リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~


 

第一話 転機

 
前書き
大輔達の物語が始まります。
最初は前作と似通うところが沢山あると思いますが…。

大輔「リリカルアドベンチャー、始まるぜ」 

 
美しい夕日がお台場の町並みを照らす。
夕日の光を浴びながら、自宅へ向かう、ランドセルを背負った小学校高学年くらいの少年が歩いていた。
少年の名は本宮大輔。
勇気と友情の紋章をデジメンタルという形で継承し、デジモンカイザーが作り上げたキメラモンを奇跡のデジメンタルで進化したマグナモンで撃破し、一乗寺賢を正気に戻し、デジタルワールドに平和を齎した最大の功労者である。

大輔「今日も疲れたなチビモン」

今日もデジタルワールドの復興作業をした大輔達は疲れた表情を浮かべて自身の相棒に言う。

チビモン[うん、俺も疲れたよ。早くチョコ食いたい]

大輔「さっき食ったろ。俺の小遣い大丈夫かな…?」

チビモンに与えるチョコの費用を考え、頭を抱える大輔だが、ふとチビモンの視界の端で光る何かを見つけ、大輔のランドセルから飛び出すと、ゴミ捨て場に向かう。

大輔「チビモン?」

チビモン[だいしゅけ、これ何だ?]

チビモンが持ってきたのは、掌サイズの蒼い宝石である。

大輔「宝石?何でこんなとこに落ちてんだ?」

チビモン[綺麗だな~、光ってるよ]

大輔「光を反射してるだけだって、しかし高そうな宝石だな…」

こういうのに疎い大輔でも、この宝石がそこらの宝石店では扱わないくらいの品物であることは理解出来た。

大輔「大分遅い時間だし…交番に届けるのは明日にするか…」

大輔はそう呟くとブイモンから宝石を受け取ろうとする。
大輔の手が宝石に触れた瞬間。
宝石から凄まじい光が放たれた。

大輔「何だ!!?」

突然の出来事に目を見開く大輔。

チビモン[だいしゅけ!!うわあああああ!!?]

チビモンの叫びが響くが光が収まった時には大輔とチビモンの姿はなかった。
そして大輔達の近くにいた妙な影が巻き込まれたことは誰も知らない。






























そして同時刻の田町では、学校を終えた賢がパートナーと共に自宅に向かおうとしていた。

ワームモン[賢ちゃん、今日もデジタルワールドに行くの?]

賢「うん、あの女が何をする気かは分からないけれど、止めないといけない。それが僕がデジタルワールドに出来る唯一の償いだから」

ワームモン[賢ちゃん…うん、僕は賢ちゃんについていくよ]

賢「…ありがとう」

微笑みを浮かべ、自宅へ向かおうとした瞬間、足元が輝いた。
賢「!?」

ワームモン[賢ちゃん、これ!!]

足元を見遣ると、巨大な魔法陣のようなものがあり、徐々に光が強くなる。
逃げる前に魔法陣から目が眩む程の光が放出され、賢とワームモンは光に呑まれた。
光が収まった時には賢とワームモンの姿はどこにもなかった。 
 

 
後書き
リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~始動。
進化経路

ブイモン→エクスブイモン→パイルドラモン(ジョグレス進化)→インペリアルドラモン(究極進化)→インペリアルドラモン・FM(モードチェンジ)

ブイモン→フレイドラモン(ライドラモン)→ゴールドブイドラモン→マグナモン→マグナモン強化形態→マグナモンX抗体(X進化)

ワームモン→スティングモン→ジュエルビーモン→バンチョースティングモン→ベルゼブモン(暗黒進化)→ベルゼブモン・BM(モードチェンジ)→ベルゼブモンX抗体(X進化)

ワームモン→スティングモン→パイルドラモン(ジョグレス進化)→インペリアルドラモン(究極進化)→インペリアルドラモン・FM(モードチェンジ)

大輔のブイモンはアーマー進化主体で行きたいと思います。 

 

第二話 運命の邂逅

 
前書き
次元漂流した大輔達。
異世界で彼らは何を見る?

ブイモン[リリカルアドベンチャー、始まるぜ!!]

 

 
光に呑まれた大輔は意識を失う。
同時にデジヴァイスと宝石が共鳴するかのように蒼く輝き、デジヴァイスを介してチビモンに宝石のエネルギーが流れ込んで来る。

チビモン[な、何…力が漲る…!!]

身体に莫大なエネルギーが満ち溢れ、チビモンの身体が光り輝く。

チビモン[…チビモン進化!ブイモン!!]

チビモンがブイモンに進化すると、次はデジヴァイスのディスプレイから強い光が放たれ、ブイモンがディスプレイに吸い込まれる。






























そして大輔は意識を浮上させ閉じていた目を開くと、周りは見たことのない町並みが広がっていた。

大輔「ここ…どこだ?」

大輔は辺りを見回すとチビモンがいないことに気付いた。

大輔「チビモン?」

ブイモン『大輔、俺は此処だよ』

腕の辺りからチビモンより若干低いブイモンの声がし、ようやく腰に着けていたデジヴァイスの変化に気付いた。
デジヴァイスのディスプレイにブイモンが映っていたのだ。
大輔はデジヴァイスに触れると、様々な情報が頭に流れ込んで来た。

大輔「っ…」

突然すぎるあまりの情報量に膝をつくが、直ぐに立ち上がる。

大輔「と、とにかく…人を探そう…ここがどこなのか聞かないと…」

頭の不快感に耐えながら人を探そうと再び辺りを見回す。






























そして大輔から大分離れた場所では尻尾と耳の生えた女性と金髪の少女が大輔を見ていた。

?「ねえ、フェイト。あいつ何者だろうね」

女性がフェイトという少女に振り返る。

フェイト「分からない…でもアルフ。あの人ジュエルシードを持ってる…」

フェイトの視線が大輔から大輔の掌に納まっている宝石・ジュエルシードに向けられた。

フェイト「気絶させてジュエルシードを奪い取ろう。あの人には悪いけど…私が攻撃して、もし避けたらアルフがそこを攻撃して。デバイスを持たずに転移したから強敵かもしれない。気をつけて」

アルフ「あいよ」

フェイトとアルフの位置からでは大輔のデジヴァイスが見えないので、大輔が丸腰と判断したようだった。


































大輔が移動を開始しようとした瞬間に。

ブイモン『大輔!後ろ!!』

大輔「っ!!」


ブイモンの呼びかけに大輔は即座に金色の弾を回避する。

アルフ「はあああ!!」

ブイモン『大輔!!左から来る!!』

ブイモンの呼びかけによりアルフの奇襲も何とか回避出来た。

アルフ「ちっ!!こいつやるじゃないか!!だけどこれまでさ!!今だよフェイト!!」

奇襲を回避されたことに舌打ちするが、大輔の背後にフェイトが回り込んだ。

フェイト「バルディッシュ!!」

バルディッシュという武器が電子音と共に変化し、死神の鎌のような形状に変化した。

大輔「っ…!!」

大輔は自身に向けて繰り出される攻撃を防御しようと利き腕ではない左腕を出そうとするが、突如脳裏に1つの言葉が浮かんだ。
そして頭に浮かんだ言葉を叫ぶ。

大輔「…セットアップ!!」

フェイト「っ!!」

デジヴァイスから光が放たれ、光に包まれた大輔に咄嗟に距離を取るフェイトとアルフ。
光が消えた時、そこにはブイモンが勇気のデジメンタルでアーマー進化するフレイドラモンに酷似した甲冑を身に纏う大輔がいた。

アルフ「こいつ…デバイスを隠し持ってたのか!!」

アルフが警戒しながら大輔を睨みつつ、大輔の姿を見つめる。
フェイトもバルディッシュを握り締め、再び突っ込んでいく。一気に肉薄し、バルディッシュを振り下ろす。
大輔はガントレットで守られた左腕で受け止める。

フェイト「っ…」

大輔「…っ!!」

互いの力が拮抗し、両者は全く動かない。
このままではラチがあかないと判断した大輔は右腕に炎を纏わせる。
そして拳を勢いよく突き出す。

大輔「ナックルファイア!!」

フェイト「くっ!!」

拳大の炎をかわし、距離を取るフェイトに、フェイトを援護しようと大輔に突撃するアルフ。

ブイモン[そうはさせないぞ!!ブイショット!!]

デジヴァイスから飛び出すブイモン。
拳に力を込め、拳を勢いよく突き出すと衝撃波が放たれた。

大輔「ブイモン!!」

ブイモン[大輔!!このわけ分かんない奴は俺に任せろ!!]

大輔「…サンキュー!!」

アルフ「こいつ使い魔かい!?」

ブイモン[使い魔?さっぱり分かんないけど大輔には指1本触れさせない!!]

ブイモンがアルフに殴り掛かる。

アルフ「それはこっちだって同じさ!!どきなあ!!」

アルフも向かって来るブイモンを迎撃する。

フェイト「フォトンランサー、ファイア!!」

大輔に向けて金色の魔力弾を連続で放つ。
大輔はフレイドラモンの甲冑をブイモンが友情のデジメンタルでアーマー進化するライドラモンに酷似した甲冑を纏うと、魔力弾に雷撃を繰り出す。

大輔「サンダーボルト!!」

雷撃は魔力弾を相殺し、大輔はフレイドラモンの甲冑時よりも強化された脚力で肉薄すると、フレイドラモンの甲冑に換装すると殴り掛かる。

ブイモン[たあっ!!やあっ!!]

アルフ「くっ、こいつ。小さいせいでやりにくい!!」

ブイモンは体格差を利用しているのか、時折足元の方を狙って攻撃を仕掛けてくる。
ブイモンとアルフのように身長差のある場合、同じくらいの高さか自分よりも大きい敵には技を掛けやすいが、自分より小さい者に対してはパンチも下の方を狙わなければならなくなり、どうしてもやりにくさが否めないのだ。
ブイモンはデジモンの成長期の中でもかなり小柄な部類に入るため、ブイモンはそれを利用して攻撃している。

ブイモン[でやあ!!]

アルフ「うわっ!?」

ブイモンはアルフに足払いをかけると体勢の崩れたアルフにジャンプして両肩に乗り、両足で頭を挟みこむ。

ブイモン[おりゃあああああっ!!!!]

そのまま自分の頭を振り子の錘のように使って後方に倒れこみ、アルフの頭をアスファルトの地面に叩きつけた。
プロレス技に分類されるウラカン・ラナ・インベルティダがアルフに炸裂した。

アルフ「はう~~……」

アルフは目を回して気絶した。
普通の人間なら確実に死んでいるが気絶だけで済んでいるのはある意味流石である。
大輔とフェイトの戦いにも決着が着こうとしていた。

フェイト「アルフ!?」

気絶したアルフに驚き、大きな隙を見せてしまった。
大輔はバルディッシュを勢いよく蹴り飛ばす。

フェイト「しまった…!!」

大輔はフェイトが次の行動に移す前に腕を掴んで、ガントレットの爪を首筋に向ける。

大輔「チェックメイトってやつだな?」

フェイト「う……」

フェイトは、悔しそうな顔をする。

大輔「教えて貰おうか?何で俺を襲った?」

大輔は警戒を崩さず、理由を問う。

フェイト「あなたが持っている宝石…ジュエルシードです。」

大輔「ジュエルシード…これのことか?」

大輔は蒼い宝石を取り出し、フェイトに見せる。
フェイトは肯定の意味で頷いた。

大輔「どうして君がこれを?あ、もしかして…」

フェイト「…っ」

大輔「これの持ち主か?」

フェイト「え?」

フェイトの険しかった表情が崩れ、目を見開いた。

大輔「実はこれ、ごみ捨て場で見つけたんだ。だけどかなりの宝石みたいだったから捨てるとは考えにくいし…君が落とした物だったんだな…」

大輔は掴んでいた手を離し、フェイトの拘束を解いた。
そしてフェイトの手にジュエルシードを手渡した。

大輔「もう落とすんじゃないぞ?」

フェイト「あ、あの…」

フェイトは自分が勘違いしていたことに気付き、声をかける。

大輔「ん?」

フェイト「あなたは時空管理局の人じゃないんですか?」

ブイモン[時空管理局?なんだそれ?]

アルフを引きずって大輔の下まで歩いてきたブイモンが首を傾げる。

大輔「…あのさ、ここ何処なんだ?」

大輔今まで気になっていたことをフェイトに尋ねてみた。

フェイト「え?ここは海鳴市です」

フェイトは大輔の問いに首を傾げながらも答える。

大輔「海鳴市?お台場じゃないのか?」

聞いた大輔は聞いたこともない名前に首を傾げるばかり。

フェイト「お台場?」

そしてフェイトも聞いたことのない名前に首を傾げる。
そしてフェイトはここで1つの可能性に辿り着いた。

フェイト「あの…もしかしてあなたは次元漂流者ですか?」

大輔「次元漂流者?」

フェイト「えっと…次元漂流者というのはこの世界の他の世界。つまり違う次元の世界…特に管理外世界から迷い込んだ人のことです。」

大輔はフェイトから次元漂流者とは何なのかを教えてくれた。
大輔自身も何と無く心当たりがある。

大輔「そういえば俺、このジュエルシードって奴に触れた時の光に飲み込まれて…」

フェイト「多分あなたの魔力と共鳴したんだと思います。」

大輔「そうか…」

大輔が途方に暮れたように溜め息を吐いた。

フェイト「あ、あの…」

アルフ「う~ん…」

大輔、フェイト「「!?」」

ブイモン[あ、起きた。早いな]

アルフ「うぅ…頭がグラグラする…」

大輔「無理もねえ…」

ブイモンがアルフに炸裂させたウラカン・ラナ・インベルティダは本来なら頭をマットに叩き付けるプロレス技。
しかしここにはマットなどない舗装された道路。
アスファルトに勢いよく頭を叩き付けられ、よく気絶程度で済んだと逆にアルフのタフさに感心したいくらいだ。

大輔「というよりブイモン。いつ覚えたんだよあんな殺人技?」

ブイモン[前にテレビでプロレスの試合を見てね。1度でいいからやってみたかったんだ]

技を炸裂させたブイモン本人はかなり御満悦の様子。

アルフ「あれ?フェイト。こいつら誰だい?」

正気に戻ったアルフは大輔とブイモンを見ると首を傾げる。

大輔、フェイト「「え?」」

大輔とフェイトはアルフの発言に目を見張る。

アルフ「というかあたしは何でここに?少し前までリビングに…」

ブイモン[あれ?もしかして…]

御満悦の表情を浮かべていたブイモンの顔が引き攣る。
大輔とフェイトも同様に。

ブイモン[もしかして…]

大輔、フェイト「「(記憶が飛んでる!?)」」

アルフ「フェイト?」

顔を引き攣らせているフェイトに首を傾げるアルフ。

フェイト「え?あ、うん。この人は…えっと…」

大輔「大輔。本宮大輔…よろしくな」

ブイモン[俺、ブイモン。よろしく]

凄い罪悪感を感じつつも、取り敢えず自己紹介。

フェイト「この人達は私達にジュエルシードを渡してくれたの」

アルフ「そうかい。あたしはアルフって言うよ~」

フェイトの言葉に警戒を解いたのか、笑顔を浮かべながら自分の名前を言う。

大輔「さてと…これからどうするかな…」

大輔は辺りを見回しながら頭を掻いた。

フェイト「あの…」

大輔「?」

フェイト「住む所がないならうちに住みませんか?」

大輔「いいのか?」

大輔は目を見開きながら尋ねる。

フェイト「はい。沢山迷惑をかけちゃったし。それにジュエルシードを渡してくれたお礼です。」

フェイトは微笑みながら頷いた。

大輔「そっか…じゃあ、世話になるな。」

フェイト「はい。アルフもいいよね?」

アルフ「フェイトがそう言うならあたしは構わないよ。」

大輔「それじゃあ改めて、俺は本宮大輔。今日からよろしくな」

フェイト「はい。私はフェイト。フェイト・テスタロッサ」

少年と少女の運命の出会いは果たされた。



































?「ふう…」

大輔とフェイト達のいる所からかなり離れた所にある家のベランダにいる少女から深い溜め息が吐かれた。
彼女の名前は八神はやて。
彼女は、足が麻痺しているため車椅子生活を余儀なくされていた。
その上、両親も既に他界し、親類と呼べる人もおらず、天涯孤独の身であった。
朝昼は隣の家の人達等が来てくれたりするが、夜は基本的に独りだった。
人前では明るくしているものの、独りの時はいつも孤独に震えていた。

はやて「あ…流れ星…」

はやては流れ星を見つけると即座に願う。

はやて「家族が出来ますように…」

叶わない願いだと分かっているけれど願わずにはいられない。

はやて「あほやなあ…叶わないって分かってるはずやのに…」

どんどん自分がみじめに思えてきて、はやては泣きながら自嘲の笑みを浮かべた。
その時、庭から眩しい光が溢れた。

はやて「な、何や!?」

突如現れた光に驚きながらも車椅子を動かして庭に向かう。
光が収まった頃にはそこに自分より少し年上に見える少年がいた。
はやては少年に駆け寄ると声を上げる。

はやて「ちょ、どないしたんや!?大丈夫なんか!?」

賢「う…ん…ここは…?」

はやて「大丈夫なん?どうしてここで倒れてたんや?」

賢「えっと…君は?」

はやて「あ、ごめんごめん。私、八神はやて言うねん。」

賢「僕は一乗寺賢…あのここは何処かな?何か見たことがないんだけど」

はやて「ここ?海鳴市や」

賢「海鳴市?そんな所聞いたこともないよ。ここは田町じゃないのかな?」

はやて「へ?田町?何やそれ?」

海鳴市のことを知らないという賢の言葉に首を傾げる。

賢「え?」

はやて「どういうことやの?というよりどうして此処に倒れてたんや?」

賢「えっと、僕はここに来る前に田町にいたんだ。でも足元に魔法陣のようなものが現れて…その後のことは多分君が見た通りだと思う。」

はやて「ふ~ん。世の中不思議なこともあるもんやなあ。」

はやては不思議そうな顔をしながら頷いた。

賢「うん。僕もそう思うよ。まさかこうなるなんて思わなかったよ…」

苦笑しながらはやての言うことに同意する賢。

はやて「ところでこれからどないするんや?行くとこあるんか?」

賢「あ…そういえば無いね……」

賢は困ったように言う。
はやては笑顔を浮かべながら口を開いた。

はやて「行く所が無いならうちに住まへん?」

賢「え?」

はやて「私、物心着く前に両親が死んで独りぼっちなんよ…」

はやてが寂しそうに笑いながら呟いた。

賢「(独りぼっち…)」

賢は彼女の気持ちが良く分かる。
今は家族と和解しているがそれまでの自分はいつも家では孤独だった。

賢「それじゃあ…お世話になるよ…よろしくね」

はやて「ほんまに!?やったあ!!えっと…今何歳?」

賢「僕は11歳だよ。」

はやて「それじゃあ私より年上なんやな…えっと賢さん…」

はやては恥ずかしそうに俯きながら口を開いたり閉じたりを繰り返す。

賢「何かな?」

賢は優しくはやてに先を言うよう促す。

はやて「これから賢さんの事、賢兄って呼んでいいですか?」

賢は一瞬彼女の言葉に驚いたが、すぐに微笑んで頷いた。

賢「勿論だよ。僕も君のような妹が出来て嬉しい。よろしくはやて。」

賢は、はやての頭にポンと手を置くと優しく撫でた。
その手の暖かさにはやては泣きそうになるが、花のような笑顔を浮かべた。

はやて「ありがと!!私、お兄ちゃん欲しかったんや!!賢兄、お腹空いてへん?」

賢「ん?ああ、そういえば…」

はやてに聞かれたと同時に腹の虫が鳴る。

はやて「ほな、今夜は腕によりをかけて作るで!!賢兄、早う!!」

はやては車椅子を素早く動かし、凄まじいスピードでキッチンに向かった。
賢は苦笑すると、家の中に入る。
こうして賢とはやての出会いが果たされた。
彼らの物語が幕を開ける。

 

 

第三話 それぞれの時間

 
前書き
大輔と賢のそれぞれの時間。

賢「リリカルアドベンチャー、始まります。」 

 
大輔とブイモンは好意でフェイトとアルフが暮らすマンションに居候することになったのだった。
大輔「すげえ…一流のマンションじゃん」
ブイモン[大輔の家とは偉い違いだなあ]
さりげなく酷いことを言うブイモンの頭に鉄拳が炸裂した。
大輔「悪かったな!!てめえ、誰のお陰で腹一杯食えると思ってやがる!!」
フェイト「ふふ…」
大輔とブイモンのやり取りにフェイトは吹き出してしまった。
大輔「おい、フェイト。笑うなよ」
大輔も苦笑して、フェイトに言う。
フェイト「あ、ごめんなさい。」
ブイモン[まあまあ気にしなくても…痛あ!?]
大輔「お前が言うな!!」
再び大輔の鉄拳が炸裂したのだった。






































4人はエレベーターに乗るとフェイトとアルフが暮らしている階に向かう。
エレベーターを降りて、フェイトが扉を開ける。
フェイト「どうぞ」
大輔「お邪魔しま~す」
大輔とブイモンは中に入る。
フェイト「私、何か飲み物を持ってきますからソファで寛いでいて下さい。」
フェイトにソファに座るように促されて、大人しくソファに座る。
大輔は今まで気になっていたことをアルフに尋ねる。
大輔「なあ?フェイトって何者なんだ?空を飛んだりしたり、光弾を放ったりして」
フェイト「私は魔導師です。」
大輔「魔導師?」
フェイト「魔力を操り、魔法を扱う人のことです。大輔さんや私のように。」
大輔「へえ」
アルフ「って、何でそんなことに驚いてるのさ?フェイトがあんたもって言ったってことはあんたも魔導師だろ?」
不思議に思ったのか、アルフが聞き返してくる。
大輔「あ、いや。俺は今日魔法の力を初めて使ったんだ。言わば素人」
フェイト「え!?あの身のこなしや戦い方はとても素人には見えなかったけど…」
大輔「分からない。ただこれに触れた途端に戦い方の知識が分かるんだ。まるで知っていたかのように深い知識をくれたんだ。」
フェイト「1種のサポートシステムかな…?」
フェイトがD-3をマジマジと見つめる。
大輔「多分な。ところでアルフも魔導師なのか?」
アルフ「いや、あたしは魔導師じゃなくて使い魔さ。」
大輔「使い魔?」
アルフ「魔導師が使役する1種の人造生物だよ。」
大輔「へえ、フェイトは凄い魔法使いなんだな?」
フェイト「そ、そんなことないですよ…」
大輔の純粋な褒め言葉にフェイトの顔が赤くなる。
アルフを見れば、主が褒められたために上機嫌だ。
大輔「使い魔って言うのはつまりパートナーみたいなもんか」
アルフ「ああ、そいつと同じね」
ブイモン[俺?]
ブイモンは自分を指差して首を傾げる。
アルフ「あんたも使い魔だろ?」
ブイモン[あ、いや。俺はデジモンだよ。]
フェイト、アルフ「「デジモン?」」
今度はアルフとフェイトが首を傾げる番だった。
ブイモン[大輔、話してもいいよね?]
大輔「ああ」
ブイモン[俺はデジタルモンスターって言って、データで出来てる生き物なんだ。普段はデジタルワールドって言うデータの世界で暮らしてる。]
フェイト「ブイモンがデータ…?」
ブイモンをフェイトはマジマジと見つめる。
フェイトからすれば人間と同じくらい感情豊かなブイモンがデータだとは信じられないらしい。
大輔「まあ、こいつは俺の大事なパートナーなんだ。仲良くしてやってくれないか。」
フェイト「あ、はい。よろしくねブイモン。」
ブイモン[おう!!]
大輔「あ、そうだ。後、敬語を止めてくれないか?歳は近そうだし、これからは仲間なるし、それに敬語はちょっと苦手でさ。」
一瞬何度注意しても全く止めてくれない後輩の姿が思い浮かんだが、直ぐにフェイトの方を見遣る。
フェイト「え、あ…うん、これで、いいかな?」
大輔「ああ」
グウ~…。
大輔、フェイト、アルフ「「「?」」」
ブイモン[大輔~、腹減ったあ…]
腹を押さえながら情けない声を出すブイモン。
同時に吹き出す3人。
アルフ「あはは!!それじゃあ夕飯にするかいっと。」
ブイモン[待ってました!!]
大輔「おいブイモン。すまねえフェイト。御馳走になるな」
フェイト「うん。」
こうして大輔とブイモンは夕飯を御馳走になることになったのだが…。






























大輔「………」
大輔はテーブルに並ぶ冷凍食品を見遣る。
1度冷蔵庫を見せてもらったが、あるのは冷凍食品や飲料水、調味料くらいで、食材は入っていなかった。
フェイト「大輔、食べないの?」
アルフ「どうしたのさ?黙っちゃって?」
ブイモン[大輔~?]
不思議そうに大輔を見つめるフェイトとアルフ。
口一杯にご飯を詰め込んで大輔を見るブイモン。
大輔「え?あ、食べる食べる。」
大輔は急いでおかずの冷凍食品を口に運び、ご飯をかきこんだ。
大輔「(フェイトくらいの歳の子だと、料理は難しいかな?アルフは…問題外として、やっぱ居候の身だし、料理くらいは俺がするべきだよな?)」
フェイト「大輔?」
大輔「フェイト。明日から俺が飯を作るよ。明日の朝買い物行くからさ、スーパーの場所を教えてくれ」
フェイト「いいの?」
大輔「ああ、居候の身だし、それくらいさせてくれ。ところでアルフ。何食ってんだ?」
アルフ「何って…」
アルフは自分に出された皿を大輔に見せた。
アルフ「ドッグフードだけど?」
大輔「お前犬か?」
アルフ「違う!!狼だ!!」
大輔「ドッグフードを嬉々として食ってる奴が狼って言っても説得力がねえんだよ!!」
フェイト「?」
ブイモン[なあ、アルフ。それ美味いのか?]
アルフ「ああ、中々イケるよ」
ブイモン[じゃあ俺にも…]
大輔「食うな馬鹿!!とにかく…明日の飯は俺が作る!!」































大輔達が賑やかな夕食を過ごしている中、賢とワームモンも夕食にありついていた。
賢、ワームモン「[頂きます]」
賢とワームモンが手を合わせてはやてお手製の夕食を口に運ぶ。
蛸の形に切ったウインナーを咀嚼する。
賢「………」
はやて「ど、どうや?」
不安そうに賢の反応を待つはやて。
賢「美味しい…」
はやて「へ?」
賢「これ美味しいよはやて!!」
はやて「ほ、ほんまに!?ワームモンは?」
ワームモン[うん、凄く美味しい!!おかわりしたい!!]
はやて「よかったわあ…それにしてもワームモンみたいな生き物なんているんやなあ…最初は芋虫が喋ったかと思ったんやで?」
賢「まあ、普通に暮らしていればワームモンみたいな生き物には会わないよね普通。」
はやて「賢兄、デジタルワールドってどないな世界なんや?」
賢「そうだね、ワームモンみたいなデジモンもいるし、可愛い奴や大きい奴や汚い奴。」
はやて「き、汚い?」
賢「…聞きたい?」
何故か賢から凄まじい威圧感が放たれているため、はやては首を横に振る。
どうやら聞いてはいけないことだと悟ったようだ。
賢「…さて、明日はどうするかな…?まず明日はこの街のことを覚えないと…」
はやて「なあ、賢兄?」
賢「ん?何?」
はやてに話し掛けられた賢は思考を中断して、はやての方に意識を向ける。
はやて「あ、あのな。賢兄、明日の昼。私と一緒に動物園に行かへん?」
賢「動物園?」
はやて「うん。この前福引きで手に入れたんよ。私1人で行ってもつまらへんから…」
賢「…そう。それじゃあ、行こうか。」
はやて「うん!!」
賢は優しげな笑みを浮かべてはやての頭を撫でるのだった。






























大輔「なあ、アルフ。風呂使わせてもらうぞ?」
アルフ「ん~?ああ、いいよ別に」
寝ぼけているアルフが答える。
大輔は風呂場に向かった。
数分後、フェイトが着替えを持ってリビングにやって来た。
フェイト「それじゃあ私、お風呂入って来るね」
アルフ「うん~」
まだ寝ぼけているアルフが深く考えずに答えた。
これが災いを齎すとは知らずに。
ブイモン[なあ、アルフ。今は大輔が風呂に入ってんだけど…]
アルフ「っ…!?しまった!!」
一気に覚醒して風呂場に全速力で向かおうとするが…。
大輔「うわああああ!?フェイト何してんだよ!!!?」
フェイト「ご、ごめんなさい!!」
ブイモン、アルフ[「手遅れだった…」]
風呂場に響き渡る悲鳴にブイモンとアルフは頭を抱えたのだった。































賢「はやて、明日の準備のために風呂に入った方がいいよ」
はやて「そやね。賢兄…」
賢「?」
はやて「一緒に…入らへん?」
賢「……っ!!?!??!!?」
はやての発言に顔を真っ赤にする賢。
言葉を発しようとしても声にならない。
はやて「嫌…なんか…?賢兄…?」
上目遣いで目に涙を溜めたはやてに更に顔が赤くなるが、賢はワームモンに救いを求めるように見遣るとワームモンは首を傾げながら言う。
ワームモン[いいじゃない賢ちゃん。お風呂ぐらい]
ワームモンの言葉は賢の望んでいた言葉ではなかった。
デジモンには性別は存在しないため、そういうのはさっぱりなのである。
賢「(裏切り者…!!)わ、分かった…一緒に…入ろう…」
はやて「うん!!」
はやてを連れて風呂場に向かう賢。
風呂から上がった後、賢が暫くはやてと目を合わせることが出来なくなったのは言うまでもない。





































おまけ

大輔「………」
フェイト「………」
ブイモン[おお、二人共顔が茹蛸のように真っ赤だ]
アルフ「大丈夫かい?」
大輔「…ああ」
フェイト「うん…」
ブイモン[でもさ、普通なら大輔がフェイトの入浴中に入ってお湯をかけられるのが普通だろ?]
アルフ「そうだね。大輔、あんた何乙女やってんのさ?」
大輔「好きでやってんじゃねえ!!」
フェイト「あう…」 
 

 
後書き
第三話終了。 

 

第四話 ブレイブテイマー

 
前書き
もう一人の魔法少女、賢の異世界での初戦闘。
そして、あの選ばれし子供が参戦する。
ワームモン[リリカルアドベンチャー、始まります] 

 
翌朝、早朝に起きた大輔は必要な金を持ってスーパーに行き、食材を買うとマンションに戻り、調理を開始した。
ブイモン[大輔、料理出来るの?]
大輔「基本的な料理なら出来る。それにこれがあるから大丈夫だ」
大輔が買い物袋から取り出したのは一冊の本。
ブイモン[“猿でも出来る料理”?]
料理本であった。






























暫くして大輔はプレーンオムレツとサラダとトーストをテーブルに置き、スーパーで1番安かった林檎ジャムをトーストに塗った。
大輔「それじゃあ頂きます。」
フェイト、アルフ、ブイモン「「[頂きまーす]」」
ブイモンは言い終わると同時に食事にかぶりついた。
フェイトとアルフもオムレツを食べ始める。
大輔も自分の手製のオムレツを食べる。
大輔「…普通だな」
ブイモン[うん、普通]
アルフ「普通だね」
フェイト「私は美味しいと思うよ?」
大輔「え?」
フェイト「だって大輔が私達のために一生懸命作ってくれたから…」
大輔「フェイト…」
大輔は感動した。
これがあの憎たらしい幼なじみや姉なら確実に嫌味や罵倒が飛んで来るから。
大輔「ありがとう。俺頑張るよ」
フェイト「うん」
2人の様子を見てブイモンとアルフは互いの顔を見合わせて苦笑した。
大輔「お前らは今日もジュエルシードを探しに行くんだろ?」
フェイト「うん。」
大輔「そうか、なら俺も一緒に行くよ。」
アルフ「!?」
フェイト「え!?」
大輔「2人だけなんて危険だ。それに俺も魔法が使えるんだ。戦力は多い方がいいだろ?」
フェイト「で、でも!ジュエルシードはとても危険な物なんだよ!?」
大輔「それを言ったらお前らもだろ?」
フェイト「で、でも…」
アルフ「いいじゃないかフェイト。」
ブイモン[それに俺達はお礼だって満足にしてないんだ。これくらいやらせてくれよ]
アルフ「ここは、大輔達の好意に甘えようじゃないか」
フェイト「…分かった。大輔、絶対に無茶しないでね?」
大輔「ああ、お前も無茶をするなよ?」
フェイト「うん」






























朝食が終わって、大輔とブイモンはフェイトとアルフに連れられ、海鳴温泉に来ていた。
大輔「こんな所にジュエルシードがあるのか?」
フェイト「うん。前に此処にあるのを見つけたの。大輔達はゆっくりしてていいよ」
大輔、ブイモン「[分かった。]」
そして大輔とブイモンは折角の機会ということで温泉に入ることにした。
大輔「ふう…温泉なんて初めてだぜ。なんか得した気分。」
ブイモン[だよなあ、ん?大輔、頭に何か乗ってるぞ?]
大輔「ん?こいつはフェレット?」
大輔の頭には1匹のフェレットが乗っていた。
大輔「此処って動物OK…なのか…?」
ブイモン[知らないよ。]
大輔「まあ、折角だし洗ってやるか」
大輔はフェレットを抱き上げ、フェレットの身体を洗ってやる。
しばらくして温泉から上がったのだった。
大輔「風呂上がりと言えば牛乳だよな。牛乳買いに行くか…って、あれ?」
牛乳を買いに行こうとしたら、アルフがフェイトと同い年位の少女3人に絡んでいる。
ブイモン[大輔、あれ止めた方がいいよ]
大輔「そうだな、流石にあれじゃあ子供に絡む酔っ払いだ。」
大輔はアルフに近寄ると後頭部に鉄拳を見舞った。
アルフ「痛っ!?大輔!?」
大輔「子供相手に何をやってるんだよ。ごめんな君達。俺の連れが迷惑かけて。」
?「あ、いえ…」
?「ねえ、なのはちゃん。あの人の頭…」
?「あれユーノじゃないの?」
なのは「あ、ユーノ君!!」
大輔「ん?ああ、このフェレットは君のか?」
なのは「うん。逃げ出しちゃって…」
大輔「次からは気をつけろよ?」
なのは「はい!!あ、私、なのは。高町なのはです!!」
大輔「俺は大輔。本宮大輔だ。よろしくな」
大輔はアルフの首根っこを掴む。
アルフ「ちょ、ちょっと大輔!!」
大輔「本当にごめんな。なのは…と、それから…」
?「私はすずか。月村すずかです!!」
?「アリサ、アリサ・バニングス」
大輔「そうか、すずか、アリサ。3人共、本当にごめんな。アルフ行くぞ」


































アリサ「全くもう!!何なのよあの酔っ払い!!」
「おい、どうしたんだ?」
なのは「あ、遼さん!!」
なのは達の前に現れたのは、太一達と同年齢くらいの少年である。
髪を逆立たせ、首にスカーフを巻いている。
遼「で?何があったんだ?まさか、あの女の子か?」
なのは「あ、はい…そうです」
遼「そうか…まあ、とにかく部屋に戻ろう。ドルモンもツカイモンも待ってるからな」
なのは「はい」






























大輔はアルフを引きずって人目のつかない所に向かう。
大輔「馬鹿狼」
アルフ「ば、馬鹿って…」
大輔「馬鹿は馬鹿だ。お前を馬鹿って言わないで何て言うんだ?よりにもよってあんな人目につきやすい所で子供3人に絡んでどうする!!思念が駄々漏れだったから俺は内容は理解できたけどな。魔法が使えない奴からすればお前は子供3人に絡んでいる酔っ払いにしか見えないんだよ!!大体、お前がしたことはお前がなのは達に絡んだことで相手にジュエルシードが此処にあるって相手に確信を与えるような物だろ!!何でそれを考えずに絡むんだよ!!馬鹿かお前は?正真正銘の馬鹿なのか!?大体お前は…」
アルフ「ああ、もうごめんごめん!!反省してるよ!!もう。まるで姑みたいだよ」
息継ぎ無しで長々と説教されるアルフはたまらずに声を上げた。
ついでに愚痴も忘れず。
大輔「アルフ。説教時間を倍にして欲しいか…?」
アルフ「すみませんでした!!」
ドスの効いた大輔の声にアルフは即座に平身低頭。
大輔「…とにかく、人前でするのは止めろ。何度も言うけど周りからすれば小さな子供に絡んでいるようにしか見えないからな」
アルフ「うぅ…分かったよ…」
大輔「分かればよろしい。さて、フェイトの様子を見に行くか」
アルフ「そうだね」
即座に思考を切り替えてフェイトがいる場所に向かう。






























外に出るとフェイトが太い木の枝に腰掛けていた。
大輔「フェイト、ジュエルシードは?」
フェイト「見つけたよ。封印は今夜するから。」
大輔「OK。疲れたら言えよ?」
フェイト「うん」
大輔は買い忘れた牛乳を買いに再び、中に入る。
すると…。


































なのは「あ…」
大輔「ん?ああ、なのはか。」
なのは「はい。あの…」
大輔「ん?」
なのは「もしかして大輔さんって…」
なのはが聞くか聞かないかで悩んでいるのか、口をモゴモゴと動かしている。
大輔「なんだ?」
なのはが何を聞きたいのかは大体の察しはついているが、取り敢えず聞いてみる。
なのは「あの…」
アリサ「なのは~!何してるのよ早く来なさいよ?」
大輔「…友達が呼んでるぜ?」
なのは「あ、はい。ごめんなさい」
なのはは大輔に謝罪するとアリサに向かって走っていく。
ふと大輔の視線がアリサの腕に収まっている紫色のハムスターのような物に向けられる。
とても見覚えがあるような気がするのだが…。
大輔「まさか…な…」
大輔はその可能性を否定する。
この世界に“アレ”が存在するはずがないのだから。
大輔はそう思い、コーヒー牛乳を購入すると一気に飲み干した。
大輔「ふう…」
大輔はビンをごみ箱に入れると再び、フェイトの元に向かうのだった。






























外に出ると、D-3を持つ。
大輔「ジュエルシードは?」
フェイト「あそこだよ」
フェイトが指差した方向には確かにジュエルシードがあった。
大輔「見張りは俺がやる。もし敵が来たら撃退する。」
フェイト「うん。お願い。バルディッシュ、起きて!封印するよ。アルフ、サポートお願い。」
アルフ「へいへい」
大輔は辺り周辺に気を配ると、気配が3つ程こちらに近付いて来る。
大輔は近付いて来る気配に向かって走り出す。






























その先には、なのはとフェレットとハムスターのような生き物。
大輔「待て、此処から先は立入禁止だ。」
大輔はなのは達の前に立ち塞がる。
なのは「どいて下さい大輔さん!!」
ユーノ「ジュエルシードを早く何とかしなければ!!」
大輔「フェレットが喋った…?成る程、フェイトから聞いた魔法生物か…」
大輔は両腕のガントレットに炎を纏わせ、なのは達に向ける。
大輔「悪いけど、俺達もジュエルシードを狙ってるんでね。ここから先へは通せないな。」
なのは「だったら…っ!!」
大輔「来るか…いいぜ。掛かって来いよ!!」
なのは「ディバインバスター!!」
なのはが大輔に向けてディバインバスターを放つ。
大輔「甘いぜ!こんな単調な攻撃が当たるかよ!!」
大輔は単調な砲撃をたやすく回避すると、拳を突き出す。
大輔「ナックルファイア!!」
大輔の拳から炎が放たれ、なのはに迫る。
なのはは炎を飛行魔法で回避する。
ユーノ「なのは!!」
ブイモン[ブイモンパンチ!!]
ユーノ「ぐっ!!」
ブイモンの拳がユーノの顔面に直撃し、近くの木に叩きつけた。
ブイモン[大輔の邪魔はさせない!!]
?[ふわふわアタック!!]
ブイモン[くっ!!]
ブイモンは背後に気配を感じ、即座にデジモンの体当たりをかわす。
ブイモン[お前、デジモンだな?何で此処にいるんだ!?]
ツカイモン[私は2人の為に此処にいる。私を助けてくれたあの2人のために]
ブイモン[くそ…邪魔させるかあ!!]
ブイモンはユーノとツカイモンに突進する。
大輔となのはの戦いの舞台は空中に移った。
大輔「ジュエルシードの封印もそろそろ終わった頃だろ…こっちも終わりにしようぜ!!」
大輔は拳を構えてなのはに肉薄する。
大輔は渾身の右ストレートを繰り出す。
なのはは上昇して回避するが、次の瞬間、雷撃を受けた。
大輔「残念。本命はパンチじゃなくてこっちなんだな。」
雷撃を受けたなのはの身体は地面に落下した。
ユーノ、ツカイモン「[なのは!!]」
ユーノとツカイモンがなのはを助けに行こうとするが、大輔がなのはの首筋にガントレットの爪先を突き付ける。
大輔「終わりだ。なのは」
なのは「う…っ」
なのはが悔しそうに顔を歪める。
遼「はいはい、そこまでにしてくれないか?」
少し離れた場所から、遼とドルモンが現れた。
大輔「またデジモン…」
遼「お前らジュエルシードが欲しいんだろ?だったら俺達の手持ちのジュエルシードを一個やるし、今回はここから消えるから見逃してくれないか?」
なのは「遼さん!?」
大輔「……」
遼「どうだ?」
大輔「…まあ、いいぜ。ジュエルシードが手に入るし、お前らも邪魔しないってんなら」
遼「ほら」
遼から手渡されたジュエルシード。
そして遼の口からとんでもない内容を聞いた。
遼「お前も大変だな。異世界にまで来て」
大輔「っ!?おい、あんた!!」
遼「俺は秋山遼。お前と似たようなもんだ。それから久しぶりだなブイモン」
ブイモン[え?]
遼「お前は覚えてないだろうけど、もしかしたら別個体かもしれないけどな。また会えて嬉しかったぜ。またな」
そう言って、なのは達と共にこの場を去った遼達。
釈然としない何かを感じながらも、大輔はジュエルシードを持って、フェイト達の元に戻る。






























大輔「フェイト」
フェイト「大輔?それ…どうしたの?」
大輔「ああ、なのはと戦って手に入れたんだよ」
アルフ「ああ、あいつかい?折角警告してやったのに」
大輔「あれは警告じゃなくて誰が何と言おうと脅しだ。なのはの奴は才能はあるけど実戦慣れしてないようだった。このまま実戦を重ねて行けばもっと伸びるかもな。」
フェイト「そう…それも封印しておくね」
大輔「ああ、頼む。」
大輔はなのはから手に入れたジュエルシードをフェイトに渡す。
アルフ「1日でジュエルシードを2つゲット!!ツイてるね~」
大輔「早く帰って飯だな」
ブイモン[早く帰ろう!!今すぐ!!]
ブイモンに促され、大輔達は帰路に着くのだった。






























そして時は大分前に戻り、賢は八神家の玄関前ではやてを待っていた。
賢「はやて、遅いな…」
賢がはやての準備に掛かる時間に首を傾げた。
その時、恰幅のよいおばさんが八神家の前を通り、賢と目が合った。
「あら?もしかして、はやてちゃんのお友達?」
賢「え?あ、はい。そうです。」
「(あらあら、綺麗な子!!)」
賢を一目見て思った感想である。
中性的な顔に黒く艶やかな髪、目付きは少々鋭いが優しさに満ちた瞳、そしてスポーツでもやっていたのだろうひ弱さは感じさせない整った体躯の少年に恰幅のいいおばさんは目を輝かせた。
「(はやてちゃんの彼氏かしら?中々いいじゃない。)」
賢「あの…」
「ああ、ごめんなさい。あなたはこれからはやてちゃんと出掛けるのかしら?」
賢「あ、はい。一緒に動物園に。」
「あらあら!!動物園でデートなの?若いわね~」
賢「デ、デート!?」
おばさんから出て来た“デート”という単語に顔を赤らめた。
「(これは脈ありかしら?)はやてちゃんのような可愛い女の子と2人で動物園に行く。これをデートと言わないで何て言うの?」
賢「デート…」
確かにはやては賢から見てもとても可愛らしく魅力的な少女だ。
そして昨日の風呂では…。
賢「……~~~っ!!」
昨日の風呂での出来事を思い出し、顔を真っ赤にする。
はやてと2人だけで動物園デート。
朝から晩まで彼女と2人。
何故だか急にデートという単語が魅惑的に聞こえ始める。
賢はコホンと咳払いを1つした。
賢「デ、デート……というのは少し大袈裟かもしれませんが、はやての思い出作りには良いかもしれませんね…」
「(真面目な子ね~、うちの子もこれくらい真面目になってくれれば…)」
賢「そ、それにしてもはやて…遅いような…」
「女の子は出掛けるのに時間が掛かるものなのよ。ちょっとの遅刻ぐらい多めに見てやらないと嫌われちゃうわよ」
賢「そ……そういうものですか……」
はやて「ごめんごめん!!遅れてもうた!!」
「あらごめんなさい。邪魔物は退散するわ」
おばさんは退散し、はやてが車椅子を一生懸命動かし、賢の所に来た。
はやて「賢兄、顔真っ赤やで?どうしたん?」
賢「あ、いや…何でもない…よ…」
顔を赤くしながらも、大丈夫と言い切る賢。
はやて「ふ~ん。ほな行こ!!」
賢「はいはい」
賢は車椅子を押して、八神家を後にした。
































そして海鳴市の動物園に着くと辺りを見回した。
賢「結構混んでるな…」
はやて「賢兄、動物園行ったことあるんや?私は友達と何回か行ったで?」
賢「僕は動物園に行ったことが無いんだ…今日が初めて。」
はやて「へえ~、それじゃあ動物園では私が先輩ってわけやね。賢兄、私が何でも教えたるからな!!」
そう宣言すると賢はクスッと笑う。
賢「……じゃあ、お願いしますよ、はやて先輩」
ちょっと意地悪そうな視線を向けられてはやての心臓はドキリと鼓動を打ったのだった。
はやて「せ、先輩って何か照れるわ~(良く見れば賢兄ってイケメンさんやなあ…)」
今更ながらに気づいたはやては顔を赤くして俯いた。
賢「それじゃあ、行こう。何処がいい?」
はやて「えっと…じゃあ、あっち」
賢「あそこね」
はやてが指差した方向に賢は車椅子を押した。
はやて「あ、カンガルーの赤ちゃんや!!」
賢「可愛いね」
母親のカンガルーの袋から顔を出したカンガルーの子供にはやてが目を輝かせる。
賢も穏やかな笑みを浮かべて動物達を見遣る。
賢「はやて、向こうにパンダがいるから見に行こう。」
はやて「うん!!」
賢とはやてはパンダがいる場所に向かう。






























はやて「賢兄、あれ可愛いな~」
賢「うん。」
賢とはやての視線は笹を食べているパンダに向けられる。
笹を食べている姿はとても愛らしい。
はやて「賢兄、今日はほんまにありがとう。」
賢「はやて?」
はやて「私、今日のこと絶対に忘れへん。」
賢「はやて…僕も今日のことは絶対に忘れないよ。」
はやて「…うん。」
賢とはやてが互いを見合って微笑んだ時、何処からか爆発が発生した。
はやて「な、何や!?」
賢「とにかく、ここから離れよう!!」
賢ははやての車椅子を押して、入り口に避難する。






























はやて「賢兄、一体何が起こってるんやろう…?」
賢「分からない…」
賢が辺りを見回すと、女性が女の子の名前を叫んでいた。
「舞ー!?舞ー!?」
賢「どうしたんですか!?」
「む、娘がいないの…もしかして、逸れたんじゃ…」
賢「何だって!?」
賢は爆音が鳴り響く、動物園を見遣り、動物園内に戻った。
はやて「賢兄!?」
賢「直ぐに戻るから、はやては此処で待っているんだ!!」
賢は園内に入ると、逸れた子供を探す。






























賢「何処にいるんだ…何処に…」
「ママァ~~~!!」
賢「あそこか!!」
泣き声に反応し、泣き声がした方向に向かう。
そこには母親と逸れて泣きじゃくる女の子がいた。
女の子の元に駆け寄ろうとした時、空から炎が降ってきた。
賢「っ!!あれは!?」
上を見上げればそこにはバードラモンに酷似したデジモン、セーバードラモン。
この世界には存在しないはずの存在がこの場にいることに目を見開いた。
しかし、何とかしなければと、賢はD-3からワームモンを出す。
ワームモン[賢ちゃん!!]
賢「ワームモン、進化だ!!」
ワームモン[ワームモン進化!スティングモン!!]
成熟期に進化すると、スティングモンは昆虫型デジモンの高いスピードを活かしてセーバードラモンに肉薄する。
セーバードラモンは翼を羽ばたかせ、炎の羽根をスティングモンに喰らわせようとするが、スティングモンは軽やかにそれをかわしてセーバードラモンの顎に蹴りを入れる。
ワームモンは進化する前は弱いが、進化すると高い戦闘力を誇るデジモンに進化出来る。
スティングモン[ムーンシューター!!]
掌くらいの大きさの光弾を作り出し、放った。
セーバードラモンの炎を相殺すると、右腕から鋭利なスパイクを突き出すと、セーバードラモンのデジコアのある胸に向かう。
スティングモン[賢ちゃん!!]
賢「…ああ、これ以上被害を出さないためにも、あのデジモンを倒してくれ」
スティングモン[スパイキングフィニッシュ!!]
鋭利なスパイクがセーバードラモンのデジコアを貫き、粒子となって消えた…かと思えば、粒子はD-3のディスプレイに吸い込まれ、ディスプレイには恐らくセーバードラモンのデジタマらしきものが、映されていた。
賢「デジタマ…?」
ワームモン[賢ちゃん…これ…?]
賢「こんな機能は前は付いていなかった…まだまだこれには隠された秘密があるのか……?この前のアレみたいに」
ワームモン[…そうだね、早く戻ろうよ賢ちゃん。警察が来るよ?]
賢「ああ、そうだね…ん?」
セーバードラモンがいた場所には蒼い宝石が浮かんでいた。
それは、賢の掌にゆっくりと収まる。
賢「これは一体…?まさか、セーバードラモンがここに現れたのはこの宝石の…?」
賢とワームモンがいる所に複数の足音が聞こえて来る。
賢は女の子を背負うと、出口に向かって走り出す。






























そして賢は動物園の入り口に戻ると母親に女の子を渡す。
母親の礼を聞いた後、賢ははやての車椅子を押して、八神家に向けて帰るのだった。
賢「(あのデジモンがいたのは、あの宝石が関係しているのか?なら、あの宝石を探して行けば元の世界に戻れる方法が分かるかもしれない。)」
賢は考えを纏めると、はやての車椅子を押しながら足を進めた。
 
 

 
後書き
遼参戦。
パートナーデジモンはドルモン。
モノドラモンとミレニアモンのデータが融合して新たなデジモンとして再構成されたデジモン。
本当は違うんだろうけど、パラレルワールドだから気にしない。
 

 

第五話 全員集合(笑)

 
前書き
これから、この作品について大輔達に語ってもらいます。
太一達には少しキツイかも。
遼「リリカルアドベンチャー、始まるぜ」
 

 
大輔「え~、この度、皆に集まってもらったのは他でもない…」

アリシア「急にどうしたのお兄ちゃん?」

プロットモン[ああ、最新作、“奇跡と優しさの軌跡”が始動したからよね?]

ツカイモン[あまりにも今更な気もするが…]

なのは「気にしたら負けだよ、気にしたら。」

ユーノ「基本的な話は前作と変わらないようだけど、ルカの性格とキャラの扱いがかなり変わるみたいだね」

アリサ「ああ、それ何となく分かるわ。今まで賢のパートナーデジモンは頑なにピコデビモンだったのに、今作ではワームモンだし」

ワームモン[僕が賢ちゃんのパートナーじゃ、駄目なの…?]

すずか「あ、そういうわけじゃないんだよワームモン。作者さんも悩みに悩んでピコデビモンからワームモンにしたんだから、全く駄目ってわけじゃないの」

ルカ「そうですね、基本的な僕の性格には変化はありませんが、毒舌(一定の人物に対して)が追加されたくらいでしょうか」

フレイモン[頼むから毒舌鬼畜にならないでくれよ…?]

ルカ「それは作者に言って下さい」

スバル「私の出番も増えるかな?」

ルカ「どうでしょうか?まあ、リメイクするんだから出番が増えるのを期待してもいいと思いますよ」

ティアナ「まあ、私達はメインキャラとして出られるんだからいいじゃない」

遼「そういうことだな。今まで、過去作の治の回想でしか出られなかった俺がメインキャラとして抜粋されたんだからな」

賢「遼さんがメインキャラになったから、一部のキャラがメインキャラから脇役に降格しましたがね。」

ドルモン[俺もモノドラモンとミレニアモンのデータの再構成体の成長期として遼のパートナーデジモンに抜粋されたし。]

アグモン(S)[あれ?じゃあ、リインフォースのパートナーはどうなるんだ?]

リインフォース「今までパートナーとしていたドルモンがいなくなるとは寂しいが…新たなパートナーが何なのか楽しみにしている」

シャウトモン[まあ、大体予想はつくけどよ]

ヴィータ「そういえば、ヒカリはヒロインから脇役に降格したよな…。可哀相に」

シグナム「そう言ってやるな…ではこれにて解散」

【待てい!!】

大輔「ん?」

ギルモン[ああっ!!?]

はやて「あ、あんたらは!!?」

ギンガ「何でここに…?」

ルカ「どうしたんですか?……ああ、メインキャラとヒロインから脇役に降格した太一さん、ヤマトさん、タケルさん、ヒカリさんとその他の方達じゃありませんか」

【ぐっ!!】

ヤマト「お、お前…今のは傷ついたぞ…」

ルカ「それは大変ですね♪」

太一「笑いながら言うな!!全然大変そうだと思ってねえだろお前!!」

ルカ「まあ、それはそれとして、あなた達はこの作品に何か不満でも?」

ヤマト「ありまくりだ!!何で今までの作品でメインキャラだった俺達がここに来て今更脇役になるんだよ!!」

ルカ「メインキャラねえ…殆ど脇役に近かったくせに何を言うやら…」

ヤマト「!!」

ルカ「闇の書編が終わったら一気に空気化したあなたが、メインキャラだと思う人は何人いるでしょうねえ…」

ヤマト「空気化…!!?」

タケル「じ、じゃあ、僕はどうなの!?大輔君とは同い年だし、結構出番も多いのに!!」

ルカ「ああ、パートナーが噛ませ犬のタケルさんじゃありませんか」

タケル「噛ませ…!!?」

パタモン[!!?]

ルカ「敗北率100%のセラフィモンではネタとして使えても、シリアスな展開では扱いづらいでしょうねえ。ドミニモンならまだ扱いが違ったかもしれませんが…まあ、それ以前に」

タケル「へ?」

ルカ「あなた作者から嫌われてますもんね♪」

タケル「げふっ!!?」

ヤマト「タケルが再起不能!?」

ヒカリ「あ、あの…」

ルカ「はい?」

ヒカリ「私は一応ヒロインとして、大輔君を支えたりしたんですけど…」

ルカ「ああ、あれは話の都合です。もし闇の書編の後にデジタルワールド行けば、リインフォースさんも02編でついて来るから、あの時のヒカリさんはリインフォースさんの代役みたいなもんです」

ヒカリ「代役…!?」

ルカ「名付けて代役ヒロイン☆あ、もしくは添え物ヒロインでもいいですよ?」

ヒカリ「添え物…ヒロイン…!!」

太一「何でだよ!!02は俺達皆の物語だろ!!?」

ルカ「…最終的には大輔さんと賢さん以外は目立たず、半ば空気となり、仲間は野次を飛ばすだけの物語に成り果てましたが?」

太一「げふう!!」

ルカ「まあ、あのグダグダ感は無印の正式な続編としてしまったから…でしょうね」

はやて「まあまあ、少しでもいい思いをさせようと、うちらはここに集ったんや…だから…」

「ちょっと待った~!!」

全員【!?】

「私を忘れてもらっては困るわ!!」

賢「あ、あなたは!!?」

ワームモン[眼鏡の人!!]

京「違うわよ!!京よ!!井ノ上み・や・こっ!!!!」

ルカ「何だ。お笑い要員兼トラブルメーカーの京さんじゃありませんか」

京「はうっ!!?酷いわよルカ君!!」

ノーヴェ「それに伊織も一緒だぜ?」

ルカ「ええ、伊織君。お久しぶりですね」

伊織「はい。まだ本編では会っていませんけど」

ギンガ「それ言っちゃ駄目だよ」

京「あの~…」

大輔「ブイモン、次の予定は?」

ブイモン[次の予定?えっと…]

京「私、無視されてる…!!と、とにかく!!」

全員【?】

京「脇役なんて真っ平御免よ!!私はメインキャラのあんた達に…特にオリジナルキャラクターのルカ君と大輔と賢君とフェイトちゃんを除いて作者のお気に入りキャラのはやてちゃんに断固抗議するわ!!」

はやて「ちょいとちょいと、うちの人気ぶりに嫉妬しとるんか?いやあ、我ながら罪深い女やわあ」

伊織「京さん、オリジナルキャラクターとはいえルカさんはアットノベルス時代から出演しているベテランなんですから、もう少し礼儀を…」

京「向こうのルカ君とここのルカ君は別人でしょ!!」

チビモン[一応、基本設定は踏襲してるんだけどね…]

ルカ「向コウノ僕?ハテ、何ノ事デショウネ?(棒読み)」

はやて「ウン、サッパリ意味ガ分カラヘンワ~(超棒読み)」

空「凄い棒読み…」

はやて「とにかくや!!私が目立つのは、シリアスとギャグのストーリーを清い心で作者の思ったとおりに動いた結果なんや。」

全員【(清いって、どの口がそれを言うんじゃ…)】

はやて「京ちゃんはギャグでは動かしやすいんやろうけど、シリアスでは動かしづらいんやから仕方ないんや。これも運命やな」

ルカ「ええ、そうですよ。僕達だって好きで目立っているわけではありませんし。」

京「ぐぬぬぬぬ~…!!黙って聞いてれば!!好き勝手!!」

はやて「まあ、悩み相談は出来るはずや。八神はやてのお悩み相談~!!“私はシリアス、ギャグ何でもござれな美少女”八神はやて!!」

ルカ「何ですかそれは?」

はやて「何やっとるんやルカ君!!はよ自己紹介しい!!」

ルカ「…えー…隣の“美少女もとい、なんちゃって関西人のビジネス上のパートナー”、オリジナルキャラクターのルカ・ハラオウンです。以後お見知りおきを」

はやて「ノリ悪っ!!」

ヤマト「それにしてもこのうわっついた雰囲気は居心地悪すぎだぞ…」

ルカ「文句言うなら帰れ。あなた達の言いたいことはなんですか?」

太一「決まってんだろ!!俺達の扱いが今作品において良くないってことだ!!俺は無印の主人公なのに何で、いきなり脇役になるんだよ、他はともかく!!」

ヴィータ「ともかくとは何だ!!この爆発頭野郎!!」

ヒカリ「と、とにかく、ここで出来るだけの抗議をさせてもらいます!!」

ルカ「いえ、それでしたら、販促効果をアピールして広報辺りに話を通した方がいいですよ?」

シャマル「ちょっとルカ君!!」

シグナム「小学生未満の子供がいるのに生臭い話をするな!!!!」

タケル「とにかく、君達に悩み相談をしても時間の無駄になるだけだよ」

ノーヴェ「簡単に決め付けるなよ。もしかしたら力になれたかも…」

光子郎「僕達が目立ちたいと言ったらメインキャラの位置を僕達と代わってくれたんですか?」

ルカ「………………大人の事情がありまして」

はやて「そればっかりはどうにもならへんなあ…………」

ユーノ「ところではやて」

はやて「ん?何や?ユーノ君になのはちゃん?」

なのは「私も一言言いたい事があるの…」

ルカ「それは理解に苦しみますね。あなた達はアットノベルス時代の作品から現在にかけて、メインキャラとして活躍しています。立派な業績だと思うのですが」

太一「あの…アットノベルス時代のメインキャラなら俺達も、なんだけど…」

ルカ「そういえばそうでしたね。でもややこしくなるので、少し黙っていてくれませんか?」

はやて「で?何が不満なんや?」

ユーノ「…僕は、原作含めて自分の活躍に不満はない。けど一つだけ…扱いが希薄だということに不満があるんだ。」

はやて「あ、そう…」

ユーノ「僕は太一さん達ほどじゃないけど、少しずつじわじわと出番が減っていく。ツッコミ役だからボケがないと目立たないんだ。僕だってボケをかましてでも目立っていたかったのに…」

はやて「ふ、ふうん…」

ルカ「なるほど、それはかなり辛いですね。しかしあえてそれに触れますか…」

ユーノ「…僕も色々考えた上でのことなんだ…言わないでくれ」

すずか「………」

はやて「じ、じゃあなのはちゃんは?」

なのは「私、どうして戦闘面ではあまり活躍出来ないの?原作ではエースオブエースとまで言われてるのに、戦闘になれば影が薄く!!」

はやて「プロットモンの時はなのはちゃんのバトルスタイルに合ってなかった…そして相性が良さそうなテリアモンとコンビを組んだら影か薄くなったんやったな…」

なのは「私に合ったパートナーデジモンがいれば…」

大輔「だったら、ウォーグレイモンXとメタルガルルモンXをパートナーデジモンにすればいいだろ」

全員【!?】

大輔「不可能じゃないだろ?Vテイマーにだって、二体パートナーの奴がいるし。」

フェイト「ユニゾンエボリューションは?」

大輔「状況次第でパートナーデジモン交代で使い分けりゃあいいだろ。オメガモンXになれば問題ないだろうし」

なのは「オメガモンX…!!最強クラスのデジモンのパートナー!!」

賢「X抗体は?」

大輔「突然変異の変化で充分だろうが。今まで辛い思いをした分…お前は幸せになるべきなんだ…」

なのは「だ、大輔さーん!!」

アリサ「ちょ、なのは。あんた何大輔に抱き着いてんのよ!!」

リインフォース「お前にはスクライアがいるだろう!!」

アリシア「そうだよ!!」

フェイト「いいの?」

ユーノ「なのはの大輔さんに対する気持ちは兄弟愛みたいなものだしね」

遼「もし、タケルとかだったら?」

ユーノ「ぶっ殺す!!…なんちゃって♪」

全員【(本気だ…)】

大輔「ユーノに関しても、何か対策を考えておくよ」

ユーノ「お願いします」

なのは「これでユーノ君の希薄な印象を払拭出来ればいいね」

ユーノ「うん、そうなればいいな」

はやて「(どうやろうなあ…?)」

ルカ「(まあ…過度な期待は止しましょう……)」

なのは「どうしたの二人共?」

はやて「へ!?う、ううん!!何でもあらへん!!」

























大輔「よし、今日はこのくらいで解散にするか!!」

フェイト「それにしても今作品のルカは凄い毒舌だったね」

ルカ「基本的に大輔さん達はお人よしの部類に入る人達ばかりですからね。僕のような毒舌が必要になると思いますよ?アットノベルス時代で猛威を振るったカイザーモードの賢さんがいれば話は別だったでしょうが」

賢「…………」

ブイモン[まあ、カイザーモードの賢もかなりの毒舌だったからなあ…]

シャマル「アットノベルスのカイザーモード賢君の毒の部分がルカ君に継承されたと考えればいいのかしら?」

なのは「早くデジタルワールドに行かないかな~♪」

アリシア「パートナー候補が見つかって上機嫌だね」

遼「まあ、これからメインキャラ同士よろしくな」

リインフォース[ああ、ドルモンを任せたぞ]

大輔「よし、皆行くぜ?新しい話に!!」

全員【おう!!】 
 

 
後書き
会話だけ。
ルカが凄い腹黒に…。 

 

第六話 仲間そして再会

 
前書き
大輔が賢と再会。
そして賢と遼の関係も…。
ドルモン[リリカルアドベンチャー、始まるよ] 

 
時計の針が午後7時を回った頃、ビルの屋上に4つの人影があった。
大輔「あの街中でどうやって手の平サイズの宝石を見つけるんだよ?これじゃあ探すにしてもかなり時間がかかるぞ?」
ブイモン[砂漠に落ちた米粒を探すのと同じくらい大変そう]
フェイト「うん、ちょっと乱暴だけど、魔力流を打ち込んでジュエルシードを強制発動させるよ」
アルフ「ああ、ちょっと待った。」
フェイトがしようとした時、アルフが制止する。
フェイト「?」
アルフ「それあたしがやるよ」
フェイト「いいの?かなり疲れるよ?」
アルフ「誰の使い魔とお思いで?任せなよ」
フェイト「分かった。じゃあお願いね」
フェイトが大輔の隣に立つと同時にアルフがジュエルシードの強制発動を実行する。






























なのは「あ、あれは!?」
ユーノ「こんな街中で強制発動!?くっ…広域結界!間に合え!!」
遼「さてと、俺も行きますか。準備はいいかドルモン?」
ドルモン[いつでもOKさ]
ツカイモン[急ごう]






























賢「ん?」
はやて「賢兄?」
賢「あ、いや…何でもないよ…多分ね」
ワームモン[賢ちゃん…?]






























大輔「行くぞ!!」
フェイト「うん!!」
アルフ「はいよ!!」
ブイモン[おう!!]
大輔「デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!轟く友情!ライドラモン!!]
友情のデジメンタルでライドラモンにアーマー進化させ、大輔とフェイト、アルフを乗せて一気にジュエルシードの元に向かう。






























なのは「あれはジュエルシードの光!?リリカルマジカル!!」
なのははバリアジャケットを身に纏うと、ジュエルシードの光を目指す。
遼「ドルモン、進化だ。行くぞ」
ドルモン[OK、ドルモン進化!ラプタードラモン!!]
成熟期に進化させ、遼とユーノ、ツカイモンを乗せるとなのはの元に向かう。






























はやて「賢兄?どこに行くんや?」
賢「少し気になることがあってね。調べて来るよ。ワームモン、はやてを頼んだ」
ワームモン[任せて!!行ってらっしゃい賢ちゃん]
賢はD-3に触れると、スティングモンに酷似した甲冑を拾い、ジュエルシードの反応がした場所に向かう。































大輔達よりも先に先客がいた。
なのはとユーノ、ツカイモンだ。
なのは「ジュエルシードシリアル19!!」
ユーノ「やった。2人共、早く封印を」
アルフ「そうはさせるかい!!」
ブイモン[お前達の相手は俺達だ!!]
その言葉と共に、上空からアルフとブイモンが襲い掛かる。
ツカイモン[くっ!!]
ユーノを庇って、アルフとブイモンの攻撃を掠ってしまう。
ユーノ「ツカイモン!!」
ツカイモン[私なら大丈夫だ。とにかく、彼等を抑えよう。]
ユーノ「うん」
ツカイモンが立ち上がり、ユーノも戦闘体勢に入る。
ツカイモン「なのは!こっちは私達に任せてくれ!!なのはは、2人に言いたいことを伝えるんだ!!」
ツカイモンはそう言うとブイモンに向かっていく。
ユーノ「なのは、早く!!」
ツカイモンと同様、ユーノもアルフに向かっていく。
なのは「ありがとう、ツカイモン、ユーノ君!!」
そう言って、なのはが上を見上げると、フェイトが電灯の上に立ち、その隣に大輔がいた。
なのはとフェイトは暫く見詰め合っていたが、なのはが一歩踏み出した。
なのは「大輔さんから聞いてると思うけど…私、なのは。高町なのは。私立聖祥大附属小学校3年生」
なのはが自己紹介を始めるが、フェイトが無言でバルディッシュを大鎌に変形させる。
それを見たなのはが慌ててレイジングハートを構える。
その時であった。
大輔「待て、フェイト」
フェイトの腕を大輔が掴んだ。
フェイト「大輔…?」
大輔「なのはは、俺達と話したいそうだ。話くらい聞いてやろう。戦うことはその後でも出来る。」
なのは「大輔さん…」
大輔の言葉になのはが嬉しそうな表情になる。
フェイトは大輔の言葉に少し考えるとゆっくりと頷き、バルディッシュを下ろした。
なのは「ありがとう…」
なのはもレイジングハートを下ろし、口を開く。
なのは「フェイトちゃん。話し合うだけじゃ、言葉だけじゃ何も変わらないって言ってたよね?だけど、話さないと言葉にしないと伝わらない事もきっとあるよ?」
なのはの言葉に、フェイトは目を見開いた。
なのは「ぶつかり合ったり、競い合うことは仕方が無いのかもしれない。でも、何も分からないままにぶつかり合うのは、私は嫌だ…私がジュエルシードを集めるのは、それがツカイモンとユーノ君の探し物だから。ジュエルシードを見つけたのはユーノ君とツカイモンで、ツカイモンとユーノ君は、それを元通りに集めなおさないといけないから。私はそのお手伝いでだけど、お手伝いをするようになったのは偶然だけど、今は自分の意思でジュエルシードを集めてる。自分の暮らしてる街や、自分の周りの人達に危険が降りかかったら嫌だから…これが私の理由だよ」
フェイトはその言葉を聞くと、1度目を伏せる。
フェイト「…私は」
ポツリと、フェイトが言葉を発しようとしたその時、
アルフ「フェイト!!答えなくていい!!」
ユーノとツカイモンと戦っていたアルフが叫んだ。
アルフ「優しくしてくれた人達のとこで、ぬくぬく甘ったれて暮らしてるがきんちょになんか、何も教えなくていい!!私達の最優先事項は、ジュエルシードの捕獲だよ!!」
その言葉に感化されたのか、フェイトはバルディッシュをなのはに向ける。
大輔はアルフの言葉に疑問を抱くが、フェイトの援護をしようとフレイドラモンの甲冑に換装して右腕に炎を纏わせる。
遼「おいおい、いくらなんでも甘ったれはないんじゃないか?」
全員【!!?】
声のした方を向けば遼とドルモンが木に寄り掛かってこちらを見ていた。
遼「誰にだって生きている限り、辛い過去や悲しい思い出はある。それを考慮しないでいきなり否定すんのは感心しないな」
アルフ「…っ、あんたにフェイトの何が分かるってんだい!!?」
遼「名前以外は何も知らないな。俺はあの子と会って間もない上に、あの子の事情を聞かされてもいない。そんな状態でどうやってあの子のことを知れって言うんだ?それこそ“甘え”だろ…」
言い切る前にアルフの拳が遼を掠る。
遼「危ないじゃねえか…仕方ない。少し大人しくしてもらうぜ!!」
遼が懐から取り出したのは、大輔と同型のデジヴァイス。
光を纏い、それが収まった時には、ラプタードラモンが完全体に進化したグレイドモンに酷似した甲冑を纏う遼の姿。
一瞬で手刀をアルフの首筋に叩き付け、アルフを気絶させた。
大輔「は、はええ…」
フェイト「アルフ!!」
バルディッシュを構えて、遼に接近するが、遼は剣を抜いて、魔力刃を受け止めた。
大輔「やべえ!!」
もう片方の剣がフェイトに叩き付けられる前に大輔が間に入って、ガントレットに守られた腕で剣を受け止める。
大輔「…っ!!」
あまりの力に腕が痺れてしまったらしく、腕を押さえて飛びのいた。
フェイト「大輔…大丈夫?」
大輔「だ、大丈夫だ。あの遼って人は俺に任せてお前はアルフを」
フェイト「でも…」
大輔「急げ!!」
ライドラモンの甲冑を身に纏い、凄まじい脚力で遼に向かう。
大輔「ライトニングブレード!!」
手に雷の魔力刃を生成し、遼に叩き込もうとするが剣で受け止められた。
咄嗟に距離を取り、凄まじい速度で移動を繰り返しながら、電撃弾を遼に何度も放つ。
しかしそれは遼の双剣で尽く弾かれてしまう。
遼「来いよ」
挑発するように言うと、大輔は歯ぎしりするが、挑発には乗らず、距離を取りながら雷撃を放つ。
遼「(いい判断だ。結構クールじゃないか)」
遼は胸中で大輔を称賛する。
フェイトが大輔に加勢しようとした瞬間に魔力反応を感じた。
それは、ジュエルシードからだった。
気付いたのかフェイトはジュエルシードに向かって飛んでいく。
それと同時になのはもジュエルシードに向かっていた。
ガキィン!!
2人のデバイスは、ほぼ同時にジュエルシードに組み付いた。
瞬間、2人のデバイスに罅が入る。
そして、ジュエルシードから膨大な光が放たれた。
その光は上空に伸び、雲を吹き飛ばす。
その衝撃で、2人は吹き飛ばされる。
大輔は吹き飛ばされたフェイトを受け止める。
大輔「大丈夫かフェイト!?」
フェイト「うん。大丈夫?戻って、バルディッシュ」
心配そうに自分のバルディッシュに声をかける。
バルディッシュは光に包まれ、待機状態になる。
フェイトは、ジュエルシードを見ると、何かを決心した表情になり、ジュエルシードに向かって飛んだ。
大輔「フェイト!?」
大輔がフェイトの行動に驚く。
フェイトはそのままジュエルシードに手を伸ばし、掴んだ。
アルフ「フェイト!!駄目だ!危ない!!」
目を覚ましたアルフが必死にフェイトを止めようと呼びかける。
ジュエルシードを包んだ手の隙間から、ジュエルシードの力が溢れ出す。
フェイト「くぅ…止まれ…止まれ、止まれ…」
フェイトは必死にジュエルシードを抑えようとする。
次の瞬間、フェイトの手袋が破れ、血が吹き出る。
それでもフェイトは、ジュエルシードを放そうとしない。
大輔「くそ!!」
見ていられなくなった大輔は甲冑を変化させ、フェイトの元に駆け寄る。
フェイト「大輔!来ないで!!」
大輔「そんなこと出来るか…!!」
そして、フェイトの腕を掴み、無理やりジュエルシードから手を放させると今度は大輔がジュエルシードを掴んだ。
大輔「ぐっ!!」
暴走するジュエルシードの力によって甲冑のガントレットが粉々になる。
フェイト「大輔!!」
ブイモン[大輔ーーっ!!]
アルフ「大輔!!何て無茶を!!」
フェイトとブイモン、アルフが悲痛の叫びを上げる。
遼「おい!!今すぐ手を離せ!!」
大輔「うるさい…!!こういう無茶は男の仕事だ…っ!!フェイトが頑張ってんのに簡単に諦めるわけにはいかないだろうが!!」
手が徐々に押し切られていく。
フェイトは大輔に加勢しようと手が触れ合った時、大輔とフェイトを金色の光が包んだ。
全員【!?】
突然のことに目を見開く。
光は大輔のD-ターミナルに吸収された。
ブイモン[一体…何が?]
光の影響か、ジュエルシードの暴走は少し収まったが、まだまだ危険である。
ブイモンが駆け寄ろうとした時、緑色の影が大輔の手に自身の手を重ねた。
大輔「え!?」
賢「…一気に力を解放して、これの暴走を静めるんだ!!」
遼「お、治…?」
大輔「一乗寺…あ、ああ!!」
大輔と賢が互いを見合わせた後、魔力を解放した。
大輔、賢「「はああああああっ!!!!」」
辺りに大輔と賢の魔力が迸った。
魔力の解放が収まった時、ジュエルシードの暴走は収まった。
アルフ「な、なんつー馬鹿魔力だい…2人掛かりとは言えジュエルシードの暴走をアッサリ止めるなんて…」
アルフが呆然となりながら呟いた。
大輔「う…っ…」
魔力の解放を終えた大輔は体勢を崩す。
賢「本宮君、大丈夫…かい?」
大輔「あ、ああ…」
フェイト「大輔!!」
フェイトが大輔の元に駆け寄る。
賢「君は一体…?」
フェイト「あ、あの…その…」
フェイトは賢の問いにどう答えていいのか分からず、口ごもる。
大輔「…こいつは、俺と同じ世界から来たんだ。俺の知り合いだよ。」
敵だったと言えば警戒すると思った大輔は知り合いということにする。
大輔の手からは夥しい血が流れている。
なのは「大輔さん!!」
大輔の怪我を心配して、なのはも駆け寄ろうとするが、アルフに睨まれた。
なのは「なっ…!」
アルフはなのはの様子を気にもかけずに、大輔の元に駆け寄る。
アルフ「大輔!大丈夫かい!?」
賢「大丈夫。出血は酷いけど、手が使い物にならなくなるわけじゃない。ちゅんと処置すれば大丈夫。」
アルフ「…そう。」
アルフは安堵の溜め息を吐いた。
賢は敵ではないようなので、アルフは警戒を解く。
フェイト「早く帰って手当てするよ。アルフ、大輔を背中に乗せて…」
賢「その方がいい。早く手当てをしないと傷口から菌が入るかもしれない」
賢はそう言うと、踵を返した。
遼「ちょっと待て!!」
賢「え?」
声をかけられた賢が遼の方を見ると、まるで亡霊を見るような表情で遼を見る。
その反応に少し傷ついたのは秘密だ。
賢「遼…さん…?」
遼「やっぱり賢か。久しぶりだな」
賢「本当に遼さんなんですか?死んだんじゃ…」
遼「馬鹿、死んでたまるかよ。お前もここに来ていたのか…治は元気か?」
賢「…兄さんは2年前に亡くなりました」
遼「っ!!そうか…」
親友の死に、遼は悲しげに表情を歪めたが、大輔達の方を見遣ると、大輔達はジュエルシードを回収して退却していたようだ。
呆然としているなのはに歩み寄り、頭に手を置くと、帰宅を促した。































マンションに戻り、手当てを受けた大輔だが、リビングに静寂が訪れていた。
アルフとブイモンは気まずそうに視線をさ迷わせる。
大輔「あの、さ…フェイト…」
フェイト「ごめんね…」
大輔「え?」
フェイト「私のせいで…あなたをこんな目に…」
フェイトの表情が悲しげに歪む。
大輔「…はあ……」
大輔は溜め息を吐き、フェイトはそれに肩を震わせた。
ポンと大輔は手をフェイトの頭に置いた。
大輔「フェイト…お前は俺に無茶をするなって言ったよな?」
フェイト「うん…」
大輔「そして俺もそう言ったよな?けどお前は無茶をした。そんなに俺が頼りないか?信用出来ないか?」
フェイト「ち、違う!!違うよっ!!」
大輔の言葉にフェイトは慌てて首を横に振る。
大輔「フェイト…」
フェイト「う、うん…」
大輔「いいか…お前は1人じゃない。1人で何もかも背負おうとするな。お前には俺達がいるんだから」
アルフ「そうだよフェイト。」
ブイモン[何があっても俺達はフェイトの味方だよ。]
フェイト「皆…うん、ありがとう…」
大輔やアルフ、ブイモンの言葉にフェイトは心からの笑みを浮かべた。
大輔「よし、それじゃあ、飯にするか!!」
アルフ「でも、大輔。その手で出来るのかい?」
大輔「あ…」
フェイト「わ、私が作る!!」
アルフ、ブイモン「[え?]」
フェイトの言葉にアルフとブイモンが目を見開いた。
大輔「フェイト、お前…料理したことあるのか?」
フェイト「…無い」
フェイトが俯きながら答えた。
大輔「う~ん…」
大輔は頭を悩ませる。
素人でも美味しく作れそうな料理…。
大輔「よし、カレーにしよう」
フェイト「カレー?」
ブイモン「はい!!」
ブイモンが身を乗り上げ勢いよく挙手する。
大輔「何だ?」
ブイモン[カレーは甘口がいいです!!]
大輔「却下」
ブイモン[ええ!?俺、辛いの苦手だよ!!]
大輔「中辛なんだし、我慢しろ!!お前のは甘めに作ってやるから!!」
ブイモン[ケチ!!]
大輔「じゃあ、お前は夕飯抜きな」
ブイモン[我慢します!!]
大輔「よろしい。アルフ、冷蔵庫からジャガ芋と人参と…玉葱の代わりに茸と豚肉を出してくれ」
アルフ「はいよ。」
大輔はアルフを見て、玉葱をカレーに入れるのを断念して、茸を代わりに入れることにした。
大輔「フェイト、ピーラーで人参とジャガ芋の皮を剥いてくれ」
フェイト「うん。」
大輔「ブイモンとアルフは肉とフェイトが剥いた野菜と茸を切ってくれ」
ブイモン[分かった。]
アルフ「はいよ」
水に浸した野菜の皮をピーラーで剥き、ブイモンとアルフが肉と野菜と茸を切っていく。
大輔は熱した鍋に油を入れ、肉を軽く焼いた後、茸、人参、ジャガ芋の順に鍋に入れて炒めていく。
水を加えて、しばらく煮込む。
灰汁を取りつつ様子見。
一旦火を止めてルウを溶かし、煮込んだら出来上がり。
大輔の目の前には普通の中辛のカレー。
隣にはブイモン専用にチョコレートと蜂蜜を沢山使った激甘カレーが置かれてある。
大輔「出来た。フェイト、皿にご飯を盛ってくれ」
フェイト「うん。」
フェイトは炊飯器を開け、炊きたてのご飯を皿に盛ると大輔に手渡す。
そして、盛られたご飯にカレーを乗せて、テーブルに置く。
ブイモンには特製の激甘カレーを置いた。
全員【頂きます】
挨拶を済ませると、4人は目の前のカレーを一口掬い、口に運んだ。
フェイト「美味しいね。」
大輔「そうだな」
ブイモン[皆で作ったからだよ。]
アルフ「たまには皆で作るのもいいかもね」
4人は美味しそうにカレーを口に運び、あっという間に鍋を空っぽにしてしまった。
ブイモン[お腹一杯!!]
パンパンに膨れた腹を摩りながら言うブイモン。
アルフ「腹一杯になったら眠くなって来たよ…」
アルフが欠伸をしながらぼやいた。
大輔「もう遅いし、寝るか」
フェイト「あ、あの大輔…」
大輔「ん?」
大輔が後ろを振り向くと、風呂上がりでパジャマ姿のフェイトが立っていた。
風呂上がりのため、肌が上気して少し色っぽい。
シャンプーの香りがし、大輔は顔が熱くなるのを感じた。
大輔「な、何だ…?」
フェイト「そ、その…今日一緒に寝てくれる?」
大輔「え…な、何で?」
フェイトの言葉に大輔は顔を真っ赤にし、ブイモンとアルフは跳ね起きた。
フェイトはモジモジしながら言葉を紡いだ。
フェイト「いや、その…大輔はいつもソファの上で寝てるけどたまにはベッドの上で寝たい時もあるかなって…」
大輔「あ、ああ…それじゃあ…一緒に…寝るか?」
フェイト「……」
フェイトは大輔の言葉に無言で頷いた。
大輔とフェイトは無言で寝室に向かった。
ブイモンとアルフは呆然とした表情で大輔とフェイトを見送った。
アルフ「…フェイトにも春が来たんだねえ……」
ブイモン[頑張れ大輔…]
アルフが感慨深げに呟き、ブイモンはパートナーにエールを送った。































大輔とフェイトは寝室に入ると、1つのベッドに横になり、掛け布団を被った。
フェイト「大輔」
大輔「ん?」
フェイト「大輔の怪我が治ったら母さんの所に報告に行くから、一緒に来てくれる?」
大輔「ああ、勿論。」
フェイト「ありがとう…」
フェイトは礼を言うと同時に目を閉じた。
大輔はふと、D-ターミナルに視線を遣り、開くと思わず目を見開いた。
D-ターミナルの画面には勇気のデジメンタル、友情のデジメンタルの他に、見慣れないデジメンタルが保存されていたからだ。
大輔は気づいていなかった。
金色の光が大輔とフェイトを包み込んだ時、二人の胸元から光が灯っていたことに。 
 

 
後書き
大輔に新たなデジメンタル追加。
超進化に相当する形態です。 

 

第七話 和解の一歩

 
前書き
大輔と賢が和解します。
フェイト「リリカルアドベンチャー、始まります」 

 
大輔はフェイトと共に買い出しに出ていた。
ブイモンとアルフは二人に遠慮して買い出しについていくのを辞退した。
その時の二人のニヤニヤ顔が頭にきたので、脳天にゲンコツを叩き込んでから外出した。
フェイトの母親へのお土産のケーキを買い、そして夕食と明日の朝食の材料を購入しようとしていた。
大輔「フェイト、晩飯は何が食いたい?」
フェイト「えっと…大輔が好きな物が食べたい」
大輔「え?俺の?」
フェイト「うん…駄目…?」
不安そうに大輔を見上げるフェイトに大輔は微笑んだ。
大輔「駄目じゃないって。俺ラーメンが好きだから、今日はラーメンにするか!!」
フェイト「ラーメン?」
大輔「ラーメン食ったことないのか?」
フェイト「うん。でも大輔が好きなんだから美味しいよね?」
大輔「ああ、きっと気に入ってくれると思う。じゃあ、明日の朝飯はフェイトは何が食べたい?俺が好きな物とか無しで」
フェイト「え?えっと…」
必死に考える彼女がとても可愛くて、頭にポンと手を置くと、フェイトは目をパチパチとさせた後、嬉しそうに笑う。
ほのぼのとした光景に、様子を見ていた人達はクスクスと笑っていた。
フェイト「…明日の朝ご飯はフレンチトーストがいい」
甘えるような声に大輔は顔を綻ばせた。
大輔「じゃあ…牛乳と卵も買わないとな」
フェイト「うん」
手を繋いで牛乳を取りに向かう二人だが、そこで…。
賢「あ…」
大輔「一乗寺…?」
はやて「賢兄?」
はやての車椅子を押している賢とバッタリ会ってしまった。
フェイト「あ…この人…」
はやて「賢兄、知り合いなんか?」
賢「彼は…向こうで会った人なんだ」
はやて「あ、賢兄の友達なんか。うち、八神はやていいます。八の神と書いて八神。」
大輔「へえ…よろしくな、はやて…一乗寺と少し話がしたいんだ。フェイトとはやてはそこで話をして待っててくれないか?」
フェイト「え?あ、うん」
大輔は賢を連れて、少し離れた場所に向かう。
はやて「えっと、フェイトちゃんやったっけ?」
フェイト「え?そうだけど…」
はやて「大輔さんと仲良さそうにしてたけど、恋人なんか?」
フェイト「恋…人…?仲間…だよ。私にとってお兄ちゃんみたいな人…だと思う」
はやて「何や、自信なさ気な言い方やな…まあ、私と賢兄みたいな関係と解釈してもよさそうやな」
フェイト「あの…はやては賢とどういう関係なの?」
はやて「賢兄は私のお兄ちゃんみたいな人や。私…物心つく前に両親がいないから賢兄が来るまで独りぼっちだったんよ」
フェイト「そう…なんだ。私も似たようなものだったな…」
はやて「フェイトちゃんも両親いないんか?」
フェイト「母さんはいるの…でもある事情があって一緒にいられないし、多分今の状態じゃ一緒にいたくても出来ないから…」
はやて「そっか…でもお母さんがいるんやろ?家族がいるのは少し羨ましいけど、今の私には賢兄やワームモンがいるから寂しくあらへん…フェイトちゃんもそうやろ?」
フェイト「そうだね…大輔達がいるから、もう…寂しくない」































賢「弁解はしません。今まですみませんでした」
今までの事情を言って、頭を下げる賢。
許されるとは思っていない。
だが……。
大輔「もういいさ、謝ってさえくれれば。それに前に助けられたし。でもいつか、元の世界に帰ったら皆にも謝って欲しい。」
賢「…分かった。でも謝って許されるんだろうか……?」
大輔「すぐには無理だろうけど…“いつか”ってこともあるだろ?」
賢「…元の世界に戻ったら……本宮君の仲間にも謝るよ」
大輔「ああ…ところで、その女のこと、お前何か知ってんのか?」
賢「僕にも……分からない……けど、あいつが近づくとダークタワーは昔の機能を取り戻してしまう……」
そして……塔からはデジモンを作り出す事も出来る……。
厄介な女。
大輔「そうか…俺達の戦いはまだまだ続くんだな……」
賢「君達が戦う必要はない。これは僕の責任だ。僕がカタをつけたい…」
大輔「いや、お前一人にさせるつもりはねえ。必死に罪を償おうとしているお前に全て押し付けるようなことはしたくない」
そう言うと大輔は手を伸ばした。
大輔「元の世界に無事に戻れたら…あいつらの反応次第だけど…俺がお前に力を貸してやるよ」
賢「………どうして」
大輔「え?」
大輔が聞こえなかったので聞き返す。
賢「どうして……君は……僕を信用してくれてるんだ……僕は……あんなにも酷い事をしてしまったのに……」
どんな事を言われようと言い返す資格すら無い自分に……。
何故彼は味方になってくれるのだろう?
大輔「聞こえたんだ」
賢「え?」
大輔「変な奴と思うかもしれないけど、俺…お前の優しさの紋章から声が聞こえたんだ。上手く説明は出来ないんだけどな。その声を聞いたら、胸のところが暖かくなってさ。お前が悪い奴じゃないって気づけたんだよ」
賢「………」
大輔「気にする必要なんかねえぞ。お前に力を貸したいと思うのは、俺がこうしたいと思ったからだ。こうしたい。だからそれをする。そんだけだ」
賢「…こうしたいから…それをする……」
大輔「そうだ。俺達…いや、微妙なとこだから…今日から俺とお前は友達だ。」
賢「友達…」
大輔「まずは仲間になる前に友達から始めようぜ」
賢「…本宮君…」
大輔「ん?」
賢「あり…が、とう…」
大輔「…いいってことよ」
二人は握手を交わして彼女達が待つ場所に向かう。






























フェイトとはやての元にむかうと、仲よさ気に話していた。
大輔「よう、お待たせ」
はやて「あ、随分と話してたんやな。まあ、こっちもやけど」
賢「随分仲良くなったね。歳が近いからかな?」
はやて「賢兄、うちとフェイトちゃんは同い年やで?」
賢「ああ、ごめんね。はやての友達になってくれてありがとう。これからもはやてと仲良くして欲しい」
フェイト「友達…?」
目を見開くと、頭にポンと手を置かれた。
大輔「よかったな」
見上げると大輔が優しく笑いながら頭を撫でていた。
フェイト「うん…」
賢「今日は本当にありがとう…また、明日も会えるといいね」
はやて「ほな、フェイトちゃん。また会おうな?」
フェイト「あ、うん…またね…」
家路につく賢とはやてに大輔とフェイトも。
大輔「俺達も帰ろう」
フェイト「うん…」
どうやらフェイトははやてと一緒に会計を済ませていたらしく、レジには行かず、二人も家路についた。





























ブイモン[遅いぞ二人共!!今まで何してたんだ!!]
大輔「悪い悪い」
ブイモンの怒りの叫びを受け流しながら、大輔はキッチンに向かう。
アルフはフェイトの変化に気づいて、そちらに向かう。
アルフ「フェイト、随分と嬉しそうだね。どうしたんだい?」
精神がリンクしているために、フェイトの心境の変化に敏感なアルフが尋ねるとフェイトはアルフが今まで見たことのない嬉しそうな笑みを浮かべていた。
フェイト「えっとね…アルフ…友達が出来たよ」
アルフ「っ!!そいつはよかったじゃないか。大輔とブイモンのおかげかねえ…」
喧嘩している二人(といっても、ブイモンが突っ掛かっているだけだが)を見つめるアルフの目はとても優しげだった。
大輔「まあまあ、今日は特別にデザートをつけてやるよ。アップルパイな」
ブイモン[よし、許す]
アップルパイであっさりと許したブイモンにフェイトとアルフは吹き出した。































大輔が作ってくれた夕食のラーメンはとても美味なるものだった。
流石に麺は市販の物だけれど、出汁を作り、野菜を入れて、手間隙をかけて作った物だからだろう。
皆が美味しそうに食べてくれたから大輔も満足そうに頷いた。
オーブンから大輔がアップルパイを取り出す。
ただ、簡単な物ではなく、店に出されていても遜色のないほどに完成された物であった。
大輔「見た目はいいし、味は悪くないと思う。」
アルフ「あたしらは毒味役かい?」
そんな風にいいつつも、嬉しそうにしている。
フェイトが一口をそれを食べてみると、やはりおいしかった。
フェイト「出来立てだから凄く美味しい」
大輔「そういってもらえると作った甲斐があったな」
大輔も嬉しそうな表情を見せる。
そのままそのアップルパイを食べ、出来立てのアップルパイは瞬く間に無くなってしまった。
 
 

 
後書き
フェイトの友達一号がなのはではなくはやてになりました。

なのは「_| ̄|○ガックリ…」
ユーノ「なのは、しっかりするんだ!!」
遼「何、気にすることはない」
ツカイモン[哀れだな…]
ドルモン[本当に]
 

 

第八話 フェイトとアリシア

 
前書き
別の題名を書こうとしましたが、思い付かず、同じに書いてしまいました。
はやて「リリカルアドベンチャー、始まるで!!」 

 
はやてという友人を得たフェイトは以前と比べて、余裕が出来たように思える。
今まで余裕が無いように見えた時を思えば、いい傾向である。
現在、大輔とフェイト、アルフ、ブイモンの4人は一カ所に集まっていた。
フェイトの手には土産のケーキがあった。
ブイモンの視線がケーキに向かっていたが、フェイトはその視線をかわす。
フェイト「それじゃあ大輔、ブイモン。準備はいい?」
大輔「いいぜ」
ブイモン[大丈夫だよ]
大輔とブイモンはフェイトの問いに頷いた。
フェイト「分かった。それじゃあ行くよ。」
大輔「頼む」
フェイト「次元転移。次元座標…」
フェイトの足元から魔法陣が現れる。
フェイト「開け、誘いの扉。時の庭園、テスタロッサの主の所へ!!」
大輔達4人はフェイトの母親がいる所に転移された。






























大輔「ここがフェイトの母さんがいる所なのか…」
大輔は辺りを見渡しながら呟いた。
フェイト「ブイモン、大丈夫?」
アルフ「どうしたんだい?」
フェイトとアルフの心配そうな声が聞こえて、後ろを見遣ると、ブイモンが尻餅をついていた。
大輔「どうしたんだよ?」
ブイモン[こ、腰が抜けちゃって…]
大輔の疑問にブイモンが情けない声を出す。
フェイト「どうしよう…」
大輔「仕方ない。フェイト、先に行ってろ。俺も直ぐに行くから」
フェイト「うん。分かった。先に行ってるね」
フェイトとアルフは先に母親の元に向かう。
ブイモン[ごめん大輔]
大輔「いいって」






























そしてしばらくして、ブイモンが動けるようになり、大輔はフェイトとアルフの元に向かおうとするが、肝心の場所を知らないため、ブイモンの鼻に頼ることに。
大輔「本当に此処で合ってるんだろうな?」
ブイモン[うん。俺の鼻に狂いはないよ…ん?]
鼻をひくつかせていたブイモンが眉を寄せる。
大輔「どうした?」
ブイモン[これ…血の臭い…?]
大輔「何?」
大輔がブイモンにもう1度聞こうとした時、扉の前でアルフの姿が見えた。
大輔「アルフ…?」
アルフ「大輔!!」
アルフは大輔の元に慌てて駆け寄る。
大輔「どうした?」
アルフ「お願いだよ!!フェイトを…フェイトを助けて!!」
大輔「っ!?」
大輔は扉の方を見ると、扉の向こうから何かを叩きつける音が聞こえる。
大輔はエクスブイモンの甲冑を身に纏うと、扉を破壊した。
そこにはボロボロになったフェイトが倒れていた。
大輔は直ぐさまフェイトに駆け寄った。
大輔「フェイト、しっかりしろ!フェイト!!」
フェイト「だ…大輔…?」
フェイトは大輔の名前を言うと意識を失った。
大輔「フェイト!!」
?「いきなり入って来るなんて、あなた何者?」
大輔が声に反応して顔を上げると、何処かフェイトに似ている女性が自分達を見下ろしていた。
大輔「…誰だ…?」
?「私の名はプレシア。大魔導師プレシア・テスタロッサよ。」
大輔「テスタロッサ…ということはあんたがフェイトの母親!?」
大輔は信じられないと言うかのように目を見開いた。
プレシア「そうよ。で?あなたは何者なの?」
大輔「俺は大輔。フェイトの仲間だ。どうしてこんなことを…」
プレシア「躾よ。」
大輔「躾だと!?」
ブイモン[ふざけるな!!これのどこが躾なんだ!!]
ブイモンがプレシアを睨み据えながら叫ぶがプレシアは意に介さない。
プレシア「この子はこの大魔導師プレシア・テスタロッサの娘。なのに回収してきたのはたったの6個。この程度の成果しかあげられないことを躾るのは当然よ。」
大輔「…あんた……フェイトが…この子がどんな思いでジュエルシードを集めているのか知らないのか…っ!?」
大輔の手が怒りで震えていた。
プレシア「さあ?そんな物、私の知ったことではないわ」
大輔「てめえ!!」
怒りが頂点に達し、フェイトをアルフとブイモンに預ける。
大輔「アルフ!ブイモン!!フェイトを連れて行け!!ここから離れろ!!」
アルフ「わ、分かったよ…大輔は?」
大輔「俺は…こいつをぶっ潰す!!」
ブイモン[大輔!!遠慮なんか要らないからな!!あんな奴ボコボコにしてしまえ!!]
大輔「言われるまでもねえ!!早く行け!!」
アルフとブイモンはフェイトを連れて、部屋から離れた。
気配が部屋から遠ざかったのを感じて、プレシアを睨み据えた。
大輔「始めようぜ」
大輔が手に蒼雷を纏わせながら言う。
プレシア「電気の魔力変換資質…成る程、少しは楽しめそうだけど…あなたが私を倒す?大魔導師であるこの私を?」
大輔「ああ、そうだ」
プレシア「フン…笑わせるんじゃないわよ!!」
大輔「サンダーボルト!!」
大輔とプレシアの電撃がぶつかり、相殺する。
プレシア「なかなかやるじゃない…」
相殺されたことに驚くが、プレシアは直ぐに冷静さを取り戻し、大輔に電撃を直撃させた。
プレシア「これでどうかしら?」
プレシアが余裕の笑みを浮かべながら言う。
大輔「残念、効かねえんだなこれが」
余裕の笑みを浮かべながら言う大輔にプレシアが驚愕した。
プレシア「ダメージを受けていない…いや、それどころか私の魔法を吸収している!!?」
大輔「この甲冑に電撃は効かねえ。ライトニングブレード!!」
電撃の刃を作り、プレシアに叩き込もうとする。
プレシアは咄嗟に杖で受け止める。
プレシア「っ…あなた、何者なの!?」
大輔「言ったろ?フェイトの仲間だってな!!」
もう片方の手に魔力刃を作り、プレシアに振り下ろすが、プレシアは咄嗟に後退してかわす。
大輔「サンダーボルト!!」
建物に影響が出ないように調整しながら雷撃を放つ。
煙が晴れると、障壁で拡散砲撃を防御しているプレシアの姿が僅かに見えた。
大輔「(腐っても大魔導師ってことか。どうにか外で戦うことが出来れば…)」
大輔は辺りを見回しながら呟いた。
最悪、壁を吹っ飛ばしてでも…。
大輔「ん?」
煙が少し晴れた際、大輔はプレシアの背後の壁に入り口があった。
大輔「(非常用の出口か?よし!!)」
大輔は煙が完全に晴れる前に背後の壁の入り口に入って行った。
プレシア「くっ!!」
それに気づいたプレシアが慌てて大輔を追い掛ける。































大輔は隠し通路を走り続ける。
そして奥である物を見た。
大輔「これは…フェイト!?」
カプセルのような物にはフェイトにそっくりな少女が入っていた。
大輔がカプセルに近づいて触れようとした瞬間。
プレシア「アリシアに近付かないで!!」
大輔「っ!!?」
追い掛けて来たプレシアの電撃弾の直撃を受け、ダメージは受けなかったが、それでもプレシアの方を向く。
大輔「何で…フェイトが2人…?」
プレシア「フェイトが2人?勘違いしないで、私の可愛いアリシアをあの人形と一緒にしないで」
大輔「人形だと!?」
プレシアの言い方に大輔の顔が怒りで歪んだ。
プレシアは構わず続ける。
プレシア「フェイト・テスタロッサは私が造った人造生命体。フェイトの名は当時のプロジェクトの名残よ」
大輔「何…!?」
プレシア「でも姿形は同じでも、あの子はアリシアではなかった。記憶を与えても無意味だった…。アリシアはもっと素直で明るくていい子だった…いつも私に笑顔を見せてくれた…」
大輔「当たり前だ。記憶を与えても、フェイトの心はフェイトの物だ。アリシアじゃない…」
プレシア「だから私はあんな出来そこないを棄ててアリシアを蘇らせる決意をしたのよ!!」
大輔はプレシアの言葉に急激に怒りが冷めていくのを感じた。大輔「最低だな」
プレシア「何ですって…?」
吐き捨てるように言う大輔にプレシアの表情が歪む。
大輔「確かに子供なら親が自分のために、頑張ってくれたのを喜ぶだろうな。けど、あんたのフェイトを人形扱いするようなやり方をアリシアが知ったらどう思う?」
プレシア「…………」
大輔「……“失望”だ。」
プレシア「…っ!!」
大輔「俺がアリシアの立場ならあんたを軽蔑する。あんたの話が本当ならフェイトはアリシアの妹みたいなもんだ。あんたがフェイトにしてきたことを知ったら、例え生き返ったとしてもあんたを軽蔑する。」
プレシア「………そんなはずはないわ。アリシアは…そんなこと…」
大輔「アリシアがフェイトと違って何の感情もない人形なら…だけどな。…あんたと話してあることが分かった。あんたは未来から逃げているだけだってことをな」
プレシア「何ですって…?」
プレシアの表情が歪むが大輔は続けて口を開く。
大輔「あんたは未来を恐れて過去に逃避しているだけだ。」
プレシア「黙りなさい…」
大輔「アリシアがそんなことを望まないということにも気づきもしないで…」
プレシア「黙れ…」
大輔「今のあんたを見てアリシアって娘が喜ぶと思ってんのかよ!?」
プレシア「黙りなさい!!」
大輔「っ!!」
プレシア「あなたに何が分かるというの!?大切な娘を理不尽な事故で失った私の気持ちが!!怒りの矛先も見つからない…。この気持ちがあなたに分かるというの!?」
大輔「…分かる!!」
プレシア「何ですって…?」
大輔「俺はあんたじゃないから、あんたの受けた痛みを苦しみを完全に知ることなんて出来ない…でも、あんたの立場になって考えて…理解することは出来る!!」
プレシア「……」
大輔「確かに大切な娘を失ったあんたに前を向けっていうのは酷だろうさ。でも、痛みに耐えて耐え抜いて、いつかは前を向かなきゃいけねえんだよ!!」
大輔の言葉に反論出来なくなったのかプレシアは俯いてしまった。
プレシア「……私は…」
プレシアが口を開こうとした時、プレシアは咳込んで膝をついた。
プレシア「…うっ、ゴホッゴホッ…!!」
大輔「プレシア…!?」
大輔は膝をついたプレシアに駆け寄る。
すると、床には紅い血が数滴落ちていた。
大輔「あんた…もしかして病気なのか…?」
プレシア「フッ…大魔導師でも不治の病にはどうしようもないのよ…」
プレシアが自嘲の笑みを浮かべた。
娘を失い、不治の病を患っているのならば、プレシアは狂気に身を任せるしかなかったのだろう。
大輔「……」
プレシア「…私を倒すなら今がチャンスよ……」
大輔「俺の力は…ただ敵を倒すため物じゃない。大切な人と…大切な人が信じるものを守るための力…それにあんたを倒せばフェイトが悲しむ。」
プレシアの電撃で傷付いた甲冑がたちまち、元通りになる。
甲冑の自己修復が終わると、甲冑を解除すると同時にここから出ようと足を動かす。
大輔がプレシアの横を通り過ぎようとした時、プレシアが口を開いた。
プレシア「大輔って言ったわね…」
大輔「ああ…」
プレシア「大輔…私は間違っていたの…?アリシアも未来も…何もかも失った私はどうすればよかったの…?」
本来ならまだ10歳の子供に聞くのはおかしい質問。
だが、プレシアはそこまで追い詰められていた。
大輔は1度目を閉じるが、しばらくして目を開き、重い口を開いた。
大輔「俺には分からない…でも、あんたにはアリシアの妹の…フェイトっていうもう1人の娘がいるだろ?」
プレシア「……」
大輔「頼む。最後まで諦めないでくれ。あんたには守る物があるだろ…?それに、過去を無かったことにするなんて誰にも出来ない。過去があるから人は明日を願うんだ。」
プレシア「過去があるから明日を…?」
大輔「そう。過去は変えられないけど…過去をバネにして自分の運命を変えることは出来る。どんなに可能性が低くても最後まで諦めたりなんかしなきゃいつかきっと運命は変わる。俺はそう信じてる…。今も…そして……多分これからも…。」
大輔はそう言うと今度こそ、この場を離れてフェイト達のいる場所に向かった。
プレシア「…運命……私はどうすれば…」
誰もいない隠し部屋にプレシアの声が悲しげに響いた。
脳裏を過ぎるのは…自分の娘の…アリシアと今まで人形と蔑んでいたフェイトであった。
プレシア「…アリシア………フェイト…」
プレシアは自分の娘達の名を…アリシアとフェイトの名を囁いた。
プレシアは今になって漸くフェイトを娘として認めることが出来たのだ。






























