機動戦士ガンダムSEED DESTINY~SAVIOUR~


 

第一話 記憶を失う騎士

 
前書き
今までデジモン小説書いていたsetunaですが、ガンダム熱が再発して衝動的に書きました。
後悔はしていない。
ガンダムは素人同然だけど、楽しんでくれれば嬉しいです。
プロローグ始めます。
オリキャラも出ます 

 
…痛い…。
…ここは…どこなんだ…?
俺は…ダレ……?
どうして…なにもわからない?





























宇宙にあるコロニー、プラント群のある付近で一つのシャトルと一機のMSが近づいていた。
そのMSはZGMF-1001ザクファントム。
隊長クラスのザフトの軍人に与えられるMSであり、通常のザクとは違い、朱色のパーソナルカラーが施されている。

?「デュランダル議長。そろそろプラントの近くに…」

デュランダル『ああ、ありがとう。すまないね、ナオト…君も多忙だろうに』

ナオト「いえ、議長の命令ですし、それにFAITHですから」

彼女の名前はナオト・フジワラ。
女性でありながらエースの証である赤服を身に纏い、FAITHのバッジを持つ者である。
髪は朱色の髪が腰にまで届くくらいで、目の色は深い海を思わせる碧であった。
彼女はアカデミー時代でイザーク・ジュールやアスラン・ザラと同期で、唯一女性で赤服を纏うほどの成績を出していた。
ニコル・アマルフィ以外、あまり友好関係を築いていなかったアスラン・ザラの数少ない友人でもあった。

ナオト「ん…?」

デュランダル『どうしたね?』

不意に映ったそれを見つける。この無限にも等しい宇宙で、それを見つけられたのはきっと奇跡だった。

ナオト「救命ポッド…?」

以前なら見られてもおかしくはなかったそれ。
しかしもう停戦から数年は経っている。
反応はなく通信もない。
これはきっと、もう駄目だろうと思った。
希望など、持てなかった。
けれど気になったのは、きっときっと、何か予感がしたから。
そのポットが、思ったより新しかったから。
そうしてそれが一人分で、寂しかったから。

ナオト「議長、救命ポッドを発見しました。回収します」

デュランダル『うむ、生きている可能性もあるかもしれないからね。見捨てるわけにもいかない』

ナオト「ありがとうございます」

ナオトはザクを救命ポッドの近くに移動させ、救命ポッドを回収した。



























~アプリリウス~

プラントのアプリリウスにある格納庫に救命ポッドを置くと、議長もそれに立ち会う。
ナオトはザクから降りると救命ポッドを開けようとするが…。

ナオト「ロックが掛かっている…」

幾重にも、頑丈に鍵がかかっていた。
生憎、解除は楽だった。
恐らくこれは、ナチュラルの使用だろう。
コーディネイターの自分には、難なく解けた。
そして想像するのは、中身の重要性。
開けられては困るものなのか。それは物か。
それとも生きていた、何かか。
大きく深呼吸。
別に今更死体に何の恐怖も湧かないけれど。
それでも決意をして、その蓋を開けた。
そこには…。

ナオト「う…そ…?」

デュランダル「?…っ!!」

目を見開いたナオトにデュランダル議長もポッドの中を覗くと、いつも不敵な表情を浮かべ、全く動じない議長ですら驚愕した。

ナオト「ア…スラ、ン……?」

ポッドの中にいたのは、ぼろぼろで、血塗れのかつての同僚、アスラン・ザラだった。
これはどうやら自分の手に負えるものではないと、開けてから気付いても遅すぎた。
ひゅっ、と息の鳴る音。
それは自分の喉からだった。
それはきっと恐怖。
恐る恐る触れて、そうして安堵。
脈も呼吸も不安定だったが、どうやらまだ生きているようだった。
なら尚更放っておくわけにもいかない。
もう知人を失いたくはないから。
































~病院~

デュランダル議長は直ぐさま、アスランを病院に運ばせ、彼が信頼する医師を呼んだ。

ナオト「議長、どうですか?」

デュランダル「間違いないね。彼はアスラン・ザラだ。まぁ、間違えようもないがね」

ナオト「そう、ですか…」

?「ナオト…」

ナオト「レイ…」

議長に呼ばれたレイと呼ばれた金髪の少年が、悲しそうな顔をするナオトの名を呟く。
ナオトとレイは幼い頃からの幼なじみだ。
ここには信頼された者と医師しか入れない。
その真っ白で静かな病室に、ナオト達はいた。
酷く衰弱しきっていた彼は、今も目を覚まさず。
相変わらず死体のように眠っている。
多くのチューブに繋がれて。
藍色の髪の下、きっと翡翠の瞳を、ナオトは間違えるはずはなかった。

ナオト「でも、どうしてこんな傷を負ってるんでしょうか…」

デュランダル「……ああ、彼はとても優秀だからね」

レイ「そうです。彼が戦闘でこんなに傷が付くはずがない。」

ナオト「こんな…まるで暴行や私刑にあったような」

彼の傷の殆どが、殴り痣や切り傷だった。
明らかに、対人との戦闘の後だった。
なら、尚更おかしい。
彼が肉弾戦において、引けを取るはずがないのだ。
伊達にアカデミーで白兵戦最強だったわけではないのだ。
それなのに、この衰弱するほどの暴力。
これはまるで、彼が反抗するのを諦めたような。
答えは一つ。

デュランダル「彼は…オーブを追い出されてしまったのだね……」

コーディネイターでプラントの化身とも呼べる彼はきっと地球には居られなかったのだろう。

ナオト「え!?」

デュランダル「この暴力は、きっとオーブの軍人から受けたものだろう」

ナオト「なっ、そんな、どうして!!?」

オーブ…。
それは彼女が幼い頃に…両親が存命していた時に住んでいた国。

デュランダル「オーブの姫、カガリ・ユラ・アスハは…オーブにとっては、まるで神にも等しい存在だったそうだよ」

レイ「…神…ですか……?」

デュランダル「そう、神さ…その神に近付く、彼は…きっと彼らにとっては邪魔だったんだろう」

ナオト「そんな、理由で…!?」

本当に、下らない理由だと議長は心の中で嘲笑った。
その下らない理由が、どれだけ彼を傷付けただろう。
今もきっと、オーブでカガリ・ユラ・アスハと共にいるだろう、キラ・ヤマト、ラクス・クライン。
彼らは許されて、その民間人にも等しい彼らを守ってきた軍人の彼が、どうして淘汰されなければならないのか。

デュランダル「彼には全く抵抗の跡が見られない。縄や手錠の跡がないからね。甘んじたんだろう」

ナオト「どう、してですか…」

デュランダル「…彼は、守ることに固執したらしいんだ」

ナオト「まも、る…?」

デュランダル「そう。このプラントを裏切ってしまうのなら、その分彼らを命をかけてでも守ろうと」

レイ「……」

デュランダル「それほどまでに大事だった。そしてそんな裏切り者の自分が彼らの傍にいられるなら、と…きっと甘んじたんだろう」

レイは思わず、今だ眠っているその病的なまでに白いアスランの肌に触れた。
体温の低い、自分より尚低いその温度。
アスラン・ザラという人物像が、レイには分からなかった。
敵にも味方にも、大切なものを作ってしまった人。
それを泣く泣く選択して、そしてその選択した方に裏切られ、傷付けられ。
それすらも、受け入れて。

レイ「…哀しい人…ですね」

レイは思わず呟いてしまう。
ナオトは目に涙を浮かべる。
不器用だけどとても優しいアスランが下らない理由で傷つけられたことに。
悲しくて仕方がなかった。

アスラン「う…ぅぅ…っ」

ナオト「アスラン!!」

身じろぎしたアスランに反応したナオトは直ぐさま、アスランのベッドに駆け寄る。

アスラン「…?」

ナオト「大丈夫…?」

アスラン「だ…れ……?」

ナオト「え…?」

アスランの発した言葉にナオトは目を見開いた。
彼は何を言っている…?
ナオトの瞳に、じんわりと水の膜が覆った。
レイと議長の瞳がうっすらと細められた。

アスラン「お、れは…誰…?何で分から、ない…?」

レイ「ギル…これは…記憶喪失では?」

デュランダル「うむ…」

議長は静かにアスランに歩み寄る。

アスラン「おれ…お、れ…」

デュランダル「無理に話さなくてもいい。結構な傷なのだからね…君に名前をあげるよ」

ナオト「議長!?」

議長の発言にナオトは目を見開いた。

デュランダル「君の名前は、アレックス。アレックス・ディノだ」

アスラン「アレッ、クス…?それがおれの…な、まえ…?」

デュランダル「そうだよアレックス(辛い過去など忘れてしまえ、その心が完全に砕けてしまう前に…)」

ナオト「……」

アスラン「あ、なたたち…は…?」

アレックスという名前を与えられたアスランはナオトとレイに視線を向ける。

ナオト「私は…ナオト…ナオト・フジワラ…ナオトでいいよ。よろしくねアレックス…」

レイ「俺はレイ・ザ・バレルです…アレックス。」

アスラン「ナオ、ト…レイ…」

ナオト「そうだよ。お休み、アレックス。時間はたっぷりあるんだから…休んだっていいんだよ」

ナオトはアスランの頭を優しく撫でた。
そうすると、しばらくしてゆっくりと瞼が閉じられ、規則正しい寝息が聞こえてきた。

デュランダル「アレックス、君はもう思い出さなくていい。君を傷つける過去など…」

ナオト「そう、ですね…」

記憶喪失。
ナオトはそのことに、ホッとした。
何より、安堵した。
これで彼が、無意味なことで悩まなくてすむ。
傷付かなくて、苦しまなくてすむ。
彼の未来を、想うのならば尚更だから。
こうしてアスラン・ザラは、アレックス・ディノになった。 
 

 
後書き
アスラン記憶喪失です。
アレックスの偽名はアスランがオーブにいた時につけられた物ですが、この小説では議長が付けた設定に。

オリキャラ

ナオト・フジワラ

19歳
女性
コーディネイター
アカデミー時代のアスランの同僚で、両親が生きていた頃はオーブで暮らしていたが、ブルーコスモスのテロで死亡。
両親以外に親戚もいないため、プラントに引っ越し、偶然レイと出会い、友好関係を築き、幼なじみとなる。
レイの正体を知る人物でもあり、デュランダル議長からの信頼も厚いためにFAITHの称号をえている。
現時点での機体はザクファントム。
アスランのお相手でもある。
 

 

第二話 ザフト入隊

 
前書き
アスランがアレックスになってから数ヶ月後。
シン達がアカデミーを卒業する数週間前です。
今度からは
アスラン「」ではなく
アレックス「」になります 

 
~屋敷~

議長やナオト達に救助されたアレックスは議長の屋敷で暮らしていた。
無論、ただ世話になるだけではなく、家事をやっているのだが。
アレックスはあることに悩んでいた。
ナオトやレイのことである。
聞けば、ナオトはザフトの軍人でレイはその訓練生である。
自分は別に戦いたいという訳ではない。
ただ守られるだけなのは嫌なのだ。
そう考えると身体が疼いて来る。
しかし、居候させてもらっている身でこれ以上議長達に迷惑をかけるのもどうかと思うのだ。

アレックス「………」

レイ「どうしました?アレックス?」

悩んでいるように見えるアレックスにレイが尋ねる。

アレックス「レイ…いや…何でもないよ」

レイ「そうですか…アレックス」

アレックス「ん?」

レイ「何かあったなら教えて下さい。1人だけで抱え込まずに俺達に教えて下さい。相談なら俺もギルも快く受け入れますから」

アレックス「…ありがとう、レイ。」

アレックスは笑みを浮かべてレイに感謝の言葉を言うと、議長の私室に向かう。






























デュランダル「おや?アレックス?どうしたね?」

部屋を訪ねてきたアレックスに議長は柔和な笑みを浮かべながら、尋ねる。

アレックス「あの…ギル、俺をザフトに入隊させてくれませんか?」

デュランダル「…理由を聞いてもいいかな?」

アレックスの言葉に議長は表情にせずとも驚いた。
争いを好まないアレックスからそんな言葉を聞いたのだから。

アレックス「俺は、プラントを、ナオトやレイを、ギルを守りたいんです。俺の力なんてあっても無くても同じかもしれない。でも…ナオトやレイが戦場にいるのに。ギルが世界の平和のために尽くしているのに俺だけが安全な場所にいるのは嫌なんです」

デュランダル「アレックス…」

アレックス「お願いしますギル。俺をザフトに入隊させて下さい!!」

頭を下げるアレックスに議長は頭を悩ませる。
アカデミーにはアレックス…正確にはアスラン・ザラを知る者がいるだろう。
なら、アカデミーに行かせては辛い記憶を呼び戻してしまうかもしれない。
しかし、アレックスの想いを無視したくはない。

デュランダル「分かった。しかし時期が微妙なので、君にはナオトに指導を受けてもらう。」

アレックス「ナオトに?」

デュランダル「彼女はとても優秀だからね。他の事に関しては私に任せておきなさい。」

アレックス「…ありがとうございます!!」

アレックスは議長に勢いよく頭を下げる。
絶対にザフトに入隊してみせる。
その想いを胸にアレックスは議長の部屋を後にした。

































ナオト「はあぁ…」

アレックスが議長にザフト入隊を希望してから2週間が経った。

アレックス「どうしたんだナオト?」

ナオト「どうしたもこうしたも…ねえ?」

ナオトはアレックスのMS戦のシミュレーションのスコアを見ながら感嘆の息を吐いた。
アレックスはナオトの指導の元に記憶喪失のハンデ、更に数年のブランクを感じさせないくらいのハイスコアを出していた。
射撃やナイフは少し動きにムラがあるが、充分高レベルである。

ナオト「最近のザフトの赤服真っ青の成績だね…」

最近はザフト兵の実力はジュール隊やヤキンドゥーエ戦を戦い抜いた軍人以外はかなり質が落ちているのだ。
それを考えるとアレックスの成績は凄い。

アレックス「そうなのか?」

自覚していないアレックスが首を傾げる。

ナオト「ええ、確実に赤服だよ……」

ナオトが人工の空を見つめながらぼやいた。






























~格納庫~

とある格納庫では一機のMSが製造されていた。
型式番号
ZGMF-X23S セイバー…と。 
 

 
後書き
アレックスがザフト入隊をします。
勿論アカデミーに通わせるわけには行かないから議長が工作して。
セイバーにはアレックス向けのカスタマイズがされます。 

 

第三話 衝撃と救世主

 
前書き
シン達がアカデミーを卒業し、機体を受領する時にアレックスとヒロインと出くわす。 

 
議長の屋敷で、ザフトの赤服を身に纏ったアレックスが議長の私室に向かっていた。
私室の前に立つと、呼吸と身嗜みを整えると、扉をノックした。

アレックス「ギル。失礼します」

デュランダル「やあ、アレックス。よく似合っているよ。」

アレックス「はい!!ザフトの赤服です!!これからはギルやプラントのためにお手伝いを…」

デュランダル「ありがとうアレックス。さあ、今日は君の機体を受領する日だ。ナオトは先に行っているよ」

アレックス「はい!!」

アレックスは部屋を出ると、待機してあった車両に乗り込み、ナオトのいるMS格納庫に向かうのだった。


















































アレックスが向かったMS格納庫にもう一台の車両が向かっていた。
その中に、赤服を身に纏った黒髪の少年がいた。
少年の名はシン・アスカ。
過去のオーブ防衛戦で、家族を失い、家族の他に身寄りのないシンはプラントに移住したのだ。
その後、世界は平和条約で結ばれたが、シンはザフトに入隊した。
アカデミーを赤で卒業して、ロールアウト間近の新造艦に配属され、他の皆とは違う特別な機体のパイロットに選ばれたことはとても嬉しかった。

シン「(マユは…何て言うかな?MSなんて怖いって…嫌いだって言うかもしれない…でも、俺は…)」

シンは格納庫の中に案内され、自身の機体がある方に向かった。
扉を通ると…。

ナオト「あれ?君は?」

シン「え…?」

入ってすぐに出くわした女性にシンは目を見開いた。
しかし彼女の胸元にあるFAITHのバッジに気づき、急いで敬礼する。

ナオト「そんなに畏まらなくてもいいのに。あなたもGのパイロットに選ばれたの?」

シン「は、はい…あなたもってことはあなたもGのパイロットなんですか?」

ナオト「ううん、私じゃないけど私も新しい機体を受領するの。」

シン「はあ…」

アレックス「すまない。遅れてしまった。」

ナオト「遅いよアレックス」

アレックス「ああ、すまない。彼は?」

アレックスの視線がナオトからシンに向けられる。

ナオト「あ、そういえば名前聞いて無かったね。私はナオト。ナオト・フジワラ」

アレックス「アレックス・ディノだ。よろしく」

シン「シ、シン・アスカです」

ナオトとアレックスの自己紹介にシンも緊張しながら、自己紹介する。
そして自己紹介を終えると自分達の機体の元に向かう。

「では、まずは見てもらおうか。来たまえ」

ナオト、アレックス、シンの順で扉を潜るとライトアップされた三機のMSが立っていた。

「まずは左から…ZGMF-X56S インパルス。従来の概念を覆す斬新な換装システムを実現させたザフト最新鋭のMSだ。次にZGMF-X23S セイバー。性能は異なるが他のセカンドステージとほぼ同時期に開発された変形機構を備えた最新鋭のMS。そして最後は…ZGMF-X2000 グフイグナイテッド。元々ザクにザフトの次期主力MS選定コンペティションに負けた機体だが機体自体の完成度は高く、それを惜しんだ上層部の根強い力添えで一機だけロールアウトされることになった」

アレックス「これが…」

シン「俺のMS…!!」

「早速だが、明日からは実機訓練だ。君達には議長も期待しているとのことだから頑張りたまえ」

シン、アレックス、ナオト「「「はい!!」」」










































そして、シン、アレックス、ナオトの三人はシンの友人達がいるという場所に向かっていた。

アレックス「そういえば、ナオトはどこに配属されるんだ?俺、何も聞かされてなくて…」

ナオト「私は最新鋭艦ミネルバに配属されることになったの」

アレックス「ナオトも?俺もミネルバに配属されることになったよ。」

ナオト「セイバーはセカンドステージだもんね。アレックスがミネルバに配属されるのは当たり前か。シンは?」

シン「俺も…いえ、自分もミネルバです」

ナオト「へえ、同じ艦に配属される何て凄い偶然だね。後、シン。敬語はしなくていいから」

シン「でも」

ナオト「じゃあFAITHの命令」

シン「…分かりました」









































そしてシンの友人達と会う。
ワインレッドの短い髪の少女がルナマリア。
そしてナオトの髪より少し明るい朱色の髪でツインテールの少女がメイリン。
そして他にはヨウランとヴィーノ…。

レイ「アレックス!!それにナオトも!!」

レイが嬉しそうにアレックスとナオトに駆け寄る。

シン「知り合いなのか?」

レイ「アレックスやナオトは俺の兄や姉のようなものだ。」

シン「へえ…」

メイリン「え?でもこの人って…」

ルナマリア「ねえ?」

メイリンとルナマリアがアレックスをまじまじと見ながら呟く。

レイ「アレックス、ナオト。すみませんが先に行ってもらえませんか?」

それに気付いたレイがアレックスに一瞬だけ視線を遣ると、次にナオトに視線を向けた。

アレックス「え?あ、ああ…」

ナオト「OK。じゃああそこの店で待っているから。」

レイの顔を見て、ナオトは彼の考えを悟ったのか。
ナオトはアレックスの手を引いて、店の中に入る。
レイは辺りを見回して誰もいないことを確認する。
するとルナマリアがレイに尋ねる。

ルナマリア「ねえ、あのアレックスって人…もしかしてアスラン・ザラじゃない?」

シン「え!?アスラン・ザラ!?あの人が!?」

メイリン「アカデミーを卒業した人達を調べていた時に出た写真とそっくりだったし」

ヴィーノ「あの人、英雄なんだろ?だったら何で名前なんか変えてんだろ?」

ヨウラン「俺が知るかよ…」

ルナマリア達の会話にレイは眉間に皴を寄せながら口を開いた。

レイ「彼は確かにアスラン・ザラだ」

ルナマリア「やっぱり!!でもアスランってオーブにいるって噂で聞いたんだけど…復隊したの?」

“オーブ”という単語を聞いた瞬間、シンの表情が曇る。

レイ「彼は…アスランはオーブを追い出された…今のオーブの国家元首、カガリ・ユラ・アスハを敬愛するオーブの軍人達に私刑に等しい暴行を受けてな」

シン「え…!?」

元オーブ国民のシンがアレックスがオーブの軍人に痛め付けられていたということに驚愕する。
オーブ国民ではないルナマリア達ですらその事実に目を見開いていた。

レイ「彼が発見されたのはプラント付近でだ。偶然、議長とその護衛をしていたナオトが彼が乗せられていた救命ポッドを発見してな。救出された時の彼は生死の境をさ迷っているような状態だった」

シン「何でそんなことに…」

レイ「オーブの軍人達にとってカガリ・ユラ・アスハは神に等しい存在だ。それに近づく彼はオーブの軍人にとって邪魔以外の何者でもない」

その言葉を聞いた瞬間、シンが拳を握り締め、叫んだ。

シン「…っ!ふざけるな!!何が神だ!!理念ばっか振り回す綺麗事が御家芸のアスハの何が神なんだ!!誰のおかげで地球が滅びなかったと思ってるんだ!!それなのに…!!」

理念や綺麗事だけの奴が神のような扱いを受けている。
理念にこだわり、自分の家族を守ってくれなかった癖というのに

レイ「シン…俺も同意見だ。だが、これが真実なんだ」

シン「…っ」

レイの言葉にシンが拳を更に強く握り締める。

レイ「後、彼には記憶がない。医師が言うには一種の防衛本能らしいが…」

ヴィーノ「記憶喪失…?」

ヨウラン「無理ないよな…裏切られて一方的に殴られて、俺だったら発狂する」

それを聞いたヴィーノとヨウランも深刻そうな顔で呟く。

レイ「とにかく、彼に関してはこれで終わりだ。アレックスにアスラン・ザラのことは絶対に言うな。ただでさえ彼の心は傷ついている。それでも必死に前を向いて生きようとしているんだ」

シン「………」

拳を握り締めるシン。
心に傷を負っているのは、自分も同じだ。
あの人と話してみたい。
そう思うシンであった。
レイ達はアレックス達の入っていった店に向かうのだった。 
 

 
後書き
MS紹介

ZGMF-X23S セイバーガンダム

装備

20mmCIWS×2、
高エネルギービームライフル
ヴァジュラビームサーベル×2
アムフォルタスビーム砲改×2
スーパーフォルティスビーム砲×2
ピクウス 76mm機関砲
2連装ビームクロー内蔵空力防盾
グレイプニール改
内蔵型ビームサーベル×2
グリフォン2ビームブレイド×2
インパルスと同じセカンドステージに所属する可変MS。
双胴型航空機のような形のMA形態とMS形態の使い分けによる高機動での格闘戦を意識して開発されており、特に大気圏内でのドッグファイトの強さは他の追随を許さない。
原作のセイバーは高い機動力を活かした砲戦に特化した機体だったが、この小説のセイバーはアスランが乗ることを前提にして造られた機体であるため、砲戦よりも足に内蔵されたビームサーベルやビームクロー等があるため、格闘戦に置いて真価を発揮する。
MA形態でも翼部のビームブレイドがあるため、格闘戦は出来る。
グレイプニール改はブリッツガンダムのグレイプニールにビーム砲を内蔵させ、PS装甲の機体にも有効な装備になっている。
ヴァジュラビームサーベルは連結が可能。
アムフォルタスビーム砲改はセイバーの兵装がビーム兵器に偏り過ぎているためにエネルギーの消費を抑えるために省電力化されている(アビスガンダムのバラエーナ改のようなもの)。
両足に装備されたビームサーベルは持ち前の機動力を殺さないように、クローに纏わせるような形ではなく、足にビームサーベル発生器(ロッソイージスみたいなタイプ)をそのまま取り付けた形になっており、クローによる物理的な打撃が出来なくなっている。
原作のセイバーに比べて砲戦能力は弱体化しているが、アスランとの相性は原作セイバーより遥かに上である。

 

 

第四話 破られた平和

 
前書き
種運命本編開始です 

 
シン達がアレックスとナオトに会ってから数ヶ月後。
シン達は同じ艦に配属されることと、MS訓練を通じて親睦を深めた。
尤もアレックスもナオトも戦時に入隊した経歴があるため、2人から与えられる訓練の密度が半端ではなくシン、レイ、ルナマリアは下手したら死にかけたことも多々あった。
因みに全員が共通して辛かったのは内蔵を鍛えることである。
リミッターを外したナオトのブレイズザクファントムとセカンドステージ最強の機動力を誇るセイバーの機動はシン達からしてみれば異常の一言でシン達は何度もグロッキー状態になった。
アレックスやナオトの指導の元、シン達は着実に実力を伸ばしていたのであった。




















































?「カガリ、いい加減機嫌直しなよ。そんな顔じゃ失礼でしょ」

カガリ「そうはいってもな、キラ!!これが不機嫌にならずにいられるかっ!!」

賑やかな、騒がしい、アーモリーワンを少女と少年は歩く。
金色の髪を揺らす少女は不満そうに。茶色の髪を揺らす少年は呆れるように。

カガリ「あの顔を見ろ!!こんな戦争の道具を堂々と造っておいて、あの市民の誇らしい顔を!!」

キラ「…、確かに、関心したものじゃないけど、でも仕方ないでしょ。今は…」

カガリ「でも!!」

キラ「ほら、迎えが来たよ、静かに。だからこそ、これから僕達が話し合っていけばいいでしょ?」

カガリ「キラ…」

キラ「もう二度と同じ過ちを繰り返しちゃいけないんだから…」

オーブの代表として、その護衛として来たカガリ・ユラ・アスハとキラ・ヤマト。
その双子は誘導されるままエレベーターに乗り込む。
相変わらずカガリは不満そうで、キラもそっと溜め息を吐く。
皮肉に皮肉を返しながら、ささやかなやりとりの後、二人は執務室に連れて行かれた。

デュランダル「やあ、これは姫。遠路お越しいただき、申し訳ありません」

カガリ「いや。議長にもご多忙のところ、お時間をいただき、ありがたく思う」

カガリと議長は握手を交わし、挨拶を交わす。

デュランダル「で?この情勢下、代表がお忍びで、それも火急なご用件とは一体どうしたことでしょうか?我が方の大使の伝えるところでは、大分複雑な条件の案件のご相談、とのことですが?」

カガリ「…私には、そう複雑とも思えぬのだがな。我々オーブはかのオーブ戦の折にモルゲンレーテから流出した技術と人的資源のそちらでの軍事利用を即座に止めて頂きたいと何度も申し入れている!!」












































そして、市街ではシンがヨウランを待っていたが…。

シン「ヨウラン、遅いな…このままじゃアレックスさんの言っていた時間に間に合わないぞ?…先に行くか。怒られるの嫌だし」

シンが今の時刻を確認し、指定された集合場所に向かおうとした瞬間。

?「きゃ…」

シン「うわっ」

シンはぶつかった少女が倒れないように支える。
手に柔らかい感触が…。

シン「ご、ごめん…大丈夫?」

少女はシンの方を見遣ると目を鋭くさせてこの場を離れた。

シン「………」

呆然とするシンに一部始終を見ていたヨウランがニヤリと笑いながら言い放つ。

ヨウラン「お前、胸掴んだな?このラッキースケベ」

ヨウランの発言に顔を真っ赤にするシンであった。










































デュランダル「姫は先の戦争でも、自らモビルスーツに乗って戦われた勇敢なお方だ。また最後まで圧力に屈せず、自国の理念を貫かれたウズミ様の後継者でもいらっしゃるならば今のこの世界情勢の中、我々がどうあるべきかは、よくお分かりのことと思いますが」

カガリ「我らは自国の理念を守り抜く。それだけだ」

デュランダル「他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入しない?」

カガリ「そうだ」

きっぱりと答えるカガリに、議長は頷き、穏やかな笑みを浮かべる。

デュランダル「それは我々も無論、同じことです。そうであれたら、一番よい。だが、力なくば、それは叶わないそれは姫とて、いや、姫の方がよくお分かりでしょうに?だからこそオーブも軍備は調えていらっしゃるのでしょう?」

カガリ「その、“姫”というのは、止めて頂けないか?」

デュランダル「これは失礼しました。アスハ代表…しかし、ならば何故?何を怖がってらっしゃるのですか、あなたは?大西洋連邦の圧力ですか?オーブが我々に条約違反の軍事供与をしている、と?」

カガリ「っ!!」

その言葉に反応するカガリ。
どうやら図星のようだ。

デュランダル「だが、そんな事実は無論ない。かのオーブの防衛線のおり、難民となったオーブの同胞達を、我らが温かく受け入れたことはありましたが…その彼らがここで暮らすために、持てる技術を活かそうとするのは、仕方のないことではありませんか?」

カガリ「だが!!強すぎる力はまた争いを呼ぶ!!」

デュランダル「いいえ、姫。争いがなくならぬから、力が必要なのです」

議長が言い終わったのと同時に警報が鳴る。

キラ「カガリ!!」

カガリ「え…っ」

キラはカガリを押し倒し、爆発から守る。
そしてハンガーから三機のMSが現れた。

キラ「あれは…ガンダム!?」

「カオス!?ガイア…アビス…!!」

「六番ハンガーの新型だ!何者かに強奪された!!」

「議長…!!」

デュランダル「対応急げ!!何としても抑えるんだ…!!」

「こちらです」

デュランダル「姫をシェルターへご案内しろ!!ミネルバにも応援を頼め!!」










































ミネルバでは艦長であるタリア・グラディスが指令を受けていた。

タリア「…了解しました。アーサー!!インパルスとセイバーとグフを出します!!準備を!!」

アーサー「は、はい!!」

タリア「メイリン!!」

メイリン「はい!!インパルス、セイバー、グフ。発進準備を!!」






































シン、アレックス、ナオトは直ぐさまそれぞれの機体に駆け、乗り込む。

シン「…シン・アスカ、コアスプレンダー。行きます!!」

アレックス「アレックス・ディノ、セイバー。出る!!」

ナオト「ナオト・フジワラ、グフ。出るよ!!」

コアスプレンダー、セイバー、グフイグナイテッドが戦場に向かう。









































アレックス「あれか…!?」

シン「くっ…あいつら…何でこんなことを!!」

ナオト「シン、私とアレックスが時間を稼ぐから早く合体させて!!」

シン「はい!!」

セイバーとグフがカオスとガイアと交戦するザクの間に降り立つ。

?「!?スティング、あれ…」

突如現れたセイバーとグフの二機にガイアのパイロットは目を見開いた。

スティング「あれも新型か!?あんな機体の情報は聞いてないぞ!?」

?「くそ、ネオの奴…!!」

アレックス「そこのザク!!早く離脱するんだ!!」

キラ「え…!?」

カガリ「この声…!?」

通信によって聞いた声に戸惑うキラとカガリ。
しかし、アレックスは直ぐにカオス、ガイア、アビスに意識を戻す。

アレックス「はあああ!!」

アレックスはセイバーの両肩のビームサーベルを連結させ、アビスに切り掛かる。

スティング「アウル!!」

アウル「こ、こいつ、速い!!」

間一髪でセイバーの斬撃をかわしたアビス。
しかし、背後からグフが迫る。

ナオト「この泥棒が!!」

グフのテンペストビームソードを抜くとアビスに切り掛かる。
間に入ったガイアはシールドでそれを防ぐと距離を取る。

スティング「もらった!!」

カオスがビームサーベルを抜き、グフに切り掛かろうとする。

シン「させるかああああ!!」

合体を終えたインパルスが対艦刀エクスカリバーを構えてカオスに切り掛かる。
不意を突かれたカオスはかわしきれずに、左腕を断たれた。

アウル「こいつも新型かよ!?」

スティング「くそ…ネオの奴…ちゃんと調べとけよ!!新型が5機だなんて聞いてねえぞ!!」

度重なる予想外の事態に苛立ちながら叫ぶスティング。

スティング「仕方ない。アウル、ステラ。あの2機はもういい!!時間だ。退くぞ!!」

ステラ「でも…」

スティング「このままじゃ、俺達が不利なんだよ。今は撤退するんだ!!」

アウル「くそ!!次は絶対に墜としてやる!!」

忌々しそうにインパルス、セイバー、グフを睨むアウル。
カオス、ガイア、アビスは撤退しようとするが…。

ステラ「!?」

突如、コクピットが揺れ、直ぐさま確認すると、セイバーのグレイプニール改がガイアの足を捕まえていた。

ナオト「ナイス、アレックス!!」

ナオトはグフの両腕に内蔵されたスレイヤーウィップを放ち、ガイアを搦め捕る。
例えVPS装甲だとしても高周波パルスによってパイロットにダメージを与えることが出来る。

ステラ「きゃあああああ!!?」

スレイヤーウィップの高周波パルスによってステラは気絶し、落下していく。

アウル「ステラ!!」

スティング「止せ!!ステラのことは諦めろ、運が……なかったんだ」

スティング自身も後ろ髪引かれるような様子で、しかしそう言った。

アウル「ちくしょー、お前ら、後で皆殺しにしてやっかんなぁっ!!」

シン「くっ、このままじゃ逃げられる!!」

ナオト「ミネルバ!!インパルスにフォースシルエットを!!」

アーサー『ええ!?し、しかし…』

ナオト「FAITH権限です!!さっさとしなさいエロゲ王!!」

アーサー『エ、エロゲ王って…』

アレックス「ナオト。ガイアを頼む。奴らは俺が追い掛ける。」

ナオト「分かった。後でレイとルナマリアも来るから」

アレックスはセイバーをMA形態に変形させるとカオスとアビスを追い掛ける。

ナオト「(それにしても、カオス、ガイア、アビスを強奪した奴らは本当にナチュラルなの…?)」

疑問を胸にしまいながら、ガイアのコクピットからステラを出すナオト。








































そしてカオスとアビスを追い、宇宙空間に出たセイバー。

アウル「くそっ!!まだ追い掛けてきやがる!!ええい、墜ちろー!!」

アビスがMA形態のセイバーに向けて一斉掃射するが、アレックスはセイバーを旋回させることで回避する。

アウル「かわした!?」

スティング「ならこれでどうだ!!」

カオスの機動兵装ポッドからミサイルがセイバーに向けて放たれるが、セイバーは一気に加速し、MS形態に戻るとアムフォルタスビーム砲改の砲撃でミサイルを撃墜する。

アレックス「逃がさない。残りの2機も返してもらうぞ」

スティング「ちっ、何て機動力だ!!」




































そして、セイバーとカオス、アビスが戦闘をしている場所から少し離れた場所で1機のMAが向かっていた。

ネオ「なるほどね…これは確かに私のミスかな?ならば、私自身の手で正さねばなるまい!!」












































アレックス「…ん!!?」

真横から放たれたビームをアレックスはシールドで咄嗟に防御する。
するとエグザスのガンバレルがセイバーを包囲する。

ネオ「スティング!!アウル!!ステラはどうした!?」

スティング「それは…」

ネオの問いにスティングは思わず口ごもってしまうが、ネオはそれだけで理解する。

ネオ「ステラは失敗したのか」

ネオは仮面をつけた顔で、淡々と問いかける。

スティング「はい……」

哀しげな表情で、スティングはそう言った。

ネオ「ならば……仇ぐらいは、とってやらんとな!!この新型は私が抑える!!お前達は合流点に迎え!!」

エグザスのガンバレルがセイバーに向けてビームを放つ。
セイバーはそれを翻すと足に内蔵されたビームサーベルでガンバレルを一機破壊する。

ネオ「何!?く…っ、ザフトもそう寝ぼけてはいないということか!!」

ネオに追い撃ちをかけるように複数のビームが放たれる。
ネオはそれを回避する。

シン「アレックスさん!!」

レイ「アレックス!!無事ですか!?」

フォースシルエットに換装したインパルスとブレイズウィザード装備のザクファントムがセイバーと合流する。

アレックス「ルナマリアは?」

レイ「ルナマリアのザクはエンジンにトラブルがあったらしく、今はナオトと共にミネルバにいます」

アレックス「そうか…」

ネオ「ちっ、欲張り過ぎは元も子も無くすってか!!」

不利を悟り、エグザスはそのまま撤退する。
こうしてミネルバが出て来たが、連合艦、ボギーワンを追撃する前にボギーワンは船体の推進剤予備タンクを分離後爆破させ、ミネルバにぶつけることでボギーワンは姿を眩ました。 
 

 
後書き
種運命本編開始。
ガイアとステラが捕まりました。
相手が悪すぎたとしか言えない 

 

第五話 ユニウスセブン 前編

 
前書き
ユニウスセブンに異常が発生。
そしてアレックスは… 

 
ボギーワンを逃がしてしまったミネルバ。
直ぐさまボギーワンを探すが…。

メイリン「あ…艦長。最高評議会よりデュランダル議長に通信です。ユニウスセブンが軌道を外れて地球へ向かっています!!」

デュランダル「…ユニウスセブンが地球へ…!?他にも何も言ってきてないかね…?」

メイリン「ジュール隊がメテオブレイカーを持ってユニウスセブンへ向かったとのことです。」

アーサー「メテオブレイカー…!?」

タリア「あれ程の質量よ。動き出したら止める術はそうはないわ。後は砕くしか…」

デュランダル「艦長。ミネルバもジュール隊の支援に向かってくれないか?出来ることはそうないかもしれんが…」

タリア「しかし、ボギーワンは…」

デュランダル「アーモリーワンから別の捜索隊を出す。今はユニウスセブンの方が重要だ。」
















































ナオト「あれ?シン?」

シン「あ、ナオトさん。」

医務室の前でナオトに名前を言われたシンは向き直る。

ナオト「どうしたの?医務室に何か用でも?メディカルチェックは済ませたじゃない。」

シン「いえ、ガイアの強奪犯が医務室にいるって聞いて、ちょっと気になっちゃって」

ナオト「ふ~ん。まあいいか。私も行くね」

シン「え?」

ナオト「私も強奪犯のことで少し気になることがあるの。」

シンとナオトはガイアの強奪犯…ステラのいる医務室に向かった。











































そして医務室に入ると、シンは驚愕で目を見開くことになった。

シン「この子…!!」

ナオト「知り合い?」

シン「いえ、知り合いというか…その…」

顔を赤くして口ごもるシンにナオトはニヤリと笑う。

ナオト「分かった~。シンってこういう子が好みのタイプなんだあ…」

シン「ち、違います!!第一、この子は敵ですよ!?」

ナオト「照れないのニブチンさん♪」

シン「(ニブチンって…アレックスさんのことに全く気付かないあんただけには言われたくねえ…)」

シンはアレックスがナオトに好意を抱いていることを知っているが、ナオトはアレックスがどんなにアピールしても全く気づかない超弩級の鈍感なのだ。
そんなナオトにニブチン扱いされたシンは胸中でツッコんだ。

ナオト「まあ一概にこの子が敵と言えるかは分からないけどね。」

シン「え?」

ナオト「この子は普通の人間じゃない。大量の薬物が彼女には使われているの。その状態を安定させるため、強制的な記憶操作も行われているようだね」

シン「そ、それって!?」

ナオト「多分、この子は連合のブーステッドマンかエクステンデッド。遺伝子操作を忌み嫌う。連合、ブルーコスモスが薬や様々な方法を用いて作り出した生きた兵器。戦うためだけの人間。コーディネイターに対抗するために肉体と精神を改造して子供の頃から戦闘訓練ばかり受けさせられて、適応出来ない者は容赦なく淘汰されて、基準を満たした者は戦場に送り出される」

シン「この子がそうだって言うんですか…?だったらコーディネイターは自然に逆らった間違った存在とか言っておきながら!!こういうのはいいんですか!?人をまるで道具みたいに!!」

それを聞いたシンは身体が熱くなるような怒りを感じた。
そんな場所があるのなら、今すぐインパルスで乗り込んで踏み潰してやりたい。
そんな衝動にさえ駆られた。

ナオト「うん、私達が本当に倒すべきなのは、そういうことを平然とする馬鹿達なのかもしれないね」

シン「そうですよ!!遺伝子弄んのは間違っててこれは有りなんですか!!!?」

ステラ「ぅ……ぁ……」

ナオト「あ、起きちゃった」

シン「え?」

ステラ「ここ……どこ?」

おずおずと、辺りを見回す仕種をしながら、ステラは不安げな表情で言う。

シン「あ……だ、大丈夫だよ、ここはミネルバの医務室だから……」

シンは怖がらせないように慌てて笑顔になって、ステラにそう言った。

ステラ「ミネルバ……ネオ、ネオはどこ?スティング…?アウル…?」

その単語を理解出来なかったのか、ステラは不安そうな表情のまま、またキョロキョロと辺りを見回すと、誰かを探すような言った。

シン「?」

シンは首を傾げるが、ステラは首を横に振って、声を出す。

ステラ「ネオがいない……怖い……」

シン「え?」

ステラの態度に、シンははっとする。

ステラ「…怖い、いやぁぁぁぁ…っ」

シン「あ、待って!!」

ステラは上半身を上げて振り乱し、恐慌状態になって暴れかける。
だが、咄嗟にシンは、ステラを抱き締め、押さえつけるように力を入れつつも、頭を交差させたステラの耳元に、優しく言う。

シン「大丈夫、大丈夫だから。誰も、誰も君を傷つけたりなんかしないから……」

だが、ステラの力は幾分弱まったものの、なおも暴れようとする。

ステラ「いや、ステラ、怖い!!」

駄々を捏ねる子供のように、ステラは声を上げる。

シン「……大丈夫だから、君は君は俺が守るから」

シンは咄嗟に、そんな言葉を口に出した。

ステラ「守る……?ステラを…守る…?」

ステラは力を抜き、シンの顔を見た。
ステラを落ち着かせようと、勢いで言ってしまったシンは、恥ずかしそうに笑いながら頭を掻いた。

シン「うん……大丈夫、俺が君を傷つけさせないから」

シンは誰にも見せたことがないくらいの優しい笑みを浮かべながら言う。

ステラ「守る……ステラを……」

ステラは、譫言のようにシンの言葉を反芻する。

ナオト「…若いねえ……」

ナオトがからかうように言うとシンは顔を真っ赤にしながら否定する。

シン「いえ違いますよ!!?俺はそういう意味で言った訳じゃあ…」

ナオト「シン、酷い。ステラとの約束は遊びだったんだ」

シン「いや、俺はあああああ!!!!」

泣きまねをするナオトにシンは頭を抱えて叫ぶ。

デュランダル「失礼するよ」

ナオト「あ、議長」

シン「え?あ…」

議長の存在に気付いたシンは急いで襟を直すと敬礼する。

デュランダル「そう固くならなくてもいい。ガイアの強奪犯が収容されていると聞いていたのだが……どうやら、ただ事ではないようだね……」

ナオト「はい。どうやらエクステンデッドのようです。薬物依存といった中毒症状はないようですが……」

デュランダル「そうかね…」

ナオト「先程も恐慌状態になって、暴れ始めたんですが。シンのおかげで…」

デュランダル「そうか……本来なら後送すべきなのだろうが……どうも取り扱いの難しい問題になりそうだね」

ナオト「はい。私としては早くプラントの医療施設に送るべきだと私は思います。彼女は連合の被害者です。」

デュランダル「分かった。それではこちらで手配をしておこう。」

ナオト「はい。じゃあシン。アレックス達も待っていることだし談話室に行こう。」

シン「え?あ、はい。失礼します。ステラ、また来るから」

ステラ「…うん」

ナオトとシンは議長に敬礼し、シンはステラにまた来ると言い残して医務室を後にするのであった。


















































そして談話室の自販機でコーヒーを購入すると、会話を聞いていたシン達だったが…。

シン「ユニウスセブンが落ちている!?」

談話室で、レイが切り出した話題にシン達は驚き果てた。

レイ「ああ。ミネルバはこのまま破砕作業に出るらしい」

シン「じゃあ強奪部隊はどうなるんですか?」

アレックス「断念だろうな。強奪部隊よりユニウスセブンの方が優先されるだろう」

アレックスの言葉に静まり返る一同。

ヨウラン「でもさ、何で俺達が行かなきゃ行けないんだって話だよな?」

意味が分からないと言いたげな表情でそう呟くヨウランにシン達の視線が集まる。
しかし、ヨウランの発言に対して確かにと言いたげに頷くヴィーノ。

ヴィーノ「ユニウスセブンに核を撃ち込んだのは連合なんだから連合がやればいいだろ?」

ヴィーノの言う通り、地球に落下中のユニウスセブンに核ミサイルを撃ち込んだのは地球連合軍なのだ。
メイリンもユニウスセブンの破砕作業に思うことがあるのか、ヴィーノの発言に少しの間を置いて頷いた。

メイリン「そうだよねえ……冷静に考えたら、私達がユニウスセブンを砕く義理なんて無いし……」

本来ならこれはユニウスセブンに核ミサイルを撃ち込んだ地球連合軍がやらなければならないことだ。

ルナマリア「面倒ね……」

メイリンの発言に、彼女の姉であるルナマリアも同意見なのか、それに続く。
地球の人々がどうでもいいと言うわけではないのだが、まるで地球連合軍の尻拭いをさせられているような感じがしてならないのだ。
ヨウラン達の言葉にシンとレイとアレックス、ナオトは黙ったままだ。

アレックス「だが、ユニウスセブンをあのままには出来ない。地球にいる同胞を死なせるわけにはいかないだろう?」

地球にもザフト軍兵士やコーディネーターが沢山いる。
このままでは彼らもユニウスセブンの落下の被害に巻き込まれてしまうのだ。

ヴィーノ「分かってますよ。でも案外楽なんじゃないですか?俺達にとっちゃさ」

ヨウラン「確かに。これは事故なんだし。俺達には責任は無いんだからな。しょうがないよな。これでナチュラルがいなくなるんだったら変なゴタゴタも一緒に消えて一石二鳥だよな」

ナオト「ヨウラン。そういう言い方は良くないよ」

あんまりな言い方にナオトは咎める。
ヨウランは苦笑しながらナオトの方を向く。

ヨウラン「冗談ですよ。ちょっと場を和まそうと…」

ナオト「ちっとも和まな…」

カガリ「冗談だと!?」

アレックス「ん?」

叫び声に反応し、アレックスが見遣るとそこにはカガリとキラが立っていた。

カガリ「しょうがないだと!?案外楽だと!?これがどんな事態か、地球がどうなるか、どれだけの人間が死ぬことになるか、ほんとに分かって言ってるのか、お前達はっ!?」

カガリは猛烈な勢いで、ヨウランを指差し、糾弾する。

ヨウラン「すいません」

しかしヨウランは、ヴィーノ達と顔を合わせてから、形式ばかりに頭を下げた。
その姿に、カガリはさらに顔を紅潮させた。

カガリ「くっ……やはりそういう考えなのか、お前達ザフトは!!あれだけの戦争をして、あれだけの思いをして、やっとデュランダル議長の下で変わったんじゃなかったのか!?」

激情のままに、ヨウランやアレックス達に怒鳴りつける。
シンは眉間に皴を寄せる。

カガリ「それとお前もだアスラン!!」

アレックス「え?」

カガリ「勝手にいなくなって私がどれだけ心配したと思ってるんだ!!何でお前がザフトなんかにいるんだ!!」

“ザフトなんかに”その発言に全員がカガリに非難の視線を浴びせる。
しかしアレックスはシンの方を見遣ると尋ねる。

アレックス「シン。彼女は誰だ?」

カガリ「え?」

疑問符を浮かべながらシンに尋ねるアレックスにカガリは目を見開いた。

シン「オーブのアスハですよ。アーモリーワンを訪問してた時に巻き込まれてここに来たんですよアレックスさん」

仏頂面で答えるシンにアレックスは頷いて、アレックスはカガリに向き直る。

アレックス「申し訳ありませんでした。アスハ代表。そうとは知らずに。」

一国の代表に失礼な態度を取ってしまったアレックスは即座にカガリに謝罪する。

カガリ「な、何を言ってるんだアスラン!!どうしてお前がザフトなんかにいるんだ!!答えろ!!」

アレックス「何故と言われても、プラントは俺の故郷だから守るために軍に入ったので…後、私はアスランという名前ではなくアレックス・ディノです」

カガリ「そ、そんなはずない!!お前はアスランだ!!」

キラ「カガリ」

アレックスの肩を掴んで叫ぶカガリを制止し、キラがアレックスに向き直る。

キラ「アスラン。どうして君はザフトにいるの?」

アレックス「アレックスです。先程も言ったように、プラントは俺の故郷です。なら、俺がザフトにいるのも当然では?」

キラ「それが正しいの?ザフトにいることが本当に正しいことだと思ってるの?」

ザフトにいるアレックスを非難するように言うキラにシン達の眉間に皺が寄る。

アレックス「……」

キラ「何で戦争をしようとするの?」

アレックス「それは…っ!?」

突如、アレックスに頭痛が襲うが、表情には出さずに耐える。
異変に気づいたナオトがアレックスの隣に立って背中を撫でる。
それを見たカガリが顔を顰めた。

キラ「答えてよアスラン」

シン「……さっきから何なんだよあんた達は!?」

とうとう我慢の限界が来たのか、シンがアレックスとキラ達の間に立ち、アレックスを庇うように叫んだ。

シン「自分の故郷を守ろうとするのが何がいけないんだ!!力がないと何も守れないから、今の家族を守るためにアレックスさんはザフトに入ったんだ!!そんなことも分からないのかよあんたは!!?」

キラ「だけどアスランは…」

シン「この人はアスラン・ザラじゃない!!俺達の仲間のアレックスさんだ!!ナオトさん!!レイ!!アレックスさんを医務室にでもどこでもいい。連れてってくれ!!」

ナオト「あ、うん…」

レイ「分かった。」

ナオトとレイはアレックスを連れて談話室を後にする。

カガリ「ま、待てアスラン!!話は終わって…」

シン「待つのはあんただ馬鹿野郎!!」

2人に連れられていくアレックスを止めようとするカガリにシンは叫んで妨害する。

シン「自分の考えを押し付けようとするところは親父にそっくりだな!!」

カガリ「何だと!?お父様を侮辱する気か!?」

シン「現実を見ない理念だけの馬鹿首長だろ」

カガリ「お前!!」

ウズミを侮辱する発言をするシンにカガリは激昂する。

シン「教えてやるよ!!俺の家族はあんたの親父に殺されたんだ!!あんたらの下らない綺麗事のせいでな!!」

カガリ「え…?」

シン「国を信じて、あんた達の理想とかってのを信じて…そして最後の最後にあんた達の選んだ道のせいで、オノゴロ島で殺された!!」

そしてシンはカガリを一層強く睨む。
カガリはそれに怯え、後退する。

シン「だから俺はもう、あんた達を信じない!!あんた達の言葉なんか信じない!!そんなあんた達の言う理想とかってのも信じない!!この国の正義を貫くって…綺麗事並べて自己満足して…あんた達はあの時、自分達のその言葉で誰が死ぬことになるのかちゃんと考えてたのかよ!!あんた達に…あんた達なんかに今のあの人を否定する資格なんかない!!」

そう吐き捨ててシンは談話室を後にする。
ルナマリア達もシンを追うように談話室を後にした。









































そして医務室に連れられたアレックスはナオトから飲み物を渡された。

ナオト「アレックス、落ち着いた?」

アレックス「ああ…少し酷い頭痛だったが大丈夫だ。それにしても彼女は本当にガイアの強奪犯なのか?俺には普通の女の子にしか見えないが…」

飲み物を受け取りながら、大人しくしているステラを見遣るアレックス。

ナオト「まあ、見た目はね」

ステラ「?」

アレックスとナオトの話を理解していないのかステラは首を傾げていた。
すると今度は医務室にシンが入って来た。

アレックス「シン」

シン「アレックスさん…」

アレックス「ありがとうシン。庇ってくれて。」

シン「別に…アスハに腹が立ったからですよ」

ステラ「シン…どこか痛いの?」

シン「え?」

ステラ「シン…泣きそう…」

シン「…だ、大丈夫だよ。ステラは気にしないでゆっくり休んで、ユニウスセブンを砕いたらステラはプラントの医療施設に行くんだから」

ステラ「ステラ…シンといられないの…?」

シン「ユニウスセブンを砕いたら休暇を取ってでも会いに行くよ。約束するから」

ステラ「うん…約束…!!」

アレックス「…シンが別人に見える……」

信じられない物を見たと言いたそうな表情のアレックスである。

アレックス「ナオト、シンと彼女はどんな関係なんだ?」

ナオト「………」

アレックスの問いにナオトは無言で小指を上げる。

アレックス「こ、恋人?」

シン「ち、違います!!」

アレックス「おめでとうシン。心から祝福するよ」

即座に否定するシンに対してアレックスは本心から言う。
それを聞いたシンは渋い顔をする。

シン「(この人の場合100%善意だから怒るに怒れない…)」

悪意がないからタチが悪い。
これがあのヴィーノかヨウランならボコボコにしてやれた物を…。

アレックス「コーディネイターとナチュラルの恋人か…前途多難かもしれないが、こちらも精一杯サポートさせてもらうからなシン。」

シン「あ、いやだから…」

ナオト「コーディネーターとナチュラルの結婚って…理想的だよね」

デュランダル「そうだね。私もコーディネーターとナチュラルの共存を目指す者として君達の仲を応援しようじゃないか」

シン「議長まで!?あんた達は一体何なんだーーーーっ!!!!!!」

アレックス、ナオトに続いて議長まで悪ノリするので、シンは思わず叫んでしまったのであった。 
 

 
後書き
ユニウスセブンに向かう直前の話です。
実はステラの扱いについて悩んでます。
ステラをミネルバにいれるか否か…。
入れないなら民間人コース
ミネルバなら赤服コースです 

 

第六話 ユニウスセブン 後編

 
前書き
ユニウスセブン破砕作業開始。 

 
現在、アレックス達はそれぞれの搭乗機にて待機していた。

ルナマリア「でも、粉砕作業の支援て言ったって何すればいいんですかね?」

アレックス「メテオブレイカーを設置する際に邪魔な障害物を破壊すればいい。俺達に出来ることは多分それくらいだ。シン達もいいな?」

シン、レイ「「はい」」

ナオト「OK」

本来ならナオトが指示を出すべきなのだろうが、指揮能力はアレックスの方が上のためにアレックスが指示している。

メイリン『発進停止。状況変化。ユニウスセブンにてジュール隊がアンノウンと交戦中』

ナオト「イザーク達が?」

メイリン『各機、対MS戦闘用に装備を変更して下さい』

ルナマリア「状況変わってしまいましたね?」

アレックス「だが状況が変わってもやるべきことは変わらないさ。行くぞ!!」

シン「はい!!シン・アスカ、コアスプレンダー。行きます!!」

アレックス「アレックス・ディノ、セイバー。出る!!」

ナオト「ナオト・フジワラ、グフ。出るよ!!」

ルナマリア「ルナマリア・ホーク、ザク。出るわよ!!」

レイ「レイ・ザ・バレル、ザク。発進する!!」

フォースインパルス、セイバー、グフイグナイテッド、スラッシュザクウォーリア、ブレイズザクファントムの順で出撃する。
因みに何故ルナマリアのザクがスラッシュウィザードなのかというと。
アレックスがルナマリアの能力を考慮して宛がったのである。
アカデミー時代は射撃先行で、火力支援機を前提に教練を受けてきたルナマリアだったが、土壇場で的を外す事が多かった。
特にデブリ戦では、敵と間違えて小規模デブリを撃ち、敵味方共に大混乱させてしまったこともある。
挙句には“誤射マリア”というありがたくない2つ名を頂戴した程。
良くザフトレッドを着れたものだと、アカデミー卒業時には、周囲は驚きを隠さずにそう言った。
後、彼女の赤服は緑服を染めたものではないかという噂もあるとかないとか。
よって、ルナマリアはスラッシュウィザード装備で出撃することに。












































ユニウスセブンに着くと、工作隊は攻撃を受けていた。

アレックス「カオスにアビス!?」

シン「ちっ!あいつら!!」

ルナマリア「あの二機、今日こそ!!」

ナオト「ルナマリア、目的は戦闘じゃないよ!!」

ルナマリア「分かってます。けど撃ってくるんだもの。あれをやらなきゃ作業も出来ないでしょ?」

アレックス「正論だな。ルナマリアとレイ、ナオトは工作隊の支援を。シン、俺達でカオスとアビスを叩く。やれるな!?」

シン「はい!!ミネルバ、ソードシルエットを!!」

ミネルバからソードシルエットが射出され、インパルスは換装せずに、エクスカリバーのみ手にする。

アウル「あいつら…!!沈めえ!!」

アビスがセイバーとインパルスにフルバーストを繰り出す。
インパルスとセイバーはそれを容易く回避し、攻撃に転じた。

シン「うおおおお!!」

エクスカリバーを振り下ろし、アビスのビームランスごと腕を切り落とす。

アウル「ぐっ!?」

スティング「アウル!!」

アレックス「させるか!!」

アビスの援護に向かうカオスにセイバーはライフルを放つ。

スティング「ちっ!!」

カオスはMA形態に変形し、セイバーに迫る。
対するセイバーもMA形態に変形させ、急上昇した。
それに対応したカオスも上昇し、セイバーの後方に付けた。

スティング「簡単に後ろを取らせるとは、死にてぇみたいだな!!」

スティングは勝利を確信し、トリガーに手をかけた。
するとセイバーは急制動する。
それに対応出来なかったカオスはそのまま前進する。

アレックス「墜ちろ!!」

MA形態のセイバーはカオスに向けて、ビームライフル、アムフォルタスビーム砲改、スーパーフォルティスビーム砲を一斉に放ち、カオスに直撃させる。

スティング「うわああああ…っ!!」

アレックスはセイバーの翼部の兵装、グリフォン2ビームブレンドのビームを展開し、カオスに突撃させ、カオスの右腕を切り落とす。

アレックス「シン!!」

シン「はい!!」

インパルスがエクスカリバーを横薙ぎし、カオスの左腕をシールドごと両断する。

ナオト「流石、アレックスとシン!!ナイスコンビネーション!!」

ナオトは見事なアレックスとシンの連携に感心する。
アビスは中破したカオスを回収するとボギーワンに…。

シン「ふう…」

アレックス「シン、よくやった。次は工作隊を援護だ。行くぞ」

シン「分かりました」

セイバーとインパルスがユニウスセブンに向かう。

ルナマリア「それにしても普通ここまでする!?」

ルナマリアのザクがビームアックスを振るい、ジンを瞬く間に切り捨てる。
やはりルナマリアは格闘の能力が高いようだ。
そして、作業の妨害をするジンを墜としていき、作業は順調に進んでいく。
そして遂にユニウスセブンが半分に割れた。

ナオト「ユニウスセブンが…」

ルナマリア「割れた…」

アレックス「だが、まだまだだ!!ユニウスセブンをもっと細かく砕かないと!!ジュール隊長!!援護します!!」

ナオト「え?あ、アレックス!?」

イザークが駆るスラッシュザクファントムに向かうアレックスのセイバーをナオトのグフが追う。

ディアッカ「あ、アスラン!?それにナオトも!?」

イザーク「アスラン貴様、どうしてここにいる!?それにその機体は…」

アレックス「アスラン?誰と勘違いしているのか分かりませんが、私はアレックス・ディノです。援護します!!」

ディアッカ「え?お、おい!?」

アレックスはセイバーのバーニアを吹かして、まだ作動していないメテオブレイカーに。

ナオト「えっと、イザーク、ディアッカも久しぶり。アカデミー以来だね」

呆然としているイザークとディアッカに苦笑しながらナオトは挨拶する。

ディアッカ「あ、ああ…アスランの奴、どうしたんだ?」

ナオト「じ、実はねえ…」

ナオトはイザークの怒声を覚悟して粗方の事情を説明する。











































イザーク「記憶喪失だとお!?」

イザークがただでさえでかい声を張り上げる。

ディアッカ「おいおい。何があったんだよ」

イザーク「そんなことなどどうでもいい。記憶喪失とはいえアスランのくせにこの俺を忘れるとはいい度胸だ…!!」

ディアッカ「いや、しょうがないだろ、記憶喪失じゃあ」

ナオト「そういうこと。」

ディアッカのツッコミにナオトも頷いた。





































そして残ったジンを撃墜していき、メテオブレイカーを作動させていく。
その時、ユニウスセブンが、不気味な軋みを上げ、ビリビリと振動を始めた。

レイ「突入コースに乗った!!加速度的に落ちていくぞ!!」

レイが険しい口調で言う。
ほぼ同時に、ミネルバから帰還信号が放たれた。
先着隊も、次々と離脱を始めていた。

ナオト「あれ、アレックスは?」

シン「え?」

シンは急いでセイバーの位置を確認する。
アレックスのセイバーは、ジンの妨害で設置し損ねたメテオブレイカーを、設置し直そうとしていた。

シン「アレックスさん、帰還信号が出ています!!早くミネルバに戻らないと!!」

シンはそう言いつつ、インパルスでアレックスのセイバーに近づいた。
アレックス「分かってる、でも少しでも砕かないと…地上が…」

シン「……手伝います!!」

アレックスの言葉にシンはインパルスで、セイバーの反対側からメテオブレイカーを支え、起こした。
位置を垂直に据えてから、スイッチを入れる。
浸透用のドリルが作動し、爆砕用の弾体が潜り込んでいった。

「うおぉぉ!!」

「これ以上はやらせん!!」

シン「こいつらまだ!!」

アレックス「ええい!!」

セイバーとインパルスが同時にビームサーベルを抜く。

「我が娘のこの墓標、落として焼かねば世界は変わらぬ!!」

ジンの一機がインパルスのビームサーベルで両断される。

シン「娘…?」

アレックス「まさか…血のバレンタインの…?だが!!」

セイバーはグレイプニール改を繰り出し、ジンを捕獲すると、内蔵されたビーム砲で破壊する。

「此処で無惨に散った命の嘆き忘れ、討った者等と何故偽りの世界で笑うか!!貴様等は!!軟弱なクラインの後継者どもに騙されて、ザフトは変わってしまった!!何故気付かぬか!!我等コーディネーターにとってパトリック・ザラの執った道こそが唯一正しきものと!!」

アレックス「え…?パト、リッ…ク・ザ…ラ…?」

その名前を聞いた途端にアレックスのセイバーは動きを止めた。
その隙を敵が見逃すはずもなく、セイバーは蹴り飛ばされる。

シン「アレックスさん!!このお!!」

インパルスがジンに肉薄し、ビームサーベルでジンを瞬く間に切り刻み、四肢と頭部を両断した。

アレックス「あ…ああ…」

シン「アレックスさん!!戻りますよ!!」

呆然とするアレックスにシンはインパルスを動かし、セイバーの手を掴むと、ミネルバに帰還する。
そして、インパルスとセイバーが帰還するのと同時に、議長とステラを乗せたランチと護衛であるナオトのグフイグナイテッドがボルテールに着艦したのだった。
ミネルバの艦首砲がユニウスセブンに向かって放たれる。

「フッ…撃つがいい…貴様達の欺瞞に満ちた平和のために!!」

インパルスに切り刻まれたジンのパイロットの独白…。

「だが、覚えておけ!!その一撃が穿つものは自らの心なのだということを!!」

タンホイザーの砲撃に巻き込まれたジンは瞬く間に蒸発した。
その日、地上には幾千幾万もの流星が降り注いだ。
流星は多くの都市を消し去り、山河を刔り、幾千幾万もの人の命が奪われていく。
しかし、宇宙から見たその光の明滅はまるでクリスマスのイルミネーションのように美しく煌めいていた。
プラントの人々には、これが新たな動乱の狼煙となる光だとは俄かには信じられない光景であった……。 
 

 
後書き
ユニウスセブン破砕作業終了しました。 

 

第七話 居場所

 
前書き
地球に降下したミネルバ。
 

 
医務室のベッドで寝ているアレックスをシン、ルナマリア、レイの三人が見守っていた。







































アレックスは夢を見ていた。
知らない人物。
だが、どこかで見覚えのある人物。

パトリック『撃…て…ジェネ…シ…我…ら…の世界…を奪っ…報い…』

そしてその人物の夢は途切れ、先程、戦ったジンのパイロットの言葉…。

『此処で無惨に散った命の嘆き忘れ、討った者等と何故偽りの世界で笑うか!!貴様等は!!軟弱なクラインの後継者どもに騙されて、ザフトは変わってしまった!!何故気付かぬか!!我等コーディネーターにとってパトリック・ザラの執った道こそが唯一正しきものと!!』

何故?
何故その名前を聞くと心が痛むのだろうか?











































アレックス「う…うぅぅ…」

アレックスがうっすらと瞼を上げるとシン達が安堵の息を吐いた。

シン「大丈夫ですか?ミネルバに着いた途端気絶するから驚きましたよ。」

アレックスはミネルバに着艦した途端に気絶してしまったのだ。
シン達は急いでアレックスを医務室に運んで、今の状態になっている。

アレックス「すまない、心配をかけて…ナオトはどうしたんだ?」

レイ「ナオトは、地球に降下する前に議長がボルテールに移る時の護衛として行きました。今はプラントにいるはずです」

アレックス「そうか…」

アレックスは起き上がると軍服を着始める。

ルナマリア「アレックスさん?大丈夫なんですか?」

アレックス「ああ、外の空気を吸いに行きたいんだ」

レイ「なら、俺達も行きます」

アレックス達は外の空気を吸うために甲板へと向かう。





















































甲板に出ると、地上の状況が芳しくないことは、空を見上げているだけで分かった。
戦闘も無く、手隙の者は甲板に出ていた。

ヴィーノ「太平洋って言うんだろ?うわー、でっけー」

ヴィーノが興奮したように、手すりに身を乗り出し、あたりを見回している。
彼に限らず、プラントで生まれて育ち、地上とは縁の無い者が殆どだった。
プラントにも人工的な水場はあるが、海の広大さには及ぶべくも無い。

ヨウラン「ヴィーノ!!そんな呑気なこと言ってられる場合かよ。どうしてそうなんだ、お前は」

ヴィーノ「人のこと言えるのかよ、ヨウラン」

ルナマリア「でもイメージと違うなあ。テレビや写真の海って、もっと鮮やかな青じゃなかった?」

アレックス「それは空の色だ。海の青は、空の青を写しているんだ。だから空が晴れていない時は、海の色も濁って見える」

レイ「…確かにあのような空も見たことはありませんね……」

ユニウスセブンの破片落下の影響で濁った雲が、辺りの空一面を覆っていた。

アレックス「砕いたとは言え、あれだけの質量が一気に大気圏に突入したんだ、地上にはかなりの影響があったはずだ。被害も少なくはないだろうな…ミネルバは…どこに向かうんだ?カーペンタリアか?」

シン「アスハの奴らがいるから、オーブに向かうそうです。あいつらもさっさと脱出してれば…」

ブツブツと文句を言うシンにアレックス達は苦笑する。

カガリ「アスラン」

アレックス「アスハ代表」

苦笑しているとカガリがアレックスの元に向かっていた。

カガリ「大丈夫かアスラン?気絶したって聞いたから心配したぞ?」

アレックス「え?あ、すみませんでした。アスハ代表。」

カガリ「…その呼び方は止めろ」

アスハ代表と言った瞬間にカガリは不機嫌そうな顔をする。

アレックス「他国の軍人である俺が代表を呼び捨てに出来るわけないでしょう?」

カガリ「ふん、まあいい。ほんとにとんでもないことになったが、ミネルバやイザーク達のおかげで被害の規模は格段に小さくなった。そのことは地球の人達も感謝してくれる」

シン「どうだか?」

カガリ「何だと?」

鼻を鳴らしながら言うシンにカガリが噛み付く。
シンは呆れたようにカガリを見ながらそう言う。

シン「あんただってブリッジに居たんだろ?ならこれがどういうことだったか分かってるはずだろ…ユニウスセブンの落下は自然現象じゃなかった。犯人が居るんだよ。落としたのは…俺達と同じコーディネーターさ。」

カガリ「あ…」

シン「あそこで家族を殺されてそのことをまだ恨んでる連中が、ナチュラルなんか滅びろって落としたんだ。それでも地球の人達は感謝するって思ってるのかよ?」

カガリ「……わ、分かってるそれは…でも!!」

シン「…でも何だよ……」

カガリ「お前達はそれを必死に止めようとしてくれたじゃないか!!」

シン「当たり前だ…!!プラントは殆ど地球からの輸入に頼っているんだぞ…。地球が滅んだらプラントも滅びるんだよ!!」

カガリ「………」

アレックス「だが……それでも破片は落ちた。俺達は……止めきれなかった」

カガリ「アスラン……」

ルナマリア「アレックスさん…」

アレックス「一部の者達のやったことだと言っても、俺達、コーディネーターのしたことに変わりない。許してくれるのかな…?…それでも……」

悲しげに呟くと、アレックスは甲板から中へ入って行ってしまった。

シン「奴等のリーダーが言ったんだ」

カガリ「え?」

シン「俺達コーディネイターにとって、パトリック・ザラの執った道こそが唯一正しいものだってさ。それを言われた時、セイバーの動きが止まった…。記憶は無くしても深く刻まれたのは消えないんだ。」

カガリ「ぁ……アスラン……」

シン「あんたは本当に何も分かってない。何も分かってない奴が下手な気休めなんかするな。あの人だって人間だ。傷ついたりするんだよ」

そう言うとシンは無言で甲板を後にした。
















































しばらくして、外で射撃の訓練をやることにした。
アレックスとレイは正確に的を撃ち抜いていく。
シンもアレックスやレイ程ではないが、射撃の腕はかなり高い。
ルナマリアは…何も言うまい。

ルナマリア「何で当たらないの~!?アレックスさん。ご指導お願いします!!」

アレックス「え?あ、ああ…前にも言ったように君はトリガーを引く瞬間に手首を捻る癖がある。だから着弾が散ってしまうんだ。そこさえ直せば良くなるよ、頑張って」

ルナマリア「はあい…」

シン「アレックスさん。後でシミュレーションに付き合ってくれませんか?」

地上戦での戦いのシミュレーションでは何度もしてきたが、実際にやるのは初めてだ。
やはりコロニーや宇宙とは勝手が違うだろうから、やっておくに越したことはない。

アレックス「勿論だ。シンだけではなくルナマリアとレイも地上戦に慣れていないはずだから、ある程度慣らしておかないとな」

全員【はい。】

カガリ「………」

遠目でアレックスとシン達のやり取りを見ていたカガリとキラは微妙そうな表情でそれを見ていた。
彼は今まで見たことがない穏やかな表情を彼らに浮かべていたから。












































おまけ

アレックス、シン、レイ、ルナマリアがシミュレーションをするが、結果は当然ルナマリアが全敗である。

ルナマリア「何で勝てないのよ~?少しくらい手加減してくれてもいいじゃない!!あんた達にはか弱い小鹿を思いやる優しさは無いの!!?」

アレックス、レイ「「(小鹿…?)」」

シン「手加減したら訓練にならないだろ。後、ルナ。お前のどこが小鹿なんだよ。どちらかと言うと女豹だろ?」

ルナマリアの小鹿発言にアレックスとレイが首を傾げる中、シンがズバッと言う。

ルナマリア「何ですって!!?」

アレックス「言い過ぎだぞシン」

シン「じゃあ否定出来るんですか?」

アレックス「……」

否定しようとしたが、即座に言葉が出て来ないアレックスであった。

ルナマリア「何で黙るんですか、そこは否定してくださいよ!!」

シン「あー、はいはい。」

シンは誤魔化すように話題をすり替える。

シン「あー、ルナ。全敗したんだからオーブに着いて、許可が出たらシュークリーム買ってこいよ。店の場所教えるし金出すから」

手土産がわりとでも言いたげな顔をして、何を言い出すかと思えばコレである。
ルナマリアは半ば呆れながら台詞を反芻した。

ルナマリア「な、何いきなり?シュークリーム?」

シン「オーブしかない新鮮なベリー系フルーツをふんだんに使ったベリーシュークリームにベリーソースがかかってる奴…。一勝も出来なかったルナに罰だ」

アレックス「甘そうだが、美味しそうだな」

シン「どういうわけか、あのシュークリームはオーブにしか売ってないんですよね。」

ルナマリア「わ、分かった…私とナオトさんと、レイとアレックスさんとシン…5つ買えばいいの?」

シン「6つだ。せっかくだからメイリンにも買ってこいよ」

レイ「ナオトは喜びそうですね」

アレックス「ああ、ナオトは甘い物が好きだからな」

オーブに行くまでの間、和やかな空気が彼らに流れていた。 
 

 
後書き
地球に降下してオーブに向かうまでの話。
この小説のシンはアレックスやナオトがいるために精神的に余裕があるため、ルナマリアをパシリに。 

 

第八話 激戦

 
前書き
オーブでの一時、そして戦闘。 

 
翌日、ミネルバはオーブに着いた。
軍事島だと言うオノゴロ島へ案内された。
オーブは幸いユニウスセブンの被害は少なかったそうだ。
修理には数日はかかるらしい。
進水式もまだだと言うのに、まるで歴戦の艦みたいになって複雑な気分になる。
カガリはアレックスを連れ戻そうとしたが、アレックスは丁重にお断りした。
ルナマリアはシンとアレックスを探していたが、どこにも見当たらない。

レイ「どうしたルナマリア?」

ルナマリア「あ、レイ。シンとアレックスさん知らない?頼まれたシュークリーム買ってきたんだけど」

レイ「シンならアレックスと一緒に街に出たぞ」

ルナマリア「え?アレックスさん、街に出て大丈夫なの?」

レイ「大丈夫だ。シンもいるから大事にはならないはずだ」

問題もあったが、アカデミーで優秀な成績を出していたシンだ。
アレックスやナオトの指導もあり、今やザフトでも上位に位置する実力を今のシンは持っているのだから、オーブの軍人が絡んでこようとしても難なく逃れられるはずだ。

ルナマリア「でも、せっかくシンにオーブの案内をしてもらおうと思ったのにな」

レイ「仕方ない。ここは、シンの故郷と言っても、家族を亡くした場所でもある。そのままオーブにいても良かったものを、わざわざプラントに移住して来たんだ。辛かったろう」

ルナマリア「そっか。上陸だって、浮かれる気分にはならないよねぇ」

レイ「恐らく今は、家族の墓参りだろう。アレックスはその付き添いか」

ルナマリア「じゃあ、シンには悪いけど私達は楽しみましょうよ。せっかく出てきたんですから」

オーブは、前大戦時結構な被害を蒙ったと聞いていたが、復興振りは凄かった。

ルナマリア「随分、早いのね、復興するの」

レイ「前大戦時は、最後は一応連合側だったからな。現在宰相を務めているウナト・エマ・セイランは大西洋連邦寄りの政治家だ。かなりの大西洋連邦の復興資金が流れ込んだらしい」

ルナマリア「そうなの?」

レイ「ああ、大西洋連邦と言う大国のコネと金の力で復興を成し遂げたんだ。オーブは一度滅んだからな、自力だったらまだマスドライバーを再建するのが限界か。その代わり、国の結構な部分が大西洋連邦の紐付きになってしまった。表向きは中立でも、国全体として見るならもうこの国は中立じゃない」

ルナマリア「……気を抜かない方がよさそうね」

レイ「ああ」

誰もが上陸に浮かれる中、ルナマリアとレイは気を引き締めた。










































シンの家族の墓参りの付き添いでついて来たアレックスが、助手席に座って外の景色を眺めていたシンに尋ねた。

アレックス「シン…。オーブはお前の故郷なんだろう?シンはオーブのこと、どう思っているんだ?」

景色を眺めていたシンは少しの間を置いて口を開いた。

シン「理念だけの国…ですかね。オーブの理念は嫌いだけど…この国自体は嫌いじゃないです。学校に通っていた時に出来た友達や、小さい時からの知り合いがいますから…」

アレックス「そうか…」

そこから二人に会話は無かった。
シンは花屋で買った花束を握り締める。
シン車から降りると歩いていく。
少しだけ、目を閉じた
二年前、この道を慌てて下っていった。
オーブは連合軍の攻撃を受け、悲惨な状態となり、シンの家族は避難することになる。
しかし避難の最中、シンと少しだけ離れた家族に、流れ弾が。
それが家族の運命を変えた。
シンを残し、父も母も妹も死んだ。
しかし戦闘中のため、その遺骸を葬ることさえ出来ずに。
プラントへ移住することとなった。
そしてシンは軍人になった。
あの日、守れなかった自分の無力さが許せなかったから。
家族が亡くなった場所につく。
焼け焦げた木々はそのままで、しかし新芽がところどころ芽吹いていた。
アレックスはシンの家族に黙祷をするために目を閉じた。
シンは花束を置いた。

シン「父さん。母さん。マユ…俺、少しの間だけオーブに帰ってきたよ。ザフトの軍人になったから、父さんや母さんは怒るかもしれないけどさ…。でも、もう誰も守れないのは嫌なんだ。だから許してくれるよね?」

ふっと、シンは悲しげに微笑みを浮かべる。
それからまた口を開いた。

シン「俺、今…楽しくやってるよ。軍の仲間と馬鹿やったり、アレックスさんや皆と一緒に訓練したり、それから、大切な子に会えたよ。連合のエクステンデッドなんて言われてるけど、素直で…とてもいい子なんだ……俺、今はまだまだ弱いけど、いつかは皆を守れるくらいに強くなる……俺は戦うよ。手に入れた力で、皆を守ってみせるから…。だから、見守っててよ。俺が正しい道を進めるように。もう二度と、あんな悲劇は繰り返させはしないから。」

二年間溜まっていた想いを吐き出す。
海風が鳴っている。
あの日は昨日のようであり、しかし遠い昔のようだった。

アレックス「もう…いいのか?シン」

シン「はい。伝えたいことは全て伝えましたから」

アレックス「そうか…」

アレックスとシンは車に戻ると乗り込み、ミネルバに戻るのだった。








































数日後、宇宙で驚愕することが起きた。

メイリン『コンディションイエロー発令、コンディションイエロー発令。艦内警備ステータスB1。以後部外者の乗艦を全面的に禁止します。全保安要員は直ちに配置について下さい』

ユニウスセブンの件で連合がプラントに宣戦を布告したのだった……。

ルナマリア「で、状況はどうなの?人の行き来は禁止になっても情報はまだ大丈夫でしょう?」

アレックス「ああ、メイリンから聞いた話では、プラントに核攻撃が行われたらしい」

シン「……ニュースでプラントが破壊されたってないってことは無事に撃退したんですよね?」

アレックス「どうやらニュートロン・スタンピーダーが使われたらしい。核攻撃艦隊は全滅したようだ」









































そしてしばらくしてオーブが連合と同盟を結ぶことになった。
それを聞いたミネルバは明朝出航することになったのであった。

メイリン『発進は定刻通り。各艦員は最終チェックを急いで下さい。砲術B班は第三兵装バンクへ。コンディションイエロー発令。パイロットはブリーフィングルームへ集合して下さい』

シン「……けど、ザフトの降下作戦ていつ?」

ルナマリア「知らないわよ私も。しっかしこれでオーブも敵側とはね。けっこう好きだったのになこの国。……あ、ごめん。シンには辛いね」

シン「別に」

アレックス「ん?あれはアスハ代表じゃないか」

シン「え?」

カガリ「あ……」

カガリはシンを見て思わず言葉を詰まらせる。

シン「あの時オーブを攻めた地球軍と今度は同盟ですか?」

カガリ「え…?」

シン「何で地球軍と同盟なんかしたんです。」

カガリ「そ、それは…オーブを焼かないために…」

シン「だったら他に方法があったはずだろ!!中立を保つなら前にオーブを攻めた地球軍の落ち度を突くとか、プラントとの同盟をちらつかせて周りを黙らせるとか方法は沢山あっただろうが!!」

