつを殺せ」

「無理だって」

そう言うとアーロンの周りにいた魚人達がバタバタと倒れて行った、カイトの覇王色の覇気によってアーロン以外が気絶させられたのだ。

「な、何をしやがった、下等生物が!!」

そう言って殴りかかってきたアーロンの拳を避けると

「指銃」

アーロンの胸が貫かれて血を吐きながら地面に倒れ、意識を失った。

(ベルメールと村の人が怪我をしたけど、死人はいないみたいだな。ちょっと遅れたけど、とりあえずは良かった)

ベルメール達に近づいていくと、感謝の言葉を言ってくれた。

「ありがとう、アンタのおかげで助かったよ」

「いや、もう少し速く着いてれば怪我もしなくてすんだかもしれなかったけど」

「命があったでけでも、十分さ」

「「ベルメールさん」」

ノジコとナミがベルメールに抱きつき、号泣し始めた。

(今は3人にしておいたほうが良いだろう、怪我人の手当てと海軍に連絡しておかないとな)

その後怪我人の手当を村の人と協力して治療したあと、海軍の知り合いに電伝虫で連絡することにした。

「・・・なんじゃい?」

「あ、ガープのじいさんか・・・俺だよ、カイトだ」

「わかっておるわい」

「あのさあ、お願いがあるんだけどさあ」

「お願い?」

「ああ、アーロンて知ってるよな?」

「ジンベエの七武海加入で解き放たれた魚人じゃな」

「そいつがさあ、東の海のココヤシ村を襲ってたから、倒したんだよだから捕まえに来て」

「アーロンをお前がか?」

「うん、出来たらじいさんが来て欲しいんだけど」

「海軍ならその管轄の海軍がおるじゃろう」

「この辺の海軍っていい噂がないから、信用できないんだよ」

「わかったわい」

「なら待ってるからよろしくね」

電伝虫を切ると、包帯をグルグル巻きにした男が近づいてきた。

「ここにいたのか」

「あんたは?」

「私はこの村の駐在、ゲンゾウと言う者だ」

「ゲンさんか、俺はカイトだ」

「今日はカイトのおかげで村の人たちが助かったよ、ありがとう」

「偶然この村に来ただけだから、気にしないでくれ」

「そうか・・・だが、村を守ってくれた事には礼を言わせてくれ」

「ああ」

ゲンゾウと話しているとノジコとナミがやってきた。

「お兄さん、ありがとう」

「お兄ちゃん、ベルメールさんを助けてくれて、ありがとう」

「うん、二人とも無事でよかった・・・ベルメールさんは?」

「お医者さんの所で眠ってるよ」

「そうか、結構怪我もしてたからな」

「ゆっくり寝てれば治るって先生も言ってたから」

そう言ってノジコは笑っていた。

「ねえ、私はナミ。お兄ちゃんの名前は?」

「私はノジコ、よろしくね」

「ああ、俺はカイトって言うんだ」

「カイトお兄ちゃんは、どうしてココヤシ村に来たの?」

(理由か・・・知ってたとは言えないしな・・・)

「・・・この村のみかんが美味しいって聞いたから、食べに来たんだ」

「ベルメールさんのみかんを食べに来たの?」

「まぁ、そんな感じかな」

「なら今から食べに来てよ。良いよね、ノジコ?」

「うん、いいと思うよ」

そう言って二人に手を引かれて、家の方に歩き始めた。

「お、おい・・・お前達、今日はもう遅いし・・・明日にしたらどうだ?今日は色々あって大変だったんだから」

ゲンゾウが慌てて二人を止めるが・・・

「大丈夫よ私達は怪我もしてないし・・・ね」

「うん、ベルメールさんも食べてもいいよって言うよ」

「ゲンさんこそ、怪我してるんだから休んでて」

「「行こ、カイト『お兄さんお兄ちゃん』」」

そう言ってゲンさんを置いて、手を引かれて行くカイトであった。

村の中心部から少し離れたみかん畑の中にある一軒家、最初にベルメールを助けた場所にナミとノジコの暮らす家がある。

家についてから3人でベルメールが作っていた料理を食べ、俺の目的?であるみかんをご馳走になっていた。

「どう?ベルメールさんのミカンは美味しい?」

ナミが目をキラキラさせながら聞いてきた。

「うん美味しいよ。凄く甘い」

「でしょ、私達が毎日お世話して育ててるんだから」

「ナミはあんまり手伝わないでしょ」

「え~手伝ってるでしょ!」

ノジコとナミのやり取りを見ながら、今後のことをカイトは考えていた。

(ナミって原作とはちょっと変わって来てるのか?俺みたいなイレギュラーが存在してるしな。まぁ、トラウマを残さなかったと思えばいいか・・・あとは原作通りに進んでいくなら、ルフィに言った9年後までは好き勝手にやってみるのもいいな・・・じいさんが来たらシャボンディ諸島まで送ってもらって、レイリーにも会って見たいし・・・今後のことはじいさんが来てからでもいいだろ)

飯を食って腹一杯になったせいか、眠気が襲ってきたので逆らわずに瞼を落とした・・・

(これ以上は危険なこともないだろうし、このまま寝てもいいだろ・・・)

自己完結して、意識を手放した。 

 

4話

アーロンを倒した数日後、ガープの爺さんが軍艦でココヤシ村にやって来た。

「悪いな、わざわざ呼んで」

「わしを呼びつける奴なんか、お前くらいじゃわい」

「仕方ないじゃん、俺は海軍に爺さん以外知り合いなんか居ないんだし」

「まあ、ええわい」

「それと、ここまで来たついでにさあ、俺をシャボンディ諸島まで送ってよ」

「シャボンディ?」

「ああ、前に話した俺の無くした記憶に関係があるかも知れないんだよ(ウソだけど)」

「・・・・・・・」

「頼むよ、お願いします」

「わかった、アーロン一味を乗せたら出航するぞ」

「ありがとな、爺さん」

「感謝するなら、海軍に入れ」

「それは無理!!」

「・・・チッ」

「じゃあ、用意してくるから」

そう言ってガープの元を離れて、村人のところに戻ると荷物をまとめて皆に別れの挨拶をした。

「みんな、数日だったけど色々ありがとうな」

「お礼を言うのはこっちよ、私もノジコやナミ、村の人が全員無事なのはカイトのおかげよ」

「そうだな、カイトがいなかったらどんな目に合わされたのかを考えると、本当に恐ろしい」

ベルメールさんとゲンさんが声をかけてくれた。

「カイトお兄さん、ありがとう、気をつけてね」

「お兄ちゃん、ありがとう、このお礼は体で払うね」

「・・・・・・・・・なあナミ、それって誰に習ったんだ?」

「ベルメールさん」

本人にちょっと冷たい視線を向けると、ハハハっと苦笑いしながらあさっての方向を見ていた。

「カイト、出港するぞ」

じいさんの声が聞こえてきた。

「ノジコとナミも元気でな」

軍艦に向かって歩いていくと、後ろからナミが

「また会いに来てくれる?」

「ああ、東の海に帰ってきた時には、必ず寄るよ」

そう言ってから軍艦に乗り込んだ、村の人はずっと見送ってくれた。

「村の人から結構な人気じゃないか」

「まぁ、アローンに支配された時の事を考えたら、よっぽど嬉しかったんじゃないのか」

「アローンか・・・」

「相当人間に憎しみを持ってたしな」

「・・・・・・・」

(何も言わないってことは、色々あるんだろうな・・・原作の通りなら知ってるんだけどね)

「なあ、着くまで俺はどこにいればいいんだ?」

「ん?・・・ああ、おい」

「はい」

「こいつを部屋に案内してやってくれ」

「わかりました・・・では、こちらについてきて下さい」

「どーも、じゃあね爺さん」

「ああ」

海兵に案内されて、部屋の中に入るとベッドに横になった。

(取り敢えずの目的は果たしたな、ベルメールの生存は叶った。今からルフィが海に出る9年間は原作にも無かったから、情報は0か・・・それと、お願いしたゼファーは何処で出会うんだろ・・・考えても仕方ないか、そのための準備はしっかりとしておかないとな)

(シャボンディ諸島に着いたら、レイリーに会いに行こう。確か13番GRだったよな・・・違ったら探すのがめんどくさそうだな・・・着くまではノンビリしてよう)




その後、何事もなく航海は順調に進み数日後・・・

「カイト、着いたぞ」

「ああ、ここがシャボンディか・・・(原作の通り大きいシャボン玉が出てきてるな、ヤルキマン・マングローブか)」

「これを持って行け、選別じゃ」

「珍しいな、じいさんがそんな事言うなんて・・・ありがたく貰っていくよ」

差し出されたものを受け取ると、違和感を感じ紙袋の中の物を出す。

「・・・手配書?」

「そうじゃ、そいつらを捕まえてくれば金が手に入るぞ」

「そんなもん、自分達で捕まえろよ」

「億超のやつは本部に連れてこないと、金は出ないからな」

「聞けよ!!」

「じゃあの」

そう言うとカイトの話も聞かずに、ガープは去っていった。

(ここまで送ってくれただけでも感謝しないとな、手配書は気が向いたらでいいや)

ガープと別れて、レイリーの元に向かう。

(店の名前は確か『シャッキー'S ぼったくりBAR』だったよな)

マングローブにある数字を目印に歩いて行くと、ガラの悪い連中に周りを囲まれた。

「良さそうな刀を持ってるな、ガキィ」

「いいだろ、最上大業物『白連』って言うんだ」

「無事にここを通りたければ、置いていけ」

(何か色々言ってるが、身ぐるみ剥ごうとしてるのはわかった)

は~と息を吐いて・・・ゴンゴンバキバキグリグリギューギューキンキン・・・

俺を襲おうとしていた奴らを、気が済むまで殴っておいた。

「「「「「すみませんでした」」」」」

「まあ、いいんだけどさあ・・・シャッキー'S ぼったくりBARって知ってる?」

「は、はい・・・知ってます」

「13番GRで間違いない?」

「間違いないです」

「ありがと、じゃあね」

13番GRを目指してその場を離れた。

(まだ周りに狙ってる奴らが大勢いるな、襲ってくる気配はないからほっといてもいいか・・・やっぱり危険な所なんだな)

少し歩くと目的の13番GRに着いた、シャッキー'S ぼったくりBARもすぐに見つけることが出来たので中に入ってみた。

「いらっしゃい・・・あら、この辺じゃあ見ない子ね」

「さっきついたばかりで、人を探してて」

「人を?」

「レイリーって人がこの店にいるって、聞いたんですけど」

「レイさんに用があるの?ちょっと待ってて」

そう言って店の裏に入っていく、少ししてから一人の男が現れた。

「私に用があると聞いたんだが」

「貴方が『冥王シルバーズ・レイリー』」

「そう呼ばれるのは、随分と久しぶりだがね」

「俺はカイトと言います」

「カイト・・・もしかしてフーシャ村の子かね?」

「なんで知ってるんですか?」

「やっぱりか・・・少し前にシャンクスがここに現れてね、東の海のフーシャ村にルフィとカイトと言う面白い子達がいたと聞いたんだよ」

「シャンクスが」

「ああ、ところで君はどうしてここにいるんだ?」

「貴方に会ってみたかったんだ」

「私にか」

「ああ、生きた伝説の一人ですから」

「ハハハ・・・伝説か」

「あとは修業のためです」

「ほぅ・・・修行か」

「俺は戦いの知識はあっても、経験がほぼゼロなので。シャボンディなら名のある奴らが集まるから、修行になると思ったんです」

「経験がない?」

以前ルフィ達に説明した小さい時に元海軍のおっさんに拾われて育ててもらった事を話した、戦い方はその人を見て覚えた事、覇気は気が付いたら使える様になっていたので制御の仕方を教えてもらった事を話した。

「大したものだな、その年齢で・・・」

「もっと強くなりたいから、修業する為にここに来たんです」

「ねぇ、カイトちゃん」

今まで黙って話を聞いていたシャッキーが話しかけてきた。

「はい?(カイトちゃん!?)」

「カイトちゃんはもっと強くなりたいんでしょ、ならレイさんに教えてもらえばいいのよ」

「えっ」

「おいおい、シャッキー」

「いいじゃない、私この子の事気に入っちゃった・・・悪い子じゃなさそうだし」

「・・・カイト君、君さえよければ私が教えてもいいが、どうする?」

「それが出来るんなら、お願いします」

「私の教え方は厳しいぞ、それでもいいか?」

「はい!!お願いします!!」

(すごく都合の良いように進んでいくけど、これも加護のおかげかな?まぁ、ラッキーくらいに考えておこう)







 

 

5話

レイリーの弟子になってから2年が過ぎた。

レイリーからは最初の1年基本をみっちりと叩き込まれた、その間に分かったことは神様から与えられたこの体は、かなりのチートだとわかった。鍛えれば鍛えた分だけ強くなっていく、レイリーにもお墨付きを貰った程だからかなりのものだと思う。

雷の力はようやくエネルが使ってた技を使えるようになったくらいだ、これは今後の修業次第だな。

その他は修業の合間にシャッキーの店の手伝いや急にいなくなるレイリーを探し回ったり、賞金首を倒して金を得たり人攫い屋を潰して回ったり、まぁ順調に強くなっていると思っていたのだが・・・なんでこうなった・・・

「ハァハァ・・・化物かよ」

「グラララララ・・・小僧、もう終わりか?」

カイトの目の前にいたのは『世界最強の男・白ひげエドワード・ニューゲート』

始まりは、5日前にレイリーから頼まれ事が発端だった。

レイリーの知り合いに荷物を届けて欲しいと言われ、カイトはシャボンディ諸島を出た。荷物自体は届け終わり、帰路に着く前に寄った街で飯を食っていた時にある人物が声をかけてきた。

「グランドラインの賞金稼ぎがこの街になんのようだよい」

「・・・あんた誰?(この独特の語尾を付けるって、聞いたことあるような)」

「俺は白ひげ海賊団、1番隊隊長のマルコだよい」

「・・・・・・マジで?」

「ああ・・・」

マルコと現れたもう一人も声をかけてきた。

「オヤジの首でも狙ってきたか?」

「あんたも隊長?」

「5番隊隊長のビスタだ」

「・・・白ひげの隊長が二人も」

「で、お前がここにいる目的はなんだよい」

「目的は飯を食うことだ、飯を食ったら島を出て行くよ」

「本当か?」

「ああ」

「わかったよい、オヤジには言っておくよい」

そう言って二人は店を出て行った。

(とっとと食べてシャボンディに帰ったほうがよさそうだな)

その後、食事を全て食べ終え店を出たところで見上げるほどの巨体の男が立っていた。

「お前か、俺の首を狙ってる賞金稼ぎは?」

「・・・・・・はっ?」

「グララララ・・・俺ァ白ひげだ!!」

周りを見るとマルコとビスタが、やれやれみたいな顔をしていた。

「いやっ、狙ってなんか無いんだけど・・・もうこの島からも出るつもりだ」

「グララララ・・・この島から無事に出るつもりなら、俺に勝っていきな」

「世界最強の男相手に、力に差がありすぎるだろ」

「一撃でも与えられたらお前の勝ちにしてやるよ」

この状況って、もう逃げれないよな・・・目の前には白ひげがいるし、周りは隊長に囲まれてるし

「・・・わかった」

「グララララ・・・なら、ついてこい」

歩き出した白ひげの後ろをついて行く、途中でマルコに聞いてみた。

「なあ、なんでこんな事になったんだよ?」

「お前の話をしたら、面白いってなったんだよい」

「俺・・・まだ死にたくないんだけど・・・」

「ま、まぁ・・・頑張れよい」

嬉しくない激励をもらったところで声がかかった。

「この辺でいいだろ・・・お前らは下がってな」

マルコ達幹部が離れていく。

「グラララ・・・じゃあ、始めるか」

白ひげがそう言った瞬間動き出したのはカイトだった。

(白ひげ相手に様子見はないな・・・最初から全力で行く)

「剃」

白ひげの後ろに回り込んで覇気を纏った拳で攻撃しようとするが、次の瞬間には自分の顔の横に白ひげの腕から攻撃を放たれておりカイトは瞬時に腕でガードするが後ろに吹き飛ばされる。

「グララララ…なかなか良い動きをしやがる」

「今の速度にも簡単に反応するのか・・・嵐脚・凱鳥」

白ひげに向かって鳥状の斬撃が飛んでいくが白ひげが手に持つ薙刀が横に振り払われただけで防がれた。が、その隙を狙って死角に入り込み拳を放つ。

白ひげは両腕を上に上げると大気中の何かを掴むように指を曲げ、思い切り振り下ろした。

「ッ!?」

その瞬間島全体、さらに海までもが傾き揺れ始めた。

(まずいバランスが!?)