プレシアのいた玉座から離れた大輔はフェイト達の元に向かう。
庭園内部のことは何も知らないが、ただ、何となく、フェイト達の居場所が分かる気がした。
大輔は1つの部屋に入る。
そこにはアルフとブイモンと気を失ったままのフェイトがいた。
アルフ「大輔!!あいつは!?」
大輔「一応俺が勝った…多分、もうプレシアはフェイトに暴力は振るわないだろう。」
プレシアは自分の過ちに気付いた。
もうフェイトに虐待はしないだろう。
アルフ「本当かい?」
アルフが疑わしそうに大輔を見つめる。
大輔「ああ…後は…」
彼女の問題だ。
大輔は声に出さずに呟いた。
フェイト「ん…」
フェイトは身じろぎすると目をゆっくりと開いた。
大輔「目が覚めたか?」
フェイト「大輔……」
大輔「辛いならまだ寝ていろ。もう大丈夫だからな…」
気づいていないが、大輔はフェイトを見て、ヒカリに対して抱く感情を抱き始めていた。
しかし、どこかヒカリに対して抱く感情と少し違うような気がする。
大輔「(俺…ヒカリちゃんのこと、好きなんだよな…?)」
自分の気持ちが分からなくなってきた大輔は思わずフェイトの手を強く握り締める。
フェイト「大輔…?」
大輔「あ、ごめん…フェイト…お前は俺が守るからな、絶対に…」
何が何でもフェイトは守り通す。
大輔は心の中で誓った。






























そして時の庭園の空間の一部に極僅かな罅が入っていたことを大輔もブイモンもフェイトもアルフも…プレシアも気づかなかった。 
 

 
後書き
前作と違い、ヒカリに対しての感情に変化が出ています 

 

第九話 懐かしい夢

 
前書き
大輔が消された過去を夢見る。
なのは「リリカルアドベンチャー、始まります!!」
 

 
怪我をしたフェイトに手当てをして、マンションに戻り、就寝した時。
大輔は覚えの無い…けれどどこか懐かしい夢を見た。






























まだ大輔が幼い頃。
見た目からして4歳くらいだろう。
大輔は今は不仲の小学四年生の姉のジュンとはこの時は仲がよかった。
光が丘のマンションの自宅で、急に目が覚めてしまった自分。
大輔『お姉ちゃん、起きてよお』
隣で眠る姉の身体を揺すり、起こす大輔。
ジュン『何よお…大輔え?』
目を擦りながらも起きてくれた姉。
この頃の自分達は他の兄弟と遜色のないくらい仲が良かった。
なのにどうして仲が悪くなってしまったのだろう。
ジュン『だから、眠れなくなるから晩ご飯の前に昼寝するなって言ったのよ』
大輔『だって…』
ジュン『全くもう…仕方ないんだから』
苦笑しながら笑う姉、優しく頭を撫でてくれる優しい姉が大輔は世界で一番好きだった。
父は残業で母は、婦人会の旅行でいないため、泣き虫の自分を守ってくれる姉が好きだった。
それなのに…。
部屋についていた小さな明かりが突如消えた。
大輔は思わず姉にしがみつき、姉は辺りを見回した。
ジュン『ブレーカー上げてくるわ。大輔は危ないからここで待ってなさい』
大輔『うん、早く帰ってきてね!!』
ジュン『はいはい』
苦笑しながら、ブレーカーのある場所に行き、電気のスイッチを確かめてみるのだが、全て全滅である。
椅子を出して、ブレーカーのスイッチを上げるのだが、駄目である。
部屋に戻ろうとした時、凄まじい轟音が響いて、すさまじい揺れが本宮家を直撃した。
すっかり腰が抜けてしまったジュンは無くなってしまったリビングを見る。
ベランダの方が大きな大きな穴が開いている、月明かりが見える恐ろしい光景である。
大輔『お姉ちゃん…?』
怯えながら、ジュンの所に来た大輔は穴の方を見遣ると、目を見開いた。
大輔『お化けだ…』
ジュン『え…?』
ジュンが穴を見ても、何も見えない。
大輔『オウムのお化けと恐竜さんだ…』
何処か怯えたように、穴を見遣る大輔。
混乱していると思ったジュンが落ち着かせるように、抱きしめようとした時、確かに大輔の目にはオウムと恐竜の化け物が映っていた。
知らず知らずのうちにジュンは後退した。
大輔には自分が見えないものが見えている。
そう思うと、怖くなってしまうジュンである。
地響きが起こり、凄まじい雷が落ちた。
ジュン『きゃあああ!!』
思わず声を上げて、耳を塞いだジュン。
爆発がまた起きる。
何もないはずなのに、ただ道路がえぐれ、橋が倒され、マンションに穴が開いて行き、瞬きする度に瓦礫に変わっていく。
大輔『お…姉ちゃん…』
掠れた声に反応して、ジュンが大輔の方を向いた時、そこには、恐らく爆発によって飛んできた破片に当たったのだろう。
頭から血を流して、痛みに泣きじゃくりながらジュンに手を伸ばした大輔。
ジュンの身体から血の気が引いていく。
このままでは弟が死んでしまうのではないかと、ホイッスルの音が聞こえたが、ジュンは構わず、大輔を背負って外に出ると、必死に助けを求めた。






























やがて時は流れる。
光が丘テロ事件と名付けられたその事件により、お台場に引っ越すことになった本宮家である。
ジュンと大輔にとっては、あまりにも衝撃的な事件だった。
ニュースを聞いて飛んで帰ってきた父が見たのは、見るも無残な惨状と化した我が家。
怪我をした長男を背負って必死に助けを求めている長女である。
大輔の怪我は跡は残るものの、命に別状はなかったが、ジュンの心に深い傷が刻まれた。
しかし大輔は対象的に光が丘テロのことは一切覚えていなかった。
どうして怪我をしたのかも、どうして光が丘からお台場に引っ越した理由も。
その事実はジュンを苛立たせた。
自分はそのことを忘れられないというのに、大輔は簡単に忘れたことを。
この日から、本宮姉弟の不仲が始まった。






























大輔「っ!!」
フェイト「きゃ!?」
大輔を起こそうとしたフェイトだが、いきなり起き上がった大輔に驚く。
大輔「はあっ…はあっ…!!」
息を荒くし、汗をかきながら辺りを見回す。
大輔「夢…?」
フェイト「大輔、大丈夫?」
ブイモン[顔色悪いぞ大輔?]
大輔「…そ、そうだ……俺は…7年前に…光が丘でグレイモンを…」
頭を抱え、胸元に金色の光が灯り始めた。
アルフ「大輔!?どうしたんだい!!?」
明らかに普通ではない大輔に、アルフが大輔の肩を揺する。
フェイト「大輔…?」
大輔「痛っ…!!」
大輔が両手で髪をくしゃくしゃにすると古傷が露になる。
今まで忘れていた過去が凄まじい勢いで溢れてくる。
そして、最後に、意識が朦朧となる直前、グレイモンの近くにいた二人の子供…太一とヒカリの姿が脳裏に浮かんだ時、痛みから解放された。
フェイト「大輔…大丈夫?」
大輔「…ああ」
答えた大輔の顔は途方に暮れた子供のようだった。
今まで見たことのない大輔の表情にフェイトは胸が締め付けられるようだ。
大輔「…何で忘れていたんだろう。姉貴が…姉ちゃん、あんなに泣いていたのに。姉ちゃんを守ろうって病院で誓ったはずなのに…」
ブイモン[大輔…?]
フェイト「お姉さん…?」
ブイモンには目の前にいる大輔が、とても小さく見えた。
フェイト「大輔、お姉さんいるの?」
大輔「…ああ、いつも俺のことを悪く言う、最低な姉貴だと思ってた…今まで」
フェイト「え?」
大輔「最低なのは俺の方だった!!姉ちゃんはいつも一人で頑張ってたのに俺は簡単にあの時のことを忘れて…」
フェイト「…………」
大輔「俺、姉ちゃんに何て言えば…」
泣きじゃくる大輔にブイモンが静かに口を開いた。
ブイモン[光が丘テロのことを思い出したって、そして大輔がジュンに言いたいことを言えばいいんじゃないかな?]
大輔「…けど……」
ブイモン[大輔は“勇気”を受け継いだじゃないか。それって大輔は勇気をあいつらの中で誰よりも強く持ってるってことだと思う。]
絶対にそうだ。
勇気の紋章の所有者である太一も、太一の妹であるヒカリも勇気のデジメンタルを手に入れられなかったのだから。
フェイト「そうだよ、大輔。お姉さんと仲直りしたいんでしょ?もしかしたら出来るかもしれないでしょ」
大輔はハッとなる。
フェイトはプレシアと仲良くしたくても出来ないのだ。
しかもプレシアは不治の病。
それに比べれば自分にはまだ可能性がある。
生きているのだから、いつか分かり合えるはずだ。
フェイト「いつかお姉さんと仲直り出来るって、私も祈るから」
大輔の手を優しく握ってくれるフェイトに、年上、年下関係なくフェイトを抱きしめてしまった。
フェイト「だ、大輔…?」
赤面して大輔を見遣るフェイト。
大輔はフェイトから伝わる早い鼓動と、肌から漂う甘い匂いに幼い頃、姉に縋っていたような安心感を覚えた。
その気持ちを感じ取ったのか、フェイトの腕がゆっくりと大輔の頭をやんわりと抱き締めた。
ブイモン[アルフ]
アルフ「そうだね…」
気を利かせた二人がリビングを後にする。
 
 

 
後書き
急かもしれないけれど、早々に記憶戻しました。
大ヒカフラグが粉砕。
 

 

第十話 時空管理局

 
前書き
大輔達が時空管理局と接触。
ユーノ「リリカルアドベンチャー、始まります」 

 
大輔達は再び、ビルの屋上でジュエルシードを探していた。
大輔「見つからねえな」
大輔が溜め息を吐きながら辺りを見回した。
フェイト「もう1度、強制発動…は駄目?」
大輔「駄目だ。またあんな目に合うのはごめんだぜ。俺もまだ死にたくねえもん…」






























はやて「ワームモン、はい、あーん」
ワームモン[あーんっ…美味しい!!]
はやて「ほんまに?よかった~」
ワームモンに箸やフォークを使う事は出来ない。
犬食いは行儀が悪いと言うことではやてが食べさせている。
ワームモンは小さい口いっぱいにはやての作った料理を食べてくれる。
賢「そんなに焦らなくても誰も取ったりしないよ」
しばらくしてワームモンがひっくり返っていた。
はやて「ワームモン?」
ワームモン[お腹一杯!!]
賢「そんなにがっついて食べるからだよ」
食事を口に運びながら苦笑する賢。
最近だが、笑える回数が増えてきたような気がする。
多分、この温かな雰囲気がそうさせるのだろう。






























ブイモン[そういえばさ、最近フェイトに空の飛び方を教わってるんだ]
大輔「は?お前、デジモンなのに?」
ブイモン[うん、でもどういう訳か、フェイトやなのはみたいな攻撃魔法とかは出来ないんだよなあ。空を飛ぶくらいしか出来ないんだ。色々試したんだけど]
恐らくは、次元漂流した際にジュエルシードのエネルギーを取り込んだことで魔力を得たのだろう。
身体は以前より軽く感じるし、進化した後の負担もかなり小さくなっている。
ブイモン[俺はまだまだ強くなる]
その時、大輔達がジュエルシードの波動を感じた。
アルフ「ジュエルシードが発動した!!」
ジュエルシードの波動を感じたアルフが叫んだ。
大輔「デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!燃え上がる勇気!フレイドラモン!!]
ブイモンがフレイドラモンにアーマー進化し、大輔とフェイトと共にジュエルシードの元に向かって飛び立つ。
































賢「それじゃあ行ってくるよ。」
はやて「夕飯までには帰ってくるんやで?」
賢「うん」
賢もジュエルシードの波動を感じ取り、ワームモンを連れて、八神家を後にして、ジュエルシードの元に向かった。






























ジュエルシードの反応があった場所、海鳴臨海公園では、ジュエルシードによって怪物と化した木が動き出そうとしていた。
なのはと共にその場に駆けつけたユーノが直ぐさま結界を発動させた。
同時に大輔達も到着した。
大輔「あれはジュエルシードの影響で怪物化したのか?」
フェイト「多分ね、あの子達もいる。」
フェイトの視線がなのはを捉えた。
大輔「よし、あいつの相手は俺がする。」
フェイト「え?でも…」
大輔「心配すんなよ。それに1人で背負うなって言ったよな?」
フェイト「うん…気をつけて…」
大輔「ああ…」
大輔は地面に降りると、奴との相性がいいであろう、フレイドラモンの甲冑を身に纏う。
ユーノ「まさか、大輔さんはあれに1人で戦うつもりなのか!?無茶だ!!」
なのは「大丈夫だよ。ユーノ君。」
ユーノ「なのは?」
なのは「大輔さんは強いよ。」
遼「そうだな。まあ、楽勝だろ。」
大輔の実力は戦ったことのあるなのはと遼が良く分かっていた。
木の怪物の根元が罅割れ、根が触手のように襲い掛かってくる。
大輔「ナックルファイア!!」
拳から放たれた炎が、根に炸裂し、残った根はガントレットの爪で切り裂いていく。
しかし、新たに出て来た根が大輔を覆う。
アルフ「大輔!!」
フェイト「大丈夫、大輔は無事だよ」
アルフ「え…?フェイト、分かるのかい?」
フェイト「うん、私は大輔を信じてるから」
大輔「フレイムシールド」
フェイトがそう言うのと同時に大輔は炎の膜を纏い、それを焼き払う。
大輔「クローエクスプレス!!」
ガントレットの鈎爪を怪物に向けて勢いよく繰り出すが、バリアで防がれた。
アルフ「あいつ生意気にバリアなんか張りやがったよ!!」
フェイト「今までより強い…」
フェイトはバルディッシュを握る手に力を篭めた。
フレイドラモン[大丈夫だ。大輔はあんな奴には負けない]
フレイドラモンがフェイトを安心させるように言う。
フェイト「そうだね」
フレイドラモン[それに…]
大輔に向けて、再び伸ばされる根を緑色の影が切り刻む。
大輔「一乗寺!!」
賢「…助けに来たよ本宮君、テスタロッサさん」
笑みを浮かべて現れたのは賢とスティングモン、両手の甲から飛び出たスパイクを構えた。
大輔「…じゃあ、一乗寺。俺が強烈なのを奴に喰らわせるから、気を引き付けといてくれ」
賢「…分かった。スティングモンはフレイドラモンと一緒にテスタロッサさん達を」
大輔がライドラモンの甲冑に換装し、少し距離を取る。
賢「ムーンシューター!!」
掌大の大きさの魔力弾を放ち、根を迎撃。
賢「スパイキングフィニッシュ!!」
魔力で形成したスパイクで貫こうとしたが、バリアで妨げられたが、バリアに罅が入る。
フェイト「バリアに罅が!!」
フレイドラモン[今だ大輔!!]
大輔は一気に怪物に向けて駆け出す。
一気に怪物との距離を縮めると、フレイドラモンの甲冑に換装。
ライドラモンの甲冑の機動力とフレイドラモンの甲冑の攻撃力を合わせた一撃。
大輔「ファイアロケット!!」
炎を纏った体当たりはバリアを粉砕し、怪物を灰燼と化した。
アルフ「やった…あいつらやったよフェイト!!」
フェイト「凄い…凄いよ2人共!!」
簡単に怪物を倒した二人に、フェイトとアルフは色めき立ち、フレイドラモンとスティングモンは当然のような表情をした。
フレイドラモン[さあ、フェイト。ジュエルシードの封印を]
フェイト「うん!!」
なのはもレイジングハートをジュエルシードに向ける。
なのは「ジュエルシード、シリアル7!!」
なのは、フェイト「「封印!!」」
なのはとフェイトが同時にジュエルシードを封印する。
光と共に封印されるジュエルシード。
そのジュエルシードを挟んで、フェイトとなのはは睨み合う。
フェイト「…ジュエルシードには、衝撃を与えたらいけないみたいだ」
なのは「うん。夕べみたいな事になったら、私のレイジングハートも、フェイトちゃんのバルディッシュも可哀相だもんね」
フェイト「だけど…譲れないから」
フェイトはそう言うとバルディッシュを構え、バルディッシュがデバイスフォームになる。
なのは「私は…フェイトちゃんと話をしたいだけなんだけど」
なのはのレイジングハートもデバイスモードになる。
なのは「私が勝ったら…ただの甘ったれた子じゃないって分かってもらえたら…お話…聞いてくれる?」
なのはの真剣な表情に、フェイトは小さく頷いた。
フェイトとなのはは同時に動き、お互いのデバイスを振りかぶった。
それが同時に振り下ろされ、激突するかと思われた時、2人の間に光が迸り、魔法陣が現れる。
そして、何者かがレイジングハートを素手で掴み、バルディッシュをデバイスで受け止めた。
?「ストップだ!!ここでの戦闘は危険すぎる!!」
受け止められたなのはとフェイトは呆然としている。
?「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ!!詳しい事情を聞かせてもらおうか」
そこにいたのは大輔と賢と同じくらいの背丈の黒髪の少年だった。
ユーノ「時空管理局?」
ユーノが呟く。
クロノ「まずは2人共武器を引くんだ」
クロノと名乗った少年はなのはとフェイトにそう命令する。
3人は地面に降りていく。
クロノ「このまま戦闘行為を続けるなら…」
アルフ「フェイト!大輔!フレイドラモン!撤退するよ!!」
賢「テスタロッサさん!!」
賢がジュエルシードを拾い上げ、フェイトに投げ渡す。
大輔「早く逃げろ!!」
フェイト「う、うん!!」
フェイトはジュエルシードを持って逃げようと背中を向けた。
クロノ「そうはさせるか!!」
クロノがフェイトに向けて、魔力弾を放った。
フレイドラモン[しまった!!]
魔力弾がフェイトに直撃するかと思われた瞬間。
遼「女の子には優しくしないと駄目だぜ坊や?」
間に入った遼が剣で魔力弾を弾いた。
フェイト「あ…」
遼「ほら、早く逃げな」
アルフ「フェイト!!早く!!」
アルフに急かされ、フェイトはその場を離れていく。
クロノ「貴様!!」
賢「ヘルスクイーズ!!」
甲冑の頭部の触手が伸びて、クロノを拘束する。
クロノ「しまった!!」
賢「悪いですが、暴れられると厄介なので、魔力を吸収させて貰います。」
触手が触れた部分から魔力が急激に吸われたクロノは暴れる前に脱力した。
クロノ「ぐっ…」
大輔「魔力吸収なんて凄い技持ってるな」
遼「敵としては戦いたくないな」
賢「まあ、これもスティングモンの力でもあるんですよ。それでどうします?」
遼「ん?」
大輔「ジュエルシードの回収作業を妨害した挙げ句、作業者に危害を加えようとしたこいつのことだよ」
大輔が指差すのはギリギリまで魔力を吸収されたことで、まともに身体を動かすことも出来ないクロノ。
遼「とにかくこいつが何者かを問い詰めないとな。おい、坊や」
屈んで、こちらを睨んでくるクロノと目線を合わせる。
遼「お前何者だよ?」
クロノ「くっ…貴様らっ…自分達が何をしているのか分かっているのか…!!」
遼「ん?ジュエルシードの回収作業を妨害した挙げ句、作業者、しかも女の子に危害を加えようとした大馬鹿野郎に正当防衛の鉄槌を下しただけですが、何か?」
クロノ「…くっ!!」
確かに先に攻撃を仕掛けたのはクロノなので、遼の言う通り正当防衛が成り立つ。
遼「お前の質問には答えたんだからお前も答えろよ。お前何者?」
クロノ「先ほど名乗っただろう!!僕は時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。君達の行動は公務執行妨害に当たるぞ!!」
大輔「時空管理局…フェイトが言っていたあれか…とにかく俺と同い年のくせして上から目線が気に入らねえな!」
クロノ「失礼な!僕は14歳だ!!」
それを聞いた遼と大輔と賢は固まる。
遼「何!?14歳!?じゃあお前、俺と同い年だってのか!!?」
大輔「そんな馬鹿な!!俺より3つも年上!?背なんて、なのはとどっこいどっこいじゃねえか!?嘘つくな年齢詐称野郎!!」
賢、遼「「ぷっ」」
クロノ「ぐはっ!!」
賢と遼が吹き出し、大輔の発言がクロノの心に深く突き刺さる。
クロノは同年代の男子に比べて低い。
下手をしたら小学生よりも。
なのは「だ、大輔さん!!いくら本当のことでも可哀相だよ!!(悪気無し)」
ユーノ「大輔さん、本当のことでも言っていいことと悪いことがありますよ。後、賢さんも遼さんも笑わないで下さい。(悪気無し)」
ツカイモン[まあ、確かになのはと身長は変わらないが(悪気無し)]
2人と1匹の発言にクロノがうなだれる。
恐らくフォローの為に言ったのだろうが、逆にとどめになっていることを自覚していない。
自覚が無いからこそ、その言葉には遠慮が無いのだ。
ドルモン[君君、いくら大人ぶりたいからって年齢詐称はいけないんじゃない。]
遼「こらこらドルモン、坊やは身長や実年齢を気にする多感な年頃なんだ。それ以上酷いことを言うんじゃない。」
大輔「いや、あんたも言ってること目茶苦茶酷いです」
ブイモン、ワームモン[[ぷっ]]
退化したブイモンとワームモンが吹き出した。
大輔「…どうしたもんか……」
大輔がボソッと呟いた。
?『ちょっといいかしら?』
空中に画面が現れ、女性が映る。
大輔「あんた誰だ?」
?『私は、時空管理局提督、リンディ・ハラオウンよ』
大輔「また時空管理局か…」
リンディ『…それにしてもあなた達、うちの執務官のコンプレックスを見事に抉ってくれちゃって。ほらクロノ、しゃんとなさい』
リンディがクロノに声をかける。
クロノ「は、はい、艦長。」
クロノは何とか復活したようだ。
クロノ「艦長、申し訳ありません。1人を取り逃がし、ロストロギアも奪われてしまいました。」
リンディ『まあ、ロストロギアの暴走が防がれただけでもよしとしましょう。それで、あなたの言うとおり、こちらにも落ち度があるわ。執行妨害については不問にするから、あなた達の詳しい話を聞かせてくれないかしら?クロノ、彼等をアースラに連れて来てもらえる?』
クロノ「了解しました」
賢「ああ…はやてに怒られる…」
大輔「仕方ねえよ。覚悟を決めろよ一乗寺」
これが大輔達の時空管理局との出会いであった。
 
 

 
後書き
遼が参戦したことで更に扱いが悪くなったという。 

 

第十一話 それぞれの行動

 
前書き
大輔達がそれぞれ行動を移す。ツカイモン[リリカルアドベンチャー、始まります] 

 
魔力が回復したクロノに連れられ、大輔と賢、ブイモン、ワームモン。
遼とドルモン、なのはとユーノとツカイモンはアースラ艦内に転移してきた。
大輔「(ユーノ。ここって一体なんだ?)」
大輔がユーノに念話で話しかける。
ユーノ「(時空管理局の次元航行船の中、簡単に言うと、いくつもある次元世界を自由に行き来するための、そのための船です)」
賢「(成る程)」
ユーノが答えると賢が納得したように言う。
大輔も辺りを見回しながら足を動かす。
やがて、転移してきた部屋を抜けると、クロノが振り返ると口を開いた。
クロノ「ああ。何時までもその格好というのは窮屈だろう。バリアジャケットとデバイスは、解除してもらって平気だよ」
なのは「そっか…そうですね。それじゃあ…」
クロノの言葉に、なのはは返事をして、バリアジャケットを解除し、デバイスを待機状態にする。
大輔と賢も遼も甲冑を解除して、D-3の状態に戻す。
すると、クロノはユーノに視線を向け、口を開いた。
クロノ「それと君も元の姿に戻ってもいいんじゃないか?」
ユーノ「あ、はい」
なのは「え?」
すると、ユーノの身体が光りだした。
なのは「え?…え!?」
大輔「お?」
賢「へえ…」
遼「ほう?」
なのはの目が点になった。
大輔と賢と遼は興味深そうに見遣る。
そこには、黄土色の髪で、民族衣装のような服装をした少年がいたからだ。
ユーノ「ふぅ…なのはにこの姿を見せるのは、久しぶりになるのかな」
そう言って立ち上がり、なのはに視線を向ける少年となったユーノ。
大輔「成る程、変身魔法か」
ブイモン[俺てっきりアルフと同じ使い魔かと思ったんだけどな]
ユーノ「あはは…」
ブイモンの言葉に苦笑するユーノ。
しかしなのはは、ユーノを指差しながら固まっていた。
なのは「ふぇえええええええええええええ!!!?」
突如、なのははアースラ全体に響き渡りそうな大声を上げた。
あまりの大声にブイモンとワームモンがひっくり返った。
ドルモン[ど、どうしたんだなのは?]
ツカイモン[ユーノ、君はなのはにその姿を見せたことがないだろう]
ユーノ「えっ!?そうだっけ!?」
ツカイモンの言葉に、ユーノはなのはに聞き返す。
なのは「そうだよ~~~!!最初っからフェレットだったよ~~!!」
ユーノ「ああ!!そうだそうだ!!ご、ごめん、この姿を見せてなかった」
大輔「(意外と抜けてんだな…)」
思いはしたが口に出さなかった。
武士の情けである。
なのは「もしかしてツカイモンも…」
ツカイモン[私は元からこの姿だ…一応…]
なのは「………」
ブイモン[何で俺達を見るんだよ?]
ワームモン[僕達も違うからね!!]
クロノ「ゴホン。ちょっといいか?」
クロノは軽く咳払いをして話し出す。
クロノ「君達の事情は良く知らないが、艦長を待たせているので、出来れば早めに話を聞きたいんだが?」
なのは「は、はい…」
クロノ「では、こちらへ」
クロノは再び、先導して歩き出した。
大輔達は無言でついて来る。
クロノ「艦長、来てもらいました」
クロノはとある部屋に入るとそう言った。
大輔「(なんだこりゃあ…)」
その部屋は、盆栽、茶釜等の和風に彩られていた。
賢「(ここ、一応艦長の部屋だよね?)」
遼「(つーか、この人若いな…)」
それぞれの感想を抱きながら部屋に入る大輔達。
リンディ「お疲れ様、まあ皆さん、どうぞどうぞ楽にして」
そこには正座し、笑顔でそう言うアースラの艦長、リンディ・ハラオウンがいた。
リンディ「なるほど、そうですか。あのロストロギア…ジュエルシードを発掘したのはあなた達だったのですね」
ジュエルシードの経緯を聞いたリンディがそう言う。
ユーノ「はい…それで、僕達が回収しようと…」
ユーノが頷き、同時にそれがジュエルシードを回収しようとした理由である事を言った。
リンディ「立派だわ」
リンディはそう言うが、クロノが口を開いた。
クロノ「だけど、同時に無謀でもある」
クロノが直球にそう言った。
クロノの言葉に、ユーノはしゅんとなる。
大輔「おい、確かにユーノのやろうとしたことは無謀かもしれない。けど、その無謀な行動に助けられた奴がいるのも確かなんだぜ?」
ツカイモン[第一、組織であるお前達が一般人であるユーノやなのはより行動が遅いのというのは問題なのでは?]
クロノ「それは…」
リンディ「そうね…その通りだわ…」
ツカイモンの言葉は正論だ。
組織が一般人より行動が遅いのは確かに問題だ。
なのは「…あの、ロストロギアって何なんですか?」
なのはが疑問に思ったことを尋ねる。
リンディ「ああ…遺失世界の遺産…って言っても分からないわよね。えっと…次元空間の中には幾つもの世界があるの。それぞれに生まれて育っていく世界。その中に、ごく稀に進化しすぎる世界があるの。技術や科学、進化しすぎたそれが、自分達の世界を滅ぼしてしまって。その後に取り残された失われた世界の危険な技術の遺産」
クロノ「それらを総称して、ロストロギアと呼ぶ。使用方法は不明だが、使いようによっては世界どころか、次元空間を滅ぼすほどの力を持つ、危険な技術」
リンディ「然るべき手続きを持って、然るべき場所に保管されていなければいけない危険な品物。あなた達の集めているロストロギア…ジュエルシードは次元干渉型のエネルギーの結晶体。いくつか集めて特定の方法で起動させれば、空間内に次元震を引き起こし、最悪の場合次元断層まで引き起こす危険物」
クロノ「君とあの黒衣の魔導師がぶつかった時に起こった振動と爆発。あれが次元震だよ」
クロノの言葉に、なのはは、はっとなる。
クロノ「たった1つのジュエルシードの…何万分の一の発動でもあれだけの影響があるんだ。数個集まって動かした時の影響は、計り知れない」
その言葉を聞いて、ユーノが思い出したように言った。
ユーノ「聞いた事あります。旧暦の462年、次元断層が起こった時のこと」
クロノ「ああ。あれは酷いものだった」
リンディ「隣接する次元世界が幾つも崩壊した、歴史に残る悲劇…繰り返しちゃいけないわ」
リンディは神妙な顔でそう呟くがお茶の中に砂糖を入れたのだ。
大輔と賢と遼がそれを見て口元を引き攣らせる。
そして、リンディはそれを全く躊躇することなく口に運ぶ。
リンディ「ところであなた達に1つ質問があるのですが」
リンディの視線が大輔、賢、遼、ブイモン、ワームモン、ドルモン、ツカイモンに向けられる。
大輔「俺達に?」
リンディ「あなた達、次元漂流者よね?そちらの…」
賢「ブイモン、ワームモン、ドルモン、ツカイモンです。」
リンディ「ブイモン達みたいな子達やあなた達のデバイスはあなた達の世界では当たり前なんですか?」
賢「は?」
賢が分からず首を傾げるとリンディが口を開く。
リンディ「管理局にある既存のデバイスの性能を遥かに超える高性能のデバイス…D-3…そしてその子達が素体も無しに高レベルのプログラムデータのみで構成されていることです。…しかもどちらも管理局の技術を持ってしても現時点では解析不能なブラックボックスの塊。」
ブイモン[…どうやら俺達のことは調べられていたようだね]
勝手に調べられていたことにブイモンが不機嫌そうに呟いた。
リンディ「ええ、勝手ながら」
なのは「ふぇえええ!?」
ユーノ「ツカイモン…君、プログラムデータだったのか!?」
なのはとユーノからすれば、人間と同じくらい感情豊かな3匹が素体も必要とせずプログラムだけで構成されているとは信じられないらしい。
ツカイモン[そう。私達はデジタルモンスターという素体を必要とする使い魔とは違い、純粋にデータのみで構成された生物…言っていなかったかな?]
なのは、ユーノ「「言ってない!!」」
リンディ「…大輔さん、賢さん、遼さん。出来ればあなた達とブイモン達とその特殊なデバイス…D-3を調べさせて貰えませんか?」
遼「悪いが、お断りさせてもらう」
直ぐさま遼がリンディの頼みを一刀両断する。
リンディ「あら?どうして?」
遼「パートナーを実験材料にされたくないしな」
ブイモン[俺達も自分達を実験材料なんかにされたくない。]
クロノ「大輔達やデバイスはともかく、お前達デジタルモンスターは、調査次第でロストロギアに指定される可能性がある。これはお前達の為でもあるんだぞ」
納得出来ないクロノは調査する理由を言うが、ブイモン達はどこ吹く風だ。
ブイモン[そっちの都合なんか知らないよ。俺のパートナーは後にも先にも大輔だけ…それともお前らは大輔達が次元震とかってのを起こすと思ってんのか?]
クロノ「だが、こいつらは僕に攻撃を仕掛けた!!それに僕の魔力をギリギリまで奪ったじゃないか!!」
ドルモン[あのさ、それは君がフェイトって女の子に攻撃を仕掛けたからだろ?最初に攻撃を仕掛けたのは他でもない君。遼達は正当防衛でやったんだ。]
ブイモン[先に攻撃を仕掛けたお前にそんなこと言う資格なんて無いし、被害者の俺達がお前にそんなこと言われる筋合いなんかないね!!]
ドルモンは呆れながら、ブイモンは鼻で笑うとクロノの言い分を容赦なく一蹴した。
クロノ「ぐっ…!しかし…!!」
ワームモン[大体、魔力は奪われても怪我はしてないんでしょ?]
ブイモン[そうだよ。大体お前が俺達にしたことを考えれば、当然の対応だと思うぞ]
ドルモン[敵に暴れられたらかなわないからね。それにあのジュエルシードで怪物化したあいつを倒した大輔達が本気で君を潰しにかかったら今頃、ベッドの上だよ?]
クロノ「ぐっ…」
リンディ「クロノ、仕方ないわ。これ以上は止めましょう。」
クロノ「分かり…ました…」
リンディ「これよりロストロギア、ジュエルシードの回収については、時空管理局が全権を持ちます」
なのは、ユーノ「「えっ?」」
なのは、ユーノが声を漏らす。
クロノ「君達は今回の事は忘れて、それぞれの世界に戻って元通りに暮らすといい」
なのは「でも…そんな…」
なのはは何か言おうとする前にクロノが口を開いた。
クロノ「次元干渉に関わる事件だ。民間人が介入していいレベルの話じゃない」
なのは「でも!!」
リンディ「まあ、いきなり言われても気持ちの整理がつかないでしょうから、今夜一晩、ゆっくり考えて、それぞれで話し合って、それから改めてお話をしましょう」
遼「なあ…なのは達に元の世界で元通りに暮らせって言った癖にまた此処に来させるなんてどういうことだよ?」
遼がリンディとクロノを冷めた視線で見遣りながら言葉を紡ぐ。
遼「まあ、どうせなのは達を自分達側に引き込んで利用するのが目的なんだろう?」
クロノ「貴様っ!!」
クロノが遼を睨みつけ、叫んだ。
今の遼の発言は管理局を侮辱するものだからだ。
遼はクロノを冷たい目で見つめながら口を開いた。
遼「じゃあ聞くぜ坊や。どうしてなのはをジュエルシードのことから退かせるために話し合わせるんだよ?どうして此処にもう1度来るように言うんだ?そんなことを言えば責任感が強いなのはやユーノがどうするかは、会ったばかりのお前らにも分かるだろ?もし違うっていうなら、教えてくれよ?」
リンディ「そ、それは…」
違うとは言えない。
遼の言ったことは紛れも無い真実だからだ。
リンディは黙り込んでしまう。
遼「やっぱりか。時空管理局とは随分と汚いやり方を好むと見える」
遼がリンディ達の汚いやり方に吐き捨てるように言う。
重い空気が立ち込める中、なのはが怖ず怖ずと手を挙げた。
なのは「あ、あの…私にジュエルシード集めを手伝わせて下さい。リンディさんに言われなくても私、自分から頼んだと思います。」
ユーノ「僕もお願いします!!」
リンディ「しかし…」
渋るリンディに賢は口を開く。
賢「いいじゃないですか、2人の乗艦を許可しても、メリットはあってもデメリットは無いはずです」
大輔「なのはの気持ち…汲み取ってくれませんか?」
リンディ「…分かりました。あなた方の乗艦を許可します」
クロノ「本気ですか!?」
リンディ「2人の善意を利用しようとした私に断る権利はありません。あなた方を利用しようとして申し訳ありませんでした。」
リンディはなのはとユーノに謝罪をする。
なのは「いえ、そんな…」
リンディ「ご協力に感謝します。そしてこれから宜しくお願いします。」
なのは、ユーノ「「はい!!」」
リンディ「それから大輔さんと賢さん、遼さんも…」
大輔「協力でしょう?」
賢「僕達も協力しましょう。ただしいくつかの条件付きですが」
リンディ「条件…?」
賢は頷くと、協力するにあたっての条件を提示した。
賢「1つ、テスタロッサさんの保護。2つ、僕達の元の世界の捜索。3つ、ある程度自由に動ける権利。この3つを約束してくれるなら協力します。」
リンディ「分かりました。約束しましょう。それではなのはさんは1度御家族とお話して、賢さんと遼さんと一緒にまた明日公園に来て下さい。」
なのは「はい!!」
賢「はやてに話さないとな…遼さんは?」
遼「ここまで関わっておいて、今更リタイアなんかするか。俺も協力する」
リンディ「クロノ、なのはさん達を送ってあげて」
クロノ「…はい」
クロノはなのは達を連れて部屋を出る。
賢「じゃあ、大輔。また明日。」
大輔「ああ…」
賢達も部屋から出る。
部屋には大輔とブイモンとリンディが残った。
リンディ「もうこんな時間ですね…大輔さん、食堂に案内しますか?」
大輔「はい。行くぞブイモン。」
ブイモン[…うん]
ムスッとした表情で大輔の後をついていく。
大輔「…時空管理局に協力するのは不満か?」
大輔がブイモンの表情を見遣りながら聞く。
ブイモン[別に、ハッキリ言ってあいつらは気にくわないけど大輔が決めたことなら俺はそれに従うよ]
大輔「そうか…なあ、ブイモン」
ブイモン[何?]
大輔「俺…正しいのかな?」
ブイモン[え?]
大輔の言葉にブイモンは目を見開いた。
大輔は自嘲気味に笑うと口を開く。
大輔「俺は何が何でもフェイトを守るって誓った。今でもそれは変わらない。でも、フェイトを救うためとはいえ管理局に協力することはフェイトを傷つけるんじゃないかって…」
ブイモン[…不安…なんだな大輔。]
ブイモンは言葉に篭められたパートナーの内心を悟る。
大輔「情けないけどな」
ブイモン[情けなくないよ。大輔は大輔の信じる道を進めばいい。俺の役目は大輔を導くことじゃない。大輔の答えが俺の答えになる。大輔がどういう道を進むかは大輔が決めていいんだ。俺はそれに従うよ…]
例えこれから先どのような苦難が待ち受けようと、ただパートナーである大輔の傍に。
大輔「おいおい、それって責任重大じゃねえか」
大輔が苦笑しながら言う。
ブイモン[…そうだね(…大輔は知らないんだね……)]
ブイモンは苦笑しながら、気づかれないように内心で呟く。
ブイモン[(大輔が守りたいと思うものを守りたい。この気持ちに嘘はないけど…もし、大輔が壊したいと願う物があるなら、俺は平気で壊すんだろうな。例えそれが…)]
世界であろうと。
 
 

 
後書き
管理局に協力することに。

スバルのパートナーデジモンをウォーグレイモンXに変更し、なのはのジョグレスパートナー。
相性が良さそうですから。
リインのパートナーは、ブラックテイルモン。
リインフォースはダスクモン→レーベモンにしようかなと。
大輔達とユニゾンするから多少高性能のパートナーの方がいいです。
ギンガはブラックウォーグレイモン。
ノーヴェはビクトリーグレイモンがいいかなと。
 

 

第十二話 幻竜の力

 
前書き
時空管理局に協力することになった大輔達。
大輔「それじゃあ…やるか?」
ブイモン[ああ]
大輔、ブイモン「[リリカルアドベンチャー、始まるぜ]」 

 
大輔達が時空管理局に協力することになり、大輔とブイモンがアースラの自室で疲れを癒していた頃。
?「凄いや!!4人共、AAAクラスの魔導師だよ!!」
アースラのオペレーターであるエイミィ・リミエッタが、大輔達の戦闘データを見て、驚きの声を上げた。
クロノ「ああ」
エイミィの声にクロノが頷く。
エイミィ「こっちの白い服の子は、クロノ君の好みっぽい可愛い子だし」
クロノ「エイミィ…そんなことはどうでもいいんだよ!!」
エイミィの冗談に呆れるクロノ。
エイミィ「魔力の平均値を見ても、白い服の子で127万。黒い服の子が143万。そして通常の状態で灰色の服の子が150万。後、大輔君が僅差で負けるけど147万、遼君が一番魔力が高い156万。最大発揮時は更にその3倍以上。魔力だけならクロノ君より上回っちゃってるね!!」
クロノ「魔法は魔力値の大きさだけじゃない。状況に合わせた応用力と、的確に使用できる判断力だろ」
エイミィ「それは勿論!!信頼してるよ。アースラの切り札だもん、クロノ君は」
エイミィの言葉に微妙な顔になるクロノ。
エイミィ「でねでね。もう1つ驚く事があるんだ」
エイミィがそう言いながら、モニターを切り替える。
モニターに大輔達が映る。
クロノ「この3人がどうした?」
クロノがモニターを見て疑問符を浮かべる。
エイミィ「うん、実は大輔君のデバイスを貸して貰って少し解析してもらったんだ。」
クロノ「どうやってだ?本人は断固拒否していたのに。」
エイミィ「土下座して、貸してもらいました。」
クロノ「……」
クロノが心底呆れたように見つめる。
エイミィ「だって気になるんだもん!!あんな高性能なデバイスに触れられる機会なんて滅多にないし。」
クロノ「…確かに…それで?何が気になるって言うんだ?」
エイミィ「ええと、大輔君のことなんだけど…まず。」
モニターに映し出されたのはフレイドラモンの甲冑を纏っている大輔。
エイミィ「この形態だと、大輔君の魔力ランクはAAAクラス。の形態でもかなり強いよ。」
クロノ「後、5人の中でも彼はかなり実戦慣れしている。恐らく、5人の中では強い部類に入る。一番強いのは彼だな」
エイミィ「あれ?クロノ君が大輔君達を誉めるなんてね」
クロノ「どういう意味だ?」
クロノは睨みつけるようにエイミィに問いかける。
エイミィ「初対面でいきなりボコボコにされたし。クロノ君とは、ウマが合いそうになかったと思ったんだけど?」
クロノ「それとこれとは話は別だ。確かに僕個人としては彼に対して、余り好ましい感情は持っていない。けど魔導師としての彼の実力は認める。」
エイミィ「ふ~ん…大人だねぇ~」
クロノ「それで?」
クロノはエイミィに続きを促す。
エイミィ「あ、うん。次は」
次に映るのはライドラモンの甲冑を纏っている大輔。
クロノ「これは、あの時の形態か?」
エイミィ「うん。実はね、調べてみたんだけど、この形態の時の魔力値が僅かに上がる。しかも大輔君の場合、甲冑を切り換えると属性が付加されるんだ。」
クロノ「どういうことだ?」
エイミィ「例えば、あの紅い甲冑の場合は炎熱、黒い甲冑の場合は、電気の魔力変換資質が付加される。黒い甲冑の方が強いのは大輔君自身が電気の変換資質を持ってるから。しかも甲冑の数はこれだけじゃないようなんだよね」
クロノ「まだあるのか?」
エイミィ「まだ解析出来ないところがあるから完全とは言えないけど、大輔君の甲冑は後2つ残ってる。紅と黒の…3つ目の甲冑は、基本値で通常の倍の284万、最大で3倍の852万まで跳ね上がるって結果が出たんだ。」
クロノ「何!?」
エイミィ「これってさ、どう考えてもAAAクラスどころかSランクまで行くよ?敵じゃなくて本当に良かったね。」
エイミィが溜め息を吐きながらぼやいた。
すると、リンディが部屋に帰って来た。
エイミィ「あ、艦長」
リンディ「ああ。あの子達のデータね」
リンディがモニターを見つめる。
リンディ「確かに、凄い子達ね」
クロノ「これだけの魔力がロストロギアに注ぎ込まれれば、次元震が起きたのも頷ける」
リンディ「あの5人がジュエルシードを集める理由は分かったけど、こっちの黒い服の子は何でなのかしらね?」
リンディが疑問を口にする。
クロノ「随分と、必死な様子だった。何かよほど強い目的があるのか…」
リンディ「目的…ね」
リンディは呟いた後、少し悲しそうな目でフェイトが映ったモニターを見つめる。
リンディ「小さな子よね…普通に育っていたら、まだ母親に甘えていたい年頃でしょうに…」






























リンディ「と言う訳で。本日零時をもって、本艦全クルーの任務はロストロギア、ジュエルシードの捜索と回収に変更されます」
アースラ艦長のリンディが全員に話しかける。
リンディ「また本件においては、特例として問題のロストロギアの発見者であり、結界魔道師でもあるこちら…」
リンディに紹介され、緊張しながら立ち上がるユーノ。
ユーノ「はい!!ユーノ・スクライアです」
リンディ「それから彼の協力者でもある現地の魔道師さん達」
なのはも緊張したように立ち上がる。
なのは「あ、高町なのはです!!」
大輔「本宮大輔です。」
賢「一乗寺賢です。」
遼「秋山遼、よろしく頼みます」
大輔と賢、遼も立ち上がり自己紹介を済ませた。
リンディ「以上5名が臨時局員の扱いで事態に当たってくれます」
全員【よろしくお願いします】



































顔合わせの会議も終わり、大輔達はジュエルシードが見つかるまで待機になった。
ジュエルシードの捜索は時空管理局がやるらしい。
なのは「あの…大輔さん。賢さん。遼さん。」
大輔「ん?」
賢「どうしたの?」
なのは「お願い。私を鍛えて下さい!!」
なのはがいきなり頭を下げて頼み込んで来た。
大輔「え?」
遼「いきなりどうした?」
賢「理由を聞いてもいいかな?」
なのは「私…フェイトちゃんに勝ちたいの」
賢「テスタロッサさんに?」
大輔「フェイトに認めてもらうためか?」
なのは「うん。お願い大輔さん。賢さん。遼さん。」
賢「鍛えてあげたいのは山々だけど…僕と遼さんじゃあ、高町さんとはバトルスタイルが違い過ぎるからなあ…」
接近戦が得意な賢と遼では砲撃が得意ななのはとは戦い方が異なる。
この中で一番、なのはに近いとなると…。
大輔「…分かった。俺が教える。俺は教えるなんてやったことがないから、そこのとこは覚えとけ」
なのは「はい!!」
そして5人はジュエルシード発見の知らせを受け、現場に急行する。































結界の張られたそこでは、ジュエルシードによって変貌した巨鳥が暴れまわっている。
ライドラモンの甲冑とスティングモンの甲冑、グレイドモンの甲冑を纏った大輔と賢、遼が向かっていく。
大輔「賢!遼さん!畳み掛けるぞ!!」
賢「任せてくれ!!」
遼「んじゃ、張り切っていきますか!!」
賢はスパイクで遼は双剣を一気に巨鳥に向けて振り下ろし、翼を両断する。
大輔「ブルーサンダー!!」
電撃が巨鳥に直撃し、巨鳥は消滅した。
巨鳥がいた場所にジュエルシードを発見した。
大輔「なのは、封印を」
なのは「はい!!」
なのははジュエルシードに駆け寄ると封印を始める。
大輔はなのはがジュエルシードを封印しているのを見遣ると辺りを見回した。
大輔「…やっぱりいないか…」
賢「…仕方ないさ。テスタロッサさんにとって管理局は敵なんだから……」
賢が大輔の肩を叩く。
大輔「……分かってるよ。」
遼「そんなに慌てなくても、いずれあの子に会えるさ。」
なのは「大輔さん、封印終わったよ!!」
ユーノ「もうすぐゲートが開かれます!!」
大輔「分かった…」
大輔はなのはとユーノの元へ向かう。






























大輔達が森のジュエルシードを手に入れた頃、フェイトはある遺跡でジュエルシードを探していた。
アルフは大輔がいなくなってから、休まずジュエルシードを探しているフェイトを心配に思い、声をかける。
アルフ「フェイト…少し休まないかい?」
フェイト「まだ…大丈夫…」
口ではそう言うが、フェイトの顔にはハッキリと疲労の色が出ていた。
アルフ「でも…やっぱり今からでも大輔の所に行こうよ!!大輔ならきっと守ってくれるよ!!」
フェイト「駄目…大輔に迷惑かけちゃう…」
アルフ「フェイト!!」
フェイト「アルフ…お願い。少し1人にして…」
アルフ「…分かったよ。」
アルフはフェイトの意思を尊重して、フェイトから離れた場所に移動する。
フェイト「……」
目を閉じると思い出すのは大輔との暖かい日々。
初めて知る温もりに戸惑うこともあったが、今はその温もりが愛しくて堪らなかった。
フェイト「大輔…」
フェイトは自身の身体を強く抱き締めた。
フェイト「…寂しいよ……大輔…」
大輔の名を呟くフェイトの目から大粒の涙が零れた。






























リンディ「う~ん。4人共中々優秀だわ。このままうちに欲しいくらいかも」
その様子を見ていたリンディがそう言った。
別のモニター室では、エイミィがフェイトの事について調べていた。
エイミィ「この黒い服の子。フェイトって言ったけ?」
クロノ「フェイト・テスタロッサ。かつての大魔導師と同じファミリーネームだ」
エイミィに問いにクロノが答える。
エイミィ「え?そうなの?」
クロノ「大分前の話だよ。ミッドチルダの中央都市で、魔法実験の最中に、次元干渉事故を起こして、追放されてしまった大魔導師。」
エイミィ「その人の関係者?」
クロノ「さあね。本人とは限らない」
エイミィは、フェイトの位置を特定しようとするが。
エイミィ「ああ…やっぱり駄目だ。見つからない。フェイトちゃんはよっぽど高性能なジャマー結界を使ってるみたい」
クロノ「使い魔の犬。恐らくこいつがサポートしてるんだ」
エイミィ「おかげで、もう2個もこっちが発見したジュエルシードを奪われちゃってる」
クロノ「しっかり探して捕捉してくれ。頼りにしてるんだから」
エイミィ「はいはい…」






























大輔達が管理局に協力して10日後。
今まで時間が取れず出来ずなかったが、ようやく指導が出来るようになった。
アースラにある訓練室には大輔となのはがいた。
大輔「それじゃあ始めるぞ。フェイトに勝ちたいならそれ相応の努力をしろ」
なのは「はい!!」
大輔「まずフェイトは基本的に遠近両方こなせるから、なのはには接近戦のイロハを叩き込まないとな。」
なのは「頑張ります!!」
大輔「いい返事だ。接近戦をするんだから、受け流しと…そうだ。俺がいくつか考えた魔法を覚えてもらう」
なのは「ある魔法?」
大輔「特に覚えて欲しいのは、なのはのディバインバスターを参考にした拡散砲撃のスプラッシュバスターという魔法」
なのは[拡散砲撃?]
大輔「フェイトのスピードは今のお前より上だ。これから経験を積んで訓練を重ねればフェイトに届くかもしれないけどな。スピードのある相手と多数の敵を相手にする時は便利だ。後、教えるのは砲撃を使っての接近戦。」
なのは「………え!?」
さらりと紡がれた一言に驚く。
砲撃での接近戦とは、一体何なのだろう。
砲撃を撃ちまくるのだろうか?
大輔「砲撃での接近戦は後で教えてやるよ。」
大輔が指導に移ろうとした時、警報が鳴った。
大輔「なんだ?」
なのは「行ってみようよ!!」
大輔となのはは、訓練室から出るとブリッジに向かう。






























時は警報が鳴る前に遡り、海上では、巨大な魔法陣が展開され、その中央にフェイトがいた。
フェイト「アルカス・クルタス・エイギアス…煌きたる電神よ、今導きの元、降り来たれ…バウエル・ザルエル・ブラウゼル…」
魔法陣に稲妻が走る。
その様子を見ていたアルフは思った。
アルフ「(ジュエルシードは、多分海の中。だから、海に電気の魔力流を叩き込んで、強制発動させて、位置を特定する。そのプランは間違ってないけど…でも、フェイト!!)」
フェイトは呪文を唱え続ける。
フェイト「撃つは雷…響くは轟雷…アルカス・クルタス・エイギアス…」
フェイトの周りに複数の魔力球が生み出され、雷を纏う。
フェイト「はぁああああああああっ!!」
フェイトがバルディッシュを振り下ろすと、雷が海に叩き込まれた。
それと共に、海の中からジュエルシードの反応が起こる。
フェイト「はぁ…はぁ…はぁ…見つけた…残り5つ」
荒い息をつきながらフェイトは呟く。
アルフ「(こんだけの魔力を撃ち込んで、更に全てを封印して。こんなのフェイトの魔力でも、絶対に限界超えだ!!)」
そう考えているアルフにフェイトは叫んだ。
フェイト「アルフ!!空間結界とサポートをお願い!!」
アルフ「ああ!!任せといて!!」
アルフは直ぐに返事を返す。
アルフ「(大輔はあいつからもフェイトを守ってくれた…大輔の代わりにアタシがフェイトを絶対守ってやる!!)」
その心に決意を秘めて。
ジュエルシードの影響で、海面が荒くなり、竜巻が巻き起こる。
フェイト「行くよバルディッシュ。頑張ろう」
フェイトはバルディッシュを構え、ジュエルシードに立ち向かった。






























そして時は戻り、大輔となのははブリッジに入る。
モニターにはフェイトの姿があった。
リンディ「なんとも呆れた無茶をする子だわ!!」
リンディが半分叫ぶように言った。
クロノ「無謀ですね。間違いなく自滅します。あれは、個人の成せる魔力の限界を超えてる」
クロノが冷静に分析する。
大輔「あの馬鹿…っ!!行くぞなのは!賢!ユーノ!!」
なのは「はい!!」
クロノ「その必要はないよ。放っておけば、あの子は自滅する」
クロノが冷酷にそう言った。
その言葉に、大輔達は足を止める。
大輔「何だと?」
大輔はクロノを睨むがクロノは構わず言葉を続けた。
クロノ「仮に自滅しなかったとしても、力を使い果たしたところで叩けばいい」
大輔「そうかよ。じゃあ尚更俺は出る」
大輔は踵を返し、ブリッジから出ようとする。
クロノ「貴様…人の話を聞いていたのか!?」
クロノは大輔に駆け寄り、大輔の肩を掴もうとしたが、大輔はクロノの手を強く振り払う。
大輔「確かにお前の言うことは正論だよ…確かにそのやり方なら被害0で解決出来るかもしれない。」
クロノ「ならっ!!」
大輔「理解は出来ても納得出来るかどうかは話は別だ!!」
クロノ「なっ!?」
大輔「フェイトを助けてジュエルシードを封印する…それが俺が納得出来る唯一の答えだ!!」
大輔の気迫にクロノは気圧されるが何とか言い返す。
クロノ「じ、じゃあその答えが正しいと言い切れるのか!!?」
大輔「さあな、少なくても…フェイトの努力を利用してジュエルシードを横から掠め取ろうとしている最低な組織よりは間違ってないと言い切れるぜ!!」
クロノ「何!?」
大輔の発言に激昂したクロノは掴み掛かろうとする。
リンディ「止めなさいクロノ!!大輔さん達との約束を忘れたの!?」
クロノ「くっ…!!」
大輔「…行くぞブイモン!!」
ブイモン[ああ!!]
大輔はクロノを一瞥するとブイモンを連れて、ブリッジを出る。
賢「…僕達も行こう」
なのは、ユーノ「「え?」」
なのはとユーノの背中を軽くポンと叩く。
なのはとユーノは目を見開いた。
賢「テスタロッサさんを助けに行こう。本宮君とブイモンばかりにいい格好させられないよ!!」
ワームモン[僕もフェイトと知り合いだから放っておきたくないしね]
なのは、ユーノ「「…はい!!」」
賢とワームモン、なのは、ユーノもブリッジから出る。
クロノ「お、おい!!待て…」
遼「待つのはお前だ坊や。」
止めようとするクロノに足払いをかけ、転倒させるとクロノの背中に足を乗せる。
クロノ「貴様、離せ!!」
遼「いいから黙って見てな坊や。あいつらのやり方をな。多分呆れる程とんでもないことをやらかすぜ。」
何故だか分からないが、遼には大輔達がフェイト達を救いつつ、ジュエルシードを手に入れると確信出来た。
遼「さあて、俺はここから見させて貰うぜ。お前達のやり方を」
ドルモン[まあ、駄目なら俺達がどうにかすればいい。そうだよな?]
遼「そういうこと」
クロノの背中に腰掛けながらモニターを見つめる遼。
下からクロノの抗議が聞こえるが、あえて無視した。
リンディもモニターに映る大輔達を見ていた。
リンディ「フェイトさんの努力を利用してジュエルシードを横から掠め取ろうとしている最低な組織…か…耳が痛いわね…」
クロノは遼の下敷きにされながらも激しい怒りと困惑を抱いていた。
クロノ「(何故だ…何故僕はこんなにもイラついてるんだ!?何故彼の言葉を聞くと僕のやり方が間違っているように思うんだ!?僕の選択は執務官として間違っていないはずなのに!!)」
遼「別にお前のやり方が間違いとは俺も思ってねえよ。多分大輔達もな」
クロノ「何!?」
遼「なあ、坊や。もしもの話だけどお前に大勢の命とお前の大切な…リンディさんとかの命が天秤にかけられたとする。どっちも早く助けなきゃ命が危ない。お前ならどうする?」
クロノ「…納得は出来ないが、大勢の命を選ばなければならない。少数のために大勢の命を犠牲には出来ない。」
遼「そうだな。それも正しい答えだ。でも俺は大切な人を見捨てることは出来ない。例えば大勢を助ける道か、少数を助ける道しかないって迫られたら大勢を助けるのが筋だろうさ。でもその大切な人のことを1番に考えてる奴はそいつのために動かなきゃ駄目なんだ。それに1人の命を救えることが結果的に沢山の命を救うんだって俺は思う。」
クロノ「…………」
遼「見てみな、坊や。大切な人のために動くことの出来る大馬鹿野郎共の戦いを」
ドルモン[その先に君が求める答えがあるはずだよ]






























大輔達がブリッジを出た頃、海上ではフェイトが必死に戦っていた。
サイズフォームでジュエルシードのエネルギーを切り裂き、ジュエルシード本体に近付いていく。
フェイト「きゃあっ!?」
しかし勢いに耐え切れず弾き飛ばされる。
アルフ「フェイト!?フェイトー!!」
アルフが助けに行こうとしたが、ジュエルシードのエネルギーに阻まれる。
フェイトはそのまま落下していき、海に落ちるかと思われた。
賢「ワームモンッ!!!!」
ワームモン[ワームモン進化!スティングモン!!]
賢「スティングモン!!テスタロッサさんを!!」
スティングモン[分かった!!]
スティングモンは羽を動かし、一気にフェイトの元に向かい、海に落下するフェイトを救出した。
フェイト「…?」
スティングモン[大丈夫かい?フェイト、アルフ?]
アルフ「スティングモン!?」
大輔「フェイト…」
フェイト「大輔…」
大輔「無茶…しやがって…」
大輔が悲しげにフェイトを見つめる。
フェイト「ごめんなさい…」
大輔「いいよもう…今はこれを何とかしないとな…」
賢「流石にこれは少し骨が折れるね、今の状態じゃあ」
上空から賢達が降りて来る。
なのは「私達も手伝うよフェイトちゃん!!」
フェイト「あ…」
フェイトがどうすればいいのか分からず、大輔を見遣る。
大輔「どうするかはお前が決めろよ。言ったよな?少しは頼れって」
フェイト「うん…君…」
大輔の言葉に頷くとなのはの方を向く。
なのは「何?」
フェイト「…手伝って…くれる…?」
フェイトの口から出たのは小さい声だが、大輔達にはしっかりと伝わった。
なのは「うん!!」
レイジングハートから、桜色の光がバルディッシュに注がれる。
バルディッシュの魔力が回復した。
大輔「ブルーサンダー!!」
電撃弾を放つが、竜巻に弾かれた。
スティングモン[何!?]
フレイドラモン[大輔の魔法が弾かれた…?]
賢「ジュエルシード数個分の暴走だからね。破るなら遼さんくらいの魔力がないと…」
大輔「魔力…完全体の力…」
ふと、大輔は新たに追加されたデジメンタルを思い出す。
自身の甲冑は、ブイモンの進化系を元にした物。
ならば追加されたデジメンタルの形態も使えるはず。
大輔「一か八かだな…」
フェイト「大輔…」
不安そうに大輔を見つめるフェイトに気づいた大輔は安心させるように微笑む。
大輔「安心しろ、必ず何とかしてやる。俺を信じろ」
フェイト「うん!!」
大輔「皆、離れてろ。新しい力を使う。」
賢「新しい力?」
大輔「ああ、行くぜ!!ユーノ、アルフ、一乗寺。お前達はなのはとフェイトを頼む!!フレイドラモンもスティングモンもな!!」
賢「ああ、任せてくれ!!」
アルフ「あいよ!!」
ユーノ「はい!!」
フレイドラモン[分かった!!]
スティングモン[了解!!]
賢、アルフ、ユーノ、フレイドラモン、スティングモンがなのはとフェイトを守るために動く。
なのはとフェイトは魔法陣を展開し、封印の準備を始める。
大輔「はあああ…!!」
大輔は目を閉じると意識を集中する。
大輔が目を開くと同時に金色の光が大輔を包み込んだ。
光が消えると、そこにはブイモンが運命のデジメンタルでアーマー進化したゴールドブイドラモンの姿を模した甲冑を纏う大輔がいた。
大輔は黄金の輝きを身に纏いながら竜巻に向かっていく。
そして、中心に向かうと、海に両手の付け根を合わせ、手をまるで獣の口のような形にして向けていた。
大輔「こいつが今の俺の全力全開!!ブイブレスアローMAX!!」
大輔の手から、金色の極太の熱閃が放たれる。
凄まじい破壊力を秘めた砲撃により、竜巻は呆気なく消し飛ばされた。
賢「ムーンシューター!!」
賢も魔力弾を数発放ち、竜巻が戻ろうとするのを防ぐ。
フレイドラモン[今だ二人共!!全力全開だ!!]
二人を守っていたフレイドラモンが叫ぶ。
なのは「うん!!フェイトちゃん!せーので封印するよ!!せーのっ!!」
フェイト「サンダー…」
なのは「ディバイィィン…」
フェイト「レイジーーーッ!!」
なのは「バスターーーーーッ!!」
2人の魔力は、凄まじい衝撃をおびながら、ジュエルシード全てを封印する。






























エイミィ「ジュエルシード!!5つ全ての封印を確認しました!!」
ジュエルシードの封印を確認したエイミィが報告する。
クロノ「な、なんて出鱈目な!!」
クロノがあまりの出来事に呆気に取られる。
リンディ「…でも凄いわ」
呆然と見ていたリンディがそう呟いた。
遼「だから言ったろ坊や?呆れる程とんでもないことをやらかすってな。あれが、大切な人のために動くことの出来る大馬鹿野郎共の底力だ」
クロノ「………」





























なのは「えっと…フェイトちゃんが3個で、私達が2個…でいいよね?」
なのはがフェイトに5つあるジュエルシードの内、3つ渡した。
フェイトもそれを了承するように頷いた。
現在フレイドラモンの甲冑を纏っている大輔がフェイトに声をかける。
大輔「全く無茶すんなよ…寿命が縮んだぜ…」
フェイト「大輔…」
大輔「でも無事で良かった…」
大輔がフェイトの頭を撫でた。
フェイト「大輔…賢…ブイモンもワームモンもありがとう…そして…」
大輔達に礼を言うと、なのはの方を向く。
フェイト「…君も…ありがとう…」
なのは「え?」
なのはが目を見開き、フェイトは礼を言うと、アルフと共にこの場を離脱した。
大輔「良かったな?」
なのは「はい!!」
大輔がなのはの頭にポンと手を置き、なのはは、満面の笑みを浮かべた。
そして大輔達もジュエルシードを持ってアースラに戻る。
 
 

 
後書き
前作ではマグナモンの甲冑だったけれど、今作ではゴールドブイドラモンの甲冑。
ゴールドブイドラモンは通常の状態では完全体クラス。
ブイブレスアローはかめはめ波みたいなもの。 

 

第十三話 訓練開始

 
前書き
対フェイトの訓練を開始する大輔達。
賢「それじゃあ行くよ?」
ワームモン[うん、賢ちゃん]
賢、ワームモン「[リリカルアドベンチャー、始まります]」 

 
クロノ「くそ…」
クロノは誰もいない通路で悪態をついていた。
自分でも分からない苛立ちに、自分でも戸惑っているのだ。
ツカイモン[大輔達のことを考えていたのですか?]
クロノ「っ!ツカイモンか…」
一瞬驚いたクロノだが、後ろを振り向くと、ツカイモンがクロノの背後を飛んでいた。
ツカイモン[あなたは今、自分でも分からない感情に困惑しているのでしょう?]
クロノ「な…っ!?」
自分の内心を悟られたことにクロノは驚愕する。
クロノ「お前は一体何者なんだ…?」
クロノは自分の感情を一通り隠すことは出来る。
なのにツカイモンはクロノの内心をアッサリと看破した。
ツカイモン[私は…ただのお節介焼きですよ。あなたを見ていると私の大切な存在を思い出す…]
そう、寂しくて誰かに甘えたくて、それでも素直になれずいつも意地を張っていた白鼠のように…。
クロノ「大切な存在…?」
ツカイモン[クロノ…今すぐ大輔達に会いに行ってみては?]
クロノ「何?」
ツカイモン[あなたは今迷っているはずです。自分のやり方は間違っていないはずなのに、どうして間違っているように思えるのか]
クロノ「…お前は何でも知っているんだな…」
ツカイモン[これでも一応あなたの何倍も生きてきたのでね。歳をとると、何となく他人の心が分かるようになります。]
クロノ「そう、か…」
ツカイモン[行ってみればいい。大輔の所に。そこにはあなたの求める答えがあるはずだ。]
クロノ「分かった…それで彼は?」
ツカイモン[大輔は訓練室だ。武運を祈る。]
クロノはツカイモンから大輔の居場所を聞くと、訓練室に向かって駆けていく。
ツカイモンはクロノの後ろ姿を優しく見守っていた。






























訓練室には、デバイスを起動した大輔となのはが訓練をしていた。
なのは「行くよ大輔さん!!」
大輔「ああ、来い!!」
なのは「ブレイク…バスターーーーーッ!!」
展開した魔法陣から射程は短いが、前方広範囲の砲撃が大輔に放たれた。
直ぐさまゴールドブイドラモンの甲冑を身に纏い、防御体勢に入った大輔。
大輔が砲撃に飲まれた。
砲撃に飲まれた大輔は甲冑が少し焦げていたが、砲撃が終わると同時に構えを解いた。
大輔「上出来だ。あんな適当な教え方でよく覚えられたもんだな。」
なのは「はい!!でも凄い威力ですね。隙も少ないし」
大輔「その分射程が短いけどな。接近戦に持ち込まれたらこれを使うようにな?」
なのは「はい!!」
なのはが頷くと同時にクロノが訓練室に入って来た。
大輔「クロノ?」
クロノ「…大輔…少し話をしないか?」
大輔「何?」
大輔が目を見開き、なのはは大輔とクロノを呆然としながら見つめる。
大輔は少し考えると、なのはに向き直る。
大輔「今日の特訓はこれで終わりだ。なのは、身体を休めとけ」
なのは「は、はい。」
なのはは返事をすると慌てて訓練室を出た。
大輔「で?何だ話って?」
クロノ「何故あんなことを?」
大輔「は?そうだな…納得出来ないってのもあったけど、ただ純粋にフェイトを助けたかった。」
クロノ「だが、あの時は君の切り札の1つがあったからこそ被害は無くて済んだ。だが、下手をすれば君は死んでいたかもしれないんだぞ?」
大輔「かもな、なあクロノ。もしもの話だけどお前に大勢の命とお前の大切な…リンディやエイミィの命が天秤にかけられたとする。どっちも早く助けなきゃ命が危ない。お前ならどうする?」
それは遼にも言われたこと。
クロノ「…納得は出来ないが、大勢の命を選ばなければならない。少数のために大勢の命を犠牲には出来ない。」
大輔「そうだな。でも俺は大切な人を見捨てることは出来ない」
クロノ「何?」
大輔の言葉にクロノが目を見張る。
大輔「確かに大勢を助ける道か、少数を助ける道しかないって迫られたら大勢を助けるのが筋だろうさ。でもその大切な人のことを1番に考えてる奴はそいつのために動かなきゃ駄目なんだ。それに1人の命を救えることが沢山の命を救うんだって俺は思う。」
クロノには大輔と遼はどこか似ていると感じた。
何せ言っていることが殆ど同じだからだ。
クロノ「そうか…」
大輔「なあ、クロノ。もしそういう状況になったら1人で背負い込むんじゃなくて仲間を頼れよ。」
クロノ「仲間…?」
大輔「ああ、1人で駄目なら2人で。4人で駄目なら6人で、1人じゃ出来ないことも、皆で力を合わせて最善を尽くせばきっと何とかなる。俺はそう信じてる」
クロノ「…そうか……」
口には出さなかったが、クロノは大輔の言葉に真理だなと内心で呟いた。
クロノ「確かにそうだな…1人では出来ないことも2人なら出来る。」
大輔「そうだろ?」
クロノ「大輔、最後に教えてくれ。君は何の為に戦うんだ?彼女を守る為にか?」
クロノはフェイトを思い浮かべながら大輔に問う。
大輔「俺は大切な人と大切な人が信じる物を守りたい。フェイトは…確かに大切だ。一緒にいて守ってやりたい。」
クロノ「惚れてるのか?」
大輔「ば、馬鹿!!違う!!あいつは俺にとって…」
クロノ「君にとって?」
大輔「~~~っ、何でもない!!」
大輔は顔を真っ赤にしながら顔を逸らす。
クロノ「何で隠すんだ。僕と君の仲じゃないか?」
クロノは大輔にからかうように言う。
大輔「ついさっきまで、険悪だった奴に言う台詞じゃねえよな!?だ、大体お前こそエイミィとはどうなんだ!?」
クロノ「なっ…!?彼女は士官学校時代の同期だ!!!」
大輔の問いにクロノは大輔に負けず劣らず顔を赤くする。
大輔「本当か~?お前、それだけにしては他の奴らとは扱いが違う気がすんだけど…」
ジト目で見遣る大輔。
クロノは堪らず視線を逸らした。
大輔「ゴホン…ま、まあとにかく。俺の力は誰かを傷つける為の物じゃない。大切な人と大切な人が信じる物を守る為の力なんだ。」
咳ばらいをすると、大輔は話を再開する。
クロノ「そうか…やっと分かった…どうして君達を認めることが出来なかったのかを」
大輔「え?」
クロノ「僕は嫉妬していたんだ。君達の自分の信念を貫き通すことが出来る強い心に。」
大輔「……」
大輔は何も言わずにクロノの言葉に耳を傾ける。
クロノ「心のどこかでは納得していなくても、執務官であることを理由にそれから目を逸らしていた。もし君のように、自分の心に素直になれればもっと沢山の命を救えたかもしれない。例え周りから非難されようと」
クロノの声は後悔で沈んでいた。
大輔はクロノの肩を軽く叩いた。
大輔「でも、今のお前は違うだろ?」
クロノ「……大輔」
大輔「お前は目を逸らしていた自分に気づいた。今はそれでいい。大事なのは目を逸らさないで受け入れることだからな。」
クロノ「…そうだな」
大輔「とにかく1番大切なのは信じることだ。自分と仲間の力を。信じた分だけ自分の力になる。」
大輔の言葉がクロノの心に強く響く。
クロノ「君は…何処までも真っ直ぐなんだな…」
大輔「自分に嘘をつきたくないからな。」
クロノは清々しい表情で大輔に手を差し出した。
大輔も自分の手を差し出し、握手を交わした。
クロノ「君と話せて良かった。これからもよろしく頼む」
大輔「ああ、こちらこそな」
大輔とクロノが固い握手を交わしているのを、リンディが優しく見守っていた。
クロノ「それにしても、遼と似たような言葉を言うとはな」
大輔「へ?遼さんと?」
クロノ「君が言っていた言葉は全て遼も言っていた…似ているんだろう。考え方が」
大輔「遼さんも…か…」






























プレシア「それで?回収してきたジュエルシードは3個?」
プレシアの言葉にフェイトは目をつぶって震える。
しかし、いくら経っても今までのように痛みが来ない。
目を開くとプレシアはフェイトに何もせず、フェイトの隣を通り過ぎる。
プレシア「少なくても残りのジュエルシードを集めて来るのよ…」
そう言って部屋を後にしようとする。
フェイト「……」
アルフ「……」
フェイトとアルフはプレシアの後ろ姿を呆然と見ていた。
プレシア「そういえば…大輔はどうしたのかしら…?」
フェイト「っ…」
大輔の名前を聞いた時、フェイトの表情が揺らいだ。
アルフ「っ…あいつは管理局に協力してるよ…」
プレシア「…そう」
それだけ聞くと今度こそ部屋を後にする。






























プレシア「フェイト…あなたの未来は私が…」
プレシアは最後まで言わなかったが、その言葉には今までに無い強い意思が篭められていた。





























なのは「ブレイクバスターーッ!!」
大輔「はい、駄目」
なのは「に゙ゃ!?」
高速移動で大輔の背後に回って砲撃を放つなのはだが、ライドラモンの甲冑を纏う大輔の蹴りがなのはの後頭部に華麗に炸裂した。
なのはは床に情熱的なキスをかますことになる。
なのは「~~~っ!!」
後頭部を押さえて悶絶するなのはに、大輔は立つように促す。
大輔「フェイトに勝ちたいんだろ?だったら早く立て」
なのは「は、はい!!」
エイミィ「うっわ…スッゴいスパルタ…」
遼「まあまあ、あれくらい厳しくやらないと駄目な時もあるさ。大輔って面倒見もいいから、案外教官に向いてたりして」
そう言ってるうちに大輔に魔力弾が掠る。
大輔「いいぞなのは!!だけど目に頼り過ぎるな!!全身の感覚を研ぎ澄ませるんだ!!」
なのは「か、感覚!?は、はい!!」
クロノ「いっそのこと、彼にアースラの職員を鍛えてもらうか?君もその弛んだ根性を鍛えてもらったらどうだ?」
エイミィ「私死んじゃうよ!!そもそも私はオペレーターだから前線出ないし!!」
クロノ「全く戦闘に縁がない訳でもないだろう。もし艦内に敵が侵入した時に対処も出来ないのでは話にもならない。なので」
エイミィに一枚の紙を渡す。
彼女は恐る恐るそれを手に取ると、目が飛び出る程に驚愕した。
何せそれは大輔が常にしている自主トレのメニュー。
エイミィ「死ぬ!!私死んじゃう!!」
クロノ「安心しろ。人間そう簡単にくたばらない。今日から始めるからそのつもりで」
エイミィ「艦長!!助けて下さい!!」
リンディ「今日の昼食は何かしらね~?」
賢「見捨てた…」 
 

 
後書き
大輔はスパルタだと思う。
教える立場になったら甘さを捨てて厳しい先生になると思う。
それから新しくオリキャラを加入させたいと思います。
何せ選ばれし子供のメンバーが大輔、賢、遼(冒険後半で加入予定:理由、強すぎだから)、ユーノ、ルカ、フェイト、はやて、なのは、アリシア、アリサ、すずか、スバル、ギンガ、ティアナと…。
女性陣が多いため、一人くらいは男性を増やしたい。
 

 

第十四話 ビバ グレイテストテイルズ

 
前書き
息抜きにギャグ話。
未登場キャラも出ます。
遼「そんじゃ行きますか」
ドルモン[うん]
遼、ドルモン「[リリカルアドベンチャー、始まるぜ]」 

 
~setuna空間~

スバル「あー、あー。ただいまマイクのテスト中~」

ルカ「スバル、ギンガ。マイクの調子はどうですか?」

ギンガ「あ、ルカ君」

スバル「OKだよ!!ルカ兄!!」

ユーノ「舞台の調整も完了したよ」

なのは「いつでも行けるよーーーっ!!」

はやて「よーし、それじゃあ、ルカ君。準備はええな?」

ルカ「全員集合(笑)の続きとは言え、一応、一発目ですからね。台詞を間違えたり、噛んだりしないで下さいね?」

はやて「そりゃお互い様や。ほな行くでえ!!」

ルカ「はい、参りましょう」

ノーヴェ「カメラ回せ!!カメラ!!」

リイン「はいです~!!」

リインフォース「うむ、了解した!!」

シグナム「カメラの設置完了です主!!」

遼「はやて!!ルカ!!頼んだぜ!!」

はやて「うん!!では…人類の未来を照らす、無限の可能性の物語!!」

ルカ「夢と希望に満ち溢れた一時をあなたに。ビバ!!グレイテストテイルズーーーーっ!!」































~ハラオウン家~

クロノ「ぶはっ!?」

エイミィ「ええっ!?」

リンディ「あらまあ♪」

一方ハラオウン家ではクロノが茶を吹き出し、エイミィが仰天し、リンディは楽しそうに笑う。































~setuna空間~

はやて「さあさあ、始まったでえ!!第一回、ビバ!!グレイテストテイルズが!!私は司会を務めます八神はやて!!」

ルカ「この時間はデジモンアドベンチャー02とリリカルなのはをこよなく愛する人達と、それ以外の人達にも提供させて頂きます。同じく司会を務めます。リリカルアドベンチャーのオリジナルキャラクターのルカ・ハラオウンです。どうかよろしくお願いします。」

はやて「おんやあ…?ルカ君、何自分だけ、ええ子になろうとしとるんや?」

ルカ「いえいえとんでもありません♪司会として普通に進行を務めようとしているだけですよ。」

はやて「ふうん、まあええ。こちらに大す…やのうて、“二代目ゴークルボーイ”さんから手紙が届いとります。えっと…」

二代目ゴークルボーイ《こんにちは、ビバ!!グレイテストテイルズ始動おめでとうございます。》

はやて「はい、ありがとうございますー!!」

二代目ゴークルボーイ《えー、私が今回、このビバ!!グレイテストテイルズに手紙を投稿した理由は、姉と和解したのはいいんですけれど、気が強く男勝りな姉のため、全くもって嫁の貰い手がいないんです。誰かうちの姉を貰ってくれる猛者はいないものでしょうか?》

はやて「…えーっと」

ルカ「一発目から難問が来ましたね。」

はやて「遼兄…とかは?」

ルカ「遼さんは守護騎士の女性陣とカップリング予定ですから無理です」

はやて「あ゙あ゙ーっ!!そやったあああああ!!」

ルカ「とにかく、二代目ゴークルボーイさんの悩みは男勝りで横暴な姉を持つ弟特有(?)の悩みですからね…。仕方ありません。フェイトさん!!」

フェイト「何?」

ルカ「一応、二代目ゴークルボーイさんの姉は将来、あなたの義姉になるわけなので、あなたも考えてくれませんか?」

フェイト「ええ!?いきなりそんなこと言われても…」

はやて「二代目ゴークルボーイさんと結婚したくないんか?」

フェイト「ぐっ!!えっと…余り物には福があるというし…太一さんはどうかな…?」

ルカ「無印主人公を余り物扱いですか。まあいいでしょう。太一さんにいけにえになってもらいましょう」

なのは「(いけにえ…)」

ユーノ「(メインキャラから降格したから太一さんの扱いが悪いな…)」

内心、太一に同情したなのはとユーノであった。

アリシア「そういえば今更だけどお兄ちゃんは?」

シャマル「二代目…もういいわよねこれ?…大輔君なら新作アニメについて抗議に行ったわ」

ルカ「これにて一件落着」

【待てい!!】

全員【ん?】

ギルモン[ああっ!!?]

はやて「あ、あんたらは!!?」

ギンガ「何でここに…?」

はやて「って、これ…前話の全員集合(笑)の時と同じやんか…早くもネタ切れかい…」

ルカ「まあまあ、久しぶりですねウェンディ。」

ウェンディ「久しぶり…って言っていいんスかね?私今までルカ兄に会ったことないっス…」

ルカ「あれ?そうでしたか?」

ウェンディ「そうっスよ!!前作二作通じて影も形もなかったっス!!火田伊織の不遇ぶりが可愛く見えるくらいっスよ!!」

ブイモン[(…正確には、三作なんだけどな)]

ノーヴェ「落ち着きなって」

ウェンディ「私は自分達の不遇とノーヴェとの扱いの差にも憤りを感じてるっス」

なのは「何で?」

ウェンディ「“何で”!?どうしてノーヴェだけドクター、そしてウーノ姉以外のナンバーズで出演して、主役級パートナーデジモン付き、おまけにメインキャラ扱いされてるんスか!!」

全員【!?】

ユーノ「言われてみれば確かに…」

ルカ「他のナンバーズが更正を受けているにも関わらず、日常編に現れて、ナカジマ家に溶け込み、いつの間にかガムドラモンをパートナーにして、デーモン戦、奴との最終決戦にまで登場していましたしね」

セイン「姉妹だって言うのに、何なのこの扱いの差は!?」

チンク「…妹は姉を超える…か…」

大輔「いや、そんなんじゃないと思うぞ」

アリサ「あら?大輔、早かったわね」

賢「新作の件はどうなったんだい?」

大輔「駄目だった」

すずか「やっぱり…」

ウェンディ「とにかく!!私達も出番が欲しいっス!!」

オットー「僕も出番が欲しい…」

ディエチ「あたし達にだって出演する権利があるはず!!というか今までが異常!!何なのあたし達のこの空気っぷりは!!?」

ドゥーエ「落ち着きなさいあなた達」

トーレ「ドゥーエ…?どうした?」

チンク「何故止める…?」

ドゥーエ「よくよく考えてご覧なさい。今までノーヴェ以外は空気だった私達がギャグ話の番外編とはいえ出演していることに」

全員【!!】

ドゥーエの言葉に全員が目を見開いた。

スバル「そっか!!ノーヴェ以外のナンバーズも出演する可能性があるんだね!!」

スカエリッティ「確実という訳ではないが、その可能性は充分にあると思ってもいいだろう」

ウーノ「ええ、私達の活躍が増える可能性があります。恐らくはこの作品で大輔さんと賢さん、遼さん以外のメンバーが完全脇役化したからかと…」

クアットロ「あっちの人達には悪いけれど、ここで一気に挽回させてもらうわ~」

ルカ「嬉しそうですね、クアットロ」

クアットロ「あ、あら!?ルカお兄様!?そんなことは…」

ディード「嬉しそう」

クアットロ「お黙り!!」

ルカ「とにかく、ナンバーズにも出演の可能性が出てよかったですね」

はやて「ほな、これにて。第一回、ビバ!!グレイテストテイルズを終了や!!皆解散~」

第一回、ビバ!!グレイテストテイルズは無事に終わりを告げた。 

 

第十五話 なのはVSフェイト

 
前書き
なのはとフェイトの真剣勝負。
そして…。
フェイト「それじゃあ行くよはやて?」
はやて「うん、行くで?フェイトちゃん」
フェイト、はやて「「リリカルアドベンチャー、始まります」」 

 
大輔達は今後の事を話す為に集まっていた。
全員がリンディに視線を向ける。
リンディ「クロノ。事件の大元について何か心当たりが?」
リンディがクロノに尋ねる。
クロノ「はい。エイミィ、モニターに」
エイミィ「はいは~い」
リンディの座るテーブルの中央にモニターが開き、そこにプレシアが表示された。
リンディ「あら?」
大輔「…(プレシア…)」
モニターに映るプレシアを見て、驚いた声を上げる。
大輔の表情が僅かに変わったことに誰も気づかなかった。
クロノ「僕らと同じミッドチルダ出身の魔導師。プレシア・テスタロッサ。専門は、次元航行エネルギーの開発で、偉大な魔導師でありながら、違法な研究と事故で放逐された人物です。」
大輔「………」
エイミィ「…大輔君、どうしたの?眉間に皴寄せちゃって?」
大輔「え?あ…いや…」
エイミィ「もしかして大輔君、プレシア・テスタロッサを…」
クロノ「エイミィ、待て。」
エイミィが大輔にプレシアのことを聞こうとした時、クロノが制した。
大輔とリンディを除いた全員が目を見開いた。
クロノ「大輔、君は彼女について知っているのか?」
大輔「…知らないな」
クロノ「だそうだ。分かったな?」
エイミィ「え?あ、うん…」
クロノの態度に目を見開くエイミィ。
リンディ「(いい傾向ね…)とにかく、エイミィ。プレシア女史について、もう少し詳しいデータを出せる?放逐後の足取り、家族関係、その他なんでも!!」
エイミィ「はいはい!!直ぐ探します!!」
リンディの指示に返事をすると、プレシアのデータを探し始める。
なのはは、モニターに映し出されたプレシアの姿を見て、口を開いた。
なのは「この人が…フェイトちゃんのお母さん…」
大輔「………」
クロノ「どうした大輔?」
なのはと同様にモニターを無言で見つめていた大輔にクロノが尋ねる。
大輔はクロノの方を向くと口を開いた。
大輔「……クロノ…プレシアは無理だけどフェイトを手っ取り早く見つける方法ならあるぞ」
賢「え?」
エイミィ「…マジ?」
賢とプレシアのデータを漁っていたエイミィが動きを止めた。
クロノ「…その方法は?」
大輔「こっちが持つジュエルシードを餌にするんだ。そうすればフェイトは見つかる。見つけた後はジュエルシードを賭けて戦って勝てばいい。なのは、お前の仕事だ。」
なのは「はい!!」
クロノ「成る程…だが、なのはが負けたら、こちらのジュエルシードは向こうに渡るか…」
大輔「そうだな。でも心配いらないさ。今のなのはならな。」
なのは「大輔さん…」
クロノ「分かった。やってみる価値はありそうだ。」
エイミィ「ええ!?クロノ君、本気!?」
クロノ「本気だ。大輔、君の案を採用しよう」
大輔「サンキュー、クロノ。後悪いけど、俺行きたい所があるんだ。」
クロノ「構わない。」
大輔「じゃあな。」
大輔は部屋から出ると、転送室に向かった。






























大輔「…久しぶりだな。」
大輔は今まで、戦闘以外はアースラに居たため久しぶりに海鳴市の土を踏んだ。
大輔は翠屋に向かい、ケーキを購入し、フェイト達が暮らすマンションに向かう。
ブイモン[大輔…]
大輔「あいつらはいるかな…?」
ブイモン[どうだろう…]































扉を開け、部屋に入るが誰もいない。
大輔「やっぱり…いないか…」
大輔は寂しそうに呟くと、ケーキをリビングに置き、2枚の紙切れを置いた。
1枚目はケーキのこと。
2枚目は作戦のこと。
大輔は部屋を後にし、マンションから離れた。
アースラに戻る道中になのはと会う。
なのは「大輔さん…」
大輔「なのはか…どうした?」
なのは「大輔さんが心配で…」
大輔「そうか…」
なのはの気遣いに大輔は微笑んだ。
大輔「なのは、明日のフェイトとの勝負、頑張れよ?」
なのは「うん!!」
大輔はフェイトの身を案じながら足を動かした。






























そして、深夜の誰もいない森の中、ゴールドブイドラモンとドルモンの完全体であるグレイドモンが模擬戦をしていた。
ゴールドブイドラモン[だあああああ!!]
凄まじい速さで繰り出されるゴールドブイドラモンの拳。
しかし、グレイドモンはそれをたやすくかわし、一瞬でゴールドブイドラモンの背後に回ると首筋に剣を突き立てた。
グレイドモン[終わりだ]
模擬戦終了と同時にゴールドブイドラモンはブイモンに、グレイドモンはドルモンに退化した。
ブイモン[くそ!!何で勝てないんだよ!?]
ドルモン[確かに単純な力じゃあ、俺より君の方が上だ。けど攻撃が大振りで直線的すぎるから見切りやすい。君はまだまだデジメンタルのパワーに振り回されている]
ブイモン[………]
ドルモン[もっと落ち着いて戦うんだね。頭に血が上っていたんじゃまともに実力を出せないよ]
ブイモン[……分かったよ。今日もありがとな。特訓に付き合ってくれて]
ドルモン[可愛い後輩のためだからね]
そう言うと、二体はパートナーの元に戻るのであった。






























翌日の早朝になのは、大輔、賢、遼、ユーノ、ツカイモンが海鳴臨海公園がいた。
ブイモンとワームモン、ドルモンはD-3の中だ。
なのは「ここで…なら…いいよ…出て来て!フェイトちゃん!!」
なのはが叫んだ後、フェイトとアルフが姿を現した。
フェイトの視線が大輔に向く。
フェイト「大輔…」
大輔「俺達は立会人だ…フェイトも…頑張れ…」
フェイト「…うん」
なのははレイジングハートを起動させ、バリアジャケットを纏う。
なのは「ただ捨てればいいって訳じゃないよね…逃げればいいって訳じゃ、もっと無い。きっかけは、きっとジュエルシード。だから賭けよう…お互いが持ってる、全部のジュエルシード!!」
レイジングハートが全てのジュエルシードを排出する。
バルディッシュも同じくジュエルシードを排出する。
なのは「それからだよ…全部それから…」
なのははレイジングハートを構え、フェイトも同じくバルディッシュを構える。
なのは「私達の全ては、まだ始まってもいない。だから…本当の自分を始めるために!!」
なのははフェイトを強い眼差しで見つめる。
なのは「だから始めよう…最初で最後の本気の勝負!!」
なのはとフェイトの本気の戦いの火蓋が切って落とされた。
賢「(始まったね)」
大輔「(…ああ)」
大輔と賢が念話でなのはとフェイトの戦いを見守りながら会話をする。
空中で、デバイス同士をぶつかり合い、互いに弾き合う。
距離を取るとバルデッシュが変形、フェイトの周りに複数の電撃弾が生み出される。
なのははそれを見るとレイジングハートを構える。
フェイト「ファイア!!」
フェイトはなのはに向けて魔力弾を放つ。
なのはは魔法陣を展開する。
なのは「スプラッシュバスター!!」
フェイト「っ!?」
桜色の砲撃が拡散し、フェイトの魔力弾を迎撃。
フェイトはなのはがこのような魔法を使ったことに呆然となったが、なのはに距離を詰められ、即座にサイズフォームで切り掛かる。
なのはは身体を捻って最低限の動きで回避すると、フェイトの懐に入った。
なのは「ブレイク…バスターーーっ!!!!」
フェイト「ああっ!!」
零距離で放たれた砲撃の直撃を受け、フェイトが吹き飛ぶ。
フェイトは体勢を整えると、なのはに向かって行く。
フェイト「はああああっ!!!!」
フェイトはなのはに再び切り掛かるが、なのははレイジングハートを構えた。
なのは「させない!!」
なのはは魔力弾をフェイトに向けて1発放つと高速移動魔法で移動する。
フェイトは魔力弾を切り裂くが、なのはの姿を見失う。
フェイトは辺りを見回す。
なのは「てええええいっ!!!!」
なのはは、フェイトの真上から高速で突撃してきた。
打ち付けられようとするデバイスを、フェイトはバルディッシュで受け止めた。
大輔「(なのは…強くなった。初めて会った時は俺から見ても素人だったのにな)」
賢「(でも、戦闘はテスタロッサさんの方が慣れてる。今は君が教えた魔法で優勢になっているけどね)」
賢の言う通り、最初は押されていたフェイトがなのはと互角の戦いを繰り広げる。
フェイトはなのはの隙を突き切り掛かる。
なのはは間一髪それを回避する。
なのは「はっ!?」
なのはが避けた先には、フォトンランサーが待ち構えていた。
魔力弾がなのはに襲い掛かる。
なのはは再び、障壁で魔力弾を防いだ。
なのは「はぁ…はぁ…はぁ……」
フェイト「はぁ…はぁ…はぁ……」
なのはが障壁を解くと2人は息が乱れていた。
強くなったなのはを見てフェイトは内心で呟く。
フェイト「(初めて会った時は、魔力が強いだけの素人だったのに…もう違う。速くて…強い!!…迷ってたら…やられる!!)」
フェイトの目つきが変わる。
フェイトは巨大な魔法陣を展開した。
フェイトの周りに、無数のフォトンスフィアが生み出される。
なのは「はっ!?くっ…」
なのはがデバイスを構えようとしたが、なのはの両手が金色のバインドに拘束される。
大輔「ライトニングバインドか…」
アルフ「やばいよ!!フェイトは本気であの子を潰す気だ!!」
ユーノ「なのは!!今サポートを!!」
ツカイモン[止めるんだ]
止めようとするアルフとユーノを制止するツカイモン。
ユーノ「ツカイモン!?」
ユーノはツカイモンの制止の言葉に目を見開いた。
賢「これは彼女達の戦いだ。僕達が邪魔してはならない。」
大輔「最後までやらせてやれ」
大輔と賢がD-3を構えながら、アルフとユーノを止める。
すると大輔と賢になのはからの念話が。
なのは「(ありがとう、大輔さん。賢さん。)」
フェイト「アルカス・クルタス・エイギアス。疾風なりし天神、今導きの元撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル」
フェイトが詠唱し、フォトンスフィアが輝きを増した。
フェイト「フォトンランサー・ファランクスシフト。撃ち砕け!ファイア!!」
フォトンスフィア一基ごとから、無数のフォトンランサーが放たれた。
ライトニングバインドで拘束され、身動きの取れないなのはに直撃する。
遼「うわ、すげえ…」
ユーノ「なのはー!!」
アルフ「フェイトー!!」
フェイト「はあ…はあ…」
消耗したフェイトは、一瞬膝をつきそうになるが堪える。
なのは「たはぁー、撃ち終わると、バインドってのも解けちゃうんだね。今度はこっちの番だよ」
なのはがディバインバスターを放った。
フェイト「くっ!!」
フェイトは障壁を張り、砲撃を受け止めた。
フェイト「うあっ…くうぅ…!!」
フェイトは挫けそうになるが、戦いを見守る大輔の姿を見て、気を持ち直し、残りの魔力を障壁に注ぎ込み、バリアジャケットはボロボロになったが耐えきった。
なのは「受けてみて…ディバインバスターのバリエーション!!」
賢「ディバインバスターのバリエーション?」
大輔「一応、ディバインバスターのバリエーションになってるけど普通の砲撃魔法とは違う集束砲撃魔法になっている。術者がそれまでに使用した魔力に、周囲の魔導師が使用した魔力をもある程度集積することで得た強大な魔力を、一気に放出する攻撃魔法…。訓練で使われた時、本気で危なかったからな…」
賢「へえ…ってことは本宮君、受けたのかい…?」
大輔「……」
なのは「これが私の全力全開!!スターライト!!ブレイカー!!!!」
フェイトに向けて放たれる強烈な砲撃。
フェイトは、為す術なく砲撃の直撃を受けた。

































クロノ「なんて馬鹿魔力だ…あの時、大輔が使ったブイブレスアローMAXに匹敵するぞ…!!」
エイミィ「フェイトちゃん…死んでないよね…?」
アースラで2人の戦いを見ていたクロノとエイミィも驚愕していた。


































砲撃の直撃を受けたフェイトは海に落下していく。
それを大輔が受け止めた。
フェイト「う…」
大輔「大丈夫か?」
目を開けたフェイトの顔を覗き込む。
フェイトは今の自分の状態に顔を赤くした。
大輔にお姫様抱っこされている。
フェイト「だ、大輔!?は、恥ずかしいんだけど…」
フェイトは顔を真っ赤にしながら言う。
大輔「あ、ああ…悪い」
フェイト「…私…負けたんだね…」
大輔「ああ、でも良く…頑張ったな」
フェイト「大輔…」
穏やかな空気が流れる中、突如、公園の中心に稲妻が落ちた。
全員【!?】
稲妻の光に全員が反射的に目を閉じる。
その隙にジュエルシードは奪われてしまった。
大輔「しまった…!!」
クロノ『大丈夫だ。プレシア・テスタロッサの居場所は掴んだ。大輔、取り敢えず皆を連れてアースラに戻って来てくれ。』
大輔「あ、ああ…だけど…」
大輔はフェイトとアルフを見遣る。
クロノ『…大丈夫だ。彼女達は保護するだけだ。保護するのに拘束は要らない。』
大輔「すまねえ…」
フェイトとアルフを含めた全員がアースラに転送された。






























そして世界は変わり、大輔と賢、遼がいた世界。
かつて大輔達が過ごした光が丘。
光が丘テロから7年の年月が過ぎても、全ての傷跡が癒えたわけではない。
この孤児院もまたそうである。
「そんじゃあ、行ってくる」
【いってらっしゃーい!!】
孤児院の幼い兄弟達に見送られながら、太一達や遼と同い年くらいの少年が腰にまで届く長い黒髪を揺らしながら竹刀等の道具を持って中学に向かう。
少年の名前は伊藤 一輝(かずき)。
かつての光が丘テロにより、家族を失い、家族以外に身寄りのない一輝は孤児院に入った。
最初は孤児院での暮らしに戸惑ったが、今はもう平気だ。
家族のことも、あれは仕方ない、運がなかったのだと割り切った。
しかし、割り切ることが出来たのは両親の仇と同じ存在でありながら唯一無二の相棒がいたからである。
一輝「おい、出てこいレオルモン」
レオルモン[一輝、今日も剣道なのか?]
物陰から出て来たライオンの子供みたいなデジモンが現れ、一輝の隣を歩く。
一輝「ああ、特待生になって少しでもな」
レオルモン[人間は大変だよね。お金がないと出来ないことが多くて]
一輝「仕方ねえだろ。それが人間だ」
商店街を歩く。
電化製品店があり、そこのテレビからノイズが流れていた。
一輝「あ?何だ?古い型…にしては最新の奴っぽいし…」
レオルモン「一輝!!」
異変に気づいたレオルモンが叫んだ時には既に遅く、二人はテレビの画面の…通常のデジタルゲートの光とは違うものに飲まれた。

































一輝「うおっと!!?」
レオルモン[うわわっ!!?]
慌てて着地した二人は立ち上がると即座に辺りを見回した。
一輝「ここは?何処だ?デジタルワールドじゃあなさそうだし…」
レオルモン「デジタルワールドじゃない…一輝のいた世界でもない…」
一輝「は?どういう…」
レオルモンに問い掛けようとした時、遠くで男女が言い争う声が聞こえた。
そちらに向かうと、コートを纏った自身と同じか少し下くらいの金髪の少女がガラの悪そうな男共に捕まっていた。
「あ、あの…すみません。」
「ぁあ?すみませんじゃねぇよ!!てめぇがぶつかったせいで服が台なしじゃねえか!!」
「ま、前を見ていなかったので…ほ、本当にすみません…」
「そんなんで済むと思ってんのかクソガキ!!」
少女の謝罪を男は一蹴する。
一輝は見ていられなくなり、少女を庇うように立つ。
一輝「おい、オッサン。いい年こいて何、こんな女の子にたかが服如きで怒鳴ってんだ?しかも謝ってんのによ。恥を知らねえのか?」
「ああ!?何の関係もねえガキが入ってくんじゃねえ!!とっとと失せろ!!」
一輝「関係?あるね。てめえの耳障りな声が響いて大迷惑なんだよ。てめえこそ失せろよ」
「てめえ…!!」
男はナイフを取り出す。
少女が息を呑んだ。
一輝「おいおい、口じゃあ勝てないからって刃物で黙らせるってか?小物の証拠だな」
「だ、黙れ!!でやああああ!!」
男がナイフで切り掛かろうとした時、一輝は竹刀を取り出して、横薙ぎする。
横っ面にまともに受けた男は勢いよく吹き飛んだ。
落ちたナイフを遠くに投げ捨て、不様に倒れている男に歩み寄る。
一輝「俺さあ、ムカつくんだよね。あんたみたいに弱え奴を脅すような奴。」
自身は孤児であるため、親がいないということで他の子供達にいじめられたことがあり、そういうのが許せないのだ。
竹刀を男の眼前に突き付ける。
男が怯えたように後ずさる。
一輝「失せろ、早くしねえとてめえの頭蓋を砕くぞ」
殺気を込めた言葉に男は怯えながら逃走した。
一輝「ふん」
「あ、あの…」
一輝「ん?」
声が聞こえて、振り返ると少女が一輝の隣にいた。
「助けてくれてありがとうございます。」
一輝「いや、俺はああいうのが嫌いでよ。それに訳の分からないことが起きたから丁度いいストレス解消になったぜ。てか、あんた名前は?」
「あ、すみません。私はカリム、カリム・グラシアと言います」
一輝「カリムか。俺は伊藤一輝だ。一輝でいい。あんたに聞きたいことがあるんだけどよ」
カリム「あ、はい。何でしょう?」
一輝「ここ…何処だ?」
カリム「ここは、ミッドチルダの主要都市、クラナガンです」
これが伊藤一輝とカリム・グラシアの運命の出会いであった。 
 

 
後書き
あんまり前作と変わらないな…。
オリキャラの話追加。
オリキャラの相手はカリムです。
パートナーはレオルモン。
レオルモン→レオモン→パンジャモン→ドゥフトモン

オリキャラ

伊藤一輝

光が丘に住む中学二年生。
かつての光が丘テロで両親を失い、孤児院に引き取られた。
一応、本宮家との面識があり、大輔のことをぼんやりとだが知っている。
剣道部に所属しているが、本人は剣道に思い入れはないらしい。
性格は現在の孤児院最年長であるため面倒見のいい、落ち着いた兄貴肌だが実は甘いものが大好物であり、辛いものが大の苦手。
レオルモンとは最初は険悪だったが、今では唯一無二の相棒。
賢と同時期に選ばれた2000年の選ばれし子供。

紋章は信念 

 

第十六話 笑顔

 
前書き
フェイトの正体が全員にばれる。
ユーノ「行くよツカイモン」
ツカイモン[ああ]
ユーノ、ツカイモン「[リリカルアドベンチャー、始まります]」 

 
アースラに戻った大輔達は、フェイトとアルフを連れてブリッジに向かう。
クロノの言う通り、局員達はフェイト達を拘束しようとはしなかった。
大輔はクロノに心の中で礼を言う。
賢「さあ、本宮君。ブリッジに急ごう」
遼「坊や達がお待ちかねだ」
大輔「ああ、行こう」
全員がブリッジに足早に向かった。






























