イナズマイレブン~クロスライジング~


 

雷門の試練

 
前書き
イナズマイレブンオリジナルエピソードです。円堂守とW主人公みたいな感じになってます。 

 
「せりゃぁぁぁ!」

日の暮れた鉄塔広場に少年の声が響く。
少年は頭にオレンジのバンダナをはめて、
木にぶら下げた、タイヤで一人特訓をしていた。

「やっぱりここにいたのか、円堂」

俺は少年に呆れながら喋った。

「雷藤!お前も来たのか!」

そう、俺の親友といっても過言じゃない円堂守が言った。
俺の名前は、雷藤 真紅(らいどう しんく)
雷門サッカー部所属の中学二年だ。

「明日は大事な試合だぞ、その辺にしとけ」

「ああ!わかってるけど、どんなシュートを打ってくるのか、想像しただけで、ワクワクが止まらないんだ!」

その言葉を聞いて、俺は呟いた。

「やっぱりお前は、根っからのサッカーバカだな」

俺は笑いつつ、円堂のもとに駆け寄った。

大事な試合というのは、明日うちの雷門中に
中学最強の帝国学園がサッカーの練習試合に来る。
しかも、もし負けてしまったら廃部というオマケ付きだ。

「円堂出来たか?例のあの技は?」

「うーん、感じはわかるんだけど、何か足りないんだよな…」

その後、俺達は軽く体を動かした後、明日に備え
二人とも家に帰るのだった。

翌日……。

「やばいっス、緊張してきたっス…」

と体を縮こませ、震えているのは
うちのDFの壁山 塀吾郎だ。
名前は人を表すと言うのは、まさにこの事だと
言わんばかりの巨体である。性格に難ありだが…。
すると、背番号10を着たメガネをはめた
特に特徴のない男、目金欠流が言った。

「まだ帝国の人たちは来ないんですか?ふふっ、さてはこの僕を恐れて逃げ出しましたね!」

その言葉を聞き、それはあり得ないなと思っていると
突如、空気が変わった。

巨大な黒い乗り物が現れ、赤いカーペットが広がり
横にはサッカーボールを踏んだ、軍隊のような人が並ぶ。
すると、先頭に赤いマントを纏い、不気味なゴーグルを
掛けている男が現れ、次々帝国メンバーが出てくる。
黒い乗り物を見ると黒い服を着た男が見下ろして
不気味な笑みを浮かべている。

そして、帝国メンバーはグラウンドに広がると、
ウォーミングアップを始めたようだった。
雷門中のFWの一人の染岡竜吾が少し苛立っていた。

「何だよ、あいつらうちに挨拶もなく、俺達のグラウンドを使いやがって…」

怒りが隠せてない染岡が呟やく。

「それは失礼したな、初めてのグラウンドで少し慣れるために、ウォーミングアップをさせて貰ったが、挨拶がまだだった」

そうマントの男が言い残すと
眼帯をはめた男からボールを貰い、高々と蹴り上げた。
すると、マントの男は空中に飛び上がり、ボールを
円堂目掛けて、シュートを放った。
あまりの速さに俺は、何が起こったかわからなかった。
円堂が両手で何とか抑えたが、円堂のグローブからは
微かに焼き焦げた匂いが漂っていた。

「ぐっ……」と円堂は手を押さえ、威力の凄まじさを
物語っている。

「ほう、俺のシュートを防いだか…、この試合せいぜい、三分はもってくれよ」

と言い残すと、マントの男は選手を集め
グラウンドに並んだ。
負けるわけにはいかない、この試合絶対勝つ!
俺は強い意志を抱き、グラウンドに並んだ。 
 

 
後書き
二話、いざ!帝国学園!前編 更新しました!
是非ご覧ください! 

 

いざ!帝国学園!前編

 
前書き
帝国学園との練習試合!前編です! 

 
ザッザッザッ…。
グラウンドの中心に
円堂を先頭にした雷門イレブンと
マントの男を先頭にした、帝国イレブンが並んだ。

「鬼道さん、こんな無名チームと試合して何の得があるっていうんですか?」
と質問を男が鬼道という男に話しかけた。

「いまはまだ奴はいないようだが、いずれ奴は現れる……必ずな」

と、マントの男─鬼道という男が笑いながら答える。

「さあ、試合を始めようか。審判始めてくれ」

と鬼道が言うと、審判は慌てたように声を出す。

「でっ、では今から帝国学園と雷門中の練習試合を始めます!」

というと、俺達は持ち場に着いた。

まずはFWに背番号18の俺と背番号11の染岡がつく。
MFは6半田、7少林寺、8宍戸、9松野(マックス)
DFに2風丸、3壁山、4影野、5栗松がつく。
そしてGKに背番号1の円堂守がつく。
ベンチでは背番号10を着た目金と
マネージャーの木野と音無がグラウンドを見つめる。

そして運命のホイッスルがグラウンドに響いた。
最初のボールはこちらだ。

「いくぞ!染岡!」

「おう!雷門のサッカー見せつけてやろうぜ!」

と声を掛け合い、二人で帝国へ攻め込む。
帝国の一人がスライディングをし染岡に攻め込む。
そのスライディングを染岡は、綺麗に避け俺にパスを出す。

「そのままゴールまで行っちまえ!雷藤!」

俺は頷くとそのままゴールまで敵を交わし、
帝国のGKと1対1になった。
俺は瞬時にゴールを見渡し、最善のコースへ
思いっきりシュートを放った。

「いっけぇぇ!」

帝国のGKの反応が遅れるのが手に取るようにわかる。
よし、一点と思ったときだった。

バシン!と音が響いた。「なっ…」俺は言葉が出ない
絶対入ったと思ったシュートをGKは軽々と止めていた。
帝国のキーパーはボールを手の指で回す余裕を見せながら
キーパーは叫んだ。

「そろそろお遊びは終わらせて、帝国のサッカーを見せてやれ!」

その言葉が響いたとたん、帝国の動きが変わった。
キーパーが投げたボールが眼帯の男に渡る。
「いけっ、寺門!」と叫ぶと
目にも見えない速さでパスが繋がる。
するとドレッドヘアー風のオールバックの男─寺門が
ダイレクトでシュートを放った。
円堂が構えた……時には遅かった。
ボールはゴールのネットを触れ、円堂の前に
ボールが戻っていたところだった。
「えっ……?」雷門の全員の口からこぼれた。

帝国の攻撃は止まらなかった。
2点、3点、5点、7点どんどん取られていく。

「百列ショット!!」

寺門の必殺シュートが円堂を襲う。
円堂は両手を前に出し、歯を食いしばり止めようとするが
「ぐわぁぁぁ!」円堂が吹き飛ぶ。
「円堂!」「キャプテン!」と声を出しながら
皆が円堂に駆け寄る。

「もう無理でやんすよ、大体帝国に勝てるわけがなかったでやんす」

「俺もう怖くて嫌っス……」

「俺は諦めたくない。今のままじゃ円堂に負担がかかっている、俺達もゴールを守って帝国に勝つんだ」

俺はそういうと円堂に「必ず点、決めてやるからな」と言うと
円堂はニカッと笑い、頼むぞと言った。

すると鬼道は周りを見渡し笑う。

「まだ奴は出て来ないか、ならば引きずり出してやるだけだ!貴様ら!奴らを潰せ!」

その言葉のあと、帝国はゴールではなく
俺達を狙い始めた…

鬼道が眼帯の男にボールを回した。

「佐久間まずはDFからだ。その後MF、FW、GKの順に潰せ」

眼帯の男─佐久間は頷くと
風丸、壁山、影野、栗松はシュートの嵐を食らい
グラウンドに倒れた。

「風丸!壁山!影野!栗松!」

と円堂の悲痛の声が響きわたる。

佐久間は寺門にパスを渡すと
半田、少林寺、宍戸、マックスも風丸達と同じように
シュートの嵐を受け倒れた。

俺と染岡は我慢が出来なくなり、寺門にスライディングを仕掛けた
寺門は嘲笑うように鬼道にボールを渡した。

「くそっ…!」俺はそう言葉をこぼすと、
染岡と一緒にもう一度スライディングを仕掛けようとしたが
その前に染岡がシュートを食らい地面に倒れた。

「このやろう……!」と怒りの声をこぼし、鬼道を睨むと
鬼道は再び寺門にボールを渡した。

寺門は俺の前に来ると、
ニヤッと笑いボールをふわっと上げ俺目掛けて蹴った。

「ジャッジスルー!!」

俺は気付くと空中に浮かび、腹に痛みが走っていた。

俺はそのまま地面に叩き付けられ
意識がもうろうとする中、
木の陰にフードの人が見えた気がした。 
 

 
後書き
前編終了です!感想など頂けると嬉しいです! 

 

いざ!帝国学園!後編

 
前書き
帝国学園との練習試合、決着です! 

 
「う、うぅ……」俺は少しの間、気を失っていたようだった。
ピッ、ピーと前半終了のホイッスルが鳴り響く。

俺達はボロボロになり、肩を借りながらベンチに戻った。

「大丈夫!?みんな!」とマネージャーの木野が駆け寄る。

俺達はマネージャー達から治療を受け、
俺と円堂は後半に向かう準備をし始めた
他のメンバーは地面に顔を向け、諦めの顔が伺える。

「何、落ち込んでんだよ!まだ前半が終わったばかりだぜ、これから逆転だ!」

と円堂は呼び掛けるが
返事をするのは俺と染岡、風丸だけだった。

「駄目ですよ、染岡さん、この足じゃ試合には出れませんよ!」

とマネージャーの音無が声をかける。

「くそ!俺はお荷物かよ!」

と染岡がベンチを叩く。

「目金、染岡の代わりにFWに入ってくれ」

俺はそう言ったが目金は泣きながら

「ぼ、僕はこんなのいやだぁ~!」

といい残し、ユニフォームを脱ぎ捨てて走り去った。

「お、おい!目金!」

と円堂は叫ぶが足を止めることはなかった。

「後半は10人でやるしかなさそうだな…」

風丸が呟く。
ここで俺は木の陰にいるフードの人が
雷門のユニフォーム……、目金が脱ぎ捨てた、
背番号10のエースナンバーを見ている気がした。
「気のせいか……」と呟き、円陣を組み後半へ向かった。

後半開始そうそう、帝国は前半以上の攻めを見せた。
円堂が膝を突く…。「ぐっ、くそ!」円堂は地面を叩いた。
これで帝国は22点目だ。
いまだ此方は22対0で負けている。

「まだ出ないか、それならこれはどうだ!」

鬼道叫ぶと、全員でFW、MF、DFをシュートの嵐で潰した。
俺はもう一度、最後に寺門の必殺技ジャッジスルーを受けると
地面にうずくまった。

「くそっ……円堂……」

と声にならない言葉で呟くと
いっそう、鬼道はニヤッと笑うと叫んだ。

「いくぞ、デスゾーン開始!」

その言葉が危険な事が起こる前触れと予想が出来た…。

その言葉の瞬間、帝国の佐久間と寺門、洞面と呼ばれる
三人が空中に飛び上がり回転を始めた。
すると、黒いものが出始めてボールを軸に黒い渦が出来る。

佐久間、寺門、洞面が同時にボールを蹴り落とした。

「「「デスゾーン!!」」」

その途轍もないシュートが円堂に襲いかかる。
円堂は反応する事も出来ずに顔に直接食らいゴールに吹き飛んだ。

「円堂ぉぉぉ!」と俺が叫ぶが、
円堂からの返事は来なかった……。

23対0……。

「俺たちのサッカーへの思いは、この程度だったのか……」

と、俺が諦めかけたその時だった。

「ま、まだ終わってねぇぞ!」

円堂がふらふらしながら立ち上がった。

これにはさすがの帝国学園も後退りをした。

「デスゾーンをまともに受けて立っている奴は、お前が初めてだ」

鬼道はそう笑いながら、グラウンドの中心から歩き始めた。

「ごめんな、夕香。お兄ちゃんを今日だけ許してくれ」

フードの男がグラウンドに向けて歩き出した。

鬼道が「来たな……」と笑うと
ボールを寺門に渡し、やれ!と呼び掛ける。

寺門が必殺シュートを放った。

「百列ショットぉぉぉ!」

円堂は「おおおっ!」と叫ぶと
ボールに思い切りパンチを放った。
パァァン!と音が響き
円堂は軽く吹き飛んだが何とかシュートをクリアした。

寺門は円堂を睨むと「次は決める」と言い戻っていった。

ザッザッザッ……。
マネージャーの二人がフードの男を確認した。

男は「ユニフォームを貸してくれ」と言うと
背番号10のエースナンバーを身にまとった。

周りがざわめく。

「あれ、雷門助っ人か?」

「誰だあいつ?」

「どっかで見たことあるような…」

背番号10を纏った男は
ツンツンした感じの白い髪に襟元を立てている。
彼は最近来た、転校生だった。

円堂が「来てくれたのか!豪炎寺!」と笑う。

豪炎寺は頷くとキッと前を見据える。

鬼道は豪炎寺を見て笑う。

「やっと出て来たか、見せてもらおうか、元木戸川中学の炎の天才ストライカー、豪炎寺 修也の実力を」

と言い残すと、スローイングからのボールを受け取り

「デスゾーン開始!」と叫ぶと
佐久間にパスを回した。

佐久間、寺門、洞面は飛び、それぞれ回転を始め
出来上がった黒い渦のボールを三人で蹴り落とした。

「「「デスゾーン!!」」」

だか、今度は何故か俺は円堂なら大丈夫と思えた。
俺は前に走り出した、その前には豪炎寺も走っている。

デスゾーンが円堂を襲う。

「雷藤と豪炎寺は俺からパスが来るって信じて走っている、俺はその気持ちに答えてみせる!」

すると、円堂の手のひらが光った。
円堂はそのまま手を上に上げると巨大な手が出現した。

「ゴッドハンド!」

ゴッドハンドと言う名の巨大な手の
手のひらでデスゾーンを受ける。
デスゾーンは威力が収まり、円堂の手に収まった。
「な、なにっ!」と帝国メンバーは驚きが隠せない。

「いっけぇぇぇ、雷藤ぉぉ!」

と円堂が叫びボールを蹴る。
「ナイス、円堂!」と俺は叫びボールを受けると
ボールを蹴りながら、俺は帝国のDFに向かった。

「DFは三人……。行ける!」と呟き
俺はものすごい速さで必殺技を放った。

「電光石火!!」

帝国のメンバーは何が起こったか解っていないようだった。

「決めてくれぇ!豪炎寺!」と俺が叫ぶと
俺はボールを高々と蹴り上げた。

豪炎寺は頷くと、炎の渦を巻きながら回転しシュートを放った。

「ファイアトルネード!!」

ものすごい速さと威力のシュートがゴールのネットを揺らした。
あのGK─キングオブゴールキーパー源田が触れられない
ほどのものすごいシュートだった。

ピー!と笛がなる。
23対1。ついにあの帝国から点を決めた!
その瞬間みんなが集まり
みんなは満面の笑みを浮かべた。

その時、審判が走ってきて予想外の言葉を語った。

「えー、たった今、帝国学園から棄権するとの事でした。よってこの試合、帝国学園の試合放棄で雷門中学の勝ちです」

俺たちは戸惑ったが、すぐに笑みがこぼれた。

「円堂、良かったな廃部にならなくて」

「これもみんなのお陰さ!勝利の女神は俺たちに微笑んだんだ!」

「豪炎寺もありがとな!」
円堂がそう言った時には、ユニフォームだけが残っていた。 
 

 
後書き
帝国学園との練習試合終了です!豪炎寺はどこに行ったのか?次回もご覧ください! 

 

決意

 
前書き
前回から時間空きました!すみません! 

 
「あれ?豪炎寺どこいったんだろうな」

俺がそう呟くと円堂が周りを見渡しながら話す。

「この試合勝てたのは豪炎寺のお陰だ、せめてお礼をしたいな」

「よし、とにかく探して見るか!」

学校内はくまなく探したが見当たらなかった。

「豪炎寺のやつ、外に出たのかな?」

俺は「そうかもな」と返事を返し、着替えてから
外の捜索を開始した。

その間、円堂から豪炎寺の事を聞いた。
俺は豪炎寺とは全く喋ってなかったからな…。
豪炎寺は元の学校でサッカーをしていた事。
不良に絡まれたとき助けてくれたこと。
サッカーを何故か遠ざけていること。
円堂はいろいろ説明してくれた。

「そうだったのか」俺は知らず知らず呟く。
そういえば帝国の鬼道が言ってたな……。
元木戸川中の炎の天才ストライカー、豪炎寺 修也って。
だけど、何故そんな有名な選手が雷門中に来て、
サッカーをやらないんだろう。
俺の脳裏でそんな事がクルクル回っていた時だった。
俺達が信号で止まっていると、反対の歩道に豪炎寺の姿があった。

豪炎寺はそのまま門を曲がったようだ。
俺達は信号が青になるのを確認して
豪炎寺を追いかけ走った。

しかし、豪炎寺を追いかけて来た場所は病院だった。
もしかしたら、今日の試合で怪我でもしたのだろうか
それとも豪炎寺は持病を抱えていた?
と頭で考えていると、円堂が「入ろうぜ」と歩き出す。
俺達はそのまま病院の中へ向かった。

「「どこいった?」」俺と円堂が呟く。
見事にハモってしまった。俺達は豪炎寺を見失ったようだ。

俺達が諦めて帰ろうとした時、円堂の目の前で
病室の扉が開いた。そこから出てきたのは豪炎寺だった。

「あっ、ご、豪炎寺奇遇だなぁ…」

円堂がいかにも付いて来ましたみたいな下手な言い訳をしてる。

「お前ら付いてきてたのか…」

「豪炎寺怪我でもしたのか?病院なんかに寄って」

俺は単刀直入に聞いた。
豪炎寺はしばらく考えて話した。

「いつかは教えなきゃなと思っていた」

と一度言葉を切った後「入ってくれ」と言葉を続けた。

「失礼します」

と言った俺達は眠っている少女の姿を見た。

「気持ちよさそうに寝てるな」

と俺が豪炎寺に話しかけると少し悲しそうな顔になる。

「もう一年間も目を覚ましていない」

俺達は言葉が出なかった。豪炎寺は言葉を続ける。

「夕香はサッカーが大好きだった、その日も俺にシュートを決めなきゃ駄目だよ、って言っていた、だけどその日夕香は俺の試合を見にくる最中に車との事故に合ってしまった、俺がサッカーをやってなければ夕香がこんな事になることはなかったんだ」

更に豪炎寺は言葉を続ける。

「だから俺はサッカーは出来ない」

「豪炎寺…お前の事情は解った。だけどサッカーをやってなければとか言うなよ!」

豪炎寺は俺の方を向くと言いたげな顔で見つめる。

「妹さん、夕香ちゃんはサッカーをしている豪炎寺が好きだったんだろ?それなのにサッカーをやらないなんて夕香ちゃんは悲しんでると思うぞ」

「……夕香の為に…サッカーを続ける…」

豪炎寺は呟く。すると何処かから細い声が聞こえた。
「そうだよ…お兄ちゃん…」豪炎寺がビクッとした。
豪炎寺は夕香ちゃんに駆け寄る。
夕香ちゃんは相変わらず眠っているままだ。

「夕香……そうだな、俺やるよ」

と言って豪炎寺は立ち上がる。

「俺は勘違いしていた、サッカーをやらないでおくのが夕香へのせめての罪滅ぼしと思っていたが、サッカーを続けるのが夕香の為なんだな、俺はやるからにはフットボールフロンティアで優勝する。この雷門中でな」

俺と円堂は顔を合わせて俺は「ああ、宜しく!」と言い
円堂は「ああ、頼りにしてるぜ!」と笑った。

こうして豪炎寺は背番号10
雷門の炎の天才ストライカー豪炎寺 修也として誕生した。 
 

 
後書き
豪炎寺特集になっちゃいました。 

 

噂の話

 
前書き
豪炎寺が仲間になったが…… 

 
「─というわけで今日からサッカーに入部した、豪炎寺だ。実力はこの間の帝国戦で見たとおりすげぇ奴だ」

と円堂が雷門のサッカー部員に豪炎寺について話した。

「豪炎寺だ。基本FWをやっている。宜しく頼む」

と短い挨拶すると、周りから喜びの声が聞こえる。

「豪炎寺さんが入ったから、もう帝国なんて相手じゃないっス!」

と壁山が話すと、続けて栗松、宍戸、風丸が話す。

「豪炎寺さんのシュートすごかったでやんす!」

「豪炎寺さんのファイアトルネード痺れました!」

「豪炎寺が入ってくれたら百人力だな」

と皆が歓迎の声を上げていると、部室の隅から声が聞こえた。

「俺は認めねぇ、いきなり雷門のストライカーと名乗られても、雷門には雷門のサッカーがあるんだよ!それをこんな奴が出来るかよ!」

と染岡が叫ぶのを豪炎寺は黙って見ている。

「だから俺は認めねぇ、雷門のストライカーは俺と雷藤がいればいい」

と言い残し、染岡は部室をあとにした。
部室に少しの間静寂が訪れた。
この静寂を断ち切ったのは俺だった。

「まあ染岡の気持ちもわからないことはない。だっていきなり豪炎寺のファイアトルネードのようなものすんげぇシュートを見せられたら、普通皆羨ましがるさ、俺も豪炎寺が羨ましい。だけど俺のは豪炎寺に対する憧れだけどな」

俺が言うと、円堂が続いた。

「染岡も最初の入部部員だったからな。染岡に認めてもらうには試合を通して認めて貰うしかなさそうだな」と呟いた。

すると、マネージャーの音無が突然走ってきて
息を整えるとこう話した。

「次の練習試合が組まれましたよ!」

と話すと、俺達は湧き上がった。

「相手は尾刈斗中です!」と話すが
俺は尾刈斗中なんて知らなかった。
俺が「尾刈斗中ってどこ?」
と聞くがまともな答えが返ってこない。

すると音無が奇妙な事を話し始めた。

「この尾刈斗中は奇妙な噂があるんです。試合中突如呪文のようなものが聞こえたり、足が動かなくなったり、時空が歪んだりするって話です」

俺達は何も言葉を出せなかった。

「そ、そんな事あるわけないっスよね!ゆ、幽霊なんて居ないっスよね!」

と幽霊の存在を頑なに否定している壁山を見ると
俺は不意にイタズラをしたくなった。

「そんなことはないぞ、壁山。幽霊は存在する。ほら、お前の後にも髪の長い幽霊が立っているじゃないか」

と話すと壁山の後で「そう、いるよ……」と声が響いた。
壁山は恐る恐る振り向くと「ギャァァァァァ!!」
と叫び気絶した。後にいたのはまさに幽霊並みの雰囲気を持つ
影野だった。まあ壁山と俺が逆の立場でも俺も気絶してるだろうな
と考えていると、音無が「えーとっ、尾刈斗中との練習試合は三日後です。皆さん体調管理には気をつけてくださいね!」と話すと外へまた走っていった。

「よーしっ、尾刈斗中との練習試合に向けて練習だ!」
と円堂が拳を高くあげると俺達も
「「「おおぉ!」」」と声を合わせ拳を高く上げるのだった。 
 

 
後書き
影野「やっと喋れた……」
雷藤「まさか後書きの初台詞を主人公じゃなく、影野に取られるなんて……」
影野「ふ、ふふふ……目立ったかな…」 

 

染岡の心

 
前書き
だいぶ時間空きました。すみません!
感想書いて下さった方、お待たせしました!
感想書いて下さって『マジで感謝!』です! 

 
「せりゃゃゃゃ!!」

染岡が思い切り、ゴールにシュートを放った。

円堂がそれを新技で止める。

「熱血パンチ!」

パァァァンと音が響き
染岡のシュートを跳ね返した。

「いいシュートだ!染岡!」

と円堂が染岡に対して声をかける。

「こんなんじゃ、ダメだ。もっと強くならねぇと…」

染岡はそういうと豪炎寺を見つめた。

今は尾刈斗中との練習試合に向けて練習中だ。
俺は今は風丸と一緒にグラウンドを走っている。

「染岡の奴、豪炎寺に対してあんまりいいイメージ持ってないみたいだな…」

と風丸が俺に話しかけた。

「そうだな…だけどやっぱりこの先の雷門には、豪炎寺の力がいるだろうしな、染岡と豪炎寺が力を合わせれば怖いもの無しなのにな…」

と俺も風丸に話し掛ける。

その後少し、黙って走った後、
俺と風丸がグラウンドを見ると
豪炎寺がシュートを放つ前だった。

「ファイアトルネード!」

炎の渦を巻きながら炎のシュートを放つ。

「熱血パンチ!」

円堂も負けずに技を繰り出す。

「ぐわぁ!」

円堂の熱血パンチは豪炎寺の
ファイアトルネードには全く通じなかった。

「くっそー、やるな豪炎寺!」

と円堂は豪炎寺にニカッと笑いながら悔しがる。
「円堂も流石だな、いいパンチングだ」

と決めた側の豪炎寺も少し微笑みながら円堂に話す。

俺は風丸に話しかける。

「円堂と豪炎寺って何か似てるよな。違うタイプのサッカー好きって感じ」

と俺は少し笑う。

「雷藤もあんな感じだよ」

と笑いながら風丸も返事を返す。

「そ、そうか?」

俺は少し照れながら走るのを止めて
風丸と軽くグラウンドを歩き始めた。

「─よーし、今日はここまでだ!」

円堂が皆に声を掛けて、今日の練習が終わった。
すると染岡が俺のところをやってきた。

「雷藤、一緒にこれから河川敷で練習してくれないか?」

勿論、答えはOKだ。

「ああ、いいぞ。一緒に練習しようぜ」

と話していると、円堂と風丸もやってきた。

「なんだ、今から河川敷で練習か?俺達も付き合うぜ」

と風丸が俺達に話す。

「よし、決まりだな、染岡4人で練習しようぜ!」

と染岡に話すと「ああ!」と言葉を返して
俺達は河川敷のグラウンドに向かった。

俺と風丸は一緒にドリブルとブロックの練習をしている。
円堂と染岡はシュートとキーパーの練習みたいだ。

俺がボールを持ったまま、風丸を抜きに掛かる。

「させるか!」

風丸が俺に向かってボールを取りにくる。
「甘いぜ、電光石火!」

俺は淡い光を纏い風丸を綺麗に交わす。

「やるな!雷藤!」

風丸が俺に呼び掛ける。

「ああ、やっと使いこなせるようになったよ」

俺は笑いながら答えた。

その瞬間「くそ!」という染岡の声が響いた。

「何でだ、何で俺には技が使えねぇんだよ!」

俺は染岡に駆け寄った。

「染岡」

染岡が俺の方に振り向いた。

「技は心が大事だ。今のお前は豪炎寺しか頭にないだろ?」

俺が話すと、染岡の顔が変わった。図星のようだ。

「一回豪炎寺の事を忘れろ。そしたら染岡のサッカーが出来るさ」

と話すと俺は風丸のもとに戻った。

「技は心か。確かに俺は豪炎寺のことしか考えてなかった。そうだ、俺は俺のサッカーをするんだ!」

と呟き、言葉を続けた。

「ありがとな雷藤、お前のお陰で目が覚めたぜ!」

染岡はゴール─円堂に向かい叫んだ。

「行くぜ!円堂これが俺のサッカーだ!」

染岡の周りに青い龍が現れた。

「うおぉぉぉぉ!」

と叫びながら龍を纏ったシュートがゴールに向かう。
円堂は右手に力を込めて熱血パンチを放った。

「熱血パンチ!」

円堂の熱血パンチをシュートにぶつける。

「ぐっ、ぐわあ!」

染岡の放った、龍のシュートがゴールのネットを揺らした。
円堂は起き上がると染岡に向かい走り出した。
俺も風丸もそれに続いて染岡に駆け寄った。

「染岡やったな!」

円堂が嬉しそうに笑う。

「染岡、お前なら絶対出来ると思っていたぜ!」

「凄いシュートだったな染岡!」

と俺、風丸も続けて染岡に話し掛ける。

「これならやれる、豪炎寺の奴には負けないぜ!雷藤これもお前のお陰だ!マジで感謝するぜ!」

と染岡は俺に手を差しだし俺達は握手を交わした。

「絶対勝とうな!尾刈斗中との練習試合!」

円堂がそう話すと俺達の「「「ああ!」」」
と叫ぶ声が河川敷に響いた。 
 

 
後書き
染岡「俺が尾刈斗中から点を取ってやるぜ!」
雷藤「ああ!頼りにしてるぜ!」
染岡「任せとけ!豪炎寺には負けないぜ!」
雷藤「そのいきだ!」 

 

行くぜ!尾刈斗!

 
前書き
更新大変お待たせしました! 

 
─試合当日
遂に尾刈斗中との練習試合の日だ。
この三日間俺達は結構成長したはずだ
三日間の間に新しい部員が増えた。
いや、帰ってきたと言うべきだろうか…
と俺は心で思いつつベンチを見た。
背番号12のユニフォームを着た
見覚えのある顔にメガネだ。いや、目金だ。

「ふふん、この僕がベンチを暖めておいてあげます!皆さんはグラウンドで尾刈斗相手に頑張って下さいね」

目金がそうベンチで叫んだ。
俺は心で思った…やってることは雑用だけどなぁと…
そんなことを思っていると突然寒気がした。

不気味な雰囲気をした人がグラウンドに集まってくる。
あれが尾刈斗中のメンバーだろう。

「不気味…」

隣で影野が呟いた。

「「お前が言うな」」

俺と半田の言葉が綺麗にハモった。
少し笑いが起きたが、笑いはすぐに消える。

「君達が雷門中のサッカー部員だね」

一つ目の描かれたバンダナをした少年が呟いた。
その後ろには監督と見受けられる大人の姿が見える。
その監督と見受けられる大人が豪炎寺を見る。

「おお!君が噂の豪炎寺くんか!雷門中と帝国の試合見せて貰ったよ、豪炎寺くんのシュートは衰えてなかったね!」

と明るく豪炎寺に話し掛ける。
それを見ていた染岡話す。

「なんか気にいらねぇな、お前たちが戦うのは豪炎寺じゃねぇ!俺達全員だ!」
と少し切れ気味で叫ぶと尾刈斗の監督が言い返す。

「私達は豪炎寺くんと試合がしたくて雷門中との試合を組んだんです。せいぜい豪炎寺くんの足を引っ張らない試合をしてくださいね」

と言葉を残し尾刈斗のベンチに戻った。
染岡が「てめぇ!」と尾刈斗の監督に掛かろうとするが
円堂が染岡を抑える。

「染岡我慢だ!俺達は確かに弱いかもしれない。だけど気持ちでは遥かに勝ってる!雷門のサッカーをあいつらに見せてやろうぜ!」

と染岡に声を掛けている。
時間はどんどん迫ってくる、俺はスパイクの紐を結び直した。

審判団が駆け寄る。

「雷門中の皆さん開始時刻です。グラウンドに集合して下さい」

俺達は円陣を組んだあとグラウンドに整列した。
挨拶の時に俺の前には目に黒いアイラインをした男が並んでいる。

「君、スパイクの紐ほどけてる」

男が俺に話し掛けた。

「本当だ、ありがとな。…いつほどけたんだろ…」

俺が呟くとアイラインの男。

「知らないうちにスパイクの紐がほどけた?まさか…」

男は少し顔を上げると歌い始めた。

「妖怪のせいなのね♪そうなのね♪」

俺はその歌を聞くと鋭いツッコミを入れる。

「確かに同じところだけどそれは駄目だろ!」

と鋭いツッコミをいれた。

俺達は自分達の持ち場に着いた。

FW豪炎寺 染岡
MF雷藤 半田 宍戸 少林寺
DF風丸 壁山 影野 栗松
GK円堂

俺は今日はMFだ。

俺は染岡と豪炎寺の背中を見たあと
ホイッスルの音を待った。

ピーーーー!
雷門対尾刈斗中の練習試合が今、始まった。
 
 

 
後書き
円堂「雷藤さっき何にツッコミ入れてたんだ?」
雷藤「あーそれは、相手の選手が同じところの歌を歌ったから」
円堂「ん?同じところの歌って?」
雷藤「いっていいのか?妖怪○ォッチだよ」
円堂「うん、言っちゃ駄目だな」 

 

尾刈斗の奇術!前編

 
前書き
ついに尾刈斗との練習試合開始です! 

 
「よし、行くぜ」

染岡がボールを豪炎寺に渡し、試合がスタートした。
豪炎寺は後ろの俺にボールを預けた。

「半田!一緒に前線に上がるぞ!」

「ああ!わかった!」

俺がボールを受け取り
半田の気持ちのいい返事とともに前線へ上がる。

俺と半田は相手のMFを交わしながらDFを前にして
俺はパスを出そうとした。
しかし豪炎寺は相手のDFにがっちりマークされている。
対する染岡はマークが一人…。
俺はニヤッと笑った。

「残念だったな!うちのストライカーは一人じゃないんだよ!」

俺は染岡にアイコンタクトを送った。
染岡はアイコンタクトに気付いてニヤッと笑った。

「行けぇ!染岡!」

俺は少し強めのパスを出す。
染岡はそのパスを見事に受けてシュート体制に入った。

「ナイスだ、雷藤!これが俺の力だ!」

染岡の周りに青い龍が具現する。

「うおぉぉ!ドラゴンクラッシュ!」

染岡の必殺シュートが尾刈斗のゴールに襲いかかる。
「なっ…」尾刈斗のジェイソンのような仮面をしたGKは
反応することなく、ドラゴンクラッシュが
ゴールのネットを大きく揺らした。
ポンポンとボールが帰ってくる。
俺達はそれを見て、染岡のもとに駆け寄った。

「染岡!やったな!俺達が先取点取ったんだぜ!」

円堂がガッツポーズしながら染岡に駆け寄った。

「ドラゴンクラッシュ対したシュートだな、俺は大人しくMFのままがいいかもな」

と俺は笑いながら染岡に話す。

「流石はドラゴンクラッシュ、僕が名付けただけのことはあります」

目金が会話に混ざってきた。

「えっ?目金が名前付けたの?」

俺はついつい質問してしまった。

「僕はあらゆるゲームをやりこんでこの境地に達したのです!」

と意味の解らないことを自慢気に話している。
俺は心で(はい、飛ばします)と呟いた。

「染岡!」

半田が染岡にパスを出した。
染岡はそのパスをダイレクトでゴールにシュートを放った。

「ドラゴンクラッシュ!」

ズババァァンとゴールのネットを揺らした。

「「「よっしゃぁぁぁ!!」」」

皆が歓喜の声を上げた。
2ー0俺達が二点差で勝っている。
尾刈斗の方は少し焦っているようだ。

「雷門にあんなシュートを放つ、選手がいるとはデータにありませんでした」

尾刈斗の監督がぶつぶつ呟いている。
急に尾刈斗の監督の雰囲気が変わった。

「てめぇら、何をグズグズやってる!さっさと潰しちまえ!」

と大きな声で叫ぶと、一つ目のバンダナをした少年が話す。

「あーぁ、監督があのモードに入っちゃった。君達は終わったね」

とニヤッと笑いながら、ボールを蹴った。
突如呪文のようなものが聞こえた。

「マレ、マレ、マレトマレ、マレ、マレ、マレトマレ」

「これが例の呪文っスか!?俺怖いっス!」

壁山が叫びながら怯えてる。

「呪文なんて関係ない!皆止めるぞ!」

俺は叫んでボールを取りに行った。
そう、尾刈斗の選手を止めに行ったはずだった。

「何やってるんだ!お前たち!」

風丸の一声で我に返った。

同時に驚いた。俺は何故か半田をマークしていたのだ。

「な、なんで……」

俺が呟くと、後ろから
「そんなのは後回しだ!戻れ!」
という、風丸の声が聞こえた。

俺達は急いで戻る。

その時また呪文が聞こえた。

「マレ、マレ、マレトマレ、マレ、マレ、マレトマレ」

頭がグワングワンしてくる。
尾刈斗の一つ目のバンダナをした少年が呟く。

「そろそろだね」

「ゴーストロック!」

と叫んだ。
グッと足が重くなり足が動かなくなった。
「足が動かない?」俺達が動けないうちにも
尾刈斗はゴールに向かってくる。

「ファントムシュート!」

そしてついに一つ目のバンダナの少年が放ったシュートが
動けない円堂の横に突き刺さった。

その後俺達はゴーストロックを連発されて
何も出来ないまま2ー3と尾刈斗に逆転されて
前半を終了した。 
 

 
後書き
半田「動けなくするなんてありかよ」
雷藤「この世界は理不尽も存在するんだよ」
半田「何だよそれ、雷藤そんなキャラだった?」
雷藤「なんか酷いな」 

 

尾刈斗の奇術!後編

 
前書き
時間空きました!すみません! 

 
俺達はベンチに戻った後、後半の作戦会議を開いた。

「足が動かなくなるなんて…どういう仕組みなんだ」

と俺が呟くと、おどおどしながら壁山が呟いた。

「やっぱり呪いなんスよ!俺幽霊とか嫌っス~!」

それを聞いて円堂は言い返す。

「呪いなんてあるはずない!俺達は何かを見落としてるんだ!」

その後も皆いろいろ意見や仮説を出したりしたが
結局何も解決出来ないまま、後半の開始時刻になった。

後半は尾刈斗のボールからだ。
一つ目のバンダナをした少年─幽谷がボールを後ろに回し
後半がスタートした。
尾刈斗のMFの背番号10を着た狼男のような姿の少年が
どんどん迫ってくる。
そして遂に円堂と1対1になった。

「くらえっ!ファントムシュート!」

狼男のような少年─月村がファントムシュートを放った。

「これ以上点はやれない!」

円堂がそう叫ぶと円堂の手のひらが光った。
あれはゴッドハンドの構えだ。

「頼むぞ!円堂ぉ!」

俺は叫けぶ。

「ゴッドハンド!」

円堂のゴッドハンドが出現した。
バシュ!と音を立てファントムシュートがゴッドハンドに直撃する。
ギュイィィィィンと音が響き円堂の手に見事に収まった。

「よし!行くぞ、カウンターだ!」

円堂はそう叫ぶと前線に大きく蹴り上げた。
そのボールは宍戸と代わったマックスに渡る。

「いけっ!染岡!」

とそのままボールを染岡にパスを出した。
染岡がパスを受け取りシュート体制に入ろうとすると
相手のGKジェイソンの仮面のようなものをした男─鉈が
ぐるぐる手を回し始めた。
気のせいか空間が歪んで見える。

「ドラゴンクラッシュ!」

染岡の渾身のドラゴンクラッシュが鉈を襲う。
が、しかし途中でドラゴンクラッシュの威力が急激に落ちて
GK鉈の手に完璧に収まった。

「なっ…俺のドラゴンクラッシュが…」

染岡は呆然としている。

「この程度のシュート、いくら打ってもこの歪む空間には無意味」

と鉈が仮面で解らないが、多分笑いながら言っただろう。

「俺のドラゴンクラッシュがこの程度だと…」

染岡は地面に崩れ落ちた。
その時俺は違和感を覚えた。
そう、このトリックが解ったかもしれない。
そうこう考えていると鉈がボールを前線に蹴った。

「マレ、マレ、マレトマレ、マレ、マレ、マレトマレ」

その時また呪文が聞こえ始めた。
ボールが幽谷に渡った。

「そろそろ終わらせるよ、ゴーストロック!」

と叫ぶと俺達はまた動けなくなった。

「くそっ!またか!」

半田や風丸が叫んでいる。
そのまま幽谷は悠々とゴールに近付いてくる。

「マレ、マレ、マレトマレ、マレ、マレ、マレトマレ」

また例の呪文が聞こえてくる。
俺は円堂を見ると、円堂は何かを呟いている。

「マレ、マレ、マレトマレ、マレ、マレ、マレトマレ…」

円堂が呪文と同じ言葉を呟いている。

「マレ、マレ、マレトマレ、まれ、まれ、まれ止まれ」

言葉がはっきりしてくる。

「止まれ!?そうかあの呪文は止まれと俺達に暗示を掛けてたんだ!これならどうだ!」

円堂は叫ぶと手を前で大きく叩き
「ゴロゴロドカ────ン!!」と叫んだ。
途端に俺達は動けるようになった。

「ファントムシュート!」

動けるようになった途端にシュートが円堂を襲った。

「ゴッドハンドじゃ間に合わない!それなら…」

と円堂は呟くと右手をグーにしてパンチを放った。

「熱血パンチ!!」

渾身のパンチングでファントムシュートを大きく吹き飛ばした。
その吹き飛ばしたボールが俺に飛んでくる。

「頼むぞ!雷藤!」

円堂は親指を立てて俺に叫んだ。

「任せとけ!」

俺はそう言い残し前線に駆け上がった。

「電光石火!」

俺はことごとく相手を抜きまくった。
俺が相手のGK鉈と1対1になると
鉈はまた手をぐるぐる回し始めた。
だが俺はこのトリックをとっくに気付いている。

(あの手のぐるぐるも一種の催眠術なんだ、だからあれを見ないで打てばいい!)

俺は心の中で呟くと、俺はボールをフワッと空中に上げると
クルッと回転し落ちてきたボールに回し蹴りを当てた。

「うおぉぉ!サンダーキャノン!」

雷をまとった俺の新必殺シュートが鉈を襲う。

「歪む空間は無意味だぜ」

と俺が呟くとシュートはバリバリと音を立てて
鉈ごとゴールに突き刺した。
ピ────! 3対3
遂に同点に追い付いた。
俺の周りに皆が集まってくる。

「雷藤!お前ならやると思ってたぜ!」

と円堂が叫びながら駆け寄ってくる。
すると豪炎寺が俺に話しかける。

「流石だな、お前も気付いていたか」

と微笑む。

「やっぱり豪炎寺も気付いていたか」

俺と豪炎寺は同じ事を考えていたらしい。
それを見た染岡が呟く。

「雷藤に豪炎寺はあの歪む空間のトリックを気付いていたのか…すげぇよお前たちはそれに比べて俺は…」

俺には何と言っているのか聞こえなかったが
染岡は何か決心したように上を向いた。

「皆!あと一点だ!絶対勝つぞ!」

と円堂が笑いながら話すと俺達は自分達の場所に戻った。

「はあぁぁ!」

俺はスライディングで月村からボールを奪った。

「染岡!」

俺は染岡にロングパスを出した。
するとここで鉈が歪む空間の構えを起こした。

(そうか!染岡のドラゴンクラッシュはゴールを見なきゃ打てない!ヤバいな染岡が不利だ)

俺がそう思っていると染岡はシュート体制に入った。

「豪炎寺!」

染岡が叫んだ。
豪炎寺は一瞬解らなかったみたいだがすぐ理解したらしい。

「ドラゴンクラッシュ!」

染岡が放ったドラゴンクラッシュはゴールではなく
空に向かっている。
そこに豪炎寺が炎の渦を巻きながら上昇してきた。

「ファイアトルネード!」

豪炎寺のファイアトルネードが染岡のドラゴンクラッシュと
合体して青い龍が赤い龍に変化した。

「あれは染岡くんのドラゴンクラッシュと豪炎寺くんのファイアトルネードが合体して、まさにドラゴントルネードです!」

と目金が叫んだのが聞こえた。
その赤い龍が鉈を襲い鉈ごとゴールにまた突き刺した。
ピ───! 4対3
俺達は遂に逆転に成功した。
そして次の尾刈斗のボールを隣に渡した瞬間
ピッ ピッ ピ──────
と試合終了のホイッスルが鳴り響いた。
俺達は一瞬走るのを止められなかったが
状況を理解し一斉に走るのを止め
「「「よっしゃぁぁ!」」」と叫んだ。 
 

 
後書き
雷藤「やったな勝ったぜ!」
筆者「おめでとうさん」
雷藤「いま変な声が聞こえたような…」
筆者「イエーイ」
雷藤「なんでお前が出てんだよ!」
筆者「いやお知らせがあって」
雷藤「お知らせ?」
筆者「次回予告!逆襲の尾刈斗!!」
雷藤「んなもんねぇよ!」
筆者「やります。(嘘です)」
  「次回は尾刈斗戦の後のちょっとした話を書きます。ちょっと   短くなるかもです」 

 

新しい仲間と新必殺技?

 
前書き
少しお待たせしました! 

 
──尾刈斗戦から数日後
俺達は部室にいた。

俺達が部室で雑談を交え話をしていると
ガラガラと扉が開いた。
俺達が一斉に扉を顔を向ける。
そこには長身痩せ型の男がいた。

「ちーすっ!俺、土門飛鳥!中2のピカピカの転校生でーす」

といきなり話始めた。

「サッカー部に何のようだ」

と染岡が少し警戒した感じで話し掛ける。

「俺サッカー部入部希望ね!因みに前の学校じゃDFだったぜ!」

と自分に親指を向けて自慢そうに話した。

「おお!入部希望か!歓迎するぜ!えーと、土門だったな、これから宜しくな!」

と円堂が本当に嬉しそうに土門に話し掛けた。

「ああ!宜しく!」

と土門も笑いながら答える。
それから俺達は土門を交え、すぐそこまで迫った
フットボールフロンティアについて話し始めた。

───フットボールフロンティア
年に一回行われる、中学最高峰の大会
全国の勝ち残ったチームで競い中学最強を決める大会だ。

「フットボールフロンティア予選の一回戦どこと当たるんだ?」

俺がそう聞く。

「俺達の初戦の相手は……!!」

円堂が話し始め、俺達は息を呑んで円堂を見た。

「初戦の相手は……」

ゴクリと俺の喉が鳴った。

「わからない!!」

円堂がはっきりと言い切り俺達は思いっきりずっこけた。
俺達がずっこけた体制から戻っていると
またガラガラと扉が開き、同時に声が聞こえた。

「一回戦の相手は野生中ですよ」

と声が聞こえた。

「冬海監督!」

円堂がびっくりしたような
ワクワクしたような目で見る。

「野生中だって?」

豪炎寺が呟いた。

「野生中を知ってるのか?豪炎寺」

すると豪炎寺は話し始めた。

「ああ、一度木戸川の時に戦った。あいつらはフットボールフロンティアでもかなりの強豪チームだ。野生中は空中の支配者と呼ばれている。空中戦ではあの帝国学園をも凌ぐだろうな」

円堂が話の間が出来た時に言葉を発した。

「でも俺達にはファイアトルネード、ドラゴンクラッシュ、サンダーキャノン、ドラゴントルネードこの強力なシュートが4つもあるんだぜ!」

と自慢気に話した。
しかし豪炎寺が円堂の話を聞いて話す。

「いや俺のファイアトルネードでも空中では抑えられてしまうだろう、ドラゴンクラッシュとサンダーキャノンは陸だが野生中のDFには強力なディフェンス技を持つ選手が居たはずだ、多分止められるだろう。ドラゴントルネードも通用するかわからない」

それに続き土門が話し始めた。

「今の雷門のシュートじゃ厳しいかな」

それを聞いた染岡が叫ぶ。

「お前に何が解るんだ!」

土門はそれを聞いて話す。

「俺も前の学校で戦ったけど、あいつらのジャンプは並みじゃないぜ」

部室に沈黙が訪れた。

円堂がいきなり叫ぶ。

「新しい必殺技だ!」

「新しい必殺技?」

俺はそのまま質問として返した。

「簡単に言うがなかなか必殺技は出来ないぞ」

豪炎寺はそう円堂に呼び掛ける。

「とにかく練習だ!」

と円堂が皆に呼び掛け、俺達はグラウンドに出た。

「「「………………………」」」

俺、円堂、豪炎寺は絶句していた。

「シャドーヘアー!」

「ジャンピングサンダー!」

「壁山スピン!」

上から宍戸、少林寺&栗松、壁山だ。
勿論全部試合じゃ使えないだろう。

「今日は練習切り上げないか?」

俺は円堂達に話し掛けた。
円堂も「そうだな」と短く返事をして
俺達は今日の練習を終え
俺、円堂、豪炎寺、風丸と雷雷軒へ向かった。 
 

 
後書き
風丸「腹減ったな」
円堂「本当だな、早くラーメン食いてぇ!」
豪炎寺「そうだな俺も腹が減った」
雷藤「俺は今日は餃子だな」
風丸「俺にも一つくれよ」
雷藤「それじゃ風丸のチャーシューくれよ」
俺達はたわいない会話をしながら雷雷軒に到着した。 

 

秘伝書!?

 
前書き
雷雷軒に向かった雷藤達だが…… 

 
「おい、静かにしろよ」

染岡が俺達に呼び掛け、俺達は皆で頷く。
俺達は今、聞こえは悪いが雷門の理事長室に侵入している。
俺達が何故、理事長室に居るかというと
時間は遡ること、昨日の雷雷軒での出来事が原因だ。

───昨日の雷雷軒

「んー、それにしても必殺技どうするかな」

円堂が呟く。
すると風丸が反応する。

「円堂のおじいさんの特訓ノートには何か書いてないのか?」

その時、雷雷軒のおじさんがちょっとピクッとなったのは
気のせいだろうか。

「んー、じいちゃんの特訓ノートにはゴッドハンドとかは書いてあるけど他の事はあんまり書いてないんだよな」

と話していると、雷雷軒のおじさんが円堂に話し掛けた。

「おい坊主、お前円堂とか言ったな」

円堂がラーメンをすすりながらおじさんを見る。

「そうだよ、それがどうしたの」

「お前さんがさっきから話しているおじいさんの名前はもしかして、円堂大介と言うんじゃないのか?」

と円堂に向かい話す。

「おじさん、俺のじいちゃん知ってるの?」

と円堂が食ってかかるように耳を傾けると
おじさんが笑いながら話し始めた。

「ハハハッ!そうか大介さんの孫か!!」

と話すと、おじさんは話を続いた。

「お前たち新しい必殺技を考えているみたいだな」

俺はその言葉を聞いて餃子を頬張りながら話す。

「うん、そうなんですけど考えてつかなくて…」

「秘伝書がある」

おじさんは何かを呟いた。

「えっ?今なんて言った?おじさん」

円堂がもう一度聞いた。

「秘伝書があると言ったんだ。大介さんが残した秘伝書だ」

俺と円堂、風丸は顔を見合わせ
「「「秘伝書だって!?」」」と叫んだ。
円堂が少し戸惑ったように話す。

「えっ、特訓ノートじゃないの?」

おじさんはまた少し笑いながら

「特訓ノートは秘伝書の一部に過ぎない」

円堂はその言葉を聞いて、椅子から思いっきり立ち上がった。

「おじさん!その秘伝書ってどこにあるの!?」

と真剣そのものの目でおじさんを見つめる。
その瞬間、おじさんは持っていたおたまを
円堂目掛けて思いっきり向けた。
円堂はびっくりして椅子と共にひっくり返った。
円堂は立ち上がり叫ぶ。

「何すんだよ!危ないだろ!」
とムカッとしたのか少し荒い言葉遣いでおじさんに叫ぶとおじさんが話す。

「秘伝書はお前たちに災いをもたらすかもしれないぞ。それでも秘伝書が欲しいか」

円堂はニヤッと少し笑いながら
「ああ!」と返事を返した。

「流石は大介さんの孫だ。いいだろう場所を教えよう、場所は──」

そして今に至る。
何故、秘伝書が理事長室なのかそれは全く持って謎だし、雷雷軒のおじさんが円堂のおじいさんの事を知っていたのか、後から考えると謎ばっかりだ。

「よし開けるぞ」

円堂は金庫のダイヤルを回し始めた。
カチッと音が鳴った。
円堂は引いたり押したりするが開く気配すらしない。

「早くしろってバレたら大変……あっ…」

俺が話している途中で振り向くと
俺はその振り向いた体制から戻れなかった。

「とっくにバレてるわよ」

と女性の声が響いた。
彼女は理事長の娘の雷門 夏未だ。
俺達はその場で凍り付いた。
すると円堂が言い訳を思い付いたのか話始めた。

「いやこれも特訓なんだ!いや大変だなぁ」

俺はいくら何でもそれは無いだろと思っていると。

「そ、そう特訓なんだ!腕力を鍛えるための!」

風丸……。お前いい奴だな…。
俺が風丸の優しさに感動していると
夏未が「はぁ…」とため息をつくと後ろから何か取り出した。

「あなた達が探していたのはコレでしょ」

とノート──秘伝書を取り出した。

「秘伝書!!」

と円堂が駆け寄り秘伝書を受け取った。

「でも意味ないと思うわよ。だって読めないもの」

と最後に言葉を付け足した。
俺達が秘伝書を見てみると本当に読めない…。

「なんだこれ、外国語か何かか?」

と俺が話すと風丸が話す。

「いや、恐ろしく汚い字なんだ!」

俺は風丸の後ろに雷が見えた気がした。

「いくら凄い秘伝書でも読めないと意味ないな」

俺が呟くと、秘伝書を読んでいた円堂が「すげぇ!」と叫んだ。

「ゴッドハンドの極意とか必殺技も書いてあるんだぜ!」

「えっ、読めるの?」

「だってじいちゃんの特訓ノート見てたんだぜ、最初は俺も解らなかったけど、どんどん解るようになったんだ」

と話すと、俺達に秘伝書を向けて話した。

「これだ!イナズマ落とし!二人で協力して打つシュートらしい」

「イナズマ落とし?どんな感じの技なんだ?」

と聞くと説明し始めたが正直訳が分からなかった。
バーンやらドカーン、ビョーンやら訳が分からない。
円堂はどうやら特訓したくてウズウズしているみたいだ。
俺も解らなかったがイナズマ落としに興味あるしな。

「よし円堂もウズウズしてることだしグラウンドで練習しようぜ」

と皆に呼び掛けた。

「よーし!特訓だー!」と円堂が叫ぶと
「「「おおぉぉ────ッ!」」」と皆で声を上げ
グラウンドに向かった。 
 

 
後書き
雷藤「イナズマ落としかぁ」
円堂「イナズマ落としがどうしたんだ?」
雷藤「いや協力技に憧れててね」
円堂「一人じゃダメなら二人でって奴だな!」
雷藤「誰かと協力技作ろうかな」 

 

課題

 
前書き
イナズマ落としの練習を開始したが課題が……? 

 
「────よーし、今日は練習終わりだ!」

円堂の声が疲れた俺達の頭に響く。
日が暮れてきて夕日も隠れようとしている時間帯だ。

今日の練習でイナズマ落としの実行メンバーが選ばれた。
豪炎寺と壁山の二人だ。
豪炎寺の予想だと、イナズマ落としは
二人で同時に飛び一人が土台になってもう一人が
土台を踏み台にして更に飛び上がり
ジャンプの最高到達点でオーバーヘッドキックらしい。
それを聞いた俺と円堂は納得して
豪炎寺の発想の完璧さに感動した。
俺は学校での点数は良くない。
学年の成績順位は二位だ。
………勿論下からだが。
一番下は誰だって?そこのサッカーバカに聞いてくれ。

「ちょっといいか雷藤」

豪炎寺が不意に俺に話し掛けた。

「どうした?豪炎寺」

俺が言葉を返す。

「ちょっとイナズマ落としの練習に付き合ってくれないか?」

と少し遠慮がちに聞いてくる。

「俺が断ると思うか?練習付き合ってやるよ」

と俺がOKを出す。

「すまない、助かる」

と俺に少し微笑み俺達は鉄塔広場に向かった。

「鉄塔広場に来たのは良いけど、どうするんだ?」

と俺が豪炎寺に話す。

「こういうことだ」

と話し鉄塔の横にぶら下がっている木の棒に指を指した。

「ああ、なるほどな」

この木の棒を見ただけで解ったのには理由がある。
それは今日の練習での事だ。

───今日の練習

「よーし、それじゃ一回やってみてくれ!」

円堂が豪炎寺と壁山に呼び掛ける。
今からイナズマ落としの練習をやってみるようだ。

「行くぞ壁山!」

と豪炎寺が壁山に言う。

「は、はいっス!」と返事を返し
同時にジャンプをする、豪炎寺が壁山を踏み台にしようとした瞬間
壁山が下を向き、急に真っ青になって
「こ、怖いっス!!」と叫んでうずくまった。

豪炎寺は踏み台を失い、変な体制で着地したが怪我はないようだ。

「壁山どうしたんだ?」

と俺が壁山に聞く。

「俺高いとこ苦手なんっス!」

壁山はガタガタ震えながら話した。

「下を見ずに豪炎寺だけを見てたら怖くはないさ!」

円堂がそう話し掛けて壁山と豪炎寺は再チャレンジを行った。
がやはり失敗に終わった。

「豪炎寺さんだけを見ようと思っても、つい下を向いてしまって…」

と壁山が話す。

「うーん、壁山以外の奴で土台になれる奴が居ないからな…壁山にはどうにか高いとこを克服して貰わないと…」

と課題を残したまま練習を終えたのだった。

「つまりは足場の悪いところでもジャンプが出来るようにする練習って訳だな」

と俺が話すと豪炎寺は頷いた。

「ああ俺が上手く飛べればイナズマ落としは成功出来るかもしれない」

豪炎寺が呟くと、豪炎寺は木の棒のところに行き
俺も豪炎寺に続いて木の棒のところに行った。

────一時間半後

「「はぁはぁ……」」

俺達は一時間半もこの木の棒で練習している。

「意外と難しいな……」

俺が息を整え話すと豪炎寺。

「ああだが最初に比べたらだいぶ進歩している」

俺達はあと一時間練習して
この日は解散した。

そして日にちが立つのは早く
遂に試合の一日前になった。 
 

 
後書き
豪炎寺「試合まであと少しだな」
雷藤「ああそうだな、課題は残っているが」
豪炎寺「だが俺達は絶対に」
雷藤 豪炎寺「「勝つ!」」 

 

野生中の実力

 
前書き
ついに野生中との試合開始です。 

 
「ついに明日か……」

俺は思わず呟いた。
明日野生中と練習試合ではない
本物のFF予選一回戦が行われる。
今日まで俺達は練習を一時間半増やす練習をしたが
結局イナズマ落とし完成までとはいかなかった。

「やっぱり鍵は壁山だもんな…」

俺は自分のベッドでゴロゴロしていたが
俺は寝転がるのを辞め、着替えて靴を履き外へ出掛けた。

俺がやってきたのは鉄塔広場だ。
何故か解らないが鉄塔広場に行こうという衝動に駆られたからだ。

「やっぱり静かだなぁ」

と俺が呟くが当然だ。
今は夜の11時手前なのだ。
俺は鉄塔を登り夜風に当たりながら
明日に向けて気合いを入れたのだった。

───────試合当日。
俺達はバスで野生中の学校までやってきた。
野生中の学校はまさに自然そのものだ。
この試合には雷門夏未もやってきている。
その夏未が高そうな車から降りてきた時だった。
動物を思わせる声があたりに響いた。

「これが車か初めて見たコケ」

と動物の真似をしているような人がいっぱい現れた。

「あ、あの人達が私達が今から試合をする野生中サッカー部です!」

と音無が俺達に説明しているが
俺は(こんな動物人間と相手するのか)とため息をついた。

そして時間は立ち、試合開始時刻になった。

FW雷藤 豪炎寺 染岡
MF宍戸 マックス 半田
DF風丸 壁山 影野 栗松
GK円堂

が今回のスタメンということになった。

ピ────────!

音が鳴り響きついに試合が始まった。
最初のボールを染岡が俺にボールを渡し
俺がそのまま上がっていく。
DFの手前になったところで俺は高々とボールを蹴り上げる。

「お手並み拝見といこうか!豪炎寺!」

豪炎寺もそれに頷き、炎の渦を巻きながら上昇し
ファイアトルネードを放とうとした時だった。

「やらせないコケ!」

と鶏を想像させる野生中の一年にしてキャプテンの
鶏井 亮太が豪炎寺よりも高く飛んでいた。

豪炎寺は驚きの顔をして「なにっ……」と呟いたときには
ボールが鶏井に渡っていた。
そのまま鶏井は上がっていきチーターを思わせる水前寺にパスを出した。
そしてその水前寺がとんでもなかった。

「速すぎる………!」

目にも止まらぬ高速ドリブルでゴールに向かってくる。
元陸上部の風丸でさえ水前寺に追いつけないのだ。

「おいおいあれじゃチーターというかチートの間違えだろ!」

と俺は虚しく叫んでいると水前寺が鷲のような男をパスを出した。

「コンドルダイブ!」

パスをダイレクトに必殺のヘッドシュートで押し込んできた。
円堂は「決めさせるか!」とゴッドハンドを出そうとしたが
ボールが飛んでいる先にゴリラのような男が蹴りを放つ。

「ターザンキック!」

とシュートにシュートを合わせてきた。

「シュートチェインだ!」

と俺が円堂に叫ぶ。

「ぐっ!届けぇぇ!」

円堂はは熱血パンチを繰り出し
何とかボールを弾き返した。
相手チームが笑っている気がした。

「こんなに差があるものなのか…」

と俺が呟く。
ボールが染岡へと繋がる。

「空中がダメならこれはどうだ!」

とドラゴンクラッシュの体制を取った。
その時だった。豪炎寺が叫ぶ。

「止めろ!染岡!」

と叫んだが遅かった。
相手のDFのライオンに似た男が染岡にタックルをぶつけた。

「ぐわっ!」

と染岡は吹き飛ぶ。

「「染岡!!」」と俺と豪炎寺が近付くと
「ぐうぅ……!」と少し呻きながら足を押さえている。
「救急箱!」と木野が音無に呼び掛け治療を行う。
しかし怪我がひどかったらしく木野は染岡達に話し掛ける。

「この怪我じゃ無理だよ。誰かと変わらないと…」

「土門くん特別に今回は君に譲るよ。べ、べつに怖いとかいう訳じゃないからね」

と土門に目金が話す。

「んじゃやりますか!」

と立って土門はグラウンドに向かった。

out染岡 in土門
out宍戸 in少林寺

そしてフォーメーションも変えた。

FW豪炎寺 壁山
MF雷藤 半田 マックス 少林寺
DF土門 風丸 影野 栗松
GK円堂

染岡が怪我した事により壁山をFWに上げ
俺はMFに入った。
土門もDFに入っている。
FWに豪炎寺 壁山ということはアレ狙いだろう。

「な、なんで俺がFWなんスか────!」
という壁山の叫びが自然豊かなグラウンドを揺らした。 
 

 
後書き
染岡「すまねぇ、また怪我しちまって…」
雷藤「気にすんな、それよりひどくならねぇように冷やしとけよ」
染岡「ああ、あとは頼んだぜ」
雷藤「任せろ、お前の分もやってやるさ」 

 

これがイナズマ落としだ!

 
前書き
野生中とのFF予選一回戦決着です! 

 
俺は壁山が叫んでいるのを半無視して相手の隙を伺っていた。
さっきまでこんな動物人間と……とか思っていた俺は馬鹿だった。
まあ実際に馬鹿だけども。

良く思い出したら豪炎寺は強豪と言っていたではないか。
全く隙が無い。

「これがフットボールフロンティアの壁なのか…」

俺がそんな事を考えていると、またボールが水前寺に渡っていた。
あの高速ドリブルが披露されている。
俺もブロックしに行ったが余りの速さにボールに触れられなかった。

「くそっ!」

俺は言葉をこぼしながら水前寺の後を追うが
やはり距離は遠くなる一方だ。
そして水前寺はまたボールを鷲のような男
───大鷲にボールを回した。

「コンドルダイブ!」

また強力なヘッドシュートをゴール目掛けて放つ。

「熱血パンチ!」

円堂の熱血パンチが炸裂してボールを弾き返した。
がそこに先程のゴリラのような男──五利が現れる。

「ターザンキック!」

今度は円堂の死角となる場所からシュートを放った。
円堂が気付いた時にはゴールの目の前だった。
だが俺はそのゴリラ野郎にいち早く気付いていた。

「はあぁぁぁ!」

俺は電光石火を発動させながら
高速でゴール前に戻っていた。

「やらせるか!」

と俺はクルッと回転して
ゴリラ野郎のターザンキックを俺のサンダーキャノンで
弾き返し、ボールをクリアする事に成功した。

「ナイス雷藤!助かったぜ!」

と円堂が俺に呼び掛ける。

「なかなか手強いな……、ゴールは円堂頼んだぜ!」

と俺は言い残しスローインでボールを持った水前寺に向かった。
高速でまたまたゴールに向かい水前寺が上がってくる。
そこに土門がブロックに入った。

「俺の実力見せてやるぜ!キラースライド!」

土門はそう言い技を放つ。
そのまま見事にスライディングで水前寺からボールを奪った。

「あれは帝国学園の技!?」

と豪炎寺が呟いた気がしたが今はそれどころじゃない。
多分これが前半最後のチャンスになるだろう。
土門は半田にパスを回すと半田は豪炎寺にパスを出した。

「いくぞ!壁山!」

と豪炎寺はイナズマ落としを促す。
一方の壁山は気が進む訳では無さそうだが
豪炎寺と一緒に飛んだ。
その瞬間「ひいぃぃ!」と壁山がまたうずくまり
豪炎寺は体制を崩したが地面に何とか立った。

そして ピッ ピ────────!
前半が終了した。

俺達はベンチに戻ると皆疲れているようだった。

「すみませんキャプテン俺やっぱり無理っス……」

とベンチ戻って来た途端に壁山が俯きながら話した。

「何を言ってるんだ壁山!あんなに特訓しただろ?絶対やれるさ!」

と円堂がエールを送るが壁山がハーフタイムの時間中に
顔を上げることはなかった。

後半が開始して俺達は一層苦しい展開に陥っていた。
コンドルダイブそしてターザンキック。
このシュートチェインが立て続けに円堂を襲っている。
円堂はそれを全て何とか防いでいるが
点を取られてしまうのも時間の問題だろう。
こちらがボールを手に入れては
壁山と豪炎寺のイナズマ落としが失敗し続け
ずっと野生中の攻撃となっている。

「ひいぃぃ!」

まただ。
壁山が怯えながらうずくまる。
そしてボールは大鷲に渡り前線に上がってくる。

「俺達は絶対に負けるわけにはいかない!」

俺が叫ぶと、皆も「負けるかぁ!」と皆で
ゾーンプレスを始めた。
大鷲は思わずバックパス。
だがゾーンプレスには欠点がある。
それは相手の選手よりかなり動いてしまうため
体力をかなり消耗することだ。

「「「はあはあ………」」」

全員体力は限界だが誰一人諦めない。
そう全ては絶対点を取ってくれると信じているから。
それを見た壁山が叫ぶ。

「何故?何故っスか!なんで諦めないっスか!」

その言葉を聞いた豪炎寺は少し言葉を強めて言い放つ。

「俺達が点を決めると信じているからだ」

「でも無理っスよ俺には……」

と後ろ抜きな発言をした壁山に豪炎寺は軽く睨む。

「俺達が諦めたらあいつらの思いを裏切る事になる。俺は仲間を裏切るサッカーはしない」

それを聞いた壁山は呟く。

「皆の思いを裏切る……、俺、皆の思いを裏切りたくないっス!」

キッと前を向き叫んだ。

「コンドルダイブ!」

「ターザンキック!」

シュートチェインをしたボールがゴールを襲う。

「おおおっ!」

と限界を越えている手で円堂は迎え撃つ。

「ゴッドハンド!」

円堂はゴッドハンドを発動させ何とかボールを止めた。
俺の予想だと後半も残り僅か…。
これがラストチャンスだ。

「円堂!」

と俺は叫びボールを受け取った。
俺は前を見た。
最悪の場合、俺がシュートを打とうと思ったが
その心配はなさそうだ。
何故なら壁山がさっきまでとは違う目をしていたからだ。
俺は残りの体力を使って電光石火を放ち前線に上がった。

「頼むぞ!豪炎寺、壁山!」

俺の声が響きわたる。
俺は豪炎寺にパスを出した。

「壁山いくぞ!」

「はいっス!」

とさっきまでは有り得なかった壁山の気持ちよい返事が響く。

豪炎寺と壁山は一緒に飛び上がった。
そこに鶏井が豪炎寺達より高く飛んでいた。

「これが俺の答えっス────ッ!!」

そう壁山が叫ぶと壁山は空に腹を向けた。
豪炎寺がその腹に乗り二段ジャンプをした。
流石の鶏井も二段ジャンプには届かない。

「はあぁ!」

とボールにオーバーヘッドシュートを放った。

「「イナズマ落とし!」」

青い電気を纏ったボールが野生中のゴールに突き刺さった。
ピ────! 笛が鳴り響いた。

「やった!やったスぅ~!」

と泣き目の壁山が叫ぶと豪炎寺が微笑む。

「まさか腹とは思わなかったぜ。壁山にしか出来ない技だ」

とゴールを喜んだ。

ピッ ピッ ピ──────!

試合終了の笛が鳴り響いた。
その瞬間俺は地面に尻餅を突いてしまった。
その俺に手が伸ばされた。

「お疲れ雷藤、皆で掴み取った勝利だな!」

その相手はニカッと笑う姿がよく似合う円堂だった。

「ああ、円堂こそお疲れ様。お前がゴールを守ってくれたお陰さ」

と俺達は勝利の喜びを分かち合った。

フットボールフロンティア予選一回戦
雷門中対野生中 1対0 雷門中の勝利。 
 

 
後書き
雷藤「流石に疲れたな」
円堂「でも勝ったから疲れなんて吹き飛んだぜ!」
雷藤「でもその手すげぇ腫れてるぞ」
円堂「こんなの何ともないさ」
雷藤「これでも?」
俺は円堂の腫れた手を握った。
円堂「痛ってぇ!」
雷藤「ほらやっぱり、ちゃんと冷やせよ」
円堂「へーい」 

 

河川敷の決闘!明かされる雷藤の過去

 
前書き
雷藤の過去の話が出ます! 

 
────野生中との試合から二日後
俺達は河川敷で練習をしていた。

「うおお!ドラゴンクラッシュ!」

染岡が叫びゴール目掛けて蹴る。

スバァーン!と気持ちのよい音と共にゴールネットを揺らした。

「絶好調だな染岡!」

と俺が染岡の肩を叩いた。

「まあなこんなに見られてちゃ恥ずかしいシュートは打てないからな!」

と河川敷を跨ぐ橋を見た。

パシャ パシャ カシャ カシャ
カタカタ カタカタ カタカタ

凄い人が沢山見ている。
野生中に勝ってから俺達の応援が増えたのだろうか?
そう俺が思っているとヴォーンと音が響き
河川敷の坂から黒色の高級そうな車が飛んできた。

「「「うわぁぁぁぁ!!」」」

俺達は一斉にその場から逃げ出す。
そしてその車はグラウンドの中心で止まり
中から見覚えのある顔の人物が出てきた。

「あなた達今すぐ練習を止めなさい」

出て来た人物─雷門夏未の一言目がそれだった。

俺は意味が解らず「なんで?」と聞く。

「あなた達は応援と思っているんでしょうけど、あれは他校の偵察隊よ」

とため息混じりで衝撃の事実を告げた。
嘘だろ…俺結構技使っちゃったよ…。
と心の中で呟いていると
突如、河川敷の坂の所にテレビ局のような車が止まった。
そしてその車から男が二人現れ
グラウンドに降りてきた。

「あの人達は…!」

と音無が持っていたノートパソコンをカタカタ打ち始め
そのノートパソコンを俺達に見せた。

「あの二人は今度対戦する御影専農中学のキャプテンでGKの杉森威とエースストライカーの下鶴改選手です!」

と毎度毎度説明してくれる音無が話した。

その杉森が俺達に向かって話す。

「何故練習を止めた?お前たちが幾ら練習を止めて技を隠しても我々には勝てないというのに」

といきなり失礼極まりない言葉を放った。
その言葉にムカッと来た俺は叫んだ。

「そんなのわかんないだろ!俺達は絶対お前たちに勝つ!」

俺が叫んだの見た下鶴改は嘲笑うかの様に話す。

「これはただの害虫駆除作業に過ぎない、負けることなんてありえない」

害虫駆除作業……?
俺達が害虫とでもいうのか?ふざけるな!

「「てめぇら決闘だ!白黒つけてやる!」」

俺と円堂が同時に叫んだ。
円堂も顔がキレてる。

「ふん無駄な事だがいいだろう」

と下鶴改がどうでも良さそうに話した。

「勝負は一人がシュートを打ち、一人が止める。これで得点が多い方が勝ちだ!」

と円堂が話す。

そして決闘が始まった。
勿論偵察隊も見ているがそんなこと知ったことか。
仲間を害虫扱いされたんだ。許してたまるか!

「それじゃいくぞ」

と下鶴改がボールを蹴りながら
円堂が守るゴールに向かっていく。
その時、下鶴改がシュート体制を作った。
そのシュートフォームは俺達のエースのシュートフォームだった。

「ファイアトルネード!」

「「「なにっ!」」」

皆の口からこぼれた。

「熱血パンチ!」

円堂はファイアトルネードに戸惑いつつ
渾身の熱血パンチを放った。

「ぐっ、ぐわぁ!」

だが円堂の熱血パンチがファイアトルネードに押し負け
ファイアトルネードがゴールネットを揺らした。

「そんな馬鹿な…」

円堂が決まったゴールを見つめる。

次は俺達の攻撃の番だ。
豪炎寺が行こうとしたが
俺は豪炎寺を右手で止めた。

「豪炎寺が行きたいのは解る。だけど俺に行かせてくれ」

と俺が話すと豪炎寺はこくりと頷き戻った。

「いくぞスキンヘッド野郎!」

俺は叫んだのと同時にシュートの体制に入った。

「サンダーキャノン!」

俺の渾身のシュートが杉森を襲う。

「シュートポケット!」

その瞬間、杉森がバリアのようなものを出現させ
俺のサンダーキャノンの威力を吸収して
杉森の手に収まった。

「な、なんだと……」

俺のサンダーキャノンが全く通用しなかった。
杉森はボールを投げ捨てる。

「これでわかっただろう」

と呟くと下鶴改と共に車に乗り帰って行った。

「なんて奴らだ……」

豪炎寺が呟いた。

「誰にも気付かれない練習場所があれば……!」

俺は呟いた。
俺達が落ち込んでいる時
俺には聞き覚えのある声が聞こえた。

「いたいた!お兄ちゃん!」

皆がその方向を向く。

「誰だあの可愛い子は……」

染岡が呟いた。

「確かお兄ちゃんとか言ってたでやんすよ」

栗松もその子を見ている。
そしてその子が降りてきた。

「お兄ちゃん!」

と俺に抱きつく。

「「「お兄ちゃんって雷藤の妹!?」」」

皆が俺を見て叫んだ。

「あれ言ってなかったけ?」

俺が呟くと染岡が「聞いてねぇよ!」と叫ぶ。

「でも本当の妹じゃないよ、名字も違うからね」

俺は妹を見ると「自己紹介しなよ」と話した。
妹は軽く咳払いをして自己紹介をした。

「お兄ちゃんの妹の天空橋 心美っていいます!一応雷門中二年だけど皆私を知らないよね」

そして言葉を続ける。

「お兄ちゃんと二人暮らししてるから毎日大変なの。お兄ちゃんに毎日襲われるからね」

ん?最後おかしいよな?俺がそう思い周りを見ると

「あり得ない」と木野 グサッ

「雷藤さんがそんな人だったなんて」と音無 グサッ

「不潔で最低ね」と夏未 グサッ グサッ

俺は女性陣からボロクソに言われ地面に膝を突いた。
「なんてね!お兄ちゃんにそんな勇気ないよ笑」と心美。
最後完璧に笑が付いていただろ。
と俺が心で思っていると
女性陣が「「「信じてたよ」」」と
さっきとは逆の事を言っているが
これはこれで傷付く。

「なんで他人の二人が一緒に住んでるんだ?」

と円堂が聞いてきた。
俺は少し言うのに躊躇ったが話した。

「俺と心美は小さい頃に両親を無くしてお日さま園って言う孤児施設で育ったんだ。そして11歳になって心美と一緒に今のアパートに移されたんだ。20歳になるまではお日さま園がアパート代を払ってくれるんだ」

と話すと円堂は少し顔を下に向けた。

「そうだ!心美はサッカーが得意なんだ、円堂、心美のシュート受けてみないか?」

と俺が話すと円堂は上を向き
「受けて立つぜ!」と返事を返した。

心美と円堂の1対1の勝負が始まった。

「いくよ!」

心美は叫びシュート体制に入った。
心美がボールに投げキッスを放つと
ボールが浮き上がりボールがハートに変化した。

「エンジェルキッス!」

心美は右足で思いっきりシュートを放った。
心美の必殺シュートが円堂を襲う。

「熱血パンチ!」

円堂も必殺技で対抗する。

「くっ…ぐわあ!」

円堂の熱血パンチを心美のシュートが破り
ボールがゴールに突き刺さった。

「やるなぁ、おまえ!」

円堂が呟く。
心美はガッツポーズをして俺を見た。

「やったぁ!決めたから今日の夜ご飯オムライス宜しくね!」

と俺に叫ぶ。

「はいはいオムライスね、りょーかい、で今回はケチャップで何を書けばいいんだ?」

と俺が話すと心美は「猫さんがいい!」と話した。
周りが俺達を見ている。

皆は一斉に心で
「「「これはかなりのブラコン&シスコンだな」」」と呟いた。 
 

 
後書き
心美「オムライス♪オムライス♪」
雷藤「俺のオムライスそんな旨いか?」
心美「旨いって言われたら何とも言えないけど…」
雷藤「だよな…」
心美「お兄ちゃんが作るものなら何でも嬉しいから!」
雷藤「良いこと言うな心美!よしオムライスにプラスで心美の好きなポテトサラダも作ってやろう!」
心美「やったぁ!」 

 

イナビカリ修練所

 
前書き
シスコンが判明した雷藤ですが、暖かい目で見てやって下さい。
今回短いです、すみません。 

 
「呼んどいてまだ来ないのか」

染岡が呟いた。
俺達は夏未にここで待つようにと言われ
ここで待っているが一向に来る気配がない。
『ここ』というのは雷門中の七不思議の一つ
【開かずの扉】の前に俺逹はいた。
前回の御影専農との決闘で惨敗してから
既に二日が立っていた。
しかしこの二日で雷門中サッカー部が
更に賑やかになった。

理由は二つ。
一つ目は、俺の妹の心美とそして今俺達を待たせている夏未が雷門中サッカー部のマネージャーとして加わったのだ。心美はサッカーの知識はあるが、あの夏未お嬢様はどうなのか。いろいろ不安もある。

二つ目は【イナズマイレブン】についてだ。
俺達は事務の古株さんというおじさんから、イナズマイレブンについて教えて貰った。今から四十年前に雷門中サッカー部に存在したメンバーらしい。古株さん曰わく、世界にも通用したと豪語していた。
俺達はイナズマイレブンにとても興味を持ち
イナズマイレブンを目標にしたのであった。

ギッ ギギギィィィ

いきなり変な音が響き、俺の脳内解説を止めた。
俺も見ている光景には苦笑いが起きてきた。
雷門中七不思議の開かずの扉が開き始めているではないか。
そしてギィィィィィと扉が開き中から人影が見えた。
その瞬間、壁山や栗松、目金などが叫ぶ。

「「「ギァャャャ出たぁぁぁ!!!」」」

しかし中から出て来たのはお化けでも幽霊でもない。
出て来たのは夏未だった。

「揃っているわね」

夏未はそう言い俺たちを見渡す。
状況が理解出来ず困惑していると円堂が夏未に問う。

「こんなとこに呼び出してどうしたんだ?」

「あなた達には特訓して貰います」

それを聞いた染岡は呆れたように夏未に言い返す。

「特訓が出来ないから困ってんだろ?」

染岡の言葉を予想していたように
夏未はふっと笑って話した。

「ここで特訓して貰います」

と開かずの扉…いや開いてしまった扉を指差す。

「名前はイナビカリ修練所です」

夏未が呟くのを合図に
俺達はイナビカリ修練所に入った。

「こんなとこがあったなんて」

「このイナビカリ修練所はあのイナズマイレブンが使っていた場所です、ここでイナズマイレブンの必殺技が生まれていったのよ」

俺の独り言にそう返事を返す夏未。
その聞いて円堂は驚いたように反応する。

「イナズマイレブンが!?くぅ~!イナズマイレブンと同じ特訓が出来るなんて感激だぜ!」

と叫ぶと円堂は特訓しようぜ!と言わんばかり目でウズウズしている。

「頑張ってねお兄ちゃん!」

心美が俺にエールを送る。

「ああ!一回り大きくなって出て来るぜ!」

と俺は言い返すと修練所の扉が閉まった。
さあ!特訓始まりだ!
俺は心で呟くと特訓を始めた。

そして数時間後───────

ウィィ───ン扉が開いた。
マネージャー四人が開いた扉に近付いて来る。

「大丈夫だっ……キャァ!」

と木野が叫んだ。
当然だ。俺達は超ボロボロなのだ。
特訓が並みじゃない。
まだ体に羽が生えたように軽いがあまり動けない。

「救急箱を音無さん!」

と音無に言うと
音無はもう救急箱を持ってきていた。
俺達は治療を受けた。

「すげぇ特訓だったな…」

俺がそう足を伸ばしながら話し掛ける。

「ああ!俺のスピードが上がりそうだ」

「今度はもっとやってやるぜ!燃えてきたぁ!」

と風丸と相変わらずのサッカーバカが叫んだ。
俺達はこの途轍もない特訓を毎日続けた。

そして御影専農との
フットボールフロンティア予選二回戦当日になった。 
 

 
後書き
雷藤「ついに当日になったな」
円堂「ああ!特訓の成果見せてやろうぜ!」
雷藤「待ってろよスキンヘッド野郎!!」 

 

激突!御影専農!前編

 
前書き
御影専農との試合開始です! 

 
「なんだここは……」

俺は思わずそう口に出してしまう。
俺達は御影専農の学校に来ていた。
だが学校のグラウンドというには普通じゃない。
アンテナなどの器具でいっぱい埋まっているのだ。

「確かにこの間は俺の負けだった。でも試合はチーム同士の戦いだ。力を合わせれば絶対にチャンスはある!ガンガン攻めていこうぜ!」

と円堂が気の引き締まる掛け声を俺達に掛けた。

「「「おおっっ!!」」」

俺達も掛け声に負けない気の引き締まる返事を返した。

「両校整列!!」

審判の声がグラウンドに響いた。

今回のスタメンは
FW雷藤 染岡 豪炎寺
MF半田 マックス 少林寺
DF風丸 土門 壁山 栗松
GK円堂
の布陣で挑む。

そして試合開始のホイッスルが
ピ────────! 吹かれた。

染岡が豪炎寺にパスを出し始まった。
豪炎寺がワンツーで染岡にボールを返すと
染岡が早くも切り込んでいく。
そして染岡の前に下鶴が立ちふさがる。

「へっ、抜いてやるぜ!」

染岡が叫び抜きにかかった。
が下鶴は動くこともせず不適な笑みを浮かべた。
その時GKの杉森が叫ぶ。

「ディフェンスフォーメーション【ガンマスリー】発動!」

その言葉が響いた途端に
俺達に付いていたマークが一気に外れ
マークしていた奴らがゴールに向かった。

「豪炎寺!」

染岡が豪炎寺にパスを出した。

「よし!」

豪炎寺がボールを受け取り前を見た。

「なっ……」

豪炎寺は動かなかった。
いや動けなかった。
豪炎寺の前にはさっきまで俺達をマークしていた
選手が六人、豪炎寺の前を塞いでいた。
まさに豪炎寺の動きを予想していたような動きだった。

「豪炎寺こっちだ!」

染岡が叫ぶのを見た豪炎寺は
染岡にパスを出す。

「もらったぜ!」

と染岡が叫びゴールを見据える。

「ドラゴンクラッシュ!」

染岡のシュートがゴールを襲う。
俺は見たあり得ない光景を。
ゴールの前に四人の選手が現れシュートを受け
ドラゴンクラッシュの威力をどんどん落としていく。
パシン。虚しい音が響いた。
杉森の手にドラゴンクラッシュは完璧に収まる。

「なっ何!?」

「なんだ今の守備は!?」

豪炎寺、染岡が驚いている。

「驚くことじゃない。君たちの攻撃は完璧にデータ通りだ。簡単に予測出来る」

杉森が俺達の心を見透かしたように話した。

「ドンマイだ染岡!まだ試合は始まったばかりだ、早く攻撃に備えろ!」

と円堂の声が響いた。
全く円堂の言葉は説得力あるなぁと俺は思った。

「おお!」

染岡も次の攻撃に備え戻っていく。

だがあの杉森も凄いが他の選手もハイレベルだ、油断できないな。
俺は自分に言い聞かせ俺も戻る。

杉森が蹴ったボールを下鶴が受け取り
前線に上がってくる。

「行かせない!」

風丸がスライディングを仕掛けボールを奪った。
風丸ってあんなに足早かったけ?と思ったが
そうだな俺達はあんな鬼畜な特訓をしてたんだ。
と俺も風丸と一緒に上がっていく。

「半田!」

風丸が半田にパスを出す。
しかし半田がスライディングで取り返され
どんどん迫ってくる。
栗松とマックスがいとも簡単な抜かれてしまう。
ついにゴール近くまで上がってきた。

「こいつは俺に任せろ!皆は11番をマークしてくれ!」

円堂が叫んだ。

「「おおっ!」」

風丸と壁山が返事を返しマークに入ったが
相手がパスを出した相手は下鶴ではなく
背番号9番の山岸だった。

「逆か!」

円堂が叫ぶ。
その瞬間、山岸がシュートを放った。
ゴールの右端ギリギリに放ったが
円堂がキャッチしピンチを凌いだ。
だが円堂は投げれなかった。
もう相手チームは風丸達のマークに付いていた。
だが少林寺と風丸がマークを抜け出し上がっていく。

「行くぞ!風丸!」

円堂が風丸にパスを出した。

「豪炎寺!」

風丸の綺麗なパスが通る。
豪炎寺は駆け上がり炎の渦を巻き上昇する。

「ファイアトルネード!」

豪炎寺のファイアトルネードが杉森を襲う。

「シュートポケット!」

バリアがファイアトルネードの威力を奪う。
だが完全には防げず弾く。

「まだだぁ!」

俺はこぼれ球に反応しシュートを放った。

「サンダーキャノン!」

雷のシュートがゴールに向かう。

「シュートポケット!」

一度は破ったと思ったがまた弾かれた。

「くそっ!」

「まだまだ!いくぞ豪炎寺」

と弾かれたボールに染岡と豪炎寺が反応する。

「「ドラゴントルネード!」」

豪炎寺と染岡の合体技が炸裂する。

「シュートポケット!」

赤い龍がバリアを砕くが杉森によって弾かれる。

「これでもダメなのか!」

染岡が呟く。

「豪炎寺さん!」

今度はDFから上がってきた壁山が叫ぶ。

「よし!」

と豪炎寺が呟き、壁山と一緒に飛び上がる。

「「イナズマ落とし!!」」

豪炎寺がオーバーヘッドシュートを放った。

「おお!ロケットこぶし!!」

バシン!!とイナズマ落としをも弾き返した。

「シュミレーションではシュートポケットで対応出来たのに」

杉森が呟く。
杉森が投げたボールがMFを通しFWに渡る。
山岸が受け取りシュートを放つ
ように見えたが下鶴へのパスだ。
そして下鶴がシュートを放った。

「熱血パンチ!」

円堂の熱血パンチで辛うじて防いだように見えたが
弾いたボールに山岸が頭で合わせた。
ふわっとゴールネットが揺れた。
ピ─────────!

「くっそぉぉ!」

円堂が地面に膝を突き地面を叩く。
1対0 先制点を奪われてしまった。

ピ──!

笛が響いた。
染岡─豪炎寺─染岡
とボールを渡し合い攻めようとしたが
山岸が染岡からボールを奪いバックパスをした。
下鶴がボールを受け取り
キーパー杉森にボールが渡った。

「まさか…あいつら…」

そして俺の嫌な予想が当たってしまうこととなる。

相手は戦いには来なかった。
ボールをゆっくり回し時間を稼いでいる。

「くそっ!いいのかよこんな試合で!いいのかよ…!」

俺が怒りを込めた言葉を放つが
なんの解決にもならない。
そして ピッ ピ───────!

何も出来ないまま前半が終了してしまった。 
 

 
後書き
染岡「くそが!」
雷藤「……っ!」
豪炎寺「まさか戦いに来ないとは…」
風丸「どうすればいいんだ……」 

 

激突!御影専農!後編

 
前書き
御影専農中との試合決着です! 

 
~ハーフタイムベンチside~

「どうしよう先取点取られちゃったよ…」

心美が呟いた。

「大丈夫よ、彼らはイナビカリ修練所での特訓で一回り大きく成長したのだから」

夏未が腕を組んで話す。

「あの…あそこではサッカーの特訓は出来なかったんですけど…」

心美が苦笑いの状態で夏未に話した。

「あら、そうなの?無駄な投資だったかしら…」

夏未が呟いた。

~ハーフタイム雷藤side~

「杉森!」

円堂が叫んだ。
杉森は無言でこちらを向いた。

「なんで攻撃しないんだよ!あれじゃサッカーにならないだろ!」

円堂が怒りを込めて話す。

「それが監督命令だ」

しかし杉森は監督命令と淡々と話す。

「なんだって?」

俺が呟いた。

「十点差でも一点差でも同じ勝利だ、リスクを侵さずタイムアップを待つ」

杉森はそれが当たり前と言わんばかりに話した。

「何もかも計算通りに行くと思ってんのかよ!」

俺が叫んだ。

「君達のデータは全て把握していると言ったはずだ。俺からはゴールを奪えない、お前たちの負けだ」

杉森が表情を変えることなく話す。

「そんなの解るもんか!勝利の女神は勝利を強く信じる方に微笑むんだ!」

円堂が真剣な顔で杉森に話す。

「データに無いことはけして起こり得ない」

「データ、データってそんなサッカーやって楽しいのか!」

円堂が叫んだ。

「楽しい…?」

杉森が楽しいの意味も解らないように首をひねる。

「そうさサッカーは楽しいもんだろ!仲間とボールを通して通じ合う素晴らしいものだ!」

「素晴らしい…?、君の意見は理解不能だ」

「不能…?それはこっちの台詞だ!お前たちにもう一度本当のサッカーを思い出させてやる!」

俺は人差し指を杉森に指し叫んだ。

ピ───────!

そして後半がスタートした。
山岸が下鶴にパス、そしてバックパス。
前半と同じ様に戦いには来なかった。
しかしちょっとおかしい。
杉森が急に呟き始めた。

「監督しかし私のプログラムにラフプレイはインプットされていません。作戦の変更をお願いします。」

杉森がぶつぶつ呟く。

「ですが敵ユニットを機能停止させるのはサッカーではありません。実行は不可能です、実行は…」

杉森がまだ何か呟いていた。

「どうする?俺も上がろうかー?」

土門が円堂に向かって話す。

「くそっ!攻めてこないんじゃここにいたって仕方ない!」

円堂はそう呟くとゴールから離れ前線へ駆け上がっていく

「えぇ~!!」

土門が驚きのあまり叫ぶ。

「だぁぁぁぁぁぁ!!」

円堂がどんどん上がってくる。

「ああぁぁ~」

土門が急いでゴールの守りに入る。
円堂は駆け上がると山岸と下鶴からボールを奪った。
そして円堂はそのまま上がっていく。


「なんだと!」

杉森が叫ぶ。
「いくぞ!だぁぁぁぁ!」

円堂が叫びながらシュートを放った。

「何故だ、データに無い、君のシュートはデータに無いぃぃ!」

と杉森が叫びながら円堂のシュートをキャッチする。

「くっそぉぉ!」

と円堂が叫ぶが
その表情は何故か楽しそうだ。

「何故お前が攻撃に参加する」

「点を取るために決まってるだろ!それがサッカーだ!」

「円堂ぉぉ!早く戻れぇぇ!」

と後ろから染岡の叫び声が聞こえる。

「久し振りのシュート楽しかったぜ!」

と円堂は話すと笑いながら戻っていく。

「理解…不能だ……」

その時杉森は円堂が話した
『久し振りのシュート楽しかったぜ!』という言葉が
頭の中で響いていた。

「オフェンスフォーメーション【シルバワン】だ!」

と杉森が叫んだ。
杉森は叫び前に大きくボールを蹴った。
ついに御影専農が動いたのだ。
御影専農の背番号10がボールを受け上がっていくが
壁山のフェイントでボールを奪った。
そのボールをマックスが貰い上がっていく。

「松野さん頼んだっス!」

と壁山が叫んだ。
マックスがディフェンスに入った選手をターンで華麗に避ける。

「こっちだ!」

豪炎寺が叫んだ。
がしかし下鶴がマックスにスライディングを仕掛けボールを奪う。

「来るぞ!」

円堂がそう言い構える。

「パトリオットシュート!」

下鶴が空中にボールを蹴り上げた。
そのボールが空中で火を噴きロケットのように
円堂が守るゴールを襲う。
円堂が渾身のパンチで止めに行くが、しかし。

ピ──────!