崩れた体勢を立て直そうとするカイトに白ひげは腕を横に振りかぶりそして振り下ろした。

(これが・・・地震の威力か・・・)

白ひげの放った拳の場所には大気にひび割れがはいり、その攻撃はカイトを貫通しその周りにも被害を与えた。

戦いを見ていた誰もがカイトの敗北を確信した、煙が晴れるとそこには体中がボロボロで口から血を流しながらも立っているカイトの姿が現れた。・・・そして最初に戻る。

「ハァハァ・・・化物かよ」

「グラララララ・・・小僧、もう終わりか?」

「まだだよ・・・6000万V雷龍」

龍の形をした雷が白ひげに襲いかかる。

「グララララ、能力者だったのか」

白ひげは拳に力を溜めるとカイトの放った雷龍を殴りつけた、すると地震の衝撃で雷龍は掻き消えていき、後方のカイトまで衝撃が飛んできた。

(マジかよ・・・ここまで差があるとは思わなかったな・・・もし生き残ってたらもっと修業しよ)

「まだやるか、小僧」

「あたりまえだ」

「グララララ・・・随分威勢の良い小僧だな」

カイトは腰に差してある刀を抜き構える。

「土龍閃」

刀で地面をえぐる様に衝撃を与え土砂とその衝撃波を白ひげに向かって放つ。

「フンッ・・・」

薙刀を振るうと、飛ばした土砂が弾け飛んだ。

その一瞬でカイトは白ひげの頭上に飛び上がり、技を放つ。

「龍槌閃」

(落下する力を利用した威力の高い斬撃で一気に斬り裂く、これなら多少は効くだろ)

キィン・・・カイトの刀と白ひげの薙刀がぶつかり合った・・・

(押し負ける・・・クソッ)

刀を回し衝撃をいなすと、地面に着地と同時に刀の腹で切り上げる

「龍翔閃」

すると白ひげの胸に一筋の傷が入った・・・が、カイトの腹部にも薙刀の柄がめり込み吹き飛ばされ地面に叩きつけられた。

「グラララララ・・・大した小僧だ。お前の勝ちだ」

よろけながらカイトが立ち上がった。

「納得いかねぇ」

「ん?」

「こっちはこんなにボロボロなのに、カスリ傷1つじゃ納得できない。続行だ!!!」

「勇ましい小僧だな(目が死んでねぇ・・・こいつは本気で俺に勝つ気だ・・・)」

カイトが刀を構える。

「ハァハァ・・・次が俺の最後の攻撃だ」

「グラララララ、かかってこい」

(クソッ・・・目がかすむ・・・不確かな奥義よりも、確実な大技を当てる方がいいな。体力が持つかな・・・)

「行くぞ、白ひげ・・・九頭龍閃」

一瞬九斬の斬撃を放つ

「チッ・・・(まだこんな技を隠してたのか)」

交差したあと、白ひげの全身から血が流れ片膝を付いた。

振り返ったカイトが見たのは、血まみれで拳を振り上げる白ひげの姿。

それを見てカイトは意識を失った。




白ひげ最後の拳はカイトに当たる前に止められていた。

「オヤジ大丈夫かよい」

「ああ、ちょっと切っただけだ・・・マルコこの小僧の手当をしてやれ」

「わかったよい」

「グラララララ・・・面白いガキだ、気を失う瞬間まで俺に勝とうとしてやがった」

「オヤジに傷を付けただけでも、大したもんだよい」

そう言ってマルコはカイトを船に運んで行った。




海軍本部にて・・・

「センゴク元帥、白ひげの船を見張っていた連絡船より報告です」

「どうした」

「新世界において白ひげが小競り合いをおこしたと」

「なんだと!?相手は誰だ」

「相手はシャボンディ諸島で賞金稼ぎをしていた、カイトと言う人物です」

「カイト・・・ガープから聞いたことのある名だな・・・で、どうなった」

「はい、カイトは敗けたようですが白ひげに手傷を負わせたとの事です」

「白ひげにか」

「はい」

「・・・そうか、報告ご苦労だった。下がっていいぞ」

「はっ」

(白ひげに手傷を負わせる程の使い手か・・・)




数日後・・・

「う~ん・・・ここはどこだ?」

目が覚めると、知らない部屋だった。

「おきたかよい」

「あんたは・・・マルコ」

「ああ、そうだよい」

「ここはどこだ?」

「白ひげ海賊団の船だよい、オヤジの命令でお前の怪我の治療をしてたんだよい」

「そうか、迷惑かけたな」

「気にするな、それより動けるならオヤジのところにいくよい」

「わかった」

マルコについて行くと、白ひげ海賊団の人間が宴会をしていた。

「グララララ・・・起きたか小僧、まあ飲め」

そう言って酒を注がれた盃を渡された、それを受け取ると一気に飲み干した。

「グララララ、いい飲みっぷりだ」

「さあ、もっと飲め」

「これも食ってみろよ」

カイトの前に大量の料理と酒が運ばれて来た、腹も減っていたので遠慮なく手を伸ばす。

飲み食いに夢中になっていると

「グララララ、酒はいけるみたいだな」

「ああ、師匠に付き合ってたら自然に飲めるようになってた」

「師匠?」

「ああ、シルバーズ・レイリーって言うんだ」

「レイリーだと」

一気に周りがざわつき始めた。

「やっぱり、知ってるんだな」

「ああ、アイツ等とは色々因縁もあったからな・・・そうか、あいつの弟子か」

そう言って盃の酒を飲み干した。

「カイト・・・お前俺の息子になる気はないか?」

「・・・・・・息子?」

「要するに仲間になれってことだよい」

「ここにいる奴らはみんなお前を認めてる。あとはおめえ次第だ」

「そうだな・・・面白そうな話だけど、断るよ」

「そうか」

「俺はもう乗る船を決めてるんだ」

「へぇ、誰の船だよい」

「モンキー・D・ルフィ俺の弟だ、まぁ義理のだけどな」

「弟?」

「ああ、ルフィとエースとサボの4人で兄弟の盃を交わしたんだ。俺の大事な絆だ」

「グラララララ・・・それなら仕方ねぇな、だが気が変わったらいつでもうちに来い」

「ああ、その時は頼むよ」

「グラララララ・・・本当におかしな奴だな」

「ハハハ・・・よく言われるよ」

その後宴会は続き居心地の良さに、怪我が治ってからも白ひげの船に滞在し1年程してからシャボンディに帰還した。

 

 

6話

白ひげの船で1年程過ごしたあと、シャボンディに帰還した。

この1年は、ほぼ毎日隊長達の誰かと戦っていた(マルコが一番多かったが)・・・最初は負けっぱなしだったが、半年を過ぎた頃には徐々に勝ち星が増えて行き1年が経つ頃にはマルコにも勝ち越しできるほどに成長した。

雷の力もかなり扱えるようになったと思う、最大で5億Vまで引き出せるようになった。これ以上はまだ引き出すことは出来ない・・・今後の課題だな。

そして白ひげの船での修業も終わり、シャボンディ帰ることにした。


「師匠、シャッキーただいま~」

「あら、おかえりなさい」

「ようやく戻ったか、長い届け物だったな」

ほぼ1年振りに見る『シャッキー'S ぼったくりBAR』だ。

「いや~白ひげの船が居心地良かったから長居しすぎた、でも修業はちゃんとやってたよ」

「そうみたいだな、1年前とは全然違う」

「へへへ、いい経験になったよ」

「そうか・・・ならばいい」

「カイトちゃん、何か食べる?」

「ちょっと海軍本部に行くから、帰ってからにするよ」

「海軍本部に何か用事でもあるのかね」

「帰ってくる前に賞金首を捕まえたから、換金しに行ってくる」

外に出て捕らええておいた賞金首を肩に担いで、力を込めて地をけり空中を移動して海軍本部を目指す。

本部の受付に捉えた賞金首を渡して、金が支払われるのを待っているとガープが声をかけてきた。

「久しぶりじゃのぅ・・・カイト」

「1年振りくらいだな」

「お前に話がある・・・付き合え」

「嫌だ、どうせロクでもない事なんだろ?」

「いいから付いてこい・・・直ぐに終わる」

(なんか・・・普段とは違うな)

「わかったよ」

大人しくガープについて行く事にする。

少し歩くと、デカイ扉の前で止まるとノックもせずに扉を開けた。

「わしじゃ、入るぞ」

そう言って中に入っていくので、後に続いて中に入る。

「こやつがカイトじゃ」

中に入ると複数の人物がいた。

「お前がカイトか・・・私は海軍元帥センゴクだ」

「海軍のトップが何の用?」

「白ひげとやりあったのはお前か?」

「ああ、ボロ負けしたけどね・・・1年も前のことだし」

「そうか・・・実は話があってな」

「話?」

「海軍に入らないか?その力を「興味ない」・・・」

「ワハハハハハ・・・じゃから言ったじゃろう、カイトの勧誘は無理じゃと」

「話がそれだけなら、帰る」

「お、おい」

センゴクが呼び止めるのを無視して、部屋を出た。

(めんどくさいんだよな、金をもらってさっさと帰ろう)

受付に向かって歩いていると・・・

「お前が、賞金稼ぎのカイトか?」

「そうだけど、あんたは誰?」

「俺は教官のゼファーだ」

「っ!?(マジか・・・こんな所で出てくるのかよ)」

「どうした?」

「いや、いきなり有名人が出てきたからビックリしただけだ」

「フッ有名か・・・」

「黒腕のゼファーを知らない奴はいないだろ(俺は元々アンタに師事したかったんだよ)」

「そうか・・・海軍入りを拒んだみたいだな」

「ああ、海軍は好きじゃないしな」

「ハハハ、はっきり言いやがる・・・どこが嫌いなんだ?」

「・・・・・・都合の悪いことは無視するくせに、正義を語ってる所かな」

「・・・・・・」

「じゃあ、帰るから」

受付で1億2千万ベリーを受け取って、海軍本部を後にした。




カイトが帰ったあとの海軍本部内では、センゴク元帥と元大将のゼファーが話していた。

「あの男をどう見た?」

「海軍に入れるのは諦めたほうがいいな、軍に入るより敵に回る確率の方が高そうだ」

「そうか・・・」

「それに相当な使い手だな、安易に敵に回せばかなり厄介だぞ」

「敵じゃないだけマシだと思ったほうがいいな」

「そう言う事だな」



シャッキー'S ぼったくりBARに戻ったカイトは賞金をシャッキーに渡して、食事を始めていた。

「ほう、海軍に誘われたか」

「ああ、断ったけどね」

「白ひげに手傷を負わせる者を手中にしたかったんだろうな」

「まぁ、そんなところだと思うよ」

「カイトちゃんは、海賊になるから海軍には入れないわよね」

「ルフィが海賊になるのを諦めたら、考えてもいいかな・・・ないと思うけど」

「フフフ・・・そうか」

「あっそういえばさ師匠、本部に大将とか中将が揃ってたんだけど、何かあったんだろうか?」

「ん?・・・おそらくレヴェリーが開催されているから、警備のために戦力を集めているんだろう」

「レヴェリー?」

「帰ってきたばかりだから知らないのね、『世界会議』世界中のお偉いさんが集まってお話し合いしてるのよ」

「ふ~ん・・・無駄なことしてるんだな」

「形式だけでも必要なこともある」

「そんなものか、俺にはわかんねぇけど・・・ちょっと見てこようかな。何か金目のものがあったら持って帰るよ、師匠の酒代も稼がないといけないし」

「ハハハ、しっかり頼むぞ」

「ああ、ちょっと行ってくるよ。シャッキーごちそうさま」

「ええ、気をつけてね」

店を出ると、会議が開かれているマリージョアを目指すため、体を雷に変化して目的地に飛ぶ。しばらく飛ぶと、目的地であるマリージョアに着いた。

(着いたはいいけど、警備が相当厳重だな・・・会議が開かれている場所は海軍だらけだし、仕方ないから服を奪うか)

少し探すと、正義と書かれたコートを羽織っている奴が1人でいたので、気絶させてから服を剥ぎ取り縛って閉じ込めておいた。

(準備も出来たし、会場に忍び込むか・・・出来るだけ人に会わないようにしたほうがいいよな)

見聞色の覇気で辺りを探ると、近くの建物の中に大勢の人がいることがわかった。

(見つけたけど・・・出入り口に向かってるって事は、会議は終わったのか?間に合わなかったか・・・まぁいいや、金めの物でも探そうかな・・・ん?)

カイトの見る先には、二人の人物がいた。

一人は小さな女の子、もう一人は特徴的な髪型をした男性・・・

(あれってビビか?・・・多分そうだよな、あの特徴的な髪型のオッサンと一緒にいるし)

ビビと思われる少女に向かって、大柄の男が近寄っていく。

(あの樽みたいな奴って確かワポル?だったよな・・・ビビを殴るはずだったな。見てるのもムカつくから止めるか)

ワポルはビビに近づいていくと、右腕を振り上げ

「おおっと!!!手が滑った!!!」

そう言って、上げた手を振り下ろした。

「ビビ様」

イガラムが駆けつけようとするが間に合わない、ビビが恐怖に目を閉じた・・・瞬間に誰かに抱きかかえられた。

「危なかったな」

「えっ」

カイトはビビを抱えてワポルから少し離れた場所にいた。

訳が分からないような顔をしていたワポルだが、カイトが割って入ったことを理解すると・・・

「こ、このカバ野郎!!俺の邪魔をしやがって!!!」

近づいてくるワポルに対して、カイトはちょっと強めに睨み返す。

「う・・・か、帰るぞ、ドルトン」

ワポルが去って行くと、ドルトンと呼ばれた人物が近づいてきた。

「・・・すまん、助かった」

「あんたも大変だな」

ドルトンはビビにも頭を下げ、ワポルの後を追っていった。

「ビビ様~お怪我はありませんか?」

「イガラム、私は大丈夫よ」

「よかった、間に合わずに申し訳ありません」

「いいのよ、私も助けてもらったし」

二人がカイトを見てくる。

「まぁ・・・怪我がなくてよかったな」

「ありがとうございました・・・私はアラバスタ王国の王女ネフェルタリ・ビビです」

「俺はカイトだ、よろしくなビビ」

「はい」

「私はアラバスタ王国護衛隊隊長、イガラムと申す。ビビ様を助けて頂いた事誠に「良いって」・・・えっ?」

「堅苦しいのは嫌いなんだ、もっと楽に行こうぜ」

「・・・わかった、ビビ様を助けてくれてありがとう」

「気にすんなって」

3人で自己紹介をしていると

「お前達ここで何をしている?」

振り向くと一人の男が立っていた

「あんたは誰だ?」

「私は「お父様」「国王様」・・・ネフェルタリ・コブラ、君が抱いているビビの父親だ」

「あっ・・・ごめん、抱いたままなの気づかなかった」

「い、いえ、ありがとうございます」

ビビを下ろすと、イガラムと二人でコブラに成り行きを説明してくれた。

「そうか、娘が世話になった」

「いいよ、たまたま近くにいただけだから」

「そうか・・・カイト君は海軍なのか?」

「いや、違うよ・・・・・・あっ・・・海軍だ」

(((絶対に嘘だ)))

「階級は?」

イガラムが聞いてきた

「・・・・・・し、少尉?・・・かな・・・中尉だったかも」

「「「・・・・・・」」」

「お前が着ているのは『大佐』の服じゃ」

声に驚いて振り向くとガープが立っていた。

「ゲッ・・・じいさん」

いきなり頭に拳骨が降ってきた。

「痛い~何すんだよいきなり」

「なんでお前がここにおるんじゃ」

「会議ってのがどんなのか気になって忍び込んだ」

「その服はどうした?」

「・・・・・・・借りた」

そしてまた殴られた。

「まったく見つけたのがワシじゃ無かったら、犯罪者になっておるぞ」

「今度から見つからない様に気をつけるよ」

「忍び込むな!!!」

もう一発殴られた。

その後三人の執り成しがあって、今回は見逃してやると言ってガープは去っていった。

「ありがとう、三人とも助かったよ・・・本当にひどい目にあった、あのジジイめ」

「あ、はは・・・」

「じゃあ、そろそろ帰ろうかな・・・これ以上ここにいてもやばそうだし」

「君は一体何者なんだ?」

コブラの問に

「賞金稼ぎ?」

ビビに聞いてみる

「私に聞かれても・・・」

「じゃあ旅人で」

「「「・・・・・・」」」

「じゃあな、三人とも」

「あの、旅をするならアラバスタに来た時には訪ねてください」

「ん?」

「今日のお礼をします」

「わかった、その時は飯でも食わしてくれ・・・じゃあな、ビビ」

ポンッと頭を撫でてやる。

「あ・・・は、はい」

「じゃあ、王様もおっさんも元気でな・・・」

「いつでも寄ってくれ」

「ああ」

そう言って三人と分かれて、最初に忍び込んだ場所に戻り服を着替えた。

(捕まえてた軍人も服を着せて縄も解いておいたから、大丈夫だろ)




シャッキー'S ぼったくりBARに戻り、店の中に入る。

「帰ってくるのが早いな」

「行ったら会議は終わってたし、ガープのじいさんに見つかったから帰ってきたんだ」

「ハハハ・・・ついてないな」

「見つかって殴られたし」

「はい、お水でよかったかしら?」

「ありがとう」

「まぁ、ガープに見つかってそれで済んだだけで良かったじゃないか」

「そう思うことにした」

「明日からはどうする?」

「ん~今までと同じかな、修行もしたいし。師匠また付き合ってくれるよね?」

「わかった、気の済むまで付き合おう」

「師匠の了解も得たし、今日はのんびりと1年振りのシャボンディを見てこようかな」

席を立ち、出入り口に向かっていく。

「じゃあ師匠、シャッキーまた明日」

「ああ」

「ええ」

そう言って店を出た。

(ヒューマンショップに行って金を巻き上げるか、人攫い屋を潰してじいさんに殴られた憂さを晴らすか・・・どうしようかな)

そんなことを考えながら、久しぶりのシャボンディの中に入っていく。


















 

 

7話

グランドライン前半の最後の島、シャボンディ諸島・13番GRの中にあるシャッキー'S ぼったくりBAR

その中でカイトはある新聞の記事に目を止めていた『スペード海賊団』

(ついにエースが出てきたか・・・それにしても俺がシャボンディに来てからもう6年も経つのか)

「どうかしたかね?」

「いや、俺がここに来てもう6年が経ったなと思ってさ」

「もうそんなに経つのか・・・早いものだな」

「師匠とシャッキーには世話になりっぱなしだな」

「気にすることはない、私も楽しんでるからな」

「私もレイさんと同じね、カイトちゃんを見てると楽しいから」

「楽しい?」

「ええ、ここに来てからレイさんにそっくりになっているんだから」

「私に似ているか?」

「そっくりよ、仕草や雰囲気・・・それに女遊びに関してもね」

ニヤニヤ笑うシャッキーに、顔を見合わせるカイトとレイリーは苦笑いを浮かべた。

「さ、さあ・・・出かけてこようかな」

「女の子のところ?」

「違うよ、久しぶりに億越えの賞金首が来るらしいから、お金稼ぎに行ってくる」

そう言って店を出た。



残った中の二人は

「6年か・・・本当に早いものだ」

「そうね、来た時なんかは本当に子供だったのに。あっという間に成長して強く格好良くなっていったわね」

「そうだな、あの成長は目を見張るものがあった」

「教えた人のおかげかしら?」

「ハハハ、だといいんだがな」

「フフフ、でも本当に面白い子ね」

「ああ、もう少ししたら旅立つだろうが、きっと大物になるぞ」

カイトの座っていた場所を見ながら、二人は笑っていた。



億越えの賞金首を捕まえたカイトは、金を貰い本部を出ようとした所で声をかけられた。

「カイト、ちょっと待ってくれ」

「ん?(ゼファーか)」

「お前時間はあるか?」

「ああ、今なら大丈夫だ」

「じゃあ、ついて来てくれ」

ゼファーの後について行くと、港の方に近づいていく

(港に何かあるのか?・・・海軍の入隊を進めるつもりじゃあないよな)

しばらく歩くと一隻の軍艦の前に着いた。

「さあ、乗ってくれ」

「いいのか、只の民間人を乗せて?」

「かまわんさ、俺の客だ」

「わかった」

軍艦に乗り込みゼファーについて行く、すると軍艦は出航し始めた。

「おいおい、船が動き始めたぞ」

「カイト、少し俺に付き合え」

「・・・・・・」

「この航海は、訓練生のためのものだ。そう長くはない、付き合え」

「わかったよ」

「まぁ、ゆっくりしておいてくれ」

「ああ」

「アイン、ビンズ」

「「はい」」

「この船にいる間カイトの世話を任せるぞ」

「「はい」」

(これって前に神様にお願いした奴かな?って事はZになるきっかけの航海か・・・どうしよ、関わったほうがいいのか?)