カガリ「だ、だが、オーブを復興したのは大西洋連邦で…」

シン「国を焼いたんだからそれぐらい当たり前だ!!場当たり的な対応ばかりしやがって!!」

その痛烈な言葉に思わずと言った風に顔を背けるカガリ。

シン「敵に回るって言うんなら、俺があんた達を討ってやる!!」

そういうとシンはそのままその場を去っていく。

カガリ「あ…シン!!」

アレックス「失礼します。アスハ代表。この処分は後ほど必ず。」

アレックスがカガリに頭を下げるとルナマリアとレイもそれを追い掛けた。

カガリ「あ、待ってくれ、アスラン!!」

カガリが呼び止める声にアレックスはピタリと足を止める。
そして静かにカガリの方を向いた。

アレックス「俺はアレックスだと何度言えば分かるんです?」

アレックスはそういうと振り返ることもせずシンを追い掛けた。










































ミネルバがオーブから出ると、すぐにコンディションレッドが発令される。

シン「何だ!?」

ルナマリア「一体なんだって言うのよ!?」

そう思っていると、艦内放送によって艦長から現状が告げられた。

タリア『現在、本艦の前面には空母四隻を含む地球軍艦隊が、そして、後方には自国の領海警護と思われるオーブ軍艦隊が展開中である。地球軍は本艦の出航を知り、網を張っていたものと思われ、またオーブは後方のドアを閉めている。我々には前方の地球軍艦隊突破のほかに活路はない。これより開始される戦闘は、かつてないほどに厳しいものになると思われる。本艦はなんとしてもこれを突破しなければならない。このミネルバクルーとしての誇りを持ち、最後まで諦めない各員の奮闘を期待する』

この報告を受け、艦内にいたミネルバクルーは全員驚愕する。

ルナマリア「そんな…ナオトさんがいないこんな時に…」

レイ「仕方ない。今いる俺達が退けるんだ。艦隊はアレックスとシンに任せるしかない」

ルナマリア「そうよね、ザクは飛べないし。」

アレックス「シン、怒りに囚われるな。冷静になれ。」

シン「分かってます。シン・アスカ、コアスプレンダー。行きます!!」

アレックス「アレックス・ディノ、セイバー。出る!!」

ルナマリア「ルナマリア・ホーク、ザク。出るわよ!!」

レイ「レイ・ザ・バレル、ザク。発信する!!」

インパルス、セイバー、ザクが出撃する。

シン「数ばかりゴチャゴチャと!!」

アレックス「シン、左側に敵を追い込んでくれ!!」

シン「はい!!」

セイバーとインパルスが突っ込むと敵MSは鳥が逃げるように散開する。

シン「墜ちろ!!」

インパルスのビームライフルからビームが放たれ、二機撃墜する。
セイバーもMA形態に変形し、グリフォン2ビームブレイドのビームを展開して、敵MSを撃墜していく。
しかし、インパルスとセイバーが撃ち漏らした敵MSがミネルバに攻撃を加える。

アレックス「しまった…!!」

シン「こんなところでやられてたまるかーーーっ!!!!」

アレックス「ええい!!」

MS形態に戻したセイバーを敵の密集した所へと突っ込ませ、ビームサーベルを抜き、脚部のビームサーベル、シールドのビームクローを展開しながら敵を薙ぎ倒し、離れている敵機には背部のアムフォルタスビーム砲改を肩部に展開し、アムフォルタスビーム砲改に内臓されているスーパーフォルティスビーム砲とライフルによるフルバーストを放つ。
しばらくして、左前方から何かが発進し、近づいてくる。

シン「大型MA!?」

アレックス「何だあれは…あれに取り付かれたらミネルバは終わりだぞ!!?」

セイバーとインパルスが迎撃に向かおうとするとミネルバから通信が入った。

メイリン『タンホイザーで敵大型MAと共に左前方の艦隊を薙ぎ払います!!アレックスさん、シン。気をつけて!!』

メイリンからの指示に、セイバーとインパルスはタンホイザーの射線から離れる。
敵大型MAは、前傾姿勢を取ると何か力場を発生した。
タンホイザーの光が射線上の物体を包んで行く。
閃光が晴れた時。

シン「あぁ……タンホイザーを、そんな……跳ね返した?」

アレックス「あれは…陽電子リフレクターか?厄介なものを…」

シン「アレックスさん!!あいつをやらないとミネルバが!!」

アレックス「ああ、分かっている!!今から敵MAの対空防御に穴を開ける。シン、止めは任せたぞ!!」

シン「はい!!」

セイバーがMA形態に変形し、大型MAが突っ込む。
大型MAが砲撃を放つが、MA形態のセイバーには当たらない。

シン「ミネルバ!!デュートリオンビームを!!それからソードシルエットを射出してくれ。MAと敵艦隊を叩き斬ってやる!!」

メイリン『は、はい!!』

ミネルバからデュートリオンビームが放たれる。
それを受け、インパルスのエネルギーが補給される。
そしてソードシルエットに換装するとフラッシュエッジを抜き、大型MAに向けて投擲する。
セイバーに気を向けていた大型MAの陽電子リフレクター発生装置が破壊された。

シン「アレックスさん!!」

片方のエクスカリバーをセイバーに投げ渡し、セイバーもエクスカリバーを受け取ると、構える。
陽電子リフレクターを失った大型MAはインパルスとセイバーのエクスカリバーにより、コクピットを貫かれ、爆散する。

アレックス「シン、次は艦隊をやる!!空母が沈めば戦闘は終わる!!」

シン「了解!!」

敵の艦にインパルスとセイバーが取り付くと、エクスカリバーで空母を切り刻み、撃沈させていく。












































セイバーとインパルスが連合艦隊を撃沈させると艦内がこれまで以上に湧き上がる。
艦長のタリアも流石にこの歓声を止めようとも思えず、疲れも溜まっていたことから椅子にもたれかかる。

タリア「コンディションオレンジに警戒を下げて。その後、オーブ近海から離れたらイエローに切り替えるわ」

アーサー「それにしても凄いですねアレックスとシン。空母2隻を含む敵艦6隻ですよ6隻!!」

タリア「そうね……あれが前大戦を生き残ったクルーゼ隊の赤服の力というわけなのね」

アーサー「え?」

タリアの小さい声にアーサーが首を傾げる。

タリア「何でもないわ…」









































アレックスとシンはミネルバに帰還に帰還すると手荒い歓迎を受けた。

ヴィーノ「すっげーや、アレックスさんやシン!!ほんと正直助かんないと思ってたもん」

ルナマリア「ほんと、二人共スーパーエース級の活躍じゃない」

シン「いや、アレックスさんが援護してくれなきゃ、出来ていたか分からないさ」

レイ「それでも見事だシン。それにアレックスも…二人が艦を守った。生きているということはそれだけで価値がある。明日があるということだからな」

レイもシンやアレックスに惜しみのない称賛を言う。
ミネルバクルーにも犠牲者はいないようだからよかった。













































プラントのアプリリウスにて、ナオトはこれからの行動に対する命令を、議長から受けるために議長の執務室にやってきた。

デュランダル「では、これからナオトと彼女には、ミネルバに合流してもらう。ナオトはフェイスにとはいえ、ミネルバ所属だからね。いつまでも席を離れているのはいけないだろう。オーブの情勢も気になるところだろうから、君達はオーブに向かってくれ」

ナオト「分かりました。ステラも大丈夫?」

ステラ「うん…じゃなくて、はい。」

ナオトが振り向いた先にはザフトの赤服を身に纏うステラの姿があった。
何故ステラが赤服を着ているのかというと、開戦したとナオトから聞かされ、シンも戦うことになると知ったステラが自分も戦うと言い出したのだ。
ナオトも最初は渋ったのだが、いくつかの条件をいれて、許可した。
議長の説得も彼女がした。
議長が納得したのはナチュラルであるステラがコーディネイターと共に戦うのは非常に意味があるとのことだった。
ステラの能力を考えて赤服が彼女に支給されたのである。
ナオトとステラはMSデッキに向かう。
ナオトはグフイグナイテッドに、ステラはミネルバから搬送された改良されたガイアに。
ガイアは地上で使うには、足りない機能がある。
本来ならそれをカオスが補う予定だったが今、ここにはカオスはない。
ガイアはスラスターの能力が強化され、ビーム砲とブースターの能力を兼ねるフライトユニットを両肩に装備し、空戦が可能になり、フライトユニットは向きを変えることが出来るために、MS形態の時も使用出来るため、火力も上がっている。

ナオト「それじゃあ行くよステラ!!」

ステラ「うん…ガイア…空飛べるの…?」

ナオト「ナオト・フジワラ、グフ。出るよ!!」

ステラ「ステラ・ルーシェ、ガイア。行くよ」

ナオトのグフとステラのガイアが地球にいるミネルバを目指して地球へと降下したのだった。 
 

 
後書き
オーブ海戦終了。
ナオトがステラを連れて戻ってきます。
ガイアが空戦が可能になりました。
 

 

第九話 再会

 
前書き
ナオトとステラがミネルバと合流します。
 

 
グフとガイアは無事に大気圏に入ると、まっすぐオーブを目指して機体を動かしていた。

ナオト「ステラ、そろそろオーブ領域に差し掛かるよ」

モニターごしに外を見ていると、ナオトから通信でそう告げられた。

ステラ「うん」

ガイアとグフは速度を落とし、領空に入らないように計器を確認する。

ナオト「オーブ・コントロール。こちら、貴国に接近中のザフト軍MS2機。入港中のザフト艦、ミネルバとの合流のため、入国を希望します。許可されたし」

ナオトがオーブの軍司令部に通信を入れる。
こうでもしないと、勝手に領空を侵犯することになり、色々と面倒なことになるからだ。
だが、いくら返答を待っても、向こうからは何一つ返ってこない。

ナオト「オーブ・コントロール?聞こえるますか、オーブ・コントロール?」

再度ナオトが通信を入れるが、それでも何も返事はない。

ナオト「何かあったのかな…?」

ナオトはポツリと呟いた。
向こうがこちらを確認していないはずはない。
それなのに通信に返答なしの状態。
このままでは本当に領空侵犯してしまう。
途端にコクピットに電子音が鳴り響いた。

ステラ「ムラサメ…?」

前方から二機のムラサメが見えたかと思うと、またしてもコクピットに電子音が響く。
今度は自機がロックされたという警告音。

ナオト「ロックされた!?」

訳も分からずそう叫ぶと、ナオトは苛立ったように、また回線を繋ぐ。

ナオト「オーブ・コントロール!一体これはどういうことですかっ!!?」

それと同時にガイア、グフイグナイテッドに向け、攻撃が開始される。
それを回避して何とかやり過ごすが、それだけで攻撃は止まず、なおもムラサメはこちらに向けライフルを放ってくる。

ナオト「こちらに貴国、攻撃の意思はありませんっ!!何故撃ってくるんですか!?」

ステラ「…くっ」

ギリギリのところで攻撃を避けるが、油断してしまえば当たる。
相手の理不尽とも思える仕打ちに、段々と苛立ちが募っていく。
攻撃を仕掛けてくるムラサメの一機から通信が入る。

「オーブが世界安全保障条約に加盟した今、プラントは敵性国家だっ!!」

ステラ「敵…?」

ナオト「そんな!!?」

ムラサメのパイロットからの言葉にナオトの驚愕した声が聞こえた。

「我が国はまだザフトと交戦状態にはないが、入国など認められるはずもないっ!!」

その通信を聞きながら、撃たれたミサイルを落としていく。

「どういう作戦のつもりかは知らないが、既に居もしないミネルバをダシにするなど間抜けすぎるぞっ!!我が軍を舐めるな!!」

ナオト「ミネルバがいない……?」

どうやらミネルバは既に出航したようだった。
ナオトとステラは仕方なく機体を翻し、近くのザフトの拠点基地カーペンタリアへ向かうことにした。
カーペンタリアに通信を入れ確認すると、ミネルバはそこに停泊しているということだった。
なのでナオトとステラはそのままカーペンタリアを目指した。






































しばらく機体を飛ばしてようやくナオト達はカーペンタリアに着き、停泊中のミネルバへと機体を降下させていった。
ミネルバのMS用のアームに固定されると、ガイアとグフイグナイテッドのシステムを順に落としていく。
そして完全に機体の動きが止まったのを確認し、ハッチを開く。

ルナマリア「あのグフはナオトさん?でもガイアのパイロットは誰?」

レイ「さあ…、少なくともガイアのパイロットに選ばれたんだ。優秀なのだろう」

シン「皆、ナオトさんのグフとガイアが此処に…ナオトさん!!」

買い物から帰ってきたシンが急いでこちらに駆け寄ってきた。
久しぶりに見るナオトの元気な姿に笑みを浮かべる。

ナオト「シン、久しぶり。元気だった?」

シン「勿論ですよ。ところで彼女は?」

シンがステラとは知らずにナオトに尋ねる。

ナオト「シン、彼女はステラだよ」

シン「ステラ!?」

ステラ「シン!!」

ステラはヘルメットを取るとシンに勢いよく抱き着いた。

シン「え?え!?何でステラが!!?」

ナオト「ステラが望んだの、義勇兵として今日から私達の仲間よ」

シン「義勇兵…?でも彼女は…」

ナオト「シン、ステラを心配する君の気持ちは分かるよ。でも、彼女の想いも汲み取ってあげて…」

シン「…分かり…ました。」

渋々といった感じだが、取り敢えず頷くシン。

ヨウラン「なあなあ、その子はもしかして、あの街でぶつかった子じゃないか?」

アレックス「ヨウラン、知っているのか?」

ヨウラン「知ってるも何も…シンはその子のむ…」

シン「わあああああ!!ライダーキーーーーーックっ!!!!!」

ヨウラン「ぶべら!!?」

全員【おお!?】

余計なことを言おうとするヨウランの顔面にシンの某仮面戦士を髣髴とさせる蹴りが炸裂した。

ステラ「?」

シン「さあ、行こうかステラ!!」

ステラ「?うん…」

シンはステラを連れてMSデッキを離れたのであった。
それを見ていたアレックス達は嵐が去ったとか思ったとかないとか…。






































ヨウランが医務室に運ばれている中、アレックス達は艦長室に向かう途中、話をしていた。

ナオト「そういえば、ミネルバは、いつオーブを出たの?私達何も知らなくて……」

ルナマリア「オーブに行ったんですか!?ナオトさんに…えっと…」

シン「ステラだよ」

ルナマリア「そうそう、ステラも。大丈夫でした?あの国、今はもう……」

ナオト「スクランブルかけられて、ムラサメから攻撃されたよ。」

ナオトは深い溜め息を吐きながらぼやいた。

ルナマリア「何だかシンが怒るのも、分かる気がします。目茶苦茶ですよ、あの国!!」

ルナマリアは眉を顰め、話を続けた。

ルナマリア「オーブ出る時、私達どんな目にあったと思います!?」

ナオト「え?オーブを出る時に何かあったの?」

ルナマリア「地球軍の艦隊に待ち伏せされて!!本当、死ぬとこだったわっ!!シンとアレックスさんが頑張ってくれなきゃ、間違いなく沈んでましたよミネルバ!!」

つまりミネルバは大西洋連邦との同盟への前土産にでもされたということなんだろう。

ルナマリア「私も前は憧れてたりしたんですけどね、カガリ・ユラ・アスハ。でも、なんかガッカリ。大西洋連邦とは同盟結んじゃうし、変な奴とは結婚しちゃうし……」

大西洋連邦との同盟はともかく“結婚”という単語にナオトは目を見開いた。

ナオト「え?結婚?アスハ代表が?」

ナオトから見てもカガリはアレックスのことが好きなように見えたが違うのだろうか。

ナオト「アスハ代表の相手は誰だったの?」

シン「えっと…確かセイラン家の…」

レイ「ユウナ・ロマ・セイラン。事実上、オーブの政治を運営していると言われている、ウナト・エマ・セイランの息子です」

カガリの結婚相手を思い出せないシンに代わり、レイが教えてくれた。

ナオト「へえ…あのセイラン家のお坊ちゃん?」

レイ「恐らく政略結婚だったのでしょう。正直なところ、アスハ代表は理想主義者ですから現実的にオーブの生き残りを考えるセイラン家は、アスハ代表の理想主義を、結婚で抑えるつもりだったのだと思います」

ナオト「そっか…」

シン「あ、でも…アスハの奴、誘拐されたそうですよ」

ナオト「へ!?誘拐!!?」

物騒な単語に目を見開きながら驚くナオトに、言ったシンも驚いた。

シン「あ、はい。噂で聞きました。よく分からないんですけど…」

ナオト「誘拐…穏やかじゃないな~」

代表がさらわれたオーブは今はどうなっているのだろうか?
寧ろ代表が行方不明になったことで逆に反アスハ派が何かやらかしそうな気がするが…。








































それからナオト達は予定通りに艦長室に行き、挨拶をした。
ナオトはグラディス艦長とアレックスに議長から渡すように言われたFAITHのバッジを艦長とアレックスに渡した。

アレックス「これはFAITHの…?」

タリア「彼女を義勇兵として、ガイアを与えて、この艦に寄越し、その上私やアレックスまでFAITHに?一体何を考えているのかしらね議長は?」

ナオト「ちゃんとした上下関係を作るものでしょう。FAITHは艦長、時にはそれ以上の権限を持ちますから、元からFAITHである私とアレックスがFAITHになることによって起こる混乱を艦長という地位にFAITHを上乗せしてバランスを取ろうという考えだと思います。それにアレックスの戦績はFAITHに相応しいかと…」

タリア「…彼ならやりかねないわね」

額に手を当てて溜め息をついたタリアに、アレックス達は苦笑する。

アレックス「私はFAITHとなっても艦長の指示下に入るつもりですから。これからもよろしくお願いします」

タリア「えぇ、よろしくお願いするわ」

部屋を出て、アレックス達はナオトの部屋に向かう。











































ナオトの部屋の前に着いたアレックス達。

ナオト「ステラ、ここがあなたの部屋だよ。私と相部屋」

ステラ「ナオトと一緒?」

ナオト「うん、そうだよ」

アレックス「仲がいいな、二人共。」

ステラ「?」

アレックスを不思議そうに見つめるステラにアレックスはあることを思い出した。

アレックス「ああ、自己紹介がまだだったな。俺はアレックス。これからよろしくステラ。」

ステラ「アレックス…?」

アレックス「ああ、そして…彼がレイ、女性の方がルナマリアだ」

レイ「レイ・ザ・バレルだ。レイでいい」

ルナマリア「ルナマリア・ホークよ。ルナでいいわ」

ステラ「レイ…ルナ…」

アレックス「そうだぞ、ステラ。」

ステラの頭を撫でるアレックスにナオトは内心、ムッとなるが、何故こんな気持ちになるのか分からず気にしないことにした。

ナオト「それじゃあ、シン、レイ、ルナマリア。ステラのことお願いね。私はアレックスと一緒に艦長室に行って、これからのことを話し合うから」

シン「あ、はい」

ナオトはシンに荷物を預けるとアレックスと再び、艦長室に向かう。














































タリア「悪いわね。カーペンタリア経由で任務が来たわ」

アレックス「ジブラルタル・スエズ攻略戦中のザフト軍支援……ですか」

アレックスとナオトの方に回されたモニターには議長直々の任務が映っていた。
ミネルバは最新鋭とはいえ宇宙艦。
MSも6機中2機は宇宙用で飛行能力がなく 海上戦では殆ど役に立たない。
カーペンタリアから宇宙に上がるだろうと思っていたのだが、アレックスとナオトは議長の考えが分からず、首を傾げた。

タリア「議長の意図することが分からなくて、あなた達を呼んだのだけど」

ナオト「すみません。私達にもちょっと……まあ、これだけの最新鋭艦をまだ、それほど戦闘の激しくない宇宙に置いておくのも勿体ないとは思いますが…」

タリア「そう、ありがとう。補給が済み次第、まずはスエズ戦前戦のマハムールへ、カーペンタリアからは潜水艦のニーラゴンゴが一緒になるわ」

マハムールという地名に簡易な地理情報を頭に描いてアレックスは眉を顰めた。

アレックス「マハムールはどちらかというと地球軍と現地住民の抗争が主でしたよね……」

積極的自衛権の行使を使うにはやや不安が残る。
同じナチュラル。
いわゆる民族間の抗争はなかなかデリケートなものがあるのだ。

タリア「ええ、全く…あの狸は何を考えてるのかしらね?」

アレックス、ナオト「「は?」」

ぽつりとタリアの口から零れた不穏な言葉にアレックスとナオトはぎょっとし、聞かなかったことにしようと自己完結させた。

ナオト「艦長。それでは、整備の方もありますので」

敬礼をして、アレックスとナオトは速やかに部屋を後にした。

アレックス「しかし狸とは……」

ナオト「確かにぴったり」

彼に当てはまる言葉にアレックスとナオトは苦笑する。

メイリン『コンディションレッド発令、コンディションレッド発令。パイロットはMSにて待機してください』

アレックス、ナオト「「!?」」

突然鳴り響いた警報に、アレックスとナオトはパイロットスーツに着替えるため、走り出した。













































パイロットスーツを着て、搭乗機で待機していたアレックス達。

メイリン『インパルス、セイバー、ガイア、グフ発進願います。ザクは別命あるまで待機。インパルス、フォースシルエット装着。発進スタンバイ。全システムオンラインを確認しました。気密シャッターを閉鎖します。カタパルトスタンバイ確認。X23Sセイバー、アレックス機、発進スタンバイ。全システムオンラインを確認しました。気密シャッターを閉鎖します。カタパルトスタンバイ確認。X88Sガイア、ステラ機、発進スタンバイ。全システムオンラインを確認しました。気密シャッターを閉鎖します。カタパルトスタンバイ確認。グフイグナイテッド、発進スタンバイ。全システムオンラインを確認しました。気密シャッターを閉鎖します。カタパルトスタンバイ確認』

発進シークエンスが次々に進んで行く。

アレックス「グラディス艦長。地球軍ですか?」

アレックスはブリッジに通信を繋げ、艦長にそう問う。

タリア『ええ。どうやら、また待ち伏せされたようだわ。毎度、毎度、人気者は辛いわね……』

艦長はアレックスの問いに皮肉を込めてそう答えた。

タリア『すでに回避は不可能よ。本艦は戦闘に入ります。あなた達は……?』

アレックス、ナオト「「え?」」

彼女の問いにアレックスとナオトは疑問の声を上げる。

タリア『私にはあなた達の命令権はないわ』

FAITHは自分の意思で行動が出来る。
もちろんそれは戦闘状態であっても、変わらない。
だから艦長が戦闘するべきだと判断しても、ナオトやアレックスが戦闘するべきでない思えば戦闘に参加しなくてもいい。
艦長はそのことが言いたかったようだ。

アレックス「私も出ます」

ナオト「私も出撃します」

ナオトとアレックスは即座に答えた。

タリア『いいの?』

アレックス「確かに指揮下にはないかもしれませんが、私もこの艦の搭乗員です。私達も残念ながら、この戦闘は不可避だと考えます」

アレックスがそう答えると、艦長は強張らせていた表情を少し緩めた。

タリア『そう。なら発進後のMSの指揮は…今まで通り、アレックス…あなたがして頂戴』

アレックス「分かりましたシン、レイ、ルナマリア、ステラ」

シン「はい?」

アレックス「お前達も知っての通り、ミネルバにはFAITHが3人もいるが、戦闘指揮は今まで通り俺がする。ウィンダムとカオスは俺とシンとナオトが迎撃する。ルナマリアとレイは水中のアビスを、ステラはミネルバを頼む。状況に応じて臨機応変に動いてくれても構わない」

シン「分かりました」

ナオト「OK」

ルナマリア、レイ「「了解」」

ステラ「うん…じゃなくて……はい」

シン「シン・アスカ、コアスプレンダー。行きます!!」

アレックス「アレックス・ディノ、セイバー。出る!!」

ナオト「ナオト・フジワラ、グフ。出るよ!!」

ステラ「ステラ・ルーシェ、ガイア。行くよ」

ルナマリア「ルナマリア・ホーク、ザク。出るわよ!!」

レイ「レイ・ザ・バレル、ザク。発進する!!」

インパルス、セイバー、グフイグナイテッド、ガイア、ザクの順で出撃し、大空へと舞い上がった。 
 

 
後書き
ナオトとステラがミネルバと合流、ステラはナオトと相部屋に。
 

 

第十話 インド洋の激闘

 
前書き
インド洋での地球軍との激闘。 

 
こちらに向かってくる敵機は約三十機。

ナオト「うへえ…何あの数…?」

嫌そうに顔を顰めるナオト。
シンも辟易したように叫ぶ。

シン「毎度毎度、数ばかりゴチャゴチャと!!」

アレックス「そう言うな…行くぞ!!」

セイバー、インパルス、グフイグがウィンダムの群れに向かっていく。
手始めにセイバーがビームサーベル、ビームクロー、脚部のビームサーベルのビームを展開し、ウィンダムに突っ込む。

ナオト「ああもう!!グフの反応が遅い!!」

段々、ナオトの操縦技術について来れなくなっているグフに毒づきながらもビームソードを抜いて、ウィンダムを切り落とす。

シン「ナオトさん!!」

ナオト「私のことはいいから、シンは自分の敵に集中して!!アレックスもね!!」

援護しようとするシンを制して、ナオトも自身に向かってくる敵に集中する。

スティング「新型あ!!今日こそ墜とす!!」

アレックス「ちっ!!」

MA形態のカオスがセイバーに向かって突進しながら、ビームを放って来る。
セイバーもMA形態に変形すると距離を取る。

ステラ「墜ちろ!!」

MA形態のガイアがグリフォン2ビームブレイドを展開して、ウィンダムを真っ二つにする。
更にウィンダムが爆発した時に生じた爆風を利用して次のウィンダムに向かっていく。

シン「ん?」

ウィンダムを数機、墜とした時、赤紫のウィンダムがインパルスに向かっていく。

ネオ「君が噂のエース君の一人か?あまりいい気になるなよ!!」

シン「隊長機か?お前を相手にしてる暇はないんだ!!」

インパルスが赤紫のウィンダムに向けてライフルを放つ。
ウィンダムがビームを容易く回避した。

シン「こいつ…速い!!」

ナオト「きっとバックパックのリミッターが解除されてるんだ。シン、強敵だよ!!」

シン「くそっ!!インパルスが加速性能で負けるってのか!!」

ネオのウィンダムは赤紫のパーソナルカラーが特徴で、それ以外は一般機と殆ど同仕様だが、エンジンのリミッターを解除した専用ジェットストライカーは、一般機を凌駕する機動性を発揮するのだ。

ステラ「シン!!」

シン「来るなステラ!!」

ミネルバに近づくウィンダムを墜としていたガイアがインパルスの援護をしようとするが、シンに制止される。

アレックス「シン!!」

セイバーがカオスを蹴飛ばし、インパルスの援護に向かわせるが。

スティング「新型あ!!お前の相手は、俺だあああぁぁっ!!」

カオスがビームライフルを乱射しながら突っ込んで来る。
アレックスは舌打ちしながらカオスを迎撃する。

アレックス「この…邪魔をするなあああああ!!」

“種”が割れる。
この感覚を自分は知っている。
身体全体に広がる万能感。
今ならどんな敵でも叩き潰せる気分だ。
セイバーはビームサーベルとビームクローを展開して、カオスに急接近すると、瞬く間にカオスの四肢を切断し、踵落としをカオスに喰らわせ、海に叩きつけた。

ネオ「スティング!!ちっ…あの赤いMSのパイロットは化け物か!!?」

ナオト「ちょ、アレックス。すっごい!?」

瞬く間にカオスを倒したアレックスにナオトは驚きを隠せない。

アレックス「シン、ナオト。大丈夫か!?」

シン「大丈夫ですけど数が多過ぎるんです!!後、この隊長機が邪魔で…!!」

インパルスが赤紫のウィンダムに翻弄され、他のウィンダムのいきなり統制の取れた射撃に襲われている。

ナオト「くっ…反応が遅いせいで、満足に戦えないなんて…!!」

苛立ちを隠せないナオト。
セカンドステージであるセイバーとインパルスはアレックスとシンの要求に着いていけたが、とうとうグフはナオトの無茶な機動に悲鳴を上げた。
グフのフライトユニットが突如、機能を停止したのだ。

ナオト「え!?」

アレックス「ナオト!?」

シン「ナオトさん!?」

ナオト「きゃあああああああ!!!!?」

フライトユニットの機能が停止し、グフは建設中の連合の基地付近に落下したのだ。










































ナオト「痛たたた…あ~もう、ツイてないなあ…って、ここ基地なの?」

ナオトがグフのコクピットから出ると、首を傾げたが、足音が聞こえ、急いでこの場を去った。









































少し離れた場所の地面が動いた。
同時にそこから警備兵が一人だけ、出てくる。

ナオト「へえ…」

どうやらこの建設中の基地にはカモフラージュがされているようだと、ナオトは身を隠しながら思った
警戒に当たっている警備兵を見つめた。

ナオト「出来ればあの基地にも潜入したいな。私のグフは壊れちゃったし上手くいけばダガーかウィンダムを奪えるかもしれないし…ね…」

ナオトは警備兵がナオトがいる反対方向を見た瞬間、警備兵に襲い掛かり、気絶させる。
そして警備兵の服を奪い、それを着て、メットを深くかぶると基地の中に潜入する。









































基地内に侵入したナオトは、MSを探す。

ナオト「さてと、MSはどこかな?」

基地を探し回るが、MSは見当たらない。
まさかこの基地にあるウィンダムは全て出払ったのだろうか?
それでも、ナオトは自身の携帯端末を確認して、すぐにでもザフトのOSをダウンロード出来るようにする。
そんな時だった。

「おい!!」

ナオト「はっ!!」

整備の主任らしき人間から、声がかかる。
ナオトは動揺を押し隠して、敬礼した。

「地下の、切り札の発進を急がせるよう、言ってきてくれ!!ファントムペインがあてにならない以上、あれを出すしかない!!」

ナオト「…はっ!!」

ナオトは敬礼すると、足を回す。
思わず笑みがこぼれそうになった







































ナオト「っ…これって…」

思わず、ナオトは息を呑んだ。
1機のMSがそこには存在している
美しく、そして見るからに素晴らしいMSだった。
大型ブースターを装備したMSの隣には複数のバックパックが並んでいた。
ナオトは急いで大型ブースターのMSの元に向かう。
運よく、近くには誰もおらず、コクピットに乗るのはたやすかった。
すぐにOSの書き換えを行う。
電源は入っており、いつでも動ける。
OSを書き終えると、コクピットハッチを閉め、ミネルバの識別信号を入力した。

ナオト「確か、二年前にアレックス達とやりあったこともある機体だよねこれ…?再生機かな?インパルスやセイバーにも劣らない性能だよ…。悪いけど頂いて行くよ!!」

ナオトは一連の作業を終えると、MSを起動させる。
いきなりのことに、連合兵は叫び声をあげ、逃げ惑っている。
コクピットのパネルに、MSの名前が走る。

ナオト「ナオト・フジワラ、ストライクE。行くよ!!」

ナオトはストライクEを歩かせる。
それから逃げ惑う連合兵を尻目に、ビームライフルショーティーを引き抜き、格納庫の出口へ放った。
そしてストライクEに装備された改良された高機動バックパック、エールパックの大型バーニアを吹かし、ストライクEは大空に舞い上がった。








































シン「何だあれは?連合の新型か!?」

基地から飛び出してきたストライクEに目を見開いたシンはストライクEにライフルを向ける。

ナオト「ストップストップ!!シン、私だよ」

アレックス「ナオト!?」

ナオト「ごめんごめん心配かけちゃって、だけどもう大丈夫!!」

シン「それ、使えるんですか?」

ナオト「中々ご機嫌な性能をしてるよこれ?」

ホクホク顔で言うナオトにアレックスとシンは苦笑しながら、ウィンダムに向き直る。

ネオ「ストライクだと!?奴ら、あんな物を隠していたのか!!くそ、これじゃあ全滅する可能性まで出て来た…ええい!!」

ネオのウィンダムは急いで自身の空母に戻る。
ふと、ミネルバを守っているガイアを見遣る。

ネオ「あの戦い方はステラに似ているな…ふっ、まさかな…」

自嘲するように笑いながら空母に着艦した。

ナオト「さあて、本気で行かせてもらうよ!!」

エールパックのビームサーベルを二本抜き、構える。

アレックス「やれやれ…」

シン「来ますよ!!」

セイバー、インパルス、ストライクEが残りのウィンダムに向かっていく。
性能差を活かして、残りのウィンダムを片付けるとシンはナオトに尋ねる。

シン「あの、ナオトさん。その新型は何処から?」

ナオト「あそこ」

ストライクEが指差した先には…。

シン「MS部隊の基地、連合の!?こんな、カーペンタリアの鼻先に!?」

まだ建設中のようだったが、それは明らかにMSの運用を前提とした軍事施設だった。
どうやら連合軍は撤退したらしく、連合兵は一人もいない。

シン「ん?」

民間人が、柵で隔てられてる。
身なりからして、強制労働を強いられていたのだろう。
シンはインパルスを基地に降ろし、柵を破壊した。
民間人は歓声を上げて抱き合った。

アレックス「シン…」

シン「…これくらいはいいでしょう?」

アレックスは歓声を上げながら抱き合う、民間人を見て苦笑を零すと頷いた。
シンはインパルスを再び飛ばしてミネルバに帰還するのであった。
後に放棄された基地の格納庫からストライクEのバックパック。
アナザートライアルソードストライカー。
アナザートライアルランチャーストライカー。
この二つも搬送された。
ナオトのグフも回収され、フライトユニットの修理を終えると、グフはレイに回され、レイのザクファントムがルナマリアに回された。 
 

 
後書き
ナオト、グフからストライクEに乗り換え。
これは完全にオリジナルです。
統合兵器のノワールストライカーは終盤までお預けです。
ちなみにレイのグフは灰色。
ルナマリアのザクファントムは赤に塗り直されます 

 

第十一話 マハムールでの一時

 
前書き
マハムール基地での一時。 

 
僚艦のニーラゴンゴを失ったミネルバは、速度を上げ数日後にはペルシャ湾の奥、バスラ近郊のマハムール基地に到着した。
アレックスとナオトは呼び出され、マハムールの基地の司令部へ行くのだった。
艦長と副長、アレックスとナオトはこれからの動き。
つまりはスエズ支援の戦略を立てるためにマハムール司令部と作戦会議をする必要がある。

タリア「ミネルバ艦長、タリア・グラディスです」

アーサー「副長のアーサー・トラインであります」

ミネルバを降り、待っていたザフト士官に艦長と副長は挨拶をする。
それに続くようにアレックスとナオトも口を開いた。

アレックス「特務隊所属、アレックス・ディノです」

ナオト「同じく特務隊所属、ナオト・フジワラです。」

ヨアヒム「マハムール基地指令ヨアヒム・ラドルです。遠路、お疲れ様です」

そう言い、彼は艦長に握手を求める。

タリア「いえ」

艦長は握手に応えると、僅かに微笑んだ。

ヨアヒム「しかし、議長は余程今回の作戦に力を入れているようですな。FAITHが4人とは」

ナオト「四人…ですか?」

?「指令。この作戦への参加は命令ではなく私の意思です。議長から頂いた言葉は、“ミネルバのFAITH達と共により良き世界を目指してくれ”と…それだけですよ。」

ナオト「嘘?ハイネ?」

ハイネ「久しぶりだなナオト。特務隊所属、ハイネ・ヴェステンフルスだ。」

アレックス「知り合いか?」

ナオト「2年前の戦争で何度か作戦を一緒にやったの」

ヨアヒム「では行きましょうか」

アレックス達はヨアヒムに連れられ、マハムール基地内へと足を運んだ。

ハイネ「アレックス・ディノ…噂は聞いてるぜ?入隊して僅か短期間でFAITHになったスーパーエースの1人だってな」

アレックス「はあ…?えっと…」

ハイネ「ん?ああ、ハイネでいいよ。堅苦しいのは無しでいこうぜ。よろしくな」

アレックス「ああ、よろしくハイネ」













































司令部に入室したアレックス達はそれぞれに宛てがわれた席に座った。

ヨアヒム「さて、今回の作戦の目的はここ…ガルナハン奥の火力プラントを入手することです。この地域唯一のエネルギー源だ。当然、地球軍にとっても押さえて起きたい要所であり、かなり強引な手段でこの周辺の奥を制圧しています。おかげで、周辺住民の反連邦感情は高まり、彼等はザフトに圧制からの解放を求めている。しかし、厄介な地形に置かれた陽電子砲台とそこを守る大型MAに阻まれて、作戦は失敗続きだ。しかし、ミネルバの戦力とヴェステンフルス隊が加われば…突破は可能と期待しています。」

タリア「尽力させて頂きますわ」

ヨアヒム「現地協力員からの情報によると、ここ…砲台の裏の山に、今はもう閉鎖済みの坑道があるらしい。それを上手く使って奇襲をかけられないかと思っているんですがね」

閉鎖済みの坑道…。
それを聞いたアレックスはそれが可能な機体とパイロットが仲間にいることを知っている。

アレックス「…ミネルバ搭載の機体なら…この坑道を有効に使えると思いますが」

ヨアヒム「なるほど…では、作戦の立案はお任せしましょう」

ヨアヒムは作戦の立案をアレックスに任せることにした。












































一方でシン、ステラ、レイ、ルナマリアの4人はマハムール基地で外食をしていた。

ステラ「シン、これなあに?」

シンから手渡された料理に疑問符を浮かべて首を傾げるステラ。

シン「これはドネルケバブって言って、これにチリソースかヨーグルトソースをかけて食べるんだ。ステラは辛いの苦手だからヨーグルトソースな?」

辛い物が苦手なステラのドネルケバブにヨーグルトソースをかけてやる。

ステラ「うん。シンは?」

シン「俺?俺はチリソースだよ。辛いのは嫌いじゃないし。」

チリソースが入った容器を手に取るシン。

ルナマリア「私もチリソースかな?」

レイ「俺はヨーグルトソースだな…」

シンとルナマリアはチリソース、レイはヨーグルトソースをかけようとした時。

ハイネ「そこの2人ストップ!!」

全員【?】

3人がソースをかけようとした時、ハイネに止められ、シン達は首を傾げる。

ハイネ「ケバブにチリソースだなんて何言ってるんだ。ケバブにはヨーグルトソースをかけるのが常識だろうが!!」

ルナマリア「…そうなの?」

シン「さあ?」

ハイネ「いや、常識というよりも…もっとこう…んー…そう!!ヨーグルトソースを掛けないなんて、この料理に対する冒涜だよ冒涜!!」

ステラ「…?」

レイ「……」

ステラが首を傾げ、レイが沈黙するが、そこに呆れた表情のナオトがやって来る。

ナオト「何やってるのハイネ。別にいいじゃない何をかけても」

ハイネ「お、来たなケバブにチリソースかける邪道女」

ナオト「誰が邪道女だよ!!あんたに私の食べ方をとやかく言われる筋合いは無いよ!!私の分は?」

シン「あ、どうぞ」

シンが袋からナオトのケバブを出し、手渡す。
ナオトはチリソースをかけると一口ケバブを頬張る。

ハイネ「あぁ……!!なんてことを!!」

ナオト「うん、美味しい!!ケバブにはチリソースが一番!!アレックスもチリソースかける?」

アレックス「え?じゃあ試して…」

ナオトに差し出されたチリソースの容器を受け取ろうとした時。

ハイネ「だあああ!!待て待て!!何も知らないこいつまで邪道に墜とす気か!!」

そうはさせないと言わんばかりにヨーグルトソースの容器を持ってアレックスのケバブにかけようとするハイネ。

ナオト「ちょっと馬鹿ハイネ!!あんた何すんの!!引っ込んでてよ!!」

ハイネ「お前こそ何をする!!ええいこの!!」

ルナマリア「あ、あの…もうそれくらいにして…」

シン「アレックスさんに決めさせたら…」

ステラ「あ…」

ナオトとハイネが争ったせいで、アレックスのドネルケバブには、チリソースとヨーグルトソースがどっぶりとかかってしまった。

アレックス「………」

チリソースとヨーグルトソースがどっぷりとかかったケバブに表情を引き攣らせた。








































思わぬ事故に硬直して数分後。
ナオト「馬鹿ハイネ」

ハイネ「いやあ、悪かったなアレックス。」

アレックス「……ええ…まぁ…ミックスソースも中々イケますよ…」

汗を浮かべながら、こっそり下から余分なソースを搾り落としながらアレックスはケバブを食べている。
シンとルナマリア、レイから同情を篭めた視線で見られた。

アレックス「……と、とにかく次の作戦は知ってるな?」

シン「はい。ガルナハンを墜とすんでしょう?」

アレックス「墜とすと言うか開放すると言うか、ま、そんな所だ。ガルナハンを開放すれば、スエズは孤立するし、ユーラシア西側の反乱勢力も息を吹き返す」

シン「それで?」

アレックス「次の作戦、お前が鍵だ」

シン「え?」

アレックス「頼りにしてるぞ」

そう言うと、ぽん、とシンの肩を叩いてアレックスは残りのケバブを食べ始める。

ルナマリア「やったじゃないシン」

レイ「お前はアレックスに期待されているようだ。」

ステラ「よかったね…」

シン「へへ」

シンもまんざらじゃなさそうに笑った。

?「ようシン!!」

シン「ん?」

シンが振り返ると緑服を着た男がいた。

?「久しぶりだな。元気だったか?」

シン「お前誰だ?」

疑問符を浮かべるシンの発言に男は盛大に転んだ。

?「忘れるなよお前、俺だよ俺!!」

シン「詐欺は結構です」

?「俺俺詐欺じゃねえ!!」

?「お前は何やってるんだよショーン」

シン「あ、ゲイル」

アカデミー時代からの知り合いの登場にシンは笑みを浮かべる。

ゲイル「ああ、久しぶりだなシン。」

シンとゲイルが親しげに会話しようとした時、ショーンが割り込む。

ショーン「ちょっと待て!!何でゲイルはすぐに思い出して、俺のことはあっさりと忘れてんだよ!!」

ゲイル「そりゃあ、俺はお前と違うからさ。シン、元気でやってたか?俺もハイネの元で頑張っている。お前も頑張れよ」

シン「ああ」

ショーン「頼むから俺も会話に入れてくれ~…」

シン「あ~もう、うるさいな。静かにしろよ自称ザフトの“疾風の弾丸”」

ルナマリア「うるさいから半径2キロまで近寄らないでよ“疾風の弾丸”」

レイ「全くお前は変わらないな“疾風の弾丸”」

アレックス「こらこら言い過ぎだ。大丈夫か?“疾風の弾丸”」

ナオト「何それダサいよ“疾風の弾丸”君」

ステラ「元気出して“疾風の弾丸”…」

ハイネ「ネーミングセンス0なのな“疾風の弾丸”」

ゲイル「アカデミー時代からどうしようもないんですよこの“疾風の弾丸”は」

ショーン「止めろおおおおおお!!それを言った馬鹿な奴は消えたんだああああああああああああ!!!!」

マハムール基地にショーンの悲痛な叫び声が響き渡った。 
 

 
後書き
ゲイルとショーンが登場。
殆どオリジナルキャラだけどね。
彼等はバビのパイロットという設定です 

 

第十二話 ローエングリンゲート

 
前書き
ガルナハン攻略開始 

 
ガルナハンを地球軍から開放するための作戦に、現地住民の 協力が得られた。
そして、その協力者と落ち合う場所に立っていたのがまだ幼い少女で、アレックスとナオトは驚いた。

アレックス「君……1人で来たのか?名前は?」

アレックスが視線を合わせて尋ねると、少女は真っすぐアレックスの瞳を見返した。

?「コニール……私1人で充分だろ?」

幼いながらもしっかりとした瞳に、アレックスは敬意を表し、微笑む。

アレックス「ようこそ、ミス・コニール。協力を感謝する」














































前日には連絡をしていたため、ブリーフィングルームには パイロットスーツを着込み、戦闘準備の整ったパイロット達が既に席についていた。

シン「子供…?」

ぽつりとシンが言った言葉にコニールはむっと眉を顰める。
そして、それを見たアレックスは内心溜め息を吐いた。
アレックスの隣ではナオトが苦笑している。

アーサー「着席。さあいよいよだぞ。ではこれよりラドル隊と合同で行う、ガルナハン・ローエングリンゲート突破作戦の詳細を説明する。だが知っての通り、この目標は難敵である。以前にもラドル隊が突破を試みたが……結果は失敗に終わっている。そこで今回は、アレックス」

アレックス「え?」

アーサー「代わろう。どうぞ。後は君から」

アレックス「…はい。ガルナハン・ローエングリンゲートと呼ばれる渓谷の状況だ。この断崖の向こうに街があり、その更に奥に火力プラントがある。こちら側からこの街にアプローチ可能なラインは、ここのみ。が、敵の陽電子砲台はこの高台に設置されており、渓谷全体をカバーしていて何処へ行こうが敵射程内に入り隠れられる場所はない。超長距離射撃で敵の砲台、もしくはその下の壁面を狙おうとしても、ここにはMSの他にも陽電子リフレクターを装備したMAが配備されており、有効打撃は望めない。」

ルナマリア「陽電子リフレクターってあの大型MAと同じ?」

オーブ沖で見た大型MAがルナマリアの脳裏を過ぎる。

アレックス「ああ、それで今回の作戦なんだが」

シン「あの…」

アレックス「ん?」

アレックスの言葉を遮ったシンに全員の視線が向けられる。

シン「あ…すいません」

アレックス「いや、構わない。意見があるなら言ってくれ、エースの意見は重要だ」

シン「はい、大型MAなんですけど、そいつはオーブ沖で大型MAを倒した時の手は使えないんですかね?」

ナオト「うん、そのMAの護衛にも、多数のMSが確認されているんだ。やれるかもしれないけど、難しいと思うよ。今回は危ない橋は渡れないよ。時間をかければ、向こうの陽電子砲の餌食になる」

当時のデータを見せてもらったナオトは冷静に言い放つ。

シン「そうか……」

アレックス「そこでだ、現地の協力員が、地元の人もあまり知らない坑道を教えてくれる。それは陽電子砲のすぐ側に通じている。出口は塞がっているが、ちょっと爆破すれば抜けられる。そこから奇襲をかける」

シン「全員で行くんですか?」

アレックス「いや、残念ながらその空洞は、MSが入れるほど大きくはないんだ」

シン「じゃあ、どうやって……?」

ナオト「シン、君のインパルスは航空機に分離出来るでしょ?インパルスの分離形態でようやく通過出来る広さなの。私達とヴェステンフルス隊とラドル隊が正面で敵砲台を引き付け、MAを引き離すから、君はこの坑道を抜けてきて直接砲台を攻撃するんだ。」

シン「なるほど、それで俺が鍵か。やらせてもらいますよ」

アレックス「ああ。ただし、空洞内は真っ暗で視界が利かない。データが頼りだ。ミス・コニール」

コニール「あ、はい」

アレックス「彼がそのパイロットだ。データを渡してやってくれ」

コニール「……」

彼女は、シンの顔をじっと見つめた。

シン「な、何だよ?」

コニール「子供って言ったな。でも、こんな子供でもなきゃ監視が厳しくて街を抜け出せないんだ。前にザフトが砲台を攻めた後、街は大変だったんだ。それと同時に街でも抵抗運動が起きたから。

シン「あ……」

コニール「地球軍に逆らった人達は滅茶苦茶酷い目に遭わされた。殺された人だって沢山いる。今度だって失敗すればどんなことになるか判らない。だから、絶対やっつけて欲しいんだ!!あの砲台、今度こそ!!失敗したら街のみんなだって今度こそマジで終わりなんだ!!だから、頼むぞ!!」

シン「……分かったよ。任せとけ」

シンはコニールの頭を撫でると、ブリーフィングルームを出ていく。

ナオト「大丈夫だよコニールちゃん。シンなら」

コニール「え…?」

ハイネ「随分とあいつのことを買ってるんだな?」

珍しげにナオトを見るハイネに彼女も苦笑しながら口を開いた。

ナオト「あの子はアレックスと同じで可能性を秘めた子だからね。いつか私なんかより強くなるよ」

ハイネ「へえ、そいつは大したもんだな」

喧嘩ばかりだが、ナオトの実力を認めているハイネは頼もしげに言う。












































渓谷に辿り着いたザフト軍は、連合に気付かれぬようにコアスプレンダーを発進させる。

メイリン『インパルス発進スタンバイ。パイロットはコアスプレンダーへ。中央カタパルトオンライン。気密シャッターを閉鎖します。中央カタパルト、発進位置にリフトアップします。コアスプレンダー全システムオンライン発進シークエンスを開始します。ハッチ開放。射出システムのエンゲージを確認。カタパルト推力正常。進路クリアー。コアスプレンダー発進、どうぞ……シン、頑張ってね』

シン「ああ…分かってる。シン・アスカ、コアスプレンダー。行きます!!」

メイリン『カタパルトエンゲージ。チェストフライヤー射出、どうぞ。レッグフライヤー射出、どうぞ。』

そしてコアスプレンダーに続くようにチェストフライヤー、レッグフライヤーが坑道に入っていく。

アレックス「頼んだぞ…アレックス・ディノ、セイバー。出る!!」

ナオト「ナオト・フジワラ、ストライク。出るよ!!」

ステラ「ステラ・ルーシェ、ガイア。行くよ」

ハイネ「ハイネ・ヴェステンフルス、グフ。行くぜ!!」

ルナマリア「ルナマリア・ホーク、ザク。出るわよ!!」

レイ「レイ・ザ・バレル、グフ。発進する!!」

ゲイル「ゲイル・トラント、バビ。出るぞ!!」

ショーン「ショーン・スミス、バビ。行くぞ!!って、おいメイリン。初めてファミリーネーム聞いたって顔するなよ!!」

アレックス達とハイネ達も出撃する。
ミネルバがタンホイザーを撃とうとすると敵の大型MAが前面に出てくる。
陽電子リフレクターに陽電子砲が弾き飛ばされる。
巻き上がる土煙。

アレックス「行くぞ!!敵MS隊も出来るだけ引き離すんだ!!」

全員【了解!!】

今度はローエングリンゲートの陽電子砲の砲撃。
再び巻き上がる土煙。
敵MS隊が上空から攻撃する。

ルナマリア「う…」

レイ「あいつが下がる!!ルナマリア!!」

ハイネ「くっ、まだだ!!持ちこたえろ!!」

敵の大型MAが下がろうとしていた。

ナオト「させるもんか!!援護お願い!!」

ステラ「ナオト!!」

ゲイル「フジワラ副隊長、援護する!!」

ショーン「俺も!!」

ステラ、ゲイル、ショーンの援護射撃を受け、ナオトとアレックスはミサイルをかわしながら空に飛び立つ。
レイのグフも空を駆ける。

ナオト「そろそろじゃないかな?これ以上消耗するのは…」

アレックス「大丈夫だナオト。そろそろ頃合だ!!」

シン「うおおおお!!」

アレックスの言葉に応えるかのような雄叫びと共に、ローエングリンゲートと守備隊の間隙に3つの飛行物体が飛び出した。
インパルスの合体を終え、シルエット装備を行わないにも関わらず、軽快な足取りで敵の最大火力の破壊に取り掛かったシンを援護するかのように、ザフト軍は戦線を急激に押し上げ始めた。

「冗談ではない!!」

大型MAのパイロットはいち早く奇襲を察知し、陽電子砲を破壊しようとするインパルスに向かって行った。

ショーン「そらそら!!墜とされたい奴は前に出て来な!!」

ショーンはバビをMS形態、MA形態を状況に応じて変形を繰り返し、一撃離脱戦法で、MS部隊駆逐していく。

ゲイル「ショーンの奴、派手にやってるな。さて、俺にはハイネのような腕はない。なら俺はシンのサポートをするとしよう!!」

ゲイルはインパルスを阻もうとするMS部隊にバビのアルドール複相ビーム砲を放ち、インパルスの道を開く。
ハイネのグフイグナイテッドにダガーが向かう。

ハイネ「いけないなあ…こういうのは…」

ハイネはグフイグナイテッドのスレイヤーウィップを振るい、ダガーの腕に絡ませる。

ハイネ「ちゃんと鎖に繋いどかないとな!!」

ハイネのグフがスレイヤーウィップに捕われたダガーをもう一機のダガーに叩きつける。

ステラ「墜ちろ!!」

ハイネのグフの真下から両肩に装備されたブースター兼ビーム砲とビームライフルの射撃はダガーを正確に貫いた。

レイ「ルナマリア!!」

ルナマリア「流石に動かない的は当てられるわよ!!」

レイのグフがスレイヤーウィップでダガーの動きを封じる。
ルナマリアはスラッシュザクファントムのバーニアを吹かし、ビームアックスで両断する。

ナオト「はあああああ!!」

ストライクEが大型MAに急降下を仕掛ける。
バックパックに装備されたビームサーベルを2本同時に抜くと大型MAの両腕を切り裂く。

「しまった!!」

アレックス「終わりだ」

後方からの通信によって、大型MAのパイロットの背筋に戦慄が走った。
ストライクEに気を取られていた大型MAは、セイバーの接近に気が付かなかった。
セイバーは背後からビームサーベルでコックピットを突くと、大型MAは動かなくなった。
同時に砲台から狼煙が上がったのであった。

ナオト「ミッション成功!!」

アレックス「よくやったなシン…」













































ナオトとアレックスとシンは、ガルナハンの街に降り立った。
コニールが父親らしき人に担ぎ上げられてる。
シンはMSを降りて行った。
下で街の人々にもみくちゃにされてる。

タリア『ご苦労だったわね、アレックス、ナオト。後はラドル隊に任せていいわ。帰投してちょうだい』

アレックス「了解!!」

街のあちこちで、地球軍の軍旗が焼かれたりしている。

ナオト「あれ…?」

アレックス「ナオト?」

ナオト「アレックス…あれ、地球軍の人達が、殺されてる……いいの?ガルナハンの人達に酷い事してたって言っても。裁判も無しに、こんなリンチ…」

アレックス「……今は、仕方ないだろう。ここの人達にとっては、ザフトも連合もよそ者でしかない。何かあれば彼らは敵に回る。……だが、この事は、ラドル隊に話をしておく。地元の人と繋がりを保っていたラドル隊から言ってもらう方が良いだろう」

ナオト「…そうだね」

アレックスとナオトは街に降りるとシンの元に向かう。

シン「あ、アレックスさん。ナオトさん。やりましたよ」

アレックス「あぁ、よくやったな」

犬の尻尾がシンに生えていたのなら今頃盛大に尻尾を振っているのだろう。

シン「あ!!でもあれ酷いですよ!!もうマジ死ぬかと思いました!!」

ナオト「んー?何の事かなあ?」

シン「あんなに何も見えないなんて言ってなかったじゃないですか。アレックスさんもナオトさんも!!」

アレックス「そうか?ちゃんと言ったぞ、データだけが頼りだって」

シン「いやぁ、それはそうですけどね……」

アレックス「でもお前はやりきったろ?出来たじゃないか」

シン「それはそうですけど……」

アレックス「さあ、戻るぞ。俺達の任務は終わりだ。帰ったら何か奢ってやるぞ?」

シン「はい!!」

ナオト「流石アレックス。太っ腹!!」

アレックス「お前も奢る側だからな?FAITHなんだから給料もいいだろう?」

ナオト「うへえ…シン、出来れば安いのね?」

シン「俺の命は安物の料理以下ですか?」

くるりと踵を返してセイバーとストライクEに戻るアレックスとナオトを追いかけてシンもインパルスの方へと歩き出すのだった。 
 

 
後書き
ガルナハン攻略終了 

 

第十三話 ディオキアでの一時

 
前書き
ディオキアでの一時 

 
ガルナハンを攻略したミネルバは、ジブラルタルより進軍したザフト軍によって解放された黒海沿岸都市の1つ、ディオキアに寄港した。

ナオト「今まで海だの基地だの山の中だのばかりだったから、こう言う綺麗な街っていいね。」

アレックス「ああ、そうだな」

タリア「アレックス、ナオト。これからミネルバと各機体の修理に時間がかかるみたい。あなた達は明後日の出港まで突然だけど休暇にするわ」

アレックス「はい」

ナオト「分かりました」

タリア「しっかり休んでおいてちょうだい」

アレックス、ナオト「「はっ」」

これから休暇を取るというのにきっちり敬礼をし、軍人である態勢を崩す気配の全くないアレックスとナオトにタリアは苦笑してしまった。
本来ならばアレックスとナオトの行動は正しい。
しかし、彼らはFAITHゆえにタリアと同じ位置に立っている上に、どうにも軍人としてなりきれていないメンバーが多いこの艦にいながらその姿勢を崩さないのは、彼らの真面目さと頑固さを感じさせた。
休暇であることを告げようとアスランが4人の姿を探しているとちょうど前方から4人が歩いてきた。

アレックス「4人共。突然だが艦と機体の修理に時間がかかるから、今日は一日休暇を取って、街に降りてもいいぞ」

ルナマリア「本当ですか。やった」

アレックス「ああ」

ルナマリアが軽く歓声を上げ嬉しそうに笑う。

ルナマリア「あ、それじゃあ。アレックスさんとナオトさんも一緒に行きましょう」

ぐいっとルナマリアがアレックスとナオトの腕を引き、艦の入口へ向かった。
6人が通路を歩いていると、艦外からもの凄い歓声が聞こえてきた。
入口の近くであり、しばしの休息ということで艦の入り口が開いていたためとは言え、その凄い音に6人は呆気に取られながらも外へと向かった。

「ラクス様~!!」

「こっち向いてくださ~い!!」

艦の外へ出ると、ディオキア基地在中の兵士達の殆どと思われる人数が集まっていた。
そして、その中心ではピンクの髪が舞っていた。

ステラ「わあ…」

シン「あれって…」

アレックス、ナオト「「(ミーア!?)」」

彼女は確か、議長が自分達に紹介してくれたラクスの代役のミーア・キャンベルだ。

ルナマリア「え、ラクス様が来てるの!?」

ミーアの姿を見てルナマリアが声を上げる。
ミーアはピンク色のザクの掌にいる。
白いグフとディンに支えられていた。

ミーア「勇敢なるザフト軍兵士の皆さーん!!平和のために本当にありがとう!!1日も早く戦争が終わるよう、私も切に願ってやみませーん!!」

ナオト「(ミーア…ちょっとイメージが違わない?偽者と思われたりは…しないか)」

かつての本物のラクス・クラインと比べれば、明らかに性格が違いすぎるために怪しまれないか危惧したが、寧ろ本物より歓声が大きい気がする。









































その日の午後、ミネルバのパイロットはディオキアの街を見下ろすホテルに呼ばれた。

シン「……高そう」

ステラ「おっきい…」

天高く聳え立つような高級ホテルを見上げてシンとステラはぽつりと嘆いた。
隣に立つルナマリアも心の中でしきりに首を縦に振っていたりもする。

レイ「シン、ルナマリア、ステラ。アレックス達に置いて行かれるぞ」

レイの声にはっと我に返るともうロビーへ入っていくところだった。

ステラ「うん…」

シン「うわっ。今いく」

ルナマリア「待ってよ」

ステラとシンとルナマリアは慌ててレイの後についていった。






































ハイネ「失礼します。お呼びになったミネルバのパイロット達です」

デュランダル「やあ、久しぶりだね、アレックス、ナオト。」

アレックス「はい、議長」

ナオト「お久しぶりです」

デュランダル「あぁそれから……」

ルナマリア「ルナマリア・ホークであります」

シン「シ、シン・アスカです!!」

デュランダル「君のことはよく覚えているよ。」

シン「え?」

シンが名前を名乗ると、議長はまた柔らかく微笑んで手を差し出す。

デュランダル「このところは大活躍だそうじゃないか。君をインパルスのパイロットに推薦して良かった。叙勲の申請も来ていたね。結果は早晩手元に届くだろう」

シン「…あ、ありがとうございます!!」

シンは差し出された手を嬉しそうにとり、握手を交わした。

デュランダル「まあ、掛けたまえ。食事の用意が出来ている」

全員【はい!!】

全員が席に着き、食事をご馳走になる。

デュランダル「例のローエングリンゲートでも素晴らしい活躍だったそうじゃないか君は」

シン「いえ、そんな」

席に座ってからも議長はシンに賞賛の言葉を送っていた。
それぐらいシンが活躍しているのは確かだ。
技術はまだまだ粗いところはあるが、シンはミネルバに無くてはならない存在だ。

デュランダル「ナオトとステラ君を除けばアーモリーワンでの発進が初陣だったというのに、みんな大したものだ」

シン「あれはアレックスさんの作戦が凄かったんです。俺、いえ自分はただそれに従っただけで」

デュランダル「この街が解放されたのも、君達があそこを落としてくれたおかげだ。いや、本当によくやってくれた」

シン「ありがとうございます!!」





































しばらくして食事も一息つき、全員が渡された紅茶を飲む。

デュランダル「ともかく今は、世界中が実に複雑な状態でね」

タリア「宇宙の方は今どうなってますの?月の地球軍などは」

デュランダル「相変わらずだよ。時折小規模な戦闘はあるが、まあそれだけだ。そして地上は地上で何がどうなっているのかさっぱり分からん。この辺りの都市のように連合に抵抗し我々に助けを求めてくる地域もあるし。一体何をやっているのかね、我々は…」

議長が嘆くのも分かる。
これでは何のために戦っているのかが分からなくなりそうだ。
勿論プラントを守るためもある。
しかし今の状況を聞く限り、どう動いていいのか分からないのだ。

タリア「停戦、終戦に向けての動きはありませんの?」

艦長が言った通り、始まった戦争は既に終戦に近いのではないかと思ったりもする。
それだけあっさりとしているのだから。

デュランダル「残念ながらね。連合側は何1つ譲歩しようとしない。戦争などしていたくはないが、それではこちらとしてもどうにも出来んさ。いや、軍人の君達にする話ではないかもしれんがね。戦いを終わらせる、戦わない道を選ぶということは、戦うと決めるより遙かに難しいものさ、やはり」

シン「でも……」

デュランダル「ん?」

議長の言葉にシンが真っ先に反応を示し、そこにいた誰もがシンに注目する。

シン「あ……すみません」

デュランダル「いや構わんよ。思うことがあったのなら遠慮なく言ってくれたまえ。」

議長はそんなシンに気にするなと笑いかけると、話を促すように言葉を続けた。

デュランダル「実際、前線で戦う君達の意見は貴重だ。私もそれを聞きたくて君達に来てもらったようなものだし。さあ」

シンは議長を真っすぐ捉えて自身の意見を言い始めた。

シン「はい……確かに戦わないようにすることは大切だと思います。でも敵の脅威がある時は仕方ありません。戦うべき時には戦わないと。何1つ自分達すら守れません。普通に、平和に暮らしている人達は守られるべきです!!」

デュランダル「ふむ。アレックスはどうかね?」

アレックス「私もシンの言葉に賛成です。降り懸かる火の粉は掃わなければいけません。自衛のための戦いも否定するのなら、それは、自殺です。ですが時々思うんです。殺されたから殺して、殺したから殺されて、それで本当に最後は平和になるのかと…そう思うんです」

デュランダル「そう、問題はそこだ。」

議長はそう答えると、席を立ち、テラスの手すりの方にゆっくりと足を向けた。

デュランダル「何故我々はこうまで戦い続けるのか。何故戦争はこうまでなくならないのか。戦争は嫌だといつの時代も人は叫び続けているというのにね…。君は何故だと思う?シン」

シン「え?それはやっぱり、いつの時代も身勝手で馬鹿な連中がいて、ブルーコスモスや大西洋連邦みたいに…違いますか?」

デュランダル「いや。まあ、そうだね……」

議長はシンの言葉に少し考えるように間を空けると、話を続ける。

デュランダル「それもある。誰かの持ち物が欲しい。自分達と違う。憎い、怖い、間違っている……。そんな理由で戦い続けているのも確かだ、人は…だがもっとどうしようもない、救いようのない一面もあるのだよ、戦争には……」

全員【え?】

誰もが議長の一言に疑問を持った。

デュランダル「例えばあの機体……」

議長は後ろを振り返ると、近くに立っていた白い塗装がされたグフを見た。
アレックス達も勿論グフに目が行く。

デュランダル「ZGMF-2000グフイグナイテッド。かつてのナオトの愛機でもあるが、つい先頃、量産体制に入ったばかりだ。今は戦争中だからね、こうして新しい機体が次々と作られる。戦場ではミサイルが撃たれ、MSが撃たれ、様々なものが破壊されていく。故に工場では次々と新しい機体を造り、ミサイルを造り、戦場へ送る。両軍ともね……」

それは人にも当てはまる。
戦場で兵が死に、また軍から兵が戦場に送られる。
機械の動きのように。

デュランダル「生産ラインは要求に追われ、追いつかない程だ。その1機、1体の価格を考えてみてくれたまえ。これをただ産業として捉えるのなら、これほど回転が良く、また利益の上がるものは他にはないだろう」

全員【っ……!?】

誰もがその言葉に驚愕する。
確かに戦争ほど需要と供給のバランス、サイクルがいいものはない。
でもそれには人の命も付いてくる。
それを産業として考えるなんて今までしたこともなかった。

タリア「議長、そんなお話……」

シン達の表情を見て艦長が議長をたしなめた。

シン「でも、それは……」

シンは困惑しながらも何か言おうとすると、それを遮るように議長が口を開いた。

デュランダル「そう。戦争である以上、それは当たり前、仕方のないことだ。しかし人というものは、それで儲かるとわかると逆も考えるものさ。これも仕方のないことでね……」

アレックス「逆…ですか……?」

アレックスはその意味がわかったのか小さく息を呑んだが、シンとステラは意味が分からず首を傾げる。
そんなシン達を見て、議長は一つ頷いた。

デュランダル「戦争が終われば兵器は要らない。それでは儲からない。だが戦争になれば?…自分達は儲かるのだ。……ならば戦争は、そんな彼らにとっては、是非ともやって欲しいこととなるのではないのかね?“あれは敵だ。危険だ、戦おう”、“撃たれた、許せない。戦おう”…人類の歴史には、ずっとそう人に叫び、常に産業として戦争を考え、作ってきた者達がいるのだよ。自分達の利益のために、ね……今回のこの戦争の裏にも、間違いなく彼らロゴスがいるだろう。彼らこそが、あのブルーコスモスの母体でもあるのだからね」

シン「そんな……」

アレックス「……ロゴス?」

聞き慣れない単語を呟き、戦争の裏を知り、誰もが表情を暗くした。

デュランダル「…だから難しいのはそこなのだ。彼らに踊らされている限り、プラントと地球はこれからも争い続けていくだろう」

ロゴスが存在する限り、戦争は止まることがあってもなくなることはない。
その度に死んでいく人がいて…。
その度に憎しみが増えていく。

デュランダル「出来ることなら、それを何とかしたいのだがね、私も……だが、それこそが何よりも本当に難しいことなのだよ……」

平和を取り戻すためにはロゴスをどうにかしないといけない。
それがこれまでの根本を覆すようなどんなに大変なことだとしても、それを知ることが出来た自分達が何かをしなければならないことだけは明確だった。












































ルナマリア「…本当に、よろしいんですか?」

ルナマリアが戸惑いながらそう尋ねると、前を歩いていた艦長はチラッとこちらを見て口を開いた。

タリア「ええ。休暇なんだし、議長のせっかくのご厚意ですもの。お言葉に甘えて、今日はこちらでゆっくりさせて頂きなさい。確かに、それくらいの働きはしてるわよ、あなた方は……」

ここはザフトが管理しているものではあるが、最高級のホテルにも負けないくらい豪華だ。
そんなところに泊まれるなんて、軍人のシン達にとってはまたとない機会。
そんなシン達の様子を見てアレックスは微笑んだ。

アレックス「そうさせていただけ、シンもステラもルナマリアも。もちろんナオトとレイも。艦には俺が…」

レイ「艦には、私が戻ります。アレックスもどうぞこちらで」

アレックスが気を利かせて言った言葉をレイが遮るように、アレックスにもホテルに泊まるよう勧めた。

アレックス「いや、それは……」

レイ「褒賞を受け取るべきミネルバのエースはアレックスやナオト、シンです。そしてルナマリアとステラは女性ですので、私の言っていることは順当です」

ミーア「アレックス!!ナオト!!」

廊下の前方からヒールの音を鳴らして駆け寄ってくるミーアを見えた。

デュランダル「これは、ラクス・クライン。お疲れ様でした」

議長は駆け寄ってきたミーアにそう挨拶をする。

ミーア「ありがとうございます」

ミーアは礼儀正しく返事を返すと、議長と艦長の間を通り抜け、真っ直ぐアレックスとナオトの方へ向かってきた。

ミーア「2人共ホテルにおいでと聞いて、急いで戻ってまいりましたのよ!!今日のステージは?見てくださいましたっ?」

アレックス「え?ああ、見てたよ。途中までだったけど」

ミーア「ええ?それで、どうでしたか?」

ナオト「生き生きしてて、見てて元気になれたよ、議長。」

ナオトは議長に視線を向けると議長も理解したのか頷いた。

ナオト「紹介するよ。彼女はミーア・キャンベル。ラクスの代役をやってくれてるんだ」

ルナマリア「ええ!?」

ステラ「代役?」

シン「じゃあ偽…もごっ!?」

偽者と言いそうになったシンの口をレイが咄嗟に塞ぐ。

ミーア「がっかりした?」

寂しそうに笑うミーアにシン達は急いで首を振る。

ルナマリア「いいえ!!」

シン「気にしなくていいですよ。歌とか凄い上手かったですし!!」

ステラ「ミーアの歌、好き…」

ルナマリア、シン、ステラの言葉にミーアは満面の笑みを浮かべた。
ラクスにそっくりな顔で浮かべる笑顔にシンは顔を逸らしてしまう。

デュランダル「ミーア。彼らにも、今日はここに泊まってゆっくりするように言ったところでね。彼らと食事でもしてくるといい」

シン達に正体がバレた為に議長も敬語を止めてミーアに言う。

ミーア「はい!!」

議長の言葉にミーアも頷いて、アレックス達を食事に促すのであった。












































ディオキアのホテルでアレックス達と食事を摂ったミーアは、ルナマリア、ナオトを残させて、誰もいないことを確認するとナオトに尋ねる。
ちなみにステラはシンの部屋に向かった。

ミーア「ナオト~」

ナオト「ん?何、ミーア?」

ミーア「ナオトは、アレックスとどの程度の関係なの?」

ナオト「へ?」

ナオトはミーアの質問の意味とその楽しそうな様子の意味が分からず、思ったままに首を傾げる。

ナオト「どの程度って、どういう意味?」

ルナマリア「そのままの意味ですよ!!」

ミーア「そうそうありのままの意味よ」

ルナマリアが満面の笑みを浮かべ、ミーアも同様の笑みを浮かべる。
そして2人の目に何やら期待の籠った眼差しが乗った。
ナオトまた内心で首を傾げる。

ナオト「うーん、そうだね、私はアレックスと一緒に暮らしてるけど……」

ルナマリア「ナオトさん!!一緒に暮らしてるんでしょう!?どうだったんですか?」

ナオト「な、何かルナ、凄く生き生きしてない…?楽しいの?この話」

ルナマリア「そりゃそうですよ、私だって軍人の前に女ですからね!!」

ナオト「ふ、ふうん…。」

身を乗り出して力説されてしまった。
とりあえずありのままと言われたからありのままを話すことにする。

ナオト「えーと、確かに一緒に暮らしてるし…普通に部屋を行き来したりはしてたけど」

ルナマリア「アレックスさんとですか!!」

ナオト「うん、レイもね、3人で集まって話したり色々やったよ」

ルナマリア「ええっと…そういう意味じゃなくてですねナオトさん…」

微妙な顔をしたルナマリアが紅茶のカップを取って中身を揺らす。
何と言えば良いのか良く分からない、そんな感じだ。
ナオトはますます意味が分からなくなり、何度か瞬きをすると、今まで黙ったまま聞いていたミーアがカップを置いた。
ミーアは肩をすくめ、呆れたように笑っている。

ミーア「はぁ~、ナオトも朴念仁よねえ。見てて面白いけど仕方ないわ!!アレックスのためにここは単刀直入に言いましょう!!」

ナオト「何?」

悪戯っぽくミーアに笑いかけられた。

ミーア「ナオト、アレックスのこと好きなんでしょ?」

ナオト「うん、好きだよ。レイも議長も家族みたいな感じで、大好きだよ!!」

これは心の底から言える偽り無い言葉だ。
胸を張って言える。
そう言って見せると、ミーアとルナマリアが笑ったまま少し表情を引き攣らせた。

ミーア「正直な答えでいいんだけどね、そうじゃないの。私達が言いたいのはー…つまりー…えっと…」

ナオト「?」

台詞を区切って、少し考えるような顔をする。
何だろう。
この何とも言えない緊張感は。
ナオトも何となく背筋を伸ばして言葉を待った矢先。

ミーア「likeじゃなくてloveの方よ。アレックスのこと好きなんでしょ?恋愛的な意味で」

ミーアからナオトに爆弾が投下された。

 
 

 
後書き
アレックス達がロゴスの存在を知る。
そしてミーアの正体がシン達にバレました。
次回はホテルでの出来事。 

 

第十四話 ホテルでの一時

 
前書き
ホテルでの一時。
 

 
ミーアから爆弾を投下されたナオトは一瞬頭が真っ白になった。

ナオト「へ?え?なぁに?それは。」

頭が真っ白になったことで何を言われたのか理解出来なくなり、聞き返す。

ミーア「だから…アレックスのこと好きなんでしょ!?likeじゃなくてloveの方の!!」

ナオト「(らぶ?らぶってなんだっけ?あい?会い?合い?遭い?相?哀?れ、恋愛的な意味って…あ、ああああああ愛!?)」

ルナマリア「気づいてないんですか?」

狼狽え始めたナオトをルナマリアが呆れたように見つめる。

ナオト「えっ…あっ…す、好きってあの、そういう意味で…?」

ミーア「…やっぱり気づいてなかったのね…。アレックス以上の鈍感だわ…」

狼狽えているナオトの発言に、ルナマリアとミーアが生暖かい視線を寄越してくる。

ルナマリア「ナオトさんは気付いてなかったみたいですけどね。アレックスさん、結構ナオトさんのこと気にかけてますよ?色々フォローしたり、目で追っかけたりして、健気で一途ですよねアレックスさん」

ナオト「き、気にかけるくらい普通なんじゃない!?私達、殆ど家族同然なんだし!?」

ルナマリア「普通と言えば普通ですけど、でも私達てっきり2人は付き合ってるんだとばかり思ってました」

ナオト「私はルナがアレックスのこと好きだと思ってたんだけどね!!」

ルナマリア「確かにアレックスさんのことは好きですけど、憧れなんですよね~」

ナオト「へっ!?で、でも何でアレックスなの!!人違いでしょう?ミネルバにはメイリンとか可愛い女の子はたくさんいるよ?」

ルナマリア「大丈夫。その可能性は無いです。ヨウランやヴィーノが、レイから聞き出したらしいんです。アレックスさんはナオトさんが好きなのかって。そしたらあっさりレイは肯定したとか」

ナオト「ああ、ヨウランとヴィーノ、レイに何てことを聞いてくれたの……!!後でFAITHの権限で2人の仕事量を倍にしてやる…というか、レイにまでこんなことが知られてしまっていたの!?」

ミーア「気づかないっていうのは怖いわよねえ…」

ルナマリア「ナオトさん大丈夫ですか?顔が真っ赤になったり真っ青になったり…」

ナオト「(ちょっと待って。も、もしかして、そういう…れ、恋愛…なことにまで考えが至っていなかったのは私だけ?もしかして、みんな分かっていたの?知られていたの?レイやシンにまで!?)」

そしてナオトは今までのことをふと思い返す。

ナオト「(私は今まで何をしていたの?アレックスを自室に招き入れたり?いや普通でしょう。議長の屋敷にいた時はい、一緒のベッドで寝たり?いや、だって何か家族感覚だったし。手、繋いでみたり?膝枕したり?…今考えてみたら凄く思わせ振りなことをしてた。深く考えずにやっていたよ…!!)」

脳内にごちゃごちゃとした思考とセットでアレックスの姿が浮かんでは消える。

ルナマリア「ちょ、ちょっとナオトさん。どこ行くんですか!?」

ミーア「まるで壊れた人形みたいな歩き方ね…」

フラフラと立ち去っていくナオトにルナマリアとミーアは呆然となりながら見つめていた。








































ナオトが去る少し前、少し外の空気を吸おうとアレックスがロビーを出た時。

イザーク「………」

アレックスは機嫌絶不調のイザークと呆れ顔のディアッカと鉢合わせした。

アレックス「!?」

イザーク「貴様ああああ!!」

アレックスの姿を見るなりイザークは、アレックスの胸倉を掴んで詰め寄る。

イザーク「記憶喪失とはどういうことだ!?」

アレックス「ちょ、ちょっと待って下さい…」

イザーク「敬語など使うな!!普通に話せ!!」

胸倉を掴む手に更に力が入る。
いきなりのことに流石にアレックスも怒るわけで。

アレックス「何だっていうんだ、いきなり!!?」

イザーク「それはこちらの台詞だアスラン!!ユニウスセブンの破砕作業で久しぶりに会った時、いきなりナオトに記憶喪失だと聞かされたんだぞ!!?」

アレックス「ナオトに?」

イザーク「記憶喪失なのは別に構わん。だが、記憶喪失ごときでこの俺を忘れるとはどういうことだああああああ!!!!」

アレックス「え?あ、ああ…すまない」

ディアッカ「おいおい…よう、アスラン。お久し…いや、今のお前には初めましてかな?」

アレックス「あ…えっと…ジュール隊の…」

ディアッカ「ディアッカ・エルスマンだ。因みにこいつはイザーク・ジュール。記憶を失う前はお前のライバルだったんだぜ?」

アレックス「え?」

イザーク「ディアッカ!!余計なことを言うな!!」

ディアッカ「はいはい。お、ナオトじゃん」

アレックス「え?」

アレックスがディアッカの見ている方を見遣れば、確かにナオトがいた。

ディアッカ「ナオト!!」

ナオト「あ、ディアッカ…」

アレックス「ナオト?」

ナオト「ひ…っ」

びくり。
ナオトの喉の奥から反射的に悲鳴が上がった。

イザーク、ディアッカ「「?」」

アレックス「ナオト?どうしたんだ?」

いつもの優しげな声が遠慮なく思考を串刺しにする。
ナオトは思わず後退してしまう。

アレックス「ナオト?」

疑問符を浮かべながらも、アレックスがナオトの手に触れた瞬間。

ナオト「~っ!!…きゃああああああああ!!!!」

アレックス「っ!?」

ナオトの悲鳴と共にアレックスはまともにビンタを頬に喰らう。
ナオトはアレックスにビンタを喰らわせた後、猛スピードで逃げ出した。
呆然としながらそれを見つめるイザークとディアッカ。