ボールがゴールネットを揺らした。
2対0 追加点を許してしまった。
俺は膝を突く。

「くそっ…俺が下鶴のマークに付いていたら…」

「雷藤」

豪炎寺が俺に話す。

「まだ試合は終わってないチャンスはまだある。今の反省を次に活かせばいい」

俺はその言葉を聞いて点を決める方法を思い付いた。

「ありがとう豪炎寺。お陰で良いことを思い付いた、壁山も来てくれ」

と俺が豪炎寺と壁山に作戦を告げた。

「なるほどな」

「わ、わかったっス、俺やってみるっス!」

「今度は俺達の攻撃のターンだ!」

俺はそう相手に向かい言い放ち
グラウンドの中心に戻った。

ピ───! 笛が響き俺は染岡からボールを貰い上がっていく。
その後ろからは豪炎寺、壁山が上がってくる。
下鶴、山岸がディフェンスに入る。

「はぁぁ!電光石火ぁぁ!」

俺は今出せる最高の電光石火を放ち二人を抜いた。
そして杉森を視界に捉える。
俺はバックパスをし、豪炎寺にボールを渡した。

「いくぞ壁山!」

豪炎寺が叫び一緒に飛び上がる。

「イナズマ落としはデータ通りだ!私には通用しない!」

杉森が叫ぶ。

「そうイナズマ落としはデータ通りだろうな、だけどそれはただのイナズマ落としだったらの話だ!」

俺はニヤッと笑い叫びながら飛んだ。
豪炎寺は壁山には乗らずそのまま着地する。
代わりに俺が壁山の腹に乗り二段ジャンプをする。
そしてオーバーヘッドキック。

「くらえぇぇ!イナズマ落としR!」

俺と壁山の協力シュートが杉森を襲う。

「こんなのデータに無いぞぉぉ!」

杉森は叫びボールを止めようとするが遅い。
スバァーンと紫の電気を帯びたシュートがゴールネットを揺らした。
ピ─────! 1対2 ついに反撃に成功した。

ピ────! 今度は御影専農のボールからだ。
山岸、下鶴の二人でどんどん攻めてくる。

「パトリオットシュート!」

下鶴が先程円堂からゴールを奪ったシュートを放つ。

「くそっ!」

円堂がゴールから離れまた上がる。
だがこれでは完全にゴールががら空きだ。

「豪炎寺!こっちだ!」

と守りにきていた豪炎寺に叫ぶ。

「円堂なにをするつもりだ!」

豪炎寺が円堂に問う。
そしてパトリオットシュートが火を噴きゴールを襲う。

「止まるな!シュートだ!」

円堂が叫んだ。

「なっ、何!?」

流石の豪炎寺も驚いている。

「俺を信じろ!」

円堂が叫び前を向く。

「いくぜ!」 「おう!」

と円堂と豪炎寺が声を掛け合い
円堂が右足、豪炎寺が左足でシュートを放った。

「「イナズマ1号!」」

物凄いロングシュートが杉森が守るゴールに向かう。

「なにっ!?この数値は我々の知るデータを遥かに越えている!あり得ない!あり得るかぁ!!」

と叫び両手を前に出し必死に止めようとするが
シュートのパワーが勝り杉森ごとゴールに叩き込んだ。

「ぐわぁぁぁ!!」

ピ────! 2対2 同点に追い付いた。

「やったぜぇ!守備と攻撃が同時なら奴らも対応出来ないんだ!」

「ああ、あんな技が決められるなんて!」

豪炎寺も驚きつつも得点を喜んでいる。

「本当だ、何だか身体が軽いとは思ったけど」

と円堂はそう言いながらみんなを見渡す。
ベンチも抱き合い喜んでいる。

ピ──────!御影専農のボールで始まり
山岸、下鶴で前線へ上がろうとしたが
少林寺がボールをカットした。

「少林寺があんなに飛べるのも、半田、マックス達があんなに早く動けるのも、イナビカリ修練所での特訓が俺達、皆の身体能力をレベルアップさせていたからなんだ!だからさっきのシュートも!」

「いくぞ豪炎寺!円堂と豪炎寺が1号なら…!」

俺が叫んだ。

「俺と雷藤は…」

「「2号だぁぁ!」」

二人で同時に叫び同時に蹴る。

「「イナズマ2号!」」

紫の電気と青の電気を纏ったシュートが杉森を襲う。

「シュートポケットぉぉ!」

杉森が渾身のシュートポケットを発動させる。

「ぐわぁぁぁ!」

俺と豪炎寺が放ったイナズマ2号は
シュートポケットを完璧に砕きゴールに突き刺さった。
ピ─────!
ついに逆転に成功した。 3対2
ワァァァァ!と会場がわく。
「やりましたねぇ!」とベンチで目金が叫ぶ。

そして御影専農からのボールだが
そのボールをまたしても少林寺が奪う。
その瞬間、御影専農の選手が一斉に額の近くの
通信機のようなものに触れた。

「監督との通信リンクが切断された…?」

杉森が呟いた。
御影専農の選手は口をそろえて呟き始める。

「終わりだ…」

「我々は敗北する…」

という声も聞こえた。

「敗北…負ける?」

杉森が呟いた。

「うらぁぁぁ!ドラゴンクラッシュ!」

染岡のドラゴンクラッシュが杉森を襲う。

「ぬわぁぁぁ!」

杉森は叫びながら
シュートポケットを発動させた。
染岡のドラゴンクラッシュがシュートポケットを破壊し
杉森を襲う。

「負けたくない!俺は負けたくないっ!」

杉森が叫びながらシュートを両手で止めた。

「皆も同じだろう、最後まで戦うんだ!」

と杉森が叫ぶと
御影専農の選手が全員通信機を外した。

「最後の一秒まで諦めるな!」

杉森が叫んだ。

「面白くなって来たぜ!」

円堂も叫んだ。
このあとも白熱した戦いで両校譲らなかった。

「ファイアトルネード!」

豪炎寺が決めに行った時だった。
下鶴もファイアトルネードを発動させ
二人のファイアトルネードがぶつかり合った。
二人とも地面に墜落し下鶴が杉森にパスを出し倒れた。
豪炎寺も倒れたまま動かない。

杉森が「うおぉぉぉ!」と叫びながら
センターラインを越え上がってきた。
先程の円堂と同様に上がってくる杉森。
さては円堂の熱さが移ったな?

「いくぞ円堂ぉぉ!」

と叫びシュートを放った。

「ゴッドハンド!」

キュイーン…バシン…ッ!

円堂のゴッドハンドがシュートを止めた。

ピッ ピッ ピ──────!
その瞬間、勝利の笛が鳴り響いた。

「杉森またサッカーやろうな!」

円堂が微笑みかけ手を出す。

「ああ、また」

杉森も微笑みながら握手を交わした。

フットボールフロンティア予選二回戦
雷門中対御影専農中 3対2 雷門中の勝利
雷門中予選準決勝進出。 
 

 
後書き
雷藤「激戦だったな…」
円堂「ああ楽しかったな!」
雷藤「やっぱりお前サッカーバカだな、この疲れ知らずめ!」
円堂「ありがとな!」
雷藤「褒めてねぇよ!」
円堂「ちょっと聞いていいか?」
雷藤「おう」
円堂「なんでイナズマ落としRなんだ?」
雷藤「イナズマ落としR(雷藤ver)って意味さ」
円堂「なるほどな」 

 

準決勝の相手

 
前書き
何とか御影専農に勝った雷門中、しかし…? 

 
「「「えぇぇぇぇぇ!!」」」

俺たちの悲鳴にも似た叫びが部室に響いた。

「えっ?今なんて言った‥‥‥‥?」

俺はさっきの言葉は聞き間違えだろうともう一度聞いてみる。

「この間の御影専農との試合で下鶴とファイアトルネードを打ち合ったせいで、すまん怪我をしてしまった」
豪炎寺が話す。

「で、でも次の試合までには間に合うよな?」

俺がそう豪炎寺に話す。

「すまないドクターストップなんだ‥‥」

「う、嘘だろ‥‥‥」

俺は虚しく呟いた。

「すまん」

豪炎寺はタクシーに向かいながら俺たちに呟く。

「気にすんなって!準決勝は俺たちに任せとけって」

円堂が豪炎寺に向かい話す。

豪炎寺は頷きタクシーに乗り込み病院に向かった。

「準決勝は豪炎寺抜きか……」

豪炎寺が去った後、つい俺の本音が出てしまった。

「せっかく凄いシュート編み出したのになぁ」

と土門が呟いた。

「イナズマ1号、イナズマ2号だろ?」

円堂が呟くと言葉を続ける。

「秘伝書に載ってたんだ!GKとFWの連携シュートと熱い想いを抱く二人のFWの連携シュート!じいちゃんも考えてたんだよ同じ事!」

と開いていた秘伝書をパタン閉じ話した。

「やっぱりすげぇぜ!じいちゃんは!」

円堂が興奮したように話す。

「豪炎寺が居れば準決勝でも使えたのになぁ」

半田が呟くと周りが「はぁぁぁ…」とため息をついた。

「豪炎寺が居なくたってお前らなら大丈夫だろ」

「土門?」

円堂が不思議そうに土門を見た。

「いざとなったら俺が出るしさ!」

と軽く笑い土門が話した。

「そうだな俺たちで頑張らなくちゃ!早速練習だ!」

「「「おおおっ!」」」

と叫び練習に向かった。

─────次の日

俺たち全員は部室にいた。

「地区予選準々決勝の尾刈斗中対秋葉名戸学園、この試合に勝った方と準決勝で戦う事になるわ!」

マネジャーの木野が準決勝で戦うかもしれない二校の話をしている。

「尾刈斗中って……」

「あいつらか……」

「猛特訓の末に相当戦力を強化したそうよ」

「あいつらがさらに特訓を!?」

「で?相手の秋葉名戸学園ってのはどんなチームなの?」

夏未が木野に質問する。

「学力優秀だけど少々マニアックな生徒が集まった学校…。フットボールフロンティア出場校中、最弱と呼び声が高いチームで…な、何これ!?」

説明をしていた木野がいきなり少し顔の赤らめ叫んだ。

「どうしたー?」

俺が椅子の腰掛けに顔を乗せながら話す。

「尾刈斗中との試合前もメイド喫茶に入り浸っていた、ですって!」

木野が叫ぶと1人の男が叫んだ。

「めっ、メイド喫茶ですと!?」

目金だ。

「「なに、それ」」

心美と夏未が同時に呟き目金に冷たい視線を送った。

「そんな連中がよく勝ち進んで来られたねぇ」

とマックスが呟く。
全くもってその通りだ。俺は心でマックスと同じ事を思っていた。

「これは準決勝の相手は尾刈斗中で決定でやんすね!」

「だけど今回は豪炎寺が居ないんだ……前みたいには……」

俺が呟いた、その時だった。

「大変です!大変です!」

音無が叫びながら部室に入って来た。

「どうした?」

円堂が音無に声を掛けた。

「今、準々決勝の結果がネットにアップされたんですけど………」

「尾刈斗中が負けたぁ!?」

円堂が叫んだ。

「あの尾刈斗中を倒すなんて……」

俺が呟いた。

「一体秋葉名戸学園ってどんなチームなんだよ…」

「これは行ってみるしかないようですね…メイド喫茶に!」

目金が興奮気味に話す。

「秋葉名戸学園とやらがあの強豪尾刈斗中を破った訳がきっとあるはず、その訳がメイド喫茶にあると僕は見ました…」

まだ目金は言葉を続ける。

「行きましょう!円堂くん!」

目金が叫んだ。

「で、でも」

と円堂は何か言いかけるが

「僕達は秋葉名戸学園の事を何も知りません、これは…これは試合を有利に進める為の情報収集なのですよ!」

と目金が胸を張って叫んだ。

「なるほど…よし行ってみようぜ!」

と、何故か目金の言葉に納得した円堂が叫んだ。

「まじかよ………」

俺は呟いた。

「単純……」

夏未も呆れたように呟いた。
そして俺たちは何故かメイド喫茶に向かうことになったのだった。 
 

 
後書き
雷藤「なんでメイド喫茶に行かなきゃ行けないんだ…」
心美「お兄ちゃん」
雷藤「ん?」
心美「鼻の下伸ばしたら怒るからね!」
雷藤「伸ばさないって!」
心美「本当に!?」
雷藤「ああ俺には心美がいるからな!」
心美「お兄ちゃん……!」
全員「「「本当凄いブラコン&シスコンだなぁ」」」 

 

メイド喫茶で生まれた絆

 
前書き
メイド喫茶に来た雷藤達は…… 

 
俺たちはメイド喫茶の自動ドアの前に着いた。
ウィィィーン メイド喫茶の自動ドアが開いた。

「おかえりなさいませご主人様♡」

自動ドアが開いての第一声は予想通りの台詞だった。

「13名様ですね!こちらにどうぞぉ〜」

俺たちはメイドについて行き奥の席に座った。

「これが…メイド喫茶…」

円堂が恥ずかしそうに顔を埋め呟く。

「ご注文は何に致しますか?」

メイドが俺たちに注文の品を尋ねる。

「えっ、あ、はい?」

円堂があまりにもいつもの円堂と違うので笑えてくる。
まぁ俺も対象外ではないが。

「ご注文は決まりましたか?」

俺にも注文を聞いてくる。

「えっ…あ、まだです…」

俺がそう呟くと俺と同じテーブルの半田が俺に話し掛ける。

「おいおいそんなんじゃ心美ちゃんに怒られるぞ」

「うっせぇー!」

俺は少し心美に嫌われるのではないかと冷や汗をかきつつ
商品のラインナップに目を移す。

「な、なんだよこれ……」

思わず言葉が出てしまった。
言葉に出すのが恥ずかしい名前が沢山ある。

例えばソフトドリンクで
ピンクのときめきミルクティー
麗しの君ジャスミンティー
魅惑のドキドキハーブティー
メイドさんと一緒♡萌え萌えココア♡♡
寝起き最悪ご主人様☆お目覚めコーヒー
など、まだまだ沢山あるが流石に心の中での説明でも恥ずかしい。

「ご注文は何に致しますかぁ〜?」

そういやメイドを待たせてるんだった。

「えぇーと、じゃあこれで…」

俺が適当に指を指し答えた。
その時メイドがすぐ近くまで寄ってきて

「どちらですかぁ〜?」

さすがに今のは緊張した。

「ぴ、ピンクのと、とき…」

俺がそこまで呟くとメイドが

「ピンクのときめきミルクティーですね!かしこまりましたぁ〜」

と話し戻って行った。

どっと疲れた………。
円堂もどうやら俺と同じで疲れが伺える。

「いけませんねぇ〜、メイド喫茶に来たなら彼女達との交流を楽しまなければ、緊張していれば逆に彼女達に失礼ですよ」

と目金が話しメイドに注文する。

「あぁ、僕はときめきピコピコケーキセットを…!」

目金があまりにもスムーズに言うので
目金の前の席の染岡が唖然している。

「かしこまりましたぁ〜ご主人様ぁ♡」

とメイドが注文を承る。

「「「馴染んでやがる!!」」」

皆が同時に呟くと
目金が眼鏡に軽く触れた。
その時目金の後ろから声が響いた。

「君見所があるね」

目金がその声に反応して後ろを向いた。

「君たちは………」

目金が呟く。
そこには変な男が二人立っていた。

「君に見せたい物があるんだ、ついて来たまえ」

俺たちはその変な人物について行き
エレベーターでB3と書いてあるフロアに来た。

「さぁ入ってくれ」

太った変な人物の一人が呟く。

「あ、あぁ……」

目金が呟いた。
俺たちが目の前にしている光景は
ガンプラやゲーム、おもちゃの電車を
いじくっている人の集まりだった。

「あ、あぅ……」

目金は興奮したように辺りをキョロキョロ見渡す。
そして目金が叫んだ。

「おぉ、これは仮面ソイヤーの復刻モデル!あっこっちはデア号機トンガリヤンのブラックverでは!」

うん、なに言ってるかわかんない。

「知ってるの?こんなマイナーなロボット…」

そのなんとか復刻モデルとなんとかヤンの持ち主らしい少年が話す。
その後も目金の暴走は止まらなかった。

「こ、これは…十年前に発売されて全く売れなかった幻のゲーム機…P-GXではありませんか!?」

目金がまたまた叫んでいる。

「お前すっげー詳しいんだな…」

円堂が呟いた。

「僕に知らないことはありませんよ!」

目金が眼鏡に触れ話す。

「やはり君ならここにある物の価値が解ってくれると思ったよ!」

さっきの太った変な男が話す。

「僕達と同じオタク魂を感じたんでね!」

隣のもう一人の男が話すと
二人の眼鏡がキュピーンと光った気がした。

「ふふ、なかなか良い品揃えと言えるでしょう」

と目金が呟くと目金の眼鏡がキュピーンと光った。

「ついて行けねぇ……」

俺が呟くと目金が
「あ、あれは……」と呟き走る。

「まさか…マジカルプリンセスシルキーナナの全巻セット……!」

今までより興奮した様子で目金が叫んだ。

「何だそれ……」

「原作ノベルライト先生、絵を漫画萌先生が手掛けられた史上最高の萌え漫画です!!」

目金がさらに興奮して叫ぶ。

「嬉しいねぇ、我々の作品をそこまで褒めてもらえると」

さっきの太った男が話す。

「…我々!?」

目金が呟く。

「そう私が原作者のノベルライト」

「僕が漫画萌さ」

つまりは太った方がノベルライト
ベレー帽を被った方が漫画萌らしい。

「まさか伝説の二人にお会い出来るなんて……!」

「我々も君のようなファンに出会えて嬉しいよ!」

「今日はじっくり話し合おう」

二人が目金に手を差し出す。

そこに「ちょーとストップ、ストップ!」と円堂が間に入り話す。

「悪いけどそんなことしてる時間は無い、俺たちはもうすぐ大事なサッカーの試合があるんだ」

そう円堂が話すと二人が反応した。

「君達もサッカーやるのかい?」

ノベルライトが話し掛けた。

「えっ、君達もって?」

「僕達も今、結構大きな大会に出ていてねぇ…、えっと何だっけ?」

「フットボールなんとか…」

後ろでゲームしている男が呟いた。

「ま、まさかフットボールフロンティアか!?」

「そうだっけ?覚えてないなぁ…、おい!俺のアイテム取るなよ!」

と話しゲームに叫ぶ。

「メイド喫茶に入り浸っているオタク集団……」

「秋葉名戸学園サッカー部ってまさか……」

円堂が呟くと二人は顔を見合わせ

「僕達の事ですが…何か?」

とノベルライトが話した。

「「「ええぇぇぇぇ!!」」」

俺たちの叫びがメイド喫茶中に響いた。

─────夕方河川敷

「何やってる!しっかりトラップしろ!」

染岡の声が河川敷に響く。

「す、すみません!」

少林寺そう言いながらボールを追いかける。

「はぁ〜ダメだ、皆気が緩んじまってる……」

円堂が呟くと俺と円堂は腕を組んで悩む。

「仕方ないよ、あんな連中が準決勝の相手なんだ」

「でも仮にも準決勝に勝ち進んできたチーム油断は禁物ですよ」

と意外とまともな意見を言ったのでツッコミは出来なかった。

「そうかな〜」

「全然強そうには見えなかったぞ」

とマックスと半田が呟く。

「お前らもっと集中しろ!」

と染岡が叫んでいる。

「すみません〜」

とやる気のなさそうな宍戸が呟く。

「はぁ〜、こんなんで準決勝大丈夫かよ」

俺が呟いた。

「ま、相手は参加校の中で弱いって話だしなんとかなるんじゃない?」

とマックスもあんまりやる気を感じない言葉を発する。

「「あはは………」」

俺と円堂は苦笑いを浮かべて話を聞いた後
この日は解散したのだった。

そしてフットボールフロンティア地区予選準決勝
雷門中対秋葉名戸学園の試合当日となった。 
 

 
後書き
心美「お・に・い・ち・ゃ・ん」
雷藤「ど、どうした心美……」
心美「どうしたじゃないよ!鼻の下伸ばしてたんでしょ!」
雷藤「んなわけないだろ!」
心美「嘘…半田くんが言ってた……」
雷藤「(あの野郎余計な事を……)」
心美「ほら言い返せない!もうお兄ちゃんなんて知らない!」
雷藤「お、おい心美!」
  「心美は拗ねると一時話してくれないからな……」 

 

目金立つ!

 
前書き
最近目金が主役になってる気が……by雷藤
ついに地区予選準決勝開始です! 

 
「私にこれを着ろと……?」

夏未の苛立っているような声が聞こえる。

ちょっと前にこれを着てくれと秋葉名戸学園の選手がメイド服を
うちのマネージャーに持って来たのだ。

「お兄ちゃん…流石にメイド服はねぇ……」

と試合が始まるちょっと前に仲直りした心美が呟く。

「俺は心美のメイドなら歓迎だぞ!」

俺がそう話すと皆が俺の方を向き
心美は恥ずかしそうに俯いてしまった。

「我が校の試合においてはマネージャーは全てメイド服着用という決まりになっております!」

昨日のメイドが説明した。

「誰がそんな決まり作ったのよ!」

夏未がお嬢様らしからぬ大声で叫んだ。

「店長…いえ監督が」

と接客と同じような笑顔で答える。
スイカを食べているおじさんに視線がいく。

「あれ…監督だったんだ……」

円堂も信じられないように呟いた。
そして着替えが終わったマネージャー達が出てくる。
夏未、木野、音無がメイド服を着用して出て来た瞬間

「「「おおぉぉ!!」」」

と秋葉名戸学園の選手の歓声が上がった。
そして一人の選手が夏未に猫耳を付けた。

「ぐぅ〜!!」

と叫んだ瞬間もう一人の選手が
その選手を吹き飛ばし叫ぶ。

「目線こっちにお願いなんだなぁ!」

「や、やめてぇ!」

と叫んでいる夏未を無視して
木野と音無がノリノリで写真を撮られている。
勿論、夏未はその犠牲になっている。

「あれ、心美は?」

俺が呟くとベンチの奥で顔だけ出している心美の姿があった。

「心美出て来いよ〜」

俺が心美に呼び掛けると

「わ、笑わないでね……」

と呟き出て来た。

「………………」

俺は言葉が出なかった。

「な、なんで何にも言わないの?」

心美が俺の問い掛ける。

「あ、え、似合ってるなぁと思ってさ」

俺が話すと心美は

「え、うん、あ、ありがとう…」

と少し甘い雰囲気が漂って来たとき
俺は周りの視線気付いた。
皆何故か微笑んでいるようにも見える。

「雷藤、見てるこっちが恥ずかしくなってくるぜ」

と染岡が話すと俺は

「あ、ああ、すまん」

と呟き試合の準備を始めた。

「豪炎寺の代わりは………」

円堂が今日のスタメンを考えていると

「ここは切り札の出番でしょう」

と目金が立ち上がった。

「切り札?」

円堂が何の事か解っていないらしく呟く。

「メイド喫茶に行ったお陰で彼らのサッカーが理解出来ました、僕が必ずチームを勝利に導いてあげましょう!」

と目金が豪語した。

「いいんじゃないか、目金で」

と試合を見に来た豪炎寺が話す。

「そうねやる気満々みたいだし何とかなるんじゃねぇの?」

と土門も話す。

「ああ、そうだな!」

と円堂も決意して

「よし今日はお前がFWだ!頼んだぞ!」

と円堂が話すと

「ちょっと待って!」

と夏未が叫んだ。

「彼が豪炎寺くんの代わりでいいの?あまりにも危険な賭けじゃない?」

と夏未が話す。

「そうっスよ、帝国戦の時みたいにまたいつ逃げ出すか……」

壁山が夏未の意見に賛成して話す。

「今日のこいつのやる気は本物だ!俺には解る!本気でやる気になってる奴がここ一番で必ず頼りになるんだ!」

と円堂が相変わらず熱血バカらしく叫んだ。

「俺は目金のやる気に賭けるぜ!」

と最後にもう一度叫んだ。

「ふっ、大船に乗ったつもりでいて下さい」

と目金は眼鏡に触れ呟いた。

今回のスタメンは
FW染岡 目金 雷藤
MF半田 マックス 少林寺
DF風丸 影野 栗松 壁山
GK円堂
この布陣で挑む。
ピ──────!
ついに準決勝の幕が上がった。

──────。

「くそっ!あとちょっとで前半終わるな……」

俺が呟いた。
前半の残り時間はあと僅かになっているが未だお互いに0対0と点を決めれない状態にあった。
秋葉名戸学園はボールをキープしているが一向に攻めて来ない。

「発進!ハイパーサッカーボール発射!」

………。叫んだのは勿論相手チームだ。

「来たな!悪の軍団め!お前達にこの地球は渡さん!」

イラッ ちょっーとイライラして来たな……。

「な、なんなんだこいつらは………」

そして ピッ ピ──────
前半終了のホイッスルが響いた。

「まるで攻めて来ないなんて……この僕にも予想外でしたよ」

目金が呟く。

「お前あいつらのサッカーが理解出来たんじゃ無かったのかよ」

と染岡が的確なツッコミを入れる。

ピ──────
後半が始まった。
今度は全員で秋葉名戸学園が上がって来た。

「何!?動きが変わった!?」

俺が呟くとノベルライトと漫画萌にボールが渡った。
なるほど…。あいつらはフルタイム戦う体力が無いんだ、だから前半は……。

「あいつら前半は体力を温存していたのか……」

俺は呟きディフェンスに入る。

「俺はヒーロー止める事は出来ん!」

と自分でヒーローというのでヒーローにしとこう。
そのヒーローにボールが渡った。

「変身!フェイクボール!」

とヒーローが叫んだ。

「何が変身だよ」

と俺が呟くと

「あ、あれ?」

取った筈のボールがスイカに変わっていた。

「ヒーローキック!」

とヒーローがセンタリングを上げる。

「おりゃぁぁぁぁ!」

とあの時ゲームに叫んでいた男が叫んだ。
その手には漫画萌を握っている。

「何をするつもりなんだ?」

「ド根性バット!!」

と漫画萌をバットのように振り漫画萌の顔面でシュートを放った。
そのシュートはゴール左側ギリギリに放たれ
円堂が飛び込み止めようとするが………。
ピ──────!
決まってしまった……。
0対1 先取点を取られてしまった。

「こんなシュートを隠していたのかよ!」

「あんな奴らに先制点取られちまうなんてな」

「だから言ったのです、油断は禁物だと!」

ピ───────!
今度はこっちの攻撃だ。
目金が染岡にパスを出し染岡が上がっていく。
すると秋葉名戸学園の選手が全員後ろに下がった。

「くそっ、全員で守るつもりか……」

そう呟きながら染岡と上がっていく。

「そうはさせるか!」

と俺は相手の選手を抜き去る。

「行くぞ!!」

相手の漫画萌が叫ぶと
DFの三人が集まり「五里霧中!」と叫び
地面で砂煙を上げ始めた。

「そんな目眩まし効くかよ!」

俺は叫びシュートの体制に入る。

「喰らえっサンダーキャノン!」

俺のシュートがゴールに向かっていく。

「やったか?……っ!」

入っていなかった。
確かにゴールの真ん中を狙ったのに………。
その後もマックス、少林寺、染岡など皆がシュートを
撃つが一度もゴールネットが揺れる事は無かった。

「何をしてるの!時間が無いわよ!」

夏未が叫ぶ。
解ってる!解ってるさ!でも何故かゴールに入らないんだ!
俺は心で叫ぶ。

「何故あの土煙に包まれるとシュートがゴールを逸れてしまうのか……」

目金が呟いている。

「………………っ!まさか!」

目金が叫んだ。

「今度こそ!」

俺がシュートを撃とうとした瞬間

「シュートを撃ってはいけません!」

目金が叫んだ。
俺が持っていたボールがスライディングでクリアされた。

「見破りましたよ!シュートが決まらなかった訳を…!」

目金が叫んだ場所では目金がヒーローを引っ張っている。

「ゴールをずらしていたのか!」

俺が叫ぶとベンチの豪炎寺が気付く。

「シュートが入らなかった訳はこれか!」

「貴様何故解った?」

ヒーローが目金に問う。

「仮面ソイヤー第28話怪人砂ゴリラが使った土煙の煙幕作戦…、あれを思い出したのですよ」

目金が呟く。なんの事か解んないが……。

「五里霧中とはあれをヒントにした技と見ました…!」

「よく知っていたな…その通りだ!」

「これが君達の勝ち方ですか!」

「僕達は絶対に勝たなければいけないんでね!」

「だからと言ってこんな卑怯な事を…!」

「勝てば良いのだよ!勝てば!」

「僕にボールを下さい!」

目金が叫んだ。

「半田!目金にボールを渡せ!」

円堂が半田に叫ぶ。

「解った!頼むぞ目金!」

半田のスローイングのボールが目金に渡る。
目金がボールを持って駆け上がる。

「ここは通さん!」

ヒーローが目金を止めに入る。

「正々堂々悪に挑む……。それがヒーローでしょう!スイカとボールをすり替えて相手を欺くなどヒーローの技ではありません!」

目金の言葉が効いたらしくヒーローを目金が抜き去る。

「漫画萌先生、ノベルライト先生…。僕は悲しい!貴方達の描くシルキーナナの勇気と愛に僕は幾度となく元気を貰いました!なのにその作者であるあなた方がこんな卑怯な事をする人達だったとは…シルキーナナに謝りなさい!」

目金が闘気を纏ったような気迫で二人を抜き去る。

「説教中や合体中に攻撃を仕掛けるなどロボットマニア失格です!」

と目金がもう一人抜き去る。

「シュートを打たせちゃダメなんだな!」

相手のGKが叫ぶ。

そしてDF陣が五里霧中を発動させ始めた。

「まだこんな事を続けるつもりですか!」

「これがオタクの必殺技だ!」

目金の叫びにDF陣が叫ぶ。

「君達などオタクではありません!オタクとは一つの世界を紳士に真っ直ぐに極めたもの!ゲームのルールを破って勝とうする貴方達にオタクを名乗る資格などありません!」

目金がトドメとなる言葉を発するとDF陣は撃沈した。

「染岡くん!ドラゴンクラッシュを!」

目金が染岡にパスを出し叫ぶ。

「だけど…」

染岡が何か言いかけるが

「僕に考えがあります!」

目金は叫ぶとさらに前に上がっていく。

「解った!ドラゴンクラッシュ!」

染岡は目金を信じドラゴンクラッシュを放った。

「ゴールずらし!」

相手のキーパーが腹でゴールを吹き飛ばす。

「うわぁぁ!」

と染岡のドラゴンクラッシュに目金が顔面で合わせ
ボールの軌道をずらしゴールに押し込んだ。

ピ──────!
1対1 目金のお陰で同点に追いついた。
目金はふらふらしながら

「これぞ…メガネクラッシュ…………」

と呟きながら倒れた。
そして目金はタンカで運ばれることになった。

「あ…あとは頼みます…土門くん…」

目金が呟く。

「どうしてなんだ」

「どうして君はそんな姿になってまで…?」

「目を覚まして欲しかったのですよ…同じオタクとして…、サッカーも悪くないですよ」

「目金くん君の言葉で目が覚めたよ、僕達もう卑怯な事は辞めるよ…」

「我々も全力を尽くしたサッカーで雷門中に挑もうではないか!」

目金の言葉に漫画萌とノベルライトが応える。
目金は頷くとタンカで運ばれて行った。

「目金が身体を張って同点にしてくれたんだ、皆絶対に逆転するぞ!」

円堂が叫ぶと俺たちは元の位置に付いた。

「雷藤くん!サンダーキャノンです!」

ベンチの目金が叫ぶ。

「言われなくてもっ…!」

俺は呟き回し蹴りを放った。

「サンダーキャノン!」

俺のシュートがキーパーごと吹き飛ばしゴールネットを揺らした。
ピ──────!

ピ ピ ピ─────!
そして勝利のホイッスルが鳴り響いた。

「「さよならレイナ、永遠に………」」

と漫画萌とノベルライトが呟いたのが聞こえたが無視しよう。

「スゲぇ奴だったんだな目金って」

円堂が呟く。

「今日の試合MVPは目金だな!」

俺は笑いながら帰りの支度をするのだった。

フットボールフロンティア地区予選準決勝
雷門中対秋葉名戸学園 2対1 雷門中の勝利。
雷門中決勝戦進出。 
 

 
後書き
雷藤「皆おめでとうさん!」
風丸「ついに地区予選決勝だな!」
豪炎寺「心配かけてすまなかった、次は出れる」
染岡「俺と豪炎寺、雷藤のFW三人揃えば怖いものなしだぜ!」
円堂「次の決勝戦、多分相手は…」
雷藤「だろうな…」
豪炎寺「今の雷門なら勝てるさ」
円堂「そうだな!」 

 

裏での出来事

 
前書き
最近多忙で更新お待たせしました! 

 
「少林!」

半田が少林寺にパスを出す。

「アチャー!」

少林寺が声を上げながらパスを受け取る。

「よぉし!サイドの風丸に出せ!」

円堂が少林寺に声を掛ける。
少林寺が風丸にパスを出し風丸が前に上がっていく。

「風丸さん速過ぎっす〜!」

栗松の情けない声が響く。
ベンチでは完全にばてている目金と
水分補給を行う豪炎寺の姿が伺える。

「止めろ土門!」

円堂が叫び土門に呼び掛ける。

「わかってるって!」

土門はその言葉を予想していたかのようにディフェンスに入る。
そして風丸からスライディングでボールを奪った。

「良いぞ土門!」

俺は見事なディフェンスを見せた土門に声を掛けた。

「やりますね土門さん!」

「ええ!」

とマネージャーの音無と木野も呟いている。

「へへへっ!」

土門は少し照れくさそうに鼻の下を
人差し指で撫でまた走り始めた。

「遅いもっとスピード上げろ!」

俺が叫ぶ。

「これ以上無理っス〜〜」

「もう足フラフラでやんす〜〜」

と壁山と栗松の情けない声がまた響いた。

そして俺たちは練習を終えた後、雷雷軒に向かった。

「腹減った〜」
円堂が腹を押さえながら
雷雷軒の目の前まで歩いて来た。

「皆、今日は何食べる?」

俺が聞くと

「俺は炒飯にしようかなぁ」

半田が話す。

「僕チャーシュー麺!」

と少林寺も手を挙げて答える。

「んじゃ俺は角煮食べよー」

と俺も今日の注文の品を決めて入ろうとした時だった。
土門が何か確認した様な仕草をして

「悪りぃ、俺先帰るわ」

と円堂と俺に話し掛けた。

「ん?ああ、じゃあまた明日な!」

「おうお疲れさん」

と円堂と俺が土門に声を掛けると
「じゃあな」と土門も軽く手を振り去って行った。

〜土門side〜

「はい………えっ!?個人能力のデータですか?あっ、はいイナビカリ修練所での…はい、必ず」

俺はあの方からの電話を切りスポーツショップの前に来た。
そのスポーツショップに飾ってあるサッカーボールを見ながら
俺は円堂の言葉を思い出していた。

「歓迎するよ!」

何故かこの言葉が脳裏から離れない。

「フットボールフロンティアに向けて一緒に頑張ろう!」

円堂からそう言われた時、何だか嬉しかったな。

「どう?似合うかなぁ?」

「うん、似合ってるよ!」

初めて雷門中のユニフォームを着て秋に似合うって言われた時も…。

「こんな練習が何の役にたつってんだよ…」

イナビカリ修練所での地獄の様な特訓も…。

「行ったぞ土門!」

「ボールを回せ!」

「やるじゃないか土門!」

俺は雷門中での楽しい日々が忘れられない。
俺は申し訳ないように顔を下に向けて気付いたら歩いていた。

「危ない!」

突如聞き覚えのある女の子の声が響いた。
俺は右を向くとトラックがこちらに向かって来ていた。
何とかトラックは俺の目の前で止まり九死に一生を得た。

「馬鹿野郎!ボーッと歩いてんじゃねぇぞ!」

とトラックの運転手が安心した様な怒りの混じった声で叫んだ。

「……………………」

俺は無言のまま去って行ったトラックを見ることしか出来なかった。

「土門くん!」

秋が俺のもとに駆け寄る。
やはりさっきの声の正体は秋だったみたいだ。

「……あ、ああ」

俺は申し訳なさそうな顔で秋に顔の向けた。

「大丈夫?ぼんやりしちゃって……」

秋が心配そうに俺に声を掛ける。

「ああ、うん、ちょっと考え事してたから……」

俺は半分本当で半分嘘の様な答えを秋に返した。

「考え事って……、元気出して!そんなんじゃ一之瀬くんに叱られるぞ!」

秋が一之瀬と言う言葉を発した途端俺は苦しくなった。
秋は俺の肩を叩いて歩いて行った。

そうあれは………。

「一之瀬くんっ!!」

秋の悲鳴が聞こえた。
俺の……いや俺と秋の昔の嫌な記憶だ。

〜冬海side〜

「率いるチームを決勝戦まで進めるとは流石だな冬海…」

あのお方の怒りがこもった声が聞こえる。

「申し訳ありません、まさか彼奴らが此処までやるとは………」

私は正直に話した。

「どんな手を使ってもいい雷門中を決勝戦に参加させるな、いいかどんな手を使ってでもだ、もしも失敗した時は!」

その先は簡単に予想が出来た。

「わ、わかっております!何としても不参加にして見せます!」

私は何とか期待に答えられる様に返事を返した。

「……フッ…」

………ブツッ。

「…もう駄目だ…、うちのチームを決勝戦に参加させたら……私は破滅だ……」

私は校舎裏でうずくまり呟いた。

〜土門side〜

俺は浮かない顔のまま翌日の学校の門を潜った。

「土門くんどこ行くの?」

秋が俺の背後から声を掛けるが俺は振り向かず

「部室に忘れ物……!」

と言葉を残しその場を去った。
俺は部室の中に入りいろんなファイルを開きアレを探す。

「イナビカリ修練所、個人能力データ……これだ」

俺はそのデータに手を掛け取ろうとしたが

「………っ」

俺は無言のままデータを元に戻した。
俺が部室から出て校舎に向かっていると
俺たちの移動用バスが入っている車庫の中から音が聞こえた。
俺は中を確認してそこに居た人物に声を掛けた。

「先生!」

俺がその先生に声を掛けると驚いたように一瞬だけビクッとした。

「何だ君でしたか………脅かさないでください」

その男は冬海だ。安心したようにため息をついている。

「こんな所で何やってたんですか?」

俺は単刀直入に冬海先生に聞いた。

「さあ?何でしょうね〜」

とシラを切る様にこちらに向かって歩いてくる。

「ああ一つだけ忠告しておきますよ、このバスには乗らない事です」

冬海が不敵な笑みを浮かべながら話した。
俺はその言葉を聞いて悪い予感しか働かなかった。
俺がどういう事だと聞こうとした時には
シャッターを潜り外に歩いて行っていた。

「……っ!これも総帥のご命令か!」

俺は怒りに震え上がったがバスのタイヤを蹴る事しか出来なかった。

「どうすりゃ良いんだよ………!」

サッカーの練習の最中もその事で頭がいっぱいだった。
俺は全員でグラウンドで走っている最中に途中で足を止め一人違う場所に向かった。
俺は校舎から少し離れた倉庫に
背中をもたれかかってある男と話を始めた。

「イナビカリ修練所でのデータは?」

その男が俺に話しかける。

「まだ、まだ手に入っていません」

俺はその男、鬼道を横目で見ながら話した。

「なら何故呼び出した?」

鬼道が声のトーンを落として話す。

「鬼道さん本気なんですか?幾ら何でもやり過ぎですよ、移動用のバスに細工するなんて……」

俺が拳を強く握り締めながら話すと

「……何だって…?」

鬼道は本当に知らない様な口振りで答えた。

「やっぱり…鬼道さんも知らなかったんですね…これが帝国のやり方なんですか!?総帥は何を考えているんです?」

俺が思った事を全部鬼道に話すと

「……くっ」

と口をこぼし無言になった。

「なんか俺総帥のやり方について行けなくなりました!あの人は強引すぎる、そんなにしてまで勝ちたいんですか!?」

俺が叫ぶと鬼道は

「それ以上言うな……俺たちに総帥の批判は許されない」

と呟き俺が

「でもっ!」

と言った時だった。

「お兄ちゃん」

鬼道が焦った様に後ろを振り向いた。
その鬼道の後ろにいたのはマネージャーの音無だった。 
 

 
後書き
雷藤「俺の出番無さ過ぎじゃねぇ?」
影野「ふふふっ、同じだね」
雷藤「同じにしないでくれ……」 

 

裏切り

 
前書き
1月18日更新! 

 
〜土門side〜

音無?鬼道さんをお兄ちゃんと呼んだよな?
俺はとっさに身を隠す。

「雷門中の偵察にでも来たの?」

音無は少し言葉を強くして鬼道に話す。

「………………………」

しかし鬼道は音無の言葉を無視して歩き始めた。

「待ってっ!!」

音無は鬼道の腕を握り止めようとするが

「離せっ!」

鬼道は音無の手を振り払った。

「俺とお前は会っちゃいけないんだよ」

鬼道は音無にそう言い残しその場を去っていった。

「音無と鬼道さんが兄妹?」

俺はその疑問を小さく呟いた。

〜鬼道side〜

俺はいつもの様に長テーブルの奥に座り
父さんと食事をしていた。
カチャカチャ音が響くだけで言葉は無い。
その時父さんが口を開いた。

「テストの結果はどうだった?」

俺は少しだけこの質問が来るのではないかと思っていたんで
スムーズに言葉が出た。

「数学と英語は100点でした」

俺の2つの100点には興味もなさそうに

「国語は?」

と聞いてくる。

「97点です……」

俺が少しだけ顔を伏せながら話すと父さんの表情が曇った。

「……………」

俺が少し息を呑んだ時

「……………………はぁ…」

と父さんがため息をついた。

「鬼道財閥の人間は常にトップで無ければならない。わかってるな」

と父さんの言葉が俺に刺さる。

「はい…父さん、鬼道家の人間としての義務は果たします。でもフットボールフロンティアで僕が三年間連勝し続けた時は…」

俺がそう話すと父さんは

「わかっている、妹の春奈の事だな?」

少し間を空けて話を始めた。

「安心しなさい約束は守る、それに三年連続優勝など容易い事だ。影山さんに任せておけばな」

父さんはそう笑いながら話した。

「………………っ」

俺は言葉が出ず、何故か躊躇いの念が生まれていた。

「君も偉くなったもんだねぇ、この私に意見する様になったのだから。ん?鬼道」

俺は影山総帥の所に一人で来ていた。

「いえ、意見という訳ではなく」

俺がそう話すと総帥は

「では批判かね?冬海にやらせた事が気に入らないのかね?安心したまえ私はバスに小細工をしろなどとの命令はしていない。雷門中が決勝戦に出る事を阻止しろと言ったがな…フッフッフッ……」

総帥が予想外の事を語ったので

「そんな事をしなくても……」

俺が呟くと総帥が

「勝てるというのかね?」

と質問をして来たので俺が頷いた時だった。

「100%絶対に勝てると言い切れるのか!」

と凄い剣幕で聞いて来たので俺は少しだけ後退りをしてしまった。

「一つ教えてやろう、優れた司令塔がいるチームは試合の前に勝っているという事だ!君は私の言う通りに動いていれば良い、何も考えずにな」

俺は総帥の言葉を黙って聞くしかなかった。

〜雷藤side〜

「おらよ宍戸!」

俺が宍戸にパスを出す。

「それっ!」

宍戸が蹴ったボールが青い光を纏ってゴールに向かう。
しかしボールはゴールポストに当たり跳ね返った。

「惜しかったな」

俺が宍戸に話しかけると染岡が宍戸の所に行って

「俺のドラゴンクラッシュには遠く及ばないなぁ」

ここだけ聞くと嫌味にしか聞こえないが

「だが筋は良いぞ!!」

と宍戸の髪をぐしゃぐしゃ撫でながら笑う。
ここで目金が人差し指を立て話した。

「今の技、グレネードショットっていうのはどうですか?」

それを聞いた宍戸が

「グレネードショットか……カッケェ!!」

と叫んだ。

「ああ、カッケェよカッケェ」

染岡もそう喜んでいた。

「ローリングキック!」

今度は半田の新必殺シュートみたいだ。
ローリングキックは見事にゴールに突き刺さり試合でも使えると感じた。

「みんな気合入ってんな!」

と円堂が俺に話しかけて来た。

「次は地区大会決勝戦だからな、そりゃ気合が入るぜ」

俺も帝国と戦える喜びを噛み締めながら話すと

「勝てば全国、負けても全国、何が何でも全国だぁ!」

と円堂が叫んだ。

「いやいや負けちゃ駄目だからね」

俺がツッコミを入れるも無視されて

「もうじっとしちゃいられない!」

円堂は叫びグラウンドに向かう、俺も円堂に続きグラウンドに戻った。

〜土門side〜

夏未が俺が書いたアレを見つけたみたいだ。
夏未が真剣に内容を確認している。

「…っ!これは…!」

俺は夏未が呟いている姿を階段から見ていた。
俺は携帯をポケットから取り出し

「鬼道さんすみません……!」

俺はそう呟いて鬼道さんのデータを全て消去した。
パタンと俺は携帯を閉じて

「これで良いんだ……」

と呟いた。

〜冬海side〜

「はい、はい勿論です…間違いなく雷門中は出場出来ません…ええ、これから最後の練習を見に行ってやります」

私は笑いながらあの方との電話を切った。

〜雷藤side〜

「ほら!パスパス!」

いつもより元気そうな土門が叫んでいる。
土門は影野からボールを受け取った。
そして楽しそうにドリブルをしている。

「ん?珍しく監督が来てるな………」

俺が冬海監督に気付き呟くと

「珍しいなあの監督が来てるなんて」

と染岡も呟く。

「一応監督だからね〜」

とマックスは話す。

「そりゃそうだけど」

と俺が苦笑いしていると

「冬海先生」

と夏未嬢が冬海監督に話し掛けた。

「ん?はいなんですか?」

と落ち着いた対応で夏未嬢に返事を返す。

「お願いがあるんですけど宜しいかしら」

夏未嬢が冬海監督に話すと冬海監督は前で手を合わせて

「お嬢様の願いを断る理由が御座いませんよ」

と頭を低くして話す。

「遠征に使用するバスの様子が見たいので動かして頂けません?」

夏未嬢がそう話すと

「バ、バスをですか!?」

と何やら冷や汗をかきながら叫ぶ。
その叫び声が響くと何やら焦った様に土門が振り向いた。
その声に反応してメンバー全員が冬海監督と夏未嬢の方に向く。

「い、いきなりそんな事を言われましても私は大型免許を持ってませんし……」

冬海監督が何故か焦った様に夏未嬢に話すと

「それは問題ありません、校内は私有地ですから免許など要りませんわ。それにちょっと動かして下されば良いだけですし」

と夏未嬢がうすら笑みを浮かべながら冬海監督に話す。

「…………しかし」

冬海監督が大粒の汗を額に浮かべながら呟く。

「あら、断る理由は無かったんじゃなくて?」

夏未嬢がさらに問う。

「冬海監督……!」

夏未嬢が額の汗を拭いていた冬海監督に名前を呼んだ途端

「は、はいっ!」

と叫び俺たちは夏未嬢に連れられ
冬海監督と一緒に移動用バスが入っている車庫に向かった。

冬海監督が移動用バスに乗り込み運転席に座った。

「発進させて止まるだけでいいんです」

夏未嬢がそう冬海監督に話すが監督は何故か何もしない。
流石に俺たちも只事じゃない事に気付いて来た。

「どうなさったんですか?冬海監督?」

夏未嬢がさらに冬海監督を追い詰める。

「…い、いやぁ」

冬海監督が口を開いた瞬間

「早くエンジンを掛けてください」

と夏未嬢が冬海監督に話す。

「は、はい………」

と冬海監督はエンジンを掛ける真似をした。

「あ、あれ?おかしいですね?バッテリーが上がっているのかな?」

とシラを切るように話した冬海監督に夏未嬢が

「ふざけないでください!!」

と凄い剣幕で冬海監督に叫んだ。

「………っは、はいぃぃっ!」

と冬海監督は震えた手でエンジンを掛けた。
ブロロロロロロ とエンジンが掛かった音が響く。

「さあ!バスを出して!」

夏未嬢が叫ぶ。
しかし冬海監督は震えた手でハンドルを握るだけで何もしない。

「どうしたんです!冬海監督…?」

と冷たい言葉を冬海監督に夏未嬢が投げ掛ける。

「…………っ!出来ません!!」

と冬海監督は顔を埋め叫んだ。

「どうして?」

夏未嬢がさらに聞く。

「どうしてもです!」

冬海監督の声が響く。
その時夏未嬢はポケットから手紙のようなものを取り出した。

「ここに手紙があります、これから起きようとしたであろう恐ろしい犯罪を告発する内容です」

夏未嬢は少しだけ合間を空けて言葉を続けた。

「冬海監督、バスを動かせないのは貴方自身がバスに細工したからではありませんか?この手紙にあるように!」

夏未嬢が少し言葉を強くして話す。

「…………………………くっ!」

と冬海監督が観念した様に顔を埋めた。

「本当かよ………」

円堂が呟いた。

「嘘だろ………」

俺も口から言葉がこぼれる。

「答えてください!冬海監督!」

夏未嬢が冬海監督…いや冬海に叫ぶと

「くっくっくっくっ……あっはっはっはっ」

と笑いながらシートベルトを外し外に出てきた。

「そうですよ、私がブレーキオイルを抜きました」

冬海が笑みを浮かべながら話す。

「何のためにっ!」

俺が冬海に叫ぶと

「貴方方をフットボールフロンティアの決勝戦に参加させないためです」

冬海がそう言い切ると

「なんだって……?」

と円堂が呟く。

「貴方方が決勝戦に出ると困る人が居るんです。その人の為に私はやったんだ」

冬海がそう話すと豪炎寺が口を開いた。

「帝国の学園長か!?」

と冬海にたいして叫ぶ。

冬海は軽くこちらを振り向いた。

「帝国のためなら生徒がどうなってもいいと思っているのか!」

豪炎寺が冬海にさらに叫んだ。

「君達は知らないんだ!あの方が…どんなに恐ろしいかを……」

冬海のその言葉を聞いた豪炎寺は叫んだ。

「ああ!知りたくもない!!」

豪炎寺は怒りを言葉に込めた。

「あなたの様な教師は学校を去りなさい!これは理事長の言葉と思って貰って結構です!」

と夏未嬢が冬海に指を指して叫んだ。

「クビですか?そりゃいい、いい加減こんなところ教師やっているのも飽きてきたとこです。しかしこの雷門中に入り込んだスパイが私だけと思わない事だ」

冬海はニヤリと笑いながら言葉を続けた。

「ねぇ土門くん」

俺たちはその言葉に戸惑いつつ土門の方を向いた。

「えっ…土門が帝国のスパイだって……?嘘だろ……………」

俺が呟くと冬海が

「では失礼しますよ、くっくっくっくっ……」

と去っていった。 
 

 
後書き
雷藤「土門……嘘だろ…嘘だと言ってくれ……!」 

 

裏切りの先に

 
前書き
本当に大変お待たせしましたm(__)m 

 
「俺は……っ!すまねぇ!」

「土門!!」

土門はそう叫ぶと俺たちの前から走り去った。

「私、土門くんを追いかけるね!」

「ああ、頼む木野!」

俺が木野に返事を返すと頷いて走って行った。

「まさか土門さんが………信じられないでやんす…」

「土門さん俺たちを裏切ってたんスね……」

「…………」

「円堂…?」

「俺も土門を追いかけて来る!」

「俺も行くぜ」

そう話した後、俺と円堂は土門を追いかけた。



「……土門くん!やっと見つけた」

「秋か……。裏切り者に関わるとお前まで疑われるぞ」

木野が土門を見つけたところは河川敷だった。
木野は土門の横に座ると口を開いた。

「皆、心配してたよ」

「俺は…、俺は大事な仲間を裏切ったんだ、帰る場所なんてない」

「あるじゃない雷門サッカー部が!」

「雷門サッカー部かぁ……、楽しかったな」

「雷門サッカー部は円堂くんと雷藤くんが作ったんだからね」

「聞いたよ俺がまだ帝国サッカー部の時に……」

「何で土門くんは雷門に?」

「もうわかっていると思うが俺は、帝国のスパイとして雷門に転校した、最初は呑気そうな奴等だなって思った時もあった。だけど日が進むにつれて雷門中サッカー部が好きになっていった。帝国では俺は鬼道さんの背中を追うだけだった。でも雷門…、ここは違ったんだ!円堂や雷藤、皆が一緒に隣を走ってくれる……なんか…すっげぇ落ち着くんだ!でも俺はそんな仲間を裏切った……もう戻れない」

「戻れるさ!」

「えっ………」

土門の視界に映ったのは雷藤と円堂だった。

「円堂……雷藤……」

「それだけ聞ければ許す許さないなんて無いさ。これからも一緒にサッカーやろうぜ!」

「……円堂」

「俺からも一言、一緒にイナズマイレブンになろうぜ!」

「雷藤……、本当に良いのか?」

「何言ってんだよ、お前は雷門中サッカー部の土門だろ?」

「…………あぁっ!!」



翌日

「6時間目に数学って俺を殺す気かぁ!」

「Zzz…Zzz…Zzz」

「………ん?」

「Zzz…Zzz…Zzz」

「円堂寝てやがる……だから俺より点数低くなるんだよ」

俺は呆れたように呟き部活に向けて勉強を頑張った。



放課後練習

「行くぞ円堂!サンダーキャノン!」

俺の渾身のシュートが円堂に向かう。

「止めてみせる!ゴッドハンド!」

キュイーンと音が響き円堂が少し押し込まれる。

「負けねぇぞぉぉ!!」

キュイーン バシン と円堂の手に収まる音が響いた。

「くっそぉ!止められたぁ!」

「くぅぅ…手が痺れる…相変わらず良いシュートだな!」

「覚えてろよー!」

「いつでも相手になるぜ!」

(俺もそろそろ新技作るとするかな………)

「ちょっと皆、夏未さんが呼んでるわよ」

「木野が夏未嬢が呼んでるって言ってるぞ」

「なんだろうな」

「とにかく行こうぜ!」


 

「で、話は?」

「貴方達、探す気あるの?」

「…?何を?」

そう話すと夏未嬢は大きなため息をついて話した。

「…はぁ貴方達何も知らないのね、このフットボールフロンティアは監督が居ないと参加出来ないの…。一応今までは冬海先生が監督として登録されていた訳だけど、今は冬海先生がいない……。つまり今のこの状態だと……出れないわよ」

「…………え?」

「出れないって言ったのよ」

俺たちが驚きで声が出ないなか、夏美嬢は一言残し去っていった。

「早く代わりの監督を探しなさい、これは理事長の言葉と思ってくれて結構よ」

俺たちは夏美嬢の背中を見ながら叫んだ。
「「「いやぁぁぁぁぁぁっっ!!!」」」 
 

 
後書き
雷藤「監督探せっていわれてもなぁ誰かいるかなぁ」
豪炎寺「なかなか居ないだろうな」
円堂「うーん…、あっ!あの人は!」
雷藤「あの人……?」 

 

監督は誰だ!

 
前書き
あの人とは一体? 

 
「あの人って?」

「前に鬼瓦さんって言う刑事さんに聞いたんだ」

「えっ!?刑事が監督!?」

「いやその刑事さんが言っていた人が監督候補なんだ」

「どんな人なんだ?」

「それが40年前のイナズマイレブンのゴールキーパーなんだよ!」

「な、何だって!?」

「それは本当か、円堂」

「ああ!驚くだろ!しかもその人は俺たちの知っている人なんだ!」

円堂の言葉 知っている人 と言う人を
その場にいた、俺と豪炎寺は考えたが思い付かなかった。

「駄目だ、わかんねぇ……」

「……俺も思い当たらないな、一体誰なんだ?」

「それが、なんとなんと!雷雷軒のおじさんなんだ!」

「ま、本気で!?」

「…!なるほど。だからあの時、円堂のおじいさんの事を知っていたのか…」

「な!驚いただろ!あの人が監督になってくれれば、じいちゃんのサッカーをもっと知れるんだ!ワクワクするなぁ!」

「確かに元イナズマイレブンが監督になったら頼りになるな!」

「一度シュートを受けて貰いたいものだな」

「よし、そうとなれば行こうぜ!」

「何処に?」

「何言ってんだよ雷藤。雷雷軒に決まってるだろ!おじさんに監督になって貰うために話に行くんだよ!」

「今から…?」

「当たり前だろ!ほら行こうぜ!」

そう言って円堂は走り出した。

「諦めろ雷藤。ああなった円堂は誰にも止められない」

豪炎寺は少し笑いながら俺に話した。

「ああ、幼馴染だから痛い程、承知してるよ……」

俺も少し笑みを浮かべて豪炎寺に言葉を返すと

「お前も大変だな」

と豪炎寺が俺に笑みを見せた後、俺と豪炎寺は円堂の後を追いかけた。



「よし着いた!」

円堂が元気良く叫んだ後、ガラガラと戸を開けた。

「おじさん居る〜!?」

「おぉ、大介さんの孫じゃないか」

「おじさんちょっといい?」

「なんだ?」

「おじさんって元イナズマイレブンのゴールキーパーだったんだろ!それでさ頼みがあるんだ、俺たち雷門中サッカー部の監督になってくれない?」

「……!おいお前、元イナズマイレブンの事を誰から聞いた?」

「えっと、鬼瓦って言う刑事さんから」

「鬼瓦め、余計な事を……」

「おじさん…?監督になってくれない?」

「断る」

「………えっ?」

「イナズマイレブンなど過去の栄光だ、そんなものに縋ってどうする。それに俺はサッカーは辞めた」

「でも俺たちには、おじさんのチカラが必要なんだよ!」

「……話はそれだけか」

「ああ!それだけだ!」

「ここは店だ。何も食わない奴は客でもなんでもない邪魔だ、帰れ!」

俺たちはそうおじさんに怒られ外に放り出された。

「駄目だったな、円堂」

「いや!まだ諦めねぇ!明日リベンジだ!」

「しゃーない、俺も明日付き合うよ」

「すまない、俺は明日は…」

「わかってるよ。夕香ちゃんに宜しくな」

俺が豪炎寺にそう話すと

「ああ。ありがとう、俺は今日はもう帰るな」

と話し、来た道を帰って行った。

「俺たちもそろそろ帰るか、円堂」

「そうだな」

俺たちも少し話をした後、家に帰宅した。



ガラガラと戸が開く音が響いた。

「ふぅ、今日も疲れたぜ」

「さっき大介さんの孫が監督になってくれと言いに来た。鬼瓦お前、大介さんの孫に話したな」

「ああ、話したぞ」

「何故話したんだ」

「響木、お前は大介さんの孫から聞いていないのか?」

「何を……?」

「彼奴らが当たる決勝戦の相手……。あの帝国だぜ」

「な、何だと!」

「しかも帝国の監督はあの影山零治だ」

「なっ……!?」

「お前ならあの子達を守れる。そう思って話したんだがな」

「まさか影山、俺たちだけでなくあの子達まで!?」

「可能性は考えられる、大介さんをそうしたようにな」

「何処まで腐った奴なんだ!影山零治!」



翌日

「今日こそリベンジだ!」

そう言って円堂は俺の前をフンガ フンガ と歩いて行く。
今日は俺と円堂だけで雷雷軒のおじさんと話に向かっている。

「着いた、今日こそ監督にならせてやる!」

「監督にならせるっておかしいだろ……」

俺はそう呟きながら雷雷軒に入った。

「また来たか……」

「おう!また来たぜ!今日こそ監督になって貰うぜおじさん!」

「良いだろう」

「くっそぉぉぉ!だから何で駄目なんだよ!………って、えっ?」

「今、良いって言ったぞ、円堂!」

「おっしゃ!これで決勝戦に出れる!」

「誰がタダでと言った?」

「えっ?」

「俺とサッカーで勝負しろ」

「な、元イナズマイレブンと勝負!?」

「俺が蹴ったシュートを円堂、お前が三球とも止めたら監督になろう」

円堂は下を向いたまま、ふるふると震えている。

「どうした怖気付いたか?」

「うおぉ!元イナズマイレブンと勝負なんてワクワクするなぁ!」

円堂は怖気付いた訳ではなく、純粋にワクワクしているだけみたいだ。

俺とおじさんは思った事が同じみたいで、口が揃った。

「サッカーバカめ」 「サッカーバカだな」

円堂は「へへっ!」と笑うと
おじさんが指定した場所、河川敷に俺たちは向かった。



「おじさん!手は抜かなくて良いからね!」

「言いやがる……」

今、まさに勝負が始まろうとしていた。

「行くぞ……!」

「来い!」

おじさんは助走もせずにボールを思いっきり蹴った。
ゴール右側ギリギリの絶妙なシュートだ。

「おおぉぉぉぉ!!」

バシッ! 円堂が見事にボールを弾いてクリアする。

「おし!おじさん一本止めたぜ!」

「たった一本で調子に乗りやがって」

「どんどん来い!」

「次はそう上手くは行かないぞ!」

そうおじさんが呟くと少し助走を取りシュートを放った。

「決めさせるかぁ!」

円堂はグッと拳を強く握り締めた。

「熱血パンチ!!」

ググッ バシーン! とボールを弾き返し2本目もクリアした。

「よし!良いぞ円堂!後、一本だ!」

「なかなかやるな、小僧」

「あと一本だぜ、おじさん!絶対監督になって貰うぜ!」

「最後は本気で打つからな、覚悟しろ」

そう言うとおじさんは大きく助走を取ってシュートを打った。
グウォォォォォ!!と凄い音を立てながらゴールに向かう。

「これで単なるノーマルシュートかよ…イナズマイレブン、すげぇや!」

俺が呟くと同時に円堂が構えを起こした。

「止める!」

円堂が巨大な手を出現させボールを止めに掛かる。

「あれは!幻のゴッドハンド!」

キュイーン バシュン と円堂の手にボールは収まった。

「「よっしゃぁ!勝ったぁ!」」

俺と円堂が口を揃えて叫んだ。

「ふっふっふっ、あはっはっはっ!流石は大介さんの孫だ!」

「おじさん!約束通り……!」

「ああ、監督になろう。俺の事は響木監督と呼べ」

俺と円堂は決勝戦に出られる嬉しさを噛み締めながら叫んだ。

「「はい!響木監督!!」」 
 

 
後書き
豪炎寺「よくあのおじさんを説得できたな」
雷藤「それが説得じゃなくて勝負だったんだよ」
円堂「流石に元イナズマイレブンだけあってすげぇシュートだったぜ!」 

 

雷門紅白戦!

 
前書き
ついに決勝戦前日!
響木監督が告げた、紅白戦! 

 
響木監督が監督に就任して数日が過ぎ
ついに明日、帝国との試合前日になった。

「よし集まったな……」

俺たちは響木監督に練習を止められ
監督のもとに集まっていた。

「部員全員集まりました!」

円堂が全員居るかを確認し監督に伝える。

「今日の練習は終わりだ」

「えっ!まだ一時間しか練習してないんですよ!?明日は帝国との決勝戦なのに!」

「あくまで練習が終了だ」

「?どういう事ですか……?」

俺はわからず監督に問う。

「お前ら!今から紅白戦を行う!」

「紅白戦!?」

「今からチーム分けを行う、各自言われたチームに入れ!」



雷門Aチーム
FW豪炎寺 マックス
MF少林寺 半田
DF栗松 影野
GK雷藤



雷門Bチーム
FW染岡 宍戸
MF目金 土門
DF壁山 風丸
GK円堂



というチーム分けになった。

「お、おい!雷藤お前、GKも出来んのか!?」

染岡が俺に話し掛けてきた。

「ん〜、まぁそこそこね、一応全ポジション経験してるから」

「す、凄いっスね!全ポジション出来るなんて!」

「それ程でもないけどな…、そういえば響木監督。何故俺がGKしたことあるって知っていたんですか?」

「前に野生中と試合をしただろう?」

「は、はいしましたが…」

「俺はその試合を見ていたんだ。その時の試合でお前は、円堂が弾いたボールの行き先を瞬時に判断し、円堂のカバーに向かいクリアした。そのボールの行き先を瞬時に判断するスピード、危険を察知する力……。その力はGKの基本の動作……躊躇いない判断の速さを見たことで判断した」

「何言ってるかわからないけど……わかりました」

「まぁいい、早く各自ポジションに着け!」

「「「はい!」」」



「うわっ!ここからの眺め懐かしいなぁ」

俺はゴールエリアからの眺めを堪能していた。

「いいか!今から紅白戦を開始する!」

響木監督の声が響きホイッスルを握った。
そして、ピ───────!
ホイッスルの音が響いた。

「行くぞ、松野」

「オッケー!」

まずは豪炎寺とマックスが前線を上がって行く。

「通さないぜ!」

土門が豪炎寺のブロックに入る。

「……っ!松野!」

「ナイス!」

マックスがボールを受けて上がって行く。

「半田!」

マックスが上がって来た半田にパスを出す。

「やらせないぜ!」

風のように速い風丸がマックスのパスをカットした。

「よし!」

風丸がドリブルでそのまま上がって行く。

「目金!」

風丸が目金にパスを出し、チャンスを広げる。

「わわっ!ど、土門くん!」

「ナイスパス!目金!」

目金はワンツーで土門にパスを出し俺に近づいて来る。

「行けっ!宍戸!」

「はい!」

土門が出したパスが宍戸に渡り、宍戸がゴールを狙う。

「手加減しませんよ!雷藤さん!」

「来い宍戸!」

宍戸が大きく足を上げボールに光が集まって行く。

「いっけぇ!グレネードショット!」

グオォォォ!と音を立て俺に迫る。

「この技も久し振りだな……!」

俺は両手を前に出し、力を集中する。

「はぁぁぁぁ!サンダーウォール!!」

俺の前に雷の壁が現れボールの威力を奪っていく。
シューゥ パシ 俺の手にボールが収まった。

「よし!」

俺は久し振りのGK技を見事に成功した。

「えぇぇ……、嘘でしょぉぉ……」

宍戸が髪をぐしゃぐしゃしながら叫ぶ。

「良いシュートだったな!」

「次は決めますよ!」

俺は取ったボールを足元に置きドリブルを始めた。

「う、嘘!!」

宍戸が驚いたように俺を見た。

「行かせるかよ!」

染岡がディフェンスに入るが俺はターンで染岡を抜いた。

「うおぉぉ!キラースライド!」

土門が必殺技で俺を止めに入る。

「半田!」

「雷藤!」

雷藤─半田─雷藤 とワンツーで土門を追い抜く。

「豪炎寺!アレやるぞ!」

「ああ!」

「「はぁぁぁ!!」」

俺と豪炎寺はボールを同時に蹴り、叫んだ。

「「イナズマ2号!!」」

青と紫の電気を纏ったボールが円堂を襲う。

「ゴッドハ……っ!間に合わない!熱血パンチ!!」

グググッ とどんどん円堂が押し込まれそして。

「ぐわぁぁ!」

ピ──────!

雷門Aチームが先取点を奪った。

「「よし!」」

パシーン! と俺と豪炎寺はハイタッチを交わした。

「くっそお!やるなぁ雷藤、豪炎寺!」

「次も決めてやるぜ!」



「サンダーキャノン!」

俺が放ったボールは円堂一直線に向かう。

「ゴッドハンド!」

キュイーン バシン!
………。この前の再現みたいだ。

「だあぁぁぁ!くっそぉぉぉ!」

「やられたらやり返す。倍返しだ!」

円堂はニカっと笑い、何処かで聞いた事のある言葉を放った。



「ドラゴンクラッシュ!」

染岡のシュートがゴールを襲う。

「やらせるか!サンダーウォール!」

雷の壁が威力を奪うが完璧には止められず弾いてしまった。

「くっ……!」

体勢を崩し立て直そうとしていると。

「もらったぁぁぁ!」

弾いたボールの先にはゴールから上がってきていた円堂が来ていた。

「おおぉぉ!」

バン! と溢れたボールを円堂が押し込み試合は振り出しに戻った。

「よし!これで振り出しだぜ!」

「やるな円堂!だけどこれ以上点はやらないぜ!」

その後、お互い互角の勝負を繰り広げ勝負は引き分けに終わった。

「良い勝負だったな!」

円堂が俺に手を差し出す。
俺はその手を握り明日に向けて意気込んだ。

「明日は俺らが勝ぁつ!!待ってろ帝国!」

それを聞いた他のメンバーも明日に備え
最後の調整をするのだった。 
 

 
後書き
円堂「ついに決勝戦だ!」
雷藤「ああ!ワクワクするな!」
豪炎寺「ついに帝国との勝負か……」
染岡「絶対俺らが勝つんだ!」 

 

影山の罠!!

 
前書き
ついに帝国学園のホームグラウンドに突入! 

 
「着いた……ついに帝国学園との決勝戦か……」

俺は巨大な帝国学園のホームグラウンドを見ながら呟く。

「相手は影山だ!何を企んでいるか解らん!辺りに気をつけろよ!」

響木監督が俺達に声を掛け気を張り歩く。

「此処が部室……更衣室かよ、でけぇ…」

染岡が呟きロッカーに手をかけようとしたとき

ガチャガチャ

更衣室で音が聞こえた。

そこから現れたのは帝国学園キャプテンの鬼道だった。

「き、鬼道!」

円堂が鬼道に対し叫んだ。
鬼道を見た染岡は叫ぶ。

「お前俺らの場所で何してやがった!まさか妙な仕掛けでもしたんじゃねぇだろうな!」

鬼道は叫ぶ染岡を見て呟いた。

「そんな事はしない。俺もお前らとは楽しいサッカーがしたいからな」

「鬼道……お前…」

予想外の言葉に俺は言葉が漏れた。

「ここは大丈夫だ安心してくれ」

鬼道はそう言い放つと、辺りをキョロキョロ見渡しながら部屋を後にした。

「円堂、鬼道は何してたと思う?」

俺は円堂にそう問うと円堂は

「悪いことをしようとしていたとは思えない。鬼道は何か探しているように見えたな…」

「俺もそう思っていたところだ。でも何を探していたんだろうな…」

俺と円堂は少し考えていたが
試合に集中するため
考えを打ち消した。



────────
『さぁ、間もなくFF地区大会予選の決勝戦が始まろうとしています!解説は雷門中の角馬圭太がお送りします!』

「両校整列!!」

審判の声が響き俺達は並んだ。
すると俺達の前にいた鬼道が俺に呟いた。

「な、なんだって!?本当か!?」

鬼道はコクリと頷くとポジションに付いた。



雷門中イレブン
FW染岡 豪炎寺 雷藤
MF半田 少林寺 風丸
DF壁山 栗松 土門 影野
GK円堂



帝国学園イレブン
FW佐久間 寺門
MF洞面 鬼道 咲山 辺見
DF成神 万丈 大野 五条
GK源田



以上のスターティングメンバーだ。

俺は全員に鬼道から聞いたことを伝えた。

「それは本当なのか!?」

「多分な……嘘をついている顔じゃなかった」

「わかった鬼道を信じよう」

俺はFWの位置に付き、鬼道の言葉を信じる。

そしてついにホイッスルが響いた。

ピ───────!!

そしてその瞬間、別の音が俺達を襲った。

ガラガラ… ドガ────ン!!

俺達の場所に天井から鉄骨が降り注いだのだ。

『なんということでしょう!雷門中の所に鉄骨が落ちてきました!これでは雷門中の選手達は……。!?いや無事です!なんて奇跡!雷門中の選手は全員無事です!』

「……あっ……あ、あ……」

俺は目の前で起きたことをあまり理解出来ていなかった。

「鬼道の言うとおりだ……」

そう俺達が助かったのは鬼道のお陰だ。

あの時、鬼道が俺に言ったのは

「笛がなっても絶対動くな」

という言葉だった。

まさかここまでのものとは思わなかったが。

勿論、試合は一時中断。
俺達は鬼道の後を追いかけた。

「総帥これは一体どういう事ですか…!!」

俺達が聞いた第一声は鬼道の影山に対する怒声だった。

「ふふっ、何のことかな?」

影山はしらを切るように笑う。

「あなたがこれを仕組んだんでしょう!」

「私がしたという証拠がどこにある?」

ここで聞き覚えのある声が響いた。

「証拠ならここにあるぞ影山!」

俺達が振り向くとそこには、あの鬼瓦刑事が立っていた。

「お前が工事の男性にネジを緩めさせたことは、もう確認済みだ、もう言い逃れは出来ないぞ!」

「ふん、流石は鬼瓦…一応刑事だけのことはある」

「お前の話はじっくり刑務所で聞いてやる!おい!捉えろ!」

そう鬼瓦刑事は部下に命令すると影山に手錠を掛けた。

「鬼道!お前たちは私抜きでは絶対に勝てん、絶対にな……。くっくっくっ!」

そう影山が呟くと鬼瓦刑事は

「お前は知らないのさ、本当のサッカーをな」

と影山に呟きパトカーに乗り込んだ。

「それじゃお前ら最高のサッカー、楽しめよ!」

そう言い残しパトカーは走り去った。



「鬼道、俺達は絶対に雷門中を倒し全国へ行き優勝するんだ!」

「源田、そうだな……!絶対にこの試合、俺達帝国学園が勝つんだ!!」

「「「おおおっっ!!」」」



「皆、俺達は最高の相手と今から戦うんだ!絶対勝って全国に行くぞ!!」

「「「おおおっっ!!」」」



『さあ!一時は中断を余儀なくされましたが、ついに決勝戦が幕を開けます!確実に実力をつけ今や注目の雷門中か!?それとも王者の帝国学園か!?審判ホイッスルを握り、そして!』

ピ──────!

『笛が吹かれました!!』 
 

 
後書き
鬼道「お互いにいい勝負をしよう」
雷藤「ああ負けないぜ!」
鬼道「ふっ、こちらの台詞だ」 

 

最強帝国学園!前編!

 
前書き
ついに帝国学園との試合開始です! 

 
笛が響いた途端に俺と染岡、豪炎寺は三人でパス回しをしながら帝国に攻めていく。

「行かせるか……!」

帝国学園のFW佐久間と寺門の強力なスライディングが俺を襲うが、体勢を崩しつつなんとか染岡にパスを出せた。

「頼む!染岡!」

「任されたぜ!雷藤!」

そう叫ぶと染岡は前線にどんどん上がりDFエリアまで到達した。

「通さん!アースクウェイク!!」

帝国のDF大野の強力なディフェンス技が炸裂し染岡が体勢を崩した。

「くっ……!こうなりゃ!豪炎寺行くぞ!」

染岡が叫ぶと豪炎寺はコクリと頷いた。

「決めてやるぜ!ドラゴン──!!」

「トルネードォォ!!」

『ここで雷門中、豪炎寺と染岡の合体シュート、ドラゴントルネードが炸裂!!キーパー源田止められるか!?』

「点はやらない!」

源田はそう叫ぶと足下にパンチを放った。

「パワーシールド!!」

源田のパワーシールドと言う技がゴールの周りを衝撃波で覆い完全にドラゴントルネードを止めた。

キィィィンン!!

染岡と豪炎寺の合体シュートのドラゴントルネードが完全に止められ、俺は帝国学園の強さを改めて実感した。

「あのシュートを完璧にシャットアウトかよ……」

「いいシュートだったが、俺のパワーシールドは破れない!」

源田はそうニヤリと笑うと前線にボールを蹴った。

「鬼道!!」

源田が蹴ったボールは寸分違わず鬼道に渡った。

「ヤバい!戻るぞ!」

前線に上がっていた、俺と豪炎寺、染岡は帝国学園のカウンターにやられないように急いで戻る。

「佐久間!洞面!寺門!」

鬼道はそう叫ぶとボールを高々と蹴り上げた。

「ヤバい!デスゾーンだ!」

俺は叫ぶと円堂は頷いて闘志を全面に出している。

佐久間、洞面、寺門は飛び上がりボールを軸に回転し始め、そしてボールを蹴り落とした。

「デスゾーン改!!」

ゴォォォォォォ!!
と凄まじい音を放ちながらデスゾーンが円堂を襲う。

「以前の時より段違いにパワーアップしてやがる!」

「やらせるかぁ!」

円堂は右手に集中し、巨大な手を出現させデスゾーンを止めにいく。

「ゴッドハンド!!」

円堂のゴッドハンドも以前に比べパワーアップしているが、進化したデスゾーンを前に少しずつ押されている。

「円堂ぉ!負けんなぁ!」

円堂はその叫びに応えるように、叫ぶ。

「負けるかあぁ!!」

一度は押されていたゴッドハンドは更に輝きを放ち、今度はデスゾーンに押し勝っている。そして円堂の手にボールが収まった。

キュィーン バシン!

「よし!止めたぜ!」

「流石だ円堂!」

俺達が円堂に対し喜んでいる中で、ベンチの目金が叫んだ。

「今のはゴッドハンドが進化し輝きを増した……、ゴッドハンド改と呼ぶべきでしょう!!」

「進化したゴッドハンドがあれば何にも怖くないっス!」

壁山が叫ぶと豪炎寺が呟いた。

「壁山もチャンスがあれば前線に上がってきてくれ。イナズマ落としも出来るし陽動にもなるからな」

「はいっス!」



「行け風丸!」

円堂は風丸にボールを渡し一声かける。

「どんどん頼んだぜ!風丸!ゴールは任せとけ!」

「ああ!」

風丸は風のように前線に上がっていき、俺はその後ろから前線に上がっていく。

「はあぁぁ!キラースライド!」

帝国のDF成神のキラースライドが風丸を襲うが、風丸の後ろにいた俺が成神が弾いたボールを拾い上がっていく。

「行くぞ源田!」

「来い雷藤!」

俺は加速をしつつ、クルッと回転し回し蹴りを放つ。

「サンダーキャノン!」

バリバリと音を立て、ゴールを襲うが源田がまたパワーシールドを発生させた。

「パワーシールド!!」

キィーン!
俺のサンダーキャノンは完璧に止められ、俺は苦笑いを浮かべる。

「残念だったな、パワーシールドは何回でも連続で出せる」

(そうか、パワーシールドは衝撃波なのか……、ん?衝撃波……?)

源田は止めたボールを前線に蹴った。

(そうか衝撃波なら…!突破出来るはず!)

「鬼道!」

MF辺見から鬼道がボールを受け上がっていく。

「行くぞ、佐久間、寺門!ゴッドハンドを破るために編み出した必殺技……!!」

「「ああ!!」」

佐久間と寺門は鬼道に近付き三人で走ってくる。

「ゴッドハンドを破るために編み出した必殺技だと!?」

俺と豪炎寺は嫌な予感がして、急いで戻る。

「これが帝国の最強シュートだ!」

「ピィィィィィ!」

鬼道が指笛を吹くと、地面からペンギンが現れ、鬼道がボールを思いっきり前に蹴る。

「はあぁぁ!皇帝ペンギン──!」

佐久間と寺門が更にその鬼道の渾身のシュートをツインシュートで合わせた。

「「2号ぉぉぉぉ!」」

今までに見たことのない、途轍もないシュートが円堂が守る、ゴールを襲う。

「絶対に止めてみせる!ゴッドハンド改!!」

円堂が進化したゴッドハンドで迎え撃つ。

帝国が放った皇帝ペンギン2号は円堂のゴッドハンド改の指一本一本にペンギンが直撃しており、かなりの威力が出ているみたいだ。

「ぐっ……!点はやらない!」

どんどん押されていく円堂だったが、ゴッドハンド改が耐えきれなかった…。

バリーン!!

進化したゴッドハンドが皇帝ペンギン2号の強力なシュートによって粉々に粉砕され、そしてボールはゴールに突き刺さった。

ピ───────!!

『ゴォォォール!!先制点は帝国が円堂のゴッドハンドを破って先制しましたぁ!!』

俺は決められたらゴールを見ながら呟いた。

「なんだよあのシュート……、今までにあんな凄いシュートみたことねぇ…」

「円堂のゴッドハンドが負けるなんて初めてみたぜ……」

染岡も俺の隣で呟いた。

そして前半終了のホイッスルが鳴り響いた。


──────────
「くっそぉぉ!皇帝ペンギン2号止められなかった!!」

「大丈夫だ、円堂。パワーシールドの弱点はわかったから後半に逆転してやるよ!」

俺がそう話しかけると、染岡達は気付いていなかったらしく聞いてきた。豪炎寺は今回ももう気付いていたみたいだが。

「とにかくだ!後半はDFは徹底的に鬼道、佐久間、寺門のマークに付いてくれ!FW、MFはチャンスがあれば上がるぞ!」

俺がそう指示すると皆、頷き後半への意欲を感じた。

「雷藤」

突然、豪炎寺が声を掛けてきて俺は少し反応が遅れたが、豪炎寺から話し掛けて来るときは大抵大事な話なので耳を傾けた。

「どうした…?」

「もしチャンスがあったら、アレやるぞ」

「アレやるのか!?でも成功する割合は五分五分だぞ?」

「大丈夫だ、雷藤は本番に強いからな」

「なんだよそれ……」

俺は少し笑いながら、ベンチに置いている少し焦げたボールを見た。

「絶対勝とうな、豪炎寺!」

「もちろんだ、夕香のためにも、雷門のためにも絶対に勝つ!」

「皆、行くぞ!!」

「「「おおぉぉ!!」」」

俺達は最高のモチベーションで後半を迎え、ポジションに付いた。
 
 

 
後書き
雷藤「後半は絶対点を決めてやる!」
円堂「後半は絶対点をやらない!」

豪炎寺「見事にハモったな……」 

 

激戦の末! 帝国学園後編!

 
前書き
ついに最強帝国学園との決着です! 

 
後半は帝国学園からのボールだ。

「行くぞ佐久間、寺門!」

鬼道の声と共に佐久間、寺門、鬼道が前線を駆け上がってくる。

「止めるぞ!」

俺の言葉で豪炎寺は佐久間のマーク、染岡は寺門のディフェンスについた。

「鬼道!」

ボールを持っていた寺門が鬼道にパスを出した。

「読めてたぜ!」

俺は寺門から鬼道にパスが来ることをある程度読んでいたので、すぐに鬼道のブロックに入ることが出来た。

「ふっ、甘いな」

鬼道はそう呟くと、クルッと空中を回転し、ボールを地面に叩きつけた。

「イリュージョンボール!」

鬼道が叩きつけたボールは無数にも分身し、混乱した俺は抜かれてしまった。

「くっ…!あんな技を隠してたのか!」

鬼道は俺を抜いた後も、MF、DFを華麗なドリブルで抜き去り、ゴールの間近まで迫った。

「来い鬼道!」

「行くぞ円堂!」

円堂の声に応えるように、鬼道は叫んだ。

「佐久間!」

「ああ!」

鬼道と佐久間は短く声を掛けると、鬼道は上に向かってボールを蹴り上げた。

「ふっ!」

佐久間は鬼道が上げたボールをヘディングで鬼道に返し、そのボールを鬼道がダイレクトで蹴り込む。

「「ツインブースト!」」

鬼道と佐久間の新必殺技が円堂に向かい炸裂する。威力は俺と豪炎寺のイナズマ2号に劣らない程の威力だ。

「絶対に止めるんだぁ!」

円堂は叫びながら強烈なパンチを放った。だがただの熱血パンチではない。円堂は熱血パンチをボールに対し連発で打ち込んでいるのだ。

「うおぉぉぉ!爆裂パンチ!!」

バシィィィィーン!!
と円堂の爆裂パンチで鬼道と佐久間のツインブーストを打ち返した。

「流石円堂!目には目を新必殺技には新必殺技だな!」

「やるな円堂…」

「流石だぜ鬼道!すげぇシュートだ!」

円堂と鬼道はお互いに心からサッカーを楽しんでいるように見えた。

円堂が爆裂パンチで止めたボールは壁山のもとに飛んで壁山は半田にパスを出した。

「半田さん!」

「ナイスだ壁山!」

半田はボールを受け取ると豪炎寺にロングパスを出した。

「頼む豪炎寺!」

ボールを受け取った豪炎寺は前線を駆け上がり、炎の渦を巻きながら上昇しシュートを放った。

「ファイアトルネード!!」

豪炎寺が放った炎のシュートは帝国のGK源田に一直線に向かう。

「無駄だ!パワーシールドは破れない!」

源田は叫ぶとパワーシールドを発動させた。

「パワーシールド!」

源田が発動させたパワーシールドはファイアトルネードの威力を奪っていき止めようとした時だった。

「まだ終わってねぇ!!」

俺は止まりかけたファイアトルネードにかかと落としをして、ボールに縦回転を加えさらにボールに思いっきり蹴りを放った。

「パワーシールドは衝撃波で出来た壁…!弱点は薄さだ!遠くからの飛んできた物は跳ね返せても、近距離から押し込めば…!ぶち抜ける!!」

鉄壁のパワーシールドに亀裂が入っていき、そして。

「決まれぇぇ!ライトニングアロー!!」



バリィィーン!!

「ぐわぁぁぁ!!」

ピ────────!!

『決まったぁぁ!雷門中の雷藤の新必殺技ライトニングアローで、ついについに帝国学園に追い付きましたぁぁ!』

「よっしゃぁぁぁ!!同点だぁぁ!」

俺が叫ぶと、皆が笑顔で集まってくる。俺はこの光景が好きだ。この一瞬の為に俺はサッカーをやっているかもしれないし、この光景が好きだからサッカーが好きなのかもしれない。

「くそっ!」

「まさかこの短時間でパワーシールドの弱点を見つけるとはな…、流石は雷門だ」

「今度はパワーシールドを超える、あの技で絶対止めてやる…!」

「頼んだぞ源田」



俺達雷門中が点を奪ったので、またボールは帝国学園からだ。

「絶対に俺達帝国学園が勝つんだ!」

「「「おおっっ!!」」」

ピ───!

帝国学園の掛け声と共に笛が鳴り響き、寺門─佐久間─鬼道とボールが渡っていく。

「次は止める!」

俺が鬼道のディフェンスに入ると鬼道はクルッと空中を回転し、あの技を発動させた。

「イリュージョンボール!」

「くっ……!」

俺は鬼道の華麗なドリブルに手も足も出ず、さっきと同じように突破された。

「やれ!寺門、佐久間、洞面!」

3人は頷き、鬼道が空中に上げたボールに向かい黒い渦を巻きながら上昇していく。

「「「真デスゾーン!!」」」

ゴオォォォォ!!
とさらに進化したデスゾーンが円堂が守るゴールに襲いかかる。

「これはヤバい!皆止めるぞ!」

俺が叫ぶと、皆が頷き体を張ってボールを止めにいく。

初めに俺、豪炎寺、染岡が止めに掛かったが、もの凄い威力に俺達は吹き飛ばされた。そして、半田達、風丸達も吹き飛ばされ、ついに円堂だけとなった。

「止めてくれぇ!円堂!」

俺達の叫びに頷くと円堂は闘志を剥き出しにして、思いっきりパンチを放った。

「だぁぁぁぁ!爆裂パンチ!」

円堂の新必殺技が炸裂し、デスゾーンを迎え撃つ。しかしさらに進化したデスゾーンのパワーは衰えを知らずどんどん円堂がゴールに押し込まれていく。

「ぐっ、ぐ…!ぐわぁぁ!!」

円堂の新必殺技、爆裂パンチは進化したデスゾーンの前に敗れ、誰もが決められたと思った時だった。

バシン!!
突然鈍い音がフィールドに響いた。俺が鈍い音が響いた方を見ると、そこには顔面でデスゾーンを止めにいった土門の姿があった。

「…!土門!」

俺は急いで土門のもとに駆け寄ると声を掛けた。幾ら俺達と円堂が少しはパワーを落としていたとはいえ、もろにシュートを受けた土門が無事な訳がない。

「なんて無茶を……!」

「こうでもしなくちゃ、あのデスゾーンは止められないだろ…?」

「土門……」

「なぁ雷藤…、俺も雷門イレブンになれたかな……?」

「当たり前だろ!お前は最初から俺達の大事な仲間だ!」

「……へへっ、そうか…、ありがとよ」

土門はそう言い残すとタンカに運ばれていった。

「土門…、お前の分も絶対に勝つからな!」



out土門 in宍戸
土門と代わった宍戸がMFに入り、MFに入っていた風丸がDFに入った。 

土門のガッツ溢れるプレイで何とかクリアしたので、帝国学園のコーナーキックから開始だ。

「せいっ!」

コーナーキックを放った寺門は、そのままカーブのかかったシュートでゴールを狙ってきた。

「絶対に止める!熱血パンチ!」

円堂のダイビングしながらのパンチで何とかボールを弾き返し、弾き返したボールが風丸に渡る。

「皆が繋いだこのボールだけは、絶対に途切れさせない!」

ブロックしに来た佐久間に対し、風丸は今までにない動きを見せた。

「はあぁぁ!疾風ダッシュ!!」

まさに疾風。
風丸の新必殺技は名前に相応しい速さで佐久間を抜き去った。

「少林寺!」

風丸の新必殺技に続き、少林寺も辺見に対し新必殺技を披露した。

「竜巻旋風!」

辺見は少林寺が起こした竜巻旋風に近付けず、少林寺は辺見を抜き去った。

「豪炎寺さん!」

豪炎寺がボールを受け取ると、後ろから上がってきた壁山を使い、イナズマ落としの体勢を取った。

「だぁぁぁ!」

なんと、壁山の背後からゴールから上がってきていた円堂が壁山に豪炎寺と共に乗り、イナズマ1号の体勢を作った。

「絶対に決める!」

「これがイナズマ1号とイナズマ落としの合体技…!」

「「イナズマ1号落としぃぃ!!」

金色と青色の雷が空中で輝き、もの凄い威力のシュートが源田に襲いかかる。

「やらせるかぁ!」

源田は叫び、両手に力を蓄え、地面に両手を叩きつけた。

「フルパワーシールドォォォ!」

源田のパワーシールドを超えるフルパワーシールドがイナズマ1号落としを迎え撃つ。

「この腕が砕けようと絶対に…!絶対に止める!」

バリバリバリィィーン!

フルパワーシールドが砕け、イナズマ1号落としがゴールに突き刺さろうとした時だった。

「ピィィィィィ!」

指笛が聞こえた方をみると鬼道がいた。

バシュ!!

「ぐ…ぐぅ!」

なんとあの途轍もないシュートを鬼道が蹴り返そうとしているのだ。

「俺達は絶対に負けない!おおぉぉぉっっ!」

バシィィン!
ともの凄い音を立て、なんと鬼道はあのイナズマ1号落としを弾き返した。

「皇帝ペンギン────!!」

鬼道が弾き返したボールに佐久間と寺門が合わせた。

「「2号ぉぉぉぉ!!」」

円堂がゴールから離れている今、このシュートは絶望的だった。俺はこの状況を打開するため、ある方法を思いついた。

「壁山!イナズマ落とし行くぞ!」

「は、はいっス!」

「豪炎寺!イナズマ2号行くぞ!」

「…!わかった!」

このまま皇帝ペンギン2号が俺達を通過すれば、負けは確定だ。だから一か八か…、俺達も弾き返すしかない!

「「はあぁぁぁ!」」

俺と豪炎寺はお互いに声を上げ、腹を上に向けた壁山を踏み台にして、イナズマ2号を放った。

「地面に叩きつけるぞ、豪炎寺!」

「ああ!」

「「イナズマ2号落としぃぃ!!」」

ガガガガッ!

「「おおぉぉぉっっ!」」

バシュ!!
俺と豪炎寺の蹴りが何とか、皇帝ペンギン2号を打ち返し、地面にボールを叩きつけた。

「よし!行くぞ豪炎寺!」

「これで決めるぞ!」

打ち返したボールは、地面にぶつかり、高々と空中に浮き上がった。着地した俺と豪炎寺は、最近特訓していた例の技のモーションを起こした。

俺が右回転、豪炎寺が左回転で炎の渦を纏い上昇し、2人でツインシュートを放った。

「「はぁぁ!ファイアトルネードDD!!」」

「絶対に止める!フルパワーシールドV2!!」

俺と豪炎寺の新必殺技【ファイアトルネードDD(ダブルドライブ)】は進化したフルパワーシールドを粉砕し、ゴールに突き刺さった。

「ぐぐっ!ぐわぁぁぁ!!」

ピ──────!!

『ゴオォォォォル!雷門イレブンの新必殺技の連続責めでついに、逆転だぁぁぁ!』

「豪炎寺!」

「ああ!決まったな!」

バシン!
俺と豪炎寺はハイタッチを交わし、拳を合わせた。

俺と豪炎寺は最高のタッグだと俺は思う。豪炎寺となら何でもやれそうな気がする。



「まだ試合は終わっていない!」

鬼道の一言で帝国学園が動いた。
試合終了まであと一分程かもしれない。俺達にとって楽しくもあり、長いようで短い気がする。

「佐久間!寺門!」

2人は鬼道の言葉にコクリと頷くと皇帝ペンギン2号の体勢を作った。

「ピィィィィィ!」

鬼道の周りにペンギンが現れ、ゴールにペンギンの目が向く。

「皇帝ペンギン───!!」

皇帝ペンギンを放った鬼道は打った後、少し足を引きずるようにした。もしかしたらイナズマ1号落としを弾き返した時に痛めたのかもしれない。だが威力はさっきの皇帝ペンギン2号より強くなっているようにも見える。

「「2号ぉぉぉぉ!!」」

鬼道の渾身のシュートに佐久間と寺門が完璧に合わせ、皇帝ペンギン2号が円堂に向かっていく。

「円堂ぉぉぉぉぉぉ!!」

鬼道が叫び、円堂もスイッチが入ったようにあの構えを起こした。

「絶対に…!絶対に止めるんだぁ!」

金色の巨大な手が出現し、皇帝ペンギン2号を迎え撃つ。

「ゴッドハンド改!!」

ズガガガガガッ!!
さっきと同じ様に五体のペンギンがゴッドハンドの五本の指を攻撃し、ゴッドハンドがどんどん押され、円堂がゴールに押し込まれていく。

「ぐぐぐっ…!負けるかぁぁぁ!!」

円堂は叫ぶとゴッドハンドを放っている右手とは別に左手に力を込めてゴッドハンドに左手を合わせた。

「おおぉぉぉっっ!人も技も1人(1つ)で駄目でも2人(2つ)なら!絶対に止めてみせる!これがゴッドハンドWだぁぁ!」

円堂が発動させたゴッドハンドWはゴッドハンドに2個分の力を加えることで、ゴッドハンドが二倍の大きさになった。ゴッドハンドWは五本の指を攻撃していたペンギン達を吹き飛ばし、そして円堂の両手に皇帝ペンギン2号が収まった。

バシン!!
円堂の手にボールが収まる音と共に、勝利のホイッスルが鳴り響いた。

ピ ピ ピ──────!!

『試合終了ぉぉぉ!お互いに力を出し合い、この激戦を制したのは雷門中だぁぁ!』

「円堂ぉぉ!やったぜぇ!ついに全国だぁ!」

俺が円堂に叫びながら近付くと、円堂も叫んだ。

「雷藤!ああ!俺達が全国に行けるんだぜ!?最高だよな!」

すると俺達のもとに鬼道が歩いてきた。

「いい試合だった。今までのサッカーで最高に楽しかった」

「俺達もだ鬼道、お前達の分まで全国で勝ってくるからな!」

円堂がそう鬼道に話すと、鬼道は少し首を傾げて話した。

「…円堂もしかしてお前知らないのか?」

ん?と円堂が何のことと言うような顔で鬼道を見ると鬼道が話を続けた。

「前年の全国優勝チームは勝敗関係なく、全国出場権を持っているんだ」

「え?そ、そうなのか?」

円堂が少し驚いたように呟く。

「と言うことは、全国でも帝国学園と戦えるってことだな?」

俺がそう鬼道に話すと、鬼道は笑いながら頷いた。

「次に会うときは、全国大会の優勝を決める決勝戦で会おう」

「ああ!」

円堂が鬼道に手を伸ばし、鬼道もそれを握り返している時、俺は鬼道に質問をした。

「そういや鬼道、音無とは仲直りしたのか?」

「ああ、無事にな」

「そうかそれは良かった。ついでに聞きたいんだが、妹の機嫌を良くする方法とか知らないか?うちの妹は怒ると超おっかないんだよ…」

俺が妹の怒る姿を想像し、ブルブル震えていると、鬼道は少し後退りしながら呟いた。

「あんな優しそうな妹が、おっかない訳ないだろう?なぁ、円堂」

「あ、あぁ本当だぜ鬼道」

そういうと2人して走って何処かへ行ってしまった。

「どうしたんだ、あいつら…?」 

俺が呟きながら、後ろを向くと、円堂と鬼道が逃げた理由がわかった。

「誰がおっかないのかな?お兄いちゃん…?」

「え、何の話ですか?心美さん?」

「惚けない!」

「…はい」

「言い訳はたっぷり家で聞いてあげるわ!」

「……はい」

それを見ていた雷門中と帝国学園の選手達は同じことを思っていた。

(((おっかねぇぇ……)))


FF予選決勝戦 対 帝国学園
激戦の末 雷門中の勝利
2-1 全国出場権獲得 
 

 
後書き
雷藤「そうだ!打ち上げしようぜ!」
染岡「おっ!いいなパアッとやろうぜ!」
豪炎寺「たまにはいいかもな」
円堂「それじゃ雷雷軒に行こうぜ!」 

 

打ち上げ!