リンディ「お疲れ様…」
大輔達がブリッジに入るとリンディが出迎えた。
モニターには、武装局員が突入した映像が映っている。
リンディはフェイトに視線を移す。
リンディ「それからフェイトさん。初めまして」
フェイトは何も答えず、待機状態になったバルディッシュを握り締める。
すると、念話でリンディが大輔達に伝える。
リンディ「(母親が逮捕されるシーンを見せるのは忍びないわ。皆、フェイトさんを別の部屋へ)」
大輔「フェイト…俺の部屋に来い」
フェイトがアースラで安心出来る場所は恐らく大輔の自室しかない。
大輔がフェイトの手に触れようとした瞬間。
ツカイモン[…っ!皆、あれを!!]
ツカイモンはモニターを指差す。
全員の視線がモニターに向いた。
『プレシア・テスタロッサ!!時空管理法違反、及び管理局艦船への攻撃容疑で、あなたを逮捕します!!』
『武装を解除して、こちらへ』
武装局員が、玉座に座るプレシアを取り囲みながら言った。
プレシア『……』
プレシアは無言で武装局員達を見遣る。
数人の武装局員が危険物が無いかを調べるために、玉座の後方に向かう。
すると、プレシアの目つきが変わった。
局員は扉を発見し、その扉を開ける。
『こ、これは!?』
大輔「っ!その先を映すな!!」
なのは「え!?」
ブイモン[大輔!?]
声を荒げた大輔になのはとブイモンが目を見開いた。
賢達は驚愕したように目を見開いた。
なのは達も賢達の視線を追う。
なのは「えっ!?」
モニターでその様子を見ていたなのはが思わず声を漏らした。
その扉の先には、1つのカプセル。
その中には、フェイトと瓜二つの少女…アリシアがいた。
遼「どういうことだ…?フェイトがもう一人?」
フェイト「あ…あ……」
フェイトはアリシアを見て驚愕する。
プレシア『アリシアに近付かないで!!』
プレシアがカプセルの前に立ち、武装局員に立ちはだかる。
『う、撃てえ!!』
プレシア『うるさいわ…』
プレシアが手を翳すと、魔力が集中する。
リンディ「危ない!防いで!!」
気付いたリンディがそう叫ぶ。
しかし、紫色の雷が部屋全体に降り注いだ。
全員【ぐあああああっ!!!!】
武装局員達は直撃を受け、床に倒れ伏した。
リンディ「いけない!局員達を送還して!!」
リンディがモニターを見てエイミィに指示を出す。
エイミィ「りょ、了解です!!」
エイミィは慌てて転送準備を開始する。
フェイト「アリ…シア…?」
プレシア『…フェイト…そこにいるんでしょ?』
プレシアの言葉にフェイトは肩を震わせた。
大輔「……」
プレシア『あなたはね…アリシアの代わりにしようと…私が造ったアリシアのクローンなのよ…』
フェイト「!?」
プレシアの言葉にフェイトは目を見開いた。
遼「生体クローンって奴か…」
大輔「……フェイト…プレシアは昔の事故の時に…アリシアを亡くしてる…お前の名前は当時のプロジェクトの名残…だそうだ。」
フェイト「どう…し、て…?」
大輔「…プレシア本人から…聞いた…」
フェイトの視線に耐えられなくなり、視線を逸らしながら答える。
プレシアが再び口を開いた。
プレシア『フェイト。正直に言うわ…私ね…あなたを造り出した時から…あなたを好きになれなかった…』
フェイト「……」
プレシア『私はつい最近まであなたが嫌いだった…。でもそれは私が運命に、そして未来を恐れて過去に逃げていたから…。フェイトをフェイトとして見ていなかったから…。大輔のある言葉で私は…あまりにも遅すぎたけれど変わることが出来た…。自分の運命は変えられる…自分の選択で変えられる。そしてそれによって守れる未来がある。そしてフェイトに対する感情にも変化があったわ…。私はもう許される人間じゃないって分かってるわ…でもこれだけは、フェイト。あなたに…あなたとして伝えたいの…フェイト、あなたが大好きよ…。愛してるわ…私の…可愛い娘…』
フェイト「か、母さん…っ…」
プレシアから初めて受けた愛情の言葉にフェイトは涙を流した。
プレシアは次にアルフを見遣る。
プレシア『アルフ…今までフェイトに酷いことをして本当にごめんなさい…。そしてこれからもフェイトをお願い…』
アルフ「プレ…シア…」
次にプレシアは賢と遼となのはに。
プレシア『…そしてフェイトと本気でぶつかり合った魔導師さんとフェイトを助けてくれた魔導師さん達。』
なのは「え…私…?」
賢「プレシア…さん…」
遼「………」
プレシア『アルフ、フェイトを…大輔と共に支えて頂戴。』
プレシアは最後に拳を強く握り締めている大輔を見遣る。
プレシア『大輔…ありがとう。あなたのおかげで私は変わることが出来た…娘を…フェイトをお願い…』
大輔「待てよ…」
大輔は今にも泣きそうな顔をしながらモニターに詰め寄る。
大輔「俺はこんなことの為にあんたに言った訳じゃない!!俺はただ、フェイトとあんたに幸せになって欲しかっただけだ!!」
ブイモン[大輔…]
プレシア『…分かってる……あなたがこんなことを望まない子だというのは…でも…』
大輔「じゃあ何でだよ…何でそんなことするんだよ!?」
プレシア『私には…もう時間が無いから…』
大輔はそれを聞くと黙り込んでしまう。
プレシアの状態を知っている為だ。
プレシアはもう1度フェイトに向き直る。
そして、哀しそうな笑顔を浮かべながらフェイトに別れの言葉を告げる。
プレシア『フェイト…さようなら…』
プレシアが別れを告げるのと同時にモニターが途切れた。
フェイト「か、母さん!母さんっ!!…う、うわあああああ…っ!!!!」
フェイトは床に膝をつくと叫びながら泣きじゃくった。
ブイモン[フェイト…]
ブイモンが泣きじゃくるフェイトの背を摩る。
少しでもフェイトの哀しみが和らぐように。
アルフは肩を震わせながら大輔に歩み寄る。
アルフ「大輔…あんたは知ってたのかい…?フェイトの事も…あのアリシアって奴も…あの人の考えも…何もかも全部…っ!!」
大輔「……」
アルフ「答えてよ!!」
大輔「…ごめん……」
アルフ「っ…!!」
次の瞬間、アルフは大輔の頬を殴った。
口の中を切ったのか、大輔の口から血が出ていた。
なのは「大輔さん!!」
なのはがハンカチを取り出して、大輔の血を拭った。
アルフはそれを見てハッとなる。
アルフ「あっ…ご、ごめん…」
頭が冷えた今なら大輔が何故このことを黙っていたのか、容易に理解出来た。
全てはフェイトを守る為に…。
大輔「いいんだ。悪いのは俺だ…フェイト…ごめんな…」
フェイト「大輔は…悪くないよ…全部私の為にしてくれたんだよね…」
フェイトは涙を流しながら言う。
大輔がアリシアのことを黙っていたのは全て自分の為だと分かっていた。
知らない所で自分は大輔に守られていた。
大輔「ごめん…フェイト…お前の母さんは…もうすぐフェイトの目の前からいなくなろうとしている…お前はどうしたい…?」
フェイト「…私が、ジュエルシードを集めていたのは…母さんに笑顔になって欲しかったから…」
大輔「うん…」
フェイト「けど…さっきの母さんの笑顔は本当の笑顔じゃなかった。もっと心からの笑顔が見たかった…」
大輔「そっか…」
大輔はフェイトの手を引き、立ち上がらせる。
大輔「じゃあ今すぐプレシアの所に行こう。今ならまだ間に合う。」
フェイト「大輔…?」
大輔「取り戻しに行こうぜ?プレシアの本当の笑顔って奴をさ」
フェイト「うん…!!」
大輔の言葉にフェイトは力強く頷いた。
大輔は周りを見渡すと、全員が頷いた。
賢「行こう。やっと分かりあえたのにさようならなんて悲しすぎる」
遼「行こうぜ。フェイトのお袋さんを救いにさ」
フェイト「うん…次元転移。次元座標…」
フェイトの足元からあの時と同じように魔法陣が現れる。
フェイト「開け、誘いの扉。時の庭園、テスタロッサの主の所へ!!」
大輔達はプレシアを止める為に時の庭園に向かったのだった。





























そして一方のクラナガンでは一輝はカリムに異世界について教えてもらっていた。
一輝「なるほどな、簡単に言えば。異なる次元には沢山の世界があり、俺のいた世界もその一つで、俺は次元漂流者という次元規模の迷子になっちまったと…ハアァ…」
深い溜め息を吐いた一輝にカリムは安心させるように言う。
カリム「大丈夫です。時空管理局にあなたを元の世界に戻れるように頼んでおきます。助けてもらったお礼です」
一輝「そいつは助かるけどよ…やっぱ、取り調べみてえなこと受けるんだろ?面倒くせえ…っ!!」
カリム「一輝…さん?」
一輝「カリム、気を引き締めろ。お客さんだぜ」
カリム「え!?」
建物を吹き飛ばしながら現れたのは巨大な猿のような怪物。
一輝「っ!?何だこいつ…」
カリム「ま、魔法生物です!!」
一輝「魔法生物…?この世界にはそんな厄介なのがいるのかよ。レオルモン!!」
レオルモン[任せて!!]
レオルモンが怪物に躍りかかる。
一輝「まずは遠くに逃げるぞ!!」
カリム「え?でも…」
怪物と戦っているレオルモンをチラリと見遣るカリムに一輝はニヤリと笑う。
一輝「安心しろ、あんな図体だけの奴、進化しなくても…っと、まだいたか」
竹刀を取り出し、構える。
カリム「一輝さん…」
一輝「たく、こんな怪物をのさばらせやがって。時空管理局ってのは随分と杜撰な警備だなっと!!」
怪物の攻撃を翻す。
攻撃が当たった壁が砕ける。
一輝「あっぶねえ…あんなの喰らったら死んじまう…」
竹刀で怪物に一撃を入れると、すぐに距離を取る。
怪物は大したダメージこそ受けなかったが、一輝を執拗に狙う。
一輝「そら、もっと早く動かねえと当たらねえぞ?」
竹刀をブラブラさせ、嘲笑いながら挑発する。
伊達にデジタルワールドを一人と一匹で生き残っていたわけではない。
この程度のことなら数え切れない程あった。
しかし誤算なのは、魔法生物との対戦をしたことがないこと。
レオルモン[うわっ!?]
一輝「レオルモン!?」
レオルモンの方を見遣ると、身体の半分が凍っている。
一輝「どうなってやがる…?」
カリム「あの魔法生物は凍結の魔力変換資質を持ってるんです!!」
一輝「魔力変換資質?ようするに凍らせるような技が使えるってことか?」
カリム「は、はい…危ない!!」
一輝「っ!!」
咄嗟に竹刀を盾にして受け流すが、受け流し切れずに吹き飛ばされる。
一輝「痛…っ、やべえ…」
竹刀が粉々になってしまっていた。
まともに受けていたら自分がああなっていたのかと思い、ぞっとする。
一輝「(あまりしたかねえけど、レオルモンを進化させねえと…)」
デジヴァイスに触れようとした瞬間、いつもの感触と違うことに気づく。
視線を遣ると、デジヴァイスの形状が変わっていた。
大輔達のデジヴァイスと同タイプ。
カリム「一輝さん!!」
一輝「っ!?」
顔を上げると、怪物が目の前にいた。
ここまでかと諦めかけた瞬間。
脳裏にある言葉が過ぎる。
一か八かで声を張り上げる。
一輝「D-3、セットアップ!!」
光が一輝を纏う、光により弾き飛ばされた怪物は警戒するように唸る。
光が収まった時には、レオモンを彷彿とさせる獅子の甲冑を纏う一輝がいた。
レオルモン[一輝!!]
一輝「レオルモン、進化して一気にカタをつけろ」
D-3をレオルモンに翳す。
レオルモン[レオルモン進化!レオモン!!]
成熟期へと進化し、二人は武器である獅子王丸を抜き放つ。
一輝「こいつはいい。戦い方が頭の中に流れ込んで来やがる」
短刀を構えて突撃する。
一輝「百獣拳!!」
魔力を拳に一点集中し、凄まじいスピードで怪物に拳を叩き込む。
そして最後の一撃で魔力を解放する。
魔力弾を受けて怪物が僅かに吹き飛ぶ。
一輝「破砕蹴り!!」
強烈な回し蹴りが怪物の脇腹に炸裂する。
怪物から骨が砕ける音が聞こえた。
一輝「獣王斬!!」
獅子王丸に収束させ、一気に振り下ろす。
怪物は真っ二つに両断され、消滅した。
一輝がレオモンを見遣ると、レオモンも怪物を倒していた。
安全を確認した一輝はカリムに手を伸ばす。
一輝「立てるか?」
カリム「は、はい…」
少しした後、足音が聞こえて来る。
一輝「やべえな。一旦こっから離れるぞ。」
カリムの手を引いて、この場から二人と一匹は撤退した。 
 

 
後書き
リリカルなのは勢のパートナーデジモンを更に変更しようかなと考えています。
ダスクモン出しましたが、リインフォースのパートナーとしては考え、リインフォースははやて繋がりでメデューバルデュークモンにします。
ダスクモンはしばらく、単体で頑張ってもらいます。
 

 

第十七話 闇の双剣士

 
前書き
大輔達がプレシアの元に向かおうとしている時、はやての家に異変が起きていた。
なのは「あれ?私一人だけ!?えっと…リリカルアドベンチャー、始まります!!」
 

 
はやては賢がいない間、部屋の整理をしていた。
しかし下半身が麻痺しているため、簡単なことしか出来ないが。
はやて「あ」
ふと、はやては、一冊の書物を落としてしまった。
その本は物心付いた時からあったもので、綺麗な本だったから今まで大切に保管していたもの。
拾おうとした時、バチンという音がした。
ブレーカーが落ちたのだ。
はやて「停電?」
首を傾げたはやてがブレーカーのある場所にまで向かおうとしたその時である。
ズォオオオ…。
はやて「へ?」
奇妙な音が背後から聞こえ、恐る恐る後ろを向いた。
落ちている書物の近くには黒い靄が集まっていた。
はやて「………」
思わずはやては冷や汗を流し、ゴクリと唾を飲んだ。
人間が生れつき持つ本能が警鐘を鳴らす。
しかし、どこかでこれは大丈夫だと感じていた。
これは多分彼女が…。
はやて「何やの…?」
靄が徐々に人に近い形を作っていく。
そして靄が完全な肉体を手にして現れた。
人間の成人男性くらいの体格。
殆ど闇に溶けそうな鎧を纏い、対照的に煌びやかな美しい金髪をなびかせる。
腕の尖端には手の代わりに恐竜の類の頭蓋骨を模したものが取り付けられており、その喉の奥から真紅の長剣が伸びている。
[…ふ、襲ったりするつもりはない……そうする価値は無いからな。お前は何者だ?]
はやて「へ?あ、はやて、八神はやて言います…えっと、それであなたは?」
[…俺の名はダスクモンだ。デジモンの中でもかなりの異端の存在だ。お前には分からないことだろうが]
はやて「デジモン?あなたもデジモンなんか?」
ダスクモン[何?]
ダスクモンが真紅の瞳を僅かに見開いた。
はやて「えっと…うちにもデジモンがいるんよ。ワームモンって言うんや」
ダスクモン[驚いた…まさか現実世界に存在するデジモンが既にいたとはな。]
はやて「えっとダスクモンやったっけ?」
ダスクモン[そうだ]
はやて「異端って言っとったけどどういうことや?ワームモンとかと違うんか?」
ダスクモン[大多数のデジモンからすると、俺の存在は異常に思えるだろうな。フォービドゥンデータで肉体の殆どが構成されているのだから]
はやて「フォービドゥンデータ?」
ダスクモン[フォービドゥンデータとは、怨恨の塊やら残虐非道な内容のデータのことだ。それには進化の過程で滅びたデジモンの無念も含まれている]
はやての瞳が少し見開かれた。
ダスクモンの恐ろしげな生い立ちに何と言えばいいのか分からない。
しかし、何故ここに現れたのかを聞かなくてはならない。
はやて「ダスクモンはどうして、現実世界に…此処に現れたんや?」
ダスクモン[この書物だ]
はやて「へ?」
ダスクモンが指の代わりに真紅の長剣、ブルートエボルツィオンで書物を指す。
ダスクモン[この書物の闇と俺のデータが共鳴を起こし、俺を此処に呼び寄せた。それまではダークエリアの深淵で眠っていた俺を]
しかし、はやては困ったような表情を浮かべた。
はやて「そ、そないなこと言われても、これはうちが物心ついた時にあったんやで?」
ダスクモン[お前にも分からないのか?]
はやて「う、うん…」
ダスクモン[そうか…]
溜め息を吐いたダスクモンにはやてが問う。
はやて「ダスクモンは…行くとこあるんか?」
ダスクモン[……何度もダークエリアに戻ろうとしているが、無理のようだ。闇に溶け込むことは出来るようだが…]
はやて「だったら…」
ダスクモン[?]
はやて「うちで一緒に暮らさへん?」
ダスクモン[何?]
はやて「ほら?ダスクモンはこの本に呼ばれたんやろ?だったらここにいた方がええやないか」
本を手に取り、ダスクモンに見せながら言うはやてにダスクモンは思案する。
ダークエリアに戻れない今、闇に溶け込むことは出来ても常にとはいかない。
出来れば身体を休められる場所が欲しい。
書物のことも気にしているダスクモンにとってはやての提案は喜ばしいことだ。
しかし…。
ダスクモン[何故そこまでする?お前にとって俺は何の関係もないただの他人だ]
はやて「うちな…物心つく前から両親亡くしてるから、賢兄達が来るまで独りぼっちだったんよ。だから…」
ダスクモン[独り…か…]
生まれてから自分以外は誰一人存在しないダークエリアで生きてきた自分と、物心つく前に家族を失い孤独だった目の前の少女が少しだけ他人に思えなくなってきた。
ダスクモン[…いいだろう。世話になる]
そう言って、壁に背を預けるダスクモンにはやては嬉しそうに問い掛ける。
はやて「んじゃあ、今日はご馳走たんまり作るで!!ダスクモンは今まで何を食べてたんや?」
ダスクモン[ダークエリアには食物はない。普段はダークエリアの純粋の闇と負の念を糧にしていた]
はやて「じゃあ、今まで食事をしたことがないっちゅうこと?」
ダスクモン[そうだ]
はやて「なら尚更腕によりをかけてやらにゃああかんな!!」
凄まじいスピードで、キッチンに向かうはやてを尻目に、ダスクモンは一冊の書物を見つめた。





























そして、クラナガンでは何とか逃げることに成功した一輝達が、公園のベンチに座り込んだ。
一輝「全く…異世界に来て早々厄介事に巻き込まれるとはな……」
カリム「あの…すみません」
一輝「ああ?何であんたが謝んだよ?あんたは何も悪くねえだろ?大体、あの怪物は時空管理局とやらの杜撰な警備のせいだろ?」
カリム「………」
一輝「にしても、腹減ったな…」
レオルモン[僕もお腹空いたな…]
一輝「しゃあねえ。弁当食うか」
鞄から包みを取り出して、それを解くと、サンドイッチがあった。
一輝「ほらよ」
レオルモン[ありがとう]
サンドイッチを頬張るレオルモン。
一輝はサンドイッチをカリムに差し出す。
一輝「食えよ」
カリム「え?」
一輝「あんなに走ったんだから小腹空いたろ。」
カリム「あ、ありがとうございます…」
一輝「味は期待すんなよ。あんた、いいとこ育ちのお嬢様みてえだし。多分、あんたの口に合わな…」
言い終わる前にカリムがサンドイッチを口にした。
カリム「…美味しいです」
一輝「ん?」
カリム「これ、とても美味しいです。優しい味がします」
一輝「…お世辞が上手いじゃねえか」
ニヤリと笑って、水筒のミルクティーをカリムに差し出す。
自分の分とレオルモンの分も入れ、一輝とカリム、レオルモンは少しばかりはちみつの入ったミルクティーを飲んでリラックス。
六つあったサンドイッチは一人二つずつ食べた。
カリム「ご馳走様でした」
一輝「ああ、お粗末様」
カリム「とても美味しかったです。あなたのお母様が?」
一輝「いや、俺が作った。母さんも父さんも、俺の世界で起きたテロ事件で、ある二人とデジモンに殺された。」
カリム「あ…ごめんなさい…」
一輝「気にすんな。あんたは何も知らない訳だし。俺ももう気にしちゃ…いないわけじゃねえけど。運が悪かったんだと諦めた。けどあの二人のことは今でも憎いし。デジモンも嫌いだ」
カリム「デジモン?」
一輝「レオルモンみたいな生き物だ。こいつらはデータで構成されたプログラム生命体…。最初はレオルモンのこともパートナーでも嫌いだった。でもこいつ、俺を何度も助けてくれた。何度も何度も拒絶したのに」
レオルモン[だって僕は一輝のことをずっと待ってたんだ。僕は一輝を守るために生まれた。だから僕は君にどんなに嫌われても守るよ]
一輝「そうかよ…まあ、そんなわけで前よりはデジモン嫌いはマシになったんだ。敵の場合は容赦出来ねえがな」
カリム「…一輝さん」
一輝「取りあえず、今の俺の目的は父さん達の仇を見つけてその二人を一発ぶん殴る。こればっかりは例え女でも手加減出来ねえ」
カリム「………」
何と言えばいいのか分からないカリムは俯いて黙ってしまう。
一輝「…とにかく、あんたの家は何処だ?折角だし送っていくよ」
カリム「え?でも…」
一輝「またあんなガラの悪い奴に絡まれたらどうするんだよ。いいからここは人の好意に甘えとけ」
スッと手を差し出す一輝に、そっと手を重ねるカリム。
カリム「では…お願いします」
一輝「はい、お嬢様…なんてな」
微笑を浮かべてカリムに道を教えてもらい、彼女を送る一輝だが…。






























一輝「ここがあんたの家…?教会みてえだけど」
礼拝堂のステンドグラスに目を細める一輝。
カリム「はい」
「騎士カリム!!」
カリム「シャッハ」
カリムや自分より少し年上そうな人物がこちらに向かってきた。
シャッハ「よかった…クラナガンで魔法生物が現れたと聞いた時は…と、そちらの方は?」
カリム「こちらは伊藤一輝さん。」
一輝「よろしく、多分カリムの姉貴さん?」
シャッハ「いえ、私は騎士カリムの姉ではなく従者のシャッハ・ヌエラです」
一輝「従者?まあいいけど、その魔法生物だけど、こいつ思いっ切り遭遇したぞ」
シャッハ「…何ですって?」
カリム「か、一輝さん!!」
一輝「安心しな、魔法生物は俺達が仕留めた。それよりも前にガラの悪い男にも絡まれてた。カリムの従者ってんならこいつから目を離すな、大事な主人なんだろ?」
シャッハ「返す言葉もありません…本当にありがとうございます……」
一輝「いいって、困った時にはお互い様だ。じゃあな」
カリム「あ、あの…どちらに…?」
一輝「え?そりゃ時空管理局ってとこに行くんだよ。俺は次元漂流者だからな」
シャッハ「次元漂流者…?」
一輝「ああ、何でこんなことになったのかさっぱりなんだけどな」
一輝はシャッハに全ての事情を話す。
全ての事情を知ったシャッハは時空管理局への報告を自分がすると言って、カリムとシャッハの好意で客室に案内された。






























一輝「ふう…」
溜め息を吐きながら、客室のベッドに沈む一輝。
鞄から一枚のボロボロの写真を取り出す。
写真に今は亡き父と母が幼い自分と共に笑っていた。
一輝「……」
レオルモン[一輝…]
シャッハ「失礼します」
ノックの後に入って来たシャッハ。
トレーにはティーセットが載せられている。
一輝「ん?シャッハ…だったっけ?何だよ」
シャッハ「はい…あなたの処遇ですが…」
時空管理局に自分のことを話し、明日の朝にでも管理局が保護しようとしたところ、カリムがこの教会で保護すると言ったらしく、珍しくシャッハに対して我が儘を言ったらしく、根負けしたシャッハは自分がここにいることを認めたらしい。
シャッハ「普段は我が儘を言うような方ではないのですけれど…」
一輝「随分と懐かれちまったなあ…俺、大したことしてねえのに…」
シャッハが入れてくれた紅茶を飲むが、シャッハのように音を立てずに飲めない。
一輝「あれ?シャッハのように飲めねえ…」
四苦八苦してるとシャッハがクスリと笑っていた。
一輝「おい、笑うんじゃねえよ」
シャッハ「フフ…すいません…」
一輝「くそ…おい、どうやったらそうなるんだ?」
シャッハ「明日からここにいるのですから、今でなくても大丈夫ですよ。心配しなくとも明日から礼儀作法を叩き込んで差し上げます」
一輝「…上等だ」
互いに不敵な笑みを浮かべる。
シャッハは一輝の隣にある写真に気づく。
シャッハ「それは…ご家族の写真ですか?随分と古い物のようですが…」
一輝「ん?ああ、父さん達と最後に撮った家族写真だ」
シャッハ「最後…?」
一輝「カリムから聞いてねえか?俺の家族はテロで殺されたって」
シャッハ「殺された…」
一輝「ああ、まあ…もう7年も前の話だ。ある程度の区切りはつけた。後は仇を見つけて一発ぶん殴る。それで終わりだ」
シャッハ「復讐したいと思わなかったのですか?」
一輝「…復讐したら、父さんと母さんが生き返るのかよ?」
シャッハ「それは…」
一輝「昔は…そうだな、そいつらに俺の苦しみを沢山味あわせてやりたかった。でもな、復讐したらしたでまた次の復讐が始まる。復讐をしたら俺と同じ思いをする奴が出るんだからな」
シャッハ「……」
一輝「許す気なんざサラサラねえけどな。悪いな、変な話聞かせて」
シャッハ「いえ…騎士カリムがあなたを慕う理由が分かりました」
一輝「は?」
シャッハ「一輝さん、明日からよろしくお願いしますね」
一輝「ああ、こっちこそな」
シャッハが部屋を後にし、一輝も部屋の電気を消して、目を閉じた。
一輝「(そういや…あいつら元気かな…?大輔とジュン…)」
光が丘にいた時、仲がよかった姉弟を思い出した一輝だったが、しばらくして眠りについた。 
 

 
後書き
ダスクモン、八神家に降臨。
この作品の八神家は闇にかなり縁がありますね。
ダスクモンは闇の書の闇と共鳴して召喚されました。
ダスクモンの成長期は多分同じデータのカスから生まれたクラモン系列だと思う。
レーベモンの成長期は微妙なものばかりだけれども。
 

 

第十八話 ビバ グレイテストテイルズⅡ

 
前書き
第二回ビバ グレイテストテイルズ

大輔「行くぜフェイト」
フェイト「うん」
大輔、フェイト「「リリカルアドベンチャー、始動!!」」 

 
~setuna空間~

ルカ「それでは始めましょう。」

クアットロ「はい」

ルカ「人類の未来を照らす希望の物語!!」

クアットロ「太陽の如く燃え上がる情熱の一時をあなたに!!ビバ!!グレイテストテイルズーっ!!」

ルカ「はい、今回も始まってしまいました。第二回、ビバ グレイテストテイルズ。司会は前回に続いてルカ・ハラオウンと…」

クアットロ「八神はやてちゃんが立て込んでるので代理として来ました。スカエリッティ・ナンバーズのクアットロで~す」

ルカ「では、投稿された手紙を読んでみましょう。えっと今回は…“第二回、ビバ グレイテストテイルズ、おめでとうございます。これからの続きも楽しみにしています。”はい、ありがとうございます。“ところで、デジモンフロンティアの敵キャラのダスクモンが出ましたが、いつかレーベモンになるんでしょうか?そしてダスクモンとレーベモン、ベルグモンとカイザーレオモンのどちらが強いんでしょうか?”…と、“白い冥王”さんから頂きました」

クアットロ「あ~、確かにフロンティアでは人型が成熟期相当、獣型が完全体相当というのが嘘に思えてならない圧倒的な強さを誇ったデジモンがいたわね~、ルカ兄様?」

ルカ「そうですね。これは僕の予想と作者の考えですが、多分総合的な戦闘力はレーベモン、カイザーレオモンよりダスクモン、ベルグモンが上でしょう。ダスクモンの豊富な技と高速移動、ベルグモンの飛行能力と反則的な技はとても驚異ですし。しかも、成熟期相当でありながら究極体に匹敵するというのもあります。」

クアットロ「でもそれはレーベモンも同じよ兄様?獣型での強さはカイザーレオモンがベルグモンを上回っていると思うわ~」

ルカ「まあ、それぞれ長所短所はありますから。さて、それではゲストにご登場頂きましょう!!」

クアットロ「え~?ゲストは無しにして私達だけで進めませんか?」

ルカ「(無視)はい、では本日のゲスト。ノーヴェとセイン。よろしくお願いします」

ノーヴェ「こんにちはー!!あれ?今、こんばんは?、おはようございます?まあいいや。よろしくーっ!!」

セイン「よ、よろしくお願いしますっ!!」

ノーヴェ「セイン、緊張してんの?」

セイン「してないっ!!」

クアットロ「む、無視された…っ?一応代理とはいえ司会なのに…」

ルカ「司会だからですよ。早く進行してくれませんかクアットロ?」

クアットロ「…分かりましたわ~。では続いて次のゲストはウーノ姉様とドゥーエ姉様~。」

ウーノ「こんにちは、今回もよろしくお願いします」

ドゥーエ「今回もまた、ビバ グレイテストテイルズに登場出来たことを嬉しく思います。ほら、セイン。深呼吸をして落ち着きなさい」

セイン「あ、うん…」

ルカ「さて、今まで出演出来なかったあなた達ですが、どこかの誰かさん達が脇役化したことで、メインキャラで新たにパートナーデジモンを得たノーヴェを除いた全員が僕達のサポートキャラとして出演することが決定しました。」

セイン「またノーヴェはメインキャラ!?しかもパートナー交代!?パートナーデジモンは!?」

ルカ「コロモンです。進化経路はデジモンネクストを参考に。コロモン→ジオグレイモン→ライズグレイモン→ここから少し特殊でウォーグレイモン→ビクトリーグレイモンとなります。X進化相当の予定です」

セイン「ま・た・っ!!主役級かーーーっ!!!!」

ガシャーーーンッ!!

クアットロ「どこからちゃぶ台出したのか知らないけど、ちゃんと片付けるのよセインちゃーん?」

セイン「うぅ…っ、何でノーヴェばっかり…」

ウーノ「ノーヴェは作者様のお気に入りだから仕方ないと思うけれど…」

セイン「愛が行きすぎっ!!!!」
ルカ「ノーヴェノーヴェ言いますが、一応ウェンディの存在は02でありましたよ?本人も気づかないくらい一瞬でしたが」

全員【!?】

ルカ「では皆さん、モニターを見てください」

ルカに促された会場の全員がモニターを見遣る。

ルカ「前作の02の映像と音声です。お聞き逃しのないように」






























-リリカルアドベンチャーGreatest tales02 第百話 悪口というのは多分人それぞれなんだと思います-

ウーノ「あ、ドゥーエ。ノーヴェが出ているわ」

ドゥーエ「ええ、ノーヴェがメインキャラとして出演すると決まった時、皆で喜んだものだわ。」

クアットロ「いえ、喜んだのはウーノ姉様とドゥーエ姉様の二人だけですわ」

セイン「他のみんなが微妙そうな顔をしている時に、二人だけお祝いの赤飯を炊こうとしたり。」

ルカ「静かに。始まりますよ…」






























~映像~

数十分後。
賢の授業を聞いた子供達は暗黒の力について勉強したのだが、これが結界の破壊にどう繋がるのかは皆目見当もつかない。

賢『まあ、見ているんだ。お手本を見せてやる!!』

ルカ『い、一体…どんなとんでもない大技が繰り出されるんだ…!!?』

賢『行くぞ!!はああああ……!!』

全員【ゴクッ…】

気合いを入れる賢に全員が唾を飲んで見守る。
そして緊張が最高潮に達した時…!!!!

賢『エテモンのオカマザルーーーーッッッ!!!!!!』

全員【はああああ!!?】

何をするかと思えば今は亡きエテモンへの罵倒であった。
全員が呆れた瞬間。
パリーンッ!!

ギンガ『結界が砕けた!!」

賢『やはりそうか!!思った通りだ!!』

はやて『どういうことなんや賢兄?』

賢『この結界はベリアルヴァンデモンの力ではなく、暗黒の力そのものなんだ。暗黒の力は悪口といった汚い言葉に異常に反応を示すんだ。』

はやての問いに答える賢にティアナは結界を見つめながらぼやく。

ティアナ『悪口に傷つきやすい…ってことなのかな…?』

すずか『暗黒の力になる前にある負の感情を生み出す弱い心が反応するのかもね…』

リインフォース『しかし、悪口か…少々心が痛むが、この方法で結界を砕いていこう。』

大輔『ピコデビモンとかはこういうの得意そうだよな。後はデジモンカイザーだった頃の治さん』

治『ええ!!?』

ピコデビモン『何してやがる!!ぼさっとしてねえで手伝いやがれ!!このボケナス!!』

ブイモン『口の悪さだけなら選ばれしデジモン最強だよなあ…やかましい、こんちきしょうがあああああ!!』

プロットモン『口喧嘩はいいけれどバトルをしないように気をつけなさいよ』

ピコデビモン『サボってねえでてめえもやれ!!この役立たずがっ!!!!』

プロットモン『くっ!!負けてたまるもんですかっ!!!!』

































悪口言い始めて数十分後。

大輔『ヤマトさんのブラコン野郎!!』

パリーンッ!!

フェイト『アルフの食いしん坊!!』

パリーンッ!!

なのは『えっと…えっと…お父さんの親馬鹿!!』

パリーンッ!!

ユーノ『空気読め馬鹿クロノ!!』

パリーンッ!!

賢『料理を作るなシャマルの阿呆!!』

パリーンッ!!

アリサ『大輔の浮気者!!』

大輔『それ酷くねえか!?』

パリーンッ!!

すずか『大っ嫌い!!』

パリーンッ!!

アリシア『フェイトの過保護!!』

フェイト『え!?』

パリーンッ!!

ルカ『母さんの味覚障害者!!』

パリーンッ!!

スバル『ゴキブリ嫌い!!』

パリーンッ!!

ギンガ『私だって嫌いだよ!!』

パリーンッ!!

ティアナ『太一さんのシスコン!!』

パリーンッ!!

リイン『父様と母様達の馬鹿ーーっ!!真昼間からイチャイチャしてるんじゃねえです!!』

パリーンッ!!

はやて『がーん!!』

賢『誰だリインにそんな言葉を教えたのは!!処刑してやる!!』

なのは『それヴィータちゃんだよ』

リインフォース『いつの間に……うむ、太一のヘタレめ!!』

パリーンッ!!

フェイト『太一さんネタが多くない?』

大輔『おい、他にネタは無いのか!!?』

ノーヴェ『えっとえっと…!!ヒカリ姉のヘアピン!!』

ユーノ『それ悪口?』

パリーンッ!!

ユーノ『結界が砕けた!?』

賢『思ったより許容範囲が広いと言うべきか狭いと言うべきか…』

はやて『ゲンナイさんは威厳無い!!』

賢『誰が寒い駄洒落を言えと言った!!悪口だと言ってるだろうが!!』

大輔『でも否定できないんだよなあ…』

治『虫螻虫螻虫螻虫螻虫螻虫螻が!!』

パリーンッ!!

ブイモン『ピコデビモンの大馬鹿野郎!!』

パリーンッ!!

ピコデビモン『てめえの方が大馬鹿だ!!』

パリーンッ!!

チビモン『アルマジモンの鈍足!!』

パリーンッ!!

テリアモン『ガブモンの蜥蜴!!』

パリーンッ!!

ツカイモン『ヴァンデモンの変態が!!』

パリーンッ!!

ギルモン『シャウトモンのバッキャロー!!』

パリーンッ!!

プロットモン『エイミィの天然!!』

パリーンッ!!

フレイモン『くそ、もうあんまり悪口のネタが無いぞ…このおたんこなすが!!』

パリーンッ!!

アグモン(S)『変態ドクター!!』

パリーンッ!!

ガオモン『ウェンディのでしゃばりー!!』

パリーンッ!!

-STOP-

ルカ「以上です」

セイン「名前だけ!?しかも悪口だし!!」

クアットロ「こ、これはまた何と言うか…」

ドゥーエ「これはこれで哀れだわ…」

哀れむように遠い目をするクアットロとドゥーエである。

ルカ「とりあえず最後まで行きますよ」

-START-

ストラビモン『他に無いか…!?この結界を刺激する言葉は…!!?唐変木が!!』

パリーンッ!!

ドルモン『シャマルの料理オンチ!!』

パリーンッ!!

クロアグモン『アルケニモンの阿呆が!!』

パリーンッ!!

ガムドラモン『マミーモンの尻に敷かれマン!!』

パリーンッ!!

ワームモン『京の馬鹿!!治ちゃんに触るなああああ!!』

ブイモン『嫉妬全開だな』

パリーンッ!!

-FIN-
































セイン「終わった!!?どうせなら最後までやろうよ!!?」

クアットロ「まあ、これ以上やってもページ数の無駄になるだけだわ…では、私はこれで」

ルカ「…クアットロ~。あなたは代理とはいえ司会でしょ?勝手に帰られては困ります。帰ったら作者のsetunaさんに頼んであなたの存在を滅却してもらいますからねー。今後も登場したいのなら、しっかり役割を果たして下さい。」

クアットロ「ぐっ!!わ、分かりましたわ。ではもう少し…」

セイン「ええ?まだ続けるの?」

ノーヴェ「何だよ?ひょっとして嫌なの我慢してたのか?」

セイン「嫌ってわけじゃないけど、こうやって喋るの緊張するじゃない?」

ノーヴェ「私はもう慣れたけど?」

セイン「あ・ん・た・はっ!!前作の02と何故か消滅した03で出演してたからでしょ!!!!私はそういうの無かったのっっっ!!!!!!」

ウーノ「落ち着きなさい。これからは私達も出演出来るのだから少しずつ慣れていけばいいのです」

ドゥーエ「そうよ。最初から出来る人はいないのだから」

セイン「…は~い」

ルカ「とにかく、皆さんは大輔さん達を除いた02メンバーを犠牲を持って出演が決まったのですから。この作品を成功させるために、頑張りましょう」

ウーノ「ええ、よろしくお願いします」

ルカ「では、これにて第二回、ビバ グレイテストテイルズを終了します。」

クアットロ「では、皆さん。ご機嫌よう~。」
 

 

第十九話 それぞれに出来ること

 
前書き
大輔達が別行動。

賢「それじゃあ行くよはやて」
はやて「うん。」
賢、はやて「「リリカルアドベンチャー、始まります」」
 

 
時の庭園に着いた大輔達。
大輔とフェイト、ブイモンとアルフの案内の元、一直線に玉座の間に向かう。
しかし途中で、数十体の傀儡兵に道を阻まれる。
ユーノ「かなりの数ですね」
ブイモン[ああ、でもここから玉座の間まではまだ距離がある。]
大輔「…こいつらに時間を割く訳には行かないぞ。」
ブイモン[ここは俺達に]
ドルモン[遼、進化を]
ワームモン[賢ちゃん。僕も]
大輔「分かった。デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!燃え上がる勇気!フレイドラモン!!]
遼「最初から飛ばして行くぜドルモン?」
ドルモン[了解。ドルモン進化!ラプタードラモン!!ラプタードラモン超進化!グレイドモン!!]
賢「頼んだよワームモン」
ワームモン[任せて、ワームモン進化!スティングモン!!]
フレイドラモン[ファイアロケット!!]
グレイドモン[クロスブレード!!]
スティングモン[スパイキングフィニッシュ!!]
三体のデジモンが必殺技で突撃し、道を開く。
グレイドモン[ここは俺に任せてお前達は先に行け!!]
遼「サンキュー、グレイドモン!!」
この場をグレイドモンに任せ、大輔達は一気に突っ切る。






























通路を走る子供達とデジモン達。
通路の所々は崩れていて、外の空間が露になる。
クロノ「この穴…黒い空間がある所は気を付けて!!虚数空間、あらゆる魔法が一切発動しなくなる空間なんだ。飛行魔法もデリートされる。もしも落ちたら、重力の底まで落下する。二度と上がってこれないよ!!」
なのは「き、気を付ける!!」
クロノの言葉になのはが返事をした。
行く先にあった扉をクロノが蹴り開ける。
その中には、またもや傀儡兵がいた。
クロノ「ここで二手に分かれる。君達は最上階にある駆動炉の封印を!!」
なのは「クロノ君は?」
クロノ「プレシアの所へ行く。それが僕の仕事だからね」
大輔「俺もそっちに行く。プレシアを止めないとな」
クロノ「…分かった。君はどうする?」
クロノが確認の為にフェイトを見遣る。
フェイト「私も母さんの所に行く…!!」
大輔「賢と遼さんはどうする?」
賢「人数の関係上、高町さん達と行くよ。君達はプレシアさんを」
遼「なのは達だけじゃ心配だからな。俺も一緒に行く。スティングモンもいるから大丈夫だろうけどな」
大輔「分かった。フレイドラモン、今度はライドラモンだ!!」
フレイドラモン[ああ!!]
フレイドラモンはブイモンに退化する。
大輔「デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!轟く友情!ライドラモン!!]
大輔自身もライドラモンの甲冑を身に纏い、クロノとフェイト、アルフを見遣る。
大輔「三人はライドラモンに乗れ、そっちの方が数段速い」
ライドラモン[さあ、早く]
フェイト「うん」
アルフ「頼んだよライドラモン」
なのは「フェイトちゃん、気をつけてね!!」
フェイト「うん、ありがとう…なのは……」
フェイトは大輔達と共に玉座の間に向かって 三人が乗ったのを確認した大輔とライドラモンは一気に床を蹴り、玉座の間へ向かう。
なのは「フェイトちゃんが私の名前を…」
賢「良かったね。さあ、行こう!!」
なのは、ユーノ「「はい!!」」
そして賢達は駆動炉の方へ向かう。


































ユーノ「賢さん、遼さん、あれを!!」
賢「あれは…!?」
駆動炉に向かう賢達を傀儡兵が阻む。
賢「邪魔を…するな!!」
遼「退け!!」
二人はスパイクと双剣で、傀儡兵を破壊していく。
なのは「賢さん!!遼さん!!」
遼「雑魚は俺達に任せて、お前らは駆動炉を!!」
ユーノ「分かりました…っ、なのは!!危ない!!」
なのは「きゃっ!?」
咄嗟になのはを押し倒し、傀儡兵の攻撃から庇う。
ユーノ「大丈夫!?なのは……ん?」
なのは「あ、うん。ありがとうユーノ君…どうしたの?」
手に感じる柔らかい感覚にユーノは恐る恐る視線を手に遣ると、彼女の胸に置かれているユーノの手。
ユーノ「す、すみませんでしたーーーーっ!!!!」
なのは「え?ええ??」
ライドラモンの甲冑装備の大輔並の速さでなのはから離れ、いきなり土下座するユーノになのはは疑問符を浮かべる。
そして、ユーノは自身に向けられている視線に気づいて背後を見遣ると、ニヤニヤしている遼と赤面している賢の姿が。
ユーノ「あ、あの…これは…」
賢「(スクライア君、セクハラだよそれは…)」
賢からの念話に遼も続く。
遼「(ユーノ・スクライアは“初代ラッキースケベ”の称号を得た)」
ユーノ「(そんな称号要りません!!初代って何ですか!!け、賢さん!!これはわざとじゃないんです!!事故なんです!!信じて下さい!!!!)」
賢「(スクライア君。僕も男だから…その、君の女の子への興味は分からなくはないんだけど…)」
ユーノ「(ええ!!?)」
遼「(おめでとうユーノ。今日からお前は立派な“スケベ大魔王”…いや、“スケベ大明神”だな)」
ユーノ「(…………)そんなの嫌だああああああああっ!!!!!!!!」
なのは「ユーノ君!?いきなり叫んでどうしたの!!?」
頭を抱えて(なのはから見れば)、いきなり叫びだしたユーノになのはは驚いた。


































大輔「何か今、ユーノの悲痛な叫び声が聞こえなかったか?」
フェイト「うん、この世の終わりみたいな」
クロノ「いや、気のせいだろう」
ライドラモン[フェイト、アルフ、クロノ。更にスピードを上げるから振り落とされるなよ]
アルフ「ああ」
大輔とライドラモンは更にスピードを上げて、奥に向かう。






























なのは達が駆動炉を封印し、最下層のプレシアがいる場所にもその振動が届いていた。
プレシアにリンディから念話が届く。
リンディ「(プレシア・テスタロッサ。終わりです。次元震は、私が抑えています。駆動炉はじきに封印。あなたの元には、執務官達が向かっています。もう止めて下さい。フェイトさんをこれ以上悲しませないで。)」
プレシア「…もう無理よ。私はフェイトをあまりにも傷つけ過ぎた…もう手遅れなのよ。あなたも母親なら分かる筈。」
リンディ「(……)」
プレシア「それに私にはもう時間が無いのよ」
リンディ「(…どういう…!?)」
リンディがプレシアに尋ねようとした時、リンディの頭の中に流れて来る情報。
リンディはプレシアが重い病を患っていることを知る。
彼女を蝕む病は、魔導師だけでなく研究者としても優秀だったプレシアでも全貌を掴む事が出来ない死に至る病で、余命幾ばくもない状態だと言う事を。
リンディ「(あなたは…まさか…!?)」
プレシア「そうよ。私は既に大罪人。管理局に捕まれば、相当な刑を受けることになる。フェイトはきっと私を守ろうとするでしょうね。でも私が死ねばどうなるかしら?」
リンディ「(まさか…!?)」
プレシア「今なら、あの子は私に利用されていただけの子。重い罰は与えられない筈。」
リンディ「(…あなたは自分の命を犠牲にしてフェイトさんを守ろうと言うの?)」
プレシア「……来たわね」
リンディの問いに答えず、足音が聞こえて来た為、プレシアは足音がする方向を向いた。
するとクロノが部屋に入って来る。
そして次に入って来た大輔とフェイトの姿を見た時、プレシアは目を見開いた。
プレシア「フェイト…どうして此処に!?」
大輔「あんたを…止めに来た…」
フェイト「母さん…」
フェイトがプレシアに自分の想いを伝えようと口を開く。
フェイト「私は…母さんに笑顔になって欲しかった…でもさっきの笑顔は…私が望んだ笑顔じゃない…私は母さんに…本当の笑顔になって欲しい…!!」
大輔「プレシア…戻って来いよ…!!フェイトにはまだあんたが必要なんだよ!!」
ブイモン[今ならまだ間に合うよ。家族としてやり直すことも!!]
フェイト「母さん…一緒に帰ろう…そして一緒に暮らそうよ…!!」
フェイトは目に涙を溜めて、それでも一生懸命に言葉を紡ぐ。
プレシアは笑みを浮かべた。
モニターで見た儚い笑顔ではなく、フェイトが見たかったプレシアの心からの笑み。
プレシア「ああ…私はなんて幸せなの…こんなに私を想ってくれる娘がいるなんて…」
フェイト「母さん…!!」
受け入れてくれたのだと思ったフェイトはプレシアに笑顔を向けた。
その時、紫の稲妻がプレシアの足元付近の床に落ち、プレシアの足元が崩れた。
クロノ「なっ…!?」
フェイト「え…?」
クロノが目を見開き、フェイトが呆然となった。
プレシア「ありがとう…フェイト。そして…さようなら…」
プレシアとアリシアの入ったカプセルは虚数空間へと落ちていく。
フェイト「母さん!!」
大輔「馬鹿野郎!!」
ブイモン[っ!!]
大輔はフレイドラモンの甲冑を纏い、再びアーマー進化したフレイドラモンと共に虚数空間に落下するプレシア達の元へ向かう。
大輔「プレシアーーーッ!!!!」
プレシア「大輔!?」
大輔はプレシアの手を掴み、フレイドラモンはアリシアのカプセルを掴んで必死に崖をはい上がろうとする。
プレシア「何をするの…この手を離しなさい!!あなたまで落ちるわよ!!」
大輔「嫌だ!!絶対に離すもんか!!」
プレシア「何を言ってるの!!私にはもう時間が無い!!例えあったとしても、私にはもうフェイトの母親を名乗る資格なんて…」
大輔「ふざけるな…!!」
プレシア「え…?」
大輔の言葉にプレシアが目を見開いた。
大輔の目から涙が零れていた。
大輔「あんた…自分が何やってるのか分かってんのか!?あんたがアリシアを失った時どれだけ辛い思いをした!?それをフェイトに味あわせる気か!?」
プレシア「……」
プレシアは大輔の言葉に黙り込んでしまう。
大輔「時間が無い!?そんな物、残りの時間を全部使えばフェイトに忘れられない思い出くらい作れるだろ!?まだあんたにはフェイトの幸せを見届けるって仕事が残ってるだろうが!!それを果たさないで死ぬなんて誰が許しても俺が許さねえ!!やっと…やっと分かり合えたんだろ!?だったら最後まで生きろよ…フェイトの為に生きてくれよ!!」
プレシア「(私は運命の本当の意味を知っていなかったようね…)」
プレシアは大輔の言葉を聞き、フェイトの幸せを見届けたいと思った。
大輔「…何!?」
突如大輔の甲冑が解除され、フレイドラモンのアーマー進化すら解除された。
ブイモン[アーマー進化まで!?虚数空間のせいか!!?]
フェイト「大輔!?母さん!?」
アルフ「大輔!!プレシア!!ブイモン!!」
大輔の甲冑とフレイドラモンのアーマー進化が突然解除され、虚数空間へと落ちていくのを見たフェイトとアルフは身を乗り出す。
クロノ「止せ!!君達まで落ちるぞ!!」
クロノがフェイトとアルフを抑える。
そして大輔とプレシアの姿は見えなくなった。
フェイト「大輔ー!!母さーん!!」
アルフ「嘘だろ…?」
クロノ「くっ…」
フェイト「…そ…んな…」
フェイトは現状を受け入れられず、卒倒してしまう。
アルフ「フェイト!!」
アルフが慌てて倒れたフェイトを介抱する。
クロノ「くっ…ここも危ない…脱出するぞ!!」
悔しそうに拳を握り締めながら叫ぶ。
アルフも唇を噛み締めながらこの場を後にした。
 
 

 
後書き
前作とは賢の扱いが大分違います。
 

 

第二十話 終わりと始まり

 
前書き
無印編の終わり

大輔「無印編終了だ」
フェイト「うん」
はやて「ほな、行くで?」
賢「せーの」
全員【リリカルアドベンチャー、始まります】 

 
大輔とプレシアとアリシアの入ったカプセルは虚数空間を落下していた。
大輔「くそ…どうすれば…!」
大輔が辺りを見回すが、あるのは落石のみ。
大輔は一瞬諦めかけた。
その時、虚数空間の一部に入っていた罅が大きくなり、大きな亀裂が入った。
大輔達はその亀裂に落ちた。
亀裂は大輔達が落ちた後ゆっくりと閉じた。






























アースラのブリッジでは大輔とブイモン以外のメンバーが集まっていた。
なのは「そ、そんな…大輔さんが…?」
大輔とブイモンが虚数空間に落ちたとクロノ達から聞いたなのはは激しいショックを受けた。
医務室に運ばれて、しばらくして目を覚ましたフェイトも暗い表情で頷いた。
クロノ「…いくら大輔でも虚数空間に落ちては助からないだろう……」
酷く沈んだ声音で言うクロノ。
クロノの言葉にアルフが食いかかる。
アルフ「…あいつらがそう簡単に死ぬもんか!!大輔もブイモンも凄く強いんだから!!だから…あいつらが死ぬなんてあるもんか!!」
クロノ「だが…虚数空間に落ちて助かった者など1人もいない…もう大輔達は…」
アルフ「あんたね!!」
ユーノ「止めるんだ!!」
クロノに詰め寄ろうとしたアルフをユーノが必死に抑える。
リンディ「少し…休みましょう…」
リンディが全員に休むように言う。
リンディ達がブリッジから離れ、クロノもブリッジから出ていく。
ユーノとアルフ、ツカイモンは心配そうにフェイトを見ていたがフェイトは何も言わない。
なのはは目で自分に任せてくれと合図する。
今この時点で大輔と賢達以外でフェイトが心を開いているのはなのはだけだろう。
アルフはなのはに頷くとブリッジから去った。
ユーノとツカイモンもアルフの後を追うようにブリッジを去った。
ブリッジにはなのはとフェイトが残された。
なのは「フェイトちゃん…大丈夫…?」
なのはがフェイトに近づきながら言う。
フェイト「……うん」
フェイトは沈んだ声で、何とか返事を返す。
なのは「きっと…きっと大丈夫だよ!!大輔さんなら絶対に生きてるよ!!」
フェイト「………」
なのはの言葉にフェイトは何も答えない。
しかし暫くして口を開いた。
フェイト「なのは…私、なのはに聞いて欲しいことがあるんだ…」
なのは「何…?」
フェイト「私ね…大輔のこと…好きだったんだ…」
なのは「うん…」
フェイト「いつも傍にいてくれて…いつも守ってくれて…」
なのは「うん…」
フェイト「お兄ちゃんがいたらこんな感じなのかなって思った…。」
なのは「…うん……」
フェイト「でも…それだけじゃなかった。大輔がいなくなった時、凄く辛くて寂しかった…」
なのは「……フェイトちゃん…」
フェイト「大輔が虚数空間に落ちて、いなくなった時に気づいたの…私は…大輔が好きだったんだって…」
なのは「……」
フェイト「馬鹿だよね。私……大輔がいなくなってから気づくなんて本当に馬鹿だよね…私…私…っ!!」
フェイトの目から大粒の涙がいくつも床に零れ落ちる。
なのはの目からも涙が零れ落ちた。
フェイト「大輔が傍にいてくれた時に…生きている時に気づきたかったよ…っ!!」
なのは「フェイトちゃん…っ!!」
なのはは少しでもフェイトの苦しみを和らげてあげようと強く抱き締めた。






























亀裂の中に落ちた大輔とプレシアは、まるで玩具箱をひっくり返したような世界にいた。
ブイモン[ここは…?そうだ。大輔!大輔!!]
ブイモンは気絶している大輔の名前を呼びながら身体を揺さ振る。
大輔「うぅ…っ」
頭を押さえて起き上がる大輔。
ブイモンと大輔は辺りを見回す。
大輔「ここは…?」
プレシア「う…っ」
大輔「プレシア!!」
大輔はプレシアの元に急いで駆け寄る。
プレシア「大輔…?」
大輔「大丈夫か?」
プレシア「ええ…ここは?」
大輔「分からない。プレシアも知らないのか?」
プレシア「ええ、私もこのような世界は見たことがないわ」
?「ここは人の想いを具現化する世界じゃよ。デジタルワールドの根底も、ここにある」
大輔達の背後から聞こえて来た声に大輔達は反射的に背後を見遣る。
大輔「誰だ!!」
かつて、太一達の冒険を助けた老人がいた。
ゲンナイ「わしの名はゲンナイ。かつてお前さんの仲間である太一達を助けた者じゃ」
大輔「太一さん達を?」
記憶を取り戻してから、少しずつ彼らに対する感情が変わってきている大輔は微妙そうな顔をする。
大輔「まあいいや、ゲンナイさん。俺達は今すぐにでもあの世界に帰らなきゃいけないんだ。一体どうすれば帰れるんですか?」
ゲンナイ「それはじゃな…」
プレシア「う…っ…ゴホッ!…ゴホッ!!」
ゲンナイが言おうとした時、プレシアが咳込んだ。
大輔は急いで駆け寄り、プレシアの背を摩る。
大輔「ゲンナイさん、どうにかならないんですか!?」
大輔が縋るように叫んだ。
ゲンナイ「…ここは人の想いを具現化する世界じゃ。お主がその者を救いたいと願うならこの世界はきっと応えるじゃろう」
大輔「………」
大輔はゲンナイの言葉を信じ、プレシアの病が治したいと心から願った。
するとプレシアの身体が暖かい光に包まれた。
プレシア「これは…身体が軽い…それに身体の苦しさが消えた…!?」
大輔「やった…!!」
ゲンナイ「成功したようじゃのう。」
ゲンナイが優しく見守りながら呟いた。
大輔は次にアリシアのカプセルに歩み寄る。
カプセルの中のアリシアはまるで眠っているかのようだ。
フェイトよりも幾分幼い顔立ちだ。
大輔「…なあ、プレシア。アリシアは何歳の時に……死んだんだ?」
プレシア「……まだ5歳の時よ」
大輔「…そうか」
自分がデジタルワールドを冒険した時の歳よりも下。
大輔は沈痛な思いで、カプセルを見つめた。
大輔「…生きたかったろうな…アリシアは…。生きて…同い年の子供と沢山遊んで、学校行って沢山学んで、世界の色々な物を見たかっただろうな…」
そして、叶いはしないだろうが、アリシアもフェイトと一緒に笑っていて欲しかった。
大輔「出来ることなら…アリシアには生きていてもらいたかったな…」
大輔がカプセルに触れた途端、アリシアがプレシアと同じように暖かい光に包まれ、アリシアの心臓が動き出し、生白かった肌に徐々に色みが戻ってきているのが分かった。
微かに瞼が動いて開く。
何度か瞬きを繰り返し、その瞳の奥で瞳孔が収縮するのが見える。
人形めいていた双眸に意志が宿る。
むくりと半身を起こして目を擦りながら、ずいぶんと間の抜けた声を出した。
アリシア「ふわあ……うぅ…おはよー、お母さん」
光が収まると、アリシアが寝ぼけ眼でプレシアを見ると挨拶した。
大輔「おはようっていうかおそよう…が正しいよな…?」
大輔が呆然となりながら呟いた。
プレシア「アリシア…」
プレシアは久しぶりに聞いた娘の声に涙を流した。
アリシア「お母さんどうしたの?何処か痛いの?」
アリシアがカプセルから出て、プレシアに駆け寄る。
プレシアは堪らずアリシアを抱き締めた。
プレシア「アリシア…ごめんなさい。私は最低な母親だったわ…」
アリシア「お母さん…?」
大輔「アリシア」
アリシア「お兄ちゃん誰?」
大輔「俺は大輔、君のお母さんの知り合いで、フェイトの…仲間だよ」
アリシア「フェイト?」
アリシアは首を傾げて大輔を見上げる。
大輔「君にとてもそっくりな子なんだ…君の妹だよ。」
アリシア「妹…お母さん。私が欲しかった物をプレゼントしてくれたんだね?」
プレシア「え…?」
アリシア「私、誕生日のプレゼントに妹が欲しいって言ったよね」
プレシア「あ…」
プレシアは記憶を辿ると、生前のアリシアが誕生日プレゼントに妹が欲しいと言っていた。
アリシア「ありがとう、お母さん」
アリシアが満面の笑顔をプレシアに向けた。
だがプレシアは暗い表情をしていた。
プレシア「違うのよアリシア…」
アリシア「え?」
プレシア「私にはそんなことを言われる資格なんて無いのよ…」
プレシアは暗い表情で俯きながら言う。
大輔「アリシア…プレシアはな…」






























大輔が自分が知る限りのことをアリシアに伝えた。
アリシアは少し悲しそうな顔をしてプレシアを見上げる。
アリシア「…お母さんは、ずっとフェイトのことをいじめていたの?」
プレシア「そうよ…私は…最低な母親だわ」
ブイモン「でも、プレシアは自分が間違っていたことに気づいた。それをフェイトに謝ったじゃないか。大事なのは、自分の過ちから逃げるんじゃなくて受け止めることだからさ。」
アリシア「うぅ~、犬さんが言ってる事はよく分かんないけどお母さんは反省してるんだよね?」
ブイモン[犬…っ!?]
犬と呼ばれたことにショックを受けるブイモン。
プレシア「ええ…」
アリシア「じゃあ、謝らなきゃ。」
プレシア「え?」
アリシアの言葉にプレシアが呆然とする中、大輔が納得したように頷いた。
大輔「そういえば、プレシアは確かにフェイトに謝ったけどモニター越しだしな」
ブイモン[ちゃんと面と面を合わせて言わないとな]
アリシア「悪いことしたなら謝らなきゃ駄目だよお母さん!!」
プレシア「…そうね……その通りだわ…」
プレシアはアリシアの言葉に頷いた。
大輔「それじゃあ、そろそろ帰ろう。場所は…アースラのブリッジでいいか」
適当に思い付いた場所を思い浮かべ、ゲートを開けた。
大輔「それじゃあゲンナイさん。ありがとう」
アリシア「バイバイおじいちゃん」
アリシアがゲンナイに手を振る。
ゲンナイも微笑ましく大輔達を見守りながら手を振る。
大輔達はゲートに飛び込んだ。ゲンナイ「…記憶を取り戻したようじゃのう。あれなら大丈夫かもしれん…異世界へ飛ばされた紋章…見つけだすのじゃぞ大輔」

































なのはとフェイトが抱き合う中、ブリッジの天井に穴が空いた。
なのはとフェイトは驚いて、離れてしまう。
ブイモン[よっと!!]
ブイモンがヒラリと軽々と着地した。
なのは、フェイト「「ブイモン!?」」
そして。
大輔「うわああああ!!?」
プレシア「キャアアアア!!?」
アリシア「うわわわっ!!?」
大輔、プレシア、アリシアの順に降ってきた。
当然真下にいたブイモンは…。
ブイモン[ギャアッ!!?]
下敷きになり潰れた。
フェイト「大輔!?母さん!?それに…」
なのは「フェイト…ちゃん…?」
なのははアリシアの姿を見ると目を見開いた。
すると騒ぎを聞き付けたクロノ達がブリッジに戻って来た。
クロノ「何があった!?」
アルフ「大輔にブイモン!!それにプレシアまで…って…フェイトが2人!?」
アリシア「違うよお!!私はアリシア!!」
エイミィ「嘘おっ!?も、もももももももしかして幽霊!?」
なのは「ふええええっ!!!?幽霊ーーーーっ!!!!?」
ユーノ「な、なのは…」
エイミィの言葉に驚いてユーノに抱きつく。
ユーノは顔を赤くしたが、抵抗はしなかった。
遼「いやいや、よく見ろ。足があるだろ足が」
アリシア「幽霊じゃないよお!!」
エイミィ「南無阿弥陀仏!南無阿弥陀仏!!南無阿弥陀仏!!!南無阿弥陀仏!!!!南無阿弥陀仏!!!!!」
取り乱したエイミィがアリシアの抗議を聞かずに日本の念仏を唱えた。
大輔「(何で異世界出身のエイミィが日本の念仏知ってんだ…?)」
何故エイミィが日本の念仏を知っているのか大輔は首を傾げた。
クロノ「静かに!!」
エイミィ「あうっ!!」
これでは話が進まない為、クロノはエイミィの頭にチョップを叩き落として強引に黙らせた。
クロノ「大輔…聞かせて貰おうか?」
大輔「ああ…だけど」
クロノ「分かっている。話にもよるが、このメンバーだけの秘密だ」
大輔はクロノの言葉を信じて口を開いた。
全員が大輔の話に耳を傾けた。
暫くして。
クロノ「想いを具現化する世界…か…」
賢「そんな世界が…」
エイミィ「死人さえも生き返らせることが出来るなんて…」
リンディ「俄かには信じられないけど、アリシアさんを見たら納得せざるを得ないわ」
フェイト「………」
フェイトは黙ってアリシアを見つめていた。
アリシアが生き返った今、自分にはもう居場所は…。
そう思っていたフェイトにアリシアが駆け寄り、手を握り締めた。
アリシア「フェイト!!お姉ちゃんだよ!!」
フェイト「え?」
アリシア「お母さん!!」
プレシア「ええ…」
プレシアはアリシアに促され、フェイトの前まで来ると目線を合わせる。
プレシア「フェイト…今まであなたにやって来たことを考えればこんな事を言う資格なんて無いかもしれないけど…。本当にごめんなさい…。」
フェイト「母さん…」
プレシア「もし…もし、あなたさえ良かったら、私の娘でいてくれる…?」
フェイト「え…?でも…アリシアがいるなら私は…」
フェイトがアリシアを見遣りながら言う。
プレシア「…フェイト、確かにアリシアは私の大切な娘よ…。」
フェイト「……」
プレシア「でもあなたもアリシアと同じくらい大切な娘よ」
フェイト「っ…!母さん…」
プレシアの言葉にフェイトは涙を流した。
プレシア「フェイト…もう1度聞くわ。私の娘でいてくれる…?」
フェイト「ゔん…っ!母さん…っ母さあん…っ!!」
フェイトはプレシアに抱き着いて泣きじゃくる。
アルフ、エイミィ「「ぐすっ…」」
アルフとエイミィが感動のあまりに泣き出した。
なのは「良かった…フェイトちゃん…」
なのはも涙を浮かべながら安心したように言う。
アリシア「今日から私がお姉ちゃんだからね!!」
フェイト「うん…っ!!」
大輔「どっちかって言えばアリシアが妹に見えるけどな?」
遼「確かに」
アリシア「むう~」
リンディ「話の途中に申し訳ありませんがいいでしょうか?」
リンディがプレシアに歩み寄る。
プレシア「ええ…」
プレシアは覚悟を決めた顔で立ち上がる。
フェイト「母さん…」
アリシア「お母さん?」
フェイトが不安そうにプレシアを見上げ、アリシアが不思議そうにプレシアを見上げていた。
リンディ「フェイトさんとアリシアさんはアースラで保護し、プレシアさんはジュエルシードの保管ミスということで厳重注意の後、アースラで保護します」
全員【え?】
リンディを除いた全員が目を見開いた。
リンディ「だって証拠が無いもの」
ブイモン[…映像は?]
リンディ「映像だけではハッキリとした証拠にはならないから消してしまったわ。」
大輔「ああ、成る程ね…まあ証拠が無いんじゃあ仕方ない。フェイト、アリシア。良かったな?」
ブイモン[家族全員で暮らせるんだからさ!!]
クロノ「ふう…、艦長がそう決めたなら仕方ない。だけど次はありませんよ?」
クロノがプレシアに釘を刺すように言う。
フェイト「皆…ありがとう…!!」
フェイトが全員を見渡して礼を言う。
フェイトが全員を見渡して礼を言う。
大輔「せっかく病気が治ったんだ。長生きしろよプレシア?」
プレシア「…そうね。孫の顔を見るまで死ねなくなったもの」
フェイト「え?」
プレシア「大輔、フェイトのことをお願いね。」
大輔「な、何の話だ?」
プレシア「あなた達の将来の話よ。今から…最低でも10年は待たなければならないわね。フェイト。大輔と頑張って可愛い赤ちゃんを産むのよ?」
大輔「はあ!?」
フェイト「か、母さん!?」
あまりに飛躍した話に大輔とフェイトの顔が真っ赤になる。
リンディ「まあ、素敵!!2人の子供なら可愛いでしょうねえ…」
エイミィ「私は大輔君とフェイトちゃんが子供を沢山作る方に賭けるね!!」
リンディ「あら?なら私も大輔さんとフェイトさんが子沢山になる方に賭けるわ」
ユーノ「僕も2人が子沢山になる方に賭けます。」
なのは「私も子沢山になる方に賭けるね!!きっと可愛いんだろうなあ…」
アルフ「うん。それじゃあ、あたしも子沢山の方に賭けるね!!大輔とフェイトにそっくりな子!!さぞかし可愛いだろうね!!」
賢「えっと…じゃあ僕も」
遼「精々励めよお前ら。応援してるから」
クロノ「おいおい君達。全員が“大輔とフェイトが子沢山になる”に賭けてしまったら、賭け事は成立しないよ。」
大輔「止めろよお前!!」
リンディ達を諌めるどころか逆に煽る発言をするクロノに大輔が突っ込む。
エイミィ「おっと!!そうだった。こりゃうっかりしてた!!」
大輔「……お前らああああああっ!!!!!!」
フェイト「だ、大輔の赤ちゃん…はう…」
ブイモン[おおっ!?フェイトが顔を真っ赤にして気絶した!!]
顔を真っ赤にして気絶したフェイトをブイモンが介抱し、大輔の叫びが木霊した。






























静寂に包まれた公園には大輔達が静かに佇んでいた。
賢はあれから何とか意識を取り戻し、病み上がりの身体を押して、公園に来ていた。
なのは「フェイトちゃ~ん!!」
フェイトの姿を見付けたなのはは思わず叫んで駆け寄る。
クロノ「暫く話すといい。僕達は向こうにいるから。行くぞ、大輔、賢。」
大輔「ああ」
賢「分かった」
そう言って大輔達はなのは達のいる所から離れる。
なのは「ありがとう」
フェイト「ありがとう…」
なのはとフェイトは大輔達に礼を言うと向き直った。
なのは「何だか話したい事一杯あったのに…変だね、フェイトちゃんの顔見たら、忘れちゃった」
フェイト「私は…そうだね。私も上手く言葉に出来ない…だけど嬉しかった」
なのは「えっ?」
フェイト「真っ直ぐ向き合ってくれて…」
なのは「うん…友達になれたら良いなって思ったの」
なのはは笑顔でフェイトに言う。
なのは「でも…今日は、これから出掛けちゃうんだよね」
暗い顔になりながらそう呟く。
フェイト「そうだね…少し長い旅になる」
なのは「また会えるんだよね?」
フェイト「…少し悲しいけど、やっとホントの自分を始められるから…来てもらったのは、返事をするため」
なのは「えっ?」
フェイト「なのはが言ってくれた言葉…友達になりたいって…」
なのは「うん!うん!!」
フェイト「私に出来るなら…私で良いならって…だけど私…どうして良いか分からない…だから教えて欲しいんだ。どうしたら友達になれるのか」
フェイトは言い終わると俯く。
なのは「…簡単だよ」
なのはの言葉に、フェイトは驚いた表情をして顔を上げる。
なのは「友達になるの、凄く簡単」
そして、なのはは一呼吸置いて、口を開いた。
なのは「名前を呼んで。初めはそれだけでいいの。ちゃんと相手の目をみてはっきりと相手の名前を呼ぶの。たったそれだけ!!」
フェイト「…そう、なの…?」
なのは「うん!!」
小さく呟かれたフェイトの言葉に、なのはは嬉しそうに答える。
フェイト「なのは…」
なのは「うん!」
フェイトのなのはの名前を言う。
フェイト「なのは!!」
今度は、はっきりと笑顔を浮かべてなのはの名前を言う。
なのは「うん!!」
なのはは、フェイトの手を取る。
フェイト「ありがとう…なのは」
なのは「うん…!!」
なのはは感極まって瞳に涙を滲ませている。
フェイト「なのは…」
なのは「…うん!!」
フェイト「君の手は暖かいね、なのは」
なのはは思わず泣き出してしまう。
フェイト「少し分かったことがある。友達が泣いていると、同じように自分も悲しいんだ」
なのは「フェイトちゃん!!」
なのははフェイトに抱きつく。
フェイト「ありがとう…なのは。今は別れてしまうけど、きっとまた会える。そうしたら、また、君の名前を呼んでもいい?」
なのは「うん!…うん!!」
フェイト「会いたくなったら、きっと名前を呼ぶ。だから…なのはも私を呼んで…なのはが困った事があったら、今度は私が助けに行くから…」
なのはは声を漏らして泣いた。






























そしてその様子を大輔達は暖かく見守っていた。
アルフに至っては感動のあまりに号泣している。
大輔「フェイト…なのはと友達になれたか…今まで頑張ったもんな…」
アリシア「フェイト、嬉しそう。」
プレシア「フェイトのあんな笑顔を見たのは初めてね…」
アリシアは嬉しそうに、プレシアは初めて見るフェイトの笑顔に涙ぐみながら見守る。
大輔「大丈夫…これからずっと見れるさ」
大輔が微笑みを浮かべながら言う。
そして大輔は次に賢の方を向いた。
大輔「結果として俺達の世界に帰る方法は見つからなかったけど。これはこれで良かったかもな」
賢「そうだね、今回の僕達の戦いは無駄じゃなかった。あんな暖かい光景が見れたんだ…充分だよ」
大輔「そうだな」
賢「本宮君はミッドチルダに行くんだろ?」
大輔「ああ、アリシアに懐かれちまってさ」
賢「そう…じゃあ、しばらくはお別れだね」
大輔「たまには、お前とはやての顔を見に、海鳴市に帰るさ…今までありがとうな。一乗寺。」
賢「こちらこそ」
二人は握手をして、笑い合う。
大輔「遼さんは?」
遼「俺もしばらくは海鳴市にいるさ。」
大輔「そうですか、今までありがとうございました」
そうしてクロノに呼ばれ、大輔達はプレシア達と共にミッドチルダに。
クロノ「…ではそろそろ転移するぞ。」
フェイト「…うん」
なのは「またね、大輔さん、ブイモン、フェイトちゃん、アリシアちゃん、アルフさん、プレシアさん!!」
大輔「8月1日にまた会おうぜ」
ブイモン[元気でなー!!]
フェイト「またね!!」
アリシア「またねお姉ちゃん達!!私も行くからねーっ!!」
アルフ「元気でねーっ!!」
プレシア「今回は本当にありがとう」
8月1日にまた会うことを約束して、大輔達は別れを告げた。
大輔達はアースラに転移された。
 
 

 
後書き
大輔、ミッドチルダ行き。
けど時たま海鳴市に帰ります。 

 

第二十一話 平和な日常

 
前書き
クラナガンで過ごすことになった大輔達。
 

 
クラナガンにあるマンションでは、プレシア、フェイト、アリシア、アルフの他に大輔とブイモンが暮らしている。
大輔「よし、こんなもんかな?」
今日の朝食はご飯、みそ汁、ベーコンエッグ。
デザートに大輔が好んで食べるアロエヨーグルトを出す。
ブイモン[おはよう大輔]
アルフ「今日も早いね~」
朝食の匂いに引き寄せられたブイモンと狼形態のアルフが現れた。
大輔「おはよう、飯出来たから、プレシア達を呼んできてくれ」
アルフ「あいよ~」
しばらくして、プレシア達が来た。
アリシア「おはようお兄ちゃん」
フェイト「おはよう大輔」
プレシア「おはよう、もう朝食が出来てるのね」
大輔「ああ」
全員が席につき、箸を取る。
最初はプレシアとアリシアが初めての和食で箸の扱いに四苦八苦していたのが嘘のように使いこなしている。
因みに目玉焼きには。
大輔とフェイトがケチャップ。
アリシアがソースとケチャップを合わせた物。
ブイモンは蜂蜜。
アルフは塩。
プレシアが醤油である。
全員が見事にバラバラである。
しかし、全員が美味しそうに食べてくれるのを見て大輔も満足である。
大輔「あ、もう卵もないな。買い足さねえと。」
フェイト「じゃあ、後で一緒に行こうよ」
アリシア「私も一緒に行く!!」
ブイモン[まあ、犯罪者がうろついてても大輔とフェイトなら瞬殺出来るだろうし。]
プレシア「それ以前に私の娘に手を出そうとする輩は分子レベルにまで分解してあげるわ」
素晴らしい笑顔を浮かべながら言うプレシアにアルフがボソッと言う。
アルフ「親バカ…」
プレシア「何か言ったかしら?」
手に紫電を纏わせながらアルフに笑みを向けるプレシアにアルフが顔を真っ青にしながら首を横に振る。
大輔「プレシ…」
プレシア「お義母さん…でしょ?」
大輔「う…」
大輔が赤面し、フェイトも赤面する。
大輔はあの世界から海鳴市に戻った後にフェイトに告白し、フェイトからOKの返事をもらった。
プレシアも大輔ならと、二人の交際を認めたのはいいものの、大輔にお義母さんと呼ぶようにと言ってくるようになった。
ブイモンとアルフは呆れ果てているが、プレシアが満面の笑みでこちらに電撃をぶちかまそうとするため無言である。
大輔「今日のおやつは何がいい?」
アリシア「クレープ!!」
フェイト「あの苺を沢山使ったのが食べたい。」
ブイモン[チョコレートソースを忘れるなよ大輔]
大輔「はいはい、んじゃあ買い物行くか」
財布を持って買い出しに向かう大輔達。






























一輝「ん?」
シャッハ「どうなされました?」
一輝「茶葉が切れてやがる。」
息抜きにミルクティーをいれようとしたのだが、肝心の茶葉が切れている。
シャッハ「すみません、では今から…」
一輝「いや、俺が行く。たまには運動しねえと、身体が鈍るからな」
そう言って買い出しに出かける一輝。
そこで思わぬ出来事が起こることを知らずに。






























買い出しをしていた大輔達はアリシアがミルクティーが飲みたいと言い出したため、茶葉が売っている場所に向かった。
そして紅茶の茶葉を見つけ、手を伸ばした時、誰かの手にぶつかった。
大輔「すみません」
一輝「いや、俺こそ…ん?」
一輝が大輔を見た時、思わず硬直した。
光が丘にいたあの姉弟の大輔に似ていたから。
一瞬勘違いかと思ったが、この世界にはいないはずのデジモンまでいるということは…。
一輝「(試してみるか…)七年前に起こった光が丘テロ事件」
大輔「!!?」
フェイト、アリシア「「?」」
ブイモン[え?]
フェイト、アリシア、ブイモンが首を傾げる中、大輔は目を見開いた。
一輝「その反応はどうやら俺と同じ次元漂流者か」
フェイト「あなたも次元漂流者なんですか?」
一輝「ああ、そしてお前にはジュンっていう姉がいなかったか?」
大輔「…何で知ってんですか?」
一輝「覚えてねえか。まあ、無理もないか。七年も会ってねえしな。伊藤一輝。昔、光が丘で遊んだろ?」
大輔「っ!!」
それを聞いて大輔は思い出した。
姉と一緒に遊んでいた自分を可愛がってくれた兄貴分を。
大輔「え?一輝兄ちゃん?一輝兄ちゃんなのか!!?」
一輝「おう、久しぶりだな大輔」
成長した弟分に一輝は嬉しそうに頭を撫でる。
フェイト「大輔?」
アリシア「このお兄ちゃん誰?」
大輔「この人は俺と同じ世界出身で、俺の兄貴分の人なんだ」
フェイト「そうなんだ…初めまして、フェイト・テスタロッサです。」
アリシア「アリシア・テスタロッサです!!」
一輝「ん?ああ、よろしく」
ブイモン[で、俺は大輔のパートナーのブイモン!!よろしくな!!]
一輝「大輔のパートナー?大輔、お前も選ばれし子供なのか?」
大輔「え?お前もってことは兄ちゃんも?」
一輝「当たりだ。」
D-3を見せる一輝に大輔は驚く。
大輔「兄ちゃんも選ばれし子供だなんて…」
一輝「あんまり嬉しくはねえけどな。俺、デジモン嫌いだし」
アリシア「どうして?」
一輝「光が丘テロで家族が…な…まあ、とにかく。デジモン嫌いは前よりはマシにはなったし。流石に弟分のパートナーにまで敵意は向けねえよ」
大輔「兄ちゃん…」
一輝「まあ、久しぶりに会ったんだ。一緒に茶でも飲まないか?」
大輔「うん、久しぶりに兄ちゃんと話したいし。」
一輝「んじゃ、行くぞ」
会計を済ませて、教会に向かう大輔達。





























一輝「戻ったぞ」
カリム「お帰りなさい…あら?」
不思議そうに大輔達を見つめるカリムに苦笑した一輝は親指で大輔達を指すと紹介する。
一輝「こいつは俺と同じ世界出身で俺の弟分。今は管理局で保護してもらってる」
カリム「まあ。初めまして、カリム・グラシアと申します」
大輔「本宮大輔です」
フェイト「フ、フェイト・テスタロッサです」
アリシア「アリシア・テスタロッサです!!」
互いに会釈して、一輝が材料を手にキッチンに。
一輝「せっかくだし、お前らも食ってけ」
大輔「え?いいのか?じゃあお言葉に甘えて」
アリシア「何作るの?」
一輝「今日のおやつは俺特製のクレープだ」
アリシア「クレープ!!苺沢山使う?」
一輝「勿論だ。チョコレートソースをたっぷりかけてな」
ブイモン[っ!!流石大輔の兄貴分…なんて奴だ…]
涎を垂らしながら出来上がりを待つブイモン。
カリム「一輝さんの作るお菓子は絶品なんですよ。この前ケーキを作ってもらったんですが、いつも食べるお店の物よりずっと美味しかったです」
アリシア「お兄ちゃんの作るおやつだって凄く美味しいよ!!今度お兄ちゃんの作ったアップルパイ食べてみてよ!!」
カリム「それは楽しみです。」
一輝「そうだなあ、俺も興味あるな。」
クレープを人数分作った一輝がそれぞれに渡すと、自分のクレープにかじりつく。
ブイモン[うまっ!!]
アリシア「美味しい!!」
カリム「やっぱり一輝さんが作ってくれる物は美味しいです」
一輝「そうか」
アリシア「どうしてこんなに美味しいの?隠し味?」
一輝「隠し味は一つも入れてねぇけど…。強いて言えば、」
フェイト「強いて言えば…?」
興味津々で一輝に詰め寄るアリシア。
一輝「…料理は愛情、って言うだろ?俺は、たっぷり愛情込めてるからな。」
大輔「愛情なんて言葉が兄ちゃんの口から飛び出るとは…。」
大輔が轢き釣った笑みで一輝を見つめていた。
カリムは真剣に“料理は愛情”とメモしていた。
一輝「何でだよ、俺が言っちゃまずいのか?」
一輝がムスッと不機嫌そうに眉を寄せた。
それに対し大輔は両手をあげて首を横に振った。
一輝「料理ってのは料理の腕前とかもあるけど、食べてもらう相手に対する気持ちが大事なんだ。気持ちがこもってない料理ってのは、味が雑だからな」
アリシア「そっかあ、だからお兄ちゃん達の作った物は美味しいんだ!!」
フェイト「“料理は愛情”…一輝さん!!私にお料理を教えて下さい!!」
一輝「へ?」
アリシア「あ、フェイトずるい!!私にも教えて!!」
一輝「別に構わねえけど…」
アリシア「やった!!お兄ちゃんに美味しいご飯を食べさせてあげるんだ!!」
フェイト「わ、私も…」
一輝「おいおい大輔さんよ。モテモテじゃねえかよ。羨ましいねえ」
大輔「う、うるさいな!!兄ちゃんだってカリムさんと仲いいじゃないか!!」
カリム「え?わ、私は…」
一輝「普通だろ」
カリム「………」
ブイモン[(可哀相に…)]
あっさりと返されたことにショックを受けるカリムとそれを哀れむブイモン。
レオルモン[やあ]
ブイモン[ん?お前は?]
レオルモン[僕はレオルモン。一輝のパートナーさ]
ブイモン[そっか、俺はブイモン。大輔のパートナーだ。]
レオルモン[パートナー同士、仲がいいようだし。僕達も仲良くやれそうだね]
ブイモン[ああ]
大輔「兄ちゃん」
一輝「ん?」
大輔「今日からよろしくな!!」
一輝「おう」
こうして大輔と一輝の再会は果たされた。
一方では…。






























グレイドモン[クロスブレード!!]
ダスクモン[フン…]
グレイドモンの双剣グレイダルファーによる斬撃をダスクモンは両手のブルートエボルツィオンで受け止める。
スティングモン[スパイキングフィニッシュ!!]
ダスクモン[ガイストアーベント!!]
鎧の目玉から紅い光を放つ。
スティングモン[ぐっ!!]
グレイドモンとスティングモンが光から咄嗟に逃れる。
これを喰らえば催眠状態に陥るからだ。
ダスクモン[ブルートストライク!!]
グレイドモンに斬撃を見舞うダスクモン。
腕に僅かに掠る。
ダスクモンは不敵な笑みを浮かべた。
ダスクモン[頂くぞ貴様の力…エアーオーベルング!!]
ブルートエボルツィオンでグレイドモンの力を吸収する。
グレイドモン[ぐっ!!]
力を吸われたグレイドモンは膝をつく。
スティングモン[グレイドモン!!]
ダスクモン[よそ見をしている暇があるのか?]
双剣を振るい、スティングモンの胸にX字の傷が刻まれる。
グレイドモン同様に力を吸収され、ダスクモンの力に変換された。
ダスクモン[終わりだ!!]
身体を高速回転させ、竜巻を作り出し、グレイドモンとスティングモンに突撃する。
竜巻に巻き込まれ、ブルートエボルツィオンの斬撃に切り刻まれたグレイドモンとスティングモンは成長期に退化する。
賢「ワームモン!!」
遼「おいおい…また惨敗かよ。」
賢と遼がそれぞれのパートナーの元に向かう。
ドルモン[ごめん、遼]
遼「気にすんな。それにしてあれで成熟期なのか本当に?」
何度も何度もダスクモンと模擬戦を繰り広げるが、同じ成熟期のスティングモンはおろか、完全体のグレイドモンですらダスクモンには全く敵わない。
ダスクモンの強さはそこらの究極体より上のように思えた。
遼「(確か、ダスクモンはフォービドゥンデータ…データのカスが集まって生まれたんだよな…つまりディアボロモンと同じ?)」
かつて自分達の世界を破滅させようとした悪魔と同類。
あれも異常な進化スピードと増殖能力と言うデジモンとして異常な能力を持っていた。
その同類ならダスクモンの成熟期としては異常過ぎる戦闘力も納得出来る。
もし完全体に進化したなら…?
遼は頭を振ってそれを否定した。
こんな異常な戦闘力を持った成熟期が完全体になったら並の究極体では太刀打ち出来なくなるだろう。
ダスクモン[…………]
ダスクモンも賢の方を見ていた。
最初はぎこちなかったが、今では少しだけ話し掛けて来るようになった。
ダスクモンは賢を何処かで見た覚えがあった。
脳裏にあらゆるデジモンの長所を合わせたような合成獣が過ぎった。
そしてその合成獣を消し去った黄金の聖騎士の姿も。
ダスクモン[(俺の身体を構成するフォービドゥンデータの大半はあの化け物の物だ。もしや、奴はあの化け物と関係があるのか…?)]
ダスクモンの身体を構成するフォービドゥンデータの大半はかつて大輔とブイモンが奇跡のデジメンタルでアーマー進化したマグナモンが倒したキメラモンのデータが占めていた。
それ故、ダスクモンがキメラモンの創造主である賢に対して抱く懐かしさは当然と言える。
ダスクモン[(もっと強い相手と戦いたいものだ)]
キメラモンを倒した黄金の聖騎士。
あまりにも膨大なデジメンタルの力を使いこなせず、力に振り回されていたが、あのデジモンの目は印象に残っていた。
最後まで何があっても諦めない不屈の光。
再び、奴と戦いたいと思う。
ダスクモンの両腕のブルートエボルツィオンが妖しく輝いた。 
 

 
後書き
大輔と一輝再会。
ダスクモンはフロンティア見る限り、究極体相当です。
ビースト形態は堕天したケルビモンすら手を焼くほどにハイスペックだからしばらくパートナー無しでも大丈夫。
 

 

第二十二話 奇跡と闇の双剣士の邂逅

 
前書き
大輔がはやて達の顔を見に行きます。
 

 
大輔は状況が落ち着いたために海鳴市に来ていた。
そして八神家の前に来る。
インターホンを押すと、はやての声が聞こえる。
大輔「はやて、遊びに来たぜ」
はやて「大輔さん!!フェイトちゃんと一緒に遠いとこに行ったって聞いてたんやけど、また会えてよかったで~」
大輔「ああ、これフェイトから。後で食べてくれ。フェイトがお前のために一生懸命作ったアップルパイ」
はやて「ほんまか~!!?」
箱を開けると少し形が崩れてはいるがとても美味しそうなアップルパイが入っていた。
はやて「美味しそうや!!ありがと!!フェイトちゃんにもよろしくな!!」
大輔「ああ、よう一乗寺」
賢「本宮君」
大輔が賢に挨拶すると賢も笑みを返す。
遼「よう、大輔、ブイモン。元気だったか?」
遼も大輔に挨拶するとブイモンが答えた。
ブイモン[ああ、ようやくあっちでの暮らしに慣れてきたよ]
はやて「そうそう大輔さん。うちに新しい家族が出来たんよ~」
大輔「家族?」
はやて「デジモンなんやけど…ダスクモン!!どこやダスクモ~ン!!?」
ダスクモン[…叫ばなくとも、俺はここにいる]
闇に紛れていたダスクモンがいきなり現れ、大輔は思わず後ずさる。
ブイモン[はやて、こいつは?]
見上げるブイモンとダスクモンの目が合う。
ダスクモン[(この目…)貴様…]
ブイモン[?]
はやて「ダスクモン?」
ダスクモン[いや、はやて。湯が沸騰していた]
はやて「なんやて!!?何で止めずに来たんや!!」
ダスクモン[知らん]
凄まじいスピードでキッチンに向かうはやてに大輔達は苦笑するが、ダスクモンはブルートエボルツィオンをブイモンに向ける。
ブイモン[な、何だよ?]
ダスクモン[ブイモンと言ったな?俺と勝負しろ]
大輔「え?」
遼「おいおい、いきなり何言ってんだよ?」
ブイモン[お前…]
ダスクモン[覚えていないか?お前は俺の…正確には俺になる前の俺に触れたはずだ]
ダスクモンから放出される闇。
それに触れたブイモンが顔を強張らせた。
ブイモン[この感じ…っ!!キメラモン…!!?]
賢「!!?」
大輔「キメラモン…!!?」
ダスクモン[そうだ。俺の身体を構成するフォービドゥンデータの大半は貴様が倒した怪物…キメラモンのデータだ。]
ブイモン[生まれ変わっていたのか…?]
ダスクモン[…そうらしいな。俺はただキメラモンのデータの残骸を主にして生まれただけだから詳しいことは知らんが。]
ブルートエボルツィオンが妖しい光を放つ。
ブイモン[俺への復讐か?]
ダスクモン[さあな、俺はただ自分がキメラモンのデータを主にして生まれたこと。そしてある物に共鳴してこの世界に来たこと、お前と再び戦いたいことだけだ]
ブイモンはダスクモンを見る。
自分と戦いたいという気持ちは嘘ではないようだ。
キメラモンの波動とは似ているようで違う。
この目の前のデジモンは純粋な気持ちで動いている。
ブイモン[分かった。ただし、人のいない所でだ。]
ダスクモン[いいだろう]
ブイモン[大輔、一緒に戦ってくれ。]
大輔「…ああ、それにしてもキメラモンか…これも因縁かな……」
大輔達が八神家を後にして、誰もいない草原に向かう。






























ブイモン[大輔]
大輔「ああ、デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!燃え上がる勇気!フレイドラモン!!]
最初に進化するのはフレイドラモン。
フレイドラモンはダスクモンを見据える。
かつてキメラモンと対峙した時よりも自身はパワーアップしているという自負はある。
しかし、ダスクモンからはジュエルシードによる強化を上回る力を感じた。
ダスクモン[行くぞ]
フレイドラモン[っ!!]
瞬間移動の技、ゴーストムーブ。
フレイドラモンに肉薄すると同時にブルートエボルツィオンを振るう。
フレイドラモン[ぐっ!!]
両腕のガントレットで防ぐが、たったの一撃でガントレットに罅が入る。
ジュエルシードによる強化で以前より格段に強度が上がり、完全体の攻撃にすらある程度耐えられるのにも関わらずだ。
ダスクモンのもう一振りで完全にガントレットが砕けた。
フレイドラモン[なっ!!?]
大輔「フレイドラモンのガントレットをあっさり砕きやがった…!!アーマーチェンジ!!ライドラモン!!」
フレイドラモンからライドラモンにチェンジし、一気に距離を取る。
ダスクモンが再びゴーストムーブを使う。
ライドラモン[(速すぎる!!)]
以前のキメラモンは破壊衝動のまま動く兵器そのものであったが、ダスクモンは違う。
本能のままに動くキメラモンとは違い、理性と冷静さを持って挑んで来る。
ライドラモン[サンダーボルト!!]
広範囲に電撃を放つ。
そして放った電撃がバチッという音を立てた。
ライドラモン[そこだ!!ライトニングブレード!!]
角から伸びる電撃の刃をダスクモンに叩き込む。
しかし、直撃はしたもののダスクモンには大したダメージは与えられない。
ダスクモン[…大したものだ]
ゴーストムーブによる撹乱は通用しないと分かったダスクモンは両腕のブルートエボルツィオンを構えて突進する。
大輔「アーマーチェンジ!!フレイドラモン!!」
フレイドラモンに再び進化させ、ブルートエボルツィオンを受け止めるのではなく掴む。
フレイドラモン[ぐ…うぅ…!!]
ダスクモン[やるな…流石は俺を倒しただけのことはある…]
フレイドラモンが必死にブルートエボルツィオンを押さえているにも関わらずダスクモンは涼しい顔だ。
ダスクモン[はああっ!!]
フレイドラモン[ぐあっ!!]
両腕に力を入れ、フレイドラモンを弾き飛ばす。
ダスクモン[エアーオーベルングストーム!!]
両腕のブルートエボルツィオンを振るい、漆黒の巨大な竜巻を生み出す。
フレイドラモン[フレイムシールド!!]
あまりの竜巻の規模にフレイドラモンは全身に炎の膜を纏い、防御体勢に入る。
フレイドラモンが竜巻に巻き込まれる。
フレイドラモン[ぐあああああっ!!]
炎の膜は竜巻に引き裂かれ、フレイドラモンを切り刻む。
ダスクモンがフレイドラモンに追撃を仕掛ける。
大輔「アーマーチェンジ!!ライドラモン!!」
ライドラモンに進化させ、一気に距離を離そうとする。
ダスクモン[逃がさん!!]
ゴーストムーブで一気に距離を詰めるダスクモン。
両腕のブルートエボルツィオンを振るう。
ダスクモン[ブルートストライク!!]
ブルートエボルツィオンによる剣舞がライドラモンの鎧を粉砕する。
鎧を失ったライドラモンは進化を維持出来ずにブイモンに退化する。
大輔「…こうなったら…デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!運命の咆哮!ゴールドブイドラモン!!]
黄金の光を身に纏う幻竜が降臨した。
ダスクモンはマグナモンを彷彿とさせる黄金の輝きを纏うゴールドブイドラモンに、心が躍るような気がした。
ダスクモン[ようやく本気で来るか…面白い]
ゴールドブイドラモン[…………]
ゴーストムーブで一気に距離を詰めるダスクモン。
ゴールドブイドラモンは何とかそれを見切り、ブルートエボルツィオンによる斬撃をかわし、拳を横っ面に叩き込む。
ダスクモン[っ…]
想像以上の威力に顔を顰めるダスクモン。
しかしダスクモンもそう簡単にはやられない。
ゴーストムーブでゴールドブイドラモンの背後を取り、背中に斬撃を見舞い、深い切り傷をつける。
ダスクモンがブルートエボルツィオンで力を吸収する前にゴールドブイドラモンは痛みに構わず鳩尾に蹴りを入れた。
ダスクモン[ぐっ!!エアーオーベルングストーム!!]
再び竜巻を繰り出し、ゴールドブイドラモンを吹き飛ばす。
エアーオーベルングストームで吹き飛ばしたゴールドブイドラモンの力を自身の力に変換すると、力が増したダスクモンはゴーストムーブで肉薄する。
ゴールドブイドラモン[カッターシュート!!]
牽制のために風の刃をダスクモンに放つ。
ダスクモンはブルートエボルツィオンで防ぎながら突撃する。
ダスクモン[ブルートストライク!!]
両腕のブルートエボルツィオンをゴールドブイドラモンに振るうが、何とかかわして距離を取る。
ゴールドブイドラモン[ブイブレスアロー!!]
黄金の熱線が放たれ、ダスクモンに向かう。
向かってくるブイブレスアローにダスクモンはブルートエボルツィオンを構え、叩き斬ろうとしていた。
大輔「今だ!!」
ブイブレスアローが突如軌道を変え、ダスクモンの足元付近で炸裂した。
ダスクモン[むっ!!?]
爆風によってバランスを崩したダスクモンの腹部に痛みが走った。
ゴールドブイドラモン[でやあああああ!!]
絶叫しながら拳を何度もダスクモンに叩き込むゴールドブイドラモン。
しかしダスクモンもそのままやられるわけもなく、ゴーストムーブで瞬時に距離を取り、最大パワーの竜巻を繰り出した。
竜巻に巻き込まれ、切り刻まれるが構わずダスクモンに突撃した。
ダスクモン[ブルートストライク!!]
しかしゴールドブイドラモンは避けるのではなく、ブルートエボルツィオンを掴んだ。
ゴールドブイドラモン[捕まえた…得意の瞬間移動もこれなら使えないだろ…!!]
ダスクモン[っ、しまった…]
得意の瞬間移動“ゴーストムーブ”は、障害物を擦り抜けることが出来ない。
障害物に囲まれた時と、このように身体の一部を掴まれた時には弱くなってしまう。
故に、この状況から抜け出すには力業を通す以外ない。
ないのだが…。
ゴールドブイドラモンも力を込めているらしく抜け出そうにも抜け出せない。
ゴールドブイドラモン[終わりだ…ブイブレスアロー……MAX!!!!]
極太の熱線がダスクモンに炸裂した。
遼「やったのか!!?」
賢「いえ…ダスクモンの力は衰えていません」
熱線が消えた時、ゴールドブイドラモンはブイモンに退化した。
熱線を受けたダスクモンは鎧が少し煤けている程度。
大輔は目を見開いていたが、ダスクモンも少しばかり安堵していた。
ブルートエボルツィオンで力を吸収して強くなり、そしてゴールドブイドラモンを弱らせていたからこの程度で済んだが、もしゴールドブイドラモンが無傷の状態で放たれていたらどうなっていたか分からない。
ダスクモン[(今俺がこうして生きているのは運がよかったにすぎん…)]
賢「……」
ダスクモン[お前達の勝ちだ…]
大輔「何?」
あの時一瞬、自分は死を覚悟した。
戦いでは勝利したが、心では負けていた。
ダスクモン[今俺が生きているのは運が良かったにすぎん。それに…あの時の俺は一瞬死を覚悟した。]
ブイモン[…ダスクモン]
ダスクモン[流石は一度は俺を倒した者だ。]
ダスクモンは美しい金髪を靡かせながら背を向いた。
大輔「おい」
ダスクモン[?]
大輔「俺達はキメラモンを倒したことに後悔はしていない。あれは倒さなきゃならない敵だったから」
ダスクモン[別に俺も気にしてはいない。俺達は敵同士だったのだからな]
大輔「でも、今なら仲間になれるだろ?」
ダスクモン[仲間?]
大輔「今回の戦いで少しくらいは俺達のことを認めてくれたんじゃないか?」
ダスクモン[……………]
少しの間、黙考する。
そしてダスクモンは口を開いた。
ダスクモン[少し…な]
それだけ言うとダスクモンは闇に紛れた。
恐らくははやての家に。
大輔「…ブイモン、お疲れ」
ブイモン[ごめん大輔…]
大輔「気にすんなって、キメラモンに手も足もでなかった時に比べれば格段の進歩だろ」
ブイモン[俺、もっと強くなるから]
大輔「ああ」






























そして帰路につく大輔達。
賢「まさか、ダスクモンがキメラモンだったなんて…」
大輔「まあ、確かにまさかキメラモンの生まれ変わりとこの世界で戦うことになるとは思わなかった」
賢「ダスクモンは僕が憎くなかったのかな…」
勝手に作り出し、そして生まれて間もなかったのに刈られてしまった命。
キメラモンを作り出した賢はそのことを気にしていた。
大輔「あいつはそんなこと気にしてないみたいなこと言ってたじゃないか」
賢「けど…」
大輔「キメラモンの時は無理だったけど、今のあいつなら分かり合えると思うんだ」
賢「本宮君…」
大輔「俺、あいつとも向き合ってみる。今度は敵としてじゃなくて仲間としてな」
こうして奇跡と合成獣の意志を継ぐ闇の双剣士との邂逅と戦いは果たされた。
 
 

 
後書き
大輔がキメラモンの生まれ変わりのダスクモンと戦う。
ゴールドブイドラモンがダスクモンとまともにやり合えたのは、ゴールドブイドラモンが光属性だからグレイドモンよりはまともに戦えた 

 

第二十三話 アリサとすずか

 
前書き
大輔達とアリサ達との邂逅。 

 
大輔「さて…何処に行くか。喫茶店でも行くか」
大輔はD-3で今の時間を確認すると、喫茶店に向かって歩き出そうとした時。
賢「本宮君じゃないか?どうしたんだ?」
大輔「一乗寺?」
賢に声をかけられ、大輔は後ろを振り向いた。
賢「散歩かい?」
大輔「桃子さんから休むように言われてな。暇だから喫茶店で時間を潰そうと」
賢「…だったら僕と一緒に靴を買いに行かないか?」
大輔「靴?」
賢「ほら、今まで無茶したから靴がボロボロになったんだよ。」
大輔「あ、そういやあ…俺の靴も…」
大輔が足を見ると靴はボロボロである。
賢「君の靴も一緒に買いに行かない?」
大輔「ああ、そうだな」
大輔達はショッピングモールに向けて歩き出した。






























ある日の昼下がり、アリサは自室の机の前で携帯を片手で弄っていた。
アリサ「暇だわ。すずかを呼んで買い物でも行こうかしら……」
頬杖をつきながら、アリサは小さな溜め息をついた。
アリサはすずかの携帯にメールを発信すると、すずかの返事を待つ。
そして数分後、すずかからのメールを読んで、バックに携帯や財布を入れると、アリサは自室を出た。






























アリサ「鮫島。出掛けるわよ」
鮫島「アリサお嬢様、どちらにお出かけですか?」
玄関で靴を履きながら鮫島を呼んだアリサに、鮫島が心配そうな顔で尋ねてきた。
アリサ「こんな天気のいい日に部屋に籠っていたら、気分が鬱になりそうだからちょっと出掛けてくるわ」
鮫島「そうですか……でしたら、お帰りの際には私に連絡をいれて下さい。お迎えに行きますので……」
鮫島の心配顔はさらに強くなっていた。
アリサ「……どうしてよ」
鮫島「実は旦那のお仕事で……その……バタバタしていまして……」
アリサが、父親の仕事関連の話が好きではない事を知っている鮫島は、お茶を濁しながら話した。
アリサ「そんな事関係ないじゃない!!」
アリサは怒鳴ると勢いよく、扉を閉めた。






























そして待ち合わせ場所に指定したショッピングモールですずかと合流し、小物を数点買ったアリサとすずかがショッピングモール内を歩いていると。
アリサ、すずか「「あ…」」
大輔、賢「「ん?あ…」」
バッタリとショッピングモール内を歩いていた大輔と賢と会う。
アリサ「大輔?あんたどうしてここに?」
すずか「えっと…」
アリサが大輔を見て首を傾げる。
すずかは初めて会う賢にどうすればいいのか分からないのか、大輔の方を見遣る。
大輔「アリサ、すずか。こいつは一乗寺賢って言って、俺の友達さ」
大輔が賢を指差しながら言う。
賢「初めまして、僕は一乗寺賢って言います。よろしく2人共」
賢が優しく微笑みながら自己紹介をする。
アリサ「ふ~ん、私はアリサ・バニングス。アリサでいいわ」
すずか「……」
アリサ「すずか?」
すずかは賢の顔を見つめたまま呆然としていた。
賢「…どうかした?」
すずか「っ…だ、大丈夫です。私、月村すずかです。すずかって呼んで下さい。よろしくお願いします賢さん」
賢が心配そうにすずかに尋ねたがすずかはハッとなって慌てて自己紹介する。
賢「はい。よろしく月村さん」
賢が笑みを浮かべて言うとすずかはまた顔を赤くする。
その様子に大輔とアリサは互いを見合わすと…。
大輔、アリサ「「惚れたな(わね)…」」
互いに意味深な笑みを浮かべた。
アリサは大輔の服装を見ると眉を顰めた。
アリサ「あんた…その服、結構傷んでるんじゃない?」
大輔「え?」
大輔が自身の服装を見つめる。
確かにアリサの言う通り大分くたびれている。
大輔「(…魔法やら何やらを喰らったせいだな……)」
大輔の脳裏にフェイトの魔力弾やらジュエルシードの暴走やらなのはの砲撃やらプレシアの雷やらが過ぎった。
アリサ「何なら私達がコーディネートしてあげてもいいわよ?」
大輔、賢「「え?」」
すずか「アリサちゃん?」
すずかが不思議そうにアリサを見遣る。
アリサ「だってこの2人、基本はいいんだから飾りがいがあるわよ。」
アリサは大輔と賢の腕を掴むと服屋に引きずっていく。
すずか「…とか言いつつ暇潰ししたかったんじゃあ…?」
すずかも服屋に向かっていく。






























約2時間後。
アリサ「うん。まぁ、こんなもんでしょう」
アリサの一言に、大輔と賢はベンチに座ると袋の中の品を見た。
見た目は普通だが、上質な物が使われている為、結構な値段であった。
大輔「ありがとうな、アリサ。こんなに貰っちまって」
大輔はアリサの頭を撫でた。
アリサ「な、何よ!?」
大輔「なのはの言ってた通りお前はいい子だな」
アリサ「…子供扱いしないでよ!」
アリサが大輔の手を払う。
大輔「あ、ごめんな。でもありがとう。俺達の為に」
アリサ「そ、そんな訳ないでしょ!!私は暇潰しがしたかっただけよ!!何で私があんた達の為にしないといけない訳!?バッカじゃないの!!」
大輔「そうかそうか。アリサは素直じゃないなあ」
アリサ「うっさい!!」
賢「もう仲良くなったんだ?」
アリサ「違う!!」
アリサは賢の言葉を全力で否定すると、歩き出す。
大輔「アリサ、どこに行くんだ?」
アリサ「……一応、私が連れ回す形になっちゃったから……飲み物ぐらい奢るわよ」
そしてアリサは人込みの中に消えた。
大輔「…素直じゃないけどいい子だよな。」
すずか「そうなんです。アリサちゃん、いつも私やなのはちゃんを助けてくれるんです。」
賢「へえ」
賢が感心したようにアリサの後ろ姿を見つめた。






























飲み物を買おうと歩いていたアリサは、少しだけ違和感を覚えた。
アリサ「(何かやけに混んでいる様な気がする)」
確かに休日で人が多いのは確かだったが、アリサの周りだけやけに人がいる様な気がした。
そう思った瞬間、アリサの両腕が何者かに掴まれ、口元をハンカチの様なもので塞がれた。
アリサ「ん~!!」
声をあげられないアリサが手足を必死に動かして抜け出そうとするが、掴まれた手の力は強くどうにもならなかった。
アリサ「(た、助けて…大輔…)」
アリサの脳裏を過ぎったのは優しい笑顔を浮かべた大輔の顔であった。






























大輔「っ!?」
賢「本宮君?」
すずか「大輔さん?」
大輔「…悪い。アリサを探しに行ってくる!!お前らはここにいろ!!」
大輔は荷物を賢とすずかに預けると、アリサが向かった方向に向けて走り出した。
賢、すずか「「…?」」
賢とすずかは不思議そうに大輔を見遣りながら首を傾げた。






























ショッピングモールから少し離れた所にある人通りの少ない道に、アリサを抱えた5人組がいた。
「早く乗せてしまえ!!」
リーダー格と思われる男は、周りをチラチラ見ながら手下達に命令を出した。
アリサ「(嫌…助けて…助けて…パパ……大輔!!)」
大輔「サンダーボルト!!」
上空から電撃が5人組目掛けて落ちる。
アリサ「っ!!?」
アリサは目を見開いて、黒焦げになった5人組を見つめると、上空からライドラモンの鎧を纏った大輔が着地する。
大輔「アリサ!!大丈夫か!!?」
甲冑を解いて、アリサの口を塞ぐ布を取ってやる。
アリサ「大輔…」
大輔「ごめんな。こんなことになるなら一緒に行けばよかった…!!」
「あ…ぐっ…」
アリサ「っ!!」
犯人の一人が僅かに動いたことにアリサが怯える。
大輔はアリサから離れて僅かに動いている犯人に近づくと…。
大輔「フンッ!!」
渾身の力を込めた蹴りを犯人の顎に叩き込み、吹き飛ばした。
顎が砕けてはいたが多分大丈夫だろう。
大輔「糞野郎が…」
唾を吐き、吐き捨てるように言う大輔。
アリサ「だ、大輔…」
大輔「大丈夫か?怖かったな…」
大輔は震えるアリサの身体を抱き締めると安心させるように頭を撫でた。
大輔「もう大丈夫だ…安心しろ、何があってもお前は俺が守ってやるから」
大輔の力強い笑みにアリサの心臓が跳ねた。
そして安堵と同時に涙が溢れた。






