アレックス「……い、一体…何があったんだ…?」

訳が分からず、アレックスは張られた頬を摩りながら呟いた。












































ハイネ「ぷ…くく……」

ナオト「笑わないでよお!!」

ホテルのバーで声を押し殺しながら笑うハイネにナオトは顔を真っ赤にしながら叫ぶ。

ハイネ「いや~悪い悪い。まさか、惚れたことに気づいた矢先にその相手を張り倒すなんてな!!」

とうとう堪えきれず爆笑してしまうハイネにナオトは頭を抱えた。

ナオト「うう…どうしよう、私完璧にアレックスに嫌われちゃったよ~!!それに今までも私は何も考えてなくて、アレックスに申し訳なくて…」

ハイネ「(結構重症だな…)お前はアレックスのことは嫌いか?」

ナオト「…………嫌いってことじゃないんだよ。アレックスの気持ちを知っても嫌いになるとか思わない」

ハイネ「じゃあ、お前さ。アレックスが他の女の子に優しくしてる時、無性に腹がたったりしなかったか?」

ナオト「え?な、何いきなり…?」

ハイネ「いいから答えろよ」

ナオト「…腹がたったよ。アレックスを取られたって感じで…でもそれは家族だからなんだって思ってた」

ハイネ「それだけで充分だろ。じゃあお前はあの金髪が他の女に優しくしてる時、腹がたったりするか?」

ナオト「………しない」

ハイネ「ほーら見ろ。お前にとってアレックスは特別なんだよ。」

ナオトの答えにハイネが悪戯っぽく笑いながら言う。

ナオト「一体どうすればいいのお…?こんなこと初めてで分からないよ…」

ハイネ「まずは謝れ。そしてアレックスに告れ」

ナオト「無理!!」

あっさりと言うハイネにナオトは顔を真っ赤にして言う。

ハイネ「じゃあお前…アレックスが他の女とくっついてもいいのか?」

ナオト「あ…うう」

ハイネ「告白してキスでもしてやれ。アレックス相手ならそうすりゃ完璧」

ナオト「キ、キス!?は、恥ずかしい…」

ハイネ「ふうん、じゃあ俺はアレックスに他の女を紹介してやろうかなあ?」

ハイネが意地悪そうに言うとナオトは食いついた。

ナオト「止めて!!こうなったら…当たって砕けてやる!!」

ナオトの叫びがバーに響き渡る。



































シン「大丈夫ですかアレックスさん?」

ステラ「アレックス…痛そう」

アレックス「…………」

腫れたアレックスの左頬にシンが湿布を貼ってやる。
アレックスはナオトに嫌われたと思い込み、凄く落ち込んでいた。

シン「(確か、ミーアさんとルナが残っていたよな。なら…間違いなく何か言ったな。何やってんだよ。馬鹿!馬鹿!!馬鹿!!!)」

シンは心の中でミーアとルナマリアを罵倒する。
するとノック音が聞こえる。

ステラ「誰…?」

ナオト「シ、シン…?」

シン「ナオトさん?」

こんな時間に何の用だろう。
シンは首を傾げた。

ナオト「ア、アレックス…知らないかな…?」

シン「…アレックスさんなら俺の部屋にいますけど……」

ナオト「そう…アレックス。ちょっと来てくれない?話があるの」

アレックス「ああ…」

ナオトとアレックスが部屋から去った。

シン「…大丈夫かな?」

ステラ「ナオト、アレックスのこと嫌いになった…?」

シン「う~ん…ナオトさんに限ってそれはないと思うよ?」

ステラ「どうして…?」

シン「ナオトさんは多分アレックスさんのこと好きなんだよ。無意識に。あ、likeじゃなくてloveの方ね?」

ステラ「らいく?らぶ…?」

シン「likeは…そうだな、友達や家族が好きだって意味で、loveは…誰よりも好きってことかな?スッゴくドキドキするような感じで…」

ステラ「ステラ…シンと一緒にいるとドキドキする……」

シン「え!?」

ステラ「ネオと違う……シン、大好き…」

シン「わ、わああ!!す、ステラ~~!!」

ステラに抱き着かれたシンは顔を真っ赤にして大慌てするのであった。








































アレックス「それで話って?」

ナオト「あ、あの…ね…た、叩いてごめん。あの時は少し考えごとしてて…アレックスのこと嫌いになったわけじゃないの。」

アレックス「そうか…よかった…嫌われてなくて……」

安堵したように言うアレックスにナオトは視線を泳がせながらも、口を開く。

ナオト「えっと…その…」

アレックス「…?」

ナオト「(ゔゔ…駄目だ。恥ずかしくて言えない…!!…このまま何も言わないわけには…でも、もう少しだけ…今のままでいいよね…?)アレックス…」

アレックス「何だ?」

口ごもるナオトの言葉を根気よく待つアレックス。

ナオト「いつかアレックスに伝えたいことがあるんだ」

アレックス「伝えたいこと?」

ナオト「今はまだ、伝える勇気がないから言えない…でもいつか絶対言うから…」

アレックス「分かった。待っているよ」

ハイネ「かあ~!!人が折角お膳立てしてやったのにそれかよ!!」

アレックス「ハイネ!?」

ナオト「見てたの!?いつから!!?」

ハイネ「おう、最初から最後までバッチリ」

ナオトが問い詰めるが、罪悪感ゼロの表情で宣うハイネ。

ナオト「最悪だよ…」

深い溜め息を吐きながらぼやくナオト。

ハイネ「そうそうお二人さん。俺、転属が決まったんだ。休暇明けからそっちに行くからよろしくな!!」

ナオト「はあ!?」

アレックス「ミネルバにか!?」

ハイネ「ああ、俺の部隊は解散。ゲイルとショーン達はジュール隊に行くことになった。」

アレックス「ああ、そうなのか…じゃあ、今まで部下達と…?」

ハイネ「…ん、ああ……」

ナオト「どうしたの?」

悲しげな表情をするハイネにナオトは尋ねる。

ハイネ「こないだの作戦で…部下が1人死んだんだ。」

アレックス「…そうか」

ハイネ「軍にとっちゃ、大した犠牲じゃない。けど…やりきれないな」

涙を流しながら笑うハイネにアレックスは何を言えばいいのか分からず閉口する。

ナオト「ハイネ…」

ハイネ「へっ…格好悪いぜ。俺達は軍人なんだ。軍の命令に従って敵を討つのが仕事だ。墜とされた奴がいても後ろを見ちゃいけない。終わるまでは前だけを見て進むしかない。けど、そんな感覚に慣れちまうのはごめんだな」

ナオト「………」

アレックス「…何か、ハイネが部下に慕われるのが分かる気がするな。」

ハイネ「あ?よく知りもしないのに何言ってんだお前?」

アレックス「いや、分かるさ。羨ましいよ」

ハイネ「んじゃあ、邪魔者は早々に去りますので、後は部屋でごゆっくり!!アレックス、ナオト。雰囲気に流されて頑張り過ぎるなよ~?いくら俺達コーディネーターの出生率が低いって言ってもな。」

ナオト「っ!!な、な…っ!!?」

アレックス「え?」

意味を理解したナオトは顔を真っ赤にするが、アレックスは意味を理解仕切れなかったのか、疑問符を浮かべる。

ハイネ「お前も鈍いね~。頑張り過ぎるとナオトに…ガキが出来ちまうぞ?」

アレックス「!?!?!?」

それで理解したアレックスも赤面する。

ナオト「よ、余計なお世話だよ馬鹿!!」

アレックス「さっさと帰れ!!」

赤面したアレックスとナオトがハイネに向かって叫ぶ。

アレックス、ナオト「「(まだ告白してすらいないのに!!)」」

ハイネ「はいはい。ナオト、アレックス…程々にな?」

次の瞬間、ハイネに向かって罵声と部屋に置かれている物が投げられる。
ハイネはそれをかわしながら自分の部屋に戻っていくのだった。 
 

 
後書き
アレックスとナオトが両片思いにまで進展。
そろそろAA介入してきますからある程度進展させときます。 

 

第十五話 休暇中

 
前書き
ハイネがミネルバに所属されることがシン達に聞かされる。 

 
ホテルのベッドで疲れを癒したアレックス達。
一足先に起きたルナマリアは、シン達を起こすためにまずシンの部屋を訪ねた。

ルナマリア「シン?起きてる?ダイニングに一緒に行かない?」

シン「あ?ああ、分かった。ステラ、先に行ってて」

ステラ「…うん」

ルナマリア「へ!?」

シンの部屋から何故かステラが出て来る。

ルナマリア「シン、あんたまさか…」

シン「違うからな!?確かに一緒に寝たけど、やましいことは一切してない!!」

ルナマリア「寝た!?あんた恋愛には奥手かなって思ったけど案外やるじゃない!!」

シン「だから俺は!!」

ルナマリア「大丈夫!!艦長やアレックスさん達には秘密にしといてあげるから!!」

シン「人の話聞けよ!!」

シンを無視してルナマリアは次にアレックスの部屋に向かう。







































アレックスとナオトを起こすとルナマリア達はラウンジに降りていく。

シン「え?議長もう発たれたの?」

ルナマリア「ええ。お忙しい方だもの。昨日ああしてお話し出来たのが不思議なくらいだし」

ナオト「そうだよね。次に議長に会えるのいつだろ?」

アレックス「そうだな…」

ハイネ「よう。アレックスにナオト。それとお前達、昨日のミネルバのひよっ子だろ?」

シン「え?」

アレックス「ハイネ?」

ナオト「何であんたがここにいるの?」

昨日散々からかわれたナオトはハイネを嫌そうに見つめる。

ハイネ「見れば分かるだろ?朝食だよ朝食。で?昨日の夜はどうだったんだよアレックスにナオト?」

ナオト「っ、知らない!!」

ハイネの言葉にナオトは赤面しながら叫ぶ。
するとミーアもやって来た。
アレックス達は直ぐさま敬礼する。

ハイネ「おはようございます。ラクス様。昨日はお疲れ様でした。基地の兵士達も大層喜んでおりましたね。これでまた士気も上がることでしょう」

ミーア「ハイネさんも楽しんで頂けましたか?」

ハイネ「はい、それはもう。昨日はゴタゴタしててまともに挨拶も出来なかったな」

シン「え……」

ハイネ「特務隊、ハイネ・ヴェステンフルスだ。よろしくな、ひよっ子」

ひよっ子呼びにムッとなるが表情には出さずに口を開く。

シン「こっちこそ。シン・アスカです」

ルナマリア「ルナマリア・ホークです」

「ラクス様。ラクス様には今日の打ち合わせが御座いますので申し訳ありませんがあちらで」

ミーア「ええ~!!」

「お願いします」

ミーア「は~い、仕方ありませんわね。では皆様、また後ほど」

シン「え?ああ、はい……」

ハイネ「ところで、昨日の金髪の奴を含めて全部で6人か、ミネルバのパイロットは?」

ルナマリア「はい?」

ハイネ「インパルス、ガイア、ザクファントム、ストライク、セイバー、そして、あいつがグフイグナイテッドかあ…」

シン「?そうですけど…」

ハイネ「ナオトとアレックスがFAITHで…艦長もだろ?やっぱどう考えても人数は少ないが戦力として充分だよな。なのに何で俺にそんな艦に行けと言うかね、議長は?」

シン「ええ!?」

ルナマリア「ミネルバに乗られるんですか!?」

ハイネ「ま、そういうことだ。休暇明けから配属さ。艦の方には後で着任の挨拶に行くが、なんか面倒くさそうだよな、フェイスが4人ってのは」

シン「いえあの……」

ハイネ「ま、いいさ。現場はとにかく走るだけだ。立場の違う人間には見えてるものも違うってね。とにかくよろしくな。議長期待のミネルバだ。何とか応えてみせようぜ」

アレックス「ああ、ハイネ。よろしく頼む」

ハイネ「おう。」

その後しばらくして、アレックス達は一緒にミーアがヘリコプターで去るのを見送った。






































ルナマリア「さ、どうしよっかなぁ今日はこれから」

シン「ん?どうって?」

ルナマリア「街に出たい気もするけどレイにも悪いから艦に戻ろっかなー」

シン「行きたいなら行けばいいじゃないか。ステラ、どこか行きたいところはある?」

ステラ「ステラ…海行きたい…」

シン「海だね。じゃあバイク借りないと…」

アレックス「そういえば、ナオト。イザーク達は?」

ナオト「イザーク達も議長と一緒に発たれたよ。議長の護衛も大変だねえ…というかアレックス。いつの間にイザーク達を呼び捨てに?」

アレックス「ああ、いや。敬語を使うなって言われて」

ナオト「あ、そうなの?ところで料理に青魚があったけど大丈夫だった?」

ナオトが小さな声でアレックスに問いかけた。

アレックス「ああ…香りで分かったから食べずに済んだよ」

ナオト「ふふっ、ミネルバのエースが青魚にアレルギーなんてねえ」

アレックス「う……」

アレックス自身も仕方がないこととはいえ、情けないと思ってしまっているのだ。
コーディネーターなのに、青魚にアレルギーだなんて、はっきりいっておかしい。
それぞれが残りの休暇を満喫すべくホテルの前で解散した。
アレックスも久しぶりに趣味のマイクロユニットの制作を手掛けようと材料を買ってミネルバに戻っていく。










































そして基地の外ではシンがバイクを停めながらステラを待っていた。

シン「ステラ…遅いな…」

シンがぼやくと…。

ステラ「シン!!」

メイリンから私服を借りたステラがシンの元に駆け寄る。
シンとステラはバイクに乗る。

シン「それじゃあ、行くよ?」

ステラ「うん!!」

バイクを動かし、ディオキアの海岸へ。











































バイクを飛ばして、数十分。
ステラが希望した海岸に着いた。

ステラ「海…ふふふ……」

青い青い空の下、ステラは青い海へと駆け出した。
踊る様に波と戯れるステラの白いワンピースが翻る。
その様子を優しい眼差しで見つめながら、シンは近くの砂浜に腰を下ろした。
シンは戦争で家族を失って以来から荒んでいたが、ステラとの出会いをきっかけに、穏やかになっていった。

ステラ「シ~ン!!」

海と戯れていたステラがシンの方を振り返り大きく手を振ってくる。
シンがそれに応えるように手を振り返すとステラはまた笑顔で海へと戻っていく。
そんな事を何度も繰り返しながら2人だけの穏やかな時を楽しむ。








































シン「あれ?ステラ?」

太陽が沈みかけてきた時の事だった。
一緒に海で遊び少し疲れたシンは寝転がりまだ波に足を浸すステラを見つめていた。
だが、彼女は急にその場にしゃがみ込んでしまったのだ。
何かあったのかと心配になりシンは急いでステラに駆け寄った。

シン「ステラ?どうしたの?」

ステラ「これ見つけたの…」

シンの問いにステラが差し出したのは小さな貝殻だった。
緑色のと水色の小さな貝殻。

シン「貝殻か…綺麗だね」

シンもその場にしゃがみ込みステラにそう言うと彼女はコクリと頷いた。

ステラ「これ…スティングとアウルみたい」

シン「スティング?アウル?」

知らない名前にシンは首を傾げた。

ステラ「ステラと…一緒だったの……」

シン「……まさか、カオスとアビスの?」

ステラ「…うん。」

懐かしそうに貝殻を見つめるステラにシンはこれ以上何も聞かなかった。
シンもまた思い出していたから。
大切な家族のことを。
そう言えば、幼い時、こんな風に海にも来た事もあった。
赤い瞳にも自然と涙が滲む。
それを拭うと、貝殻を手に取った。

ステラ「シン?」

シンは自分の服のポケットからハンカチを取り出す。

シン「持って帰るんだろ?ハンカチに包んでいこう」

その言葉にステラは微笑んで緑色と水色の貝殻をハンカチの上へと置いた。

ステラ「シン…ありがとう」

シン「うん…」

2人は手を繋いで、置いてあるバイクの元へと歩いて行った。今はまだ幼い恋だけれど。
いつかは…。 
 

 
後書き
シンとステラの話です。
シンはステラだけあからさまに他とは扱いが違う。 

 

第十六話 蒼天の剣

 
前書き
オーブ軍との戦闘。
そして…。 

 
ディオキアでの休暇を終えたアレックス達は新たに仲間になったハイネを迎えていた。

ヴィーノ「オレンジ色のグフかあ」

ヨウラン「また機体が増えたなあ……まあ、整備に慣れた機体で助かったけど…また手間がかかる…」

ハイネ「…ま、そう言わずに。俺の機体の整備、しっかり頼むぜ!!」

ぼやくヨウランの肩に手を置きながら言うハイネ。

ヨウラン「あ、はい!!」

ヴィーノ「…あの人もFAITHなんだよな?」

ハイネがアレックスとナオトと一緒にMSデッキを後にするのを見ながらヴィーノが呟く。

ヨウラン「ああ、ナオトさん、艦長、アレックスさんに続いて4人目だぜ?」

ヴィーノ「アレックスさんやナオトさんと大分雰囲気違うよな~。あれ?じゃあどっちが指揮するんだろ?」

ヴィーノが思わず疑問符を浮かべた。
FAITHであるアレックスとナオトとハイネのうち、誰が戦闘指揮を執るのだろうか?





































そして談話室に入室すると、まだ挨拶をしていないレイがハイネに敬礼する。

レイ「レイ・ザ・バレルであります」

ハイネ「ああ、グフイグナイテッドね。ハイネ・ヴェステンフルスだ。よろしく。しっかし、流石に最新鋭だなあミネルバは。なあ?ナスカ級とは大違いだよなアレックス、ナオト」

アレックス「え?ああ、そうだな」

ナオト「ん?まあ…そうだね。うん」

アレックスとナオトは苦笑交じりにそう答える。
シン達はそんなアレックス達を見てキョトンとしていた。
ルナマリアやシン、レイは最初からミネルバに配属されたから他の戦艦のことはそんなに詳しくは知らない。
乗ったことはあっても、実習で数回しかないから当たり前と言えば当たり前。
元連合のステラなど論外だろう。
ナオトは2年前の大戦でナスカ級にいたし、アレックスはザフトに入隊するために訓練でナスカ級に何度か乗ったことがある。
確かにハイネが言うように、ミネルバはナスカ級とは全然異なった戦艦だ。
新造艦だから、艦内の設備においてはナスカ級などより1つ上を行っている。
ブリッジが可動式だったり陽電子砲が装備されたり、ナスカ級にはない多くの技術がミネルバには詰められていた。

ルナマリア「ヴェステンフルス隊長は今まではナスカ級に?」

ハイネ「ハイネでいいよ。そんな堅っ苦しい。ザフトのパイロットはそれが基本だろ?君はルナマリアだったね?」

ルナマリア「あぁはい」

ハイネ「俺は今まで軍本部だよ。この間の開戦時の防衛戦にも出たぜ?」

シン「あの、アレックスさん。俺達は?」

アレックス「ああ、ハイネの方が先任だ。シン」

シンが言いたかったのは、これから自分達が誰に従うべきなのか?ということだろう。
確かに言われて見れば、これから独自に戦闘指揮を出すことの出来るパイロットが3人いることとなる。
つまり隊長が3人いるということ。
指示を出してくれるのがどちらかを決めてもらわないと、指示に従って動くシン達は困ることになる。

ハイネ「あれ?アレックスにナオト。お前らさん付けされてんの?」

アレックス「え?ああ、そうだが?」

ナオト「何?文句あるの?」

ハイネ「いかんなあ、俺達ザフトのMSパイロットは戦場に出ればみんな同じだろ?FAITHだろうが、赤服だろうが緑だろうが…」

確かにハイネの言う通りではある……。
ザフトは服の色の違いはあれど、階級は存在しない。
それは1人1人、個人を大切にしているからだ。

ステラ「皆…同じ…?」

ハイネ「そう。命令通りにワーワー群れなきゃ戦えない地球軍のアホ共とは違うだろ?」

シン「あ、はい……」

ハイネ「だから、そんな堅っ苦しい関係は俺達には必要ないんだよ。お前らもお前らだなアレックス、ナオト。何で呼び捨てしろって言わないの!?」

アレックス「す、すまない…」

ナオト「皆が皆、ハイネみたく失礼な奴じゃないんだよ」

苦笑しながら謝罪するアレックスとムスッとしながら言うナオト。

ハイネ「ま、今日からこのメンバーが仲間ってことだ。息合わせて、ばっちり行こうぜっ!!」

ハイネはアレックス達の顔を確認して、どこかキザっぽいウインク付きで鼓舞する。
ナオトの隣のアレックスから小さな溜め息が聞こえてきた。

アレックス「俺もああいう風にやれたらいいんだけどね……ちょっと中々…」

ナオト「別にいいんじゃないかな?アレックスはアレックス。馬鹿ハイネは馬鹿ハイネ。君は君らしくしてればいいの」

アレックス「ありがとうナオト。」

ハイネ「おーい、何イチャついてんの、アレックス!!ナオト!!お前らが案内してんだろうがっ!!」

アレックス「イチャついてって…」

ナオト「でかい声で言わないでよね!!」

アレックスとナオトが急いでハイネ達に駆け寄る。
するとハイネがナオトに耳打ちする。

ハイネ「ナオト。後で甲板に来い」

ナオト「?分かった…」

ハイネの言葉にナオトは疑問符を浮かべながら頷いた。












































ハイネと共に甲板に来たナオトは、早速とばかりに尋ねる。

ナオト「で?何の用なのハイネ。」

ハイネ「実は地球軍は黒海へ増援を出したらしい。多分、スエズラインの陸路を立て直したいんだろう…。んで、ディオキア周辺の全部隊に地球軍侵攻阻止の命令がもうすぐ出る…ナオト。アレックスに次の作戦外れてくれるよう説得してくれないか?」

ナオト「え!?」

思わずナオトはハイネの言葉に目を見開いた。

ナオト「ど、どうして?アレックスに何か問題が?」

ハイネ「地球軍が増援として送ったのはオーブ軍だ…」

ナオト「オーブ!?」

ハイネ「今はあれも地球軍だからな。アレックスの大体の事情は議長から聞いている。あいつの正体もな。俺がミネルバに配属されたのもアレックスが無理して出撃しなくてもいいようにってことだろ。オーブと戦えば、戻るかもしれないだろ?記憶。」

ナオト「…そう、だね……」

自分は出来ることならアレックスに戦って欲しくない。
あの辛い過去を思い出す可能性があるから…。
だが…。

ナオト「アレックスは…それでも……戦うよ。守る物があるから……」

ハイネ「………けど、オーブはお前にとっても…」

ナオト「……それは過去の話。私がアレックスを全力でサポートする。アレックスは私が守る。」

ハイネ「そうか…」

ナオトの言葉にハイネは笑みを浮かべながら腕組みをする。

ハイネ「正直、アレックスが出てくれるのは有り難いよ。あのひよっ子達どう扱ったらいいか分かんなくって…ほら、あの金髪カタそうだし、黒髪の方は気難しそうだし…もう一人の金髪は何考えてるのか分かんないし。それにあの赤毛のミニスカートは何?あれ制服じゃないだろ?」

ナオト「…………」

ナオトは苦笑しながらハイネの話を聞くのだった。
確かにルナマリアのあのミニスカートは何だろう?
制服の改造は有りだっただろうか?











































パイロットスーツに着替えたアレックスとシンはアラートに入るとアレックスはシンの態度が気になり、尋ねる。

アレックス「シン。どうした?」

シン「…別にどうもしませんよ。オーブって言ったって、今はもう地球軍なんでしょ!?何なんですかあの国は…!!この前は同盟結んだ途端に掌返して攻撃してくるし!!今度はこんなとこまで艦隊送ってきて…本当に何考えてんだか…」

アレックス「仕方ないさ。一度連合に付くと決めたからには…。でないと、オーブが攻められる。実体験もあるしな」

シン「………」

アレックス「ナオトもお前のことを気にしていたぞ」

シン「え?」

アレックス「ナオトもお前と同じオーブ出身だからな」

シン「ナオトさんが!?」

今まで知らなかったナオトの出身にシンは目を見開いた。

アレックス「ナオトは幼い頃にオーブで起こったブルーコスモスのテロで家族を失ったらしい。家族の他に身寄りのないナオトはプラントに移住し、力のない自分を嫌悪してザフトに入ったんだ」

シン「ナオトさんが…」

アレックス「シン、割り切れ。でないとお前が死ぬ…。仲間が死ぬのは見たくない」

シン「……分かってます」

アレックス達はそれぞれの搭乗機に乗り込む。
着々と戦闘準備が進められている。

ハイネ「アレックス」

アレックス「ハイネか?」

ハイネ「どんな感じだった?」

アレックス「前にオーブ軍、後ろに地球軍の配置だった。数は…まぁ、何時も通りに多対一であることに変わりはない」

ハイネ「オーブにプラントを撃たせる、か」

アレックス「地球軍はオーブ軍を盾にするつもりなんだろうな」

オーブは地球連合に国民の命を握られている。
だから守るために前に進むしかないのだ。

ハイネ「アレックス、死ぬなよ」

アレックス「ああ、ハイネもな」

今回の戦いは最初、対空戦の出来るシン、アレックス、ナオトの3人で攻める。
次に残りのメンバーが出撃。
最初から全力でいってエネルギー切れはしたくないというアレックスとハイネ、ナオトの意見で、ハイネはステラとルナマリア、レイと共に後続として出撃することになった。
戦闘前に言っておきたいことは言った。
後は全力を出すだけだ。

メイリン『コンディションレッドに移行。パイロットは搭乗し、インパルス、セイバー、ストライクは発進準備をしてください』

メイリンのアナウンスが艦内に響き渡る。
オーブ軍との戦闘が始まる。

シン「シン・アスカ、コアスプレンダー。行きます!!」

アレックス「アレックス・ディノ、セイバー。出る!!」

ナオト「ナオト・フジワラ、ストライク。出るよ!!」

インパルス、セイバー、ストライクEが空へと駆け出した。








































シン「どんだけいるんだよ」

通信越しのシンの悪態にアレックスとナオトは苦笑してしまった。
オーブ軍の主力を集めてきたのだろうか。
次々と母艦からMSが飛び出してくる。
限りというものがあるのか疑わしくなってしまう。
切り被ってくるムラサメを反射でよけ、ビームクローで切りつける。
更にビームサーベルを逆手に持ち後ろのMSを貫いた。
そして、そのままMSの群れに突っ込んでいく。
そんなアレックスの戦法を敵と切り結びながらもシンはその光景に魅入っていた。
きっと敵もそう思っている。
セイバーが傍を通り抜けたと思ったら多くのMSが同時に爆散するのだ。
ナオトのストライクEも高機動を活かして、次々とオーブ軍のMSを墜としていく。
これが、前大戦を生き残ったエースの力。
ギリッ…とシンのグリップを握る手に力が入る。
その時、ミネルバから通信が入った。

メイリン『タンホイザー起動。パイロットは軌道から退避してください』

タンホイザーが放たれたら少しはこの状況を打破出来るか。
照準が合わされ、放たれようとした瞬間。
空から一条の光が放たれ、タンホイザーに吸い込まれたと思ったら爆発した。

ナオト「え!?」

アレックス「何だ!?」

シン「何だ?どこから攻撃が!?」

一瞬見えたビームの線を追って上空を見上げると、太陽に照らされた10枚の翼を持つ機体が視界に入りこんできた。

シン「何だ…?」

アレックス「あの機体…俺はあれを知っている…?」

ナオト「…フリーダム!?」

ナオトが蒼天から舞い降りた機体に驚愕しながら叫んだのであった。 
 

 
後書き
フリーダムとAA介入です。 

 

第十七話 蘇る記憶

 
前書き
フリーダムとAAの介入により、事態が悪化。
 

 
辺りはさっきまでの爆音が嘘のように静まり返っていた。
一瞬にして現れた1体のMSによって、戦場の動きが止まっていた。
そしてそれを待っていたかのように後方の雲から戦艦が姿を現した。
戦艦のハッチが開き薄ピンクにカラーリングされ右肩に白百合のエンブレムの入った1機のMS…ストライクルージュが出てきた。

カガリ『私はオーブ連合首長国代表、カガリ・ユラ・アスハ!!』

シン「え!?」

アレックス「アスハ代表!?何故!!?」

ナオト「何で彼女が!?」

カガリ『現在わけあって国元を離れてはいるが、このウズミ・ナラ・アスハの子、カガリ・ユラ・アスハが、オーブ連合首長国代表首長であることに変わりはない!!その名において命ずる。オーブ軍はその理念にそぐわぬこの戦闘をただちに停止し、軍を退けっ!!』

シン「何を言ってるんだアスハは!?今更何を…」

アレックス「落ち着け、シン。グラディス艦長、大丈夫ですか?」

タリア『こちらは大丈夫よ。こちらはね………何がどうなってるんだか。まさか、このままオーブが退くなんてことは……』

アレックス「オーブ軍が退くことなどまず無いでしょうね」

ハイネ『だな、俺もアレックスに同意見だ。艦長、動きがあったら俺達も出ますよ。いいですね?』

すぐに出撃出来るように準備を始めるハイネ。

タリア『ええ、お願い』

アレックス達は機体を静止させ、オーブの出方を待つ。

『上空の不明機、ならびに所属不明艦に警告する。』

全チャンネルで回線が開かれ、コクピットにもオーブからの返答が響き渡った。

『貴艦らを、我が国の国家元首を名乗り、戦線を撹乱しようとするものと見なす。速やかに当海域を立ち去れ。さもなくば敵勢力として排除する』

オーブからの答えはYESではなくN0だった。
オーブはこの戦闘から退かない。
それが確定してしまった。
やっぱりこんなところで叫んだところで止められるはずがない。
結局彼らの介入は失敗して戦闘は継続される。
彼らの行動も、そしてそれによって失われた命も無意味になった。
砲撃の音と共にオーブ艦隊から無防備な状態のアスハ代表の機体であるストライクルージュに向かって無数のミサイルが発射された。
警告のとおり敵とみなして攻撃を開始したんだろう。
しかしその攻撃は全てあのフリーダムによってあっという間に相殺されてしまった。

カガリ『オーブ軍何をする!?私は……』

それと同時に横合いから地球軍がミネルバを狙いにやってくる。

タリア『MS隊、全機発進せよ!!』

ハイネ「ハイネ・ヴェステンフルス、グフ。行くぜ!!」

ステラ「ステラ・ルーシェ、ガイア。行くよ」

ルナマリア「ルナマリア・ホーク、ザク。出るわよ!!」

レイ「レイ・ザ・バレル、グフ。発進する!!」

残りのミネルバのMS隊も迎撃のために全機発進する。

ナオト「皆!!充分に連携して戦って!!オーブ軍は攻められない限りまだこちらから手を出さないで!!最後に各員、アークエンジェルとフリーダムがオーブ代表を拉致して逃走したことは知っているね?もしあの勢力のスタンスが前大戦と変わっていないなら奴らは、こちらを殺そうとはしない。無視しても構わない!!けど、武装を破壊されること及びミネルバの武装付近にいる人員達は二次災害に充分注意して。以上!!」

全員【了解!!】

前大戦のアークエンジェルを知っているナオトは指示を出す。
それまで動きを止めていたはずのムラサメやアストレイがこちらに向かって攻撃を再開し始めた。

アレックス「来るぞ!!」

シン「はい!!」

ハイネ「いいか、何としてもミネルバを守りきるぞ!!」

ナオト「言われなくても!!ステラも気をつけて」

ステラ「うん」

ガイアとハイネのグフも加わり、敵MS隊に突っ込んでいく。
もう混戦もいいところで、ごちゃごちゃでもう訳が分からなくなりそうだった。
次から次へと敵が向かって来て今どこの勢力の機体を倒してるのか分からないくらい色んな機体が入り乱れる。

ステラ「シン!!」

シン「ステラ!!連携して、カオスを捕獲しよう!!」

ステラ「うん!!」

ステラの知り合いが乗るカオスにインパルスとガイアが向かっていく。
インパルスとガイアがまずカオスの武装を破壊しようとするが、カオスもそう簡単にはやられてくれない。
ムラサメがフリーダムとストライクルージュに向かうが、フリーダムの攻撃により、腕を失い、推力を失い、海へと落ちていく。
分かっているのだろうか。
宇宙と違い、地球上には重力がある。
この高度で落ちれば、海は硬質な大地と同等の衝撃をMSに与えるということに。
アビスは海中からセイバーに向かってビームを放つ。

アレックス「ちっ!!」

何とか回避したが、それを見たナオトはミネルバに戻り、アナザートライアルソードストライカーに換装すると水中のアビスの元に向かう。
ストライクEの換装形態で一番水中戦に適しているのはこの形態だ。

アウル「ああ?強奪された機体かよ。お前なんかが来たところで!!」

MA形態のアビスがストライクEに魚雷を発射するが、ストライクEはそれを回避するとシュベルトゲーベルで切り掛かる。
VPS装甲のアビスにはダメージは無かったが、その衝撃はかなりの物だろう。

アウル「ぐっ、てめえ!!」

ナオト「グフとは違うんだよグフとはね!!」

不敵な笑みを浮かべながら再びアビスに向かっていく。

ハイネ「ちょこまかと!!」

ハイネのグフがスレイヤーウィップを振るい、ムラサメの腕に絡みつかせ、ビームソードで切り裂く。

レイ「アレックス!!ミネルバに4機向かいました!!そちらに追い込みます!!」

アレックス「頼む!!」

レイが追い込んだ敵をセイバーがビームサーベルとビームクローで切り刻んだ。
ムラサメはMA形態、MS形態と頻繁に変形する。
変形機構を有してるためかウィンダムより遥かに墜としにくい。
インパルスとガイアもカオスにのみ集中出来なくなったのか、ムラサメとウィンダムに攻撃対象を切り替えた。
ガイアがビームサーベルでアストレイを切り裂いた直後。
フリーダムがビームサーベルを抜き、凄まじい機動でガイアに向かっていく。

ステラ「!?」

ステラは反射的にガイアのビームサーベルを振るうが、ガイアの右腕が逆に切り落とされてしまう。

ステラ「きゃあああああ!!」

シン「ステラ!!うわあ!!」

腕を切り落とされたガイアに気を取られたシンもライフルを破壊される。

アレックス「シン!!ステラ!!」

ナオト「何あれ、手当たり次第!?」

レイ「ぐっ!!」

ムラサメをスレイヤーウィップで拘束していたレイのグフも両腕をライフルで撃ち抜かれてしまう。

ハイネ「ちっ!!この野郎、生意気な!!」

ハイネのグフがフリーダムにビームガンを繰り出すが、フリーダムはそれを回避し、すれ違いざまにグフの右腕を切り落とした。

ハイネ「何!?」

アレックス「なっ!?」

ナオト「ハイネ!!よくも、ミネルバ!!エールストライカーを射出!!」

ミネルバからエールストライカーが射出され、両腕のパンツァーアイゼンをそのままに、エールストライカーを装着する。

キラ「あの機体…ストライク!?改良型!?」

ナオト「あんた達は何がしたいの!!?」

フリーダムとストライクEが交差する。
ストライクEの右腕が切り落とされた。

ナオト「この…っ!!」

余った左腕でビームサーベルを抜こうとするが、その前に左腕をライフルで撃ち抜かれた。

スティング「貰ったぜストライク!!」

MA形態のカオスがストライクEに向けてカリドゥス改復相ビーム砲を放った。

ナオト「あ…」

アレックス「避けろナオト!!」

突然のことに対処出来ないナオトは硬直する。

シン「ナオトさん!!」

ステラ「ナオト!!」

間に合わない…。
誰もがそう思った時。

ハイネ「全く世話が焼けるぜ」

ハイネのグフがストライクEに体当たりし、ストライクEを吹き飛ばすと、シールドを構えた。
そしてハイネのグフはビームに飲み込まれた。

ナオト「あ…」

ビームの奔流が収まった頃、胴体だけを残し、海をに落下していくグフ…。

ナオト「ハ、ハイネ…」

ハイネ「へっ…何だよナオト…その情けない面は…」

ノイズ混じりの言葉が聞こえたがナオトの耳には入らなかった。
グフは海に落下し、爆発した。

ナオト「ハイネーーーーーっ!!!!」

アレックス「あ、ああ…」

まさか…死んだ?
前にも…前にもこんなことがあった?
赤を着込み、緑色の髪をした柔らかい表情を浮かべた少年。
そして緑を着込み、不敵な笑みを浮かべた青年。

アレックス「ミ、ゲル…ニコ…ル…」

ミゲル『死ぬなよ…』

ニコル『アスラン、逃げて……………』

次々と蘇る過去の記憶。
やったのは誰?
ハイネを墜としたのは…。
アレックスがカオスを認識した途端、種が弾けた。

アレックス「うわあああああ!!」

セイバーのバーニアを吹かしてカオスに接近するとカオスを切り刻んだ。
胴体のみ残されたカオス。
最早カオスは使い物にならないだろう。
セイバーのライフルを落下していくカオスに向ける。

キラ「アスラン!!」

止めなければ、そう思い、キラはライフルをセイバーに向けて放つ。

アレックス「ち…っ」

アレックスは舌打ちしながらそれを回避し、敵MS隊に向かっていく。

キラ「待つんだ!!」

フリーダムもそれを追い掛ける。
今のアレックスは敵に対する容赦がない。
本気のアレックスが相手ではオーブ軍に勝ち目はない。

ルナマリア「な、何なの…?」

レイ「ミネルバ、ハイネのグフが落ちた場所の特定を、特定が終わり次第ザクへ転送してください。 ルナマリア。データが来たら急いでコックピットだけでも回収するんだ。間に合わせろ」

ルナマリア「で、でも……」

レイ「連合はアレックスに任せるしかない!!」

ルナマリア「っ…分かった」

ルナマリアはMS隊に向かって行ったセイバーを心配そうに見つめた。








































タリアは夢を見ているのではないかと錯覚させられた。
セイバーが擦れ違った途端に何機ものウィンダムが墜ちていく。
アストレイとムラサメも抵抗出来ずに墜ちていく。
フリーダムの射撃も逆に利用して敵MSを墜としていく。

タリア「これが戦争を生き抜いたザフトレッドということなの……?」

それともクルーゼ隊だからなのか。
かつてザフトで任務完遂率が最も高かったと言われるクルーゼ隊。
隊長であるラウ・ル・クルーゼが戦犯の1人とされたため、ザフトではクルーゼ隊の名を口にすることはタブーとなっているが、それでも、彼らの任務完遂率、それに伴う奇抜な戦術は今もザフト内では話に上る。
セイバーとフリーダム相手に余裕がなくなったのだろう。
ミネルバへの攻撃が次第に減っていく。
このままでは全滅しかねないと判断したのか、連合側から帰還信号が放たれMSが撤退し始めた。

タリア「単独で撤退させたわね」

アーサー「すっごいですねぇ。アレックス」

ふっと息を抜いたタリアとアーサーの言葉にブリッジ内の空気が緩む。

メイリン「ザクからの通信です」

ルナマリア『ハイネのグフを発見しました。今から帰還します』

タリア「そう、ドッグに医療班をお願い」

ルナマリアからの通信が朗報かどうかは医療班の腕にかかっているだろう。
あれだけの爆発を身に受け、さらには海に叩きつけられている。

タリア「アレックスの帰還次第、近い軍港へ向かうわ」

アーサー「了解しました」

アレックスはセイバーを帰還すると、足早に医務室へ向かった。
そして、タンホイザー起動時に受けた攻撃に巻き込まれた技術スタッフ達も予断を許さない状況ということだった。 
 

 
後書き
アレックスの記憶が蘇る。
しかし、怒りのままにSEEDを発動させたアレックスは連合軍に致命的な打撃を与え、撤退させた。
次回はオリキャラを追加しようと思います。 

 

第十八話 すれ違う気持ち

 
前書き
撃墜されたハイネと爆発に巻き込まれた技術スタッフ。
記憶を取り戻したアレックスは何を思う…?
オリキャラ登場 

 
帰還したアレックスは急いで医務室に向かう。

アレックス「ハイネと巻き込まれたスタッフは!?」

医務室の前に立っているシンとレイ、ルナマリア、ステラ、ナオトに気がついたアレックスが声をかけた。

レイ「中に入ったきり、まだ治療中のようです」

アレックス「そうか…。」

答えたレイと一緒に沈黙を保つ扉を見つめた。
思えば、自分が医務室の前で仲間の心配をするのは初めてだということに気がついた。
みんな戦場で散って逝った。

アレックス「くそ…俺がキラを…フリーダムを止めていればこんなことには…」

ナオト「っ…アレックス、記憶が…?」

アレックス「ああ、思い出したよ…何もかも」

ナオト「そっか…」

ナオトはそれを聞くとまた俯いた。

ステラ「ナオト…?」

ナオト「私のせいだ…」

ルナマリア「え…?」

ナオト「私がフリーダムに挑まなきゃハイネは…こんなことに…!!」

アレックス「っ、違う!!」

シン「そうですよ!!あれはナオトのせいなんかじゃない!!あのフリーダムが目茶苦茶にしたせいで!!」

ナオトが自己嫌悪に陥りながら言う言葉にアレックスとシンが思わず叫んだ。

レイ「確かにあの場でフリーダムに挑まければハイネは無事だったかもしれない」

ルナマリア「ちょっとレイ!!」

レイの言葉にルナマリアが非難の視線を向ける。
ステラも泣きそうな表情でレイを見つめている。

レイ「だが戦場を混乱させ、こちらに多大な被害をもたらしたフリーダムを放っておくことなど出来るわけがない」

それはナオトの行動を擁護するものだった。
レイの表情を見れば、普段あまり表情の起伏が激しくないレイの眉間に深い皴が刻まれていた。

レイ「ナオトのしたことは間違いではありません」

ナオト「……」

アレックス「…くそ!!」

アレックスが怒りのままに壁に拳を叩きつけた。

アレックス「戦争は…戦争はヒーローごっこじゃないんだぞキラ!!」

ルナマリア「あ、あの…」

アレックス「…?」

ルナマリア「…その……」

アレックスがルナマリアの方を見遣るがルナマリアは口を開いたり閉じたりを繰り返している。
どちらの名前を言えばいいのか分からないのだろう。

アレックス「今まで通りアレックスでいい…」

ルナマリア「は、はい…」

シン「あいつらが変な乱入して来なきゃこんなことには……大体何だよあいつら!!戦闘を止めろとか。あれが本当にAAとフリーダム!?本当に何やってんだよオーブは!!馬鹿なんじゃないの…?」

ステラ「あのMS…怖い…」

身体を震わせながら呟くステラにシンは彼女の手を握り締める。
沈黙を保っていた扉が開いた。

「技術スタッフとハイネ・ヴェステンフルスの治療は無事終わりました」

医師の言葉に安心したが、技術スタッフは防護するようなものが何もない状態で爆発に巻き込まれた。

アレックス「技術スタッフの復帰は……」

「難しいでしょうね……治療したとは言え、彼らは寄港次第病院に搬送しなくてはいけません。それと、ハイネ・ヴェステンフルスに関してですが」

アレックス「彼も?」

「いえ、彼の悪運と身体の強さには参りますね」

シン「え?」

技術スタッフの様子にハイネも、と思ったのだが、医療スタッフの苦笑と共に言われた言葉に6人は目を丸くした。

「確かに左足と肋骨の骨折がありますが綺麗に折れていたから、治るのは早いでしょうし、治ったらより丈夫になりますね。意識がなかったのは衝撃で気を失っていただけらしいです。今は眠っていますが、目が覚めたら会話は可能ですよ。本人も治り次第戦線に復帰するって言ってましたから」

ナオト「ハイネ…良かった」

安堵により腰が抜けたのか、ナオトはへたりこんだ。
シン達も安堵の溜め息を吐いた。

「さ、君達もちゃんと休みなさい。パイロットは身体が資本ですから。大きな怪我がなくともMSの操縦とは疲労が大きい。これは医師としての忠告ですからね」

アレックス「はい、寄港するまで新しい任務は降りないだろう、しっかり休んでおけよ」

アレックスの言葉に全員が返し、ひとまず解散となった。














































部屋に戻ったアレックスはシャワーを浴び、ベッドに寝転んだ。
本来であれば無茶な操縦をしたセイバーのチェックをしておかなくてはいけないが、今回は整備班に任せることにする。
他に気になることがあり過ぎる状態で精密なチェックをしたところで後々穴が見つかるのがオチだ。

アレックス「AAと連絡を取るべき……かな?」

記憶を取り戻した今なら彼らの考えは朧げに分かるが、行動が結果に繋がるとは思えない。
それに、色々と言っておきたいこともある。

アレックス「………」












































少しだけ考えが纏まると離艦の許可を貰いに艦長の元に向かった。

タリア「ミネルバを離れる?」

アレックス「はい。ミネルバが修理を終えるまでには戻ってきます。AAと…彼らと話をしてこようと思います」

タリア「許可出来かねる内容ね」

タリアは顔の前で手を組みアレックスを見上げる。
何故今なのかと思う心と同時に今だからこそだろうという思いもある。
AAはミネルバを撃った。
それは変えられない事実であり、ミネルバを撃ったということはアンノウンからエネミーに変わるということだ。

アレックス「戻り次第音声記録と共に報告書を提出します」

タリア「……わかったわ。許可します」

FAITH権限を持ってしてでも行くのだろう。
タリアは溜め息とともに許可する。

アレックス「ありがとうございます。それでは失礼いたします」

タリア「それとアレックス。」

アレックス「?はい」

タリア「ハイネの機体が大破したから近いうち、ハイネの代わりの人材がジュール隊から来るらしいの。ジュール隊長曰くとんでもないじゃじゃ馬らしいわ」

アレックス「じゃじゃ馬…ですか?」

タリア「ええ、今日の正午辺りにミネルバに来るらしいけれど…」

アレックス「分かりました(あのイザークがじゃじゃ馬と言うなんて…)」

アレックスが出ていくのを見た後、タリアは通信機に手を伸ばした。

タリア「アーサー、ルナマリアを呼んできて頂戴」










































部屋へ戻ったアレックスは唯一の私服に着替え、セイバーに乗って街へ向かった。
降り立った街は穏やかな平和な空気を持っていた。

アレックス「さて…まずは情報を集めないとな。AAを見た人はいるはずだ。」

アレックスは平和な空気を感じながら歩き始めた。

アレックス「ん?」

しばらく街を歩いていると、アレックスの足元にボールが転がってきた。
アレックスはボールを拾うと、辺りを見回す。
ここから少し離れた場所では、子供が何かを探しているかのように辺りを見回していた。

アレックス「これ、君のか?」

アレックスはボールを子供の元まで持って行くと、子供は嬉しそうに受け取った。

「お兄ちゃん。ありがとう」

アレックス「いや」

アレックスの方を何度も振り返りながら走っていく子供を見送ったアレックスに楽しそうにこちらを見ていた少女が声をかける。

?「お久しぶりね、アスラン・ザラ」

アレックス「ん?あ、君はミリアリア・ハウ?」

2人だけで顔を合わせるのは初めてであったが、先ほどの子供とのやり取りを見ていたミリアリアはどこか微笑ましそうにアレックスを見ていた。

アレックス「驚いたな。君はどうしてここに?」

ミリアリア「私、今はフリーのカメラマンなの」

アレックス「そうなのか…ところでミリアリア。AAの行方を探しているんだが、君は知らないか?」

ミリアリア「…出来るわ。だけど、キラ達にあなたはザフトとして?それともキラの親友として?」

アレックス「え?ザフトとしてだったら戦場で対峙することになるだろうな。今は親友として、政治を知る者として。かな…」

キラ達の行動がオーブの政治的立場を変える。
出来れば会ってそれに気付かせてやりたい。

ミリアリア「政治を知る者?」

首を傾げるミリアリアにアレックスは頷いた。

アレックス「俺は最高評議会議長であり、国防委員長となったパトリック・ザラの息子だからな。それにいつかはギル…議長の役に立ちたいと思うから、今は一から政治の勉強中さ。議長に俺の助けは必要ないだろうけど」

苦笑しながら言うアレックスにミリアリアも笑みを返しながら口を開く。

ミリアリア「そう……分かった。連絡を取るわ」

アレックス「すまない」

感謝するアレックスにミリアリアは随分変わったと感じた。







































ミネルバに補充パイロットが来るらしいと聞いたシン達はMSデッキに来ていた。

シン「それにしても、補充パイロットって誰なんですかね?」

ナオト「ハイネの代わりだからね…最低でも赤服…だとは思うんだけど」

メイリン「あ、来ましたよ。でも、あれって…」

見えてきた機影に全員が目を凝らしたが次の瞬間目を見開いた。

シン「あれは…インパルス?いや違う…」

見た目の装甲の色はソードシルエット装備のインパルスに似ているが、翼のようなフライトユニットにエクスカリバーとビーム砲を装備しているシルエットを装備し、腕部にビームブーメランを装備している。

ナオト「あれは…デスティニーインパルス?」

メイリン「インパルスの改良型?」

ナオト「あれはインパルスじゃないよ。インパルスのコンセプトから外れてるし。見たところ2号機だね」

デスティニーインパルスはミネルバに着艦すると、コクピットから出て来る。

シン「…女?」

メイリン「一体誰?」

パイロットはヘルメットを取ると、艶やかな黒髪の少女だった。

レイ「お前は」

メイリン「クレアさん!?」

クレア「アカデミー以来だね。久しぶり、認識番号273848、クレア・トワイライト。ジュール隊から転属しました。機体はデスティニーインパルス。よろしくね」

シン「よりによってお前かよ」

クレア「あれ?シン、まだ生きてたんだ?」

クレアはシンに嫌みたらしく言う。
アカデミー時代のシンなら噛み付いてきたのだが…。

シン「悪かったな、あれはインパルスのバリエーション機か?」

クレア「(あれ?)そうだよ。性能ならシンのインパルスより上なんだから」

クレアはシンが噛み付かないことに驚いたが、デスティニーインパルスを見遣りながら答える。

シン「性能だけで強さが決まるわけじゃないだろ」

ナオト「デスティニーインパルスはフォース、ソード、ブラストの特性を合わせ持つ万能機ではあるんだけど燃費が悪いからすぐガス欠になる欠陥機でもあるんだよね」

シン「何だよ、じゃあ駄目じゃないか」

クレア「うっさい!!艦長はどこ?」

レイ「艦長なら艦長室だ。お前は変わらないな。」

クレア「君達もね」

レイに案内され、ジュール隊のじゃじゃ馬こと、クレア・トワイライトは艦長室に向かうのだった。













































キラ「アスラン」

沈み行く夕日を眺めていたアレックスの背後に声がかけられる。

アレックス「久しぶりというのかな。キラ、カガリ」

カガリ「アスラン、記憶が戻ったのか?」

笑顔を浮かべるカガリにアレックスは肯定の意味で頷いた。

キラ「何で今、僕らに連絡を取ったの?」

アレックス「お前達に言っておきたいことが色々とあり過ぎてな」

キラの言葉にアレックスは苦笑する。
本当に、言いたいことがあり過ぎて溢れてきてしまいそうだ。

アレックス「まず1つ、何であんな馬鹿な事をしたのかということだ。あれでは戦場が混乱するだけだ」

カガリ「なっ、お前が戦ったのはオーブなんだぞ」

キラ「オーブの戦闘を止めるためにはカガリが行かなくちゃいけなかった。だからこそ、僕達は戦場に出たんだ」

アレックス「ほう」

カガリとキラの言葉に一応は納得したが、溜め息をつきたくなった。
AAにはまともな思考を持った大人がいなかったのか。
砂漠の虎と名高かったアンドリュー・バルトフェルドもいるはずなのだが。
見込み外れだったか。

アレックス「まあ、お前達にどんな経緯と理由があったのかは俺は知らないし知る気もないが、あんな馬鹿げたことは止めてくれないか?」

カガリ「馬鹿なこと…?あれは、あの時ザフトが戦おうとしていたのはオーブ軍だったんだぞ!!私達はそれを…!!」

アレックス「オーブ軍が無事ならミネルバの乗組員がどうなろうと構わないのか?発射寸前の陽電子砲を破壊されてどれだけの乗組員が巻き込まれたと思っている!!それにあそこで君が出て素直にオーブが撤退するとでも思ったか!!オーブの主力がここにいるなら、連合を裏切れば簡単にオーブはまた焼かれるだろうに、オーブが連合を裏切れるはずがないだろう!!」

カガリ「う……」

アレックス「君がしなけりゃいけなかったのはそんなことじゃないだろ!!戦場に出てあんなことを言う前に、オーブを同盟になんか参加させるべきじゃなかったんだ!!…まさか、出兵の強要を想像もしなかった訳でもないだろう?2年前、オーブのマスドライバーの使用を強引に求めたのも、地球連合だ。……オーブを焼かないために、他国を攻める選択をしたのだろう、一度は」

カガリ「それは……」

アレックス「君は何のためにユウナ・ロマと結婚したんだ?」

カガリ「それはっ……オーブ国民の安全を図るために」

アレックス「そうだ。オーブに住む人を守るためにカガリだけでは力が足りないから、セイラン家との結婚が必要だったんだ。」

キラ「でも、アスラン。あれはカガリの意思を…」

アレックス「黙れキラ。俺はオーブ首長国代表のカガリ・ユラ・アスハと話しているんだ。もしカガリが1人の女であるのであれば、彼女にオーブ軍に命じる権利がない。権利は責任を伴う。国を動かす権利を持ったらそれ相応の責任がある。その責任の負い方がカガリの場合は結婚へと向かわせた。カガリは俺や政治に関して素人のシン達から見ても政治的知識があまりにも足りなさすぎる。国の代表は政治家だ。国の理念を叫ぶだけではない。」

キラ「アスラン!!」

アレックスのあまりの非難にキラが叫ぶが、アレックスはカガリから視線を外さない。

アレックス「君は、オーブの国民のための、結婚を拒み、オーブに帰ろうともせず、今までAAでのうのうと過ごしていたのか?オーブ軍がミネルバを攻撃するまで。オーブが連合に出兵を強制されても、オーブ軍が出撃しても、オーブ軍が連合軍と合流しても、何もせずに?」

カガリの見開かれた目が、アレックスに絶望を訴える。

カガリ「ち、違う!!あのまま戻っても、傀儡にされるだけだった!!私は、私は、オーブを守るために!!」

手を握り締めて、カガリは叫ぶ。

アレックス「それで?」

カガリ「え…?」

アレックス「さっきも言ったが、君が出て来たところでオーブが連合を裏切れるわけがないだろう。当然だ…家族や友人が暮らす自国を焼かれるのを望む馬鹿がいるものか」

カガリ「それは、それは、でも!!あのままだったら、オーブの中立の理念が…」

アレックス「国民の命と、理念。君はどちらが大切だというんだ?」

会話を交わす度に冷たくなっていくような視線に、カガリは戦慄する。
彼を見上げた視線は、恐怖にすら染まっていたかもしれない。

カガリ「それはもちろん、国民の命だ!!だ、だけど、中立を保つことで、国民の危機が減る!!お父様の意思を、オーブを守るために…!!」

アレックス「カガリ…ウズミ様の意思を守る、オーブを守る、それは国民の命とはイコールじゃない」

カガリの言葉をアレックスは冷徹に切り捨てる。

アレックス「カガリはオーブという器だけを守りたいのか。その器に住む国民を守ろうとは思わないのか。政治家は理念を叫ぶだけではいけない。理念は確かに必要だ。オーブのようなのがな。だが、それは時と場合による。理念のために国民が危険にさらされては意味がない。民を守るための理念だ。理念を守るための民じゃない。君はシンの一件で何も学ばなかったのか?」

カガリ「それは…」

カガリの脳裏に過ぎるのは、自分に向かって叫ぶシンの姿。
だけど、父が守り通した理念をカガリが崩してしまうことを認めたくない。
それを見透かしたアレックスは失望したようにカガリを見つめる。

アレックス「中立という理念を守れば満足か?オーブという国を守れば満足か?君を敬愛する軍人達や友人達で固めれば、誰も意見せず、君の言葉に頷くだろう。それで君は満足か?」

カガリ「な、にを」

問われても、意味が分からない。
だって、大切なことじゃないか。
中立を守ること。
オーブを守ること。
何故、何故、彼は責めるように言うのだろうか。

アレックス「国民の心は、離れていくとしてもね」

カガリ「何を…何を言ってるんだアスラン!!私は、オーブを守りたかった。それはいずれ国民にも必ず通じる!!」

アレックス「そうだろうな。君が、ただオーブという器だけを守りたかったことは国民に伝わるだろうさ。」

アレックスが見下すような視線でカガリを見つめる。
どうしても、伝わらない。

キラ「でもそれで、君はこれからどうするの?僕達を探していたのは何故?」

アレックス「探していたのはもうあんなことは止めさせたいと思ったからだ。俺がザフト軍兵士としての義務を果たす羽目になる前にああいう行動は止めてもらいたいんだ。ユニウスセブンのことが問題なのは分かってるが、その後の混乱は、どう見たって連合が悪い。抑えようとすれば抑えられた民間の暴動を煽って、開戦に持ち込んだんだからな……。まぁ、今更そんなことは今言っても仕方がない。とにかく今重要なのはこの戦争を早期に終わらせることだと俺は思ってる。早く終わらせるために俺の出来る事をやろうと…。だがお前達の行動は、ただ状況を混乱させているだけだ。まるで戦争を長引かせたいかのように」

キラ「本当にそう?」

アレックス「……?」

キラ「プラントは本当にそう思っているの?あのデュランダル議長って人は、戦争を早く終わらせて、平和な世界にしたいって」

アレックス「俺はギルを…議長を信じるよ」

キラ「じゃあ、あのラクス・クラインは?」

アレックス「ん?……ああ、彼女か」

キラ「あのプラントにいるラクスは何なの?そして、何で本物の彼女はコーディネイターに殺されそうになるの?」

アレックス「彼女の名前はミーア・キャンベル。あれは混乱を抑えるための一手段だと思うが。何しろ議長以上の影響力を持ちながらも終戦の立役者本人はオーブに引っ込んでしまったからな。まあ、議長に助けられるまでオーブにいた俺も人の事は言えないが、彼女の存在は民衆の混乱の収束には一定の成果は上げているようだな。それに、名前を偽ることがそんなに許されないことか?それを言ったら、俺やお前達も同じだろう。……で、ラクスが殺されそうになったというのは?」

かつての婚約者が殺されそうになったというのに、何の反応も示さないアレックスにキラは叫びたい衝動に駆られる。

キラ「オーブで僕らは、コーディネーターの特殊部隊とMSに襲撃された。狙いはラクスだった。だから僕はまたフリーダムに乗ったんだ」

アレックス「……何でフリーダムを保管してたんだ?ユニウス条約違反のフリーダムを?」

キラ「彼女も皆も、もう誰も死なせたくなかったから。彼女は誰に、なんで狙われなきゃならないんだ?それがはっきりするまでは、僕はプラントを信じられないよ」

アレックス「キラ…俺達を恨んでいる奴らなんてそこらじゅうにいるんだよ。宇宙にも、地球にも、MSを持ち出してまで恨みを晴らそうという人間がな…では、俺は戻る。ミネルバの動向によってはまたオーブと戦うことにもなるかもしれないな」

キラ「だったら僕達も出るよ。僕達はオーブを討たせたくないんだ」

アレックス「そのためなら条約違反もするというのか?」

キラ「え?」

アレックスの言葉が本当に分からないのか。
きょとんとした姿を見てアレックスは泣きそうになった。

アレックス「ユニウス条約違反は分かっての行為だな?」

キラ「もしものためだったんだ。ラクスも僕達も平和を望んでいるだけなんだよ。だけど再び戦争は起こった。だから力を手に入れたんだ」

キラは平和のためなら仕方がないのだと。
そう言っているのだろうか。

アレックス「そうか…」

キラ「アスラン…君はこれからもザフトで、またずっと連合と戦っていくっていうの?」

アレックス「仲間を、そして大切な人を守るためにな」

キラ「じゃあこの間みたいにオーブとも?」

アレックス「俺は連合やオーブとも戦いたくはない。だが攻撃されるなら、仕方ないじゃないか。」

アレックスは踵を返しセイバーの元へと向かう。

キラ「アスラン……僕達だって討ちたくないんだ。討たせないで」

キラの言葉にアレックスはぴたっと止まるが振り向かない。

アレックス「カガリ、今ならまだ間に合う。前大戦の後でもアスハ家を慕う者は民衆の中に大勢いる。力ずくでも実権をアスハ家に取り戻せ。お前が覚悟を決めれば、知恵を貸し、協力してくれる者はオーブにもいるはずだ。後はお前の好きにしろ」

この言葉は彼女に届いただろうか?
かつて愛した人に対するアレックスの最後の不器用過ぎる激励が。

アレックス「ありがとうミリアリア。助かったよ」

ミリアリア「えっ、ううん。気にしないで」

アレックスはセイバーに乗り込むとミネルバに向かうのだった。
残されたカガリの中でさらに苛立ちが込み上げる。
あんな視線を向けるようになったのはあの女のせいなのだと。
その思いが止まらない。

カガリ「(アスランは私を好きだったんだ!!私を守ると誓ってくれた、口付けだってしてくれたっ!!なのになのになのになのにっ!!あいつが、現れたせいでっ!!)」

カガリにアレックスの想いは届かなかった。
代わりにあるのはアレックスの隣を奪ったナオトが頭の大半を占めていた。

カガリ「絶対に許さないぞ…!!」

拳を握り締め、ナオトへの嫉妬が頭を埋め尽くしていた。 
 

 
後書き
これからもアレックスでいつづけるアスラン。
そしてアレックスはかつての愛した人と仲間と決別するのだった。
新たにオリキャラ追加。

オリジナルキャラ紹介2

クレア・トワイライト

17歳
女性
コーディネイター
シン達と同期でアカデミー時代のシンの喧嘩友達。
女性だが一人称は“僕”で、男勝り。
母親は物心つく前に死去しており父子家庭だったのも原因の一つだが、女だからと甘く見られるのを嫌うためでもある。
父親はザフトのMSパイロットだったが前大戦でフリーダムに乗機の武装と四肢を破壊され、宇宙を漂い、酸欠で死亡したことからフリーダムを憎悪している。
搭乗機はデスティニーインパルス2号機。
 

 

第十九話 連合の闇

 
前書き
かつての仲間と決別したアレックス。
彼は現在の仲間がいるミネルバに向かう。 

 
誰もいない海岸でアレックスを尾行していたルナマリアは深い溜め息を吐いていた。
ラクスとミーアのこととか、キラという男が平然と条約違反をしていたこととか。
ルナマリアには大き過ぎることは上司に任せてしまおう。
それよりも。

アレックス『ルナマリアか?尾行はもう少し上手にするんだぞ』

ルナマリア「何で気がついたのよぉ」

セイバーに乗り込む瞬間こちらをばっちり見上げて呟いたアレックスの言葉を高性能な集音機は拾っていた。
不審な行動をとった覚えも気付かれるほど近寄った覚えもなかったのに。

ルナマリア「はあ、これも前大戦を生き残った赤の実力?それともクルーゼ隊だったから?」

ルナマリアにだって赤たるプライドはしっかりあるのだ。
項垂れたルナマリアはミネルバへ戻るべく周囲の機材を片づけ始めた。









































ミネルバへ戻ろうとしたアレックスはミネルバが既に移動し、任務に就いていることを知った。

アレックス「地球軍の……研究施設?」

施設横に停泊するミネルバのドッグへセイバーを収納し、どこか不安気な空気に近くの整備士をつかまえた。

アレックス「何かあったのか?」

「あ、はい。施設の探索を命じられてシンとレイが向かったのですが、途中でレイが原因不明の発作に襲われて、もしかしたらバイオ汚染で放棄された ところではないかと……」

アレックス「レイが…ありがとう」

「いえ」

レイの発作はおそらく彼自身の出自による可能性が高い。
バイオ汚染であればシンも同様の症状が出てるはずだ。
まずは艦長に報告をしなくてはいけない。








































アレックス「艦長。アレックス・ディノ帰艦しました」

タリア「入って頂戴」

アレックス「はっ」

部屋に入るとタリアはどこか思案顔だった。

アレックス「途中で整備士に聞きました。研究施設にてレイが発作を起こしたとか」

タリア「えぇ、シンも検査をするように言っておいたから、それで何事もなければシンとあなた、ナオトにステラ、私とアーサーも含めてもう一度探索に行こうと思うわ」

アレックス「分かりました。放棄されていたと聞きましたが」

タリア「それも最近よ」

シンの報告によると探索は入口付近で終わってしまっているが、電力はまだ生きており、最近まで使っていた形跡が各所で残されているとのことだった。

アレックス「この近辺で何かが起こったという報告はありませんでしたよね」

タリア「そうよ。だというのに研究施設が見つかり、外からの様子では人の出入りがないから調査をするようにと言われたの」

何が起こったのかじっくりと調査をする必要性が大きいようだ。

アレックス「調べてみないことには何も分かりそうにありませんね」

タリア「そう言うことよ。下がっていいわ」

アレックス「離艦報告書は今日中に提出しますから」

タリア「お願いね」










































シンの検査結果は健康そのものだった。
だから言ったのにとふてくされたような表情のシンだったが、ステラの不安を払うためにすぐに忘れた。
そしてアレックス、シン、ステラ、ナオト、タリア、アーサーは研究施設へ乗り込み、長い廊下を奥へ奥へと進む。

アーサー「なんか……不気味ですねぇ」

シン「そりゃあ、こんな所にあるような施設ですからね」

必要最低限にしか明かりは点されておらず、薄暗い上に研究施設故の無機質さがどこか恐ろしく感じるのだろう。

ナオト「艦長。一応、人の気配はしないようですが、気を付けてください」

タリア「えぇ、開けて頂戴」

シンとレイが探索していない部屋まで進み扉の両側に身を潜め扉を開ける。
開けた瞬間にアレックスとナオトはその光景に流石に息を飲んだ。

ナオト「これ……は……」

シン「どうしたんですか…って、何だよこれ」

研究員と思われる白衣を着た男と幼い子供達が重なるように死んでいる。
部屋の中はいたるところに血が飛び散り赤黒い色をしている。

ステラ「あ…ああ…」

ステラは顔が青ざめ、身体を震わせ、膝をつく。

シン「ステラ!?」

ステラ「あ…ああ…!!ううっ……ああああっ!!」

身体を震わせたステラがうずくまり、叫び始めた。

ナオト「どうしたの!?」

アレックス「シン、彼女を外に」

シン「は、はい…」

シンはステラを外に運び出させる。
アレックスはそれを見届けると、周囲を見回す。

アレックス「本当に酷いな、これは。ステラじゃなくてもおかしくなりそうだ…」

アーサー「これは、一体……っ。何なんですかっ!?ここはっ!!」

堪え切れないと言わんばかりに副長が叫んだ。
その表情は今にも泣きだすんじゃないかってくらいに歪められていた。

ナオト「ん?あれは…」

入った部屋は先ほどと同様に戦闘跡といくつもの死体。
ちょうどこの部屋は中央制御室のようで、アレックスはコンピュータを起動させる。

ナオト「生きているね……」

いくつものデータが流れ出し、この研究施設の主要研究データを引き出した。

アレックス「これは」

エクステンデッド。
精神操作を中心とした強化人間。
アレックスはその中に前大戦時で交戦した地球軍の新型機パイロットの名前も見つけた。
尤も、彼は薬物投与を中心とした強化人間、ブーステッドマンだったが。
中にはステラの名前もあった。
ステラはこの施設出身の人間のようだ。
あのナチュラルにはない驚異的な戦闘能力は人為的に生み出されたものだということだ。
更なる情報をと思い、操作を続けたアレックスだったが、それは唐突に途切れた。

ナオト「……どうやらここは証拠隠滅のために破棄されたようだね」

アレックス「そのようだな。データも最新のものから消去されているが途中で断念したんだろう」

重要性の高いものから消されている。

アレックス「…この施設の出資元は、ブルーコスモスか…。“青き清浄なる世界のために”、コーディネーターを殺すためならいくらでも子供を殺して改造するのはいいんだな……」

ナオト「…最低……!!ステラはこんな所にいたんだ…」

ナオトが吐き捨てた時、突然施設を衝撃が襲った。

タリア「この揺れは、誰かが攻撃しているわ」

アーサー「えっ、えぇ~!?破棄された施設ですよね!?」

アーサーの叫びも尤もだ。
わざわざ破棄された施設を攻撃する意味が分からない。
アレックスも、ナオトも困惑した表情だが、とりあえずは避難をしなくては生き埋めになってしまう。
データディスクを回収しアレックス達は入口へと向かった。









































入口まで戻ってきたアレックスの視界に映ったものは思いもかけない機体の姿だった。

ナオト「アビス!?」

アレックス「どうしてアビスがここに!?」

タリア「ナオト、アレックス。ストライクとセイバーの出撃許可します」

ナオト「分かりました!!」

施設入口に止めておいたストライクEとセイバーに乗り込み、起動させる。

アレックス「ナオト、もし施設の破壊が目的なら何か特殊な装備を持っているかもしれない。爆散させずに倒すんだ」

ナオト「了解」

アビスが単機で来た。
カオスや指揮官機のウィンダムと連携されれば厄介だが、アビス単独なら手こずる相手ではない。
アナザートライアルランチャーストライカー装備のストライクEは320mm超高インパルス砲アグニを構え、アビスに向かって放つ。
アビスは跳躍してかわすが、アレックスは後方からセイバーのグリフォン2ビームブレイドを展開し、右肩のシールドを両断する。
ストライクEはアナザートライアルソードストライカーのパンツァーアイゼンからマイダスメッサーを抜き、出力を調整してビームサーベルのようにする。バーニアを吹かして、一気に接近して左腕を切り落とし、コクピットにとどめの一撃を喰らわせた。
無論爆散させないように。
ストライクEとセイバーもアビスが動かないことを確認し傍へ降りた。

ナオト「どんなパイロットが…乗ってるのかな…?」

アレックス「開けるぞ」

アレックスがコックピットを開け、外部の光が中へと差し込む。

ナオト「あっ……この子は…」

アレックス「データにあったエクステンデッド…?」

グリップを握り、気を失っているパイロットの姿は水色の髪の少年だった。 
 

 
後書き
ステラとガイアが連合にいないのでアウルとアビスがロドニアに向かい、返り討ちに遭いました。
 

 

第二十話 母親

 
前書き
アウルとアビスを撃墜し、パイロットとアビスはミネルバへと。 

 
ミネルバへ帰ってきたルナマリアは、ハイネの部屋に行き、ハイネに街で買った見舞いの品を渡す。

ルナマリア「これ、お見舞いです」

ハイネ「お、サンキュー」

ルナマリア「ハイネさん、一体何なの?この暗い雰囲気」

ハイネ「ん?ああ、何でもロドニアに連合が使ってたらしい施設があったんだ。連合のエクステンデッド、ルナマリアも知ってるだろ?遺伝子操作を忌み嫌う連合、ブルーコスモスが薬やその他の様々な手段を使って作り上げている生きた兵器。戦うためだけの人間…ステラみたいにな…そこはその実験、製造施設だったんだ。内乱があったらしくてな。子供の死体がごろごろしてた。レイもステラも体調崩しちまったぐらいだ。まあ、今は復調したみたいだが」

ルナマリア「レイとステラが!?でも、コーディネイターは自然に逆らった間違った存在とか言っておきながら、そう言うのはいいって言うの連合は?おかしくないないですか?」

ハイネ「有り…なんだろうな。少なくてもブルーコスモスやロゴスの連中らはそう思ってるんだろうぜ。負けられないな、そんな奴らには」

ルナマリア「はい。」

ハイネ「あ、それとエクステンデットが1人、保護された」

ルナマリア「え?」

ハイネ「ああ、今は医務室で寝ているよ。アビスのパイロットだ。アビスも取り戻したぜ」

ルナマリア「施設の中にいたんですか?」

ハイネ「いや、何だか知らんがたった1機で来たんだ。施設を破壊する特殊な装備を持っていたかもしれなかったからな、ナオトとアレックスで何とか爆散させずに取り押さえた」

ルナマリア「…それって危なくないんですか?」

ハイネ「それがな、やっぱり記憶とか精神とか弄られてるっぽいな。意識を取り戻したら“母さんを守るんだ”とか“母さんが死んじゃう”とか言って暴れたが、艦長を見ると、“母さん!!”とか言って抱きついてな。艦長があやしたら、大人しくなってな。多分、母親に似てたんじゃないのか?それとも母親の姿が艦長と被ったか…」

ルナマリア「そうなんだ……艦長は今はどこに?」

ハイネ「艦長室で休んでいるよ。見舞いの品、サンキューな」

ルナマリア「いえ、ハイネさんも早く元気になってくださいね。」

ハイネ「おうよ。お前らだけに任せられないからな。早く代機が来ればいいんだがな」






































そして艦長室に今までの記録が入ったデータディスクを渡す。

ルナマリア「指示されたものです。ご報告が遅れて申し訳ありませんでした」

タリア「いいのよ。騒ぎばかりあって、私もとてもそんな状況じゃなかったもの。悪かったわね、スパイみたいな真似をさせて」

ルナマリア「いえ、艦長もFAITHというお立場ですので。その辺りのことは理解しているつもりです」

タリア「ふふ…」

ルナマリア「でもあの……」

タリア「え?」

ルナマリア「出来ましたら少し質問をお許し頂けますでしょうか?」

タリア「当然の思いよね。いいわよ、答えられるものには答えましょう」

ルナマリア「ありがとうございます。アレックスさん…いえ、アスラン・ザラが先の戦争終盤ではザフトを脱走し、やはり地球軍を脱走したAAと共に両軍と戦ったというのは既に知られている話です」

タリア「ええ、そうね。記憶を取り戻した本人もそのことを隠そうとはしないわ」

ルナマリア「ですが、今回のことは…あの、そんな彼に何かの嫌疑がある、ということなのでしょうか?私達は議長に特に信任されている方ということでその指示にも従っています。ですがそれがもし……」

タリア「そういうことではないわ、ルナマリア」

ルナマリアの言葉を遮るように言うタリアにルナマリアは内心首を傾げた。

ルナマリア「え……?」

タリア「あなたがそう思ってしまうのも無理はないけど、今回に関しては目的はおそらくAAのことだけよ」

ルナマリア「あ……」

タリア「彼が実に真面目で正義感溢れる良い人間だということは私も疑ってないわ。スパイであるとか裏切るとかそういうことはないでしょう。そんな風には誰も思ってないでしょうし」

ルナマリア「はい!!会話を聞いた限りでは、そんな様子は一向に見られませんでした!!」

タリア「でも今のあの、AAの方はどうかしらね?」

ルナマリア「あ……」

タリア「確かに前の大戦の時にはラクス・クラインと共に暴走する両軍と戦って戦争を止めた艦だけど。でも今は?オーブが連合の陣営に入ろうとしたら突然現れて国家元首を攫い、そして先日のあれでしょ?」

ルナマリア「はい」

タリア「何を考えて何をしようとしているのか全く分からない。どうしたって今知りたいのはそれでしょう」

ルナマリア「はい」

タリア「アレックスもそう言って艦を離れたのだけれど。でも彼はまだあの艦のクルーのことを信じているわ。オーブのことも。本当は戦いたくはないんでしょう」

ルナマリア「ああ……」

タリア「だからそういうことだと思っておいてもらいたいんだけど。いい?」

ルナマリア「あ…はい。でしたら私もあの……」

タリア「とにかくご苦労様。この件はこれで終了よ。いいわね?」

ルナマリア「はい」

タリア「モニターしていた内容もこの部屋を出たら忘れてしまって頂戴」

ルナマリア「はい、失礼します」

ルナマリアは敬礼すると部屋を後にした。

タリア「ふう…」

タリアは目を閉じて、かつて、ディオキアでした会話を思い出す。



































デュランダル『タリア』

タリア『何?』

呼ばれる自分の名前。
公私を区別していながらも時に公の場で議長はその呼称を使って呼びかけ、自分をよく困惑に落としたけれど。
今はただ、以前と同じではないけれど同じように答えて。

デュランダル『君は私に子供が欲しいと言ったが…』

確かに言った。
それで授かった子がいるから、それを後悔することはないけれど。
プラントのルールを、自分達にはどうしようもない遺伝子を、彼は何度も呪ってしまった。
あれは、本気の恋だった。
彼も自分も、偽りなく本気の恋だった。
差し出した手を握り、離した瞬間に終わってしまう恋ではなかった。
彼は誇らしげに、きっとギルバート・デュランダルを知る多くの人は見たことがないだろう。
彼等を除いて。
彼のその子供じみたとも言えそうな、誇らしげな顔。

デュランダル『私にも、子供がいるのだよ』

彼の孤独を彼等が癒してくれた。

デュランダル『3人もいてね。レイとナオト、アレックスと言って、皆とてもいい子達なんだ』

夜景に金色が映える。
何て意地の悪い人だろう。
それは自分へのあてつけだろうか?





