「どうした、カイト?」

「いや、なんでもない。それより部屋に案内してくれ」

「わかった。アイン、ビンズ案内を頼む」

「はい、こちらへ」

「ああ」

部屋に案内され、とりあえず寝ることにする。

「何かあれば、声をかけてください」

アインと呼ばれた女性が声をかけてくれた。

「ああ、ありがとう」

そう答えて部屋に入り、ベッドに横になる。

(まさか今になって、Zイベント起こるとは思わなかったな。神様の力は凄いって事か・・・確か真犯人が分からなかったからドフラミンゴにしてくれって頼んだ気がする。・・・いま考えても仕方ないし、その時に考えたらいいか)

その後は何事もなく航海は進み、あと3日でマリンフォードに着く距離になったとき現れた。

深夜に大きな物音と船が揺れるほどの衝撃

一気に意識が覚醒した。

(来たか・・・とりあえず甲板に行ってみよう)

コートを着て刀を持つと、部屋から出ていった。

外に出ると周りの海兵たちも大騒ぎしていた。

甲板に向かっていると、アインがカイトに気がついて近寄ってきた。

「カイトさん、ご無事でしたか?」

「俺は大丈夫だ、アインこそ大丈夫か?」

「あ、はい・・・私も大丈夫です」

「何があったのか、分かるか?」

「何者かが攻撃を仕掛けてきたこと以外はまだ解りません、今はゼファー先生が迎撃にあたっています」

「そうか・・・ちょっと甲板に行ってみるよ」

「えっ・・・危険です。先生からも避難するようにと「俺はゼファーの部下じゃないからな」・・・」

そう言ってアインを置いて、甲板に向かう。

甲板に出るとゼファーと何者かが戦っているのが見えた、辺りには怪我をした軍人がいるが幸いな事に死人はいなかった。

(誰だあれは?予定通りなら、ドフラミンゴだと思ったのにフードを被っているから分からないし、剣を使っている・・・剣なんか使ってたか?・・・まぁいいか)

ゼファー達の戦いを見てると、徐々に押され始めていた。

(このままじゃやられるな)

ゼファーの胸に一筋の切り傷が付き血が溢れ片膝をついた、そこを狙って剣が振り下ろされた。

キィン

振り下ろされた剣をカイトが防いだ。

「カイト・・・お前」

ゼファーの声を無視して、担ぎ上げるとアインの元に運ぶ。

「カイトさん、ゼファー先生」

「ゼファーの傷を治療してやってくれ、あいつは俺がやる」

「は、はい」

ゼファーをアインに任せて、フードを被った男に向かい合う。

「関わるつもりはなかったんだけど、知り合いが殺されたら気分が悪いから、俺が相手になるよ」

言い終わったと同時に斬りかかってきた。

振り下ろされた剣を避けて、腹部に蹴りを放つ。腕でガードされるが後方まで吹き飛ばした。

「グゥ」

壁にぶつかり止まった所に追いつき、拳で顔面を殴る。一発目は当たるが、二発目は避けられて距離を取られる。

「嵐脚・乱」

無数の斬撃がフードの男に向かって飛ぶ。

いくつかの斬撃は持っていた剣で弾かれたが、体に無数の切り傷が刻まれた。

「・・・・・・・・・」

(反応なしか)

間合いを詰めて

「指銃・斑」

カイトの指銃がフードの男に突き刺さり、そして倒れた。

「お前は・・・ドフラミンゴか?」

「・・・・・・・」

フードを脱がせようと近づいていくと、何かがカイトに向かって飛んできた。

「っ!?(何処からの攻撃だ?)」

飛んできた物を避けるが、幾つかは体に命中し後方に下がる。

そして辺りに散らばっていた剣やナイフが空中に浮き、ゼファー目掛けて飛んでいった。

「チッ・・・」

カイトは瞬時に回り込むと、すべての障害物を切り落とした。

フードの男に向き直ると、さっきまでいた場所には誰も居なかった・・・目を凝らすとかなり遠い所を空中移動しているのが見えた。

(油断した・・・まぁいいか、死者は0だし)

ゼファー達のところに戻り

「悪い、逃がした」

「きにするな、こっちは誰も死んでない。お前が居なかったら危なかったがな」

「目の前で死なれても、気分が悪いしな」

「フンッ・・・それにしても何者だったんだ、あの男は」

「顔を見る事は出来なかったな」

「仕方がない・・・俺の治療はもういい、他の負傷者の手当をしてやってくれ」

「「「はい」」」

ゼファーの声がかかると、周りの海兵も負傷者の治療に掛かり始めた。

(顔は見れなかったけど、ドフラミンゴにしておこう。神様だから間違いないだろう・・・それにしても・・・)

「どうかしたか?」

「いや、俺は部屋に戻ってる」

「ああ・・・カイト、助かった」

「いいさ」

部屋に戻ったカイトはコートを脱ぎ、シャツを捲って自分の体を見ると無数のアザがあり血がにじんでいた。

(まだまだ弱いな俺は・・・もっと強くならないと・・・あの時の攻撃は本体からだろうな)

ベッドに座り、フードの男のことを考える。

(糸の分身と本体ってどのくらい差があるんだろ?同じって事はないと思うけど・・・もっと修行しないと駄目だな・・・俺も本気でやったらどうなってたんだろう・・・勝てると信じたいな)

カイトが考えていると、扉がノックされた。

「はい」

「失礼します」

入ってきたのはアインだった。

「どうかした?」

「先生からカイトさんの怪我の手当をするようにと言われました」

そう言って救急箱から、いくつかの薬を取り出した。

「俺は軽い打撲程度だから、気にしなくて「ダメです」・・・わかった」

妙な迫力に押されて、手当されることにした。

「甲板の怪我人は、治療し終わったのか?」

「はい、重軽傷者は多数いましたが命に別状はないです」

「そうか」

「カイトさんのおかげですね」

「まぁ、この船に乗ってるからな」

「ありがとうございました」

「気にするなって、ゼファーにも礼は言われたしな」

「はい」

話している間に、カイトの手当も終わった。

「アイン、手当ありがとう」

「い、いえ」

「じゃあ、俺はこのまま休むな」

「はい、失礼します」

アインが出て行ったあと、横になり目を閉じる。

(帰ったらもっと修業しよ、この程度じゃあ何かあったとき守れないかもしれないし・・・)

そう思いながら、眠りについた。



3日後・・・

(ようやく着いたか、師匠とシャッキーの所に顔を出さないとな)

部屋を出て船を降りるために、外に向かう。

「カイトさん」

「アインか、どうした?」

「先生がカイトさんを呼んでいます、ついてきて下さい」

「ああ(なんか用か?)」

アインについて行くと、甲板でゼファーが待っていた。

「来たけど、何か用か?」

「ああ・・・カイト、最初で最後だ」

「ん?」

「海軍に入らないか、今回の事でお前の力の片鱗を見た」

(本気の目だな・・・これにはちゃんと答えないとな)

「俺はさ、あんたのこと好きだよ・・・ここの訓練生を見ればアンタがどれだけ慕われてるのかも解る。俺も昔は思ってた、黒腕のゼファーに教えてもらいたいって思った事もある・・・だけど断るよ」

「・・・そうか」

「俺には子供の頃の記憶がない、気がついた時には一人でこの刀だけを持ってた。名前も歳も誕生日すら無かった俺に、年齢を付けて誕生日も決めてくれた弟達がいる」

「弟がいるのか?」

「ああ、義理の兄弟だ盃を交わした。ただの子供の遊びさ、でも俺には大切な絆だ。俺は万が一の時には弟達の力になってやりたい、その為の力を求めて強くなった」

「だが、海軍に入っても守ることは「出来ない」・・・何故だ?」

「弟の一人の夢が『海賊王』になる事だからだ」

「海賊王・・・か」

「ああ」

「それを信じているのか」

「もちろん、疑った事なんかない」

「ククク・・・ワハハハハハハ・・・そうか、それなら仕方がないな」

「そんな理由だから、断るよ」

「わかった、忘れてくれ」

「ああ・・・じゃあ船を降りるぜ」

「ああ」

カイトが船を降りていくと、後ろからゼファーの声が聞こえてきた。

「お前達、今ここで聞いた事は忘れろ!!!いいな!!!」

「「「「「はい」」」」」

(アンタと出会えるようにお願いしたのは、師事したかったのは本当だよ)

そう胸の中で思いながら、船を降りていく。




















 

 

8話

スペード海賊団の記事を見てから、1年ほど経った・・・

カイトはある場所に向かっていた。

(もうすぐ会えるな・・・)

カイトの向かった先には海賊船があり、そこにはオレンジ色のテンガロンハットを被り仲間達と談笑している男がいた。

近づいていき、声をかける。

「エース」

カイトが呼んだ男が振り返り

「カイト」

「久しぶりだな、エース」

「ああ、ここに来れば必ずいると思ってたよ」

「俺がここにいるのを知っていたのか?」

「昔、シャボンディに行くって言ってたからな。それに、銀髪の賞金稼ぎがいるって聞いてカイトだと思ってた」

「そうか」

「それにしても・・・カイトは変わんねぇな」

「お互いだろ・・・お前も変わってない」

エースと話していると、エースの仲間が声をかけてきた。

「エース船長、この人と知り合いですか?」

「ん?・・・ああ、俺の兄貴だ」

「兄弟がいたんですか?」

「義兄弟だけどな」

「エースの仲間か・・・よろしくな。ここで話すより、俺が世話になってる店に行こう」

そう言ってシャッキー'S ぼったくりBARに案内する。

他の船員に聞かれないように、エースに話しかけた。

「エース」

「なんだ?」

「今から行く店にいるのは、海賊王の副船長シルバーズ・レイリーだ」

「っ!?・・・」

「お前の事は話していないし、話してみるか?」

「・・・・・・いや、いいよ。俺は俺だからな」

笑いながらエースは答えた。

「そうか・・・コーティングの腕は確かだから、安心してくれ」

「ああ」

その後店に着き、師匠とシャッキーにエースと仲間を紹介した。

レイリーはコーティングを快く引き受けてくれ、船員は目の前の人物が『冥王シルバーズ・レイリー』だとわかると、ものすごく驚いていた。

その後、店で宴会が始まりカイトとエースは二人で昔話をしながら酔っていった。

カイトが旅立ってからのダダンを始め山賊達の事、マキノや村長の事そしてルフィとサボ・・・ルフィは今でも海に出ることを夢見て修業に励んでいるらしい。

サボは・・・カイトの知っている通り、父親に見つかり連れ戻され家族の元に帰っても幸せになれず、一足先に出港したが『天竜人』の砲撃によって海に沈んだと聞かされた。

(サボの事を言うのは駄目だろうな・・・俺が出来る事はエースが死ぬ未来を変えて、サボと再開させることか)

「なあ、カイト」

「ん?」

「俺達はサボの分まで生き抜いて、夢を実現させよう」

「ああ、当然だ。絶対に俺達は死なない」

その後も酒は進み、気がつくと船員はみんな酔って店のあちこちで寝ていた。

起きていたのは、レイリーとカイト、エースだけでシャッキーはいなくなっていた。

「俺もちょっと眠くなったから寝るよ」

そう言って、レイリーに合図を送ると頷いた。空いているソファーに横になり目を閉じる。

(後は師匠に任せていいだろ、俺には解らないこともあるだろうし)

キィンとグラスを合わせる音が聞こえてきた。

明日からのことを考えながら、眠りについた。




翌日にレイリーからコーティングには3日かかることを言われ、その間にエースたちはシャボンディに遊びに行ったり、必要なものを買ったりと準備に追われていた。

カイトはレイリーの手伝いをしながら、コーティングを仕上げていった。

そして、エース出港前夜・・・

「カイトもレイリーもありがとう・・・シャッキーも世話になった」

「エースが礼を言うなんて、明日の出航は荒れるな」

「なんだと、カイト!!!テメェ!!!」

「ハハハ・・・仲のいい兄弟じゃないか」

「ほんとね、見てるだけでも楽しかったわ」

レイリーやシャッキーを始め、船員たちも笑いながら見ている。

カイトとエースは顔を見合わせると・・・

「「フンッ」」

お互い顔を背けると、また笑いが起こる。

出航前の宴が始まり、初日のように皆が酔って最後はカイトとエースが残った。

「なあ、カイト」

「ん?」

「ルフィの船に乗るのか?」

「ああ」

「そうか、ルフィの事よろしく頼むな」

「わかってる、エースとサボの分までちゃんとやるよ」

「出来の悪い弟を持つと、心配なんだよ」

「俺からしたら、エースもだけどな」

「うるせぇ」

「ハハ・・・先に『新世界』で待っててくれ、俺達も必ず行くから」

「ああ、待ってる」

「明日は出航なんだ、休んだほうがいいぞ」

「そうするよ、カイト・・・ありがとう」

「気にするな、弟の心配をするのも兄貴の役目だからな」

「そうか・・・じゃあ、寝るよ」

「ああ」

そう言ってエースは空いてる場所に横になり、眠りについた。

(ルフィとの約束まで2年か・・・それまでにもっと強くならないと、エースは絶対に死なせない。ティーチは必ずエースと接触する前に俺が始末を付ける)

しばらく一人で飲んでから、カイトも眠りについた。




翌日目が覚めると、店の外でエースとレイリーの話しているのが聞こえてきた。

(たくっ・・・挨拶くらいしていけよな。まぁ、エースらしいか)

エース達が店から離れていき、少ししてからレイリーとシャッキーが入ってきた。

「あら、カイトちゃん。起きてたの?」

「ああ、今さっきね」

「遅くまで飲んでたみたいだな」

「ちょっと飲みすぎたかも」

「フフ・・・お水持ってくるわね」

「ありがとう」

「師匠、エースはどうだった?」

「エースか・・・血は争えんと言ったところかな。色々話してみると、昔のアイツを思い出したよ」

「そうか、ならいいんだ」

「はい、どうぞ」

シャッキーが水を持ってきてくれた。

「ありがとう」

水を一気の飲みほし、シャッキーの出してくれた朝食を食べていると、電伝虫が鳴り出した。

「もしもし」

「カイトか?」

「ああ、珍しいな。じいさんがかけるって」

「・・・・・・・・・・」

「で、一体何?」

「サカズキがシャボンディに向かった」

「なにっ!?」

「ワシが言えるのは、これだけじゃ」

「わかった」

電伝虫を切ると刀を手に取り、店から飛び出した。

見聞色の覇気で見ると、離れた場所でエースが戦っているのが見えた。

(エースと赤犬の相性の悪さはわかってる、間に合えよ)

その場所まで、全速力で駆けていく。





「グッ・・・クソが」

「「「エース船長」」」

「もう諦めんかい、お前じゃワシには勝てん」

膝をつくエースの前に海軍の『最高戦力』大将・赤犬が立っていた。

「ワシが出てきた以上、お前はここまでじゃ」

サカズキが拳を握ると、ボコボコと腕が沸騰してマグマに変わる。

殴りかかるサカズキの拳を交わして、距離をとり

「火拳」

エースの腕から炎が走り、サカズキに直撃する。

「ハァハァ・・・効かねぇのか」

「いい加減に、諦めんかい」

サカズキの拳がエースに向かって、振り下ろされた。

「「「船長」」」

ギィン!!

エースに当たる直前で、カイトの刀がサカズキの拳を止めていた。

「ギリギリだったけど、間に合ったな」

「カ、カイト」

「おどれ・・・賞金稼ぎが、なんのつもりじゃあ」

「弟の出航を見送りに来たんだよ」

「弟じゃと」

「ああ、だから邪魔するな。赤犬」

「邪魔なんは、おどれじゃ」

(先にエースを逃がしたほうがいいな)

カイトはエースの上着を掴むと、船に向けて投げた。

「ウワァァァァァァァ」

甲板に直撃寸前で、船員にキャッチされた。

「船長、怪我はないですか?」

「俺は大丈夫だ。・・・カイト」

「エース、ここは俺に任せてさっさと行け」

「な、何言ってんだ。出来るわけないだろう」

「エース!!!昨日言ったことは覚えてるか?」

「えっ?」

「先にいけ、俺達はあとで行く・・・だ」

「あ、ああ」

「今はお前が出航する時だ、行け!!!」

「・・・・・・わかった。ありがとう。お前ら・・・出航だ!!!」

「「「はい」」」

帆を張り、徐々に船が沈み始めると・・・ドンっとでかい音が鳴り響いた。

(軍艦からの砲撃か・・・させるかよ)

カイトが腕を横に振ると、腕から雷が飛び砲弾を撃ち墜とした。

「おどれ、能力者か」

赤犬は体をマグマに変え、カイトも拳を構える。

「ああ、ゴロゴロの実の雷人間だ」

「海軍入りを蹴る時点で、悪に近いと思うとったが・・・やっぱりそうじゃったのぅ」

「そうか?・・・俺から見たら『天竜人』みたいなゴミに尻尾を振ってる、お前らの方が悪だと思うけどな」

「世界の理も知らんガキが、大口を叩くのぅ」

「帰ったら、その理も調べてみるさ。エース達も行ったし、もうここに用はない」

「そんなこと気にせんでええわい、ここで消えろ」

「やってみろ!!」

カイトと赤犬は同時に動き、拳同士がぶつかると・・・衝撃波が二人を中心に広がっていく。

「チッ」

「クソガキがぁ」

一度距離を取り・・・

「剃」

赤犬の背後に回り込むと、蹴りを放つ。・・・これは避けられ、裏拳でカイトの顔を狙ってくるがガードして後方に飛び距離をとった。

「チッ・・・ちょこまかと鬱陶しいのぅ」

「素直に帰れば、俺も助かるんだけどな」

「お前を始末したら、帰るわい」

(陸には赤犬と海兵、海には軍艦が3隻か・・・砲弾撃たれてもめんどくさいから、先に沈めるか)

「考え事とは、余裕じゃのぅ・・・大噴火」

赤犬が腕の部分をマグマのように煮えたぎらせてから、カイトに向かって拳を繰り出し巨大なマグマの塊を放ってきた。

(流石にこれは受け止めたら、大変なことになるな)

「剃」

向かってくる、巨大なマグマの塊を交わして・・・

「5000万V万雷」

軍艦に向かって無数の落雷を放つと、火薬に引火したのか主砲の辺りが爆発した。

(これで砲撃はなくなるだろう)