「心からお礼を言わせていただくよ。本当にありがとう、本宮大輔君」
大輔「あ、いや。俺は当然の事をしたまでですよ。頭を上げて下さい」
大輔が慌ててアリサの父親に言う。
犯人達を叩きのめした大輔は賢とすずかに事情を説明し、アリサを家まで送った。
するとアリサが誘拐されかけたということが彼女の父親に知られ、大輔は彼に頭を下げられている。
「いや、君がいなければアリサはどうなっていたか…君にはいくら感謝しても感謝仕切れん…」
大輔「いえ、でもアリサが無事でよかったですよ。なのは達の泣き顔を見なくて済んだし。」
大輔は椅子から立ち上がると玄関に向けて歩きだそうとした時。
「待ちなさい」
大輔「?」
「子供が出歩くにはもう遅い時間だ…。今回のお礼も兼ねて…泊まっていきなさい。」
大輔「……」
大輔がアリサの父親の顔を見る。
あれは梃でも譲らない顔だ。
大輔「分かりました。じゃあ電話させて下さい」
「すまないね大輔君」
鮫島「電話はこちらです大輔様」
大輔「様って…」
大輔は苦笑しながらプレシアに連絡を入れると、アリサの父親に促され、夕食をご馳走になった。






























大輔は宛がわれたベッドに横になっていたが…。
大輔「…眠れねえ……」
ベッドがフカフカ過ぎて眠れないのだ。
大輔「仕方ねえ…いっそ床で…」
床で寝ようと起き上がろうとした時、扉が開いた。
大輔「アリサ…?」
パジャマ姿のアリサが部屋に入って来た。
一瞬不思議に思ったが、直ぐに理由に気づいた。
大輔「眠れないのか?」
アリサ「ち、違…っ」
大輔「…身体が震えてる」
よく見なければ気づけない程にアリサは小刻みに震えていた。
大輔「大丈夫…もう大丈夫だ。あいつらは逮捕されたし、またあいつらの仲間が来ても俺がお前を守るから…な…?」
アリサの頭と背を優しく撫でながら安心させるように言う。
アリサ「大輔…大輔え…っ!!」
緊張が解けたのか、アリサは大輔の胸に顔を埋めながら泣きじゃくる。
大輔「アリサ…」
アリサ「大輔…今日、一緒に寝て…」
大輔「………………え?」






























一方その頃。
フェイト、アリシア「「…………っ!!?」」
アルフ「フェイト?アリシア?どうしたんだい?」
ブイモン[ど、どうしたんだよ?そんな切羽詰まったような顔をして?]
アリシア「あ、うん…何て言うのかな…?」
フェイト「な、何か強力なライバルが出来たような……」
アルフ「ライバルって何がだい?」
フェイト、アリシア「「分からない…」」
ブイモン[何だよそれ?]
呆れたように姉妹を見遣るブイモンであった。






























大輔「い、一緒にって…俺と?」
赤面しながらアリサに問い掛ける大輔だが、アリサは肯定の意味で頷いた。
アリサ「あんたと一緒に寝たいの…」
大輔「いや、だって俺…男だし……」
アリサ「駄目…?」
大輔「いや…駄目って訳じゃあ…」
アリサ「お願い…怖いの…一人でいると…思い出しちゃうから…」
大輔「あ…ごめん…。気がきかなくて…一緒に寝よう」
アリサが大輔のベッドに潜り込む。
大輔「(ごめんフェイト。これは浮気じゃない。断じて浮気じゃない!!これ断ったら完全に俺が悪い奴じゃないか!!)」
アリサが大輔にしがみつく。
女の子特有の甘い匂いがした。
大輔から見てもアリサはフェイトやアリシアと見劣りしないくらい可愛い女の子である。
そんな女の子に縋られて男である大輔が平然としていられるかと言われたら断じて否である。
大輔「(大丈夫だ。これは浮気じゃない!!落ち着け!!COOLだ!!もっとCOOLになれ俺!!頭を冷やせ!!)」
ガリガリと精神が削られていく中、しばらくすると寝息が聞こえた。































翌日の朝。
大輔は目を覚ますと、アリサの姿は無かった。
大輔はベッドから起き上がると部屋から出る。
鮫島「おはようございます大輔様」
大輔「え?あ…アリサは?」
鮫島「アリサお嬢様はご自分のお部屋にいらっしゃいます。」
大輔「そうですか。鮫島さん。俺はもう帰ります。アリサに泊めてくれてありがとうと言っておいて下さい。」
鮫島「畏まりました」
大輔は玄関に向かうと靴を履いて、庭に出る。






























庭に出るとアリサの部屋の窓が開いた。
アリサ「大輔!!」
大輔「アリサ?」
アリサ「8月1日…私も一緒に行くわ!!だから…詳しい場所を教えなさい!!」
大輔「ああ!!」
大輔は急いでアリサの元に駆け出した。
アリサの父親と鮫島が微笑ましそうに見つめていた。 
 

 
後書き
この小説の大輔は徐々に太一達から離れて行きますが、8月1日は大輔にとって大切な日です。 

 

第二十四話 異世界のデジタルワールド

 
前書き
大輔達がデジタルワールドに向かいます。

大輔「さて、リリカルアドベンチャー、始まるぜ!!」 

 
8月1日、大輔達は約束通りに集まった。
なのはの両親が保護者となり、大輔達はキャンプ場で羽を広げていた。
大輔「よく皆集まれたな。フェイトも久しぶり。」
フェイト「うん。」
なのは「フェイトちゃん。久しぶり~!!」
フェイト「久しぶりだねなのは。」
久しぶりにフェイトに会えたなのはは嬉しそうにフェイトに駆け寄る。
はやて「私もキャンプに参加してええの?」
賢の薦めではやてもキャンプに来ていた。
たまにははやてにも外の空気を吸って欲しいから。
八神家にはある変化があった。
闇の書から現れた守護騎士達(その後の展開は賢ではなくダスクモンに変わっただけでフルボッコは変わらない)。
彼女達が家族に加わり、八神家は賑やかになった。
賢「当たり前じゃないか」
すずか「キャンプに誘ってくれてありがとう賢さん」
賢「いや、礼なら大輔に言ってよ。」
付き合いも長くなってきたため、呼び方も“本宮君”から“大輔”に変わっていた。
皆、笑顔を浮かべる。
アリサ「あんたどっかで見たような気がするんだけど…?」
ユーノ「え!?気のせいじゃないかな…」
アリサの言葉に目線を逸らしながら言う人間形態のユーノ。
賢「さあ、皆。薪を集めようか。」
全員【はーい】
賢ははやての車椅子を押しながら薪を集めていく。






























薪を集めて、数十分後。
大輔「よし、大分集まったな。」
フェイト「これなら足りるよね?」
大輔「おう、皆戻るぞ」
大輔達が薪を集め終わり桃子達の元に戻ろうとした時。
すずか「皆、あれ!!」
大輔達はすずかが指差した方向を見る。
アリサ「オーロラ!?」
アリシア「綺麗~!!」
日本では絶対に見られないオーロラにアリサが目を見開きアリシアが初めて見るオーロラに目を輝かせた。
ユーノ「でも可笑しいよ。ここでオーロラが見られるなんて…」
ユーノが信じられないと言いたげに呟いた。
はやて「でも綺麗やわ~」
大輔「これ…」
フェイト「大輔?」
アリサ「どうしたのよ大輔?」
フェイトとアリサが不思議そうに大輔を見つめる。
大輔「お前達に話したよな?デジタルワールドのこと」
すずか「あ、はい。ブイモン達の故郷ですよね?」
大輔「俺と賢じゃないけど、俺の学校の先輩達がデジタルワールドに行った時にオーロラが出たんだ。」
アリサ「…ここにオーロラが現れたのは偶然…ってことは考えられない?」
賢「いや、それにしてはあまりにも大輔に聞いた話と今の状況は酷似し過ぎている。」
違う点と言えば、ここが山で無いことと雪が降っていないというところ位か。
フェイト「もしかしたら…行けるのかな…?」
なのは「デジタルワールドに…」
大輔と賢から話を聞いて、1度でもいいから行ってみたいと思っていた。
アリサも興味なさそうにしていたが、デジタルワールドの話になるといつも目を輝かせていた。
ユーノ「…皆、あれを!?」
全員【!?】
オーロラの向こうに、渦のような物が見えた。
すずか「何…!?」
光が7つ、なのは達に向かって降ってきた。
その光が目の前まで来たかと思うと、煙が舞い上がった。
その威力は凄まじく、一瞬、周囲が見えなくなるほどであった。
大輔「くっ…皆、大丈夫か!?」
アリシアを庇った大輔が全員の安否を尋ねる。
賢「大丈夫だ大輔!!皆、怪我は無い!!」
はやてを庇った賢が叫んだ。
なのは「皆、下を見て!!」
ユーノ「これは!?」
ユーノが下にある物体を持ち上げる。
フェイト「D-3…」
大輔と賢が持つ物とは配色が逆になっている。
フェイトは大輔のD-3とは配色が逆になった白と水色
なのはが白と桜色
ユーノが白と緑色
アリサが白と朱色
すずかが白と藍色
アリシアが白と檸檬色
はやては白基調。
アリシア「お兄ちゃん達のデバイスだ!!」
ユーノ「何で僕達に…?」
賢「どうやら考える時間はなさそうだよユーノ…」
ユーノ「え?」
すると、D-3がピピピピ…と鳴り始めた。
はやて「ああああ!!?」
子供達ははやてが指差した方向を見遣ると突然、津波が襲ってきた。
全員【うわああああああ!!!!】
子供達は為す術がなく、その津波に飲み込まれる他なかった。






























森の奥深くにある寂れた研究施設。
光がその研究室の扉を吹き飛ばして、黒髪の少年が入ったカプセルの側に落ちる。
光は形を変え、白と紫を基調としたD-3になった。
そして、1体の人間の子供に似ている生物がカプセルに近づいた。






























高度な科学と物質的魔法が進歩した世界。
数多の次元を管理する時空管理局に最も縁深いとされている世界。
その中にある1つの公園でも同じ現象が起きていた。
普段は沢山の子供達が遊んでいたが、今日は何故か2人の青髪の少女しかいない。
「誰もいないねギン姉」
「そうだねスバル」
スバルと呼ばれた少女が言うとスバルの姉が頷いた。
2人はつまらなそうに公園から離れようとした時。
空から3つの光のうち2つが公園に向かって落ちた。
スバル「え!?」
?「!?」
光は2人の掌に納まると、形を変えた。
スバルは白と空色。
姉の方は白と藍紫であった。
2人が呆然としていると、次に1つの卵がスバルに向かって降ってきた。
スバルは慌てて卵を受け止めると、ギンガと互いに顔を見合わせる。
?「スバル~、ギンガ~、帰るわよ。ってどうしたのその卵?」
スバル「お母さん!!」
ギンガ「お母さん。これね、お空から降ってきたんだよ!!」
スバルとギンガと呼ばれた少女は母親の元へと駆けて行った。































そして、もう1つの光はオレンジ色の髪の少女が寝ているベッドの下に。
…こうして、大輔達の新たな物語が幕を開く。
 

 

第二十五話 パートナー

 
前書き
大輔達が異世界のデジタルワールドに。
フェイト「リリカルアドベンチャー、始まります」 

 
[はやて~]
はやて「う~ん…」
気絶しているはやては耳元から聞こえる声に身じろぎする。
[は~や~て~っ!!!!]
はやて「は、はいぃぃ!?」
耳元で叫ばれて、はやては飛び起きた。
[オッス!!]
はやて「ど、何処や!?」
[オラ此処にいっぞ?]
はやて「へ?」
はやてが下を見ると紅い小さな生き物がいた。
はやて「き、君…何モンや?」
[オラはナニモンじゃなくてギギモンだ。オラははやてのことをずっと待ってたんだぞ?]
はやて「私を…?」
ギギモン[ああ]
ギギモンが明るく笑った。
はやてはギギモンを抱き上げるとあることに気づいた。
はやて「あ…」
はやては車椅子ではなく自分の足で立っていたことに。
ギギモン[どうしたんだ?]
ギギモンがキョトンとはやてを見つめる。
はやて「ううん、何でもあらへん。」
はやては初めて立てたことの喜びを噛み締めながらギギモンに尋ねる。
はやて「ところでギギモン。賢兄達知らへん?」
ギギモン[賢達のことか?賢達なら向こうにいっぞ!!]
ギギモンははやての腕から飛び出ると、跳ねながら進んだ。
はやて「…でもギギモン、何で東北弁なんや?」
ギギモン[オラ、生まれた時からこういう喋り方だから分かんねえや!!]
ギギモンが明るく笑いながら言う。
はやてはゆっくりと歩きながらギギモンを追った。


































しばらく歩くと賢達を見つけた。
はやて「賢兄!!皆~!!」
はやての声に反応して、賢達はこちらを向いて、目を見開いた。
アリサ「あ、あんた…」
賢「歩けるようになったのか…?」
はやて「うん!!何や知らへんけど歩けるようになったんよ!!」
すずか「よかったね、はやてちゃん!!」
はやて「うん!!」
大輔「さて、これで全員集まったな?」
フェイト「紹介するね。この子はチビモンだよ」
チビモン[私チビモン!!よろしくね~]
チビモンはフェイトに抱き抱えられながら元気よく挨拶した。
なのは「可愛い~!!私のはツノモンって言うんだよ!!」
ツノモン[ツ、ツノモンです…]
モジモジしながら挨拶するツノモンに大輔は思わず笑みを浮かべた。
アリサ「私のはサンモンよ」
サンモン[俺、サンモン!!よろしくな!!]
少し生意気そうだが元気よく挨拶するサンモン。
すずか「ムンモン、恥ずかしがらなくてもいいのに…」
ムンモン[だ、だって…]
恥ずかしそうにすずかの足元に隠れるムンモン。
はやて「私の子はギギモンや。何でか東北弁やけど。」
ギギモン[オッス!オラ、ギギモン!!]
はやての腕の中で元気よく挨拶するギギモン。
そしてユーノのパートナーはツカイモンだったらしく、ツカイモンはユーノの頭に乗っている。
ツカイモン[私で最後か…ん?アリシアはどうした?]
大輔「何?」
大輔が辺りを見回すと確かにアリシアの姿が見えなかった。
大輔「フェイト、アリシアは?」
フェイト「え?」
フェイトも目を見開いて辺りを見回すがアリシアの姿は何処にもなかった。
アリサ「アリシアは何処に行ったのよ!?」
アリサが探しに行こうとしたが、大輔に止められる。
大輔「1人で行動しない方がいい。ここは纏まって行動しようぜ」
大輔の言葉に全員が頷いた。
全員が足を動かそうとした時。
アリシア「皆~!!」
アリシアの声に全員が後ろを向くと、全員が目を見開いた。
アリシア「ニャロモン!!急いで急いで!!」
ニャロモン[ちょ、ちょっと!私を置いてかないで!]
アリシアとニャロモンが巨大な紅い鍬形虫に追われていた。
はやて「な、何やあれ!?」
ギギモン[あいつはクワガーモン…凄え強え奴だ]
ギギモンが何処か嬉しそうに言う。
アリサ「あれもデジモンなの!?」
大輔「ああ、成熟期のデジモンの中でかなり狂暴なデジモンだ!!ブイモン!!デジメンタルアップ!!」
ブイモン[おう!!ブイモンアーマー進化!]
クルクル回り始め、ブイモンが叫ぶ。
しかし……それだけ。
ブイモン[燃え上がる勇気!フレイドラ…あれ?]
身体はブイモンのまま、フレイドラモンに進化していなかった。
大輔「……進化…出来ない?」
呆然とした様子で大輔は呟いた。
賢「ワームモン!!」
ワームモン[ワームモン進化!スティングモン…え!?]
ワームモンもクルクル回り始め、ワームモンが叫ぶ。
しかしスティングモンに進化出来なかった。
賢「そ、そんな…」
大輔「もしかして…」
ユーノ「まさか戦えないんですか!?」
ツカイモン[どうやらそのようだ。逃げるぞ!!]
子供達が一斉に逃げ始める。
クワガーモンも子供達を追い掛ける。






























大輔「しまった!!」
先頭を走っていた大輔が急に足を止めた。
目の前に広がるのは断崖絶壁。
下を覗いて見るが、遥か下の方に川が流れているだけで、とても降りられそうにはなかった。
ブイモン[こうなったら…]
ワームモン[戦うしかない!!]
ツカイモン[私も同意見だ。]
成長期3体が前に出る。
フェイトとなのはもデバイスを起動させようとしたが、レイジングハートもバルディッシュも反応しない。
ユーノ「起動しない…?何故…?」
賢「多分。僕達がデータになったからだよ。データの状態じゃあ魔力は使えないし。デバイスも反応しない。」
フェイト「そんな…あっ、チビモン!?」
チビモン[フェイトは私が守る!!]
フェイトの腕の中から飛び出たチビモンが小さい両腕を広げてクワガーモンを睨んだ。
他の幼年期のパートナーデジモン達も戦闘体勢に入った。
ブイモン[ブンブンパンチ!!]
ワームモン[ネバネバネット!!]
ツカイモン[ふわふわアタック!!]
3匹の攻撃が直撃し、クワガーモンは怯んだ。
幼年期達も体当たりや泡を吐いて攻撃するが、弾き飛ばされてしまう。
なのは「ツノモン!!」
アリサ「馬鹿!!どうして無茶したのよ!!」
なのは達がパートナーに駆け寄る。
サンモン[俺達は…戦わなきゃいけないんだ…]
ムンモン[私達…ずっとすずか達のこと待っていた…]
ニャロモン[だからこんなところで負ける訳にはいかないの]
チビモン[絶対に負けない…!!]
ツカイモン[その通りだ]
ワームモン[こんなところで負ける訳にはいかないよね…!!]
ブイモン[行くぞ!!]
ブイモン達が再びクワガーモンに向かっていく。
チビモン達も後に続いて向かっていった。
フェイト達は先程までパートナーを抱いていた手を握り締めた。
力にならないかもしれないけれど、少しでも彼らの力になれたらと、子供達は名前を呼んだ。
巨大な敵に立ち向かう、パートナーの名前を。
アリシア「ニャロモーン!!」
すずか「ムンモン!!」
なのは「ツノモーン!!」
はやて「ギギモーン!!」
アリサ「サンモンっ!!」
フェイト「チビモーン!!」
フェイト達が声を大にして叫んだ。
その時。
天から6つの光が降り注ぎ、デジモン達を包み込んだ。
チビモン[チビモン進化!ブイモン!!]
サンモン[サンモン進化!コロナモン!!]
ギギモン[ギギモン進化!ギルモン!!]
ツノモン[ツノモン進化!ガブモンX!!]
ムンモン[ムンモン進化!ルナモン!!]
ニャロモン[ニャロモン進化!プロットモン!!]
大輔「進化した…!!」
大輔が目を見開くと成長期に進化したチビモン達はクワガーモンに向かっていく。
プロットモン[パピーハウリング!!]
プロットモンが高音の鳴き声でクワガーモンを金縛りにする。
ルナモン「ティアーシュート!!」
クワガーモンにルナモンが力を額の触覚に集中し、綺麗な水球を放った。
ギルモン「ファイアーボール!!」
追撃にギルモンも口から火球をクワガーモンに向けて放ち直撃させた。
ピコデビモン[ネバネバネット!!]
ガブモンX[プチファイアーフック!!]
ワームモンの糸とガブモンXの炎を纏った拳がクワガーモンに直撃する。
ツカイモン[ふわふわアタック!!]
コロナモン[コロナックル!!]
ツカイモンの体当たりとコロナモンの炎を纏った拳を脳天に浴びて体勢を崩す。
ブイモン、ブイモン(F)[[ダブルブイモンヘッド!!]]
とどめとばかりに2匹のブイモンはクワガーモンに渾身の頭突きを繰り出した。
クワガーモンは吹き飛ばされて森の奥へと消えて行く。
大輔「よっしゃあ!!」
ユーノ「勝った!!」
チビモン[フェイト~!!]
チビモンはブイモンから退化するとフェイトに抱き着いた。
フェイト「あれ?もう戻っちゃったの?」
チビモン[だってあの姿じゃフェイト、私のこと抱っこ出来ないでしょ?]
フェイト「え?あ…」
確かにいくらフェイトが鍛えていてもブイモンを長時間抱っこするのは正直きつい。
なのは「でも凄かったね!!私興奮しちゃった!!」
ガブモンX[俺、強かったでしょ?]
なのは「うん!!」
大輔「これがガブモン…?ヤマトさんのガブモンとは全く違う…」
賢「多分、他のツノモンとは全く違う特別な進化を遂げたんだと思う。パートナーのなのはに相応しいように…一種の突然変異みたいなものかな…」
はやて「ギギモン!!」
ギルモン[今のオラはギルモンだぞ]
はやて「ああ、そやった。格好良かったで、ギルモン!!」
ギルモン[へへ~]
コロナモン[ま、ざっとこんなもんだな]
アリサ「凄いじゃない」
コロナモン[当たり前だろ?俺はアリサを守るために生まれたんだからな]
ツカイモン[…どうやら皆は仲良くなれたようだ。]
ブイモン[ん…そのようだな…っ!!]
ブイモンが森の方を見た瞬間、表情が凍りついた。
そこにはボロボロになりながらも森からこちらへ向かってくるクワガーモンの姿があった。
クワガーモンは勝てないと判断したのか、その大きな顎鋏を勢いよく地面に突き立てた。
地面は罅割れ、ガクンと地面が揺れる。
次の瞬間、真っ二つに割れた地面は子供達とそのパートナーを乗せて真っ逆さまに落下した。
子供達の悲鳴が辺りに響き渡る。
そして、子供達の冒険は始まった。
































そして、八神家ではダスクモンが闇に紛れながら空を見上げていた。
ダスクモン[む…?]
「どうしたダスクモン?」
桃色の髪の女性がダスクモンの気配の異変に気付き、声をかけた。
「何かあったのか?」
「何か問題でも?」
朱色の髪の少女も金髪の女性も訪ねてくる。
ダスクモン[いや…一瞬だけだが…空間の歪みが見えた]
「歪みだと?」
ダスクモン[ふっ、いかに永い時を生きてきた守護騎士とはいえ、こればかりは分からんだろう]
「…その歪みに何を見た?」
ダスクモン[ここではない世界…としか言えんな]
それだけ言うと完全に闇に紛れて、気配を絶った。
「あ、いなくなった。いいのか?シグナム?」
シグナム「構わないヴィータ。いずれは奴の方から話してくれるだろう。」
朱色の髪の少女、ヴィータに問われたがシグナムは首を横に振って答えた。
ヴィータ「ああ、それにしても腹減ったなあ…シャマル、はやて何か作り置きしてくれたっけ?」
シャマル「ええ、私が作るって言ったんだけど、賢君や遼君に叩き出されちゃって」
ヴィータ「(グッジョブ!!賢&遼!!)」
ヴィータは胸中で歓喜した。
何せシャマルの料理の腕は殺人級にまずいために食べるのは少し…否、かなり遠慮したい。































そして聖王教会では、一輝がカリムに料理を出していた。
一輝「カリム、お前茶碗蒸しって知ってるか?」
カリム「茶碗蒸し…?あの卵を蒸した料理ですよね?前に大輔さんにご馳走になりました。今では和食にはまっています。」
一輝「よし、なら話は早い。茶碗蒸しには普通、三ツ葉、干し椎茸、銀杏、ユリ根、蒲鉾、鶏肉、白身の魚、小海老、焼きアナゴ、貝とかを具にしている」
カリム「?はい」
一輝「だがな、北海道…地球では住む場所に応じて具が違う。例えば北海道の場合、銀杏の代わりに栗の甘露煮が入っている。作ってみたから食ってみ?」
カリム「あ、本当に栗が入ってます…頂きます」
茶碗蒸しを一口食べるカリム。
カリム「あ、大輔さんにご馳走になった茶碗蒸しと比べれば甘いですけど美味しいです」
一輝「この甘さが常識なんだ。北海道では」
カリム「?」
一輝「俺は…前に栗の甘露煮入りの茶碗蒸しを食って以来…、茶碗蒸しはこれじゃなきゃ駄目な身体になってしまった…!!」
カリム「そ、そうなんですか!!?」
一輝「しかも、それだけじゃない…北海道では赤飯に甘納豆を使い、アメリカンドッグには砂糖を塗す!!」
カリム「せ、赤飯に甘納豆…アメリカンドッグに砂糖…ですか!!?」
一輝「あれは本当にメジャーじゃないのか?あんなに美味いのに…!!」
シャッハ「一輝様…少しお疲れなのでは…?」
少し一輝の気迫に引きながら、問い掛けるシャッハだったが、北海道の食べ物の語りはまだまだ尽きなかった。 
 

 
後書き
実際に自分は甘党なので茶碗蒸しは栗派です。
北海道の茶碗蒸しと赤飯、砂糖かけアメリカンドッグが食いたくなってきた…。 

 

第二十六話 悪夢

 
前書き
大輔達が異世界に次元漂流してから大輔達の次元で数ヶ月。
そして向こうで数時間…。
一輝「リリカルアドベンチャー、始まるぜ」 

 
大輔達のいた本来の世界では、もう夕食の時間を過ぎていた。
ヒカリは夕食を終え、風呂に入ると欠伸をした。
テイルモン[大丈夫?ヒカリ?]
ヒカリ「え?あ、うん。ごめんねテイルモン。大丈夫だから」
太一「今日も遅くまでデジタルワールドの復興作業をしてたんだろ?明日もやるんだから早く寝ちまえ」
ヒカリ「うん、ありがとうお兄ちゃん。お休み」
こうしてヒカリは布団に潜り、目を閉じた。






























ヒカリ『ん…』
ヒカリは薄暗い空間の中で目を開いた。
そこは暗黒の海に見た目は似ていたが、何処か違うと感じた。
恐らくは夢。
ヒカリは薄暗い空間を歩き始めた。































薄暗い空間を歩き始めてから、数十分、いや数時間だろうか?
景色が変わらないため、時間の感覚が分からなくなってきた。
段々不安になり始めた頃、見慣れた背中が見えた。
あの赤茶色の髪、そして見慣れた服装。
いつもと違うのはゴーグルを付けていないところだろうか?
夢だと分かっていたが、声をかけずにはいられなかった。
ヒカリ『大輔君!!』
叫んだが、大輔は振り返らず隣にいる少年に笑いかけるだけ。
隣の少年は何と、あのデジモンカイザーの一乗寺賢であった。
大輔とデジモンカイザーが仲良さそうに会話しているように見えたことにヒカリは愕然となる。
敵の彼とあんなに仲良さそうにしているなど信じられなかったからだ。
そして次に現れたのは、茶色の髪のツインテールの女の子。
そして車椅子の座っている女の子と姉妹と思わしき金髪の少女。
どんどん大輔の元に、人やデジモンが集まっていく。
中には、複数の目を持つ異形のデジモンまで。
そのデジモンの不気味さにヒカリは嫌悪感を抱いた。
しかし、そのデジモンが大輔の元に行っても温かい光は弱まるどころか寧ろ増している。
自分も大輔の元に向かおうとしても、何故か距離を離される。
ヒカリ『大輔君!!』
全力で叫んでようやく大輔は自分の方を向いてくれたが…。
ヒカリ『……っ!!』
ヒカリは一瞬、我が目を疑いたくなった。
大輔が自分を見る目が、今までのような好意が一切なく、まるで敵を見るかのように冷たかった。
異形のデジモンが大輔に寄り添い、大輔と同化すると、異形のデジモンは血のように紅い双剣を自分に向けてきた。
ヒカリは恐怖のあまり背を向けて走り出したが、異形のデジモンは一瞬でヒカリに接近すると紅い双剣を振り下ろした。






























ヒカリ「いやあああああっ!!!!」
テイルモン[ヒカリ!!?]
ヒカリの悲鳴に反応したテイルモンが駆け寄る。
ヒカリ「っ…、テ、イル…モン」
辺りを見回すとここは自分の部屋だった。
ヒカリは安堵の溜め息を吐いた。
何て最悪の夢を見てしまったのだろう。
大体、大輔が自分を敵視するはずがないのだ。
恐らくは疲れていたからあんな夢を見たのだ。
少し温かいミルクでも飲みに行こうとキッチンに向かうヒカリであった。
しかし、ヒカリは知らなかった。
これをただの夢で済まさなければ、これから先にとてつもない後悔をせずに済んだのだと。
 
 

 
後書き
この小説では大ヒカはありません。
最終的に大輔のヒカリへの感情は好きでも嫌いでもない仲間ということになります。

ダスクモンは正式なパートナーが現れるまで大輔の第二パートナーということに。
 

 

第二十七話 古の力

 
前書き
クワガーモンに落とされた大輔達。
賢「リリカルアドベンチャー、始まります」 

 
クワガーモンに落とされた子供達は崖から落ちている最中だった。
ギルモン[うわああああ!!!!]
なのは「ど、どうしよう!!このままじゃあ…」
ツカイモン[多分死ぬだろう。下は川だからもしかしたら生き延びられるかもしれないが…]
ガブモンX[毛皮が濡れるのは嫌だなあ]
アリサ「あんた達は何でこんな時まで冷静なのよ!?」
アリシア「死ぬのは嫌~!!」
ツカイモンとガブモンXの発言にアリサが突っ込み、アリシアが叫んだ。
ブイモン[(まずい、このままだと最初に大輔とフェイトが川に落ちる。何とかしないと…!!)]
ブイモンが辺りを見回すが飛行能力があるツカイモンもパートナーを引っ張り上げようとするが上手くいかない。
大輔とフェイトが後少しで川に落ちそうになった時。
ブイモン[大輔!!フェイト!!]
大輔のD-ターミナルから複数の光が放たれた。
ブイモンは大輔から離れたD-ターミナルをキャッチすると保存してあるデジメンタルを確認する。
運命のデジメンタルは封印されてはいたが、勇気と友情のデジメンタルは使えるようになっていた。
D-ターミナルから友情のデジメンタルと勇気のデジメンタルを抜き取るとライドラモンにアーマー進化した。
ライドラモン[ライトニングブレード!!]
電撃の刃が岩壁を大きな正方形の形に刻んだ。
そしてフレイドラモンにチェンジすると岩を掴んで子供達とデジモン達を岩に乗せた。
空中浮遊が出来るということは、ブイモンのみ魔力の行使が出来るようだ。
そのままゆっくりと降下していく。






























そしてフレイドラモンは下流の方に降りると、子供達を岸に下ろすとブイモンに退化した。
ブイモン[はあ~]
ブイモンは溜め息を吐きながら地面に座り込んだ。
大輔「お疲れ」
フェイト「この世界でもブイモンは魔法が使えるんだ…」
アリサ「ちょっと、ブイモンのあの変化は何なの?変身…じゃないわよね?」
ワームモン[あれは変身じゃなくて進化だよ]
アリサ「進化?」
ワームモンが言った単語にアリサは疑問符を浮かべる。
賢「デジモンには世代というものがあってね。幼年期、成長期、成熟期、完全体、究極体と…進化を一段階ずつ重ねる度に力が飛躍的に上がるんだ。そのパワーアップ倍率は10倍かそれ以上。」
アリサ「へえ…」
賢「ブイモンのあれはアーマー進化といって、デジメンタルというアイテムを使った特別な進化なんだ」
はやて「ギルモンも進化するんやろうか?」
賢「勿論。君とギルモンの絆が強くなればきっと進化出来るよ」
ギルモン[そうなんか?]
ブイモン[大切なのは信じることだよ]
ギルモン[おう!!]
ブイモンの言葉にギルモンは頷く。
アリシア「お兄ちゃん、これからどうする?」
大輔「そうだな、さっき向こうに海が見えたんだ。あそこに行こう」
フェイト「うん。」
フェイト達は前を歩く大輔の後を追う。






























しばらく歩いて行くと、聞き慣れた電話のベルの音が聞こえた。
なのは「これ…」
ユーノ「電話のベル?」
アリサ「こんなとこに?」
子供達は不思議そうな顔をしながら進む。
































貝殻が散らばる美しい砂浜に電話ボックス。
かなり非現実的な光景である。
それに、見る限りボックスからは電話線が伸びていない。
砂の中に埋まっているとでも言うのだろうか?
アリサ「何よあれ…?」
大輔「電話ボックスだけど?」
アリサ「そんなの分かってるわよ!!」
賢「それにしても、海に電話ボックスとは…やっぱり何でもありだなデジタルワールド」
賢が電話ボックスを見渡しながらぼやいた。
アリシア「あれ使えるのかな?」
大輔「いや、前に先輩から聞いたけど出鱈目なことばかりで使えなかったらしい。これも多分そうだろ」
アリシアの疑問にデジタルワールド経験者である大輔が答える。
ユーノ「それにしても不思議ですね。海に電話ボックスなんて」
大輔「いちいちデジタルワールドの珍現象を気にしてたら持たねえぞ。まあ、いい。ここで飯にしよう。」
なのは「でも私達、着替えくらいで食べ物持ってないよ?」
大輔「大丈夫。途中で木の実を採っておいたから」
大輔がフェイト達に差し出したのは、みずみずしい紅い木の実だった。
すずか「何の果物なんですかこれ?」
大輔「名前は知らない。でも俺はデジタルワールドの食べ物を色々教えてもらったからな。安全は保障するぜ?」
賢「デジタルワールドは食料が豊富だから、後は食べられる物と食べられない物を見分けられれば大丈夫。はい、はやて。」
はやて「…よっしゃ、女は度胸や」
はやては賢から木の実を受け取ると一口かじった。
はやて「……」
すずか「はやてちゃん…?」
賢「はやて?」
沈黙したはやてを賢とすずかは不思議そうに見遣る。
はやて「美味しい…」
なのは「え?」
はやて「めっちゃ美味しい!!」
ギルモン[はやてばっかずりぃぞ!!オラもオラも!!]
賢「はいはい、慌てないで…」
苦笑した賢と大輔が全員に木の実を配ろうとした時。
ギルモンが向こうを向いて唸り声を上げる。
なのは「ギルモン?どうしたの?」
ギルモン[何かいる…!!]
チビモン[ふえ!?]
木の実にかじりついていたチビモンが驚いた声を上げると、突然電話ボックスが次々と倒れていき、頭からイソギンチャクを生やしたピンク色の巨大な生き物が子供達の方へ向かってきた。
大輔「シェルモン!!」
賢「まずいな、全員空腹でまともに戦えない時に…」
ツカイモン[ブイモン、進化出来るか?]
ブイモン[やってみる…!!]
ブイモンが気合いを入れるが、進化の兆候は起きない。
ブイモン[駄目だ…腹が減って力が…。]
ワームモン[仕方ないね…]
ワームモンがシェルモンを睨み据え、構えた。
ツカイモン[戦うしかないようだな]
ツカイモンも戦闘体勢に入る。
コロナモン[腹が減ってる上に相性が最悪の敵だけど…やるしかないか!!]
ブイモン[行くぞ!!]
ブイモンを先頭にデジモン達がシェルモンに向かっていく。
デジモン達が各々技を繰り出すが、空腹と疲労でいつもの威力が出ない。
シェルモンの必殺技ハイドロプレッシャーをデジモン達が直撃を受ける。
ブイモン[ぐっ!!やっぱり駄目か…]
ブイモンは何とか立ち上がるが、コロナモンは弱点の攻撃を受けたため気絶した。
逆に氷と水の属性を持つルナモンは耐えきった。
大輔達は急いでパートナーの元に駆け寄る。
フェイトがチビモンに駆け寄った時、シェルモンがフェイトとチビモンを潰そうと腕を上げた。
チビモンは咄嗟にフェイトを突き放した。
フェイト「あ…」
突き放されたフェイトは徐々に迫るシェルモンの腕にチビモンが押し潰されそうになるのを見た。
フェイトは無意識にチビモンの名前を叫んだ。
フェイト「チビモーーーンッ!!!!」
その時だった。
フェイトの腰に付けられていたD-3から光が放たれ、チビモンに降り注がれた。
チビモン[チビモン進化!ブイドラモン!!]
ブイモンが運命のデジメンタルでアーマー進化したゴールドブイドラモンに酷似した幻竜型デジモン、ブイドラモンに進化した。
フェイト「ブイ…ドラモン…?」
ブイドラモンはシェルモンの腕を掴むと小柄な身体から考えられない程の怪力でシェルモンを投げ飛ばす。
そして、投げ飛ばしたシェルモン目掛けて、必殺技の熱線を放った。
ブイドラモン[ブイブレスアロー!!]
V字型の熱線がシェルモンに直撃し、シェルモンは遥か彼方へと吹き飛んだ。
大輔「おお、飛んでる飛んでる。」
大輔が感心したように星になったシェルモンを眺めた。
ブイドラモンはチビモンに退化するとフェイトに抱き着いた。
チビモン[フェイト~!!私勝ったよ、強かったでしょ?]
フェイト「うん!!強かったよ!!」
ワームモン[ちぇ、まさか先を越されちゃうなんて]
溜め息を吐きながらチビモンを見遣るワームモン。
それを賢は苦笑しながら見つめる。
大輔「さて、飯の続きにするか」
大輔は木の実を全員に配った。
しばらくして子供達は食事を終える。
ユーノ「大輔さん。これからどうします?」
大輔「取り敢えず、野宿出来そうな所を探そう。」
フェイト「うん。そうだね」
子供達は海を出て、再び森の中に入っていくのだった。






























おまけ~カレー~

それは大輔達がデジタルワールドに行く前のお話。

カリム「実は一輝さんと出会ってから初めてカレーやチャーハンやアイスを食べたんです。最初はびっくりしましたが、今ではカレーは大好物です。ついつい食べ過ぎてしまいます。」
フェイト「だよね。私も大輔と会ってから初めてレトルトじゃないカレーを食べたんだ。私もカレー大好き!!」
アリシア「私ね、お兄ちゃんが作ったカレーピラフが大好き!!お兄ちゃんとお母さんとブイモンは?それにリンディさん達は?」
大輔「そうだなあ、俺はカレーなら何でも好きだけど敢えて言うならビーフカレーかな?」
プレシア「私は野菜カレーかしら?」
クロノ「僕は…ドライカレーかな?レーズンを入れる奴」
エイミィ「私はシーフードカレーが好き!!」
リンディ「私はカレーうどんかしら?」
ブイモン[甘口カツカレー!!衣のサクサク感がたまらないんだよなあ。レオルモンは?]
レオルモン[僕はチキンカレー。あの鶏肉の食感がたまらないんだよね。]
カリム「皆それぞれ好みがあるんですね。一輝さんは?」
一輝「…俺のいた孤児院、貧乏だったから。カレーを作っても先にチビ共に食わせて俺は余ったルーを白米にかけて食う毎日…一人だけの時も、材料が無くて湯にカレー粉を投入してぶっかけて…何もなくてもカレーの味がしたなあ。お、どうしたアリシア?皆も泣いてんのか?あ、はははは……」
教会にいたシャッハを含めた全員が泣いたのは言うまでもない。
 
 

 
後書き
ブイモンについて。
この作品のブイモンはアーマー進化主体で戦います。
どのように戦わせるか悩んだ結果、フレイドラモン、ライドラモン、ゴールドブイドラモン、マグナモンに特殊能力を付加させます。
それで一時的に大幅なパワーアップをするという設定にしますが、ちゃんと制約付き。 

 

第二十八話 森林の暗殺者

 
前書き
ワームモン、再び進化。
はやて「リリカルアドベンチャー、始まるで!!」 

 
ブイドラモンがシェルモンを撃破し、子供達は野宿が出来そうな場所を探して歩き続けていた。
日が落ちてきて辺りが朱色に包まれる。
不思議な色の夕焼けだ。
大輔と賢は久しぶりに見るデジタルワールドの夕焼けに目を細めた。
なのは「野宿出来そうな場所まだ見つからないね…」
なのはは手の甲で額の汗を拭いながら呟く。
動けないまでとはいかないが、疲れてきている。
少し足が痛み初め、そろそろ休まなければ皆ばててしまうだろう。
一応鍛えている自分がこうなのだからアリサやすずか、アリシアの疲労は相当な物だろう。
…ピチョン。
プロットモン[っ!!]
アリシア「あれ?どうしたのプロットモン?」
プロットモン[静かに…]
微かに聞こえた音にプロットモンは耳を澄ませた。
アリサ「どうしたのよ?」
アリサが首を傾げてプロットモンに尋ねる。
プロットモン[水の音がするわ…]
ルナモン[…本当だ……]
プロットモン同様、耳が良いルナモンも耳を澄ませて同意した。
賢「…何処にあるんだい?」
ルナモン[…あっち]
ルナモンが目を閉じながら指差した。
大輔「…行ってみよう」
子供達はルナモンが指差した方向を歩いていく。































ルナモンとプロットモンに導かれ、しばらく歩いた子供達は大きな湖を見つけた。
肩で息しているアリサ達を見遣ってから賢が口を開いた。
賢「今日はここまでにした方がいいと思う」
大輔「疲れて腹も減ってきたしな」
ユーノ「じゃあ、今夜はあそこでキャンプですね」
ユーノの言葉に全員が頷いた。
少し歩けば水の臭いが鼻腔を擽った。
混じりけのない純粋な水の匂いに子供達は小さく笑みを浮かべる。






























ルナモンとプロットモンに導かれ、しばらく歩いた子供達は大きな湖を見つけた。
肩で息しているアリサ達を見遣ってから賢が口を開いた。
賢「今日はここまでにした方がいいと思う」
大輔「疲れて腹も減ってきたしな」
ユーノ「じゃあ、今夜はあそこでキャンプですね」
ユーノの言葉に全員が頷いた。
少し歩けば水の臭いが鼻腔を擽った。
混じりけのない純粋な水の匂いに子供達は小さく笑みを浮かべる。






























しばらく歩くと電波塔が沈んでいる湖が子供達の目の前に現れた。
なのは「わあ、綺麗な湖!!」
フェイト「ここならキャンプに最適だね」
アリサ「ね、ねぇ、キャンプって事は野宿って事よね?」
大輔「ま、そうなるな」
アリサ「…やっぱりね」
予想通りの返答にアリサが溜め息を吐きながらぼやいた。
バチバチッと電気の爆ぜる音がして今まで景色に溶け込んでいた2台の路面電車に明かりが灯った。
すずか「明かりが…点いた…?」
大輔「路面電車だ。」
なのは「中はどうなってるのかな?」
アリシア「見てみようよ!!」
アリシアが率先して路面電車の中に入る。
賢「もしかしたら何か使える物があるかもしれないし。調べてみよう。」
すずか「はい。」
他の子供達も路面電車の中を調べる。
最初にアリシアが入った路面電車には何も無かったが、もう1台の路面電車には大きめの毛布があった。
幸運なことに子供達全員分ある。
大輔「今日は路面電車の中で寝よう」
ユーノ「賛成です。地面に寝ると背中や頭が痛くなりますから」
アリサ「…何であんた、そんなこと知ってんのよ?」
アリサが不思議そうにユーノを見遣る。
大輔「まあいいじゃないか。皆、それぞれ行動して食料を手に入れよう。」
アリシア「はーい」
子供達は食料を集める為にそれぞれ行動を開始した。
はやてと賢は茸狩り。
ユーノは木の枝を釣り竿代わりになのはとアリシア(アリシアの髪の毛を釣り糸代わりに)と一緒に釣り。
アリサとすずかは、薪集め。
大輔とフェイトは木の実を探す。































はやて「どれが食べられる茸なんや…?」
ギルモン[はやて、それ食えねえ茸だぞ]
はやて「うぅ…」
ギルモンに指摘され、はやては毒茸を捨てる。
賢「えっと、この茸は食べれる…あ、野苺発見。」
はやて「やけに慣れとるな賢兄…」
賢「何でだろうね…何となく分かるんだ」
過去のデジタルワールドでの冒険。
記憶は無くとも、身体が覚えているのかもしれない。






























アリシアが黙々と釣りを続ける中、なのはは気になっていたことをユーノに聞いてみることにした。
なのは「ねえユーノ君」
ユーノ「ん?何?」
ユーノがなのはの方を向いた。
なのは「ユーノ君って随分野宿とか、こういうのに慣れてる気がするんだけど…」
ユーノ「…スクライア一族は遺跡発掘を生業にした流れ者の一族だからね。当然、こういうことは何度もするよ。」
なのは「流れ者…?」
ユーノの言葉になのはは首を傾げた。
ユーノ「うん。スクライア一族は1つの世界には留まらないんだ。流れ着いた世界で遺跡を見つけては発掘の為にその付近にキャンプを張り、発掘を終えたら再び別の次元世界に流れる……スクライア一族はそんな一族なんだよ。」
なのは「それじゃあユーノ君のお父さんとお母さんも遺跡発掘してるの?」
ユーノ「…両親は僕が赤ん坊の頃に遺跡の崩落事故に巻き込まれて、亡くなったみたい」
なのは「っ!ご、ごめんなさい…」
聞いてはいけないことを聞いてしまったとなのはは俯いた。
ユーノ「いいよなのは、気にしないで。正直、物心つく前だから両親の顔は全然覚えていないし、よく分からないんだ。でも寂しくはなかったよ。一族のみんなはとても優しくて、僕にとっては家族のようなものだからね。」
ユーノは一族の仲間達を思い出しているのか懐かしそうに言う。
なのは「そっか…」
なのはは、優しい表情でユーノを見つめた。
アリシア「わああああっ!!?」
その時、アリシアの叫び声が響いた。
ユーノ、なのは「「アリシア(ちゃん)!?」」
アリシア「わわっ!!ユーノ~!!なのは~!!手伝って~!!」
プロットモン[アリシア!?]
周辺を警戒していたプロットモンが急いでアリシアの元へ駆け寄る。
ユーノとなのはも急いでアリシアに駆け寄り、釣竿を握った。
ユーノ「なのは、アリシア!!」
なのは「うん!!せーので引っ張るよ!!」
アリシア「分かった!!」
全員【せーのっ!!】
全員が同時に釣竿を引いた。
ザッパーンッ!!
全員【でかっ!?】
ユーノ達が釣り上げたのはなんと巨大魚だった。
巨大魚と言っても、マグロなどではない。
なのは達や大輔達の世界では絶対に存在していないであろう怪魚だ。
魚の口には凶悪なまでのギザギザの歯がついており、その口を開ければなのは達を丸飲みに出来る程にでかい。
ユーノ達は地面に落とされビチビチ跳ねている怪魚を見つめる。
ユーノ「…これどうやって運ぼうか?」
なのは「大きすぎて運べない…。」
プロットモン[仕方ないわね。ブイモン達を呼んで来ましょう]
プロットモンはブイモン達を呼びに行った。






























大輔とフェイトはブイモンとチビモンがプロットモンに連れていかれた為、2人で食料探しをしていた。
フェイト「あ、大輔。あれ」
大輔「ん?」
フェイトが指差した方向を大輔が見遣るとそこには浜辺で食べた木の実が沢山生っていた。
大輔「お、これくらいあれば充分だな。でかした。」
大輔はそう言うと木に登り始めた。
フェイト「あ、大輔。私も」
大輔「フェイトは駄目だ。落ちて怪我したら大変だからな」
フェイト「…落ちないよ」
大輔の言葉にフェイトはむくれた。
大輔「落ちないのは魔法を使ってたからだろ?今は魔法が使えないし…」
フェイト「…分かった」
フェイトは諦めたように言う。
大輔は枝に生っている木の実を1つ採る。
大輔「フェイト、今から落とすからちゃんとキャッチしろよ」
フェイト「あ、うん」
大輔は木の実を採ると、下にいるフェイトに向けて落とした。
落ちてきた木の実をフェイトは器用に受け止める。
フェイト「凄い手際がいいね」
大輔「こういうのは得意なんだ」
フェイト「…私も出来るようになろうかな」
大輔「その時は教えてやるよ」
大輔とフェイトは黙々と木の実を採った。






























薪を充分に集めたアリサとすずかはどうやって火を起こすか頭を悩ませていた。
アリサ「…どうやって火を起こせばいいのかしら?」
すずか「原始人式に枝で…?」
アリサ「それじゃあ時間が掛かりすぎるでしょ?」
すずかの提案にアリサは溜め息を吐きながら却下した。
コロナモン[だったら俺に任せろ。コロナフレイム!!]
コロナモンは額に力を溜めると薪に炎を放ち、火をつけた。
こういう時もデジモンの攻撃は役に立つと学んだ瞬間だった。
そして食料集めに出ていた子供達が帰ってきた。
大輔とフェイトは木の実。
賢とはやては茸や野苺等。
ユーノとなのはとアリシアは…。
すずか「きゃああぁぁぁ!!?」
すずかはデジモン達が引きずってきた魚に驚き、思わず賢の背後に隠れた。
ギルモン[でっけえ魚だぞ!!]
魚を運んでいるギルモンが嬉しそうに言う。
賢「凄いな、僕達もこんなサイズの魚は僕達の世界のデジタルワールドでもあるかどうか…」
すずか「そ、それ………食べられる、の?」
すずかは賢の肩越しにその怪魚を見た。
既に魚は息絶えているのかピクリとも動かない。
アリサ「その魚…死んでるの?」
ブイモン[ん?ああ、運ぼうにもビチビチ跳ねるからブイモンヘッドを喰らわせたんだ。]
ブイモンの必殺技でもある頭突きは、中くらい木なら薙ぎ倒してしまうほどの威力がある。
いくらマグロの数倍の大きさを誇る巨大魚でもそんな一撃を受ければ一溜まりもない。
大輔「う~ん…このサイズだと、切り分けるのはちょっときついな…丸焼きにするか?」
ユーノ「それが無難だと思います。」
賢「丁度塩もあるしね。後は包丁を含めた調理道具にプラスチックの皿と人数分の箸…」
アリサ「…何でそんなのがあるのよ?」
賢「備えあれば憂い無し。」
アリサ「あ、そう…」
アリサが溜め息を吐きながら言う。
すずかは賢の肩越しにその魚を見ると、その大きな魚の目玉がこちらを見ているようでゾッとした。
すずか「(………あれ、どうやって焼くんだろう………?)」
それよりも、やはり自分もアレを食べなければならないのだろうか。
もしパートナーに笑顔で勧められたら断れる自身が自分にはない。
初めて見る未知の食材に、すずかはただ戦慄を覚えるばかりであった。
コロナモン[よし、焼くぞ!!]
ギルモン[オラもやっぞ!!]
ガブモンX[あ、じゃあ。僕もやるよ]
炎属性の技が使える3匹が前に出る。
ブイモン[ブイモンヘッド!!]
ブイモンが頭突きで木を薙ぎ倒した。
ワームモンが皮を削り、薙ぎ倒した木を大きな串にする。
ブイモンが大きな串で巨大魚を串刺しにすると、チビモン達が作っていた支えに串を乗せる。
ギルモン[ファイアーボール!!ファイアーボール!!ファイアーボール!!]
コロナモン[コロナフレイム!!コロナフレイム!!コロナフレイム!!]
ガブモンX[プチファイアー!!プチファイアー!!プチファイアー!!]
ギルモンとコロナモン、ガブモンXが巨大魚に技を連続で放った。
魚から香ばしい匂いが漂ってくる。
ツカイモンが上空から巨大魚に塩を振り掛けると、巨大魚の塩焼きが完成した。
ルナモンは自分の爪で切り取り、切り身を食器に乗せるとルナモンは満面の笑顔ですずかに渡す。
ルナモン[はい!!]
すずか「(やっぱり…どうしよう。食べても大丈夫なのかな?)」
先ほど捕ったばかりの時は魚の目と歯に圧倒されて引き気味であったすずかだが、こうして焼かれて良い香りもしてくれば、少しは大丈夫かなという気もしてくる。
すずかは切り身を一口食べる。
すずか「…………美味しい!!」
意外にも魚は美味しかった。
大きいので大味かと思ったが、肉厚でジューシーなその身は現実世界のスーパーで売っている魚なんかよりもよっぽど美味しかったのだ。
なのは「本当だ!!美味しい!!」
ユーノ「市販の魚と比べてジューシーで美味しい…!!」
はやて「ほんまや!!」
賢「うん。美味しい」
アリシア「美味しいねフェイト!!」
フェイト「うん」
ルナモン[すずか、本当に美味しい?]
子供達が絶賛する中、ルナモンがすずかを見上げながら尋ねる。
すずか「うん、本当に美味しいよ!!……見た目があんなだったから、どうかと思ったけど……」
意外な美味しさに今やおかわりまでして食べていた。
デジモン達は熱の冷めた所から齧りついて食べている。
子供達が食べているのは、ほんの片隅なので問題はない。
ギルモン[ひゃ~!!うんめえ!!]
魚に齧りついているギルモンが叫んだ。
ブイモン[美味~い!!]
ブイモンも喜々として魚に齧りついている。
ワームモン[魚ばっかり食べてないで茸とかも食べてね?]
全員【は~い】
ワームモンが差し出したのは、焼いた茸に醤油を垂らした物。
何故都合よく醤油があるのだろう?
賢「備えあれば憂い無し…だよ」
賢が持参していたのであった。
子供達とデジモン達は楽しく食事を済ませた。
大輔「さてと、これから寝るけど…誰が見張りをやる?何なら俺がやるけど」
ユーノ「大輔さん。なのは達は見張り番から外した方がいいです。」
賢「そうだね、それじゃあ…」
アリサ「ちょっと待ちなさいよ!!何勝手に決めてんのよ!!」
アリシア「私も見張りやりたい!!」
賢「君達は疲れてるだろ。無理しないで休むんだ」
すずか「でも…」
賢の言葉にすずかは納得出来ない顔をする。
大輔「お前ら、少しは甘えろ。な?」
アリサ「…分かったわよ……」
大輔が優しく言うとアリサ達は渋々頷いた。






























見張りは大輔→ユーノ→賢の順番ですることになった。
なのは達は路面電車の柔らかいクッションのきいた座席に毛布に包まりながら横になった。
しばらくすると、なのは達から寝息が聞こえてきた。
賢とユーノは互いを見合わせると苦笑した。
基本的に夜行性のツカイモンは路面電車の上で星を眺めている。
賢とユーノは交代の時間まで仮眠を取る。






























2人が仮眠を取って数十分後。
路面電車から1つの人影が…。
ツカイモンは気づいていたが、そのままその影を見送った。
人影は大輔の近くまで来る。
大輔はそれに気づくと人影の方を向く。
大輔「フェイト…」
フェイト「ごめん。よく眠れなくて…」
大輔「仕方ねえよ。初めてなんだしな。チビモンは寝たのか?」
フェイト「うん。」
大輔「そうか。」
そこから話が続かなかったが、決して苦痛ではなかった。
大輔「俺さ、この世界に来れてよかった」
フェイト「え?」
大輔「一輝兄ちゃんにも会えたし、賢とも友達になれた…元の世界に帰った後のことを考えると辛いけどな…でも一番良かったのは」
フェイト「…………」
大輔「フェイトに会えたことだ。お前に会えて本当に良かった。」
フェイト「大輔…」
大輔「元の世界に帰ることになっても、お前との思い出があれば頑張れる」
フェイト「だったら…」
大輔にそっと寄り添うフェイト。
大輔「ん?」
フェイト「いっぱい思い出を作ろう?何があっても忘れないような思い出を」
大輔「そうだな」






























賢「やれやれ、交代の時間になっても来ないから何事かと思えば…」
ユーノ「若いですね…」
賢「君も若いだろ?」
爺臭いユーノの言葉に賢がツッコミを入れる。
ユーノは苦笑して、大輔とフェイトの元に歩いた。
ユーノ「大輔さん。交代です」
大輔「ん?ああ、もう時間か。フェイト、行くぞ」
フェイト「あ、うん」
大輔はフェイトと一緒に路面電車に向かった。
ユーノは苦笑しながら焚火に薪をくべた。


































そして翌日。
全員は路面電車から降りると、顔を洗ったりしたり背伸びをしたりする。
このまま何も無ければ無事に出発出来るはずだった。
だが悲劇(喜劇?)は起きた。
急に突風が吹き、落ち葉が1枚ギルモンの鼻に直撃した。
ギルモン[は…は…ハークションッ!!!!]
くしゃみと同時に放たれた炎。
その炎は葉のような物に直撃した。
すると地響きが起こり、目の前の湖は荒波立ち、渦を巻き、その中からドラゴンのようなデジモンが姿を現した。
ルナモン[シードラモン…!!]
ルナモンがシードラモンを見上げながら言う。
なのは「あれシードラモンの尻尾だったんだ…」
尻尾を焦がされたシードラモンは怒り狂っていた。
全員の視線がギルモンに集中する。
ギルモン「…はは…は……あっちゃ~…すまねえ」
ギルモンは後頭部を掻き、困った時の笑顔。
所謂ジャパニーズスマイルを仲間に向けて軽く頭を下げた。
アリサ「すまねぇじゃないわよ、どうすんのよぉおおおおーーーっ!?!?」
アリサがギルモンの胸倉を掴んで揺する。
はやて「あ、アリサちゃん。ギルモンも悪気は無いんやから…ね?」
アリサ「あってたまるもんですか!!」
はやてが宥めようとするが逆効果である。
シードラモンによって、島はどんどん流され、岸から離れた場所に止まった。
これで逃げ場がなくなった。
1人だけ離れた場所にいた賢は迷わず湖へ飛び込んだ。
ルナモン[ティアーシュート!!]
コロナモン[コロナフレイム!!]
ワームモン[ネバネバネット!!]
ガブモンX[プチファイアー!!]
ギルモン[ファイアーボール!!]
遠距離攻撃が可能なデジモン達が攻撃を仕掛けるがシードラモンには効果が無い。
ところで進化出来るブイモンは?
ブイモン[(-.-)zzZ]
まだ寝ていた。
大輔「おい、ブイモン起きろ!!」
大輔が今だに寝ているブイモンを揺する。
ブイモン[ん~~…?]
大輔「ハァ…ハァ…ハァ…。起きたな!!?」
息切れしながら言う大輔。
ブイモン[……後5分…お休み~(-.-)zzZ]
少しだけ目を開けたかと思うと再び鼻提灯を作って爆睡してしまった。
大輔「寝るなああああっ!!そして起きろおおおおっ!!!!」
フェイト「ブイモン!!起きて起きて!!」
すずか「きゃ…っ!!」
すずかはバランスを崩して湖に落ちた。
アリサ「すずか!!」
賢「どいて!!」
賢は湖に飛び込んですずかの元に泳いでいく。
賢はすずかをツカイモン達に任せると離れた場所に向けて泳ぐ。
しかしシードラモンに追いつかれ、尾に捕らわれた。
賢「しまった…っ!!」
賢は湖の中に引きずり込まれた
はやて「賢兄!!」
それを見たはやてとすずかは目を見開いて愕然とした後、後を追うように湖に飛び込もうとした。
慌ててアリサがその腕を掴み引き留める。
すずか「賢さん!賢さん!!わ、私のせいで…、私を助けようとして賢さんは……」
アリサ「すずかのせいじゃないわよ!!だから…」
すずか「私のせいでっ…!!」
湖の水面を見遣れば波が立ちシードラモンに捕らわれたままの賢が水上に浮かび上がってきていた
そして賢の悲鳴が辺りに響き渡る
賢「ぐあぁぁあぁっ!!」
ワームモン[賢ちゃん!!止めろおおおおおおっ!!]
ワームモンはネバネバネットを連続で放つ。
しかしシードラモンに通用せず弾き飛ばされてしまう。
はやて「ワームモン!!」
はやてはワームモンを受け止める。
賢「うわぁぁぁああ!!」
シードラモンの締め付けは弱まることなく、賢を苦しめ続ける。
ワームモン[賢ちゃーーーんっ!!!!]
ワームモンが叫び、はやての腕から飛び出した時、D-3から光が放たれ、ワームモンが光に包まれる。
ワームモン[ワームモン進化!スティングモン!!]
ワームモンは、暗殺能力に長け、高い知能を併せ持つスティングモンへと進化した。
スティングモンは直ぐさまシードラモンに攻撃を仕掛ける。
スティングモン[ムーンシューター!!]
スティングモンの掌から光球が放たれ、シードラモンに直撃した。
光球を受けたシードラモンは賢を放す。
スティングモンは賢を受け止めると近くの島まで移動し、賢を下ろした。
スティングモンはシードラモンの方を見遣ると睨み据えた。
スティングモン[はああああ!!]
スティングモンが高い機動力を活かして、シードラモンに凄まじい蹴りの連撃を浴びせる。
シードラモンは反応が遅れて蹴りをまともに受けて吹き飛ばされた。
そして吹き飛ばされたシードラモンに対して腕のスパイクを突き出す。
スティングモン[スパイキングフィニッシュ!!]
スティングモンのスパイクの刺突の直撃を受けたシードラモンがデータ粒子となって消えた。
賢「終わった…」
すずか「賢さん!!」
すずかが賢の元に急いで駆け寄った。
すずか「ごめんなさい。私のせいで…」
賢「いいよそんなの。無事でよかった…」
すずか「賢さん…」
はやて「……」
賢とすずかの様子をはやてはジト目で見ていた。
そしてブイモンは?
ブイモン[(-.-)zzZ]
大輔「起きろおおおおおっ!!!!!!!!」
まだ寝ていたのであった。
あれだけの騒ぎがあったというのに。
ブイモンは色んな意味で大物だ。
 

 

第二十九話 異常

 
前書き
大輔達がデジタルワールドに向かった時、クラナガンに異常発生。
なのは「リリカルアドベンチャー、始まります!!」
 

 
クラナガンでは一輝がレオルモンとシャッハと共に街を歩いていた。
一輝はカリムに日頃の礼を買いに行こうとしたのだが、カリムが喜びそうなのはさっぱり分からないため、シャッハを道連れにしたのである。
一輝「なあ、シャッハ。カリムが喜びそうなのって何だ?」
シャッハ「騎士カリムなら、あなたからの贈り物なら何でも喜ぶかと…」
一輝「とは言っても、カリムはお嬢様だろ?ケーキとかじゃ流石に駄目じゃねえのか?菓子とか結構な頻度で作ってるし」
シャッハ「まあ、確かに…」
確かに一輝が教会に身を置いてからは、手作りのケーキ等が出て来るようになった。
しかも、その味は普段食べていた店のケーキを上回るほどに絶品。
表情には出さないが、シャッハは一輝の菓子作りの腕を称賛していた。
しかし一輝の言う通り、菓子はかなりの頻度で出ているために他のをという気持ちも分からなくはない。






























公園を通り掛かった時、ボールがこちら側に転がってきた。
一輝はボールを拾うと、転がってきた公園の方を見る。
スバル「ボール何処に行っちゃったのかなあ?」
シャッハ「あの子のボールのようですね」
一輝「だな。おい!!」
スバル「?あ!!」
一輝「お前のか?」
スバル「ありがとうお兄ちゃん!!アグモ~ン!!ボールあったよ!!」
一輝「え?」
アグモンX[本当に?]
スバルに向かって来るデジモン。
確かにアグモンではあった。
しかし、普通のアグモンとは違い、尻尾にグレイモンの模様が出ている。
レオルモン[一輝…]
アグモンX[あ、レオルモンだ]
スバル「レオルモン?」
アグモンX[俺と同じデジモンだよ。えっと…俺はアグモンXって言います。長いからアグモンって読んでもらってます]
レオルモン[アグモンX?そんなアグモンがいるの?]
アグモンX[俺は何か、他のアグモンとは違う進化をしたみたいなんだよね。突然変異って奴なのかも]
一輝「突然変異か…。まあ、デジモンの進化に今更あれこれ言っても仕方ねえしな…」
スバル「アグモンはね?お空から降ってきた卵から生まれたんだよ?」
一輝「空から?」
スバル「これも一緒!!」
スバルが取り出したのはD-3。
これには流石に一輝も目を見開いた。
一輝「(この世界の選ばれし子供?なら、他の子供も既に選ばれているのか?)」
スバルだけが、選ばれているはずがない。
他にも選ばれし子供がいるはず。
その時である。
一輝「っ!!」
一輝は咄嗟にスバルとシャッハを抱えて飛び上がる。
一輝がいた場所に一つの影がある。
レオルモン[レオモン…!!?いや、違う…!!]
アグモンX[あいつは…]
一輝「両腕と両足にタービンみてえなのが付いてやがる…」
レオルモン[あいつはグラップレオモンだ!!僕が進化する形態の一つ!!]
一輝「レオルモン、進化だ!!」
レオルモン[うん!!レオルモン進化!レオモン!!]
成熟期へと進化するとレオモンはグラップレオモンを迎撃する。
一輝「おいシャッハ!!その子とアグモンを連れて遠くへ行け!!」
シャッハ「し、しかし…」
一輝「早くしろ!!こいつはお前が敵う相手じゃねえ!!」
スバル「あ!!」
一輝「っ、レオモン!!?」
スバルの声に反応して、レオモンの方を見遣ると、レオモンの刀がグラップレオモンの拳に砕かれていた。
アグモンX[レオモンが!!]
一輝「レオモン!!ヒット&アウェイだ!!」
レオモン[了解!!]
レオモンは一気にスピードを上げ、一撃を入れて距離を取る戦法を取る。
成熟期と完全体の力の差は凄まじいが、全くどうしようもないわけではない。
少しずつダメージを与えていけば勝てる。
しかし、一輝は失念している。
グラップレオモンはただの完全体ではない。
優秀な戦闘種族であるレオモンが進化する形態の一つなのである。
そのため、グラップレオモンが進化前のレオモンより能力が劣るはずがない。
グラップレオモン[高速タービン回し蹴り!!]
グラップレオモンはレオモンより遥かに速いスピードで動き、レオモンの脇腹に強烈な回し蹴りを喰らわせた。
レオモン[がっ!!]
蹴られた脇腹から何かが砕ける音がした。
グラップレオモン[獅子獣破斬!!]
追撃にグラップレオモンは腕のタービンを極限にまで高速回転させて、重力を捻じ曲げるほどの重い一撃をレオモンの腹部に打ち込む。
グラップレオモンの拳がレオモンの腹部を貫いた。
シャッハ「っ……!!」
思わずシャッハは手でスバルを目を覆う。
見かねたアグモンXがグラップレオモンに突撃した。
一輝「馬鹿!!無茶だ止せ!!」
アグモンX[ベビーバーナー!!]
通常のアグモンより一回り大きい火球がグラップレオモンに迫るが腕の一振りで掻き消す。
それでもアグモンXは諦めずにグラップレオモンに必殺技を放つが、逆にグラップレオモンに殴り飛ばされた。
スバル「アグモン!!」
アグモンX[ぐっ、まだまだ!!]
体当たりを喰らわせるが、いくら突然変異の進化を遂げたとはいえ成長期の攻撃など効かず、振り払われてしまう。
それでもアグモンXは立ち上がり、グラップレオモンに突撃する。
一輝「あ、あいつ…」
絶対に勝ち目がない相手に立ち向かうことはただの無謀に見えるかもしれない。
しかし、今の一輝の目にはアグモンXの背中が大きく見えた。
レオモン[か、一輝…]
腹に風穴が空きながらも起き上がろうとするレオモンを一輝は手で制した。
ポケットから“信念”の紋章を取り出す。
その時。
スバル「アグモン!!」
一輝「!!?」
スバルの声に反応した一輝が振り向くとアグモンXがグラップレオモンの足に背中を踏まれていた。
アグモンX[うぅ…!!]
グラップレオモンはアグモンXを踏み潰そうと足に力を込めた。
アグモンX[うわああああっ!!!!]
スバル「アグモーーーン!!」
スバルの叫びに反応するかのように、D-3から光が溢れた。
その光はアグモンXを包み込み、グラップレオモンを弾き飛ばした。
アグモンX[アグモン進化!グレイモン!!]
アグモンXが通常のグレイモンとは違い、角が鋭いのが特徴のグレイモンXに進化した。
一輝「普通のグレイモンと違う…!!?」
スバル「アグモン…なの?」
グレイモンX[そうだよ。今はグレイモンXに進化したんだ]
シャッハ「危ない!!」
グラップレオモンがグレイモンXに拳を繰り出すがグレイモンXは尾でたやすく防いだ。
そればかりか、尾を勢いよく振るい、グラップレオモンを弾き飛ばす。
グレイモンX[メガバースト!!]
通常のグレイモンのメガフレイムよりも強力な火球がグラップレオモンに迫る。
グラップレオモンはそれをかわすが、グレイモンXはそれを先読みしており、頑強な頭部の角をグラップレオモンに向け、突進した。
グラップレオモンは両腕を交差させ、それを防ぐが、グレイモンXの突進はグラップレオモンのタービンに罅を入れる。
そしてグラップレオモンに追い撃ちをかけるように瀕死のレオモンから強烈な光が放たれた。
レオモン[レオモン超進化!パンジャモン!!]
レオモンは極寒の地で修行を積んだレオモンが進化をした姿と言われているパンジャモンに超進化を遂げた。
一輝「よくやった。後は俺達に任せな」
パンジャモンはグラップレオモンに向かって突撃する。
グラップレオモンもパンジャモンを迎え撃つ。
両者の拳が激突する。
激突による衝撃波は、地面を陥没させたが、パンジャモンの冷気がグラップレオモンの拳とタービンを凍らせていく。
グラップレオモン[!!?]
パンジャモン[氷獣拳!!]
闘気がグラップレオモンの両腕両足のタービンを凍結させる。
パンジャモン[これで終わりにする!冷気功破斬!!]
闘気を斬撃を見舞うパンジャモン。
それはグラップレオモンの身体を切り刻み、粒子データと化した。
粒子データがD-3に吸い込まれ、D-3のディスプレイにデジタマが映る。
グレイモンXはアグモンXに退化した。
一輝「データを吸収した?」
変化前のデジヴァイスにはこのような機能などなかったために、一輝は混乱する。
しかし、人が公園に来ようとしている。
一輝「やべえ、逃げるぞシャッハ!!お前も気をつけて帰れよ!!」
シャッハの手を掴んで公園から去る一輝とパンジャモン。
スバルもアグモンXと共に公園を後にした。 
 

 
後書き
レオルモンの完全体はパンジャモンです。
しかし、歩く死亡フラグ持ちのデジモンだからやたらと死にかけているような…。 

 

第三十話 新たな仲間

 
前書き
お馴染みのオリキャラの彼とパートナーデジモンに会います。
アリサ「リリカルアドベンチャー、始まるわよ」 

 
湖を出た子供達は、村を探して森を歩いていた。
すずか「大輔さん。デジタルワールドの村ってどういう所なの?」
ふと気になっていたことをすずかは大輔に尋ねる。
大輔「ん?ああ、基本的に幼年期のデジモン達が暮らしてるんだけど、力が弱い成長期や成熟期が暮らしてる村もある。」
フェイト「ということは、チビモンの村とかあるのかな?」
なのは「ツノモンの村とかも…」
大輔「多分な」
チビモン[(何処かにあるのかなあ…私だらけの村)]
チビモンはちょっとだけわくわくしてたりする。
しばらく歩くと、ふとアリサが何かを見つけた。
アリサ「あら?」
コロナモン[アリサ?]
足を止めたアリサをコロナモンが不思議そうに見つめる。
全員がアリサが見つめている方角を見遣るとそこには…。
大輔「建物…?」
ユーノ「多分、何かの研究施設だと思います。」
賢「…見てみよう」
子供達は研究施設に近づくと、デジモン達が鼻を押さえる。
すずか「どうしたの?」
すずかが不思議そうにデジモン達を見遣る。
ルナモン[な、何か鉄臭い…]
ブイモン[これは…血の臭い…?]
ブイモンが顔を顰めながら呟く。
アリシア以外の子供達はブイモンの言葉に不吉な何かを感じた。
大輔「…調べてみよう」
賢「アリシアはここに残るんだ。いいね?」
アリシア「は~い」
アリシアとプロットモン以外の子供達とパートナーデジモンが研究施設の中に入る。


































研究施設の中は機械の駆動音がする。
どうやら研究施設の電気系統はまだ生きているようだ。
ガブモンX[中だと臭いがもっと酷いな…]
子供達は研究施設に充満する臭いに顔を顰めながら奥へと進む。






























通路をしばらく進むと通路内の扉が開いた。
扉の近くに、人影が立っていた。子供のようだ。
遠くからではよく分からない。
どさりと、その人影が崩れ落ちた。
大輔「な…んだ?」
大輔は人影に駆け寄る。
大輔「…うっ…!!?」
すずか「きゃああああっ!!?」
子供は腹の部分が大きく刔られていた。
内臓が見える。
あまりの悍ましさに危うく、大輔は吐きそうになった。
扉が、風に煽られてかたかたと音を出している。
フェイト達を見遣ると顔を真っ青にして死体を見ている。
大輔は見た。
見てしまった。
扉の先には、無数の死体が転がっていた。
しかも死体の殆どが、フェイトやなのは達と変わらない年頃の子供のものだった。
大輔「な…何なんだよ、ここは…」
賢「もっと調べてみよう。もしかしたら生存者がいるかもしれないし。ここがどういう研究施設なのか分かるかもしれない。」






























子供達は更に奥へと進むと、扉が開かれている部屋を見つけた。
プレートを見ると資料室のようだ。
大輔「資料室か…」
賢「入ってみよう」
大輔達は警戒しながら資料室に入る。






























アリサ「な、何よこれ…!?」
アリサは震えながら言う。
資料室にあったのは、壁一面にある脳のホルマリン漬けである。
ユーノ「酷すぎる…!!」
賢「これは…」
部屋の中央に置いてあるパソコンを見つけた。
電源を入れる。
どうやらデータはまだ生きているようだ。
パソコンの前に座り、賢は検索を始める。
賢「7月、No.11、廃棄処分。8月、No.7廃棄処分…これは…」
検索をする度に賢の表情が険しくなる。
賢「……これは人造魔導師の記録だな…」
なのは「え…じゃあ廃棄処分って、まさか…」
賢「考えたくないが、恐らくは…“廃棄処分”か。人造生命体は自然と人工の差はあっても生きていることには変わりはない…。ここの人間は命をタンパク質の集合体とでも思っているのか!!?」
苦い表情をしながら賢はキーボードを叩き、情報を検索する。
すずかがそれを補佐し、セキュリティなどを解除していく。
名簿や、日誌などが発見された。
賢「9月7日、№1127、1128、1129、1130を戦わせる。1130が勝利。1127、1128、1129を廃棄…」
フェイト「酷い…」
ディスプレイを見つめる、フェイトの顔色が変わっていく。
日誌にあったのは、人造魔導師の教育の記録だった。
一定の戦闘訓練を施した子供を、デバイスを持たせて戦わせ…殺し合わせている。
大輔「そんな…何だよこれ…毎日毎日訓練させて…同居の子供達で殺し合わせて、殺すことと殺されることしか教えてなくて…この施設の子達はずっとこんな…」
大輔は拳を握り締めながら言う。
賢「明らかに違法だな…外道だ。…僕に言えることじゃないが…」
賢は既に死んでいる研究員達に向けて吐き捨てるとパソコンの電源を切る。
大輔「…探そう。生存者がいたら保護しないと……」
ユーノ「…はい」
子供達は研究所の奥へと向かう。






























奥へと向かうと、破壊された扉ががあった。
子供達は破壊された扉を強引に開ける。
?[誰だ!?]
人影がこちらを振り向いた。
大輔「待ってくれ、ここの生存者か?助けに来た。」
?[生存者?]
影が首を傾げた気がした。
ツカイモンは部屋の明かりを点けた。
明るくなった部屋に子供達は目を細めた。
そこには、人間の子供に似たデジモンと…。
フェイト「あれは…!?」
なのは「クロノ…君…?」
カプセルの中に入っていた少年はフェイト達がよく知る仲間に酷似していた。
賢「No.1581…ルカ。」
はやて「え?」
賢「この子の製造番号だ。オリジナルはクロノ・ハラオウン。年齢はage7とあったから7歳だろう。他の人造魔導師よりもずば抜けた能力を持っていたから、特別に“名前”を与えられた個体…今から随分前に封印されているようだけど…まだ生きている…」
賢は機器を見ながら呟いた。
?[な、なあ…こいつを出してくれよ!!]
賢「君は?」
?[俺はフレイモン。こいつのパートナーだ。]
フレイモンが片手に持っているのはD-3。
大輔「こいつも選ばれし子供か…出してやろうぜ。このままここにいるのは可哀相だ」
フェイト「お願い賢…!!」
フェイトが懇願するように言う。
同じ人造生命体だから放っておけないのだろう。
賢「分かった。すずか、手伝ってくれ」
すずか「はい!!」
賢とすずかは機器を操作した。
カプセル内の液体が排出され、子供が崩れ落ちるが大輔が間一髪で支えた。
大輔「皆、施設の中を探して服を持ってきてくれ」
フェイト「分かった!!」
フェイト達は施設内を探し始めた。
大輔「しかし、何でここの研究員達や子供達が皆死んでるんだ?」
賢「恐らく内乱だろう。彼等も研究員達の横暴さに耐えられなかったんだろう。自由を得るために戦って死んだんだ」
大輔「…そんなの…馬鹿げてる…ここにいる子供達は皆、なのは達と同じ位なんだぞ…?なのに何で死ななきゃいけないんだ!!?」
賢「…そうだな…普通なら許されないことだ。どんな理由があっても命を弄んでいいなど絶対に無い。数々のデジモンのデータを利用してキメラモンを造った僕が言っても説得力なんかないけど…」
賢は機器のディスプレイに出ている文字を読んだ。
賢「新世代型人造生命体No.1581……レアスキル…トランス…。有機質による強化により、従来の変身魔法の概念を覆すもの…姿形、声などを真似るくらいしか出来ない物に比べて細胞レベルの変身能力で対象の能力全てをコピー出来るのか…」
そして服を探しに行っていたフェイト達が戻ってきた。
死んでいた人造魔導師達が着ていた簡素な服と靴。
大輔は急いで服を着せた。
服を着せると大輔は子供を背負う。
はやて「ここの資料とかも持って行った方がええかな?」
ユーノ「そうだね、僕が預かるよ。」
はやてが拾った資料やデータディスクをユーノが預かる。
「うぅ…」
なのは「起きた!!大丈夫?ルカ…君?」
ルカ「誰…?僕は…」
大輔「大丈夫だ。助けに来た」
ルカ「助けに…?」
賢「ここから出よう。ここを爆破しないと」
なのは「爆破って…どうやって…?」
賢「こういう違法研究施設には秘密保持の為に自爆装置が取り付けられている物さ。運よくここの電気系統は生きているから、ここからメインコンピュータにハッキングして自爆装置を作動させる。すずか、サポートを!!」
すずか「はい!!」
賢とすずかは機器を弄り始めた。
子供達とデジモン達は静かに賢とすずかの作業を見守るのみ。
賢「…よし!自爆装置を作動させた!!10分以内にこの施設から脱出するんだ!!」
大輔「皆、脱出だ!!」
子供達は自爆の警告が鳴り響く施設を駆ける。
途中で見た人造生命体達にどうか安らかに眠れるようにと願いながら。






























研究施設が凄まじい轟音をたてて爆発した。
この爆発では恐らく施設内の死体は完全に塵となっただろう。
子供達とデジモン達は黙祷を捧げた。
ルカはそれをただ静かに見守っていた。






























フェイト「まだ、あそこにいるんだ…」
アリサ「仕方ないわよ。あんな最低なとこでも自分が生まれた“場所”なんだから」
すずか「そうだよね…」
大輔「ルカ」
ルカ「…?」
振り向いたルカに大輔は手を差し出す。
大輔「一緒に行こう。今日から俺達がお前の居場所になるから」
ルカ「居場所…?」
大輔「一緒にデジタルワールドを冒険しよう。だから仲間になって欲しい」
ルカは大輔を不思議そうに見る。
ルカが知る人間という生き物はこちらを道具のように見て扱い、能力が低ければゴミのように廃棄する傲慢な生き物であった。
大輔「今までされてきたことを考えれば当然だよな。信じられないのは。でもルカ。俺はお前を道具だなんて考えていない。信じてくれ」
ルカ「…うん」
大輔「もし、裏切ったら…そうだな。いくらでも怨んでもいいから」
ルカ「…分かった」
こうして大輔達は新たな仲間を得て、一夜を明かした。
 
 

 
後書き
オリキャラの設定を無知ではなく記憶持ちに変更。 

 

第三十一話 紅蓮の獅子

 
前書き
コロナモン進化話。
すずか「リリカルアドベンチャー、始まります」
 

 
新たな仲間を迎え入れた大輔達は森の中を歩いていた。
時折目を擦ったり欠伸をする子供もちらほらいる。
大輔「おい、ルカ。きつくなったら言えよ」
ルカ「平気」
流石に封印前までは施設で戦闘訓練漬けの毎日だった為か、年齢以上の体力がある。
不意に上空から飛行機のエンジン音に似た奇妙な音が聞こえてきた。
子供達は空を見上げた。
一瞬、何か黒い物が視界に入ってきた。
それは木々の上を横切りあっという間にどこかへと飛び去っていく。
大輔「……歯車みたいだったな」
はやて「空飛ぶ円盤やないの?」
なのは「歯車型の隕石だったりして」
ルカ「…デジモンじゃないかな?」
賢「まあ、歯車に似たデジモンもいるしあながち間違いじゃないかもね」
アリサ「……何にしても、いい感じのするもんじゃないわね」
そう、アリサが呟いた時だった。
アリシアが盛大に転んだのだ。
フェイト「あ…っ!!」
フェイトが駆け寄ろうとした時。
ルカ「大丈夫?」
ルカが手を差し出してアリシアを立たせる。
アリシア「うん、大丈夫!!」
大輔「……」
大輔は心配そうに手をアリシアに向けたまま呆然としているフェイトに視線を向けた。
大輔「まあ、気にするなよ。な?」
フェイト「……うん」
少し間があったがフェイトは頷いた。
賢「(それにしても何であの施設はデジタルワールドにあったんだ?まさかルカがデジタルワールドに呼ばれる時に巻き込まれたのか?それとも…)」
はやて「賢兄~、何してるんや~?置いてくで~!?」
賢「あ、ごめん」
賢は考え事を中断して、はやて達を追い掛けた。


































ギラギラと降り注ぐ太陽光。
子供達は目の前に広がる景色を見据えた。
乾いた大地。
木なんてどこにもなくただただ剥き出しの地面がどこまでも続いている。
砂漠に似合わない電柱が立っているが、子供達は気にはしなかった。
大輔と賢はこういう非常識には慣れているし、フェイト達は最初は戸惑っていたが慣れ、ルカに至っては大輔達の世界の常識を知らない。
アリサ「暑い……」
コロナモン[アリサ、大丈夫か?]
アリサ「コロナモン、それ以上近づいたら殴るわよ」
暑さのせいで頭が上手く働かない。
額から滑り落ちてくる玉のような汗を拭いながらうんざりしたようにアリサは溜め息をついた。
しかしどれだけ弱音を吐こうとも前に進まなければ状況は変わりない訳であり、子供達は汗を拭いながら着々と砂に足跡を付けていく。
だが、そろそろデジモン達も限界が近付いてきているようで、ぐったりとルナモンが弱々しく声を洩らした。
ルナモン[うう…]
すずか「暑いのルナモン?」
ルナモン[氷欲しい…お水飲みたい…]
氷属性を持つルナモンには砂漠の熱気は厳しいらしい。
賢「ほら、すずか。これを飲ませて」
賢は持参していた水筒を渡す。
すずか「あ、はい」
すずかは水筒を受け取るとルナモンに飲ませる。
大輔「……しかし、歩いても歩いても何も見えてこないな。これ以上歩いても何も無かったら森に戻ることも視野に入れておいた方がいいかもしれないな」
ユーノ「このままだとみんなバテてしまうかもしれないですし」
大輔の意見に頷くユーノ。
フェイトも同じように頷いた。
ルカ「…?」
ぽつぽつと建つ電信柱だけの景色を滑るように流し見していくと、その中に何か奇妙なものが見えた気がしてルカは目を凝らした。
船が浮かぶ少し大きめの池。
そして整然と並ぶ屋根がルカの視界に飛び込んできた。
ルカ「あれ…」
ルカは屋根が見えた方向を指差した。
大輔「ん?あれは!!」
大輔はルカが指差した方向を見遣ると目を見開いた。
なのは「村だあ!!」
なのはが驚きと喜びに満ちた声を上げた。
大輔「行ってみよう!!」
子供達は向こうに見える村に向かって走り出した。

































子供達が辿り着いた村はサンモンの村だった。
サンモン達が住む住居はテントのようなものだ。
子供達は周りを見るとサンモン達が畑を耕していた。
畑に植えられているのは野菜と…。
アリシア「…お肉……?」
畑に植えられているのは野菜の他に漫画で出てくるみたいな骨付き肉だった。
プロットモン[へえ、ここじゃあ肉の種がよく採れるのかしら?]
アリシア「へ?お肉の種…?」
プロットモン[どうしたのよアリシア?変な顔して?お肉は畑で採れるのは常識じゃない。なのは達の世界では違うの?]
呆然としているアリシアにプロットモンは不思議そうな顔をする。
ブイモン[あー、プロットモン。違うんだよ。大輔達の世界じゃあ、肉は店に行かないと手に入らないんだよ。]
フレイモン[店じゃないと手に入らないって変な世界だな。]
フレイモンが微妙そうな顔をして言う。
ガブモンX[肉畑で取れた新鮮な肉は美味しいんだよ。]
なのは「そ、そうなんだ…」
気づくとサンモンらはコロナモンを取り囲んでいた。
どうやらコロナモンがどうやって進化したのかが気になるらしい。
[コロナモン、どうやって進化したんだ?]
コロナモン[え?あー、アリサと一緒にいたら、いつの間にか進化したんだ]
[[[へえー!!]]]
アリサ「もう馴染んでる」
大輔「やっぱり幼年期が同じだと馴染みやすいんだろうな」
コロナモン[アリサー!!サンモン達がご馳走してくれるってよ!!]
ギルモン[本当か!?もうオラ腹ペコペコだ~]
コロナモンの言葉に子供達は喜んだ。
アリシアは噴水を見つけると走って行く。
[この辺りはみんなミハラシ山に水源があるの。]
[とーってもおいしいんだ!!]
なのは「ミハラシ山って…あの山?」
キョロキョロと辺りを見渡すと、大きな山があった。
サンモン達が言うミハラシ山とはそれであろう。
突然、子供達の目の前にあった井戸の中から火柱があがった。
大輔「ど、どういうことだ?」
賢「あっちに池があるから行ってみよう!!」
子供達は池まで走って行ったが、池には水がなく、船もその正しい役目を果たしていなかった。
他の井戸も同じで水がなく、時折火柱があがるのだった。
ユーノ「ミハラシ山に何かあったんじゃ…?この状況は明らかにおかしいですよ!!?」
大輔「ルカ見えるか?」
ルカ「待って…」
この中で視力が良いルカがミハラシ山を見つめる。
山の頂上から噴き出す炎と、凄まじい勢いで山を滑り降りて来る1体のデジモンがルカの視界に飛び込んできたのだ。
ルカ「あれ…何?」
頂上の炎は、最早肉眼でも視認出来るほどに燃え上がっている。
賢「メラモンだ!!」
山から降りてくるメラモンを見て賢が叫ぶ。
メラモンが山から降りてきた。
それだけでサンモンの村はパニックに襲われた。
メラモンは先程の荒野を横切り、着々とこの村へ近付いてきている。
逃げるための時間なんて、無いに等しい。
大輔「皆、あの船の中に避難するんだ!!」
子供達とサンモンらは池だった穴にあった船の中に避難することに決めた。































大輔「こっちだ!!」
フェイト「足元に気を付けて!!」
賢「慌てないで、落ち着いて前に進んで!!」
アリシア「早く!!早く中に入って!!」
すずか「皆、大丈夫!?」
大輔達はサンモン達を船へと誘導する。
アリサ「ねえ!!コロナモンは何処!?」
大輔「何!?いないのか!?」
ルカ「コロナモンなら向こうだよ!!大丈夫だから、先に行けって…」
アリサ「え!?」
アリサが湖の辺を見るとサンモン達を誘導しているコロナモンの姿があった。
アリサ「あの馬鹿!!何1人で無茶してんのよ!!」
すずか「アリサちゃん!!」
パートナーデジモンの目前に迫る危機に、居ても立ってもいられなくなったのか、アリサが飛び出してしまう。






























コロナモン[ふぅ…]
アリサ「コロナモン、後ろーっ!!」
コロナモンがサンモン達を誘導し終え、一息ついた時だった。
真後ろまで来ていたメラモンに攻撃されてしまったのだった。
アリサ「コロナモーーーン!!!!」
アリサはコロナモンの元に一目散に駆け寄ると、その小さな体が叩きつけられる前にコロナモンを抱え上げる。
コロナモンを庇って地面に転がったアリサは、ボロボロになったコロナモンに呼びかける。
アリサ「コロナモン、大丈夫?」
コロナモン[アリサ…来てくれたのか…?]
アリサ「当たり前よ…あんたは私のパートナーなんだから…」
コロナモン[…サンキュー]
コロナモンはアリサの腕から出るとメラモンを睨みつけた。
コロナモン[もう大丈夫だ!!もう俺は負けない。ぶっ飛ばしてやる!!]
コロナモンが叫んだ時、D-3から進化の光が放たれた。
コロナモン[コロナモン進化!ファイラモン!!]
朱い四足歩行の獣で、炎がヘッドギアや尻尾等の防具から灯され、朱色の翼に金色のライオン(百獣の王)を思わせる雄々しい鬣を靡かせた“空を駆ける獅子”の異名を持つ獣型デジモン、ファイラモンに進化した。
ファイラモンはメラモン目掛けて飛翔した。
メラモン[バーニングフィスト!!]
メラモンは掌に火球を生み出すと飛び回るファイラモン目掛けて放った。
ファイラモンは火球を前足の爪で切り裂いた。
ファイラモン[ファイラボム!!]
ファイラモンは額に全身の力を集中して放つ火炎爆弾、ファイラボムを放った。
ファイラボムはメラモンの手前で爆発し、メラモンは爆風によって吹き飛んだ。
ファイラモンはメラモンが地面に叩きつけられたのを確認すると全身に炎を纏った。
ファイラモン[フレイムダイブ!!]
全身に炎を纏い、空から急降下突撃をするフレイムダイブを繰り出し、メラモンに直撃させた。
いくら炎に耐性はあってもダメージは逃れられない。
不意に、メラモンの背中から小さな歯車が飛び出した。
それは真っ直ぐ上空を目指して飛んでゆき、小さな音をたてて弾けて消える。
大輔「あれは…」
フェイト「さっきの歯車…?」
賢「どうやらあれに操られていたようだね」
はやて「あれがメラモンが暴れていた原因なんか…?」
子供達の疑問は尽きなかったが、サンモン達にご馳走を振る舞われ、子供達はその疑問を隅に追いやった。
余談だが畑で採れたばかりの肉はとても美味しかったのか、子供達とデジモン達の側にはいくつもの骨が散乱していた。


































そして現実世界では、公園から戻ってきた一輝達はカリムへのプレゼントをケーキにした。
一輝「悪いな、プレゼントがケーキで…」
カリム「そんなことはありません。一輝さんからのプレゼントなら何でも嬉しいです」
一輝「…ありがとな。さてと俺達もケーキ食うか……」
レオルモン[一輝ーーーっ!!デジモンだよ!!]
一輝「はあ!!?」






























外に出ると、確かにダークティラノモンが暴れていた。
一輝「全くどうなってやがる?現実世界とデジタルワールドの境目が目茶苦茶になってんのか?」
頭を悩ませる一輝。
しかし、ダークティラノモンの咆哮に思考を中断する。
一輝「仕方ねえ、行くぞレオルモン!!」
レオルモン[うん!!]
一輝「向こうの世界の管理者共は何してやがる!!もし会ったら微塵に砕いてやるぜ!!」
この世界のデジタルワールドの管理者への怒りを抱きながらダークティラノモンに突進するのだった。
 
 

 
後書き
無印でもヴァンデモン侵攻前にも現実世界にデジモンが現れていたので、一輝は本格参戦まで現実世界で戦ってもらいます。 

 

第三十二話 更なる異常

 
前書き
デジタルワールド、クラナガンに続いて新たなる異常が発生。
アリシア「リリカルアドベンチャー、始まります!!」
 

 
デジタルワールドでは大輔達が、クラナガンでは一輝が異常に応対している頃。
はやての家に居候しているダスクモンは異常を察知し、大輔達が向かったキャンプ場とは違う森に来ていた。
ダスクモン[この辺りのはずだが…]
デジモンのデータ反応を感知したダスクモンはここの調査に来ていた。
突如背後に気配を感じ、ブルートエボルツィオンを振るった。
そこには…。
[が…あぁ…]
ダスクモン[イガモン…?]
そこには半透明のイガモンであった。
ブルートエボルツィオンによる斬撃で両断され、まるで靄のように消滅した。
ダスクモン[デジモンではない…ダークエリアに送られるはずの残留思念のデータか…]
ブルートエボルツィオンは斬り裂いた相手からエネルギーを吸収する特性を持っている。
力を吸収した感覚がしないということは本来ダークエリアに送られるはずの残留思念がこの現実世界で幽霊のような形で出現したようだ。
そしてダスクモンに群がる亡霊達。
実体を持たないためか、木をすり抜けている。
実体を持たないのにダスクモンが亡霊を倒せたのは…。
ダスクモン[(俺も奴らと同じ、ダークエリアの住人だからか…)]
ブルートエボルツィオンによる攻撃が効くと分かっているため、ダスクモンはゴーストムーブによる瞬間移動で一気に亡霊達を数体斬り裂いた。
次に亡霊のメガドラモンが必殺技を繰り出そうとした時、ダスクモンはゴーストムーブでメガドラモンの眼前に現れるとブルートエボルツィオンで眼球を潰した。
視覚から得られる敵の情報は多大だ。
目が潰れてしまえば、相手の位置を把握するのが非常に困難になるのは勿論、相手が何をしているのかも分からなくなる。
それに、如何なる生物…ひいてはデジモンであっても眼球は柔らかく、容易く刃で貫き通せる。
ダスクモンを構成する一部の残虐なデータが、彼にそう教えていた。
ダスクモン[はああああ!!]
亡霊のメガドラモンの胸にX字の傷を深々とつけた。
とどめとばかりにブルートエボルツィオンでメガドラモンの胸を貫く。
するとイガモンのように靄となって消えた。
次々とダスクモンに群がる亡霊達。
まるでダスクモンの血肉を欲しているかのよう。
ダスクモン[ふっ、来るがいい。貴様らが束になって来たところでこの俺は屠れん!!]
ブルートエボルツィオンを構え、亡霊達に突撃するダスクモン。
静かな森林を漆黒の竜巻が荒れ狂った。


































そしてミッドチルダの主要都市、クラナガンでもデジモンが町で暴れており、一輝はそれの処理に追われていた。
一輝「畜生!!ぜってえにデジタルワールドの管理者をぶん殴ってやる!!」
パンジャモン[冷気功!!]
全身から放たれた闘気が、周囲のデジモンを凍らせる。
グレイモンX[メガバースト!!]
途中で会ったスバルとグレイモンXもモノクロモンを撃破し、ようやく息をつける。
一輝「ふう…大丈夫か?」
レオルモン[何とかね…]
パンジャモンからレオルモンに退化し、グレイモンXもアグモンXに退化した。
スバル「お疲れアグモン」
アグモンX[うん、お腹空いたなあ…]
スバル「お家に帰ろう?きっとご飯出来てるよ」
一輝「今日はありがとな。マジで助かったよ」
スバル「あ、うん」
一輝「またな」
レオルモンを連れて逃げるように教会に向かって走り出す一輝にスバルもこちらに向かって来る足音に気づいて走り出した。































~おまけ~

時間軸は一時的に元の世界に帰還した時。

伊織は曲がったことが嫌いだ。
でも、最近分かってきたことがある。
世の中は白と黒じゃ割りきれない。
今まで敵として戦ってきた一乗寺賢と共闘している大輔とブイモンとは違うデジモン(大輔のもう一体のパートナーらしい)に伊織は不快感、いや、怒りを覚えた。
どうして大輔が一乗寺賢と共にいるのか。
また何か良からぬ事を考えているんじゃないか?
たった一度助けられただけで、そう考えるのは早い。
それに彼は敵とはいえ、デジモンを殺したのに。
大輔は甘いのだ。
彼はまだ改心なんかしてない。
伊織は竹刀を振りながら、そう考えを新たにした。
学校からの帰り、伊織は母から頼まれていた日用品の買い物に、田町方面へと足を向けた。
買い物を済ませ、久しぶりに通る道。
そしてしばらく歩いていると一乗寺賢が子犬に餌を与えているのを見た。
とっさに隠れようとしたが、荷物がかさばって、すぐには動けない。
音をたててしまう。
気配を感じたのか、一乗寺賢が振り返る。
賢「あれ?君は確か、大輔の後輩君だったね」
伊織「火田伊織です…どうしてその子犬に餌を与えているんですか?」
賢「ん?僕は前にこの犬に暴力をふるったんだ…だから、罪滅ぼしのためかな…。」
やっぱり彼はここでも罪を犯している。
でも、犬は彼に懐いているようだ。
犬に特別好かれる体質とか?
それはないだろう。
なら、何故?
伊織「いつから…?」
賢「正気に戻ってからかな?時々大輔と一緒に餌をやるけど」
時々、大輔と賢の関係が分からない。
協力関係にあるのは間違いないのだろうが、一日ごとに大輔と疎遠になっていく自分達とは違い、大輔と賢は長い付き合いをしているかのような友好関係のように見えた。
伊織「どうして大輔さんはあなたを親友だなんて…あんなことをしたあなたを…」
賢「…言い訳はしないよ。罵りたいなら好きなだけ罵ってくれて構わない。僕がデジタルワールドやデジモン達を傷つけたのは事実だからね」
伊織「あなたはそうやって上から目線で人を見下すつもりですか?」
鋭く賢を睨む伊織。
賢「一応言っておくけど、僕は別に許して欲しいから罪滅ぼしをするわけじゃない。ただ、自分がしたことへのケジメをつけなきゃと思ってね…例え誰が何と言おうと、僕は自分のしたことから逃げるつもりはない」
それだけ言うと、賢は犬を撫でてからこの場を後にした。
彼はデジタルワールドでサンダーボールモンを殺した…。
今の一乗寺賢とデジモンカイザーだった頃の一乗寺賢。
どちらが本当の一乗寺賢なのか分からなくなり、伊織はうなだれた。






























進化経路

本宮大輔&ブイモン

ブイモン(アーマー進化)→フレイドラモン(ライドラモン&その他)→ゴールドブイドラモン(サジタリモン)→マグナモン→マグナモン→マグナモンX
今回の作品のブイモンはアーマー進化のみで戦うことにします。
アーマー進化のみではパワー不足が否めないため、一部のアーマー体に特殊能力を付加させます。

フェイト・テスタロッサ&チビモン

チビモン→ブイドラモン→エアロブイドラモン→アルフォースブイドラモン→アルフォースブイドラモン・フューチャーモード

一乗寺賢&ワームモン

ワームモン→スティングモン→ジュエルビーモン→バンチョースティングモン(暗黒進化でベルゼブモン)→ベルゼブモン・ブラストモード→ベルゼブモンX

八神はやて&ギルモン

ギルモン→グラウモン→メガログラウモン→カオスデュークモン(デュークモン)→デュークモン・クリムゾンモード

高町なのは&ガブモンX

ガブモンX→ガルルモンX→ワーガルルモンX→メタルガルルモンX→オメガモンX

ユーノ・スクライア&ツカイモン

ツカイモン→ウィザーモン→ミスティモン→デュナスモン

アリサ・バニングス&コロナモン

コロナモン→ファイラモン→フレアモン→アポロモン

月村すずか&ルナモン

ルナモン→レキスモン→クレシェモン→ディアナモン

アリシア・テスタロッサ&プロットモン

プロットモン→ダルクモン→エンジェウーモン→オファニモン

ルカ・ハラオウン&フレイモン

フレイモン→アグニモン→ヴリトラモン→アルダモン→カイゼルグレイモン→スサノオモン

秋山遼&ドルモン

ドルモン→ラプタードラモン→グレイドモン→アルファモン→アルファモン王竜剣

伊藤一輝&レオルモン

レオルモン→レオモン→パンジャモン→ドゥフトモン→ドゥフトモン・レオパルドモード

スバル・ナカジマ&アグモンX

アグモンX→グレイモンX→メタルグレイモンX→ウォーグレイモンX→オメガモンX

ギンガ・ナカジマ&クロアグモン

クロアグモン→ブラックウォーグレイモン(リミッターで成熟期→完全体→究極体)→ブラックウォーグレイモンX

ティアナ・ランスター&ストラビモン

ストラビモン→ヴォルフモン→ガルムモン→ベオウルフモン→マグナガルルモン→スサノオモン 
 

 
後書き
デジタルワールドの管理者共が無能なせいで異常発生。
ダスクモンと一輝達が応対中 

 

第三十三話 優しい未来

 
前書き
少し前話がグロかったのでほのぼのとした未来話。
遼「リリカルアドベンチャー、始まるぜ」
 

 
これは大輔達がデジタルワールドの冒険を終えて、闇の書事件を終結に導いた後のお話。

大輔達はリンディの粋な計らいで連れてこられた会場でパーティーをしていた。
大輔「すげぇ量の飯だな。」
リンディ「それはそうよ!!これだけデジモンが…特に古代種のデジモンが集まってるんですから、こっちだってそれなりの覚悟で臨むわよ」
ブイモン[違いないや]
この面子のデジモン達は皆、究極体への進化と特別な進化を遂げることが出来る者ばかり。
エネルギーの消耗が元から激しい古代種が大半を占める大輔達の選ばれしデジモン達は大量のご馳走に目を輝かせた。


