タリア「ええそうね、とても良い子達だわ、本当に」

羨ましくて少し妬けるぐらい。
自分は彼を選べずに同じ道を歩めなかったけれど、それでも彼は幸せだったのだ。
長い長い時間を、彼と共有出来なかった自分の代わりなどではなかったのだろう、少年と少女。
彼はあの子達だけが受け止めることの出来る愛情を、注いだのだろう。
誰の代わりでもなく。
アレックスもレイもナオトも彼にとって大事な息子と娘なのだから…。
ふと、自分を母と呼んだ連合のエクステンデッドの少年の姿が思い浮かんだ。
タリアは自嘲するように呟いた。

タリア「あの子に情が移っちゃったかな…?あんな大きい子供がいるような歳でもないけれど……あなたもこんな気持ちだったの?ギルバート……」

タリアはかつての恋人の名前を呟きながら艦長室を後にする。目指すは医務室。







































アレックスが談話室に向かおうと通路を歩いていた時。

ナオト「あ、アレックス!!」

ナオトは声を上げるとアレックスに走り寄った。

アレックス「ああ、ナオトか。どうしたんだ?」

ナオト「うん、ちょっとね……」

アレックス「そうか」

沈黙が2人を包んだまま、2人は歩き出す。

ナオト「ねぇ……」

歩いていたナオトがぽつりと言った。

アレックス「ん?何だナオト?」

ナオト「アレックス…、離れないよね?ずっと…一緒だよね?」

アレックス「え…?…さあ、どうなるかな。上が異動しろって言えば異動しなければならないし……」

ナオト「……AAに、行ったりしないよね?」

ナオトは勇気を振り絞ってアレックスに尋ねた。

アレックス「……」

アレックスは一瞬目を見開いたが、次の瞬間微笑んだ。

アレックス「俺は……ザフトのアレックス・ディノだ。大丈夫…ずっと一緒だナオト。」

ナオト「アレックス…ふふ。嬉しい」

それを聞いたナオトは嬉しそうにそっとアレックスに肩を寄せた。




































クレア「ミネルバに配属されたクレア・トワイライトです。機体はデスティニーインパルスです。よろしくお願いします」

アレックス「ああ、昨日はゴタゴタしてたからまともな挨拶も出来なかったな。アレックス・ディノだ。よろしくクレア」

クレア「はい。」

アレックスとクレアは握手をし、そのまま会話をするのだった。











































艦長が医務室に入るとアウルがベッドから起き上がる。

アウル「母さん!!」

アウルは艦長に抱き着き、艦長もアウルの頭を撫でる。

タリア「……何とかなるのね?」

「ええ。ステラ・ルーシェのデータが使えますし、彼女が服用している中和剤もありますから、早期の治療が可能です。後、艦長の存在がありがたいですな。エクステンデッドは投薬より精神操作等を中心として強化された者なので。このようにちょくちょく顔を出していただけると、精神的、容体的にかなりの落ち着きを見せます」

タリア「……では、措置は今まで通り続けて頂戴」

「分かりました」

タリア「アウル、大人しくしてて頂戴ね?」

アウル「うん」

艦長は医務室を後にすると再び艦長室に。
ミネルバはディオキアを出航、ボスポラス海峡を抜けマルマラ海を南下、ダーダネルス海峡を抜けエーゲ海に出て、ジブラルタルに向かうことにした。










































現在の登場人物

アレックス・ディノ

この作品の主人公の1人。
本名は知っての通り、アスラン・ザラ。
オーブの軍人達による私刑により防衛本能が働いて記憶喪失になっていたが、ハイネのグフイグナイテッドがカオスに撃墜されたことにより、過去の記憶が蘇る。
過去の記憶と現在の人格が融合したが、基本的な人格はアレックス・ディノ。
変に悩まない分、原作のアスランより強い。
カガリとは完全に破局している。
ちなみにお相手のナオトとは両片想いの状態。
搭乗機はセイバーガンダム

シン・アスカ

原作の機動戦士ガンダムSEEDDESTINYの主人公にしてこの作品の主人公の一人。
原作同様、オーブとアスハ家は嫌ってはいるが原作程ではない。
アスランとは原作とは違い、最初から仲間であり、ちゃんとアスランが先輩?をしているため、仲は良好。
アスランとナオトからの地獄の訓練を経て、現時点の実力は原作におけるエンジェルダウン作戦時(フリーダムに武装を破壊されたのは、フリーダムと初交戦であるためとガイアの武装が破壊されたために注意力が散漫していたため。)のもの。
ステラとは恋人というには少し曖昧な関係。
ただ互いに互いを必要としている。
搭乗機はインパルスガンダム

ナオト・フジワラ

この作品のオリジナルキャラにしてヒロインの一人。
女性でありながらFAITHの称号を得る程の実力者だが、フリーダムには敵わなかった(フリーダムは核エンジン搭載で、ストライクEがバッテリー機であり、キラがスーパーコーディネーターであるため当然といえば当然)。
しかしそれでも充分パイロットとしての実力は高い。
アスランとは両片想いであるためシン達は二人をくっつけようと作戦を練っているとか。
搭乗機はストライクE

ステラ・ルーシェ

この作品のヒロインの一人。
原作では悲劇の死を遂げたが、この作品では死亡フラグを(アスランが)へし折った。
エクステンデッドであるため、ナチュラルとは思えない高い能力を持つが、精神操作を主としていたために薬物投与による強化が中心のブーステッドマンには劣る。
現在は義勇兵としてミネルバのガイアのMSパイロットに。
身体に投与された薬物の中和剤を服用しつつ、シン達と共に戦っている。
シンとは恋人と言えるかは曖昧な関係。
本人曰く“シンといると胸がドキドキする”とのこと
“アレックスとナオトをくっつけ隊”の会員の一人。
搭乗機はガイアガンダム

レイ・ザ・バレル

ラウ・ル・クルーゼと同じクローン人間であるが、詳細は不明。
ラウと同じくクローン故にテロメアが短く、残り短い命だが幼なじみであり姉のようなナオトと兄のようなアスラン。
そしてアカデミーで同年代の友人に恵まれたためか世界を滅ぼすのではなくデュランダル議長が望む新しい世界を作るために戦っている。
ちなみに“アレックスとナオトをくっつけ隊”の隊長が彼だという噂が…。
ちなみに副隊長がシンという噂も…。
更に噂によると議長も関わっているらしい…。
搭乗機はグフイグナイテッド

ルナマリア・ホーク

原作機動戦士ガンダムSEEDDESTINYのヒロインだが、この作品ではステラの生存によりヒロインフラグが粉砕され、ヒロインから降格した。
アカデミー時代から誤射をしまくったために、周囲から誤射マリアという有り難くない二つ名を頂戴した。
その代わりに格闘の能力はシンやナオトと比べても遜色が無いくらい高く、ガナーよりスラッシュウィザードを装備させたザクの方が圧倒的に強い。
しかし他が空戦が可能なのに対し、ザクが空戦不可のために他のメンバーと比べて影が薄い。
本人はグフかバビを回して欲しいとのことだが、アスラン達によって当然の如く却下された。
“アレックスとナオトをくっつけ隊”の会員の一人。
搭乗機はザクファントム

ハイネ・ヴェステンフルス

第2次ヤキン・ドゥーエ攻防戦に参加したザフトのエースパイロットで、FAITHに任命されている。
ナオトとは腐れ縁。
パーソナルカラーはオレンジで、ザクファントムやグフイグナイテッドにもオレンジ色に塗ってしまう程。
明るくざっくばらんな性格で、細かいことは気にしない主義。
しかしその一方で“戦争”というものは何なのかを理解しており、時には割り切ることも必要と考えている。
ナオトのストライクEを庇い、機体は大破したが、悪運の強さが幸いし、生き延びている。
現在は代機の申請中。

アーサー・トライン

ミネルバ艦内でおろおろしてる場面ばかりが目立つ副官。
何かと驚いては艦長に突っ込まれるのがミネルバでの基本スタイル。
ミーアの慰問ライブでノリノリだったり、ロドニアの強化人間研究所に入った際に超驚いていたりと、ザフト一のリアクションを見せるがそんな彼でもいざという時との指揮は的確である。
ちなみに趣味はエロゲでルナマリアやナオト、メイリンに見つかった際には問答無用で破壊される。
最近ではステラの情緒教育に悪いということでシンからも破壊されるらしい。
一部のミネルバクルーからはエロゲ王、エロゲ勇者、エロゲ魔人の愛称で呼ばれているらしい。

タリア・グラディス

ザフト新造艦ミネルバの艦長。
新米が殆どのミネルバでは、ベテランらしい落ち着きと決断力を持ち、胆力共に優れている。
ユニウスセブン破砕作業後、FAITHに任命されるが、ガルナハン攻略など艦長として奮闘する日々に変わりはない。
最近の悩みの種はアーサーの頼りなさらしい。
アウルに対して情が移ったことに自嘲している。

 
 

 
後書き
ステラに続いてアウル生存。
アレックスとナオト、微妙に進展?
 

 

desire 1 花見

 
前書き
桜の花が綺麗なので息抜きを兼ねて書きました。
パラレル話ですね。
アレックスとナオト、シンとステラが恋人設定。
一応レイ←クレア。 

 
舞い散る桜の山道を進む賑やかな一団がいた。

アーサー「花見だ!!桜だ弁当だ酒…酒だーーーっ!!!!」

レイ「何をわけの分からないことを…それから俺達の大半は地球では未成年です。20歳に満たない者の飲酒は法律で禁止されています。」

クレア「後、うるさいよ」

シン「本当に副長はステラの教育に悪いな。艦長、お願いします」

タリア「ええ、艦長である私の前で飲酒を仄めかす発言をするなど言語道断。ミネルバに戻り次第、あなたはトイレ掃除三回よ。」

アーサー「フォンドゥヴァオゥ!!?」

ステラ「副長、面白い…」

ルナマリア「ステラ、あんなのになっちゃ駄目よ。あれは駄目人間の典型なんだから。」

ハイネ「きっついな~」

その集団を中心に、辺り一面に笑い声が響き渡る。

ナオト「副長って馬鹿だよね。何であれでミネルバの副長に選ばれたんだろ?」

アレックス「おいおい、そう邪険にしてやるな。それが副長のいいところでもある。」

シン「まあ、確かにそうですね。これで趣味がアレじゃなければ…」

シンが溜め息を吐きながら呟いた。












































そして宴は賑やか楽しげに、かつ派手に行われた。

アーサー「はーっはっはっは!!皆して俺を馬鹿にして…俺は副長なんだよ馬鹿やろおおおおおおお!!!!」

レイ「………」

でかい声を上げるアーサーの隣で、耳栓を着けながら無言で卵焼きを口にするレイ。

クレア「…あ、このミートボール美味しい」

耳栓をつけ、アーサーの存在を無視してミートボールを咀嚼するクレア。

ステラ「……うるさい」

ボソリと呟くステラ。

シン「そうだね。よし、今はオフだから殴ろう」

シンが叫び続けるアーサーに近づき、殴り飛ばす。

アーサー「フォンドゥヴァオゥ!!!!」

殴り飛ばされたアーサーは見事な放物線を描いて吹き飛ばされた。

ナオト「おお!!」

アレックス「見事な放物線だな」

シン「ところでステラ、さっきから気になってたんだけどそれって何?」

アーサーを殴り飛ばし、桜の下に一緒に座って一息吐いたシンはステラの隣に置いてある荷物を見ながら尋ねる。
ミネルバを出る時から何なのか気に掛かっていたがステラは微笑むだけで教えてくれなかったそれ。
それを聞かれたステラはまた微笑んだ。

ステラ「お弁当…だよ」

シン「え?」

彼女がゆっくりとその荷物を広げると中には可愛らしい弁当箱と水筒に入ったお茶。
そのことだけでも驚いたシンだったが、箱の中身に更に紅い瞳を瞬かせた。

シン「凄い…」

シンの瞳に映ったのは卵サンド、それから唐揚げに卵焼き、たこの様に模られたウインナーとデザートにフルーツも入っていた。

ステラ「ナオトに教えてもらった…あんまり、上手に…出来なかったけど…シン食べてくれる?」

感動で何にも言えないシンにステラは不安そうに呟く。

シン「も、もちろんだよ!!これステラが全部作ったの?」

ステラ「…うん」

頷くステラを見れば彼女の白く細い指先は所々傷が残っている。
きっと、料理中にそうなったのだろう。
自分のために…。
シンはそのことを幸せに思いながらもあえて触れずに彼女に笑いかけた。

シン「いただきます」

ステラ「うん…」

シンが手に取ったのはサンドイッチ。
ステラの期待と不安の入り混じった眼差しを受けながらそれを口に運んだ。

シン「ん、美味しい…」

ステラ「本当?」

シン「うんっ、凄く美味しいよ!!」

未だ不安げなステラの前でシンはそのサンドイッチを一気に平らげた。
その表情にステラにも笑顔が戻る。

ステラ「じゃあ、今度はステラが…食べさせてあげるね?はい、シン。あ~ん」

シン「え?ええええ!?」

さっきまでの和やかな空気はどこへやら。
おもむろにステラがフォークでウインナーを自分の口元へと近付け“あ~ん”とするこの光景にシンは顔を真っ赤にした。

ヴィーノ「あ~、いいなあシンばっかり」

ヨウラン「赤服でエースパイロットで可愛い彼女持ち!!この人生の勝利者めええええええ!!!!」

ヴィーノはからかうように、ヨウランは嫉妬全開で叫んだ。

レイ「……………」

耳栓着けながら黙々とサンドイッチを口に運ぶレイ。

クレア「……」

耳栓つけながらお茶を飲むクレア。

ルナマリア「シン!!男を見せなさいよ情けないわね!!」

シン「うるさい!!」

ハイネ「新曲、行くぜ!!vestige-ヴェスティージ-!!」






































酔い、日頃の鬱憤を晴らすかのように絶叫するアーサー。
終始変わらぬ表情で黙々と箸を進めるレイ。
ちゃっかりレイの隣に陣取り、しきたりのままに舞い桜を見つめるクレア。
周囲からのからかいに頭を抱えるシン。
今だにシンにあ~んをしようとしているステラ。
滝の如き涙を流しながら叫ぶヨウラン。
友人の恋模様を見守りながらからかうヴィーノ。
マイクを片手に歌うハイネ。
あそこだけ異様にド派手なのはなんでだ?

ナオト「こりゃあ収集つかないね。ね、アレックス…?」

ナオトはアレックスの変化に気づき、首を傾げる。

ナオト「どうしたの?悩み事?」

アレックス「ん?いや…ナオト。実は俺は桜はあまり好きじゃないんだ。いや、綺麗だとは俺も思う。満開に咲いて…それなのにすぐ散ってしまう。実際この桜もハイネが見つけなければ、どうなっていただろうな?きっと誰にも気づかれないで…」

この桜はハイネが哨戒任務中で偶然発見したのだ。
もしハイネが発見しなければ誰にも気づかれずに散っていたに違いない。

ナオト「…アレックス、一緒に散歩しない?」

アレックス「え?」

ナオト「いいでしょ?」

アレックス「あ、ああ…分かった。行こう」

アレックスとナオトは立ち上がるとその場から離れた。
喧騒の中、レイとルナマリアとクレアはそれに気づいていたが、無粋な真似はすまいと、自身の花見を満喫する。



































アレックス「…やっぱり、シンとステラは仲がいいな。何か完敗、いや乾杯したい気分だ…俺達もああいう風に仲良くやれたら…」

ナオト「別にいいじゃない。シンとステラの恋と私達の恋は違うんだから、私達は私達の恋をってね」

アレックス「…そうだな」

舞い散る桜を見つめながらアレックスとナオトは歩き続けた。












































おまけ

アレックス「で?何でいつの間にギルがここにいるんだ?」

ナオト「知らないよ。私に聞かないで」

そう。
何故が議長がここにいるのだ。
仕事はどうしたのだろうか?

タリア「さて、そろそろ港に帰るわよ。明日からはまた厳しい職務の連続…キャア!?」

シン「艦長!?」

やはり相当酔っていたのだろう。
踵を返そうとした瞬間、がくりとバランスを崩した。
酔い潰れたアーサーを投げ捨てたシンが駆け寄ろうとするが間に合わない。
しかし彼女は倒れなかった。
議長が彼女を抱き留めたから。

タリア「ぎ、議長…お手を…」

デュランダル「構わんさ、タリア。今日は随分と呑んでいたからね。たまには君も私を頼ってくれたまえ」

ナオト「わあ」

議長は艦長を抱き抱え、そのまま悠然と歩きだした。
艦長は最初は何やら言っていたが次第に沈黙した。

デュランダル「総員ご苦労。これより帰還する」

全員【了解!!】

花見を楽しんだ一団が歩きだした。
明日からの厳しい職務に表情を引き締めながら。















































おまけ

ヴィーノ「あれ?何か俺達、何か忘れてるような…」

酔い潰れたヨウランを背負いながらヴィーノが首を傾げながら言う。

ハイネ「ん?お前もそう思うか?実は俺も何か忘れてるような…呑みすぎたか?」

メイリン「気のせいじゃないですか?」

クレア「全員いるよね?」

ステラ「……副長」

全員【え?】

ステラ「副長が…いない」

シン「へ?あ、俺が投げ捨てたんだった」

全員【あ~、忘れてたよ】

忘れ去られ、放置されていた酔い潰れたアーサーであった。
多分明日には回収される……と思う。 
 

 
後書き
花見話ですね。
アーサーはギャグでは扱いやすいですね 

 

第二十一話 譲れない想い

 
前書き
ジブラルタルに向かうミネルバ。
しかし、ミネルバは再び、連合、オーブ軍とぶつかることに。
 

 
ジブラルタルに向かう最中、突然のアラームにアレックス達は一瞬顔を合わせ、すぐさまパイロットスーツに着替えるべく更衣室に向かった。

メイリン『コンディションレッド発令、パイロットは発進準備に入ってください』

メイリンの緊迫した声がミネルバ艦内に響き渡る。
敵は分かっていた。
オーブ、地球連合艦隊だろう。
連合艦隊は圧倒的な戦力差があったにも関わらず、フリーダムとオーブ首長国代表というイレギュラーな存在とザフトレッドの底力というべきか。
決着をつけるどころか撤退という形を取らざるを得ない状況に追い込まれた。
上層部がそんな撤退を許すはずがない。
アレックス達は近いうちに再び相対するだろうとは思っていた。
何せこっちはザフトの新艦なのだ。討ち落とせば勲章ものだ。


































パイロットスーツを着て、MSデッキに向かうシン達。

シン「網を張られてたのかよ…」

レイ「そのようだ。どうしてもミネルバを討ちたいらしい」

ルナマリア「毎度毎度、人気者は辛いわね…」

ルナマリアが愚痴るように言うとクレアが口を開く。

クレア「何言ってんの?僕もいるんだから大丈夫だよ」

シン「すぐガス欠を起こす機体で何言ってんだよ?」

クレア「うっさい!!」

ステラ「…喧嘩、駄目……」

シンとクレアの喧嘩をステラが仲裁する。

ナオト「シン」

シン「何ですか?」

ナオト「シンは指揮のノウハウはある程度知ってるよね?」

シン「え?はい。アカデミーで習いましたけど。」

ナオト「じゃあ、シン。今回の戦闘の指揮、やれるよね?」

シン、クレア「「ええ!?」」

ナオトの爆弾発言にシン、クレアが驚愕。
ルナマリアとレイも意外そうにナオトを見ている。
当然納得出来ないのもいるわけで。

クレア「ま、待ってくださいよフジワラ副隊長!!」

ナオト「呼び捨て」

クレア「…ナオト、シンに戦闘指揮なんて出来るわけないよ。考えるより身体が動くタイプなんだもん」

ステラ「…そんなことない」

クレア「君はアカデミー時代のシンを知らないからそう言えんの」

ナオト「でも、それを言ったら君だってアカデミー卒業後のシンのことは知らないでしょ?」

クレア「それは…」

ナオト「大丈夫。私やアレックスが戦闘指揮を取るようになったなんてシンと同い年の頃だし。シンは今が一番伸びる時期だからね。シン、やってくれる?アレックスとも相談して決めたんだ」

アレックスもナオトも自分を信頼してくれている。
だからこそ今回の戦闘指揮を自分に任せてくれたのだ。
2人の信頼に応えなくては。

シン「…分かりました。」

クレア「大丈夫かなあ?」

ルナマリア「シン、指揮の腕前を見せてもらうわよ」

ステラ「シン…頑張って」

シン「ああ」

全員が搭乗機に乗り込むと出撃する。

シン「シン・アスカ、コアスプレンダー。行きます!!」

アレックス「アレックス・ディノ、セイバー。出る!!」

ステラ「ステラ・ルーシェ、ガイア。行くよ」

ナオト「ナオト・フジワラ、ストライク。出るよ!!」

クレア「クレア・トワイライト、コアスプレンダー。行くよ!!」

レイ「レイ・ザ・バレル、グフ。発進する!!」

ルナマリア「ルナマリア・ホーク、ザク。出るわよ!!」

インパルス、セイバー、ガイア、ストライクE、デスティニーインパルス、グフ、ザクの順で出撃する。
因みにルナマリアのザクは他の機体に遅れないように出力を強化したグゥルに乗っての出撃だ。

タリア『シン、アレックス。』

シン「はい?」

アレックス「…?」

タリア『もし、前回のように彼らが現れたら…頼んだわよ』

もしAAとフリーダムが現れたら、シンかアレックスに抑えて欲しいのだろう。
アレックスと今のシンならもしかしてフリーダムを墜とせるのではないかとも艦長は思っている。

アレックス「はい…」

シン「大丈夫、前のようにやられたりしませんよ。いいか!?今回の目的はあくまで敵包囲網の突破だ!!無用な戦闘は極力避けるんだ!!」

アレックス「了解した!!」

ナオト「OK、了解!!」

ルナマリア「了解!!」

レイ「了解」

ステラ「うん、じゃなくて…了解」

クレア「………」

シン「どうしたクレア?」

クレア「え?あ、何でもない…了解。」

シンがオーブを憎んでいることを知っているクレアはシンの指示に目を見開くが、シンに尋ねられ、慌てて答える。

クレア「(丸くなったのかな…。でも敵がいるのに討たないなんて…)」

クレアはシンの指示に不満そうにしながらもライフルを向け、アストレイを撃墜する。
周りを見るとセイバーもストライクEもグフもガイアもザクも反撃は必要以上の攻撃はしていない。
1機のダガーがデスティニーインパルスに背を向けて逃走しようとするが、デスティニーインパルスのビームブーメランを投擲し、ダガーを真っ二つにする。

シン「おいクレア!!逃げる奴は攻撃するな!!無用な戦闘はするなって言っただろ!!」

シンのその言い方にカチンときたのか元々シンに対して沸点が低いクレアは声を荒げる。

クレア「うるさいな!!目の前の敵を討って何が悪いの!?そんな生温いやり方じゃあ、あいつらを付け上がらせるだけだよ!!」

シン「だからって命令違反をするな!!俺の言うことを聞け!!」

クレア「何さ!!FAITHの2人に気に入られてるからって調子に乗っちゃって!!」

シン「何だと!?」

クレア「こんな奴ら、僕が全滅させてやる!!」

シン「あ、おい!!」

デスティニーインパルスは翼を広げ、一気に敵MS隊に突っ込んでいく。

アレックス「待て!!クレア!!」

シン達もデスティニーインパルスの援護をするために前に出る。
デスティニーインパルスは非常に燃費が悪い機体だ。
このまま放置していてはエネルギー切れを起こして撃墜される可能性が高い。

シン「あいつ…」

ステラ「クレア…シン嫌い?」

レイ「元々あいつらは犬猿の仲だからな。顔を合わせるだけで喧嘩することも多々あった。そんなシンがFAITHであるアレックスやナオトに認められ、指揮を任されたことに嫉妬しているのだろう。それよりシン」

シン「ん?」

ルナマリア「何か敵の動きが変よ?積極的に攻撃してこないというか…」

シン「何!?」

ルナマリアの言葉にシンは敵MS隊を見遣る。

シン「(確かに…撃って来ない。こっちが出れば退く…一定の距離を…)ん?敵機の中にムラサメがいない!?まさか!!?」

背後を見遣ればミネルバから遠く離されていた。

シン「しまった!!前の敵は囮か…MS隊全機転進!!ミネルバへ戻れ!!」

ナオト「罠!?」

クレア「え!?」

MS隊は直ぐさま転進し、ミネルバに向かう。

シン「(くそっ!!俺は何をしてるんだ!!こんな子供騙しの作戦に引っ掛かるなんて…こうなるなら強引にでも連れて戻ればよかった…!!)畜生!!」

ナオト「シン!!ミサイルが!!」

敵MS隊からミサイルが放たれる。

シン「くそ!!」

シンはライフルを向け、ミサイルを迎撃する。
敵MS隊がシン達を戻らせないように攻撃を仕掛ける。

クレア「この…っ、次から次へと…いい加減に…!!」

エクスカリバーを連結し、敵機を切り裂くデスティニーインパルス。
しかし次から次へと敵機は襲い掛かる。

クレア「しまった…エネルギーがもう…!!」

レイ「クレア!!」

デスティニーインパルスを狙おうとしたムラサメをレイのグフイがビームソードで切り裂いた。

クレア「レイ!!」

レイ「何をしている!!早くミネルバに戻れ!!」

クレア「で、でも…」

レイ「デュートリオンビームを受けてこい!!このままでは墜とされる!!」

クレア「…分かった」

デスティニーインパルスはミネルバに戻る。

クレア「ミネルバ!!デュートリオンビームを!!」

ミネルバにデュートリオンビームでのチャージを要請し、補給を終わらせる。
一瞬だけ無防備になるとはいえ、そもそも補給時は隙を曝させることになる以上、リスクが多少上がっても一瞬で補給できるデュートリオンビームは非常に便利な代物なのは変わりない。

シン「クレア!!ミネルバの後方からミサイルが来る!!迎撃を!!」

クレア「分かってる!!」

デスティニーインパルスのテレスコピックバレル延伸式ビーム砲塔をミサイルに向けるが、迎撃される前に上空からのビームに貫かれた。

クレア「え!?」

ナオト「奴が来た!!」

ステラ「フリーダム…」

カガリ『オーブ軍!ただちに戦闘を停止して軍を退け!!オーブはこんな戦いをしてはいけない!!これでは何も守れはしない!!地球軍の言いなりになるな!オーブの理念を思い出せ!!それなくして何のための軍か!あの艦を討つ理由がオーブのどこにある!!討ってはならない!!自身の敵ではないものをオーブは討ってはならない!!』

アレックス「カガリ…そんなことをしても無意味だというのがまだ分からないのか!!?」

ナオト「アレックス…」

クレア「フリーダム…!!」

クレアの手に力が入る。
父を殺した悪魔が今、目の前にいる。
フリーダムの姿を認識したシンは急いでクレアに視線を向ける。
クレアがフリーダムに憎しみを抱いているのは知っている。
クレアの父はヤキン戦でフリーダムに四肢と武装等を破壊され宇宙空間を漂い、酸欠で死んだのだ。
父親の仇であるフリーダムがいるということは…。

クレア「フリーダムッ!!!!」

デスティニーインパルスが翼を開き、凄まじい機動でフリーダムに向かう。

シン「っ、あの馬鹿!!」

フリーダムと曲がりなりにも戦った自分はフリーダムとそのパイロットの強さが分かる。
クレアとデスティニーインパルスも強いが、分が悪い。
デスティニーインパルスの性能はフリーダムを凌駕するが、燃費が悪すぎるために長期戦になれば負ける。

シン「っ、たく。世話が焼ける!!」

シンはインパルスのバーニアを吹かしてデスティニーインパルスの援護に向かう。

クレア「フリーダム!!父さんの仇!!」

キラ「え?仇……?」

クレアの言葉にキラは目を見開く。
棒立ちになるフリーダムにエクスカリバーを振り下ろすが、フリーダムは瞬時にビームサーベルを抜き、両腕を切り裂いた。

クレア「なっ!?この!!」

デスティニーインパルスの背部のビーム砲が放たれるがフリーダムには当たらない。

クレア「そんな!?」

キラ「お願いだから僕の邪魔をしないで」

クレア「…っ!!」

完全に舐められている。
クレアはそのことに歯ぎしりする。
あんなに訓練して、デスティニーインパルスを託されたのに、それでも全く通用しない。

シン「クレア!!」

インパルスがフリーダムにライフルを放つが、かわされ、フリーダムがビームサーベルでインパルスを切り裂こうとする。

クレア「危な…」

クレアが言い切る前にインパルスはそれを回避する。
自分が全く対応出来なかった攻撃を容易く回避したシンの技量に驚きを隠せなかった。

キラ「なっ!?」

フリーダムのパイロットからも驚愕したような声が聞こえた。
お返しとばかりにインパルスもビームサーベルを繰り出すがフリーダムはそれを回避する。
フリーダムはインパルスにビームライフルを向け、放つがインパルスはそれを回避しつつ接近する。

シン「いつもそうやってやれると思うな!!」

クレア「す、凄い…シン」

アカデミー時代は自分と大差なかった彼がフリーダムと互角の戦いを演じている。

キラ「どいてくれ!!僕達はこの戦闘を止めなきゃいけないんだ!!」

シン「止める?悪化させるの間違いだろう!!」

ライフルを放ち、フリーダムの左肩に掠らせる。

キラ「うっ…強い…?あの時とは全く違う…」

シン「人は成長するんだよ!!昨日の俺は、今日の俺じゃない…。俺はようやくアレックス達に追いつけたんだ!!」

キラ「それでも!!僕には守るものがあるんだ!!」

シン「守るものがあるのはこっちも同じだ!!舐めるなフリーダムッ!!!!」

インパルスとフリーダムがぶつかり合う。
全く互角の攻防だった。




































アレックス「ん?」

スティング「新型!!今日こそ墜としてやる!!」

緑色のウィンダムがセイバーに向かって来る。
ウィンダムはライフルをセイバーに向けて放って来る。
セイバーはそれを難無く回避する。
ウィンダムのジェットストライカーはリミッターが解除されているのか中々の機動だった。

アレックス「この操縦技術…カオスのパイロットか?」

ウィンダムの攻撃を回避しながらミネルバに向かうムラサメを墜とす。

スティング「野郎…俺のことは眼中に無いってか!!?」

ウィンダムの攻撃を回避しつつ、ムラサメ、アストレイを墜としていく。







































ナオト「数ばかりゴチャゴチャしてていい加減嫌になるんだけど!!」

アナザートライアルソードストライカーのパンツァーアイゼンを両腕に装備したストライクEがビームライフルショーティーの連射でムラサメを数機墜とす。
するとストライクEにストライクルージュが向かって来る。

カガリ「ナオト・フジワラアアアアア!!」

ナオト「ん?」

ストライクルージュがストライクEにビームサーベルで切り掛かるが、咄嗟にパンツァーアイゼンでビームサーベルを受け止める。

ナオト「いきなり何するの!?あなたに斬り掛かられる覚えなんてないんですけど!!?」

カガリ「アスランはっ!!アスランは私の物だああああ!!」

ナオト「はあ?」

何言ってるんだこの馬鹿姫は。
アレックスを物扱いしていることに腹が立ち、とりあえずストライクルージュを蹴り飛ばす。

カガリ「くっ、お前が現れるまでは全部上手く行っていたんだ!!お前さえいなかったら、私達はっ!!」

ナオト「……変わるものって、無いの。でもね、変わらないものも無いの…あなたがアレックスのことが好きなように私も…彼のことが好き。これだけは譲れない。」

カガリ「なっ!?」

ナオト「譲れないし、譲る気もないから!!」

ストライクEのバーニアを吹かして、一瞬でストライクルージュのエールパックを切り裂き、ストライクルージュは海に墜ちた。
それを見たオーブのMSがストライクEに向かって来る。

ナオト「アレックスを痛め付けてくれたオーブ軍…徹底的にぶちのめしてやる!!ミネルバ!!アナザートライアルソードストライカーを射出!!」







































アレックス「カガリ…」

ストライクEに墜とされたストライクルージュを見て僅かに胸が痛んだがそれだけ。

アレックス「(カガリのことは…本当に過去になってしまったんだな……)」

自嘲しながら内心で呟くアレックス。










































キラ「どいてくれ!!」

シン「どくわけないだろうが!!」

キラ「僕は撃ちたくないのに!!どうして僕の邪魔をして撃たせるんだよ!!?」

シン「最初に攻撃をしかけたのはあんただろ!!じゃあ何か?俺達に何の抵抗もしないで沈められろってのかよ!!撃ちたくないとかいいながらあんたは何なんだよ!!?」

キラ「どうして君は!」

シン「撃ちたくないってんならとっとと帰れよ!!俺達はあんたなんかに構っている暇なんか無いんだ!!」

キラ「分かるけど、君の言うことも分かるけど、でもカガリは、今泣いているんだ!!」

シン「はあ!?」

キラ「こんなことになるのが嫌で、今泣いているんだ!何故君にはカガリの気持ちが分からない!!なのにこの戦闘もこの犠牲も仕方がないことだって、全てオーブとカガリのせいだって、そう言って君は討つのか!!今カガリが守ろうとしているものを!!」

シン「アスハが泣いてる?みんな泣いてるんだよ!!アレックスもナオトもステラも…みんなみんな泣いてる…辛いのを必死に耐えてるんだ!!アスハだけが辛いわけじゃない!!」

キラの言葉を切り捨てるシン。

キラ「なら僕は君を討つ!!」

シン「あんたは俺が討つ!!」

フリーダムとインパルスが再びぶつかり合う。
キラは思った。
このインパルスの攻撃は手加減出来ない。
自分はまだ死ねない。
キラは無意識にインパルスの胴体を狙った。

シン「っ!!」

ふいに、シンを取り巻く世界が遅くなる。
フリーダムのまだほんの僅かな動き。
だが……。

シン「見える!!」

“種”が割れる。
咄嗟にインパルスの下半身を切り離す。
重量が軽くなったインパルスの上半身はフリーダムのビームサーベルを下にかわし、フリーダムの両腕を切り裂いた。

キラ「あ……?」

キラは呆然とした。
信じられなかった。
フリーダムが。
自分が負ける事など。

ステラ「シン!!」

ガイアが追撃とばかりにフリーダムにライフルを放つ。
フリーダムはそれをかわしながら撤退した。
いつの間にかAAもいなくなっていた。

クレア「っ………」

シン「………」

無言のクレアをシンは冷たく見つめていた。 
 

 
後書き
インパルスがフリーダムに勝利。
ちなみにルナマリアは無事ですよ 

 

第二十二話 叱責

 
前書き
クレタ沖で生き延びたミネルバ。
甚大な損害を受けたミネルバは…? 

 
戦闘を終え、ミネルバに帰還したシン達。
インパルスとセイバーを除いた機体は多少の損害はあったが修理出来ない程ではない。
フリーダムを撃墜寸前まで追い詰めたシンを褒め称えようとして、整備士達がインパルスの近くまで来たが、シンはそのまま俯いているクレアに近づくと彼女の頬を叩いた。

クレア「っ!!」

シン「馬鹿野郎!!どうして指示に従わなかったんだ!!お前が敵に突っ込んだせいで、ミネルバのみんなの命が危険にさらされたんだぞ!!」

クレア「…………」

シン「確かにお前は強いよ。でも何でも1人で出来ると思うなよ」

レイ「シン、そのくらいにしてやれ。彼女も反省しているだろう」

シン「ああ、今回は指揮官の俺の責任だからな。俺の力不足だ…。クレア、前にアレックスが言っていたことがある。力を持つならその力を自覚しろ。」

それだけ言うとシンはMSデッキを出ていった。


































あれから数週間後、ミネルバは現在クレタ島の港にてクレタ基地のザフト軍と合流し、補給に当たっていた。
とは言うものの、艦自体はまだまだ元の姿とは程遠い外観だが、今は艦の修復に手一杯のようだ。



































甲板に出ると、すでに日が傾き始め、辺りは夕陽に染まっていた。
クレアは手摺りを掴みながら空を見ていた。

レイ「クレア」

クレア「レイ…」

クレアが後ろを見遣るとそこにはレイがいた。

クレア「…何?レイまでお説教?」

レイ「…全く、お前はアカデミーの頃と変わらないな……突っ掛かるような言い方しか出来ない。まるでアレックス達と会うまでのシンのようだ……」

“シン”という単語を聞いた時、クレアは今まで気にしていたことを口にする。

クレア「レイ…」

レイ「何だ?」

クレア「シンが言っていた“力を持つ者なら、その力を自覚しろ”って…どういうこと?」

レイ「ふむ…」

クレアの問いにレイは顎に手を当て、しばらく考えると口を開いた。

レイ「クレア、俺達は何故軍から機体を預けられていると思う?」

レイは海を見つめたまま、クレアに問いかけた。

クレア「それは戦闘になった時に、戦うために……でしょ?」

武器がなければ、戦えない。
だからその武器を自分達は預けられている。

レイ「確かにそれもある。だが、ただ戦闘をするためだけではないんだ…MSには軍の力を見せ付けるという役割も担っている」

クレア「軍の力……?」

レイ「ああ。その力は弱すぎても、逆に強すぎてもだめなんだ。弱すぎれば、こちらがやられ、強すぎれば…ただの破壊になる可能性もある…。敵の戦意を失わせるのが目的なんだ、それ以上の力を振るえば、戦闘意思のない者までを殺してしまう。それは破壊者にすぎないだろう?」

クレア「……確かに、そうだね。僕達は破壊を楽しんで戦っているわけじゃない」

レイ「そうだな。お前は前の大戦で父親を失ったんだったな?」

クレア「…殺されたの、フリーダムに」

レイ「ああ…俺もお前の気持ちは分かる。俺もフリーダムを憎んでいるからな」

クレア「レイも…?」

レイ「俺には兄がいた。兄は人に恐れられたりもしていたが、俺には優しい兄だった。兄を殺したフリーダムを俺は許すことは出来ない。だからクレアの気持ちは理解出来るつもりだ」

クレア「レイ…」

レイ「クレア、ミーティングルームに行くぞ。議長が俺達に話があるらしい」

クレア「うん…レイ」

レイ「?」

クレア「…ありがと」

レイ「…ああ」

2人は甲板を離れ、ミーティングルームに向かう2人であった。













































ミーティングルームには既にシン達が来ていた。
他には艦長がモニター横の席に座っていた。

タリア「あなた達。そこに並んで頂戴。デュランダル議長からあなた達にお話があるそうよ。議長もお忙しい方だから30分しか時間は取れないけれど、心して聞きなさい」

アレックス達がモニターの前に並び、しばらく待っていると椅子に座ったデュランダル議長が映し出された。
アレックス達は敬礼する。

デュランダル『皆、クレタでの戦闘は非常に大変なものだったようだね。取り敢えずパイロットの君達が無事で何よりだ』

そう言うと議長はすぐに目を細めた。

デュランダル『しかしながら、死者も多数出た上にミネルバの損害も甚だしい。オーブ軍は相当数の戦力を先の戦いに注いだようだ。それだと言うのに君達は誰1人欠けることなく生き抜いた私は君達を誇らしく思うよ』

アレックス「ありがとうございます。」

デュランダル『それにしてもAAとフリーダム…彼らは一体何をしたいのかね?オーブの国家元首をさらい、ただ戦闘になると現れて、どこにも属さないという立場をいいことに好き勝手に敵を撃つ。確かに強いが、あくまで才能によるもので特に努力はしていない。不殺を貫いているようだが、ただの自己満足にすぎない。支離滅裂な言動を繰り返し、地味な主人公から主役の座を奪い、姉と恋人のスネをかじり、自分は働かずに引きこもる毎日。友人の婚約者を奪い、詰め寄られると“止めてよね”と逆ギレ。そして飛び出した、コズミック・イラ史上に残るあの極悪台詞。彼の台詞は友人の眼鏡を涙で濡らした。原作どころかOPやED、この作品にすら登場しない眼鏡だが、彼はきっと婚約者の遺影を見るたびに思うのだろう。キラがいなければ今頃は……と、この先ずっと』

ハイネ「(酷え…ボロクソじゃねえか…)」

シン「(そんなことすれば恨まれるよな普通…というか地味な主人公って俺のことか?)」

レイ「(眼鏡とは一体?誰だか知らんが哀れだ…)」

ルナマリア「(というか議長、ちょっと台詞が危ないですよ?)」

ステラ「(眼鏡って誰?)」

クレア「(会ったことないけど何か凄い同情出来るんだけど)」

アレックス「(キラ…お前という奴はラクスだけでは飽きたらず…というかギル…何故あなたがサイ・アーガイルを…?)」

ナオト「(誰だか知らないけどその眼鏡君可哀相…)」

ボロクソに言われている眼鏡ことキラの友人、サイ・アーガイルにシン達は思わず同情した。






































デュランダル『とにかく、新しい機体については一考するとしよう。向こうの被害もただならぬものだろうし、しばらく戦闘は無いだろう。ゆっくり休み給え』

全員【はい!!】

全員が敬礼した頃には時間は30分を経過しようとしていた。
艦長が通信を切る準備をしようとすると…。

デュランダル『艦長、君も本当によくやった。ご苦労様。』

そう艦長に微笑む議長の顔が映し出され、向こう側から回線は切られた。
しばらく部屋に沈黙が流れる。
しばらくして、艦長は端末に目を落としながら言った。

タリア「議長が仰られた通り、パイロットは全員これより休暇、休養とします。解散!!」

そう言うと艦長はミーティングルームから出ていった。

クレア「シン」

シン「ん?」

クレア「ごめん!!」

ミーティングルームを出ようとしたシンにクレアが駆け寄ると謝罪と同時に頭を下げた。

シン「は?」

クレア「命令無視して、挙げ句にフリーダムに挑んで迷惑かけて…」

シン「そのことかよ。反省してるんだろ?」

クレア「う、うん…」

シン「ならいいさ。反省してるなら次の戦闘で挽回して見せろよ、お前はデスティニーインパルスを託された優秀なパイロットなんだからな」

クレアに向かって笑いながらそう言うと、シンはクレアに背を向け、ミーティングルームを後にしようとする。

クレア「えっ!?」

優秀なパイロットと言われたクレアは驚き半分、嬉しさ半分といった様子だった。

シン「でなけりゃ、ただの無鉄砲の馬鹿だけどな」

そう言うと、悪戯な笑みを浮かべてシンはミーティングルームからいなくなる。
最後の一言がなければ、完璧だったと思うけれど。
やはりクレアはシンの去っていったドアを睨んでいた。
どこかしら、前とは違う雰囲気で……。


































そして、パイロット達は残された時間を無駄にしないように訓練をしていた。
主にクレアの技量向上になっているが。

クレア「この!!」

シン「甘い!!そんなんじゃルナにも勝てないぞ!!」

クレアとシンのインパルスが近接訓練をしていた。
性能差もあり、クレアのインパルスの猛攻にシンのインパルスが徐々に押され出し、少しずつ後退を始める。

クレア「とどめ!!」

追い込んだクレアのインパルスが模擬刀を大振りした瞬間、シンのインパルスがコクピット部に模擬刀を宛てがった。

シン「…俺の勝ちだな」

クレア「何で!?私のインパルスの方が性能が上なのに!!」

シン「お前はインパルスの性能に頼りすぎなんだよ」

2人は訓練を中止して、同時にコクピットから出る。

アレックス「クレア。君は確かに強いが、熱くなると動きが雑になる。まるで昔のシンのようだ。」

ナオト「前よりは良くなってはいるんだけどね」

クレア「うぅ…」

レイ「クレア。まだ乗れるか?今度は俺とやるぞ」

クレア「え?でもレイのグフは?」

レイ「俺は訓練用のディンで構わない。さあ、始めるぞ」

クレア「いいの?インパルスとディンじゃ性能が…」

レイ「性能だけで優劣が決まるわけじゃない」

クレア「分かったよ。後悔しても知らないからね!!」

レイとクレアがそれぞれの機体に乗り込む。

ステラ「シン、クレア…大丈夫?」

シン「ん?大丈夫だよ。クレアは強い。鍛えれば今よりもっと強くなれる。赤服は伊達じゃない。」

ルナマリア「そうよね。レイやシンの次に成績良かったのクレアだし」

シン「まあな、でもまだ早いようだけどな。見ろ」

ステラ「?」

シンが指差した方向を見ると、僅か数秒で模擬刀を喉元に突き付けられているインパルス。

ハイネ「おいおい、もう終わりかよ」

あっさりと終了した模擬戦にハイネが呆れたように言う。

クレア「何でディンがインパルスより早く動けるの!?グフでもないのに!!」

レイ「熱くなっているからだ。動きが雑になって動作が分かりやすい」










































結局、しばらくしてもクレアはレイに一本も取ることなく訓練終了した。

レイ「いいかクレア。お前は落ち着いてさえいればインパルスの性能を限界まで引き出せる。」

クレア「ぼ、僕はいつでもインパルスを限界まで…」

レイ「ならば何故お前のインパルスより機体性能が低いシンのインパルスやディンに負ける?」

クレア「…返す言葉もございません。」

レイ「デスティニーインパルスの機体性能はフリーダムすら凌駕するが、燃費が悪すぎる欠点がある。攻撃はビームシールドで防がず、かわせ」

クレア「う、うん。デスティニーインパルスは機動力があるからかわした方が有利なの?」

レイ「一概にそうとは言えないが、かわし方一つでいくらでも有利な体勢に持ち込める…。アカデミー時代のお前は余裕のある時はそうしていたぞ」

クレア「へ?そうなの?」

レイ「ああ、シン達も努力して今の実力を身につけた。お前も努力を怠らなければ今より強くなれる」

クレア「うん!!シン、次は負けないからね!!」

シン「期待しないでいるよ」

ハイネ「俺も先輩として負けられないな。代機が来たら腕を鍛え直さないとな」

ミネルバでの束の間の平穏の時であった。 
 

 
後書き
シリアスとギャグが混ざり合った話。
 

 

第二十三話 破壊の化身

 
前書き
ベルリンで行われる虐殺。
ミネルバはそれを止めるために動き始める。 

 
修理も終わり、ミネルバもジブラルタルへ出航しようとしていたある日、とんでもない知らせが入った。
ユーラシアへの反乱が頻発していたユーラシアに、ユーラシア中央より地球軍が侵攻。既に三都市が壊滅したと言う。
ミネルバは保護したエクステンデッドであるアウルを引き渡したのだ。
アウルは嫌がっていたが、艦長に宥められ大人しくプラントの医療施設に向かうことに。
ミネルバは艦隊司令部の命を受け、次の攻撃目標と目されるベルリンに向かった。
急ぎティレニア海を抜けリヨン湾から上陸、北東に進路を取る。

ハイネ「あーあ、ジブラルタルまであと少しなのに、反対方向に行かなきゃならないとは、ツいてないねぇ」

ルナマリア「そうですね、ハイネさん」

アレックス「だが、誰かが止めねば奴等はますます頭に乗って都市を焼き続けるだろう。そんなことは決して許されることじゃない」

ハイネ「そりゃそうだ。しかし、今から張り切ってもしょうがないじゃないか。力を抜けよ、アレックス」

アレックス「……そうだな、すまない」

メイリン『コンディションレッド発令、コンディションレッド発令。パイロットは搭乗機にて待機してください』

いよいよ、ベルリンが目視できる地点にまで来たのだ。
ベルリンは既に攻撃を受けているらしい。

タリア『みんな!!』

アレックス「何でしょうか?艦長」

タリア『情勢は思ったより混乱してるわ。既に前線の友軍とは連絡が取れなくなっています。敵軍とは今、フリーダムとAAが戦闘中です』

ナオト「フリーダムとAAもいるんですか!?」

クレア「っ…」

レイ「落ち着け、クレア。俺達の敵は連合だ」

拳を握り締めるクレアの肩に手を置き、論する。

タリア『そうね。思惑が分からない以上、共闘は難しいわね。でも敵を間違えないで。』

全員【了解】






































全員が機体に乗り込み出撃準備をする。

シン「クレア、フリーダムもいるけど今は連合に集中しろ」

クレア「分かってるよ…」

シン「ならいい…シン・アスカ、コアスプレンダー。行きます!!」

アレックス「アレックス・ディノ、セイバー。出る!!」

ステラ「ステラ・ルーシェ、ガイア。行くよ」

ナオト「ナオト・フジワラ、ストライク。出るよ!!」

ルナマリア「ルナマリア・ホーク、ザク。出るわよ!!」

レイ「レイ・ザ・バレル、グフ。発進する!!」

クレア「クレア・トワイライト、コアスプレンダー。行くよ!!」

ミネルバのMS隊が出撃すると、フリーダムとAAが戦闘をしていた。

アレックス「こちらはザフト軍特務隊、アレックス・ディノだ。これより敵大型MAに攻撃を仕掛ける。なお、AAとその部隊に告げる。そちらが撤退しない場合、敵と認識し行動させてもらう」

キラ「アスラン!?」

信じられないと言いたげな表情をするが、アレックスは気にせず言葉を紡ぐ。
アレックス「俺は…お前達がしたことを許せないし、許す気もない。俺はお前達を信じられない!!そんな奴に背中を預けられるか!!」
そう言い切るとセイバーは他のMS隊と共に大型MAに向かっていく。

キラ「どうして分かってくれないんだ…アスラン!!」

共に道を歩めるはずだった。
なのに彼は、記憶喪失をきっかけに遠い場所に行ってしまった。
友であるはずなのに、今はこうして銃を向け合っている。
そんなのは嫌だった。
ただ憎しみをぶつけ合えば悲しいことにしかならない。
前大戦ではそれが分かったからこそ、共に手を取って戦ったのではなかったのか?
キラは苦い気持ちでフリーダムを動かした。








































シン「一体何なんだよこの化け物は!!?」

クレア「一体何門のビーム砲を積んでんの!?」

インパルスとデスティニーインパルスがビームライフルを向け、放つ。
陽電子リフレクターが張られ、無効化された。

レイ「やはり陽電子リフレクターを搭載していたか…しかもこんな広範囲に…」

アレックス「懐に飛び込めば出来るかもしれない…だが…」

スティング「見つけたぜ赤いの!!今日こそ墜とす!!このデストロイでなあ!!」

今までセイバーに辛酸を舐めさせられてきたスティングは歓喜の表情を浮かべ、デストロイをMS形態に変形させた。

ステラ「え!?」

シン「変形…した?」

MS形態に変形することで正面の火力が増し、一気に火力で押し潰す気なのだ。
スーパースキュラやツォーンMk2によって一撃で仕留めようとするが、アレックス達は何とか回避に成功する。
デストロイの両腕が分離し、ビームガンでセイバーに狙いをつける。
インパルスとストライクEがセイバーを援護しようとするが、デストロイ本体のミサイルとビームが妨害する。

スティング「ハーッハッハッハッハッ!!最高だぜこりゃあ!!」

デストロイの圧倒的な火力に狂喜するスティング。
しかしセイバーに気を取られ過ぎていたからかガイアの接近を許してしまう。

ステラ「はああああ!!」

ビームサーベルでコクピット部を切り裂いた。

スティング「ぐう…」

しかしあまりの巨大さ故かコクピットも通常の物より広いため、パイロットはダメージを受けていない。
しかしステラはパイロットの姿を見た時、目を見開いた。

ステラ「スティング…?」

ネオ「それ以上はさせないぜ。ザフトのエース君!!」

ステラ「きゃああ!!」

真横からネオのウィンダムの蹴りを受けたガイアは吹き飛ぶ。

シン「ステラ!!ぐっ!!」

ガイアに向かおうとするがデストロイのミサイルがインパルスに向かって来る。

ステラ「うぅ…スティング…」

デストロイに時折視線を向けながらネオのウィンダムと対峙するガイア。
しかしネオはガイアの戦い方に核心を得た。

ネオ「この戦い方、そして癖…まさか…!?ガイアのパイロット!!聞こえるか!!」

ステラ「!?ネオ!!」

ネオの声にステラは目を見開いた。

ネオ「やはりそうか…まさか生きていて…ザフトのMSパイロットとはね」

ステラ「ネオ…」

ネオ「そうだ、ネオだよ。さぁ、ステラ、いい子だ…帰ろうか。こんな怖い人達のところにいると、殺されちゃうぞ?」

ステラ「殺す…?ステラを…?」

ネオ「そうだ。コーディネーターは怖いものだ。ザフトにいたらステラは死ぬ。ステラは奴らにいいようにされ殺される。ステラの居場所はここだ。」

ステラ「ああ…シン…ネオ…守る…死ぬ…嫌、死ぬの…怖い…」

ネオ「大丈夫だ。さあ、ステラ。こっちに…」

シン「ステラーーーッ!!!!」

インパルスがネオのウィンダムに切り掛かる。

ネオ「チッ!!」

ネオのウィンダムは咄嗟に後退して回避した。

シン「ステラ、大丈夫か?ステラ!!」

ステラ「シン、死ぬの…嫌、怖い……」

身体を震わせながら泣きじゃくるステラにシンは声を張り上げる。

シン「大丈夫だステラ!!君は俺が守る!!」

ステラ「守、る…?」

シン「うん!!守る!!これからもずっと君を守る!!だから泣かないで!!」

ステラ「シン…!!」

ネオ「ブロックワードを…?」

シン「お前がステラの上官か!?よくもステラを!!」

ネオ「そうか。君がステラに変なことを吹き込み、ザフトに入れた少年かい?」

シン「何でステラにあんなことを言った!!彼女はその言葉に怯えるのに!!」

ネオ「彼女は兵士だ…。戦場に戻すために決まっているだろう…」

ウィンダムがビームサーベルを構え、迫り来る。
それを確認した瞬間、シンの頭で“種”が弾けた。

シン「なんて言った…今なんて言ったんだよ…ステラが兵士だって…?彼女を…無理矢理戦わせているのはお前達だろうがぁぁぁぁッ!!!!」

ビームサーベルを振るい、一瞬でウィンダムの右腕を切り裂く。

ネオ「なっ!?速い!?」

シン「何の罪もない子供に薬物を投与して、洗脳して!!人をなんだと思ってるんだっ!!それが人のすることかああぁぁぁっ!!!!」

ネオ「戦争だからな!!人でなしと呼ばれるのもやむなしさ。それにステラは元々こちらの軍人だろう!!それなのに、敵を救うとか、わけが分からないぞ。」

シン「軍人なんか関係ない!!敵とか味方とか、そんなこと関係ない!!約束は守らなきゃならないだろ!!俺はステラを守る!!どんな敵が来ても俺が守る!!」

ネオ「本気でステラを守るつもりなんだな…やれやれ。愛する少女を守る少年は、いつの時代も無敵ってわけか。無敵に敵うわけないわな。こんな奴相手にまともにやってられるかっての。」

ウィンダムはデストロイの援護をすべく、デストロイの元に向かって行った。

シン「………」

ステラ「ネオ…」

シン「行こう、ステラ。あいつを止めないと」

ステラ「うん…スティング、止める」

インパルスとガイアはスティングの乗るデストロイに向かう。



































スティング「があああああ!!!!」

デストロイがビームガンから一斉にビームを放つ。
デスティニーインパルスが咄嗟にビームシールドを展開し、無効化する。

クレア「この…っ、いい加減にしろおおおおおおお!!!!」

エクスカリバーを構え、光の翼を展開。
一気に突っ込んで右腕を切断する。

スティング「何だと!?」

アレックス「はあああああ!!」

セイバーのビームサーベルを連結させ、デストロイの左腕のシュトゥルムファウストを両断する。

レイ「こんな物に!!」

レイはグフのビームソードを抜き、デストロイの左肩を切断した。

スティング「ち、畜生…」

両腕を切断されたデストロイでは勝ち目は薄い。
それでもスーパースキュラやツォーンMk2を放とうとする。

キラ「いい加減にしないか!!」

レール砲を放ち、爆発で視界を塞ぐとビームサーベルを抜いたフリーダムが頭部を切り裂いた。

ネオ「スティング!!」

ネオのウィンダムがフリーダムにライフルを放つが、かわされ、逆にジェットストライカーをビームで貫かれ撃墜される。

ナオト「やった…これでもう戦えないはず」

ナオトはストライクEのビームサーベルを抜いた直後にインパルスとガイアが来た。

シン「待ってくださいナオト!!」

ナオト「え?」

ステラ「スティング!!」

クレア「な、何?何なの?」

ステラ「スティング!!駄目!!止めて!!」

スティング「ああ?誰だよお前!?何で俺の名前を…」

ステラ「スティング、ステラだよ…ずっと一緒…」

スティング「ステラ…?」

その名前に聞き覚えがあるような感じがしたスティングは戸惑いの表情を浮かべる。
そして再度ガイアを見るとあの時、初搭乗で性能の全てを引き出せていなかったとは言え、自分達3人は敗北して…。
あの時?
あの時は自分だけのはず。
ネオは艦に残っていた。
しかし、あの時自分は確かに撤退して、ガイアはプラントに残ったんだ。
ガイアが墜とされたから自分は撤退出来た…。

スティング「う…ぐっ…うわぁ゙あぁああーーー!!!!」

頭が割れる様に痛い。
そして徐々に思い出していく記憶。
そして思い出す。
ドジで泣き虫で危なっかしいあいつを。
そして口が悪く生意気なあいつも。

ステラ「スティング!!」

スティング「ス、テラ…生きていたのか……?」

頭痛が収まり、ステラの名前を言うスティング。

ステラ「うん!!アウルも生きてる!!一緒!!」

スティング「アウルも…?」

ロドニアに向かって帰ってこなかったアウルも生きている。

ステラ「ステラ、シンやみんなから明日をもらったの…アウルも…」

スティング「明日を…?」

ステラ「うん。だから一緒に…行こう?スティング。」

スティング「………」

ステラの言葉にスティングは苦笑してしまう。
久しぶりに見た“死”に怯えていた妹分がいつの間にかこんなにも強くなっていたことに。
そして彼女を人として扱ってくれたミネルバのクルー。
向こうには自由と明日がある。
それを見たら…自分も自由と明日が欲しくなってしまったではないか…。
諦めていた自由と明日を。

スティング「…ああ」

ステラ「スティング!!」

頷いたスティングにステラは嬉しそうに破顔した。
シン達も説得が成功したことに安堵する。
しかし、そこでデストロイに異変が起こる。

スティング「何…!?」

デストロイのスーパースキュラにエネルギーが回されていく。
急いでエネルギーをカットしようとするが…。

スティング「な!?発射停止不能だと!?逃げろステラ!!早くしろ!!」

このままではガイアを墜としてしまう。
それだけは防ごうと声を張り上げた。

ステラ「え…?」

キラ「死にたいのか!!」

目を見開くステラにフリーダムはビームサーベルをデストロイのスーパースキュラの砲門に突き立てた。
砲門を破壊されエネルギーは行き場を失い、デストロイは大爆発を起こす。

ステラ「スティングーーーーーッ!!!!」

シン「ぐっ!!」

咄嗟にガイアを庇ったためにガイアは無事だったが、インパルスがダメージを受ける。

キラ「仕方ないよね、ああするしかなかったんだ…」

デストロイの破壊を確認したキラは機体を上昇させ、その場を離脱しようとする。

クレア「ふざけるなフリーダムッ!!!!」

デスティニーインパルスが光の翼を展開してフリーダムに急接近するとエクスカリバーを振るう。

キラ「なっ!?」

キラは咄嗟にフリーダムを動かし、回避するが。

アレックス「キラ!!お前という奴は!!」

フリーダムの背後からセイバーの蹴りが繰り出される。

ナオト「いつもそう簡単に逃がしてたまりますか、今日こそは逃がさない!!」

ビームライフルショーティーを構え、フリーダムに向けて乱射する。

レイ「お前は気づかなかったのか!?彼女が必死にデストロイのパイロットを説得していたのを!!」

レイのグフがスレイヤーウィップを振るう。
フリーダムはビームサーベルでスレイヤーウィップを切り裂いた。

キラ「だけど…あれをあのままには出来なかった!!」

クレア「黙れ!!」

アレックス「キラ!!俺はお前を許さない!!」

レイ「ギルの邪魔をするお前を…俺の仲間の邪魔をするお前をこのままにしておくと思うな!!」

ナオト「命令違反なんて知るもんですか!!あんたを倒さなきゃいけないんだから!!」

アレックス達はスティングと面識はない。
しかし、ステラの大切な存在だというのには気づいていた。
それを奪ったのはキラとフリーダム。
理由はそれで充分だった。








































そして状況を見ていたブリッジでは…。

アーサー「か、艦長!!あいつら作戦が終了してるのに戦闘をしてますよ!!」

タリア「シンかクレアなら分かるけど、まさかアレックスやナオトやレイまで…」

気性が激しいシンやクレアならともかくあの生真面目な3人が軍規違反など信じられなかったが、アレックスやナオトはFAITHだ。
FAITHであるアレックスやナオトがフリーダムを墜とすべきだと判断したならば口は挟められない。

メイリン「艦長!!司令部から緊急暗号通信です!!」

タリア「何ですって?…これは、ザフト全軍にフリーダムとAAの撃墜命令!?」





































そして市街では未だにミネルバのMS隊とフリーダムと交戦していた。

シン「フリーダム!!」

インパルスはライフルを発射しながらフリーダムへと迫っていた。
フリーダムもインパルスの動きを止めるべくライフルを撃つが、メインカメラや両腕を狙った射撃は尽く回避されてしまうか、シールドで防がれてしまう。

キラ「くそ!!攻撃パターンが見破られてるのか!?」

シン「お前の攻撃なんて既に見切ってる!!」

ステラの必死の説得の末にスティングを救出できる希望が見えてきた。
それを後一歩というところで全て台無しにしたのが、悪意はない、むしろ善意の塊ではあるキラ・ヤマトである。
アレックスの頭の中で“種”が割れる。
もう容赦はしない。
セイバーのバーニアを吹かして、ビームサーベル、ビームクローを展開してフリーダムに切り掛かる。

キラ「止めるんだアスラン!!僕達が戦う理由なんて…」

アレックス「あるさ…お前はステラの仲間を討った!お前を討つ理由としては充分だ!!」

キラ「そんな…!!」

シン「後少しだったのに!!後少しだったのにアンタって人はあああああっ!!」

アレックス「ナオト!!挟み込んでフリーダムを墜とす!!」

ナオト「了解!!」

キラ「くっ!!」

アレックスやナオトの攻撃に迷いなど無く、確実にコクピットを狙っている。
ミネルバのパイロットは皆、能力が高くこちらからの攻撃は尽くかわされる。
インパルスがシールドを投げ、投げたシールドにライフルを放ち、シールドから反射されたビームがフリーダムに掠る。

キラ「む、無茶苦茶だ、あのパイロット!!」

動揺したキラに追い撃ちをかけるようにMA形態のセイバーが急降下し、左腕、左足を切り裂いた。

キラ「っ、アスラン…」

キラは顔を顰めながらこの場を離脱しようとする。

シン「待て!!フリーダム!!」

インパルスがフリーダムを追い掛けるが出力が低下しているインパルスではフリーダムには追いつけない。

ステラ「シン!!」

ステラの声。
見下ろすと、ガイアがMA形態に変形していた。
すぐにその意を察し、インパルスはガイアの背へ飛び乗る。
今のインパルスより直線的な機動力はMA形態のガイアが上だった。

クレア「シン!!」

デスティニーインパルスのエクスカリバーがインパルスに投げ渡される。

シン「ステラ!!行こう!!君の仲間を奪ったあいつを一緒に!!」

ステラ「うん!!」

ガイアのバーニアを吹かし、フリーダムを追い掛ける。







































海上ではフリーダムが潜水しようとするが、背後からビームが放たれた。

キラ「っ!?」

キラが背後を見遣るとインパルスを乗せたガイアが放ったのだ。

シン「フリーダム!!あんたは俺が討つ!!今日、ここで!!」

インパルスとガイアがフリーダムに急接近する。

レイ「行け!!」

レイが。

クレア「行け!!」

クレアが。

ナオト「行け!!」

ナオトが。

ルナマリア「行け!!」

甲板にいるルナマリアが。

ハイネ「行け!!」

ミネルバのブリッジにいるハイネが。

アレックス「行け!!シン!!ステラ!!」

アレックスが叫んだ。

シン「うおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」

シンの気迫がキラをも圧迫する。
キラも生き残るためにビームサーベルを抜く。
ビームサーベルはインパルスの頭部を貫き破壊したものの、インパルスの動きを止めることは出来ない。
シン、ステラ、アレックス、ナオト、レイ、クレア、ルナマリア、ハイネの想いが込められたエクスカリバーがその名を世界中に轟かせて一部では英雄とまで言われたフリーダムに突き刺さり、間を置いた後、自由という名の剣は大きな爆発音と共に砕け散った。
そして同時に潜水しようとしたAAに向けてタンホイザーが放たれた。
数十秒後、爆発の煙が晴れたところから姿を現したのはフェイズシフトがダウンしたインパルスとガイアであった。
シンは周囲にフリーダムの姿がないことを確認すると、地面に降りてガイアの元に行き、コクピットを開き、仲間を目の前で失ったステラを抱き締めた。
ミネルバはこの後、ジブラルタル基地に無事到達した。
ここで、シン達は新たなる転機を迎えることになるのだった。 
 

 
後書き
デストロイとフリーダム撃墜終了。
フリーダムが半分リンチだった気がする。 

 

第二十四話 新たな力

 
前書き
フリーダムを撃墜したシン達はジブラルタルに向かう。 

 
ジブラルタルに着いたシンとレイ、アレックス、ナオト、クレア、ハイネはデュランダルに基地の奥へと連れて来られていた。
そこでは通路部分のみにライトが点いており周囲には何があるのかが全く見えない。

デュランダル「やあ、よく来てくれたね。フリーダムの撃墜、実に見事だった。」

シン「いえ、そんな…」

デュランダル「君達を呼んだのは他でもない、これを見せたくてね」

デュランダルがそう言うと、一斉にライトが点灯し、彼らの目の前に3機のMSが姿をした。

デュランダル「今回の件についての私からのせめてもの褒美、とでも思ってくれると嬉しいのだが、これを君達に託したい。詳しい話は後で専門家に説明させるが、これらはセカンドシリーズのMSの戦闘データ等や新しい技術等をふんだんに取り入れて作り上げた新型MSだ。右がデスティニー、左がレジェンドと言う」

そういって説明される2機のデスティニーと1機のレジェンド。

シン「俺達の…それに新型…」

アレックス「しかし、議長。この場に機体は3機しかないようですが……」

自分達は6人なのに対して、機体は3機しかない。

デュランダル「ああ、すまないね。ハイネ、君には機体の申請が来ていたことを考慮して元々予定されていたこのデスティニーが配備される事になる。もう1機に関しても適正の関係上、シン…君が乗ることを前提にした調整をしていてね。このデスティニーは君達の機体になる予定なんだ」

シン「じゃあ俺の専用機ってことですか?」

デュランダル「そう思ってもらっても構わない。デスティニーは火力、防御力、機動力、信頼性、その全ての点においてインパルスを凌ぐ最強のMSだ。ハイネのデスティニーには、グフのデータを参考にしているがね」

シン「……」

デュランダル「レジェンドは量子インターフェイスの改良により、誰でも操作出来るようになった新世代のドラグーンシステムを搭載する実に野心的な機体でね。どちらも工廠が不休で作り上げた自信作だよ。どうかな?気に入ったかね?」

シン「はい、凄いです!!」

ハイネ「早く詳細が知りたいものですね」

シンとハイネの言葉を聞いた議長はレイの方を見遣る。

デュランダル「君の機体はこのレジェンドということになるが…どうかな?」

レイ「ギル…この機体の元になったのはもしや…」

デュランダル「…ああ、レジェンドの元となったのはZGMF-X13A プロヴィデンス。ラウが乗っていた機体だよ」

アレックス「え…?」

ナオト「あのクルーゼ隊長の…?」

レイとラウの関係を知っているアレックスとナオトはレジェンドを見上げる。

レイ「ラウの…」

デュランダル「君にしかこの機体を任せられないと思った。ラウの弟である君にしかね」

レイ「ギル…分かりました。レイ・ザ・バレル、レジェンドを受領します。」

デュランダル「うむ…セイバー、デスティニーインパルス、ストライクの改良も予定されていてね。セイバー、デスティニーインパルス、ストライクに最新型エンジンを搭載し、この3機の最新鋭機に迫る性能を予定しているらしい。昨夜から技術スタッフが大慌てで動いているよ」

クレア「そ、そうですか…」

デュランダル「君達に新しい機体を与えるが、もちろん、君達ばかりに戦わせるつもりはない。ベルリンの1件でようやく私にも決心が付いたよ、私はロゴスの存在を公表して、彼らと正面から戦うことを決意したよ。これは君達がフリーダムを討ち取った姿に勇気をもらったからでもある。これから世界に向けてそのための演説をすることになっている。是非、聞いて欲しい」

ナオト「分かりました、ありがとうございます」

アレックス「あの…」

デュランダル「ん?何かな?」

アレックス「この戦争が終わったら…議長はどのようにするおつもりなのですか?ロゴスを討てば確かにしばらくは平和になるでしょう。しかし、それでは…」

デュランダル「君の言いたいことは分かっているよ。いくらロゴスを討ったとしても、時間が経てば世界はまた新たなロゴスを生むだろう。」

レイ「…そうかもしれません。人の無知と欲望がロゴスを生み出したといっても過言ではないのですから」

デュランダル「もっと我々は人の命の大切さを考えるべきなのだよ。人命を極端に重く考えるのもよくないが、今のように軽く考えすぎるのもおかしい。勝つためならば、何人殺してもいいなどとあってはならないのだからね。」

ハイネ「はい。しかし議長、我々は軍人です」

デュランダル「そうだね、軍人である君達にする話ではないかもしれないが、戦争を起こした責任は、我々政治家にある。だから政治家が平和のための努力をするべきだ。その上で、私は人命を重くさせるためのプランを考えている」

シン「プランでありますか?」

デュランダル「うむ。例えば、人の命は尊い。人を殺してはいけない。そういう風に教育するだけでは、人の命の重さは本当に分からない。理由がないからね。ならば人を殺さない、理由があればいい」

ハイネ「理由…ですか?」

デュランダル「うむ。簡単に言えば、ナチュラルとコーディネーターが互いに支えあえばいいのだよ。例えばナチュラルに出来ないことをコーディネーターがやり、コーディネーターに出来ないことをナチュラルがやる。そうすれば、お互いが殺しあうことは、お互いにとって不利益になる。そうすればそこに、人の命を奪い合うことの無意味さが発生する。そういう利益に支えられることで、人は本当に命の大切さが分かるのだと、私は思う」

ハイネ「なるほど…。それは、よいお考えだと思いますしかし上手くいくでしょうか?ナチュラルとコーディネーターの溝は深いと思いますが…」

デュランダル「それは分からない。しかしやりもせずに諦めるのは、よくないのではないかね?」

クレア「議長…」

デュランダル「それにナチュラルとコーディネーターは分かり合える、その見本がすぐ近くにいる」

議長の言葉に全員の視線がシンに向けられる。

シン「え?俺…自分でありますか?」

デュランダル「うむ。シンやステラ君のようにお互いが支えあい、プラントと地球の交流が活発になることで、平和をもたらす。今はまだ、構想の段階だが、これを私は“デスティニープラン”と呼んでいる。いつかこれが、平和をもたらすと信じているよ」

デュランダルがその場を去った後もシンはデスティニーを見上げていた。
自分のために作られた最新鋭の機体であり、平和な世界を創るための力。
これらは、今までシンが背負ったもののなかで最も大きいものであったといえよう。
そして、機体に込められた想いをシンは正面から全て受け止めることを決意したのであった。
デスティニーインパルスとストライクEは最新型エンジン、ハイパーデュートリオンエンジンを搭載し、機体の出力とシルエット、ストライカーの出力を大幅に上げ、ストライクEには、連合の協力者から提供されたノワールストライカー、手甲にビームシールド発生装置が装備される。
セイバーはハイパーデュートリオンエンジンを搭載し、機動防盾のビームクローを取り外し、ビームサーベル発生器に変更、更にビームシールド発生装置を機動防盾に装備させ、アムフォルタスはビーム砲としてだけではなく、出力を調整することで巨大なビームソードとして扱うことが可能。
更に追加装備として機動防盾にビームシールド発生装置とスクリーミングニンバスが追加され、理論上ならMA形態の突貫攻撃が可能に。
ハイネのデスティニーはシンのデスティニーとは違い、グフの武装も装備されていた。
両腕にスレイヤーウィップとビームシールド発生装置を装備したドラウプニル。
更にスクリーミングニンバスが装備され、高い防御力を誇る。







































そして慣熟訓練をしていたシン達の元にルナマリア達が来た。

ルナマリア「うわあ、凄い!!」

デスティニー、レジェンドを見たルナマリアが歓声を上げる。

ハイネ「お?」

シン「よう、ルナ、ヨウラン、ヴィーノ。どうした?みんなで見学か?」

ルナマリア「何よ。人が心配して来てやったっていうのにその言い草はあ~っ」

ヨウラン「何言ってんだか、俺達が新型のメンテの下見しに行くって言ったらホイホイついて来た癖に」

ルナマリア「ぐっ…」

ヴィーノ「俺達は仕事仕事!!」

ヨウラン「で?どうなんだ新型?」

シン「凄いぜ。まだシミュレーターしかやってないけどこのデスティニーの反応速度は信じられないレベルだよ。フリーダムと戦った時にこいつがあればもっと楽に勝てたんだけどな」

ヨウラン「へえ~すげえな」

ハイネ「まあ、俺も挽回出来るチャンスを手に入れられたんだ。お前達ばかりにいい格好はさせないさ。」

ルナマリア「レジェンドは?」

レイ「問題ない。レジェンドの装備…俺に馴染む…訓練も順調だ」

ヴィーノ「セイバーもデスティニーインパルスもストライクも強化されるんだよな?これならあの大型MAもイチコロだよな!!」

ルナマリア「インパルスには私が乗るしね!!」

シン「インパルスを壊すなよ。頼むから」

いくらルナマリアの機体になるとは言え、長い間使ってきた機体のために愛着があるのだから壊されたりしたらたまらない。

ミーア「皆さ~ん!!」

アレックス「あ、ラクス!?」

シン「え?」

ヨウラン「嘘!?ラクス様かよ!!」

ミーア「お久しぶりですわね」

シン「あ、はい」

ステラ「久しぶり…」

ミーア「皆さんがここにいらっしゃると聞いて急いで来ましたのよ。」

ルナマリア「そうなんですか?」

ハイネ「まあ、ここで立ち話も何ですからアレックスの部屋に行きませんか?」

ヴィーノ「ええ!?」

レイ「何か問題でもあるのか?」

ヨウラン「い、いいえ」

不満そうにするヴィーノとヨウランだが、レイの威圧感に気圧された。










































そしてアレックスに宛てがわれた部屋に着いて、事情を聞く。

アレックス「それで?どうしたんだミーア?」

ミーア「ごめんなさい。みんながここにいるって聞いたから我慢出来なくて抜け出して来ちゃったの」

クレア「レイ、ミーアって?」

レイ「彼女の名はミーア・キャンベル。ラクス・クラインの代役をしている。」

クレア「代役?ああ、やっぱりラクス様じゃなかったんだ」

クレアの言葉に全員が驚いたように視線を向ける。

クレア「前にファンの人に昔のラクスって人の写真を見せてもらったんだけど…スタイル違いすぎじゃないかなって…」

その発言にシン達は飲んでいたコーヒーを吹いた。

クレア「だって昔のラクス様って、ミーアさん見たいに凸凹なかったし。ファンの人も“え?あの人こんなにスタイル良かったんだ!!”って言ってたし、昔よりも人気が出たのってそれじゃない?」

本物が聞いていたら再起不能のダメージを受けていたであろう言葉をクレアは容赦なしに言い切った。
アレックス達は本物のラクスを一瞬哀れに思ったとか。







































そして翌日、艦内で訓練内容を話している最中であった。

メイリン『議長からの緊急メッセージです。各員可能な限り聞くように』

いきなり艦内放送が流れ、議長の声が流れ始める。
アレックス達は談話室の大型スクリーンの前に走るとそこにはどんどん人が集まってきた。

デュランダル『私はプラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルです。プラントと地球間で戦争状態が続いている中、突然このようなメッセージをお伝えすることをお許しください。私はどうしても皆さんに知って頂きたいのです!!こうして未だ戦火の収まらぬわけ。そもそも、またもこのような戦争状態に陥ってしまった本当のわけを。各国の政策に基づく情報の有無により、未だご存知ない方も多くいらっしゃるでしょう。これは過日、ユーラシア中央から西側地域の都市へ向け、連合の新型巨大兵器が侵攻した時の様子です』

画面に、あのデストロイの姿が映し出される。

デュランダル『この巨大破壊兵器は何の勧告もなしに突如攻撃を始め、逃げる間もない住民ごと3都市を焼き払い尚も侵攻しました。我々はすぐさまこれの阻止と防衛戦を行いましたが、残念ながら多くの犠牲を出す結果となりました。侵攻したのは地球軍、されたのは地球の都市です。何故こんなことになったのか。連合側の目的はザフトの支配からの地域の解放ということですが、これが解放なのでしょうか?こうして住民を都市ごと焼き払うことが!!確かに我々の軍は連合のやり方に異を唱え、その同盟国であるユーラシアからの分離、独立を果たそうとする人々を人道的な立場からも支援してきました。こんな得るもののないただ戦うばかりの日々に終わりを告げ自分達の平和な暮らしを取り戻したいと。戦場になど行かず、ただ愛する者達とありたいと。そう願う人々を我々は支援しました』

『あの連合の化け物が何もかも焼き払っていったのよ!!』

『敵は連合だ!!ザフトは助けてくれた!!嘘だと思うなら見に来てくれ!!』

被災者の人々が声を上げている。

デュランダル『なのに和平を望む我々の手をはねのけ、我々と手を取り合い、憎しみで討ち合う世界よりも対話による平和への道を選ぼうとしたユーラシア西側の人々を連合は裏切りとして有無を言わさず焼き払ったのです!!子供まで!!何故ですか?何故こんなことをするのです!!平和など許さぬと!!戦わねばならないと!!誰が!!何故言うのです!!何故我々は手を取り合ってはいけないのですか!!』

途中でミーアが現れ、議長を静めるように議長の肩に手を置く。

ミーア『この度の戦争は確かに私共コーディネーターの一部の者達が起こした、大きな惨劇から始まりました。それを止め得なかったこと、それによって生まれてしまった数多の悲劇を、私共も忘れはしません。被災された方々の悲しみ、苦しみは今も尚、深く果てないことでしょう。それもまた新たなる戦いへの引き金を引いてしまったのも、仕方のないことだったのかもしれません。ですが!!このままではいけません!!こんな討ち合うばかりの世界に、安らぎはないのです!!果てしなく続く憎しみの連鎖も苦しさを、私達はもう充分に知ったはずではありませんか?どうか目を覆う涙を拭ったら前を見てください!!その悲しみを叫んだら今度は相手の言葉を聞いてください!!そうして私達は優しさと光の溢れる世界へ帰ろうではありませんか!!それが私達全ての人の、真の願いでもあるはずです!!』

再び議長が立ち上がり話し始める。

デュランダル『なのにどうあってもそれを邪魔しようとする者がいるのです。自分達の利益のために戦えと、戦わない者は臆病だ、従わない者は裏切りだ、そう叫んで常に我等に武器を持たせ敵を創り上げて、討てと指し示してきた者達。平和な世界にだけはさせまいとする者達。このユーラシア西側の惨劇も彼等の仕業であることは明らかです!!間違った危険な存在とコーディネーターを忌み嫌うあのブルーコスモスも、彼等の創り上げたものに過ぎないことを皆さんは御存じでしょうか?その背後にいる彼等、そうして常に敵を創り上げ、常に世界に戦争をもたらそうとする軍需産業複合体、死の商人、ロゴス!!彼等こそが平和を望む私達全ての、真の敵です!!私が心から願うのはもう二度と戦争など起きない平和な世界です。よってそれを阻害せんとする者、世界の真の敵、ロゴスこそを滅ぼさんと戦うことを私はここに宣言します!!私だって名を挙げた方々に軍を送るような馬鹿な真似をするつもりはありません。ロゴスを討つというのはそういうことではない。ただ、彼等の創るこの歪んだ戦争のシステムは、今度こそもう本当に終わりにしたい。コーディネーターは間違った危険な存在と、分かり合えぬ化け物と、何故あなた方は思うのです?そもそもいつ?誰がそう言い出したのです?私から見ればこんなことを平然と出来るロゴスの方がよほど化け物だ。それもこれもただ我々と戦い続けるためだけにやっている』

画面には、ロドニアのラボで得られたらしい資料が流れている。

デュランダル『己の身に危険が迫れば人は皆戦います。それは本能です。だから彼等は討つ。そして討ち返させる。私達の歴史はそんな悲しい繰り返しだ。戦争が終われば兵器は要らない。今あるものを壊さなければ新しいビルは造れない。畑を吹き飛ばさなければ飢えて苦しむ人々に食料を買わせることが出来ない。平和な世界では儲からないから、牛耳れないからと、彼等は常に我々を戦わせようとするのです。こんなことは本当にもう終わりにしましょう。我々は殺し合いたいわけではない!!こんな大量の兵器など持たずとも人は生きていけます。戦い続けなくとも生きていけるはずです!!歩み寄り話し合い、今度こそ彼等の創った戦う世界から共に抜け出そうではありませんか!!』

議長の演説は終わった。

アレックス「(本気なんだ…ギルは…人々を、世界を導こうとしている…なら、俺も俺に出来る精一杯を…!!)」








































ジブラルタルには、なんと議長の宣言に賛同した東アジア共和国など、連合からの軍も集結してきた。
今までだったら信じられない光景。
そしてミネルバが出航の時が来た。
目指すはブルーコスモス盟主ロード・ジブリール以下ロゴスの幹部と地球連合軍のロゴス派の部隊が集結し篭城している、アイスランド島にある地球連合軍の最高司令部ヘブンズベース。
ヘブンスベースには以下のような通告がなされた。

『我等ザフト及び地球連合軍はヘブンズベースに対し以下を要求する。一、先に公表したロゴス構成メンバーの即時引き渡し。二、全軍の武装解除、基地施設の放棄』

これをどうか飲んでほしい。 話し合えれば、それに越したことはないのだから。
しかし敵基地からミサイルが放たれた。
そしてベルリンに出現した巨大MA…デストロイが5機も。
デストロイのビームでこちらの艦艇が次々にやれられていく。

タリア『コンディションレッド発令!!総対戦用意!!』

アレックス達は機体に乗り込む。

ナオト「いよいよだね」

アレックス「ああ、終わらせよう、ここで!!」









































おまけ

エターナルにあるラクスの部屋で…。

ラクス「むむ~…」

ダコスタ「ラクス様は最近、毎朝毎晩、偽者の映像を流しては手を組んで怒りに震えているんです。ラクス様を元気づけてくれませんか?あのようなラクス様を見ていられません。」

ヒルダ「(あれは大胸筋エクササイズのポーズ!!)」

バルトフェルド「(やはり気にしていたか…)」 
 

 
後書き
シン、レイ、ハイネに新型。
アレックス、ナオト、クレアは機体の強化です。
次回はシン達がデストロイ相手に大暴れしてくれます。 

 

第二十五話 ヘブンズベース陥落

 
前書き
ロゴスとの決着をつけるべく、シン達は出撃する。 

 
ザフト軍の降下ポッドが展開する。
ロゴスはそれを見越していたのか対空兵器のニーベルングを早々に使用する。

クレア「何なのあれは!?」

ステラ「やられてる…」

シン「艦長!!出撃許可を!!こんなこと…もう許しておけません!!」

タリア『…MS隊、全機発進!!』

メイリン『シン・アスカ、デスティニー発進スタンバイ。全システムの起動を確認しました。発進シークエンスを開始します。ハッチ開放。射出システムのエンゲージを確認しました。カタパルトオンライン。射出推力正常。針路クリアー。デスティニー、発進どうぞ』