 
前書き
たまには息抜きも必要だよね 

 
俺達はバスの中で、話し合って雷雷軒で打ち上げをする事になった。



────ガラガラガラガラ

「ちょっと待ってろ。すぐ用意する」

響木監督はそう告げると厨房に入った。

「響木監督」

「どうした?」

俺は一番、気にかかっていた事を話す。

「監督…、今俺の財布はカラ何ですけど…、どうすれば良いですか…」

俺が呟くと、周りも俺も俺もと騒ぎ始めた。

「ふははは!そんなことを気にしていたのか!今回は特別にタダで食わせてやる!腹一杯食っていけ!」

「本当ですか!響木監督!」

俺達は本当、響木監督に感謝しながら、容赦ない鬼畜な注文を言いまくる。

「すみません、俺、角煮とチャーシューと餃子、炒飯下さい!」
と俺。
我ながらスムーズに言えた。俺はここぞとばかりにセレブの食べ物であるチャーシューを頼む。

「俺はチャーシュー麺と餃子で!」
と風丸。

「俺はラーメン定食と餃子とチャーシューでお願いするっス!」
と壁山。

皆が皆、かなり頼み込み響木監督と手伝っている円堂は忙しそうだ。
というか、響木さん、これ完璧に赤字になりますよ。

俺は大好物の角煮を頬張りながら、横で上品にラーメンを啜っている心美に話し掛けた。

「本当に雷雷軒の飯は美味いよなぁ、毎日でも食べたいよ」

「そだね、響木監督から調理法教えて貰えないかな…」

「まあ、監督も商売だからな、無理だろ」

「ちょっと残念だけどしょうがないね、とりあえずお兄ちゃん、全国出場権獲得おめでと!」

「ああ!ありがとな!」

俺と心美が話していると、隣の豪炎寺が話し掛けてきた。

「今回の勝利は雷藤のおかげかもな」

「そんなことないって!皆が力を出し合ったから勝てたんだよ!」

「ふっ…、雷藤らしい返し方だな」

そして注文の嵐が終わり一段落した円堂が話す。

「お前らの合体シュート格好良かったぜ!二人で打つファイアトルネード……、思い出しただけで鳥肌が立つぜ!」

「まあ、かなり奇跡に近かったけどな…」

「どういうことだ?」

円堂が俺に聞いてくると俺は本当の事を話す。

「実際あれはまぐれに等しいんだ。練習じゃ十回打ったら五回成功するかどうか……、なかなかのプレッシャーだったよ」

「あれは本当に掛けだったな、もっと練習して制度を上げなくてはな」

と豪炎寺も言葉を付け足す。

「そうだったのか…、でもお前らのお陰で勝てたんだ!ありがとな!」

「なぁ豪炎寺?」

俺が豪炎寺に話し掛けると、豪炎寺も少し苦笑いしながら頷く。

「こういうこという奴は大抵気付いてないよな」

豪炎寺も軽く頷く。

円堂は本当にわかっていないらしく首を傾げている。

(勝てたのは円堂のお陰なんだよ)
俺は心でそう呟くと何でもないと会話を切った。



────
「それじゃとにかく今日は皆お疲れ様!各自今度は全国に向けて頑張ろうぜ!」

最後に俺が打ち上げを締めると、土門たちも「お疲れ」と言い残し解散した。



──────
最後に俺と円堂が残り、俺達も帰ろうとしたとき、戸が開いた。

「すみませんね、今日はもう…うん…?浮島…!」

響木監督が浮島と呼んだ人は、前髪が長く目が隠れていて、髭を生やした男性だった。

「忘れられてなかったか…雷門中が帝国学園を倒したって聞いてな、何だかお前の顔が見たくなったんだ」

「そうか…こいつがそのサッカー部のキャプテン、円堂守と副キャプテンと言っても過言ではない、雷藤真紅だ」

「この人まさか…!」

俺が呟くと響木監督が頷き話した。

「ああ、元イナズマイレブンの一人だ」

「や、やっぱり!」

と円堂も興奮気味に浮島さんに近付く。

「ずっと憧れてたんです!伝説のイナズマイレブンに!物凄く強くて無敵だったって!俺ももっともっと強くなりたいんです!」

「…あんまり英雄視するな。やっぱり来るんじゃなかったな」

「え?」

「イナズマイレブンはお前達が言うほど大したものじゃない。イナズマイレブンは諦めちまったんだ。サッカーを」

俺達は何故か、浮島さんに煙たがられているみたいだ。
もしかしたら原因は、鬼瓦刑事から聞いた、40年前のあの事件…、あのバス事故以来の自分達を卑下してしまっているからかもしれない。

「俺たちは、誰一人もう一度立ち上がろうとはしなかった…みんなサッカーを捨てちまった。表舞台はダメでも、草サッカーでだって続けることは出来たはずだ。それなのに俺たちは…」

「おじさん…」

俺たちは、浮島さんの言葉に返す言葉がなく言葉が詰まった。

「これが伝説の正体だよ、イナズマイレブンはサッカーを捨てた負け犬というわけだ」

俺は喉まで出て来た言葉を、そのまま浮島さんに叫んだ。

「だったら何でここまで来たんだ?浮島さん、あんたまだサッカーが好きなんだろ!?だから響監督のとこに来たんだろ!?だったらもう一度サッカーを…、捨てちまったサッカーを取り戻そうとしないのか!?」

「…!何を言って…」

浮島さんの言葉を、響木監督の言葉が遮った。

「やるぞ浮島、日曜の朝イナズマイレブンは河川敷に集合だ」

「響木…!集合って…」

「雷門中イレブンと試合だ。見せてやろうぜ、伝説を」

(サッカーを捨てたと言っていたけど、浮島さんはサッカーを捨て切れていない。まだ浮島さんからはサッカーへの情熱を感じるんだ)

響木監督が半ば強引に試合を決定させ、日曜日に元イナズマイレブンとの試合ということになった。

そして本当に日曜日、伝説のイナズマイレブンが全員揃う事になる。 
 

 
後書き
円堂「日曜日が楽しみだな!」
雷藤「ああ!響木監督とも戦えるしな!」
風丸「本当にお前らサッカー好きなんだな」
円堂 雷藤「「当たり前だろ!!」」 

 

イナズマイレブン

 
前書き
ついにイナズマイレブンと練習試合! 

 
────日曜日 試合当日

伝説のイナズマイレブンの人たちを見ている俺達は、驚きが隠せないでいた。

「おいおい、生活指導の菅田先生がイナズマイレブンって……、マジかよ…」

俺が呟くと風丸も

「理髪店の髪村さんまで…」

心美が俺に話し掛ける。

「お兄ちゃん、みんな雷門町で見たことのある人たち、ばっかりだよ」

「ああ…、流石に驚いたな…」

夏未嬢の執事である、場寅さんが呟いた。

「お嬢様、今日は休暇をいただきます」

流石の夏未嬢も驚きの声を漏らす。

「え…?ば、場寅、あなたまで!?」

「夏未嬢の執事の場寅さんまでもがイナズマイレブンだったとは…」

そんなイナズマイレブンの姿を見た俺たちは、すぐ近くにイナズマイレブンがいた事に驚いた。



───────
そして俺達はポジションに着いた。

FW雷藤 豪炎寺 染岡
MF半田 少林寺 宍戸
DF風丸 壁山 土門 栗松
GK円堂

FWはお決まりのスリートップだ。

「イナズマイレブンと試合出来るなんて夢みたいだ!」

円堂が興奮気味に話す。

「響木監督とも勝負出来る!くぅ~!!楽しみ!」

俺も興奮が抑えられず、手を握り締めながら叫ぶ。

「みんな!イナズマイレブンの胸を借りるつもりで、この試合全力で挑むぞ!!」

「「「おおおっっっ!!」」」

円堂の掛け声に合わせ、俺達も気合いを入れ直した。



ピ──────!!

そしてついに笛が吹かれた。

「行くぞ!!」

何とイナズマイレブンのFWの一人がボールを貰うと共に、豪快なシュートフォームを作った。

「い、いきなりシュート!?」

円堂が驚き、急いで構える。

「おおっっ!!」

(すかっ)

「うごっ!?だっはっは、参ったなこりゃ」

FWのおじさんは見事にすっ転び、俺は少し苦笑いを浮かべてしまった。

そして、その後もこういった、珍プレー(?)は幾度も起こった。

俺がボールをもって駆け上がり、豪炎寺にパスを上げた時の事だった。

「豪炎寺!」

「やらせんぞ!」

場寅さんがインターセプトしようとヘディングした時だった。

(ぼこっ)

ピ──────!

「えっ……?」

俺は思わず、言葉か漏れてしまった。いや、多分みんなそうだろう。

だって、場寅さんがクリアしようとしたボールを自分達のゴールに入れてしまった。つまりはオウンゴールをしたのだから。

「おや…?すまん響木、クリアしようとしたんだが。ははは」

すると、イナズマイレブンの一人が呟いた。

「やっぱしダメかぁー、まぁこんなもんだよな」

響木監督もその衰えたメンバーの姿を見て呟く。

「…これじゃあ練習にもならんな」

その姿を見た夏未嬢が、思わず本音を呟く。

「何も得るものはないわね…この試合…」

浮島さんも俺達を見ながら話す。

「これで分かっただろう?伝説のイナズマイレブンは、もう存在しないんだ」

俺は納得がいかなかった。
全力でプレーして、この結果ならまだしも、だけど失敗してもヘラヘラ笑うだけで、必死さが全く伝わって来ない。俺は思わず叫んだ。

「伝説なんて関係ないだろ!?どうしていい加減なプレーばっかりするんだよ!こんな魂の抜けたような試合をして、おじさん達が大好きだったサッカーに対して、恥ずかしくないのかよ!!」

俺が叫び終わると一時、沈黙が訪れた。

「「「…………」」」

俺は思わず舌打ちをして、ゴールに向かい走り出した。

「ちっ…!俺が目を覚まさせてやる!!」

俺がドリブルで上がって行くと、浮島さんがブロックに入った。

「サッカーを真剣にやらない奴なんかに、俺は止められない!!」

俺は加速すると技を発動させた。

「はあぁぁ!電光石火改!!」

「な、何!?」

俺は一瞬のうちに浮島さんを抜き去るとゴールに向けて更に、走り出した。

「行くぞぉぉぉ!!」

「来い雷藤!」

響木監督も構えを起こそうとした。

「構える暇も与えない!!」

俺はボールにかかと落としをし、ボールに強烈な回転を加え、本気の蹴りを放った。

「おおっっっ!!ライトニングアロォォォー!!」

「…!速い…!?」

ピ────────!!

響木監督は俺の渾身のシュートに反応出来ず、ボールはゴールネットを揺らした。

「ちったぁ、目を覚ませあんたたち!」

それを聞いた、浮島さんは呟いた。

「…錆び付いちまってる…やっぱり諦めた時に終わっちまったんだ、俺のサッカーは…ははは…」

俺が全力のプレーで目を覚ませさせようと奮闘したが、逆に余計やる気をなくさせてしまった。だが、その時、響木監督が叫んだ。

「…お前達ッ!!なんだそのザマは!!俺達は伝説のイナズマイレブンなんだ!そしてここにその伝説を夢に描いた子供達がいる!その思いに応えてやろうじゃないか、本当のイナズマイレブンとして!」

それを聞いて浮島さんは思うところがあったのか呟く。

「ほ、本当のイナズマイレブン…?」

(やっと目を覚ましたかな?本当のイナズマイレブンがそうじゃないことは俺でも解る。サッカーが大好きで、サッカーに全てを注いだ男たち…それがイナズマイレブンな筈だから…!)

「俺達はサッカーへの想いを見失っていた…」

浮島さんが呟くと響木監督が声を掛ける。

「さあ!見せてやろうぜ、伝説のイナズマイレブンのサッカーを!」

「「「おおおっっっ!!」」」

イナズマイレブンのメンバーは叫び、ポジションに入る。

「凄い気迫だ…、これがイナズマイレブン…!」

俺が呟くと笛が響いた。

ピ───────!

イナズマイレブンは見違えるような動きで雷門中のパスワークを読み、インターセプトしたボールを前線に送っていく。それを受けたFWは必殺シュートの体勢に入った。

「ふっ!クロスドライブ!」

十字のシュートが円堂を襲い、円堂は熱血パンチで迎え撃つ。

「熱血パンチ!!」

バシュゥゥゥ!!

「なっ……!!」

さっきの音は熱血パンチで止めた音ではない。ゴールが決まった音だ。

「嘘だろ…、あの熱血パンチが全く通用しなかったのか…」

俺が驚くのも無理はない。熱血パンチがここまで通用しなかったのは初めてだ。流石に伝説のFWの選手だけはある。

だが、俺たちも黙っちゃいない。

「行け!染岡!」

半田からボールを受け取った、染岡は必殺シュートの体勢に入った。

「ドラゴンクラッシュ!!」

響木監督は俺たちがよく知っている、あの必殺技の体勢を取る。

「見せてやろう、これが…、元祖ゴッドハンドだッ…!!」

バシーン!

響木監督も本来の力を見せつけ、染岡のドラゴンクラッシュを意図もたやすく止めた。

流石、元祖……。
円堂のゴッドハンド以上じゃないか?俺にそう思わせるほど、凄い迫力と威力だった。


その後もイナズマイレブンのパスが繋がっていき、浮島さんにボールが渡った。

「備流田ァァァァ!!」

「おおおっっっ!!」

備流田と呼ばれる、引き締まった体つきのおじさんがオーバーヘッドの構えを取り、浮島さんがジャンプしツインシュートを放った。

「炎のォォッ!!」

「風見鶏ィィィッ!!」

ズガァァァン!!

浮島さんと備流田さんの強烈な合体シュートが円堂を襲うが、円堂は反応出来ず、あっさりとゴールを奪われた。

「す、すげぇ…、なんだ今の技…!?タ、タイム!タイムお願いします!」

俺たちも集まり、円堂のタイムの理由を伺った。

「どうした?」

「今日はお手本が目の前にある!あの浮島さんと備流田さんの合体シュート…、【炎の風見鶏】を習得しよう!」



──────
ガヤガヤガヤガヤ

「なんで話に加わらない?」

浮島は影野に話し掛けた。

「俺は控えだし…必殺技には絡めないから。影も薄いから…」

「俺も最初は控えだった」

「えっ…そうなんですか?」

「サッカーはピッチに11人だけで戦っているんじゃない、いつでも出られるように準備しておくんだ。体も心もな、いつか必ず存在を示す時が来る」

「…!はい!」



───────
「炎の風見鶏はスピードとジャンプ力を考えたら、風丸と豪炎寺かな?」

俺がそう話すと、皆も賛成してくれた。

「決まれば、練習だ!」

そう言って風丸と豪炎寺は練習を開始した。


───────

「うわっ!」

「くっ…!」

やはり見よう見まねでは、なかなか難しいらしく、あの豪炎寺と風丸ですら苦戦している。

「浮島、もう一度見せてやるか!」

「ああ…!しっかりとな!」

「行くぞ円堂!」

「お願いします!」

「「はあぁぁ!」」

二人は完璧なタイミングでツインシュートを放った。

「「炎の風見鶏ィィィッ!!」」

改めてみても凄い威力だ。

「おおおっっっ!!ゴッドハンド改ィッ!ぐっ!…くっ!?」

グワシャァァァン!!

「ぐああああーっ!!」

円堂のゴッドハンドは砕け、シュートはゴールに突き刺さった。

「マジかよ…、ゴッドハンドすら完璧に砕くなんて、皇帝ペンギン2号並みの威力…、いやそれ以上かもしれないな…、炎の風見鶏…途轍もないな」

俺が呟くとベンチに座っていた影野が叫んだ。

「そうか…!この技の鍵は2人の距離だよ!2人がボールの中心に、同じ距離・同じスピードで合わせないとダメなんだ!」

「なるほど!」

「そういうことか!」

「よく気づいたな!」

風丸、豪炎寺、円堂は納得したように頷き、影野に笑顔を向けた。

「ほう、気付いたか…」

浮島さんも少し微笑みを浮かべながら呟く。

「今だ!」

「行くぞ!」

豪炎寺がオーバーヘッド、風丸がジャンプをして同時にシュートを放つ。

「炎のォォ!」

「風見鶏ィィィッ!!」

バァァァーン!!

風丸と豪炎寺の炎の風見鶏はゴールネットを大きく揺らし、炎の風見鶏を完成させた。

「や、やったぁぁ!」

円堂が笑顔で風丸たちに向かうと俺たちも笑顔で駆け寄った。



──────
「あの子達なら…伝説なんかじゃない、本当のイナズマイレブンになってくれるかもしれないな」

浮島が響木に話すと

「ああ…!」

響木を頷き、雷藤達を見つめた。



───────
「さあ!次は全国大会だ!気合い入れて行くぞぉ!!」

「「「おおおっっっ!!」」」

円堂の掛け声と共に、今日の貴重な練習試合は終了し、俺たちは次の全国大会に向けて闘志を燃やすのだった。


 
 

 
後書き
壁山「雷藤さん、怒ると怖いっス…」
雷藤「え?そうか?」
宍戸「そうですよ、口調も荒々しくなるし」
雷藤「そうなのか?すまん、無意識だわ」
壁山「無意識が一番たち悪いっス…」 

 

気持ち

 
前書き
最近書けなくてすみませんでした<(_ _)> 

 
イナズマイレブンとの練習試合の翌日、俺たちはいつも通り練習に励んでいた。

「いくぞ豪炎寺!」

「ああ!」

俺と豪炎寺は炎の渦を巻き、天高く上昇し、ツインシュートを放つ。

「「ファイアトルネードDD!!」」

ギュォォォン!!
俺たちが放ったシュートは凄まじい音を立て、ゴールに突き刺さった。

「よし!やったな雷藤!」

「ああ!これで10本中10本ゴールだ!これなら試合でも十分に使えるな!」

「それに炎の風見鶏も今日は百発百中だ!だいぶ攻撃に幅が出来たな!」

風丸も手応えを感じているらしく、今まさに皆、波に乗ってる感じだ。

そこに見知らぬ金髪長髪の少し肌黒の少年が駆けてきた。

「あっ!風丸さぁーん!」

「宮坂!久しぶりだなぁ、練習頑張ってるか?」

「ん?誰?」

俺が風丸に聞くと

「あぁ、陸上部の後輩の宮坂だ」

と答えると、それを見ていた宮坂が

「はい!風丸さんの陸上部の後輩、宮坂って言います。で、ところで風丸さん、ウチにはいつ戻るんですか?」

「えっ…?」

「やだなぁ、サッカー部は助っ人だって言ってたじゃないですか」

「あ…助っ人か、そうだな…」

そういえば風丸は助っ人として、サッカー部にいるんだよな…。最初からサッカー部にいたのは俺、円堂、染岡、半田、壁山、宍戸、栗松、少林寺で、帝国学園の練習試合の為に、風丸は入っていてくれてたんだ。すっかりサッカー部にいるのが当たり前になってきて、忘れてたな。

「風丸さん、僕と勝負しませんか?僕も特訓して少しは足が速くなったんです!」

「いいぜ受けて立とう」



────────
「よし!ランニング終わり!」

俺がランニングを終え、グラウンドに戻ると、違うところから風丸が走ってきた。

「遅いぞ風丸ー!」

円堂が風丸に叫ぶと

「遅れてすまん!」

と軽く手を前に出しながら言った。

「あの一年に何を言われたんだ?」

豪炎寺が何を思ったのか、不意に風丸に問うが

「大したことじゃないさ」

と一言話し、豪炎寺と炎の風見鶏の練習に入った。


───────
「くっ…はぁ…はぁ…」

「どうしたんだ?風丸、さっきまでは百発百中だったのに?」

俺が息を切らした、風丸に声を掛けたのは他でもない。中断するまでは百発百中だった炎の風見鶏が、再び始めると何発試しても、ゴールを遥かに逸れたメチャクチャな方向に飛んでいっていたからだ。

「意外とわかりやすい奴なんだな…陸上部に戻ってきてくれとでも言われたんじゃないのか?」

豪炎寺が鋭いことを聞くと、風丸は苦笑いを浮かべるだけで、それを答えようとはしなかった。




─────────
一方その頃、雷門理事長と鬼瓦刑事は影山について話していた。

「イナズマイレブンのデータが消えていた件ですがね…影山の仕業ですよ」

「やはりそうですか…」

「奴はイナズマイレブンのメンバーです、そしてそれを証明するものを全てこの世から消している」

「でもどうしてメンバーのことを?」

「そちらの執事さんを初めとするメンバーが、こっちの質問に応じてくれるようになったからですよ」

「そうでしたか…」

「影山は中学サッカー協会の副会長だったそうですね」

「ええ、サッカーに強い思いを抱いていることは知っていました」

「強すぎますよ…サッカーの話をするときの奴の目はゾッとします、なんと言うか…憎しみがこもっていると言うか…」

影山はサッカーそのものを激しい憎悪に抱いている…、40年前、イナズマイレブンを陥れたバスの事故も影山の仕業だろうが、そこまでサッカーを憎んでいる理由は何なんだ…。

知っていく度に、鬼瓦刑事の頭には疑問がよぎるのだった。 
 

 
後書き
雷藤「全国の開会式も近いな…」
円堂「どんなチームが来てるんだろうな!?」
豪炎寺「なんせ全国だ、強豪ばかりだ」
雷藤「どんなチームだろうが絶対に俺たちが勝つけどな!」 

 

風丸の葛藤

 
前書き
風丸の心境を書きました!それではどうぞー! 

 
「宮坂…昨日お前にいつ戻るのか聞かれた時、自分がサッカーに夢中になっていたんだって気づかされたよ」

「えっ…」

俺は学校が終わり、帰宅していると川岸で風丸が陸上部の後輩の宮坂と話しているのを見つけた。

「あれからずっと考えてたんだ、俺はどうしてサッカー部にいるんだろうって」

「もういいじゃないですか!サッカー部は部員も増えたんでしょう!?風丸さんはもう役目を終えましたよ、陸上部に戻ってきてください!」

「戻らなきゃいけないとは思っている。でも…まだ戻れない」

「何を迷ってるんです!?」

「サッカーには陸上とは違う面白さがあるんだ、俺は一流のプレイヤーと戦って自分を強くしたい」

「一流のプレイヤーなら陸上だって!」

「まだまだサッカーには、俺の知らない凄い奴が大勢いるんだよ」

「…陸上はもうどうでもいいみたいだ、風丸さんからそんな言葉を聞くなんて思ってもみませんでしたよ!お願いします、戻って来てください!また一緒に走りましょうよ!どうしてそんなにサッカーに拘るんですか!?」

「…宮坂、明日から全国大会が始まる。試合を見に来てくれないか?サッカーをやる俺を見てくれ、それから陸上部に戻るかどうか話そう」

俺は遠目で見ていると、宮坂はしぶしぶ風丸の提案を受け入れたらしく、足早で風丸の下を去っていった。

「…風丸、すまん聞いてしまった」

俺がそう呟きながら、風丸に近付くと

「気にするな、悪いのは俺だ」

と特に俺が聞いていたのを、驚く様子もなく呟いた。

「俺さ、風丸はもうサッカー部のメンバーのつもりでいたんだけど、そういや助っ人で来てくれてたんだよな」

「円堂や雷藤のメチャクチャな練習と熱さが気に入ってな」

「ははっ、あの時は必死だったからな」

「初めは本当に助っ人のつもりだったけど…気がついたらいつもサッカーのことを考えてて、この感じ、陸上を始めた頃みたいで…なんていうか楽しいんだよ」

「…戻るのか?」

「分からない…陸上の仲間もお前達も、俺には大事な仲間だ。どっちを選んでも、どっちかを裏切るような気がして…」

「俺は風丸が出した答えがベストだと信じてる。後悔だけはしないように納得が行くまでいっぱい悩め!例え陸上を選んだとしても、裏切ったとは思わない、それがお前の道だからな」

最後に風丸は少し笑みを浮かべると、そうさせて貰うよと呟き、その場で風丸と別れた。



───────
「ほんとに風丸さん、どうするのかなぁ…」

「気にしても仕方ないよ、今はとにかく全国一回戦を突破すること!」

マネージャーが、少し不安な気持ちを抑えつつ、選手たちを見ているときだった。

ピリリリリ ピリリリリ

突然、お嬢の携帯が鳴り響いた。

「どうしたの?場寅…えっ…!?」

俺たちもその様子を見ていると、どんどんお嬢の顔が蒼白になっていった。

事情を聞いた俺たちは、お嬢と共に病院に向かった。

「場寅!お父様は、お父様は!?」

「…あれだけの傷を負いながら、気を失うまでずっとフットボールフロンティアの成功を気にかけておられました…」

「何があったんですか!?」

俺が場寅さんに聞くと、場寅さんは顔を下に向けたまま話した。

「全国大会の会場となる、フロンティアスタジアムを下見した帰りに事故に遭われたのです…、同乗していた関係者の皆様も傷を負われましたが、最も重いのが旦那様でした…!」

「なっ…!?」

俺は言葉が出ず、お嬢の顔も見ることが出来なかった。

「う…う…うぅ…」

俺は泣いているお嬢に対し、一声掛けた。

「お前はお父さんについててやれ、その方がいい気がするんだ」

「お父さんも目覚めた時、一番最初に夏未さんの顔を見せてあげて」

木野も俺の言葉に続き、お嬢に声をかける。

「そういうことだ。俺たちのことは心配すんな!一回戦は絶対に勝つからな!」

俺がそう叫ぶと、後ろから声が聞こえた。

「威勢がいいな、あんちゃん」

「お、鬼瓦刑事!」

俺が振り向くと、そこには鬼瓦刑事の姿があった。

「理事長が事故だと聞いてな、気になって来てみたんだ。だが今のヤツに、手を出せるワケがない…」

確かに今は、影山は刑務所の中…、こんな工作出来ないはず…。

その後、俺たちはその場で解散し、明日の全国大会一回戦に向けて、身体を休めた。 
 

 
後書き
円堂「全国だぁー!」
雷藤「制覇だぁー!」
染岡「優勝だぁー!」
心美「男の子ってなんで、こんなに元気なんだろうね?」 

 

全国大会開始!

 
前書き
ついに舞台は全国大会へ! 

 
《全国サッカーファンの皆さん!ついにこの日を迎えました!熱い激戦を勝ち抜いてきた強豪チームが、日本一の座を賭けてさらなる激闘に挑みます!》

外からは割れんばかりの歓声が聞こえる。今日はついに待ちに待った全国大会一回戦当日だ。俺たちは入場する前に円陣を組み気合いを入れていた。

「とうとう来たぞ!今日まで色んなことがあったけど、ここまで来たら思いっきり暴れてやろうぜ!」

円堂がそう叫ぶと、俺に目線を向けた、締めを俺が言えってことらしい。

「フットボールフロンティア予選で戦った奴らの為にも、全力で相手にぶつかって、今日来れなかったお嬢の為にも、今日の試合…絶対勝つぞ!!」

「「「おおっっ!!」」」

俺たちは皆で声を出した後、入場行進し、俺たちは帝国学園の横に並んだ。そして勿論、その先頭は鬼道だ。

「もう足のケガは大丈夫なのか?」

円堂が鬼道に聞くと

「人のことより自分の心配をしろ、全国は今までとは違うぞ?」

鬼道は少し笑みを浮かべながら俺たちに呟く。それを聞いた俺は

「へっ…だから燃えるんだろ?」

と鬼道に言い返した。

「ふふ、俺たちに勝っておきながら、このスタジアムで無様に負けたら許さんからな」

「ああ!帝国こそ負けんなよ!」



─────────
その頃…。

ピリリリリ ピリリリリ

鬼瓦刑事の携帯に電話がかかってきていた。

「ん?…ああ俺だ、何だ?……!?誰が許可したッ!!本当に影山は釈放されたのか!?証拠不十分ってどういう事だ!?証拠なら確かにッ!!く…!分かったもういい!!」

ピッ……

鬼瓦刑事は拳を握り締め呟いた。

「どうなってやがる…!」



─────────
《残る最後の一校!推薦招待校として世宇子(ゼウス)中学の入場になります!》

「世宇子?聞いたことのない中学だな…」

あの鬼道すら、聞いたことのないチームどんなチームなんだ?と俺が思いながら入場を見ていると

「だ…誰もいない!?」

アナウンスで説明した限りだと、現在調整中とのことらしい。

その後も開会式は順調に進み、開会式は無事終了した。



─────────
「みんな、一回戦の対戦相手は戦国伊賀島中だ!」

円堂が一回戦の対戦相手を俺たちに伝える。

すると音無がパソコンを開き、カタカタと打ち始め、俺たちに伝えた。

「戦国伊賀島中の監督は、忍者の末裔と言われています。秘伝の忍術を使って、選手を鍛えてるという噂です」

「に、忍者って…、なんでもありだな…」

俺が呟くと豪炎寺も

「忍術で鍛えてる?どういう攻撃をするんだ?」

豪炎寺が音無に聞くが

「それがよく分からなくって…」

少し不安そうになった俺たちだが、円堂の一声で目を覚ました。

「いいさ!どんなチームだって、サッカーをすることには変わりない、いつも通り真正面からぶつかっていこう!」

「「「おお!!」」」

俺はその円から離れ、一人静かに押し黙っている風丸のところに向かった。

「………」

「風丸…、陸上の後輩のことなんだが」

「宮坂のことか…あいつは多分、言葉じゃ納得しないだろう。だからサッカーで答えを見せてやるつもりなんだ」

「そうか…そう決めたんだな」

「なぜサッカーをやるのか…俺自身が答えを探しているのかもな」

「それじゃ、その答えを見つけようぜ!思いっきりボールを追いかけてさ!」

「ああ!」

俺たちは少し立ち話をしたあと、グラウンドに入りウォーミングアップを始めた。

「豪炎寺こっちだ!」

「雷藤!」

豪炎寺のパスが俺に飛んできて捕ろうとしたときだった。

スパァン!

「えっ…!?」

相手チームの選手が、パスを突然かすめ取りボールを奪った。

「誰だ!」

「お前に名乗る名前はない!

「んだと!?」

「雷藤真紅、俺と勝負しろ!噂には聞いてるぞ、閃光の雷藤って言われるほどの、シュートのスピードと足の速さを持ってるらしいな!」

「せ、閃光の雷藤って…、初耳なんですけど…」

「俺は戦国伊賀島の霧隠才次だ!」

「お、思いっきり名乗ってるじゃねぇか…」

「俺は足には自信があるんだ、どっちが上か決めようじゃないか?ここからドリブルで往復して速さを競うんだ!」

「断る、目障りだ」

俺は聞くやいなや即答で、返答した。

「な、なに!?逃げるのか腰抜けめ!」

「なんでわざわざ今から対戦する相手に、個人能力のデータを提供しなくちゃいけないんだ」

「やはり俺に負けるのが怖いんだな、この腰抜け!」

「なんとでも言え、試合が終わったら…」

俺が少しここで間を空けて、冷たい言葉で呟く。

「いくらでも遊んでやるからよ…」

実は結構切れてた俺は最後に、怒りの感情を込めつつ霧隠に呟いた。

「ひっ……!?」

「冷静になれよ雷藤」

風丸がその後も何か言いかけたが、観客席を見た瞬間、顔が変わった。

「…雷藤と同じくらい足が速いのは俺だ…、俺がやる!」

「おい風丸、相手にすんなって」

俺がそう話すと風丸は観客席の方に目を移した。俺もそこを見るとそこには風丸の陸上部の後輩…宮坂の姿があった。

「そういうことか…」

俺は状況を理解し後ろに下がった。

「誰だお前は?」

「お前に名乗る名前は無い」

風丸はさっき俺が霧隠に言われた台詞をそっくりそのまま霧隠に返した。

「なっ…面白い、叩きのめしてやるよ!



───────
「用意はいいな風丸?」

「ああ…」

「それじゃ始めるぞ」

俺がカウントダウンを数える。

「3、2、1、GO!」

ドドドドドドドド!!

両者ほぼ互角のスピードで火花を切ったドリブルレースだが、やはりサッカーの経験の差か、少しずつ風丸は劣勢に陥っていた。

「く…!」

「は、速い!風丸さんを抜き去る奴がいるなんて…これがサッカーのスピードなのか!」

宮坂が声を上げ驚いているが、
風丸も負けていない。
風丸はギアを上げ、そのまま加速していく。

「言うだけのことはあるなぁ!だけど足が速いだけじゃダメだぜ、サッカーは!」

バコオッ!

「な!?」

なんと霧隠は風丸のボールを蹴り、そしてそのボールでドリブルしていくというふざけた行為を行った。それに翻弄された風丸は霧隠に遅れを取ってしまう。

「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ…!」

しかしこのバカげた行為が、風丸のギアをさらに上げさせた。

まるで疾風のように加速していく風丸は、霧隠との差を急激に縮め、完全に霧隠を捉えた…、その時。

スパパァン!!

「勝手な行為は慎め霧隠」

「サッカーは個人競技にあらず、チーム同士で競うものだ」

二人の対決を遮ったのは、またしても伊賀島中の選手だった。

「ちぇ、分かったよ。名前覚えとくぜ?えーと…藤丸くん?」

「…風丸だ!」

霧隠は風丸を軽く見ていくと、他の仲間と共に戻っていった。

────そして

《雷門中学対戦国伊賀島中学!さあキックオフだ!》

全国大会一回戦が始まった。
 
 

 
後書き
雷藤「閃光の雷藤かぁ!かっけぇな!」
音無「あっ!本当に雷藤さんは【閃光】と呼ばれてるみたいですよ!ほら!ここの選手評価欄!」
雷藤「感動だな…」 

 

戦国伊賀島中の忍術!

 
前書き
ついに全国大会一回戦開始! 

 
雷門中対戦国伊賀島中の試合は

FW雷藤 豪炎寺 染岡
MF少林寺 半田 マックス
DF風丸 壁山 土門 栗松
GK円堂

というスタメンだ。

キックオフは俺たちから始まったが、見たことのない技によって苦戦していた。

「染岡!」

「おう!」

俺が出したパスが染岡に渡り、ゴールに向かうが相手のDF技によって止められる。

「伊賀流忍法・四股踏み!」

ブォォォ!
と俺たちに強烈な風が襲いかかった。

「くっ…!」

俺たちが怯んだ瞬間
相手がボールを奪い前線に蹴り上げる。
そのボールを受けた選手は
ゴールに一直線に上がってきた。
それを止めにいった半田も
伊賀島中の忍法によって交わされてしまった。

「伊賀島流忍法・残像の術!」

「なっ!?」

半田がブロックしに行った選手は、残像を残し半田を抜き去った。

「行かせるか!」

隙を見た土門がさらにブロックしに行くがまたしても伊賀島流忍法が炸裂する。

「伊賀島流忍法・分身フェイント!」

土門も相手のフェイントに反応することが出来ず抜かれてしまった。

「せいッ!」

相手が放ったシュートは円堂目掛けて飛んでいく。

「はぁぁ!熱血パンチ改!」

バシィ!

と音を立てて弾き返したボールは風丸に渡る。

かろうじて失点だけは凌いでいる
俺たちだが、試合の流れは完全にあっちの流れだ。

「くそ…、上手く噛み合わないな…」

俺が呟くと風丸は

「こういう時は…絶対に先取点を取らなければダメだ!」

高速ドリブルで前線に向かって駆け出す風丸だったが、ここでも伊賀島流忍法が発動される。

「伊賀島流忍法・影縫いの術!」

シュッと影を捕らえ、影を捕らえられたら風丸はボールを捕られてしまう。そして戦国伊賀島中に絶好のシュートチャンスを与えてしまう。

「霧隠!」

「任せろ!」

ボールを受けた霧隠が必殺シュートの構えをとる。

「伊賀島流忍法・つちだるま!」

戦国伊賀島の必殺シュートが、円堂に襲い掛かる。

「おおっ!熱血パンチ改ィィ!」

バチィィィン!!

「ぐわぁぁぁぁ!!」

円堂の進化した熱血パンチも破られ、無情にもゴールにシュートが突き刺さった。

ピ───────!

《ゴォール!雷門中対戦国伊賀島中の先制点は霧隠のシュートで戦国伊賀島中が先制です!》

俺は倒れた円堂を見て少し不安を抱いた。

(嫌な倒れ方をした気がするな…試合に影響しなければいいんだが…)

その後も戦国伊賀島の攻めに俺たちは苦戦したが、円堂が何とか防ぎきり、前半は1失点で終えた。



───────
「思った以上に厄介だな…何をして来るかわからないな」

俺が話すとそれに続きマックスも呟く。

「流石に全国大会の相手は一筋縄じゃいかないってことかな」

だがここで皆を励ますのは、やはり円堂だ。

「絶対に突破口はあるさ!一筋縄でダメなら二筋縄、それでもダメなら三筋縄だ!」

円堂の言葉は元気になるが、今回は無理をしている気がした。

「…円堂」

俺はそこに置いてあったドリンクを円堂に軽く投げる。

円堂はドリンクを捕ったものの、すぐにドリンクを落とした。

「う…くっ…!」

「やっぱりな…、円堂お前さっき倒れた時手首痛めただろ?」

「し、心配すんなって…、左手でも絶対にゴールは許さない!」

「円堂…」

俺はそれ以上、何も円堂には言わなかった。こんな状態だが雷門のゴールを託せるのは円堂しかいないのだから。

そして後半も始まろうとしていた。




 
 

 
後書き
雷藤「あのドリブルを止めないと…」
風丸「俺が絶対に止める!」
雷藤「風丸…頼んだぜ」 

 

閃光の雷藤!疾風の風丸!

 
前書き
全国大会一回戦決着です! 

 
ピ─────────!

そして始まった試合後半、手を痛めた円堂をカバーするために、フォーメーションを変えた。

FW豪炎寺 染岡
MF半田 少林寺 マックス
DF風丸 雷藤 壁山 土門 栗松
GK円堂

とDFが5人のフォーメーションとなった。

そのDFは円堂をカバーするために、風丸や俺たちはいつにも増してシュートを止めまくる。

「俺たちが絶対にゴールは許さないッ!!」

特に足が速い、俺と風丸は徹底してゴールに相手を近付けない。

「す、すごい迫力だ…こんな風丸先輩は見たことがない…!」

宮坂も興奮気味に応援する。

そんな俺や風丸に続いて土門や風丸たちDF陣も奮起し、決死の守りで戦国伊賀島に決定的なチャンスを与えない。

しかしここで戦国伊賀島は、なんと8人もの選手を使った大技を発動した。

「伊賀島流蹴球戦術・円月の陣!」

ゴォォォォォォォォォ!!!

「な、なんだあれは……!」

俺が呟くとMF陣の悲鳴が響く。

「「ぐぁぁぁぁぁぁ!!」」

8人が作った陣形は、強力な砂嵐が周りを覆って俺たち雷門イレブンをなぎ倒していく。この壮絶なパワーに俺たちは太刀打ち出来ず、ついにゴール前まで霧隠が上がってきた。

「もらったぁー!!」

逆を突かれた円堂は体勢を崩してしまった。

「しまった…!?壁山!」

そのシュートに壁山が立ちふさがり叫んだ。

「絶対に通さないッスぅぅぅぅっ!!おおおおお!!ザ・ウォール!!」

巨大な壁を発生させて、壁山はシュートを弾き返した。まさに壁山にふさわしい技だ。

「くそっ…まだだ!食らえェッ!つちだるま!」

しかし、こぼれ球を拾ったのはまたも霧隠だった。今度は伊賀島流忍法・つちだるまでゴールを狙いに来た。

「ゴッドハンド改ィィ!!」

円堂もそれをゴッドハンドで迎え撃つ。

ガガガガガガガッ!!

「…つううっ!!」

グヮシャーン!!

「う…ぐわぁぁぁぁ!!」

しかし、右手の負傷でゴッドハンドの本来のパワーを出し切れず、つちだるまの威力に耐えかねたゴッドハンドは粉々に砕けた。2点目を取られたと思ったその時…

「うおおおおおおーっ!!」

シュートがゴールに突き刺さる前に体で風丸が止めた。

「ナイス風丸!」

風丸は俺を見て頷くと前を向く。

(ひとつのボールから俺の気持ちがみんなに伝わる…!俺にもみんなの気持ちが分かる…痛みも、喜びも…だから俺は…サッカーが大好きなんだ!!)

「風丸さんがなぜ試合を見てくれと言ったのか分かる…ここが、風丸さんの走る場所なんだ…!」

宮坂も試合をする風丸に対し、何故風丸がここにいるのかを理解しているようだ。

風丸の心の中では「自分がなぜサッカーをやるのか」という探していた答えがはっきりと分かった。11人の仲間と一心同体になる瞬間…それが風丸にとって何より心地良く、サッカーに惹かれた原因だったのだろう。一切の迷いを振り切った風丸は、戦国伊賀島を寄せ付けないスピードで一気に相手フィールドを切り裂いていく。

「行くぞ!豪炎寺!!」

「おうっ!!」

「「炎のォッ!!風見鶏ィィッ!!」」

炎の風見鶏は相手キーパーを吹き飛ばして、俺たちは念願の同点ゴールを突き刺した。1対1…!試合は振り出しに戻った。


伊賀島流忍法のドリブルで手こずっていた俺たちだったが、ついにここで捉えた。

「伊賀島流忍法・分身フェイント!」

俺は冷静だった。

(分身した瞬間は一瞬動きが止まる…、そこが分身フェイントの…)

「弱点だぁ!!サンダーバインドォォ!!」

俺はもの凄い速さでボールを奪い去り、風丸と共に駈け上がる。

「染岡!行くぞォォ!」

「ああ!見せてやろうぜ!俺と雷藤、風丸の合体シュートを!」

ボールを受け取った染岡はドラゴンクラッシュの構えを起こした。その間に俺と風丸はトップスピードで駆け上がっていく。

「うぉぉぉっっ!!ドラゴンズ───!!」

俺と風丸は染岡が放ったドラゴンクラッシュに最高速で勢いを増した蹴りでツインシュートを撃ち込む。

「「ウィンドォォォォッ!!」」

あまりの速さに相手キーパーは反応が遅れ、ゴールに吹き飛ばされた。

ピ──────!!

《ゴォォォール!!後半終了目前!勝ち越し点を奪ったのは雷門イレブンだぁぁ!!》

「よっしゃあぁぁ!!」

そしてその後すぐに試合終了のホイッスルが鳴り響き、俺たちは勝利を掴んだ。



──────────
「宮坂…俺、サッカーが大好きなんだ」

「はい…ボールを追う姿から伝わりました。風丸さんが走る場所は、今はこのフィールドなんだって」

「陸上のトラックを走るのは楽しい…でもサッカーには、自分一人では見られない世界がある…俺はイレブンの、イレブンは俺の感じるものを感じる…今はそれを追いかけてみたいんだ」

「はい!フィールドを駆ける風丸さんは格好いいです!僕、応援してますから!」



────────
風丸と宮坂が和解している頃、俺と円堂は病院に来ていた。

「よう!」

「理事長はどうだ?お嬢?」

円堂と俺がお嬢に聞くと

「問題ないわ…あっ…、それは…!?」

お嬢は円堂の手に気付き話す。

「あ、これ?今日の試合でちょっとね、だけど勝ったぜ!一回戦突破だ!」

「本当!?やったわね!ならばそれは名誉の負傷というところかしら」

「でも大したことなくて良かったよな、2、3日したら動かせるってさ」

俺も言葉を付け足す。

「良かったわ、我がチームのキーパーはあなた一人なんですからね。『無事これ名馬』ということわざもあることだし…」

これをどういう意味と悟ったのか、円堂が少しムカッとしたように叫ぶ。

「…め、名馬?誰が馬だよ!?」

「いやいや円堂、そういう意味じゃないからな」

「でも馬って言っただろ!?言っただろ!?」

「いや、馬に喩えてるだけだから」

「ほらやっぱり馬だと思ってるじゃん!」

「分からない人ね!!」

「分かってるよ!?馬ってあの走る馬のことだろ!?」

「まったくあなたは下に鹿の字が付く馬だわね!」

「へっ?下に鹿…し、しかうま?それなんて読むんだよ!」

「分からなくて結構よ!馬鹿!」

「円堂…、お前ここまで馬鹿だったのか…」

俺とお嬢はお互いにあきれ笑いを浮かべるのだった。

FF全国大会 一回戦
雷門中 対 戦国伊賀島中
2対1で雷門中の勝利 
 

 
後書き
染岡「ドラゴンズウィンド決まったな!」
風丸「ああ!完璧だった」
雷藤「なかなか難易度は高いがな…」
染岡「へっ!雷藤と風丸ならどんなシュートでも瞬足を生かしてどうにか出来るだろ!!」 

 

帝国学園の敗北

 
前書き
久しぶりの投稿になりました!すみません! 

 
俺達は迫ってくる二回戦の戦いに向けてイナビカリ修練場で特訓に励んでいた。

すると、音無が何か慌てたように走ってきた。その場に居た俺、円堂、豪炎寺は音無に顔を向けた。そして音無は息を切らしながら、俺達の前に止まると話を始めた。

「てっ、帝国学園が…!」

「初戦突破か?よし!」

円堂はそう叫ぶと俺と豪炎寺にハイタッチをした。

「10対0で…」

「相変わらず強いな帝国は…!こりゃまた決勝戦で戦うのが楽しみだぜ!」

俺も帝国の勝利を確信してガッツポーズを作る。

世宇子(ゼウス)中に…完敗しました…!」

それを聞いた俺達は、驚きと共に嘘だという考えがよぎった。

「う…嘘だろ音無…!」

最初に口を開いたのは円堂だった。
俺も円堂に続き話す。

「それに10対0だって…?あの帝国学園が一点も取れない訳がない!!ガセじゃないのか!?あの帝国学園が初戦で負けるわけねぇだろ!」

音無は顔を下に向けると呟いた。

「見たことのない技が次々決まって…帝国が手も足も出なかったそうです…」

すると円堂が叫んだ。

「あの帝国が‥!?そんなわけない!あいつらの強さは戦った俺たちがよく知ってる!あいつら本気で強いんだ…!鬼道がいるんだぞ!」

「お兄ちゃん出なかったんです…」

「えっ…」

「お兄ちゃん、うちとの試合で怪我していたみたいで…相手はノーマークの学校だったから、大事をとって控えに回っていたんです…そしたら相手が圧倒的で…傷を押してお兄ちゃんが出ようとした時には、もう…」

「ぐっ…そんなこと絶対ありえねぇ!」

ダダダダダッッ!

(あいつらが負けるなんて…帝国が1点も取れないなんて…!)

円堂はいてもたってもいられず、帝国学園に向かって走り出した。俺も円堂を追いかけ帝国学園に辿り着いた。

そして俺は、ただ一人グラウンドで呆然に立ち尽くす鬼道を捉えた。

「「鬼道っ!」」

俺と円堂は同じタイミングで鬼道に叫んだ。

「よう、円堂、雷藤…笑いに来たのか…」

俺は絶句してしまった。
もはや絶望のあまり薄ら笑いを浮かべていた。まるでいつもの鬼道とは全く別人ではないかと疑ってしまうほど、その姿は鬼道とは思えないほど、貧弱なものに感じた。

そんな鬼道を見ていられない円堂は、気合いを入れてやろうと鬼道へボールを蹴るが…。

ぼかっ

「…」

「鬼道…どうした、蹴り返せよ…!」

棒立ちのままボールを食らった鬼道は、よたよたと倒れそのまましりもちをついた。

そしてふらふら立ち上がった鬼道は、ボールを見ているうちにまたあの悔しさがこみ上げて来てしまったのだろう…、鬼道は震えた声で呟く。

「……く…ぐ…っ!40年間無敗だった帝国学園…俺たちは、その伝説を終わらせたんだ…ただひたすら勝つことだけを考えて戦い続けてきた…それが、ボールに触れる前に試合が終わっていたんだ…!」

「…」

「今までずっと、寝ても覚めてもサッカーのことしか考えてこなかった…!それが、こんな形で終わるなんてな…俺のサッカーは終わったんだ」

俺は鬼道も見ると叫んだ。

「俺のサッカーは終わったんだ?そんなことはない…!お前が見捨てない限り、サッカーはお前のものだ!鬼道ッ!!」

俺はフワッとボールを浮かせ、回し蹴りを放つ。

「サンダーキャノンッ!」

「…っ!?」

バコオオオオン!

鬼道はシュートを足で止めにいった。俺が力を抑えていたこともあり、鬼道は見事俺に蹴り返した。

「なっ?鬼道、サッカーはお前から離れなれないってさ!」

「…俺にはサッカーしかないんだな」

そして俺たちは鬼道に誘われ
鬼道の家にお邪魔することになった。


 
 

 
後書き
雷藤「えっ?これ鬼道の家?」
鬼道「ああ」
雷藤「でかっ……なんか入るの怖いんだけど…」 

 

鬼道の過去

 
前書き
お待たせしました! 

 
「うおーすっげぇすっげぇ!こんな広い部屋に一人かよ!」

俺は騒いでいる円堂を軽く流し、気になったあるものを手に取る。

「ん?すごく古いサッカー雑誌だな…」

すると鬼道は俺に振り向き話す。

「まあな…俺がなんでサッカーをやり始めたか知っているか?」

俺と円堂が首を横に振ると、鬼道は真剣な顔でそして、少し寂しそうな顔で話を始めた。

「俺の両親、飛行機事故で死んだんだ…父さんも母さんも海外勤務が多くてさ…俺と春奈は2人っきりだった。そしてあの事故で本当に2人っきりになっちまった、家族の写真一枚も残っていない…小さかったから父さんや母さんの記憶もほとんどない…残ったのはこれだけ、これだけが父さんと俺を繋ぐ絆なんだ。だからサッカーを始めた…ボールを蹴れば父さんと一緒にいるような気がした」

「お前も同じだったんだなぁ…俺もさ、死んだじいちゃんがすっごい選手で…そのじいちゃんの特訓ノートなんかを読んで、俺もボールを蹴り始めたんだよ」

円堂が呟くと俺も口を開く。

「俺も両親が死んで、俺は心に深い穴が空いていた時期があった。その穴を塞いでくれたのが、サッカー、そして心美なんだ。本当に感謝しているよ」

俺たちの話を聞くと鬼道は呟く。

「…お前たちと同じか…」

「なんだよ、嫌なのか?」

円堂が鬼道に話すと鬼道は

「いや…そうじゃない」

と呟き、俺たちは軽い食事もご馳走になり、鬼道の家を後にした。

そしてその頃。


──────────
「お父様の容態はどう?」

「はい、安定しております。ああ…それから旦那様からのご伝言です」

その頃、夏未は入院中の理事長に変わり学校で仕事に励んでいた。そんな夏美に理事長からなにやら手紙が届けられ、目を通した夏未は驚いた。

「な、何よこれ…」

その文章とは

『───というわけでバスは横転した。しかしイナズマイレブンの選手達は這ってでも試合に出ようとした…だがその事態を見透かしていたように、大会会場には一本の電話がかかってきた…「試合には参加しません」と…それは影山からの電話だった。他にもある、御影専農中学を覚えているだろうか?あの中学のバックにも彼がいたことが確認されている。夏未、影山は中学サッカー協会副会長とはいえ、何を考えているか分からない…表舞台から消えても十分注意して欲しい」

そこに書かれていたのは、理事長が知っている限りの影山の悪事をまとめたものであった…



───────
そしてそうこうしているうちに、雷門中が二回戦に戦う日は間近に迫ってきていた。おなじみの光景になってきた音無が集めた相手校の情報をもとに、俺たちは部室で対策を練っていた。

「みんな、全国大会二回戦の相手は千羽山中だ!」

「千羽山中は山々に囲まれ、大自然に鍛えられた選手達がいます。彼らは無限の壁と呼ばれる鉄壁のディフェンスを誇っていて、未だかつて得点を許していません」

俺は驚き質問する。

「それは全国大会まで1点も許していないと言うことか?」

「ええ、1点たりとも…シュート力には難点がありますが、この鉄壁のディフェンスでここまで勝ち抜いて来たんです」

鉄壁か…俺たちFW陣が頑張らないとな…、俺がそんなことを思っていると、円堂が叫ぶ。

「その無限の壁とかいう鉄壁のディフェンスを破ればいいんだな?だったらこっちはダイヤモンドの攻めをすればいいんだよ!」

俺たち全員が頭に?を浮かばせながら呟く。

「「「は、はぁ…?」」」

それでも勢いが止まらない円堂は、訳の分からない演説を続ける。

「鉄壁のディフェンスが崩れるまで攻める!それがダイヤモンドの攻めだ!そのためには特訓だぁぁぁ!」

「「「お、おぉ~…」」」

俺たちは円堂の勢いに釣られ少し、気の抜けた返事を返した。


───────
「宍戸!パス!」

(1…2…3!)

宍戸はいつものタイミングで風丸にパスを出す。

バシッ

「うわっ!?」

「す、すいません!いつもみたいにパスしたつもり何ですけど」

しかし、風丸は宍戸のパスを置き去りにしてしまう。

──────
「栗松っ!」

俺は栗松にいつもと同じようにパスを出す。

グオォォ!

「どわーーーっ!」

「あ、あれ?もしかして俺のボール、スピード違反だった?」

しかし俺が放ったパスは威力が強すぎて栗松は驚きのあまり涙目になっている。

─────────
「ドラゴンッ───!!」

「トルネードォォ!!」

染岡と豪炎寺の合体シュート、ドラゴントルネードが円堂が守るゴールに向かう。

ギュューン! スゥゥ…

しかしドラゴントルネードは途中で威力を失い、円堂の手に簡単に収まる。

「何よ、みんなたるんでるわね」

お嬢が俺たちの練習を見ながら呟く。

「みんな変だわ…それにドラゴントルネードが決まらないなんて」

木野が心配そうに呟くが、お嬢は

「体がなまってるんだわ」

言葉を一言呟くだけだ。

「そんなことないですよ、みんな動きは格段に速くなっています」

音無がお嬢に意見を述べるが、終いにはお嬢はまた呟く。

「じゃあ気持ちがなまってるんだわ。イナビカリ修練場で特訓かしら」

お嬢が呟いていると、それを横で見ていた響木監督が呟いた。

「修練場のせいだ」

「え…?どういう意味です?」

監督の予想外の言葉に驚いた木野は監督に意味を聞く。

「個人的な技術や体力は格段に上がったが、身体能力が向上してもそれを感覚として捉えていない。相手の身体能力がどれくらい上がったかが感覚的に分からないから、タイミングが合わせられない」

「そんな…能力の向上が裏目に出るなんて…」

監督は雷藤たちの異変の原因に気付いていた。全員がイナビカリ修練場で身体能力が向上し、動きが良くなりすぎた為に、今までの連携が出来なくなっていると言うことに…



───────
「はーい、ちょっと休憩!」

疲れていた俺たちに木野の声が響きわたる。

「スポーツドリンクで水分補給!」

「レモンのハチミツ漬けもあるわ」

音無がドリンクを持ってきて、お嬢がレモンのハチミツ漬けを持ってくる。しかも手作りとのことだ。

俺たちは手作りのレモンのハチミツ漬けを食べながら、ドリンクで喉を潤す。

「夏未さん、いつの間にハチミツ漬けなんて作ったの?」

「ヒマだったのよ」

「やっぱりみんなのことが気になる?」

「…負けてうちの評判を落とされると困るだけよ」

何か話をしていたお嬢たちのところに俺は近付きお嬢に話しかける。

「お嬢、レモンのハチミツ漬け美味かったぜ!またよろしくな!」

「ほ、本当?ん、んん!ヒマだったらまた作ってあげるわ」

お嬢は一瞬嬉しそうな顔をしたあと、少し照れたようにそっぽを向いて話す。

「ああ、楽しみにしてるぜ」

俺はその場を離れ、練習に向かった。

「夏未さん、私たちも次の準備しましょうか」

「そうね、そうしましょう」

木野とお嬢、音無はマネージャーの仕事をテキパキこなすのだった。
 
 

 
後書き
雷藤「豪炎寺!」
豪炎寺「ああ!」
「「イナズマ2号!!」」
グオォォ!スゥゥ…
雷藤「駄目か…」
豪炎寺「あぁ、そうみたいだな…」
 

 

気持ちのぶつけ合い

 
前書き
お待たせしました! 

 
「円堂、本気で無限の壁を突き崩す気か?」

俺が円堂に聞くと、円堂は

「ああ!正面からズバーンとな!」

と俺に向かい話す。

「今の俺たちに出来たらだけどな」

と豪炎寺も呟く。

「…大丈夫さ、俺たちにはファイアトルネードDDも炎の風見鶏だってある!」

「決められればな…」

俺はドラゴントルネードやイナズマ2号すら決めれない状態の為、不安な気持ちが隠せなかった。そんな時、木野が土門に向かい話し掛けた。

「土門君、トライペガサスだったら?」

「おお!トライペガサスか、あれなら!」

話についていけない俺たちだったが、円堂が土門に質問する。

「なに?それどんな技?」

すると土門は口を開く。

「一之瀬と俺と、もう一人の奴の技だったんだ」

そしてそのトライペガサスという技を木野は俺たちに習得を勧める。だが二回戦までに習得出来るのだろうか…

「3人技かぁ…!なあ、その一之瀬ってどんな奴?」

円堂は俺たちの知らない一之瀬について木野たちに聞く。

「私と土門君がアメリカに留学してた時の友達。サッカーすっごく上手かったんだ」

「ああ、俺たちのチームをアメリカ少年リーグ優勝に導いた立役者だったんだ。天才だったよ!フィールドの魔術師って呼ばれてた」

土門が天才と言い切るほどの才能か…。俺は土門に聞いてみる。

「フィールドの魔術師か…会ってみたいな。なあ、その一之瀬はどこにいるんだ?」

俺がそう土門に聞くと、土門は空に指を指した。

「あ…」

俺は聞いちゃいけないことを聞いたみたいだ。

「死んじまった」

淡々と答える土門だったが、その表情はどこか寂しげだ。

「ねえ土門君、あなたならあの技をみんなに教えること出来るんじゃない?」

そして木野がトライペガサスを俺たちに教えることが出来るんじゃないのかと土門に聞くが

「かもなぁ…うーん」

と曖昧な返事が返ってくる。

「……」

「う~~ん」

「……」

「う~~~~ん」

「早く教えろよ!?」

ついに我慢できなくなった円堂が叫ぶ。

「言葉にするのムズいんだよぉ」

土門の口から説明するには難しいらしく、土門はうーんと呟くだけだ。これは短期間じゃ無理そうだな…


────────
「ふむふむ、ふむふむ、ふむふ…ん?あっ!」

その時グラウンドを見回しメモを取っていた音無が何かに気がつき、駆け出して校門の外へ出て行く。

「お兄ちゃん!何よコソコソして、もうそんなことしなくたっていいじゃない」

そこにいたのは鬼道だった。

「今の俺には、あいつらが眩しすぎるんだよ」

「あ…お兄ちゃん」

音無と鬼道はそのまま河川敷に向かった。

「聞いたよ、世宇子(ゼウス)中のこと…残念だったね」

「残念…?残念なんてものじゃない…!俺の目の前で仲間があんなことに…こんな悔しいことがあるか…!」

そんな時2人に向けて凄まじいシュートが飛んできた。

グオォォォ!

「!?」

鬼道は突如として飛んできたボールを反射的に足で止めにいく。

「く…っ!!」

バゴッ!

「こんなボールを蹴ることが出来る奴は…雷藤か!!」

そのシュートとは俺のサンダーキャノンだった。俺は密かに2人のあとを付けて来ていたのだ。

「雷藤先輩!?お兄ちゃんは別にスパイをしていたわけじゃないんです!本当です!」

「…お兄ちゃんか…来い!!」

俺は鬼道を誘い、河川敷の中央に立つと鬼道との本気のボールの蹴り合いを始めた。

「鬼道ッ!そんなに悔しいか!!」

「悔しいさ…!世宇子(ゼウス)中を俺は倒したいッ!!」

「だったらやれよ!!」

「無理だ!!帝国は…フットボールフロンティアから…敗北したっ…!」

夕日の河川敷でボールを蹴り合いお互いの気持ちをぶつける俺たちだった。鬼道は、なんとしても世宇子(ゼウス)と戦って、仲間の仇を取りたいと訴える。

「自分から負けを認めるのか!鬼道ォォォーッ!!」

俺はボールに凄まじい縦回転を加え蹴る。

「ライトニングアロォォー!!」

ボールは鬼道の横を通りすぎ、ぶつかった土手にはクレーターを作り上げ、ボールを破裂させる。

俺は一呼吸おいた後、鬼道に話し掛けた。

「ひとつだけ方法がある…鬼道は円堂を正面からしか見たことがないだろう?あいつに背中を任せる気はないか」

「なっ…」

俺は世宇子(ゼウス)と戦う方法を鬼道に言い終わった後、その場をあとにした。



─────────
どよどよどよ

「そろそろ始めませんか?」

審判が響木監督に向かい話す。

「いいや、まだだ。もう一人来る」

しかし響木監督は試合を始めようとせず、じっと誰かを待っている。

「監督、いい加減にしてください!」

「もう一人もう一人って、全員揃ってるじゃないですか!」

流石の風丸と半田も響木監督に抗議をする。

「いいですか?大会規定により、あと3分以内にフィールドに出ないと試合放棄とみなされます」

「えええっ!?」

審判の言葉に心美が戸惑う。

「監督どうしたんです、誰を待ってるっていうんです!」

風丸が叫ぶ。

「お兄ちゃん副キャプテンみたいなものでしょ、監督に何か言ってよぉ!」

「良いから待ってろ…」

「もぉっ!試合放棄になっちゃうよ!」

そしてあと一分になった。

「試合放棄なんて勘弁してください!」

「来る来るって誰が来るんですか!?」

「もう誰も来ませんよ、全員揃ってるんですよ!?」

「なんで試合を始めないんですか監督ぅっ!」

チームからいろんな声が響きわたる。

そんななか何か音が響いた。

スタ…スタ…スタ…スタ…

「来たか…」

俺はそう呟き、音がする方に振り向く。

そこに現れたのは赤いマントから青いマントに変え雷門中のユニフォームを身にまとった鬼道の姿だった…。 
 

 
後書き
今日の雷藤真紅の一言!

雷藤「何事も気持ちをぶつけ合った先に答えがある」

以上!! 

 

鬼道の実力!千羽山戦前編!

 
前書き
ついに千羽山戦開始です! 

 
《き、鬼道!?間違いありません!帝国学園のキャプテン鬼道です!》

解説が驚いたように実況すると、観客達がざわめき始めた。

どよどよどよどよ

「どうなってんだ!?」

「そんなのあり!?」

「出来るのかそんなこと!?」

観客はまさかの帝国学園の鬼道の登場で大揺れに揺れるスタジアム。そんなとき解説の声が響いた。

《えー、しばしお待ちを…あ、ありました!大会規定第64条第2項!プレイヤーは試合開始前に転入手続きを完了していれば、大会中でのチーム移籍は…可能である!!》

「俺は信じていた、絶対に来てくれるってな!」

俺が鬼道に向かい話すと、皆も寄ってくる。

「鬼道…!俺には分かってたぜ、お前があのまま諦めるような奴じゃないってことは!」

円堂が鬼道に話すと、鬼道は

「あのままでは引き下がれない…!世宇子(ゼウス)には必ずリベンジする!!」

「な、なんて執念だ…!」

その鬼道の言葉を聞いて、染岡も呟いた。

「鬼道さんがいれば、必殺技がなくても千羽山の守りを崩せるかも…!よぉぉぉし!頑張るぞぉぉぉっ!」

宍戸に今まで以上に気合いが入って、宍戸が叫ぶと響木監督が宍戸に声をかけた。

「宍戸、お前はベンチだ」

「え…?」

「代わりに鬼道が入る」

「え…あ…お、俺です、か…」

俺もまさか宍戸が下ろされるとは思っていなかった。俺が宍戸を見るとガックリしたように肩を落としている。

「……」

そんななか、半田が複雑そうに宍戸を見ていたのが気になったが、時間だ。



《さあ雷門ボールでキックオフだ!》

今回のスタメンは以上だ。

FW 雷藤 染岡 豪炎寺
MF 鬼道 マックス 半田
DF 壁山 風丸 栗松 土門
GK 円堂

鬼道が加わったことで、宍戸が抜けていまったが、確かにこのメンバーが今の時点では最高メンバーだろう。

ピ───────!!

しかし、俺たちの試合(ゲーム)の出だしは最悪だった。

「染岡ぁっ!」

半田が出したパスは弱く、染岡が上手く取ることが出来ない。

「ぐっ…弱い!半田、もっと強くだ!」

その後も

「栗松!」

「ひぃ!?大きすぎるでヤンス!」

「わっと…!」

「うわっ!?」

《どうした雷門!まったくパスが通らないぞ!?》

俺たちは勝手に自滅しまくり、攻撃が成り立たない。ボールを持たない守備は今まで通り出来るが、攻撃が成り立っていなけりゃ意味がない。

「……」

流石の鬼道も無言で見つめる。
しかし鬼道には考えがあった。


────────
「勝負は後半…前半はゆっくり円堂達の力を見極めてくれ」

前日の夜、雷雷軒に招かれた鬼道は監督から今日の試合、千羽山戦の試合方針を聞かされていた。

「前半…?ふん、10分で充分だ!!」

監督の言葉とは裏腹に鬼道は、10分で充分と断言していた。


──────────
「栗松ぅっ!」

壁山が栗松に出したパスは大きくそれ、相手の選手に渡ってしまう。そして一気に円堂と1対1になり、相手選手は必殺シュートを放った。

「シャインドライブゥッ!!」

このシャインドライブは強い光を発しながら、円堂を襲う。

ピカァァァァァッ!!

「う、うわっ!?」

ピ───────!!

円堂は目くらましでボールを認識する事が出来ず、ゴールにシュートを叩き込まれてしまった。

相手は今まで1点たりとも失点を許していない…。この先取点は痛いかもな…。

しかし、俺がそんなことを思っているとき鬼道はニヤリと笑った。

(ふ…これで全て揃った…!)

監督が時計を確認すると試合開始からジャスト10分、宣言通りの時間で鬼道はすべてを把握していた。

「栗松、お前はいつもより2歩後ろに守れ」

「えっ?」

「それから松野、豪炎寺と雷藤にパスを出す時は3歩、染岡には2歩半いつもより前に出せ」

「えぇ…?」

鬼道は今の実力に合わせたプレーをさせるため、仲間に細かく指示を出し始めた。そしてこの作戦は大成功する。

《ああっとこれは!?雷門のパスが繋がり出した!?》

「栗松、土門へパスだ!3歩先!」

「さ、3歩先でヤンスか…通ったでヤンス!?」

「よし…マックス!」

「待て土門!(1…2…)行け!」

「は、はい!」

「ドンピシャだ!」

鬼道がタイミングの調整をすることにより、ようやくまともにパスが繋がり始めた。俺たちはそのまま怒涛の勢いでゴール前まで攻め上がった。

「松野!染岡にパスだ!」

マックスが出したパスも、綺麗に染岡に渡りそのまま染岡はシュート体勢に入った。

「うおぉぉ!ドラゴンクラッシュ!!」

「まき割りチョップ!!」

バシーン!
とドラゴンクラッシュは相手キーパーに弾かれ、クリアされてしまった。

《これはナイスセーブだぁ!だが雷門中、この試合初めて雷門らしい攻撃を見せた!》

「すっげぇぜ鬼道!さすがお前は天才ゲームメーカーだぜ!」

円堂が興奮気味に鬼道に話す。

「ふふ…今のがゲームメイクと言えるならな」

「どういうことだ?」

俺が鬼道に聞くと、鬼道は俺たちを見た後、話し始めた。

「お前たちは自分の力に気づいていない。走力、キック力…どれを取ってもお前たちの実力は格段にアップした。だがそれには個人差があり、当然今までの感覚でやっていればズレが生じる…俺はそのズレを修正しただけだ」

鬼道のこの並外れた観察能力…、鬼道が居ればこの千羽山からの得点も可能かもしれないな。

「へっ、ちょっとパスが繋がったくらいで調子に乗ってるぺ」

「だから都会っ子は甘いっぺ」

そんななか千羽山のメンバーはこっちを見ながら笑っていた。


─────────
「「「かごめ、かごめ、かーごめかごめ、かごめ、かごめ、かーごめかごめ」」」

千羽山のDF陣が誇る必殺技・かごめかごめの3人同時に飛びかかってボールを奪い取る技によって、マックスがボールを奪われてしまうが、すぐに鬼道がスライディングで奪い返す。

「さすが鬼道だ、初見の技を冷静に対応してる」

俺が呟いている間にも、鬼道は敵陣深くへとラストパスを送る。

「雷藤ぉーっ!」

「よしっ!」

俺は鬼道のパスを受け取り、シュート体勢に入る。

「決めるっ!ライトニングアロォォー!!」

俺の渾身のシュートが千羽山のゴールに向かう。

「「はぁぁぁっっ!!」」

その時、DFの2人がGKに駆け寄り、雄叫びを上げた。

「「「無限の壁!!」」」

ギュュュンンンン シュゥ…

「な、何!?」

俺の渾身のライトニングアローは、千羽山中最強のディフェンス技・無限の壁にあえなく阻まれていまった。

「さすが今まで無失点の鉄壁技だ…、ライトニングアローの威力を完全に殺し切るなんてな…」

俺はつい呟いてしまう。

ピッ ピ───────!

そしてここで前半終了のホイッスルがグラウンドに鳴り響いた。
 
 

 
後書き
雷藤「無限の壁、やっかいだな…」
豪炎寺「ああ、だがまだ後半がある」
雷藤「そうだな、後半逆転するぞ!」 

 

破れ!無限の壁!千羽山戦後編!

 
前書き
ついに千羽山戦決着です!
雷藤たちは無限の壁を崩せるのか…!? 

 
俺たちは前半を無得点のまま終了し、駆け足でベンチに戻った。

「雷藤さんのライトニングアローが完璧に止められるなんて…」

呟いたのは宍戸だ。

「ああ、あれは渾身の一蹴りだったんだがな…」

俺もショックとまではいかないが、少し動揺してるみたいだ。

「無限の壁をどうにか出来ればな…」

風丸が呟くと、鬼道が俺たちに向かい話し出した。

「後半は染岡のワントップで行こう」

「え、ワ、ワントップで!?」

円堂も思わず声を出す。

「確かに無限の壁は脅威だが弱点がある…それは3人の連携技であることだ。染岡、攻撃すると見せかけて、出来るだけ5番のDFを4番のDFから引き離すんだ」

「その手があったか…!」

俺も鬼道の意見に賛成だ。こうでもしなきゃ、無限の壁を破るのは難しいだろう。しかしその時、半田が叫んだ。

「ちょっと待てよ!豪炎寺と雷藤を下げるって、本当にそれでいいのかよ!そんなの俺達のサッカーじゃない!豪炎寺と雷藤と染岡のスリートップ、それが俺達のサッカーだろ!」

「分かってないな」

そんな半田の叫びを冷たい声で遮ったのも鬼道だった。

「なに…?」

半田も思わず呟く。

「いいか、ここはフットボールフロンティア!全国の強豪が雌雄を決する全国大会、そのピッチにお前たちは立っている。もうお仲間サッカーなどしてる場合じゃないお前たちは全国レベルなんだ!」

鬼道は半田に向かい厳しいことを言い切ると、ハーフタイムが終了し、俺たちはフィールドに戻った。

選手の交代は無い。
ただしフォーメーションは大きく変わった。

FW 染岡
MF 雷藤 豪炎寺 鬼道 半田 マックス
DF 風丸 壁山 土門 栗松
GK 円堂

鬼道の作戦通り、染岡のワントップで後半に挑む。



《さあ後半戦が始まったぁ!雷門は無限の壁を破ることができるのか!》

そして千羽山からのキックオフで始まった後半戦。しかし開始早々にパスコースを読んだ鬼道がボールをインターセプトした。

鬼道はドリブル、ディフェンスに関して本当に凄い。俺も鬼道にディフェンスを教わらないとな…。

そのまま俺たちはすかさず攻勢をかけ、いきなり囮作戦を仕掛けるチャンスが来た。

《染岡が上がったぞぉー!》

「そうは行かないっぺ!」

相手のDF5番が、DFの4番から離れた。このチャンスは逃さない!

「かかった!」

俺が叫ぶと同時に豪炎寺からボールが渡る。

「頼んだぞ雷藤!」

俺は豪炎寺に頷き、後ろから上がってきていた壁山を使った。

「壁山ぁ!」

「はいっス!」

俺は壁山の腹に乗り、オーバーヘッドキックを繰り出す。

「「イナズマ落としR!!」」

紫の雷を帯びたシュートが、千羽山のゴールを襲う。イナズマ落としRならまきわりチョップくらい簡単に崩せる…。

俺がそう思ったときだった。

「「「無限の壁!!」」」

ギュュュンンンン シュゥゥ…

「豚のハナクソずら」

これには流石に驚きのあまりに声が出なかった。

「ふぃ~危なかったぺ~」

「あのディフェンスの奴、いつの間に…!?」

俺が呟くと、風丸も呟く。

「速い…!」

風丸が舌を巻くほどの瞬足…、これはかなり予想外の出来事だ。だが今の俺たちには、この方法で攻めるしかないんだ。



その後も俺たちは怒涛の攻めを見せるが無限の壁に阻まれる。

「豪炎寺!風丸!」

俺が2人にボールを大きく蹴り上げると、シュート体勢に入る。

「「はぁっ!!炎の風見鶏!!」」

「「「無限の壁!!」」」

ギュュュンンンン シュゥゥ…

「炎の風見鶏でも駄目なのか…!」

風丸が唇を噛み締めながら呟く。

だが俺たちは負けられないんだ!

相手キーパーが大きく蹴ったボールを俺が空中で止める。

「染岡ぁーっ!」

俺は染岡にパスを出した。

「ナイスだ雷藤!豪炎寺行くぜ!」

「ああ!」

「「ドラゴントルネードォォ!!」」

俺が繋いだボールは染岡に渡り、豪炎寺と染岡の合体シュート、ドラゴントルネードが千羽山のゴールに向かう。

「「「無限の壁!!」」」

ギュュンンン シュゥ…

「くっ…!」

ドラゴントルネードも完璧に無限の壁によって止められてしまう。

「牛のフンずら」

相手キーパーは、余裕と言わんばかりに、鼻をほじながら呟く。

バシィーン!

相手キーパーは大きくボールを蹴った。しかも俺たちは、壁山、風丸も含め8人で前線に攻めあがっていたため、ピンチになった。

「ヤバい…!皆、戻るぞぉ!」

俺が叫んで後ろを向いた時だった。

「だぁぁぁぁぁぁ!!」

「え、円堂!?」

なんと円堂が上がって来ていたのだ。

円堂はそのまま相手からボールを奪うと豪炎寺に叫んだ。

「豪炎寺行くぞ!」

「決めるぞ!」

「「イナズマ1号!!」」

グォォォ!!
2人が放ったシュートは、大きな音を立てゴールに襲いかかる。このシュートはあの杉森ですら、手に負えなかったシュートだ、これなら!!

「「「無限の壁!!」」」

ギュュュンンンン キィィィン!!

イナズマ1号は無限の壁に阻まれ、完璧に止められた訳ではないが、弾かれクリアされた。

「イナズマ1号でも駄目か…!」

風丸がそう呟くと、チームが暗い雰囲気になっていた。

「やっぱり無理だったんだ…いきなりワントップだなんて…」

「このまま、負けちゃうのかな…」

「お、おいみんな…!どうしたんだよ!なにヘコんでんだ!」

今回ばかりは円堂の檄にも反応しないほど、今回はチーム全体の雰囲気が良くない。俺も口を開いた。

「まさか諦めたなんて言うんじゃないだろうな!まだ試合は終わってねぇぞ!」

「でも、無限の壁が破れないんじゃ…」

「やっぱり必要なんだよ、必殺技が…」

俺の檄も意味なく、この状況はヤバいな…と思っていると、円堂が叫んだ。

「必殺技ならある!」

「「「………!?」」」

円堂の叫びにみんなが、円堂に振り向いた。

「 俺達の必殺技は炎の風見鶏でもイナズマ1号でもない!本当の必殺技は、最後まで諦めない気持ちなんだ!帝国と戦った時からずっとそうだった!尾刈斗中の時も、野生中の時も、御影専農の時も、秋葉名戸の時も、戦国伊賀島の時だって!諦めなかったからここまで来られたんだろう!俺は諦めない!諦めたらそこで終わりなんだ!俺達のサッカーは、絶対に最後まで諦めないことだろ!?だったらやろうぜ最後まで!俺達のサッカーを!」

最後まで決して諦めない俺達のサッカーをやろうと仲間たちに訴える円堂…。俺もこの言葉には勇気を貰った。

すっかり闘志を失っていたみんなも、円堂の熱い言葉に突き動かされて、もう一度戦う気力を呼び起こした。

鬼道はこの時、雷門のサッカーの強さを知った。

(はっ…これだったのか…円堂と一緒に戦うということは…雷門の本当の強さとは…!)

円堂を中心にして一つになっていく雷門イレブンを見て、鬼道は仲間の絆が生み出す強さをひしひしと実感していた。

「ようし…!残り5分!全力で行くぞォォッ!!」

「「「おお!!」」」

完全に一丸となった俺たち…、試合再開はゴール前のコーナーキックからだ、円堂を含めた全員が敵陣に乗り込み一斉攻撃を仕掛ける。お互いに一瞬の油断もできないゴール前の大乱戦になった。

そして俺にボールが渡ったその時、千羽山DF陣はまたもあのかごめかごめを仕掛けて来た。

「「「かごめ、かごめ、かーごめかごめ、 かごめ、かごめ、かーごめかごめ」」」

「鬼道ぉぉぉぉーーッ!!うおぉぉ!!サンダーキャノン!!」

俺は鬼道の名前を叫びながら、サンダーキャノンを放った。

「うおおおおおっ!!」

鬼道もそれに合わせてボールを強く蹴り上げる!そして鬼道の横に豪炎寺と円堂が走り込んで来た。

「「「でええあああああああああああああ!!」」」

鬼道が空に蹴り上げたボールは、空中で雷雲のようになり、ボールが雷として地面に降り注いでくる。そしてそのボールを鬼道、円堂、豪炎寺の3人で蹴り込んだ。

「「「イナズマブレイク!!」」」

ズガァァァァァァン!!

ものすごいシュートが千羽山ゴールに雷鳴と共に襲いかかる。

「「「無限の壁!!」」」

ギュュュンンンン!!

イナズマブレイクが無限の壁に衝突する音がフィールドを包む。

「「「いっけぇぇぇぇ!!」」」

俺たち全員が一体になったように、叫んだ。

ビキビキ… グワシャァァァン!!

「「「ぐわぁぁぁぁぁ!!」」」

ピ──────!!

《ゴォォォォール!!ついに雷門、追いついたぁぁぁぁ!!》

「「「よっしゃぁぁぁ!!」」」

3人が放ったイナズマブレイクは、無限の壁を砕き、相手キーパーごとゴールに叩き込んだ。

「よし!このまま逆転するぞぉぉぉぉ!!」

円堂の叫びに俺たちは全員で応える。

「「「おおおっっっっ!!」」」



──────────
「雷藤ぉーっ!」

鬼道から俺に綺麗なパスが通った。時間もない…、これで決めさせて貰うぞ!

「豪炎寺!決めるぞ!」

「おう!」

2人で炎の渦を纏い、回転しながら空中に上昇し、そのままツインシュートを放った。

「「ファイアトルネードDD!!」

グオォォォォォ!!

火力全開のファイアトルネードDDがゴールに突き進む。

「「「無限の壁!!」」」

ギュュュンンンン ビキビキ…

「チェックメイトだ…!」

俺が呟くと同時に砕ける音が響き渡った。

グワシャァァァンンンンン!!

ピ────────!!

そして─────
ピ ピ ピ───────!!

《ここで試合終了のホイッスルゥゥ!!2対1!雷門の逆転勝利だああああ!》

「や…やったああああ!!勝ったんすね!?俺たち勝ったんすね!?勝ったんですよね!?う…うう…!うっうっう…!」

「宍戸…!」

勝利のホイッスルを聞いた俺たちがベンチに帰ると、感動のあまり涙を流していた宍戸が迎えた。

「ああ!勝ったぞ…!」

その後は半田と鬼道も和解し、握手をし合っていた。

このチームなら…、いやこのチームで優勝したい…絶対に…!

俺はこの時、そう思った。


雷門中対千羽山中
2対1 雷門中の勝利。
全国大会準決勝進出。

──────────
ピリリリリピリリリリ

「電話…?誰かしら」

そしてその日の晩。秋が自分の部屋でくつろいでいると、携帯に誰かからの電話がかかって来ていた。心当たりがないまま、とりあえずその電話に出てみる秋だったが…

「えっ…………嘘でしょ…?一之瀬君…?」

その相手は、もうこの世に居ないはずの一之瀬からの電話だった。
 
 

 
後書き
雷藤「ついに次は準決勝だ!」
円堂「ここまで来たら優勝しかないぜ!」
鬼道「お前たちの強さが分かったいい試合だった」
円堂「そのお前たちに鬼道も入ってるんだぜ!?」
鬼道「ふ…そうだったな」 

 

蘇った天才!

 
前書き
お待たせしました! 

 
「ほ、本当か!?本当にあの一之瀬なんだな!?」

「うん、電話があって今日日本に到着するって…」

昨夜、一之瀬からかかってきた電話、それはアメリカから日本に帰国することを伝えるものだった。
そんな一之瀬を迎えに土門と空港へ向かった秋。しかし2人とも、死んだはずの一之瀬からの連絡には半信半疑のだった。

「でもあいつは、一之瀬はあの事故で亡くなったって…遠くの町の大病院に運ばれて、一之瀬の親父さんから連絡が来たじゃないか!生きてるならなんで死んだことに…なんで今まで連絡くれなかったんだ…!?」

「…うん…会えば分かるよ。早く会いたい、元気な姿を見たい…一之瀬君…!」



──────────
(あら…?入部希望者かなぁ)

音無はそう思っていた。
見知らぬ少年が俺たちのサッカーを見学していたからだ。

「ライトニングッ!アロォォー!!」

グオオオオオオッッ!!

「爆裂パンチッ!!」

「爆裂パンチじゃ止められないぜ!」

「ぐっ、ぐわぁぁ!!」

ズドォォ!

俺のライトニングアローは円堂の爆裂パンチを破りゴールに突き刺さる。

「わぁ~…!」

俺達が次々に放つ必殺技を、目をキラキラさせながら見つめる少年。

そしてそんな時、少年のもとにボールが転がってきた。

「おぉーい!ボール取ってくれよ!」

円堂がそう叫ぶと少年は、そのボールを使って自分もピッチに入ってきた。華麗なドリブルを始めると、簡単に半田たちを抜き去りゴール前までやって来た。

「お、おいおい何者なんだ…」

俺は鬼道並みのドリブルを披露する少年に驚きが隠せなかった。

「す、すっげぇ!」

「ふふっ」

「ようし!来いっ!!」

少年のタダモノじゃない動きを見て、手合わせをしてみたくなったのか円堂が構えた。

少年にシュートを打ってくるよう要求すると、少年もそれに応えて必殺シュートの体勢に入った。

「スピニング!シュートォォッ!!」

少年は逆立ちして回転すると、その強力な回転の力を利用しシュートを放った。

ギュオォォォォ!!

「ゴッドハンド改ッ!!」

少年が放ったシュートはかなりの威力があった。ゴッドハンドでも威力を殺し切れずボールから煙が立ちのぼるほどだ。

それでもこの勝負はかろうじてボールを押さえ込んだ円堂の勝ちだった。

「な、なに!?」

少年も円堂が放ったゴッドハンドに止められ驚きが隠せない。

「うぐぐぐぐ…」

「ははっ、君の勝ちだ!」

「ペナルティエリアの中からシュートしてたら、そっちの勝ちだった!」

円堂の言うとおりだ、ペナルティエリアから放っていたら、円堂は負けていたと俺も思う。

「素晴らしい技だね、アメリカの仲間にも見せてやりたいなあ」

「アメリカでサッカーやってるのか!?」

俺は少年に質問すると、少年は答えた。

「ああ、この間ジュニアチームの代表候補に選ばれたんだ!」

「アメリカの代表候補!?お前すげぇな…」

俺がそう話すと、鬼道が話し始めた。

「聞いたことがある…将来アメリカ代表入りが確実だろうと評価されている、天才日本人プレイヤーがいると」

「「「へえええ~!!」」」

そういえば聞いたことがあると話す鬼道、情報網は凄いな…。

まだ中学生なのに代表入り確実とまで言われいる少年…、一体何者なんだ…?

みんなが少年に群がってワイワイ騒いでいると…

「一之瀬君どうしたのかなぁ…予定の飛行機にも乗ってなかったし、携帯電話も繋がらないなんて…」

「とにかく、連絡待とうぜ」

やって来たのは、空港でずっと待っていた土門と秋だった。

わいわいがやがや

「…?何してるのみんな?」

「おお木野!こっち来いよ、凄くサッカーの上手い奴が来ててさぁ!」

がばっ!!

これには流石に驚いた。
何故かというと、いきなり少年が木野に抱きついたからだ。心美も俺の隣で少し顔を赤くしながら、驚いている。

「えっ…え!?」

「「「えええええええええ!?」」」

「お、お前なにをーッ!!」

いきなり木野に抱きついた正体不明の少年に土門は叫んだ。
土門が文句を言おうと詰め寄ったその瞬間、土門は相手を見ると、反応が変わった。

「………あっ!?」

「久し振りだね!」

「…え…!?」

「俺だよ、ただいま秋!」

「い…一之瀬君…!」

「一之瀬って…あの土門達が話していた奴か!」

木野が放った一之瀬という言葉に、俺は驚いた、だって死んでいるはずだから…。

一之瀬は木野と土門、3人だけで落ち着いて話をしようとグラウンド脇のベンチへ腰かけた。

「でもどうして?」

「予定より早い飛行機が取れたから、早く行って驚かせようと思ってね。まさか土門も同じ中学だなんて!」

「どーせ俺は秋のついでだよ」

「ふふふっ」

「あの時、2度とサッカーができないって診断されてさ…目の前が真っ暗になって…辛くて、落ち込んで…こんな姿秋と土門に見られたくないって…だから父さんに頼んだんだ。いなくなったことにして欲しいって」

「そうだったの…」

犬をかばってトラックに轢かれた一之瀬は一命をとりとめたもののサッカーが出来ない体になってしまったとのことだった。

「3人で一生サッカー続けよう!」

と約束した矢先の事故…それだけに、一之瀬は2人に合わせる顔がなかったんだろう。

「でも、やっぱりサッカーは諦め切れなかった。だから毎日必死にリハビリを続けたんだ、あの約束があったから辛くて苦しい時も乗り越えられた…!」

(一之瀬君…よかった…)

秋は一之瀬を見ながら、涙目で思っていた。 
 

 
後書き
心美「うっ、うぅぅ…」
雷藤「どうしたんだ心美!どこか痛いのか!」
心美「ドラマ見てるかと思った…。感動すぎるよ…」
雷藤「ああ…感動的だったな」 

 

一之瀬VS鬼道!天才対決!

 
前書き
お待たせしました! 

 
「おーい一之瀬!一緒にやろうぜー!」

「ああ!土門!」

「おう!」

円堂に声をかけられ、再びグラウンドに駆けていく一之瀬と土門。
俺たちに混ざってサッカーを始める一之瀬だが、凄いテクニックだ。俺たちはその動きについていけず、宍戸、半田、少林寺、マックス、影野と次々にかわされて、一之瀬は円堂のいるゴールに向かって駆けていく。だが一之瀬と互角に渡り合う男がいた。

ズザアアアアッ!!

明らかに他のメンバーと動きが違う鬼道を前に、ニコニコしていた一之瀬も真剣勝負の表情に変わった。

「ふっ!!」

スパアッ!!

「もらったァ!!」

鬼道にヒールリフトを仕掛けて抜きに行く一之瀬。しかし鋭い読みでそれを察した鬼道は、即座に大ジャンプしてボールの行く手を遮った。そしてボールは鬼道がトラップしたかに思われたが…

ボヒュウン!!

「なに!?」

次の瞬間、そんな鬼道から逃げるように空を滑るボール。なんと、一之瀬は鬼道が跳んでくることを読んでボールにカーブ回転をかけていたのだ。

(ヒールリフトを読んでいたなんて…!凄いや!)

(それを見抜いてカーブを…!しかもヒールでかけていたとはな!)

「鬼道と互角…!?いや、それ以上に渡り合えるとは…!」

俺が呟くと、円堂は我慢できなくなったように叫んだ。

「よぉーし!今度は俺とPK対決だ!」

一之瀬の技術の高さには豪炎寺ですら驚きを隠せない。どんだけ凄いテクニックなんだよ…。

一之瀬のプレーを見てるだけじゃ我慢できなくなった円堂。俺とも勝負しろと一之瀬と1対1のPK対決を行うことになった。


───────────
「15対15だ!もう1本!」

「もう1時間以上もやってますよ」

「2人とも負けず嫌いだから」

「ふふ、でも似てますね~。外見は全然違うのに」

「うん、初めて円堂君に会った時からずっと感じてた」

そして両者互角のままいつまでも終わらないPK対決。俗に言うサッカーバカな2人…そんな似たもの同士のいつまでも続く勝負を、秋達は微笑ましく思いながら見守っていた。

「2人ともがんばってー!!」


────────
「ふぅ…このチーム、いいね!秋はこんな凄い奴らとサッカーをやってたんだ!」

「ふふ、うらやましいでしょ」

「ははっ、まあね。でも俺のアメリカのチームだって負けてないよ」

PK対決もようやく一区切りついて、いったん秋の横で一息入れにきた一之瀬。元気な一之瀬を改めて実感した秋は、それが嬉しくて仕方ないみたいだ。

「一之瀬君、本当に元気になったんだね!」

「ああ、心配かけてごめん」

「ううん…」

一之瀬は雷門イレブンを見つめる秋の視線に何かを感じていた。

「好きなんだね、円堂のこと」

「え!?」

「分かるよ、俺も円堂のこと好きになっちゃったから」

「え、あ、あぁ、私円堂君のことそんな風に考えたことなんて!?」

「円堂、仲良くなった記念に一緒にやりたいことがあるんだ!」

「ん?いいぜ、やろう!」

「土門も協力してくれ!」

「え?まさかあれか!」

「そう、トライペガサスだ!」

休憩を終えた一之瀬は、なんとあのトライペガサスを行うことを提案した。これからの試合に役立てるための習得ではなく、あくまで一之瀬と円堂達が出会った記念のための技。だからトライペガサスの3人目は俺でも豪炎寺でも鬼道でもなく、一之瀬が「一緒にやりたい」と言った円堂が務めることになった。

そして3人のトライペガサスの練習が始まった。



───────────
「はあはあ…!はあはあ…!はあ…!」

「ま、また失敗か…!」

「3人の息がまだ合ってないんだ…!トライペガサスは、トップスピードで走る3人が交差することで1点に力が集中し、ボールに強いパワーが注ぎ込まれる技…3つの直線が1つの点で交わった時が成功なんだ!」

「すまない、原因は俺だ…!1点で交差しなければならないのに、俺だけ微妙にポイントがズレてる」

「もう100回はチャレンジしてるぜ、この辺で諦めるって手も…」

「頼むもう一度!何か掴めそうな気がしたんだ!」

だが習得はそんなに簡単な訳がなかった。トライペガサスの習得は予想以上に難しいようで、100回もチャレンジしてようやく手ごたえをかすかに感じてきた程度だった。さすがに土門と一之瀬はボールの1点へ交差を合わせられるようですが、今日始めてこの技をやる円堂はコツが掴みにくいようだ。

何度も何度も失敗を繰り返すうちボロボロになっていく3人。しかし、絶対に諦めまいとそれでもチャレンジを続ける。

「全国大会で使う技でもないのに、ここまでしてやる意味って…」

「意味なんて関係ないよ、円堂君達は一緒にこの技を完成させたいだけ。ただそれだけなの」

「男の子って、わけ分からないですよね」

「だから応援してあげたくなるんじゃない」

「はい!」

「「がんばれー!!」」

音無は「そんな使わない技に必死にならなくても…」と言うが、意味があろうとなかろうと、それでも円堂たちは諦めないだろう。だってサッカーバカだからな。



──────────
「……」

「ん?お嬢こんなところでどうしたんだ?」

「あ…ちょっとね」

「…?」

俺が学校での練習を終えて、鉄塔広場に向かうと、お嬢の姿があった。お嬢は暗い顔で俺に曖昧な返事を返す。

「理事長、具合悪いのか?」

「ううん、日に日に良くなっているわ…」

「……」

俺でもお嬢の様子が変なことに気づいた。ベンチに座ってひとまず理事長のことを尋ねてみるとどんどん良くなってると返事を返すが、その言葉と裏腹に、お嬢の表情はますます暗く沈んでしまう。俺はお嬢に手を伸ばした。

ぱしっ

「来いよ!」

「え…?」

「いいからっ!」

お嬢の暗い心境を察した俺は、お嬢の手を握ってベンチから立たせた。

そして俺がお嬢を連れてきたのは、町中が見渡せるほど眺めのいい鉄塔の上だった。

「わぁ…!」

「綺麗だろ?俺の一番のお気に入りの場所なんだ。これ見てたらなんかさ自分がちっぽけに思えてこないか?悩んでることとかどうでもよくなるんだよ」

悩んだ時にはここへ来て開放感を味わうことが俺なりの解消法。

お嬢の悩みもこれで和らげられたら…。

「ええ…」

「……」

しかし確かに表情は明るくなったものの、まだまだ弱々しさが感じられるお嬢の表情…。

俺はお嬢に声を掛けた。

「一人ぼっちじゃないんだぞ」

「えっ…」

「お嬢には俺達がついてるだろ、みんなお前の仲間だ」

「雷藤…君…」

「だから笑えっ!」

「…うん…!」



─────────
「こんばんわ~」

「あら秋ちゃん!いいところに来たわ、お料理手伝って!」

「え?あ、はい」

「一之瀬君の話が聞きたいって、次々と集まってきちゃって大変なのよぉ」

その日の晩、俺たちを始め、一之瀬は円堂に誘われて円堂宅で晩ご飯を食べることになっていた。
そして秋が来た頃には、すでに円堂の家は、鬼道以外の雷門イレブン全員で溢れかえっていた。

(ふふ…みんな同じこと考えてたんだ!いいなあ…今日だけは男の子に生まれ変わって、私もサッカーの話で盛り上がりたいなあ)

俺たちが一之瀬たちと話をしている最中、そんなことを思う秋だった。 
 

 
後書き
雷藤「一之瀬と鬼道のテクニックはえぐいな…」
一之瀬「いや君のドリブルも大したものだよ!」
鬼道「ああ、雷藤は俺たちとは違うテクニックを持ってるからな」 

 

羽ばたけトライペガサス!