なのは「…いつも思うんだけど、本当によくそんなに食べられるよね…」
ガブモンX[ん?そうかなあ?]
すずか「…うん。もし、ブイモン達が現実世界に存在する生き物だったらぶっちぎりで大食いの世界チャンピオン候補になれると思う」
ブイモン[仕方ないだろ?俺達はエネルギーの消耗が激しいんだからさ]
大輔「ついでに食い物の消化も早いよな」
チビモン[私達はね、燃費が悪いの。だから食べ物の消化が早い…んだと思う]
アリサ「あんた達自身のことも分かんないの?」
ツカイモン[…今までは当然のように思っていたから、考えたことはなかったな……]
フェイト「特にブイモンはオーバードライブを多用するから尚更だろうね」
オーバードライブ。
ブイモンが奇跡の紋章の力で手にした新たなる力。
デジメンタルの力を限界を超えて出力させ、一時的な限界突破を果たす能力。
簡単に言えば古代種のオーバーライトを自力で発動するような物。
しかし、使用には多大な負荷がかかるために、ブイモンはこのメンバーでは一番飯を食う。
アルフ「喉詰まらせんじゃないよ?」
ブイモン[はは!!大丈夫…ん゙ん゙…っ!!]
言ってるそばから喉を詰まらせるブイモンにアルフは呆れながら水を差し出すと、ブイモンはそれを飲み干した。
ブイモン[ぷはあ~!!サンキューアルフ!!]
アルフ「全くあんたは言ってるそばから…」
ブイモン[悪い悪い]
ユーノ「あっちはあっちで夫婦みたいだし…」
ティアナ「多分、二人の元になってるのがあの二人だから…」
ティアナの視線は大輔とフェイトに向けられている。
視線に気づいた二人は赤面する。
はやて「賢兄、烏龍茶やけど…」
賢「ああ、ありがとうはやて」
肉料理を食べていた賢は烏龍茶の入ったコップを受け取ると、それを飲む。
はやても料理を皿に盛り、食べるのを再開した。
ルカ「母さん、僕はこれとこれとこれを追加して欲しいんですけど…」
次々と注文するルカにギンガは満面の笑みを浮かべた。
ギンガ「あははっ。相変わらず、よく食べるね?」
ルカ「勿論。ギンガも食べるでしょ?」
ギンガ「うん♪」
ノーヴェ「負けるもんか!!私はこれとこれとこれ!!」
マシンガンのようなスピードで次々と料理を注文するノーヴェ。
ルカ「あ、すみませーん。牛乳とヨーグルト下さい」
牛乳とヨーグルトを注文するルカにギルモンが疑問符を浮かべる。
ギルモン[あり?おめえ、牛乳やヨーグルトが好きだったか?]
ルカ「好きだよ。それに僕は兄さんのように小さくなりたくないから」
クロノ「ルカ、それは僕に対する挑戦か?」
こめかみに青筋を浮かべながら問うクロノだが、ルカは無視する。
一輝「まあ、確かに誰かさんは背が低いよな。不健康な生活をしたせいで背が伸びないんだろうよ」
遼「だよなあ、初対面の時はなのはやユーノと同い年くらいかなと思ったし」
レオルモン[今でも小さいし]
ドルモン[確かに]
クロノ「…お前達は本当に僕を怒らせる天才だな……」
怒りのオーラを背負いながら睨むクロノ。
スバル「ルカ兄、あーん」
ルカ「?」
スバルがデザートのパフェのクリームを載せたスプーンをルカに差し出す。
こういうのに疎いルカはスバルの意図が分からず、???と疑問符を浮かべるだけ。
苦笑したすずかがルカに教えてやる。
すずか「スバルちゃんはルカ君に食べて欲しいんだよ」
ルカ「…そうなの?」
スバル「うん♪」
ルカ「じゃあ…」
パクッとクリームを頂くルカ。
スバル「どう?」
ルカ「うん美味しい。僕のヨーグルトもあげるよ」
スプーンにヨーグルトを一口分載せるとスバルに差し出すとスバルもパクりとヨーグルトを口にした。
そしてエイミィの悲鳴が響く。
エイミィ「き、きききき君達ぃ!!何、あ~んなんかしてるのを!!?」
全員【(また始まった…)】
ブラコンエイミィの暴走が始まる。
エイミィ「…まさか君達、一緒に仲良くあーんをする関係ってわけ?私がいない隙を突く気だったわけかい?邪魔さえ入ってしまわなければ好き放題出来るとでも…!!!?」
大輔「このブラコンは…」
アリシア「スバル達も大変だよね」
呆れたように見遣る大輔達に意を介さずエイミィは叫んだ。
エイミィ「っさせるもんかぁあっ!!ルカ君は、私が守るんだからああぁああっ!!!!」
クロノ「(あのエネルギーを職務に向けてくれれば…)」
ガオモン[(それは無理でしょう。マスター・クロノ)]
リンディ「(そうね。それは言わない約束よ♪)」
プレシア「全く、過保護にも程があるわね」
全員【(それをあんたが言うのか…)】
エイミィ「スバルちゃん!!て・ん・ち・ゅ・うっ!!!!」
エイミィは自身のパートナーデジモンであるララモンとの融合を終え、ワープ進化でロゼモンに究極進化。
進化前の呆れたようにエイミィを見遣るララモンの表情が妙に印象的だった。
ロゼモンの禁断の究極必殺技であるフォービドゥンテンプテイションを放とうとした瞬間。
破砕剣・ドラモンブレイカーがロゼモンに迫る。
それをロゼモンは鞭で弾いた。
エイミィ『くっ、私の邪魔をするとは何奴!!?』
ユーノ「いや、誰ですかあんた?」
ノーヴェ『そうはさせねえよブラコン。ルカ兄とスバル達の恋路は邪魔させねえ』
正体はノーヴェのウォーグレイモンが特殊なプログラム(遼曰くX抗体とほぼ同レベルのパワーアッププログラムらしい)で進化したビクトリーグレイモン。
エイミィ『くうぅ…!!ノーヴェちゃん、邪魔をしないで!!ルカ君をナカジマ家という魔の手から救うんだからぁっ!!!!』
ノーヴェ『笑わせんじゃヌェーーーっ!!あんたに邪魔されたら私のルカ兄が家族になるって夢が叶えられないだろうが!!!まずはスバルかギンガに口説いてもらって次に私が…だからルカ兄達を守ろう、あんたという真の魔の手から!!!!』
エイミィ『やるっての!!?』
ノーヴェ『望む所!!あんたの下らないブラ魂(ブラコン魂)なんぞ消し炭にしてくれるわぁぁああっ!!!!』
エイミィ『負けるもんか!!でやあああぁぁっ!!!!』
ノーヴェ『舐めんなよ!!うおりゃあああぁぁっ!!!!』
龍虎相打つ!!
といった感じでバトルを始める二人。






























そんな二人を遠目で見つめる子供達&大人達。
カリム「何だか、激闘という形になってしまいましたね…」
一輝「ああ。何故こうなった」
プレシア「…本当に仲がいいわねあの子達…」
リンディ「エイミィはルカのことを本当の弟のように可愛がっているから…」
シャッハ「あれは少し異常なのでは…?」
カリム「でも弟想いなんですね」
一輝「いや、うん。まあ、間違ってはいない。うん」
アリサ「どうなるのかしらあれ…」
アリシア「多分ノーヴェが勝つよ」
プロットモン[あ、言ってるそばからエイミィが負けたわ]
ノーヴェ「私の勝ちだああぁっ!!ざまあみろブラコン!!」
エイミィ「うわぁぁんっ!!ノーヴェちゃんに負けたぁぁあっ!!!!」
全員【早く食べようよ】
呆れたような表情をした全員のツッコミがエイミィ達に炸裂した。
 
 

 
後書き
クロノのパートナーはガオモン、エイミィはララモンです。 

 

第三十四話 氷華の兎

 
前書き
ルナモン進化の回。
そして…。
ブイモン[リリカルアドベンチャー、始まるぜ]
 

 
ルナモン[暑い…]
いきなりルナモンがガクッと崩れ落ちた。
蒸し蒸しとした暑さが子供達とデジモン達を襲う。
太陽の光は容赦なく降り注ぎ、子供達とデジモン達から余裕を奪っていく。
周りの景色が歪んで見えるほど、地面から熱気が立ち上る。
大輔「相変わらず砂漠は暑いぜ…」
ブイモン[本当に嫌になるよ…]
フレイモン[そうかあ?]
コロナモン[俺は全然平気だけどな]
ツカイモン[…君達は炎属性のデジモンだからだろう……]
ツッコミを入れながらツカイモンは汗を流しながら羽を動かす。
ガブモンX[……暑い]
なのは「ガブモン…」
ガブモンX[……暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い…]
ブイモン[うるさい!!]
ガブモンXの頭をブイモンは殴って黙らせた。
ユーノ「少し休もう。歩き詰めでしたし」
延々と歩き続け、疲れきってい子供達は樹の木陰で休んでいた。
木陰は涼しく、歩き続けて身体が火照っていた子供達が休むにはもってこいであった。
子供達が樹にもたれながら休んでいる間、賢はちゃっかり施設から持ち出したノートパソコンを取り出し、起動を試みた。
賢「やっぱり動かないか…施設内では使えたのにな…改造するしかないかな」
施設を出てから何回もパソコンの起動を試みていたが、1度も起動出来ていない。
すずか「起動しないんですか?」
すずかが賢の隣に腰を下ろす。
賢「うん。いつか改造しようと思ってる。冒険の役に立つかもしれないからね」
すずか「その時は私も手伝います。そういうの得意ですし」
賢「助かるよ」
はやて「………」
仲よさ気に話す賢とすずかをジト目で見遣るはやて。
ギルモン[はやて?]
ギルモンははやての様子に首を傾げた。
はやて「何でもあらへん…何でも…グス…」
ギルモン[は、はやて!?ど、どうしたんだ!?どこか痛えのか!?]
ふて腐れたような態度のはやてにギルモンは慌て始めた。
ルカ「ねぇ、あれ何?」
ルカの目線の先には、黒い煙が上がっている場所があった。
大輔「?」
大輔が立ち上がり、煙が上がっている場所に向かう。
その時、パソコンの電源が入った。
賢「あれ?」
すずか「電源が入った…」
しかし、よく見るとパソコンのバッテリーは0になっている。
大輔「おい!!こっちに来てくれ!!」
不思議に思ったものの、賢とすずかは向こうに足を向けた。






























子供達の目の前には大きな工場があった。
もくもくと煙突から立ち上る排気ガス。
どこからか聞こえてくるエンジン音。
トタンの屋根もコンクリートの壁も、何もかもが自分達の記憶にある工場と同じである。
いや、全く同じなわけではないのだが、少なくとも工場のイメージは皆基本は同じだろう。
興味本意で、子供達は工場の中に入っていった。






























中では何かが作られていた。
大小様々な歯車が回転し、ベルトコンベアに載せられて見た事もない機械が次々と組み立てられてゆく。
アリシア「ねえ、何作ってるのかな?」
アリシアがフェイトに尋ねる。
フェイト「何だろう。調べてみないと分からないな…」
大輔「別々に分かれて探そう。俺とフェイトとアリサとユーノとなのはの班」
賢「それじゃあ僕とはやてとすずか、アリシアとルカの班か」
子供達は2組に分かれて行動を開始した。
5人分の足音を響かせながら賢の班が見つけた部屋は…。
賢「Power……動力室か」
アリシア「入ってみようよ!!」
重い鉄のドアを押しあけるとそこには、途方もなく大きなお化け電池とモーターが豪然と立っていた。
すずか「こんなので動いてたなんて…賢さん。ちょっと失礼します」
一言断って、すずかはお化け電池を調べ始めた。































そして別行動中の大輔の班は辺りを見回しながら進んでいた。
大輔「何もないな。」
アリサ「そう簡単に見つかるわけないじゃないのよ」
ブイモン[でもさ、何か面白い物とかないかな]
ツカイモン[面白い物…とは?]
ブイモン[例えば隠し扉とか]
コロナモン[そんなのがポンポンあるわけないだろ?]
チビモン[ふみゅ!!]
フェイト「チビモン!?」
足を滑らせて、壁にぶつかるチビモンだが、壁がクルリと回り、チビモンは床に情熱的なキスをかます。
チビモン[痛たた…あ、本当に隠し扉だ…]
ブイモン[ま、まさかマジであるとは…]
大輔「…調べてみるか」
隠し扉を通り、中に入ると小さな部屋があった。
ツカイモンがスイッチを押すと、電気がつく。
そこにはまだ使えそうであるパソコンとパソコンが置かれているデスクがある。
大輔は起動させると、データを調べる。
幼なじみの京や先輩である光子郎のようなことは出来ないが、幽霊部員ではあるもののパソコン部である大輔は機械音痴の太一よりはマシである。
少しキーを叩き続けていると、画面に金色の三つの三角の模様と真ん中にMのような模様が入ったプレートが映し出された。
大輔は似たような物を見たことがあるため、即座に答えを出す。
大輔「紋章…?」
見たことのある模様に大輔は眉間に皺を寄せた。
確か…。


































そう確か、似たようなものを自分は見たことがある。
まだ賢がデジモンカイザーで、自分達が最後の戦いを挑んだ時。
優しさのデジメンタルが黄金に輝くデジメンタルに変化し、ブイモンを進化させた。
その時…。
ブイモン『ブイモンアーマー進化!奇跡の輝き!マグナモン!!』
マグナモンの高純度のクロンデジゾイドの鎧に刻まれていた紋章と酷似していた。
あの時のマグナモンの言葉で紋章の正体に気付いた。
































大輔「奇跡の紋章…?」
“奇跡”…MIRACLE。
常識では理解できないような不思議な出来事を意味する単語。
何故この紋章がこのような場所にあるのだろう?
大輔はスリットのようなところから嵌められているプレート…紋章を抜き取った。
大輔が触れた瞬間、紋章が大きく輝いた。
ブイモン[凄いエネルギーだ…もしかして大輔の紋章なんじゃないか?]
大輔「俺の?」
ブイモン[うん、賢の優しさの紋章だってあったんだし、有り得ると思う]
大輔「そっか…取り敢えず持って行くか…」
紋章をポケットに入れて部屋を後にする大輔達。





























部屋から出て、更に辺りを見回しながら歩く大輔達。
ガブモンX[…何か聞こえないかい?]
ツカイモン[…確かに何か聞こえる……]
ツカイモンも耳を澄ませながら言う。
すぐに子供達の耳にも、その音は届いた。
ヴーン、という機械音に紛れて、低い声がボソボソと聞こえてきた。
ユーノ「…何だろう?」
一同の間に緊張が走った。
それから声の主を求めて、5人と5匹は走り出した。






























ブイモン[おい!あれ!!]
廊下の途中、通路の分かれ目でブイモンが何かを見つけた。
アリサ「何かしら。機械の歯車に巻き込まれてるみたいね」
皆は慎重に近づいた。
そして、それを上から覗き込む。
なのは「ロボット?」
大輔「いや、こいつはアンドロモンだ」
アリサ「え、これもデジモンなの?」
大輔「そうだ。しかもこいつは完全体でフレイドラモンやライドラモンより強い。」
ユーノ「完全体…」
フェイト「出してあげようよ」
子供達は一斉にアンドロモンを引っ張り出そうと奮闘しだした。
そして賢達の班は。































はやて「…すずかちゃん、まだなんか~?」
すずか「うん、もう少し調べたいの。」
あまりの熱心さに協調性丸無視のすずか。
賢とはやては怒るよりも苦笑して顔を見合わせた。
すずかが調べている間、賢とはやては、ルカに自分の暮らしている世界の常識などを教えていた。
いざ自分達の世界に帰った時、一般常識も知らないのでは話にならないからだ。
ルカは記憶を無くし、真っ白な状態だからか教えられたことをまるでスポンジのように吸収した。
すずか「……え!?」
はやて「どないしたんや?」
急に驚いたような声を出したすずかにはやてが振り返る。
すずか「電池にドアがついてる」
賢「は?」
アリシア「電池にドア…?」
すずか「調べてみます!!」
有り得ない場所にくっついた小さなドア。
中を開けるとそこはからっぽで、本来電池内にあるべき電極や部品は何もない。
代わりに内側の壁には、意味ありげな文字の羅列が目眩のするほどぎっしりと詰め込まれていた。
はやて「これ…なんやの?」
賢「デジ文字だ…」
アリシア「デジ文字?」
賢「簡単に言うとデジタルワールドの文字。」
プロットモン[よく知ってるわね]
プロットモンが感心したように賢を見る。
アリシア「変な文字…」
ルカ「アリシア…触っちゃ駄目だよ」
ブツンッ。
アリシアがプログラムを擦り消してしまった瞬間、工場中の機械の電源が落ちた。
フレイモン[うお!?消えちまった…]
アリシア「ごめんなさいぃぃっ」
すずか「大丈夫…多分これを元に戻せば、」
パッ。
取り出したマーカーで消えたプログラムを書き足すと、すぐまた電気が点いた。
はやて「何やのこれ…?」
すずか「不思議…ここはプログラム自体がエネルギーを作り出してるんだ…」
はやて「そないなこと出来るんか!?」
すずか「不可能…な、はずなんだけどね……」
すずかはパソコンの電源を入れる。
はやて「何するんや?」
すずか「このプログラムを分析してみるの。やっとパソコンの出番!!」
言うなりすずかは、プログラムを打ち込んでいく。
ルナモン[すずか、楽しそう。生き生きしてる]
すずか「そう?」
ルナモン[うん。これが分かったら何かいいことがあるの?]
すずかは頷いて答える。
すずか「この世界のことが色々と分かるかもしれないよ?ルナモンが生まれた世界。私はこの世界を知りたいの」
ルナモン[嬉しいなあ…]
すずか「どうして?」
ルナモン[すずかが私が生まれた世界に興味を持ってくれて嬉しいの]
すずか「ふふ…そう…」
ルナモンの言葉にすずかは優しく微笑んだ。
賢「…変化が……」
見ると画面の中で、先ほど打ち込み終えたプログラムが勝手に起動し始めていた。
そして、すずかの持つD-3も。
すずか「うわぁ……」
すずかはただ見惚れる。
プログラムが立体化していくさまに。
ルナモン[熱!?]
すずか「ど、どうしたの!?」
ルナモン[か、身体が熱い~!!!!]
悲鳴を上げるルナモンの身体は発光し、至る所から薄く煙までもが立ち上る。
すずか「(もしかして…)」
すずかはD-3を確認する。
D-3には明らかに反応がある。
ルナモン[熱い~~っ!!!!!!]
慌ててすずかはパソコンの電源を落とす。
画面がブラックアウトすると同時に、ルナモンの異常も収まったようだった。
ギルモン[大丈夫か?ルナモン?]
ルナモン[う、うん…もう大丈夫]
もう、D-3にも反応は見られない。
賢達は少し頭を整理しようと屋上に出た。
すると…。
大輔「おーい!!」
大輔の声が聞こえてきた。
賢「大輔?」
ワームモン[何か見つかったー?]
大輔「それどころじゃねえんだよ!!アンドロモンが…」
賢「アンドロモン?アンドロモンがどうしたんだ?」
はやて「わああああ!!?」
大輔、賢「「はやて!?」」
はやての悲鳴に後ろを見遣ると、アンドロモンが出てきたのだ。
アンドロモン[侵入者、捕捉……ガトリングミサイル!!]
アンドロモンの胸部から、ミサイルが子供達を襲う。
フェイト「危ない!!」
チビモン[任せて!!チビモン進化!ブイドラモン!!]
成長期を飛ばして成熟期に進化し、ブイドラモンはミサイルを弾いた。
しかし弾いたミサイルの片方がはやて達の元に。
なのは「ふえぇぇぇ!?」
ミサイルの口が開き、中からガトリング砲のようなものが出てきた。
飛び出した無数の銃弾が、なのは達の足元に炸裂する。
賢「ワームモン!!」
ワームモン[ワームモン進化!スティングモン!!]
ワームモンはスティングモンに進化すると銃弾を全て弾いた。
アリサ「今よ大輔!!」
大輔「ああ!!」
アリサと大輔はD-3を握り締めた。
コロナモン[コロナモン進化!ファイラモン!!]
大輔「デジメンタルアップ!!」
ブイモン[負けてられない!!ブイモンアーマー進化!轟く友情!ライドラモン!!]
ファイラモンとライドラモンがアンドロモンに向かって駆ける。
ファイラモン[ファイラボム!!]
ファイラモンの火炎爆弾がアンドロモンに直撃するがびくともしない。
スティングモン[スパイキングフィニッシュ!!]
スティングモンが自身のスパイクでアンドロモンを貫こうとするがアンドロモンのクロンデジゾイドの装甲には歯が立たない。
ブイドラモン[ブイブレスアロー!!]
ブイドラモンが口から熱閃を放つが、アンドロモンの装甲には傷1つ付かない。
ライドラモン[ブルーサンダー!!]
アンドロモン[っ…!!]
ライドラモンの強烈な蒼雷弾を受け、アンドロモンは一瞬動きを止めるがすぐに動き出した。
フェイト「強い…確かに成熟期とは比べ物にならない…」
アリサ「パワー、スピード…どれを取っても私達のデジモンよりレベルが上だわ!!」
大輔「頼みの綱のライドラモンの電撃も効かないんじゃあな…」
4対1にも関わらず明らかに劣勢な勝負を見て、子供達は困り果てた。
ブイドラモンは持ち上げられ、その勢いのままファイラモンへと衝突させられる。
フェイト「ブイドラモン!!」
アリサ「頑張るのよファイラモン!!」
フェイトとアリサがパートナーにエールを送る。
ルナモン[…すずか]
すずか「何?」
ルナモン[さっきのあのプログラムを!!]
意を決し、ルナモンがすずかにプログラムの起動を請う。
すずか「……分かった!!」
猛スピードで打ち込まれてゆくプログラム。
構築されてゆくデータ。
ルナモン[っ…凄い…力が漲ってくる!!]
ルナモンの身体の節々が光を放つ。
すずか「大丈夫!?」
そして、その光は進化の光へと姿を変えた。
ルナモン[ルナモン進化!レキスモン!!]
進化を終えたルナモンは二足歩行でアーマーを纏っており、背中には紫の突起が生えて両手にはムーングローブと呼ばれる甲の部分に三日月をあしらったグローブを着け、ルナモンの面影を残す顔には鉄面を装着した姿を見せた。
アンドロモン[ガトリングミサイル!!]
アンドロモンがレキスモンにミサイルを放つがレキスモンは軽やかな動きで回避した。
レキスモンは高く跳躍すると、アンドロモンに向けて急降下キックを繰り出す。
レキスモン[ムーンナイトキック!!]
レキスモンの蹴りが直撃し、アンドロモンは僅かに後退した。
その時、ルカはアンドロモンの右足がショートしているのを見た。
ルカ「すずかさん。アンドロモンの右足!!」
すずか「え?…そうか、レキスモン!!アンドロモンの右足を狙って!!」
レキスモン[了解!!]
すずか「大輔さん、アンドロモンの動きを!!」
大輔「止めればいいんだな!?ライドラモン!!もう1度ブルーサンダーだ!!」
ライドラモン[了解!!ブルーサンダー!!]
ライドラモンの蒼雷弾が再びアンドロモンに直撃し、アンドロモンは動きを止める。
レキスモン[ティアーアロー!!]
レキスモンは背中の突起から美しい氷の矢を引き抜いて放つ。
氷の矢は強烈な電撃を受けて一時停止したアンドロモンの右足に命中した。
すると押し出されるように右足から歯車が出てくる。
なのは「またあの黒い歯車…!!」
歯車が消滅すると同時にがくりと膝をつくアンドロモン。
アンドロモン[……邪心ガ落チタ…]
膝をついたアンドロモンの目は、狂気の光が消えていた。
アンドロモン[機械ニ紛レ込ンダ黒イ歯車ヲ取ロウトシテ、アンナコトニナッテシマッタ…]
大輔「黒い歯車?」
アリサ「また?」
謎の歯車の存在に、子供達は顔を見合わせる。
アンドロモン[助ケテモラッタ、本当ニ申シ訳ナイコトヲシタ]
ユーノ「気にしないで。故障なんだから」
ユーノが笑みを浮かべながら言う。
アンドロモン[君達ノ疑問ニ答エテアゲタイガ、私モ答エヲ知ラナイ。ソノ代ワリ、此処カラ出ル方法ヲアドバイス出来ル]
アンドロモンは脇にある空洞を指した。
アンドロモン[地下水道ヲ行クトイイ]
アリシア「ありがとう、アンドロモン」
アンドロモン[君達ノ幸運ヲ祈ル。無事、元ノ世界ニ帰レルヨウ]
一行はアンドロモンの言う地下水道へ降りた。
































大輔「よし、これで全員出てきたな」
皆は地下水道を歩き始めた。
アリサ「何か、ジメジメして気持ちの悪いところね…」
ルカ「うん…地面がヌルヌルして歩きにくい…」
一行の後ろの方で、アリシアがすずかに声をかけた。
アリシア「ねェ、すずか。さっきパソコンでルナモンを進化させたんでしょ?」
すずか「そうだよ?」
アリシア「プロットモンも進化させられるかな?」
アリシアは隣のプロットモンを見ながら言う。
すずか「出来るかもね」
アリシア「ほんと!?」
歩きながらすずかはパソコンにプログラムを組み出した。
しかし、その途中でパソコンの電源が落ちてしまった。
すずか「あれ…?おかしいな……」
はやて「何や?壊れたん?」
はやてが不思議そうに聞く。
すずか「そうじゃないと思うんだけど…」
大輔「賢、外に出たら修理してみろよ」
賢「そうだね」
まだ誰も気づかないのだ。
大輔と賢はかつてデジタルワールドを旅したがこの世界の不思議を全て知っているわけではない。
しかし、それを理解した時、新たな道が生まれることを まだ誰も知らない。
 
 

 
後書き
奇跡の紋章回収。
フレイドラモン、ライドラモンはジュエルシードによる強化で、完全体ともそこそこ戦えるレベルにまでパワーアップしている。 

 

第三十五話 氷炎の狼

 
前書き
ガブモンX進化の回。
チビモン[リリカルアドベンチャー、始まるよ!!]
 

 
子供達は出口を求めて、地下水道を歩いていた。
大輔、賢「「……」」
フェイト「大輔、どうしたの?」
はやて「賢兄?」
フェイトが大輔を、はやてが賢を不思議そうに見つめる。
大輔「ああ、いやな…」
賢「こういうジメジメとした所には決まってあいつがいるんだよ」
フェイト「あいつ?」
はやて「あいつって誰や?」
ブイモン[ああ、あいつか]
ワームモン[出来ることなら会いたくないよね]
ブイモンとワームモンは大輔と賢の言う“あいつ”を思い出したのか顔をしかめた。
すずか「(大輔さんと賢さんがこんなにも嫌がるなんてどんなデジモンなんだろう…?)」
大輔「ああ…思い出しただけで鳥肌が立つ…」
賢「出来ることなら会わずにここを出たいね…」
しかし、その願いは脆くも崩れ去るのであった。
……鋭敏な感覚を持つツカイモンとルナモンの耳に微かに耳障りな声が届いた。
ルナモン[あの声……ヌメモンだ!!]
すずか「ヌメモン?」
プロットモン[暗くてジメジメしたトコが好きで、知性も教養もないデジモンよ!!]
なのは「強いの?」
大輔「いや、弱い。そこらの成長期より弱い」
賢「弱いけど…汚いんだ……」
なのは「汚いのぉ!?」
ツカイモン[デジタルワールドで文句なしの嫌われ者ぶっちぎりでNo.1だ]
ユーノ「嫌われ者って…」
アリシア「…なんか声、近付いてこない?」
耳を澄ますと、確かに声はどんどん大きくなる。
大輔「…皆、逃げる準備しとけ」
賢「…了解」
デジモン達【おう!!】
子供達【え?】
大輔と賢を除いた子供達が疑問に思うと同時に全員の目にも見えるくらいに近付いてきた。
フェイト「ひっ…!?」
すずか「嫌ぁ、ナメクジ…!!?」
大輔「やっぱりヌメモンかよ!!総員退避!!!」
大輔の合図で、走り出す一同。
アリサ「弱いならどうして逃げるのよ!?」
賢「今に分かる!!!」
別にヌメモンの攻撃手段がアレでなければ、大輔も賢もここまで必死に逃げたりはしない。
ちなみにヌメモンは、デジモンアドベンチャーにおけるギャグ担当の汚物系デジモン代表格の筆頭である。
勿論ギャグはギャグでも下ネタ方面で。
そのあまりにもあからさますぎる必殺技は、冒頭とあらすじ、デジモン紹介などを担当したナレーターが唯一言い淀んだ程の破壊力を誇るのだ。
ぼちゃんと音を立てて足元の下水に落ちるのは、なんとヌメモンのアレ。
20匹はいようかというヌメモンの大群は、一斉に子供達に向かってアレによる攻撃を仕掛けてきた。
なのは「にゃあああぁぁーっ!!!!」
大輔「こっち来んじゃねぇぇぇぇぇ!!!!!」
フェイト「嫌あああああっ!!!!」
なのはと大輔とフェイトは全速力で走った。
特に運動が苦手と自負しているなのはは普段からは考えられない程のスピードだった。
フェイトも普段の冷静さは無くなり半泣きで必死に逃げている。
すずか「塩ー!!誰か塩持ってきてー!!」
すずかが泣きながら残酷なことを言う。
ルカ「(…ヌメモンには効果ないと思うけど…)」
すずかの叫びにルカは内心で突っ込む。
ユーノ「何て嫌な攻撃なんだ…」
なるほど、これは下手に強いデジモンにやられるよりダメージはでかいかもしれない。
主に精神的ダメージが。
アリシア「皆!!あれ!!」
半泣きのアリシアが出口を指差す。
大輔「よし!!皆、あの出口に向かって突っ走れ!!」
子供達は凄まじいスピードで出口を目指す。
その速さはライドラモン顔負けのスピードであった。
勿論ヌメモン達も追ってくるが、出口に駆け込み、間一髪で子供達は外に出る事が出来た。






























太陽の光が苦手なヌメモン達は悔しそうに下水道へと退散して行く。
太陽をこれほどまでにありがたく感じたのは、多分これが初めてだろう。
子供達は肉体的にも精神的にも疲労していたがヌメモンから離れる為に足を動かした。
アリシア「……あっ!!」
ルカ「……え?」
不意に、アリシアとルカが驚きの声を上げて立ち止まった。
その視線の先にあるのは、自動販売機。
電気が通っているかどうかは分からないが、電話ボックスや電車の例もあるから恐らく使う事が出来るだろう。
アリシア「こんな所に、自動販売機が沢山……!!」
フェイト「アリシア、まさか飲みたいなんて……」
アリシア「うん!!」
ユーノ「アリシア、どうせ出やしないよ!!」
キラキラと目を輝かせたアリシアはユーノが止める暇もなく駆け出した。
プロットモンも慌ててアリシアを追いかける
アリサ「全く……」
ルカ「ジュース…出るのかな?電話っていうの使えなかったんでしょ?」
はやて「確かになあ……」
アリサ達の小さな呟きはアリシアには届かない。
アリシアは自動販売機の中でお目当ての商品を売っている物を見つけたのか、嬉しそうな声を上げて立ち止まり目を輝かせていた。
アリシア「わぁ、オレンジジュース!!プロットモンも飲む?」
プロットモン[え?わ、私は遠慮するわ…]
アリシア「何で?」
プロットモン[いや、何でと言われても…]
プロットモンは何と言えばいいのか分からず口ごもった。
ただ自動販売機からとてつもなく嫌な予感がしたからだ。
それを目を輝かせているアリシアに言うべきだろうか…。
パートナーを不思議そうに見上げ、アリシアは持っていた硬貨を機械に投入する。
だがランプが灯ることはなく、自動販売機は突然真っ二つに割れ空洞な中身をさらけ出した。
商品の缶など無い機械の中に鎮座していたのは、ヌメモンだった。
[お姉ちゃん、オイラとデ~トしない!?]
アリシア「え…!?」
ヌメモンのデートの誘いにアリシアが顔を真っ青にする。
これが当時のミミなら怒鳴り付けるだろうがアリシアは違う。
アリシアから出た言葉は…。
アリシア「えっと…ごめんなさい」
[ガーン!!]
アリシアの言葉にヌメモンはショックを受けて固まった。
しかし直ぐに硬直を解いた。
[成る程…]
ヌメモンが納得したように呟いた。
アリシア「?」
[これがツンデレって奴か!!お姉ちゃん!!俺とデートしてえええ!!!!]
アリシア「嫌だあああああ!!!!!!」
都合のいい脳内補正でアリシアの言葉をプラス方向に受け止めたヌメモンのデートの誘いをアリシアは全身全霊で拒否した。
大輔「ツンデレ…か…」
ヌメモンのツンデレ発言に大輔は思わずアリサを見遣る。
アリサ「…何で私を見るのよ……」
大輔「あ、いや…ツンデレと言えばお前だろ?まあ、それがお前の魅力なんだろうけど」
アリサ「なっ!?」
はやて「大輔さん大胆やな~」
大輔の発言にアリサは顔を真っ赤にする。
フェイト「……」
フェイトはジト目で大輔を見遣った。
なのは「アリシアちゃん。可哀相…」
なのはがアリシアを哀れみの目で見る。
不意にがこん、と自動販売機が揺れ1匹のヌメモンが新たに姿を現した。
1匹いたらなんとやら…。
賢「(ゴキ〇リかこいつらは…!!)」
賢は眉間に手の甲を当て、深く溜め息を吐いた。
まるでゴキ〇リの如く他の自動販売機からも次々とヌメモンが飛び出してくる。
[[[[お姉ちゃん!!俺とデートしてえええええ!!!!!!]]]]
アリシア「嫌だああああああああああ!!!!!!!!!!」
アリシアは全速力で大輔達に向かって走る。
当然ヌメモン達はアリシアを追う。
状況を理解した子供達は弾けるように逃げ出した。































なのは「もう…嫌だあ……っ!!」
ユーノ「最悪すぎる!!」
賢「晴れろ…頼むから今すぐ晴れてくれ…!!」
すずか「なんかトラウマになりそう…」
薄暗い原っぱを駆け抜ける子供達とヌメモン。
これほどまでに嫌な鬼ごっこは生まれて初めてだ。
恐る恐る振り返れば、ヌメモンの大群は徐々に距離を狭めてきていた。
大輔「やべえ!!」
アリサ「こうなったら分かれるわよ!!」
ユーノ「それしかない!!なのは、こっちへ!!」
なのは「え?あ、うん!!」
大輔「フェイト、アリサ。ついて来い!!」
賢「はやてとすずかはこっちに!!」
ルカ「僕達は…あっち…だね…」
アリシア「うん!!」
子供達は別々の方向に逃げた。






























ルカとアリシアは走り続けるが、とうとうアリシアが膝をついた。
プロットモン[アリシア、大丈夫?]
フレイモン[ヌメモンも撒けたことだし、少し休憩するか?]
プロットモンとフレイモンがアリシアを心配そうに見下ろす。
ルカ「……」
フレイモン[ルカ?]
何かを見つめているルカをフレイモンは不思議そうに見つめる。
ルカ「…何か…来る…」
アリシア「え!?」
[お姉ちゃん達!!ここに隠れな!!奴が来るぞ!!]
ヌメモンがこちらに来るように手招き?する。
プロットモン[ここは隠れましょう!!]
フレイモン[おう!!]
ルカ達が隠れると同時に熊の縫いぐるみのようなデジモンが現れた。
ルカ「あれは…?」
フレイモン[もんざえモンだ…]
もんざえモン[おもちゃの町へようこそ。おもちゃを愛し、おもちゃに愛されるおもちゃの町の町長ですよ]
アリシア「あれ…いいデジモンなの…?」
プロットモン[そのはず…なんだけど…]
[騙されるな、最近奴はどうも様子がおかしいんだ…]
ヌメモンがアリシア達に注意する。
もんざえモン[皆と一緒に遊びましょう]
もんざえモンはそう言うと町に向かって行った。
フレイモン[行っちまった…]
ルカ「皆と一緒にって言ってた…もしかしたら皆、おもちゃの町に…」
アリシア「行こうよ!!」
[おもちゃの町で俺とデートか!!]
アリシア「…ごめんなさい」
アリシアは頭を下げると同時に駆け出した。
[ハッキリ言うお姉ちゃんだな…でも…そこがまた堪らなーい!!待ってくれよ、お姉ちゃん達ぃぃぃぃっ!!!!]
アリシア達はヌメモンの声を無視しながら走り続ける。
これがアリシアのクローンであるフェイト・テスタロッサには受け継がれなかったアリシア・テスタロッサという女の子が、何故か汚物系と呼ばれているデジモン達から異様に好かれて、モテモテであるという本人からすれば失神ものの事実が判明した瞬間である。
もちろんこの時まだアリシアは、自分の恐るべき体質について知るはずもなかった。






























おもちゃの町はまるで遊園地のような街だった。
1番高い場所には三角柱の赤い屋根と大きな窓をいくつも持った、白い城が立っている。
観覧車やジェットコースター、メリーゴーランド、といった様々なアトラクションがここからでも見えるし、西洋風の素敵な街並みを再現した通りがアリシア達を待っていた。
色々な色の風船が空に上っていくのが見える。
状況が状況でなければ、わくわくする光景だったのかもしれない。
子供達だけでは滅多に来れない場所である。
アリシア「あ、大輔お兄ちゃん!!」
アリシアはベンチに座っている大輔を見つけると駆け寄る。
大輔「………」
大輔の瞳は何も映してはおらず、まるで人形のようであった。
アリシア「お兄ちゃん…?」
アリシアがまるで人形のようになってしまった大輔を見つめる。
次に見付けたフェイトも大輔と同じ状態になっていた。
賢もはやて達も同様に。
フレイモン[まるで感情を取られちまったみたいだ…]
プロットモン[まるで人形のようだわ…]
フレイモンとプロットモンが不安そうに大輔達を見つめながら言う。
不審に思いながらも先を歩くアリシア達。
しかし物音がして、そちらに向かう…。
なのは「わあ!!?」
アリシア「なのは!!?それにガブモンも…」
ガブモンX[無事だったんだ…]
フレイモン[そっちもな]
プロットモン[どうやって助かったの?]
なのは「ユーノ君が咄嗟に庇ってくれて…」
なのはが俯きながら事情を説明する。
ユーノに助けられたなのはは、もんざえモンを追ってこのおもちゃの町まで来たのだ。






























しばらく歩くと6人の耳に、微かに聞き覚えのある声が届いた。
アリシア「…ブイモン?」
ブイモン[アリシア!!無事だったのか!?]
アリシア「うん!ルカもなのはもフレイモンもガブモンも一緒だよ!!」
薄暗い小さな家の中のおもちゃ箱に押し込められているのはブイモン達。
ギルモン[はやて達はもんざえモンにやられちまったんだ…]
ギルモンは悔しそうに言う。
チビモン[お願いなのは、アリシア、ルカ。もんざえモンを倒して、みんなを助けて!!]
アリシア「えぇっ!?無理だよ!!完全体相手にどうやって戦えばいいの!!?」
ルカ[ガブモンもフレイモンもプロットモンも進化出来ない…]
ルナモン[そ、それは…]
どすんどすん。
大きな足音が響いてきた。
もんざえモン[ようこそ、いらっしゃいました。ここはおもちゃの町、どうぞごゆっくり楽しんでいってください]
ぎぎぎぎぎ、と壊れてしまった機械のように、恐る恐る背後を見遣るともんざえモンがいた。
ツカイモン[早く逃げるんだ!!]
ツカイモンが叫ぶ。
アリシア達は即座にもんざえモンから距離を取った。
アリシア「もんざえモンはおもちゃの町の町長さんなんでしょ!?何でお兄ちゃん達を酷い目に合わせるのっ!!?」
もんざえモン[酷い目に合わせているのは、皆さんの方でしょう?おもちゃを買ってもらっても、飽きたらすぐに捨ててしまう。そんな子供達が許せないのです。だから、そんな悪い子には、感情を奪っておもちゃのおもちゃになってもらいます。勿論、皆さんにもなってもらいましょう。寂しくないですよ、皆、一緒ですから]
アリシア「お兄ちゃん達をおもちゃのおもちゃに…?」
フレイモン[そんなことさせるかよ!!ベビーサラマンダー!!]
ガブモンX[プチファイアーフック!!]
もんざえモンの顔面にフレイモンとガブモンXの炎の拳が直撃するが、もんざえモンは平然としている。
プロットモン[パピーハウリング!!]
プロットモンも必殺技を繰り出すが全く効かない。
なのは「ああ…」
ルカ「全然効いてない…!!」
アリシア「どうしよう…!!」
[俺に任せとけええええ!!]
なのは、ルカ、アリシア「「「え?」」」
後ろからした声にルカとアリシアは振り向いた。
飛び出したのはヌメモンの大群。
[行けえー!!]
もんざえモンに向かって次々ととんでいくアレのいくつかは、べしゃっともんざえモンの身体で潰れた。
…助けてもらったのに手放しに喜べないのはどうしてだろう。
フレイモンは微妙な顔をしていた。
なのは「………ヌメモンが、私達のために戦ってくれてる。アレを投げるしか取り柄がないのに…!!」
ガブモンX[根性なしで、ヘタレで変態で救いようのない汚物デジモンのヌメモンが…]
アリシア「ええ…?」
ルカ「………(取り柄と言っていいのかな…)」
しかし、無常にももんざえモンの青いハートマークの風船が沢山現れ、ヌメモン達を捕まえていく。
その勇敢な姿に煽られる形で、自分達も何かしなければならない。
逃げ出すばかりではいけないと感じた。
なのは「ガブモン」
ガブモンX[何?]
なのは「逃げてばかりじゃ駄目、戦おう」
ガブモンX[OK!!]
なのはとガブモンXが互いの顔を見合わせ、頷いた時だった。
なのはのD-3から光が放たれた。
ガブモンX[ガブモンX進化!ガルルモンX!!]
ガブモンXは狼のような姿をした獣型デジモン。
寒冷地帯に住み、知能が高く、肉食獣的な敏捷さと正確さを持ち、肩のブレードが金属化した他、全体的に毛の質感が増したガルルモンXに進化した。
なのは「ガルルモン…」
アリシア「ガブモンが進化した…」
ガルルモン[さてと、皆は少し離れてて]
ガルルモンXはそう言うと同時に駆け出した。
もんざえモンが目からビームを放つがガルルモンXには掠りもしない。
パワーではもんざえモンに分があるがスピードはガルルモンXの方が上だ。
ガルルモンX[フォックスファイア!!]
ガルルモンXはもんざえモンの周りを駆け回りながら口から高熱の炎を放つ。
もんざえモンはガルルモンXに向けてパンチを繰り出すがかわされた。
もんざえモンのパンチは地面に減り込み、抜けなくなってしまう。
ガルルモンXはその隙を逃さなかった。
ガルルモンX[アイスキャノン!!]
口から放たれた冷気の弾がもんざえモンに炸裂した。
もんざえモンの身体が凍結していく。
動きが完全に止まったのを見てガルルモンXはとどめの一撃を繰り出す。
ガルルモンX[ガルルスラスト!!]
後方宙返りと同時に相手を蹴りつける技を繰り出す。
その衝撃で、もんざえモンが吹き飛び、背中のファスナーから黒い歯車が飛び出した。
ルカ「黒い歯車…」
フレイモン[またかよ…]
なのは「ガルルモン!!」
なのははガルルモンXに嬉しそうに抱き着いた。
ガルルモンX[俺、強かっただろ?]
なのは「うん!!」
アリシア「いいな~」
アリシアは羨ましそうにガルルモンXとなのはを見ていた。






























もんざえモン[おもちゃは飽きられるとあっさり捨てられ、壊されてしまう……それが許せなかったのです]
正気を取り戻したもんざえモンは語る。
背を丸め、申し訳なさそうに語る背中が寂しかった。
もんざえモン[おもちゃが遊ばれちゃいけない、おもちゃが遊ばなくちゃいけないと思って…すみません、思い上がっていたんです]
アリシア「思い上がってるなんて、そんなことないよもんざえモン。もんざえモンの言ってる事はは間違ってないもん」
プロットモン[そうよ。少しやり方を間違えていただけだわ。]
アリシアだって、他の子供達も、皆小さい頃は沢山のおもちゃに囲まれていたのだ。
その時の気持ちは、まだちゃんと覚えている。
顔を見合わせてにっこりと笑うアリシアとプロットモンにもんざえモンは微笑みかけた。
もんざえモン[ガブモン、ワシを正気に戻してくれてありがとう。お礼にハッピーにしてあげましょう。ラブリーアタック!!]
優しいピンク色のハートが、子供達とデジモン達を包んでふわりと空を飛ぶ。
暖かくて幸せな気持ちが沸き上がる。
今度こそ本物の笑顔が、笑い声が、おもちゃの街に溢れた。






























~おまけ~

時間軸は闇の書事件終結後から数年後、大輔達は高校生くらいの年齢。

教会でカリムに報告をしていた一輝は礼拝堂に入ってきた気配に気付いて後ろを向いた。
一輝「大輔、フェイト?」
大輔「兄ちゃん久しぶり」
フェイト「一輝さん、お久しぶりです」
一輝「ああ、大輔も前より背が高くなったし、フェイトも綺麗になったな」
カリム「はい、見違えました。」
大輔「ありがと、二人共、今日は何か予定はあるか?」
大輔の問いに一輝とカリムは互いの顔を見合わせ、疑問符を浮かべたが、首を横に振る。
大輔「最近オープンした焼き肉屋に一緒に行こうと思ってさ。カリムさんは初めてだろうし、兄ちゃんも久しぶりだろうと思ってさ」






























そして焼き肉屋に着いた一行。
因みに焼き肉屋に行こうとした一行を止めようとしたシャッハは現在ブイモン達に足止めされていた。
カリム「私、こういう店は初めてです」
サングラス等で変装しているカリムにフェイトも笑いながら頷いた。
大輔が注文を頼み、どんどん肉と野菜が運ばれてきた。
一輝「…………」
フェイト「一輝さん?」
カリム「放心してます…」
一輝「俺は…?」
大輔「兄ちゃん?」
一輝「俺は死んだのか…?」
フェイト「はい?」
大輔「そういや兄ちゃんって施設暮らしだったよな…。おーい兄ちゃーん」
一輝「あ、な、何だ?」
大輔「肉焼けたから早く食えよ」
フェイト「頂きます」
こうして焼き肉を食べ始める一行。
大輔「美味い!!」
カリム「美味しいです。美味し過ぎてついつい食べてしまいます」
一輝「こんなに食うのは、父さん達が生きていた頃以来だな……それにしても」
大輔「ん?」
一輝「あんなに小さかったお前がこんなに立派になるとは思わなかった。」
あんなに小さくてジュンや自分の後ろにいた子供が、今や一人前の男となり、守る側に立ったことを一輝は誇らしく思う。
一輝「エリオとキャロも随分とお前達を慕っているようだし、もう立派な親だな」
大輔「…ありがと、俺さ。守る側に、兄ちゃんと同じ立場になって分かったことがあるんだ」
一輝「?」
大輔「守るって凄い大変なことなんだって。昔チビだった俺は、姉ちゃんや兄ちゃんが俺を守ろうとしてくれたのを、どこか鬱陶しいと思ってた。過保護だって…でも、フェイト達に会って、あの時の姉ちゃん達と似たような立場になってようやく分かったんだ。姉ちゃんも兄ちゃんも、この世界に来る前の俺よりも小さかったのに。見守ってくれたり、俺のために出来る精一杯をしてくれたんだって。」
一輝「大輔…」
大輔「ありがとう兄ちゃん」
一輝「礼を言うのは寧ろ俺の方だ大輔。家族を失って施設暮らしになった時、俺を支えてくれたのは両親とお前達と過ごした思い出だった。そして今でも俺はお前に支えられている。」
大輔「………」
一輝「これからも見守らせてもらうさ。お前達が幸せになる未来をこの目で見届けるまでは死ねないからな」
フェイト「一輝さんだってカリムさんの傍にいてあげないと」
カリム「…………」
一輝「俺が?」
大輔「カリムさんが頑張れるのは、兄ちゃんがいてくれるからなんだよ。」
赤面するカリムに疑問符を浮かべる一輝。
二人がくっつくのは、まだまだ先になりそうだ。
といっても、カリムの後継者が現れるまでは結婚もお付き合いも出来ないけれど。
大輔「とにかく、兄ちゃん。これからもよろしくな」
一輝「ああ、こちらこそな」
こうして大輔達は食事を再開した。





























大輔「おい、兄ちゃん!!肉ばっか食ってないで野菜も食えよ!!」
さっきっから肉ばっか食っている一輝の横から肉の皿を取り上げ、妬いていたピーマンやら玉葱やらキャベツやらを載せる。
一輝「う……。た、食ってるって」
大輔「嘘つけ!!サンチュを片手で数えられるくらいしか食べてねえじゃん!!」
一輝「違う!!……ギリギリ両手で数えられるくらい…」
大輔「変わんねえから!!」
一輝の皿に野菜を盛りながら、大輔は笑った。 
 

 
後書き
おまけは書いていて楽しかった。
守る側になって初めて親や兄弟の気持ちが分かるんですよね…。 

 

第三十六話 蘇る魔法使い

 
前書き
ツカイモン進化の話です。
ワームモン[リリカルアドベンチャー始まります] 

 
空はすっかり暗くなり、子供達はおもちゃの町に泊まることになった。
もんざえモン[この町はワシが守っております。安心してお寛ぎ下さい]
黒い歯車が外れ、すっかりいいデジモンに戻ったもんざえモンが言った。
町には沢山の家がある。
子供達はその中の1つに泊めてもらえるそうだ。
部屋はあまり広くないので、男女別ということで落ち着いた。
ちなみにアリシアは…。
[[[[[お姉ちゃん!!俺とデートしてえええええええええ!!!!]]]]]
アリシア「だから嫌だってばあああああ!!!!!!」
夜のおもちゃの町でヌメモンと逃走劇を繰り広げていた。
はやて「アリシアちゃん、可哀相になあ…」
なのは「…うん」
女性陣はアリシアに同情しつつも、自身も巻き込まれないように他人のフリに徹した。
































男性陣も部屋の窓からヌメモン達に追い掛けられるアリシアを見ていた。
賢「ふむ。どうやらアリシアは汚物系デジモンに好かれる体質のようだね」
ルカ「…助けなくていいの…?」
大輔「大丈夫だろ、ヌメモンも危害を加えたりはしないだろうし。さあ、寝ようぜ…」
子供達は電気を消して毛布に包まり、目を閉じる。
疲れが溜まっていたのか、直ぐに子供達の寝息が聞こえ始めた。
皆が寝静まった頃、ユーノはふと目を覚ました。
物音を聞いた気がして、ユーノはキョロキョロと周囲を見回した。
そして、窓の外を歩く人影を見つけた。
ユーノ「なのは……?」
1人で歩くなのはを見て、ユーノは部屋から抜け出した。






























なのはは宛てもなく、おもちゃの町を歩いていた。
なのは「ふう…今日は色々あったから眠れない…」
ヌメモンの必殺技やら、もんざえモンやら、あまりのインパクトに目が冴えてしまったのだ。
ユーノ「何してるの?なのは」
背後から聞こえたユーノの声になのはは振り返るとユーノとガブモンXとツカイモンがいた。
なのは「あ、ユーノ君……何か目が冴えちゃって」
ユーノ「あ、あははは…仕方ないね。今日は色々ありすぎたし…アリシアは?」
なのは「…疲れて寝ちゃってる」
ヌメモンを撒いたアリシアは疲労困憊で、横になるのと同時に寝静まった。
ユーノ「…明日、何か言われそう…」
なのは「そうだね」
ユーノとなのはが苦笑しながら言う。
テリアモン[それより、寝た方がいいよ。明日も早いんだから]
ユーノ「うん」
なのは「そうだね」
無言で歩く2人と2匹。
響くのは足音だけだったが、ふいに、どこからかメロディーが聴こえてきた。
なのは「これ…歌……?」
ユーノ「一体何処から…」






























無意識の内に、ユーノとなのは、ガブモンXとツカイモンはおもちゃの町の外れまで来てしまっていた。
ツカイモンが耳を兼備している羽を動かしながら音源を探した。
ツカイモン[…この歌の旋律はマーメイモンの物だ]
なのは「マーメイモン?」
ガブモンX[マーメイモンがどうして此処にいるんだ?確かに近くに泉はあるけど。此処にいるのはおかしいよ]
ユーノ「どういうこと?」
ツカイモン[マーメイモンは本来なら海に住んでいる。此処にいるはずがないんだ。]
ガブモンX[う~ん…もしかしたら…海で怪我をして、ここに来たのかもしれないよ…?]
なのは「そんな!なら助けてあげないと!!」
なのはは歌の聞こえる方向に向けて走り出した。
ユーノ「なのは!!」
ガブモンX[ちょっと待ってよ!危ないよなのは!!]
ツカイモン[やれやれ…]
ユーノとガブモンX、ツカイモンもなのはを追い掛ける。






























しばらく走ると森の開けた場所にあり、月明かりで輝いている。
比較的大きな泉で、川が流れ出していた。
更に辺りに咲いている花から純白の淡い光が放たれている。
月明かりを受けて輝いている泉に純白の淡い光を放つ花。
なのは「綺麗…」
そのあまりにも神秘的な光景に目を奪われた2人と2匹。
ガブモンX[あれは…]
ふとガブモンXは泉の近くにある岩に座っているマーメイモンを見付けた。
なのは「あれがマーメイモン…なの?」
マーメイモンは人魚のような姿をしたデジモンだった。
ユーノ「…あれは……」
ユーノはマーメイモンの尾鰭に黒い歯車が突き刺さっているのを見た。
ツカイモン[どうやら、敵のようだ…]
ツカイモンの目に映るマーメイモンの顔は狂気に染まっていた。
なのは「え…?」
なのはがツカイモンの方を向いたと同時にマーメイモンが黄金の錨を振るう。
ツカイモン[危ない!!]
ツカイモンとガブモンXが押し倒し、ユーノ達は間一髪、マーメイモンの攻撃を避ける。
ガブモンX[プチファイアーフック!!]
ツカイモン[ふわふわアタック!!]
ガブモンXの炎の拳がマーメイモンに直撃する。
その隙にツカイモンがマーメイモンに体当たりを喰らわせるが、マーメイモンにダメージは感じられない。
ツカイモン[やはり今の我々では…]
ガブモンX[でも…負けられないよ!!]
ツカイモンとガブモンXがマーメイモンに向かって行くが、成長期と完全体の力の差はどうしようもなく、ツカイモンもガブモンXもマーメイモンが振るった錨で地面に叩きつけられてしまう。
マーメイモンが錨をなのはに向けて投げる。
ユーノ「なのは!!」
ユーノがなのはを押し倒し、錨を回避するが、錨がユーノの肩に掠り、肩から血が出る。
なのは「ユーノ君、大丈夫!?」
ユーノ「大丈夫だよ…」
ユーノが肩を押さえたまま立ち上がろうとするが、マーメイモンはすぐ側まで来ていた。
ユーノ、なのは「「っ!!」」
マーメイモンがユーノとなのは目掛けて錨を振り下ろす。
ツカイモン[止め…ろ…止めろーーーっ!!!!]
痛む身体に力を入れながら叫んだと同時にユーノのD-3から光が放たれた。
ツカイモン[ツカイモン進化!ウィザーモン!!]
ツカイモンは魔法の世界・ウィッチェルニーから大魔導師になる為の修行にやってきた魔人型デジモン。
炎と大地の高級プログラム言語を操るウィザーモンに進化した。
マーメイモンが目を見開いて驚いているとウィザーモンが杖を振り下ろす。
ウィザーモン[マジックゲーム!!]
杖から無数のカードがマーメイモンに向けて放たれた。
マーメイモンは即座にカードをかわすとウィザーモンに向かっていく。
ウィザーモン[テラーイリュージョン!!]
マーメイモンの錨がウィザーモンに叩きつけられた…ように見えた。
マーメイモン[!?]
マーメイモンが攻撃したのはウィザーモンの幻影であった。
ウィザーモンのテラーイリュージョンは幻影には影がないという弱点があるが…。
1度騙せれば充分。
ウィザーモンの杖が電撃を纏う。
狙いは黒い歯車。
ウィザーモン[サンダークラウド!!]
電撃は正確に黒い歯車を貫いた。
黒い歯車は瞬く間に消滅した。
マーメイモン[…私は……?]
黒い歯車の消失によってマーメイモンの狂気が消えた。
ユーノ「大丈夫ですか?」
なのは「あなたは黒い歯車に操られていたの」
マーメイモン[歯車…あの時、私は…満月の夜になると光を放つ花を見に此処に来たんです。ですが…]
ユーノ「その途中で黒い歯車があなたに向かって飛んできた…というわけですか…」
マーメイモン[はい…どうやら迷惑をかけてしまったようですね…]
なのは「気にしないで」
ユーノ「そうですよ」
なのはとユーノは微笑みを浮かべながら言う。
マーメイモン[…お詫びと言ってはなんですが…歌を聞いてくれませんか?]
ユーノ「歌…ですか?」
ウィザーモン[珍しいな…マーメイモンが他人に歌を聞かせるなんて…]
ウィザーモンがユーノの肩の治療をしながら呟く。
なのは「聞きたい!!」
マーメイモン[では……]
マーメイモンはゆっくり起き上がると、その美しい声で旋律を紡ぎ始めた。
なのは「この歌……」
ユーノ「さっきの…」
ユーノとなのはは顔を見合わせた。
なのは「そっか。あなたが歌っていたんだね」
なのはの表情はとても穏やかなものだった。
マーメイモンの救ってくれた子供達への感謝と、喜びの旋律がなのは達の心を穏やかにしてくれる。
その歌は風に乗り、森を越えておもちゃの町で眠る子供達までも幸せな気持ちにしたのであった。





























~おまけ~

時間軸は大輔と賢が一時的に元の世界に帰った時。
ブラックウォーグレイモンとの邂逅前。

賢「やあ、高石君」
タケル「一乗寺…君」
タケルの前に現れたのは、かつてデジモンカイザーとして現れ、罪なきデジモンを操り、そしてキメラモンを造り出して暴虐の限りを尽くした少年。
賢もそれに気付いているのか、苦笑をしてタケルを見るだけ。
何だか馬鹿にされているような気分になり、タケルの眉間に皺が寄る。
賢「別に君達に何もしたりはしないよ。」
近くの自販機からコーヒーを購入し、それを飲む。
賢「…最近、機嫌が悪そうだけど…大輔が僕と一緒にいるのがそんなに腹ただしいかい?いや、寧ろ、君が大嫌いな暗黒デジモンが彼の第二のパートナーであるというのも気に入らない…かい?」
タケル「…っ」
図星を突かれ、表情を歪めるタケルに賢は何の気持ちも抱かず、空を見上げる。
賢「大輔は随分とデジモン達に感謝されていた。デジモンカイザーを倒した英雄・本宮大輔」
タケル「英雄…」
確かにキメラモンを倒したのは大輔とブイモンだ。
そこを否定する理由なんてどこにもないし、自分達も納得している。
しかし、ある時を境に、大輔は急激に自分達との距離を開け始めた。
最初はいつものことだと流していたが、賢とワームモンがダークタワーデジモンを破壊した時をきっかけに彼と行動を共にし始めた。
理由を問い詰めようとしても大輔には逃げられてしまう。
デジタルワールドで会ってもダスクモンの瞬間移動で逃げられてしまう。
しかもあのダスクモンはキメラモンの生まれ変わりらしく、あのデビモンのデータを使ったデジモンといる大輔が信じられなかった。
タケル「大輔君はあいつといるようになってから変わったよ。とても冷たくなった」
賢「大輔は変わってはいない。寧ろ、本来の大輔に戻っただけ。」
タケル「…大輔君と知り合って間もない君が大輔君の何を知ってるの?」
賢「少なくても、君達よりは分かってるさ。今の大輔の心情はね」
タケル「………」
賢「悔しいかい?君の方が大輔と一緒にいたのに敵だった僕が大輔の親友になったことに。それとも大輔が君を親友に選んでくれると思っていたかい?」
タケル「っ…」
賢「傲慢だね。努力もしないで親友になろうなんて」
タケル「君に言われたくない!!」
思わず叫んでしまったが、賢は怯まず口を開いた。
賢「高石君に質問。英雄とは何だい?」
タケル「は?」
唐突な質問にタケルは怒りを忘れて目を見開いた。
賢「一般的なイメージだと、英雄は大きな力を持っていて、真っ直ぐで一点の曇りもない完璧な存在といった所かな?」
タケル「…そりゃあ、誰からも一目置かれて、強くて、絵に描いたような正義の味方ってイメージがあるけど…」
賢「そう…」
目を伏せ、暫く黙った。
次に眼を開けた時、賢の瞳は陰っているように見えた。
しかし、何故だかそれを問い質すには躊躇いが生まれた。
賢「……確かに大輔は強いし、性格も面白いくらい熱血で真っ直ぐ。けれど、大輔も所詮は人間。万能じゃない」
タケル「……何が言いたいの?」
タケルが尋ねると、賢はスッと立ち上がり、空き缶を捨てる。
賢「大輔も、勿論僕も君も…人は皆、暗い部分を抱えている。あの大輔だって、暗い部分が表に出る時は驚くくらい冷静な時がある。ただ、自分でそれに気付いていないだけ。大輔の嫌いな言葉を知っているかい?」
タケル「…知らない」
タケルは首を横に振った。
賢は笑い、空を見据えながら言う。
賢「…正義」
タケル「は?」
タケルの呆けた表情すら、賢の想像の範疇だったらしいく、溜め息混じりに薄く笑った。
賢「大輔は正義という言葉が嫌いなんだよ。向こうで色々なもの見てきたからね。自分のやり方、思想を正義という大義名分の元、押し付けるようなことを嫌う…正義が嫌いなんて英雄にあるまじき性格だよね」
タケル「正義……」
賢「大輔はこうも言ってたよ。“正義なんてものは、簡単に成立しちゃうから…だから、正義がどうだとかいう前に…一番大切なことは…自分が自分の思う最善の選択をしているか否かだと。自分が正義だっていう奴は、絶対に許さない。それも、俺の最善の答え。正義は人の判断じゃ決められないんだ”…ってね。でもそれが大輔という人間。受け入れろとは言わない。けれど知っていて欲しい。大輔はそういう人で、そういう存在。君達や世界の評価がどうであれね」
賢はそれだけ言うとこの場を後にした。
タケルは急激に大輔と自分達の距離が遠ざかったような気がした。 

 

第三十七話 怒りの紅竜

 
前書き
ギルモン進化ストーリー。
ギルモン[リリカルアドベンチャー、始まっぞ] 

 
子供達はおもちゃの町を出て、森の中を歩いていた。
アリサ「まだ森を抜けないの?」
アリサがうんざりしたように言う。
賢「そうだね、そろそろ抜けてもいい頃なんだけど…」
いつまでたっても変わらない風景に全員うんざりしていた。
森の中だからまだ影があって涼しいが歩いていれば汗をかく訳で顔には疲労の色を浮かべていた。
ルナモン[すずか、水の流れる音がするよ]
ルナモンが耳を澄ませながら言う。
大輔「本当か!!おい、川があるってよ」
はやて「ほんまに!?」
ユーノ「そこで休憩しましょうか」
先程までの疲れを感じさせないくらいの速さで子供達は足を動かした。






























しばらく歩くと大きく綺麗な川が目に入った。
フェイト「川だっ!!」
賢「よし、ここでお昼にしよう」
デジモン達【賛成!!】
大輔は早々靴を脱ぎ川に入った。
大輔「うわっ冷てー。おっ、魚がいるぞ。昼飯はこれで決定だな」
アリサ「本当ね」
アリシア「凄ーい」
子供達は次々と川に入る。
川の冷たさが火照った体に丁度いい。
男子陣は手掴みで魚を捕ろうと悪戦苦闘している。
フェイト「凄く楽しそう」
アリサ「でも魚が捕れるか心配だわ」
はやて「捕れなさそうやなあ…」
アリシア「えー、お腹空いたのにぃ」
すずか「私達も手伝おうよ」
なのは「そうだね!!」
フェイト達も靴を脱いで川の中に入った。






























子供達は休息を存分に楽しんだ。
魚を捕まえるのに随分と時間がかかったが何とかお昼の魚も捕れ、昼食にありつこうとした時。

突如、背後の草村から音がした。
ブイモン[ん?]
音のする方を向けば大きな熊のようなデジモンが顔を出した。
はやて「く、熊のデジモン!!?」
ブイモン[あれはグリズモンだな]
ツカイモン[見た目は凶暴だが正々堂々とした武闘家の精神を持ったデジモンだ。]
なのは「じ、じゃあ大丈夫なの?」
ユーノ「なのは…グリズモンの目を見るんだ。どう見ても正気じゃない」
ユーノの言う通り、グリズモンの顔は狂気に染まっていた。
すずか「…ということは…?」
グリズモンが子供達に向かってくる。
ブイモン[どうやら敵らしい…]
ギルモン[オラ、腹減って力入らねえよ…]
腹部を摩りながらギルモンがぼやいた。
ワームモン[そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!!逃げてーーーっ!!!!!!]
ワームモンの叫びが合図となり、子供達とデジモン達は一斉に駆け出した。
しかし簡単に逃げられる訳もなくすぐに追い付かれてしまった。
アリサ「何よあいつ!!図体の割りに速いわね!!」
すずか「はやてちゃん急いで!!」
はやては遅れをとらないように必死に大輔達について行こうとするがデジタルワールドに来るまで歩けなかった為か足が遅いはやては足が縺れて転んだ。
はやて「わっ!!」
ギルモン[はやて!!]
はやては、グリズモンが目の前に迫っていて恐怖のあまり動けなかった。
賢「はやて!!」
賢がはやてに駆け寄るよりも早くギルモンが駆け寄り、はやての前に出た。
ギルモン[はやてはオラが守る!!ファイアーボール!!]
ギルモンがグリズモンに向けて火球を放った。
しかし成熟期のグリズモンに成長期のギルモンの攻撃は通用せず、かわされてしまう。
グリズモンは腕を大きく振るった。
ギルモン[うわっ!!]
グリズモンの攻撃を受け、ギルモンは吹き飛ばされてしまう。
はやて「ギルモン!!」
ブイモン[俺達も加勢するんだ!!]
フレイモン[腹が減ってるけど…]
プロットモン[仲間を見捨てる訳にはいかないわ!!]
ブイモンを先頭にデジモン達がグリズモンに向かっていく。
ブイモン[ブイモンパンチ!!]
フレイモン[フレイムテイル!!]
コロナモン[コロナックル!!]
ツカイモン[ふわふわアタック!!]
ブイモン、フレイモン、コロナモン、ツカイモンがグリズモンに攻撃を仕掛けるが、グリズモンは腕の一振りでブイモン達を薙ぎ倒した。
大輔「ブイモン!!」
ワームモン[ネバネバネット!!]
ガブモンX[プチファイアー!!]
ルナモン[ティアーシュート!!]
ワームモン、ガブモンX、ルナモンの同時攻撃が放たれるが、グリズモンはそれすらたやすく避けてしまった。
グリズモンはワームモン達に肉薄すると、ワームモン達を投げ、地面に叩きつける。
グリズモンは、はやてを再び標的にする。
振り上げた手には鋭利な爪が光っている。
はやては今度こそ終わりだと悟った。
悟ると同時に自分のドジを後悔した。
自分のせいでギルモン達が怪我してしまったことに心が苦しくなった。
賢「はやて!!」
賢が急いではやてを助けようと駆け出すが間に合わない。
グリズモンは大きな雄叫びを上げ手を振り下ろした。
プロットモン[止めなさい!!パピーハウリン…]
プロットモンが必殺技を使おうとするが間に合わない。
はやては反射的に目を閉じた。
ギルモン[止めろーーーっ!!!!]
ギルモンが川から飛び出し、大きく叫んだ。
はやてのD-3から進化の光が放たれた。
グリズモンは咄嗟に振り下ろした腕を止めた。
すずか「あれは!?」
ガブモンX[進化の光だ!!]
アリサ「ギルモンが進化するの…!?」
ギルモン[ギルモン進化!グラウモン!!]
進化の光から現れたのは、深紅の魔竜の異名を持つ魔竜型デジモン、グラウモンに進化した。
グラウモン[ぐおおおおおお!!]
グラウモンが咆哮しながらグリズモンに体当たりを喰らわせる。
グリズモンは突然の攻撃に対処仕切れず、直撃を受けて吹き飛んだ。
グリズモンは体勢を整えるとグラウモンを睨みつけた。
グラウモンは息を荒くしながら、グリズモンを睨んだ。
グラウモン[いい加減にしろ…よくも俺の仲間を痛め付けてくれたな…!!]
なのは「え…?」
普段のギルモンからは想像出来ない程の荒い言葉になのはは、目を見張った。
賢「(軽い興奮状態になっているのか…?)」
賢がグラウモンの様子に疑問を持つ。
グラウモン[貴様はもう謝っても許さねえぞ…この屑野郎!!]
グラウモンは怒りの表情を浮かべ、グリズモンに襲い掛かった。
グラウモンが拳を握り締め、グリズモンの顔面に叩きつけた。
グラウモンのパンチによってグリズモンは勢いよく木に叩きつけられる。
グリズモンが立ち上がるよりも早くグラウモンは素早く動き、尻尾を振り回してグリズモンに叩きつけ、吹き飛ばした。
グラウモンがグリズモンに狙いを定める。
グラウモン[エキゾーストフレイム!!]
爆音と共に強力な火炎を吐き出した。
グリズモンにエキゾーストフレイムが直撃した。
グリズモンの体内から黒い歯車が現れ、すぐにそれは消滅した。
すずか「黒い歯車に操られていたの!?」
子供達が上空で消えた黒い歯車を見て、これで終わったと胸を撫で下ろしたが…。
はやて「グラウモン何する気なんや!?もう何もせんでええよ!?」
はやての叫び声に反応して、グラウモンを見ると、腕の刃に電撃を纏わせ、気絶しているグリズモンに向かうグラウモンの姿が。
大輔「あいつまさか!?」
チビモン[怒りで我を忘れてるんだよお!!]
はやて「止めるんやグラウモン!!グラウモン!!」
はやてが必死に止めようと声を張り上げるがグラウモンは歩みを止めない。
グラウモン[プラズマブレイド!!]
グラウモンがグリズモンに腕を振り下ろそうとした時。
プロットモン[パピーハウリング!!]
グラウモン[っ!!]
プロットモンの技でグラウモンの動きが止まった。
フレイモン[落ち着け、グラウモン!!そいつは黒い歯車で操られていたんだ!!それ以上やらなくていいんだよ!!]
ルカ「はやてさん…泣きそうだよ…?」
グラウモン[っ!は、はやて…]
はやての名前にグラウモンは正気を取り戻した。
はやては泣きそうな顔でグラウモンを見つめていた。
グラウモン[す、すまねえ…はやて…俺…]
一人称は変わったままだが、ようやく冷静になったグラウモンは申し訳なさそうな顔をした。
グラウモンは光に包まれ、ギルモンに退化した。
ギルモン[はやて…オラ…]
はやて「もうええよ…助けてくれてありがとな、ギルモン…」
はやてはギルモンに近寄ると、ギルモンを抱き締めた。
なのは「ユーノ君、グリズモンは大丈夫?」
ユーノ「大丈夫。脈もしっかりしてるし、ツカイモン」
ツカイモン[ああ。ツカイモン進化!ウィザーモン!!]
ツカイモンは力を振り絞り、ウィザーモンへと進化する。
ウィザーモンは杖をグリズモンに向ける。
ウィザーモン[マジックヒール!!]
ウィザーモンの杖から光が放たれ、グリズモンの傷を癒していく。
グリズモン[私は…]
アリシア[グリズモンが目を覚ましたよ!!]
ギルモンがグリズモンに申し訳なさそうに頭を下げた。
ギルモン[すまねえグリズモン…オラ、ついカッとなってやり過ぎちまった…]
グリズモン[私は大丈夫だ。そうか、君が私を元に戻してくれたのか…ありがとう]
ギルモンはグリズモンの大きな掌で頭を撫でられた。
先程までとは違い優しいその手にギルモンは自然と笑顔になる。
グリズモンは子供達に礼を言い、森の中に帰っていった。
大輔「さて、遅くなったけど昼飯だな」
フェイト「そうだね」
子供達は薪に火をつけ、魚を焼いて、遅めの昼食を食べ、再び歩き始めた。






























おまけ~餅~

カリム「一輝さん。正月と言えばお餅です」
一輝「ああ、といってもリアルでは正月は既に過ぎているが、今回の昼飯は餅にするか!!おーい、シャッハも餅食べるか?」
シャッハ「一輝様…」
一輝「ん?」
シャッハ「お餅は…カロリーが凄いんですよ…」
一輝「シャッハ、お前去年の正月に餅食い過ぎたのか…?」
シャッハ「いえ、違います。私は餅は嫌いです。特におしるこなんて見ていると内に秘める獣が叫ぶくらいに」
一輝「そんなに好きなのか?」
はやて「大丈夫やて!!餅の一個や二個で太るような生活はしとらんやろ?ほれ」
シャッハ「や、止めて下さい!!私にお餅を近づけないで下さい!!」
賢「最近では餅を使った料理が沢山あるよね。餅ピザとかグラタンとか苺大福のようなトースト、餅を使ったホットケーキ。」
シャッハ「や、止めて下さい!!これ以上私を誘惑しないで!!」
ブイモン[餅はチョコとの相性もいいよな]
チビモン[練乳も美味しいよ~]
なのは[ああっ!!ブイモン、溶かしたチョコを餅にベッタリつけて食べて、チビモンも餅に練乳をベッタリつけて食べてる!!いくらなんでも糖尿病になるよブイモン、チビモン!!]
ブイモン[ピーナッツバターも中々イケるぞ~]
チビモン[苺ジャムも~]
すずか「ピーナッツバターと苺ジャム一瓶丸ごと餅にぶっかけた!!?」
アリサ「ていうか、あんたらそれ絶対合わないわ!!もう止めて、気持ち悪くなってきたから…そういえば、未来から来たキャロのブイモンのエアも…」






























エア『うん!!やっぱり餅にはメープルシロップを浸した奴が一番だ!!』
キャロ『止めてよエア!!それ絶対合わないよ!!いい笑顔で食べないでよ!!』
ブイモン『いや~、餅に粉砂糖を塗して食うのも美味い』
チビモン『生クリームをたっぷりかけて苺を載せて餅ケーキ完成!!』
エリオ『ただいま…って、何この甘ったるい匂い!!』
ブイモン『お前も食うか?』
ダスクモン『結構だ』
一時期、テスタロッサ家からは甘い匂いが染み付いて取れなかったという。






























アリサ「…思い出しただけで胸焼けがしてきたわ……」
他にも蜂蜜とマーマレードのヒタヒタ餅。
カスタードクリームたっぷり載せ餅。
薄く切って焼いた餅に焼いたマシュマロをサンドした物。
そして飲み物は角砂糖を六個いれた激甘カフェオレかマシュマロと生クリームたっぷりのココア。
一時期、ブイモン達に甘い物禁止令を大輔から出された程である。
因みに彼女のブイモンがエアという呼び名なのは、紛らわしいために彼女がつけた名前。
“空”という意味である。
遼「お、やっぱ餅は海苔を巻いた焼き餅に醤油が一番だな」
ティアナ「きな粉美味しい。黒蜜かけてもいいかも」
スバル「砂糖醤油も美味しいよ」
一輝「………」←あんこ餅食ってる
シャッハ「……」
餅にきな粉をつけてシャッハはきな粉餅を口にする。
シャッハ「きな粉はダイエット食品です!!これでカロリー問題は相殺されました!!」
全員【あ、そう】
やはりシャッハは餅が好きらしい。 
 

 
後書き
おまけ書いていて少し気分が…。 

 

第三十八話 烈火の超闘士

 
前書き
フレイモン進化の話。
ガブモンX[リリカルアドベンチャー、始まるよ]
 

 
グリズモンと別れてしばらく森の中を歩いていると、雲行きが怪しくなり先程までの晴天が嘘だったかのように空が雲に覆われ、寒気が子供達を襲った。
時折吹く冷たい風になのはとアリシアが揃って身を縮める。
アリシア「寒い…」
なのは「大丈夫?ガブモン?プロットモン?」
ガブモンX[僕は平気。というか僕は本来寒冷地のデジモンだからね]
プロットモン[わ、私も…だ、だだ大丈、夫よ…]
ガブモンXは元々寒冷地のデジモンだからか平気そうだがプロットモンは身体をプルプルと震わせ、ガチガチと歯の根が合っていない為、説得力皆無である。
なのは「全然大丈夫そうに見えないよ…」
なのはが苦笑しながら呟いた。
ユーノ「流石に…半袖は寒いなあ…」
大輔「まあ、たまには寒いのも悪くないよな」
全員【ええーー!!?】
両腕を摩りながら子供達が口々に寒さを訴える中、元気そうに大輔がそう言い放つ。
すると一斉にブーイングが響いた。
はやて「大輔さん、勘弁してえな」
寒いのが嫌いなはやてが嘆いた。
大輔「雪が積もれば雪合戦が出来るぜ?」
なのは「雪合戦かあ…。」
フェイト、ルカ「「雪合戦って何…?」」
賢「雪合戦というのは雪玉をぶつけ合う遊びさ」
フェイトとルカの疑問に賢が答える。
大輔「とにかく、電車で見つけた毛布をマント代わりにして進もうぜ」






























ルナモン[ギルモン勝負!!えい!!]
ルナモンも雪玉を作ってギルモンに投げるが、ギルモンは軽くかわした。
チビモン[ルナモン、援護するよ!!]
コロナモン[俺も!!]
フレイモン[俺もルナモンに加勢するぜ!!]
チビモンとコロナモン、フレイモンがルナモンに加勢する。
ギルモン[おめえ達もか…よし、そろそろお互い本気出して…決戦も決戦。超最終決戦と行こうじゃねえか!!]
はやて「ギルモン、それ人様の台詞やで…?」
ツカイモン[それにしてもいくらギルモンとは言え流石に多勢に無勢…私達も…]
プロットモン[ええ…ギルモンを援護するわよ!!]
ガブモンX[お仕置きタイム!!]
ツカイモン達がギルモンに加勢する。
戦いは一方的だった。
プロットモンのパピーハウリングでルナモン達は動きを止められ、的になったルナモン達は雪玉の弾幕をその身で受けた。






























数十分後、雪玉の弾幕を受けたルナモン達が雪に沈んでいるのを大輔達が救出するのだった。
大輔「お前ら…俺達より楽しんでどうすんだよ」
ブイモン[アハハ、ごめんごめん………?]
頭を掻きながら謝るブイモンだが、突如、腐った卵のような臭いが鼻腔を擽った。
ブイモンはこの臭いを嗅いだことがある。
すずか「ブイモン?」
アリサ「どうしたのよ?」
鼻をひくつかせているブイモンにアリサとすずかは不思議そうな顔をする。
ブイモン[温泉だ…]
全員【え?】
ブイモン[温泉の臭いだ!!]
はやて「何やて!?」
“温泉”という単語にはやてだけではなく女子陣全員が反応した。
アリシア「お風呂入りた~い!!」
大輔「よし、行ってみるか!!」
大輔を先頭に子供達は温泉がある場所へと向かった。






























温泉は、あった。
確かに煙の下には温泉が存在していた。
しかし…。
すずか「……うわあ」
ユーノ「…沸騰してるんだけど…」
目の前の光景に思わずユーノは小さく頬を引き攣らせた。
湯気が立ち上る穴の中。
白く濁ったお湯はボコボコと泡を吹き上げて沸騰していたのだ。
いくら寒かろうがこれに入るわけにはいかない。
入ったら火傷ではすまないだろう。
はやて「これに浸かるんかいな……?」
アリサ「……そんな訳無いでしょ」
フェイト「大輔…お湯って何度で沸騰するんだっけ……」
大輔「たしか、100℃ぐらいだったと思うな…」
賢「これは入れないな…」
眉間に皴を寄せて賢が小さく呟く。
そしてアリシアがかつてないくらいがっくりと肩を落とし膝をついて落ち込んでいる。
ギルモン[でも暖けえぞ]
ツカイモン[これで寒さは凌げるな]
隣ではギルモンとツカイモンは湯気に手をかざし冷えきった身体を暖めていた。
大輔「…確かに。後は食い物があればいいんだけどな」
アリシア[あるよ、お兄ちゃん。]
復活したアリシアが大輔の服を引っ張りながら言う。
大輔「え?何処だ?」
アリシア[あそこ!!]
アリシアが指差した先には何故か1台の冷蔵庫が居座っていた。
ゴツゴツとした岩場に冷蔵庫は何ともミスマッチだ。
大輔「どれどれ?」
大輔が冷蔵庫に近づいて開けると、中には生卵がぎっしりと並べられている。
ブイモン[卵だ!!]
ユーノ「今日の夕食は、これで決まりだね」
すずか「でもこの卵、食べられるのかなあ…?」
すずかが不安そうに卵を見つめる。
はやて「私に見せてみい?」
はやては冷蔵庫から卵を1つ取り出すと、それを割った。
はやて「…うん、新鮮な卵やから大丈夫や」
このメンバーで最も料理が上手いはやての保障を貰った子供達は、目を輝かせた。
賢「なら…」
はやて「うん。夕食はこれで決まりや!!」






























数十分後、賢が持参した調理道具を使い、目玉焼きに茹で玉子、オムレツ、スクランブルエッグ、卵焼き等と卵料理が急拵えの切り株のテーブルの上に並んだ。
ブイモン[美味い!!大輔、この卵焼き美味しいよ。]
チビモン[美味しい!!]
ブイモンとチビモンが砂糖を大量に入れた激甘卵焼きを嬉々として口に入れた。
大輔「お前達のだけ激甘にしたからな…」
アリサ「それはもう卵焼きじゃなくてお菓子よ…よく胸焼けしないわね」
大輔とアリサが顔を引き攣らせる。
ギルモン[美味えー!!はやて達はこんな美味え物、毎日食ってんのか!!?]
ギルモンがオムレツを頬張りながら言う。
はやて「フッ…これくらいで驚いて貰っちゃあ困るでえ…」
ギルモン[…っ!!?]
これくらい、だと!?
ちょっと待って、それどういう意味?
硬直するギルモン。
はやて「卵料理も他に沢山あるってことや、今は材料が無いから作れへんけど、オムライス、親子丼、カツ丼、茶碗蒸し、カルボナーラ、かに玉…」
ギルモンには、衝撃の事実である。
どれだけバリエーションがあるんだ卵。
人間の料理の種類の豊富さは半端じゃない。
デジタルワールドだってそこまで食を追求している奴は、指折り数えるほどしか無いだろう。
無性にはやての世界が羨ましくなったギルモンである。
全然想像することが出来ないギルモンは、目をぱちくりさせるしかない。
はやての世界に行きたい。
はやてが生まれてきた世界。
ずっと育ってきた世界。
きっとそこはギルモンが知らない物が沢山あるのだろう。
それはギルモンにとって魅力的な物だ。
ギルモン[オラ…はやて達の世界に行きたくなってきちまったあ…]
羨ましそうに子供達を見遣るギルモン。
大輔「まあ、いずれ向こうに戻る日が来るだろうからその時にな」
ギルモン[おう!!]
すずか「そうだ。ねえ、皆は目玉焼きに何かけるの?私はお醤油」
なのは「あ、私もお醤油。」
ユーノ「僕は…ソースかな…」
目玉焼きを一口サイズに切り分け、それに醤油等をかけてみたが、1番口に合ったのはソースだった。
はやて「私も基本的にソースやな…」
アリシア「私はケチャップとソースを混ぜたのが好き!!」
大輔「俺はケチャップだな…」
フェイト「私も大輔と同じ」
大輔は元から目玉焼きにケチャップをかけていたし、フェイトは大輔がかけていたからケチャップをかけて食べていた。
アリサ「私は塩胡椒ね」
賢「僕は塩単品で、ルカは…どれが好き?」
まさか、ルカのオリジナルのクロノの母親、リンディ・ハラオウンのように甘党だったりするのだろうか?
緑茶に砂糖とミルクを入れていたリンディだったら目玉焼きに砂糖か黒蜜をかけるくらいやりそうだ。
想像して実際有り得そうで少し気分が悪くなった賢であった。






























リンディ「ハクション!!」
どっかの次元世界での仕事中、くしゃみをするリンディ。
プレシア「あら?リンディ風邪?」
エイミィ「大丈夫ですか?艦長?」
クロノ「艦長、少し休んだらどうです?」
リンディ「大丈夫よ…。(誰かが噂してるのかしら…?)」
正解。






























ルカ「……」
そしてデジタルワールドではルカは醤油、ソース、ケチャップ、塩胡椒、塩がかけられたそれぞれの目玉焼きを口に運んで咀嚼していた。
なのは「どう…?」
ルカ「僕はこれが好き…」
ルカが指差したのは、醤油がかかっている目玉焼きだった。
賢「醤油か…」
大輔「意外と普通のをチョイスしたな」
フェイト「大輔、これからどうするの?」
大輔「ん?ああ、大分戦力も整ってきたからさ。あのムゲンマウンテンを登ってみようと思ってる。あの山に登れば全体を見渡せるからな」
ユーノ「成る程、確かにあれに登れば、これからの指針になると思います」
大輔「移動に関しては、スティングモン、ファイラモン、ウィザーモンのように飛行可能なメンバーで…一応ブイモンも飛べるしな…」
ルカ「ねえ…」
大輔「ん?何だルカ?」
ルカ「何で今から行かないの?」
ルカが首を傾げながら言う。
フェイト「今は暗いし、皆疲れてるから…今行ったら満足に戦えないの」
ルカ「ふうん…」
ルカが納得したようにムゲンマウンテンを見つめた。
今日はここに一泊することにし、子供達は毛布に包まって眠り始めた。






























全員が寝静まった後、ルカは寝床から抜け出してムゲンマウンテンを見上げた。
フレイモン[ルカ]
ルカ「あ、起こした?」
振り向くとフレイモンが佇んでいた。
フレイモン[ん?いや、寝付けなかったんだ。それより行くのか?]
ルカ「うん。僕は真っ暗でも見えるから」
フレイモン[でもこのまま行けば皆に心配かけるぜ?書き置きくらいしとけよ]
フレイモンがルカに木の棒を手渡す。
ルカは賢達から習った文字を地面に書いた。
“先にムゲンマウンテンに行ってきます。”
ルカ。
そうルカは書き置きを残すとフレイモンを伴って、ムゲンマウンテンへと走って行った。






























ルカ「近くで見ると大きい…」
フレイモン[早く行こうぜ。大輔達が起きちまうぞ]
ルカ「そうだね」
ルカとフレイモンは頂上に向かって歩き出した。
ルカとフレイモンは身軽な動きで山を登っていく。
フレイモンは感心したように言う。
フレイモン[ルカ、結構身軽なんだな]
ルカ「これくらい出来ないと、訓練じゃ生き残れないから」
その言葉にフレイモンはあの施設のことを思い出した。
あの非道な施設で受けた訓練がこんな形で役に立つことになるとは多分、記憶を失う前のルカは思いもしなかったろう。
フレイモン[まあ、辛くなったら俺が手を貸してやるよ]
フレイモンが子供らしい笑顔を浮かべながら言う。
ルカ「ありがとう」
対するルカは笑みを浮かべて礼を言う。
フレイモン[…っ!!]
フレイモンは目を見開いてルカの表情を見つめた。
ルカ「フレイモン?」
フレイモン[あ、何でもない(何だ…笑えるじゃん…)]
今まで殆ど無表情だった為、こういう表情を見れて嬉しい。






























ルカとフレイモンはどんどんムゲンマウンテンの頂上へと近づいていく。
その時であった。
ルカ「!?」
フレイモン[地震か!?]
足を止めて、辺りを見回すルカとフレイモン。
その視線の先で、山がぱっくりと開いてしまった。
しかしそこから出てきたのは熔岩などではなく。
ルカ「あれって…黒い歯車!?」
生まれ落ちた歯車は、八方に飛んで散ってゆく。
ルカ「…様子を見に行こう」
フレイモン[おう]
一際足場の悪いそこへ、2人は向かうことにした。






























一歩一歩、歩く度に、地面が少しずつ崩れる。
そんな脆い土なのに、さっきの割れ目はどこにも見当たらない。
ルカ「もっとよく探してみよう、フレイモン」
フレイモン「…ちょっと待てルカ、何か聞こえる!!」
物陰に隠れて息を殺していると、空からふわりと舞い降りたのは翼のはえた白馬。
ルカ「あれ何…?」
フレイモン[ユニモンだっ!!賢くて大人しいデジモンだよ。もっと近くで見てみようぜ!!]
確かにユニモンは大人しそうで、2人の姿を視認しても暴れる様子もなく水を飲んでいる。
安心しきった2人が、ユニモンに1歩近づいた時。
ルカ「っ…何か……来る!!」
フレイモン[黒い歯車だ!!!]
急降下してくる黒い歯車。
それはよりにもよって目の前の、ユニモンの背中にざっくりと突き刺さった。
悶えるユニモン。
その目にはすでに正気はない。
ルカ「あ…」
フレイモン[目がイッてるぞこいつ…!!]
正気を失ったユニモンがルカとフレイモンに襲い掛かる。
フレイモン[ベビーサラマンダー!!]
拳に纏った炎をユニモンに向かって放つ。
フレイモンの実力は成長期ながら成熟期に迫る程、直撃すればユニモンにダメージを与えられる。
あくまで当たればの話だが。
ユニモンはフレイモンの炎を回避するとフレイモンに突進した。
フレイモン[うわっ!!]
突進を受け、地面に叩きつけられたが、受け身を取り、ダメージを最小限に抑えた。
ルカ「フレイモン!!」
フレイモン[大丈夫だ!!けどこいつ、素早くて狙いが…!!]
ユニモンがルカ目掛けてホーリーショットを放つ。
フレイモン[ベビーサラマンダー!!]
フレイモンは自身の技で、ユニモンの技を相殺する。
フレイモンはユニモンに殴り掛かるが、ユニモンは飛翔して回避する。
フレイモン[くそ!!]
空を飛べないフレイモンと空を飛べるユニモンとではどちらが有利かなど一目瞭然だった。
ユニモンがルカの近くを過ぎった時…。
ルカ「黒い歯車…?」
ユニモンの背には歯車が飛び出している。
ルカ「あれを外せば!!」
ルカは足に力を入れて跳躍し、ユニモンの背中に飛び移った。
フレイモン[ルカ!?何を…]
ルカ「これを、外せば…」
ルカは歯車を引っ張った。
ユニモンは痛みに暴れまわる。
ルカ「うわっ!!」
フレイモン[無茶だ!!止めろ!!]
必死に歯車を抜こうとするルカを、フレイモンは不安げに見ていることしか出来なかった。
もがくユニモン。
ついにルカは手を離してしまった。
フレイモン[ルカーーー!!!!]
落下していくルカ。
あの高さからでは、助からない。
ルカの目の前に岩が迫る。
フレイモン[ルカ!!]
フレイモンがパートナーの名を叫んだ時、進化の光がフレイモンを包み込んだ。
フレイモン[フレイモン進化!アグニモン!!]
フレイモンはインド神話に伝わる火の神である“アグニ”をモデルとし、スピリチュアルファイアーと呼ばれる聖なる炎を自在に操作する能力と東洋武術を用いて戦う魔人型デジモン、アグニモンに進化した。
アグニモンはルカの元まで一瞬で移動して受け止めた。
ルカ[フレイモン…!?]
アグニモン[今はアグニモンだ。ルカ、下がっていろ]
アグニモンは上空のユニモンを見上げると足に力を入れ、一気に跳躍する。
アグニモン[ファイアダーツ!!]
手の甲から噴出させた小さな火をユニモンに向けて、手裏剣のように飛ばして発射する。
ユニモンは炎の手裏剣をかわす。
ユニモンを大きな岩がある方まで誘導すると、アグニモンな拳に炎を纏う。
アグニモン[バーニングサラマンダー!!]
フレイモンのベビーサラマンダーとは比較にならない炎が岩を粉砕する。
辺りが土煙によって覆われる。
ユニモンは思わず動きを止めた。
アグニモンは気配でユニモンの位置を確認すると、全身に炎を纏った。
アグニモン[サラマンダー…ブレイク!!]
全身を炎で包み、回転蹴りを繰り出し、黒い歯車に叩き込んだ。
黒い歯車は一瞬で粒子となって消えた。
ルカ「やった…」
大輔「おーい!!」
ルカが黒い歯車が破壊されたのを確認した時、大輔の声が響いた。
ルカ「大輔さん…?」
大輔「勝手に行動すんなよ。心配したじゃねえか!!」
賢「ルカ、独断で行動してはいけないよ」
大輔と何故か怪我をしている賢がルカに説教をする。
なのは「フレイモン、進化したの?」
アグニモン[今はアグニモンだ。よろしく]
アリサ「へえ…まるで人間みたいね」
アリサがアグニモンをまじまじと見る。
大輔「さあ、皆。頂上へ行こう!!」
大輔のかけ声で皆は歩き始めたのだった。






























おまけ

ルカが寝床から飛び出す前の話。

賢はすずかに呼ばれて、温泉から少し離れた場所にいた。
賢「すずか?何処にいるんだい?」
すずか「ここだよ賢さん」
賢「すずか…!?」
フワッ……
賢の身体に妙な感触が走った。
突然のことに対処出来ず、仰向けに倒れた。
一瞬それが何かは理解出来なかったが、すぐに理解する事が出来た。
すずかが賢の首に手を回し、抱きついてきたのだ。
ちなみにすずかが賢を押し倒す格好になっている。
賢「ちょ…!? す…すずか!?一体何を……!?」
当然抱き着かれた賢は動揺し、抱きついてきているすずかに問い掛ける。
するとすずかは賢の身体から少し離れると、何故かトロンとした眼差しで賢を見つめてくる。
すずか「賢さん……私ね…もう……我慢出来ないの……!!」
賢「え…?それってどういうことすずか!!?」
何故か賢の脳内で警報が鳴り響いている。
すずか「ここに来てから……ずっと我慢してきた…今日も本当は我慢するつもりだったんだけど……賢さんの顔を見たら…そんなの吹っ飛んじゃった…」
賢「何が!?すずか、何をする気か知らないけど、気をしっかり持って!!」
賢は必死に説得するが、すずかはトロンとした瞳のままジリジリと賢に顔を近づけてくる。
正直賢はすずかの色っぽい表情を見た瞬間、不覚にもときめいてしまった。
すずか「賢さん……!!」
賢「待ってすずか!!お願いだから待っ…」
賢の必死の説得も虚しく、ついにすずかは……。
カプッ
賢の首筋に噛み付いて…。
チュウ~
血を吸い始めた。
賢「~~~っ!!」
それに賢は声にならない悲鳴を上げた。
そしてしばらくそうしていると、すずかは満足したように賢の首筋から口を離した。
すずか「プハァ……ご馳走様、賢さん♪」
笑顔でそう言う彼女の肌は、心なしか先ほどよりもツヤツヤしているように見えた。
賢「き、君は一体…?」
首筋を摩りながら、すずかに尋ねた。
すずか「…はい」
すずかから聞いた話だと月村すずかは普通の人間ではないらしい。
彼女の家は“夜の一族”…または“吸血鬼”と呼ばれるものだ。
とは言っても、ホラー小説や映画のように人を襲っては血を吸ったりせず、普段は輸血用血液パックを常飲しているらしい。
しかしデジタルワールドにそんな物があるわけないので、すずかは好意を抱く賢の血を頂いたというわけだ。
どういう原理か分からないが噛まれた痕もすぐに治っている。
賢「へえ…吸血鬼とはね…」
すずか「…意外と反応が薄いですね」
賢「あはは、僕は非常識には耐性がついてるからね。知り合いが吸血鬼でしたってくらいで驚いたりなんてしないよ」
すずか「…それじゃあもう少し…」
賢「…出来れば首じゃなくて腕にしてくれない?」
すずか「首筋の方が美味しいんです」
そう言ってすずかが口を首筋に近づけようとした瞬間。
?「賢兄~…」
突如聞こえてきた、まるで地獄の底から響いてくるような声。
賢「っ!!は、はやて…」
賢が後ろを振り向くとどす黒いオーラを纏ったはやてだった。
はやて「賢兄…随分すずかちゃんと仲ええな~~…賢兄、すずかちゃんと付き合っとるんか?付き合っとるって言いたいんか?」
賢「え…?」
はやて「賢兄のアホオオオオッ!!!!」
賢「うわああああ!!!!」
賢がはやての誤解を解き、普段通りになるまでかなりの時間を要したのは言うまでもない。
 

 

第三十九話 堕天使の策略

 
前書き
デビモンとの邂逅。
ツカイモン[リリカルアドベンチャー、始まります] 

 
?[………まただ…]
デジモンは、彼方へと消える黒い歯車を見つめて呟いた。
彼は誇り高き正義のデジモン、レオモン。
彼には今のデジタルワールドの状態を、みすみす見逃すことは出来なかった。
がらり、岩を擦る足音。
?[死ねっ、レオモン!!!]
叫びとともに、岩の上から宿敵オーガモンが飛び降りてくる。
その右手には愛用のスカルグレイモンの骨棍棒を携えて。
レオモンは腰の剣、獅子王丸で攻撃を受けるが、2人の武器は弾け飛ぶ。
代わりに突き刺し合うのはお互いの鋭い視線。
オーガモン[此処はてめえみてぇな良い子ちゃんがくる場所じゃねぇぜ]
レオモン[黒い歯車のせいでデジモン達が次々と狂暴化しているのだ。見過ごす訳にはいかん!!]
2体は同時に技を繰り出した。
レオモン[獣王拳!!!]
オーガモン[覇王拳!!!]
互角の威力を持つ必殺技が、相殺しきれず空気を揺るがす。
その揺らぎとともに、低く脳髄に響く声があった。
?[それくらいにしておけ…これからお前達は協力しあわねばならんのだからな]
レオモン[この声……デビモンか!?]
薄く喜色を含んだ声音が形になる。
何処からともなく悪魔がその姿を現した。
デビモン[選ばれし子供達を倒すのに、お前達の力が必要なのだよ]
レオモン[何…選ばれし子供達だと!?]
デジタルワールドに古くから伝わる言い伝え。
この世界に残された最後の希望………!!
レオモン[子供達は倒させない!!私の敵は貴様だデビモン!!!]
レオモンの闘魂が牙を剥く。
だが、食らいついたと思った刹那、デビモンの姿は掻き消えていた。
デビモン[甘いな……そんなことで私が倒されるとでも思ったのか?デスクロウ!!!]
レオモン[ぐあああああああ…!!!!]
レオモンの絶叫が魔の山に木霊する。
その余韻すら消えた時、そこに立っていたのは、既にレオモンとは言えない悪の手先だった。
レオモン[子供達………倒す]
子供達に、新たな危険が迫る。





























大輔達はムゲンマウンテンの山頂に辿り着いていた。
すずかが持参していたカメラでムゲンマウンテンから見た風景を写真に写した。
フェイト「大輔、これから何処に行く?」
大輔「そうだな、俺達がこの世界に来るきっかけを作った諸悪の根源を探しに行くしかないと思う。」
なのは「諸悪の根源…誰なの?」
大輔「知らん」
アリサ「はあ!?」
即答する大輔にアリサが反応する。
大輔「だって、俺達の世界のデジタルワールドとこっちのデジタルワールドのことってあんまり分かんないんだよな。俺もまだ選ばれし子供としての経験はまだまだだし」
賢「地道に探すしかないよ」
ユーノ「…とりあえず、山を降りよう。」
ガラガラガラッ!!!
フェイト「何!!?」
ルカ「…道が崩れてる」
大きな音に驚いて振り返ると、今来た道が崩落してしまっていた。
そして、ぬっと姿を現すレオモン。
ギルモン[あいつは…]
チビモン[レオモンだ!!]
すずか「知ってるの?」
ルナモン[とっても強くていいデジモンなんだよ!!]
憧れを隠さずにはしゃぐデジモン達。
ルカ「…逃げて!!」
全員【え!?】
レオモン[獣王拳!!!]
唐突な攻撃。
紙一重で避けはしたが、頬の横の空気がちりりと焦げる。
ブイモン[…っ!!どうやら敵のようだな!!]
チビモン[そんな!!レオモンは正義のデジモンなのに!!]
プロットモン[ここは一旦退きましょう!!]
子供達は一斉にレオモンから逃げる。






























レオモンからひたすら逃げる子供達の前方から、笑い声が響いてきた。
オーガモン[いらっしゃーい!!]
岩陰からオーガモンが飛び出してきた。
オーガモン[待ってたぜ、覚悟しな!!]
大輔「あれはオーガモンか!?」
賢「しまった…挟み撃ちか…」
コロナモン[おかしい…レオモンとオーガモンは敵同士のはずなのに!!?]
オーガモン[骨棍棒!!]
レオモン[獅子王丸!!]
2体のデジモンはそれぞれの武器を掲げて、両側から飛び掛かってきた。
デジモン達が一斉に前に出た。
大輔「デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!燃え上がる勇気!フレイドラモン!!]
チビモン[チビモン進化!ブイドラモン!!]
ワームモン[ワームモン進化!スティングモン!!]
コロナモン[コロナモン進化!ファイラモン!!]
ルナモン[ルナモン進化!レキスモン!!]
ガブモンX[ガブモン進化!ガルルモンX!!]
ツカイモン[ツカイモン進化!ウィザーモン!!]
ギルモン[ギルモン進化!グラウモン!!]
フレイモン[フレイモン進化!アグニモン!!]
9対2。
数の多さもさることながら、パートナーを守りたいというデジモン達の強い意志にレオモンとオーガモンは圧倒される。
大輔「イケる!!今だフレイドラモン!!」
フレイドラモン[ナックル…]
しかし、フレイドラモンの技は不発に終わった。
突如、子供達の真上から巨大な岩がいくつも落下してきたのだ。
アグニモン[バーニングサラマンダー!!]
ブイドラモン[ブイブレスアロー!!]
ウィザーモン[サンダークラウド!!]
フレイドラモン[ナックルファイア!!]
4体の攻撃で、落石は粉々になった。
大輔「みんな、大丈夫か!?」
砂だらけになった大輔が聞いた。
フェイト「こっちは…何とか」
大輔が周りを見ると、退化したデジモン達が倒れていた。
子供達はすぐにデジモンの元へ駆け寄った。
賢「ワームモン、オーガモン達は?」
ワームモン[分かんない。多分、崖崩れに巻き込まれたんじゃないかな?]
すずか「とりあえず、この子達を休ませなくちゃね…」
ユーノ「そうだね……僕達もかなり疲れているし」
どこかゆっくりと休めるところはないだろうか。
休憩所を探して、10人と10匹は歩き続ける。






























デビモン[想像以上の力だ………]
遥か高みから、子供達を見下ろすデビモン。
その口元には小さく笑みが浮かんでいる。
デビモン[…だが、疲れている今なら倒すチャンスは充分にある]
びゅう、と、一陣の風。
それが通り過ぎた時にはもう、彼の姿はなかった。






























ムゲンマウンテンを下山し終えた頃には夕方になっていた。
ブイモン[はあ…]
チビモン[お腹空いたよお…]
チビモンが腹部を摩りながら呟いた。
ギルモン[オラも腹減ったぞ…]
アリサ「…何処かに休めそうな場所は無いかしら?」
アリサが辺りを見回しながら言う。
アリシア「ねえ、あれ!!」
アリシアが指差した方向を見遣ると、全員が歓喜の表情を浮かべた。
洋館である、それも立派な。
子供達は洋館の中に入っていく。






























賢「普通の建物だ。…みんな、今夜はここで休もう」
賢が見遣ると子供達は頷いた。
なのは「わあ、綺麗な絵!!」
なのはが、壁の突き当たりに飾ってある絵画に駆け寄る。
それは純白の羽根を持つ天使の絵。
アリサ「……今更野宿ってのもきついしね」
大輔「仕方ねえ…よな…」
プロットモン[……]
プロットモンは、天使の絵に深く惹きつけられていた。
何故かは分からないが、目を離せない。
コロナモン[ん?]
コロナモンの鼻が、何かを嗅ぎとる。
コロナモン[ご馳走の匂いがする!!]
ギルモン[何!?]
コロナモン[こっちだ!!]
全員、一目散に匂いのする方へ走っていく。
アリシア「…プロットモンどうしたの?」
ずっと絵に釘付けのプロットモンに疑問を持つアリシア。
プロットモン[何でもないわ。行きましょう]
プロットモンは大輔達が向かった方向に向かう。
その頭の隅には、先程の天使の絵がいつまでもちらついていた。
アリシア「うわぁ…♪」
扉を開くとそこには、想像以上に豪華な料理が所狭しと並べられていた。
賢「流石デジタルワールド…何でもありだな」
大輔「食って大丈夫なんだろうな…?」
ギルモン[美味え~!!]
ギルモンが肉にかぶりついた。
大輔「おい?大丈夫か?」
チビモン[平気だよ?]
ツカイモン[何の問題も無いな]
料理を食べていたチビモンとツカイモンが答える。
1時間も経てば、テーブルの上には綺麗さっぱり洗ったように真っ白な皿が、何枚も残っているだけだった。






























大輔「ふう…」
風呂に浸かりながら、溜め息を吐いた。
ユーノ「それにしても、風呂まであるとは至れり尽くせりですね」
フレイモン[何ならもっと熱くしてやろうか?]
ユーノ「全身全霊でお断りさせて頂きます」
拳に炎を纏わせるフレイモンにユーノはキッパリと断った。
ルカ「…熱い」
ボソッと呟いたルカの声は誰にも聞こえなかった。
大輔「まあ、とにかく」
大輔がニヤリと笑いながら切り出す。
大輔「こういう、男子しかいない所でしか出来ない話ってあるんじゃねぇか?」
その笑みはまっすぐ賢に向けられていた。
賢「え!?」
ユーノ「あ~、それ僕も結構気になりますね」
ルカ「…何の話?」
大輔とユーノが笑いをこらえきれない中、1人話が飲み込めていないルカ。
大輔「鈍いなルカ。これは将来、相手が苦労するぜ…賢とはやての関係、気になんねえのか?」
ルカ「……関係?…友達じゃないの?」
賢に向けられる好奇の視線。
賢「なっ…はやては僕にとって妹のような存在で!!」
大輔「え~?絶対にそれだけじゃねえだろ!?」
ユーノ「いつもはやての側にいますもんね」
ルカ「僕、昨日の夜、賢さんとすずかさんがくっつい…」
賢「わああぁ!ルカ、黙れ!!!」
ブイモン[黙れって…]
賢「だったら大輔はどうなんだ?」
大輔「ん?だって俺達はプレシア公認の仲だし♪」
話を逸らすこと叶わず、結局からかわれ続ける賢。
真っ赤になって見上げる賢に、大輔は勝ち誇ったように笑ってみせる。
賢「………っ!!!!」
しまったやられた。
あっさりと友達だと言っておけば!!
気付いた時にはもう遅い。
風呂を上がるまで(上がってもなお)賢はひたすらからかわれていた(ルカは相変わらず無表情)。






