「おどれ、クソガキが・・・」

「砲撃なんかしてくるからだ、俺に構うより救出に行ったほうが良いんじゃないか?」

「お前を始末してからで十分じゃ」

そう言って赤犬が、殴りかかってきた。

「紙絵」

赤犬の拳を避け、隙を狙い

「獣厳」

赤犬の顔を殴りつけた。

「グォッ」

数メートルほど吹き飛ぶ赤犬、それに追いつき手をかざして

「1000万V放電」

「ガアアァァァァァ」

(この辺でいいだろう)

「じゃあな、海軍」

そう言って、その場を離れた。・・・後ろから赤犬の声が響く

「あの悪を逃がすな!!!ここで始末するんじゃ!!!」

「「「「はい」」」」

海兵がカイトのあとを追ってくる。

(チッ・・・めんどくさい。この後どうするか、海兵のいない場所を探すか)

見聞色の覇気で辺りを見ると、ある人物たちを見つけた。

(あいつらって・・・まてよ、赤犬も俺を追ってきているな。・・・・・・よし、上手くいけば面白いことになるな)

カイトは方向転換して、向かう場所を変えた。




カイトの向かった先は、1番GR・・・

赤犬と海兵が追いつく速度で逃げたふりをして、ここに着いた。

「追い詰めたぞ」「もう逃がさん」等の言葉を聞きながら、周りを海兵で囲まれた。

「サカズキ大将が来るまで、絶対に逃がすな!!」

「「「オオー」」」

その言葉と同時に、多数の海兵がカイトに向かってきた。

敵の攻撃をかわしながら、反撃し海兵を倒していく。

かなりの海兵を倒した所に、赤犬が現れた。

「もう逃がさん!!ここで死ね!!」

「やってみろ」

赤犬の体からマグマが溢れ出し、犬の形を作り襲ってきた。

「危なっ」

咄嗟にかわすが、カイトの後を追いかけてきた。

(追尾してくるのかよ・・・)

向かってくる犬に対して、腕を向けると

「5000万V雷鳥」

鳥の形をした雷をぶつけて、相殺した。・・・その隙を狙って赤犬が仕掛けてきた。

「冥狗」

(これって白ひげの顔を削った技だろ)

咄嗟に上体を捻ってかわし、空いている左脇腹に蹴りを入れる。

「グッ・・・」

「危ない技だな・・・」

「しぶといのぅ、いい加減に諦めんか」

「お前らが諦めろ」

一旦距離を取り、赤犬に向けて手を構える。

「次のは気をつけろよ・・・1億V雷龍」

雷の龍を放つ、放たれた龍は赤犬を目指して飛んでいく。

「チッ・・・流星火山」

赤犬の放った火山弾が、カイトと雷龍を目掛けて飛んでいく。

幾つかの火山弾が直撃して、雷龍はかき消された。

カイトは腰に差してある刀を鞘ごと抜き、火山弾をある方向に弾いた・・・そこにいたのは・・・

(これを待ってたんだよ、3個くらい飛ばせばいいか・・・喰らえ天竜人)

弾いた場所にいたのは、3人の天竜人と護衛の黒服が数名・・・離れた場所には首輪を付けられた奴隷がいた。

「「「ギャー」」」

断末魔が辺りに響いた、着弾した音と土煙が上がった。・・・煙が晴れると

カイトの弾いた火山弾が命中し、クレーター状に抉れた地面には黒焦げの死体が転がっていた。

(良かった、奴隷達には当たらなかったな)

「「「わあぁぁぁ、天竜人が殺された」」」

辺りの海兵が騒ぎ出した。

「あ~あ、大将が天竜人を殺しちゃったよ。やばいんじゃないのか、大変だな(棒)」

「おどれは、ここで必ず殺す!!!」

「キレるなよ、お前の攻撃が当たったんだぞ。俺は弾いただけ」

「やかましい!!!」

(ブチ切れてるな・・・まぁ当然か)

赤犬は拳をマグマに変えながら、向かってきた。

「電光」

その瞬間辺りには光熱と雷鳴が響き、視界を遮った。

カイトは赤犬の懐に潜り込み、両手の拳を赤犬の胸につけ

「六王銃」

その瞬間、赤犬の体に衝撃が走った。そして口から血を吐き、前のめりに倒れた。

「「「大将が負けた!!!」」」

海兵達にも動揺が走り、動けなくなったいた。

「俺はここから消える、追ってきたら殺すぞ」

(疲れた、さっさと行かないとな。ほかの大将が来たら、面倒だし)

カイトは奴隷達に近づいて行った。

「お前らの所有者ってのはもう死んだ、首輪を外すから逃げろ」

そう言って首輪を引きちぎり、爆発する前に投げるを繰り返した。

「これでいいだろ、さっさと逃げろ」

「ありがとうございます。ですが私達は、天竜人の所有物の証が刻まれています。ここで逃げてもいつかは捕まり、連れ戻されるので・・・」

(そうだったな、確か逃亡も犯罪なんだよな・・・本当にふざけた法律だな)

「わかった、安全なところまで逃がしてやるから、ついてこい」

「本当ですか?」

「ああ、早く行くぞ」

「「「はい」」」

そう言って奴隷達8人を連れて、その場を後にした。

目指すは13番GR、シャッキー'S ぼったくりBAR

(師匠とシャッキーには挨拶しておかないとな、そのあとはどうしよ)





シャッキー'S ぼったくりBARに着くと中に入る。

「だいぶ派手にやったようだな」

「知ってるんだ、シャッキーも?」

「ええ、カイトちゃんはする事が派手だから。後ろにいるのが助けた娘達?」

「ああ、追っ手から逃すまでは一緒に行こうと思って」

「カイト・・・何処か当てはあるのか?」

「無い。どうするかも決まってない」

「ハハハ・・・」

「師匠、笑い事じゃないって」

「すまん、カイト・・・これを」

レイリーはエターナルポースと手紙を出した。

「これは?」

「そこに行ってみろ、もしかしたらその娘達を匿って貰えるかもしれない」

「ああ」

「絶対じゃ無いが、行ってみる価値はあるだろう。船の用意はしてある、食料や水も積み込んでおいた」

「師匠」

「カイトちゃん、気をつけてね」

「シャッキー」

「さあ、行ってこい。時間はない、ゆっくりしていたら海軍が来るぞ」

「ああ、行ってくるよ・・・次に来るときは海賊王と仲間を連れて、戻ってくる」

「待っているよ」

店を出て、レイリーが用意してくれている船に乗り込む。

(予定外の戦闘になったけど、仕方ないよな・・・天竜人はざまあみろだし・・・とりあえずこの教えられた所に行ってみよう、それからだな)

帆を張り、シャボンディを後にした。



数日後・・・

世界政府直下『海軍本部』

元帥センゴクの前には3人の大将、ガープやその他の中将、海軍の上層部が集まっていた。

「先日のシャボンディ諸島での一件・・・全くとんでもない事をしてくれたものだ」

「すまんかったのぅ、ワシがいながら天竜人の事は「間違っても」・・・」

「間違っても大将の攻撃で天竜人が死亡したなど、あってはならない事だ」

「「「・・・・・・・・・・」」」

「天竜人を手にかけたのは『賞金稼ぎ・カイト』だ。白ひげに手傷を負わせ、大将を倒すほどの奴だ、海軍の威信にかけても捕まえる・・・いいな」

「「「「はっ」」」」


その日、全世界に向けて一人の賞金首の手配書が配布された。



『DEAD OR ALIVE  雷帝・カイト  7億5千万ベリー』




























 

 

9話

カイトの手配書が全世界に配布されてから、数日後・・・

新世界のとある島にて・・・

「親父、これを見てくれよい」

「なんだ?・・・グラララララ、大した奴だと思ったが・・・何をしたらこの金額になるんだ?」

「シャボンディ諸島で、天竜人3人殺害した後に軍艦3隻を沈めて赤犬を倒したらしいよい」

「グラララララ・・・大将に天竜人か、本当に面白いやつだ・・・おいマルコ、今日は気分がいい宴だ」

「わかってるよい」

「初頭の手配でこれか・・・グラララララ、長生きはしてみるもんだな」

「それと、これも見てくれ」

「スペード海賊団の船長エースか、確かカイトの弟もエースだったな」

「ああ、間違いないよい」

「グラララララ・・・そうか」

白ひげは手に持った酒を一気に飲み干し、2枚の手配書を見ながら笑っていた。



東の海、コルボ山

「ルフィ!!これ見てみろ」

「なんだ?」

「この手配書のカイトって、昔お前らと一緒にいた奴じゃないのか?」

「間違いない、カイトだ。ハハッなんだよこの金額スゲー・・・エースに続いてカイトも賞金首か」

「確かお前と一緒に海賊になるんだったな」

「ああ、あと2年だ。俺も負けねえぞ!!!」

その日からルフィの部屋の壁に、エースとカイトの手配書が貼られる事になった。





深海1万mにある、魚人島

「船長、これを見てください」

「ん?・・・これは、どうした?」

「さっき魚人島に着いた海賊が、持っていたんです」

「・・・カイト」

「あの後、大将赤犬を倒して天竜人を手にかけたらしいです」

「倒したのか・・・大将を」

「そうみたいです」

「いま、シャボンディはパニック状態みたいです」

「カイトはどうなったか解るか?」

「天竜人の連れていた奴隷を解放したあと、シャボンディを出たみたいです」

「そうか・・・先に新世界行って、待っているからな」





グランドラインにある、何処かの島

「これは?」

「ああ、今日回ってきた手配書です。シャボンディ諸島で天竜人殺害と軍艦3隻を沈め大将赤犬を倒した男のものです」

「雷帝カイト・・・か」

「ゴロゴロの実を食べた、雷人間らしいです」

「そうか(エースに続いてカイトも出てきたか、いずれはルフィも出てくる)」

「どうかしましたか?」

「えっ」

「いえ、嬉しそうに笑っていたので」

「いや、凄い奴が現れたと思ってな」

「まぁ、確かにそうですね」

(皆それぞれの海に出始めたか、俺の立つ場所は変わったけど・・・大事な兄弟達だ。いつか会う時まで、俺もここで自分のやるべき事をするよ)




海軍本部、訓練場

「先生・・・カイトさんの手配書ですか?」

「ああ・・・アイン、カイトが船から降りる時に言った言葉を覚えているか?」

「はい・・・弟達の為ですよね」

「そうだ、スペード海賊団船長のエースはカイトの弟だそうだ」

「はい、そう言っていたと聞いています」

「本当に兄弟のために、世界を敵に回しやがった」

「・・・・・・」

「これは俺の独り言だ・・・敵であれ味方であれ、一本の筋を通す男は格好良いな」

「はい」

「独り言だ・・・人に言うなよ」

「はい」

(今度会うときは敵同士だが・・・美味い酒が飲めそうだ)





シャボンディを出港して、レイリーに渡されたエターナルポースを頼りに元奴隷8人を匿ってもらえる可能性のある場所を目指していた。

目指す先にあるのは『女ヶ島・アマゾンリリー』

(受け入れてもらえなかったら、どうしよ。・・・いまルフィの事言っても訳わかんないだろうしな、引き受けた以上は知らん振り出来ないし・・・何より船が狭すぎる、3人乗りの船に9人だからな・・・間違いを起こす前になんとかしないと)

ここの来るまでに、カイトは彼女たちに向かっている場所の説明をした。

全員が『逃亡した元奴隷』よりかは、遥かにマシだと女ヶ島に行くことを承知してくれた。

遠くに女ヶ島が見えた時、こっちに近づいてくる海賊船が見えた。

(あの船って海賊女帝のやつだよな・・・海蛇?だったかな船を引いているのは)

海賊船がカイト達の船に隣接し、船から声がした。

「止まれ、これ以上島に近づくことは許さない」

声と同時に、数人の女性が弓を構えながら現れた。

「待ってくれ、敵対するつもりはない。海賊女帝・ボア・ハンコックに手紙を持ってきた、それを渡して欲しい」

「手紙?」

「ああ、冥王シルバーズレイリーからだ(師匠の名前を出せば大丈夫だろ・・・たぶん)」

レイリーの名を出すと、彼女達の後ろから大柄な2人の人物が現れた。

「レイリーから?」

「懐かしいわね」

(あれって、ハンコックの妹だよな・・・名前がわからん)

「そこの男、手紙を持って上がってこい」

「ああ、わかった」

カイトは船の中に、このまま待つように伝えて海賊船に飛び移った。

「俺はカイト、レイリーの弟子だ」

「あ、あなたは・・・」

「ん?・・・これが手紙だ」

そう言って、緑色の髪をした女性に手紙を渡した。

(なんだ?・・・みんな俺の顔を見て驚いてる)

「少し待ってて、姉様に渡してくるわ」

「頼む」

手紙を渡してからも、何故かジロジロと見てくる。

「なあ、俺の顔がどうかしたか?」

「えっ・・・いえ、違うのよ」

「ところであんたは誰だ?」

「私はボア・マリーゴールド、あなたが手紙を渡したのはボア・サンダーソニア。女帝ボア・ハンコックの妹よ。」

「そうなんだ」

「ええ、あなたはレイリーの弟子って言ってたけど」

「7年ほど世話になってた」

「そう」

マリーゴールドと話していると、サンダーソニアが戻ってきた。

「姉様が、会うそうよ。こっちに来て」

「わかった」

サンダーソニアについて行くと、開けた場所に1人の女性が待っていた。

「わらわがボア・ハンコックじゃ」

「俺はカイトだ、今日はあんたに頼みがあって来た(ぶっちゃけ美人だ!!メロメロやられたら石になりそう)」

「レイリーの手紙には、そなたの頼みを聞いて欲しいとあった」

「ああ、俺の連れてきた8人の女を匿って欲しい」

「女?」

「俺の船で待っているんだ、天竜人の奴隷だった奴らだ」

「「「っ!?」」」

カイトの一言で部屋にいる、三姉妹に動揺が走った。

(やっぱりそうなるよな)

「天竜人の手から解放したんだけど、この先の事を考えたら故郷に戻すのも危険だからさ。師匠にもしかしたらって教えてもらって来たんだ」

「では、そなたが雷帝か?」

「雷帝?なんだそれ」

「これよ」

マリーゴールドが手渡してきた手配書を見ると・・・

『DEAD OR ALIVE  雷帝・カイト  7億5千万ベリー』

「・・・・・・はっ?・・・俺の手配書?・・・ハァ~やっぱり手配されるよな」

一緒に渡された新聞を見ると、カイトが軍艦を沈め大将を倒し天竜人を殺害したと書いてあった。

(ほとんど合ってるけど、殺したのは赤犬じゃないのか?俺は弾いただけだし・・・狙ってたから俺がやったのか・・・まぁいいけど)

「ま、まぁ・・・俺だな、この金額はビックリしたけど」

「そうか・・・その記事もか?」

「ああ」

「そうか・・・・・・ソニア、マリー九蛇に帰還する」

「「わかったわ、姉様」」

「ちょっと待ってくれ、俺の船に「わかっておる」・・・えっ」

「そなた達も一緒に来い」

「俺は男だけどいいのか?男子禁制だよな?」

「かまわぬ、そなたはわらわの客人として特別に許可する」

「そうか、ありがとう・・・じゃあ俺は船に戻って、ついていくから」

「わかった」

カイトは部屋を出て、船に向かっていった。

その後、ハンコック達の海賊船に引かれアマゾンリリーに入ることが出来た。

入港した後カイトは一人で九蛇城に招かれ、ハンコック達三姉妹の過去を聞かされた。

天竜人の奴隷であった事、フィッシャータイガーに助けられた事その後にレイリーとシャッキーに保護された事、偶々シャボンディ諸島で生活していた九蛇の先々々代皇帝グロリオーサと会う事でアマゾンリリーに帰ることができたと聞いた。

そして最後に『そなたは奴隷であったわらわ達を、蔑むか?』と聞かれた。

「まさか、そんな事で蔑んだりするくらいなら、ここまでアイツ等を連れてこないだろ。それに天竜人嫌いだしな」

そう答えると、流した涙を拭いながら・・・

「フフフッ・・・そなたを気に入った、望みを叶えよう」

「そうか、ありがとう。じゃあ、俺が連れてきた8人を匿ってくれ」

「わかった、他にはないのか?」

「あ、あと食料と水を分けて欲しい」

「食料と水?」

「ああ、もう船のが無くなりそうだからな・・・次の島まで持ちそうにないんだよ」

「わかった、それも用意させよう」

「ありがとう、ハンコック・・・ソニアとマリーもありがとうな」

「フッ・・・気にするな」

「この後はどこに行くの?」

ソニアが聞いてきた。

「どこに行くかは決まってないけど、準備が出来次第出ていこうとは思ってる」

その言葉に、ピクっとハンコックが反応した。

「もっとゆっくりしていけば良いのに」

「男子禁制にいつまでも居座ってても、ダメだろ」

「大丈夫よ、ねぇ姉様」

「あ、ああ、かまわぬ・・・す、好きなだけいるとよい」

「ありがたいけど、色々とやらないといけない事があるからな」

「やる事?」

「ああ、俺が連れてきたやつらの家族に場所は言えないまでも、生きてる事くらいは教えてやろうと思ってな。あと、俺の帰りを待ってる奴もいるしな」

「どこの」

「ん?」

「ど、どこの女じゃ!!!」

いきなりハンコックが、カイトの胸ぐらを掴み聞いてきた。

「えっ!?」

「「あ、姉様・・・落ち着いて」」

ソニアとマリーがハンコックを落ち着かせようとしたが、妹達の声を聞かずにカイトをグラグラと揺する。

「ま、待て・・・女じゃない、弟だ弟」

「お、弟?」

「ああ、俺には弟が3人いるんだ・・・義兄弟だけどな」

「そ、そうか・・・弟か」

「あ、ああ・・・(ビックリした、なんだよいきなり)」

「す、すまぬ・・・大丈夫か?」

「ああ、大丈夫だ」

「ごめんなさい、姉様が」

「急にだったから、止められなかったわ」

ソニアとマリーも謝ってきた。

「いや、いいよ・・・じゃあ俺はアイツ等の所に行って、家族宛の手紙でも書いて貰うから。船のこと頼むな」

「う、うむ・・・わかっておる」

「ええ、任せて」

「ちゃんと用意しておくわ」

カイトは部屋を出て8人が待つ場所へ行き、アマゾンリリーで匿って貰える事を話し居場所は言わない事を条件に家族宛の手紙を届けることを約束した。

船の準備や手紙を待ったりで3日が過ぎた・・・

明日、島を出る事を伝えて部屋で休んでいたら夜遅くにソニアとマリーがカイトのもとを訪れた。

「遅くにごめんなさい」

「いや、大丈夫だ。どうかしたか?」

「カイト・・・単刀直入にきくわ」

「あ、おう(なんか鬼気迫る感じだな)」

「「姉様をどう思っているの?」」

「・・・・・・はぁ?」

「だから、姉様をどう思っているのかを答えて。カイトが明日島を出ると聞いてから、塞ぎ込まれて・・・」

(これは・・・下手なことは言えないな・・・)

「むずかしいな」

「「えっ」」

「ハンコックはいい女だと思う、外見は凄い美人だしな。時折見せる照れた顔なんかは可愛いと思うし、見てても話しても飽きない・・・3日程しか過ごしてないが、本当に良い女だと思う」

「じ、じゃあ」

「まあ待て・・・俺はハンコックの事は好きだ。でも、この好きが友としてなのか女としてなのかは、正直わからない」

「「・・・・・・・・・」」

「ハンコックは今どこにいるんだ?」

「部屋で休んでいるわ」

「ちょっと話ししてくるな、このまま別れても駄目だろう」

「お願いするわ」

「姉様をお願いね」

「ああ、ちょっと行ってくる」

カイトは部屋を出て、ハンコックのいる部屋を目指した。

(シャボンディで女遊びが過ぎて感覚がマヒしてんのかな?この3日何処に行くのもハンコックが傍にいたし、俺と仲良く話しただけで石にされた戦士も何人かいたな・・・説得して戻してもらったけど、考えてもわからん・・・直接会って話せばいいか)

部屋に着き、扉をノックする。

「だれじゃ」

「俺だ、カイトだ」

「カ、カイト・・・よ、よいぞ、はいれ」

「あ、ああ・・・お邪魔するよ」

中に入ると、酒を飲んで朱に染まった顔を直視してしまった。

(うわっ・・・色っぽすぎるだろ)

「酒を飲んでたのか?」

「ああ・・・寝付けなくてな、飲むか?」

「いただくよ」

ハンコックの横に座り、注がれた酒を一気に飲み干す。空になったグラスに酒が注がれた。

「ハンコック・・・この3日ありがとうな。本当に助かった、俺の連れてきた奴らも、安心して任すことが出来る」

「きにするな・・・わらわはそなたを気に入っただけじゃ」

「そうか」

グラスの酒を半分飲み・・・

「明日、島を出る」

「ああ・・・わかっておる・・・」

ハンコックがカイトの手を握ってきた、横を見ると目に涙を溜めて見上げているハンコックと目があった。

(この顔は反則だろ!!!)