シン「シン・アスカ、デスティニー。行きます!!」

メイリン『セイバー、発進どうぞ』

アレックス「アレックス・ディノ、セイバー。出る!!」

メイリン『ガイア、発進どうぞ』

ステラ「ステラ・ルーシェ、ガイア。行くよ」

メイリン『ストライクノワール、発進どうぞ』

ナオト「ナオト・フジワラ、ストライクノワール。出るよ!!」

メイリン『デスティニー、発進どうぞ』

ハイネ「ハイネ・ヴェステンフルス、デスティニー。行くぜ!!」

メイリン『レジェンド、発進どうぞ』

レイ「レイ・ザ・バレル、レジェンド。発進する!!」

メイリン『デスティニーインパルス、発進どうぞ』

クレア「クレア・トワイライト、コアスプレンダー。行くよ!!」

メイリン『インパルス、発進どうぞ』

ルナマリア「ルナマリア・ホーク、コアスプレンダー。行くわよ!!」

シンのデスティニー。
アレックスのセイバー。
ステラのガイア。
ナオトのストライクノワール。
ハイネのデスティニー。
レイのレジェンド。
クレアのデスティニーインパルス。
ルナマリアのインパルス。
ミネルバのMS隊が出撃する。
今思えば、全員揃っての出撃は今回が初めてだ。

アレックス「まずはデストロイから潰す!!シン、クレア、ルナマリア!!ついて来い!!残りはハイネに従え!!」

レイ「了解!!」

ハイネ「OK!!じゃあステラ、レイ、ナオト。端から潰していくぞ!!俺が先陣を切る!!」

ナオト「はいはい。ステラ、私達は周りの敵機を墜とすんだよ!!」

ステラ「うん!!」

シン「終わらせるんだ!!この戦争を!!」

デストロイはMS形態に変形するとスーパースキュラとツォーンMk-2をセイバーに向けて放った。
アレックスはセイバーの新装備であるスクリーミングニンバスを展開し、ビームシールドを構える。
スクリーミングニンバスによってビームの威力は衰え、ビームシールドによって完全に無効化される。
デスティニーは光の翼を展開し、デストロイに突っ込む。

シン「こんなことを…こんなことをさせる奴等…ロゴス…許すもんかーーーっ!!!!」

パルマ・フィオキーナを起動させ、デストロイの頭部に接触させると頭部が爆散する。

ハイネ「やるじゃねえかシン!!こりゃ先輩として負けられないな!!」

シンのデスティニーの凄まじい機動力に舌を巻きながらハイネのデスティニーは光の翼を展開し、アロンダイトを構えて、大上段で切り下ろす。
デストロイは間を置いて爆散する。

シン「まず1機目!!」

ハイネ「MS隊!!開いた穴から突っ込め!!」

デストロイの撃墜を確認したハイネは他のMS隊に指示を出す。

アレックス「そこだ!!」

アムフォルタスのビームを調整し、巨大なビームソードを展開。
それを一気にデストロイに向けて振り下ろす。
左肩と背部のユニットを両断し、MA形態に変形する。
デストロイは損傷に構わずセイバーにビームを放つがハイパーデュートリオンエンジンによってかつてセイバーよりも機動力が上昇しているセイバーには掠りもしない。
MA形態のセイバーの機動力は直線的なものに限ればトップクラスだ。
セイバーのスクリーミングニンバス展開。
グリフォン2ビームブレイド、アムフォルタスのビームソードを展開し、デストロイに突撃する。
デストロイが陽電子リフレクターを展開するが…。

アレックス「うおおおおおお!!!!!!」

最高速を誇るセイバーのスピードと、ビームと同じ性質を持つ特殊な粒子を散布することで、敵にダメージを与える攻性の幕状に展開する防御フィールドの恩恵で体当たりだけでMSを落とすという暴挙を可能とする。
デストロイのコクピット部に風穴が空き、爆散する。

アレックス「これで2機目だ!!」

クレア「すっごい…。凄いよアレックス!!」

ナオト「てやああああ!!」

ストライクノワールが対艦刀のフラガラッハを構えて、突撃。
コクピットにフラガラッハを叩き込み、コクピットに穴が空いた。

クレア「これだけの馬鹿でかいMS…巨体を支えている足をやれば!!」

クレアは腕部のフラッシュエッジをデストロイの脚部に向けて投擲すると、デストロイの脚部を切り裂いた。

クレア「レイ!!」

レイ「任せておけ!!」

レイのレジェンドが脚部を失い倒れたデストロイのコクピットに空いた穴にビームライフル、突撃ビーム機動砲のフルバーストを直撃させる。
それを受けたデストロイは爆散する。

ナオト「よし、3機目撃墜完了!!」

アレックス「よし!!ルナマリア!!ソードに換装してエクスカリバーをガイアに!!クレアもエクスカリバーをレジェンドに渡すんだ!!」

クレア「うん!!」

ルナマリア「ミネルバ、ソードシルエットを!!」

デスティニーインパルスのエクスカリバーの片方をレジェンドに。
インパルスがソードシルエットに換装し、エクスカリバーをガイアに渡す。

ステラ「はああああ!!」

ガイアがエクスカリバーを振るい、デストロイの胴体を横一文字に切り付ける。

ルナマリア「これでえ!!」

インパルスがデストロイにフラッシュエッジを投擲し、デストロイに向けて急降下する。
エクスカリバーでデストロイを切り裂き、撃墜する。

ルナマリア「これで4機目よ!!」

レイはルナマリアの格闘の実力を再認識する。

レイ「やるなルナマリア!!大した物じゃないか!!」

クレア「射撃はド下手なのにね!!」

ルナマリア「うるさいわね!!射撃は下手でも私は赤なのよ!!」

クレアのからかいの言葉にルナマリアはムスッとなりながら言い返す。

シン「アレックス!ハイネ!レイ!あいつを!!あいつを討てば終わる!!この戦争が!!」

シンとハイネのデスティニー、レイのレジェンド、アレックスのセイバーが最後のデストロイに突っ込む。

2機のデスティニーとレジェンドがデストロイを切り裂き、とどめのセイバーの突撃を喰らわせる。
コクピット部に風穴が空き、最後のデストロイが爆散する。
ヘブンズベースのロゴスが白旗を上げたのは、デストロイが倒されてすぐの事だった。

シン「勝った……」

ナオト「ようやく終わったよ。この戦争が…」

敵の攻撃が沈黙し、ロゴスが完全に敗北したと通信でも告げられる。

アレックス「みんな、ミネルバに帰還するぞ」

全員【了解】

アレックス達はミネルバに帰還し、コックピットから降りると大勢のクルーから称えられる。

ヨウラン「やったな、これってさ、やっぱパイロット全員勲章ものだよな!!」

皆浮かれている。
当然だろう。
ロゴスを捕らえることに成功したと思っているのだ。
しかし彼らはジブリールが逃げ出していることなど知らない。

ナオト「アレックス!!」

アレックス「ナオト?」

いきなり抱き着いて来るナオトに驚きながらアレックスは彼女を受け止める。
周りからのからかいにアレックスは恥ずかしさ半分、嬉しさ半分の表情を浮かべていた。

レイ「ロゴスは討った…後は議長のプランの成功を祈るだけだ……。」

クレア「そうだね。レイも凄かったよ」

レイ「俺だけの力ではない。お前の援護があったからこそだ」

クレア「そ、そうかな?あ、ありがとう…」

照れながら笑うクレアにレイはうっすらと微笑んだ。

ヨウラン「おいおい、アレックスさんとナオトさん、シンとステラに続いて新しいバカップルの誕生だぞお!!」

クレア「なっ!?」

ヨウランのひやかしにクレアは赤面する。
気のせいかルナマリアとハイネからの視線も生暖かい。

クレア「ち、違うよ!!違うったら!!僕とレイはそんな関係じゃないんだから!!」

ヴィーノ「慌てて否定するところが怪しいな…」

クレア「違うーーーっ!!!!」

からかいの対象がアレックスとナオトからクレアに変わり、レイは顔を真っ赤にしながらヴィーノとヨウランを追いかけるクレアを見つめていた。
全員がこれで戦争は終わったと思っていた。








































ヘブンズベースでの戦闘が終わり、誰もが戦争は終わったと思っていたのだが…。

クレア「ええっ!?ジブリールがいない!?」

ナオト「いないって…そんな…」

レイ「基地が降伏する前に1人だけこっそりと逃げたらしい」

ステラ「逃げた…?」

レイ「他のロゴスのメンバーは全て見捨てて」

クレア「うわあ、ちっちゃい奴。そんなんでよく人の上に立てるよね。議長見習えっての」

ルナマリア「やっかいな事になったわね」

アレックス「やはりそう簡単には終わらないな…」

シン「そんなことない!!今度見つけたら絶対に俺が踏み潰してやる!!」

ハイネ「同意見だな。それにしてもどこに逃げ込んだんだか…」

アレックス「宇宙港のある所だろう…パナマか…?」

ナオト「どっちにしても、最終的には月、かな」

シン「月、か……」







































ヘブンズベースの処理が落ち着いた頃、シン達に勲章の授与式があった。
パイロット全員が叙勲され、最後に…。

「ヘブンズベース戦での功績を称え、シン・アスカにネビュラ勲章を授与するものとする。おめでとう。2つめだな。いや全く素晴らしい」

シン「ありがとうございます」

デュランダル「それからこれを、シン・アスカに」

議長がFAITHのバッジが入っているケースをシンに差し出す。

シン「これはFAITHの…議長……」

デュランダル「不服かね?」

シン「あ、いえそんな…そんなことはありません。けれど、本当に自分がもらってしまっていいものかと……」

デュランダル「これは我々が君の力を頼みとしている、ということの証だ。どうかそれを誇りとし、今この瞬間を裏切ることなく今後もその力を尽くして欲しいと思ってね」

シン「議長…分かりました。ベストを尽くします!!」

シンはフリーダム撃墜とヘブンズベースでの功績によってFAITHになった。

シン「じゃあ、お先に失礼します」

タリア「ええ、ご苦労様。FAITH就任、おめでとうシン」

シン「はい!!」

アレックス「艦長も言っていたが、FAITH就任おめでとうシン。」

ナオト「これからは本当の意味で対等だね」

シン「はい」

アレックスやナオトと並びながら歩き、シンの胸元でFAITHのバッジを煌めく。
シンは誇らしげにFAITHのバッジを見つめていた。
議長達も部屋から出てきた。
そこに、ザフトの兵士がやって来る。

「議長」

デュランダル「何だ?」

「ロード・ジブリールの所在が分かりました」

ナオト「え?」

シン達は議長達の会話に聞き耳を立てた。

「カーペンタリア情報部からの報告です」

デュランダル「カーペンタリアから?で、彼はどこに?」

「…オーブです」

シン「ええ!?」

ジブリールの所在が意外にもオーブであった。
それを聞いたシン達は驚愕するのであった。











































~if~

これはもし、ルナマリアとアーサーが自意識過剰だったならの話です。

「ヘブンズベース戦での功績を称え、シン・アスカにネビュラ勲章を授与するものとする。おめでとう。2つめだな。いや全く素晴らしい」

シン「ありがとうございます」

今回のヘブンズベース攻略に大活躍したシン。
かつてオーブの代表に罵声を浴びせていたあの問題児は今や名実共にザフトのエースとして成長しました。

デュランダル「それからこれを……」

アーサー「(キタキタキター!!)」

ルナマリア「(私がFAITHになるのね…)」

議長が取り出したのはフェイスのバッジ。
受賞されるのは誰なのか?
既にFAITHであるアレックス、ナオト、ハイネ、艦長を除き自らの授章を確信してビシッと表情を作るアーサー。
副官としてナイスリアクションを連発中の自分に違いない。
いやいや自分に違いないとルナマリア。
ミネルバの女性パイロットとして活躍する自分が授章すれば、きっと多くの女性パイロットたちの励みになるはず。
それならルナマリアの何倍も成果を上げているクレアの方に可能性がありそうだが。

デュランダル「シン・アスカに」

アーサー「ええっ!?」

ルナマリア「はあっ!?」

シン「これはFAITHの…議長……」

デュランダル「不服かね?」

シン「あ、いえそんな…そんなことはありません。けれど、本当に自分がもらってしまっていいものかと……」

デュランダル「これは我々が君の力を頼みとしている、ということの証だ。どうかそれを誇りとし、今この瞬間を裏切ることなく今後もその力を尽くして欲しいと思ってね」

シン「議長…分かりました。ベストを尽くします!!」

議長からフェイスのバッジを授与されるシン。
それを恨みがましい瞳で見つめるルナマリアとアーサー。
特にアーサーは“FAITHになってモテモテなるゾ☆計画”が水泡と帰してがっかり。

アーサー「(仕方ない。本当は私が授章する予定だったんだけど、優しさから部下に譲ったということにしておこう。)」

何様のつもりだよアンタ。 
 

 
後書き
デストロイがあっさりと撃墜されました。
次回はオーブ戦。
インフィニットジャスティスは誰に乗せようか…? 

 

第二十六話 オーブ

 
前書き
ジブリールがオーブにいる。
かつての故郷にシンは何を思う? 

 
談話室ではアレックスが深い溜め息を吐いていた。

アレックス「まさかジブリールがオーブにいるなんて…」

ジブリールがオーブにいることにアレックスは驚愕していた。
パナマがあるにも関わらずオーブに。
どうやら裏をかかれたようだ。
まさかこの状況にも関わらず、ジブリールに協力するつもりなのだろうか。
いや、いくらあの馬鹿親子でもオーブの生き残りを第一にしていたのだ。
そこまでの愚行は犯すまい。
そう考えているアレックスにシンが歩み寄る。

シン「アレックス」

アレックス「ん?何だシン?」

シン「ちょっとシミュレーションに付き合ってくれませんか?」

アレックス「シミュレーション?」

シン「はい。俺、気づいたんです。前の戦闘で…あいつの…デスティニーの真の戦闘力はもっと上にあるって…だから俺は早くあいつを乗りこなしたい!!そして1日も早くロゴスを…ジブリールをこの手で!!」

アレックス「分かった。協力しよう。」

どんどん頼もしくなっていく後輩の姿に、アレックスは嬉しそうに笑みを浮かべた。








































アレックス「行くぞシン!!」

シン「はい!!」

シミュレーションを機動させ、デスティニーがアロンダイトを抜き、セイバーに突撃。
セイバーもビームサーベルを連結させ、デスティニーに突撃する。
デスティニーのアロンダイトの斬撃をセイバーのビームシールドで受け止める。

シン「うおおおおお!!!!」

アレックス「なっ!?」

シンはデスティニーのバーニアを一気に吹かす。
セイバーは力負けし、押されてしまう。

アレックス「ちっ!!」

セイバーの足のビームサーベルを展開するとデスティニーを蹴り上げようとするが、デスティニーは即座に離れる。
デスティニーのフラッシュエッジを抜き、セイバーに向けて投擲。
ビームシールドと足のビームサーベルを展開。
フラッシュエッジを弾く。

アレックス、シン「「はああああああ!!!!」」

セイバーとデスティニーが幾度もぶつかり合う。
セイバーがビームサーベルを振るい、アロンダイトを両断。
しかしデスティニーもパルマ・フィオキーナからビームを放ち、セイバーの右肩の装甲を破壊する。
そして距離を取るとデスティニーの長射程ビーム砲をセイバーに向け、放つ。
セイバーのビームシールドを展開し、防いだ。

シン「でやああああああ!!」

もう片方のフラッシュエッジを抜き、ビームサーベルのようにするとセイバーに突撃する。
アレックスはセイバーのビームサーベルを展開したシールドをデスティニーに向けて投げる。

シン「!?」

シンはアレックスの行動に目を見開くがビームシールドを展開し、それを弾いた。
だが、セイバーはすぐ目の前にいた。
連結していたビームサーベルを2本に戻し、デスティニーに向けて振り下ろす。
シンは咄嗟にパルマ・フィオキーナで受け止めるが、耐え切れずに両腕が爆散。
セイバーの回し蹴りを胴体に受けたことでシミュレーションは終了した。

シン「畜生…また負けた…」

アレックス「いや、こっちも危なかった。まだデスティニーの動きがぎこちないな。OSを改良してみたらどうだ?」

シン「ん…そうですね…」

シンはアレックスの言う通りにOSの改良を始めた。

クレア「オーブからの回答が来るよって…シン、何してるの?」

シン「見れば分かるだろ?OSの改良だ。今のOSじゃあデスティニーの機体性能をフルに発揮出来ないからな」

クレア「デスティニーの微調整はまだ終わってないの?」

シン「まあ…な…」

クレア「とにかく、オーブ回答が来るから早く来てね」






































既にオーブ近海をザフト艦隊が包囲。
回答次第では一気に戦闘に突入するこの状況で、オーブが出す回答とは果たして…。

ユウナ『貴艦らが引渡しを求めるロード・ジブリールなる人物は、我が国には存在しない。またこのような武力を持っての恫喝は、一主権国家としての我が国の尊厳を著しく侵害する行為として大変遺憾に思う。』

シン「はあ…!?」

ユウナ『よって直ちに軍を引かれることを要求する』

アレックス「ユウナ…!!何故あんな回答を…!!あれじゃあオーブを攻撃してくれと言っているようなものだぞ!!」

ユウナの回答に怒りを露にするアレックス。
今のオーブには別に愛着など無いが、オーブの国民達が犠牲になることに怒りが込み上げる。

レイ「…やはりどうにもならないか」

ルナマリア「オーブと戦うことになるわね…」

シン「くそ!!奴らにとって国民なんてどうでもいいってのかよ!!」

怒りを露にするシン。

アレックス「……」

ナオト「オーブはユニウスセブンのことがあるまでは友好国として親しくしてきたけど…」

ハイネ「こんな茶番に付き合えるはずもないしな」

ミネルバのパイロット達は更衣室に向かう。
かつての友好国に戸惑う者も少なくはなかった。













































ブリーフィングルームではアレックス達がMSデッキに向かう中、シンのみ残っていた。
心のどこかでオーブと戦うことに戸惑いを抱えているのだ。

ステラ「シン…?」

先にブリーフィングルームを出たステラだが、出て来ないシンを心配して戻ってきたのだ。

シン「ステラ…」

ステラ「大丈夫…?」

シン「…大丈夫だよ。ステラ…オーブを討つなら俺の手で討つ…もう決めたんだ。」

認めたくはないが、自分はまだオーブが好きなのだ。
他の誰かに討たれたらその人物を恨んでしまう。
なら自分が討った方がマシだ。

ステラ「シン…」

シン「ごめんステラ。さあ、行こう。」

ステラ「うん。ステラ、シンを守るから」

シン「え?」

ステラ「ステラ、シンのこと…好き…だから…守る」

シン「ありがとう。だったら俺もステラを守るよ。守られてばっかは嫌だからさ」

ステラ「うん…」









































シンとステラはブリーフィングルームを後にするとそれぞれの機体に乗り込んだ。

アレックス「艦長、発進許可を!!」

タリア『あなた達…』

シン「オーブは…俺が討ちます。発進許可を下さい」

タリア『…分かったわ』

アーサー『ええ!!?艦長!!』

タリア『FAITH権限を使ってでも行くんでしょう?』

シン「はい。」

タリア『なら、私に止める権限は無いわね』

シン「ありがとうございます。」

メイリン『シン・アスカ、デスティニー発進スタンバイ。全システムの起動を確認しました。発進シークエンスを開始します。ハッチ開放。射出システムのエンゲージを確認しました。カタパルトオンライン。射出推力正常。針路クリアー。デスティニー、発進どうぞ』

シン「シン・アスカ、デスティニー。行きます!!」

メイリン『セイバー、発進どうぞ』

アレックス「アレックス・ディノ、セイバー。出る!!」

メイリン『ガイア、発進どうぞ』

ステラ「ステラ・ルーシェ、ガイア。行くよ」

メイリン『ストライクノワール、発進どうぞ』

ナオト「ナオト・フジワラ、ストライクノワール。出るよ!!」

メイリン『デスティニー、発進どうぞ』

ハイネ「ハイネ・ヴェステンフルス、デスティニー。行くぜ!!」

メイリン『レジェンド、発進どうぞ』

レイ「レイ・ザ・バレル、レジェンド。発進する!!」

メイリン『デスティニーインパルス、発進どうぞ』

クレア「クレア・トワイライト、コアスプレンダー。行くよ!!」

メイリン『インパルス、発進どうぞ』

ルナマリア「ルナマリア・ホーク、コアスプレンダー。行くわよ!!」

ミネルバのMS隊がオーブに向かう。
今回は二手に別れる。
シン、アレックス、レイ、クレアがオーブ国防本部の制圧。
ハイネ、ステラ、ルナマリア、ナオトが宇宙港の制圧に向かう。

シン「うおおおおおお!!!!」

シンのデスティニーがアロンダイトを構えて突撃する。

アレックス「シン…」

アレックスのセイバーもデスティニーを援護すべく、敵MS隊に突っ込んでいく。

クレア「レイ、気づいた?」

レイ「ああ…」

敵機を墜としていたクレアがレイに尋ねる。
レイは予想外の敵の脆さに色んな意味で驚いていた。
オーブ軍はかなり高い軍事力を誇り、練度が高い連中が多いはずなのに、何故か物凄く脆い……。

クレア「一体何なの?弱すぎにも程ってものがあるでしょ?これならクレタで戦った時の方が強かったよ…」

クレアも呟く。
全くもって同感だ。
ここまで来ると何かの罠ではないかと感じてしまう。
もしくは指揮官がどうしようもない余程の無能のどちらかだが……。




































一方司令部では、ユウナがザフトが侵攻してきたことに慌てていた。

ユウナ「ああー、もう~!!どうしてこうなるんだ!?彼はいないと回答したのに何で奴等は撃ってくるの!?」

トダカ「嘘だと知ってるからですよ!!政府は何故、あんな馬鹿げた回答をしたのですか!!」

ユウナ「えっ!?だって昔、アークエンジェルの時は……」

トダカ「あの頃とは、政府も状況も違います!!」

ユウナ「ああもう!う、うるさいっ!!とにかくこっちも防衛体制を取るんだよ!!護衛艦軍出動!!迎撃開始!!MS隊発進!!奴等の侵攻を許すな!!」

政治に関しては優秀でも軍事に関してとことん無能なユウナであった。







































ヘルベルト「ふぅ、やはり鬱陶しいな、地球の重力は」

激動する戦場に新たな混乱の火種が。
突如、出現した降下ポッドから現れたのは、所属すら分からない3機の新型MS。

ヒルダ「何言ってんだ。ほら行くよ野郎共!!」

マーズ「おう!!」

ヒルダ「ラクス様のために!!」

ドム・トルーパーがザフトのMS隊に突っ込んでいく。










































ナオト「宇宙港まで後少し!!このまま一気に突っ込むよ!!」

ステラ「うん!!」

ハイネ「そうはいかないようだぜ。お客さんだ!!」

前方からドム・トルーパー3機が向かってきた。

ヒルダ「ほらほら下がんなあ!!下がるんだよ!!」

ヘルベルト「そう言うなら脚撃つなよ…」

ルナマリア「何あれ?オーブの新型?その割にはザフトっぽいわね」

ヒルダ「あれがザフトの新型かい?マーズ!!ヘルベルト!!アレをやるよ!!」

マーズ「おう!アレだな!!」

ヘルベルト「いくのかよ、アレを!!」

ハイネ「ん?各機散開!!」

ヒルダ、マーズ、ヘルベルト「「「ジェットストリームアタック!!」」」

ハイネの指示によりデスティニー、ストライクノワール、インパルス、ガイアが散開することで回避した。

ヒルダ「ちっ、やるじゃないか!!」

ハイネ「こいつらかなりの連携をしやがる。ルナマリア、ステラ、ナオト。お前らは宇宙港の制圧を急げ!!」

ナオト「分かった。墜とされないでよハイネ!!」

ストライクノワール、ガイア、インパルスが宇宙港へと向かう。

ヒルダ「逃がさないよ!!」

ハイネ「おっと、ここから先は通行禁止だぜ」

ヒルダ「何!?その声は…ハイネ・ヴェステンフルスか!?」

ハイネ「お?懐かしい声だ。久しぶりだなヒルダ。ヤキン戦以来だな」

ヒルダ「何故ラクス様に敵対するんだい、あんたほどの男が!!」

ハイネ「生憎、俺はラクス・クラインのことはどうでもいいのさ。彼女の歌は好きだったがね」

ヒルダ「ラクス様の侮辱は許さないよ!!」

瞬間、3機のドムが展開し、次々とバズーカからビームを放ってきた。
ハイネはデスティニーのビームシールドを展開して防ぐ。

ハイネ「腕は俺の方が上だって忘れたか?外見年増女!!」

ヒルダ「な…っ!?と、年増だってえ!!!?」

マーズ「な、何てこといいやがる!!そりゃあ確かに見た目は三十路間近くらいに見えるが…」

ヒルダ「やかましい!!ハイネ、あんただけは絶対に許さないよ!!」

3機のドムがデスティニーに迫る。
ハイネは不敵な笑みを浮かべてドムに向かっていく。

































「やらせはせんぞおおおおお!!」

ナオト「!?」

突然ムラサメ部隊がナオト達に向かって突撃してきた。
いや、これは突撃ではない特攻だ。
ムラサメ部隊は特攻してくるわストライクノワール、インパルス、ガイアにしがみついてくるわで。
しかもちょっとやそっと機体を破壊してもお構い無しで来るから性質が悪すぎる。
技量が高いパイロットも何人かいる……。

ステラ「な、何…?何なの…?」

ステラが呆然とした声を上げている。
無理もない。
まさか特攻をするとは思わなかったからだ。
ナオトだって一瞬今が戦闘中である事を忘れて呆けたくらいだ。

ナオト「止まっていたらいい的だよ、ステラ!!」

いち早く冷静さを取り戻したらしいナオトがステラに声を掛ける。
この程度の敵を片付けるのは簡単だがそれでもこの数とこの性質の悪さではかなり時間が掛かる。






































シン「このまま国防本部を制圧すれば!!」

圧倒的な機動力を活かして突き進むシンのデスティニー。
武装の数と防御力はハイネのデスティニーに劣るが機動力はハイネのデスティニーを上回るのだ。
しかし、デスティニーに向けてビームが放たれ、動きを止められる。

アレックス「あれは!?」

シン「黄金のMS!?」

デスティニーにビームを放ったのは、黄金の装甲を持つMS…アカツキである。

シン「邪魔だ!!」

シンはアカツキに向けて超射程ビーム砲を放つが、アカツキの装甲に弾かれる。

アレックス「ビームを弾いた!?」

クレア「だったら直接攻撃で!!!」

エクスカリバーを構えて突撃しようとするが、アカツキのパイロットから…。

カガリ「待て!!聞こえるか?アスラン!!」

アレックス「カガリ!!?」

アカツキのパイロットがカガリであることにアレックスは目を見開いた。

カガリ「私は戦闘を止めるために動いている!!ここは退いてくれ!!」

レイ「何だと…?」

クレア「戦闘を止める…?今更あなたが出て来て何になるって言うのさ!!今まで散々戦場を混乱させておいて!!」

カガリ「それは…私はオーブを守るために…」

レイ「ならば、何故、早期にオーブに戻らなかったのです?あなたが不在でなければ、ジブリールはオーブには来なかった。あなたがAAに乗り、身勝手な正義を振りかざさず、オーブに戻っていればこのようなことにならなかったのでは…?」

カガリ「そ、それは…」

アレックス「カガリ、俺は言ったよな?権利は責任を伴う。国を動かす権利を持ったらそれ相応の責任があると…、今までその責任から逃げていたツケが今になって来たんだ」

シン「あんたは…あんたらはいつもそうだよな。理念理念って…そのMSはあんたにお似合いだよ!!外側ばかり着飾って、守れると思うな!!」

デスティニーがアロンダイトを構え、アカツキに突撃する。

カガリ「シン!!」

カガリがシールドを構えるがシンはパルマ・フィオキーナを叩き込み、シールドを粉砕する。

シン「終わりだ!!」

デスティニーがアロンダイトを振り下ろそうとした瞬間。
デスティニーとアカツキの間にビームが放たれた。

シン「!?」

上空を見上げるとそこにはフリーダム…否、フリーダムの後継機、ストライクフリーダム。

アレックス「フリーダム!?それにあれは…!!」

クレア「ジャスティス!?」

ストライクフリーダムとジャスティスの後継機であるインフィニットジャスティスはアカツキの前に出る。

キラ「カガリ、ここは僕に任せて国防本部に!!」

レイ「キラ・ヤマト…!!だがジャスティスのパイロットは誰だ…!?」

アレックス「キラ!!キラ・ヤマトか!!?」

キラ「アスラン…」

アレックス「やはり生きていたか…だが、今度こそお前を討つ!!」

バルトフェルド「止めろアスラン!!」

アレックス「バルトフェルド隊長…!?あなたがジャスティスに!!?」

バルトフェルド「俺達はお前のために、この機体を用意してまで待っていたんだぞ!!」

アレックス「…バルトフェルド隊長、どうして止めなかったんですか!!キラを、カガリを、ラクスを!!」

レイ「アレックス!!ジャスティスは俺とクレアが抑えます。あなたはシンと連携してフリーダムを!!」

アレックス「…分かった。行くぞシン!!」

シン「了解!!」

デスティニーとセイバーはストライクフリーダムに。
レジェンドとデスティニーインパルスはインフィニットジャスティスに挑むのであった。











































~if~

これはもしもユウナが救いようのない馬鹿だったら…の話。

アレックス「まさかジブリールがオーブにいるなんて…」

ジブリールがオーブにいることにアレックスは驚愕していた。
パナマがあるにも関わらずオーブに。
どうやら裏をかかれたようだ。
まさかこの状況にも関わらず、ジブリールに協力するつもりなのだろうか。
いや、いくらあの馬鹿親子でもオーブの生き残りを第一にしていたのだ。
そこまでの愚行は犯すまい。

クレア「オーブからの回答だよ」

既にオーブ近海をザフト艦隊が包囲。
回答次第では一気に戦闘に突入するこの状況で、オーブが出す回答とは果たして…。

ユウナ『オーブ政府を代表して通告に対し回答する』

スピーカーから流れてくる緊張感のないユウナの声。
その声にアレックス達は何故か言いようのない不安に襲われる。
もはや彼が何を言ってもギャグの前フリにしか聞こえないから不思議だ。

ユウナ『貴艦らが引渡しを求めるロード・ジブリールなる人物は、我が国には存在しない。またこのような武力を持っての恫喝は、一主権国家としての我が国の尊厳を著しく侵害する行為として大変遺憾に思う。だからさっさと帰って!!私は忙しくて寝てないんだ!!』

全員【はあ!?】

アレックス達の嫌な予感は見事に的中。
決定的な証拠を捉えられているのにも関わらず、ユウナはジブリールの存在を認めるどころかまさかの逆ギレ。
まさかの回答にアレックス達は唖然となる。

アレックス「何を考えてるんだあの馬鹿は!!!!」

シン「ア、アレックス。少し落ち着いて…」

クレア「きっと何も考えてない…というか、アレックスとシンの立場がいつもと逆になってる…」

熱くなっているアレックスをシンが宥める。
いつもと逆の立場にクレアは珍しいものを見たかのように2人を見つめていた。

ナオト「そうだね…というか何やってんのあのお坊ちゃんは!!?」

モニターに映るユウナを怒鳴りつけるナオト。
流石オーブの馬鹿代表ユウナ。
最悪のケースの遥か斜め上をいく絶望的な回答であった。

ハイネ「……というかこれもうどうにもならねえよな?」

レイ「……はい」

予想外の回答にハイネもレイも呆れかえって言葉を失う。
こちらからオーブを攻めるには大義名分が必要だったが、まさか自ら墓穴を掘ってくれるとは。
オーブ国民には気の毒だが、ここまで馬鹿にされて黙っていられる程自分達はお人よしではない。
ザフトはオーブへ侵攻を開始するのであった。 
 

 
後書き
ストライクフリーダムとインフィニットジャスティスが介入。
アスランはザフトなのでインフィニットジャスティスはバルトフェルドに乗ってもらいました。

おまけ~今日見た変な夢~

「やらせはせんぞおおおおお!!」
ナオト「!?」
突然ムラサメ部隊がナオト達に向かって突撃してきた。
いや、これは突撃ではない特攻だ。
ムラサメ部隊は特攻してくるわストライクノワール、インパルス、ガイアにしがみついてくるわで。
しかもちょっとやそっと機体を破壊してもお構い無しで来るから性質が悪すぎる。
技量が高いパイロットも何人かいる……。
ステラ「な、何…?何なの…?」
ステラが呆然とした声を上げている。
無理もない。
まさか特攻をするとは思わなかったからだ。
ナオトだって一瞬今が戦闘中である事を忘れて呆けたくらいだ。
ナオト「止まっていたらいい的だよ、ステラ!!」
いち早く冷静さを取り戻したらしいナオトがステラに声を掛ける。
この程度の敵を片付けるのは簡単だがそれでもこの数とこの性質の悪さではかなり時間が掛かる。
ルナマリア「ナオト、また来るわ!!」
ナオト「しまった!!」
反応が遅れ、特攻するムラサメの接近を許してしまうナオト。
ステラ「ええええい!!」
しかしステラのガイアが割って入り、やたらでかい柱で盛大に振りかぶった。
カキーンッ!!
妙にいい音がし、ムラサメはホームランボールのように飛んでった。
ナオト、ルナマリア「「は?」」
呆然となるナオトとルナマリアにステラが笑いかける。
ステラ「ナオト、大丈夫?」
ナオト「え?あ、うん」
顔を引き攣らせながら笑うナオト。
しかし無理もない。
まさか柱を引き抜いてムラサメをホームランするなど誰が想像出来るだろうか?
というかこのシーンは間違いなく。
アーサー『カーーーットッ!!!!』
ああ、やっぱり。
ステラ「…副長、駄目?」
アーサー『駄目!!』
流石にギャグならともかく、シリアスでそれはまずいと思う。
デュランダル『なかなか面白いNGが取れたと思えばいいだろうに…』
タリア『議長、そういう問題では…』
何故、ジブラルタル基地にいるはずの議長がミネルバにいるのだろうか?
瞬間移動?








これが今日見た夢の内容です。
私は多分疲れてたんだと思います。 

 

第二十七話 ジブリール逃亡

 
前書き
突如現れたストライクフリーダムとインフィニットジャスティス。
シン達の心境は…。
 

 
再びぶつかり合う、シン達とキラ達。

シン「くそっ!!」

デスティニーが光の翼を展開し、ストライクフリーダムに向かっていく。
ストライクフリーダムがビームライフルを連結させ、デスティニーに向けて放つがデスティニーのビームシールドを展開させ、防ぐ。
デスティニーは長射程ビーム砲を放ち、ストライクフリーダムもカリドゥス複相ビーム砲を放った。
互いのビームがぶつかり合い、出力が互角のために相殺になった。

シン「こんのおおおおお!!」

デスティニーがアロンダイトを構えてストライクフリーダムに突っ込む。
キラはSEEDを発動させるとビームライフルを上に投げ、ビームシールドを展開。
そして真剣白刃取りでアロンダイトを受け止める。

シン「何だと!?」

驚愕するシンにキラはクスィフィアス3レール砲を向け、デスティニーに直撃させ、吹き飛ばす。

アレックス「シン!!」

アレックスもキラ同様にSEEDを発動させ、セイバーをMA形態に変形させるとストライクフリーダムに突撃をかける。

キラ「くっ…」

MA形態のセイバーの凄まじい機動にキラも表情を険しくする。

シン「これがビームだったら…もう終わってるって…そう言いたいのかよあんたは!!」

怒りに燃えるシンもSEEDを発動させ、光の翼を展開。
セイバーと同様に凄まじい機動でストライクフリーダムを翻弄する。



































バルトフェルド「最近のザフトのエースもやるじゃないか…。僕を相手にここまでやるとはね!!」

レイ「砂漠の虎、アンドリュー・バルトフェルド。あなた程の人間が何故テロリストに手を貸す!?」

バルトフェルド「狭い視野で物事を語るなあ!!僕達には僕達の考えがあるということさ」

クレア「何を偉そうに!?」

バルトフェルド「まあ、そう興奮しなくてもいいだろう。後、数年経って、女性らしさを備えれば君はいい女になる」

クレア「っ、馬鹿にするな!!」

デスティニーインパルスが光の翼を展開し、インフィニットジャスティスに向かっていく。

レイ「クレア!!」

インフィニットジャスティスはシールドに装備されたアンカーを射出。
エクスカリバーを奪うと同時に右腕を脚に装備されたビームブレイドで切り裂いた。

クレア「ぐっ、よくも…!!」

レイ「落ち着けクレア!!頭に血を上らせていては奴には勝てない!!」

クレア「っ!ごめん…」

レイ「2人で連携して奴を墜とすんだ…確実に!!」

クレア「うん!!」

レジェンドが突撃機動ビーム砲とビームライフルのフルバーストをインフィニットジャスティスに向けて放つ。
インフィニットジャスティスはそれを上昇してかわすが、デスティニーインパルスが左手にフラッシュエッジを握らせ、ビームサーベルのようにすると切り掛かる。

クレア「はああああっ!!」

インフィニットジャスティスはビームシールドを展開して斬撃を防ぐ。

バルトフェルド「っ、今までは本気ではなかったということか!!」

余裕の笑みを崩さなかったバルトフェルドもレジェンドとデスティニーインパルスの機動に焦りの表情を浮かべる。





































アレックス「何故、邪魔をするキラ!!お前が介入さえしなければジブリールをすぐにでも捕らえられるというのに!!」

キラ「だけど…君の言うことも分かるけど、戦いで勝ち得た平和はまた新しい戦いを生んでしまうんだ!!」

アレックス「そうならないように俺達やデュランダル議長は動いているんだぞ!!もう二度と戦争の起こらない世界を創るために!!」

キラ「どうして君はそこまで議長を信じられるんだ!!」

アレックス「なら聞くが、何故碌に話してもいないお前がそこまで議長を疑う!?疑える者は皆、敵だと言うのか!?」

キラ「君が本当の議長のことを知らないだけかもしれないだろう!!」

クスィフィアス3レール砲をセイバーに向けて放つ。
直撃を受けたセイバーが吹き飛んだ。

アレックス「ぐっ!!」

シン「アレックス!!くそ…フリーダム!!」

キラ「!?」

デスティニーがストライクフリーダムにライフルを向けて放つ。

シン「あんたはそうやって自分だけ分かっているつもりでいるから人を見下すことしか出来ないんだ!!アレックスも俺達もちゃんと考えて戦う道を選んだんだ!!それをあんたに文句を言われる筋合いはない!!」

光の翼を展開した状態で長射程ビーム砲をストライクフリーダムに向けて放つ。

キラ「くっ!!速い!!」

何とか翻すがデスティニーの機動力にはストライクフリーダムでも追いつけない。

レイ「シン!!フリーダムとジャスティスは俺達に任せて、お前は国防本部に向かえ!!」

シン「え…?」

クレア「オーブのこと、まだ好きなんでしょ?だったら国防本部を急いで制圧するしか戦闘は止められないよ!!」

アレックス「シン、行け!!国防本部を制圧して、ジブリールを捕らえるんだ!!」

シン「ああ、分かった。みんな、ありがとう!!」

シンはストライクフリーダムとインフィニットジャスティスをアレックス達に任せ、デスティニーの光の翼を展開し、国防本部に向かう。

キラ「しまった!!」

レイ「行かせはしない!!」

追い掛けようとするストライクフリーダムをレジェンドがビームを放ち妨害する。




































デスティニーを全開で飛ばすと、国防本部周辺に辿り着く。

シン「あれか!?」

シンはデスティニーを国防本部に向かわせるが、ムラサメやアストレイの迎撃を受ける。

シン「はあああああ!!」

フラッシュエッジを投擲し、アストレイを薙ぎ払い、パルマ・フィオキーナでムラサメを粉砕する。
そして、デスティニーから降りるとシンは国防本部に侵入する。






































そして国防本部内では、国家反逆罪で拘束されたユウナの元にカガリが既に来ていた。

カガリ「ユウナ!!」

トダカ「カガリ様」

ユウナ「カガリぃ!酷いよこれは!!あんまりだ!!僕は君の留守を一生懸命…」

ユウナが言葉を言い切る前にユウナを殴りつける。
殴られたユウナは盛大に尻餅を着いた。

カガリ「お前だけを悪いとは言わない!!ウナトやお前や…首長達と意見を交わし、己の任を全う出来なかった私も充分に悪い!!だが、これは何だ!!意見は違っても国を守ろうといい想いだけは同じだと思ったのに!!」

ユウナ「し、仕方ないじゃないか、どの道今のオーブは…」

シン「今のオーブが…何だって?」

トダカ「き、君は!?」

カガリ「シン!?」

トダカはかつて自分が助けたシンに、カガリはキラ達と戦っていたはずのシンがここにいることに驚いた。

シン「もう少し警備を厚くしたらどうだ?仮にも本部なんだろ?久しぶりですね、トダカ一佐。あの時はお世話になりました。フリーダムとジャスティスならアレックス達が相手をしてる。さて、あんたがユウナ・ロマ・セイラン…オーブ代表の代理で間違いないな?」

トダカには笑みを見せ、カガリの疑問に答えた後、ユウナを睨み据える。

ユウナ「ヒッ、ヒイィィィ!!」

シンから放たれる殺気にユウナは顔面を蒼白にさせながら後退する。
シンは構わず、ユウナに近づく。
オーブ兵がシンに銃を向けるがカガリに制された。

ユウナ「な、何をしてる!?は、早く撃て!!こ、殺される!!」

シン「……………」

叫ぶユウナに構わず歩み寄るシン。
そして両者の距離は殆ど無くなり、シンはユウナの胸倉を掴む。

ユウナ「ぼ、僕を誰だと思っているんだ!!ユウナ・ロマ・セイランだぞ!!前の大戦でオーブを復興させたセイラン家の人間なんだぞ!!!!」

ユウナの見苦しい言葉にシンは拳を握り締める。
こんな奴の茶番に付き合ってやるほどシンはお人よしではない。

シン「うわあああああ!!!!」

ユウナの胸倉を掴んだまま、ユウナの顔面に拳を叩きつける。
軍人であるシンの拳を受けたユウナは壁に叩きつけられ、鼻が奇妙な形になっていることから鼻の骨が折れたのだろう。

シン「言え!!ジブリールは何処だ!?何処にいる!!?まだあんな奴を庇うのかよ!!?」

ユウナの胸倉を掴んでジブリールの居場所を吐かせようとするシン。

ユウナ「し、知らない!!僕は本当に知らないんだ!!」

シン「てめえ!!オーブの国民の命がかかってるんだぞ!!」

ユウナ「本当だって!!たしかにうちにはいたけど…今は!!」

シン「…っ!!」

ユウナ「あっ…でもひょっとしたら、屋敷の地下シェルターにいるかも…」

シン「何だと!!?」

ユウナ「パニックルームだよ。前大戦の後にパパが地下に作ったんだ…」

シン「な…っ!?ジブリール…自分だけ安全な場所に…!!ジブリールはセイラン家にいるんだな!!?」

ユウナ「た、多分…」

シン「くそ!!」

かつてオーブ国民である自分はセイラン家の場所は知っている。
こういうところでオーブ国民であったことが活かされるとは何の皮肉だろうか?
シンは急いでセイラン家へ向かう。









































ストライクフリーダムとインフィニットジャスティスと戦闘を繰り広げているアレックスの元に通信が来た。

アレックス「ん!?」

シンからの通信にアレックスは即座に通信を繋ぐ。

シン『アレックス!!ジブリールはセイラン家にいる!!俺は今からセイラン家に向かいます!!』

アレックス「何!?シン、待て!!レイ、クレア。この場は任せたぞ!!」

アレックスはレイとクレアにこの場を任せると、セイバーをMA形態に変形させ、セイラン家に向かう。





































デスティニーを飛ばしてセイラン家付近に辿り着いたシンはすぐさまセイラン家を探す。

シン「確か…ここら辺のはず…」

幼い頃の記憶を頼りにセイラン家を探すシン。
しかしセイラン家の地下からシャトルが発射された。

シン「え!?」

シンが発射されたシャトルを見ると同時にアレックスも到着した。

アレックス「あれは、セイラン家の紋章…シン!!ジブリールはあのシャトルの中だ!!あれを行かせるな!!」

シン「くそ!!逃がすかああああああ!!!!」

デスティニーとセイバーが宇宙に上がろうとするシャトルを追い掛ける。































そしてその発射されたシャトルにレイ達も気付く。

キラ「!?」

レイ「何だ?」

バルトフェルド「シャトル?」

クレア「こんな時に…?」

交戦中のキラ達がシャトルを見上げる。






































ハイネ「シャトルだと!?」

3機のドムを相手にしていたハイネが発射されたシャトルを見上げ、目を見開く。




































ナオト「ま、まさか!?」

ルナマリア「ジブリール!?」

ステラ「シン、アレックスもいる…」

宇宙港を制圧し、シャトルに乗る人物に気づいたナオト達。
そしてそれを追い掛ける人物達にも。





































シャトルを追い掛けるデスティニーとセイバー。
しかし…。

シン「くそ!!最大加速しながらじゃ照準なんて…!!」

デスティニーとMA形態のセイバーがシャトルに向けてビームを放つ。
しかし、照準が定まらずシャトルには当たらない。

シン「くそおおおおっ!!」

アレックス「ええいっ!!」

デスティニーの長射程ビーム砲とセイバーのアムフォルタスプラズマ収束ビーム砲がシャトルに向けて放たれるが、シャトルには当たらず、ジブリールは宇宙へ。

シン「ああっ…」

アレックス「くそ!!」

ジブリールを逃がしたことにシンとアレックスは悔しそうに表情を歪めた。







































そしてミネルバのブリッジでもデスティニーとセイバーがシャトルの撃墜に失敗したのを見届けた艦長は溜め息を吐いた。

タリア「はあ…これまでね…。ジブリールの身柄を確保出来ないんじゃこれ以上の戦闘は無意味だわ…アーサー、全軍に撤退信号を!!」

アーサー「えっ、あっ…はい」

これ以上の戦闘は無意味だと判断したミネルバから信号弾が放たれた。






































レイ「……っ!?」

クレア「え…!?撤退!?」

ストライクフリーダムとインフィニットジャスティスと交戦していたレイとクレアが目を見開き。
































ハイネ「チッ、ここまでかよ!!じゃあな、ヒルダ!!また戦場でな!!」

ドム3機を追い詰めていたハイネは舌打ちしながらミネルバに帰還する。


































ナオト「シャトルを撃墜出来なかった…」

ルナマリア「そんな…」

ステラ「作戦、失敗……?」

シャトルを撃墜出来ず、ジブリールを逃がしてしまったことに唇を噛み締めながらナオト達もミネルバに帰還する。









































シン「信号弾…」

アレックス「仕方ない…ミネルバに戻るぞシン。」

シン「…了解。」

シャトル撃墜に失敗し、シン達もミネルバに帰還するのであった。








































~if~

これはもしも原作通りルナマリアがシャトル撃墜に向かっていたら…。
シンがセイラン家の場所を知らず、ユウナがパニックルームを思い出さなかったら…。
偶然セイラン家の近くにルナマリアがいたら…の話。

シン「言え!!ジブリールは何処だ!?何処にいる!!?まだあんな奴を庇うのかよ!!?」

ユウナの胸倉を掴んでジブリールの居場所を吐かせようとするシン。

ユウナ「し、知らない!!僕は本当に知らないんだ!!」

シン「てめえ!!オーブの国民の命がかかってるんだぞ!!」

ユウナ「本当だって!!たしかにうちにはいたけど…今は!!」

シン「…っ、畜生!!」

カガリ「シン…」

「っ!本島2区に発進する機影!!」

カガリ「!?」

「これは…セイラン家所有のシャトルです!!」

シン「何だと!?」













































発進したシャトルをミネルバも捕捉した。

アーサー「シャトル?島の…裏側からか?」

タリア「一番近くにいるのは…インパルスね…フォースシルエット射出!!ルナマリア、今上がったシャトルを止めて!!ジブリールの逃亡機の可能性が高いわ。最悪の場合は撃墜も許可します!!」

淡々とした調子で命令を下す艦長。
しかし“最悪の場合は撃墜も”って言われても、射撃の成績アカデミー歴代最下位のルナマリアにとって、それが最高の場合なんですが。
あなたは彼女に対して、これ以上何を望もうと言うのですか?









































ルナマリア「え!?りょ、了解!!いつものポーズを…」

全員【いつものポーズはいいから早く!!】

フォースシルエットに換装し、いつものポーズを決める。
リラックスしすぎなルナマリアにミネルバクルー達。
通信を聞いていたストライクフリーダムとインフィニットジャスティスと交戦中のアレックス達。
ドム3機の相手をしているハイネ。
宇宙港の制圧に向かっているナオト達。
そしてオーブ国防本部にいるシンからツッコミを受ける。









































全速力で機体を飛ばすルナマリア。
フォースインパルスの圧倒的な機動力により、先行していたムラサメ隊を追い越して、ライフルの射程内にシャトルを捉えた。

ルナマリア「ええい!!」

平和への祈りを込めて放たれる一撃。
大丈夫。
直線にしか飛ぶことの出来ないシャトルなんて、狙いさえ確かなら絶対に当たる。
むしろ外すほうが難しい。
次々と窓の外を通過していくビーム。
ジブリールも焦りの表情を浮かべる。
……ってあれ?
“窓の外”を通過?
射撃。
しかしビームはシャトルの僅か上を通過。
更に射撃。
しかしビームはシャトルの僅か横を通過。

ルナマリア「ちょっと~!!何んで当たらないのよーーー!!!!?」

シャトルに射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃、射撃。

それはものの見事にシャトルを通過していった。
そしてシャトルは宇宙へ…。

ルナマリア「…………」














































カガリ「逃が、し…た……?」

シン「………」

最悪の展開にカガリもシンも愕然となる。
幾度に渡ってオーブ軍を苦しめたインパルスなら、シャトルを撃ち墜としてくれると期待していたのだが、パイロットの腕が…というか射撃の腕がシンとは比べ物にならないぐらいに酷い。
乗っているのは、新米パイロットか何かか。
どうやらザフトの人材不足も深刻のようだ。







































タリア「…………」

アーサー「ああ、やっぱり…」

溜め息に包まれるミネルバのブリッジ。
向かったのがルナマリアという時点で、ある程度予想出来た事態とはいえ、ここまで見るも無残な結果になろうとは…。
実際に目の前でやられると引くレベルである。

タリア「人選を…間違えたかしら……?」

アレックスかシンなら恐らく墜としてくれただろう。
もし駄目だとしても彼等の実力は折り紙つきなので、2人で無理なら…と、納得は出来るのだ一応は。
しかし彼女は知らない。
そのもしもの世界ではアレックスとシンが向かったが、シャトルの撃墜は出来なかったことに。

メイリン「お姉ちゃん…!!」

恥ずかしさのあまりに頭を抱えるメイリン。
このまま逃げ出せたらどれだけ楽になれるであろうか?
穴があったら入りたいというのは正にこのことだろう。








































アレックス「………」

キラ「逃がした…」

クレア「ルナ…」

レイ「役に立たんな…」

バルトフェルド「最近の緑服は質が落ちているようだねぇ」

アレックス「いえ、彼女は赤服です。一応…」

バルトフェルド「何ぃ!!?」

ルナマリアが赤服であることに驚愕するバルトフェルド。








































ハイネ「おいおいマジかよ…」

ヒルダ「おいハイネ。今のザフトはどうなってんだい?」

マーズ「ありゃ酷すぎるぜ…」

ヘルベルト「あれで何でGに乗ってんだ?」

ハイネ「…俺が聞きたい」

戦闘中であるにも関わらず停止するハイネ達。






































ナオト「…私がちゃんと教えとけば……っ!!」

ステラ「ルナ、下手」

あんまりの結果に頭を抱えるナオト。
ステラはボソリと言い放った。
この時ばかりは敵対しているザフト、オーブの心が1つになったのであった。 
 

 
後書き
シャトル撃墜失敗。
次回は…。

~今回のNG~

そして両者の距離は殆ど無くなり、シンはユウナの胸倉を掴む。

ユウナ「ぼ、僕を誰だと思っているんだ!!ユウナ・ロマ・セイランだぞ!!前の大戦でオーブを復興させたセイラン家の人間なんだぞ!!!!」

ユウナの見苦しい言葉にシンは拳を握り締める。
こんな奴の茶番に付き合ってやるほどシンはお人よしではない。

シン「俺のこの手が光って唸る!!」

カガリ「え!?」

全員【!?】

堅く拳を握るシン。
その背後にはメラメラと紅蓮の炎が燃えており、流石のカガリ達も異変に気づいて怯えだす。

シン「あんたを倒せと輝き叫ぶ!!」

気のせいか、シンの背後に某キング・オブ・ハートの影が見える…。

ユウナ「え?え!?」

シン「シャイニングフィンガーーーーーーッ!!!!!!!!!!」

ユウナ「フォンドゥヴァオゥ!!?」


炸裂するシンの渾身の右ストレート。
ユウナは遥か彼方に吹き飛ばされ、国防本部の壁には人型の穴が空いた。

ユウナ「酷いよ、サンライズに抗議の電話が殺到してるよ」

両手を縛られて無抵抗の人間を殴るなんて、何て非人道的な行為。
小うるさい人権団体が黙ってはいない。
ユウナは必死に訴えるが、しかしサンライズに特にそのような抗議はなかった。 

 

第二十八話 本物と偽物

 
前書き
ジブリールを逃がしてしまったシン達。
そしてある変化が…。 

 
戦闘後、艦長はジブリールを逃し、任務が失敗したことを議長に報告していた。

デュランダル『…ではジブリールはそのシャトルに?』

タリア「確証はありませんが私はそう考えます。」

デュランダル『いずれにしても、彼は捕らえられず君達はオーブに敗退したと…そういうことか』

タリア「…はい。AA、フリーダム…そしてジャスティスといって差し支えないでしょう…それらの参入によって状況は不利となり…その上依然として彼が未だに国内にいるという確証も得られませんでしたので…あのまま戦ってもただの消耗戦になるだけでした。」

デュランダル『そうか…いや、ありがとうグラディス艦長。シャトルの件についてはこちらで調べる。オーブとは…何か別の交渉手段を考えるべきかな?』

タリア「私はそう考えます」

そして通信を終えたのを確認して、副長が艦長に尋ねる。

アーサー「それにしてもアレックス達は何処に行ったんですかね?機体の最低限の修理だけして…」

ミネルバにハイネ、ステラ、ルナマリア、クレアの4人を残して、アレックスとシン達はミネルバを離れて行ったのだ。

タリア「彼らはジブラルタルに向かったわ」

アーサー「ええええええええ!!!!?」

タリア「アレックス達はFAITHだもの。私に止める権限は無いわ。アレックス達がレイも連れていったのには理由があるはず…」








































一方でジブラルタルに着いたアレックス達は基地の通路を歩いていた。
アレックスはAAがオーブ戦後、何か仕出かすと考え、シン、レイ、ナオトを連れてジブラルタルに戻ってきたのだ。

アレックス「準備はいいかナオト、シン、レイ?」

ナオト「ばっちりだよアレックス!!」

アレックス「各々任務内容は完璧か?」

ナオト「私はオーブの回線の妨害を」

レイ「俺は全メディアに彼らの罪状を」

シン「俺はアレックスと一緒に歌姫の護衛を」

アレックス「よし合格だ。やる時はやるんだな」

レイ「当然です。俺達にはこれ以上の失敗も…小さなミスすら許されない」

シン「うわ、レイ、すげぇ殺る気満々だよ」

ナオト「そうだね…とにかく私達はどこまでもアレックスに付いていくよ!!」

アレックス「ありがとう。ではミーアを…仲間を助けに行くとするか!!」

全てお見通しだ。
彼らの思惑など。
だからこちらも、全力で行かせてもらうとしよう。









































一方ミネルバではオーブのアスハ代表の声明が出されると言う。
ミネルバクルー達は自然に休憩室の大画面テレビの前に集まった。

カガリ『オーブ連合首長国代表首長、カガリ・ユラ・アスハです。今日私は全世界のメディアを通じ、プラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダル氏にメッセージを送りたいと思います』

ルナマリア「ああ!!オーブの馬鹿姫!!」

ハイネ「おいおい言い過ぎだぜ?否定は出来ないけどな」

カガリ『過日、様々な情報と共に我々に送られたロゴスに関するデュランダル議長のメッセージは確かに衝撃的なものでした。ロゴスを討つ。そして戦争のない世界にというの議長の言葉は、今のこの混迷の世界で政治に携わる者としても、また生きる一個人としても確かに魅力を感じざるを得ません。ですが、議長は、ロゴスが意図的に“世界”とやらを操作し、戦争を起こしてきたと言う。これはつまり、ロゴスという、民間の一組織が、世界各国の世論を誘導し国家間紛争を誘導してきたという意味であると解釈している。個人的にはこれだけで既に大いに疑問があるが、仮にそうだとして、これを裏付ける証拠はどこにあるのか?議長はまず、これを立証するべき……』

ハイネ「ん?何だ?」

突如画面が乱れ、ミーアが現れる。

ミーア『私はラクス・クラインです。過日行われたオーブでの戦闘はもう皆さんも御存じのことでしょう。プラントとも親しい関係にあったオーブが、何故ジブリール氏を庇うような発言をするのか理解することは出来ません。ブルーコスモスの盟主、プラントに核を放つことも巨大破壊兵器で街を焼くことも、子供達をただ戦いの道具とするこもと厭わぬ人間を、何故オーブはそうまでして庇うのでしょうか。私達の世界に、誘惑は数多くあります。より良きもの、多くのものをと。望むことは無論悪いことではありません。ですがロゴスは別です。あれはあってはならないもの。この人の世に不要で邪悪なものです。私達はそれを……』

?『その方の姿に惑わされないでください』

ステラ「あ…」

また画面が乱れ、再びオーブのカガリ・ユラ・アスハが映る。
そしてその横には……。

ラクス『私はラクス・クラインです。私と同じ顔、同じ声、同じなの方がデュランダル議長と共にいらっしゃることは知っています。ですが、私、シーゲル・クラインの娘であり、先の大戦ではAAと共に戦いました私は、今もあの時と同じ彼の艦とオーブのアスハ代表の下におります。彼女と私は違うものであり、その想いも違うということをまずは申し上げたいと思います。私はデュランダル議長の言葉と行動を支持しておりません』

皆息を呑んでいる。
画面はテレビ局のものが気を利かしたのだろう。
左右に分割され、ラクス・クラインと、ミーアが同時に映っている。

ラクス『戦う者は悪くない、戦わない者も悪くない、悪いのは全て戦わせようとする者。死の商人ロゴス。議長のおっしゃるそれは本当でしょうか?それが真実なのでしょうか?ナチュラルでもない、コーディネーターでもない、悪いのは彼等、世界、あなたではないのだと語られる言葉の罠にどうか陥らないでください。無論私はジブリール氏を庇う者ではありません。ですがデュランダル議長を信じる者でもありません。我々はもっとよく知らねばなりません。デュランダル議長の真の目的を』

アレックス『ふざけたことを言わないで頂きたい。破滅の歌姫よ』

アーサー「ええ!?」

タリア「アレックス!?それにシンまで…」

ミーアの隣には彼女を守るように立つアレックスとシンの姿があった。

アレックス『こんにちは、プラント、地球の皆さん。俺は、アスラン・ザラです』

AAの彼らに、妨害されるという考えはなかったのだろうか?
歌姫自らの言葉を疑う者は誰もいないと思っていたのだろうか?

アレックス『プラントを守るアスラン・ザラであると、どうか民衆にはご理解頂きたい』

アーサー「ア、アスランって、艦長!!」

アレックスの正体に驚愕する事情を知らない副長。

メイリン「アレックスさん……」

ヨウラン、ヴィーノ「「………」」

副長の隣でメイリン、ヨウラン、ヴィーノが画面に映るアレックスを心配そうに見つめていた。

タリア「アレックス…あなた……」

アレックス『このようにメディアをお騒がせしたこと、心よりお詫びしましょう。ただ私は皆さんに伝えたかったのです。“真実”を』

ステラ「真実…?」

アレックス『かつて彼女は先の大戦で、地球連合軍に所属していた者に赤服を着せザフトに侵入させ、そしてフリーダムを与えた。』

ラクス『っ、えぇ、それは事実です。ですがそれは…』

アレックス『他にも。行方不明になったエターナルを、クラインの名の下、秘密裏に所持し補給してきた。プラントの財を使って…更にザフトの技術を盗用し、MSを建造していた。』

ラクス『私達には力が必要でした、それは、オーブにもプラントにも全て平和な未来のためです。私はオーブにもプラントにも平和を』

アレックス『笑わせるな、ラクス・クライン。俺達を、ザフトを舐めるのもいい加減にして頂きたい…。それにしても、そんなにあっさり認めるとは思わなかった…。あなた方の罪状を集めた資料も映像も意味がないな』

ラクス『資料?映像?』

シン『ええ、あなた方の罪を纏めた資料と映像ですよ。否定した場合の証拠を集めてたんですよ。あ、ちなみに流れてますから』

ラクス『罪などと…』

アレックス『そうやってあなたはプラントを傷つけるんだな…無自覚に…“偽者の歌姫”』

ラクス『いいえ、アスラン。あなたはご存知でしょう。あなたの傍にいる方こそが偽者だと』

アレックス『ええ、彼女は“ラクス・クライン”の偽者だ。けれどあなたは、“歌姫”の偽者だと言ったんです』

ラクス『…それは、どういう』

シン『プラントの歌姫はプラントに平和と癒しの歌を響かせる存在です。彼女はプラントの歌姫なんですよ。本物の」

ラクス『っ、ですからあの方は、議長に騙された偽者の…』

アレックス『ええ、彼女は…ミーアは確かに偽者だ。“ラクス・クライン”にはどんなに頑張ってもなれない…他人がどうやっても…」

ラクス『なら…』

アレックス『だが、今まで傷ついた人々を癒したのは、紛れも無い彼女だ。』

カガリ『アスラン!!』

ラクス『アスラン、ただ私達は平和のために』

アレックス『平和のためなら何でも許されると思うなよ。これ以上は俺が許さない』

シン『プラントの歌姫は…彼女です。いい加減、俺達を馬鹿にするのは止めてもらえませんか?俺達は生半可な覚悟で戦ってきたわけじゃない』

ミーア『シン…アレックス…』

ナオトはこの回線を妨害しようとするオーブとクライン派を排除している頃だろう。
レイはこの放送を全メディアを電波ジャックしてクライン派の犯した罪と共に放映しているだろう。
プツリと、対面するように映されていたラクスの映像はそこで途切れた。

シン『あれ?モニターの故障ですかね?』

アレックス『いや、レイの演出だろう?』

モニターを確認したアレックスは笑った。
そんなレイの行動にシンも思わず笑ってしまった。

アレックス『プラント、地球に住む皆様、お騒がせしたこと、心よりお詫びします。ですが後悔はしていません。混乱していることをお察しします。2人のラクス・クライン…ですが考えて頂きたい。もう一度、彼女の言葉。先ほどの、このプラントに今いない、ラクス・クラインの言葉。そしてミーア・キャンベルという、ラクス・クラインを偽った少女のことを。確かに彼女はラクス・クラインを偽りました。しかし彼女は世界のことをひたすらに思い続けた彼女を、俺は偽者という言葉で済ませて欲しくない。そうして理解して頂けたなら、どうか。彼女を受け入れて頂きたい。』

















































デュランダル「これは凄いな、これがミネルバのエース達の実力というわけか。これは感服、完敗だ。絶対に彼らを敵に回したくはないね」

絶句している周囲を他所に議長はお得意の天然を炸裂させていた。

アレックス「議長」

デュランダル「やあ、アレックス。それにシンも…先程の映像を見ていたが感動したよ」

シン「はい。レイからの通信によるとプラントの人々は、ミーアさんを歌姫として選ぶそうです。まあ、当然の結果ですけどね…。」

ミーア「あの…」

デュランダル「ミーア、ご苦労だったね。色々あって疲れただろう。部屋を用意しているからゆっくり休みなさい。」

ミーア「あ、はい…」

アレックス「お疲れ様、ミーア…」

シン「今までありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。」

ミーア「…うん。ありがとう…アレックス、シン…みんな……」





































一方ミネルバではハイネ達が笑みを浮かべながら会話をしていた。

ハイネ「はははは!!あいつら派手にやりやがったなあ」

ルナマリア「本当。でも凄いですよね。ミーアの正体はバレたけど、それを受け入れさせちゃうんだもん」

メイリン「ええ?お姉ちゃん、あの人がラクス様じゃないって知ってたの?」

ルナマリア「当然」

クレア「第一、本物とスタイルが違い過ぎるでしょ」

ヨウラン「同感。俺もどっちかと言えば、あっちのスタイルのいい方が…眼福だし」

ステラ「…ヨウランの、エッチ」

ヨウラン「うえ!?」

クレア「スケベ」

ルナマリア「獣(けだもの)」

ハイネ「うんうん、それが若さだよ」

タリア「全く…あの子達は……」

好き勝手に大暴れしたアレックス達に対して苦笑を零す艦長。
そして最後に…。

ミーア『私はプラントが混乱していた時に、プラントの混乱を静めるためだと言われ、ラクス様のフリをしました。それからも、ラクス様のフリをしてきました。プラントのために!!でもラクス様は“その方の姿に惑わされないでください”と言いました。私も言います。姿や名前ではなく、実際にしてきた行動で判断して下さい。先の大戦から、議長がどれだけ平和のために苦労してきたのか、プラントのために苦労しているのか。私は知っています。皆さんも知っているはずです。今一度お願いします。私が言えた義理じゃないですが、姿や名前に惑わされずに、行動で判断してください。今まで騙しててごめんなさい。ありがとうございました』

そう言って、ミーアは頭を下げるとアレックスとシンに連れられ部屋を後にしたのだった。









































~if~

これはもしもラクスがコンプレックス持ちだったとしたら…の話。

ラクス『私はラクス・クラインです。私と同じ顔、同じ声、同じ名、同じ胸の大きさの方がデュランダル議長と共にいらっしゃることは知っています。ですが、私、シーゲル・クラインの娘であり、先の大戦ではAAと共に戦いました私は、今もあの時と同じ彼の艦とオーブのアスハ代表の下におります。彼女と私は違うものであり、その想いも違うということをまずは申し上げたいと思います。私はデュランダル議長の言葉と行動を支持しておりません』

皆息を呑んでいる。
画面はテレビ局のものが気を利かしたのだろう。
左右に分割され、ラクス・クラインと、ミーアが同時に映っている。

ハイネ「そっくりだねえ(胸以外)」

ルナマリア「まあ本物だし(胸以外は)」

クレア「本物ねえ(胸以外はそっくり)」

ステラ「似てる…(胸以外)」

ラクス『戦う者は悪くない、戦わない者も悪くない、悪いのは全て戦わせようとする者。死の商人ロゴス。議長のおっしゃるそれは本当でしょうか?それが真実なのでしょうか?ナチュラルでもない、コーディネーターでもない、悪いのは彼等、世界、あなたではないのだと語られる言葉の罠にどうか陥らないでください。無論私はジブリール氏を庇う者ではありません。ですがデュランダル議長を信じる者でもありません。我々はもっとよく知らねばなりません。デュランダル議長の真の目的を!!後、偽者なのに、本物より胸が大きいとは何事ですか?それに気付いていながら、見て見ぬフリをしていた皆さんも皆さんです。どれだけ他のことを疑っても胸に関しては疑おうとしない、そのような考えが、今回のような事態を招いたのです。私のちょっぴり控えめな胸は、お父様の趣味とお母様の遺伝なのです。決して私の発育が悪いという訳では……』

ハイネ「…あ、気にしてたのね」

ルナマリア「同じ女としてちょっぴり同情」

クレア「というかクライン議長の名誉毀損…」

ステラ「可哀相…」

その後、アレックス達が乱入し、ラクス達に制裁が入るのは別の話。 
 

 
後書き
ミーア死亡フラグ回避。 

 

第二十九話 天空のレクイエム

 
前書き
プラントが攻撃を受けた。
それを知ったミネルバは宇宙へ。 

 
ジブラルタルからミネルバに戻ってきたアレックス達は、ミネルバクルーから質問責めを受けていたが、艦長の一言で終わった。
そしてこれからのことについて話していたのだが…。

ヴィーノ「大変だ!?」

ナオト「どうしたの?」

ヨウランとヴィーノが血相を変えて駆けて来た。

アレックス「どうしたって言うんだ?」

ヨウラン「プラントが、プラントが攻撃されたんだ!!」

シン「何だって!?」

シン達は急いで談話室のモニターに急いだ。
ヤヌアリウスが……そしてディセンベルが、被害を受けた状況が映っていた。

シン「何で……何でこんな……」

レイ「ジブリールだな」

情報端末で調べながらレイが言う。

レイ「月の裏側、ダイダロス基地から撃たれた。こっちがいつも通り表のアルザッヘルを警戒している隙に。ダイダロスにこんなものがあったとは……」

ルナマリア「何で!?裏側からってそんなの無理じゃない!!どうやって?」

レイ「奴等は廃棄コロニーに超大型のゲシュマイディヒパンツァーを搭載してビームを数回に屈曲させたんだ」

シン「そんな……」

レイ「このシステムならどこに砲があろうと屈曲点の数と位置次第でどこでも自在に狙える。悪魔の技だな」

シン「くっ、そんな、そんなことを……」

アレックス「俺達がジブリールを逃がしてしまったからか…」

ナオト「そんな…っ!!」

クレア「……」








































タリア『みんな連戦で疲れてると思うけど、正念場よ。ここで頑張らなければ帰る家がなくなるわ。いいわね』

ミネルバはカーペンタリアから月艦隊と合流すべく発進した。
しかし司令部との連絡がついたアレックス達を待っていたのはとんでもない命令だった。







































ナオト「砲の本体を私達だけでですか?」

タリア「だけかどうかは分からないけど。ともかくそれが本艦への命令よ」

レイ「確かに、ここからではダイダロス基地の方が近い。そういう判断でしょう」

タリア「ええ。あれのパワーチャージサイクルが分からない以上、問題は時間ということになるわ。駆け付けたところで間に合わなければ何の意味もないものね」

アレックス「敵が月艦隊に意識を向けているのなら上手くいけば陽動と奇襲になるということですね」

タリア「そういうことよ」

シン「奇襲……」

タリア「厳しい作戦になることは確かよ。でもやらなければならないわ。いい?」

クレア「はい。分かりました」

ハイネ「了解しました。またあれを撃たれるなどもう絶対あってはならないことですから」

タリア「頼むわね」

全員【はっ!!】








































パイロットスーツを着ると、ブリーフィングルームでブリーフィングを始める。

アレックス「ブリーフィングを始める。第二射までに月艦隊が第一中継点を落とせれば辛うじてプラントは撃たれない。だが奴等のチャージの方が早ければ艦隊諸共薙ぎ払われるぞ。トリガーを握っているのがそういう奴だということは知っているだろう」

ステラ「うん」

クレア「全ての元凶はあいつだよ。ロゴスのロード・ジブリール!!」

シン「俺がもっと早くセイラン家に着いていれば…」

ナオト「シンのせいじゃないよ。シンもアレックスもあそこで出来る精一杯をやったんだから…」

ハイネ「とにかく続きを説明するぞ。ルナマリアとクレアが直接砲を狙う。もちろん相手の防御も厚いだろう。今までに出てきた陽電子リフレクターを備えた大型MAが出てくる事も考えられる。じゃあ作戦を話す……」

それは、アレックスのセイバー、ハイネのデスティニー、レイのレジェンド、そしてミネルバのタンホイザーまで囮に使った陽動に、更に時間差をつけてシンのデスティニー、ステラのガイア、ナオトのストライクノワールが攻撃に加わり、ルナマリアのインパルスとクレアのデスティニーインパルスがその混乱した隙に砲のコントロールルームを落とすという物だった。

メイリン『ブリッジ遮蔽。コンディションレッド発令。パイロットは搭乗機にて待機してください』

アレックス「ではいいなルナマリア、クレア。タイミングを誤るなよ」

ルナマリア「はい」

クレア「分かった。任せて」

レイ「俺達も可能な限り援護をする。だが基本的にはあてにするな。すれば余計な隙が出来る」

ルナマリア「分かってるわ。ご心配なく」

アレックス「では行こう…今度こそ失敗は許されない。これ以上、プラントを討たせはしない」

シン「行こう」

シン達がブリーフィングルームを後にした。

クレア「レイ、気をつけてね」

レイ「お前もな」

レイとクレアもブリーフィングルームを後にした。






































ルナマリア「それじゃあお先に!!ルナマリア・ホーク、コアスプレンダー。行くわよ!!」

クレア「ジブリール、今度こそ!!クレア・トワイライト、コアスプレンダー。行くよ!!」

インパルスとデスティニーインパルスがクレーターの影に隠れるように大回りしていく。

アレックス「それでは俺達も行くぞ!!アレックス・ディノ、セイバー。出る!!」

ハイネ「これだけの戦力で基地墜とせって、どう考えても無茶だけどな。やれるだけやってやるか!!ハイネ・ヴェステンフルス、デスティニー。行くぜ!!」

レイ「プラントもギルもやらせん!!レイ・ザ・バレル、レジェンド。発進する!!」

セイバー、デスティニー、レジェンドが出撃すると同時にタンホイザーが放たれた。
ザムザザーが陽電子リフレクターを張り、タンホイザーを弾く。

アレックス「行くぞハイネ、レイ!!」

ハイネ「おう!!」

レイ「了解!!」

お返しとばかりに、ダガーとウインダムの編隊がビームの雨を降らせる。
そこを突っ切る3機のMS。
セイバーとデスティニー、レジェンドはビームシールドを展開しつつ、接近する。

ハイネ「さあ、来やがれ!!俺がたっぷりと相手をしてやるぜ!!」

デスティニーがアロンダイトを構え、セイバーがビームサーベルを抜いた。

アレックス「頼むぞ…ルナマリア、クレア…!!」

デスティニーとセイバーが敵MS隊に突っ込む。

レイ「墜ちろ!!」

レジェンドはドラグーンを射出し、大型MA隊を撃墜する。

タリア『デスティニー、ガイア、ストライクノワール。発進!!』

ステラ「行ってくるね…ステラ・ルーシェ、ガイア。行くよ」

ナオト「アレックス達に続く!!ナオト・フジワラ、ストライクノワール。出るよ!!」

シン「今の俺達に出来る精一杯をやるんだ!!シン・アスカ、デスティニー。行きます!!」

続いてガイア、ストライクノワール、デスティニーが発進する。

シン「これ以上、プラントを撃たせはしない!!」

ナオト「あそこは私達の故郷なんだから!!」

ステラ「守る…!!」

デスティニーとストライクノワール、ガイアが敵MS隊に奇襲をかけた。

クレア「あそこだ!!」

ルナマリア「クレア、後ろよ!!」

デスティニーインパルスの背後にザムザザーがクローを展開していた。
しかし、レジェンドのドラグーンのビームを受け、ザムザザーは爆散する。

クレア「あ…」

レイ「行け、クレア!!射出口はもうすぐそこだ。背後は任せろ!!」

クレア「…ありがとう!!」

アレックス「あれは!?」

ステラ「ミサイル…?」

ナオト「あのマーク…気をつけてミネルバ!!核ミサイルが来る!!」

タリア『何ですって!!?』

アーサー『ええええ!!?ミネルバ一隻に核ぅ!!?』

ハイネ「今のミネルバの戦力値は一国のそれに比肩します。自分も彼らと同じ立場でもそうするでしょう…あまり考えたくありませんが…」

ステラ「核は集めて楽しいコレクションじゃない強力な兵器って…ネオが言ってた。」

シン「レイ!!核ミサイルの撃墜、出来るか!!?」

レイ「…俺に出来るのか…?ラウのようなことが…だがやるしかない!!」

ミネルバに向かって来る数発の核ミサイル。
レジェンドはドラグーンを全基飛ばす。
緊張のためか汗が流れる。
ドラグーンが核ミサイルを1発、2発、3発と、核ミサイルを墜としていく。

レイ「駄目だ…2発撃ち漏らした!!」

ハイネ「充分だ!!」

シン「これで終わりだ!!」

2機のデスティニーが長射程ビーム砲を構え、放つ。
核ミサイルは全て迎撃した。

アーサー『核ミサイル、全弾迎撃しましたあ!!』

タリア『よくやったわ、シン、ハイネ、レイ。』

核ミサイルが撃墜されたことに艦長と副長は安堵した。

アレックス「そろそろルナマリアとクレアが辿り着いてもいい頃だが…」








































試坑道を抜けたデスティニーインパルスとブラストインパルスがレクイエム内部に辿り着いた。

クレア「これだ…」

ルナマリア「ええーい!!」

クレア「たあああ!!」

デスティニーインパルスとブラストインパルスが全火力を放つ。
デスティニーインパルスとブラストインパルスの砲撃を受けたレクイエムは破壊される。



































アレックス「うおおおおお!!!!」

ハイネ「はああああっ!!!!」

セイバーのプラズマ収束ビームとデスティニーの長射程ビームが司令部に直撃する。
同時にレクイエムが破壊されたことに気づいた。

ナオト「ルナとクレア…やったの!!?」

アレックス「気を抜くな!!ジブリールを探すんだ!!奴はまた脱出しようとするはずだ!!」

シン「…あそこだ!!」

脱出しようとする戦艦を捕捉したシンはデスティニーの光の翼を展開し、一気に接近する。

シン「ジブリール!!覚悟っ!!!!」

長射程ビーム砲を向け、戦艦に向けて放ち、撃墜した。

シン「ジブリールを討ったぞ!!」

クレア「ジブリールをやったの!?」

月面に帰還したデスティニーインパルスとブラストインパルス。

レイ「ああ、シンがやった」

ルナマリア「やったわね!!」

ナオト「これで終わるんだね!!」

アレックス「ああ、これでやっとだ……。父上、母上、ニコル、ミゲル、ラスティ…とうとうここまで来たぞ…」

ジブリールを討ったことにより戦闘は終了した。
アレックス達は束の間の休息を得るのであった。










































~if~

これはもしも原作通りルナマリアがシャトル撃墜に向かっていたら…。
シンがセイラン家の場所を知らず、ユウナがパニックルームを思い出さなかったら…。
偶然セイラン家の近くにルナマリアがいたら…の話…の続きです。

アレックス「ブリーフィングを始める。第二射までに月艦隊が第一中継点を落とせれば辛うじてプラントは撃たれない。だが奴等のチャージの方が早ければ艦隊諸共薙ぎ払われるぞ。トリガーを握っているのがそういう奴だということは知っているだろう」

ミネルバ単体でダイダロス基地攻略戦。
アレックス達が前線で敵を陽動している隙に、ルナマリアとクレアが砲のコントロールを陥とす。
それも二射目のチャージが完了するまでの僅かな間でという、それぞれの活躍が不可欠な難しい任務。

ステラ「うん」

クレア「全ての元凶はあいつだよ。ロゴスのロード・ジブリール!!」

決戦を前に、ジブリールへの怒りに燃えるクレア。
プラントがこうなったのも、残り話数が少ないのにグダグダなのも、全ては奴のせいだ。

ルナマリア「私がオーブで討てていれば……」

クレアとは対照的に沈んだ表情のルナマリア。
このような事態になったのも、全ては自分の責任。
あの時のミスは悔やんでも悔やみきれない。

ルナマリア「ほんの僅かな紙一重が生んだ悲劇ね……」

こっちが射撃のプロ?なら、向こうはシャトル操縦のプロ。
プロ同士による際どい攻防戦は、どちらが勝っていても全く不思議ではなかった。
一部では、実は当たっていたという説もある…と思う。

全員【………………】

ルナマリア「な、何よぅ…」

何か言いたげな表情でルナマリアを睨みつけるシン達。

レイ「何であれ、時は戻らない。そう思うなら同じ轍は踏むなということだ」

ルナマリア「分かってるわ!!」

今度同じミスを犯せばプラントは終わってしまう。
辛辣な言葉でルナマリアに警告するレイ。
手厳しい彼から彼女を庇おうとするナオトだが、何も言葉が出てこない。
いや、確かにあれは彼女が悪いけども、彼女が射撃が下手ということを知っていながら向かわせた艦長にも非があるということで。








