アリシア「ねえフェイト、大輔お兄ちゃんとどこまでいった!?」
フェイト「ええ!?どこまでって…」
すずか「大輔さんってかなり積極的そうだけど…」
女の子の栄養は恋愛なだけあって、追及の仕方も変化球無しのストレートだ。
フェイト「その…大輔の両親に確認は取っていないけど…結婚前提のお付き合いです…」
アリサ「えっ!?」
すずか「えええ!?」
結婚前提の付き合いという言葉にすずかと大輔に好意を抱くアリサは目を見開いた。
すずか「…ということは…」
すずかがアリサを見遣る。
なのは「アリサちゃん、どうしたの?」
なのはが俯いているアリサを見て首を傾げる。
ルナモン[アリサはね、大輔のこと好きなの]
フェイト「え!?」
フェイトが驚いてアリサを見遣る。
アリサ「ええ、そうよ…私は大輔のことが好きなのよ…」
なのは「アリサちゃん…」
アリサ「私は…大輔のこと諦めるつもりはないわ。あんたが大輔と結婚するまでは絶対にね」
フェイト「アリサ…、私は大輔を譲る気なんて全くないから」
アリサ「そうこなくちゃね、勝っても負けても恨みっこ無しよ」
フェイト「うん。負けないよ私」
お互い笑みを浮かべるアリサとフェイト。
アリシア「ねえ、だったらアリサとフェイトが大輔お兄ちゃんのお嫁さんになればいいんじゃないの?」
フェイト、アリサ「「!?」」
なのは「え、ええ!?」
予想外なアリシアの発言に全員が目を見開いた。
アリシア「だってアリサとフェイトは大輔お兄ちゃんのこと好きなんでしょ?私もお兄ちゃんのこと好きだし、だったら皆で分け合えばいいよ!!」
はやて「…確かに一理あるような気はするんやけど…」
すずか「大輔さん、物扱い…?」
はやてとすずかが顔を引き攣らせた。
フェイト「そう…だね…私とアリサで大輔を…」
アリサ「分け合う…確かにそれなら私やフェイトにメリットはあってもデメリットは無いわ…」
なのは「アリサちゃん、すずかちゃん?」
ぶつぶつ言ってる2人を不思議そうに見遣るなのは。
アリサ「フェイト、大輔を分けない?」
フェイト「いいよ」
全員【ええええええ!!?】
アリサの発言とフェイトがアッサリと承諾したことに全員が驚愕した。






























寝室には13台のダブルベッド。
大輔を除いた子供達はパートナーと布団に潜り込む。
アリサ「それにしてもデジタルワールドに来てから、1週間位経つわよね」
すずか「そうだね、色々あったけど」
なのは「そういえば、私達の世界はどうなってるんだろうね?」
賢「おもちゃの町で改造したパソコンで調べてみたけど、デジタルワールドと現実世界とじゃあ、時間の流れが違うから、僕達の世界じゃあ7分位しか経ってないよ」
賢の言葉に子供達は目を見開いた。
はやて「そ、そんなに時間の流れが違うんか?」
なのは「じゃあ、お母さん達は私達が薪を集めている最中だと思ってるんだ…」
賢「そういうこと。ちなみにデジタルワールドの1年は現実世界の約6時間」
ユーノ「へえ…」
ユーノが興味深そうに聞く。
大輔「皆、明日も早いんだ。もう寝た方がいい」
フェイト「うん。そうだね、お休み」
子供達は布団に包まると、目を閉じた。






























デビモン[やはり子供だな…他愛もない]
広間に低く低く、静かに染みていく声。
あの天使の絵を裂いてデビモンがその姿を見せた。
その両隣には、レオモンとオーガモン。
そう、これは罠だったのだ。
デビモン[さぁ、やれ。今なら仕留められる]
オーガモン[一思いに叩き潰してくれるぜ]
レオモン[子供達…倒す]
レオモンとオーガモンが寝室に向かう。






























大輔「…っ!!」
何かを感じた大輔は起き上がると声を上げた。
大輔「みんな起きろ!!何か来る!!」
全員【え!?】
全員が同時に飛び起きた。
それと同時にレオモンとオーガモンが寝室に入って来た。
そして…。
デビモン[大人しく眠っていればいいものを…]
なのは「デビモン!!?」
レオモンとオーガモンと共に現れたのは、デビモンだった。
デビモン[夢はもう失われた…]
賢「これは!?」
寝室に賢の声が響いた。
尤もそこは既に寝室とは言えそうもなかった。
立派な建物は朽ち果てた廃墟となり、壁は崩れ天井もない。
辛うじて支えられた2階部分に、真新しいベッドと子供達だけが残されていた。
ユーノ「くそ…完全に嵌められたか」
フェイト「チビモン、進化を!!」
チビモン[力が出ないの…あんなに食べたのに…]
デビモン[当然だな、食べ物も風呂も全て幻だったのだよ]
アリサ「何ですって!!?」
賢「どうして僕達を狙う?お前の目的はなんだ?」
デビモン[分かりきったことを…それは、お前達が“選ばれし子供達”だからだ。私にとってお前達は邪魔な存在なのだ。黒い歯車でこの世界を覆い尽くそうとしている私にとってはな…!!]
デビモンが両腕を掲げると、ベッドが浮き、島全体が揺れ始めた。
地面が割れ、その亀裂からファイル島が分断されていく。
デビモン[ファイル島はすでに黒い歯車で覆い尽くした…]
分断された小島は、ムゲンマウンテンを中心に八方へと散り散りに流され始めた。
デビモン[次は海の向こうの世界全てだ…]
大輔「何だと!?」
デビモン[お前達を始末してな!!]
レオモン[子供達…倒す…]
レオモンが子供達に襲い掛かる。
ブイモン[くそ!!]
ブイモンがレオモンに殴り掛かるが、かわされる。
レオモン[獣王拳!!]
レオモンの技を食らったブイモンは吹き飛ばされ、大輔にぶつかった。
その拍子にD-3が落ち、レオモンの足に触れた瞬間、画面から光が放たれる。
レオモン[…っぅぐぁああぁ!!!!!]
叫び声とともに、レオモンの身体から暗黒の力が抜け落ちる。
レオモン[邪悪消滅!!]
レオモンの目に正気が戻った。
アリシア「レオモン…?」
レオモン[君達が選ばれし子供達だったのか…]
デビモン[まずい…]
その様子にデビモンは焦りを見せた。
レオモン[デビモン…貴様よくも私にあのような卑劣な真似を……許せん!!獣王拳!!]
デビモンを獣王拳で牽制すると、レオモンは大輔達に言い放つ。
レオモン[子供達よ。ここは私に任せて逃げろ!!]
大輔「レオモン…ごめん!!皆、あの島に!!」
大輔達は近くの島に移動しようする。
デビモン[させるか!!]
デビモンが腕を動かすと、大輔達がいた島が更に分断された。
フェイト達は咄嗟に跳び移るが、大輔とアリシアは間に合わず、大輔とアリシアは別々に分断された島に取り残されてしまう。
ユーノ「アリシア!!」
すずか「アリシアちゃん!!」
アリシア「皆ーーーっ!!」
デビモンは更に島を分断しようとするが、レオモンの妨害を受ける。
大輔「レオモン!!」
レオモン[君達はこの世界に残された唯一の希望!!どうか生き延びてくれ…]
島が廃墟から遠く離れた時、レオモンの絶叫が夜闇に響き渡る。
大輔とアリシアと離れ離れになってしまった子供達。
子供達は大きな不安を抱きながら、廃墟を見つめるのだった。
 
 

 
後書き
大輔とアリシアが仲間と離れ離れに。 

 

第四十話 大好きという言葉

 
前書き
大輔が新たな力を得る。
レオルモン[リリカルアドベンチャー、始まるよ] 

 
デビモンに分離された島で少しの間休憩した大輔は運よく実っていた木の実をブイモンに食べさせる。
しばらくすると雪が降り始める。
どうやらファイル島の雪原地帯に相当する場所にまで流されてしまったらしい。
寒さに耐性のあるブイモンはともかく、薄着の大輔はとても耐えられず、毛布を取り出して、マント代わりにする。
大輔「ファイル島の雪原地帯辺りかな、ここ…」
白い息が空からたくさん降ってきている雪の中に立ち上って、やがては消えてしまった。
ブイモン[…ブイモンアーマー進化!燃え上がる勇気!フレイドラモン!!]
デジメンタルを抜き取り、フレイドラモンにアーマー進化すると、大輔に歩み寄る。
少しでも寒さが和らげばと思っているのだろう。
しばらく歩くと何かが聞こえた。
かつて聞いた優しさの紋章の声に似ているようで違う声。
フレイドラモン[大輔?]
パートナーには聞こえないその声に導かれるように、大輔は足を進めた。
そこには不思議な暖かい光が溢れる洞窟があった。
不思議な光が寒さに凍えていた身体を暖めてくれるような気がした。
大輔「花?」
足元を見遣るとネリネ…ダイヤモンドリリーが咲いていた。
ネリネは彼岸花科の植物であり、花はもとより植物の全体像までがそっくりである。
彼岸といえば墓参りと相場がきまっている。
大輔は彼岸花に似ている花に不吉な何かを感じたが、綺麗だと思った。
フレイドラモンは花のことなど知らないため、ただ純粋にこの洞窟に咲き誇るダイヤモンドリリーの花を綺麗だと感じ、見取れていた。
「誰…?」
大輔「え…?」
声に反応して、振り返るとそこには何と…。
フレイドラモン[女の…子…?]
見た目からして大輔と同い年くらいの女の子が大輔とフレイドラモンを見つめていた。
「来てくれたの?」
大輔「え?」
「私の声を聞いてくれたんでしょ?」
大輔「あ……あの声は、君の…?」
「嬉しい!!」
花咲くように笑った女の子は、軽快に走りよってその手を掴んだ。
そして両手で大輔の手を握り締めて、真っ直ぐ見つめてきたのである。
「あなたのお名前教えて?」
大輔「え?あ、俺は本宮大輔」
「モトミヤ?」
大輔「大輔でいいよ。君の名前は?」
呼び捨てで構わないと言うと、女の子の名前を尋ねるが、女の子は困ったような表情を浮かべる。
「私、名前がないの。大輔が付けてくれる?」
大輔「お、俺が?」
これは中々責任重大だと思った大輔は、一生懸命考えたがさっぱり浮かばない。
フレイドラモン[大輔]
大輔「ん?」
フレイドラモン[俺はチョコやクッキーを…]
大輔「黙れ」
フレイドラモン[すいません]
チョコとかクッキーを名前候補に出そうとしたフレイドラモンを一蹴し、再び思考開始。
大輔「…夏…」
「?」
大輔「現実世界じゃ、今は夏だから…“なっちゃん”…これじゃあ安直すぎるか?」
フレイドラモン[単純…]
大輔「沈めるぞ」
フレイドラモン[ごめんなさい]
失言を言うフレイドラモンを脅して黙らせ、なっちゃんと名付けた女の子を見遣る。
なっちゃん「うん。これからはなっちゃんて呼んで、大輔。よろしくね」
すっかりお気に召したらしいなっちゃんは、鈴を転がしたような声で名前を紡いだ。
それはそれは嬉しそうな微笑みをたたえている。
大輔「そういや、腹が減ったな…」
洞窟が明るいから焚火をする必要はない。
鞄の中身をひっくり返すとまだ口にしていない木の実があった。
皮が黄色で、柿に似たような木の実。
大輔はまず、試しにかじると、表情を歪めた。
大輔「苦っ…」
それを見たなっちゃんも木の実をかじった。
そしてあまりの苦さに涙目になる。
フレイドラモンはブイモンに退化すると、木の実を手に取る。
ブイモン[これ…ビタの実?]
大輔「何だそりゃ?」
ブイモン[これは、ビタの実って言って、食べるには皮を切って干さないといけないんだ。ようするに渋柿の苦いバージョン。]
大輔「それを早く言えよ…えっと…ビタの実以外の食い物は……あ、ラッキー、もんざえモンから貰ったパンがまだ残ってた。それから冷蔵庫の卵も残ってたし…」
フライパンを取り出し、ブイモンが小枝を集めて、小枝に火をつけるとフライパンを熱して、卵をスクランブルエッグにする。
現在油がないため、水で代用して少し水っぽいがあっつあつのスクランブルエッグをパンに挟んでスクランブルエッグサンドの出来上がり。
大輔「ごめんな、こんなものしか作れなくて」
砂糖を少し加えたが、あまり美味しそうには見えないスクランブルエッグサンドを口にしたなっちゃんは大輔に満面の笑顔を浮かべた。
なっちゃん「美味しい。ありがとう大輔」
その笑顔が何故かフェイトとダブって見えた。
ブイモン[大輔?]
大輔「あ、いや、何でもない」
ブイモンが不思議そうに大輔を見上げるが、何でもないと首を振る。
なっちゃん「ねえ、大輔。なあにこれ?」
ブイモンを指差すなっちゃんにブイモンは不服そうに、大輔は苦笑しながらなっちゃんの頭にポンと手を置いた。
大輔「なっちゃん、人を指差しちゃ駄目だ。こいつはブイモンで俺のパートナー…。簡単に言えばもう一人の俺だ」
なっちゃん「もう一人の大輔?ブイモンも大輔なの?」
大輔「何でも、パートナーデジモンはパートナーのデータを元にしてるらしいんだ」
ブイモン[大輔え、お代わり]
スクランブルエッグサンドをもう平らげたブイモンがお代わりを要求するが、大輔の反応は冷たい。
大輔「お生憎様。もうパンも卵もないんだ。我慢しろ」
ブイモン[ええ~?大輔の鬼]
大輔「だったら、寒い海に潜って魚を捕るんだな」
ブイモン[ごめんなさい]































なっちゃん「私ね、ずっと一人だったの。大輔とブイモンが来るまで」
大輔「なっちゃん…」
ブイモン[………]
ずっと一人で生きてきた女の子に大輔はなんと言えばいいのか分からない。
なっちゃん「でもね、もう寂しくないよ。大輔に会えたんだもん」
大輔「そっか、だったらなっちゃん。俺とブイモンと一緒に行かないか?」
なっちゃん「一緒に?」
大輔「ああ、一緒なら俺がなっちゃんを守ってやれる。それにフェイト達と合流すればなっちゃんにもっともっと友達が出来る」
なっちゃん「もっともっと友達が出来るの?ホント?ホントにホント?」
大輔「うん」
まるで生まれたばかりの雛鳥のように、大輔にくっつくなっちゃんに、まるでアリシアと同じように妹が出来たようだと、頭を優しく撫でた。
なっちゃん「ねえ?フェイトってなあに?」
ブイモン[フェイトってのは大輔の彼女で、大輔の未来のお嫁さ…げぼおっ!!?]
余計なことを言うブイモンの横っ面に回し蹴りをお見舞いした大輔。
なっちゃん「大丈夫?」
ブイモン[な、何とか…]
なっちゃん「お嫁さんってなあに?」
大輔「え?」
ブイモン[お嫁さんってのは奥さんになる人で、ずっとお嫁さんになる人の傍にいるんだ]
なっちゃん「じゃあ、私もずっと一緒にいたいから大輔のお嫁さんになる!!」
大輔「えっ!!?」
大輔がなっちゃんの発言に目を見開いた時。
近くで轟音が轟いた。
大輔「何だ!!?」





























外に出ると、空から巨大な鍵を持った天使型デジモンが、空から舞い降りた。
大輔「誰だお前?」
[我が名はクラヴィスエンジェモン。デジタルワールドの秩序を守る者。異端の存在である貴様を葬るために来た。]
クラヴィスエンジェモンの視線はなっちゃんに向けられていた。
大輔はなっちゃんを守るように立ち、ブイモンをフレイドラモンにアーマー進化させた。
フレイドラモン[あいつは俺が抑えてみせる。大輔達は少しでも遠くへ!!]
先手必勝とばかりにクラヴィスエンジェモンに迫るフレイドラモン。
しかしフレイドラモンは知らない。
クラヴィスエンジェモンは完全体どころかそれを超える究極体であることを。
クラヴィスエンジェモン[愚かな…ザ・キー!!]
鍵による一撃。
あまりの斬撃の早さにフレイドラモンは目を見開くが、何とか回避する。
フレイドラモン[(速い!!)ナックルファイアー!!]
火球がクラヴィスエンジェモンに炸裂する。
直撃はしたが、クラヴィスエンジェモンには録にダメージが入っていない。
フレイドラモン[っ!!]
クラヴィスエンジェモン[驚いたぞ。成熟期相当の進化でありながら私に微かながらダメージを与えるとはな]
フレイドラモン[ぐっ!!]
拳を鳩尾に叩き込む。
しかしクラヴィスエンジェモンは表情を動かさない。
フレイドラモン[ファイアロケット!!]
クラヴィスエンジェモン[ザ・キー!!]
フレイドラモンの突進をクラヴィスエンジェモンはたやすく弾いた。
フレイドラモン[うわっ…!!]
受け身を取り、ダメージを緩和するが、自分の攻撃が全く効かないことに焦り始めた。
クラヴィスエンジェモン[今度はこちらからだ!!ザ・キー!!]
あまりのスピードに反応出来なかったフレイドラモンは鍵による一撃を受けて吹き飛んだ。
咄嗟に後ろに飛んだことで事なきを得たが、左腕のガントレットが砕けた。
フレイドラモン[畜生…]
クラヴィスエンジェモン[どうやらお前は古代種の因子を持った現代種ではなく純粋の古代種のようだな]
フレイドラモン[それがどうした?]
クラヴィスエンジェモン[その様子では紛い物の進化しか出来ないようだな。古代種は頻繁に激しくオーバーライトの書き換えを行わなくてはならないために寿命が極端に短い。そのため、古代種の消耗を抑えるためにデジメンタルが生まれた]
フレイドラモン[…………]
クラヴィスエンジェモン[しかし、道具に頼った進化は危険視され、封印されたはず。デジメンタルを持つお前達も葬らねばなるまい]
フレイドラモン[勝手なことばかり吐かしやがって…]
クラヴィスエンジェモン[勝手なこと?私はデジタルワールドの秩序を守るため、事実を言ったまでだが?]
クラヴィスエンジェモンはフレイドラモンの背後に回ると鍵を振り下ろす。
フレイドラモンは何とかそれを右手で掴んだ。
フレイドラモン[ぐ…うぅ…!!]
必死に堪えるフレイドラモンに、クラヴィスエンジェモンは腕の力を抜いた。
フレイドラモン[っ!!?]
突然力を抜かれたことで体勢を崩したフレイドラモンにクラヴィスエンジェモンの一撃を入れられる。
まともに攻撃を受けたフレイドラモンはブイモンに退化した。
クラヴィスエンジェモンはすぐに大輔達を追う。
そして直ぐさま大輔達を追い抜いた。
大輔「なっ!!?」
目を見開いた大輔はクラヴィスエンジェモンが放った一撃を受け、吹き飛ばされた。
大輔の血がなっちゃんの顔に付着した。
なっちゃん「あ…」
クラヴィスエンジェモン[次はお前だ。]
ガタガタ震えるなっちゃんに鍵を振り下ろそうとするクラヴィスエンジェモンだが、なっちゃんの身体から光が放たれ、クラヴィスエンジェモンを弾いた。
クラヴィスエンジェモン[!!?]
吹き飛ばされたクラヴィスエンジェモンは大好きな人を目の前で傷つけられた怒りで狂暴化してしまいもはや人でもデジモンですらもない、何かどす黒いものへと変わってしまったなっちゃんを見る。
クラヴィスエンジェモン[何と醜悪な…やはりお前は生かしてはおけん。正義の名のもとに排除する]
クラヴィスエンジェモンはなっちゃんに鍵による一撃を加えた。
まともに受けたなっちゃんは痛みに絶叫するが、クラヴィスエンジェモンは容赦なくなっちゃんに攻撃を加えていく。
大輔「止め…ろ…」
微かに出た声にも構わず、クラヴィスエンジェモンはなっちゃんの身体を斬り裂いた。
斬り裂かれたなっちゃんは断末魔の叫び声も上げられず、倒れた。
大輔「なっちゃ…ん…」
受け入れ難い現実に身体を震わせる大輔。
ブイモンも同じで怒りの形相でクラヴィスエンジェモンを睨んだ。
ブイモン[お前…よくもなっちゃんを!!あんなに…素直ないい子を!!許さねえ!!]
クラヴィスエンジェモン[分からん奴らだ。よいか?正義と秩序のためならば些細な犠牲など構わんのだよ]
その言葉に大輔とブイモンがキレた。
大輔「黙れ…」
ブイモン[正義なんて言葉を簡単に口にするんじゃねえ!!]
D-3から凄まじい光が放たれた。
D-ターミナルのデジメンタルの保存箇所に、複数のデジメンタルが追加。
大輔「デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!熱き愛情!セトモン!!ヒートストーム!!]
セトモンにアーマー進化すると凄まじい熱を持った嵐がクラヴィスエンジェモンに炸裂する。
あまりの威力にクラヴィスエンジェモンの身体が浮き上がる。
大輔「アーマーチェンジ!!ハニービーモン!!」
ハニービーモン[ポイズンパウダー!!]
クラヴィスエンジェモン[ぐっ…これは毒か!!?]
ハニービーモンは攻撃力こそ低いが、必殺技の毒粉は相手の動きを封じることが出来る。
毒の影響で動きを封じられたクラヴィスエンジェモンの表情には焦りが浮かんでいた。
大輔「アーマーチェンジ!!マグナモン!!」
大輔はブイモンが進化するアーマー体で間違いなく最強の形態を叫ぶ。
クラヴィスエンジェモン[マグナモンだと!!?あの、ロイヤルナイツの守りの要…]
マグナモン[なっちゃんの仇だ…どれだけ泣いて詫びようが容赦はしない!!]
クラヴィスエンジェモン[ほ、ほざくな…いくらロイヤルナイツであろうとも所詮は紛い物の進化…正当の進化を遂げた私の敵ではない!!ザ・キー!!]
マグナモン[マグナムパンチ!!]
クラヴィスエンジェモンの渾身の一撃をマグナモンは拳で殴り砕いた。
クラヴィスエンジェモン[なっ!!?]
唯一の攻撃手段である鍵を破壊されたクラヴィスエンジェモンの表情に絶望の色が浮かんだ。
しかし、呆然とする時間を与える程、大輔もマグナモンも優しくはなかった。
マグナモンは拳と蹴りのラッシュをクラヴィスエンジェモンに叩き込む。
数十発ほど殴られた時点で顔面と仮面は原形を留めておらず、四肢もいびつな形に歪んでいた。
マグナモン[うおおおおおお!!]
クラヴィスエンジェモンの顎に強烈な一打を与え、上空に打ち上げた。
そしてマグナモンは空間を圧縮して、強烈なレーザー光の嵐を見舞う。
マグナモン[消えて無くなれ!!シャイニングゴールドソーラーストーム!!!!]
レーザー光をまともに受けたクラヴィスエンジェモンはデータ粒子となる。
D-3がクラヴィスエンジェモンのデータを取り込んでデジタマに変えた。
マグナモンはブイモンに退化する。
そして激情によって解放されたデジメンタルも奇跡、運命、希望が封印されてしまう。
大輔はなっちゃんに駆け寄る。
大輔「なっちゃん!!」
なっちゃん「大…輔…」
大輔の姿を見たなっちゃんは再び人間の姿となる。
しかし、身体が薄くぼやけている。
大輔「ごめん…守るって言ったのに…守れなくて…」
なっちゃん「気にしないで…大輔は、私を守ろうとしてくれた…傍にいてくれようとした…」
大輔「………」
なっちゃん「私ね…大輔が守るって言ってくれて凄く嬉しかったの…」
大輔「…うん」
涙がなっちゃんの頬に落ちるが、なっちゃんは大輔の頬に触れた。
なっちゃん「大輔…私、眠いの…凄く眠たい…こんなに幸せな気持ちになれたのは本当に久しぶり…」
大輔「なっちゃん…」
なっちゃん「泣かないで…私の心はいつでも大輔と一緒だから…」
大輔はなっちゃんの手を強く掴んだ。
彼女の温もりを決して忘れないように。
なっちゃん「…ありがとう、大輔…大好き」
なっちゃんだったデジモンですらもない存在は光となり、大輔を包んだ。
大輔の身体の傷が癒えていく。
大輔「なっちゃん…」
感じる…。
確かに感じる。
なっちゃんの存在を自分の中に。
大輔「一緒に戦ってくれるんだな…。行こうブイモン」
ブイモン[おう!!]
大輔「なっちゃん…これからも一緒だ」
大輔はブイモンをガーゴモンにアーマー進化させると、一気に島から飛び出した。 
 

 
後書き
なっちゃん登場、そしてさようなら。
なっちゃんは大輔の中で生き続けます。
奇跡、運命、希望の本格覚醒はまだまだお預け。
 

 

第四十一話 舞い降りる女神

 
前書き
プロットモン進化。
ドルモン[リリカルアドベンチャー始まるよ] 

 
島を分断され、仲間と離れ離れになってしまったアリシアとプロットモン。
2人は森の中を探索していた。
プロットモン[ごめんなさい、アリシア。私が進化出来れば、もしかしたら離れ離れにならなくて済んだかもしれないのに]
アリシア「……もういいよ、プロットモン。落ち込んでてもお兄ちゃん達に会えるわけじゃないし」
アリシアは苦笑しながらプロットモンの頭を撫でた。
アリシア「…やっぱりプロットモンも進化したいの?」
プロットモン[それはそうよ。私は強くなってアリシアを守れるようになりたいの]
アリシア「でもプロットモンはどんなデジモンに進化するのかな?」
アリシアは、プロットモンを見遣ると、大型犬のようなデジモンを想像した。
プロットモン[…何か失礼なこと考えてない?]
アリシア「ふえっ!?」
ジト目で見遣るプロットモンに思わずアリシアは冷や汗を流す。
アリシア「(鋭いなあ…)そんなことないよ…」
プロットモン[まあ、そういうことにしておいてあげる。まあ私の場合、何に進化するのか大体分かるわ]
アリシア「何に進化するの?」
ワクワクしながらプロットモンの言葉を待つアリシア。
プロットモン[大体のプロットモンはテイルモンに進化するの]
アリシア「テイルモン?どういうデジモンなの?」
プロットモン[テイルモン?猫のような鼠よ]
アリシア「へ?」






























その頃。
テイルモン[ハクション!!]
ヒカリ「テイルモン、風邪?」
突如くしゃみをしたテイルモンにヒカリは驚きながら尋ねた。
テイルモン[分からない…急に鼻がムズムズして…]
ヒカリ「今日は暖かくして寝たら?」
テイルモン[そうする…]






























別世界でテイルモンがくしゃみをしていることも知らずにアリシアはプロットモンからテイルモンとはどういうデジモンなのかを聞いていた。
ご存知の通り、テイルモンの正体は猫ではなく鼠である。
ネコパンチだのキャッツアイだの、技は猫に関することばかりなのに、本当の名前はハツカネズミモンという立派な鼠である。
ちなみにハツカネズミモンと言う本名をテイルモンに言ったら激怒すること間違いなしなので絶対に口にしないように注意しましょう。
プロットモンはどうやらテイルモンに進化したくはないらしい。
アリシア「どうしてテイルモンに進化したくないの?凄く可愛いと思うけど」
プロットモン[確かにテイルモンは強いわ。だけど小柄だから舐められやすいのよ。ホーリーリングが無いと弱くなるし…どうせならもっと強そうなのがいいわ…エンジェモンとか……]
アリシア「ふ~ん…」
プロットモン[それにしても、ファイル島にこんな森があったなんて…]
アリシア「知らなかったの?」
確かにムゲンマウンテンの頂きから見た時に、このような暗い森はあっただろうか。
記憶の片隅に置いていたファイル島の全体図を思い出す。
プロットモン[…ねえ、何か聞こえない?]
アリシア「え?」
プロットモンに言われてアリシアも耳を澄ますと、何かが聞こえてくる。
特有の機械音。
歯車が回る音がした。
アリシア「何?また歯車が飛んで来たのかな?」
プロットモン[行ってみましょう]
プロットモンが音の発生源に向かって歩きだす。
アリシア「あ、待ってよプロットモン!!」
慌ててアリシアがプロットモンを追い掛ける。






























辿り着くと崖から覗いているのは回転を続ける黒い歯車だった。
アリシア「大きい歯車…」
プロットモン[そうね…っ!アリシア!!]
アリシア「え!?」
背後から忍び寄る悪寒に敵を確信し、プロットモンはアリシアを押し倒す。
攻撃を回避し、後ろを見遣るとダークエリアから召喚された邪竜型デジモン。
“複眼の悪魔”の異名を持ち、その瞳に睨まれたものは動けなくなり、そして鋭利な爪でズタズタに切り裂かれてしまうと言われているデビドラモンがいた。
プロットモン[(まずい…)]
プロットモンは内心で呟いた。
自分は今進化出来ない。
デビドラモンは成熟期の中でもかなり高い戦闘力を持つデジモンだ。
唯一通用する技と言ったら敵の動きを止めるパピーハウリングのみ。
プロットモン[(せめてアリシアだけでも逃がさなきゃ…!!)]
プロットモンはデビドラモンを睨み据え、構えた。
デビドラモンは咆哮を上げると、鋭利な爪をプロットモンに向けて振り下ろす。
プロットモン[くっ!!パピーハウリング!!]
必殺技を繰り出し、デビドラモンの動きを封じたがそれは一瞬だけで、すぐに金縛りが解けた。
プロットモン[そ、そんな!?]
今までの敵に効いていた技が通用しない。
その事実にプロットモンは愕然となる。
その隙をデビドラモンは見逃さず、プロットモンを弾き飛ばした。
プロットモンは木に叩きつけられる。
プロットモン[うぅ…]
アリシア「プロットモン!!」
それを見たアリシアが木に叩きつけられたプロットモンに駆け寄ろうとするが、デビドラモンのレッド・アイで動きを止められてしまう。
アリシア「う、動けない…!!」
デビドラモンはアリシアに向かって歩いていく。
アリシアの表情が恐怖で歪んでいく。
プロットモン[…パピー…ハウリング!!]
全力の金縛りがデビドラモンの動きを止める。
プロットモンは痛む身体を起こして、デビドラモンに立ちはだかる。
アリシアをその背に庇いながら、プロットモンは必死に思考を巡らせる。
どうする?
どうすればいい?
どうすれば勝てる?
どうすればアリシアを守れる?
これまでの戦いでアリシアを守ったのは大輔達だった。
その大輔達は今はいない。
ならば…。
プロットモン[私が…アリシアを…守る!!]
プロットモンの身体が聖なる光に包まれた。
闇属性のデビドラモンは聖なる光の威力に怯む。
プロットモン[プロットモン進化!ダルクモン!!]
プロットモンを包み込んだ光が消えた時、そこにいたのはジャンヌ・ダルクをモデルにした女性タイプの天使型デジモン。
4枚の羽を持つ別名“戦場の女神”と呼ばれ、天使群の中で常に先頭に立って戦う切り込み隊長とされているダルクモンへと進化した。
アリシア「プロットモンが天使に…!?」
神々しい光を放つダルクモンにアリシアは思わず目を奪われる。
デビドラモンはダルクモンの放つ光に苦しそうに表情を歪めたが、ダルクモンに向けて鋭利な爪を向けた。
ダルクモン[………]
ダルクモンは更に光を強めた。
デビドラモンは思わず後退する。
ダルクモンは2本の剣を抜き、デビドラモンに突っ込む。
ダルクモン[ラ・ピュセル!!]
聖なる力を宿した斬撃にデビドラモンは一瞬で粒子となって消えた。
アリシア「…殺した…の…?」
アリシアは躊躇いなくデビドラモンを屠ったダルクモンを驚愕したように見つめる。
ダルクモン[アリシア、そんなに驚くことかしら?]
ダルクモンがどこまでも無機質な声色で返す。
アリシア「え…?」
ダルクモン[何故そんな事を聞くの?]
アリシアは思わずぞっとした。
ダルクモンからは一切の感情が感じられない。
プロットモンの面影が全く感じられない。
ダルクモン[私は光、光は善の存在なの、デビドラモンは闇、悪の存在。それを倒すことに何か問題があるの?]
アリシア「え…?何、それ…?」
ダルクモン[闇が無くなれば皆が幸せになれる。そうでしょう?]
ダルクモンの言葉に混乱しながらも、アリシアは口を開いた。
なのは「私は…違うと思う」
ダルクモン[…?]
アリシア「光とか闇とかよく分かんないけど…。光とか闇で区別して正義だとか悪だとか決めるなんて間違ってると思う!!」
ダルクモン[…ではあなたどうしろと言うの?あなたは私に何を望んでいるの?あなたは私に何を求めているの?]
ダルクモンは無機質な表情でアリシアを見つめる。
アリシア「私が君に望むのは、光とか闇とか関係なく、友達を…沢山のデジモンを守る為に…私と一緒に戦って欲しいんだ!!」
アリシアの答えにダルクモンはようやく笑みを浮かべた。
ダルクモン[それがあなたの答えなのね。人の心という曖昧な物の為に私に戦えと言うのね。分かったわ。私はあなたとあなたの信じる物の為に戦いましょう。例え、光の加護を失って、力を発揮することが難しくなっても私はあなたとあなたの信じる物のために戦うことを今ここで誓います。]
綺麗な笑顔を浮かべてダルクモンはアリシアの元に向かう。
ようやく、ダルクモンにプロットモンの面影が見えた。
アリシア「ダルクモン…!!」
ダルクモン[行きましょうアリシア、あなたの仲間の元へ]
アリシア「うん!!」
ダルクモンはアリシアを抱き抱えると飛翔する。
目指すは仲間達のいる島。






























おまけ

優しい未来の続きっぽい。

エイミィ「ふ…ふふふ…アーッハハハハハハハッ!!」
狂喜の笑いをするエイミィを見てパーティー会場中のメンバーがドン引き状態になっている。
エイミィ「認めない…認めないぞおっ!!こんちくしょうがぁぁぁぁッ!!!!!」
大輔「今度は某再誕のラズベリーの方か…どうしたんだよ?」
エイミィ「私は!!お義姉ちゃんはねえ!!ルカ君とスバルちゃん達とのお付き合いは認めないんだからあっ!!」
ノーヴェ「てめえまだ調子に乗るつもりかっ!!?」
なのは「喧嘩っ早いなあ…」
ギンガ「お義姉さんが私達に勝てるとでも?」
エイミィ「お義姉さんとか言わないで!!こうなったら…誘拐&逃走!!」
ルカを抱えて逃走を謀るエイミィ。
パーティーの御馳走を蹴散らしながら。
ブイモン[御馳走があああああっ!!?]
スバル「逃げた!!?」
クロノ「追え!!逃がすなあ!!」






























一輝「会場の地下に逃げたぞ!!」
ブイモン[絶対に逃すなよ!!]
チビモン[私のプリンパフェーーーーッ!!]
フェイト「チ、チビモン…パフェならまた頼んであげるから…」
ギルモン[オラのパイィィィィッ!!]
はやて「あんのド馬鹿ブラコーーーン!!」
ヴィータ「今日という今日は絶対に許さねええええ!!」
今の彼らはすでに阿修羅と化していた。
いやそれどころか破壊神に。
エイミィ「くっ!!このままじゃあ…」
賢「…………」
エイミィ「あ、賢君!!助かったあ…みんなを止めて…」
賢「カオスフレア!!」
エイミィ「ほぎゃああああっ!!?」
賢「地獄の業火に焼かれて消えろ!!」
カオスフレアの威力をもってしてエイミィを吹き飛ばした賢。
ちゃっかりルカをよけながら。































遼「さて、馬鹿がいなくなったところでパーティーを再開する!!」
遼が高らかに宣言した瞬間、パーティー会場がどっと盛り上がった。
エイミィは星となり、皆の記憶からは滅却された。 

 

第四十二話 始まりの町

 
前書き
始まりの町に到着。
コロナモン[リリカルアドベンチャー、始まるぜ]
 

 
アリシアと離れ離れになり、子供達は何処か休める場所は無いかと辺りを見回しながら歩いていた。
すずか「アリシアちゃん…大丈夫かな…?」
賢「大丈夫さ、アリシアにはプロットモンがいる。今は何とか休める場所を…」
賢達は疲労困憊の身体を動かして、奥に進んだ。
顔を上げたチビモンが、森の向こうに目を向けて声を上げた。
木立の向こうにカラフルな四角や三角のものが見えた。
フェイト「大きな積み木…?」
ルナモン[始まりの町だあ!!]
デジモン達は叫ぶと同時に駆け出した。






























角の丸い建物はおもちゃの積木のよう、いくつもそびえる木からたわわに吊り下がるのは果実ではなくぬいぐるみや小さな飛行機。
すずか「おもちゃの町もそうだったけど……不思議な町だね」
チビモン[フェイト、早くぅ!!]
フェイト「待って、チビモン……きゃっ!?」
町に足を踏み入れたフェイトは、ふわふわとした地面に足を取られて転びかけた。
はやて「トランポリンみたいやなあ…」
地面に手をついたフェイトは、慎重に立ち上がって歩き出した。
少しして、揺り籠のようなものと可愛らしい模様の卵が並んでいる場所へ着いた。
子供達が揺り籠を覗き込む。
ボタモン、プニモン、ユラモン、そしてデジタマが入っていた。
なのは「ふわああ…可愛い…!!」
ルカ「これ何?」
チビモン[わあ、デジタマだ!!デジモンの卵だよ。]
同じくおもちゃのような色彩の、可愛らしい大きな卵。
すずか「デジモンは卵から産まれるんだ。」
コロナモン[そうだぜ]
ルカ[フレイモンも?]
フレイモン[え?あ、ああ…多分…]
自信なさ気に言うフレイモンに子供達は首を傾げる。
なのは「ねえ、抱っこしていいのかな?」
賢「いいんじゃないかな?」
なのはがボタモンに触れようと手を伸ばした時だった。
?[やいっ、てめえら!!ベビー達に何してやがるっ!?]
威勢のいい声とともに、耳の長いデジモンが走ってきた。尻尾が孔雀の羽のように広げられている。
ブイモン[エレキモンだ。]
チビモン[本当だあ]
チビモンは敵意を向けられているのも気にしないでエレキモンに近づいていった。
エレキモン[な、なんだ、お前…]
照れたように目を逸らした。
フェイト「うん」
フェイトはエレキモンを見て微笑んだ。
エレキモン[おっと、そろそろベビー達がお腹を減らす頃だ]
エレキモンは大輔達に背を向けて歩き出した。が、すぐに振り返る。
エレキモン[おめえら、暇なら手伝ってくれ]
もう1度顔を見交わした子供達とデジモン達は頷き合った。
なのは「ちょっとだけなら…」
賢「大丈夫だよ」
子供達とデジモン達はすぐにエレキモンの後を追った。






























エレキモン[スパークリングサンダー!!]
エレキモンが川に向けて電撃を放つと、川を泳いでいた魚が浮き上がってくる。
フレイモン[へえ、こういう使い方もあるのか]
フレイモンの感心した声にエレキモンは満足げに笑った。
エレキモン[ちょろいちょろい!!これだけありゃ充分だ!!待ってなよ、ベビー達。もうすぐ、奥がたんまりエサ持って帰っからな!!]
エレキモンは魚を網に包んだ。
はやて「大漁やね」
ワームモン[やること無かったね…]
エレキモン[大漁はいいが、運ぶのがしんどいぜ]
フレイモン[だったら俺に任せろ]
フレイモンが網を掴むと軽々と持ち上げた。
エレキモン[やるじゃねえか]
フレイモン[力には自信があるんだよ]
子供達とエレキモンが食料を持って町へ帰って行く。
































そして町に戻ると、大輔とブイモンがいた。
くたくたの大輔達にくっついている幼年期の大群にしばし言葉を失った。
侵入者が幼年期を襲うことが多々あるから神経をとがらせていたのだが、寧ろこれは幼年期に侵入者が襲われてる光景である。
少なくてもこいつらは大丈夫そうだと第六感が告げたので、雷による奇襲は取りやめた。
エレキモン[何やってんだ、ベビー達?ていうか誰だ?]
フェイト「大輔!!」
フェイトが大輔に駆け寄る。
大輔「よう…」
フェイト「怪我してる!!大丈夫大輔?」
大輔「大丈夫だよ。怪我自体は治ってるし」
大輔の服に付着したものと、顔に付着した血液で怪我をしたものと思ったフェイトは怪我の手当てをしようとするが、大輔が押し止めた。
賢「何があったのか、教えてくれ大輔」
大輔「…ああ、何から…話せばいいのかな…」































夜であるにも関わらず、鮮明な光景を黒い歯車に魔力を宿した魔鏡に突如ぴしりと罅が入る。
どんどん深くなっていったかと思うと、ガラスが砕け散るような音がして、そのまま木っ端微塵に粉砕されてしまった。
デビモン[己…!!]
オーガモン[…っ!!]
禍々しい重圧が生まれる。
厳粛かつ圧倒的な恐怖を本能に刻みこむような殺気は、最早威圧感の領域を超えて、この場にいる者が死にたくなる雰囲気を形成する。
静寂と沈黙があたりを支配する。己の心音だけが響いている。
その音すらうるさいと感じるほどだ。
気が狂いそうになる。
その空間の主は、まるで地獄の底から響くような声で言葉を紡ぐ。
デビモン[奴め…遂に進化したか…!!]
蹂躙された鏡の破片が跡形もなく消えてしまう。
鏡の主であるデビモンのウィルスに侵食され、そのデータを失ってしまった。
闇の洗礼を受け、デジコアを直接ウィルスで染め上げられてしまったため、廃人状態のまま支配下に置かれているレオモンは微動だにしない。
しかしレオモンが、こうも呆気無くダークサイドに堕ちる様子を目前で見て、敵わないと悟ったオーガモンは違う。
逆らうことが出来ずに自らの意志で服従したオーガモンは、初めて私的な感情を露呈したデビモンの豹変ぶりに違った意味で恐怖を抱く。
ムゲンマウンテンの主であるデビモンは、確かにファイル島に存在する成熟期の中でも屈指の実力者ではあったが、ここまで露骨にデジタルワールドの征服に野心を燃やし始めたのは、黒い歯車というアンドロモンやもんざえモン、マーメイモンのような完全体すら支配下する入手経路不明の力を手にしてからだ。
ムゲンマウンテン以外の全てのエリアに組み込まれた黒い歯車が作動し、一夜にしてファイル島は沢山の離れ小島と化してどんどんデータの海を泳いでいく。
そこに選ばれし子供とパートナーデジモンを孤立させることで、確実に戦力の分散と粉砕を狙った合理的な計画は、既にそれは瓦解している。
最も警戒していた1人を除いた子供達を分散させることは叶わなかったがデビモン不敵な笑みと余裕を崩さないのだ。
オーガモンから見ても明らかに、パートナーデジモン達は進化の度にパワーアップをしているのは明確で、追い詰められているにも関わらずどこまでもデビモンは態度を変えなかったので、その底知れない何かに気味の悪さすら覚えていたのだが、プロットモンを極端に警戒するのは大いに疑問である。
10人の内、8人の選ばれし子供達が1つの場所にいるというのにデビモンの優先すべき驚異は相変わらずそちらに向けられているのだ。
アリシアとパートナーデジモンの中で進化出来ていないプロットモンに対してだ。
アリシア達にデビドラモンを差し向けたことからも窺い知ることが出来る。
オーガモンは知っている。
魔鏡の向こう側にいるそのプロットモンを見るデビモンの目は、憎悪を超えて不倶戴天の敵を見るような激しい何かを宿していた。
プロットモンが進化した時、それが顕著になった。
オーガモン[(何で、あんなデジモンを警戒しやがるんだ…?)]
異常なほどの執念、執着を超えた何かがデビモンを突き動かしている。
デビモン[貴様らは何としてもあの選ばれし子供達が合流する前に始末しろ。最後のチャンスをやろう。今回失敗したならば、我が糧として貴様らには死んでもらう。覚悟しておけ]
オーガモンはレオモンと共に姿を消した。
配下が去ったのを確認したデビモンは、満月を背にウィルスに侵食されてボロボロになってしまっている、漆黒の翼を広げた。
デビモン[ダルクモンよ…来るなら来るがいい…。貴様を我が闇で葬り去ってくれるわ!!]
怨敵の顔を思い浮かべながらデビモンは叫んだ。































全員【ご馳走様!!】
エレキモンの家で夕食をご馳走になった子供達。
テーブルには何枚もの皿が置かれていた。
賢「ありがとうエレキモン。食事までご馳走してくれて」
エレキモン[気にすんな。お前らベビー達に余程気に入られてるみてえだからな、寧ろ大歓迎だ。]
後片付けをするエレキモンが豪快に笑いながら言う。
フェイト「それにしても、なっちゃんか…」
大輔からなっちゃんの話を聞き、正義という大義名分のもと、罪のない彼女を殺したデジモンに怒りを感じたが、同時に少しなっちゃんに対して悔しい気持ちもあった。
彼女は大輔の中で永遠に生き続けるのだろう。
それこそ大輔が死ぬまで。
美しい思い出として大輔の中に留まり続ける。
大輔がエレキモンを手伝おうと立ち上がろうとした時。
大輔「うっ…」
大輔は眩暈に襲われ、ふらつく。
アリサ「あ、あんた…大丈夫?」
アリサが少々ふらつきながら大輔に聞く。
なのは「ふわあ…」
なのはが欠伸をする。
ルカもウトウトしている。
フェイト[…色々ありすぎたもんね……]
賢「…少し眠って……」
子供達が席を立とうとした時であった。
ドオオォォン!!!!
全員【!?】
子供達は一斉に扉を見遣る。
急いで外に出ると、レオモンとオーガモンがいた。
オーガモン[うるせえぞガキ共!!]
泣きわめく幼年期のデジモン達に怒鳴り付けるオーガモン。
食事をして回復したデジモン達が一斉に進化して、オーガモンとレオモンへと突っ込んでいく。
オーガモン[何!?]
アグニモン[サラマンダーブレイク!!]
オーガモン[うわああああ!!?]
アグニモンの回転蹴りがオーガモンに直撃し、吹き飛ばした。
ブイドラモン[エレキモン、ベビー達を避難させて!!ブイブレスアロー!!]
ブイドラモンは幼年期のデジモン達を避難させるように言うとオーガモンに追撃を仕掛けた。
熱線がオーガモンに直撃し、ヤシャモンにアーマー進化すると木刀を脳天に叩き込み、オーガモンは気絶した。
ヤシャモン[レオモン…]
スティングモン[君の歯車を取り出してやる!!]
9体のデジモンがレオモンを取り囲む。
ウィザーモン[…むっ!?]
グラウモン[な、何だ!?]
突如、ムゲンマウンテンの方から飛んできた歯車。
それも、1つや2つではない。
振り返ると上空には、大量の黒い歯車。
それは猛スピードで落ち、全てレオモンの背中に減り込んだ。
レオモン[ぐぁぁぁぁぁああぁあぁあっっっ!!!!!!]
悲鳴をあげるレオモン。
その手が、足が、鬣が、黒く大きく変貌してゆく。
なのは「な、何!?」
ルカ「歯車のせいでレオモンが…!!」
大輔「まずい…皆、逃げろ!!」
レオモン[獣王拳!!!!]
何倍もの威力に膨れ上がったレオモンの必殺技がヤシャモン達を弾き飛ばした。
ユーノ「ウィザーモン!!」
賢「暗黒の力で強くなっているんだ…。」
レオモン[獣王拳!!!!]
今度は子供達に向けて放った。
子供達は直撃は受けなかったが、余波で吹き飛ばされてしまう。
握り締めていたD-3がレオモンの近くに落ちた。
その時、D-3が暗黒の力を感知して、聖なる光を放った。
レオモン[があぁぁぁああぁあっ!!!!]
レオモンの悲鳴。
聖なる光がレオモンを包み込む。
めりめりと嫌な音をたてながら、黒い歯車が背中から顔を出した。
フェイト「ど、どうしたの…!?」
ユーノ「もしかしてあの光には暗黒の力を浄化する力があるのかも!!」
アリサ「なら!!」
子供達は起き上がり、D-3の元へと向かうとそれをレオモンに掲げた。
聖なる光が更に強まる。
レオモン[ぐ…あぁあ、あァあぁぁあっ………!!!!!]
黒い歯車は次々とレオモンの背から弾け出る。
先刻、レオモンを侵したものとは比べものにもならない数だった。
これほどの暗黒を要さねば、レオモンを操ることは出来なかったのだ。
その精神力と伴う苦痛。
どれほどのものだっただろう。
そして黒い歯車は……空中に飛び出し、塵と消えた。
暗黒の力が抜け落ち、レオモンは元の姿に戻る。
すずか「聖なる力が勝った!!」
賢「さて?どうする?まだやるかい?」
オーガモン[冗談じゃねぇ、俺1人で敵うわきゃねーだろ…]
オーガモンはその場からすごすごと逃げ去った。































おまけ

ブイモンのアーマー進化。

成熟期クラス

フレイドラモン(強化で完全体クラス)
ライドラモン(強化で完全体クラス)
セトモン
ハニービーモン
ヤシャモン
デプスモン
ガーゴモン
カンガルモン

完全体クラス

サジタリモン
ゴールドブイドラモン(強化するか思案中)

究極体クラス

マグナモン(強化でモードチェンジクラス)
 
 

 
後書き
次回はデビモンとの最終決戦 

 

第四十三話 限界突破 オーバードライブ

 
前書き
凄く悩みましたが、この時点で限界突破。
ちゃんとしたパワーアップイベントが主人公が最後って…(汗)
ルナモン[リリカルアドベンチャー、始まるよ] 

 
正気に戻ったレオモンは、子供達に語り始めた。
レオモン[いつの頃だったかは分からない。しかし、このデジタルワールドで囁かれ始めた噂があったのだ。この世界が暗黒の力に覆われた時、別世界から“選ばれし子供達”という存在がやってきて、この世界を救ってくれるという噂がな。]
ユーノ「噂があるということは僕達の前にも選ばれし子供がこの世界に来たんですか?」
レオモン[分からん。元々人間という存在や別世界があるなんていう事自体、こうして君達に会うまで信じているデジモンなどいなかった。私のようにな。確かにデジモン達の間ではそういう伝説があるという噂が流れ始めて随分と長いことになる。もう伝説と言ってもいいレベルでな。今まで半信半疑だったが、君達の話を聞いて、もう疑う余地はないだろうな。今のファイル島はデビモンによって、黒い歯車という驚異でもって、まさに暗黒の力に覆われようとしている。そこに君達が現れた。デジモンを進化させるという特殊で凄まじい力を持った君達がだ。そのデジヴァイス、そして心を通わせるパートナーがいることが何よりの証だ。君達がどう思おうが、これは揺り動かすことが出来ない確固とした事実だ。言うまでもないかもしれんが、改めて頼みたい。デビモンは暗黒の力を使って、このファイル島にある大地の力を吸い取り、暗黒の力に変えようとしている。選ばれし子供達よ、どうかファイル島に覆われた、この闇を打ち払ってはくれないか?]
レオモンの話に子供達は互いの顔を見合わせて頷いた。
大輔「そうだな」
フェイト「ここはチビモン達が生まれた世界だから…」
フェイトの言葉に他の子供達が頷いた。
レオモン[感謝する。私も協力しよう]
エレキモン[なあ、俺は…。]
今まで黙っていたエレキモンがレオモンに聞くと、彼は首を横に振った。
エレキモン[そりゃそうだよなあ…]
成長期のエレキモンが成熟期同士の激突に参加したところで、たかが知れている。
なのは「今すぐムゲンマウンテンに行こうよ!!」
ルカ「…でも、アリシアはどうするの?」
はやて「あ、そやった。どないしよ…」
エレキモン[何なら後から来た奴がここに来たら教えといてやるよ!!皆ムゲンマウンテンに向かったってな!!]
大輔「ああ、よろしく頼む!!」
エレキモンを残し、大輔達はレオモンに連れられてムゲンマウンテンへと急ぐ。

































分断された島にいた大輔達は、レオモンが用意した筏で向かうことに。
その頃、アリシアもまた、ムゲンマウンテンへと急いでいた。
10人と10匹が集うまで、あと少し。






























デビモン[最早、私自身が戦うしかないようだな………“奴”が来る前に]
皮肉にも神殿を模した社の中で、デビモンは無表情に魔鏡を覗き込んでいた。
オーガモン[お…俺にもう1度チャンスを…!!]
口調を改めるのも忘れ、オーガモンが必死で主張する。
デビモンの薄い唇の端が笑みに歪んだ。
デビモン[ああ……勿論、戦わせてやるさ。私の一部としてな…デスクロウ!!!]
冷たい指がオーガモンの喉元を捕らえた。
瞬間、悲鳴を上げる間もなくオーガモンの姿は掻き消え、大きな数枚の黒い歯車に変わる。
デビモン[我が元に集え、暗黒の力よ!!!]
高らかに宣言すれば、島から吸い寄せられるように歯車が飛んでくる。
デビモンはそれを飲み込むように取り込んでいく。






























そしてムゲンマウンテンの付近に辿り着き、一気にデビモンのいる頂上に向かう。
しかし、歯車により支配されたガードロモン、タンクモンの大群が後方から襲い掛かる。
ブイモンはフレイドラモンにアーマー進化すると同時にガードロモンとタンクモンの大群に向かう。
フェイト「大輔!?ブイモン!?」
大輔「ここは引き受けた。お前達は先に行け!!」
フェイト「でも…」
賢「ここは大輔に任せよう。殿はこの中では大輔が一番向いている」
奇跡、運命、希望が使えないが、その他のデジメンタルが使え、あらゆる戦局に対応出来る大輔が殿に向いている。
それに魔力を持つため、空中戦も出来るのも利点だ。
大輔「アーマーチェンジ!!セトモン!!」
セトモン[ヒートストーム!!]
凄まじい熱気の竜巻がガードロモン達を巻き込み、吹き飛ばしていく。
タンクモンがセトモンに砲弾を放つが、咄嗟にハニービーモンにアーマーチェンジし、砲弾を回避。
ハニービーモンの毒粉をタンクモン達にお見舞いし、動けなくなったところをライドラモンに進化すると同時に、タンクモンの群れの中を突っ切ったと同時に、タンクモンが粒子化した。
ライドラモン[大輔…]
大輔「ああ…何と言うか…脆すぎるな…ここはデビモンのアジトだ。少し、警備が薄すぎるような…」
オーガモン[警備が手薄だってえ!!?そいつはとんだ勘違いだぜ。お前ら如き俺様一人で充分だってことよ]
大輔「オーガモン?今更何しに出て来たんだ。お前が今のブイモンに勝てると思ってんのか?」
オーガモン[俺様はデビモン様と一つになったのよ!!レオモンがいないのは残念だが、お前にも煮え湯を飲まされたからなあ!!]
骨こん棒がライドラモンに迫る。
ライドラモンはそれを回避するとフレイドラモンにチェンジする。
フレイドラモン[確かに前のオーガモンより強くなってる…!!]
一気に駆け出し、オーガモンの背後に回る。
オーガモン[遅いぜ!!]
動きを見切っていたオーガモンがフレイドラモンに骨こん棒の一撃を喰らわせる。
想像以上の威力にフレイドラモンはのけ反った。
デビモンに吸収されたことで戦闘力も大幅に強化されているのだろう。
その強さは以前のオーガモンの比ではない。
フレイドラモン[(強いな…ダスクモンやクラヴィスエンジェモンよりかは遥かに弱いんだろうが…今の俺で勝てるかどうか……)]
この狭い足場でなければもう少しまともに戦えたものを。
オーガモン[覇王拳!!]
フレイドラモン[ナックルファイア!!]
オーガモンの闘気とフレイドラモンの炎がぶつかり合う。
土煙が辺りを覆う。
フレイドラモン[(酷い土煙だ…これでは奴も…)]
オーガモン[パートナーががら空きだぜえ?覇王拳!!]
フレイドラモン[何!!?]
オーガモンが狙ったのはフレイドラモンではなく、大輔である。
フレイドラモンは即座に大輔の盾となる。
フレイドラモン[ぐうっ!?]
大輔「フレイドラモン!!?」
フレイドラモン[卑怯者…!!]
オーガモン[ヒャーハハハハハ!!ほらほら頑張りな!!守らないとパートナーが死ぬぜえ!!]
覇王拳を連続で放つオーガモン。
フレイドラモンは防御を固めて必死に大輔を守ろうとする。
しかし、とうとう耐え切れなくなり、吹き飛ばされた。
このままでは地上に落下する。
いくらフレイドラモンでもムゲンマウンテンの頂上付近から落ちたら助からない。
大輔「フレイドラモーーーン!!」
大輔の叫びに呼応するかのように、D-3から強烈な光が放たれた。
フレイドラモン[うおおおおおおおお!!!!]
フレイドラモンが紅いオーラを放つと、飛行魔法で一気に戻ってきた。
オーガモン[ゲエ!!?]
まさかのパワーアップにオーガモンは焦りを感じた。
フレイドラモンは大輔に危害を加えようとしたばかりか、卑怯な戦法を取ったオーガモンに凄まじい怒りを抱いていた。
フレイドラモン[オーガモン、いくら温厚な俺でも今度ばかりは許せないぞ]
怒りがフレイドラモンの潜在能力を引き上げていく。
フレイドラモン[大輔に攻撃しようとしただけじゃなく、卑怯な戦い方をした…生きて帰れると思うなよ?]
オーガモン[ケッ!!いくらパワーアップしたと言っても俺様に勝てる訳ねえ!!覇王拳!!]
フレイドラモンに放たれたオーガモンの技は腕の一振りで弾かれた。
オーガモン[なっ!!?]
フレイドラモン[今度はこっちからだ!!覚悟しろオーガモン!!]
足に力を入れ、一気にオーガモンに迫る。
フレイドラモン[だりゃあああああ!!!!]
オーガモン[ぐへっ!!]
顔面にフレイドラモンの拳が入る。
次に蹴りがオーガモンの側頭部に炸裂し、オーガモンの顔を変形させる。
上空に蹴り上げ、飛行し、手を組むとそれをオーガモンに叩き込み、地面に減り込ませた。
フレイドラモン[とどめだ!!ナックルファイアーーーッ!!!!]
拳から今までの比ではない、まるで、ジオグレイモンのメガバースト並の規模であり、完全体にすら匹敵する威力を誇る豪火球が放たれた。
身動きが取れないオーガモンはそれを受けて消滅した。
大輔「やったのか?」
ブイモン[ハアッ!ハアッ!…多分デビモンの所に戻ったんだ。取り込まれていたよう…だし……]
大輔「大丈夫か?ブイモン?」
ブイモン[うん…でも、ごめん…凄く怠い…]
大輔「休んでから行こう。な?」
ブイモン[ああ…]
限界突破を遂げたブイモンだが、消耗が凄まじいため、しばしの休養を取ることに。

































黒い歯車がいくつもいくつも、山の頂上へと吸い込まれていく。
ぐらり、地面が揺れた。
すずか「な、なに、地震!!?」
賢「いや…」
今までとは桁違いの障気が渦をまく。
鈍い音を立てて頂上の社が粉々に吹き飛んだ。
アリサ[な、何よあれ!?]
驚愕するアリサ。
その視線の先、砕けた社の中から現れたのは…何十倍の大きさに巨大化した、悪魔。
ルナモン[何であんなにおっきいの!!?]
レオモン[暗黒の力が凝集している…そのせいで巨大化しているのだ!!]
窮屈そうに長い手足を引きずり出し、風を纏って降りてくる。
その風圧は凄まじく、子供達は吹き飛ばされて岩壁に叩きつけられた。
デビモン[愚かな…。お前達はここで滅びる運命だ!!]
賢「ぐっ…」
血色の双貌を光らせて、デビモンは叫ぶ。
子供達は痛む身体を起こした。
賢「お前の好きになんて…させるものか!!」
ワームモン[ワームモン進化!スティングモン!!]
ワームモンが進化し、光弾を放つ。
スティングモン[ムーンシューター!!!!]
ドオオォォン!!!!
ムーンシューターがデビモンの顔面に直撃した。
はやて「今や!!」
ギルモン[ギルモン進化!グラウモン!!]
ガブモンX[ガブモン進化!ガルルモン!!]
フレイモン[フレイモン進化!アグニモン!!]
コロナモン[コロナモン進化!ファイラモン!!]
ルナモン[ルナモン進化!レキスモン!!]
ツカイモン[ツカイモン進化!ウィザーモン!!]
チビモン[チビモン進化!ブイドラモン!!]
この場にいないプロットモンとブイモン以外の全てのデジモンが進化する。
ファイラモン[ファイラボム!!]
ファイラモンの火炎爆弾がデビモンに直撃する。
他のデジモン達もデビモンに向けて必殺技を繰り出す。
デビモン[そんな攻撃が私に効くとでも思っているのか…!!!]
技は片手で打ち払われ、豪腕にデジモン達は易々と吹き飛ばされてしまう。
アリサ「ファイラモン!!」
なのは「ガルルモン、頑張って!!」
子供達は必死にパートナーに声援を送る。
彼らの勇姿に少しでも報いらんとばかりに、単身勇猛果敢に立ち向かっていくレオモン。
オーガモン[甘いぜ、レオモン!!]
レオモン[何!?]
大輔達に敗れたが、デビモンの糧となったかつての好敵手を見て絶句する。
オーガモン[俺はデビモン様と1つになったのよ!!もうてめェなんかに負ける気はしねえぜ!!]
レオモン[くっ…オーガモン…こう言った形で決着をつけたくはなかったが…!!]
レオモンはデビモンの一部となったオーガモンに獅子王丸を向けた。
スティングモン達は必死になってデビモンに攻撃するが、全く効かない。
スティングモン[スパイキングフィニッシュ!!]
スティングモンのスパイクがデビモンに直撃するが、ダメージを受けていない。
スティングモン[どうして…どうして効かない…!!?ぐっ!!]
デビモンの豪腕にスティングモンが地面に叩き付けられた。
デビモン[力が違い過ぎるのだ。お前達と私のな]
ブイドラモン[それでも…!!]
ブイドラモンがデビモンの腕に噛み付いた。
ファイラモンもグラウモン、ガルルモンも同様に。
アグニモンは拳をデビモンに叩きつける。
レキスモン、ウィザーモンは遠距離から技を何度も放つ。
デビモンを倒さねば、子供達は笑顔になれないのだ。
だからデジモン達は必死になる。
パートナーのために、命を懸けて戦うのである。
スティングモン[僕達は…負けられないんだっ!!!!!!]
スティングモンは傷ついた身体を奮い立たせ、再びデビモンに向けて突進した。
デビモン[愚か者め!!]
デビモンの身体から暗黒の波動が放たれた。
突進しようとしていたスティングモンは勿論、至近距離にいたデジモン達は吹き飛ばされてしまい、成長期に退化する。
ルカ「フレイモン…!!」
近くまで吹き飛ばされたフレイモンにルカは急いで駆け寄った。
賢「ワームモン…」
フェイト「チビモン!!しっかりして!!」
チビモン[フェイト…ごめんね…元の世界に帰してあげたかったのに…!!]
コロナモン[力が…入らねえ…]
アリサ「コロナモン…!!」
デビモン[滅びよ!!]
デビモンが魔法陣を展開する。
ウィザーモン[っ!!サンダークラウ…]
デビモン[邪魔をするな!!]
技の妨害をしようとしたウィザーモンに暗黒の波動を喰らわせた。
ウィザーモン[ぐああああああっ!!!!]
ウィザーモンは岩壁に叩きつけられ、成長期に退化した。
ユーノ「ツカイモン!!」
デビモン[これで終わりだ…!!レザーウィン…]
ガーゴモン[ホワイトスタチュー!!]
ダルクモン[ラ・ピュセル!!]
光の力を宿した白い石像がデビモンの顔面に炸裂し、光を纏った剣閃がデビモンの腕を切り落とす。
デビモン[ぐっ!!何!?]
顔面に喰らい、腕を切り裂かれたデビモンは、激痛に表情を歪めたが、怨敵の姿を認識すると憤怒の表情を浮かべる。
デビモン[貴様、ダルクモン…!!ガーゴモンもか!!]
ダルクモン[デビモン…]
デビモンは憎しみを、ダルクモンは哀れみの表情を浮かべている。
すずか「天使…?」
アリシア「皆ーーーっ!!!!」
背後から聞こえたアリシアの声に振り向くと、こちらに駆け寄ってくるアリシアの姿があった。
フェイト「アリシア!!」
ユーノ「ということは、あのデジモンは…」
ユーノがダルクモンを見上げながら呟いた。
アリシア「皆、酷いよ。私を置いて先に行くなんて…!!」
息を荒くしながら言葉を紡ぐなのは。
賢「ごめん…」
賢は苦笑しながらアリシアに謝罪する。
フェイト「じゃあ、あれは?」
大輔「あれはガーゴモン。ブイモンが光のデジメンタルで進化した。デビモン相手ならガーゴモンが一番向いている」
ダルクモン[デビモン、あなたは私が倒します]
デビモン[ふん。貴様にそれが出来るのか?光の加護を失い、本来の力の半分も発揮出来なくなった貴様に?]
デビモンが光でも闇でもない中立の立場になった為に力の大半を失っているダルクモンを嘲笑う。
ダルクモン[アリシアとの誓いがある限り私は中立の道を歩みます。例え、光の加護を失い、力の大半を失おうとも]
デビモン[正気とは思えんな…!!気でも狂ったか!?]
ダルクモン[あなたには分からないでしょうね。暗黒の力に頼り、仲間との絆をゴミのように扱うあなたには]
デビモン[貴様…私を侮辱するか!!]
デビモンから凄まじい暗黒の力が吹き出るがダルクモンは微動だにしない。
アリシア「ダルクモン…」
ダルクモン[大丈夫、私は絶対に負けませんから]
ダルクモンがアリシアを安心させるように微笑む。
ダルクモン[私はアリシアと…アリシアの信じる物の為に戦います]
双剣を構えたダルクモンが、凛とした声で宣言した。
アリシア「うん!!ダルクモン頑張って!!負けないで!!」
パートナーの心からの力強い声援がD-3を通してダルクモンに力を与える。
それは中立の立場を選択したことで、失われてしまった力を補って有り余るものだった。
デビモン[馬鹿な…!?]
それを見たデビモンの顔が驚愕に染まる。
しかし黒い歯車を取り込み、強大な存在として立ちはだかるデビモンを倒すためには、まだまだ足りない。
ダルクモン[ガーゴモン]
ガーゴモン[?]
ダルクモン[少しだけ、時間を稼いで下さい]
ガーゴモン[…分かった]
ダルクモン[私の元に集え、聖なる力よ!!!!!]
ガーゴモンがデビモンに向かうと、ダルクモンが剣を天に翳し、それと同時に子供達のD-3から聖なる光が放たれた。
聖なる光は光の柱となり、より合わさって、ダルクモンの元へと迸る。
そしてデジモン達はガーゴモンを除いた全員が強制的に退化させられる。
ワームモン[何をしようとしているの!!?]
ガブモンX[そんなことをしたらどうなるか分かっているの!!?]
ルナモン[駄目だよダルクモン!!そんなことしてもアリシアは喜ばないよお!!]
ダルクモン[そうはいかないわ。]
チビモン[どうして!?]
ダルクモン[…デビモン(悪)の身体はもう限界だからよ]
ダルクモンが子供達とデジモン達にしか聞こえないくらい小さな声で言う。
フレイモン[っ!?どういうことだよ!?]
ダルクモン[デビモンは自分が許容出来る量以上の暗黒の力を取り込んでいるの。本人は気づいていないようだけど…いずれ肉体が崩壊するわ]
デビモンは気づいていないようだが、既に肉体は限界に近づいている。
このままでは、暗黒の力によってデジタルワールドの輪廻の輪からも完全に外されてしまう可能性もある。
そこにあるのは完全の死。
それだけは何としてでも避けなければならない。
デビモン[愚か者め、死なば諸とも心中する気か!!どこまでも貴様は気に入らない!!]
アリシア「そんな、嫌だよ、ダルクモン!!止めてよ!!」
ダルクモン[ごめんなさいアリシア……あなたは本当に不思議な人、きっと進化したばかりの私なら何も感じずにデビドラモンを葬ったようにデビモンを葬ったでしょうね。でもD-3から流れてくるあなたの想いは、とても暖かいもの…。心の中では敵であるはずのデビモンに対しても、傷ついて欲しくないと思ってる…。]
アリシア「ダルクモン…」
アリシアは涙を浮かべながらダルクモンを見つめる。
ダルクモン[謝って済むことじゃないかもしれない…ごめんなさいアリシア。そして…ありがとう]
私にこんなに優しい…暖かい心をくれて。
ダルクモンは翼を羽ばたかせ、飛翔する。
デビモン[潰れてしまえっ!!!!]
デビモンの魔手がダルクモンを襲う。
ガーゴモン[させるか!!ホワイトスタチュー!!]
石像をデビモンに喰らわせ、のけ反らせる。
ダルクモン[どうか安らかに…]
ダルクモンは祈りながら剣を構え、一筋の閃光となる。
閃光となったダルクモンは、一気にデビモンに駆け抜けていく。
聖なる光が…ダルクモンの命の輝きがファイル島を包み込んだ。
その光はファイル島のデジモン達を洗脳している黒い歯車すら浄化していく。
大輔「来い!!デビモンのデータ。浄化する!!」
デビモンのデータがD-3に吸収され、ディスプレイにデジタマが映る。
光が収まった時にはデビモンの姿は無かった。
そしてそこには足元から徐々に消えていくダルクモンがいた。
アリシア「ダルクモン!死んじゃ嫌だよ!!消えないで!!」
ダルクモン[ごめんなさいアリシア、でも大丈夫。きっとまた会えるわ。あなたがそれを望むなら…。]
ダルクモンはアリシアに優しく微笑みながら言う。
そして次に大輔達の方を向く。
ダルクモン[私は力を使いすぎたわ…強すぎる力は破滅を呼ぶ…皆、私は少し休ませてもらうわ…フェイト、アリシアをお願い…]
フェイト「…分かった。任せて。」
フェイトがダルクモンを見上げながら頷いた。
それを見たダルクモンは最後に再びアリシアの方を見遣ると微笑った。
ダルクモン[…アリシア……]
────またね、アリシア。大好きよ…────
ダルクモンの笑顔が見慣れたプロットモンの笑顔とダブった。
アリシア「っ…ダルクモ…」
アリシアが言い切る前にダルクモンは完全にデータの粒子となった。
アリシア「っ……!!!ダルクモーーーンっ!!!!!」
アリシアの悲しい叫びがファイル島中に響いた。
そこにアリシアの涙とダルクモンの数枚の羽根だけを残して…。
 
 

 
後書き
ブイモンが限界突破

オーバードライブ。
デジメンタルのエネルギーを限界を超えて出力して大幅なパワーアップを果たす能力。
最も相性がいい勇気、友情、奇跡のデジメンタルが適応。
運命は除外します。 

 

第四十四話 新天地へ

 
前書き
デビモンを撃破した子供達。
しかし…。
プロットモン[リリカルアドベンチャー、始まるわよ] 

 
亡き友の名を呼び泣き叫ぶアリシアの目の前に、吸い寄せられるようにふわりとダルクモンの羽根が集まった。
微かに光を放ちながら、それは形を成してゆく。
アリシア「………え…?」
ぽん、と小さな音をたてて現れたのは、
フェイト「デジタマ…………」
ころりと小さな、命の器。
大輔「プロットモンのデジタマか…?」
ガブモンX[うん、きっとそうだよ…]
アリシア「…プロットモン…プロットモンなの……?」
なのははプロットモンのデジタマを優しく撫でた。
ブイモン[ダルクモンはきっと、デジタマからやり直すんだ]
チビモン[そうだよ。ちゃんと進化すればまた会えるよ!!]
口々にそう述べるデジモン達。
アリシアは涙を拭い、デジタマを抱え上げた。
アリシアは「大切に育てるからね…」
震える声で、アリシアが呟く。
パートナーの腕に抱かれながら、再び世界に生まれる瞬間を待つ。
すずか「見て、島が戻ってくる!!」
アリサ「この島を覆っていた暗黒の力が消えたからだわ…」
緩やかに波を上げて、ファイル島は元の姿を取り戻さんとしている。
それぞれの離島の端には、待ちきれないというように身を乗り出す沢山のデジモンの姿が見て取れた。
その数だけの歓声、笑顔があった。
賢「ダルクモンの犠牲は無駄じゃなかった…か…」
はやて「…ところで、これからどうするんや?」
はやてが戻っていくファイル島を見遣りながら言う。
これからどうすればいいのだろう?
大輔「そうだな…」
大輔が腕を組んで悩みだした時。
突然、地面が揺れ始めた。
地面の1部が音を立ててひび割れたかと思うと、そこから大きな投影機のようなレンズが顔を出す。
そして、その中に1人の老人が透きとおった姿を見せた。
その老人。
この世界に来てから初めて目にする。
人間の形をした存在は。
?『ほう…お前達が選ばれし子供達か。デビモンを倒すとは中々やるのう』
フェイト「…え!?」
面白いくらいに皆同じ表情をしている。
驚愕の表情。
鷹揚と自分達を見上げる小柄な老人。
アリサ「あ、あんた誰よ!?」
ルカ「デビモンの仲間?」
警戒心を露にする子供達。
老人はそれに慌てた様子もなくゆったりと子供達を見回した。
?『心配せんでいい、わしはお前達の味方じゃ、わしの名はゲンナイ。この世界の安定を望む者じゃ』
ユーノ「僕達以外にも人間がいたんですね」
ゲンナイ『わしは人間であって人間ではない』
アリシア「じゃあオバケ?」
ゲンナイ『…………いや…』
アリシアの率直な疑問にずるりと脱力した表情を引き締め、ゲンナイは皆に向き直った。
いつの間にか、全員がゲンナイの正面に集まっている。
ゲンナイ『今まではデビモンの妨害があってなかなか通信できんかったが、やっと会えたのう…』
ゆらゆらと虹色に光るホログラム。
すずか「通信って…、どこからしてるんですか?」
ゲンナイ『このファイル島から遠く離れた海の向こう、サーバ大陸じゃ』
大輔、賢「「サーバ大陸…」」
なのは「それって大輔さんの先輩の人達が冒険した所だよね?」
ゲンナイ『ほう、つまりお主達が…』
ゲンナイの視線が大輔と賢に向く。
賢「どうやら僕達のことを知っていたようですね」
ゲンナイ『無論じゃ』
はやて「ゲンナイさんはいつからそこにいるんや?」
ゲンナイ『最初からじゃ。わしは最初からこの世界におる』
アリサ「…私達に何の用があるのよ?」
焦れたアリサがゲンナイに尋ねる。
ゲンナイ『おお、そうであった。サーバ大陸へ来て敵を倒してくれ。選ばれし子供達よ。選ばれし子供達なら出来るはずじゃ…』
大輔「何?」
子供達が目を見開いた。
それはそうだ。
今しがた強敵との死闘を終え、もう心身ともにぼろぼろなのだから。
すずか「こ……、来いと言われても場所が分からないんですが」
大輔「そこかよ!!」
ゲンナイ『あ、それもそうじゃのー』
大輔「爺…」
疲労のせいなのか微妙にずれたことを言い始めるすずか。
…なんだかもう寸劇のようだ。
ゲンナイ『今お前のパソコンに地図を送ってやるわい』
ふぉふぉ、とまた笑ってゲンナイは自らの髭を撫でる。
大輔「だけどどうするつもりだ?デビモンを倒すのも苦労したんだぜ?それなのにファイル島よりレベルが高いサーバ大陸をどうしろって言うんだ?」
タグはないが、紋章がある自分と賢はまだいい。
しかし紋章を持たないフェイト達を守りながらとなるときつい。
ゲンナイ『お前達のデジモンがもう一段階進化出来ればそれも可能になる』
もう一段階、完全体への進化。
チビモン[私達がもっと進化する…!?]
目を見開くチビモンにゲンナイは頷く。
ゲンナイ『その為にはこれが必要じゃ』
言うなりゲンナイの姿は消え、代わりに別の映像がふわりと浮かび上がった。
小さなプレートだ。
大輔「紋章…?」
ゲンナイ『ほう、知っておったか。ならば話は早いのう。お主らの世界ではタグに紋章を差し込んでいるようじゃが…』
映像に映るのはD-3のディスプレイに紋章が吸い込まれる映像だった。
大輔「D-3に紋章を…?」
ゲンナイ『かつては紋章をタグに差し込むことで完成するはずじゃった。だが、お主達が来たことにより、デジヴァイスの性能を大きく向上させることに成功し、D-3と紋章を1つにすることで紋章の力を引き出すことに成功したのじゃ』
大輔「紋章とデジヴァイスを1つに…」
ちなみにこれは太一達の紋章の欠点を解消した物でもある。
最初からデジヴァイスに紋章をぶち込むという前提で作っていれば、光の紋章がヴァンデモンに渡ることは無かったし、アポカリモンに破壊されたりはしなかった。
何せ、究極体の攻撃を受けても罅1つ入らなかったのだから。
大輔は紋章を取り出すとD-3に近づける。
すると紋章が光りだし、紋章がD-3のディスプレイに吸い込まれた。
次の瞬間、D-3のディスプレイに奇跡の紋章が浮かんでいた。
賢もやってみれば同様の現象が起こった。
フェイト「…あの、紋章は何処にあるんですか?」
ゲンナイ『紋章はサーバ大陸のあちこちにばらまかれてしもうた。』
大輔「つまりそれを見つけないといけないわけか…」
大輔が溜め息を吐きながらぼやいた。
その時だった。
耳障りなノイズとともにゲンナイのホログラムがゆらめく。
ゲンナイ『あ、いかん。デビ…妨害が……』
大輔「ゲンナイさん?」
何をする間もなかった。
キィン、と高くハウリングのような音が響き、それに驚いた皆が閉じた目を開けた時、ゲンナイ老人の立体映像は、跡形もなく消え去ってしまっていたのだった。
なのは「消えちゃった…」
大輔「あのくそ爺…」
こめかみをひくつかせながら呟く大輔。
すずか「…地図は無事届いたみたい」
パソコンを操作し、すずかが告げる。
フェイト「これから…どうする?」
フェイトがなのはを見遣りながら言う。
大輔「とにかく山を降りよう。話はそれからだ」


































清らかな水が絶えず湧き出る泉の辺で、久しぶりにゆっくりと過ごせる夜。
一口食べるごとに、飲むごとに、言葉を交わすごとに、張り詰めていた心も身体も緩やかに解けていくのを感じる。
アリサ「やっと落ち着いたわね…」
ギルモン[腹一杯食ったから、眠くなってきたぞお…]
呑気な台詞、そんなことを言えるのも、生きているからだ。
今の自分達ならそれがどんなに素晴らしいことかわかる。
他愛ない雑談の輪の少し外側、跳ねた飛沫がかかるほど水に近い岸辺で、アリシアはひたすらデジタマを撫で続けていた。
それを見たフェイトがアリシアの元に行く。
アリシア「何?」
フェイト「ん…頑張ってるねアリシア」
アリシア「うん、早く孵って大きくなるといいなって…」
フェイト「大丈夫、きっとすぐだよ。アリシアがこんなに会いたがってるんだから。プロットモンだってきっと同じ気持ちだよ」
アリシアの隣に座りながら言う。
アリシア「うん!!」
チビモン[きっとすぐに戻ってきてくれるよ…アリシアが望むならね]
アリシア「…そうだねっ」
アリシアはデジタマを優しく抱き締めた。
大輔「さて、飯も食ったしこれからのこと決めよう」
大輔が立ち上がる。
英気を養ったその瞳は、迷いなく勇ましい。
アリサ「ゲンナイさんは、サーバ大陸に来いって言ってたわよね…」
隣に座っているアリサが、大輔を見上げる。
すずかがゲンナイから送られてきた地図データを開いて皆に見せた。
すずか「この地図が正しいなら、ここからかなり離れてるはずだよ」
見ればファイル島であろう小さな島は、大陸から離れに離れており、とても1日2日では辿り着けそうにない。
アリシア「私、プールでもまともに泳げないんだよお…?」
情けない声を出すアリシアだが、よしんば遠泳の世界チャンピオンでもこの距離を泳いでいくなんて確実に無理だろう。
確実に沈んで深海魚とご挨拶する羽目になり、魚の餌となるだろう。
賢「行くにしても、デジタマが孵ってからにしないか?」
はやて「何でや賢兄?」
賢「生まれてすぐ戦いなんて酷じゃないか」
ルカ「…でも急がないといけないんでしょ?」
ルカが疑問を口にする。
すずか「そうだけど…」
フェイト「もう少し待とうよ」
アリシアを気遣って、出発を遅らせようと考える子供達。
しかしアリシアは首を振る。
アリシア「私達のことなら大丈夫だよ。」
大輔「いいのか?少しくらいなら…」
アリシア「ありがとうお兄ちゃん。でもいいの、ここにいたらプロットモンに怒られちゃうもん」
大輔「分かった…皆、行こうぜ。サーバ大陸へ!!」
全員【おお!!!!】
呼応する全員の掛け声が、空気を爽やかに震わせた。






























そして大輔以外の全員が寝静まった時、再び大輔の前に投影機が出現。
ゲンナイが現れた。
大輔「何の用だ?」
ゲンナイ『いや、少し気になることがあってな…お主のブイモンのことじゃが…まだ通常の進化を果たしてはおらんのじゃろう?』
大輔「………」
痛いところを突かれた大輔は仏頂面になる。
ゲンナイ『お主のブイモンはチビモン達のように古代種の因子を持った現代種ではなく、既に滅んだはずの純粋の古代種のようじゃな』
大輔「古代種?」
ゲンナイ『まだデジタルワールドにデジタマへの転生の概念が存在しなかった時代から存在したデジモンじゃ…彼らは潜在能力は現代種を大きく上回るが、オーバーライトによる消耗が激しく、寿命が現代種と比べて短く、成熟期への進化はともかく完全体への進化は困難を極める。故に純粋古代種の完全体、究極体は伝説とまで言われておるのじゃよ』
大輔「ブイモンがその純粋の古代種なのか?」
ゲンナイ『そうじゃ、本来ならお主のブイモンは成熟期への進化を遂げていてもおかしくないレベルに達しておる。しかし、純粋古代種に通常進化はかなりハードルが高いようじゃな。複数のデジメンタルと紋章の力、そして強力なエネルギー体の力による肉体の強化、そして新たな力の解放…デジメンタルのエネルギーを限界を超えて出力する能力に、限界突破…“オーバードライブ”と名付けた。これでようやく条件が整い始めてきたようじゃ』
大輔「じゃあ、後は今までのようにきっかけか?」
ゲンナイ『そうじゃな、どのようなきっかけで進化するかは分からんがの。後、成熟期への進化はともかく、完全体への進化はブイモンの場合、困難じゃ。何らかの方法を考えておいた方がよいぞ』
大輔「…分かった。」
映像が消えると、大輔は眠そうに欠伸をすると寝床に戻る。 
 

 
後書き
ブイモンにはある程度負担が少ない方法で完全体、究極体になってもらいます。
ブイモン→エクスブイモン(現代種)→パイルドラモン(擬似ジョグレス超進化)→マグナモン(奇跡のデジメンタルをパイルドラモンに使用)
エクスブイモン、パイルドラモンは基本地上戦しか出来ない主戦力アーマー体のフレイドラモン、ライドラモン、ゴールドブイドラモンの代わりの戦力。 

 

第四十五話 ホエーモン

 
前書き
ホエーモンとの邂逅。
大輔「リリカルアドベンチャー、始まるぜ」 

 
翌日の早朝。
大輔はフレイドラモンにアーマー進化させ、オーガモン戦で発現した力を発動する。
フレイドラモン[…オーバードライブ!!]
フレイドラモンが紅いオーラを纏うと一気に跳躍する。
大輔「凄え…今までとはパワーもスピードも桁外れだ」
ブイドラモン[行くよフレイドラモン!!そら!!]
フレイドラモンに向けて大岩を投げる。
フレイドラモン[はあっ!!]
拳が大岩を粉砕する。
ブイドラモン[…なら、これはどう?ブイブレスアロー!!]
フレイドラモンに向けて放たれるブイドラモンの必殺の熱閃。
フレイドラモン[ナックルファイア!!]
ブイドラモンの必殺技をかわすのではなく、自分の技をぶつけ、たやすく掻き消した。
フェイト「凄い!!」
フレイドラモン[ふふ………あれ?]
急にオーラが消えて、フレイドラモンは頭から落下した。
アリサ「ちょ、大丈夫あんた?」
フレイドラモン[な、何とか…]
口に入った砂を吐きながらアリサに答えるフレイドラモン。
賢「強力な力だけど思わぬ弱点が発覚したね。デジメンタルのエネルギーを限界まで出力させるから無尽蔵にエネルギーを消耗してしまう。言わば、オーバードライブはブレーキが壊れた車みたいなものだね。余程上手くエネルギー配分が出来ないと長期戦は出来ない」
ルカ「大抵の…並の成熟期なら一瞬でカタがつくけど…あのデビモンやアンドロモンみたいなのが相手だと、やっぱり不利になるよ」
大輔「…慣れるしかないか」
フレイドラモン[ああ…]






























そしてしばらくして、子供達は筏を作って海を渡ることにし、海の近くの森で作業していた。
ブイモン[ブイモンヘッド!!]
ブイモンの頭突きが炸裂し、木はメキメキと音をたてて倒れた。
デジモン達が各々の技で木を倒していく。
ユーノ「木を伐るだけで、随分かかりそうだ」
ユーノが困ったように言う。
アリサ「焦っても仕方ないわ。ゆっくりやりましょ」
なのは「だね。あれ?」
アリサに相槌を打ったなのはは、後ろからの足音に気がついた。
なのはが振り返り、釣られてアリサが振り返ると、レオモンが歩いてくるではないか。
アリサ「レオモン!!」
レオモン[サーバ大陸に行くそうだな]
アリシア「どうして知ってるの?」
レオモン[噂好きのデジモンもいるのさ。何か手伝えることはないかと思ってな]
確かにレオモンの背後を見ると、ギアサバンナで出会ったメラモンにサンモン達、おもちゃの町のもんざえモン、そして…。
賢「彼らは?」
エレキモン[お前らの噂を聞いて来てくれたのさ]
後ろにいるモジャモンやケンタルモン、ユキダルモンを見遣りながら言う。
全員の力を借りて、選ばれし子供達を乗せる筏はあっと言う間に完成したのだった。






























レオモン[お前達なら、こんな海くらいきっと越えられる!!]
大輔「ありがとう、皆のおかげだ!!」
レオモンと大輔が握手を交わす。
その時だった。
アリシア「あっ!!」
おもむろにアリシアが声を上げる。
その視線の先、アリシアの手の中で………。
ぱりんっ!!
フェイト「あ…っ!!」
アリシア「デジタマが孵ったぁ!!」
ぷにぷにと可愛らしい、ユキミボタモン。
殻から飛び出して、アリシアの胸に飛び込んだ。
ユキミボタモン[アリシア~!!]
声はプロットモンの時より大分幼いが…。
アリシア「お帰り…」
ユキミボタモン[うん…]
生まれてきてくれてありがとう。
小さなあなた。
レオモン[お別れだな]
フェイト「本当にありがとう、レオモン、皆も」
すずか「元気でね!!」
筏に乗り込み、綱を外す。
いよいよお別れだ。
培った友情。
蓄えた力。
刻まれた恐怖でさえも……忘れない。
ファイル島の皆のことは、決して忘れない。
揺れながら、筏が岸から離れていく。
寂しさに思わず泣き出してしまったアリシアの肩を優しく叩いて、フェイトは見えなくなるまでレオモン達の影を見つめていた。






























ザン…ザパン……
穏やかな波が、太陽を反射し細かに光る。
子供達とデジモンを乗せた筏は、雄大な海に揺られ順調に航路を進んでいた。
ルカ「…まだ何も見えない」
ルカが目を細めても、広がるのは海の青ばかり。
どこまでもどこまでもそれは広がっている。
はやて「後どれくらいで着くんやろうなあ…」
大輔「おいはやて、しっかりしろよ、まだ船出して半日だろ?」
大輔は朗らかに笑いながらはやての肩を叩く。
しかしユーノは難しい顔で筏の中央に括りつけてある荷物を見遣った。
ユーノ「でも水も食料も、切り詰めて半月しか持ちませんよ。それまでにサーバ大陸に着かなかったらどうするんです?」
ファイル島に棲むどのデジモンも、レオモンでさえ踏んだことのない遠い地。
何日かかるかなど分からない。
何があるかも分からない航海。
そして決して余裕のある大きさではない、こじんまりとした筏と、それに見合う量しかない荷物。
不満はないが、不安はある。
大輔「ま、その時は魚でも釣るさ」
アリサ「後は天気が崩れないことを祈るだけね」
全ては天任せ。
アリサとユーノ、大輔はそれぞれ空を見上げた。
アリシア「うう…気持ち悪ーい……」
すずか「こんなに揺れるとは思わなかったなあ…」
アリシアとすずかは揃って顔色が悪い。
ガブモンX[アリシアとすずか、顔が真っ青だよ]
ルナモン[すずか、気持ち悪いなら横になった方がいいよ?]
すずか「…大丈夫」
フェイト「全然大丈夫には…キャッ!!?」
すずかを心配そうに見ながら何かがフェイトの顔の横をすり抜けた。
反射的にキャッチするとなんとそれはユキミボタモン。
もし受け止められなかったら海にダイブしていただろう。
そう考えて青ざめると、アリシアが後を追ってきた。
アリシア「あ、フェイト。ありがとう!!」
フェイト「駄目だよアリシア、ちゃんと見てないと…!!もし私が受け止めなかったら海に落ちてたよ!!」
アリシア「ご、ごめんね…何度も注意してるんだけど聞かなくて…」
申し訳なさそうに謝るアリシア。
当のユキミボタモンはきゃらきゃらと無邪気に笑い声をあげるばかりだ。
チビモン[ユキミボタモン、めっ!!]
ユキミボタモン[うう~]
はしゃぐユキミボタモンをチビモンが叱る。
叱られたユキミボタモンはシュンとなった。
すずか「まるでお姉さんみたいだねチビモン。」
チビモン[お姉さんって何?]
すずか「え?ええと、お世話をする人…かな?」
アリサ「私に聞かないでよ…」
なのは「えっと、チビモンの場合…ブイモンがチビモンのお兄ちゃんになるんじゃないかな?幼年期も同じなんだし」
ブイモン[へ?]
筏を漕いでいたブイモンがいきなり話を向けられたことにより目を見開いた。
チビモン[………]
チビモンはブイモンをジッと見つめるとブイモンに歩み寄る。
ブイモン[な、何だよ…?]
期待に満ちた目にブイモンは狼狽する。
チビモン[…お兄ちゃん?]
ブイモン[……っ!!!!]
ズキューンッ…!!
子供達はブイモンが心を撃ち抜かれたのを見た。
ブイモン[………]
フェイト「ブイモン…?」
黙ってしまったブイモンを不思議そうに見遣る。
ブイモン[フェイト…]
フェイト「何?」
ブイモン[お兄ちゃんの称号って最高だな…!!]
目を輝かせながら天を見上げるブイモン。
大輔「………(将来こいつシスコンになるな…)」
チビモンにたかるデジモンを激怒しながら叩き潰すブイモンの姿が目に浮かんだ。
…突如筏が一際大きく揺れた。
全員【!?】
ブイモン達に気を取られていた大輔達が向こうを向いた時には。
全員【うわあああああ!!?】
大きな口が目の前にあった。






























悲鳴がわんわんといつまでも反響する。
音の出口がない証。
後ろを振り向いても光はなく、既にその口は閉じられてしまっていた。
すずかが荷物に捕まり、吐き気をこらえながらも必死に状況説明を試みる。
大輔「何だよあれは!?」
ガブモンX[あれは多分ホエーモンだよ!!]
すずか「恐らくこれはホエーモンの食道。勿論、レストランという意味の食堂じゃないよ!!」
はやて「そんなこと分かっとるわ!!」
ギリギリ限界のすずかのボケにはやてがツッコミを入れた。
なのは「すずかちゃん、限界値を越えてるね…」
アリシア「うぷ…っ」
ユキミボタモン[アリシア~!?衛生兵衛生兵~!!]
食道は長く長く続いている。
はたとなのはは気がついた。
なのは「ねえ……ここが本当に食道だとしたら、私達が外に出るためには…」
ユーノ「……お尻から出ることになるね」
アリシア「そんなのやだあああ!!」
ルカ「…同感」
ユーノとアリシアとルカが嫌そうに顔をしかめた。
ちょっとそれは結構かなり本気で嫌だ。
だがしかし、そんな先のことよりもまず皆は目下切り抜けなければならない緊急事態にぶち当たった。
ホエーモンの細胞が、子供達を異物と見なし襲い掛かってきたのだ。
全員で体重をかけながら何とか舵もない筏の方向を変えつつ逃げる。
唐突にだだっ広い泉のような場所に投げ出された。
着水。
何もないところだ。
大輔「ここは何処なんだ…?」
ユーノ「食道の先は、胃だと思いますけど…」
胃。
全員の脳内に嫌な連想が広がる。
そしてそれは、大正解だった。
じわじわと滲み出るように、刺激臭を放つ液体が筏に向かって流れてくる。
ユーノ「これは酸……胃液だ!!」
アリシア「胃液って何?」
賢「胃に入った物を溶かす液のことさ」
アリシア「う…嘘ぉ!?」
果たしてその液体は、筏に触れると同時にぶすぶすと音を立て白い煙を上げさせた。
大輔「おい、落ちるとまずいぞ!!なるべく真ん中に寄れ!!」
隣にいたフェイトを強引に自らの腕の後ろに隠す。
ユーノ「大輔さん、あれを!!」
ユーノが指差した先には。
アリシア「黒い歯車!!」
賢「ダルクモンの浄化の光から逃れた奴か!?」
なのは「い、痛そう…」
あの忌まわしい黒い歯車が、ずぶりと深くホエーモンの体内に突き刺さっていた。
今まで気がつかなかったのは、デビモン(悪)による影響がなくなったせいだろうか。
フェイト「もしかしたら…痛くて、暴れてるだけなのかも」
フレイモン[だったら俺に任せろ!!]
フレイモンが拳に炎を纏わせる。
フレイモン[ベビーサラマンダー!!]
フレイモンが放った炎が狙い違わず黒い歯車に直撃した。
歯車は一瞬で粒子となって消えた。
賢「お見事」
フレイモン[ヘヘッ!!って、あれ?]
コロナモン[な、何だあ!?]
目も開けられない強い光の中、高速で上方向に押し上げられる力を感じる。
全員【わあああああっ!!!!?】


































衝撃と水音。
子供達を乗せたその筏は、ホエーモンが歓喜に噴き上げた潮と共に、ホエーモンの体内から放り出されたのだった。
ばらばらに壊れた筏の木の切れ端に数人ずつ捕まり難を逃れる。
頭数を数え大輔がほっと息をつくと、ホエーモンが穏やかに皆に声をかけた。
ホエーモン[すみません、乱暴なことをして…おかげでやっとすっきりしました]
大輔「いや、いいんだ。それよりホエーモン!!サーバ大陸ってここからどれくらい離れてるか知ってるか?」
ホエーモン[はい。私でも5日はかかります]
大輔が聞くと、ホエーモンは肯定し自分でも5日はかかると告げた。
果てもない遠さだ。
もう筏もないのに、どうやって行けばいいのだろう。
ホエーモン[サーバ大陸に行かれるのですか?」
大輔「ああ、でもどうすれば……」
ホエーモン[それでしたら私がお送りいたします。黒い歯車を取り除いてくださったお礼に]
ギルモン[本当か!?]
まさに乗りかかった船、運よく子供達は新たに航海の術を得たのだった。
 

 

第四十六話 古の力を宿す黒龍

 
前書き
サーバ大陸に到着。
一応、ブイモンが進化します。
フェイト「リリカルアドベンチャー、始まります。」
 

 
海に出て、今日で5日。
子供達がうとうとと微睡む中、大輔は決意に満ちた眼差しで進む先を見つめていた。
サーバ大陸。
自分達が初めて冒険した大陸。
チビモンだった頃のブイモンと出会い、奇跡の紋章を手に入れた大陸。
アリサ「大輔…あんた起きてたの…?」
大輔「アリサ…」
アリサが目を擦りながら大輔の隣に立つ。
アリサ「ホエーモン、あんたは疲れてない?」
ホエーモン[大丈夫ですよ。ありがとうございます]
アリサ「そう…」
大輔「優しいな」
大輔がアリサに微笑みながら言う。
アリサ「ち、違うわよ!!私はただ…」
大輔「アリサ」
アリサ「な、何よ?」
大輔「俺達は一緒に戦う仲間だ。仲間なんだし、素直になれよ」
大輔がアリサの柔らかい髪を撫でる。
アリサの顔が赤くなっていく。
アリサ「仲間…か…」
大輔「アリサ?」
アリサ「仲間なんて嫌よ…」
大輔「どうして?」
アリサの言葉に目を見開いた大輔だが、気を取り直して尋ねる。
アリサ「仲間じゃ嫌なの、私は…あんたの……物になりたいのよ」
大輔「え…?」
アリサの言葉に大輔は目を見開いた。
アリサ「大輔、あんたは鈍感そうだからハッキリと言わせてもらうわ。……私は…あんたが……好き……」
大輔「アリサ…でも俺は……」
アリサ「分かってるわよ。あんたがフェイトが1番だってことくらい。でもね、諦めたくないのよ。大輔、フェイトだけじゃなくて…私もあんたの物にしてよ…」
大輔「それは…」
アリサ「フェイトのことなら問題ないわ。あんたを私とフェイトで分け合うことにしたから」
大輔「それどういう意味だ!?」
アリサ「馬鹿、静かにしなさい…!!」
慌てて大輔の口を塞ぐアリサ。
アリサは事情を全て大輔に話した。
事情を聞いた大輔が頭を抱える。
大輔「あいつら…」
アリサ「というわけで。覚悟しなさいよ大輔」
大輔「あはは、お手柔らかに頼むぜ…」
顔を引き攣らせながら言う大輔。
アリサ「それは保障しかねるわね。絶対にフェイト以上になってみせるんだから」
アリサが顔を赤くしながらも柔らかく微笑みながら言う。
大輔「…っ」
あまりに綺麗な笑顔に大輔は思わず息を呑んだ。
ホエーモン[そろそろ陸が見えますよ]
大輔、アリサ「「え?」」
水平線が僅かに歪み、そしてその歪みが徐々に山際の線となって大輔とアリサの目に陸地の存在を教えた。
大輔「サーバ大陸…!!」
一気に気分が高揚する。
大輔「おいみんな、起きろよ!!サーバ大陸に着いたぞっ!!」
すずか「え!?」
ルカ「…サーバ大陸に着いたの…?」
ユーノ「ようやく着いたんだ…」
アリサ「はやて、起きなさい!!大陸よ!!」
はやて「ほえ?タイ料理がどないしたんや?」
アリサ「タイ料理じゃなくて大陸よ!!た・い・り・くっ!!!!」
フェイト「タイ料理…ふふっ」
賢「全くもう」
はやての物凄い聞き間違えにフェイトと賢はつい笑ってしまう。
皆口々に騒ぐ中、アリシアだけはまだぐっすりと眠っている。
興奮しきったチビモンが乱暴に揺すって起こそうとしたが。
チビモン[アリシア!アリシア、朝だよ。起きて!!着いたよ!大陸だよ、た・い・り・く!!!]
アリシア「……たい焼きよりケーキがいい~…」
チビモン[……ア~リ~シ~ア~ッ!!!!]
チビモンが更にアリシアを揺すりながら叫ぶ。
なのは「にゃははは…」
むにゃむにゃと可愛らしい寝言を呟くだけで一向に起きる気配もない。
相変わらずのそのマイペースっぷりに、全員が苦笑した。






























数十分後、岩だらけの海岸線が湾曲し、入り江になった所から子供達は次々と上陸した。
ホエーモン[では皆様、お元気で!!]
ホエーモンが沖へと泳ぎ出す。
その姿が見えなくなるまで手を振り、子供達は森を目指して歩き出した。
アリシア「なんで森に行くの?」
話し合いの間中ずっと寝ていたため、またしても乗り遅れているアリシアが聞く。
アリサ「ホエーモンが教えてくれたのよ。半日くらい歩いたところにある森の中にチビモンの村があるんですって」
アリシア「チビモンって…」
チビモン[やったあ!!私だらけの村だあ!!]
ブイモン[ちなみに俺の幼年期もチビモン。]
フェイト「そっか、ブイモンも可愛かったんだね」
フェイトがブイモンの頭を撫でる。
ブイモン[子供扱いするなよ!!]
フェイト「してないよ」
ブイモン[嘘だ]
フェイト「だってブイモン可愛いんだもん」
ブイモン[可愛いじゃなくて格好いいがいい!!格好いいにしろー!!喰らえっ!!必殺ブイモンアタック!!!!]
フェイト「うっ!!た、ただの抱き着きじゃあ…」
大輔「おーい、お前ら置いてくぞ~?」
フェイト、ブイモン「[え?]」
慌てて向こうを見遣ると遠くにいる大輔達。
フェイトとブイモンは急いで走った。
何時間歩いただろうか、その変わり映えのしない景色に飽き飽きし始めた時、ブイモンとチビモンがチビモンの匂いを嗅ぎ取った。
示す方向に目を向けると、小さな森が見える。
大輔「あの森だな」
皆一斉に森に向かって駆け出した。































程なくして辿り着いた森の中には、テントのような家がいくつも並んだ村があった。
アリシア「お風呂入りたいな~」
ルカ「…チビモンの村にお風呂なんてあるかな…?」
ルカが純粋な疑問を口にする。
ブイモン[…ん?]
チビモン[あれえ?]
ブイモンとチビモンが同時に首を傾げた。
大輔「どうした?」
ブイモン[…チビモンの村じゃないぞ此処は]
チビモン[うん]
全員【へ?】
村から流れてくる匂いは、懐かしいチビモンのものとは違った。
そこにいたのは灰色の幼年期デジモン、パグモンであった。






























[[[ようこそパグモンの村へ!!]]]
大輔「パグモンの村?」
チビモン[え~?]
フレイモン[チビモンの村じゃなくてか?]
チビモンとフレイモンが首を傾げた。
アリシア「ねえ、お風呂ある?」
アリシアがパグモンに聞いた。
苦笑した女子陣がアリシアを諌めようと近づいた時。
ヒョイ。
そんな効果音が聞こえてきそうなくらいフェイト達は軽く持ち上げられ、パグモン達に連れていかれた。
大輔「……」
賢「……え?」
ユーノ「……な、なのは…?」
ルカ「……?」
呆然となる取り残された男子陣。






























数分後、石化が解けた男子陣は急いでパグモン達が向かった方向に走った。
大きなテントのような家に辿り着き、急いで中に入った。
まるで足跡のように、そこにフェイト達の荷物が落ちていた。
突き当たりの部屋の前に、D-3が落ちていた。
ユーノ「ここになのはが!!」
大輔「待ってろ、フェイト!!」
ユーノと大輔が中に駆け込む。
追って入ってきた賢は、何か見覚えのある布が畳んで置いてあるのに気づいた。
これって…。
賢は凄まじい勢いで顔を真っ赤にした。
ルカ「賢さん?」
賢「い、いけない…大輔とユーノを止めないと!!」
顔を真っ赤にした賢が急いで追い掛ける。
賢が見たのは女の子の下着だったのだから…。






























ジャッ!!
カーテンを引き開ける。
そこには…。
アリシア「きゃはは、気持ちいいー!!」
アリサ「ちょっとはしゃがないでよアリシア!!」
すずか「お湯がかかっちゃう…」
はやて「フェイトちゃん…よおぉぉく育っとるなあ…」
はやてが切なそうにフェイトを見つめる。
フェイト「え?」
なのは「…はやてちゃん。どうして泣きそうな顔でフェイトちゃんを見るの?」
湯船の中でフェイト達の姿があった。
勿論、裸で。
大輔「んな、っ……」
ユーノ「………っ!!!!」
賢「大輔、ユーノ!!ストップ……な…っ!!?」
ルカ「?」
ルカを除いた男子陣が硬直する。
ルカは硬直した大輔達を見て首を傾げていた。
大輔達とフェイト達の目が合う。
アリシア「あ、お兄ちゃん達~!!」
上機嫌のアリシアが手を振る。
アリサは顔を真っ青にし、次の瞬間、顔を真っ赤にした。
すずかとフェイトとなのはは顔を真っ赤にしている。
はやてはニヤニヤと意味深に笑っている。
すずか、フェイト、なのは「「「………きゃあああああああっ!!!!!!」」」
すずか、フェイト、なのはの3人は必死に身体を隠し湯船に沈む。
はやて「賢兄~っ!!!!」
はやては湯舟から出ると賢に抱き着いた。
勿論、裸で。
賢「わあああっ!!馬鹿!!裸のまま抱き着かないで!!せめて服着て服を!!」
顔を真っ赤にして必死にはやてを引き剥がそうとする賢。
はやて「一緒にお風呂に入った仲やんか!!」
はやてがニヤニヤと笑いながら言う。
アリサ「こ、この…スケベ大魔王共!!な、何見てんのよ!!で、出ていきなさい!!今すぐ私達の目の前から消えなさい!!!!」
アリサがぶん投げた洗面器、シャンプーボトル、石鹸トレイがそれぞれクリーンヒットしたのだった。






























すずか「…っ……ふぇ、…っく……」
賢「ご、ごめんすずか…」
ぷい。
ショックから立ち直れず、濡れ髪のまま泣くすずか。
賢は何度も謝るのだが、その度にそっぽを向かれてしまう。
向こうではフェイトとアリサに必死に頭を下げて謝っている大輔の姿となのはに土下座しているユーノの姿があった。
ルカとアリシアは不思議そうに大輔達を見ていた。
はやて「すずかちゃん、もうええやろ?賢兄も悪気は無かったんやし」
すずかも別に大して怒っているわけではないのだ。
だが、やはり恥ずかしさは拭えない。
他でもない好意を抱いている賢に見られてしまっているのだから。
はやて「大丈夫や。すずかちゃんは可愛いから賢兄、思わず見惚れてしもうたんよ」
すずか「え…!?」
はやての言葉にすずかは顔を真っ赤にする。
はやて「何なら賢兄を分けてもええで?」
はやてが悪戯な笑みを浮かべた。
すずか「はやてちゃん!!」
はやて「ふふ…すずかちゃん、賢兄のこと好きやもんなあ…」
すずか「あう…」
すずかは顔を真っ赤にして俯いた。
はやて「さあ、すずかちゃん」
はやてがすずかの背中を押す。
それにより、賢の前に立つことになる。
賢「ごめん!!本当にごめん!!見るつもりなんてなかったんだっ」
すずか「…もういいです。ごめんなさい…あの……」
賢「?」
すずか「私…どうでした?」
賢「え?」
すずか「私の裸…見たんですよね…?」
賢「…ごめん」
2人は顔を真っ赤にして俯いた。
すずか「私…綺麗でしたか…?」
賢「ええっ!!?」
予想外の質問に賢は顔を真っ赤にして目を見開いた。
すずか「やっぱり私じゃあ…」
すずかが目に見えて落ち込みかけた時。
賢「そ、そんなことないよ!!き、綺麗だったよ凄く!!」
すずか「賢さん…!!」
2人が顔を真っ赤にして見つめ合う。
アリシア「はあ~、暑い暑い。あそこだけ春だね~」
ルカ「…顔真っ赤……」
2人のお子様が賢とすずかを見守っていた。






























パグモンに呼ばれてテントの中に入った子供達が見たのは大皿に零れ落ちんばかりに盛られた果物。
取り皿にも、色とりどりの木の実や茸が載せられている。
室内はパーティーのように飾りつけられ、パグモン達が総出で歓迎の歌を歌ってくれた。
[[[ようこそ♪ようこそ♪ここはパグモンの村♪]]]
チビモン[此処、パグモンの村だったんだあ]
ブイモン[ふうん。チビモン達、引っ越したのか?]
ブイモンが果物をかじりながら呟く。
大輔「本っ当に申し訳ありませんでした。」
フェイト「だ、大輔、もういいよ」
アリサ「…まあ、悪気があったわけじゃないし…」
大輔「有り難き幸せ!!…これはほんのお詫びの印です」
大輔は自分の皿に盛られている果物の中でフェイトとアリサの好きな果物を渡した。
フェイト「ありがとう、大輔。」
アリサ「頂くわ」
フェイトとアリサは有り難く果物を頂いた。
ユーノ「なのは、これもこれも、君とガブモンにあげるよ」
なのは「ゆ、ユーノ君。嬉しいけどユーノ君の分は?」
ユーノ「僕は充分食べたから。ほら」
ユーノはなのはとガブモンXに木の実を献上する。
アリシアがユキミボタモンに食べさせると突然ぷるぷると身体を震わせ、光に包まれた。
光が収まった時には、そこにはユキミボタモンではなくニャロモンがいた。
アリシア「ニャロモン!!」
ニャロモン[アリシア!!]
アリシアがニャロモンを抱き締め、ニャロモンは笑顔を浮かべた。
テリアモン[みんな拍手~!!]
テリアモンの音頭で、皆が拍手でお祝いする。
そのニャロモンを睨みつけながらパグモン達がにやりと笑ったことに、誰も気づきはしなかった。






























そして深夜、子供達が寝静まった頃。
パグモンが子供達が寝静まっている隙を見計らってチビモンとニャロモンを連れ出そうとしていた。
チビモンとニャロモンが大きな声を出さないように口を塞いでパグモン達は出て行った。
…凄い顔でパグモン達を睨んでいた存在に気づかないで。






























チビモン[ちょっと、下ろしてよ!!]
チビモンが抗議するがパグモン達はどこ吹く風。
どさりと放り投げられて木の枝で突かれて、チビモンとニャロモンはすっかり涙目である。
ニャロモン[どうしてこんなことを…]
[生意気に進化なんかするからだ]
チビモン[何それ、自分が出来ないからって八つ当たり?]
チビモンの馬鹿にしたような顔にパグモンのこめかみ?に青筋がたった。
ニャロモン[とにかく離しなさい!!]
[嫌なこった]
チビモン[ムカつく~………]
ニャロモン[…あ……]
[[[[?]]]]
パグモンを睨んでいたニャロモンがパグモンに忍び寄る影に気付き、顔を青ざめる。
パグモンはニャロモンの変化に疑問符を浮かべた。
ガシィッ!!
パグモンの耳が力強く握り締められた。
ギリギリ…と凄い音が鳴る。
痛い痛い。
かなり痛い。
いや凄く痛い。
同時にパグモンは命の危険を感じた。
後ろを向くなと警報が鳴るが恐る恐る後ろを向くと…。
ブイモン[…お前らああああぁぁ…何、チビモンに汚い手で触ってんだああああ……?]
鬼のような形相でパグモンの耳を握り締めているシスコンと化したブイモンと明後日の方向を向いている大輔がいた。
[[[[[ぎゃはあああああああ!!!!!!?]]]]]
森にパグモン達の悲鳴が木霊した。






























ブイモン[お前らあれか?チビモンに何かするつもりだったのか?お兄ちゃんである俺の目がないうちに何かするつもりだったのか?俺が寝静まっているうちに何かやらかそうってしてたのか…?]
どんどん表情が般若になっていくブイモンにパグモン達の表情は青を通り越して真っ白に。
ブイモン[させるかあああああ!!チビモンは、チビモンは俺が守るんだああああああっ!!!!]
大輔、ニャロモン「[(シスコン…)]」
どうしてこうなった。
ブイモンの想いに呼応するかのようにD-3から光が放たれた。
大輔「へ!!?」
ブイモン[ブイモン進化!エクスブイモン!!]
何と、ゲンナイから難しいと言われていた純粋古代種であるブイモンがとうとう成熟期…ウィルス種のエクスブイモンへの進化を遂げた。
大輔、ニャロモン「[( ゚Д゚;)]」
二人の表情はこの絵文字の通りである。
ブイモンが規則的な進化を遂げたエクスブイモンの亜種であり、
古代種としてではなく現代種として進化した突然変異の幻竜型デジモン。
フリー種のエクスブイモンとは違い、ウィルス種の現代種のために、格段にエネルギー消費が軽い姿を引き抜いた。
古代種の限界すら越える、恐るべきシスコンのパワーである。
エクスブイモン[エクスレイザーーーッ!!!!]
怒りのエクスレイザーが炸裂した。






























大輔「………………」
チビモン[お兄ちゃん、凄ーい!!]
ニャロモン[あ、あわわわ…!!]
あまりの惨劇に身体をガタガタと震わせ、ニャロモンは思わず目を塞いだ。






























ブイモン[大丈夫か?チビモン、ニャロモン]
チビモン[うん!!]
ニャロモン[……]
ニャロモンはブイモンの問いには答えず原形を留めないくらいグチャグチャにされたパグモン達を哀れみの目で見遣った。
ブイモン[ここに来る途中な、チコモンを見かけたんだ]
ニャロモン[え?チコモンを]
ブイモンとチビモンの最初の幼年期であるチコモン。
それがこの村にいるということは…?
ブイモン[多分…おい、ここはチビモンの村だろ!?おい!!]
ブイモンが聞くが気絶しているパグモンが喋れるわけがない。
ブイモン[…ブイモンパンチ!!]
ドゴオッ!!
[ブッ!!]
ブイモン[たく、人が聞いてるのに寝るな!!]
気絶させといて理不尽である。
パグモン[こ、ここは…チビモンの村です…]
ブイモン[なら、チビモン達は何処だ?]
パグモン[あ、あそこにある滝…]
それだけ言うとパグモンは完全に意識を飛ばした。
ブイモンは思いっきりパグモンを木に投げて叩きつけた。
ニャロモンが哀れみに満ちた目でパグモンを見つめていた。
ブイモン[とにかく戻ろう。大輔達を起こさなきゃ]
チビモン[うん。]
ニャロモン[そ、そうね…]
やや引きながら頷いたニャロモン。































ブイモン[みんなあああ!!起きろおおおおおお!!!!]
フェイト「えっ!!?」
ブイモンの大声にフェイトは飛び起きた。
ブイモン[みんな、此処はパグモンの村なんかじゃない。チビモンの村だ。あいつら俺達を騙してたんだよ!!]
賢「な、何!?」
子供達が勢いよく跳ね起きた。
ギルモン[オラ達、騙されてたのか?]
フレイモン[…だったらチビモンは何処にいるんだよ?]
チビモン[私は此処にいるよ?]
フレイモン[お前じゃねえ!!]
チビモンのボケにフレイモンはツッコミを入れる。
ブイモン[チビモン達はあそこの滝にいるらしい。]
ブイモンが滝を指差した。






























やはり滝壺の奥に、チビモン達は閉じこめられていた。
檻を壊し、全員を解放したその時。
アリサのD-3が輝いた。
アリサ「な、何?」
大輔「D-3が何かに反応している…。」
なのは「何かあるのかな?」
コロナモン[探してみようぜ!!]
子供達は散開して中を探る。
アリサが突き当たりの紋様が刻まれた壁の岩に触れた時だった。
ぽう、と明るい朱色の光があたりを照らし出す。
その岩は光を発しながら大きさを変え、ついには指先で摘めるほどのサイズにまで縮んだ。
アリサ「大輔!!賢!!」
アリサが慌てて、大輔達を呼ぶ。
大輔達は光を見て目を見開いた。
大輔「これ……紋章だ!!」
フェイト「紋章!!?」
その紋章はふわりと空を滑り、アリサのD-3のディスプレイに吸い込まれるように入っていく。
D-3のディスプレイに紋章が浮かび上がる。
アリサ「紋章…手に入れたわ!!」
なのは「やったねアリサちゃん」
すずか「あっ、見て……」
すずかがその壁があったはずの場所を指す。
障害物が無くなったそこは外に通じていた。
そしてさらに、そこはチビモンの村から遠く遠く離れたエリアだったのだ。
チビモン[それじゃあさよなら]
[ありがとう、助けてくれて]
ブイモン[気にすんなよ。]
[僕達はこのまま、別の所で暮らすよ。あそこは安全とは言えなくなったし]
大輔「それがいい」
[君達も急いだ方がいいよ。サーバ大陸にはエテモンって奴がいるんだ]
賢「?エテモン…分かった。ありがとう。」
移動を開始する子供達。






























そしてある所……船の先端が地面から突き出した不思議な所だった。
そこには全身タイツを身に纏う猿のようなデジモン…。
?[誰が猿よ!?]
…失礼。
[エテモン様、誰に向かって叫んでるんですか?]
手下のガジモンが引きながら尋ねて来る。
エテモン[シャーラップ!お黙り!!しょうがないでしょ、何か馬鹿にされた気分なんだから!!]
[はあ…]
エテモン[それにしても選ばれし子供達はいつになったら来るのよ!!待ちくたびれちゃったわ!!]
騒ぐエテモンに対してガジモンは冷静だった。
エテモンの作戦は既に瓦解しているから。
[来るどころかここら辺にすらいませんよ子供達]
エテモン[え?]
エテモンが思わず間抜けな声を上げる。
[子供達でしたらチビモンの村から遥か遠くの…此処にいます。]
エテモンにトレーラーに設置されているモニターを見せると反応はチビモンの村から遥か遠くの位置にある。
エテモン[ぬあんですってええええええええっ!!!!!!?]
エテモンの叫び声が辺りに響いた。
エテモンが確認の為にモニターを見るが、やはり子供達の反応は遥か遠く。
エテモン[…あ゛あぁああああああっ!!!!!!!!]
エテモンは思わず絶望に近い悲鳴を上げる。
エテモン[アチキの作戦台無しじゃないのぉおおお!!絶対許さないんだから選ばれし子供達ぃいいいいいっ!!!!]
エテモンの叫び声が辺りに響き渡った。
第二の戦いの幕が上がろうとしている……。 
 

 
後書き
ブイモン進化しました。
大輔ですら驚くパートナーのシスコンパワー。 

 

第四十七話 合成

 
前書き
アリサの紋章を手にした大輔達はある場所に…。
賢「リリカルアドベンチャー、始まります」 

 
旅を続ける子供達。
チビモン達に見送られ山を降り、しばらく歩くとその先には砂漠地帯が広がっていた。
歩いても歩いても、砂と地平線と流れる雲以外何も見えはしない。
大輔「暑いな…」
アリサ「本当…」
賢「しかし、これで僕達の紋章とアリサの紋章を合わせて3つか」
賢が自分達が所有している紋章を数える。
自分達は10人なので…。
賢「後、7つか」
なのは「先はまだまだ遠いね」
ユーノ「気長に探すしかないよ」
溜め息を吐くなのはにユーノは苦笑する。
大輔「ようやく成熟期に進化出来たけど。ブイモンは純粋な古代種だから、進化しづらいんだよな…」
最初の課題である成熟期への進化はウィルス種の現代種のエクスブイモンになることでクリアした。
しかし、完全体ともなると、それはかなり困難になる。
古代の因子を宿していたというだけで成熟期、完全体への進化が他のパートナーデジモンより遅れてしまったパタモンのように。
フェイト「紋章がある大輔と賢とアリサは紋章を使った進化が出来るんだよね。」
アリシア「エクスブイモンやスティングモン、ファイラモンより凄いデジモンになるってことだよね?」
大輔「何か想像出来ないけどな」
ようやく成熟期への進化を遂げたブイモンだ。
多分、完全体への進化はかなり後になりそうな気がする。
大輔「…間違っても早まった真似はするなよ。紋章を使った進化はデリケートらしいからな」
アリサ「分かってるわよ」
サーバ大陸の強敵を早く倒さねばならない。
そのためには紋章を使った進化が必要。
しかし万が一失敗すれば制裁が待っている。
すずか「進化に失敗したらどうなるんですか?」
すずかが大輔に尋ねる。
大輔「詳しいことは知らない。でもかなり最悪の事態になるそうだ」
フェイト「私達も紋章を手に入れなきゃ…」
チビモンを抱き締める腕に力が入る。
ルカ「あっ」
ルカが声を上げた。
自身のD-3が反応しているのだ。
チビモン[フェイト、D-3が光ってる]
フェイト「私の紋章が近くにあるのかも!!」
その言葉に素早く反応した大輔が、辺りを探る。
近くに何か古めかしい建造物が見えた。
かなり大きい。
ルカ「きっとあそこに紋章があるんだ……ん?」
砂に埋まった黒いケーブルを見遣る。
ルカ「何でこんな所にケーブルが…?まあ…いいや」
ルカは気にせずコロッセオに向かう。
だがそのケーブルは、エテモンの……。






























エテモン[ストーップ!!!!]
モノクロモンに牽かせた笑天門トレーラーを急停止させ、エテモンはパソコンを弄る。
エテモン[アチキのネットワークに反応があったわ!!L7エリア……コロッセオの近くね]
[…御機嫌ですね]
ガジモンが子供達がいないと知ったエテモンはモノクロモンを爆走させながら探していたことが幸いしたようだ。
エテモン[当っ然!!さあ、行くのよ!!アチキの作戦を台なしにした選ばれし子供達に復讐しに行くのよ!!]






