ハンコックの手を握り返し・・・話し始めた。

「俺はな2年後、弟の船に乗って海賊になる約束をしてる」

「そなたが、海賊に?」

「ああ、大事な約束だ」

今までに何度もした話をハンコックに話した。

子供の頃の記憶がない事ルフィ、エース、サボの3人で兄弟の盃を交わした事、弟達の力に成るべくレイリーの元で修業して力を得た事を話した。

「レイリーの元で修業している間にも、ヒューマンショップを襲って金を得たりもした。人攫い屋を潰したり、賞金首を捕らえたりもした・・・女遊びもな」

「・・・・・・」

「ルフィとの約束の時まで強くなりたいと思ったのもあるが、好き勝手に生きてみたいと思ったってのもある・・・まぁ、何が言いたいのかは・・・俺は自分勝手な人間だって事だ」

「そんなことは・・・解っておるわ」

「ん?」

「そなたが女好きで、自分勝手な人間なのもわかっておる」

「そうか」

「それでも、わらわは・・・そなたの事を想っている」

「俺もハンコックの事は好きだよ。でも、この好きが友としてなのか女としてなのかは、まだわからない・・・それでもいいのか?」

「仕方ないであろう・・・ただ条件がある」

「条件?」

「この島にいる限りは・・・わらわだけにせよ、よいな」

「わかった、約束する」

「ならば、よい」

そう言ってハンコックが唇を重ねてきた。

何度も口付けを交わしたあと、カイトはハンコックを抱きかかえてベッドに運ぶ。

「カ、カイト・・・」

「ん?・・・どうした?」

「ま、前にも言ったが・・・わらわの背中には・・・」

「ハンコック、俺が気にすると思うか?」

「・・・ふっ、そうだな」

「全部引っ括めて、愛してやる」

「そうか・・・頼む。ただ、明かりは消してくれ」

「えぇ~~」

「さ、さすがに・・・恥ずかしい」

「わかった、ハンコックの頼みじゃ仕方ない」

「う、うむ」

カイトがハンコックに唇を重ねていき・・・部屋の明かりが消された・・・








翌朝・・・

カイトが目覚めると、隣のハンコックはまだ寝ていた。

(ハンコックって本当に美人だよな・・・じっくり見てるとまつげ長いんだな、髪もサラサラだし・・・ちょっと触ってみよ)

カイトがハンコックの髪をいじっていると・・・

「ん・・・やぁ」

そう言って抱きついてきた。

(か、可愛い・・・)

しばらくして、ハンコックが目覚めた。

「う・・・ん・・・」

「おはよう、ハンコック」

「う・・・む・・・起きておったのか」

「ああ、さっき起きたところだ」

「そ、そうか」

「それにしても・・・」

「なんだ?」

「ハンコック、体力ありすぎ」

ニヤニヤして言うと、布団の中に隠れてしまった。

隠れたハンコックを抱きしめると、背中に手を回してきた。

「今日、出るのだな」

「ああ、また会いに来る」

「うむ、待っておるぞ」

「ああ」

「浮気はホドホドにな」

「気をつけるよ」

「ふふっ」

口付けを交わしたあと、出発の準備をするために部屋を後にした。

準備をして港に向かうと、大勢の人が待っていてくれた。

カイトの連れてきた8人は、涙を流しながら感謝の言葉を言ってくれ、周りの人も任せろと安心できる言葉をかけてくれた。

「「カイト」」

「ソニアにマリーも、世話になった。あの8人のこと頼んだ」

「ええ、任せて」

「姉様のこと、カイトには感謝してるわ」

「今日の姉様は、いつにも増してツヤツヤしてたしね」

「カイトは少し疲れてるみたいね」

「ハハハ・・・まぁ頑張ったしな」

そう言うと、ソニアとマリーはクスクス笑っていた。

そこにハンコックが現れた。

「ハンコック、世話になった」

「ふっ、わらわの方がそなたには感謝している。8人のことは任せておけ」

「ああ、じゃあまたな」

「カイト」

「ん?」

ハンコックが口付けをしてきた。

「「あ、姉様」」

「「「「「「キャーーーーー」」」」」」

ハンコックの行動に、周りが大騒ぎしだした。

「カイト・・・達者でな」

「ハンコックも元気で」

そう言ってハンコック達に別れを告げて、アマゾン・リリーを後にした。

(ルフィの所に行く前に、預かった手紙を渡しに行かないとな。それが終われば、いよいよ出航だ)







 

 

10話

ハンコック達と別れて2年、カイトはフーシャ村に帰ってきた。

アマゾン・リリーを出てから、預かった手紙を渡すために世界を回っていた。

行った先々で、手紙を受け取った家族達は涙を流し喜んでくれた、会えなくても生きていてくれただけでも嬉しいと。すべての手紙を渡し終えると、約束の日まであまり日数がなく急いでフーシャ村に急いで帰って来た。

(予定外に遅くなったな、もっと早く帰ってくるつもりだったのに。ルフィはフーシャ村の港から出港したから、ここで待っててもいいけど・・・どうしよ山に向かうか?まぁ取り敢えずマキノさんの店に行ってみようかな)

村の中を歩き、酒場の前に着いた。

(懐かしいな、全然変わってない。腹も減ったし中に入るか)

中に入ると、中も昔のまま変わっていなかった。

「あら、いらっしゃいませ」

マキノが奥から出てきた。

「久しぶり、マキノさん」

「えっ?」

「分からないかな?」

「・・・・・・あっ、もしかして・・・カイト君?」

「正解」

「え~すごい久しぶりね。大きくなって、わからなかったわ」

「ハハハ・・・まぁ9年も経ったしね」

「もうそんなになるのね、出て行く時に泣いてたのが最近みたいになのに」

「お、俺は泣いてないよ。泣いたのはあの3人だよ」

「フフッ・・・そうだったかしら」

「そうだよ・・・そうしておいて」

「わかったわ・・・あっ座って、何がいいかしら」

「じゃあ、マキノさんのオススメでお願い」

「は~い、待っててね」

席に座り水を飲みながら店内を見渡すと、ルフィやシャンクスとのことが鮮明に思い出せる。

少ししてから・・・

「はい、お待ちどうさま」

「やっぱり、美味そうだ・・・いただきます」

「ふふっ・・・最初に来た時も同じ物を食べてたわね」

「そうだったかな?」

「そうよ、よく覚えているわ。いきなり山賊を倒しちゃうんだもん、印象が強すぎて忘れられないわ」

「ハハ、そんなこともあったな」

「それに、あの手配書見たわよ。すごい金額ね」

「ああ、あれはエースがヤバそうだったから助けた結果だよ」

「そうなんだ、エース君は大丈夫なの?」

「ああ、無事に島からは出港したよ」

「そう・・・頼れるお兄ちゃんね」

「出来の悪い弟を持つと、心配なんだよ」

「ふふふっ・・・あっでも、フーシャ村に帰って来るってどうしたの?」

「ルフィと海に出る約束してたから、戻ってきたんだ」

「えっ!?」

「ん?」

「ルフィと一緒に?」

「うん、そうだけど」

「ルフィはもう行っちゃったわよ」

「・・・・・・・・・・・・はっ?」

「もう一ヶ月くらいになるかしら」

「ええええぇぇぇぇぇぇ~~~」

「いつの約束をしてたの?」

「ルフィが17才になった一ヶ月後の6月5日・・・俺の誕生日に出航するって言ってたんだけど」

「ルフィは誕生日のその日に出て行ったわ、勘違いか忘れてたのね」

「・・・・・・たくっ、アイツは・・・仕方ない、追いかけるか」

「きっと海に出れるのが嬉しくて、忘れてたのね」

「多分そうだろうね、ごちそうさま・・・じゃあマキノさん、行ってくるよ」

「ええ、いってらっしゃい・・・きをつけてね」

「ああ、ありがとう」

酒場を出て、船に向かった。

(ローグタウンに向かってみるか・・・そこに行けばルフィの事が解ると思うし。ココヤシ村に行ってもいいけど、俺手配されてるしな・・・ナミには会いに行くって言ったけど、今度にするか海軍に見つかると、めんどくさい事になりそうだし)

船をローグタウンに向けて、フーシャ村を後にした。



数日後・・・

ローグタウンに上陸することが出来た。

(ここが『始まりと終わりの町』か、海賊王ゴール・D・ロジャーの生まれた場所でもあり、死んだ所か・・・とりあえずここで情報収集してみるか、ルフィの事もわかるかもしれないし)

街に入り広場にある処刑台を目指していくと、ルフィがこの街を通過したことがわかった。

(処刑台が崩れてる、これってルフィのやった事だよな。・・・グランドラインに戻るか)

来た道を引き返していると、カイトの目の前に立ち塞がる人物がいた。

「待ちなさい!!!」

「ん?」

「あなたは雷帝カイトですね。私は海軍曹長たしぎ、名刀『白連』回収します。」

そう言って刀を構えてきた。周りはたしぎの言葉を聞いて、騒ぎ出した。

「たしぎ曹長ね・・・」

「抜きなさい」

「その刀は『時雨』だったな、いい刀だ」

一瞬でたしぎのそばに移動して、ポンッと頭に手を置いた。

「えっ・・・(い、いつの間に、見えなかった)」

「俺の刀が欲しいんなら、もっと強くならないとな」

「・・・・・・クッ」

たしぎが、刀を振りかぶろうとしたとき・・・

「やめろ、たしぎ」

葉巻を咥えた大柄の男が現れた。

「ス、スモーカーさん!?」

「へぇ・・・(これがスモーカーか・・・葉巻を2本同時に吸うって何でだろ?煙が欲しいのか?)」

「雷帝か」

「はじめまして、スモーカー大佐。腐った海軍が多い中で、中々骨のある人物だと聞いてるよ」

「フンッ・・・初めてじゃあねぇよ、2回目だ」

「どこかで会ったことあるか?」

「2年前のシャボンディ諸島だ」

「ああ、赤犬の時か・・・あの時いたんだな」

「チッ・・・覚えてやがらねぇのか。まぁいい、この街に何の用だ?」

「・・・観光だよ。処刑台を見に来たんだけど無くなってたから、もう島から出るところだ」

「本当か?」

「ああ・・・向かって来なければ、手出しはしない」

「・・・・・・わかった、さっさと行け」

「じゃあな・・・たしぎも、またな」

「えっ」

スモーカー達に背を向けて、歩き出した。・・・船に近づいたところで、頭からフードをかぶった男が現れた。

「俺に用か?・・・(この人ってドラゴンか?ルフィの父親の・・・)」

「雷帝カイトか・・・あいつの言っていた通り面白い男みたいだな」

「あいつ?」

「お前の知っている奴だ」

「そうか・・・元気でいるなら、それでいい」

「知っているのか?」

「俺の弟達は、3人共しぶといからな。」

「フフフッ・・・麦わらの一味は5日前にグランドラインに向かった」

「そうか・・・ありがとう」

ドラゴンの横を通り、船に乗り込む。

「あっ、そうだ・・・そいつに伝言を頼めるか?」

「ああ、聞こう」

「心配させたバツに、今度会ったら感電させると言っておいてくれ」

「フッわかった、伝えておこう」

「頼んだ」

そう答えて、帆を張り出港した。



カイトの出港を見ていた、ドラゴンは・・・

(面白い男だ・・・我らの仲間にと考えていたが、無理だな。・・・それにしても、ルフィと共に行くのか?・・・風が吹き始めるか・・・)

カイトの船が見えなくると、ドラゴンの姿もその場から消えていた。



ローグタウンを出てから、数日後・・・

双子岬に到着した。・・・船を着けると一人の人物が近づいてきた。

「・・・また来たか、最近は船が多いな。一人で来る奴は初めてだがな」

「海賊王の元船医、クロッカスさんですよね?」

「ほう、私を知っているのかね?カイト君?」

「ええ、師匠のレイリーから話は聞いています」

「レイリーの弟子か?」

「はい」

「レイリーは元気か?」

「あと50年は死にそうにないですね」

「ワハハハ・・・そうか、元気ならばそれでいい・・・それでここに来たのは何か用があるのかね?」

「ここに麦わら帽をかぶった、海賊はきましたか?」

「ああ、来たぞ。2日前にウイスキーピークを目指して、出港したがね」

「2日前か・・・追いついてきたな」

「知り合いか?」

「ああ、俺の弟なんです」

「ワハハ・・・変わった男だったが、すごい兄が居たものだな」

その後、レイリーの話をしてルフィのあとを追うために、双子岬を後にした。

岬を出て、カイトはクロッカスに貰った手配書を見ていた。その手配書には・・・

『DEAD OR ALIVE  麦わらのルフィ  2千500万ベリー』

(俺がアーロンを倒した事が、影響してるよな。・・・まぁルフィの懸賞金も直ぐに上がるから、気にしなくてもいいか)





ウイスキーピークを目指して、数日船を走らせると島の影が見えてきた。

(ようやく追いついたかな?まだ居てくれたらいいんだけど・・・)

その瞬間、島の近くの海上で船が爆発炎上した。

(イガラムのおっさんが乗ってた船か、って事はルフィはあの島にいるって事だな。先におっさんの方に行っておくか)

見聞色の覇気で辺りを見ると、泳いでいるイガラムを見つけた。

カイトは船をイガラムのいる方に向けて、進んでいった。

少し走るとイガラムを見つけて、船に引き上げた。

「も、申し訳ない、助かりました」

「いや、気にすんなよ・・・大変な目にあったな、イガラムさん」

「なぜ私の名を?」

「あ~覚えてないか、もう5、6年経ったしな」

「・・・・・・あっ・・・もしかしてマリージョアに忍び込んでいた?」

「そう、正解だよ」

「確か、カイト君だったな・・・賞金首として手配された時は、驚いたが。なぜここに?」

「ちょっとルフィに用があって追いかけてたんだよ。そしたらいきなりの爆発を見て近寄ってみたら、あんたがいたから助けただけだ」

「そうか・・・かたじけない」

「相変わらず、堅苦しいな」

「う・・・」

「まぁいいや・・・この船はイガラムさんに貸すから、使いなよ。俺はこのままルフィに会いに行くから」

「ルフィ君に会いに行くのなら、是非頼みたいことが!!!」

「頼み?」

「彼等の船にビビ様が乗っておられる、どうかビビ様を守ってくれないだろうか」

「・・・ルフィ達はなんて言ってた?」

「アラバスタまで、必ず届けると言ってくれた」

「そうか、わかったよ。ルフィがそう言ったんなら、協力するよ」

「本当に・・・かたじけない」

「本当に堅苦しいな。ああ、それと食料と水はある程度積んであるから好きにしてくれ。じゃあまたな」

そう伝えて、月歩で空中を移動して島に着いたあとはルフィの船の方角に、島の中を移動していった。





ルフィ達の船が見える所に来ると、ニコ・ロビンが亀に乗って船から離れるところだった。

(先にロビンの顔も見ておこうかな)

亀が近づいたところで、地を蹴り亀に飛び移った。

「だ、だれ!?」

「はじめまして・・・ニコ・ロビン」

「あ、あなたは・・・」

「俺の事は知ってるみたいだから、自己紹介は省くよ。麦わらの一味はどうだった?」

「なぜそんなことを聞くの?」

「麦わらのルフィは、海賊王になる男だからな。ロビンを守り戦ってくれる男になると思うぞ、あの一味全てお前のために戦ってくれる・・・俺も含めてな」

「っ!?・・・あ、あなたは」

「俺もワケありな人間で、お尋ね者だからな。情報は入るようにしてある・・・クロコダイルやお前の事もな」

「・・・・・・」

「歴史を知ることは、悪じゃない・・・と俺は思ってるけどな。ルフィがクロコダイルを倒す事が出来たら、あの一味を頼ることも考えてみてくれ」

「・・・・・・あなたは何を知っているの?」

「何も知らないよ、色々な情報を集めた結果だ」

「・・・そう」

「じゃあ、もう行くな・・・また会おう、ニコ・ロビン」

「ええ」

ロビンと別れると、カイトは体を雷に変化させルフィ達の元に向かった。



船に近づいていくと、海中から大きなイルカが現れた。

(あ、ぶつかる・・・)

イルカとぶつかった瞬間、辺りに轟音と稲妻が走った。

(すまん・・・イルカ、これは事故だ)

イルカに詫びながら、呆然としているルフィ達の前に降り立った。

「よう、ルフィ・・・久しぶりだな」

「・・・・・・・・・」

反応のないルフィに向かって

「あれ、もしかして俺の事忘れたか?」

「カ、カイトーー」

「ちゃんと覚えててくれたか・・・反応ないから忘れられたのかと思ったぞ」

「忘れるか」

「本当か、俺を置いて出航しただろ?」

「グランドラインに入れば、会えると思ったんだよ。カイトは賞金首になって逃げ回ってフーシャ村には帰れないって聞いたから」

「誰に聞いた?」

「じぃちゃん」

「・・・あのジジイか、俺は逃げ回ってなんかない」

「そうなのか?カイトは帰らない、だから諦めて海軍に入れって言われてたんだよ」

「本当に迷惑なじいさんだ」

「まぁ会えてよかったな」

「ああ、そうだな」

ルフィとの話が一段落して、周りを見るとまだ固まっていた。

「ルフィの仲間か・・・ん?ビビと・・・ナミか?二人とも久しぶりだな」

(ナミも乗ってたのか、アーロンを倒したから乗ってないと思ったんだが・・・)

「カイト二人の事しって「お兄ちゃん」「カイトさん」・・・うおっ」

急にルフィが二人に突き飛ばされ、ナミとビビがカイトに抱きついてきた。

「わっ・・・ちょ、二人共落ち着け」

「こんなに早く会えると思わなかった、ルフィにお兄ちゃんの事を聞いてもしかしたら会えるかもしれないと思ってたのよ」

「私もこんな所で会えると思いませんでした。それにちゃんと覚えてくれてたんですね」

「まあな、忘れたりなんかはしないよ。それにナミもビビも凄く綺麗になったな、ビックリしたよ」

「「本当に?本当ですか?」」

「ああ」

3人で話しているのを見ていた周りの中で、切れた人物が一人・・・

「テメェ銀髪!!なにナミさんとビビちゃんに抱き付いてんだ!!嫌がってるだろうが!!」

サンジがキレ気味に言うと、ウソップが冷静に

「待て、サンジ。抱きついてるのはナミとビビだ・・・嫌がってるようには見えないぞ」

「ウルセェ!!!俺には二人の悲鳴が聞こえるんだ!!!二人を開放しやがれ!!!」

(サンジって・・・病気じゃないのか?)