アレックス達がブリーフィングルームを後にするとシンがルナマリアに声をかける。

ルナマリア「シン、気をつけて」

シン「ああ…でも、やっぱり駄目だよ!!クレアと一緒とはいえルナが砲のコントロールを陥とすなんて、どうやっても無理……いや、危険すぎる!!」

それでもなお、シンの心配は尽きない。
ルナマリアが間に合わずにクレアを巻き込んでレクイエムを発射されて死亡。
ルナマリアが辿り着く前に敵に発見されてクレアを巻き込んであっさり撃墜される。
ルナマリアがレクイエムに辿り着いたものの、攻撃を外してクレアを巻き込んでそのまま生き埋めに。
いくつもの面白い死に方が容易に想像できるから恐ろしい。

シン「やっぱりここはクレアにはナオトと一緒に行ってもらって…」

ルナマリア「同じ事よ。陽動で基地を討つのだって、同じくらい危険だわ。みんな一緒よ!!」

役割を代わろうとするシンをルナマリアは慌てて制した。
危険度は同じぐらいでも、パイロットの能力が全然違うのだが…。

ルナマリア「大丈夫よ、私は。信じてよ……」

シンを安心させるように微笑むルナマリア。
そうは言っても、心情的に信じてあげたいのと、それが実現可能かどうかは別問題なのだ。
ニワトリやペンギンがどう頑張っても空を飛べないのと同じように。
カナヅチがどう頑張っても泳げないように。
アレルギーを持つが故にどんなに頑張っても青魚が食べられないアレックスのように。
どうにもならないことがこの世には存在するのである。
その後作戦は開始され、結果は別次元と同じである。 
 

 
後書き
ジブリール討伐完了。
次回は…。 

 

第三十話 デスティニープラン

 
前書き
とうとう最終決戦までこぎつけました。 

 
ジブリールを討った翌日。
デュランダル議長が演説を行うらしいと聞いて、全員がモニターに集まった。

デュランダル『……今私の中にも皆さんと同様の悲しみ、そして怒りが渦巻いています。何故こんなことになってしまったのか。考えても既に意味のないことと知りながら私の心もまた、それを探して彷徨います。私達はつい先年にも大きな戦争を経験しました。そしてその時にも誓ったはずでした。こんなことはもう二度と繰り返さないと。にも関わらずユニウスセブンは落ち、努力も虚しくまたも戦端が開かれ、戦火は否応なく拡大して私達はまたも同じ悲しみ、苦しみを得ることとなってしまいました。本当にこれはどういうことなのでしょうか。愚かとも言えるこの悲劇の繰り返しは。一つには先にも申し上げたとおり、間違いなくロゴスの存在所以です。敵を創り上げ、恐怖を煽り戦わせてそれを食い物としてきた者達。長い歴史の裏側に蔓延る彼等、死の商人達です。だが我々はようやくそれを滅ぼすことが出来ました。だからこそ今敢えて私は申し上げたい。我々は今度こそ、もう一つの最大の敵と戦っていかねばならないと』

ルナマリア「え?」

アレックス「………」

デュランダル『そして我々はそれにも打ち勝ち、解放されなければならないのです。皆さんにも既にお分かりのことでしょう。有史以来、人類の歴史から戦いの無くならぬわけ。常に存在する最大の敵、それはいつになっても克服できない我等自身の無知と欲望だということを』

ステラ「…?」

デュランダル『地を離れて宇宙を駈け、その肉体の能力、様々な秘密までをも手に入れた今でも人は未だに人を分からず、自分を知らず、明日が見えないその不安。同等に、いや、より多く、より豊かにと飽くなき欲望に限りなく伸ばされる手。それが今の私達です。争いの種、問題は全てそこにある!!だがそれももう終わりにする時が来ました。終わりに出来る時が。我々は最早その全てを克服する方法を得たのです。全ての答えは皆が自身の中に既に持っている!!それによって人を知り、自分を知り、明日を知る。これこそが繰り返される悲劇を止める唯一の方法です。私は人類存亡を賭けた最後の防衛策としてデスティニープランの導入実行を、今ここに宣言いたします!!』

ナオト「遂に議長がデスティニープランを…」

ハイネ「長かったな…」

デュランダル『デスティニープランは我々コーディネーターがこれまで培ってきた遺伝子工学の全て…また現在最高水準の技術をもって施行する究極の人類救済システムです。人はその資質の全て…性格、知能、才能…また重篤な疾病原因の有無の情報も本来体内に持っています。まずそれを明確に知ることが重要です。今のあなたは不当に扱われているかもしれない。誰もあなた自身すら知らないまま、貴重なあなたの才能が開花せずにいるのかもしれない…それは人類全体にとっても非常に大きな損失なのです。私達は自分自身の全てを、そしてそれによって出来ることをまず知るところから始めましょう。これはあなたの幸福な明日への輝かしい一歩です』

ステラ「…デスティニープラン…って何?」

ルナマリア「知らないわよそんなの、何で私に聞くの?こうなったら…」

ステラ「?」

ルナマリア「身内に聞くのよ!!」




































そして来たのはアレックスの部屋。
ルナマリア達だけでなくシン達までいる。

アレックス「…何で俺の部屋に来たんだ?」

ルナマリア「それはアレックスが議長の身内だからです。さあ、デスティニープランって何ですか?教えて下さい」

アレックス「あ、ああ…早速議長に連絡を取ったんだが、大掛かりな遺伝子的な“自分を探す”システムにハローワークを組み合わせたようなものだ。コーディネーターとナチュラルの確執を取り除く物だ」

ルナマリア「それってどういうことなんですか?」

アレックス「例えば、俺達コーディネーターはナチュラルよりも能力が高いが、ナチュラルの全てがコーディネーターに劣るわけじゃない。事実、レイもナチュラルだが、並のコーディネーターより能力が高いだろう?」

ルナマリア「レイはナチュラルなんですか!?」

アレックス「何だ?知らなかったのか?」

ルナマリア「初耳ですよ!!」

アレックス「まあレイと同じとまではいかなくても、優れた能力が人それぞれ何かあるのは確かだ。デスティニープランは、それを見つける事。自分の一番得意な分野で勝負すれば、ナチュラルだってコーディネーターに勝てる。実際連合にだってコーディネーターを上回る能力を持った人だっている。ステラの上司であるネオ・ロアノークのように。」

シン「…確かに」

他の連合の軍人と比べてネオは確かに他より頭一つ抜けていた。

ハイネ「じゃあ、遺伝子の結果で仕事を強制されるとかは無いのか?」

アレックス「無いらしい。あくまで自分の意思でやりたい者はやればいい、と言っていたからな。上から強制するのではなく、人々が自主的に賛同する形で実施するそうだ。遺伝子的にどうこう言われても好きなものは好きだし、嫌いな物は嫌いだからな。」

ステラ「…?」

まだ理解していないのかステラは首を傾げている。
アレックスは少し考えると口を開く。

アレックス「ステラ、君は海が好きだろう?」

ステラ「うん、好き」

アレックス「ならもし、海を見てはいけないと言われたらどうする?」

ステラ「嫌」

アレックス「だろう?つまりそういうことだ。」

クレア「そうだよね。やってる事が楽しいからいいんだって人は沢山いるし、好きだから、素質はあるけどいい加減にやってる人より上達もする事だってあるだろうし、ハローワークにない新しい仕事を考えつく人もいるだろうし」

アレックス「それに、プラントの婚姻統制だって強制じゃないだろう?理屈じゃないんだ」

シン「遺伝子だと分からないことだってありますしね」

アレックス「そうだな。例えばリーダーとかだな。ある程度の能力を伸ばすくらいなら出来るだろうが、これは培ってきた経験や育んできた人格が占める部分が大きい」

ナオト「そうだよね、私も指揮はあんまり得意じゃないし…」

シン「ルナの射撃は一向に上達しないしな」

ルナマリア「シン、あんた後で覚えてなさい」








































議長の演説やデスティニープランについて話していたら、ヴィーノが部屋に駆け込んできた。

ヴィーノ「みんな、アルザッヘルが撃たれた!!」

シン「え?」

ヴィーノ「連合のあのレクイエムで!!」

シン「ええ?」

ルナマリア「何で!?誰が!?」

レイ「基地に反抗の動きがあったんだ。それをローラン隊が討ったということだ」

シン「レイ!!」

部屋に入ってきたレイに全員の視線が注がれる。

クレア「反抗?」

ルナマリア「軍はあれを直したの?」

レイ「言った通りだろ?シン。例え良いことでもスムーズにはいかない」

その後、オーブ宇宙軍がデスティニープランの強制への反対と大規模破壊兵器の排除を宣言して、レクイエムのステーション1を目指して進軍を開始したと報告があったのはそれからしばらくしてだった。











































シン「本当に一体何を考えてんだよオーブは!!?デスティニープランは強制的な物じゃないのに!!」

アレックス「そう言うなシン。レクイエムはザフトが握っている。強制されると思っても不思議じゃない。」

クレア「でもオーブだってユニウス条約違反の核動力のフリーダムとかを隠してたんだし今更だよね…」

ナオト「そうだよね、ユニウス条約の明白な違反だよ。おまけにエターナルまで…これほどの宇宙戦力を保持しておきながら、強すぎる力は争いを呼ぶ?笑っちゃうね。にしても、もどかしいな。議長ももっと上手くやれなかったのかな。反ロゴスで世界を纏めた手腕は見事だったけど」

ハイネ「言うな。今更言っても後知恵になるだけだ。」

ミネルバは、ステーション1の防衛を命じられた。
やってくるオーブ軍の中には、あのエターナルも確認されたと言う。
ストライクフリーダムやインフィニットジャスティスもきっと現れるだろう……。

クレア「でも、オーブ全軍はダイダロス基地に向かっちゃって、ステーション1に来るのはAAとエターナルだけ?」

ハイネ「オーブ本土じゃ反政府デモとかがあると聞くし、オーブも苦しいんだろうな」

そしてしばらくしてアレックスとシンにメサイアに向かうようにと命令が言い渡される。







































デスティニーとセイバーが発進し、メサイアへ向かう。
それをナオト達は休憩室で見つめていた。

レイ「クレア」

クレア「何?」

レイに呼ばれたクレアは不思議そうにレイを見遣る。

レイ「少し話したいことがある。いいか?」

クレア「え?うん。出撃まで時間があるからいいよ。」

ルナマリア「なぁに、レイ。ひょっとして、クレアに愛の告白!?」

クレア「え、ええ!!?」

レイ「違う」

クレア「………」

あっさりと否定されたことに複雑な表情を浮かべた。



































クレア「それで…話って何?」

シンとレイの部屋に連れて来られたクレアはレイに尋ねる。

レイ「ああ、これは議長とアレックス、ナオト、シンしか知らないことなんだが…」

クレア「うん?」

レイ「…俺にはもうあまり未来がない。」

クレア「え?どういうこと?」

レイ「実は、俺はクローンなんだ……生まれながらにしてテロメアが短い」

クレア「じょ、冗談でしょ…?クローンとかテロメアが短いなんて…」

レイ「本当だ…今まで黙っていてすまなかった……」

クレア「嘘…」

レイ「おそらく俺は、議長が作る新しい世界を見届ける事は出来ないだろう」

クレア「嫌だ…聞きたくない…そんなの聞きたくない!!」

耳を塞いで頭を振るクレアにレイはクレアの肩に優しく手を置いた。

レイ「大事な話なんだ。お前に聞いて欲しい」

クレア「嫌だよ!!僕はそんな話聞きたくない!!死ぬとかそんなこと言わないでよ!!生きてよ、諦めたりなんかしないでよ!!僕は…僕はレイに生きてて欲しい!!」

レイ「クレア…」

クレア「諦めたりしないでよ…レイのオリジナルが何歳の時のクローンか知らないけど、人類の理論上の最大寿命は120歳なんだって…もっと延びるかもしれないよ…?それに長生きしてたらクローンの短命も何とかなるかも…」

レイ「……クレア、お前…」

クレア「行こうよ、レイ。僕達の明日を手に入れよう。」

レイ「ああ、そうだな……クレア」

クレア「何?」

レイ「勝つぞ。俺達は死ぬわけにはいかないからな」

クレア「うん!!」

レイとクレアは部屋を後にした。






































メサイアに着いたシンとアレックスは議長の元に来ていた。

デュランダル「やあ…よく来てくれたね。アレックス…シンも」

アレックス「議長…」

シン「……」

デュランダル「君達のおかげでようやくここまで辿り着けた…本当に感謝しているよ…しかし、アーモリーワンでの強奪に始まってユニウスセブンの落下。そして戦闘からロゴスとの戦いまで、君達にも随分と大変な思いをさせてしまった…」

アレックス「いいえ、議長。私はただ自分が出来ること、そして望むことをしただけです」

デュランダル「そう言ってくれると嬉しいよアレックス。君達も知っていると思うが、反抗の兆しを見せた連合のアルザッヘル基地を撃ったので、それを口実に出て来たようだが…」

シン「はい…」

デュランダル「困ったものだ…我々はもう戦いたくないと言うのにね。確かにレクイエムを使った我々にも非はあるかもしれないが…。」

アレックス「…言い訳に聞こえますが仕方がないと思います。ザフトは月やレクイエムのステーションでの戦闘で疲弊していましたから…。それに壊滅した連合艦隊の調査の結果を聞くと連合は核を撃とうとしていた…。プラントを守るためには…仕方がなかったんだと思います。」

デュランダル「そうかね…」

シン「議長…」

デュランダル「ん?何かな?」

議長がシンの方を見遣る。
シンも一息ついて口を開いて言葉を紡ぎ始める。

シン「…俺は二度と戦争が起こらない世界を創りたいです。未来を守りたい…俺のように…親や大切な人を失うような子供がもう二度と生まれないように…だから……俺は戦います。最後まで!!」

デュランダル「そうか…君はどうかね?アレックス。」

アレックス「はい。私もシンと同じ思いです。二度と戦争が起こらない世界を創りたい。未来を守りたい。そのために俺は戦って来ました。これはこの場にいないナオト達も同じ気持ちです。」

デュランダル「…ならば終わらせてくれ。君達の“力”で」

アレックス、シン「「はい!!」」

強い意志を胸に秘めながらアレックスとシンは敬礼をするとこの場を後にした。





































そしてミネルバのミーティングルームでナオトとハイネが話していた。

ハイネ「少しは休めたかナオト?そろそろ俺達も出撃だぜ?」

ナオト「うん」

ハイネ「ミネルバにはFAITHが5人もいるんだ。ステーション1、守って見せなきゃな。」

ナオト「そうだね」

ハイネ「お前はどうする?」

ナオト「え?」

いきなりのハイネの問いにナオトは首を傾げる。

ハイネ「戦争が終わったら何がしたい?」

ナオト「あ、そういえば考えてなかった」

ハイネ「おいおい。まあ、お前がしたいことなんてお見通しだけどな。アレックスと結婚して子供を作って幸せな家庭を…だろ?」

ナオト「……っ、ハイネ…怒るよ?」

ハイネ「悪い悪い。だけどよ、それぐらいのことは考えてもいいんじゃないか?今まで頑張って来たんだから人並みの幸せを手に入れてもさ」

ナオト「幸せ…」

メイリン『コンディションレッド発令、コンディションレッド発令。パイロットは速やかにMSに搭乗してください』

ハイネ「おっと、来たか。行くぞナオト。シンとアレックスが来る前にステーション1を墜とされないようにしないとな」

ナオト「うん。」









































ナオト達がMSデッキに着くのと同時に搭乗機にて待機していると…。

タリア『これより本艦は戦闘を開始する!!MS隊全機発進!!全砲門開け!!目標、AA!!ザフトの誇りにかけて、今日こそあの艦を討つ!!』

全員【了解!!】

メイリン『ナオト・フジワラ、ストライクノワール発進スタンバイ。全システムの起動を確認しました。発進シークエンスを開始します。ハッチ開放。射出システムのエンゲージを確認しました。カタパルトオンライン。射出推力正常。針路クリアー。ストライクノワール、発進どうぞ』

ナオト「長い付き合いだったね…ナオト・フジワラ、ストライクノワール。出るよ!!」

メイリン『ガイア、発進どうぞ』

ステラ「ステラ・ルーシェ、ガイア。行くよ」

メイリン『デスティニー、発進どうぞ』

ハイネ「ハイネ・ヴェステンフルス、デスティニー。行くぜ!!」

メイリン『レジェンド、発進どうぞ』

レイ「レイ・ザ・バレル、レジェンド。発進する!!」

メイリン『デスティニーインパルス、発進どうぞ』

クレア「クレア・トワイライト、コアスプレンダー。行くよ!!」

メイリン『インパルス、発進どうぞ』

ルナマリア「ルナマリア・ホーク、コアスプレンダー。行くわよ!!」

世界の命運をかけた最後の戦いが始まろうとしていた。 
 

 
後書き
最後の戦い。
勝つのはザフトか?
それともオーブか? 

 

第三十一話 裏切り

 
前書き
オーブ軍と交戦するミネルバ。
そこで…。 

 
ステーション1にはAAとエターナルの2艦しか来なかった。
だが、エターナルから発進したミーティア装備のストライクフリーダムにより防衛隊は既に多大な被害を被っていた。

ラクス『こちらはエターナル。ラクス・クラインです。中継ステーションを護衛するザフト軍兵士に通告いたします。私達はこれより、その無用な大量破壊兵器の排除を開始します。それは人が守らねばならないものでも、戦うのために必要なものでもありません。平和のためにとその軍服を纏った誇りがまだその身にあるのなら、道を空けなさい!!』

クレア「何を!!そっちこそよくも今まで、平和を誓ったはずのユニウス条約破りの核動力のフリーダムとかエターナルを隠し持っていたね!!」

ナオト「AAとかあの金ピカMSについての説明もして頂きたいね!!」

ラクス『それは、このような事態に備えるためです。想いだけでも、力だけでもだめなのです。あなた方も軍人であるならご自分の胸で考えてください。今のデュランダル議長の方針が正しいのかを』

ハイネ「へえ?じゃあ何かい?他人の正義が気にくわないから自分の正義を押し付けるかい?流石はお姫様…いいご身分だな!!」

ヒルダ「ラクス様を侮辱するなハイネ!!」

クレア「ハイネ!!」

3機のドムがハイネのデスティニーに向かう。

ハイネ「ジェットストリームアタックか?甘いんだよ!!」

ハイネのデスティニーがドムに接近し、ヒルダのドムを踏み台にする。

ヒルダ「なっ!?私を踏み台にした!!?」

ハイネ「そおら、墜ちろ!!」

至近距離で超射程ビーム砲を放つデスティニー。
マーズのドムの頭部が吹き飛ぶ。

ヒルダ「マーズ!!」

ハイネ「教えてくれよヒルダ!!どうしてラクス・クラインにつくんだ!!?」

ヒルダ「決まってるじゃないか!!ラクス様こそがコーディネーターの未来を創るからだ!!」

ハイネ「未来ね!!あんな戦争しかしない女のどこが信じられるんだか!!」

ヒルダ「何だと!?」

ハイネ「誰もが平和を望んだはずだ!!何がいけない、何が悪い!!?デスティニープランが駄目ならどうすれば俺達は戦争せずに済む!?ラクス・クラインに世界を任せれば、世界は本当に平和になるのか!!?」

ナオト「ハイネ…」

ヒルダ「何を言っている!?」

ハイネ「まともな政策1つ示すことが出来ず、戦争しかやらない女に世界を任せられるお前の正気を疑うぜ!!」

ヒルダ「黙れええええ!!」

デスティニーに切り掛かろうとするドムにビームが放たれた。

ヒルダ「!?」

ハイネ「お?お前ら久しぶりじゃねえか!!ゲイル、ショーン!!」

ゲイル「加勢しますハイネ!!」

ショーン「さあ、派手にやろうぜ!!」

ビームの放たれた方向を見遣ると、オレンジショルダーのゲイルのグフとショーンのザクであった。
この2機はかつてのレイとルナマリアの愛機である。

ハイネ「オレンジショルダーは同志の証ってな!!ゲイル、ショーン、散開して行くぞ!!」

ゲイル「了解した!!」

ショーン「おう!!」

ハイネのデスティニー、ゲイルのグフ、ショーンのザクが散開する。

ムウ「ムウ・ラ・フラガ、アカツキ。行くぜ!!」

そしてAAからシラヌイパック装備のアカツキが出撃する。

レイ「この感じ…?」

アカツキのパイロットに反応するレイ。

クレア「レイ?」

レイ「生きていたのか…ネオ・ロアノーク…」

どうしてAAにいるのかは分からないが、敵となるなら戦わなければならない。

ムウ「お?白い坊主君か?」

レイ「ネオ・ロアノーク…生きていたか…ならば今度こそお前を討つ。ステラのためにもな!!」

ムウ「俺はムウだ!!間違えるな!!」

アカツキとレジェンドがビームサーベルを構えてぶつかり合った。
デスティニーインパルスもストライクノワールもガイアもインパルスもオーブ軍と交戦を始めた。

ステラ「…っ!!」

ステラはガイアのバーニアを吹かし、攻撃をかい潜りエターナルに接近する。
ライフルをエターナルに向ける。
引き金を引こうとした瞬間。
ガイアに向けてスレイヤーウィップが放たれた。

ステラ「!?」

ステラは咄嗟にガイアのシールドで防ぐ。
何と攻撃を仕掛けたのは白いグフである。

ルナマリア「グフ!?グフが何で!?」

ディアッカ「おいおい…隊長。俺達はザフト何じゃないの?」

イザーク「聞け、ジュール隊各員!!俺はエターナルを援護する!!あれはザフトの艦だ!!だがこれは命令ではない!!各々の判断で行動してくれ!!」

シホ「隊長…」

ディアッカ「はあ…そういうことね…OK!!」




































ハイネ「だとよ、ショーン、ゲイル。どうする?」

ゲイル「ジュール隊長は各々の判断で行動しろと言われた。ならば俺はミネルバを援護する」

ショーン「同じく!!」

ゲイルとショーンは引き続きハイネと連携し、ドムと交戦する。







































一方、メサイアで待機していたシンは妹のマユの形見である携帯を開く。

『はい、マユで~す。でもごめんなさい。今マユはお話出来ません…』

シン「………」

目を閉じると今までのことが走馬灯のように駆け巡る。
それと同時にレイから聞いたあの会話が脳裏を過ぎる。










































シン『これがデスティニープラン…なのか?』

レイ『お前が驚くことはないだろう。議長が目指されていた世界がどんなものかはお前も知っていたはずだ。』

シン『でも、急にこんなこと言ったって世界は大変だよ!!』

レイ『ああ…大変なことだ。議長は世界を作り変えようとしているんだからな。反発や不安から異を唱える者も現れるだろう…だが……人はもう本当に変わらなければならないんだ…でなければ救われない…!!私欲のために戦争を煽る者や、あんな…強化人間にされた子供達…こんな世界はもう…?』

シン『レイ?』

言葉が途切れたレイを不思議そうに見つめるシン。
すると…。

レイ『う…』

苦しそうな表情を浮かべるレイにシンは思わず駆け寄る。

シン『レイ…!?どうした?』

レイ『何でもない…構うな!!』

シン『でも…』

レイ『聞け…議長の言う世界の実現にはお前とアレックスの“力”が必要なんだ…だから議長はアレックスとお前に“セイバー”と“デスティニー”を託した…まだ戦いは終わっていない…この先にも辛く苦しい選択もあるだろう。だが…何が起ころうと誰が何を言おうと議長を信じろ。そうすればお前の望みは叶えられる。』

シン『うん…けど何だよいきなり?何かドラマの死んでいくオヤジみたいだぞ……』

レイ『実際俺にはもうあまり未来はない。テロメアが短いんだ…。生まれつき』

シン『は…?』

レイ『俺は…クローンだからな』

シン『!?』

その言葉にシンは一瞬、レイが何を言っているのか理解出来なくなった。

レイ『キラ・ヤマトという、夢のたった1人を作る資金のために俺達は作られた。恐らくはただ“出来る”という理由だけで…だが、その“結果”の俺は…ふっ…どうすればいいんだ……父も母もない。俺は俺を作った奴の夢など知らない。人より早く老化し、もうそう遠くなく死に至るこの身が、化学の進歩の素晴らしい結果だとも思えない…』

シン『レイ…』

レイ『もう1人の俺とも言える兄はこの運命を呪い、全てを壊そうと戦って死んだ。だが誰が悪い?誰が悪かったんだ?俺達は誰もが皆、この世界の“結果”の子だ…。だからもう全てを終わらせて変える…二度と戦争のない世界。お前は誰よりもそれを望んでいるはずだ。ならば…その未来はお前が守れ…俺達のように…家族を…仲間を…大切な人を失うような子供がもう二度と生まれないように…』







































シン「レイ…」

親友の言葉を思い出していたシンにアレックスが声をかける。

アレックス「シン、大丈夫か?俺達もそろそろ出撃だぞ。浮かない顔をしているが大丈夫か?」

シン「あ、いえ…俺達はこっちに来ちゃったけど…ミネルバは大丈夫なんですか?」

アレックス「ミネルバなら大丈夫だ。ミネルバにはナオトやハイネ達がいるんだからな」

シン「………」

アレックス「心配しなくてもステラは無事だ。もっと信じてやれ…あの子は強い。奴らの目的はメサイア内部のデスティニープランの中枢システムとレクイエム本体の破壊が目的だろう。守り通すぞ…シン。」

シン「はい…でも……」

アレックス「ん?」

シン「世界を変えて、戦争のない世界を創るためなら俺は戦います。…でもレイの…レイの運命は…?」

アレックス「………」

シン「レイの明日は…どうなるんですか?俺達には未来があるのに…あいつだけ…」

アレックス「仕方がない…クローンである以上、テロメアの問題は避けられない」

シン「………」

アレックス「だが、可能性はある」

シン「え?」

アレックス「強化人間の今までの医療データを使えば、投薬による人並みの延命が可能になるらしい。」

シン「え…?」

アレックス「強化人間ではナチュラルをコーディネーター並に強化するための薬物投与だが、レイはそうする必要はない。薬を一生手放せないかもしれないが、今も似たような状況だからな」

シン「それって…!!」

見えてきた希望にシンの表情が明るくなっていく。

アレックス「レイにも明日があるということだ…」

シン「そうですか…よかった…」

レイの明日は手に入った。
だが、問題はそれだけではない。

シン「あの…」

アレックス「ん?」

シン「フリーダムのパイロット、アレックスの親友だったんですよね?」

アレックス「ああ」

シン「今更かもしれないけど、フリーダムのパイロットってどんな人だったんですか?」

あれ程の操縦技術を持つパイロットがどんな人物だったのか今更だが気になったシンはアレックスに尋ねる。

アレックス「キラか?そうだなあ…泣き虫で甘ったれで、優秀な癖にいい加減で…でも優しくていい奴だった…」

シン「……」

アレックス「あいつとは月の幼年学校まで一緒だった。俺達がプラントに移り住んで、再会した時には敵になってしまった…今もな…。」

シン「アレックス…」

アレックス「シン、今から言う言葉じゃないかもしれないが、キラもラクスもカガリも、悪い奴じゃないんだ。あいつらはただ罪を重ねたけれど、あいつらは力を持っていた。だからそれを使って平和を創ろうとした。ただそれだけなんだ。お前が、キラ達を討つことになっても、それだけは覚えておいてくれよ。あいつらは嫌というほど真っ直ぐであろうと、善人であろうとしただけなんだ。」

シン「…………」

アレックスの言葉にシンは俯いた。
シンからしてみれば、キラもラクスもカガリも敵でしかない。
キラ達が介入しなければ失わずに済んだ命も沢山ある。

アレックス「無理にとは言わない…さあ行こうシン。出撃だ…終わらせるんだ。俺達の手でな」

シン「…はい!!」

アレックスに続いてシンも部屋を後にし、自身の搭乗機に向かう。


















































そしてそれぞれの搭乗機に乗り込み、出撃準備をするアレックスとシン。

『セイバー、デスティニー。発進』

アナウンスにより、デスティニーとセイバーが動き出す。

アレックス「シン、行くぞ!!」
シン「はい!!行きましょうアレックス!!シン・アスカ、デスティニー。行きます!!」

アレックス「アレックス・ディノ、セイバー。出る!!」

シンのデスティニーとアレックスのセイバーが発進する。
全てに決着をつけるために。 
 

 
後書き
シンとアレックス出撃。
次回はオーブとザフトの全面対決。 

 

機体設定

機体設定

セイバーガンダム

アレックスことアスランの搭乗機。
原作とは違い、アスランが乗ること前提の機体のために機体名の如く救済された機体。
ハイパーデュートリオンエンジン搭載による強化後は機体と全武装の出力が大幅に上昇。
外見は強化前と対して変わらないが、ビームクローからビームサーベル発生装置に変更。
背部のビーム砲もアムフォルタスプラズマ収束ビーム砲に変更、更にビームの出力調整により、巨大なビームソードに。
更にスクリーミングニンバスとビームシールドの追加により防御力が強化されている。
追加装備によりMA形態による突貫攻撃も可能になった全身武器機体。
セカンドステージの機体だが、機体性能はデスティニーやレジェンドに劣らない。

武装

20mmCIWS×2、

高エネルギービームライフル

ヴァジュラビームサーベル×2

アムフォルタスプラズマ収束ビーム砲×2

スーパーフォルティスビーム砲×2

ピクウス 76mm機関砲

複合兵装空力防盾

グレイプニール改

内蔵型ビームサーベル×2

グリフォン2ビームブレイド×2

スクリーミングニンバス

デスティニーガンダム(シン)

インパルスに代わるサードステージに分類されるシンの専用機。
アロンダイト、長射程ビーム砲、光の翼など、インパルスの各シルエットの発展武装の全部盛り機体。
変形機構を持たないMSとしての機動力はミネルバMS隊最強。
ハイネのデスティニーと比べて武装は少ないがその代わりに機動力はハイネのデスティニーより速い。
0Sの改良により機体性能をフルに発揮されているためにただでさえ高い機動力は異常の域に達している。

武装

17.5mmCIWS×2

高エネルギービームライフル

大型ビームソード アロンダイト

高エネルギー長射程ビーム砲

フラッシュエッジ2ビームブーメラン×2

ソリドゥス・フルゴール ビームシールド発生装置×2

掌部ビーム砲 パルマ・フィオキーナ×2

対ビームシールド

デスティニーガンダム(ハイネ)

ハイネ専用のデスティニーガンダム。
シンのデスティニーと違ってオレンジ。
アロンダイト、長射程ビーム砲等はシンのデスティニーと同じだが、グラウプニルとスレイヤーウィップが装備され、格闘能力はシンのデスティニーより高く、更にスクリーミングニンバスが装備されているために防御力は高い。
ただし機動力はシンのデスティニーに劣る。

武装

17.5mmCIWS×2

高エネルギービームライフル

大型ビームソード アロンダイト

高エネルギー長射程ビーム砲

フラッシュエッジ2ビームブーメラン×2

ソリドゥス・フルゴール ビームシールド発生装置×2

掌部ビーム砲 パルマ・フィオキーナ×2

対ビームシールド

スレイヤーウィップ×2

ドラウプニル4連装ビームガン×2

スクリーミングニンバス

デスティニーインパルスガンダム。

燃費が最悪のデスティニーインパルスがハイパーデュートリオンエンジンの搭載により、エネルギー問題が解決。
しかし、ハイパーデュートリオンエンジンの搭載により、ただでさえ悪い整備性が、更に悪くなった。
しかしそこさえ目をつぶれば、デスティニーやレジェンドのようなサードステージのMSに匹敵する性能。

武装

20mmCIWS×2

フォールディングレイザー対装甲ナイフ×2

高エネルギービームライフル

フラッシュエッジ2ビームブーメラン×2

ソリドゥス・フルゴール ビームシールド発生装置×2

エクスカリバーレーザー対艦刀×2

テレスコピックバレル延伸式ビーム砲塔×2

武装は変わらないが出力は大幅に上昇している。

ストライクノワールガンダム

ストライクEにハイパーデュートリオンエンジンを搭載し、機体性能が大幅に上昇。
ストライカーの性能も上昇しているが、外見はあまり変わってない。
外見で唯一の変更点は手甲にビームシールド発生装置が装備されたこと。

武装

トーデスシュレッケン12.5mm自動近接防御火器×2

アンカーランチャー×6

ビームライフルショーティー×2

ソリドゥス・フルゴール ビームシールド発生装置

ノワールストライカー

2連装リニアガン×2

フラガラッハ3ビームブレイド(ビームサーベル内蔵)×2

アンカーランチャー

レジェンドガンダム

デスティニー同様、サードステージに分類される機体。
原作と違う点はレイが乗ること前提の調整がされている。
レジェンドのドラグーンは新型システムを搭載した第二世代型ドラグーンを改良、発展しているものでレイ専用に調整され、空間認識能力が必要なタイプにされている。

武装

17.5mmCIWS×2

高エネルギービームライフル

ソリドゥス・フルゴール ビームシールド発生装置×2

デファイアント改ビームジャベリン×2

GDU-X7 突撃ビーム機動砲×2

GDU-X5 突撃ビーム機動砲×8

インパルスガンダム

セカンドステージに分類される機体。
シンがデスティニーに乗り換えたことで原作通りルナマリアがインパルスのパイロットに。

武装

20mmCIWS×2

フォールディングレイザー対装甲ナイフ×2

高エネルギービームライフル

機動防盾

フォースシルエット

ヴァジュラビームサーベル×2

ソードシルエット

エクスカリバーレーザー対艦刀×2

フラッシュエッジビームブーメラン×2

ブラストシルエット

ケルベロス高エネルギー長射程ビーム砲×2

デリュージー超高初速レール砲×2

4連装ミサイルランチャー×2(AGM141ファイヤーフライ誘導ミサイル)

デファイアントビームジャベリン×2

ガイアガンダム

セカンドステージに分類される機体。
ステラ専用に改造されているためステラ専用機。

武装

20mmCIWS×2

高エネルギービームライフル

ヴァジュラビームサーベル×2

機動防盾

ビーム突撃砲×2

グリフォン2ビームブレイド×2
12.5mmCIWS×4

ブースター兼ビーム砲×2 

 

第三十二話 エターナル撃沈

 
前書き
ステーション1へと出撃したアレックスとシン。
そして…。 

 
メサイアからステーション1に向けて出撃したデスティニーとセイバー。
2機は凄まじい機動でステーション1に向かうオーブ軍とラクスに寝返ったザフト軍を瞬殺する。

アレックス「ナオト!!みんな無事か!!?」

ナオト「アレックス!!」

アレックスが仲間の機体を見れば、機体に少々の損傷はあれど戦闘に支障はないようだ。

レイ「アレックス!!アカツキに乗っているのはネオ・ロアノークです!!」

ムウ「だから俺はムウだって言ってんだろ!!」

アレックス「フラガ少佐?ええ!?」

目を見開くアレックスにハイネが叫ぶ。

ハイネ「アレックス!!戦闘に集中しろ!!フリーダムが来るぞ!!」

全員【!!】

ミーティアを装備したストライクフリーダムがビームソードを振るう。

シン「やらせるか!!」

ビームソードをかわし、デスティニーの光の翼を展開するとアロンダイトを構えてストライクフリーダムに突撃する。
キラはミーティアに装備されているミサイルを放つ。
シンはそれを回避しつつ、アロンダイトをミーティアに叩き込む。
切り裂かれたミーティアはアロンダイトと共に爆散する。

シン「アレックス!!フリーダムは俺に任せて、アレックスはAAとエターナルを!!」

アレックス「ああ!!」

キラ「アスラン!!何故こんなことに力を貸すんだ!!?」

アレックス「…………」

キラの問いに答えず、アレックスはセイバーをMA形態に変形させるとAAとエターナルに向かう。

キラ「待つんだアスラン!!」

シン「アレックスを追うんならまず俺を倒してからにするんだな!!」

キラ「どうして君はいつも僕達の邪魔をするんだ!!」

シン「最初に攻撃してきたのはあんただろう!!あんたのせいでミネルバのクルーやステラの仲間が!!」

キラ「そうやって後ろを振り向いてばかりじゃ仕方ないじゃないか!!」

シン「違うね!!あんたはそうやって辛い過去を見ないようにしてるだけだ!!過去から逃げてるだけだ!!」

キラ「そんなことはない!!」

シン「だったら俺に勝ってそれを証明してみせろ!!というか戦場に出て憎まれないとでも思ってんのかあんたは!!?」

キラ「憎いから殺したって憎しみの連鎖が続くだけじゃないか!!どうしてそこまでしてラクスに歯向かおうとするんだ!!彼女は本当は戦いたくないのに!!アスランもどうして議長に従うんだよ!!?」

シン「終わりかけていた戦争を自分勝手な考えでまた引き起こしておいて何を言ってやがる!!アレックスだって、あんたらの都合のいい人形なんかじゃない!!」

MSとしては最高峰の性能を誇るストライクフリーダムとデスティニーがぶつかり合う。

キラ「デュランダル議長を止めないと世界が滅ぶかもしれないんだぞ!!」

シン「勝手な理屈と正義で自分を正当化するな!!」

キラ「いい加減にしろ!!君はラクスの言葉を聞いていなかったのか!!?」

シン「あんなに非常識な奴を見たのは生まれて初めてだ!!悪意が無い分、ブルーコスモスやジブリールより数段タチが悪いぜ!!」

はっきり言って自分からすれば、明確な悪意を持っていたジブリールの方がまだマシに見える。

キラ「君はどうしてラクスの言葉が分からない!?」

シン「あんたらは勝手な理屈と正義を押し付けて…それで一体どこまでこの世界を傷つければ気が済むんだ!!」

キラ「これ以上邪魔をするなら…僕は君を討つ!!」

シン「やれるならやってみろよ…人形野郎!!」

ストライクフリーダムは背中のウィングからドラグーンを射出してデスティニーに向けて放つ。
射出されたドラグーンはデスティニーの周囲に展開してビームを浴びせようと迫っていくが…。

レイ「シン!!」

シン「来るなレイ!!それに…」

援護しようとするレイを制して意識を集中。
“種”が割れる。
キラ・ヤマトのドラグーン操作はシミュレーションで経験したレイのドラグーン操作に僅かに劣る。
だから…。

シン「丸分かりなんだよ!!」

ビームライフルを構え、ドラグーンが移動する場所を先読みし、2基のドラグーンを撃墜。

キラ「っ!?」

今のシンにとっては、空間認識能力を持つようになって間もないキラが操るドラグーンの動きはさほど脅威ではなかった。
パルマ・フィオキーナでドラグーンを1基掴み、粉砕し、フラッシュエッジを投擲、再びライフルを放ち、ドラグーンを全て撃墜する。

シン「どうだ?あんたご自慢のドラグーンは全て墜としてやったぜ?」

キラ「ドラグーンがそんな簡単に!?」

シン「レジェンドのドラグーンに比べて動きが直線的過ぎるんだよ。だから軌道が分かりやすい。それに俺は仲間達の想いも背負って戦ってる。あんたみたいな奴から世界を守るって想いをな!!!」

クレア「シン…」

ルナマリア「ちょっと格好いいじゃないのよシン…」

シン「決着をつける!!そして少しでも早くこの戦争を終わらせる!!」

キラ「僕達だって世界を、平和を守るために戦ってるんだ!!君には負けない!!」

シン「自分達に従わない奴を全てを殺すなんて平和を守るとは言わねえんだよ人形野郎!!」

デスティニーの長射程ビーム砲、ストライクフリーダムのカリドゥス複相ビーム砲がぶつかり合う。




































ハイネ「あいつら派手にやってやがるな!!さて、ヒルダ。そろそろ決着をつけないか!!?」

ヒルダ「上等だハイネ!!今度こそジェットストリームアタックで墜としてやるよ!!」

ハイネ「来な!!」

ヒルダ、マーズ、ヘルベルト「「「ジェットストリームアタック!!!!」」」

縦に並んだドムがハイネのデスティニーに向かう。
ハイネはデスティニーのスレイヤーウィップをムラサメを絡め取り、ドムに投げつける。
ムラサメは爆散するが、ドムはダメージを受けていない。

ヒルダ「隠れようったって無駄だハイネ!!」

ハイネ「隠れる?何のことだかなあ!!?」

ヒルダ「なっ!?」

煙が晴れるとヒルダのドムの目の前にはハイネのデスティニーがアロンダイトを構えて突撃していた。
対艦刀の中でも最長を誇るアロンダイトは3機のドムを容易く貫いた。
ハイネはドムの核爆発に巻き込まれないように直ぐさま距離を取る。
ドムは核爆発を起こし、宇宙の塵となった。

ハイネ「ドムの防御力を過信しすぎたなヒルダ」

ハイネが辺りを見回すと、ナオト達はステーション1に向かうMSを迎撃していた。
溜め息を吐いた後、ハイネはデスティニーをステーション1に向かわせる。








































エターナルに接近するセイバー。
ビームサーベルを展開し、ブリッジを叩き切ろうとしたその時であった。

イザーク「止めろ!!エターナルはザフトの艦だ!!」

アレックス「っ!?」

割って入って来たグフにアレックスは目を見開いた。

アレックス「イザーク!!どういうつもりだ!?血迷ったか!!?」

イザーク「アスラン、貴様分かっているのか!!エターナルにはラクス・クラインが乗っているんだぞ!!」

アレックス「分かっている!!彼女がもう戻れないところに行ってしまった事もな!!」

セイバーのバーニアを一気に吹かし、イザークのグフに突っ込む。

イザーク「っ!?」

アレックス「この、馬鹿野郎!!」

イザークのグフは一瞬で頭部と四肢を両断された。

ディアッカ「イザーク!!」

ディアッカのザクがイザークのグフの胴体を受け止める。

バルトフェルド『おい!!イザーク・ジュールを連れて来い!!』

ディアッカ「はあ!?何でだよ!!?」

バルトフェルド『別の機体をくれてやる!!だから早く来い!!』

ディアッカ「っ…了解!!」

ディアッカのザクがエターナルに着艦する。

アレックス「チッ…」

追い掛けようとするが、ムラサメ部隊がセイバーにビームを放つ。

アレックス「あいつらは一体何をするつもりだ!!?」

ムラサメの攻撃を捌きながら苛立ちを隠さずに言うアレックス。







































レイ「ネオ・ロアノーク、いい加減墜ちてもらおうか!!」

ムウ「だからムウだ!!しかし、この感じは奴に…」

レイ「似ているか?当然だ。俺は貴様の父親のクローンだからな。」

ムウ「何だと!!?」

レイ「俺はラウと同じお前の父親、アル・ダ・フラガのクローンだ!!」

そしてアカツキに向けてレイがレジェンドのドラグーンを射出する。

ムウ「?アカツキにドラグーンのビームは効かんぞ!!」

レイ「知っている」

ムウ「何?ぐっ!?」

突如衝撃と共にシラヌイパックが爆散した。

ムウ「ドラグーンに内蔵されたビームスパイクか…!?」

レイ「アカツキの装甲は確かに強力だが、実弾、ビームサーベル系統の近接武器には弱い。一度アカツキと戦ったからな、その機体の弱点は既に把握している。」

ムウ「そうかい…だがな…俺は不可能を可能にする男なんだよお!!」

レイ「はあああ…!!」

再びぶつかり合う両者。
しかし、バックパックを失ったアカツキがハイパーデュートリオンエンジンを搭載したレジェンドにパワーで勝てるわけがなく、徐々に押され始めていく。














































ムラサメ部隊を全滅させたアレックスが見たものは、オーブ戦でバルトフェルドが搭乗したジャスティスの後継機、インフィニットジャスティスであった。

イザーク「ここで止めさせてもらうぞ、この貴様が乗るはずだったインフィニットジャスティスでな!!」

アレックス「……イザーク…いや、もう何も言わない。行くぞ!!」

セイバーとインフィニットジャスティスがビームサーベルを抜き、同時に激突する。

ナオト「アレックス…」

ディアッカ「おっと、邪魔はさせないぜ?」

ナオト「ディアッカ、それとシホさんだっけ?あなた達もラクス・クラインにつくの?」

ディアッカ「仕方ないでしょ、隊長がそう決めたんだし」

ナオト「そう…」

ルナマリア「ナオト!!ここは私達に任せて!!」

ステラ「ナオト、行って!!」

ナオト「ルナマリア、ステラ…分かった、気をつけて!!」

ナオトはディアッカとシホをルナマリアとステラに任せて自身はAAに向かう。

















































アレックス「やるなイザーク!!前より腕を上げたんじゃないか!?」

イザーク「ふん!!いつまでも昔のままだと思うなよ!!しかし…こうやって勝負してると昔に戻ったようだなアスラン!!」

アレックス「昔?ああ、アカデミーの頃もクルーゼ隊の時も互いに競いあったなシミュレーションでも射撃でもナイフでもチェスでも!!」

アカデミー時代からアレックスとイザークは互いにライバルと認め、互いに競いあった。

イザーク「あの時はニコルもラスティもオロールもいたがな……。」

イザークはアカデミーを共に卒業し、戦死した仲間達を思い浮かべた。

アレックス「………」

イザーク「だが、今はこの戦闘に全てを捧げるのみ!!行くぞアスラン!!アカデミーから続く因縁を今ここで!!」

アレックス「ああ、来い。イザーク!!」

互いにライバルと認め合ったアレックスとイザークがセイバーとインフィニットジャスティスのシールドのビームサーベルを展開し、再び激突する。





















































シン「どうしてお前らは人を平気で傷つけること出来るんだ!!」

キラ「平気なんかじゃない!!でもラクスのためには仕方ないんだ!!」

ストライクフリーダムの振り下ろしたビームサーベルがデスティニーに掠る。

シン「何でそこまで奴にこだわるんだ!!」

キラ「彼女は僕に優しくしてくれたんだ!!」

シン「そんな勝手な理屈!!認めるかああああああ!!!!」

フラッシュエッジで横薙ぎするがストライクフリーダムは膝を落として回避する。

シン「今だ!!」

左のパルマ・フィオキーナでストライクフリーダムの右肩を粉砕した。
対するストライクフリーダムもカリドゥス複相ビーム砲でデスティニーの右脚を吹き飛ばす。

シン「ぐっ!?」

右脚を失ったことでデスティニーはバランスを崩すが、残った左足で蹴り飛ばした。
















































ナオト「こちらザフト軍特務隊、ナオト・フジワラです。AA、聞こえますか?速やかに武装解除して降伏してください。こちらは、あなた方をテロリストとして貴艦を撃墜することも辞さない」

マリュー『AA艦長、マリュー・ラミアスです。貴女の申し入れに感謝します。ですが、残念ながらそれを受け入れる事は出来ません。本艦にはまだ仕事があります。今一つになろうとしている世界に、私達はただ邪魔な色なのかもしれません。ですが、だからこそ今ここで消える訳にはいかないのです。守るべきものの為に』

ナオト「…勧告はしました。墜とさせて頂きます!!」

ストライクノワールがAAに向けてリニアガンを放つ。
ラミネート装甲を持つAAには実弾兵器の方が有効だ。






































ハイネのデスティニーがエターナルに向かう。
ハイネのデスティニーに一機のMSが立ちはだかる。

ハイネ「あれはグフか?それにしては…」

バルトフェルド「これはグフじゃない。ゲルググと呼ばれるMSさ。」

ハイネ「ゲルググ?確かMSコンペティションでザクに負けた機体だったよな?ドム同様、改良を加えたのか…?」

グフと同型のフライトにビームナギナタ、ビームライフル、ビームシールド発生装置を内蔵したシールド。
武装はオーソドックスな物だが油断は出来ない。

バルトフェルド「悪いが俺達も必死なんだ。墜とさせてもらうぞ!!」

ハイネ「上等だぜ!!」

ハイネのデスティニーとバルトフェルドのゲルググが激突する。
ゲルググのビームナギナタが振るわれ、デスティニーのビームシールドを展開するが、ビームシールドごと左腕を断ち切られる。

ハイネ「なっ!?ビームシールドが!?どんなビームナギナタだよそりゃあ!!」

バルトフェルド「ザクやグフとは違うんだよ」

ハイネ「くそったれ!!」

左腕を失いデッドウェイトとなる長射程ビーム砲をパージし、フラッシュエッジを抜いてゲルググに向かう。









































アレックス「はあああああ!!」

イザーク「チッ!!」

セイバーとインフィニットジャスティスの戦闘は僅かにセイバーが優勢である。
イザークが機体慣れしていないこともあるが、アレックスはジャスティスに乗っていたためにジャスティスがどのような機体なのかを理解している。
ジャスティスはプロヴィデンスやフリーダムと比べてスタンダードな武装が多く、非常にバランスが良い機体だ。
しかし逆に言えば攻撃面での決め手に欠けている。
故に攻撃は手数と小回りの良さに依存せざるを得ない。
それさえ防いでしまえば充分勝機はある。









































ストライクフリーダムはデスティニーが。
インフィニットジャスティスはセイバーが。
アカツキはレジェンドが。
ゲルググはデスティニーが。
ザクはガイアが。
グフはインパルスが。
AAはストライクノワールが抑えている。
今、エターナルはがら空きの状態。
それを見ていたクレアはデスティニーインパルスを一気に加速させ、エターナルのブリッジに。

クレア「エターナル!!これが最後だ!!」

それを見たラクスは拳を握り締め、こみあげる苛立ちに僅かにであるが震えていた。

ラクス「どうして私がここまで…世界のために私は戦っているのにどうして…!!」

クレア「喰らえええええええええ!!!!」

エクスカリバーをブリッジに向けて振り下ろし、テレスコピックバレル延伸式ビーム砲塔のビームを叩き込む。
やがて小さな爆発が起こり始め、それが段々と大きな爆発と変わってゆき、エターナル全体に広がっていった。









































エターナル撃沈をアレックス達は確かに見届けた。

イザーク「エターナルが…」

アレックス「クレア…やったのか…」

かつての婚約者が死んだことにアレックスの胸に僅かな痛みが走った。

アレックス「どうするイザーク?まだやるか?」

イザーク「ラクス・クラインが討たれた以上、俺に戦う理由はない…投降しよう…」












































マリュー「エターナル…ラクスさんが…」

ナオト「これで…終わり!!」

とどめとばかりにリニアガンをAAのメインエンジンに直撃させる。
AAが沈黙した。
かつてザフト軍に不沈艦と呼ばれ、アラスカ、ヤキンドゥーエもしぶとく生き残りザフトの将兵達を畏怖させた大天使の名を冠する艦が動きを止めた。







































ハイネ「クレア…やりやがったな!!」

バルトフェルド「馬鹿な…ラクス…」

ハイネは勝ち誇った笑みを浮かべ、バルトフェルドは驚愕の表情でエターナルがあった宙域を見つめていた。








































ルナマリア「やったわねクレア!!」

ステラ「やったね…」

クレアがエターナルを撃沈させたのを見て、ルナマリアがガッツポーズを取る。
ステラも穏やかな笑みを浮かべていた。








































レイ「フ……」

笑みを浮かべ、レイは胴体のみとなったアカツキを掴むとミネルバに向かう。











































キラ「ラクスーーーーーっ!!!!!!」

キラの叫びが虚しく宇宙に響き渡った。
キラがエターナルの撃沈を確認したのである。

キラ「どうして!!どうして君達は!!」

シン「これがあんたのやってきたことの結果だ!!あんただってそうやってみんなの大切な人達を奪ってきたんだろうが!!」

キラ「だからって…だからって!!」

キラの中に忘れかけていたどす黒い感情が少しずつ膨れ上がってきていた。
キラは端末を操作すると…。

シン「ミーティア!?そうか…ジャスティスの奴か!!?」

キラ「うわああああああ!!!!」

ミーティアを装備したストライクフリーダムが全武装を解放し、ザフトの戦艦、MSを墜としていく。

全員【!?】

シン「な、何てことを!!」

キラ「何って、ラクスに従わないザフトを討っただけじゃないか」

シン「っ、ふざけるなああああ!!!!」

デスティニーのバーニアを吹かせ、ミーティアを装備したストライクフリーダムに向かうのだった。 
 

 
後書き
エターナル撃沈。
キラが本気でキレた。 

 

第三十三話 明日

 
前書き
エターナルを撃沈したザフト。
しかし…。 

 
エターナルを撃沈し、AAを戦闘不能にし、ザフトの勝利は確定したかに見えた。
しかしキラはインフィニットジャスティスのミーティアをストライクフリーダムに装備させ、再び攻撃を仕掛ける。

シン「あんた、よくも!!」

同胞を多数殺されたことに怒りを感じてミーティア装備のストライクフリーダムに突っ込むシンのデスティニー。

キラ「ラクスを殺したのは君達じゃないか!!」

シン「ミネルバクルーやステラの仲間を殺したのはあんただろうが!!」

キラ「戦場にいて憎まれないはずないって言ったのは君だろ!!それにミネルバクルーとか仲間とか、そんなこと僕は知らない!!それにわざとやったわけじゃない!!」

シン「ふざけんなああああああ!!!!」

シンはもう一度ミーティアを破壊しようと試みるがキラはそうはさせないとばかりにビームを放つ。






































ラクスに寝返ったザフト兵も攻撃を開始している。

イザーク「貴様ら何をしている!!いい加減にしろ!ラクス・クラインは死んだんだ!!これ以上終わった戦いを蒸し返すな!!」

「うるさい!!ラクス様を殺した奴らを皆殺しにするまで終わりなど無い!!」

もうオーブは負けたというのに…ここまで往生際が悪いとは……。

イザーク「俺達は負けたんだ!!貴様らも誇り高いザフト軍人なら潔くしろ!!」

「黙れ!!デュランダルの私兵に屈した臆病者が!!!!」

アレックス「なっ!?それはイザークにとって禁句だぞ…」

イザーク「貴様…………今何と言った?俺が臆病者だと…?軍人としての誇りすらない屑の分際でこの俺を臆病者と呼ぶなどと……貴様らあああああ!!!!良い度胸だ!!全員叩き潰してくれるわあああああ!!!!!!」

アレックス「お、おい!!イザーク!!まったく…仕方のない奴だ!!」

突っ込んでいくインフィニットジャスティスにセイバーも共に向かう。










































ナオト「まったく、何だっていうの…?ラクス・クラインが討たれたのにあいつらはまだ抵抗を続けるし…………。」

ディアッカ「俺が言うのも何だが見苦しいぜ、ここまで往生際が悪いってのはよぉ……つーか、俺達も危なくね?」

ディアッカが呆れたような声を出す。

ナオト「炒飯、シホさん」

ディアッカ「ん?」

シホ「…?」

ナオト「後で議長に執り成してイザークも含めて裏切ったこととかチャラにしてあげるからこいつら片付けるの手伝ってよ」

ディアッカ「いいのか?裏切るかもしれないぜ?」

ナオト「その時はミネルバのMS隊全員でフルボッコしてあげるから安心して」

ディアッカ「え、えげつねえ…こりゃあ裏切れないわ…」

ルナマリア「あ、でも議長のお考え次第では本当にそうなりそうですよね炒飯さん」

ステラ「ギルは怒ると怖いよ…?炒飯…」

ディアッカ「……マジか?というか炒飯言うな!!」

ナオト「あんたなんか炒飯で充分だよ!!軍人止めて中華料理店でも開けば!!?」

ナオト達も反乱軍の駆逐に向かう。






































バルトフェルドのゲルググはデスティニーインパルス、レジェンド、デスティニーに包囲されていた。

ハイネ「さあ、砂漠の虎。ラクス・クラインは死んだぜ?あんたはどうする?」

バルトフェルド「…投降しよう。このまま争っても意味はないからな」

クレア「賢明な判断です。ハイネさん、お願いします。」

ハイネ「へいへい。今一番役に立たないのは俺だからな」

バルトフェルドのゲルググとの戦闘でハイネのデスティニーは左腕、両脚、更にフライトユニットの右が破壊されているため、離脱しなければならない。

ハイネ「お前ら!!ここまで来といて死ぬなよ!!」

クレア「死にませんよ!!」

レイ「俺達にはまだすべきことがありますから……ミーティアを破壊するぞクレア」

クレア「うん、あんな卑怯な装備は壊さないとね!!」

デスティニーインパルスとレジェンドがデスティニーの援護に向かう。









































キラ「平和を願っていたラクスの言うことが間違ってるはずないだろ!!それなのにラクスを討とうとするなんて許せるわけないじゃないか!!」

シン「絶対に間違わない人間なんてこの世にいるか!!第一、この世界は生きているみんなのものだ!!」

キラ「みんなが好き勝手にしたらおかしくなるからラクスは立ち上がったんだ!!デュランダル議長も世界を滅ぼそうとしてるじゃないか!!」

シン「勝手に決め付けるな妄想野郎!!」

キラ「君達さえいなければアスランは戻って来てくれた!!君達さえいなければ!!」

キラはミーティアのビームソードを展開し、デスティニーを切り裂こうとするが。

レイ「シン!!」

レジェンドのドラグーンを射出し、ミーティアに向けてビームが放たれる。

キラ「っ!?」

キラは何とか翻そうとするがミーティアの巨大さが災いして直撃を受ける。

クレア「どりゃあああああ!!!!」

ミーティアのエンジン部が大破し、デスティニーインパルスが最後のエクスカリバーを構えて突撃。
ミーティアを切り裂いて、破壊する。

シン「レイ!!クレア!!」

クレア「シン!!ミーティアは破壊したよ!!」

レイ「反乱軍は俺達に任せろ、お前はフリーダムを討て!!」

シン「ありがとうクレア、レイ。」

ミーティアを破壊したレジェンドとデスティニーインパルスは反乱軍へと向かう。

キラ「逃がすか…!!」

シン「待て!!あんたの相手はこの俺だ!!」

レジェンドとデスティニーインパルスを追おうとするストライクフリーダムに立ちはだかるデスティニー。

キラ「君は…どこまでも僕の邪魔をする!!」

シン「何キレてるんだか…腸煮え繰り返ってんのはこっちなんだよ!!」

パルマ・フィオキーナでストライクフリーダムを攻撃する。
ストライクフリーダムのビームシールドを展開することで防ぐ。

キラ「君には世界がどういう道を歩もうとしているのか分からないのか!?」

シン「妄想で戦争をやるあんたらよりかは遥かに見えているさ!!」

キラ「ラクスは世界を正しい方向に導こうとしてたのに!!」

シン「そうやって奴に敵と言われた奴を人形のように忠実に殺してたんだろ!!」

キラ「コックピットは狙っていない!!」

シン「それをすれば死なないと思ってんのかあんたは!!」

何度も何度も切り結ぶ。
互いに言葉をぶつけ合って。

キラ「いつまでも戦ってちゃいけないから僕達はそれを終わらせようとしたんだ!!」

シン「終わらせる!?悪化させるの間違いだろ!!このテロリスト!!」

キラ「世界をこのままにしておけないんだ!!」

シン「あんたらがやってることは単なる人殺しだ!!要求を聞かない相手を力で捻じ伏せる、それだけだろ!!オーブ軍にだって同じことしたじゃねえか!!」

キラ「でも!!」

シン「でも!!じゃねえだろ!!行動には責任が伴うんだよ!!責任を負えないなら何もするな!!」

フラッシュエッジを振るい、ストライクフリーダムの右腕を切り裂いた。

キラ「くっ!!」

咄嗟にキラはデスティニーを蹴り飛ばす。

シン「うおおおおおお!!!!」

それでもシンはデスティニーを動かしストライクフリーダムに突撃する。
迎撃しようと機体を動かそうとした時、ストライクフリーダムに異常が発生する。

キラ「え!?」

何が起こった?
整備不良?
それともハイパーデュートリオンエンジンに異常?
それとも他に要因があったのか?
異常の原因は機体のダメージである。
ストライクフリーダムはキラ・ヤマトの運用を想定して極限まで運動性向上のために装甲を細かく分割しスライドさせるシステムを採用しているが防御力低下の要因にもなっているのだ。
防御を犠牲に運動性を求めた結果である。
それを好機と見たシンはデスティニーインパルスのエクスカリバーを構えてストライクフリーダムに突撃する。
それを見たキラは何とかカリドゥス複相ビーム砲とクスィフィアス3レール砲をデスティニーに放つ。
それらはデスティニーの頭部に直撃し、頭部を破壊するが、デスティニーの速度は全く落ちていない。

キラ「っ、止まれ!!止まれええええ!!」

恐怖を感じたカリドゥス複相ビーム砲を何度も放つがギリギリで回避し、ストライクフリーダムに肉薄。
そして…。

シン「これで終わりだああああああ!!!!!!!!」

エクスカリバーがストライクフリーダムを貫いた。

キラ「う…っ……………あ………ああ………」

エクスカリバーに貫かれたキラは激痛に苛まれる中、今の状況が理解出来なかった。
何故負ける?
自分は世界のために戦ってきた。
それなのに何故世界の敵に、デュランダル議長に従う敵に負ける…?
キラは霞んでいく意識の中、記憶の中のアレックス…アスランに助けを求めた。
自分を助けて欲しい。
そして一緒に、前のように一緒に戦って欲しい。
自分の記憶の中のアスランはいつも溜め息をつき、小言を言いながらも助けてくれた。
だから今度も…。

キラ「アス、ラ…ン……助けて…怖いよ…死に、たくな、い…よ……」

キラの最期の言葉と共にストライクフリーダムは核爆発を起こした。
シンは爆発に巻き込まれながらも呟いた。

シン「死にたくない…か……。でもな、最高のコーディネーター、キラ・ヤマト。あんたや俺が墜として来た奴らも、あんたと同じ気持ちだったんだぜ……」

ストライクフリーダムが完全に爆散した。
核爆発の凄まじい熱量がデスティニーを襲う。

ステラ「シン!!」

損傷したガイアがバーニアを吹かし、デスティニーの反応がある場所へと向かう。

アレックス「キラ…」

目を閉じれば昨日のことのように思い出せる。
幼年学校から共に過ごした思い出を。






































キラ『やっぱ凄いよなあアスランはあー』

アスラン『そんな大したことじゃないよ…最優秀って言ったって同学年の中だけだし…』

キラ『だってあの論文、僕が読んでも何のことやらチンプンカンプンだったもん!!』

アスラン『何言ってんだよ!あの時、キラは1ページ目の見出し見ただけで投げ出した癖に!!キラの悪い癖だよそれ!!』

キラ『ん?』

アスラン『キラは何でもやる前からどっか諦めてる気がするんだよな!!もっと自信持てよ。キラだってやれば出来るんだからさ!!』

キラ『そんな…僕にはアスランみたいな才能はないよ…』

アスラン『例えば…ほらあれ!!天才的裏技プログラミングとかさ!!』

キラ『ええ~っ、あんなのお~?アスランだってあんなの邪道だって言ってたじゃないか!!』

アスラン『い…いいや!!キラには絶対プログラマーの才能あると思うよ!!俺には思い付かないもの…あんな裏ルートがあるなんて…』

キラ『そ…そっかな…』

アスラン『でもあれじゃ、キラ本人にしか扱えない代物だけどな…』

キラ『えへへへ~…ええ!?』














































アスラン『ちょっと待て…今、何て言った?』

キラ『え?だから鳥』

アスラン『鳥ぃ!?授業の課題なんだからもっと簡単なのにしろよ!!』

キラ『え?駄目?可愛いと思うんだけど…首傾けて鳴いて…飛ぶんだけど…後スラスターを付けて宇宙を飛び回れるようになれば最高だけど…難しいかな?』

アスラン『当たり前だ!!首傾けたり空を飛んだり鳴いたりするんだろう!?俺にだって簡単じゃないぞ!!それをマイクロユニットが苦手なキラに二週間で作れると思ってるのか!?まさかまた俺をアテにしてるだろ!!!?』

キラ『ゔっゔっ…ゔっ』

アスラン『今度という今度は絶対手伝ってやらないからな!!』

キラ『ううう…分かってるよお』










































アスラン『キラ…』

キラ『アスラン…』

アスラン『これ…』

『トリィ…』

キラ『アスラン!?』

アスラン『首傾けて…鳴いて…肩に止まって…飛ぶよ…本当に戦争になるなんてことは…無いよ。プラントと地球で…避難なんて意味ないと思うけど…キラもそのうちプラントに来るんだろ…?』













































アレックス「…っ」

キラとの思い出を巡らせる度に涙が溢れ、流れていく。

ナオト「アレックス」

アレックス「!?」

ナオトの声に反応し、前を向くとコックピットのハッチが開いており、ナオトの姿が目の前にあった。

ナオト「アレックス……ううん、アスラン……頑張ったね」

アレックス「ナオト、疲れてるのに無理するな…」

ナオト「無理してるのはアスランの方だよ…」

彼女はアレックスに近寄ると優しく抱き締めた。
抵抗されるかと思ったが、意外な程アレックスは力なくナオトに抱き締められた。

アレックス「ナ、ナオト!?何を…」

ナオト「私が…傍にいるよ…ずっとアスランの傍に…」

アレックス「ナオト…」

ナオト「私はアスランを支えてみせる。アスランのことをきっと支えてみせるから…だから傍にいさせて…」

ナオトの言葉は自然にアレックスの心に染み渡っていった。
砂漠の砂が撒かれた水を残さず吸収してしまうように。

ナオト「1人で…泣かないで…」

アレックス「……っ…ナオト…ナオトッ!!」

疲労により身体が悲鳴をあげているが構わずアレックスはナオトの身体を強く抱き締めた。
ナオトは痛みに顔を顰めるが、咽び泣くアレックスを暖かく見つめていた。













































シン『…ここは……』

知らない花畑。
しかしここは何処か見覚えがあった。

シン『ここは何処なんだ?』

『お兄ちゃん』

シン『え?』

背後から聞こえる声に後ろを振り返るとそこには…。

『えへへ、久しぶりお兄ちゃん』

シン『あ…ああ、マユ…』

満面の笑みを浮かべてシンに歩み寄るのは今は亡き妹だった。

シン『ああ…そうか、ここは…昔よく一緒に遊んだ花畑か』

マユ『そうだよお兄ちゃん。』

シン『これ…夢か……?またマユに会えるなんて…』

マユ『夢じゃないよ』

マユの手がシンの頬に触れる。
生前と変わらない暖かい温もりがあった。

シン『………』

シンは気づかないうちに涙を流していた。
また妹に会えた奇跡に。

シン『でも、どうしてここに来たんだ?父さんと母さんは一緒じゃないのか?』

花畑を見渡しても父も母もいない。

マユ『お父さんとお母さんはいないよ。2人に内緒で来たんだもん』

シン『おいおい…』

悪戯っ子な笑みを浮かべるマユにシンは思わず苦笑してしまう。

マユ『えへへ!!』

シン『そうだ…』

取り出すのマユの形見としてずっと持っていた携帯電話。

マユ『あ!!マユの携帯!!お兄ちゃん持っててくれてたんだ!!』

シン『ああ、ずっと持ってたよ。あの時からずっと…やっと…お前に返せたよ…』

寂しそうに笑いながら妹に携帯電話を渡す。

マユ『ありがとうお兄ちゃん!!』

シン『うん…それじゃあ俺…帰るよ…みんなを待たせてるから。“またな”?』

マユ『うん!“またね”!!』

満面の笑みを浮かべながら手を振るマユの姿が消えていく。
それと同時にシンの意識も覚醒した。










































シン「…ん……」

ステラ「シン…!!」

目を覚ましたシンを見たステラは目に涙を溜めながらシンに抱き着いた。

シン「…ステラ……ごめん。心配かけて…戦闘は?」

ステラ「終わった…シンがフリーダムをやっつけて終わった……」

シン「そっか…」

シンは安堵の息を吐くとステラを抱き締める。

ステラ「シン…?」

シン「ごめん…今だけこうさせて…」

ステラ「…うん」



































全周波数で通信が入った。

デュランダル『こちらはプラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルです。オーブ宇宙軍、そしてザフト全軍にに告ぐ。オーブ本国よりオーブ連合首長国代表代行より和平の申し出があった。直ちに戦闘を中止せよ。和平こそが私の意志である』

その声が1分遅れていたとすれば、オーブの軍人は更に多数、この世から姿を消していただろう。
ダイダロス基地を攻めたオーブ宇宙軍等は、壊滅への道を辿っていたのだから。

デュランダル『……戦闘を中止せよ!!和平こそが私の意志である!!』




































通信を聞いていたシン達は合流し、互いに喜びを分かち合った。
その時である。

[トリィ]

全員【?】

全員が上を見上げると…。

ルナマリア「ロボット鳥?」

クレア「わあ、可愛い…」

アレックス「トリィ…」

アレックスが手を伸ばすとトリィはアレックスの手に止まる。

ナオト「アレックス…?」

アレックス「ごめんな…トリィ…もうキラはいないんだ……ごめんな…」

アレックスは手で優しくトリィを包み込んだ。

クレア「これで全て終わったんだね…」

レイ「いや、これから始まるんだ…全てがな」

シン「ああ、生きている限り明日はやってくるさ!!」

この後、プラントとオーブ連合首長国は停戦の協議に入った。
そして新しい世界は明日に向かって動き出す。 
 

 
後書き
プラント完全勝利。
次回は…。
しかしナオトの言う通りにミネルバMS隊全員で炒飯をボコボコにすることになったら…
ブレイズザクファントムVSセイバー、デスティニー×2、レジェンド、デスティニーインパルス、ストライクノワール、インパルス、ガイアで…
ザクでサードステージとセカンドステージカスタム、セカンドステージを相手にする訳だから実際そうなったら、え、えげつない。
 

 

最終話 未来

 
前書き
戦争を終結させたアレックス達の後日談。 

 
デスティニープランは、評議会、及び各国で慎重に協議された上で、導入された。
とりあえず雇用の保障による治安の改善。
そしてブレイク・ザ・ワールドからの効率的な復興には役立っているようだ。
プラントにもハーフコーディネーターやナチュラルの大規模な移民が募られ、プラント=コーディネーターと言う図式は崩れ始めている。
コーディネーターはナチュラルに還るのだ。
戦争を終結させたシン達は英雄として讃えられ、ステラは正式にザフトに入隊。
ネビュラ勲章を受賞し、レイ、クレア、ステラがFAITHになった。
ルナマリアから恨みがましい視線を一身に浴びながら。
戦争終結から5年の年月が流れた。



































軍本部にて雑談をしていたルナマリアとクレアの前にシンとステラが駆け寄る。

シン「おい、ルナ!!議長を見なかったか!!?」

ルナマリア「見てないわよ?というかまた?」

ステラ「うん…ギル、またいなくなっちゃった…」

シン「あ~もう、次の会見まで時間が無いのに!!議長は何処だーーーー!!!!?」

本部を出ていくシンとステラにクレアとルナマリアは苦笑する。

クレア「苦労してるねシン」

ルナマリア「全くね」

議長に振り回されているシンにルナマリアとクレアは胸中で応援する。
というか議長がいる場所はあそこだろう。






































ギルバート・デュランダル議長の屋敷では、アレックスが朱色の髪の少女に妻の色んな意味での武勇伝を聞かせていた。

「ママ凄ーい!!」

小さな少女が膝の上に乗りながら、母親譲りの朱色の髪を揺らしていた。

ナオト「何の話をしてるの?」

アレックス「君の武勇伝の話。あの時は凄かったよなって」

ナオト「もう!!またその話をするんだから私は見世物じゃないんですけど!!?」

ナオトは憤慨する。

アレックス「仕方ないじゃないか。事実なんだし」

ナオト「むう~」





































デュランダル「ふむ、孫というのはやはり可愛いものだ」

カメラ片手に頷く議長。
そこに…。

シン「議長、御迎えにあがりました~…」

凄まじく黒い笑み+こめかみに青筋を浮かべたシンに議長はゆるりと振り返る。

デュランダル「いつも悪いね、シン、ステラ君」

シン「悪いと思うなら脱走しないでください。毎回探すの俺達なんですよ!!?」

ステラ「お仕事しなきゃ駄目…」

デュランダル「善処しよう。シン、ステラ君。見たまえ」

シン「はい?」

ステラ「?」

ちょいちょい、と手招きをされて、シンとステラは少しだけ首を傾げながら窓へと近づいた。
そこから見えるのは、娘と戯れているアレックスとナオトの姿があった。
シンは思わず笑みを浮かべる。

デュランダル「暖かな風景だと思わないかね?」

シン「…はい、そうですね」

まるで陽だまりを呼び込みそうな、そんな暖かな場所にいる3人に、シンは笑みを向ける。

デュランダル「こういう光景を見ているとね」

不意に零れた議長の言葉に、シンは続きの言葉を予測するかのように口を開いた。

シン「仕事をサボって一緒に遊びたくなるなんて言わないでくださいね、議長。仕事が終わってからにして下さい」

デュランダル「…君は、最近アレックスに似てきたね」

憮然とした表情でそう言う議長の言葉に、シンは思わず苦笑を浮かべた。











































2人は戦争が終結した1年後に結婚した。
遺伝子の相性は比較的良かったらしく、プラントでの結婚が許された。
招待客にはカガリの姿もあったが、アレックスとナオトを祝福していた。
あの戦争が終結した後、オーブはしばらくザフト、連合の監視下に置かれることになった。
プラントからのMSや資材の強奪、ザフト、連合間への戦闘の不当介入、最高評議会議長へのテロ攻撃。
AAとエターナル、その協力者に課せられた罪状があるからだ。
そしてあの時、代行となった者との会話で何かを得たのかは知らないが、変わったと思う。
いい意味で。
あ、後クレアと議長の会話も印象的だった気がする。









































レイの隣にいるクレアに議長は目に少し不快感を持たせながら、クレアへと向いた。

デュランダル『やあ、クレア・トワイライト君。レイがお世話になったようだね』

クレア『いえいえ、議長はいつか僕のお養父さんになるわけですから、助けないわけにはいかないですよ~』

バチっと両者の間に火花が飛んだ。

デュランダル『ははは…誰がお養父さんになると言ったんだね?冗談も大概にしたまえ』

クレア『ふふふ…レイと僕が出会った時から既に決まってるんですよ」

表情は互いにとてもにこやかなのだが、2人の間には火花が飛んでいた。

レイ『?』

そんな中、レイだけが疑問符を浮かべていた。
舅と嫁の戦いの中、シンはもしかしたら結婚式が近いうちまた開かれるかもしれないなと思った。
















































軍本部の談話室でレイは自販機からコーヒーを購入していた。

ルナマリア「あ、いた!!レイ!!」

レイ「ん?ルナマリアか、どうした?」

ゆったりとしていたレイにルナマリアが駆け寄ってきた。
激しく嫌な予感がするのは気のせいか?