 
前書き
お待たせしました! 

 
「午後の飛行機でアメリカに帰る、それまでに必ずトライペガサスを完成させるんだ!」

そして次の日、一之瀬は今日の午後アメリカに帰ってしまうとのことだった。

昨日の特訓では結局完成させることが出来なかったトライペガサス…それをなんとしても今日、完成させようと、円堂達は再びトライペガサスの特訓を開始し始めていた。

「うわあっ!?」

「くうっ…!もう少しなのに…!」

「もう一度だ!」

すでにかなりのレベルまで完成してきているトライペガサス…、3人の交差もほぼ1点で交わっているように見えるが、それでもわずかな誤差のせいか完成まで一歩及ばずにいた。

その最後の一歩がまた遠い道のりで円堂たちが何度チャレンジを繰り返しても、どうしても惜しいところで技が失敗してしまう。

そうしているうちに時間はどんどんと過ぎていき、ついに午後3時をまわってしまった。

「「「はあ、はあ、はあ、はあ…!」」」

(私もみんなの力になりたい…力に…!)

これ以上特訓を続ける時間はなく、このまま未完成で終わるのかと悲壮感が漂い始めた円堂達…。
どうにかして3人の力になりたいと秋が苦悩していると、その脳裏に初めてトライペガサスを習得した時の記憶が蘇った。

「あっ…!」

「どうしたんだ木野?」

俺がそう木野に言うと、木野は叫んだ。

「思い出したの、ペガサスが飛び立つには乙女の祈りが必要だって!」

「はあ…はあ…んっ、木野…?」

「私が目印になる。3人が1点で交差出来るようにポイントに立つわ」

「木野そんな事したら危ないぞ…!」

俺も心配して声を掛けるが、

「大丈夫…私、みんなを信じてる!」

そう言い切った。

だがトライペガサスは、3人が全速力で突っ込んでくるうえにボールを竜巻で吹き飛ばす技…、その交差ポイントに立っていたりしたら、技が失敗した時にどんな大ケガをするか分かったもんじゃない…。

「…頼むぞ、木野」

「円堂、ポイントの前に立つってことは、失敗したら木野は…」

「だから成功させるんだ、木野は俺達の成功を信じてくれてる!信じる心には…」

「行動で応える、だね」

「へっ?」

「はは…ったく、あの時と同じだな」

「初めてトライペガサスを成功させた時も、今と同じように秋がポイントの前に立って…円堂、俺も君と同じ事を秋に言ったんだ!信じる心には…」

「行動で応える!!」

以前にもトライペガサスを完成させた時にもこんな無茶をやっていたという秋…。失敗したら大変だが「だからこそ絶対に失敗できない」という緊張感がこの技を成功させる鍵になっているようだ。

そして秋を交差ポイントに立たせ、ついに3人は最後のチャレンジを開始した。

「チャンスはこの一度のみ…!」

「「「絶対に成功させるんだ!!行けえーーっ!!」」」

3人が綺麗に交差線を描き、強烈な風が巻き起こる。その勢いでボールはペガサスへと変化し、空へ羽ばたいた。そして一之瀬、円堂、土門も大きくジャンプをして、3人で同時に蹴り込んだ。

「「「トライペガサスッ!!」」」

ついにその完壁な姿を現したトライペガサスは美しかった。

だがこれだけ凄い強風が巻き起こったならば、あんな近くにいた木野は大丈夫なのか…。

「やったああああっ!!できた!できたよ一之瀬!!」

「ああ!やったな円堂!ありがとう土門!」

「おお!どうよぉ!」

「うん!みんな素敵よ!」

「素敵でヤンスー!」

「へっ?」

ついにトライペガサスを完成させた歓喜に震えながら、思い切り抱き合って喜びを分かち合う円堂たち。しかしその中には、なぜか何もしてない栗松達の姿もあった。

「へへっ、俺達だってマネージャーを守ろうって…なっ」

「うん!」

栗松たちはトライペガサスが発動したあの瞬間、我が身を盾にして秋を竜巻から守っていた。

「お、お前達…!嬉しいことしてくれるぜ、この~!」

「へへへっ、万が一に備えてたのは俺たちだけじゃないでヤンス」

「えっ?」

栗松達に改めて飛びつきながら喜ぶ円堂。しかし栗松は、備えのために動いてたのは自分達だけじゃないと言う。

そんな栗松の指差した先には、栗松達がカバーし切れなかった時のために、医療器具を持ってきていた俺たちが待機していた。

「み、みんな…!」

「秋…!このチームは最高だよ!円堂、君達に会えて本当によかったよ!」

仲間を大事にする俺たち、雷門イレブンに感動した様子の一之瀬。

そして最後にまたあの爽やかな笑顔を残すと、一之瀬はアメリカへと旅立って行くのだった。

「あの飛行機かな…」

「うん、多分ね…」

「一之瀬ぇーーっ!また一緒にサッカーやろうぜー!!」

太陽も沈もうとしていた頃、雷門中の頭上を飛んで行ったアメリカ行きの飛行機。あの中に一之瀬も乗っているんだろう。

円堂はまた再会する日を夢見て飛行機へと叫んだ、サッカーを続けていればまたいつか一緒にサッカーをやれる日が来る。

俺がそう思ったときだった。

「うん!やろう!」

「え、えっ!?」

俺も思わず驚いた。

「い、一之瀬!?どうして!?」

円堂も驚いたように叫ぶ。

「あんなに胸がワクワクしたのは初めてだ!だから帰るに帰れない、もう少しここにいる!俺、一つのことに熱く燃えるみんなとサッカーがしたい!円堂達と一緒にサッカーがしたいんだ!」

「雷門に来てくれるのか!?」

「うん!よろしく!」

そんなこんなで一之瀬は、なんと雷門中に転校することになり、雷門イレブンの仲間入りを果たしたのだった。

「みなさぁぁーーん!!」

「あっ、音無さん?」

「はあ、はあ、つ、次の対戦相手が決まりました…!」

一之瀬の加入に雷門イレブンが喜んでいたその時、準決勝での対戦相手を知った春奈が大慌てでやって来た。

「つ、次の対戦相手は…木戸川清修です!」

「…!!」

「き…木戸川清修…!?」

「木戸川清修と言えば豪炎寺の古巣の学校…!?」

俺は豪炎寺にそう問うが返事はない。

豪炎寺は木戸川にいた去年、帝国との全国大会決勝へ応援に来た妹が事故に遭い、自分も病院に向かって決勝戦を欠場し、サッカーを辞めてしまった身…木戸川のチームメイトからしたら《裏切り者》と見られても不思議じゃない。

……これは一筋縄では行きそうにはないな…。 
 

 
後書き
雷藤「円堂ちょっといいかー」
円堂「どうした?」
雷藤「円堂のおじいさんのノート貸してくれないか?」
円堂「いいけど読めるのか…?」
雷藤「読めるようになってみせる!」 

 

武方3兄弟

 
前書き
お待たせしました! 

 
《な…なんという結末だぁぁぁ!!キックオフからまだ10分だというのに、カリビアン中に負傷者が続出!試合放棄せざるを得なくなったぁぁ!!》

とどまるところを知らない世宇子中驚異の快進撃が繰り広げられていた。あまりにも次元の違いすぎるその実力であらゆる強豪校をいともたやすく血祭りにあげ、準決勝ですらも10分経たずに試合を終わらせていた。

「フン…世宇子中か、面白いチームじゃん」

「ま、僕らにかかれば一ひねりだけどね」

「誰にも俺達は止められない、今年こそ俺たち木戸川清修が全国一の栄光を掴むんだ!」

そんな世宇子中の試合を見ながら、スタンドで不敵に微笑む謎の3人組の姿があった。



──────────
「円堂は守備の確認を徹底してくれ、相手はオフェンス重視で攻めてくるはずだ」

「おお!ディフェンスは忙しくなりそうだな、燃えてきたぜ!」

「こちらの攻撃はカウンター主体になるだろうな…豪炎寺、雷藤、攻守の切り替えのタイミングに注意してくれ」

その頃、学校帰りの俺・円堂・豪炎寺・鬼道の4人は、木戸川戦に向けての対策を練っていた。

「了解だ」

「…ああ…」

だが豪炎寺の返事は上の空のような返事でいつもの豪炎寺の感じがしない。

「…よし、作戦会議はいったん休憩だ!来いよ!」

「おい、どこに行く気だ!?」

そんな豪炎寺の心境を感じ取ったのか円堂は思い詰めている豪炎寺の息抜きのために、ちょっとした癒し効果のある場所へと駆け出した。

相変わらず円堂はこういうことによく気がつくよな。

「だ、駄菓子屋…?」

「なんだよ、来たことないのか?」

「あ、ああ…」

円堂がやってきたのはのどかな雰囲気の駄菓子屋だった。

「こんなところまだ残っているんだな、稲妻町には」

「ああ、俺も初めて来た」

「俺も初めて来たよ」

俺もそう呟いていると、円堂はもう駄菓子に夢中になっていた。

「何にしようかなぁ、梅ジャムか…ミルクせんべいも美味そうだな!」

「えんどーちゃん、いよいよ準決勝だね!がんばってね!」

「おお、ありがとうな!」

「子供みたいだな、純粋でまっすぐで…だからサッカーバカになれるのかもしれないな」

「鬼道、純粋サッカーバカは凄いよな…」

「ああ…」

店の中にいた地元のサッカークラブの子供達と仲良く会話する円堂。

そんな光景を見ながら俺や鬼道、豪炎寺も微笑ましく思っていた。

「どけよ!」

「あぁ!?割り込みはいけないんだよ!」

「お前ら!順番守れよな!」

「ん…?」

ところがそんなほのぼのした時間をブチ壊すかのように、店の中から聞こえた殺伐とした声が響いた。

自販機で一服していた俺たちが中を覗くと、そこには3人組の姿があった。

「いーけないんだーいけないんだー!」

「うるせぇ!!」

円堂や子供達の抗議をまるで聞く耳持たない3人組。

「ん…?豪炎寺!久しぶりだな、決勝戦から逃げたツンツン君!」

「く…」

「誰だ…?知り合いか?」

俺がそう豪炎寺に聞くと、豪炎寺は軽く頷いた。

「俺たちは武方…(まさる)!」

(とも)!」

(つとむ)!」

「「「3人合わせて武方3兄弟!!」」」

「お前ら、頭いかれてんのか?」

俺は変なポーズを決め、おばあちゃんを驚かせた、この3兄弟にそう言った。

「な、なんなんだよこいつら?」

円堂がそう聞くと、鬼道が即座に答えた。

「そいつらは去年豪炎寺の代わりに決勝に出場した、木戸川清修のスリートップだよ」

「さすがは鬼道有人、有力選手のデータは全てインプットされてるみたいだな」

「3つ子のFWが珍しかったから覚えていただけだ」

「ぷっ…!鬼道なかなかお前、えぐいな!」

俺は思わず笑ってしまった。
だって対戦したことのある相手だが、3兄弟のFWだから覚えていただけで、ほぼ無視みたいな言い方だったからな。

「なにィ!?今年の俺たちの活躍を知らないのか!」

「まぁ知らないよな」

「ああ知らないな」

俺が最初に言うと、鬼道も知らないなと口を揃えた。

「ま、せっかく挨拶に来たんだしィ、今の豪炎寺クンの力を見てみたいなぁ~みたいな?」

「…悪いがその気はない」

「おやぁ?また逃げるつもりですか?やっぱりお前は臆病者の卑怯者だ!!」

罵倒の言葉を吐きながら、いきなり豪炎寺に向かってボールを蹴とばした3兄弟。

やはりこいつらにとって豪炎寺は、決勝の舞台から逃げ出した裏切者と思われてしまっているようだ。

バシイイイッ!!

「くっそぉ…!もう我慢できない!俺が豪炎寺の代わりに受けて立ってやる!」

「うわ…マジで時代遅れの熱血君て感じ」

「やるのかやらないのか、どっちだ!」

「ふふん、卑怯者の豪炎寺クンと違って俺たちが逃げるわけないっしょ?」

そんな3兄弟のシュートを叩き落として激昂する円堂。仲間をこれほど口汚く罵られて、円堂が黙っているわけがない。

俺も円堂が出なかったら、俺が多分、手を出してしまっていたかもしれないしな。

3兄弟を川原のグラウンドへと連れ出し、3兄弟とシュート1本勝負の対決を行うことになった。

「それじゃあ武方3兄弟の力…見せ付けてやりましょうかァ!!」

そう言うと3兄弟の長男らしき奴が、青い渦を巻ながら、空へ上昇していく。

「こ…これは!?」

「ファイアトルネード!?」

俺がそう言うと、豪炎寺が叫ぶ。

「いいや…!回転が逆だ!!」

「これがファイアトルネードを超えた俺たちの必殺技!バックトルネード!!」

豪炎寺のことを散々言っていたクセに、技が豪炎寺の技のパクリ技なのが余計に腹が立つな。

「爆裂パンチィィィッ!!」

ダダダダダダンンン!!

しかし円堂もそれに負けじと爆裂パンチで応戦する。

「おおおっっ!!」

バシィィィン!!

バックトルネードをパワーで上回り円堂が見事に弾き返した。そしてその時だった。

「「そらそらァーー!!」」

「な…なに!?」

円堂がシュートを防いだその瞬間、それと同時に2発のシュートをドカドカ撃ってきた3兄弟。3発同時に飛んできたシュートなんて防げるわけがない。

「何するんだよ!?」

流石の円堂も叫ぶ。

「はぁーい、ちょっとゴール奪ってみましたみたいな」

「おい待てよ、そんなの止められるわけないだろう!一度に3本同時のシュートなんて!」

俺がそう3兄弟に叫ぶと、何故かニヤッと笑い、話し始めた。

「な~るほど、3本同時では止められませんかぁ?」

「当たり前だ!ボールを3つ使うなんて、そんなのサッカーじゃない!」

円堂がそう叫ぶと、3兄弟は不適な笑みを浮かべ言った。

「それじゃあ1本なら止められるわけだな?くくくく…」

ボールを1つにして勝負を仕切り直す3兄弟。

「「「見せてやるぜ!武方3兄弟最強の必殺技を!!トライアングル!Zォォォッ!!」」」

長男から3男への高速パス、さらに3男から次男への高速パス、そして次男が長男に乗ってシュートを決めるというトライアングルZという技だ。

「爆裂パンチィィィッ!!」

バッチイイイイッ!!

「ぐおっ!?があああーっ!!」

そのトライアングルZは爆裂パンチをも寄せ付けない恐るべき破壊力を秘めていた。パンチの連打を撃つ暇もなく、円堂の体ごと吹っ飛ばされてゴールを許してしまった。

これほどの威力となるとゴッドハンドでも防げたかどうかわからないな。

「あ~れれれれェ!?ボール1個なのに止められないってアリ!?」

「これでハッキリしましたねぇ、準決勝は僕達の勝ちです」

「世宇子中を倒して全国一になるのは…」

「「「俺たち武方3兄弟の木戸川清修だ!!」」」

「何をやっとるんだお前達!!」

円堂からゴールを奪った3兄弟が調子に乗っていると、そこに騒ぎを聞きつけた木戸川の監督達が登場した。

「サッカー選手ならば試合で正々堂々と戦え!!」

「「「わ、わかりました!!」」」

「お前達は先に帰ってろ!」

「「「は、はい!」」」

「二階堂監督…!」

「久しぶりだなぁ豪炎寺、フットボールフロンティアでの活躍は見ている。元気にサッカーを続けているようでよかった、がんばれよ!」

「ありがとうございます」

久々に顔を合わせた恩師に挨拶を交わす豪炎寺。

この監督は3兄弟とは違って、豪炎寺のよき理解者みたいだな。

そんなとき、雷門イレブンのみんなが集まってきていた。

そして一之瀬が何故か相手の監督と一緒に来ていた、木戸川の選手に向かい走り出した。

「西垣…!?西垣!驚いた、こんな所で会えるなんて!」

「…?い、一之瀬!?一之瀬か!?ど、どうなってるんだ一体!?土門!秋!な、なんだよ俺は、タイムスリップしちゃったのか!?」

「まさかトライペガサスの3人目か?」

俺がそう一之瀬に聞くと、笑顔で頷いた。

西垣のことは一之瀬だけでなく、もちろん土門や秋もよく知っている仲。久々に再会した4人は、敵味方のことも忘れて日が暮れるまで語り合うのだった。

「そうかぁ、それで一之瀬は雷門中に…とにかく一之瀬がまたサッカーに戻ってきてくれて、俺嬉しいよ!」

「西垣君はいつから木戸川清修に?豪炎寺君からは名前を聞いたことなかったけど」

「今年だよ!親の転勤でね」

「でも不思議なもんだなぁ、バラバラになったアメリカ時代の仲間がもう一度出会うなんてさ!」

「サッカーの神様が、どこかでちゃんと見てるのさ!」

「でも不公平な話だよなぁ、俺だけ違うチームで君たちと戦わなくちゃならない。でも負けないぜ!3対1だけどな!」

「ああ、がんばろうな!」

爽やかにお互いの健闘を誓い合う一之瀬たち。久々に会えたことがよほど嬉しいんだろう。



─────────
その日、俺たちは雷雷軒で食事を取りながら、次の相手木戸川との作戦を練っていた。

「問題は、あのパワーとスピードをどう阻止するかだが…」

鬼道がそう呟いた。

「トライアングルZか…」

円堂も爆裂パンチがいとも簡単に破られたことで、少し眉間にシワを寄せながら呟いた。

「あんな凄い技見たことないな」

風丸もそう呟く。

「今まで対戦した中でも最強のシュートじゃないか?」

俺がそう鬼道に言うと鬼道は

「ああ、単純なパワーの比較なら、帝国のデスゾーンより強力かもしれない」

と言う。

あのデスゾーンより強力かも知れないなんて…。

「大丈夫!今日は初めてだったから驚いただけさ、試合では絶対に止めてみせる!」

「本当に出来るのか?」

「根拠は…?」

「死にもの狂いで練習する!」

「も、もの凄く単純な理論だな…」

俺はそう呟きながら、思わず椅子から落ちてしまった。まさかそこまで単純な答えと思っていなかったからな。

「円堂の言うことも間違っているわけじゃないぞ、サッカーの中で絶対に嘘をつかないものが一つだけある。練習だ、練習で得たものしか試合には出てこない」

監督がそう言うと

「確かにそれは正論ですね」

鬼道も頷き、最後に円堂の声が響いた。

「よぉーし!明日から特訓だ!」



─────────
翌日、俺たちはイナビカリ修練場で特訓をしていた。

「まだまだ!もっともっとパワーを上げろ!」

「む、無茶ですよキャプテン!」

「無茶を乗り越えなきゃ木戸川清修には勝てないんだ!」

そしてイナビカリ修練場で特訓を始めた円堂…。

なんかハチャメチャなガトリング砲から出てくる、高速ボールを止めるトレーニングみたいだ。

そして俺たちは木戸川戦に向けて、イナビカリ修練場での特訓を開始した。

そして木戸川戦…、準決勝当日になった。 
 

 
後書き
雷藤「ついに木戸川戦か…」
円堂「ああ!今度こそ止めてみせる!」
雷藤「円堂なら止められるさ!俺たちもいるしな!」
円堂「ゴールは任せろ!」 

 

準決勝木戸川戦!前編

 
前書き
お待たせしました! 

 
《さあフットボールフロンティアもいよいよ佳境!本日はBブロック準決勝!名門木戸川清修と、今大会台風の目となっている雷門中との対戦です!》

そしていよいよ迎えた木戸川試合。

今回のスタメンは

FW 雷藤 染岡 豪炎寺
MF 少林寺 鬼道 一之瀬
DF 土門 風丸 壁山 栗松
GK 円堂

一之瀬が加わり、さらに強力になった今の最高スタメンだ。

《さあキックオフだぁー!》

「見せてやる、俺たちの本当の力を!」

「なっ…」

「少林!一之瀬!中央をふさげ!」

そして試合開始のホイッスルが響いた途端に、なんといきなり強引な中央突破を仕掛けてきた武方3兄弟。強引なドリブルに俺たちは簡単に近づけず、ついにゴール前までボールを運ばれてしまった。

「これで決める!みたいな?」

そう言うと、長男か次男か三男かわからない奴が青い渦を巻ながら、空へ上昇していく。

「バックトルネェェェドッ!!」

ドッゴオオオオオ!!

「そいつは通用しないぜ!爆裂パンチィィッ!!」

バックトルネードは爆裂パンチで返せることが証明済み、バックトルネードは円堂には無意味だ。

そう思い円堂を見ていると、なんと円堂の爆裂パンチがバックトルネードに押されているのだ。

ギュュュュグググッ!!

「う…!?こ、この前とパワーが!」

ギュォォォ!!

「ぐあああああーっ!!」

な、なんだと!?この間の対決より遥かに威力が増してる…、爆裂パンチでも威力がまるで衰えず、早くも先制のゴールに突き刺さってしまった。

「ど…どうなってるんだ…!この前のバックトルネードとはケタが違う!」

「あーん、何驚いちゃってるの?」

「前回の対決はデモンストレーションに過ぎませんよ」

「試合前に本気出すわけないだろ~?」

「「「ハハハハハハ!ハーッハッハッハッハ!!」」」

この間の対決ではまったく本気を出していなかったという3兄弟…。爆裂パンチは鬼道と佐久間の合体技・ツインブーストすらも跳ね返す強力な技なのに、それをたった一人でたやすくブチ破るなんて…こいつらのシュート力は計り知れない…。

《さあ先取点を取った勢いに乗って木戸川清修の攻撃が続いている!いきなりの劣勢に動揺したか、まだ調子の上がらない雷門中!果たしてこの時間帯をしのげるのか!?》

試合開始早々炸裂した3兄弟のバックトルネードにより、すっかり立ち上がりのリズムを崩してしまった俺たち。

その後も木戸川の猛攻にさらされてしまい、またしても3兄弟にバックトルネードを撃つチャンスを与えてしまった。

「バックトルネエエエエドッ!!」

ドッゴオオオオオッ!!

「絶対に止めるッ!爆裂パンチ改ィィッ!!」

ドドドドドドドッゴオオオオ!!

「でええやあっ!!」

円堂の進化した爆裂パンチがバックトルネードの勢いを殺していき、ついに弾き返した。

「おっしゃあ!!」

そんな円堂を見ながら、夏未はベンチで呟いた。

「ふうっ…ハラハラさせるわね」

「これ以上追加点は許さないぜ!」

円堂のその言葉で俺たちはどんどんリズムを取り戻してきたが、まだまだ木戸川のペースに呑まれていた。

「バックトルネードォォォ!!」

「やらせないっスゥゥ!ザ・ウォールゥゥ!」

壁山もゴールに簡単に行かせないと、壁山の必殺技ザ・ウォールを発動させる。

ガガガガガガッッッッ!!!

「ぐ、ぐわぁぁ!」

壁山のザ・ウォールも3兄弟が持つ、バックトルネードに粉砕され壁山が吹き飛ぶ。

しかし、壁山のディフェンスのお陰で、威力がDOWNしているのは確かだ。

円堂は右手に力を込め、思い切りパンチを放つ。

「おおおっっ!!真熱血パンチィィ!!」

バシィィィィィ!!

円堂の真熱血パンチで弾き返したボールは大きく空に上がった。

だが、ここで木戸川の攻撃は終わらない。3兄弟のもう一人が、青い渦を巻ながら上昇し、弾き返したボールにそのままダイレクトでシュートを撃つ。

「バックトルネードォォォ!!」

円堂がまだ体勢が整っていない、どうにかして時間を稼ぐんだ!

俺は全速力でゴールに走っていき、ゴール前で止まった。

「おおっ!やらせるかぁぁ!!」

俺は正面でバックトルネードを止めに行った。バックトルネードは俺の腹に食い込んでいく。

「ぐっ!ががっ!うおおっ!」

俺は体勢を変え、流すようにバックトルネードをゴール外へクリアする事ができた。

「うっ…、ははっ、やってやったぜ…」

俺が腹を押さえながら、うずくまると円堂が走ってきた。

「雷藤ぉ!なんて無茶を!」

「円堂のじいさんのノートに書いてあったんだよ…、仲間がピンチなら助けろ…、助けない奴は屑ってな…」

「雷藤…お前…、じいちゃんの字が読めたのか!?」

「ははっ…何言ってんだよ、お前と円堂のじいさんのそっくりじゃないか…、お前の字が読めるなら、読めるようになるさ」

俺がそう円堂に言っていると、みんなが集まってきた。

「雷藤立てるか?」

「雷藤先輩大丈夫でヤンスか!?」

そんななか円堂から、手が差しのばされた。

「ここから俺たちのターンだぜ?雷藤、やろうぜ!」

円堂の言葉と共に俺は立ち上がる。

「円堂…、ああっ!!」

その後もガンガン一方的に攻めてくる木戸川だったが、俺たちも円堂のゴッドハンド、壁山のザ・ウォールといった大技を惜しみなく発動して、その甲斐あって、なんとか失点には繋げずに踏ん張っていた。

「ずっと攻撃されてばかりじゃない…!」

ベンチではそんな雷門の状態を見て、夏未が叫んでいた。

「いいや…突破口はある」

そう口を開いたのは監督だ。

「え、突破口…?」

心美も監督に突破口?と首を傾げながら聞く。

「追加点の欲しい3兄弟が、攻撃にはやって突出ぎみになっている。中盤との連携に隙が出来始めた」

「そ、それじゃあそこを突けば」

「鬼道はもう気がついてるはずだ」


なかなか2点目が取れないことに焦り始めた3兄弟は、どんどん強引に点を取ろうとするようになり
味方にラフプレーをしてボールを奪い取ったりとメチャクチャなサッカーをしていた。

だんだんと足並みが狂い始めた3兄弟と木戸川イレブン…それをいち早く見抜いた鬼道は、今が反撃に転じるチャンスだと仲間達に指示を飛ばした。

「3兄弟が焦り始めたぞ。ディフェンスは機能している、後は攻撃だ!」

「だけどあいつら、豪炎寺を特に警戒してるはずだぞ」

「じゃあどうすりゃいいんだ…?」

「あ…その警戒を逆に利用するってのは?」

「ああ、それがベストだろうな。頼んだぞ雷藤、豪炎寺、染岡!」

いつにも増して相手から厳しいマークを受けている豪炎寺。木戸川イレブンは豪炎寺の強さを誰より知っているので当然だ…、しかし今回はそれがこちらの好機に変わる。

その警戒を利用し、豪炎寺と染岡を囮にすれば絶好の得点チャンスが生まれるはず…。

そこでトライペガサスの出番というわけだ。

「マジそれ?わざわざチャンスをくれるとは!」

そして円堂からのゴールキックで試合再開となったが、わざとゴール前のパス回しでもたついていると3兄弟が一気にボールを奪おうと突撃をしてきた。

「かかったなアホ兄弟め…」

俺はそう呟くと、まんまと誘い出された3兄弟の背後へ向けて、俺はパスを通す。

「鬼道ーっ!!」

《おおっと!?豪炎寺と染岡がサイドから駆け上がっていく!》

そして鬼道へパスが通ったと同時に、木戸川の両サイドを一気にえぐっていく豪炎寺と染岡。

豪炎寺を使ったカウンターと思ったのか、すかさず豪炎寺達へマークを集中させる木戸川、しかしそれこそ俺たちが思い描く最高の状態だ!

「今だ!!」

「行くぞぉっ!!」

手薄になった中央を一気に駆け上がっていく一之瀬・土門・円堂の3人!そして絶好のタイミングでトライペガサスの体勢に入る!

一之瀬、円堂、土門は見事な交差線を描き、青い渦が巻き起こる。強風がペガサスへと変わり、空へと羽ばたく。

そこに3人が上空へ飛び上がり、蹴り落とした。

「「「うおおおおおおおおお!!トライペガサス!!」」」

グゥォォァォォォォ!!!

トライペガサスが相手のゴールへと襲いかかりにいくと、敵キーパーも思わずビビッてよけてしまうほどの威力だった。

トライペガサスは完璧にゴールへと突き刺さって同点のゴールを奪った。

これで試合は振り出しになったな…

そしてその時、ちょうど前半終了のホイッスルが鳴りハーフタイムに入った。

「ま、まさかあんな必殺技を隠していたとは、思っていませんでしたね…」

「…トライペガサスだ」

「「「え…?」」」

「あの技のことなら俺が一番良く知っている。俺と一之瀬と土門が一緒に編み出したんだからな」

「な、なんだと!?」

「だから俺が封じてみせる!」

トライペガサスの凄まじい威力に冷や汗をかきまくりの3兄弟だったが、しかしトライペガサスを使ってくるとなれば、やはりこの男が黙っていなかった。西垣が一之瀬たちを見ながら、見えない闘志を燃やしていた。 
 

 
後書き
心美「お兄ちゃん、大丈夫?」
雷藤「ああ、大丈夫だ」
心美「あんまり無茶しないでね?」
雷藤「ああ気をつけるよ」 

 

接戦!木戸川戦!後編

 
前書き
お待たせしました! 

 
「みんな頑張って!3兄弟と中盤の連携を崩せば、必ず逆転できるわ!」

「だが、それも後半では修正してくるだろう」

「それにまだあの技を出していない」

「トライアングルZか…」

一方、トライペガサスの得点により活気づいていた俺たち雷門ベンチ。しかし俺、豪炎寺、一之瀬、鬼道はまだあちらに有利なカードが残っていることを警戒していた。トライアングルZ…爆裂パンチを軽く弾き飛ばしたあの技を出されては、戦況はいとも簡単にひっくり返されてしまうだろう。

「大丈夫さ!どんなシュートだろうと俺が必ず止めてみせる!」

円堂がそうみんなに話すが、正直今回はゴッドハンドで通用するのか心配だ。

「そろそろ見せてやろうじゃん!」

「来るぞ!!」

そして木戸川ボールで始まった後半、前線でボールを受けた3兄弟は早くもトライアングルZを撃つ体勢に入った。

「「「トライアングルゥッ!Zォォォッ!!」」」

ゴオォォォッ!!

「ゴッドハンドオオッ改ッ!!」

すかさず円堂がゴッドハンドを出すが、トライアングルZの威力は軽く円堂のゴッドハンドの威力を上回っていた。

「ぐ…!ぐぐっ…!ぬ…ぐっ…!」

バッキイイイン!!

「ぐぅああああーっ!!」

トライアングルZの恐るべきパワーには、ゴッドハンドですらもまったく相手にならなかった。
やはり真デスゾーンか皇帝ペンギン2号クラスのパワーがあると思われるトライアングルZ…。ゴッドハンドじゃ厳しいかもしれないな…。

またしても木戸川がリードする展開、雷門に2点目が重くのしかかっていた。

「ゴッドハンドが破られるなんて…」

「監督、どうしたらいいんですか…!?」

「……」

想像以上に手ごわい3兄弟に騒然となる雷門ベンチ。監督も無言でグラウンドを見つめる。

「マックス!一之瀬!コースをふさげ!」

「ぬ…くっ!勝!」

「うおおおーっ!!」

「く…ぐぅっ!!」

鮮やかなトライアングルZ封じを命じる鬼道。

次男がボールを持てば素早いチェックで苦し紛れのパスを打たせ、長男がボールを受け取れば、切れ味鋭いタックルで苦し紛れのシュートを打たせ…シュートは円堂にまるで通じず余裕なキャッチを続ける。

鬼道の素早い状況判断の前には、トライアングルZを使う隙なんてほとんどない。

「行くぞ!トライペガサスだ!」

自軍ゴールでボール持った状態で
トライペガサスの指示を出す円堂。円堂の指示に合わせて一之瀬、土門も上がっていく。

だが、円堂たちの前で西垣が立ちふさがった。

「来たな…!俺の目の前で何度もやらせはしないぞ!食らえ!スピニングカットオオオオッ!!」

ズッバアアアアン!!

円堂達がクロスする瞬間、スピニングカットの衝撃波を食らいまとめて吹き飛ばされる3人。

3人が交差するタイミングは経験者だけあって完璧にお見通しだった。

「ペガサスの羽が折れたな」

「くっ…!さすがは西垣、凄いディフェンスだ…!」

一言そう言い残して定位置へと戻る西垣。

ボールも一緒に吹き飛ばされてタッチラインを割ったようで、ガラ空きの雷門ゴールを狙われなくて済んだのが、不幸中の幸いだ。

「ぐ…トライペガサスが止められるなんて…!」

「焦るな円堂、俺が必ずゴールを決める」

焦っている円堂を見た俺は、そう円堂に言うと円堂の肩をたたいた。

「いけっ!」

「もらった!!」

木戸川のパスを読み、ボールを奪い取った俺は、そのまま自らドリブルで切り込み、一気に木戸川のゴール前まで上がった。

「壁山ぁっ!!」

「「イナズマッ!落としR!!」」

バリバリィィィ!!

「タフネスブロックゥゥッ!!」

ドシイイイイイッ!!

「ふんっ!!」

バシィィィン!!

相手のタフネスブロックにより、あえなく弾き飛ばされてしまったイナズマ落としRだが、ここでは終わらせない。

ズバアッ!!

「ライトニングアロォォー!!」

「な、なに!?」

ボールが弾き返された次の瞬間、間髪入れずに俺はライトニングアローを叩き込んだ。

キーパーに体勢を立て直す暇を与えない連続攻撃でキーパーの反応はまるで間に合わず、宣言通りボールは2点目のゴールを奪った。

そして試合は同点、先に勝負を決める3点目を奪うべくますます激しさを増す両校の攻防。

こうなると互いに必殺技の出し惜しみはしていられない。

マックスが駆け上がり、イナズマイレブンより受け継いだ技を披露する。

「クロスッドライブゥゥ!」

「タフネスブロックゥゥ!!」

バシィィィン!!

強力な技だが、相手キーパーにより弾かれてしまう。

「延長なんて必要ないっしょぉぉっ!!」

「絶対に!!」

「俺たちが!!」

「「「勝つんだぁぁぁっ!!」」」

とその時、互角の攻防を一変させるプレーを見せたのは武方3兄弟だった。凄まじいまでの執念でボールを奪い取り雷門のゴールめがけてあのシュート体勢をとった。

「「「トライアングルゥゥ!Zォォォ!!」」」

ギュォォォォン!!

「ゴッドハンドオオッ改ッ!!」

ズッドオオオオオ!!

「ぬぐっ…!く…ううううっ…!うおおおおおーっ!!」 

やはりゴッドハンドのパワーを大きく上回るトライアングルZ、しかし円堂は、ここで帝国との戦いで見せたあの技を発動させる。

「ゴッドハンドWゥゥ!!」

ギュゴオオオオオオ!!

「ぐ…!ぐぐぐぅっ…!」

ゴッドハンドWですら、トライアングルZの威力を押さえ切れていない。

「ゴッドハンドWが押されているだと…」

グイグイとゴッドハンドWごと円堂をゴールへ押し込む恐るべきパワー…。皇帝ペンギン2号以上の威力に俺は驚きが隠せない。

「が…あああっ…!このゴールを許したら、チームのみんなの思いが途切れてしまう…!だから俺は…!絶対に止めてみせる!!ゴールを背負うっていうのはそういうことなんだッ!!」

円堂が叫ぶとそこに2人の仲間が駆けつけた。

「キャプテェェェンッ!!」

「危ないッスゥゥッ!!」

「「「うおおおおおおおおおおお!!」」」

必死に耐え続ける円堂の下へ駆けつけた栗松と壁山。

そして2人の力を得た円堂は、ついにトライアングルZを抑え込み始めた。

「うおおおっっ!これがトリプルディフェンスだぁぁ!!」

円堂達の新たな必殺技トリプルディフェンスはトライアングルZを押さえ込み円堂の手に収まった。

「円堂!こっちだ!」

「ぐ…!やらせねえぞ!」

残り時間はあとわずか、最後の逆転に望みを賭けて俺にボールを託す円堂。

しかしその前に3兄弟が立ちはだかった。

「頭に血が上り過ぎだよ、お前ら」

ぱしっ

俺は勝負する気ゼロで一之瀬にバックパスを回した。

そして俺は叫んだ。

「今だ!トライペガサス!」

「え!?」

「決めるんだッ!!」

俺は確信していた。トライペガサスはもう一度羽ばたく。そして円堂…!お前が上がってきてくるってな!

俺の予想は的中し、円堂は前線に全速力で上がってきていた。

「トライペガサスは決めさせないッ!!」

ズッバアアアアン!!

しかしここで立ちふさがるのはまたも西垣。

今度もトライペガサスの発動に合わせてスピニングカットを撃ち込んだ。だが今回は違う。俺は叫んだ。

「もう一度羽ばたくんだ!ペガサス!」

円堂は雄叫びを上げながら、スピニングカットにぶつかり、そして突き破った。

3人が綺麗なクロスを作り上げると、生み出したペガサスが巨大な炎の鶏へと姿を変えていった。

「な…なんだと!?」

「「「うおおおおおおおおおおおお!!」」」

シュゴオオオオオオッ!!

「ぐっ…冗談じゃないっしょ!」

「このままじゃ僕たちは終われない!!」

「決めさせるかああああーーッ!!」

トライペガサスの進化したこの技にしぶとく食らいつく3兄弟。しかし、その猛烈なパワーは何人がかりのブロックだろうとものともしない。

3兄弟全員をいともたやすく吹っ飛ばし、ついに雷門決勝のゴールに突き刺さった。

「ペ、ペガサスが…フェニックスになって翔んだ…!?」

「くっ…ちくしょおおおおっ!!」

ピッピッピイイイイイッ!!

そしてここで試合終了!
この激闘を制したのは雷門中、ついに世宇子の待つ決勝の舞台へと駒を進めるのだった。

「やられたよ…素晴らしい技だった」

「西垣…!」

「あれはお前達と円堂の技だな…一之瀬が不死鳥となって甦った、ザ・フェニックスだ…!」

あの土壇場でトライペガサスを進化させた3人に、脱帽する西垣。

「……」

「…もしかして笑いに来た?みたいな」

そしてがっくりとうなだれていた3兄弟に歩み寄る豪炎寺。3兄弟の健闘を称えて握手を交わそうとすると3兄弟はその手を払いのけてしまう。

バシイッ!

「僕達3兄弟はあなたを超えてみせると誓い合った!」

「トライアングルZは最強のはずだ…!なんで勝てねえんだよッ!!」

「確かにお前達はこの一年、必死に練習した。ただお前達は、3人で豪炎寺を…雷門中を倒そうとした。でも彼らはチーム全員の力で戦った。豪炎寺1人がいるというだけで、勝ち負けが決まるようなもんじゃないのさ」

やり場のない気持ちを抱えて声を荒げる3兄弟、そこへ現れたのは木戸川の二階堂監督だった。

「二階堂監督…」

「豪炎寺、この一年でお前は大きく成長したな…先生は嬉しいよ」

「去年のこと…みんなに迷惑をかけてすいませんでした」

「…妹さんの事故のことなら、知っていたよ」

「「「…?」」」

「しかし、どんな理由も言い訳にならないって思ったんだろう?だから黙っていなくなった…そうだな」

「……」

「でも今日の戦いで、お前が逃げ出したりするような奴じゃないって分かったはずだ。こいつらにも」

豪炎寺から何も聞かされていなかったにも関わらず、妹の事故のことをすでに察していた二階堂監督。

さらに黙って木戸川を去った豪炎寺の心の内まで、正確に把握していた。大した人物だな、二階堂監督。

「監督…」

「もういいんだ…気にするな」

「…はい…!」

「ご、豪炎寺…正直すまなかった」

「あなたを誤解していました…」

「去年の負けはお前のせいじゃない…お前一人に頼っていた俺たちがいけなかったんだ」

3兄弟も今の話を聞いてすっかり考えを改めたようで豪炎寺に詫びる。

こいつらも1年という短期間で、バックトルネードとトライアングルZを身につけるほど猛練習したってことはサッカーに対する思いは本物なんだろう。

「ついにここまで来たな…次は世宇子との決勝戦だ」

「ああ…!」

ついに決勝進出を決め、世宇子との戦いに闘志を燃やす俺たち。

しかしその時、円堂が自分の右手を見つめているうちに円堂がどんどん神妙な表情になっていったのを俺は見逃さなかった。

もしかすると、ゴッドハンドが世宇子に通用するかどうか不安に思っているんだろうか。

「…大丈夫か」

「……ああ」

そんな円堂に俺は一言かけて決勝への覚悟を再確認した。

俺のシュートも通用するのか…、俺も心に不安が募っていた。 
 

 
後書き
雷藤「俺のシュートは世宇子に通用するのか…?」
雷藤「いや、前向きに考えよう…」
雷藤「世宇子に向けて練習あるのみだ!」 

 

夢の中の敗北

 
前書き
お待たせしました! 

 
「くそっ!これでどうだぁぁ!!ライトニングアロォォォー!!」

ズガァァァァァ!!
俺の渾身のシュートが相手キーパーに向かい、唸りを上げて襲いかかる。

「いっけぇぇ!!」

パシッ!!

「えっ!?」

俺のライトニングアローが片手一本で止められると、相手キーパーはボールを蹴り、FWに回した。

パシッ!

ギュォォォォ!!

相手のシュートは唸りを上げながら、円堂が守るゴールに向かう。

「次は決めさせないッ!!ゴッドハンドォォ!!」

グワシャァァァン!!

「ぐあぁぁぁぁぁ!!」

ピ─────!!

《雷門中またしても世宇子に点を取られてしまったぁ!これで50対0…!!》

「う、嘘だろ…」

俺は地面に崩れながら呟いた。

俺以外誰も立っていない。
世宇子の選手が俺に近寄り俺にシュートを放った。

シュートはどんどん俺に向かってきて、俺の頭にボールが当たろうとした…。

───────────
「うわあああああーっ!!…あ…!?はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

次の日の朝、俺は悪夢にうなされ汗だくで飛び起きてしまった。

内容とは、世宇子との試合に50対0でボロ負けするというものだった。

悪夢とはいえなんという点差だろうか…。

そんな夢の中で俺達のシュートは世宇子相手に全く通用せず、そして世宇子のシュートに成す術もなく俺達は蹴散らされていった…。

「強くならなきゃ…今よりもっと…もっと…!」

俺は急いで支度をすると、雷門中へ向かった。すると途中で円堂とばったり会ってしまい、2人で学校に向かった。

なんと奇遇にも円堂も似たような夢を見ていたようで、俺達がボロボロにやられ、円堂のゴッドハンドも通用しないという夢だったらしい。

俺と円堂が正門を潜ると、木野が
走ってきてすぐに、俺達に向かい言葉を掛けた。

「ど、どうしたのその顔…?」

「…ダメなんだ…なあ俺、ゴッドハンドで世宇子のシュート止められるのかな…」

「同じく…、俺のシュートは世宇子に通用するんだろうか…」

俺達はまるでこの世の終わりみたいな表情で学校に登校したらしい。

「らしくないぞ。いつものお前達ならやってみなくちゃ分からないって、真正面からぶつかって行くじゃないか」

鬼道が俺達に向かい、そう呼び掛けるが円堂は真剣な顔で声を上げた。

「…この決勝は絶対に負けられないんだ!!やってみなくちゃ分からないじゃダメなんだ!!分かるだろ!?」

「…あ、ああ…」

円堂の剣幕に少し驚きを見せる鬼道。相当テンパっているようにも見える。

──すると同じ頃

「円堂君と雷藤君が…?」

「ええ…」

「まずいわね、みんなの士気に関わるわ…」

そんな円堂と雷藤の異変を夏未へ教えに理事長室を訪れた秋。

確かに円堂と雷藤はチームの精神的な柱である以上、落ち込んでいられるとサッカー部全体の士気に関わってしまうからだ。

「どんな言葉をかけたらいいか分からないの…」

「私なら見守るけどな…決勝戦に出るなんて、最初の弱小サッカー部の頃に比べたら、ありえないくらい凄いこと。緊張するなって言う方が無理よ、だから私からあなたにお願い」

「お願い…?」

「私、これから父のところに行かなければいけないの。円堂君と雷藤くんを見守っていて、お願い」



───────────
「ごめん、遅くな…わっ」

「め、珍しい空気だな…」

その日の放課後、練習を風丸たちに任せた俺達、円堂、雷藤、豪炎寺、鬼道の4人組は部室で思いっきり落ち込んでいた。

「鬼道、雷門で世宇子の力を目の当たりにしているのはお前だけだ。奴らのシュートにゴッドハンドは通用すると思うか…?」

「分からないとしか言えない…今はな。世宇子の力だって俺は完全に把握してるわけじゃない、ただ…世宇子のシュートは武方3兄弟のトライアングルZより、遥かに強く恐ろしい。それだけはハッキリと言える…」

あのトライアングルZを超える威力…。やはり世宇子のシュートはトライアングルZと比べ物にならないほど強力なようだ。

ゴッドハンドはトライアングルZ相手でも圧倒されてしまったことを考えると、もはや世宇子のシュートには通用しないかもしれない。

「…トライアングルZは栗松と壁山に支えられてどうにか止めることが出来たけど…きっと世宇子戦は今までにない激しい試合になる。壁山たちだって、俺のフォローにばかり入ってはいられないよ」

「確かにいつも3人でキーパーをやるわけにはいかないよな…」

「お前のお祖父さんの特訓ノートは…?ゴッドハンドより凄いキーパー技のヒントはないのか?」

木戸川戦で習得したトリプルディフェンス、あれならゴッドハンドより強力だが円堂は世宇子戦ではほとんど使う余裕はないと考えているようだった。確かに準決勝まで勝ち上がったカリビアン中が10分持たずに世宇子に全員病院送りにされたことを考えると、世宇子との戦いでは雷門中もケガ人が続出することが想定される。3人のうち1人でも欠けたら使えないトリプルディフェンスは、誰か1人ケガしたら使うのが難しいからな。

俺は鬼道の言葉を聞いて、俺は円堂から借りていた、円堂のおじいさんのノートを開き指を指した。

「これだ、マジン・ザ・ハンド…円堂のおじいさんによれば最強のキーパー技を編み出したんだって。ここがポイントって書いてあるんだ」

俺はそして書いてある絵の胸部分をさらに指で指した。

「ここ…?胸?」

「心臓ってことじゃないのか?」

ゴッドハンドより強力なキーパー技を書き残していた円堂のおじいさん。しかしその技の説明は「胸がポイント」というたった一言だけだった。

「よくこんなキーパー技を見ていたな雷藤」

鬼道が俺にそう言うと俺は鬼道に向かい言った。

「マジン・ザ・ハンドを見ていたのは理由があるんだ。この魔神?みたいなものはキーパー技だけではなく、シュートにも応用出来るんじゃないかって、そう思ったからこのページを見ていたんだ」

鬼道はそう聞くと何も言わず頷いた。

俺が円堂を見ると少し吹っ切れたのか、顔を上げた。

(くよくよ考えたって何も変わらない…とにかく動く!動けば何か掴めるかもしれない…!)

決勝までに残された貴重な時間を、これ以上悩んでいるだけで消費してはダメだと思った円堂。
とにかく特訓に特訓を重ねて何かを掴もうとするが、それは先の見えない暗闇でひたすらもがき続けるようなものだった。



─────────
「前にパパの手紙を読んでから思っていたことだけど…影山が今までやってきたことを考えると、サッカーを憎んでいるとしか思えないの」

「ああ、私もそう思う…そしてその理由を調べていてこのザマさ」

「そのケガ、影山の仕業ってこと…?」

「事故には不審な点が多すぎる…影山が絡んでいることは間違いない。だからこそお前に注意して欲しい、みんなにも十分警戒するよう伝えてくれ」

その頃理事長の病室を訪れていた夏未は理事長の巻き込まれた自動車事故は影山の仕業であることを知らされていた。

「それからな…円堂君のことなんだが…」

「えっ…?」



─────────
「お嬢さん、話っていうのは?」

「いつも父と話していると伺いまして…」

「ああ、お互い追いかけているものが同じですからね…ちょっと情報をね」

「円堂君の話も出ていると聞きましたが…」

そして理事長から円堂の話を聞いた夏未は、その情報を確かなものにするために鬼瓦刑事を呼び出していた。

「……正確には祖父、円堂大介の話ですよ。聞いたんですか…?」

「はい…それは本当なんでしょうか…」

「証拠も何もありゃしませんよ、まことしやかに囁かれる話なんですがね…、大介の死に…影山の姿がちらつくんです」

なんとそれは円堂祖父は影山に殺された可能性があるという疑惑の話だった。 
 

 
後書き
雷藤「マジン・ザ・ハンドか…、シュートにも応用出来るだろうか…」
円堂「ゴッドハンドを超える、マジン・ザ・ハンド習得してみせる!」 

 

初心忘れるべからず

 
前書き
お待たせしました! 

 
「おはよう」

「あっ、おはよう」

「円堂君と雷藤君、昨日鉄塔広場で特訓を始めたわ…とにかくやるしかないからって」

「それで必殺技は…?」

「ううん、まだ…」

「そう…」

その話の話題になっているのは、昨日の鉄塔広場での出来事だ。



──────────
「ぐわぁぁぁぁ!!」

「雷藤大丈夫か!?」

「ぐっ!なんの!」

俺はいつも円堂がタイヤで特訓しているのを真似して、俺も木にタイヤに掛けて特訓していた。

「でもどうしたんだよ、急にゴッドハンドを習得したいなんて」

そう俺は円堂に頼んでゴッドハンドの習得を依頼していた。

「いやぁ~、なんて言うかさ、初心忘れるべからず的な?雷門中初の必殺技がゴッドハンドだろ?俺も初心に戻ろうかなぁって」

「ははっ、雷藤らしいな!」

俺がそう言い終わると、俺はもう一度タイヤを投げ返ってきたタイヤに向かい、片手を出し叫ぶ。

「ゴッドハンドォォ!!」

グシァァァァァァァ!!

ゴッドハンドとマジン・ザ・ハンド習得のために、鉄塔広場で夜遅くまで特訓を始めた俺と円堂だった。



───────────
「見守るしか出来ないって、結構辛いね…」

「辛いけど…他にどうしようもないから…」

「…?どうしたの、昨日何かあった?」

「う、ううん、違うの、決勝戦のことを考えると私も円堂君みたいになっちゃうだけ…、じゃあ私、理事長室に用があるから」

「分かった、じゃあ後でね」

円堂祖父が殺されたという事実を知ってしまったことで、円堂の話が出るとなんとも言えず辛い思いを抱えてしまう夏未だった。



─────────
「はぁはぁ…、ゴッドハンド難しいなぁ…!」

俺がタイヤで吹き飛ばされて地面に仰向けで倒れていると円堂が難しい顔をしながら立っていた。

(じいちゃん、マジン・ザ・ハンドって何なんだよ…どうやったら出来るんだ…!みんなのためにも俺、強くなりたい…!イナズマイレブンのおじさん達が叶えられなかった夢を、俺が…俺たちが叶えたいんだ…!)

「こんなことだと思ったよ」

「それでマジン・ザ・ハンドがマスター出来るのか?手伝おう」

この日も俺と円堂が鉄塔広場で厳しい特訓に励んでいると、そこへ豪炎寺と鬼道が現れた。

ちょうど2人での特訓に限界を感じていたところ、2人の申し出は願ってもない話だった。

そして俺と円堂は2人の強烈なシュートをその身に受け続け、ますますボロボロの姿になっていった。

「いくぞ豪炎寺!」 

「ああ」

そう言うと鬼道は上にボールを上げ、豪炎寺が上がったボールに向かい頭で合わせそのボールをダイレクトでさらに鬼道で蹴り込む。

「お、おい洒落になんないって!」

俺はすかさず構えた。
皆さんお気付きだろう。
鬼道+αでシュートを撃ってくるということは、つまりアレなのだ。

「「ツインブーストォォォ!!」」

あ、これ死んだわ…。

俺はそう思いボールを受け止めに行った筈だったと思う。
その先の記憶はない。



──────────
「か、監督!氷をください!」

「派手にやっちゃって…!」

俺が目を覚ますと雷雷軒の中だった。

ツインブーストで気絶した俺は雷雷軒にかつぎ込まれたそうだ。

因みにその後、円堂も豪炎寺のファイアトルネードをもろに喰らい運ばれてきたそうだ。

「ずいぶんと無茶をしたもんだな、新しいキーパー技を編み出そうとしてると聞いたぞ」

「うん、マジン・ザ・ハンド…」

「む…?そうか、ついにお前もアレに挑戦を始めたか」

「か、監督は知ってるの…!?監督は出来た!?」

「俺はマスター出来なかった。だが…お前ならやれるかもしれない、頑張れよ」

なんと、円堂のおじいさんに直接鍛え上げられた監督なら習得してると思ってましたが、それでも無理だったというマジン・ザ・ハンド…。

ガラガラガラ

「ん?おいおい、どうしたお揃いで。ひでえ格好だなぁ」

「あ、刑事さん!世宇子に勝つにはこれくらいなんでもない」

「威勢がいいな~…結構だが、勝つことに執念を燃やしすぎると影山みたいになるぞ」

「影山に…?」

そんな雷雷軒へ偶然やってきたのは鬼瓦刑事。

しかし、いきなり出てきた影山の名前に俺達は眉をひそめてしまいます

「何か分かったんですか?」

「40年前のイナズマイレブンの悲劇から、雷門対帝国戦の鉄骨落下事件まで、一連の不可解な事件を解明するためには、影山という男の過去を知るべきだ…俺はそう考えた。始まりは50年前の出来事なんだ…影山東吾という選手を知っているか?」

「昔、日本サッカー界を代表する人物だと聞いたことがありますが…」

「影山の父親だ」

「「「ええ!?」」」

「父親の東吾は昔、人気・実力共に最高だった…、その年のワールドチャンピオンシップ代表にも選ばれると思っていたが…、円堂大介を中心とする若手の台頭によって、代表を外されてしまったんだ。ショックだったんだろうな…それからの東吾は荒れちまって、奴が出ると必ず負ける、あいつは疫病神とまで言われる始末さ…、やがて東吾は失踪し、母親は病死…影山は一人きりになってしまった」

かなりのところまで影山の過去を調べ上げていた鬼瓦刑事。

かつて超一流のスター選手を父に持ちながら、その父が日本代表に選ばれなかったことで全ての歯車が狂い出してしまった影山の人生…幼くして全てを失ってしまった影山は、そのせいで父親の代わりに日本代表へ選ばれた選手達に、相当な憎しみを持っているという話だった。

「奴の中で、家族を壊したサッカーへの憎しみと、勝ちへのこだわりが膨れ上がって行ったんだろうな…、そのために多くの人を苦しめてる。豪炎寺、お前もその一人だ」

「な…」

「妹さんの事故…奴が関係している可能性がある」

「…!!」

「影山が、夕香ちゃんを……」

俺は少し動揺しながら、豪炎寺を見ると豪炎寺は少し震えながら黙っていた。 
 

 
後書き
豪炎寺「………」
雷藤「豪炎寺……」 

 

動き出す黒

 
前書き
お待たせしました! 

 
「フットボールフロンティアを制する者は誰か!」

「「「勿論我ら世宇子中!!」」」

「頂点に立つ者は誰か!」

「「「勿論我ら世宇子中!!」」」

そしてその頃、別の場所では雷門中が決勝戦で当たる世宇子イレブンは影山の言葉に続き、言葉をあわせていた。

「私は勝利しか望まない!だが泥まみれの勝利など敗北も同然…!完全なる勝利!圧倒的な勝利のみを欲している!その勝利をもたらす者だけが…『神のアクア』を口にするがいい!」

影山のその言葉と同時にガパッと口を開けた宝箱のような箱。そこに入っていたのは、人数分用意された謎の飲み物『神のアクア』というものだった。

選手達はそれを一気に飲み干すと、それぞれ違う場所に向かった。

影山は最後に「ふっ」と笑いながら椅子に座り、目の前のパソコンに打ち込んだ。【プロジェクトZ】そして二行空けて、もう一回キーボードを打った。

【プロジェクトN】と………



──────────
「お兄ちゃん!いつまで寝てんの!」

「起きてるよ」

「えっ、えぇ!?」

「どしたの心美…」

「えっ、あ、お、おはよう…ちょっと待ってねご飯作るから…」

そして次の朝、家では、いつもはぐーすか寝ている俺が今日は早起きしていた。

そんな俺を見てこの世に有り得ないものを見たように驚く心美。

「……」

「(ちらちら)」

「……」

「(ちらちら)…あ、熱っ!!」

「はは、しっかりしろよ」

「えっ、そ、そうだね…(それは私のセリフだってば…)」

最近、眉間にシワを寄せて、毎日ボロボロで帰ってくる雷藤に対して心美は心配そうに見るが、家では何にも言わないため、心美をただただ見守っていた。



───────────
「うおおおおーっ!!ゴッドハンドォォ!!」

ドッシイイイイッ!!

「がぁぁぁぁぁ!!」

今日はイナビカリ修練場で激しい特訓に励む俺と円堂。

俺が出もしないゴッドハンドを練習しているころ、円堂は隣でシュートを胸部分で受けていた。俺も流石に気になり円堂に聞いてみる。

「円堂、何やってるんだ?」

「え、いやぁ、じいちゃんのノートにマジン・ザ・ハンドはここだって書いてあるから、胸を鍛えればいいのかなって」

俺はそれを聞いて、素直に頭に浮かんだことを円堂に伝えた。

「それってもしかして、肺とか心臓のことじゃないか?」

「え?そ、そうか!そういう考え方もできるな!」

そう言うと円堂は走ってイナビカリ修練場から飛び出ていった。

「……円堂も忙しいな…、俺も早くゴッドハンド習得しなきゃな」

そしてガトリングのように、飛び出てくるボールに向かい、俺はもう一度手を出し叫んだ。

「ゴッドハンドォォォ!!」



────────────
ぶくぶくぶくぶく

「ぶっはぁぁぁぁ!く、くそっ、もう一回!」

俺に「胸部分じゃなく、肺や心臓を鍛えてみろ」と言われて、すぐタライの水に顔を突っ込み肺の特訓を始めた円堂。

そんな風にジャバジャバ何度も顔を突っ込んでいるところへ、今度は影野がやって来た。

「何してるんだ、洗面器に顔なんか突っ込んで」

「え?いやぁ、じいちゃんのノートにマジン・ザ・ハンドはここだって書いてあるから、肺を鍛えればいいのかなぁって思ってさ」

「肺…なのかな…」

「ん?」

「呼吸って意味かもしれないよ」

「ん…そっか呼吸か。すーはー…あ、そうだ!みんなの練習に付き合わなくっちゃ!」

その時グラウンドでは、雷門イレブン全員が実戦さながらの激しい練習を繰り広げていた。

やはり次の相手が世宇子とあっては生ぬるい練習などしていられないようで、気合いのノリもこれまでとは段違いだ。

「円堂君たち、必死ね…」

「あぁ…でもなんて言ったらいいんですか…?私たちって、見てるだけであそこに参加できないっていうか…」

「もどかしい…?」

「そう、それですよ!」

そんな雷門イレブン達を、マネージャー4人組は少し寂しそうな目で見つめていた。

自分達もみんなの役に立ちたいのに、ただ見てることしか出来ないことをもどかしく思っているようだった。

「じゃあ、みんなに気持ちよく練習してもらうために…やりますか!」

「やりますか!」

「そうね!」

「えっ?ど、どういうこと?」

「「「こういうこと!!」」」

みんなに気持ちよく練習してもらうための秘策、それはなんとおにぎり作りだった。

せめてみんなの空腹くらいは、これで満たしてあげたいと思ったようだ。

「熱いから気をつけてね~」

「あつっ、あつつっ、あっつ~い!」

そしてあつあつのお米を一生懸命握り始める心美。

しかしそんな心美と春奈と秋を、夏未はひたすらポカーンと見つめ続けていた。

「ほら、夏未さんも」

「えっ?え、ええ」

秋に促されてとりあえずしゃもじを掴んでみる夏未。しかししゃもじを持つのもこれが初めてのようだった。

やがて意を決したように、炊飯器にしゃもじを突っ込んで山盛りのご飯を手に持つが…

「あっつぅぅぅいっ!!あつっあつっあぁぁぁ!!」

あまりの熱さに耐えかねて持っていたご飯を部屋中に撒き散らしてしまった夏未。

まともにご飯も握れないその様子に、心美や秋や春奈も苦笑いを浮かべてしまった。

「も、もしかして夏未さん…おにぎり握ったことないの…?」

「夏未さん…お嬢様だから…」

「うぅ…ご、ごめんなさい…」

「じゃあ男子たちにならって…必殺ダブル茶碗!!」

あつあつのご飯を触らなくても済むように、心美は必殺のダブル茶碗を夏未に教えることにした。

「これにご飯を入れて、キャップをかぶせて…振る!こうすると…」

「はっ…!?」

「形は出来てるし少し冷めてるから、あとは手に水をつけて握ればいいよ」

茶碗である程度形を作ってから、素手で仕上げだけを行うというこの技。これなら夏未でも出来ると心美は考えたようだ。

「やってみて?」

「う、うん…」

しゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃか

「も、もういいんじゃないかな…」

「え、そ、そう…?

(パカッ)

と蓋を開けるとある程度形が完成している状態を少し感動しながら夏未は呟く。

「わぁ…!こ、これを握るのよね」

「そう」

にぎにぎ にぎにぎ

「で…できた…?できた!できたぁ!ほらほら、凄い!生まれて初めておにぎり握ったわ!!」

いろんなハプニングをあったが、炊飯器の中身が空っぽになるまで、ありったけのおにぎりを作った4人。出来たてをさっそくみんなの前に持っていくと、休憩を兼ねて食べさせてあげることにした。

「みんなー!」

「おにぎりが出来ましたー!」

「「「うおおおおおおお!!」」」

「いっちばーーん!!」

円堂がそう言い素手で、おにぎりを取ろうとすると、お嬢のビンタが円堂の手を襲う。

べしっ

「い、いってぇ!?何すんだよぉ…」

「手を洗って来なさい!!」

おあずけを食らって仕方なく手洗い場へ向かう俺たち。しかし、おにぎりが食べられるとあってその足取りは軽やかだ。

「おっにぎ~りおっにぎ~り~♪うん?」

円堂がランラン状態で、水道に向かっていると、目の前から全てを見通した天才が現れた。

「(ふきふきふき)」

手を洗いに行って正解だったぜ!とばかりに、ゆうゆうと俺達を置いておにぎりへ向かう鬼道…。

すでにこの事態を見越して手洗い場へ向かっていた鬼道。俺は鬼道に向かい呟いた。

「……やっぱり鬼道は天才ゲームメーカーだぜ……」

というかこの鬼道の行動は想定外すぎて苦笑いを浮かべてしまった。

そして優しい鬼道はみんな戻ってくるまで待ってくれていた。

全員の手洗いが終わるまで、おにぎりに手をつけないであげるとはなんて鬼道のフェアプレー……。

鬼道…、俺は感動しているよ…

「ふふ、はいどうぞ!」

「「「いただきまぁぁーーす!!」」」

いよいよ心置きなくおにぎりに手を伸ばす俺たち。

一之瀬や土門は真っ先に秋のおにぎりに群がり、鬼道は春奈のおにぎりをムシャムシャ頬張っている。

「はい、お兄ちゃん!お兄ちゃん専用のおにぎり!!」

「お、デカいな!サンキュ!」

俺がそれを頬張ると、中身は角煮だった。

「やっぱ、心美の角煮おにぎりは最高だな!!生き返るよ!」

「へへっ…!」

心美が嬉しそうにおにぎりを頬張る俺を見ながら、微笑んでいると、隣でも微笑ましいことがおきていた。

「ははっ、ヘンテコな形だな~」

「…それ、私が握ったんだけど」

そして円堂が選んだのは夏未のおにぎりだった。秋や春奈と比べていびつな形のおにぎりに、思わず笑ってしまう円堂だったが…

「あ、あぁ!ま、まあ形はどうであれ味は一緒だよな!」

もぐもぐ

「…んぐ!?しょ、しょっぱ…!」

「お、お塩つけすぎたかしら…」

「あぁ…いや…練習で流した汗の分だけ、塩分補給しないと…かはっ!?の、のどに…つまっ…」

「も、もう!世話が焼けるわねぇ!」

見た目だけでなく味も塩まみれ…、さらに喉に詰まったりと踏んだり蹴ったりの円堂だったが、お嬢に背中をバシバシ叩かれて介抱してもらえるという、微笑ましい事をしてもらえる円堂だった…。 
 

 
後書き
雷藤「角煮おにぎり最高だな!」
心美「でしょ!ちゃんと自家製のタレ使ってるからね!」
雷藤「何者なんだ…心美…」 

 

襲う悪夢

 
前書き
お待たせしました! 

 
「うおおおおおーっ!!」

ドッゴオオオオッ!

「ぐっ…!俺が世宇子中のボールを止めなきゃ…!」

「だぁぁぁ!!」

グシァァァァァァァ!

「くそっ!何でゴッドハンド出ないんだッ!!」

ゴッドハンドとマジン・ザ・ハンド習得のために、今日もまた鉄塔広場で特訓を開始していた俺と円堂。

特訓に使うタイヤも、今までの数倍あろう巨大なものに変わっていた。特訓の激しさは増していくばかり…、そんな雷藤と円堂の様子を遠くで鬼道、一之瀬、豪炎寺の3人が見守っていた。

「いいの?手伝ってやらなくて」

「あいつらは今、自分と戦ってるんだ」

「壁は誰かが作るものじゃないからな…」

「そうか、壁はここにあるんだな…」

そう一之瀬は呟きながら、胸に手を当てた。

「円堂の祖父さんもそれが言いたかったんだ、なんて言うなよ?」

「ははっ、バレた?」



「く…!ぐうっ!くっそぉっ…!もう1回!」

「おぉっ!ゴッドハンドォ!!」

もう何時間特訓を続けただろうか…。日が暮れるまでタイヤに吹き飛ばされ続けても、俺と円堂は決して特訓をやめることがなかった。

ガッシイイイイッ!

「くっ…!はぁ…はぁ…!や、やった…!?くぅぅぅぅーーっ!!やったぁぁぁぁぁぁ!!ようし、燃えてきたぁぁぁ!!」



ついに巨大タイヤに吹き飛ばされずにガッシリと止めてみせた円堂。

それから二時間俺たちはさらに、特訓を続けたが、円堂は流石に母ちゃんが心配していると、家に帰った。

俺は、あの巨大なタイヤを止めた円堂を思い出しつつ、呟いた。

「…俺も、負けてらんねぇ!」

俺が投げ飛ばしたタイヤが勢いそのままに俺に向かってくる。

そして…嫌な音が響いた。

ブヂッ!

「……えっ?」

グワチャァ!

途中で千切れたタイヤは、さらに勢いを増して俺に激突した。

(周りが歪んで見える…、…っ、くそ、意識が…)

そこで俺の意識は途絶えた。

最後に俺の名を呼ぶ声が聞こえた「お兄ちゃん!」と…。


その頃円堂は

「守…サッカー楽しい?」

「ん…?うん!あ、でも母ちゃんは反対なんだっけ…」

円堂祖父がサッカーのせいで死んでしまったことで、以前からサッカーのことを忌み嫌っていた円堂のお母さん。

特にイナズマイレブンの話をすることは、円堂家では完全にタブーとなっているほどだった。

「そうよ、私は守がサッカーするのは反対…でも…でも、一度こうと決めたら母親が反対したって貫きなさい…!男でしょ?」

「…ははっ、母ちゃん!」

円堂があれほど夢中になっている様子を見て、とうとう円堂のサッカーを認める気になった円堂のお母さん。

「おじいちゃんがね…私が小さかった頃いつも言ってたことがあるんだ」

「じいちゃんが?」

「キーパーはね…足腰だって。”ヘソと尻に力を入れて踏ん張れば、捕れない球はない”って」

「ほ…本当!?そっか!ヘソと尻に力を入れて踏ん張れば…ようし!頑張るぞ!!」

(お父さん…初めてお父さんのこと、守に話せたわ…)

今まで心の奥に固く封印してきた父親こと、円堂大介のことを、とうとう円堂に話すようになった円堂のお母さんだった。


───────────
ガラガラガラガラ

「いらっしゃ…ん!?お前は…影山!!」

「ほう、随分な態度じゃないか。この店は客を選ぶのか?」

「…」

「ではラーメンでも作ってもらおうか」

その日の夜遅く、雷雷軒に思いもしない来客が入ってきた。それはなんと影山…一体何の目的で…。

「ふん…!」

「そうツンケンするな…お互い同じイナズマイレブンの仲間だったじゃないか?」

「…!」

馴れ馴れしい影山の態度に、かつてない怒りの表情を見せる響木監督。

何しろ目の前にいるのは、自分やイナズマイレブンの仲間達を破滅させ、雷藤や円堂達を鉄骨で殺そうとまでした男なのだ。

「同じフィールドに立っていたというのに、今ではずいぶん違うな?お前はラーメン屋の店主、私はフットボールフロンティアを制しサッカー界の頂に立つ」

「頂点に立つかどうかは分からんだろう」

「分かるさ、試合をする前からな。私は勝利を掴みお前はまた負け犬になる。地べたを這いつくばり、運命を呪うことしか出来ない負け犬にな」

そこで響木監督が持ってきたラーメンには目もくれず、ただただ嫌みを続ける。

「食わないのか」

「フン。食いたくないな、負け犬が作ったラーメンなど…、ひとつ教えてやろう、お前は人を信じすぎる。それが弱点だ」

「それは俺の長所でな。お前は選手を信じることが出来ない、だから汚い手を使ってしか勝つことが出来ないんだ」

「心外だな、いつ私が汚い手を使ったと言うのだ?証拠があるなら見せてもらおうか」

「証拠はそこにある。全てはお前の胸の内にな」

自分の悪行を認めようとしない影山に、監督は自分の胸に聞いてみろとおたまをグイッと突きつけた。

さすがの影山も息が詰まったように口ごもる。

「………ふ………ふふふふ…ふふふふふはは、ふはははははははは!!少しは変わったようだったから利口になったのかと思えば…!お前はお前だな…!決勝戦の日、己の愚かさを呪うことになるぞ。目の前で大切な円堂達が倒されて行くのを、お前は黙って見ているしかないんだ」

「……」

「試合、楽しみにしているよ。いや…円堂はすでに倒されているかも知れんがな」

「…なに!?」

影山が店を出ると一本の電話が掛かってきた。

「はい、もしもし…」

「監督…!お兄ちゃんが、お兄ちゃんが…!」

「───なんだって!?」

その電話を掛けてきたのは、心美だった。

監督は急いでタクシーに乗り込み、雷門病院へ向かった。

「雷藤ぉ!」

監督はそう言い、病室の扉を開けた。

そこには顔の左側を包帯でぐるぐる巻いている、雷藤の姿があった。

「すみません、監督…」

俺は監督を見るなり、謝罪した。

響木監督は動揺しながら、呟いた。

「大丈夫なのか?」

「正直、かなりやっちゃいました、タイヤに吹き飛ばされて、俺はその後、坂に落ちていって、木に激突したらしいので…」

俺は左目が一時見えなくなっていた。ちゃんとした治療をすれば治るらしいが、決勝戦まで間に合うか、それは微妙だ。

そして最悪なことに右足の骨にひびが入ってしまったのだ。左足なら良かったが、利き足という、泣きっ面に蜂な展開だ。

俺は次の日、練習に顔を出したが、全員の顔が凍りついた。

俺は「すまない」の言葉しか出なかった。

そんななか、円堂が叫ぶ。

「大丈夫だ雷藤!試合はフィールドに出ている選手だけで、試合をしている訳じゃない!ベンチの選手…、応援してくれているみんなで試合を作っているんだ!」

「円堂…、そうだな!俺も出来るだけ、サポートするよ!」


そしてみんなは練習に向かった。

俺にも何か出来るはずだ…。
俺はそんなことを思いつつ、円堂の方を向いていた。

(ヘソと尻に力を込めて踏ん張れば、捕れない球はない…!そしてポイントは胸だ!)

「よし!来いッ!!」

「「ドラゴンッ!!トルネエエエエドッ!!」」

「「ツインッブーストオオッ!!」」

グオォォォォォ!!

2個のボールでドラゴントルネードとツインブーストを同時に撃ち込むキーパー特訓をしているみたいだ。

確かにこれほどの威力なら、世宇子のシュート対策としちゃかなり有効かもしれないな。

バシバシイッ!!

「な…!?」

なんと4人がシュートを撃ったその瞬間、円堂の前に姿を現した白のユニフォームを来た長髪の人が現れ、ボールを止めた。

しかも必殺技を使わずして軽々ボールを受け止めていた。

「す…すげえ…!ドラゴントルネードとツインブーストを止めるなんて…!?お前、凄いキーパーだな…!」

「いいや…私はキーパーではない。我がチームのキーパーは、こんなもの指一本で止めてみせるだろうね」

「そのチームってのは世宇子中のことだろう…!アフロディ!!」

帝国の仇を目の前にして激しく昂ぶる鬼道。

こいつの名前はアフロディって言うのか…

「お前、宣戦布告か…?」

俺が呟く。

「宣戦布告?ふふふふ…私は君たちと戦うつもりはない。君たちも戦わない方がいい、それが君たちのためだよ」

「何故だよ…!」

「負けるからさ。神と人間が戦っても勝敗は見えている」

「…!試合はやってみなけりゃ分からないぞ…!」

「そうかな?リンゴが木から落ちるように、世の中には逆らえない事実というものがあるんだ。だから練習もやめたまえ。神と人間の間の溝は練習では埋められるものじゃないよ、無駄なことさ」

まるで大人が聞き分けのない子供をさとすように、試合の放棄を勧めてきたアフロディ。

戦う前からすでに俺達を対戦相手と見てすらいない、同じ土俵に上がるのも無意味としか思っていない…対戦相手としてこれほど屈辱的なことはない。

さっきまで温厚だった円堂の表情も、みるみるうちに険しいものへと変わっていく。

「うるさい…!練習が無駄だなんて誰にも言わせない!練習はおにぎりだ!!俺たちの血となり肉となるんだ!!」

「あぁ…なるほど、練習はおにぎり…ははは、上手いこと言うねぇ、ふふっ」

「笑うとこじゃないぞ…!」

俺ですら、今まで見たことがないくらいの、凄まじい怒りの表情に円堂がなっていた。

円堂の心が、アフロディの不遜な物言いで一気に決壊してしまったんだろう。

「しょうがないな…じゃあ、それが無駄なことだと…証明してあげるよ!」

持っていたボールを突然空高く蹴り上げたアフロディ。

いきなり何を…と思ったその瞬間、円堂達の目前にいたアフロディは高く上がったボールよりさらに高い上空へと移動した。

「なっ!?一瞬で!?」

ワープのような恐ろしい速さの身のこなし…単に移動するだけでも、こんな肉眼で捉えられない圧倒的なレベル…。

「うっ…!?い…いつの間に!!」

アフロディがボールを優しく撫でるように蹴る。

ゴゴオォォォォ!!

そんな限界まで手加減されたシュートですら、とてつもない破壊力を持って円堂へと飛んで行く。

(ヘソと尻に力を入れれば…!捕れない球はない!!)

グググググググッッッ!!

「ぐ…!ぐぐぐぐ…!ぐおおおおおーーっ!!」

全身全霊を懸けてこのシュートに挑みかかり、相討ちに近い形でボールを弾き飛ばした円堂。

かろうじてゴールの外へボールを押し出すことに成功するが、円堂も激しく吹き飛ばされて気を失ってしまう。

「円堂!?おい、大丈夫か円堂!」

「しっかりしなさい円堂君!」

「……う……ぐ…っ!どけよ…!来いよもう一発ッ…!今の…本気じゃないだろう!本気でドンと来いよッ!!」

朦朧とする意識を激しい怒りで繋ぎ止め、世宇子への敵意を剥き出しにする円堂。

「…面白い。神のボールをカットしたのは君が初めてだ、決勝が少し楽しくなってきたよ」

その言葉を残して、一瞬のうちに俺達の前から消え去ってしまったアフロディ。

どうやら自分のシュートを初めて止めた円堂を見て、ようやく雷門イレブンを戦うに値するチームだと認識したようだった。

「決勝戦…とんでもないことになりそうだな」

「…世宇子中はあいつみたいな奴ばかりなんだ」

「はぁ…」

「円堂、手はいるか?」

「あ、あぁ、いるいる…へへっ、今のシュートで新しい技が見えたような気がするぜ…やれるよ俺達!」

今のも必殺技を使わずに世宇子のシュートを止めたことには変わりないし、勝ち目も完全にゼロというわけではないのかもしれない。

俺がそう思った時だった。

「いいや…今のお前たちには絶対に不可能だ!」

監督の俺たちに対する、希望を打ち砕く言葉が告げられた。 
 

 
後書き
心美「お兄ちゃん…」
雷藤「なんだそんな暗い顔するなよ!」
心美「だって…」
雷藤「円堂も言ってただろ?ベンチに居たって俺は雷門イレブンだ!」
心美「……うん、そうだね!」 

 

みんなの想い

 
前書き
お待たせしました! 

 
(なにが絶対不可能だ…!そんなことあるもんか…!マジン・ザ・ハンドは必ず完成させてやる!!)

ドゴオオオッ!!

「う…ぐぅっ!」

前回監督に言われた”今のままでは絶対に勝てない”という言葉。

円堂はそれに猛反発していた。

マジン・ザ・ハンドを習得してやろうと激しい特訓を繰り返すが、すでに体はボロボロの状態。

気持ちばかりが先走りすぎて、これではとてもマジン・ザ・ハンドの習得に繋がりそうではない。

「が、合宿…?」

「ああ、学校に泊まって、みんなでメシでも作ってな」

「合宿かぁ~!学校に泊まれるなんて、なんか楽しそうでヤンスね!」

「そういえば俺たち、合宿なんかしたことなかったもんな!」

そんな時、監督から提案された合宿の話…、初めての合宿にみんな嬉しそうな表情だ。てっきり監督は全員を特訓させると思ったら、単なる息抜きのようだ。

「…待ってください監督…!メシでも作るって、そんなのん気なこと言ってる場合じゃ…!世宇子との試合は明後日なんですよ!」

「出来るのか、今の練習で必殺技を完成させることが」

「…だ、だから、それはやってみないと…!」

「無理だ、マジン・ザ・ハンドは闇雲に練習して完成するほど甘い技じゃない。今のお前は必殺技のことで頭が凝り固まっている、そんな状態で完成させることは不可能だ」

「確かに…一度マジン・ザ・ハンドのことを、忘れてみるのもいいかもしれないな」

ただ一人ピリピリして食いついて来た円堂に、一度頭を冷やせと一喝する監督。

確かに今の円堂は明らかに気負いすぎと言うか、焦りすぎだろう。

──────────
「えっ、合宿?」

「みんなでメシでも作るんだってさ…!」

「あっ、パンツ洗ってたかしら!?」

帰宅した円堂はバタバタと合宿の準備を始めるが

「な、なんだこれぇ!?こんな真ん中に名前書かなくても!」

「ダメよ!だって合宿なんでしょ?壁山君とかのと間違えたら…」

「か、壁山と間違うわけないだろ!?」


円堂と円堂の母親がそんな話をしている頃、俺は通院がてら、雷門病院のとある病室を訪ねていた。

────コンコン

「ん、開いてますよ」

「邪魔するぞ…」

「雷藤か、足は大丈夫か?」

俺が来た病室は、以前最強の好敵手(ライバル)として、戦った帝国学園の佐久間と源田の病室だった。

俺は佐久間たちのところに向かうと椅子に座った。

「うーん、まあ大丈夫だけど、大丈夫じゃないな…」

「お前も災難だったな」

源田がそう俺に言うと、俺は呟く。

「……でも、ここまで来て決勝戦がベンチなんて思いもしなかったな…、決勝戦は俺も出て、グラウンドで優勝したかったんだがな…」

俺がそういい終わると、佐久間が呟いた。

「ふざけるな…」

「え…?」

俺は思わず言葉が漏れた。

「ふざけるなと言っているんだ!雷藤、お前は諦めるのか!?怪我をしたから諦めるのか!?そんな甘ったれた考えするな!!」

佐久間の意外な一言に俺は黙る。

そして源田も続いた。

「俺も佐久間と同じ考えだ。お前たち雷門中はまだ負けたわけではない、試合が残っているのに、試合に出ることを諦めるのはどうかと思う」

俺はそんな言葉を聞きながら話す。

「俺だって諦めた訳じゃない!だけど片目は見えないし、足も満足な状態じゃない…!俺はどうすればいいんだ!!」

佐久間と源田は棚を開けると、あるものを取り出した。

「これを持って行ってくれ。これは俺たちの想いだ、俺たちの想いをお前に預ける、鬼道と一緒に雷藤がグラウンドで優勝することを俺たちは信じている、頼む俺たちの想いと共に世宇子を倒してきてくれ!!」

俺は2人から渡されたものを強く握り締め、病室をあとにした。



──────────
「こら~!枕投げに来たんじゃないのよ!」

お泊まりの支度を終えた俺が学校に戻ると、春奈達が体育館に布団を敷きながら枕投げで遊んでいた。

「あ、お兄ちゃん!遅かったね?」

「ああ、ちょっと用事があってな」

俺がそんなことをしながら、心美が敷いた布団に必要最低限のを持ち、外にボールを持って出た。


「この辺でいいかな…」

俺はボールを置き、軽めにボールを蹴る。

『ふざけるなと言っているんだ!雷藤、お前は諦めるのか!?怪我をしたから諦めるのか!?そんな甘ったれた考えするな!!』

佐久間の言葉が俺の脳裏をよぎる。

(佐久間…、本当お前の言うとおりだ、怪我がなんだ…、片目が見えないからなんだ!)

俺はどんどんボールを蹴る強さを変え、壁にボールを撃ち込む。

『俺も佐久間と同じ考えだ。お前たち雷門中はまだ負けたわけではない、試合が残っているのに、試合に出ることを諦めるのはどうかと思う』

(源田…!なんて俺は情けなかったんだ、ただ怪我をしただけで、俺は自信を無くしていた…、まだ試合も始まっていないのに!)

俺はボールにかかと落としを加えて、蹴り込む。

「うおおぉぉぉ!!ライトニングアロォォォー!!」

ボールは壁にぶつかると跳ね返りボールは俺の目の前に転がってきた。

『これを持って行ってくれ。これは俺たちの想いだ、俺たちの想いをお前に預ける、鬼道と一緒に雷藤がグラウンドで優勝することを俺たちは信じている、頼む俺たちの想いと共に世宇子を倒してきてくれ!!』

「……佐久間、源田、俺はお前たちの想いを背負いながら試合に出てみせる!絶対に…!!」

俺はそう呟くと、ズキンズキン痛む足を気にせず、円堂たちのもとへ戻った。



──────────
(胸がポイント…あとはヘソと尻…!あぁ…!もうどうすりゃ出来んだよ!!)

みんながリラックスしている中で、円堂だけは相変わらずマジン・ザ・ハンドのことでひたすら悩んでいた。

「あっ、備流田さん、髪村さん、それに会田さんまで!?」

「今日合宿をやると聞いてな~!」

「だったらアレを持ってきて驚かせてやろうってね!」

「アレ…?」

「そう、アレじゃ!にっひっひ」

雷門イレブンお手製のカレーが完成したその時、なんと元イナズマイレブンの人達が次々に姿を現した。

何か特訓に役立つアイテムを持ってきてくれたようだ。

「な、なんですかこれは…!?」

「俺たちが40年前に作った、マジン・ザ・ハンド養成マシンさ!」

「養成マシン…!?」

「そんなもんがあったのか…!」

「マジン・ザ・ハンドで大切なのはヘソと尻の使い方、それをマスターするためにみんなで作ってみたんだ」

なんとイナズマイレブン達がわざわざ運んできたのは、40年前マジン・ザ・ハンドの特訓のために作り上げたマシン。

ぐおんぐおんと動くコンベアの上を、木の棒を避けながら丸い印を踏んで体重移動を鍛えるマシンのようだ。

「で、マジン・ザ・ハンドは完成したんですか…!?」

「いいや…ダメだった。惜しいところまでは行ったんだがな…」

「でも、このマシンを使えばもしかしたら…!」

「ああ!早速やってみようぜ!」

40年前の響木監督が、このマシンで特訓しても習得できなかったマジン・ザ・ハンド。

このマシンをクリアしても習得できるとは限らないが…それでもやらないよりは遥かにマシだ。

少し元気の出てきた円堂は早速このマシンに挑戦を始めるのだった。

ぐおんぐおん ぐおんぐおん

「もっと尻を下げてヘソに力を入れるんだ!」

「はい!」

しかしこのマシン、動力は人力なのでみんなでやたら重いハンドルを回さなければならない。

体力の消耗という点だけを見れば、コンベアを歩くだけの円堂より、力いっぱいハンドルを回す俺たちがきついかもしれない。

ヘトヘトになった仲間を次々に交代させていくうちに、とうとうマネージャー達の手まで借りることになった。

(みんな…!何やってんだ俺は、こんな仲間がいたのにマジン・ザ・ハンドが出来ないだなんて一人で焦って…俺は世界一の大バカ者だ!)

そんな必死にマジン・ザ・ハンドに協力してくれるみんなの姿に、強く胸を打たれる円堂。

今まで頭に血が昇っていたのが、ようやくいつもの調子を戻ってきたようだ。

そのおかげで集中力が高まってきたせいか、回数を重ねるごとに棒をかわす動きもどんどんと良くなって来た。

「ふっ…ふっ…ふっ!」

「や、やったぁ!!」

そしてこの養成マシンを踏破した円堂。

世宇子との試合はもう明後日に迫っているが希望が見えてきた。

「よし、次のステップだ!いいか円堂、さっきの感じを忘れるな!」

「はい!」

養成マシンはあくまでヘソと尻の感じを掴むためのもの、それが終わったら今度は実践練習だ。

俺は豪炎寺と鬼道のもとへ寄ると、鬼道が俺に声を掛ける。

「大丈夫なのか雷藤?」

「問題ない!俺も協力したいんだ!」

「ふっ…、お前らしいな…!」

そう言うと鬼道は上に向かい、ボールを蹴り上げると、ボールが雷雲のようになり、雷が落ちてくる。そのボールを俺、豪炎寺、鬼道で蹴り込む。

「「「イナズマ!!ブレイクゥゥゥッ!!」」」

ズガァァァァァァンン!!

「マジン・ザ・ハンドォォォッ!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ!

(な、なんだこのパワーは…!?体が燃えるみたいだぜ!)

バシイイイイイッ!!

「やったか!?」

「ぐ…ぐああああっ!!」

明らかに今までと違う金色のオーラを発し始めた円堂。

しかし技として発動させるまでには至らず、惜しくも失敗してしまった。

「もう一度だ!」

「はい!」

「「イナズマ2号ぉぉ!!」」

「マジン・ザ・ハンド!」

バシイイイイイッ!!

「「ツインブーストォォ!!」」

「マジン・ザ・ハンドォ!」

バシイイイイイッ!!

「「ドラゴントルネードォォ!」」

「マジン・ザ・ハンドォォ!」

バシイイイイイッ!!

「ぐわぁぁぁ!!」

シュートを撃たれる度に円堂が吹き飛ばされる。

「く…くそっ…!なんで出来ないんだよ…!」

「…監督」

「ああ…何かが欠けている。何かは分からないが、根本的な何かが…」

ようやくあと一歩の所までこぎつけたというのに、その残りの一歩が遠い。

きっと40年前の監督自身も、この最後の一歩が乗り越えられずに習得できなかったんだろう。

「やはり…マジン・ザ・ハンドは大介さんにしか出来ない幻の技なのか…?」

「いくら特訓しても、マジン・ザ・ハンドは完成しない…?」

「「「……」」」

「ちょ、ちょっとみんなどうしたのよ!負けちゃったみたいな顔して!」

もはやこれまでか…と暗い顔で黙りこくってしまう一同。

しかし、そんな中で心美が諦めずに声を張り上げた。

「でも…相手のシュートが止められないんじゃ…」

「だったら点を取ればいいんでしょ!10点取られれば11点、100点取られれば101点!そうすれば勝てるじゃない!」

「心美…」

「天空橋先輩の言う通りです!点を取ればいいんですよ!」

「…10点取られれば11点…」

「…100点取られれば101点…」

「ふふ。鬼道」

「ああ…取ってやろうじゃないか、101点!!」

俺たちは心美の言葉に勇気を貰い、その日は布団に入ったのだった。



───そして運命の日はやってきた。

「いよいよ決勝戦か…!よし、やってやらぁ!!」

「お兄ちゃん…!頑張って優勝しようね!」

「ああ、俺たちはここに来るまで戦ってきた選手達の想いを胸に戦うんだ!」

「うん!」

俺は佐久間と源田から受け取ったものを持って、心美に話した。

「心美行くぞ!決勝戦の舞台へ!!」

いざゆかん決勝の舞台へ!! 
 

 
後書き
遂にFF編も大詰め!
さらに熱くなる戦いをお楽しみください!

雷藤「なんか聞こえたな…」 

 

決勝!最凶世宇子!!前編

 
前書き
お待たせしました! 

 
ついに決勝戦のスタジアムに着いた。

俺たちはゴクリと息をのみ近付いた。扉には紙が張ってある。

──────閉鎖───────

「──って閉鎖してるっ!!」

俺は思わず叫ぶ。

これまで全国大会の試合を行ってきたスタジアムが突然の閉鎖。

なぜ急に閉鎖になったのか、今日の試合は一体どうなるのか、まったくワケが分からず俺たちが呆然としていると…。

「だ、誰もいないぞ、どうなってんだ…?」

ピリリリリ ピリリリリ

「はい…はいそうです、えっ…?どういうことですか!?今さらそんな…!」

「誰からだ?」

「それが…大会本部から、急遽決勝戦の会場が変わったって…」

その時お嬢の携帯にかかってきた一本の電話、それは決勝の会場がこことは別のスタジアムになったことを知らせるものだった。

そんなとき空中で音が響いた。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

「な…!なんだあれ!?」

「まさか…決勝戦のスタジアムというのは…!」

「あ…あそこか!?」

まさに神殿のような巨大な城ではなくスタジアムが空中に現れた。

そしてそのスタジアムから、長い長い階段が現れ、俺たちはスタジアムに向けて階段に踏み出したのだった。

「こ、ここが試合会場…!」

「決勝当日になって世宇子スタジアムに変更…影山の圧力ね。どういうつもりかしら」

「…円堂、話がある」

突然空中に現れた決勝の舞台、世宇子スタジアムに乗り込んだ俺たち。

何やら監督が円堂に話したいことがあるようだ。

「大介さん…お前のお祖父さんの死には、影山が関わっているかもしれん」

「え…!?じ、じいちゃんが影山に…!?」

「ひ、響木監督!なぜこんな時に!?」

なんといきなり円堂におじいさんの死は影山が関わっているかもしれないとバラして、円堂に激しいショックを与えてしまう監督。

大事な決勝の前だというのになぜこんな真似を…。

(決勝の前に選手の心を乱す監督は失格だろう…しかし、これは今でなければダメなんだ。影山の陰謀でフットボールフロンティア決勝に出られなくなった俺達は、ショックから立ち直れず運命を呪い、そしてサッカーから離れてしまった…だがそれは間違いだった。恨みにとらわれたせいで、サッカーという大事なものを失ってしまったからだ…。もし影山への恨みでサッカーをしようというのであれば、俺はこの場で監督を辞め試合を棄権する…大好きなサッカーをお前から奪わないために)

そんなことを思いながら響木監督は円堂に話していた。

円堂のおじいさんの死の真相を知らされた円堂が、影山への恨みを引きずらずにサッカーを続けるには曇りのない心で影山を乗り越える必要があるってことだ。

「はっ…!はっ…!はっ…!はっ…!」

円堂の中でとてつもない怒りが膨れ上がって、もはや普通に息をするのすら困難な様子。

まさかここまでの怒りをあらわにするとは…これは普通に試合を始めるのも一筋縄じゃいかないかもしれない。そんなときだった。

ぽんっ

「…!」

そんな円堂を正気に戻したのは豪炎寺の手…豪炎寺に振り向いた瞬間、円堂はその顔に夕香ちゃんの姿がダブッて見えた。

豪炎寺もまた、影山に夕香ちゃんを殺されたも同然の身。今の円堂に限りなく近い怒りを、この試合の前に乗り越えてきたんだろう。

「円堂君…!」

「円堂…!」

「円堂!」

「キャプテン!」

そして円堂の背中を押すように俺たちは声をかける。

俺たちの気持ちが伝わったのか、あれほど荒々しかった円堂の呼吸もようやく普段通りに戻った。

「…監督…みんな…こんなに俺を思ってくれる仲間…みんなに会えたのはサッカーのおかげなんだ…影山は憎い…!けどそんな気持ちでプレーしたくない、サッカーは楽しくて面白くてワクワクする…ひとつのボールにみんなが熱い気持ちをぶつける、最高のスポーツなんだ!だからこの試合も、俺はいつもの俺達のサッカーをする!サッカーが好きだから!」

(円堂…!お前ならそう言うと信じていた…影山のように恨みでサッカーを汚すのではなく、愛するからこそサッカーをする…!辛い特訓に耐え、よくこの決勝の舞台までやってきた…きっとその痣だらけの体が応えてくれるはずだ…!)

ついに影山への恨みを振り払い、いつも通りのサッカーバカな気持ちで決勝に臨む円堂。

円堂の言葉で完全に腹をくくった監督は、いよいよ決勝の戦闘準備のために俺たちロッカールームへ向かった。

俺はここにくる前に、病院に寄り、痛み止めを打ってきた。効果は二時間半とのこと。

ここにくるまでに約三十分…。
あと二時間しかない。
まあ延長戦にならない限りは大丈夫だろう。

そして俺たちはグラウンドに足を踏み入れた。

ドワアアアアアアアアア!!