子供達が辿り着いたそこは、古代ローマ風のコロッセオだった。
かつては賑わっていたのだろうそこも今はすっかり寂れ、不気味なほど静かだ。
だがそれに不似合いな真新しいオーロラビジョンとサッカーゴール。
アリサ「怪しいわね…」
大輔「仕方ないさ。さあ、紋章を探そう。」
子供達が紋章を探そうと足を動かそうとした時。
エテモン[ようやく見つけたわよ選ばれし子供達!!]
全員【え?】
子供達が声がした上を見上げるとオーロラビジョンの上にエテモンが立っていた。
ルカ「…誰?」
エテモン[ふふ~ん、大スターに向かって誰よは無いでしょ?]
オカマ口調に子供達の顔が引き攣る。
エテモン[というか、よっくもアチキを馬鹿にしてくれたわね!?腹が立っちゃったからあんた達を此処で消し去ってあげるわあ!!!!]
全員【………】
あまりの馬鹿でかい声に子供達は思わず耳を塞ぐ。
賢「というか、何のことが覚えが無いんだけど…」
エテモン[シャーラップ!!お黙り!!アチキを馬鹿にすんのもいい加減にしなさあああい!!!!!!!!]
怒りの咆哮。
しかし、勝手に勘違いしたのは向こうなのでどちらかと言えば八つ当たり。
全員【……お前が1番うるさいわあああああっっっ!!!!!!!!】
子供達の心が1つになった瞬間だった。
エテモン[う、う、うるさいですってえええ!!!!?1度ならず2度までもアチキを馬鹿にする気なの!!?ふざけんじゃないわよーっ!!シャーラップ、お黙りなさい!!よっくもアチキをコケにしてくれたわねえ!!このキング・オブ・デジモンである、このアチキを!!デジモンキングであるこのエテモン様おおおおっ!!!!そっちがその気ならこっちにも考えがあるわよ。アチキを怒らせたらどうなるか、教えてあげるわーっ!!!!!!]
どこまでも傲慢かつ傍若無人な暴君は、高々と右手を上げた。
大輔「…来るか!!」
エテモン[ダークスピリッツ!!]
エテモンが子供達に向けて暗黒の球体を乱射する。
子供達は暗黒球を回避しながらD-3を構える。
はやて「皆、進化や!!」
エテモン[ふっふっふ…アチキを誰だと思ってるの?そうよ!!アチキがこの世で1番最強のエテモン様なのよっ!!コンサートはまだまだ始まったばかりっ!!水差すお客はとっとと帰って頂戴!!ラヴ・セレナーデ!!!!]
セレナーデとは、本来、夜想曲や小夜曲などに訳されるドイツ語である。
18世紀ごろに発達した娯楽的な性格の強い多楽章の管楽合奏曲である。
一般的なイメージとしては、夕暮れや満月の美しい夜に、窓辺に腰かけている恋人や美しい女性、准ずる親しい人を讃えるために、ギター片手に演奏されるようなロマンティックな曲、もしくはその情景を称して指す。
断じてロックでギターを掻き鳴らし、シャウトするようなものではない。
しかし、進化の光に包まれていたブイモン達が突如、進化がキャンセルされた。
ダークケーブルの加護を受けているエテモンの必殺技であるラヴ・セレナーデは、本来戦意喪失しかない筈の効果を大きく上回り、デジモン達の進化を阻害するというとんでもない性能にまで向上していたのだ。
大輔「進化妨害なんてアリか!!?」
ダークスピリッツを回避しながら何とか撤退しようと考えるが、エテモンが逃がしてくれるとは思えない。
ブイモン[大輔っ!!通常進化が駄目ならアーマー進化だ!!]
大輔「デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!燃え上がる勇気!フレイドラモン!!]
フレイドラモンにアーマー進化するとエテモンに向かう。
エテモン[何がアーマー進化よ!!ちょっと変わった進化をしたからってアチキに勝てるわけないでしょう!!ダークスピリッツ!!]
フレイドラモン[オーバードライブ!!ナックルファイア!!]
オーバードライブで強化された豪火球がダークスピリッツを砕いた。
エテモン[何ですって!!?]
フレイドラモン[うおおおおおおおおお!!]
拳のラッシュをエテモンに叩き込むフレイドラモン。
元々、完全体ともある程度までは渡り合えるほどにパワーアップしていたのだ。
オーバードライブにより、完全体と同等のパワーアップを果たしたフレイドラモンの攻撃はエテモンに確実にダメージを与えていく。
フレイドラモン[どりゃあああああ!!]
エテモン[ウギャッ!!]
勢いよく殴り飛ばし、コロッセオの壁に叩き込む。
アリシア「凄い凄ーい!!」
エテモンと互角どころか圧倒しているフレイドラモンに、アリシアは歓喜の表情を浮かべる。
賢「(けど、オーバードライブには時間制限がある。制限時間を過ぎたら、しばらくの間、まともに動けなくなる。)」
エテモン[ぐぬぬぬ…こ、ここまでコケにされたのは初めてよ…こうなったらアチキの奥の手!!ダークミュージカルの超強化版!!超絶的破壊音波!!ジャイアンリサイタルーーーーーッ!!!!]
地獄の歌声が響き渡る。
フレイドラモン[う、うわああああっ!!]
大輔「う、うるせええええ!!」
あまりの騒音に全員が耳を塞ぐ。
そしてフレイドラモンのオーバードライブの制限時間が過ぎ、膝を着いた。
そしてあまりの騒音に床が砕けた。
そこには紋章が刻まれた岩が露出していた。
フェイトのD-3が強い光を放ち、紋章はディスプレイに入った。
全員【うわあああああ!!?】
足場を無くし転げ落ちる子供達。
エテモンが悔しげに呻く。






























大輔「痛てて…ここは?」
ユーノ「もしかして地下にある遺跡…?」
すずか「ラッキーだね」
ルカ「…紋章の反応があるよ」
ルカのD-3は依然として反応している。
大輔「探してみよう。」
賢「皆、散開」
子供達は散開して、紋章を探す。
入り組んだ遺跡の為に、行き先が行き止まりだったりすることあった。
アリシアは奥へと進むと、大きな扉があった。
アリシアは興味津々といった感じで、扉を覗いた…。
そして別の場所では紋章が刻まれた壁があった。
ルカがD-3を翳すと紋章はディスプレイの中に吸い込まれた。
ルカ「やった…」
賢「これで5つ…この調子ならすぐに…」
アリサ「ねえ、アリシアは?」
フェイト「え!?」
子供達が慌てて辺りを見回すと、確かにアリシアがいない。
フレイモン[何処行ったんだあいつ?]
チビモン[探そうよ]
子供達がアリシアを探そうと足を動かそうとした瞬間。
なのは「ねえ、あの機械って何かな?」
なのはが扉を開け、中に入ると広い研究室のような部屋だった。
中にはコンピュータ等の電子機器。
複数の大型カプセルが置かれていた。
まるで実験室のようだ。
賢が前に出ると機器を操作する。
コンピュータの画面には様々なデータが羅列している。
かつてのデジモンカイザーとしての経験が皮肉にも役立ち、テキパキと作業を進めていくと、ある単語が目につく。
賢「ジョイントプログレス?」
なのは「ジョ…イント…プログレス…?」
はやて「何やの?それ?」
大輔「ジョイントは“接合”。プログレスは“進歩”を意味する単語だ。」
賢「ジョイントプログレス進化…略してジョグレス進化は、二体のデジモンが融合し、より高い能力を持った個体へと進化する方法。どうやらここでは、その研究をしていたらしいね」
ユーノ「ジョグレス進化…具体的にどんなデジモンが?」
賢「えっと…あった。シャッコウモン、古代種のエンジェモンとアンキロモンがジョグレス進化したことで誕生した完全体デジモン」
画面に映ったのは、エンジェモンとアンキロサウルスを思わせるデジモンがジョグレス進化したデジモンと思われる土偶のようなデジモン。
アリサ「ちょっと待ちなさいよ。何で天使と恐竜の組み合わせでこんな格好悪い土偶になるのよ?土偶になる要素ないじゃない」
ルカ「確かに…他には無いの?賢さん?」
賢「そうだね…シルフィーモン。古代種のアクィラモンとテイルモンがジョグレス進化した完全体デジモン」
画面に映るのは、アクィラモンとテイルモンの特徴を微妙に残したデジモン。
アリサ「どっちにしろダサイわ」
なのは「うん、ダサイ」
ユーノ「全く持ってダサイね」
酷評であった。
アクィラモンとテイルモンのジョグレス体涙目である。
賢「じゃあ、最後にこれ…」
最後に見せたのは、ウォーグレイモンとメタルガルルモンが融合した聖騎士。
遥か昔“古代デジタルワールド期”に発生した極度の“デジタルクライシス”時に、2体の究極体デジモンのウォーグレイモンとメタルガルルモンが平和を願う人々の強い意志によって融合し、誕生した聖騎士型デジモン。
究極体を越えた合体究極体。また“ロイヤルナイツ”の一員としても高い地名度を誇っている。
右腕はメタルガルルモンの特徴を色濃く残しており、大砲やミサイルなどが装備され、左肩には“ブレイブシールド”、腕には“グレイソード”と呼ばれる剣を装備し、こちらはウォーグレイモンの特徴が強く現れている。
剣と大砲による攻撃、“ブレイブシールド”による防御、そして回避時や飛行時に自動的に出現する背中のマントなど、如何なる状況下の戦いにおいても対応する事が出来る優れたトータルバランスを持っているデジモン…オメガモン。
なのは「凄い……」
ユーノ「何と言うか…神々しいね…」
なのはとユーノがオメガモンの画像に見惚れる。
ガブモンX[他にはないの?]
賢「あるけど、データが破損している。これ以上は無理だね。でもいいものが見れたよ。他には…デジゲノムのプログラムファイル?色々なデジモンのデジゲノムがあるな…スナイモンや、テイルモン、他にも色んなデジゲノムがある。これをコピーしていくか。」
空のデータディスクを入れ、内容をコピーしていく。
しばらくするとコピーが完了した。
そしてアリシアのことを思い出し、探そうとした瞬間。
アリシア「皆ーーーっ!!」
全員【?】
ニャロモン[みんな、早く逃げて!!スカルグレイモンが!!!!]
全員【はあ!?】
子供達がアリシアが来た方向を見遣ると確かにスカルグレイモンが暴れていた。
大輔「何やったんだお前!?」
アリシア「向こうに大きな扉があったから何かあるのかなあって…」
アリサ「馬鹿ーーーっ!!!!!!」
賢「皆、出口に飛び込め!!」
全員が急いで出口に向かう。






























一方その頃、エテモンは子供達が落ちた穴を見つめていた。
エテモン[ちょっと、早く出て来なさいよおおお!!!!アチキのコンサートはまだ終わってないのよ!!!!]
エテモンが穴に向かって叫んだ。
叫んだところでどうしようもないだろうに…。
大輔達は外に出た。
エテモン[やっと出て来たわね!!]
大輔「悪いな!!俺達帰るぞ!!」
エテモン[へ?]
エテモンは思わず間抜けな声を出した。
ツカイモン[武運を祈る!!]
チビモン[頑張ってねーっ!!]
アリシア「さよならーっ!!!!」
フレイモン[言ってる場合か!!逃げろーーーっ!!!!!!!!]
ギャン!!
子供達はF1のレース車が通り過ぎる効果音が聞こえてきそうなくらいのスピードでコロッセオから消えた。
子供達が消えた途端、地響きが起きた。
エテモン[な、何!?]
呆然としていたエテモンが驚いて、辺りを見回すと石畳から腕が飛び出してエテモンを捕まえる。
[ス、スカルグレイモンだああああ!!!!]
ガジモンが驚愕のあまり、大声を出した。
モノクロモンはスカルグレイモンの出現に驚いて、逃げ出してしまう。
ついでにガジモン達も。
エテモン[ちょ、ちょっと待ちなさいよおおお!!!!]
エテモンがスカルグレイモンの腕から逃れると、笑天門号を追い掛ける。
スカルグレイモンも追い掛ける。






























こうしてエテモン達とスカルグレイモンの鬼ごっこはしばらく続き、終わった時には、エテモンと子供達との距離が途方もないものになっていたのは言うまでもない。
エテモン[ウッキィイイイイイイッ!!覚えてなさい選ばれし子供達ぃいいいいいいいいいっっっっ!!!!!!!!]
エテモンの怒りの咆哮が砂漠地帯に響き渡った。 
 

 
後書き
ジョグレス進化について。
シルフィーモンとシャッコウモンのデザインには当時愕然となりましたね… 

 

第四十八話 うまい話には裏がある

 
前書き
アリシアの紋章入手。
はやて「リリカルアドベンチャー、始まるで!!」
 

 
恨めしいまでに照りつけじりじりと首筋を灼く、燦々たる日射し。
足下に広がる細かな砂は踏みしめる度にずぶりと沈み込み、一足ごとに体力を奪う。
下降知らずの気温。
ふわりとも吹かない風。
コロッセオを脱出した子供達は、再び地獄の炎天下の中、砂漠地帯を歩き続けていた。
エテモンはスカルグレイモンとの鬼ごっこ中の為、しばらくは戻っては来れないだろう。
大輔「今回はスカルグレイモンに助けられたな…」
賢「スカルグレイモン本人にその気はないだろうけどね…」
今だけはスカルグレイモンの恐ろしい顔も神様のように見えるから不思議だ。
あんな神様は嫌だけど。
子供達の疲労が激しい。
早く休ませてやらなければ。
フェイト「あっ…!!大輔、あれ!!」
フェイトが大輔の服をひっぱり前を向かせる。
その先にはなんと、何十メートルはあろうかという巨大なサボテンがそびえ立っていた。
あれだけ大きければ、さぞや広い日陰が出来るだろう。
涼を得ようと、子供達は一目散にサボテンの根元を目指して走った。






























全員【あ…あれ…?】
各々の口から、困惑の声。
あるべきものが、望むものがない。
アリシア「日陰がなーーーいっっっ!!!!!!」
からからに乾ききったアリシアの喉から出た声は、とても悲痛なものだった…。
後にニャロモンは語るのだった。
賢「し…蜃気楼だった……」
やがて消えていくそのサボテンは、蜃気楼だったと判明。
それと同時に皆はまたその場にへたり込んでしまった。
アリサ「詐欺ね」
大輔「ちょっと違う…」
そう言葉を交わしているが、そんなに体力は余っていなかった。
ゲンナイ『選ばれし子供達よ』
全員【ん?】
聞き覚えのある声がした方を見遣る。
サボテンが消えた場所、砂が取り払われた下から見覚えのあるレンズ。
そして見覚えのある赤い服が現れた。
ゲンナイ。
タグと紋章の存在を教え、子供達をサーバ大陸へ導いた存在。
大輔「おい、爺!!敵が進化を妨害するって何で言わなかったんだ!?ええっ!!!!?」
大輔がこめかみに青筋を浮かべながら叫んだ。
他の子供達もゲンナイを絶対零度の視線で見つめていた。
ゲンナイは大輔の気迫に圧倒されるが、取り敢えず口を開く。
ゲンナイ『あー…すまん。忘れとった』
全員【はあっ!!!!?】
ゲンナイ『どうにかなるかなーと思っとったし』
全員【おいぃいいいいいいいっっっ!!!!!!!!!!?】
そんなもの凄く適当な理由であんな苦労をしてまでファイル島からここまで来させられたのか?
自分達の命が結構崖っぷちだったのを知り、衝撃を受ける一同。
ブイモン[ふざけんなああああっ!!]
激怒したブイモンが殴り掛かるが、映像なので当たらない。
全員の絶対零度の視線がゲンナイに突き刺さる。
物理的にダメージを与えられないなら精神的にダメージを与えるまで。
ゲンナイは冷や汗を流しながら逃げるように消えた。
ギルモン[あああっ!!]
フレイモン[あの野郎逃げやがった!!]
フレイモンが拳を震わせながら叫んだ。
ブイモン[むあああっ!!あの爺、次に会ったら絶対に殴ってやるからなあああああああっっっ!!!!!!]
ブイモンの怒りの咆哮が砂漠地帯に響き渡った。






























ようやく怒りも収まり、子供達が足を動かそうとした時。
砂漠で……というか陸地で聞こえるはずのない、船の汽笛の間延びした音が子供達の耳に届いた。
うなだれた顔をようやく上げると、目の前には大きく立派な豪華客船。
……豪華客船!!!!?
全員【うわあああああ!!?】
危ういところで船の進路から外れる。
豪華客船は先程まで子供達のいた場所の正にその真上に、砂を割り停止した。
唖然とする子供達を、船の上から見下ろす水兵カラーを身につけたデジモン。
なのは「ヌ……ヌメモン!!」
ヌメモンは航路で他のデジモンを見るのが珍しいのか、飛び出した目だけを覗かせてこちらの様子を伺っている。
大輔は疲労している子供達を見て、ヌメモンに向けて叫ぶ。
大輔「ヌメモン!!少しでいい、船で休ませてくれないか?」
声を張り上げ頼むが、ヌメモン達は警戒を解こうとしない。
アリシア「ヌメモンなら私に任せて」
ルカ「…どうする気?」
ルカが横目でアリシアを見遣る。
アリシア「こうするの!!ヌメモーン。私達疲れてるんだ。この豪華船で少し休ませて?オ・ネ・ガ・イ」
上目遣いにばちーんとウインク。
ヌメモンは、一瞬でオチた。
フェイト「………」
大輔「フェイト?」
フェイト「私、アリシアの将来が物凄く不安になってきた…」
大輔「胸中察するぜ」
本当にどっちが姉なのやら…。

































何やら知らないうちに、選ばれし子供達はこの漂流生活において、随分と精神的にも肉体的にもタフになりつつあるらしい。
可愛い子には旅させよとは言うが、いいことなのかどうかは誰にも分からない。
アリシア「私達、お風呂入ってくるね。」
大輔「ああ」
アリサ「大輔」
大輔「ん?」
アリサ「覗くんじゃないわよ!!」
大輔「しねえよ!!」
顔を赤くして言う大輔。
賢とユーノの顔もほんのり赤い。






























案内された食堂に至るまでが、一流ホテルが船の中に入ってしまったかのような豪華さに開いた口が塞がらない。
ぴかぴかの通路を抜けるとホテルのエントランスホールみたいに全面ガラス張りの庭園とか、高級ソファとテーブルとか、
受付のカウンターまで見たことが無い装飾品や骨董で埋め尽くされている。
大理石の床はつるつるで、汚れひとつない。
所狭しと並べられたテーブルに、清潔そうなテーブルクロスが掛けられ、
見渡す限りのバイキング形式の料理である。
1番手前には大きな皿と箸、スプーン、フォーク、全部ある。
テーブルに並べられた料理にルカは涎を飲み込んだ。
ルカは見た目によらずとんでもない大食漢である。
集めた食料の殆どがルカの胃袋に収まってしまう。
それなのに全く太らない、神秘の身体の持ち主なのだ。
大輔達は苦笑する。
しかし、これは笑い事ではない。
自分達と同じように選ばれた3人のうち2人はルカと同等の大食漢なのだから。
ルカ「…食べる……!!」
真っ先に飛び出そうとしたルカを制止するのは大輔である。
大輔「待て待て、フェイト達が来るまで待たないと駄目だろ」
思いっきり料理に視線が釘付けである。
視線がどれを1番最初に取ろうかと狙いを定める捕食者の目になっている時点で説得力は果てしなく皆無である。
ワームモン[大輔、そんな目で言っても説得力が全然ないよ]
大輔「ぐっ…!!」






























その時、子供達をスコープで盗み見、にやりと笑う者がいた。
コカトリモン[選ばれし子供たちの運命は、このコカトリモンが握ったぎゃあ!!]
バサバサとお飾りの翼を鳴らすのは、巨鳥型デジモンのコカトリモン。
エテモンの忠実な部下だ。
コカトリモン[念のため、エテモン様にあいつらをどうするか聞いとくがや]
操舵室のコンピュータから、ダークネットワークに信号を送る。
だがエテモンからの返答はなかった。
それもそのはず、エテモンは今現在、スカルグレイモンと壮絶な逃走劇を繰り広げているのだから。
そうとは知らないコカトリモンはいくら待っても返事がないのでしびれをきらし、仕方なく船内通信でヌメモン達に指令を送った。
コカトリモン[アルビャ~ト(アルバイト)で働くヌメモン達、今月の給料を倍にしてやるから、選ばれし子供達を捕まえるがや!!]
貧乏アルバイターのヌメモンの目が輝いた。































大輔達が食事していた時、ヌメモン達が現れた。
ヌメモン達は大輔達目掛けて網を投げる。
いち早く反応したのはフレイモン。
フレイモン[ベビーサラマンダー!!]
フレイモンが放った炎が網を焼き尽くす。
大輔「いきなり何をするんだ!?」
コカトリモン『コカーッカッカッカッ!!お前達を捕まえて干物にしてやるがや!!』
コカトリモンの放送が聞こえた。
フレイモン[ふざけるな!!こっちが調理して鳥の丸焼きにしてやる!!]
フレイモンの身体が光に包まれた。
フレイモン[フレイモン進化!アグニモン!!]
アグニモンは腕に炎を纏わせる。
アグニモン[ファイアダーツ!!]
牽制に炎の手裏剣を放つアグニモン。
ヌメモン達は堪らず逃げ出してしまう。
アグニモン[おい!!雑魚は俺達に任せてお前達はフェイト達を!!]
全員【了解!!】
ヌメモンをアグニモンに任せて、大輔達は風呂場に向かった。






























そして風呂場に辿り着いた大輔達。
しかし最初から脱衣所に行くはずのドアが全開で、その先にある風呂まで無遠慮にも全開になっている。
そして不自然なまでに窓が全開で、フェイト達もチビモン達もいない。
大輔「…まさか」
『オーッホッホッホ!!残念だったわねえ!!女の子達はしっかりと捕らえさせてもらったわ!!』
ブイモン[誰だ!!コカトリモンじゃないよな!!?]
『私はコカトリモンの親戚、アカトリモンよ!!冥土の土産に覚えておきなさい!!』
ユーノ「またオカマ口調の奴か…」
賢「はやてとすずか達をどうした!!?返答次第では許さないぞ!!」
アカトリモン『決まってるでしょー!!?捕まえて、干物にするのよ!!人間の干物ってどんな味がするのかしらね~?』
ブチィ…
アカトリモンの発現に大輔達の中の何かが盛大にキレた。






























大輔『てめえ…』
通信室に響く大輔の声。
アカトリモン[あら?怒っちゃった?怒っちゃったの?いや~ん怖ーい]
コカトリモン[…………]
挑発するアカトリモンに対し、コカトリモンは無言である。
アカトリモン[あら?コカトリモン、どうしたのよ?]
コカトリモン[ほ、本当に怖いだぎゃあ…]
アカトリモン[何?どうしたの?ゲエッ!!!!?]
通信室のモニターに映るのは、凄まじいくらいの怒気と般若の如き表情を浮かべている大輔達とブイモン達である。
大輔『賢、ユーノ。今日の夕飯は?』
賢、ユーノ『鶏の丸焼き』
ブイモン『それに決定』
ワームモン『もう片方は串焼きにしてやる…』
ツカイモン『異議なし』
大輔『殺(け)す。デジメンタルアップ』
ブイモン『ブイモンアーマー進化!轟く友情!ライドラモン!!』
ワームモン『ワームモン進化!スティングモン!!』
ツカイモン『ツカイモン進化!ウィザーモン!!』
ブイモンがライドラモンにアーマー進化すると、大輔達はライドラモンに跨がる。
そして通信室に向かう鬼達。
アカトリモン[あ、あわわわ…ど、どうすんのよおおおお!!?]
コカトリモン[どうするも何も、おみゃーのせいだぎゃあ!!罰としておみゃーが制裁を受けるだぎゃあ!!]
アカトリモン[ちょっとお!薄情過ぎるわよあんた!!]
喧嘩しているうちに、通信室の扉が吹き飛んだ。
アカトリモン[!!?]
大輔「見つけたぞ…」
通信室に入ってくる鬼。
コカトリモン[くっ、かくなるうえは…!!]
スイッチを押すと、コカトリモンとアカトリモンが穴に落ちる。
脱出を謀るコカトリモンとアカトリモン。
大輔「逃げたぞ!!」
ウィザーモン[逃がさん!!]
賢「絶対に逃がすな!追え!!」
ライドラモン[見つけ次第丸焼きだあああああ!!!!]
今の彼らはすでに阿修羅と化していた。
コカトリモンとアカトリモンの命は後、どれだけ持つのだろうか?

































スティングモン[見つけたぞ!!]
客船の地下の脱出口から逃げようとしたコカトリモンとアカトリモンをスティングモンが発見するとウィザーモンが駆け付け、コカトリモンとアカトリモンに雷撃を繰り出す。
アカトリモン[ヒイィイ!!?]
ウィザーモン[逃がさんと言ったはずだが?]
コカトリモン[元はと言えばお前のせいだぎゃあ!!責任とってお前が丸焼きになれだぎゃあ!!]
ライドラモン[ブルーサンダー!!]
ウィザーモン[サンダークラウド!!]
アカトリモン[ちょ、いやああああああ!!!!]
二体の雷撃をまともに受けたアカトリモンは文字通り黒焦げになり、逃げようとしたコカトリモンに合流したアグニモンとスティングモンが通せんぼする。
スティングモン[ヘルスクイーズ!!]
スティングモンの頭部の触覚が伸び、コカトリモンを捕らえると、エネルギーを奪い尽くす。
アグニモン[サラマンダーブレイク!!]
強烈な回し蹴りで、コカトリモンをアカトリモンの近くまで吹き飛ばすと、全員が一斉に技を放った。
ライドラモン[ライトニングブレード!!]
スティングモン[ムーンシューター!!]
ウィザーモン[マジックゲーム!!]
アグニモン[バーニングサラマンダー!!]
四体の技がコカトリモンとアカトリモンに炸裂し、二体を星にした。






























そして、無事に干物にされそうになった女子陣を救い出し、どうやらコカトリモンとアカトリモンに漬物石にされていたチビモン達も復活すると同時に、デジモン達は火事場泥棒上等、ありったけの食料を豪華客船から掻っ払って、子供達と合流した。






























夢のような客船を後にし、一行は再び炎天下の砂漠を進んでいた。
ボーッという低い音に、子供達は足を止めた。
ルカ「ん?」
そして背後からの音に振り返る。
そこには、一行に迫り来る巨大な船の姿があった。
全員【うわああああああっ!!!!】
驚いた10人と10匹は、無我夢中で駆け出した。
フェイト「何で動いてるの!!?」
ユーノ「さっきの攻撃で誤作動を起こしたのかな…?」
ひたすら走って逃げるしかない子供達に、船は確実に近づいてくる。
もう駄目かと思われたそのとき、またも巨大サボテンが熱気に揺らいだ。
その根元には影…本物だ!!
子供達を追うしか頭になかった船は避けきれず、サボテンに激突。
豪華客船は空高く跳ね上がり、遥か上空で爆発した。
賢「蜃気楼じゃなかった…」
あんな大きな船がぶつかったというのに、平然と立っている巨大サボテン。
呆然としながら見ていると、サボテンの頭に鮮やかな桃色の花が咲きはじめた。
愛らしいそれがゆっくりと開くにつれ、アリシアのD-3がちかちかと明滅する。
アリシア「あ…っ」
開ききった花の中から、石盤が光を放ちながら浮かび上がる。
アリシアの紋章がD-3に収まったのだった。
賢「これで6つ目…か…」
これで6つ目の紋章が揃った。
残る紋章は…4つ。
 
 

 
後書き
オリジナルでアカトリモン登場。
 

 

第四十九話 修業

 
前書き
ピッコロモン登場。

アリシアの料理

アリシア「はい、おまちどおさま」
チビモン[わああ!!ケーキだあ!!]
アリシア「えへへ…お母さんにフルーツケーキの作り方を教わったの。後、フルーツポンチと、フルーツシャーベットと……」
ユーノ「ね、ねえ…気のせいかな…デザートしかないんだけど…」
アリシア「あ、ごめんね。私お母さんからお菓子の作り方しか教わってなくて…」
アリサ「たまにはこういう食事もいいじゃない」
ブイモン[アリシア~フルーツポンチお代わり]
なのは「えっと…リリカルアドベンチャー、始まります」 

 
太陽がギラギラと照りつける中、子供達は再び砂漠を歩き続けていた。
涼しい風が子供達の歩みを早くする。
大輔「今日はいい天気だな」
フェイト「うん、風が気持ちいいね」
普段からこうだといいのだが、そういうわけにもいかない。
大輔達は涼しいうちに砂漠を抜けようと足を早めた時。
するとかつてファイル島でも対峙したクワガーモンに酷似しているデジモンが襲いかかってきた。
フェイト「クワガーモン…?」
賢「違う…あれはオオクワモン、完全体だ!!」
アリサ「何ですって!?」
オオクワモンが子供達に向かって突進してくる。
大輔「デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!燃え上がる勇気!フレイドラモン!!]
フレイドラモンにアーマー進化して、オーバードライブを発動する。
フレイドラモン[ナックルファイア!!]
拳から放たれた豪火球だが、オオクワモンは見た目に似合わぬスピードでかわす。
アリシア「かわされた!!」
大輔「フレイドラモン!!」
フレイドラモン[ファイアロケット!!]
大きく跳躍して体当たりを繰り出す。
パワーアップ前よりも遥かに強力にはなったが、オオクワモンには当たらない。
どんなに攻撃を繰り出してもオオクワモンには当たらない。
このままでは制限時間が…と思っていると、フレイドラモンからオーラが掻き消え、フレイドラモンが膝を着いた。
チビモン[お兄ちゃん!!]
フレイドラモンが急いで顔を上げた時、オオクワモンは既に間近に来ていた。
?[ピットボム!!]
オオクワモンに着弾した小型爆弾は、放射線状ではなくオオクワモンの方だけに爆発を起こし、その巨体を塵も残さず消し去った。
何が起きたか分からず呆ける子供達を、ピンク色の小さなデジモンが横切った。
?[この未熟者ッ!!!!!]
新たな敵かそれとも自分達を助けてくれた恩人なのかと戸惑う子供達を見上げ、掌サイズの愛らしいデジモンはその甲高い声を張り上げた。
ニャロモン[あ…、あなたピッコロモンね!?]
ぽかんと口をあけたままのメンバーの中、その正体に気づいたニャロモンが歓喜の声を上げる。
そこに全く警戒の色はない。
ピッコロモン[うむ]
頷いたピッコロモンに、他のデジモンの警戒も次々とけていく。
信頼に足るデジモンらしい。
ピッコロモン[全く君達、選ばれし子供なんでしょ?それなのに頼りなさすぎだッピ、危なっかしくて見てられないッピ!!」
少々口うるさいようだが…。
ピッコロモン[そんな状態じゃあ、光る紋章も光らないッピ!!弛んでるッピ。努力が足りないッピ、根性がないッピ!!]
アリサ「ピッピッピッピッ、うるさい奴ね…」
アリシア「見た目は可愛いのに可愛くない…」
アリサとアリシアがボソッと呟いた。
ピッコロモン[よって君達、今日から私の家で修行するッピ!!]
全員【はあっ!!?】
突然の出現、突然のお叱り、突然のスパルタ宣言にもう思考がついていかない。
ピッコロモンは手に持った槍で大輔を指し、ううむと唸った。
ピッコロモン[特にそこの君は重症だッピ。スペシャルメニューで猛特訓だッピ!!]
大輔「え?俺?」
ピッコロモン[さあ、ついてくるッピ!!]
賢「待ってくれ!!」
ピッコロモン[ピ?]
賢の制止の声にピッコロモンは振り返る。
賢「あなたが敵じゃないことは分かった。でも何が目的なんだ?」
ピッコロモン[うむ、実を言うと君達が弛んでいたら鍛えてくれとゲンナイから頼まれたんだッピ]
全員【……………ゲンナイ………?】
ゲンナイという単語を聞いた途端、ピシッ…という音と共に灼熱の砂漠であるにも関わらず空間が凍りついた。
子供達とデジモン達全員からどす黒いオーラが吹き出ている。
心なしかこめかみに青筋が浮かんでいるような…。
ピッコロモンは子供達とデジモン達から吹き出ているオーラに砂漠であるにも関わらず、思わず冷や汗をかいてしまった。
…しまった。
どうやら子供達とデジモン達の間ではゲンナイの名は禁句だったらしい。
一体、子供達に何をやったんだとゲンナイに1時間近く問い詰めたくなったピッコロモンであった。

































それから一行は、かなりの距離を歩かされた。
アリシア「ねえ、後どれくらい歩くの?」
ピッコロモン[もう少しだッピ]
いい加減嫌になりかけた時、ピッコロモンが何もない所で立ち止まった。
ピッコロモン[着いたッピ、ここだッピ]
フェイト「ここ、って…何もないけど…?」
ピッコロモン[ピーッ]
ピッコロモンは飛び上がった。
ピッコロモン[ルホルバロホルバソビカッピ!!トルカラトルカルシタカッピ!!]
するとただの空間が丸く切り取られ、豊かに生い茂るジャングルへの入り口が出現した。
目を丸くする子供達の背中を杖で突き、促すピッコロモン。
ピッコロモン[これは私の結界だッピ。早く中に入るッピ!!]
全員が足を踏み入れると同時に、結界の入り口は縮んで消える。
































砂漠の乾燥しきった空気とは違うじめじめと肌を潤す湿気が、見せかけでなくここが本当に結界の中なのだと子供達に教えた。
その時、背後から車のクラクションが微かに聞こえてきた。
音に振り返ったすずかが慌て出す。
すずか「皆、後ろを!!」
皆は釣られて振り返った。
大輔「エテモンのトレーラー!!」
ピッコロモン[心配することないッピ。向こうからは結界の中は見えないッピ]
ピッコロモンの言葉を信じて、一行は進み続けた。






























ちなみに車内ではなかなか回復しきらないネットワークにエテモンが業を煮やしているのだが、そんなことは知る由もない。
そしてジャングルを抜けると、巨大な岩山がそびえ立っていた。
ピッコロモン[この上が私の家だッピ」
ユーノ「この上って……」
ユーノが上を見上げて呟く。
階段が延々と続く岩山のてっぺん近くに、いくつかの建物が僅かに見えた。
はやて「何やこれ…」
なのは「これを登るんですか!?」
信じがたい光景になのは達が口々に言う。
アリシア「何段あるのかなぁ?」
ルカ「…数えるだけ無駄だと思うよ」
アリシアの疑問をルカが軽くあしらう。
賢「仕方ない登ろう…」
賢が深い溜め息を吐きながら言う。
子供達も頷きながら足を動かした。






























大輔「こ、これは…」
ガブモンX[何…これ…?]
数時間後、何とか登りきった子供達とデジモン達が見たものは…。
ピッコロモンの大きな銅像がどこからでも見えるという自己満足全開の構造をしている螺旋階段のような構造をした建物であった。
ピッコロモン[食事の用意も出来てるッピ」
フレイモン[うわあ、飯ーっ!!]
途端にフレイモンの瞳が輝いた。
ルカもギルモンも嬉しそうだ。
だが、ピッコロモンはそんなに甘くはなかった。
もっとも、今までも全く甘くはなかったが。

































フレイモン[…なあ、飯は?]
建物の最上階の廊下に揃った一同の中から、疑問が湧き出る。
勿論フレイモンから。
ピッコロモン[その前に、次の修行だッピ]
フレイモン[そんなことだと思った…!!]
フレイモンはがっくりとうなだれた。
ピッコロモン[ルホルバロホルバソビカッピ!トルカラトルカルシタカッピ!!」
ピッコロモンが例の呪文を唱える。
すると今度は、どこからともなく水の入ったバケツと雑巾が出てきた。
ピッコロモン[全員でこの床を雑巾掛けだッピ]
アリサ「雑巾掛け…?」
アリサが反射的に返す。
なのは「ええ!?この廊下を全部!?」
アリシア「下の階もぉ!?」
なのはとアリシアが悲鳴をあげる。
すずか「そんなあ…」
子供達は一斉にピッコロモンにブーイングだ。
ピッコロモン[君達はスペシャルメニューだッピ。私と一緒に来るッピ]
ピッコロモンが大輔とブイモンに声をかける。
大輔「スペシャルメニュー…?」
フェイト「しょうがない。やろう」
フェイトがバケツを手に取った。
コロナモン[これ本当に修行なのかよ?]
ルナモン[ただ掃除させられてるだけだったりして…]
ガブモンX[文句言わないの]
コロナモンとルナモンもガブモンXもブツブツ言いながら床を磨く。
フレイモン[飯ーっ!!]
空腹絶頂のフレイモンが繰り返し叫んだ。
アリシア「フェイト!!どっちが早いか競争しよう!!」
フェイト「いいよ。でも本気でやるからね」
二人は張り切って廊下を駆けていく。
なのは「仲いいね二人共…」
その二人をなのはは、微笑ましそうに見つめていた。






























大輔「ここは…?」
ピッコロモンに連れられ、やって来たのは白い世界。
魔法の扉が消失していることに気がついて途方に暮れる。
?『よう』
大輔「うお!!?」
後ろから声をかけられ、慌てて振り向くと、そこには…。
ブイモン[だ、大輔え!!?]
そう、そこには向こうの世界でデジタルワールドに行くと、決まってなる服装姿の大輔がいた。
大輔『うーん。確かに俺も大輔だけど、少し違うな』
大輔「は?」
ブイモン[どういうこと?]
大輔『つまりな。俺は本宮大輔の記憶を元にして生まれたデジタル生命体……ブイモン、理解出来てるか?』
ブイモン[あ、うん…何となく]
頭から煙を吹き出しながら答えるブイモンに“大輔”は苦笑した。
大輔「俺によく似た別人でいいだろ?」
大輔『ああ。ピッコロモンから聞いてるだろうけど、お前達は今ここでスペシャルメニューを受けてもらう。内容は俺と…フレイドラモンの影…フレイドラモンシャドウと戦うことだ』
大輔「成る程…つまり自分自身と戦って勝てってことか」
大輔『そういうこと』
ブイモン[上等さ!!]
ブイモンもフレイドラモンにアーマー進化すると、構えた。
大輔『…行くぜ!!』
大輔「フレイドラモン!!」
フレイドラモン[ナックルファイア!!]
フレイドラモンがナックルファイアを繰り出し、フレイドラモンシャドウもナックルファイアで相殺する。
フレイドラモン[一気にカタをつけてやる!!]
オーバードライブを発動し、フレイドラモンシャドウを殴り飛ばす。
大輔『フレイドラモンシャドウ!!防御を固めろ!!』
フレイドラモンがオーバードライブで強化された格闘で攻撃するが、フレイドラモンシャドウは“大輔”の命令通り、防御を固めた。
大輔「やばい…」
想像以上に粘るフレイドラモンシャドウに焦りを浮かべる大輔。
フレイドラモンも焦りを見せ、拳に炎を収束させる。
フレイドラモン[ナックルファイア!!]
渾身の一撃を繰り出し、フレイドラモンシャドウに直撃させたが、“大輔”はニヤリと笑う。
大輔『残念。フレイドラモンは炎に特化したデジモンだ。つまり大したダメージは受けない』
大輔「しまった!!」
大輔『そろそろオーバードライブも切れるだろ?』
“大輔”が言うのと同時にフレイドラモンのオーバードライブが切れた。
フレイドラモン[う…っ]
大輔「フレイドラモン!!」
そんな二人の様子を“大輔”は呆れたように言う。
大輔『ペース配分を考えないで飛ばし過ぎるからだろ。一気に決めろフレイドラモンシャドウ!!』
フレイドラモンシャドウがフレイドラモンに肉薄すると、攻撃の一瞬だけオーラを纏うと、フレイドラモンをめった打ちにする。
フレイドラモン[うわああああ!!]
大輔「フレイドラモン!!」
とどめとばかりにフレイドラモンシャドウの蹴りが炸裂し、吹き飛ばした。
フレイドラモンがブイモンに退化、フレイドラモンシャドウも退化する。
大輔「ブイモン…」
ブイモン[ごめん大輔…]
大輔『少し休憩だ。ブイモンの体力が回復したらやり直し。』
こうして体力回復のために、休憩を取る。






























子供達とデジモン達が疲れて眠りに就いている頃、ユーノはD-3の輝きに目を開けた。
ユーノ「光ってる…」
不意にはやてのD-3が光っていることに気がつき、ユーノははやてを揺する。
ユーノ「はやて、起きて」
はやて「うぅん…?」
目を擦りながらはやてが起きる。
ユーノ「紋章があるらしい。探してみよう」
はやて「あ、ほんまや…」
ツカイモン[行くのですか?]
ギルモン[オラも一緒に行くぞ]
ユーノ「それじゃあ…一緒に行こう」
ユーノとはやては子供達を起こさないようにパートナーを連れて部屋を出た。






























山の中腹、下りの道でユーノは、口を開いた。
ユーノ「はやてとギルモンは紋章が欲しい?」
はやて「へ?そりゃあ無いよりある方がええやろ?」
ギルモン[オラ今よりもっともっと強くなりてえ!!]
ユーノ「成る程…」
どうやらはやてとギルモンは紋章を手に入れることに前向きらしい。
ユーノ「僕は……もっと自分を磨きたい。進化して成長するのはデジモンだけじゃない。僕もツカイモンと一緒に成長して、今までとは違う何かを掴みたいんだ」
ツカイモン[ユーノなら出来る。きっと…]
ユーノ「ありがとう。あ、結界を抜けるよ。」
ユーノ達は結界から出て、紋章を探し始めた。































[あ、子供達の反応がありました!!]
エテモン[何ですってえ!!?ちょっとおっ!!?ここさっきアチキ達が通り過ぎたとこじゃなあい!!ウキィイイイイッッッ!!!!!!!!]
エテモンは椅子から立ち上がるとガジモンに八つ当たりする。
[あ、いや…私にそんなこと言われましても…]
エテモン[あのエリアは確か、メタルティラノモンの縄張りね!!よおし、スカルグレイモンの怨みも含めて目に物を見せてあげるわあああああっっっ!!!!!!!!]
ガジモンに八つ当たりしつつエテモンの咆哮が響き渡った。






























ピッコロモンの結界を抜け出し、井戸を覗くとそれは空井戸だった。
2人はパートナーを残し、ロープを伝い中に降りる。
はやて「ユーノ君、落ちるんやないで?」
ユーノ「分かってる…あ、紋章だ。D-3を翳して」
はやて「うん!!」
壁の石が鮮やかに光る紋章に翳したD-3の中に、それぞれの紋章が吸い込まれるように入っていった。
笑顔を見せるユーノ、はやて。
だがその場所は、すでにエテモンのネットワークの復活したエリアだった。
反応をキャッチし、黒いケーブルを巻きつけたメタルティラノモンが2人と2匹を襲う。
逃げるユーノ達を狙い放ったレーザーが、ピッコロモンの結界を砕いた。
それを察知したピッコロモンが皆を連れ、直ぐさまユーノ達の救援に向かう。
なのは「ユーノ君!!!」
アリサ「私達を置いていった罰よ!!」
大輔を除いた全員が集まる。
































エテモン[ふふふ…来たわね。それじゃあ今までの怨みも篭めてイッツ・ショータイム!!!!]
エテモンが子供達を一網打尽にしてしまおうとラヴ・セレナーデで直接攻撃を仕掛けてきた。






























エテモンのラヴ・セレナーデにデジモン達が膝を着く。
フレイモン[ち、力が…]
アリシア「このままじゃあ進化出来ないよ!!」
ピッコロモンが小さな結界を張り皆を守る。
しかしいくらピッコロモンとはいえは9人と9匹をその背に庇い、さらにはエテモンのラヴ・セレナーデの悪影響も受け続けているのだ。
いつまでもつだろうか。
ピッコロモン[(大輔…ブイモン!!仲間のピンチだッピ、早く戻ってくるッピ………!!)]






























ブイモン[はあ…]
白い世界で横になるブイモン。
一体、何回くらい“大輔”とフレイドラモンシャドウに挑んだだろう。
最初は優勢でも最後にアッサリと逆転されてしまう。
しかし大輔はあることに気づいていた。
あの“大輔”とフレイドラモンシャドウの戦い方に。
大輔「…ブイモン……」
ブイモン[ん?何?]
大輔「あいつらとの戦いで分かったことがある。」
ブイモン[え?]
大輔「今まで俺達はどれだけ力の使い方に無駄があったかって。」
ブイモン[………]
大輔「今までの俺達って力を全開にしたままで戦っていた。だからあっという間にエネルギーが底をついてしまった。あいつらのように。攻撃と移動の時の一瞬。そして防御の時だけオーバードライブを発動すれば…結果的に長時間の戦闘が可能になる」
ブイモン[成る程、やってみよう大輔!!]
大輔「ああ…」
再び、“大輔”とフレイドラモンシャドウに挑もうとした時、仲間達の声が聞こえた。
大輔「皆!!?」
大輔『どうやらピッコロモンの結界が破られたようだな』
大輔「……」
大輔『…行ってこい』
大輔「え?」
“大輔”の発言の意味が分からず、大輔は目を見開いた。
大輔『力の使い方は分かったんだろ?ならスペシャルメニューは完了だ。さっさと行け』
手をヒラヒラと動かしながら、扉を出現させる“大輔”。
大輔「………」
大輔『行けよ。そして守れよ?大事な奴を』
それだけ言うと“大輔”は消えた。
ブイモン[大輔…]
大輔「ああ、行こう。皆が危ない。」






























気がつくとそこはピッコロモンの結界内の森であった。
大輔「ピッコロモン。もう充分だ。ありがとう皆を守ってくれて、後は俺に任せてくれ。行くぞブイモン」
ブイモン[…おう!!]
大輔の意志に呼応するかのようにブイモンの身体が光に包まれる。
ブイモン[ブイモンアーマー進化!燃え上がる勇気!フレイドラモン!!]
フレイドラモンは大輔の言っていたように。
攻撃、防御、移動の時のみオーバードライブを発動させるように心掛ける。
フレイドラモン[ナックルファイア!!]
オーバードライブで強化された豪火球がメタルティラノモンに直撃する。
怯んだ隙に、フレイドラモンからライドラモンにアーマーチェンジする。
ライドラモン[サンダーボルト!!]
蒼い雷が広範囲に渡って放たれ、エテモンのスピーカーとなっている朝顔を燃やしていく。
そしてフレイドラモンにアーマーチェンジすると、蹴りを喰らわせる。
フレイモン[行けー!!そこだ!!]
チビモン[やっちゃえやっちゃえ!!]
フレイドラモンがメタルティラノモンの尻尾を掴むとジャイアントスイングの要領で振り回す。
絡みついたケーブルは次々と切断される。
フレイドラモン[うおおおおおおおっ!!]
フレイドラモンはメタルティラノモンを上空に投げ飛ばすとアーマーチェンジする。
ライドラモン[ライトニングブレードーーーッ!!!!]
オーバードライブで強化された渾身の必殺技はメタルティラノモンを一瞬にして消滅させた。
ピッコロモン[見事だッピ!!]
ピッコロモンは大輔とブイモンの戦いを見届けて言う。






























大輔「本当に、ありがとうございました」
全員【ありがとうございました!!】
大輔の後に続き、皆が口々にピッコロモンへの感謝を述べる。
ピッコロモンは嬉しそうに背中の羽をぱたぱたとはためかせた。
ピッコロモン[君達の修行はこれで終わりではないッピ。人生全て修行、負けずに頑張るッピ!!]
なのは「はいっ!!」
元気よく返事をする子供達を見回すピッコロモン。
フェイト「本当にありがとうピッコロモン」
ピッコロモン[なぁに、大したことじゃないッピ。さあ行け、選ばれし子供達!!ピッ!!]
子供達を見送るピッコロモン。
そのつぶらな瞳は、見た目の愛らしさに合わぬ深い深い叡智を湛えていた。
ピッコロモン[(この世界を救えるのは君達しかいないッピ。頑張れ、選ばれし子供達ッピ)]
 
 

 
後書き
ピッコロモンとの邂逅完了。 

 

第五十話 ナノモンとの邂逅

 
前書き
ナノモンと邂逅する大輔達。

賢「さて、食事の準備をするよ」
すずか「凄い、賢さん!!それ、マイ包丁ですか?」
賢「うん。笑わないでほしいんだけど、はやてと暮らしているうちに料理が趣味になってね」
すずか「笑いませんよ。料理が上手な男性って、とても素敵だと思います」
アリシア「お兄ちゃんも料理上手だし…」
なのは「ユーノ君も上手だよね…下手したら大輔さん達の方が私達よりお料理上手だよね…対抗出来るのはやてちゃんくらい…だよね…」
アリサ「腹立つけど正にその通りよね…」
ユーノ「リリカルアドベンチャー、始まります」 

 
密林の中、探し回ってももうピッコロモンの家は見つけられなかった。
しばらく歩くと景色は鮮やかな緑から次第に彩度の低い砂に変わり、長いこと彼らが歩き続けてきた砂漠に戻った。
密林の中、探し回ってももうピッコロモンの家は見つけられなかった。
しばらく歩くと景色は鮮やかな緑から次第に彩度の低い砂に変わり、長いこと彼らが歩き続けてきた砂漠に戻った。






























ざく、ざく、と熱い砂に足を埋め、1歩1歩先へと進む子供達。
最後にピッコロモンが魔法でも残してくれたのだろうか?
子供達の足取りは軽く、焦がすような日光の下でもその気分が下向くことはなかった。
1つずつ紋章を手に入れ。
1ずつ力を手にし。
まだ確たる証はなくとも、その煌めきは子供達にも、デジモン達にも強い気力を与えていた。
アリシア「わっ!!?」
突然アリシアが勢いよく転んだ。
すぐ後ろを歩いていたすずかが、急に止まれず巻き込まれて一緒に倒れる。
アリシア「痛たたたた…ごめんすずか」
すずか「ううん、どうしたの?」
アリシア「今何かに躓いて……あれ?」
砂をよけると、アリシアの足にはあの黒いケーブルが巻きついていた。
すずかはそのケーブルを見つめると徐にケーブルを隠す砂を払った。
ケーブルは長く長く伸びている。
すずか「皆、ちょっと私について来て」
何かを確信したように、すずかはケーブルを握ったまま立ち上がる。
基本的にこういう時のすずかには従っておいて損はない。
彼女はこのメンバーで賢に次いで優秀な頭脳の持ち主だ。
すずかの腰の高さに引き上げられ砂の中から持ち上がったケーブルを追い、子供達は真っ直ぐに歩みを進めた。






























すずか「やっぱり!!」
2キロほど歩いたところで、舞い上がる砂に霞んで何かが見えた。
それを視認すると同時に、すずかは弾かれたように駆け出す。
近づいてみると、それはドラマや映画でよく見かけるような、物々しくごついコンピューターだった。
すずかは背負った鞄からモジュラーケーブルを取り出し、施設で入手したパソコンとそれにそれぞれ繋ぐ。
すずか「……同じ規格でよかった」
大輔「…そろそろ説明してくれないか?」
どこか楽しそうなすずかに大輔が説明を求める。
すずか「あ…すいません。えっとですね、このケーブルなんですが、恐らくこれはエテモンが私達の居場所を知るために張り巡らせたネットワークです」
アリサ「………………は…!!?」
すずかはさらっと言ってのけたが、その重大すぎる事実に他の全員はあっけにとられ口を開けたまま固まった。
すずか「前にルカ君がケーブルに触れたすぐ後にエテモンの攻撃があったでしょう?はやてちゃんとユーノ君の紋章を探しに行った時もケーブルを見たし…ほら、やっぱり」
喋りながらもテンポよくキーボードを叩いていた手を止め、すずかは皆に見えるようにパソコンをずらした。
アリシア「……全然分かんない」
アリサ「ていうか、そしたら今私達がここにいるのも全部バレバレなんじゃないのっ!?」
慌てる他の子供達を尻目にすずかの言葉を理解できた賢は再び作業を始めたすずかの後ろから画面を覗き込んだ。
賢「それもしかして、ハッキングかい?」
すずか「はい。どうやらエテモンのネットワークシステムは私達の世界の物と同じみたいなので、うまくいけば」
賢「…だったらここをこうすれば…ほら出た」
フェイト「あっさりすぎるよそれ」
すずかと賢のテクニック、恐るべし。
地道に、だがかなりの勢いですずかは賢の補佐を受けながらネットワークに侵入していく。
だがそこで、賢は画面左上に表示された“Mail”のマークに気がついた。
賢「すずか……これを」
すずか「えっ、メール!?誰から…」
まさか敵からのメールではと全員が息を飲む。
すずかがカチリとクリックすると、画面には目立つ大きな字でこうあった。
賢「“助けて”…?」
差出人不明のSOS。
助けを求めるそのメールは、見出しの後も長く細かく綴られていた。
すずか「…“私を助けてくれたら、紋章の在りかを教えよう”…」
メールの文面を読み上げていたすずかが呆然とする。
大輔「紋章を?」
ユーノ「一体何者なんだ…?」






























その頃エテモンは、サーバ大陸全土に無秩序に広がる数百もの選ばれし子供達の位置情報に怒り狂っていた。
せっかく直りかけていたというのに、これはどういうことだろう。
ガジモン達が懸命に作業するも、その故障はどうにもならなかった。
[駄目ですエテモン様、ここのコンピュータの故障じゃありません!!]
[例のピラミッドの…ホストコンピュータの異常です]
エテモン[くっ…ナノモンの奴ね!!]
ナノモン。
エテモンのネットワーク管理の全てを任されたデジモンだ。
エテモンはギュッと爪を噛む(実際にはエテモンはパペット型のデジモンのため、ただ指先の布を噛んだだけだったが)。
エテモン[(あいつ……まさか何か企んでるんじゃないでしょうね!!)あいつの様子を見に行くわよ!!]
[はい!!]
砂煙を起こして、笑天門号は猛スピードで走り去った。






























はやて「ほんまに大丈夫なんやろうね?もし敵の罠だったらまずいんちゃう?」
アリサ「でも…認めたくないけどアレみたいに味方かもしれないじゃない」
大輔「まあ、アレは置いといて、見捨てるわけにもいかないだろ」
謎のSOSメールが図示した地図を辿って、岩場に入る子供達。
やはり不安が先に立つ。
切り立った岩場に囲まれたこの場所では、敵に待ち伏せされていた場合逃げる術がない。
先頭ですずかは器用に歩きながらパソコンを弄る。

すずか「もう少し…のはずなんだけど…」
なのは「…あ、光った!!」
指定ポイントから500メートル。
その位置に足を踏み入れると同時になのはのD-3が輝いた。
子供達は一斉に周りを探す。
ガブモンX[なのは、こっちだ!!あったよ、なのはの紋章が!!」
ガブモンXが歓声をあげ、脇道に走ってゆく。
駆け寄ったその先の岩壁には、確かに他の子供達のものと同じく、紋章が彫り込まれた巨大な石板があった。
紋章は引き合うようになのはのD-3と同じ律動で輝きを増し、翳したそれに吸い込まれるように入っていった。
なのは「やった…私の紋章だ!!」
にこにことしゃがみこんでガブモンXに紋章を見せてやるなのは。
賢「どうやら罠じゃなかったみたいだな」
すずか「残り1つの…私の紋章は、助けてくれた後に場所を教えるだそうです」
大輔がすっかりお決まりの号令をかける。
大輔「さあ、行こう!!」
石板が取り払われ、現れた抜け道に子供達は踏み込んでいった。






























岩のトンネルをくぐると、そこは一面不思議な文字で埋め尽くされていた。
賢「これは……」
すずか「うん。これはファクトリアルタウンで見た文字ですね」
巨大電池の内壁、エネルギーを生み出す不思議装置。
保存してあった画像データと照合し、すずかが壁に手を伸ばし1つの文字に手を触れる。
指先でその文字を擦り消すと、薄暗かったトンネル内部に灯りがつき、口を開けたままだった入り口に元通りの岩のカモフラージュが施された。
すずか「やっぱり…。ここではエネルギーがプログラムによって発生してるんだ」
アリシア「え、どういうこと?」
熱心にデータと壁面を見比べるすずかの代わりに、賢が説明役を買って出る。
賢「書いてあるプログラムを書き換えるだけで、それを実行出来るんだ。今みたいに、電気をつけたり消したりね」
すずかが更に文字を書き換える。
ヴィン、という音とともに空中にホログラムが浮き上がった。
すずか「この付近の地図だよ」
アリサ「もう殆ど反則じゃない…」
フェイト「大輔達から前以て聞かされてなかったら混乱してたかもね。この世界にいる私達も今は人間の形をしたデータなんだ…」
アリサ「…本当に不思議よね。感覚は向こうとは全く変わらないのに今はデータなんだし」
大輔「俺達だって最初は混乱したよ。とにかくメールの差出人を助けることが先だな。次はどこに行くんだ?」
頷いたすずかがプログラムを実行すると、行き止まりだった通路の奥が消え、出口から光が射し込んだ。
すずか「今のプログラムで空間を繋ぎました。この外に差出人がいるはずです」
通路の出口は、巨大なスフィンクスの口と繋がっていた。
広く見晴らしのいい視界の中に、逆さのピラミッドが建っている。
出口からそっと顔を出し、ルカで辺りを見回すと、モノクロモンに牽かれたトレーラーが音楽を鳴らしながら走ってきた。
ルカ「…エテモン」
アリサ「なんですって…!?」
エテモンはトレーラーから飛び降りると、見るからに危うい均衡の逆さピラミッドの中に入っていった。
これではうかつに近づけない……。
仕方なく子供達は、スフィンクスの口の奥、空間の向こうで野営することに決めた。






























すずか「ふう…」
賢「どうしたのすずか?」
溜め息を吐くすずかに賢が隣に腰掛けながら尋ねる。
すずか「賢さん…何か皆に申し訳ないと思って…」
賢「何が?」
すずか「だって結局、私の紋章のためにメールをくれた人を助けに行くんですよね?…私、皆に迷惑かけてる」
賢「そんなことないよすずか…」
すずかの手に自分の手を重ねながら言う。
賢「もし、君の紋章が先に見つかってたら、そんな風に悩んだりした?」
すずか「あ……きっと、考えもしなかった……」
賢「君は優し過ぎる。でもそこが君の魅力なのかもね」
すずか「っ…!!」
賢の言葉にすずかは顔を真っ赤にしてうなだれてしまう。
賢「明日は君の紋章を手に入れてメールの差出人を救い出そう。心配しなくても君は僕が守るよ」
すずか「賢さん…」
顔を赤くして、賢を見つめるすずか。
そこに。
はやて「賢兄~」
はやてが後ろから賢に抱き着いてきた。
賢「はやて?」
はやて「すずかちゃんばっかりずるいやんか、私は守ってくれへんの?」
賢「大丈夫、はやても僕が絶対に守るよ。約束する」
はやての柔らかい髪を撫でながら言う賢にはやての顔は自然と笑顔になる。
はやて「ありがと賢兄」
こうして大輔達の夜は過ぎていく。






























すずか「ピラミッドには、普通は見えない隠し通路があるそうなの」
すずかがキーボードを叩くと、外から見えていたままの逆三角形のピラミッドの図に加えて、砂に埋もれながら上下対称に砂時計のように広がる本来の形の四角錐とその中を走る通路を示す光の道が浮かび上がった。
大輔「皆、ピラミッドに潜入するメンバーを決めようぜ。」
フェイト「うん」
組み分けの結果、大輔、賢、フェイト、すずかの偵察組。
アリシアが戦えないため、残りの子供達が待機組となった。
いかな巨大なピラミッドとはいえ通路は狭く、またエテモンの強大な力の前に共倒れの危険性を考えての戦力分配だ。
監視のガジモンの目を盗み、偵察組はピラミッドのふもとへと忍んでいた。
なるべく音を立てないように心持ちゆっくりとキーを叩きながらすずかが囁く。
すずか「この側面に、ピラミッドへと入る入り口があるはず。今探すから物音を立てないように気をつけて…」
緊張と砂漠の暑さで灼ける子供達の背に、ざくざくと無遠慮に砂を踏む足音が小さく届いた。
とっさにピラミッドにへばりつくように身を隠し、様子を窺う。
思わず息を飲む大輔にブイモンが近寄る。
それを手で制して大輔は鋭く囁いた。
大輔「エテモンだ…」
最悪のエンカウントにチビモンが石壁にぶつかり、音を立てる。
エテモンが、それに気づいてしまった。
エテモン[…そこにいるのはだぁれ?]
勿体振るようにゆっくりと近づくエテモンの気配。
違う、これは、自分の鼓動が速すぎるせいだ。
心臓が激しく胸骨を叩く。
そして近づききったエテモンが、大仰に大輔達の隠れる石壁の陰を覗き込んだ。
エテモン[………気のせいだったかしら]
覗き込んだエテモンの視線の先には、誰も、何もいなかった。
ぽりぽりと頭をかいて、エテモンは来た道を戻ってゆく。






























大輔「ふう…」
エテモンがいなくなったことを確認すると子供達は安堵の溜め息を吐いた。
フェイト「間に合って良かった…」
暗い奥に向かいながらすずかはいつものように淡々と説明をしてくれる。
吸収するものがまるでない石の壁の中では声が恐ろしい程に反響する。
いつもより大分声量を抑えたすずかの声は少し聞きとりづらかった。
すずか「さっきの入口の部分は、見せかけだけの上っ張りのデータなの。通路の部分は中身のデータがあるから、どこでも通り抜けられるわけじゃないから気をつけてね」
しばらく進むと、また隠し出入口があった。
マジックミラーのように、こちら側からのみ隔たれた向こうを確認することが出来る。
足音に息を潜ませると、表通路の奥からガジモンが歩いてきた。
見えるわけはない、そう分かっていても体が強張り、肩に力が入る。
ガジモンはこちらなど見もせずに、雑談を交わしながら通りすぎていった。
フェイト「…行った…先に行こう」
賢「ああ…それにしても凄いな、隠し通路さえ無ければエジプトのピラミッドそのものだ」
すずか「そうですね」
フェイト「そうなの?」
大輔「ユーノを連れてくればよかったな。絶対に喜ぶぞ」
子供達はバレないように雑談をしながら先に進んでいく。






























辿り着いたのは、高圧電流が流れている網が張り巡らされた一室だった。
隠し通路の箇所だけは、唯一、ホログラムで人間もデジモンも安心して通ることが出来るらしい。
もし間違えでもしたら間違いなく、先導する人間は死に至るのは明白である。
幸い、ナノモンのデータには右から5マス目と書かれてあったので、大輔が先陣を切り、言う通りに数えて先に向かった。





























辿り着いたのはピラミッドの最深部である。
ここが目的地で間違いないとすずかは肯定する。
その奥にいたのは、頑丈な高圧ガラスで閉じ込められているナノモンの姿があった。
ルナモン[あれは、確かナノモンだよ。凄く頭のいいデジモン]
ルナモンが説明する。
フェイト「…ひょっとして、あのデジモンがメールを送ってきたの?」
フェイトが聞くと、答えは意外な場所から返ってきた。
ナノモン『その通りだ、選ばれし子供達』
すずかのパソコンにナノモンが映る。
すずか「そうか、赤外線ポートに直接データを送り込んでいるんだ」
ナノモン『私はかつて、エテモンと戦い、そして敗れた。……そして破壊された身体のまま、此処に封印され、思考能力を奪われた上で、エテモンのネットワークを管理するホストコンピュータの役割を与えられた。だがある日、私は記憶を取り戻し、エテモンに気付かれぬよう、少しずつ自分の身体を修復し始めたのだ。外で起こっていることは何でも知り、それに干渉することも出来るようになった。だが、封印を解除するには外部の協力が必要なのだ』
ナノモンの話に区切りがついたところで、すずかが口を開いた。
すずか「私の紋章はどこにあるのか、本当に知ってるんですか?」
ナノモン『勿論だ。私はエテモンすら知らない多くのことを知っている』
賢「信用出来るんだろうな?」
賢は疑わしげにパソコン画面を見つめた。
ナノモン『私と君達はエテモンの敵ということで共通している。信じて欲しい』
大輔「…分かったよ。で、どうすればいい?」
大輔がナノモンに尋ねる。
ナノモン『こちらの指示に従ってくれ』
ナノモンの指示を受け、子供達は行動を開始した。
すずか「大輔さん。そこのレバーを倒してください」
すずかが言うと、大輔はすぐに実行に移した。
壁にあったレバーを降ろすと、すずかの前のパネルが開き、中からダイヤルとボタンが現れた。
すずか「右…5。左…8」
すずかが指示通りにダイヤルを回す。
ナノモン『いいぞ、もう少しだ』
ブイモン[…………]
ワームモン[どうしたの?ブイモン?]
ブイモン[あ、いや…何かあのナノモン。凄く違和感を感じるんだよな…]
ワームモン[あ、ブイモンもそう思う?僕も同じことを考えてたんだ]
ブイモンとワームモンが違和感を感じながら、指示を出すナノモンを見つめていた。
すずか「これでボタンを押して…。大輔さん、レバーを戻してください。それで作業完了です」
大輔「了解」
その時である。
豪快な音が安堵の溜め息で漏れた子供達を硬直させた。
エテモン[やーっぱり、あんたの差し金ねえ!!ナノモン!!]
現われたのはエテモンだった。
選ばれし子供達は身構える。
ナノモン[到着が早いな]
エテモン[あーんだけ、分かりやすいくらいにすれ違い続けたら、いくらアチキでも気付くわよっ!!馬っ鹿にすんじゃないわよ、こんのスクラップ!!]
ナノモン[ふん、冷酷無情な貴様なぞに手を貸すほど、私は落ちぶれた覚えはない]
エテモン[ウキィイイイイッ!!相っ変わらず、むっかつくわーっ!!選ばれし子供達もろとも、瓦礫の下に埋めてあげるわよ!!]
大輔「そうはさせるか!!」
ブイモン、チビモン、ワームモン、ルナモンが進化してエテモンに立ち向かう。
エテモン[邪魔よ!!]
4体がエテモンに向かったが、うまく1体ずつ相手取られて返り討ちにされてしまう。
フレイドラモン[オーバードライブ!!ナックルファイア!!]
エテモン[ダークスピリッツ!!]
フレイドラモンとエテモンがぶつかり合う。
エテモン[ラヴ・セレナー…]
フレイドラモン[させるか!!]
ラヴ・セレナーデをする隙を与えないようにエテモンに突撃する。
その隙に大輔はレバーを押し上げた。
ナノモンの入った高圧ガラスのケースが開く。
ナノモン[己の作った封印の威力、思い知るがいい!!]
封印の三角形の壁面は四方に飛び、2匹のガジモンとフレイドラモン、エテモン、そしてレキスモンへと襲いかかった。
フレイドラモンは回避し、エテモンはそれを打ち壊したが、レキスモンは壁まで吹き飛ばされてしまう。
そのダメージで、レキスモンはルナモンへと退化してしまった。
すずか「ルナモン!!」
気絶しているルナモンに、すずかは必死で呼びかける。
ナノモンとエテモンが激突するが、エテモンが優勢である。
そして、すずかの近くまでナノモンが吹き飛ばされてきた。
エテモン[今度もアチキの勝ちね]
ナノモン[戦闘力だけの、猿が…!!]
唸るようにそう言った後、ナノモンは飛び上がってすずかの背後へと回った。
すずか「きゃああぁっ!!」
すずかとルナモンは、ナノモンの腕に捕らわれていた。
ナノモン[こいつらの真の力を利用すれば、お前など絶対倒せる!!覚悟して待ってるがいい!!]
賢「すずか!!」
エテモン[待ちなさい!!]
ナノモンは入口から逃げ去り、追おうとするエテモンの前にフレイドラモンとブイドラモンが立ちはだかった。
フェイト「ここは私達が何とかするから、大輔達はすずかを!!」
フェイトに促されるようにその横を抜けて大輔、賢、スティングモンはナノモンを追った。






























賢「すずか!!」
すずか「賢さーん!!」
通路の先からは、すずかの声が響いてくる。
大輔「隠し通路に逃げたんだ!!」
大輔達の前には、高圧電流の流れる金網が存在していた。
スティングモン[二人共、下がるんだ。ムーンシューター!!]
スティングモンが金網に光球を放ち、金網を破壊するとナノモンを追い掛ける。
大輔「それにしても、ナノモンの奴は何なんだ?いきなり裏切るなんて…違和感があるっつーか…」
賢「確かに…」
スティングモン[それなんだけど…]
大輔、賢「「?」」
スティングモン[ナノモンの頭部のデータチップ…規格が合っていないように見えた。いくら破壊されたとしても規格があまりにも違いすぎる]
賢「つまりナノモンのデータチップは偽物だということなのか?」
スティングモン[その可能性は充分にあると思うよ]
[おい!!]
全員【!!?】
ガジモンの出現にスティングモンが二人を守るように立つ。
ガジモンは慌てて手を振る。
[待て待て!!戦うつもりはねえんだ!!]
大輔「何?」
[お前達、ナノモン様のデータチップの規格が合ってないって言ってたよな?]
賢「え?そうだけど…」
[だったら頼む!!ナノモン様を元に戻すためにデータチップ探しを手伝ってくれ!!]
大輔「へ?」
[詳しい話は俺達の秘密の部屋でする。頼む、信じてくれよ…]
懇願するように言うガジモンに大輔達は頷き、ガジモン達についていくのだった。
 

 

第五十一話 エテモンの過去

 
前書き
エテモンの過去を知る大輔達。

ルカ「食事…出来たよ」
ブイモン[…ルカ、何だよこれ?]
ルカ「?」
アリサ「何て言うか、斬新な見た目ね…」
ワームモン[得体の知れな…痛っ!!?]
はやて「余計なこと言うんやない。」
フェイト「い、頂きます……あれ?美味しい…」
アリシア「本当だ!!」
賢「シャマル並に見た目は悪いのに…味はまともだ…」
はやて「ほ、ほんまや…シャマルにルカ君を見習って欲しいわあ……」
なのは「ど、どうしたのはやてちゃん?そんな泣きそうな顔で料理を見つめて…」
アリサ「リリカルアドベンチャー、始まるわよ」 

 
エテモン『今日からここに住んでるアンタ達はアチキの下僕よ!!』
毎日毎日、自慢の爪で落とし穴を掘り、大好物の木の実なんかをおとりにして幼年期のデジモン達が面白いくらいに引っかかり、悲鳴を聞くのが日課だったガジモン達のテリトリーにずかずかと入ってきて、初対面早々、意味不明なご挨拶をかましたのが、エテモンだったとガジモンは言う。
突っ込みどころ満載である。
当然、一見するとふざけたキャラクターであるエテモンだ。
強烈なキャラクターに引っ張られて、無謀にも完全体に集団で襲い掛かったガジモンたちは問答無用でラヴ・セレナーデの餌食となり、気絶したところをそのままずるずる引きずられて、今の下僕生活が始まったらしい。






























大輔「……」
賢「えっと…」
ワームモン[どこからツッコめばいいのかな…]
[ツッコミ不要。まあ、最初は不満だったけど、慣れてくれば悪くはなかったんだ…退屈しなかったし…笑天門号ってあるだろ?]
大輔「あのトレーラーのことか?」
[ああ。ありゃ元々、エテモン様がコンサートを開くために改造したやつなんだ]
賢「コンサート?」
[エテモン様は元々スーパースターになりたくて、サーバ大陸ででっけーコンサート開くのが夢だったんだとさ。で、一人じゃ出来ねえから、俺達に喧嘩売って、グループ作って、あっちこっちに喧嘩売りながらコンサートして回ってたんだよ]
ワームモン[へえ、凄いね]
[うっせえな、ただコンサートするだけじゃつまんねえだろ。エテモン様のコンサート参加したことねえから言えるんだよ。あの人、気が済むまで歌い続けるから客になったら覚悟しろよ。朝から晩までずーっとアンコール強制だぞ。そのうち耳に残って夢に出るって大好評だ。
帰りたくても帰れねえんだぞ、ダークスピリッツが飛んでくるから]
大輔「あれ、今とあんまり変わらないんじゃないか?」
[ああ、変わんねえな。でも、村を消滅させるとか、そんな酷えことまでする人じゃなかったんだよ]
賢「エテモンが?何か信じられないな…」
[コンサートすんのに客の故郷ぶっ壊してどうすんだよ。ただでさえ評判悪いのに、今じゃすっかり嫌われもんだ。おかげでコンサートがっらがら。なのにあの人、スーパースターになったって思い込んでるから全然わかってくれないんだよ]
ワームモン[ガジモン達じゃ止められないの?]
[出来てたらこんなことになってねえよ!!俺達は強くて格好いいエテモン様だから門下に入ったんだ。今のエテモン様はエテモン様じゃないんだよ!!止められそうな奴らならいっぱいいたさ。みんなエテモン様が追っ払ったり、殺したり、逃げだしたりしていなくなっちまったけどな…]
賢「成る程…」
ワームモン[デビモンと同じだね。デビモンは悪いデジモンだっていうのは変わらないけど、オーガモンみたいに好戦的じゃないから、自分のテリトリーにさえ入らなきゃ、全然怖いデジモンじゃないんだよ]
[デビモンって何だ?]
大輔「俺達がファイル島から来たのは知ってるよな?ファイル島で戦ったデジモンなんだよ。いきなり攻撃してきやがったんだ。んで、今はデジタマの状態なんだけどな…所々おかしいけど」
D-3のディスプレイに映るのは、所々欠けているデジタマ。
少しずつ少しずつ、デジタマの形になってきている。
[……エテモン様と一緒だな。元々容赦ないとこはあったけど、ナノモン様までスクラップにするとことか、そっくりだ]
大輔「何でナノモンに様付けなんだ?」
[そりゃあそうだろ。元々このピラミッドはナノモン様の物なんだ。ナノモン様は優秀な研究者であると同時に壊れた機械を修復する天才なんだ。だからサーバ大陸からは直してもらいたいって奴らがいっぱいいたんだよ。ナノモン様が行方不明になっちまったから、もう、誰も来ねえけどな。笑天門号だってナノモン様に作らせたってエテモン様言ってたけど、あの人機械音痴で、俺たちが必死でナノモン様んとこで勉強したから聞いてんだ。今だってお前ら追っかけてるモニターの操縦とか点検とかそういうの全部俺達がやってるからな。あの人のマイクとか全部作ったのナノモン様なんだ。エテモン様のコンサートってド派手好きな演出大好きだし、俺達も調子のっていろいろ好き放題やらかすから、必ずどっかしらなんかぶっ壊れるんだ。毎回毎回ここ通ってたから、もう常連みたいなもんだった。そん時、毎回毎回喧嘩すんだぜ、エテモン様達。“いい加減にしろ、私はお前の専属技師じゃない、修理屋じゃない、他のデジモン達からの依頼もあるのに割り込むな”って怒るナノモン様と、“壊れないように作らないアンタが悪いんじゃないの、お詫びのしるしに誠意ってもん見せなさいよ”って無茶苦茶なクレームつけるエテモン様で大喧嘩だぜ。でもなんだかんだ言って毎回直してくれるって知ってるから、俺達笑門号ここに止めるんだけどな…いや、止めてたんだけどな…]
大輔「ガジモン…」
[今は何とか俺達でやってるけど、ナノモン様がいなくなってから、コンサートも小規模な奴しか出来ないから、エテモン様イライラがたまってて、俺達によく当たるんだよ。俺達はナノモン様みたいに上手く出来ないから限界あるんだよ。でもあの人分かってくれないんだ。おかしくなっちまってんのは分かってんだ。でも、どうしようもないんだよ、何でおかしくなってんのか、分かんねえから]
ワームモン[……僕達は何をすればいいの?]
[ナノモン様を元に戻して欲しいんだ。このままじゃエテモン様もナノモン様も、本当にダークエリア行きになっちまう。おかしくなる前のエテモン様に戻れたら、デジタマに戻れる可能性もあがるだろ。待ってることなんかいくらだって出来るんだ。俺達はデジモンだからな。死んだってまた生き返るんだ。おかしくなった原因知ってるの、ナノモン様だから。最後まで、あの人がダークケーブル作ろうってするの、やめさせようとしてたのはナノモン様なんだ。あの人が記憶を失ってんのは当たり前なんだよ。また邪魔されたら面倒だからって。エテモン様がスクラップにした時に、わざとその部品、ナノモン様の仕事場だったスクラップ場に隠しちまったんだ]
賢「成る程、つまりデータチップさえ見つけて、ナノモンの記憶を取り戻すことさえ出来れば、ナノモンは味方になり、エテモンを正常に戻せるわけだね」
大輔「確かに完全体のナノモンが味方になってくれればかなり心強いな。賢、確かはやてにD-ターミナル預けてたよな?」
賢「うん」
大輔「んじゃあ、はやてにメールを送って………よし」
はやてのD-ターミナルにメールを送信すると、頷くと同時に立ち上がる。
ガジモンに案内され、データチップのあるスクラップ場に向かう。

































そしてスクラップ場に来たのはいいのだが、大量のスクラップがあり、大輔、賢、ワームモンは頭を抱えた。
ワームモン[こんな大量のスクラップからデータチップを探すなんて、砂漠に落ちた米粒を探すのと同じくらい大変だよ…]
大輔「愚痴っても仕方ねえだろ。とにかく、手分けして探そう」
全員【おおーっ!!】
ガジモン達も手が空いているガジモンに協力を仰ぎ、ワームモンからデータチップの特徴を聞くと、データチップ探しを開始した。
































最下層にある隠し部屋にはすずかがいた。
すずかが目を覚ますと、視界に移ったのは見慣れない天井。
そして視界の隅に一瞬移ったルナモンにすずかはそちらへ目を向けるとそこには壁に貼り付けられ未だ眠っているルナモンの姿があった。
すずか「ルナモン!!…っ!?」
急いで起き上がろうとするもののそれは両腕、両足が拘束されている為無理だった。
その時に聞こえたのは、ナノモンの声。
ナノモン[無理しない方がいい、ルナモンは気を失っているだけだ。こいつにはエテモンを倒すという使命があるからな]
すずか「エテモンを?お生憎様!!ルナモンは私がいなきゃ進化出来ないんだよ!!」
ナノモン[お前を使うつもりはない…]
すずかの身体の上を光が通過した。
すずか「何、この光…?」
ナノモン[お前をコピーしているのだ。お前達はまだ紋章の力を全く引き出してはいない。だから私がこのコピーを使って力を引き出してやろうというのだ。]
すずか[っ…!!いくら完全なコピーでも、紋章の力を引き出せるはずない!!]
ナノモン[それはどうかな…]
ナノモンの手にはすずかのD-3と見たことがない紋章が握られていた。
すずか「私の紋章…?本当に持ってたんだ…」
ナノモン[私はかつてエテモンと闘い、過去の記憶を殆どを失ってしまった。失われた記憶はもう二度と戻らない。何故だか分かるか?教えてやろう。デジモンにはデジコアという心臓とも言うべき大事なものがある。エテモンはこともあろうに、その中にあるメモリチップという部分に罅を入れたのだ!!私は機械を修理する身だが、これだけは直すことは不可能なのだ!!メモリチップはデジモンにとって命なのだ!!それをあのデジモンは!!私は絶望した!!スクラップの状態から復活した時に、確認したから間違いないのだ。奴は私から全てを奪ったのだ私に出来るのはエテモンに復讐をすることだけだ。どんな手を使ってもな!!]
すずか「そんな…!!」
もし、このコピーが紋章を使うことが出来たら自分はどうすればいいのだろう?
そしたら、自分は必要とされなくなるのではないか?
誰も頼りに、必要とされなくなるのではないか?
賢に…捨てられるのではないか…?
すずか「(嫌、嫌…そんなの嫌あああっ!!!!)」
すずかは必死に心の中で叫ぶのだ。
すずか「(私は此処にいるの!!誰か、誰か、助けて!!)」
すずかが必死に心の中で助けを求めた。
その時である。
ナノモンしか知らないはずの扉が、認証システムとロックをくぐりぬけて開いたのは。
ナノモン[誰だ!!?]
すずかも顔を上げる。そこにいたのは。
すずか「賢さん!!大輔さん!!ワームモン!!」
大輔「やっと辿り着いた…仕掛けをかわしながらだから異様に時間がかかったぜ…」
賢「ナノモン、そこまでだ。君の記憶を取り戻すことが出来る。ここに君のデータチップがあるんだ。」
賢がナノモンに見せるのはスクラップ場で回収したデータチップ。
ナノモン[何、だ、と?貴様、ふざけるのもいい加減にしろっ!!]
大輔「ふざけてない。スクラップ場を大人数で探し回ってやっと見つけたんだ。ワームモンのお墨付きだ」
ナノモン[嘘を言うなっ!!私のメモリチップは確かにあるのだ!!罅割れたメモリチップがなっ!!]
ワームモン[…ねえ]
ナノモンの叫びにワームモンが今まで気にかかっていたことを聞く。
ワームモン[その頭部のデータチップ…破壊されたとしても規格が違いすぎない?ガジモンが言ってたんだ。君をスクラップにした時、エテモンが記憶が戻らないようにってデータチップを抜いて、隠したんだって。でも君には罅割れたデータチップがあるんでしょ?それ、エテモンが、君を騙すために入れてる奴だよ。多分ね]
ワームモンの言葉にナノモンは、しばしの沈黙の後、小さく呟いたのである。
ナノモン[確かに、規定のサイズよりは小さいが、これは、スクラップにされたせいで、欠損が、出来たからでは、ないのか?]
ワームモン[試してみればいいよ。もし合わなかったら僕達を蜂の巣にするなり好きにしていいよ]
ナノモンが戸惑いがちに賢から差し出されたデータチップを受け取ると、罅割れの目立つカプセル状の頭部を開ける。
その隙をついて、ガジモン達が機械を弄り、すずかは拘束が解除される。
そして、ルナモンが落ちてくるのを受け止めたのだ。
さっぱり事情が分からないすずかは置いてきぼりである。
すずか「賢さん…」
賢「ごめん。助けに来るのが遅れたね」
すずか「いいんです。来てくれれば……ありがとうございます」
目を覚ましたルナモンと共に、すずかは事情を聴くことになる。
そしてカチリ、という音が響き、大輔達は目を輝かせるのである。
そこにいたのは、穏やかな表情になったナノモンだった。
そして、彼はすずかとルナモンに向かい、謝罪する。
ナノモン[……………すまなかった]
すずか「…いいの、謝ってくれれば……」
大輔「さてと…」
大輔は偽物のデータチップを握り潰すと、はやて達にメールを送信する。
“すずかの救出、完了”。
ナノモンからの指示を受けて、フェイト達を迎えに行く。































フェイト「大輔!!」
はやて「賢兄!!」
アリサ「すずか!!」
無事再会した子供達は喜びを噛み締める。
ルカ「よかった…無事だったんだね…」
ブイモン[だから言ったろ?大輔達なら大丈夫だって!!]
チビモン[フェイトとはやてとアリサね、スッゴく心配してたんだよ?]
フレイモン[メールが来なかったら直ぐにでもピラミッドに突撃しようと考えていたとこだったしな。]
ガブモンX[無事でよかったよ。なのはなんて“大輔さん達、大丈夫だよね?”って何度も言うんだよ?]
大輔「そっか…心配かけたな…ナノモンが話があるようだ。ついて来い」
大輔達に案内され、子供達はナノモンの研究室に向かう。






























ナノモン[よく来てくれた選ばれし子供達。ここは、私の原点だ。記憶を失ってもなお、ここを求めるのは当然なのかもしれない…]
賢「ここには、デジモンの酸素とも言える電気がある。明らかに人工的だからマシーンやサイボーグ型デジモンの始祖の生まれ故郷の一つなのかも」
ナノモン[その通りだ。流石は選ばれし子供と言ったところか。デジモンにとって電気は人間で言う酸素と同じだ]
アリシア「ねえ、お兄ちゃん。酸素って何?」
大輔「酸素ってのは簡単に言えば空気だ」
すずか「私達人間は酸素っていう物を吸って、二酸化炭素を吐いて生きているの。」
ユーノ「僕達の身体は凄いんだよ。肺は二酸化炭素と酸素を入れ替える場所で、心臓はそれを頭から爪先まで運ぶために、毎日休まないで動いているわけだしね」
ナノモン[うむ。私がエテモンを止めたのは、あのダークケーブルに使うから、とどこかから持ってきた物質の電気が異常値を示したからだ]
フェイト「異常値?」
ナノモン[エネルギーとして高濃度なのだ。あり得ないほどにな。私達は電気で生きているのだ。電気は酸素そのものなのだ。考えてみるがいい。そんな私達が異常値で高濃度の電気に接触すれば、どうなるか。どうなってしまうのか。]
賢「人間は酸素を吸うことで、生きている。しかし、吸う事に人間の身体は衰えさせていく有害な物だ。電気を酸素とするデジモンも…」
ナノモン[そうだ。お前達が相手をしている暗黒の力という奴は、こういうものなのだ。なのにあの機械音痴は理解できなかった…あの大馬鹿が…]
悲しそうに言うナノモンに子供達はかける言葉が見つからない。
大輔「そういえば、デビモンのデータはデジタマにされてD-3に保存されているけど、まだ修復中だ。今までデータを保存していたのは無傷なのに、デビモンのデータはボロボロだった…。」
ナノモン[デジタマのデータの損傷…予想以上だ。暗黒の力は…お前達は知っているだろう、私達は本来死というものは存在しない。死んでも生き返るのだ、デジタマに。そして、それでもなおこの世界にいるべきではない、と判断された者たちはダークエリアに送られる。そこでアヌビモンという裁判官によって裁判を受けるのだ。こちらの世界にいるべきか、ダークエリアで禁固刑に処せられるか、それともアヌビモンによってデジコアを食われて死ぬという名の消滅をするか。この消滅こそが我々にとっての死だ。]
フェイト[デジタマのデータが損傷しているということは…後少しでもデビモンを倒すのが遅れていたら、デビモンはデジタルワールドの輪廻転生の輪から外されて…完全に消滅していた……]
大輔「そう思うとギリギリセーフだったんだな…」
アリシア「よかった…悪い奴だったけど助かって……」
ナノモン[デビモンはダークエリアによってアヌビモンにより三つの選択肢すら与えられないまま、デジタルモンスターにとっての死を強制されそうになったのだ。暗黒の力によって。闇の象徴である筈のデビモンですら消滅しかけたのだ。まさに暗黒だ。そこには闇も光もない]
ぞっとするほどの暗黒の力の強制力である。
もし大輔達が次元漂流せず、次元漂流の影響で性能が格段にアップしたD-3が無ければデビモンは完全に消滅していた。
ナノモン[私もエテモンを戻すには、まだ何か余地はあるのではないかと考えていた。だが、事態は最悪だ。どこまでも暗黒の力は有害なのだ。もうここまで話せば分かるな?エテモンを救う方法は、一つしかないのだ。まだアヌビモンの元で裁かれるという選択の余地がある、という方法を取るしかないのだ。エテモンが暗黒の力により巨大化などの最終手段に出る前に、倒すしかない。いや、倒すだけではだめだ、殺せ。ダークエリアに送るために。これほどまでの強大なものだとは私も思わなかったのだ。選ばれし子供達よ、注意しろ。お前達の相手をしている暗黒の力はそれほどまでに絶望的なのだ。しかし、デビモン、エテモンは何も知らぬままこの力を手にしている。だが、ダークエリアに住まう者達からすれば、格好の標的だ。注意しろ、いずれ、この力を利用しようとする輩が現われんとは限らん。だから、エテモンのように、救える同情の余地がある奴ばかりとは限らん。見極めろ。でなければ、その代償は高いぞ]
あのエテモンを殺すことこそが何よりの救いだとナノモンはいうのだ。
かつて誰よりも理解していたナノモンが。
その説得力ははあまりにも悲痛であった。 

 

第五十二話 二つが一つに戻る時

 
前書き
エテモンとの最終決戦。

アリサ「さあ、食事が出来たわよ」
大輔「うおお…すっげえ、なんていい匂い…それに見た目もいいし…信じられねえよ…」
アリサ「な、何よ…はやてといい、あんたまで泣きそうな顔で料理を見つめて…」
大輔「俺…ミミさんのように、お嬢様はみんな料理が下手で味覚音痴だと思ってたから…」
ブイモン[あれは凄かったよな…]
なのは「へ?」
アリサ「ぷっ、あははは!!そんなわけないじゃない!!大輔、あんたはちょっとハズレくじを引いちゃっただけよ」
賢「少し失礼じゃないかな?」
すずか「あはは…リリカルアドベンチャー、始まります」 

 
大輔「あのさ、話の腰を折るようで悪いんだけど。俺達、まだ誰も紋章を使った進化が出来ないんだ。オーバードライブじゃあ、エテモンと互角だしな」
最初の戦いで圧倒出来たのは、エテモンがオーバードライブが初見だったからだ。
ナノモン[それなら心配はいらない。二つの力を一つにすればいい]
全員【?】
アリシア「どういうこと?」
ナノモン[かつて、古代のデジタルワールドではアーマー進化と成熟期への進化までが限界だった古代種が編み出した特別な進化…二体のデジモンを融合させ、一体のデジモンにすることで一段階上のレベルに昇華する…]
賢「まさかジョグレス進化?」
ナノモン[そうだ。お前のパートナーはスティングモンで、そこのブイモンはウィルス種とはいえエクスブイモンに進化するようだな。ならば、決まりだ。お前達がジョグレスし、エテモンを倒せ]
ブイモン[ええ!!?]
ワームモン[融合しろって…どうして僕達が融合出来るって分かるの?]
ナノモン[エクスブイモンとスティングモンは、両者ともに古代種と呼ばれる希少種の因子を潜在的に持っているのだ。更にエクスブイモンとスティングモンは元々は一体のデジモンだったという説もある。もしその説が本当ならば、ジョグレスし、二つに別れた力を一つに戻す時が来たのだ。]
大輔「ブイモンとワームモンが元々一体のデジモン?」
賢「じゃあ、あの映像で見たジョグレス体の元となった二体も元々は一体のデジモンだったのかもね」
アリシア「でも…殺すことが救いなんて嫌だな……」
ナノモン[気に病むことはない。エテモンの場合は、暗黒の力の浸食が激しくて、他に手段がないだけだ。私とて、かつての友をダークエリアに送れなど言いたいわけがないだろう。だが、このままではエテモンは確実に消えるのだ。ダークエリアで禁固刑になったとしても、デジタマで転生するにしても、生きることには変わらん。待つことなど苦にならんさ。私達はデジタルモンスターなのだ。お前は私を救ってくれたのだ。救済の方法など、いろいろあるのだ。お前はこれからも捜して行けばいいだろう]
アリシア「うん、ありがとうナノモン。」
大輔「賢…やってみようぜ。可能性があるならジョグレスに賭けてみよう」
賢「ジョグレスか…今まで誰もやったことのない進化…かなり危険な賭けだが、やってみる価値はある」
フェイト「大輔、私も協力するよ」
はやて「私も協力するで賢兄。二人が安心してジョグレスが出来るように」
なのは「私達は周りの敵を倒そう!!」
ユーノ「うん!!」
大輔「よーし、行くぜみんな!!」
全員【おう!!】
ナノモン[いいか?細心の注意を払え、そして全力でいけ。手加減など一切するな。]
大輔「分かってる。さあ!!エテモンとの最終決戦だ!!」
子供達とデジモン達がピラミッドの外に向かう。


