ルナマリア「丁度いい所に居たわ、今日ヨウラン達と飲みに行くからレイも行かない?」

レイ「…ちなみに聞くが発案者は誰だ?」

ルナマリア「私とヨウランだけど、それが何か?」

レイ「すまんが断る。」

ルナマリアは先日メイリンがヴィーノに告白され、2人が付き合いだしたことを聞いたらしい……。
行ったら確実にルナマリアとヨウランの愚痴と言う名の拷問を受ける事になってしまう。
ルナマリアとヨウランの愚痴はやたらと長いから付き合いたくはない。

ルナマリア「何でよ~~!!あんたには妹に先を越されて、ただ今傷心中の可哀想な小鹿である私を慰める優しさは無いの!?」

レイ「悪いが俺はこれからクレアとデートなのでな」

嘘は言っていない。
何故なら自分は戦争終結後、クレアと正式に交際し、今日は本当にデートの約束があるからだ。

ルナマリア「くっ!!こうなったらアレックスさんの愛人にでも……」

レイ「ナオトに殺されてもいいのなら止めんが?」

ルナマリア「………」

クレア「レ~イ!!早く行こうよ~~!!」

レイ「ああ、今行く。」

クレアと共に軍本部の談話室を後にするレイ。

ルナマリア「爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ…!!そしてモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲなさいリア充!!」

ルナマリアの恨みがましい声が談話室に響き渡った。

ルナマリア「というか何で私だけ除け者なのよーーーーーっ!!!!?」

関係ないがミネルバのMS隊では自分だけFAITHではない。
後。
シンとステラ。
アレックスとナオト。
レイとクレア。
ハイネとミーア。
周囲が夫婦、恋人同士、もしくはいい雰囲気なのに自分だけ男っ気がないことをルナマリアは嘆くのであった。

ルナマリア「私だって今に彼氏の1人や2人、作ってやるんだから!!今に見てなさいよ!!イケメン彼氏を作ってやるわ!!」























屋敷で寛いでいたアレックスは机に置いてあるハウメアの守り石を見遣る。
それを見て、あの時の記憶が蘇った。





































アレックスとナオトの結婚式の前日、泊まっているホテルの部屋をノックされた。

アレックス『どうぞ』

それに気づいたアレックスが鍵を開ける。

アレックス『え!?カ、カガリ!!?』

そこには、シャツにズボンといった目立たない服装で、カガリが立っていた。

カガリ『早く中に入れてくれ!!見つかる!!』

アレックス『あ、ああ』

アレックスは手早く彼女を中に入れると鍵をかけた。

カガリ『……一度、お前と直接会って話したかった』

ナオト『あ、私、席外そうか?』

カガリ『いや、あなたもいてくれ』

ナオト『……はい』

カガリ『アスラン。すまなかった』

彼女はアレックスに深く頭を下げた。

アレックス『カガリ…』

カガリ『私はあの時お前に言われて、分かったつもりで全然分かってなかった。今は、皆と共にこれからのオーブを作って行きたい』

アレックス『そうか…カガリ、頑張れよ』

カガリ『ああ、ナオトさん…』

ナオト『何?』

カガリ『アスランを…こいつを頼むな。こいつは時々優柔不断で情けなくて、でも、とってもいい奴だから…』

ナオト『はい!!』









































アレックス「………」

嬉しかった。
彼女が過ちに気づいて正しい道を歩んでくれたことが。







































そしてプラントにある洒落たバーではハイネが1人で酒を飲んでいた。
戦争を終結させた英雄の1人であるハイネは歌って踊れるスーパーFAITHとして君臨している。

ハイネ「お?来たか?ミーア」

ミーア「あ、はい。すみません」

ラクスの偽者を止め、ミーア・キャンベルに戻ったミーアはハイネといい雰囲気である。

ハイネ「別にいいさ、1人より2人で飲んだ方が酒は美味いしな」

ミーア「…そうですね」

微笑んだ後、ミーアも酒を飲み始める。

ハイネ「アレックスとナオトは結婚しちまったな…あの2人の結婚はまだまだ後だと思ったのに」

ミーア「あ、それ私も思いました。」

ハイネ「俺達もするかい?」

ミーア「はい…って、ええ!!?」

ハイネ「冗談冗談。まあしばらくは今のままでいいかもな」

ミーア「そ、そうですね…」

顔を赤くしながら相槌を打つミーアであった。














































一方、軍本部にあるシンの私室でシンとステラは寛いでいた。

シン「ねえ、ステラ。休暇取れたし、明日晴れたら何処か行かない?」

絹の様な金髪を指に絡めながらデートの提案をすると大人しく髪を撫でられるがままだったステラは勢いよく顔を上げた。
大きな菫色の瞳はきらきらと輝き期待を隠せないようだ。

ステラ「ステラはね、う…ぅんっ?」

海に行きたいと紡ぎそうになった薄桃色の唇にシンは指を当て言葉を途切れさせる。
そして不思議そうにきょとんとするステラの柔らかな唇をなぞりながら微笑んだ。

シン「海は何時も行ってるから、今回はピクニックでも行かない?」

ステラ「ピクニック?」

海という提案をやんわりと却下されてしまったステラは一瞬悲しそうな表情を見せたものの今はそれ以上にピクニックが気になるらしい。
ステラは好奇心に満ちたまなざしでシンの言葉を繰り返した。

シン「そう。お弁当とか持って行って。今なら色んな花も咲いてるし、そこで1日中のんびり過ごそう2人きりで」

普通の恋人達なら退屈かも知れないが人混みや喧騒が嫌いな自分達には素晴らしい場所な筈だ。

ステラ「うん!!楽しそう…シンと2人きり…ステラ、ピクニック行く!!」

意識はもう既に明日のピクニックにいっているのか楽しそうにはしゃぐステラにシンもまた心踊らせる。

ステラ「ステラね、お弁当作る!!」

シン「あ、えっと…お弁当は俺が作るよ」

只今ナオトからの花嫁修行を受けているステラの料理は少し心配だ。
だがそんなシンの想いを知らずにステラはしょんぼりとねだる様にシンを見上げる。

ステラ「どうして?ステラじゃだめ…?ステラ、シンのためにお弁当作りたい…」

シン「ステラ…やっぱりお弁当は俺が作るよ。だからさステラにはお茶とお菓子の用意を頼みたいんだけど」

ステラ「お茶?お菓子?」

ステラの料理は未だ上達への道は険しかったがナオトに習った菓子作りの腕だけはシンがびっくりする程の上達ぶりだった。
妥協案を挟みつつシンが言うとステラは少し考える素振りを見せたもののやがて頷いた。

ステラ「うん!!ステラ、たくさん作るね!!クッキーにシュークリームにプリンに…後、ケーキ」

シン「そんなに一杯は2人だけじゃ食べられないよ。ああ、でもアレックス達に」

思いつつもステラの笑顔に満足し幸せを感じたシンはステラの白い頬に口付けるとぎゅっと華奢な身体を抱き締めた。
ステラも嬉しそうにシンの腕に頬擦りする。
辺りはもう暗くなりかけていてうっすらと星も見え初めている。
明日はきっと晴れるだろう。






































シンの部屋を通る独り身男性達。

【爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ…!!】

【モゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロ…!!】

恨みがましい声で呟いていたとさ。



















































登場人物

アレックス・ディノ

戦争終結後、ナオトと結婚。
ナオトにそっくりの娘を儲ける。
現在は平和維持のため、残党狩りや治安維持に尽力している。
それと同時に子育てにも奮闘しており、周囲からは子煩悩として有名だったりする。

ナオト・フジワラ

戦争終結後、アレックスと結婚し、結婚を機に軍を除隊。
それから自分にそっくりな娘を出産する。
現在は主婦として子育てに励む。
後、ステラに花嫁修行をさせている。

シン・アスカ

戦争を終結させた英雄として、周囲から尊敬の視線を一身に受けている。
現在は恋人のステラと共に議長の護衛をしているが、可愛い孫を見たいがあまりに脱走を繰り返す議長にほとほと困り果てている。

ステラ・ルーシェ

戦争終結後、正式にザフトに入隊した。
現在はシンと共に議長の護衛なのだが、脱走を繰り返す議長に振り回されている。
現在花嫁修行中。

クレア・トワイライト

戦争終結後、レイに告白して交際している。
交際する前には議長と笑顔の攻防を繰り広げ、周囲をドン引きさせた。

レイ・ザ・バレル

戦争終結後、クレアからの告白を受け、交際している。
延命措置を受け、精神的な余裕が出来たためか、前より感情が豊かになった。

ハイネ・ヴェステンフルス

戦争終結後も、華麗な歌って踊れるスーパーFAITHとして軍人として活躍している。
ミーアとはかなりいい雰囲気だが、交際はまだしていない。

ルナマリア・ホーク

独り身。
仲間が恋人持ちになり、FAITHになっていく中、自分だけ恋人がいなければFAITHになれていないことに焦っている。
現在は恋人探し中。

ギルバート・デュランダル

現在おじいちゃん街道を突っ走っている。
可愛い孫見たさに仕事を放置して脱走することもしばしば。
シンとステラの苦労の最大の原因。

イザーク・ジュール
戦争終結後、アレックス達に執り成してもらったことで、現在でもザフトにいる。
戦争終結後後も誇り高き軍人として在り続ける。
最近では部下のシホ・ハーネンフースと噂になっているとか……。
ちなみに搭乗機はインフィニットジャスティスなあたりちゃっかりしている。

ディアッカ・エルスマン

炒飯。
イザーク同様軍に留まり、イザークの片腕として手腕を振るう。
時々オーブに行きミリアリアに会っているとのこと。

タリア・グラディス

戦争終結後も軍に留まり、ミネルバの艦長を務める。
現在はアーサーを自分の後任にしようと努力中。

アウル・ニーダ

戦争が終結し、艦長の養子となる。
現在は義弟の世話をしつつ、勉強中。

ミーア・キャンベル

ラクスの偽者を止め、一人のアイドルとして活躍中。
時々ハイネと会っている。

ムウ・ラ・フラガ

戦争終結後、ステラと会い、シンと交際していると聞かされ大ショックを受けた。
その後20本のウイスキーを抱え込んで部屋に閉じこもり、皆が心配したが、3日後部屋から出てきた時は、いつもと変わらぬ態度であった。

その他AAクルー

AAは解体され、現在は民間人として暮らしている。

カガリ・ユラ・アスハ

戦争から一年後、国民の統一の象徴として、代表首長に返り咲く。
その時、代行となった者から上に立つ者としての責任と義務を教えられ、本当の意味でオーブのために生きると決意した。

 
 

 
後書き
本編完結。
でもアレックスの次に出番があったシン視点とレイ視点みたいなのを書いてみようと思います 

 

desire 2 シン・アスカ

 
前書き
シン視点の番外編みたいなのです。 

 
僕はあの戦争の時、地球の中立国オーブに住んでいた。
家の近くに攻撃を受けて避難している途中、家族は流れ弾で吹き飛ばされて僕だけが生き残った。
オーブは、その理念は守り通したかもしれないけど、僕の家族は守ってはくれなかったんだ。
家族の他に身寄りのない僕はプラントに移住することになった。
オーブには…もう戻りたくなかった。
その後世界は平和条約で結ばれたけど、僕はここである道を選んだ。
それが最も僕に向いているって言われたし…他に何をやれっていうんだ。
僕はMSのパイロットになる。
勿論、なるには相当の苦労もあったし、腹の立つことも沢山あった。
それでも僕は…俺は力が欲しかった…。
だけど俺の前にはいつもレイ・ザ・バレルっていういけ好かない奴がいる。
いつも無表情で人形みたいな奴だ。
次にいけ好かないのはクレア・トワイライトっていう男女(おとこおんな)だ。
目を合わせる度にいつも俺を馬鹿にする嫌な奴。
しかも女のくせに僕だとか男みたいな喋り方をする。
ルナマリアとかいう奴は…正直どうでもいい。
レイをご褒美のために動く人形だと思っていた俺は、レイとクレアとの訓練後言い放つ。

シン「でも、あんな風に怒鳴られるなんて驚いた。てっきりご褒美のために動くだけの人形かと…」

その後、レイに殴られ、俺はレイと初めて喧嘩した。
止めようとしたクレアを俺が押し飛ばすとクレアも喧嘩に加わる。
その後、教官から評価は無しにされ居残りの掃除をさせられた。
クレアの奴が愚痴っているが、無視した。
だけど、レイの口から出た言葉に俺は驚いた。

レイ「今回の結果はリーダーである俺の責任だ。自分の力不足への苛立ちを少々ぶつけてしまったかもしれないと…反省している。良い反面教師もいたしな。勉強になった。」

クレア「ははっ!言えてる~」

シン「っ!!てめ…っ」

クレア「少しは落ち着けば~?明日のMSの模擬戦で決着つければいいんじゃないの?」

シン「ええ!?」

レイ「望むところだ。…何だシン自信がないのか?」

シン「ち、違う!!やってやるさ!!見てろよ!!」

喧嘩して話してみれば、レイもクレアも悪い奴じゃなかった。
まあ、クレアは顔を見るだけで喧嘩になることがあるから喧嘩友達みたいなのになった。
だけど、しばらくしてアカデミーでの卒業が近づいた時を境にレイが少しずつ表情が豊かになっていった。
それはレイと長い付き合いである俺やクレアにしか分からないくらいだけの変化だけど。
気になった俺はレイに尋ねた。

レイ「……俺に兄が出来た」

しばらくレイは考えるそぶりをした後、口を開いて言い放つ。

シン「は?レイの親が再婚でもしたのか?」

レイの家族について何も知らない俺は一番可能性がありそうなことを口にしたけどハズレらしい。

レイ「いや…俺には父も母もいない。唯一の肉親であった兄も前の大戦で死んだ。今は養い親の元で暮らしている。今はその人と兄、姉のような人達と暮らしている。兄も姉も家族を失い天涯孤独だったのを俺の養い親に引き取られた。」

シン「そう…なのか…なあ、レイの義理の兄貴や姉貴ってどんな人なんだ?」

レイ「…そうだな、兄は優しすぎる人だ。少し悩みやすい性格だが…。姉は…明るく優しい…。性格は…ルナマリアに近いものがあるな。」

シン「ふうん…」

家族の話をしていた時、レイは少しだけ微笑んでいた。
俺は血の繋がりがなくても家族を持つレイが少しだけ羨ましかった。









































そして俺はアカデミーを赤で卒業して、ロールアウト間近の新造艦に配属されたことは勿論嬉しかった。
でも…。

「では先日のテストの結果に基づき…各パイロットの搭乗機体を発表する。シン・アスカ、ZGMF-X56S インパルス。」

シン「え…」

俺…?

「レイ・ザ・バレル…ZGMF-1001 ザクファントム。ルナマリア・ホーク…ZGMF-1000 ザクウォーリア」

俺なんだ…。
みんなとは違う特別な機体のパイロットに選ばれたことはもっと凄く嬉しかった。




































そして俺は用意された車両に乗り込んでMS格納庫に向かった。

シン「(マユは…何て言うかな?MSなんて怖いって…嫌いだって言うかもしれない…でも、俺は…)」

俺は格納庫の中に案内されて、俺の機体がある方に向かった。
扉を通るとそこにはメイリンより少し暗い朱色の髪の女の人がいた。

ナオト「あれ?君は?」

シン「え…?」

俺は少し驚いて呆然となったけどこの人の胸元にあるFAITHのバッジに気づいて、急いで敬礼する。
FAITH…議長直属のエリート。
女の人は俺が敬礼するのを見て苦笑した。

ナオト「そんなに畏まらなくてもいいのに。あなたもGのパイロットに選ばれたの?」

シン「は、はい…あなたもってことはあなたもGのパイロットなんですか?」

ナオト「ううん、私じゃないけど私も新しい機体を受領するの。」

シン「はあ…」

FAITHのこの人じゃないならGは誰に受領されるんだろう?
赤なのは確定なんだろうけど。

アレックス「すまない。遅れてしまった。」

ナオト「遅いよアレックス」

俺が後ろを振り返ると赤服を着た藍色の髪で、俺より年上そうの人がいた。
多分先輩だろう。

アレックス「ああ、すまない。彼は?」

先輩は申し訳なさそうに笑うと俺の方を見た。
女の人も急いで俺の方を見た。

ナオト「あ、そういえば名前聞いて無かったね。私はナオト。ナオト・フジワラ」

女の人がナオトさん。
珍しい名前だな。

アレックス「アレックス・ディノだ。よろしく」

男の人はアレックスさんと言うらしい。
どちらも本当に軍人なのかと思えるくらい優しそうな容貌だ。

シン「シ、シン・アスカです」

俺も慌てて自己紹介を済ませると俺達は自分達の機体の所に向かう。

「では、まずは見てもらおうか。来たまえ」

ナオトさん、アレックスさん、俺の順で扉を潜るとライトアップされた3機のMSが立っていた。

「まずは左から…ZGMF-X56S インパルス。従来の概念を覆す斬新な換装システムを実現させたザフト最新鋭のMSだ。次にZGMF-X23S セイバー。性能は異なるが他のセカンドステージとほぼ同時期に開発された変形機構を備えた最新鋭のMS。そして最後は…ZGMF-X2000 グフイグナイテッド。元々ザクにザフトの次期主力MS選定コンペティションに負けた機体だが機体自体の完成度は高く、それを惜しんだ上層部の根強い力添えで1機だけロールアウトされることになった」

アレックス「これが…」

シン「俺のMS…!!」

「早速だが、明日からは実機訓練だ。君達には議長も期待しているとのことだから頑張りたまえ」

シン、アレックス、ナオト「「「はい!!」」」

マユ…。
この“力”があれば俺はきっと…。








































機体の受領が終わった俺はアレックスさんとナオトさんと一緒にみんながいる場所に向かった。

アレックス「そういえば、ナオトはどこに配属されるんだ?俺、何も聞かされてなくて…」

ナオト「私は最新鋭艦ミネルバに配属されることになったの」

ミネルバ?
ミネルバは俺が配属される艦じゃないか。
ということはナオトさんは俺達の隊長になるのかな?

アレックス「ナオトも?俺もミネルバに配属されることになったよ。」

アレックスさんもミネルバに?
あ、でもセイバーもインパルスと同じセカンドステージだから当たり前か。

ナオト「セイバーはセカンドステージだもんね。アレックスがミネルバに配属されるのは当たり前か。シンは?」

シン「俺も…いえ、自分もミネルバです」

危うくタメ口をきいてしまいそうになり言い直す。

ナオト「へえ、同じ艦に配属される何て凄い偶然だね。後、シン。敬語はしなくていいから」

敬語なしって…。
あなたFAITHだし先輩だし年上だからタメ口なんてきけませんて!!

シン「でも」

ナオト「じゃあFAITHの命令」

シン「…分かりました」

笑顔で言うナオトさんに俺は引き攣り笑いを浮かべて頷くしかなかった。
って、ちょっとアレックスさん。
あんた何で俺を睨むんですか!?
後ろに何かうごめいていて、すげえ怖いんですけど!?













































レイ「アレックス!!それにナオトも!!」

俺達がレイ達と合流すると、レイが嬉しそうにアレックスさんとナオトさんに駆け寄る。
知り合いなのかな?

シン「知り合いなのか?」

レイ「アレックスやナオトは俺の兄や姉のようなものだ。」

シン「へえ…」

じゃあこの人達がレイの義理の兄弟なのか。

メイリン「え?でもこの人って…」

ルナマリア「ねえ?」

メイリンとルナがアレックスさんをまじまじと見ながら呟いている。
何なんだ?
確かにメイリンもルナも面食いなところはあるけど、今回はそれとは違うようだし。

レイ「アレックス、ナオト。すみませんが先に行ってもらえませんか?」

アレックス「え?あ、ああ…」

ナオト「OK。じゃああそこの店で待っているから。」

レイの顔を見て、ナオトさんは何かを悟ったのか、アレックスさんの手を引いて、店の中に入る。
レイは辺りを見回して誰もいないことを確認する。
本当に何なんだ?
するとルナがレイに尋ねる。

ルナマリア「ねえ、あのアレックスって人…もしかしてアスラン・ザラじゃない?」

シン「え!?アスラン・ザラ!?あの人が!?」

アスラン・ザラ
前大戦で英雄と称えられたMSパイロット。
イージス、ジャスティスというMSを駆っての驚異的な戦果は、今もなお伝説として口の端にのぼる程だ。
そんな人が何で?

メイリン「アカデミーを卒業した人達を調べていた時に出た写真とそっくりだったし」

ヴィーノ「あの人、英雄なんだろ?だったら何で名前なんか変えてんだろ?」

ヨウラン「俺が知るかよ…」

ヨウラン達の会話にレイは眉間に皴を寄せながら口を開いた。

レイ「彼は確かにアスラン・ザラだ」

ルナマリア「やっぱり!!でもアスランってオーブにいるって噂で聞いたんだけど…復隊したの?」

“オーブ”という単語を聞いた瞬間、俺は少し怒りを感じたけど次のレイの言葉を聞いた時、それが吹き飛んだ。

レイ「彼は…アスランはオーブを追い出された…今のオーブの国家元首、カガリ・ユラ・アスハを敬愛するオーブの軍人達に私刑に等しい暴行を受けてな」

シン「え…!?」

アレックスさんがオーブの軍人に痛め付けられていた…!?
何で…!?
ルナ達ですらその事実に目を見開いていた。

レイ「彼が発見されたのはプラント付近でだ。偶然、議長とその護衛をしていたナオトが彼が乗せられていた救命ポッドを発見してな。救出された時の彼は生死の境をさ迷っているような状態だった」

シン「何でそんなことに…」

レイ「オーブの軍人達にとってカガリ・ユラ・アスハは神に等しい存在だ。それに近づく彼はオーブの軍人にとって邪魔以外の何者でもない」

神?アスハの奴が神!?

シン「…っ!ふざけるな!!何が神だ!!理念ばっか振り回す綺麗事が御家芸のアスハの何が神なんだ!!誰のおかげで地球が滅びなかったと思ってるんだ!!それなのに…!!」

理念や綺麗事だけの奴が神のような扱いを受けている。
俺の家族を守ってくれなかった癖に…!!
あの人がジェネシスを破壊したおかげで地球は助かったのに、恩を仇で返すなんて何を考えてんだよオーブは!?

レイ「シン…俺も同意見だ。だが、これが真実なんだ」

シン「…っ」

淡々と言うレイの言葉には深い怒りが込められていた。
俺も思わず拳を握り締める。

レイ「後、彼には記憶がない。医師が言うには一種の防衛本能らしいが…」

ヴィーノ「記憶喪失…?」

ヨウラン「無理ないよな…裏切られて一方的に殴られて、俺だったら発狂する」

ヴィーノとヨウランも深刻そうな顔で呟く。

レイ「とにかく、彼に関してはこれで終わりだ。アレックスにアスラン・ザラのことは絶対に言うな。ただでさえ彼の心は傷ついている。それでも必死に前を向いて生きようとしているんだ」

シン「………」

傷か…。
心に傷を負っているのは、俺も同じだ。
あの人と話してみたい。
レイと一緒にアレックスさん達の入っていった店に向かう。





































その後、俺達は些細な話をして、寮に帰ろうとした時、アレックスさんに止められた。
何だろう?

アレックス「今日はもう遅いし、今日は家に泊まっていかないか?」

アレックスさんの提案に俺達は顔を見合わせる。

ナオト「そうだね。」

レイ「ギルは今日は帰れませんから、いいと思います」

俺達はアレックスさん達の好意に甘えて、今日はアレックスさん達の家に泊まることになったんだけど…。









































シン「…………」

アレックスさん達の家を見た瞬間、俺は絶句してしまった。
多分それはルナ達も同じだと思う。
だってすげえ豪邸だよ!?
どう考えたって俺達不釣り合い過ぎるよ!?

ルナマリア「すっご…」

レイ「何をしている?入らないのか?」

レイに促されて、俺達も急いで屋敷に向かう。
屋敷の中は広くて、凄い豪華な装飾品もあるから何か俺達が凄い場違い感がある。
緊張し過ぎてアレックスさんが作った夕食の味が分からなかった。
















































翌日の朝。
俺は目を覚ますと見慣れない天井に少し困惑したけどアレックスさん達の屋敷に泊まったことを思い出して、身支度をしてリビングに向かうともうみんなが席についていた。
ナオトさんがテーブルに料理を並べた。
朝食は俺がオーブにいた頃、よく食べていた和食だった。

シン「これ…」

ナオト「あ、おはようシン。朝食出来てるから座って」

シン「あ、はい。」

俺がテーブルに座るとご飯に味噌汁に焼き鮭に卵焼きが並べられた。
食欲をそそる匂いに俺は思わず唾を飲んだ。

アレックス「それじゃあ食べようか」

シン「あ、はい」

俺はついオーブにいた頃の癖で手を合わせてしまった。
だけどアレックスさんやナオトさん、それにレイも俺と同じ動作をした。
ルナ達は首を傾げていたけど。

アレックス「頂きます」

シン、ナオト、レイ「「「頂きます」」」

アレックスさんに続けて言うと俺は焼き鮭を口に運んで、炊きたてのご飯を口に運び、味噌汁を飲んだ。

シン「お……美味しい……ナオトさん、これすっごく美味しいです!!」

何度も口から“美味しい”と言う言葉が漏れ出す。
違う言葉を言おうとしても、同じ言葉になってしまう。
それでもその言葉がシンの心からの言葉だから、ナオトは発言の度に微笑みを深めて行く。

ナオト「まだまだおかわりあるから、いっぱい食べてね」

プラントでは滅多に見ないしゃもじ片手に微笑むナオト。

シン「はい!!」

久しぶりの和食に舌鼓を打つシン。
どこかナオトの料理は今は亡き母親の味に似ていた。

メイリン「………」

メイリン達はナオトさんの料理を一口も食べていない。
どうしたんだろう?

ナオト「あれ?君達は食べてないね。和食は嫌い?」

ルナマリア「え?あ、そうじゃなくて…」

困ったように言うルナに俺もアレックスさん達も思わず首を傾げた。

ヨウラン「これ…どうやって使うんですかね?」

ヨウランが箸を指差しながら言う。
そういえばプラントは洋食が主だから普通は箸なんか使わないよな。

ナオト「あ、ごめんね。気がつかなくて、今、スプーンとフォーク出すから」

ナオトさんがスプーンとフォークを出しに行く。
和食にスプーンとフォークって…。
前を見れば表情からしてアレックスさんもレイも同意見らしい。
食べ終わった後、俺達はルナ達に箸の使い方を教えた。
ルナ達は四苦八苦していたけど、こればかりは慣れるしかない。











































そして俺達はMSの慣熟訓練のために訓練所に来ていた。

ナオト「これから訓練を始めるけど、真剣に取り組むように。以上」

アレックス「まずはシンからだ。セイバーに乗れ」

シン「はい!!」

シンは、セイバーのコックピット裏に急ごしらえで作られたシートに腰をかけ、がっちりと体を固定させるベルトを締めた。

アレックス「じゃあ、行くぞ」
バーニアを吹かし、セイバーを空に駆け上がらせる。
適当な高度まで機体を押し上げると、セイバーをMA形態へと変形させる。

アレックス「舌を噛みたくなかったら、喋るなよ」

その言葉が合図となり、急速に空を舞い始める。

シン「うわぁあぁぁ!!!!」

アレックスの言葉も忘れてシンは絶叫した。
凄まじいGで体が強張りながら目の前のシート越しにモニターを見た。
自分が今まで限界まで引きだしていたスピードをあっさりと越えていたのだ。
アレックスは急降下、急上昇を繰り返しながらも、時折、制動をかけてMS形態へと変形する。
何回かその動きを繰り返して地上に降り立つと、シンの目は虚ろになっていた。
シンはコックピットから降りた途端に吐き気を催した。
苦痛には耐えられても、吐き気には耐えられなかったのだ。

ナオト「吐いたらもう一度だからね」

非情とも取れるその言葉にシンは怒りさえ感じたが、先程の恐怖体験はしたくないと必死で吐き気をこらえた。

アレックス「大丈夫かシン?」

シン「…大丈夫じゃないです……」

ナオト「アレックス、少し遅すぎ。あれじゃあ訓練にならないでしょ?」

ルナマリア「あれで遅い…?」

ナオト「私がアカデミーにいた時は、これを1日中やらされていたんだけど…?下手すれば1日以上。」

ルナマリア「ええ……?」

ナオトの言葉に軽いショックを受けるルナマリアだった。

ナオト「まあ、君達は平時に入学したから無理もないよね……次はルナだよ」

ルナマリア「ええっ!!?」

ナオト「これに耐えれるようになって初めて一人前なんだよルナ。」

涙目になりながらセイバーの後部シートに座るルナマリアの姿に、シンとレイは飼い主に捨てられた子猫の姿を思い出した。

ルナマリア「キャアアアアア!!!!」








































3人の名誉の為に言っておくが、エースパイロットとして名を馳せたアレックスとナオトの機動は異常である。
2人は手を抜くという言葉を知らない。
訓練を終え、3人はボロ切れのように横たわった。

ナオト「一応君達、赤だよね?何でこんな初歩でボロ切れのようになるの?」

シン「初歩って…これも充分訓練ですよ……」

アレックス「そうか?」

ルナマリア「…ナオトさんの時のアカデミーってどんなことをしていたんですか?」

ナオト「えっと…廃棄コロニーで敵軍基地を仮定とした潜入訓練とか……そういえば、環境調査コロニーを借り切った砂漠演習は一番きつかったね。」

環境調節の完璧なプラントで生まれ育った彼らには体力を奪っていく容赦ない灼熱の太陽、夜になると急に冷え込む寒暖の差には参った。
二度とやりたくはないが、今思い返せば中々いい経験だとも思う。
あの頃を懐かしく振り返っていると、呆然とした視線が突き刺さる。

ルナマリア「私達、そんな無謀なことしませんでしたよ」

シン「潜入訓練とかはバーチャル体験でしたし」

ナオト「そうなの?まあ、あの当時のアカデミーは半年で卒業だったのに、今は2年だしね。駆け抜けるように過ぎていったから、あれぐらいじゃないとものにはならなかっただろうね」

シン「ナオトさん達はアカデミーをたった半年で卒業…?」

自分達とは比べものにならないくらいの早さで卒業した先輩達に驚きを隠せないシン。
けど同時にアレックスやナオトの強さにも納得した。
それぐらいこなせなければ、生き残れないんだと言うことも。

シン「訓練、お願いします!!」

ナオト「お?やる気だね?訓練続行!!」

そして最初はついていくのがやっとだったが、最終的には軽々とメニューをこなせるようになるくらいにまでシン達は成長した。






































そして最新鋭艦ミネルバの進水式の前日。

シン「………」

アレックス「ここにいたのか。どうした?シン」

シン「いえ、ミネルバを見てきたんです。」

アレックス「ミネルバを?」

シン「はい。あんなに沢山の人がこの艦に期待してるのを見て、俺達の働きが少しでも平和のためになるなら…」

アレックス「そうだな…ミネルバはプラントの人達の願いが込められた艦だ。その乗組員に選ばれたからには頑張らないとな…お前ももう一人前だ。いつかはお前も人の上に立つこともあるだろう」

シン「そ、そうですか?」

アレックス「ああ、ただこれだけは覚えておいて欲しい。力を持つならその力を自覚するんだ」

シン「え?」

アレックス「力を手にしたその時、俺達は誰かを泣かせる者となってしまう。それを忘れて勝手な理屈と正義で、ただ闇雲に力を振るえば、それはただの破壊者だ。お前は強い。それを忘れるなよ」

シン「…はい」

アレックス「さあ、行こう。屋敷でナオト達がご馳走を作って待っているからな。」

シン「はい!!あ、でもアレックスさん。青魚が料理に入ってたらどうするんですか?」

アレックス「え?だ、大丈夫だろう。流石にパーティーに青魚は…」

シン「分かりませんよナオトさんだし…」

アレックス「…ああ、そうだな。ナオトだし……。」


















































ナオト「クシュン!!」

ルナマリア「あれ?ナオトさん風邪ですか?」

ナオト「え~?そんなんじゃないと思うんだけど…」 
 

 
後書き
基本シン視点で本編が始まる前の話です。 

 

desire 3 レイ・ザ・バレル

 
前書き
レイ視点での物語。 

 
デュランダル「着任おめでとうレイ。これで君も一人前のパイロットだな」

ギルからの言葉に俺は頷くことで答える。
しかし、1つだけ疑問がある。

レイ「…ギル、一つお聞きしてもよろしいですか?」

デュランダル「何だね?」

レイ「何故…彼に?」

レイが疑問に思っているのは最新鋭のMSインパルスであった。
セイバーは元々アレックスが乗ることを前提にしている機体だからまだ分かる。
しかし何故、FAITHであり適応力が高いナオトではなくシンにインパルスを授けたのか…?

デュランダル「ああ、インパルスのことか、彼が一番適している…そう判断したからだよ。ナオトではなく彼にインパルスを託したのは彼の資質を見込んでの決定だよ。本当の平和を実現するためには、アレックスや彼の力がいずれ必要になるはずだからね…」

その言葉に俺は少し疑問を感じながらもギルの言うことに間違いなどないと判断し、頷いた。






































そしてギルは間違っていなかった。
再び起こった戦乱の中、シンは目覚ましい活躍を重ね、幾度もアレックスと共にミネルバの危機を救った。
そして仲間の助力があったとはいえ、ついにはあの男…キラ・ヤマトのフリーダムをも討ったのだ。
シンは精神的に幼いところもあり、決して模範的な軍人ではなかったが…その実力はアレックスと比べても遜色のない程に成長していった。
しかし。











































ジブリール捕獲作戦。
シン・アスカはオーブ本土への攻撃に対し、心理的抵抗があると思われたが、自らの意志により出撃。
フリーダム及びジャスティスの改良型と見られる機体の参入あり。
パイロットはキラ・ヤマト及び、アンドリュー・バルトフェルド。
不測の事態によりザフト側の状況悪化。
ジブリールが乗っていたと見られるシャトルを補足するも、セイバーとデスティニーはこれの撃墜に失敗。













































世界は今、ギルの手で生まれ変わろうとしている。
理念だけでは革命は為し得ない。
必要なのは理念とそれに伴う“力”だ。
現在の俺はアレックス達と共にジブラルタルに戻ってきていた。
奴らの思惑に気づいたアレックスがミーア・キャンベルとギルを守るための策。

アレックス「準備はいいか?」

ナオト「ばっちりだよアレックス!!」

アレックス「各々任務内容は完璧か?」

ナオト「私はオーブの回線の妨害を」

レイ「俺は全メディアに彼らの罪状を」

シン「俺はアレックスと一緒に歌姫の護衛を」

アレックス「よし合格だ。やる時はやるんだな」

レイ「当然です。俺達にはこれ以上の失敗も…小さなミスすら許されない」

ただでさえ、ジブリールの捕獲に失敗している。
これ以上のミスは許されない。
シン「うわ、レイ、すげぇ殺る気満々だよ」

ナオト「そうだね…とにかく私達はどこまでもアレックスに付いていくよ!!」

アレックス「ありがとう。ではミーアを…仲間を助けに行くとするか!!」

俺達には全てお見通しだ。
奴らの思惑など。
ならばこちらも、全力でいかせてもらうとしよう。






































カガリ『過日、様々な情報と共に我々に送られたロゴスに関するデュランダル議長のメッセージは確かに衝撃的なものでした。ロゴスを討つ。そして戦争のない世界にというの議長の言葉は、今のこの混迷の世界で政治に携わる者としても、また生きる一個人としても確かに魅力を感じざるを得ません。ですが、議長は、ロゴスが意図的に“世界”とやらを操作し、戦争を起こしてきたと言う。これはつまり、ロゴスという、民間の一組織が、世界各国の世論を誘導し国家間紛争を誘導してきたという意味であると解釈している。個人的にはこれだけで既に大いに疑問があるが、仮にそうだとして、これを裏付ける証拠はどこにあるのか?議長はまず、これを立証するべき……』

画面が乱れ、ミーアが現れる。

ミーア『私はラクス・クラインです。過日行われたオーブでの戦闘はもう皆さんも御存じのことでしょう。プラントとも親しい関係にあったオーブが、何故ジブリール氏を庇うような発言をするのか理解することは出来ません。ブルーコスモスの盟主、プラントに核を放つことも巨大破壊兵器で街を焼くことも、子供達をただ戦いの道具とするこもと厭わぬ人間を、何故オーブはそうまでして庇うのでしょうか。私達の世界に、誘惑は数多くあります。より良きもの、多くのものをと。望むことは無論悪いことではありません。ですがロゴスは別です。あれはあってはならないもの。この人の世に不要で邪悪なものです。私達はそれを……』

?『その方の姿に惑わされないでください』

また画面が乱れ、再びオーブのカガリ・ユラ・アスハが映る。
そしてその横には……。

ラクス『私はラクス・クラインです。私と同じ顔、同じ声、同じなの方がデュランダル議長と共にいらっしゃることは知っています。ですが、私、シーゲル・クラインの娘であり、先の大戦ではAAと共に戦いました私は、今もあの時と同じ彼の艦とオーブのアスハ代表の下におります。彼女と私は違うものであり、その想いも違うということをまずは申し上げたいと思います。私はデュランダル議長の言葉と行動を支持しておりません』
画面はテレビ局のものが気を利かしたのだろう。
左右に分割され、ラクス・クラインと、ミーアが同時に映っている。

ラクス『戦う者は悪くない、戦わない者も悪くない、悪いのは全て戦わせようとする者。死の商人ロゴス。議長のおっしゃるそれは本当でしょうか?それが真実なのでしょうか?ナチュラルでもない、コーディネーターでもない、悪いのは彼等、世界、あなたではないのだと語られる言葉の罠にどうか陥らないでください。無論私はジブリール氏を庇う者ではありません。ですがデュランダル議長を信じる者でもありません。我々はもっとよく知らねばなりません。デュランダル議長の真の目的を』

…答えも出せずに惑わせているのはどちらの方だ?

アレックス『ふざけたことを言わないで頂きたい。破滅の歌姫よ』

ミーアの隣には彼女を守るように立つアレックスとシンの姿があった。

アレックス『こんにちは、プラント、地球の皆さん。俺は、アスラン・ザラです』

AAの彼らに、妨害されるという考えはなかったのだろうか?
歌姫自らの言葉を疑う者は誰もいないと思っていたのだろうか?

アレックス『プラントを守るアスラン・ザラであると、どうか民衆にはご理解頂きたい。このようにメディアをお騒がせしたこと、心よりお詫びしましょう。ただ私は皆さんに伝えたかったのです。“真実”を。かつて彼女は先の大戦で、地球連合軍に所属していた者に赤服を着せザフトに侵入させ、そしてフリーダムを与えた。』

ラクス『っ、えぇ、それは事実です。ですがそれは…』

アレックス『他にも。行方不明になったエターナルを、クラインの名の下、秘密裏に所持し補給してきた。プラントの財を使って…更にザフトの技術を盗用し、MSを建造していた。』

ラクス『私達には力が必要でした、それは、オーブにもプラントにも全て平和な未来のためです。私はオーブにもプラントにも平和を』

アレックス『笑わせるな、ラクス・クライン。俺達を、ザフトを舐めるのもいい加減にして頂きたい…。それにしても、そんなにあっさり認めるとは思わなかった…。あなた方の罪状を集めた資料も映像も意味がないな』

ラクス『資料?映像?』

シン『ええ、あなた方の罪を纏めた資料と映像ですよ。否定した場合の証拠を集めてたんですよ。あ、ちなみに流れてますから』

ラクス『罪などと…』

アレックス『そうやってあなたはプラントを傷つけるんだな…無自覚に…“偽者の歌姫”』

ラクス『いいえ、アスラン。あなたはご存知でしょう。あなたの傍にいる方こそが偽者だと』

アレックス『ええ、彼女は“ラクス・クライン”の偽者だ。けれどあなたは、“歌姫”の偽者だと言ったんです』

ラクス『…それは、どういう』

シン『プラントの歌姫はプラントに平和と癒しの歌を響かせる存在です。彼女はプラントの歌姫なんですよ。本物の」

ラクス『っ、ですからあの方は、議長に騙された偽者の…』

アレックス『ええ、彼女は…ミーアは確かに偽者だ。“ラクス・クライン”にはどんなに頑張ってもなれない…他人がどうやっても…」

ラクス『なら…』

アレックス『だが、今まで傷ついた人々を癒したのは、紛れも無い彼女だ。』

カガリ『アスラン!!』

ラクス『アスラン、ただ私達は平和のために』

アレックス『平和のためなら何でも許されると思うなよ。これ以上は俺が許さない』

シン『プラントの歌姫は…彼女です。いい加減、俺達を馬鹿にするのは止めてもらえませんか?俺達は生半可な覚悟で戦ってきたわけじゃない』

ミーア『シン…アレックス…』

今頃ナオトはこの回線を妨害しようとするオーブとクライン派を排除している頃だろう。
ならば自分はこの放送を全メディアを電波ジャックしてクライン派の犯した罪と共に放映させ続けることだ。
プツリと、対面するように映されていたラクスの映像はそこで途切れた。

シン『あれ?モニターの故障ですかね?』

アレックス『いや、レイの演出だろう?』

確認したアレックスは笑った。
そんなレイの行動にシンも笑った。

アレックス『プラント、地球に住む皆様、お騒がせしたこと、心よりお詫びします。ですが後悔はしていません。混乱していることをお察しします。2人のラクス・クライン…ですが考えて頂きたい。もう一度、彼女の言葉。先ほどの、このプラントに今いない、ラクス・クラインの言葉。そしてミーア・キャンベルという、ラクス・クラインを偽った少女のことを。確かに彼女はラクス・クラインを偽りました。しかし彼女は世界のことをひたすらに思い続けた。彼女を、俺は偽者という言葉で済ませて欲しくない。そうして理解して頂けたなら、どうか。彼女を受け入れて頂きたい。』

恐らく民衆はミーア・キャンベルを選ぶだろう。
当然だ。
裏切り者の歌姫を望む馬鹿がいるものか。












































そしてオーブの放送後、間もなく行われたプラントへの攻撃。
シン「何で……何でこんな……」

レイ「ジブリールだな」

俺の言葉を聞いたシン達が俺を見遣る。

レイ「月の裏側、ダイダロス基地から撃たれた。こっちがいつも通り表のアルザッヘルを警戒している隙に。ダイダロスにこんなものがあったとは……」

ルナマリア「何で!?裏側からってそんなの無理じゃない!!どうやって?」

レイ「奴等は廃棄コロニーに超大型のゲシュマイディヒパンツァーを搭載してビームを数回に屈曲させたんだ」

シン「そんな……」

レイ「このシステムならどこに砲があろうと屈曲点の数と位置次第でどこでも自在に狙える。悪魔の技だな」

シン「くっ、そんな、そんなことを……」

アレックス「俺達がジブリールを逃がしてしまったからか…」

ナオト「そんな…っ!!」

クレア「……」















































タリア『みんな連戦で疲れてると思うけど、正念場よ。ここで頑張らなければ帰る家がなくなるわ。いいわね』

ミネルバはカーペンタリアから月艦隊と合流すべく発進した。











































ナオト「砲の本体を私達だけでですか?」

タリア「だけかどうかは分からないけど。ともかくそれが本艦への命令よ」

レイ「確かに、ここからではダイダロス基地の方が近い。そういう判断でしょう」

タリア「ええ。あれのパワーチャージサイクルが分からない以上、問題は時間ということになるわ。駆け付けたところで間に合わなければ何の意味もないものね」

アレックス「敵が月艦隊に意識を向けているのならうまくいけば陽動と奇襲になるということですね」

タリア「そういうことよ」

シン「奇襲……」

タリア「厳しい作戦になることは確かよ。でもやらなければならないわ。いい?」

クレア「はい。分かりました」

ハイネ「了解しました。またあれを撃たれるなどもう絶対あってはならないことですから」

タリア「頼むわね」

全員【はっ!!】















































アレックス「ブリーフィングを始める。第二射までに月艦隊が第一中継点を落とせれば辛うじてプラントは撃たれない。だが奴等のチャージの方が早ければ艦隊諸共薙ぎ払われるぞ。トリガーを握っているのがそういう奴だということは知っているだろう」

ステラ「うん」

クレア「全ての元凶はあいつだよ。ロゴスのロード・ジブリール!!」

シン「俺がもっと早くセイラン家に着いていれば…」

ナオト「シンのせいじゃないよ。シンもアレックスもあそこで出来る精一杯をやったんだから…」

ハイネ「とにかく続きを説明するぞ。ルナマリアとクレアが直接砲を狙う。もちろん相手の防御も厚いだろう。今までに出てきた陽電子リフレクターを備えた大型MAが出てくる事も考えられる。じゃあ作戦を話す……」

それは、アレックスのセイバー、ハイネのデスティニー、俺のレジェンド、そしてミネルバのタンホイザーまで囮に使った陽動に、更に時間差をつけ、シンのデスティニー、ステラのガイア、ナオトのストライクノワールが攻撃に加わり、ルナマリアのインパルスとクレアのデスティニーインパルスがその混乱した隙に砲のコントロールルームを墜とすという物だった。

メイリン『ブリッジ遮蔽。コンディションレッド発令。パイロットは搭乗機にて待機してください』

アレックス「ではいいなルナマリア、クレア。タイミングを誤るなよ」

ルナマリア「はい」

クレア「分かった」

レイ「俺達も可能な限り援護をする。だが基本的にはあてにするな。すれば余計な隙が出来る」

ルナマリア「分かってるわ。ご心配なく」

アレックス「では行こう…今度こそ失敗は許されない。これ以上、プラントを討たせはしない」

シン「行こう」

シン達がブリーフィングルームを後にした。

クレア「レイ、気をつけてね」

レイ「お前もな」

クレアの言葉に俺はそう返すとブリーフィングルームを後にした。















































ダイダロス基地攻略作戦。
ミネルバのMS隊は敵軍の激しい迎撃の中、見事に任務を遂行。
離脱中のジブリール氏を確認後、これを撃破。
…これでいい。
もうすぐだ…。
もうすぐ終わる。
シン達の苦しみも…。
俺達のような苦しみも。











































デュランダル『……今私の中にも皆さんと同様の悲しみ、そして怒りが渦巻いています。何故こんなことになってしまったのか。考えても既に意味のないことと知りながら私の心もまた、それを探して彷徨います。私達はつい先年にも大きな戦争を経験しました。そしてその時にも誓ったはずでした。こんなことはもう二度と繰り返さないと。にも関わらずユニウスセブンは落ち、努力も虚しくまたも戦端が開かれ、戦火は否応なく拡大して私達はまたも同じ悲しみ、苦しみを得ることとなってしまいました。本当にこれはどういうことなのでしょうか。愚かとも言えるこの悲劇の繰り返しは。一つには先にも申し上げたとおり、間違いなくロゴスの存在所以です。敵を創り上げ、恐怖を煽り戦わせてそれを食い物としてきた者達。長い歴史の裏側に蔓延る彼等、死の商人達です。だが我々はようやくそれを滅ぼすことが出来ました。だからこそ今敢えて私は申し上げたい。我々は今度こそ、もう一つの最大の敵と戦っていかねばならないと』

シン「……え?」

デュランダル『そして我々はそれにも打ち勝ち、解放されなければならないのです。皆さんにも既にお分かりのことでしょう。有史以来、人類の歴史から戦いの無くならぬわけ。常に存在する最大の敵、それはいつになっても克服できない我等自身の無知と欲望だということを。地を離れて宇宙を駈け、その肉体の能力、様々な秘密までをも手に入れた今でも人は未だに人を解らず、自分を知らず、明日が見えないその不安。同等に、いやより多くより豊かにと飽くなき欲望に限りなく伸ばされる手。それが今の私達です。争いの種、問題は全てそこにある!!だがそれももう終わりにする時が来ました。終わりに出来る時が。我々は最早その全てを克服する方法を得たのです。全ての答えは皆が自身の中に既に持っている!!それによって人を知り、自分を知り、明日を知る。これこそが繰り返される悲劇を止める唯一の方法です。私は人類存亡を賭けた最後の防衛策としてデスティニープランの導入実行を、今ここに宣言いたします!!』

シン「議長…」

デュランダル『デスティニープランは我々コーディネーターがこれまで培ってきた遺伝子工学の全て…また現在最高水準の技術をもって施行する究極の人類救済システムです。人はその資質の全て…性格、知能、才能…また重篤な疾病原因の有無の情報も本来体内に持っています。まずそれを明確に知ることが重要です。今のあなたは不当に扱われているかもしれない。誰もあなた自身すら知らないまま、貴重なあなたの才能が開花せずにいるのかもしれない…それは人類全体にとっても非常に大きな損失なのです。私達は自分自身の全てを、そしてそれによって出来ることをまず知るところから始めましょう。これはあなたの幸福な明日への輝かしい一歩です』

ギルが正しい未来を作るまで、俺が出来ることは後どれくらいあるのだろう? 
 

 
後書き
レイ視点は難しい…。 

 

desire 4 共同戦線

 
前書き
パラレル話です。
一応時間軸はフリーダム撃墜後ですね。 

 
それはあまりにも唐突な出来事であった。

タリア「今度、ジュール隊と共同戦線を張ることになったわ。それで一時的にミネルバに乗艦することになるから協力して頂戴」

アレックス、ナオト「「ええ!?」」

唐突すぎる戦友との再会にアレックスとナオトは目を見開いた。











































イザーク「久しぶりだなアスラン、ナオト。ディオキア以来か」

アレックス「ああ、久しぶりだなイザーク。」

ナオト「イザークも元気そうで何よりだよ」

イザークは相変わらず元気だった。
口調はきついが誰よりも情に厚いことを自分達は知っている。

アレックス「ああ、炒飯はどうした?」

イザーク「ああ、炒飯なら外をぶらついている。ミリ…何とかを探すと言って飛び出したっきりだ。全く、戦争中だというのに!!」

ナオト「部下を炒飯言わないのイザーク。可哀相でしょ?」

イザーク「ふん。それにしても変わったなアスラン」

アレックス「そうか?」

イザーク「ああ、昔のお前はいつもウジウジしていたからな。だが今のお前は別人だ。記憶喪失がきっかけで吹っ切れたか?」

アレックス「…そうかもしれないな」

ルナマリア「アレックス、ナオト…あ、ジュール隊長…。」

ナオト「あれ?ルナマリア?」

みんなで食事する予定だったのだが、イザークと話していたら時間が大分過ぎていたらしい。
ルナマリアは自分達を呼びに来たらしいが、イザークに気づき敬礼する。

イザーク「お前がザクファントムのパイロットだったか」

ルナマリア「はい、ルナマリア・ホークです」

イザーク「お前の戦果は聞いている。今回の共同戦線でも頼むぞ」

そう言うとイザークは踵を返す。

アレックス「イザーク?」

イザーク「炒飯を捕まえて来る。そして制裁だ。真っ赤に燃やしてやる!!」

ナオト「(真っ赤…?)」

ルナマリア「…何か、怖そうな人ですよねジュール隊長」

アレックス「ああ、だが、あいつは素直じゃないだけでいい奴だよ。俺が保障する」

ナオト「実際、ザフトではアレックスの次に強いからね~…多分。」

ルナマリア「そうなんですか?確かに強そうだし頼りになる隊長って感じですけど」

ナオト「イザークは強いよ。白服は伊達じゃない」

ルナマリア「じゃあ現時点じゃ、FAITHのアレックスとジュール隊長とどっちが強いんですか?」

アレックス「そんなの俺に決まってるじゃないか!!」

ナオト「自信たっぷりだねえ、でも、イザークに聞かれてたらアレックスもイザークに真っ赤に燃やされてたかもよ?」

アレックス「多分な」











































クレア「あ、アレックス、ナオト、ルナ。こっちこっち!!」

食堂にはシン、レイ、ステラ、クレアがいた。
3人分の席を用意してくれていたみたいだが、シンの様子がおかしい。

アレックス「シン、どうした?不機嫌じゃないか?」

シン「…何でもありませんよ」

クレア「それがジュール隊長に“貴様がインパルスのパイロットぉ!?”とか言われちゃって…」

クレアがアレックス達に事情を説明してくれる。

ナオト「イザーク…」

シン「あんなに偉そうに言うんなら…寝てる時に闇討ちしてやろうか…」

物騒なことを言っているシン。
本気でやりそうだ。

レイ「編成は決まったのですかアレックス?」

アレックス「いや、今考えているところだ。最終的にはグラディス艦長と相談するから決まり次第伝える」

レイ「了解しました。」

ナオト「アレックス、後で射撃訓練に付き合ってよ。」

アレックス「ああ」













































食事を終えたアレックスとナオトは訓練室に向かうと銃声が聞こえる。
どうやら先客がいるようだ。

イザーク「ふん、つまらん。やはり動かぬ的では練習にもならん」

炒飯「否グゥレイト…必死こいてお前の的やってる俺の身にもなってくれよイザーク」

どうやらイザークとディアッカのようだ。

アレックス「イザーク、炒飯」

炒飯「っ!よう、アスラン。元気そうだな」

振り向いたディアッカ。
顔が真っ赤に燃えていた…。

ナオト「うわあ、相変わらず凄いねイザーク」

イザーク「こんなのは遊戯にしかならん。これくらい出来て同然だ」

ナオト「(その遊戯が出来ないルナマリアは…?)」

アレックス「(言うな。流石に哀れだ)」

イザーク「アスラン、後でシミュレーションで勝負しろ」

アレックス「?ああ、久しぶりにするか」

イザークとアレックスが訓練室を出て、シミュレーションに向かう。
ディアッカとナオトも2人を追い掛けた。
















































シミュレーションに乗り込み、起動させる。
アレックスのセイバーとイザークのグフの勝負に観客が増える。
そこに…。

アレックス「ん?」

数分後…。

イザーク「行くぞアスラン!!アカデミーでの因縁を今ここでえ!!」

グフがセイバーに向けて繰り出したビームソードをかわすセイバー。

イザーク「己!!」

距離を取ると同時にグフに向けてライフルを放つ。
距離を取られればグフは殆ど攻撃手段を無くす。

イザーク「卑怯だぞアスラン!!」

セイバーのビームサーベルを抜くとイザークのグフに切り掛かる。
対するグフもビームソードを振るう。
凄まじい勢いで振るわれるビームソード。
紙一重で回避する。

イザーク「まだだぁっ!!」

続けて2発、3発とイザークの駆るグフによる連撃が続く。
その軌道を読み一撃一撃を確実に防いでいく。

イザーク「貴様あ!!俺を舐めているのか!!」

喚きながら攻撃してくるイザーク。

イザーク「これで終わりだ!!!!」

グフがビームソードを構えて突撃する。
セイバーもビームクローを展開して突っ込む。
ぶつかり合う2機。
しかしグフは力負けして弾かれる。

イザーク「何!?」

そしてそのままビームクローで右腕を切り裂いた。

炒飯「ああ、またイザークの負けかよ。」

しかしそれだけではなかった。

炒飯「って、右腕だけじゃなくグフを全身ダルマにした挙げ句、落下するコックピットにライフルをぶち込みやがった!?容赦ねええええええ!!!!!?」

ディアッカは急いでアレックスのシミュレーションの方に向かう。

炒飯「おいアスラン!!お前こんなに容赦なかったっけか!!?お前もう少し手加、減を…」

シン「はい?」

シミュレーションに乗っていたのはアレックスではなくシンであった。

炒飯「……もしかしてイザークが相手してたのお前?」

シン「そうですけど?」

イザーク「何ぃ!?」

放心状態から立ち直ったイザークがアレックスに詰め寄る。

イザーク「アスラン、何故貴様が相手をしない!?というか貴様こいつに助言しただろう!?」

アレックス「いや、シンがお前を完膚なきまでに叩き潰してやりたいそうでな。シンの気持ちを尊重した。ちなみに助言は一切していない。シンの実力だな」

イザーク「ば、馬鹿な…」

ナオト「イザーク、後輩にズタボロにやられた気分はどう?」

イザーク「うるさい!!貴様もう一度勝負しろ!!」

シン「いいですよ」

この後はシンがセイバーではなくインパルスでイザークのグフを相手にしたが、イザーク相手にシンは情けなどやらず覚醒したり、インパルスを分離させて意表を突いたりして攻撃する。
結果はいつもイザークがグフイグがダルマにされ、コックピットを撃ち抜かれたり、切り裂かれたりしている。
戦えなくなった相手に追撃を掛ける程度には今日の彼は容赦がなかった。
余程馬鹿にされたことが腹にすえかねたのだろうか?

ハイネ「おやおや、何か面白そうな展開って奴なのかなこれは?」

アレックス「ハイネ!!」

イザーク「…貴様がミネルバに配属されたFAITHか」

シンにボコボコにされたイザークが機嫌絶不調で尋ねる。

ハイネ「ハイネ・ヴェステンフルスだ。ハイネでいい。よろしくなイザーク。」

イザーク「ふん!!行くぞ炒飯!!」

炒飯「あ、お、おい待てってイザーク!!」

再び立ち去るイザークとそれを追うディアッカ。

ハイネ「俺って毛嫌いされてんの?」

シン「自分がFAITHじゃないから拗ねてるだけでしょ」

ホクホク顔で言うシン。
凄く的確な意見だ…。

ハイネ「まあ、あいつなら今にもFAITHになれるんじゃないの?俺でもなれたんだし」

ステラ「ハイネ…凄く強い」

ハイネ「サンキュー、ステラ。それにしてもお前容赦ねえな。流石にドン引きしたぞ俺も」

シン「そうですかね?」

自覚がないシンは首を傾げる。
ジュール隊隊長であるイザークを完膚なきまでに叩きのめしたシンはジュール隊隊員から尊敬と畏怖の念を込めた視線で見つめるのだった。 
 

 
後書き
シンがイザークを完膚なきまでに叩きのめしちゃったよ事件発生。
SEED覚醒ってマジで反則ですよね。 

 

desire 5 祭

 
前書き
ミネルバクルーがお祭りに。
時間軸はヘブンズベース陥落後。 

 
艦長から聞いた言葉にナオトは思わず目を見開いた。

ナオト「え…?お祭り…ですか?」

タリア「ええ、そうよ。戦争中とはいえこの日だけは祭りで停戦になるの。唯一軍人が軍人でなくなれる1日だけのお祭り。あなたもアカデミーで聞いてるでしょ?」

そういえばアカデミー時代にそんな話を聞いた気がする。

タリア「ゆっくり楽しんでらっしゃい。私もみんなに伝えてから向かうから」

ナオト「はっ!!」

ナオトは敬礼すると渡された浴衣を持って部屋に戻る。














































ナオト「まあ、こんなものかな?浴衣なんて久しぶり…」

浴衣を着たナオトは同じく浴衣を着たクレアを見つける。

クレア「あ、ナオト」

ナオト「クレア、アレックスを見なかった?」

クレア「僕は見てないよ。艦内にはいないみたい」

ナオト「そうなの?ありがとうクレア。浴衣似合ってるよ。やっぱり色白だし黒髪だから浴衣が似合う似合う」

クレア「っ!そ、そうかな…?レイも…喜んでくれるかな?」

顔を赤らめ、少し自信なさそうに問い掛けて来る。
いつもは自信いっぱいなのにこういうことには初(ウブ)で内気な少女だ。

ナオト「多分ね。頑張ってクレア」

クレアと別れてアレックスを探しにいく。









































大通りの屋台は凄い数だ。
これを全部見て回るのは大変かもしれない。

ステラ「えい!!」

何処かで聞いた声がする。
声のする方を見遣るとシンとステラがいた。

ステラ「破れちゃった…」

シン「勢いつけると破けちゃうんだよ。ただでさえこの店のはインチキしてるんだし」

「おい兄ちゃん、そいつぁ聞き捨てならねえな。営業妨害する気か?」

ステラ「うぅ~」

涙目で唸るステラにシンは苦笑する。

シン「俺が取ってあげるよ。おじさん、もう1本頂戴。」

「こいつ、聞いちゃいねえ…ほらよ」

シン「いいかい?これはコツがいるんだ。見ててよ」

軽々と金魚を掬い上げるシン。

ステラ「わあ…!!」

シン「ね?簡単だろ?」

ステラ「シン…ありがとう」

シン「うん。あれ?ナオト?どうしたんですか?アレックスは一緒じゃないんですか?」

ナオト「あ、うん。そうなんだけど…シンは見てないかな?」

シン「…見てませんけど、アレックスさんがやるとしたらあれじゃないですか?」

シンが向こうにある射的を指差す。

ナオト「そうか…ありがとうシン。ステラもまたね」

ステラ「うん…シン、もっと金魚欲しい…」

シン「よし、ならこの店の金魚を全部取ってやるよ」

「兄ちゃん、勘弁してくれよ~…」









































射的屋に向かうとシンの言う通りアレックスがいた。

ナオト「やっと見つけた!!」

アレックス「うわあ!?」

驚いた拍子に引き金を引き、弾は見当違いの場所に向かう。

「はい、ハズレね」

アレックス「ナオト!?」

ナオト「どうして私を置いていったの?」

アレックス「え?あ、いや…俺は祭りが好きだからつい…」

ナオト「もう!!」

アレックス「(射的が下手だから、練習してナオトにいいところを見せようとしてたなんて言えるわけないじゃないか!!)ナオト…浴衣、似合ってるよ」

ナオト「え?そ、そう?ありがとう」

ナオトは自分の顔が真っ赤になるのが分かった。

「兄ちゃん、客が待ってるんだけどよぉ、イチャつくなら外行ってくれねぇかい?」

アレックス「え?」

ナオト「…あ」

後ろを向くと客がこちらに注目していた。

アレックス「す、すみません!!すぐ出ます」











































アレックス「ナオト…」

ナオト「何?」

神社の境内で飲み物を飲みながらゆっくり寛いでいたところにアレックスが話し掛けて来る。

アレックス「今日は誘わなくてすまない…」

ナオト「もういいよ、来年は誘ってね」

アレックス「了解した」

アレックスが頷いた途端に花火が打ち上げられる。

ナオト「あ、花火…綺麗…」

アレックス「ああ、そうだな…」

最後の花火も終わり、店に活気が少しずつ消えていく。

ナオト「いつの日か、毎日こういう穏やかな日が続けばいいのにね」

アレックス「そうだな。そしてそうするのが俺達の仕事だ」

ナオト「うん」

アレックス「帰ろう」

2人は手を繋いでミネルバまで歩きだす。
彼らの夏祭りはこうして幕を閉じた。









































その他サイド。

メイリン「お姉ちゃん、これどうやって着るの?」

ルナマリア「そういうのはナオトさんに聞けば?じゃあ私は先に行ってるわよ」

メイリン「え!?待ってよお姉ちゃん!!」

先に行こうとするお姉ちゃんを行かせまいと手を伸ばすが、躓いて床に情熱的なキスをするのとお姉ちゃんが出ていくのはほぼ同時だった。
うぅ…痛い…どこの世界に妹を放っていく姉がいるのよお!!
仕方ないからネットで調べてみたけどさっぱり。
仕方ないから誰かに着せてもらおう。








































クレア「それで僕の所に着たの?」

メイリンに浴衣を着せながら呆れたように言うクレア。

メイリン「だってえ…お姉ちゃん、私を放って行っちゃったんだもん…」

クレア「はいはい…」

メイリン「それにしてもクレアさんって髪サラサラですよね。どういう手入れしてるんですか?」

クレア「手入れ…って言われても、シャンプーして髪を乾かしてある程度整えたらそれで終わり」

メイリン「ええ!?それだけなのにそんなに綺麗な髪なんて…いいなあ…私なんてセットに1時間かかるのに…」

クレア「長っ!?ま、まあ頑張って…はいこれで終わり……あ、あれ?」

メイリン「どうしたのクレアさん?」

クレア「え?な、何でもないよ。さあ、着付けは終わったよ」

初めての浴衣…。
何か服を着てないような感じで少し恥ずかしい…。
手始めに一回転。
流石クレアさん、可愛い。

メイリン「あ!!」

クレア「な、何!?」

私がよろめいた途端クレアさんがビクッとした。
何だろ?

メイリン「ごめんなさい、ちょっとバランス崩しちゃって」

クレア「そ、そう…じゃあ行ってきなよ」

クレアさんが私にそう言った次の瞬間、ブザーが鳴る。

クレア「誰?」

クレアさんが対応に出ると…。

レイ「俺だ」

扉が開き浴衣姿のレイが入って来た。
そしてレイは私を見ると少し目を見開いた。
何で?

クレア「レイ?どうしたの?」

レイ「…いや、一緒に祭りに行こうと誘いに来たんだが……」

クレア「え!?ぼ、僕と?本当に?」

レイ「ああ」

やったねクレアさん!!
あ、私完全に邪魔者だ。
退散退散。
私はクレアさんの部屋からそそくさと退散した。

レイ「…クレア」

クレア「何?」

レイ「メイリンの浴衣…死装束になっていなかったか?」

クレア「エエ~?気ノセイダヨ~」



















































メイリンは現在、大通りにいた。
フランクフルトを小腹にいれて、大通りを歩くこと数分。
ん…?
あれはステラさん?

メイリン「ステラさん、こんばんは!!」

ステラ「あ、メイリン。これシンが取ってくれたの…」

ステラさんが私の目の前に差し出したビニール袋にはぎっしりと金魚が入っていた。
…う……ちょっと気味悪い。

メイリン「あ、あはは…それ、シンに貰ったの?」

ステラ「うん…シン、金魚掬い上手…」

メイリン「へえ…」

すると背後から轟音と爆風が押し寄せる。

ヴィーノ「シ~ン!!頼まれた物持ってきたぞ~!!」

何故かデスティニーに乗っているヴィーノ。
というかMSに乗れたんだ…。

ヴィーノ「戦うまではいかないけど動かすくらいならね」

メイリン「人の思考を読まないで!!」

シン「遅いぞヴィーノ!!」

ヴィーノ「これでも急いで来たんだけど…」

シン「まあいいか、サンキューヴィーノ。さあステラ行こうか」

ステラ「うん…」

メイリン「ちょ、ちょっと待て~い!!何でデスティニーなんか持って来させたの!!?」

シン「あ、メイリンいたのか」

…殴りたくなる衝動を抑えて、努めて冷静に。

メイリン「…いるのよ、で、そのデスティニーはなんなの?」

シン「ん?ああ、ステラが花火の近くに行きたいって言うからFAITH権限を利用してヴィーノにデスティニーを持って来させたんだ。簡単な操作ならヴィーノにも出来るからな」

ステラ「花火…近くで見たい」

メイリン「FAITH権限の濫用……」

シン「よし、さあ行こうステラ!!」

ステラ「うん…」

シン「シン・アスカ、デスティニー。行きます!!」

花火が咲き乱れる夜空に向かって飛び立つデスティニー。

メイリン「もう知らない!!デスティニー発進どうぞぉーーーー!!!!!!」

…私の渾身の叫びも花火の音に掻き消された。








































そして私はヴィーノと一緒に祭りを見て回った。

ヴィーノ「メイリン、欲しい物があったら奢るよ」

メイリン「え?いいの?」

ヴィーノ「いいのいいの、たまにはカッコつけさせてくれよ」

今回のヴィーノは太っ腹。
じゃあ好意に甘えて何にしようかな?
すると背後から…。

ヨウラン「ようヴィーノ、メイリン。」

ヴィーノ「ヨウラン、どうしたんだよ?」

ヨウラン「いやな、向こうでラクス・クラインの物真似コンテストがあってな、優勝するとあの衣装が貰えるんでメイリンに出て…」

ヴィーノ「シン直伝奥義!!ライダーキーーーーック!!!!」

それ以上は言わせまいとばかりに某仮面戦士を彷彿とさせる蹴りがヨウランに炸裂した。
吹っ飛んでいくヨウランを見て私も少しだけ胸がすっとした…。















































飲み物を買いに行ったヴィーノを待っていたらナンパに話し掛けられた。

「ねぇねぇ、今1人?」

「中々可愛いじゃん」

「どう?俺達と遊ばね?」

どうしよう…。

ヴィーノ「ちょっとあんたら」

飲み物を買いに行っていたヴィーノが戻ってきた。

「何だよてめえ?」

ヴィーノ「俺の連れに何か用?用が無いなら消えて欲しいんだけど?」

な、何か凄く怒ってる?
ナンパの人がヴィーノに殴ろうとしたけどヴィーノはそれを簡単に受け止めて投げ飛ばして、残りの2人も殴り飛ばした。
ヴィ、ヴィーノってこんなに強かったんだ…。

ヴィーノ「ふう、メイリン。怪我は無いよな?」

メイリン「う、うん…ヴィーノ、強かったね」

ヴィーノ「整備士とはいえ一応軍人だし、女の子1人守れないなんて嫌だから」

メイリン「え?」

ヴィーノ「お、メイリン。林檎飴食おう林檎飴。」

メイリン「あ、うん」

私はヴィーノに連れられて林檎飴の屋台に向かう。
でもさっき私を助けてくれたヴィーノ、少し怖かったけど格好よかったな…。 
 

 
後書き
お祭りでミネルバクルーにはしゃいでもらいました。 

 

desire 6 カガリ・ユラ・アスハ

 
前書き
カガリのことを書いて見ました 

 
私は目の前の現実に呆然となるしかなかった。
目の前にある3機のガンダム。
それはかつてヘリオポリスで起きた出来事と酷似しすぎていたから。
私はアーモリーワンに弟のキラと共に会見に来ていた。
それがまさかこんなことに…。

キラ「カガリ!!」

キラが私を押し倒し、爆発から守ってくれた。

カガリ「キラ…」

キラ「このままじゃあ…っ!さっきの新型…?カガリ、こっちに!!」

キラが私をMSに乗せ、MSを起動させる。

カガリ「お前…」

キラ「生身でうろついてたら危険すぎるよ…それに君に死なれたらアスランに顔向け出来ないから!!」

“アスラン”。
その名前に私は胸を締め付けられた。
ある日急に行方が分からなくなってしまった。
今あいつはどこにいるんだろう?
黒いガンダムが私達にライフルを向けるが、キラはそれを翻し、ガンダムに体当たりを喰らわせた。
ガンダムがビームサーベルを抜き、キラもMSのビームトマホークを抜く。

キラ「…あの機体の動きさえ止められれば…」

機体の性能は悪くない。
これは私やキラが乗ったストライクやストライクルージュと同等かそれ以上の性能がある。
しかし武装が少なすぎる。
そうしている間にもう1体のガンダムが切り掛かって来る。
しかし。
私達の間に、イージス、ジャスティスを彷彿とさせる深紅のガンダムが舞い降りた。
更に私達が乗る機体に酷似したフライトユニット装備のMSの姿も。

アレックス「そこのザク!!早く離脱するんだ!!」

キラ「え…!?」

カガリ「この声…!?」

通信から聞いた声に私とキラは目を見開いた。
深紅のガンダムはビームサーベルを連結させ、水色のガンダムに切り掛かる。
間違いない…。
あの戦い方はアスランだ!!

ナオト「何してるんです!!早く離脱して下さい!!」

赤いMSのパイロットの怒声に押され、キラはこの場を離脱した。



































ガンダム四機と赤いMSの戦闘の影響で無残な姿になった工廠地区を、キラの操縦するMSが歩いていく。

キラ「大丈夫カガリ?」

カガリ「ああ…くそっ、これと言うのもザフトがあんな新兵器を作るから……アスランもアスランだ。私に何も言わずにザフトなんかに…しかもあんな新型MSに」

司令部施設か整備用ハンガーのある場所に向かおうとしているのだが、工廠地区は大混乱で、とてもそれどころの状況ではない。

『工廠施設は整備能力を喪失している!!稼動するMSはミネルバへ向かえ!!』

ミネルバ。
デュランダル政権下のザフト軍が建造し、翌日に就役式を向かえるはずだった最新鋭大型戦闘艦。
ザフトに、端的に言うならイチャモンを付けに来たカガリにとっては、あまり快くない存在だろうが、仕方がない。
キラは、ミネルバが就役式を向かえる予定だったドックの方へ向かう。









































「これで最後だ!!ハッチ閉じるぞ!!」

解放されていたミネルバの着艦デッキのハッチが閉ざされる。
最後に、1機のMS…ザクが滑り込むように、そこに降り立った。

ルナマリア「あの機体は!?」

MSを指差して、周囲の整備員達に聞こえるように声を上げた。
ルナマリアはザクから出てきたのが、私服姿の人間と見るや、腰元のホルスターから拳銃を抜く。
コクピットから床に降り立った男女の2人連れに、銃口を向ける。
同時に、整備員の何人かがアサルトライフルを構えて、ルナマリアに続くように、2人を取り囲んだ。

ルナマリア「抵抗しないで。指示に従えば命の安全は保障します」

ルナマリアは片手で銃を構えたまま、そう言った。
そもそもこの事件は、テロリストが新型MSを強奪して起こしたものだという。
正規のザフトの制服を着ていない人間は、そのテロリストの仲間の可能性もある。
射撃には自信はないがあの地獄の訓練をくぐり抜けた自分ならテロリストくらいどうにでも出来る自負はある。

キラ「待って下さい」

キラは、手でルナマリアを制するように声を上げた。

キラ「抵抗の意志はありません。こちらは、オーブ連合首長国代表、カガリ・ユラ・アスハ」

キラは、寄り添っていたカガリを手で差し、そう紹介してから…。

キラ「僕は、随員のキラ・ヤマト。デュランダル議長との会談のために訪れていました、この戦闘に巻き込まれ、避難の為に1機拝借させて頂きました」

自らも名乗り、事情を説明した。

ルナマリア「オーブの……代表?」

ルナマリアは怪訝そうに眉間に皴を寄せ、困惑気に言った後、軽く溜め息をついてから、銃をおろした。
そして、手で他のライフルを構えた整備員にも、それを指示する。









































その後、なし崩し的にボギーワンなる未確認艦を追跡するミネルバに同乗し続ける事になってしまった。
現在は議長は自ら私達に艦内を案内してくれると言う。
そして事件は艦内を見学中に起こった。
いや、事件と言うのは正しくないのかもしれない。
ただ、視線を向けられただけなのだから、事件と表現するのは大袈裟だろう。
恐らく視線を向けた本人にとっては、事件でもなんでも無いんだろう。
だが、少なくとも向けられた側、私とキラにとってソレは事件と呼べる代物だった。
何故なら視線に込められている物が尋常じゃなかったからだ。
物理的な重さをすら持っているんじゃないかと錯覚させられるような殺気を帯びた視線。
灼熱の紅い瞳が一対、視線だけで自分達の行動を束縛する。
だが、それも急に逸らされる。
少年は何事も無かったかのように周囲の人間の輪に紛れて消えた。

キラ「デュランダル議長、彼は…?」

デュランダル「ん?ああ、シンですか。いや、失礼。まさか彼があなた方にあのような目を見せるとは思いませんでした。後で充分、注意しておきましょう」

キラ「いえ。ただ視線が合っただけですから」

とは口にしながらキラも私も、視線が合っただけとはとても考えられない。
私に至っては、未だ視線に捉えられたまま口を聞く事も出来ない有様である。

キラ「ただ、彼が何故、僕達にあのような視線を向けたのかが気になるんです」

デュランダル「ふむ…これは私の想像の範疇を出ないのだがね、それには彼の経歴が関係しているのかもしれない」

キラ「経歴?もし差し支えがなければお聞かせ願えませんでしょうか?」

デュランダル「ああ、それは構わないだろう。少なくとも視線を向けられた君達には、聞く権利が有るんじゃないかと私は考えている」

そして議長の口から語られた内容は、キラと私に少なからぬ衝撃を与えた。
彼、シン・アスカと言う少年がオーブ出身者である事。
先の大戦で連合軍がオーブに侵攻した際に、戦火に巻き込まれて家族を失い孤独な身の上になった事。
戦後、プラントに移民してザフトに入隊した事。

キラ「そのような過去が…」

デュランダル「彼もまた被害者の1人であり、戦争を憎む気持ちは強いはず…しかし彼はザフトに入隊し、MSのパイロットとなった。力を身につけ戦火の盾となる道を選んだのです。力が無ければ守るべきものも守れない…と」




































その後、私達はユニウスセブンが地球に向かっていることを聞かされる。
通路を歩いているとミネルバクルーの会話が聞こえて来る。
そこにはアスランの姿もあった。

シン「ユニウスセブンが落ちている!?」

レイ「ああ。ミネルバはこのまま破砕作業に出るらしい」

シン「じゃあ強奪部隊はどうなるんですか?」

アレックス「断念だろうな。強奪部隊よりユニウスセブンの方が優先されるだろう」

ヨウラン「でもさ、何で俺達が行かなきゃ行けないんだって話だよな?」

ヴィーノ「ユニウスセブンに核を撃ち込んだのは連合なんだから連合がやればいいだろ?」

メイリン「そうだよねえ……冷静に考えたら、私達がユニウスセブンを砕く義理なんて無いし……」

ルナマリア「面倒ね……」

ミネルバのクルー達の言葉に苛立ちが募る。
義理がない?
面倒だと?

アレックス「だが、ユニウスセブンをあのままには出来ない。地球にいる同胞を死なせるわけにはいかないだろう?」

私はアスランの言葉に愕然とした。
アスランの言い方は地球にいるコーディネーターさえ無事ならナチュラルはどうなっても言いように聞こえたからだ。

ヴィーノ「分かってますよ。でも案外楽なんじゃないですか?俺達にとっちゃさ」

ヨウラン「確かに。これは事故なんだし。俺達には責任は無いんだからな。しょうがないよな。これでナチュラルがいなくなるんだったら変なゴタゴタも一緒に消えて一石二鳥だよな」

ナオト「ヨウラン。そういう言い方は良くないよ」

ヨウラン「冗談ですよ。ちょっと場を和まそうと…」

私はその言葉にとうとう我慢が出来なくなった。

ナオト「ちっとも和まな…」

カガリ「冗談だと!?」

アレックス「ん?」

アスランがこちらを向いたが私は構わず怒鳴りつける。

カガリ「しょうがないだと!?案外楽だと!?これがどんな事態か、地球がどうなるか、どれだけの人間が死ぬことになるか、ほんとに分かって言ってるのか、お前達はっ!?」

私は猛烈な勢いで、ヨウランという少年を指差し、糾弾する。

ヨウラン「すいません」

しかし、ヨウランは仲間達と顔を合わせてから、形式ばかりに頭を下げた。
その姿に、私は更に怒りが募る。

カガリ「くっ……やはりそういう考えなのか、お前達ザフトは!!あれだけの戦争をして、あれだけの思いをして、やっとデュランダル議長の下で変わったんじゃなかったのか!?それとお前もだアスラン!!」

アレックス「え?」

カガリ「勝手にいなくなって私がどれだけ心配したと思ってるんだ!!何でお前がザフトなんかにいるんだ!!」

アスランに私は怒鳴るが、アスランは不思議そうに私を見た後、シンという少年の方を見遣ると尋ねる。

アレックス「シン。彼女は誰だ?」

カガリ「え?」

アスランの言葉に私は思わず目を見開いた。

シン「オーブのアスハですよ。アーモリーワンを訪問してた時に巻き込まれてここに来たんですよアレックスさん」

仏頂面で答えるシンにアスランは頷いて、アスランは私に向き直る。

アレックス「申し訳ありませんでした。アスハ代表。そうとは知らずに。」

まるで初対面であるかのように振る舞うアスランに私は愕然となる。

カガリ「な、何を言ってるんだアスラン!!どうしてお前がザフトなんかにいるんだ!!答えろ!!」

アレックス「何故と言われても、プラントは俺の故郷だから守るために軍に入ったので…後、私はアスランという名前ではなくアレックス・ディノです」

アレックス・ディノ?
そんなはずない。
どこからどう見ても目の前にいるのはアスランだ。

カガリ「そ、そんなはずない!!お前はアスランだ!!」

キラ「カガリ」

アスランの肩を掴んで叫ぶ私を制止し、キラがアスランに向き直る。

キラ「アスラン。どうして君はザフトにいるの?」

アレックス「アレックスです。先程も言ったように、プラントは俺の故郷です。なら、俺がザフトにいるのも当然では?」

キラ「それが正しいの?ザフトにいることが本当に正しいことだと思ってるの?」

アレックス「……」

キラ「何で戦争をしようとするの?」

アレックス「それは…っ!?」

突如黙りこんだアスランにナオトという女性がアスランの隣に立って背中を撫でる。
私は当然のように隣に立つ彼女に苛立ちが募る。

キラ「答えてよアスラン」

シン「……さっきから何なんだよあんた達は!?」

我慢の限界が来たのか、シンがアスランと私達の間に立ち、アスランを庇うように叫んだ。

シン「自分の故郷を守ろうとするのが何がいけないんだ!!力がないと何も守れないから、今の家族を守るためにアレックスさんはザフトに入ったんだ!!そんなことも分からないのかよあんたは!!?」

キラ「だけどアスランは…」

シン「この人はアスラン・ザラじゃない!!俺達の仲間のアレックスさんだ!!ナオトさん!!レイ!!アレックスさんを医務室にでもどこでもいい。連れてってくれ!!」

ナオト「あ、うん…」

レイ「分かった。」

ナオトとレイと言われた2人ははアスランを連れて談話室を後にする。

カガリ「ま、待てアスラン!!話は終わって…」

シン「待つのはあんただ馬鹿野郎!!」

アスランを止めようとする私にシンは叫んで妨害する。

シン「自分の考えを押し付けようとするところは親父にそっくりだな!!」

カガリ「何だと!?お父様を侮辱する気か!?」

シン「現実を見ない理念だけの馬鹿首長だろ」

カガリ「お前!!」

父を侮辱する発言をするシンに私は声を荒げた。

シン「教えてやるよ!!俺の家族はあんたの親父に殺されたんだ!!あんたらの下らない綺麗事のせいでな!!」

カガリ「え…?」

シンの言葉に私は目を見開いた。
殺された…?

シン「国を信じて、あんた達の理想とかってのを信じて…そして最後の最後にあんた達の選んだ道のせいで、オノゴロ島で殺された!!」

そしてシンは私を一層強く睨む。
私はそれに怯え、後退する。

シン「だから俺はもう、あんた達を信じない!!あんた達の言葉なんか信じない!!そんなあんた達の言う理想とかってのも信じない!!この国の正義を貫くって…綺麗事並べて自己満足して…あんた達はあの時、自分達のその言葉で誰が死ぬことになるのかちゃんと考えてたのかよ!!あんた達に…あんた達なんかに今のあの人を否定する資格なんかない!!」

そう吐き捨ててシンは談話室を後にする。
他のクルーもシンを追うように談話室を後にした。

メイリン「あ、あの…」

赤い髪の少女が私達に話し掛けて来る。

キラ「何…かな?」

メイリン「アレックスさん…いえ、アスランさんのことなんですけど…アスランさん記憶喪失なんです」

カガリ「え…?」

記憶喪失…?