「サンジ君、うるさい」

「邪魔しないで下さい」

二人の反撃に、サンジはこの世の終わりみたいな顔をして、甲板倒れ込んだ。

「まあ、二人とも一旦離れてくれ話ができない」

二人は不満そうに、離れた。

「おい、ルフィ・・・こいつはお前の知り合いか?」

ゾロの質問に

「そうだ、カイトは俺の兄ちゃんだ」

「「「「「兄ちゃん」」」」」

「まぁ、義兄弟だ」

「むかし、盃を交わしたんだよな」

「ああ」

「そうか、ルフィの兄ちゃんか・・・俺はウソップ、よろしくな」

「カイトだ、よろしくな」

「俺はゾロだ。そこで倒れてるのが、グルマユゲだ」

「そうか」

倒れていたサンジが起き上がると、ゾロに向かっていく

「誰がグルマユゲだ!!!オロスぞ、マリモ!!!」

「誰が、マリモだ!!!切るぞこの野郎!!!」

二人の口喧嘩を聞きながら、ルフィに話しかけた。

「面白そうな仲間だな」

「ああ、すごく楽しいぞ」

そこにウソップが声をかけてきた。

「なあルフィ、お前の兄貴ってことはカイトも強いのか?外見はすごく強そうに見えるけど」

「ああ、すごく強いぞ。俺は一度も勝ったことないしな、賞金額もすごいぞ」

「カイトも賞金首なのか?」

「ああ、2年前に賞金をかけられた」

「へぇー、額はいくらなんだ?」

「7億5千万べりーだ」

「「「えっ!?」」」

ウソップを始め口喧嘩をしていたゾロとサンジも、驚いたようにカイトを見る。

「7億5千万べりー」

「「「・・・・・・・まじ!?」」」

するとナミが1枚の手配書を出してきた、そこには・・・

『DEAD OR ALIVE  雷帝・カイト  7億5千万ベリー』

「俺の手配書か、ルフィとナミとビビは知ってたみたいだな」

「俺はダダンに教えてもらったからな」

「私は村に回って来た手配書を見たわ」

「私はお父様から聞きました」

「結構知られてるんだな。それにしても・・・ビビはともかく、ナミもこの船に乗ってるとは思わなかったな」

「私の夢は、世界地図を描くことなのよ。ココヤシ村付近の測量をしてたらルフィと知り合ったの、その時にお兄ちゃんのことを聞いて一緒にいれば会えるかも知れないと思って・・・ビビはって、どうゆう意味?」

「ああ、ビビはこの船に乗ってるのを聞いたからな」

「誰に?」

「イガラムさん」

「「「「「「えっ!?」」」」」」

ルフィを始め固まっていたゾロ、サンジ、ウソップまでも驚いた顔をした。

「カ、カイトさん・・・本当にイガラムと会ったんですか?」

ビビが問いかけてきた。

「ああ、船が爆発したから見に行ってみたら、泳いでた。だから救助して俺の船を渡しておいた」

「イガラム・・・良かった」

「良かったなビビ、ちくわのおっさん生きてて」

「うん」

(ちくわ?髪型の事か?)

イガラムが生きていた事に一同安堵の表情を見せたあと、改めてカイトの自己紹介をしてルフィの言葉で宴が始まった。

宴が始まり、カイトは質問攻めにあっていた。主にルフィとナミとビビの三人が質問攻めをして、それに対してカイトは肯定や否定をして答えていた。

最初は硬かったゾロ、サンジ、ウソップの三人も、ゾロは一緒に酒を飲み、サンジとウソップは料理と狙撃の腕を褒めると上機嫌になり、美味い酒と料理を楽しく食べることができた。

宴の中で、ビビの故郷アラバスタの現状などを聞き、俺も協力すると約束した。

しばらくして、酔い覚ましといって一人で船首にきた。

(ようやくルフィに追いつけたな、皆も良い奴ばかりだし。ようやく一段落したかな・・・ここに来て10年か、色々あったけど・・・早かったな。俺も良い人に恵まれてるな、これも神様のおかげか?・・・まぁ考えても仕方ないか、今まで通りでもいいだろ)

考え事をしていると、ルフィが肉を持って来た。

「カイト、肉はまだ一杯あるぞ」

「・・・相変わらず、肉ばかりだな。野菜も食えよ」

「う~野菜は力が出ないから、嫌いだ」

「ハハハ・・・本当に、変わらないなルフィは」

「変わったさ、あの頃よりも強くなった。それに、いつかはカイトにも追いつく」

「お前ならきっとなれるよ」

「ししし」

「俺が出て行ってから、ちゃんと修業してたみたいだしな」

「ああ、いつか海に出るために・・・海賊王になる為にな」

「そうか」

「なあ、カイト」

「ん?」

「カイトの夢ってなんだ?」

「・・・・・・夢か・・・なんだろ?」

(夢か・・・こうなりたいってのは無いな・・・う~ん)

「そうだな・・・ルフィやエース、サボの夢が叶うのを見るのが、俺の夢かな」

「それが夢か・・・じゃあ叶うな」

「ああ、期待してるよ」

「任せとけ」

その後、みんなの元に戻り宴の続きに参加した。



さらに数日船を走らせると。

「間違いない!サボテン島と引き合っている、あの島が私達の目的の島よ」

この船の航海士ナミが、みんなに告げた。

「あれかぁ~、グランドライン2ツ目の島だぁ~」

ルフィの声が響き、目的の島『リトルガーデン』に着いた。



















 

 

11話

船がリトルガーデンにつきルフィが冒険にウズウズしていた頃、カイトは船の中でナミに借りた本を読んでいた。

(外が騒がしいな・・・目的地に着いたか)

そこにサンジが入ってきた。

「カイト、島に着いたぜ」

「みたいだな、ルフィの声が大きくてここに居ても聞こえるよ」

「確かに、そうだな。・・・弁当作るけど、なにか食うか?」

「ああ、食べる・・・弁当?」

「ルフィが島に冒険に行くから、弁当が欲しいそうだ」

「着くなり冒険か・・・手間をかけるな」

「気にするな、もう慣れた」

「そうか」

「ああ・・・で、パスタでいいか?」

「頼む」

「了解、ちょっと待っててくれ」

そう言ってサンジは料理に取り掛かり、カイトは本の続きを読み始めた。

少しして

「出来たぞ、特製ミートスパだ」

「サンキュー、サンジ。何を作っても美味そうだな」

「ありがとよ。この船にいる限りは料理に関しては、任せろ」

この数日、サンジの作る飯は何を食っても美味かった。

「なあ、カイト?」

「ん?」

「お前は今まで、世界を回ってきたんだろ?」

「ああ、そうだな、全部の場所に行ったわけじゃないけど」

「オールブルーって知ってるか?」

「オールブルー・・・確か四つの海の魚が生息している海だったかな」

「それだ・・・世界のどこかにあると思うか?」

「ああ、きっとあるよ」

「本当か!!!」

突然のサンジの大声に、他の皆も何事かと部屋の中を見ている。

「このグランドラインは、常識では考えられない事が幾つもある。巨人族や小人族もいるし、海底1万mには魚人族が暮らす魚人島だってある。雷が降る島もあれば、1週毎に季節の変わる島もある。オールブルーもきっとあるさ」

「そ、そうか、そうか」

カイトの言葉を聞き、嬉しそうに頷きながら弁当の用意をしていくサンジ。

「ところで・・・ルフィ、この島に冒険に行くんだろ?」

「ああ、ここには冒険の匂いがする」

「そうか・・・恐らく、ここには巨人族がいる」

「「「「「えっ!?」」」」」

カイトの言葉に、ルフィは嬉しそうに、ナミとビビとウソップは驚いた顔をしている。

一冊の本をみんなに見せた。

「これはナミに借りてる本だが、ここに面白いことが書かれてる」

「「「面白いこと?」」」

「ああ・・・『あの住人達にとってここは、小さな庭の様な物だ。巨人島リトルガーデン』と、書いてある・・・ここだよなリトルガーデンって」

「「「「「・・・・・・・・・」」」」」




その後、ナミとウソップの上陸禁止令をスルーして、ルフィとビビは予定通りに冒険に出かけていき。

ゾロとサンジは何故か、狩り勝負をしに森に入っていった。

「じゃあ、俺も島を見てこようかな」

船を降りようと足を踏み出した瞬間、両手を引かれた・・・振り返り後ろを見てみると

「お兄ちゃんお願いだから・・・」

「カイト、頼むから・・・」

ナミとウソップが涙を流しながら、カイトの手を引っ張っていた。

「・・・俺は残った方がいいか?」

「「うん、お願い」」

二人は泣きながら、頭を縦に何度も振った。

「わかったよ、残ってるか・・・ん?」

「ど、どうしたの?」

「ナミ、ウソップあっちを見てみろよ」

「「えっ」」

カイトの指差す方向を見るナミとウソップ・・・

「いやあああああぁぁぁぁぁぁぁ」

「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁ」

そこには、巨木をへし折りこっちを見ている巨人がいた。

「この島に巨人って、本当にいたんだな」

「おい、お前達・・・酒を持ってないか?」

「酒か・・・少しならあったな」

「そうか・・・持ってるか」

「ああ、いるんなら分けて「ぬわあ!!!!」・・・なんだ?」

突然叫びだした巨人、突然の叫びにナミはカイトに抱きつき、ウソップはカイトの後ろに隠れた。

巨人の後ろを見てみると恐竜が噛み付いていた。

「「きょ、恐竜!?」」

ナミとウソップの声がしたと同時に、巨人が斧を構え振り向きざまに恐竜の首を切り落とした。

「「ギャーーーーー」」

「我こそがエルバフ最強の戦士!!!!ブロギーだ!!!ガババババババ」

切り落とした恐竜の首を、掲げ大声で名乗る。

「肉も取れた、もてなすぞ客人」

「どうする?誘われたし行ってみるか?」

「「・・・・・・・・・」」

二人に聞いてみると、声も出せないくらいに驚き涙を流しながら、首を横に振った。

「ガバババババ、遠慮などするな。さあ、ついてこい」

「諦めろ二人共、行くのは決定らしい」

「「ハァ~~」」

「まぁ・・・何かあったらちゃんと守ってやるから」

「本当に?本当か?」

「あ、ああ・・・(ウソップの夢は勇敢な男になる事だったんじゃないのか?いいけど)」

ようやくブロギーについていくことに納得した二人。

「あっナミ、森に入るから暑くても上着は来ておけよ」

「上着?なんで?」

「この島は太古の状態で時が止まってるんだよ、絶滅したような病原菌が生息してる可能性もあるからな」

「う、うん・・・わかった」

(これだけでも『ケスチア』対策にはなるだろう、後はどうにかしてドラムに向かわないと・・・ドラムのエターナルポースは事前に手に入れておいたから大丈夫だけど・・・俺が感染してもいいかな)

「ブロギー、酒は運んでくれるか?俺達じゃあ、全部は運べない」

「ああ、いいぞ・・・それにしても久しぶりの酒だ」

船内から酒樽を出し、ブロギーに渡すとカイトたち3人は肩に乗せてもらい、ブロギーの住処まで運んでもらった。





カイト達3人はブロギーの肩に乗り、住処に着くと船から運んだ酒とブロギーが倒した恐竜の肉を飲み食いしながら、話を聞いた。

この島にはもう一人の巨人がいてブロギーと決闘中である事、その戦いが100年続き未だ決着してない事、戦いの理由はもう忘れたが『誇り』の為に戦い続けている事、次の島のログが貯まる期間が1年かかると聞きナミとウソップは倒れ込んだ。

そして山が噴火を始めると、ブロギーは斧と盾を持ち『誇りの為の決闘』に向かっていく・・・

巨人二人の戦いは苛烈をきわめる戦いが始まる。

互の攻撃が一撃必殺の威力を持ち、急所狙いの攻撃を繰り出す。

斧と剣がぶつかり合い

盾で受け止め

甲に当てて弾き返す

一撃でも入れば、即死のような猛攻をしのぎ切り、最後は互の拳が顔にめり込み相打ちで戦いは終了した。



ウソップは目の前で繰り広げられた、戦いに見入っていた。

「スゲェ~理由も忘れたのに、こんな戦いを100年も続けてるのかよ」

「はた迷惑な、ケンかよね」

ナミの一言に、ウソップは反論する。

「これが真の男の戦いなんだよ」

「何それ?」

「あの二人は、自分の胸に戦士の旗を1本ずつ掲げている。それは命より大事な旗なんだ、それを決して折られたくねぇ・・・その旗を守る為に100年戦ってきたんだ。これは紛れもなく戦士達の『誇りある決闘』なんだよ」

「・・・・・・・・・」

「これなんだ、俺が目指す『勇敢なる海の戦士』ってのは、俺はこういう誇り高い男になりてぇ」

「ふ~ん・・・あんた巨人になりたいんだ」

「違う!!お前は一体何を聞いてたんだよ!!こんな戦士達が暮らす村があるんなら、いつか行ってみてぇなぁ」

「グランドラインの何処かにあるはずだから、旅をしていれば行けるかもな」

「カイトは、何処にあるのかを知ってるのか?」

「いや、行ったこと無いから場所は知らない」

「そっか・・・でも、いつか行ってみせる」

「ああ、きっと行けるさ・・・ナミ、ウソップ」

「何?」

「どうした?」

「俺ちょっと、離れるから・・・この島に誰かいるみたいだ」

「「えっ!?」」

「恐らく、ビビの敵だろうな」

「「バロックワークス!?」」

「たぶんな・・・じゃあ、ちょっと行ってくる」

「ち、ちょっと・・・」

カイトはナミの言葉を聞かずに、その場を離れた。




ナミ達のいる場所から離れた森の中・・・

「何だお前は?」

黒いコートを着た男と傘を手にしている女の二人組が、カイトの前にいた。

「お前らの味方じゃあ、無いな」

「なら麦わらの一味か?」

「キャハハ・・・Mr.5コイツも消しちゃいましょう」

「そうだな」

そう言うとコートの男は指を鼻に突っ込んだ・・・瞬間カイトがコートの男の顔面を殴りつけた。

「ブヘェ・・・」

コートの男は数m吹き飛び動かなくなり、隣にいた女の肩に手を置き・・・

「10・・・」

放電しようとした時、近くの山が噴火を始めた。

(コートを倒したから、酒が爆発することは無いよな?・・・まだ3が残ってるし、急ぐか)

カイトが一瞬気をそらすと、女は空に舞い上がり・・・

「くらえ、1万キロプレス」

カイトをめがけて、落下してくる・・・

それをヒョイと交わして、地面にめり込んだ女の肩に手を置いて・・・

「えっ・・・ま、待って」

「まぁ・・・少しは加減するよ・・・100万V放電」

「キャアアアァァァァ・・・」

電流を流し終えると、女は意識を失いその場で倒れた。

(こっちは片付いた・・・後は3をどうにかすれば終わりだな)

カイトはその場を離れ、ブロギー達が戦っている場所を目指した。





ブロギ-とドリーは7万3千467戦目の戦いの真っ只中・・・

一進一退の攻防が続き戦いの途中、ドリーが足を滑らせた。

「なっ!?」

「とったぞ、ドリィー」

ブロギーが斧を振り上げ

「一世紀・・・長い戦いだった!!!」

斧を振り下ろす・・・

ドリーに当たる寸前で、カイトの刀が斧を弾いた。

「な、何のつもりだ!!!」

ブロギーの怒りに満ちた声が響く

「悪いな、ブロギー。お前等の決闘を汚したくなかったから、割り込ませてもらった」

「なんだと!?」

「この決闘は、その他の人間に邪魔されている」

「なに?」

「ドリーの足元を見てくれ」

そこには白い物が敷き詰められていた。

話を続けようとすると、ルフィとビビ、カルーがこっちに向かってくる。

「カイト、お前何やってんだ!!!」

反対側からは、ウソップとナミがやってきた。

「戦士の決闘を邪魔しやがって、見損なったぞ!!!」

ウソップが吼える。

「落ち着けお前ら、これには訳が「ウルセェー」・・・はっ?」

「決闘を邪魔するヤツなんか、ぶっ飛ばしてやる!!」

「ルフィ、落ち着け。勘違いだ」

ルフィはカイトの言葉に耳を貸さず、攻撃を仕掛けてきた。

「待てって、ルフィ」

「ウルセェ、絶対にぶっ飛ばしてやる」

ルフィのピストルを交わし、腕が戻り切る前に近づくと

「話を聞け!!・・・『ガープ直伝・愛の拳骨』」

ゴンッと大きな音が響き・・・

「痛てぇー」

ルフィは頭を抱えながら、蹲る。

「いいか話を聞け、いいな?」

「・・・・・・わかった」

ルフィが落ち着いたところで、今までの説明をした。

変な二人組を倒した事、誰かの横槍でドリーが体制を崩した事、この島には後二人の敵がいる事を伝え、この後どうするかを話していると・・・

「フッハッハッハッ、全く私の邪魔をしてくれて困ったものだガネ」

森の中から3の髪型をした男が現れた。

「誰だ、お前?」

ルフィが問うと

「私はMr.3・・・ただの造形美術家だガネ・・・そしてこっちが私の助手写実画家、ミスゴールデンウィークだ」

「ルフィこいつらが決闘を邪魔した奴らだぞ、ビビを狙っている敵だ」

「なに~」

「ぶっ飛ばすか?」

「ああ!!3は俺がやる!!」

「なら俺はもう一人をやるよ」

ゴールデンウィークの後ろに回り込み、首に手刀を入れると地面に倒れた。

「えっ!?・・・クソッ」

「あんにゃろう、逃がすか!!」

ゴールデンウィークが倒されたことに驚いていた3は、我に返ると森に逃げていきルフィが後を追っていく。

(3だけならルフィだけで十分だろ)