外に出た大輔達はパートナーを進化させる。
ブイモン[ブイモン進化!エクスブイモン!!]
チビモン[チビモン進化!ブイドラモン!!]
ワームモン[ワームモン進化!スティングモン!!]
ギルモン[ギルモン進化!グラウモン!!]
ガブモンX[ガブモン進化!ガルルモン!!]
ツカイモン[ツカイモン進化!ウィザーモン!!]
コロナモン[コロナモン進化!ファイラモン!!]
ルナモン[ルナモン進化!レキスモン!!]
フレイモン[フレイモン進化!アグニモン!!]
ニャロモンを除いた全員が成熟期に進化すると、エテモンの手下達に襲撃をかける。
アグニモン[サラマンダーブレイク!!]
アグニモンの必殺の蹴りがモノクロモンに炸裂する。
ウィザーモン[サンダークラウド!!]
ガルルモンX[フォックスファイア!!]
一気に至近距離まで近づいて、必殺技である雷、そして超高温であるがゆえに真っ青な色をした炎を吐き出し、ティラノモンの群れに炸裂させた。
ファイラモン[ファイラボム!!]
レキスモン[ティアーアロー!!]
空中からファイラモンとファイラモンに跨がったレキスモンが火炎爆弾と氷の矢を放ち、笑天門号を攻撃する。
大輔、フェイト、賢、はやては、茶色い布で身を隠しながら少しずつ接近する。
































そして笑天門号に近づいた大輔達はナノモンの話を思い出した。
ナノモンが見た暗黒物質は、ほんの一握りの塊だったらしい。
そうでなければ、明らかに質量保存の法則に合わないし、量がおかしい。
ダークケーブル作成をさせられていた記憶が鮮明なナノモンによれば、どこから持ってきたのか分からないし、どうして機械音痴のエテモンが、ダークケーブルなんていう発想を思いついたのか、さっぱりなのである。
何かが背後にいる。
確実にエテモンをそそのかした奴がいるのは明らかなのだが、最後まで狂ってしまったエテモンから聞き出すことは叶わなかったという悔しそうなナノモンの顔が脳裏に浮かんだ。
賢「行くよ大輔。準備はいいかい?」
大輔「勿論だ。大暴れしてやろうぜ賢…さあ出て来いエテモン!!そろそろ決着つけようじゃねえか!!」
大輔の挑発に乗るようにエテモンは笑天門号から出て来た。
エテモン[上等よ!!少しばかり強いからっていい気になるんじゃないわよ。アチキが返り討ちにしてくれるわ!!]
ギターとマイクを構えて、戦闘体勢に入るエテモン。
賢「大輔!!」
大輔「行くぜ賢!!」
D-3を握り締め、目を閉じると、不思議なことにドクン…ドクンと心音が聞こえた。
それもこれは自分の心臓の物ではない。
隣にいる彼の心臓の音。
二人の鼓動が一つとなった。
二つのD-3は突然、輝きを発した。
D-3の輝きと共にまるで走馬灯のように記憶が脳裏を過ぎって行く。
大輔には賢の記憶。
賢には大輔の記憶。
そしてエクスブイモンとスティングモンにも変化が起きる。
エクスブイモン[エクスブイモン!!]
スティングモン[スティングモン!!]
エクスブイモン、スティングモン[[ジョグレス進化!!]]
混ざり合う二つの肉体。
次の瞬間、その場に居たのはエクスブイモンでもスティングモンでも無い別のデジモン。
竜であり、昆虫である姿。
パイルドラモン[パイルドラモン!!]
二つの声が重なり合う。
二つに分かれていた存在が再び一つとなったのだ。
エクスブイモンをベースに強固な昆虫型デジモンの甲殻を身に纏う竜人型デジモン。
そして、D-3のディスプレイにも、変化が起きた。
UNISON EVOLUTION SYSTEM 起動開始。
大輔と賢の身体が光に包まれ、パイルドラモンと融合する。
より強く、より負担を軽減するために。
フェイト「エクスブイモンとスティングモンが融合して…」
はやて「賢兄と大輔さんも融合してもうた…」
エテモン[なあにがパイルドラモンよ!!融合したからって、アチキに勝てるはずないでしょ!!ダークスピリッツ!!]
パイルドラモン[エスグリーマ!!]
パイルドラモンは腕からスパイクを出すと、暗黒球を切り裂いた。
エテモン[な、何ですってえ!!?]
驚愕しているうちにパイルドラモンのワイヤーがエテモンを拘束する。
幾重にも絡みつくワイヤー状の鉤爪がエテモンの動きを封じた。
懸命に振りほどこうともがくエテモンだが、その前にパイルドラモンの生体砲が向けられた。
パイルドラモン[デスペラードブラスター!!]
生体砲から放たれた極太のエネルギー波がエテモンに向けて放たれた。
とてつもない破壊力を秘めた一撃にエテモンは為す術なく消滅した。
フェイト「来て!!エテモンのデータ!!このD-3で浄化します!!」
エテモンのデータがD-3に吸収されると、ディスプレイにデジタマが映る。
主の消滅に呼応するかのように、ダークケーブルも消滅するが、暗黒の力が作り出したブラックホールにパイルドラモンとフェイト達も引っ張られた。
アリサ「大輔!!フェイト!!」
すずか「賢さん!!はやてちゃん!!」
パイルドラモン[くっ…!!]
ジョグレス体であるパイルドラモンの力を持ってしても引力に抗うことは出来なかった。
大輔『皆、心配するな!!必ず…必ず帰る!!』
フェイト「必ず帰るから!!」
パイルドラモンとフェイト達はブラックホールに飲み込まれた。
アリシア「ああ…!!」
ルカ「大輔さん、賢さん、はやてさん、フェイトさん…」
フレイモン[ブイモン達も…]
悲しむ子供達とデジモン達だが、ブラックホールの影響はそれだけに留まらない。






























現実世界では亡霊を相手取っていたダスクモンだが、1000体目以降、疲労が顔に浮かんでいる。
このままではじり貧だと舌打ちした時。
突如ダスクモンの五感が、空間の歪みを探知した。
漆黒の闘士は直ぐさま立ち止まり、周囲を見回した。
そして見つけた。
虚空に出現している黒い大穴を。
ダスクモン[…何だあれは?]
空間の歪みだろうが、何故こんな時に?
すると強大な引力によりダスクモンの身体が歪みに引き寄せられる。
ダスクモン[ぐうっ…!!]
ダスクモンは咄嗟に両腕のブルートエボルツィオンを突き刺したが、それを嘲笑うかのようにダスクモンの身体が宙に浮き上がる。 
ダスクモン[うわああああ!!]
遂にダスクモンは逆らう術もなく、宙で円を描きながら大穴に吸い込まれてしまった。
大穴は、ダスクモンを飲み込んだ後、徐々に小さくなり、やがて完全に閉じて跡形も無くなった。
 
 

 
後書き
パイルドラモンへのジョグレス進化。
大輔のブイモン単体パイルドラモンは少し名称を変化させます。 

 

第五十三話 一時帰還

 
前書き
一時的に大輔達の世界に帰還。

フェイト「はい、お待ちどおさま」
ルカ「あ、オムレツだ。」
大輔「お、フェイトのオムレツか。俺好きなんだよな」
フェイト「今日はメレンゲオムレツにしてみたの。どう?」
なのは「あ、美味しい!!すっごくフワフワ!!」
ワームモン[中のチーズもトロトロだし…]
フレイモン[これならいくらでも入るな…]
ブイモン[これが中身がチョコなら…]
チビモン[苺ジャムも…]
全員【却下!!】
すずか「(でもイケるかなって思っちゃった…)」
アリシア「リリカルアドベンチャー、始まります!!」
 

 
ブラックホールに飲み込まれた大輔達は、偶然か必然か大輔が次元漂流した場所に着地した。
大輔「みんな、大丈夫か?」
フェイト「な、何とか…」
はやて「ここ、何処や?」
賢「ここは…お台場?」
チビモン(D)[間違いない。ここはジュエルシードを拾った場所だよ!!だいしゅけのランドセルもある!!]
ミノモン[あんまり時間が経ってないみたい。]
大輔「そうか…向こうとここじゃあ、時間の流れが違うのか…チビモン、お疲れ」
食料を渡すとチビモン(D)とミノモンはジョグレス進化で疲労したこともあり、アッサリと平らげた。
チビモン(D)[チビモン進化!ブイモン!!]
ミノモン[ミノモン進化!ワームモン!!]
満腹となったことでエネルギーも溜まり、成長期へと進化した。
チビモン[ねえ、これからどうしよう?]
ギルモン[ここははやて達の世界じゃねえだろ?]
フェイト「あ、そうだよね。どうしよう…」
大輔「明日は休みだし、フェイト。今日はうちに泊まってけ。キャンプの着替えがあんだし…」
賢「はやても僕の家に…立てるかい?」
はやて「ご、ごめん賢兄…立てへん…」
賢「やっぱりデジタルワールドじゃないと駄目か…今日はお父さんもお母さんもいないから、はやては僕の家に泊まるんだ。さあ、行こう。ワームモン、家まで頼めるかい?」
ワームモン[勿論だよ賢ちゃん!!ワームモン進化!スティングモン!!]
比較的にスティングモンはエクスブイモンやライドラモンと同じくらい闇に紛れやすい。
スティングモンは賢とはやてとギルモンを乗せると、急いで田町へ向かう。
大輔「じゃあ、俺達も帰るかフェイト」
フェイト「あ、うん。お邪魔していいのかな?」
大輔「構わねえさ。寧ろ親父やお袋なら絶対に喜ぶさ。フェイトを紹介して…、姉ちゃんに謝らねえとな…」
ブイモン[よし!!じゃあ、帰ろう!!]
チビモン[うん!!いざ、だいしゅけお兄ちゃんの家へ!!]
フェイト「チビモン、はしゃがないの」
二人と二匹は本宮家に向かう。






























大輔「た、ただいま…」
時計を見てたら、夕食の時間はとうに過ぎていた。
当然両親から説教を喰らう。
そしてしばらく説教が終わり、両親はフェイトの方を見遣る。
「ところで、その可愛い子は誰なの?」
全員【(来た!!)】
鞄に隠れているブイモン達と説教を受けていた大輔達の心が一つとなった。
大輔「えっと、この子は…」
フェイト「いいよ、大輔。自己紹介は自分がするよ。初めまして、フェイト・テスタロッサです。大輔にはいつもお世話になっています」
フェイトは大輔との関係などを当たり障りのないように説明する。
大輔との関係は少し口ごもりながらも説明すると大輔の両親は目を見開き、少しの間を置いて特に母親が目を輝かせた。
「恋人ー!!?やるじゃない大輔!!こんな可愛い子を捕まえるなんて流石私の子ね!!」
「おい!!今日は寿司だ!!特上寿司!!」
「ええ!!フェイトちゃん!!今日はゆっくりしていきなさい!!」
大輔の両親二人は凄い勢いで電話に向かって突っ走った。
残された大輔達は呆気に取られていた。
ジュン「あ~、フェイトちゃんだっけ?悪いわね、驚いたでしょ?」
フェイト「あ、いいえ。明るくて賑やかな人達でいいです」
ジュン「フォローありがとう」
大輔「あの…姉…ちゃん…」
ジュン「え?」
大輔の口から発された言葉。
“姉貴”ではなく“姉ちゃん”と自分を呼んだ。
大輔「光が丘テロ…のことなんだけど…」
ジュン「あんた…もしかして……」
“光が丘テロ”という言葉を聞いてジュンの顔が強張った。
大輔「うん…思い出したんだ…何もかも全て」
ジュン「そう…」
大輔「俺さ、今まで姉ちゃんのこと、俺のことを悪く言う最低な奴だと思ってた。でも違うんだよな…」
フェイト「大輔…」
大輔「最低だったのは…寧ろ俺の方だったんだよな…俺だけ都合よく忘れて、姉ちゃんも一輝兄ちゃんも苦しんでたのにずっと今まで忘れてたんだ…だから…」
ジュン「ストップ」
謝ろうとした大輔を遮ると、ジュンもバツが悪そうに大輔を見る。
ジュン「確かに私も、あんたが光が丘テロのことを忘れたことに目茶苦茶腹が立ったけど…今思い返してみると、あの時のあんた…まだ四歳だったもんね…寧ろ忘れていた方がよかったのかもしれない…私も悪かったわ。ごめん」
大輔「姉ちゃん…うん、俺もごめん。そしてありがとう」
こうして、本宮姉弟の長い姉弟喧嘩は終わった。
因みに夕食の特上寿司を食べる時、二人の馴れ初めを聞きたがる両親に大輔とフェイトは恥ずかしい思いをしたのは言うまでもない。
こっそり盗み食いしたブイモン&チビモンはわさびの辛さに悶えていた。
































そして深夜。
全員が寝静まった時、ブイモンはふと目を覚ました。
こっそり家から抜け出すと、見知った気配を感じた。
ブイモン[ダスクモン…?]
ダスクモン[やはり気づいたか…]
闇から現れたのはダスクモン。
ブイモン[どうしてお前がここに?]
ダスクモン[俺にも分からん。ダークエリアの亡霊共と戦っていたら、時空の歪みに飲み込まれてな。気づいたらこの世界にいた。]
ブイモン[そっか…明日大輔に事情を説明しておくよ。]
ダスクモン[ああ…]
こうして、大輔、賢、フェイト、はやての四人とデジモン達は一時的に大輔達の現実世界に帰還した。






























おまけ

リリカルアドベンチャーGTで、メインキャラから降格したと知らされたヤマトはとある場所にいた。
ヤマト「(な、何てことだ…!!俺が…俺がメインキャラから降格だと!!?公式イケメンで、かつての人気投票で太一を抜いて一位だったこの俺が……存在だけで数多くの女性をメロメロにしてきたこの俺が…!!)」
グラスのコーラを一気に飲み干すヤマト。
そしてグラスを勢いよく置く。
ヤマト「くっ…マスターもう一杯…!!」
「…………」
お代わりを要求するヤマトだが、マスターと言われた少年は無言でグラスを拭いている。
ヤマト「おい!!何、客の要求を無視してんだ…よ……」
遼「誰に向かってそんな口きいてんだ脇役?」
凄い威圧感を持って、ヤマト(脇役)を睨み据える遼(メインキャラ)。
ヤマト「…自分でやります……」
メインキャラに強く出れない脇役であった。 
 

 
後書き
本宮姉弟和解。 

 

第五十四話 休日

 
前書き
少し大輔達を休ませます。

すずか「はい、食事が出来ました」
アリシア「うわあ!!チーズフォンデュだあ!!」
大輔「へえ、美味そうだな」
賢「うん。チーズはトロトロだし、肉も野菜もいい感じだね」
ルナモン[美味しいよすずか!!]
ギルモン[お代わりが欲しいぞ…]
ワームモン[一人で食べないでよね…]
ルカ「リリカルアドベンチャー、始まります」 

 
フェイトが来たこの日から、大輔の母親は実に上機嫌だった。
そう彼女は昔から娘と、料理したり買い物をしたりと色々夢を持っていたのだ。
だが長女のジュンはあの通り一緒に料理などもってのほかだった。
だが、フェイトは容姿だけではなく気立てもいい、まさに彼女が思い描いていた理想の娘だった。
嬉しそうな妻の様子に、父親は一つ溜息を漏らす。
フェイト「あ、あの…おじさんのお弁当…私が作ったんです。お口に合えばいいんですけど……」
にっこり微笑む。
父親は息子の恋人の優しさに涙が流れる。
「義娘(むすめ)っていいなぁ……」
ジュン「私が娘じゃない」
涙ながらに語る父に、ジュンは突っかかっていた。
共に朝食を取ったその姿はまさしく円満家庭その物だった。
「おっと、もうこんな時間か…じゃ母さん行って来るよ。」
「はーい、行ってらっしゃい。」
お茶を啜りながら受け答えする妻に一抹の寂しさを覚えながらも席を立つするとフェイトが呼び止めた。
フェイト「おじさん、お弁当忘れてますよ、気を付けて行ってらっしゃい。」
にっこり、微笑みながらの見送りに父親の心境はまさしく、神様ありがとうだったりする。
父親が仕事に出てから大輔はフェイトと一緒に朝食の後片付けをしたり、洗濯物を片づけたりと。
家事をテキパキこなしていく。
大輔「今日は休日だし、フェイト。おやつに何が食いたい?」
フェイト「私、大輔が作ったアップルパイが食べたい。あれ好きなの」
大輔「ああ、分かった。」
確か、貰った林檎があったからそれを使おう。
ブイモン、チビモン[[……………]]
物陰から食べたそうに、大輔とフェイトに視線を突き刺すブイモンとチビモン。
苦笑しながら受け止める二人。






























そして一乗寺家でも、歩けないはやてのために、賢が朝食を用意していた。
賢「はい、お待ちどおさま」
はやて「頂きます!!…うん、賢兄の料理はメッチャ美味しい!!」
賢「そうかな?僕からすれば、君の料理の方が美味しいと思うけど…」
はやて「そんなことあらへん。私からすれば賢兄の料理の方が美味しい」
賢「…はやて」
はやて「…自分で自分に作る料理はなんか味気なく感じてしまうんよ。」
賢「確かにね…じゃあ、僕にとってははやての。はやてにとって僕の料理が美味しいと感じる。どっちも一番だね」
はやて「せやな!!」
ワームモン[賢ちゃん、デジタルワールドに行って、ダークタワーを壊そう]
賢「そうだね」
はやて「だーくたわー?」
初めて聞く単語に疑問符を浮かべる。
賢は苦笑してダークタワーの説明をはやてにする。
デジモンカイザーのことも含めて全部。






























大輔「ほい、後は焼くだけだ」
フェイト「うん」
パイ生地はフェイトが一生懸命こねた物だ。
表面の網目を作るのは、手先の器用な大輔の担当。
リボンみたいな生地を使って丁寧に、綺麗に編んでゆく。
ジュンも大輔の母親も綺麗に編んでいく大輔の器用さに感心していた。
フェイト「何とか、その技術を盗めないかなあ?」
フェイトはどうもこの作業だけは苦手で、自分でやるとどうしてもこんがらがってしまうのだった。
だからここだけはいつも大輔の仕事。
悔しそうに観察する彼女の前で、大輔は笑みを深くしたまま見事にパイを編み上げてゆく。
女性陣もやってみるが、彼女達がやったところは見るも無惨な結果に終わった。
フェイト「どうして上手くいかないかなあ?」
大輔「ふふふ…これが俺の実力だ。さてと…焼くか」
オーブンに入れて、パイを焼く。
しばらくすると、香ばしい香りが鼻腔を刺激し、口内に唾液が溜まる。
ブイモン、チビモン[[…………]]
すぐさま食べられるように身構える二匹の姿はまるで獲物を狙う肉食獣の如く。
不満そうなフェイト達の表情も甘い甘いパイの味に幸福そうに表情を和らげるのだった。






























はやて「つまり、賢兄はデジタルワールドにダークタワーを建てて、デジモンカイザーとしてデジタルワールドを支配しようとしてたんやな?」
賢「うん、どうしてデジモンカイザーになってしまったのか…その辺りの記憶は曖昧だけど……」
こんなに後悔する事をあの時は嬉々として続けていた自分が滑稽に思えた。
はやて「…デジモンカイザーの頃の賢兄がどんな人やったのかのかは分からへんけど、今の賢兄は違うって断言出来る」
賢「え?」
はやて「だって賢兄、とても優しい目をしてるんやから」
賢「優しい…?」
はやて「賢兄は私が寂しくないように、いつも傍にいてくれたやんか」
賢「いや、僕は当然のことをしただけで…」
はやて「ううん…賢兄だから出来るんや。賢兄は当然と言うけど、誰にも出来ることやない」
賢「…ありがとうはやて。僕は逃げない。自分の罪から絶対に。認めたくない事も全部認めて生きて行く。自分の罪を償うために」
はやて「なら、私は賢兄を支える。賢兄が独りぼっちの私を支えてくれたように」
賢「ありがとう…」
そう言うとはやてを抱き締めた。
はやて「賢兄…」
抱き締め返そうとした時である。
「ただいま。あら?賢ちゃん、お客様が来ているの?」
二人の姿を賢の母親に見られた。
賢、はやて「「………」」
「あら…お邪魔だったかしら?」
二人は離れ…はやてが動けないから賢が離れたのだが。
賢「お、お帰りなさいお母さん!!ぼ、僕、勉強するから!!」
はやて「あ、お邪魔してます!!」
二人は赤面し、賢ははやてを横抱きすると自室へ避難した。
「今日はお赤飯にしようかしら…?」
息子に来た春に母親は嬉しそうに呟いた。
因みに今日の一乗寺家の夕食はやたら豪華だったと、ここに記しておく。 

 

第五十五話 地上最大の希望と運命の咆哮

 
前書き
希望のデジメンタルと運命のデジメンタル覚醒。

なのは「みんな、ご飯が出来たよ!!」
はやて「あ、味噌汁や」
大輔「焼き鮭と卵焼きに」
ルカ「炊きたてのほかほかご飯に、味付け海苔」
賢「うん、これが日本食だよね」
チビモン[なのは~、これ全然甘くないよ?]
なのは「だって私、卵焼きは出汁と塩派だもん」
ブイモン[…まさかなのはとこんな形で対立するとはな……]
なのは「ごめんねブイモン。でも私もこれだけは譲れないの」
ブイモン←たっぷり砂糖入り卵焼き派。

なのは←前述の通り、出汁と塩の卵焼き派。

ブイモン[俺は砂糖たっぷり派なんだよ!!]
なのは「それ卵焼きへの冒涜だよ!!というか大体甘い卵焼きって最早お菓子だよ!!」
ブイモン[甘い卵焼きを馬鹿にするかああああ!!甘い卵焼きはな、神が生み出した奇跡の食べ物なんだよ!!]
ツカイモン[たかが卵焼きで…]
ユーノ「何を言ってるんだ君は…もう」
遼「とにかくリリカルアドベンチャー、始まるぜ」

因みに作者は砂糖派です。 

 
大輔「んじゃあ、フェイト。デジタルワールドでな」
フェイト「うん、また明日ね」
フェイトを親の元へ送るといい、こっそり父親のノートパソコンを拝借して。
賢と相談した結果、フェイトとはやてはデジタルワールドで過ごしてもらうことにしたのだ。
…一々言い訳するのが面倒というわけでは断じてない。
フェイトとはやてはこちらの世界の住人ではないし、自分達があそこの世界で衣食住にありつけたのは、フェイトは魔法関係者ではやては一人暮らしで柔軟な思考の持ち主だからだ。
こちらと向こうの文明レベルも大分違うため、いつボロが出るか分からないため、それを防ぐためでもある。
大輔「(後でゲンナイさん見つけて脅すか)」
デジタルワールドの管理者なのだから、それくらいはしてもらわなければ。
大輔「気合い入れないとな…」
はっきり言って、今の大輔にはかつての仲間と会うのは気が滅入るが、我が儘は言えない。
出来るだけ距離を取ることを考えなければ。






























学校に行くと、初っ端から仲間と出会うことになる。
会話もそこそこに、目を合わせないでクラスメートの元に向かう。
伊織は国語の授業を、京は理科の実験だが怪しい煙が出ている。
京の周りのクラスメイトは避難した後、爆発。髪がボサボサである。
ヒカリ達五年生は体育。女子は踊り。
男子はバスケだ。
体育館の手すりにてデジモン達が見ていた。
ブイモン[はあ…つまんねえ]
パタモン[あれ?ブイモン?]
ブイモン[何だよ?]
テイルモン[いつの間に成長期のままでいられるようになったの?]
ブイモン[さあ]
会話をする気などサラサラないため、大輔の方を見遣る。
大輔「やれやれ…」
肩を鳴らして、バスケを始める。
久しぶりだし、何より嫌っているタケルが相手なので手加減出来るかかなり疑問だが、やるしかない。
ゴーグルは既に外している。
まあ、何故か全く壊れないゴーグルが今更ボールくらいで壊れるとは到底思えないが。
タケル「よろしくね大輔君」
大輔「はいはい、お手柔らかに」
差し出された手を無視して、直ぐに動けるように体勢を整える。
始まるとゲームは大輔の独壇場であった。
今まで実戦と訓練で鍛えていたためか、精々普通の鍛え方をしているだけの小学生などには負けない。
ゲームが終わる頃にはタケル達のチームは一点も入れられないまま終わった。
大輔「もう少し本気出してもよかったかもな」
まだまだ余裕がありそうに言い放ち、大輔は水を飲みに行く。
ブイモン[ま、当然の結果だな]
気付かれないように、屋上に向かうブイモン。
大輔もクラスメートに絡まれないうちに着替えて、教室に向かう。






























ブイモン[大輔、大丈夫かな?]
あそこまで距離を保ちつつ過ごすというのは、ブイモンから見てもかなりきつそうである。
ブイモン[早く放課後にならないかな…]
向こうならフェイトもいるし、少しくらい安らげると思うのだが。
何より…。
ブイモン[(チビモンもいるしなあ…)]
あの天使すら腰を抜かす、究極の可愛さを誇る妹を思うと表情が緩んだ。
敢えて言おう。
シスコンであると。






























そして放課後になり、デジタルワールドに向かう子供達とデジモン達。
伊織「デジモンカイザーがいなくても、デジタルワールドに来られるんですね」
伊織が不思議そうに言った。
京「何言ってんの!!やっとデジタルワールドに平和が訪れたのよ?デジタルワールドを楽しむのは、これからよね」
大輔「…本当に楽しめりゃいいけどな。」
伊織「大輔さん?」
大輔「今日は何しにデジタルワールド来たんだ?遊びに来たわけじゃねえだろ」
京「分かってる。デジタルワールド復旧作業のボランティア活動でしょ?」
大輔に言われるのが気に食わないのか、京が口を尖らせて答えた。
大輔「ならいい。この中で…」
フェイト「大輔ーっ!!」
チビモン[お兄ちゃーん!!]
大輔とブイモンの姿を見つけたフェイトとチビモンはこちらに駆け寄って来る。
ブイモン[チビモーン!!]
目に入れても痛くないくらい可愛い妹の出現にブイモンは目を輝かせて突撃した。
大輔「シスコンめ。よう、フェイト。」
フェイト「うん。まさかいきなり会えるなんて思わなかった」
タケル「大輔君、その子は?」
その問いに、胸中で舌打ちするとフェイトを紹介する。
大輔「この子はフェイト。俺の知り合いだ」
京「外国人よね?あんた一体何処で知り合ったのよ?」
大輔「デジタルワールドにいた時、偶然会ったんだよ。それ以来パートナーも同じだから仲良くなっただけだ」
デジタルワールドで出来た友人ということにしておく。
この方が一番信じてもらえるだろうから。
フェイト「初めまして、フェイト・テスタロッサです。そして私のパートナーの…」
ブイモン[ああもう、チビモンは可愛いな~♪流石俺の妹だよ!!]
チビモン[きゃはは…お兄ちゃんくすぐったいよ~]
ブイモンに頬擦りされているチビモン。
ブイモンの顔はデレデレ…いや、寧ろデロデロだった。
京「何あれ?」
ブイモンのデロデロ顔に若干引いている京。
大輔「シスコンに覚醒したんだよ。どうしてこうなった…はあぁ…」
深い溜め息を吐いている大輔にフェイトは苦笑する。
フェイト「ところで大輔はなにしてるの?」
大輔「デジタルワールドの復興作業。俺は今からここから一番遠い湖の地帯に行く。お前も来るか?」
フェイト「え?いいの」
大輔「ああ。人手も欲しいし…何より…」
大輔がチラリと見るのは、デロデロモードのブイモン。
大輔「あいつがチビモンを離さないだろうからな」
その言葉に全員が思わず納得してしまった。
大輔「ブイモン、チビモン。行くぞー」
フェイト「一緒に行くよチビモン」
ブイモン、チビモン[[はーい]]
大輔とフェイトは湖地帯。
ゴツモン達がいる山岳地帯にはタケル。
ガジモン達が配給を受けている都市には伊織。
ゲコモンとオタマモンがいる田園地帯にはヒカリ。
海岸地帯は京に決まった。






























大輔「はあ…疲れた」
ブイモン[やっぱり無理してたんだ。今の大輔、あいつら嫌いだもんな]
嫌いな奴と行動を共にするのはかなり疲れるだろう。
肉体的より精神的に。
チビモン[だいしゅけお兄ちゃん。元気だして。私達も一緒に頑張るから]
フェイト「うん。私も手伝うから…ね?」
大輔「ああ…じゃあやるか」
大輔とフェイトは作業を開始する。
ブイモンとチビモンも。






























しばらくしてブイモンは飛行能力を持つガーゴモンにアーマー進化して、資材を持って来てくれた。
チビモン[いいなあ、お兄ちゃん。私も空を飛べるようになりたい]
ブイモン[うーん。ヒカリからデジメンタルをぶん取るか…?]
大輔「止めとけ、どっかの誰かがうるさいからな。」
ブイモン[そりゃそうだ]
作業を続けると、近くの洞窟から悲鳴が聞こえた。
洞窟に近づくとガジモン達が逃げ出し、中から…。
大輔、フェイト「「!!?」」
チビモン[ス、スカルグレイモン!!?]
ブイモン[おい、何でスカルグレイモンがここにいるんだよ!!?]
[そ、その…洞窟の中で、大きな骨を見つけて、興味本位で組み立てたらスカルグレイモンの骨だったんだ!!]
ブイモン[阿呆!!]
大輔「俺達って本っ当にスカルグレイモンと縁があるよな…」
最早諦めきった表情を浮かべる大輔にフェイトは苦笑するしかない。
大輔「デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!燃え上がる勇気!フレイドラモン!!]
スカルグレイモンが尾による一撃を繰り出すが、フレイドラモンはオーバードライブを使い、両手で受け止める。
フレイドラモン[そらあ!!]
勢いよく跳躍し、蹴り上げる。
蹴りを受けたスカルグレイモンがのけ反る。
かつて太一のアグモンが暗黒進化したスカルグレイモンと戦った時には僅かなダメージすら与えられなかったが、今のフレイドラモンは完全体とも渡り合える実力がある。
フレイドラモン[クローエクスプレス!!]
攻撃、防御をする時の一瞬だけオーバードライブを使う。
出来るだけエネルギーの消耗を抑えるために。
そうすれば長時間の戦闘を可能になった。
チビモンもブイドラモンに進化して、大輔とフェイトを守るように立つ。
フレイドラモン[こいつでとどめだ!!ナックルファイア!!]
スカルグレイモンに強烈な豪火球を喰らわせる。
フェイト「やったの!!?」
思わず言ってしまうが、この系統の言葉が出る時はかなりの確率で終わっていない。
スカルグレイモンが咆哮しながら襲い掛かる。
ブイドラモン[効いてない!!?]
大輔「いや、身体にダメージはあるんだろうけど、スカルグレイモンは闘争本能しか持たないデジモンだ。だから痛覚なんかないんだろうぜ…」
フレイドラモン[この…!!]
再び技を繰り出そうとするが、その前に紫色の息を吐き出す。
スカルグレイモンの得意技である相手を麻痺させるカースブレスだ。
まともに受けたフレイドラモンは身体が麻痺し、膝をついた。
その隙を逃さないように腕を勢いよく振るい、殴り飛ばす。
オーバードライブの強化をしていなかったフレイドラモンは吹き飛ばされてしまう。
ブイドラモン[ブイブレスアロー!!]
援護するように必殺技を繰り出すが、成熟期と完全体の力の差は大きく、スカルグレイモンにはまるで通用しない。
スカルグレイモンが必殺技のグラウンドゼロを喰らわせようとする。
あれが放たれればここら一帯は焦土と化し、何も残らないだろう。
大輔やフェイト、チビモンも死んでしまう。
フレイドラモン[負けてたまるか…!!]
大輔「諦めてたまるか…!!」
フレイドラモン[絶対に負けてたまるかーーーーっ!!!!]
その時である。
D-ターミナルから凄まじい輝きが放たれたのは。
D-ターミナルのディスプレイに映るのは、希望、運命、奇跡のデジメンタル。
大輔「デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!運命の咆哮!ゴールドブイドラモン!!]
勇気のデジメンタルを解除して、ゴールドブイドラモンにアーマー進化する。
フレイドラモンとライドラモンのオーバードライブを超える程の力を久しぶりに感じる。
ゴールドブイドラモン[さてと…ショータイムだ。大輔、フェイト。俺がこの骨を壊すのをとくとご覧あれってね]
スカルグレイモンの腕がゴールドブイドラモンに迫る。
ゴールドブイドラモン[どおりゃあああああ!!!!]
ゴールドブイドラモンの拳とスカルグレイモンの拳が激突するが、砕けたのはスカルグレイモンの腕。
ゴールドブイドラモン[そしてこいつが俺の…ブイブレスアローだ!!]
口から放たれた黄金の熱線がスカルグレイモンの残された腕を破壊した。
大輔「アーマーチェンジ!サジタリモン!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!地上最大の希望!サジタリモン!!]
ブイモンが希望のデジメンタルでアーマー進化した、フレイドラモンとライドラモンが融合したような姿のデジモンがスカルグレイモンのデジコアに向けて弓を向ける。
サジタリモン[これで終わりだ!!ジャッジメントアロー!!]
究極体にすらダメージを与えられる矢をデジコアに受けたスカルグレイモンはデータ粒子となって消えた。
暗黒の力でスカルグレイモンになったわけではないので、いずれ始まりの町で生まれ変われるだろう。
サジタリモンはブイモンに退化する。
サジタリモン、ゴールドブイドラモンはエネルギー消費が激しいために短時間の進化しか出来ない。
大輔「お疲れ、ブイモン」
フェイト「ゴールドブイドラモンとサジタリモンへのアーマー進化凄かったよ」
チビモン[私も早く完全体に進化したいなあ]
ブイモン[大丈夫、チビモンならきっと完全体に進化出来るさ。何たって俺の妹なんだからさ]
大輔「はあ、まさか。スカルグレイモンと戦うことになるとは思わなかった」
フェイト「大輔もお疲れ様」
大輔「ああ、サンキュー…そろそろ帰ろうぜ。お前ら、今回のことは秘密な?」
全員【はーい】
大輔はフェイトとチビモンと別れて現実世界に向かう。






























そして大輔達から遥か遠くへ離れた場所にいる賢は、ダークタワーを破壊した後、ノートパソコンを弄っていた。
はやて「賢兄、何しとるんや?」
賢「大輔へのプレゼントだよ。前にコロッセオで入手したデジゲノムをD-3に組み込むことで大輔のブイモンを擬似融合による完全体への進化が出来るかもしれない」
はやて「へ?それってつまり、ブイモンが単体でジョグレスするってことなんか?」
賢「そういうことだね。でも擬似的な物だからジョグレス進化にはかなり劣るよ。でもブイモンは純粋の古代種だから擬似融合でもかなりの期待をしていいと思う。」
はやて「へえ…」
ギルモン[オラも完全体に進化してえなあ…]
賢「頑張ればきっとなれるさ」
賢はエクスブイモンとの相性がいいデジモンのデジゲノムを検索し、黙々と作業を続ける。
はやてはその姿を、ただ優しく見守っていた。
 
 

 
後書き
サジタリモンとゴールドブイドラモン覚醒。
ブイモンの進化の強さはこんな感じ。
アーマー体
フレイドラモン&ライドラモン、その他(成熟期)→フレイドラモン・オーバードライブ&ライドラモン・オーバードライブ(完全体下位)→ゴールドブイドラモン&サジタリモン(完全体上位)→マグナモン(究極体上位)

フレイドラモン・オーバードライブはパワーだけなら完全体中位。
ライドラモン・オーバードライブはスピードだけなら完全体中位。
ゴールドブイドラモンはパワーだけなら究極体下位。
サジタリモンはスピードだけなら究極体下位。

通常進化

エクスブイモン(成熟期上位)→パイルドラモン(完全体上位)→マグナモン(究極体上位)→マグナモン・オーバードライブ(モードチェンジ)→マグナモンX

エクスブイモンはフレイドラモン・オーバードライブとライドラモン・オーバードライブより強さが劣るが、飛行魔法よりも優れた飛行が出来るのが利点。

パイルドラモンはパワーはゴールドブイドラモンに、スピードはサジタリモンに劣るが、総合的なステータスが優れており、飛行が出来るのも利点。
短時間しか進化出来ない短期決戦型の二体とは違い持久戦に向いている。

マグナモンはパイルドラモンに奇跡のデジメンタルを使用することで、究極体として進化する。
一応、ブイモンからのアーマー進化でマグナモンになれるが、短時間、寿命を縮める。
完全体からの進化などで、時間制限と必殺技の反動による寿命が縮むのを防ぐ。

ジョグレス進化。

エクスブイモン&スティングモン→パイルドラモン(究極体下位)→インペリアルドラモン・ドラゴンモード(究極体上位)→インペリアルドラモン・ファイターモード(究極体最上位)→インペリアルドラモン・パラディンモード(測定不能)

原作ではブラックウォーグレイモンにボコボコにされていましたが、あれはまだブイモンとワームモンの戦闘経験が少な過ぎた上に、成熟期への進化をして間もない頃だったので仕方ないと思っています。
そんな状態でも究極体のブラックウォーグレイモンとそこそこ戦えていたので、ちゃんとした経験を積ませてからジョグレスさせれば古代種同士の融合のため並の究極体より強そうですが… 

 

第五十六話 擬似融合

 
前書き
大輔達が再び再会。

ユーノ「食事の用意が出来たよ。どうかな?」
なのは「うん、とても美味しいよユーノ君!!」
アリサ「悔しいけど、私より美味しいわ」
賢「だけどおにぎりの握りに少し問題があるね。おにぎりは米を潰さないようにこう…」
はやて「賢兄、お料理教室はまた今度な?」
賢「うぅん…」
一輝「リリカルアドベンチャー、始まるぜ」 

 
大輔は学校が終わるのと同時に田町に向かう。
大輔「(お袋に頼んで、別の学校に行きてえ…)」
日増しに増加するストレスに、母親に頼んで、別の学校かもしくは特別教室に行きたい。
最近は先生からも最近は人付き合いが悪いと言われている。
デジタルワールドの復興作業中、賢に手伝わせたらどうだとそれとなく聞いてみたが、彼等に賢を受け入れる気など皆無だった。
大輔「これからは賢と行動するか…。」
約束でもあるし、何より自分の精神衛生状に良くない。
隣のフェイトも苦笑している。
賢「大輔!!」
はやて「大輔さーん!!フェイトちゃーん!!」
はやての車椅子を押して大輔の元に向かう賢。
大輔はその車椅子はどうしたのか首を傾げた。
はやて「デジタルワールドの町で偶然見つけたんよ~。少し古いけど乗り心地はええ。」
フェイト「よかったねはやて」
大輔「これで一々賢にお姫様抱っこされないで済むな」
はやて「え…あうぅ…」
赤面するはやて。
どうやらお姫様抱っこが相当恥ずかしかったようだ。
賢「とにかく家においでよ。お母さんがおやつを作ってくれたんだ」
大輔「そっか、賢のお袋さん。料理上手そうだしな」
フェイト「お邪魔するね」






























賢「ただいまお母さん」
「お帰りなさい賢ちゃん…あら?お友達?」
賢「うん、彼女がフェイトで隣が大輔…僕の親友だよ」
大輔「初めまして、賢には世話になってます」
「まあ…賢ちゃんがお友達を連れて来るなんて…ちょっと待ってて頂戴ね?」
家に招かれ、紅茶と手作りのケーキを出してくれた。
大輔「ん…美味い!!」
フェイト「本当!!」
はやて「めっちゃ美味しい!!」
賢「やっぱりお母さんの作ったケーキは最高だね…僕、ある物を持ってくるから寛いでて?」
大輔「おう」
賢は部屋にあるノートパソコンを取りに行く。
「賢ちゃん、前より凄く明るくなったのよ。お友達どころか恋人まで」
はやて「恋人…」
赤面するはやてだが、賢の母親は言葉を続ける。
「今の賢ちゃんを見ていると、昔の自分をひっぱたいてやりたいと思うの」
フェイト「え?」
「おばさんね、賢ちゃんの事を無意識に治ちゃん…賢ちゃんのお兄さんと重ねていたのかもって、そう思うの……」
大輔「賢の兄貴…」
「賢ちゃん、本当は自分を見て欲しかったのかもしれない……勉強やスポーツが万能で、有名な天才少年を子に持って、おばさんは天狗になっていたのよ…おばさん、賢ちゃんの事を理解してあげられなかった」
フェイト「…………」
大輔「でも、おばさんは自分の過ちに気付けた。そうでしょ?」
「…っ」
大輔「大切なのは、過ちから目を逸らさないで受け止めること、そしてそれを反省して二度としないようにすることでしょ?」
「ええ…ええ、そうね」
涙を流しながら頷く賢の母親に、大輔達は穏やかに微笑んだ。
「私、パートに出掛けるから…ゆっくりしていって」
そう言うと賢の母親は出掛けた。
賢「待たせてごめん……」
賢はノートパソコンをテーブルに置く。
ブイモン[それは?]
賢「大輔とブイモンに僕からのプレゼント。」
ノートパソコンの画面に映し出されたのは、スナイモンである。
蟷螂のデータから作られており、正確な機械のようにターゲットを追い詰める冷酷な性格から、ワクチン種やデータ種から恐れられている。
目を持たない代わりに頭から生えた真っ赤なセンサーがターゲットの位置を正確に捉えることが出来るデジモン、個体によっては完全体とも渡り合えるらしい。
しかし…。
大輔「スナイモンのデジゲノムがどうしたんだ?」
賢「このスナイモンのデジゲノムが、ブイモン単体の超進化に必要なんだ。」
ブイモン[え?]
賢「ブイモンはワームモンやチビモンと違って純粋の古代種。だから進化の負担も段違いだし、通常進化も現代種に進化して緩和しなければならない。通常進化ですらそれなのに、超進化となると…ジョグレス進化だって負担を考えれば使わないに越したことはない」
大輔「このスナイモンのデジゲノムをどうするんだ?」
賢「本来、二体のデジモンが融合するなら本来膨大なエネルギー体が必要だけど、今回はエクスブイモンの進化先に必要なデジゲノムをD-3のプログラムに組み込むだけだから。エクスブイモンとスナイモンの組み合わせは…パイルドラモンになるらしい」
大輔「パイルドラモン?」
賢「ああ、ジョグレス体のパイルドラモンよりかなり弱くなるけど、ブイモンは純粋の古代種だから戦闘力は期待していいと思う。進化の負担もスナイモンが現代種だし、半分スナイモンのデジゲノムが緩和してくれるから、身体に掛かる負担は通常進化と変わらない。」
ブイモン[やった!!ゴールドブイドラモンもサジタリモンも進化出来る時間が短いから助かる!!]
フェイト「それにブイモン、あまり早く飛べないもんね」
ブイモン[うぐっ!!]
ジュエルシードのエネルギーを取り込んだことで寿命が飛躍的に伸びたことと、魔力を得たのはよかったのだが、元々魔法の素養がないブイモンの飛行魔法はお世辞にもあまりいいとはいいとは言えない。
例えるなら某人気漫画の緑の人に“俺様のは貴様のような情けない舞空術とは違うんだ”と言われた主人公状態。
はやて「でも、スティングモンとジョグレスした時もパイルドラモンになるならややこしくならへん?」
フェイト「…確かに」
チビモン[ええ~?同じデジモンでも全然違うよ]
ギルモン[見分けなんて簡単に付くぞ?]
はやて「うちらには同じに見えるんや。ブイモンのパイルドラモンに名前を付けへん?」
大輔「名前か…」
全員が名前に頭を悩ませるが、エクスブイモンとスナイモンの融合体、パイルドラモンの腹部のX文字が賢の視界に入る。
賢「エックス…いや…」
はやて「へ?」
賢「パイルドラモンイクスはどうかな?」
フェイト「イクス?」
賢「“イクス”はエックスの別称で、“未知数”という意味がある。デジゲノムを取り込んで単体でジョグレスするデジモンはブイモンしかいないだろうから、この名前が一番相応しいと思う」
大輔「パイルドラモンイクスか…格好いいじゃんか」
はやて「流石、賢兄やな!!センスええわ!!」
賢「あ、ありがとう。ブイモンもこれでいいかな?」
ブイモン[勿論!!パイルドラモンイクスか…]
新たな進化形態のきっかけを手にしたブイモンは拳を握り締め、天井を見上げた。
賢「出来るだけジョグレス進化はしない方向で行きたいんだ。僕も融合して分かったけど、あれの負担は四人で負っても凄まじい物だった。ブイモンとワームモンも幼年期になったし…」
大輔「俺も賢も凄い脱力感に襲われたしな…出来るだけやらない方向で行くのは賛成だ」
賢「うん、もしあれを二体で負担を負うことになったら…」
凄まじい負荷により死んでしまうのではなかろうか?
心と心が重なる感覚がする進化。
大輔はあの進化で賢をとても身近に感じた。
だから分かるのだ。
賢はまたパートナーを失ってしまうのが怖いのだ。
その気持ちを理解した大輔達は頷いた。
はやて「賢兄は優しいんやな…」
賢「そうかな…」
ブイモン[よし!!俄然やる気が出て来たぞ。]
大輔「明日からお前と一緒に行っていいか?ストレスが溜まって胃が痛い…」
賢「胃薬要るかい?」
大輔「お気遣いどうも…」
本宮大輔11歳の若さで胃薬の世話になるのだった。 
 

 
後書き
名前はパイルドラモンイクスに決定。 

 

第五十七話 浮気?いいえ誤解です

 
前書き
大輔と賢が浮気?
一応ギャグ。

はやて「ご飯出来たで~」
大輔「お?はやてが作ったのか?美味そうだな」
ブイモン[美味そうだなじゃないよ。目茶苦茶美味い]
賢「そうだね。更に腕を上げたんじゃないかい?」
はやて「う~ん、まあ、料理の修業は続けとるからな」
ワームモン[はやてなら賢ちゃんを任せられるね…]
ブイモン[美味い。リリカルアドベンチャー、始まるぜ…もぐもぐ…] 

 
それは大輔と賢が話ながら町を歩いていた時のこと。
雑誌の特集に悩んでいた人物が偶然、大輔と賢を見つけた。
「(あれは一乗寺賢君!!よし、今回の美少年特集のトップとして…あ、でも…)」
リポーターは隣の大輔に視線を遣る。
見た目は悪くなく、少々目つきが鋭い(戦いとストレスのせい)が、纏っている雰囲気は大人びている。
「(うーん、悩むわ。正統派のイケメン天才少年の一乗寺賢君。そして隣のエネルギッシュで大人びた雰囲気を持ったイケメン少年。ああ、私はどっちを選べばいいの!!?)」
特に選ぶ必要はない。
「(いっそのこと、あの二人をトップにしちゃいましょう!!)ねえ、君達!!」
大輔、賢「「?」」
二人がリポーターの女性の方を見遣る。
賢「あ、あなたは…」
大輔「知ってるのか?」
賢「ああ、時々、雑誌の特集で会ってた…それで?僕達に何か?」
「実はねえ、新しく発売する雑誌に美少年特集をやろうと思ってるの」
賢「美少年特集…ですか?」
大輔「(くっだらねえ…)」
胸中で呟くが、口には出さない大輔。
「そこで、中々見つからないから、あなた達二人にトップになってもらおうと…」
賢「はい?」
大輔「はあ!!?」
目を見開く二人。
まさか自分まで含まれているとは思わなかった大輔。
はっきり言って自分の顔は普通だと思っている大輔だが、案外大輔はかなりモテる部類に入る。
ただどこぞの金髪兄弟のように騒がしいファンがいないだけで。
元々話しやすい性格の大輔だ。
不器用ながらも何気ない優しさもある。
しかも最近は雰囲気が大人びて女子の間で話題に出る事も多くなった。
遠くや近くで見て恋に落ちる少女も多い。
大輔「待て待て!!賢ならともかく、何で俺まで!!?明らかに場違いだろ!!」
「あなた自分の魅力に気付いていないのね。あなたも中々の物よ。」
大輔「あんたの目は腐ってんじゃないか…?」
本気でリポーターに眼科に行くよう勧めるべきか、かなり悩んだのは言うまでもない。
「とにかく、いいかしら?」
賢「…まあ、別にそれくらいなら……」
そういうのに慣れている賢は快諾。
大輔も嫌々ながらも承諾した。

































後日、お台場小学校にて、大輔と賢は見事に美少年特集で雑誌のトップを飾った。
大輔はクラスメイトと元仲間の追求から逃れるので精一杯であった。
そしてデジタルワールドに向かったタケル達。
伊織「それにしても…」
雑誌の美少年特集でトップを飾った不敵な笑みを浮かべている大輔と賢を複雑そうに見る伊織。
京「何であいつ一乗寺君と写ってるのかしら…?」
美少年特集以前に何故大輔が賢と一緒に写ってるのかが分からない。
ヒカリ「…何か大輔君、一緒にデジタルワールドに行くこと少なくなったね」
タケル「そうだね、デジモン達の話からすれば毎日来てるらしいけど…」
何故一人だけ別行動をするのか?
その理由が分からない。
そして何故一乗寺賢と一緒に写ってるのか聞きたい。
その時。
フェイト「あれ?」
タケル「フェイトちゃんと…誰?」
フェイトとはやてがタケル達の元に向かう。
フェイト「彼女は…」
はやて「ええよ。自己紹介くらい自分でする。うちは八神はやて…八の神と書いて八神」
ヒカリ「あ、私と苗字が同じなんだ。」
はやて「ふーん、で?その雑誌は何なんや?」
チラリと雑誌を見ると、思わず雑誌を引ったくってしまった。
フェイト「はやて?」
フェイトも雑誌を覗くと、トップを飾っている大輔と賢を凝視してしまう。
チビモン[だいしゅけお兄ちゃんだー]
ギルモン[何だ、賢じゃねえか]
フェイト「うん、大輔…格好いい……」
京「は?」
一瞬聞き間違いかと思ったが、フェイトの大輔を見る表情は恋する乙女そのものであった。
はやて「ふ…ふふふ…」
どす黒い笑みと共に、雑誌を見るはやてにタケル達はドン引きする。
フェイト「はやて、どうしたの?」
はやて「どうしたもこうしたもあらへん…見てみい…」
はやてが指差すのは、大輔と賢の台詞であろう物が書かれている行である。
フェイト「…可愛いあなたに捧げる言葉…?」
読み上げたフェイトの身体が小刻みに揺れる。
はやても嘲るように笑う。
はやて「ふふふ……これは浮気と考えてええんやな…?ふ…ふふふふふふふふふふふふ」
伊織「(目が笑ってない…顔は笑ってるけど目が笑ってない…!!)」
フェイト「ふふふ…大輔の浮気者…」
バリィッ!!!!
京「ぎゃああああ!!?」
バリィッという派手な音を立てて真っ二つに破けた。
今回は特別特集で、普段より分厚い雑誌がたやすくだ。
はやて「あ、ごめんな~。つい力入れてもうたわ」
フェイト「全くもう、はやてったら…ふふふ」
はやて「あっははははは」
見惚れる程、美しい笑みを浮かべる二人だが、オーラから滲み出る怒りを隠し切れていない。
フェイト「京さん」
京「ひゃい!!?」
恐怖のあまり変な返事をしてしまうがフェイトは気にせず雑誌の半分を手にしながら尋ねる。
フェイト「これ…貰ってもいいですか…?」
京「どうぞどうぞ!!」
顔を真っ青にしながら破けた雑誌を渡す京。
はやて「おおきに~。ほな、フェイトちゃん…行くで~…ふふふふふふ…」
フェイト「うん…ふふ…」
美しくも恐ろしい笑みを浮かべながらこの場を去るフェイトとはやて。
多分はやては分からないが、フェイトは確実に大輔に会いに行くのだろう。
この時、全員が思った。
ご愁傷様…と。






























フェイト「大輔~…」
はやて「賢兄~…」
地獄の底から響き渡るような声に二人は思わず後退する。
大輔「な、何だよ…?」
賢「ど、どうしたんだい?」
フェイト、はやて「「どうしたもこうしたも(ないよ)あらへん!!(何なの)何やのこれ!!」」
二人が突き出すのは破れた雑誌。
大輔「破れた雑誌じゃねえか?」
フェイト「そう!!でも違うの!!」
はやて「何やの、この行に書いてある台詞は!!?」
賢「いや、何やのと聞かれてもね…」
自分達はこんなこと言った覚えはない。
恐らくただの捏造だろう。
しかし、自分達が言っても火に油を注ぐだけだろう。
ならば…。
ブイモン[何だこの台詞?大輔と賢は確かに写真撮られたけど、台詞は何一つ言ってないぞ?]
フェイト「え?そうなの?」
ワームモン[うん、多分あの女の人が雑誌の受けを良くするための捏造だよ]
はやて「そ、そやったんか…私らはてっきり浮気かと…」
賢「はあ…あのね…僕が浮気なんかするわけないだろ?」
大輔「全くだ。それより…」
破れた雑誌を手に取り、笑いつつも凄まじく黒いオーラを放つ。
大輔「今から行くか…」
賢「そうだね…」
その後、美少年特集を組んだリポーターが大輔と賢に土下座している姿が見られた。 

 

第五十八話 離れていく心

 
前書き
大輔と賢が行動を開始する。

大輔「飯の準備出来たぞ!!」
なのは「うわあ~!!中華料理のフルコースだ!!」
ルカ「中華まん、いただきます」
ブイモン[その肉まん俺が狙ってたんだぞ!!]
コロナモン[全部同じだろが!!]
ギルモン[ラーメンラーメン!!]
はやて「そんなに慌てて食わんでも誰も取ったりせえへん」
大輔「実を言うとあんまんの中に、チョコレートを入れた奴が入ってるんだ。それをゲットした奴のリクエストを聞いてやるよ」
フェイト「よーし、頑張って探さなきゃ!!」
アリシア「私がチョコまんをゲットするんだから!!」
アリサ「あ~ら、私に勝てるつもり?」
はやて「中華粥のお代わりゲットのためや…」
ルカ「大輔さんの中華料理は誰にも渡さない…」
賢「うん、かつて僕を救ってくれた大輔のためだ。ここは僕が一肌脱ごうじゃないか」
すずか「あの…これ食事だよね…?」
なのは「みんなの殺気が怖くて食べられない…」
ユーノ「しかも微妙に論点がズレてるような気がしなくもないしね」
チビモン[リリカルアドベンチャー、始まるよ!!]

厳しめ要素あり。 

 
大輔と賢が行動を開始する。
その隣にはフェイトとはやてがいる。
ブイモン[ブイモンヘッド!!]
ブイモンの必殺技でダークタワーは音をたてて倒れた。
賢「……」
はやて「賢兄?」
無言の賢にはやては首を傾げる。
賢は倒れたダークタワーに触れた。
賢「……以前の僕だったら……カイザーの時の僕だったら……何か分かったかもしれない……」
何処か苦しそうな表情で呟く。
賢「少しでもデジタルワールドの復興のために勉強を繰り返したけど……今の僕には……これがどういった仕組みになっているのか……全く分からない……」
頭脳だけならカイザー時代の自分にも今の自分は劣らないという自負はある。
しかしカイザー時代のような天才的な閃きをすることはない。
ワームモン[賢ちゃんは戻りたいの…?デジモンカイザーに?]
ワームモンの言葉に賢は慌てて首を振る。
ワームモンの瞳はとても悲しそうに潤んでいる。
賢「そんな意味で言った訳じゃ…ないんだよ。あの時の僕は……自分でも分からない程頭がスッキリしていて……何でも分かる気がしたんだ……でも……一番大切な事が分かっていなかった……」
賢は自分の拳を見つめ、悔しげに顔を上げる。
はやて「でも今の賢兄は違うやろ?それにもしまた間違えたら私が賢兄を止めるから心配あらへん」
賢「はやて…ありがとう」
ワームモン[ごめんね賢ちゃん。僕がもっとしっかりしていたら……]
賢「…ワームモンが悪いんじゃないんだよ、悪いのは……全部僕なんだ」
フェイト「…そんな悲しいことを言わないで。確かに罪を犯したかもしれない。でも償うことは出来るよ…それに罪を犯したなら私だって…」
大輔「フェイト…お前にも賢にもそれぞれ事情があった。お前はプレシアのため、賢は自分の居場所のため…。」
賢「いや、フェイトはともかく、僕は…自分の意思でやっていた。これを建てたのは僕。デジモン達を傷つけたのも僕…。僕が償わなくてはいけない罪…」
ブイモン[…だったら俺達がしなくちゃいけないのは…]
ギルモン[この世界にある全てのダークタワーつう奴をぶっ壊すんだろ?]
大輔「だな、そうだよなダスクモン」
大輔が呼ぶと、背後からダスクモンが現れた。
賢「ダスクモン!!?」
はやて「何でダスクモンがここに?」
ブイモン[そういや、話してなかったな]
ブイモンは賢とはやて、フェイトにダスクモンがこの世界にいる経緯を話す。
賢「まさか、ダークケーブルの暗黒のエネルギーが現実世界にまで影響を及ぼすなんて…」
大輔「なあ、ダスクモン。」
ダスクモン[何だ?]
大輔「これから俺達はダークタワーとダークタワーをデジモンにする奴をぶっ潰すつもりだ。悪いと思うけどお前の力も貸してくれないか?」
今は一体でも強い力を持つデジモンが必要なのだ。
今の自分では仲間を守りつつ、戦う自信がない。
ダスクモン[…いいだろう。]
大輔「サンキュー。ダスクモンもD-3に入れればいいのにな」
フェイト「無理だよ。D-3に入れるのはパートナーデジモンだけなんだから」
賢「確かに今は無理だけど、D-3にダスクモンのデータを入力すれば出来ると思うよ」
はやて「え?出来るんか?」
賢「うん、デジヴァイスでパートナーデジモンが進化するためには、デジヴァイスにパートナーデジモンのデータを入力しないといけないんだ。今日のノルマを達成したら、ダスクモンのデータを大輔のD-3に入力しよう…まだ容量があればいいけど……」
はやて「ああ、スナイモンのデータ入れたりしとるからなあ……」
その時、ここから少し離れた町から爆音が聞こえた。
大輔「何だ!!?」
ワームモン[賢ちゃん!!もしかしたらあの女が何かしたのかもしれない!!]
大輔「行こう!!」
ブイモン[ブイモン進化!エクスブイモン!!]
ワームモン[ワームモン進化!スティングモン!!]
大輔「フェイト、乗れ!!」
フェイト「うん!!」
賢「はやても!!」
はやて「分かったで!!」
フェイトとチビモンは大輔と共にエクスブイモンに。
はやてとギルモンは賢と共にスティングモンに。
ダスクモンは瞬間移動で現場に急行した。






























ダスクモンが大輔達より先に現場に向かうと、アンキロサウルスを思わせるアルマジモンが進化したアンキロモン。
そして伊織がサンダーボールモンの攻撃で吹き飛ばされた。
ダスクモン[チッ…]
瞬間移動で伊織を抱え、即座にサンダーボールモンを弾いた。
伊織「あ…」
ヒカリ「あ、あの…デジモン…」
タケル「闇の…デジモン…!!」
どこか怯えたようにダスクモンを見つめるヒカリ。
そして敵意を込めた目でダスクモンを見るタケル。
そしてエクスブイモンとスティングモンが到着した。
京「あれは…大輔!?ってことはブイモンの成熟期!!?」
ホークモン「一乗寺賢…フェイトさんとはやてさんも!!」
フェイト「行くよチビモン!!」
はやて「ギルモンも進化や!!」
チビモン[チビモン進化!ブイドラモン!!]
ギルモン[ギルモン進化!グラウモン!!]
大輔がフェイトと、賢がはやてと共にパートナーから飛び降りた。
エクスブイモン[完全に消え去ってしまえ!!エクスレイザーーー!!]
ブイドラモン[ブイブレスアロー!!]
スティングモン[ムーンシューター!!]
グラウモン[エキゾーストフレイム!!]
四体の必殺技がサンダーボールモンに炸裂し、サンダーボールを爆散した。
京「殺した、の…?」
ヒカリ「なんてことを…」
ブイモン[ふう…]
ブイモン達は成長期に退化すると、それぞれのパートナーの元に。
賢「お疲れ、ワームモン」
大輔「ブイモンもよくやったな」
ブイモン[へへ]
伊織「大輔さん!!」
大輔とブイモンの会話に割り込むように伊織が向かって来る。
作り物の笑みを浮かべて伊織の方を見遣る。
大輔「何だ伊織?」
伊織「何だじゃありません!!デジモンを殺すなんて…なんてことを…!!」
大輔「奴は敵だ」
伊織「だからって殺すことはなかったじゃないですか!!追い払えば…」
大輔「その追い払うことすら満足に出来なかったお前にそんなこと言う資格があると思ってんのか?」
京「だからって…デジモンを殺すなんて最低よ!!」
大輔「キメラモンを殺した時は喜んでたじゃないか」
京「え…?」
大輔「キメラモンもれっきとしたデジモンだぞ?キメラモンが死んだ時は喜んでた癖に何言ってんだ?」
京「でも、キメラモンは…」
大輔「キメラモンを倒すのを俺とブイモンに押し付けておいて、てめえらはただ見物してただけの癖に偉そうな口叩くんじゃねえよ」
京「だってあの時、キメラモンを倒せるのは…」
大輔「確かにあの時、キメラモンを倒せるのはマグナモンだけだった。でも援護くらいは出来たはずだろうが、全て俺とブイモンにキメラモンを殺すのを押し付けた臆病者の卑怯者」
京「…っ!!」
言い返せなくなった京は唇を噛み締めた。
タケル「大輔君、言い過ぎだよ!!」
大輔「てめえも同罪だろ!!卑怯者!!」
タケル「え…?」
大輔「てめえらはあの戦いを俺達に全て押し付けたんだ…もう俺達はお前らに指図されない…卑怯者にああだこうだと言われる筋合いなんかねえからな!!」
ヒカリ「大輔君!!」
バシィッ!!
ヒカリが大輔の頬を勢いよく叩いた。
フェイト「大輔!!」
はやて「何するんや!!」
大輔「……」
ヒカリ「何でそんな酷いことを言うの…?そんな酷いことを言う大輔君なんか嫌いよ!!」
大輔「嫌い…ねえ…嫌いで結構…寧ろ好都合」
ヒカリ「え…?…っ!!」
タケル「ヒカリちゃん!!」
胸倉を掴まれ、顔を近づかせられるヒカリ。
それで気づいた。
大輔の表情は笑っているが、目が笑っていないことに。
自身を見つめる目が嫌悪に満ちていることに。
大輔「俺もあんたが大嫌いだよ…殺してやりたいくらいにな…」
ヒカリ「え…?」
殺意に満ちた声にヒカリの表情が凍り付く。
そしてヒカリにだけ聞こえるように小さく呟く。
大輔「俺さ…7年前の光が丘テロの…グレイモンのせいで家が目茶苦茶になって俺自身死にかけたんだ…」
ヒカリ「え…」
光が丘テロ。
グレイモン。
知らないはずの大輔が何故それを?
まさか、大輔の言葉通り、大輔は光が丘テロの被害者?
大輔「あれから7年…ようやく思い出せたよ…街を巻き込んだ怪獣ごっこは楽しかったか?光が丘テロの犯人さん?」
今までヒカリに向けていた好意は、記憶を弄られたことで、憎しみと好意が逆転していた物。
本来の記憶を取り戻した大輔は7年間、今まで抑圧されていた憎しみを解き放った。
そのきっかけを作ったのは間違いなく彼ら。
ヒカリ「ーーーーーっ!!」
トラウマを刔られたヒカリは身体をガタガタと震わせた。
テイルモン[ヒカリ!!?]
タケル「ヒカリちゃん!!大輔君、ヒカリちゃんに何を言ったんだ!!」
大輔「ん?俺はただ本当のことを言っただけだぜ?」
憎しみの視線がヒカリを射抜いた。
伊織「一乗寺賢!!一体大輔さんに何をしたんですか!!?」
賢「は?」
はやて「何やのその言い方は!!賢兄のせいにするんやない!!全部あんたらの自業自得やろ!!自分の責任を賢兄に押し付けるんやないわ!!」
ホークモン[大輔さん、あなたは何故、一乗寺賢と行動を?]
大輔「お前らといるくらいなら賢と一緒にいた方が何万倍もマシだからだ。それに…」
パタモン[それに…何?]
大輔「俺と賢は親友だからな。お前らみたいな薄情な奴らとは違う。本当の友達」
伊織「そんな…その人はデジタルワールドを目茶苦茶にした張本人なんですよ!!」
大輔「じゃあ、お前らは俺からすればそれ以下の存在って訳だな…お前らと話してても時間の無駄だ。帰ろうぜ」
賢「…いいのかい?話さなくて」
大輔「いいんだよ。こいつらに話して事態がよくなるわけじゃねえし」
京「ちょっと待ちなさいよ!!」
肩を掴もうと、手を伸ばした京だが、フェイトが大輔を庇うように立つ。
フェイト「いい加減にして、これ以上。大輔を傷つけないで…あなた達はどこまで大輔を傷つければ気が済むの…?」
京達を威嚇するように睨み、大輔の背中を押すフェイト。
大輔「フェイト…」
フェイト「…行こう、大輔」
四人はこの場を後にした。






























大輔「…………」
はやて「大輔さん?」
ゲートに向かう途中、立ち止まってしまった大輔を不思議そうに見遣るはやてだが、それに気づいた賢がはやての手を引っ張って、先を促した。
はやても原因に気付き、フェイトに視線を合わせる。
フェイトも頷き、大輔に歩み寄る。
フェイト「大輔、大丈夫?」
大輔「何が?俺は別に平気だ。大体、俺はもうあいつらのことなんか…」
フェイト「…嘘」
大輔「え?」
フェイト「大輔はいつも平気平気って言ってるけど、本当はそうじゃないよね?…あの人達の言葉に傷ついて…あの人達を傷つけたことを後悔してるよね?」
大輔「………」
フェイト「確かに大輔は強いと思う。でも、その強さはとても繊細で大きな優しい心から出来てるの…優しい人は…とても、傷つきやすいんだって」
大輔「馬鹿、そんなこと言われると泣きたくなるじゃないか……」
そっと大輔はフェイトを抱き締めた。
フェイトも微笑みながら抱き返す。
大輔「ありがとうな…フェイト」
フェイト「ううん…大輔が辛いと私も辛いから…」
大輔「……お前がいてくれて本当によかった」
フェイト「大輔…」
大輔「好きだ…フェイト」
フェイト「…うん…私も…」
二人の背中に回された腕に力が入る。






























はやて「あ~あ、イチャついとるなあ…」
ダスクモン[フン…]
賢「けど良かったよ。フェイトが行かなかったら僕が大輔を慰め行ってたし」
ブイモン[俺も]
チビモン[私も~]
ギルモン[オラもだ]
ワームモン[僕も]
はやて「うちもや…大輔さんは少し優し過ぎるで…」
賢「あれが大輔が大輔である由縁さ。…優しさの紋章を持つ僕なんかよりも遥かに優しい人だ」
ブイモン[俺達が大輔を支えてやろう。誰が相手でも俺は大輔と大輔の大事な奴を守ってみせる]
ワームモン[僕だって賢ちゃん達を守れるくらい強くなる!!]
チビモン[私だって強くなるよ!!]
ギルモン[オラだってもっともっと強くなっぞ!!]
ダスクモン[お前達がどのような未来を創るか興味がある…最後まで共に戦わせてもらおうか]
賢「それは頼もしいや」
しばらくして大輔達は賢達の所に来て、現実世界に帰るのだった。
 

 

第五十九話 僅かな和解

 
前書き
大輔「はあ…」
賢「はあ…」
はやて「はあ…」
フェイト「はあ…」
ブイモン[初っ端からいきなり溜め息吐くなよ…]
チビモン[きっと疲れてるんだよ]
ギルモン[うめえもん食えば元気になるって、オラ魚獲ってくる]
ワームモン[リリカルアドベンチャー、始まります] 

 
賢「よし、出来た。」
ダスクモンのデータを大輔のD-3に入力した賢。
これでダスクモンをいつでも傍に置くことが出来る。
試しにダスクモンに翳すと、ダスクモンはD-3に吸い込まれた。
はやて「おお、吸い込まれた…」
フェイト「成功だね」
大輔「これでダスクモンも一々、闇に紛れる必要はないな」
ダスクモン『………』
大輔「じゃあ、またデジタルワールドでな」
フェイト「うん、またね」
一乗寺家を後にして、自宅へ向かう大輔。






























そして翌日のお台場小学校では、複雑そうに大輔を見るタケル。
何処か怯えるように大輔から距離を取るヒカリ。
大輔はそんな二人に興味も何も抱かず、一日を過ごした。
そして放課後になり、自宅に戻ろうとした時であった。
ヒカリ「あ、あの…大輔…君」
大輔「………」
ヒカリの声に一瞬足を止めたが、すぐに足を動かした。
ヒカリ「待って!!」
大輔「……何だよ?」
ヒカリ「あの…私…謝りたくて…」
大輔「光が丘テロのことか?」
ヒカリ「…うん、あのコロモンは私の友達だったから……」
大輔「もういい、俺もカッとなって少し言い過ぎた。言ったことは撤回しないけどな。もう…7年も昔のことだからな。今更あんた達を責めても、もう楽しかったあの頃に戻れるわけでもないんだ」
ヒカリ「…………」
大輔「…あのさ」
ヒカリ「え?」
大輔「…あんたが本当に俺を仲間だって…友達だって思うなら、俺にもうあまり関わらないでくれ、頼むから……せめてこの気持ちが…憎しみが風化するまで」
ヒカリ「うん…ごめ、んな…さい」
涙を流しながら謝るヒカリにハンカチを押し付けるように手渡す。
大輔「やる。返さなくていいから…さよなら…ヒカリちゃん。これからはただのクラスメイトな」
それだけ言うと、大輔はお台場小学校から去った。
ヒカリは自分を憎んでいるのに、優しく接してくれた大輔に感謝と申し訳なさを感じていた。






























伊織「あ、ヒカリさん…大輔さんは…?」
ヒカリ「…もう、余程のことがない限り、私達と一緒に戦うことはないと思う。…心底嫌われてたみたい」
テイルモン[ブイモンの姿もなかった…もうここに来ないつもりなんだろうか…あいつも]
ホークモン[あの時、キメラモンと戦えるのは大輔さんのマグナモンだけでした。しかし、それを理由に私達は全てを大輔さん達に押し付けていたのですね…]
タケル「…ヒカリちゃん、そのハンカチは?」
ヒカリ「大輔君が泣いた私にくれたの。返さなくていいって…私のこと、憎んでいるのに…優しくしてくれた…私、もっと大輔君の力になってあげればよかったって後悔してる」
京「でも、どうして一乗寺賢と行動を一緒にしているのかな…?」
アルマジモン[俺達よりあいつの方が何万倍もマシだって言ってたがや]
京「それでも!!確かに大輔に全て押し付けたのは悪いと思ってる…でも、彼はキメラモンを造って、デジタルワールドを支配しようとしていたのよ?それなのに、どうしてそんな彼に心を許せるのか…私には分からない」
伊織「そういえば、フェイトさんとはやてさんとはいつ知り合ったんでしょうか?」
京「そういえばそうよね。私、あいつに外国人の知り合いがいるなんて聞いたことないし…後で聞いて…」
ホークモン[聞ける訳がないでしょう。私達は心底嫌われてるんですから…]
京「そうだった…」
パソコン室に重苦しい空気が蔓延する。






























フェイト「大輔?」
大輔「ん?」
ブイモン[あんまり元気ないけど…。あいつらのせいか?]
大輔「いや…あいつらのせいじゃない…非情になれない俺のせいだ…」
賢「大輔、君は優し過ぎる。君が全て背負う必要はない」
大輔「ああ…分かってるさ」
チビモン[それにしてここ、いい村だよね~]
はやて「せやな。モチモンまみれや。かわええなあ…」
大輔達が現在いるのは、モチモンの村。
ここの畑で採れる野菜は味が濃く、フェイトとはやてが居候している村なのだ。
しかも湖が近くにあるので、魚を捕るのにも困らない。
かなりいい場所にある村だ。
大輔「ここ毎日秋みたいだよな。涼しいし、魚は脂がのってるし…」
チビモン[木の実も美味しいしね~]
ギルモン[オラ、この村気に入ったぞ]
フェイト「本当、とても過ごしやすいよ」
賢「でも此処にいつまでもいるわけにはいかないよ」
ワームモン[賢ちゃん、少しの間くらいゆっくりしてこうよ]
はやて「そやで賢兄」
賢「うーん…じゃあ少し休憩しようか」
全員【賛成!!】






























そしてモチモンの村から大分離れた街では、京達がミミのSOSを聞いて、デジタルワールドに来ていた。
ダムを壊そうとしているゴーレモンをシュリモン達が必死に抑えている。
ミミ「大輔君はどうしたの?」
伊織「大輔…さんは…」
タケル「大輔君は今、別行動をしているんです…」
ミミ「別行動?」
京「一乗寺賢と一緒にいるんです。此処にいないってことはD-ターミナルを持ってないんですよ…」
決別したことを知らないミミは口を開く。
ミミ「一乗寺賢君と一緒にいるなら…誰か一乗寺賢君のメールアドレス知らない?」
京「え?私が知ってますけど…」
京はD-ターミナルをミミに差し出す。
受け取って、ミミは賢にメールを打ち始めた。
京「何してるんですか……?」
ミミ「きっと、彼もD-ターミナルを持っているわよね。だったら……賢君を呼べば大輔君も来てくれるはず」
京「あいつに助けを!!?」
ミミ「そうよ、いけない?」
京「いえ…、でも来るかどうか…。大輔も…」
嫌味に聞こえないのは、ミミが持つ真っ直ぐさからだろう。
だが、京は彼女のように素直にはなれなかった。
そして完全に決別した大輔が来てくれるかどうかも分からない。
タケル「もし、来なかったら……」
ヒカリ「倒すしかないのかしら…大輔君達がやったように…」
京「大輔達がやったように…?」
ヒカリの言葉で、前回の出来事が京の脳裏を掠めた。
躊躇いなくサンダーボールモンを殺した大輔達。
伊織「僕は嫌です!!どんな理由があっても、デジモンを殺すなんて絶対に!!」
京「そ、そうよね…」
ヒカリ「でも…」
ヒカリの呟きに全員がヒカリを見遣る。
ヒカリ「私達はキメラモンを殺すのを大輔君に押し付けたのよ…全部…」
ヒカリの言葉に全員が沈黙した。






























そして賢はミミから来たメールに表情を引き締めた。
賢「ここから大分離れた街にあれが…ダークタワーデジモンが現れたらしい」
この時期にそんなことをするのはあの女が生み出したダークタワーデジモンだ。
はやて「けど、どないするんや?スティングモンとエクスブイモンがフルスピードで飛ばしても少し時間がかかるで?」
ダスクモン[俺が行く。俺ならお前達より遥かに短時間で街に着ける。]
大輔「じゃあ…融合…試してみないか?一応、データはあるんだし、出来るかも」
ダスクモン[…好きにしろ]
大輔「分かった…ユニゾンエボリューション!!」
大輔とダスクモンが融合する。
少しの間を置いて、大輔の意識が浮上した。
大輔『…どうやら、大丈夫のようだな』
ダスクモン[ふん、精々俺の力に振り回されないことだな]
エクスブイモン[俺達もすぐに追い掛けるから、急いでくれ]
ダスクモン[ああ]
ゴーストムーブを使用する。
瞬間移動の技であるゴーストムーブは短距離しか移動出来ないが、連続の使用が出来るため、瞬く間に、街に辿り着いた。
大輔『………』
ゴーレモンと戦っているシュリモン達。
そしてそれを見ているタケル達。
大輔『俺がやる…やらせてくれ』
ダスクモン[いいだろう。だが少しでも情けない戦いをしたら、すぐに入れ代わるぞ]
主人格をダスクモンから大輔に入れ換え、ゴーレモンに襲い掛かる。
ミミ「あれは何!!?」
タケル「またあの闇のデジモン…!!」
敵意を隠さず、ダスクモンを睨むタケルに大輔は冷たい視線で一瞬だけ見遣るとゴーレモンを蹴り飛ばす。
ゴーストムーブで肉薄。
エアーオーベルングストームで吹き飛ばす。
大輔『(どうやら本当にダークタワーデジモンのようだ…。力が漲るような感覚がしない)』
ダスクモンのブルートエボルツィオンは、斬った相手の力を自分の力に変換する能力を持つ。
ブルートエボルツィオンの技を受けても力を取り込んだ感じがしない以上、ダークタワーデジモンと見て問題はないだろう。
そしてエクスブイモン、スティングモンがやって来た。
上には賢、フェイト、はやて、チビモン、ギルモンが乗っている。
ヒカリ「一乗寺君に…フェイトちゃんにはやてちゃんも…」
京「助けに来てくれた…」
大輔はいないが、エクスブイモンがいる限り、来てくれたのだろう。
ダスクモンはエクスブイモンとスティングモンが来たのを見計らって、離脱する。
タケル「一体何なんだあいつは…」
そして森の中から大輔が出て来た。
伊織「大輔さん…」
ミミ「ほら、大輔君も来てくれたし、一乗寺君も頼りになる仲間じゃない」
京「は、はい…(助けに来てくれた…大輔はあんなに私達を嫌っていたのに…彼も…)」
エクスブイモン[でやあああ!!]
スティングモン[はああああ!!]
エクスブイモンとスティングモンの絶え間無い連続攻撃がゴーレモンに炸裂する。
息の合ったコンビネーションにタケル達は思わず魅入る。
フェイト「大輔、賢。援護は必要?」
大輔「必要ない」
賢「あの程度ならエクスブイモンとスティングモンだけで充分さ…」
チビモンとギルモンを進化させようとするフェイトとはやてを制する。
パルモン[う…]
ミミ「パルモン!!気がついたのね」
気絶していたパルモンがうっすらと瞼を持ち上げた。
ミミがほっと安堵の息をつく。
パルモン[ミミ……あいつは、どこ……?]
ミミ「今、エクスブイモンとスティングモンがゴーレモンからダムを守ってくれているわ」
ダムの頂上でゴーレモンにエクスブイモンとスティングモンが猛攻を仕掛けている。
パルモン[ゴーレモンじゃ……ないの。あいつは、ゴーレモンなんかじゃないの!!]
ミミ「なに……言ってるの?」
気絶する前のパルモンの記憶が蘇る。
ダークタワーの近くに立っていた、謎の女がしていた事。
パルモン[あいつは……デジモンの姿をしているけど……本当は、ダークタワーなの!!]
ゴーレモンの正体は、ダークタワーだった。
その新事実に、タケルはやっと合点がいく。
タケル「それで謎が解けた!!こないだ、サンダーボールモンが現れた時、どうしてダークタワーが無くなっていたのか!!」
伊織「あれはダークタワーが変身した姿だったんですね!!」
ヒカリ「だから…」
京「だから大輔達はあの時、敵を殺せたのよ!!」
自分は誤解していた。
賢はもう、理由なくデジモンを傷付けるデジモンカイザーではない。
大輔も完全に決別したはずの自分達を助けに来てくれた。
彼らは誰かが危険に晒されていたら助けに行く、優しい人間だ。
京「ごめんなさい…」
目が眩むほどに光を放つD-3がそこにあった。
その光に比例するようにホークモンの体も輝きだす。
それは紛れもなく、進化の光だった。
ホークモン[ホークモン進化…アクィラモン!!]
突風と共にアクィラモンが空へ羽ばたく。
その後を京が追いかけた。
京「アクィラモーン!!あいつの正体はダークタワーよ!!デジモンじゃないの!!」
アクィラモン[そうだったのか!そうと分かれば遠慮はしないぞ!!]
翼をはためかせ、アクィラモンがスティングモンとエクスブイモンの加勢に行った。
アクィラモン[ブラストレーザー!!]
アクィラモンが発射した光線がゴーレモンに命中した。
煙が晴れた後に現れたのは、ゴーレモンの皮膚のようなものが砕け、中身のダークタワーが露出したダークタワーデジモン。
エクスブイモン[とどめだ!!]
スティングモン[スパイキングフィニッシュ!!]
ゴーレモンに突撃し、一気に相手の身体を鋭利なスパイクで貫いた。
スティングモンが攻撃した場所から、ダークタワーデジモンの全身に細かい罅が入ってゆく。
エクスブイモン[エクスレイザー!!]
エクスブイモンの必殺のエネルギー波がダークタワーデジモンに炸裂し、完全に粉砕した。
ダークタワーデジモンが消滅したのを見ると、大輔はエクスブイモンに乗るとフェイトとチビモンと共にそのままこの場を去った。
京「大輔!!待って!!」
大輔は少しだけ振り向くが、すぐに視線を前に遣り、この場を去った。






























賢「弁解はしません。今まで謝罪が遅れてすみませんでした」
日が暮れたデジタルワールド。
事態が収まり一息ついた子供達に、賢がそう言って頭を下げた。
伊織とヒカリはどう答えていいか解らずに顔を見合わせていたが、パルモンがずっと気になっていた事を尋ねた。
パルモン[所で、あの女の人は一体何者なの?]
賢「僕も詳しくは知らない。今分かっているのは、彼女がダークタワーからデジモンを造れる事、彼女が近付くとダークタワーが昔の機能を取り戻す事くらいなんだ」
はやて「んで、賢兄は罪を償うために、デジタルワールドを目茶苦茶にしようとする女を倒すために動いてるっちゅうわけや」
ヒカリ「じゃあ、大輔君も?」
ギルモン[ああ、大輔もその女を探してんだ。ついでにダークタワーをぶっ倒しながら。フェイトとはそん時に知り合ったんだ。]
京「…大輔は、一乗寺君達と行動してるのよね?」
はやて「そうやけど?何や?まだ責め足りへんの?」
京「そうじゃないの!!キメラモンのこととか、サンダーボールモンのこととか…謝りたくて……」
賢「…多分、分かっていると思いますよ大輔は。あなた達の気持ち。…ただ、今まで強引に抑圧されていた負の感情が急激に解き放たれたから、大輔も…。大輔自身、自分の感情を持て余して、制御仕切れないという感じでしたし。」
タケル「ところで、あのデジモンは何なの?」
賢「あのデジモン?」
タケル「君達が現れると決まって傍にいるデジモンだよ」
賢「…あのデジモンに関して、僕からは何も言えません。ただ、僕達とあなた達に深い関わりがあるデジモンだということを言っておきます…では、僕はこれで」
踵を返し、ワームモンとはやて、ギルモンを連れて森の中へ帰っていく賢。
こうして選ばれし子供達の一日は終わる。
 

 

第六十話 イクス=未知数

 
前書き
エクスブイモン超進化。

大輔「さて、あの女を探さないといけないんだけど…」
フェイト「どこにいるのかな?」
賢「やはりそう簡単に尻尾を見せないか」
ワームモン[口やかましいかもしれないけど。あんまり喋ってると、注意力が散漫になるよ]
ブイモン[分かってるって]
チビモン[喋らなきゃいいんでしょ?]
ギルモン[リリカルアドベンチャー、始まっぞ!!]
 

 
大輔達は現在、ダークタワーを破壊しながら、ダークタワーデジモンを造れる女を探していた。
大輔「一体どこに行きやがったんだ…」
辺りを見回しながら、呟く。
はやて「そうやねえ。でも、はっきり言ってこんな広いデジタルワールドで女一人見つけるなんて、砂漠に落ちた米粒を見つけるのと同じくらい大変やで……」
大輔「…けど、その女を生かしておくわけにはいかねえ。これ以上デジタルワールドを目茶苦茶にされてたまるか」
一度モチモンの村に戻る。
そこは大輔達のデジタルワールドでの拠点となっていた。
ギルモン[にしても、あいつどうやってダークタワーをデジモンにしてんだ?]
魚を頬張っているギルモンだが、賢は自分の推測を言ってみる。
賢「どうやってかは分からないけど…恐らく、ダークタワーのデータを書き換えたんだろう。パルモンから話を聞いてみたけど、髪の毛をダークタワーに差し込んだらダークタワーデジモンになった…あの女の髪はダークタワーのデータを書き換える力があるんだろう」
チビモン[なるほどね…]
ブイモン[う~ん…]
フェイト「どうしたの?ブイモン?」
ブイモン[何かさ、デジタルワールドに妙な匂いが混ざってる気がするんだよな~]
ワームモン[どんな匂い?]
ブイモンほど、嗅覚が良くないワームモンが尋ねる。
ブイモン[何て言うか、チビモンとギルモンに似たような匂いが混じってるような…]
はやて「ギルモンとチビモンが傍にいるからやろ?」
ブイモン[いや…チビモンとかギルモンより…何と言うか…野生の匂いがするっていうのかな…]
大輔「…なあ、確か、確か向こうの現実世界にデジモンが現れたんだよな賢?」
賢「ああ、そうだけど?」
大輔「ワームモンが戦ったんだよな?そいつの匂い、覚えてるか?」
ワームモン[匂い…?確か、僕達に似てたような…]
大輔「匂いの違い…もしかしたら、フェイト達の世界のデジモンがこの世界のデジタルワールドと現実世界にいる可能性があるな…それに…」
フェイト「それに?」
大輔「いや、ほら。俺達の世界にはお台場があるのに、向こうの世界にはない。そしてフェイト達の世界には海鳴市があるのにこっちの世界にはない。こっちと向こうの日本地図を見比べると、まるで二つだけが切り離されたかのようだ」
向こうの日本地図とこっちの日本地図。
お台場と海鳴市のみが存在しない。
これはどういうことなのだろうか?
賢「確かにね。もしかしたら、僕達の世界とはやて達の世界は何らかの関係があるのかも」
はやて「じゃあ、うちらがここに飛ばされたのは偶然やないっちゅうこと?」
フェイト「確かによく見ていると変だよね…」
ブイモン[もしかしたら、元々大輔達の世界とフェイト達の世界は一つだったり…?]
大輔「流石にそれはないんじゃないか?世界の違いかもしれな…」
言い終わる前に、妙な音が近付いて来る。
疑問は焦った表情を浮かべているモチモンによって解決した。
モチモン[た、大変だ!!]
はやて「どないしたんや?」
モチモン[デジモンの大群が村に向かって来ているんだ!!]
チビモン[ええ!!?]
慌てて、村の外に出ると、ガジモン、ヌメモン、ティラノモン、モノクロモン、クワガーモン等…。
大輔「コカトリモンにアカトリモン?」
ブイモン[あいつらから、チビモン達と似たような匂いがする。それにあいつら、あの船にいた奴らだ。何か色んな料理の匂いがする]
賢「もしかしたら、ダークケーブルのブラックホールに巻き込まれたのかも…」
ギルモン[あいつら目がイッてんぞ…]
ブイモン[多分、環境の異常な変化に耐え切れなくて自我が崩壊したんだろ。向こうとこっちじゃ、環境が全く違うし。俺達みたいにパートナーデジモンか、ダスクモンくらいの実力なら大丈夫かもしれないけど、あいつらは普通のデジモンだしな]
フェイト「可哀相だけど…倒すしかない!!」
大輔「行くぞ!!モチモンの村を何としても守り抜くんだ!!デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!燃え上がる勇気!フレイドラモン!!]
チビモン[チビモン進化!ブイドラモン!!]
ワームモン[ワームモン進化!スティングモン!!]
ギルモン[ギルモン進化!グラウモン!!]
大輔「突っ込めえ!!」
フレイドラモン達がデジモンの大群に向かっていく。






























賢「それにしても!!こんな風に荒れ狂う敵陣の真っ只中に飛び込むなんて久しぶりじゃないかな!!?」
大輔「確かにな!!」
フェイト「はやて、大丈夫?ついて来れる?」
はやて「心配せんといて!!デジタルワールドの冒険で結構鍛えられたんやからな!!自分の足で立てて走れることがこんなに嬉しい物だったなんて知らへんかった!!」
大輔「初っ端から飛ばし過ぎんなよ!!バテるからなあ!!」
ヌメモンを蹴り飛ばす。
フェイト「はやては私について来て!!」
はやて「うん、賢兄も気をつけるんやで!!」
賢「分かってる!!」
襲い掛かる、ガジモンをかわして逆に蹴り飛ばす。
フレイドラモン[ナックルファイア!!]
ブイドラモン[カッターシュート!!]
スティングモン[スパイキングフィニッシュ!!]
グラウモン[プラズマブレイド!!]
フレイドラモン達が最小限の力でデジモンの大群を屠っていく。
異世界のデジタルワールド出身の彼等は転生出来るか分からないため、データを取り込みながらだ。
フェイトははやてを庇い、大輔と賢は自分達でも何とか手に負えそうなガジモンやヌメモン達を殴り、蹴り飛ばしていく。
大輔「相変わらずやるな賢!!カイザーだった頃より動きがいいんじゃないか!!?」
賢「そういう君だって動きがいいじゃないか!!?相当鍛えていたようだね!!それから出来ればあまり話し掛けないでくれないか!!?」
大輔「何でだ~?」
賢「分かって聞いてないか?話し掛けられると戦いに集中出来ないんだ!!」
大輔「はいはい、そりゃあ失礼!!アーマーチェンジだ!!」
フレイドラモンからゴールドブイドラモンにチェンジすると一番敵が密集している場所に向かう。
ゴールドブイドラモン[ブイブレスアローMAX!!]
フルパワーの熱線が放たれた。
グラウモン[エキゾーストフレイム!!]
火炎弾を放ち、モノクロモンを撃破する。
賢「ざっと100体くらいかな!?」
はやて「うげ~、そんなにいるんか?」
大輔「なあに、このペースなら100体なんてすぐだ!!必ず二組で行動しろ!!絶対敵に背中向けんじゃねえぞ!!」
フェイト「うん!!」
敵に突っ込んでいく大輔達とパートナーデジモン達。
しばらくすると、ゴールドブイドラモンからブイモンに退化してしまう。
大輔「時間切れか…ゴールドブイドラモンは強力だけど時間が短いのが欠点だよな…デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!地上最大の希望!サジタリモン!!]
サジタリモンにアーマー進化し、必殺技のジャッジメントアローを繰り出す。
凄まじい貫通力を誇る矢は、複数のデジモンを薙ぎ倒していく。
ブイドラモン[伏せて!!]
ブイドラモンの叫びに、全員が伏せた。
ブイドラモン[ブイブレスアローMAX!!]
回転しながら繰り出す熱線。
威力はゴールドブイドラモンに大きく劣るが、それでもかなりの数が減った。
スティングモンとグラウモンはサジタリモンやブイドラモンのように複数の敵を撃破するような真似はあまり出来ないので、一体ずつ蹴散らしていく。






























大輔「大分数が減ってきたな…」
サジタリモンの進化時間もとうとう限界に近付き、現在はフレイドラモンになっている。
オーバードライブの多用で、フレイドラモンの姿を保てるのも後僅かな時間だ。
ブイドラモン[兄さん]
フレイドラモン[はあ…はあ…大丈夫だ。まだ…戦える]
この中で負担が大きいのはフレイドラモンだ。
完全体と渡り合えるフレイドラモンは必然的に負担が他より大きくなる。
かといってブイドラモン、スティングモン、グラウモンも相当疲労している。
賢「後…10体!!」
大輔「全員踏ん張れ!!」
フレイドラモン達が突撃しようとした時、空から光弾が降り注ぐ。
大輔「あれは…」
賢「ギガドラモン!?こんな時に…最悪だ」
自我がないということはあれもブラックホールに巻き込まれたデジモンなのだろう。
ギガドラモンは両手から有機体系ミサイルを放つ。
全員がそれをかわし、ギガドラモンに攻撃を繰り出した。
フレイドラモン[ナックルファイア!!]
ブイドラモン[ブイブレスアロー!!]
スティングモン[ムーンシューター!!]
グラウモン[エキゾーストフレイム!!]
四体の技がギガドラモンに炸裂した。
賢「やったか!!?」
この言葉が出る時は大抵倒せていない。
今回も例に漏れなかった。
ギガドラモンの必殺技、両手から有機体系ミサイルを無限に放つジェノサイドギアが炸裂した。
フレイドラモン、ブイドラモン、スティングモン、グラウモンが有機体ミサイルの直撃を受けて撃墜された。
ブイモン[ぐっ!!]
チビモン[あう!!]
勢いよく地面に叩きつけられるデジモン達に歩み寄る大輔達。
大輔「大丈夫かブイモン!!」
ブイモン[な、何とか…]
よろめきながらも立ち上がるブイモンだが、他のデジモン達はダメージが深いのか、立ち上がることすら出来ない。
ブイモン[ぐっ…]
アーマー進化しようとするが、疲労でアーマー進化すら出来ない。
ギガドラモンはモチモンの村に両腕を向ける。
そして有機体ミサイルが放たれようとしていた。
大輔「止めろーーーっ!!!!」
大輔の叫びに呼応するかのようにD-3から光が放たれた。
ブイモン…正確にはエクスブイモンとD-3に取り込まれたスナイモンのデジゲノムが融合を開始する。
ブイモン[ブイモン進化!エクスブイモン!!]
現代種のエクスブイモンと現代種のスナイモンのデジゲノムが一つとなる。
大輔「ユニゾンエボリューション!!」
エクスブイモン[エクスブイモン超進化!パイルドラモンイクス!!]
本来ならパイルドラモンは特定の条件を満たした竜系と昆虫系が融合することで誕生する完全体デジモンである。
しかし、D-3に融合する対象のデジゲノムを入力することで、単体で進化するという前代未聞の進化を遂げた。
故にイクス…未知数を意味する名前が付けられた。
フェイト「パイルドラモン…イクス…!!」
チビモン[凄い…凄いよお兄ちゃん!!]
ジョグレス体のパイルドラモンと比べれば劣るであろうが、パイルドラモンイクスの力はゴールドブイドラモンやサジタリモンの力に匹敵するほどである。
大輔『行くぞパイルドラモンイクス!!』
パイルドラモンイクス[おう!!エスグリーマ!!]
両腕からスパイクを出し、ギガドラモンに迫るパイルドラモンイクス。
ギガドラモンも両腕のクローで応戦する。
金属同士がぶつかり合い、火花が散る。
両腕の砲口から有機体ミサイルが放たれようとした瞬間。
パイルドラモンイクス[エレメンタルボルト!!]
砲口に電撃が炸裂した。
発射直前の有機体ミサイルが爆発し、両腕のクローが吹き飛んだ。
そして両腰の生体砲を向ける。
パイルドラモン[デスペラードブラスター!!]
攻撃の要を失ったギガドラモンにフルパワーのエネルギー波を生体砲から放った。
直撃を受けたギガドラモンはD-3に取り込まれた。






























チビモン(D)[ふへえ…]
大輔「チビモン、生きてるか…?」
チビモン[お兄ちゃ~ん?]
チビモン(D)[フッ…可愛い妹がいれば俺はいつだって元気百倍、アンパ…]
賢「おっと、それ以上の発言は控えてね」
危ないことを口にしかけたチビモン(D)の言葉を遮る賢。
フェイト「凄かったね。パイルドラモンイクス」
はやて「ほんまに」
ワームモン[でも、今日は本当に疲れたね]
モチモン[村を救ってくれて本当にありがとうございました!!モチモンの村名物の芋煮です!!]
湯気で一瞬あたりが真っ白になるが、ぐつぐつと煮えている芋煮。
村を守る防衛戦で体力を使い切った大輔達は何度もお代わりをした。
モチモンの村の名物料理、芋煮はとても美味なる物だった。
しかし食べ過ぎて、夕食が入らないという弊害がついたが。 
 

 
後書き
ちなみに芋煮は豚と里芋、味噌です。 

 

第六十一話 古代の聖竜

 
前書き
大輔達も大輔達で復興作業を開始した。

ガブモンX[リリカルアドベンチャー、始まるよ]
 

 
大輔、タケル「「あ」」
偶然ばったり会ってしまった大輔達。
大輔「何でお前らとは行く先々で会うんだろうな…」
溜め息を吐きながら言う大輔にフェイトは苦笑する。
賢「コホン。えっと、君達は何をしにこの村に?」
京「えっと、復興作業用の資材を取りに来たの」
はやて「ああ、それならうちらと用件は同じやな。どうせなら一緒に行くのはどうや?」
ヒカリ「え?でも…」
大輔「構わねえよ。資材を取りに行くだけならすぐ終わるだろうからな」
興味なさ気に言う大輔に京は頷いた。
京「じゃあ、ちょっとの間だけ」
村に入ろうとした時、バケモンの大群が襲い掛かってきた。
京「ぎゃああああ!!?」
大輔「…せい!!」
ブイモン[ブイモンヘッド!!]
バケモンを蹴り飛ばし、ブイモンが必殺の頭突きをお見舞いする。
ヒカリ「な、何!!?」
はやて「ダークタワーデジモン!!?」
ブイモン[いや、一撃入れたけどダークタワーデジモンのような感じがしない]
賢「多分、村の資材を狙ってる盗賊か何かだろう」
伊織「盗賊!!?」
大輔「全く、何で一々厄介事に巻き込まれるんだか…」
フェイト「大輔、愚痴っても仕方ないよ。侵入しようにも守りが固すぎるね」
ギルモン[なら、変装して侵入すっぞ!!]
ワームモン[そのアイディア頂き!!]
賢「…何とかしてみよう」






























大輔「んで、何とかした結果がこれか?」
大輔が取り出したのは、バケモンの顔が描かれた布。
チビモン[バケモンだぞ~。うらめしや~。]
フェイト「随分可愛いお化けだね♪」
ブイモン[…………っ]
はやて「あ、何かにストライクしたみたいやな?」
賢「悶えるのを必死になって堪えてるね」
胸を押さえて小刻みに震えているブイモンにはやてと賢は苦笑している。
タケル「ところで…」
バケモンスーツを着たタケルはチラリと伊織を見遣る。
伊織「大輔さん、そろそろ行きませんか?」
大輔「ああ、じゃあ行くか」
伊織「行くわけないでしょう!!!!」
はやて、フェイト「「?」」
伊織「いい加減ツッコんで下さいよ!!何で僕だけ継ぎ接ぎだらけで穴が空いてる手抜き感漂う変装なんですか!!」
大輔「え?お前伊織なの?全然気がつかなかったよ」
賢「うん、話し掛けられるまで存在自体に気付かなかったよ」
はやて「大丈夫や、そのままでも充分イケるでイオリモン君」
タケル「(酷い…)」
京「イ、イオリモン…あーっはっはっはっは!!!!」
わざとらしく言う大輔達。
タケルは伊織に同情し、京ははやての“イオリモン”発言がツボに入ったのか爆笑。
伊織「イオリモンって何ですか!?イオリモンの時点でイケるわけがないでしょう!!呪いますよ!!」
フェイト「それじゃあ行くよイオリモン」
ブイモン[叫んでないで行くぞイオリモン]
チビモン[置いてくよイオリモン]
ギルモン[イオリモン、早く行かねえと置いてくぞ~]
ワームモン[さあ、行こうイオリモン]
イオリモン「何ですかこれ…嫌がらせですか…?しかも名前までイオリモンになってるし!!」
京「ほら行くわよ。イオリモーン」
伊織「京さん!!」
こうして村を占領しているバケモンのアジトに潜入する。






























中に入ると、三年前の時もピヨモンと空の母親の淑子のバケモンの変装に気付かなかった節穴デジモンなのはこのバケモンも変わらないようだ。
しかし、どういうわけか、穴&継ぎ接ぎだらけのバケモンスーツの伊織も全く気付かずスルーされた。
その反応が伊織を傷つける。
伊織「何でこんな怪し過ぎる変装で気付かないんですか…」
大輔「簡単だ。お前の存在感が空気かそれ以上に薄いからだよ。」
ヒカリ「大…本宮君、それはちょっと…」
決別した今、名前で呼ぶのは馴れ馴れしいと思ったのか苗字で呼ぶ。
大輔「実際、伊織に気づいてねえだろ。」
ヒカリ「…………」
否定出来ないヒカリは沈黙した。






























賢「あそこが奴らのいる部屋か…」
タケル「結構いるね…」
ワームモン[あまり派手に暴れると資材が目茶苦茶になるかもしれないから…何とか外に…あれ?ブイモン?]
はやて「ブイモンとギルモンとチビモンはあっちや」
ワームモン[へ?]
整列しているバケモン達の前に立っているのは何故かブイモン達。
ブイモン[我が忠勇なるバケモン軍団達よ!!今やこの村は我々が占領し、我等の物となった!!これだけの資源があれば何者であろうと我等の敵ではない!!敢えて言おう。カスであると!!]
ギルモン[そして、オラ達が得意な禁断の必殺技がある!!例えどんな強え奴でも、これを使えばイチコロだぞ!!]
チビモン[因みに戦いに行く時はおやつは300デジドルまで!!それからエチケットにビニール袋とハンカチと…]
ワームモン[何で君達が占領する側に立ってるんだよおおおおお!!!!]
ワームモンの渾身の体当たりが炸裂した。
ブイモン[痛てて…]
ワームモン[君達、何しに此処に来たんだよ!!思いっきり占領する側に立ってるでしょ!!]
チビモン[ぶったね!?フェイトにもぶたれたことないのに!!]
ギルモン[あははは、わりいわりい。つい全身の血がたぎっちまって。昔はオラがこうやって軍団の士気を上げたもんだ…]
ワームモン[一体はやてに会うまでどういう生き方をしてきたんだよ君は!!大体後半から遠足になってたでしょうが!!!!]
[先生!!移動の時、ゲームボーイアドバンス持って行っていいですか?]
ブイモン[馬鹿野郎お!!折角占領地にいるんだ。占領地に相応しい遊びをしなさい!!]
ワームモン[何で先生呼ばわりされてんの!!?]
[ええ~]
ブイモン[分かった分かった!!じゃあ今日の集会はここまで~。みんな外に出ろ、ババ抜き大会だ!!]
ワームモン[何でババ抜き!!?]
はやて「安心せい。ブイモンも分かっとるはずや。時間がないからいつもの三倍の速さでババ抜きをするはずや。こういう風に丁度いい冷静さと戦意を心の間に作るのも大将の役目や」
ワームモン[大将って誰!!?それからそういう問題じゃないから!!何でそこで赤い彗星ネタ!!?]
賢「ワームモン、何で君がそんなの知ってるんだい?」
































ワームモン[……何か訳分かんないうちに半日も過ぎちゃったよ……]
ババ抜き大会で、こっそり強力な睡眠薬を混入した飲み物をバケモン達に飲ませて、現在バケモン達は夢の世界。
賢「まあ、戦わないでバケモン達を無力化出来たから結果オーライということで」
ブイモン[いやあ、久しぶりに手応えのある時間だった]
肌がつやつやのブイモンが言う。
そんなにもババ抜きをしたかったのか…。
因みにタケル達はバケモン達を閉じ込めるために別行動中。
大輔「さてと…此処が奴らのボスの部屋か…」
扉を蹴破ると、ファントモンがこちらを見る。
ファントモン[お前達、何者だ!!?]
ブイモン[フッ、俺はブイモン。またの名をババ抜き王!!]
大輔「何、馬鹿言ってんだ。バケモン達は無力化した。この村は俺達選ばれし子供が奪還する。」
ファントモン[フッ、お前達如きに私を倒せると思っているのか?]
ブイモン[バケモン達は無力化したぜ?]
ファントモン[ふん!!この私を侮るなよ!!ソウルチョッパー!!]
斬撃を繰り出すファントモン。
大輔「ブイモン!!」
ブイモン[おう!!ブイモン進化…]
ギルモン[ギルモン進化…]
ワームモン[ワームモン進化…]
ファントモン[ディアボリックスター!!]
鎖分銅を進化中のブイモン達に繰り出す。
ブイモン[うわっ!!?]
ギルモン[おわっ…]
ワームモン[う…]
進化中、動けないブイモン達はまともに受け、壁に叩き付けられた。
大輔「ブイモン!!」
フェイト