「うおっ…!?」

《雷門中、40年ぶりの出場でついにこの決勝戦まで登りつめた!
果たしてフットボールフロンティアの優勝をもぎ取ることができるのでしょうか!》

そしてユニフォームを着た俺たち雷門イレブンがフィールドに戻ってくると、観客席にはいつの間にやら超満員の大観衆が集まっていた。

《さあ間もなく試合開始です!!》

今日のスタメンは

FW雷藤 染岡 豪炎寺
MF鬼道 一之瀬 マックス
DF風丸 土門 壁山 栗松
GK円堂

この布陣で決勝戦に挑む。

「いいかぁみんな!全力でぶつかればなんとかなる!勝とうぜ!」

「「「おお!!」」」

そしてとうとう試合開始目前、円陣を組んで最終決戦への気合を入れる俺たち。

それに対して、世宇子イレブン達は優雅に乾杯をしていた。

ピイイイイイーッ!!

《さあ試合開始だあーーっ!!》

そしてついに鳴らされた運命のホイッスル。

キックオフとなるのは世宇子ボールから。

もはやこいつらがボールを持つこと自体が恐怖だが、果たして一体どんな出方を見せるんだ…?

「…動かない!?」

「なめんな!!」

なんとボールを受けたアフロディはその場で棒立ち。
真面目に戦う気のない明らかな挑発だ。

これに切れた俺と染岡と豪炎寺はアフロディへ猛突進する。それに対してアフロディは呟いた。

「君たちの力は分かっている…僕には通用しないということもね。ヘブンズタイム!!」

アフロディが指を鳴らした途端、完全に動きが止まってしまった俺たち。

アフロディのスピードが、人間の知覚できる速さを完全に超えてしまっている。

俺たちとは全く違う時の流れの中を、スタスタと優雅に歩くアフロディ…そしていとも簡単に俺たちを素通りする。

「き、消え…!?」

グオオオオオオ!!

「「「うああああーっ!!」」」

そしてアフロディが普通の時の流れに戻った途端、いきなり俺たちの周囲に巻き起こった爆風。

「み、見えなかった…!」

「く…!なんて速さだ!」

「ふ…ヘブンズタイム」

またもアフロディは悠々と歩きMF陣を抜き去る。

「な…!」

グオオオオオオ!!

「「「ぐあああーっ!!」」」

今度は鬼道と一之瀬までもがこの技の餌食になった。

やはり全く反応できない動きで背後を取られ、爆風で吹き飛ばされてしまう。

俺たちには、目の前のアフロディが背後に瞬間移動したようにしか見えないこの技…。止めようとした瞬間すでに抜かれているのでは誰にも止めようがなく、俺たちFW陣、鬼道達MF陣、そして土門達DF陣までもがヘブンズタイムに突破され、いよいよ円堂との一対一になってしまった。

「く…!来い…!全力でお前を止めてみせる!」

「天使の羽ばたきを聞いたことがあるかい?」

そうアフロディが呟くとアフロディに翼が生え、空中に飛び上がる。

円堂に向けて、途轍もないパワーを持つアフロディの必殺シュートが放たれた。

「ゴッドノウズ!!」

ドゴオオオオオ!!

「ゴッドハンド改!!」

ギュルルルルルル!!

激突するゴッドの名を持つ2つの技。

「本当の神は…どちらかな!!」

「く…!?ぐぅあああーっ!!」

グワシャァァァァン!!

ピ─────────!!

ゴッドノウズに無惨に打ち砕かれて敗北を喫するゴッドハンド。試合が始まってわずか1~2分にも関わらず、雷門イレブン全員がアフロディ一人に手も足も出ず1点奪われてしまった。

今度は雷門中のキックオフから試合再開、すぐに一点を取り返してやろうと意気込む俺たち。

俺たちがドリブルで駆け上がるが、相手は動かなかった。

《どういうことだ世宇子イレブン!?全くディフェンスをしない!攻め込まれても動かない!》

「ちっ!舐めやがって!!」

なんと雷門中が攻め上がっても棒立ちのまま何もしない世宇子イレブン。

「舐めやがって!行くぞ、雷藤、風丸!」

「「おう!!」」

完全に俺たちを舐めてる、世宇子のキーパーに向けて、シュートを繰り出す。

俺と風丸がトップスピードで駆け上がり、ボールを持った染岡が前にドラゴンクラッシュを放つ。

そのボールを俺と風丸が蹴り込む。

「「「ドラゴンズウィンドォォォ!!」」」

グゥォォォ!!

俺たちのシュートが唸りを上げ、相手キーパーに襲いかかる。

「ツナミウォール!!」

バッシイイインン!!

俺たちの必殺シュート、ドラゴンズウィンドは相手のキーパー技により、吹き飛ばされてキーパー、ポセイドンの手に収まった。

「ド、ドラゴンズウィンドが…!?」

「なんて奴だ…!」

「有り得ない…!」

そんな俺たちを見ながら、相手キーパーのポセイドンはふざけた行動を取った。

コロコロコロ

「…!?」

《おおっとポセイドン!?雷門にボールを渡してシュートを撃ってこいと挑発!?》

シュートを防いだポセイドンは俺にボールを渡してもう一発シュートを要求。

完璧に舐められている。

「ボールを渡したことが失敗だと思い知らせてやる…行くぞ!!」

俺がそう叫ぶと俺は、鬼道にボールを渡した。

「ピィ──────!!」

鬼道の指笛と共に現れた、ペンギン、ゴッドハンドを粉々に粉砕したこの技で点を取るんだ!

「皇帝ペンギンッ!!」

鬼道が蹴ったボールに俺と豪炎寺がツインシュートで合わせる。

「「2号ォォォォーッ!!」」

グオオオオオオ!!

「ツナミウォール!!」

バッシイイイイン!!

「…!!これでもダメか!」

そしてボールをキャッチしたポセイドンは、またも俺たちにボールを渡してきた。

「ぐ…!なら…!これでどうだぁぁぁっ!!」

GKの円堂も上がってきて、俺たち雷門の最高クラスの必殺技で点を取りに行く。

円堂、一之瀬、土門が綺麗な交差線を描いて飛び上がった。

「「「ザ・フェニックス!!」」」

三人が蹴り落としたボールは不死鳥に変化しポセイドンに襲いかかる。

ポセイドンは大きく後ろに振りかぶると、ボールを思いっきり叩き潰した。

「ギガントッ!ウォール!!」

グワッシャアアアッ!!

続いて打ち込んだザ・フェニックスも、ポセイドンのギガントウォールに叩き潰され全く通用しなかった。

「これじゃウォーミングアップにもならないな…!」

そうポセイドンが呟いた。

「お、俺達の必殺技が…どれも通用しない…!?」

ドラゴンズウィンドやザ・フェニックス、皇帝ペンギン2号は間違いなく雷門中最強クラスの技のはず…。

それがこうも簡単に阻まれてしまい、俺たちの脳裏に敗北の2文字が段々とちらつき始めていた。

そしていよいよ世宇子も本気での攻撃を開始し始めた。

「ゴールには近づかせないッ!!」  

俺がブロックに入ると、相手はニヤッと笑い、必殺技を放つ。

「ダッシュストーム!!」

(くっ!左目の死角か!)

シュゴオオオオオオ!!

「ぐあああーっ!!」

俺は吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

「ぐ…!」



染岡もやっと回ってきたボールを懸命にキープし、前線に上がっていく。

「ちっ…!これ以上好き勝手させっかよォッ!!」

「メガクエイクゥゥッ!!」

ゴワッシャアアアッ!!

「がああああーっ!!」

雷門イレブンを襲う世宇子の殺人技の数々。

立て続けにダメージを食らい続けた雷門イレブンは少林寺、マックス、栗松、目金、染岡と負傷者が続出…とうとう控えメンバーさえも底を突き、たった10人で戦うことになってしまった。

「リフレクトバスター!!」

「ゴッドハンド改ッ!!おおおっっ!」

グワシャァァァァン!!

「うあああああ!!」

「ディバインアロー!!」

「爆裂パンチィィッ!!」

ドッゴオオオオオ!!

「ぐぅああーーっ!!」

さらに円堂の必殺技を軽々と弾き返し、次々とゴールに突き刺さる世宇子の必殺シュート。

ひたすらズタズタにされ続けた俺たちは、とうとう誰一人立ち上がることすら出来なくなってしまいまった。

「ぐっ…ぐぐ…!」

「まだ続けるかい?いや、続けるに決まってるね…では質問を変えよう、チームメイトが傷ついていく様子をまだ見たいのかい?」

「「「…う…う…」」」

(…かなわない…世宇子には、俺達のプレーが何一つ通用しない…!いつだって諦めたことなんかない…でも、もうダメなのか…本当に…何も出来ないのか…!)

どれだけボロボロになろうとも、自分一人だけなら円堂は絶対に勝負を捨てたりはしないだろう。しかし今円堂の目の前には、無惨な姿でフィールドに倒れた9人の仲間達がいる。

何よりも大事な仲間達に、これ以上酷な思いをさせることは円堂には耐えられなかった。

(必殺技が通用しなくても…俺一人ならぶっ倒れるまで戦う…けど、このままじゃみんな…みんな…)

「何を迷ってる円堂ッ!!」

俺は叫んだ。

「雷藤の言う通りだ…!まさか俺達のためにだとか思ってるとしたら…大間違いだ!!」

「最後まで諦めないことを教えてくれたのはお前だろう!!」

傷つき倒れた俺たちの姿を見て、試合を投げそうになっていた円堂…そんな円堂に叱咤の言葉を投げかけたのは、他ならぬ俺たち自身だった。

さっきまで一人残らずフィールドに倒れこんでいた俺たちは、円堂を立ち直らせるためにもう一度全員がよろよろと立ち上がった。

(なんて…なんてバカなんだ…!仲間を理由に諦めようとしていたのは俺だ…!俺自身だ…!信じてくれる仲間がいる限り…俺は何度でも立ち上がる!!)

決して最後まで諦めまいと再び世宇子への闘志を俺たちは表した。

だが現実は甘くなかった。

攻撃では俺・豪炎寺・鬼道の3人がかりでも世宇子のDF一人抜くことができず、守備では土門・影野・壁山の3人がかりでもアフロディ一人止めることができず…世宇子に比べて雷門はあまりに無力だった。

「ディフェンスは攻撃陣を徹底的に狙え!オフェンスは守備陣を!キーパーは重点的に!」

そんな中容赦ない指示を出し始めたアフロディ。

その気になれば点なんていくらでも取れるだろうが、あえて雷門全員を叩き潰して試合を終わらせる気のようだ。

立ち上がった俺たちも、世宇子の殺人技を受け続けてますますボロボロになっていった。

「これ以上見てられません…!」

「ダメよ、目をそらしちゃ…!」

「みんな必死に戦っているんだから…私達もその戦いから逃げちゃいけないわ…!」

公開処刑といった方が伝わるだろうか…あまりにむごいその光景に、マネージャー達も直視することすら耐えかねていた。

雷門イレブンが再び力尽きるのも時間の問題か…とその時、アフロディが意外な行動をとった。

なんと攻撃の真っ最中にわざわざボールを外に出して試合を中断し、全員ベンチに戻り水分補給し始めた世宇子イレブン。

「あれ、変じゃない…?全員同時にって…」

「確かに試合中の水分補給は重要だけど、試合途中に全員がベンチへ戻ってなんて見たことがない…」

「い、言われてみれば…」

「2人とも、来て」

そんな怪しい世宇子イレブンの様子を見て、あの水に何かがあることに気づいたマネージャー達。

すかさず水を運んできた連中を尾行して、その正体を突き止めようと後を追った。

「誰も中に入れるんじゃないぞ」

「はっ!」

そして心美達が辿り着いたのは、2人のガードマンに守られたいかにも怪しい部屋…あの水はここで作ってるみたいだった。

「うらやましいねぇ。私もアレを飲めば、君より強くなれるのかねぇ?」

「き、聞きましたか…?」

「ええ…やっぱり夏未さんの推理通り、あのドリンクには秘密があるんだわ…!」

そんなガードマンのうち、ちょっとヒョロヒョロして細い感じの男が漏らした「俺もあれ飲んでパワーアップしたい」という言葉。

それを聞いたマネージャーたちは、あの水が強力なドーピング剤であることをついに確信した。

「こ、こいつらを捕まえてくれぇーーっ!!」

「「「きゃああああああ!!」」」

「なに!?ま、まさか神のアクアを!」

そんなとき一人のガードマンが心美に気付き叫んだ。

あの水の扉を守っていたガードマン達も口封じのためにマネージャー達を追いかけ始めた。

「ふう…」

ところが、そんな3人目のガードマンの正体は鬼瓦刑事だった。

鬼瓦刑事は神のアクアの不正な事実を掴むために、扉の中へ侵入しようとマネージャー達に協力を頼んでいたのだった。今逃げているマネージャー達はガードマンを部屋から引き離す囮役…まんまとその作戦は成功し、鬼瓦刑事は扉の中へと進んでいくのだった。



──────────
「限界だね。主審」

「…試合続行不可能ということで、この試合世宇子中の…」

ところがその頃、世宇子の攻撃でまた全員が倒されていた俺たち雷門イレブン…。さすがに今度こそ限界か…、その光景を見かねた主審により、雷門イレブンの負けが宣告しようとしたときだった。

「ま、まだだ…!まだ…試合は終わってない…!」

「…!?」

しかしそれでも立ち上がり宣告をさえぎる円堂。
さらに円堂が立てばそれに続き俺たちを立ち上がる。

最後にはまた俺たち雷門イレブン全員が立ち上がった。

この驚異的なしぶとさの前にはさすがのアフロディも驚きを隠せないようだ。

「信じられないという顔だな…円堂は何度でも何度でも立ち上がる…!倒れるたびに強くなる…!お前は円堂の強さには敵わない!」
 
俺がそう叫ぶと、一時沈黙したアフロディは、怒りの表情を表し、翼を生やし飛び上がった。

「…では試してみよう、ゴッドノウズ!!」

容赦なくゴッドノウズを撃ちに行くアフロディ。

さっきから棒立ちでシュートを食らうがままの円堂では、今度こそゴールごと吹っ飛ばされてしまう。

ピピィィィーーッ!!

「…ふ、命拾いしたね」

しかしゴッドノウズが放たれるその瞬間、前半終了を告げるホイッスルが鳴り響いた。

まさに九死に一生だ…。

なんとか後半まで繋いだ俺たちは、歩くのもやっとという様子でベンチへと向かうのだった。 
 

 
後書き
雷藤「ぐっ…!はあ…はあ…」
心美「お兄ちゃん…大丈夫…?」
雷藤「問題…ねぇよ…」
心美「……」 

 

神VS魔神 世宇子後編!!

 
前書き
お待たせしました! 

 
「え…神のアクア…!?」

俺がベンチに戻るなり呟いた。

「うん…神のアクアが世宇子の力の源だよ!」

心美がそう話すと鬼道が呟く。

「体力増強のドリンク…!?」

「許せない…!サッカーを…俺達の大好きなサッカーをどこまで汚せば気が済むんだ!!」

俺は怒りを抑えつつ、抑えきれない思いを呟く。

ガードマンを振り切ってきた心美達から、とうとう神のアクアの秘密を知らされる俺たち。

その頃、世宇子ベンチでは…

「濃度を濃くした。一杯で後半終了まで効果が続く」

「ふふ、後半戦を戦うなんて初めてだな」

そんなことをいいながら世宇子の選手全員が神のアクアを口にする。

「お兄ちゃん…」

「どうした?」

(…やめさせたい…これ以上傷つくのを見ているなんて…)

「心美、俺は大丈夫だ!やらなきゃいけない。俺達は世宇子のサッカーが間違ってることを示さないといけないんだ!だから見ててくれ俺達を、雷門イレブンを最後まで!」

俺は心美の不安な気持ちを察して、優しく語りかけた。

世宇子がドーピングしてるなんてことを知った今、世宇子に負けられないという気持ちはますます大きくなっている俺たち。

「絶対に負けるわけにはいかない…!」

俺はそう呟いたあと、バッグを漁り、あるものを取り出した。

「佐久間、源田、見ててくれ、そして一緒に本当のサッカーを見せようぜ…!」

俺は左目に付けていた包帯を外し、佐久間に貰った眼帯を身に付けた。

佐久間は右目に眼帯を付けているが、俺のために左目用の眼帯も用意してくれていた。

源田から貰ったのはブレスレット。俺にふさわしいイナズママークにS•Rと彫ってある。

俺が2人に貰ったものを身に付けているとき、円堂もあるものを握っていた。

(じいちゃん…!力を貸してくれ!)

円堂は前半戦でボロボロになったグローブを替え、おじいさんのグローブをその手にはめて後半戦に臨むようだ。



───────────
バゴオオオオッ!!

「ぐうっ!」

ズドオオオオッ!!

「がはっ…!」

ドッゴオオオッ!!

「う…ぐ…!」

「勝ち目がない戦いにどうしてそれほど熱くなれる…?君は僕をイライラさせる!!」

後半開始直後、また俺たちが全員瞬殺された中、円堂はただ一人アフロディの殺人シュートを受け続けていた。

倒しても倒しても起き上がってくる円堂に、アフロディは苛立ちを隠せない。

そして渾身の一撃を円堂に食らわせ、背を向けるが…

「…う…サ…サッカーを…大好きなサッカーを…汚しちゃいけない…!そんな事は…そんな事は…!!許しちゃ…!!いけないんだアアアアアッ!!」

(…!?な、なんだ…神である僕が…怯えているというのか…!?)

「ぐっ…え、円堂…!」

しかしそれでもなお立ち上がり吼える円堂。

そして倒れていた俺たちも円堂の声でまた力を取り戻す。

不死身のように何度でも甦ってくる円堂に、いよいよ戦慄すら感じ始めたアフロディ。

神を名乗るアフロディにとって、ただの人間にそんな思いをさせられるのは何より耐えがたい屈辱だったのだろう。

(円堂は何度でも何度でも立ち上がる…!倒れるたびに強くなる…!お前は円堂の強さには敵わない!)

アフロディの脳内で俺の言葉が再生される。

「そんな事が…そんな事が…あるものかアアアアアッ!!神の本気を知るがいいッ!!」

「円堂!」

「「円堂!」」

「「「円堂!」」」

「「「キャプテン!」」」

「「円堂くん!」」  

「守!」

いろんな人の円堂を応援する声が響き渡る。

「感じる…!みんなのサッカーへの熱い思い…!来い!!」

かつてない怒りの表情でゴッドノウズを撃つアフロディ。

そしてみんなの声援を力にした円堂がそれを迎え撃つ。

その時、ふと自分のグローブとじいちゃんのグローブの違いに気づいた円堂…。

自分のグローブは右手の方がボロボロだったのに対して、じいちゃんのグローブは左手がボロボロだった。

「あ…!?分かった…!分かったよじいちゃん!」

そのグローブの違いからついにマジン・ザ・ハンドの全貌を掴んだ円堂。

そして大きく上半身を後ろへひねる。

これが円堂の脳裏に浮かんだ、マジン・ザ・ハンドを出すための予備動作なのだろう。

「諦めたか?だが今さら遅いッ!!」

(じいちゃんはマジン・ザ・ハンドを左手で出していたんだ…!それは体の左側にある心臓に気を溜めるため!それを左手じゃなく右手に100%伝えるには…!こうすりゃいいんだ!!)

「ゴッドノウズ!!」

ゴオオオオオオ!!

「ぐおおおおおおおーーっ!!これが俺の!!マジン・ザ・ハンドだぁぁぁぁっ!!」

グオオオオオアアアアアア!!

「あ…、あれがマジン・ザ・ハンド…。すげぇ迫力だ…」

俺はマジン・ザ・ハンドを見ながらそう呟いた。

気の遠くなるような苦難の末に、ついに姿を現した幻の技マジン・ザ・ハンド。

全てを凌駕する魔神の力の前には、神の一撃すらも通用せずに片手一本で受け止められる。

シューゥゥゥゥ…

「な…なに!?神を超えた…魔神だと!?」

「いっけえええーーっ!!」

「円堂が止めた…このボールはァッ!!」

ゴッドノウズをも粉砕した円堂の闘志により、完全に息を吹き返した俺たち。

円堂が止めたボールを絶対に得点へと繋げるべく、残る力を振り絞り俺は前線に駆ける。

「メガクエイクゥゥゥッ!!」

ズギャゴオオオオオオオ!!

「ぐうおおおーーっ!!」

「なに!?」

そんな俺にすかさずメガクエイクを撃ち込む世宇子DFだったが、俺は激しく上空に吹き飛ばされながらも、必死の執念で豪炎寺へとパスを繋げる。

「ファイアトルネエエエドッ!!」

豪炎寺が放ったファイアトルネードに、鬼道が合わせる。

「ツインブーストオオオッ!!」

ズゴオオオオオオ!!

お互いの得意技での合体技を繰り出した2人。

「ツナミウォール!!」

ズッバアアアアン!!

「なに…!?な、なんだこのパワーは!?ぐあああああーっ!!」

豪炎寺と鬼道の合体技【ツインブーストF】はツナミウォールを楽々突き破り、ゴールに突き刺さった。

「奴らの力は…!神のアクアも超えるというのか!?」

「僕は…!僕は確かに神の力を手に入れたはずだ!ゴッドノウズ!!」

「マジン・ザ・ハンドオオオッ!!」

バッシイイイイイイン!!

「そ…そんな…!?」

「「うおおおおおああああああ!!」」

円堂から返ってきたボールを俺と豪炎寺は雄叫びを上げながら、相手ゴールに向けて撃ち放つ。

「「ファイアトルネードDDゥゥッ!」」

グウオォォォォ!!

「ぐおおおおおおっ!!」

ピ─────────!!

「バ…バカな…!こんな…バカな…!!」

その後もボールは俺の下に来た。

「みんなの想いを乗せたボールはお前たちには止められない!!」

俺はかかと落としをしたあと、いつもは左足で蹴っていたが、今回は利き足で蹴り込んだ。

「ライトニングアローV2ゥッ!!」

ギュォォォォォ!!

「おおっ!ツナミウォールゥゥ!」

俺の進化したライトニングアローがツナミウォールの津波の壁を徐々に崩していき、そして…

「有り得ないぃ!ぐおおっ!!」

ピ───────!!

「よっしゃぁ!」

俺のこのゴールで同点…。
絶対に勝つ!

立て続けに3発世宇子ゴールに決め、あっと言う間に3対3に追いついた。

《ついに同点!残り時間はあまりない、このまま延長戦か!?それとも決着か!?》

「最後の1秒まで全力で戦うッ!」

俺はそう叫ぶと上がってきた、円堂にパスを出した。

「「それが俺達の!」」

そして円堂と一之瀬が叫び、円堂、一之瀬、土門が綺麗な交差線を描いた。

天に不死鳥が飛び上がると、それに炎の渦を巻ながら、豪炎寺が飛び上がる。そして叫んだ。

「サッカーだァァッ!!ファイナルトルネードォォォ!!」

最後はザ・フェニックスから繋げたファイアトルネードで締めの一発。

まさにファイナルトルネード。

過去に例のない4人技シュートの威力は凄まじく、逆転のゴールへと見事に突き刺さる。

そして…

ピッピッピイイイイイッ!!

《ここで試合終了ぉぉぉーーっ!!勝ったのは雷門!劇的な大逆転勝利ですッ!!》

「「「やったあああああああ!!」」」

「よくやった…みんな…!」

「バ…バカな…こんな…バカな…!」

アフロディがそう呟くと、静かに立ち上がり、不敵に微笑んだ。

「ふふふ、神は負けることは許されない…許されないんだぁぁ!!」

アフロディはそう叫ぶと、円堂に向けてゴッドノウズを放った。

急に放たれた、シュートに円堂は反応できない。

「円堂ぉぉぉーっ!!」

俺が叫んだ時、見知らぬ声が響いた。

「デスサイス!」

俺たちの後ろから放たれた、黒いシュートがアフロディの放ったゴッドノウズに激突し、2つのシュートは同時に弾かれる。

「ぼ、僕のシュートが弾かれるなんて…」

アフロディが呟くと、黒い髪の男が現れ呟く。

「醜いなアフロディ…、神の力で負けたのにも関わらず、なお醜態を晒すとは」

「君は誰だい…?僕の力を上回るなんて…」

黒髪の男は俺たちの方を見て、呟いた。

「俺たちは総帥が作り上げたプロジェクトN…、最高最強のチーム【ナイトメア】だ。俺たちは雷門中と勝負しにここに来た」

突然俺たちに話し始めた黒髪の男、円堂は話す。

「助けてくれたのは感謝するけど、フットボールフロンティアは終わっただろ?俺たちとお前が戦う理由なんてない…」

「理由…?ふっ、そうだな、俺たちがもし勝ったらフットボールフロンティアを消し去るなんてどうだ?」

「…!?どういうことだ!?」

「簡単なことさ、雷門中が勝てばいいだけ、もし戦わない場合は不戦勝で俺の勝ちだ。どうする?雷門中キャプテン円堂守?」

「……わかった、その勝負引き受けた!絶対にフットボールフロンティアは消させたりしない!」

「いいね、それじゃあエキシビジョンマッチを始めよう、五分時間をやる、その間自由にしろ」

俺たちはその黒髪の男の言葉通り、五分間打ち合わせして、勝負に臨む体勢を整えた。

怪我人が出ているため、少し不利な状態だが、やるしかない!

FF全国大会決勝戦
雷門中対世宇子 4対3
雷門中の逆転勝利 
 

 
後書き
雷藤「世宇子より強いチームナイトメアか…」
円堂「あいつのシュート、今までで一番凄かった…」
雷藤「ああゴッドノウズ以上だな…」 

 

神を超える悪夢! 前編!

 
前書き
お待たせしました! 

 
エキシビジョンマッチという形で行われることになった、雷門中対ナイトメア。

相手の選手も続々とスタジアムに姿を現す。

「相手は世宇子を破った雷門中かぁ…、くくっどんなシュートを撃ってくるか楽しみだぜ…」

黒がかった赤髪の男が呟く。

「影宮…、お前のその口調はどうにかならんのか」

ナイトメアベンチでは、そういう会話が行われている。監督は影山という話だが、ここには見当たらない…、もう鬼瓦刑事が捕まえたのだろうか?

そして試合開始直前───

「絶対にフットボールフロンティアは消させたりしない!みんな絶対に勝つぞぉ!」

「「「おおおっっ!」」」

俺たちは円陣を組んで気合いを入れた。

FW雷藤 染岡 豪炎寺
MF一之瀬 鬼道 マックス
DF風丸 土門 壁山 栗松
GK円堂

染岡とマックス、栗松は怪我をしているものの、フットボールフロンティアを消させないと参加してくれた。

そして相手のスタメンは

FW 川東11 黒薔薇10 闇風18
MF 無藤8 田城9 万丈7 鬼城6
DF 西木野2 向井3 幾島4
GK 影宮1

というメンツだ。
相手のナイトメアは選手は11人で登録しているみたいだ。

そしてさっきの黒髪の男─ナイトメアのキャプテン黒薔薇が挨拶にきた。

「さあ楽しんでやろう…、俺たちのサッカーを見せてやる」

俺はそんな黒薔薇を見ながら話す。

「お前たちも影山の仲間なんだよな?」

「まあそうなるのかな、だが勘違いはしないでほしい。俺たちはあくまで君達雷門イレブンと勝負がしたいんだ。勿論、世宇子みたいにドーピングは行っていない」

「信用していいのか?」

「まあ答えは試合でわかるさ」

そういうと黒薔薇は戻っていった。



─────────
《さあ!突如として行われることになった雷門中対ナイトメアのエキシビジョンマッチ!果たして勝利はどちらに!?》

ピィ──────!

ボールはナイトメアからだ。

相手は黒薔薇が川東にパスを出すと、闇風を含めたFW三人で雷門中に攻めてくる。

「黒薔薇!」

川東からのパスが黒薔薇に渡り、黒薔薇はダイレクトでシュートを放つ。

「はあぁっっ!」

バシィィイーン!

その強烈なシュートの目の前に壁山が立ちふさがる。

「ザ・ウォールゥゥッ!うおおぉっっ!!」

ガガガガガガッッッ!

「ぐわああああ!」

壁山はザ・ウォールが粉砕されながらも、ボールを弾き返した。

「ヒュー♪やるねぇ…だけど!!」

黒薔薇は即座に弾き返ってきたボールを拾い、ボールも高々と蹴り上げる。

「いけっ!川東ぉぉ!」

「言われなくてもっ!」

川東は空中でオーバーヘッドの体勢を取ると、必殺シュートを放った。

「悪夢の雨に溺れろ!ナイトメアレイン!!」

強烈な雨のような激しい黒いシュートが円堂に襲いかかる。

「止めてみせるっ!ゴッドハンド改ィィッ!」

バヂチチチィィィ!

「ぐっ!…くっ?があああぁぁっっ!!」

円堂のゴッドハンドは粉々に粉砕され、ナイトメアの先制ゴールが雷門中のゴールネットを揺らした。

ゴールに吹き飛ばされた円堂は、目の前に転がるボールを見ながら呟く。

「な、なんて威力なんだ…」

「まだまだ俺のシュートは優しい方だぜ?」

ゴールを決めた川東はそう円堂にいうと戻っていく。


《先にゴールを奪われた雷門中!次は雷門からのボールだぁ!》

「いくぞ!!」

「「おう!」」

俺が言葉を掛けると、すぐに豪炎寺と染岡の言葉が返ってくる。

俺と染岡が上がっていき、豪炎寺も少し後ろから上がってくる。

俺の目の前に相手のDFがブロックに入った。

「通さないぜ!閃光の雷藤ぉ!」

「久し振りだなそのあだ名…、ならそのあだ名の由来を見せてやるよ!」

俺は淡い光を纏い相手DFを抜きにかかる。

「真電光石火ぁぁっ!!」

「くっ!?見えない…!」

俺は相手DFを振り切り、ついに相手キーパー影宮と1対1に持ち込んだ。

「喰らえぇ!ライトニングアローV2ゥッ!!」

ズババァァァァァァ!!

「ハハッ!良いシュートだぁ!どれだけ俺を楽しませてくれるのかな!?」

影宮は手を上に上げ、俺たちのよく知っている構えを取った。

「な!?ゴッドハンド!?」

俺の言葉に影宮が反論する。

「これはゴッドハンドを超えた技…、ブラッディ・ハンドォォ!!」

影宮の必殺技ブラッディ・ハンドはゴッドハンドとは対照的に黒いオーラを放つ黒い手だ。

ギュルルルルルルッッ!!

俺の進化したライトニングアローは相手のブラッディ・ハンドによって、簡単に影宮の手に収まった。

「なんだと…!?」

「ハハッ!手が痺れる…!これだよこれ!俺が求めていたのは!!最高だぜ雷門!!」

影宮がそう叫んでいるのを見て、黒薔薇が話す。

「あいつは強いシュートを受ける度にさらに強くなっていく…、あいつはまだまだ進化するぜ?」

「強いシュートを受ける度に強くなるだと…?なんて奴なんだ…」

影宮がボールを蹴ると、川東が受け取りそのままDFを切り抜けて円堂と1対1に持ち込む。

「もう一点頂くぜ…!ナイトメアレインッッ!!」

「次こそ!!」

円堂はそういうと大きく上半身を捻り、右手に力をためる。

「うおおぉ!!マジン・ザ・ハンドオオオ!!」

グオオオオオアアアアア!!

再び現れた魔神は、悪夢の雨すら凌駕し、その手にボールを収めた。

シュュュュゥゥッ………

「流石はゴッドノウズを止めただけあるな…」

「よし!イケるぜ!」

(円堂のマジン・ザ・ハンドなら簡単には点はもう入らないはずだ!それなら今畳み掛ける!!)

「円堂ぉぉーっ!」

俺は円堂に向かいパスを要求する。

円堂は俺の要求通り、俺にパスを放ち俺がボールを受け取る。

「絶対決めるぞ!」

俺は上空に向け、シュートを放った。

ズキン…!

「ぐっ…!痛み止めの効果が切れかけてるのか…!」

俺が放ったシュートに豪炎寺が反応し炎の渦を巻ながら上昇していく。

「ファイアトルネードォォーッ!」

そしてそのファイアトルネードに鬼道が合わせた。

「ツインブーストォォォ!!」

豪炎寺と鬼道の合体シュート、ツインブーストFが影宮の守るゴールを襲う。

「ヒャッハァー!これがあのポセイドンの鉄壁を崩したシュート…!来い…!」

影宮は黒い手を出現させ止めにかかる。

「ブラッディ・ハンドォォォ!!」

ギュガガガガガガッッ!!

「…!?ブラッディ・ハンドが押されてる?…!ぐわああああ…!」

豪炎寺と鬼道が放ったツインブーストFはブラッディ・ハンドを突き破りゴールに突き刺さった。

「よし!決まったな!」

豪炎寺が鬼道とハイタッチを交わす。

「ブラッディ・ハンドが負けた…?ハハッ!たまんねぇ!!もっと…もっとすげぇシュートを受けてぇ!ハハハハッ!!」

影宮はゴールに突き刺さったボールを見ながら叫んだ。



──────────
「さあ?これからもっと楽しもぉぜぇぇ!?」

影宮のそんな言葉と共にナイトメアのボールで試合が再開される。

ズキン…ズキン…

「くそっ…」

俺は足の痛みを我慢しながら、相手のブロックに入る。

相手のMF無藤は俺の目の前に来ると技を発動させた。

「…ナイトメアロード」

無藤がそう呟いた瞬間、足下に赤いカーペットが敷かれたようになり、足が途端に動かなくなった。

「動かない!?」

以前に似たような技を経験している俺は手を前にし、大きな音をたて手を合わせたあと叫んだ。

「ゴロゴロドカ────ン!!」

しかし全く効果がなく、無藤は俺の横を悠々に通り過ぎた。

「……闇風…!」

無藤がパスを出した闇風はすぐさまシュート体勢を作った。

「行くよ!悪夢の旋律ぅっ!!」

闇風の周りに黒い音符が現れ、耳をつんざくような音を響かせ円堂の守るゴールに向かう。

ドウウウウゥゥゥゥゥンン!!

「はあぁっっ!マジン・ザ・ハンドォォォ!!」

円堂は大きく上半身を捻り、マジン・ザ・ハンドを繰り出す。

グオオオオオアアアアア!!

悪夢の旋律がマジン・ザ・ハンドを蝕んでいき円堂が押されていく。

「ぐ…!負けてたまるかぁ!!」

円堂は押された状態から何とか立て直しボールを手に収めた。

シュゥゥゥゥ… ギュルルル…!

「マジン・ザ・ハンドでも完璧に威力を抑えきれなかった…。なんてシュートなんだ……」

「僕のシュートも止めちゃうんだ、凄いねキミ」

円堂の手から少し煙が上がっている。それだけ威力のあるシュートということなんだろう…。

そしてその時、前半終了を知らせるホイッスルがグラウンドに響いた。 
 

 
後書き
雷藤「(ズキン…!)っ!完璧に痛み止めが切れたな…」
響木監督「雷藤、後半はお前の使い方を変えるぞ」
雷藤「…?は、はい」 

 

神を超える悪夢 後編!!

 
前書き
お待たせしました! 

 
「俺がDFですか?」

俺は響木監督に問う。

「ああ、だがDFといっても攻撃的DFだ、チャンスがあったら上がって積極的にゴールを狙って欲しい」

「でも俺、足が…」

そう俺は足に鋭い痛みが走っていて、そんな距離をそんなに走れるわけはない。

「お兄ちゃん、これ…」

「これは…?」

「病院の先生がもしも試合の途中で効果が切れることがあったら、本人の意志の次第で、この薬を使いなさいって」

「応急処置用の痛み止めか…」

「うん…、でも試合が終わったらすぐに病院に行ってね…!」

「勿論だ…!」



─────────
FW 染岡 豪炎寺
MF 一之瀬 鬼道 マックス
DF 風丸 壁山 雷藤 土門 栗松
GK円堂

以上が後半のフォーメーションだ。

「へぇ、雷藤をDFに回したのか…」

黒薔薇が呟く。

「クカカカッ!さあ!後半も楽しませてクレェ!!」

影宮の雄叫びと共に後半が始まった。

後半は俺たちのボールからだ。

俺はまだ痛み止めが、そこまで効いていないのであまり動かず、その場に止まる。

その間に豪炎寺と鬼道が上がっていき、シュートを放つ。

「ファイアトルネードォォォ!!」

「ツインブーストォォ!!」

先程この強力なツインブーストFが影宮のブラッディ・ハンドを打ち破り、同点に追いついた。

でも…黒薔薇の言うことが本当なら…!

「ブラッディ・ハンド改ィィッ!!」

ギュルルルルルッッ!!

その進化した地獄へ誘うような黒い手は、ツインブーストFをいとも簡単に手に収めた。

「な、なんだって!?」

鬼道が叫ぶ。

「ハハハッ!アレェ…?こんなものだったか…?退屈させんなよぉ」

影宮はそう呟くと、前線にボールに蹴る。

ボールを取ったMFの無藤はさっき俺を抜いたドリブル技で一之瀬、土門を抜き去った。

「……黒薔薇…!」

そしてそのボールが遂に黒薔薇へと渡ってしまった。

「いくぞ…!円堂守ぅっ!」

黒薔薇は上空にボールを蹴り上げると、消えたように錯覚するほどのスピードで上空に上がり、ボールを蹴り落とした。

「デスサイスゥッ!!」

ゴヴオオオオオオオオオ!!

まるで死の鎌を想像させるような、禍々しいオーラのシュートはブロックに入った俺たちを簡単に吹き飛ばし円堂に向かい、うなりをあげて襲い掛かる。

「来い!!」

円堂は上半身を最大限に捻り、右手に力を溜め魔神を具現化させる。

「マジン・ザ・ハンドォォォ!!」

グオオオオオアアアアア!!

魔神の雄叫びと共に、ボールが魔神の手に当たった瞬間、凄い音が響く。

ズゴゴゴゴォォォォォ!!

「がっ…!ぐぉぉっっ!」

円堂は必死に歯を食いしばり、ボールを止めようとするが円堂のマジン・ザ・ハンドは完全に押され、魔神の姿が遂に消えた。

「なっ……!?ぐあああああっっ!!」

ピ────────!!

俺は吹き飛ばされた円堂に、向かい走った。

「円堂大丈夫か!?」

「ぐっ…!マジン・ザ・ハンドでも止められないなんて…、じいちゃんの最強技が…」

「…円堂、取られた点は俺たちが必ず取り返す!まだ試合は終わってねぇ!まだまだこれからだ!」

「…雷藤、ああ!」

俺はそう言うと元の場所に戻ったが、実際かなり厳しい…。円堂のマジン・ザ・ハンドでも止められない黒薔薇のシュート…、強いシュートを撃たれる度に強くなる影宮…。戦況は不利と言えるだろう。

俺は痛み止めが効いてきた足をトントンと地面に叩くと、気合いを入れ直した。


次も俺達のボールからだ。

俺も今度は上がっていく。

「イリュージョンボール!」

「真電光石火ぁぁっ!」

俺と鬼道がドリブルで抜き去っていき、影宮のところまで上がってきた。

「クククッ!次はどんなシュートを撃ってくるッッ!!」

「おおおっ!!」

影宮のその言葉を遮るように、鬼道は真上にボールを放ち、そのボールが雷雲のように変化し、そこから雷が落ちてくる。

「「「おおおおっっっ!!」」」

そして俺、豪炎寺、鬼道で蹴り込んだ。

「「「イナズマブレイクッッ!!」」」

ズガァァァァーーンン!!

「これは千羽山の無限の壁を破ったシュート…!ハハハッ!楽しませてくれそうじゃねぇかぁ!!」

影宮は叫ぶと、黒い手を出してイナズマブレイクを止めにいく。

「ブラッディ・ハンド改ィィッ!!」

ギュガガガガガガガッッ!!

「いいねいいねぇ!!強ぇ、強ぇぇシュートだぁ!アッハッハ!!」

ギュルルル!! ガシュッッ!!

「ぐぅ!」

影宮の進化したブラッディ・ハンドでも完璧に威力を抑えれず、ボールは弾き返って鬼道の元に返ってくる。

ここでシュートを決める!

「いくぞ!ピィ─────!!」

鬼道がペンギンを出現させ、俺達はシュート体勢に整える。

鬼道は上空に皇帝ペンギンを放った。

「皇帝ペンギン2号じゃないのか!?」

黒薔薇が叫んだ。

「いくっスよぉ!!」

上がってきた壁山に俺と豪炎寺は、壁山の腹を使い二段ジャンプをし、その皇帝ペンギンにツインシュートを放った。

「「おおっっ!!皇帝ペンギン2号落としィィッ!!」」

空からペンギンが影宮に襲い掛かる。

「進化した皇帝ペンギンってか…、面白レェ!!ブラッディハンド改ィィッ!!」

影宮のブラッディ・ハンドに対して皇帝ペンギン2号落としは5つの指をペンギンが1つずつ襲い掛かり、ブラッディ・ハンドが押されていく。

雷門対帝国のあの場面を思い出すな…。

ペンギンは衰えることを知らず、そのまま影宮ごとゴールに叩き込んだ。

「グァァァァァァッッ!!」

ピ────────!!

これで2対2!
試合はまた振り出しだ!

まだ砂煙がたっている中、影宮は立ち上がり叫んだ。

「やっぱりいいねぇ雷門…!俺はこの試合(ゲーム)でさらに強くなれる!スッゲェ楽しいぜぇ…」

「まだ強くなるのか…」

そして俺の不安は的中する事になる。



──────────
そのあと幾度となくチャンスが俺たちにはあった…。

しかし、影宮はさらにパワーアップしており、俺たちのシュートはほぼ無力化されていた。

ボールを受けた豪炎寺は風丸と共にツインシュートを放つ。

「炎の風見鶏ィィッ!!」

バシィィィン!

「え…!?片手でキャッチだと…?」

その後も…

「「「皇帝ペンギン2号落としィィッ!!」」」

影宮は手を上げるとさらに禍々しくなった手を出現させた。

「真ブラッディ・ハンドォォォ!!」

シュュゥゥゥゥ……!

「くっ…!」

「なんて奴なんだ…、これじゃ点が取れない!」

ボールは黒薔薇に渡り、シュート体勢を取った。

「もう1点貰うぜ!!」

黒薔薇は上空に上がるとボールを蹴り落とした。

「デスサイスゥゥッ!!」

ゴヴオオオオオオオ!!

死の鎌が円堂に襲い掛かっていく、その時壁山がシュートブロックに入った。

「おおおおっっっ!!ザ・ウォールゥゥッ!!」

壁山も死に物狂いで粘るが、力の差は歴然だ。

俺はそんな壁山の下に走っていた。

「壁山ぁっ!」

「雷藤さんっ…!」

すると俺の手から紫の光が灯った。

「これは…!?まさか!いけるぜ!!」

俺は両手を上に上げ叫んだ。

「ゴッドハンドォォォ!!」

紫の光と共に現れた、両手のゴッドハンドは壁山のザ・ウォールを掴み、引き伸ばした。

「これが俺たちの新必殺技!」

俺と壁山は同時に叫ぶ。

「「ロックウォールダムッッ!!」」

俺たちの新必殺技ロックウォールダムはデスサイスに敗れはしたものの、デスサイスの威力を大幅にダウンさせた。

「円堂頼んだぁ!!」

俺が叫ぶ頃には、円堂は上半身を大きく捻り最大限の力を溜めていた。

「マジン・ザ・ハンドォォォ!!」

グオオオオオアアアアア!!

魔神の手が死の鎌の刃を抑え、円堂の手にボールは収まった。

「俺のデスサイスが…!?」

「これが“みんな”で協力した力だ!」

円堂が黒薔薇に叫んだ。

「“みんな”ね…」

黒薔薇は不適に笑うと走って戻っていった。


「クカカカッ!来いよ雷門ンン!!!」

俺と豪炎寺は炎を纏い上空に飛び上がり、ツインシュートを放つ。

「「ファイアトルネードDD!!」」

影宮は今までにない動きを見せた。
両手を大きく上に上げると、勢いよく両手を地面に叩きつけた。

「ブラッディ・プリズン!!」

空から血濡れた牢獄のようなものが現れ、今まで無敗を誇っていたファイアトルネードDDは無力化された。

「う、嘘だろ!?」

俺は思わず呟く。

影宮は止めたボールを見ると叫んだ。

「止めちまったか…、これ以上期待出来ねェ…。期待外れだなファイアトルネードDDゥゥッ!!」

影宮が投げたボールは黒薔薇に渡り、川東、闇風の3人で上がっていく。

「さっきは雷門“みんな”の力を見せてもらったけど、雷門にあってうちにその“みんな”の力が無いとは思っていないよな?」

黒薔薇が上空にボールを蹴り上げると、川東、闇風がそのボールを川東が右から闇風が左から蹴り込み、蹴り込みあう。

鈍い音を立て、巻き起こった黒い渦に黒薔薇が上空から無情にも蹴り落とす。

「喰らえ!エンドレスナイトメアァァ!!」

言葉にならないような、威圧感のあるシュートがゴールに襲い掛かる。

「壁山!」

「は、はいっス!」

「「ロックウォールダムッッ!!」」

グワキャアーーンン!!

「「ぐあああああっっ!!」」

俺たちのロックウォールダムもまるで歯が立たず、俺と壁山は吹き飛ばされた。

「…っ!マジン・ザ・ハンドォォォ!!」

グオオオオオアアアアア!!

今回は威力がどうとかではなかった。まるで通用しない…。ナイトメアの最強技エンドレスナイトメアはロックウォールダム、マジン・ザ・ハンドを苦もなく簡単に破りナイトメアの勝ち越し点が加わった。

「…あ、ぐぅっ…!」

円堂はふらふらしながらボールを拾うと、前に転がした。

「まだだ…!次は止めてみせる!!」

「円堂…」

俺は壁山と支え合いながら立ち上がり叫んだ。

「おおおおおおおおおっっっ!!」

ナイトメアの選手達は俺を見る。

「絶対勝ってやらぁ!!」


俺たちのボールから始まり、ボールを豪炎寺が受け取り上がっていく。

そして俺と円堂も全速力で前線に上がっていく。

豪炎寺は鬼道と華麗なドリブルを披露しながらゴールの間近まで、道をこじ開けた。

そのこじ開けられたら道を俺と円堂が駆け上がっていく。

鬼道が上空にボールを上げると、雷雲のようになり地面に雷が降り注ぐ。

イナズマブレイクを放つように見えるだろうが違う。

いつも通り円堂、豪炎寺、鬼道で蹴り込みに行く瞬間、俺がボールの下の方でオーバーヘッドでさらに合わせた。

「「「決まれぇぇぇぇ!!ファイナルブレイクゥゥッ!!」」」

途轍もないシュートが影宮に襲い掛かる。

「ハハハッ!…なんだよこれ…、こんなの隠してたのかヨォ!!」

影宮は叫びながらシュートを止めにいく。

「ブラッディ・プリズン!!」

グギャギャギャギャギャ…!!

血濡れた牢獄にひびが入っていき遂に砕けた。

「グッ…!?クソォォォォ!!」

バキャアァァァァァァン!!

イナズマブレイクの進化版【ファイナルブレイク】はブラッディ・プリズンを粉砕し、同点ゴールへと突き刺さった。


「また追い付かれたか…、流石は雷門かな」

黒薔薇はそう呟くと先程と同じように、黒薔薇、川東、闇風で上がってくる。

「でもこれでまた勝ち越しだ!」

川東、闇風が起こした黒い渦を黒薔薇が蹴り落とす。

「エンドレスナイトメアァァ!!」

今度は壁山が俺と遠いため、ロックウォールダムは使えない…。

俺は円堂の下に走っていく。

「絶対に…絶対に決めさせるかぁぁぁぁ!!!」

グオオオオオアアアアア!!

円堂は渾身のマジン・ザ・ハンドを発動させ、シュートを止めにいく。

ズガガガガガガガガァァァァ!!

「…ぐ、ぐぅ…!」

円堂は何とか粘るが、どんどんゴールへと押されていく。

「円堂ぉーっ!」

俺はそんな円堂の後ろに回り、円堂を支える。

「俺の力も全部注いででも止める!!円堂止めるぞ!!」

「…ああ!!」

「「おおおおおおおおおっっっ!!」」

その時雷藤から放たれた、紫色のオーラが円堂を包み込み、魔神をも包み込んだ。

そして魔神を包み込んだ紫色のオーラは魔神に吸い込まれると、魔神が紫の鎧を纏ったようになり姿を変えた。

俺と円堂は同時に叫んだ。

「「トール・ザ・ハンドォォォ!!」」

魔神から雷神へと姿を変えた、トール・ザ・ハンドはエンドレスナイトメアの力を抑え、円堂の手にボールは収まった。

「…や、やった!?」

「止めたぜ!円堂ぉ!このまま逆転しようぜ!」

円堂が大きく蹴ったボールは一之瀬に渡り土門、円堂が前線で綺麗な交差線を描き出し、不死鳥を具現化させた。

その舞い上がった不死鳥に俺と豪炎寺は炎の渦を纏いながら、同時にツインシュートを放った。

「「ファイナルトルネードDDゥゥッ!!」」

グゴオオオオオオオッッ!!

ポセイドンに放ったファイナルトルネードも凄まじかったが、今回は凄まじいを超え、途轍もなく凄まじい威力のシュートが影宮を襲う。

「ハハッ…、ジョウダンキツイゼ…」

ドゴオォォォォォォ!!

ピ───────!!

《ゴォォォォール!!試合終了間近!雷門ついに勝ち越しに成功だぁ!!》


そして───────

ピ ピ ピィィィ─────!!

《試合終了ぉぉ!!雷門劇的逆転劇でナイトメアを下したぁ!》

「あはは!流石は雷門…」

黒薔薇は俺と円堂のところに来ると手を差し出した。

「完敗だ…、雷門“みんな”の力見せてもらったよ」

「黒薔薇…、いい試合だったな!またやろうぜ!」

円堂のその言葉に黒薔薇は少し笑いながら空を指差した。

「ほら君たちへの応援に来ていた人たち“みんな”からの祝福だ」

空からは数え切れないほどの紙吹雪が舞っていた。

不意に円堂が俺に話し掛けた。

「なれたのかな…?俺たち伝説のイナズマイレブンに…!」

俺はそんな円堂に向かい笑いながら応えた。

「いいや…これから始まるんだ、俺たちの伝説が!!」

その紙吹雪は俺たちを優しく包み込んだのだった。
 
 

 
後書き
いやぁ、ついにFF編終了致しました!
書き始めて丁度一年くらいかな?
感想、メッセージ書いて下さる方
本当にありがとうございます!
その感想やメッセージが心の支えです!
一応一区切りと言うことで
お礼申し上げます!
本当にありがとうございます!
これからもイナズマイレブン~クロスライジング~
を宜しくお願い致しますm(__)m 

 

宇宙からの侵略者!!

 
前書き
舞台は新しい舞台へ! 

 
「痛つつつ…!」

「ほら無理ばっかりするから…」

俺はナイトメアとの試合が終わった後、トロフィーなどをみんなで貰い、集合写真など取ってすぐに病院に向かっていた。

「それにしても…俺たちが優勝か…」

俺が感慨深そうに呟くと、心美はふふっと笑いながら話す。

「お兄ちゃん優勝おめでと!でも入院もオマケで付いてきちゃったけどね~」

「はは…笑えねぇ…」

俺は無理ばかりし過ぎて流石に、足の状態は悪化していた。変わりに目は少しは見えるようになってきていた。

「ちゃんと入院して、安静にしててね!」

「へいへい、気をつけるよ…、…?心美…あの外のはなんだ?」

「えっ?外?」

俺たちはその外の光景に絶句した。

「あの方向は雷門中!?私ちょっと行ってくる!」

「あ、ああ…気をつけろよ!」


時を同じく──────

「誰がここまで行けるって想像した!?俺達はじめは7人だったんだぜ!」

「廃部廃部って馬鹿にしてた奴もいたよな~」

数ヶ月前までは部員も足りず、円堂と雷藤以外に誰一人やる気のなかった雷門イレブン。それがここまで登り詰めたことに、古参メンバーの半田は心底嬉しそうに話す。夏未も最初は「帝国学園に負けたら廃部、尾刈斗中に負けても廃部」と怠け者揃いのサッカー部をさっさと潰そうとしていたのが今では懐かしい。

「それを言うなら鬼道君だって、最初は豪炎寺君以外相手にしてなかったわよ~?」

「ふふ、最初はな。だが帝国との練習試合が、結果的にはお前達全員を目覚めさせた」

「私は…この日が来るのをずっと信じてたよ!」

「ありがとう、秋!」

そしてまたまた時を同じく──

「夕香…俺、勝ったよ」

「…」

お祭り騒ぎのバスとは正反対に、今日もしーんと静まり返っていた夕香の病室。

夕香が何より望んでいたフットボールフロンティアでの優勝、豪炎寺は優しい微笑みを浮かべながらその報告をするが、夕香は相変わらず静かに眠ったまま、何の反応も返してはくれない。

穏やかな表情を浮かべながらも、何かを諦めるように目を伏せる豪炎寺。そして花瓶の花を換えてやろうと、後ろの棚へ向き直った瞬間だった。

「………お兄ちゃん…?」

「…!?」

その時、豪炎寺の背中に小さく語りかける声が静寂に包まれていた病室に響いた。

自分の耳が信じられないかのようにベッドの方へ振り向く豪炎寺。

しかしそこには、紛れもなく夕香が目を開けて言葉を発していた。

「お兄ちゃん…」

「…っ…ぁ…!」

信じられない出来事に、思わず花瓶を取り落として駆け寄る豪炎寺。

目を開けている夕香の姿を目にしても、ただただ驚きばかりが豪炎寺の中に広がって現実とは信じられないようだ。

そんな夕香が本当に存在しているかを確かめるように、ゆっくりと夕香の髪に触れ始めて…

夕香は静かにそして優しく豪炎寺に微笑みかけた。

「…う…っ…く…!」

1年振りの再会に涙を流す夕香。

そして驚きだけに包まれていた豪炎寺もようやく実感が湧き始め、溢れる歓喜を抑え切れずにボロボロ涙を流す。

「…夕香…お兄ちゃん…勝ったよ…!」

豪炎寺はしぼり出すような声で夕香に語りかけるのだった。



雷門イレブンside

「見えて来たぞぉ、稲妻町だ!」

ひゅるるるるるる

「んっ?なんだ?」

その頃雷門イレブンの乗るバスは、慣れ親しんだ雷門中の近くへと帰ってきたところだった。

ところがその時、ふと気がつくとはるか上空からひゅるひゅる黒いサッカーボールが落ちてきていた。

「なんだありゃ?今日の天気は晴れ時々サッカーボールか?」

と、円堂達がいぶかしげな顔をしていると…

ゴワシャオオオオオオン!!

「…!?」

突如鳴り響いた世にも恐ろしい轟音、そして隕石でも直撃したかのような凄まじい衝撃に包まれた雷門中…。

突然目の前で起こった悪夢のような大惨事に、ひたすら困惑しながら雷門イレブンは雷門中へと急ぐと…。

「な…!なんてこと…!?」

「な…何が起こったんだ…!」

円堂達が到着した雷門中の様子はひどいものだった、通い慣れた校舎は跡形もなく破壊され、完全なる廃墟に変わっていた。

「き、君達なのか…?」

「あっ…!校長先生!何があったんです!?」

「う、宇宙人だ…」

「え…?」

「宇宙人だ、宇宙人が攻めてきたんだよ!」

その時廃墟と化した校舎の中から、命からがら助かったという様子で現れた校長先生。

ところがそんな校長に話を聞いてみると、「宇宙人が攻めてきた」などと話し始めた。

「うぐ…う…うう…」

「あ…!?イナズマイレブンのおじさん達!?」

「め…面目ありません…皆さまの代わりに宇宙人と戦ったのですが…まったく…歯が立ちませんでした…」

「ま、まさか…本当に宇宙人と戦ったっていうのか…!?」

ところがその時、周囲のうめき声に気づいて辺りを見渡してみれば、なんとそこにはボロボロの姿で倒れているイナズマイレブン達の姿があった。

話を聞けば校長と同じく宇宙人の仕業だとか…ここまで来ればさすがに校長の世迷い言で済む問題ではない。

宇宙人というのは本当の話なのか…と円堂達が息を飲んでいると、そこへまさにその張本人である宇宙人たちが現れた。

「や、奴らです…!奴らが戦いを挑んできたのです…!」

「我々は遠き星エイリアよりこの星に舞い降りた、星の使徒である。我々はお前達の星の秩序に従い、自らの力を示すと決めた。その秩序とは…サッカー!サッカーはお前達の星において、戦いで勝利者を決めるための手段である。サッカーを知る者に伝えよ。サッカーで我々を倒さぬ限り、この地球には…存在できなくなるであろう!」

サッカーで宇宙人に勝てなかったら人類滅亡というとんでもない話に円堂達は戸惑う。

「宇宙人だろうがなんだろうが、学校ブッ壊されて黙ってられっかァ!!」

誰もが動揺する中、動じていない染岡が叫ぶ。

「染岡…!ああ、見せてやろうぜ俺達のサッカー!!」

「その必要はない」

染岡の闘志で盛り上がる雷門イレブンだったが「試合をするまでもない」と軽くボールを蹴ってみせた宇宙人。

するとそのボールが恐ろしい威力を持って円堂達へと飛んで行く。

グオバオオオオオオオオ!!

「マジン・ザ…!!」

ズッバアアアアン!!

「うあああああーっ!!」

すかさずマジン・ザ・ハンドで受け止めようとする円堂だったが、あまりのスピードにまるで反応が間に合わず円堂は吹き飛ばされ、そして凄まじい威力を持ったボールは、あろうことか円堂達サッカー部の部室を直撃し、崩壊させた。

イナズマイレブンの時代から、数々の思い出が詰まったサッカー部の部室…、それが円堂達の目の前で、無残にもグシャグシャに破壊されてしまった。

「お…俺達の部室が…!」

「…なんということを…!」

シュウウウウウウウ

凄まじい宇宙人の実力に雷門イレブン達が戦慄する中、妙な光に包まれて忽然と姿を消してしまった宇宙人。

どうやらこれ以上留まる意味がないとして、別の場所へと去っていったようだ。

「…恐ろしいシュートだった、スピードもパワーも…あんなのは見た事がない…」

「世宇子でさえ…さっきのシュートに比べたら…」

「マジン・ザ・ハンドでも止められなかったなんて…」

「いいや…技を出す間もなかった。そうだろう、円堂」

「……」

世宇子のアフロディすらも凌駕する恐るべき威力のシュート、地球人とはまるで次元の違う宇宙人の実力…。

やっとの思いで習得したマジン・ザ・ハンドも無意味と化すそのレベルに、雷門イレブンはすっかり意気消沈してしまった。

ピリリリリピリリリリ

「一之瀬君から…?」

ピリリリリピリリリリ

「お父様…?」

とその時、夏未と秋に向けてかかってきた理事長と一之瀬からの電話。

何かと思って電話に出てみれば、なんと2人からは「他の中学校も次々と宇宙人の襲撃を受けている」という報告が伝えられた。

一之瀬達が向かった木戸川清修も、雷門中と同じで無惨な破壊の跡が残るばかり…。

武方3兄弟や西垣もまるで宇宙人の相手にならず、手痛い敗北を喫してしまったようだ。

「お父様、今どこにいるんです!?」

《説明は後だ!宇宙人は今、傘見野中に現れている!》

「傘見野中…!?」

「傘見野中なら隣町だ!」

「行こうぜ…!助っ人に行くんだ!やられっぱなしで終われるもんか!」

そして理事長からの情報により、宇宙人の現れた傘見野中へと急行する円堂だった。

そして心美も夏未の連絡を受け、傘見野中に向かうのだった。 
 

 
後書き
雷藤「心美…気をつけろよ…」 

 

エイリア学園

 
前書き
果たして心美は間に合うのか!? 

 
「ひいい…ま、待ってください!僕らこの間やっと同好会から部に認められたばかりなんです、他の学校みたく強くなんかないし…!」

「勝負をするのかしないのか?返答なくば今すぐお前達の学校を破壊する!」

「待てぇぇぇっ!!」

「ら、雷門中のキャプテン!?」

傘見野中へ到着した円堂達雷門イレブン、そこにはちょうど宇宙人達に脅されている傘見野イレブン達の姿があった。すぐさまそこに円堂達が割って入り、傘見野イレブンに代わって雷門イレブンが宇宙人達と戦うことになった。

「ちょっと待って!雷藤君も豪炎寺君も一之瀬君も土門君もいないのよ!現状では染岡君のワントップになるわ、大丈夫なの!?」

「問題ねえよ」

自信満々にそう言いきる染岡。
仲間としては頼もしい限りだ。

「お前達の名を聞こうか!俺達は雷門中サッカー部、俺はキャプテンの円堂守!」

「お前達の次元であえて名乗るとすれば…エイリア学園とでも呼んでもらおうか。我がチームの名はジェミニストーム…我が名はレーゼ!さあ、始めようか」

「絶対に負けない!」

「地球にはこんな言葉がある…、キジも鳴かずば撃たれまい」

ピイイイイッ!!

「よし…!行くぞ宇宙人!」

「……」

「…?ちっ…!舐めやがってぇッ!!」

ついに試合開始のホイッスルが鳴り、猛然と敵フィールドへ突っ込んでいく染岡。

ところがジェミニストームの選手は、染岡のドリブルを棒立ちのまま眺めるだけで動こうともしない。

これに腹を立てた染岡は、渾身の力でドラゴンクラッシュを敵ゴールめがけて発射する。

「ドラゴンッ!!クラアアアッシュ!!」

スパアアアアン!!

「な!?」

ジェミニストームのキャプテン、レーゼがドラゴンクラッシュを左膝で完全に威力をシャットアウトするとそのままダイレクトでレーゼはゴールにシュートを放った。

「マジン・ザ…!」

バッシャアアアアアッ!!

「うあああーっ!!」

シュートに気づいた円堂がマジン・ザ・ハンドを使おうとしたものの、構えた時にはボールはゴールに突き刺さった後だった。

アフロディのヘブンズタイムを髣髴とさせる異常な宇宙人のスピード…まさに化け物だ。

「や…やつら…なんて動きなんだ…!」

「こ、これが…宇宙人のスピードなのか…!?」

まるで常時クロックアップ状態のようなジェミニストームを相手に、雷門イレブンは全くなす術もなくゴールを量産されてしまう。

なんとかして点を取り返そうにも、ドラゴンクラッシュが通じなかった以上もう使えるシュートがない。

すでに取られた得点は12点…その間ゴミクズのように吹き飛ばされ続けた雷門イレブンは、また世宇子戦のように負傷者が続出してしまった。

「ま、間に合った!」

その時、心美は傘見野中に到着し、そして全く同じタイミングで豪炎寺も到着した。

「豪炎寺君!?」

「天空橋か…、円堂達のところに向かうぞ!」

「…うん!」

私がグラウンドに到着すると、そこにはボロボロの円堂君たちの姿があった。

「…う、嘘……」

「くっ…!」

豪炎寺はユニフォームを纏うとグラウンドに足を踏み入れた。

「選手交代だ」

「ご…豪炎寺!」

私も黙って見ていたくない!私にも何かできるかもしれない!

「わ、私も出ます!」

「心美さん!?」

秋ちゃんが私を心配そうな目で見た。

「監督…、私にユニフォームを貸してください!」

「………」

「監督!!」

「…わかった」

私は監督から借りた、背番号19のユニフォームを纏いグラウンドに立った。

FW豪炎寺 染岡
MF天空橋 鬼道 マックス 宍戸
DF影野 壁山 栗松 風丸
GK円堂

一応11人全員ピッチに立っているけど、その中でもまともに動けるのは私、豪炎寺君、鬼道君、円堂君くらい…。どうなるかわからないけどやってみせる!

「ようしみんな!反撃だ!」

ボールを受けた豪炎寺はボールを後ろに渡し、心美にボールが渡る。

私がドリブルで切り込むが、宇宙人は動かずそのまま立ち尽くす。

「後悔してもしらないよ!」

前線にはゴールから離れて上がってきた、円堂君と豪炎寺君、鬼道君の姿がある。

私は必殺シュートを放ちながら叫んだ。

「エンジェルキッス!鬼道君シュートチェインお願い!」

「ああ!」

鬼道は心美のシュートをダイレクトで蹴り上げ、雷雲のようになった上空から雷が降り注ぎ、鬼道、豪炎寺、円堂がシュートチェインを決めた。

「「「イナズマ!!ブレイクウウウウッ!!」」」

反撃の狼煙を上げるべくシュートチェインしてさらに威力が上がったイナズマブレイクでゴールを狙う。

誰もがそのシュートが入ることを疑わなかった。

バシン。

「「「え…?」」」

そしてその光景に誰もが絶句した。

相手キーパーのゴルレオはボールを見ず、あくびをしながら片手でシュートチェインしたイナズマブレイクを止めたのだ。

「なんだぁ?今の貧弱なシュートは…」

「なっ!?あ、あいつボールを見てなかったぞ!」

「あのイナズマブレイクでさえ通用しないなんて…」

そんな俺たちにレーゼが話す。

「必殺技といってもこの程度。お前たち人間の力の限界ということだ」

「くっ…!くそお…!!」

そんなとき円堂は叫んだ。

「違うっ!俺たちに…限界はない!」

「円堂君…」

レーゼは円堂を見ると呟いた。

「諦めの悪いことだ…。その遠吠えは破壊を招く」

鬼道はレーゼを見ると、ふっと笑い話す。

「フッ…諦めが悪いのも俺たちの必殺技と言えるんでね」

「ほう…?」

「そ、そうだ!どんなピンチの時だって俺たちはそうやって勝ってきたんだ!」

「宇宙人だって怖くないでやんす!」

「フッ…弱いだけでなく頭も悪いと見える」

「このまま…やられっぱなしで終わるもんか!!うおおおおっ!」

風丸が雄叫びを上げながらレーゼを抜こうとする。

「疾風ダッシュ!」

「…遅い」

パシィィ

「なっ…!」

ボールを取ったレーゼに豪炎寺が突進をかける。

「ヒートタックル!!」

豪炎寺の必死のタックルも豪炎寺の頭を越えるジャンプで抜き去った。

その後も鬼道、染岡がスライディングを仕掛けるも簡単に抜き去られ、ついに円堂と1対1になった。

「間に合うか…、マジン・ザ・ハンド…」

そして円堂の前まで上がってきていたレーゼをもう一度円堂が見るとレーゼはもうボールを持っていなかった。

「あれ…ボールは…?」

そう円堂が呟いた瞬間、上空でレーゼからボールを受けていたリームがダイレクトでシュートを撃っていて、そのまま円堂の顔面に直撃しゴールに円堂ごと突き刺さった。

「円堂くーーんっ!!いやああっ!」

秋ちゃんの悲鳴が響き渡る。

圧倒的なエイリア学園の実力…。
駆けつけた私と豪炎寺君も、エイリア学園から点を取ることが出来ず…、次々に仲間が傷つけられ私たちはついに動けなくなってしまった。

そう…完敗したんだ。

「く…くそっ…、そんな…」

その場に倒れた円堂を見下ろしながらレーゼは冷徹な言葉を放つ。

「ゲームセットだ。今から破壊を開始する」

「そ、そんなっ!?」

傘見野のキャプテン出前が叫ぶが、ジェミニストームのDFガニメデにより突き飛ばされる。

「邪魔だ弱き者よ」

「やれ!」

レーゼの指示により、傘見野中の破壊が始まった。

破壊される最中、傘見野の選手から悲鳴にも似た叫びが響く。

「うわあああ!やめて!やめてくれよおぉっ!!」

ドゴォォォォォォォンン!!

「地球にはいい言葉がある。弱い犬ほどよく吠える…」

ゴドォ!ドゴォ!ドゴォォォン!

「やめてくれえええっ!!」

私が身動きもできず、破壊現場を見ていると隣で円堂君が涙を流しながら、地面を叩いていた。

「ちくしょう…ちくしょう…!ちくしょおおおおおっ!!」

(…じいちゃん。俺…勝てなかった)



──────────
「円堂!これくらい大丈夫だって。大した怪我じゃないんだからさ」

「それにさ怪我しちゃったのはボクたちの鍛え方が足りなかったからだよ」

「そうですよ!特訓しましょうキャプテン!…って!いてててっ…!」

「だめだ!ムチャするな!」

私たちはお兄ちゃんも入院している、稲妻病室に来ていた。

今回の戦いで宍戸君、少林寺君、影野君、松野君、半田君は入院することになってしまっていた。

少林寺君は悔しそうに下を見ながら呟く。

「すみません…、でも俺悔しいんです!もっと俺に力があれば…!そしたらあんな奴らやっつけられるのに!!」

「……」

豪炎寺君は病室を後にした。
豪炎寺君も悔しかったんだろうな…。

「みんなの気持ちもわかるけど今は怪我を治してくれ!」

そしてまたそんなとき病室の扉が開いた。

「みんな大丈夫か…!?」

私が扉を見ると松葉杖をしたお兄ちゃんの姿があった。

「雷藤…」

「…!?ひ、ひどい…皆大丈夫なのか!?」

「雷藤…エイリア学園はとんでもなく強かった、世宇子どころかナイトメアを遙かに越える強さだった…」

「あのナイトメアを…」

お兄ちゃんは力になれない自分に対してだろうか、拳を強く握りしめ俯いた。

「雷藤もみんなも安心しろって!みんなの仇は俺が取る!なっ?」

俺はボロボロになった円堂達の姿を見て、自分のあまりの無力感に耐えきれなくなり病室をあとにした。すると階段の近くに豪炎寺の姿があった。

「豪炎寺…」

「雷藤か…すまない…。俺の力不足だ」

「豪炎寺のせいじゃないさ…イナズマブレイクも通用しなかったって心美には聞いたが…本当か?」

「…ああ。それにエイリア学園はさっきの試合で一度も技を使ってこなかった…。もし奴らが本気を出していたら俺や円堂も今頃はどうなっていたかわからない…」

「技を使わなかった…?」

「俺たちがエイリア学園勝っていれば、あの時傘見野を守れたのに…!円堂たちだって怪我しなくて済んだのに!」

「………」

「その通りね」

そんなとき階段をお嬢が上がってきて呟いた。

「破壊されてるのは傘見野だけじゃなくってよ?今、この瞬間にもエイリア学園は日本中で破壊を続けているの」

「…!」

「そんな時にあなた達はこんな所でいじけている場合なの?一刻も早くエイリアを止める。それがあなた達の…いいえ。フットボールフロンティア優勝者の務めではなくって?」

「夏未…」

そんなとき円堂も病室から出てきて呟く。

「ぐぐぐ…。よおぉっし!それじゃ行っくぞ~!」

そして廊下を走ろうとした円堂…。しかしやはり円堂にもダメージがあったみたいで、「あっ!いてててて…!」とすぐに足を止めた。

「円堂…無理すんな…、円堂だって怪我してるんだから」

俺がそう話しかけると円堂も話す。

「でも、やらなきゃ…!」

「そうだ、やらねばならん」

そんなときまたも階段から声が響いた。そこに現れたのは響木監督だった。

「響木監督?」

「お前たち急いで雷門中のグラウンドへ来てくれ。総一郎が待っている」

「お父さまがグラウンドで?いったい何かしら」

「もしかして次のエイリア学園との対戦に向けて特訓するのか?」

「まったく相変わらずのんきな人ね」

「このままじゃ俺も気分が落ち着かない…。俺も雷門中のグラウンドに行くぜ円堂!」

そうして俺は松葉杖を突きながら、円堂や心美…。動ける雷門メンバーと一緒に雷門グラウンドに向かった。 
 

 
後書き
円堂「次は絶対に勝つ!」
雷藤「円堂はそうでなくっちゃな!」 

 

新たな旅立ち!

 
前書き
グラウンドに向かった雷藤…。そこで見たものは… 

 
俺たちが雷門中に着くと、そこには響木監督と理事長の姿があった。

だが俺はそんな2人には一時気付かずに、俺はただ壊され尽くされた雷門中の有り様に呆然とした。

「これが…雷門中…?こんなことって…」

そして目線をずらすとそこには慣れ親しんだ部室の姿はなく、そこには完全に崩壊した部室…。

俺はこれほど自分の無力さを痛感した事はない…。

「……………」

「雷藤…。監督たちのところに行こう」

俺は円堂の言葉通りに、無言で監督たちの下に向かった。

監督と理事長を前にした円堂は、思わず悔しそうな言葉が漏れる。

「監督…!理事長…!俺たち…」

その言葉を聞いた監督は、俺たちに向かい話す。

「わかっている。エイリア学園は今のお前たちでは勝てる相手じゃなかった」

「うむ。おそらく他のどんなチームも奴らを止めることは出来ないだろう」

「それでお父さま、これからどうするんですか?」

「……」

一時の沈黙を破ったのは円堂だった。

「こんな…負けたままで終わるなんて俺…嫌です!!」

「わかっている。残された道は1つしかない。この国を救うにはサッカーの強者を集め奴らを倒せる最強のチームを作るしかない」

「えっ、最強のチームを作る?」

「雷門の諸君!今こそ私が準備してきたものを見せるとしよう!本来は影山の手からサッカーを守るために作っておいたものなのだが…、君たちにはこれを使って最強の選手を探す旅に出てもらいたい!」

俺はその言葉を、一瞬じゃ理解できず呟く。

「最強の選手を探す旅?理事長それは一体…?」

「さあ!これを見てくれ!」

するとグラウンドの地面が移動し始め、その開いた地面から青い大きな車が飛び出てきた。

「これが君たちのイナズマキャラバンだ!これに乗って日本全国を回り地上最強のイレブンを探し出すのだ!」

「そういうことだお前ら。落ち込んでいる暇は無いぞ!」

「すっげえや…!最強のイレブンを集める旅か…!うおーっ!燃えてきたーっ!」

「円堂らしい反応だな」

俺はいつもの円堂の姿を見て、少し落ち着いた。

そして俺は少し疑問に思ったことがあったので口を開いた。

「…でもこの車、誰が運転するんですか?」

「そうだな…、チームの大人といえば響木監督ぐらいしか…」

そんなとき声が響いた。

「そいつはワシに任せとけいっ!」

「古株さん!体はもう大丈夫なんですかっ?」

「ああ!まだちっとは痛むがな…。運転ぐらいは何でもない!」

「よーし!じゃあこれで準備は完璧だ!それじゃ早速出発するぞっ!……あれっ?みんなどうしたんだ?」

「キャプテン…、お、俺……」

「無謀だよ…円堂…」

「エイリア学園は世宇子やナイトメアとは桁違いだ。勝ち目ねぇよ」

そんな壁山、風丸、染岡の言葉を聞いて円堂が叫ぶ。

「みんな!!どうしたんだよ!!俺たち今までどんな相手にだって立ち向かって来たじゃないか!!そうでしょ響木監督!またみんなで戦えばどんな相手にだって…!」

響木監督は円堂に目を向けると話した。

「…円堂言っておくが今回、俺はこの旅には同行しない…。お前たちだけで行くんだ」

「えっ?」

理事長も俺たちに向かって話す。

「今回の敵、エイリア学園はあまりにも謎の存在…。その情報をより多く集めるため響木には私の指示で別の調査に出てもらう」

「ええ~っ!?あんな奴らと戦うのに監督までいなくなっちゃうでやんすか!」

「そ、それじゃ試合では誰の指示に従えばいいんです?」

「最強のチームを集めても監督がいないんじゃ…」

「………」

「情けない、監督がいないと何も出来ないお子様の集まりなの?」

「!?」

俺たちは突然響いた声の主を見つけようと辺りを見渡した。

「理事長…。これが本当に日本一のサッカーチーム何ですか?」

その声の主は長髪で黒髪のクールな感じの女性だった。

「あんた何者なんだ…?」

俺がそう呟くと、女性は自らの長い髪をふわっと払い話す。

「今日から監督を務める、吉良瞳子よ」

「あんたが監督だって…?一体どういうことだ」

瞳子という女性は俺たちの顔を見渡すと、少しため息混じりに話す。

「理事長、本当にこの子たちに地球の未来を託せるんですか?彼らは一度エイリア学園に負けているんですよ」

「なっ何よ…、いきなり失礼ではなくって?」

俺は女性に話す。

「…だから勝つんだ!一度負けたことは次の勝利に繋がって行くんだ!…そうだろ円堂!」

「その通りだぜ雷藤!」

「頼もしいわね。でも随分メンバーが減っているようだけど?」

「え、ええ。何人かはまだ病院にいますから…」

「こんな状態ではキャラバンを出発させる意味がないわ…。そうね。それじゃまずは1チーム分の人数…11人を集めてもらおうかしら」

「えーっと今はチームに9人しかいないから…。いち、にい…」

「あと2人!何処かから見つけてくる必要があるってことですね!」

「でも雷門中はこの状態だし…一体何処に2人も選手がいるっスか?」

「………」

「うっ睨まないで欲しいっス…。なんか俺、変なこと言ったッスか?」

「…情けない。何から何まで世話がいるのね…。土門くんと一之瀬くん。彼らもそろそろ木戸川からこの町に戻ってくるはず早く合流するのね」

「土門と一之瀬のことまで知ってるのか…」

「当然よ。監督するチームのことはすべて調べてきてるわ」

「へえー、すっげえや!」

「………」

「じゃあ早速出発して。またいつエイリアが動き始めるかわからないわ。そのための準備は出来るだけ早めにしておく必要があるのよ」

そういうと女性はその場を去った。

「確かにその通りでやんすが…」

「なーんか偉そうで気にいらねえぜ…」

「円堂、雷藤すまん。俺は…夕香に挨拶をしてくる。旅に出たらあいつにはしばらく会えないだろうからな」

「そっかせっかく意識が戻ったのに残念だよな」

「いや夕香ならきっとわかってくれる。じゃあ悪いな」

「ああ!それじゃまた後でな!」

「よおし!希望が見えて来たぜ!みんなやろうぜぇ!!」

「「「おおおっっ!」」」

そして俺たちは土門、一之瀬と合流した。

その後、俺と心美は自分たちのアパートで荷物を整理して集合場所の雷門中に向かったのだった。 
 

 
後書き
雷藤「荷物はこんなもんかな」
心美「その足で大丈夫なの?」
雷藤「何とかなるさ!…多分」 

 

地上最強メンバー探しへ!

 
前書き
お待たせしました! 

 
俺たちが雷門中に向かっている頃、豪炎寺は─────

「夕香、少しのあいだ留守にする」

豪炎寺は車椅子に座っている夕香に話した。

「えっ?」

豪炎寺の突然の言葉に夕香は驚いたような寂しげな表情を浮かべる。

「…せっかくお前が良くなったのにすまないな、でも約束する…。お兄ちゃんは必ず戻ってくる。そして誰よりも近くでお前のことを守るよ…、もう二度とあんなことが起こらないように…」

「うん…。頑張ってねお兄ちゃん!」

「…ああ。ありがとう夕香!それじゃ行ってくるからな…」

その病室の外には正体不明の2人の姿があった。

「…あいつの精神力はやはり並外れているようだ。どうする?」

「なあに、人を操る方法などいくらでもあるさ。…ククク」

そしてその2人は病室を後にした豪炎寺に近付いた。

「お前たちは何者だ!」

その2人は豪炎寺を見て、ふっ…と笑うと話した。

「お前が…豪炎寺 修也か?」

「…!?」



─────────
「みんなもう着いてたな…」

「雷藤!早く来いよ!」

「ああ」

そこには吉良瞳子という女性もいた…。当然といえば当然だが。この女性がこれからの雷門中の新監督か…。

「出発の準備は出来たのかしら?」

俺は女性…。瞳子監督を見ると話した。

「後は豪炎寺が戻って来るのを待つだけです」

その時、円堂が叫んだ。

「ああーっ!」

「うわっ!びっくりした!どうしたんだ円堂?」

「そうだっ!大事なものを忘れてたっ!!」

そう言うと円堂は走って、部室があった場所に向かっていった。

俺たちも円堂に続き、部室があった場所に向かった。

「円堂何をしてるんだ?」

「…!あったぁ!」

「あっ、それは…!」

「雷門中サッカー部の…看板」

「部室はこんなにメチャクチャになったのに、ちゃんと残っていたッスね」

円堂はその雷門中サッカー部の看板を見つめながら話した。

「…俺はエイリア学園を許さない、サッカーは何かを壊したり、人を傷つけるためにやるんじゃない。宇宙人に本当のサッカーが何か教えてやる!」

俺は円堂の言葉を聞いて、口を開いた。

「ああ、俺もそのつもりだ。もう一度奴らと戦おう。そして勝つんだ!」

「どんな相手でも一歩も引かない…。それが円堂だよな。…引かないぜ俺も!」

「うん!雷門イレブンの新しい挑戦だね!」

俺が話すと、風丸、心美も話した。そして俺は円堂に向かい話した。

「入院した皆のために頑張るぞ!」

「みんな…!よしやろうぜ!!」

「まったくお前は…。相手は宇宙人だぞ…。いつもの調子で やろうぜ はねぇだろうよ」

染岡がそう冗談ぽく笑いながら話すと、俺たちもみんなで笑いを交わした。

そしてその時、豪炎寺が歩いてきた。

「…………」

「あっ、豪炎寺!夕香ちゃんへの挨拶はもういいのか?」

円堂はそう豪炎寺に話す。
だけど俺は少し豪炎寺の顔色が優れないように見えたので、豪炎寺に話し掛けた。

「どうした?なんか変な顔してるぞ?夕香ちゃんの具合良くないのか?」

「いや…、あいつは大丈夫だ。行こう」

豪炎寺の言葉に少し違和感を感じながらも、俺たちは部室に背を向け、集合場所へ足を向かわせた。

すると後ろから微かだが豪炎寺の言葉が聞こえた気がした。

「…円堂、雷藤。もし俺が…」

「えっ?何かいったか?」

円堂は豪炎寺にそう尋ねるが、豪炎寺は「いや、何でもない」と口を閉ざした。



「とにかく11人揃ったようね。さあこの東京から離れて選手探しよ!あなたたち準備はいいわね?」

「はいっ!監督!」

「でもおれ達は日本一になったんですよ。俺たちが勝てない相手に一体誰が勝てるというんです?」

「あなたたちは知らないみたいね。フットボールフロンティアには出場しない強豪チームがいることを」

「ええーっ!!どういうことですか!?」

円堂が叫び終わると、瞳子監督は俺たちに向かい話す。

「もともとフットボールフロンティアに興味のない学校…。さらには危険分子だと影山に判断されて出場権を剥奪されていたチーム…。全国にはそんなチームが数多く存在しているの」

「そうなんですか!?」

俺は驚愕の事実に驚いた。

「そういうこと」

瞳子監督はそこで少し会話に間を空けると、続けて話す。

「だからあなたたちが本当に日本一と言えるかどうかはまだわからないってことね」

円堂がふるふる震えながら瞳子監督を見ている。円堂もショックだったか、と一瞬思ったが、俺は少し笑うとそんなことないか…と思い直し円堂に顔を向けた。

「うおーっ!面白くなってきたぜーっ!日本にはまだまだ強い奴がいる。そいつらを探し出してやるぜ!」

「ははは…!やっぱり円堂だな!」

そんなとき、校長が急いで走ってきた。

「理事長ー!大変ですっ!奈良で財前総理がエイリア学園に襲われました!」

「なんだと財前総理が!?それで総理は無事か?」

「そ、それが…!総理はエイリア学園に連れ去られたそうです!」

「なっ!なんということだ…」

「総理を誘拐するなんて奴らの狙いは一体何だっていうんだ?」

その話を聞いていた瞳子監督は俺たちを改めて見ると話した。

「みんな、すぐに出発よ。奈良に行けば何か手掛かりが見つかるかもしれないわ」

「はい!早くエイリアを止めなくちゃ!!」

響木監督も俺たちを見ると話し掛けた。

「しっかりな!お前たちならエイリアに勝てる!俺はそう信じているからな」

「はい響木監督!行ってきます!」

「さあキャラバンに乗り込んで」

そう瞳子監督が話すと、俺たちはキャラバンに乗り込むと、キャラバンは奈良に向かって動き出した。


その時、俺は微かにだが入り口に長い髪の毛の人が見えた気がする。

「…へえ雷門イレブンが動くのか。これはボクたちも黙って見ているわけにはいかないな…。地上最強のメンバー探し…頑張ってくれたまえ。円堂くん、雷藤くん!」 
 

 
後書き
心美「総理が拐われるなんてね…」
雷藤「エイリア学園が何を考えているのかは俺にはわからない…、総理無事だといいな」
心美「うん…」 

 

黒いボールの陰謀!

 
前書き
奈良に向かう雷門イレブン!そこで待ち受けるものは…? 

 
雷藤や円堂達が奈良に向かう数時間前のこと、、、

『こちらは奈良シカTVです!シカ公園の巨シカ像前からお送りしております!現在ここでは《巨シカ像 落成式》がとり行われています!そして今まさに日本の財前総理とアメリカのケイン大統領がテープカットを…!』

そこでは日本の財前総理とアメリカのケイン大統領が巨シカ像のお披露目のために、今まさにテープカットを行おうとしていた。

「ケイン大統領。この度は式典に来ていただきありがとうございました」

「財前総理、堅苦しい話は無しデース。ぜひまたアメリカまでサッカーを見にいらして下サーイ」

「ええ、勿論です。では…」

財前総理とケイン大統領がテープカットをしようとした時、突然物凄い音が響いた。

ズドオオオオオオオオン!!

「おや?この音は…?」

「なっ!なんだアレは!!」

1人の取材記者がそう叫ぶと、空中から黒い玉のような物が地上に落下してきた。

ズゴオオオオン!!

「な、何だ…?何が起こった!?」

財前総理がそう叫ぶと、自分の後ろから砂煙りがたっているのに気付いて、後ろを振り向いた。

「…これはっ!」

そこには無残にも破壊された巨シカ像の姿があった。

「オーッッ!?」

『…像が!?ご、ご覧ください!あの…あの巨シカ像が見るも無惨な姿に…!』

「ノー…。ソーリ…?総理!財前総理はどこデース!?」

そして財前総理の姿もケイン大統領が気付く頃には、姿が消えていたのだった。

「…!そ、総理!総理の姿が!!」

その時、その場にいた少女が叫んだ。

「なっ、何だって!?」

『た…大変です!突然会場から財前総理の姿が消えてしまいました!?一体…一体何が起こったのでしょうかっ!?』







『奈良シカTVよりお伝えします。事件のあったシカ公園では今も警察による捜査が続いております。財前総理を誘拐した犯人の足取りは今も掴めておりませんが、残された黒いサッカーボールから連続で中学校が破壊された事件との関連も取りざたされており現場には重苦しい雰囲気が漂っております。以上、現場からの報告でした』

その事件の放送をキャラバンで俺たちは黙って見ていた。

「どうやらエイリア学園の仕業には間違いないようね」

沈黙を破ったのは瞳子監督だった。

「TVもラジオも総理が連れ去られちゃったニュースばっかりッス!」

「そりゃそうだろ。日本のリーダーが消えたんだ。大事件だぜ」

「でも、エイリア学園は総理を誘拐してどうするつもりなのかしら?」

お嬢がそう話すと、俺も口を開く。

「さあな。だが奴らを倒せばそれもハッキリするんじゃないか?」

「倒すって簡単に言うけど、このまま宇宙人と戦って本当に勝てるのか?」

そう風丸が話すと、円堂が風丸に向かい話す。

「勝てるかじゃない、勝たなくっちゃいけないんだ!そのために俺たちは地上最強のメンバー探しに出たんだろっ、な?」

「うん、そうだよね。奈良で新しい仲間が見つかるといいね!」

「…………」

その中でも、豪炎寺だけが1人黙っていた。



「あっ!奈良の町が見えてきましたよー!」

「あれって有名なお寺でやんすよね。教科書に載っていたでやんす!」

「うわー本当ですね!すごい、すごーい!」

「ちょ、ちょっと!キャラバンの中で騒がないでちょうだい!」

奈良の町が見えた途端に騒ぎ出した音無と、静かにする様に呼び掛けるお嬢の姿が何とも微笑ましく見える。

「どうした壁山トイレか?」

「…う、う〜ん気持ち悪い…。オレちょっと車に酔ったみたいッス…」

「お前の場合はただの食い過ぎなんじゃねえか?」

「………」

俺や壁山、染岡がそんな事を話している時も、豪炎寺は少し険しい顔で黙っていた。

「豪炎寺?どうした顔色が良くないぞ」

「いや大丈夫だ…」

俺が豪炎寺にそう話しかけていると、壁山のもとに居た円堂が駆け寄ってくる。

「2人とも!だったら良い方法があるぞ!サッカーのことを考えるんだ!そうしたら酔いなんて一発で覚めちゃうぞ!」

「いやぁ…、それは多分円堂だけだろうなぁ…」

俺は思わず円堂の言葉に突っ込んでしまった。
俺はそのあと心の中で呟いた。

(豪炎寺…出発してからずっと暗いな…大丈夫なのか?)

「おーい、お前さん方。奈良に到着したぞ!」

「痛つつつ…、座りっぱなしだったから尻が痛いな…」

俺は思わず立った瞬間、本音が漏れる。

「ふう〜。やっぱり東京からだと結構時間が掛かるッスね。これじゃエイリアたちももう何処かへ行っちゃったかもしれないッス」

「だよなぁ。俺たちの目的は地上最強のメンバーを集めてエイリアを倒すことだろ?こんなところでモタモタしてていいのかよ?」

そんな染岡の愚痴の音無が応える。

「うーん。でも、宇宙人の手掛かりは掴めるんじゃないでしょうか?ほら言うじゃないですか。勝つ為にはまず敵を知ることが大事だって!」

そんな会話をしていると瞳子監督が俺たちに向かい話す。

「貴方達。何をのんびりしているのかしら。早くシカ公園へ向かうわよ」

「あっ、はーい!」

「チッ…。あの監督なんか偉そうで気にいらねえぜ」

染岡が何か呟いた様だが、キャラバンを降りるみんなの音で確かには聞き取れなかった。

俺たちは数時間キャラバンに揺られていると、ついに奈良に到着した。
俺たちは近くの市街地でキャラバンを降りたのだった。




「うわぁ…、凄く綺麗だねぇ…」

心美がそう呟くのもしょうがない。本当に綺麗だ。
辺りには満開の花が咲き乱れ、俺の鼻に甘い匂いが漂っている。
俺が花に見惚れ、景色に魅入っていると瞳子監督の声が響く。

「やっと奈良に着いたわね。総理が誘拐されたシカ公園はこの先よ」

「なんだかピリピリした空気だな…」

「警備員が沢山いるな。それなのにエイリアを捕まえられなかったのか」

「…まあ、あいつらのスピードなら可能だろうな」

「よし!まずは宇宙人の手掛かりを見つけなくちゃな」

「そうね。捜査の基本は現場からよ。シカ公園に行ってみましょう」


シカ公園に入る為の階段に差し掛かった時、そこに警備員が一人立っていた。

「ここは立ち入り禁止だ。関係者以外は控えてもらおう」

負けじと円堂は警備員に話し掛ける。

「いや、あの…。俺たち総理大臣が誘拐されたって聞いて…」

「その通り。だから事件について我ら【SPフィクサーズ】が調査している。君たち子供が首を突っ込むことじゃない。さあ帰りたまえ」

「えすぴーふぃくさーず…?なあ、えすぴーって何のことだ?」

「円堂…。それ本気で言ってるのか?」

俺がそう聞くと円堂は首を縦に動かす。
俺は少しため息をつきながら円堂に話す。

「…セキュリティ・ポリス。偉い人を守るプロのことだな。…でもそれがシカ公園の入り口を塞いでいるとは…。この先に手掛かりがあるのは間違えなさそうだな」

「でも簡単には通してくれそうにないな」

「そうッスねぇ。宇宙人ももうここにはいないみたいッスし…。宇宙人の手掛かりは他で聞いてみた方が早いんじゃないッスか?」

「…なんだと?」

そんな壁山の言葉にSPが反応した。

「今、宇宙人と言ったのか?なぜそのことを知っている!答えろっ!!」

SPがそう叫ぶと階段の上から、桃色に近い髪の色をした少女が駆けて来た。

「どうかした?」

「塔子さま!」

そんな少女に円堂が話し掛ける。

「誰だお前?とにかくここを通してくれよ!エイリア学園の手掛かりを捜しているんだ!」

「エイリア学園だって…?あんたどうしてその名前を?」

「あんな奴らを放っておくわけにはいかないんだ!通してくれよっ!」

「…フン!知らないよ。宇宙人?何のことだか。そんな奴さっさとつまみ出しなよ」

少女はそう話すと、後ろを向いて階段を登って行ってしまった。

「ええっ!」

「ムキーッ!なんでやんすかあいつ!腹が立つでやんす!」

「今の顔もしかして…?」

鬼道は心当たりがあるのか、何か考えているみたいだ。

「さあ、子供は帰れ」

「って、おい!さっきの奴だって子供だろ!」

「そ、染岡!ここで騒ぎを起こすのはまずいぜ…」

俺はそう染岡に落ち着くように促す。

「円堂。正面から公園に入るのは難しいかもしれない。ここは一旦退いて、別ルートを考えよう」

「そうだな。この辺の人達に少し話を聞いてみるか…」

「…くっそー!絶対にシカ公園に入ってみせるぞ!」

俺たちは話し合った結果、近くの人達に話を聞きに行ったのだった。 
 

 
後書き
雷藤「心美はぐれるなよ」
心美「ありがとうお兄ちゃん!」 

 

宇宙人の手掛かり

 
前書き
大変お待たせしました!
今年初投稿です!今年も宜しくお願いします! 