その後3を倒したルフィがゾロとサンジを連れて戻ってきた。

ゾロは案の定迷っていたらしく、偶々ルフィに会うことが出来たらしい

サンジは変な小屋を見つけ、中に置いてあった電伝虫でMr.0と話すことができ麦らわの一味を始末したと嘘の報告をしておいた事、Mr.0との会話中に、鳥とラッコが現れそいつらを蹴り飛ばした後アラバスタまでのエターナルポースを持っていたので手に入れた事を聞き直ぐにリトルガーデンを出航することになった。





船を出し、西に向かって進んでいくと・・・

ドリーとブロギーの二人の巨人が現れ、見送るように立っていた。

(確か、デカイ金魚が出るんだったよな)

カイトが考えていると、目の前の海面が徐々に盛り上がっていく・・・

「お前らは、我らの誇りを守ってくれた。ならば我らも、いかなる敵が現れようとも・・・」
   
「友の海賊旗(ほこり)は折らせん!!我らを信じて、まっすぐ進め」

「わかった、まっすぐ進む」

ドリーとブロギーの声に、ルフィが答える。

カイトたちの目の前に、巨大な金魚が現れゴーイングメリー号を飲み込む為に大口を開けている。

ルフィの指示通り、進路を変更することなく金魚に飲み込まれていった。

「「まっすぐ、まっすぐ」」

ルフィとウソップの声が響く・・・

「「覇国!!!」」

瞬間、衝撃が辺りを包むと金魚に大穴が空き、メリー号は空中を飛んでいた。

「振り返るなよ、まっすぐ行くぞ!!・・・なんて、でっけぇんだ!!!」

「海ごと切った・・・これがエルバフの戦士の力!!!」

ルフィとウソップの二人は、感動で震えウソップは涙を流していた。






無事着水して、しばらく船を走らせる。

ルフィとウソップは肩を組みながら、即興で作った肩を組みながらエルバフの歌を歌っている。皆が生暖かく見ている中、カイトはナミの変化に気がついていた。

「ナミ、ちょっと顔が赤くないか?」

「そうかな、あんな体験したから・・・びっくりして動悸が激しいのかも」

「そうか」

カイトはナミの額に手を当てる。

「熱いな・・・ナミ、少し我慢してくれ」

「えっ?」

カイトはナミの服をまくり上げた。

「ち、ちょっと」

いきなりの事に、ナミはうろたえる・・・カイトの行動に切れた人物が一名。

「テメエ、銀髪!!何してやがる!!よくもナミさんの・・・って何だよそりゃ!?」

サンジの驚く声に、皆が集まってくる。

服をまくり上げたナミの腹部には、赤い斑点があった。

「ナミ、島で上着脱いだか?」

「う、うん・・・暑くて脱いでた」

「・・・・・・恐らく、毒ダニに噛まれたと思う」

「「「毒ダニ?」」」

「ああ、俺も本で読んだ程度だが・・・今はもう絶滅した『ある病気』を持ったダニだ。ダニに噛まれて発症したら、40度以上の高熱や様々な合併症を引き起こす可能性もある。それに抗生剤を打たないと」

「ど、どうなるの?」

 ナミが聞き、他の奴らもカイトを見ている。

「五日後に・・・死ぬ」

「「「「「えっ!?」」」」」

カイトの言葉に、あたりがシンッと静まる。

「カ、カイト・・・ナミが助かる方法はないのか!?」

ルフィがカイトに問いかけた。

「・・・医者を探して、5日以内に抗生剤を打てば大丈夫だ」

「ほ、ほんとか・・・ナミは助かるんだな」

「ああ・・・ただ、アラバスタまでは10日以上は掛かるから、進路を変更して医者を探すしかない」

「よし、医者をさが「それはダメよ!!」・・・ナミ?」

ルフィの言葉をナミが遮った。

「ビビには黙ってたけど・・・アラバスタで王国軍が30万人、反乱軍に寝返ったと新聞に書いてあった・・・これ以上遅れると、もっとひどい状況になる」

「そ、そんな・・・」

ビビが言葉につまる。

「大丈夫よ、私は寝ていれば治るわ・・・このままアラバスタに向かいましょう」

ビビは顔を上げると・・・

「みんな・・・私は全速力でアラバスタに向かわなければならない」

「「「「・・・・・・・・・」」」」

「当然よ!そう約束したじゃない」

「なら、医者を探しに行きましょう。一刻も早くナミさんに元気になって貰って、それからアラバスタに向かう。それが・・・この船の最高速度でしょう?」

「そぉーさ、それ以上の速度は出ねぇ」

ビビの言葉に、ルフィは頷く

「いいのか?お前は王女として国民100万の心配しなきゃなんねぇんじゃねぇのか?」

「そうよ!!だから、ナミさんを病気を治してアラバスタに向かうの」

ウソップの問いに、ビビはそう答える。

「よく言ったぜビビちゃん。ますます惚れたよ」

「フンッ・・・いい度胸だ」

サンジとゾロもビビの提案に、笑いながら頷いている。

「ビビ、みんな・・・私のせいで、ごめんなさい」

「ナミさんのせいなんかじゃあないわ、あの島に上陸した以上誰がなってもおかしくないもの」

ナミの謝罪を、ビビは笑いながら答えた。

みんなの意思が固まった時に、カイトが声をかける。

「ルフィ、みんな・・・提案があるんだが聞いてくれ。・・・リトルガーデンで俺が倒した二人組が持ってたエターナルポースを手に入れたんだが(嘘だけど)これの目的地は、ドラム王国だ」

「「「ドラム王国?」」」

「あっ」

(ビビはわかったようだな)

「ドラム王国はかつて医療大国と言われているほど、医療が発達したところだ。ただ・・・最近はいい噂を聞かないから、どうなってるのかは分からない」

「「「・・・・・・・・・」」」

「ここなら、抗生剤がある確率も高いと思う。・・・ルフィ、ナミがこうなったのは俺に責任がある、俺だけがこうなる可能性に気付いていながら油断していた。だから「関係ねぇよ」・・・えっ?」

「誰の責任でもない!!それに、俺の船のクルーは絶対に死なせない!!」

「ルフィ」

「よぉし、次の目的地は『ドラム王国』だ!!!」

「「「「オオォーー」」」」

ルフィの一声により、麦わらの一味の目的地は・・・

医療大国・ドラム王国に決まった。






 

 

12話

ドラム王国に向かい2日が経ち、カイトの持っていたエターナルポースを手掛かりに航海を続け
ナミの容態は、時間とともに悪化していき熱も40度以上の高熱が続き・・・
意識もなく、弱っていくだけっだった。


そんな時、見張りをしていたゾロから声が聞こえる。

「なあお前ら、海に・・・人が立てると思うか?」
「「「はぁ?」」」
「ちょっとこっちに来てみろ」

ゾロが何かを見つけ甲板にいたルフィ、ウソップ、カイトに声をかけ呼ぶ
呼ばれた三人が行ってみると・・・
海面に立つ人物がいた。

「「・・・・・・えっ!?」」

ルフィとウソップが驚き、声を上げる。カイトは・・・

(コイツ・・・誰だっけ?敵は敵だったような気が・・・下に潜水艇がいるし)

そう考えていると、海面に立つ男が声をかけてきた。

「よう、今日は寒いな」
「・・・・・・うん、今日は冷えるな」
「あ、ああ、今日は冷えるよな」

ルフィとウソップが答える。
カイトは指をその男に向けると、指先から稲妻が走り男を貫いた・・・
雷に撃たれた男は声を出す事なく全身から煙を上げ倒れると、海に沈んでいく。

「「「んなっ!?!?」」」

ルフィ、ゾロ、ウソップの三人は顎が外れそうになるくらいに、口を開いている。

「よし!ドラム王国に進むぞ!!」

カイトが声をかけると・・・

「「「お、お前は鬼か!!!」」」

踵を返すカイトに、三人は声を揃えて批判してきた。

「いいか、お前等。こんな所にあんな変なのがいるって事は、不審者しかいないだろ?オマケにこっちは時間もない、さっさと排除して先を急ぐべきだ。違うか?」
「・・・・・・い、いや・・・違わない」

カイトの言葉に、ルフィが同意し元の持ち場に戻ろうとした時・・・
船の前方から、大きな泡が幾つも現れ海中から球体のような潜水艇が現れ、球体は徐々に変化していき・・・一隻の巨大な船になった。

「でけぇ・・・」
「ヤベェ・・・か、海賊船じゃねぇか」
「チッ・・・この忙しい時に」

ルフィ、ウソップ、ゾロの三人が、船を見てそれぞれ言葉を漏らす。
船のマストの上には、先程カイトの雷に撃たれた男がぶら下がっている。
船の中からどんどん人が現れ、メリー号に乗り移ってくる者、マストにぶら下がって居る男を回収する者、最後に樽のような男がナイフに刺さった肉を食いながらメリー号に乗り込んできた。

(やっぱり、こうなるよな・・・ワポルか)

「フム・・・たった4人か」

そう言うとワポルはナイフごと肉を食べ始めた。

「なんだアイツ・・・ナイフも食べやがった」
「・・・・・・」
「見てるだけで、痛てぇ」

ルフィ、ゾロ、ウソップはもの凄く嫌な物を見るような顔をしている。

「どうした、何があった?」

下からサンジが上がってきた。

「今この船、襲われてるんだ」

ルフィが答える。

「まぁ、見た感じ・・・そうだろうな」

そう答えるサンジの前には、銃を突きつける敵がいた。
ルフィたちの動きが止まると、ワポルがニヤ付きながら近づいてくる・・・

「俺達はドラム王国に行きたいのだ、エターナルポースかログポースを持っていないか?」
「「「「!?」」」」

(こんなところは元と一緒なんだね、まぁシラを切ればいいか)

ワポルの問いに対して、カイトが考えているとルフィが答えた。

「持ってるけど、やらねぇ。仲間を助けるのに必要なんだ」
「「「・・・・・・・・」」」

ゾロ、サンジ、ウソップの三人は、なんで言うんだよと無言の抗議をしているがルフィは気がつかずにスルー。

(はぁ~まぁルフィに誤魔化す選択肢は、ないか)

「持っているなら、よこ「ワポル」・・・ん~なんだ貴様は、様をつけろ。ワポル様だ」

ワポルの言葉をカイトが遮る。

「悪いが、船長の言った通りエターナルポースを渡す事は出来ない。それに、お前らに関わってる時間もない・・・すぐに終わらすぞ」

カイトが言葉を切ると・・・カイトを中心に衝撃波が辺りを通り抜けた。
ワポルを始めメリー号に乗り込んできた敵が、その場に倒れていく・・・

「「「「・・・っ!?」」」」

ルフィを始めゾロ、サンジ、ウソップは目の前の出来事に、立ち尽くしている。

「カイト、お前がこれをやったのか?」
「ああ、そうだ・・・覇気を使った」

ルフィの問いにカイトが答えると

「「「「ハキ?」」」」

全員が首をかしげた。

「詳しくはナミが治ったあとにでも教えるから、先にこいつらを片付けてドラムに行こう」

その後、ワポルを始めメリー号に乗り込んできた者を敵船に投げ返し、ドラム王国を目指して船を進めて行く。





ワポル達を追い返した翌日・・・
カイト、ルフィ、ゾロの三人がナミに付いていると、甲板から声が聞こえてきた。

「島が見えたぞ!!!」

(予定通り3日で着いたな)

「島だってよ。良かったなナミ、これで治るぞ」

そう言いながら、体がウズウズしているルフィ。

「ルフィ、ゾロここは俺が看てるから、甲板に行っていいぞ」
「いいのか?」
「ああ」

答えると同時に、ルフィは甲板に走っていく・・・

「じゃあ俺も行ってくる、ここは任せたぜ」
「わかった」

ゾロも部屋を出ていき、残ったカイトはナミの額にあるタオルを代えたり、防寒用のジャケットを用意したりして時間を潰す。

暫くすると、外が騒がしくなりはじめた。

(島に入ったか・・・俺も用意をして外に向かうか)

ナミにジャケットを着せて防寒をしたあと、横抱きに抱えて部屋を出る。

部屋を出たところで、ナミがうっすらと目を開けた。


「ん・・・ぅん・・・」
「悪い、起こしたか」
「だ、大丈夫・・・」
「島に着いたみたいだ、もう少しで治るからな」
「うん・・・ごめんね・・・迷惑かけて・・・」
「誰も迷惑だなんて思ってないさ、今は少しでも寝てたほうがいい」
「ん・・・わかった」


そう言うと目を閉じると、すぐに寝てしまった。

(急がないとな)

ナミが寝たのを確認したあと、甲板に向かって歩いていく。




カイトが甲板に近づいた時、ルフィの声が聞こえてきた。


「医者を呼んでください!!!仲間を助けてください!!!」


額を甲板につけて、島の住人に頼むルフィとビビ。
その光景に誰も言葉を発する者はなく、辺りはシンッと静まり返る。

(海賊船の船長と一国の王女が仲間の為に土下座する光景なんか、滅多に見れないだろうな)

ルフィの行動を見て静まり返った村人の中から、一人の人物が出てきてルフィに声をかける。


「わかった、村に案内しよう。・・・付いてきたまえ」
「ほんとか、ありがとう」


礼を言って、もう一度頭を下げた。


「ビビの言った通りだった、お前スゲェな」
「ね、言った通りでしょ?戦いだけじゃ駄目って」
「うん、わかった」


そう言って立ち上がるルフィとビビ。


「よし、上陸だ!!!ナミをつれ「もう連れてきてる」・・・カイトいたのか」
「ああ、ナミも一緒だ。早速医者に会いに行こう」
「そうだな、行こう」


ゾロとカルーを船に残し、ルフィたちは島に上陸していく。
途中でサンジがナミを抱いているカイトにキレていたが、ビビの冷たい視線を浴びてうなだれたいた。


(ビビって覇王色持ってたりして・・・ないか・・・ないよな・・・たぶん)


上陸すると、ドルトンが近づいてきた。

「前に一度君とは、会ったことがあるな」
「ああ、覚えてたのか?」
「覚えはいい方でね・・・それに・・・」


ドルトンは視線をビビに向けていた。


「えっ!?」
「君はもしかして、アラバ「ドルトン」・・・」
「悪いが、色々訳ありでな・・・黙っててくれたら、助かる」
「・・・・・・わかった。詮索はしないでおこう。・・・では、村に向かおうか」
「ああ、すまない」
「ありがとうございます」


ドルトンの言葉に礼を伝え、村に向かう。





少し離れた場所にある村『雪の降る村・ビックホーン』に到着したルフィ達。
ドルトンの家に案内されたルフィ達は、この国にいる唯一の医者『魔女』と呼ばれる人物の情報を入手し、ルフィがナミを背負いサンジとカイトが同行する事で決まり『Drくれは』の住む城を目指す事に決まった。

(俺が空を飛んでもいいんだけど、それをすると雪崩が起きてゾロがウソップと合流する事も出来ないから、このままの方がいいだろ)

そんな事を考えていると、ルフィの声が聞こえた。

「じゃあ、行くか!!カイト、サンジ!!!ナミが死ぬ前にな」
「そうだな、急ごう」
「縁起でもねぇ事言うんじゃねぇ!!!このクソ野郎共!!!オロスぞ!!!」

村にウソップとビビを残して、ルフィ達はナミを連れて医者のいる『ドラムロッキー』を目指す。





ドラムロッキーを目指し一直線にしばらく進んでいると・・・
目の前にウサギが数匹現れた。
歯を剥き出しにして、襲い掛かってくるウサギをヒョイっと避けながらドンドン進んでいくルフィ達一行。

(これが肉食のウサギ『ラパーン』か・・・デカいのが後から出てくるんだよな)

繰り返し襲い掛かってくるラパーンに、サンジが切れ

「さっきから、うっとおしいんだよ!!!」

その言葉とともにサンジの蹴りがラパーンに直撃して、前方に飛んでいった。

「何なんだろうな、あいつ」
「ラパーンって肉食のウサギだろう・・・あの大きさは子供だな」
「カイト、知ってんのか?」
「いや、村を出るときにドルトンが言ってただろ?ラパーンに気をつけろって」
「覚えてねぇよ」
「・・・まぁ、覚えてなくても問題ないだろ(大型が出てきたら、その時対処すればいいか)」

その後、子供ラパーンが襲ってくることはなくまた山を登り始めた。



そして・・・

「ん・・・?」
「んん・・・!?」
「・・・・・・・・・」

しばらく走っているとルフィ、サンジ、カイトの前に大型のラパーンが姿を現した・・・
大型ラパーンの肩の上には、先程サンジが蹴り飛ばした小型のラパーンが乗っている。
ルフィ達の姿を捉えたラパーンの内の1匹が・・・

「飛んだ!!!」

高く飛び上がると、鋭い爪をルフィ達めがけて振り下ろした。
咄嗟に振り下ろされた爪を避ける3人。

「嘘だろ・・・この動きは・・・これがドルトンの言ってたラパーンか・・・で、この数か!」

サンジが驚いて、そう呟く。
その呟きが合図のように、目の前のラパーン数十匹が一斉に飛びかかってきた。
ルフィは避け
カイトとサンジは攻撃してきたラパーンを撃退していく。