メイリン「その…アスランさん、オーブで酷い目に遭ってそのせいで…あ、よくは知らないんです。ごめんなさい」

赤い髪の少女はこの場を後にした。








































その後、私達は部屋に戻り、赤い髪の少女の言葉を思い出していた。
記憶喪失…。
過去のことを全て忘れている。
私のことも忘れている。
そんなことあってはならない!
アスランがいるべき場所はザフトなんかじゃない!!
オーブであり私の隣なんだ!!
キラはユニウスセブンの破砕を手伝いたいと行ってきたが民間人にMSを乗せるわけにはいかないと断られてしまったらしい。
私達はブリッジに行き、破砕作業を見守る。

妨害もあったが、アスランやシン達、イザーク達のおかげで被害は格段に小さくなった。
議長や艦長がボルテールに移るように言うが、アスランがまだ戻って来ない。
あいつをオーブに戻らせなきゃいけないんだ。
私は議長と艦長の申し出を断る。














































そして地球に降下したミネルバの甲板でアスランの姿を見つけた。

ヴィーノ「太平洋って言うんだろ?うわー、でっけー」

ヨウラン「ヴィーノ!!そんな呑気なこと言ってられる場合かよ。どうしてそうなんだ、お前は」

ヴィーノ「人のこと言えるのかよ、ヨウラン」

ルナマリア「でもイメージと違うなあ。テレビや写真の海って、もっと鮮やかな青じゃなかった?」

アレックス「それは空の色だ。海の青は、空の青を写しているんだ。だから空が晴れていない時は、海の色も濁って見える」

レイ「…確かにあのような空も見たことはありませんね……」

アレックス「砕いたとは言え、あれだけの質量が一気に大気圏に突入したんだ、地上にはかなりの影響があったはずだ。被害も少なくはないだろうな…ミネルバは…どこに向かうんだ?カーペンタリアか?」

シン「アスハの奴らがいるから、オーブに向かうそうです。あいつらもさっさと脱出してれば…」

シンの発言にアスラン達は苦笑していた。

カガリ「アスラン」

アレックス「アスハ代表」

私がアスランの元に向かうとアスランが私に敬礼をする。

カガリ「大丈夫かアスラン?気絶したって聞いたから心配したぞ?」

アレックス「え?あ、すみませんでした。アスハ代表。」

カガリ「…その呼び方は止めろ」

前みたいに呼び捨てで呼んで欲しいのにアスランは苦笑する。

アレックス「他国の軍人である俺が代表を呼び捨てに出来るわけないでしょう?」

カガリ「ふん、まあいい。ほんとにとんでもないことになったが、ミネルバやイザーク達のおかげで被害の規模は格段に小さくなった。そのことは地球の人達も感謝してくれる」

シン「どうだか?」

カガリ「何だと?」

鼻を鳴らしながら言うシンに私は思わず噛み付く。
シンは呆れたように私を見ながらそう言う。

シン「あんただってブリッジに居たんだろ?ならこれがどういうことだったか分かってるはずだろ…ユニウスセブンの落下は自然現象じゃなかった。犯人が居るんだよ。落としたのは…俺達と同じコーディネーターさ。」

カガリ「あ…」

シン「あそこで家族を殺されてそのことをまだ恨んでる連中が、ナチュラルなんか滅びろって落としたんだ。それでも地球の人達は感謝するって思ってるのかよ?」

カガリ「……わ、分かってるそれは…でも!!」

シン「…でも何だよ……」

カガリ「お前達はそれを必死に止めようとしてくれたじゃないか!!」

シン「当たり前だ…!!プラントは殆ど地球からの輸入に頼っているんだぞ…。地球が滅んだらプラントも滅びるんだよ!!」

カガリ「………」

アレックス「だが……それでも破片は落ちた。俺達は……止めきれなかった」

カガリ「アスラン……」

ルナマリア「アレックスさん…」

アレックス「一部の者達のやったことだと言っても、俺達、コーディネーターのしたことに変わりない。許してくれるのかな…?…それでも……」

アスランは、甲板から中へ入って行ってしまった。

シン「奴等のリーダーが言ったんだ」

カガリ「え?」

シン「俺達コーディネーターにとって、パトリック・ザラの執った道こそが唯一正しいものだってさ。それを言われた時、セイバーの動きが止まった…。記憶は無くしても深く刻まれたのは消えないんだ。」

カガリ「ぁ……アスラン……」

シン「あんたは本当に何も分かってない。何も分かってない奴が下手な気休めなんかするな。あの人だって人間だ。傷ついたりするんだよ」

そう言うとシンは無言で甲板を後にした。




































しばらくしてアスラン達は外で射撃の訓練をやることにしたらしくアスランは正確に的を撃ち抜いていく。
シンもアスラン程ではないが、射撃の腕もかなりのものだ。

ルナマリア「何で当たらないの~!?アレックスさん。ご指導お願いします!!」

アレックス「え?あ、ああ…前にも言ったように君はトリガーを引く瞬間に手首を捻る癖がある。だから着弾が散ってしまうんだ。そこさえ直せば良くなるよ、頑張って」

ルナマリア「はあい…」

シン「アレックスさん。後でシミュレーションに付き合ってくれませんか?」

アレックス「勿論だ。シンだけではなくルナマリアとレイも地上戦に慣れていないはずだから、ある程度慣らしておかないとな」

全員【はい。】

カガリ「………」

遠目でアスランとシン達のやり取りを見ていた私とキラは複雑そうにそれを見ていた。
アスランは私が今まで見たことがない穏やかな表情を彼らに浮かべていたから。 
 

 
後書き
カガリのことを書いてみましたが、かなり長くなりそうです。 

 

desire 7 カガリ・ユラ・アスハ 2

 
前書き
続きです 

 
私がオーブに戻った時、私に待っていたのは大西洋連邦との同盟であった。
世界が再び二分化して争いが始まった事を受けて、オーブでもこれに対応するべく首長会議が開かれていた。
カガリはオーブの理念…“他国の侵略を許さず、他国を侵略せず、他国の争いに介入せず”の精神に則り、あくまで中立の立場を貫こうとした。
しかし、そんな事もお構いなしと言わんばかりに大西洋連合から同盟の申し入れが入り込んでくる。
それに反発するカガリであったが、彼女以外の者はそれに応じようと言う気運になっていた。

カガリ「駄目だ!!大西洋連邦との同盟は組めない!!」

ウナト「ですがカガリ様、このままではまたオーブを焼くことになりかねませんぞ?」

カガリ「くっ……しかし、それではオーブの理念に反することになる!!」

カガリにとってオーブの理念は故・父ウズミから受け継いだ大切な形見みたいなものだったのだろう。
それを放棄する事は彼女には考えられなかった。

ユウナ「……代表はオーブの理念と国民の生命、どっちが大事なんです?」

カガリ「……!!?」

頑なに大西洋連合との同盟を拒もうとするカガリに突っ込みが入る。
ユウナ・ロマ・セイランである。
その見た目は長身の痩せ型で身に纏ったスーツが良く似合っていた。
癖のある淡い紫の髪は後ろで束ねられていて、その顔は自信に満ちている。
一目見た印象からはやや軽薄そうな印象を受けるが、彼はオーブ五大氏族の一つ、セイラン
家の長男であり、カガリの許婚でもあった。
そんな彼がカガリを責めるように問い詰める。

ユウナ「今、彼らと同盟を組まなければ、彼らは力づくにでもオーブを抑えようとしてきますよ?そうなれば当然侵略を許さないオーブの理念によってこの国は再び戦場となる……2年前と同じ轍を踏むことになります。代表はそれで宜しいのですか?」

カガリ「……いい訳が無い。だが、それではオーブの理念はどうなる!?お父様が守ってきたものを私に捨てろと言うのか!!?」

カガリが顔を紅潮させてユウナに怒鳴る。
そんなカガリを鬱陶しく思ったのか、ユウナは溜め息混じりに言葉を返す。

ユウナ「ふぅ……いいですか代表?あなたにとって国民の生命と国の理念、秤に掛けた場合どちらの方が重いのですか?」

カガリ「そ……それは……国民の生命に決まっている……」

ユウナ「なら、決まりでしょう。大西洋連合とは同盟を結ぶと言うことで」

ユウナがカガリから視線を外し、他の会議出席者に向き直る。
そんな様子にカガリは慌てて待ったを掛けた。

カガリ「ま、待て!!だからと言って理念を捨てることなど私には出来ない!!もっと話し合って他の道を……」

ユウナ「いい加減にしてください代表。これ以上は時間が待ってくれません。彼らが攻めて来てからでは遅いのですよ?……この国はあなたの玩具ではないのです」

カガリ「くっ……ぅ……!!」

ユウナの言葉にカガリは言い返すことが出来ない。
未だ政治家として未熟な彼女は余りにも理想を抱きすぎていた。
大きな理想を抱いていても、それを実現させる実力を彼女は持っていなかったのだ。
そんなカガリを嘲笑うかのようなユウナの言葉に、カガリは歯噛みして悔しがる。
そして、会議は大西洋連合との同盟を組むと言う形で閉会となった。
カガリは同盟の締結を止められなかった自分の無力さに憤りながら会議室を出る。




































私は世話になった艦長に謝罪を言うべくミネルバに足を運んだ。

アレックス「ん?あれはアスハ代表じゃないか」

シン「え?」

カガリ「あ……」

私はシンを見て思わず言葉を詰まらせる。

シン「あの時オーブを攻めた地球軍と今度は同盟ですか?」

カガリ「え…?」

シン「何で地球軍と同盟なんかしたんです。」

カガリ「そ、それは…オーブを焼かないために…」

シン「だったら他に方法があったはずだろ!!中立を保つなら前にオーブを攻めた地球軍の落ち度を突くとか、プラントとの同盟をちらつかせて周りを黙らせるとか方法は沢山あっただろうが!!」

カガリ「だ、だが、オーブを復興したのは大西洋連邦で…」

シン「国を焼いたんだからそれぐらい当たり前だ!!場当たり的な対応ばかりしやがって!!」

その痛烈な言葉に私は何も言い返せなかった。

シン「敵に回るって言うんなら、俺があんた達を討ってやる!!」

そういうとシンはそのままその場を去っていく。

カガリ「あ…シン!!」

アレックス「失礼します。アスハ代表。この処分は後ほど必ず。」

アスランが私に頭を下げるとシンを追い掛けた。

カガリ「あ、待ってくれ、アスラン!!」

私が呼び止める声にアスランはピタリと足を止める。
そして私の方を向く。

アレックス「俺はアレックスだと何度言えば分かるんです?」

アスランはそういうと私に振り返ることもせずシンを追い掛けた。










































その後、ミネルバは地球軍の攻撃を受けるが、アスランのセイバーとシンのインパルスが大型MAを撃墜し、状況が一変。
インパルスとセイバーが対艦刀を構えて地球軍空母を堕としていく。
地球軍が撤退していくのを見て、思わず私は安堵した。


































そして私はユウナとの結婚式を控えていた。
キラ達に手紙を送り、セイラン家で物思いにふける。






































そして結婚式当日。
私はユウナと結婚することになった。
どうして助けに来てくれないんだアスラン…。

ユウナ「カガリ、いい加減機嫌を直してくれないかな?そんなことしても君のお気に入りのお人形は来ないよ」

カガリ「っ!あいつは人形なんかじゃない!!」

ユウナ「はいはい。人形じゃないなら君の傍を離れるわけないからね。いい加減諦めたら?」

私は結婚しようとしている。
政治のために。
オーブで有力な力を持つセイラン家と婚姻することは、これから国を運営していく上で確かに大切なことだった。
結婚の宣誓を聞く。
隣ではユウナが、勝ち誇った笑みを浮かべている。

カガリ「(アスラン…)」

私が思うのはアスランのこと。
助けてアスラン…。
その時、空から見覚えのあるMSが舞い降りた。

カガリ「フリーダム…キラ!?」

フリーダムの掌が私を掴む。
そしてこの場を離れると私はフリーダムのコックピットに。








































キラ「よいしょ、大丈夫?」

カガリ「な、何のつもりだキラ!!」

キラ「うわ、凄いねこのドレス。」

カガリ「…!?お前っ…」

キラ「ごめんね勝手に。でももうこうするしかなかったから…」

カガリ「な、何を言ってるんだ!!無茶苦茶だぞ!!国家元首をMSで攫うなど!!」

キラ「うん、でも今は…オーブが他の国を撃つのも、カガリがそれを撃つのも、世界がまたこんな風になっていくのも…止めたいと思ったんだ。黙って諦めちゃったら駄目でしょ?」

カガリ「………」

キラ「…今まで何もしてあげられなくてごめんね。でも今ならまだ間に合うと思ったから…」

カガリ「キラ…」

キラ「また見えてないけど道はあるよきっと…」

私はキラと共にAAに行く。
そして…。














































その先で見たものは私の進んだ道の先で倒れ逝くオーブ軍人達の姿だった。
アスランやシン、ミネルバのパイロット達に墜とされていった者達。
私は泣き叫び見届けることしか出来なかった。
そして私はミリアリアからの連絡を受けてアスランと再会した。

アレックス「久しぶりというのかな。キラ、カガリ」

カガリ「アスラン、記憶が戻ったのか?」

記憶を取り戻して私の所に帰ってきたんだと思った私は笑みを浮かべる。

キラ「何で今、僕らに連絡を取ったの?」

アレックス「お前達に言っておきたいことがあり過ぎてな」

キラの言葉にアスランは苦笑していた。

アレックス「まず1つ、何であんな馬鹿な事をしたのかということだ。あれでは戦場が混乱するだけだ」

カガリ「なっ、お前が戦ったのはオーブなんだぞ」

キラ「オーブの戦闘を止めるためにはカガリが行かなくちゃいけなかった。だからこそ、僕達は戦場に出たんだ」

アレックス「ほう、まあ、お前達にどんな経緯と理由があったのかは俺は知らないし知る気もないが、あんな馬鹿げたことは止めてくれないか?」

カガリ「馬鹿なこと…?あれは、あの時ザフトが戦おうとしていたのはオーブ軍だったんだぞ!!私達はそれを…!!」

私が反論しようとした時、アスランから冷たい目で見られた。

アレックス「オーブ軍が無事ならミネルバの乗組員がどうなろうとかまわないのか?陽電子砲を破壊されてどれだけの乗組員が巻き込まれたと思っている!!それにあそこで君が出て素直にオーブが撤退するとでも思ったか!!オーブの主力がここにいるなら、連合を裏切れば簡単にオーブはまた焼かれるだろうに、オーブが連合を裏切れるはずがないだろう!!」

カガリ「う……」

アレックス「君がしなけりゃいけなかったのはそんなことじゃないだろ!!戦場に出てあんなことを言う前に、オーブを同盟になんか参加させるべきじゃなかったんだ!!…まさか、出兵の強要を想像もしなかった訳でもないだろう?2年前、オーブのマスドライバーの使用を強引に求めたのも、地球連合だ。……オーブを焼かないために、他国を攻める選択をしたのだろう、一度」

カガリ「それは……」

アレックス「君は何のためにユウナ・ロマと結婚したんだ?」

カガリ「それはっ……オーブ国民の安全を図るために」

アレックス「そうだ。オーブに住む人を守るためにカガリだけでは力が足りないから、セイラン家との結婚が必要だった。」

キラ「でも、アスラン。あれはカガリの意思を…」

アレックス「黙れキラ。俺はオーブ首長国代表のカガリ・ユラ・アスハと話しているんだ。もしカガリが1人の女であるのであれば、彼女にオーブ軍に命じる権利がない。権利は責任を伴う。国を動かす権利を持ったらそれ相応の責任がある。その責任の負い方がカガリの場合は結婚へと向かわせた。カガリは俺や政治に関して素人のシン達から見ても政治的知識があまりにも足りなさすぎる。国の代表は政治家だ。国の理念を叫ぶだけではない。」

キラ「アスラン!!」

アスランのあまりの非難にキラが叫ぶが、アスランは私から視線を外さない。

アレックス「君は、オーブの国民のための、結婚を拒み、オーブに帰ろうともせず、今までAAでのうのうと過ごしていたのか?オーブ軍がミネルバを攻撃するまで。オーブが連合に出兵を強制されても、オーブ軍が出撃しても、オーブ軍が連合軍と合流しても、何もせずに?」

アスランの言葉に私は目を見開いた。

カガリ「ち、違う!!あのまま戻っても、傀儡にされるだけだった!!私は、私は、オーブを守るために!!」

アレックス「それで?」

カガリ「え…?」

アレックス「さっきも言ったが、君が出て来たところでオーブが連合を裏切れるわけがないだろう。当然だ…家族や友人が暮らす自国を焼かれるのを望む馬鹿がいるものか」

カガリ「それは、それは、でも!!あのままだったら、オーブの中立の理念が…」

アレックス「国民の命と、理念。君はどちらが大切だというんだ?」

底冷えするような視線に、私は戦慄する。
それはユウナにも言われたことだ。

カガリ「それはもちろん、国民の命だ!!だ、だけど、中立を保つことで、国民の危機が減る!!お父様の意思を、オーブを守るために…!!」

アレックス「カガリ…ウズミ様の意思を守る、オーブを守る、それは国民の命とはイコールじゃない」

私の言葉をアスランは冷徹に切り捨てる。

アレックス「カガリはオーブという器だけを守りたいのか。その器に住む国民を守ろうとは思わないのか。政治家は理念を叫ぶだけではいけない。理念は確かに必要だ。オーブのようなのがな。だが、それは時と場合による。理念のために国民が危険にさらされては意味がない。民を守るための理念だ。理念を守るための民じゃない。君はシンの一件で何も学ばなかったのか?」

カガリ「それは…」

私の脳裏に過ぎるのは、自分に向かって叫ぶシンの姿。
だけど、父が守り通した理念を崩してしまうことを認めたくない。
それを見透かしたアスランは失望したように私を見つめる。

アレックス「中立という理念を守れば満足か?オーブという国を守れば満足か?君を敬愛する軍人達や友人達で固めれば、誰も意見せず、君の言葉に頷くだろう。それで君は満足か?」

カガリ「な、にを」

問われても、意味が分からない。
だって、大切なことじゃないか。
中立を守ること。
オーブを守ること。
何故、何故、彼は責めるように言うのだろうか。

アレックス「国民の心は、離れていくとしてもね」

カガリ「何を…何を言ってるんだアスラン!!私は、オーブを守りたかった。それはいずれ国民にも必ず通じる!!」

アレックス「そうだろうな。君が、ただオーブという器だけを守りたかったことは国民に伝わるだろうさ。」

アスランが見下すような視線で私を見つめる。
どうしても私の想いは彼に伝わらない。

キラ「でもそれで、君はこれからどうするの?僕達を探していたのは何故?」

アレックス「探していたのはもうあんなことは止めさせたいと思ったからだ。俺がザフト軍兵士としての義務を果たす羽目になる前にああいう行動は止めてもらいたいんだ。ユニウスセブンのことが問題なのは分かってるが、その後の混乱は、どう見たって連合が悪い。抑えようとすれば抑えられた民間の暴動を煽って、開戦に持ち込んだんだからな……。まぁ、今更そんなことは今言っても仕方がない。とにかく今重要なのはこの戦争を早期に終わらせることだと俺は思ってる。早く終わらせるために俺の出来る事をやろうと…。だがお前達の行動は、ただ状況を混乱させているだけだ。まるで戦争を長引かせたいかのように」

キラ「本当にそう?」

アレックス「……?」

キラ「プラントは本当にそう思っているの?あのデュランダル議長って人は、戦争を早く終わらせて、平和な世界にしたいって」

アレックス「俺はギルを…議長を信じるよ」

キラ「じゃあ、あのラクス・クラインは?」

アレックス「ん?……ああ、彼女か」

キラ「あのプラントにいるラクスは何なの?そして、何で本物の彼女はコーディネイターに殺されそうになるの?」

アレックス「彼女の名前はミーア・キャンベル。あれは混乱を抑えるための一手段だと思うが。何しろ議長以上の影響力を持ちながらも終戦の立役者本人はオーブに引っ込んでしまったからな。まあ、議長に助けられるまでオーブにいた俺も人の事は言えないが、彼女の存在は民衆の混乱の収束には一定の成果は上げているようだな。それに、名前を偽ることがそんなに許されないことか?それを言ったら、俺やお前達も同じだろう。……で、ラクスが殺されそうになったというのは?」

かつての婚約者が殺されそうになったというのに、何の反応も示さないアスランに私は叫びたい衝動に駆られる。

キラ「オーブで僕らは、コーディネーターの特殊部隊とMSに襲撃された。狙いはラクスだった。だから僕はまたフリーダムに乗ったんだ」

アレックス「……何でフリーダムを保管してたんだ?ユニウス条約違反のフリーダムを?」

キラ「彼女も皆も、もう誰も死なせたくなかったから。彼女は誰に、なんで狙われなきゃならないんだ?それがはっきりするまでは、僕はプラントを信じられないよ」

アレックス「キラ…俺達を恨んでいる奴らなんてそこらじゅうにいるんだよ。宇宙にも、地球にも、MSを持ち出してまで恨みを晴らそうという人間がな…では、俺は戻る。ミネルバの動向によってはまたオーブと戦うことにもなるかもしれないな」

キラ「だったら僕達も出るよ。僕達はオーブを討たせたくないんだ」

アレックス「そのためなら条約違反もするというのか?」

キラ「え?」

アレックス「ユニウス条約違反は分かっての行為だな?」

キラ「もしものためだったんだ。ラクスも僕達も平和を望んでいるだけなんだよ。だけど再び戦争は起こった。だから力を手に入れたんだ」

アレックス「そうか…」

キラ「アスラン…君はこれからもザフトで、またずっと連合と戦っていくっていうの?」

アレックス「仲間を、そして大切な人を守るためにな」

キラ「じゃあこの間みたいにオーブとも?」

アレックス「俺は連合やオーブとも戦いたくはない。だが攻撃されるなら、仕方ないじゃないか。」

アスランは踵を返しセイバーの元へと向かう。

キラ「アスラン……僕達だって討ちたくないんだ。討たせないで」

キラの言葉にアスランはぴたっと止まるが振り向かない。

アレックス「カガリ、今ならまだ間に合う。前大戦の後でもアスハ家を慕う者は民衆の中に大勢いる。力ずくでも実権をアスハ家に取り戻せ。お前が覚悟を決めれば、知恵を貸し、協力してくれる者はオーブにもいるはずだ。後はお前の好きにしろ。ありがとうミリアリア」

ミリアリア「えっ、ううん。気にしないで」

アスランはセイバーに乗り込むとミネルバに向かうのだった。
残された私の中で更に苛立ちが込み上げる。
あんな視線を向けるようになったのはあの女のせいだ。
その思いが止まらない。

カガリ「(アスランは私を好きだったんだ!!私を守ると誓ってくれた、口付けだってしてくれたっ!!なのになのになのになのにっ!!あいつが、現れたせいでっ!!)」

私の頭の中はアスランの隣を奪ったあの女が頭の大半を占めていた。

カガリ「絶対に許さないぞ…!!」

私は拳を握り締め、震える声で呟いた。 

 

desire 8 カガリ・ユラ・アスハ 3

 
前書き
続きです 

 
私達はミネルバがクレタでオーブ軍とぶつかることを知り、再び出撃する。
ミネルバのMS隊にはやはりあの女がいた。
切り掛かりたい衝動を抑えて声を張り上げる。

カガリ『オーブ軍!ただちに戦闘を停止して軍を退け!!オーブはこんな戦いをしてはいけない!!これでは何も守れはしない!!地球軍の言いなりになるな!オーブの理念を思い出せ!!それなくして何のための軍か!あの艦を討つ理由がオーブのどこにある!!討ってはならない!!自身の敵ではないものをオーブは討ってはならない!!』

しかし私の声は届かず、ミネルバのMS隊と交戦する。
キラのフリーダムはシンのインパルスに抑えられていた。
アスランのセイバーはオーブ軍を堕としていく。
そしてあの女のストライクがオーブ軍を堕としたのを見て私は耐えられなくなり、あの女に切り掛かる。

カガリ「ナオト・フジワラアアアアア!!」

ナオト「ん?」

ストライクルージュがストライクにビームサーベルで切り掛かるが、パンツァーアイゼンでビームサーベルを受け止められる。

ナオト「いきなり何するの!?あなたに切り掛かられる覚えなんてないんですけど!!?」

カガリ「アスランはっ!!アスランは私の物だああああ!!」

ナオト「はあ?」

呆れたような声を出しながらあの女のストライクにストライクルージュを蹴り飛ばされた。

カガリ「くっ、お前が現れるまでは全部うまく言っていたんだ!!お前さえいなかったら、私達はっ!!」

ナオト「……変わるものって、無いの。でもね、変わらないものも無いの…あなたがアレックスのことが好きなように私も…彼のことが好き。これだけは譲れない。」

カガリ「なっ!?」

ナオト「譲れないし、譲る気もないから!!」

ストライクのバーニアを吹かされ、一瞬でストライクルージュのエールパックを切り裂き、ストライクルージュは海に墜ちた。

カガリ「くそ…くそおおおおお!!」

あの女!!
私からアスランを奪っておいて!!
悔しい!!
せめてインパルスと同等の機体があれば!!








































その後私はAAに回収され、ストライクルージュとフリーダムの修理を見つめていた。
キラもシンに撃墜されそうになったようだ。
どうしてアスランもシンも私の言葉を分かってくれないんだ。
その後、ベルリンが攻撃を受けていることを聞き、私達は出撃した。
しかし、ミネルバから出撃したアスランから聞かされたのは信じられない内容だった。

アレックス「こちらはザフト軍特務隊、アレックス・ディノだ。これより敵大型MAに攻撃を仕掛ける。なお、AAとその部隊に告げる。そちらが撤退しない場合、敵と認識し行動させてもらう」

キラ「アスラン!?」

キラが信じられないと言いたげな表情をするが、アスランは気にせず言葉を紡ぐ。

アレックス「俺は…お前達がしたことを許せないし、許す気もない。俺はお前達を信じられない!!そんな奴に背中を預けられるか!!」

そう言い切るとセイバーは他のMS隊と共に大型MAに向かっていく。

キラ「どうして分かってくれないんだ…アスラン!!」

キラが悔しそうに言う。
私も同じ気持ちだ。
そして赤いインパルスに巨大MSがビームを放ったが、赤いインパルスはビームのシールドで防ぎ、対艦刀で巨大MSを切り裂いた。
更にセイバー、グフ、フリーダムが攻撃し、巨大MSを追い詰める。
後少しで倒せると思った時、ミネルバのMS隊が止まった。

カガリ「何をしてるんだあいつらは!?早く攻撃を!!」

巨大MSが砲撃を放とうとした時、キラが攻撃をしたことで、巨大MSは爆散した。
私は安堵した。
これで終わったと。
しかし赤いインパルスがフリーダムに攻撃を仕掛ける。
グフやセイバー、ストライクまで。
何でだ!?
更にインパルスまでフリーダムへの攻撃に加わる始末。

マリュー『カガリさん!!急いでAAに戻って!!この場を離脱します!!』

私はストライクルージュをAAに向かわせ、帰還する。
キラはアスラン達の攻撃から逃げ延び、潜水しようとした時、インパルスの攻撃を受けた。
私は一瞬キラが死んだと思ったが、何とか一命を取り留めていた。












































何とか逃げ延びた私達はオーブに戻り、AAを修復させる。
ミネルバがヘブンズベースを陥落させたと聞き、世界の情勢は変わっていく。
そしてジブリールがオーブにいるということ知った私はスカイグラスパーを使おうと飛び出そうとした。

キサカ「待て、何処に行くつもりだ!!」

カガリ「ジブリールを探す!!あんな言葉をザフトが信じるわけがないからな!!」

キサカ「だが、それはウズミ様の言葉を聞いてからでも遅くはない。」

カガリ「お父様の…?」



































そうして連れてこられたのは格納庫の1つだった。
その正面には碑があり、こう書かれている。

カガリ「この扉開かれる日の来ぬことを切に願う……?」

そうして、開かれる扉。
その先にあったのは…。

カガリ「黄金の……MS!!?」

ウズミ『カガリよ、もしもお前が“力”を欲する日来たれば、その希求に応えて私はこれを贈ろう』

お父様の声が聞こえ、私はこの黄金のMSがあることを含めて驚きが増す。

ウズミ『力はただ力…多くを望むのも愚かなれど、むやみに厭うのもまた愚か。守るための剣、今必要ならばこれを取れ!お前が定めた、成すべきことを成すためならば!!…だが、真に願うはお前がこれを開く日の来ぬことだ。今この扉を開けしお前には届かぬ願いかもしれないが…“どうか幸せに生きよ”カガリ』

カガリ「おとう、さま……」

キサカ「カガリ、アカツキに乗るか?」

キサカが私にそう問いかける。
黄金のMSアカツキ。

カガリ「…うん!!」

オーブを救ってみせる。
この力で!!
私はパイロットスーツを着込み、アカツキに乗り込む。

カガリ「カガリ・ユラ・アスハ、アカツキ。発進する!!」

私はアカツキを発進させ、オーブに向かう。
まずは国防本部に向かう。





































私が国防本部に向かい、ユウナを国家反逆者として拘束させた時、オーブ軍を堕とすザフトの新型がいた。
しかもあの中にはアスランのセイバーも。
私は新型に向けてビームが放ち、動きを止めた。

アレックス「あれは!?」

シン「黄金のMS!?邪魔だ!!」

アカツキに向けて長射程ビーム砲を放つが、アカツキの装甲に弾かれる。

アレックス「ビームを弾いた!?」

クレア「だったら直接攻撃で!!!」

赤いインパルスがエクスカリバーを構えて突撃しようとするが、私はそれを止める。

カガリ「待て!!聞こえるか?アスラン!!」

アレックス「カガリ!!?」

カガリ「私は戦闘を止めるために動いている!!ここは退いてくれ!!」

レイ「何だと…?」

クレア「戦闘を止める…?今更あなたが出て来て何になるって言うのさ!!今まで散々戦場を混乱させておいて!!」

カガリ「それは…私はオーブを守るために…」

レイ「ならば、何故、早期にオーブに戻らなかったのです?あなたが不在でなければ、ジブリールはオーブには来なかった。あなたがAAに乗り、身勝手な正義を振りかざさず、オーブに戻っていればこのようなことにならなかったのでは…?」

カガリ「そ、それは…」

アレックス「カガリ、俺は言ったよな?権利は責任を伴う。国を動かす権利を持ったらそれ相応の責任があると…、今までその責任から逃げていたツケが今になって来たんだ」

シン「あんたは…あんたらはいつもそうだよな。理念理念って…そのMSはあんたにお似合いだよ!!外側ばかり着飾って、守れると思うな!!」

新型が対艦刀を構え、アカツキに突撃する。

カガリ「シン!!」

私はアカツキのシールドを構えるがシンはパルマ・フィオキーナを叩き込み、シールドを粉砕する。

シン「終わりだ!!」

新型がアロンダイトを振り下ろそうとした瞬間。
新型とアカツキの間にビームが放たれた。

シン「!?」

上空を見上げるとそこにはフリーダムが。

アレックス「フリーダム!?それにあれは…!!」

クレア「ジャスティス!?」

キラ「カガリ、ここは僕に任せて国防本部に!!」

カガリ「キラ!?すまない!!」

私は急いで国防本部に向かった。







































カガリ「ユウナ!!」

トダカ「カガリ様」

ユウナ「カガリぃ!酷いよこれは!!あんまりだ!!僕は君の留守を一生懸命…」

ユウナが言葉を言い切る前に私はユウナを殴りつける。
ユウナは盛大に尻餅を着いた。

カガリ「お前だけを悪いとは言わない!!ウナトやお前や…首長達と意見を交わし、己の任を全う出来なかった私も充分に悪い!!だが、これは何だ!!意見は違っても国を守ろうという想いだけは同じだと思ったのに!!」

ユウナ「し、仕方ないじゃないか、どの道今のオーブは…」

シン「今のオーブが…何だって?」

トダカ「き、君は!?」

カガリ「シン!?」

キラ達と戦っていたはずのシンが何故ここに。

シン「もう少し警備を厚くしたらどうだ?仮にも本部なんだろ?久しぶりですね、トダカ一佐。あの時はお世話になりました。フリーダムとジャスティスならアレックス達が相手をしてる。さて、あんたがユウナ・ロマ・セイラン…オーブ代表の代理で間違いないな?」

ユウナ「ヒッ、ヒイィィィ!!」

シンから放たれる殺気にユウナは顔面を蒼白にさせながら後退する。
シンは構わず、ユウナに近づく。
オーブ兵がシンに銃を向けるが私が制した。

ユウナ「な、何をしてる!?は、早く撃て!!こ、殺される!!」

シン「……………」

叫ぶユウナに構わず歩み寄るシン。
そして両者の距離は殆ど無くなり、シンはユウナの胸倉を掴む。

ユウナ「ぼ、僕を誰だと思っているんだ!!ユウナ・ロマ・セイランだぞ!!前の大戦でオーブを復興させたセイラン家の人間なんだぞ!!!!」

ユウナの見苦しい言葉にシンは拳を握り締める。

シン「うわあああああ!!!!」

ユウナの胸倉を掴んだまま、ユウナの顔面に拳を叩きつける。
軍人であるシンの拳を受けたユウナは壁に叩きつけられ、鼻が奇妙な形になっていることから鼻の骨が折れたのだろう。

シン「言え!!ジブリールは何処だ!?何処にいる!!?まだあんな奴を庇うのかよ!!?」

ユウナの胸倉を掴んでジブリールの居場所を吐かせようとするシン。

ユウナ「し、知らない!!僕は本当に知らないんだ!!」

シン「てめえ!!オーブの国民の命がかかってるんだぞ!!」

ユウナ「本当だって!!たしかにうちにはいたけど…今は!!」

シン「…っ!!」

ユウナ「あっ…でもひょっとしたら、屋敷の地下シェルターにいるかも…」

シン「何だと!!?」

ユウナ「パニックルームだよ。前大戦の後にパパが地下に作ったんだ…」

シン「な…っ!?ジブリール…自分だけ安全な場所に…!!ジブリールはセイラン家にいるんだな!!?」

ユウナ「た、多分…」

シン「くそ!!」

私はシンが出ていくのを見て、やるせない思いでユウナを見つめた。

カガリ「ユウナ…どうして…」

ユウナ「君は僕に国を守ろうという想いは同じだと信じていたと言っていたね…」

カガリ「あ、ああ…」

ユウナ「同じだよ…どの道、今のオーブは彼を庇うしかなかったんだ…。彼がどんなに危険な人物なのか、君は知らないんだよ!!」

火種の人間を拒むことも。
自国への砲撃を防ぐことも出来ない。
これが今のオーブだというのか?
その後、セイラン家からシャトルが発射され、アスラン達が向かったが撃墜は出来なかった。



































その後、私はデュランダル議長にメッセージを送るために声明を出す。

カガリ『オーブ連合首長国代表首長、カガリ・ユラ・アスハです。今日私は全世界のメディアを通じ、プラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダル氏にメッセージを送りたいと思います過日、様々な情報と共に我々に送られたロゴスに関するデュランダル議長のメッセージは確かに衝撃的なものでした。ロゴスを討つ。そして戦争のない世界にというの議長の言葉は、今のこの混迷の世界で政治に携わる者としても、また生きる一個人としても確かに魅力を感じざるを得ません。ですが、議長は、ロゴスが意図的に“世界”とやらを操作し、戦争を起こしてきたという。これはつまり、ロゴスという、民間の一組織が、世界各国の世論を誘導し国家間紛争を誘導してきたという意味であると解釈している。個人的にはこれだけで既に大いに疑問があるが、仮にそうだとして、これを裏付ける証拠はどこにあるのか?議長はまず、これを立証するべき……』

しかし回線がジャックされ、ラクスの偽者が出て来た。

ミーア『私はラクス・クラインです。過日行われたオーブでの戦闘はもう皆さんも御存じのことでしょう。プラントとも親しい関係にあったオーブが、何故ジブリール氏を庇うような発言をするのか理解することは出来ません。ブルーコスモスの盟主、プラントに核を放つことも巨大破壊兵器で街を焼くことも、子供達をただ戦いの道具とするこもと厭わぬ人間を、何故オーブはそうまでして庇うのでしょうか。私達の世界に、誘惑は数多くあります。より良きもの、多くのものをと。望むことは無論悪いことではありません。ですがロゴスは別です。あれはあってはならないもの。この人の世に不要で邪悪なものです。私達はそれを……』

その時、私の隣にラクスが立ち、口を開いた。

?『その方の姿に惑わされないでください私はラクス・クラインです。私と同じ顔、同じ声、同じなの方がデュランダル議長と共にいらっしゃることは知っています。ですが、私、シーゲル・クラインの娘であり、先の大戦ではAAと共に戦いました私は、今もあの時と同じ彼の艦とオーブのアスハ代表の下におります。彼女と私は違うものであり、その想いも違うということをまずは申し上げたいと思います。私はデュランダル議長の言葉と行動を支持しておりません。戦う者は悪くない、戦わない者も悪くない、悪いのは全て戦わせようとする者。死の商人ロゴス。議長のおっしゃるそれは本当でしょうか?それが真実なのでしょうか?ナチュラルでもない、コーディネーターでもない、悪いのは彼等、世界、あなたではないのだと語られる言葉の罠にどうか陥らないでください。無論私はジブリール氏を庇う者ではありません。ですがデュランダル議長を信じる者でもありません。我々はもっとよく知らねばなりません。デュランダル議長の真の目的を』

アレックス『ふざけたことを言わないで頂きたい。破滅の歌姫よ』

偽者の隣には彼女を守るように立つアスランとシンの姿があった。

アレックス『こんにちは、プラント、地球の皆さん。俺は、アスラン・ザラです。プラントを守るアスラン・ザラであると、どうか民衆にはご理解頂きたい。このようにメディアをお騒がせしたこと、心よりお詫びしましょう。ただ私は皆さんに伝えたかったのです。“真実”を、かつて彼女は先の大戦で、地球連合軍に所属していた者に赤服を着せザフトに侵入させ、そしてフリーダムを与えた。』

ラクス『っ、えぇ、それは事実です。ですがそれは…』

アレックス『他にも。行方不明になったエターナルを、クラインの名の下、秘密裏に所持し補給してきた。プラントの財を使って…更にザフトの技術を盗用し、MSを建造していた。』

ラクス『私達には力が必要でした、それは、オーブにもプラントにも全て平和な未来のためです。私はオーブにもプラントにも平和を』

アレックス『笑わせるな、ラクス・クライン。俺達を、ザフトを舐めるのもいい加減にして頂きたい…。それにしても、そんなにあっさり認めるとは思わなかった…。あなた方の罪状を集めた資料も映像も意味がないな』

ラクス『資料?映像?』

シン『ええ、あなた方の罪を纏めた資料と映像ですよ。否定した場合の証拠を集めてたんですよ。あ、ちなみに流れてますから』

ラクス『罪などと…』

アレックス『そうやってあなたはプラントを傷つけるんだな…無自覚に…“偽者の歌姫”』

ラクス『いいえ、アスラン。あなたはご存知でしょう。あなたの傍にいる方こそが偽者だと』

アレックス『ええ、彼女は“ラクス・クライン”の偽者だ。けれどあなたは、“歌姫”の偽者だと言ったんです』

ラクス『…それは、どういう』

シン『プラントの歌姫はプラントに平和と癒しの歌を響かせる存在です。彼女はプラントの歌姫なんですよ。本物の」

ラクス『っ、ですからあの方は、議長に騙された偽者の…』

アレックス『ええ、彼女は…ミーアは確かに偽者だ。“ラクス・クライン”にはどんなに頑張ってもなれない…他人がどうやっても…』

ラクス『なら…』

アレックス『だが、今まで傷ついた人々を癒したのは、紛れも無い彼女だ。』

カガリ『アスラン!!』

どうして分かってくれないんだ。
私達は世界のために!!

ラクス『アスラン、ただ私達は平和のために』

アレックス『平和のためなら何でも許されると思うなよ。これ以上は俺が許さない』

シン『プラントの歌姫は…彼女です。いい加減、俺達を馬鹿にするのは止めてもらえませんか?俺達は生半可な覚悟で戦ってきたわけじゃない』

ミーア『シン…アレックス…』

その後、映像が途切れ、何度声明を出そうとしても出来なかった。
その後、オーブ政府へのデモが頻繁に起こるようになる。









































ジブリールがプラントを攻撃し、ザフトがジブリールを討ったことが伝えられた。
そして…。

デュランダル『私は人類存亡を賭けた最後の防衛策としてデスティニープランの導入実行を、今ここに宣言いたします!!』

デスティニープランという遺伝子による管理社会を作るというふざけた宣言をした。
レクイエムまで使う議長の思い通りにはさせないと、現時点で送り出せるオーブ軍を宇宙へと向かわせた。
しかし私を待っていたのは…。 

 

desire 9 カガリ・ユラ・アスハ 4

 
前書き
これで最後です。 

 
私は宇宙から流された映像を信じられない思いで見つめていた。
キラが、ラクスが…死んだ。
何で?
何で何で何で何で何で!!?
どうして助けなかったんだアスラン!!?
私は呆然となり抵抗も出来ずに拘束された。






































その後、私は拘置所に収容され、数ヶ月経った後だった。
アスラン達が面会に来たのだ。
ポタリ、ポタリと幾重に重なる頬の跡を追うように、水滴がまた1つ落ちた。

カガリ「どうして…どうして止めなかったんだ!!あいつらは…あいつらは世界のために戦ったのに!!」

アレックス「俺達も、ザフトも世界のために戦った。そしてデスティニープランで世界を平和にしたんだ」

カガリ「あいつらが戦いを望むような奴らじゃないっていうのは、知っていただろアスラン!!なのに、なんでっ!!どうしてあいつらを殺したんだっ!!答えろっ!!!!」

カガリが激情のまま叫んだ。
シンは思わず、眩暈がしそうになった。
分からないとでも言うのだろうか?
想像すらつかないなんて、一体どこまで。

シン「敵だったからだ。ザフトにとってはキラ・ヤマトもラクス・クラインも敵で、倒すべきものだったからだ。」

彼らはザフトにとって、倒さなければならない敵だった。
そしてAAもエターナルも同様に。

カガリ「そ、そんな理由で…!!?」

シン「憎しみの連鎖、哀しみの連鎖。武器を持つな、戦ってはいけない…なぁ、あんたはどれを守ったんだ?仲間が殺されて憎くて哀しいんだろ?」

クレア「仲間が死ぬかもしれないって、それでも平和にしたいって、そんな覚悟で宇宙に上がったんじゃないの?それとも、自分達なら殺されないから大丈夫なんて保証もない自信で気軽に上がってきたっていうの…?いつ死ぬかも分からない戦場に!!?」

命がいつ奪われるかもわからないような場所に。
平和にしたいっていう主張だけ持って、覚悟も責任も全部放り投げて。

ルナマリア「ふざけないでよ!!戦場はあんた達の遊び場じゃないのよ!!」

だって、だってだってだってだって!!
キラは望んでいない戦いを、平和のためだからと戦ったのに!!
辛い思いをして、それでも、平和のために、あいつは一生懸命に頑張ってくれたのに!!

レイ「俺達に憎しみを持ってはならないと言いながら自分達は憎しみを持っても構わないというのは勝手なのでは?」

シン「結局あんた達は自分達の都合を綺麗な言葉で尤もらしく言ってるだけじゃないか!!俺は殺したよ。それで、民間人の家族に、被害者に責められるなら俺は何も言わない。言い訳だってしない…お前らみたいに平和のためだったから仕方がないなんて…絶対に死んでも言うもんか!!」

クレア「いつだってそうだよね!!相手を責めて責めて、自分は被害者面して、戦場では人を殺して!!だからあんた達の声は僕達には届かないんだ!!」

シン「あんたは本当に父親そっくりだよ!!理念のためなら平気で何でも犠牲に出来るところとかな!!」

カガリ「なっ!?」

ハイネ「悪いけどシンに同意見。オーブの話はシンから聞いたけどあんたの父親は状況がどれほど変わっても理念を押し通し、その結果連合の侵攻を招き、その時点でもまだ理念にこだわってプラントと結ばず、戦力差を無視して単独で連合と戦って、当然の如く敗れて連合の支配を許した…信じられない馬鹿だな。馬鹿じゃなかったら途中で頭がおかしくなったとしか思えない」

カガリ「な…な…っ!!?」

ハイネ「連合に支配されたっていうことは、オーブは結局その後の戦争で、連合に加担したんだ。その点から見ても、そのウズミ代表は失敗したって何で気づかないんだよ。オーブの理念は一体、誰のためだ?その理念を守り抜いたことでオーブの国民の中に、1人でも幸福になった奴がいるのか?いないよな?寧ろ怨んでる奴らの方が多いんじゃないのか?」

カガリ「お、お父様だって…悩み苦しんで、決断を…」

目に涙を浮かべ、身体を震わせながらカガリが言葉を搾り出す。

レイ「悩み苦しんで出したからといって、それが正しい決断とは限らない」

アレックス「カガリ、当事者である俺が言えたことじゃないかもしれない。けどいくら尊敬している人間の行動でも、それが間違っていれば、こちらも命をかけて正さなくてはならないことだってある。どれほどの人間でも間違いを犯すものだ。俺達も君も、議長もね」

カガリ「…………」

シン「あんたは、もっと仲間以外の人間の話を聞くべきだよ。同じ考えに凝り固まった奴とばかり相談していても、堂々巡りがいいとこだ。それじゃまずいんじゃないか?あんたが本当にオーブを想うならさ」

カガリ「仲間以外…?」

シン「あんたはキラ・ヤマト達とか、アスハ派の連中以外とまともに話し合ったことあるのか?」

そういえば私は仲間以外に話すことなどあっただろうか?
いつもいつもキラ達とばかり話をしていた。






































拘置所から出たアレックス達を紫色の髪の女性が声をかけた。

「もうよろしいのですか?」

アレックス「ああ、ありがとう。すまない、君も代行として色々多忙だろうに」

「いえ、カガリ様の目を覚まさせるにはあなた方の力を借りるしかないと思ったので…」

彼女はアヤカ。
ユウナの従兄弟でカガリの友人であった。
今のカガリに心を痛めてアレックス達を呼んだのである。
アレックス達はこの場を後にし、アヤカは拘置所に入る。


































アヤカ「カガリ様」

カガリ「アヤカ…?丁度よかった…話があるんだ」

アヤカ「何でしょうか?」

カガリ「…アヤカ。政治家が国民のためにすべきこととは、何だ!!?」

カガリの問いに後ろにひっくり返りたい衝動に駆られたアヤカは、その衝動との戦いに勝利した自分を褒めてやりたいと思った。

アヤカ「(カ、カガリ様…一応政治の勉強はしてましたよね…?)基礎に戻るのはいいことですけど、ちょっと戻りすぎでは…?」

カガリ「誤魔化さずに答えてくれ!!」

アヤカ「一体どうしたんですか?」

アレックス達との話を聞いてないアヤカは首を傾げるしかない。

カガリ「アスラン達と話したんだ…」

アヤカ「はい」

カガリ「お父様の事を馬鹿だと、理念に囚われすぎて頭がおかしくなったと評した」

アヤカ「そ、それはまた…」

アレックス達も随分とストレートに言ってくれたものだ。
まあ、実際その通りだが、とアヤカは思う。
オーブの政治家の中には、そう考えている者もかなりいるはずだが、一言でもウズミを批判すると、カガリが目の色を変えるため、口を噤んでいるのだ。

カガリ「腹が立った。殴ってやろうかと思った。でも、でも…」

握り締められたカガリの拳の震えが大きくなった。

カガリ「あいつら言った事は…正しいんじゃないかって、思えてならないんだ!!だからアヤカ、教えてくれ!!政治家が国民のためになすべきこととは、一体何なんだ!!?」

アヤカ「そうですね…国民の生命と財産を守る事だと思います。言っておきますが、これは最低ライン。これが出来ない政治家は、無能と言われても文句は言えません」

カガリ「…つまり、お父様は……」

噛み締めたカガリの唇から、赤い鮮血が流れる。

アヤカ「ウズミ様が統治していた頃の殆どは間違いなく名君でした。内政手腕は勿論、中立を貫いた外交手腕も、参考にさせて頂いている政治家もいます。ただ、最後の最後で、理念という誘惑に心を奪われた…」

カガリ「何故だ!?何故、それを今まで黙っていた!!?」

アヤカ「言ったとしても、あなたは聞く耳を持ちましたか?ユウナ様達を、自分の意見を聞き入れない邪魔者としか見ていなかったのは、あなたでは?カガリ様は自分は未熟だ、未熟だ、といいつつ、何であそこまで自分の意見に固執出来たか不思議でなりませんでした。しかしそのうち分かりましたよ。あなたの言う“未熟”とは、自分の意思を通せない事を指していることを…」

カガリ「もういい!!私は…私は一体、今まで何をやってきたんだ…アヤカ。他の首長達が私を無能だと知りつつ、私を廃さなかった理由は何だ?」

アヤカ「…あなたの容姿と飾らない性格は客寄せパンダには持ってこいだからだよ。お兄様達では無理だからね、あなたと同じ事は」

敬語ではない、彼女の素の言葉遣いで言われる言葉には不思議と腹が立たなかった。

カガリ「…よくもまあ、元がつくとはいえ国家元首にそこまで言ってくれたな」

カガリの声が低音を帯びた。

アヤカ「殴られるのは嫌なんだけど?」

カガリ「心配するな。事実を言われても今更腹は立たん。それに、客寄せパンダ程度の役にはたっていたと分かって、ホッとしている」

アヤカ「そっか…」

カガリ「私は…間違えてしまったんだな…もっともっとよく考えていればこんなことには…」

アヤカ「本当に反省してるなら出所して、代表に返り咲いてから活かしてね」

カガリ「え?」

アヤカ「知っての通り、まだオーブにはあなたを慕っている人は沢山いる。あなたにはまだまだ客寄せパンダをしてもらわないと困るの…それに反省してるならそれを証明して。勉強なら私や他の皆が教えてあげるから」

カガリ「…うん……」

カガリの瞳から一滴の涙が零れ落ちる。
まるで過去の弱い自分を洗い流すかのように。
きっと明日からのカガリは今まで以上に光り輝くのだろう。 
 

 
後書き
カガリ編終わった… 

 

desire final 誓い

 
前書き
シン達がオーブの慰霊碑へと足を運ぶ。
 

 
周囲を海に囲まれた島国。
真空に囲まれ孤独に身を寄せ合う故郷。
どちらも閉じ込められた土地、けれど似ていないとアレックスは島国の海を眺めて思った。
この国に、アレックスが任務以外で足を踏み入れるのは恐らくこれで最後。
隣に立つナオトも慰霊碑に向けて黙祷をしている。
幼い頃に失った家族に伝えたいことは沢山あるだろう。









































ステラ「…お墓参り……?」

シン「これは俺やナオトの家族の墓参りも兼ねてるんだ…って言っても実際にお墓が有る訳じゃないんだ。戦後に建てられた慰霊碑が有るだけ」

家族を失い、今でも悲しくないと言えば嘘になる。
あれから3年も経つ。
少しでも前に進まなければ…。
すると、後ろから服を引っ張られて振り向くと5~6歳くらいの女の子がいた。

「お兄ちゃんにもあげる!!」

女の子が袋に手を入れ、シンに渡す。

シン「?」

ステラ「何…?」

シンの掌にあるのは花の種だった。

ステラ「お花の…種……ありがとう…」

ステラが礼を言うと女の子は手を振って母親と共に去っていく。
シンは笑みを浮かべながら慰霊碑のある場所へと向かう。








































慰霊碑の前まで来ると、既に殆どの面子が来ていた。

レイ「来たか」

クレア「遅いよシン!!」

ハイネ「何してたんだよお前?」

シン「いえ…女の子からこれを貰って…」

ルナマリア「花の種?」

シン「ああ、プラントに戻ったら早速植えるよ。」

ステラ「…ステラ、お世話する。」

シン「うん、一緒に育てよう……やっぱりここから見る景色は変わらないな」

家族を亡くしたシンが、何を思い佇むか計り知れない。
慰霊碑周辺に植えられた花は、潮の香りで芳しさを打ち消されて存在感が薄い。

ナオト「うん…お父さんとお母さんが生きていた頃と全く変わってない……」

ルナマリア「ナオト…」

クレア「……風が冷たいね」

レイ「そうだな…」

クレアの言葉にレイは応じた。

ハイネ「ほら、お前ら。1本ずつな」

並び立つと、ハイネから差し出されたのは花束から抜き取られた白百合をそれぞれに1本ずつ。

シン「ハイネ…?」

アレックスもナオトもルナマリアもレイもクレアもステラも、そしてハイネ自身もそれを手にし、困惑しながら自分も受け取ったシンは、その手元に先ほどは見えなかったオレンジ色のリボンを見つけるとハイネの意図に気づく。
オレンジ色のリボンが捲かれた、白い花束。
オーブで亡くなったシンとナオトの家族のための物。
多分ハイネなりの献花なのだろう。

ハイネ「みんなで一斉に投げるか?」

ルナマリア「いえ、ここは1人1人投げませんか?クレア、ハイネ、ステラ、私、レイ、アレックス、ナオト、シンの順番で」

アレックス「そうだな」

海へ、花を投げる。
ルナマリアが言った順番通りに。

ナオト「(お父さん…お母さん……)」

ナオトは花を投げると亡くなった両親を思いだす。
まだ幼かった自分を守るためにブルーコスモスの連中の銃弾の盾になった父と母。
父と母が自分を守ってくれたおかげで自分は今ここにいて、アレックスと共にいられる。

ナオト「(お父さん…お母さん…ありがとう…私、幸せになるから……)」

白は淡い飛沫を上げて、ぷかぷかと浮いた。
深い色に浮き立つように。
花は、少しずつ、攫う波に遠くへ運ばれるのだろう。

クレア「終わってしまったね。デスティニープランも施行されて、戦争が起きることは無くなった。さてと…これから僕達はどうしようか?」

クレアは空を見上げながら口調だけ愉快そうに。

ナオト「この平和が無くならないように守り続けていかないと…」

ハイネ「……そうだな」

ルナマリア「帰りましょうプラントへ。そして守りましょう。プラントを私達が。あそこには大切な物が沢山あるから」

レイ「分かっている。まだクライン派の残党、過激派が残っているからな」

ハイネ「明日からまたハードスケジュールだぜ」

ハイネは視線を巡らせながら言った。
その視線は空を見上げて、その大空の先、宇宙にあるプラントを見上げていた。

クレア「やっと戦争は終わったけどこれからもプラントを守るために僕達が頑張らないと…」

シン「ああ、これから先、どんな困難が待っていたとしても、俺達は負けない。」

アレックス「そうだな、この平和を仮初の物にしてはいけない。この平和を永遠に続けさせる。それが、俺達“人類”の戦いだ」

ルナマリア「そうですね…」

シン「帰ろう、プラントへ」

自分達の故郷プラントに。
その時であった。

アレックス「…?」

ステラ「シン、綺麗な音が聞こえるの」

シン「え?」

ステラが綺麗な音にはしゃいだように言った。
レイが言われて耳を澄ます。

レイ「ピアノの音だな」

ルナマリア「でもどうしてピアノが?ここは市街地から大分離れてるのに…」

ハイネ「何なんだ?」

頷いてすませた耳が拾う音にアレックスは微笑んだ。
それはいつか聞けたならと夢想した音。

アレックス「ニコル…ようやく聞けたな…。確か…“友情のテーマ”だったよな?とびっきりの演奏をありがとう」

懐かしそうに目を閉じてその音に聴き入るアレックス。
かつての自分達のために作曲した“友情のテーマ”
気のせいか優しい彼の声が聞こえた。

ニコル『はい、またとびっきりの演奏をお聞かせしますよアスラン、ナオト…』

ナオト「っ!ニコル…?」

ナオトは思わず振り向いた。
今のは間違いなくニコルの声だった。

レイ「…ニコル・アマルフィ」

アレックス「ニコルを知っているのか?」

レイ「俺がピアノを始めたのも…偶然聴いた彼の音が始まりです」

アレックス「そうか…」

ナオト「アレックス…?」

ステラ「…?」

アレックス「…ニコル」

未熟だった当時の自分を思い出す。
あの頃と比べて自分は前に進めただろうか?
進みたいと思う。
隣にいる彼女と共に。

アレックス「思いもよらないもんだな、人生は。だけど、後悔だけは絶対にしない。誰でもないこの俺が決めたんだからな。だから…見守っててくれ…ニコル。さあ、帰ろう!!」

シン、ルナマリア「「はい!!」」

ステラ、クレア「「うん」」

レイ「はい…」

ハイネ「おう」

ナオト「帰ろうプラントに」

アレックス達はプラントに戻るべく、手配したシャトルの元に向かうのだった。 
 

 
後書き
機動戦士ガンダムSEED DESTINY~SAVIOUR~完結しました。
最後までこの作品を読んでくれてありがとうございます。 

 

O☆MA☆KE 1 ムウ・ラ・フラガ

 
前書き
息抜きに書いて見ました。 

 
俺の名前はムウ・ラ・フラガ。
ネオ・ロアノークとも呼ばれたこともあったっけな…。
エンディミオンの鷹と呼ばれたこともあった…。
前の大戦の時、ドミニオンの陽電子砲からAAを庇った時、ジブリールに拾われた(記憶操作付き)。
その後は多分、みんなが知っている通りだ。
死んだと思っていたステラが生きてザフトのMSパイロットだと知った時は度肝を抜いた。
当然連れ戻そうとしたんだが、インパルスのパイロットに妨害を受けて失敗した。
しかし、あのインパルスのパイロットは真っ直ぐさが気に入った。
あいつならステラを守ってくれる…そして現在の俺は……。

カガリ「聞いてくれ少佐!!私のアスランがあんな女狐にたぶらかされて!!」

ムウ「あのさ、嬢ちゃん。いきなりそんなこと言われてもどう反応すればいいのか分かんないだけど?」

カガリ「む、そうだな。これがアスランをたぶらかした女狐だ!!」

ムウ「ヒュー、結構な美人さんじゃないか」

口笛を吹きながら、俺は嬢ちゃんから渡された女狐こと、ナオト・フジワラの写真を見る。
ふむ、出てるとこは出てて、締まる所は締まってる。
コーディネーターの女性は美人揃いだが、彼女も相当な物だ。

カガリ「私がどれだけアスランを好きだろうと、あの女は身体を使って私のアスランを誘惑しているっ!!た、確かにスタイルは私よりはいい。だが、胸なんか…胸なんか…あんなのただの脂肪だというのにっ…!!!!」

現実から目を背けるな嬢ちゃん。
男なんて、しかもアスランくらいの年齢の時の“おいた”なんてよくあることだ!!
ん、俺?
フッ、そこだけは滅茶苦茶気をつけてたよ。
この話を読んでる読者君達も気をつけたまえ!!
そういえばアスランって18歳になったんだよな、早いよな~。

カガリ「第一、第一、あいつは私に悪いとか思わないのかっ!!アスランはあ!!」

ムウ「でもよ、記憶喪失なんだから仕方ないんじゃないのか?ザフトにいるのはアスランの意思だし、ザフトの方だって裏切ったアスランのことをよくしてくれたんだから礼は言われても文句言われる筋合いはないと思うぞ?」

カガリ「し、しかし!!」

ムウ「それに、嬢ちゃんはユウナ・ロマ・セイランと結婚することにしてたんだろ?」

カガリ「ち、違うっ!!だ、だってあれは仕方がなくてっ!!」

ムウ「でも結婚式自体はしてたんだから、アスランはフリーじゃないか?」

カガリ「そ、それは…」

ムウ「元気だせ嬢ちゃん。アスランの代わりにいい男を探せばいいさ」

カガリ「私は…私は…アスランがいいんだーーーーーっ!!!!!!!!!!」

嬢ちゃんは泣きながら俺の部屋を出た。
あれが国家元首をやってんだから凄いよな。












































俺の名前はムウ・ラ・フラガ。
ネオ・ロアノークとも呼ばれたこともあったっけな…。
エンディミオンの鷹と呼ばれたこともあった…。
前の大戦の時、ドミニオンの陽電子砲からAAを庇った時、ジブリールに拾われた(記憶操作付き)。
その後は多分、みんなが知っている通りだ。
俺は今、ラウ・ル・クルーゼと遭遇したときよりも恐ろしい重圧を感じていた。
終戦後、俺はインパルスの…現在はデスティニーのパイロットであるシン・アスカとかつての部下であるステラと対面している。
後はアレックスとナオトが緊張しながら見守っている。
シンは年齢からは考えられないくらい凄まじい威圧感を放ちながら俺を見据える。

シン「ネオ、あんたに伝えたいことがある」

ムウ「な、何だ?」

俺は緊張しながらシンの言葉を待つ。

シン「ステラを…娘さんを俺に下さい!!」

俺に向かって頭を下げるシン。
一瞬頭が真っ白になった。
ま、まさか…。

ステラ「シン…」

ステラの頬がほんのり赤い。
ああ、あのステラが恋を…。
成長したなあ…。
じゃなくて!!

ムウ「ステラ!?どういうことなんだ!!?」

ステラは俺の腕をすり抜けて、ナオトの後ろへと避難してしまう。

ムウ「ス、ステラ?」

ステラの様子が昔と違う。
ナオトから少しだけ顔を覗かせて、俺を睨んでいた。

ステラ「ネオは駄目」

ムウ「へ?」

ステラ「ネオはもう頭撫でたりしちゃ駄目!!」

ステラから初めての拒絶。
これが反抗期かと衝撃を受ける俺だったが、事態はもっと深刻であった。

ステラ「ステラはシンに頭を撫でてもらうの!!だからネオは駄目!!」

俺はステラの言ったことの意味を、暫く把握出来なかった。
しかし、徐々に、理解してゆくにつれ、困惑と驚きは、怒りに変わった。

ムウ「駄目だ駄目だ駄目だー!!ステラと交際なんて、絶対駄目だー!!」

大声で怒り出した俺に、一瞬ビクリと震えたステラだったが、すぐにギュッと眉を寄せて、再び俺を睨んだ。

ステラ「駄目じゃない!!ステラ、シンのお嫁さんになるんだもん!!」

ムウ「なっ…おっ…およ…」

絶句する俺。

ナオト「そうなんですよ~最近、ステラはシンの為に花嫁修行をしてるんです。掃除洗濯に、お料理も。後、お菓子作りなんか凄い上達具合なんですよ」

俺はステラとの再会という天国から、ステラに恋人どころか婿発覚で一気に地獄に突き落とされた。
哀れな父親的存在は、怒りで肩をプルプルと震わせる。

ムウ「そんな…そんなこと、俺は認めーん!!」

認めない。
そんな父親の権限を振りかざしてみた俺だが、ステラはプックリと頬を膨らませ、ぷいとそっぽを向いてしまった。

ステラ「ネオ、嫌い!!」

ムウ「ぐはあ!!?」

可愛い愛娘からの痛恨の一撃。
嫌いの衝撃は俺の心の弱い場所を的確に抉った。

ムウ「認めるからキライにならないでくれ~…」

俺はステラに泣きながら懇願することになった。

アレックス「(…これが娘を持つ父親の心境なのだろうか……?)」

膝にちょこんと座っている愛娘の頭を撫でながらアレックスは複雑そうな顔でムウを見ていた。















































俺の名前はムウ・ラ・フラガ。
ネオ・ロアノークとも呼ばれたこともあったっけな…。
エンディミオンの鷹と呼ばれたこともあった…。
前の大戦の時、ドミニオンの陽電子砲からAAを庇った時、ジブリールに拾われた(記憶操作付き)。
その後は多分、みんなが知っている通りだ。
俺は、奴の命令で子供を戦争の道具にした。
そして、子供の進むべき道を示せなかった……。
そんな俺は死んだら地獄行きだろうなと覚悟はしていた。
だがなぁ!!
まさかこんな地獄なんて予想していませんでした。
神様。
私、生意気言いました。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。

「汝、シン・アスカはこの女。ステラ・ルーシェを妻とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかな時も共に歩み、死が2人を分かつまで、愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを神聖な婚姻の名の元に、誓いますか?」

シン「誓います」

「汝、ステラ・ルーシェはこの男。シン・アスカを夫とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかな時も共に歩み、死が2人を分かつまで、愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを神聖な婚姻の名の元に、誓いますか?」

ステラ「誓います…」

今日はシンとステラの結婚式。
俺は泣く泣く出席した。
デスティニープランの象徴である2人の結婚式はかなり盛大であった。

「では、誓いの口づけを……」

シンがステラの顔を覆っているウェディングベールをゆっくり丁寧に持ち上げる。

ステラ「シン…」

シン「ステラ…必ず幸せにするよ。お腹の子もね…」

ステラ「うん…」

今、聞いてはならない言葉が聞こえた気がする。

アウル「いい加減現実に戻れよおっさん」

ムウ「おっさんじゃない!!って、アウル!?お前も生きてたのか!!?」

アウル「おう」

ムウ「アウル…合わせる顔がないな…スティングを死なせちまった…」

アウル「…ああ、知ってる。ステラから聞いた。」

ムウ「そうか…」

アウル「まさかあの泣き虫ステラが新世界の象徴とはねえ、結婚するって聞いた時、天地崩壊するんじゃないかって心配したぜ。」

ムウ「お前…」

あまりにも酷いアウルの発言に俺は複雑そうにアウルを見つめた。

タリア「アウル、そろそろブーケトスが始まるから静かにして頂戴」

アウル「分かったよ母さん。」

その後、ブーケはカガリの嬢ちゃんに渡ったのであった。











































俺の名前はムウ・ラ・フラガ。
ネオ・ロアノークとも呼ばれたこともあったっけな…。
エンディミオンの鷹と呼ばれたこともあった…。
前の大戦の時、ドミニオンの陽電子砲からAAを庇った時、ジブリールに拾われた(記憶操作付き)。
その後は多分、みんなが知っている通りだ。
俺は、奴の命令で子供を戦争の道具にした。
そして、子供の進むべき道を示せなかった……。
そして娘を奪われた俺には“堕ちた鷹”がお似合いさ…。 
 

 
後書き
あれ?
ネオの話なのにシンステ話になってる 

 

O☆MA☆KE 2 家族

戦争集結から10年の年月が流れ、シンとステラの結婚記念日にアレックス達はアスカ家に尋ねていた。

ルナマリア「おっはよ~シ~ン♪ステラ~♪」

シンとステラがリビングに向かうと、朝っぱらからテンションの高い声が2人を向かえた。
長男の息子を抱っこしながら、専用機の角の如く重力をねじ伏せたかのようにアホ毛を雄々しく立たせた赤い髪の美女が満面の笑みで2人に声をかける。
ずしんと、シンは自分の肩に重りが乗っかったような気がした。
直ぐに足元に駆け寄ってきたステラにそっくりな長女を抱き上げると、噛んで含めるようにゆっくりと語りかける。

シン「コラ、ルミネ。何度も言っただろう?知らない人と、ネオとルナマリアが来た時はドアを開けちゃあ駄目だって」

ルミネ「ごめんなさい、パパ」

ルナマリア「ちょ、コラァ!!どういう意味だぁ!!私はあのおっさんと同価値かい!!」

子供を抱いているのも忘れ、赤毛の美女、ルナマリア・ホークが叫ぶ。












































ムウ「おっさんじゃない!!」

カガリ「どうしたフラガ一佐?」

ムウ「いや、誰かが俺をおっさんと言ったような…」

カガリ「…いやおっさんだろう。40はどう考えても」

ムウ「うるせえ!!28になっても独身のくせに!!」

カガリ「貴様、今言ってはならないことを言ったな!!」

カガリの渾身の蹴りがムウの鳩尾に入った。

ムウ「ぐう!!独り身が…」

カガリ「うるさい!!私は結婚出来ないんじゃない…相手がいないからしないだけだ!!アスハ家流、正拳突き!!」

動けない相手に追撃を掛ける程度には今日の彼女は容赦がなかった。
気にしていたのだろうか?












































因みに、シンに瓜二つの長男はそんなルナマリアの叫び声を聞いて泣くどころか、喜んでいるあたり末恐ろしい子だとステラは密かに思う。

シン「どういう意味もお前は娘の情操教育に悪い。許可なく、立会いなく会わせられねぇ。ネオに至ってはルミネやシュラを誘拐しようとしやがるからな」

アレックス「本当なのか?それ?」

ナオト「マジだよマジ。何度あのおっさんがシンに半殺しされたか…」

ハイネ「ジジ馬鹿もそこまで…」

ルナマリア「私の何処が教育に悪いっていうのよ」

クレア「そりゃあ、27になっても独り身で僕達に嫉妬全開の君は教育に悪いよ」

ルナマリア「何ですってえ!!?あんた今、言ってはならないことを言ったわね!!?」

レイ「そこまでにしておけ、ルナマリア。すまないなシン、ステラ。朝から邪魔をしてしまって」

シン「レイ!!?」

ステラ「レイ?」

娘に手を引かれるように、キッチンからやってきたのはシンの親友、レイであった。
そこで、シンはようやく納得が行った。
ルナマリアを見ると、誤魔化すように明後日の方を見る。

シン「ルナ……お前…レイ達をダシにつかったな…」

ルナマリア「ダシとは失礼ね。ただおチビちゃんにレイと一緒に遊びに来たって言ったら開けてくれたのよ」

レイはソファーに座ると、ステラによく似た特徴を持った娘は当然のようにその膝の上に座る。

レイ「勝手ながらキッチンを使わせてもらった。良い紅茶の茶葉が手に入ったからお前とステラの紅茶を煎れておいた」

アレックス「俺はルミネとシュラにマイクロユニットを作ったぞ。さあ、アリシアと色違いのハムスターだけどいいかな?」

ルミネ「ありがとう!!」

シュラ「…ありがとう」

因みにアリシアと言うのはアレックスとナオトの娘の名前である。
シュラが青でルミネがピンク、アリシアが朱である。

ステラ「アレックス、ありがとう…。紅茶も美味しい…」

シン「うん。レイの紅茶はいつ飲んでも美味いな」

レイ「フフ…そこまで褒められるとこそばゆいな…」

クレア「当たり前だよ、僕の旦那様なんだから」

ルナマリア「爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ…!!そしてモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲなさいリア充!!」

ルナマリアの恨みがましい声が響くが全員無視。

クレア「でもルナが独り身なのはルナにも問題ありすぎだよ。理想高すぎ。この前だって踵落としをかましたじゃん」

シン「凄いなお前…」

ルミネ「ルナお姉ちゃん強~い」

ルナマリア「そうでしょう~尊敬してもいいわよ~?」

シン「うちの天使をお前のような阿修羅や大魔神にさせてなるものか!!」

ステラ「シン…言い過ぎ…」

アリシア「かかとおとしってなに?」

レイ「そうだな…お前のような乙女は一生知る必要のないものだ」

ルナマリア「アンタらね……私の相手をしてくれるのはもう君だけよ」

ルナマリアはシュラを抱き上げながら顔を上げて、ステラを真っ直ぐ見つめる。

ルナマリア「ステラ、この坊や私に頂戴」

ステラ「駄目」

即答だった。

ルナマリア「ええ~、いいじゃない。1人くらい。また作りなさいよ~。私もうこの子を私色に染めてしまおうかな…って…この国にもそんな諺があったでしょ」

ステラ「それは男女逆!!それ以前に、シュラを冗談でもそんな目で見るなんて許さないから!!」

シン「ス、ステラ?落ち着けって……冗談くらいいいじゃん…」

ルナマリア「そうよ、ステラ。半分冗談よ」

アレックス「半分本気なのか……」
















































ルミネ「レイおじちゃん。パパ達また騒いでるね」

レイ「そうだな。仲良しということだ。とても良いことだぞ」

ルミネ「そうだね。わたしは気にしない」

レイ「そうだ、気にしてはいけない」

少し呆気に取られた少女の頭を撫でながら、レイはあまりこの少女の教育に悪い会話だけはしないで欲しいなと思っていた。

ハイネ「…今日も平和だねえ……」

こんな馬鹿騒ぎが出来る世界は今日も平和である。 

 

O☆MA☆KE 3 評価

 
前書き
ミネルバクルー達の評価
時期はレクイエム破壊後 

 
アーサー「私って…私の価値って…」

アレックス「元気を出してください。ほら、作者が知り合いから聞いた副長へのアンケートです。」

アーサー「い、一体ど、どんな結果が?」

~アーサーの場合~

・「リアクション王」…25人 

・「ミネルバの恥さらし」…14人 

・「空気」…32人

・「エロゲ王」…49人 

・「ボケ」…30人 

・「え?ミネルバにそんなのいたっけ?」…70人 

・「別にいてもいなくても変わらない」…数え切れない数 

アーサー「100人を軽くオーバーしてるじゃないかっ!!?しかも作者の知り合い、皆酷いぃぃぃぃぃっっ!!」

アレックス「ちょ、副長、どこに行くんですか!!?戻って来て下さい!!」

ステラ「うぇええええい!!!!」

レイ「何!!?ステラが凄まじい速さで通路を駆け抜け、副長の前に回り込むと同時に捕獲した!!」

クレア「残像が見えたけど気のせいだよね?」

アーサー「他のメンバーは?他のメンバーの印象はどうなっているぅ!!」

シン「まあ、落ち着いて。ええーと…じゃあ主人公のアレックスは…」

~アレックスの場合~

・「原作とは違って立派な主人公」…28人

・「シンの理解者」…56人

・「デュランダル家の長男」…22人

・「原作もこんな風だったらなあ…」…31人

・「原作と違ってちゃんと先輩してる」…18人

・「原作よりしっかりしてる」…39人

・「ツッコミとボケの二刀流」…24人

・「原作と違ってちゃんと自分の意思を持ってるから好印象」…47人

・「原作と違ってキラキラ病が無くなってるから好感持てるよ」…12人

アーサー「好印象だなあ…」

アレックス「本当ですね…自分でも驚いています。しかし、これを見ると原作の俺ってどれだけ口下手で馬鹿だったんだろう…」

ナオト「あ、あははは…」

ルナマリア「じゃあ次はナオトね…作者はオリキャラだから人気無いかなと思っていたらしいけど」

~ナオトの場合~

・「アスランもといアレックスの嫁」…21人

・「皆のお姉ちゃん」…10人

・「ヒロイン」…14人

・「天然」…26人

・「先輩」…8人

・「デュランダル家長女」…17人

・「カガリよりお似合いかも…」…34人

ルナマリア「だそうですよ。」

ナオト「アレックスの嫁なんて…嬉しいけどなんか照れるな~」

クレア「僕はどうなの?」

レイ「では見てみるか」

~クレアの場合~

・「女版シン」…31人

・「いつの間にかレイの嫁になってた」…30人

・「登場して間もない時は原作のシンそのもの」…48人

・「ラクシズの首領を倒すという偉業を果たした人」…29人

・「議長と互角に渡り合える人」…8人

クレア「…僕ってそんなにシンに似てたかな……?」

全員【似てる】

~ハイネの場合~

・「グフ撃墜が原作よりカッコイイ」…27人

・「デスティニーのパイロット」…18人

・「先輩」…14人

・「漢」…37人

・「ザクとは違うんだよ…ザクとは!!」…41人

・「西川さん」…58人

ハイネ「おお、中々の好印象じゃないの」

ナオト「声優さんが一番褒められてるんだけど?」

ハイネ「俺はそれでいいさ、好印象なのは変わらないし」

~レイの場合~

・「原作より人間らしくなってる」…18人

・「救済された人」…24人

・「デュランダル家次男」…11人

・「洋食派?和食派?」…46人

・「原作ほど議長に依存していない」…37人

クレア「レイって洋食と和食のどっちが好きなの?」

レイ「洋食も嫌いではないがどちらかといえば和食だな」

クレア「そ、そうかあ…和食ってヘルシーだもんね。じゃあ今からでも特訓しないとね……」

レイ「?何の話だ?」

クレア「ううん、こっちの話だから気にしないで」

~ルナマリアの場合~

・「誤射マリア」…56人

・「射撃ドヘタ」…42人

・「格闘は強い」…13

・「ステラとの絡みはいい」…45人

・「原作でもガナーじゃなくてスラッシュで戦わせれば…」…26人

・「“第二十七話 ジブリール逃亡”のギャグは吹いた」…71人

・「“第二十九話 天空のレクイエム”でのギャグ話も捨て難い、皆から信用されてない」…67人

ルナマリア「ちょっとこれ酷すぎじゃないのよーーーー!!!!!!!!!!」

レイ「気にするな、俺は気にしない」

ルナマリア「うるさいわね!!少しは気にしなさいよ!!」

アレックス「まあ、ちゃんといいところも出されている分、マシじゃないか」

ルナマリア「そ、そうですよね、副長よりはマシですよね!!」

アーサー「酷いのはお前だあああああ!!!!!!」

~ステラの場合~

・「救済された人」…28人

・「シンの嫁」…51人

・「ヒロイン」…35人

・「原作でも生きていてくれれば…」…42人

・「ステラのパイロットスーツって何色?」…16人

ナオト「だってさ、ステラ」

ステラ「うん…ありがとう…ステラのパイロットスーツはピンク…ナオトが朱でクレアが黒だよ…」

アレックス「ナオトとクレアのパイロットスーツの色まで言わなくてもいいんじゃ…」

~シンの場合~

・「ツンデレ」…数え切れない数

・「ステラの旦那」…数え切れない数

・「救済された人」…18人 

・「突撃隊長」…数え切れない数

・「ちゃんと主人公」…数え切れない数

・「ネオからステラを掻っ攫った男」…数え切れない数

アーサー「私と雲泥の差が…」

アレックス「まあ、この作品が評価されているのはシンがしっかりと主人公をしてるというのもあるんでしょうね」

ナオト「アレックスも原作とは違うのも見所だと思うよ!!?ステラもレイも生き残るし!!」

レイ「セイバーもデスティニーもレジェンドも強化、救済されているからな。」

シン「…セイバーとレジェンドとハイネのデスティニーはともかく、俺のデスティニーってどこが強化されてるんだ?」

クレア「機動力と原作と違ってちゃんと完成しているとこだと思うよ?原作じゃあ、デスティニーの微調整が済んでいない状態でフルパワーで戦ったせいで、エネルギー切れ起こしたし」

ルナマリア「核で動いてるのにエネルギー切れを起こすなんて見えざる神の悪意を感じたわ」

ステラ「一時期は作者の友達にデスティニーは欠陥機って言われてた…」

ハイネ「これはデスティニーのパイロットである俺の意見だが、デスティニーの最大の欠陥は…全ての武装は手を介さないと使用出来ないことだな、多くある武装の内、一度に使える武器は2つ、更に武装は対艦刀、長射程ビーム砲、ビームブーメランとか大味な物が多いのが原因かもな。」

ルナマリア「例えば…」

セイバーガンダムの武装

20mmCIWS×2、

高エネルギービームライフル

ヴァジュラビームサーベル×2

アムフォルタスプラズマ収束ビーム砲×2

スーパーフォルティスビーム砲×2

ピクウス 76mm機関砲

複合兵装空力防盾

グレイプニール改

内蔵型ビームサーベル×2

グリフォン2ビームブレイド×2

スクリーミングニンバス

レジェンドガンダムの武装

17.5mmCIWS×2

高エネルギービームライフル

ソリドゥス・フルゴール ビームシールド発生装置×2

デファイアント改ビームジャベリン×2

GDU-X7 突撃ビーム機動砲×2

GDU-X5 突撃ビーム機動砲×8

ストライクノワールの武装

トーデスシュレッケン12.5mm自動近接防御火器×2

アンカーランチャー×6

ビームライフルショーティー×2

ソリドゥス・フルゴール ビームシールド発生装置

2連装リニアガン×2

フラガラッハ3ビームブレイド(ビームサーベル内蔵)×2

アンカーランチャー

デスティニーインパルスの武装

20mmCIWS×2

フォールディングレイザー対装甲ナイフ×2

高エネルギービームライフル

フラッシュエッジ2ビームブーメラン×2

ソリドゥス・フルゴール ビームシールド発生装置×2

エクスカリバーレーザー対艦刀×2

テレスコピックバレル延伸式ビーム砲塔×2

シン「取り回しがいい武装ばかりですね…」

アレックス「だが、流石に機動力と出力ではデスティニーには敵わないからそこまでこだわらなくてもいいだろう?俺達がデスティニーの弱点を補えばいい。仲間というのはそういうことだろう?」

シン「そうですね」

ナオト「デスティニーといえば、原作じゃあザフトは、デスティニーを効果的に運用するための特殊部隊の構想を抱いていたんだよね“コンクルーダーズ”の名称を与えられるはずだったこの部隊は、各地の戦線から選抜された戦績優秀なパイロットを集めて、主力MSにデスティニーを配備して編成される予定だった…。ザフトは、最強のMSとパイロットを組み合わせた部隊で連合の戦力を一蹴してその戦意を喪失させようとした。ハイネもその一員に選ばれて、専用に調整されたデスティニーの製造も開始されていたけど。原作じゃあハイネは機体の完成直前に戦死したから、部隊も実際に編成されることはなかったんだよ。主を失ったデスティニーは、今もザフトの兵器保管庫で目覚めの時を待ち続けているとか…もしその設定が原作放送時にあったらハイネのデスティニーはアレックスに受領されたかもね…ぶっちゃけ、高機動を活かした近接戦が得意なアレックスにレジェンドは合わないと思うし」

ルナマリア「もし、アレックスさんがハイネさんのデスティニーを受領したら深紅のデスティニーに…これはこれでアリかも…そして原作通りにアレックスさんが脱走してデスティニーは私の物に…」

アレックス「代わりにイザーク、ディアッカ。もしくはシホ・ハーネンフース、マーレ・ストロード等のエースに受領されるに一票」

全員【同じく】

ルナマリア「何で!!?」

シン「ルナじゃあ、デスティニーを使いこなす前に墜とされるよ」

クレア「実際、原作じゃあ、大して活躍してないじゃん。だったら活躍してるジュール隊長達に渡されるのは普通でしょ?」

レイ「それにこれは“もしも”の話だ」

ルナマリア「うう…私だってデスティニーに乗りたいわよう……」

ナオト「諦めなさいって、インパルスだって高性能機なんだから」

ステラ「インパルス…ガイアより強い……」

ルナマリア「うう…分かったわよう……デスティニーに乗りた~~い…」 
 

 
後書き
アンケート取るの、マジで苦労しました…。