 
俺たちがいろんな人を聞き回っていると、途中で女性の声が聞こえた。

「くすくすっ、えー本当に〜?」

「本当だって!さっきシカ公園からシカが出てきたでしょ?あの階段の前にいる怖そうな警備の人ったらすっごく驚いちゃって…!」

俺たちはそんな話をしている2人の女性に近付くと、悪いと思いつつも盗み聞きをした。

「『オレ、動物は苦手なんだ!』なーんて言いながら木の陰に隠れちゃったのよ。おとなしいシカをあんなに怖がっちゃって。あれで警備が務まるのかしらね?」

そんな話を聞いていた俺たちは、ふと呟く。

「シカ…。あそこのSPはシカが苦手なのか」

そんな時、音無がポンと手を叩くと、俺たちに向かい話す。

「閃きました!公園からシカを連れて来ればSPを退かせるかもしれません!」

「でも、連れて来るってどうやるんだ?」

そんな染岡の言葉に壁山が口をむしゃむしゃしながら話す。

「そうッスよねぇ…、むしゃむしゃ…バリッ」

「…って壁山!お前こんな時に一体何を食ってんだよ」

「へへっ、奈良名物シカせんべいッス!むしゃむしゃっ、んぐっ…、うまいッスよ〜。1枚どうッスか?」

俺は少々呆れた顔で壁山に呟く。

「シ、シカせんべい?お前いつの間に…」

「おい壁山!俺たちは遠足に来ているんじゃねぇんだぜ!」

そんな時、心美がシカせんべいの袋を見ながら話した。

「ま、待って!そのパッケージに書いてある注意書き…」

そこにはこう書かれていた。

【注意!シカにせんべいを与えないでください。シカがどんどん寄ってきます!】

「…んな馬鹿な」

染岡が信じられないと言ったように呟くと、心美が話す。

「でも、このシカせんべいを使ったら本当にシカが寄って来るかも!物は試しだよ!壁山くんシカせんべい貰うね!」

心美が壁山が持っているシカせんべいを取り上げると壁山は情けない声を上げる。

「ああっ!俺のシカせんべい〜!」

「はい、円堂くん!」

円堂は心美からシカせんべいを受け取ると口を開いた。

「よし!それじゃこのシカせんべいを持ってSPのところに行こうぜ!」

俺は円堂と心美を見ながら、聞こえない程度の声で呟く。

「…そんな上手く行くのかなぁ」

俺は少し不安に思いながら、円堂の後に続きさっきのSPの場所に戻りに行った。



そして、さっきのSPの場所まで戻って来た俺たちを見るなり少し呆れたようにSPが俺たちに話す。

「また来たのか。この先は立ち入り禁止だと言ったはずだが…」

そして心美が前に出るとSPに話しかけた。

「お仕事お疲れ様です!これ差し入れなんで、良かったらどーぞ!」

そう言うと心美はSPに半ば無理矢理にシカせんべいを押し付けた。

「…!?わっ、わわ!!なんだなんだっ!?」

すると、何処かからドタドタ走って来たシカが、SPの持っているシカせんべい目掛けて飛び掛かって来た。

「シ、シカ!?どうして此処にいるんだ!ひえーっ!!」

そう言うとSPは全力疾走でこの場を走り去って行った。

「行っちゃったな…」

「うーん、シカせんべいのパワー恐るべしだね〜」

そう話す心美に俺は口を開く。

「天使のような笑顔でシカせんべいを無理矢理押し付ける奴の方が恐ろしいけどな…」

「お兄ちゃん何か言ったかな?なんか私の方が恐ろしいって聞こえたんだけど?」

「いや、何でもないです…」

「よろしい」

(やっぱり心美を方が圧倒的に恐ろしいな…)

俺がそんな事を改めて実感していると壁山が話した。

「でも、これでやっとシカ公園の入れるッスね」

「ああ。総理が拐われた場所でエイリアの手掛かりを探すんだ!」

円堂のその言葉が合図だったかのように、俺たちはシカ公園に足を踏み入れた。

「くっ!足が…!やっぱりこの間の試合のダメージがまだ…」

「どうした風丸?」

階段を上がってくるのが、遅かった風丸に俺は声を掛けた。

「い、いや…。なんでもないさ」

「そうか…。早く行こうぜ風丸!」





「あっ、この巨大シカ像!ここがTVに映ってた総理の誘拐現場です!」

俺たちは総理が誘拐された現場…。巨シカ像の前に辿り着いた。

「うう…。首が真っ二つッス!ぶるぶる…」

「それにしても、随分広い公園だな」

「宇宙人の奴ら、此処から総理を一瞬で連れ去ったのか…」

すると風丸が何か見つけたようで、俺たちに声を上げる。

「皆!此処に落ちているのは…!」

そこに落ちていたものに、俺たちは息を呑んだ。
俺は一時の沈黙を破るように口を開く。

「…黒いサッカーボール!間違えない。エイリアの奴らのものだ」

円堂がその黒いサッカーボールを持ち上げようとするが…。

「ぐぎぎ…、重い!」

「彼奴らこんなボールを軽々と蹴ってたのか…!」

すると俺たちの後ろから、声が響いた。

「そこまでだっ!」

「なんだ?」

そこにはあの時の無愛想な少女と、SPと思われる他の大人が現れた。

「やっぱり現れたな!その黒いサッカーボールが何よりの証拠!宇宙人の手先めっ!」

「な、なんだって?」

「何、言ってやがる?俺たちが宇宙人だと?」

「どう見たって俺たちは地球人ッスよ!」

「あんた達はまだTVでも発表していない宇宙人のことを知ってた!」

桃色の髪の少女は言葉を続ける。

「それに犯人が証拠を隠しに現場に戻るってのは捜査の基本なんだ」

「しょ、証拠って…。この黒いサッカーボールは、今ここで拾っただけで…」

風丸の必死の訴えも流され、隣のSPも口を開いた。

「惚けるつもりか?往生際が悪いぞ宇宙人!」

そんな聞き分けのきかないSPに円堂が叫ぶ。

「だーかーらー!!オ・レ・た・ち・は・宇・宙・人・じゃ・なーい!!」

「キャプテンの言う通りッス!」

「いきなり宇宙人呼ばわりなんて失礼じゃないか!」

そしてまた少女が話す。

「そーやって必死になって否定するところが、ますます怪しいな」

「宇宙人じゃないったら、宇宙人じゃない!!」

「いーや、宇宙人だ!」

「違う!」

「ふーん。あくまでもシラを切るんだ。往生際の悪い宇宙人だな」

少女は黒いサッカーボールに目をやると、さらに話す。

「黒いサッカーボール…。これを使って沢山破壊行為をしてきたんだな…。そんなにサッカーが好きなら…あたし達SPフィクサーズとサッカーで勝負するのはどうだ?」

「えっ、サッカーで?」

「そうだ。あたし達もサッカーじゃ、そこらの奴らには負けない!それにプレーを見れば嘘をついているかどうかすぐに判るんだ!」

すると円堂は頷き、少女に向かい話す。

「ああいいぜ!それならこっちだって望むところだ!」

「なんか流れでサッカーする羽目になってるけど、なんでサッカーなんだ?」

俺はそう呟いた。すると瞳子監督も呟く。

「さあ…。でもやって損は無いわ。大人相手に彼らが何処まで戦えるのか…見てみたいもの」

「SPフィクサーズか。一体どんなチームなんだ?」

鬼道がそう話すと、音無が急いでパソコンを取り出し、忙しそうに手を動かす。

「えーっと、あった!SPフィクサーズ…。大のサッカーファンの財前総理のボディガードでもあるサッカーチームです!」

「なんかいろんな意味で凄いな…」

俺は苦笑いしながら呟いた。

「塔子さま。チームのみんなに作戦を」

「うん。わかった」

その会話を聞いた、円堂は驚いたように叫ぶ。

「えっ、もしかしてお前がSPフィクサーズのキャプテンなのか!」

「なに?子供がキャプテンだから驚いているの?それとも女の子がサッカーをするのが、そんなに珍しい?」

「いや、ちょっと意外でさ。子供だとか、女の子だとか関係ないよな。大切なのはサッカーが大好きだっていう気持ちなんだ!」

「…えっ」

(流石円堂だな…)
俺は心の中で少し笑いながらその光景を見ていた。

「キャプテン!こんな時に何を呑気に敵と話しているでやんすか!」

「と、とにかく見せて貰うよ。あんた達の…、いや宇宙人の実力をね!」

そして俺たち、雷門イレブン対SPフィクサーズの試合が始まった。
 
 

 
後書き
雷藤「大人相手か気を引き締めて行こうぜ!」
心美「そうだね!」 

 

宇宙人疑惑?

 
前書き
大変お待たせしました! 

 
「さあ、あんた達のサッカー見せてもらうよ!宇宙人さん」

「だーかーら!俺たちは宇宙人じゃないってば!」

俺はユニフォームに着替えると、瞳子監督に話し掛けた。

「監督。大人相手に戦うのにアドバイスか何かありますか?」

「そうね…。取り敢えず、君たちの思うようにやってみて」

「わかりました」

俺と監督のやりとりを見た鬼道は言葉を付け足す。

「初めての試合だからな。監督は俺たちのサッカーを見たいのだろう」

「よし、やろうぜ!俺たちの戦い方を考えるんだ!」





「今回のスターティングメンバーを発表するわ」

FW 染岡 雷藤 豪炎寺

MF 一之瀬 天空橋 鬼道

DF 風丸 土門 壁山 栗松

GK 円堂

瞳子監督がスタメンを発表し、まさかの心美が選ばれた。

「えっ!?わ、私ですか…?」

「ええ。期待してるわ」

「は、はい!頑張ります!」

俺は心美に近付くと話す。

「心美ってマネージャーじゃなかったっけ?」

「細かいことは気にしない!久し振りにお兄ちゃんとサッカー出来るだけで嬉しいの!」

「お、おう。そうだな、心美と一緒にサッカーやるの本当久し振りだな…。今日は楽しもうぜ!」

「うん!そうだね!」




俺たちがグラウンドに出揃い、ホイッスルを待つ。
あの桃色の髪の少女はMFのようだ。

そしてホイッスルがグラウンドに響いた。

ピーーーーーーーーーー!!

「よっしゃ、行くぞ!!」

俺が声を掛けて、染岡にパスを出す。

「ああ!!」

染岡がパスを受け取ると、バックパスで一之瀬に回す。

「行くよ!」

一之瀬は大人相手とは思えない程の華麗な動きで、相手を抜き去って行く。

「決めろ!染岡ァッ!」

一之瀬は染岡にパスを出すと染岡はダイレクトで撃ち込む。

「喰らえェェェッ!ドラゴンクラッシュ!!」

グオォォッ!

染岡のシュートは相手キーパーに襲い掛かる。

「セーフティプロテクト!!」

相手キーパーが右手を上げ、そう叫ぶとキーパーの後ろに盾のようなものが
現れ、ドラゴンクラッシュを完璧に止めた。

俺は染岡に顔を向けると、首を傾げた。

(なんだ今の感じ…?いつもの染岡のシュートじゃない。威力がかなり落ちてる…?)

「く、くそッ!」

「どんまいだ!次、決めようぜー!」

後ろからはそんな円堂の声が響いてくる。

キーパーが蹴ったボールは俺たちの頭上を越え、桃色の髪の少女に渡る。

「行かせるかッ!」

「甘いよ!」

風丸がブロックに入るも、少女はFWの木曽久とワンツーで抜き去った。
その次にブロックに入った壁山も軽々抜かれ、ゴールへ向かう。

(なんだ?風丸も壁山もいつもより動きが鈍いような…)

「来い!」

円堂が構えると、少女はFWの加賀美と言う女性にパスを出し
シュート体勢を作る。

FWの加賀美がボールを蹴ると、ボールに4つロックが掛かり
ロックされたボールが回転してオーラを纏っていく。

するともう一人のFW木曽久が回転しながら、
ロックが掛かったボールにかかと落としを放った。

「「セキュリティショット!!」」

ギュゥゥゥン!!

一直線にゴールに襲い掛かるボールに
円堂は連続パンチを放つ。

「だぁぁぁぁっ!爆裂パンチィィィッ!!」

しかし流石は大人のシュート力と言おうか
円堂はどんどんゴールに押し込まれていく。

「ぐぐぐっ…!がぁぁっ!」

威力に耐えかねた円堂はシュートに吹き飛ばされ
俺たち雷門は先制点を許した。

「くぅ〜〜!流石は大人のシュート!威力が違うや!」

円堂は立ち上がると楽しそうに笑い、叫ぶ。

「やっぱサッカーは楽しいや!!」





再び俺たちからのボールから始まり、俺は心美と上がって行く。

俺が中央を突破して行くと2人の選手が行く手を阻む。

「行かせないぞ!」

「へっ!行くぞ心美!」

「うん!」

俺と心美はジグザグに動き、高速で相手を四角に囲むように走り去る。

「「ダブルスクエア!!」」

俺と心美の協力技で相手を華麗に抜き去り、さらに加速する。

「行かせんぞ!プロファイルゾーン!」

相手の桜という男が叫ぶと俺の足下に光が灯る。

「発動までが長いな…!真電光石火ぁぁっ!!」

俺は真電光石火で光から抜け出すと、そのままゴールにシュートを放つ。

「ライトニングアローV2ゥゥッ!!」

バジジジィィィッ!!

久し振りにも感じるシュートは唸りを上げてゴールを襲う。

キーパーは右手を上げ叫ぶ。

「セーフティプロテクト!!」

出現した盾は俺のシュートと衝突して、どんどんヒビが入っていく。

「ぬわあぁぁっ!!」

遂に盾を砕きゴールにボールが突き刺さると
後ろから心美が叫びながら飛びついて来る。

「流石はお兄ちゃん!完璧だねっ♪」

「いや、心美との連携があったからさ。サンキューな」

「へへっ…」

俺と心美の華麗な連携で同点に追い付いた俺たちだが、
その後は点を取れず、前半終了のホイッスルが響いた。

「ふふん!大した事ないね宇宙人さん!」

「ううっ…。やっぱり大人が相手じゃキツイでやんすよ〜」

栗松がそんな事を呟いた時だった。
ベンチに俺たちが戻ると瞳子監督が俺たちに向かい話し始めた。

「みんな聞いて。後半の作戦を伝えるわ」

瞳子監督がそう言うと染岡、風丸、壁山を見ながら話す。

「染岡くん、風丸くん、壁山くん。あなたたちはベンチに下がって」

「な、なんだって?」

「空いたスペースは残りのみんなでカバーして。よろしくね」

そんな監督の指示に納得がいかない染岡が叫ぶ。

「おいっ!冗談じゃねえぞ!なんで俺が下げられなきゃいけねえんだ!!」

「オ、オレ何かミスしたッスか…?」

「監督の考えがわかりません!ただでさえ厳しい状況なのに…」

監督は3人を見ると、一言呟く。

「勝つための作戦よ、後半始まるわよ」

その様子を見ていた鬼道は呟く。

「…何を考えてるんだ。監督は…」

そう呟く鬼道に俺は話し掛ける。

「さあな…。だけどあの3人の動きは今日は鈍く感じていた」

「雷藤もか…。偶然なのか、それとも……」

端では、監督を見ながら風丸が呟いていた。

「この人、本当にサッカーのことわかっているのか?」

そんな風丸を見ながら円堂は、俺たちを見渡し声を掛ける。

「…とにかく、今はこの試合に全力でぶつかるんだ!全力で頑張れば1人の力を2人分にも3人分にも出来る筈だ!」





後半が始まって、俺と鬼道がドリブルで上がって行っていると鬼道が呟く。

「もしかして交代したあの3人は怪我をしていたのか?」

「ああ、多分な…」

するとベンチから木野とお嬢の声が響いてくる。

「みんな!どうしたのこの怪我!?」

「まさか、この間のエイリアとの試合で?どうして黙ってたのよ!」

そんなマネージャーの気迫に押されながら3人が話す。

「だ、だって言うほどじゃないかな〜って…」

「1人でも多くの力が必要だって思ったんだ」

「入院している、あいつらの分まで俺たちが頑張らねえと…!」

その様子を確認した俺たちは納得しながら話す。

「…そうか!あいつらが外れたことでゲームメイクがしやすくなったのか」

「そうかこれで納得したな…。怪我をしている染岡たちに無理をさせないために…」

「…フッ。面白い」

「ああ。面白くなって来たな…」

俺と鬼道はこの状況を覆すことを考えると
不意に笑みが出た。

「…雷藤くん、鬼道くん。あなたたちなら人数的な不利を有利に変えられるわ」

瞳子監督がそんなことを呟くと、自陣のゴールから声が届く。

「よおしっ!とにかく行けそうだな!みんな踏ん張ってくぞ!!」

「「「おおーっ!!」」」

勢いに乗った俺たちはどんどん攻めるが、流石はSP…守りが固い。

「心美!」

俺が心美にパスを出すと、心美は体勢を整えシュートを放つ。

「行くよ…!エンジェルキッス!!」

心美のシュートは空いていたゴールに向かうが、そこにあの少女が現れた。

「やらせないよッ!うおおおおおっ!ザ・タワー!!」

少女が叫ぶと、少女を中心に高い塔が現れ、上空から降り注がれた雷が
シュートにぶつかり、威力を殺しシュートを止めた。

「へへん!どんなもんだッ!」

「やるな、心美のシュートをシュートブロックするなんて」

「む〜〜。悔しい〜、次は決めるよ!」

その止めたボールを少女が前線に蹴ると、加賀美が受け取り
木曽久と共に、先程のシュートを繰り出す。

「「セキュリティショット!!」」

円堂は相手のシュートを確認すると、上半身を大きく捻り止めに掛かる。

「マジン・ザ・ハンドォォォッ!!」

グオオオオアアアアッ!!

マジン・ザ・ハンドの威力に完璧に威力が消えたシュートは
円堂の手に綺麗に収まる。

「ゴールは俺に任せろッ!残り時間で逆転だぁぁっ!」

前線に飛んでいくボールを受けた心美は、豪炎寺に向かいシュートを放つ。

「豪炎寺くんっ!エンジェルキッスV2ゥッ!」

途中で上空に角度を変えた心美のシュートは
炎の渦を巻きながら上昇する豪炎寺のもとへ向かう。

「ファイアトルネード!!」

シュートチェインで威力の上がったファイアトルネードは
衰えを知らずゴールに向かっていく。

「セーフティプロテクト!」

相手のキーパーが踏ん張るも、威力が上がったファイアトルネードに
盾が耐えきれず、シュートはゴールに突き刺さった。

「天空橋ナイスアシストだった」

「ううん!あれを合わせられた豪炎寺くんは流石だよ!」


そしてSPフィクサーズのボールで始まり、最初のひと蹴りした瞬間
俺たちの勝利のホイッスルが鳴り響いた。

「よっしゃあああっ!俺たちの勝ちだぁ!」

円堂が走りながらやって来て叫ぶ。

「…あたしたちの負けだよ。流石は…日本一の雷門イレブンだね!」

「いや〜、それほどでも…。…って、今、なんて言った?」

「へへっ、あたし知っていたよ。あんたたちが全国大会優勝チームだって」

「ええーっ!それどういうことだ?」

その後、少女から詳細を俺たちは聞いた。





「えーっ!総理大臣の娘!?」

「うん、ビックリした?あたし『財前 塔子』塔子って呼んでよ!あんたたちも知っているように、あたしのパパは宇宙人に拐われたんだ。あたし宇宙人からパパを助け出したい!だから超強力な仲間が欲しいんだ!」

「それで俺たちと試合を?強引だけどやり方は嫌いじゃないかな」

俺は塔子の言葉にそう話すと塔子は申し訳なさそうに話す。

「うん…。試すような真似しちゃってゴメン!」

「いいさ、気にするなって」

「…ありがと!でも、あんたたちの力はやっぱり本物だ。あんたたちなら宇宙人に勝てるかも!あたしと一緒に戦って欲しい!パパを助けるために!助けたいんだ!私の手で…!」

すると、その言葉を聞いたSPが塔子に話す。

「と、塔子さま!それはなりません!総理を連れ去ったのが宇宙人であることはトップシークレットなのです!我らSPフィクサーズだけで極秘に解決しなければ」

「どうしてさ!こんなに大変な事態なんだよ。こいつらにも協力してもらおうよ!」

「雷門中と試合をするというワガママは許しましたが…。こればかりはいけません。ここは大人として判断お願い致します」

「でもっ!」

「とにかくここはSPフィクサーズが捜査する。君たちはおとなしくしていたまえ」

「スミスの石頭ーっ!べーっ!!」

塔子はスミスに叫びながら、申し訳なさそうに俺たちに言った。

「ごめん、みんな。そういうわけだからさ…。でも、さっきの試合はとっても楽しかったよ!また一緒にやろうよ!あんたたちなら、いつでも相手になるからさ!じゃあ、またね!」

シカ公園を後にした、塔子達を見送りながら俺たちは話し始める。

「それでこれからどうするッスか?」

「まあ、おとなしくしろって言われて黙ってる、俺たちじゃないよな」

「当然さ!せっかくシカ公園に入れたんだ。俺たちも捜査しようぜ!」

そうして俺たちのシカ公園での捜索が始まった。






一方その頃。
誘拐された財前総理は…。

「くっ!私を何処へ連れて行く!一体どうするつもりだ!」

「…少し黙っていろ」

「ぐあっ!」

そう言うと謎の男は財前総理の溝を打ち気絶させた。



「…さあ、着いたぞ」

気が付いた財前総理は辺りを見渡す。

「ぐっ…!う、うう…ここは…?……うん?こ、これは…!…なっ、なんということだ…!」

そう言って財前総理は目の前のものを見つめていた…。







 
 

 
後書き
心美「何か見つかるといいね」
雷藤「ああ。そうだな」 

 

怒りの塔子

 
前書き
手掛かりを探す俺たちは… 

 
シカ公園で俺たちが捜索しながら、今までのことをまとめていた。

「取り敢えず今わかっていることは、エイリア学園が破壊した後には必ず黒いサッカーボールが残されているってことだな」

俺がそう話すと近くを歩いていたSPの加賀美さんが話に混ざって来た。

「よく調べているわね。でも、研究者があのボールを調べたのだけど、なんとあれはただの重たい鉄の塊らしいわ」

「鉄の塊なんですか!?」

俺も驚いて言葉が漏れる。

「ええ。あれを軽々と蹴っているんだからやっぱり宇宙人って怖いわよね…。エイリアについてもっと知りたければ、ビジョンの前にいるスミスに聞いてみたらどう?…まあ、教えてくれるかはわからないけどね」

「加賀美さんありがとうございます!スミスさんに聞いてみます!」

俺たちは加賀美さんの話を聞いた後、ビジョンのところに向かった。

「…スミスさん、俺たちにエイリアの手掛かりについて教えて貰えないですか!?」

円堂がスミスさんに会うや否や、すぐさま口を開いて話し掛ける。

「なに宇宙人の手掛かりだって?君達には関係ない。大人しくしていたまえ」

そしてすぐさま追い払われてしまった。

俺たちはビジョンの近くに集まり、話し合う。

「くそっ!黒いサッカーボール以外に手掛かりはなさそうだな…」

俺がそんな事を呟くと、隣で冗談交じりに心美が話す。

「宇宙人ならミステリーサークルの一つでもないのかなぁ」

そんな心美を見ながら俺は呆れながら笑う。

「それはUFOだろ。TVの見過ぎだ心美…」

俺たちが会話をしている中、また一人豪炎寺は黙っていた。
それに気付いた俺と円堂は豪炎寺に声を掛けに向かった。

「豪炎寺…?なんか暗い顔してるな」

「おーい、豪炎…」

俺が豪炎寺に声を掛けようとした時、聞き覚えのある声が響いた。

「円堂ー!」

「あっ、塔子!」

「宇宙人の手掛かりは何か見つかった?」

「いーや、さっぱりだ。塔子たちは?」

円堂の問いに塔子は少し顔を俯かせながら呟く。

「ううん、まだ何にも…」

「…そっか。うーん宇宙人の奴ら一体何処に行ったのかなぁ」

そう呟いた円堂に塔子は話し掛ける。

「ね、さっきはありがと」

「へ?」

何を感謝されたのか、わからない円堂は情けない言葉を漏らす。

「サッカーするのに女の子だとか子どもとか関係ないって言ってくれただろ?…あたし、嬉しかった!」

そこで一旦、言葉を止め一呼吸置いてまた話始める。

「パパ、サッカー大好きでさ。それであたしもサッカーを始めるようになったんだ。パパは忙しくって、いつも家には居なかったけど…。それでも休みの日には一緒にサッカーをしてくれた。あたしにとって一番の思い出だよ」

塔子の言葉を受けた円堂は塔子に微笑みながら話す。

「そっか。塔子にとってサッカーはお父さんとの絆なんだな!」

そんな円堂を見ながら塔子はふふっと笑った。

「ど、どうして笑うんだよ…!」

「いや…円堂って変わってるなって思ってさ。総理の娘って知ったら、みんな気軽に話してくれないのに」

「そうなのか?総理の娘っていうのも色々大変なんだなあ」

「ううん。あたしパパのことが大好きだから平気だよ!サッカーでパパを守れることがとっても嬉しいんだ!」

「そっか!じゃあ頑張らなきゃな!」

円堂がそう言い切ると塔子は思い出したように話す。

「そうだ円堂!あたしの友達になってよ。あたしの周りって同い年くらいの子があんまりいないんだ」

その言葉を聞いた円堂がさっきとは逆に笑った。

「何言ってるんだ。俺たちはもう友達だろ?一緒にサッカーをやった仲間さ!」

「円堂…」

それを聞いた塔子は鼻の下を擦りながら照れくさそうに手を差し出す。

「へへっ、それじゃ…。改めて宜しく!」

そんな二人の会話を微笑ましく見ていた俺が後ろを振り向くと同時に、ビジョンからノイズのような音が響いた。

俺の隣に歩いてきた円堂が呟く。

「うん?…シカ公園のビジョンに何か映っているぞ…、あーっ!」

「あ、あいつは!」

その映った映像と同時に俺の心臓が跳ね上がった。

「こ、こいつらがエイリア学園なのか…?」

俺の問いに円堂が応えるよりも早くビジョンに映った映像が話し始める。

『地球の民たちよ。我々は宇宙からやって来たエイリア学園なり。お前たち地球人に我らの大いなる力を示す為、この地の降り立った。サッカーという1つの秩序において逆らう意味がないことを示してみせよう』

「い、今のはレーゼ!くそっ、一体何処から話しているんだ!?」

「レーゼ…?」

俺からそんな言葉が溢れると同時に汗が額を駆ける。

(あれがエイリア学園…?俺は知っている…。あの声、あの目…。嘘だろ…?まさか…)

「パパを拐った宇宙人め!ちっ、ちくしょう…!パパを返せーっ!!」

プルルルル…プルルルル…

そんな時、スミスさんの電話に一本の電話が掛かって来た。

「なに!間違えないな!?」

電話を終えるとスミスさんは大声で塔子に話す。

「塔子さま!探知しました!先程の放送の発信源は奈良シカTVです!!」

「本当…!?わかった!スミス、車を出して。急いで奈良シカTVに乗り込むよ!」

塔子は一目散に駆け出して車に向かって行く。

「パパ待ってて…!今すぐ助けに行くよ!!」

心美は心配そうに呟く。

「塔子ちゃん…。お父さんのことが心配で周りが見えなくなってる…、お兄ちゃん…」

「…そうだな。チームをまとめるキャプテンがあんな風に怒りで我を失っていては危険だ…。今の状態でエイリアと戦っても到底勝てないだろうな…」

俺がそう呟くと豪炎寺が口を開いた。

「ああ、まずいな…。ただでさえ奴らの強さは半端じゃないんだ」

豪炎寺の言葉を聞いた円堂は頷いて叫んだ。

「よし、みんな!俺たちも奈良シカTVへ急ごう!俺たちでエイリアを倒して塔子たちを助けるんだ!」

円堂の言葉に続いて俺も話す。

「ああ、円堂の言う通りだ。俺たちもキャラバンに戻ってすぐに追い駆けよう」

(そして俺は…エイリアと戦って確認しなければならない…。まさかお前なのか……)
 
 

 
後書き
雷藤「早く行くぞ!」
鬼道「…ああ。…雷藤は何故そんなに焦っているんだ…?」 

 

奈良最強の選手

 
前書き
奈良シカTVに着いた俺たちだったが… 

 
キャラバンで移動し、奈良シカTVに着いた俺たちは、入り口に向かう。

「おい雷藤。あの監督はどうして来てないんだよ」

そんな中、染岡が俺に話し掛けた。

「何か用事があるから、先に行っておいてくれってさ」

「用事って…!エイリアと戦うより大事な用があるのかよ!?」

その話を聞いた鬼道も話に加わる。

「よせ染岡。俺たちの敵はこの中にいる。気を引き締めていけ」

円堂は俺たちに振り向き声を掛ける。

「よし!それじゃあ乗り込むぞっ!」

俺たちが入ろうとすると、入り口に立っていた警備員が俺たちを止める。

「こらこら。今は立ち入り禁止だぞ!」

「えっ!?」

「宇宙人退治に政府のSPフィクサーズが踏み込んだところだ。子供の出る幕ではない。引っ込んでいたまえ」

一喝された円堂は警備員に向かい反抗する。

「そ、そんなあ!俺たちだって宇宙人と戦うぞ!」

壁山も続いて反抗する。

「そうッス!俺たちSPフィクサーズと試合して勝っているッスから!」

壁山の言葉を聞いた警備員の2人は、顔を見合わせると腹を抱えて笑う。

「…ぷっ、ははは!冗談はよしたまえ。さあ危ないから下がってなさい」

俺はその2人を横目で見た後、円堂に話し掛ける。

「円堂。どうやらここは俺たちの力を証明する必要がありそうだな」

円堂は俺の言葉に首をかしげる。

「証明するって…どうやって?」

「格好は悪いが、瞳子監督に全国優勝チームって証明してもらおう。子供の話ならともかく、大人の話なら信用してくれるかもしれない」

「うーん、そんなにすんなり行くものかな…」

「当たって砕けろだ」

「まあ、取り敢えずキャラバンに戻って監督に相談してみるか…」


俺たちがキャラバンに戻ると、瞳子監督が丁度出てくるところだった。

「貴方達、何をしているの?エイリア学園はどうなったのかしら」

「それが……」

円堂が瞳子監督に詳細を説明し終わると、瞳子監督は大きなため息をつきながら話す。

「…ふう。少しは自分の頭で考えるということを知らないのかしら」

いちいち気に触る言い方だが、人間不思議なもので慣れて来たな…。

そんな中、やはり染岡が叫ぶ。

「な、何だとぉ!?」

瞳子監督はそんな染岡を軽く目で見た後、俺たちに話し出す。

「子供だから認めてもらえない。そんな状況で私が出て行っても何も解決しないわ。それどころか、やはり大人に頼るしかないただの子供と思われるだけよ」

痛いところを突かれたな…。確かに瞳子監督の言う通りだ、だけど…。

「…それは百も承知です。ですが、この方法が一番早いと判断した結果です」

俺がそう訴えるも、瞳子監督は一言、言い切る。

「それは判断を誤ったわね」

「…………」

そんな俺と瞳子監督の言い合いを見た壁山が呟く。

「ら、雷藤さん相手に…容赦ないッス」

瞳子監督は今度は軽いため息をして話す。

「いい?私たちが旅に出た理由は何かしら?」

風丸がその言葉に反応して呟く。

「それは地上最強のメンバーを集めることで…」

「そうよ。当然この奈良にも隠れたサッカーの強者がいるはず。中には地元では知らない者がいない程、有名な選手もいるでしょうね」

その言葉を聞いた円堂は手をポンと叩き話し出す。

「そうか!そいつをメンバーにして連れて行けば…!」

「もしかして、話を聞いてくれるかもッス!」

「で、でも…そんな選手の居場所なんて、どうやって調べるでやんす?」

「それには及ばないわ。響木監督がこの奈良の選手リストをファックスで送ってくれたわ」

「選手リスト?」

「これから旅をする中で、貴方達は沢山の選手に出会うはずよ。響木監督に連絡したい時は、そこの窓際にある通信機を使って頂戴」

俺は円堂が貰った選手リストに目を向け、円堂に話し掛ける。

「取り敢えずはその選手リストに目を通してみようぜ」

俺たちがそのリストに目を配ると、驚きの名前があった。

「お、おいおい。マジかよ」

俺は知らず知らず呟く。

「えっと、なになに…。奈良市街区の桜の木の下によく現れる…だってさ」

「なかなか洒落てるな、あいつ…。円堂…行ってみようぜ」

「ああ!こいつが仲間になれば百人力だぜ!!」

「まあこいつが奈良最強の選手って言われても疑わねぇな」

そして俺たちは市街地の桜の向かった。


俺たちが市街地に到着し、桜のもとに向かって行くと満開の桜の下で寝転がっている人が居た。

俺が桜に近付くと、俺に気付いたのか男は俺を振り向いた。

「ん?君は…雷藤?」

「ああ。最近会ったのに久し振りに感じるな…。なあ黒薔薇?」

そう奈良最強の選手と呼ばれていた選手は、フットボールフロンティアで世宇子中との死闘後に最強の敵ナイトメアとして現れた、ナイトメアキャプテンでエースストライカーの黒薔薇 咲夜だった。

「一体奈良まで何しに来たんだい?」

「エイリア学園のことは知っているよな?」

「勿論さ。学校を破壊しまくるイカれた奴らだろう?」

「…ああ。知っているなら話は早い。奈良最強の選手と言われているお前の力を貸して欲しいんだ」

「ふうん。俺が雷門にねえ。面白い提案だな」

円堂は考える黒薔薇にさらに話す。

「黒薔薇!お前の力があればエイリア学園を倒すことが出来るかもしれないんだ!」

黒薔薇は腕を組んで考えた後、やがて顔を上げ口を開いた。

「そこまで言われたら、断る訳には行かないな…。わかった、俺は雷門イレブンに協力しよう」

そんな少し口元を緩めながら話した黒薔薇に円堂は、黒薔薇の手を握り握手をした。

「黒薔薇サンキューな!お前がいたらエイリア学園にも負けないぜ!」

円堂に半ば強引に手を握られ、ブンブン上下に腕を振られている黒薔薇は話す。

「わ、わかったから!手を離してくれないか!?」

「あ、ごめんごめん!」

円堂の握手から解放された黒薔薇は、軽く咳払いをした後話す。

「それで何をすればいい」

その黒薔薇の問いに俺が応えた。

「取り敢えずは今から奈良シカTVに向かう。そこにエイリア学園が居るんだ」

「なに?今、エイリア学園は奈良にいるのか?」

「ああ。だから俺たちはお前を探しに来たんだ。すまないが時間がないんだ、今からすぐに移動する。ついて来てくれ」

俺たちはキャラバンに戻り、黒薔薇に背番号17のユニフォームを配布した後、急いで奈良シカTVに向かった。
 
 

 
後書き
黒薔薇「エイリア学園がまさか奈良に来ていたとはな…」
円堂「ああ。黒薔薇頼んだぜ!」
黒薔薇「任せておけ」 

 

雷藤VSレーゼ

 
前書き
ついに雷藤が初のエイリア学園戦! 

 
奈良シカTVに到着した俺たちは急いで入り口に向かった。

警備員のところに辿り着いた俺たちは、改めて俺は話し掛ける。

「警備員さん、この人を見てもさっきの話…信用出来ないか?」

黒薔薇が俺たちの後ろから現れると、警備員の目が変わった。

「き、君はもしかして…!奈良最強のサッカー選手…黒薔薇じゃないか!?」

「ああ。その通りだよ。俺たちをこの先に通してくれるかな?」

「黒薔薇を仲間にしているとは…。どうやら君達の力は本物らしいな」

その言葉を聞いた円堂が警備員に叫ぶ。

「警備員さん!塔子は…SPフィクサーズたちは、今どうなっているんですか!?」

「それが…さっきからSPフィクサーズと連絡が取れないのだ。まさかとは思うが…。彼らはもう…」

「そ、そんな!」

「彼らは今、屋上で宇宙人と戦っている!早く手伝いに行ってくれ!」

俺たちを実力をようやく認めた警備員が道を開くと、円堂が一番に走り出し叫ぶ。

「エイリアを倒して塔子たちを助けるんだ!!行くぞ、みんな!!」

「「「おおっ!!」」」


俺たちが屋上に登って行く、丁度その時……。

「さあ、残るは1人…」

そう冷たく言葉を放ったレーゼは、塔子を見る。

「くそっ!お前たち、よくも…!」

レーゼがロックオンした塔子を庇うように、スミスが足を引きずりながら塔子の前に立つ。

「お嬢様はまだ子ども。こんなところで果てるわけには…!」

「うるさいっ!あたしはSPフィクサーズのキャプテンなんだ!スミスたちを見捨てていけないよ!あたしも最後まで戦うんだ!」

塔子がそう叫んだ時だった…。

「そこまでだっ、レーゼ!」

「円堂!?」

俺たちがグラウンドに向かうとエイリア学園の姿があった。

「ほう…あの時の地球人か?」

レーゼがそう呟く。

「円堂たち来てくれたのかっ!?

「塔子!大丈夫だったのか!?」

塔子に円堂が話しかけると塔子がスミスたちを見ながら話す。

「あたしは平気…!!でも、でもみんながっ!!」

「「うう……」」

「スミスさん!…な、なんてことを」

そんな哀れなスミスさんたちを見て、相手のキーパーのゴルレオが呟く。

「フン…身の程を知らず、我らに戦いを挑むからそうなるのだ」

ゴルレオの言葉にニヤッと笑いレーゼは話す。

「まだゲームは始まったばかり。地球人はこれから真に思い知るのだ。我らの大いなる力をな」

その言葉を聞いた円堂が声を荒げ叫ぶ。

「何がゲームだっ!ふざけるなっ!」

「円堂…!」

「レーゼ!俺たちと勝負だっ!!入院している半田や少林…みんなの気持ちを背負って俺たちはここに来た…!だから絶対負けない!今度こそお前らを倒してやる!!」

その円堂の言葉に笑いを堪えきれなくなったゴルレオが話す。

「くく…、聞いたか。俺たちを倒すだと」

「フン…。我らも甘く見られたものだ。…いいだろう。二度と立ち上がれないよう叩き潰してやる」

レーゼは冷たく言い切ると、円堂を見て俺に目を向けた。

「…今回は楽しくなりそうだな」

レーゼが放った言葉は聞き取れなかったが、嫌な予感しか湧いてこなかった。

「円堂!あたしも一緒に戦わせて!あたしを庇ってくれたSPのみんなの気持ち…。無駄にしたくないんだ!」

「決まりだな!頼むぜ塔子!」

「ああ!」

塔子の言葉を受け、レーゼを睨んだ円堂は叫んだ。

「行くぜ!もう一度勝負だエイリア学園!お前たちを倒して…サッカーを破壊の道具に使うことを止めさせてやるっ!」


FW豪炎寺 黒薔薇 染岡
MF天空橋 雷藤 鬼道 一之瀬
DF風丸 壁山 土門
GK円堂

この布陣で挑む。今までのオーダーで一番強いだろう。

俺はグラウンドに向かいながらレーゼを見る。

「……………」

俺は視線を心美に向けると塔子と話していた。

「パパは必ず取り戻す!エイリア学園を倒してね!」

「うん!絶対倒そうね!」

そんな言葉を聞いたレーゼは呟く。

「地球にはこんな言葉がある。『井戸の中の蛙 大海を知らず』…己の無力を思い知るがいい」

そのレーゼが放った一言で俺は、確信した。

「やっぱり、お前は…………」



俺たちのボールから試合はスタートだ。

染岡がボールを蹴り、黒薔薇にボールが渡り試合が始まった。

「行くぜ黒薔薇!」

「任せろ…。えーっと…」

黒薔薇が返したボールを受け取りながら、染岡は叫ぶ。

「染岡だっ!」

染岡が上がって行くと、相手のDFギグに瞬く間にボールを奪われた。

「ぐっ、クソォ!」

「行かせないっ!サンダーバインド改ッ!」

雷を纏った俺はギグからボールを奪った。

「な、何っ!?」

俺がハイスピードでエイリア学園に攻めて行くと、ゴール前まで下がって来ていたレーゼがディフェンスに入る。

「私たちに付いてくるとは、流石だな雷藤…」

「やっぱりお前は緑川なのか…」

「やはり気付いていたか…」

「どうしてお前が!どうしてなんだっ!!」

「父さんのためだ…」

レーゼ…。否、緑川から放たれた言葉に俺は絶句した。

「と、父さんの為だって…」

「だから私たちはお前たちに負ける訳には行かないっ!」

その瞬間、腹部に激痛が走る。

「雷藤!」

円堂の声が響く。

俺からボールを奪っていたレーゼが、俺の腹部にシュートを放ったのだ。

「ぐあっ…!」

軽く吹き飛んだ俺だったが執念で踏みとどまり、再びボールを持ったレーゼにタックルを仕掛ける。

「うおおおおっ!!」

ガッ!

「今のを喰らってなお歯向かうか…!」

ガツンガツンとタックルしあう俺たち…。そして主導権を握ったのは俺だった。

「おおおおおっ!!」

「ぐっ…!奴を通すな、止めろ!!」

俺に四人のマークが付き、身動きが取れなくなった。

「くっ……!」

俺が身動きが取れないでいると、豪炎寺の声が聞こえた。

「雷藤、俺が打つ!上にボールを蹴ってくれ!」

「よし!頼んだ豪炎寺!!」

俺が空に向かいボールを蹴り上げると、豪炎寺が纏う炎が目に入った。

ゴールに目線を向け、打とうとした豪炎寺だが頭にある事が浮かんだ。

『お前たちは何者だ!』

『お前が…豪炎寺 修也か?』

『…………………が大事ならわかってるな?』

「うっ…!」

豪炎寺が放ったファイアトルネードはゴールから大きく外れ、ビルにぶつかり弾き飛んで来る。

「くっ…!」

「えっ!?」

俺も驚きを隠せず呟く。

「豪炎寺が…外した?」

「大丈夫か豪炎寺?」

円堂が豪炎寺に心配して話し掛ける。

「あ、ああ…」

「どんまいどんまい!次は決めていこうぜ!」

「ああ…すまない」

そんな豪炎寺を見ていた黒薔薇が呟く。

「あの豪炎寺がシュートを外すなんてな…」

そんな俺たちの様子を見ていた瞳子監督がベンチから話し掛ける。

「…あなたたち、今、自分たちがどんな状態かわかっているの?」

風丸が呟く。

「状態?」

「今のあなた達じゃ雷藤くんを除いて、奴らのスピードにはついていけない。それはもうわかったでしょう」

瞳子監督の言葉に染岡が叫んだ。

「んなことはわかってる!じゃあ、どうしろってんだ!!」

「ここからはディフェンダーとフォワード全員入れ替わりなさい」

「えっ?入れ替わる!?」

その提案に反対する染岡が叫ぶ。

「おい!そんなこといきなり言われても出来るわけねえだろ!」

「そんなディフェンスじゃ、奴らに抜かれるに決まっています!」

「だったら抜かれないようにすることね」

そして俺たちはディフェンダーとフォワードを入れ替わった。




その後は言うまでもなく、慣れないポジションになった俺たちは手も足も出ず、点を大量失点してしまっていた。

「ぐふっ…!」

エイリアの強烈なシュートに膝を付く円堂。
すると、膝を付いた円堂を見たレーゼは突如として黒いボールを出現させ足元に下ろした。

「フン…つまらんな。これ以上貴様らの相手をしている暇はない。お遊びはお終いだ。これで消えろーっ!」

黒いボールに邪悪な渦が纏い始め、そのボールを円堂目掛けてレーゼが打ち込む。

「アストロォォ…ブレイク!!」

グオオオオオオオオオオオッ!!

地面を大きく抉りながら突き進むシュートに周りにいた選手が吹き飛ばされる。

「果てろォォォォ!」

俺は気付いたら円堂の前に立っていた。

「ここで円堂を失うわけには行かない!うおおおおおおっ!!」

俺はシュートに突っ込み蹴りを打ち込む。

しかし俺の身体はシュートの威力に押され、シュートに呑み込まれてしまった。
そして俺の意識はなくなった。



お兄ちゃんが止めに入ったシュートが収まると、そこにお兄ちゃんの姿はなかった。

「え…?お、お兄ちゃん…?」

私は確かに今までそこにいた筈のお兄ちゃんを探すが見当たらない。

「雷藤おおおおおおおお!!!」

私は円堂くんの叫びにビクッと反応すると、この状況を理解した。

「お兄ちゃん……嘘でしょ…。嘘って言ってよおおおっ!」

そう気付いてしまったのだ、お兄ちゃん…雷藤真紅は宇宙人によって消されてしまったと…。

「フハハハハ……!哀れな地球人よ…実に面白い見世物だな!」

そう言い残すとレーゼはボールから放たれた光に包まれ姿を消した。
 
 

 
後書き
心美「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 

 

絶対待ってるからな!

 
前書き
エイリア学園に消されてしまった雷藤……
雷門イレブンはその頃… 

 
「……ゃん!………みちゃん!…………心美ちゃん!」

私は誰かの声を聞き、暗闇から目を覚ます。

「うぅぅ……秋ちゃん?」

「良かった気が付いたんだね!心配したよ!」

「私は………。お兄ちゃんは…、秋ちゃん…お兄ちゃんは何処……」

「っ………!雷藤くんは………!」

私を見ながら必死に話そうとする秋ちゃんから、涙が溢れる。
私は秋ちゃんの顔から視線を逸らし周りに視線を向ける。

「くっ……うう……」

「くそっ!…なんであいつが…雷藤が消されなきゃなんねぇんだよ……!!」

秋ちゃんの後ろでは円堂くん、染岡くんを始めメンバー全員から涙が溢れていく。

私は………私は……………。何も出来なかった……!!

そう思うと自然と涙が止まることなく流れて来る。

「私は………私は………。うわあああああああああ!!」

身体中が震え、言葉では表せない虚無感が私を襲う。

「ひっく…ひっく………。私はこれからどうすればいいの……。教えてよ…お兄ちゃん………」

そんな時、私を暖かい人の身体が私の震えを抑えた。

「大丈夫よ…心美さん…」

私が顔を上げると、そこには瞳子監督がいた。
私を包んだ温もりは瞳子監督の温もりだったみたいだ。

「大丈夫………?」

私はまだ涙が止まらない中、震え声で瞳子監督に問う。

「ええ…。雷藤くんは消えていないと思うわ」

その言葉にメンバー全員が顔を上げた。

「そ、それは本当ですか!?」

円堂くんが瞳子監督に向かい話す。

「雷藤くんは消されたのではなく、多分飛ばされたんだわ」

「飛ばされた…?」

「考えてみて。彼ら…エイリア学園は黒いボールの光が放たれた時、姿を消しているわ。多分、自分たちの基地に戻っているんでしょう…。ならばあの黒いボールに巻き込まれて姿を消した雷藤くんは何処に行ったと思うかしら…?」

「…まさか!?」

「ええ。そのまさかよ。雷藤くんはエイリア学園の基地に飛ばされた可能性が極めて高いわ」

「そ、それじゃあお兄ちゃんは……!?」

「無事だと思うわ…」

私はその言葉を聞いて安心すると力が抜け椅子に座り込む。

「良かった…良かった………!」

私は一生分の涙を流したんじゃないだろうか、と思う程涙を流し落ち着きを取り戻すと会話に戻る。

「それにしても二度もこんな負け方をするなんて…」

夏未ちゃんが放ったその言葉を聞いて思い出したように染岡くんが話す。

「なんなんだよ!今日の監督のあの作戦は!あれじゃ、どうぞ点を取って下さいって言ってるみたいなもんだろ!」

染岡くんの怒号に鬼道くんが冷静に話す。

「待て染岡。…落ち着いてよく考えてみろ」

「なんだよ鬼道!まさかお前、あの監督の肩を持つのか!?雷藤が飛ばされたのも、大体あの監督がフォーメーションを変えたからじゃねぇか!」

「そうは言っていない。だが周りをよく見てみろ。今回の試合、怪我人が一人もいない」

染岡くんは辺りを見渡し、確かにという表情で鬼道くんにもう一度話す。

「でも、それがなんだって…」

「前半で俺たちの体力はすでに限界だった。あのまま試合を続けていたら?」

その言葉の意味を理解した風丸くんが話す。

「…!恐らくは、俺たちも今頃病院に…」

「そう、監督は俺たちが怪我をしないように試合を終え、次に繋げようとした。だから、あんな作戦をとったんだ」

「なるほどな…そういうことだったのか…」

鬼道くんの言葉に納得した黒薔薇くんが頷く。
しかし納得のいかない染岡くんが話す。

「…でも、本当にそれで良かったのか?どんな状況でも全力で戦う。それが俺たちのサッカーだろ!円堂や雷藤を犠牲にして俺たちだけ助かって…!そんなの雷門のサッカーじゃねぇ!」

円堂くんはそんな染岡くんに話す。

「染岡…それは違うぜ!監督は…奴らを使って俺を特訓してくれたんだ」

「特訓だと…?」

「あのフォーメーションのお陰で奴らのシュートをかなり受ける特訓が出来た!お陰で最後の最後ちょっとだけ奴らのシュートが見えたんだ」

「えっ、本当か円堂!?」

「あぁ!今でも手がひりひりしてら。でも、思ったんだ…。これなら取れないことない!もっともっと特訓して力を付ければ必ず取れるって!」

夏未ちゃんはまとめるように話す。

「つまり監督は今日の試合を捨て、次の試合に勝つ為にみんなの身を守った。そして円堂くんにキーパーの特訓もさせていたのね」

「そういうことだったッスか…。やっぱり監督って凄い人ッス!」

瞳子監督は黙っていた口を開き話す。

「…理解してもらえたようね。それと、もう一つ監督としての指示があるわ」

「はい!」

瞳子監督はそのまま視線を豪炎寺くんに向けて話す。

「豪炎寺くん。あなたにはチームを離れてもらいます」

「「「え?えーーーーーーっ??」」」

「い、今、何て言ったでやんすか?豪炎寺さんに離れろとか何とか…」

円堂くんもあまりの発言に瞳子監督に問う。

「どういうことですか監督!豪炎寺に出て行けなんて!」

風丸くんも監督の発言に言い返す。

「そうですよ監督!豪炎寺は雷門のエースストライカー。ましてや雷藤もいない今、こいつ無しじゃエイリアには!」

栗松くんも話す。

「…!もしかして今日の試合でミスったからでやんすかっ?」

「そうなんですか監督!それで豪炎寺に出て行けって!?」

「ちゃんと説明してください!」

瞳子監督は少し間を空けると話し始める。

「私の使命は地上最強のチームを作ること。そのチームに豪炎寺くんは必要ない。それだけです」

「でも、それじゃあ説明に!」

円堂くんがさらに問い詰めようとすると、豪炎寺くんは一人で黙ったまま歩いて行ってしまった。

「豪炎寺!?おい何処に行くんだ!!」

円堂くんはこの場から去ってしまった豪炎寺くんを追い掛けて走り出した。



俺が豪炎寺に追い付くと奈良シカ公園にまで辿り着いていた。

「お、おい!待てって豪炎寺!なあ一度や二度の失敗がなんだ!誰にだって調子の悪い時はある!俺ならいつだって特訓に付き合うぞ!なんならこれから……」

「…………」

「豪炎寺!」

俺は豪炎寺に向かい話し始める。

「…覚えてるか?俺たちが初めて一緒にサッカーをした、あの帝国戦!お前はピンチだった俺たち雷門イレブンを勝利に導いてくれたんだ!あの時、俺…お前とならすっげー楽しいサッカーが出来るって思った!きっと、どんな奴らが相手でも絶対に勝てるって!今もそう思っている!」

俺が一生懸命伝えた豪炎寺への気持ち…。しかし豪炎寺から帰ってきた言葉は冷たかった。

「……言いたいことはそれだけか」

豪炎寺はまた歩み始める。

「豪炎寺!あいつらに負けたままで…悔しくないのか!?学校ムチャクチャにされて!仲間をあんな目にあわされて!」

「…………」

「一緒に伝説のイナズマイレブンになるって誓っただろ!?」

「伝説の…」

「なあ豪炎寺!俺たちのサッカーはこれから始まるんだ!!」

「……何度も言わせるな、俺はチームを抜ける」

「だからなんでなんだよ!豪炎寺!!」

俺がそう叫ぶと豪炎寺が悲しそうな目でこちらを振り向く。

「悪いがこれ以上は付き合えない。監督の言う通りだ、今の俺はお前たちの足手まといになるだけだ」

豪炎寺は一度止めた足を再び前に進める。

「そんなのお前らしくないだろ!豪炎寺!!」

「……なんとでも言え」

「!」

「とにかく俺はここまでだ。世話になったな円堂」

「!!」

豪炎寺は俺に背中を向け、左手を軽く上に上げひらひらと降ると、そのまま姿が見えなくなってしまった。
俺はその見えなくなってしまった豪炎寺に向かい叫んだ。

「絶対待ってるからな!!」

「円堂!豪炎寺は!?」

俺の後を追って来た風丸たちも到着し俺に問いかける。

「行っちまった…」

俺のその言葉に染岡が叫んだ。

「なんで止めなかったんだよ!おい!」

「………」

「もうやめろ染岡」

「…くそっ!」

鬼道が染岡を抑えると同時に塔子の電話が響いた。

プルルルル プルルルル

「…もしもし。ああスミス……えっ?パパが国会議事堂の前で見つかった!?」




『シカ公園から誘拐された財前総理が突如東京に戻ってきました。ですがこの数日間何処にいたのか全く明らかになっていません』

さっき塔子ちゃんの電話に掛かってきた総理の解放の話を、私たちは奈良シカ公園のビジョンに映っていた、緊急ニュースで確認していた。

「…随分早く解放されたな。エイリアの目的は一体何だったんだ」

「もしかして総理、もうUFOの中で実験とかされちゃったりして…」

「こら変なこと言わないの!」

私たちがビジョンを見ていると、背後から声が響く。

「やれやれ相変わらずだな、お前らは」

私はその人物を見て話す。

「鬼瓦さん、どうしてここに?」

「総理の誘拐事件を調べにな。どうやら無駄足だったみたいだが」

「やはり警察にもまだ総理が解放された理由はわかっていないのか。…円堂。ここは直接総理に話を聞いてみるのが良いかもしれない」

鬼道くんは円堂くんにそう話すと円堂くんは頷き話す。

「そっか!誘拐されていたならエイリアについて新しい情報が聞けるかも!」

鬼瓦さんは私たちを見て話す。

「何だと?お前たち総理大臣に会うつもりなのか。お前らみたいな子どもが簡単に会えるような人じゃないんだぜ」

「えっ!そうなのか塔子!」

円堂くんが放った塔子という言葉に鬼瓦さんはなるほどと頷き話す。

「…そうか、何処かで見た顔と思ったが、あんたは総理の娘さんか。それなら総理に会うのも可能かもしれないな」

「良かったね塔子ちゃん!お父さんに会えるよ!」

私が塔子ちゃんにそう言うと

「私は会わない。エイリアを倒すまでは会わないって決めたんだ。円堂たちだけで会って来て。案内はしてあげるから…いこ」

「意地っ張りな娘さんだな…」

黒薔薇くんがそう呟くと私たちは塔子ちゃんに付いて行った。

「しかし誘拐されて無傷で解放されるとは、おかしなこともあるもんだぜ。財前総理とエイリア学園か…、俺の考え過ぎだといいが。……折角だ、俺も総理に会いに行ってみるか」

そう鬼瓦は呟き円堂たちの後を追い掛けた。


 
 

 
後書き
天空橋「お兄ちゃん…待っててね」 

 

俺の名は…

 
前書き
その頃、雷藤は……。 

 
「………っ。うっ…眩しい…」

俺は意識を取り戻し、自分の状況を把握しようとするがわからない。

「あれ…俺なんでベットで寝てんだ…?」

俺が目覚めた場所は、部屋全体が白く静まり返ったベットだった。

「俺はエイリア学園と戦っていて…それからどうなった?」

俺は目覚めたばかりの頭をフル回転させ、意識を失う前の状況を思い出す。

「そうだ…。俺は緑川のシュートを止めに入って意識を失ったんだ…。でも何でベットに俺は居るんだ…?」

俺が必死に考えていると僅かに足音が聞こえた。

「誰か居るのか…?」

コツ コツ コツ コツ

革靴だろうか。乾いた音がやけに大きく静かな部屋に残響を残し響く。

その足音は段々と近くなって来て、遂に止まった。
止まった場所はあろうことかこの部屋の入り口だ。

俺が身構えると入り口のドアがキィィ…と音を立て開いていく。

俺は警戒しつつ入り口を確認すると、そこに居た人物は意外な人だった。
間違えるはずもない…。
あの優しそうな顔に、特徴的な耳…。俺は思わず叫んでしまった。

「と…父さん!!」

その人は吉良 星二郎。
俺の育った場所お日さま園の創設者であり、お日さま園でお世話になった人たちのお父さんだ。

父さんは俺を見て優しく微笑むと、俺に語り掛ける。

「やっぱり真紅だったか!久し振りに会ったら身長も伸びて、大人になったなぁ…」

「そうかな…?まあそうだね、父さんと会うのも約2年ぶりくらいだし」

「私も驚いたよ…。なんせ真紅が私の庭で倒れていたものだから…」

「俺が庭に…?俺はエイリア学園のシュートを受けて、ここに飛ばされたのか…?いや…待てよ。緑川が言ってたな…父さんの為と。あれはどういう意味なんだ…?」

「どうしたんだい真紅。1人でブツブツ喋って」

「あのさ父さん…。父さんはエイリア学園って知ってる?」

「勿論さ!エイリア学園はお日さま園の子ども達だからね!」

俺はその言葉に息を飲んだ。
言われてみれば…緑川だけじゃない。他にも見たことのある顔ぶれがいると思ったら、彼奴らもお日さま園の子ども達だったのか…。

「でも父さん、なんでお日さま園の子ども達が学校を破壊しなきゃならないんだ?おかしいだろ…」

「真紅。耳を貸しなさい、教えてあげよう」

「……………………………………っ!!そんなことの為に!?父さん、止めるんだ!」

「これは新しい日本を作るために必要なことなのです。お前も大人になりなさい」

「父さん…、何があったんだ、あんたは俺の知っている父さんじゃない!」

「真紅…残念です。お前には私の理想を理解出来ないようですね…。使いたくはありませんでしたが仕方ありません」

父さんはポケットから怪しく紫色に輝いた石を取り出すと、俺に語りかけた。

「真紅、お前には協力してして貰いますよ…。例え強制でも…」

父さんは俺にその石を付けたネックレスを掛けると、途端に俺の視界が眩んだ。

「うっ…!と、父さん…何をしたの…!」

「お前が悪いのです。私の理想の世界を理解出来ないお前が…。だからお前を操らせて貰いますよ…」

「なんなんだ…この石は…」

「この石はエイリア石…私の理想を実現させる道具だよ!!」

俺は激しい頭痛に襲われそのまま、意識を失った。




「さあこちらへ来なさい…」

俺は言われるがまま案内され違う部屋に入った。

俺の視界には見たことのある顔ぶれが揃っていた。

「さあ自己紹介をしなさい」

俺は一歩踏み出すと口を開き話す。

「俺はエイリア学園マスターランク。チーム【ガイア】所属、名はエクレールだ…!」

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後書き
???「へぇ…真紅もエイリアに入ったか…。これから楽しみだなぁ…」 

 

新たな仲間!

 
前書き
大変更新お待たせしました! 

 
「エクレールね……。ふん、大層な名前だな…」

俺は1人で呟き、外に赴くと1人の女性の姿を確認した。

「お前は…確か、城ヶ崎だったか?」

俺がそう彼女に話すと、女性は嬉しそうに話し出す。

「覚えててくれてたんだね!亜利沙嬉しい!!でも雷藤くん、亜利沙は今ねシアリアって言うの!宜しくね!」

彼女の銀色の髪が綺麗になびく。

「久しいな。お前と会うのも、もう3年振りぐらいか…?」

シアリアは俺の顔を確認すると、思い出したように話す。

「なんか違和感があると思ったら、そっちの雷藤くんだったんだね!亜利沙はどっちの雷藤くんも好きだけど!」

「ほう…。よく気付いたな」

「だって口調が全く違うんだもん!」

シアリアは俺にそう話すと、くすっ と笑い俺の周りを回ってみる。

「どうかしたのか?」

「ううん…なんでもない!」

「シアリア」

「どうしたの雷藤くん?」

「俺をエイリアを強化しているところに連れて行ってくれ」

「うんオッケーだよ!付いて来て!」

俺はシアリアに付いて行き、エイリアを強化している方に向かった。





その頃、心美たち雷門イレブンは……

「パパぁぁぁっ!!」

「塔子!!」

塔子ちゃんは自分が先程言った言葉とは違い出会った直後に、財前総理に抱きつく。

「パパ……良かった…無事で本当に良かった……!」

「塔子、心配をかけたな…。スミス達もすまなかった」

顔を上げた財前総理は私たちに振り向くと話す。

「君たちはフットボールフロンティア優勝校の雷門中だね。活躍はテレビで見ていたよ」

「試合観てくれたんですね!ありがとうございます!」

「今はそれどころでは無いだろう…。総理。単刀直入に申し上げます、エイリア学園に連れ去られた後、総理はどうしていたんですか…?」

円堂くんの言葉を遮り、鬼道くんが単刀直入に財前総理に質問する。

「そのことについてなんだが……、憶えていないんだ…」

「憶えていない!?ほ、本当ですか!?」

「ああ……。気が付いたら連れ去られて、気付いたら戻って来て居たんだ。いや……待てよ…。そういえば何か大きな光っている何かを見たような気がするような……。くっ…、すまない。これ以上は思い出せそうにない」

「大きくて光っているもの…?」

私が呟くと黒薔薇くんも隣で話す。

「その光っている何かがカギになりそうな気がするな」

「大した手掛かりはなしか……。これからどうするんだ円堂」

染岡くんが円堂くんに話し掛ける。

「ううーん……。取り敢えずは地上最強イレブンのメンバー集めに戻るか…」

円堂くんがそう話すと塔子ちゃんが円堂くんに向かい話す。

「円堂!あたしをその旅に連れて行ってくれないか!?」

私たちはみんなで顔を見合わせた後、全員が頷く。

「ありがとみんな!」

「塔子…危険な旅になるぞ…。それでも行くのか?」

財前総理が塔子ちゃんにそう問う。

「うん、この気持ちは変わらないよ。あたしはエイリア学園を倒して地球を救うんだ!」

「そうか……。ふふふっ。子どもの成長は早いものだなスミス…」

「ふふふっ。全くですね…」

財前総理とスミスさんは笑いあうと、総理は塔子ちゃんに言葉を掛けた。

「エイリア学園を倒して、元気な姿で戻ってくるんだぞ!」

「うん!任せてよパパ!」

私たちは外に出ると、イナズマキャラバンに向かった。




イナズマキャラバンに着いた私たちは、初めに瞳子監督のところに向かい、塔子ちゃんの正式な加入の手続きを終えると、次の目的地を決めた。

「次は北海道かぁ……寒そうだなぁ…」

私がそう呟くと黒薔薇くんも呟く。

「確かに寒いが、北海道には伝説のストライカーがいるって噂だろう?そいつに会ってみたいな…」

「ふふっ!」

黒薔薇くんの言葉に笑った私を黒薔薇くんが見る。

「俺、今変なこと言ったか?」

「ううん…、変じゃないんだけど、なんかお兄ちゃんみたいなことを言ったから…」

「ふっ…、アイツの熱さが俺にも移ったのかもな…」

「そうかもね……」

その後、一時間ほど各自、自由時間が設けられ準備を済ませた私たちは、イナズマキャラバンに着席した。

「では、北海道に向けてひとっ走りするぞい!長旅になるから休憩しつつ行く予定じゃ!では、イナズマキャラバン出発!」

古株さんがそう叫ぶとイナズマキャラバンは北海道に向かって走り出した。



どれだけ時間が経ったのだろうか…。
私は重い瞼を開いて、周りを見渡した。

「わぁぁぁぁぁっ!!」

私は目を疑った。
ここはまさに白銀の世界…。
見渡すばかりの銀。雪が昇り始めた太陽の光に反射して、言葉では言い表せない程、美しい。

私は興奮のあまりシートベルトをしているのも忘れ、思いっきり座席から立とうとして、シートベルトにより後ろに戻される。

「いたたた……。シートベルトしてるんだった…」

私はシートベルトを外すと、古株さんに頼んでキャラバンを止めてもらい外に出た。

「うぅぅ……。やっぱり寒いなぁ…」

私はジャンバーを着ると、雪の中に足を踏み出した。

ザクっと足が雪の中に埋もれていく。
実は私は雪を見るのが初めてで、興奮が止まらなかった。

ザクッ ザクッ ザクッ

歩くだけではもの足りなくなった私は、雪の中にダイブしたりして初めての雪を楽しんだ。

「雪って楽しいなぁ〜!よし次は走ってダイブしようかな…」

「そろそろやめとけ、風邪ひくぞ」

ビクッ!っと私はびっくりした。
キャラバンの上には、いつから居たのかは知らないが黒薔薇くんがいたのだ。

「い、いつからそこに……?」

「天空橋がダイブする前くらいからだ」

「も、もう何で黙ってみてるの!1人で騒いでるのを見られてこっちは恥ずかったのに!!」

「恥ずかしがることは無いだろう。女の子らしくて可愛らしかったぞ」

黒薔薇くんはそう私に言うとキャラバンに戻って行った。

「か、可愛らしい……?あわわわ……!」

何故か途端に顔が熱くなった私は、雪の中に顔を埋めて、時間が経った後、キャラバンに戻るのだった。 
 

 
後書き
天空橋「……………」
黒薔薇「どうした天空橋?」
天空橋「な、なんでもないから!!」
黒薔薇「……?」 

 

雪原の王子

 
前書き
遂に目的地に到着…! 

 
ウィーーーーーーン グオン………。

スタ スタ スタ スタ………。

「よお、遅かったじゃねえか雷藤」

「私たちを待たせるなんて、つくづく君らしいけどね」

俺の前にはエイリア学園、トップクラスのメンバーが集まっていた。
ここはエイリア学園マスターランクのキャプテンのみが集える神聖な場所だ。

俺は前の3人を確認して、口を開く。

「懐かしい面々だな…。なあ?涼野、南雲、ヒロト」

「俺たちをそう呼んではいけないと注意しただろ真紅。ここではエイリアネームを使うんだ。俺の名はエイリア学園マスターランク【ガイア】キャプテンのグランだ」

「へっ…!俺はエイリア学園マスターランク【プロミネンス】バーンだ!覚えておけ雷藤…!」

「私は凍てつく氷の冷たさを放つエイリア学園マスターランク【ダイヤモンドダスト】ガゼルだ」

3人は俺に自己紹介を済ませると、グランが口を開く。

「エクレール…。俺はてっきり君とまた一緒に同じチームでサッカー出来ると思ったんだけどな。まさか俺のチーム【ガイア】を脱退するなんてね」

グランが俺にそう聞くと、俺は不敵に笑い首に掛かっていたエイリア石を引き千切り応える。

「俺は確かに最初の紹介では【ガイア】所属と言ったが、それは父さんの勝手な押し付けだ。俺は俺のやりたいようにやり、最強の称号【ザ・ジェネシス】を手にする…!」

「そういう魂胆か…。俺とエクレールが組めば、エイリアで最強の称号【ザ・ジェネシス】を獲得するのも楽だったかもしれないけどね」

「だけど君はどうやって【ザ・ジェネシス】の称号を手にするんだい?唯一のチームを君は脱退したんだ」

俺はガゼルの質問に即答で応えた。

「心配するな…。俺は既にチームを作り上げた。お前らのチームに惜しくも入れなかった選手たち…。俺はそんな奴らを試した。そしてその中から選抜したメンバーでチームを結成した。零れ落ちた星屑は、尊い輝きを放ち力強く光り輝く……。俺が結成した新たなるチーム…。エイリア学園マスターランク【スターダスト】だ!」





雷門イレブンside

「へっくしゅ…!うぅぅ…風邪ひいたかも〜」

私は雪で遊んで以降、身体がどうも熱くなりくしゃみが出る。
さっきから秋ちゃんが看病してくれていて随分楽になった。

でも、私は気付いたんだ。
熱いのは風邪気味だからって、だけじゃないことに…。

あれ以降、黒薔薇くんのことを意識してしまい、どうもうまく話せない。
どうせならあっちから話し掛けて来てくれればなぁ…。

「天空橋、大丈夫か…?」

「ひゃあぅ!!」

「うお!いきなりびっくりするだろ…」

「こ、こっちの台詞だって…!」

私がそんなことを考えていると、突如として等本人の黒薔薇くんに
話し掛けられ戸惑う私。

「意外と元気そうだな…、安心した」

黒薔薇くんの一言に緊張している私。

「私の様子を見にきてくれたの…?」

「まあな。それに天空橋が元気じゃないと、なんだか暗くなるからな」

「黒薔薇くん……」

「ま、まあ要するに早く良くなれよってことだ」

そう言い残して後ろを振り向き、戻ろうとする黒薔薇くんを呼び止める。

「黒薔薇くん…!」

「……?」

私はドキドキと高鳴る鼓動を抑えながら、一言黒薔薇くんに言った。

「あ、ありがとう……」

<i5864|28120>

そんな私を見た黒薔薇くんも、気のせいか少し顔を赤くして後ろに戻って行った。





ガタン ガタン ガタン ガタン

でこぼこ道を1時間程、キャラバンで進んで行くと
先程まで吹雪いていた、雪が弱まってきた。

「天気予報も外れるもんじゃの!こりゃ昼からは日本晴れじゃわ!」

古株さんのテンションも上がっていき、今回の目的地となる白恋中までノンストップで到着した。

「さあ着いたぞい!ここが白恋中じゃ!」

私たちを出迎えたのは、大きな雪が積もった学校だった。

「ここが白恋中かあ!どこに居るんだろうな伝説のストライカーって奴は!」

円堂くんは白恋中に着くなり、かなりのハイテンションだ。

私たちが辺りを見渡していると、1人の少年が寄って来た。

「珍しいなぁ〜!こんな田舎にお客さんが来るなんて…!君たちはどんなようで白恋中に来たんだい?」

白い髪に近い色をした少年が私たちに質問する。
その質問に黒薔薇くんが応えた。

「俺たちは雷門中サッカー部の者だ。ここには伝説のストライカーがいるという噂を聞いて、遥々東京からやって来たんだ」

「へえ…!君たち東京の人なんだぁ…都会だね〜。あ、自己紹介が遅れたね…。僕は白恋中サッカー部キャプテンの吹雪 士郎だよ。宜しくね!」

私は思った、なかなかのイケメンである…と。

吹雪くんはまたまた、そうだ!という感じで話し始めた。

「そう言えばさっき、伝説のストライカーがどうとかって言ってたよね…?多分それは……」

吹雪くんが続きを話そうとすると、私たちの後ろから声が聞こえた。

「伝説のストライカーって、俺のことだろ…?なあ兄貴」

「アツヤ!もう済んだのかい?」

「ああ。久し振りに山オヤジと勝負したが…まあ俺の敵じゃ無かったな…」

「山オヤジ……?誰だその人?」

円堂くんも気になったのかアツヤくんに話し掛ける。

「山オヤジは、熊のことだ」

つまり簡単に説明すると、アツヤくんは熊に勝負を挑んできた訳だ。

そして私は思った、イケメンだ…と。

「アツヤは僕の弟なんだ。そして白恋中のエースストライカー…。多分君たちが捜していた、伝説のストライカーってアツヤのことだと思うよ」

吹雪くんの隣に来たアツヤくんを見ながら私は改めて思う。

イケメン過ぎるよ…、この雪原の王子(プリンス)兄弟……。

「なあアツヤ!俺と勝負しようぜ!お前のシュートを受けたくて、俺ウズウズしてたんだ!」

円堂くんがアツヤくんにそう言うと、アツヤくんは不敵に笑い戦いを承諾するのだった。 
 

 
後書き
アツヤ「俺のシュートが止められるかな…?」
円堂「絶対に止めて見せるぜ!」 

 

吹き荒れる吹雪!

 
前書き
ついに円堂対アツヤ! 

 
「怪我しても恨むんじゃねえぞ」

アツヤくんのその一言がやけに響く。

「絶対に止めてやるぜアツヤ!!」

円堂くんもアツヤくんの言葉に火が付く。

「行くぞ円堂!」

「来い……!!」

アツヤくんがボールを回転させると、ボールの周りが吹雪いていく。

「吹き荒れろ……!エターナルブリザードォォォォ!!」

アツヤくんが放った必殺シュート、エターナルブリザードは円堂くんに向かい唸りを上げて襲っていく。
正直、お兄ちゃんのライトニングアローV2よりも強力に見える。

グオオオオオオオォォォォ!!

「すげぇシュートだ…!絶対に止める!」

円堂くんもこのアツヤくんの渾身のシュートに全力で応えるために、あの技を発動させる。

「うおおおおおっ!マジン・ザ・ハンドォォォォッ!!」

グオオオオオオアアアアアアアアア!!

最強技マジン・ザ・ハンドを繰り出した円堂くんにアツヤくんのシュート、エターナルブリザードが襲い掛かった。
アツヤくんが放ったエターナルブリザードは円堂くんのマジン・ザ・ハンドを徐々に押していき
円堂くんはゴールに吹き飛ばされた。

「ぐわぁぁっ!!」

ピーーーーーーーーー!!

マジン・ザ・ハンドすら通用しないシュートに私たちは言葉が出ない。

「これが白恋中のエースストライカー吹雪アツヤのシュートだ!」

アツヤくんがそう叫ぶと、吹き飛ばされた円堂くんが立ち上がりアツヤくんのもとに向かう。

「アツヤ!お前のシュート本当に凄えな!今でも手がヒリヒリしてるぜ…!」

「お前面白い奴だな…。そういう奴嫌いじゃないぜ」

円堂くんが手を差し出すと、アツヤくんもそれを握り返す。

円堂くんはニカっと笑うと、話し始める。

「よーし今度はみんなで試合をやろうぜ!雷門中対白恋中だぁぁ!」

私たちはみんなで笑った後、みんなで声を上げた。

「「「おおおっっ!!」」」






「雷藤くん!じゃなかった…。エクレール!全員揃ったよ!」

「ご苦労だったシアリア」

俺は椅子から立ち上がると階段を降りていく。
しかし、ここの設備は凄い…。
俺の足の状態も徐々に良くなりつつある。

「全員集まったな…」

俺がここに集めた人物は他でも無い。
【スターダスト】の選抜メンバーだ。

「今からポジションを発表する!」

エイリア学園【スターダスト】

FW ガエン エクレール ヘリオス
MF ショウサワ セツリュウ アサシン シンダイ
DF タショウ シアリア シャア
GK ロイ

「……以上だ。お前らには期待しているぞ」

「言っておくが、別にお前の為じゃねえからなエクレール。俺は俺の意思でこのチームに入ったんだ」

「やめろよガエン。無駄な争いの種は蒔くものじゃない」

「お前はいちいちうるせえんだよセツリュウ!大体キャプテンがエクレールってのが気に入らねえんだよ」

「俺はそういうガエンが気に入ったから、選抜に入れたんだがな」

「けっ…。口が達者なこったな…!」

ガエンはそう言うと、落ち着いたのか静かになった。

俺はこの静寂の間に口を開く。

「俺はこのチームはエイリアでもかなり強いと思っている。正直【ガイア】にも互角で戦えるだろう。シュート力でいうなら俺よりガエンの方が上だ。セツリュウ、アサシンも俺と同等にドリブルが出来る。シアリアもDFとしてはエイリア屈指の選手だ…。それにロイに至っては、【ガイア】のネロに匹敵する実力だ。俺たちは【ザ・ジェネシス】に最も近いチームと言っても過言じゃない…!」

俺の言葉に全員が頷く。

「だが、まだ唯一【ガイア】に負けているものがある。それは連携だ。奴らは抜群のチームプレーでゲームメイクしている。俺たちが今【ガイア】に挑んだら、敗北の確率の方が高い。そこでだ、俺たちは今から物足りないと思うが、【ジェミニストーム】と【イプシロン】を使って実践練習を行う。間違っても殺すなよ…?大事なオモチャなんだからな…!」

「そのくらい承知している」

アサシンが呟くと、ロイも話す。

「つまりは遊んでやれってことだろう?」

ロイの言葉に俺は不敵に笑いながら「そうだ」と頷いた。





「ば、馬鹿な…!雷藤がこんなに強く…、あぁ…ぐわぁぁっ!!」

俺はレーゼを巻き込みながらシュートをゴールに叩き込んだ。

「おいおい、エクレールが言ったんじゃないか殺すなって。ありゃ半殺しだぜ」

「なかなか派手にやるじゃねえか。少しは見直したぜ」

ロイやガエンの言葉通り、俺は【ジェミニストーム】をゴミ屑のように遊んでしまった。

「やっぱり表に出られた時にしか味わえないこの感覚……くくく…最高だぜ…」

【スターダスト】対【ジェミニストーム】 27対0
【ジェミニストーム】を完膚なきまでに叩き潰した。



「くっ…!ドリルスマッシャー!!……ぐ、ぐおおおおっ!!」

ピーーーーーーーーーー!!

「なんだ…ファーストランクの【イプシロン】もこんなものか…たわいもない」

【スターダスト】対【イプシロン】 13対0
相手メンバーを全員負傷させてしまったが、まあ大丈夫だろう。
ここの医療機関の設備ならこれくらい問題ない筈だ。

俺たちの課題は着実に解消されていっている。
やはり後は…強敵…ライバルの出現が俺たちを強くするだろう…。

俺は空を見上げながら呟いた。

「ここまで上がってくるんだな雷門イレブン…!」 
 

 
後書き
黒薔薇「アツヤのシュート、俺のデスサイスと同等かそれ以上のシュート力だったな…」
円堂「ああ…!あんなシュート打てる奴が仲間になったら百人力だぜ!」 

 

風になろうよ!

 
前書き
お待たせしました! 

 
「なかなか派手にやっつけたねエクレール」

俺がイプシロンとの試合を終え、外に出るとグランの姿があった。

「グランか。何の用だ」

「エクレール。今の君は荒々しい、やはり今はもう1人の方なのか」

「ふん、聞くまでもないだろう。お前はもう答えが出ている筈だ」

「なら聞きたい事がある」

「なんだ?」

「真紅が1番最初にここに飛ばされた時、その時までは元の真紅だった筈だ。しかし何故今の真紅はもう1人の方になっているんだ?」

「俺は裏であり表だ。もう1人の方に変化があった時、俺は表に出れる」

「裏であり表…どういうことだ?」

「例えば怒りに身を任せた時…そして」

「そして…?」

「誰かに裏切られて心を閉ざした時だ」

「…!?」

「俺とこいつは全く同じ人物だからな。こいつの感情は嫌でも俺に流れてくる。こいつは過去の出来事を忘れようと必死にもがいてもがいて苦しんでいた」

「過去の出来事だと…?」

「ああ。その出来事がきっかけで俺は生まれた」

「その出来事ってなんなんだ!」

「俺が答えられるのはここまでだ」

「待て!まだ話は…!」

「しつこいぞグラン。如何にお日さま園の頃の親友だったとしても今は敵だ」

俺はそう言い捨てるとこの場を後にした。





雷門中対白恋中の試合を終えた私たちは吹雪くん達が案内してくれたかまくらで暖を取っていた。

「あ〜あったかい〜」

私がそう呟やくと隣で吹雪くんがふふっと笑い話し掛ける。

「天空橋さんサッカー上手だね!僕びっくりしちゃったよ!」

「あはは、ありがとう〜。でもまさか氷漬けにされるとは思わなかったよ〜」

「ごめんね。まさかあんなに良い動きするとは思わなかったから、思わずアイスグランド使っちゃった」

すると吹雪くんの隣にいたアツヤくんも話す。

「兄貴のディフェンス凄えだろ?兄貴がボールを取って俺がエターナルブリザードで点を取る!それが白恋中のサッカーだ」

黒薔薇くんも話す。

「ああ。あんなに攻撃がハイスピードだとは思わなかった。あのスピードならエイリア学園にも対等に渡り合えるかもしれない」

「そのエイリア学園はそんなに速いのかい?」

「ああ。あいつら全員が吹雪とアツヤと同じぐらい速いんだ」

それを聞いたアツヤくんが応える。

「それなら、お前らも俺や兄貴と同じスピードを身に付ければいい話だろう?」

「それが出来たら苦労はしてねえよ!」

染岡くんがそうアツヤくんにいうと吹雪くんが話す。

「大丈夫だよ!僕とアツヤで君たちを速くしてみせるよ」

「まあ俺と兄貴に任せときな!」

そう言われ私たちが案内されたのは雪の坂だった。

「ここで何をするの?」

私がそう訪ねると吹雪くんは坂を下り、スノボーを披露する。

「おお…!吹雪くんスノボー上手いね!!」

私が下りきった吹雪くんにそう話すと、彼はニコッと笑い話す。

「ありがとう!このスノボーこそが速くなるコツだよ!」

「どういうことなんだ?」

円堂くんは首と傾げながらアツヤくんに問う。

「つまりはスノボーでのスピード感を身体に染み込ませるんだ」

坂を登ってきた吹雪くんは私たちにもう一度ニコッとして話す。

「心配しなくても大丈夫!僕たちが教えてあげるから、みんなで風になろうよ…!」

この日から吹雪くん達による特訓が始まった。

意外にも私はコツを掴むのが早く、翌日にはある程度出来るようになった。

「うんうん!いい調子だよ天空橋さん、スノボーのセンスあるよ!」

「えへへ、そうかな?吹雪くん達のアドバイスのお陰だよ!」

そんな練習が終わった後のことだった。

ザ…ザザザ…ザーーーーーー。

「ん、なんだ?」

「多分アナウンスが流れるんだと思うよ」

吹雪くんがそう話したので耳を傾けると、流れて来た声は聞き覚えのある声だった。

『我々はエイリア学園ジェミニストームである。我々は次の破壊の場所を白恋中に決めた。時刻は3日後の15時、白恋中グラウンドだ。我々を止めたくばサッカーで示せ。示せなければその場で破壊する』

そう、流れてきたのはあのレーゼの声だったのだ。

「何だって!?白恋中を襲うだって!?」

円堂くんがそう叫ぶとアツヤくんが応える。

「へっ、ようやく北海道にもエイリア学園が来襲か…。宇宙人ごときに俺のシュートが止められるかな?」

吹雪くんはアツヤくんの言葉に笑うと話す。

「ふふふ、楽しみだね。エイリア学園のお手並み拝見かな?」

私はそんな2人の会話に驚いた。

でも何故だろう。
この2人が一緒に戦ってくれたら負ける気はしない。

「円堂くん!」

私は円堂くんに話し、スカウトを勧めた。

「そうだな!あいつらが仲間になればエイリア学園にもきっと勝てる筈だ!」

円堂くんは2人に近付き話す。

「吹雪、アツヤ!」

「「?」」

「エイリア学園を倒すにはお前たちの力が必要不可欠なんだ!俺たち地上最強イレブンの仲間になってくれないか!?」

「地上最強イレブン…?ふふっ面白そうだね!うん乗った!僕は強力するよ。アツヤは?」

「俺も兄貴が行くなら行くぜ、地上最強イレブンってのもいい響きだしな」

「本当か!?よし、このメンバーなら絶対にエイリア学園に勝てるぞ!!」

円堂くんがそう叫ぶと、アツヤくんが話す。

「まあお前らが俺らのスピードについて来れるかによるがな?」

「任せろ!よぉしみんな!特訓に戻ろうぜ!」

私たちはスピードを身に付けるため特訓を続けた。

そして運命の日がやってきた………!! 
 

 
後書き
天空橋「もうこの日が来たんだ…。もう2度と目の前で破壊はさせない!お兄ちゃん見ててね…!」 

 

2つの戦い

 
前書き
お待たせしました! 

 
ひたすら沈黙が続くロッカールーム。
俺は椅子に座りビジョンを覗いていた。

「雷門対【ジェミニストーム】か、面白そうだな」

そこには心美の姿も伺える。
どうやらもうすぐ雷門対【ジェミニストーム】の試合が始まるようだ。

そんな時、走ってくる音が聞こえた。

「エクレールいつまでここにいるの!?試合始まるよ!」

シアリアの言葉に俺は頷く。
そう俺もこの後、大事な試合がある。
対戦相手はエイリア最強【ガイア】。
敵としては申し分無い。……いや、最高だ。

「ああ…わかっている。先に行っててくれすぐに向かう」

【ガイア】と戦うには俺たちは早いかもしれない。
だが奴らが【ザ・ジェネシス】の称号を取ってからだと遅い。
勝負を仕掛けるのは今しかないのだ。

俺は奴らと戦って確かめたい。
本当の強さというものを…。
そして俺は会いたい。もう一人の俺が好きだった人に…。

そう思うと自分の意思とは裏腹に、言葉が自分の口から発せられた。

「玲名……」

もしかしたら、もう一人の俺が放った言葉なのかもしれない。

「試合に集中するか…。雷門対【ジェミニストーム】は結果は見えてるしな」

俺は立ち上がるとビジョンを消し、ロッカールームから出た。

カツ…カツ…カツ……

「遅えじゃねえかエクレール」

俺がベンチに着くとすぐにガエンが迎えた。

「俺もあいにく暇じゃないんでね」

俺も軽くそうガエンに言うとメンバーを集める。

「この試合、父さんも見ているかもしれない。一つ一つのプレイに全力を注げ。一人でもそうじゃなければ絶対に負けるだろう」

俺がそう選手に喝を入れた時だった。
【ガイア】ベンチから誰かがこちらに歩いて来る。

その姿は間違える筈はなかった。

「八神 玲名……」

八神 玲名。エイリア学園マスターランク【ガイア】副キャプテン。
又の名をウルビダ。

子どもの頃は良くヒロトと玲名とサッカーをもう一人の俺がやっていたのを見ている。

「やはり本当に雷藤 真紅のようだな」

彼女は俺にそう言うと冷たい瞳で俺を見る。

違う…。もう一人の俺が記憶している玲名はこんな瞳ではなかった。
記憶にあるのは暖かな瞳。だが今は氷の様に冷たい。

「そうだ。お前は本当に八神 玲名か?」

玲名はその言葉に反応すると背を向けた。

「その名は捨てた。私はウルビダだ。貴様たちの様な星屑には到底かなわぬ敵と思い知らせる者だ」

ウルビダはそう言い捨てると【ガイア】ベンチに戻って行った。

「何を言われたんだい?」

心配したのかセツリュウが俺に問いかける。

「気にするな、単なる挑発だ」

セツリュウは納得すると下がった。
俺はもう一度向こうのベンチに視線を向け呟く。

「星屑でも集まることで1つの星になることを教えてやるぜウルビダ」

俺はそう呟くと他の奴らの処に戻った。






一方、同時刻雷門イレブンは………

瞳子監督が私たちを集めスタメンを発表する。

FW アツヤ 染岡 黒薔薇
MF 風丸 鬼道 天空橋 一之瀬
DF 塔子 壁山 吹雪
GK 円堂

というメンバーになった。

「俺たちはこの3日間、速さに慣れる特訓をしたんだ!大丈夫…俺たちなら絶対にエイリアに勝てる!」

円堂くんの檄が私たち全員を勢いづかせる。

「やはり円堂の言葉は凄いな、本当にそんな気しか湧いてこない」

黒薔薇くんも微笑しながらそう言う。

そんな私たちを見ていたレーゼがこちらに歩み寄って来る。

「貴様ら人間が我々【ジェミニストーム】に勝つだと…?笑わせてくれる…。そうだなあえて人間の言葉でいうならば【二度ある事は三度ある】貴様らの勝利はない」

私は良い返し文句を思い付き、前に出て話す。

「甘いよ宇宙人!あえて人間の言葉で言ってあげる…!【三度目の正直】ってね。私たちは絶対に負けない!」

レーゼは私を軽く睨むと背を向けた。

「せいぜい足掻くがいい。人間の限界を恨みながらな…!」

ジェミニストームを見ていたアツヤくんが話す。

「あいつらがエイリアか。まあ少しは骨のある奴みたいだな」

アツヤくんはそう言うと吹雪くんの肩に手を乗せる。

「まあ俺たちの敵じゃないよな兄貴?」

「そうかもね、まあこの試合楽しんでいこうよ」

なんという兄弟。
本当に頼もしいの一言に尽きる。


エイリア学園【ジェミニストーム】

FW ディアム リーム
MF グリンゴ レーゼ パンドラ イオ
DF カロン ガニメデ ギグ コラル
GK ゴルレオ

以上が相手チーム、【ジェミニストーム】のメンバーだ。

このチームやはり挙げるとしたらスピードだろう。
前回まで私たちは全くスピードについて行けず痛い惨敗を喫した。

唯一スピードについて行けていたお兄ちゃんも今はいない。

だけどエイリア学園を倒す為にこんなに協力してくれている仲間がいる。
私はこの繋がりを絆と言うんだと思う。

私は拳を握り締めて呟く。

「待っててお兄ちゃん…。私が絶対にお兄ちゃんを助けるから!」

呟き終わると同時に黒薔薇くんに肩を叩かれた。



「私がじゃなくて、私たちが…だろ?雷藤を助けたいのはみんな同じだ」

黒薔薇くんの言葉に私は大きく頷いて、私は空を見上げた。

「うん!絶対に私たちがお兄ちゃんを助けるからね!!」 
 

 
後書き
アツヤ「次回遂に激突だ、見逃すなよ!」 

 

反撃の雷門!

 
前書き
更新お待たせしました!
恥ずかしながらログインパスワードを忘れていたため
このような時間が空いてしまいました!申し訳ありません! 

 
「レーゼ様。あいつら新たな仲間が加わって居るようです」

ディアムがレーゼにそういうとレーゼは吐き捨てるように話す。

「構うものか。結果は見えている」

「そうですね、失礼しました」

私たちが持ち場に着くと、後ろで円堂くんの声が響き渡る。

「みんなぁぁー!!絶対勝とうぜ!!」

円堂くんの言葉に私たちは大きな声で返事を返すと前を見据える。

「やろうみんな!お兄ちゃんを助けよう!」

私がそう叫ぶとホイッスルが響いた。

「貴様らに我々は止められない!」

開始早々にレーゼにボールが渡り高速で駆け上がって行く。

そんなハイスピードな動きを私はしっかりと捉えていた。
いや、私たちと言い換えよう。

抜かれたFW陣もちゃんと目で追っていけている。
それに黒薔薇くん、アツヤくんに至っては薄い笑みすら浮かべていた。

見える……。これなら私でも闘える!!

私は迫って来るレーゼに視線を向けると腰を低く落とした。

「お兄ちゃん…技借りるよ!!」

私は淡い光を纏い一瞬のうちにレーゼからボールを奪い取ることに成功した。

「な、何!?」

私の動きを見た鬼道くんが口を開く。

「あれは雷藤のサンダーバインドか!見ただけで自分のものにするとは、なんて才能だ…」

「一之瀬くん!」

「任せて!」

一之瀬くんはそのまま華麗なドリブルで上がると、アツヤくんにパスを出す。
パスを受け取ったアツヤくんはボールを踏みつけると相手GKゴルレオに向かい話す。

「お前どかないと怪我するぜ」

そう話すとアツヤくんはボールを両足で回転を加えた。
瞬間辺り一面が凍てつきボールまでもが凍りつく。

「吹き荒れろ……!」

そう呟くとアツヤくんは回転しながらボールに蹴りを打ち込む。

「エターナルブリザードォォォ!!」

アツヤくんが放ったエターナルブリザードは通る道を瞬く間に氷に変えて行き、
その威力は途轍もなくゴルレオを吹き飛ばすほどのものだった。

ピーーーーーーーーーー!!

本当に一瞬だった。
今まで一回もゴールを奪えなかった相手から点を…、しかも先制点を取ったのだ。

「うおおおおおおおおっ!!!」

後ろから円堂くんの雄叫びが響き渡る。

アツヤくんは当然と言わんばかりに歩いて来る。

「流石はアツヤ。いいシュートだったね」

吹雪くんがそうアツヤくんに言うと「へん!余裕だぜ」と呟いた。

その様子を見ていたレーゼが呟く。

「くっ…!なんと言う失態だ!我々が点を奪われるとは…!」

レーゼはこちらを睨みつけると再び戻って行く。

望みに望んだ得点。
私たちのモチベーションは最高潮だった。

アツヤくんがゴール前まで上がって行き打つ構えを取る。

「させるかぁぁぁ!!」

全速力で戻って来たレーゼをアツヤくんは見るとボールをふわりと浮かせ呟く。

「オーロラドリブル!」

華麗なドリブルでレーゼを抜き去るとアツヤくんは黒薔薇くんにパスを出した。

ボールを受け取った黒薔薇くんはゴールを見据え、空中にボールを飛ばした。
円堂くんのマジン・ザ・ハンドを打ち破るほどのシュート。
敵ではとんでもない強敵だが、仲間だとなんと頼もしいことか。

「はああぁぁっ!デスサイスG2!!」

禍々しいオーラを放つシュートはゴルレオに向かい唸りを上げる。

「ブラックホールゥゥゥ!!」

しかしゴルレオの必殺技ブラックホールにデスサイスは呑み込まれ消えてしまった。

「こんなものか!」

ゴルレオがそう言うと同時に黒薔薇くんは不敵に笑う。

「2点目は頂きだぜ」

「何!?」

消えた筈の空間から突如禍々しいオーラが漏れ出し空間を砕いていく。

「行け、死の鎌よ!切り裂けえぇ!!」

バキャァァァン!!

「バ、バカな!?ぐわぁぁぁぁ!!」

空間はガラスが砕けたような音を立てながら砕け散り
雷門に2点目のゴールを献上した。

ピーーーーーーーーー!!

私は黒薔薇くんに「流石だね!」と声を掛けると
黒薔薇くんは優しい笑みを浮かべ「おう!」と話した。

「バカなバカなバカなぁぁぁぁ!!こんなことがあってたまるかぁぁ!!」

レーゼは2点目を決められたゴールを凝視したまま叫んでいる。

「おのれ雷門…!叩き潰してやる!」

相手からのボールでディアムはレーゼにボールをパスするとレーゼは全速力で駆け上がって来る。

あまりの威圧に私は抜かれてしまった。

ゴール前まで上がって来たレーゼはボールに回転を加えると叫んだ。

「喰らえぇぇ!アストロブレイクゥゥッ!!」

上半身を最大限に捻り力を蓄えた円堂くんは叫ぶ。

「マジン・ザ・ハンドォォォ!!」

グオオオオオオアアアアアアアア!!

魔神の雄叫びと同時にぶつかる両者の必殺技に大地そのものが揺れている錯覚に陥る。

ギュルルルルルル!!

グローブからは煙が起きるも円堂くんはガッチリとボールを受け止めた。

「ば、バカな……」

レーゼが円堂くんのボールが収まった瞬間を見ながら呟くと同時に
前半終了のホイッスルが鳴り響いた。





「まさか俺らがエイリアに対してリードしているなんてな!」

風丸くんがドリンクを飲みながら話す。

「うん、みんないい動きしてるよ!」

吹雪くんも爽やかな笑顔で応える。

「しかもこちらは2点、相手は無得点だ。気は抜けないがかなりの優勢だ」

鬼道くんも笑みを浮かべて円堂に話す。

「よし!後半もガンガン行こうぜ!!」

「「「おおおおおおっっ!!」」」

円堂くんの言葉でさらに士気が上がった私たち後半に向けて気合を入れ直した。
 
 

 
後書き
吹雪「後半もみんな頑張ろうね!」 

 

決着!雷門VSジェミニストーム!