「くそっ・・・ルフィ森に入れ!!!俺とカイトが援護する」
「わかった」

森に入り襲ってくるラパーンを撃退していくと、徐々に数が減ってくる。
その数は更に減り、辺りにラパーンの姿は無くなっていた。

(そろそろ雪崩が来るか・・・)
「ようやく撒いたみたいだな・・・ルフィ、ナミさんは無事だろうな」
「ああ、攻撃もしてないし、受けてもない」
「そうか」

ルフィとサンジが話している横で、カイトは山の中腹を見ていた。

「二人共、まだ終わりじゃないみたいだ」
「「えっ!?」」
「上を見てみろ」

カイトに促されて見上げると、ラパーンが飛び跳ねているのが見える。

「なにやってんだ?あいつら」
「俺らを追いかけるのをやめたと思ったら、上で何かを始めやがった」
「おそらく、雪崩を起こそうとしてるんだろうな」
「「雪崩!?」」

ルフィは何の事か分かっていないようで、首を傾げている。
サンジは意味が解ったらしく、愕然とした顔をして咥えていたタバコが地面に落ちた。
話をしているあいだにも、ラパーンは飛び跳ね雪の中に亀裂が走り徐々に大きくなっていき。

そして・・・大規模な雪崩が発生した。

発生した雪崩は木をなぎ倒し、積もっていた雪を飲み込み巨大化しながらルフィ達に迫る。

「ルフィ、サンジ。俺の後ろにいろ!!!」

カイトの声が響く。

「な、なんでだ?」
「早く逃げないと、やばいぞ」
「早くしろ!!!」
「「わ、わかった」」

カイトの声に、二人は隠れるようにカイトの後ろに揃った。
二人が後ろに来たのを確認したあと、拳を握り込み構える。
構えた腕を放電させ熱を蓄積させていく。
雪崩がルフィ達を飲み込む瞬間、カイトは構えた拳を突き出した。
その瞬間、カイトの拳から高温の衝撃波が放たれ、目の前に迫っていた雪崩を霧散させていく。

「ス、スゲー・・・カイト、スゲェー」
「・・・・・・・マジか!?」

カイトの後ろでルフィとサンジが、驚きの声を上げている。
しばらくして雪崩も収まり、辺りを見回すと景色が一変していた。
さっきまでは森があった場所が、雪に覆われ一面が真っ白な景色。
カイトたちの周りだけが、雪崩が起こる前の状態だった。

「じゃあ、先を急ごう・・・結構、時間を取られたしな」
「あ、ああ」
「お、おう」

カイトの言葉にルフィとサンジが頷き、目的のドラムロッキーを目指す。




途中ラパーンの再襲撃があったが、雪崩イベントも起こしたあとで遠慮のいらなくなったカイトが殺気を放つと脱兎の勢いで逃げていった。
そして、目的のドラムロッキーの麓にたどり着いた。

「やっと着いたな、よぉーし登るぞ」
「ルフィ絶対にナミさんを落とすなよ」
「ああ」

ルフィとサンジが山に手をかけて、登り始めた。

「ルフィ、サンジちょっと待ってくれ」
「ん?なんだよ」
「早く登らないと、ナミさんの容態が悪くなるだろ」
「分かってるって」

そう言ってカイトはルフィとサンジの上着を掴むと

「ルフィ、絶対にナミを離すなよ」
「あ、ああ」
「よし・・・じゃあ飛ぶぞ」
「「はあっ!?」」

二人の声を聞いた瞬間、カイトは二人を掴んだまま全力で空中に飛び上がった。

「「ぎゃああああぁぁぁぁぁぁ」」

二人の悲鳴を聞きながら

「月歩」
「「ぎゃああああぁぁぁぁぁぁ」」

さらに上を目指して、飛び上がる。
月歩と悲鳴を繰り返し飛ぶこと数十分・・・ようやく山頂に到着した。

「へぇ・・・綺麗な城だな」
「「・・・・・・・・・・・」」

そう呟くカイトの後ろで、ルフィとサンジは雪の上に倒れ込んでいた。

(城の中には誰もいないみたいだし、勝手に邪魔してようかな。このまま外にいてナミの容態が悪化しても駄目だし)

そう考えルフィとサンジを残して、ナミを抱きかかえて城の中に入っていく。
 
 

 
後書き
私事で申し訳ありません。
GWに初めての海外旅行で、イタリアの世界遺産巡りに行っていました。
その余韻がまだ抜けておらず、いつも以上の駄文、文字間違いがありましたら、無視って下さい。 

 

13話

ドラムロッキーの頂上にある城にたどり着くと、誰の姿もなく留守だった。

(まだ戻ってないのか・・・とりあえず、暖をとれる部屋に行ったほうがいいよな)

無人の城の中を探索し、ベッドや色々な器具のある部屋を見つけナミを休ませる。暖炉に火をつけ冷えた部屋を暖めていく、部屋の中を物色して時間を潰していると外が騒がしくなってきた。
ルフィとサンジの声が聞こえ『タヌキだ』『ナミさんの栄養にする』と聞こえるから、おそらくチョッパーを追いかけているんだろうと思う。
そして、ここに向かってくる気配を感じる。

(向かってきているのが『Drくれは』か・・・ドクトリーヌだったかな。ドルトンの話じゃあ140歳なんだよな)

バンッと扉が開き、一人のバアさんが入ってきた。

「誰だい?人の家に勝手に入り込んでるのは」
「ああ、すまない。病人がいて、緊急だったんで中で待たせてもらった。(あんたも無断で城を使ってんじゃなかったか?・・・まぁ、いいんだけど)」
「病人?」
「今ベッドに寝かせてある・・・おそらく『ケスチア』に感染したんだと思う」
「なんだって!?」
「俺は医者じゃ無いから、絶対とは言えないが・・・熱が上がり始めて3日目だ」

カイトが答えると、ドクトリーヌはナミに近づき診察を始めた。
ナミから視線を外して、部屋の入口を見てみると角の生えたトナカイが隠れるようにこっちを見ていた・・・体制は反対で体の大部分を晒すように。

「・・・・・・逆だろ」

声をかけると、ビクッとして体を入れ替える。
今度は顔の一部だけ、こちらに晒すように・・・

「今更遅いぞ」
「う、うるさいぞ・・・に、人間」
「・・・俺はカイトだ、よろしくな」
「・・・・・・」
「お前の名前は?」
「・・・チ、チョッパーだ」
「チョッパーか、よろしくな」
「・・・あ、ああ・・・お、お前は・・・俺を見ても平気なのか?」
「なんで?」
「俺は・・・化物だぞ」
「化物?」

自分の事を『化物』と言って俯くチョッパー。
代わりにドクトリーヌが答えた。

「チョッパーは『ヒトヒトの実』を食べたトナカイさ、人の力を持ったね」
「悪魔の実の能力者か(まぁ、知ってるんだけど)」
「ああ・・・私の弟子でもある」
「弟子?」
「チョッパーには、私の『医術』を叩き込んでる」
「って事は、チョッパーお前は医者か・・・凄いな」
「・・・・・・い、医者なんて言われてもうれしくねぇよ、このヤロウがー!!」
「嬉しそうだな」

ニコニコしながら体を揺らしている、チョッパー。
体全体から嬉しさが溢れているチョッパーを見ていると、ナミの診察をしていたドクトリーヌが声をかけた。

「チョッパーこの娘の処置を急ぐよ、間違いなく『ケスチア』だね」
「えっ?・・・その病原菌はもう絶滅したはずじゃ・・・」
「100年程前になくなったと思ったんだがね・・・太古の島の密林を腹でも出して歩いたのかねぇ」
「・・・思い当たることはあるな」
「心当たりがあるのかい?・・・まぁ、いいさ。一応抗生剤は持ってるからね」
「そうか・・・良かった」
「ドクトリーヌ、おれ準備してくるよ」
「ああ」

チョッパーは薬でも用意するのか、部屋から出ていった。

「じゃあ、俺はナミの事を仲間に伝えに行ってくるか・・・」
「表にいた2人も仲間かい?」
「ああ、麦わら帽子の奴が船長だ」
「そうかい。・・・この娘に関しては、あたしに任せておきな。治療費はたっぷり請求するけどね」
「・・・払える限りで頼むよ」

そう答えて部屋を出ると、ルフィとサンジがいる場所に向かう・・・ルフィ達にナミの治療が始まった事とチョッパーが喋る事のできるトナカイで医者だと伝えると、ルフィが仲間にすると宣言し、ほぼ麦わらの一味加入が決定した・・・たぶん。

その後、半日ほどでナミの意識も戻り、軽い会話は出来るようになった。
チョッパーを勧誘するルフィに、逃げるチョッパー。
サンジはナミの為に栄養満点の料理を作り。
カイトとナミはドクトリーヌから、チョッパーの過去の出来事を聞いていた。

『ヤブ医者・Drヒルルク』

(原作で知ったヒルルクは最高に格好良い男だったよな・・・最後のセリフ『まったく、いい人生だった!!』は名言だと思う)

ドクトリーヌの話が終わったと同時に、チョッパーが部屋に走りこんできた。

「大変だ!!!ドクトリーヌ・・・ワポルが、帰ってきた!!!」
「・・・・・・そうかい」

焦るチョッパーに落ち着いて答える、ドクトリーヌ。
そのまま何も喋らずに、部屋を出て行く。
チョッパーもあとを追って、部屋から出ていった。

「ね、ねえ・・・あの二人・・・大丈夫かな?」
「ああ、何も心配ない。ルフィとサンジもいるしな」
「そう、なら安心ね」
「ナミはゆっくり休んで、病気を治せよ。ドクトリーヌにも言われただろ『ここから出るときは死ぬか完治した時だけだ』って」
「うん」

そう言って横になったナミの額に水を絞った、タオルを乗せる。

「ありがとう」
「良いって、このくらい」

飲んだ薬の影響か、横になるとすぐに眠りに落ちていくナミ。
ナミが寝たのを確認し部屋の中で、静かに時間を潰しているとドォンと爆発音が聞こえてきた。

(ワポルが旗に砲撃した音か・・・)

その後、数回の砲撃音の後にルフィの怒りに満ちた声が城中に響き渡る。

「これは『命を誓う』旗だから、冗談で立ってる訳じゃないんだ!!!お前なんかがヘラヘラ笑ってへし折っていい旗じゃないんだぞ!!!」

少しして、カイトはあることを考え始めた。

(あれっ?・・・確か戦いの前にルフィがジャケットを取りに来ると思ったんだが・・・あっそうか、俺が運んだから、自分の上着を着たままなんだ・・・参戦するつもりだったんだけど、怪我してないサンジもいるからいいか)

見聞色の覇気で見てみると、チョッパーとワポルの側近が戦っているのが見えた。
チョッパーは『ランブルボール』を使い、戦いを有利に進め『七段変形』で姿形を変えていき側近をぶっ飛ばし、見事チョッパーが勝利を収めた。
ワポルは戦いの最中にその場を離れ、城の中に入ってきている。

(確かワポルが持ってる鍵が必要なんだよな、ナミを起こしたくないし・・・俺が行くか)

そう考え、部屋から出ると・・・

「き、貴様は!!!」

都合よくワポルが近くにいたので、瞬時に取り押さえ持っている鍵を探す。
途中暴れるワポルの頭を掴み、床にぶつけると大人しくなった為に懐からすんなりと鍵を拝借する事が出来た。

(これが鍵か・・・後でドクトリーヌに渡せばいいか?治療費を請求された時でもいいか)
「カイトーー」
「ルフィか」

鍵を見ながら考えていると、ルフィが走って来る。

「いまコイツと喧嘩してんだ」
「みたいだな」
「コイツはトナカイの敵で、海賊旗を撃ちやがった。絶対にぶっ飛ばしてやる!!」
「俺が手を出す必要は、ないみたいだな」
「ない!!!」

ルフィが言いながらワポルを睨みつける。
床で頭を打った影響か、ヨロヨロと立ち上がるワポル。
フラフラしながら、階段下の扉の前に立つと。

「ここは、武器庫だ!!!ここの鍵は俺だけが持っている、中には大量の武器が「鍵ってこれか?」・・・」

手に持った鍵を見せて聞いてみる。

「・・・・・・まだだ!!!奥の手はまだ1つ残っている!!!」
「あっ、逃げた。待てー!!!」

逃げたワポルを、追っていくルフィ。
ルフィの姿を見送ると、ナミが部屋から出てきた。

「悪いな、起こしたか」
「あれだけ騒がしかったら、目も覚めるわ」
「確かに」
「もう大丈夫なんでしょ?」
「ああ、ルフィが敵を追い詰めに行ったからな」

そう答えたところで、サンジがナミに気が付き走り寄ってきた。

「ナミさん目が覚めたんだね!!すぐに温かいスープを用意するから」
「ありがとう、サンジくん」

ナミに礼を言われたのが余程嬉しかったのか、常人には不可能な動きをしながら厨房に向かうサンジ。
サンジがいなくなったあと、ナミと部屋に戻ると城の上の方で爆発音が響き窓の外を見てみると、何かが凄い勢いで彼方に吹っ飛んでいくのが見えた。

「今の何かな?」
「さあ、たぶんルフィが勝ったんだろうな」
「なるほどね」

その後サンジか作った料理をナミが食べていると、怪我をしたドルトンの治療を終えたドクトリーヌが現れ治療代に船の積荷と有り金全部を請求されたが、ワポルから奪った鍵を渡すことでチャラにして貰い。
退院に関しては医者の立場から拒否されたが、折れないナミを見て諦めたドクトリーヌの指示の通り、戻ってくる前にここから消えることにした。
ナミを連れて外に出て来ると、ルフィがチョッパーを勧誘している場面に遭遇した。チョッパーは断る理由を色々言っていたが、ルフィが一言。

「うるせぇ!!!一緒に行こう!!!」
「・・・お、おおぉーー」

これでチョッパーの麦わらの一味加入が決定した。








チョッパー勧誘から少しして・・・
麦わらの一味全員、ドラムロッキーから離れたメリー号の前にいた。
目の前でチョッパーは空に向かって吠え、ルフィ達は空に咲く『ヒルルクの桜』に目を奪われていた。

「ウオオオオオォォォォォ・・・ウオオオオオォォォォォ」

そしてルフィの声でみんな船に乗り込み、元ドラム王国を後にした。



出航した船の上では、新しい仲間そして船医トニートニー・チョッパーの歓迎の宴が開かれその途中にゾロが口を開いた。

「カイト、ナミの病気も治ったことだし・・・ハキだったか?・・・それについて教えてくれ」
「そうだったな」

ゾロとカイトの言葉に『覇気』知っているルフィ、サンジ、ウソップはカイトを見ている。
知らないナミ、ビビ、チョッパーは首を傾げていたが、ゾロとサンジがドラム王国に着く前に見た事を説明する。

「「・・・・・・・・・」」
「カイトって、凄いんだな」

ナミとビビは信じられないと、チョッパーは目を輝かせながらカイトを見ている。

「まぁ、覇気って言うのは3種類あるんだけど・・・見聞色、武装色、覇王色の3つがある」
「「「・・・・・・・・」」」
「俺が師匠に教わったことを伝えても、まだ理解できないだろうから・・・見せる方が早いだろう」

そう言って、みんなから離れた場所に移動する。
カイトは自分の目に布を巻き、目隠しをすると

「ルフィ、ゾロ、サンジ何処からでもいいから攻撃をしてくれ・・・本気でな」
「「「なっ!?」」」

カイトの言葉に、全員が驚いたように声を上げる。

「言っただろ、口で説明するよりも自分で見たほうがいいと」
「本気でやっていいのか?」

ルフィが聞いてきた。

「ああ、そうじゃないと意味がないからな」
「わかった。・・・ゾロ、サンジやるぞ」
「・・・ああ」
「後悔させてやるぜ」

ようやくゾロとサンジもやる気になったようだ。

「今から見せるのは、見聞色の覇気だ・・・いつでもいいぞ」

そう言うと3人が一斉にかかってくる。
ルフィは顔を殴りに、ゾロは腹の辺りを切りに、サンジは体制をかがめて足を狙ってきた。
向かっていく3人も、見ていた4人も全員が当たると思っていた・・・
だが、カイトは何事もなく3人の攻撃を避ける。

「「「えっ!?」」」

3人は驚きの声を上げ、動きが止まった。

「驚いてないで、ドンドン来いよ」
「・・・・・・・」
「クソッ」
「舐めやがって」

カイトの挑発に3人は向かっていくが・・・攻撃が当たらない、全てが避けられる。
数分間、カイトは3人の攻撃を避け続けた。拳を斬撃を蹴りを。

(もういいか)

ゾロの斬撃を親指と人差し指で受け止め、サンジの蹴りを右腕で掴み。

「ルフィは俺を後ろから、右足で蹴ろうとしている」
「えっ・・・なんでわかるんだ!?」
「ここまででいいだろ」

そう言って掴んでいた、刀と足を放して目隠しを取る。

「相手の気配をより強く感じる力、これが見聞色の覇気だ。これを高めれば目で見なくても、敵の位置や数さらに次の瞬間何をしようしてるのかを読み取ることができる」
「「「「「・・・・・・・・・」」」」」

全員が固まったように動かずに、呆然とカイトを見ている。

「・・・・・・次の説明をしていいか?」
「「「「「・・・・・・・・・」」」」」

全員が無言で頷く。

(まぁ、始めてみたら驚くか・・・)
「次が武装色の覇気だな。これは見えない鎧を纏ったようなイメージをするんだ、当然硬い鎧は攻撃力にもなる。これの有効なところは悪魔の実の能力者にもダメージを与えることができる」

ルフィの額にデコピンを食らわせる。

「痛てぇ!!!」
「悪魔の実の能力者に対して弱点を突く以外には、この武装色の覇気がこの世で唯一の対抗手段だ。自然系の流動する体も実体としてとらえる事ができる、当然俺にもな・・・で、最後に覇王色の覇気だな」

ルフィ、ゾロ、サンジを一通り見て

「三人とも気を抜くなよ」
「「「っ!?」」」

カイトから衝撃が走り、3人を貫く。
3人とも意識は保っているが、甲板に座り込んだ。

「「「ハァハァ・・・」」」
「今のが相手を威圧する力、覇王色の覇気だ」

原作知識とレイリーに教わった事を、皆に説明していく。
そしてアラバスタに居るクロコダイル。
その能力についても伝えると、ルフィが自分がぶっ殺すと宣言する。
カイトはルフィに、クロコダイルの弱点は水であり戦闘は手足を濡らして戦うことを伝え、まだ覚えてないであろう『ギア』についても提案してみた。
ゴムの体をポンプにして血液促進でドーピング効果を説明し、ルフィにぴったりの技に試してみると一発目で成功したが、すぐにスタミナ切れでダウン・・・

(いきなり成功とか、主人公補正とかあんのかな?・・・スタミナアップはこれからの課題だな)

アラバスタまで、もう少し・・・まぁ何とかなるだろうと思い、手に持った酒を一気に飲み干すカイトであった。