 
前書き
ジェミニストーム後半戦!! 

 
ピーーーーー!

後半が始まり黒薔薇くんがアツヤくんにボールを渡しアツヤくんが駆け上がる。

「オラオラ!!邪魔だ、どけぇ!!」

「「ぐっ!!」」

アツヤくんの強引なドリブルに相手のFWは簡単に抜かれてしまう。

「アツヤこっちだ!」

「……ふん!」

染岡くんがアツヤくんにパスを要求するが、アツヤくんは無視して上がっていく。

「おい!アツヤてめえ!パスを寄越せ!」

「へっ…!誰が足手纏いにパスする奴がいるかよ!」

「なんだとぉ!!」

「悔しかったら俺からボールを取るんだな」

そう笑いながらアツヤくんは染岡くんに話すとスピードを上げ、DFを抜きにかかる。

「させるか!パワータックル!!」

しかしガニメデの強力なタックルにより流石のアツヤくんもボールを奪われる。

「痛っ!やりやがったな、てめえ!!」

尻もちをついたアツヤくんがそう叫んでいるうちにもボールはどんどんゴールに迫っていく。

「ディアム!」

ガニメデからのボールがディアムに渡り上がってくる。

「行かせないよ!!」

私はディアムを止めるためにもう一度サンダーバインドの構えを取る。

「甘い!ワープドライブ!!」

「き、消えた!?」

ディアムが私に接近した直後、ディアムは姿を消した。

「後ろだ!」

そう声が聞こえ、振り向くとディアムは私を抜き去っておりドリブルで上がっていっていた。

「キミなかなかやるね」

ディアムが上がっていくと、そこには爽やかな笑顔を浮かべた吹雪くんの姿があった。

「お前達では止められない!ワープドライブ!!」

ディアムがまたワープドライブを発動させ姿を消す。

「ふーん。面白い技だね」

吹雪くんはそう言うと6歩ほど後ろに下がり立ち尽くす。

「ふん!この技は破れるわけが……、な、なに!?」

ディアムが姿を現わすと目の前には吹雪くんが立っていた。

「やあ!またあったね!」

吹雪くんはそうディアムに笑いながら話す。

「くっ!ワープドライブ!!」

「懲りない人だなぁ」

吹雪くんはそう言うと今度は右に3歩歩き止まる。

「今度こそ……、な、何故貴様はそこに居るんだ!?」

ディアムが姿を現わすとそこにはまた吹雪くんが目の前にいた。

「ふふふ。僕は風になってるんだ。幾ら目の前から消えても風は消せない。キミも風になりなよ」

吹雪くんはそう言うと華麗に回転し地面に着地し呟く。

「アイスグランド!」

吹雪くんが放ったアイスグランドはディアムを氷漬けにし、吹雪くんはボールを奪い取った。

「す、凄いディフェンスだ……。俺には真似出来ない…」

風丸くんがそう呟くほどの派手ではないが、凄いディフェンスだ。

「鬼道くん!」

吹雪くんからのパスが鬼道くんに渡り、鬼道くんは私にパスを出した。

「いくよ!」

ゴール前でボールを受け取った私はそのままゴールにシュートを打ち込む。

「エンジェルキッスV3!!」

私がシュートを打つとゴルレオは手を前に出し叫ぶ。

「ブラックホールゥゥゥ!!」

私が放ったシュートはブラックホールに呑み込まれ、ゴルレオの手に完璧に収まった。

「くっ!駄目だったか……」

ゴルレオはそのままボールを前線に蹴りボールがディアムに渡り、レーゼと共に上がってくる。

「行くぞディアム!」

「はい!レーゼ様!」

レーゼとディアムがボールを蹴り上げると、蹴り上げたボールが宇宙を想像させるかのように
黒く輝きながら拡がっていく。

レーゼとディアムは飛び上がるとそのボールがあった場所に蹴りを放った。

「「ユニバースブラストォォォ!!」」

まるで宇宙が降ってくるかのようなシュート。
威力はあのアストロブレイクをさらに上回っている。

「な、なんてシュートなの!?」

私がそう叫んでいるのも聞こえない程、辺りには風が巻き起こっていた。

「うおおおおおおっ!!マジン・ザ・ハンドォォォ!!」

円堂くんが最強技マジン・ザ・ハンドで対抗する。

「ぐぐぐ……!!」

しかしジェミニストームの最強技と呼んでもいいユニバースブラストの威力は凄まじく
円堂くんの魔神は消え去り、円堂くんはゴールに吹き飛ばされた。

「がああああああっ!!」

ピーーーーーーー!

「なんて威力なんだ…!」

円堂くんは立ち上がりながらそう呟く。

「我々の最強技ユニバースブラストは絶対に止められん!」

レーゼがそう円堂くんに向かい不敵に笑いながら話す。

「相手が点を取るのは想定内だ。集中を切らすな、ここからが本番だ」

鬼道くんが私たちにそう話すとみんなは頷き、元に戻った。




「アツヤ!」

黒薔薇くんがアツヤくんにパスを出し、アツヤくんは上がっていく。

「へっ!任せとけ!」

アツヤくんはそう言うとまた強引なドリブルで上がっていく。

「チッ……!うぜえ奴等だ!」

しかしアツヤくんは相手のDFに囲まれ動きが取れなくなっていた。

「チッ……!」

アツヤくんは辺りを見渡し、パスを出す。

「黒薔薇!!」

しかし黒薔薇くんにマークについていたグリンゴがボールをカットし、ボールがラインを越えた。

「チッ……」

アツヤくんが舌打ちをしながら後ろに振り向くと、同時に染岡くんに胸ぐらを掴まれた。

「何だよ。なんか文句あんのか」

アツヤくんは染岡くんにそう言うと染岡くんは思いっきりアツヤくんの顔を殴った。

「がっ……!!何すんだよ、てめえ!!」

そうアツヤくんが叫ぶと、倒れたアツヤくんにもう一度掴み掛かり叫ぶ。

「さっき黒薔薇は完璧にマークされてた、だが俺はフリーだったんだ!!何故俺にパスしなかったんだ!!」

染岡くんの怒号が響き渡る。

「お前にパスするより黒薔薇にパスを出した方が確実だと思ったからだ」

アツヤくんはそう染岡くんに言う。

「確かに俺はあいつみてえに凄えシュートは打てないかもしれない!だがよ…サッカーは1人でやるもんじゃねえだろ!!サッカーは11人全員でやって初めてサッカーになるんだよ!」

染岡くんの言葉をアツヤくんは黙って聞く。
すると染岡くんはアツヤくんの胸ぐらから手を離し、アツヤくんに話した。

「次ボールが来たら俺に回せ。それでボールが決まらなかった二度と俺にはパスを出さなくていい。だがもし決まったら俺にもパスを回せ」

染岡くんの提案にアツヤくんは笑いながら答える。

「いいぜ面白い条件だ。その条件呑んでやるぜ」

「決まりだな」





スローインから始まりボールはまたしてもディアムに渡ってしまった。

ディアムはレーゼにパスを出すとまた2人で上がってくる。

「来いッ!次こそは止める!!」

円堂くんがそう叫ぶとレーゼとディアムがボールを蹴り上げ、そのボールを2人で蹴る。

「「ユニバースブラストォォォ!!」」

先程マジン・ザ・ハンドを破った強力なシュートが円堂くんを襲う。

「これ以上、点をやれない!!」

円堂くんは上半身を限界まで捻り最大限に力を溜め叫ぶ。

「マジン・ザ・ハンドォォォ!!」

グオオオオオオアアアアアアアア!!

円堂くんのマジン・ザ・ハンドはユニバースブラストの威力に押され少しずつゴールに押されていく。

「ぜ、絶対にゴールは割らせない…!ゴールを背負うと言うことはみんなの気持ちを背負うと言うことなんだぁぁぁぁ!!」

円堂くんがそう叫ぶと円堂くんの魔神もそれに応えるかのように雄叫びをあげた。

「うおおおおおおっっ!!マジン・ザ・ハンド改ィィィィッッ!!!」

グオオオオオオアアアアアアアア!!

シュゥゥゥゥゥ…………………

「な、何だって!?」

ジェミニストームの最強技ユニバースブラストは進化したマジン・ザ・ハンドにより円堂くんの手に収まった。

「流石だな円堂」

黒薔薇くんもそう笑いながら話す。

「天空橋!!」

円堂くんからのボールが私に回り、私はアツヤくんにパスを出した。

「オラオラオラオラぁぁぁぁ!!」

アツヤくんはまた1人で上がっていくと、またしてもDFに囲まれてしまった。

「チッ……!ふん、お手並み拝見だな」

アツヤくんはそう言うと染岡くんにパスを出した。

「染岡ぁぁ!決めてみろよ!」

アツヤくんはそう染岡くんに言うと、染岡くんはボールを受け取りゴールに向かい駆ける。

「喰らえ……!!」

染岡くんはシュートの体勢を取ると、ボールを両足で踏みつけた後、
後ろに飛び跳ねバウンドで上がったボールに蹴りを放った。

染岡くんが放ったシュートからはいつものドラゴンではなく翼竜らしきものが現れた。
まさにあれは伝説の生き物ワイバーンだ。

「うおおおおおっっ!!ワイバーンクラッシュ!!」

ギュオオオオオオオオオオオン!!

ワイバーンが雄叫びを上げながらゴルレオに襲い掛かる。

「ぐおおおおおおおおっ!!!」

ゴルレオは止める動作に入る前に染岡くんの新技ワイバーンクラッシュによりゴールに吹き飛ばされた。

ピーーーーーーーー!!

アツヤくんは決まってしまったゴールを見つめている。

そんなアツヤくんに染岡くんが近寄る。

「ゴール、決めたぜ!?大人しく俺にもパスを回しやがれ!!」

そう染岡くんは言いながらアツヤくんの首に手を回す。

「まさか決めるとは思わなかったぜ…。少しは使えるじゃねえか」

「相変わらず減らず口だな、てめえ……!」

そんなことを言い合っている2人だが、2人とも顔が晴れやかだ。

そして、

ピ、ピ、ピーーーーーーー!

「勝ったのか俺ら………?」

円堂くんの口から言葉が漏れ出す。
そして実感が湧いてきたのか円堂くんは大声で叫んだ。

「勝ったぞぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

円堂くんの叫びにみんな実感が湧いて来て、みんなで喜んだ。

この後、その喜びが絶望に変わる事も知らず。 
 

 
後書き
次回は遂に激突!
スターダストVSガイア!! 

 

スターダストVSガイア!

 
前書き
遂にスターダストVSガイア! 

 
ザザザッ……。

俺を先頭とするスターダスト、グランを先頭とするガイアがフィールドに並ぶ。

「手加減はしないよ。俺たちガイアが勝ち【ザ・ジェネシス】の称号を手にする」

「俺らも負けるつもりは毛頭もない。お前らを叩き潰す!」

グランの言葉に俺は買い言葉で返し、自分の場所に着く。

【ガイア】
FW グラン ウィーズ
MF コーマ クィーズ ウルビダ アーク
DF ゾーハン ハウザー キープ ゲイル
GK ネロ

【スターダスト】
FW ガエン エクレール ヘリオス
MF ショウサワ セツリュウ アサシン シンダイ
DF タショウ シアリア シャア
GK ロイ

以上がガイア、スターダストのメンバーだ。

ピーーーーーーー!

ガイアからのボールで試合は始まる。

グランが後ろにボールを預け、上がってくる。

ボールを受け取ったアークはハイスピードで駆け上がって来る。

「行かせるか!」

俺が低く構え技を発動させる。

「真サンダーバインド!!」

閃光のような速さでボールを奪うと、俺はヘリオスにパスを出す。

「任せな!ヒートタックル!!」

ヘリオスは強力なドリブルでガイアの守りを崩すと、俺にセンタリングを上げた。

「エクレール!!」

俺は相手ディフェンスを掻い潜り、ボールに合わせシュートを打ち込む。

「喰らえ…ライトニングアローV3!!」

俺の渾身のシュートがエイリア最強キーパーのネロに襲い掛かる。

ネロは前で三角の形を作ると、作り上げた三角がまるで全てを包み込むかのようにボールの威力を奪って行く。

「プロキオンネット!」

キューウウウウウン……

ネロのキーパー技プロキオンネットにより俺のシュートは威力を失い、ネロの手に収まった。

「何だこのシュートは…貧弱すぎる」

ネロはそう言うとボールを前線に蹴り飛ばす。

「流石はネロ…。一筋縄では行きそうにないな」

ネロからのパスはウルビダに繋がり、グランにまでボールが渡ってしまった。

「行くよ……!」

グランはボールを上げると、そのまま空中でシュートを放つ。

「流星ブレード!!」

まさに流星。
グランが放ったシュートは彗星の如く、ロイが反応するよりも速くゴールに突き刺さった。

ピーーーーーーーーーー!

「な……!?」

ロイはゴールネットから弾き返ってきたボールを見ながら言葉を溢す。

「ザ・ジェネシスの称号は俺たちのものだ!」

グランはそう話すと、戻って行く。

「相変わらずエグいシュート打ちやがる…」

俺は少し口元を緩め呟くとロイに話し掛ける。

「ロイ」

「すまねえエクレール。反応出来なかった…」

「気にするな。お前は実力はあるんだ、自分を信じろ」

俺はそう言葉を掛けた。




ボールはこちらからで俺がドリブルで上がっていると、ウルビダが立ち塞がる。

「行かせない…!」

ウルビダがそう俺に睨みをきかせ呟く。

「ああ、そうかよ。だったら止めてみな」

「な……!?」

俺は言葉が終わると同時に技を発動させ、華麗に抜き去る。

「いつの間に…!?」

「真電光石火。この技はお前達には破れない」

俺はそのまま上がって行き、ゴール前のガエンにパスを出す。

「ようやく俺の番か…!」

ガエンはそう話すと、ボールを高く蹴り上げた後、地面を踏みつけ雄叫びを上げる。

「オオオオオオオオオオッ!!!」

すると地面からマグマのようなものがいくつも吹き上がり、蹴り上げたボールをマグマに向かい蹴り落とす。
マグマに蹴られたボールはいくつもの火柱を通った道に上げながらゴールを襲う。

「ブラストバーン!!」

ドゴオオオオオオオオオオッ!!!

ネロはそのシュートの見るなりすぐさまプロキオンネットを発動させる。

「プロキオンネット!」

ガエンが放ったブラストバーンはプロキオンネットに吸収されて行き、止められてしまったように見えたが
プロキオンネットはブラストバーンの火で燃えていき、ネットを突き破った。

「な、何…!?うわああああああ!」

ピーーーーーーーーーー!

「見たかエクレール!俺が打てばこんなものさ!」

ガエンが俺に向かいそう話す。

「ああ。流石だガエン、頼もしい限りだ」

ガエンが同点ゴールを叩き込み点数は1対1と勝負は振り出しに戻る。

「ネロのプロキオンネットを破るなんて…。流石はエクレールが選抜したチームだ」

グランはそう言いながらも少し顔には余裕が伺える。




「ウィーズ!」

グランからウィーズにボールが渡り、ウィーズは必殺シュートを放つ。

「ガニメデプロトン!!」

ウィーズが放ったシュートは地面を削り、ゴールに牙を剥く。

ロイが構えた時だった。目の前にシアリアが現れ呟く。

「失われし記憶…。ロストメモリー!!」

シアリアがそう唱えると、シアリアの後ろに現れた黒い翼からいくつものレーザーが放たれ
ウィーズが放ったシュートの威力を完璧に沈めた。

「女だからって舐めないでよね!」

シアリアはそういうと止めたボールをセツリュウにパスを出す。
しかしそれを読んでいたグランがボールを奪い取るとシアリアをドリブルで抜き去り
ロイと一対一になった。

「行くよ…流星ブレード!!」

またしてもグランの流星ブレードが炸裂しゴールに唸りを上げる。

「次は止める……!」

ロイは右手に禍々しいオーラを纏わせるとボールに向かい襲い掛かる。

「ゼログラビティ!!」

禍々しいオーラの手で掴んだボールを地面に叩きつけ握り潰すと
ボールは破裂音だけを残し、跡形も無く消え去った。

「お、俺の流星ブレードが止められるなんて…」

グランがそう呟くと同時に俺は口を開く。

「言うのを忘れていたな。ロイはネロと同等だと…。いや今は上回っているかもしれないな!」

俺がそう言い切ると同時に前半終了のホイッスルが鳴り響いた。 
 

 
後書き
グラン「やっぱりやるなエクレールたち」
ネロ「ああ、油断していた。後半は点はやらない」 

 

炸裂!エクレールの本気!

 
前書き
お待たせしました! 

 
ベンチに帰って行き、腰を下ろすと隣にシアリアが座った。

「いい感じだね!このまま押し切れるんじゃない?」

シアリアがそう話す、しかしそう簡単に行くはずが無い。
俺はシアリアの方を見て話す。

「そう簡単に行けばいいがな…」

「どういう意味?」

シアリアの問いに答える。

「ガイアは本気を出していない」

シアリアは一瞬驚きの表情を浮かべたが、すぐにクスクスと笑い話す。

「エクレール〜、どの口が言ってるのかしら?」

「何が可笑しいんだ」

俺がそう話すとシアリアは立ち上がった。

「ガイアが本気出してない?ふふふ、それはエクレールもでしょ?後半期待してるね」

「……………こういうのは鋭いんだよな女って」

俺も立ち上がりスパイクを結び直すとグラウンドに向かった。





後半、俺らスターダストからのボール。
俺はシアリアの言葉が脳内に響いていた。

(ガイアが本気出してない?ふふふ、それはエクレールもでしょ?)

「出来れば雷門用にとっておきたかったんだがな。仕方ない」

「何、独り言言ってんだエクレール」

ガエンにそう話し掛けられ、一言声を掛ける。

「すぐにわかるさ」

ピーーーーーーーーーー!

笛が鳴り響き、ボールがガエンからセツリュウに渡る。

セツリュウの華麗なドリブルにグラン、ウィーズは翻弄され簡単に抜かれる。

「ガエン!これで決めてくれ!」

セツリュウはガエンにセンタリングを上げ、それにガエンが合わせる。

「燃え尽きろ!ブラストバーン!!」

火柱を上げ、唸りをあげネロが守るゴールに向かう。

「さっきは油断したが、今度は油断しない」

ネロはゆっくりと右手をあげ、手を開く。

「時空の壁……!」

突如としてボールの威力が落ち、ゆっくりした動きになる。
そしてそのボールをネロが裏拳で弾いた。

バァァァァン!!

凄まじい音が響くと、ネロが弾いたボールが勢いそのままゴールに向かって行く。
シャアが何とかカットしてクリアしたが、そのままカウンターに持ち込まれていたら危なかった。

「ネロはやはりバケモノだな」

ロイがそう呟く。
俺はその言葉に不敵な笑みを浮かべ話す。

「ふん…バケモノはあっちだけじゃ無いぜ?」

「…?どういう意味だ」

俺はその問いには答えず、グランのマークに付く。

「エクレール。君じゃガイアには勝てない」

グランが俺にそう話しかける。

「何か勘違いしていないか?スターダストのメンバーでお前達ガイアを倒すんだよ」

俺はそう言い残すと、素早く動きスローインからのボールを奪い、前線に上がって行く。

「速い……!!」

ウルビダのブロックをいとも簡単に突破し、DFのキープと一対一に持ち込んだ。

「行かせないわ!グラビテイション!!」

「ぐっ……!」

グラビテイションによりかなりのGが俺に襲い掛かる。

「くくく………」

「………!?」

キープが驚いたのもしょうがない。
俺は自力で立ち上がったのだから。

「そんなあり得ない!」

「あり得るんだよ。相手が悪かったな……」

俺は自力でグラビテイションを打ち破り、キープを抜きに掛かる。

「紫電一閃……!!」

電光石火の進化版、速さに更に特化したドリブル技だ。

「今の俺は誰にも止める事は出来ない」

俺はそのままゴールに向かい、ネロと対峙する。

「エクレールお前じゃ、俺からは点は取れない」

「どの口が言ってんだ。鼻から俺の眼中にお前は居ないぜ」

「なに……?」

ネロが少し俺を睨む。

「その面、最高だぜ。まあ今からもっといい面になると思うぜ」

俺は高々とボールを蹴り上げた。
蹴り上げた場所から徐々に雷雲が拡がっていき、稲妻が走る。
その稲妻がボールに集中し、雷雲から稲妻と共にボールが降り注ぐ。

「天翔ける雷よ!!唸れ……天地雷鳴ィィィィ!!!」

その稲妻を纏ったボールを俺は渾身のひと蹴りで叩き込んだ。

あまりの威力に地面は大きくえぐれていく。

「こんなシュート…!」

ネロは前に手を出すと、あの技を発動させる。

「時空の壁…!」

ネロが発動させた時空の壁だったが、天地雷鳴の威力に耐え切れず空間そのものが崩壊していく。

「そ、そんな馬鹿な!?う、うわあああああ!!」

ピーーーーーー!

俺が放った渾身の天地雷鳴は、相手のゴールそのものを吹き飛ばし点を奪った。

「ネロ……!」

グラン達がネロに駆け寄る。
怪我は無いようだが、意識を失っている。

「勝負あったようですね」

そんな声と共に、父さんが近寄る。

「この勝負はスターダストの勝ちです」

「俺たちガイアが本気を出せばスターダストにだって……!」

グランがそう言うとウルビダも話す。

「そうです父さん!私たちの力はこんなものでは……!」

すると父さんは少し考え口を開いた。

「では、スターダストとガイアから選抜して、その選ばれたメンバーにザ・ジェネシスの称号をあげましょう」

その父さんの提案に全員が沈黙した。

「異論はないよ父さん」

俺はそう口を開いた。
当然だ、強いメンバーを集めて最強のチームを作る。
これ以上に最適な方法などない。

「決まりですね、結果は追って伝えます。その間、自由にして居なさい」

父さんはそう言い残すと、姿を消した。

ある意味今回の試合は運が良かった。
ガイアが初めから本気を出していたら、正直わからなかった。
グランのシュートだけであの威力…。
ガイアには更に強力な技があった事だろう。

グランが俺に近付き話し掛けてくる。

「いい勝負だった。今度は同じチームになりたいものだね」

「確かにな…、お前らとやるのはもう懲り懲りだぜ」

俺もそうグランに言うと、グラウンドを後にした。

「次の戦いまで休戦だな」

俺はそう言うと服を着替えて、外に出て行った。 
 

 
後書き
シアリア「エクレール、ワイルドでカッコ良かった……」
ガエン「俺の方がワイルドだっただろ!」
シアリア「…………」
セツリュウ「スルーされたな……」 

 

エンジェルティアー

 
前書き
ジェミニストームを破った雷門中だったが…? 

 
「我々が負けるなんて……」

レーゼが地面に手を付き、そう嘆く。

「やったよお兄ちゃん…!これでお兄ちゃんも助かる…!!」

「良くやったな天空橋」

黒薔薇くんも私にそう話し掛けてきてくれる。

「ふふふ……いい気になっておくんだな…」

不意にレーゼがそう呟いた。

「どう言う意味だ」

鬼道くんの問いにレーゼは不敵な笑みを浮かべ答える。

「我々ジェミニストームはエイリアの中でも最弱のセカンドランクチームだ…、我々の上にはファーストランク、マスターランクが存在するのだ!」

私たちはレーゼが放った言葉の意味を理解するのに、少し時間が掛かった。

「な、何だって…!?」

円堂くんの声に私はハッとした。
私たちが一生懸命努力して倒したジェミニストーム。
しかしそのチームはエイリアの中でも最弱で、上にまだ強いチーム存在する。

そのレーゼの一言で私たちは絶望に陥った。
私の口から無意識に発せられる言葉。

「お兄ちゃん……」

一番大切な人。
そして一番大好きな人…。

そう思うほど、私の中でお兄ちゃんが遠ざかって行く。

「だろうな。手応えがなさすぎたからな」

アツヤくんがそう言い放つ。

レーゼがアツヤくんを睨みつけるが、アツヤくんは笑って見下したようにレーゼを見る。

「ふん、今のうちに笑っておけ…!お前らはあの方たちの恐ろしさを知らないのだ…!」

レーゼがそう話した時だった。

「喋りすぎだレーゼ」

「ひっ……!」

突如響いた氷のような冷たいに声にレーゼが固まる。

「デ、デザーム様……」

「よもや人間に負けるとはな」

デザームと言う名の黒ずくめの男がレーゼにそう言い放つ。

「も、申し訳ありません……!!」

「先程お前たちジェミニストームに宣告があった。お前たちジェミニストームをエイリアから永久追放とのことだ」

「そ、そんな…!お、お許しを……!!」

レーゼがデザームに向かい助けを求める。

「もう決まったことだ」

そう言うとデザームは黒いサッカーボールを出現させると、 レーゼ達ジェミニストームに向かいボールを蹴る。

「さらばだ」

「ま、待ってくだ………」

レーゼが喋り終わるより早く、ボールは怪しい光を発し
光が収まる頃にはレーゼ達の姿は跡形も無く消えていた。

デザームはそのボールを拾うと、こちらを向いた。

「貴様らが雷門中か…!私たちはエイリア学園ファーストランクチーム、イプシロン。私の名はデザーム!」

デザームはそう言うと誰かと目を合わせて居たようだがすぐに目をそらし話を続ける。

「これより私たちイプシロンは破壊活動を開始する!」

「な、何だって!?」

円堂くんが叫ぶ。

「止めたくば私たちイプシロンを倒すことだな」

デザームは少し間を開けると会話を続ける。

「私たちはこれから京都へ向かう。我々は逃げも隠れもしない、破壊活動を阻止したければ止めに来い」

そうデザームは言い切ると、ボールを掲げボールから放たれた光に包まれ姿を消した。







「決まりね、私たちはこれから京都へ向かうわ」

瞳子監督の言葉に私たちは頷く。
しかしみんなの顔は優れない、かく言う私もだ。

お兄ちゃんを助けられると言う期待が大きかった余り動揺が隠せない。

黒薔薇くんもさっきから何か話し掛けようとしてくれているが
なかなか話しかけにくそうにしていた。

「み、みんな元気出せよ!ジェミニストームだって倒せたんだ、次のイプシロンだって…!」

「……倒せるのか?」

円堂くんの言葉を遮るように、風丸くんの言葉がやけに響いた。

「勿論だ!俺たちなら勝てるさ!」

「……俺はそんなに強くない」

「え?何だって?」

小さい声で風丸くんが呟いた気がするが、その言葉は誰も聞き取れず
またしてもキャラバンの中は静寂に包まれていた。






「心美!!」

名前を不意に呼ばれた私は、驚きながら後ろを振り向いた。

「心美!」

「お、お兄ちゃん……?」

間違えるはずが無い。そこにはお兄ちゃんが居た。

「どうした、そんな情けない顔して」

お兄ちゃんの言葉に、私は涙が出てきた。

「ううん、何でも無い!」

私は涙を拭うとお兄ちゃんに抱きついた。

「おっとっと!心美…?」

抱きついてわかる。
この体温、落ち着く。大好きなお兄ちゃんに触れてわかった。
私は……、私は…!

「お兄ちゃん…。私、絶対お兄ちゃんを助けるからね……!!」

お兄ちゃんは私の頭を撫でて、頭をポンポンすると
私を離し話した。

「ああ。待ってる、頑張れ心美…!」

「うん!待っててね…!」





「う、うぅ〜ん。あ、あれ寝てた…?」

私は気付かぬうちに眠ってしまっていたらしい。

「さっきのは夢か……」

お兄ちゃんが出てきた夢。
夢の割には鮮明に覚えている。

でも、この夢のお陰で見失いかけていた事を思い出した。

「お兄ちゃん……絶対助けるよ、待っててね……!」

そう小声で私は呟き、決心を改めて固めた。





中間地点という事で、一旦休憩に入り私は外にボールを持って出掛けた。

「私がもっと上手くならないと…」

その気持ちがいっぱいだった。
クラスでも飛び抜けて運動が得意なわけで無く、お兄ちゃんみたいに
スポーツ万能ではない、私に出来るのは練習、努力あるのみ。

「そういえば昔、お兄ちゃんからシュート教わったなぁ。あの頃は出来なかったけど今なら出来るかな…?」

そんな事をブツブツ呟いていると、声を掛けられた。

「どうした練習か?」

「あ、黒薔薇くん!」

私はシュートの練習をするところと簡単に説明すると、黒薔薇くんは協力すると言ってくれて
私と黒薔薇くんは休憩時間ギリギリまで練習に励んだ。

そして……………。

「で、出来た…!出来たよ黒薔薇くん!!」

「ああ。良いシュートだった!俺もうかうかしてられないな!」

「シュート名は【エンジェルティアー】。お兄ちゃんが付けてくれた名前なんだ…」

私はこのシュートでお兄ちゃんを助ける…!
絶対にエイリア学園を倒してみせる……!! 
 

 
後書き
天空橋「京都かぁ、イメージでは舞妓さんだなぁ」
黒薔薇「確かにな、俺は八ツ橋のイメージかなぁ」
天空橋「あ〜、八ツ橋美味しいよね〜」 

 

到着!漫遊寺中!

 
前書き
ついに京都に到着した心美たち。
しかし、到着早々新手が⋯?(笑) 

 
長い間、キャラバンで揺られてた私たちはついに終着点へ到着した。

「やっと、ついたっス~」

私たちがキャラバンから降りると同時に、壁山くんがそう呟く。

「ホントだぜ、お前の横に座ってる俺の身にもなりやがれ、隣でうっぷうっぷやりやがって⋯」

染岡くんも壁山くんにそう言いながら、口に手を当てて出てきた。

「もー、そんな汚い話やめなよ」

私も流石に声を掛ける。

「確かに女の子が居るのにする話じゃないよな」

「あたしも一応女なんだけど」

黒薔薇くんがそう言った後に、塔子ちゃんが黒薔薇くんに言う。

「す、すまない、悪気はなかったんだ!」

「あはは、なに本気で謝ってんのさ!あたしはそういうの全然気にしないって!」

うまく塔子ちゃんに弄ばれた黒薔薇くんは、苦笑いを浮かべながら固まっていた。

「ったく、いつまでお喋りしてんだよ、おら行くぞ」

アツヤくんが痺れを切らして、歩いていくと

「「「きゃぁぁ❤イケメン❤❤」」」

そういう黄色い声が響き渡り、若い女の子にアツヤくんは瞬く間に囲まれてしまった。

「おい、てめえらどきやがれ!」

アツヤくんの抵抗も虚しく

「「「きゃぁぁ❤そういうワイルドなところ!さらに惹かれちゃう!」」」

アツヤくんが困ったように、こっちを見て叫ぶ。

「おい兄貴!どうにかしてくれ!」

「しょうがないなぁ」

そう言い吹雪くんは女性の群れへ突き進んでいく。

「誰よ⋯私たちの邪魔をするのは!ことによっては生かして返さないわよ!!」

気配に気づいた女性たちは吹雪くんを確認すると硬直してしまった。

「あ⋯ああ⋯、超イケメン⋯⋯❤」

吹雪くんは女性たちに、さわやかな笑顔を振りまくと声を掛けた。

「お嬢さんたち、ごめんね、僕たちこれから行かないといけないところがあるんだ⋯。だからアツヤを開放してくれないかな?」

「「「はい❤❤❤」」」

 吹雪くんが声を掛けると、すぐに相手は落ちてしまう。流石、雪原の王子⋯。

そして吹雪くんは追撃を仕掛ける。

「僕たちさっき京都についたばっかりで、全然わからないんだ⋯。よかったら漫遊寺中に行きたいんだけど案内してくれないかな?」

「「「はい、喜んで❤❤」」」

吹雪くんに掛かれば、こんな展開、朝飯前である。





「ありがとね君たち、おかげで助かったよ」

「「「お役に立てて良かったです❤」」」

「うん、じゃあバイバイありがと~」

「「「は~い❤」」」

女性陣に案内してもらった私たちは無事に漫遊寺に到着した。

「さ、流石は吹雪くんだったね」

私がそう言うと吹雪くんもこっちを向いて笑う。

「まあよくあることだからね」

そういうと吹雪くんは話を続ける。

「ここが漫遊寺中なんだ~、なんか京都っぽい建物だね」

吹雪くんに続き私たちは漫遊寺の門をくぐっていく。

「「「ふっ!はっ!せいっ!」」」

私たちが門をくぐった先には、グラウンドでトレーニングをしている漫遊寺中の生徒の姿があった。

「すげえな、これが漫遊寺中か」

黒薔薇くんがそう呟くと、鬼道くんが応える。

「この際だから言っておこう。漫遊寺中学は帝国学園に匹敵する実力を持っていて、裏の優勝校と呼ばれているんだ」

「え、あの帝国学園に!?」

私は鬼道くんの言葉に驚きが隠せない。それと同時に疑問が私の脳裏をよぎった。

「でもそんなに強いならなんでフットボールフロンティアに参加していなかったんだろう?」

私の疑問に鬼道くんが答える。

「漫遊寺中学は、スポーツは身心を鍛える為の物として、ストイックな姿勢をとりフットボールフロンティアには興味がなく出場しないとしていたからだそうだ」

鬼道くんがみんなに説明していると

「その方が説明された通りです」

私たちに話しかけてきたのは、長身老け顔の頭にオレンジのバンダナを巻いている男だった。

「あなたは?」

円堂くんは、その男性に問う。

「ご挨拶遅れて申し訳ありません。私は漫遊寺中サッカー部キャプテン、垣田大将と申します。この度は我が校にどのようなご用件で?」

そう垣田さんが話すと、円堂くんが答える。

「実は⋯⋯⋯」






「ふむ、あのエイリア学園は漫遊寺中を狙っていると⋯」

円堂くんが垣田さんにエイリアについて伝える。

「ああそうなんだ!ここに来るイプシロンを倒す為に俺たちは来たんだ!」

垣田さんは円堂くんの言葉を黙って聞くと、口を開いた。

「有難いお話ですが、お断りさせていただきます」

「え?」

垣田さんの言葉に円堂くんは驚く。

「例え宇宙人だとしても誠心誠意心を込めて破壊をやめてくださるようにお願いすれば、伝わる筈です」

「あいつらはそんなのが通用する相手じゃねえと思うがな」

アツヤくんがそう言ったが、私もそう思う。

「まあ長旅でお疲れでしょう。お上がりください」

垣田さんの言葉に甘え、垣田さんの後に付いて行っていたときだった。

「おわっあ!!」

ストーン!!

私たちの視界から垣田さんが消えたと思ったら、誰かが作ったであろう落とし穴に落下していたのだ。

「ウッシッシッ!!やーい、引っかかってやんの~!」

その声の先を確認すると、そこには小悪魔のような形の藍色の髪で、小柄な少年がいたのだった。 
 

 
後書き
天空橋「落とし穴痛そう~」
黒薔薇「とんだやんちゃ坊主だな」 

 

小悪魔 木暮

 
前書き
落とし穴を作った犯人は? 

 
垣田さんは落とし穴から大声で叫んだ。

「木暮!!またお前か!」

木暮と呼ばれた少年は、垣田さんに向かい話す。

「引っかかるほうが悪いんだーい!ウッシッシ!!」

そう言い残していくと少年は走ってどこかに行ってしまった。

垣田さんは落とし穴から登り砂を払い話す。

「こほん。取り乱してしまい申し訳ありません」

「今の子は?」

黒薔薇くんがそう垣田さんに尋ねる。

「今の子は木暮といいまして、漫遊寺のいわば問題児というところです⋯」

「問題児か⋯」

それ以降会話はせず、私たちは休憩をした後
各々色んなところを見て回ることにした。

私は塔子ちゃん、夏未ちゃん、春奈ちゃん、秋ちゃんで
久しぶりに女の子だけで行動していた。

「ホント、凄いですよね!私、京都は初めてなので新鮮なものばかりです!」

春奈ちゃんがそう言いながらキョロキョロ物珍しそうに辺りを見渡す。

「私は昔一回あるかな。施設のころお兄ちゃんと、あと友達二人で」

私はそう答える。

「へー、そうなんだ!」

秋ちゃんも楽しそうに会話に加わる。

「夏未さんは?」

春奈ちゃんが夏未ちゃんに質問する。

「私は何回もあるわよ、お父さんが旅行が趣味だから、よく付いて行っていたわ」

私たちがそんな会話をしていると
不意にバタバタと音が聞こえてきた。

「何の音かしら?」

夏未ちゃんの言葉で私たちは
耳を澄まし、傾ける。

「この部屋からみたいだよ」

私たちはその部屋に近づき、ふすまを開けると
そこには木暮と呼ばれていた少年が雑巾で掃除していたのだ。

「あれは木暮くんですね⋯」

春奈ちゃんがそう呟く。

「うん、そうだね」

私たちはそのまま木暮くんの様子を見る。
そんな時、木暮くんは愚痴のように呟いた。

「なんで俺ばっかり⋯、クソ!クソ!クソ!」

ただ雑に掃除しているように見えるが
さっきから疲れた様子が見えない。
少なくともかれこれ10分ほど、雑巾掛けをしている。

などと冷静に観察しているが
やっていることは覗き見だ。

私たちはその場を離れ、みんなに合流した。





合流した私たちは垣田さんに許可を貰い
グラウンドで練習させてもらえることになった。

「よおし!いいシュートだ!次来い!」

私は円堂くん達との練習ではなく
塔子ちゃんと一緒に練習をしていた。

「よし来な心美!」

「うん!行くよ塔子ちゃん!」

私はドリブルで駆け上がり塔子ちゃんを抜きに掛かる。

「電光石火!」

私はお兄ちゃんの技で抜きに掛かる。

「甘いよ!ザ・タワー!」

目の前に立ちふさがる巨大な塔。
私は抜きに掛かるのではなく、電光石火の加速を利用し
シュートを巨大な塔に放つ。

シュートは案の定止められボールは弾き返ってくる。
それが狙いだった。

「クイックネスヒット!!」

私は電光石火のスピードに更に加速を加え
巨大な塔を蹴り、塔を乗り越えた。

「凄いよ心美!あたしのザ・タワーを抜き去るなんてさ!」

「あはは、たまたまだよ~」

私の様子を見ていたのか鬼道くんが私に声を掛ける。

「驚いたな。雷藤の技を使い、さらにその技を進化させてしまうとは⋯」

鬼道くんの言葉に少し照れ臭くなった私は「そうかな⋯?」と呟く。

「ああ。天空橋の才能は雷藤を超えている、素晴らしい逸材だ」

「も、もう褒めすぎだよ鬼道くん⋯⋯」

そんなこんなで今日はエイリアの襲撃はなく
近くの旅館に泊まることになり、一夜を過ごすことになった。







「待ってくれエクレール」

俺はふとそう声を掛けられ歩みを止める。

「誰もいないから普通に接してくれ玲名」

俺を呼び止めたのはウルビダ⋯。八神玲名だった。

「⋯⋯。さっきはすまなかった。少々熱くなりすぎた」

玲名から発せられたのは謝罪の言葉だった。

「お前が謝ることじゃない。気にするな」

「私はもう会えないと思っていたんだ⋯、だから⋯」

「そうだな。少なくともこいつにはお前はまだ会っていない」

「やはりそうなのか⋯」

玲名は察したのか、言葉を止めた。

「ああ。こいつに表に出られると肩身が狭くて面倒だが、ずっと引っ込まれててもこっちが疲れるんだ。誰かがこいつの心を救わない限り、こいつが表に出ることはないだろう」

玲名は哀しい目をして俺を見つめた。

ああ⋯、玲名は変わっていなかったんだ。あれは冷たい目じゃなく、哀しい目だったんだ。

俺は玲名の手を取り話した。

「ちょっと散歩に付き合ってくれないか?お前と話したいことがある」

「あ、ああ。構わない」

俺はそうして玲名と外へ出掛けた。









夜が明け、朝の眩しい太陽が私たちを照らしつける。

「おはよー黒薔薇くん。あれ、円堂くんたちは?」

「おはよう、円堂たちはランニングに行ってるよ。あの円堂が早起きなんてな、雪でも降るんじゃないか?」

と、黒薔薇くんは笑いながら話す。

「それは円堂くんに失礼だよ〜」

と、私も笑いながら会話をし、朝食を済ませた。



私たちは今日も漫遊寺中へと行き、練習を行っていた。

「ちょっと水飲んでくる〜!」

円堂くんが水を飲みにベンチへと向かうと円堂くんの叫びが響いた。

「お、おわあああああ!!」

「だ、大丈夫ッスか、キャプテン!?」

様子を見に行くと、そこには昨日垣田さんが落下した落とし穴と同じような
落とし穴が掘ってあり、そこへ円堂くんが落下してしまったらしい。

「ウッシッシッシ!!」

木の陰からそんな声が響いた。
この独特な笑い方、木暮くんしかいない。

「こら木暮!!お客様に対してなんという無礼か!!」

垣田さんは木暮くんに対しそう言い放つ。

「木暮お前は部屋の掃除を罰としてしなさい!」

「何でいっつも俺ばっかりに押し付けるんだよ!だれがするもんか!!」

木暮くんはそう大きな声で言いながら、走って行った。

「度々申し訳ありません。あいつも本当は悪い奴ではないんです。ただ生い立ちが関係しているんです」

「木暮くんの生い立ち……?」

私たちは木暮くんの生い立ちの知ることになる。 
 

 
後書き
天空橋「木暮くんの生い立ち気になるね」
黒薔薇「まあ、聞いて気持ちの良い話では無さそうだがな」 

 

木暮の過去

 
前書き
木暮の生い立ちとは? 

 
私たちは垣田さんの話を聞く。

「木暮は親に捨てられたんです」

「えっ⋯」

予想外の言葉に私たちは言葉を失った。

「親に捨てられた⋯」

黒薔薇くんが悲しそうに口から言葉を発する。

「ええ。小さいころに木暮は母親に旅行に行こうとと連れ出されて駅に置き去りにされてそのまま捨てられた過去があるんです」

垣田さんは少し間を空け、続ける。

「それからでしょうが、木暮は親のことを【あいつ】と呼び、憎しみを露わにしており、そのせいで人を信じることが出来ずいたずらを繰り返すひねくれた性格になってしまったんです」

「⋯そうだったんですね」

春奈ちゃんの口からそう言う言葉が漏れる。

垣田さんは春奈ちゃんの言葉に頷き話す。

「しかし、漫遊寺中ではその性格を直し協調性の大切さを教えるために掃除を木暮にして貰っているのですが、本人にはただの嫌がらせにしか感じていないようで、逆効果みたいで⋯」

垣田さんはそう私たちに困ったような表情で話した。

「では、木暮くんにサッカーをさせてみてはどうですか?」

そんな時、春奈ちゃんが垣田さんに対しそう提案する。

「木暮にサッカーを?」

「はい!木暮くんは毎日掃除をして足腰がとても丈夫なんです!木暮くんならできると思います!」

春奈ちゃんの説得に垣田さんは腕を組んで考える。

「わかりました。昼からの練習に木暮を参加させましょう」

こうして春奈ちゃんの説得により、木暮くんは練習に参加することになった。






「わわっ⋯!うわっ!」

午後。
漫遊寺の選手たちと練習に参加した木暮くん、サッカー経験はあまりないのか
ボールに触ることもできず、ずっと走り続ける。

「木暮くん、なかなかボールとれないね⋯」

秋ちゃんの言葉に私は答える。

「確かにボールには触れてないけど、木暮くん凄いよ。こんなに走っているのに全然息が切れていない」

私の言葉に秋ちゃんは「確かに」と納得する。

「なんでだよ!なんで取れないんだ!」

木暮くんもボールを取れないことで焦ってボールを取ろうとして
余計に空回りしているみたいだ。

木暮くんはそのまま続けたがボールを取ることが出来ず
ついには諦めてどこかへ行ってしまった。

「あ、木暮くん⋯」

私が発した言葉も木暮くんには聞こえていなかったらしい。

「私、木暮くんを追いかけてきます!」

「うん、お願い」

私は春奈ちゃんに木暮くんを任せることにした。




「ここにいたんだ木暮くん」

春奈は木暮に対しそう話しかける。

「なんだよ、笑いに来たのか?」

木暮は春奈に向かいそう話すと、その場を離れようとする。

「待って!ねえお話しよ?」

春奈の言葉に木暮は立ち止まり少し考えた後、ベンチに腰掛けた。

「なんでさっき辞めて出て行ったの?」

「だって取れないし、あいつら俺が取れないのを見てどうせあざ笑ってるんだ」

木暮の言葉に春奈が答える。

「そんなことないよ、垣田さんたちは木暮くんの居場所を作ろうと一生懸命考えていたよ!」

「そんなのどうせ見せかけだ!心の奥では俺のこと馬鹿にしてるんだ!」

春奈は木暮のその言葉を聞き立ち上がり叫ぶ。

「なんでそんなに信じようと思わないの!?みんな本当は木暮くんのこと心配してる、気にかけてる、大好きだよ!でも、木暮くんがそんなんじゃ、みんなどうしようもないんだよ!!」

木暮は春奈の迫力に押されながら、こう下を向いて呟いた。

「大好き⋯?そんな言葉まやかしだ⋯」

木暮のその言葉に春奈は悟った。

「あいつも俺を捨てる前にそう言っていた!その結果がこれだ。信じても、裏切られるんだ⋯!」

木暮はベンチから立ち上がり春奈に向かい叫ぶ。

「お母さんのことだよね⋯」

「えっ⋯?」

お母さんと呟いた春奈に木暮は驚きが隠せない。
なんでそのことを、と言いたげな顔だ。

「ごめんね。垣田さんから聞いてたんだ」

木暮は眉間にしわを寄せてさらに言葉を続けた。

「あいつは親なんかじゃない!あいつは俺を捨てて行きやがったんだ。しかも、大好きなんて大嘘をついていってな⋯、だから俺は大好きなんて言葉が大嫌いだ!」

春奈は木暮の話をしっかりと聞き、それでもなお話す。

「嘘なんかじゃないよ、お母さんは木暮くんこのこと大好きだったと思うよ」

「うるさいうるさいうるさい!!お前に俺の何がわかるってんだ!!」

木暮のその言葉を聞き、春奈もベンチから立ち上がり木暮に話す。

「⋯わかるよ」

「え⋯」

予想外の返答に木暮は驚く。
春奈はそんな木暮を見ながら自分の過去を話した。

「私もね両親がいないんだ。小さい頃に飛行機事故で亡くなっちゃって⋯、私とお兄ちゃんは二人きりになったから孤児院に送られたんだ。私たちはそこで別々の家族に引き取られたんだ」

木暮は初めて自分と同じような境遇の人と出会ったからだろうか。
先ほどとは違い、口を閉ざしてしまった。

「でもね、みんなが支えてくれた」

春奈の言葉に木暮が顔を上げる。
木暮が見上げた春奈の表情は明るかった。

「なんで、そんなに明るくいられるんだ?」

「一人じゃないから」

春奈は木暮に向かい言い切った。

「俺は一人だった、捨てられてからずっと⋯」

「ううん、みんなが傍にいたよ。木暮くんは一人じゃない」

春奈の言葉に木暮が応える。

「俺、一人じゃないのかな?」

「うん、みんなが付いてる、私も木暮くんについてる!」

木暮は春奈との会話で大事なことに気づいた。

ずっと一人だと思っていた木暮は今まで自分から話しかけることは勿論
春奈のように自らを認めて信じ、同じ親を失った過去や
心情を吐露してくれた人はいままでいなかった。

春奈との会話を通して木暮は一人ではないことに気づくことが出来たのだ。
木暮は今まで溜まっていたのであろう涙を必死に服の袖で拭くと
春奈に向かい話す。

「えーっと、名前なんだっけ?」

「音無春奈よ」

「音無か⋯、ありがとな俺の話を聞いてくれて、これやるよ聞いてくれたお礼」

春奈は木暮が差し出した手を見ながら話す。

「お礼を貰うようなことはしてないんだけど、ありがと、貰っておくね」

木暮から春奈へのプレゼントが渡され、春奈はプレゼントを確認するとともに
青ざめ、大声で叫んだ。

「きゃあああああああああ!!」

「ウッシッシッシッ!引っかかった引っかかった!」

春奈が木暮から受け取ったプレゼントは、カエルだったのだ。
カエルは春奈の頭に乗ったり自由気まま。まさに木暮そっくりだ。

「こーぐーれーくーん!!!」

「うわあ、逃げろ逃げろ~!」

「待ちなさーい!」

木暮はすっかり春奈に心を開き、春奈から逃げていると急に立ち止まった。

「やっと捕まえた!ん⋯、どうしたの木暮くん?」

「なんか嫌な予感がする」

木暮がそう春奈に答えた後、急に空気が変わり
例の黒い靄が現われ始めた。

「なんだこれ!?」

木暮が驚く中、春奈は理解していた。

「エイリアが攻めてきたんだわ!木暮くんグラウンドに行くわよ!」

「ちょ、ちょっとひっぱるなよ~!」

春奈は木暮と一緒にグラウンドへと急ぐのだった。 
 

 
後書き
春奈「急ぐわよ木暮くん!」
木暮「だから引っ張るなって!」 

 

イプシロン襲来!

 
前書き
黒い靄の正体とは? 

 
「エイリア学園が来たんですね!」

私はその声、春奈ちゃんの言葉に頷いた。

「まだ姿は見えてないけど、間違いないと思う」

私の言葉に木暮くんが反応し話す。

「え、エイリアってあの宇宙人か!?」

「うん」

春奈ちゃんは木暮くんの質問に頷き答えた。

「宇宙人と戦うなんて馬鹿げてる!」

その木暮くんの言葉に春奈ちゃんは自慢げに答える。

「でも、雷門中は一度エイリアに勝ってるのよ!」

木暮くんに春奈ちゃんが話している時、一層靄が濃くなった。

「いよいよお出ましだな⋯」

黒薔薇くんが少し緊張目に話した。

靄から少しずつ人影が見えてき、その姿を現した。

「我らはエイリア学園ファーストランク、イプシロン!我が名はデザーム!」

現われたのは、やはりジェミニストームを消し去ったイプシロンだった。

「ほう、やはり来ていたようだな雷門中!」

デザームの言葉に円堂くんが答えた。

「ああ!俺たちは逃げも隠れもしないぜ!」

「フハハハハハ!素晴らしい心がけだ、ではお前たちが相手か!」

デザームの言葉に円堂くんが返答しようとしたとき
隣の垣田さんが円堂くんの言葉を遮った。

「いいえ、彼ら雷門中はあなた達と試合は行いません」

デザームは垣田さんの答えに意外そうな顔をし、話した。

「では、お前たちが相手か」

デザームの言葉に垣田さんは首を横に振り答えた。

「いいえ、あなた達には漫遊寺中を壊さず帰っていただきたいのです」

「なに?」

垣田さんの言葉にデザームはいかにも不機嫌そうな表情になる。

「お引き取りをお願いします」

垣田さんの言葉にデザームは後ろを向き、メンバーに声を掛けた。

「ゼル、マキュア。やれ」

「「はい」」

ゼル、マキュアと呼ばれた二人は異空間から黒いボールを出し
足元に置いた。

「ま、まさかあいつら!」

円堂くんが悟ったように呟いた。

「勝負を避けるということは、負けたも同然。それ以下だ。よって我々イプシロンは今より、漫遊寺中の破壊を開始する!」

そのデザームの言葉とともにゼルとマキュアはボールを無情にも漫遊寺中に向かい蹴った。

ドゴン!ガシャン!など、破壊の音が響き渡る。

垣田さんはその光景を見て、叫んだ。

「破壊はそれ以上待ってくれ!わかった戦おう、私たちが相手だ!」

垣田さんの言葉を聞いたデザームはゼルとマキュアに破壊を止めるように伝えた。

「初めからそうすればよかったものの」

垣田さんの判断が早かったお陰もあり、何とか学校は最小限の被害で済んだようだ。

垣田さん達、漫遊寺中のメンバーが試合の準備のためにユニフォームへと着替える。

「ほらな。俺の言ったとおりだろ?あいつらにそんな平和的解決は望めねえよ」

アツヤくんが愚痴っぽく、漫遊寺のメンバーに向かい話す。

「でも、あの人たちエイリア学園に勝てるのかな?」

吹雪くんもそんな風に呟く。
鬼道くんは吹雪くんに対し話す。

「まあ仮にも裏の優勝校と呼ばれている程の実力だ。そう簡単に負けるとは思えない」

鬼道くんの言葉に私も頷く。

「そうだよね!垣田さん達が簡単に負けるはずないよ!」

私もこの時はそう思って疑わなかった。
そう、この時までは⋯。





「がはっ⋯⋯!!」

無情にも垣田さんがゴールネットに押し込まれた。
これで何回目だろうか。

裏の優勝校、漫遊寺中学。
確かに実力者揃いで動きもいい。
しかし、イプシロンはそれすらも凌駕していた。
いや、あまりにも圧倒的な強さだった。

驚くのはそこだけではない。
まだ試合が始まって3分程しか経過していないのだ。

漫遊寺の選手たちは、全員が倒れてしまった。
ジェミニストームなんて本当に可愛げがあったくらいだ。

「終わりか」

デザームは全員が倒れたのを確認するとボールを出現させた。

そのボールを見た円堂くんは飛び出してデザームに叫んだ。

「待てデザーム!!俺たちが相手だ!」

私たち雷門イレブンはお互いに顔を合わせ頷いた。

「君たちの好きにはさせないよ!」

吹雪くんがそう言うと、アツヤくんもデザームに向かい話す。

「まあお前ごときに俺のシュートが止められると思わないがな」

デザームはアツヤくんの言葉に興味を惹かれたのか
ボールをもとに戻し、円堂くんに向かい話した。

「いいだろう!お前たち雷門中を試したくなった!」

デザームは楽し気にそう話すとベンチへと座り話した。

「さあ準備をするんだな」

私たちはユニフォームに袖を通しイプシロンとの試合に備えた。

「行くぞみんな!絶対に漫遊寺中は壊させないぞ!」

円堂くんの言葉にみんなが頷いた。そして春奈ちゃんが木暮くんを呼んだ。

「木暮くん!」

「な、なんだよ⋯」

春奈ちゃんが木暮くんに話す。

「仲間がやられて悔しいでしょ!やり返そう木暮くん!」

木暮くんは何か考えるように眉間にしわを寄せ
そして決心したように雷門イレブンに話した。

「ああ。やりゃあいいんだろ!」

「木暮!!」

円堂くんはその木暮くんの答えに嬉しそうに話した。

「よし!木暮やってやろうぜ!」

「お、おう!」

木暮くんも雷門中のユニフォームに袖を通し
私たちはグラウンドに並んだ。 
 

 
後書き
春奈「頑張ってね木暮くん!」
木暮「お、おう!」
鬼道「春奈、俺には⋯?」
 

 

デザームの実力

 
前書き
イプシロンとの戦いの行方は? 

 
「行くぞみんな!イプシロンを倒して雷藤を助けるんだ!」

私たちは円堂くんの声で自らの定位置に並んだ。

雷門中

FW アツヤ 染岡 黒薔薇
MF 風丸 鬼道 天空橋 塔子
DF 木暮 壁山 吹雪
GK 円堂

イプシロン

FW ゼル マキュア
MF メトロン クリプト スオーム フォドラ
DF タイタン ケイソン モール ケンビル
GK デザーム

私たちは余計にフィールドに立つことで
相手からのプレッシャーを感じる。

知らずに私も手が震えていた。

私たちがやらなきゃ!
その気持ちが強く私は左手で震える手を抑えた。

デザームが腕を組んだまま私たちに向かい話す。

「三分だ。三分で片づけやる」

デザームの言葉にアツヤくんが笑う。

「三分だってよ!笑わせてくれるぜ!」

アツヤくんの笑いもつかの間、すぐに真面目な顔になった。

「さあ、始めようか!」

デザームがそう叫ぶ。

ボールは私たち雷門からだ。

「行くぜ黒薔薇、染岡」

アツヤくんの言葉に二人が頷き、ホイッスルが鳴り響いた。

ピーーーーーーーーー!!

「行くぞ!」

アツヤくんが黒薔薇くんにボールをパスし攻め込む。

黒薔薇くんが攻め込むが相手は動かない。
黒薔薇くんは果敢に攻め込んでいく。

「あいつら舐め切ってやがる⋯!黒薔薇俺にパスだ!俺が決める!」

黒薔薇くんはアツヤくんの言葉に頷き、パスを貰った。
そのままアツヤくんはゴール前まで上がり、シュートの構えをとった。

「ぶっ飛ばしてやる!喰らえ!吹き荒れろ⋯!」

アツヤくんは両足でボールの回転を加えると
氷を纏いながら蹴り込む。

「エターナルブリザードォォォォォォォ!!」

アツヤくんの渾身の一蹴りがデザームに向かい唸りを上げ襲い掛かる。

デザームは襲い掛かるエターナルブリザードに向け
右手を前に出し止めに掛かった。

「あいつ必殺技を使わないのか!あの技に対し、自殺行為だぞ!」

染岡くんがそう叫んでいるが
時すでに遅し。

グオオオオオオオン!!

凄まじい音とともに氷から発せられた
白い煙がデザームを包んだ。

「へっ⋯ざまぁみやがれってんだ!」

アツヤくんがそう言いながら煙を確認する。

しかし、そこに姿を現したのは右手だけで完璧に
シュートを受け切ったデザームの姿だった。

「な、なに!?」

アツヤくんも驚きが隠せていない。

「ふははは!悪くない!」

デザームはそう呟くと、ボールを足元に置いた。

「これで終わらせてやろう!」

デザームはなんとゴールからシュートを放ったのだ。

ドゴオオオオオオオ!

デザームが放ったシュートは唸りを上げながら
円堂くんが守るゴールに向かっていく。

「きゃああああ!」

私たちはあまりのシュートの威力に吹き飛ばされる。

そんな時まだ吹き飛ばされていない木暮くんが逃げ惑う姿が見えた。

「伏せて木暮くん!」

私はとっさに木暮くんに伏せるように叫んだ。

「そんなこと言われても!わわっ!」

木暮くんは吹き飛ばされていた壁山くんの足に引っかかり
ボールを回避した。

しかも、回避しただけではない。
木暮くんが勢い余ってこけたおかげで、木暮くんの足の回転が
ボールを包み、威力を奪った。

キュルルルル⋯ すとん⋯

「「「えっ!?」」」

私たちはその光景に驚きが隠せない。

なんと木暮くんはあの強力なシュートを止めてしまったのだ。

当本人は何が起きたのか理解できている様子はなく
ただ呆然と目の前に落ちているボールを見つめていた。

しかし、安堵はつかの間。
円堂くんの目の前にはデザームが立っていた。

「どうやら私は、お前らを甘く見ていたようだ」

そうデザームは円堂くんに話すと
後ろを向きメンバーに伝える。

「作戦終了だ。イプシロンの戦士たちよ、ただちに撤退せよ」

「デ、デザーム様?なぜ?」

突然の作戦終了の指示にゼルが驚く。

ゼルの驚きを予想していたのかデザームは
また円堂くんにまた振り向いた。

「聞けぃ雷門中!お前たちの力はまだまだ我らの相手には遠く及ばぬ!10日だ…、10日だけお前たちに時間をやる!もっと己を鍛え、私の望む真剣勝負の相手になれ!そして再び我らの勝負に決着をつけようではないか!」

「な、なんだって!?何を考えてるんだ⋯!」

円堂くんは突然のデザームの提案にデザームに問う。

しかし、イプシロンはその問いには答えずに姿を消してしまった。

「え、お、俺が止めたのか⋯?」

少し状況が理解できたのか木暮くんはそう呟く。

円堂くんや春奈ちゃんが木暮くんい駆け寄る。

「そうだよ!木暮くんが止めたんだよ!」

春奈ちゃんが木暮くんにそう声を掛けた。

「凄いぞ木暮!やるじゃないか!」

円堂くんも木暮くんも褒める。

一斉に褒められて調子を良くしたのか話し出す。

「俺凄い!?ねえねえっ俺凄いよね!俺が敵のボールを止めてしまったから、あいつら逃げてしまったんだろ!?やっぱ、この俺の才能に奴らもビビっちまったんだよなあ。うんうん⋯」

木暮くんは有頂天になってしまっているようだ。

「結果的に学校が全部破壊されないくてよかったね!」

私がそう話した時だった。

「よくねえよ!!」

私はその大声にビクリとした。
叫んだのはアツヤくんだった。

そのままアツヤくんは無言のまま立ち去り
代わりに吹雪くんが私に話しかける。

「ごめんね天空橋さん。アツヤはボールが止められたことに苛立ってるんだよ」

吹雪くんから話を聞くと、アツヤくんはシュートを今まで止められたことがなく
初めて止められた上に、片手で止められたのがショックだったのだろうということだった。

「ごめん、軽率な言葉だったね」

「ううん、天空橋さんは悪くないよ」

そう言うと吹雪くんもアツヤくんの後を追っていった。

私が少し落ち込んでいると、監督が話した。

「でも、エイリア学園が言っていることも正論よ。今のあなた達ではイプシロンには絶対に勝てないわ」

私たちは悔しいけれど監督のその言葉に頷いた。

「明日私から次の目的地を話すわ。今日はお疲れ様。残りの時間、自由に過ごすといいわ」

そう言うと監督はキャラバンに戻っていった。

染岡くんは監督に対して愚痴ってはいるものの
アツヤくんのところに行くといい、走っていった。

私もこの自由時間を有効に使おうと
秋ちゃんたちと街へと下って行った。 
 

 
後書き
天空橋「うん、八ツ橋食べに行こ!」
夏未「八ツ橋って何?」
天空橋「夏未ちゃんも食べよ!美味しいから!」
 

 

新たな動き

 
前書き
今回は別サイド。 

 
ーー時を同じく。
エクレールは⋯。

「雷門の状況はどうだ?」

「うん、漫遊寺中でイプシロンと勝負したみたい」

「そうか」

俺はシアリアと共に外へと出ていた。
ガイアとの試合も終わり、束の間の休息だが
サッカーの練習を欠かすわけにはいかない。

シアリアと他愛のない会話をしながら
俺たちはボールをパスし合う。

「そうだエクレール」

「ん?」

シアリアは一旦ボールを足元に止め、話し始めた。

「影山って人知ってるよね?」

「ああ⋯真紅の中から見てたからな」

「この間、お父さんが影山って人と連絡を取り合ってる姿を見たんだ」

「なんだって⋯?」

俺はシアリアの言葉に耳を傾けた。

影山といえば、帝国学園の元総帥であり、フットボールフロンティアの決勝戦で対戦した世宇子を率い神のアクアというドーピングを使用させたりした、悪いイメージしかない。

まあ真紅の記憶だが⋯⋯。

「それで、内容は聞こえたのか?」

「それなんだけど。真帝国がどうとか、帝国の選手をっていう内容が聞こえたんだ」

「それは気になるな⋯」

俺はその内容に関して更にシアリアに話を伺う。

「他に何か聞こえなかったったのか?」

俺の言葉にシアリアは思い出すように額に手を当てて思い出そうとする。
やがて思い出したのか、顔を上げて俺に向かい話し始めた。

「思い出した!」

「教えてくれ」

「うん、確か四国の⋯、そうだ愛媛県にいるって聞いたよ!」

「そうか⋯」

俺は何となく嫌な予感が走り、手首に手を当てた。
その手首には真紅が帝国学園の選手から貰ったブレスレット。

「源田たちは大丈夫なんだろうか⋯」

俺は真紅の気持ちを代弁するかのように、そう言いシアリアと歩き始めた。





とある場所⋯。

「ク、ククク⋯⋯。ついに完成するのだ。私の新たなる牙城⋯【真・帝国学園】が!」

影山は新たなる牙城のグラウンドでそう呟いていると、後ろから何者かの声が聞こえる。

「ほお⋯。思ったよりも早く形になったではないか。お前には期待しているんだ。くれぐれもその期待を裏切らないでくれよ?」

その言葉に影山は言い返す。

「フン⋯。誰に向かって口を利いている」

「フッ、態度の大きさだけは変わっていないとみえるな。⋯まあ良い。お前を救ってくださったあのお方の期待を裏切るような真似だけはするな」

「私は受けた恩は返す男だ」

影山は一度、会話に間を空け話す。

「⋯私の願いはただ一つ。私の野望を打ち砕き屈辱を与えた忌まわしき存在⋯雷門中!奴らを我が真・帝国学園の最初の生贄にすることだけだ」

更に後ろから藍色の髪の男が現われ、話に加わり話す。

「フッ、雷門イレブンを倒したいというのですか」

その言葉に驚いたように他の謎の男たちが叫ぶ。

「研崎さま!」

謎の男たちはその研崎という男に道を空け、左右へと分かれる。

研崎は影山に向かい更に話しかける。

「それが成功すれば旦那様もお喜びになるでしょう。しかし、確実に勝てるのですか?あなたの作ったチームは帝国学園、世宇子中ともに奴らに負けているようですが?」

研崎は嫌みのように影山に言うと、影山はククク⋯と含み笑いをしながら話し始めた。

「クッククク⋯、切り札とはこういう時のために用意しておくものだ。⋯不動!」

「は~い、はいっと⋯。お呼びですかぁ~?」

影山の呼びかけに応じて現れたモヒカンヘアに頭に入れ墨のような赤色の模様をつけた不動という少年は、軽い感じで影山の元へと現れた。

「くっ、離せ!」

「影山!貴様何を企んでいる!」

不動に掴まれていた、源田、佐久間が叫ぶ。

佐久間たちの言葉に眉間を寄せた影山は、不動に命令をする。

「おとなしくさせろ」

「はい、はい~と!」

影山の言葉を聞いてニヤリをした不動はまたしても軽い返事を返しながら源田、佐久間へと向き直る。

ズドン!響くようなみぞおちへのパンチを不動は容赦なく源田、佐久間へと打ち笑う。

「「ぐあっ!」」

そんな源田たちの姿を見た、不動はさらに笑いながら話す。

「ざまあないねぇ。もういい加減騒ぐのやめたら?もともと影山さんの下僕だったんだろ?ちょっと元に戻るだけだぜ」

その不動の台詞に源田が反論する。

「なめるな!俺たちは下僕だった覚えは無い!」

その源田の言葉を聞いて佐久間も反論する。

「そうだ!俺たちはいつも自分の意思で戦ってきた!鬼道だってそうだ!鬼道は今も自分の意思と力で⋯」

「はぁ?その鬼道に捨てられた奴が何言ってんの」

「⋯!」

「な⋯なんだと!」

鬼道に捨てられたという言葉に源田、佐久間は動揺する。

「可哀そうになぁ。世宇子にボロボロにやられてポイっとお払い箱だもんなぁ⋯。悔しいよなぁ。あいつが裏切らなければこんなことにならなかったのに」

「なっ⋯!」

「その悔しさを胸に刻め。血が流れるほどに!そうすればお前らは強くなる。俺たちみたいに!」

「お前ら⋯みたいに⋯」

「感じるか俺の鼓動を。俺の熱い血の叫びを。強くなりたい⋯もっと、もっと、もっとぉぉぉぉぉ!」

「⋯⋯」

「お前たちの胸にも同じ血が流れているはずだ。もっと強くこの世の誰よりも強くなりたいと思っている。あの鬼道よりも!」

「鬼道より⋯」

「強くなるためなら何でもする。悪魔に魂を売ってもいい。そうだろ?」

「⋯⋯⋯」

「だろぉぉ?」

そんな不動たちの会話を見ていた研崎はニヤッと笑うと、影山に話しかける。

「⋯それでは。いい報告を期待していますよ」

研崎はそう言い残すと、他の謎の男たちをこの場を後にしたのだった。

「クッククク⋯、準備は整った。さあ来い鬼道!私の元へ!」

影山はそう笑いながら拳を握るのだった。 
 

 
後書き
不動「真・帝国学園か⋯ククククッ⋯!」 

 

因縁

 
前書き
場面は雷門中へと戻る。 

 
「あーっ!誰ッスかこんなイタズラしたの!」

影山くんの顔を見て円堂くんが笑う。

「ぶはーっ!なんだ壁山その腹は!?」

「わはははっ!腹に顔が描かれてるでやんす!」

「ひどいッスよ木暮くん!ちょっと居眠りした隙に⋯」

「うししっ!よく似合ってるぜ~」

そう壁山くんに落書きした犯人それは漫遊寺中の木暮くんであった。木暮くんは私たちがキャラバンで発進した後にキャラバンの中からひょっこっと顔を出したのだった。瞳子監督はその後漫遊寺中の監督などに連絡を取り、本人、学校側の了承のもと雷門中のメンバーに加わったのだった。

「みんな静かにして。次に戦う相手が決まったわ」

瞳子監督が私たちに向けてそう話す。

「えっ、次の相手?まさかまたイプシロンから襲撃予告が来たんですか?」

円堂くんが瞳子監督にそう話す。

「今朝、理事長のもとにこんな映像がとどけられたの」

瞳子監督はそう言い、少し間を空け鬼道くんに話す。

「⋯鬼道くん」

「⋯なんです?」

瞳子監督は目を瞑りながら首を軽く首を振った。

「いいえ。それじゃ再生するわよ」

瞳子監督がDVDを映すとそこには驚くべき人物の映像が映し出された。

『久しぶりだな。イナズマイレブンの諸君』

そこに映し出された人物はあの影山だったのだ。

「か、影山!?」

「刑務所に入ってたんじゃないッスか!?」

そんな声が聞こえる中で。鬼道くんも呟く。

「⋯影山!」

『クッククク⋯。私はエイリア学園の力を借り、地獄の底から蘇った。四国、愛媛にて待つ⋯。貴様らを葬るためのチーム「真・帝国学園」と共にな⋯。待っているぞ鬼道⋯。そこにいるんだろう?お前には特に最高のゲストを⋯用意しているからな⋯』

「真・帝国学園⋯!」

影山の映像が終わるとともに鬼道くんが口からそう漏らす。

「しかもエイリア学園って言ってたぞ?もしかしてあいつエイリアと繋がっているのか!」

風丸くんの言葉を聞いて瞳子監督は頷く。

「間違いないでしょうね。脱走現場から黒いサッカーボールが発見されたらしいから」

瞳子監督の言葉を聞き染岡くんも拳を握りながら話す。

「あんにゃろー。まだ性懲りもなくそんなことやってんのかよ」

私が辺りを見渡すと鬼道くんの顔色が優れないことに気付いた。

「鬼道くん大丈夫?ぼーっとしてたけど⋯」

「⋯⋯」

鬼道くんの沈黙を感じ取った黒薔薇くんが私に声を掛ける。

「そっとしておけ天空橋。俺も鬼道も影山のもとに居た。だが俺以上に影山との関わりが多かった鬼道にとって影山という存在は思うところがあるんだろう」

「⋯うん、そうだね」

すると今まで話をしていなかった吹雪くんが話し始める。

「僕、よく知らないんだけど影山って中学サッカー協会の副会長だったんだよね?」

その言葉に答えたのは鬼道だった。

「そうだ。そして帝国学園の総帥だった。⋯俺たちの帝国学園の」

その言葉にアツヤくんが話す。

「それがなんで倒されなきゃならないんだ?」

アツヤくんの問いに円堂くんが答える。

「影山は勝つためには手段を選ばない卑怯な奴だったんだ」

円堂くんの言葉に続き風丸くんが話す。

「⋯それにあいつは。神のアクアを作り出した。人間の身体を神のレベルにまで根本から変えてしまうものさ。フットボールフロンティア決勝はその神のアクアを使った世宇子中との戦いだったんだ」

そのあとに続き黒薔薇くんも話す。

「そして俺が率いたチーム⋯ナイトメアこそ影山の考えたプロジェクトNだった訳だ」

夏未さんもそれを聞き吹雪くん達に話す。

「結局それが影山の逮捕に繋がったんだけど」

その言葉を聞いた鬼道くんが拳をふるふる震わせながら呟いた。

「真・帝国学園だと⋯?俺は許せない⋯」

「ああ、俺だって。またサッカーを汚そうとしているのなら黙っている訳にはいかない!みんな愛媛に行こうぜ!影山のやろうとしていることぶっ潰そう!あいつの思い通りにはいかないって証明してやる!」

円堂くんがそうみんなに対して呼びかける。

「「「おおっ!!」」」

みんなの心は勿論一致団結だ。サッカーを汚させないという気持ちはみんな同じなのだ。

「また影山と戦うことになるのか。あいつとの因縁はなかなか切れないのう。」

古株さんもそんな風に呟く。

「そっか、古株さんは影山のことをずっと昔から知っているんですよね」

「うむ、あいつが雷門中のサッカー部だった時から知っているが⋯。いつも大人しく振舞っていたが、たまに見せる冷たい⋯すべてを憎むような目が印象的だった。40年経ってもまだサッカーに対する恨みは消えていなかったんだな」

その言葉を鬼道くんは沈黙したまま聞く。

「お、おっと!すまんすまん、余計な話してしまったのう。では愛媛に向かうとしようかの」

そう言うと古株さんは運転席へと向かった。

「なあ、帝国学園ってそんなに強かったのか?」

アツヤくんは染岡くんにそう聞く。

「ああ、強かった。最初は俺たち手も足も出なかったんだ。それから血のにじむような特訓と練習を繰り返してついにあいつらに勝ったんだ。だから真だろうがなんだろうが、また帝国学園を倒してやるさ。なんたって今は俺たち最強コンビがいるんだからな!」

アツヤくんはその言葉にニヤッとし言い返す。

「ああ、当然だぜ!」

私の目から見ても前回のジェミニストームとの戦いから、この二人の力が雷門中の鍵を握るだろうなって思う。でも、私も次こそは足手まといにならない!

私のその決心と共にキャラバンは愛媛へと向かい出発するのだった。 
 

 
後書き
鬼道「真・帝国学園⋯。」
音無「お兄ちゃん⋯。」 

 

帝国の仲間

 
前書き
愛媛へと向かった雷門⋯。 

 
京都を出て、どのくらい経っただろうか。
私たちは愛媛のコンビニに寄っていた。

「やった!本場の蜜柑ッス〜!」

「ホント凄い美味しそうだよね…!」

私と壁山くんがそんな他愛のない話をしながらコンビニを出て来ると、近くで電話をしている円堂くんを見つけた。

電話の内容からするに両親への電話だろう。

すると電話を終えた円堂くんが立ち上がると、近くでポンポンとボールを蹴る音が聞こえてきた。
そこにはモヒカンヘアの少年の姿があった。

円堂くんはサッカーボールを蹴る少年を見て、笑顔で話しかける。

「君もサッカー…」

円堂くんがそう話しかけた瞬間だった。少年は円堂くんの方に振り返り、円堂くんにシュートを放ったのだ。

「ぐっ…!」

円堂くんの反射神経が良かったこともあり、何とかキャッチしたが強力なシュートだった。

「円堂くん…!」

私と黒薔薇くんは円堂くんのもとに駆け寄る。

「何するんだよいきなり…!」

「おっせぇ…」

円堂くんにそう向かい話すと、さらに話す。

「愛媛に来るまでに時間掛かり過ぎじゃね?ってこと」

雷門中のメンバーも全員その場に集まる。

「誰だこいつ…」

染岡くんがそう呟くと、後ろから瞳子監督が現れ話す。

「キミ…。真・帝国学園の生徒ね」

瞳子監督の言葉にみんなが驚く。

「そっちこそ遅いんじゃない?あんなDVDで呼び出しておいて」

少年はその言葉に笑うと話す。

「俺、不動明王ってんだけどさ、俺の名前でDVDを送ったらここまで来てたのかよ。あの人の名前でDVDを送ったから愛媛まで来ることになったんだろ?違うか?」

瞳子監督もその言葉を聞くと少し笑いながら話す。

「ええ、そうね。で、あなたの狙いは何?」

不動くんは瞳子監督の言葉に、やっとかという表情を見せると話し始める。

「なぁに、あんたらを真・帝国学園にご招待してやろうと思ってな」

不動くんは辺りを見渡し、そのあと鬼道くんに視線を向け話しかける。

「⋯あんた、鬼道有人だろ?⋯うちにはさ、あんたにとってのスペシャルゲストがいるぜ⋯」

「スペシャルゲストだと⋯?」

鬼道くんが不動くんが話した言葉に反応すると、不動くんはもう一度話始める。

「ああ。かつての帝国のお仲間だよ」

「何っ!?」

私たちも勿論驚いたが、鬼道君は声をあげて驚く。

「⋯ふっ」

鬼道君は不動くんの言葉に、拳を震わせながら話す。

「⋯ありえない。影山の汚さは身をもって知ってる帝国学園イレブンが、あいつに従う筈がない!」

私も鮮明に覚えている。雷門中対帝国学園戦の時、鉄骨がグラウンドに降ってきた事件。
全ては影山が企んだ罠。
あの時は、鬼道くんが罠を見破っていてくれていたお陰でお兄ちゃん達は助かったんだ。

「そうだ!絶対ありえない!」

円堂くんがそう不動くんに叫ぶ。

「下手な嘘をつくんじゃねえ!」

染岡くんの言葉に、不動くんはまたしても不敵な笑みを浮かべ話す。

「だったら、俺の目が可笑しいのかな」

「貴様!一体誰が居るってんだ!」

不動くんの言葉に耐えかねた鬼道くんは、そう不動くんに叫ぶ。

「おいおい、教えちまったら面白くないだろう。着いてからのお楽しみさ。くくっ⋯」

結局、私たちは不動くんの言うことを聞き、不動くんが言う場所へと向かった。

「何処にあるの?真・帝国学園は?」

瞳子監督が不動くんに問う。

「俺の言う通り走ってりゃ着くよ⋯」

しばらく道なりに走っていくと、不動くんが話した。

「そこの門から入ってくれよ」

俗に言う埠頭にキャラバンは到着し、海沿いにキャラバンは停まった。

「何処にも学校なんてないじゃないか⋯」

円堂くんが呟く。

「てめぇ!やっぱり俺たちを騙してたのか!」

染岡くんが叫ぶと、不動くんが話し始めた。

「短気なやつだなぁ。真・帝国学園だったら⋯ほら」

と、不動くんは海の方に指を差す。

ズドーン!!!

「えっ⋯!?」

「あ、あれは⋯!?」

私たちの目の前に現れたのは、途轍もなく大きい潜水艦だった。
すると、潜水艦が開き始め、中に設備されていたのであろう、フィールドが顔を出す。
さらに潜水艦から、階段が目の前まで伸びてきた。
そしてその階段の頂点には、あの男。影山の姿があった。

「か、影山⋯」

私の口からもついついそう言葉が出る。

「久しぶりだな円堂。⋯それに鬼道」

「影山ぁぁぁっ!!!」

影山の言葉に鬼道くんの怒号が響き渡る。

「もう総帥とは呼んでくれんのか」

「今度は何を企んでるんだ!」

鬼道くんが影山に叫ぶ。

「私の計画はお前たちには理解できん。この真・帝国学園の意味さえもな!⋯私から逃げ出していなければお前にはわかった筈だ」 

「俺は逃げたんじゃない!あんたと決別したんだ!!」

影山の言葉に鬼道くんは影山に指を差しながら叫ぶ。

「影山零治!あなたはエイリア学園と何か関係あるの!?」

瞳子監督が影山にそう話す。
影山は瞳子監督を見ると話す。

「吉良瞳子監督だね?さて、どうかな。ただエイリア皇帝陛下のお力を借りてるのは事実だ」

「エイリア皇帝陛下⋯?」

影山の言葉に円堂くんがそう呟く。

「誰なんだ。そいつ」

「宇宙人の親玉ッスかね⋯」

黒薔薇くん、壁山くんもそう呟く。

「さあ、鬼道。昔の仲間に会わせてあげよう」

そう言い残し影山は潜水艦の中に姿を隠した。

「待て影山ぁぁっ!くっ⋯!」

「鬼道!!」

円堂くんの呼びかけにも反応せず、鬼道くんは階段を駆け上がっていく。

「俺も行く!」

「俺もついていくぜ円堂」

そう円堂くんに話しかけたのは黒薔薇くんだった。

「黒薔薇⋯!?」

「俺も嫌な予感がするんだ」

私も少しでもエイリアの謎に近づきたい。

「私も付いていくよ黒薔薇くん!」

「天空橋⋯。ああ、ついてこい!行くぞ」

私たちも鬼道くんの後を追いかけ階段を駆け上がっていく。

「お、おい円堂!」

「円堂が行くならあたしも!」

不動くんは他の人たちを止め話す。

「お前野暮だなぁ。感動の再開にぞろぞろ付いて行ってどうするんだよ。デリカシーがあるならここで待ってな。ふっ⋯」




私たちは真・帝国学園のグラウンドの真ん中にまで到着した。
ここまで案内したのは他でもない影山だ。

「鬼道。自分の愚かさを悔い、再び私の足元に跪いた仲間を紹介しよう!」

私たちの視界に入った選手は二人。
その二人は私もよく知っている。

「⋯!源田に佐久間⋯」

円堂くんがそう呟く。

「久し振りだな鬼道」

佐久間くんがそう鬼道くんに話しかける。

「はっ⋯。感動の再開ってやつだねぇ」

「では、もとチームメイト同士仲良く話したまえ」





とある場所。雷門と真・帝国学園が出会う前日。

「エクレール!真・帝国学園の情報手に入ったよ!」

「ナイスだシアリア。真・帝国学園に居る帝国学園の選手を教えてくれ」

「うん。真・帝国学園に居る帝国学園の選手は源田と佐久間⋯って二人みたい」

「源田と佐久間だって?」

俺が少し驚いたことに意外だったのか、こちらを見ている。

「源田と佐久間とは少し面識があってな」

俺はそう言うと立ち上がりジャンバーを羽織る。

「エクレール何処か行くの?」

「ああ。愛媛まで行ってくる」

俺は一言言い残して、愛媛へと向かったのだった。 
 

 
後書き
エクレール「真紅の心を救ったお前らが何故⋯。」 

 

禁断の技

 
前書き
遂に激突! 

 
私はただひたすら立ち尽くすしかなかった。

「鬼道ッッ!!」

「ぐぅぅぅぅ!!」

鬼道くんはひたすら佐久間くんと源田くんが放つシュート受け続けている。

「鬼道くんッッ!」

「俺は大丈夫だ天空橋…」

佐久間くんは跳ね返ってきたボールを踏みつけ、鬼道くんに言い放つ。

「お前は俺たちを裏切ったんだぁ!!」

「違う!俺は裏切ったんじゃない!!」

佐久間くんは鬼道くんのその言葉を受け入れず、シュートの構えを取る。

「黙れぇぇぇぇっ!!」

佐久間くんが放ったシュートは鬼道くんの顔に向かいかなりのスピードで襲いかかる。

「くっ…!」

鬼道くんが顔を抑え、ボールが当たるかと思われたその時。

バシュ…!

「駄目だよ佐久間さん。この人は僕の憧れ…試合前に壊さないでください」

佐久間くんが放ったシュートを横から止めに入ったのは白髪のロングヘアの人だった。

「何故止めた倉崎!!」

「鬼道さんは僕が尊敬している人なんです、この人とはサッカーの試合で戦いたいんです」

倉崎という少年は不動くんを見て話す。

「いいですよね不動さん?」

「チッ…勝手にしやがれ…!」

円堂くんは倉崎くんを見ると話しかけた。

「お前も真・帝国学園の生徒なのか?」

「形としてはですね。僕はあの鬼道さんと戦えると聞いて不動さんの話に乗りました」

倉崎くんからは、全く敵意を感じないというかただ純粋に鬼道くんと勝負したいんだろうなという気持ちを感じることができる。

「だから僕たちと戦ってください、雷門中のみなさん」







【真・帝国学園スタジアム】

雷門中
FW 染岡 アツヤ 黒薔薇
MF 風丸 鬼道 天空橋 塔子
DF 木暮 壁山 吹雪
GK 円堂

真・帝国学園
FW 比得 佐久間 相馬
MF 不動 倉崎 目座 小鳥遊
DF 竺和 郷院 帯屋
GK 源田

両選手がポジションにつく。
不動くん、倉崎くんはMFか…。

後ろから円堂くんの声が響く。

「絶対勝つぞー!!」

円堂くんの言葉に私たちは頷き、ホイッスルを待つ。

ピーーーーーー!!

「行くぞ…!」

黒薔薇くんがアツヤくんにボールを渡し前に攻める。

「こんな奴ら俺の相手じゃねぇ!!」

アツヤくんは簡単にFWを抜き去る。
そこに倉崎くんが立ち塞がった。

「どけ!!」

倉崎くんは身をかがめると技を放つ。

「クイックドロウ!!」

バシュ!

「あ、あれは松野の技…!」

鬼道くんが呟く。

「行かせるか…!」

風丸くんが倉崎くんのスライディングをしに行く。

倉崎くんは足でボールを挟むと、飛び上がり技を放つ。

「竜巻旋風!!」

「ぐあっ…!」

今度は少林寺くんの技で倉崎くんは風丸くんを突破して行く。

「あいつまさか雷門の技を…!」

円堂くんがそう話すと倉崎くんが答える。

「僕は鬼道さんのファンですが、雷門中のファンなんです。皆さんの技は何回も何十回も見ました…、だから僕は雷門を超えるっ!」

倉崎くんは鬼道くんに向かい技を放つ。

「イリュージョンボール!」

無数に分裂したボールが鬼道くんを惑わし鬼道くんすら突破して行く。

「ま、まさか俺の技まで使うなんて…!」

そのまま倉崎くんは壁山くん、木暮を抜き去りついに円堂くんと対峙する。

「伝説のキャプテンの力、見せてもらいますよ…!!」

倉崎くんは黒い炎を纏い、回転し浮上する。

「ダークトルネードッッ!!」

黒い炎が円堂くんを襲う。

「おおっ!ゴッドハンド改ィィッ!!」

円堂くんはゴッドハンドを発動し倉崎くんのシュートに対抗する。
ギュルルルと音を立てて徐々に円堂くんを押し込んで行く、そして…。

「ぐああああっ!!」

ピーーーーーー!

ゴールネットに収まったボールを見て倉崎くんは言う。

「そして今、僕は雷門を超えた!!」




ピーーーーーー!

またしてもボールはこちらからだ。

攻め込んで行く黒薔薇くんにまたしても倉崎くんが立ち塞がる。

「行かせない!クイックドロウ!!」

バシュ…!

黒薔薇くんもボールを取られ、攻め込まれると一歩足を下げた時だった。

「さっき雷門を超えたと言ったな?雷門は超えてもさらにそれすら超えてくるぞ。お前の想像の遥か上をな!!」

黒薔薇くんは低姿勢のまま左足を軸に回転を放つ。

「ムーンドロップ!!」

「くっ…!」

黒薔薇くんの新技、ディフェンス技が倉崎くんに炸裂しボールを奪い返した。

「凄い黒薔薇くん!」

私も黒薔薇くんと共に上がり、前線を駆け抜ける。

ディフェンスが3人迫ってくる。
私たちの前にはアツヤくんがいる。黒薔薇くんと私はお互いに頷き技を放つ。

「「ツインドライヴッッ!!」」

イナズマ一号のパス技の改良版で、実践で使うのは初めての技。
何故今まで使わなかったのか、それは…。

「アツヤ止めろぉぉぉ!!」

「ぐおおおおおおっ!!」

技の威力もイナズマ一号に匹敵する程のパワーだからだ。
それを受け止められるような人は今まで居なかった、だけど今はいる…。

「…誰に止めろだって?俺に不可能はねぇ!!」

アツヤくんは強力なパスを見事に止めると、シュートの構えを取る。

「大人げないが、行くぜ…エターナルブリザードォォ!!」

源田くんは前に両手を構え、技の構えを取る。
しかしその時、鬼道くんが叫んだ。

「それはやめろ源田ぁぁぁぁっ!!」

しかし源田くんはその鬼道くんの言葉を聞かずに技を放った。

「ビーストファングッッ!!」

バシュゥゥゥ…

完全にシュートは止められ、ボールは源田くんの手に収まった。

「な、なにっ!?」

「そんな!?アツヤのエターナルブリザードが止められるなんて…!」

源田くんはアツヤくんを見てニヤっとするも、すぐにその顔は苦痛の顔へと変わった。

「ぐああああああああっっ!!ぐぅ…あっ…あああっ!!」

ピーーーーーー!!

前半終了。
鬼道くんは源田くんに駆け寄る。

「源田何故その技を使ったぁ!!その技は禁断の技だぞ!!」

鬼道くんの言葉を聞くも無言で源田くんは立ち上がり、ベンチへと下がって行く。

「もう二度と使うんじゃない!多用するとサッカーができなくなってしまうぞ!!」

源田くんは立ち止まり、鬼道くんに向かい話す。

「俺に超えられるのが怖いか。俺はお前を越えるためだったら何度でも使う。例えこの身体が壊れようと…!」

そう言い残し源田くんはベンチに消えた。





「あれが本当にあの源田なのか。佐久間まで…まるで別人じゃないか」

「エクレール、あの技って…」

シアリアの問いかけに応える。

「ああ。威力は途轍もないが…あれではあいつらが壊れる」

「壊れるって…、サッカーが出来なくなるってこと!?」

「ああ…。だがそんなことにはさせない。最悪の場合は俺が出る」

俺はそうシアリアに言い、グラウンドを見つめたのだった。 
 

 
後書き
鬼道「……。」
天空橋「鬼道くん…。」 

 

救ってみせる!

ピーーーーーーー!!
後半開始のホイッスルが鳴り響く。

真帝国学園からのキックオフ。
佐久間くんが不動くんにパス渡し、攻め込んでくる。

「さあ、後半戦もせいぜい楽しませてくれよ?」

不動くんはそう言うと強引に突破を仕掛ける。

「行かせるか!」

黒薔薇くんがブロックを仕掛け、不動くんのドリブルを阻止しボールを弾くが
そのボールを倉崎くんが拾い攻め込む。

「佐久間さん!」

倉崎くんのパスは私たちに頭上を越えオフサイドのギリギリの所で佐久間くんが受け取る。

「見せてやるよ鬼道…俺はお前を超えたんだ!!」

ピューィィィィ!!

佐久間くんが指笛を吹くと同時に鬼道くんが叫ぶ。

「佐久間!!やめろー!!」

鬼道くんの言葉は佐久間くんには届かず
地面から赤色のペンギンが現れる。

「赤色のペンギン…!?」

円堂くんも驚いたような表情を浮かべるが、鬼道くんの叫びを耳にして
ただの皇帝ペンギンじゃないと察し構える。

「皇帝ペンギン…1号…!!」

佐久間くんがそう言い放つと現れたペンギン達は佐久間くんの身体を傷付け
利き足の右足に齧り付いていく。

「ぐぅ…うおおおおおっっー!!」

佐久間くんから放たれた皇帝ペンギン1号は
そのまま一直線に円堂くんが守るゴールに襲い掛かる。

「止める…!!」

グググッ…と大きく身体を捻りありったけの全力の技を繰り出す。

「マジン・ザ・ハンド改!!」

進化したマジン・ザ・ハンドで皇帝ペンギン1号の威力を抑えていくが
円堂くんが苦痛の表情に変わって行く。

「ぐ…っ…!腕が…っ!」

押さえ込んでいた筈のマジン・ザ・ハンドだったが徐々に押され始め
遂に魔神が消え去りボールごと円堂くんがゴールに吹き飛ばされる。

「ぐあああああああっっ!!」

0対2
真帝国学園に追加点を奪われてしまった。

「ふはははは!見たか鬼道!俺はお前を超え…」

佐久間くんが突如苦痛の表情に変わりうずくまる。

「うっ…ぐぅっ…ああああああっ!!」

「佐久間!!」

そんな佐久間くんに近付き手を差し伸べる鬼道くんの手を
佐久間くんは無情にも払う。

「触るなぁぁっ!」

「佐久間!何故あの技を使った!あの技は…!」

「禁断の技…だろ?だったら何だ?そんなに俺が怖いか?」

「違う!!あの技は使う者へのリスクが大き過ぎる!お前も解っているだろう!!」

佐久間くんはその言葉を無視するかのように立ち上がり背を向け言い放つ。

「敗者に存在価値はない…。勝利の為なら俺は何度でも皇帝ペンギン1号を打つ!」

佐久間くんの言葉に鬼道くんは何故わからないんだと
言うかのように悔しそうに唇を噛みしめる。

私は吹き飛ばされた円堂くんの元に駆け寄る。

「大丈夫円堂くん!?」

「っ…、ああ…大丈夫だ。…ぐっ…!」

円堂くんは腕を抑え、心配させまいと笑いかける。

「円堂…あのシュートが放たれたらもう受けるな」

「鬼道くん…源田くんもだったけど禁断の技って…」

私の問いに鬼道くんは答える。

「皇帝ペンギン1号とビーストファングは使う度に身体中の筋肉が破壊される悪魔の技だ…。1試合に2回も打てば身体はもう限界だ。恐らく3回目には…」

「二度とサッカーで出来なくなる…」

「何もお前が止められないから言っているわけではない。仮に止められたとしてもダメージがでかい。今のシュートでもその反動だ。流石のお前でも何回も受ければタダでは済まない」

「…っ、だけど!」

鬼道くんは円堂くんに手を差し伸べ、立ち上がらせる。

「俺が…俺が彼奴らを救ってみせる…」

鬼道くんはそう言うと佐久間くん、源田くんに視線を送った。





ピーーーーーーーー!!

ボールは黒薔薇くん、アツヤくん、染岡くんで繋いでいき攻め込んで行く。

「染岡…あれ使うか?」

そう呟いたアツヤくん、顔は悪戯小僧の様にニヤッとする。

「へっ…見せてやるか俺らの力を!」

黒薔薇くんはその様子を見て話しかけた。

「何か策でもあるのか?」

「つまりはだ。彼奴に技を打たせなきゃいいんだろ?任せろ!」

アツヤくんはそう黒薔薇くんに言うと前線を駆け上がって行く。
倉崎くんもアツヤくんのスピードに翻弄され抜かれる。

「ふっ…流石雷門だ…!」

倉崎くん…、彼だけはこの試合違う見方をしている気がする。
しかも私は見た。源田くん、佐久間くんが放った禁断の技を見た瞬間表情が曇ったのを。

「もしかして倉崎くんは禁断の技のことを知らなかった…?」

他の選手は知っていたかの様に無反応。
どう言うことなんだろうか…。

「行くぜアツヤ!!」

「しくじんなよ染岡ぁぁっ!」

染岡くんはワイバーンを出現させ、上空へとシュートを放つ。
そのシュートに合わせアツヤくんが回転しながらエターナルブリザードを放つ。

「「ワイバーン!!ブリザードォォォォッ!!」」

ドゴオオオオオオッッ!!

「な、何!?」

ワイバーンクラッシュにタイミングを合わせていた源田くんはシュートチェインに
タイミングを狂わされビーストファングを発動できず、源田くんの横にシュートが突き刺さる。

ピーーーーーーー!!

1対2

「「しゃあああっ!」」

あの2人が協力して合体技を打つなんて…!
見事な連携により、禁断の技を発動させずにゴールを奪う事に成功した。


「凄い…本当に凄いよ雷門。僕は…僕は…本当に見て見ぬふりでいいのか?」


ピーーーーーーー!!

「くっ…俺らが失点?あり得ないだろお前ら!!佐久間!皇帝ペンギン1号だ!もう一度打て!」

佐久間くんへとボールが渡りまたシュートの態勢を取る。

「やめろ佐久間ぁぁっ!!」

「皇帝ペンギン1号…!!」

指笛を吹く瞬間、染岡くんがスライディングでボールを奪う。

「させねぇぇ!!」

ボールを奪う事に成功した、染岡くんだがその瞬間。
不動くんのスライディングが染岡くんを襲った。

「おーらよっと…!!」

ガシュ…!!

「ぐああああああっ!!」

ピーーーーー!

「染岡…くん?染岡くん!」

「「「染岡!!」」」

「ぐ…ああああっ!!」

不動くんはイエローカード。
レッドが出ないあたり、審判も向こう側…か。

「染岡!」

「くっ…情けねぇ…。すまねぇなアツヤ…」

「…っ。…お前は大人しくベンチに下がりやがれ…。…俺に任せろ」

「……ああ。」

out 染岡 in一之瀬

「頼んだぜ一之瀬…!」

「染岡…ああ!」

ピーーーーーー!

代わった一之瀬くんがそのままパスを出しボールを私が受け取る。

私はドリブルしながら、相手を抜き去って行く。

「私も…みんなを救いたい!」

私はゴール前に来るとボールに集中し、ボールが核となり上空に波紋を放ちながら浮かび上がる。

「源田くんがお兄ちゃんを救ってくれた様に今度は私が源田くんを救う!!」

私は上空へと飛び上がり手を合わせ指を絡める。
私の後ろには天使が現れ、そして…涙が落ちる。

その涙がボールに落ち、更なる波紋を起こして行く。
天使の羽の羽ばたきの音と共にボールを両足で相手ゴールに向けて打ち込む。

「エンジェルティアー!!」

「ビーストファングでは届かない…っ!」

ピーーーーーーー!!

2対2
私の新技エンジェルティアーがゴールを奪い同点に追い付いた。

「天空橋特訓した甲斐があったな!」

黒薔薇くんとハイタッチを交わし喜びに浸る。

「でも、まだ同点…気を引き締めなきゃ!」




その後何とか佐久間くんへのパスを凌いでいた私たちだったけど、
不動くんにより佐久間くんへボールが渡ってしまう。

「ジャッジスルー2!!」

「ぐあああっ!」

鬼道くんが不動くんに強力な技を喰らい吹き飛ばされる。
…勿論ホイッスルは鳴らない。

「さあやれ佐久間!!」

受け取った佐久間くんは指笛を吹きペンギンを呼び出す。
再び現れたペンギンは佐久間くんを傷つけ、足に噛み付く。

「皇帝ペンギン1号!!うあああああっっ!!」

シュートを打ったのと同時に佐久間くんの苦痛の声が響く。

「佐久間ーーーーーー!!」

鬼道くんも先程のダメージがある中でボールに向かい走る。

「間に合わない…!」

円堂くんは覚悟した様に構えた時だった。

ギュルルルルルル!! ガシュッ!!

「ぐわあああああっ!!」

ボールを身体で受け、円堂くんの前まで選手が飛ばされて来た。

「お、お前…!大丈夫か!!」

円堂が声を掛ける。
シュートを身を挺して守ったのは倉崎くんだった。

「へへ…、雷門の熱さが移っちゃったかな…。あんなサッカーは僕はしたくない…、円堂さんと同じで楽しいサッカーが好きなんです…」

「倉崎…お前…」

鬼道くんも倉崎くんに駆け寄り話す。

「倉崎…」

「そんな顔しないでくださいよ…。でも、やっぱり雷門凄かったなぁ…、鬼道さんと戦えたのも嬉しかった…」

「すぐ担架が来る」

担架が来て倉崎くんは乗せられる。

「ぐっ…、でも今度は同じチームで戦ってみたいな…憧れの人達と…」

「ああ。今度は一緒にサッカーしよう」

鬼道くんのその言葉を聞いて倉崎くんは嬉しそうな顔をしながら、意識を失い担架で運ばれていった。





「どいつもこいつも使えない奴ばかり居やがって!!」

不動くんがそう叫び、試合が開始される。

ゴールキックから。
円堂くんは私にパスを出し駆け上がって行く。

「一之瀬くん!」

一之瀬くんがパスを受け取るとフィールドの魔術師の本領発揮だ。
華麗に2人抜き去ると、ひとりワンツーで更に1人抜き去る。

「す、凄い…!」

同じMFとして憧れるほどのテクニック。

「染岡の意思も引き継いでいるからね!」

一之瀬くんはそしてセンタリングをあげる。

「アツヤ!」

アツヤくんは上空へと大きくジャンプすると、そのままボールを挟み回転を加える。

「吹き荒れろ……!エターナルブリザードV2ゥゥゥッ!!」

ゴオオオオオオッ!!

「ぐあああああっ!!」

源田くんもアツヤくんのスピードとシュートの威力に対応出来ずにボールと共にゴールに突き刺さった。
そして…。

ピッ!ピッ!ピーーーーーーー!!

3対2
雷門の勝利 
 

 
後書き
アツヤ「染岡…やったぜ」 

 

決着

「ぐ…あ、ああああっ…!」

試合が終わったのと同時に佐久間くんがうずくまる。

「救護を要請します」

瞳子監督もすぐさま救護を要請する電話をする。

「佐久間!佐久間…!!」

うずくまる佐久間くんに最初に駆け寄ったのは源田くんだった。

そんな佐久間くんと源田くんを見て、怒りの限界になったのか鬼道くんが叫ぶ。

「……っ!!影山ぁぁぁっーーーーー!!」




「まさかあれ程やわだとは…。使えねぇ奴らだ。ねぇ影山総帥…」

不動がそう影山に話し掛ける。

「使えないのはお前だ!」

「なっ…!?」

思いがけぬ影山の言葉に不動は驚く。

「私は一流の選手を集めて来いと言ったはずだ。…だが、お前の集めてきた選手は全て二流。お前自身含めてな」

「…二流?この俺が二流だと!?」

「お前の魂胆くらい見抜けぬ私ではない。私を利用しこの真帝国学園の一員として雷門を倒し、あのお方に認めてもらおうとしていたくらいな」




私たちの上空には鬼瓦さんが乗っているヘリが飛んで来た。

「もう逃げられんぞ影山ーーーー!!」

影山は鬼瓦さんの方を見てニヤッと笑うと、ボタンを押した。

ドガァァァァン!!

突如として真帝国学園の潜水艦が爆発し始めたのだ。

「逃げるんだーー!!」

鬼瓦さんの声が響き渡る。

「…キャプテン!!お兄ちゃんがいないんです…!」

春奈ちゃんが円堂くんに声をかける。

「…っ!まさか!」




「佐久間や源田をあんな目に合わせて満足か!!」

「満足…?出来るわけなかろう!常に勝利する最高のチームを作りあげるまではな!!」

鬼道の叫びに影山が答え、そしてまた口を開く。

「これまで私が手掛けた最高の作品を教えてやろう!…それは鬼道!お前だ!!」

爆発が更に激しくなり鬼道を鬼瓦がヘリで救出し脱出する。

「影山ーーーーーー!!」




「天空橋早く!!」

私が爆発の中、登って来た階段に向け黒薔薇くんの声に向かって走る。

「はっ、はっ、はっ…!」

パラ…パラッ…

「…えっ?」

グワァシャーーーーン!!

「天空橋ぃぃぃー!!」


私は立ち尽くした。

階段目の前。
目前にして崩壊していた瓦礫が落ちて来て、出口を塞いだのだった。

「う、嘘……」

私はその場に崩れ落ちる。

「心美さんっ!!心美さん…っ!!」

瞳子監督の声が聞こえてくる。

「……し!て………ばしっ!!」

黒薔薇くんの声…。でも、爆発の音であんまり聞こえないや…。

ガシャーーーーン!!

また近くの瓦礫が崩れ落ちる。
潜水艦は浸水しているんだろう。足元に水が流れてくる。

「ぐすっ…、お兄ちゃん……」





ドガァァァァン!!!!

潜水艦が沈んでいく。
俺はその場に崩れ落ちた。

「天空橋…。天空橋ィィィッ!!」

「黒薔薇…」

その時だった。
上空に人影が見えたのだ。

その人影は俺たちに近付いてくる。
黒いマントを羽織っている為、顔は見えない。

「そのボールは…エイリア…ッ!!」

土門がそう叫ぶ。

「いや、待て!」

円堂は土門を抑え前に出る。

「…お前」

黒マントの男はその言葉を遮るようにエコーの掛かった声で話す。

『今は争うつもりはない。私は彼女を返しに来た』

「彼女…?」

俺は袖で涙を拭き話す。

黒マントの男は黒いボールを出すと、その場でワープホールを開き
天空橋をワープホールから出現させた。

「天空橋!!」

「心美さん…!!」

監督も相当心配していたのか、俺と同時に叫ぶ。

『ではな』

「待ってくれ!!」

ワープホールに入ろうとする男に円堂は声をかける。

「天空橋を助けてくれてサンキューな!エイリアも悪い奴ばかりじゃないんだな!!」

男はそんな円堂の言葉にびっくりしたような懐かしさを感じたような反応をすると
ワープホールに消えながら言葉を残していった。

『相変わらずだな円堂』

「えっ…!?」

その言葉が聞こえていたのは俺と円堂だけだったらしく、他のみんなには会話すら聞こえてなかったという。

「今のって…」






「…ん、…あれ私…」

「心美さん!!良かった!」

意識が戻るとの同時に瞳子監督が私に声を掛ける。

周りを見渡すと辺りには救急車。
私は起き上がると、自分が助かっていることを不思議に感じた。

「私…助かったの…?」

「ああ。詳しいことは後から説明するよ」

黒薔薇くんが安堵した表情で声を掛けてくれた。

「天空橋が無事で良かった…!」






「悪いな…鬼道。久し振りだって言うのに…握手も出来ない…」

「構わない…」

鬼道はそう言って自分では握ることも出来ない佐久間の手を握る。

「お陰で目が覚めたよ…。でも…、嬉しかった…。一瞬でもお前の見ている世界が見えたからな…」

その言葉に鬼道は複雑そうな顔をする。

「身体…治ったら…、また…サッカー一緒に…やろうぜ…」

「ああ。待ってる…」



ピーポー ピーポー

鬼道はそのまま佐久間と源田が乗った救急車を見送るのだった。





「君は間違っている。監督の仕事は選手を守ることだ。それが相手チームの選手だとしても」

「選手に起こったことは全て私が責任を負います!」

そう答える瞳子に響木は答える。

「本当にこれが君が望んだ結末かね?…何が君を動かしている?」

「…私は勝たなければいけないんです…!どんなことをしても…!」




ー???ー

「雷門中が真帝国学園との試合は雷門中の勝利に終わりました」

「…そうか」

「影山は炎上した潜水艦と共に海に消えました。もっと役に立つ男かと思いましたが…」

「運命は誰にもわかりません…。何しろ宇宙は謎めいていますからねぇ…」 
 

 
後書き
円堂「あいつは…。」 

 

仲間

「みんなー!見えて来たぞ稲妻町だ!」

古株さんの声に車内が湧く。

「戻って来たなぁ!」

「ああ!」

「久し振りに戻って来たっス〜!」

「なんか懐かしい感じでやんす〜!」

そんなみんなの反応に塔子ちゃん。

「なになに?みんな感動しちゃって?」

そんな塔子ちゃんに私は話しかける。

「あの鉄塔見える?あれが稲妻町のシンボルなんだよ〜」

「へぇ〜」

円堂くんも鉄塔を見ながら声を出す。

「次のイプシロンの試合まで1週間だ!みんな!バッチリ調整してレベルアップしていこうぜ!」

そんな中、アツヤくんは染岡くんの方に顔を向けていた。

「ぐ…くっ…!」

そんなアツヤくんに気付いた染岡くんも心配させまいとアツヤくんに声をかける。

「へへ…っ、こんな怪我2、3日で治る…!試合までには余裕で復活だぜ…!」

「…ああ、そうでなきゃ俺が雷門のエースの座奪っちまうからな…!」

「へっ…!」

口ではそう言うアツヤくんだがやはり心配そうに見える。

しばらくキャラバンで進んだ所、円堂くんが古株さんに声をかける。

「古株さん!車止めてください!」

円堂くんがキャラバンを降りる。
キャラバンが止まった場所は河川敷だった。

「ナイトメア…レインV2ゥッ!!」

「シュートポケットV2!!」

そんな光景を見た円堂くん。

「今のシュートすげぇ!ん?でもあのシュート何処かで見たような…?」

黒薔薇くんも遅れてキャラバンから出て来て少し嬉しそうに呟く。

「ふっ、あいつこんなところで…」

そのシュートを放った人は雷門のジャージを着ている。

「あいつ、雷門のジャージ着てるけど誰だ?」

風丸くんもそう言いながら、河川敷のグラウンドに円堂くん達の後を追う。

「杉森ー!」

「おう円堂!」

「久し振りだなぁ!」

「戻って来たのか!」

円堂くんが声を掛けたのは杉森という御影専農でキャプテンだった選手だ。
あの頃とは違い楽しそうにプレイしているのが私にも伝わってくる。

「みんなで今から雷門中に戻る所なんだ!」

「そうか!」

そこに居る2人に面識が無い吹雪くんは鬼道くんに尋ねる。

「あの2人は?」

「1人は御影専農のキャプテン杉森威。フットボールフロンティアの地区予選で雷門と対戦した」

「うっしし、変な頭〜!」

杉森さんを見た木暮くんは笑いながら杉森さんを見てる。

「隣のシュートを打ってた方は?」

塔子ちゃんが私に尋ねる。

「ん〜、シュートは見たことあるような気がするけど…」

黒薔薇くんが前に出てその選手に声を掛ける。

「久し振りだな川東!」

「ああ。久し振りだな黒薔薇。そして円堂」

「ああー!」

挨拶をされた円堂くんは思い出したように話す。

「見たことあるシュートだと思ったら黒薔薇と同じナイトメアの!!」

私も円堂くんの声で思い出した。

ナイトメア。
世宇子中との決勝戦後戦ったチーム。
黒薔薇くん率いるチームで川東くんは3人居たFWの1人だ。

「でもなんで雷門のジャージ着てるんだ?」

円堂くんはそう川東くんに質問する。

「実はな雷門中に転校したんだが…。学校壊されていたからな手続きだけ済んでる状態なんだ」

「学校壊されてるからしょうがないもんね…」

私の言葉に川東くんも頷く。

「俺は強い奴が好きだ。だから雷門に来たんだがな、お前たちはもう旅立っていた」

「だから俺がスカウトしたんだ」

「スカウト?」

杉森さんの言葉に風丸くんが首を傾げる。

「エイリア学園のバックアップチームだ。実はお前たちがエイリア学園と戦ってると聞いてじっとしていられなくなってな…!強い奴を集めているところなんだ!」

「そうだったのか…!」

「日本一になったお前たちでも何度も挑戦しなければ倒せなかった相手なんだろう?噂では次の敵はさらに強いと言うじゃ無いか。…だからな俺たちがこうしてバックに控えてるんだと思って、お前たちには安心して戦って欲しいんだ!」

そんな杉森さんの言葉に心を打たれたのか涙を浮かべる円堂くん。
鼻水をすすりながら円堂くんが話す。

「ズズッ…、じゃあお前も?」

円堂くんは川東くんに尋ねる。

「ああ、だが今の俺の実力じゃあいつらには勝てない。俺が満足いく成果を得られた時にチームに合流させてくれ!」

「勿論だ川東!」

円堂くんは川東くんに力強く返答をする。

「応援しているぞ円堂!絶対負けるなよ!」

「ああ…ありがとう!ありがとう杉森!」

言葉を交わした2人は握手を交わすのだった。





それからキャラバンを走らせて遂に雷門中へと到着した。

「…パパ!」

「おかえり夏未…。今、新しい校舎を建てているところなんだ」

夏未さんは嬉しそうに理事長に駆け寄る。
夏未さんは建て直している校舎を見ながら話す。

「この学校が元に戻るまでに戦いが終わると良いのだけど…」

キャラバンから出た私たちを理事長が出迎える。

「諸君!よく戻って来てくれた!夏未から報告は受けたが真帝国学園には正直驚いたよ。苦しい戦いが続くが君たちならば必ず成し遂げられる!頑張ってくれ…!」

成長したみんなを見ながら少し間を開けて理事長が話す。

「…とはいえ休みも大切だ!短い時間だが疲れた身体を休めてくれたまえ!」

その後私たちは自由時間ということで時間を設けられた。
円堂くんは鉄塔へ。木暮くんは春奈ちゃんとイナビカリ修練場へ。
私はみんなのお見舞いで病院へ行った。
でも、私より先に円堂くんお見舞いに来てたみたい。
やっぱり仲間思いのいいキャプテンだなぁ…。

みんな体調はだいぶ良くなったみたい!
むしろすっごい元気で早く復帰してエイリア学園と戦いたいって!

「やっぱり仲間っていいよね…!」

私はお見舞い帰りで河川敷の水辺を散歩していた。

半田くんも言ってたなぁ。
「仲間の元気は俺の元気!だからあと1週間もっと強くなって見せる!」って円堂くんが言って出て行ったって。

「ふふっ…!」

円堂くんが言った言葉に少し吹き出してしまう。

「仲間の元気は俺の元気…か…、お兄ちゃんも言いそうだな…」

円堂くんの言葉で口元が緩んだが、お兄ちゃんのことを考えると胸が痛くなる。

「…お兄ちゃん」

水辺を眺めながら、ふと思う。

「私を助けてくれたエイリアの人って誰だろう…」






少し時間は戻り真帝国学園戦後。

「いいか円堂。天空橋には絶対に言うな」

黒薔薇は円堂に話す。

「でも!もしかしたら雷藤かもしれないんだぞ!!」

「お前の気持ちも痛いほどわかる!」

「ならっ!」

黒薔薇は円堂の肩を握り話す。

「あいつは…天空橋は雷藤のことが本当に大好きで心配なんだ!もし、俺らが雷藤かも知れないと話せばあいつは1人でもエイリアに向かうかもしれない!そんな危険な真似…絶対にさせたくないんだ…!」

「黒薔薇…」

「円堂。あいつの正体は正確には俺らにもわからないが…、少なくともみんなの前ではこの話は伏せよう。俺ら2人の秘密だ」

「…ああ。わかったよ…」






「考えても仕方ないか…!あれ?グラウンドの方誰か居る?」

私がグラウンドに向かうとそこには練習に励む雷門中のメンバーがいた。


「よし一之瀬パスを回せ!」

「塔子!」

「栗松!」

「壁山!」

私もそんなみんなのもとに駆け出す。

「ふふっ、待って!私も加わるよー!」

仲間っていいな…! 

 

???

 
前書き
………。 

 
………。

…………。

「ああ、またここか」

何度目だろうか、俺は見慣れた景色を歩いていく。

足が勝手に進んでいく、俺はこの先に何が待ち受けているのか知っているのに。

スタスタスタ……。

ざわざわ…ざわざわ…

人混みを避けながら俺はひたすらに進んでいく。

進むな、進まないでくれ…。
俺の気持ちとは裏腹に足が動く。

俺はある施設に到着した。

「よく来ましたね、どうぞ」

「お言葉に甘えて」

俺は施設長だろうと思われる人に案内され進んでいく。

きゃきゃ…きゃきゃ…

ざわざわ…ざわざわ…

館内に色んな声が響いている。

「おじさん、だーれ?」

色んな子どもが俺のもとに集まってくる。

俺はしゃがみ、子ども達の目線に合わせ話し始めた。

「おじさんはね、色んなところを回って色んな遊びをしてるんだ」

そんな俺の言葉に惹かれたのか子ども達はキラキラと目を輝かせ話す。

「そうなのー!?どんなお遊びするのー?鬼ごっこ?かくれんぼ?」

俺はその言葉に首を振ると立ち上がり、施設の幅を見る。
そして子ども達に目線を向けた。

「違うよ、もっと楽しい遊びさ。みんなで協力して戦う世界で一番面白い遊びさ!」

そんな俺の言葉を受け子ども達がはしゃぐ。

「そんな遊びがあるの!?教えて教えてー!!」

子ども達が俺の足元にしがみつく。
そんな子ども達の頭を撫でながら、指を差す。

「その遊びの名前はサッカー!」

「さっかー?」

この施設にはテレビが今度追加されると言うことで、サッカーの存在を知らなかったのか。

「ああ。サッカーだ」

俺はバックからボールを取り出した。

「さっかーってボールを相手に当てるのー?」

「まあ見てな…、よっと…」

ポンポン…ポンポン…

「よっ…!」

俺は頭、胸、膝、足、踵。
色んなところでボールを操り子ども達に見せる。

「うわぁ、すごぉい!!」

「ボールがくっついてるみたーい!!」

子どものキラキラした表情が眩しい。
俺はリフティングをやめると子ども達に話す。

「サッカーはこのボールを11人で操りながら相手のゴールにボール入れる遊びなんだ。最高に楽しいぞ!」

「やりたいやりたい!!」

「おじさん教えてー!!」

子ども達を見ながら、施設の芝生を指差す。

「じゃあ向こうでやろう!みんなついておいで!あ、あとおじさんじゃなくてお兄さんな。俺まだこう見えて28だから」

「あはは!おじさん行こ行こ!」

全く聞いてないなぁ。
俺はそんな子ども達の無邪気さに自然と笑顔になる。
この光景も何度も見た。
だがこの時、この瞬間だけは忘れられる。
そう、全てを。この先に待つ、全てを…。





「おじさーんまたねー!!」

子ども達が俺に大勢で手を振る。
俺は笑顔で手を振り返し返事する。

「ああ、またなー!」

施設長も顔を出し俺に声をかける。

「???くんありがとう。子ども達に楽しい遊びを教えてくれて」

「いえ、俺が教えられるのはこの遊びくらいですから。俺はサッカー一筋でしたからね」

「とんでもない元プロ選手の???くんから直接サッカーを教えてもらえるなんてあの子達も嬉しいと思いますよ」

「そうでしょうか…」

俺は照れたように頬をかく。

「あの子達には俺が見れなかった景色を見て欲しいんです」

「景色?」

俺は施設長の言葉に頷く。

「俺は確かにプロ選手でした。あの子達の中からもしプロサッカー選手が産まれたら俺の見れなかった世界を見て欲しい」

施設長は俺の言葉に微笑む。

「あの子達なら見せてくれますよ夢を。あなたの息子さんもそうでしょう?」

施設長の言葉に頷く。

「ええ、俺の息子にもこれから辛いことが沢山待っているだろうけど、あの子達と世界を見て欲しい。いや、世界を取って欲しい!」

「世界を取るですか…!大きく出ましたね!」

「俺は怪我で現役を引退してしまったんで、無理しない程度に頑張って欲しいですね」

そんな会話をしながら俺は施設を後にした。

「楽しい時間とはあっという間だ」

俺はふと呟く。

「父さーん!!」

「待たせたな」

俺は家族の元へと着いた。
この日はみんなで外食しようと、仕事帰りの道で待ち合わせをしていたのだ。

「あら?何か楽しいことがあったあなた?」

妻も温かい言葉で俺を迎える。

この言葉に俺は涙が出るのを抑える。
また、また俺は大事な人を…。

何回目かもわからない、この天国から地獄へと堕ちる瞬間。

タクシーを拾い、道を走って行く。
タイムリミット。

グァァァン!!グジャ!パリィィン!!
















………。

「……」

涙を拭いて俺は立ち上がった。 

 

真実の目

カタカタカタカタ…カチャ…タンタン。

「…よし」

俺は今、とある部屋へと侵入しておりパソコンを使いデータを取得している。

「父さん…いや。1人の時にそう呼ぶ必要はないか…」

インストール75%…。

「よし、あと少しだ」

俺はこの部屋でインストールを待つ間、棚の後ろにアルバムを発見した。

「ん?これは…?」

俺はそれを手に取りアルバムを捲る。

「…ふっ…」

そこには笑顔溢れる子どもたちが写っている。あの人も…。

「吉良さんどうしてこうなった…。あんなに子どもが大好きだった貴方が…」

俺は周囲に人が居ないのを再確認すると、更に捲っていく。

ぱらっ…

そんな時、アルバムの間から何やら封筒が落ちて来た。
俺はそれを拾い上げ、封筒を手に取る。

「開封済み…か」

俺は封筒を開け中の物を取り出した。

「写真とメモか」

俺はその写真を見て言葉を失った。
写真は3枚。俺は一枚ずつ見ていく。
写真の裏には吉良さんの字で一言文も書いてある。

「…最愛の息子ヒロトと遊園地にて」

そこには幸せそうな少年と吉良さんの笑顔。
これ以上の幸せはあるのだろうかという素敵な写真だ。

「ヒロト…」

俺は少し考え、2枚目を見る。

「海外留学前にヒロトと…」

そこにも元気そうな赤髪の少年と吉良さんの写真。

「これって…」

俺は日付を確認する。
どうやら俺と出会う前の時の写真らしい。
しかし、この少年は…?

俺は3枚目の写真を見る。
見たのと同時に目を疑った。

そこには今まであった幸せそうな写真は存在しなかった。
写真だがそこにはとある記事を写真で撮ってあるようだった。

「海外留学中の少年が事故に巻き込まれ死亡……?」

点と点が繋がっていく。
俺はメモを開く。そこには吉良さんの字で一言書いてあった。

「…あれは事故ではない」

インストール100%…。

俺は急いで封筒に全てを戻し、アルバムに挟み元に戻す。
俺はパソコンからUSBメモリを抜き取り、考えを巡らす。

「恐らくこのデータ、更に詳細なデータがありそうだ」

俺はこの場所から抜け出すとスターダストのロッカールームに入った。

「あ、ちょっ…!」

俺は声がした方に目を向ける。

「み、見ないで…!」

そこには着替えをしていたシアリアがいた。

「あ、すまん」

俺が大した反応もせず難しい顔をしていたのが不満なのか
シアリアは俺に向け話しかける。

「む、ちょっとー!女の子の着替え見といてその反応は無いよー!」

むう、としながら怒るシアリアだが俺の頭にはさまざまな疑問点があった。

(ヒロト…。海外留学…。そして事故。吉良さんの事故では無い)

あの写真の3枚、偶然の3枚とは思えない。
全てが繋がっているのだ。しかし今のヒロトは…。

「…あの写真のヒロトは俺が知っているヒロトでは無い」

それは間違いなさそうだ。

俺はUSBメモリを握りしめる。

「…ぇ、ねぇってば!」

シアリアは完全に俺に無視されて不機嫌になっているのか
またまた「む〜!」と言っている。

「すまんすまん、ちょっと考え混んでいてな」

「着替え見られて無視されて、女って見られてない感じがしてショックだよ…」

流石に可哀想に思えたので声を掛ける。

「そんなつもりじゃ無かったんだ城ヶ崎…!」

「じゃあなんでなのかなエクレール〜!」

完全に劣勢だ。こうなった女性に男には勝ち目は無い。

「悪かった!悪かった…今度ケーキ奢ってあげるから…!」

「やった♪じゃあ今度デートね♪」

「…はいはい」

俺は城ヶ崎に押し切られ渋々頷く。



「…で?上手くいった?」

「…!驚いたな…」

昔から色々勘がいいというか、鋭いと言うか。

「父さんの隠し部屋に行ってたんでしょ?」

「…そこまでお見通しとは…。お前には嘘つけなさそうだな…」

城ヶ崎は自慢気に「ふっふーん♪」と言い放つ。
そして更には俺に対することを言う。

「私は知ってるよ、貴方が雷藤真紅でないことも…」

「なっ…!?」

ふふふっ…。と笑うと城ヶ崎は部屋から出て行った。
俺は驚きのあまり声が出ない。

「…あいつ何者なんだ…」

俺は沈黙に包まれたロッカールームでUSBメモリを見つめた。

「あいつのことも気になるが、まずはこのデータ…確認しないとな」

俺はそう呟いて自分のパソコンを開いた。 

 

染岡とアツヤの絆

「はっ…ふっ!」

「くっ、せいっ!」

「よし一之瀬!パスを回せ!!」

「天空橋!」

土門くんのディフェンスを掻い潜った一之瀬くんは
鬼道くんの指示により私にパスを渡す。

「ナイスパス!塔子ちゃん!」

「よし来た!壁山!」

「ほいっス!」

私から塔子ちゃん、壁山くんへと渡る。


前で並走しているアツヤくんと染岡くん。
染岡くんがアツヤくんに話す。

「アツヤ!やろうぜ!」

「…てめぇ脚は大丈夫なのかよ」

そんなアツヤくんを見た染岡くんは笑う。

「お前意外と心配性だなぁ…、おい杉森ぃ!今、すげぇもん見せてやるぜ!!」

そんな染岡くんはワイバーンクラッシュの構えを起こし
上空へとボールを蹴り上げる。

上空へ昇るボールと共に、地面よりワイバーンが飛立つ。

グオオオオ!!

「ワイバーン……!!」

前へと放たれたワイバーンクラッシュにアツヤくんが合わせる。

「いいシュートじゃねぇか…!ブリザードォォ!!」

杉本くんへと唸りをあげるシュート。

「す、凄まじいシュートだ…!」

そんなシュートだが杉森くんは楽しそうだ。

「シュートポケットV3ィィ!!」

ギュルルルル!!

「杉森くんの技も凄い…!以前とは比べ物にならない!!」

「ぐおおおおおおっ!!」

グワシャーン!!

「よぉぉし!!」

決まったボールに染岡くんが叫ぶ。

「やっぱり凄いっスぅぅぅぅ!!」

「カッコいいでやんすぅぅ!!」

壁山くん、栗松くんも目を輝かせる。

「…これが今の雷門の実力か…!流石だぜ…」

川東くんもワクワクしているような目で見ている。

「くぅ…!いい連携技だ!アツヤとか言ったな!お前立派にあの豪炎寺の代わりを務めているじゃないか!」

「豪炎寺…?」

豪炎寺という言葉に聞き覚えのないアツヤくんは首を傾げる。

そんな杉森くんの言葉に染岡くんは言い返す。

「…豪炎寺の代わりじゃない。アツヤはアツヤ。吹雪アツヤだ。豪炎寺は豪炎寺だ」

そんな言葉にアツヤくんは少し嬉しそうだ。

「…ふっ、会ってみてぇよ。その豪炎寺って奴に」

「…へっ。そのうち会えるさ!」






「ぐわああああ!」

連続でマシンガンのように飛んで来るボールに吹き飛ばされる小暮。

「ぐっ…く、くっそお!何だよこんなの何も出来ねぇ!その気になった俺が馬鹿だったぁ!!」

そんな叫んでいる小暮の顔にもう一発。

「ぐええっ!」


バアアン!

勢いよく修練場から飛び出す小暮。

「やめやめっ!!…やってられっかこんなの!!」

そのまま勢いよく走り出す小暮だったが人にぶつかってしまう。

どんっ

「…つ、ててっ…。ん?」

小暮がぶつかったのは春菜だった。

そんな春菜を見た小暮は春菜の持つタオルを取ると
スタスタと歩き出していく。

「小暮くん何処行くの!?」

「何処でもいいだろっ」

「特訓は!?あの技完成したの!?」

「あんなの偶然だ」

そう言い捨てる小暮。

「あんなの偶然で出来るはずがない!…ねぇ、出来るまで付き合うよっ?一緒にやろうよ!」

その言葉に反応した小暮。
しかし彼から発せられた言葉は冷たいものだった。

「…いっしょに。一緒にって…」

小暮は今まで見たことないような表情叫ぶ。

「かあちゃんと同じこと言うなぁぁぁ!!!」

物凄い剣幕に春菜は立ち尽くす。

「…一緒にって言う奴なんか…信じられるかぁ!!」

つい勢いのように言ってしまった小暮。
小暮は春菜の顔を見ると、とても驚いているようだった。

「…ぁ…」

春菜は言葉が出てこない。

小暮は寂しそうな顔になると、うずくまりタオルを被る。

只事では無いと感じた春菜。
小暮に声を掛ける。

「…ねぇ、お母さんと何かあったの…?」

小暮は少し間を開けると口を開いた。

「……俺が凄く小さかった頃。一緒に旅行に行こうって連れてかれたんだ。…途中駅で弁当買ってくるから荷物の番してろって言われてさ。…でもあいつ戻って来なかった」

予想外の言葉に春菜はショックを受ける。

小さい子にはどれだけ辛かったことだろうか。
頭の中で想像するだけで伝わるだろう。

夕方になり、日が暮れ、月が昇る。
それでも小暮の元に母親は現れなかった。

「…俺、ずっと待ってたんだよ?それからさ、もう誰も信じるもんかって。信じても……ろくなことない」

そう言い放った小暮は俯く。

「………………こ」

春菜がこの気まずい雰囲気をどうにかしようと声を掛けようとした時。

「…なぁんてな!」

自分の人差し指で両方の頬を突きながら笑う。

「…んんっ!」

頭のタオルを取る小暮。

「お前がやれって言うからさ、もうちょっと頑張ってやるよ」

小暮はタオルを春菜に預けると修練場に向けてもう一度歩みを進める。

「……ん…っ?」

小暮が渡したタオルがモゾモゾと春菜の手で蠢く。

ぴょーん

「…ひゃあっ!」

飛び出して来たのは蛙だった。

「…うっししっ……!!」

「こっ……!…ふっ」

何か言いたげな春菜だったが少しほっとしたのか笑みが溢れる。

ゲコッゲコッ










「うおおおおおおっ!行けぇぇぇぇ!!ワイバーン!!」

「であああああああ!ブリザードォォォォ!!」

グオオオオオオオ!!

「おおっ!やってるな!!」

そんな中、鉄塔から帰って来た円堂くんがそう言いながら階段を降りてくる。

「俺もやるぜ!!」

そう叫んで来る円堂くんにアツヤくんは笑う。

「おお円堂!見てろよ…染岡!もう一度だ!」

「いいぜ!やろうぜアツヤ!もう完璧だぜ円堂!」

「ああっ完璧だぜ!もういっちょっ行くぜぇ!!」

染岡くんが放つワイバーンクラッシュにアツヤくんが合わせる。

「「ワイバーンブリザードォォォォォォ!!」」

グオオオオオオオ!! 

 

新たな目的地

「鬼道!」

「よしいいパスだ!」

風丸くんからのパスに鬼道くんはそう答える。

「みんな良い動きしてるね!」

私は秋ちゃんにそう声を掛ける。

「うん、この調子でイプシロンにも勝てると良いね!」

秋ちゃんと私はそんなことを話しながらアツヤくんと染岡くんに目を向ける。

「いいぞ染岡!この調子で決めるぜ!」

「ああ!行くぜアツヤ!」

「たあぁ!」と気合を入れ染岡くんがワイバーンクラッシュを放つ。
そこにアツヤくんのエターナルブリザードを加え叫ぶ。

「「ワイバーンブリザード!!」」

シュートが向かう先には円堂くん。

「来い!!」

グググっと身体を捻らせ力を解き放つ。

「マジン・ザ・ハンド改ィィィッ!!」

ギュルルルル!!!!

「ぐ、ぐ…!!なんてパワーだ…!があっ!!」

ズドオオオオオオ!!

円堂くんの進化したマジン・ザ・ハンドをも撃ち破るパワー。
やはりこの先この2人の協力は必要不可欠になりそうだ。

「よっしゃあ!見たか円堂!!」

染岡くんが円堂くんに大きな声で話す。

「ああ!!すんげぇシュートだったぜ!!まだ手がヒリヒリしてらぁ…!」

「へっ!俺と染岡のシュートが合わさればイプシロンも敵じゃないぜ!」

アツヤくんも自慢気に自分の腕に手を当て答える。

「でも、向こうもアツヤと染岡くんの合体技があるのを把握しているはずだからね」

吹雪くんはそう考え込むように話すがアツヤくんは気楽そうだ。

「何だよ兄貴、俺と染岡のコンビネーションならやれるさ!なぁ染岡!」

「ああ、心配しすぎだぜ吹雪。俺らが点を取って吹雪や円堂がゴールを守る、それが今のベストだぜ!」

吹雪くんの後ろから円堂くんも吹雪くんの肩に手を当て話す。

「ああ!俺は染岡達を信じてる!俺らは全力で点を取らせない!頑張ろうぜ吹雪!」

そんな円堂くん達の圧に負けたのか吹雪くんも笑顔で答える。

「そうだね…!僕も頑張るよ…!」

ぱんぱんっ!

私達は突然鳴り響いた音の方に顔を向ける。
そこには手を叩いている音無ちゃん、小暮くんがいた。

「そうだ!皆さんに報告があるんです!」

「報告?」

私は音無ちゃんの言葉に首を傾げる。

「小暮くん出来ちゃったんです!」

「出来ちゃったって何が?」

円堂くんも首を傾げながら答える。
そんな中、鬼道くんは思い出したように答えた。

「イプシロン戦で見せたあの技か?」

「そうなんです!」

鬼道くんの答えに答えた音無ちゃんの反応の後に
小暮くんは自慢気に「うっしっし!」と笑いながら答えた。

「見せてやってもいいよ…?」

「なんスかこの自信…?」




「小暮くん頑張ってー!」

「うっしっし!よぉし来い!」

グラウンド場で私達は小暮くんを大きな円で囲むように集まる。
中心の小暮くんにシュートをするとのことだ。

「行くぞ小暮!」

塔子ちゃんが小暮くんに向けてシュートを放つ。

そのシュートを確認した小暮くんは大きく飛び上がり
逆立ちしながら回転を行う。

塔子ちゃんが放ったシュートは弾かれ鬼道くんの元へ。
そのままダイレクトで鬼道くんは蹴り返す。
更にそのボールも弾かれ土門くんの元へ。

「小暮くんだいぶ磨きをかけたね!」

弾かれたボールの先にいた吹雪くんがそう言いながらボールを蹴り返す。

「コントロールも正確に出来てる…!」

私も見事に胸元に弾かれて来たボールを受け止めながらそう答える。

「小暮やるじゃねぇか!」

「こりゃ強力なディフェンダーになるっスよぉ!」

最後に円堂くんがシュートを放つ。

「よし!これでラストだ!!」

最後のシュートも見事に捌き切った小暮くん。

そんな小暮くんを見て目金くんは話す。

「スパイラルレックスとでも名付けますか…!」

「ダサい」

「ださーっ!?」

予想外の返答が帰ってきた目金くんは落ち込んでいるみたい。

「…俺の技は旋風陣だ!」

小暮くんはそう自信が満ち溢れた顔で答える。

「旋風陣か…!うん、いい名前だ!」

「これからの戦略にも幅が出来そうだ」

そんな小暮くんに染岡くんが近寄る。

「いい技だ…!その技でイプシロンのボールをカットしまくれ!」

そう言った染岡くんは小暮くんに手を差し出す。
まさか染岡くんがこんなに自分のことを褒めてくれると思っていなかったのだろうか、だが驚いた表情も笑顔に変わっていく。

「…俺、このチームに入れて良かったよ…!」

そう言いながら染岡くんの手を握り返す。

「ああ…!う…ん…?」

手に変な感覚を覚えた染岡くんはその自らに手を確認する。

「うぎゃあああああああ!!」

「うっししししし!!」

染岡くんの手には毛虫。

「あ、あは…は…小暮くんらしいといえばらしいけど…」

私は苦笑いしながら小暮くんを追い回す染岡くんを眺める。

そんな小暮くんの成長を目の当たりにした円堂くんは
チーム全員に向け声を掛ける。

「よぉし…みんな!小暮に続け!この勢いでもっともっと強くなろうぜ!!」

「「「おおおっ!!」」」

そんなみんなの顔を見ながら円堂くんは話す。

「俺さ…サッカーをやってて良かった…!染岡とも出会えたしこんなに仲間が増えた!…サッカーってやっぱおもしれぇ!って思った!だから宇宙人にもサッカーは楽しいんだぜって教えてやろうぜ!そうすればみんな平和にサッカーが出来るじゃないか!」

そしてはにかむような笑顔で話す。

「そしたら絶対にあの雷藤もサッカーの匂いに吊られて戻ってくる!あいつの事だから何事もなかったかのようにな!!」

そんな円堂くんの言葉に私も笑顔になる。

「ふふっ…!間違いないね!お兄ちゃんサッカー馬鹿だもん…!」

(私も…もっともっと強くなる…お兄ちゃんの為に!)

「兄貴もよく楽しもうとか言ってたよな」

「まあね」

チームの士気が上がっていくのを感じられる。

「みんなぁ!練習再開だぁ!」

「「「おおおおっ!!」」」

そんな雷門イレブンの姿を見ながら杉森くんは川東くんに声を掛ける。

「川東どうだあれが雷門中キャプテン円堂守だ」

「あの時と変わらないな。暑苦しいヤツ…だが、あの暑苦しさ嫌いじゃない…」

そうして私達は夕日が沈むまで夢中でボールを追いかけたのだった。





「これまで各地に出没したエイリア学園の移動パターンからすると、大阪に何らかに拠点があると推測される。」

「大阪ですか…?その拠点とは?」

「この座標だ」

瞳子の問いに応えた理事長が座標を合わせズームする。

「特訓に打ち込んでいるところすまないが、調べてみる価値はある。…行ってくれるかね?」

「…わかりました」





「今度は大阪かぁ」

そんな一之瀬くんの呟きに土門くんが反応する。

「敵のアジトがあるらしいぜ!」

「凄いっスね!乗り込んでこっちから攻撃するんスね!?」

そんなことでわいわい話しながら私達はキャラバンへと乗り込む。

「みんな気をつけて行ってくれたまえ!吉報を待っているぞ!」

私達は理事長の言葉に送り出される。

「「「はい!行ってきます!!」」」



「円堂くん」

「はい?」

瞳子監督の言葉に円堂は立ち止まる。

「貴方の河川敷での言葉何故か頭に残っているわ。サッカーは楽しいもの」

「…ん?」

円堂の顔を見ていた瞳子監督だが、少し悲しそうな顔をしながら遠くを見つめる。

「…あの人もそれに気付いて欲しい」

最後に瞳子監督が話した言葉だが円堂には聞こえず
円堂は首を傾げながらキャラバンに乗り込んだ。

「…大阪…か」

私は出発したキャラバンで揺られながらそう呟く。

(大阪にアジトがあるとの情報。アジトということはお兄ちゃんがいるかも知れない!)

「天空橋」

「黒薔薇くん!?」

後ろの席から急に声を掛けられ驚く私。
そんな私に前を向いてみろと指を指す。そこには円堂くんがいた。


「みんなぁ!俺らが向かう先はアジトだ!!もしかしたら雷藤がいるかも知れない!!みんなで雷藤を連れ戻して宇宙人の奴らに楽しいサッカーを見せてやろうぜ!!」

「「「おおおっ!!!」」」

キャラバンが揺れるようなみんなの掛け声に私は何故か涙が溢れる。

「…うん、うん…!そうだね、みんなでお兄ちゃんを助けよう!」

「ああ、俺らは全員仲間だ。絶対に助けてみせるさ!」

そう応えた黒薔薇くんに私は笑顔で答える。

「うん…!!」 

 

黒薔薇 咲夜

「…着いたはいいけど…。ここが奴らのアジト!?」

円堂くんがそういうのは無理もない。
ジェットコースター、空飛ぶ絨毯、フリードロップ。
私達を歓迎したのは様々なアトラクション達だった。

「すっごいなぁ!!」

小暮くんはアトラクションを見渡しながら目を輝かせる。

「こんなところにアジトなんかあるのかなぁ…?」

私もついついそんな本音が漏れる。
そんな私達に瞳子監督が話す。

「…間違いないわ。再度確認してもらったけど奴らのアジトがあるのはこのナニワランドの何処かよ」

瞳子監督達がそう確信しているのならそうなのだろう。
私は思わず拳に力が入ってしまう。

「…ってもなぁ…」

「どう見てもただの遊園地にか見えないでやんすぅ」

そんなことを言っている土門くん、栗松くんに夏未さんが声を掛けた。

「兎に角手分けして探すわよ。ここでじっとしていても仕方ないわ」

「ああ。ん…あれ…吹雪は?」

夏未さんの言葉に返事を返した円堂くんだったが
周囲から吹雪くんが居なくなってるのに気付く。

「…ああ、兄貴ならそこに居るぜ」

アツヤくんが指を指した方に視線を向けると
そこには複数人の女性に囲まれた吹雪くんの姿があった。

「怪しいアジトですよねぇ?」

「だったらあっちだと思います♡」

そう言われて吹雪くんは女性陣に腕を組まれたりして
連れて行かれていった。

「あ、あはは…流石吹雪くん。大阪でもモテモテだね…」

「まあ兄貴はいつものことさ…って!?」

そんなことを言っていたアツヤくんの周りにも気付けば女性陣。

「怪しいところ探してるんですよねぇ!?私心当たりあります♡」

「あ、ずるーい!私も心当たりありまーす♡」

吹雪くんと同じようにアツヤくんも腕を組まれたり大変そうだ。

「お、おい!テメェら暑苦しいんだよ!離れ…やがれぇ!」

「いやーん♡男らしくて素敵ー♡」

…何言っても無駄そうな人達…。
私の予想は当たりアツヤくんも連行されていく。

「お、おい染岡ぁ!黙って見てないで助けやがれ!」

「アツヤ…その状態で助けを求めるのは嫌がらせか…!?」

「んなわけあるか!?う、うおっ!?」

「あ、あははアツヤくんも大変だなぁ。」

連行されていった吹雪くん、アツヤくんはさておき。
私達は何人かに分かれて捜索を開始した。

しばらくの間捜索を行ったが未だ進展なし。

「うーん、これと言って怪しいものないね…」

私と行動を共にしていた小暮くん、音無ちゃんは
走り回る小暮くんの保護者として音無ちゃんが同行し分かれてしまい
今は黒薔薇くんと2人になっていた。

「そうだな…。あとは上空から探してみるとかか?」

「上空?」

私は黒薔薇くんの言葉に上を見上げる。
そこには大きな観覧車。
確かに上空から探してみるのはありかも知れない。

「そう…だね、行こう」

私たちはそうして観覧車へと向かった。

「足元にご注意ください〜」

私達は観覧車へと乗り込む。

向かい合うように座る私たち。
観覧車。本来ワクワクするような場所。それはわかっている。
でも、何故か言葉は喉から先へは自分から出ようとしなかった。

「天空橋」

観覧車は時計の11時くらいのところだろうか。
今まで沈黙だった空間で黒薔薇くんが口を開いた。

「雷藤のことか…?」

私は図星を突かれ少し苦笑いを浮かべる。

「うん…そうだよ。もしこのままアジトが見つからなかったら、お兄ちゃんと会えなかったらって思うと…。情けないよね私…。河川敷での円堂くんの言葉嬉しかった。キャラバンでの言葉も嬉しかった…!でも、でも…!!」

私の心は押しつぶされるようなプレッシャーを感じていた。
お兄ちゃんが飛ばされたジェミニとの試合。
私はお兄ちゃんの背中を追いかけているだけだった。
でも、今は違う。
過去のお兄ちゃんと同じ雷門の一員として戦っているのだ。
私の一つのプレーでお兄ちゃんが助からなくなる可能性があるのだ。

「私…こわい…。失敗するのが怖くなってしまってるの…」

私は本音を黒薔薇くんに零す。
そんな私に帰ってきた言葉。

「…俺だって怖いさ」

「…え…っ?」

予想外の言葉だった。
あの黒薔薇くんが…?それが本当の気持ちだった。
初めて黒薔薇くんと出会った試合、ナイトメア戦。
あの自信満々なプレー。敵ながら惹かれるものがあった。
そして仲間になった黒薔薇くん。
出ている試合で確実に試合のキーマンとなり点を決め指示を出す。
そんな黒薔薇くんが…?

観覧車が頂点に登った時、黒薔薇くんが「俺の手を見ろ。」と私に話す。

「ふ、震えてる…?」

黒薔薇くんの手は震えていたのだ。
フィールドでは強者とも言えるオーラを放つ黒薔薇くんが。

「俺、前回の試合怖くて動けなかったんだぜ…?情けないだろう?」

「前回の試合…?」

黒薔薇くんが話した前回の試合。
その言葉が指すのは真・帝国学園戦のことだった。

「…でも!あの試合、相手からボールを取ったり…」

「そうそれだけだ」

確かに言われてみれば、黒薔薇くんの割には前線に上がるのが少なかったような。

「俺さ鬼道の気持ち多少わかるのさ。普段は口に出さないけどな」

「黒薔薇くん…」

「俺たちナイトメアは毎日死ぬ程の試合を行なわされた。俺らの1日は試合で始まり試合で終わるような日々だ。試合で結果を残せない選手は飯も食えない。試合で結果を出せない奴は眠ることも許されない。ましてや相手は神のアクアで強化された強化選手。俺の仲間達も何十人も病院送りになったものさ」

「…っ、ひどい…!」

想像するだけで、絶望するような日々。
それをナイトメア…、黒薔薇くん達は過ごしていたのだ。

「あの時の支配されていた時の恐怖があの時蘇ってしまったんだ…。…情けないだろう?」

「情けなくなんてないよっ!!」

私の本心からの叫びだった。私は溢れ出る涙を抑える。

「そんなの…っ、そんなのっ!あんまりだよ…っ…」

「天空橋…ありがとう…」

黒薔薇くんは私にハンカチを差し出す。
私はそれを手に取り涙を拭う。

「天空橋、お前はこんな俺のことを情けなくないと言ってくれた。…怖さっていうのはそんな簡単には無くならない。多分俺や天空橋、これからもそう思う時があるかも知れない。だから俺と約束してくれ」

私は黒薔薇くんの目を見つめる。

「心の中で俺らは1人じゃないって唱えるんだ。俺も頑張るからさ…っ!」

私は自分の胸に手を当て目を閉じる。
浮かぶのはお兄ちゃん、黒薔薇くん、雷門イレブンのみんな。

スーッと何かが軽くなるような感覚。
黒薔薇くんの言葉という鍵が私の錠前を外してくれたような感覚。

私の心を押しつぶしていたものはなくなり
心にあたたかいものが流れてくる。

「そうだね…私達は1人じゃない…っ!」

私が笑顔で黒薔薇くんに答えを返す。
観覧車も下に到着のタイミングだ。

私達は同時に観覧車から降りた。

「天空橋行くか」

「うん!探そうっ!」

私達は再びナニワランドの捜索を開始したのだった。 

 

大阪ギャルズCCC

ずんちゃずんちゃ♪

「ふんふーん♪」

「うーん…」

一之瀬は辺りにそれらしいものがないかを探す。

「ん……?…はぁぁ♡」

タッタッタ…。

「何探してんの?」

一之瀬がその声の方向に目を向けると黒ギャルと呼んだ方が伝わるような
少女が話しかけてきていた。

「え?…う、うんちょっとね」

一之瀬はそう言いその場を去ろうとする。

「もしかして…アレか」

「!?…アレ?」

一之瀬はその言葉に思わす足を止める。

「ついてきぃ」

少女はそう親指で向こうを差しながら歩き出す。

「アレってまさか…」

一之瀬はその言葉が気になり少女の後について行った。




「ええっ!?お好み焼き…?まさかここが…?」

ガラガラガラ……

「お好み焼き探してたんやろ?かーちゃん彼氏連れてきたで〜。」

「はぁ!?彼氏!?」

「お好み焼き食わしたって〜」

少女が話す先を見るとそこには母親らしき姿。

「なんやて…」

その母親は一之瀬を見るに物凄い速さで近寄る。

「へぇ、あんたかいなリカの彼氏っちゅうーんわ!」

一之瀬も誤解を解こうと話す。

「ち、違いますよ!俺はさっきなにわランドで会っただけで!」

「細かいことは良いから、ほら座って座って〜」

一之瀬はそのまま奥へと案内されていく。

「はぁ、リカちょっと」

「なにぃ?」

「リカ、あんたも見る目ないなぁ。あんなひょろひょろした男の何がええねんなぁ…」

「おかあちゃんには言われとうないわ!自分かておとうちゃんに逃げられとるくせに!おかあちゃんの目の方が腐っとるわ。あんなくそ親父と一緒になるなんて!」

「あのぉ〜」

一之瀬の言葉は聞こえていないようだ。

「ふん!あんたに男と女のことなんかわからんわ!」

「何が男と女や!茄子みたいな顔して!」

「なすびぃ〜!?」

「あ、あのぉ〜」

一之瀬が振り絞った言葉に2人とも睨みつけ叫ぶ。

「「あんたは黙っといて!!」」

「…は、はい」

2人に圧に負けて萎縮してしまう一之瀬であった。

「ほんま気ぃ悪いわ!ちょい出てくるわ」

「おかあちゃん待ちぃ」

リカは手元から何か紙を取り出す。

「ほらサービス券。どうせたこ焼きでも食いに行くんやろ?これ渡したら3個サービスしてくれるわ」

「ふん、しゃーないな。貰っといたるわ」

今が好機と感じた一之瀬も席を立ち出口に向かう。

「じゃあ俺もこの辺で…」

「ダーリンはいかんでええのっ♡」

「だ、ダーリン!?」

「折角大阪来たんならお好み焼きくらい食べて行かなん!うちがめっちゃ美味しいお好み焼き作ったるから!」

「いや、でもお腹空いてないし…」

一之瀬はそう言いこの場を去ろうとする。

「そんな遠慮せんでもええやん〜」

「遠慮してるわけじゃない…」

そんな一之瀬を見たリカの目はどんどん怖くなる。

「作ったる言うてんねんから、食ってったらええやろ?」

どこから出しているんだと言うほどの凄みのある声に一之瀬は頷くしかなかった。






「そっちもなかったか」

円堂くんの言葉に頷く。
私達は一通り探し、全員集合していた。

「あれ一之瀬くんは?」

秋ちゃんがそう言いながら辺りを見渡す。
確かに一之瀬くんの姿が見当たらない。

「ああ、一之瀬なら外みたいだぜ」

振り返るとそこにはアツヤくんと吹雪くん。

「この子達が出ていくのを見たんだって」

「「こんにちは〜」」

相変わらず女の子に囲まれてる…。

その後、女の子達の証言を元に私達はとあるお好み焼き屋に辿り着いた。

「ここだな」

円堂くんがドアを開ける。

ガラガラガラ……

「いらっしゃい〜」

「あ、円堂!?」

「何やってるんだこんなところで」

そんな私達を見た少女が一之瀬くんに話す。

「こいつらかさっき言うてた仲間っちゅうやつは?」

円堂くんを見て立ち上がる一之瀬くん。

「ありがとう、本当に凄く美味しかったよ」

通り過ぎようとする一之瀬くんを少女は止める。

「そうは行かへんで。あんたうちの特製ラブラブ焼き食うたやろ?アレ食べたら結婚せなあかん決まりやねんで」

「「「け、結婚!?」」」

私達はみんなして驚く。

「でも、そんな話一度も!?」

「当たり前やろ、そんなん言うたら絶対食べへんやんか。…まあそう言うことやからエイリア学園かなんか知らんけど、そいつらはあんたらだけで倒してなぁ〜。ダーリンはうちとここで幸せな家庭を築くよってなぁ〜♡」

「だ、ダーリン!?」

秋ちゃんの反応が一際響く。
私もお兄ちゃんが他の女にダーリン呼びされてたら…。

「お、おいなんか天空橋の顔怖くないか…?」

「あはは…」

そんな声も周りから聞こえたような聞こえないような。

「はーい、お好み焼き食わんのやったら出て行ってや〜、商売の邪魔やから〜」

「ちょ、ちょっと待てよ!?」

バァン!!

そのまま扉は閉められて閉店の文字に変わる。

「ダーリンそんなに照れんでもええやーん♡」

「だからダーリンじゃないって!!うわ、円堂〜!!」

そんな声が店から響く。

「一之瀬!」

「ちょおどいてんかぁ」

もう一度ドアに手を伸ばした円堂くんを押しやり
女の子が乱入する。

「何するんだ!?」

風丸くんが円堂くんを支える。

「何するんだってリカに呼びに来たに決まってるやん」

振り返ると大勢のサッカーのユニフォームを来た女の子たち。

「キュート♡」

「シック!」

「クール!」

「うちらなにわのサッカー娘!」

私達はいきなりのペースについて行けない。

「キュートでシックでクールな大阪ギャルズCCC!!」

ガラガラガラ……!!

「何やってんねんリカ!練習時間とっくに過ぎてんで!?…は?」

そこには一之瀬くんに抱きついているリカちゃん。

「り、リカ…」

「か、香津世…」

そして向けられた視線を確認する。
そこには食べ終わったハートのお皿。

「あっ!!え、嘘ぉ…。みんなリカが結婚相手見つけたで!!」

「「「結婚相手!!??」」」

雪崩のように入っていく女の子たち。

「なんか大変なことになってるでやんす…」

「やっぱり一之瀬先輩ここに残っちゃうんスかねぇ…」

「どうするんだよ円堂?」

「どうするって言われてもなぁ…」

悩んでいる円堂くんに目金くんが話しかける。

「ではこうしたらどうでしょう」

「「「サッカーで決める!?」」」

「サッカーで勝ったチームがぁ!一之瀬くんを連れて行けるんです!!」

「目金くん!?」

私もつい口を挟んでしまう。

「心配いりませんよ、相手は女子チーム。僕たちが負けるはずないじゃないですかぁ…」

「だからそう言う問題じゃ無いんだけどなぁ…」

目金くんの提案に女子チームのリカちゃんが答えた。

「それおもろいなぁ!」

「「「えっ?」」」

私達は口を揃えてそんな情けなく口を開ける。

「それで決まりや、ほな早速始めよか。行こダーリン♡」

「ちょっとー!?」

そのまま横の一之瀬くんの首に手を回して連れて行く。

「やるしか無さそうだね円堂くん…」

「あ、ああ…」

私の言葉に苦笑いで答える円堂くん。
流石の円堂くんも予想外の展開みたいだ。




「なんやて?大阪ギャルズがサッカーの試合!?こうしちゃ居られんで!!」

「お、おばちゃんお釣りお釣りー!!」
 

 

ギャルズの実力

「あんたら東京の奴らに負けたらあかんでぇ!!」

リカちゃんのお母さんの声が響き渡る。

「なんでこんな奴らと試合を…」

そんな風に嘆く塔子ちゃん。

「ホントだね…、でも女子サッカーには興味あるかな」

そんなことを話しているとリカちゃんが近寄って来た。

「ちょおあんた!女子なんやからこっちに入ってや!」

「え…私?」

「そや、あんたやあんた」

驚きのあまり私は塔子ちゃんと目を合わせる。

「いやいやあたし達は雷門イレブンなんだぞ?」

塔子ちゃんの言葉を無視してリカちゃんは私の手を掴む。

「え、えーっ!?」

ずるずる引きずられていく私。
なんて力…、振りほどけない…。

「あたし達がそっちに加わって良いのか!?」

「何言ってるん、こっちに入るんわ女子だけや」

「あ、あたしも女子なんだけど?」

「あんたは…ええわ。なんかめんどくさそうやし」

結局連行されたのは私1人。
どうしてこんなことに…。

「むきーっ!何なのあいつ!」

塔子ちゃんの声が大阪ギャルズCCCのベンチにまで響いてくる。

「あの〜。何で私だけ?…って、わああっ!」

突如ギャルズのメンバーが私の元に駆け寄ってくる。

「恋する乙女の波動を感じたんや!」

リカちゃん達に囲まれて動揺する私。

「こ、恋する乙女!?」

「そや!あたし達は恋する乙女の味方や!」

そんな流れで一通り自己紹介を受けた私。
なんだろう、大阪の人特有の話しやすさなのかな?
自然とチームに馴染んでいく。


「なんか向こういい雰囲気じゃ無いか?」

風丸が円堂達に話す。

「そう…みたいだな。相手は女子とは言っても天空橋も加わって更に強力になってる筈だ!気を抜かず行くぞ!」

「いやいや円堂くん!相手は女子…僕たちが負けることなんてあり得ませんよっ!」

円堂の言葉に水を刺すように話す目金。

「いや、違うな」

その会話に割って入ったのは黒薔薇だった。

「他の女子はどうかわからないが、天空橋は俺たちと共にエイリア学園と戦ってきた仲間だ。あいつは自分自身の可能性をまだわかっていない。あいつは雷藤の妹なんだぞ。あいつはまだまだ伸び代がある」

「うっ…。確かに…天空橋さんが向こうのチームに行ってしまうのは予想外でしたね…」

ばんっ!
円堂がグローブを付けた手で叩く。

「だけどそのおかげで全力の天空橋と戦えるってことだろ!?絶対止めてやるぜ!」

楽しそうに話す円堂。
その様子を見た黒薔薇も笑みを浮かべている。

「よし行くぜ!!」

円堂の声掛けで選手達は自分たちのポジションにつく。



雷門イレブン

FW アツヤ 染岡 黒薔薇
MF 一之瀬 鬼道 風丸
DF 塔子 壁山 小暮 吹雪
GK 円堂

大阪ギャルズCCC

FW 天空橋 リカ 御堂
MF 万博 蛸谷 浪川 天王寺
DF 堀 虎浜 串田
GK 土洲




私の目の前に広がる光景。
こんな光景など想像したことなかった。
相手は雷門。

あまり経験したことないFWということもあり緊張していることもあるが
それ以上になんだろうこの気持ち…。

「楽しみ…!」

その私の言葉に黒薔薇くんは驚いたように反応する。

「お前からそんな言葉が聞けるなんてな」

「楽しまなきゃ損じゃない?こんな機会…!」

そんな様子を見ていたリカちゃんが寄ってくる。

「はぁ〜ん、そういうことか♡」

私に後ろに周り肩を掴む。
そして黒薔薇くんに向かい話しかける。

「あんた…、ええ男やけど心美みたいな可愛い子はまだやれんなぁ〜」

「ちょっとリカちゃん!?」

「あんたあの男か…?」

「ちょっ、ちょっと!!??」

リカちゃんのペースにまんまとハマっていく私。
そんな中、黒薔薇くんが口を開く。

「ああ、待ってろ…」

「「え…っ!?」」

私とリカちゃんは同時に反応する。

「これってそういう流れやろ!?」

リカちゃんが顔を赤らめながら私に近づく。
思わず私もドキドキしてしまう。

「この試合俺らが勝つ。早く雷門イレブンに戻ってこい」

ガクッ。

何を期待してるんだ私。

「あんたまだまだ苦労しそうやな…」

私の耳元でそう呟くリカちゃん。

「あんた女子の敵や!絶対ギャフンと言わせたるわ!」

そう指を刺され指摘される黒薔薇くん。
当本人は全く心当たりはなさそうだ…。

「…まあええわ。はよ始めよか〜」

そんな様子を見ていた古株さん。
リカちゃんの言葉に頷き、ホイッスルを手に取る。
そんな古株さんの横には角馬くん。

《さあ間もなく雷門イレブン対大阪ギャルズCCCの試合が始まります!!》

その言葉で私達は構える。

「応援は任せとき〜!!フレっフレ!ギャルズ〜!!」

リカちゃんのお母さんの応援が私たちの背中を押す。

「任せとき〜、うちの必殺通天閣シュート決めたるで!」

「「「通天閣シュート!?」」」

雷門イレブンの選手達は驚く。
そんな中、私とリカちゃん、そしてもう1人のFW御堂玲華ちゃんがリカちゃんに話す。

「あんたそんなシュートないやろ?」

「アホやな〜、そんなん知らんのやから適当に言っとけばええねん」

「あ、あはは…」

私も苦笑いを浮かべる。

ピーーーーーーー!!

《試合開始のホイッスルが鳴りました!ボールは大阪ギャルズからです!!》

「行くで心美、玲華!!」

私と玲華ちゃんは頷く。
ボールはリカちゃんから玲華ちゃんに渡り、私達は3人で上がっていく。

「心美!」

玲華ちゃんから私にボールが渡る。

「行ったれ心美!」

リカちゃんの声が響く。

「行かせないぜ!」

アツヤくんがディフェンスに入る。
私は加速しながら技を放つ。

「電光石火!」

「なっ…!」

私はアツヤくんを抜きそのまま玲華ちゃんにパスを出す。

「玲華ちゃん!」

「心美やるね!それじゃあ私も!」

玲華ちゃんにディフェンスに入ったのは風丸くん。

「プリマドンナ!」

踊り子のような舞で華麗に風丸くんを抜き去る。

「す、凄い…!!」

私は思わずそんなことを呟く。
想像以上だ。まさか雷門イレブンにも引けを取らないなんて。
思わぬギャルズの攻めに雷門イレブンも焦っているようだ。

「リカ!」

「玲華!行くで!!」

2人は飛び上がり手を繋ぎツインシュートを放つ。

「「バタフライドリーム!!」」

美しい蝶のようにゴールへと襲い掛かるシュート。
威力もなかなかだ。

「爆裂パンチィ!!」

円堂くんがパンチを放つ。
しかし、途中で回転が変わったシュートは向きを変え
円堂くんのパンチを掻い潜りゴールへと突き刺さった。

ピィーーーーーー!!

《なんと先制点は大阪ギャルズCCCだぁー!!》

「う、嘘だろ…」

ゴールに突き刺さったボールを見ながら風丸くんが呟く。

「「「いえーい!!」」」

私達ギャルズサイドはハイタッチを交わす。

「凄いよリカちゃん、玲華ちゃん!!」

そんな私に他のみんなも集まる。

「いやぁあんたのドリブル凄いなぁ!!」

そう褒められて少し照れる私。

「うん、お兄ちゃんの技なんだ…!」

「ええなぁそういうの!!」

このチームの雰囲気好きだな…。
なんだろう思い出す…。


『ねえねえ心美ちゃん見ててー!』

『危ないよー』

『私この技絶対完成させるんだぁー!』

『技の名前はー?』

『めておしゃわーって名前にするー!』


その瞬間私の頭に衝撃が走った。
思い出したのと同時に変なことを考えてしまう…。

「まさかね…」

「心美大丈夫か?」

「…えっ?」

リカちゃんの声掛けで我に帰る。

「なんか青ざめとるで?」

「う、ううん大丈夫!私も負けないように頑張らないとなって思ってただけ!」

「せやで!うちもこの試合勝って絶対ダーリン捕まえたる!」

「あ、そういえばこの試合一之瀬くんの運命掛かってるんだったね…」

私は少し罪悪感を感じつつも、持ち場に着く。

「変なことな考えない!試合に集中!」

(私の実力を試すチャンスなんだからっ!) 

 

お兄ちゃんを超える

私達の喜びも束の間。
次は雷門中からのボールだ。

「行くぞアツヤ、黒薔薇!」

染岡くんからアツヤくんへとパスが渡り
果敢に攻め込んでくる。

「俺が止められるかよ!?」

どんどん攻めてくるアツヤくんに私達は抜かれていく。

「何なんあいつ!?」

リカちゃんもあっという間に抜かれていくMF陣の様子を見て
驚きが隠せない。

「行かさへんで!!」

ディフェンスに入った香津世ちゃんもすぐさま抜かれる。

「…か、かっこええやん…」

か、香津世ちゃん…。
さては、見惚れてたな…。気持ちはわかるけど…。

「行くぜ…」

アツヤくんはそのままボールに回転を加え氷を発生させる。

「エターナルブリザードV2!!」

グオオオオ!!

唸りを上げてゴールへと襲うシュート。
GKの恋ちゃんが必殺技のはなふぶきを発動させようとするものの
圧倒的なシュートの威力に吹き飛ばされゴールに突き刺さる。

《ゴールゥゥゥッ!!吹雪アツヤの圧倒的な攻めに手も足も出ませんでした大阪ギャルズCCC!!1対1の振り出しに戻りますっ!!》

正直アツヤくんの制圧力は雷門イチかもしれないな…。

アツヤくん1人にゴールを決められた私たちだが
全然ギャルズのメンバーは諦めて居なかった。

「しゃーないしゃーない!切り替えてこ!」

「うん!みんなで取り返そう!」

ピーー!

今度は私達のボール。

リカちゃんから私にパスが渡り攻め込む。

「行かせないぞ天空橋!」

「黒薔薇くん…っ!」

私の目の前には黒薔薇くん。
全力で行くしかない!

「電光石火…っ!!」

高速で抜きに掛かる私。
黒薔薇くんの横を通過したかと思ったその時だった。

「ムーンドロップ…ッ!!」

すぱん…っ!

「うっ…!」

瞬く間に私の足元からボールが奪い取られる。
電光石火が止められるなんて…。

「まだまだだな…。そんなんじゃ雷藤には及ばないぞ」

「…っ!これからだよっ!!」

私は更に低く構え技を放つ。

「サンダーバインド…ッ!!」

淡い光を放ちながら黒薔薇くんのボールへと向かう。

「甘い…!」

直後、黒薔薇くんは上空にボールを放ち飛び上がる。
ターゲットを失った技は不発に終わり空を切る。

「そ、そんな!?お兄ちゃんの技が通用しない…!?」

「これが今の現状だ。雷藤の技が通用しないという訳ではない」

私はそのまま降りてきた黒薔薇くんに目をやる。

「雷藤の技に比べてキレや反応が悪い。そんなんじゃ雷藤は救えないぞ」

「…っ!?」

予想外の言葉に私は表情が曇る。

「おい!言い過ぎだぞ黒薔薇!天空橋がどんなに辛い思いしてんのか知ってんだろ!?」

染岡くんがそう黒薔薇くんに言う。

「知っているからこそだ」

黒薔薇くんはそう私に言い切る。

そして私を抜き去り攻め込んでいく。

「あんたなんや知らんけど心美傷付けて楽しいんか!?」

リカちゃんが黒薔薇くんのディフェンスに入る。
しかし簡単に抜き去っていく。

「デスサイスG2!!」

ドゴオオオオオッ!!

ピーーー!!

《雷門続けて黒薔薇がゴールを決めたぁ!雷門勝ち越しです!!》


「円堂、なんか黒薔薇の奴が天空橋にキツイこと言ってるみたいだけど大丈夫か?」

「黒薔薇にも何か考えがあるのかもしれないな…」

風丸と円堂もそんなことを話す。

「うーん、でも確かに今の天空橋さんのドリブルなら僕でも簡単に止められるかも」

「お、おい吹雪!?」

そんなことを言う吹雪に風丸が驚く。

「黒薔薇の奴…、何を狙ってるんだ…?」



ピーー!

再びボールはギャルズから。

「心美!あんな嫌味な奴やめときぃ!」

リカちゃんがそう言うが私の脳裏にはさっきの言葉が焼き付いている。

「キレや反応が悪い…」

正直心当たりがあった。

お兄ちゃんの技ということもあり威力はある。
だけど、それはあくまで真似。

どう足掻いてもオリジナルに勝つことは難しいのだ。
確かに技を真似して使うことはできるけど、それはオリジナルのようには行かない。
発動タイミングや力加減そういうのは真似なんて出来ない。

辿り着いた答えがある。
私はその答えを呟く。

「お兄ちゃんを超える…!」

その言葉を聞いた黒薔薇くんは頷く。

「その通りだ。雷藤には雷藤の技があるように、お前にはお前の技がある…。それを使いこなせればお前はまだ強くなれる…!!」

私はその言葉に力強く頷く。

ボールはリカちゃん。
玲華ちゃんにパスを出そうとしたが私は声を掛ける。

「リカちゃん私にボールを!」

「…わかった!頼んだで!」

ボールを受け取った私。
目の前にはまたしても黒薔薇くんが立ち塞がる。

「来い…!!」

私はそう構える黒薔薇くんに向かう。

何故だろう。私のサッカーをすると決めた途端頭が冴えていく感覚。
優雅な蝶のような舞を行いながら電光石火の速さを加えていく。

「こ、これは…!?」

黒薔薇くんも驚いた顔で技を見つめる。

「これが私の技…!レジェロアクセル…ッ!!」

瞬く間に私は黒薔薇くんを抜き去る。

「なんて奴だ…!」

私に抜かれた黒薔薇くんだが表情は優しげだ。

「あいつ…ドリブルに関しては雷藤を超えたな…!」

鬼道くんからも思わずそう言葉が漏れる。

そのままゴールへと向かう私。
しかしそこに壁山くんがディフェンスに入る。

「い、行かせないっスよぉ!!ザ・ウォール!!」

ザ・ウォールを発動させた壁山くんに対して私が取った行動。

「はっ…!」

上にボールを飛ばす。
さっきの黒薔薇くんの応用だ。

そのまま私は壁山くんのザ・ウォールの壁を蹴って上空へと飛び上がる。

「行くよ円堂くん…っ!!」

「来い…天空橋!」

天使の涙の波紋と共に全力でシュートを放つ。

「エンジェル…ティアーッ!!」

私の今、放てる最高のシュートが円堂くんに唸りをあげる。

「止める…!ゴッドハンド改ィィィッ!!」

ギュルルルルルル…!!

「く…ぐ…!があっ!!」

グワシャーン!!

私が放ったエンジェルティアーは円堂くんのゴッドハンドを粉砕し
雷門に追い付く同点のシュートとなった。

「円堂くんからゴール!!やったぁ!!」

《なんと大阪ギャルズCCCに入った天空橋の必殺シュートが雷門のゴールに突き刺さったぁ!!これでまたしても同点ですっ!!》

「くっそぉ…!やるなぁ天空橋!!」

起き上がった円堂くんが私にそう呼び掛ける。

「次も決めさせてもらうよ!!」

ピィ ピィーーー!!

前半終了。

想像以上に充実した試合展開にお互い熱くなる。

「あんたらええ試合しとるやんか!!ほら沢山作っといたから後半も頑張りや!!」

そうリカちゃんのお母さんが言うと出て来たのは沢山のお好み焼き。
これがまた悪魔的な美味さなのだ…。ダメダメ、食べ過ぎないようにしないと…。

「よっしゃあ!そんじゃギャルズ後半も頑張るでー!!」

「「「おおっ!!」」」



「黒薔薇、済まなかったな」

「染岡…。なに、俺も多少熱くなって居たのかもしれない」

黒薔薇はそういうとギャルズの方を見る。

「まさかあそこまで急激に成長するとは思わなかったけどな…」

「うん、あの技は僕でも止められないかも…」

「兄貴が止められないかもって…マジかよ…」

そんな会話をしているなんて勿論心美は知らない。



ピーー!!

後半の開始のホイッスル。
ボールは雷門中から。

染岡くん、アツヤくん、黒薔薇くんが攻め込み
その後ろから鬼道くん、一之瀬くん、風丸くんが上がる。

こうして見るととんでもないメンバーだ。

「疾風ダッシュ!!」

「イリュージョンボール!!」

「オーロラドリブル!」

雷門のドリブル技が決まっていく。

「染岡!!」

アツヤくんから染岡くんに渡り
シュートの構えを起こす。

「ワイバーンクラッシュ!!」

ギュオオオオオオオオオオ!!

「はなふぶき…きゃあああ!!」

ピーー!!

《染岡のシュートが炸裂!!雷門勝ち越しです!!》



「心美!!」

玲華ちゃんからボールが渡る。
正面には吹雪くん。

「絶対…抜いてみせる…!!」

「ふふ…勝負だね…!」

私は吹雪くんに向かいドリブルを行う。
それを見た吹雪くんは技を発動させる。

「アイスグランド!!」

凍てついていく地面、私がとった行動…それは。

「リカちゃん!!」

「ナイスや心美!!」

ボールはバックパスでリカちゃんへ。

「あらら、まんまとハマっちゃった」

そのまま吹雪くんを抜き去りリカちゃんと玲華ちゃんがシュートを放つ。

「「バタフライドリーム!!」」

美しい蝶のようなシュートが円堂くんに向かっていく。

「次こそ…っ!ゴッドハンド改ィッ!!」

キュイーン パシンッ…!

円堂くんのゴッドハンドがバタフライドリームの
威力を抑え完璧に手に収める。

「だあっ!惜しいぃ!」

香津世ちゃんの声がここまで聞こえてくる。

円堂くんが蹴ったボールは風丸くんに渡ったがそこに香津世ちゃんが
ディフェンスに入った。

「行かせへんで!グッドスメル!!」

「くっ…!!」

香津世ちゃんが風丸くんからボールを奪う。

「本当に彼女たち強いぞ!?」

風丸くんがそんな風に叫ぶ。

「甲子!」

甲子と呼ばれた虎浜甲子ちゃんにボールが渡る。

「ん…っ」

驚いたことにボールの上に乗りコロコロ転がしながら
雷門のメンバーを抜いていく。

「ま、まさにたまのりピエロと言ったところでしょうか…」

目金くんも驚きつつ命名している。

「ん…っ!」

甲子ちゃんからボールはリカちゃんへ。

「とっておきは最後まで取っておくもんやで…!!」

リカちゃんはシュートの構えを起こす。

「ローズスプラッシュ!!」

薔薇が渦を巻くようにシュートを加速させて
円堂くんの守るゴールへと向かう。

「待ってたよ…あんたのシュート!!」

そこに現れたのは塔子ちゃん。

「出たな面倒そうな女…!」

「誰が面倒そうだ!!ザ・タワー!!」

塔子ちゃんのザ・タワーは止めるまでに至らなかったが
大幅に威力をダウンさせた。

「あーっ!いらんことすんなぁ!!」

リカちゃんの声が響く。

「これなら…!爆裂パンチィィィッ!!」

ダダダダダダダッ!! バシーン!!

円堂くんが弾き返したボールは高々と上空へ。

「行くよ…っ!!」

飛び上がったのは私。
上空でそのままシュート体勢を取りシュートを放つ。

「エンジェルティアー!!」

そんな私のシュートを見て円堂くんは最強技のモーションを行う。

「うおおおおおっ!マジン・ザ・ハンド改ィィィッ!!」

ギュルルルルルル!!

「はああっ!!」

シュゥゥゥゥ……

シュートは惜しくも円堂くんの手に収まる。

「ふう…危なかったぜ…。いいシュートだ天空橋!!」

流石は円堂くんのマジン・ザ・ハンド…。
私もまだまだ成長しなきゃだな。

「いっけぇぇ!!」

そのままカウンターに持っていかれるギャルズ。
ボールは一之瀬くんに渡る。

「ダーリン…♡」

リカちゃんが見惚れるのも無理はない。
見事なプレーで華麗に抜き去っていく。もうゴール前だ。

「決めるよ…!スパイラルショット!!」

ピィーーーー!!

《ゴォォォォル!!試合終了間際!一之瀬一哉の強力なシュートで追加点です!!》

「はううううううううっ♡」

あ、完全にリカちゃん堕ちたな…。

ピィ ピィ ピィーーーーーー!!

《試合終了ぉぉぉ!!途中までお互い互角の試合の接戦を制したのは雷門中だぁ!!》

流石だな雷門中のみんな…。
こんなに頼もしい仲間だったなんて…敵になって初めてわかることもあるんだな…。

雷門中VS大阪ギャルズCCC 4対2 雷門中の勝ち 

 

「いやぁ、惜しかったわ〜」

「うん、惜しかったね…!」

わたしたちはそう言いながら集まる。

「天空橋、素晴らしいドリブルだった」

「黒薔薇くん…!」

私の元に来たのは黒薔薇くん。

「ああ!すげぇシュートにドリブルだったぜ!」

「円堂くん…!」

私はあの手応えを思い出す。

「レジェロアクセル…、あれはまだ未完成の技だよ…!」

「「「なんだって!?」」」

私の言葉に全員が驚く。

「あ、あの上があるって言うのか!?」

風丸くんも驚いたような反応。

「本当なのか天空橋?」

黒薔薇くんの言葉に私は頷く。

「うん、今はその技の形が私には思い浮かばないんだけど…」

「それでも未完成であの威力。頼もしいな」

「あっ!」

リカちゃんは思い出したように一之瀬くんに話す。

「そやダーリン!うちらのひみ…!」

「あーっ!言ったらあかん!」

「私たちの秘密やろ!?」

リカちゃんはギャルズのメンバーにそう言われるが
一之瀬くんの方を見た後、もう一回ギャルズに話す。

「でも、ええやろ?探してるみたいやし…、な?お願い!」

「リカがそう言うんなら…しゃーないかぁ、ついてきぃ」

そう言われて案内されていく。

移動の際に色んな話を交わす。
何故そんなに強かったのか。
その秘密を教えてあげるとのことだった。

私達が向かった先は既に捜索済みのアトラクションだった。

「ここは探したぜ?」

染岡くんの言葉にリカちゃんは指を振りながら歩いていく。

「秘密の場所がそんな簡単に見つかる訳ないやろ?」

そしてリカちゃんは遊具の持ち手に手を掛ける。
そして。

ガチャ…

「わわっ!?」

円堂くんは驚いたように周りを掴む。

なんと驚いたことにこの遊具は地下へと降りて行っているではないか。

ごおおおおおお

ゆっくりと確実に降りていく。
想像以上に降りていく。かなり深い。

「これ結構怖いんだけど…」

「あんまり下見えないよな」

そして見えてきた全貌。
そこにあったのは数多のトレーニングマシン。

「こ、これは…!!」

円堂くんは目を輝かせながらリカちゃんの方を見る。

「これがうちらCCCが強くなった理由やで!!」

巨大なランニングマシンやフィッチネスバイクのようなもの、それ以外にもシュート力をあげる機械、重心を鍛えるマシンなど様々な機械が私たちを迎えた。

「す、すげぇ…!」

染岡くんも思わずそう言いながら見渡す。

「だけど、なんだこれ?」

塔子ちゃんがそう言う先に目を向ける。

「可愛いやろ〜、うちらがデコったんやで〜♡」

全ての機械に様々なデコった跡。
流石にやり過ぎレベルだけど。

「でもここで鍛えればもっと強くなれるね!」

「えー、でもなぁ。心美とダーリンは構わへんけど〜」

「駄目なのかい?」

一之瀬くんのその寂しそうな目を見たリカちゃん。
すぐに前言撤回をする。

「嘘やって〜♡ええよええよ、使ってなぁ♡」

そのあと私たちは様々なトレーニングルームに入りトレーニングを開始した。

シュート力を鍛えるトレーニングルームには
アツヤくん、黒薔薇くん、染岡くん。

重心を鍛えるトレーニングルームには円堂くん。

その他の私を含めたメンバーは巨大なランニングマシンで
陣形を維持しながら純敏な対応をするトレーニング。

驚くことにトレーニングのレベルを上げることが出来、格段に難しいトレーニングにも対応しているという。
ギャルズのメンバーも最高難易度は誰一人クリアできて居ないということで、円堂くんや染岡くんは燃えていた。

だけど私達が一番驚いたのはここがギャルズの特訓場ではないと言うことだ。
しかしここに宿主はいつまで経っても来なかったからギャルズの練習場になったとのこと。
だからと言ってデコったのはやり過ぎだけど…。

「私ももっと…もっと強く!!」







同じ頃ーーー。

「そういう…ことだったのか」

俺は吉良さんのデータをそう言いながら閉じる。
真紅が聞いたあの吉良さんの台詞。
確かに合点がいく。確かに俺もその立場だったら暴走しているかも知れない。

「なんとか出来ないのか」

そして俺はPCのファイルを眺める。
その中にはお日さま園の名簿。
俺はそこに目を通す。

雷藤真紅 天空橋心美 基山ヒロト 南雲晴矢
緑川リュウジ 砂木沼治 八神玲名 鈴野風介

俺は懐かしい名前を見ていく。
だが俺は不可解な点に気付く。

「ない…?ない…ない…ない…ない!?」

俺はそう言いながらページを見返していく。

「おかしい…。あいつの名前がない!?」

ズキッ…

「うっ…!?」

俺は気づく。

「あいつはいつから…いやそもそもあいつは誰なんだ…!?」

俺のその問い掛けには誰も答えない。
だが胸の奥で鼓動を感じる。

「起きたか真紅?」

『ああ』

俺の問いに返すのは真紅だった。

「すまないな、身体借りて」

『いや、あんたが俺にリンクしてくれたお陰で俺は昔のことを思い出せた、何もかも…』

その言葉はとても寂しげで今にも消え入りそうな声だった。

「真紅…。俺がここに居られる時間は限られている。俺は何故ここに居るのかわかった気がする。あと少しだけ力を貸してくれ…」

『あんたの言うことを拒否する理由なんて無いさ…。俺の…命の恩人に…』

「真紅…やはりお前は全てを…。いや…ありがとう…」 

 

激闘!!最凶イプシロン!

「陣形を崩すなぁ!!」

鬼道くんの声が響く。
ここの施設を使用し始めて3日目に突入していた。
私たちは着実と実力を身につけて行きトレーニングのレベルも最高レベルで
トレーニングするまでに成長していた。

「ふぅ…流石に最高レベルは堪えるぜ…!」

そう言いながらトレーニングルームから出てきた円堂くん。

「円堂くんも凄いトレーニングしてるよね!」

「ああ!なんかこう自分の成長が実感できてワクワクしてくるんだ!」

バァァァァァァン!!

「ん?」

突然響いた大きな音に私と円堂くんは顔を見合わせて
大きな音が響いた方に近付く。

「やるじゃねぇかアツヤ!」

「ああ…!これならあのデザームからゴールを…!!」

大きな音が響いた場所はシュート力を鍛えるトレーニングルームからだった。

「俺たちのシュート力も確実に上がっている」

黒薔薇くん達がそう話しているのを見ると円堂くんは
トレーニングルームに顔を出す。

「おお!やってるなお前ら!」

「円堂!」

「ああ!俺たちの準備は万全だぜ!」

そう自信満々に答える染岡くん。
アツヤくんもいいライバルが居ることによって良い刺激になってそうだ。

「ああ、今回ばかりは俺だけのプレーじゃ上手くいかねぇかも知れねぇからな」

「え?」

「ん、なんだよ俺おかしいこと言ったかよ?」

思わぬアツヤくんの言葉に私と円堂くんは驚く。
あのアツヤくんが1人で攻め込もうとしていないのだ。
あの時エターナルブリザードを止められて誰よりも悔しがっていたアツヤくんが。

「でも、勘違いすんなよ黒薔薇、染岡…!デザームから点を奪うのはこの吹雪アツヤだ…っ!」

そう言いながら2人に声を掛けるアツヤくん。

「へっ、1人だけ良い格好させてたまるかよ!」

「俺も雷門のFWだ。やるからにはお前にも負けないさアツヤ」

そう闘争心を持ちながら染岡くん、黒薔薇くんも汗を拭く。

「ははっ!良い感じだな!!」

円堂くんもそんな3人を見て嬉しそうだ。

その後私達はトレーニングに戻った。

イプシロンの予告の日まで残り2日。
私たちは負ける訳には行かない。
お兄ちゃんの為にも、この世界のためにも!

そう気合を入れる私。
しかし身体が震えているのに気付く。

「あ、あれ…おかしいな…」

私はその震える身体を抑えようと自分の腕を掴む。

「…ううん。もう自分に嘘をつくのはやめよう…」

私のこの震え、前回にイプシロン戦の時もだった。
本当は前回気付いていたのかも知れない。
ううん、もっと前かも知れない…。

「マキちゃん…。ううん、マキちゃんだけじゃ無い。風子ちゃん…だよね…?」

今になったらわかる。
レーゼ。あれはリュウジくんだった…。

「お兄ちゃん、あの時の怖い顔…そう言うことだったんだね…」

私はそう呟く。

「でも…、本当にそうだったとしても!私はお兄ちゃんを助けたい!」

このことは皆んなには黙っておこう。
イプシロン戦前。チームの士気に関わってしまう。
思ったより落ち着いている私に多少自分で驚きつつ、ふと口ずさむ。

「私は…1人じゃない…!」






2日後…。

「時は来た!!」

デザームの声が響き渡る。

「何故デザーム様10日もの猶予を?」

「……………」

ゼルの言葉を無視するデザーム。

「…黙ってついて来いと言うことですか。昔のあなたはこうではなかった。あの雷門中が貴方を変えてしまったのですか?」

「…………」

「私たちは貴方に従います」

そんなやり取りののち、特訓場は姿を変えグラウンドへと変わる。

「やはりここは奴らの施設か」

鬼道くんは地面を確かめるようにグラウンドに降りる。

「いいみんな?これが最後の戦いになるわ!!全力で挑みなさい!」

「絶対勝ってダーリンとハネムーンや!!」

チームに加わったリカちゃんもそう応じる。

瞳子監督の檄に私たちは全員で答えた。

「「「おおおおおっ!!」」」



雷門中

FW 黒薔薇 アツヤ 染岡
MF 一之瀬 天空橋 鬼道 風丸
DF 土門 吹雪 壁山
GK 円堂



イプシロン

FW ゼル マキュア
MF スオーム メトロン ファドラ クリプト
DF モール ケイソン タイタン ケンビル
GK デザーム



以上のメンバーだ。

ボールはイプシロンから。
私たちに緊張が走るのと同時に私は改めて現実を受け止める。

「間違いない…か…。嘘ならどれだけ良かっただろう…」

「天空橋?」

黒薔薇くんの言葉に我に帰る。

「ううん!大丈夫!絶対勝とう!」

「ああ。勿論だ」

《さあ!雷門対イプシロンの世界を賭けた戦いに火蓋が切って落とされます!!》

ピーーーーーーー!!

試合開始のホイッスルが響く。

同時にゼルからマキュアにボールが渡り駆け上がってくる。

「邪魔よ!!」

マキュアはそういうとボールを上空に蹴り上げ
グラウンドに蹴り落とす。

「メテオ…シャワー!!」

ドゴン!ドゴン!ドゴン!

「「「ぐあああっ!!」」」

凄まじいドリブル技に黒薔薇くん達が吹き飛ばされる。

『めておしゃわーって名前にするー!』

そんな昔の記憶が蘇る。
こんなところでこの技見たくなかった…!

「行かせない!!」

「チッ…!!」

私はマキュア…。マキちゃんのディフェンスに入る。

「あんた自分が何やってるかわかってんの?」

「知らない!!私はお兄ちゃんを助けたいだけ!!」

「ふふっ、貴方じゃあの方には会えない!…ゼル!!」

「しまった!?」

マキュアの後ろから上がってきていたゼルにマキュアはパスを出す。
そのままゼルはシュートの構えを起こす。

「ガニメデ…プロトン!!」

手から放たれたエネルギー波で威力を増したシュートは
円堂くんが守るゴールへと突き進む。

「円堂!!」

鬼道くんの言葉に応えるように円堂くんは身体を最大限に捻る。

「うおおおおおっ!!マジン・ザ・ハンド改ィィィッ!!」

グオオオオオオオオオ!!

ギュルルルル…シュゥゥゥゥ

「よぉし!!」

《なんとあのイプシロンの強力なシュートを円堂見事に止めましたぁ!!」

「凄いっスキャプテン!!」

「流石だぜ円堂!!」

見事に止めた円堂くんに思わず壁山くん、土門くんが興奮する。

「よし!吹雪!!」

円堂くんはそのまま吹雪くんにパスを出す。

「任せて!」

そのまま吹雪くんは駆け上がりゼル、マキュアを抜き去る。

「吹雪くんドリブルも凄い!!」

「行かせねぇ!!」

メトロンが吹雪くんにスライディングを仕掛ける。

「通させてもらうよ!スノーフェアリー!!」

アイスグランドのように全体に氷を発生させた吹雪くん。
その場所をまるで妖精のように華麗に舞い、メトロンを抜き去る。

「流石兄貴だぜ…!こっちだ兄貴!!」

「アツヤ!!」

「うおおおおっ!!」

吹雪くんからアツヤくんへ。
ボールを持ったアツヤくんは独壇場と言わんばかりに相手を抜き去っていく。

「決めちまえアツヤ!!」

染岡くんのその声に頷きアツヤくんは吹雪を起こす。

「吹き荒れろ…エターナルブリザードV2ゥゥッ!!」

ギュオオオオオオオオ!!

凄まじい吹雪を起こしながらゴールへと唸りを上げていくシュート。
今までよりも更に強力になったシュートがデザームを襲う。

「ふははは!前回あの距離であの威力…!今回はさぞかし強力に違いない!!」

デザームは手を前に構えると技を発動させる。

「ワームホール!!」

ギュオン…ズドン!!

アツヤくんの強力になったシュートはワームホールに飲み込まれ
ワープした出口から地面に突き刺さり完璧に威力を失った。

するとデザームは自分の足場に目をやるとニヤリと笑う。
デザームの足元は僅かにゴールに押し込まれた跡があった。

それを見たイプシロンは驚きが隠せない。

「まさかデザーム様が…!?」

「奴らのどこにこんな力が!?」

そんなイプシロンの反応すらも楽しむようにデザームは高らかと笑う。

「ふはははははははっ!!面白い!!実に面白い!!これだ…これが私が求めていたものだ!!最高だぞ雷門中!!」

デザームとは対照的に悔しそうなアツヤくん。

「くそっ!!」

そんなアツヤくんに駆け寄る染岡くん。

「これは俺が先にゴールを奪っちまうかもなぁ!?」

そう言いニヤリとする染岡くん。
それを見たアツヤくんは悔しがるのをやめ強がる。

「ふんっ!今のはウォーミングアップだっての。ぜってぇ次は決める!お前より先に俺がな!!」

「へっ!望むところだぜ!!」

そんなことを言い合う2人。

「本当に仲良いなぁ」

そう呟く私に黒薔薇くんが話す。

「ああ。染岡が居てこそのFWアツヤかもな」



「一之瀬!」

「鬼道!!」

「「ツインブースト!!」」

一之瀬くんと鬼道くんの2人が放つツインブーストが
相手ゴールへ襲う。

バシン

「ふん…」

しかしデザームの前では全くもって無力。
片手で簡単に止められてしまう。



「ゼル!!」

「ガニメデプロトン改!!はあああっ!!」

ドゴオオオオオッ!!

「さっきより威力が増してる!!円堂くん!」

「任せろ!!」

威力の上がったガニメデプロトンにも怯まず
円堂くんは身体を最大限に捻り力を貯める。

「マジン・ザ・ハンド改!!」

グオオオオオオオオオ!!

ギュルルルル…シュゥゥゥゥ…!

「な…馬鹿な!?」

進化したガニメデプロトンも円堂くんのマジン・ザ・ハンドの前に
無力化しゼルは表情が曇る。

《円堂止めたぁ!!両チーム手に汗握る攻防だぁ!!》

「ナイスセーブ!!良い反応だったぞ!!」

土門くんがそう円堂くんに声を掛ける。

「そういえばいつもと感じが違ってたな…」

そう言いながら円堂くんは手を見つめる。

ピィ ピィーーーーー!!

前半終了。
私たちは前半を0対0の同点で折り返した。